平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(中山 豊議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
【日程第一 議案第一号から議案第八十号まで、並びに報第一号】
【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第一号から議案第八十号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
三十三番中山 豊君。
〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長のお許しを得たので、質問を進めさせていただきます。
「地域の問題は地域でその体制を」という課題についてでございます。
地方事務所が振興局体制に変わるときに、地域の問題はその地域でとのもとに出先機関を海南に移されました。それで事が済んだわけではなくて、残余の部分を可及的速やかに移されるよう求め続けて今日まで来ているところであります。
過日、地元の議会議員の皆さんが幾つかの課題をあわせ持って陳情された中に、この出先機関移転が取り上げられていたところであります。地元出身県議もそれに呼応して県当局に実現方を求められ、一致した要求であることは紛れのない事実であるとここでもご報告するとともに、当局の皆さんのご承知おきいただいているところだと思います。
例えば三百七十号阪井バイパスは、十年この方、前進の兆しなく来ています。いわく、地元の協力が得られないからだと言う。なれば、地元の協力が得られないならどうするかという指導、助言ないしは要請があってしかるべきところですが、このままでは、地元が何もしないからと、責任を地元にかぶせて言い逃れをしているにすぎないのではないかと思えてなりません。もちろん、地元の取り組みと協力が不可欠であることは、紀南地方の取り組みを見てもよく知っているところであります。体制を強め、早期に都計審に諮られるよう進められたいわけであります。
また、タイワンザルの農産物被害対策への取り組みも、県は駆除対策を打ち出したけれども、一向に前に進んでいないところであります。その後、桃生産者は、サル被害からやる気をなくして放棄してしまったという話もあります。農産物の被害により農業者がやる気をなくしているところは大きいわけであります。これらに対し、どんな取り組みが期待されるのでしょうか。
一方、目を他に転じてみますと、滋賀県では、琵琶湖のブラックバス被害拡大でアユやフナ、カワサギ、さらにそこにすんでいるゲンゴロウなどの水生昆虫を危機的状態に追い込んでいるとして、ブラックバスの根絶対策を進めようとしています。石垣島のマングースも、ハブ対策で投入したけれども、結果として、ハブを退治するというよりも既存のいろんな動物を襲って生態系を崩壊させてしまっているという形になり、いろいろ考えられているところです。
外から人為的に投入され、地域の生態系が崩されていく。これは、地域住民への被害というのははかり知れないものがあると指摘せざるを得ないわけであります。
この地域では、タイワンザル、ジャンボタニシなどの農業被害により、農業者にははかり知れない悩みがあるところであります。海南・海草地区は和歌山地区に組み入れられましたが、この体制がにべもなく見過ごされているという状態から早く脱却して、かゆいところへ手の届くような施策が望まれてならないから、この問題を取り上げたわけであります。
議会棟の一階でしたか、振興局が入っている階の廊下を見ますと、「和歌山地域農業普及センター」という大きな看板がかかっています。和歌山地域農業普及センターという言い方で、海南・海草地区も一くくりにされて面倒を見ていただいていることになっているのですが、あの看板を見るたびに、海南・海草が和歌山地域農業普及センターの中に包含されたままでいいものなのか、こういう状態で長く放置されていることによって、タイワンザルにしてもジャンボタニシにしても的確な体制がとり得ていないのではないかという、やるせない気持ちに追いやられるのであります。こういうことなどを考えてみるのに、これは組織及び機構の問題にかかわるお話ですから知事の決断を求めざるを得ないのではないかと申し上げて、この質問を終わりたいと思います。
次に、生石高原ススキ原の復元についてであります。
アカトンボがさおの先でしっぽを突っ立ててとまっている姿を見ました。何でもないことのようですが、これがここで取り上げようとする生石高原ススキ原の復元についての質問のきっかけであります。
ある山合いの一番奥にかなり大きいため池があり、そこから一本の水路があって、その水路にそれぞれがしがみつくように水田が一枚一枚と連なり、両側に里山があります。昭和三十年代の中ごろまで、春になると余すことなく水田に水を張り、田植えがされ、秋となると稲穂が実って黄金波打ち、里山がもみじし、山村の原風景が創出されていったのであります。こんな風景は、県下いや日本の至るところにあったはずであります。ところが今は、その谷間の中ほどから奥は、生産調整とかやらで減反や耕作放棄がされて久しく、荒れ放題であります。「国破れて山河あり」という姿では全くありません。当初は、米をつくるなと言われるままに水田を桃畑にし、桃つくりに精を出していたけれども、収穫間際になると例のタイワンザルが集団で来襲し、十年この方、桃一つ収穫したことなくいかんともしがたいと、このような気持ちでやる気をなくし、放棄してしまったところであります。その後の荒れの次第が、いわゆる植生遷移そのものであります。
植生遷移とは、山地であれ平地であれ、それぞれの遅い早いの違いはあるけれども、裸地に雑草が生え、次にススキからイタドリ、そして低木、やがてアカマツへと自然の植生が移っていく状態のことを言われるようであります。放置された当初はヨモギなどの軟弱な野草、次にススキ、そしてイタドリ、続いてウツギのような低木、そしてネムノキ、アカメガシワのような灌木へと進んで、そこのところに苗代のように水をためて水生小動物を発生させ、自然回復をさせようと試み始めて三年が過ぎようとしているところです。
幼少のころ、顧みれば、中でも水生小動物を小川や田の溝ですくい上げて遊び、トンボやカエル、メダカの命の代償に生命の大切さをおのずから身に覚えていきました。今日のいじめが人間の命を奪いかねないところまでいく深手を避け、命の大切さを覚えていったものだと顧みるのであります。
事ほどさように、自然との共生の大切さを思うにつけ、荒れ地を借りて水をため、自然回復を試みる取り組みをする中で、トンボの出現を確かめるところとなったわけです。アカトンボ、中でもアキアカネがさおの先に突っ立つようにとまっている姿は一様でないことを知るにつけ、これは何ゆえかと不思議に思うところからこの道に関心を抱き始めました。それは、太陽の光の照射を加減し、すなわち直達日射──垂直に受ける太陽光線のことを申すらしいですが──を避けて体温を適温に保持するためだとわかりました。そしてトンボは、夏には山に登り、避暑をするということも知りました。生石山の高原は、アカトンボにとって不可欠な存在だと知るに至ったわけです。──ようやく生石山のススキにかかっていくお話に戻るわけです。
里で出現したアカトンボは、夏には生石高原で避暑をし、秋には里に帰って産卵し、世代をつないでいく。この小さな体をそれほど巧みにうまくこなして生命活動をしているのか、なればその観点から生石を四十年ぶりに見たいと思って、夏の終わりに登ってみたところです。驚くことに、ススキの原が著しく狭くなっているではありませんか。自然回復を試みようとしている谷間の農地が放置され、植生遷移していくのと同じ現象が生石山でも進んでいるわけであります。松、イヌツゲなどがススキの原を侵食してきているのであります。
当局にお聞きすると、約二十六ヘクタールあったところ、三十年もたたないうちに八・四ヘクタールに狭められていっているということです。およそ三十年足らずの間に三分の一弱になっていたということであります。消滅しかねないところであります。県立自然公園とは何なのかと、自然と口に出るのも禁じ得ないところであります。
ところで、県は三年計画でススキ草原の復元のための取り組みをされてきたとのことであります。幾つか考えるところを提起し、以下、お考えをお聞きしたいところです。
一つ目、生石高原の県立自然公園維持管理の基本的な観点をしっかり持つこと。二つ目、関係する自治体との協力共同の体制を強化すること。三つ目、ススキの原を最も効果的に維持する手法で対応する体制を検討し、実施すること。例えば刈り取り、火入れ──野焼きです──等。四つ目、貴重な植物の宝庫でもあるところから、監視体制が弱いためか、とる人が多く、絶滅に追いやられかねないという。ササユリは既に沿道にはなく、オミナエシなど、季節になればコンテナに入れ、根こそぎ荷物車に積んで下山していくところも見かけるというお話であります。アケボノソウ、ハバヤマボクチ、ホソバノヤマハハコ、ナンバンギセル、キイシモツケ、ムラサキセンプリ、ホソバヒメトラノオなど、忘れられない草であります。そこで、多くの理解者を組織して、季節にはパトロール監視活動及び教育活動を強化すること。五つ目に、県立自然公園との看板・標識等を立て、野草・野鳥などの採取禁止を呼びかけて意識を高めること。看板・標識など、ほとんど見かけないところであります。六つ目、特定の植物の採取禁止の条例化をすること。これは、直ちに手がけられてよろしいのではないか。七つ目、適切な案内図及びハイキングコースの地図などとともに、禁止事項や留意点など、広く利用されるものをつくること。八つ目、侵略樹木の伐採及びススキの刈り取りについて特別の手だてをする。特に火入れについては、関係市町村の消防、警察、住民等、大がかりな体制で試みる検討をすること。自然との共生、環境への認識を深め合う好機として、生石高原の自然回復は国民の環境問題への関心のバロメーターと位置づけて取り組むこと。九つ目、生石高原ススキ原の復元など、県立自然公園として常に守られ、好条件のもとで県民に親しまれる対策会議のようなものを常設すること。十番目、その会議で常に検討されて内容を県政に反映され、県民の共通の課題とすべきことは広報すること。十一番目、関連県道野上清水線、県道生石公園線を早期整備されること。
ここに、大阪市生野市勝山北一─三─十二に住む男性からの便りがあります。生石山への登山口がわからないで、偶然に出会った地域の親子連れの人に道を尋ねたところ、非常に親切に教えていただき、小冊子を添えて答えていただきました。その小冊子というのは、これであります。(資料を示す)「大好き生石山」であった。地元の小学校六年生の総合学習のまとめとして「大好き生石山」と題した、生石山のPR誌とも言えるものであります。教育長、教育委員会、皆さんよく見ておいてください。これは、地元の小さな小学校の六年生五、六人の生徒の総合学習のまとめだというんです。立派なものです。
これを見ますと、先ほど僕が申し上げた生石のススキの原などが、極めて短い年限の間にもう消えてしまうのではないかということもちゃんと書かれているんです。二十五年の間に二十六ヘクタールが八・四ヘクタールに減ってしまっている、物すごいスピードで草原が減っている、このままいったら消滅しかねないということまでも、この本にちゃんと書いているんです。子供たちは、ススキを刈ってしまったら草原が守られないんではないかと当初考えたけれども、学習している間に、刈ったらススキの原が守られるんだという認識に至ったことも、ちゃんと書かれているんです。そして、ごみ拾いもした、大変なごみだったという驚きも、この中に記録にされているんですね。
これらを見ていくうちに、熊野体験博だと言ってうつつを抜かして我々が頑張ってきたその何年かの間に地元の生石山が枯れてしまっているという事実が、子供たちの総合学習の資料として提起されております。もちろん三年間かかっているのですが、これが県当局の調査結果と全く符合するんですね。
こういうふうなことから考えても、南の話はよくされるけれども、生石や北の話は余りされない。振り返って、生石の山、ススキ草原をどう守るかという観点で、今提起したようなことなどを含め合わせて当局の答弁をお願い申し上げたいわけであります。
次に、サッカーくじについてであります。
三月三日から、第三回目が全国で一斉に売り出されました。一回、二回は静岡で試販のためにやられたということから数えて、三月三日からの販売は三回目になるらしいです。その結果、けさのスポーツ各紙などを見ますと、何と一億円当たったのが二口も出たというわけですね。──新聞を届けてくれて人があったので、持ってまいりました。十日から第四回目が売り出されて、十七日からの試合にくじが販売され出しているらしいのですが、昨秋に静岡県でテスト販売された際にも、関係する法律で禁止されている十九歳未満の青少年に売ったり、大人がかわって買ったりする実態が明らかにされてきました。テスト販売の教訓も生かされないままに子供への販売など、目もくれないまま全国販売となっているようですが、和歌山県はどうなっているのでしょうか。これらを明らかにしながら皆さんと検討してみたい、こういう立場から取り上げました。
ちなみに、県内の販売店は、和歌山市で十七カ所、御坊二カ所、新宮二カ所、橋本二カ所、田辺二カ所、有田三カ所、海南二カ所、岩出町四カ所、高野口町一カ所の三十五カ所だが、販売店の設定に県は何のかかわりもなしに決められて始まったというお話のようであります。販売店が学校の近くにあったりして、教育的配慮などが十分になされたという様子は一向にうかがえないわけであります。
ちなみに、ボードをつくってまいりました。(資料を示す)学校の近くに販売所──赤で記したのが学校の位置、黒で記したのが販売所です。これと全く同じものを用意してきておりますが、議場で配付する手続がちゃんとされていなかったので、議長から後で皆さんにお配りしていただくということで、お届けしておきます。一回、お目通しください。
販売が開始される前に、こういうふうな巨大広告が出されました。皆さんもご存じだと思います。(資料を示す)そして、販売されるその日に、これが出ました。これも同じ巨大広告です。これを見ると、売りさえすればよいという感じがしてなりません。これについて、日本弁護士連合会久保井会長の声明として次の見解が述べられているのを見ました。「サッカーくじは刑法が禁じている賭博行為であり、しかも青少年に人気の高いJリーグを対象にする点で子供社会に重大な影響を与える」と指摘しながら、「一つ目に、くじの提案者は、一等の当たる確率が百六十万分の一程度であるから寄附に近く、ギャンブルとは言えないと弁明しているが、勝敗の結果を予想して当てれば金が得られるという制度は賭博そのもので、何物でもない。そして、テスト販売の結果、第一回目の一等当選確率が二十五万分の一で、一口百円が約六百万円の払い戻し金となり、第二回目に至っては一等の当選確率が一万分の一で、百円が二十四万円の払い戻し金となっている。くじのギャンブル性は明白だ」と指摘されております。さらに、法は十九歳未満の子供にくじを売ることを禁じているけれども、テスト販売での販売店の年齢確認率は、第一回目が四六・三%、年齢確認の徹底を図った第二回目でも七五・七%。年齢確認を徹底しようとして販売した第二回目でさえ年齢確認をされた率は七五・七%だと言われる。四分の一の販売店は、年齢確認をせずにくじを販売しているのが実態である。売りさえすればよいと、こういうふうな状態であります。これによれば、Jリーグを対象とするギャンブルが子供社会に持ち込まれるであろうことは明確であります。
さらに、プロ野球コミッショナーの川島さんは、サッカーくじはかけごと、ギャンブルだとして、「スポーツとサッカーくじと結びつけば失うものは極めて大きい」と前置きして、次のように述べています。「フェアネス(公平性)を失った痛恨の経験を過去に我々は持っている。大リーグは八十年前のブラックソックス事件という八百長事件が起こり、日本でも一九七〇年に黒い霧事件があり、ともに賭博、ギャンブル絡みで、選手に魔の手が伸びてきたものだ。台湾では、リーグが一つつぶれるぐらいの多くの選手が賭博集団に巻き込まれ、八百長に手を染めてしまったことがある」と指摘しています。また、「真剣で真摯な戦い、その中から生まれるさわやかな明るさ、美しさ、その中心にあるのがフェアプレーの精神だ。スポーツ固有の大事な価値で、青少年の心がはぐくまれるものがある。これが壊される。子供に射幸心をあおり、選手にフェアネスを欠如させるものである」と、こう指摘されております。
かつて、和歌山市で舟券売り場が設けられようとしたときに、西川教育長が、賭博的性格を有する施設は教育的に好ましくないと申されました。サッカーくじは、基本的に舟券と同質のものではないかと申し上げたいわけであります。
サッカーそれ自体は、すばらしい教育文化の内容を保有しているスポーツだと、私はかたく信じているところです。それは、次の内容が強く求められるからであります。自主性、創意性、献身性、決断力、自己責任、瞬発力、連帯感等々、今日の青少年にともすると欠落しかねない教育的内容がサッカーというスポーツの中に用意されているからであります。さらに、青少年に魅力あるスポーツとして受けとめられているわけであります。
例えば、ハンドリングという罰則ルールがあります。手でボールを扱ってはならないという罰則です。人間が最も得手とする手をもってボールを扱ってはならない。これが、今の子供たちにとってみれば受け入れがたいように思えるけれども、逆なんですね。これがまた、子供にとって実に魅力的なのであります。それは、得手のよい手をあえて使わないことによって他の機能の発達を促す快さとおもしろみがあるからであります。やれば、他の機能が発達するのを自覚し、体得することが実感できるからであります。余計おもしろいと思えるのであります。
得手のよい手を使わないで、それ以外の機能のすべてを駆使してボールを扱えという課題に、子供は一生懸命やり始めます。得手の得を使っていたら他の機能の発達が促されないけれども、得手のよい手を使ってはならないというルールが決められてそれを守ろうとしたら、おのずからにしてボディ全体や足などを使ってボールを巧みに扱おうとする、その営みが始まるわけです。このことによって頭脳が発育し、それによって足、体のすべての機能が発達を促されるわけであります。このように見てくると、子供たちは全面発達をすることに快さを覚えるからではないでしょうか。
せんだって、鶴田議員が教育の問題で子供たちの問題を取り上げられてましたけれども、発達することによって真に子供が快さを覚えるような教育内容がサッカーそれ自身の中に用意されているということであります。これは、人間の諸機能の全面発達を促すからであり、また子供は本来、知力の発達を望んでいる証拠でもあります。
また、パスを送ります。ゴール前で、頭にせよ足にせよ、うまく合わせてシュートする。そしてインゴールになる。そこに、はかり知れない連帯が生まれてくるわけであります。サッカーは、大量得点にならないことが多いから、はかり知れない連帯感と強い責任感が求められていくわけであります。また、試合が始まると、選手は監督や指導者から全く独立した人間として立ち働かなければなりません。自己判断、自己責任が限りなく求められ、自覚させられ、まさに自立した人間として自己判断が極度に求められる教育内容が用意されているわけであります。
いずれにしても、今日的な子供の置かれている、満ち足りた、ともすると受け身の生活にならされているのに比べると、かけがえもない厳しい境遇に置かれるのであります。それでも、子供はサッカーを好むのであります。それは、サッカーを通じて自己が成長することを自覚できるからであります。
こう見てくると、サッカーは子育ての上で極めてすぐれたスポーツであり文化であると、私は確信するわけであります。また、厳しいプレーの相克のために、殊のほかフェアプレーの精神が求められるわけであります。ゆえに、発生の国イギリスではジェントルマンのスポーツとさえ言われたりしているわけであります。それをサッカーくじなどとしてかけごとの対象にしようとするのは、日本人の文化の程度がうかがわれ、サッカーそのものを冒涜するものだと私は思えてなりません。
サッカーくじを提唱し、それを推し進めようとした日本の文部科学省に、真に子供たちや国民の文化の振興を考えてのことなのでしょうかと、逆に尋ねたいわけであります。こんなことをするものだから、仕方もないような文化状況がはびこっていくという、こういうふうに見てもはばからないでしょう。
また、二〇〇二年ワールドカップの日韓共催を世界サッカーFIFAが決定しました。この共同開催の決定は、ワールドカップの歴史上初めてのことであります。画期的な決定だと私は見ているわけです。また、朝鮮半島の南北合意を促し、日韓のみならず世界の平和への貢献は大きいものがあると見ているわけです。この観点に立ち得ずして、開催の呼称は「日韓ワールドカップ」でなくてはなど、それを譲ろうとしないで、次元の低いところで「韓日」ではなく「日韓」でなくてはならないとする日本の関係者は、ワールドカップに水を差し、日本サッカーの国際的レベルへの到達に努力する取り組みを阻害するものだと、私は思っているわけです。
東京山手線のある駅で、ホームから落ちた日本人を身をもって助けようとした韓国の留学生が電車にひかれて死亡する事件が大きく取り上げられました。両国の人々の心を揺るがしました。国を超え、民族を超えた人道と正義の行為と、高く評価されるところであります。「日韓」でなくてはならないとする日本側の態度は、これに比べていかがなものかと、お尋ねしたいところであります。
女性団体、法曹界、教育団体等が、販売中止、制度見直しを求めて声を上げています。テスト販売をしてこの内容を一番よくわかっている静岡県は、県議会で実施見直し、延期の決議を上げられました。
ワールドカップ参加チームの公認キャンプ地の誘致について、和歌山県の適地性をアピールし、誘致実現に向けて取り組んでいるけれども、和歌山県の適地性とは、地理的な面だけでなく、教育・文化の面からも考察し合ってほしいものだと強く求めるところであります。
今までのところ、この面からの指摘は決して強いとは言えないのではないかと申し上げたいわけであります。公認キャンプ地に要請される幾つかのハードルはあるでありましょう。それらのハードルを超えるようになっているのでしょうか。公認キャンプ地の誘致のための取り組みにはいろいろあろうけれども、そのために県民に多くの犠牲を負わせてはならないと思います。どんな取り組みをされているのか、お尋ね申し上げます。
諸外国のサッカーにかかわる認識と大きくずれたところへ引きおろすようなことのないような取り組みをしなければならないのではないでしょうか。他県はどうであれ、和歌山県から好ましい情報を発信しながらワールドカップ参加チームの公認キャンプを誘致されたいわけであります。公認キャンプ場としての条件が整っているような状態に持ち上げるまでの努力は並大抵なことではないと思うけれども、そのあたりの様子も少しお聞かせください。和歌山県下で四十近くの販売店でくじが売り出されていることにかかわって、るる述べてきた観点からの厳しい取り組みを求めたいわけであります。
スポーツ振興くじいわゆるサッカーくじは、スポーツ振興くじ株式会社に委託され、大和銀行、そして販売店にと、このようなルートを伝って国民に売り出されているわけですけれども、県及び県の教育委員会、いわゆる行政機関が何の関与もなしに売り出されてきているわけであります。子供たちの間に法律を犯すような行為が起こると、あるいはまたチェックするように求められている販売店自身がチェックしないような事態が起こると、その責任は行政、すなわち県は何をしていたかという形で尋ねられるわけであります。県もあったものではないというふうに申し上げなくちゃならないのかもわかりませんけれども、因果なものだと思います。このようなことを許してそのままサッカーくじが通される、販売される、県民の間、子供たちの前に登場するという。登場させてはならないのではないかと思うけれども、現実にもう目の前に売り出されているわけであります。
県の教育委員会及び県当局、これらについて後始末だけ求められて、そういう賭博行為がまかり通っていく事態の中でしなくちゃならないのは、せめて子供だけでも法律に求められている行為だけはさせないように努力すると、こういうことだけが残っているのではないかという気がします。こういうことなどをお考え合わせながら、いかなる手だてをとろうとしているのか、またとってきたのか。こういうふうなことなどに触れてご答弁をお願い申し上げたいわけです。
シルバー人材センター設置の問題であります。時間をとり過ぎたので、あと残すところ少しです。
これは、実施しようとする自治体が立ち上がりを求めなくちゃなりません。調べてみますと、県下でも余り普及されていないようであります。この機会に、県下でシルバー人材センターなるものを設置させて、まだ知力もやる気も十分に持ち合わせている人たちの働く場所を保障する環境をおつくりいただきたい。これをやらないと、知力も能力も体力も兼ね備えている人が二年も三年も家でぶらぶらしているということになってくると、ろくなことがない。まず、家庭不和が起こり始める。その人たちは、かつて日本が経済成長して今日の日本の国を築いてきた労働戦士だったという自覚が非常に強いものがあります。こういう人たちにどうこたえていくかということが社会の責務でもあろうと申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 振興局を含めた地方機関のあり方につきましては、情報化の進展や分権型社会の到来など、地域を取り巻く環境が大きく変化する中で十分議論していかなければならない重要な問題であると認識をしております。
地域の諸問題に迅速に対応する体制づくりは今後とも図ってまいらなければならないものと考えておりますが、一方、現在、これまでにも増して行政の効率化が求められており、建設部の設置のほか、海南市への地方機関の移転については、業務の効率性等もあわせて検討する必要があると考えております。
なお、農業改良普及センターの名前の問題につきましては検討させていただきます。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長道浦 渥君。
〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 生石高原ススキ原の復元についてお答えいたします。
ススキ草原は、生石高原県立自然公園を代表する景観であり、また草原性の豊かな生態系をはぐくむ貴重な環境となっております。しかしながら、生活形態の変化等により放置され、植生遷移が進んだ結果、草原の面積が著しく減少しております。県といたしましても、ススキ草原を維持・復元していくために、平成十年度からの三カ年で動植物の状況等を調査し、ススキ草原復元実施計画等を策定いたしました。また、保全・復元実践運動の中心的役割を担うボランティア組織の立ち上げを支援し、平成十三年度から、刈り取りのほか、雑木の処理、草原性の貴重な植物の増殖及び保護啓発等の活動が展開される運びとなっております。
この三年間実施してまいりましたススキ刈り取り会が多くの方々の参加を得て定着しつつあることから、関係一市四町、県及び生態系の専門家を含むボランティア組織で構成する協議会を設置し、連携・協力体制をより深めてまいります。協議会では、刈り取り作業を草原保全のための中心的な活動に発展させるとともに、草原性の貴重な草花を保護育成し、乱獲防止策の検討や啓発活動、また看板の設置、公園利用のための標識等の整備を図ってまいります。
また、火入れにつきましては、消火用水の確保や民有地の混在等、種々の課題もございますが、草原維持の効果的な手法の一つでありますので、今後も検討してまいりたいと考えております。
また、県立自然公園の保全対策会議の常設につきましては、自然公園所在市町村で構成している県自然公園協議会を有効に活用しながら、自然公園の保全対策の検討や県民への広報に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(阪部菊雄君) 商工労働部長内田安生君。
〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) シルバー人材センターの設置についてお答えをいたします。
シルバー人材センターは、昭和五十六年に本県で初めて和歌山市に設置されて以来、平成七年までに田辺市、橋本市、新宮市の四市で設置されました。
少子高齢化を迎え、高年齢者の高い労働意識や豊かな経験、知識を生かすことで生きがいの充実等を図るためにも県下全域でのシルバー人材センターの設置促進が必要であることから、平成十年には社団法人和歌山県シルバー人材センター連合会が設立され、多くの市町村に設置されるよう、県と連合会が連携したセミナーの開催や巡回指導等を行うとともに、県独自の施策として小規模シルバー育成事業により補助を行うなど、設置促進を図ってきたところでございます。このことから、平成十二年三月に高野口町、同年四月に岩出町で設立され、本年四月には貴志川町、かつらぎ町でも立ち上げるべく準備を行っているところでございます。他の自治体につきましては、具体的に検討している市町村も数カ所ございますが、センター運営に係る経費、会員に提供できる仕事量の確保等のことから、設立準備に踏み切れない市町村も多くございます。
今後とも、シルバー人材センター連合会とともに、設置促進に向け、積極的に働きかけてまいりたいと考えてございます。
以上です。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) サッカーくじに関してお答えいたします。
このほど販売が開始されましたいわゆるサッカーくじは、子供たちの射幸心をあおるなどの影響が危惧されることから、十九歳未満の者への販売が禁止されております。こうしたことから、このたび各学校へ生徒指導に係る通知文を出し、その中で、不健全な娯楽施設での遊戯やそのような場所への立ち入りの問題に加えて、児童生徒がくじを購入することのないよう、指導の徹底を指示したところでございます。
今後とも、校長会や生徒指導担当者会などを通じて指導をより一層進めるとともに、家庭や地域社会及び関係機関との連携を強め、児童生徒の健全育成に努めてまいります。
次に、ワールドカップサッカーの公認キャンプ地についてであります。
JAWOC(二〇〇二年FIFAワールドカップ日本組織委員会)から詳細な条件が示されております。特に練習場については、夜間照明施設や非公開練習のためのフェンスなどが必要であり、県では紀三井寺競技場の改修及び仮設などで対応することとして申請を行い、昨年十一月二十二日に公認キャンプ候補地として認定されたところであります。
誘致活動につきましては、県サッカー協会や青年会議所などの民間団体と行政が一体となった委員会を組織し、出場の可能性が高い国に対して働きかけを行っているところであります。
なお、ハード面とあわせて、このキャンプ誘致の機運を盛り上げるため、既にJリーグのプレシーズンマッチの開催やメキシコとのマラソン交流などを実施したところであり、今後とも、少年サッカー大会を初め、青少年に夢と希望を与えるようなスポーツイベントを開催してまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十三番中山 豊君。
○中山 豊君 地方機関の移転については、知事から、業務の効率性を十分勘案しとお述べいただきました。それほどに効率性をお考えいただけるとするならば、今直ちにとは言わないにしても、可及的速やかに地方機関を地元へ移していくことこそが効率性を実現することになるのではないかというご意見を申し上げて、またお取り組みをさらに強めていただくようお願い申し上げて、終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。