平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(谷 洋一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十九番谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、ただいまから一般質問を行います。
 本県は、海、山、川などの豊かな自然に恵まれており、それぞれが全国的に見ても一級品であり、誇るべき貴重な資源であると考えます。まさに文豪・佐藤春夫先生が「空青し山青し海青し」と詠まれたとおりであります。これらの豊かな自然の恩恵を受けて、農業、林業、漁業が各地域で盛んに営まれ、ミカン、梅、カキ、木材、備長炭、マグロなど、本県の主要な農林水産物もまた全国に誇れるものがたくさんございます。
 農林水産業は、古くから本県の基幹産業として地域を発展させてきましたが、安価な輸入品の増加、後継者難、消費者ニーズの多様化、高度化への対応、就業者の高齢化等々、さまざまな課題や問題を抱えております。
 農業、林業、漁業といったいわゆる第一次産業は、農林水産物を生産し供給するという産業的な面だけでなく、例えば農業や林業は、県土の保全や水源涵養といったすぐれた公益的機能など多面性を有しており、自然環境の保全という観点からも大変重要であります。第一次産業の振興に関しましては、農林水産部において本来的な立場から専門的、積極的に種々の施策を講じられておることは私も十分認識してございます。
 さて、バブルが崩壊して以降、例のないほど長期にわたって景気の低迷が続いていますが、私の住んでいる紀南地方においても非常に厳しい状況が続いており、地元の人々は自分たちの地域をどうしたら活性化させることができるか、いろいろと研究したり話し合いを持ったりしており、そうした試みの幾つかに私もかかわっているところであります。本日は、紀南地方の課題を念頭に置きながら、少し違った切り口から、私なりの提案も含め、県当局へ質問をさせていただきます。
 本県におきましては、中山間地域を中心に急激に過疎化が進み、過疎地域自立促進特別措置法に基づき十八町村が過疎地域として公示されていますが、これらの過疎地域を活性化するには、地域の第一次産業を活用し、交流人口の増加ということを考えていく必要があると考えます。事実、全国的に見ても、過疎と言われる地域では積極的に都市部との交流の促進が図られています。
 そこで、私は、豊かな自然を活用するとともに、第一次産業と連携した観光振興という視点により交流人口の増加を図り、地域の発展につなげていくということを提案したいと考えます。
 現在、経済的には豊かになったが、生活の中でその豊かさが実感できないという指摘があります。このことは、人々が経済的な豊かさに加え、もう一段上の豊かさを求めているのではないでしょうか。このような人々のニーズにこたえながら交流人口の増加を図っていくためには、地域の自然や第一次産業を正しく、より深く理解してもらうことが重要であり、単なる知識の吸収ではなく、目や耳など五官を通じて実際に体験してもらうことが有効であると考えます。
 第一次産業における人と自然のかかわり、農林水産物はどのような自然条件においてどのようにして生産されているのか、森林の間伐は何のためにどのようにして行われているのか、またそれはどのような効果があるのかといったことを体験を通じて理解してもらうことが、都市部に住んでいる人たちにとって、またその地域に住んでいる子供たちにとっても非常に有意義なことではないでしょうか。ただ単に見るという観光ではなかなか交流にまでつながっていきませんが、体験によって地域の実情を知ってもらうことにより人と人との交流が生まれ、観光客というよりは地域の理解者あるいは後援者となり、ひいては交流人口から定住人口へと進展することも考えられます。
 ここで少し、私の住んでいる紀南地方の状況について触れさせていただきたいと思います。
 本州最南端の串本町、日本一の那智の滝がある那智勝浦町、鯨で有名な太地町、それに挟まれ、清涼な古座川の流域に沿って古座町と古座川町があります。この地域は、農林水産業を主な産業とし、地域の人々が日々の生活の中で自然を守り続けてきたところでもあります。町としても、宿泊施設の整備や交通アクセス改善のための標識整備などを実施して観光振興に努めているところですが、周辺の町のことを思えば、知名度や観光客の数においてまだまだ低い状況にあります。
 古座町は、面積の八〇%が山林で占められ、人口も減少傾向が続き、若年層の社会的減少が著しく、高齢化も急激に進行しています。観光資源としては、吉野熊野国立公園に属する荒船海岸を有し、海岸一帯でのいそ釣りや南紀熊野体験博を契機に取り組みが始められたホエールウオッチングなどがあります。
 古座川町は、面積は県下最大でありますが、人口の減少は著しく、高齢化率も県下で第一位となっています。町の面積の九六%が山林で占められ、JR紀勢線や国道四十二号線といった県内幹線交通網からも離れています。観光資源としては、一枚岩や滝の拝、世界最小種のハッチョウトンボなどが知られています。
 両方の町とも、自然には恵まれているものの、過疎や高齢化の問題を抱え、地域産業の方向や振興策をいろいろと模索しつつ、体験型観光といったものを幾つか立ち上げ、現在置かれている厳しい状況に立ち向かおうとしているのが実情であります。
 さて、最近、有名な大規模テーマパークの不振が次々と伝えられています。大きな投資をして大規模な観光施設を建設しても、リピーターの確保は非常に困難な時代となってきており、また現在の経済情勢においては大きな投資は期待できません。私の提案したい体験型観光というのは、大きな投資は必要でなく、資源は地域そのものであり、有名な観光地や観光施設がない地域においても実現が期待できることから全県下での展開が可能であると考えますが、いかがでしょうか。
 過疎地域や第一次産業では高齢化という大きな問題を抱えていますが、豊かで充実した長寿社会の形成といった観点からも、体験型観光という仕組みの中で高齢者の方々に生きがいを持って豊富な知識や経験を生かしてもらえるのではないかと考えますが、いかがでしょう。
 最近の観光客のニーズは多様化、高度化し、旅行の形態も多人数の団体から個人や家族、グループのような少人数に変化してきており、これに伴い旅行の目的も、「どこかへ行く」から「どこに行く」、さらには「何をする」といったふうに変わってきているように思います。団体でやって来て、夕方ホテルにチェックインし、宴会、宿泊して終わりというようなものから、目的に応じて広域的に周遊するといったように変わってきているのではないでしょうか。このような状況の変化を考えますと、既存の観光資源だけに頼っていては近年の観光客のニーズに十分対応していけないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 本県では、一昨年、南紀熊野体験博が開催され、自然等を活用した体験メニューを数多く提供し、三百十万人もの人々が当地を訪れ、テーマの一つであった「癒し」という言葉が流行語大賞を獲得するなど大成功をおさめたところであり、私は体験型観光の下地はできていると考えています。
 少し視点を変えて、教育の面からも話をさせていただきます。
 最近の子供たちは、情報化社会の進展によって驚くほどたくさんの情報や知識を持っていますが、山間部に住んでいる子供でも杉とヒノキの違いを知らないというようなことを聞いたりもします。将来を担っていく子供たちが自分たちの地域の生産活動や自然、文化などを知るということは非常に重要なことであります。この子供たちに、バーチャルではない現実の世界を体験できる機会と場所を提供し、体験を通じた教育を行ってはどうでしょうか。
 ヨット、カヌー等のスポーツを通じた自然体験、海、山、川の生態系の観察、農林水産業の体験を通した自然と人間とのかかわりなど、いろいろな学習メニューが考えられると思います。林業体験や農業体験を行っているという話は時々聞いたりしますが、漁業体験など海を利用した体験学習が少ないように思います。いかがでしょうか。
 体験型の観光や体験学習ということについて私なりの考えを種々述べさせていただきましたが、県当局に三点ほどお伺いいたします。
 第一点目は、体験型観光の推進について、今後の取り組みを商工労働部長からお答え願います。
 二点目は、南紀熊野体験博が閉幕して一年半が経過したわけですが、その成果、反省などを踏まえ、どのような地域振興策が考えられ、実践されようとしているのか、企画部長からお答え願います。
 三点目は、新学習指導要領において体験という観点がどのように位置づけられているのか、また学校における体験学習の実情と今後の方向性について、教育長からお答え願います。
 次に、第一次産業の一つである水産業について、二点ほどお伺いいたします。
 私は長年地元で水産業にかかわってきたこともあり、漁業関係者の方々と直接話をする機会も多く、本県のこれまでの水産業に対して大いに期待をしており、また漁業者の現在抱えている悩みに対して心配をしている一人であります。
 我が国の水産業は、平成八年六月の国連海洋法条約の批准により本格的な二百海里時代に入り、過去のような自由な海と豊かな資源を背景とした生産拡大という手法によって問題が解決できた時代は終わり、新たな海洋秩序へ移行するという大きな転換期を迎えています。また、漁業関係者は、水産資源の悪化による漁獲量の減少、後継者の減少、高齢化の進行、漁村の活力の低下等々、さまざまな問題を抱え、厳しい状況に直面しているのが現実であります。本県におきましても、漁獲量は平成元年の七万四千トンから減少が続き、平成十一年には五万四千トンに、また漁業就業者数は七千二百人から五千七百人となり、この十年間で漁獲量及び就業者数とも大きく減少しております。
 二十一世紀を迎え、水産庁ではこれまでの政策を見直し、我が国の周辺水域における水産資源の適切な保存管理と持続的利用を基本とした方向へと再構築すると聞き及んでいます。具体的には、資源をふやすということから生産、流通、さらには漁村の環境整備といった点にまで一貫した横断的な事業展開が可能となるよう、これまでの漁港漁村整備事業と沿岸漁場整備開発事業を水産基盤整備事業として再編・統合し、漁港、漁場、漁村づくりをより効率的に進めていくとのことです。県下各地域においては、これまで第九次漁港整備長期計画や第四次沿岸漁場整備計画に従って漁港、漁村、漁場の整備が積極的に実施されてきており、その成果は高く評価され、中でも本県の漁業の特色の一つであるひき縄釣り漁業を対象とした中層式浮き魚礁の設置は漁業者の注目を集めております。
 農林水産部長にお尋ねいたします。
 新しい二十一世紀を迎えた今日、漁業の低迷傾向が続いている中で、漁業者が希望を持ってこれからも漁業を続けていくことが可能となるような県の水産行政のあり方が求められています。このような情勢にかんがみ、水産基盤整備に係る国の事業再編に対応した県のこれからの漁業振興策について、考えをお聞かせ願います。
 次に、私の地元である紀南地方の漁業関係者が抱えている課題を取り上げ、今後の対応策についてお伺いいたします。
 近年、紀南地方の漁業の状況は、カツオ、ヨコワなどの回遊資源やいそ焼け等によるイセエビ、アワビなどのいそ根資源を中心に漁獲量が減少してきており、漁業者の生活は苦しく、また漁業協同組合の経営も厳しい状況にあります。紀南地方の主要漁業の一つにイセエビ、アワビ、サザエ、トコブシなどを漁獲する刺し網や採貝藻漁業があり、中でも和歌山県のイセエビの漁獲量は、かつての昭和四十三年には三百トンを記録したこともあり、最近では百四十トンから百八十トンと全国的に見ると比較的高い漁獲量で推移しており、平成十年の漁獲量は百四十七トンと千葉県に次いで全国第二位となっていますが、かつての記録から見ますと半分に減少している状況にあります。また、アワビ類は、昨今のいそ焼けの影響もありますが、昭和六十三年の百五十七トンを最高に減少の一途をたどり、平成十年には四十六トン、平成十一年には四十二トンと、約三割にまで落ち込んでいる状況にあります。このような厳しい状況の中で漁業者は、稚エビや稚貝の放流、禁漁期間や禁漁区の設定、漁具や漁法の制限など、みずからも厳しい制限を課して、つくり育てる漁業に取り組み、イセエビやアワビなどいそ根資源の維持管理に努めているところであります。
 しかしながら、近年、このいそ根資源に対する密漁が増加してきており、しかも年々その密漁が巧妙かつ広域化、組織化され、その被害は定かではありませんが、相当な金額に上ると思われます。このため漁業者は、自衛手段としていそ番を組織し、監視を行っていますが、密漁の取り締まりは現行犯が原則であり、証拠品がないと処罰することは難しく、海岸近くで見張っていても、密漁したイセエビやアワビなどを捨てて上がってこられれば逮捕することができないのが現状であり、密漁の取り締まりへの効果的な方法がなかなか見つからないというのが実情であります。昨年のことですが、太地町においてイセエビ八十匹の密漁を警察が検挙し、太地漁協で告訴の手続をとりましたが、結果として不起訴処分となった事例などもあり、地元漁民はやり場のない怒りが絶えない状況であります。
 以上のように、紀南地方の各漁協においてはイセエビ、アワビ等のいそ根資源の管理を積極的に進めてきており、また外部からの密漁を食いとめるため漁業者みずからも努力しておりますが、密漁は後を絶たない状況であり、今後県ではどのような密漁防止策を考えておられるのか、農林水産部長の考えをお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、この場でどうしても取り上げておきたい問題があります。去る二月二十六日にも報道されていましたが、東京─那智勝浦─高知の間を運航している「さんふらわあくろしお」が休止の事態に追い込まれるのではないかという問題です。
 この航路は、昭和四十八年三月に日本高速フェリー株式会社が開設し、平成二年一月に株式会社ブルーハイウェイラインに引き継がれましたが、開設以来、首都圏と本県紀南地方を直結する非常に重要な交通アクセスとして、地域経済にも多大な貢献をしてきたところであります。この航路の特徴は、東京─那智勝浦の間では観光客を初めとする旅客が中心であり、東京─高知の間では首都圏向けの園芸野菜や高知向けの養殖のえさなど、貨物輸送が中心であると聞いております。那智勝浦での乗降客は平成十二年で四万一千人になっており、そのうちの約四分の三が東京からの旅客であります。東京発は那智勝浦着が朝八時五分と時間帯もよく、大部分が首都圏を中心とした地域からの観光客で、当然ながら宿泊客であり、那智勝浦町周辺だけでなく、紀南地方を周遊する観光客も多数おられるように聞いております。
 折しも昨年、本県の高野・熊野が三重県の熊野古道伊勢路や奈良県の吉野を含め、紀伊山地の参詣道として文化庁の世界遺産暫定リストに登録されたところであり、観光客誘致に弾みをつける絶好の機会が生まれつつあります。紀南地方の観光客全体を見れば関西圏や中部圏の観光客が大半であると思いますが、南紀白浜空港やJRと並んで、このフェリー航路は紀南地方と首都圏を結ぶ数少ないアクセス手段の一つであり、今後の紀南地方の観光産業の振興といった面でも非常に重要なものであります。
 また、平成十二年の那智勝浦での乗降車両を見ますと約四千五百台となっており、そのうちの乗用車とバスの半数近くが東京からの車両であり、車両の面から見ても観光が中心であることがうかがえます。貨物については量的には少ないものの、東京からは養殖のえさであるイワシ、東京への木材製品、高知からはキノコ栽培用のおがくずなどが運ばれており、物流の面においても地域経済に大いに貢献しております。
 この重要なフェリーが本年六月末で休止されると聞き及んでいますが、観光立県を掲げ、また高野・熊野の世界遺産登録を目指している本県にとって、人流と物流の両面で首都圏と紀南地方を直結する海の玄関口がなくなってしまうということでは、実質的にも、またイメージ的にもその影響は非常に大きなものがあると考えます。地元の那智勝浦町や那智勝浦町観光協会等の団体も危機感を募らせ、フェリーを運航している株式会社ブルーハイウェイラインに対して存続の要望を行ったところであります。
 また、木村知事さんにおかれましては、その重要性をいち早く認識され、去る一月十七日には東京で高知県の橋本知事や三重県の関係者と合同で対策会議を持つなど、航路の存続に向けて積極的に取り組んでおられると伺っており、地元の関係者ともども感謝申し上げるところであります。この航路は、主として燃料の高騰や東京─高知の間の貨物輸送の減少などにより毎年四、五億円の赤字を出し、累積では四十数億円の赤字を抱えて経営が厳しく、休止という事態に追い込まれているようであります。一民間企業に対する支援は困難であると推察いたしますが、和歌山県としてこの航路存続のためにどのような対策を考えておられるのか、知事にお伺いしたいと思います。
 以上で、私の一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの谷洋一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの「さんふらわあくろしお」の休止問題についてお答えを申し上げます。
 谷議員ご指摘のとおり、「さんふらわあくろしお」の航路は、本県の観光業界を中心にした紀南地域の活性化にとって大変重要なものであると認識をしております。
 この航路につきましては、休止問題が起こりました当初、ことしの二月末をもってやめたいということをブルーハイウェイラインが言っていたわけでございます。私も、こういうことがございましたので、会社に対して航路存続を働きかけ、高知県と協力して働きかけたことによって、ようやくことしの六月末までは継続されることになり、そういう中で何とか地元としての支援策を考えていくということになったわけでございます。
 そしてまた、先ほどご質問の中にもありましたように、高知県のみならず、三重県、東京都も含めた実務者会議を設けて現在協議をしているところでございまして、和歌山県といたしましては、フェリーの利用観光客をふやすための旅行業者への補助や新たな旅行商品の開発とPRを支援策として提案しているところでございます。
 こういうふうにいろいろな措置を進めておりましたところ、去る二月二十六日に突然、株式会社ブルーハイウェイラインの解散、そして航路の再編についての発表があったわけでございます。しかしながら、こういうふうなことではございますけれども、引き続きその親会社である商船三井といったところとも鋭意、地元の市町村と協力しながら働きかけを行い、そしてまた引き続き協議も行って、非常に厳しい状況の中ではございますけれども、県として何とか存続に向けて努力を続けてまいりたいと考えておるところでございます。
○議長(阪部菊雄君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 体験型観光の推進についてお答えをいたします。
 議員ご指摘のとおり、体験型観光は二十一世紀にふさわしい新しい観光と認識してございます。今後は、南紀熊野体験博での経験を生かし、地域独自の自然、歴史・文化資源を活用し、豊かな知識、経験を持たれている高齢者の方々の力もおかりしながら、農林漁業体験等の体験型観光を積極的に推進し、交流人口の増加を図ってまいりたいと考えてございます。
 現在、和歌山ツーリズム大学を開設し、体験インストラクター等の人材育成に努めており、新年度事業として地域全体で体験型観光のメニュー開発等に取り組むためのわかやま観光オプションメニュー創造会議支援事業に要する予算をお願いしてございます。このほか、インターネットによる情報発信にも努めるなど、体験型観光を今後の地域振興、観光振興の柱の一つとして取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 南紀熊野体験博を踏まえた取り組みについてお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、南紀熊野体験博を契機といたしまして、各地で住民主体の地域おこしの機運が醸成されたものと認識しており、これらを支援し、定着させ、発展させていくことが肝要と考えております。
 このため、昨年四月、県及び関係十六市町村で南紀熊野二十一協議会を設立し、地域からの要望を踏まえ、地域づくりリーダーの養成、地域情報の発信などの事業を中心に継続的な取り組みを続けているところでございます。
 今後も、地域特性を生かした地元の主体的な地域づくりを積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(阪部菊雄君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 水産業の振興についてお答えいたします。
 まず、今後の漁業振興策についてでございますが、県では国の水産基盤整備計画の骨子を踏まえ、平成十三年度を初年度とする五カ年計画を策定中でございます。この中で、漁場整備の沖合への展開を積極的に推進し、ひき縄釣り漁業を対象とした中層型浮き魚礁設置を初め、まき網漁業や一本釣り漁業を対象とした沖合域の人工礁漁場の造成を考えてございます。また、つくり育てる漁業の一層の推進、漁場環境の保全と創造を重点に、内湾域での藻場造成を実施し、漁場の機能回復を図ってまいります。さらに、市町村等が地先海面で実施する藻場造成事業に対しても助成を行うこととしてございます。
 本県のすぐれた海岸域の自然等の地域資源を活用し、なぎさに親しむ場づくりや体験漁業、朝市等を推進し、都市住民との交流による水産振興について漁業関係者とも協議を図ってまいりたいと考えております。
 次に、密漁の取り締まりと防止策についてでございます。
 イセエビ、アワビ等は本県にとって重要な水産資源の一つであり、各地域の漁業者の権利保護は大変重要であると考えます。これらいそ根資源を含め、漁業取り締まりにつきましては、これまで県下の各漁業協同組合と一体となって、夜間取り締まりや借り上げ船による取り締まりを実施し、平成十一年には十三件、平成十二年には九件を検挙してございます。今後とも、海上保安部や県警と連携を図りながら効果的な取り締まりを実施してまいりたいと存じます。
 一方、流通段階におきましては、卸売市場への立入検査の回数をふやし、採捕期間や体長制限の徹底を図るとともに、広報紙等を通じ、広く県民に対しいそ根資源の重要性と密漁防止の啓発をあわせて行ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 体験学習の実情と今後の方向性についてお答えいたします。
 今日の子供たちは、多くの知識を持っているにもかかわらず、それが生活に根差したものとなっていないことが指摘されております。このため、新学習指導要領では、みずから考え、みずから学ぶ力など、いわゆる生きる力を子供たちに身につけさせるために、体験的な学習や問題解決的な学習を重視しております。とりわけ、このたび新たに設けられた総合的な学習の時間では、自然体験やボランティア活動などの社会体験、見学や調査、生産活動などを積極的に取り入れることとしております。
 本県では、既に多くの学校で農林業や介護の体験、地域の清掃活動、職場での体験などを組み入れた多様な授業展開を行っています。また、東牟婁や有田地方では子供たちにケンケン漁などを体験させる授業を実施している学校もございます。本県は海、山、川など豊かな自然に恵まれ、それぞれの地域でこうした学習が可能であります。今後とも、地域の特色を生かした体験的な学習が一層行われるよう各学校を指導してまいります。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、谷洋一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十三分休憩
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