平成12年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(生駒三雄議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
過日提出のあった議案第百八十三号から議案第百八十六号までは、いずれも職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
〔巻末の「参考資料」を参照〕
【日程第一 議案第百六十九号から議案第百八十八号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第百六十九号から議案第百八十八号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
十七番生駒三雄君。
〔生駒三雄君、登壇〕(拍手)
○生駒三雄君 おはようございます。
ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告順に従いまして一般質問をさせていただきます。
新人議員の私にこのような場を与えていただきましたことを、まずもって先輩議員の皆様方に御礼を申し上げます。ありがとうございました。
さて、一般質問に入る前に、私ごとではございますが、さきの平成十二年九月定例県議会でも議員就任のごあいさつを申し上げましたように、去る平成十二年九月十七日の有田市県議会議員補欠選挙におきまして、有田市民並びに皆様方の温かいご支援により県議会での活動の場を与えていただきました。そして、議員当選直後、木村知事に議員就任のごあいさつにお伺いした際、知事から「お互い新人ですので一緒に頑張りましょう」と、温かいお声をかけていただきました。ありがとうございました。
早いもので、約三カ月が過ぎました。まだまだ、目にすること、耳にすること、新しいことばかりでございますが、先輩議員、行政を担当されております県職員の方々を初め、関係各位の皆様方にご迷惑をかけないよう、和歌山県政の推進に当たり、議会と行政という車の両輪のごとく、少しでもその一役を担えるよう精いっぱい頑張っていく決意でございます。改めて、よろしくお願いいたします。
それでは、一般質問をさせていただきます。
まず最初に、高度情報通信社会への対応についてであります。
この質問に関しては、本議会においても小川議員を初め各議員よりご質問がありました。多少重複することもありますが、私は私なりに、とりわけ国の動向を踏まえた視点から質問をいたします。
近年、世界的な規模で急速に国際化、情報化等が進み、高度情報通信社会となりつつある現代社会において、木村知事が選挙公約でも提唱されておりますように、二十一世紀を見据えた中で本県の経済、産業の活性化を図り、豊かで潤いのある県民生活の向上を目指すためには、いち早くこの時代の潮流を的確につかみ、速やかな対応が必要であると私も感じております。
政府においては、高度情報通信社会の構築、国際的な取り組みに向けて、平成六年八月に内閣総理大臣を本部長とする高度情報通信社会推進本部を設置しました。そして、平成十年十一月九日には高度情報通信社会の構築等に向け基本方針を、平成十一年四月十六日にはアクションプランを、そして情報通信の高度化に資するための施策等を決定、さらには、本年に入り七月七日には平成六年八月に設置された高度情報通信社会推進本部を踏襲する情報通信技術、いわゆるIT戦略本部を閣議決定して、世界的規模で生じているITによる産業・社会構造の変革、いわゆるIT革命に取り組み、その恩恵をすべての国民が享受でき、かつ国際的競争力を形成することを目指した施策を推進することとしております。
そうした中、平成十二年十一月二十九日の第百五十回臨時国会において高度情報通信ネットワーク社会形成基本法が成立しました。同基本法においては、情報通信技術の活用により急激かつ大幅な社会経済構造の変化に的確に対応することの緊要性にかんがみ、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進し、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報または知識を世界的規模で入手し、共有し、また発信することにより、あらゆる分野において創造的かつ活力ある社会が形成され、またそうした社会を目指すとうたわれております。また、同基本法第十一条の中で、地方公共団体は「国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する」と明記されております。
そのような国などの動きの中で、さきに述べましたように、木村知事は選挙公約で新しい時代、新しい世紀に向けてITで経済産業を活性化と、また、九月定例県議会における知事就任あいさつ、本議会冒頭の知事説明の中でも終始一貫、本県の緊急で重要な施策として高度情報通信社会への速やかな対応の重要性をおっしゃっておられます。
そこで改めて、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法が成立されたことを踏まえ、今後IT立県として和歌山県をどのように位置づけ、県勢の活性化を図られようとしているのか、その決意と基本的方針を知事にお伺いしたいと思います。
また、同基本法等においても、活力ある地域社会の実現及び住民福祉の向上に寄与するため、国及び地方公共団体が高度情報通信ネットワーク社会の形成に向け、環境整備、産・学・官連携体制の整備、教育啓発等を実施することにより、新雇用、就業の機会の創出などが図られると述べております。冷え切った日本経済同様、本県の経済状況も大変厳しい状況にあることは、皆様方も実感していることと思います。本県経済の活性化を図るための打開策の一つとして、まさにこの機会を的確につかみ、ITを活用した産業施策、ひいては新産業、新雇用創出を図るべきであると思います。そのためにどのような方針、また具体的な形で実施されようとしているのか、商工労働部長にお尋ねいたします。
次に、青少年の健全育成のためにはどうすればいいのかという問題についてお尋ねいたします。
よく言われる言葉だと思いますが、次世代を担う青少年を育成していくためには、学校教育、社会教育、家庭教育の三つの教育が三位一体となって初めて健全な、そして健やかな青少年が育成されていくものであると、私も考えております。私は、約三十年間、剣道を指導してきた中で、地域社会においてスポーツを通じて地域の青少年と触れ合い、そして語り合いながら、健全な青少年が育ってくれればと願って活動をしている一人であります。
しかしながら、現在の青少年を取り巻く社会環境は著しく複雑・多様化しております。そうした中で、不登校、いじめ、中途退学などが社会的問題となっているのが現状でございます。平成十一年度の全国的な数値を見てみますと、不登校児童生徒数は十三万余名、いじめ件数は三万一千件程度、また県内においても不登校児童生徒数は千五百四十五名、いじめ件数は百二十四件、中途退学者数は七百七十八名となっております。潜在的な人数、件数を含めれば、まだまだ大きな数字になると思われます。
中途退学者の中には、家庭的な事情、経済的な事情などにより中途退学を余儀なくされるケースもありますが、次代を担う青少年がこのような状況、実態にあるということは大変な問題であると思います。私たちの時代においては、多少このようなことはあったかもしれませんが、社会的な問題になるようなことはなかったと記憶しております。やはり、何か青少年を取り巻く環境に、あるいはまた日々の生活の中に問題があるように感じられてなりません。
教育現場いわゆる学校教育においては、学力の向上を図るため各種カリキュラムの工夫、整備等は重要なことであり、種々検討もされて実施されていることだと思います。しかしながら、健全な青少年の育成のためには、例えば学校内での運動部活動等を通じ、心身両面にわたる健全な青少年を養うことも大変大事なことではないでしょうか。そうしたことが青少年の健全育成を図るための一つではないかと思います。
そのためには、現在少子化傾向が進む中、日々の教育活動を工夫することのみならず、子供たちが自由に自分の好きなスポーツの部活動ができるような、また学校体育施設の整備を含めた体制づくりなどが必要ではないでしょうか。そして、その活動を指導できる教職員が配置されていない場合は、どのように対応しているのか。
次に、社会教育という側面からであります。地域社会が健全な青少年の育成にとって果たす役割は、大きなものがあると思います。地域社会において活動している各種スポーツ、文化、ボランティア団体の活動を通じて、青少年たちは地域の人々、仲間たちと触れ合い、語り合うなどということにより人間のとうとさ、優しさ、自分以外の人々への思いやりなどを学び、養われていくものだと思います。そうした中で健全な青少年をはぐくむために地域社会において活動されているスポーツ少年団体などを、地域においてより活発な活動ができるようにするためにはどのように支援していくのか。
三点目に、家庭教育ということであります。
人間がこの世に命を受けて最初に接するのは母親であり、父親であり、そして家族であります。子供は、生まれもって慈悲の心と知恵を両親から授かっております。赤ん坊から子供へ、そして青少年へと育っていく過程において、恐らく一番多くの時間を費やすところは家庭であります。生きるための力、人格の形成にとって、家庭におけるしつけは最も重要なところであることは言うまでもありません。
しかし、最近、親と子の断絶、対話の欠如という言葉をよく耳にします。親と子がともに遊び、ともに語らい、そして参加できる場面が少なくなってきております。核家族化が進む中、子育てに悩んでいる親も多いのではないでしょうか。そうした中で、健全な青少年の育成にかかわって家庭教育をどのように支援しているのか。
以上、三点について教育長にお尋ねいたします。
次に、二級河川有田川の治水対策についてお尋ねいたします。
私は、有田市の中でも吉備町に隣接する有田川沿いの宮原町須谷というところで生まれ育ちました。小さいころからよく川遊びをしたものです。また、川を愛し、川を守るということをライフワークにしていた亡き父親から、川のすばらしさ、怖さなどもよく聞かされて育ちました。
我がふるさとの川・有田川は、今からさかのぼること約百十年前、明治二十二年の水害により決壊し、周辺一帯は大きな被害を受けました。また、皆様もよくご存じのように、昭和二十八年七月十八日、未曾有の大水害により有田・日高地方を中心として、県下で死者・行方不明者千四十六名ものとうとい命、そして莫大な財産が失われました。当時、地域住民、行政などの総意の結集、懸命の努力により、現在私たち、また子供たちが安心して暮らせるようになりました。しかし、「災害は忘れたころにやってくる」と言われております。また、「川を治める者は国を治める」とも言われます。政治、地方自治をつかさどる者は治水ということを常に心がけておく必要があるのではないでしょうか。
そこで、有田川の治水対策の現状と今後の取り組みについて、支川等、関連水系も含めてお聞かせください。
また、二級河川有田川は有田市中心部を東から西へ流れる川であり、有田市はもちろん、有田地方に居住する地域住民の生活にとって、工業・農業用水などの利水面等を考慮しても、欠くことのできない重要な川であります。地域の住民にとっては未来永劫共生していかなければならない友でもあります。そうした中、今後、地域にふさわしい川づくりのためにどのような計画をお持ちか、土木部長にお尋ねいたします。
さらに、昨今の有田川周辺の環境も、一昔前の一面ミカン畑の田園風景から、住宅が多く建ち並ぶ風景があちらこちらに見られるようになってきております。生活様式のさま変わりなどにより、関連水系も含めた有田川の水質汚濁等も進んできておるように思います。そうした状況を踏まえ、現代社会において環境重視が盛んに叫ばれる中、川をきれいにするために周辺の水質汚濁対策として現在どのような対応がなされ、また今後どのように取り組まれていくのか、環境生活部長にお尋ねいたします。
次に、有田地方の基幹産業であるミカン産業の活性化について、農林水産部長にお尋ねいたします。
品質のよいミカン、また付加価値の高いミカンづくりをするためには、その一つとして生産技術の向上を図る必要があると考えます。そのために、土壌改良、ミカンの品質の向上のため、ミカン農家、地元農協はもちろん、果樹園芸試験場など公設研究機関において各種改良等の研究開発に取り組んでおられます。しかし一方、ミカン産業もご多分に漏れず、各種産業と同様に高齢化、後継者不足が進む中、作業環境の整備充実等が大変重要なこととなってきております。
そこで、現在有田地方において農業基盤整備の一環として広域営農団地農道整備事業(有田川地区)が平成九年に事業決定され、事業が進められております。地元有田市としても、事業の一層の推進のため市役所内に地籍調査係を設置するなどして用地交渉等の円滑な遂行のための体制づくりもし、一日も早い事業完成を望んでいるところであります。
しかしながら、何か問題があるのか、なかなか事業がスムーズに進まないように感じられます。地元の用地補償等に問題があるのか、またそのほかに大きな問題があるのか、一体どんなところに問題があるのか、ぜひお聞かせください。
二点目として、基盤整備の充実、生産技術の向上等を図ってよりよいミカンをつくっても、最終的に消費者に供給するためにはPR活動等、販売戦略も大変重要なことだと思います。例えば、ミカンの消費量は、昭和五十年ごろには一人当たり購入数量十四・五キログラムでありましたが、平成十年には六・三キログラムに減っています。また近年、有田ミカンを初めとした和歌山ミカンは京浜地区を中心とした関東での販売が少ない状況にもあります。この例をとっても、私たちはもちろん、各ミカン農家、産地内関係者、また行政サイドも含め、一体となって何とか効果的な販売戦略を立てていかなければならないと思います。
そこで、現在のミカンの消費拡大を含めた販売戦略に対する基本的な考え、具体的な取り組み内容等があればお聞かせください。
最後に、国道四十二号の渋滞解消として、その現状と今後の対策についてお尋ねいたします。
国道四十二号有田─海南間は、有田市と和歌山市方面との日常の生活交通を支えるとともに、有田・下津地域の産業、経済の発展、ひいては和歌山、海南、有田郡市圏全体の一体的な発展を図るための最も重要な交通基盤であります。
しかしながら、有田市と和歌山市、海南方面を連絡する道路は国道四十二号一本しかなく、これに交通が集中するために大混乱をしております。朝夕を初め、慢性的な渋滞が起こっております。また、有田・下津地域には広大な臨海部の開発用地があるなど大きなポテンシャルを持ちながら、交通アクセスが悪いため発展が大きく阻害されている現状にあります。
一方、海南湯浅道路の四車線化が鋭意進められており、地元も大きな期待をかけておりますが、有田地方の発展と交通問題の解決を図るためには高速道路だけでは不十分であり、国道四十二号の整備が不可欠なものであるということは言うまでもありません。このため、国道四十二号有田─海南間の早期整備について、地元の悲願として関係市町、議会が連携して促進協議会を結成し、強く要望しているところであります。建設省においても調査が進められていると聞いております。
そこで、当面の渋滞対策と国道の四車線化の取り組みの現状と今後の見通しについて、土木部長にお尋ねいたします。
これで、私の壇上での質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの生駒三雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法の成立を踏まえた県の基本方針についてでございます。
県といたしましては、この法律に定められた責務を果たしつつ、国の施策と連携をとりながら、和歌山県をIT先進県にするように努力していきたいと思っております。
このため、県としてのIT戦略を策定するとともに、県民のパソコン、インターネットの基礎技能の向上、行政事務の電子化や対県民サービスにおけるインターネット活用の推進、県民生活や企業活動等あらゆる分野におけるIT活用の促進等の課題に積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
○議長(阪部菊雄君) 商工労働部長内田安生君。
〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) ITを活用した産業施策並びに新産業、新雇用の創出についてでございます。
IT基本法が成立し、来る二十一世紀はIT抜きでは考えられない社会となることは必定であり、情報技術を有効に活用して新産業、新雇用の創出を図っていく必要があると考えてございます。
そのためには、ITを活用できる事業環境の整備、産・学・官連携体制の整備やITを使いこなせる人材育成等を実施していくことが重要であり、現在、県ではインキュベーターに対する支援、新たな事業を生むための研究交流会の開催、新技術開発や経営革新に対する支援、情報活用人材の育成のための各種セミナーやソフトウエアコンテストに対する支援等の事業に取り組んでいるところでございます。
今後、県内企業に対するIT化を促進する研修事業、人材育成事業、共同研究事業等の拡充を図り、新産業、新雇用の創出に努め、活力ある産業社会の実現に取り組んでまいります。
○議長(阪部菊雄君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 二級河川有田川治水対策等についての一点目、治水対策等の現状についてお答えいたします。
有田川につきましては、昭和二十八年の大水害を契機に二川ダムを建設するとともに河川改修を実施してきたところであり、本川堤防につきましては一部を除き概成しているところであります。また、支川の西谷川につきましては、今年度、喜多郷橋の改築を行い、計画区間を完了する予定であります。今後とも現地調査を適宜実施し、老朽堤防の補強などを実施してまいります。
また、当河川ではふるさとの川モデル事業などが整備された経緯もあり、今後とも河川の特性や背後地域と調和のとれた景観、親水性、生態系に配慮した川づくりを目指して努力してまいります。
次に、国道四十二号渋滞対策についてお答えいたします。
国道四十二号の有田市から海南市間の当面の交通渋滞対策につきましては、交差点改良として下津町小南交差点の工事が既に完成しており、残る海南市冷水交差点及び有田市里交差点につきましても早期完成を図るよう、今後とも建設省に働きかけてまいります。
また、抜本的な対策である四車線化につきましては、市町の現状や将来の土地利用計画、また新規プロジェクト等を考慮し、県、市、町の意見を広く聞きながら建設省においてルート案の検討がなされているところであり、今後とも四車線化の早期具体化を強く国に働きかけてまいります。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 環境生活部長道浦 渥君。
〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 二級河川有田川の治水対策のうち、有田川周辺の水質汚濁対策についてお答えします。
有田川水域につきましては、東川橋、金屋橋、保田井堰、有田川河口部の四地点について定期的に水質調査を実施しており、すべての地点で環境基準を満足してございます。また、汚濁対策として、有田川及びその周辺河川に立地している工場、事業場に対しては、一律排水基準よりもより厳しい上乗せ排水基準を導入するとともに、立入調査を実施するなど、汚濁負荷を軽減するよう指導しているところでございます。
さらに、水質汚濁要因の一因である生活排水につきましては、家庭でできる生活排水対策のパンフレットの作成や子供及びその保護者を対象に水辺観察会を開催するなど、啓発活動に努めているところでございます。
なお、今後とも、良好な水環境を確保するため一層努力してまいる所存でございます。
○議長(阪部菊雄君) 農林水産部長島本隆生君。
〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) ミカン産業の活性化についての二点のご質問にお答えをいたします。
まず一点目の、広域営農団地農道整備事業についてでございます。
この有田川広域農道につきましては、金屋町有原の国道四百二十四号から吉備町を経由し、有田市初島の国道四十二号を結ぶ延長二十五・一キロメートルの広域営農団地農道として計画し、そのうち平成九年四月に金屋町有原から吉備町田角までの十三キロメートルの区間が、総事業費百三十一億五千九百万円で一期地区として採択されています。
本事業は、地元農家の方々の同意を得て土地改良法に基づく手続を行い、測量設計の後、地元説明を行ったところ、急傾斜地であるため必要となる用地幅が大きく、果樹園の減反により農業経営を圧迫することや橋梁が多いため隣接農地からの進入の利便性の確保が難しいこと、及び農道からの排水対策等、各種条件の調整を図ることができないため、現計画案での実施は困難と判断してございます。
また、関係町から提示された路線変更案につきましても検討いたしましたが、農道が新設されたとしても集出荷場等へのアクセスが遠いことにより輸送費の節減効果が出ないなど、費用対効果の面で広域農道として二十五・一キロメートルの全体計画が成立しないこととなります。今後の対応につきましては、関係市町及び地元とよく協議をしてまいりたいと考えてございます。
次に、ミカンの販売戦略についてでございます。
果物の消費動向につきましては、若者を中心とした果実の消費離れがある中で、おいしさや安全性を求める動きがあり、また、流通面では産直や通信販売といった市場外流通が増加しているところでございます。
こうした動きに対応するため、県では消費者ニーズを踏まえ、品質を重視した味一や完熟ミカンづくり、高糖系品種への転換、また販売面では味を選別する光センサーの導入や拠点市場の集約化、さらにミカンが持つ発がん抑制効果のあるベータクリプトキサンチンなど、健康を強調したPRを農業団体と一体となって取り組んできたところでございます。特に本年度は、去る十一月十四日、知事を先頭に県議会や関係機関とともに東京において販売促進PRを実施したところでございます。
一方、国では本年三月、日本型食生活を推進するため食生活指針が出され、その中で果実については単なる嗜好品ではなく機能性成分を持った食生活に欠かせない品目として位置づけられており、関係機関と協力しながら果実を食べる食習慣の啓発に努めているところでございます。
今後とも、マルチ栽培等の推進による高品質ミカンの生産拡大に努めるとともに、新たな取り組みとしてIT技術を利用した流通システムの研究を進めるなど、関係機関と連携しながら和歌山のすばらしい果物の情報発信に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 青少年の健全育成についてお答えいたします。
学校教育においては、子供たち一人一人がみずからを律しつつ他人と協調し、思いやる心や感動する心など、豊かな人間性や社会性を育成することが大切であります。
このため、各学校では、知育、徳育、体育、バランスのとれた人間形成を目指す教育を推進するとともに、家庭や地域と連携しながら、ボランティア活動を初めとする社会体験や自然体験など、さまざまな体験学習にも積極的に取り組んでいるところであります。
次に、運動部活動につきましては、近年、生徒数の減少や生徒のスポーツに対する興味、関心が多様化している中、さまざまな課題も生じてきております。教育委員会では、運動部活動の教育的意義を踏まえ、学校及び地域の実態を考慮して、近隣校や地域スポーツクラブとの連携なども視野に入れながら、運動部活動の活性化について検討を進めております。また、専門的な技術指導のできる教職員がいない学校に対しては、外部指導者を派遣するとともに、指導者研修会を開催し、資質の向上に努めております。
なお、部員数の少ない学校においては、複数校が合同で練習したり試合に出場できる方策について、中学校・高等学校体育連盟と連携し、検討しております。
学校の体育施設につきましては、現有施設の良好な維持管理に留意するとともに、今後とも施設の整備に努めてまいりたいと考えております。
次に、スポーツ少年団活動は、地域スポーツの振興はもとより、青少年の豊かな心と体の発達に大きな役割を果たしております。このため教育委員会では、スポーツ少年団が行う指導者の養成と資質向上、各種大会の開催、全国大会等への派遣、また国際交流としての日独スポーツ少年団同時交流などの諸事業を支援しております。
最後に家庭教育についてでありますが、少子化等、社会状況が変化する中で家庭の教育力の低下が指摘されております。こうしたことを踏まえ、子育てに不安を持つ親などに対する相談体制の充実、学習機会や情報の提供を柱として、二十四時間の電話相談や家庭教育番組の放送など、子育てに関する事業を実施しております。
今後とも、こうした施策を通じて家庭教育への支援を充実させてまいります。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
十七番生駒三雄君。
○生駒三雄君 答弁ありがとうございました。
何点か質問させていただきましたが、ただいま広域営農団地農道整備事業の進捗状況等の現状について、農林水産部長から答弁をいただきました。現計画案での事業実施が困難であり、また他の事業等の検討も始まっているようでありますが、いずれにしても、先ほどの質問の中で述べましたように、ミカンの生産をする上で、その作業効率、運搬効率などを考えても、当該地域への農道整備は大変重要なことでもあり、私の地元有田市においても事業の一日も早い完了をとの願いのもと、体制づくりをしているところであります。
今後とも、地元受益者を初め、関係者に十分な説明の上、ぜひとも当該地域への一日も早い事業の着工を強く強く要望しておきます。
終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で生駒三雄君の質問が終了いたしました。