平成13年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)
県議会の活動
平成十三年九月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
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議事日程 第二号
平成十三年九月十八日(火曜日)午前十時開議
第一 議案第百十九号及び議案第百二十号(知事説明)
第二 意見書・決議案
第三 議案第百四号から議案第百十八号まで、並びに報第六号
(質疑)
第四 一般質問
会議に付した事件
一 議案第百十九号及び議案第百二十号(知事説明)
二 意見書・決議案
三 議案第百四号から議案第百十八号まで、並びに報第六号
(質疑)
四 一般質問
出席議員(四十六人)
一 番 新 島 雄
二 番 山 田 正 彦
三 番 佐 田 頴 一
四 番 大 沢 広 太 郎
五 番 堀 本 隆 男
六 番 宇 治 田 栄 蔵
七 番 門 三 佐 博
八 番 西 本 長 弘
九 番 坂 本 登
十 番 小 原 泰
十一 番 木 下 善 之
十二 番 永 井 佑 治
十三 番 尾 崎 要 二
十四 番 小 川 武
十五 番 宗 正 彦
十六 番 橋 本 進
十七 番 生 駒 三 雄
十八 番 原 日 出 夫
十九 番 谷 洋 一
二十 番 山 下 直 也
二十一番 高 瀬 勝 助
二十二番 吉 井 和 視
二十四番 町 田 亘
二十五番 金 田 眞
二十六番 高 田 由 一
二十七番 神 出 政 巳
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 向 井 嘉 久 藏
三十 番 野 見 山 海
三十一番 平 越 孝 哉
三十二番 下 川 俊 樹
三十三番 中 山 豊
三十四番 浜 田 真 輔
三十五番 鶴 田 至 弘
三十六番 冨 安 民 浩
三十七番 村 岡 キ ミ 子
三十八番 中 村 裕 一
三十九番 井 出 益 弘
四十 番 阪 部 菊 雄
四十一番 江 上 柳 助
四十二番 長 坂 隆 司
四十三番 森 正 樹
四十四番 飯 田 敬 文
四十五番 新 田 和 弘
四十六番 松 本 貞 次
四十七番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
〔備考〕
二十三番欠員
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
理事 安 居 要
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 稲 山 博 司
企画部長 垣 平 高 男
環境生活部長 秋 月 成 夫
福祉保健部長 白 井 保 世
商工労働部長 内 田 安 生
農林水産部長 辻 健
土木部長 大 山 耕 二
企業局長 増 田 充 孝
教育委員会委員長 目 黒 威 徳
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員 中 尾 公 彦
警察本部長 岩 井 良 行
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 北 村 亮 三
職務のため出席した事務局職員
事務局長 田 村 徳 美
次長 佐 竹 欣 司
議事課長 北 垣 内 敬
議事課副課長 松 谷 秋 男
議事班長 露 詰 勤
議事課主査 尾 崎 善 亮
議事課主査 井 口 好 晴
総務課長 梶 本 皓 造
調査課長 宗 野 幸 克
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課副主査 保 田 良 春
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午前十時十三分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、報告をいたします。
議案の追加提出がありました。
〔巻末の「参考資料」を参照〕
【日程第一 議案第百十九号及び議案第百二十号】
○議長(井出益弘君) 日程第一、ただいま報告の議案第百十九号及び議案第百二十号を議題といたします。
議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明を申し上げます。
議案第百十九号は、去る八月二十一日、本県に上陸いたしました台風十一号による被害に対し、早期にその復旧を図るため所要の経費を計上したものであり、議案第百二十号は、災害復旧事業等の施行に伴う市町村負担金について議決をお願いするものでございます。
何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
○議長(井出益弘君) 以上で、当局の説明が終わりました。
【日程第二 意見書・決議案】
○議長(井出益弘君) 次に日程第二、和議第三十四号「米国における同時多発テロ事件に関する意見書案」を議題といたします。
案文は、お手元に配付しております。
お諮りいたします。本案については、提出者の説明等を省略し、これより直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
和議第三十四号を採決いたします。
本案を原案のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。
〔賛成者起立〕
○議長(井出益弘君) 起立全員であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。
【日程第三 議案第百四号から議案第百十八号まで、並びに
報第六号】
【日程第四 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第三、議案第百四号から議案第百十八号まで、並びに知事専決処分報告報第六号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第四、一般質問を行います。
三十一番平越孝哉君。
〔平越孝哉君、登壇〕(拍手)
○平越孝哉君 おはようございます。
今、この壇上に立つと、随分昔にこの場所に立ったような気がいたしますが、質問者として久方ぶりの登壇であります。
平成十三年九月定例会における一般質問のトップバッターとして質問の機会を与えていただきましたことにつきましては、大変光栄であり、議員の皆さん方に厚くお礼を申し上げます。
議長のお許しをいただきましたので、順次質問に入らせていただきたいと思いますが、その前に、去る七月十日、不慮の事故により急逝されました故木下秀男議員の生前のご遺徳をしのび、謹んでご冥福をお祈りいたします。
また、ただいま全議員の賛同を得て意見書が採択されたところでございますが、九月十一日に米国で発生した大規模な同時多発テロ事件は、民主主義社会への重大な挑戦であるとともに、世界の平和と安全を脅かす許しがたい卑劣な行為であります。この多発テロ事件で被害に遭われた米国政府、米国国民、そして各国の方々に対し心から哀悼の誠をささげるとともに、お見舞いを申し上げます。
さて、今、和歌山県を取り巻く社会経済情勢は、長引く不況の影響や県経済が抱える構造的な問題もあり依然として厳しく、県政が取り組まなければならない諸課題が山積をしております。このような情勢のもと、木村知事は昨年九月の県知事選挙に県民の多くの支持を得て当選を果たされました。これは、仮谷知事、西口知事のもとで三年間の総務部長、大阪府副知事などを歴任した豊富な行政経験が評価されたのと同時に、県民の地域づくりへの思いや県政に対する期待にこたえ、新しい和歌山づくりに取り組んでくれるという県民の確信の結果であったと思います。
当時、全国で最も若い知事として就任されて以来、一年が経過しました。この間、国では森内閣にかわり「聖域なき構造改革」を旗印に小泉内閣が誕生しましたが、木村知事は就任当初から、しがらみのない若さとスピード、そして全国的な視野を持って「聖域なき行財政改革」を唱え、和歌山工科系大学の計画を中止、雑賀崎沖埋め立ての凍結を断行されました。
また、知事には、就任間もなく梅生育不良問題で田辺市や南部町、産廃問題で橋本市と続けざまに現地を調査し、地域住民の方々と積極的に対話を進められました。そして、産廃問題については、解決に向けて全国で初めて現場でのジオメルト工法を実施されました。これらの懸案に対する知事の迅速な対応と実行力に、県民は木村県政に改めて大きな信頼と期待を抱いたところであります。
さて、知事は就任に当たり、本県の目指すべき姿として、時代の変化に鋭敏に対応しながら外に向かって進んでいく開かれた和歌山を基本理論として県政を推進すると発表されました。そして、近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道、第二阪和国道を初めとする大都市圏との交通連携を促進するための基盤整備を重点的に進められています。また、産業活性化策として「ふるさと和歌山わいわい市場」構築や株式会社バーチャル和歌山への出資に代表されるIT関連施策、国際チャーター便を活用した白浜空港への海外観光客の受け入れなど、国際観光施策にも取り組まれております。そして、開かれた県政の実現として、ふるさと未来づくりトークや農林水産業ステップアップ会議、アドバイザー会議等、県民との対話や若者や有識者の意見、提案を施策に反映させる仕組みをつくられました。
知事は、折に触れ、職員に対し、常にアンテナを高くしてさまざまな情報を収集し、従来の考え方にとらわれることのないよう指示していると。私も、県民福祉の向上のため、さらには自治体間競争に打ち勝つためには、時代の厳しい変化と時の流れを的確にとらえ、素早く対応できるよう県職員の意識改革を進めていく必要があることを痛感しております。今後、改革派知事としてその言動が世間からさらに大きな注目を集められるよう、また、現下の厳しい状況の中ではありますが、より一層行政手腕を発揮され、県政を着実に推進されますよう、私も大いに期待をしております。
そこで、木村知事にお尋ねいたします。
知事は、就任以来、山積する諸課題に果敢に挑戦し、県政の運営に全身全霊で取り組まれてきたと思いますが、この一年を振り返り、知事ご自身のご感想をお伺いいたします。
さて、次に、地方と地方経済の活性化についてであります。
国の経済財政諮問会議においてまとめられた「骨太の方針」において、個性ある地方の競争、自立した国・地方の競争が重点分野の一つに位置づけられました。これからは、自助と自立の精神のもとで個性ある地域の発展、知恵と工夫による競争による活性化を図ることが地方経済において極めて重要であります。つまり、それぞれの地方がこれまで以上に地域の魅力と自立性を高め、他の地方とは異なる独自性を創造し、発信していくことがますます重要となってまいります。
まず、緑の雇用事業についてでありますが、木村知事は、北川三重県知事と共同で緑の雇用事業の創設を提言されました。この提言は、他の自治体を初め、各方面からの大きな反響と高い関心を呼び起こしました。共同とはいえ、どちらかといえば木村知事主導であったと伺っております。和歌山県知事の提言が全国を席巻し、他の道府県をリードしていくということは、地方分権の時代を先取りするすばらしい取り組みであり、私にとっても大変喜ばしいことであります。
今まさに、国挙げての財政再建、公共事業費縮減の流れの中で、秋から年末にかけて深刻な失業問題や地方経済の落ち込みが憂慮されるところであります。こうした中での新しい雇用事業の提案は、農山村の豊かな自然環境を守り、雇用の受け皿の多様化を図り、地域の活性化につながるものと、森林関係者はもちろん、多くの県民の期待の声が高まってきております。
森林を取り巻く状況を見ますと、近年の木材価格の低迷を反映して、その荒廃ぶりは深刻と言わざるを得ません。人手不足により荒れるに任せ、経済林としての管理はおろか、本来の自然環境としての役割も保持し得なくなっております。この影響は、森が生み出す水環境や、さらには海の豊かさにまで及んでいるということです。特に、県土面積の七七%が山林という木の国和歌山にとって、森林の盛衰はそのまま県勢に反映すると言っても過言ではありません。
「地球愛」という言葉があります。森を守り、水を守り、海を守る。このことによって地球全体の環境を守り育てていこうということだと思います。そして、この運動は、我々が生活する身近な地域の単位から始めねばなりません。地球の環境は、同時に地域の大きな資源です。緑を求めるハイキングは、熊野古道で実証済みです。清流やきれいな海は、多くのスポーツやレクリエーション人口を呼び込んでいます。これからの地方の活性化は、こうしたすばらしい自然環境がもたらす交流人口によって大きく左右されてまいります。知事の緑の雇用事業に似て全国的に注目された考え方には、約十年前、中山喜弘前本宮町長が打ち上げ、十年の間、森林交付税フォーラムを積み重ねてこられた森林交付税構想があります。現在では、森林交付税フォーラム加入自治体が九百十一市町村にまで広がり、構造改革のあらしは森林交付税にとっても追い風になる可能性があります。また、環境保護の意識が高まる中で、知事の緑の雇用事業の提言と相まって、緑の雇用事業、森林交付税ともに実現に向けてさらなる発展が必要であり、補正予算や来年度の当初予算に大きなテーマとなるよう大いに期待をしております。
そこで、緑の雇用事業の理念、内容について、ここで改めて知事にお伺いいたしたいと思います。
また、知事は緑の雇用事業について、三重県の北川知事とともに全国の知事に広く協力を呼びかけられました。その結果、二十八道府県の知事のご賛同を得たと聞いております。そして、三十道府県知事の連名で緑の雇用事業を国の予算の重点分野に取り入れることについて、川口環境大臣と武部農林水産大臣に対して提言を行われたところであります。国への提言について、環境・農林水産両大臣の感触はどのようなものでありましたか。また、国において緑の雇用事業がこれからどのように具体化される見込みでありますか、お伺いをいたします。
次に、地方経済の活性化についてであります。
今、全国的に景気が低迷し、その影響は地方都市にも及んでおります。経済の分野も、景気は引き続き悪化しているとされております。雇用情勢についても、全国の完全失業率が調査開始以来初めて五%の大台に乗るという大変厳しい事態であります。このような状況において、特に地方では人口の減少と高齢化の進展が不況に拍車をかけるように進行しております。
これらの危機を克服するためには、地方が自立し発展する方策を考え出さなければならず、まず経済的な自立という裏づけが必要となります。しかし、近年の経済のグローバル化の進展は地域産業の空洞化をさらに加速させるおそれがあります。例えば、中国では工業が急速な発展を遂げており、今や世界の工場となりつつあります。かつて、中国製品は低価格であるが品質面において先進国に劣っているというのが定説でありました。しかし、近年、各国の技術指導、生産設備の近代化等により品質面においても飛躍的な進歩を遂げ、特に製造業の生産拠点が中国へ大きくシフトされ、この流れが本県においては繊維関係に代表される地場産業など、県内産業に深刻な影響を及ぼしています。
国内外の競争に打ちかつためには、本県の特色や個性を生かした技術力や商品の開発を目指さねばなりません。本県には、機械や化学などの分野で独自の技術を駆使して、国内はもとより世界のトップシェアを占める企業も輩出しています。このような個性ある成長企業の中に、本県産業の進むべき道が示されているのではないでしょうか。この不況が長期化するおそれのある今こそ、打つべき手は早く効果的に実施すべきだと考えます。本県経済の活性化のためどのような施策を考えておられるか、知事のご所見をお伺いいたします。
次に、地方都市の空洞化についてであります。
和歌山の人々にとって、繁華街・本町通りの象徴とも言うべき丸正百貨店がこの春閉店し、人々は口々に和歌山の経済的な地盤沈下を嘆きました。地元に住む人間にとって中心市街地は、長い歴史の中で地域の文化や伝統をはぐくみ、相互に交流する地域のコミュニティーの核であります。しかし、ここ数年、大型店舗の撤退もあり、ぶらくり丁では入り込み客が激減し、商店街の空き店舗が目立つようになっております。もちろん、これは商店街の努力不足もあるかもしれませんが、郊外の大型店との競争の結果であり、商店街の空き店舗の増加により地価が下落し、再開発も滞り、中心市街地のみならず、このままでは都市全体の衰退を招くこととなります。
国としても、中心市街地活性化は重要と考えております。これら国の動向や県内市町村への取り組み状況を踏まえて、今後県として中心市街地の活性化、特に商店街の活性化にどのように取り組まれていくのか、商工労働部長にお尋ねをいたします。
次に、医大跡地の取り組み状況についてであります。
県都和歌山市の活性化を図る上で、現在医大跡地で県が進めている計画の果たす役割は非常に大きなものがあると考えますが、その取り組み状況について企画部長にお伺いをいたします。
次に、教育改革についてであります。
国民すべてが教育に関心を持ち、国も積極的に教育改革を進めておりますが、何より次代を担う子供たちがたくましく豊かに成長することは、二十一世紀を確固たる豊かで幸せな時代にするための基本であると私は考えます。本県においても、教育改革の一環として、総合学科、中高一貫教育の導入、スクールカウンセラーや心の教育相談員の配置、そして学校評議員制度の導入など、多岐にわたって改革、改善がなされています。このような改革のねらいは特色ある学校づくりであり、子供たちに希望と夢を持たせながら生きる力をはぐくみ、知識、道徳、体育、いわゆる知・徳・体をバランスよく身につけることであります。このためには、学校、社会、家庭の教育、この三育を並進させながら、学校、地域社会、家庭の確かな連携、協力が今後ますます重要であると思います。
知識を取得する場所としての学校に家庭で担うべきしつけや家庭教育を任せっきりにして親としての権利義務を放棄する家庭が多く見られますが、家庭での体験、例えば掃除、炊事、洗濯など、家事はある程度子供に任せ、家庭という一番小さい社会単位の中で子供が役割を担い、社会性を身につけることが必要であります。しかしながら、教育環境は大変厳しい状況にあります。また、子供を取り巻く現状は危機的様相を深めております。
今、和歌山の教育問題を考えながら、手にした小冊子「古寺をゆく」の文中に、高野山真言宗管長和田有玄座主の「法灯の言葉」で弘法大師様のお言葉が引用されており、大変感銘を受けました。
「それ禿なる樹、定んで禿なるにあらず。春に遭うときはすなわち栄え華さく。増れる氷、なんぞ必ずしも水ならん。夏に入るときすなわち解け注ぐ」、人間社会、今は殊に社会状況、経済状況や教育環境は、悪いときもあるが、必ず人々の努力により春が訪れるもので、決してあきらめず精進することを忘れてはならないという意味であります。すなわち、葉の落ちた樹木を見て枯れ木と思ってはならない。その樹木も、春が来れば芽を吹き、やがて花をつける。厚く重なった氷も初夏にはすべて溶け、田畑を潤すのである。樹木も春が来れば芽を吹き、やがて花をつける。かくのごとく、子供たちへの教育に今情熱を注ぎ、活力ある新世紀和歌山の担い手となるよう成長させたいものです。
そこで、教育長にお尋ねをいたします。
今、家庭や地域の教育力の低下が指摘されておりますが、家庭教育の支援や地域ぐるみで子供を育てるためにどのような取り組みをされているか。
次に、来年から新学習指導要領で教育内容が三割削減されますが、今以上の学力低下が予想されます。また、不登校児の増加も心配され、ゆとりを重視した教育が本来の学校教育の基礎的な学力を習得させるという目的から乖離して、現実には勉強しなくてもいいといったふうに誤解をも生じるおそれがあると思いますが、いかがお考えですか。
また、本県ではこの四月から二つの地域において連携型中高一貫教育がスタートいたしました。来年度以降には、兵庫県、新潟県などで県立の中等教育学校が設立される予定です。本県における、その新設も含めた今後の中高一貫教育の取り組みについてお伺いをいたします。
最後に、これは知事と教育長に要望をいたしますが、それは教育の専門職である教職員の定数改善に努めていただきたいということであります。国が策定した今年度から五カ年計画の教職員定数改善計画を重く受けとめ、県単独でも定数確保に努め、ぜひとも少人数での授業を実現していただきたい。二十人以下の学級では、授業もよくわかり、成果も上がり、楽しく学べるという調査結果も発表されております。思い切って国の標準を上回る学級編制の実現のために人と金を投入し、学校教育の再生と大胆な教育の地方分権に努力をされるように希望するものであります。
次に、児童虐待防止法の施行と対応についてであります。
今、教育環境や社会情勢が激変する中、児童虐待の問題が深刻さを増しております。学校と家庭あるいは地域と家庭のつながりは、糸のような細いつながりから太くて温かみのある強いつながりにすることが何より大切であります。また、両親への指導やサポートを効果的にできる機関をふやす必要があります。
厚生労働省の調査によりますと、昨年度、全国百七十四カ所の児童相談所で受けた子供虐待に関する相談件数は一万八千八百四件に上り、前年度に比べて約一・五倍以上増加したと報告されております。また、昨年十一月に施行された児童虐待防止法では、早期発見のため、教職員を初め児童の福祉に職務上関係あるものには通告義務と早期発見の努力義務が課せられており、法施行後の本県における現状と虐待防止の取り組みについて、また通告を受けた後、児童相談所ではどのような対応をされているのか、福祉保健部長にお伺いします。
次に、子供の保護活動についてであります。
去る六月二十日、大阪教育大学附属池田小学校における児童等多数殺傷事件が発生するなど、子供が被害者となる痛ましい事件・事故が全国で多く発生しております。警察に対しては、子供の保護活動に関して地域に密着して活動している交番、駐在等を通じた地域住民の相談窓口の役割を果たすことが期待されています。また、子供を通じて関係機関との連携及び学校や家庭とのパイプ役としての活動を行っていくことは一層望まれております。これらの点について、最近の取り組みを県警本部長にお伺いをいたします。
次に、二〇〇二年サッカーワールドカップキャンプの招致についてであります。
開幕まで残り八カ月余りのサッカーワールドカップに出場する各国チームの公認キャンプ地に和歌山県も立候補し、招致活動を進めております。招致に成功すれば、子供たちに大きな夢を持たせ、国際交流においてこのすばらしい自然を持つ和歌山の名を世界に発信する絶好の機会となり、経済効果を初め、さまざまな効果が期待できます。出場チーム三十二カ国に対し候補地は現在八十四カ所あり、キャンプ地に内定した候補地も既に十カ所あると聞いておりますが、この招致活動の状況と見通しについて、教育長にお伺いいたします。
最後に、高野熊野の世界遺産登録の推進についてであります。
先日、和歌山市内で行われたアジア太平洋地域における信仰の山の文化的景観に関する専門家会議、そして信仰の山会議を記念して開催された高野フォーラムで大きなアピールの機会をつくれたと思います。
さかのぼれば、高野山の世界遺産登録への取り組みは、日本有数の聖山である高野山の歴史と文化、自然を広く世界に知らしめ、二十一世紀に引き継ぎ守っていくために、平成十年八月に地元が世界遺産登録準備会を発足し、その後も町民総意で運動を展開しているところでありますが、このたびの会議の成果も含め、世界遺産登録への見通しについて教育長にお伺いをし、私の質問を終了させていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの平越孝哉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問にお答えを申し上げます。
まず最初に、アメリカで起こりました同時多発テロ事件、私からも謹んで犠牲になられた方々に対して哀悼の意を表したいと思います。
そしてまた、私が知事に就任して一年がたってどのように考えているかという平越議員のご質問でございました。非常にいろいろありがたいお言葉をいただいたわけでございますが、私も、県議会の議員の方々、そしてまた県の職員の人たちの助けを受けて、当初思ってきたようなことをいろいろこの一年間で手をつけることができました。そしてまた、和歌山の特性を生かした形で何とか和歌山県が発展するようにと思って頑張ってきたことは事実でございます。
ただ、ご案内のように、この一年間、非常に経済情勢は厳しい状況が続いております。失業率も高まっておりますし、経済成長率もマイナス。和歌山県も例外ではなく、非常に厳しい状況が続いている。そしてまた、ここへ同時多発テロ事件が起こって先行きが見えないというふうな状況で、私といたしましても、自分が思ってきたことの何もかもができたわけではないことに対して、本当に内心じくじたる思いを抱いているというのが正直なところでございます。
しかしながら、和歌山県は大都市圏に近接するという非常に地域的特性がありますし、そして豊かな歴史、自然、環境、そういうふうなものに恵まれているということもあります。そういうものをもう一度見直して、何とか和歌山県がますます発展するように今後も力を尽くしていきたいというふうな感想を持っているところでございます。
そしてまた、最近は余り言われなくなりましたけれども、関空の二期工事も進んできております。関空というのは、いろいろ言われますけれども、やはり和歌山県にとっては大変有意義な大きな工事だろうというふうに考えておりますので、こういうふうなものを活用した和歌山県勢の進展ということも、もう一回気持ちを改めて考えていきたいと、このように考えているところでございます。
次に、緑の雇用事業でございます。
これは、実は私がかねてから考えておりまして、新聞に投稿し、そしてまた、お話がありましたように三重県の北川知事──何といっても、森林関係等は和歌山と三重県は山林を所有している方も共通している場合がありますし、非常に関係の深い県でございます。そういうこともあって、私が思いつきました緑の雇用事業、これを何とか三重県と一緒にやりませんかという話を北川知事に申し上げましたところ、ご快諾をいただきまして、そして共同提言という形でアピールをしたところでございます。
何かといいますと、今、都市と地方、中山間、こういうところは非常に人的な交流が細っておりまして、片方では都市的ないろんな問題を抱えて自分のところ中心の見方になる。そしてまた中山間はどんどん過疎化が進んでいくと。こういう中で、新たな人口流動を起こさないと二十一世紀の日本は十全たる発展をできないんじゃないかというのが私の考えでございます。
そしてちょうど、今度、小泉構造改革の中で「痛みを伴う改革」ということで、たくさんの雇用を失う方々が出てくるとか、それからまた、一般の方々の中にも自然とか憩いとか、そういうものを大事にする風潮が出てきている。一方、先般の京都議定書の問題の中にもありましたように、森林のCO2の吸収ということが非常に高く評価されている。こういうふうなことを結びつければ、都市の人にも一定の理解を求めることができる産業といいますか、事業というようなものを、人口流動と絡めて地方で起こすことができるのではないかというのがこの緑の公共事業、雇用事業というのを考えついた原因でございまして、その中には、今和歌山県にはたくさんの森林がありますけれども、八十年ぐらいたった木じゃないと切っても値段が出ないということで、山が非常に荒れてきているというふうな現状もあります。これは、ただ単にそういうような経済的な問題だけじゃなくて、日本の国全体として守っていくべきものを守れなくなってきているという極めて厳しい現状があるということで、これを今の構造改革の中で訴えていったらうまくいくんじゃないかなという発想で行ったわけです。
先般も東京へ行って、総理大臣にはこういうテロ事件が起こりましたのでお会いできなかったんですけれども、環境大臣、そして農林水産大臣にお会いすることができまして、どちらも「これは非常にいい」と。「既にこういうふうな方向で補正予算の事業に取り上げていく努力をしている」という、力強いご示唆というか、あれを受けたんですが、ただ、実は、議員の方々もご案内のように、先般も緊急雇用対策ということで何年か前にそういうような事業があったことがありました。だけどそれは非常に短期的なものに終わってしまって、例えば六カ月間一定の雇用をしたらお金を出すと、そういうふうな仕組みだったんですけれども、私が考えておりますのは、やはり長期的に都会の人とか、それから地方で仕事を失った若い人なんかが中山間に定住してくれるというふうな仕組みということを考えてほしいと思っておりますので、その点を先般強く訴えてまいりました。どの程度ご理解いただけたか、なかなかわからないところもありますので、この問題についてはこれからももっともっと力強く関係各県と手をつないで運動を繰り広げてまいりたいと思いますので、ご支援方よろしくお願いを申し上げたいと思います。
それから、経済の問題でございます。
経済の問題については、冒頭にも申し上げましたように、IT関係とか、それから例えば田辺の方にITの関係の会社を呼んでくることとか、そういうふうなことでいろいろ私としても力を尽くしてきたつもりでございます。しかしながら、大変な不況の中で、地場産業を中心に非常に苦境にある。そしてまた、先般、私も山東省へ行ってまいりましたけれども、中国の発展といいますか、この面の進歩というのは本当にもう目覚ましいものがありまして、はっきり言って、今まで型の工業団地を造成して工場を呼んでくるというふうな形ではなかなか産業の振興が難しいということを感じたのも、これまた事実でございます。
私といたしましては、今またこういうふうなテロ事件が起こって非常に厳しい中ではございますけれども、そういうふうなITとか新しい産業の活性化ということに引き続き力を入れていくとともに、やはりこれから自立した県政を営んでいくという上からは、和歌山県に今あるものを大事にしていくという観点をもう一回大事にしていかないといかんじゃないかと。だから、第一次産業もそうですし、そして化学工業とか繊維工業とか、和歌山県で今まで息づいてきた地場産業に何か支援することができるようなことがあればやっていくというふうなことで、この産業の振興、経済の活性化を図っていきたいというふうに思っています。
このため、まだ正式の名称は考えておりませんけれども、早急にこの雇用と極めて厳しい不況に対する対策を検討するための学識経験者を含んだ検討会議というものを早急に立ち上げて、その中で和歌山県の経済活性のために何が手を打てることかということを早急に検討してまいりたいと、このように考えているところでございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長内田安生君。
〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 地方の都市の空洞化について、お答えをいたします。
急速に進みつつある中心市街地の空洞化は、商業機能のみならず、地域経済全体が沈滞し、都市の衰退を招くことから、県としても強い危機感を持ってございます。
中心市街地の活性化は、市町村が策定した基本計画に基づき進めていくことが重要であります。本県では、和歌山市のほか五市町において中心市街地活性化に取り組んでおり、特に、中心市街地の管理運営をするいわゆる町づくり会社として、和歌山市では株式会社ぶらくり、有田市では株式会社まちづくり有田が設立されております。県としましては、町づくり会社の活動や商店街振興組合等の事業に対し助成するなど、構想具体化に向け支援をしてまいります。
また、丸正閉店後の和歌山市の中心市街地活性化については、県、市、商工会議所、地元商店街により中心市街地活性化連絡協議会を設置し、連携を強化しながら対策に取り組んでいるところでございます。 商店街のにぎわい創出は地方都市の活性化にとって重要な課題であり、今後も商店街からの要望にこたえ、市町村と緊密に連携し、ハード・ソフト両面からさまざまな支援を行ってまいります。
以上です。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 医大跡地の取り組み状況についてでございます。
医大跡地利用計画の取り組み状況についてでございますが、議員ご指摘のとおり、和歌山市の中心市街地の活性化を図る上で医大の跡地利用計画の推進は重要な課題であると認識してございます。このため、県では県内で初めてとなる事業コンペにより民間活力を生かした宿泊施設、商業施設等を中心とした都市型複合施設の整備を図るために全力を挙げて取り組んでいるところでございます。これまでにも、議員の皆様を初め、関係者の方々のご協力をいただく中で、今議会冒頭で知事が説明いたしましたように、去る八月二十日に事業コンペの説明会を開催するなど募集作業を開始したところでございまして、年内にも施設を整備する民間事業者を選定いたしたいと考えてございます。
県といたしましては、和歌山市が策定した中心市街地商業等活性化基本計画などとの整合性に十分配慮しながら、中心市街地の集客力の向上、魅力ある都市空間の創出に加え、町づくりのシンボルとなる施設の整備を目指して事業の推進を図ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 教育改革についての、児童虐待とその取り組みについてお答えをいたします。
本県の児童相談所における相談処理件数は年々増加しておりまして、平成十一年度が八十四件、十二年度が百六十件と、ほぼ倍増してございます。これは、近年の保護者の育児力の低下により件数がふえていることや、法施行後の県民の方々の認識が高まり、埋もれていた事例も掘り起こされているものと考えてございます。こうした児童の痛ましい状況の増加については、心を痛めているところでございます。
通告後の対応につきましては、児童相談所が民生児童委員や学校などから情報を収集し、虐待の有無や状況を総合的に判断し、必要に応じて児童相談所の一時保護を活用して親子分離を図り、児童精神科医、心理判定員、ケースワーカーによるチームを組んでの子供の心のケアと親のカウンセリングを実施しているところでございます。
児童虐待への対応には、啓発や対応のための体制づくりといった面から、民生児童委員、学校、警察等、関係機関との連携を深め、地域全体で取り組んでいるところでありますが、今後ともより一層きめ細やかな対応に努力してまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育改革についてお答えいたします。
来年度から始まる完全学校週五日制のもとでは、学校、家庭、地域がそれぞれの役割を踏まえつつ相互に取り組みを進めていくことが重要であります。このため教育委員会では、学校教育と連携を強めながら、家庭や地域の教育力の向上に資する施策を実施いたしております。具体的には、子育てのヒントになる内容を盛った冊子を配布したり、家庭における父親の役割について考える講演会を開催するとともに、地域の人を指導者とするさまざまな体験活動について掲載した情報誌を作成し発行するなど、取り組みを進めているところであります。
これからの変化の激しい社会に船出する子供たちにとって必要とされる学力は、単なる知識の量ではなく、学ぶ意欲や思考力などを重視した知的な力ととらえる必要があります。こうした力をはぐくむため、少人数の授業や複数の教員による授業、習熟の程度に応じた指導など、子供の実態に応じた指導を一層充実させることにより、基礎・基本を確実に定着させるとともに、より発展的な学習内容についても取り上げることができるよう指導しているところであります。
また、思考力や判断力、表現力などの育成につきましては、総合的な学習の時間はもとより、各教科の授業においても、観察や調査、討論などの体験的、問題解決的な学習を積極的に取り入れることが重要であり、さまざまな機会を通じて学習の到達度を適切に評価することを含め、指導の工夫、改善等の徹底に努めているところであります。
中高一貫教育につきましては、本年四月から古座・古座川と龍神の二つの地域でスタートした連携型の一貫教育において、中学校と高校間の教員の相互乗り入れによる授業や合同で行うチームティーチング、さらに地域学、ふるさと学習を実施するなど、その充実を図ってきております。また、六月に本県で開催した近畿地区中高一貫教育フォーラムにおいて多彩な実践発表や授業公開を行い、多くの参加者から好評を得ることができました。こうした取り組みの成果を踏まえ、今後、都市部及び都市周辺部でのさまざまなタイプの中高一貫教育校の設置についても検討してまいりたいと考えております。
次に、ワールドカップサッカーキャンプの誘致についてでありますが、キャンプ地の決定には、実際に交通アクセス、練習場、ホテルなどの環境を見ていただくことが効果的であるので、諸外国の視察を積極的に受け入れております。八月下旬からは、スペイン、イングランド、ドイツ等の強豪国を初め、既に出場を決定しているアフリカ諸国の関係者が相次いで本県を訪れております。
誘致の見通しについてでありますが、十二月一日の組み合わせ抽せんの前後までに最終的な決定がなされるものと考えております。今後、このような状況を見ながら、誘致委員会として迅速に対応できるよう取り組んでまいります。
最後に、信仰の山会議の成果と世界遺産登録への見通しについてでありますが、山岳信仰の地を世界遺産に登録する際の評価基準などを決めるこのたびの国際会議では、信仰の山の評価指針や保存、管理のあり方などが示されました。それらを参考にして、高野熊野の世界遺産への登録に向け作業を進めてまいりたいと考えております。
また、今回、ユネスコの関係者を本県に迎えたことは、世界遺産の登録を目指す上でまたとない機会であり、現地を視察してもらい、高野熊野の奥深い歴史や独自の文化を感じていただけたことは大きな成果であったと考えております。今後とも、これを弾みに関係市町、また奈良県、三重県と連携し、国との協議を重ねながら登録実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 警察本部長岩井良行君。
〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) 子供の保護活動に関してお答えを申し上げます。
最近、子供が被害となる事件・事故が、ご指摘のように続発しておりまして、その背景には地域における無関心層の増加や連帯感の希薄化などが指摘されております。
警察といたしましては、関係法令の厳正な執行を通じ子供の保護活動を行ってきておりますが、今申し上げた社会環境の変化を踏まえますと、従来からの警察みずからの活動に加え、種々の関係機関に警察が働きかけを行い、それぞれの関係機関の有機的連携のもとでの協力を進めていくことが一層重要になってきていると認識しておりまして、この意味でのパイプ役としての役割が期待されております。
このため、県教育委員会と警察本部との連絡会議を毎月定期的に開催し、児童生徒の安全対策を協議しているほか、青少年対策連絡会議、少年保護関係機関会議等の定例会議を通じて関係機関と情報交換するなど、相互の連携を深めているところであります。
また、大阪教育大学附属池田小学校における児童等多数殺傷事件以降、制服警察官による学校周辺の警戒、警らの強化に加えて、地域安全推進員等、ボランティアと帯同しての警戒活動を実施するなど、地域ぐるみで児童生徒の安全対策に取り組んだところであります。
このほか、学校、PTA及び地域安全ボランティア等が協力して創設している子供の緊急避難場所としての「きしゅう君の家」の活動についても側面から支援しているところであり、事件後新たに四百三十五カ所増設され、さらに県福祉輸送サービス協会加盟のタクシー会社三社においても「移動きしゅう君の家」としての「きしゅう君タクシー」が創設、九月一日から運用されているところであります。
このような地域ぐるみによる子供の保護活動は、警察がまさしく学校、家庭及び地域に積極的に働きかけて推進している一例であります。警察といたしましては、引き続き、地域住民にとって一番身近な相談窓口の役割を果たしている交番、駐在所などの活動に加え、子供とかかわりのある関係機関、団体と連携しながら子供の保護活動に一層努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、平越孝哉君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十七番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。
質問に先立ちまして、先ほどもアメリカでのテロ行為についての決議がなされたところでございますけれども、私どもの方からも一言申し上げたいと思います。
また、去る七月十日、ご逝去されました故木下秀男議員に、謹んで心からお悔やみを申し上げたいと思います。
そして、去る九月十一日、アメリカで発生した同時多発テロ行為について一言申し上げておきたいと思います。
テロ行為は、ニューヨークの世界貿易センタービルやワシントン郊外の国防総省などに航空機で突っ込むというものでした。多数の死傷者と行方不明者が出ており、今もなお懸命の救助活動が進められているところでございます。
こうしたテロ行為に全世界は極めて深刻な衝撃を受けております。人命を無差別に奪うテロ行為は、いかなる理由や背景があろうとも絶対に許されない、野蛮で卑劣な犯罪行為でもあります。テロ行為の犠牲者と負傷者、ご家族と関係者の皆さんに心から哀悼の意をあらわし、お見舞いの心をささげたいと思います。
懸念されるのは、アメリカが報復の軍事行動に出る準備が今進められているということです。報復攻撃はさらに悪質なテロ行為を呼び、軍事的報復の悪循環を招くことになります。テロ行為の根絶へ、軍事力による報復ではなく、国際法と証拠に基づき国際社会が共同して裁くことが必要ではないのでしょうか。
日本共産党は、事態の打開と解決のため、本日、見解と提案を国連安保理事国、NATO加盟国、アジア諸国を初め、在京の大使館すべてに届ける予定となっております。日本政府としては、アメリカへの救難支援を行うことは当然でありますが、こうした軍事行動に協力すべきではないことを、この議場からあえて申し上げておきたいと思います。
本来の質問に入ります。今回は、福祉保健部長に絞って質問をさせていただきます。
まず、医療、福祉問題について質問を申し上げます。
長引く不況、増大する失業など、厳しい暮らしのもとで政治が適切な対策を進めることが今本当に求められていると思うんです。とりわけ、医療や福祉における国民の負担が大きくなっていることは、深刻そのものです。
今月六日、新聞各紙は厚生労働省が検討している医療制度の改革案について一斉に報じたところです。来年の通常国会に関連法案を提出したいとされています。その内容を見てみますと、高齢者の医療費の本人負担は、今年一月からふえたばかりというのに、さらに高齢者医療制度の対象年齢を七十歳から七十五歳に引き上げる考えが打ち出されました。医療費の患者負担が一定限度を超えたとき保険から払い戻しを受ける高額療養費についても、この一月に引き上げられたところですが、さらに上限を見直す計画もあります。
負担がふえることになるのは、高齢者だけではありません。サラリーマンの本人負担を現在の二割から三割に引き上げることもあります。また、診療報酬の引き下げも検討課題になっており、これによって病院が経営を優先し、患者へのしわ寄せが増大することも懸念されるところです。さらに、二〇〇三年度からは健康保険料をボーナスも含めた年収を基準に計算するという計画も取りざたされています。
皆さん、これが痛みを我慢せよとする小泉内閣の改革そのものではないのでしょうか。福祉においても、介護保険の保険料と利用料の負担は重くのしかかって深刻な状況を生み出しています。政府が財政が危機的な状況にあるからと国民負担をふやす方向での解決を求めているときに、地方自治体が唯々諾々とこれに従っていくのか、それとも住民の負担軽減のために国へ言うべきことは言うと同時に、県としてできる施策に取り組むのか。住民の暮らし、健康を守るべき地方自治体の真価がまさに今問われていると考えます。
こうした立場から、幾つかの問題点についてお尋ねを申し上げます。
一つは、医療費の負担の問題です。さきにも述べましたような政府案が本当に実行されたとなりますと、国民にとっては耐えがたい大きな負担になることはもう明白です。医療費の増大は経済的な負担だけでなく、受診抑制を引き起こす心配もあります。高齢者の医療費の自己負担の増大による受診抑制は、もう既に始まっております。かつて、サラリーマンの自己負担が一割から二割に引き上げられたとき、あるいはこの一月、高齢者の自己負担が一割負担になったとき、病院などでは患者が一割、二割、減ったと言われています。
それだけではありません。強引なリストラによって多くの労働者が雇用不安に直面している今、体調が悪くても休んだらリストラの対象になりかねないとして、病院にかかるのを控える傾向もあります。高齢者の医療制度の対象年齢の引き上げや、健保本人三割負担への改悪など、こうした計画に対してはその中止を求める意見を県みずから国へ上げるべき時期ではないでしょうか。
また、本県では、六十七歳から六十九歳までのお年寄り、三歳未満の乳幼児、重度の心身障害者、ひとり親家庭などに対して県単独の助成が行われてまいりました。これは非常に県民に歓迎されているところです。引き続き助成制度が保障されるものと期待をするものですが、いかがですか。
ところが、県の財政の中期展望によりますと、県単独の補助金は見直しを徹底的に進めるとしています。私は、この見直しの中にこの弱者と言われる方々に与えられている補助金制度である福祉医療は含めるべきではないと考えるものです。これは、日々の暮らしと命にかかわる問題です。乳幼児医療についても、市町村が独自に対象年齢を引き上げるケースも今ふえています。それだけに、小さな子供を持つ家庭からは要求が非常に強いということと、少子化対策としても重要な課題です。
さきに触れましたように、医療費については国が次々と患者負担をふやす方向を示しているときです。こういうときこそ、県が住民の暮らしを守るべきだと考えるものです。知事や福祉保健部長、福祉医療は絶対に後退させない、こうした姿勢をぜひとも示していただきたいと思うところです。
今や、乳幼児医療費の無料化については拡充が全国的な流れでもあります。厚生労働省によりますと、一九九九年四月から一年間に、就学前まで無料にしている自治体の数は、通院の医療費で百三十から三百二十一自治体へ、入院の医療費についても四百六十三自治体から七百八十六自治体へとふえています。本議会でも、さきの六月議会で全会一致で国への意見書を提出したところです。県当局からも国へ強く働きかけをされることを強く要望するものです。そして、県としても現在の三歳未満から就学前まで対象を広げることもお考え願えないでしょうか。ご所見を伺います。
もう一つは、介護保険についてご質問を申し上げます。
制度が実施されて一年半、国も各自治体も「順調に推移している」と言っていますけれども、どうなのでしょうか。全日本民主医療機関連合会が、昨年十一月からことし二月にかけて介護実態の調査をしております。これは一万人以上の職員が参加をし、在宅サービスについての聞き取り調査です。二万二千二百二件の有効回答があった調査ですが、その調査で明らかになったことの一つは、介護保険による自己負担の増加がサービスの利用を抑制し、生活全体を圧迫しているという数字です。介護にかかる費用が制度実施前と比較してふえたと答えた人は七四・五%ありました。ふえた額の平均は一万百円、ほぼ五割の人がかなりの負担、あるいはやや負担と答えているのです。こうしたもとで、支給限度額に対するサービス利用率は四割程度です。サービスの利用回数や時間が減ったと答えた人は一割強でしたが、その理由として挙がっているのは、自己負担がふえたことが四九%、支給限度額が低いことが一八%、サービスが使いにくいことが九%などとなっています。
サービスの利用時間は、平均週に十三・九時間でした。これは、介護保険がスタートするときに厚生省が示したモデルプランと比較いたしましても、約六割の低水準でしかないと指摘をされています。介護サービスの利用者は確かにふえてはおりますけれども、利用料の一割負担で必要量を利用できないという実態です。介護認定を受けたものの必要なサービスが受けられていない、この問題は過去にもこの議場で私は取り上げてまいりましたが、今もなおサービスを受けられる限度額の四割程度しか利用がないという状況は、本県でも変わりありません。ここに介護保険制度の最大の矛盾があらわれているのではないでしょうか。もはや負担の軽減以外ありません。
介護保険料を国保税と一括して納付している場合にサービスが制限されるケースもあるというのも問題です。国保税は、払いたくても払えない世帯がふえています。本県の国保加入者の約半数の方の所得は百万円以下。もともと低所得の方が多いこと、長引く不況で経営の悪化あるいは廃業へと追い込まれる業者が相次ぐ中では、払えない人がふえる制度の上の理由があると私は思います。
保険証が交付されずに資格証明しか持たない被保険者数は、八月末現在三千四百余となっています。二年前と比べると二百余ふえております。国保税を払えないため資格証明書が発行され、窓口で医療費を全額払わなければならない、あるいは国保税を滞納しているために介護サービスが制限される、こんな深刻なケースがどんどんふえていくことを大変心配するところです。この事態は、一九九七年十二月、介護保険法の制定とあわせて国保法に二つの改悪が行われたためです。
その改悪の一つは、国保料を滞納している世帯に対し、保険証を取り上げ、資格証明書を交付することにしたこと。それまでは、保険証の返還を求めることができるという市町村の猶予の問題でありましたけれども、この改悪によって「返還を求めるものとする」というふうに義務規定にしてしまったことです。
二つ目は、保険給付についてもその全部または一部の支払いを差しとめするものとするとして、本年四月からそのことがもう始まりました。いよいよ十月からは、六十五歳以上の一号保険者の介護保険料の満額徴収が始まろうとしています。本来、長寿は本人、家族にとって喜びであり、社会の宝であるはずです。なのに、次々と改悪される社会保障制度によって、病気を苦にした自殺者もふえています。国連は「長寿は二十世紀の偉大な成果」と位置づけてはおりますけれども、日本では、朝日新聞の四日付の川柳にも載りました「長生きは痛みに耐える我慢会」というふうに、高齢者が長寿を心から喜べない今の日本の政治の姿です。
しかるに、これまで老人医療費、国保等の国庫負担を引き下げ、減らし続けた──負担を計画的に戻すなど、国民の命と健康に国、自治体は責任を果たすべきだと思うんです。我慢にも限界があります。低所得者の介護保険料や利用料の軽減措置を国として制度化することが最も重要であります。そして、国の制度化を待たずに県独自でも減免制度をつくる、こうした姿勢が今必要だと考えるものですが、いかがでございましょうか。
二つ目の質問、児童虐待問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
先ほども質問がありましたが、児童相談所のあり方というものについては詳しくは述べません。私は、この児童虐待問題に早急に取り組む状態、体制強化ということについて、あえて取り上げていきたいというふうに思います。
近年、児童虐待の急増が深刻な事態として社会問題となってまいりました。こうした中、子供の命を守るため、早期発見、早期対応をすべく昨年十一月二十二日、児童虐待法が施行されてまいりました。その実効性が期待をされるところであります。法制定とともに学校、保育所等からの相談がふえ、その相談も平成九年度の十倍になっています。
私は、この質問をするに当たって、子どもセンターや児童養護施設の施設長さんにもお会いをし、ご苦労されている実態、あるいは今何を求めていらっしゃるか、こういった点についてもお伺いをしてまいりました。その中から、あえて人的体制の問題等についてご質問をさせていただきます。
児童虐待に係る相談や対応に中心的役割を担うのは、県子ども・障害者相談センター、紀南児童相談所であります。すぐれた専門家を必要とする児童福祉司の法的配置基準、これは児童福祉法施行令では人口おおむね十万人から十三万人に一人と定められているものです。これは一九五七年以来、据え置かれたままになっています。
業務の急増に見合った基準に改善すべきと、私ども日本共産党は国会の中でも八田ひろ子参議院議員が奮闘いたしました。しかし、この基本的な法改正には至りませんでしたけれども、地方交付税措置ということで、人口百七十万人に対して児童福祉司の配置をこれまでの十七人から二名ふやして十九人に増員をされました。本県も十一人から十二人にふえ、一応この部分についてはクリアをして今活動を続けています。
しかし、この基準は最低基準にほかならないのであって、今後、複雑化し増加することが予想されているとき、さらには障害、非行、育成相談活動を含んだ相談活動をしなければなりません。ゆとりを持って、かつ緊急事態に対応できる今の人員でしょうか。大変心配するところです。何よりも、相談者と児童福祉司の間の信頼関係を確立することがまず大事であります。この配置基準の見直しを求めていただきたいというふうに思います。
二つ目は、厚生労働省は虐待を受けた子供などの心理的ケアを必要とする専門的な認可施設として、情緒障害児短期治療施設をすべての都道府県に最低一カ所整備する必要があるとしています。新設困難な場合は児童養護施設の定員の一部転換等による整備を促進することを求めていますが、いずれの整備を考えておられますか。
三つ目、虐待をしているのは実母が五〇%を占めています。十二年度で百六十件中百一件、実父が三十八件です。まだまだ子育ては母親に大きな負担が強いられている状況にあります。子育てに自信をなくし、閉じこもる母親が多く、周囲に相談する人もない中では、最も近くにいる我が子をたたいたりつねったりして自分の気持ちをぶつけると聞きます。特に二十代前半の若い母親の虐待が多いと聞きます。それがエスカレートして、子供の命にかかわる深刻な事態を招いているのです。内容的には、身体のあちこちにあざがあったり、身体的暴行やネグレクト、いわゆる保護怠慢あるいは拒否が多く、心理的虐待もふえている状況にあると聞きました。それだけに、育児相談が気軽にできる支援策が求められます。どのような支援を今行われているのでしょうか、教えてください。
四つ目、児童養護施設における職員配置基準の見直しと専門職の配置について伺うものです。
児童養護施設では、二歳から十八歳までの児童が身体的暴力や養育放棄、拒否、性的虐待あるいは心理的虐待を受けて、施設で暮らしています。国の基準は、三歳児未満は児童二人に対し保育士または児童指導員一人、三歳から就学前まで四人に対し一人、小学生以上は六人に一人となっております。この配置基準は、一九七六年からこの間、一度も改善をされていません。施設は、子供たちにとっては安心して自由に伸び伸びと暮らせる家庭でもあります。また、虐待を受けた五〇%が就学前の児童です。数字で見るならば、百六十件のうち就学前が七十四件、小学生が五十三件、中学生が二十五件、高校生その他が八件となっています。
施設の方は、すべての年齢に対し、二人に一人あるいは三人に一人に改善して、とりわけ心のケアを重視することからも短期的には一人に一人の配置であって当然と、見直しを切実に訴えておられます。ある施設は九十名の児童を夜間四人で見ていますが、大変多忙をきわめていると聞きました。加えて、専門職として看護婦の配置をとの訴えも切望されています。何よりも、三歳児以下の子供たちが多数を占めるという状況にあることからも、緊急事態、発熱あるいはいろんな病気の症状を呈する、その判断に苦慮されていると聞きます。養護施設協議会としても国へ要望されているようでありますが、県としても国にぜひとも要請されたいと考えるものです。
以上、この点について福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
以上で、第一回、終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
福祉保健部長白井保世君。
〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 村岡議員にお答えを申し上げます。
まず、医療保険制度の改正計画についてでございますが、ご承知の高齢化に伴う老人医療費の増大等により医療制度改革が不可避との観点から、現在検討が進められているところでございます。新聞報道等によりますと、今月の二十五日前後にも厚生労働省案、いわゆるたたき台が示されるとのことでございます。
いずれにいたしましても、このたたき台をもとに広く意見を集約の上、政府案が決定され、次期通常国会において持続可能で安定的な医療保険制度の構築といった観点から論議されるものと考えてございます。
県といたしましては、制度改正に当たりましては、地方財政への配慮、低所得者への配慮、こうしたことについて強く要望しているところでございます。
次に、県単事業の福祉医療補助の継続と乳幼児医療費の年齢拡充についてでございますが、県では、財政健全化のための財政運営プログラムに基づきまして、あらゆる事務事業の評価検討を行っているところであります。福祉医療費助成四事業につきましても、今後、限られた財源の中で増大、多様化するニーズに対応するため、福祉施策全体で今後のあり方について検討をしてまいりたいと考えてございます。
次に、介護保険の保険料利用料の減免、減額制度についてお答えをいたします。
保険料、利用料の県独自の減免制度の創設につきましては、現時点では困難であると考えております。今後とも国に対しまして、恒常的な生活困窮者への減免要件の拡充など、低所得者に対する負担軽減を要望してまいります。
いずれにいたしましても、県といたしましては、保険料につきまして引き続き市町村との連携を図り、保険料についての県民の皆様のご理解を得られるよう努力をするとともに、滞納者に対しましては実情に応じたきめ細かい納付相談を行うよう市町村を指導してまいります。また、利用料につきましては、県民の皆様が必要な介護サービスを利用できるよう、県民への啓発、ケアマネジャーへの指導、介護サービスの充実等にさらに努めてまいります。
次に、児童虐待問題についての児童相談所児童福祉司の配置基準についてお答えを申し上げます。
児童相談所では、増加する児童虐待の相談に対して職員一丸となって、通所指導、家庭訪問を初め、被虐待児のケアや親に対する援助等、きめ細やかな対応に努めているところでございます。本県の児童福祉司は現在十二名を配置しており、人口九万人弱に一名を配置している状況は、ほぼ全国平均でございます。虐待に関する相談件数は今後ますます増加するものと思われ、実態に応じた児童福祉司の配置基準の見直しについて、国へも要望をしているところでございます。
次に、情緒障害児短期治療施設の整備でございます。
情緒障害児短期治療施設は、軽度の情緒障害を有する児童を短期間入所または通所させ、心理治療や生活指導を行う施設でございます。情緒の安定を図り、社会的な適応能力を回復することが必要とされる児童については、現在、児童養護施設や児童自立支援施設に入所することにより生活指導を行うとともに、必要に応じて児童相談所職員や精神科医による継続的なカウンセリングを行っているところであります。議員ご指摘の情緒障害児短期治療施設の設置につきましては、今後検討していく重要な課題であると考えてございます。
次に、子育て支援策についてでございますが、児童虐待の早期発見、早期対応のため、昨年度、主任児童委員や保育所の関係者等、四百二十四名を地域協力員として登録し、地域ぐるみで虐待防止に取り組むネットワークづくりを進めているところであります。また、保育所の有する専門的機能を生かし、地域に開かれた社会資源として子育ての中心的役割を果たすよう、地域子育て支援センター事業を推進しているところであります。さらに、乳幼児健診時に育児相談を実施しており、子育てに問題が見られるようなケースについては保健婦等による家庭訪問等も実施し、虐待発生の予防、早期発見に努めているところであります。乳幼児健診の受診率は九三%で、未受診者につきましても家庭訪問等、対応をしております。
二十代前半の若い母親による虐待がふえている件に対して、高校生を対象とした乳児健診体験学習の場を通して命のとうとさを実感してもらい、母性、父性の健全な育成を目指す事業も展開しているところでございます。今後も、子育てに不安を抱える保護者を地域全体で支援してまいりたいと考えてございます。
最後ですが、児童養護施設の職員配置基準の見直し、専門職の配置についてお答えをいたします。
児童養護施設の職員の配置基準は児童福祉施設最低基準で定められておりまして、県内七カ所ある施設ではこの基準はクリアをしてございます。虐待等により児童養護施設に入所する児童が増加しておりまして、看護婦の配置等につきましては、各施設からの要望も伺っている中で、近畿府県のブロック会議等でも協議しながら国にも伝えてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきましたが、大変冷たいなという返事を受けました。
いずれも今、医療の問題にしても、福祉問題にしても、やはり県民の皆さん方が将来不安、とりわけ高齢者の方は生活不安とあわせて健康に対する不安というのは一層強まっていると、こういう時期に来ていると思うんです。そして、介護保険が去年から始まりまして、矢継ぎ早に保険料とあわせて医療制度の改悪、いわゆる患者負担がうんとふえてきたということから考えても、老後を安心して生きられるという保障が本当になくなってきているということが今言えるんじゃないかというふうに思うんです。あえてそういうときに、今部長がいみじくも、九月二十五日ごろには改革案が示され、それをもって論議がされて来年の通常国会に出されるだろうと、こういうふうにおっしゃったわけですけれども、これまでは、制度問題について県は口を挟むことはできないとか、あるいは国会の論議の推移を見守りたいというふうに、他人事みたいなことで済ませてきていたんですよね。でも、もはや今の時期になって、本当にこれだけ県民の人たちが困っている問題を、真っ正面から国に物を言うというその姿勢をきちんとしていただきたいなと、痛切にこのごろは思うんです。
そういう点でも、今部長が、二十五日ごろに具体的な改革案が出てきた──では、通常国会に出されるまでの間に、県はその案に対して、今の県民の実態から見て、実態調査もされるでしょうし、そういう人たちのいろんな声を聞いた上で、これに対して国に物を、意見を言われるのですか、言われないのですか、このことについてお答えください。
それから、同時に県が国の制度の不足している部分を補うという点で、高齢者の負担や子供を持つ母親あるいは障害者、あるいは母子家庭、父子家庭の皆さん方の経済的な負担を軽減するという趣旨の中でつくられている四つの福祉医療の問題ですけれども、今、県政の中でこういう福祉の問題で光っているのはこれだけですよね。県民が非常に喜んでいる制度というのは。これが非常に歓迎されている。お年寄りの方々は、六十七歳になった、医療費の負担がもう軽くなって本当にうれしいんや、あと一年やとか、あと何日やとかという声を聞くんですよ。こういう期待を裏切ることのないように、ぜひともこの福祉医療制度については堅持をしていただきたいと思うんです。
今、ひとり親家庭の場合ですと、児童扶養手当の問題も切り下げられようという計画があるやに聞いております。そういう点でも、これから日本の国を担っていく、和歌山県勢を担っていく子供たちに対する医療費助成というものは、少子化問題の中から考えても削ってはならない問題だというふうに思います。
これはもう受診の皆さん方には全く言うことはありませんけれども、引き続き四つの医療助成制度については、知事、福祉保健部長、頑張ってくださいよ。みんなの期待を裏切らないようにしていただきたいなというふうに思います。金がないからということだけで切り捨てないでほしいということです。
そして、同時に、赤ちゃんの医療費については、三歳児以下が所得制限なしで輝きを示しているわけですけれども、さらに全国的には就学前まで、あるいは小学校を卒業するまで拡充されている自治体もふえつつありますから、せめてこれは就学前までに拡大をしていただきたい、この点についてはぜひとも実現をさせていただきたいというふうに要望をしておきたいと思います。
介護保険の問題については、もう矛盾がたくさん出てきているわけですから──確かに、利用者はふえています。しかし、この負担が非常にふえている現状のもとで、六十五歳以上の方々が非常に病気を苦にする──ということだけではありませんけれども、自殺者が年々ふえてきているということにも注目をしなければいけないんじゃないかというふうに思うんです。平成十年は九十一名、そして十一年が九十四名、平成十二年、百五件です。平成十二年は、自殺者が三百五十人ある中で六十五歳以上のお年寄りの自殺が百五件というふうになっています。そして、平成十三年の八月末までの六十五歳以上の人の自殺者というのはもう既に七十二件を超えていますから、この問題には大変注目をしなければいけないだろうと。高齢者の生活、そして健康や命の問題としても注視していく必要があるのではないかというふうに思います。
ぜひとも、国に対して──もう重点項目として既に厚生労働省には要望を上げていらっしゃいますけれども、もっともっと積極的な姿勢を示していただきたいということとあわせて、国の制度に先立ち、和歌山県でも低所得者、こういった人たちの部分についての減免制度、そういったものをぜひともつくっていただきたいと思うんですが、もう一度この点について答弁をしていただきたいなというふうに思います。
その中で、特に子供たちが──和歌山県の十二年度の人口動態調査の中ですけれども──出生数が和歌山県は九千五百六十六人生まれています。亡くなった方、これは一万二百二十五名という数字が出ているわけですけれども、生まれてくるよりも死ぬ数の方が多いという実態ですね。その中で、乳児死亡者というものが二十六名ありますし、また今のように自殺で亡くなられる方というのもあるわけですから、そういう点で見れば、本当にこういう弱者の人たちの福祉的な問題をどういうふうにカバーしていくのか。助成制度そのものをあえて削ることの方がいいのかどうかということについて、ぜひとも考えていただきたいというふうに思うところです。
それから、虐待問題についてですけれども、既に人的体制の問題については、法が非常におくれている中、実態とかけ離れている現状のもとで非常にご苦労をされているのが児童相談所の児童福祉司の皆さんであり、また養護施設の職員の皆さんなんですね。特に、児童相談所の中では、やはり昼間の相談も多いけれども、お母さんやお父さんたちの働く職場の環境状況から、夜に相談時間を設定することが随分とふえてきているそうです。そういう点で十分配慮しながら子供たちを保護していく、そしてお母さんたちの相談をきちんと受けとめて対応したいという、そういう福祉司の皆さんたちの努力は大変なものだと思うんです。
そこで、きょう、ちょうど朝日新聞に、アメリカとの比較というのが載っておりました。しかし、アメリカはもう既に随分と進んでおりますので、そこを対象にするというのもどうかと思うわけですが、せっかく法律ができた、それを実効性のあるものにしていくためにも、とりわけ専門家いわゆる児童福祉司をふやすこと、その必要性をここでも書いております。特に、児童福祉司の仕事というものをここへ書いていると思うんです。
読み上げてみますと、「児童福祉司には、子どもから聞き出す能力、親への指導力、家庭の状況を把握する観察力や洞察力、さらに子どもを親と引き離すべきかどうかを決める判断力などが必要だ。ひとつ間違えば子どもの命を失うことにもなりかねず、迅速で的確な判断が求められる」と、こういうふうに非常に重要な福祉司の問題ですから、これは最低基準をクリアしていればいいという問題ではなくて、福祉司の皆さんたちが専門性を発揮でき、そして和歌山県の虐待そのものをみずからが解決していく先駆的な役割を果たすと。そういうような立場をぜひとも理解をしていただいて、県独自でもふやしていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。この点についてお答えください。
以上です。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
福祉保健部長白井保世君。
〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) まず初めに国の制度改正の関係でございますが、今まで経験したことのない高齢社会が到来をしてございます。先ほども申し上げましたが、地方財政への配慮、低所得者への配慮等、引き続き要望してまいりますが、二十五日までは今のところ考えてございません。引き続き要望はしてまいります。
それから県単の福祉医療の事業でございますが、十分議論、検討をさせていただきます。
それから三点目、これも国への要望関係であったと思いますが、介護保険制度、また児童相談所の体制等、国への要望等、しっかりと要望をしていきたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 ぜひとも今部長が言われたことを実践していただくように、重ねて要望しておきます。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十二分休憩
─────────────────────
午後一時三分再開
○議長(井出益弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
十九番谷 洋一君。
〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
本県は、南に太平洋を望み、夏から秋にかけて、これまでたびたび台風の被害をこうむってまいりました。過去の台風の多かった時期には、「台風銀座」と呼ばれてきた地域であります。去る八月二十一日に大型台風十一号が本県の紀南地方を直撃し、紀伊半島に降った多量の降雨のため、各地で洪水等により甚大な被害が及ぼされました。この台風十一号による被害につきましては、本議会の冒頭でも知事から、被災地へのお見舞い、災害復旧への対応について述べられましたが、私は、地元に住んでおり、毎日被災地の状況をつぶさに見てきた者として、この被害が発生した状況をも踏まえ、今後の対策等について幾つか質問をいたしたいと存じます。
まず、知事にお伺いします。
今回の台風十一号に伴う紀南地方の災害の状況は、非常に深刻なものであります。引き続き現地を十分に調査していただき、早急に災害復旧に取り組んでいただきたいのが地元の切なる願いであります。知事のご見解をお伺いいたします。
八月十四日の午後、太平洋上で発生した台風十一号は、次第に勢力を強めながら日本列島に近づき、二十一日朝には四国の南をゆっくりとした速度で北東に進み、同日午後七時過ぎに串本町に上陸しました。その後さらに速度を緩め、三重県尾鷲市付近を通過し、ゆっくり東北東に進み、二十三日明け方には三陸沖へ達しました。この台風十一号の影響で、県南部を中心に紀伊半島は大雨となり、降り始めからの各地の雨量は、西牟婁郡中辺路町栗栖川で二百二十四ミリ、白浜町椿で二百二十七ミリ、すさみ町小河内で五百五ミリ、串本町大山で三百七十四ミリ、東牟婁郡古座川町蔵土で四百七十八ミリ、古座町重畳山で三百三十八ミリ、那智勝浦町市野々で五百五十ミリ、色川で八百五・五ミリ、熊野川町日足で七百七十六ミリ、新宮市新宮で四百四十八ミリを記録しております。また古座川上流部では、古座川町松根で五百四十ミリと観測史上最大、古座川町西川で四百四十四ミリと観測史上三番目などの記録的な豪雨となっております。
この台風十一号は日本列島に大きなつめ跡を残しましたが、本県特に紀南地方では、古座川町の全域を初め東牟婁郡の五町に避難勧告が出され、その数は三千百四十五世帯、七千二百八十一名に及び、浸水被害も東牟婁郡内で家屋の一部破損七戸、床上浸水二百二十五戸、床下浸水二百六戸に上り、住民の生活への影響ははかり知れないものがあります。またこの後さらに、九月九日にも再度台風十五号が紀伊半島に接近し、その影響が大変心配されましたが、幸いにも直撃は免れたため、本県ではそれほど目立った被害は出なかったようです。
今回の台風十一号が紀南地方に及ぼした被害は甚大であり、私も直接地元の市町村や住民の方々から毎日いろいろな相談を受けております。本議会では、この中から特に太田川及び古座川流域に生じた水害と大きな被害が出た周辺の養殖漁業を取り上げ、今後の対応等について県当局のご見解をお伺いいたします。
まず、太田川の洪水災害についてお伺いします。
太田川流域は過去にも幾たびかの水害をこうむっており、最近では昭和六十三年九月や平成十年九月の豪雨により、家屋や田畑の冠水等の被害を受けてまいりました。今回の台風十一号においては、床下浸水百五戸、床上浸水百四十四戸と、大きな被害を受けたところであります。この流域で生活を営んできた人々は、これまでのたび重なる洪水の被害から、安全な生活、平穏なあすを願って、防災ダムとしての小匠ダムの建設には、地域を挙げて協力し、工事を進めるために、道路拡幅の際にはたくさんの地域住民が奉仕に出たとも聞いております。ダムができればもう大丈夫、ダムがあるから大丈夫と喜び、ダムのおかげと感謝し、ダムに頼って生活してきたのであります。しかしながら、今回の洪水災害により、ダムに対するこれまでの信頼性が完全に失われている状況にあります。
私は、台風の後すぐに現地をつぶさに回り、被害の状況を目の当たりにしてまいりました。ちょうど収穫時期を迎えている水田では稲束が流され、道路はあちらこちらでアスファルトがめくれ上がり、また堤防の決壊、通行不能となったつり橋、被害を受けた多くの人家等々、その惨状は目に余るものでありました。今回の台風は異常な豪雨をもたらし、洪水による水害が太田地区の人々にとって大変な恐怖を伴ったことは事実であり、その被害は日々の生活に多大な影響を及ぼしております。今後このような状況が再びあってはならないと、私も心に誓っている毎日であります。
台風の襲来や梅雨前線等による大雨の際には、ダムの運用管理について早急かつ的確な対応が必要となりますが、まず小匠ダムについて農林水産部長にお伺いします。
太田川上流の小匠川にある防災ダムは、現在、那智勝浦町の管理となっていますが、今回の大規模な水害から、地元ではダムを県に直接管理してもらった方が安心できるとの意見が多く聞かれます。私も、場合によっては県が直接管理をすることも検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、ダム直下の護岸や用水路等が被災しており、早急に復旧する必要がありますが、復旧計画についてどのようにお考えか、あわせてお伺いします。
次に、河川管理者として今回のこの洪水による災害をどのように把握し、また今後の対策についてどのように考えているのか、土木部長にお伺いします。
まず、太田川についてであります。
洪水により決壊した堤防箇所については、地元はもちろんのこと、私も、危険であると再三にわたり改修を要望してきた箇所でもあります。また、市屋地内の堆積土砂の現状はご存じのことと思いますが、雑木林が茂り、小山ができている状況であります。このような箇所は市屋地区だけではなくほかにもあり、今回のような洪水を大きくした原因の一つとして地元から批判の声が出ています。太田川の災害対策及び堆積土砂並びに河川改修について今後どのようになされるのか、お伺いします。
次に、古座川についてであります。
古座川は、熊野川町、本宮町及び大塔村との町村界を分水嶺とする平井川、三尾川、小川の三本の川を合流し、その名前と同じ古座川町内を流れ、下流の古座町で太平洋に注ぐ二級河川であります。古座川の流域は、年間雨量が三千五百ミリ、最大日雨量が四百ミリという非常に降雨量の多い地域で、七川ダムができるまでは毎年洪水により被害を受けていました。このため、洪水調節と発電の多目的ダムとして、本川の中流部に位置する古座川町佐田地内にダムが計画され、昭和三十一年三月に現在の七川ダムが完成し、下流域の水害防止に大きな役割を果たしてきたと聞いています。しかしながら今回の台風十一号による災害は、古座川町で床下浸水が七十四戸、床上浸水が六十九戸にも及ぶ大きな被害となり、台風のためにまれに見る大きな降雨量があったとはいえ、原因の一つとしてダム放流と高潮が重なり、被害が拡大したものと思われます。また、河口に堆積している砂利も川の流れを阻害したのではないかと考えられます。今後、早急に災害復旧が実施されるものと思いますが、古座川の被災を受けた箇所、及び堆積土砂についてどのような対策をなされるのか、お伺いします。
また、今後の浸水対策を考える上で、七川ダムに関して、次の三点についてお尋ねいたします。
第一点目は、古座川には洪水調節と発電を目的とする七川ダムがありますが、今回の洪水におけるダム操作と地元住民への連絡体制が正確に行われたのかどうか。
第二点目は、七川ダムについては、大雨による洪水を防止する事前策として、ダムの容量を有効に活用するために事前放流を行い、貯水位を下げておくべき状況になかったのか、また午後八時に河口の潮位が満潮になるとわかっていながら、ダムの放流量の調節を適切にできなかったのかどうか。
第三点目は、今回の七川ダムの放流がダムの操作規則に従い適切に行われたのであったとしても、今回の多大な被害の実態を踏まえ、今後、操作規則等の見直しを検討する必要があると考えるが、どうか。
以上の数点について、今回の台風十一号がもたらした太田川及び古座川の流域における甚大な洪水被害の状況を踏まえ、県当局の誠実な答弁を求めるものであります。
次に、被害を受けた農家への支援策について、農林水産部長にお尋ねします。
今回の予想だにしなかった水害により被災した多くの農家の人たちは、家屋、田畑、農機具など身の回りの災害復旧に追われているのが実態であります。しかし、これらが一段落つけば、各農家ではこれらに要した費用の工面など、これからの生活にさまざまな影響が出てまいります。一個人への支援については行政としては限界があると思いますが、現地の被災の実情に合わせ、でき得る限りの対応をしていただきたいというのが私の思いであります。農林水産部長のご所見をお伺いします。
最後に水産関係について、農林水産部長にお伺いします。
今回の台風十一号に伴い、水産養殖関係でも近年にない被害が発生し、マグロ養殖等、沿岸海域での養殖や内水面養殖に多額の被害をもたらしています。特に串本町大島の養殖マグロ被害が大きく、新聞報道によりますと、その被害は近畿大学及び民間の二業者で四千尾、二業者の被害総額は一億三千万円を超えるとのことです。県においては、今回の台風十一号による水産養殖関係の被害状況についてどのように把握されているのか、まず明らかにしていただきたいと思います。
近年のマグロ漁業は、二百海里規制が行われるようになってから現在に至るまで、全国的な魚価の低迷や燃料費、人件費の高騰などによって遠洋漁業や近海漁業で倒産や廃業に追い込まれる者も多く出ている厳しい経営状況にあり、本県においても同様な状況であります。しかしながら、日本人にとってマグロは、刺身やすしネタの食材として古くから親しまれ、食されてきましたし、また和歌山県にとっては県の魚として県民に広く親しまれてきており、本県とマグロとの結びつきは非常に大きいものがあります。
一方、地球全体での資源としてマグロを見ますと、その資源は大幅に減少してきていると言われており、一九九九年にFAO(国際連合食糧農業機関)では、世界のマグロ資源は限界を超えて利用されていると判定し、マグロ漁船を減らすよう勧告したことに伴い、日本においては率先して百三十二隻の減船を行ってきたような経過もあります。資源の状況や国際海洋法条約といった国際的な枠組みなどを勘案しますと、日本の今後の漁業のあり方については、マグロのような回遊性の魚であっても、将来的には養殖を目指すことが必要になってくると考えられます。
和歌山県におけるクロマグロの養殖は、昭和四十五年に近畿大学が串本町大島で最初に研究を始めましたが、養殖用の種苗は、当初専ら天然海域でとられるマグロの幼魚であるヨコワに依存していたようであります。その後、昭和五十四年から近畿大学において採卵し、種苗生産研究が始められ、平成七年に初めて種苗生産魚を沖出しした後も七尾が生き残り、平成十年には四百尾を沖出しし、その後、一部を出荷するまでに至り、今後の有望な養殖魚種の一つとして新聞報道もされ、関係者から大きな期待を寄せられているところであります。民間の漁業者の取り組みとしては、平成五、六年ごろから、大島の二名の漁業者が天然種苗を用いて養殖を開始し、現在に至っております。最近では、採卵の段階から育てられた種苗生産魚も一部で養殖中とのことですが、主力は天然の幼魚によりマグロの養殖に取り組んでいるとのことであります。マグロの幼魚の採捕時には一尾百グラムから五百グラムのものが、一年後には三キログラムから八キログラム、二年後には十キログラムから三十キログラム、三年後には平均で十八キログラム、最大で五十キログラムに成長し、四年後には平均で二十五キログラム、最大で六十キログラム、五年後には平均で四十キログラム、最大で八十キログラムにまで成長します。養殖マグロの評価は、体重が約三十キログラムを超えると価格が安定していることから、三十キログラムから四十キログラム程度で出荷するのが経済的であると言われています。今回の台風による被害は、これから出荷を迎える三歳魚が相当数へい死し、一業者当たりの被害額も六千万円以上と、非常に多額に上っております。
こうした、県下で先進的にマグロ養殖に取り組んでいる漁業者に対して、今回の被害に対する復旧の支援として県としていかなる対策を講じるつもりか、農林水産部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
以上のように、今回の台風十一号による紀南地方の災害の状況は大変なものとなっており、地元で毎日の生活に困られている人たちを考えますと、この場で言い足りない面がまだまだたくさんございます。台風十一号に伴い、災害をこうむっている県下の各地域について十分な調査を行っていただき、知事初め関係部局一丸となって早急に災害復旧に取り組んでいただけるよう要望して、私の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの谷洋一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 台風十一号の被害についてのご質問にお答えを申し上げます。
台風十一号は、和歌山県を直撃いたしました。そしてまた、非常にゆっくりしたスピードであったものですから、大変な被害をもたらしたわけでございます。幸い、ダムであるとか、砂防工事とか、そういうふうなものの成果によって人命が失われることはなかったわけでございますけれども、ただいまのご質問にもありましたように、床上浸水が二百二十五戸、床下浸水が二百六戸という被害を受けられた方にとっては大変大きな損害を与えたわけでございます。
このため県では、現在百三十二件、二十四億円余りの災害復旧事業について鋭意工事を進めているところでございます。そして、ご質問の中にありました太田川、古座川につきましては、私も住民集会をそのどちらの箇所でも開いたことがあるものですから、そのときにもこの地域は水つかりがするんだという話が出ていたので、非常に心を痛めております。現在、土木部等に対して、誠実な対応がとられるよう指示をしているところでございます。
さらに、後ほど部長の方から答弁いたしますけれども、マグロの問題、これは私も新聞で見まして、大変なことだという認識を持っております。特に、マグロは全国で養殖しているところは余りないわけで、非常に先進的な取り組みということですし、ただいまのお話にありましたように県の魚といういうことですけれども、こういう業者が大変な状況になっているということは真剣に対応しなければならない。特に制度の谷間といいますか、共済制度でも守られない、それから融資も今銀行なんかも非常に厳しい状況ですので、非常に困った状況にあるということでございますので、県といたしまして、まず一つは、今後、共済制度の中にマグロも入っていくような方向で関係機関の方へ働きかけると。ただ、これでは今度被害に遭った人は救われませんので、こういう人たちが救われるような方法を県として講じていきたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 台風十一号による被害と対策についてのご質問のうち、三点についてお答えいたします。
まず小匠ダムの管理と災害復旧についてでございますが、小匠ダムは、太田川沿岸の耕地とあわせて、公共施設及び人家等の洪水被害を防止する目的で昭和三十四年に築造された農地防災ダムでございまして、県から町に譲渡することを含めて管理委託協定が締結されてございます。
このダムは、常時は空になっており、豪雨時に小匠川の洪水を一時的に貯留し、太田川本流のピークが過ぎた後にダムの貯留水を徐々に放流する計画となっております。このため管理人が常駐する必要はなく、非常時にその業務への迅速な対応が求められることや避難勧告の発令、避難誘導など町災害対策本部等との連携が必要なことから、現在、那智勝浦町において緊急かつ地域の実情に沿った適正な管理がなされているところであり、この体制が最善であると考えてございます。
次にダム下流の災害復旧につきましては、災害対策上緊急を要するため、早急な復旧をすべく町当局と協議の結果、県営災害復旧事業として実施することとし、現在、鋭意作業を進めているところでございます。
次に被災農家への支援についてでございますが、農機具等の農業被害についての融資対策といたしましては、災害による経営の再建及び災害による収入減の補てんに充てるため、農業経営維持安定資金を初め既存の融資制度がございます。被災農家の方々にこれらの資金を十分活用していただけるよう支援してまいりたいと考えてございます。
最後に養殖漁業の被害と対応についてでございますが、水産業養殖関係の被害状況は、魚介類で二億三千四百七十五万円、施設で二千六百六十五万円となってございます。その内訳でございますが、マグロ養殖では、串本町大島で二業者と近畿大学水産研究所大島分室分を合わせて養殖マグロ三千五百六十匹がへい死し二億一千四百万円の被害、木製小割生けす一基の損壊により四十万円の被害が出てございます。アユの養殖では、古座川町高瀬及び那智勝浦町太田の二カ所で、河川の増水により養殖池のアユ約十三万匹が流出し千八百七十五万円の被害、冠水による施設の損壊で二千六百二十五万円の被害が出てございます。ヒオウギ貝の養殖では、那智勝浦町浦神で大雨、波浪により養殖ヒオウギ貝一万五千個がへい死し二百万円の被害が出てございます。
次に今回のマグロの養殖関係の被害につきましては、新しい養殖技術に取り組んでいる最中に発生したものであり、まことに残念な事態であると考えてございます。養殖技術の確立されたタイ養殖等の海面養殖につきましては、漁業災害補償法に基づき、昭和三十九年から漁業共済制度が災害対策の一つとして実施されているところでありますが、現在のところマグロはその養殖技術も確立、普及するところまでに至っていないことから、対象魚種となってございません。県といたしましては、今後マグロが漁業共済の対象魚種に加えられるよう国に対して要望するとともに、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金にあわせ、沿岸漁業改善資金の活用を検討してまいりたいと考えてございます。なおまた、天災被害によるもので一定の条件を満たすものに関しましては、新たな県の単独融資制度も検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、太田川及び古座川の災害対策についてお答えいたします。
堆積土砂につきましては、異常堆積箇所を中心に、町の協力のもと、堆積土砂の除去に取り組んでまいります。また河川改修につきましては、今回の災害の実態を踏まえて、地元の皆様のご意見をお伺いしながら河川改修計画を策定し、その実現に取り組んでまいりたいと考えてございます。
次に七川ダムの運用についてでございますが、一点目のダム操作につきましては、操作規則に基づき実施しております。この操作規則は、ダムの容量を有効に活用して下流被害を軽減するために、流入量及びダム水位から判断して放流量を決定し、それを実施する手続を定めたものであります。今回の操作の結果、最大毎秒千二百七十二立方メートルの洪水を約半分に調節したところでございます。
また放流に関する連絡につきましては、操作規則に基づき、放流開始時及び放流量の変更時において、町役場や警察署等の関係機関に連絡を行うとともに、警報車及びサイレンにより住民へ警報を行ってございます。連絡を受けた町におきましては、町内放送により住民への周知が行われたところでございます。
二点目の事前放流についてでございますが、今回の事前の水位は、六月からの渇水のため、既に台風に備えて前もって下げておく予備放流水位よりも低い状態でありました。そのため、事前放流を行わなかったものでございます。
また、満潮時にダムの放流量を調節できなかったのかとのご質問でございますが、仮に操作規則にとらわれず、満潮時よりも遅く放流することは、ダムからあふれ出るおそれがあり、不可能であります。
また、放流する時期を早めた場合には、流入量が増加している時期に当たり、その後も流入量の増加が継続する危険性を考えると、今回よりも最大放流量を多くせざるを得なかったものと考えます。
三点目の操作規則等の見直しについてでございますが、地元の皆様からも予備放流水位の見直しができないか等の要望をいただいておりますので、今後よりよい操作を目指して、洪水時前の放流方法等も含め、企業局や町と連携して操作規則の見直しについて鋭意検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
十九番谷 洋一君。
○谷 洋一君 知事から前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございました。
この台風十一号は先ほど申したとおりでございまして、私たちの住んでいる地域では大きな被害がまだまだ残っております。早期の災害復旧、またどうしても根本になっている河川が昔のままでございますので、その改修が一日も早くできるようによろしくお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で谷洋一君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十五番新田和弘君。
〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
質問に先立ちまして、先日起こりましたアメリカにおける同時多発テロ事件は、平和と民主主義の根幹を揺るがす世界人類と文明に対する挑戦であり、私たちはこのような残虐なテロ行為を断じて許すことはできません。この事件で犠牲となられた多くの方々に対し心から哀悼の意を表するとともに、ご家族や関係の皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
また、去る七月十日に先輩・木下秀男議員が急逝されたことに対しまして、謹んで哀悼の意を表します。
それでは、一般質問に入ります。
まず初めに、財政の中期展望に関連してお尋ねいたします。
聖域なき構造改革を唱える小泉内閣は、本年六月に今後の経済、財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針、いわゆる骨太の方針を閣議決定いたしました。骨太の方針では、不良債権問題を二、三年のうちに解決することを目指すとともに、前向きの構造改革として七つの改革プログラムをパッケージとして実施するなど、聖域なき構造改革に積極的に取り組むことにより、日本が本来持っている実力をさらに高め、実力にふさわしい日本の発展を目指しております。さらに、自立した国、地方関係の確立において、国に依存しなくても自立し得る自治体を確立するという方向が示され、今後、国と地方の税源配分の見直しや国庫補助金、地方交付税の縮減などが実施されるものと予想されます。また国においては、平成十四年度に国債発行を三十兆円以下とすることを目標に、歳出を徹底的に見直すとした財政健全化への取り組みと同様に、地方財政計画の歳出を徹底的に見直した上で、所要の財源を確保して地方財政の健全化を進めるとしております。
本県の財政健全化への取り組みは、平成十三年度当初予算編成において、事務事業評価システムの本格導入や公共事業へのシーリング制導入など、財政運営プログラムIIで示した方策を実施するとともに、定数削減など改善目標を上回る歳出削減に努めてきましたが、なお九十三億円もの大幅な財源不足が生じる状況にあります。加えて、国の構造改革の一環として地方財政制度も改革されようとしており、地方交付税依存度が高い本県にとっては厳しい状況が予想されます。こうした状況を受けて本県では、昨年五月に発表した財政運営プログラムIIの中期展望を、平成十三年度当初予算をベースに臨時財政対策債いわゆる赤字地方債の導入など、地方財政制度や近年の社会情勢の変化等も盛り込んで見直し、今後重点的に取り組むべき財政健全化方策をまとめた財政の中期展望を八月に策定し、一層県財政の健全化に努める姿勢を示しております。
そこで、木村知事にお尋ねいたします。
一、国の構造改革による地方の自立においては、国から地方への税源移譲を初め、地方税源の充実が不可欠であります。具体的には、個人住民税において、個人にとって全体の税負担を変えない前提で、個人所得税から個人住民税に税収をシフトする税源移譲方法や、法人事業税の外形標準課税の早期導入、環境関連の税制を地方税として検討するなど考えられますが、知事は本県の税源の充実策にどのように対応されるのか。
二、国における構造改革議論の報道において、地方交付税一兆円削減との報道がありました。現在、国の交付税総額が約二十兆円でありますから、率にして五%の削減となります。本県への影響はおよそ百億円の削減に相当します。地方交付税、国庫支出金の縮減にどう対応されるのか。
三、木村知事は、「山の環境保全で雇用創出」をとの提言を、八月二十一日付の朝日新聞に発表しました。さらに今月三日、三重県の北川知事と連名で、森と水と雇用を守る緑の公共事業の実施を共同提言いたしました。この提言では、国土面積の三分の二を占める森林の公益的機能に着目し、水を豊富に蓄える水源涵養や地球温暖化を招く二酸化炭素を吸収し、生物に必要な酸素を供給する役割を守る観点から、緑の公共事業を創設することを述べています。さらに、この事業は森林保全活動を通じて新規雇用の創出を目的としていることが注目されております。この共同提言が全国に大きな反響となり、十三日までに北海道から長崎県まで全国二十八道府県の知事さんたちが賛同する意向を示されました。木村知事は、去る十四日に、三重県の方々と三十道府県の連名で提言書を農林水産省と環境省に提出し、緑の雇用事業として来年度予算で実施できるよう求めたところであります。現在、国の構造改革においても重点七分野に環境が挙げられており、雇用の確保と環境保全は大きな課題である昨今、緑の雇用事業の事業化が期待されるところであります。知事のご所見はどうか。
以上三点、知事にお尋ねいたします。
次に、関係部長にお尋ねいたします。
一、財政の中期展望では、本県の財政構造から見て、職員定数の削減、給与水準の適正化など、これまで以上の取り組みを検討する必要があると述べています。国においては、本年三月に公務員制度改革の大枠を決定し、六月には給与制度を抜本的に改め、能力給を導入するなどを柱とする基本設計を発表しました。国は、今後、地方公務員制度の見直しを進めて、本年十二月には公務員制度改革大綱を策定する予定であります。本県における職員定数の削減、給与水準の適正化にどう対応されるのか。
二、財政の中期展望では、県単独補助金を社会経済情勢の変化等を踏まえ、県と市町村、民間団体等との役割分担や費用対効果など統一的な観点から、今後徹底した見直しを進めるとしております。八月八日付の読売新聞では、市町村が行う六十七歳から六十九歳の老人医療費の支給事業に対する助成に要する経費が見直しの対象となる旨の報道がありました。仮に見直しが行われると、減額分を市町村が負担していただければ県民に影響しませんが、市町村の負担増が困難になったり、県と同様に減額をすれば県民は大変な影響を受けることになります。このほかにも、乳幼児医療の助成など県民生活に直接影響を及ぼす県単独補助事業がありますが、県は今後どのように見直しをされますか。
三、行政組織のスリム化の検討については、知事は今議会の説明で、和歌山県行政組織等検討懇話会を設置し、県の組織機構や外郭団体のスリム化を図ってまいりたいと述べました。去る十二日に県庁において第一回検討懇話会を開催いたしましたが、県は今後、行政組織のスリム化にどう取り組まれますか。
四、和歌山、海南、田辺、新宮の四市で運営してきた四市主催の和歌山競輪が今年度で廃止することが、去る八月二日の四市競輪事務組合議会で決まりました。公営競技は地方財政への寄与を主たる目的として実施されるものであり、四市競輪も昭和二十五年六月にスタート、年四回の開催で実施されてきましたが、平成二年度の六十八億三千万円の売上高をピークに収益が年々落ち込み、十二年度は約六千四百万円の実質赤字となり、十三年度も約九千九百万円の赤字が見込まれるため廃止決定に至ったとのことであります。本県は年八回開催しており、十二年度決算では一般会計へ一億円繰り入れを行っていますが、四市競輪の廃止により使用料七千万円がなくなり、今まで四市競輪側に諸経費の三分の一を負担していただいていたのが全額県負担となるため、県においても十四年度からは繰入金ができなくなり、さらに売上高の減少が生じてくると赤字になることも心配されております。県は、本年六月の政府予算要望において、地方財政の健全化に資するため、自転車競技法第十条の改正を行って、日本自転車振興会に対する交付金を、売上高に応じた算出から収益に応じた算出に変更を要望しております。県は、今後、競輪事業をどうされるのか。
以上四点、お尋ねいたします。
次に、台風十一号による本県の被害状況に関連してお尋ねいたします。
去る八月二十一日、大型の台風十一号が串本町付近に上陸し、紀伊半島を直撃したため、県南部を中心に終日強い風雨に見舞われ、各地に大きな被害が発生しました。このたび被災されました方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。
今回の台風で、串本町潮岬では最大瞬間風速三十八・二メートルを観測し、前日の降り始めからの総雨量は古座川町、那智勝浦町で千ミリ近くを記録しました。八月二十一日の一日の雨量でも、古座川町西川で五百九十七ミリ、那智勝浦町色川で六百七十二ミリと記録的な豪雨となりました。
古座川町では、豪雨と七川ダムの放流により古座川がはんらんし、明神地区では小学校、中学校が相次いで浸水、明神診療所、老人ホームも床上浸水となり、二十一日午後六時十分に全世帯千七百五十九世帯に避難勧告が出されました。古座川の増水で床上浸水となり、逃げおくれた足が不自由な八十九歳の方と八十歳の老夫婦が取り残され、役場の方に電話でベッドの上に上ってと励まされながら、町消防組合がゴムボートを出して無事救出いたしました。
また那智勝浦町でも、太田川の増水と小匠ダムの緊急放水のため、二十一日午後四時四十五分に流域の南大居や下里地区などを中心に千五百六世帯に避難勧告が出され、住民の方々は下里小学校や下里中学校に避難いたしました。大潮と小匠ダムの緊急放水がぶつかり、太田川がはんらんし、太田川流域では大きな被害となりました。この台風災害の中、県職員初め警察、町職員、消防団など、多くの皆様方の夜を徹しての活動や復旧へのご尽力に、心より感謝申し上げます。
県消防防災課のまとめによると、台風十一号の被害は、床上浸水二百二十五戸、床下浸水二百十七戸、公共土木施設関係被害二十八億二千八百五十五万円、農林畜産物被害一億三千九百五十四万円、農業産業施設関係被害七億五千八百五十万円、農地被害二千三百万円、水産関係被害二億六千八百十六万円、砂防関係で土石流一件、がけ崩れ二十件、地すべり一件という大きな被害となりました。
私も、九月四日に古座川町と那智勝浦町の被災地に行ってまいりました。古座川町では、七川ダム管理事務所で田崎所長さんより、台風当日のダムの操作状況やダム施設の説明を受け、佐田発電所、古座川流域の被災地を回り、古座川町役場で廣瀬町長さんから被害状況と県への陳情を伺いました。那智勝浦町では、役場の下崎参事さん、谷口建設課長さん等の案内で小匠ダムを視察。当日の緊急放水の状況やダム周辺の被害状況の説明を受けました。その後、太田川流域の被災地を回ってまいりました。
そこで、木村知事にお尋ねいたします。
知事は、県民の生命と財産を守る県政を推進する立場から、台風十一号の被害が特に大きかった古座川町、那智勝浦町を初め、県下の市町村の災害復旧とダムの管理を含めた今後の対策にどう取り組まれるのか、お尋ねいたします。
次に、関係部長にお尋ねいたします。
一、古座川町では、昭和四十二年以来、床上浸水を含む大きな被害となりました。被害に遭われた方々は、七川ダムの放流に問題があったとして、ダム操作規則の見直しを強く求めています。ダム操作規則で、予備放流水位である海抜百三・四メートルに達した二十一日午前九時から放流を開始していますが、午前九時の時点では既に毎秒四百トンの流入があり、流入量が増加し始めるもっと早くから放流を開始しておれば被害を少なくできたのではないか。
七川ダムは、防災と発電の目的を持っているため、夏季制限水位を百六・五メートルと定めております。今回のように災害の危険がある場合は、防災を最優先して予備放流水位を百三・四メートルから九十五メートルに下げるべきだ、午後四時四十五分に満水位百十八メートルにあと一メートルとなったため、ただし書き操作を開始、毎秒三百二十トンを放流、水位がピークとなった午後六時は放流量が二倍となる六百トン放流となり、それが満潮時と重なり全世帯避難勧告という被害を招いた、満潮時の放流を調整する操作ができなかったのかとの意見があります。七川ダム操作状況図を見ますと、ダムの放流開始状況やダムの水位が、午後五時から翌日の午前四時半まで常時満水位の百十六メートルを超えていることから、ダムを満水にしながら放流を行った、いわゆるマニュアルどおりの操作を行っていただいていることがわかります。
土木部長は、ただし書き放流を許可された立場にあり、今回のダム操作に対する見解とダム操作規則の見直しに対する見解をお尋ねいたします。
二、那智勝浦町の小匠ダムでは、ダムの緊急放水が太田川流域のはんらんを招く危険があるため、避難勧告が出されてからも、ぎりぎりまで待って緊急放水を午後六時半に行い、その三十分後に大潮を迎えたため被害が拡大したとして、時間をずらすべきだったとの強い意見がありました。
今回、小匠ダムの周辺被害に対する復旧に対しましては、本日の追加補正で七千万円を計上していただきました。二次災害を防ぐためにも速やかな復旧をお願いいたしたいと思います。
さらに小匠ダムは、小匠防災ため池施設として昭和三十四年に建設され、太田川流域の防災に役立ってきました。小匠ダムの管理は県の委託を受けて那智勝浦町が実施していますが、県の方でダムの管理をしていただきたいとの強い要望があります。県の見解をお尋ねいたします。
三、今回の台風十一号の被害として、古座川・那智勝浦両町でアユの養殖業者の被害及び串本町のクロマグロ養殖業者等の被害があります。各業者の方々が事業を継続していくために、災害融資をぜひお願いしたいと強く要望いたしております。先日も県農林水産部の職員の方が串本町に行き、説明に当たったと伺っておりますが、県は災害融資にどう対応されるのか、お尋ねいたします。
次に、教育問題についてお尋ねいたします。
国において、去る六月、高等学校通学区域制度の法令上の根拠となっていた地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第五十条の廃止が決まりました。高等学校の通学区域は、高校教育の普及及びその機会均等を図るため、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって規定されてきました。
本県においては、昭和二十三年に新制高等学校が発足したことに伴い通学区域が設定され、昭和二十六年に県公立高等学校通学区域に関する規則が定められ、小学区制となりました。その後、昭和三十三年に規則の改正が行われ、和歌山市及び七地方による中学区制が採用されました。昭和五十四年からは、和歌山市において学校間格差の是正と新設高校の健全な育成等を図るため北学区と南学区に分割され、九学区で現在に至っております。
今日、本県においても高校への進学率が九七%に達し、中学校卒業生のほとんどが高校に進学しています。そのため、生徒の個性化、多様化に対応して適切な学校選択ができるよう、本県では平成元年から県立高校二十四校において三十の専門学科の新設、改編を行ってきました。さらに、総合学科や単位制高校の設置を行い、本年度は中高一貫校を二校導入するなど、特色ある学校づくりを積極的に推進してきました。こうした中で、人口動態や交通事情が変化し、生徒や保護者のニーズや価値観も多様化する中で、高校の通学区域のあり方についても学校選択の幅を広げ、生徒のニーズによりこたえる等の観点から通学区域の設定は必要ないのではないか、現行より広い範囲の学区に見直すべきだなど、今後の通学区域のあり方を検討すべきであるとの意見が出されてきています。
県教育委員会は、きのくに教育協議会を平成十年五月にスタートさせ、二十一世紀初頭における和歌山県の教育のあり方を協議する中で今後の通学区域のあり方を協議し、平成十二年三月に報告書を受け取っているところであります。東京都では、今月十二日に都立高校の全日制普通科入試に設けていた十四の学区制を平成十五年度から廃止することを決めました。この決定により、東京都では住所地に関係なく受験校を自由に選べることになり、各高校において特色ある学校づくりが一段と進むことが期待されております。
そこで、教育長にお尋ねいたします。
本県において、通学区が九学区の体制になって約二十年が経過し、その間に生徒のニーズに合った特色ある学校づくりを積極的に推進され、高校入試においても推薦入試の導入を図るなど、大きな改革が行われてきました。平成十三年度の高校入試では、普通科に推薦入試を取り入れ、また同一高校において併願の拡大や二次募集については学区外からの受験を認めるなど、受験機会の拡大や学校選択の拡大に努めてきております。平成十五年度は、高校に新学習指導要領が導入される機会でもあり、受験生徒に学校の選択幅を拡大し、同時に各高校にもさらなる特色ある学校づくりを目指していくために通学区域のあり方を見直すべきであると考えますが、教育長は本県の通学区域のあり方に今後どう取り組まれるのか、お尋ねいたします。
次に、大阪府立高校における合否判定ミスに関連してお尋ねいたします。
大阪府教育委員会は、去る七月十三日、府立八尾南高校の今春の入試で得点集計ミスがあり、本来合格していた三人が間違って不合格になっていたことを明らかにしました。これは、府教委が入試の統計的資料分析を行うため点検をしたところ不自然な数字に気づき、学校で調査した結果、パソコンの操作ミスで、英語の得点を加えずに国語の得点を二度加えていたことが原因であることが判明しました。本来、厳正かつ公平に行われるべき入試において絶対にあってはならない誤りが生じたため、府教委は当該の生徒の方々に対して深くおわびするとともに、今春実施した府立の入試のすべてに対して、答案用紙の集計や得点の転記等にミスがなかったかどうかを再点検するよう指示しました。再点検の中で、七月二十六日に府立富田林高校と府立工専の入試でもミスが見つかり、合わせて三人が誤って不合格となっていたことがわかり、一層深刻な事態となりました。府立富田林高校の場合は、社会科の得点をパソコン入力用紙に転記する際、答案を一度に二枚めくって読み上げたため十人分の得点がずれ、合格だった二人が不合格になりました。また府立工専では、理科の採点で受験生二人の合計点数の計算間違いで一人が不合格になりました。府教委は、八月一日、再点検の結果、最終的に集計ミス、転記ミス、パソコンへの入力ミスなどが四十七校において計百九十一件あったと報告し、今後このような事態が生じないよう、入試作業のマニュアルづくりや年度内に再点検できるシステムづくりなど、入学者選抜事務の適正化の方策を早急に検討し、万全を期する旨を発表しました。今回の入試における合否判定ミスの判明のきっかけは、各学校からテストのデータが府教委に提出されていたため、学校以外の人によって誤りが指摘されたことであります。
本県の場合は、テストのデータは各学校が保管しており、大阪府教委とは異なり、県教委へテストのデータは提出されておりません。各教科の平均点の算出なども抽出して行っているため、学校での集計ミス、転記ミス、パソコンへの入力ミスなどの誤りを県教委が指摘することは極めて困難な状況にあると思います。自分の進路に希望を持って真剣に入試に臨む受験生に対して、そのテストを採点集計し、合否判定をする学校は、入学者選抜事務を厳正、公平、正確に行うことは当然のことであります。
そこで、教育長にお尋ねいたします。
一、本県では、今春の入学者選抜事務において、各学校とも全くミスはなかったのかどうか。
二、入学者選抜事務でミスを起こさないために、選抜事務の適正化や年度内の再点検できるシステムづくり等、本県ではどう取り組まれるのか。
以上二点、お尋ねをいたします。
次に、学校週五日制の完全実施についてお尋ねいたします。
平成十四年度から学校週五日制が完全実施されます。同時に、小中学校においては新教育課程がスタートいたします。文部科学省は、新教育課程では教育内容が三割削減されることに対して、全国に特別指導を行うモデル校千校を指定し、小中学校で習熟度に応じた少人数指導を実施する計画であります。科目は、理解度に差の出やすい算数、数学、英語が対象となると言われております。また小学校高学年では、理科など専門性が求められる教科で中学校のような教科担任制を導入するとのことであります。
そこで、本県における特別指導するモデル校への取り組みはどうされるのか、お尋ねいたします。
次に、高校においては週五日制が完全実施されると週三十時間となり、一カ月で八時間、時間数が減ることになります。一方、大学入試においては、大学生の学力低下との批判に対して、大学入試センター試験の科目数を五教科、七科目にふやす大学が多くなってきています。高校では、週五日制の完全実施で授業時間が減るのに、大学受験では科目数がふえることになり、進学校と言われる学校を中心に授業時間の確保を求める声が高まっております。
現在、大阪府立高校では十校以上の学校で一日七時間授業を行うことを検討いたしております。大阪府は、学校や生徒の実態に応じ、学力を伸ばせる子は伸ばしてやりたいとして、生徒に過大な負担がなければ七時間授業を認める方針であります。
本県では、週五日制の完全実施による高校の授業時間の確保にどう対応されるのか、お尋ねいたします。
次に、現在、週五日制月二回の実施の中で、休日となった土曜日に、児童生徒に県の文化施設を活用していただく目的で、第二土曜日は県立の文化施設の入場料が無料となっております。週五日制の完全実施により休日となった土曜日を有効に活用していただく趣旨から、県立近代美術館、県立博物館、県立紀伊風土記の丘、県立自然博物館等に対して県は今後どのように対応されるのかお尋ねいたしまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、税源移譲と地方の税源充実についてのご質問でございます。
ご案内のように、地方分権が進んでまいっております中で、地方自治体の力を充実していくためには税源の移譲と税源の充実は必要だと思います。ご指摘のように、どういう中身になろうかということを想像いたしますと、多分、個人住民税の充実であるとか、法人事業税への外形標準課税の導入ということになってくると思います。和歌山県でも、当然のことながら県の自主財源を充実していくことが重要だという観点から、国に対しましても税源の移譲、外形標準課税の導入を強く要求しているところでございますが、実際問題といたしまして、税源には、豊かな県とそうでない県との間で非常にばらつきがございます。一方でこういうふうな税源を充実していくことは非常に重要なことでございますけれども、県としてはそれとあわせて、地方交付税がいいのかどうかは別といたしまして、どんなときにも財源調整制度の維持を強く要求していかなければならないと考えてまいります。
また、和歌山県独自の税に関してでございますけれども、近年、東北の方で三県が共同して環境関係の税をつくるということが出ておりました。和歌山県でも、隣の三重県で環境関係の税を導入したところでありまして、紀伊半島は同じような環境に置かれているということから考えれば、奈良県や三重県と話をしながら、こういうふうなものの導入についても積極的に検討していかなければならないと私自身考えているところでございます。
それから、今度の小泉改革の中で交付税とか補助金が削減されるのではないか、それに対して県はどのように考えるのかというご質問でございます。
この六月に出された骨太の方針の中で、交付税の見直しとか補助金の見直しということが言われているわけで、その中で「一兆円」というような言葉が今ひとり歩きしているところだと思います。この交付税の制度につきましては、現在、総務省の方で見直しを検討していると思います。多分、一つは地方の単独事業で実際に行っているのと地方財政計画で見込んでいるのと相当乖離があるのでこれを減らしていくとか、市町村側の段階補正という、小さな団体に厚巻きに交付税が行くような制度を見直していくということが検討されていると仄聞しております。
いずれにいたしましても、こういうふうなことは、和歌山県そして県下の市町村の財政にとって非常に厳しい状況になってくると思います。一つは、私どもといたしまして大きな打撃がないような制度改正になるように強く要求していくということがございますし、もう一つは、こういうことは世の中の大きな流れの中のことでもございますので、県といたしましては、行政改革を行ったり、自主財源が入ってくるような形での足腰の強い県政を目指すということにあわせて努力をしていかなければならないと考えているところでございます。
次に、緑の雇用事業の関係でございます。
これにつきましては、午前中もお答えしたのでございますけれども、先般も神戸のタウンミーティングで塩川財務大臣が、山林の維持に対して人を雇っていくということを大きな柱にしていくのだということを言われております。そして、こういうことがいろんなところで言われるようになってきて、これはいいことをしたなという気持ちが一方であるんですけれども、ただ先ほども申し上げましたように、これが短期間の、例えば三カ月とか四カ月とかという、昔で言ったら失対事業的なものとして運用されるということになりますと、これは私の考えている日本の国の中で大きな人口流動を起こして、その中で都市と地方が一緒にうまく発展していくような方法を講じると。そして今、地方の公共事業は非常にむだだということが言われているけれども、地方の方へちゃんと人が行くようになれば、今まで地方でつくった道路だって公共施設だってまた使われるようになるという大きな観点から考えていることですので、このアイデアが余り矮小化されて、短期間の雇用ということを目指すことにならないように、これから強く訴えていかなければならないと考えているところでございます。
それから、台風十一号でございます。
先ほども申しましたように、床上浸水、床下浸水、そしてまた農業、漁業に非常に大きな被害が出たところでございます。ダムの問題とか、私も十分承知しておりまして、ご指摘があるところも承っておりますので真摯に対応していきたいと思います。そしてまた、災害が終わると災害復旧事業だけ終わっておしまいという形ではいけませんので、必ずその中から教訓を得て、改善できるところは真摯に改善していくという姿勢で臨んでまいりたいと思います。
私からは、以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 財政の中期展望に関連いたしまして、三点のご質問にお答えいたします。
まず、職員定数の削減、給与水準の適正化への対応についてでございます。
職員定数については、平成十五年度までに約百人の削減を目標に掲げた定数管理計画に基づき、本年度三十名の定数削減を行ったところでございます。また給与につきましても、給与カット措置の実施などにより人件費の抑制に努めてきたところでございます。
しかし、昨今の民間の厳しい雇用環境や今後の構造改革の影響等を踏まえたとき、これまで以上のより厳しい対応が必要であるとの視点から、中期展望においては人件費の抑制をさらに重点的に取り組むべきものとして位置づけをしたところでございます。
具体的な対策といたしましては、事務事業全般にわたっての聖域なき見直しを進め、職員定数の削減を行うとともに、給与につきましても、全般の給与水準の適正化、とりわけ高齢職員の給与水準抑制等の健全化策について検討してまいりたいと考えております。
なお、国における公務員制度改革の基本設計の目指す新しい給与制度は、その方向といたしましては、職員給与を能力、職責あるいは業績に応じた給与の組み合わせにより決定しようとするものでございまして、質の高い効率的な行政の実現という面で多大な関心を持っているところでございます。今後、制度の具体化の進展を注視しながら、積極的に対応してまいりたいと考えております。
次に、県単独補助金の見直しについてでございます。
さきに公表いたしました財政の中期展望でもお示ししているとおり、本県の財政状況は極めて厳しい状況にあり、財政の健全化を図るためには、すべての事務事業について不断の見直しを行っていくことが肝要と考えております。その中にあって、特に県単独補助金につきましては、激しく変化する時代のニーズに十分対応できていないものも見受けられるなど、本県の歳出構造を改革する上でその見直しは避けられない課題であると考えております。このため、ご質問にもございました老人医療費に係る補助金も含め、それぞれの県単独補助金について所期の目的の達成状況、民間、市町村との役割分担等について、統一的観点からゼロベースに立ち返って見直しをしていきたいと考えております。
なお、見直しに当たっては、県民の皆様や市町村等の関係団体のご理解、ご協力を得られるよう、できる限り努めてまいる所存でございます。
最後に、今後の行政組織のスリム化の取り組みについてでございます。
今、大きな変革の時代を迎えまして、本県の組織機構においても、さまざまな分野でその合理性、必要性を徹底的に検証し、ゼロベースから抜本的見直しを行い、これまで以上の改革を断行していく必要があると考えております。
このような認識のもと、各界の有識者等を構成員とする行政組織等検討懇話会、いわゆるスリム化会議を設置いたしまして、振興局、試験研究機関などの組織機構、あるいは外郭団体のあり方など、これからの県政の構造改革について検討していただくことといたしたところでございます。
今後、懇話会からの意見や提言をもとに、県民ニーズに的確に対応し得る、より簡素で効率的な行政組織を確立してまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長内田安生君。
〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 競輪事業の今後の対応についてお答えをいたします。
県営競輪も、四市競輪同様、年々売り上げが減少しております。今回、四市組合が撤退することになり、平成十四年度から使用料収入が入らなくなるなど県営競輪の今後の収支見込みは厳しいものがございます。
議員ご指摘のとおり、財政への寄与が主たる目的でありますが、この厳しい雇用環境のもと、従業員の雇用を守ることも重要であると考えてございます。雇用を守ることと財政への寄与との整合性を図りつつ、県開催の八回分を継続してまいりたいと考えてございます。このため、開催経費の大幅な削減など、従前にも増した合理化の徹底を図るとともに、国及び日本自転車振興会に対して制度の改正を強く要望し、それぞれの関係者のご理解のもと、経営の改善に努めてまいります。
先ほども申し上げましたが、財政への寄与が主たる目的でありますから、財政への寄与ができなくなる場合には廃止も検討せざるを得ないと考えてございます。
以上です。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 台風十一号に対する七川ダムの操作についてでございますが、操作規則に基づき実施しております。この操作規則は、ダムの容量を有効に活用しまして、下流被害を軽減するために流入量及びダム水位から判断して放流量を決定し、それを実施する手続を定めたものであります。今回のダム操作によりまして、最大毎秒千二百七十二立方メートルの洪水を約半分に調節したところでございます。
また操作規則の見直しにつきましては、地元の皆様からも予備放流水位の見直しができないか等、操作規則の見直しに関する要望をいただいておりますので、今後よりよい操作を目指して、洪水前の放流等も含め、企業局や町と連携して操作規則の見直しについて鋭意検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 台風十一号による被害に関連してのご質問のうち、二点についてお答えいたします。
まず、小匠ダムの管理についてでございます。
小匠ダムにつきましては、昭和三十四年に建設されて以来、那智勝浦町の適切な管理によりまして、太田川沿岸の浸水被害が大幅に軽減されているところでございます。
ご質問の小匠ダムを県が管理することにつきましては、先ほどお答えいたしましたように、非常時の迅速な対応や町災害対策本部等との連携が必要なことから、現在の体制が最善であると考えているところでございます。
なお、ダム下流の災害につきましては、現在、県営災害復旧事業として実施すべく鋭意作業を進めているところであり、早急な復旧に努めてまいります。
次に、養殖被害への融資についてでございます。
施設の復旧を対象とした農林漁業金融公庫の農林漁業施設資金、また漁業の再建、収入源の補てんには、同公庫の沿岸漁業経営安定資金を活用していただきたいと考えてございます。また、災害復旧を目的としておりませんが、種苗の購入や育成、施設の取得等を対象とする農林漁業施設資金や漁業近代化資金、それに沿岸漁業改善資金の活用もあわせ検討してまいりたいと考えてございます。
なお、天災による被害によるもので一定の条件を満たすものに関しましては、県の単独融資制度も検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題六点についてお答えいたします。
まず、高等学校普通科の通学区域についてでありますが、県内を現在の九つの通学区域として以来、ご指摘のとおり二十年余りが経過いたしております。近年、人口動態等も変化し、生徒や保護者のニーズ、価値観も多様化する中で、各方面から現行の通学区域を見直す必要があるとの意見や、普通科の特色づくりとも関連してこれを検討する必要があるとの意見等が出されておりますことは十分承知いたしております。また、本年六月の法改正により、通学区域の設定は各都道府県の判断に任されることとなりました。こうしたことを踏まえ、現在、今後の本県における普通科通学区域のあり方はどうあるべきか、その見直しや対応策を含めて、できるだけ早く結論を出せるよう、さまざまな角度から鋭意検討を進めているところでございます。
次に、高等学校入学者選抜に伴う事務の運営及び管理についてでありますが、従来からマニュアルを示して厳正に実施するよう指導いたしております。各学校では、これに基づき、複数教員による採点や集計、二種類のプログラムを用いた採点結果等の電算処理、データの再点検を行い、万全を期しております。もとより、入学者選抜は受験生、保護者の信頼にかかわることであり、これを厳正に行うことが極めて肝要であると思っております。今後とも、事務処理に係る適切な点検システムについて研究をいたしてまいります。
次に、文部科学省が計画している学力向上フロンティアスクールについてでありますが、この事業は児童生徒一人一人の学習進度等に応じた発展的な指導や補充的な指導などを先進的に実施することになっており、本県においてもその導入に向けて積極的に取り組んでまいる考えでございます。
また、学校週五日制に伴う高等学校の授業時間の確保につきましては、これまでも学校によって二学期制を導入したり、六十五分授業や七十分授業を行うなど、その実質的な時間数の増加に努力してきたところであります。今後とも、生徒のニーズや学校の実情に合わせ、柔軟な教育課程の編成など、一層特色ある教育が展開されるよう指導してまいります。
次に、学校週五日制のもとでの文化施設の活用につきましては、各種体験型の催し物等を実施するとともに、学校や家庭へ広く参加を呼びかけております。
また、お話のありました近代美術館、博物館等の入館料につきましては、現在、小中学生を対象に第二土曜日を無料にしているところであります。来年度以降につきましては、今後関係部局と十分協議してまいります。
以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十五番新田和弘君。
○新田和弘君 ただいま、知事初め各部長からご答弁をいただきまして、ありがとうございます。
何点か、要望いたしたいと思います。
まず初めに台風十一号の被害に関する問題でございますが、県職員の方々初め、関係市町村の皆さん、大変ご苦労いただいて、現在も復旧並びに関係の事業に携わっていただいておるわけでございますが、二次災害の問題、またこれからの生活の点を考えますと、できるだけ迅速な災害復旧ということが求められますので、関係の皆さんのさらなる事業へのご努力をお願いいたしたいと思います。
それからダムに対する問題でございますが、七川ダムの操作規則の見直しにつきましては、災害時には予備放流水位を引き下げるということが強く必要であるということを聞かされました。確かに発電目的がございますので、夏場でも夏季制限水位ということで百六・五メートルまで水をためておきましょうということになっておるわけでございます。もちろん、企業局の発電ということで、片方で営業しなきゃならんという問題があるわけでございますが、今後、地元の皆さん、企業局、土木部の方で十分協議をしていただいて、こういう豪雨による災害があらかじめ予測されるような場合においては、予備放流水位を今の百三・四メートルからもっと思い切って下げるということでのマニュアルの見直し、規則の見直しをぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。
小匠ダムの管理につきましては、農林水産部が那智勝浦町に委託をして、那智勝浦町の職員の方が精力的に災害防止のために小匠ダムの操作を行ってきていただいておるところでございます。
私が感じましたのは、委託の協定書というのは更新をする必要があるのかどうかという議論もできるのですけれども、当時結ばれた知事も町長も既にかわられておりますので、そういった観点からすると、もう既に二十年も経過してそのままの協定書というのは、適当な時点で改めていくというか、更新していく方が契約としては望ましいのではないかという気もいたしますので、今後、那智勝浦町とも十分協議をして委託等の運営に当たっていただきたいと思う次第でございます。
教育問題につきましては、普通科の学区制について、今回の法改正によりまして各都道府県でこの区域を設定することができるということに変わったわけでございます。最近の傾向として、総合学科、中高一貫教育、特色ある専門教科等で県下全域から受験ができるというふうに学校選択が拡大されてきております。そういった意味から、ぜひこの学区の見直しは十五年度に間に合うように進めていただきたいと思います。
以上、要望いたしまして、終わらせていただきます。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。 本日は、これをもって散会いたします。
午後二時三十九分散会