平成12年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
県議会の活動
平成十二年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
平成十二年十二月十三日(水曜日)午前十時開議
第一 議案第百六十九号から議案第百八十八号まで(質疑・委員会付託)
第二 一般質問
第三 請願付託の件
会議に付した事件
一 議案第百六十九号から議案第百八十八号まで(質疑・委員会付託)
二 一般質問
三 請願付託の件
四 休会決定の件
出席議員(四十七人)
一 番 新 島 雄
二 番 山 田 正 彦
三 番 佐 田 頴 一
四 番 大 沢 広 太 郎
五 番 堀 本 隆 男
六 番 宇 治 田 栄 蔵
七 番 門 三 佐 博
八 番 西 本 長 弘
九 番 坂 本 登
十 番 小 原 泰
十一 番 木 下 善 之
十二 番 永 井 佑 治
十三 番 尾 崎 要 二
十四 番 小 川 武
十五 番 宗 正 彦
十六 番 橋 本 進
十七 番 生 駒 三 雄
十八 番 原 日 出 夫
十九 番 谷 洋 一
二十 番 山 下 直 也
二十一番 高 瀬 勝 助
二十二番 吉 井 和 視
二十三番 木 下 秀 男
二十四番 町 田 亘
二十五番 金 田 眞
二十六番 高 田 由 一
二十七番 神 出 政 巳
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 向 井 嘉 久 藏
三十 番 野 見 山 海
三十一番 平 越 孝 哉
三十二番 下 川 俊 樹
三十三番 中 山 豊
三十四番 浜 田 真 輔
三十五番 鶴 田 至 弘
三十六番 冨 安 民 浩
三十七番 村 岡 キ ミ 子
三十八番 中 村 裕 一
三十九番 井 出 益 弘
四十 番 阪 部 菊 雄
四十一番 江 上 柳 助
四十二番 長 坂 隆 司
四十三番 森 正 樹
四十四番 飯 田 敬 文
四十五番 新 田 和 弘
四十六番 松 本 貞 次
四十七番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 稲 山 博 司
企画部長 安 居 要
環境生活部長 道 浦 渥
福祉保健部長 白 井 保 世
商工労働部長 内 田 安 生
農林水産部長 島 本 隆 生
土木部長 大 山 耕 二
企業局長 辻 健
教育委員会委員長 目 黒 威 徳
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 高 垣 宏
警察本部長 岩 井 良 行
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 谷 口 庄 一
職務のため出席した事務局職員
事務局長 田 村 徳 美
次長 蓮 池 康 宏
議事課長 北 垣 内 敬
議事課副課長 松 谷 秋 男
議事班長 露 詰 勤
議事課主査 井 口 好 晴
議事課主事 安 井 伸 彰
総務課長 佐 竹 欣 司
調査課長 梶 本 皓 造
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課副主査 保 田 良 春
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午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
【日程第一 議案第百六十九号から議案第百八十八号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第百六十九号から議案第百八十八号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
三十六番冨安民浩君。
〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 おはようございます。
変革と激動の中で二十世紀が閉じようとしております。二十一世紀が本当に明るい展望の持てる世紀になりますことを祈るばかりであります。私は、きょうは質問の機会を得ましたので、いささか早く家を出たわけでございますが、国道、それから農免道を通りまして川辺インターに乗りまして、ふと里山に目をはせますと、今は紅葉がピークであります。社会、政治、経済、それぞれの分野の別なく今まさに変革の中にありますが、地球環境も随分変わりつつあるなという感を抱きながら、十分余りで海南インターに着いたわけでございます。私は、車で走ると十数分で川辺から海南へ到着できる、利用者負担とはいえ高速道路の利便性というものを再認識させられました。そして、この道路建設に本当にご腐心いただきました今は亡き元知事の仮谷志良先生、そして「人皆心あり」と心を重んじながら政治に携わり、県政遂行に邁進され、志半ばにしてその任をみずからの意思で解かれた西口前知事、この両先生のご功績を心からおたたえ申し上げつつ、質問に入らせていただきます。
木村知事、あなたは、厳しい暑さの中で、選挙の厳粛なる審判の結果、幅広い多くの県民のご支持、ご支援をいただき、和歌山県政推進の最高責任者である知事に選任され、九月七日、若さと意気込みを感じさせながら、初々しく人間味あふるる姿で県民、県職員の多数の出迎えを受け、初登庁されました。いよいよ新知事木村丸の船出だなと感じた次第であります。
初登庁から、はや百日を迎えようとしています。知事就任後のあなたの活動ぶり、また日程等をかいま見ながら、その激務ぶりと意気込みの大きさを感ずるものであります。「地位が人をつくる」とよく申しますが、知事の持てる潜在能力と自信でありましょうけれども、風格が備わりつつあるなと思う一方、知事の持ち味である人間味あふれる姿が少しうせつつあるんではないかな、そんな思いをいたすわけでございます。県政推進の最高責任者としての対応すべき課題の多さ、難解さがそうせしめているのかなと受けとめるものであります。山積する諸問題の解決、また将来を見据えた県政を推し進めていく上での知事の決断、決裁は、時としては激震を起こし得ましょう。しかしながら、その激震を和らげる方法を駆使でき得るのも政治でありますし、やり方によっては激震が起こらないような措置をとり得るのも政治であります。県職員には、幾多の難局に対処してきた、また対処し得る有能な人材が多くいます。知事、あなた自身、選挙期間中、訴え続けてこられたとおりであります。一人の知恵より二人の知恵、三人寄れば文殊の知恵であります。県政遂行の道のりは遠く険しいのであります。一人で背負い込むことなく多くの知恵を、すなわち文殊の知恵を生かして引き続き県政推進に取り組まれますよう、知事、あなたの一支持者として、県勢のあすの飛躍を願い、また知事自身をも思い、はばかりながらご提言申し上げます。
次に、IT革命とその対応についてであります。
「IT」、この二字のローマ字を見聞きしない日がないほど、世はまさにIT一色であります。さきの臨時国会でIT基本法が制定され、IT社会構築に向けての法整備が形成され、その進展に加速がつくでしょう。政治、経済、社会を初め、どの分野を語るにしても、IT抜きには語り得ません。IT、IT、ITが通る、そこのけそこのけITが通る、そんな感すら覚えるきょうこのごろであります。
本県におきましても、その構築に向けてのおくれは許せませんし、十二月補正予算に情報環境整備や利用普及対策に眼目を置いた予算が計上されております。十三年度予算においても大幅予算が計上されるべきであり、時代の要請であることは万人が認めるところであります。IT革命が進展する中での新産業や新規雇用の創出を初めとするプラス効果は広く論じられておりますし、個人消費が引き続き停滞する中で、昨年の通年〇・八%成長に続き、本年は一─三月期プラス二・四%、四─六月期プラス〇・二%、先般発表された七─九月期はプラス〇・二%で、GDPプラス成長に大きく寄与しているのが、いわゆるIT絡みの民間設備投資であるのも事実であります。まさに、日本経済再生もIT頼みであります。
一方、IT革命の進展が経済社会に大きな変化をもたらすという本質を見据えた対応策を怠りなきよう進めねばなりません。徹底的な市場原理の浸透、情報過多がもたらす自己責任の増大、知的犯罪の増加、中間業者の段階的消滅、さらなる民間企業のリストラ等々であります。県政が対応でき得る問題とでき得ない問題がありますが、その対応策に怠りなきようにも対処せねばなりません。
かつて、国際化(グローバル)と言われました。それと情報化、この二つは日本国家が世界に冠たる豊かな国家として、また世界の一員として避けて通れない変革でありますが、この二つの言葉が日本社会、日本経済、国際生活にバラ色をもたらすような言葉として使われてまいりましたし、少なくとも大多数の国民はそうとらえたでありましょう。しかしながら、国際化が進展する中で、規制緩和が急速化し、外国企業の侵入を容易にし、市場原理が浸透し、バブル崩壊後、体力を取り戻し得ない金融機関が営業停止に追い込まれたり、世界的には異常とはいえ日本社会の安定に大きく寄与し続けてきた企業の終身雇用制度をも生き残りをかけてスクラップせざるを得ない状況を生み、日本経済社会の混乱の一因につながったのであります。政治に携わる者はペシミストであってはいけませんし、ましてオプティミストでもあるべきではないと思います。こうした過去の教訓を踏まえつつ、情報化、IT革命をとらえ、プラス効果を本県振興のために最大限生み出せ得るような早急なる対策措置が肝要だと思いますが、知事の見解をお尋ね申し上げるものであります。
次に、財政健全化問題と行政の存立意義についてであります。
行政の存立基盤の大きな柱が財政であるのは論をまちませんし、行政の継続性を考えるとき、財政運営は常に健全であるべきでしょう。財政問題のみを解決するのは、まことに簡単であります。入りをふやし、出を絞り込めばそれで済むわけです。しかしながら、それでは行政自体の存立意義が根幹から揺らぎ始め、だれのための行政存立かと言われるでしょう。景気回復による大幅な税収増加が期待でき得ない状況でもあり、金利上昇を招くおそれがあり、これ以上の日本経済の混乱を防ぐためにも赤字公債発行ももうそろそろ限度近くに来ている今日、新たな環境問題への対応等々の財政出動が伴う諸問題が生じており、全国的に歳入不足を補うための新税導入構想が論じられておりますが、性急過ぎると角を矯めて牛を殺すことにもなりかねず、慎重を要すでしょう。
こうした状況下にあって、木村知事は「行政の棚卸し」とも言うべき聖域なき事業見直しに着手されており、本県財政健全化に向けての知事の並々ならぬ決意のほどを感じるわけでありますし、今また知事はそうあるべきでありましょう。自治省エリート官僚として長年培った、また大阪府副知事として経験済みの得意分野の一つでもありましょう。巷間、財政問題解決に向けての県知事木村刀の切れ味鋭きなりという言を耳にいたします。財政健全化に向けての出を絞る意味での事業見直しは避けて通れないでしょうが、行政の存立意義に思いをいたすとき、いま一度基本を固めるべきだと思います。そうした思いを込めて知事にお尋ねをいたします。
事業見直しをする基準のしんの部分は何なのか、また予算に占める人件費比率は通常どの程度であるべきか。
なお、知事は、選挙期間中、本県が二十一世紀のトップランナーとなり得るよう頑張ると県民に訴え続けてこられましたが、トップランナーとは具体的に何を指すのか、はたまた県政推進に向けての心意気を示したものなのか、お答えをお願いいたします。
また木村知事、あなたが本県の行政推進の最高責任者として就任後百日を迎えようとしておりますが、知事としての職務遂行の中で県民にお訴えをいたしたいことがあれば、ぜひ吐露願いたく存じます。
次に、市町村合併の問題についてであります。
先般閣議決定を見た行政改革大綱に市町村合併の推進が盛り込まれ、いよいよやむなきかなという感を抱くわけであります。そうしたさなかに、去る六日、全国町村会では強制合併に対する反対決議を緊急にしておるわけでございます。それほどせっぱ詰まっておるという感を抱くわけであります。昭和の大合併以来、長きにわたってなれ親しんだ市町村自治体行政枠は、それを維持する基盤に状況変化が生じない限り変えない方がいいに決まっております。私もそう思います。しかし、その基盤に大きな変化が生じようとしているわけであります。少子高齢化社会の到来はもとよりですが、市町村自治体存立基盤の大きな柱である財源原資に変化が生じようとしているわけであります。二割自治、三割自治とも言われ、その財源の大半を国からの交付税や補助金、また起債に依存している体制自体が変更やむなきの危機的状況を迎えておるのであります。すなわち、バブル崩壊後の長引く景気低迷による歳入不足に起因する国、地方合わせて六百五十兆円にも及ぶ赤字公債の発行、そろそろ今日的状況維持が不可能となりつつあります。
そうした中で、中央では明年明けから一府十二省庁体制がスタートし、行政改革が断行された中央省庁が姿を見せます。いよいよ、これからは地方の番だと言わんばかりであります。市町村合併は地方自治体の行政枠域を超えてのいわゆる地方行政大改革であり、その時期遠からじ、まさにもう足音が近くなってきて姿が見えつつある感を抱くわけでございますが、総務部長の見解は。また、その時期を見据えての市町村指導についてお尋ねをいたします。
次に、御坊第二火力発電所建設の問題であります。
御坊第二火力発電所建設に向けては、地域振興、この一点を見据えて、御坊市並びに隣接町が取り組んできた問題であります。その計画が今、時期繰り延べをされようとしております。この問題について質問をするのは、憤りを超えて大変むなしい感じがするわけであります。何となれば、県も同じ思いにほかならないだろうからであります。企画部長、なぜ運転開始時期が繰り延べになったのですか。答弁を求めます。
これにて、私の第一問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問の冒頭の激励の言葉、本当にどうもありがとうございます。これからも、県民の方々、そしてまた県議会、県職員の方々の知恵と経験を生かしながら県政を運営していきたいと思っております。
まず初めの、IT革命の進展とその対応についてのご質問でございます。
県といたしましては、このIT問題の持っている陰の面ということも十分理解して進めていかないといかんと思っておるところでございます。このIT革命の進展がもたらすであろう今後の経済社会の大きな変化に県民が適時適切に対応し、IT革命のプラスの効果を最大限に享受できるよう支援をしていく必要があると考えております。このような観点から、すべての県民の方々がITになれ親しみ、高いモラルを持って適切に活用できるよう環境の整備や普及啓発に努めてまいります。また、産業構造の変化に対応して既存産業がITを活用した経営革新と電子商取引などへの対応が図られるよう中小企業者の方々に対してIT関連の人材育成事業等を行うとともに、ベンチャー企業への支援施設の整備についても検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、財政健全化と行政の存立意義についてのご質問でございます。
予算に占める人件費比率がどれぐらいであるべきかということでございますが、まず事務事業を見直しをする基準については、新たな時代にふさわしい先導的事業や県民の福祉向上につながる事業を積極果敢に展開していくため、県民の皆様方の意向にも配慮しつつ、既存のすべての事業について、効果や効率性、緊急性について厳しく点検し、見直しを図っていかなければならないと考えております。
次に人件費でございますが、どの程度が適切な水準であるかを申し上げるのはなかなか難しいことでございます。平成十二年度の当初予算で見た場合に、人件費の和歌山県の比率は全都道府県の平均とほぼ同程度の三一%となっているところでございますが、このような率が同じということだけを見るのではなくて、細かい分析をしていく必要があると思いますので、指示をしております。
いずれにいたしましても、財政健全化を図る観点から、行政改革大綱に基づき、職員定数の削減に取り組むなど、人件費の抑制に努めてまいりたいと思っております。
次に、トップランナーの意味と県民の方に訴えたいことはというご質問でございます。
私は選挙の際、二十一世紀のトップランナーを目指してまいりたいと訴えてまいりました。これは、必ずしも私個人のことを言っていることではなくて、和歌山県がそういうふうな意気込みで二十一世紀に向かっていく必要があるということで言ったことでございまして、現在の激しい変化の時代には、時代潮流をしっかりととらえて、それにマッチした新しい発想で思い切った政策転換を図り、新しい和歌山をつくり出していきたいという意味を込めたものでございます。
今、私は県政に臨むに当たって、現在抱えている懸案の解決に全力で当たり、また県財政の再建のための行財政改革や県庁自身がより開かれたものにするため県政の構造改革に取り組んでまいりたいと考えております。そして、和歌山県の豊かな自然環境を生かした、「いやし」をキーワードにした都市との交流の推進やITを活用した産業の活性化、ベンチャー企業の育成等による県経済の構造改革で自立型経済への転換に取り組むことなどによって、安心で活力みなぎる新しい和歌山を目指し、二十一世紀の自治体間競争の時代に対処してまいりたいと考えております。
次に県民の皆様に訴えたいことでございますけれども、長引く不況や構造的な問題から本県を取り巻く社会経済環境は極めて厳しく、またこのような状況を反映して県財政も厳しい状況の中にございます。私は、二十一世紀の本県の発展のため、これらのさまざまな課題を乗り越えていかなければならないと考えております。このようなときにこそ、現在の状況をしっかりと認識し、県民の皆様と危機意識を共有しながら、英知を結集し、一丸となって新しい発想で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
これからの県政は、和歌山県という枠にとらわれず、内外を見据えた大きな視野が必要であると考えております。このことは、紀州の先人たちの進取の精神にもあらわれており、この精神を和歌山づくりに生かし、関西圏さらには全国との交流を図ってまいりたいと考えております。
また、地方分権の時代を迎えて地域の特性を生かした発展が必要であると考えております。人口が急増している地域や観光、農林業が盛んな地域など、県内各市町村の地域特性を伸ばしていく発想が重要であると考えております。そして、地域住民やNPOなど新しい民間の活力を行政に生かす仕組みをつくり、県政参加を促す県民自治の実現を目指してまいりたいと考えております。
私は、このような新しい発想で和歌山の創造を目指して取り組んでまいりますので、今後とも県民の皆様の積極的な県政への参加とご協力をお願い申し上げたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併についてのご質問にお答えいたします。
市町村合併につきましては、ご指摘のように、去る十二月一日に閣議決定されました国の行政改革大綱において、自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化するとされております。市町村合併の推進が打ち出されておるところでございます。昭和の大合併から四十年以上が経過し、市町村を取り巻く状況が大きく変化しております。また、地方分権の推進や少子高齢化の進展、高度化、多様化する行政需要などに加えて、ご指摘にもございましたような国、地方を通じた厳しい財政状況がございます。
このような状況にあって、市町村が将来にわたって行政サービスの水準を維持し、また新しい行政需要に対応していくためには、本県におきましても、市町村合併を推進し、行財政基盤の強化を図っていくことが必要であると考えております。
県の指導はどうかというご質問がございましたけれども、市町村合併推進要綱の策定などを通じて、合併特例法に定められた県の役割というものを十分果たしてまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 御坊第二発電所建設についてでございます。
御坊第二発電所につきましては、本年三月下旬に関西電力から、昨今の電力需要の伸び悩み等により、発電所の運転開始時期を平成二十二年度以降に繰り延べることが発表されました。昨今の電力需要の伸び悩みの状況からやむを得ない面があるのは事実ですが、御坊第二発電所については、経済波及や地域振興の面で御坊市を初め地元が大きな期待を寄せてきたこともあり、運転開始時期の繰り延べの報告を受けた際に、このような観点について配慮が必要であることを関西電力に対して強く申し入れをしてございます。
県といたしましては、今後も地元の意向を踏まえ、発電所の建設について関西電力へ働きかけてまいりたいと考えてございます。
以上です。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十六番冨安民浩君。
○冨安民浩君 御坊第二火力発電所の問題について、私はもう答弁は求めません。多分、担当部長も同じ思いであろうはずであるからであります。今日を迎えるまでにおおむね十年、御坊市並びに隣接町が、自治体の長はもとより、議会、商工会議所、商工会、その他あらゆる団体が随分積み上げをしてきた中で合意ができ上がったわけでございます。もちろん、関西電力の立地部の皆様方の苦労も、私はかいま見てまいりました。この議場でも、この問題の賛否についていろんな方が意見を述べられ、討議をされてまいりました。そして、最終的に決断に至る経緯の中で、前西口知事は、熟慮に熟慮を重ねてという非常に重い判断の中で決断をされたわけであります。それにもかかわらず、公益事業法人関西電力が需給見通しという企業論理一点だけでこの問題を繰り延べするということは──私は今、日高郡の議席を預かる者として、この企業論理の優先は許し得ないということをしっかりお互い認識すべきだと思います。まさに、公益事業法人の信頼度、これは一民間企業よりもっと信頼度が高いはずであります。しっかりと企業倫理を遂行していただきたい。
私は、この質問の前に御坊商工会議所に問い合わせをいたしました。御坊商工会議所では、この建設に対処すべきエネルギー調査会というのが商工会議所会頭を会長にして持たれておるわけでございますが、その会が調査した中で、前知事が電調審に上げた時期から今日まで約七十億ぐらいの受け入れ体制の設備投資をしているわけであります。これは、御坊市だけであります。隣接町を含めると、おおむね百億になろうと思います。こうした問題を、公益事業法人関西電力がよくわかっておるのかということであります。
さらにまた、前知事が決断に至るまでには、西口前知事の人となりから推測いたしますと、梅の問題等いろいろ思いをめぐらして、大変な心労があったと思います。私は、西口前知事の健康阻害の一因にもなりかねない問題であったのではないかな、そんな思いをいたしておるわけでございます。そうした点を踏まえて、これから県として公益事業法人関西電力にしかっとした態度で臨むということ、政治家の一挙手一投足を後世の歴史の評価にゆだねるとするならば、そんな生ぬるい態度でいいんだろうかということを、私自身も含めてお互いに確認し合いたいと思うのであります。現に自民党では、県連の幹事長をお務めの平越孝哉先生を会長としたエネルギー問題調査会、この調査会でもさまざまな角度から検討されておる。そして、議会でお互いに推進決議をしたわけであります。お互い同じ責任があるわけでございますから、そうしたことを踏まえて、今後一層この公益事業法人に対する要請をしっかりとしていただきたい。来年三月には需給見通しがさらに出てくる、その結果を待って、この企業論理だけで私たちは放置でき得ないということを申し上げておきます。
さらに、総務部長にもう一度答弁をいただきたいんですが、市町村合併の問題であります。
さきの閣議で、これを推進していこうと決定されました。私は、この問題の根幹はどこにあるかということをもう一回見据えなければいけないと思うんです。私は、これは財源なんだと認識するわけであります。財源がたくさんあれば、こういうことをする必要がないわけであります。いかに少子高齢化が来ようとも、あるいは市町村枠域を超えた行政ニーズが起きようとも広域連合でいけるわけですから。にもかかわらず、そうした状況になるということは、自治体自体がこれから交付税、補助金、起債、こうしたものをどんどん絞られてきたら行政自体が成り立たなくなるから、こういう面を広げてやっていきなさいよ、行政の存立意義を発揮しなさいよということを言っておるわけです。
合併特例法があと四年余りになっておるわけです。もうまさに姿を見せようとしているわけです。そのときに、本当に県として市町村指導のあり方は住民発意というような従来の形でいいんだろうか、そのことが和歌山県の市町村の今後の展望につながるんだろうかということを私はお尋ねしたいわけであります。
この閣議の決定を受けて、町村会が緊急決議をした、まさに逼迫感にあおられてやっておるわけですね。もうそう遠くはないと、私は感じます。多分、国会でもどんどん論議をされていくでしょう。そうした中で軟着陸のあり方が見出し得るのかどうか。その辺を見据えた中で県として取り組むことが、二十一世紀の和歌山県のあるべき姿をつくり出すためにとるべき措置だと思いますが、もう一度総務部長の答弁をお願いいたします。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 合併についてのお尋ねでございますけれども、今お話もございましたように、特に市町村財政を支えている財源、とりわけ地方交付税の動向につきましては、昨今国においても大変さまざまな議論があるわけでございまして、この動向は私どもとしても大変容易ならざる事態になるのではないかと危惧をいたしているところでございます。
そのようなことで、県としても市町村としても早く備えていくということが必要であろうかと十分認識をいたしておるところでございまして、県といたしまして、先ほども申し上げたところでございますけれども、いろんな要綱をつくるということではなくて、県としての役割をいろいろ考えながら十分果たしていく必要があると考えてございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、冨安民浩君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十三番木下秀男君。
〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 議長のお許しをいただきましたので質問に入りたいと思いますが、戦争に明け暮れたと表現される二十世紀もあと半月余りとなりまして、各新聞にいろいろと百年を振り返った記事、またテレビ等でも古い戦争映画等が放映されております。ここ数日前の新聞に二十世紀の百大ニュースが出ておりましたが、百の大ニュースの一番は広島、長崎原爆の投下と第二次世界大戦の終結、二番目は人類が初めて月に着陸したこと、三番目は日本の真珠湾攻撃と米国の第二次大戦参戦、このように世界各地の大ニュースをまとめたコラムがありました。我々の先人たちが今までいろいろと取り組んできて、人類、人間社会においてあってはならないこと、そういうものを二十世紀中に片づけて、二十一世紀にはそういうことのない新しい人間社会を築くべきだということもされておりますが、二十世紀に解決できずして二十一世紀に持ち込んで、それが果たして解決に導かれるかどうかという懸念もあります。特に和歌山県におきましては、ここ数年来、この議場でたび重ねて議論されております基幹産業である梅の立ち枯れの問題、そして戦後、輸入品と言われるような形でその撲滅に取り組んでまいりました松くい虫の被害、これらが何の解決も見出せないままに二十一世紀に持ち込もうとされております。そういう意味で私は、私の住まいする美浜町を中心に松くい虫の対策に苦慮している地元町村の意を体して、煙樹ケ浜松くい虫被害対策について質問をいたします。
私がこの件を取り上げるのは、二回目になります。この樹林は、面積約八十ヘクタール、総延長四・五キロメートル、最大幅五百メートルに及ぶ広大なスケールで、白砂青松の海岸美は東洋一と言われてございます。本県を代表する松林である美浜町煙樹ケ浜の松くい虫被害対策について、私の一考察を含めてお尋ねいたします。
ご承知のとおり、煙樹ケ浜の松林は、千六百十九年(元和五年)、初代紀州藩主となった徳川頼宣公が、背後にある日高平野の水田や住民の居住地を潮害や風害から守るために、この松林の保護対策として禁伐おとどめ山として指定するとともに、進んで松の植林を奨励し、以来三百八十年の長きにわたり、住民の方々を初め関係する皆さん方のご尽力によって立派に守り続けてきたものであります。しかしながら、昭和三十三年ごろから本県南部の新宮市付近に異常発生した松くい虫の被害は、その後猛威を振るい、県下で四万八千六百六十立方メートルという莫大な被害を受けたとされております。
煙樹ケ浜においても、昭和二十一年に一部発生した松くい虫被害は三十年代に入って顕著となり、さらに五十年代に急増する中で、特に五十四年から五十七年の四カ年には毎年千本を超える甚大な被害をもたらすことになりました。このため、これでは煙樹ケ浜の松林は全滅してしまうのではないかという危機感から、薬剤の空中散布や伐倒駆除に加え、保安林改良事業等々の事業実施による懸命の防除対策によって被害を最小限に食いとめ、一時はほぼ収束状態を保っていたかのように思えました。私は、自宅が近くということもあって、毎日と言っていいほど煙樹ケ浜周辺を見ております。その後、平成九年度に空中散布から噴霧機による地上散布に切りかえたころから被害は再び増加傾向にあるように見受けられ、調査結果を聞いてみますと、平成十年の七号台風による樹勢の衰弱の影響もあって、十年度には千二百三十三本、十一年度には千九百本と、過去最高水準の被害を記録してございます。
こうした状況の中で、関係者の方々はいち早くその対策に取り組まれ、平成十一年度からは国が実施する特別調査の指定を受けて被害防止対策の抜本的な検討を行い、マツノマダラカミキリの発生源となる隣接する西山周辺の樹種転換や薬剤の増量、さらに樹高の高い松に散布するスプリンクラーの設置など新たな対策が講じられ、私の見る限りでは、昨年に比べ、今のところ被害は減少したと思います。
過日十一月二十九日、林野庁森林総合研究所の吉田成章森林生物部生物管理課長が特別調査の中間発表として来庁されました。その発表によりますと、今年度の松枯れ状況は、前年同期に比べて半減した、西山からの松くい虫の飛び込み対策、枯れ松の早期発見と徹底した伐倒駆除、薬剤散布など各種対策の効果があった、今後五年間で被害木を十本に持っていける、それができれば六年目からはゼロに近づけられると明言され、長年松くい虫対策に取り組んできた町当局初め関係者、住民ともども、この朗報で安堵したものであります。が、一方では、今月九日に「松枯れと大気汚染、松くい虫、松枯れの原因を探る」と題した広島大学生物圏科学研究科教授の中根周歩先生の講演を拝聴してまいりましたが、林野庁を中心とするマツノザイセンチュウ説とは全く相反する説明でありました。しかしながら、今後の被害につきましては決して予断を許さない状況にあると思います。
私は佐賀県の虹ノ松原の状況について聞き取り調査いたしましたが、そのことも含めて考えてみますと、広大な煙樹ケ浜は場所によって松の生えている状況が異なっています。そこで、松が密生しているところ、あるいは雑木やヤマモモの木が多く生えているところ、さらには落葉が多く堆積しているところというように、地域区分をして対策を講じていく必要があるのではと思うのであります。松の密植されているところは間伐による樹勢の回復、松以外の樹林が多いところは枝払いと松苗木の植栽、落葉(腐葉土)の堆積しているところは一部除去し、松の共生菌である菌根菌──根元にある菌の発達をよくしてやることも大切ではなかろうかと思うのであります。また、二十一世紀は環境の時代とも言われ、地域住民の森林への関心が高まる中で、ボランティアによる林内の清掃、焼却処分などを進めることも必要かと考えますが、次の五項目について農林水産部長の答弁をお願いいたします。
一、空中散布でありますが、これは海側を中心に空中散布を復活するべきではないか。
二、松林内及び周辺への松の補植徹底。
三、スプリンクラーの増設。
四、日高川左岸の松枯れの伐倒であります。今、右側にある西山という、美浜町と日高町の領域で約一万本を伐倒する計画でありますが、左岸の御坊市、通称・北浜と申しますが、この周辺はほとんど松は枯れてございますけれども、まだ残っております。そこを切らずして、右側だけを切って左側を放置することでは不十分になるんではなかろうか、こういうことで日高側左岸の伐倒も新しく計画の中に取り入れていただきたい。
五、落葉除去・焼却、これは根をかいて、それを完全に焼却してしまうことです。
この五点について、部長の答弁を求めるものであります。
次に、市町村合併の推進についてであります。
この議会の冒頭、我が会派の小川幹事長が市町村合併の口火を切られまして、この市町村合併を取り上げるのは私で四人目になると思いますが、県議会においてもこの議論を起こすことが市町村に対しても大きく影響するであろうと思いましたので、私もあえてこの市町村合併の推進を取り上げたわけでございます。
本論に入る前に、和歌山県行政組織の今日までの変遷を見ますと、一八七一年(明治四年)に廃藩置県の制度が設置されまして、その後、一八七九年(明治十二年)、和歌山県の郡区市町村編成が行われておりますが、その当時の和歌山県の町村数は千六百三十九町村──この当時は海岸にある浦というのも勘定の中に入れた千六百三十九町村浦が誕生しております。一九四七年(昭和二十二年)に新生日本の地方自治法が制定され、二百四市町村が編成されました。約七分の一と縮小合併されてございます。その後、一九六一年(昭和三十六年)、新市町村建設促進法施行──一部失効になってございますが──には五十二市町村、設定当初から約四分の一に合併されて今日に至っております。
森内閣が決定した行政改革大綱には、市町村合併推進が盛り込まれてございます。政府、地方の借金が合わせて六百四十五兆円と言われる厳しい財政状況で、少子高齢化社会の住民ニーズにこたえるためには市町村の行財政基盤の充実が不可欠であり、合併は避けて通れないと言われております。最近の新聞報道等を見ますと、この大綱に政府部内に市町村合併支援本部(仮称)を設置したり、住民投票制度を導入するなどして市町村数を千ぐらいの数値目標に設置したことは、合併の後押しをするということであると思います。戦後五十有余年を経た現在におきまして、予想し得なかった社会構造の大変革と地域住民のニーズの変化により、来るべき二十一世紀にはそのテンポがまだまだ速まるものと思います。このままの行政形態では、住民の福祉増進、地域の振興整備などができなくなることは必定と思考するものであります。市町村合併促進の立場から質問をいたします。
本年四月の高齢者に対する介護保険の導入を初め、橋本市のダイオキシン対策を契機とするごみ処理問題など、昨今、市町村は新たな行政需要への対応が求められており、単独の団体では処理できないことから、広域的に対応しているのが現状であります。今後も行政需要はますます多様化、高度化するものと予想され、このように単独の団体では処理することが困難な事務も増加するものと考えられます。また、市町村の行政能力の観点から見ますと、市町村の職員数は一般的に人口規模が多ければ職員数も多くなります。ところが、市町村が処理する事務は規模に関係なくすべての自治体が共通して行わなければならないものがたくさんあるわけであります。当然、団体の規模が小さければ一人の担当者が多くの種類の事務を処理している状況にあり、それに加えて新たな事務処理に当たることが必要となるわけであります。このような状況の中で、特に小規模な団体では、今後の行政需要に的確に対応し、住民の負託にこたえることができるのでしょうか。私は、無理であると思います。
次に、市町村が設置している公共施設の状況についてであります。
例えば、ある団体が文化施設を建設すると、隣接する団体が競うように類似の施設を建設するということが多く見られます。地域住民の利便の向上に寄与していると言えなくもありませんけれども、モータリゼーションが発達した今日、狭い地域内での類似施設の重複設置、いわゆるフルセット方式でありますが、これは行政の効率という観点から見ていかがなものかと考えるのであります。さらに、県下市町村の財政状況を見ますと、地方債の借入残高が非常に増大し、平成十一年度末の地方債残高は五千二百二十六億円となっており、歳出決算額四千八百七十億円を上回る額となっております。また、経常収支比率も八三・四%と高い水準にあり、財政構造の硬直化が進行し、市町村財政は厳しいものとなっております。
このような市町村行財政の現状を見ますと、私は市町村合併を推進し、行政体制を強化するとともに、財政の効率化を図らなければならないと考えるものであります。市町村は、現状のままでは立ち行かなくなるとの認識が広がりつつあり、ある首長も、市町村の合併は正面から取り組まなければならない課題と言っております。
過日十二月六日、知事の大先輩である元自治省事務次官で現在は財団法人地方自治研究機構理事長の石原信雄氏が和歌山にお越しになって特別講演をされ、その折の記者会見で、地方交付税は減らさざるを得ない中で、これまでの地方行政サービスを続けるには市町村合併を進めるしかないと話されております。また十二月七日には、お隣の大阪府の太田知事が、大阪府の市町村合併要綱を作成し、これから四十四町村を十四町村に合併を促進するため学習会、シンポジウムを開催すると発表されました。また、和歌山県中部の田辺市を中心に、近隣十カ町村の有志議員の集まりである「広域行政を考える議員の会」の皆さん方が、田辺市周辺組合会議に広域合併問題の早急検討を要請するとも報道されております。
現在の市町村合併特例法において、合併特例債や地方交付税の算定の特例など各種の手厚い財政支援が設けられております。私は、現在の市町村合併特例法の法期限内にこれらの制度を有効に活用し、地域整備を行いながら市町村合併を進めることが地域にとって有益であると考えております。
そこで、知事にお尋ねいたします。
知事は、自治省で幾多の行政経験を積まれ、地方行財政に精通され、和歌山県の将来を負託されたわけでありますが、市町村合併の推進を県政の重要課題と位置づけて取り組んでいかれることが必要であると考えるのでありますけれども、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 市町村合併についてのご質問にお答えを申し上げます。
市町村合併は、市町村や住民の方々が自主的に判断されることが基本でございます。しかしながら、本県におきましては、昭和の大合併によって、おおむね現在の市町村の区域となって以来四十年余りが経過し、その間ご指摘のように、行政需要の高度化、多様化、地方分権の推進、国、地方を通じた厳しい財政状況など、市町村行政を取り巻く状況は大きく変化をしてきております。二十一世紀を迎える今、このような時代の潮流を考えますと、本県におきましても市町村の合併を推進していくことが非常に重要な課題であると考えております。
現行の市町村合併特例法におきましては、市町村の合併を支援するための種々の財政支援制度などが設けられておりますが、その法期限まで残すところ四年余りとなっております。私といたしましては、これらのことを踏まえ、市町村合併推進要綱を早期に策定し、合併の機運の醸成を図るとともに、合併に向けた取り組みを支援するなど対応を行ってまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 農林水産部長島本隆生君。
〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 煙樹ケ浜の松くい虫被害対策についてでございます。
この松林は、潮の害や風の害を防ぐとともに、保健休養機能等、地域住民の生活環境保全に大きな役割を果たしており、本県を代表する重要な松林であると認識してございます。
松枯れの原因は、マツノマダラカミキリを媒体としたマツノザイセンチュウによるものと既に認められており、その防除対策として農薬取締法に基づき登録されて三十五年の使用実績があり、世界八十カ国で登録、使用された安全性の高い薬剤の散布を行ってまいりました。さらに平成十一年度には、国の地域指定を受けて噴霧機による地上散布の濃密実施や固定式によるスプリンクラー散布など、徹底した防除を進めてまいりました。その結果、平成十年度、十一年度に比べ、現時点での被害の発生は減少してございます。
議員ご質問の第一点目の空中散布についてでございますが、平成九年、国の防除実施基準により、人家、公共施設等に隣接する周辺松林での空中散布ができなくなっており、海辺側の散布につきましても人家や公共施設等への影響が少なからず懸念されます。そのため、従来の地上散布を中心とした濃密防除に加え、ヘリコプターを活用した被害木の確認により、徹底した伐倒駆除、及び西山周辺森林の樹種転換等を実施してまいります。
二点目の松林への補植でございますが、松の植生密度が低下している箇所については、これまで同様、保安林改良事業等により補植し、機能回復を図ってまいります。
三点目のスプリンクラーの増設でございますが、今後継続してその効果を確認し、対応してまいります。
四点目の日高川左岸の枯れ松の伐倒駆除についてでございますが、煙樹ケ浜松林への影響も考えらますことから、伐倒駆除の徹底を図ってまいる所存でございます。
五点目の落葉除去・焼却でございますが、林内環境整備のため、林地の状況に応じた地域区分を行い、落ち葉の除去・焼却、枝払い、下草刈りなど、住民の方々の協力を得て積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
今後とも、煙樹ケ浜松林保護のため、ボランティア組織等とも連携し、地域住民と行政が一体となって取り組み、より一層被害の減少に努めてまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十三番木下秀男君。
○木下秀男君 来年のことを言えば鬼が笑うと言いますけれども、これは現実にあることでございますが、来年早々には中央省庁が合併されます。そして、特殊法人も大きく見直され、改革されました。この次は地方交付税制のあり方を見直そうという方向で論議するようでありますが、地方交付税は市町村にとりましては財源の柱であります。今知事も答弁されましたが、合併は市町村議会の議決が必要であって、自主的なものであるのは当然であります。しかし、今度新たに住民投票制度が導入されれば、住民が合併の是非を判断するのに必要な自分の住まいする自治体の行財政情報をわかりやすく公開すべきである。自分のところがどれくらい借金してあるか、税収がどれくらいあるか、そういう町や村の基本的なものを公開することによって住民の判断を仰ぐ。こういう意味から、県として市町村を指導するべきであろうと思うのでありますが、この点について知事のご見解を伺います。
もう一点、農林水産部長。私の言うヘリコプターによる薬剤散布というのは、大型のヘリコプターではなしに、今は無人で操舵するリモコン式の請負会社もある、またその愛好者でボランティアで奉仕してやろうという団体もある、こういうことでございますから、特に私が海岸べりと申し上げましたのは、人家から離れたところはゾーンをつくっても結構ですから、空中散布を取り入れていただきたい。これは地元民の強い願いでありますので、この点は要望にしておきます。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問にもありましたように、国、地方を通じる借金が六百四十五兆円に上っているという現在の状況を勘案しますと、ただいまの地方交付税制度がこのままの形でずっといくということは非常に難しいことは一般的に言われているところでございます。そうなってまいりますと、当然のことながら和歌山県下の市町村の状況なり運営といったものは非常に厳しい状況になってくると思います。
市町村合併の中で、今後住民投票制度が検討されておりますけれども、そうなったときに、住民の方々が、その地域の行財政の状況がどういうふうになっているかということに対する十全の知識を持った上で合併が是か非かを判断していただくことは当然のことでございますので、私どもといたしましては、市町村に対しまして住民の方々にその市町村の財政状況等々、十分な情報を提供することを求めてまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、木下秀男君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時十四分休憩
─────────────────────
午後一時二分再開
○議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十七番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 早速、質問に入っていきたいと思います。
初めに、観光レクリエーション事業について質問を申し上げます。
冬の訪れとともに、ことしも母なる紀の川の水辺にシラサギやカモの群れが静かに羽を休めている風景が見られるようになりました。紀の川大堰も、平成十四年に本体供用に向けて工事が進められているところです。巨大なコンクリートの堰柱が居並ぶ姿は、これまでの景色を大きく変化させつつあります。
さて、観光レクリエーション事業は、紀の川リバーサイドグリーンベルト構想の基本計画に基づき、県が事業主体となって九ホールのパブリックゴルフ場を建設する計画であります。このゴルフ場計画については、平成九年九月議会で私どもは、上水道の水源近くで農薬を使うことから言って計画の中止を求めてきたところです。この総事業費は約十六億円で、この財源は、紀の川大堰事業に伴う河道掘削工事による砂利採取を平成八年から平成十三年度にかけておおむね二百七十万立方メートルを採取し、十億六千百六十万円の財源を確保してゴルフ場を建設しようとするものであります。しかし、この基本計画に示された砂利採取量とその財源確保は極めて困難な状況になっております。皆さん方の手元にも、「年度別砂利採取量と全体計画に対する進捗率」表を配付させていただいておりますので、ごらんいただきたいと思います。
砂利量では、目標二百六十五万四千立方メートルに対し、平成十二年十月三十一日現在では、わずか四十三万立方メートルにすぎません。一六%の進捗率です。財源収入においても、目標額十億六千百六十万円に対し、十分の一という一億七千万円であります。このような状況では、ゴルフ場建設に必要な総事業費十六億円の確保は不可能です。起債という借金をつくってまでも計画を進める必要のない事業だと、私は考えるものです。これは、事前調査や計画見通しでは、専門的知識と専門的技術をもって行われた計画であるはずです。
そこで企業局長にお尋ねをいたしますが、これまでの事業の進捗状況と今後の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。特にゴルフ場用地の買収、そして砂利採取と財源確保について詳しく説明していただきたいと思います。
土木部長にお尋ねするものですが、もはやゴルフ場計画は破綻していると言えます。財源保障のないこの計画はきっぱりと中止し、県民の意見を聞き、新たな憩いのある公園整備を検討されたらいかがなものでしょうか。土木部長の答弁を求めたいと思います。
次に、県職員の超過勤務にかかわって質問をいたします。
具体的な質問に入る前に、県職員初め地方自治体で働く人々は、その自治体に雇用されて働く労働者であるとともに、住民全体に奉仕するという特殊性を持つ職務を行っておられます。もちろん、自治体の財源は住民の皆さんが納める税金を主としているわけですから、人件費を初め行政経費は、住民負担の点から言ってもなるべく少ない方がよいのは当然です。それは、行政当局が住民の皆さんの生活を守り、安全な県土をつくり、営業を大切にするなど、積極的な活動を行うことを前提にしてのことであります。また、超過勤務をできるだけ少なくするために適正な人員配置が必要でしょう。この上に立って、県職員の超過勤務手当が完全に支給されていないのではないかという点についてお尋ねを申し上げます。
知事部局での職員の超過勤務時間について、九〇年から九九年までの十年間を見てみます。最も残業が多かったのは九六年度の百三十万四千時間で、最も少なかったのは九〇年の八十七万七千時間です。この間の傾向としては、九六年までは毎年残業がふえていましたが、九七年からは減少に転じているということになります。
さて、超過勤務手当は、労働基準法や県の給与条例によって翌月の給与支給日に支払うことになっております。和歌山県においては、各課によっても異なるそうですが、必ずしも前月の残業賃金のすべてを支払うことにはなっていません。毎月の超過勤務手当の金額は、各課などに割り当てられた超過勤務の予算と実際に必要な超過勤務手当の金額とを見て、本来支給しなければならない金額の何割かを支給しています。年度の終わった時点で、県全体の超過勤務手当の範囲内で残りの額を支給する仕組みになっています。これは「超勤清算」と呼ばれているものであります。
そこで、総務部長にお尋ねをいたします。労働基準法でも県の給与条例でも、超過勤務手当は翌月の給与支給時にその全額を支払うことになっており、現在行われているこのような支給方法は労基法にも給与条例にも違反する疑いが濃いと私は考えるものですが、総務部長の見解をお示しください。
次に、県全体の超過勤務手当の予算を実際に残業した時間から計算される超過勤務手当の額で割った額を「充足率」と言うそうです。この充足率を知事部局について見ますと、九一年、九二年が五四%、九三年が四四%で、九六年までは五〇%をずうっと下回っています。九七年になって五九%、九八年が八〇%、そして九九年が八八%とのことであります。これはあくまでも平均の充足率で、課によってはこれを下回るところもあると思うのです。
ことしは昨年よりさらに充足率が上がるとのことですが、これは職員の超過勤務時間、支給額が大きく減るとの見込みからで、超勤手当の総額は昨年より減少するようです。もちろん、超過勤務時間が減少し、健康を壊すような勤務が少なくなるのは喜ばしいことでもあります。
さて、九八年の充足率は八〇%ですが、この年に実際に支払われた知事部局での超過勤務手当の総額は十八億二千万円です。残りの二〇%は四億五千五百万円。これが未払いの超過勤務手当です。九九年の充足率は八八%で、実際の手当支給額は二十億二千万円ですから、未払いの手当は二億七千五百万円にもなります。このようにして計算をしてみますと、九六年の未払い額は十八億五千万円にも上り、九七年の未払い額は十一億九千万円にもなります。何と、この四年間だけで約三十八億円の未払いの超過勤務手当になります。これは知事部局だけですから、教育委員会や警察を含めれば超過勤務の手当の未払いはもっと大きくなると思うのです。
そこで、総務部長にお尋ねをいたします。賃金の時効は、労働基準法百十五条で二年となっています。今から二年前にさかのぼって、支給されていない超過勤務手当の未払いを支払う義務が生じると思うのですが、総務部長の見解を求めるものです。
次に、超過勤務時間を減らすための方策に関連してお聞きを申し上げます。
県は、九八年から一カ月の超過勤務時間が六十時間を超えた職員がいる課などから超勤が多くなった理由書の提出を求め、ことしからは四十五時間を超えた場合に理由書を書いて提出してもらっています。ことしの場合、四月から十月までの七カ月で、知事部局全体で千百三十七件の理由書が提出をされています。これには各振興局も含まれておりますが、総選挙や知事選挙があった関係で市町村課が累計六十七件と多いのは、いたし方がないかもしれません。日高建設部で六十一件、財政課で四十二件、有田建設部で三十三件と、慢性的に長時間の残業をしなければ業務をこなせない状態にあるのではないかと感じられます。同時に、理由書を書かなければならないことは、超勤の申請をすることをためらわせる一因にもなるのではないでしょうか。このことを私は危惧いたします。
総務部長にお尋ねします。実際に残業しても理由書を提出しなければならないことが何らかの足かせになって超過勤務の申請をためらわせることになっていないでしょうか。超過勤務を減らすことが目的ですから、超勤が集中する部署には必要な人員を配置する、それが基本的な方策ではないかと考えるものです。いかがでしょうか。
医大学長に要望をしておきたいと思います。日本医労連がこの十一月に出したパンフレット「第六回全国一斉「看護婦一一〇番」報告書(速報)」を見てみますと、ここにたくさんの声が寄せられているわけです。娘の勤務時間が長いので心配、日勤は夜十時過ぎ、準夜は朝方、深夜は昼までに帰ってこない、残業手当も出ない、疲れ果てており、とても見ていられないというご両親。仕事が多忙でなかなか終わらないし、その後に記録が残る、帰るのは日勤で十九時から二十一時になるが時間外手当がない、深夜勤務も昼までに終わらない、やめる人が非常に多い、賃金は十六万円ぐらいだといった声が寄せられているのです。私のところにも、医大で働くナースの両親から同じような声が寄せられてまいりました。医大では医師の超過勤務が最も多いとのことですが、医療現場の特質から言って仕方のない面もあろうかと思います。超過勤務をした医師や看護婦などにはきちんと手当を支給する、超過勤務をした人は原則的には超過勤務の支給を申請できる状態、そういうシステムづくりにぜひ改善していただきたいと要望をしておきます。
次に、住友金属での労働災害について質問を申し上げます。
住友金属では、ことしの夏に海南工場で起きた労働災害が私傷扱いとなっていた、いわゆる労災隠しが明らかになり、私ども日本共産党は、十月二十七日、住友金属和歌山製鉄所の所長あてに労働災害の根絶と労災隠しに関する申し入れを行いました。面接にも行ってまいりました。四点にわたって安全対策を文書で要求してまいったところでございます。
労働災害隠しは、けがをした労働者の治療と休養に専念することを妨害しているだけでなく、再発防止対策の不十分さは労働者の安全と命を軽視する人権侵害であり、労働安全衛生法百条に違反する刑事処分、司法処分に該当する重大問題だと考え、あえて私は質問をするものであります。
住金和歌山製鉄所では、過去にも工場内での作業中に感電死した労働者を私傷と偽ったり、千六百度の銑鉄に足を滑らせ、大やけどをして長期に入院している労働災害を隠したり、あるいは深夜に両足骨折しても翌日には退院をさせてギプスを巻いて松葉づえで出勤させ、軽い災害にしたり、また太ももを十針縫う災害をズボンを切っただけのことにしたりと、数々ありました。こうした住金の労働災害隠しに対して、八七年十二月には和歌山労働基準監督署が住金の社長じきじきに直接警告する、異例中の異例の警告書の処置がとられてきた経過もありますし、またこの問題は国会でも取り上げられて、労働省もびっくりするという状態でもありました。
労働災害は、少なくとも、起こった事故災害については正式に手続をして、労働者に対しては万全の治療を保障する、再発防止策をとるというのが企業に課せられた義務でもありますし、企業の当然とるべき責任でもあります。また、下請や孫請、ひ孫請では、労働災害が発生したら住金構内への出入りを禁止されたり、仕事ができなくなるおそれもあります。ですから、発生した労働災害を明らかにしたくないと考える気持ちもわかるところであります。
今、住金で働く労働者と家族、下請企業は、昨年から住金が推進しているリストラ合理化のコスト削減三〇%を柱とする経営改革プランで、労働条件の切り下げによる生活苦や労働苦、下請企業の営業の困難が広がっていると言われています。しかも、高齢者雇用安定法いわゆる六十歳定年制度を無視した定年前の退職勧奨の面談が毎日行われ、退職勧奨の始まった七月から十一月までのわずか四カ月で五百二十九人のベテラン労働者が退職に追い込まれました。その穴埋めにふなれな労働者が補充され、これが災害の多発する一因にもなっていると指摘をされています。また、経費削減による定期的な設備や機械の補修期間が延長され、下請企業の仕事が激減し、不安全な設備機械のもとで作業をさせられるケースもあることが、これまた指摘をされているのであります。
労働者の命や安全より生産第一、会社の利益を追い求めるということは許されることではありません。人間の命や健康を大切にすることは、行政の枠を超えて声を上げる必要があると考えます。労働災害をなくすことはもちろんですが、万一に発生した労働災害はきちんと明らかにし、労災保険法を適用させること、労災が起きたことを理由に下請や孫請から仕事を取り上げることのないようにする、このことを県民の命と安全に責任を負う県行政として、住金に対し強力に申し入れを行っていただきたいと考えますが、商工労働部長の見解を求めたいと思います。
これで、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 観光レクリエーション事業についての二点目のご質問にお答えします。
紀の川リバーサイドグリーンベルト計画にゴルフ場が位置づけられているところでありますが、このグリーンベルト計画は、学識経験者や地元代表、各界各層の代表の方々から成る紀の川緑地基本計画調査委員会のご意見を聞き、国、県、和歌山市、岩出町合同で策定したものであります。ゴルフの大衆化に伴い、安価なパブリックゴルフ場が必要という皆様の声を反映したものでございます。
今後のグリーンベルト計画のあり方につきましては、ゴルフ場の事業主体である企業局が財源としての砂利採取について建設省と協議中でありますので、その結果を見きわめてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県職員の超過勤務につきましてお答えいたします。
まず、ご質問のような、いわゆる充足率を用いて超過勤務手当の支給を行ってきた点でございます。
この制度は、予算の制約のある中で、超過勤務を命令する者とされる者の双方がお互いに納得できる支給方法を模索した結果として継続してきたものでございます。ただ、支払いの時期等については問題がある場合もあると考えますので、早急に改善していくよう検討してまいります。
次に、過去にさかのぼって超過勤務手当を支払う必要があるのではとのご指摘についてでございます。
いわゆる充足率を用いて超過勤務手当を支給するという方法は、職員の意思を代表する職員組合と合意の上で実施してきたという経緯がございますので、過去にさかのぼっての支給義務はないものと考えております。
最後に、超過勤務を減らす方策についてでございます。
職員の超過勤務等の時間が月四十五時間を超えた場合に、所属長からその状況を報告させております。これは、職員の健康等に配慮し、長時間の超過勤務を防ぐため、月当たりの限度とする目標を設定するとともに、所属長に計画的な業務執行と事務改善等を促すことを目的として実施しているものでございます。
長時間の超過勤務の多い所属につきましては、さらに超過勤務等が縮減できるよう、今後とも人員の適正配置も含め、多様な観点からその方法を検討してまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 商工労働部長内田安生君。
〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 住友金属の労働災害に関連してお答えをいたします。
労働災害は、本人はもとより、家族を初め同僚にとっても非常に痛ましいことでございます。労働災害のない、安全で快適な職場づくりを推進していくことは働く人々にとって大変大切なことであり、不幸にして労働災害が発生したときは、その再発防止に努めるとともに、速やかに労働災害保険等により被災者の救済を図ることが重要であると考えてございます。
住金和歌山製鉄所関係の労働災害の発生件数は、平成十一年度は、下請会社を含め、和歌山工場で死亡事故一件を含む七件、平成十二年度は、十一月現在で和歌山工場で三件、海南工場で一件となっています。その中の一件が労働基準監督署への届け出が遅くなったと聞いてございます。
県といたしましては、こうしたことから、労働基準監督署に対し、労働災害防止のための一層の指導強化を要請するとともに、企業に対してもより一層の労働災害防止対策の強化と労働災害発生時には労働安全衛生法に基づいた適正な処置を要請してまいりたいと考えてございます。
また、県内の労働災害防止を目的とした県労働災害防止会議におきましても、事業所や関係団体に労働安全衛生活動の促進を要請してまいりたいと考えてございます。
○議長(阪部菊雄君) 企業局長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○企業局長(辻 健君) 観光レクリエーション事業についてのご質問のうち、一点目の事業の進捗状況と今後のあり方、見通しについてお答えいたします。
観光レクリエーション事業は、紀の川リバーサイドグリーンベルト計画の一環として、紀の川大堰事業に伴う砂利採取の負担金収入を主たる財源にゴルフ場を計画したものでございます。しかしながら、砂利の採取量は平成十二年十二月末現在で計画の約一六%にとどまっており、当初の目標を確保できかねる状況にあります。
今後のゴルフ場計画につきましては、財源確保が大きな課題でございますので、現在、砂利採取について建設省と協議を行ってございます。
また、ゴルフ場予定地の用地買収についてでございますが、建設省の委託により県土地開発公社で行っており、おおむね本年度で完了し、一部未買収地については建設省が対応するものと聞いてございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。再質問をさせていただきたいと思います。
観光レクリエーション事業です。
現実的に、砂利採取、いわゆるゴルフ場をつくるための財源は到底確保できないという見通しがもう明らかになってきていると思うわけです。ただ、紀の川大堰の工事が伸びているという状況も関連はするだろうと思いますけれども、しかし砂利採取をする面積まで決めて、六年計画で目標を達するという施策を専門的な人たちがちゃんとお立てになったのだと思うんですけれども、この計画の狂いというのは何が原因だというふうに今思っていらっしゃるのでしょうか。それをまずひとつお答えをいただきたいと思います。
それから、住友金属の労働災害の問題です。
企業に対して、あるいは労働基準監督署に対しても安全対策を強く申し入れしていきたいというふうにご答弁をいただいたのですけれども、これは強力な要請をさらにやっていただきたいと思います。
労働災害の発生件数です。昨年は七件、ことしは四件と答弁されたわけですけれども、これは四日以上の休業災害だと思うのです。私どもの調査によりますと、三日以内の休業災害というものもあるわけです。それも含めて見てみますと、一昨年が三十九件、昨年は十六件、ことしももう既に十六件起きています。したがって、住友金属は依然として労働災害が多発しているということになるわけですね。それで、この四月から住友金属は総合安全衛生管理指定事業所に指定をされました。それだけに、災害をなくすための大変な努力が労働基準監督署からも指示されているわけです。そういう指定を受けている事業所ですから、県当局にあっても、こういう点も含めてきちんと対応していただきたいと要請をいたしておきます。
それから、超過勤務手当の問題です。
私が聞いているのは、いわゆる清算払いの方法と、言葉が悪いですけれども、いわゆる仮払いということでやってきた、そのやり方については労働基準法の第三十七条、それから県職員の給与条例あるいは規則に抵触をしていませんかということなんです。それに対して総務部長は、明確な答弁がないまま、支払い方法については問題があるとお答えになっているわけです。法律、条例といったものが最優先されると思うのですが、これは違法行為としてお認めになるということで解釈をすればいいのですか。そのことについてお答えいただきたいと思います。
それから、こうした支払い方についてこれまで長い間労働組合と協議して決めてきた、したがって法律上にあったとしてもこれまでのやり方を踏襲するんだ、だから別に問題はないから二年前にさかのぼって支払う義務はないと、こういうふうに理解をするのですけれども、これは到底納得できるものではないと私は思うんです。なぜならば、給与条例と規則、あるいは労働基準法といったものを見てみますと、超過勤務については、一カ月おくれだけれども、やっぱりちゃんと毎月給料日に先月分を全額支払うということになっておりますよね。このことを守るのが大前提だと思うんです。ですから、賃金は個々に全額を毎月払うということ。賃金の中にはこの超過勤務手当も含まれているわけですから、それをきちんと支払うべきだと位置づけているのが労働基準法であり、そして給与条例あるいはその規則であります。
今まででしたら、清算払いをするのは三月末、実際に労働者に支給されるのは四月か五月ですよね。これまでの経過で見てみますと。そうすると、この仮払い制度が──言葉が適当かどうかわからないですけれども──予算の枠内でやるんだから、これは仕方がないんだということになるのか。残る部分──いわゆる全額を支払う義務があるのに支払われていないという現実でしょう。働いた部分を請求しても、労働者のところには全額が超過勤務手当として支払われてこなかったと。今でもそれは、充足率という形で八〇%となっているわけですよね。だから、未払い分が毎年残っているんですよということを言っているんですけどね。
そういう点で見てみますと、この法律を守るということが大前提にならなければいけないのに、労働組合とこれまで協議して決めてきたことだからそれは問題ないのだというふうに私は受け取れるんですけれども、もう一度、なぜこの二年間さかのぼって払う義務がないのかということを法律にのっとってお話ししてくださいますか。それだけ、お尋ねします。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、超過勤務手当の清算払い方式が違法なのかどうかということでございます。
各職場、各所属の勤務なり超過勤務手当の支給状況というのは多様でございまして、なかなか一概には申し上げられないことと存じますけれども、先ほども申し上げましたように、清算払いといった支給時期等においては問題がある場合があるというふうに考えておりますので、早急に改善できるよう努力してまいりたいと考えております。
それから、二年前にさかのぼっての支払い義務があるのではないかということでございます。
私も、労働基準法百十五条の二年間の時効等の規定があることは十分承知いたしておりますけれども、先ほども申し上げましたとおり、これまでの支給方法というのは職員組合と合意の上で実施してきたものでございまして、職員の意思を代表する職員労働組合との合意がある中で、これと個々の職員の請求権と申しますか、そういうものがどういったことになるのか等、種々吟味されなければならない点があろうかと考えております。したがって、先ほども申し上げましたとおり、過去にさかのぼっての支払い義務というものはないのではないかと申し上げているところでございます。
○議長(阪部菊雄君) 企業局長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○企業局長(辻 健君) 再質問にお答えいたします。
砂利の採取量が計画どおりにいっていない原因は何かというお尋ねでございます。
砂利の採取量は、全体計画で約二百六十五万立方メートルございます。その内訳は、県企業局分が約半分の百四十万立方メートル、建設省分が約百二十五万立方メートルでございます。
現在砂利を採取しておりますのは、企業局分の約百四十万立方メートル分でございます。これにつきましては、当初、建設省で事前調査した砂利の埋蔵量というのですか、それが実際掘ってみますとそのとおりでなかったということが原因してございます。
それから、建設省分の残りの約百二十五万立方メートルでございますが、これにつきましては、紀の川大堰の進捗状況との絡みもございまして、現在全然採取されておりません。この二つが大きな原因でございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 企業局長、もう望みのないものはばっさりとあきらめることも必要なときがあると思うんです。ぜひ、そういう意見を企業局としても反映させていただきたいと要請をしておきます。
総務部長、あなたのおっしゃることはやっぱり理解できないんですよね。それは、請求権がどうなるかというのを常に考えなければいけないと言うわけですけれども、労働者は命令されて超過勤務するわけでしょう。そうすると、超過勤務した分について払わないということになるわけですよ。今、充足率を見ても、全額を払いませんよという形になっているわけでしょう。それは、給与条例や労働基準法から見ても、決して許されるべきことではないと思うんです。払いますとちゃんと明文にしているんですから。それはちゃんと払うべきでありませんか。
労働組合と協議したからと言っても、協約が優先するものではありません。法律が、条例が優先されるものだと思うんです。昭和四十年に、東京の簡易裁判所へこういった問題を訴えた労働者が勝利をしております。法律のもとでは働いた部分については当然払うということになっており、給与条例そのものもしかりだと思うんです。行政が条例や法律を守らないで、今までの慣習でやるんだということになれば、法律も条例もつくる必要はないんじゃないですか。こういうことが一貫して今後も続けられるとするならば、大変な問題だと思うんです。そういう点でも、とても納得いく答弁ではありません。
部長は、労働基準法や給与条例そのものを守るということをここで確信して答弁できますか。お答えください。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県の行います行政で、法律、条例を守るのは当然のことと考えてございます。
先ほどお答えしたとおりではございますけれども、ご指摘のあったことについては一つの大きな問題提起であるというふうに受けとめさせていただきたいと存じます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
五番堀本隆男君。
〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 議長のお許しを得ましたので、順次質問をさせていただきます。
本会議も四日目となり、先輩・同僚議員の質問と重なる部分もありますが、当局によろしくご答弁願いたいと思います。
まず新生和歌山の創造について、知事にお伺いいたします。
知事ご就任以来三カ月、これまでのキャリアを存分に生かしつつ精力的に県政に取り組まれ、現地にも積極的に足を運ばれ、問題解決に努力されておりますことを多くの県民が受けとめております。木村知事、頑張れと。
さて、二十一世紀の和歌山県のビジョン、つまり県づくりの基本構想についてどのようにお考えでありましょうか。私ども県民は、木村ビジョンをできる限り早く知りたいのであります。今は将来の見通しの全く立たない大変革の時代と言ってしまえばそれまででありますが、知事は選挙公報でふるさと和歌山創造計画を提案されております。そして、知事に就任されて九月議会における知事説明要旨で、一般県民に対する県政担当の抱負と県政の将来に対する展望を述べ、激変する時代認識を示しつつ、県政運営の基本的な考え方を三つ示されました。以上の所信表明に対して私が大きく感じました点を述べさせていただく中で、質問を行わせていただきます。
第一は本県の目指すべき姿、第二は県政の目標、第三は県政のあり方についてであります。
第一点は、「和歌山県の区域にとらわれない意識の上での開国、とりわけ大阪府との関係の重要性」の視点には、うなずけるものがあります。ご就任後、太田知事と両府県についての連携の語り合いを持たれたでありましょうか。
第二点、「行政の役割に県民が多くを期待することよりも、むしろ県民みずからできることは行ってもらうという考え方に立って県民の県政参加を進める県民自治の発想が今後一層必要である」は、正論であります。私は、この考えに敬意を表します。
このことに関すると思いますが、去る十一月、和歌山県経済同友会では提言を発表し、「和歌山県の発展へ官公優位改善を」というような見出しで各紙が報道をしていました。内容は、二十一世紀の和歌山県の発展を目指すには官公優位の社会を廃止し、行政、企業、市民の三者が共同するパートナーシップ社会の形成が必要であるという提言であります。現在の和歌山県は、強大な権限と資本を持つ行政が企業と市民を引っ張る典型的な行政主導となり、それが行政の慣行を優先する体質を助長し、地域の低迷に拍車をかけていると分析しています。この提言に対する知事のお考えをお伺いしたいのであります。
第三点では、「県庁自身がより開かれたものとなり、県政の構造改革に取り組んでいく改革県庁を目指す。そして、県民の視点に立った県政を目指し、いわば「行政の棚卸し」──これは静岡県知事も言っておられます──とも言うべき、県政のすべての分野において聖域を設けない徹底した行政改革に取り組む。目的達成型の政策立案県庁に自己改革し、情報公開を一層進めていく」、大いに賛成であります。一方、政府も十二月一日に行政改革大綱を閣議決定し、特殊法人、公務員制度、公益法人、地方分権、中央省庁の改革を行い、行政の効率をより高めるとしております。
ところで最近、県下の市町村では、財政難を理由に県は予算をカットし過ぎであると、県の財政難がそっくり市町村の財政難のしわ寄せにつながり困っておりますが、そうした中で、市町村も知恵を出してより改革が進むかもしれません。いずれにしても、国家財政が破綻に直面し、税収も伸びず、交付税も減り、市町村財政の危機が早晩やってくると言われております。問題は県の市町村に対する説明不足ではないかと思いますが、どのような基準でカットされたかなど、この点について知事のお考えをお尋ねいたします。
次に、知事は今後の四年間を新生和歌山の創造の四年間と位置づけ、懸案事項として、財政再建、梅の生育不良、雑賀崎地区の埋め立て問題、橋本市の産業廃棄物問題を挙げ、さらに当面の五つの重点分野を掲げております。第一、産業の活力創造に向けた施策、第二、豊かな環境の創造に向けた施策、第三、安心して暮らせる社会の創造に向けた施策、第四、個性輝く人材の創造に向けた施策、第五に交流ネットワークの創造であります。
厳しい財政難の中でも県勢の発展を大きく左右する基盤の整備もあり、めり張りのついた優先順位をつけ、重要なものから重点的に取り組んでまいる考えであるとしております。さらに知事は、本県が改革の先駆けになるという高い志を持ちながら地方から行動を起こすという意気込みで県政を推進してまいるという、大変格調の高い所信演説であり、評価をいたしたいと思います。
さて、質問に入ります。
平成十年三月に策定された全国総合開発計画「二十一世紀の国土のグランドデザイン」とその戦略推進の指針を読んで感じますことは、IT革命が日本の産業、経済、社会に与える変化をいまだ十分に織り込んではいないということであります。全総の柱が、一番目に多軸型国家構造への転換──太平洋ベルト地帯からです──二番目に参加と連携による戦略の推進の中で、本県などは多自然居住地域の創造が求められておりますが、一体私どもには、自然を多く残してかすみを食って生きていけと言われるのかと問いたいのであります。
全総が異常に力を入れているのが、大都市のリノベーションであります。近年、政府、国会、経済界の主要な方々が声を大きくして、大都市は巨額の税金を吸い上げられて地方の公共投資にむだ遣いされているとする議論が高められており、マスコミも同調ぎみであります。しかし、大都市の方々は水、電気、食料、廃棄物処理などで地方圏に依存していることに心を配ってほしいと思いますが、地方に公共投資不要の論に対する知事のお考えをお尋ねしたいのであります。
全総も、国土審議会政策部会が十一月中旬に開かれ、IT革命による世界競争の中で、全総の柱と国土利用計画の合体を目指した新たな報告書をまとめております。先行きの全く見えないまま二十一世紀に突入する「日本丸」でありますが、十二月五日には第二次森内閣がスタートしました。中央省庁の再編スタート、二〇〇一年一月一日を前に、一、経済新生、二、IT革命、三、教育、四、行革規制緩和の四点を基本方針として国づくりをしようとしております。この国の組織再編に対して県でも機構に検討を加えられるのかどうか、知事のお考えをお尋ねいたします。
和歌山県では、国の全国総合開発計画と前後して第五次の長期総合計画を策定し、平成十一年三月にわかやま二十一世紀計画・第一次中期実施計画を平成十三年度まで計画してございます。これは前西口知事が策定されたものであり、木村知事がご就任されてどのようになされるのか、お考えをお尋ねします。
各プロジェクトの中には完了したものもあり、全く未着手のものもあり、県民生活に直接かかわる問題であるだけに関心も高いのであります。しかし一方、IT革命による第二次の産業革命で、まことに激しい産業、経済、社会の変化にこれまでの計画で対応し切れないとする意見も多くあります。九月県議会における所信表明の中である程度述べられ、今後さらに詰めていきたいと申されております。そして、新生和歌山の創造を訴えておられます。
知事は、十一月二十四日に関西プレスクラブで講演され、「開かれた県政の実現」と「自立」、「チャレンジ」をキーワードに、IT産業の育成を重点に府県間道路の整備に力を入れると強調されたと中央紙に書かれております。その方向性はすばらしいと思います。私が申し上げたいのは、去年の国のGDPが二%の成長率であるのに本県はマイナス一%である現実を見たとき、県政の立て直しについては多くの県民の皆さんが心配をしております。県財政のみならず、県勢全般について新生和歌山の創造を具体化し、計画化し、計画書として県民に提示していただきたいのであります。つまり、海図をつくり、「和歌山丸」を操縦していただきたいということであります。
本来なら、予算編成前に策定し、予算化すべきでありますが、木村知事には余りにも時間が少な過ぎました。事務事業評価システムも実施されており、その結果も踏まえなければなりません。できる限り早い時期に、夢と希望の持てる内容を込めて木村ビジョンを策定していただきたいのであります。お考えをお尋ねいたします。策定提示は、情報の公開と県民が喜びと悩みを共有するということで意義が大きいのであります。
次に、事務事業評価システムについてお尋ねします。
二年ほど前、東京の地方自治経営学会──これは、学者、研究者、自治体関係者で構成する、地方自治の経営について本音で語る会で、海南市長や県職員も加わっております──で行政評価システムについて討論があり、この基調講演で北川三重県知事が三重県における事務事業評価システムの取り組みについて情熱をかけて話され、大勢の学会員に感銘を呼びました。
簡略して申し上げますと、選挙戦の最中、行政改革を断行する、県職員の意識改革をするとアピールした北川さんがまさか当選するとは思わなかった大半の県職員は、黒船の来襲と警戒し、かたい表情と距離を置き、つまり改革に対して非協力的でありました。そこで北川知事は、「さわやか運動」を提唱しました。「さ」はサービス、行政の価値を高める、「わ」はわかりやすさ、生活者を基点に行政を見詰める、「や」はやる気、職員一人一人が目標を立てて挑戦する、「か」は改革、既成概念を捨て白紙で考える──このさわやか運動を部長会議に何度も諮り、がんがん意見を述べ、部長からもがんがん反応を受けた。こうした中から事務事業評価制度を生み出し、その内容を公開するという、これまでの日本の行政制度では考えられなかったシステムを構築したのであります。
部の課長会議に出席し、課の課員会議にも知事が出席して、自分の意見をどんどん述べた。徹底して討論した。ある学者は、知事が県職員に挑んだ「知の格闘技」と言っておられます。寸分のない、間断のない徹底討議の積み重ねにより全国一と言われる事務事業評価システムを構築し、県民に対する公約を果たしたのであります。
関西学院大学の石原俊彦教授は、三重県の事務事業評価システムの成功は一にかかって北川知事の強力なリーダーシップにある、その真のねらいは県職員の意識改革であると分析し、このシステムを他の府県に持ち込んでも決して成功しないだろう、魂を移さないと意識改革は起こらないと断言しております。この石原教授は、民間の公認会計士から教授になられ、行政評価システムの専門家として知られております。木村知事も、御前講義を受けられると大いに得るところがあると思います。
先日、私は三重県へ参り、政策評価推進室の職員から説明を受けました。職員の意識は大きく変わりました、実は一直線にシステムが構築されたのではなく、途中難局もありましたが、この制度に対する市町村からの支援や他府県からの好反応、さらに中央省庁からの反響もあって前進しました、ということです。現在、三重県職員労働組合のアンケート調査では、このシステムを支持するとする者は約五〇%、反対は一三%、どちらかと問われれば賛成でないが二八%で、四〇%の不支持であります。理由は、オーバーワークで煩わしいと感じている様子であります。担当職員に本音を聞きますと、最初は賛成できなかったが今は積極的に評価できる、行政改革を断行するという北川知事のポリシーに引かれていると。
さて、帰りに分厚い資料をいただいた。木村知事も絶えず事務事業の徹底的な棚卸しを主張され、財政課を中心に事務事業の評価を行い、取りまとめを進めておりますが、ここで知事にお尋ねいたします。
厳しい財政状況の中、限られた財源の中で社会情勢の変化に的確に対応し、効率的、効果的な行財政運営を行うためには、費用対効果の判定を徹底する必要があります。また、地方分権の進展に伴い、県民と行政が共同して地域づくりを進めていくためには、行政活動の内容をわかりやすい形で県民に示し、県行政の透明性を一層高めていかなければなりません。
ところで、この事務事業評価システムは五月に策定された財政運営プログラムIIの補完措置として策定されたものであるかどうか、さらに和歌山県行政改革大綱に基づくものであるのかどうか、お尋ねいたします。
また、この作業実施に対する職員の感想はいかがなものか。外部から見ますと、財政課の担当ではなく、専門室と専門スタッフが必要ではないのか。結果として、事業のスクラップ・アンド・ビルド、サンセットの導入、ベンチマークの設定、公共事業の再評価が可能となるわけであります。
三重県の事務事業評価は、今や行政評価にまで高められ、事務事業評価、施策評価、政策評価ということで三重のくにづくり宣言が出され、三重県長期総合計画のベースになっております。もちろん、七年の歳月をかけてであります。こうした経緯を見ますとき、愚見としましては、将来は企画部門での担当も考えられるところであります。
自治省調査による各道府県のパソコン整備率を見ますと、和歌山県庁は約五〇%、つまり二人に一台の割であり、三重県は職員全員に配付済みとのこと。先ほどの関学の石原教授は、IT化なくして行政改革はあり得ないと断言しております。和歌山県も全員化に向けてご努力を賜りたいのであります。
最後になりましたが、この評価システムの結果は一般県民に公開を予定されているのかどうか。冊子で配布されるのか、ホームページに入れられるのか。
木村知事の「行政の棚卸し」、「聖域ない事務事業の見直し」はにしきの御旗のようになっており、県行政でも市町村でも影響を及ぼしつつあります。大いに頑張ってほしいと思います。もちろん究極の目標は、すばらしい和歌山県の創造であります。
次に、企業誘致について知事にお尋ねいたします。
和歌山県の景気がなかなか回復しない現在、東証一部上場の東急車輛製造の本県への誘致が決定したこと、久々の朗報で、県民の一人として大変うれしく思っているところであります。沈滞し、落ち込む一方であると考えている県民も多く、これが一つの弾みとなって次々と立地が進んでほしいものであります。
企業立地が雇用を拡大し、製造品出荷額の増加を促し、県民所得を向上させ、地域が活性化することは、だれもが望んでいるところであります。県も努力を重ねておりますが、シンクタンク誌「二十一世紀WAKAYAMA」VOL三十一の巻頭言で木村知事も認めておられるように、新規事業所の開業率が全国最下位であります。
最近、三重県の企業誘致が活発で、実績を上げている紹介がNHKテレビや月刊誌「日経地域情報」、通産省系の月刊誌「産業立地」等を拝読して、一体ここのノウハウは何かと考え、三重県の企業立地課をお伺いいたしました。工場を検討したいとクライアントが各府県に声をかけたとき、全国から一番早く知りたい情報を完備して提出するのが三重県であるとの評判が高いそうですね、外国から日本進出を図る企業の約三分の一が三重県に着地するとNHKテレビでも放映しておりましたが、どんな資料ですかと。通産省の工業統計表からまとめた全国の立地件数順位を見ますと、三重県は絶えず上位を占めており、和歌山県は常に下位のグループにあります。日本全体が景気の衰退とともに設備投資が減り、平成元年に四千百五十七件の立地がありましたが、経年的に減少し、平成十一年には全国で九百七十四件で、同年、三重県は三十八件、全国六位、比較して和歌山県は四件、全国四十五位であります。一体、彼我の差はどこにあるのでしょうか。
私は、二つの点から尋ねました。一つは立地、二つは企業誘致スタッフであります。
まず立地環境ですが、三重県は交通体系が極めてよい、鉄道、高速道路や国道、県道、市町村道が整備されている、工業用地は幾らでもあると言える、企業団地は二百五十ヘクタールほど抱えており、その他民間所有地も、求めればほとんどが可能、しかし今は買い手市場で、少しでも有利なものを物色される、名古屋に近い北勢地方で坪十万円強、津地方で坪十万円弱、伸びている伊賀地方でも坪十万円ぐらい、現在、東京、大阪での企業立地説明会は中止している、名古屋経済圏、大阪経済圏の両にらみの地点も有利であり、一つの傾向として、大きな企業、工場が進出すると、それに関連する企業の進出も多くなる、典型的なのは、シャープの液晶工場です、三重県ではクリスタルバレーと呼んでいるなどと担当者は淡々と話をしてくれましたが、やはり立地が成功すると課内は興奮するそうであります。モットーはスピード、そしてワンストップサービスとのことであります。
二点目の企業誘致スタッフ体制では、平成八年に本庁企業立地課が十二名であったが、平成十二年には企業立地課十七名、東京二名、大阪四名、福岡二名、北勢県民局二名、伊賀県民局一名、全二十八名体制で企業誘致に取り組んでいる、特に県外の東京、大阪、福岡はホームオフィスとし、日々パソコンで報告をする、三重県の特色は、製造企業関連が多く、サービス業関連や情報関連が少ないこと、今後の課題は、IT関連の人材を育て、一、情報系、二、医療系、三、環境系、四、海洋関連にも力点を入れていきたいと語ってくれました。そして、和歌山県さんは今大変熱心ですね、優遇措置も三重県より充実していますねと。
そこで、知事にお尋ねいたします。
企業誘致について、選挙公約でも九月議会での所信表明でも触れられておらず、和歌山への企業誘致は無理と考えておられるのではないかと私は思っておりましたが、冒頭の東急車輛製造の誘致の成功で、知事は、これを弾みとして企業誘致活動に積極的に取り組むと表明され、一つの方向を伺いました。企業誘致はトップセールスが決定打になることが多いと聞きます。今後、知事はそうしたアクションを起こされるのかどうか。三重県での誘致スタッフのあり方、なかんずく東京、大阪、福岡の八名のスタッフは自宅にパソコンを配備し、ホームオフィスとして時間の有効利用とリアルタイムな交渉結果を把握しているということに感心しました。本県もこうした配置は可能と思われますが、ご所見をお伺いいたします。
また、本県の地価が高く、企業が難色を示すケースがほとんどである実情を考え、例えば和歌山市内にある県有地を低価格でリースするような方策が打ち出せないものかどうか、あわせてご答弁を願いたいと思います。
次に、海洋深層水について知事及び関係部長にお尋ねいたします。
先般、県議会総務委員会では新潟県及び山形県へ、日本海LNG新潟基地及び酒田港の整備状況の県外調査を行いました。LNG基地のスケールと防災管理システム、無事故実績等、学ぶ点が多くありました。帰途、「新潟日報」を読んで、ああまた負けるかと思いました。昭和四十八年、和歌山県東京事務所の行政課長として勤務当時、文部省が全国で三校の科学技術大学を設立すると発表し、当時の故大橋知事から誘致合戦に負けるなと励まされたのでありますが、三校目に決まった新潟県長岡科学技術大学に負け、和歌山県が四番目となり、誘致できなかった経験がございます。「新潟日報」に出ていた記事は、海洋深層水について、県が新企業の創出として取り組むこと、関係五部長が集まって十二月県補正予算に一千二百万円の調査費を計上すること、また体制をつくること等を決定したとありました。
この海洋深層水の本県での取水事業化について、平成十一年六月定例本会議で質問をさせていただいたところであります。それまでも私は海洋深層水の調査をしてまいりましたが、国の補助が高知県、富山県、沖縄県、そして現在静岡県が工事中で、あと一県か二県で海洋科学技術センターも終わりになるのではないかとうわさされ、和歌山県も何とか対象にしてもらえるよう頑張ってほしいと質問をさせていただきました。
木村知事もご存じと思いますが、水深三百メートル以下の深海から湧昇するポイントがよく、全国で十六カ所ほど見込まれ、本県では、潮岬から太地町までが有力地とされております。低温・安定性、清浄──細菌がないということです──富栄養性、熟成性、ミネラル特性があり、無尽蔵の海洋資源として脚光を浴びております。水産、食品、農業、環境保全、健康、美容、医療分野など研究や開発が進められ、海洋深層水ニュービジネスとして、地域特性を生かした地場産業としてこれからますます成長が見込まれてございます。
沖縄県は専らミネラルウオーターと食塩、富山県はタラソテラピー──温泉的な利用です──高知県は食品、美容、医療、ミネラルウオーター等、食品関連への進出に意欲的です。橋本高知県知事は特に熱心で、これまで水産試験のみに利用していた深層水を食品関係へ無料分水を開始してから新規産業が勃興しました。ミネラルウオーター、豆腐、パン、化粧品、酒類等、昨年度の関連商品の総売り上げは三十六億円に達しております。
去年六月の質問後、室戸岬へ串本町の友人たち、県水産課の皆さんと視察に行きました。ポンプアップ場の近くに既に化粧品会社、製塩会社、その他の関連する工場が建設され、ミネラル工場では注文をさばき切れない伝票が山積みされていました。その後、橋本知事は、大阪、東京で深層水商品見本市を開き、トップセールスをしております。
さらに、私は焼津市の工事現場も視察してまいりました。本年一月にはハワイ島の州立ハワイ自然エネルギー研究所──世界一の海洋深層水研究所と言われております──に行ってまいりました。直径九十センチの合成ゴムホースで深さ六百メートルのところから一秒間に一・八トンをくみ上げて農業用、養殖漁業用にしており、日本から進出した養殖業者は、来年は施設を倍にすると成功を話してくれました。お会いした所長は、再生可能な無尽蔵の資源、利用はこれからが楽しめるとのことであります。
さて、昨年の質問に対する副知事の回答は、「本県の恵まれた立地条件を有効に生かせるこれからの貴重な海洋資源の一つであると認識してございます」、「今後(中略)全庁的な対応が必要と考えてございます」、「例えば潮岬沖の大水深部からの取水、含有鉱物資源の研究など、他県にはない特徴を考慮しつつそれぞれの分野で取り組みを検討してまいりたい」とありました。
そこで、その後の海洋深層水事業へのお取り組みをお伺いいたします。
串本町では、一日でも早い県の取り組みに期待し、町内外の学識経験者、有識者から成る委員会をつくり、調査に取り組んでおります。串本町は前回の国勢調査で千人減少し、今回の調査予測では七百人余の減少と激しい人口流出で、経済・産業等あらゆる分野での衰退と所得の減少に、もう待ったなしの状態であります。やはり、働く場、雇用する企業がないと人口減少に歯どめがかからない。
木村知事は、目下、新規産業おこしを県民に訴えておられます。県においては、関係組織、機関の職員から成る研究会や国、大学の研究所から構成する委員会を設置して取り組んでいただきたいのであります。わかやま学で自主研究者に深層水研究の助成を行っていると聞きますが、企画部長にお尋ねします。
また、取水装置の建設を県が担当していただけるのか、町に補助して第三セクターで運営するか等、具体的に詰めていただきたいのであります。今後の事業化の見通しとワーキンググループの取り組み等について農林水産部長にお尋ねします。
串本町においては、何とかやってみたいと訴えております。どうか、前向きな検討を賜りたいのであります。
次に、浮き魚礁(パヤオ)について農林水産部長にお尋ねいたします。
和歌山県では、漁業資源の減少と輸入魚価に押され、県下の漁業者は低収入にあえいでおります。平成十年十二月県議会定例本会議において、私はこの対策として、沖縄県で広く普及しているパヤオ漁業を提言いたしました。改めて若干の説明を申し上げますと、パヤオ漁業はフィリピンの語源で、竹のいかだを浮かし、海底にいかりを沈めて固定するとその下に魚が集まり、それを一本釣りするというものであります。
沖縄県で開発された先端漁業とも言えるパヤオ漁業は、台風や船による損失を防ぐため、水面から三十メートルから五十メートルの中層に設置するもので、直径五十センチの樹脂の浮き玉を百個ほど詰めた網かごを海底にいかりを入れてロープで固定します。それに大中小の魚が集まり、好漁場となります。私も視察に参り、その後、県議会農林水産委員会──委員長は大沢県議でありました──では、沖縄県糸満漁業協同組合を視察し、沖縄県全体で二百基ほど投入、糸満漁協では十二基を持ち、もはやパヤオなしでは漁業は考えられないと話してくれました。そして、本県も導入をしていただきたいと質問しましたところ、早速試験的に太地沖、すさみ沖、日置沖と三基投入してくれましたこと、この場をかりて厚くお礼申し上げます。
聞くところによりますと、今後平成十四年から国の応援を得て相当数投入を予定しているそうでありますが、具体的にどのような今後の投入計画でありましょうか、お尋ねいたします。
それと、若干気にかかることでありますが、一部の漁業者から、パヤオを深く沈め過ぎ、百メートルから百二十メートルでは魚群探知機で見ても魚がついていない、もっと浅いところ、三十メートルから五十メートルに保つ必要があるのではないかと思うという指摘があります。一度、当局で調べていただきたいのであります。
最近、すさみ町議会議員の方から連絡をいただきました。すさみ町産業建設常任委員会では山口県阿武町と宇田郷漁業協同組合に調査に参り、間伐材魚礁を詳しく調べております。県単農山漁村整備事業を活用して杉・ヒノキの間伐材を道路渡しで一本三百円で購入、組合員が総出で運搬、浜で井げたに鉄筋で組み、おもしに砂袋をつり下げ、海底五十メートルから七十メートルのところに毎年百基、約三百万円──うち県と町の補助が二百二十五万です──をかけて、四、五年続けてやっております。間伐材を活用するということでユニークな視点と、杉・ヒノキという自然を汚さない材料で注目を浴びております。魚は根魚が主体でございますが、かなり効果がありそうで、和歌山県でも力を入れてほしいと言われております。農林水産部長のご見解をお尋ねします。
次に、東の川林道についてお尋ねいたします。
これまで県内二時間構想で圏域内交通体系の整備に重点を置いてきた戦略について、木村知事はこれを転換し、県外へ何時間でアクセスできるかが重要と発表されております。大阪府ともっと緊密な産業・経済の連携や企業誘致、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの客を白浜へ誘うこととか、名古屋市の大水害で紀南、勝浦の観光客に大きな影響があったことを考えるとき、うなずけるものがあります。もちろん、その実現には相当厳しいものがあります。
さて、こうした幹線道路の整備の成功により、人と物の移動が一気に変わったのが国道三百十一号の完成であります。この影響で国道四十二号の車両が大きく減少しております。この影響の問題は改めて質問いたしたいのでありますが、先般、この国道三百十一号が本宮町武住地区で大きな崩落があり、数カ月にわたって通行どめになった記憶は新しいのであります。
そこで強調したいのでありますが、動脈に支障ができればバイパスの整備を日ごろから考えておく必要があります。中辺路町の幹線林道東の川線は、中辺路町野中を起点──これは国道三百十一号のところであります──にして本宮町三越に至る広域林道龍神本宮線に接続する四・六キロ、幅員五メートルであり、森林開発のために平成十年から県が鋭意取り組んで、現在三二%の進捗率となっております。この林道が完成いたしますと、国道三百十一号バイパスの機能を果たします。
そこで農林水産部長にお尋ねいたしますが、県では東の川林道の整備を今後どのような計画で進められるのか、いつ完成するのか、お伺いいたします。
今議会の最終質問者に立たさせていただいたことは、まことに光栄であります。二十世紀最後の県議会一般質問者になるということで、いささか意識するところ大でありました。ご清聴、どうもありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問にお答えを申し上げます。
まず、大阪府との連携についてということでございます。
私は、新しい変化の時代に、和歌山という枠にとらわれず、内外を見渡す大きな視野を持って開かれた和歌山を目指していきたいと考えております。このような考え方から、これからの県政は他府県との連携が重要であると考えております。
現在、大阪府との間には、府県間道路の整備を初め関西国際空港の全体構想の実現や両府県の地域住民の交流等、連携し、協調して取り組まなければならない課題が数多く存在をしております。このため、私もいろいろな機会をとらえ、大阪府の知事と話し合いの機会を持っていきたいと考えております。
また、太田知事の方からも、大阪府と三重県、和歌山県の三県で会合を持とうというふうな提案もあり、速やかに相互の役割分担を明確にするなど、課題を十分整理した上で県勢の発展のため忌憚のない協議を行ってまいりたいと考えております。
次に、和歌山経済同友会の提言についてのご質問でございます。
ご指摘のように、和歌山の場合、ともすれば行政、特に県が予算規模等も大きいので中心になりがちな体制にあるということは、そのとおりであります。しかしながら、今後の県政を進める上からはこのような状況を改め、行政と企業、県民がお互いの役割を分担しつつ、パートナーシップを発揮しながら豊かな県づくりに取り組むことが大変重要であると認識をしております。本県でも、情報公開の一層の推進やアドバイザー制度の導入の検討など、開かれた県政の実現に取り組んでいるところでございます。
今後とも、行政情報の提供、県民ニーズの反映、県民主役の地域づくりの推進など県民参画による県政の推進、そして活発な企業活動と産・学・官による共同研究等の推進、分権型社会にふさわしい国、県、市町村の役割分担の明確化、近隣府県との連携などに積極的に取り組み、パートナーシップ社会の実現に努めてまいりたいと考えております。
次に、市町村補助金の見直しについてのご質問でございます。
本県では、地方分権推進計画に基づいて平成十一年一月に和歌山県行政改革大綱を策定いたしましたが、その中で行政改革の基本的視点の一つとして責任領域の見直しを掲げ、行政と民間の役割分担の明確化とともに、県と市町村の役割分担の明確化を図ることといたしております。
また、昨年八月に策定した財政運営プログラムにおきましても、財政健全化に向けて県と市町村の役割分担を明確にするとともに、市町村に対する既存の県単独補助金についても見直しを図ることといたしております。しかしながら、これは単なる負担転嫁ということではいけないわけでございまして、市町村が県同様に厳しい財政運営を余儀なくされていることを十分認識しつつ、市町村への補助金の見直しに当たっては内容を十分に説明して理解を求めていくことが必要であると考えております。
次に、地方には公共投資が不要という考えについてどういうふうに考えるかということでございます。
不況が続く中で都市部と地方との対立が高まってきており、その中で地方に対する公共投資の不要論というものがいろんなところで出てきております。確かに、従前に比べれば地方においても基盤整備が相当に進んではまいりましたが、いまだ都市部との格差が大きく存在することから、ご指摘の公共投資不要論というものは非常に偏った見方ではないかというふうに考えております。特に和歌山県では、府県間道路や都市計画道路等の道路整備、下水道整備など、これから対処していかなければならない課題がたくさん残されているわけでございます。また、来るべきIT時代への対応など、新しい分野への投資も求められております。
厳しい財政状況の中ではございますが、効率性、緊急性、効果等を厳しく検討し、二十一世紀の本県の発展に必要な事業については今後とも積極的に取り組んでいく必要があるものと考えており、公共事業も必要であると考えております。
次に、中央省庁再編に伴い本県の機構改革を行うのかということでございます。
県の機構改革につきましては、行政需要の質的変化に的確に対応し、簡素で効率的な行政体制を目指して整備を行っているところでございます。
中央省庁の再編に伴う機構改革につきましては、再編が行われてから当分の間、状況がはっきりしない面もございますので、そういうふうな今後の状況を見きわめながら県の方でどういう対応をすればよいか、真剣に検討していきたいと考えております。
次に、長期計画の取り扱い、そしてまた新生和歌山のビジョンの策定についてのご質問でございます。
本県を取り巻く経済情勢には依然として厳しいものがある一方、インターネットの普及に代表される情報技術革新は、産業活動や県民生活に大きな影響をもたらすものと考えております。これらの新しい潮流に対応するため、現行の長期総合計画を参考にしながら活力を高め、県民の指針となるようなビジョンを早急に取りまとめていきたいと考えております。
内容につきましては、現在の和歌山県が置かれている厳しい現状の認識を基本に置いて、その上で、これから交流や連携を促進する交通通信ネットワークの整備であるとか、IT技術を初めとした新産業の創出・育成であるとか、だれもが安心して暮らせる社会の構築、潤いや安らぎを感じる快適な環境づくり、情報化、国際化等への対応というふうな事柄を基本にしつつ、新しいビジョンというものをつくっていきたいと考えているところでございます。
それから、事務事業評価システムについてのご質問でございます。
事務事業評価システムは、新しい時代に向け、説明責任と成果主義による効率的で効果的な行財政運営を行うため導入いたしたところでありまして、財政運営プログラムIIにおいても事務事業見直しの有効な手段として位置づけをしているところでございます。
また、平成十一年一月に策定した和歌山県行政改革大綱においても事務事業の見直しを大きな柱の一つとして掲げているところであり、行革を進めていく上でも有効なシステムであると認識をしております。
次に、事務事業の評価結果については年度内の取りまとめを目標としており、またその結果については、通常の公表手段のほか、県のホームページを活用するなど、県民の皆様にできるだけ見ていただきやすい方法を研究していきたいと考えております。
次に組織体制についてですけれども、本年の評価作業等も勘案しながら、評価システムの充実に向けて不断の努力を重ねていきたいと考えております。そして、この事務事業評価システムを含む行政評価の将来におけるあり方については、他府県の先進事例なども研究しながら、その所管も含め、今後積極的に検討していきたいと考えております。
なお、ご質問の中にありましたパソコンの導入でございますけれども、来年は本庁で一〇〇%導入を目指して対応していきたいと考えております。
それから、企業誘致の関係でございます。
企業誘致につきましては、近年、工場立地件数が全国的に大きく低迷しており、依然として厳しい環境が続き、地域間の競争は一層激しいものとなっております。こうした中で、道路、通信など産業インフラの整備を進めることはもちろんのこと、いかに効果的、効率的な誘致活動を進めていくかが重要でございます。今後、企業情報を収集するための人的ネットワークの構築や和歌山の地域資源を活用できる企業の発掘等に努めてまいりたいと考えております。
ご質問の、専門知識を有するスタッフの配置、県外駐在員の充実、ホームオフィス等、効果的な誘致の手段についても真剣に検討してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、経済の発展なくして和歌山の発展なしという信念のもとにいろんなことを進めていきたいと考えているところでございます。
次に、高地価の本県への企業誘致に当たり県有地のリース検討をということでございます。
全国的な地価の下落傾向の中で、工業団地価格に対する企業の関心には非常に高いものがございます。こういう中でどういうふうに処分していくかということでございますが、企業ニーズに則した用地の販売方法について、リース制度も含め、解決策を見出していきたいと考えております。
企業の立地は、雇用の拡大を初め、さまざまな経済波及効果が期待できることから、企業誘致を本県経済の発展にとって重要な施策として位置づけ、私自身も関西の経済界の知人等に当たるなど、先頭に立ってこの企業誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
それから、海洋深層水事業への取り組みでございます。
海洋深層水については、本県の地形的条件を考えると、注目に値する海洋資源の一つであろうと考えております。高知県、沖縄県等の先行県に触発され、各地で取り組みが始まると聞いております。そうした中で、本県でも庁内にワーキンググループを設置し、水質や利活用方法でよそにはない特徴づけが重要であるとの考えのもとに、和歌山県沖の試験採水と水質分析に着手しております。
今後は、本県の海洋深層水の利用をどの分野に定めるかが重要であり、水質等の分析結果を待って、深層水の利活用に関する委員会の設置等を含め、今後の取り組みを検討してまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 海洋深層水事業への取り組みについてのうち、わかやま学の助成対象研究の内容につきましてお答えいたします。
本年度のわかやま学の助成対象研究の一つとして、「黒潮系深層水の物性および活用に関する研究」が採択され、現在、研究が鋭意進められているところであります。
研究内容としては、本県南部で採取した海洋深層水を化学分析し、他県の深層水との比較検討によりその物性を明らかにするとともにその特徴を生かした利用方法を提案するというもので、来年三月には報告をいただくことになっており、本県における海洋深層水の事業化可能性を調査する上で貴重な基礎資料になるものと考えております。
以上です。
○議長(阪部菊雄君) 農林水産部長島本隆生君。
〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 海洋深層水事業の取り組みについてに関しての、ポンプアップ装置の国の補助の今後の見通し、水産関係への利用の可能性及びワーキンググループの取り組みについてのご質問にお答えいたします。
海洋深層水のポンプアップ装置に対する国の補助制度につきましては、水産庁では、取水から配水までの供給施設が対象となる漁港漁村活性化対策事業がございます。その利用についてでございますが、漁協あるいは公的機関が行う食品衛生上の農産物の取り扱い面やつくり育てる漁業への支援に関する事業が該当いたします。
種苗生産や養殖等への利用は先行する各県で試みられており、興味深い結果が得られているようでありますが、いずれもいまだ実用化には至っておりませんので、それらの動向を十分把握した上で今後の参考にしてまいりたいと考えております。
また、ワーキンググループの取り組みの状況につきましては、本年度は六月二十日に関係部局担当者による第一回目のワーキングを開催し、連携を図りながら調査研究に関する取り組みを進めてございます。
現在までに二回の試験採水を行い、調査分析を実施しているところであり、十三年一月に第三回目の試験採水を行う予定でございますので、その分析結果を待ってワーキングとしての検討を行ってまいりたいと考えてございます。
次に、浮き魚礁(パヤオ)の設置のご質問でございます。
中層型浮き魚礁につきましては、平成十一年度に試験設置した紀伊水道外域二基、熊野灘海域一基について、現在、集魚効果調査を実施しており、平成十三年度まで継続することとしてございます。
国におきましても、平成十三年度から新しく始まる水産基盤整備事業のメニューに中層型浮き魚礁を採択するべく作業を進めているようでございますので、本県における効果調査の結果を考慮しつつ、平成十四年度以降に紀伊水道外域から熊野灘沖合にかけての適地に合計十基程度設置できるよう、事業採択に向けて努力してまいります。
なお、設置水深についてでございますが、カツオ・マグロ等を対象とする場合の中層型浮き魚礁の有効な水深は百五十メートルまでが適当であるという報告がなされているところでございます。さきに設置した試験礁の水深を音波探知機によって測定した結果、約六十メートルから百二十メートルとなっており、有効な範囲にあるものと考えておりますが、今後の事業展開に際しては種々の条件を勘案し、最も効率がよいとされる水深に設置できるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、間伐材を利用した魚礁についてでございます。
魚礁の設置に際しましては、県は魚礁等設置事業実施要領により、十年以上の耐久性があることと指導しております。さらに、国庫補助対象とするには三十年以上の耐久性が必要とされております。
木材は、海水中では、キクイムシやフナクイムシの食害等により二、三年で腐食する傾向にありますので、その耐久性に問題がございます。また、腐食・分解された木材破片が散逸することにより、網を使用する漁業や周辺の自然環境に及ぼす影響等についても慎重に検討しておく必要があると思います。したがいまして、現状では間伐材等を利用した魚礁による漁場造成の事業化は難しいのではないかと考えております。しかしながら、間伐材を利用した魚礁につきましては、国でもその試験・調査の計画があると聞いておりますことや、本県においても木材利用拡大の観点からも、今後、地域の動向や国等の調査結果を待って対応してまいりたいと考えてございます。
次に、林道東の川線の建設促進についてのご質問でございます。
この道は、昭和四十一年に完成して以来、地域の道路ネットワークの一つとして重要な役割を担ってきてございます。しかしながら林道の構造は、幅員が狭く、また通過する道路沿線の大半が急峻で、絶壁に近いV字型の地形のところもあることから、木材搬出などの車両通行の一層の安全を確保するため、県としましては、幅員の拡幅やカーブの改良、ガードレールの設置など、改修工事を進めているところでございます。
議員お話しのとおり、この道は国道三百十一号で結ばれている中辺路町と本宮間を迂回することのできる唯一のもので、迂回に要する時間は約五十分となってございます。
財政事情の大変厳しい中ではございますが、早期完成に向け、西牟婁側と東牟婁側の両端の二工区から実施するとともに、コスト縮減のための省力化工法を採用するなど、効率的に工事を進めてまいる考えでございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
五番堀本隆男君。
○堀本隆男君 大変ありがとうございました。
今、日本のディジタルカメラは世界の八〇%を生産し、さらに飛躍的に伸びつつあります。日本の新幹線が台湾と契約され、回漕することが決まりました。NTTドコモ携帯は、世界へ大きく展開が期待されております。日はまた上る──二十一世紀を信じ、本県もまた輝く新世紀となることを祈ってやまないところであります。
どうもありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
【日程第三 請願付託の件】
○議長(阪部菊雄君) 次に日程第三、請願付託の件について報告いたします。
今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
お諮りいたします。明十四日及び十五日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) ご異議なしと認めます。よって、明十四日及び十五日は休会とすることに決定いたしました。
なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
次会は、十二月十八日再開いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時四十八分散会