平成12年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(新島 雄議員の一般質問


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 一番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 皆さん、こんにちは。
 傍聴席は立錐の余地もない──と言いたいのですが、寂しい限りでございます。師走を迎えまして、何かと気ぜわしい毎日が続いております。今年も残り二十日となってまいりました。背筋を伸ばして正面から新世紀に向かって歩んでいきたい、そんなふうにも考えている昨今であります。
 先日、友達から、知事がかわったら何か変わったかという質問を受けました。案外、皆さんもちょくちょくと受ける質問ではないかと思いますが、私はいつも言うんです。よくしゃべる、誕生日が僕に近い、それともう一つ、簡単な資料なんですが、両面コピーになったなという話をさせていただきます。家へ送られてくる資料、また議会でもらう資料、大変なメモ用紙に変貌しておるのですが、メモ用紙もこれで大分少なくなるのかな、庁内の紙も大分減るのかな、そんな思いをしております。
 それを感じるときに、議会もペーパーレスということをもっともっと考えなくてはいかんのかな、そのようにも思います。必要な部分だけをプリントアウトして自分自身が使う、そんなふうになっていくべき時代なのかなとも思っております。
 議長のお許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。──今までは質問ではありません。
 先日、他の議員より二〇〇二FIFAワールドカップKorea/Japanキャンプ地の誘致に関して質問がございました。私も少し視点を変えて質問をしたいと思います。
 この質問は知事並びに教育長にいたしますが、知事には日本サッカー協会に対して公認キャンプ地として立候補をした行政の長として、また教育長にはキャンプ誘致委員会の会長として、答弁をいただきたいと思います。
 私は、この議場においてワールドカップに関する議論が行われることを大変うれしく思っております。もっともっといろんな議員からいろんな角度で質問があることもうれしいなと思っていますし、また、町のあちこちで、どこかのナショナルチームが和歌山へキャンプに来てくれたらいいのになと、そんな話題が広がることを心から思っている者の一人であります。そうすることによって、結果はともかく、多くの県民が一つの目標に向かって力を合わせていくことになり、ひいては人づくり、町づくりに結びついていくものと考えています。
 世間ではIT、ITと騒がれておりますが、私はまず人ありきだと思っております。バーチャルの世界より現実の世界、人と人とが触れ合うこと、知恵をぶつけ合うこと、涙を流すこと、感動することなどが必要であります。スポーツとりわけ競技スポーツの世界には、それらの多くが含まれております。ワールドカップサッカーは、世界の競技スポーツの中でも最大のイベントであります。その世界の大会に和歌山も参画しようではありませんか。
 そんな思いの中から、ボランティアで署名運動をしてくれる人たちがいます。サッカーを愛し、和歌山を愛する人々です。先月の末ぐらいから署名活動に入ったのでありますが、きょうまで十日ほど、ここに一万二千八百名の署名を託されました。(現物を示す)本当はこれを知事にこの場でお渡ししたいのですが、資料配付とかいろいろあるそうでございます。とりあえずここへ置いておきまして、知事には後でお渡しすることといたしたいと思います。
 これは、和歌山へナショナルチームを呼んでくれ、誘致活動をしっかりやってくれ、そんな思いが込められたものだと私は自覚しております。その思いを知事はどう思っているのか。知事の口から県民の皆さんに、この署名活動に対する知事の素直な所見を賜りたいと思います。
 次に、誘致委員会会長の教育長に対して質問をいたします。
 今、世界各地で予選が始まったところであります。具体的な答弁は難しいものがあるかもしれませんが、今から受け入れ態勢の準備を進めなくては、何のために立候補したのかわからなくなります。聖域なき見直しの中で厳しさも必要でしょうし、紀三井寺競技場の芝も張りかえなくては条件に合いません。環境整備も大切ですが、一番大事なのは知事や教育長の気概ある行動だと考えております。
 質問の一つ目は、八十四の行政が立候補しており、すべて日本サッカー協会から公認をされました。その中でナショナルチームを呼ぶには、どんな戦略、戦術をお考えか。
 二つ目には、和歌山をキャンプ地にする相手国のメリット、すなわち和歌山の売りは何なのか。
 三番目は、参加チームは三十二チームであります。このうち、日本と韓国が含まれておりますので、実質は三十チーム。日韓共催でありますから、韓国でキャンプを張るチームもあろうかと思います。そんなことを考えると、日本国内でキャンプを張るのは何カ国だと思っているのか。
 以上、三点についてお答えください。
 キャンプ地に決まれば、和歌山を世界に売り出すチャンスです。しかし、このチャンスをつかむのは並大抵のことではありません。費用も要ります。知恵も要ります。人脈も要ります。そして、汗をかかねば八十四の立候補地から選ばれることはないでしょう。和歌山は、人口的に見てサッカー人口が多いと聞きます。不可能を可能にする、そんな気持ちで誘致活動に取り組んでほしいと熱望いたします。
 次に、建築設計に関することについて質問をいたします。
 私は、設計についてはずぶの素人であります。議場の中には一級建築士の方もおられます。しかし、素人には素人なりの見方があると思って質問をするわけであります。プロの方、もし間違いがあれば教えてください。
 まず、建物の設計というものに対する私の考えを述べます。設計とは、地域環境や利用内容を深く考え、基本設計、実施設計、そしてそれを裏づける構造計算などから成り立っており、技術力や機能、創意工夫、文化芸術的要素までも求められる高度な知的作業だと考えます。すぐれた建築物を建てるには、その基本となる設計が質のよいものでなくてはならず、その設計を忠実に具現化し、建物を完成していかねばなりません。その際、行き届いた工事監理が必要となります。もうすぐ六年がたとうとしている阪神・淡路大震災、JR新幹線のトンネル崩落事故、そんなものを考えるとき、設計監理の重大さを痛感しております。
 そこで、質問です。
 和歌山県では設計に関して入札制度を取り入れておりますが、設計というものに対して入札制度は合わないように私は感じております。なぜこの制度が取り入れられたのか、また現在建設省が進めているプロポーザル制度の導入についてどう考えているのか、お答えください。
 二点目、建築士は設計をするだけでなく、工事の完成まで見届けたいものだと思います。しかし、現状では設計だけを入札し、監理は営繕課が担当する場合が多いと見受けます。万一欠陥建築物であった場合、事故責任など不明確な点もあり、設計をした者が工事完了まで監理をすればよりよい建築物ができ上がると考えますが、どのようにお考えですか。
 三番目、設計監理に関して、報酬額の算出方法はどうなっているのか。建設省告示千二百六号の報酬額の算出や運用が十分なされていないように思うが、いかがでしょうか。
 四番目、平成七年十二月、耐震改修促進に関する法律が施行されておりますが、その取り組み状況をお答えください。また、県有施設の耐震診断の進みぐあいはどうなっているのかも、あわせてお答えください。これは、避難場所などになっている小中学校や不特定多数の人々が入る病院、ホテル、デパートなど、公共性の高い建築物が気になるところでありますので、申し添えます。
 以上が、質問であります。
 最後に、公共の建築物の設計に関してはできる限り県内業者に発注していただくことを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ワールドカップサッカーキャンプの誘致に関してでございます。
 これだけたくさんの署名、本当にたくさんの方のワールドカップのキャンプ場に和歌山がなってほしいという気持ちがひしひしと伝わってまいります。
 この問題につきましては、私も、東京の方へ行って話を聞いたり、いろんな方に働きかけを行っているところで、もし有力チームが和歌山へ来るということになれば、ありとあらゆる報道関係とか取り巻きの人とか、いろんなことで大変な盛り上がりになるというふうに聞いております。そういうことでございますので、私も当初からこのワールドカップのキャンプ誘致については一生懸命やっていこうということで対応してきております。
 ただ、ご案内のように、和歌山県は非常に財政状況が厳しいと。そういう中でそのことに余りたくさんお金を使うことになると、また逆に県民の方から批判を招くこともあり得るということもございますので、そこのバランスをうまく考えながら、もうとにかくありとあらゆる方策を使って、このワールドカップ、できるだけ有力なチームに和歌山県をキャンプ地に決めてもらえるように力いっぱい頑張っておりますし、これからも頑張っていきたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 建築設計に関して、順次、お答えいたします。
 現在、県では、建築設計における業者選定は地方自治法の規定に基づき、競争入札によって行っております。その競争入札は、予算や工期等の制約があるため、工事の規模や技術力を勘案して指名競争入札方式を採用しております。
 しかしながら、芸術性や創造性、文化性の求められる建築物につきましては、設計者のアイデアや技術力を生かすことが重要であり、今後はプロポーザル方式の導入も含め、価格以外の要素を取り入れた選定方式に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、二点目の工事監理についてでございます。
 県有施設の建設を担当している職員は、地方自治法に基づく監督命令を受け、契約の適正な履行を確保するために必要な監督業務を実施することが義務づけられております。工事監理業務は、この監督業務に含まれております。このため、県が発注する工事の大部分については監督員である職員が監督業務の中で監理業務を行っております。ただし、大規模な工事等、多数の技術者が要求される工事につきましては監理業務を分離して外部委託しております。
 もとより、良好な公共建築物をつくるためには監督・監理業務を適正に行うことが重要であり、今後ともこの業務の充実に努力してまいります。
 次に、報酬額の算出方法につきましては、建設省告示第千二百六号に準じて制定された建設省大臣官房官庁営繕部の設計料算定基準を採用しております。具体的には、概算工事費を基礎にして標準必要延べ日数を算出し、それに日額人件費を乗じた直接人件費に諸経費や技術経費を加算して設計監理業務費を算出しております。なお、建設省告示による業務費と県の業務費に差がございますが、それは設計事務所が設計に当たって各種の情報収集や条件設計をする際に県が技術的な資料等を提供しているためでございます。
 次に、耐震診断の取り組み状況についてのご質問にお答えします。
 阪神・淡路大震災を契機として、建築物の耐震対策は非常に重要であると認識しております。このため県では民間建築物の耐震対策の推進を図るよう、耐震診断費用の一部を補助する事業として和歌山県建築物耐震診断モデル事業を平成十年度より設けて実施しているところでございます。また公共建築物につきましても、市町村を含めた各施設管理者に対して耐震講習会を開催するとともに施設の実態調査を行い、耐震対策を実施するよう促すなどの指導を行っているところでございます。
 今後とも、気持ちを新たにして広報啓発等を引き続き行い、県下の耐震対策をより一層推進するよう努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県有施設の耐震の取り組みについてでございます。
 まず、県庁舎並びに警察施設におきましては、平成七年度から八年度にかけて耐震診断を行い、耐震改修の必要性を指摘されております。この耐震改修には多額の経費を必要とし、また長期間の工期を必要とするため、県庁舎等の建てかえも考慮に入れ、最も経済的で合理的な対応策を検討してまいりたいと考えております。
 次に、県立学校におきましては、平成七年度より順次耐震調査を行い、調査済みのうち補強が必要な施設につきましては現在約五割の補強工事を完了しているところでございます。
 防災の安全度をより高めることは重要でございまして、今後、未調査の県有施設につきましては耐震調査を行うよう検討してまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ワールドカップサッカーのキャンプ誘致についてであります。
 本県にキャンプを誘致するに当たっては、本大会に出場する可能性が高い国に対して本県のすぐれた環境を紹介する資料の提供、本県と友好関係にある国との幅広い交渉、さらに各国の在外公館への働きかけなど、あらゆる可能性を追求して誘致活動に取り組む態勢をとっているところでございます。
 次に、本県のセールスポイントについてでありますが、本県は関西国際空港から至近距離にあり、韓国や日本での試合会場となる十都市への移動に最適であること、集中してトレーニングができる練習会場及びリラックスできる宿泊施設など、キャンプ地としてすばらしい環境にあると確信いたしております。
 最後に、日本でキャンプを行うと予想される国についてでありますが、日本の組織委員会では韓国より日本でのキャンプが多くなるのではないかと予想しており、本県の誘致委員会でも二十カ国程度は日本で大会前の中・長期キャンプを行うものではないかと考えております。このキャンプの誘致については既に多くの自治体も活発な働きかけを行っており、県といたしましても十分な情報収集活動を行いながら、おくれをとらないように、誘致委員会を中心に幅広く県民の皆様のご支援をいただきながら誘致実現へ向けて取り組んでまいります。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 一番新島 雄君。
○新島 雄君 まず、設計に関してであります。
 今回、この質問の大きな意味といいますか、自分の思いというのは、和歌山からすばらしい設計士を育ててほしいというのがあります。部長の答弁の中に「大規模な工事」というくくりで表現されておるんですが、そうでなくても、都市計画や景観上十分注意したり配慮をしなきゃいけない建築物も多いと思うんです。
 これは一例ですが、僕は随分前に紀の川河口の青岸橋とみなと大橋の質問をしたことがあります。別々の橋なんですが、本当は一体の橋なんですね。ところが、まず見た目の色が違う。あれは、一人の人がいろんな計画を立てて、あそこへ二つの橋をかけるというプランニングができておれば、和歌山のレインボーブリッジになり得る要素はあったと思うんです。それをプツン、プツンとやっているわけです。そういうことがちょくちょく見受けられるわけで、その辺で、今回こういう質問をさせていただいたんです。
 ですから、入札制度というのは、入札そのものは値段が高いか安いかで決まるものなんです。それに設計というものが合うのかどうか。もっとほかの要素があるだろうと、どうも自分自身解せなかったもので、すばらしい設計をすることによって、橋でも景観上、和歌山の名所の一つになり得るんだということを言っていきたいわけなんです。
 だから、その辺は、工事、設計、施工というような、行政の一体感もほしいなと思っております。これからも十分検討しながらいい方向に進めていただきたいと要望しておきます。
 それから、ワールドカップについてであります。
 知事、本当に知事の言葉でしゃべっていただいてうれしかったです。ありがとうございます。
 ただ、私も申し上げたように、これは並大抵のことではないと思います。和歌山どうよ、おまえら本当にするんかいと言うかもしれません。その程度のことかもわかりません。でも、一たん手を挙げたんですから、やっぱり目いっぱいやっていきたい。
 ボランティアの人は、汗をかくことをいといません。費用も必要だと思いますが、いろんな方法、知恵を出したら僕は可能だと思います。何も行政だけのお金を使うんじゃなしに、県民から、いろんなところから何らかの方法でやっていける知恵は出ると思いますので、前向きにご協力を、先頭に立って頑張っていただけたらと思います。
 教育長、これから前を向いて進んでいく中で──日本サッカー協会も、立候補の受け付けは、行政かその地域のサッカー協会しか受け付けないわけですよね。となると、行政がやっぱりきちっと見据えて、どうすればいけるか──戦術、戦略を間違ったらあらぬ方向に行ってしまいますし、やっぱり八十四のうちの二十やというぐらいの気持ちでやってもらわないと大変だと思います。
 ただ、あそこに署名──これは本当に十日間で集めていただきました。一日千二百を超える人に署名をいただいているわけです。彼らは一月末まで頑張ると言っています。どこまで頑張れるのかわからんですが、ワールドカップに対して思い入れを持っている人は本当に必死になって頑張ると思いますので、その思いを十分心にとめてやっていただけたらなと、そのように思っています。
 以上、要望して、終わります。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新島雄君の質問が終了いたしました。

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