平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後一時三分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
十八番原 日出夫君。
〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 午前中に引き続き、議長のお許しを得ましたので一般質問をしたいと思います。
私は、今回、三点にわたって質問させていただきます。
まず冒頭、梅の生育不良、立ち枯れの原因究明についてであります。
私は県に対し二年間、梅の立ち枯れの要因と原因解明について、梅の生産農家、加工業者の大多数の声を訴え続けてきました。一定の県の努力が見られるものの、今この時点に立って、原因究明のための県当局の基本的姿勢についてお伺いしたいと思います。
まず第一は、県うめ対策研究会の報告書は生産農家、関係者が納得していないということです。
原因がわからない中での研究会報告書であることは、だれが見ても明らかです。「栽培要因、気象要因、土壌要因など複合的に絡み合い、樹体内に養分ストレスを引き起し」とある。大気環境要因は除外され、「関係ない」と、事も簡単に締めくくっているのであります。ある園で少し回復の兆しがあるとか、ある園で強剪定をするとよくなったとかはその部分にすぎず、全体の園に当てはまる実証でない、それらが主たる要因でないということは、県も市町村並びにJAも認識されております。梅立ち枯れの発生メカニズムが解決されていないのは、事実であります。県やうめ対策研究会の考え方もあれば、大気及び御坊火電との因果関係に疑念を持つ生産農家を初め、立ち枯れで積極的に研究している学者及び関係者もいるのです。どうして平行線、対立が生まれるのでしょうか。一緒に両方の考えを取り入れることをしないのでしょうか。私たちは、昭和五十九年の御坊火電稼働から十数年、毎年立ち枯れの発生が増加している事実や、現場で毎日梅の成長過程、環境を見てきました。栽培のプロである生産農家が大気、御坊火電に疑念を持つのは当然ではないでしょうか。
私は、県当局の姿勢について、過去の四日市公害、水俣病、エイズ薬害、尼崎公害等の教訓に触れて、同じ過ちをしないで、まず謙虚に現場で苦しむ生産農家の立場、声に県行政が立ち返ることを訴えてまいりました。今また諫早湾では、ノリ被害により水門を開放するかどうかで闘われています。これも、ノリの被害は水門の開閉によるものかどうかの因果関係が何も現在わかっていない。しかし、開放して調査する方向で進められているこの事実。疑念とするものに対して、因果関係がはっきりしていない段階でも調査していくという姿勢。現場で梅を何十年も生産し続けてきた農家の素直で、しかも科学的な実証研究を進める中で、大気と梅の立ち枯れ、御坊火電から排出されるばいじんの成分による梅への影響調査をみんなが求めているわけであります。何ら理不尽な主張ではなく、長年の現場での経験から来る疑念や、十数年にわたって市、町、村初め生産農家、農協指導員、専門的学者などが、栽培面、病理面、土壌面、台木面、気象面を含め、机上論でなく現場で数十年培った生産農家の知恵と経験とを融合して研究してきたが、いまだに立ち枯れの発生メカニズム、原因がつかめない状況なのであります。だからこそ、田辺市、紀南農協はうめ対策協議会をことし四月から組織し、引き続き大気、環境を重点に、学者を含めて研究実証に入っているわけであります。県の姿勢があくまでも関西電力擁護、ばいじん隠しの方向で行くとしたら、私は、生産農家、JA、市町村との間において大きな矛盾と県当局への不信を超えた闘いに発展することを懸念するわけであります。和歌山県の基幹産業を守るために当然のことであり、今、県当局の姿勢が求められています。私たちがさらに過激な運動を展開しないためにも、県当局が腰を上げて生産農家の立場に立つ姿勢を求めていきたいと思いますが、知事の見解を求めます。
次に、具体的に農林水産部長にお尋ねします。
第一は、梅生育障害対策研究会、県うめ対策研究会のまとめは、つまり「生育障害メカニズムは、栽培要因、土壌要因、病害要因などが複雑な園地条件の中で複合して影響し、障害が拡大したものと考えられる。症状として見られる根の異常な黒変枯死、腐朽と根系の縮小、それらに伴う地上部の成長不良、特に徒長枝の成長不良、肥大成長の停止、葉の黄変縮小等が現れ、それらと並行して養水分吸収力の低下や貯蔵養分の枯渇、養水分ストレスにより枯死に至る、いわゆる生理障害である」と分析し、その要因は水分、栽培、土壌要因であるとしているわけです。
先ほども言いましたように、これらについてはまだ発生メカニズムがわからない中で結論づけたことについて、そして毎年ふえているにもかかわらずこれでまとめて、はい終わりということでは、私たち生産農家は納得するでしょうか。
暖地園芸センターのある研究員は、根の異変枯死について一つの仮説として、養分を吸い上げる木の血管つまり脈導が詰まって吸い上げられない状況にあることを指摘しています。これは実証試験の結果であります。それはなぜかというところまで至っていませんが、このことは私たちが過去においても県当局の実証試験の中で申し上げてきたことであり、ここで研究員も私たちと同じ、原因はどこにあるかわからないけれども、そういう状態にあって根が枯れて養分を吸い上げられない、吸い上げている脈導が異変を起こしている、それが枯れる根拠だということを一つ見出したわけであります。それは何によって起こるのかということがこれから研究する最大の課題であるわけであります。
私たちは、あらゆる角度から実証して、各関係の学者の考えを聞きながら、その要因として、大気から来る浮遊物が葉面での科学的変化を経て吸収され、血管を詰まらせているか、土壌への科学的な影響で根を枯らせているかという二つの疑問を持っています。いわゆる、原因がわからないけれども、研究員が実証しての仮説です。我々も、我々の立場で研究するとそういう要素が生まれたと。だから、いずれにしても、大気及び大気中の浮遊物、とりわけ御坊火電のばいじん浮遊物を研究・実証していくことによって発生メカニズムが明らかにされると考えています。これらの調査を進めることを明確にすべきだと考えますが、県当局はどうお考えですか。
今、この時点に立っても、県うめ対策研究会の大気担当である近藤教授の一人の見解のみをとらえて、ばいじん等の研究・実証をしても意味がないとする県の姿勢は、真剣に原因を究明する意思があるのかと疑うしかありません。この一教授の見解のみが正しいということについては──過去の公害や医療の社会的問題を見ても、一人や一部の学者や研究グループのみの見解を盾にしてきたことでどれだけの人の命、自然破壊がなされたか、それは歴史的に証明されております。幅広い見解を示していくことが県の役割ではないでしょうか。
第二は、県の研究機関と各市町村の研究・実証との意見交換を積極的に行い、双方の考えや実証内容、そしてテーマを設定して同じ土俵の上で共同研究していく、そして疑念を持つ生産農家の研究課題についても積極的に取り上げて一緒に研究していくという姿勢に立てるのかどうか。これについてもお伺いしたい。
また、成分調査をするため県が関電にばいじんの提供を求めるとしたが、その後どうなっているのか、お聞きします。
三点目は、既設の御坊火力発電所の三号機脱硫装置が十四年度で完成すると聞いています。それに伴って、毎日新聞にこのように掲載されました。「関西電力は十八日、御坊火電の排煙から、硫黄酸化物を現在より約三割削減する脱硫装置設置の基礎工事を始めた」ということの中で、「同火電では現在、硫黄分が〇・一%含まれる重油を使用。脱硫装置を設置する発電機では、硫黄分一%の燃料に変更する。同火電全体では」と、こうなっております。今まで原料としていた原油の硫黄分の占める率が〇・一%から十倍もの粗悪な硫黄分一%の燃料に変更すると言われておりますが、これについては事実なのでしょうか、お尋ねします。
最後に第四は、梅の研究センターでの研究テーマ、研究内容とどんな体制でいくのかという問題であります。暖地園芸センターの研究内容の延長線なのか。私たちが主張する大気、御坊火電のばいじんとそれに含まれる化学物質の暴露試験を初め、田辺市のうめ対が研究テーマにしている霧、露との発生量調査、初期降雨の酸性雨調査など、現在の現場の生産農家、紀南農協の指導員の要望を積極的に取り上げる姿勢にあるのか、お尋ねしたいと思います。
以上が、梅に関する質問であります。
続いて、和歌山県の森林・林業施策についてであります。
日本列島は最北端の宗谷岬から南の八重山諸島まで、北緯二十四度から四十五・五度まで延々三千キロにわたって長く連なる緑の列島は大小三千七百以上の島々で構成され、森林の割合は列島の三分の二を占め、先進国のアメリカ、カナダの倍を誇り、密林国のブラジルやインドネシアをもしのぎ、北欧の森林国フィンランドに匹敵すると言われています。この葉緑素を持っている木は、炭酸ガスと水を材料として太陽の光を用い、酸素とでん粉質をつくる光合成を営んでいます。それによって緑の列島はみずみずしく繁茂しているのです。とりわけ日本列島の森林は山地に偏在しているため、都市部に住む人たちにはその恩恵がなかなか理解されていません。私たちの和歌山県は県土の七七%を森林地域で占めており、日本の、地球の環境を守る公益的機能と役割を果たしていることから、和歌山県の森林・林業施策はとりわけ大きな責任と役割を担っていると考えます。
そこで第一点の質問は、豊かな森林づくりについてであります。
日本列島の森林は、日本史上四度目の危機に瀕していると言われています。これまでの過去の三回は破壊的な伐採によるもので、今日は逆に、放置されたがゆえの森林の荒廃という大きな特徴があります。
私は中辺路、大塔をつぶさに歩いてみましたし、北山村には毎年何回か訪れることもあって、紀州紀南の山々の、まさに放置された森林、人工林を見て、驚きを隠せません。つぶさに見てきた危機的状況から私が今回質問するのも、国の林政改革大綱との関係も含め、今、和歌山県は行政と民間、県民が力を合わせて森林施策、つまり豊かな森林づくりをどうしていくのかを確立することが急務であると思うからであります。
そこで具体的に聞きますが、機能に応じた森林の区分を明確化する必要があります。一つは、木材生産を目的とした人工林面積、つまり循環利用林はどの程度あったらいいのか。二つ目は、手のつけられない人工林をどうするのか。三つ目は、紀州の照葉樹林を拡大し、水源涵養林として、また人と自然界の共生林としてどう育てていくのか。また一方、和歌山県の林家数の動向から見ても、二〇〇〇年世界農林業センサス林業事業体調査によると、十二年度は一万四千十六戸で、昭和四十五年に比して二千二百戸が減少し、平成二年に比べて三百五十三戸が減少しています。しかも保有山林規模は、一ヘクタールから五ヘクタールの階層が七〇・七%、五ヘクタールから十ヘクタールが一四・六%で、十ヘクタール未満の階層が八五・三%も占める小規模の山林所有者であることからも、森林破壊つまり手がつけられない状態が浮き彫りになってきています。
この状態から見ても、和歌山県の森林を守り発展させるための機能に応じた森林の位置づけと、ただ単に林業のみとしてでなく、将来にわたって森林の多様な機能の役割としてどう位置づけるのか、県行政の真価が問われています。これについて、基本的見解、方針を知事にお伺いしたいと思います。
次に、木の産業づくりについてであります。
紀州材の需要拡大について、県当局は木材利用推進施策方針を出し、紀州材流通促進協議会、紀の国・木の家推進協議会等と連携して進められてきましたが、紀州材住宅の建築戸数の動向はどうでしょうか。県の建築申請の中でチェックできているのでしょうか。二十一世紀は環境の時代であります。私たちの住む和歌山の森林は、県土の保全、災害防止、水資源、涵養機能、環境の視点、生物の多様性保存、地球温暖化の防止など公益的機能を果たしてくれており、私たちを守ってくれています。だからこそ、私たちが守り育てていく責任があります。
今、全国的に、木の家を立てる、木の家に住もうということで、近くの山の木で家をつくる運動が広がっています。そこで私は、最近建てられてきている化学建材尽くしの今の日本の住宅を憂えるある随筆を読みまして、ご紹介したいと思います。
「ハウスメーカーの展示場を覗いたら、なるほど化学建材のオンパレードであった。 床も壁も天井もビニールに包まれ、階段の手すりに、滑り止め、シャワー室のカーテン、幅木、回り縁、窓はプラスチックサッシ、ルーバー、カーテンレール、シャッター、雨戸、雨樋、外壁のサイディング、バルコニーに至るまで、化学建材づくしである。設備機器に使われているものも多い。キッチン、洗面機器、照明器具のカバー、トイレの便座。表にでないところでは、断熱材、防湿フィルム、給水管、排水管などなど。数え上げたら、きりがない。 ここまで化学建材に支配されると、今の家は、ゾンビに侵された「化学の館」としかいいようがない。文句いってたら、はした金で家は建たないのかも知れないが、ものごとには、ホドというものがある。加減というものがある」というふうに紹介されています。そういう意味で紀州の林業、木材産業の振興を具体的にどう進めていくのかという観点から私から提言しますので、見解をお聞かせください。
一つ目は、県行政としてみずからやるべきこと、公共建築の木造化、木質化を積極的に進める対策は。二つ目は、木造住宅建築を県下的に推進していくための施策は。三つ目は、販売活動を促進するための事業は。四つ目は、森を守り紀州材利用を促進するため、加工業者、供給者──いわゆる設計士、工務店等であります──の枠を超えた、消費者、市民団体を含めた県民ネットワークづくりを目指す必要があるのでは。今、県下的にそういう活動が芽生えている中で、これらを援助し、各地域に広めていく役割を県はすべきではないでしょうか。五つ目は、間伐材や木質資源等の有効活用をどう考えていくのか。とりわけ、廃棄物処理法改正に伴う責任が明確化されている中での方針であります。六つ目は、森林・林業の立地を生かしたバイオマスエネルギーの導入の検討であります。バイオマスプランテーションとは、樹木の植林と伐採を定期的に繰り返すことによりバイオマス(植物の集合体)をエネルギー源として半永久的に利用する構想であります。まさに循環利用林、つまり人工林の立地にふさわしいバイオマスエネルギーの活用を検討してはどうでしょうか。二十一世紀は自然エネルギーへの転換を求めているし、里山復活と環境を守ることにつながっていくと思いますが、いかがでしょうか。
次に大きい三点目ですが、県土の七七%を占める森林施策を総合的に進めるために機構の見直しを提案したいと思います。
その理由の一つとして、国の林政改革大綱に基づき森林・林業政策が大きく変わる中で、今、二十一世紀の百年を展望した和歌山県の森林・林業振興計画の策定が急がれています。これをどうするのか。二十一世紀農業施策は確立していますが、森林・林業施策については、いまだ計画が策定されておりません。二つ目は、先ほどから提起した森林・林業施策を総合的、具体的に県民と一緒になって進める上で、現体制でいけるのでしょうか。三つ目は、森林・林業施策の果たす役割が二十一世紀には必ず見直されて前進すると私は考えています。二十一世紀は森林・林業を中心とした一次産業、いわゆる山林従事者を中心とした振興と雇用の拡大、紀州材の振興による第二次産業を初め職人さんの復活と新しい産業及びエネルギー産業の構築など、本来の日本の木の文化に立ち返る方向に必ず進むと確信しております。そんな日本に必ずなるし、ならなければ五十年以降の地球の存在が危惧されます。森林・林業は農業水産と肩を並べる存在になるし、なるために林務局体制を確立すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
次に、廃棄物対策と廃棄物行政についてであります。
県内に発生する産廃を含めた廃棄物の処理について、どうしていくのか。現状は、県内で処理できるものは県内で、処理できないものは県外に持ち出している。一方、和歌山県は県外から県内に受け入れることを禁止している。この姿勢では社会的に通用するでしょうか。県の現状の姿勢は、一般廃棄物は市町村の責任、産業廃棄物は企業責任という枠を超えていない。しかも、不法投棄や民間業者の後始末に追われ、廃棄物に取り組む施策と予防行政が見られない和歌山県として、今後の廃棄物処理の施策方針と考えはどうなのか、お伺いしたいと思います。
また、県の産業廃棄物処理業者は七百業者もありますが、これらの認定業者のマニフェストの管理指導は適切にされているのかどうか。私の知る範囲内では、管理票にある廃棄物と実際に出ている廃棄物の間にかなり大きな差があると聞いております。
二つ目は、廃棄物に関する法案がメジロ押しに成立しました。循環型社会基本法、廃棄物処理法、資源有効利用促進法、食品廃棄物リサイクル法、家電リサイクル法、容器包装リサイクル法、グリーン購入法に対し、県行政として、個々の法律施行に伴ってどう指導管理をしていくのか、またする必要がないのか、お聞きしたいと思います。
例えば建設資材リサイクル法ですが、県内の土木建設業者に、県の公共事業を初め、この法律に伴ってどう処理するかの指針が出されるのか。
もう一つの例として、家電リサイクル法では、県は直接関知する責任はないと言っておりますが、ないのか。各市町村の関係を少し聞きましたら、家電に対する取り組みは県下もうばらばらであります。基本的には消費者からもらうということになっていますが、不法投棄を恐れて無料化をしている和歌山市を先頭に、日置川町やすさみ町でも無料化するという状態が生まれてきております。和歌山県では、家電リサイクル法に伴って不法投棄をさせないでどのように処理していくかというシステム化がやられていないがために、県下各市町村とも皆ばらばらでこのことに対応しているという、この部分での貧困さを非常に感じています。
三つ目でありますが、グリーン購入法についても、リサイクルして再生商品化しても利活用販路なしには、そのシステムが有効に働かない。国もことしに入って閣議で、グリーン購入品目を大幅に拡大する方向と、庁内購入というだけでなくて公共事業にも積極的に使用することを義務づけられました。昨年から何回もここで言わせてもらいましたが、和歌山県においても、グリーン購入法に基づく品目決定や公共事業への積極的活用の方針を立てる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
次に、大きい二つ目です。きのう、きょうと聞いていく中で、十三年度に廃棄物処理計画を策定すると言われておりましたが、これがことし義務づけられました。一つは、処理計画策定のための県の基本方針をどうされているのか。また、広域ブロックという前回の策定システムは変わらないのか。策定作業のワーキンググループは、市町村の担当者、振興局担当者、民間事業者を含めた、直接かかわっている人たちで作成する必要があると思うが、どうでしょうか。
次に、二十一世紀は環境の時代ということですが、八つの法律施行と処理計画策定・実行は、果たして現体制でいけるのでしょうか。県行政として、観光行政に取り組む上での組織体制の強化についていかがお考えでしょうか。現状では、県地域環境課においても、例えば振興局の保健所の担当者におかれても、実際は、環境施策を考えるとか、これからどうしていくかというよりも、不法投棄や問題点を後追いするのに精いっぱいという実情を私は直接感じております。そういった意味で、環境行政を柱に据えるとすれば、ここをどう強化していくかということが今、二十一世紀の初年として求められるのではないでしょうか。
最後になりますが、産業廃棄物を初め廃棄物処理場の立地を決定したり廃棄物行政の施策を進めていく上で、今、知事のトップダウン方式による積極的公共関与が求められていると思います。これは、きのう先輩の下川議員も積極的に言われ、知事の前向きの姿勢を伺って喜んでいるわけですが、それを実行するために、まず人的対処をしてほしい。ごみ処理場、クリーンセンター及び最終処分場をつくる場合は、知事が特命を与えてその人が任務を負ってやっていってほしい。全国で成功しているのは、知事がトップダウンできちっと特命して、その人が市町村や関係する業者と立地条件を研究しながら専門的に取り組んでいるところです。前向きに出した、じゃ、それをどうしていくか──私は、人的体制ということで、ことしから知事の特命を受けて積極的に取り組んでいってもらいたいということをお願いしたいわけであります。
以上で、第一回の質問を終わります。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、梅の生育不良についてのご質問でございます。
梅の生育不良の問題は県政の重要課題と考えており、早速、昨年の十月に産地に出向き、農家の方々の意見を聞くなど、実態の把握に努めたところでございます。
この問題の究明は非常に難しいことから、県ではこれまで国、大学の専門家による和歌山県うめ対策研究会を設置して原因究明に取り組んできたところであり、その最終報告の内容は、科学的に検討評価された結果として基本的に尊重していかなければならないと考えております。
お話の、御坊火力発電所の排煙や浮遊物など大気に関連する調査に対しての強い要望についても十分承知しておりますが、ばいじんの直接暴露については、技術的な面などから現在のところ難しいものと考えております。
今後の調査研究を進めるに当たっては、多くの方々の意見をお聞きするとともに、専門家の指導も受ける中で、科学的に評価できるものについては迅速に取り組まなければならないものと考えております。
梅産業の振興を図るために生育不良の原因究明は重要でありますので、市町村の協力のもと、新たに設置する梅研究機関を核として、生産者を初め地元関係者の方々と意見交換を図りながら、地域に密着した研究を積極的に推進してまいりたいと考えております。
次に、和歌山県の森林・林業施策についてでございます。
豊かな森づくりについては、本県の森林はきれいな水を生み出し、洪水や山崩れを防ぎ、また人の心を豊かにしてくれるなど、あらゆる面で重要な役割を果たしております。私は、この森林を守り育てていくことが非常に大切なことであると考えております。
同じ紀伊半島の三重県におきましては、荒れた杉やヒノキの林を広葉樹林へ転換させ、管理が行き届かない民有林を環境林として公的に保護していく施策が新しく取り組まれようとしております。本県でも柔軟な考え方に立って、こうした取り組みも参考にしながら、また県民の皆様の意見も十分に聞きながら、林業経営の柱となる人工林とすぐれた自然景観を保ち保健休養の場ともなる天然林とがバランスのとれた豊かな森づくりを進めていきたいと考えております。
次に、廃棄物対策についてのご質問でございます。
家電リサイクル法を初め循環型社会形成に関する各種法律がいよいよ施行される中で、廃棄物処理計画の策定を初め、今後各地で発生が予想される不法投棄や廃棄物の不適正処理の監視体制等について、より一層充実強化を図っていく必要があるものと考えております。
このため、来年度から県警察において環境機動捜査隊を創設するほか、環境生活部に環境部門を除いた共生推進局を設置する──ということは、逆に言えば環境部門がより強化できるということになるわけでございます──こういうふうな組織強化をするとともに、また新たに廃棄物対策室を設置するほか、振興局に廃棄物監視指導員を配置するなど、体制の強化を図り、環境問題に的確・迅速に対処してまいりたいと考えております。
それから廃棄物行政について、トップダウン方式により積極的に関与すべきというご質問でございます。
これはおっしゃるとおりでございまして、テレビでもやっておりますけれども、家電などの法律が変わってくるということで、これから不法投棄が大分ふえてくるということが懸念されております。こういう問題については、きのうもお答えいたしましたけれども、やはり果敢にやっていく必要があるので、私もいろいろ勉強しながら関係部局に督励をして積極的に取り組んでいきたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 農林水産部長島本隆生君。
〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 梅の生育不良問題に関して、大気環境に関する研究と関電へのばいじん提供要求についてのご質問にお答えをいたします。
梅の生育不良の原因究明につきましては、国や大学の専門家の指導を受けながら、暖地園芸センターを中心に、大気、栽培、土壌、病害、気象等、総合的な調査研究を進めてきたところでございます。中でも大気環境に関する研究につきましては、これまで二酸化硫黄、二酸化窒素、オゾンの複合ガス暴露を実施するとともに、平成十二年度においては、化石燃料の指標物質と言われているバナジウム、ニッケルを用いた暴露試験や重金属の年輪解析などを実施してございまして、その結果については近々に地元のうめ対策協議会等に報告できるものと考えてございます。
また、御坊火力発電所のばいじんの試料提供につきましては、事業者から協力をいただける旨の回答を得てございますが、現在、電力需要の低迷もあり、発電所の稼働率が非常に低いということから試料のサンプリングが難しいと聞いてございますので、今後、試料の提供を受け次第、成分分析を実施してまいりたいと考えてございます。
次に、梅研究センターの研究内容と体制についてお答えいたします。
梅に対する研究内容についてでございますが、生育不良の原因究明を行うため、生理・生態特性の総合的解明や適正な土壌管理技術の開発などが重要と考えてございます。こうしたことから、今後の研究については、梅の木の栄養状態を簡易に診断する技術の開発、先端技術であるDNA鑑定を用いた生育不良樹の系統判別やストレスに強い台木の育成、育種試験などに取り組むこととしてございます。
また、大気環境面の研究につきましては、これまでばいじんの直接暴露にかわるものとして化石燃料の指標物質を用いた暴露試験を行ってございますが、このほか、科学的に評価できる新しい研究手法があるのかどうか、専門家の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えてございます。
なお、ばいじんに関する調査につきましては、県下十一カ所の降下ばいじん量や成分の分析も行うこととしてございます。
次に、梅の研究機関の研究体制につきましては、国や大学との人的交流など、産・官・学の連携を図った新しい体制の整備に努めるとともに、生産者やJA等、地域関係者に開かれたものとしてまいりたいと考えてございます。
次に、木の産業づくりでございます。
県といたしましては、三つの項目を柱として紀州材の需要拡大に努めているところでございます。その一つ目は公共施設の木造化の推進、二つ目は民間木造住宅への需要拡大、三つ目は間伐材等の利用推進でございます。
まず一点目の公共建築物の木造化については、関係部局長で構成する木の国プロジェクト推進会議により、これまで公共施設の木造化を推進してきております。これまで幾つかの利活用事例がありますが、最近では、「県民の友」三月号の表紙を飾る藤並小学校の内装木質化の事例もその成果の一つでございます。
次に、二点目の民間住宅への紀州材の需要拡大については、引き続き産直住宅への取り組みを進めるとともに、これからは住宅建築関係者の間では特に乾燥木材が求められていることから、十三年度において新たに乾燥施設の導入や乾燥紀州材による家づくりへの支援を行う予算を計上してございます。
また、販売活動を促進するため、引き続き大消費地での優良紀州材の展示会を開催するとともに、新たにインターネットを活用した需要の拡大にも取り組む予算を計上してございます。
次に、三点目の間伐材等の利用推進については、本年度から森林土木事業等において幕板型枠や木製ブロック擁壁を用いた工法を積極的に実施しており、また現在、日本道路公団等において県内の高速道路への間伐材を使用した遮音壁の設置について関心を示していただいているところでございます。
今後、こうした三点にわたる施策展開に当たっては、意欲的な取り組みを行っている住宅建築の関係者や消費者の皆さんとも十分連携をとりながら、木材を生産する「山」とその多くを消費する「町」がなお一層密接につながり、紀州材ができるだけ多く使われるよう努めてまいりたいと考えてございます。
なお、バイオマスエネルギーの利用につきましては、循環型社会あるいは環境重視の社会に推移している中、注目をしていかなければならないテーマであると考えてございます。これにつきましては、全国的に数例の実施事例はありますが、一方、採算面での大きな課題もあると聞いてございます。今後、情報収集に努め、行政としてどのような取り組みが望ましいのか、考えてまいる所存でございます。
次に、県土の七七%を占める森林施策を進めるために機構の見直しをということでございます。
地球環境問題が大きくクローズアップされている中で、二十一世紀は森林や林業の役割が改めて見直されるべき時代になると考えてございます。現在、国におきましては、これまでの木材生産主体から森林の経営管理の重視へという基本的な考えのもとで政策の大幅な見直しが行われているところでございます。こうした国の動向なども踏まえまして、本県の特色を生かした二十一世紀版の森林・林業基本計画を早期に策定してまいりたいと考えてございます。
現在の林務組織でございますが、木を植え育てて森林を守る森林整備、木を刈り運んで加工販売する林業振興、山村の担い手の育成や産業振興を柱とした山村振興の三つの部門から構成されており、この三部門が一体となってより一層横断的連携を強化し、新基本計画の策定と実行を担っていきたいと考えてございます。
なお、議員お話しの林務局構想でございますが、二十一世紀にふさわしいご提言であるとは思いますが、今後の研究項目とさせていただきたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 梅の生育不良に関する中で、脱硫装置の分についてお答えいたします。
既設御坊発電所三号機に脱硫装置を設置するのに伴い、燃料については、硫黄分〇・一%以下から一%以下のものに変更するとの報告を受けてございます。この脱硫装置は脱硫効率が九九%と高性能であり、硫黄分一%以下の燃料を使用しても、三号機から排出される硫黄酸化物の量については現在の十分の一に削減されることになります。
以上です。
○副議長(尾崎要二君) 環境生活部長道浦 渥君。
〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 廃棄物対策と廃棄物行政についてのご質問にお答えします。
まず、県としての廃棄物処理の施策方針と考え方についてでございます。
平成十二年の廃棄物処理法改正により排出事業者責任がより一層強化されたこともあり、県としては排出事業者への指導強化に努めるとともに、不適正処理対策についてもパトロールの強化等に取り組んでいるところでございます。また来年度からは、廃棄物処理計画の策定の中で県としての廃棄物処理の基本方針を明確にするとともに、処理施設の適正な確保についても検討してまいります。
次にマニフェストの管理指導についてですが、産業廃棄物管理票、マニフェスト制度につきましては、平成五年四月から特別管理産業廃棄物について義務づけられたものでございまして、平成十年十二月からはすべての産業廃棄物に使用が義務づけられております。このマニフェスト制度は、排出事業者が委託により産業廃棄物の処理を行う際、処理が確実に行われていたかを確認するものでございまして、排出事業者のマニフェストを委託業者に交付する義務を負っております。
従来のマニフェスト制度では、これまで中間処理の終了までしか確認できませんでしたが、平成十三年四月から法改正によりマニフェスト制度がより強化され、排出事業者は最終処分の終了まで確認しなければならなくなりました。県では、法改正に伴い、本年三月に社団法人和歌山県産業廃棄物協会主催の講演会において、新マニフェストの運用に係る説明を実施したところでございます。今後も、排出事業者及び処理業者に対してマニフェスト制度の周知徹底を図り、適正処理を指導してまいります。
次に、廃棄物に関する諸法律の実施に伴う県行政としての対応と施策についてお答えします。
昨年成立した循環型社会形成推進基本法を初めとする廃棄物リサイクル関連法につきましては、都道府県に直接責務があるものとないものがございます。しかしながら、これらの法律は、循環型社会構築を進めていく上で不可欠なものでございます。県としても、各法律を所管あるいは関係する庁内の各部局が一体となって取り組んでまいります。
なお、個々の法律の運用についてですが、まず議員ご質問の建設リサイクル法については土木部が所管しておりまして、県の役割の主なものは、解体業者の登録、発注者の解体計画に対する指導、受注者が取り組む分別解体及び再資源化への指導であり、今後、建設リサイクル法に係る政省令の施行を踏まえ、積極的に建設工事における廃棄物のリサイクルに取り組んでまいりたいと考えております。
次に家電リサイクル法についてですが、この法律は、消費者が排出した廃家電を家電小売店が引き取り、メーカーがリサイクルする制度であり、本年四月から施行されることになっております。県としては、この法律の円滑な施行を目指すべく取り組みを進めておりまして、メーカー、家電小売店、市町村の協議の場を設定して対応を進めるとともに、広報紙「県民の友」や広報番組「きのくに21」を通じての普及啓発に努めているところでございます。
また、不法投棄対策についてでございます。不法投棄対策を含めた一般廃棄物の処理については、基本的に市町村行政の中で実施されるものと考えておりますが、県では、平成十二、十三年度において、国の緊急雇用対策事業の一環として、市町村が実施する不法投棄された廃棄物の撤収事業に対し、各市町村からの要望に応じて補助を行っているところであります。今後は、エコポリス事業や、県、市町村、警察が参加し、振興局単位で設けている適正処理連絡会議などと連携し、不法投棄の防止に努めてまいります。
グリーン購入法につきましては、平成十二年五月に成立し、本年二月二日に環境物品等の調達の推進に関する基本方針が国において定められたところです。基本方針では、環境に配慮した物品について優先的に購入する品目を定めるとともに、その判断基準を設定しています。県におきましては、物品の調達や公共工事に係る資材等の使用において環境物品の調達を推進するため、国の基本方針を踏まえながら、関係課室等から成る連絡会議などを設置し、調達方針を策定するとともに、環境に優しい製品の購入に努めてまいります。
次に、廃棄物処理計画の策定の考え方と策定手順についてでございます。
廃棄物処理計画は県としての廃棄物処理の基本方針となるものであり、この計画には、一般廃棄物、産業廃棄物を合わせた発生、処理、処分リサイクルの現状、減量化の方針、施設整備の方針等記載するとともに、ごみ処理広域化計画、市町村の一般廃棄物処理計画、多量排出事業者の廃棄物処理計画についても盛り込んでまいる考えでございます。
また、広域ブロックという前回のシステムは変わらないのかとのことですが、これは、一般廃棄物処理施設の集約化を図るために県がごみ処理広域化計画を策定する際に用いた考え方であります。今回の廃棄物処理計画は一般廃棄物、産業廃棄物を含めるものでございますので、その策定に際しては、最も適した手法を検討してまいりたいと考えております。
また、廃棄物処理計画に実効性を持たせるためには、議員ご指摘の関係者と十分協議していく必要があるものと考えております。今後の策定作業に際しては、庁内の関係課や各振興局、市町村、事業者や関係団体等と協議し、広い範囲の意見を取り入れてまいります。
以上です。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 まず、二点目の和歌山県の森林・林業施策について。
知事から大変前向きなご答弁をいただきまして、ありがとうございます。和歌山県が抱える課題で、この環境問題と我が和歌山県の七七%を占める森林・林業施策について、ぜひとも県の施策の重点にしていただけらありがたいと思います。大変前向きな答弁をいただきましたので、私たちも一生懸命頑張っていきたいと思います。私もこういうことを感じ出したのはごく最近でございまして、そういう意味で私自身も反省しているんですが、やはり県民自身も、自分たちの森林・林業を発展させるという思想になかなか立ち切れていない部分もあります。
今、田辺市では、よみがえらせよう二十一世紀の「紀(木)の国」ということで、自主的に民間の設計士や施工業者の関係者がつくって、どうして紀の国の紀州材を使おうかとか、また消費者を巻き込んでいこうという運動が今盛り上がっていますが、そういったものをぜひ各地域につくっていただきたい。県が旗を振り回すのではなくて、木材提供者、それから設計者、施工者、そして消費者というネットワークに依拠しながら和歌山の森林・林業を守っていくための運動をぜひとも展開し、指導していただけたらありがたいなと思っております。
二点目の問題でもう一つ強調しておきたいのは、七八%近く輸入材に圧倒されているわけですけれども、実際に価格を見ますと、内材でもヒノキは高いですが、杉の木は米国材とほとんど価格が変わりません。そういう意味では、国内における杉の木をもっと見直していく必要があるのでないか。昔から節のある木はあかんとしていたのが、今は全国的にむしろ節のある木がいいんだということで評価が変わってきています。価格が外国の米国産と立ち向かえる木は、これだけです。高級なヒノキもいいのですが、並材としての杉も見直していく必要があるのではないかと、今痛感しているわけです。これについてもぜひ取り組んでいただけたらありがたいと思っております。よろしくお願いします。
それから、環境の問題です。
これについて答弁していただいたんですが、とにかく幾ら質問し、当局が答弁しても、先ほど知事にもお願いしましたように人と組織がなかったら、この種の問題はなかなか取り組めない。今まで余りにも後追いの行政で、お金も人もかかってしまって、実際前向きな環境行政に一歩踏み出せないということはよくわかるのですが、これを踏み出すための体制をとってほしいということです。
知事が四つのいわゆる局を設置しました。格好のいいように四つつくったんですけれども、本来、行政が一番やらなければならない環境問題についても局体制にしてもらいたい。環境問題とか、医療、福祉、教育というのは、行政がやらなければできないんですよ。そういう意味で、特にこの部分は重視してほしいなという期待もあってお願いしたわけであります。そういうことで、よろしくお願いしたいと思います。
最後になりますが、梅の問題です。
企画部長に提言というか、特別に再質問しても、当事者でないですから、なかなかわからないと思いますが。私は、極端に悪く考えれば、いわゆる脱硫装置をつけるのに便乗して、燃料の原油に十倍もの粗悪なものを使い、安い悪いものに転換するのによい機会だったなというふうにしか受け取れないわけです。しかも、排出される量が十分の一に減ると言いますけれども、我々が単純に考えても、今までの〇・一でもかなり厳しいのに、季節的に見て夏とか春とか秋とかいろいろありますが、二〇%から三〇%と上がるときには、降っている粉じんが現状でもかなり収拾されているわけです。だから私は、〇・一の十倍の悪質な燃料を使うことによって、十分の一が排出されたときは大丈夫なんですよ、十分の一クリーンなものになるんですよと言われても、なかなか今起こっている現象から素直に、はいそうですかというわけにはいかないんですね。この点、我々生産農家や関係している皆さんは非常に危惧を感じております。
関西電力がなぜこういうふうに打ち出してきているかというのは、石油連盟の資料によっても、今、実際に、いわゆる硫黄分の〇・一%というような原油は、もうないんですね。もうほとんど日本に入ってこない。一%以上──一%から二%、三%という全く粗悪な原油が今どんどん日本の国内に入ってきているんです。そういう意味では、企業自身の経営の問題で〇・一から十倍の一・〇以上のものを使ってくるというように我々は端的にとらえていかないと、排出が十分の一だから大丈夫なんですよというとらえ方はいかがなものかと。その点、やっぱり企画部も農林水産部も真剣に物事を見ていかないと、ただ関西電力から言うてきたからそれはそれでいいんだということにはならない。このことについて、もう少し真剣に、不信を高めないように取り組んでいただけたらありがたいと思います。
それからもう一点ですが、今度は農林水産部長にお願いします。
知事の答弁の中で、「ばいじんの直接暴露については、技術的な面などから現在のところ難しいものと考えております」とありました。これは、私の質問に対する答弁でありますが、知事の答弁ではないと思います。絶えず農林水産部長の言っていたことをそのまま知事がかわって答弁されたにすぎないわけであります。
これは、私が先ほど述べましたように一人の東大教授の見解であり──もちろん大気の専門家であることは承知していますが、しかしこの教授自身の幾つかの研究レポートの中で、大気と植物についての関係では、その影響を認めたレポートも存在しております。それは、梅に関係ありませんよ。いわゆる大気と植物というレポートの中では、植物にかなり影響するとの研究結果の発表をされておりますが、これは研究会の学者の皆さんが異口同音、梅については知識など何も知らないと事前に断った上での発表でありました。これは初めての経験だということで見解を述べられたのです。そういう状況の中で、しかも二年間の研究はほとんど形ばかりのもので、現場での実証研究はやっておりません。知らない中で、事前学習も事前研究もない中での二年間。しかも、現場へ入る実証試験なんか、ほとんどやっていません。このうめ対策研究会の報告書は、ほとんど関西電力と紀南農協がまとめた資料をもとにしており、学問的机上論でレポート化したものにすぎないということは、もうわかり切っています。それを皆さんが認めているわけです。資料もそれに基づいてやりましたとこの研究者が言っているんですから、間違いありません。
そういう意味では、いわゆるばいじんの直接暴露やそのばいじんを提供してもらって一回研究しようという素直な意見に、そういう資料を盾にとって、ただもう事前に研究してもむだやということではなかなか納得しにくい部分があるんですよ。研究もしないで。我々は何も無理強いしているのではなく、そういうことも含めてやろう、一緒にやったら結果が出るのと違うか、シロならシロでいいですよと、こう言っているんですから、今そういう積極的な姿勢が必要じゃないかと。
農林水産部長、もう研究してもむだや、研究の成果が得られるのかというように言っていますが、例えば科学的に調査可能とする学者や研究者がいれば、それらの人と研究する姿勢にあるんですかと、逆に言いたいんですよ。そんなことをしてもむだやという一東大教授とは違って、じゃ、実際に直接暴露試験やそのばいじんに基づく葉面、またそういう木に対する影響調査をこういう形でやれば可能なんですよという提供があれば、一緒になって研究をしていく姿勢にあるんですか。このことをまず農林水産部長に聞きたいと思います。その一点だけです。
○副議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
農林水産部長島本隆生君。
〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 原議員の再質問にお答えをいたします。
私は、解明に向けての調査研究に当たりましては、これまでのわかっていることだけの方向づけだけではなくて、何がどこまでわかっているか、あるいはわからないのは何か、あるいはまたそういうことに対していろんな意見があるという総合的な客観的視点と申しますか、そういうことからこの問題に当たっていくのが基本だと考えてございます。
ですから、ばいじんの直接暴露の点につきましては、先ほどお答えしたとおりでございますが、もちろん私どもは科学的評価ができる研究手法があるかどうかは検討してまいりますし、また別途、他の人々から新たな研究手法のご提案があれば、県としても他の専門家の意見も聞きながら総合的に検討し、対応してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 非常に前向きな答弁としていいのか──ちょっとわかりにくい部分もあったんですが。
知事も言われました、広く生産農家や関係者の皆さんの声を聞いて今後研究を進めていきたいという答弁で、私はいい意味での理解をしております。したがって、最初の質問の第二点目で言いましたように、今までのように対峙的、対立的とか感情的ではなしに、いろんな方から研究テーマを与えられたら共同して、お互いの土俵の中で論議をしていくという姿勢に県の行政もどんどん立っていただければ早期に解明されていくのではないかと私も期待していますので、どうぞ今後ともよろしくお願いしたいと思います。
これで終わります。
○副議長(尾崎要二君) 以上で、原日出夫君の質問が終了いたしました。