平成13年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(中山 豊議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後一時二分再開
○議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十三番中山 豊君。
〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 大粒で雨足が車の軸のように太く見える雨のことを「車軸のような雨」とか、「車軸を降らす」とか、「車軸を流す」とか、気象にかかわる物の本に記されているわけですが、雷雲を伴う雨雲から降ることが多いと言われています。朝の雷は時として豪雨をもたらすと言われたりします。過日の六月十九日夜半から二十日の明朝にかけての豪雨は、このように表現してはばからないものだと受けとめているわけです。
午後からの質問に立とうとして議場に入ったら、西本議員の質問に関する資料としてお配りされていた、これを一読させてもらいました。これをお借りさせてもらうのは大変恐縮ですけれども、このような惨状に至らなくてよかったなという感じをこの間の豪雨にかかわって思う次第であります。出勤時に日方川の東橋周辺、その地域は常に浸水常襲地帯とされているところですが、そこに差しかかると、路面にごみが積まれたり、消防署員が消防車を伴って多数出動して、汚れを流したり、ごみの整理に当たられていました。このような様子では、長峰山系に豪雨をもたらし、上流域ではかなり被害が出ているのではと思いながら県庁へ向かって走りました。県庁に着いて、被害状況はいかがなものかと、主なところへ電話を入れて尋ねてみました。山崩れがあり、土石流で池が埋まったり、水田が堤防を越した水で洗われたり、護岸が崩されたり、道路が冠水で通行どめになったり、防災無線の初動が遅過ぎたことから倉庫に囲っていた米をぬらして貴志川に流したり、地場産業の倉庫でトラック何台分もの商品を放棄しなければならないという話がたくさん寄せられました。
再開日の議会が散会されるのを待って被害状況の調査に赴いてまいりました。三、四年前でしたか、川の堤を越して水田が流されたということから、そこの堤防のかさ上げを当局の皆さんのお世話になってやってもらったところ、こういうふうなところでさえ乗り越えて水田が洗われているのを見て唖然としたわけであります。これほどにゆうべの雨はひどかったのかということを思い知らされたわけですが、総じて山をかいてミカン畑をつくったり、あまつさえゴルフ場が建設された下流域では被害がかなり大きかったことを教えられました。日がたつにつれて被害の状況が知らされるのを知るにつけ、七・一八水害にまさるとも劣らない降雨と出水だったということを年寄りたちに教えられたわけであります。それになぞらえて、先ほどご紹介申し上げた西本議員の資料に基づく惨状を見るにつけ、こういうふうなことにならなかったのはよかったなと思いながらも、七・一八水害以降、県の治山・治水の行政が何だったのかということを検証する必要があるのではないかとさえ思うような次第であります。治山・治水に力を入れた県行政の成果が今度の水害を大きくしなかったことにつながるとすれば、検証してはばからない課題ではないかとさえ思ったわけであります。
今回はそれにとどめておきますけれども、これを通告した質問に入る前に一言申し上げたかったわけであります。二十日、議会が三時に終わって、被害状況調査にいち早く出向いていって、夕暮れまであたりを調査して回っていたら、県の担当職員が車で、夕暮れ迫る中を懸命に走り回っていたところでした。それには、まさにご苦労さんと申し上げたいし、感謝の念を持って彼らを迎え、別れたわけであります。それぞれ関係する担当課で被害状況を調査の上、災害に遭ったところでの被害対策に遺憾なく取り組んでいただくよう冒頭にお願い申し上げながら、通告に基づいて質問に入っていきたいと思います。
今回は、常々県民、市民の方たちから寄せられる身の回りの相談にかかわる幾つかについて申し上げながら、当局のお取り組みを願う立場からの話であります。俄然、話は具体的なものにならざるを得ませんが、その点はご容赦のほどをお願い申し上げながら進めてまいりたいと思います。
その一、インターンシップについて、手紙が大学生から届きました。
わたしの通っている大学では、三年次にインターンシップと
いう就業体験をおこなっています。この研修について、興味を
もっていたところですが、前から関心のあった公務員という仕
事をもっとよく知りたいと考えています。ところが、学校側の
紹介の研修先には、希望する公務員という職種はなく、自己開
拓という道を選択することにしました。自己開拓するにあたり、
親に相談したら、県会議員の中山さんに相談したらということ
でした。大学で社会福祉主事任用資格と社会教育主事任用資格
を取得するための勉学に励んでいます。この資格は公務員にな
って初めて生かされるということで、これらの資格にかかわる
ところで研修をうけさせていただければと考えています。大学
側では、研修証明書を出していただけるならば、単位を認定し
てくれるとのことです。ご迷惑のかからない範囲で、さまざま
な体験や見学、お話をうかがえる機会をお与えくださればと思
います。
これに伴って、大学の要項も添えてありました。大学の要項を見ると、「インターンシップとは、学生が一定期間企業や非営利組織等について、専攻や将来のキャリアに関連した就業体験を行うことを指します。学生にとって、職業意識や自主性、創造性を高めるよい機会となるばかりでなく、受け入れ側にとっても学生の企業などへの理解を促進し、産業界や非営利機関のあらゆるニーズを教育界に反映するための重要な機会となります」と書いてあります。
これに伴って、当局にお尋ねを申し上げました。検討していただいたところですけれども、改めてこれらの求めに対して、将来に向け、つつがなく受け入れられる機会を当局で設けてくださるよう、検討いただけるよう要望いたすところであります。一般行政職でなく、求めに応じて社会福祉主事、社会教育主事を初めとする専門職に係るあたりから開拓できないものか、要望しておきたいのです。
言うまでもないことですけれども、インターンシップとのかかわり、インターンシップの枠を超えて雇用にかかわるお話ですけれども、ヨーロッパ諸国では、新卒未就職者や青年失業への特別の対策がとられていることを申し添えておきたいと思います。例えば、フランスでは六年前に若年者雇用を公共部門で創出するための法律ができたり、イギリスでは若年失業者の職業訓練、雇用支援のために政府、産業界、市民団体が協力し合って幾多のプログラムが進められているとのことであります。これらを展望されて、研修の機会を提供されることを強く要望しておきたいと思います。あえてコメントいただけるならば、よろしくお願いしたいところです。
その二、地籍調査についてであります。
さきにも取り上げ、取り組み方を申し上げたところですが、その後の取り組みの状況を踏まえて、さらなる進みぐあいをお尋ねしながらの提起であります。
海南市は、本年度から地籍室を設置し、取り組みの具体化を図ろうとしていますけれども、特に東部地域の住民からのこれに対する要求には強いものがあります。地域住民の要求と実際海南市が進めようとしていることのかみ合わせにいささか考えさせられるところもありますけれども、野上町、美里町の取り組みが急速に進められていったことの反映か、特に東部地域に地籍調査を求める声の強いことだけを申し添えておきたいと思います。
そこで、海南市のみならず、県下の取り組みの状況と今後の取り組みについてご報告いただければありがたいと思います。
あわせて、特に海南市のように本年度から着手しようとしている市町村の数とそれに対する県の支援策を参考までに教えていただければと考えております。
その三、地球温暖化防止のため、温室効果ガス(CO2)の削減目標を定めた京都議定書の二〇〇二年発効に向けて、議定書からの離脱を表明したアメリカに対し強い反対の意向が国際的に示されているところであります。日米欧二十六カ国の環境非政府組織(NGO)六十一団体は、過日、アメリカの不支持表明で発動が危ぶまれている京都議定書の救済に向け、日本政府が率先して批准するよう求めるとの意向が示されているようであります。環境NGOは、欧州連合(EU)が米国抜きでも議定書批准の構えであるのに対し、日本政府は態度を決めかねていると見て、今後の国際的動向に日本の態度が大きく左右するとして動きも活発なようであります。EUが日本を加えて議定書の批准を進め、二〇〇二年までに発効するよう最大限の努力を払おうとの動きのようであります。
先般、カナダの首脳会議で、EUとともにカナダも批准の態度を表明されたと報道されておりましたが、このような世界の動向を見据えながら、地域で地球温暖化の原因となるCO2など温室効果ガス対策に地道に取り組まれている方からのお話であります。まず、聞いてあげてください。
この方は、和大附属小学校を初め、県下の各小学校や地域に赴き、地球環境を守ろうと熱心に取り組まれている方であります。具体的には、ケナフという植物と環境、それを収穫した繊維で紙すきを実施したりして、これの啓蒙と啓発に努められている方のお話であります。
ケナフのCO2固定化のすぐれを説き、太陽と地球温室効果ガスの関係、化石燃料による文明発達との裏表にあるぜいたくと利便性に人々が酔いしれていることへの反省を促したり、CO2増加の連続で海水の水位が上昇することなど、さまざまな観点から環境問題に触れ、啓蒙に当たられているとのことであります。その方の勧めで休耕田にケナフを植えたという方のお話も聞いてみました。ケナフで地球環境が直截的によくなるというものではないけれども、植物の成長過程でCO2が吸収され、成長が早いことから推しはかれば、確かにCO2固定化率は高いと言えるであろう、その意味で効果が評価されると言えるのではないかと申していましたけれども、ケナフの植栽で根本的に解決されるのではないが、CO2発生に目を注ぎ、それが地球環境に及ぼす影響に対する意識改革を求めていくよすがとして大きな意味があろうと申されていたのが極めて印象的であります。この立場から、公共的な空き地などに植栽して、広く環境問題への意識改革に寄与する取り組みとして、それなりの評価と関心を集められるようにしてはいかがなものかと考えるわけであります。
例えば、横浜市は昨年から実験され、大気浄化に一定の効果があったとして、新年度から本格的に事業化すると言われていることが新聞に報道されていました。基本的には、エネルギー政策の転換が重要だということは言うまでもありません。県としても、エネルギー活用促進事業に取り組まれているところであることから、新年度から本格的に事業化すると言われている横浜市とのかかわり合いも考えながらお尋ねと提起をいたすところであります。
一番目に、地球温暖化対策について県はどのような把握をされ、基本的なところでの取り組みはいかがなものか、お知らせいただきたいわけであります。
二番目に、加えて京都議定書の二〇〇二年発効に向けて県のお考えを示されたいわけであります。
三番目に、ケナフの栽培普及は地球環境への関心を寄せるに期待できるとして、それの植栽に適当な場所を選んで試みてはいかがなものか。また、収穫後の処理、パルプ資材に活用する方途の研究への支援について何らかの手だてがあってもいいのではないか。検討方、これは要望しておきたいと思います。
その四、化学物質過敏症についてであります。
四年も前のことになるでしょうか、地場産業の家庭用品等が海南市に非常に普及され、活発に事業を興されているわけですが、地場産業の事業所の廃棄物処理で自家焼却されている焼却炉からの煙で家にいられず、他地域へ転出を余儀なくされるとの事例を挙げて、廃棄物処理と住民の健康対策を取り上げ、当局の取り組みを促したことがありました。そのとき訴えてくださった方が、その後、海南市の住居をあけて他地域へ転々と移り変わり、健康回復に専念されていましたが、ごく最近になって化学物質過敏症だと診断を受け、その筋の専門医にかかっているとの知らせとともに、この分野において県の対策を求められるのであります。この分野の対策が県のみならず、国においても著しくおくれていることから、当局に取り上げてほしいとの訴えでありました。
この方の申されることの次第を子細に言ってみたいと思うんですが、取り組み方を求めながら、以下申し上げてみたいと思います。
化学物質過敏症という言葉、それ自体が近年になって唱えられ、概念がとらえにくく、まだ聞きなれない人も多いところのようであります。病名も定義も完全に定着しておらず、国際的には本態性環境非寛容症とか、多種類化学物質過敏症とか、多種類反応性化学物質症とか呼ばれたりしているようであります。とにもかくにも、中毒という概念から考えられないほどの微量の物質でアレルギー性の反応が起こり、さまざまな症状を引き起こす疾患と言われています。日本でも、近年急に増加しているとのことであります。アメリカやカナダでは、十人に一人の患者がいるとも言われているようであります。
この疾患の主な症状は、頭痛、全身倦怠感、うつ、不眠、動悸等、さまざまと言われています。また、最初に受けた物質とは別の物質にも次から次へと反応するという厄介なことのようでもあります。家のリフォームや新築への入居時に発症することが多いようで、殺虫剤、防虫剤、防腐剤、接着剤、芳香剤などに苦痛を感じ発症するとも言われています。広く認知された病気でないが、症状を訴える人がふえていることから、平成九年、当時の厚生省、環境庁が研究班をつくり、対策に乗り出したとも言われています。その都度、県にも通知がされているのではないかと考えるわけですが、訴えられたこの方も、当初は廃棄物処理の煙が原因しているものと考え、それを遮断するために家の目張りをし、空気清浄機を部屋に取り入れて対処したけれども、耐えられないで家を出て転々と移り住むことにし、ついには北里大学へたどり着き、ようやくにして化学物質過敏症との診断が下されたとのことでした。聞けば、この苦しみと悩みは自分だけでは済まされないとして、何人も別の方を紹介してくれました。そのうちの一人の方の話ですが、以下のようでした。
基本的認識として、二十世紀後半から石油化学の発展が世界を変え、地球環境を変えていき、二十世紀前半に既に化学物質の工業生産が始まっているけれども、生産と利用が本格化したのは戦後であり、石油文明とか、化石文明の著しい発達は便利さと豊かさだけの享受にとどまらず、人の生存さえ危ぶまれるところとなってきていることが明らかになってきた、それが地球温暖化であり、化学物質過敏症の発生などとなり、これがまた近年急激な増加傾向にあると、その方が言うのであります。いわば、化学物質文明のおつりとも言うべきものを、まともに今の人間社会の人が浴びていると言うのであります。多様な化学物質を、食物から、呼吸から、あるいは皮膚を通じてさまざまな形で体内に取り入れ、蓄積し、ある機会に突如として発生するということであります。
この方は、歯の治療を受けている間に亜砒酸が口内に漏れたことによりけいれんが起こり、回復傾向になるまで思い悩み続けたとのことであります。発症以来、化学物質過敏症と診断されるまで自律神経のバランスが崩れ、正しい指令が末端神経まで送られないで、誤作動の状態に陥ってしまったとのことであります。以来、寝たきりの状態から抜けて、やがて寝たり起きたり、家の中でのリハビリ、家の近くの散歩へと立ち直るまでにようやくなったとのことであります。その期間は十年にも及んだと言われております。
この疾患に苦しむ方々は、身近に対処してくれる医療機関がないことから、化学物質過敏症ネットワークを起こしてその対策に取り組み、あるいは患者同士の励まし合いを進めているとのことであります。初期には自律神経失調症とか、アレルギー症とか、更年期障害とか、あまつさえ医師から施設へ入所したらどうかとさえ言われたりしたこともあったと言われました。
そこで、お尋ねします。
この症状でお困りになっている患者の実態、実情は把握されているのでしょうか。前に申し上げたことなどから考えて、多分、難しい状態に置かれているのではないでしょうか。当局の手で把握していただけるならば、その病に苦しむ人たちの状況と回復への取り組みの施策が急激に進歩するのではないかと思っているわけです。
二番目に、これらについて特別対処できる医療機関は、和歌山県立医大のみならず県内にあるようには思えないのですが、そのような認識でよろしいのでしょうか。
三番目に、総じてこの症状で保険適用がなされていないと聞いているわけです。以上申し述べたようなことですから、自律神経失調症、アレルギー、更年期、痴呆症、こういうことなどを現象的にとらまえて保険適用するといった対応を余儀なくされているということが考えられますけれども、保険の関係でも化学物質過敏症という病気への対応がまだ進んでいないのではないかと思います。そのような認識でよろしいか、お尋ねしておきます。
四番目に、新築やリフォームの入居時に発症することが多いと言われたりしています。特にシックハウス症候群とも言われたりしているわけですが、これに対して国土交通省が大がかりな調査をしたとのことです。その結果、及び取り組みについての施策は打ち出されているのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
特に、公共施設が建設され、そこで発症したりしたら、直ちに測定したり対処できるような体制にあるのでしょうか。大変困難な課題だという形で推移しているのではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。
五番目に、年齢を問わず、幼少期から発症することもあると言われますが、幼稚園、学校等の施設や用具等についての関係機関の実態把握に努められてはいかがでしょうか、そのような取り組みと、それらに対する発生した場合の対処方を打ち出してくださるようにお求めしておきたいと思います。
これは何かにつけて、新しい分野に踏み込んでの取り組みとなるわけであります。バクテリアやウイルスのようなもので発症する病ではなくて、先ほども申し上げましたように、人間がつくり出した化学物質が原因して人体を侵している、そういうふうな化学物質が体内に蓄積され、バケツいっぱいの水になったときに、ちょっと何かの拍子であふれ出るような感じで発症するということであります。人間がつくり出した化学物質で人間が侵され、人間の生存が危ぶまれるという実態になっているわけであります。これは、人間社会の文明が発達し、人間が豊かであり、便利であるという社会の進展、文明の発達をこよなく願ってきた人類の課題追求の過程で引き起してきた問題であります。それだけに利害得失が絡み、この問題の原因や対処方についてはいろいろ困難な状態が絡んでくることが予想されるだけに、懸命な努力と患者の立場に立っての取り組みが要求されてなりません。
六番目に、橋本市の廃棄物処理場での化学物質の実態調査をされたやに聞き及んでいるけれども、ダイオキシンを初めとする化学物質に伴う過敏症とおぼしき実態は把握されているのでしょうか、お聞きしておきたいと思います。
七番目に、医療機関の対応のおくれは否定し切れないものがあるとして、まずは患者で組織しているネットワークなどを活用して、病気を理解できる人を育てたり、回復者の人たちの意見を聞いて、保健所単位に経験者を窓口に据えて県民に対応するようにしてはいかがなものでしょうか。行政にしても、医療機関にしても、新しい分野でその実績の蓄積が定着し、大きく積み上げてきたと見受けられないとするならば、その病気が発症し、その病気で苦しみ、回復傾向をたどるまでに取り組んできた元患者の人たちの体験は殊さら大事ではないかと思うわけですが、そういうふうな人の経験と知恵をこの問題で苦しむ人たちに大きく貢献してもらえるような県行政の立ち働きを求めておきたいと思うわけであります。これについてのご意見をいただければありがたいと思います。
患者からの訴えに基づき、るる述べてきたけれども、要は、病名や定義がまだ定まったものでないとはいえ、患者は増加の傾向にあります。県内でも現に発症し、苦しまれている方々が、さしずめ当局の対応を求められていることは否定できません。この求めに対して、しかとしたお取り組みをお願いし、ご意見とご答弁を求めて、次に進みたいと思います。
海南市の中心商店街の活性化にかかわるお話ですが、これは海南市だけではないと思いますけれども、海南市の問題を例にとってご説明をさせてください。
ジャスコが撤退したことから、海南市の中心商店街は灯の消えたようなありさまであります。人々は言います。海南駅はよくなったけれども、商店街はさっぱりや、人は来てくれない、町の発展策にかかわってどのような施策を進めようとしてくれているのか、こういうお話であります。過ぐる「母の日」に商店街を歩いてみました。それぞれの商店の入り口に子供が描いた母の絵──「母の日」を記念しての行事ですから、母の似顔絵が数枚ずつ各商店の戸口に掲示されているではありませんか。個々の店の看板に、六枚ぐらいずつ子供がかいた母の顔の絵を、ここの家もここの家もみんなかいている。橋本市の子供の絵もありました。橋本の皆さん、ありましたよ。有田市の小学校の子供の絵もありました。もちろん、海南市の子供の絵もありました。商店街連合会の主婦たちが県下各地へ呼びかけて、母の似顔絵をかいて送ってもらったというお話であります。「母の日」を記念してのセールスだということであります。県下各地からお母さんを招こうとの涙ぐましい取り組みではないかとうかがえたわけであります。それは、少なくとも顔をかき送ってくださった人たちだけでも、あるいはまたその人にかかわる家族及びその周辺の友達や近所の人たちも、連れ立って海南市の商店街に訪れてきてくれるんではないかというささやかなる願いを込めてそのような取り組みをしたというお話であります。
それに置き比べて、大型量販店などが時によっては有無を言わさず進出してきて、一もうけしたらさっと引き揚げてしまうような今日の商法というのはあったもんではないと思ったり、これは伝来の海南のみならず、それぞれの町々の商店のあり方について大きな問題を残してきているのだと思ったりしたわけです。
そのような努力に対応して女性たちの言うのには、野上谷方面からのお客さんを、さっと商店街の方に来やすいように早いこと道をつくってくれんかいなというお話です。これは、何遍もこの壇上から当局の皆さんや議会の皆さんにお訴えを申し上げたところです。これは、中山一人が勝手に物を考えて、勝手に言っているということではなかったということを、商店街連合会の主婦たちのお話をかりてでもそのようにお受けとめいただきたいわけであります。(「公共事業反対と言うからや」と呼ぶ者あり)──それとまた別なんだ。そういうふうなことを言うから話はおもしろくなくなる。そのような努力に対応して女性たちの言うのには、野上谷方面からのお客さんを早いこと呼んでもらえるような道をつくってくださいというお話であります。公共事業のあれこれの話ではなくて、そういうふうな生活に直結し、町の繁栄にかかわるような道路行政というのは、何をさておいても優先されなくちゃならんと考えたとしたら、さっきのようなお話はどこから考えても出てくるはずのないものだと紹介しておきたいと思います。
それで、野上谷の人のみならず、阪井の人さえ貴志川の方へ行っちゃう。海南市の方は栄えないのは当たり前の話です。重根区画整理事業とのかかわりを申し上げながら、阪井バイパスを早いことやっていただけようにお願い申し上げて、これはまた建設委員会でもるる述べることにいたして、当局のご答弁を期待して、終わりたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) ご要望のありました本県へのインターンシップ制度の導入についてでございますが、民間企業等とはやや性格は異なると思いますが、学生の皆さんに県庁というものをよく知っていただくよい機会ともなりますし、就業意欲を喚起し、職業適性の見きわめの材料となるなど意義あるものと思いますので、導入に向けての具体的検討をこれから進めてまいります。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長垣平高男君。
〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 地籍調査についてのご質問にお答えをいたします。
地籍調査についての県下の取り組みの状況についてでございますが、平成十三年度は海南市を含む四つの市町村が新たに調査を開始することとなり、この結果、合計四十八市町村が着手済みとなります。なお、残りの二つの市町村につきましても、平成十四年度着手に向け、準備を進めているところでございます。平成十二年度末における調査済み面積は四百十三平方キロメートルとなり、要調査面積の九・三%となります。今後は、境界等を確認するためのいわゆる一筆地調査の外注化制度を積極的に活用し、調査区域の拡大が図られるよう努めてまいります。
続きまして、新規に着手する市町村に対する支援策についてでございますが、県といたしましては、講習会等を開催し、事業主体である市町村の職員に基礎的な知識を習得していただくとともに、必要な場合には担当者を市町村に派遣し、円滑な実施が図れるよう全面的な支援を行っているところでございます。地籍調査は、公共事業の円滑な推進のためにも非常に重要な事業であり、今後とも積極的に取り組んでまいります。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長秋月成夫君。
〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 地球温暖化対策の二点についてお答えいたします。
地球の温暖化につきましては、気候の変化を引き起こすとともに、海水面の上昇など生態系を初めとする人類の生存基盤に多大な影響を及ぼすと予測されております。温室効果ガスの排出抑制につきましては、地球温暖化対策の推進に関する法律を受け、国及び地方公共団体により温暖化防止に係る実行計画が策定されているところであります。県庁におきましても、平成十年度から温暖化防止に率先して取り組み、昨年八月には実行計画を公表して全庁挙げて取り組んでいるところでございます。その結果、平成十二年度におきましては、電気及び重油等の燃料などの使用量が減少したことから、温室効果ガスの排出量は平成十一年度に比べ約一〇%減少してございます。
なお、本県における温室効果ガスの総排出量は平成十一年度において二酸化炭素換算で約一千六百三十五万トンと見込まれており、平成七年度に比べ約〇・一%減少してございます。また、地球環境の保全を推進するため、六月の環境月間や環境フェアなどにおいて広く啓発を行っているところでございます。
次に、温室効果ガスの排出削減目標及びその手法等を定めた京都議定書の発効については、国と国との問題ではありますが、アメリカが京都議定書から離脱することを表明したことは国際社会がこれまで積み上げてきた努力を後退させるものであり、地球温暖化対策については地球規模で取り組んでいくことが重要であると考えます。このことにつきましては、七月に予定されている気候変動枠組条約第六回締結国会議における議論が待たれるところであります。
なお、県としましては、地球温暖化防止のため、近畿の二府七県等で構成する関西広域連携協議会と呼応して、六月二十一日から九月二十三日までの間、適正冷房の推進などの夏のエコスタイルキャンペーンを展開しているところでございます。
以上です。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 化学物質過敏症の五点についてお答えをいたします。
化学物質過敏症につきましては、議員ご指摘のとおり、その定義が確立をされてございません。また、症状が多様であることから、患者の実態把握は困難な状況でございます。
化学物質過敏症に類する症状を訴えられた場合、医療機関については、それぞれの症状に対応した診療科で受診をされてございます。
また治療については、個々の症状に応じた検査や対症療法が行われており、これらの費用については大部分が保険適用となってございます。
なお、橋本市の産廃問題における実態把握でございますが、昨年九月末に一般健康調査を実施したところ、化学物質に不安をお持ちの方がおられましたので、これらの方々に対し、念のため化学物質過敏症の専門家による説明会を実施したところ、七名の方の参加がございました。
最後に相談体制についてでございますが、現在、国において相談マニュアル等が検討されております。この動向等を見ながら、保健所等で患者の相談に応じられるよう、保健婦等関係職員への研修に取り組むとともに、必要に応じて回復された患者の方々の協力も得ながら、その悩みにこたえられるよう対策を研究してまいりたいと考えてございます。
○議長(阪部菊雄君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、シックハウス症候群についてのご質問ですが、平成十二年度に国土交通省が実施した住宅の室内空気環境の実態調査では、ホルムアルデヒドなど四項目のそれぞれの平均値はすべて厚生労働省による室内濃度指針の数値より低くなっております。本年度も、引き続き調査に協力することにしています。
この問題に関しましては、今のところ、国から具体的な対応方針は示されていませんが、化学物質の放散が少ない木材を多く活用することが有効と思われますので、紀の国・木の家推進協議会を通じて木造住宅における紀州材の利用促進に努めてまいりたいと考えています。
なお現在、建築関係の財団法人などがホルムアルデヒドの簡易測定器五台を配置し、一般に貸し出しを行っています。
次に、重根土地区画整理事業とも関連して阪井バイパスをとのことでございますけれども、組合施行の重根土地区画整理事業で都市計画道路築地阪井線が整備されることになっております。早期に供用するには仮換地指定を進めるよう、海南市を通じ、組合を指導してまいりたいと考えております。海南市初め、地元の皆様方の積極的なご協力をお願いしたいと考えております。
その先の阪井バイパスにつきましては、平成二年に都市計画案を公告縦覧いたしましたが、反対意見が多数のため都市計画決定に至ってございません。県といたしましては、周辺道路網を勘案し、以前に提示したルートを基本とした計画案を海南市に提示しているところでございます。今後は、海南市初め地元の皆様方のご協力を得ながら、都市計画決定に向けて努力してまいります。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 化学物質過敏症の問題は、中山議員のお話にもありましたように、原因となる物質や症状がさまざまであり、また個人差が大きいため、その実態把握や対策が大変難しいと言われております。現在、文部科学省において学校環境衛生の基準や学校施設整備の指針、実態調査等について検討がなされていると聞いております。本県の県立学校におきましては、室内の空気を汚染する化学物質の発生がないか、もしくは少ない建材の採用に留意し、整備いたしております。また、市町村教育委員会にも同様の趣旨の指導をしているところでございます。
なお、実態調査につきましては、国の動向を見ながら対処してまいりたいと考えております。
また、学校から化学物質過敏症の疑いがあるとの報告があった場合には、関係部局と密接な連携を図って対応いたします。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十三番中山 豊君。
○中山 豊君 あと二分しかないので、かいつまんで、ご意見と評価を申し上げておきたいと思います。
アメリカの京都議定書からの離脱に対して、当然のことながら積み上げてきた努力を後退させるものだというご答弁をいただきました。そういう観点に立って、環境問題に対する国際的な世論の形成の上にも我々はともに頑張っていくという表明をいただいたものとしてお受けとめしておきたいと思います。
環境問題でケナフの話をちょっとさせてもらったんですけれども、これにはひとつも触れてくれなかった。環境問題について、国際会議までは至らないけれども、せめて市民や県民のサイドで何をするかという形で営んでいる努力を少しは評価していただけたらありがたいなと思ったけれども、これは意見だけ申し上げておきます。無視だけせんといてやってな。お願いしておきます。
それから化学物質の問題で、橋本で七名の方の参加がございましたとありましたけれども、疑わしいとしてご紹介していただいたということかもわかりませんが、その七名の方たちのその後の状況がどうだったのかという点を、また後日教えてあげてください。
そして、この問題について一番詳しく知っている方は体験者であります。体験者の取り組みを大いに喚起していただけるようお願いして、終わりたいと思います。
○議長(阪部菊雄君) 所定の時間が参りましたので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。