平成13年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十三年六月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
     ─────────────────────
議事日程 第三号
 平成十三年六月二十一日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに報第二号から報第五号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに報第二号から報第五号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(二人)
     八  番       西   本   長   弘
     三十一番       平   越   孝   哉
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         安   居       要
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       増   田   充   孝
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    中   尾   公   彦
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      井   口   好   晴
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
     ─────────────────────
  午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から監査の結果報告がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  【日程第一 議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに報第二号から報第五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第八十一号から議案第九十九号まで、並びに知事専決処分報告報第二号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十七番生駒三雄君。
  〔生駒三雄君、登壇〕(拍手)
○生駒三雄君 一般質問に入る前に、一昨日の梅雨前線の豪雨により、今のところ、幸い人命が失われず無事救出はされましたが、生き埋めになったり、また各地での土砂崩れ等々、海草、有田、日高地方を中心に県内全域にわたり相当の被害があったと聞いております。我が有田地方におきましても、道路、河川を初め、各分野において相当な被害状況であったようであります。県においても、一昨日来、現地調査に始まり、その復旧に向けて対応策を検討していただいており、深く感謝申し上げます。今後とも関係部局において、復旧等のために速やかに、また適切な対応を図っていただきますよう切に要望しておきます。
 それでは、通告に従いまして一般質問をいたします。
 最初に、有田地方の地域活性化策についてお尋ねいたします。
 木村知事は、去る四月十九日から四月二十二日まで四日間、南紀白浜空港国際チャーター便運航に伴う観光プロモーション活動のため韓国に、また直近では北東アジア地域自治体首脳会議に出席されるため、この十四日から十九日にかけて県の友好姉妹提携先である中国・山東省を訪問されました。もちろん、それぞれの訪問目的の成果は十分果たしてお帰りになられたわけでありますが、一方、こうした機会を通じて海外からの観光客の誘致を図るということも知事の大きな目的の一つであったかと存じます。また、一昨年、南紀熊野地域を中心として開催されました南紀熊野体験博、高野・熊野地域の世界遺産登録に向けた精力的な取り組み等をされているわけでありますが、それはとりもなおさず、本県の大きな特性である豊かな自然、歴史、文化資源を活用した中で国内外に観光立県和歌山をPR、また情報発信をし、県の活性化を図られようとしているものだと考えてございます。
 そうした中、我がふるさと中紀・有田地方を振り返りますと、古来、紀北─紀南を結ぶ水陸交通の要衝であり、現在においても、自然的にも、文化的にも、紀北、紀南の両色彩の重なり合った遷移地帯の感を深くする地域であります。
 そこで、熊野もうでについて少し調べましたところ、皆様方もご承知のように、もうでの最初として知られるのは延喜七年(西暦九〇七年)参詣の宇多上皇でありますが、寛治四年(西暦一〇九〇年)、白河上皇が参詣した熊野もうでを契機としてすこぶる盛んとなり、参詣道の拠点となった王子杜、また皇室にゆかりの深い荘園もたくさんつくられるようになりました。当地方にも、有田市内の山口王子杜跡、糸我王子杜跡を初めとして、数多くそのゆかりの跡地が点在しております。また、高野山を源流とする有田川下流域全域には真言宗、天台宗の開祖による平安時代前期の真言密教文化の西漸とおぼしき寺院、例えば空海の開基と伝えられる有田市古江見の安養寺などの寺院があります。さらに、豊臣秀吉の南征、江戸幕藩体制時代に至るまで幾多の時代の変遷を経る中、仏教文化も真言宗から浄土宗、浄土真宗へと推移していったと推測される現存する数多くの種類の仏像形態等が語るがごとく、当有田地方は歴史と文化の宝庫、紀州の敦煌とも言えます。
 知事は就任以来、ITを活用した施策の推進等々、積極的に新しい施策の展開を図ろうとしておられます。県の第五次長期総合計画において有田圏域は、都市圏、他圏域への隣接性を生かし、先端技術産業の誘致、ミカンを初めとする果実の高品質化を図るとともに、観光農園等、体験型交流施設、食の情報発信拠点を整備し、交流の活性化を図るとうたわれております。
 そこで、知事は開かれた和歌山や二十一世紀における本県の進むべき方向を示す新しいビジョンを構築しようとしておられますが、その重要施策の一つの柱にもなるかと考える新たな観光立県和歌山の確立を目指す中で、紀北・高野山地方、紀南・熊野地方に、地域的にも歴史文化的にも結節点とも言える有田地方を、歴史、文化、自然といった視点に立った中で紀北と紀南、そして海外と有機的に連携をとりながら今後どのように活性化を図ろうとされるのか、また図っていただけるのか、そのお考えを知事にお伺いいたします。
 次に、携帯電話の通話エリアの拡充についてお尋ねいたします。
 先ほども申し上げたように、知事は就任以来、ITを活用した地域の活性化について大変熱心に取り組んでおられます。私も、これからの和歌山県の発展にとって情報通信の基盤整備が大変重要な要素であると考えてございます。
 一方で、今、日常生活において情報のモバイル化が進展する中、携帯電話の果たす役割が大変大きくなってきております。携帯電話は単なる通信手段ではなく、インターネット機能を初めとして付加機能が格段に進歩してきており、今や情報面での生活必需品となってきております。また、災害や緊急時における携帯電話の役割もますます重要視されております。
 私も実際に経験したことですが、有田市の海上で行方不明になった方を地元の方々と捜索活動をしたとき、海岸で捜索する者同士が必死で連絡をとろうとしたのですが、携帯電話が全く通じなかったのです。今、私は、手元にある通信会社のエリア図を持っております。これを見ましても、近畿地方で和歌山県の通話エリアの少なさに唖然とする思いであります。南紀熊野体験博のときに一部山間部が通話可能になったことは大変よかったと思っておりますし、移動通信用鉄塔施設整備事業では国の補助率が二分の一に引き上げられるなど、支援措置の充実が図られていることは喜ばしいことと考えているところでございます。
 こうした現状の中で、携帯電話がある意味で公共的な意味合いを持つほど、その情報の価値が高まっているのであります。私の住む有田市においても、住宅密集地においてでさえ十カ所以上も電波が届かず、連合自治会で署名要望活動が行われている現状であります。幾ら和歌山県は山間過疎地域の面積が広いからといっても、観光面や緊急・災害時のことを考えれば、情報のライフライン機能としての携帯電話網の整備は急務のことではないでしょうか。事業会社のランニングコストの軽減策も含め、早急なエリア拡充についてどのような対策を考えておられるのか、企画部長にお伺いいたします。
 次に、有田川上流の森林の整備についてお尋ねいたします。
 私たち有田地方に暮らす者は、長年にわたり有田川の恵みのもとに生活してまいりました。本県出身の著名な小説家・有吉佐和子氏の名作「有田川」は、紀州でも屈指と言うべき有田川を背景にミカンとともに生きた女性の一生の物語でありますが、この小説の第一章に次のようなくだりがあります。
 「有田川の流れが、水の底の底から静かに千代の口ずさみに合わせるように唄っている。それは幽かな、遠い、しかし確実な川の音であった。雨のない季節で水量は決して多くなかったから、川の音も急流や激流の水音とは比較にならない。それは優しい水が静かに川底を摩擦して起す音とも、深山から流れ流れて伝えて来た水の心の音とも思われた。耳を傾ければ、千代の心の隅にまでしんみりと沁みわたってくるような音であった。 この川は、何処から来て何処まで流れているのだろうか」──以下、主人公・千代の有田川への思いがつづられております。初夏には若アユがはね、盛夏には子供たちが遊び、秋にはミカンの実りを川面に映す、まさに有田川は母なる川であります。
 この有田川が最近、元気をなくしているような気がしてなりません。ことしは特に、春から初夏にかけて異常とも言える小雨であったせいもあるわけですが、水位が下がり、白い河原が広がっているところも少なからずあります。元気をなくしつつある母なる川を憂えているのは、私一人ではありません。有田川に豊かな清流をよみがえらせようではありませんか。
 森林は、水を蓄える緑のダムと言われます。大雨のときに蓄えた水を晴天時には少しずつ流し続け、緑の森林が清らかな水をはぐくんでくれます。私たち流域に住む住民は、この森林の大切さを決して忘れてはなりません。森林はまた、海にとっても大変大事な役割を担ってくれております。例えば、北海道の襟裳岬の例でもそうですが、明治以降の本州からの入植者により森林が伐採され、荒廃が進むにつれ土砂が流出し、沿岸の根つき魚や回遊魚がいなくなり、コンブなどの海草も根腐れを起こして、かつての好漁場が消滅してしまったのであります。昭和二十九年からおよそ四十年にわたる緑化事業によって、約七〇%の森林がよみがえったそうであります。緑化面積と水揚げ高の経年変化を見ますと見事な相関関係が見られ、近年では緑化前の約二百五十倍の漁獲量となっているとのことであります。また、宮城県気仙沼では、豊かな海は森林によって支えられているとの考えから「牡蠣の森を慕う会」をつくって、漁業関係者を中心に植林活動を行っているということも聞いてございます。
 こうした例を見ましても、森、川、海が一つながりの生態系としてとらえることが大事であります。森の栄養分が海の生物を育てるのです。今、地球環境に果たす森林の大きな役割を考えることが重要なことではないでしょうか。森林の整備に当たっては、上流の市町村だけで取り組むのではなく、下流の利用者もその重要性を認識し、地域全体が森づくりに参加することが重要であると考えております。
 母なる清流有田川の再生に向けて、農林水産部長に次の点についてお聞きします。
 一、有田川流域での水資源確保に向けた森林整備の現状とその取り組み。
 二、水資源の確保のための広葉樹植栽への取り組み。
 最後に、国道四十二号有田─海南間の渋滞対策等についてお尋ねいたします。
 この問題については、現松本有田市長並びに尾崎先輩議員を初め、過去幾たびとなく県議会一般質問において質問されております。私自身も、平成十二年十二月定例県議会一般質問の場において質問させていただきました。こうしたことは、とりもなおさず、この問題が有田、下津、海南地域に生活する地域住民にとって、日常生活はもとより産業経済活動の発展にも大きな支障を来しており、大変深刻で重要な問題であるということであります。
 関係市町村等で組織している国道四十二号・有田下津海南間整備促進協議会等を通じて要望活動などをする中、県においてもこうした地域住民の切実な願いを受けとめ、道路整備の重点施策の一つとして取り組んでいただいていること、地域住民を代表して深く感謝を申し上げます。
 この渋滞対策については、国、県、関係市町村の間で協議会を通じて何度も話し合いが持たれ、解消方法が検討され、交差点改良等、一定の成果は見られます。そうした中で本年六月五日に開催された国道四十二号・有田下津海南間整備促進協議会の場で、四車線化に関する現道拡幅ルートとバイパスルートの考え方について国の方から説明がありました。地元としてもルート決定に向けて最終的な判断をしなければならない時期であると考えてございますが、今後どのように進んでいくのか、また当面の渋滞解消のための現状の取り組み、対応策について、土木部長にお尋ねいたします。
 一方、地域住民の日常生活及び産業経済活動を行うに当たって、大きな役割を果たしている近畿自動車道紀勢線についてお尋ねいたします。
 現在、海南─吉備間は一般有料道路海南湯浅道路として供用しており、一日平均二万台を超える交通量でありますが、二車線であるがゆえに年間を通じて土、日などに交通渋滞が発生しており、特に行楽シーズンにおいては相当な延長の渋滞が起こっております。さらに、交通安全面においても、二車線では一たん交通事故が発生すれば大事故につながる可能性があります。地域住民とすれば、そういったことからも一刻も早く四車線化を切望するものであります。
 そこで、事業進捗の状況と今後の取り組みについて、また料金体系の考え方についてもあわせて土木部長にお尋ねいたします。
 これで、壇上での一般質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの生駒三雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの、有田地方をこれからどうしていくのかというご質問でございます。
 非常に情熱あふれる質問で、私も聞き入ったわけでございますけれども、私がかねてから申しておりますように、和歌山県は非常に広い地域がございます。いわゆる紀の川筋もあれば紀南もある、やっぱり全然特性の違うところもあります。そういう特性に応じた発展方策を講じていかなければならないと、まず考えているところでございます。
 その中で、有田地方でございますけれども、私などの感じでは、何といっても和歌山はミカン、そして有田ミカンという感じがもう昔からずっと強いわけでございます。こういうふうなミカン──そして今、有吉佐和子先生の「有田川」のお話がありました。私も十年ぐらい前に読んで非常に感動したわけです。今、記念館をつくろうというようなこともちょっとやっておりますけれども、それもやっぱりこの「有田川」を読んで感動したということも一つの原因になっているわけでございます。このミカン、有田川に限らず、湯浅のしょうゆとかすばらしい海岸。山もあります。海もあります。本当にすばらしいところだと思うわけです。
 ただ、どちらかというと、「紀北」という言葉と「紀南」という言葉の中で、有田は紀南なのかも──「紀中」という言葉を使いますけれども、どちらにもつかないというところで、若干見落とされているようなところもあると思いますので、これからは、今おっしゃったように、ここには高野山からの非常な伝統もあるわけですし、そして海、山、川、町と、もう本当にすばらしいものだらけなので、IT化の中での観光振興ということも図っていこうと思いますし、特産物みたいなものをうまく売っていくようなシステム──この間、私も白浜の方へ行ってそういうものを見てきたんですけれども、こういうものもこの有田の辺でやったら──今度、高速道路も四車線化してくると都会からもたくさん人が来ると思うので、そういう展開も非常に図りやすい地域だと思っております。そういう有田地方の特性を最大限に生かして有田地方が振興するように頑張ってまいりたいと思いますので、またいろいろお知恵をいただきたいと思います。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 携帯電話の通話エリアの拡大についてお答えをいたします。
 お話がございましたように、携帯電話は極めて公共性の高いものであるばかりか、緊急時における情報伝達手段としての役割も果たしてございますので、そのエリア拡大は今後とも重要な課題であると認識してございます。
 通話エリアの拡大に向けましては、通信事業者も地元の受信状況の調査を行い、既存施設の改善等、可能な措置を講じているところでございますが、新規の施設整備につきましては、移動通信用鉄塔施設整備事業による国の補助制度を活用してもなお通信事業者に負担が伴いますので、現時点におきましては事業者の進出は難しいというのが実情でございます。
 このため、平成十三年度からは通信事業者の負担が軽減されるよう補助率の改正が行われましたが、県といたしましても、さらに通信事業者が進出しやすいよう、ランニングコストの軽減も含め、支援制度のさらなる拡充を要望しているところでございます。
 今後とも、地元の要望等を踏まえ、通信事業者に対してエリア拡大を強く働きかけてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 有田川流域の森林整備についてのご質問にお答えいたします。
 まず、有田川流域での水資源確保に向けた森林整備の現状とその取り組みについてでございますが、議員お話しのように、森林整備により多様な森林を育てることが大変重要なことと考えてございます。水源地域における森林整備で今最も緊急な課題は、手入れの行き届いていない人工林の解消であります。そのため、水資源の確保を主目的とした水源地域整備事業などを実施するとともに、平成十二年度から和歌山県緊急間伐五カ年対策により四万五千ヘクタールの間伐実施を目標に取り組んでいるところでございます。有田川流域におきましても、これら造林・間伐事業や治山事業を中心に、本年度において約六百ヘクタールの間伐を実施しているところでございます。今後さらに、重視すべき機能別に森林を区分し、水源涵養機能が求められている森林については杉やヒノキと広葉樹とが混交した状態に仕立てていくなど、機能が十分発揮できる森林づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、水資源の確保のための広葉樹植栽への取り組みについてでございますが、本県においても、漁業関係者が森林造成に参加したり、下流市町村が水源基金を造成して水源林の整備を行っている事例が見られ、県でも有田川流域におきまして「カシの木バンクの森づくり」や「海と森の交流事業」などを実施してきたところでございます。今後とも、森、川、海の連携を踏まえ、広葉樹林整備特別対策事業等を活用し、クヌギやケヤキなどの広葉樹の植栽に取り組むとともに、森林ボランティア活動への支援を通して下流域住民の森林整備への意識の高揚に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 国道四十二号の有田─海南間の渋滞対策でございます。
 現在、国において関係する市及び町の意向を聞きながら、四車線化の計画を検討しているところでございます。ルートにつきましては、国において今年度から絞り込みの作業に入っていくと聞いてございます。それには、市及び町が町づくりの中に道路を位置づけし、国に働きかけていくことが必要でございます。県といたしましても、事業主体である国と町づくりの主体である市及び町の間に立って積極的に調整を図ってまいりたいと考えてございます。
 また、当面の対策でございますが、海南市冷水交差点改良を残すのみとなっており、今年度は地質調査を実施するとともに、用地交渉を進めていく予定でございます。
 次に、近畿自動車道紀勢線海南─吉備間の進捗状況等につきましては、日本道路公団が現地の測量調査を終え、これから地元へ設計協議に入っていく予定でございます。県としましては、料金体系の見直しを要望していくためにも、用地買収を一日も早く完了し、早期供用を目指してまいります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十七番生駒三雄君。
○生駒三雄君 ただいま、知事から有田地方も紀北─紀南の通過点にならないようにという生の声をいただいて、うれしく思っております。
 皆さんから答弁をいただきました。ありがとうございました。知事からは今後の有田地方の活性化策についていろいろいただいたわけでありますが、私も知事のおっしゃるように、あくまでも地域住民主導で地域の特性、ポテンシャルを生かしながら地域の活性化を図っていかなければならないと考えております。
 そこで、私見ではございますが、例えば起爆剤的に、先ほど知事が言ってくれましたように、有田といえばミカンというように、世界のかんきつと食の博覧会というようなイベントを実施して地域の活性化につなげていけるようなことができればと考えているところでございます。
 過去において開催されました世界リゾート博、南紀熊野体験博が成功裏に終えられました。観光振興策等を検討するにおいても、ぜひとも国際化社会を迎えた二十一世紀、近畿における和歌山県、和歌山県における有田地方を十分認識し展望した中で、県が主体的になり取り組んでいただく中で、有田地方の活性化を図っていただけますよう強く要望しておきます。
 これは要望で、これで私の質問を終わらせていただきます。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で生駒三雄君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。ただいま、議長のお許しをいただきました。一般質問はきょうで二日目で、私は六人目でございます。先輩議員の質問と重複する点、お許しをいただき、通告に従って質問をさせていただきます。
 最初に、地方交付税等の見直し問題についてお尋ねいたします。
 六月十三日開会されました六月定例議会で、「地方の道路整備の促進と財源措置に関する意見書」と「地方財政制度の見直しに関する意見書」をそれぞれ可決いたしました。一方、六月定例会の知事の説明では、改革の断行が必要であるとしながらも、道路特定財源の見直しについて、「本県の道路整備がおくれることのないよう財源措置を国に強く要望した」、そして「地方の立場をはっきりと主張し、国において地方の意見を十分に踏まえながら検討を行うよう働きかけてまいりたい」、また、地方交付税制度の見直しについては、「地方公共団体の財政力の格差について調整機能を担っており、税源が偏在している現状では税財源の再配分機能を確保する必要がある」、そのために片山鳥取県知事と共同で国の地方交付税制度の見直し等に対して、地方の立場から「自主的な財政運営を可能とする地方財政制度の確立を求める共同アピールを行ったところでございます」と表明されました。宮城県の浅野知事は道路特定財源の見直しについて、「議論を単純化すれば、この問題は都市のエゴと地方のエゴのぶつかり合いである」と言っております。
 公債や起債の残高が国と地方を合わせて六百六十六兆円、しかも国は来年度の公債発行を三十兆円に抑えるという状況の中で、地方交付税の見直しや道路特定財源を初めとする財政構造改革は避けて通れない課題であります。私は、改革断行には当然痛みが伴うものでありますが、本県のように財政基盤が弱く財政力指数が低い地方が不利益をこうむるような改革であっては断じてならないと考えます。
 知事は記者会見で、片山鳥取県知事と共同アピールを行った際に、財政基盤の弱い県の知事らにも呼びかけ、小泉内閣が地方財政改革を論議する上で地方の実情を的確に認識するよう働きかけてまいりたいと話しております。共同アピールの内容と他府県の反応はいかがでしょうか。また、地方分権の時代にふさわしい自主的な財政運営を可能とするための全国大会の開催を財政基盤の弱い他府県に呼びかけたらどうかと考えますが、知事のご見解を承りたいと思います。
 地方分権推進委員会の最終報告書では、国税の所得税の一部を地方税の個人住民税に、消費税の一部を地方消費税に組みかえ、その一方で地方交付税や国庫補助金の削減を図る具体案を盛り込んでおります。所得税や消費税は法人税に比べて地域間の隔たりが比較的少ないわけでありますが、本県のように過疎地域を抱える市町村レベルでは、財政力の格差はさらに広がるものと思われます。財政力の格差をならすための方策について、知事のお考えをお聞かせください。
 平成十年度に、小規模自治体の一人当たりの行政経費が総体的に割高になることに配慮した地方交付税の係数が見直されました。人口四千人未満の町村を対象に国は地方交付税の算定基準を見直したわけでありますが、本県の小規模町村への影響はどのようになっているのか、また小規模自治体への財政的な締めつけと市町村合併との関連について、総務部長にお伺いいたします。
 次に、ハンセン病問題についてお尋ねいたします。
 先月、熊本地方裁判所におけるハンセン病国家賠償請求訴訟について、極めて異例の判断でありますが、国は控訴を行わないことを決定いたしました。そして、「ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向けての内閣総理大臣談話」と政府声明を発表いたしました。また、衆参両院では今月七日、八日の衆参本会議で、それぞれハンセン病患者、元患者への謝罪と国会の責任を求めたハンセン病問題に関する国会決議が全会一致で可決されました。その内容は、長年とられてきた隔離政策により多くの患者らが受けた苦痛と苦難に対し「深く反省し謝罪の意を表明する」、「このような不幸を二度と繰り返さないよう、すみやかに患者、元患者に対する名誉回復と救済等の立法措置を講ずることをここに決意する」というものであります。この決議を受けまして、六月十五日にハンセン病の患者、元患者への補償法案が可決成立いたしました。法案には、ハンセン病療養所入所者らのこうむった精神的苦痛に対する補償金支給と患者、元患者の名誉回復などに必要な措置が盛り込まれております。
 私は最近、国本衛氏の書かれた「生きて、ふたたび」を読みました。国本衛氏は十四歳のときにハンセン病を発症、東京の国立ハンセン病療養所多摩全生園に入所している方で、らい予防法人権侵害謝罪・国家賠償請求訴訟に第一次提訴原告の一人として参加、口頭弁論で原告意見陳述をした人であります。
 ここで、その一節をご紹介させていただきます。
 「わたしは罪人以上の扱いを受けながら、そのような目に遭わせた国の責任をあいまいにしたまま、死ななければならないのか。 取り返しのつかない歳月をどうとり戻せるのか、それらにたいし、国はなんの詫びもない。各園の納骨堂には、望郷の思いを胸にしながら、帰りたくとも帰れなかった者が、遺骨になっても、なお帰れないでいる。 怒ることさえ奪われてしまった者たちが、今、怒ることを思い起こし、怒りを噴出させた。療友たちは国にたいし、謝罪と国家賠償を求めて訴訟を起こした。 許し得ない。死にきれない。わたしも今七十三歳にして、その思いはつのるばかりだ。一九九九年三月二十六日、国を相手に告訴した。生きてふたたび、わたしは闘いたい。健康状態からいって、わたしが生きている間に判決の日を迎えることはないかもしれない。それでもわたしは己に悔いなく生きるために、提訴した。 「らい予防法問題」はまだ終わっていないのだ」。
 この本を読みますと、長い歴史の中で患者、元患者の皆さんが強いられてきた幾多の苦痛と苦難、亡くなられた人たちの無念の思いがひしひしと伝わってまいります。従来の政府見解ならば、国家賠償を認めた熊本地裁判決に対しては控訴が常識で、報道等でも控訴して和解の道を探る方針が強調されておりました。これが一転して、極めて異例な措置として控訴断念となり、「ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向けての内閣総理大臣談話」と政府声明を発表、ハンセン病患者、元患者への謝罪と国会の責任を認めた国会決議、補償法の成立となりました。まさに二十一世紀の「人道の世紀」、「人権の世紀」への扉を開く一つの大きな象徴として国の対応を高く評価するものであります。
 木村知事は、国が控訴を断念したハンセン病国家賠償請求訴訟で、「県内でも患者の人権を無視した対応があったことについておわびする」と、謝罪するコメントを今月八日に出されました。おわびの中で、戦前に患者を強制的に療養所に送る「無らい県運動」に取り組んだことなどへの反省も踏まえたとしています。そして、知事の代理として六月十四日、県幹部は岡山、東京、群馬の各国立療養所に知事のおわびと励ましのメッセージを伝えに行かれました。
 一方、鳥取県の片山知事は、六月十二日、岡山県のハンセン病国立療養所を初めて訪れ、鳥取県出身の入所者に「国の隔離政策の一翼を担ってきた県として多くの人にむごい仕打ちをしたことを自覚し、反省する」として、みずから足を運んで謝罪されております。大阪府の太田知事は、六月中にも府出身の入所者が暮らす岡山県邑久町の長島愛生園と邑久光明園の二カ所を訪ね、直接謝罪することになっております。また、坂口厚生労働大臣も、六月十六日、熊本県の国立ハンセン病療養所の菊池恵楓園を訪問し、療養所入所者に国の隔離政策で苦痛を与えたことを謝罪されております。
 本県出身のハンセン病療養所入所者は高齢化で──平均年齢が七十四歳と承っております──療養所から里帰りできる人は限られております。また、知事を知らない人ばかりであります。私は、知事ご本人がみずから足を運んで療養所を訪れ、本県出身の入所者に直接会って謝罪すべきであると考えます。知事のご見解を承りたいと思います。
 また、片山知事は入所者らに対し、療養所で他界した同県出身者の遺骨について、遺族の理解を得た上で故郷に埋葬されるよう県として橋渡しをしたいと述べ、県内遺族らに働きかけていくことを約束し、遺骨を故郷で埋葬する際の諸経費などを六月補正予算案として三百万円計上しております。
 先ほどご紹介いたしました国本衛氏の書かれた「生きて、ふたたび」の中の「各園の納骨堂には、望郷の思いを胸にしながら、帰りたくとも帰れなかった者が、遺骨になっても、なお帰れないでいる」との記述に思いをはせるとき、本県出身者の遺骨を遺族の理解を得た上で故郷で埋葬する際の諸経費を県で支援すべきであると考えます。県出身者の遺骨の帰郷を含めた里帰りなどへの支援策について、知事のご所見を承りたいと思います。
 ハンセン病は、もともと感染力の弱い病気であります。昭和二十二にプロミンやリファンピシンの新薬の出現で不治から治癒へと、時代も治療も大きく変わりましたが、政府は明治以来の予防法に固執してきました。平成八年にようやくハンセン病予防法は廃止になりました。そのとき、多くのハンセン病の患者の皆さんからは、なぜ国は今までの隔離政策などのハンセン病政策の間違いを認めないんだ、なぜ国はハンセン病予防法の過ちを認めないんだと、こういう声が上がったわけであります。今回、控訴を断念するまでは具体的な解決とならなかったわけであります。一切、国の政策の誤りを認めませんでした。 今回の「ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向けての内閣総理大臣談話」は、「我が国においてかつて採られたハンセン病患者に対する施設入所政策が、多くの患者の人権に対する大きな制限、制約となったこと、また、一般社会において極めて厳しい偏見、差別が存在してきた事実を深刻に受け止め、患者・元患者が強いられてきた苦痛と苦難に対し、政府として深く反省し、率直にお詫びを申し上げるとともに、多くの苦しみと無念の中で亡くなられた方々に哀悼の念を捧げるものです」となっております。
 政府は、ハンセン病施設入所政策九十年の歴史の中で、初めてハンセン病患者、元患者に対して深く反省し、率直におわびをしたわけであります。また、先ほども申し上げましたように、木村知事も他府県に先駆けていち早く──一番早かったので、本当にすごいなと思ったんですが──かつて人権無視の対応があったことにおわびすると謝罪をされました。この点は評価させていただきます。
 本県での「無らい県運動」の実態とハンセン病患者、元患者に対する名誉回復と差別や偏見解消へ向けての今後の取り組みについて、福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、本県の再生をかけたITへの取り組みについてお尋ねいたします。
 私は、昨年九月と十二月、本年二月定例会の一般質問で、IT化の促進についてお尋ねいたしました。質問のたびに知事からは、本県のIT化に向けての並々ならぬ決意をお聞かせいただきました。そして、昨年九月定例会の一般質問で私が提案させていただきましたIT施策を推進するためのIT戦略本部が設置され、第一回目の本部員会議の初会合が本年四月二十四日に開催されました。IT戦略本部の今後の活動予定を見ますと、IT戦略マップの作成とあわせ、平成十四年度施策の予算化となっておりますが、情報技術は日進月歩であります。本県にとって目をみはるような新たないい提案があれば、補正予算を組んででも事業化を図るべきだと考えます。この点は要望させていただきます。
 一方、ホームページも所属別に開設され、職員の皆さんのご苦労もあって、本県のIT化はかなり促進されてきたと思います。知事はかねがね、「IT先進県を目指す」と言われております。職員の皆さんにはご苦労でありますが、さらに積極的な取り組みを期待するものであります。
 現在、県民に対してIT講習が実施されております。大変好評のようであります。ある町では、申込者が殺到し、わずか十分で申込枠がなくなっております。その町では、そういう状況でありますので、学校の夏休みを利用して再度IT講習が行われるそうであります。特に和歌山市はIT申し込みの競争率が二倍、県下では大体一・七倍というようになっているわけでございます。このIT講習の大きな反響とあわせ、今後、ふるさと和歌山わいわい市場の構築やバーチャル和歌山構想の事業化を進められるわけでありますが、IT講習の現状とIT化への課題について、知事並びに企画部長にお伺いいたします。
 通産省(現経済産業省)とアンダーセンコンサルティングの調査によりますと、今後五年間でIT化によって創出される雇用の内訳は、電子商取引関係で百五万人、新製品・サービス事業で六十八万人、情報通信産業で七十六万人となっております。一方、削減される雇用は、企業内の情報化で五十三万人、電子商取引の普及で百十万人としております。差し引きますと、八十六万人の雇用が拡大されるということになります。 
 また、二十一世紀産業戦略研究所、これは二十一世紀産業戦略会議──議長は経団連の今井敬新日鉄会長──の傘下にある研究所で、そちらの調査によりますと、アメリカは一九九一年から十年間に大企業などから三百万人の雇用が放出された、いわゆる離職者が出たということであります。それから十年間で二千七十万人の新たな雇用が生まれたと、このように記述しております。トータルとして失業率は大きく下がったと。そして、二十一世紀産業戦略研究所は、アメリカが一九九一年以降十年間で実現したことを日本が短期間に実現すれば、過剰雇用の五百万人を吐き出して余りある雇用を創出することができると。日本のeコノミー化がおくれればおくれるほど付加価値はアメリカに持っていかれ、雇用機会も減少するとしております。
 本県でのIT化の推進は地域の活性化と雇用の確保にどのように貢献するのか、商工労働部長にお伺いいたします。
 次に、大阪府池田市で起きた児童生徒殺傷事件につきまして、お尋ねいたします。
 去る六月八日、大阪府池田市で白昼、小学校へ侵入した男に一、二年生の児童が襲われ、八人が殺害され、教諭二人を含む十五人が負傷するという痛ましい事件が起きました。同じ年ごろの子供を持つ親として余りにも残忍、残酷な出来事に、憤りを感じるものであります。改めて、亡くなられた子供たちに心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。
 本来安全であるべき学校で発生したこのような事件は、二度と起こしてはなりません。この児童殺傷事件は、全国の小中学校などの安全管理体制に大きな不安を投げかけております。県教育長はこの事件をどのように受けとめておられるのか。
 また、今後再びこのような痛ましい事件を起こさないため、さきに県下市町村に出された安全対策について、その実施状況を総点検するなど、小中学校等の安全管理に万全を期すべきであると考えます。また、児童生徒の保護者、自治会など地域住民、市町村、児童相談所、警察など、地域の諸機関が学校などと協力し、学校等安全対策協議会(仮称)を設置し、日常的に地域ぐるみで学校の安全を確保する体制をつくるべきだと考えます。教育長のご所見をお願いいたします。
 最後になりました。和歌山市のケアマネジャー事件について、これは要望させていただきます。
 先月、和歌山市で介護保険の利用者がケアマネジャーによって殺害されるという痛ましい事件が発生いたしました。私は、一昨年六月の定例会の一般質問で、ケアマネジャーの研修を実施すべきであるとの質問をいたしました。当時の福祉保健部長から、「一部の地域ではケアマネジャーの方々がお互いの資質向上を目的としての自主研修がなされており、県においてもこうした自主研修の動きが広がるよう支援しているところでございます」との答弁がございました。それだけに、今回の事件はまことに残念のきわみであります。
 県は、今回の事件を踏まえて、再発防止に向けて通知の発出や居宅事業所に対して集団指導を県内四カ所で実施されるなどの対応をしてこられました。また一方で、厚生労働大臣あてに、介護保険制度に対する信頼の確保について、介護支援専門員に対する受験資格の厳格化や介護支援専門員の資格取り消し要件の明確化などを求める要望書を出されております。
 その後、県長寿社会推進課の調査で、強盗殺人罪などで起訴されたケアマネジャーがサービス内容を利用者や家族に説明して文書で同意を得ていなかったことが判明、介護保険法施行令に基づく行政処分で殺人の罪を犯したケアマネジャーの資格が六月十八日付で剥奪されました。
 五月二十八日、厚生労働省は全国介護保険担当課長会議で、今後とも、かりそめにもこうした信頼関係が損なわれることのないよう、各都道府県におかれてもさまざまな機会を通じてその趣旨の徹底を図るとともに、介護支援専門員連絡協議会等の関係団体における取り組みへの助言等をお願いしたいとし、介護支援専門員連絡協議会、事業者団体等における取り組み例を示しております。
 その取り組み例の中に、大阪府介護支援専門員協会の介護支援専門員の信頼回復に向けての緊急声明や、何々県ホームヘルパー協議会、ホームヘルパー倫理綱領などがございます。本県は、今回の事件の震源地でもあります。今回の事件は例外的なものであり、特定の個人としての問題とも言えますが、介護保険一年目を迎え、介護保険がようやく定着しようとしていたやさきに、全国の介護支援専門員がこの一年必死に築き上げてきた利用者との信頼関係を一瞬のうちに根底から覆すことにもなりかねない出来事でありました。それだけに今回の衝撃は、全国の介護支援専門員だけでなく、社会や利用者にも戸惑いと不安を与えることになりました。
 県は、介護支援専門員連絡協議会や事業者団体における取り組みへの指導、助言等を行い、協議会や事業者団体が自発的に緊急声明や倫理綱領を策定し、その内容を全国に発信すべきであると考えます。この点、指導、助言をいただいて策定されますよう強く要望をさせていただきまして、私の第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず初めに、地方交付税等の見直しについてお答えを申し上げます。
 地方交付税の見直しにつきましては、構造改革という中でいきなり地方交付税を見直すとか道路特定財源を見直すという話が出てきましたので、これは大変だということで、全国で一番最初だったんですけれども、鳥取の知事と一緒に、そういうお金の話だけで処理するのはちょっとおかしいじゃないかというアピールを発表いたしました。そのときに、あわせて関係の余り豊かでない──という言い方は語弊がありますけれども、交付税がたくさん来ているような県の知事にも一緒にやりませんかという働きかけをいたしましたところ、幾つかのところからは非常に前向きな話も返ってきました。そして、その中で、改革派七知事という人たちがまたアピールを出したものですから、最初のやつがちょっと消えてしまったような面もありますけれども、逆に言えば、私どもがそういうアピールをしたことがそういう流れにもなってきたのではないかと自負しているわけでございます。
 しかしながら、昨日公表されました「骨太の方針」の要旨の中では、やはり非常に厳しい内容になっていると。ただ、地方公共団体の方で非常に危機感のあらわれがあったために、ようやく税源の移譲というふうなことも中身に入ってきたので、これはやはりアピールをしたりいろいろ問題意識を持ったことの成果であったとは思っているんですけれども、やはりまだ相変わらず厳しい内容があると。
 先日も申し上げましたように、和歌山県の場合、仮に税源を移譲されても、その税源が和歌山県に広く存在するような税源でなければ相変わらずその格差は開いていくということにもなりますので、そういうことにならないように、そしてまた地方交付税の見直しも、その地方の公共団体が今までのような──今までどおりではいけないのかもしれませんけれども、改革の中で従前の運営を続けていけるような仕組みを求めるということは相変わらず大事なことでございますので、引き続き関係県とも歩調を合わせながら要望してまいりたいと。
 そして、全国大会というお話がありましたけれども、これは「骨太の方針」がまとまってきたり、そしてまたいろいろな動きが出てくると大変なことになってくると思いますので、当然、全国大会、そしてまた大きな形でのアピールというものにつながってくる。そういうときには和歌山県も率先してその中心的な役割を果たしていきたいというふうに考えております。
 それから、財政力の格差をならすためということで、これもこの間申し上げましたけれども、なかなか税源の移譲だけでは財政力の弱い県が十分やっていけるような仕組みは僕はないと思います。やはり何かの形で財源調整制度は必要だと。きょうの新聞にも、豊かな県からそうでないところへお金を移動するような方策を学者の方が発表されたというようなことが載っていましたけれども、いずれにせよ、税源の移譲について、普遍性のある税源というものを探してきて税源を移譲してもらうことが第一だと思いますし、それから、その後残ってきたさらなる調整ということについては──今までの地方交付税制度もある程度見直しは必要なのかもしれませんけれども──そういう財源調査がやはり必要だという観点のもとに、よりよい制度を案出する努力を続けていただくということが私は何よりも大事なことではないかと考えております。
 次に、ハンセン病に対する問題でございます。
 ご質問にもございましたが、私は他の県に先駆けてハンセン病問題に対するコメントを発しました。このことがその後の各県の積極的な対応を引き出す原因の一つにもなったのではないかと、きのうのご質問、そしてきょうのお話などを聞いて、改めて早く対応してよかったなという気持ちを深めているところでございます。
 そしてまた、先ほどもありましたように、一刻も早くおわびの意を元患者の皆様に伝えるべく、十四日に和歌山県出身者が入所する全国四カ所の国立療養所に福祉保健部長、東京事務所長らを派遣しておわびと励ましのメッセージを伝えるとともに、要望を聞き、遺骨の眠る納骨堂に献花をさせていただきました。私も、入所者の皆様とは機会をとらえ、現地訪問をも含めて直接お会いする機会をつくっていきたいと、このように考えているところでございます。
 次に、里帰りなどへの支援策でございます。
 和歌山県では、現在までハンセン病元患者の皆さんへの支援策として和歌浦健康相談所における健康相談、生活支援及び個別里帰りへの支援ということ、そして年一回の集団里帰り事業、入所者に対する慰問事業等を県の単独事業として実施してまいりました。これらの事業につきましては、過去の経緯を重く受けとめ、積極的に取り組んでまいります。これは当然、今回の大きな変化ということをやはり取り入れたものでなければならないと思いますので、そういう観点から考えてまいりたいと思います。
 なお、ご指摘の遺骨の里帰りにつきましては、和歌浦健康相談所の活動を介し、家族のご理解を得て相当数の遺骨が帰郷しており、今後とも家族の依頼を受けて支援を続けてまいりたいと考えております。
 しかしながら、いまだ地域においてはハンセン病に対する差別や偏見が存在することも事実でございます。この状況を真摯に受けとめて、ハンセン病に対する差別と偏見の解消にこれまで以上に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 最後に、IT化への取り組みでございます。
 IT化につきましては、当初予算でもいろいろご理解をいただきまして、いろんなIT施策を予算の中に組み入れました。そして、この中で、例えばIT推進本部でありますとか、ITアドバイザー会議というものを設置いたしまして、既に会合も開いてまいりました。しかしながら、このIT化ということは本当に日進月歩でございまして、毎朝新聞を開くと新しい動きが出ているという中で、少しでもスピードを緩めるとやはりおくれてしまうという面がございます。そしてまた、残念ながら和歌山県は、IT先進県になろうと頑張ってはおりますけれども、今の状況はIT後進県でございます。そういう現実の状況を十分踏まえながら、より積極的にIT先進化へ取り組んでまいると。
 先般も、バーチャル和歌山関係の会社の発起人会がございまして、これもいずれ出てまいりますし、そしてまたわいわい市場も、いろいろ入ってくれる方を募集しながらやっております。そして、講習でございますけれども、これも非常に好評裏に今行っているところでございますけれども、やっている中で出てきたいろいろな問題について、それをフィードバックして後期にはもっとよりよくするという努力もしていきたいというふうなことを考えて、全面的にこのIT問題に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 地方交付税等の見直しについてお答えいたします。
 地方交付税の係数見直しの影響でございますが、人口など測定単位の多少に応じて単位費用当たりの経費が割安あるいは割高になることを補う段階補正については、議員お話しのとおり、平成十年度から見直しが行われております。平成十二年度の基準財政需要額への影響額は、九町村で合わせて約二億円と推計をいたしております。こうした段階補正の見直しは、平成十年五月に閣議決定された地方分権推進計画に盛り込まれた地方交付税における算定の簡素化、簡明化にのっとって行われたものと承知をいたしております。
 なお、今後、限られた財源の中でますます多様化、高度化する行政需要にこたえていくためにも、地方分権の時代を踏まえ、簡素で効率的な行政の確立に向けた自主的な取り組みが重要でございまして、また財政基盤強化のためには市町村合併等も積極的に推進する必要があるものと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) ハンセン病問題の「無らい県運動」の実態、名誉回復や差別解消についてお答えをいたします。
 和歌山県では、昭和三十二年当時より、患者や家族の方々に対して県としてできるだけのことをすべきだとの考えにより、和歌浦健康相談所を開設し、いち早く在宅治療等に取り組むとともに、ハンセン病を患った方々やその家族の相談、療養所から帰郷した方々のお世話等をしてまいり、「救らい県」とも呼ばれてまいりました。この間、現在まで一貫して患者、元患者の方々、またその家族の信頼を得てお世話に当たってこられました西栄一和歌浦健康相談所長には、この場をおかりして敬意を表する次第でございます。
 しかしながら、かつて、特に戦前には、県内におきましても他府県と同様に患者の人権を無視した対応があったことも事実であります。ハンセン病で長期にわたり深い苦しみを受けた方々に対し、その事実を真摯に受けとめるとともに、今後ともより一層差別のない地域づくりに取り組んでまいります。特に本年度は、ハンセン病に対する差別、偏見の解消のために、喜の国人権フェスティバルにおいてハンセン病のパネル展を開催する等、さまざまな啓発の場を通じて正しい知識の普及に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) IT講習会の現状についてでございますが、本県では約六万人の講習を実施することとしてございまして、県主催で一万二千人、市町村主催で四万八千人を対象といたしてございます。
 県主催分につきましては、五月七日より県下の高等学校等を会場に本年度を四期に分けて実施することとしてございまして、そのうち一期分については、ご紹介をいただきましたように、全体として定員を上回る好評をいただきながら開催をしてございます。事業の目的からしても一人でも多く講習会に参加していただけますよう、各種広報媒体を活用した積極的な広報活動や各種団体の会員等への参加の呼びかけ、あるいは高齢者や主婦、職業従事者など、対象者に合わせた講習時間の設定などの工夫に努めているところでございます。講習会に参加いただいた方々からのご意見も、二期以降の講習会の改善ですとか、あるいは今後の情報通信技能向上施策を実施する際の参考とさせていただきます。
 また、市町村主催分については四月より順次実施されてございまして、おおむね定員に見合った応募があると聞いてございますが、今後とも和歌山県情報通信技術講習連絡協議会などの場を通じ、市町村との連携を密にし、IT講習会のより充実した実施に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(阪部菊雄君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) ITによる地域の活性化と雇用について、お答えをさせていただきます。
 大都市に比べてIT関連産業の蓄積が乏しく、情報インフラなどの環境整備のおくれている本県では、ITの活用は、生産性の向上はもとよりIT関連投資の拡大や電子商取引による需要の喚起につながることから、県内産業の活性化に大きく寄与するものと考えてございます。また、情報化による雇用効果についても、例えば本県の情報サービス産業の従業者数は平成六年の七百八十八人から平成十一年には九百四十八人と大きな伸びを示しており、今後ともこの傾向が続くものと見込んでございます。
 しかしながら、本県におけるIT関連企業を初めとする企業の新規開業率やホームページ開設状況などはまだまだ全国的に低位であり、IT活用による事業環境の整備が急務となってございます。このため、本年度においてITセミナー研修、スタートアップ・オフィス事業、株式会社バーチャル和歌山設立支援、ふるさと和歌山わいわい市場の構築等の事業に取り組んでございます。
 今後とも、このようなIT関連施策を総合的に実施することにより活力ある産業社会の実現と雇用の拡大に向け、積極的に取り組んでまいります。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 先般、大阪の小学校で起こった殺傷事件はまれに見る凶悪な、社会を震撼させる出来事であり、昨年、本県でも類似した事件が発生したことから、一層強い衝撃と憤りを感じております。本来、学校は安心して学べる場でなければならず、二度とこうしたことが起きないよう万全の体制を整えていく必要があると受けとめております。
 このたびの事件に際しましては、改めて学校内外のさまざまな安全点検を行うよう各学校に対して通知するとともに、臨時に地方教育事務所長会議を開催して安全管理体制の確立を徹底し、さらにPTAや地域関係機関の協力を得て児童生徒の安全を確保するよう強く指導したところです。また、県警察本部長と協議し、今回のような緊急時への対応マニュアルの作成などについて一層緊密な連携、協力を行っていくことで合意いたしました。
 次に、議員ご提言の学校等安全対策協議会につきましては、それに相当する組織として学校保健・安全委員会がありますので、この委員会にPTA、地域の関係者や警察の参加を得て、より徹底した安全管理を図ることとしております。
 今後、各学校における安全対策の取り組みを総点検するとともに、通学路にある「きしゅう君の家」と連携するなど、保護者や地域ぐるみのより具体的な取り組みとなるよう市町村教育委員会を通じて各学校を指導してまいる所存であります。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時十九分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十五番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 許可をいただきましたので、通告に従いまして、順次一般質問を行わせていただきたいと思います。
 まず初めに、紀伊丹生川ダムについてです。
 国土交通省近畿地方整備局が、過日、建設予定の紀伊丹生川ダム計画を見直して、ダム計画の規模縮小を検討すると発表いたしました。大阪府が丹生川ダムに求めていた日量二十五万トンを日量十三万トンに修正いたしまして、和歌山市が日量一・七万トンを必要としていたのをゼロとしたことで、必要とされた水が半分になってしまったことによるものです。私たち共産党議員団は、水需要、とりわけ大阪府の水需要が過大であり、ダム審議会で厳密に見直すべきだと主張してきたところですが、ダム審は、それぞれの自治体が必要としているのだからそれは正しいとして、みずからの調査をされませんでした。その後、大阪府、和歌山市が、人口動態や財政難も一つの引き金となって、みずからの見直しとなり、今回の結果に至ったわけです。しかし、国土交通省は、ダム建設の意思は依然として継続しており、和歌山県当局も治水のために必要だとしているところであります。
 そこで、現時点に立って、いま一度、ダム建設は本当に必要なのかどうか、お尋ねをしていきたいと思います。
 まず大阪の水需要の問題でございますが、前回の村岡議員の質問にもありましたように、大阪の水需要は紀の川に依存しなければならない状態なのかどうか。大阪府の水問題は大阪府が決めればいいことですが、和歌山の水を必要としているかどうかということになりますと、水源地は和歌山県の問題でございますので、無関係ではありません。結論を申し上げますと、大阪の水需要は、その予測はいまだに過大だと思われます。大阪の計画は、丹生川を除いて日量二百四十万トンの給水計画があります。それに対して、過去最高の水需要が日量二百十二万トン、さらに今回の見直しにより、紀伊丹生川ダムから日量十三万トンを求めて二百五十三万トンの給水能力を持とうというものであります。その十三万トンというのは、大阪府下の水需要の五%にしかなりません。あえて十三万トンが必要だとしても、その量は、紀伊丹生川ダムに求めなくても大阪府内で十分解決できることだと思われるわけです。例えば、十分余っている工業用水の上水への転用、市町村水道の活用で満たされることが各種の資料で読み取れるところであります。したがって、大阪への水を供給するという目的であれば、このダム計画は必ずしも必要でないものと考えるわけです。
 さきにも申しましたが、大阪の水問題は大阪が決めることです。ただ給水を和歌山に求めるならば、和歌山県としての正確な認識が必要だと思うわけです。大阪の水需給をどう考えておられますか。県としても主体的に検討すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
 次は、治水の問題です。
 国土交通省は、治水のためにもこの巨大なダムは必要だと言っていました。今回の水需要の減少に伴いダムの縮小を考えるとしておりますが、治水のためにはどうなのか、一切触れられておりません。治水の問題は極めて高度の専門知識が必要とされるところでございますので、私の少ない知識による素朴な疑問を提起して、当局の見解をお聞きしたいと思います。
 一つは、丹生川ダム上流にどれだけの降雨量があるのかという問題です。
 ダムは、昭和四十七年九月の台風二十号の際の雨量を百五十年に一回の大きな降雨量として位置づけ、ダム地点でのピーク流量を毎秒千五百トンとして、これに対応するダムということになっております。しかし、幾人かの専門家が、その流域で一秒間の流入量千五百トンとは到底考えられない、大台ケ原並みの雨量ではないか、全く信じられないと言っているところであります。この問題に対して、国土交通省は全く答えておりません。
 二つ目は、紀の川の基本高水の数値設定の問題です。
 治水学上でこの数値の設定が最も重要なことだそうですが、基準点にある紀の川船戸での百五十年に一回のピーク時の流量を毎秒一万六千トンとしているのは余りにも過大だとする専門家も、幾人かおります。実際、紀の川の最大の洪水は一九五九年の伊勢湾台風だそうですが、そのときの船戸での最大の流量は、はんらんした分も含めて毎秒七千百五十トンとされておりますので、ダム計画は実にその二倍を見ているということになります。余りにも過大ではないでしょうか。一説には、この地での基本高水流量は、科学的計算によって一万二千九百トンと考えられ、それだけでも丹生川ダムは不要との見解を表明されている方もおられます。それらの説も県として十分研究をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 三つ目は、現在の治水能力の評価です。
 現在、堤防など各所で治水対策が進められ、近畿地方建設局の資料によりますと、現在は堤防によって毎秒一万二千トンを流すことができるということであります。大滝ダムが完成いたしますと、その上に毎秒二千七百トンの調整ができるわけで、合計毎秒一万四千七百トンまでの流量なら十分洪水を防ぐことができることになっています。このような諸説を考えてまいりますと、紀伊丹生川ダムは何のために必要か、治水の面でもあえて必要とされるものではないという思いをいたす次第であります。
 三つの説を挙げて、私はその必要性に疑問を呈しましたが、当局のお考えを示していただきたいと思います。
 もちろん、さらなる治水対策が必要なことは言うまでもありません。しかし、それがダムでなければならないのか、新たに検討される必要があります。ダム審議会は、ダムにかわる治水対策、例えば堤防のかさ上げ、遊水地の拡張、川幅の拡大、放水路の建設など、技術的には可能だとしているわけです。そして、それらの建設費用が例示され、すべてダムより高くつく、あるいは危険性を伴うということで、代替案が比較優位において劣るとされ、退けられているわけです。しかし、それらが果たして国土交通省の言うような規模のものでなければならないのか、あるいはそれほどの金額がかさむものなのか、それらの組み合わせでより効果的な方法はないのか等々、さまざまな検討がなされたものだとは思えないわけです。そもそも、紀伊丹生川ダムの降水量が過大に見込まれている点からして基本的な見直しが必要なわけですが、ダムにかわる治水対策は十分に検討の余地のあるところだと思います。県として、丹生川の自然を守る立場からも、国土交通省に対してダム建設にかわる合理的な治水対策を求めるとか、研究し、進言すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 玉川峡の景観について言えば、県計画ではその三分の一が水没をいたします。当時の建設省はそれを認めつつも、それでも濁りは軽微で流況──流れの状況だと思いますが──は改善されると言っていますが、ダムが上流にできてきれいになった下流などというのは聞いたことがありません。国土交通省は清流にかわってダム湖を観光化するとしていますが、県下のダムで観光化して成功したと言えるところがあるでしょうか。一部にそのようなところがあると国土交通省は言っているようですが、ダム湖と自然の渓流を比べてダム湖の方がよしとする考えには、私は到底ついていけないわけです。当局はいかがお考えでしょうか。
 そもそもこのダム計画は、利水イコールダム、治水イコールダムという思想状況と大型公共事業何でも万歳という二十数年前に発想されたものであります。時代は変わり、地球環境に対しても、人間が必要とする水の獲得方法にしても、治水に対しても、大型公共事業に対しても、その考え方が大きく変わりつつある時代であります。このダムが発想された時代とは、思想状況も相当変わりました。古い時代の発想に固執することなく、自然を守ろう、むだな公共事業をやめようと根本的に発想を変えれば、利水にしろ治水にしろ、あえてダムによらなくても十分解決の方法があると思われます。それこそ時代の趨勢ではないでしょうか。昨日も、地球環境を守ることは和歌山県政の柱だという答弁も聞かれました。単純に長野県のまねをせよとは言いません。和歌山の自然、和歌山の防災という点から考えて、県としていま一度ダム建設を見直すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 続いて、和歌山下津港北港と西防沖南北防波堤に関連してお尋ねをいたします。
 西防埋立地に埠頭用地を整備する計画があり、そのゆえをもって西防沖南北の防波堤建設に和歌山県がその建設費七十五億円を負担することになって、一部の事業が進められようとしています。私は過日、この議会におきましてその不当性をただしたところでありますが、県が埠頭を建設するのだから、それは受益者として当然だというお話がありました。
 そこで今回は、果たしてユニットロードターミナルと称される埠頭と埠頭用地が必要なのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
 私は、現在の本港で十分用は足せる、間に合っていると思うからであります。当局からいただいた資料によると、和歌山下津港本港の貨物量は平成十二年で二百十一万トンですが、ここからの飛躍的な伸びはそれほど考えられないということが従来の議論でしばしば提起されたところであります。本港は、今後の少々の貨物増には十分耐えられるように目下整備されつつあります。貨物取扱量は三百トンを予定いたしておりますが、これは目標でありまして、扱える貨物量というのはこれよりはるかに上回ると思います。雑賀崎の埋め立てが凍結されていても、万トンバースの活用などで、その能力はまだまだ拡張できます。十三メートルバースも完成し、ガントリークレーンも設置されたところです。この外貿コンテナ船の入港も、平成十一年度で五十八隻、取扱貨物も五万六千トンです。ここの扱い目標は平成二十年前半で七十八万八千トンですから、まだまだ十倍以上を取り扱うこともできるわけです。釜山との航路が月二回になったとのお話でございまして、それ自体は大変結構なことでありますが、ここにもゆとりがあり過ぎるほどあります。TSLのお話もございますが、和歌山─鹿児島間に超高速で運ばなければならない特急便や生鮮食料品がどれだけあるかを考えると、その実現が果たしてどうなのか、そのような航路が必要なのか、大変疑問に思います。
 いずれにしろ、本港にユニットロードターミナルという五十万トンの貨物を扱う新たな機能を持った港湾施設をつくらなければならないという理由はありません。むだな計画だと言わなければなりません。どんな根拠でこのような計画を持つに至ったのでしょうか。その必要性についての根拠を示してください。
 果たしてそれが必要かどうか、あるいはTSLなるものが実現するかどうかもわからない、このような港湾施設の計画があるというだけで南北防波堤の負担金を和歌山県が払わなければならないというのは、大変不合理な話であります。しかも、既に埠頭の建設に先立って予算は執行されつつあります。南防波堤だけでも、県負担は七十五億円です。北を合わせると──これははっきりいたしませんが、単純に倍になるとすると百五十億円以上がかかるかもわからない。予定する埠頭用地が住金の埋立地で、県としてはそれ自体に余り金を使っていないからと、そのターミナルの必要性をあいまいにして、安易に防波堤の負担金に応じていくのは考え直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、県職員の超過勤務手当についてお尋ねをいたします。
 県庁職員の超過勤務手当が一〇〇%支払われていないという問題をことしの二月議会で村岡議員が取り上げ、総務部長との間で議論がありました。当局の答弁は、支払い方法には改善の余地があるが、労働組合との合意のことだから一〇〇%支払う意思はないというものでした。しかし、その後、労働基準監督署の是正勧告や厚生労働省の通達、人事委員会の指導など、この問題に関連する諸機関からの指導がありました。これらの指導に対してどう対処してきたのか、あるいはしていこうとしているのかをお尋ねしたいと思います。
 なお、最初の答弁は総務部長に求めますが、もし納得できない場合は第二問で知事に答弁を求めるやもわかりませんので、よろしくお願いをいたします。
 県職員の超過勤務手当は、充足率という独特の算式によって、低いときには超勤時間の五〇%しか払われなかった時期もあったようですが、最近では八〇%台から九〇%台へと向上してまいりました。しかし、依然として一〇〇%には達していません。たとえ不支給分が数%であったとしても、職員に労働を命じてその対価を支払わないということは、法律と条例をもって運営されている地方自治体にあっていいことなのかどうか、許されることなのかどうか、根本的な問題があります。
 この問題に対して平成十三年三月十六日、労働基準監督署から、和歌山県総務部長初め医科大学長、精神保健福祉センター長、並びに子ども・障害者相談センター長に対して、その他の懸案とともに、「すべての対象労働者に対して、平成十二年四月一日に遡及して残業賃金を支払うこと」という是正勧告書が出されました。また五月二日、和歌山県人事委員会委員長から稲山総務部長に対して、「労働基準監督署から超勤手当を支給するよう指導されているという報告を受けた。本委員会としては、超勤手当の支給に関して、労働基準法に基づく適切な支払いを確保するため改善措置をとられるよう指導する」という文書を出しています。監督署からも人事委員会からも、平成十二年にさかのぼって残額を支払うよう勧告や指導を受けたということです。それに対して総務部長は、五月十四日、労働基準監督署に対して、次のような回答をしています。すなわち、県の超勤手当に関するこれまでの経緯を踏まえ、平成十三年度からの超過勤務手当の適切な支払いが確保できるよう、指導に沿った改善を図りましたという返事です。これは、監督署や人事委員会が平成十二年度にさかのぼって未払いのものは払いなさいと勧告や指導をしていることに対して、十三年度からはちゃんとやりますよということで、十二年度分については支払いを拒否しているわけです。先ほども申し上げましたが、法律と条例で運営されている地方公共団体が、法律に反して残業賃金を支払わず、法に基づいて出された勧告や指導を拒否することができるのかどうか、どのような根拠で平成十二年分の残高の支払いを不要とされたのかを示してください。これは許されないことではないかと思うからです。
 厚生労働省が四月六日、都道府県の労働局長に対して、労働者の残業時間を正確に把握して、サービス残業をなくすための相当詳細なガイドラインを示して、それの厳守と、守らなかったときの司法的措置までも明記して通達をしております。要するに、働かした分はきちんと払えということです。また、その通達に基づいて総務省もその旨、都道府県に通知をし、それを市町村にも徹底することを県に求めているところであります。この件に関して、国会でも議論がありました。担当副大臣は、「地方公務員の場合でも、正規の勤務時間を超えて勤務を必要とする場合は当然時間外勤務命令によるべきものであり、時間外勤務手当を支給されるべきものである」と、当然のことでありますけれども、答弁をされています。また、その場で具体的に和歌山県の充足率を根拠にした超勤手当の一部不支払い問題についても議論があり、労働組合との協約によって時間外手当の支給をしなくてもよいという特例でもあるのかという質問に、政府参考人は、そのような協定を認める規定は存在しないと答弁しております。
 このように、厚生労働省の通達、総務省の通達、厚生労働委員会での質疑と国の答弁から見て、和歌山県がとっているいわゆる充足率に基づく超勤手当の支払いの仕方、それによって一〇〇%を支払わなくてもよいという現行制度は明らかに違法ではないかと思われますが、いかがですか。
 超勤手当一〇〇%支給が当然とされれば、以下の問題はあえて問題にすべきことではないわけですが、現段階ではそうではないようですので、あえてお尋ねをいたします。超過勤務手当の支給率が各課によって異なっています。ある課では九〇%を支給し、ある課では九九%を支給するというようなのは納得できないことです。これは、仕事の量を勘案せずに、単に予算からだけで超勤手当を考えた、職員と課に対する差別行政ではないでしょうか、いかがお考えですか。
 さきにも紹介したところですが、総務庁は、各都道府県に超過勤務の正確な時間把握と超勤手当の支給について各市町村に指示徹底を求めています。和歌山県として、現行のような超勤手当の支給方法をとっていれば、恐らく腰が引けて十分な指導にはならないでしょう。十三年から適切にするからいいのだということにはならないと思います。県としては守られていないのですが、市町村にはどういうふうに指導されますか。
 次に、人事委員長に同趣旨でお尋ねをいたします。
 人事委員会は、さきに紹介した指導を総務部長に行ったわけですが、いわゆる充足率に基づく支払い方法は相当以前から行われていることをご存じだったと思います。ならば、なぜ今回のような指導を今までに主体的に行ってこなかったのですか。監督署の後追いをするだけなら、その存在価値が疑われます。また、現在も労働基準監督署の勧告は守るべしと強く総務部長を指導すべきだと考えますが、どうお考えですか。
 以上が、超勤にかかわる質問でございます。
 次に、教育問題、教科書問題で意見を申し述べ、若干の要望をしたいと思います。
 新しく教科書を選択する時期になってまいりました。折から、さる歴史教科書の教科書検定の通過とその内容をめぐって、外交問題、また政治問題にまでなってきておりますので、一言、感ずるところを申し述べさせていただきたいと思うわけです。
 教科書問題に関心を寄せる一人として、早速、市販本を入手して一読いたしました。非常に読みやすく、一気に読ませるできばえでした。しかし、そこに書かれていた日本の歴史は、私たちが認識していた歴史とは相当違った形で展開していました。とりわけ、明治以降の歴史の叙述は目を疑うばかりでした。日清・日露の戦争は侵略性が薄められ、日本を守るためのやむを得ない正義の戦争となり、太平洋戦争は大東亜戦争と名前を改め、大東亜共栄圏の構想も、その侵略性は否定されました。侵略戦争の精神的支柱とされ、戦後廃止された教育勅語が、近代日本人の人格の背骨をなすものとして、鮮やかに教科書の中に復活しました。真珠湾攻撃以下は、バックに「軍艦マーチ」を流しながら読みたくなるような記述が続きます。一部を紹介いたします。これは、教科書の二百七十六ページに「大東亜戦争(太平洋戦争)」という大項目がありまして、次に「初期の勝利」という小さな見出しから続きます。少し長くなりますが、ご容赦ください。
   一九四一(昭和十六)年十二月八日午前七時、人々は日本軍
  が米英軍と戦闘状態に入ったことを臨時ニュースで知った。
   日本の海軍機動部隊が、ハワイの真珠湾に停泊する米太平洋
  艦隊を空襲した。──そこには、日本軍の空襲を受けて黒煙を
  上げて沈没していくアメリカの戦艦アリゾナの写真が掲げられ
  ています──艦は次々に沈没し、飛行機も片端から炎上して大
  戦果をあげた。このことが報道されると、日本国民の気分は一
  気に高まり、長い日中戦争の陰うつな気分が一変した。第一次
  世界大戦以降、力をつけてきた日本とアメリカがついに対決す
  ることになったのである。
   同じ日に、日本の陸軍部隊はマレー半島に上陸し、イギリス
  軍との戦いを開始した。自転車に乗った銀輪部隊を先頭に、日
  本軍は、ジャングルとゴム林の間をぬって英軍を撃退しながら、
  シンガポールを目指し快進撃を行った。五十五日間でマレー半
  島約一千キロを縦断し、翌年二月には、わずか七十日でシンガ
  ポールを陥落させ、ついに日本はイギリスの東南アジア支配を
  崩した。フィリピン・ジャワ・ビルマなどでも、日本は米・蘭
  ・英軍を破り、結局百日ほどで、大勝利のうちに緒戦を制した。
   これは、数百年にわたる白人の植民地支配にあえいでいた、
  現地の人々の協力があってこその勝利だった。この日本の緒戦
  の勝利は、東南アジアやインドの多くの人々に独立への夢と勇
  気を育んだ。
   日本政府はこの戦争を大東亜戦争と命名した。
 ──というような調子で書かれていくわけです。
 そして、この戦争がいかに世界と日本国民に歴史上最大の悲劇を引き起していったかという記述になりますと、これは量的に非常に少なく、淡々とした調子で紹介され、初期の勝利の分量の半分にすぎない状況であります。ただ、歴史をどのようにとらえ、どのように記述するかは、それぞれの自由です。しかし、教科書は、おのずと良識による節度というものがあります。少なくとも、憲法に基づき戦後積み重ねられた国民的な良識による最低の基準があります。確定した歴史的事実に基づき、国民がそこで何を学んだか、共通の認識の上に叙述されるべきものだと思います。そして、それが国際的な問題であれば、なおさら関係国との共通認識を尊重されなければなりません。日本政府は、幾度か日本の近い過去を振り返り、朝鮮や中国に対して反省と謝罪の意思を表明してまいりました。九五年八月十五日、戦後五十周年に当たり、当時の村山首相は次のような談話を発表して太平洋戦争を総括しました。すなわち、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで、国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」として、痛切な反省と心からのおわびを表明したところであります。政府も、これらの言明が今も生きていることは認めています。しかし、この教科書の記述にはその配慮が欠け、外国からの抗議を生むことになったのだと思います。自虐史観を排するとした独特の歴史観によって歴史的事実が一面化され、子供たちの前に提供されようとしているのではないでしょうか。私は、このような外交的、政治的問題を引き起こす書籍が検定を通過したことを大変残念に思い、国は率直に諸外国の意見に耳を傾けるべきだと感じたわけです。
 以上、市販された教科書を一読した感想であります。教科書は、このほか多数発行されておりますが、まだ発売されておりませんので読む機会を得ていませんけれども、よりよい教科書が子供たちに与えられるよう切に願うものであります。今後の教科書採択に当たって選考に当たられる方々は、不当な圧力や介入を許さず、真実と平和を希求するとした憲法や教育基本法の精神にのっとり、教科書を手にして実際に授業する教職員の意向も十分に尊重し、良識ある選択をされるよう期待と要望をさせていただいて、この問題に関する質問といたします。
 これで、第一問を終わります。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 大阪の水需給計画についてお答えをいたします。
 今回の大阪府営水道の計画の見直しにつきましては、これまでの一日最大給水量二百六十五万立方メートルを平成二十二年度には二百五十三万立方メートルと下方修正し、その縮小分一日十二万立方メートルを紀の川依存量で縮小するものでございますが、ご指摘のように、なお一日十三万立方メートルは紀の川からの必要水量として計画されております。
 府では、給水区域内市町村の同意を得るとともに、平成十三年二月府議会で広域的水道整備計画の改定及び水道企業条例の改正を行い、厚生労働省の認可を得ており、その計画については尊重すべきものと考えてございます。また、大阪府営水道の紀の川からの取水につきましては、昭和六十二年十二月二十一日に府県間で締結した紀の川利水に関する協定書に基づき対応してまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まずダム計画の根拠となる数値についての質問でございますが、昨日の豪雨でも県内各河川で警戒水位を超えたところでありまして、県民の生命と安全と財産の保全のために治水には万全を期していかなければならないと、強く認識しているところでございます。
 ご指摘のピーク流量につきましては、貯留関数法により決定したものでございます。その結果、紀の川全体では毎秒一万六千トン、丹生川ダム地点においては毎秒千五百トンの流量を設定したもので、将来、堤防によって防ぐことのできる毎秒一万二千トンを考慮いたしましても過大な計画ではないと承知してございます。
 次にダムの代替施策についてのご質問でございますが、ダムも含め堤防や遊水地といったさまざまな手法を総合的に検討した上で、その河川や地域の特性に応じた最も適切な手法で河川の整備を進めていくことが必要であると考えております。紀伊丹生川ダムの建設につきましては、紀の川の治水、利水等のあり方を検討する紀の川流域委員会を国土交通省が設置しておりまして、県としてはその議論を見守ってまいりたいと考えております。
 次に玉川峡の保存についてのご質問ですが、国土交通省で水需要計画の減少や玉川峡など環境への影響を考慮し、ダム計画の見直しを行い、紀の川流域委員会に提案する予定であります。
 次に新しい発想でダム計画の見直しをとのご質問ですが、紀伊丹生川ダムの建設につきましては、紀の川の治水、利水等のあり方を検討する紀の川流域委員会を国土交通省が設置したところであり、同委員会において議論されることになっております。その後、国土交通省から紀の川河川整備計画案が示された時点で、県としては主体性を持って適切に協議してまいりたいと考えております。
 次に北港のユニットロードターミナルについてですが、和歌山県が将来発展していくためには海を活用していくことが重要であります。特に和歌山下津港は、関西の海の玄関口に位置し、将来は関西の三つの環状道路が集まる陸上交通の一大結節点であるという港湾立地の優位性を生かしていく必要があります。
 そこで、物量の効率化や環境負荷の軽減等を目指す海運へのモーダルシフトにより増加が予測される内貿ユニットロード貨物を円滑に取り扱う必要があります。このため、岸壁背後に十分な広さの荷さばき地が確保される北港沖地区に内貿ユニットロードターミナルを港湾計画で位置づけております。
 なお、主に外貿コンテナや在来型の貨物を扱う本港区とは機能を異にするものであります。
 次に防波堤への負担についてですが、北港沖南防波堤につきましては、エネルギー港湾制度により電源立地に関連して必要となる防波堤と県の港湾施設に関連して必要となる防波堤を電源立地企業に受益者負担を課しつつ、一体的、計画的に整備するものでありまして、企業合理化促進法並びに港湾法に基づき、電源立地企業として関西電力が全体事業費の二分の一を負担し、国の直轄事業で整備するものでございます。この防波堤により北港沖地区の水深十メートル岸壁の静穏度を確保することは必要不可欠なことであることから、通常の国直轄事業負担金と同様に応分の負担を行うものでございます。
 また北防波堤につきましても、所要の静穏度を確保するために必要不可欠な施設であり、その建設に当たりましては県民の負担が軽減されるよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県職員の超過勤務手当に対するご質問に一括してお答えさせていただきます。
 ご指摘の労働基準監督署及び人事委員会からの勧告、指導につきましては、重大なことと受けとめているところでございます。
 ただ、平成十二年度までの超過勤務手当に関しては、予算の制限のある中で、超過勤務を命令する者とされる者、双方がお互い納得できる支給方法としていわゆる充足率を用いて手当を支給してきたところでありまして、これまでの職員の超過勤務に対する認識などを勘案した過渡的な支給方法であったかと考えており、過去にさかのぼって追加支給を行うことは予定いたしておりません。
 また充足率の職場間の格差についてでございますが、不均衡を極力なくすため、年度当初での配分枠の設定や年度途中あるいは年度末に実績を見ながら追加配分するなど、従前の支給方法におきましても努力してきたところでございます。しかし、各所属での発生業務量に差異があったことなどによりまして、結果的に充足率に数%の差が生じたところでございますが、十三年度からは勧告及び指導に沿って、超過勤務手当について所定支払い日に全額一〇〇%支払いするよう改善を図ってまいります。
 今後、医療現場など各職場の実態把握による適正な予算配分に努めるとともに、超過勤務手当の縮減を含め、超過勤務手当の厳正な運営に一層努めてまいりたいと考えております。
 なお、市町村への指導ということでございますけれども、国からの通知を受けまして、まず市町村みずからが今日的課題でもある、いわゆるサービス残業が生じないよう職員の労働時間の適正な把握に努めるよう通知をいたしたところでございまして、その趣旨の徹底を図ってまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 人事委員会委員長青木孝祐君。
  〔青木孝祐君、登壇〕
○人事委員会委員長(青木孝祐君) 県職員の超過勤務手当に関するご質問にお答えします。
 本年五月二日付で本委員会が行った超過勤務手当の支給に関する指導についてでございますが、県職員の超過勤務手当の支給実績は完全支給という本来の姿に年々近づきつつありまして、これまでその推移を見守ってきたところでございます。こうした中にあって、昨年夏以降、和歌山労働基準監督署がこの問題を取り上げたことによりまして、本委員会はその後、同監督署と協議を進める中でこのたびの指導を行ったものでございます。
 また、重ねて強く指導をとのことでございますが、人事委員会といたしましては、さきに行った指導の趣旨が尊重されるべきものと考えている次第でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十五番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 水需要の予測の問題についてですけれども、大阪がどれだけの水を使うか、どういう計画を持つかというのは大阪の問題ですから、和歌山県がとやかく言うことではないと思うんですが、水源地が和歌山なんですから、本当にその水が欲しいのかどうか。紀伊丹生川からもらおうかというのは、大阪が必要としている水の五%なんですね。そのために大きなダムをつくらなあかんということになっています。金はもちろん国が出すわけですけれども、和歌山の自然というような点から考えて、果たして大阪がその五%の水を紀の川からもらわなあかんのかどうかというあたり、やはり和歌山県としても主体的に考えるべきだと思うんですね。何もかもお任せ、尊重しますということでしたら、結局この間も尊重しておって半分に減ってしまったんでしょう。そういうこともあり得るわけですね。だから、もう少し県は、県の資源を守るという立場からも主体性を持つべきではないか。この件については、要望をしておきます。
 次に、治水の問題で土木部長に質問をいたします。
 私も、幾つかの数値を出して問題を提起いたしました。当局は、国土交通省の通知をもって答えてくれました。私は、その出された数値が高過ぎるのではないか、現実に合っていないのではないかという意味の質問をしたわけでしょう。だから、それに対して、私が出した数値の問題が正しいのか正しくないのか、どう思っているのかというのを答えて、反論なら反論していただかなくてはなりません。答えになっていないんですね。ひとつ、もう一度よろしくお願いいたします。
 それから、代替措置の問題、玉川峡の保存の問題、ダム計画というのはそもそも現時点で全体として見直していかなければならないのではないかという質問に対して、率直に言って県がそういう観点で議論をされていないのではないかと思うんですよ。もちろん、国土交通省の方も十分な情報を提供していないんでないかと思うんですけれども、私のようなごくごく素朴な質問に対しても、今後流域委員会での検討を待つということばかりでしょう。和歌山県の主体性というのは一体どこにあるのか、疑問に思うわけです。県土、県の領域に対する治水責任というのは、国任せではなくて県がしっかりと持っていかなければならんと思うんです。自然を守ると、きのうからもありましたけれども、地球環境の問題は県政の柱とするという立場は、やはりダムをつくっていいのかどうか、代替措置はないのかどうかということと深く関連する問題でしょう。代替措置はダムを含めて総合的に研究、検討するという話がありましたけれども、今のような形で流域委員会の結論を待つということだけでは、本当に責任を持った代替措置の検討なんてできないのではないかという心配をします。
 玉川峡についてもそうですね。国土交通省の提案を見守ると言っているんですけれども、あのような狭い渓谷の上流に大きなダムをつくったら渓流がどうなっていくかというのは、これは私でも、ほぼ見当がつくんです。これで、県としても流域委員会の結論を待って、後ほどに国土交通省から河川計画が出てきたら、それでもって県は県としての意見を申し述べていくというようなことでは、本当に県の治水問題、あるいは自然環境に対して責任を持った態度とは言えないと思うんですね。
 そういう点で、いま一度、この問題に対して県としてどう責任を持って対応していくつもりなのか。ダムなどつくらずに治水問題も解決できるように努めるのが本来の仕事ではないかと思いますので、基本的な態度を示してください。
 次に北港整備の問題については、港湾機能と貨物量との関係で質問いたしました。そういうのを北港を当てにしなくてもいいんじゃないかという質問です。そこのところ、なぜ北港がなければならんのか。貨物量との関係で、ぜひ示していただきたいと思います。私は、必要ないと思うからです。もしこれが必要でなければ防波堤の負担金というのはしなくてもいいわけで、少なくとも七十五億、もう一つ北側の防波堤をつくろうとすれば、あと数十億の金も負担しなくても済むということになりますから、ぜひそこをはっきりさせていただきたいと思うわけです。
 超勤の問題について、知事と人事委員長にお尋ねをいたします。
 過去にさかのぼって支払う予定がないということでありますが、私が長々と質問いたしましたのは、監督署も払いなさいと言うている、厚生労働省も払えと言うている、それを認めて人事委員会も払えと言うている、国会の議論でも労使の合意という形で払わなくてもいいというような条項はないんだよということも言うたと、こういうことを言ったわけです。だから、それらの関係で、それらの指導や勧告が間違っているんだったら間違っていると言ってください。しかし、それを抜きにして、払わなくてもいいんだ、労使の合意があるからだということでは、これは納得いかない話です。予算がない、不景気の中で職員も余りうるさく言ってこない、来年からちゃんとするからいいじゃないかという思いが胸の中にあったとしたら、それはやはり間違いだと思います。そういうことがもし通用すると、それが民間へ出るとどういうことになるかということです。労使の間で、金もないんだ、不況のさなかだということで、どんどんサービス残業が蔓延していくことを認めていくことになりますよね。だから、そういう立場でも、官としてやはり守るべきところはきちっと守らなければならんのではないかと思うんです。
 それで、総務部長の答弁は納得できないことです。ひとつ、知事の方から回答をいただきたいと思います。労基法の三十七条、百十五条はもう十分ご承知のことだと思いますから、ひとつそういう立場に立ってお答えをいただきたいと思います。
 人事委員会委員長にお尋ねいたします。
 総務部長は、あなたの指導を、少なくとも十二年度分の支払いについては拒否されました。どういうふうに思われますか、あれでいいと思いますか。もしそうでないとするならば、この場で総務部長の態度を指導してやっていただきたい、そういうふうに思います。
 以上です。
○副議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問、非常に難しい問題で、私も真摯に受けとめております。
 ただ、私の存じているところでは、和歌山県の超勤につきましては、手続面はともかく──ともかくと言うのも問題かもしれませんけれども、支給額の実態といたしましては、従来から他の自治体と大きく異なるものではなかったということを承知しているところでございます。ただ、労働基準監督署の指導もあり、今年度からは手続面等で疑義が生じることのないよう前向きに改めたところでございます。
 現在、ご案内のように、小泉内閣の構造改革の中で公務員制度についても大変大きな見直しが行われ、この中で民間の非常に厳しい目というものを意識した改革になってくると思われるわけでございます。現下の厳しい財政状況、そして県民の方々の感情、そうしたものを勘案した場合、なかなか手続面だけの不備をもって、さかのぼって超過勤務手当を支給していくことは非常に難しいことだと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、紀伊丹生川ダムに関する再質問にお答えいたします。
 先ほどもご答弁したとおり、過大な計画ではないと承知してございますが、ダム計画の根拠となる数値につきましても、各分野の専門家から成る紀の川流域委員会の中で議論されるものであると承知しております。
 同委員会では、国土交通省のダム計画の見直し案に基づき議論がなされるものと承知しておりまして、同委員会での結論を踏まえて、国土交通省から紀の川河川整備計画案が示されますので、県といたしましても、責任を持って、主体性を持って適切に協議してまいります。
 次に、北港につきましての再質問にお答えいたします。
 先ほども答弁させていただいたとおりでございますが、和歌山下津港が陸上交通と海上交通の結節点となるという優位性を生かして、物流拠点として発展し、和歌山が活性化していくためには、海運へのモーダルシフトによる増加が予測される内貿ユニットロード貨物を円滑に取り扱う必要があります。北港全体では五十万トンという量を予測しているわけですが、そういったために岸壁背後に十分な広さの荷さばき地が確保される北港沖地区で内貿ユニットロードターミナルを港湾計画に位置づけておりまして、和歌山の発展にとって必要なものであると考えております。このユニットロードターミナルの所要の静穏度を確保するために北港沖南北防波堤は必要不可欠だということでございますので、これについて県が負担をしていくべきものと考えております。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 人事委員会委員長青木孝祐君。
  〔青木孝祐君、登壇〕
○人事委員会委員長(青木孝祐君) 人事委員会がさきに行った指導に対しまして、県当局がそれに従わないことに対してどのように考えているかというお尋ねでございますが、人事委員会といたしましては、先ほどお答えいたしましたとおり、さきに行った指導の趣旨が尊重されるべきであると考えている次第でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──申し上げます。発言時間は、残り二十四秒であります。再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(尾崎要二君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十八分散会

このページの先頭へ