平成13年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成十三年六月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
 平成十三年六月二十五日(月曜日)午前十時開議
  第一 議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに報第二号から報第五号まで(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案等の付託
会議に付した事件
   一 議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに報第二号から報第五号まで(質疑)
   二 一般質問
   三 議案等の付託
   四 休会決定の件
出席議員(四十七人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         安   居       要
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       増   田   充   孝
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    島       正   博
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      井   口   好   晴
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第八十一号から議案第九十九号まで、並び
        に報第二号から報第五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに知事専決処分報告報第二号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十八番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 皆さん、おはようございます。きょうで一般質問が最後の日でございますけれども、議長のお許しをいただきまして、通告に従い、ただいまから一般質問をしたいと思います。
 私は、昨年の十二月議会及びことしの二月議会の予算委員会で、かつてのような国からの交付税、補助金によって財源を賄うのではなくて和歌山県自身の創造と努力によってそれをなし遂げる、県民一人一人が知恵を出し合って自分たちに必要な経費をみずから生み出すことが求められている時代との趣旨のことを申し上げてきましたが、果たせるかな、小泉政権によってそのことが現実化してまいっています。
 今、私たちが取り組んでいる世界遺産登録運動は、こうした時の流れに何らかの形で合致するものであり、いわば将来の国策を先取りしたものであると思っています。国からの補助金がなくて、各地方自治体では困惑するところが多く出てきていますが、私はあえて千載一遇の好機だと自分に言い聞かせております。
 そこで今回は、前回の質問をさらに前向きに深めるために、具体的な提案として、世界遺産を生かした南紀先駆的医療施設開発や和歌山観光の再生について質問をしてまいります。
 まず最初に、世界遺産を生かした南紀先駆的医療施設開発、つまり南紀の救命救急センター及び予防医療と健康リハビリセンターづくりについてであります。
 医療、福祉は二十一世紀の私たちが避けては通れない大きなテーマであり、木村知事がこれに熱心に取り組んでおられますことを心強く、また心から敬意を表します。
 ところで、和歌山県という土地柄は、世界遺産に登録されるという自然の大きな恵みを初め、緑、川、海と、人間の生活環境にとってこれほど恵まれたところはないと私は思っています。この自然の恵みを背景に、二十一世紀の理想的な厚生福祉地域としての南紀を目指して努力してまいりたいと思います。
 理想的な厚生福祉地域を実現するためには、まず病院を拠点とする発想であります。それは、「病院の新たな活用」と「病院の新しい県民への対応」というテーマへの挑戦を意味しています。つまり、私たちの病院を中核として、県民の健康と豊かな生活をサポートするよりどころに活用できないかという発想であります。この考えの中には、病院を単なる治療や手術・入院という狭くて暗いイメージの中に閉じ込めることなく、明るい町づくりの核として見直そうということがあります。そういう病院にするには、いざというときに県民の命を救ってくれる救命救急センターの設置が急務の課題であると考えます。
 大阪の池田市で起こった小学生の殺傷事件では、どこどこの救命救急センターへ何人が運び込まれましたというニュースが報道され、「救命救急センター」の言葉が耳につきました。その救命救急センターの設置についてですが、現在私たちの住んでいる南紀には、私たちの命を一刻も早く救わなければならない救命救急センターがなく、遠く和歌山市に搬送されなければなりません。とうとい命を救うためには一刻の猶予もありません。ほとんどの南紀の人々は、その実現を悲願に毎日暮らしています。
 南紀に救命救急センターがないばかりに、次のような悲しいデータがあります。
 救命救急センターの患者の大部分を占める心疾患は、平成十一年の統計で、和歌山県では一千七百八十六人の方が亡くなられています。これは、残念ながら全国二位の死亡率であります。また、脳血管疾患では一千三百五十九人の方が亡くなられており、全国で二十位の死亡率となっております。私たち南紀の住民に絞ってみますと、平成十一年救急業務実施状況の調べによると、御坊、田辺、新宮医療圏の一年間の救急患者受け入れ数は九千九百七十四人もあり、その中でも田辺医療圏では、ほぼ半分に近い四千四百五十五人という状況であります。
 救命救急センターがないということからくる悲劇のもう一つは、転送いわゆる「たらい回し」が御坊、田辺、新宮医療圏で平成十二年中に百十九件もあり、全国でも不名誉な数字となっています。さらに、南紀の人々の命を一刻も早く救うということとともに、ご存じのように近くには南紀白浜空港があり、万が一大きな航空機事故が起きた場合、その集団災害に備えなくてはならないというもう一つの重大な使命があります。そして、何といってもこの地域は世界遺産に登録される地域であり、世界の人々が安心して訪れることのできる医療環境は必要不可欠な課題であります。ほかの近畿府県や隣接の三重県を見ても、救命救急センターがわずか一つの医療圏のみというのは、京都と和歌山だけであります。
 また、もし救命救急センターをつくるとすれば、費用が膨大な額になると懸念をする人もいます。確かに費用はかかりますが、この救命救急センターに関連している救急現場のスタッフ、また医療の専門家に伺ったことにより、私たちにできることがわかってまいりました。つまり、救命救急センター設立のためのむだな支出を抑える、救急医療に対する県民の意識を変えてもらうことによって財源等が捻出されるという可能性であります。その可能性の一つは、救命救急センターの設置をする場合、病床を二十床までふやし、年間延べ一千人の入院患者がある場合は国の支援が得られるという救急医療対策の整備事業についての厚生省医務局長通達があります。この制度を最大限生かしたらと考えます。
 例えば、ある病院が救命救急センターをつくり、二十床のベッドがあるとします。稼働率が九五%でいきますと、受け入れ患者数は一人当たり平均七日入院するとして、二十床掛ける〇・九五掛ける三百六十五日割る七日、イコール約一千人となり、その要件を満たすことになります。
 また、先ほど申し上げた同じ条件で厚生労働省がモデルケースにしたものを見ますと、この救命救急センターに入ってくる収入は医療費など約七億一千三百万円となり、それに対して医師などの人件費等に約八億一千百万円の支出で、差し引き約九千八百万円のマイナスになりますが、その場合、マイナス分の三分の二は国等の支援があることになっています。残り三分の一、つまり約三千二百万円のみが県の支援で済むことになるということであります。
 そこで、救命救急センターの設置がいかに私たちの悲願であるかの材料を申し上げます。
 その実態は、平成十一年救急業務実施状況では、実際死亡及び軽傷を除いた入院患者数は御坊、田辺、新宮医療圏で四千九百五十三人もあり、田辺医療圏だけでも二千二十六人があります。救急車で運ばれていない時間外患者数は今の数字に入れていませんが、これを入れますと大きな数字になります。ちなみに、紀南総合病院だけでも一千百九十三人の入院患者があります。患者が多いということは不幸でありますが、基準の千人を大幅に上回っている状況であります。
 私は、県に負担をかけたくないということはやまやまですが、もしできましたら、私たちにかかる予算の中で優先順位を決めて、あえてこちらの方に回してほしいのであります。それでもなおかつ回せない場合は、厳しい提案かもしれませんが、知事の判断を仰ぎたいのであります。
 その一つは、赤字が膨らむ救急センターの医療費を抑える方策についてであります。救急車の空出動と言われている、タクシーがわりに救急車を使うモラルの低下という声があります。もちろん、それは一部の方でありますが、それゆえに医療の抑制と国民のモラルの低下をなくす意識向上の二つのねらいから、あえて知事に検討をお願いしたいのであります。
 救急患者の救急車利用負担について、国や市町村と協議をして利用料徴収条例制度の導入を図るという意見もございますが、どうでしょうか。これは、地方自治体の独自の財源確保の手段として認められているものであり、既に東京などの大都市の地方公共団体では独自の財源をいろいろな形で検討されているようであります。我が和歌山県も、県民の自立と医療費など効率のよいセンター運営から利用料負担制を導入してみてはという声も聞こえますが、知事の考え方をお聞かせください。
 また、後ほど詳しく述べますが、予防医療の展開を図る中で、医療費が節減され、その分を救命救急センターへ支援をしていく仕組みを考えてはどうでしょうか。
 二つ目のポイントとして、これをどこに設置をするかということであります。広域行政はこれからの時代の趨勢であり、避けては通れません。たまたま紀南総合病院は、今の時代を先取りしたように、医療の分野については広域行政がなされています。その紀南総合病院が時代を先取りしたことと絡めて、救命救急センターを併設してみてはと考えます。例えば、平成十六年に移転が実現しようとしている紀南総合病院に救命救急センターを併設するとすれば、新たに田辺圏域だけではなく、御坊、新宮も含む広域を対象していることになるので、その地域からの分担金も入ることになり、費用は多少なりとも軽減します。そうしたところの調整について、県が仲介の労をとっていただければと考えます。
 私たちが救命救急センターの設置を強く要望する理由は、広域行政によって医療収益の予測が立つことと、国の政策のバックアップがあるからであります。そして、救急医療システムの原点である情報通信ハブシステムを全県下に網羅することを目指したいと考えています。知事、南紀の救命救急センター設置についての考え方をお伺いします。
 続いて、予防医療についての提案であります。
 世界的にも恵まれ過ぎるほどの生活環境を持つこの南紀ゆえに、県立医大の支援を得て、模範的な病院のあり方をつくり出したいと思っています。それは、医療コストをかけないためにも、病気を予防する予防医学の分野を新設してみてはどうかという提案であります。病弱な人が病院に入院して治療すること──病人扱いするよりも、病気の患者がそれ以上悪くならないように、あるいは健康を持続できるようにするシステム、つまり病気にならないための予防の病院であります。この試みによって、県民の予防医療のコストは大きく削減をされます。どれくらい軽減されるのか、私はここにデータを持っています。
 平成十一年度国民健康保険市町村別費用額を見てみますと、御坊、田辺、新宮保健所管内全体では約四百四十二億一千九百万円、田辺保健所管内では約百八十七億一千四百万円となっています。厚生労働省によると、国民医療費三十兆円のうち三割の九兆円が成人病由来の医療費だと言われている、つまり生活習慣病であり、この成人病は健康管理によって何とかできると思っているとの話であります。厚生労働省の話をもとに私たちが唱える予防医学のコストを試算してみますと、三割の削減であるので、推定で、御坊、田辺、新宮保健所管内では約百三十四億円、田辺保健所管内では約六十二億三千八百万円もの費用が支出されないで済みます。つまり、浮いてくるという計算になるのであります。
 続いて、これらを実現するための施策を考えてみました。県民が病気にならずいつも健康な状態で長生きする予防医学をさらに積極的に推し進めるため、例えば具体的には、精神科医と栄養士、または看護婦あるいは和医大の若い先生が一組になって紀南の市町村を定期的に巡回し、住民の日常的な健康に留意をしてもらうことであります。そのことによって市町村の病院経営は健全になり、病人の少ない健康な市町村がふえ、明るい町づくりが実現できます。これは単なる医療の問題だけではなくて、地方自治の行政のポリシーにもつながるものと思いますが、知事のお考えはどうでしょうか。
 次に、病院が中核となって健康な町づくりにしようとする場合、もう一つつけ加えなければならないことは、リハビリ医療の充実であります。
 南紀には、世界遺産という大自然の治癒力があります。これを生かさない手はありません。健康増進のための世界遺産を生かした健康リハビリセンターについて提案をしたいと思います。
 病院で手術を受けて退院する患者は、職場等に社会復帰するより、しばらくの間リハビリに励むことの方がその後の成果、回復の度合いを早めることがわかっているからであります。そのリハビリとは、例えば現代人に多いストレスを解消するための精神科医、あるいは健康増進のために日常指導できる指導員等を置き、森林浴や山歩き、湯治等、そういうものを積極的に取り入れる。またリハビリなどは、例えば施設と医者を南紀白浜温泉に分院として置き、県立医大、国立南和歌山病院、紀南総合病院、白浜はまゆう病院などから医師を派遣してもらうという形で、南紀白浜温泉、椿温泉が単なる観光だけではなく、リハビリや健康増進にもお手伝いができるという町づくりになり、人々の健康と医療福祉に貢献できるという構想もあってよいことではないかと思うのであります。
 私も視察をしてきたことがありますが、ドイツにはクアオルトという保養地が全国で二百九十四カ所あり、地下資源、海、気候など疾病治療とか予防に適していることが科学的、経験的に実証される場所と国で規定されています。具体的には、保養、療養に沿った特定の施設、設備と温泉、療養専門医の常駐などの厳密な基準があります。
 私の周辺には、学者や研究者がおられます。その人たちと一緒に、世界遺産の活用によってドイツ医療方式を取り入れる構想を描いています。ドイツの有名なことわざである「保養のための一マルクは病気のときの三マルク」──この教訓は二十一世紀の医学に問いかけるメッセージであり、私たちはこれを十分かみしめ、服用する価値があると思っています。そして、そのことによって、日ごろから自分の身は自分で守るというライフスタイルを広めるとともに、全体の医療コストの軽減、健康な人たちの声が飛び交う明るい町づくりに寄与することにつながると思われます。それが新しい病院の向かうべき方向の一つではないでしょうか。
 この新しい病院の内容は、三年後の世界遺産登録必至という新しい事態に対応するためにも、また大阪のユニバーサル・スタジオ見学者を南紀に受け入れるためにも、ぜひ実現が待たれています。さらに、我々に残してくれた自然の恵みをこの医療の分野に大いに活用することで、行く行くは椿温泉や南紀白浜温泉の一部を使って、単なる観光客の受け入れにとどまらず医療の分野に活用し、ドイツのバーデンバーデンのような健康リハビリセンターを温泉街を中心に活用するというのはいかがでしょうか。そして、健康リハビリセンターが完成することによって、人々が南紀に出向くことによって、南紀の活気と和歌山県民の健康増進につながると思いますが、知事のお考えをお伺いします。
 病院を入れての町づくりという構想の中には、病院が少ない上に横のつながりの少なかったことが解決をされ、このことによって病院同士の医療体制のネットワークはもちろんのこと、公的な機関あるいはNPOなど県全体の各部署のネットワークが図れることになり、知事の目指されている地方自治確立の基礎の役割にもなるのであります。
 そして、ぜひ知事に支援をしていただきたいことがあります。それは、救命救急センターや予防医学、健康リハビリセンターを実施する際には、高度な医療技術を持ったお医者さんやスタッフを知事の広い人脈によって、県立医大はもちろんですが、阪大や京大などの先生を紹介していただきたいということであります。そしてそれは、三年後に世界遺産に登録されるものを想定して、その準備のためにもこの構想をぜひ実現をしたいと思っていますが、知事のお考えをお伺いして、私の第一問目の質問を終わります。
 続いて、世界遺産を生かした和歌山観光の再生について質問をしてまいります。
 私なりに、ユニバーサル・スタジオと南紀をどうしたら観光ルートとして結び合えるかという観点から考えてみました。それゆえに、私の考え方の大部分は、一物一村という発想だけではなく、同じ関西圏に未来を映す世界、それと対比をした太古の世界という二つの観光資源にしていくことを切り口として考えてみました。地域の特性、内容、立地条件を加味した上での発想であります。
 私は、昨年の十二月議会におきまして、「ユニバーサルと南紀の地球体験 人生の一週間コース」を提案しましたが、知事もこのことに賛同していただき、「ユニバーサルで疑似体験、和歌山で本物体験」とのキャッチフレーズで、特に和歌山の特性を生かした体験型観光の推進を図ることを表明され、取り組まれていますことは、私たちにとっては心強い限りであります。
 そこで、私は、和歌山ならではの特性を生かした考え方と具体的な取り組みについて提案をしたいと思います。
 人類最初の、アミューズメント・ユニバーサルと人類最古の営みである高野・熊野の世界遺産発祥地域を結びつけることによって、人々はタイムカプセルに乗り、超未来に行って超太古に戻る。その落差に人々は驚嘆をし、感動します。いろんな感動があります。押しつけるのではなくて、そこに入った人が見つけることだと私は思います。楽しむ人たち、つまり観光客のサイドに立った見方で考えるのであります。押しつけのエンターテインメントではなくて、エンターテインメントを求めている人たちの心を楽しく揺さぶる工夫をしてみてはと考えてみました。それぞれのやり方で楽しみ方があり、その仕掛けをすればよいのではないかと思うのですが、知事の考え方はいかがでしょうか。
 物の時代ではなく、感動、感激の時代であります。つまり、ユニバーサルで展開されている内容と高野・熊野の内容を対比することにより、現代人はどういう反応をするのかということであります。
 そこで、具体的な提案、考え方を進めさせていただきます。
 それは、ユニバーサルのお客さんがすぐ帰ってしまうのはもったいないから、関西のよさを見てもらい、関西圏の浮上につなげるために和歌山の役割を考える。幸い、高野・熊野に世界遺産地域ができる。そこで、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンとすべて対比したものを私は考えてみたのであります。つまり、一つの中に全く違う二つの世界をつくり上げることであります。一つの世界は、将来に向かった、アメリカの先端技術の粋を集めた世界、もう一つの世界は時空を超えた宗教性の、つまりアジア的世界であります。ユニバーサルのテーマを見てみると、未来へ行く、冒険、アドベンチャー、映画の主人公になる等があります。一方、世界遺産に登録される和歌山では、熊野古道や空海と高野山、宗教、精進料理、巨木、亜熱帯の集約された原生林等があります。具体的に申し上げていくと、二〇二〇年ぐらいに実現をする宇宙旅行と一千年以上の歴史を持ち、修験者が通った熊野古道をタイムカプセルのように一千年から二千年の間の空間を行き来する感動体験等は、知事、いかがでしょうか。一回の旅費で二回分の旅が楽しめるので、観光客は喜ぶのではないでしょうか。
 仮装宇宙人と人間解脱、レストランのメニューと精進料理、映画のスターと修験者、スクリーン上のロケ地の森林と本物の原生林、西洋思想と東洋思想の違いなど、全く正反対のことを見ようと来県し、一つの旅の延長によって体験できる。わずか三日間で二千年の次元を一っ飛びで体験、感動ができるのであります。そこに、大阪から和歌山に来る意味があるのだと私は思います。例えば、人間臭くなることを頂点に、さらに解脱するという人間を超えた宗教──全く対照的なものを体験できる、それに合うものを拾ってエンジョイさせていくかを考えたらよいと思うのであります。
 具体的なイベントを申し上げます。
 その一つ目は、ユニバーサルの未来の道に対して、熊野古道を五キロメートルぐらい歩いてみる。日本独特の文化である茶店などを装置として置いておく。また、西洋人はランニングが大好きであり、そういう人々が熊野古道の古い石畳を走ることによって、現在のアスファルトを走るのとは違う、超現代と超古代の超落差に感動を体験する。タイムカプセルのように一千年から二千年の間の空間を行き来する感動体験などは、知事、いかがでしょうか。
 二つ目は、レストランに行くよりはお寺に行って精進料理を食べる。そして、本堂に行って体を清め、お参りをして作法を体験してもらう。東洋思想と日本食へのあこがれ、日本食の原点となる精進料理の中身を賞味してもらうとともに、食事のマナーを体験してもらう。余裕のある人は宿坊に泊まり、さまざまな修行をし、そして神秘的な体験をしてもらう。また、空海の人生の足跡をいろんな形でめぐって理解を深める。原点を探る体験と展示と教えとのシンポジウム等は、いかがでしょうか。
 三つ目は、温帯の中の紀伊半島の森林、原生林には非常に多くの種類の樹木が茂っており、ここを観察地域にして観光客が近づけるようにする。あるいは、ビニールハウスのようなもので囲って、世界遺産に指定される紀伊半島に茂っている木を一堂に集める展示館のようなものをつくり、南方熊楠の授業を入れるなどは、どうでしょうか。
 対比のおもしろさ、興味を売り口にすることが大事であると思います。各県がやっているような一村一品の発想から少し視点を外し、こちら和歌山は壮大な地球ということを考えたアイデアであります。そして費用も、ほとんどかからないので心配が要らない。各界の人たちが和歌山のPRのため物心両面で協力してくれる雰囲気が濃いのであります。ユルバーサルは、言いかえれば、きらきら、刺激的、圧巻、楽しい、疲れる、それに比べ和歌山は、ゆったり、静的、奥深くて年月が気の遠くなるほどに長い、いやしとメンタルケア、人間回復と言えます。
 私の頭の中に世界遺産ということが離れず、夢の中で考えたことが多かったと思いますし、勝手のよいことを言って恥ずかしいのでありますけれども、お許しをいただきたいと思います。
 以上、ユニバーサルを利用し、世界遺産登録に向けて和歌山を観光再生していくための私の提案について知事のご所見をお伺いして、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの玉置議員のアイデアといろんな提案に富む建設的なご意見、本当に参考になりました。一生懸命勉強させていただきます。
 まず、南紀の救命救急センターの設置についての問題でございます。
 私は、県民の命を守るということが一番大事ということで考えておりまして、この問題は費用とかいろいろ問題があって非常に難しいのでありますけれども、今、費用のあり方とか持っていき方などについてもいろいろご提言いただきましたので、そういうものについても真剣に考えていきたいと思っております。
 これはもう言わずもがなですが、和歌山県は非常に広い地域でございますので、現在、ヘリコプターで飛んでいって重篤な患者さんに対応できたらどうかということでドクターヘリなども研究しておりますので、そういうふうなものも含めて、そしてまた紀南の地にということも含めて、いろんな方向で多面的に考えていきたいと思っております。
 次に、予防医療についての提言でございます。
 今、だんだん高齢化が進んでくる中で、生活習慣病というのが非常に大きな問題であるということが言われてきております。こういうふうなものを治していって大きな病気につながることを防ぐのは非常に大事なことでございますので、市町村とか医療機関と連携しながら、県民運動のような形で積極的に取り組んでいきたいと思います。
 それから第三点の、南紀の地に健康リハビリセンターをということでございます。
 南紀というのは、本当に恵まれた自然があります。温泉があります。山があります。そしてまた、高速道路でもつけば非常に交通の便もいいということから考えると、今までの観光型も非常に大事だと思いますけれども、もう一つ、こういうふうな形で体に若干の疾患のある方などがある程度の期間療養しながら、そしてリハビリをしながら健康を回復し、さらには観光も行うというあり方も一つの非常に前向きな提言であろうと思います。
 ただ、関東の方でも伊豆半島などでは、大分そういうことをやって、必ずしもうまくいかなかった例もあるみたいですので、そういうことなども含めていろいろ研究し、いい成果が出ていくように勉強をしていきたいと思っております。
 それから、世界遺産を生かした和歌山観光の再生ということでございます。
 ただいま玉置議員の方からおっしゃられた、USJ──今、最新のシステムでございます──と、非常に歴史のある和歌山の高野・熊野が世界遺産に登録されれば、そういうものとのコントラストによって観光を楽しんでいくということは、非常に斬新な観点だと思います。
 先般も韓国との間にチャーター便を飛ばしましたが、そのときも和歌山の自然とUSJの組み合わせは非常に好評だったと思っております。それから、国内の方にはどうかわかりませんが、少なくとも外国の方から見ると和歌山と大阪というのはそんなに遠い距離じゃないようなので、そういう形で二つのものが楽しめるということは大きな魅力になると思うので、これからも売り込んでいきたいと思います。
 それからまた、関西圏の中で人口が集中している大阪あたりや東京、関東から人を呼ぶということからいくと、和歌山県人が思っている以上に高野とか熊野とかいうものの、言い方は正しくないですけれども、ブランド性には高いものがあります。そしてまた、二十一世紀にはこれがますます値打ちが出てくる時代になりますし、今の構造改革の中で何となく都会に押され気味という形が出てきておりますけれども、その中で、こういうふうないいものがあるんだということを売り出していくためには、やはりこのいやしとか自然とか歴史とかを積極的に売り出していく姿勢が大事だと思います。この点も、体験型も含めてやっていかなければいけないと思います。
 それから、私がこのごろ思っておりますのは、せっかく熊野博という大きな博覧会を和歌山独自の方策で行ったのでありますから、この遺産というか成果というよいものをどんどん発展させながら伸ばしていく努力も、今あるものを利用していくということから非常に大事なことだと思っておりますので、そういうことも含めていろいろ考えていきたいと思っております。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 ご答弁、ありがとうございました。
 今、知事の方からご答弁をいただいたんですけれども、私が昨年の県議会から一貫して提言をしてきたことは、新たに国とか県とかに財源を持ってきてつくれという発想ではなくて、従来の財源の中で見直しを図っていただいて、そして施策の優先順位として回せるものはないのか、または県民一人一人が知恵とかさらには創意工夫をして、自分たちに必要な経費をみずから生み出していこうではないかと、そういう新しい財源づくりも含めた一石二鳥、一石三鳥の施策ということを私なりに提言をさせてもらってきました。そして、そのことについても知事は賛同していただいた。そういう流れの中で今回も質問をさせていただきました。
 そこで、一点だけ。
 今まで、私も含め、二月議会では下川議員さん、予算委員会では大沢議員さんから、さらにはずっと以前からも、紀南の救命救急センターの設立については本当に大きな願いとして訴えられてきております。私も今回、また訴えさせていただきました。その実現のための方法や、さらには余りお金を使わない知恵について、私なりに先ほど申し上げました。
 実は昨年、月は忘れたんですけれども、私の地元のある男の方が、紀南病院で心臓の手術がもうできないので日赤の救命救急センターを紹介をしてほしいということで、一緒に行かせてもらいました。そのとき、田辺ぐらいにそういう救命救急センターが欲しいなとつくづく思ったわけでありますけれども、きょうの知事の答弁では、ドクターヘリ等、多面的にいろいろ考えていきたいということであります。
 私がここで一つだけ申し上げておきたいのは、ドクターヘリの必要性については、私も認めます。大事だと思っています。知事と少し違うのは、限られた財政の中で県民が求めている施策をどう実現するのかというその施策順位だと思うんです。きょうの話では、多面的ということで、かなり一歩進んだ回答をもらえたので安心をしていますけれども、聞きますと、ドクターヘリの導入によって年間一億八千万円もの新たな財源が捻出されるわけです。そのうち国から三分の一の補助があり、治療費報酬等が改定されると聞いておりますけれども、今の考えでは県立医大が六千万円、県が六千万円、つまり県は毎年一億二千万円という新たな財源の持ち出しがされるようであります。
 これまた先日、私の白浜の友人の奥さんが心臓を手術するということで、白浜から防災ヘリで兵庫県の神戸へ飛ばしていただいた。大変ありがたく思いましたけれども、緊急にはこうした消防の防災ヘリが出動をしてくれますし、現にドクターヘリ的な役割も既にされていることは承知しております。また、それが使えないときは、今、県が民間のヘリコプターの借り上げをしておられて、その体制をつくっていただいておるということも承知をしております。
 そうしたことを考えますと、今何を一番優先していかなければならないか。私は、そのことを訴えたいわけであります。先ほど数字を言わせてもらいましたように、恒常的に何千人もの人が利用され、さらには県民の命が救われる、そういった紀南への救命救急センターの設置を優先させていただきたい。知事、今、本当にそれが必要ではないかと私は思っておるわけです。
 まあ、先ほど申しましたから、もう知事には答弁を求めませんけれども、どうかそういうことをご理解いただきまして、並行してぜひともこの救命救急センターの設置については優先的にお願いをしたいということを要望して、終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十六番松本貞次君。
  〔松本貞次君、登壇〕(拍手)
○松本貞次君 おはようございます。通告に従い、質問をいたします。
 まず、同和行政について。
 地対財特法の期限切れと新たな同和行政、人権行政の創造を求める時代の流れ、時が来たと思います。承知のように、二〇〇一年度末には現行地対財特法の期限切れを迎え、これに伴い、特別措置という手法を中心とした時代は終わります。しかしながら、このことは同和行政の終結ではありません。なぜならば、部落差別が現存しているからであります。
 周知のように、一九六五年八月に出された同和対策審議会の答申では、「部落差別が現存するかぎりこの行政は積極的に推進されなければならない」と、明確に述べられています。また、一九九六年五月に出された地対協の意見具申でも、「特別対策の終了、すなわち一般対策への移行が、同和問題の早期解決を目指す取組みの放棄を意味するものでないことは言うまでもない。一般対策移行後は、従来にも増して、行政が基本的人権の尊重という目標をしっかりと見据え、一部に立ち遅れのあることも視野に入れながら、地域の状況や事業の必要性の的確な把握に努め、真摯に施策を実施していく主体的な姿勢が求められている」と指摘されています。さらに地対協の意見具申では、特別措置から一般対策へ移行するに際して、「既存の一般対策の状況、なお残されている課題の状況、地方公共団体の財政状況等を踏まえた上で、これまでの施策の成果が損なわれるなどの支障が生ずることのないよう配慮すべきである」との条件が示されています。
 だが、来年三月三十一日が来れば地対財特法の期限が切れ、一般対策へ移行していくのが現実であります。三十年間の同和行政の成果は、今まさにゴールに到達しようとするときにまた後退はしないだろうか、和歌山県内の同和地区には残された課題が多くあるが、すべて一般対策で対応できるのか、懸念をされるところであります。しかし今後、新たな同和行政の創造に向けて取り組まなくてはなりません。新たな同和行政とは一般施策を活用したものとなりますが、既存の一般施策を最大限活用する方向を見出すことが一番大切であります。
 ところが、適当な一般施策がない場合、あるいは既存の一般施策の水準が部落の実態と合わない場合、新たな施策の創造や一般施策の充実を考えなくてはならないと思うが、福祉保健部長の答弁を求めます。
 また、一九九六年十二月に人権擁護施策推進法が制定されました。昨年十一月には人権教育・啓発推進法が制定され、「国、地方公共団体及び国民の責務」が明らかにされました。また本年五月二十五日に、人権擁護推進審議会において「人権救済制度の在り方について」の答申が出されました。その中に、部落問題にかかわって、結婚差別、「部落地名総鑑」等の差別表現行為については人権救済機関みずからが裁判所でその排除を求め、人権侵害の防止を図っていくことが必要であるとしています。今まさに同和問題の新たな展開、新たな同和行政の創造が求められているときであります。
 木村知事は、早くから県条例の制定を言われておりますが、部落差別撤廃・人権条例をいつごろ策定の予定か。また内容は、どのようなスタッフで、どのように議論を重ねて取り組むのか、知事の答弁を求めます。
 次に、歴史と伝統のある和歌山県同和委員会についてお尋ねをいたします。
 まさに輝かしい歴史と伝統のある県同和委員会が、本年度をもって新しい組織体制づくりをと、方向を示されました。昭和二十六年の京都のオールロマンス差別事象、昭和二十七年の県議会議員差別事件を契機とし、和歌山県は同和行政を重要な施策としてとらえ、全国に先駆けて昭和二十七年に同和問題研究委員会を委託機関として設置し、実践活動が行える推進機関として昭和三十一年に県同和委員会を設置いたし、現在に至っています。この間半世紀、同和問題に関する調査研究、県民への啓発指導、地方・市町村同和委員会と行政が一体となった県民みんなの同和運動を展開してきました。その結果、同和問題に対する県民の認識が高まり、同和問題解決への明るい展望が見えてきました。このことは、同和委員会の果たしてきた役割、功績が大であると考えます。しかし残念ながら、部落差別はまだ私たちの日常生活の身近なところに存在し、同和問題は今なお、過去の問題ではなく、現在の課題であるとも言っております。
 こうした中で、県同和委員会は、輝かしい伝統と経験に学び、新たな運動の展開を図るべきときに来ているとの考えで、あらゆる人権問題の解決に向けて取り組み、同和問題への取り組みが後退したと県民に受け取られないよう二十一世紀の新しい時代に最もふさわしい、最も新しい組織体制づくりを考えてほしいとの要望を行政に対して提出し、また県同和委員会は現体制で本年度末まで活動するという基本的方向を示されました。
 そこで、今までの県同和委員会の果たしてきた役割、功績を知事みずから総括していただきたい。また、福祉保健部長より今後の方向を示していただきたいと思います。
 次に、男女共生社会の実現に向けた取り組みについてであります。
 男女が対等な社会の構成員として、あらゆる分野に参画する機会を確保され、利益も責任も共有する社会を目指して、一九九九年六月に男女共同参画社会基本法が公布・施行されました。また、法制定に当たって附帯決議された、女性に対するあらゆる暴力の根絶などを盛り込み、具体的に取り組むべき施策の方向を示した男女共同参画基本計画が二〇〇〇年十二月に、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律が本年四月に公布されるなど、男女共生社会の実現に向けてのうねりが大きくなってきています。この背景には、少子・高齢化に伴って本格的な女性の社会参画が急がれることや、国際的にはILO百五十六号条約、ILO百号条約の批准、国内的には育児・介護休業法の制定、改正雇用機会均等法の施行等、数々の法整備がありました。
 さて、これらの実質的な具現化がこれからの大きな課題であろうと考えます。基本法のすばらしいところは、一つは性別役割分業社会から男女が対等で平等な社会という目指すべき社会像を明確にしたこと、次に男女平等の実現を必要と認識したこと、また女性差別撤廃に向けた法の根拠ができたこと等があります。だが、具体的な内容や罰則などが明記されておらず実効性に欠けていることや、「国民」という表現を使用し、在日外国人の視点が抜けていること、また部落女性を初めとするマイノリティーの女性、独居高齢女性など、最も困難な状況にある女性の人権尊重に向けた施策が抜け落ちていることなど、限界も感じます。
 基本法第三条に、「男女が性別による差別的取扱いを受けない」とあります。これは、性別による差別的取り扱い、そのことによる人権侵害がこの社会に存在し、その被害者を救済するという姿勢を国が示したということで画期的だったと、私は評価しております。
 言うまでもなく、女性に対する差別は今も残っています。女に学問は要らないということで義務教育すら受けられず、文字を奪われた女性たちが私の身近におります。教育と経済活動から疎外され、複合差別を受けてきた非差別部落の女性たち──差別は人と人とを分断します。非差別部落の女性たちを中心とする識字運動、文字を取り戻す運動は、その営みの中で自分の内なる力を掘り起こし、社会を変えていく力となり、その過程の中で分断されてきた人間関係を修復する、まさしく女性のエンパワーメントであります。
 和歌山県においては今年度中に条例を制定すると聞いていますが、そういった基本法で抜け落ちている部分を補っていく条例となるよう、要望をします。
 さて、先ほどから述べておりますように、女性を取り巻く法的状況は大きく前進しました。しかし、身の回りを見ますと、余り変わっていないのではないかというのが実感です。例えば、この議場を見渡しても全く変わっていないということであります。私はここに来て十五年になりますが、県当局の席に女性が座ったことを見たことがありません。また、先般、貴乃花関が人々の心に大きな感動を与えて優勝した、大相撲夏場所の表彰式のことであります。小泉首相が、よく頑張った、感動したと言って重たい優勝杯を手渡しました。もし、小泉首相ではなく、今人気の田中真紀子外務大臣だったらどうなったでしょう。やはり、大阪場所での太田知事と同じように土俵に上がれなかったのではないでしょうか。女性であるという、ただそれだけの理由で土俵に上がれないなど、時代感覚からすればいかがなものかと思われます。
 ならわしや風習、伝統が今日あることも、事実であります。伝統は、それなりに守るべき理由などがあって、古いからだめだというものではないでしょう。すばらしい伝統、地域に伝わる先人の知恵など、後世に残しておかなければならない大切なものもあるでしょう。しかし、汚れ意識に基づいて女性を排除することを、伝統だからと門前払いするのはいかがなものでしょうか。
 また、民法第七百五十条の夫婦同一姓の問題、同じく民法第九百条の相続分差別の問題、七百三十一条の結婚可能な年齢の男女差、七百三十三条の女性だけに求められている再婚禁止期間等もあります。
 女性差別撤廃条約に、報告書の提出の義務があります。その女性差別撤廃委員会での場で、日本政府に対して、先ほど述べました民法に規定する、例えば約九八%の夫婦が夫の姓を名乗っている、女性のみが再婚するとき六カ月かかる、また政府決定に携わる女性が余りにも少ない等、百項目以上の質問やコメントが出されたそうであります。それらを十分に考慮していかないと、男女共生社会も単なるかけ声だけの絵にかいたもちになってしまうと危惧します。男女共同参画社会基本法の理念をいかにとらえ、現実のものにしていくか、まさしく正念場であると思います。
 そこで、知事にお伺いをいたします。知事は、ならわしや風習、伝統に対して、それと女性差別との関係においてどのように考えておられるのか、知事のご所見を賜りたいと思います。
 知事は、本年四月に共生推進局を設置し、男女共生社会実現に向けて取り組みを始められております。私は、男女共生社会の実現には、啓発を初め、人材の育成、子育て、就労等の環境整備等、各部局にわたる課題があり、全庁挙げて総合的に施策を進めていくべきだと思いますが、このことについて知事は具体的にどのような進め方をしていくお考えなのか、お伺いします。
 また加えて、男女共生社会を実現するためには県が積極的に取り組むのは当然でありますが、今後、住民にとってより身近な市町村における取り組みも、一層重要性を増すものと思われます。基本法では市町村の努力義務と規定をされている行動計画の策定、また市町村条例の制定についても不可欠であると考えますが、この点について県はどのようにお考えなのか。また、市町村におけるこれらの取り組みをどのように促し、男女共同参画社会の形成に向けてどのように連携していくのか、環境生活部長にお尋ねをいたします。
 最後に、聖域なき行政執行についてお尋ねをいたします。
 「聖域なき行政執行」とは、何か。木村知事が、知事就任後、「行政執行を進める上で聖域をつくらない」とよく言われていますが、このごろ小泉総理も木村知事のまねをして「聖域なき構造改革」、「聖域なき行政改革」などと、よく耳にいたします。「聖域」とは何か。「清らかな地。侵してならない区域」と辞書には書いています。そのようなものに左右されずに行政を進める──まさに私は勇気だと思います。木村知事、勇気を持って聖域なき行政執行を進めてください。
 しかし、人の夢、熱き思い、人と人とのつながり、友人、知人、また古き伝統、人間のしがらみが聖域をつくっているのではないか、こう思う一人であります。特に選挙。私も選挙を七回すると、選挙さえなければもっと友達とうまい酒を飲めたのにな、選挙さえなければもっと多くの友達ができたのになと思うことがあります。選挙をすればするほど人と人とのしがらみがふえ、その聖域が広くなるのではないか。それを断ち切って政治を進める──立派でございます。木村知事、その姿勢を貫き通してください。
 私は、仮谷知事、西口知事と歴代知事のご指導を仰ぎながら、政治の何たるかを学んでまいりました。
 そこで、白浜の工科大学についてでありますが、西口知事が提唱いたしました。そのとき、大学設立は県財政を考えると厳しいですよと、何人もの議員が口を酸っぱく、何回言ったことでしょう。でも、西口知事は、十年先、二十年先の和歌山のために航空工学、宇宙学は必要だ、十年先、二十年先にこの和歌山から宇宙飛行士が生まれるかもしれない、航空整備士、宇宙整備士も、未来のビジョンを考えると、まさに未来のある、まさに若者に夢と希望を与える人材育成のための工科大学の設立ですと、こう熱い思いを語ってくれたことを思い出します。平成十二年には基本設計、実施設計を進め、また教員候補も職員採用も内定しました。でも、その熱き思いを木村知事は、凍結と言いました。だが、その反面、旅田和歌山市長の提唱する和歌山創造大学については、先般、県庁近くの市有地と交換する形で医大跡地を譲渡する方向を示されました。これはまたいかがなものかと考えますし、不思議でなりません。
 また、雑賀崎沖埋め立ての和歌山下津港湾整備計画についても、特に橋本進先生が先陣を切って推進の論を発したことを記憶いたしております。これも、多くの仲間が数多く議論を重ねてまいりました。港湾審議会第百六十四回計画部会では、平成九年十一月二十八日の答申で、原案のとおりおおむね適当、景観について検討されたいとのことで、平成十年には景観検討委員会を設置し、景観上容認できるよう計画の一部を変更して再度提出をいたしました。平成十一年七月十九日の港湾審議会第百六十九回計画部会の答申は、原案のとおり適当であるとされました。この和歌山下津港は、海の国際軸の太平洋航路に近接し、大阪港の玄関口という地理的特性を生かし、道路整備を含め、二十一世紀の近畿圏の物流をリードするベイフロンティア構想中核港湾を目指して計画を進めてきたところであります。平成十二年二月に七千二百万円の調査費を、我々はこの議場で承認をしたところであります。だが、木村知事は、調査費、執行を見送るとしました。──何も答弁は要りません。私がしゃべっているだけですから。
 また、田辺市で計画していた総合教育センター。田辺市新庄町にある約三万四千平方メートルの敷地に教育研修センター設置を決めました。基本設計、実施設計を相和技研と契約。でも知事は、IT総合センターと、計画を変更されました。相和技研に対して基本設計料を支払い、実施設計の出来高払いをしてまでも計画の変更をされたわけであります。
 IT総合センターになって、基本設計、実施設計を、県として初めて設計プロポーザル方式で実施をされました。大阪市港区弁天一丁目二の一の八百の昭和設計、社長は三宗司郎という方らしいですね。四月二日に、この昭和設計とIT総合センターの設計業務委託契約をされています。でも、一カ月前、三月九日付の業界の新聞には、「IT総合センター設計、昭和設計に固まる」と書かれております。四月二日にこの昭和設計と業務委託契約をされているのに、その一カ月前に昭和設計に固まると、こう業界の新聞に書かれているわけでございます。
 知事、あなたが大阪の副知事をされていたとき、この昭和設計の社長・三宗司郎氏と面識はありませんか。面識があるとするならば、公的・私的を問わず、何回ぐらいお食事をされたのか、明確にお答えを願いたいと思います。
 また、木村知事、大阪府羽曳野市のH畜産株式会社社長Aとは、副知事当時から友人と聞いております。A氏の会社は、市内中央区南船場にもあります。住居は藤井寺です。ここまで言えば、わかると思います。このA氏の紹介で知事は昭和設計の社長と面識を持たれたのではないか、どうですか。明確にご答弁を求めます。
 私はまさに、聖域なき行政とは勇気だと思います。すばらしいことだと思います。私たちは、県民の皆さんと和歌山県の未来を見詰め、多くの仲間と議論を重ね、行政のあるべき姿、未来に向かって正しい方向を見詰めて日々努力を重ねております。だが、自分の聖域はしっかり守るが、他人の聖域は関係なし──それではあなたの言う聖域なき行政とは何か。人の夢、人の熱き思い、人と人とのつながり、そのことを大切にしながら政治を進めるべきではないかと私は思うわけでありますが、木村知事、聖域なきとは何を意味するのか、お聞かせをいただきたいと思います。答弁は、あるなら「ある」、ないなら「ない」、塩じいの言う「忘れました」も結構ですから、明確にご答弁を願います。
 以上で、一回目の質問を終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの松本貞次君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 部落差別撤廃・人権条例制定についてのご質問でございます。
 昨年、人権教育及び人権啓発に関する法律が施行され、国においてはこれに基づく基本計画が策定されることとなっております。また、本年五月には「人権救済制度の在り方について」の答申が出されるなど、人権問題についての取り組みが進められているところでございます。
 このような国の動向を踏まえ、和歌山県が今後人権行政を進める上での条例を来年二月議会上程を目途に検討してまいりたいと考えております。内容につきましては、同和問題を初めとするあらゆる人権問題に対する取り組みの基本理念、県の責務や審議会の設置等を考えておりますが、今後、学識経験者、各界、関係団体などのご意見も伺いながら検討をしてまいります。
 次に、県同和委員会の総括についてでございます。
 平成十四年三月三十一日に委員会としての活動は終了することとなりますが、昭和三十一年に設置されて以来、同和問題に関する調査研究、差別事件に対する指導、県民への啓発活動等、地方・市町村同和委員会及び行政と一体となって県民みんなの同和運動を展開してきたことにより、同和問題に対する県民の認識は深まってまいりました。しかしながら、今なお差別事件が発生しており、今後とも同和問題解決のため取り組んでいかなければならないと考えてございます。
 次に男女共同参画社会基本法について、ならわしや風習、伝統への対応についてでございます。
 本県が推進する男女共生社会は、慣習等のたぐいすべてをあしきものと決めつけるのではなく、男女共生の視点に立って見直していくということでございます。大相撲の問題も、男女共同参画社会基本法の理念にかんがみて決して好ましいとは思いませんが、オープンな議論を深めることが人権意識の啓発につながり、すべての人の人権確立のための一歩となるものと考えております。忘れてならないのは、伝統という名のもとに、現実に痛みを感じている人々がいるということで、人の心に傷を負わすようなあしき慣習等、正すべきところは正していくのが共生の時代、二十一世紀の価値観かと考えております。
 次に、庁内各部局の課題と具体的計画推進についてのご質問でございます。
 和歌山県を男女共生先進県とするため、近く私自身が本部長となって推進本部体制を立ち上げる予定にしております。本部にはマトリックス組織という新しい概念を導入し、保育の充実を初めとする子育て支援、仕事と家庭が両立できる就業環境の整備等、あらゆる行政分野にまたがる男女共生のそれぞれの課題について、少人数による実効性のある議論を行いつつ進めてまいります。トップの姿勢が大きく影響するテーマでありますので、私みずからが先頭に立ち、必要に応じてトップダウンによる指示を与えながら進めてまいります。
 それから聖域なき行政ということでございますけれども、田辺のITセンターについて、私はプロポーザル方式で決まったと承知しておりますので、名前が出たような会社のことは──名前もはっきり言って覚えていないぐらいでございますし、少なくとも大阪での副知事時代にそこの会社の社長と食事をしたことも会ったことも、面識も名前も、私は全然存じておりません。
 それからもう一つ何か、藤井寺のどうこうという話がありました。週刊誌等にいろいろ出ておりますが、私はその方とも一切面識も、会ったことも顔を見たこともありません。
 以上、お答え申し上げます。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 同和行政について、新たな施策と一般施策の充実についてのご質問でございます。
 同対審答申、地域改善対策協議会意見具申を基軸に、すべての事業について地域の実情や施策ニーズを的確に把握し、事業の見直し作業を行ってございます。その際、常に同和問題解決の視点に立ち、特別対策から一般対策へ移行してまいりたいと考えてございます。つきましては、施策全体の体系の中で、一般施策の創意工夫の上、充実の検討はもちろんのこと、これまでの成果が損なわれることのないように円滑に対応してまいりたいと考えてございます。
 なお、議員ご指摘のとおり、同対審答申において「部落差別が現存するかぎりこの行政は積極的に推進されなければならない」と述べられているように、今後、残された課題解決のために、和歌山県同和行政総合推進プランに基づき、必要な施策については受け皿としての事業等の検討を同和対策協議会において行ってまいります。
 次に、県同和委員会の今後の方向についてでございます。
 同和問題を人権問題であるというその本質においてとらえ、人権問題の解決について同和委員会が取り組んできた教育啓発事業や長年にわたり蓄積をされてきたノウハウ、資料等、今までの活動の成果が損なわれることのないように、二十一世紀の時代にふさわしい、新しい啓発組織で対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 男女共生社会についてのご質問にお答えします。
 男女共生社会の実現に向けた市町村の取り組みの重要性は、私どもも深く認識しているところでございます。市町村男女共同参画計画は、基本法には努力義務として規定されておりますが、多岐にわたる施策を中長期的な視点から体系的に位置づけ、進行管理を行っていくために計画の策定は欠かせないものと考えております。このため、昨年度以降、県内市町村担当課長と話し合いの場を持つとともに、財政的な側面から取り組みを促す男女共生モデル市町村補助を創設いたしました。この補助金の利用により、既に橋本市が計画を策定、さらに数市町村が取り組みを進めております。
 男女共生社会形成の流れは、今後ますます力強いものになると思われます。このような住民機運の高まりの中で市町村が独自に条例を制定することは、大いに歓迎すべきことと考えております。今後とも、市町村との協力・連携のもと、各種の施策を進めてまいる所存でございます。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「議長、答弁漏れ。答弁、ないやないか。怒るばっかりで、聞   いていることに答えよ。聖域とは何か」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れがありましたので、知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま、ご質問の中で若干事実に反することがございましたので、私はそれをお答えいたしました。
 私は、そのことの中から、当然、聖域を設けて行政をするようなことはしないということを言っているわけでございますし、今の小泉内閣のあれを見ても、私の対応というのは自分では正しかったと思っておりますので、それをお答えいたします。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十六番松本貞次君。
○松本貞次君 知事、あなたは県内各地を精力的に回り、あなたの笑顔と、大きな手を挙げて県民に接していますが、それはあくまでもあなたのひとりよがり、心の伴わないパフォーマンス、そのようにとらえざるを得ません。
 私は、今回、県同和委員会について質問をいたしました。昭和三十一年から数多くの先輩が血のにじむ思いで県民みんなの同和運動を合い言葉に啓発活動を続け、今日、こんなに人権意識の高まりを見たのも四十五年の長き──四十五年ですよ。半世紀に及ぶ日々の活動、苦労があったればこそと思いますし、その功績も大きいと思います。それが本年をもって終わる、来年から新しい措置をつくると、そう思うがゆえに質問をしたのであります。
 私は、まずこの公的な場で、県同和委員会の皆さんへの知事みずからの心からのねぎらいの言葉、感謝の気持ちを聞きたかった。知事の口から一言、感謝の言葉を聞くことによって、半世紀に及んで苦労されてきた多くの先輩たちの励みとなり、心のいやしを得たことかと、多くのご苦労を思うとき、実に残念でなりません。でも、あなたから一言も感謝の気持ち、ねぎらいの言葉がありませんでした。それが真心県政を進める心のない知事の、あなたの姿です。
 また、今回、県同和委員会の質問をすると、不思議に感じる人がおるそうです。貞次さん、だれに頼まれたんよ、どのような立場で質問するんよと。私は、私の本心で質問をしております。確かに私は、部落解放同盟和歌山県連合会の副委員長をしております。でも、部落問題に関して、例えば共産党──ごめんなさい。いろんな問題に対して、私は全く正反対です。私も嫌いですし、相手も嫌いでしょう。それでも、彼らの中に部落差別をなくしていく、同和問題を解決しようとするその一点においては、確かに運動の立場こそ違えども、共産党と九九%けんかをしても、一%の部分については、私は仲間だと思っております。小林史郎先生、それから北条先生、松本新一郎先生、彼らにも私は敬意を表しております。ましてや自民党の皆さんは大いなる仲間ですし、また県の同和委員会の皆さんは大いなる仲間だと、こう思うところであります。
 部分的には違いがあります。その一部分をとらまえて解放同盟と県の同和委員会はけんかしていると。あなた方行政がその一部分を分断してきた張本人でしょうが。それゆえに、同和問題に関する国の責務、国民的課題が明記されているわけでしょう。私は、部落差別をなくしていく、同和問題を解決しようとする気持ち、この部分では仲間だと思っておりますし、その方々に対して大いなる敬意を表している立場から今回質問をしたところです。
 また、先ほど答弁をいただきました聖域なき行政。
 総合教育センターからIT総合センターへの変更は、知事、あなたが大阪からの人と人とのしがらみの中で、私はそう思って質問をいたしました。でも、何もないと。それでも結構です。私は、この十五年、この議場で数多くの先輩たちからご指導を仰ぎ、県政をともに進めてまいりました。そして、そのことは間違いでなかった、正しかったと自負をいたします。今、木村知事と私には、そのことからするとかなりの温度差があることは事実です。
 H畜産株式会社と京都の大物代議士──木村知事は、京都の大物代議士はよくご存じの方だと思いますし、親しくされていると聞いております。浅川組の問題もあります。知事との温度差を埋めるために何遍でもこの議場で質問をしていくことを宣言します。
 議長、私は再質問の答弁を求めません。私の言いっ放しになればとも考えますが、知事としてのご所見があればお答えをしていただいても結構です。
 終わります。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 先ほどの答弁の中でも申し上げましたように、県の同和委員会が大きな役割を果たしてきた、そしてまたそれにかかわってきた皆さん方がいろんなご苦労された、その結果として和歌山県の同和行政が非常に進んできたということは私も認めているというか、もちろんそれに感謝しているところでございます。そしてまた、そういう先人の方々に対するご努力、ご功績に対し深甚なる敬意を表するということをこの場で改めて表明をいたしておきます。
 それから、今、何か、京都の大物代議士とか、それから浅川組のこととかなんとかおっしゃっていましたけれども、そういう個別の名前、何かわかりませんけれども、そういうふうなことを出されても私は全く何のことかさっぱりわかりませんので、この場ではっきりしておきます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、松本貞次君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十三分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番中山 豊君。
  〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 大粒で雨足が車の軸のように太く見える雨のことを「車軸のような雨」とか、「車軸を降らす」とか、「車軸を流す」とか、気象にかかわる物の本に記されているわけですが、雷雲を伴う雨雲から降ることが多いと言われています。朝の雷は時として豪雨をもたらすと言われたりします。過日の六月十九日夜半から二十日の明朝にかけての豪雨は、このように表現してはばからないものだと受けとめているわけです。
 午後からの質問に立とうとして議場に入ったら、西本議員の質問に関する資料としてお配りされていた、これを一読させてもらいました。これをお借りさせてもらうのは大変恐縮ですけれども、このような惨状に至らなくてよかったなという感じをこの間の豪雨にかかわって思う次第であります。出勤時に日方川の東橋周辺、その地域は常に浸水常襲地帯とされているところですが、そこに差しかかると、路面にごみが積まれたり、消防署員が消防車を伴って多数出動して、汚れを流したり、ごみの整理に当たられていました。このような様子では、長峰山系に豪雨をもたらし、上流域ではかなり被害が出ているのではと思いながら県庁へ向かって走りました。県庁に着いて、被害状況はいかがなものかと、主なところへ電話を入れて尋ねてみました。山崩れがあり、土石流で池が埋まったり、水田が堤防を越した水で洗われたり、護岸が崩されたり、道路が冠水で通行どめになったり、防災無線の初動が遅過ぎたことから倉庫に囲っていた米をぬらして貴志川に流したり、地場産業の倉庫でトラック何台分もの商品を放棄しなければならないという話がたくさん寄せられました。
 再開日の議会が散会されるのを待って被害状況の調査に赴いてまいりました。三、四年前でしたか、川の堤を越して水田が流されたということから、そこの堤防のかさ上げを当局の皆さんのお世話になってやってもらったところ、こういうふうなところでさえ乗り越えて水田が洗われているのを見て唖然としたわけであります。これほどにゆうべの雨はひどかったのかということを思い知らされたわけですが、総じて山をかいてミカン畑をつくったり、あまつさえゴルフ場が建設された下流域では被害がかなり大きかったことを教えられました。日がたつにつれて被害の状況が知らされるのを知るにつけ、七・一八水害にまさるとも劣らない降雨と出水だったということを年寄りたちに教えられたわけであります。それになぞらえて、先ほどご紹介申し上げた西本議員の資料に基づく惨状を見るにつけ、こういうふうなことにならなかったのはよかったなと思いながらも、七・一八水害以降、県の治山・治水の行政が何だったのかということを検証する必要があるのではないかとさえ思うような次第であります。治山・治水に力を入れた県行政の成果が今度の水害を大きくしなかったことにつながるとすれば、検証してはばからない課題ではないかとさえ思ったわけであります。
 今回はそれにとどめておきますけれども、これを通告した質問に入る前に一言申し上げたかったわけであります。二十日、議会が三時に終わって、被害状況調査にいち早く出向いていって、夕暮れまであたりを調査して回っていたら、県の担当職員が車で、夕暮れ迫る中を懸命に走り回っていたところでした。それには、まさにご苦労さんと申し上げたいし、感謝の念を持って彼らを迎え、別れたわけであります。それぞれ関係する担当課で被害状況を調査の上、災害に遭ったところでの被害対策に遺憾なく取り組んでいただくよう冒頭にお願い申し上げながら、通告に基づいて質問に入っていきたいと思います。
 今回は、常々県民、市民の方たちから寄せられる身の回りの相談にかかわる幾つかについて申し上げながら、当局のお取り組みを願う立場からの話であります。俄然、話は具体的なものにならざるを得ませんが、その点はご容赦のほどをお願い申し上げながら進めてまいりたいと思います。
 その一、インターンシップについて、手紙が大学生から届きました。
   わたしの通っている大学では、三年次にインターンシップと
  いう就業体験をおこなっています。この研修について、興味を
  もっていたところですが、前から関心のあった公務員という仕
  事をもっとよく知りたいと考えています。ところが、学校側の
  紹介の研修先には、希望する公務員という職種はなく、自己開
  拓という道を選択することにしました。自己開拓するにあたり、
  親に相談したら、県会議員の中山さんに相談したらということ
  でした。大学で社会福祉主事任用資格と社会教育主事任用資格
  を取得するための勉学に励んでいます。この資格は公務員にな
  って初めて生かされるということで、これらの資格にかかわる
  ところで研修をうけさせていただければと考えています。大学
  側では、研修証明書を出していただけるならば、単位を認定し
  てくれるとのことです。ご迷惑のかからない範囲で、さまざま
  な体験や見学、お話をうかがえる機会をお与えくださればと思
  います。
 これに伴って、大学の要項も添えてありました。大学の要項を見ると、「インターンシップとは、学生が一定期間企業や非営利組織等について、専攻や将来のキャリアに関連した就業体験を行うことを指します。学生にとって、職業意識や自主性、創造性を高めるよい機会となるばかりでなく、受け入れ側にとっても学生の企業などへの理解を促進し、産業界や非営利機関のあらゆるニーズを教育界に反映するための重要な機会となります」と書いてあります。
 これに伴って、当局にお尋ねを申し上げました。検討していただいたところですけれども、改めてこれらの求めに対して、将来に向け、つつがなく受け入れられる機会を当局で設けてくださるよう、検討いただけるよう要望いたすところであります。一般行政職でなく、求めに応じて社会福祉主事、社会教育主事を初めとする専門職に係るあたりから開拓できないものか、要望しておきたいのです。
 言うまでもないことですけれども、インターンシップとのかかわり、インターンシップの枠を超えて雇用にかかわるお話ですけれども、ヨーロッパ諸国では、新卒未就職者や青年失業への特別の対策がとられていることを申し添えておきたいと思います。例えば、フランスでは六年前に若年者雇用を公共部門で創出するための法律ができたり、イギリスでは若年失業者の職業訓練、雇用支援のために政府、産業界、市民団体が協力し合って幾多のプログラムが進められているとのことであります。これらを展望されて、研修の機会を提供されることを強く要望しておきたいと思います。あえてコメントいただけるならば、よろしくお願いしたいところです。
 その二、地籍調査についてであります。
 さきにも取り上げ、取り組み方を申し上げたところですが、その後の取り組みの状況を踏まえて、さらなる進みぐあいをお尋ねしながらの提起であります。
 海南市は、本年度から地籍室を設置し、取り組みの具体化を図ろうとしていますけれども、特に東部地域の住民からのこれに対する要求には強いものがあります。地域住民の要求と実際海南市が進めようとしていることのかみ合わせにいささか考えさせられるところもありますけれども、野上町、美里町の取り組みが急速に進められていったことの反映か、特に東部地域に地籍調査を求める声の強いことだけを申し添えておきたいと思います。
 そこで、海南市のみならず、県下の取り組みの状況と今後の取り組みについてご報告いただければありがたいと思います。
 あわせて、特に海南市のように本年度から着手しようとしている市町村の数とそれに対する県の支援策を参考までに教えていただければと考えております。
 その三、地球温暖化防止のため、温室効果ガス(CO2)の削減目標を定めた京都議定書の二〇〇二年発効に向けて、議定書からの離脱を表明したアメリカに対し強い反対の意向が国際的に示されているところであります。日米欧二十六カ国の環境非政府組織(NGO)六十一団体は、過日、アメリカの不支持表明で発動が危ぶまれている京都議定書の救済に向け、日本政府が率先して批准するよう求めるとの意向が示されているようであります。環境NGOは、欧州連合(EU)が米国抜きでも議定書批准の構えであるのに対し、日本政府は態度を決めかねていると見て、今後の国際的動向に日本の態度が大きく左右するとして動きも活発なようであります。EUが日本を加えて議定書の批准を進め、二〇〇二年までに発効するよう最大限の努力を払おうとの動きのようであります。
 先般、カナダの首脳会議で、EUとともにカナダも批准の態度を表明されたと報道されておりましたが、このような世界の動向を見据えながら、地域で地球温暖化の原因となるCO2など温室効果ガス対策に地道に取り組まれている方からのお話であります。まず、聞いてあげてください。
 この方は、和大附属小学校を初め、県下の各小学校や地域に赴き、地球環境を守ろうと熱心に取り組まれている方であります。具体的には、ケナフという植物と環境、それを収穫した繊維で紙すきを実施したりして、これの啓蒙と啓発に努められている方のお話であります。
 ケナフのCO2固定化のすぐれを説き、太陽と地球温室効果ガスの関係、化石燃料による文明発達との裏表にあるぜいたくと利便性に人々が酔いしれていることへの反省を促したり、CO2増加の連続で海水の水位が上昇することなど、さまざまな観点から環境問題に触れ、啓蒙に当たられているとのことであります。その方の勧めで休耕田にケナフを植えたという方のお話も聞いてみました。ケナフで地球環境が直截的によくなるというものではないけれども、植物の成長過程でCO2が吸収され、成長が早いことから推しはかれば、確かにCO2固定化率は高いと言えるであろう、その意味で効果が評価されると言えるのではないかと申していましたけれども、ケナフの植栽で根本的に解決されるのではないが、CO2発生に目を注ぎ、それが地球環境に及ぼす影響に対する意識改革を求めていくよすがとして大きな意味があろうと申されていたのが極めて印象的であります。この立場から、公共的な空き地などに植栽して、広く環境問題への意識改革に寄与する取り組みとして、それなりの評価と関心を集められるようにしてはいかがなものかと考えるわけであります。
 例えば、横浜市は昨年から実験され、大気浄化に一定の効果があったとして、新年度から本格的に事業化すると言われていることが新聞に報道されていました。基本的には、エネルギー政策の転換が重要だということは言うまでもありません。県としても、エネルギー活用促進事業に取り組まれているところであることから、新年度から本格的に事業化すると言われている横浜市とのかかわり合いも考えながらお尋ねと提起をいたすところであります。
 一番目に、地球温暖化対策について県はどのような把握をされ、基本的なところでの取り組みはいかがなものか、お知らせいただきたいわけであります。
 二番目に、加えて京都議定書の二〇〇二年発効に向けて県のお考えを示されたいわけであります。
 三番目に、ケナフの栽培普及は地球環境への関心を寄せるに期待できるとして、それの植栽に適当な場所を選んで試みてはいかがなものか。また、収穫後の処理、パルプ資材に活用する方途の研究への支援について何らかの手だてがあってもいいのではないか。検討方、これは要望しておきたいと思います。
 その四、化学物質過敏症についてであります。
 四年も前のことになるでしょうか、地場産業の家庭用品等が海南市に非常に普及され、活発に事業を興されているわけですが、地場産業の事業所の廃棄物処理で自家焼却されている焼却炉からの煙で家にいられず、他地域へ転出を余儀なくされるとの事例を挙げて、廃棄物処理と住民の健康対策を取り上げ、当局の取り組みを促したことがありました。そのとき訴えてくださった方が、その後、海南市の住居をあけて他地域へ転々と移り変わり、健康回復に専念されていましたが、ごく最近になって化学物質過敏症だと診断を受け、その筋の専門医にかかっているとの知らせとともに、この分野において県の対策を求められるのであります。この分野の対策が県のみならず、国においても著しくおくれていることから、当局に取り上げてほしいとの訴えでありました。
 この方の申されることの次第を子細に言ってみたいと思うんですが、取り組み方を求めながら、以下申し上げてみたいと思います。
 化学物質過敏症という言葉、それ自体が近年になって唱えられ、概念がとらえにくく、まだ聞きなれない人も多いところのようであります。病名も定義も完全に定着しておらず、国際的には本態性環境非寛容症とか、多種類化学物質過敏症とか、多種類反応性化学物質症とか呼ばれたりしているようであります。とにもかくにも、中毒という概念から考えられないほどの微量の物質でアレルギー性の反応が起こり、さまざまな症状を引き起こす疾患と言われています。日本でも、近年急に増加しているとのことであります。アメリカやカナダでは、十人に一人の患者がいるとも言われているようであります。
 この疾患の主な症状は、頭痛、全身倦怠感、うつ、不眠、動悸等、さまざまと言われています。また、最初に受けた物質とは別の物質にも次から次へと反応するという厄介なことのようでもあります。家のリフォームや新築への入居時に発症することが多いようで、殺虫剤、防虫剤、防腐剤、接着剤、芳香剤などに苦痛を感じ発症するとも言われています。広く認知された病気でないが、症状を訴える人がふえていることから、平成九年、当時の厚生省、環境庁が研究班をつくり、対策に乗り出したとも言われています。その都度、県にも通知がされているのではないかと考えるわけですが、訴えられたこの方も、当初は廃棄物処理の煙が原因しているものと考え、それを遮断するために家の目張りをし、空気清浄機を部屋に取り入れて対処したけれども、耐えられないで家を出て転々と移り住むことにし、ついには北里大学へたどり着き、ようやくにして化学物質過敏症との診断が下されたとのことでした。聞けば、この苦しみと悩みは自分だけでは済まされないとして、何人も別の方を紹介してくれました。そのうちの一人の方の話ですが、以下のようでした。
 基本的認識として、二十世紀後半から石油化学の発展が世界を変え、地球環境を変えていき、二十世紀前半に既に化学物質の工業生産が始まっているけれども、生産と利用が本格化したのは戦後であり、石油文明とか、化石文明の著しい発達は便利さと豊かさだけの享受にとどまらず、人の生存さえ危ぶまれるところとなってきていることが明らかになってきた、それが地球温暖化であり、化学物質過敏症の発生などとなり、これがまた近年急激な増加傾向にあると、その方が言うのであります。いわば、化学物質文明のおつりとも言うべきものを、まともに今の人間社会の人が浴びていると言うのであります。多様な化学物質を、食物から、呼吸から、あるいは皮膚を通じてさまざまな形で体内に取り入れ、蓄積し、ある機会に突如として発生するということであります。
 この方は、歯の治療を受けている間に亜砒酸が口内に漏れたことによりけいれんが起こり、回復傾向になるまで思い悩み続けたとのことであります。発症以来、化学物質過敏症と診断されるまで自律神経のバランスが崩れ、正しい指令が末端神経まで送られないで、誤作動の状態に陥ってしまったとのことであります。以来、寝たきりの状態から抜けて、やがて寝たり起きたり、家の中でのリハビリ、家の近くの散歩へと立ち直るまでにようやくなったとのことであります。その期間は十年にも及んだと言われております。
 この疾患に苦しむ方々は、身近に対処してくれる医療機関がないことから、化学物質過敏症ネットワークを起こしてその対策に取り組み、あるいは患者同士の励まし合いを進めているとのことであります。初期には自律神経失調症とか、アレルギー症とか、更年期障害とか、あまつさえ医師から施設へ入所したらどうかとさえ言われたりしたこともあったと言われました。
 そこで、お尋ねします。
 この症状でお困りになっている患者の実態、実情は把握されているのでしょうか。前に申し上げたことなどから考えて、多分、難しい状態に置かれているのではないでしょうか。当局の手で把握していただけるならば、その病に苦しむ人たちの状況と回復への取り組みの施策が急激に進歩するのではないかと思っているわけです。
 二番目に、これらについて特別対処できる医療機関は、和歌山県立医大のみならず県内にあるようには思えないのですが、そのような認識でよろしいのでしょうか。
 三番目に、総じてこの症状で保険適用がなされていないと聞いているわけです。以上申し述べたようなことですから、自律神経失調症、アレルギー、更年期、痴呆症、こういうことなどを現象的にとらまえて保険適用するといった対応を余儀なくされているということが考えられますけれども、保険の関係でも化学物質過敏症という病気への対応がまだ進んでいないのではないかと思います。そのような認識でよろしいか、お尋ねしておきます。
 四番目に、新築やリフォームの入居時に発症することが多いと言われたりしています。特にシックハウス症候群とも言われたりしているわけですが、これに対して国土交通省が大がかりな調査をしたとのことです。その結果、及び取り組みについての施策は打ち出されているのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
 特に、公共施設が建設され、そこで発症したりしたら、直ちに測定したり対処できるような体制にあるのでしょうか。大変困難な課題だという形で推移しているのではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。
 五番目に、年齢を問わず、幼少期から発症することもあると言われますが、幼稚園、学校等の施設や用具等についての関係機関の実態把握に努められてはいかがでしょうか、そのような取り組みと、それらに対する発生した場合の対処方を打ち出してくださるようにお求めしておきたいと思います。
 これは何かにつけて、新しい分野に踏み込んでの取り組みとなるわけであります。バクテリアやウイルスのようなもので発症する病ではなくて、先ほども申し上げましたように、人間がつくり出した化学物質が原因して人体を侵している、そういうふうな化学物質が体内に蓄積され、バケツいっぱいの水になったときに、ちょっと何かの拍子であふれ出るような感じで発症するということであります。人間がつくり出した化学物質で人間が侵され、人間の生存が危ぶまれるという実態になっているわけであります。これは、人間社会の文明が発達し、人間が豊かであり、便利であるという社会の進展、文明の発達をこよなく願ってきた人類の課題追求の過程で引き起してきた問題であります。それだけに利害得失が絡み、この問題の原因や対処方についてはいろいろ困難な状態が絡んでくることが予想されるだけに、懸命な努力と患者の立場に立っての取り組みが要求されてなりません。
 六番目に、橋本市の廃棄物処理場での化学物質の実態調査をされたやに聞き及んでいるけれども、ダイオキシンを初めとする化学物質に伴う過敏症とおぼしき実態は把握されているのでしょうか、お聞きしておきたいと思います。
 七番目に、医療機関の対応のおくれは否定し切れないものがあるとして、まずは患者で組織しているネットワークなどを活用して、病気を理解できる人を育てたり、回復者の人たちの意見を聞いて、保健所単位に経験者を窓口に据えて県民に対応するようにしてはいかがなものでしょうか。行政にしても、医療機関にしても、新しい分野でその実績の蓄積が定着し、大きく積み上げてきたと見受けられないとするならば、その病気が発症し、その病気で苦しみ、回復傾向をたどるまでに取り組んできた元患者の人たちの体験は殊さら大事ではないかと思うわけですが、そういうふうな人の経験と知恵をこの問題で苦しむ人たちに大きく貢献してもらえるような県行政の立ち働きを求めておきたいと思うわけであります。これについてのご意見をいただければありがたいと思います。
 患者からの訴えに基づき、るる述べてきたけれども、要は、病名や定義がまだ定まったものでないとはいえ、患者は増加の傾向にあります。県内でも現に発症し、苦しまれている方々が、さしずめ当局の対応を求められていることは否定できません。この求めに対して、しかとしたお取り組みをお願いし、ご意見とご答弁を求めて、次に進みたいと思います。
 海南市の中心商店街の活性化にかかわるお話ですが、これは海南市だけではないと思いますけれども、海南市の問題を例にとってご説明をさせてください。
 ジャスコが撤退したことから、海南市の中心商店街は灯の消えたようなありさまであります。人々は言います。海南駅はよくなったけれども、商店街はさっぱりや、人は来てくれない、町の発展策にかかわってどのような施策を進めようとしてくれているのか、こういうお話であります。過ぐる「母の日」に商店街を歩いてみました。それぞれの商店の入り口に子供が描いた母の絵──「母の日」を記念しての行事ですから、母の似顔絵が数枚ずつ各商店の戸口に掲示されているではありませんか。個々の店の看板に、六枚ぐらいずつ子供がかいた母の顔の絵を、ここの家もここの家もみんなかいている。橋本市の子供の絵もありました。橋本の皆さん、ありましたよ。有田市の小学校の子供の絵もありました。もちろん、海南市の子供の絵もありました。商店街連合会の主婦たちが県下各地へ呼びかけて、母の似顔絵をかいて送ってもらったというお話であります。「母の日」を記念してのセールスだということであります。県下各地からお母さんを招こうとの涙ぐましい取り組みではないかとうかがえたわけであります。それは、少なくとも顔をかき送ってくださった人たちだけでも、あるいはまたその人にかかわる家族及びその周辺の友達や近所の人たちも、連れ立って海南市の商店街に訪れてきてくれるんではないかというささやかなる願いを込めてそのような取り組みをしたというお話であります。
 それに置き比べて、大型量販店などが時によっては有無を言わさず進出してきて、一もうけしたらさっと引き揚げてしまうような今日の商法というのはあったもんではないと思ったり、これは伝来の海南のみならず、それぞれの町々の商店のあり方について大きな問題を残してきているのだと思ったりしたわけです。
 そのような努力に対応して女性たちの言うのには、野上谷方面からのお客さんを、さっと商店街の方に来やすいように早いこと道をつくってくれんかいなというお話です。これは、何遍もこの壇上から当局の皆さんや議会の皆さんにお訴えを申し上げたところです。これは、中山一人が勝手に物を考えて、勝手に言っているということではなかったということを、商店街連合会の主婦たちのお話をかりてでもそのようにお受けとめいただきたいわけであります。(「公共事業反対と言うからや」と呼ぶ者あり)──それとまた別なんだ。そういうふうなことを言うから話はおもしろくなくなる。そのような努力に対応して女性たちの言うのには、野上谷方面からのお客さんを早いこと呼んでもらえるような道をつくってくださいというお話であります。公共事業のあれこれの話ではなくて、そういうふうな生活に直結し、町の繁栄にかかわるような道路行政というのは、何をさておいても優先されなくちゃならんと考えたとしたら、さっきのようなお話はどこから考えても出てくるはずのないものだと紹介しておきたいと思います。
 それで、野上谷の人のみならず、阪井の人さえ貴志川の方へ行っちゃう。海南市の方は栄えないのは当たり前の話です。重根区画整理事業とのかかわりを申し上げながら、阪井バイパスを早いことやっていただけようにお願い申し上げて、これはまた建設委員会でもるる述べることにいたして、当局のご答弁を期待して、終わりたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) ご要望のありました本県へのインターンシップ制度の導入についてでございますが、民間企業等とはやや性格は異なると思いますが、学生の皆さんに県庁というものをよく知っていただくよい機会ともなりますし、就業意欲を喚起し、職業適性の見きわめの材料となるなど意義あるものと思いますので、導入に向けての具体的検討をこれから進めてまいります。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 地籍調査についてのご質問にお答えをいたします。
 地籍調査についての県下の取り組みの状況についてでございますが、平成十三年度は海南市を含む四つの市町村が新たに調査を開始することとなり、この結果、合計四十八市町村が着手済みとなります。なお、残りの二つの市町村につきましても、平成十四年度着手に向け、準備を進めているところでございます。平成十二年度末における調査済み面積は四百十三平方キロメートルとなり、要調査面積の九・三%となります。今後は、境界等を確認するためのいわゆる一筆地調査の外注化制度を積極的に活用し、調査区域の拡大が図られるよう努めてまいります。
 続きまして、新規に着手する市町村に対する支援策についてでございますが、県といたしましては、講習会等を開催し、事業主体である市町村の職員に基礎的な知識を習得していただくとともに、必要な場合には担当者を市町村に派遣し、円滑な実施が図れるよう全面的な支援を行っているところでございます。地籍調査は、公共事業の円滑な推進のためにも非常に重要な事業であり、今後とも積極的に取り組んでまいります。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 地球温暖化対策の二点についてお答えいたします。
 地球の温暖化につきましては、気候の変化を引き起こすとともに、海水面の上昇など生態系を初めとする人類の生存基盤に多大な影響を及ぼすと予測されております。温室効果ガスの排出抑制につきましては、地球温暖化対策の推進に関する法律を受け、国及び地方公共団体により温暖化防止に係る実行計画が策定されているところであります。県庁におきましても、平成十年度から温暖化防止に率先して取り組み、昨年八月には実行計画を公表して全庁挙げて取り組んでいるところでございます。その結果、平成十二年度におきましては、電気及び重油等の燃料などの使用量が減少したことから、温室効果ガスの排出量は平成十一年度に比べ約一〇%減少してございます。
 なお、本県における温室効果ガスの総排出量は平成十一年度において二酸化炭素換算で約一千六百三十五万トンと見込まれており、平成七年度に比べ約〇・一%減少してございます。また、地球環境の保全を推進するため、六月の環境月間や環境フェアなどにおいて広く啓発を行っているところでございます。
 次に、温室効果ガスの排出削減目標及びその手法等を定めた京都議定書の発効については、国と国との問題ではありますが、アメリカが京都議定書から離脱することを表明したことは国際社会がこれまで積み上げてきた努力を後退させるものであり、地球温暖化対策については地球規模で取り組んでいくことが重要であると考えます。このことにつきましては、七月に予定されている気候変動枠組条約第六回締結国会議における議論が待たれるところであります。
 なお、県としましては、地球温暖化防止のため、近畿の二府七県等で構成する関西広域連携協議会と呼応して、六月二十一日から九月二十三日までの間、適正冷房の推進などの夏のエコスタイルキャンペーンを展開しているところでございます。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 化学物質過敏症の五点についてお答えをいたします。
 化学物質過敏症につきましては、議員ご指摘のとおり、その定義が確立をされてございません。また、症状が多様であることから、患者の実態把握は困難な状況でございます。
 化学物質過敏症に類する症状を訴えられた場合、医療機関については、それぞれの症状に対応した診療科で受診をされてございます。
 また治療については、個々の症状に応じた検査や対症療法が行われており、これらの費用については大部分が保険適用となってございます。
 なお、橋本市の産廃問題における実態把握でございますが、昨年九月末に一般健康調査を実施したところ、化学物質に不安をお持ちの方がおられましたので、これらの方々に対し、念のため化学物質過敏症の専門家による説明会を実施したところ、七名の方の参加がございました。
 最後に相談体制についてでございますが、現在、国において相談マニュアル等が検討されております。この動向等を見ながら、保健所等で患者の相談に応じられるよう、保健婦等関係職員への研修に取り組むとともに、必要に応じて回復された患者の方々の協力も得ながら、その悩みにこたえられるよう対策を研究してまいりたいと考えてございます。
○議長(阪部菊雄君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、シックハウス症候群についてのご質問ですが、平成十二年度に国土交通省が実施した住宅の室内空気環境の実態調査では、ホルムアルデヒドなど四項目のそれぞれの平均値はすべて厚生労働省による室内濃度指針の数値より低くなっております。本年度も、引き続き調査に協力することにしています。
 この問題に関しましては、今のところ、国から具体的な対応方針は示されていませんが、化学物質の放散が少ない木材を多く活用することが有効と思われますので、紀の国・木の家推進協議会を通じて木造住宅における紀州材の利用促進に努めてまいりたいと考えています。
 なお現在、建築関係の財団法人などがホルムアルデヒドの簡易測定器五台を配置し、一般に貸し出しを行っています。
 次に、重根土地区画整理事業とも関連して阪井バイパスをとのことでございますけれども、組合施行の重根土地区画整理事業で都市計画道路築地阪井線が整備されることになっております。早期に供用するには仮換地指定を進めるよう、海南市を通じ、組合を指導してまいりたいと考えております。海南市初め、地元の皆様方の積極的なご協力をお願いしたいと考えております。
 その先の阪井バイパスにつきましては、平成二年に都市計画案を公告縦覧いたしましたが、反対意見が多数のため都市計画決定に至ってございません。県といたしましては、周辺道路網を勘案し、以前に提示したルートを基本とした計画案を海南市に提示しているところでございます。今後は、海南市初め地元の皆様方のご協力を得ながら、都市計画決定に向けて努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 化学物質過敏症の問題は、中山議員のお話にもありましたように、原因となる物質や症状がさまざまであり、また個人差が大きいため、その実態把握や対策が大変難しいと言われております。現在、文部科学省において学校環境衛生の基準や学校施設整備の指針、実態調査等について検討がなされていると聞いております。本県の県立学校におきましては、室内の空気を汚染する化学物質の発生がないか、もしくは少ない建材の採用に留意し、整備いたしております。また、市町村教育委員会にも同様の趣旨の指導をしているところでございます。
 なお、実態調査につきましては、国の動向を見ながら対処してまいりたいと考えております。
 また、学校から化学物質過敏症の疑いがあるとの報告があった場合には、関係部局と密接な連携を図って対応いたします。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番中山 豊君。
○中山 豊君 あと二分しかないので、かいつまんで、ご意見と評価を申し上げておきたいと思います。
 アメリカの京都議定書からの離脱に対して、当然のことながら積み上げてきた努力を後退させるものだというご答弁をいただきました。そういう観点に立って、環境問題に対する国際的な世論の形成の上にも我々はともに頑張っていくという表明をいただいたものとしてお受けとめしておきたいと思います。
 環境問題でケナフの話をちょっとさせてもらったんですけれども、これにはひとつも触れてくれなかった。環境問題について、国際会議までは至らないけれども、せめて市民や県民のサイドで何をするかという形で営んでいる努力を少しは評価していただけたらありがたいなと思ったけれども、これは意見だけ申し上げておきます。無視だけせんといてやってな。お願いしておきます。
 それから化学物質の問題で、橋本で七名の方の参加がございましたとありましたけれども、疑わしいとしてご紹介していただいたということかもわかりませんが、その七名の方たちのその後の状況がどうだったのかという点を、また後日教えてあげてください。
 そして、この問題について一番詳しく知っている方は体験者であります。体験者の取り組みを大いに喚起していただけるようお願いして、終わりたいと思います。
○議長(阪部菊雄君) 所定の時間が参りましたので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 八番西本長弘君。
  〔西本長弘君、登壇〕(拍手)
○西本長弘君 「和歌山縣災害史」によりますと、昭和二十八年七月十七日から翌十八日にかけて県北部を襲った梅雨前線による豪雨は物すごく、未曾有と言うべき惨禍をもたらした。この豪雨は十八日の未明に最も激しく、有田、日高の両郡東部から奈良県南部にかけての二十四時間雨量は四百五十ミリ以上の大量に及び、このため有田川、日高川、貴志川を初め、各河川は大洪水となって、明治二十二年の大洪水以上の水位を記録した。この豪雨で、山地は山津波を起こし、平地では堤防がずたずたに破壊され、土石や流木を交えた濁流は一瞬の間に人畜、家財、耕地などを一のみにし、各地に壊滅的な被害を起こした。このときの大洪水は文字どおり未曾有のものであって、一瞬にして死者六百十五人、行方不明四百三十一人のほか、重軽傷者は六千六百十九人、住家の全壊流失は八千六百戸、罹災者総数は二十五万に近く、被害額も八百億をはるかに超えるものである。
 県では、応急救助と防疫のため七億四千二百二十万円を計上して万全を講じたが、小野知事は「百万縣民に訴える」の中で次のように述べている。──これは皆さんに配付をさせていただいておりますので、私からは読み上げません。ご了承ください。
 小野知事は、即刻みずから飛行機に乗って空から現地の被害状況を視察し、また道もない現地へ赴いて被災民を慰問激励し、県の全職員を動員し、あらゆる官民団体の協力を懇請して救済に全力を傾注したとあります。
 この中で、私はおわびを申し上げたいんですが、「死者」あるいは「行方不明者」という表現がありますが、私は「亡くなられた方」、「行方不明になられた方」、こういう気持ちでございますので、ご了承をいただきたいと思います。
 二十八年の大水害発生で県議会は、七月二十日に次のような声明書と決議文を発表したとあります。──これも、もう皆さんのお手元に資料として配付をしておりますので、読み上げることをいたしません。
 私はここで、亡くなられた方々に、心から改めてご冥福をお祈り申し上げる次第であります。
 世界のいずれの国におきましても、その国で起こった戦争や紛争、内戦あるいは天災などの悲惨な光景がフィルムとして残されています。それは悲しいことでありますけれども、二度と再び国難や郷土の悲劇を起こさないためにも、その貴重な記録が必ず後世に役立っていると私は思います。
 私の手元に、家内が夫より大事にしていた「七・一八水害誌」があります。嫁入り道具はこれ一つだけ。知事にもこれを先日見ていただきましたが、当時の水害を体験した人々、またそのときにとうとい命を救ったという人々が今、元気に生活されています。本県の歴史において最も大きな災害であったと言えるこの二十八年七・一八水害から、知事、再来年で五十年目を迎えることになります。
 先般、県議会の大先輩である樋口徹先生がつくられた田辺市の文里港の映画を見せていただいて、心から樋口先生に敬服をしながらヒントを与えていただいたのが、この映画をつくることであります。
 そこで、知事にも直接お会いしてお願いをいたしているのですが、この「七・一八水害誌」をもとにして記録映画をつくり、テレビ和歌山で放映し、県民の方々にビデオを頒布されてはどうか。これは、悲惨な大水害を記録しておくというだけでなしに、後世に二度と再びあのような大水害がないことを心から願ってのことであります。知事の、「それはいいことだ。ぜひつくろう」との答弁を願いたい。
 私は、水害の年は中学校の一年生でありましたが、マツダの三輪車──これはだれかが「バタコ」と言っていたけど、私は「バタコ」と言わない──に積まれた救援物資を配って回った日のことを思い出します。その後、地区住民のダム建設反対運動が大きくなりましたが、幸い、地元清水町民の皆さんの深い深いご理解のもとに、昭和三十八年四月には着工にこぎつけ、昭和四十二年三月、総事業費三十六億円でダムが完成されました。そのおかげで、有田川下流に住む我々住民は、水害の心配がなくなりました。
 ここから、知事、大事やで。これはゆゆしきことです。
 しかし、昭和六十一年七月十二日、土曜日の夜、二川ダムに勤務していた放流資格のある職員全員が、皆さん、自宅に帰っておったんです。さらに、その大雨のためにダムが満々とした水で、当時は県道でありましたが、その県道から手を洗えるぐらい、ダムがいっぱいになっておった。これは、本当の話ですよ。
 当時、その県道から手が洗えるようなありさまで、そういった中、命からがらダムにたどり着いた職員によって水が放流されました。車がつかり、ハッサク畑が荒れるなど、ダム下流は大洪水となりました。これは天災でなく──橋本議員、笑わんと聞いておいてくれよ──まさに人災であると、私は思うのであります。後日、当時の仮谷知事がおわびの有田入りをしているのであります。
 そうした中で、もう一つ提案があります。地元の方々は発電のためにためているダムの水は、土木部長、「死の水」と言わんといてくれと言うけど、地元の方は、ダムの水は死の水だと言っているんです。有田川の安全と環境を守っていくためには、清らかな水を三百六十五日流すべきだと思います。
 そのためには、すぐとは言わないが、当然、発電をやめなければ有田川に清らかな水が戻ってきません。私が調べた範囲では、我が国では電気の自由化と不景気で、知事、電気が余っているんです。わかりますか。関電の海南発電所は、四基のうち二基までとめているんです。それから、御坊は三基のうち一基がとまっているんです。知事、電気が余っているという証拠や。電力会社のある方に聞きますと、岩倉発電所の電気も、過去には必要なときがあった、ところが、もう今はその必要がないと言っている。人の命、人の財産、環境と岩倉発電所の金、どちらが大事かということを真剣に考えてほしいと思うのであります。私は、人々とアユ、地球に喜ばれる河川にしていかなければならないと強く思うのであります。
 生駒議員、有田市の今度の水害な、木はこんなんや。部長、まだこれより高い。一つも切ってやれへん。それから、原稿にはないけれども、蛇とハビ。知事、あなたはハビを知っていますか。川へ行けないんや。なあ、吉井議員。蛇とハビで危なくて、草の中に行けないんや。だから、知事、子供も大人も、女性の方も男性も、やっぱり河原で遊べるような環境にしてほしい。お願いします。有田川をきれいにする方策について、知事の積極的な取り組みをお願いします。
 発電をやめよと言うても、答えられないでしょう。だから、わしは要望にとどめてある。そのうち──玉置和郎先生が「三年言うてたら何でも実現する」と。先生、三年言うてたらできるということは、別に三年でなくても、まあ、しょっちゅう言うてよということや。そしたら成るんや、先生の言うことも。
 なお、先日、清水町で開催された紀の国「川の日」で、田中清水町長さんと嶋有田川漁業協同組合長さんとお会いできました。町長さんの話によると、一千二百万円をかけて清水町内の有田川を、町職員全員、それから住民の方々、県庁の職員の方々も──この人も掃除してくれたんや。ちょっとテレビ、映してあげてくれ。
 そこで、町民の方々とともに掃除をしてくれた。その中には、ジュースの缶やナイロン、ビニール、また古い車が、知事、何台あったと思う。副知事、何台あったと思う。部長は。──ひとつも知らんな。実に、三百六十五台が捨てられてあったんです。清水町だけですよ。これまだ、金屋町もある、吉備町もある、有田市もある。そんな状態なんですよ、知事。
 私は、この田中町長さんや清水町職員、今おられた方に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。知事、このような自治体に、交付税を余分に渡すとか、何かご褒美を渡すなりしてはどうかと思いますが、いかがなものですか。
 去る十六日の新聞に、「平成十五年から「海の日」と「敬老の日」を七月、九月の第三日曜日にそれぞれ変更し、土曜日を含め、三連休とすることなどを定めた改正祝日法、老人福祉法が十五日午前の参議院本会議で可決・成立した」と報ぜられています。私は、「敬老の日」を九月十五日と定めていることに対し、当時及び現在の政府と国会に一体真の敬老の精神があったのだろうかと、以前から不思議に思っています。
 九月というのは、真夏の厳しい暑さに続く、残暑の極めて厳しいときであります。私は毎年、町の自治会から九月十五日の「敬老の日」に来賓として招待されますが、ほとんどの会場には、ここのようなクーラーがないんです。会場はむんむんしています。暑さでむんむんしている中へ、早朝からつくった幕の内弁当を置いているんです。「費用が要りますので、私の分は用意せんといてください」と──笑うが、本当に断っているんです。町及び自治会に申すんですが、各会場では帰り際に、知事、弁当をくれるんや。そうしたら、もう十時半ごろから行って帰りが四時ごろ。車の中に入れた幕の内弁当は、食中毒が怖くて食べられない。だから、自宅に帰ったら、はしをひとつもつけずに捨てるわけです。知事、もったいない話や。それでも、暑さの中で時間がたっている弁当なので、食中毒が怖いんです。家に帰ったら、ご高齢者の方々が食中毒にならないようにと、毎年願っているんです。
 知事、全国的に見て一年で食中毒が最も多い時期はいつと思いますか。七月、八月、九月、十月が一番。あなたのおっしゃるとおりです。我が県内でも三年前に、どことは言いませんが、一会場で八十八人のお年寄りの方が──「お年寄り」とは言わないんや。「人生経験豊かな大先輩」の方が八十八名、食中毒に遭った。なぜ、そんな残暑の厳しい食中毒の多い九月に「敬老の日」を定めたのでありましょうか。
 二、三年前、私は当時の厚生省の課長等に抗議の電話をしたんです。そうしたら、ファクスで二枚のコピーが戻されてきた。そして、「敬老の日」の制定の経緯の中に、こんなに書いてある。「九月十五日とされた理由」として「社会福祉法人全国社会福祉協議会を中心に、九月十五日の年寄りの日の運動が──わし、これ気に食わんのや。「年寄り」と書いてある。「お」もついていない。「お」ぐらいつけてやったらどうな。「年寄り」と言うのは失礼やと思う。「お年寄り」やったらまだいいんや──年寄りの日の運動が実施され、全国的に普及していたので、──ここに米印を入れてある。この米印は後で言いますが──このような実態に立脚したことが最も適当であると認めたからである」ということでございました。
 そして、先ほどの米印のところに、「昭和二十五年に兵庫県が敬老思想の普及と老人福祉増進を目的として、九月十五日を「としよりの日」と定めた」。ここにも「お」がついていない。気に食わん。
 「全国社会福祉協議会は、これに着目し、全国に呼びかけ、昭和二十六年から「としよりの日」、──これも「お」がない──及びこの日を起点として年寄りの福祉週間の行事を実施するようになった」と。
 ここにも「お」がない。「「としよりの日」を九月十五日と定めたのは──関係の部長はどなた。あなた。聞いておいてくれよ──この季節が農閑期であり──ご高齢者は農家の方ばかりじゃないんや──行事を実施するに当たっても快適である」と。九月十五日は快適かの。快適と思う人は一遍、手を挙げてくれ。──だれもないやないか。
 さらに、「昭和四十一年に──これもまた「老人の日」と書いてある──「老人の日」が「敬老の日」に改められて、国民の祝日に制定された」と、知事、あるんです。
 木村知事が「敬老の日」を九月に決めたわけではないが、知事、九月の「敬老の日」は、ご高齢者にとっても、また国民にとっても快適で適当な日と思われますか。知事、思わんやろ。ご高齢者は、明治、大正、昭和、平成と、国のため、社会のため、郷土のため、地域のため、家庭のために、汗と涙で営々と働いてこられた方々であります。そのご高齢者をもっともっと敬い、深い謝意をささげるならば、今のように厳しい残暑の季節でなく、「敬老の日」は全国的にもっともっと気候のよい、例えば春や初夏に改めるべきではないかと、強く訴える次第であります。
 知事に七月十八日の全国知事会で発言してほしいと思っておったけど、県の職員が毎日来て「知事に言わさんように」と。知事、わしは知事が金屋町などの敬老会の実態を知らないと思う。知っておったら、七月十八日の知事会でばんと言うわけよ。そうしたら、あなたは全国で一番ご高齢者を尊敬する偉い知事やとなるんですが、よう言わんというから、それはもう仕方ない。三年間しゃべっていたら、お願いをしていたら、知事も──全国知事会で言うていただくと、知事の名声も上がるんですよ。
 仮谷知事があの半島振興法を全国の知事会で提案してくれたので、できたんです。仮谷さんが言うてくれてなかったら、成ってない。要らんことを言うて悪いけど、今、県内で合計二千五百六十億ほど道路をやってくれてある。だから、元知事の仮谷さん──「さん」と言うたら悪いな。仮谷先生にお礼を申し上げないといかんと、私はいつも思っております。
 木村知事も、全国知事会で──もうここで答えを言わんでもいいと言うてあるけど、ひとつ考えてほしいと思います。
 以上で、終わります。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの西本長弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 二十八年の水害の記録映画をつくってはどうかとのご質問でございます。
 この災害は和歌山県に非常に多大な被害をもたらしたということで、私も先般申し上げましたように、防災ということが非常に大事だという観点から、いろんなことに取り組んでいるところでございます。
 もう五十年たつということでございますので、県民がその大変な被害、そしてまた犠牲になられた方を忘れることのないようなことをやっぱり考えていかないといかんと思っております。そしてまた、その中で過去の教訓を広く伝えて後世に残すという意味で、ご提案の記録映画というのは大変有意義なものであると考えております。戦後の引き揚げの実態を記録した「語り継ぐ我が心の文里港」の映画の手法を参考にし、県内各層の参画を得ながら、広く浄財を集めて作成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、「敬老の日」の問題でございます。この間、ずっといろいろ教えていただきまして、本当に暑いときだということで、大変と思います。
 「敬老の日」は、多年にわたり社会に尽くしてこられた人生経験豊かな大先輩の皆様を敬愛し、長寿を祝う日でございます。人生の大先輩を敬う気持ちは私も議員と同じでございます。
 「敬老の日」や行事としての敬老会のあり方につきましては、県としても、ご指摘を十分踏まえ、よく研究してまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 八番西本長弘君。
○西本長弘君 もう言うことがないんですが、ちょっと言わせていただきますと、去年の九月十五日に、何十年も揚げてきた日の丸、わしとこには三本ある。事務所に一本、居宅と事務所の国道側。去年の九月十五日、腹が立って日の丸を揚げなかったんや。そんな暑いときに何で敬老会をするんですか。
 私は、当時の国会議員、あるいは政府の要人というか官僚──ここに「「官」の発想は国を亡ぼす」という本を持ってあるけど、兵庫県の九月十五日をそっくりそのまま、検討もせずに厚生省の官僚と国会が決めてある。本当に不思議でかなわん。知事、おかしいやないか、日本の政府は。
 知事、ことしの九月十五日に一遍、金屋町へ来てくれよ。そして、一緒に暑い中で弁当を食べてくれよ。そうしたら、知事もわかってくれるんや。わしは国会議員と違うから、ここでほえておかないと仕方ないやろ。
 馬頭前議員、それからここにおられる町田議員、岸本代議士、世耕参議院議員も、九月十五日を変えることを賛成してくれました。だから、七月十八日に言わなくても構わないけど、頭へしっかり人生経験豊かな人を──ちょっと賢明な自治会は皆、四月二十九日に敬老会をするんです。それなら飯を食べなかったらいいじゃないかと思うやろ。ところが、有田郡のある町で、舞台で芸能人が踊ったら、会場にクーラーがないから汗でぼとぼとになって、「もう敬老会なんかには来ない」と、怒って帰った。食べないところでも、汗ぼとぼと。
 ですから、知事だけに責任を負わさないで、そこのひな壇の部長も考えてください。もうじき、わしらも敬老してもらわなならんようになってくるんや。門さんも、わしより先輩やからな。議長に宗議員もそうや。
 終わり。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で西本長弘君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十三番木下秀男君。
  〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 大変にぎやかな笑いと指呼によって、いろいろ指示された知事初め多くの議員さんがございますが、私は、この議会で定められた海外調査費のもとに中国を訪問してきた調査報告と、ほか一件、教育問題について質問をいたします。
 まず報告でありますが、去る四月二十四日から二十七日までの四日間、中村裕一議員、冨安民浩議員、原日出夫議員、そして県農林水産部の技術職の職員等、一行八名で、中国の梅の栽培状況並びに一次加工の現地加工場等を調査した視察を報告いたします。
 中国全体での生産状況は、正確な統計資料がないため梅干しの処理量から推測いたしますと、栽培面積で約一万数千ヘクタール、生産量で約六万トンで、和歌山県の生産量と同じぐらいと考えられます。中国南部の福建省、広東省などが主たる生産地であります。福建省南部の詔安県、これは海に面した県でありますが、梅、レイシ、バナナ、ビワなどの果樹園の栽培面積が約二万一千ヘクタール、お茶が二千ヘクタール、これは中国で一番よいウーロン茶を産する地域だそうでございます。水田が一万八千ヘクタールといったような農業を主産業とする県であり、そのうち梅は、栽培面積約四千ヘクタール、生産量は三万トンから四万トンということであります。
 今回訪問したのは詔安県の紅星郷で、お話を伺った人民代表大会の主席によりますと、この村での梅の栽培状況は、栽培農家数三千戸、全戸が農業であります。栽培面積約千四百ヘクタール、平成十二年度の生産量約一万トンとなってございます。近年の平均販売価格は、キロ当たり平均で日本円にして百五円であります。ことしは六十円ぐらいであります。また、この村の果実の品質は中国では一番と言われており、日本向け用の生産に努めている農家の生産意欲も大変旺盛で、生産目標を二万トン、これは平成十五年でございますけれども、これを目途として優良品種への更新、改植による若返り等の振興策を実施しているとのことでありました。生産された梅は、福建省、広東省を中心とする加工業者二十七公司(会社)の六十九工場で一次加工され、厳選されたA級品が平成十二年度で約三万六千トンが日本に輸出されております。今回の調査では、梅の一次加工場二工場とシソの加工場一工場──この経営者はいずれも台湾系であります──を見学しましたが、これらの加工場ではキロ当たり日本円にして四十二円で仕入れた梅を九十名の従業員で年間三千トンを処理し、また別の加工場では百二十名の従業員で三千五百トンほどの梅を処理して、A級品を日本に輸出していることでありました。梅酢は紅酢──紅ジソで染めた酢でありますが──でショウガを漬け、ASEAN諸国、特に米を食べる国に輸出しているとのことでありました。
 また福建省は、全世界に進出している華僑の一番大きなふるさとということであり、そのふるさとというか歴史の一端をかいま見るために客家土楼──これは中国で言う漢族でありますが──を見学してまいりました。この客家土楼は、昔、四世紀ごろ、戦乱を避けて南下してきた漢民族の子孫が、一族郎党を守るためにとりでと住居を兼ねた土楼──土で固めた家でございますが、この囲い屋を建てた巨大な建物でありまして、一つの建物には、一族でございますけれども、何十家族ということで、二百人も三百人も住んでいるということでございました。この客家から海外へ出て成功しているのがリー・クワンユー、国内にあってはとう小平、この人らが客家の出ということでございます。
 総括いたしまして、生産技術──機械器具、化学肥料、消毒施設、作業道等は大変おくれておりますけれども、国策である外貨を稼げる農作物として生産意欲が大変高く、五年から七年後には生産量は倍ぐらいになるだろうと予測してまいりました。また、労務賃が安いことに大変びっくりしましたが、加工場で働く二十歳から二十五歳の女性の日当は十五元で、日本円にして二百二、三十円であります。加工場は、日本の輸入業者の指導で選別機、洗浄機は日本以上の設備をしており、若い労働者の服装もさっぱりしておりまして、ごみや髪の毛が落ちないように全員帽子をかぶり、白長靴を履いて、衛生面でも細心の注意を払って仕事をしております。
 今回の中国の梅の栽培状況調査から和歌山の梅の今後を考えますとき、国内での産地間競争に加えて、中国等との国際競争がより一層激しいものになると予測されます。このため、生産者、加工業者、販売業者等、梅産業にかかわるすべての人々が一致団結し、英知を結集する中で和歌山県の梅の将来のために取り組む必要があると、強く感じた次第であります。
 以上で、中国の梅の栽培状況調査報告を終わります。
 次に、教育についてであります。
 まず質問に入る前に、米国ハワイ州オアフ島付近で沈没した愛媛県立宇和島水産高校の九人の遭難者と、去る八日に大阪教育大学附属池田小学校で起こった殺傷事件で死亡した八人の子供さんに衷心より哀悼の誠をささげ、重軽傷を負われた児童や先生に心からお見舞いを申し上げるものであります。えひめ丸事故は、被害者側の強い要望でようやく引き揚げが開始されるようでありますが、池田小学校の事件は、取り調べが進むにつれまして、犯人の供述や今日までの行動等を聞くとき、事前に防止できたのではないかと思われる点も多々あり、この惨劇に教育界はもちろんのこと、国民すべてが日本の誇りとしていた治安のよい国日本のイメージダウンに大きな怒りと今後の安全対策に苦慮しているところであります。
 今、日本の教育界は、学力の低下と二〇〇二年から新たに始まる週五日制の問題、教科書検定の問題、大学改革の問題、少子化による学級編制、いろいろの問題が山積しております。政治の世界でも教育制度改革が大きく取り上げられ、教育の憲法とも言われる教育基本法も見直しを検討されております。「教育は国の礎」と言われますが、現状を見る限り、今の教育問題は文部科学省だけの問題ではなく、国民全体の問題として取り組む時期に来ていると思います。前段はこれぐらいにいたしまして本論に入ります。
 県教委は、開かれた学校を目指して、空き教室の開放や体験学習、高校と大学の連携、他府県との交流、高校入試問題自校作成、中高一貫教育、さらに高校五年一貫教育と、新しい教育に取り組まれております。教育長初め関係者のご努力に敬意を表し、この成果に注目しているところであります。
 まず、学級編制の統合化、複式化ということでお尋ねいたします。
 少子化と過疎化で学級編制に悩んでいる町村の数が、県内で半数以上と言っていいほどあると思います。既に小規模校を統廃合してスクールバスで通学をしている町村もあります。また、少人数であっても複式学級は反対という父兄の強い要望で、学齢期の子供を持つ転入家族を募集する学校もあります。今、教育改革が大きな政治課題となっていますが、教育学者や教職員組合は今の学級編制の定数を半分にせよという提言の本や各種の集まりの報告がされております。私は、切磋琢磨をさせることからも、統合すべきであると思います。しかし、万が一統合できない場合は、複式編制でもいたし方ございません。しかし、中学校を複式にした場合は、教科のレベルの差があるので複式は無理と思います。この点について、教育長のご所見を伺います。
 次に、教員の特別選考についてであります。
 この前説明に来てくれた先生の話では取り入れておるということでありますが、この方法は九六年四月、文部省が「成績よりも人物評価を重視した教員選考への移行」という通知を各都道府県に出したことから全国に広がり、既に北海道や鹿児島県を初め二十二都道県で取り入れられてございますが、これは五月中旬の調査結果でございます。
 そういう制度を行っておる二、三を紹介いたしますと、北海道立帯広三条高等学校の有倉雅史先生、三十三歳、日本体育大学の卒業で教員免許証を持っておりますが、前歴はプロ野球選手でありまして、日本ハム、ダイエー、阪神の投手をしておったそうです。もう一人は、埼玉県立南陵高校の千葉(旧姓梁瀬)かおり先生、同じく三十三歳でございますが、前歴は水泳短距離の日本代表選手であります。変わった人では、香川県立高松桜井高校の滝口幸夫先生、五十二歳でありますが、前歴はNTT四国支社法務担当課長、教員免許なしとなってございます。この先生方のほかにも人生経験豊かな先生が各地で誕生し、校長先生になった人もいます。
 高校野球以外は全国最低クラスの和歌山県のスポーツ振興のためにも、この教員選抜制度を導入してはと提言するものでありますが、教育長の積極的なご回答をお願いいたします。
 最後に、今までは大変厳しい中で、また受験戦争に向けての授業でありましたが、最近はゆとり教育、さらに二〇〇二年から週六日制から五日制となります。五日になりますと、おのずと授業時間が少なくなり、低学年の教育の基本とも言われる反復練習をする余裕がなくなり、講義のみで終わらせるのではないかと考えるのであります。
 「ゆとり」を辞書で引いてみますと、「余裕があること。窮屈でないこと」となっております。この教育方針であれば、さらに小学校の学力低下を危惧するものでありますが、これも教育長のご所見をお伺いいたします。
 以上で、私の最終質問としたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) さきの予算委員会での議員のご要望を踏まえてお答えいたします。
 少子化や過疎化による児童生徒数の減少に伴う小規模校の教育の充実につきましては、複式学級の編制を改善し、児童生徒の可能性を伸ばす教育が展開できるよう努めております。また現在、本県の中学校では複式学級編制を行っている学校はありません。教科指導や進路指導に小規模校の特性が最大限生かせるように指導しているところでございます。
 なお学校の統合につきましては、児童生徒数の推移を踏まえつつ、地域住民の十分な理解を得ながら検討するよう市町村教育委員会に助言をいたしているところでございます。
 次に教員の採用選考検査についてでありますが、本県では、豊かな社会経験と専門性を有した教員を採用するとの観点から、教員免許状を有していなくても受検できるよう平成九年度から高等学校の工業に、続いて商業、さらに看護と、順次その対象教科を拡大するとともに、年齢制限を引き上げ、受検機会の拡大と人物評価の重視に努めてまいりました。また、スポーツや芸術等の分野で特別優秀な実績を有する受検者に対しましては、受検願書にそのことを特記してもらうとともに、実技や面接検査においてアピールできるようにするなど、さまざまな分野で活躍した人物を採用できるよう努めているところでございます。
 議員ご提言の特別選考検査につきましては、その趣旨を十分踏まえながら研究してまいりたいと考えております。
 最後に、ゆとり教育についてであります。
 今日の子供を取り巻く社会の急激な変化に伴い、子供たちの社会性が未発達であるとか規範意識が低下しているなどの問題が生じてきております。こうした状況を踏まえ、新学習指導要領におきましては、完全学校週五日制のもとでゆとりある教育活動を展開する中で、基礎・基本の確実な定着を図り、個性を生かす教育の充実をねらいといたしております。確かに全体の授業時数は減少いたしますが、教育内容の厳選や再構成を行いながら、読み、書き、計算を重視するなど、学力の基本となる知識や技能の確実な習得を図るとともに、各教科や総合的な学習時間の指導を通して学ぶ意欲や学び方、探究心を身につけることにより学力の質の向上を目指しております。
 今後とも、教職員にさらにその趣旨を十分徹底するとともに、習熟の程度に応じた指導や複数の教員で授業を行うチームティーチングなど指導の方法を工夫改善することにより、一人一人を生かした教育の充実に努めてまいります。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、木下秀男君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結するこにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
  【日程第三 議案等の付託】
○議長(阪部菊雄君) 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。六月二十六日、二十七日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、六月二十六日、二十七日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、六月二十八日再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時五十六分散会

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