平成12年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 お許しをいただきましたので、早速、一般質問をさせていただきます。
 まず、輸入農産物へのセーフガードの発動について伺います。
 セーフガードとは、輸入急増によって重大な被害を受けた、あるいはそのおそれのあるすべての国内産品を対象に、緊急に輸入を制限したり、関税を引き上げることができるというWTO(世界貿易機関)での取り決めのことです。
 今、全国の農家に、米、野菜の価格暴落が襲いかかっています。この価格暴落は一過性のものではなくて、WTO協定の受け入れ以降、年々ひどくなっており、放置すれば農業の崩壊をさらに進めることは間違いありません。
 果物は、既に九一年のオレンジの自由化、その翌年のジュースの自由化以降、この道をたどってきており、一九八〇年には八〇%だった果物の自給率が九七年には五三%にまで落ち込んできました。中でもオレンジ果汁の輸入は、九〇年に約二万キロリットルだったものが、九八年には約八万キロリットルと四倍化しており、それまで豊作などでだぶついたミカンの生果をジュース用として加工に回して価格の安定を図ってきた仕組みそのものがもはや機能しなくなりました。だからこそ政府も来年から、ミカンとリンゴに限ったものですが、新しい価格保証制度をつくらざるを得ないという状況なのです。
 米は、九五年の新食糧法以降、価格を市場原理に任せるということになりました。その上、政府が米の買い入れ数量をどんどん削減したことに加えて、三年前からは自主流通米の入札時の値幅制限をなくしてしまいました。さらに、過去最高の百万ヘクタールになろうとする減反、これは静岡県から西の本州、四国や九州をも含めた田んぼをすべてつくらないのと同じ規模だそうですが、それほどの減反をしながらミニマムアクセス米という名の米の輸入には一切手をつけず、これまでの五年間で二百七十万トンもの米を輸入し、その需給バランスを大きく崩しているのです。その結果、九五年に六十キロで二万一千三百六十七円だった米の平均価格は、本年十月の入札では一万五千八百五十八円になり、この五年間で約五千五百円の値下がりであります。東北や北海道の大規模米農家でさえやっていけないと悲鳴を上げているのが実情であります。このミニマムアクセス米について、我が日本政府は輸入義務だと言い続けてきました。しかし、私どもの党の国会議員団がWTO協定などすべて調べたところ、義務だと言うその言葉は一つもありませんでした。だから、ほかの国ではミニマムアクセスの数量の設定はあっても、実際の輸入は極めて少ないものになっています。
 例えばアメリカは、アイスクリームにこのミニマムアクセスの設定があるわけなんですが、五百六十六万トンの設定に対して、実際はたったの七万トンしか輸入していないのです。ほかの国でもそうで、輸入の機会は与えても、実際の需要がなければ全量輸入するということではないのです。日本に外米が欲しいという需要がどれだけあるでしょうか。ほとんどないにもかかわらず、輸入義務だと言い続けて輸入を半ば強制してきた現在の自公保の政権には、私は日本の農業を守ろうという意思を感じることができません。
 野菜はどうでしょうか。野菜の価格は、今急激に落ち込んでいます。野菜の輸入の急増については、議場にお配りしている資料の表をごらんになってください。全体的に価格が上がった九八年を境に輸入も急増し、まさに価格破壊とでも言うべき事態が進んでいます。特に生鮮野菜の輸入は、十年前と比べて、ことしは四倍になろうとしており、ことしに入ってからも生鮮野菜の輸入量は引き続き急増中で、品目別に見ると、トマトで前年比二三七%、サトイモ二二〇%など、多くの品目で急増しております。特に、この春の野菜価格の暴落は異常なものでした。幾つか例を挙げますと、九五年の価格を一〇〇とすると、キュウリが六八、キャベツが六六、レタスは何と四〇というぐあいです。農家にとっては、野菜の値が高くなる時期はなくて、もはや年じゅう安いという状態が続いています。
 私は先日、政府もセーフガードの調査対象に挙げている生シイタケの生産者にお話を伺う機会がありました。現在、生シイタケは国内消費量約十万トンの約三分の一を中国産が占めていて、その値段も国産の三分の一以下だそうです。その上、品質までよいときています。一体、船便で運ばれてくるのにどうしてあんなに新鮮なままなのか、何か薬をかけているんじゃないかという声まで聞かれます。その方の話では、五年前くらいまでは百グラムのパックで百三十五円くらいだったけれども、昨年は百五円、ことしは多分百円を切るだろうという話です。シイタケ生産は農業の中でも特殊で、原木の更新、種菌の購入など、普通の農業とは違って毎年の初期投資がかなりかさみ、これ以上の安値は経営的にも大変だと言われていました。値段がそれだけ落ちれば、年に数百万円の収入減になるからであります。その影響もあり、例えば私の管内の中辺路町では、多いときには三十軒以上がシイタケをやっていましたけれども、今は四軒にまで減ってきています。
 こうした事態を受けて、今回、政府はようやく重い腰を上げて、トマト、ピーマン、ネギ、生シイタケ、タマネギ、イグサの六品目についてセーフガードを発動するための調査を行おうとしています。各地の地方議会でも政府にセーフガードの発動を求める請願や意見書が採択されていますが、その数は十一県議会及び四百に近い市町村議会に及んでいるということです。
 セーフガードの発動は、無理でも何でもありません。何らかの理由で輸入が急増し、国内生産に打撃を与えるか、または与えるおそれがある場合、発動できるのです。ガットの時代も含めると、農産物へのセーフガードの発動は、アメリカ五回、カナダ十二回、EC十回など、各国合計で五十回にも及んでいます。現に、WTOができてからでもアメリカと韓国など六カ国が発動しています。ところが日本政府は、ただの一度もこの伝家の宝刀のセーフガードを発動したことがないのです。それは、発動のための条件をやたらと厳しく自己規制しているからであります。
 お配りした資料のセーフガードの表をごらんになってください。これは農林水産省が作成した資料ですが、例えば図の一番上の四角の部分には、「輸入増加による重大な損害等の事実の十分な証拠」と書かれているんですが、これを読みますと、損害の事実がなければ調査にすら入れないように書かれております。これは、WTOの協定そのものがそうなっているのではなくて、日本の農林水産省が勝手に決めてそう書いているだけのことなんですね。実際は、アメリカなどは損害が発生するおそれがあることを理由に発動しているんです。この点でも、今の日本政府の異常なまでの消極性は到底理解できるものではありません。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 県として、セーフガードの発動へ向けて積極的な要請を国にするよう求めるものですが、それに対する見解をお示しいただきたいと思います。
 次に、道路の災害対策について伺います。
 去る十月三日、日置川町内の県道日置川大塔線で道路の底が崩壊して抜けるという災害が発生いたしました。幸い、けが人はありませんでした。私は翌日、振興局の方と現場を見に行って緊急の対応をお願いしてきたのでありますけれども、崩壊した場所が危険な箇所だったことなどもあり復旧作業がおくれ、結局、回復するのに一カ月以上を要する事態になりました。
 現場は迂回路がなく、日置川町の市鹿野地区から日置地区に行くのに、普通なら車で四十分ぐらいですが、その線が通れないと、大塔村の三川を回って上富田町に出て、白浜の海岸線を通って日置へ行くという、片道一時間半はかかるルートしかないわけであります。地域住民にとっては、本当に大変だったと思います。
 私は、道路災害に対して、ハード面では大雨などの災害にも強い道路をつくっていくこと、災害が起こった後できるだけ早く復旧できるようにすることが大切だと考えます。しかし、これは予算の関係もあるので、例えば県下で千八百カ所以上もある道路の危険箇所を早急に補強、修繕していくというのはかなり無理があると考えています。しかし、ソフトの面での対応はすぐにでもかかれるはずです。
 今、私が感じておりますのは、やはり道路のパトロールが不足しているということです。各振興局には二、三名の道路整備課の担当がいますが、その方がサボっているというのではもちろんございません。忙しい中、頑張ってくれているわけですが、いかんせん、担当する道路の範囲が広過ぎます。先ほど述べた日置川町の場合も、現場を見ると、一昨年の台風で道路のすぐ下の斜面に生えている木が何本も倒されていて根が浮いている状態になっている。このことが一つの要因になっていたと思います。これにもっと早く気づき、手を打っていればと思ったのですが、まさに後の祭りであります。
 そこで、土木部長に伺います。
 県が管理する道路の危険箇所の周知や日常的な監視体制はどうなっているでしょうか。また、今後どのように充実させていくおつもりでしょうか。お答えをお願いいたします。
 同時に提案したいのですが、災害が多発する台風などの後には、緊急措置として民間の土木業者に道路の点検を委託して、一斉にそれぞれの管内の災害状況を把握するようにしてはいかがでしょうか。地元の業者は長年その地域で仕事をしていますから、どこが崩れやすいとか、どんな地質なのかとよく知っています。その知恵と経験を生かすために、きちんと費用負担も出して調査を委託する。不況に苦しんでいる中小業者へのささやかな支援という意味も込めてこのことを提案いたしたいと思いますが、いかががでしょうか。答弁をお願いいたします。
 この問題の最後に、もう一つ提案したいと思います。
 建設省などでは、道路調査車といって、レーダーを使って道路の内部で起こっている空洞化などを発見できる特殊な車両を持っていますが、こうした新しい機材を活用して未然に災害を防ぐための調査をしていくことも重要だと思います。この点で、土木部長の考えをお聞かせください。
 次に、さきの九月議会でも取り上げられたJR西日本の路線バス廃止問題について伺います。
 本年、道路運送法が改正され、来年からバス事業者が生活路線から撤退する場合でも、地元合意がなくても撤退できるようになります。それを待っていたかのように、長年にわたり地域の交通機関として大きな役割を果たしてきた西日本JRバスは、来年十月をもって田辺駅から中辺路町栗栖川間を除くすべての路線バス、十四系統を廃止する予定であります。さきの国会で我が党の大幡基夫衆議院議員の質問に対する運輸省の答弁では、西日本JRバスは百九十一ある路線のうち、実に七割近くの百二十六路線を廃止する意向であります。また、残った路線が今後そのまま運行されるかどうかの保障も全くありません。紀南地方の重要な公共交通機関が、何の計画性もなく、ただ採算性という理由だけで廃止されていくことになるのであります。この道路運送法の改正に日本共産党は、バス行政の自殺行為だと厳しく批判をし、国会では社民党とともに反対を表明しました。
 こうした状況の中、先日、地元の市や町から「公共交通の確保に関する要望書」が知事あてに提出をされています。今廃止されようとしている路線バスは、全体的な利用者数こそ多いものではありませんが、通勤、通学、通院、買い物など日常生活に密着し、地域住民にとっては欠かすことのできない交通機関になっています。例えば、中辺路町近露地区の高校生が通学できるようになったのは、早朝出発のバスが数年前にできてからです。今、十五名がこのバスで高校通学をしていると言います。やっと実現できた自宅からの通学が、またできなくなるというのは大きな後退で、地元の方の話を聞いても、「こんなことを計画されたら、地元でせっかく若い定住者を呼ぼうと頑張っているのに、だれも来なくなってしまうじゃないか」ということを率直に語られていました。また観光の面からも、熊野古道が国の史跡指定を受け、ユネスコの世界遺産登録への機運が高まっているときに、バスの廃止は重大な痛手となります。もちろん、西日本JRバスに言わせれば、もっと地域の人がバスを利用してくれないから採算が合わないんだという理屈でしょうが、例えば中辺路町内をとってみても、温川、小松原方面の路線、滝尻から石船、大内川への路線、西谷への路線など、国鉄時代も含めて、JRバスは次々に路線を廃止してきたのです。枝線の集落に住む人がバスを利用しようとするとき、自宅近くから発車してくれるのなら利用もしやすいでしょうが、幹線の三百十一号線までは車で出てきてください、それから車をバスに乗りかえてくださいなどと言っても、だれも利用しようとしなくなるのは当然の流れであるとも思います。バス会社自身、みずから利用できないようにしてきたということではないでしょうか。このことは、白浜空港の利用促進の経過と対比すればますますはっきりいたします。これまで二便だった白浜空港の本数を三便にして利用しやすいように改善しました。そうしたら搭乗率もアップして、十一月には夏場をしのぐ過去最高の約一万七千人の搭乗となったと言います。バス路線についても、同じ傾向が言えるのではないでしょうか。
 私は、根本的には国鉄分割民営化を推し進めてきた国の責任が大きいと考えます。日本共産党は、当時、分割民営化を進めれば、ローカル鉄道とともに不採算のバス路線の廃止を招くと厳しく警告してきました。当時の運輸大臣は橋本龍太郎さんだったんですが、国会の答弁で、西日本など本州のJRはバスを分社化しても経営は大丈夫なんだと言って分社化を強行したのであります。国が大丈夫だとお墨つきを与えてやってきたこの分割民営化路線が結局破綻し、地方に住む人々の交通権が脅かされる事態を招いているのに、後は県と市町村の協議会で考えてくださいというのは余りにも冷たい政治ではないでしょうか。
 そこで、知事にお尋ねします。
 まず、このたびの西日本JRバスの路線撤退への知事の見解をお示しください。
 また、先ほど述べた国鉄の分割民営化当時の経過から言っても、事業者と国に対し存続を要望するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 私たち日本共産党は、JR各社の経常利益の一部を拠出させて、バス路線を維持するための新たな対応なども検討すべきだと提案をしています。例えば、JR西日本ではバスの赤字は約十億円ですが、本社の経常利益は四百二十三億円にも上っています。まさに優良企業です。こうした利益の一部をバス会社にも還元するという提案ですが、そうしたことも踏まえてお答えをいただきたいと思います。
 最後に、企画部長に伺います。
 仮に、さまざまな努力があっても結果的にこの路線が廃止された場合、代替バス路線への県の援助についてどのようにお考えでしょうか、答弁をお願いしたいと思います。
 最後に、地域福祉権利擁護事業について伺います。
 介護保険の導入や社会福祉事業法の改正など、その是非は別といたしまして、福祉サービスは基本的にはサービスを提供する者と利用者自身が契約を結んで利用することになってまいりました。しかしその際、痴呆老人や知的障害、精神障害を持ち、判断能力が十分でない人は適切なサービスの提供を受けられないことになりかねません。なぜなら、サービスを受ける本人が契約者としての主体性を求められるからであります。判断能力の低下した人が、地域や在宅で生きがいを持って安心して暮らしていくために必要なものは、一つは十分なケアであり、もう一つは財産管理だと思います。身の回りに家族や親戚がいる人はまだしも、ひとり暮らしの方がそうした判断能力不十分な状態になった場合、だれがその人の意思を代理するのか大きな問題になってまいりました。
 そこで厚生省は、昨年十月から地域福祉権利擁護事業といって、福祉サービスの利用手続の援助や代行、利用料の支払いや日常的な金銭管理などを行う事業を実施し始めました。
 実は、近所のひとり暮らしのお年寄りが脳梗塞で倒れて入院することになったんですが、私、相談を受けまして、これからの身の振り方や金銭の管理をどうするのかという点で、親戚もだれもなく、本当に近所の人と頭を悩ませていたんです。幾らその人と日ごろ親しかったとしても、近所の人や担当の民生委員がその金銭を預かって必要な買い物をしたりアパートの家賃を払うことは、後々のことを考えますと、もしかしたら親戚だと名乗る者が出てこないとも限りませんし、到底請け負えるものではありません。もちろん、入院中の病院もそこまで面倒は見てくれません。私は、この制度ができたのは知っていましたので、もうこれしかないなあと思って社会福祉協議会へ駆け込んだわけです。しかし、実際話を聞いてみると、かなり条件が難しい。実に利用しにくいのが実態であります。
 議場にお配りしているパンフレットにもありますが、その中を見ますと、「このような方が利用できます」というような部分があります。対象になる方が例えば痴呆性老人なのに、その当人に契約者としての判断能力が必要だという、まことに微妙な線でしか対象にならないというのが進まない大きな理由だと思っています。厚生省が昨年十月より開始したばかりの事業であって、現時点の状況をもって即和歌山県としての取り組みが充実しているかどうかを決めつけようというものではありませんが、先日、田辺市の社会福祉協議会にお話を伺いますと、これまで約四十件の相談があり、そのうち契約が成立したのはゼロだと言います。地域におけるこの事業の必要性からも見ても、本当に少ないと思います。
 そこで、福祉保健部長に伺います。
 現在まで、県下でどれくらいの利用相談があり、そのうち契約成立したのは何件でしょうか、答弁をお願いいたします。
 また、新しい制度にふさわしい周知や宣伝をしているでしょうか。私は、病院や福祉施設で働く職員でさえ知らないというのが現状だと思いますが、この周知、宣伝の点で答弁をお願いいたします。
 さらに、この事業は県の社会福祉協議会が事業主体になって取り組むものなんですが、もっと主体性を持ってこの事業に対する相談活動などに取り組むべきではないでしょうか。例えば、お隣の大阪府では、権利擁護事業のシンポジウムや弁護士、社会福祉士、保健婦などの参加を得ての電話相談、テレビ、ラジオへの出演、広報誌への掲載などの宣伝活動を行っています。何より相談事業が充実していて、電話相談は月曜から金曜までの十時から四時まで受け付けていると言います。こうしたことも参考にして、県社会福祉協議会の主体性を持った取り組みが必要だと思いますが、この点で部長の見解をお示し願います。
 最後に、利用料の問題です。
 そのパンフレットにも利用料を書いていますが、一回一時間の利用料が千円となっていますけれども、仮に週に一回お金の出し入れをしてもらうだけでも月四千円になり、これはお年寄りやその他の方にとっては大変な負担です。この利用料も都道府県の社会福祉協議会が独自に定めることができるそうですから、もっと軽減するべきではないかと考えているんですけれども、このことについても部長の見解をお示し願いたいと思います。
 以上で、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) JR西日本の路線バス廃止についてのご質問にお答えをいたします。
 JR西日本の路線バスの廃止についてでございますが、同社は以前より経費削減と輸送の効率化を図り、収支の改善に取り組んできておりますが、乗り合いバスの需要が減少し、多くの路線が不採算となっているため、全社的な路線の見直しを行い、将来的に収益が見込めない路線については廃止せざるを得ない状況になっていると聞いております。
 お話しのとおり、同社のバス路線が廃止されますと、一部生活交通や観光交通における空白地域が生じるため、県といたしましては市町村等関係機関とともに対策を十分協議してまいりたいと考えております。
 次に、バス会社と国への存続の要望についてでございますが、ことしの十一月に、国、県、沿線市町村及びJRバス等の関係機関による会議を開催し、路線廃止による地域への影響が大きいことを訴えているところでございます。
○副議長(尾崎要二君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 輸入農産物についてのセーフガードの発動を求めることについてのご質問にお答えいたします。
 WTO協定に基づく一般セーフガードにつきましては、国内産業保護の観点から緊急に輸入制限等が行える制度であります。しかし、発動の要件である「輸入により国内産業が重大な影響を受け、国民経済上緊急に必要があると認められるとき」ということの立証が難しく、我が国ではこれまで発動に至った例がないのが実情であります。こうした中、農林水産省では、野菜において、ここ数年輸入量が増大し、価格低迷が続いていることから、本年十月、各県や農業団体を通じ、輸入による影響が出ていると見られる主要品目について生産や販売状況等の実態調査を実施し、本県からはキヌサヤエンドウ、タマネギ、ブロッコリーを報告してございます。
 現在、農産物では輸入による影響が大きいと見られるタマネギ、トマトなどの六品目について、発動に向けた農林水産省、大蔵省、通商産業省合同の政府調査ができるかどうか、三省の間で検討が行われているところであります。県といたしましては、野菜の輸入量増大は本県の野菜作経営にとっても影響があるものと考えておりますので、今後国へ働きかけるなど積極的な取り組みを進めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 道路の災害対策についてのご質問に順次お答えします。
 県では、国道と県道合わせて約二千五百キロメートルの道路を管理しており、防災点検結果で対策が必要な箇所が数多くあります。すべての箇所に対策を施すには相当な年数を必要とします。そのために、豪雨や地震時に注意していただくよう現地に警戒標識等を設置し、一般の方に周知することとしております。
 日常の監視体制といたしましては、職員の道路パトロールを基本とし、道路情報員や一般の方からの情報を提供していただいております。また、大雨や台風後の点検は防災体制として配備した職員で行っております。緊急時の民間業者の活用については、見回り点検というより崩土除去等の作業を中心に考えております。
 次に、お尋ねの道路調査車は建設省の日常管理に使用しており、貸し出しは行っていないと聞いております。このため県では、財団法人道路保全技術センターの所有する調査車を使用し、昨年度から試験的に調査を実施しております。道路管理につきましては、今後とも新しい技術を活用するなどしてその充実に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 西日本JRバスの路線が廃止された後、代替バス路線が運行された場合の県の援助についてでございますが、現在国において規制緩和後の新しい補助制度を検討しており、この動向をも見きわめながら県としての補助制度を検討してまいりたいと考えてございます。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 地域福祉権利擁護事業についてお答えをいたします。
 実施状況と今後の取り組みでございますが、県下の実施状況は、本年十月末現在で相談件数百三十件、契約件数二件、契約調査中のものが数件であります。この制度は、判断能力が十分でない方に対し福祉サービスの利用援助を行うものであり、利用者支援の大きな柱として認識し、積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、制度の周知と相談活動につきましてお答えをいたします。
 制度の周知でございますが、パンフレットの配布、新聞、県社会福祉協議会機関紙への掲載、テレビスポットの放映等、広報に努めるとともに、市町村及び市町村社会福祉協議会職員に制度の説明会等を通じ、周知徹底を図っております。本年九月以降相談者が増加しており、制度が周知されつつあるものと考えておりますが、今後ともより一層効果的な広報活動を行ってまいります。
 また相談活動でございますが、昨年十月に県社会福祉協議会内に和歌山県地域福祉権利擁護センターを設置し、福祉専門員三名の配置を行い、相談業務を行っており、相談内容に応じて各関係機関と連携を図りながら適切に対応しているところでございます。
 次に利用料の軽減でございますが、利用料は生活支援員の実費弁償的なものであり、制度の運営上妥当な額と考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、実施主体である県社会福祉協議会と連携を図りながら、利用者の立場に立った事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 答弁をいただきました。
 最初に、セーフガードの発動の問題では積極的に取り組んでいただけるということでありました。六月議会で、私が木材の輸入の問題を取り上げて、野放しの輸入を規制するよう求めたのに対して、部長は現状維持が精いっぱいで規制は難しいというような趣旨のお答えでしたが、それと比べても今回は全国的な運動も盛り上がっている中で、積極的に取り組むという答弁をいただきまして、これは大きく評価をしたいと思います。そして国に要望する際には、どうか木材のときのように、県議会の意思は輸入削減と言っているのに国に要望するときは当局が勝手に割り引いて現状維持を求めるというような、言葉は悪いですが腰砕けの状態にならないように、ぜひお願いをしたいと思います。
 今までも、外国製品の野放しの輸入が本当に県内の産業に大きな打撃を与えてきたと思うんですね。木材も苦労しているし、海南の漆器もそうですし、パイル織物もそうだと思うんです。なぜ政府が今までそういう事態を見ながらセーフガードの発動を一回もしてこなかったのかと、本当に悔やまれるわけです。セーフガードは、その趣旨から言いましても、輸入が急増したそのときにすぐに発動しないと効果が出ないんですね。というのは、セーフガードの協定には、輸入の数量を制限する場合に、過去三年間の数量の平均をして、その平均以下に輸入制限を抑え込んではならないという規定があるんですよ。例えば数年前、ニンニクやショウガが輸入急増して、このときセーフガードを発動するかどうかの検討があったわけなんです。ニンニクが問題となったとき、過去三年間平均したら輸入量が四千六百トンぐらいだったんですね。ところが、やるかやらんか判断を迷っているうちに、平均輸入量は今ではもう二万六千トンになって、仮に今さら発動したところで本当に効果が少ないという状況なんですね。ですから、今回政府が本当に早急に発動できるように県当局からも積極的な活動を要望しておきます。よろしくお願いいたします。
 それから、地域福祉権利擁護事業です。
 答弁をいただいたように、九月以降相談はふえてきているという状態なんですが、それにしても百三十件相談がある中で契約を結べるのが二件という状態は事実だと思うんですよ。今後の検討課題が多いわけですが、お隣の大阪府が非常に進んだ事例を持っていると思います。大阪は国の制度に先駆けてこの事業に取り組んできたこともあって、ことし一年間の契約件数でも百七十件を超えておりまして、利用料は、所得税非課税の方を見ると、年間三千円の基本料金みたいなのを取って、それにプラス一回、金銭の出し入れをしたりサービスを受けたら百五十円の負担で済むように、かなり配慮がされていると思います。制度の本来の趣旨が生かされるように、こうした弾力的な運用方法も含めて事業の積極的な推進を要望しておきます。
 以上は、要望です。これで私の質問を終わります。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高田由一君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ