平成13年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(山下直也議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十番山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次、一般質問をさせていただきます。
なお、質問に先駆けて申し上げます。本日、この一般質問初日、私で四人目ということで、先輩・同僚議員におかれましては、また知事並びに県当局の方々にとりましても、いささかお疲れとなってきているように拝察をいたします。したがいまして、私なりに要領よく簡潔に質問を進めてまいりますので、その点、何とぞよろしくご協力のほどお願いをいたします。
それでは、本題に入らせていただきます。
木村知事におかれましては、二十一世紀初めての予算であり、かつ当選以来初めての予算編成となり、大変厳しい財政状況の中、あえて「行政の棚卸し」とも言うべき聖域なき事務事業の見直しを行い、対象事業の約三割に当たる五百二十九事業の廃止、休止、また改善を行い、さらには知事初め三役、そして職員の給与カットや職員定数削減等、財政健全化に努められる一方、IT関連に約二十四億五千万円を配分、新産業創造、環境対策等、まさに二十一世紀の和歌山の礎となるべき施策に重点を置かれた予算編成となっており、県民に夢を与え、かつ財政の健全化にも努められた大変難しい中での予算編成であると感じ、その点、大いに評価をいたすものであります。そんな中において、私も和歌山県をよりよい県に進めたいという思いは知事と同じであります。そういったことにおいて、私なりの観点から、三項目にわたり一般質問をさせていただきます。
まず第一点目といたし、和歌山市における中心市街地商業活性化対策に係る旧医大跡地利用についてお尋ねをいたします。
去る九八年十二月、和歌山市本町地区にあった大丸百貨店和歌山店が閉鎖をいたし、次いで本年五月、和歌山ビブレが撤退との新聞報道がなされ、さらに追い打ちをかけるように、まことに残念なことではございますが、明治二十四年創業以来百年以上もの長きにわたり地域の核的店舗として頑張ってこられました丸正百貨店が本年二月二十六日、自己破産の申し立てをされたことは、既に皆様ご承知のところであります。長引く消費不況の中、近年さまざまな要因が複雑にまじり合い、また重なり合い、本町周辺の商店街は今まさに危機的な状況にあります。そんな中、ぶらくり丁周辺商店街やまたそのエリアにおいて希望の光を一日も早くともさなければ、そう願うのは、知事はもとより、特に私ども和歌山市選出の議員は皆同じ気持ちであると思います。
また、丸正百貨店の自己破産を受け、県は二月二十七日、地域商業に与える影響が大きいとして商工労働部長を会長とする丸正問題対策連絡会を設置、また和歌山市では、助役を長とした、地元商店街との連絡を密にし、今後のぶらくり丁の活性化に向けた方向性について協議していくための和歌山市中心市街地活性化連絡会議を発足、次いで地元和歌山商工会議所が丸正百貨店の破産関連について二十七日より中小企業相談所特別相談室を設置いたし、弁護士や税理士の専門家を配置、関連事業所に対しては今後の事業経営に支障を来すことのないよう相談に応じており、加えて、同会議所より木村知事や国民金融公庫和歌山支店等に離職者の雇用対策や丸正関連企業に対する緊急の支援等を要望したとの報道が相次いでなされております。
また、今回、十三年度予算として小規模事業経営支援事業に約十八億円、中心市街地活性化基金といたし約四億円、また中小企業融資制度として約三百八十一億円等の施策をもっていろいろとご努力をいただいていることは十分承知をいたしているところであります。私といたしましても県当局のご努力に敬意を惜しむものではありませんが、この地域における危機的な状況を思うとき、隣接する旧医大跡地有効利用の問題は以前にも増して重要かつ密接な関連があるものと考えます。
そして、いよいよ旧医大跡地の撤去工事に入るため、今議会に約七億円の予算が計上されております。この跡地利用については、平成十年十一月、和歌山県立医科大学跡地利用懇話会から、国際会議場、都市型ホテル、オフィス等業務施設、そしてショッピングモール等商業施設との複合施設での利用としての意見がまとめられ、平成十二年三月には、これに基づき和歌山県立医科大学跡地利用に関する基本方針が出されました。この方針を受け、平成十二年度において事業コンペに関する予算が計上されていたものの、最終補正で減額され、再度平成十三年度予算として約一千六百万円が計上されております。
ここでまず、企画部長にお尋ねをいたします。なぜ十二年度コンペの実施が見送られたのか、またその後、今日に至るまでの経過についてお尋ねをいたしたく存じます。
何にいたしましても、昨年のコンペの不調に加え、懇話会答申が出された当時には予想すらしなかったビブレ撤退や丸正倒産という現状を目の当たりにするとき、私はここにもう一つの選択肢が出てきたのではないかと感じております。
和歌山市の構想する仮称・公立和歌山創造大学、この大学は、アメリカのボストンにあるベンチャー系大学の一つバブソン大学をモデルにし、いわゆる起業家を育てる事業創造学科や、日々激しく変わり行く社会を研究し、その社会構造をつくり変える人材を育てるための社会システム創造学科、また、情報ネットワークで世界とつながった今日の社会で国際社会に通用する語学を教育するためのコミュニケーション創造学科の三学科を計画していると聞いております。近い将来、もし仮に跡地をこのような今までにないベンチャー系の大学用地して利用できるときが来るならば、社会的、文化的貢献はもちろんのこと、百数十億の事業が生まれ、その建設に係る経済波及効果及び四年で約一千人に及ぶ学生、教職員及びその家族の地域内消費、また、大学運営に係る地域内支出による直接的経済効果は約十八億五千万円とすら試算されております。したがいまして、これらの経済波及効果により、衰退したこの地域を早急かつ永続的に活性化できる一つの案となるのではないかと考えるのであります。そしてまた、知事が考えておられるバーチャル和歌山構想、SOHO等の企業支援事業とともに、知的情報の集約拠点として、これからの企業に望まれる情報ネットワークのアクセス拠点として、まさに産・官・学のネットワーク拠点として、また地域交流の場としてなど、多様な使用と効果を、周辺地域及び和歌山市のみならず、県内の周辺市町に及ぼす拠点施設となり得るのではないでしょうか。
新聞報道によりますと、去る二月二十八日、地元連合自治会、地元商店街連合会の要望を受けた和歌山市長からも知事に対し、県立医大跡地の利用について仮称・公立和歌山創造大学を優先的に考えてほしいとの申し入れがあり、これに対し知事は、懇話会答申を受けた既定方針どおり粛々と、つまりホテルや商業施設等、都市型複合施設を誘致する県の計画を進めてまいりたいとの意向を示されたと報じられております。
私といたしましても、今の時点で地元和歌山市議会の同意を得られていない状況を考えたとき、この知事のお考えは理解できるところでありますし、それを尊重するものではありますが、知事は十三年度に実施するコンペにおいて企業の参加が得られなかった場合は懇話会答申に固執するものではないとの含みを残されておられるようにも感じます。コンペの結果、有力な事業計画案がなかった場合、もしくは出された場合においてもこれといった案がなかった場合には、この地の有効利用の一つとしていま一度、和歌山市及び地元住民から要望のある仮称・公立和歌山創造大学案との比較検討をしていただく余地は全くないものなのでしょうか。
ちなみに、私は、この大学構想案には地域復活をかけた起爆剤として、それだけの価値があるものと信じております。そういう意味において、また今日の激しい状況の変化にかんがみるとき、都市型複合施設案等、いずれにいたしましても一日も早いコンペの実施を望むものであります。このことについて、知事のご所見をお伺いしたいと存じます。
二点目といたし、同和行政に関してお尋ねをいたします。
さて、現行法である地域改善対策事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律が平成十三年度をもって期限切れとなってしまい、これまでの同和事業に係る財政上の措置や経過措置が打ち切られると聞いているところであります。
本年一月二十二日、二十三日と同和対策特別委員会にて上京いたし、財団法人人権教育啓発センターにおきまして総務省大臣官房地域改善対策室長・佐藤文友氏と話し合い、私のみならず、先輩議員であられます橋本議員、また松本議員からも、その会議の席上、住宅問題を初め幾つかの質問がなされましたが、極めて厳しい回答に直面をいたしました。このことにかかわって、県としても主体的な判断に基づいて対応なされると思うわけでありますが、現実的には県内には依然としてさまざまな課題が存在しているところであり、県がこれまで「国の法律のいかんにかかわらず、差別がある限り」と明言してきたとおりに対応されるであろうと期待をするわけであります。
そうした視点に立って、十三年度に同和対策予算として和歌山県同和行政総合推進プランに基づき、残された課題解決のための諸施策を積極的に推進するといたし、約七十九億六千万円の予算が計上され、福祉保健部においては新規として仮称・人権教育啓発センター設置といたし約四千六百万円、また人権啓発として四千五百万円等が計上されております。
そこで、教育にかかわって教育長のご所見をお聞きいたしたいと思います。
教育委員会の進学状況調査によりますと、高校が全体の九七・四%に対して地区が九五・一%、また大学の場合、全体が四四・八%に対して地区が二七・六%という状況にあり、近年、大学、短大への進学率においてせっかく縮まった格差がまた広がる状況もあると聞いております。こうした中、国の同和対策に係る進学奨励が打ち切られる方向にあるということは極めて重大な事態であると感じます。
今申し上げたとおり、特に大学への進学状況格差が一七%を超えていることと進学率が三〇%に満たない中で進学奨励の打ち切りという事態は、地区の子供たちに直接的な被害を与え、進学率の大幅な低下につながるおそれがあります。現在の和歌山県内の子供たちの大学進学状況からいたしますと、大多数が多大な経済的負担を抱えながら県外の大学に進学せざるを得ない状況があり、さらに近年の低位な生活実態や経済、労働の状況からすると、進学奨励費の廃止は特に地区の子供たちにとって即進学の断念につながるものとなりはしないのか。また、一部で言われている日本育英会の対応についても、その実施要領が地域の実態に合わないものであり、このままでは同和問題の解決に係る教育の重要性からすると、これまでの取り組みの成果を水泡に返す可能性すら持っておるというふうに感じております。和歌山県において進学奨励事業を国に先駆けて県単独事業としてスタートさせてきた経緯やこれまでの成果、さらに今日的な課題を踏まえ、県としての具体的な対応について、教育長のご答弁をよろしくお願いいたします。
また、地区の実態という点では、住宅政策も重要な課題の一つであります。これまでの同和行政推進の中で、町づくりの中心が持ち家と公的住宅の推進ということで進められてまいりました。持ち家制度についてはこれまでもその貸付資金の返済という問題で提起されてきたことがありますが、今なお地区の困難な産業就労、さらに生活の実態から、さまざまな厳しい状況が解決されておりません。加えて、公的住宅が公営住宅法の改正によって、これまでの同和向けとの位置づけがなくなり、一般の公営住宅と同様の扱いになっています。こうした中で、年齢階層の若い人や安定した所得のある階層の公営住宅離れが起き、結果として低所得者や高齢者の滞留する状況が生み出され、これまで改善に向いていた流れが逆行する可能性すらうかがえます。また、あと数年もすると公営住宅の建てかえ問題も起きてくることが予想されています。
そこで、土木部長にお伺いをいたします。以上の点から、このことに関する県のお考えをお示しいただきたく存じます。
さらに、差別事件や人権侵害の状況を見ますと、これまでのような表面化する事件から落書きがふえ、さらにインターネットを使っての事件が急増しております。このことは、自分の正体を隠すことによって自分自身の潜在的な意識が表面化するだけでなく、さらにエスカレートをしていくのではないかという陰湿きわまりない許しがたい行為であります。しかも、これまでの対応策では対応し切れないという実に歯がゆい状況があります。私が挙げている状況は今日なお存在する部落差別の一例を述べているだけでありますが、これだけでも実に大変な実態があります。
こうしたことからも、和歌山県が主体的に課題意識を持って、条例の制定も含め、具体的な今後の対応策について、国の動向も見据えながら一日も早く確立されることを強く望むところであり、知事並びに福祉保健部長のご所見をお伺いいたしたいと思います。
最後の質問となりました。三点目といたし、理学・作業療法士に関してお尋ねをいたします。
私は去る平成九年十二月議会において、福祉の町づくりについての中、マンパワーの確保、特に理学・作業療法士の重要性、また療法士養成機関設置に対する県の所見をという形で質問を行ったわけでありますが、当時、平成九年十一月十七日、和歌山県主催、和歌山福祉のまちづくり推進協議会協賛による福祉のまちづくりシンポジウムが開催され、元ニュースキャスターの小林完吾氏の「いのちはいのち、みんな同じ─共に生きる─」と題した講演がなされ、リハビリテーションの大切さと理学・作業療法士をこれから何よりも優先させてふやすべきと主張をされておりました。
私は、当時、自分の祖母が脳梗塞に倒れて約九年間療養をした経験を持っておりましたことからこの講演に深く感銘を受け、十二月議会において先般申し上げたような質問をさせていただいたわけであります。当時、西口知事は、「私も、要介護高齢者、障害者の自立を促進するためには、理学療法士、あるいは作業療法士といったリハビリ関連職種等のマンパワーの確保が欠かせないところだと考えており、このための修学資金貸与制度を設けている。今後とも本制度の充実に努めなければならない。大きな課題と受けとめている」との答弁をいただいたわけでございます。
また、県は九三年に理学・作業療法士の数について需要調査を実施しており、当時、和歌山県における目標数には達しておらず、特に作業療法士につきましては全国で最下位の数となっておりました。それから既に七年が経過しているわけであり、本県における人材養成は急務であると考えます。十三年度予算中約二千万円、修学資金貸与制度として計上されているのは承知をいたしておりますが、その後さらなる調査実施をされたのかどうか、またその結果はどうであったのか、さらに県内における養成機関設置等についても、当時、信州大学医療技術短期大学を初め、神戸大学医学部保健学科、また群馬大学医学部保健学科などの具体的な例を示して提案を行ってまいりましたが、これについてはどうなったのか、お伺いをいたしたく存じます。
また当時、全国で理学・作業療法士とも養成機関がないのはわずか六県であり、現在も設立していないのは本県のみと聞き及んでおります。財政難の折、大きな建物を新たに建てて養成機関をつくることを望むものではなく、例えば和歌山県立医科大学と協議をしながら、知恵を出し合い、このことの解決に向けて努力していくことはできるのではないでしょうか、お伺いをいたします。
また現在、理学療法士約三百名、作業療法士約五十名が在県と聞いており、一部では、このままでは本県において迫り来る高齢化社会を見据えた中、到底対応し切れないのではないかと推測、また心配する声もありますが、これについての県の見解はどうなのか。人員数の問題、さらに質の問題、施設面等も含め、現況とこの問題に対する今後の県の取り組み方についてお示しをいただきたく、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、中心市街地の商業活性化対策に係る旧医大跡地の利用についてお答えを申し上げます。
山下議員ご指摘のとおり、ぶらくり丁を初めとする中心市街地の商店街を取り巻く状況が今年に入って一層厳しさを増していることから、中心市街地の活性化に大きな影響を与える県立医科大学の跡地利用計画の推進については、私も緊急かつ非常に重要な課題であると考えているところでございます。
このため、基本方針以外の利用提案を排除するというものではございませんけれども、これまでの経緯もあり、できるだけ早く事業コンペを実施して地域の活性化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
次に同和行政について、県条例の制定についてのご質問でございます。
人権条例の制定につきましては、先般、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律が施行されたことや、また人権擁護推進審議会の方から人権救済制度に関する中間取りまとめが公表されたことなど、現下の情勢や、そしてまた、今なお不当な人権侵害が発生しているというふうな現状等を踏まえまして、県民のコンセンサスを十分得る中で制定に向けて検討してまいりたいと、このように考えております。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 旧医大跡地利用についてお答え申し上げます。
当初のスケジュールでは、平成十二年度に事業コンペを実施し、施設の整備を行う事業者を決定する予定でございましたが、長期にわたる景気の低迷もあり、都市型ホテルを含めた施設の提案を行う企業の見通しが不透明であったため、コンペの実施時期を慎重に見きわめてきたところでございます。
しかしながら、県の基本方針に沿った施設の整備についても明るい兆しが出てまいりましたので、引き続きコンペ実施に向け準備を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 同和行政についてのご質問のうち、公営住宅についてお答えします。
地域の居住の安定を図り良好な住環境を創出するため、市町村が事業主体となって公営改良住宅を建設してきたところでありますが、今後は住宅の老朽化とともに入居者の高齢化が進んでいくことが予想されます。このため、住宅政策におきましては、地域の居住実態を踏まえ、若年世帯の定住促進による地域社会の活性化や良好なコミュニティーの形成に向けて、多様な世帯や所得階層が交流できる団地づくりを推進していく必要があると考えております。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 今なお起きている部落差別における今後の対応でございますが、法期限を一年余りに控えた今、県といたしましても法期限後の同和行政のあり方について鋭意検討をしてございます。
議員ご指摘のとおり、同和問題の解決については、教育・啓発、産業・就労面等で幾つかの課題が残されていると認識してございます。同和対策事業が果たしてまいりました役割を十分踏まえ、その成果を損なうことなく、より一層、人権行政、同和行政を推進してまいります。
また最近では、議員ご指摘のとおり、今までの差別事件とは異なったインターネット上での差別事件等も発生をしてございます。こうした問題につきましても、国や関係機関とも十分連携を図りながら対応してまいります。
次に、理学・作業療法士の現状についてであります。
理学療法士、作業療法士の需要調査につきましては、昨年八月に県内医療機関、介護保険施設等を対象にアンケート調査を実施したところでございます。その結果、今後八年間に延べ約二百七十名の新規需要が見込まれてございます。また、養成機関の設置等につきましては幾つかの民間団体から構想の話がございましたが、将来的に不透明な部分が多いこと等の理由により、今までのところ具体的な計画には至っておりません。
今後の需給見込みといたしましては、近隣府県を初め全国的に養成施設や学校が相次いで開設されたことから、県内での新規免許取得者は平成七年の二十人から昨年は四十四人と大きく増加しており、さきのアンケート調査とあわせ、近い将来、県全体として医療機関、介護保険施設等で必要とされる就業者の数は確保できるものと考えてございます。
また、昨年、医療関係者審議会理学療法士作業療法士部会が厚生大臣あてに提出した理学療法士及び作業療法士の需給の推計に関する意見書によりますと、地域差が認められるものの、平成十六年以降二年から三年以内に需要と供給が均衡に達し、その後、理学・作業療法士が多くなることが予測されてございます。
しかしながら、本県の将来を考えた場合、高齢化の一層の進展に伴い、理学療法士、作業療法士といったリハビリテーション医療に携わる職種の重要性はますます高まるものと考えられ、資質の向上や生涯教育の促進とともに、養成機関の設置につきましても、引き続き議員ご提案の方策について研究を重ねてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 同和行政にかかわって、進学奨励事業についてお答えします。
同和問題を一日も早く解決していくために、高校、大学等での修学を奨励し、教育・文化水準の向上を図り、就労の安定を目指すことは重要な課題であると認識いたしております。
近年、高校進学率における格差は縮小してきておりますが、これは同和問題の解決を願うさまざまな方々の努力の成果であり、そうした中で進学奨励制度が果たしてきた役割は大きいと考えております。しかしながら、大学に関しては、議員ご指摘のとおり、進学率の格差が大きいことや修学に要する経費負担が重いことなど、課題が残っております。
したがって、地対財特法の失効後においても進学奨励について有効な方策を講じるよう、近畿各府県と連携をとりつつ国に対し要望するとともに、県としても平成十四年度以降におけるこの制度のあり方について種々検討を進めているところであります。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(尾崎要二君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時三十六分散会