平成12年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(冨安民浩議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
【日程第一 議案第百六十九号から議案第百八十八号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第百六十九号から議案第百八十八号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
三十六番冨安民浩君。
〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 おはようございます。
変革と激動の中で二十世紀が閉じようとしております。二十一世紀が本当に明るい展望の持てる世紀になりますことを祈るばかりであります。私は、きょうは質問の機会を得ましたので、いささか早く家を出たわけでございますが、国道、それから農免道を通りまして川辺インターに乗りまして、ふと里山に目をはせますと、今は紅葉がピークであります。社会、政治、経済、それぞれの分野の別なく今まさに変革の中にありますが、地球環境も随分変わりつつあるなという感を抱きながら、十分余りで海南インターに着いたわけでございます。私は、車で走ると十数分で川辺から海南へ到着できる、利用者負担とはいえ高速道路の利便性というものを再認識させられました。そして、この道路建設に本当にご腐心いただきました今は亡き元知事の仮谷志良先生、そして「人皆心あり」と心を重んじながら政治に携わり、県政遂行に邁進され、志半ばにしてその任をみずからの意思で解かれた西口前知事、この両先生のご功績を心からおたたえ申し上げつつ、質問に入らせていただきます。
木村知事、あなたは、厳しい暑さの中で、選挙の厳粛なる審判の結果、幅広い多くの県民のご支持、ご支援をいただき、和歌山県政推進の最高責任者である知事に選任され、九月七日、若さと意気込みを感じさせながら、初々しく人間味あふるる姿で県民、県職員の多数の出迎えを受け、初登庁されました。いよいよ新知事木村丸の船出だなと感じた次第であります。
初登庁から、はや百日を迎えようとしています。知事就任後のあなたの活動ぶり、また日程等をかいま見ながら、その激務ぶりと意気込みの大きさを感ずるものであります。「地位が人をつくる」とよく申しますが、知事の持てる潜在能力と自信でありましょうけれども、風格が備わりつつあるなと思う一方、知事の持ち味である人間味あふれる姿が少しうせつつあるんではないかな、そんな思いをいたすわけでございます。県政推進の最高責任者としての対応すべき課題の多さ、難解さがそうせしめているのかなと受けとめるものであります。山積する諸問題の解決、また将来を見据えた県政を推し進めていく上での知事の決断、決裁は、時としては激震を起こし得ましょう。しかしながら、その激震を和らげる方法を駆使でき得るのも政治でありますし、やり方によっては激震が起こらないような措置をとり得るのも政治であります。県職員には、幾多の難局に対処してきた、また対処し得る有能な人材が多くいます。知事、あなた自身、選挙期間中、訴え続けてこられたとおりであります。一人の知恵より二人の知恵、三人寄れば文殊の知恵であります。県政遂行の道のりは遠く険しいのであります。一人で背負い込むことなく多くの知恵を、すなわち文殊の知恵を生かして引き続き県政推進に取り組まれますよう、知事、あなたの一支持者として、県勢のあすの飛躍を願い、また知事自身をも思い、はばかりながらご提言申し上げます。
次に、IT革命とその対応についてであります。
「IT」、この二字のローマ字を見聞きしない日がないほど、世はまさにIT一色であります。さきの臨時国会でIT基本法が制定され、IT社会構築に向けての法整備が形成され、その進展に加速がつくでしょう。政治、経済、社会を初め、どの分野を語るにしても、IT抜きには語り得ません。IT、IT、ITが通る、そこのけそこのけITが通る、そんな感すら覚えるきょうこのごろであります。
本県におきましても、その構築に向けてのおくれは許せませんし、十二月補正予算に情報環境整備や利用普及対策に眼目を置いた予算が計上されております。十三年度予算においても大幅予算が計上されるべきであり、時代の要請であることは万人が認めるところであります。IT革命が進展する中での新産業や新規雇用の創出を初めとするプラス効果は広く論じられておりますし、個人消費が引き続き停滞する中で、昨年の通年〇・八%成長に続き、本年は一─三月期プラス二・四%、四─六月期プラス〇・二%、先般発表された七─九月期はプラス〇・二%で、GDPプラス成長に大きく寄与しているのが、いわゆるIT絡みの民間設備投資であるのも事実であります。まさに、日本経済再生もIT頼みであります。
一方、IT革命の進展が経済社会に大きな変化をもたらすという本質を見据えた対応策を怠りなきよう進めねばなりません。徹底的な市場原理の浸透、情報過多がもたらす自己責任の増大、知的犯罪の増加、中間業者の段階的消滅、さらなる民間企業のリストラ等々であります。県政が対応でき得る問題とでき得ない問題がありますが、その対応策に怠りなきようにも対処せねばなりません。
かつて、国際化(グローバル)と言われました。それと情報化、この二つは日本国家が世界に冠たる豊かな国家として、また世界の一員として避けて通れない変革でありますが、この二つの言葉が日本社会、日本経済、国際生活にバラ色をもたらすような言葉として使われてまいりましたし、少なくとも大多数の国民はそうとらえたでありましょう。しかしながら、国際化が進展する中で、規制緩和が急速化し、外国企業の侵入を容易にし、市場原理が浸透し、バブル崩壊後、体力を取り戻し得ない金融機関が営業停止に追い込まれたり、世界的には異常とはいえ日本社会の安定に大きく寄与し続けてきた企業の終身雇用制度をも生き残りをかけてスクラップせざるを得ない状況を生み、日本経済社会の混乱の一因につながったのであります。政治に携わる者はペシミストであってはいけませんし、ましてオプティミストでもあるべきではないと思います。こうした過去の教訓を踏まえつつ、情報化、IT革命をとらえ、プラス効果を本県振興のために最大限生み出せ得るような早急なる対策措置が肝要だと思いますが、知事の見解をお尋ね申し上げるものであります。
次に、財政健全化問題と行政の存立意義についてであります。
行政の存立基盤の大きな柱が財政であるのは論をまちませんし、行政の継続性を考えるとき、財政運営は常に健全であるべきでしょう。財政問題のみを解決するのは、まことに簡単であります。入りをふやし、出を絞り込めばそれで済むわけです。しかしながら、それでは行政自体の存立意義が根幹から揺らぎ始め、だれのための行政存立かと言われるでしょう。景気回復による大幅な税収増加が期待でき得ない状況でもあり、金利上昇を招くおそれがあり、これ以上の日本経済の混乱を防ぐためにも赤字公債発行ももうそろそろ限度近くに来ている今日、新たな環境問題への対応等々の財政出動が伴う諸問題が生じており、全国的に歳入不足を補うための新税導入構想が論じられておりますが、性急過ぎると角を矯めて牛を殺すことにもなりかねず、慎重を要すでしょう。
こうした状況下にあって、木村知事は「行政の棚卸し」とも言うべき聖域なき事業見直しに着手されており、本県財政健全化に向けての知事の並々ならぬ決意のほどを感じるわけでありますし、今また知事はそうあるべきでありましょう。自治省エリート官僚として長年培った、また大阪府副知事として経験済みの得意分野の一つでもありましょう。巷間、財政問題解決に向けての県知事木村刀の切れ味鋭きなりという言を耳にいたします。財政健全化に向けての出を絞る意味での事業見直しは避けて通れないでしょうが、行政の存立意義に思いをいたすとき、いま一度基本を固めるべきだと思います。そうした思いを込めて知事にお尋ねをいたします。
事業見直しをする基準のしんの部分は何なのか、また予算に占める人件費比率は通常どの程度であるべきか。
なお、知事は、選挙期間中、本県が二十一世紀のトップランナーとなり得るよう頑張ると県民に訴え続けてこられましたが、トップランナーとは具体的に何を指すのか、はたまた県政推進に向けての心意気を示したものなのか、お答えをお願いいたします。
また木村知事、あなたが本県の行政推進の最高責任者として就任後百日を迎えようとしておりますが、知事としての職務遂行の中で県民にお訴えをいたしたいことがあれば、ぜひ吐露願いたく存じます。
次に、市町村合併の問題についてであります。
先般閣議決定を見た行政改革大綱に市町村合併の推進が盛り込まれ、いよいよやむなきかなという感を抱くわけであります。そうしたさなかに、去る六日、全国町村会では強制合併に対する反対決議を緊急にしておるわけでございます。それほどせっぱ詰まっておるという感を抱くわけであります。昭和の大合併以来、長きにわたってなれ親しんだ市町村自治体行政枠は、それを維持する基盤に状況変化が生じない限り変えない方がいいに決まっております。私もそう思います。しかし、その基盤に大きな変化が生じようとしているわけであります。少子高齢化社会の到来はもとよりですが、市町村自治体存立基盤の大きな柱である財源原資に変化が生じようとしているわけであります。二割自治、三割自治とも言われ、その財源の大半を国からの交付税や補助金、また起債に依存している体制自体が変更やむなきの危機的状況を迎えておるのであります。すなわち、バブル崩壊後の長引く景気低迷による歳入不足に起因する国、地方合わせて六百五十兆円にも及ぶ赤字公債の発行、そろそろ今日的状況維持が不可能となりつつあります。
そうした中で、中央では明年明けから一府十二省庁体制がスタートし、行政改革が断行された中央省庁が姿を見せます。いよいよ、これからは地方の番だと言わんばかりであります。市町村合併は地方自治体の行政枠域を超えてのいわゆる地方行政大改革であり、その時期遠からじ、まさにもう足音が近くなってきて姿が見えつつある感を抱くわけでございますが、総務部長の見解は。また、その時期を見据えての市町村指導についてお尋ねをいたします。
次に、御坊第二火力発電所建設の問題であります。
御坊第二火力発電所建設に向けては、地域振興、この一点を見据えて、御坊市並びに隣接町が取り組んできた問題であります。その計画が今、時期繰り延べをされようとしております。この問題について質問をするのは、憤りを超えて大変むなしい感じがするわけであります。何となれば、県も同じ思いにほかならないだろうからであります。企画部長、なぜ運転開始時期が繰り延べになったのですか。答弁を求めます。
これにて、私の第一問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問の冒頭の激励の言葉、本当にどうもありがとうございます。これからも、県民の方々、そしてまた県議会、県職員の方々の知恵と経験を生かしながら県政を運営していきたいと思っております。
まず初めの、IT革命の進展とその対応についてのご質問でございます。
県といたしましては、このIT問題の持っている陰の面ということも十分理解して進めていかないといかんと思っておるところでございます。このIT革命の進展がもたらすであろう今後の経済社会の大きな変化に県民が適時適切に対応し、IT革命のプラスの効果を最大限に享受できるよう支援をしていく必要があると考えております。このような観点から、すべての県民の方々がITになれ親しみ、高いモラルを持って適切に活用できるよう環境の整備や普及啓発に努めてまいります。また、産業構造の変化に対応して既存産業がITを活用した経営革新と電子商取引などへの対応が図られるよう中小企業者の方々に対してIT関連の人材育成事業等を行うとともに、ベンチャー企業への支援施設の整備についても検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、財政健全化と行政の存立意義についてのご質問でございます。
予算に占める人件費比率がどれぐらいであるべきかということでございますが、まず事務事業を見直しをする基準については、新たな時代にふさわしい先導的事業や県民の福祉向上につながる事業を積極果敢に展開していくため、県民の皆様方の意向にも配慮しつつ、既存のすべての事業について、効果や効率性、緊急性について厳しく点検し、見直しを図っていかなければならないと考えております。
次に人件費でございますが、どの程度が適切な水準であるかを申し上げるのはなかなか難しいことでございます。平成十二年度の当初予算で見た場合に、人件費の和歌山県の比率は全都道府県の平均とほぼ同程度の三一%となっているところでございますが、このような率が同じということだけを見るのではなくて、細かい分析をしていく必要があると思いますので、指示をしております。
いずれにいたしましても、財政健全化を図る観点から、行政改革大綱に基づき、職員定数の削減に取り組むなど、人件費の抑制に努めてまいりたいと思っております。
次に、トップランナーの意味と県民の方に訴えたいことはというご質問でございます。
私は選挙の際、二十一世紀のトップランナーを目指してまいりたいと訴えてまいりました。これは、必ずしも私個人のことを言っていることではなくて、和歌山県がそういうふうな意気込みで二十一世紀に向かっていく必要があるということで言ったことでございまして、現在の激しい変化の時代には、時代潮流をしっかりととらえて、それにマッチした新しい発想で思い切った政策転換を図り、新しい和歌山をつくり出していきたいという意味を込めたものでございます。
今、私は県政に臨むに当たって、現在抱えている懸案の解決に全力で当たり、また県財政の再建のための行財政改革や県庁自身がより開かれたものにするため県政の構造改革に取り組んでまいりたいと考えております。そして、和歌山県の豊かな自然環境を生かした、「いやし」をキーワードにした都市との交流の推進やITを活用した産業の活性化、ベンチャー企業の育成等による県経済の構造改革で自立型経済への転換に取り組むことなどによって、安心で活力みなぎる新しい和歌山を目指し、二十一世紀の自治体間競争の時代に対処してまいりたいと考えております。
次に県民の皆様に訴えたいことでございますけれども、長引く不況や構造的な問題から本県を取り巻く社会経済環境は極めて厳しく、またこのような状況を反映して県財政も厳しい状況の中にございます。私は、二十一世紀の本県の発展のため、これらのさまざまな課題を乗り越えていかなければならないと考えております。このようなときにこそ、現在の状況をしっかりと認識し、県民の皆様と危機意識を共有しながら、英知を結集し、一丸となって新しい発想で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
これからの県政は、和歌山県という枠にとらわれず、内外を見据えた大きな視野が必要であると考えております。このことは、紀州の先人たちの進取の精神にもあらわれており、この精神を和歌山づくりに生かし、関西圏さらには全国との交流を図ってまいりたいと考えております。
また、地方分権の時代を迎えて地域の特性を生かした発展が必要であると考えております。人口が急増している地域や観光、農林業が盛んな地域など、県内各市町村の地域特性を伸ばしていく発想が重要であると考えております。そして、地域住民やNPOなど新しい民間の活力を行政に生かす仕組みをつくり、県政参加を促す県民自治の実現を目指してまいりたいと考えております。
私は、このような新しい発想で和歌山の創造を目指して取り組んでまいりますので、今後とも県民の皆様の積極的な県政への参加とご協力をお願い申し上げたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併についてのご質問にお答えいたします。
市町村合併につきましては、ご指摘のように、去る十二月一日に閣議決定されました国の行政改革大綱において、自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化するとされております。市町村合併の推進が打ち出されておるところでございます。昭和の大合併から四十年以上が経過し、市町村を取り巻く状況が大きく変化しております。また、地方分権の推進や少子高齢化の進展、高度化、多様化する行政需要などに加えて、ご指摘にもございましたような国、地方を通じた厳しい財政状況がございます。
このような状況にあって、市町村が将来にわたって行政サービスの水準を維持し、また新しい行政需要に対応していくためには、本県におきましても、市町村合併を推進し、行財政基盤の強化を図っていくことが必要であると考えております。
県の指導はどうかというご質問がございましたけれども、市町村合併推進要綱の策定などを通じて、合併特例法に定められた県の役割というものを十分果たしてまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 御坊第二発電所建設についてでございます。
御坊第二発電所につきましては、本年三月下旬に関西電力から、昨今の電力需要の伸び悩み等により、発電所の運転開始時期を平成二十二年度以降に繰り延べることが発表されました。昨今の電力需要の伸び悩みの状況からやむを得ない面があるのは事実ですが、御坊第二発電所については、経済波及や地域振興の面で御坊市を初め地元が大きな期待を寄せてきたこともあり、運転開始時期の繰り延べの報告を受けた際に、このような観点について配慮が必要であることを関西電力に対して強く申し入れをしてございます。
県といたしましては、今後も地元の意向を踏まえ、発電所の建設について関西電力へ働きかけてまいりたいと考えてございます。
以上です。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十六番冨安民浩君。
○冨安民浩君 御坊第二火力発電所の問題について、私はもう答弁は求めません。多分、担当部長も同じ思いであろうはずであるからであります。今日を迎えるまでにおおむね十年、御坊市並びに隣接町が、自治体の長はもとより、議会、商工会議所、商工会、その他あらゆる団体が随分積み上げをしてきた中で合意ができ上がったわけでございます。もちろん、関西電力の立地部の皆様方の苦労も、私はかいま見てまいりました。この議場でも、この問題の賛否についていろんな方が意見を述べられ、討議をされてまいりました。そして、最終的に決断に至る経緯の中で、前西口知事は、熟慮に熟慮を重ねてという非常に重い判断の中で決断をされたわけであります。それにもかかわらず、公益事業法人関西電力が需給見通しという企業論理一点だけでこの問題を繰り延べするということは──私は今、日高郡の議席を預かる者として、この企業論理の優先は許し得ないということをしっかりお互い認識すべきだと思います。まさに、公益事業法人の信頼度、これは一民間企業よりもっと信頼度が高いはずであります。しっかりと企業倫理を遂行していただきたい。
私は、この質問の前に御坊商工会議所に問い合わせをいたしました。御坊商工会議所では、この建設に対処すべきエネルギー調査会というのが商工会議所会頭を会長にして持たれておるわけでございますが、その会が調査した中で、前知事が電調審に上げた時期から今日まで約七十億ぐらいの受け入れ体制の設備投資をしているわけであります。これは、御坊市だけであります。隣接町を含めると、おおむね百億になろうと思います。こうした問題を、公益事業法人関西電力がよくわかっておるのかということであります。
さらにまた、前知事が決断に至るまでには、西口前知事の人となりから推測いたしますと、梅の問題等いろいろ思いをめぐらして、大変な心労があったと思います。私は、西口前知事の健康阻害の一因にもなりかねない問題であったのではないかな、そんな思いをいたしておるわけでございます。そうした点を踏まえて、これから県として公益事業法人関西電力にしかっとした態度で臨むということ、政治家の一挙手一投足を後世の歴史の評価にゆだねるとするならば、そんな生ぬるい態度でいいんだろうかということを、私自身も含めてお互いに確認し合いたいと思うのであります。現に自民党では、県連の幹事長をお務めの平越孝哉先生を会長としたエネルギー問題調査会、この調査会でもさまざまな角度から検討されておる。そして、議会でお互いに推進決議をしたわけであります。お互い同じ責任があるわけでございますから、そうしたことを踏まえて、今後一層この公益事業法人に対する要請をしっかりとしていただきたい。来年三月には需給見通しがさらに出てくる、その結果を待って、この企業論理だけで私たちは放置でき得ないということを申し上げておきます。
さらに、総務部長にもう一度答弁をいただきたいんですが、市町村合併の問題であります。
さきの閣議で、これを推進していこうと決定されました。私は、この問題の根幹はどこにあるかということをもう一回見据えなければいけないと思うんです。私は、これは財源なんだと認識するわけであります。財源がたくさんあれば、こういうことをする必要がないわけであります。いかに少子高齢化が来ようとも、あるいは市町村枠域を超えた行政ニーズが起きようとも広域連合でいけるわけですから。にもかかわらず、そうした状況になるということは、自治体自体がこれから交付税、補助金、起債、こうしたものをどんどん絞られてきたら行政自体が成り立たなくなるから、こういう面を広げてやっていきなさいよ、行政の存立意義を発揮しなさいよということを言っておるわけです。
合併特例法があと四年余りになっておるわけです。もうまさに姿を見せようとしているわけです。そのときに、本当に県として市町村指導のあり方は住民発意というような従来の形でいいんだろうか、そのことが和歌山県の市町村の今後の展望につながるんだろうかということを私はお尋ねしたいわけであります。
この閣議の決定を受けて、町村会が緊急決議をした、まさに逼迫感にあおられてやっておるわけですね。もうそう遠くはないと、私は感じます。多分、国会でもどんどん論議をされていくでしょう。そうした中で軟着陸のあり方が見出し得るのかどうか。その辺を見据えた中で県として取り組むことが、二十一世紀の和歌山県のあるべき姿をつくり出すためにとるべき措置だと思いますが、もう一度総務部長の答弁をお願いいたします。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 合併についてのお尋ねでございますけれども、今お話もございましたように、特に市町村財政を支えている財源、とりわけ地方交付税の動向につきましては、昨今国においても大変さまざまな議論があるわけでございまして、この動向は私どもとしても大変容易ならざる事態になるのではないかと危惧をいたしているところでございます。
そのようなことで、県としても市町村としても早く備えていくということが必要であろうかと十分認識をいたしておるところでございまして、県といたしまして、先ほども申し上げたところでございますけれども、いろんな要綱をつくるということではなくて、県としての役割をいろいろ考えながら十分果たしていく必要があると考えてございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、冨安民浩君の質問が終了いたしました。