平成13年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(山田正彦議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時一分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに報第二号から報第五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに知事専決処分報告報第二号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 おはようございます。
 一般質問も後半戦になりまして、大変熱心な議論が闘わされておりますが、私は後半のトップバッターとして登場させていただきました。私なりに三点ばかりご質問し、当局のご回答を期待したいと思います。
 まず、県議会議員の定数減についてであります。
 平成十二年十月一日に実施されました国勢調査の結果は、皆さんよくご存じのように、百六万九千八百三十九人となりました。百七万人を割った結果となったわけであります。県人口の減少は、県勢の浮揚を願う全県民にとって大変残念なことであります。
 そこでまず、確認の意味を含めて、過日、NHKのテレビなどでも取り上げられ、問題点があるかのような報道もされましたが、和歌山県で実施された国勢調査の精度の問題であります。
 調査に当たっては、国勢調査員が戸別に一軒一軒回っていただき、聞き取り調査をし、その数を積み上げていく方法でなされておりますが、調査を進めていく段階では、どうしても不明なケースや調査拒否をされるケースが全国的にあるとお伺いします。和歌山県においても、わずか百六十一名、率では〇・〇一五%の不足でしかありません。誤差の範囲内ではないでしょうか。また、現在発表されている数値は概数値ということでありまして、ことし十月に発表される確定値──は過去の例では余り誤差はないということですが、その辺の精度について企画部長のご意見を、まずお伺いしたいと思います。
 次に、平成十五年四月に執行される和歌山県議会議員選挙では、この国勢調査の結果、残念ながら一名減されることになります。自治法違反になります。私は、あえてこの場でこの問題を取り上げ、今申し上げますのは、当然ながら議員自身にとって、また対象となるであろう地域、選挙区にとって大変重要な問題でありますので、次期選挙まであと一年十カ月となった今から時間をかけて慎重に論議をすべきと考え、質問させていただいているものであります。
 そこで、過去の県議会の関係資料を調べてみますと、国勢調査後の議員定数の改正に伴う条例の提出は、今までは知事がなされているケースが多く見られました。今、盛んに町村合併の問題が話題になっています。近い将来、必ず幾つかの新しい選挙区が誕生することになるであろうと思われます。したがいまして、現十四選挙区最後の選挙になるかもしれません。県当局としては、今回の対応をどのようにすべきとお考えになっていますか。条例提出をお考えとすれば、その時期と、また考えられる一名減に対する腹案がもしあればお伺いしたいと思います。
 次に、教育問題についてであります。
 戦後、半世紀以上経過する中で、荒廃の中から人々は物質的な豊かさを求め、一心不乱に働き、そのおかげで経済的には世界に冠たる地位を築き、大量生産、大量消費、お金と物に価値観を求める時代となり、反面、人間としての本来の姿、他人を思いやる心、倫理観、道徳性が失われてきた時代であると思います。最近は特に、テレビやラジオ、新聞報道でも見られるように、想像を絶する事件が後を絶ちません。親がおなかを痛めた我が子を殺す、子供は産み育ててくれた親を殴り殺す、他人をバーチャルゲームのごとく簡単に傷つける、殺す、自分さえよければいいという意味の「自己中」という言葉が流行語になるぐらいの時代であります。今の日本には何でもありだが、ただ一つないものがある、それは希望だと言っている人もいるぐらいであります。
 しかしまた、戦後の教育は、経済社会の発展にはそれなりに大きな役割を果たしてきたことは事実であると思います。そして、二十一世紀になりました。今後、ますます社会経済システムが大きくグローバル化、スピード化し、変革していく中、人間として、日本人として忘れかけているものをみんなで再構築する世紀にしなければなりません。国においても、二十一世紀は福祉の世紀、あるいは環境の世紀とも言われておりますが、将来を担う子供たちへの教育内容が、新学習指導要領でも見られるように大きく変わろうとしている今世紀は、まず教育の世紀でなければならないと思います。
 そんな中、新聞等の報道でもご承知のことかと思いますが、貴志川町において、全国のどの自治体にも先駆けて、六月三日を「貴志川教育の日」として条例制定されました。作業に当たられた教育委員会の皆さん、教育長のお話をお伺いしました。今、全国的に、いじめ、不登校、学級崩壊、青少年の暴力等、もはや学校だけでは対応できない状況にある中、子育て不安を抱く若いお母さんたちをどうサポートするか、失われかけている子供社会をどう復活させるか、信頼感が低下した学校教育をどう立て直すか、それぞれの立場にある者がみずから行動を起こすときが来ていると考え、これからの教育委員会は学校教育の場だけという狭い意味だけでとられる委員会ではなく、生涯学習という広い範疇の中に学校教育を位置づける生涯学習教育委員会であるべきとの積極的な熱い思いをお伺いいたしまして、私は深い感銘を受けました。
 小関教育長、「貴志川教育の日」制定をどう評価されますか、ご所見をお伺いいたしたいと思います。
 また和歌山県としても、学校教育と生涯学習の振興の機運を高めるためにも、また家庭、学校、地域がそれぞれの役割を担い、連携を深めるためにも「教育の日」を制定し、県内に広く進められたらいかがでしょう。岡山県が近々、県として初めて条例制定の運びとお聞きしております。小関教育長、どうお考えになっておられますか。
 次に、就学前の幼児教育についてであります。
 「三つ子の魂百まで」という、昔からのことわざがあります。就学前の幼児期には、大方の習慣なり、性格なりが形成されると言われております。家庭においては、教育の原点である家庭教育、すなわちしつけであり、幼稚園、保育所にあっては、団体生活の中でのルール、マナー、モラルをしっかりと反復しながら教えることが大変重要なことであると思います。
 教育委員会として、幼児期における幼稚園児への指導状況はどうなっていますか、小関教育長にお伺いいたします。
 また、同じく幼児期の保育所における指導状況はどのようにされていますか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、これは要望でありますが、世界遺産登録に向けての取り組みについて申し上げます。
 世界遺産登録へのプロセスについては、申し上げるまでもありませんが、一九七二年(昭和四十七年)の第十七回ユネスコ総会において、遺産や文化的な価値の高い建造物、貴重な自然環境を保護し、保全し、人類にとってかけがえのない共通の財産を後世に継承していくことを目的に採択され、一九七五年、二十カ国が批准し、発効された条約であります。我が国は、主要国中で世界遺産に関心の低い国と言われてきたそうであります。日本がこの条約を批准したのは、世界遺産採択二十年後の一九九二年のことであります。現在、世界じゅうで遺産登録がされている物件は、文化遺産五百二十九件、自然遺産百三十八件、複合遺産二十三件であります。日本にあっては、平成五年に登録された法隆寺地域の仏教建造物、それからよくご存じの姫路城から平成十二年に登録された琉球王国のグスク及び関連遺産群まで、文化遺産九件、自然遺産二件であります。そんな中、和歌山県として高野・熊野が、関係者のご熱意により、ことし四月にユネスコ世界遺産暫定リストに登載され、今後五年から十年以内に審査を経て世界遺産リストに登録されることになるようであります。今後、関係者の皆さんの一層のご努力を期待いたしたいと思います。
 さて、私たち自民党県議団の有志七名、井出、吉井、大沢、佐田、坂本、生駒各議員、それに私の七名が、四月十一日からオーストラリアのケアンズにあるグレートバリアリーフとクイーンズランドのキュランダ高原の熱帯雨林を見学してまいりました。これは二件とも世界自然遺産でありますが、グレートバリアリーフは、パプアニューギニア近くのトーレス海峡からブリスベーンのすぐ北までに及ぶ長さ二千キロメートル、面積にして三十五万平方キロメートル、日本とほぼ同じ大きさの世界最大のサンゴ礁で、約四百種類のサンゴが二百万年前から成長を始めてつくられたそうであります。特に帰りの飛行機から眺めたそのきれいさは、言葉を失うぐらいの絶景でありました。
 またクイーンズランドの熱帯雨林は、ケーブルカーで横断し、上空から見学いたしましたが、東北オーストラリアの熱帯地域の九〇%を占め、密林に生育する貴重な植物が数多く残され、このように自然がつくり出したスケールの大きさ、不思議さにただただ驚くばかりでありました。
 ただ私は、この二カ所の世界遺産を見学し、そのスケールの大きさや神秘さには驚きましたが、何か感動を覚えることはありませんでした。これは、きっと人々のかかわりがないゆえであろうと思います。頭の中に、すぐ高野・熊野のことが浮かびました。
 高野山金剛峰寺は、平安時代に空海(弘法大師)によって真言密教の根本道場として衆生済世の霊場として開かれ、その後、真言宗の一大メッカとして発展してきたものであり、歴史上でも、また学術上でも顕著な普遍的価値を持つものであります。また、本宮、熊野、那智の熊野三山は、神話の時代にあらゆる生命の源である水に対する信仰から誕生したと言われております。高野と熊野は、仏教と神道の違いはあっても、心に救い、いやしを得られるかけがえのない霊地であり、多くの人々の信仰と参詣を促してきました。
 このことから、高野・熊野は日本を代表する文化遺産であり、我が国で既に世界遺産として登録されている物件にまさるとも劣らない世界遺産であると確信いたします。また、観光立県和歌山としても観光の大きな吸引力となり、観光産業としての大きな起爆剤となることは間違いないことであると思いますが、結果には大いに期待しながらも、ユネスコ条約の本文を最大限尊重しながら、これからの審査基準は大層厳しくなっている様子でありますし、余り華美にならず、環境保全に努め、慎重に対処していただきたいと思いますので、関係各位のご奮闘を期待しながら、今回は要望にとどめておきます。
 以上、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの山田正彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 国勢調査の精度はどうかとのご質問でございますが、平成十二年国勢調査の実施に当たりましては、あらかじめ県下全世帯に調査票を配布し、国から委嘱された七千八百十八人の国勢調査員等により、聞き取り調査を含め、厳正に実施したところでございます。加えて、万が一調査漏れがあった場合には、当該市町村に届け出なければならないことになってございますが、県下各市町村からは調査漏れの報告はございません。こうしたことから、発表された速報値につきましては適正かつ精度の高いものであると確信をいたしているところでございます。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県議会議員の定数減への対応につきましてお答えを申し上げます。
 平成十二年の国勢調査の速報値によりますと、本県人口は百六万九千八百三十九人となってございまして、地方自治法第九十条の規定により本県議会の議員定数の上限は四十六となり、現状より一減となりますので、次回一般選挙までに定数を変更する必要がありますことはご指摘のとおりでございます。したがって、次回一般選挙までに和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の改正が必要となっております。また各選挙区ごとの議員数は、公職選挙法第十五条第八項の規定により「人口に比例して、条例で定めなければならない」とされておりますので、単純に人口比例配分をいたしますと四増五減の変更となります。しかしながら、同項ただし書きの規定により、「特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができる」とされておりまして、このただし書きの適用は議会の裁量事項であるとの判例がございます。
 本県におきましては、従来、このただし書きの規定を適用しまして、県議会において各選挙区ごとの選挙すべき数を定めていただいております。こうしたことから、今回の定数変更に際しましても、県議会の構成の基本にかかわる重要な事柄でございますので、まずは県議会においてご検討いただきたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 保育所における就学前教育の取り組みについてお答えをいたします。
 保育所は、保護者の就労または疾病等により保育の必要なゼロ歳から就学前の児童の保育を実施する児童福祉施設でございます。議員ご指摘のように、社会の一員として守るべきルールやマナーにつきましては、基本的に幼児期から家庭や地域の生活を通して身につけていくものでありますが、家庭の補完としての保育所での指導も極めて重要であると考えております。特に三歳児から就学前の児童については、保育所保育指針に基づき、自主協調の態度を養い、道徳性の芽生えを培うことを目標として保育に取り組んでいるところであります。
 今後とも、地域に根差した保育所として、指導に当たる保育士の資質の向上を図るとともに、地域の人々との交流や幼稚園等関係機関との密接な連携を図り、地域の子育て支援機関としての役割を果たすよう指導してまいります。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題三点についてお答えいたします。
 県民一人一人がゆとりある充実した生活を送るとともに、よりよい地域づくりを進めていく上で生涯学習を推進していくことは非常に重要な課題であると考えております。
 貴志川町においては、早くから生涯学習の町を宣言し、その核となるセンターを建設するなど、大変尽力いただいているものと理解をいたしております。また、このたび全国で初めて「貴志川教育の日」を制定されたことはまことに意義深いものと考えており、これを契機にほかの多くの市町村で取り組みが広がっていくことを期待いたしております。
 次に、議員ご提言の県としての「教育の日」の制定についてでありますが、各市町村の生涯学習の振興に対する県としての支援を十分行いながら、種々研究を進めてまいりたいと考えております。
 最後に就学前教育についてでありますが、幼児期は人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期であり、家庭と幼稚園等が十分な連携を保ち、幼児一人一人の望ましい発展を促していく必要があります。
 そのため幼稚園では、三歳児からの保育を通じて、異年齢での集団活動を重視しながら、例えば田植えや芋掘り体験など、幼児の発展に応じた主体的な活動としての遊びの中で自立心や道徳性の芽生えを培う教育を行っております。また現在、公立、私立幼稚園の新規採用教員の研修や保育所関係者を含めた各種研修などを県教育委員会が実施しているほか、幼稚園教員と保育士との人事交流、施設の共用、子供たちが一緒になった行事などを行っている実態がございます。
 今後とも、福祉行政との連携を一層深めながら、幼稚園教育の充実に取り組んでまいります。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二番山田正彦君。
○山田正彦君 定数削減の問題でありますが、この質問をするにつけ、担当部局といろいろ協議する中で、大変答えづらい質問をいたしました。総務部長、大変答えづらい質問にお答えいただき、ありがとうございました。
 私も、関係資料をいろいろ調べる中では、単純比較すればこういう答えになるしかないんかなと思っています。それから、自分らのことであるので県議会で検討せよというお言葉、まことにもっともなお話であります。ただ、四増五減と言いますと、十四選挙区のうちの九つの選挙区に関係する大変重要な問題であると思います。お互いに真摯に協議をしなければいけないと再確認いたしました。
 それと、一点だけ、ちょっと確認させていただきたいことがあります。公職選挙法第十五条の中の三項と四項の解釈でありますが、現在、十四選挙区の中でこの条件に合う選挙区があると、私は思っています。それは、海草郡と海南市の場合であろうかと思います。当選挙区の議員に対してはまことに失礼な、迷惑千万なことであろうとは思いますが、仮に可能であるとすれば、九つもある選択肢の中の一つに加えられることではないかと思いますので、法解釈におけるご見解をお尋ねしたいと思います。
 それから、教育問題についてであります。
 将来の和歌山県を託す青少年を育てるのは、私たち和歌山県の大人の責任であります。就学前の幼児期の子供たちは、みんな和歌山県の子供たちであります。今お話をお伺いしますと、公立幼稚園については教育委員会、私立幼稚園については窓口が総務部総務学事課、それから保育所についての窓口は福祉保健部子育て推進課が、それぞれの立場で適切に対処していただいているとは思うんですけれども、縦割り行政の弊害が出ることはありませんか。出ていませんか。大丈夫でしょうか。何か事件や事故が発生し、問題化してから慌ててその対策を迫られる治療的教育ではなく、予防教育に今後知恵を絞るべきではないかと思います。お互いの領域にとらわれることなく、連携を密にしてお取り組みをいただきたいと思います。
 知事にあっては──知事は和歌山県のお父さんでもあります。すなわち、子供は知事の子供であります。連携を密にして今後お取り組みいただきますよう、各部局に対してもいま一度改めてご指導いただくよう、この件については要望しておきます。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) お尋ねの海南市選挙区と海草郡選挙区の合区につきましては、ご指摘にありましたいわゆる飛び地特例等を適用いたしまして法律上は可能でございますが、選挙区割りの変更につきましては県議会の今後のご検討にゆだねるのが適切であると考えておりますので、是非に関する見解は差し控えさせていただきたいと存じます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、山田正彦君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ