平成12年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
県議会の活動
平成十二年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
平成十二年十二月十一日(月曜日)午前十時開議
第一 議案第百六十九号から議案第百八十八号まで(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第百六十九号から議案第百八十八号まで(質疑)
二 一般質問
出席議員(四十七人)
一 番 新 島 雄
二 番 山 田 正 彦
三 番 佐 田 頴 一
四 番 大 沢 広 太 郎
五 番 堀 本 隆 男
六 番 宇 治 田 栄 蔵
七 番 門 三 佐 博
八 番 西 本 長 弘
九 番 坂 本 登
十 番 小 原 泰
十一 番 木 下 善 之
十二 番 永 井 佑 治
十三 番 尾 崎 要 二
十四 番 小 川 武
十五 番 宗 正 彦
十六 番 橋 本 進
十七 番 生 駒 三 雄
十八 番 原 日 出 夫
十九 番 谷 洋 一
二十 番 山 下 直 也
二十一番 高 瀬 勝 助
二十二番 吉 井 和 視
二十三番 木 下 秀 男
二十四番 町 田 亘
二十五番 金 田 眞
二十六番 高 田 由 一
二十七番 神 出 政 巳
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 向 井 嘉 久 藏
三十 番 野 見 山 海
三十一番 平 越 孝 哉
三十二番 下 川 俊 樹
三十三番 中 山 豊
三十四番 浜 田 真 輔
三十五番 鶴 田 至 弘
三十六番 冨 安 民 浩
三十七番 村 岡 キ ミ 子
三十八番 中 村 裕 一
三十九番 井 出 益 弘
四十 番 阪 部 菊 雄
四十一番 江 上 柳 助
四十二番 長 坂 隆 司
四十三番 森 正 樹
四十四番 飯 田 敬 文
四十五番 新 田 和 弘
四十六番 松 本 貞 次
四十七番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 稲 山 博 司
企画部長 安 居 要
環境生活部長 道 浦 渥
福祉保健部長 白 井 保 世
商工労働部長 内 田 安 生
農林水産部長 島 本 隆 生
土木部長 大 山 耕 二
企業局長 辻 健
教育委員会委員長 目 黒 威 徳
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員 中 尾 公 彦
警察本部長 岩 井 良 行
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 谷 口 庄 一
職務のため出席した事務局職員
事務局長 田 村 徳 美
次長 蓮 池 康 宏
議事課長 北 垣 内 敬
議事課副課長 松 谷 秋 男
議事班長 露 詰 勤
議事課主査 井 口 好 晴
議事課主事 安 井 伸 彰
総務課長 佐 竹 欣 司
調査課長 梶 本 皓 造
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課副主査 保 田 良 春
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午前十時三分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
【日程第一 議案第百六十九号から議案第百八十八号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案百六十九号から議案第百八十八号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
四十三番森 正樹君。
〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 おはようございます。
お許しを賜りましたので、一般質問をさせていただきます。
まず初めに、「小さな行政で大きな仕事を」と題して議論を起こしたいと思います。「小さな行政で大きな仕事を」と題した私の真意は、これこそが今、国、地方自治体を問わず、行政府に課せられた責務であり、緊急の課題であると思うからであります。
我が国経済は、設備投資を初めとする企業部門を中心に緩やかな回復を続けておりますが、雇用情勢は依然として厳しいものがあり、個人消費も横ばい状態とされ、民需中心の本格的回復には至っていないのが現状であります。加えて、原油価格の上昇など国際経済の影響といった不安定要素が存在することも、我々は見過ごしてはならないと思います。
一方、二〇〇〇年度末で国、地方を合わせて六百四十五兆円にも上ると言われる長期債務残高が、我が国経済に暗い影を落としているのであります。和歌山県にありましても、その債務残高は二〇〇〇年度末で六千五百億円に達するものと予測されております。国、地方のこのような財政赤字の増嵩に対する国民、県民の不安があることから、消費意欲を減退させ、消費不振の要因の一つとなっているとの識者の指摘もあるほどであります。ともあれ、我が国財政、本県財政は極めて深刻な状況であり、このまま無為無策に時を過ごせば、長期金利の上昇、悪性インフレを招き、財政破綻という結末に行き着くことは明らかだと申せましょう。
ところで、私は財政問題を論じたいのではありません。以上申し上げたような危機的財政状況を念頭に置き、間もなくやってくる二十一世紀を希望と活力にあふれた新世紀とするために、今こそ組織の整理縮小と事務事業の見直しを大胆に行い、みずから血を流す思い切った改革を行ってこそ財政再建は可能であるとの観点から、質問を申し上げたいのであります。
それでは、以下十点にわたり、私なりにこうすれば財政再建は可能であるとの考えに立ち、質問を申し上げます。
まず第一点、人員の削減についてであります。
本県の職員定数は現在四千三百六十四人でありますが、この職員定数の見直しを行い、職員数を削減していくべきであると思うが、いかがか。今すぐ職員の首を切れと申しているのではございません。職員削減十カ年戦略とでも言うべき五年、十年先を見据えた計画を明確に立て、事に当たるべきだと考えますが、知事のご所見を承りたい。
第二に、職員数を将来削減していく過程で、県民に対するサービスの低下があってはなりません。そこで、職員数を削減してもサービスの質と量を維持するために、思い切った業務の民間委託を進めるべきであると考えますが、いかがでありましょうか。知事のお考えをお聞かせ願いたい。
第三に、小さな行政を補うためにNPO組織や民間ボランティアの活用を進めるべきであると私は考えます。「ボランティア」とは、小学館の「日本国語大辞典」によりますと「志願者」、「有志」の意味を持つ英語で、「社会事業などの篤志活動家」とあり、平凡社の「世界大百科事典」には「一般市民の自由な意思に支えられた社会的な活動あるいは各種民間団体の自主的活動」とあります。私なりに補足すれば、県民一人一人がだれにも強制されず、みずからの意思で、それぞれの可能な範囲において、得意な部門あるいは興味を持つ分野で、しかも対価を求めず、社会に貢献する意思と活動がボランティアだと思います。したがって、小中学生からお年寄りに至るまで、百八万県民の皆さんだれもがボランティア活動に参加することは可能だし、また、県民の多くの皆さんがボランティア精神を潜在的に持っておられると、私は思います。そして、何から何まで行政がやるのではなく、ボランティア、NPO組織の協力を求めたっていいと私は考えます。現に、昨年、成功裏に終了した南紀熊野体験博で私たちは、ボランティアやNPOの皆さんの縦横無尽の活躍を目の当たりにしたではありませんか。
そこで、木村知事、和歌山県として百八万県民総ボランティア宣言を行い、全国に先駆けてボランティア先進県を目指すお考えはありやなしや、ぜひともお考えを聞かせていただきたい。ボランティア運動の大きな盛り上がりの中で百八万県民と一体となった県庁の実現に向けて、ぜひとも内外に百八万県民総ボランティア宣言をされるよう重ねて申し上げます。
第四点、外郭団体の整理統合についてであります。
本県には、県出資比率二五%以上の出資法人、いわゆる外郭団体が三十三団体あります。県当局は、これら外郭団体の経営実態を正しく把握しておられるのか。県が出資している以上、県民の税金を投じて事業を行っているのであり、当然のことながら、県民に対して説明責任があることは明白であります。中には、自主事業も思うに任せず、県から仕事を回してつじつまを合わせていると言わざるを得ない団体もあるとの指摘もございます。まさに休眠法人と言わざるを得ません。
この際、小手先の整理ではなく大胆な統合をすべきであると思うがどうか、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
第五に、これら外郭団体の整理統合を今後進めていくに当たり、各団体職員、いわゆるプロパーの給与体系、給与実態に団体間で格差があるとの指摘があります。将来、整理統合を進めていく中で、この給与体系、給与実態の格差がネックとならないよう各団体との間で協議を進めていくべきであると思うがどうか。その実態把握と協議の進捗状況について、総務部長に答弁を求めます。
第六点、事務事業の見直しに関してであります。
さきに木村知事は、和歌山工科大学の凍結と和歌山下津港本港沖埋立計画に係る環境影響調査費の不執行を発表されました。このことについて賛否両論さまざまなご意見があることは十分承知した上で、私は木村知事の決断を英断と申し上げたいと思います。
そこで、今後、本県財政の再建のためにさらなる事務事業の大胆な見直しを行うべきであると私は考えますが、木村知事、事務事業の見直しについてどのように考え、今後いかに取り組まれるのか、ご存念をお伺いしたいと思います。
第七点、優秀な人材の確保についてであります。
二十一世紀を目睫の間に控え、ますます複雑多様化する社会にあって、行政もその要求に十分こたえられる組織であることが求められていくと思われます。そこで、多様で有能な人材の確保が必至であります。したがって、従来のペーパーテスト主体の県職員採用試験ではなく、さまざまな能力を試し、異能の士を採用する道を開くために、従来の採用試験にこだわらず新たな採用試験のあり方を検討してみてはどうか。人事委員会委員長にお尋ねをいたします。
また、第八点、人事異動に関して、年功序列ではなく思い切った人材の抜てきを行うべきであると思うがどうか。総務部長のお答えをいただきたいと思います。
第九点、職員の意識改革についてであります。
今、厳しい経済社会情勢の中で、民間企業は生き残りをかけた必死の戦いをしております。仕事を求めて汗みどろとなって営業に駆けずり回り、経費を切り詰め、断腸の思いで社員の整理を行い、まさに死闘と申し上げていいと思います。経営者のみならず、そこに働く皆さんもまた同じく、まことに厳しい状況の中で頑張っておられます。
県庁職員は、不祥事でも起こさない限り首切り──嫌な言葉でございますが──に遭うこともありません。しかし、本県の財政再建が思うに任せず、財政再建団体に転落するようなことになれば、新規事業は大幅に制限され、職員の給与も昇給がストップになる可能性もあるわけであります。
そこで、厳しい経済社会情勢を身をもって体験するために、そして意識改革をさせるためにも、新採用の職員は必ず一年間、民間企業に出向して社会の荒波にもまれて県民の痛みを我が痛みとする体験をする、そんなシステムを設けてみてはどうでしょうか。現在、本県は二名の職員が民間に出向しておりますが、とりあえずこの民間企業への出向を大幅にふやすこととあわせ、知事のご所見を賜りたい。
この項目の最後として、仮称・IT総合センター構想についてお尋ねをしたいと思います。
先日の本定例会冒頭の知事の所信表明の中で木村知事は、「二十一世紀における本県産業の発展、県民生活の充実のためには、インターネットに代表されるIT革命に対応し、いわゆるディジタルデバイドの解消に努めることが重要であります。そのため、県民が気軽にインターネットを活用できるようにするための普及啓発機能や行政サービス向上のため、教員の研修を行う教育センター機能にあわせ、市町村職員や県職員のIT研修機能を有する施設が必要であると考えております」と述べられました。
そこで、私はさらにこの構想を敷衍し、このIT総合センターは教員や県職員、市町村職員のみならず、百八万県民すべてのための施設とすべきであると思うがどうか。急速にやってくるIT社会に対応するために、そして本県が全国に先駆けてIT先進県になるために、このIT総合センターの門戸は県民すべてに広く開かれるべきであると思います。知事のお考えをぜひとも聞かせていただきたい。
次に、企業メセナ(フィランソロピー)についてお尋ねをいたします。
企業メセナといえば、アメリカ合衆国に言及しなければなりません。カーネギー・ホール、カーネギー・メロン大学、カーネギー・トラスト、カーネギー・インスティチュート・オブ・ピッツバーグを創設した鉄鋼王カーネギー、モーガン・ライブラリー、メトロポリタン美術館をつくった金融王モーガン、ニューヨーク近代美術館、ロックフェラー財団群を興した石油王ロックフェラー、ナショナル・ギャラリー・オブ・アートの設立に道を開いた石油王メロン、それにホイットニー美術館を残したホイットニーやI・S・ガードナー美術館のガードナーなど、多くの企業メセナの先駆者がいました。
「メセナ」とは、ローマ時代の大臣の名に由来するフランス語で、芸術文化活動を資金的に支援することを言い、企業メセナとは営利に直接結びつかないNPOの活動や芸術文化活動に対し資金的援助を行うことを指します。すなわち、企業メセナとは企業の社会貢献と申せましょう。
岩渕潤子さんという人の本でございますが、「億万長者の贈り物」という本がございます。この中に、アメリカ合衆国における企業メセナ(フィランソロピー)の礎を築いた人、アンドリュー・カーネギーについてのこんな一節があります。
「アンドリュー・カーネギーは、しばしば「人生の前半五十年を金もうけに費やし、残りの三十年でその富を社会に還元することに専心した」と評される、常識からすれば少し変わったビジネスマンだ。しかし、彼が全精力を傾けたフィランソロピー(篤志活動)の根底には、社会そのものから貧困をなくしたいという、幼時体験に根ざした悲願がこめられていたのである。特に、自身は貧しさから学校教育を十歳までしか受けることができなかったので、少しでも勉強時間を増やすために、十八歳までの六年間に四回も転職しなければならなかった経験を持つカーネギーは、ことさら、高等教育の普及と促進に熱心だった。 カーネギーは、近代的な資本主義の黎明期にあったアメリカで、並外れて有能なビジネスマンとして輝かしい名を残したが、同時に、現在アメリカで見られるようなフィランソロピーの基礎を築いた人物でもある。今世紀初頭のアメリカが、フィランソロピーに意欲的な富豪たちであふれかえることになったのは、ひとえに、カーネギー自らがフィランソロピーを実行して範を垂れたことと、一八八九年に「ノースアメリカン・レヴュー」に発表した彼の論文『富の福音』の影響を受けてのことと言っても過言ではあるまい。カーネギーは富豪たちを相手に、「金持ちが財産を抱えたまま墓場へ行くことほど不名誉なことはない」と、折に触れて説いて回ったのである」という一節がございます。
私は、かつて和歌山市議会議員であったときに、箱物をつくって赤字を生む悪循環ではなく、イベントから入って人を呼び、町を活性化する善循環の波を起こす行政をと訴え、和歌山城築城四百年祭と市政百周年祭を提言し、いずれも実現をいたしました。そのとき、祭りの成功を願ってさまざまなアイデアを出し、幾つか実行されたわけでございます。
そのうちの一つに、県内在住の美術品収集家の収蔵品を一時的に提供していただき、展覧会を開催するというのがございました。提案者である私自身、収集家の説得に当たり、また私の友人で絵画収集家でもあった人にも説得に奔走していただきました。しかし、一人の例外を除いて全員最終的に断ってこられ、まことに残念な思いに駆られたことを今思い出します。説得に当たった収集家は十数名に上り、提供を渋った理由は全員共通してただ一点でありますが、その理由は今は申し上げません。ここでの議論の主題とは何のかかわりもないからであります。
私がこの話をわざわざ持ち出しましたのは、企業メセナという考え方が、和歌山県を初め我が国ではまだまだ定着していないことを実感するからであります。
我が国は、一九九〇年がメセナ元年だと言われております。それは、企業メセナ協議会や一%クラブの発足の年だからであります。したがって、まだたかだか十年以上の歴史しかありません。しかし、奥の深い成熟した社会となるためには、国、地方自治体と企業、NPO組織、ボランティア、そして住民が一体となって協力し合い、補完し合うことが望まれるのであります。
そこで、知事公室長にお尋ねをいたします。県内企業のメセナ活動(フィランソロピー)の実態を把握しておられるのか。また、企業メセナ部門を担当する課もしくは班を設置すべきであると思うがどうか、答弁をいただきたいと思います。
三番目に、県立医科大学移転跡地の利用についてであります。
同跡地は和歌山市中心部にあって、またとない絶好の位置を占めておりまして、ここに立地する施設は県都和歌山市のランドマークとなるべきものでなければならないと考えます。平成六年二月定例会、翌七年十二月定例会で二度にわたり私は、同跡地には一流の都市型ホテルと国際会議機能を備えたコンベンションセンターを立地すべきであると提言をさせていただきました。
その後、駒井則彦・元県立医科大学学長を会長とする県立医科大学跡地利用懇話会にも私も委員として参加させていただき、種々提言をさせていただきました。私の意見は、同懇話会から知事への提言の中に十分反映されていると確信をいたします。
そこで、お尋ねをいたします。同懇話会の提言概要、基本方針、魅力ある都市づくりと中心市街地活性化、都市機能の補完・強化、整備機能として五点ございます。宿泊機能(都市型ホテル)、国際会議開催機能(国際会議場)、地域文化支援機能、集客機能、交通拠点機能、この五点であります。そして、事業手法として民間活力を最大限に活用できる手法とございます。
この実現に向けた県当局のその後の取り組みはいかがか、企画部長のご報告をいただきたい。また、同懇話会の提言について、特に都市型ホテルの誘致の可能性について、木村知事みずからがトップセールスで実現に向けて汗を流すお考えはありやなしや、お尋ねをいたすものであります。
最後に、関西国際空港に関する諸問題についてお尋ねをいたします。この問題につきましては、既に同僚・先輩議員から質問がございましたので、極めて簡略にいたします。
関西空港二期工事が開始され、和歌山市加太からの埋め立て用土砂の搬出もいよいよ始まりました。関西空港が国際ハブ空港としての完全な機能を果たすために、二本目の滑走路の実現が一日も早からんことを祈るものでございます。しかし、最近になってあちこちから、不協和音と申しますか、さまざまな発言が聞こえてくるにつけ、心中穏やかならないものがあります。
そこで、お尋ねをいたします。
宮澤大蔵大臣は、去る十月三十日、来阪の折、関西空港二期工事凍結論が一部で出始めていることに触れ、立ちどまれと言うが、立ちどまっても問題は解決しない、二期事業は予定どおり進めるべきだとした上で、関空会社が黒字化する見通しを立てる必要がある、国も一緒に考える時期に来ていると語られたことが報道されました。しかし、その後、大蔵省幹部からは数度にわたり、二期工事への疑問の声が上がりました。さらに、十一月六日、関西財界のトップと大蔵省内で会った宮澤大蔵大臣は、関西空港への財政支援の条件として地元負担と経営の抜本的改革を表明したことが報じられました。
そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
これら一連のぎくしゃくした大蔵幹部の発言についてどう理解したらいいのか、率直な見解をお聞かせいただきたい。
なお、私なりの意見を申し上げます。関西国際空港に関する事業は国家的プロジェクトであり、我が国の威信をかけて取り組むべきものであります。そのような重要な事業の進め方について、同じ省庁の中でわずか一週間に、正反対とは申しませんが、全く違う発言がマスコミにリークされることは極めて不愉快であり、大問題だと思います。省庁の中で活発な議論を闘わせ、自由に発言することは大いに結構なことです。しかし、影響力を持った大蔵省幹部が不用意に別趣旨の発言をマスコミを使って繰り返すことは許されないことであると私は申し上げたいと思います。
第二に、十一月一日、一部マスコミに、我が国に定期便を運航する主要四十六社の外国航空会社で組織する在日外国航空会社協議会(FAAJ)が次のような声明を発表いたしました。
「関西地区の空港施設は過剰投資になっている。一九九四年の関西空港の開港までは関西地区の空港施設は明らかに不十分であり、その状況は今日の関東地区に類似していた。 伊丹地区では騒音対策のために四千五百億円──この数字はちょっと間違っておりますが──を超える多額の資金が費やされた。二十四時間運用可能な新関西空港は伊丹地区の住民を騒音問題から解放し、夜間飛行禁止条例を撤廃して航空機の離発着数を増やす意図で建設された。 外国航空会社としては驚きであったが、伊丹空港は国内空港として存続し続け、何故か騒音問題に対する地区住民の声高な抗議行動は姿を消した」、「関西空港では一九九九年に第二滑走路の建設が開始された。以下のことを考慮すれば、その決定を理解するのは難しい」として、四点を挙げております。それは省略させていただきます。「さらに、明らかに神戸地区住民の大多数の意志に反して関西地区に第三の空港が建設されようとしており、それは同じく関西空港を離発着する航空便の頻度、ひいては収入源、を奪うことになるだろう」、そういう声明でございました。
彼らの指摘には、正しい部分も中にはございます。大阪空港が廃止の方針を翻して存続し続けていること、関西地区の航空需要が定かでなく、大阪湾上で飛行経路が錯綜する懸念が解消されないまま神戸沖空港が建設に着手されたこと等々であります。彼らの今回の声明の真意は一体どこにあるのか。私、思いますのに、成田空港へシフトするとか、関西空港から撤退も考えているなどの発言は我が国の運輸省の一貫性のない航空行政に対する痛烈な批判であり、これは私も全く同感でありますが、関空から引き揚げるぞという発言は恐らく、成田空港と並んで世界の主要な空港の中で飛び抜けて着陸料が高いこと、常々着陸料の軽減を申し入れるなどの意思表示を重ねてきていることと考えあわせて、着陸料の値下げを要求したいというのが本音ではないかと思います。
ともあれ、このFAAJの声明の真意について、出資者の一人である和歌山県の意見を企画部長から聞かせていただきたいと思います。
最後に、空港需要が伸びない原因として常々指摘されております着陸料について、これを値下げすべきであると思うがどうか、また、あわせて同空港利用者の使用料、駐車料金、連絡橋通行料などを値下げすべきであると考えますが、この点に関する関空会社の対応と本県の取り組みについて、企画部長にお尋ねをいたします。
以上で、第一質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問にお答えを申し上げます。
小さな行政で大きな仕事をと、これはもう私もそのとおりだと思います。各項目にわたって、私に対するご質問にお答えを申してまいります。
私は、厳しい財政状況のもとで希望と活力にあふれた二十一世紀の和歌山県づくりを進めていくためには、不断の行政改革が必要であると考えております。行政改革の取り組みの中で職員定数の削減につきましては、平成十五年度までに約百名の削減を行うこととしておりますが、常に住民福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を上げることを基本に、行政サービスの質の低下を招くことなく取り組んでまいりたいと考えております。平成十六年度以降につきましても、事務事業の整理合理化により適正な定員管理に努めてまいりたいと考えております。
次に、思い切った業務の民間委託をとの議員のご提言でございますが、私は常々、これからの行政はそのすべてを公務員が行うべきものだという発想ではなく、行政であっても民間で行うことができることがないかどうかをまず考え、残りを逆に公務員が行うといった発想の転換が必要であると考えております。今後とも事務事業全般について見直しを行う中で積極的に民間委託を進めるなど、簡素で効率的な行政の確立に努めてまいりたいと考えております。
次に、ボランティア先進県を目指せとのご質問でございます。
議員ご指摘の南紀熊野体験博での成功の例のとおり、これからの行政はボランティアやNPOとのパートナーシップを構築することが重要になってまいります。このため、本県でもボランティアやNPO活動の先進県の仲間入りを目指し、総合窓口の強化をすべく組織や支援のあり方を検討中でございます。
次に、百八万県民総ボランティア宣言についてでございますが、来年は国連の提唱するボランティア国際年です。これを機会に、広く県民の意識を高め、多くの方々にボランティアやNPO活動への参加を呼びかけ、共同しながらよりよい社会の実現に向けて努めることが重要だと考えております。また、ボランティア国際年を記念してメッセのような行事の開催を検討中でございます。
ご提案の百八万県民総ボランティア宣言につきましても、この行事の開催とあわせて、ボランティアやNPOの方々のご意見をお聞きしながら検討してまいりたいと考えております。
次に、外郭団体の思い切った整理統合をとのご質問でございます。
外郭団体は、その業務分野や法人形態は多岐にわたっておりますが、活力ある地域社会の形成に重要な役割を果たす機関と認識をいたしております。
しかし、一部の団体につきましては、財政状況の厳しいものや県財政への依存度の高いものがございますので、現在、それらの団体の経営評価を行うとともに、統廃合も含め、今後のあり方の検討を進めているところであり、ご指摘の思い切った統合につきましても、他府県の事例等を参考にしながら検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、事務事業の見直しでございます。
現在、すべての事務事業について「行政の棚卸し」とでも呼ぶべき聖域なき徹底した見直しを行うため、本年度から導入しました事務事業評価システムを活用して事業の必要性、緊急性、費用対効果等を厳しく検討しているところでございます。
財政運営プログラムを基本とする財政健全化を図りつつ、新たな時代に向け、県民福祉の向上を推進していく先導的な事業を積極的に展開していくためにも、ご提言のように事務事業の大胆な見直しを行っていくことが肝要であると考えております。
次に、職員の民間企業への派遣研修についてのご質問でございます。
大変厳しい経済状況を反映し、多くの民間企業が生き残りに苦闘する中で、地方公共団体もみずからのあり方を厳しく問い直す必要があることは、十分認識いたしております。
このような状況の中で、議員ご提言のとおり、職員を民間企業に派遣し、その厳しさを実感させるとともに、従来にない新しい発想や民間的経営感覚を身につけることは、大変有意義なことであると考えております。県職員全員を民間企業へ出向させることにつきましては、受け入れ先の問題などもあろうかと思いますが、現在実施しております民間企業への派遣や国、市町村との交流、また新たに他の都道府県との職員の交流を検討するなど、さらに充実を図り、二十一世紀の和歌山県政を担う人材育成に努力してまいりたいと考えております。
次に、IT総合センターについてのご質問でございますが、すべての県民が気軽にインターネットを活用できるための施設として整備することを考えておりまして、行政職員だけでなく、広く一般県民の方々がITを活用するための技能を習得する場として利用するよう検討をいたしております。
次に、県立医大の跡地の利用についてのご質問でございます。
長期にわたり経済情勢が低迷を続ける中、都市型ホテルを含む施設の建設経営を行う民間企業の確保は厳しい状況にございますが、事業主体となる企業を確保するため、私自身も積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
次に関空に関する諸問題について、宮澤大蔵大臣等の発言についてどう思うかということでございますが、関空二期事業に係る最近の動きは、関空会社の経営状況が思わしくないこと、発着回数が伸び悩んだことを理由に、二期事業を急ぐ必要があるのかという疑問を投げかけられたものと考えております。運輸省においても、関空の諸課題を解決するため、航空局長を委員長に長期的な需要見通し、経営見通し等を検討する委員会が設置されたところでございます。関空会社の経営については、二期滑走路供用開始後の経営見通しが発表され、単年度黒字の達成、累積損失の解消は十分可能とする経営見通しを示しております。
県といたしましては、既に着手されている二期事業については、将来の航空需要に備えるためにも、現在の資金スキームで当初のスケジュールどおり進められるべきものと考えております。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 小さな行政で大きな仕事をとの質問のうち、二項目についてお答えいたします。
まず、外郭団体の整理統合を進める上での団体職員の給与体系等に関連してのご質問でございます。
現在、外郭団体職員の給与につきましては、外郭団体にふさわしいより効率的なものを目指して、県職員に準じた従来の給与体系を改め、本年度中をめどに団体の規模や経営状況等に応じたものに見直すよう指導をしているところでございます。
これらの団体の整理統合を進めるに際しましては、議員ご指摘のとおり、各団体間の給与水準の格差がネックになることも十分想定されますので、この点にも十分配慮して取り組んでまいりたいと考えております。
次に、年功序列でなく思い切った抜てきをとのご質問にお答えいたします。
二十一世紀の複雑多様化する社会に対応する行政を行うためには、多様な人材の登用が必要不可欠だと考えております。人事異動につきましては、議員ご指摘のとおり、適材適所を基本として、さらに柔軟な発想による行政の新たな展開を図るため、若い有能な人材の積極的な登用に努めていきたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 知事公室長小佐田昌計君。
〔小佐田昌計君、登壇〕
○知事公室長(小佐田昌計君) 県内企業メセナの実態把握についてでございます。
これまで、企業や県民の皆様方からさまざまな形で、芸術文化を初めとして多方面にわたり社会貢献のご支援をいただいております。このような中で、県内で財団を設立し、継続的に活動している企業は二社ございます。また、県内においてメセナ活動に積極的に取り組んでおられる企業も数社ございます。
今日、物の豊かさよりも心の豊かさが重視され、多くの人々が文化に触れることに大きな関心を持ちつつありますが、このような時代にあって、メセナ活動のように企業や個人が資金援助を含めてさまざまな支援をもって自主的に地域文化に貢献されることは大切なことですし、それに大いに期待するところでございます。
今後は、こうした活動に取り組まれている財団や企業との連携を密にするとともに、情報収集に努めてまいりたいと考えてございます。
二点目の、県庁内に企業メセナ活動を担当する課もしくは班を設置してはどうかというご質問でございます。
議員ご提案のとおり、よりよい地域づくりには、行政、企業、県民が一体となって補完し合うことが重要でございます。このため、県といたしましても、企業や県民の皆様方が地域に対する愛情や誇りを持っていただき、また地域社会に貢献していただくため、さまざまな啓発運動に取り組んできたところでございます。近年の企業活動では、ボランティアやNPO活動への奨励や助成に加え、企業自身がボランティア団体やNPOと連携・共同して環境問題への取り組みや福祉支援を行うなどの活動が加わってまいりました。
県といたしましても、ボランティア、NPOの担当部署の強化を検討しているところでございますが、議員ご提案の件につきましてもあわせて検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 県立医科大学移転跡地の利用の中で、跡地利用懇話会の提言後の県当局の取り組みについてでございます。
平成十年十一月に、議員もご参画いただいた和歌山県立医科大学跡地利用懇話会からご報告をいただき、後、地元和歌山市、関係団体との協議を行い、平成十一年度に和歌山県立医科大学跡地利用に関する基本方針を策定したところでございます。
この基本方針に基づき、宿泊施設、商業施設、駐車場を中心とする都市型複合施設の実現に向け鋭意取り組んでおり、施設の整備に当たっては、ホテルに国際的な会議も開催できる機能を付加させるなどの検討を進めているところでございます。また、民間企業に対して事業参画の意向を現在打診しているところでございます。
関西国際空港に関する問題について、二点お答えいたします。
まず一点目は、在日外国航空会社協議会──いわゆるFAAJでございますが──は、関西国際空港二期工事よりも首都圏の空港整備を優先すべきだとの声明を発表いたしておりますが、この声明は、日本の国際空港の着陸料、航行援助施設利用料等の諸料金が世界的に見て最も高水準であることにより利用者の利便性に悪影響を及ぼしているという点を指摘し、着陸料等の諸料金の引き下げを求めたものであり、単に関西国際空港二期事業を否定したものではないと理解してございます。県といたしましては、この声明は空港を取り巻く地域の魅力を高めるとともに、関西国際空港の着陸料の引き下げ等の国際競争力強化の必要性を訴えているものと考えております。
二点目の、着陸料、空港使用料等を値下げすべきだと思うがということでございます。
関空会社では、現在も着陸料、連絡橋通行料、駐車場料金の一部の引き下げが行われておりますが、県といたしましては、関西国際空港を利用者にとって利便性の高い利用しやすい空港にすることこそが重要であると考えており、経営全般にわたるさらなる経営改善を図り、着陸料や使用料等の引き下げが行われるよう関空会社に対し働きかけてまいりたい。また、本県も参画している関西国際空港全体構想促進協議会に国際競争力強化に向けた方策を検討するための委員会の設置が進められており、その中で着陸料の引き下げ等、具体的な方策を検討することとなってございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 人事委員会委員長青木孝祐君。
〔青木孝祐君、登壇〕
○人事委員会委員長(青木孝祐君) 森議員の、優秀な人材の確保についてのご質問にお答えします。
議員ご指摘のとおり、現代社会は刻々変化しており、行政への需要、期待も大きく変わってきております。このような社会状況の変化などに柔軟に対応できる思考力や多彩な能力を持った人材を確保することが肝要であると考えております。
このため、筆記試験による学力のみで判定することなく、過去の経験や活動内容を重視するなど、熱意と創造力にあふれた人材の確保に努めておりますが、今後とも職員の採用試験については工夫をしてまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十三番森 正樹君。
○森 正樹君 時間の許す範囲の中で再質問を申し上げます。
まず、第一項目めの小さな行政で大きな仕事をということに関して、何点か申し上げたいと思います。
民間企業への派遣でありますが、和歌山県に就職をして一生この和歌山県で仕事をするよりも、江戸時代の詩人、釈月性の「人間到る処青山有り」の言葉にありますように、故郷の自分の墓に骨を埋めるのではなくて、世間はもっと広いんだ、至るところに青々と広々とした野原が広がっている、どこにでも骨を埋める場所はあるんだと。要するに、そういう狭い地域の中で一生を終わるんじゃなくて、広く見聞を世界に求めよという言葉であります。ほかにも、このことに関する俚諺は、「かわいい子には旅をさせよ」とかいろいろございます。
全職員を採用してすぐに一年間、民間企業へ派遣せよというのは、これはもう事実上不可能に近いことはよくわかっておりますが、それぐらいの取り組みで職員の能力を最大限に引き出す、また意識改革をしてもらう。和歌山だけでは見えない世界が、外に飛び出すことによって見えてくると思います。
そういう意味で、今、JRと電通の二カ所へ一人ずつ行かれていますけれども、聞くところによると事務職であると聞いております。そうじゃなくて、営業部門に入るとか、そういう形でもっと──今民間企業は先ほど申し上げたように、生き残りをかけて本当に大変厳しい戦いをしているわけで、そういう社会の実態を身をもって体験することが大事だ。そういう意味で、相手のあることですからすぐにはいかないと思いますが、ぜひとも今後大きく門戸を開いていただきたい。そのことを強く申し上げておきたいと思います。
次に、人事委員長に答弁をいただきましたが、職員の採用についてであります。
本県の採用試験はペーパーテストが基本となっておりまして──確かに、今入ってこられている若い職員の皆さん、優秀な方ばかりであると私も思っております。しかし、中国のことわざに「声一ならば聴こゆる無く、物一ならば文無し」と。これはどういう意味かと言いますと、音色が一種類だったら音楽にならないというんですね。いろんな音があるからこそ、それが組み合わさってシンフォニーになるわけで、それと同じで、人間も型にはまった一種類の人間だけだと組織にならない、そういうことであります。
「異能の士」と、先ほど私は申し上げさせていただきましたが、これからの時代は特に、さまざまな能力を持った人が必要なんですよ。だから、ペーパーテストはちょっと苦手だけれども、ほかの面で人に倍する能力を持っている、そんな人材は世の中にたくさんいると思います。そういう人を採用する道をぜひ開くべきだと。ワンパターンの人間ばかり集まったって、そこから出てくる発想はやっぱりワンパターンなんですよ。やはり、いろんな人材がおって、いろんな議論の中で、おまえはそう言うけど、おれはこう思うとか、そういうさまざまな議論を沸騰させるような人材が集まってこそ組織は活性化していくし、いろんなアイデアが生まれていくし、いろんな知恵が生まれていくと私は思うんです。
したがって、どうぞ青木委員長、採用試験の再考を先ほど申されましたが、急いでそういう道を開いていただきたい。そうすることがひいては和歌山県を活性化させることにつながると、私は信じております。ぜひともお願いをしたい。
それから、外郭団体のことでありますが、かつて木村知事は、本県の総務部長だった時代に、外郭団体は県を補完するものと、そういう趣旨の答弁をされております。
私、ついせんだって、十二月三日に大阪府の出納長さんとお話をする機会を得まして、外郭団体のことについていろいろと意見を交わしたんですが、大阪府は外郭団体に関してはすべて府に倣うということで、給与に関してもそういう格差はないとおっしゃっておりました。私、調べたわけでありませんし、出納長さんの発言ですから、そのまま受け入れていいかどうかわかりませんけれども、本県とちょっとそこら辺が違うんですね。今後、僕は思い切った整理統合をぜひ進めるべきだと思いますけれども、この給与体系、給与実態が必ずネックになってくると思います。したがって、このことで話がつぶれないように、その点を早急にきちっとすべきだと。
それと、整理統合は大変難しい問題だと思いますけれども、例えば全然内容の違う団体だって、僕は四つか五つ一緒にしたっていいと思うんですよ。他府県の例に倣うとおっしゃっていましたけれども、そんなことをする必要はないと思います。和歌山が独自にそんな道を切り開いて全国にその範を示して、和歌山が先進県となって和歌山にほかの県が倣えばいいので、ほかの県の事例を参考にする必要は何らないと、そのように私は強く申し上げておきたいと思います。
それから、もう一点だけ、企業メセナについて申し上げます。
タイミングよく先週の金曜日、十二月八日付の朝日新聞に、「メセナ協十周年 企業の取り組み」ということで特集記事が出ておりました。その中で非常に興味ある発言がありましたので、これを紹介したいと思います。
福原義春さんという企業メセナ協議会の理事長さん──資生堂の会長でありますが──が「これからの日本のメセナの行方は」という質問に対して、このように答えておられます。「ボランティアなどNPO型の公共参加をどう取り入れていくかでしょう。国や企業だけでなく、市民をまきこんでやっていけば、日本の文化度を高めることになる」と、そのようにはっきりとおっしゃっておられます。全く私も同感であり、先ほど申し上げたとおりであります。
それから、もう一人、同じ特集記事の中で河島伸子さんという同志社大学の講師でありますが、文化政策論、文化経済が専門の方の発言なんですけれども、「企業メセナも大切だが、政治、行政による文化支援がもっと必要だ。 国の芸術・文化への公的支出を、国民一人当たりで比べると、英語圏の米国、アイルランド、豪州、英国は低く、大陸ヨーロッパ諸国が真ん中、福祉国家の北欧が上の方だ。日本は、文化庁の予算でみると、低い米国に近い。ところが、地方自治体の文化施設への建設費を入れると北欧に並ぶ高水準になる。日本はいまだ施設建設が中心だ」と。要するに箱物行政だということをこの人は言っておるわけですね。そんな箱物行政じゃなくて、もっとソフトの部分にこれから行政は力を入れていくべきだということを言われているわけであります。
そこで、これは何回も出てきました企業メセナ協議会のホームページをプリントアウトしたものでございますが、その中に会員名簿が載っております。その準会員が四十三社・団体あるわけですけれども、この中に実は、茨城県であるとか熊本県であるとか、財団法人愛知県文化振興事業団、それから社団法人企業メセナ群馬、財団法人埼玉県芸術文化振興財団、佐賀県企業メセナ協議会、財団法人東京都歴史文化財団、ほかにも財団法人北海道文化財団、あるいは藤沢市、山口市、東京の中央区、こういうさまざまな地方公共団体が準会員としてここに名を連ねております。今、時代はそういう時代になってきておるんですね。
先ほども申し上げたように、行政だけじゃなくて、企業やNPOやボランティアや、県民全体が一体となって、これからは地域づくり、国づくりをしていく時代だと僕は思います。企業にも潜在能力はたくさんあるわけです。ですから、そういうものを引き出すために、やはり県庁の中にメセナを取り扱う課なり班なり──すべて企業メセナ課をつくれと僕は言っているのではありません。今ある課あるいは班の中に、この企業メセナ問題を専門的に扱う職員が一人や二人あったっていいと思うんです。そこが窓口になって、企業にもこの和歌山県土づくりに参加していただいて、和歌山県は文化レベルの高い県だと言われるようにしていけば、そうした芸術支援、文化支援、さまざまな支援をしていただけることにつながっていくと思います。そういう意味で、ぜひともそういう方向づけを早急にやっていただきたい。
以上、すべて要望であります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十二番長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
再びこの県議会壇上に質問に立たせていただきました感激を、今味わっております。決算特別委員会の節は、先輩議員、同僚議員に大変ご迷惑をおかけいたしました。深くおわび申し上げ、議員の本分を尽くすべく、信頼回復に精進してまいりたいと思います。よろしくご指導お願いいたします。
それでは、通告に従いまして、順次質問をしてまいります。
最初に、和歌山下津港の整備についてであります。
九月定例会における十月五日の木村知事の答弁の中で、和歌山下津港本港沖地区、通称雑賀崎沖の埋立計画について、今年度予算計上されている環境調査費については執行を見送ると発言されました。県、国の財政状況が極めて厳しい状況の中、大きな決断をされたものだと感じる一方で、単に港湾整備にとどまらず、同時進行されなければならない陸海空を結ぶ交通アクセス、例えば、臨港道路体系の整備、紀の川右岸道路の整備、第二阪和国道へのアクセス道路、また、九月定例会で木下秀男先輩議員も提言されました大阪湾岸道路の和歌山下津港までの南伸接続、さらに紀淡連絡道路といった整備まで歩みがとまってしまうのではないかと危惧を抱きました。
港湾の整備については、待ちに待ったガントリークレーンが、コンテナ貨物等に対応するための四万トン級の外貿機能を持つ西浜地区のマイナス十三メートル岸壁に設置されて、今や遅しと平成十三年の供用を待っておりますが、保税上屋、ストラドルキャリア等のさらなる荷役設備、施設整備が待たれます。せっかく大阪湾、太平洋岸の玄関口に位置していながら、岸壁を含めた設備がなければ、船は、貨物は港に来てくれません。これさえも整備が大幅におくれてしまうのではないかということであります。
まして、平成十三年度の運輸省の概算要求の中に、連携の強化を主眼に置いて、国土交通省統合のメリットを最大限に生かし、港湾アクセス道路の整備を主体とした建設省道路局との連携事業「国際交流インフラ推進事業」、建設省都市局との「みなとづくりとまちづくりの連携」の一層の強化に取り組むとされております。今がチャンスであります。
また、公共工事も減少していくとはいえ、下水道や生活道路といった生活基盤整備を初めとして発生していく膨大な建設残土、しゅんせつ土砂の処分場所も、我々和歌山県民は自分自身の問題として真剣に喫緊の問題として考えていく必要があります。
まずは、既存の港湾用地を有効利用すべく、コンテナターミナル、公共上屋、荷さばき地、臨港道路の位置をもう一度検討してみることが必要だと思います。また、企業局の造成した各工業団地の空き地部分、あるいは非常時のためとして残されている薬種畑地区、青岸地区、北港地区を含めた港湾用地の用途変更を可能にしてコンクリート、アスファルトの破砕リサイクル工場の団地にするとか、港湾施設用地にするといった整理のもと、貨物の増大によって、また新規航路開設の見込み次第で新たな港湾用地が必要であるなら、その都度埋め立てを検討するといった手法も考えていかなければならない時期に来ているのではないでしょうか。
また、平成十二年五月に成立した港湾運送事業法の一部を改正する法律が十一月一日から全国の主要九港で施行されました。これは、事業免許制を許可制に、料金を許可制から届出制に、日雇いでない常用労働者の保有基準を現行の一・五倍に拡充し、効率化にウエートを置いて事業者の規模を大きくし、コンテナの荷役サービスをできるだけ自由に競争してもらって、日本の港を東アジアの港との競争に負けないよう努力を促すねらいがあります。これも、近い将来、和歌山下津港を初めとした他の特定重要港湾に適用範囲が及ぶことは必定であり、そのためにも和歌山下津港の港湾施設整備は大いに必要であります。
九月定例会で木村知事も、和歌山県が南海の雄県として将来県の外側に向けて発展していくことを考えるとき、海を活用していくことは大変重要な要素であると考えている、中でも我が県の海の玄関口とも言える和歌山下津港の整備は今後とも必要であると考えていると言っておられますし、十二月八日の鶴田議員の質問に対する答弁でも明快にお答えされておりますから、当面の財政状況の厳しい中、平成二十年代前半に目標が置かれている和歌山下津港港湾整備計画をなるべく早急に中期的に整備して、その後、漸進的に長期計画を練り直してもらいたいと思います。和歌山県の発展は、産業、交通、観光の面からも和歌山下津港の港湾整備にかかっていると言っても過言ではないと思います。
さて、質問に入りますが、和歌山下津港港湾整備計画について知事の意気込みをお聞かせいただきたい。
次に具体的な計画の進め方について、一番目に、遊休地の感がある港湾用地や工業団地の空き地部分について今後どのような活用を考えておられますか。
二番目に、コンテナターミナルを初めとした港湾諸施設整備の予定はどうですか。
三番目に、マイナス十二メートルとマイナス十三メートルの二つの岸壁の有効利活用について聞かせていただきたい。
四番目に、テクノスーパーライナーも結構ですが、大水深のある北港沖地区の活用をどのように考えておられますか。
五番目として、先日、鶴田議員も質問されましたが、私の立場から質問させていただきます。埋め立てに反対される方々に不信感を持たれる原因の一つではないかと思われるのですが、平成十年六月議会でも質問いたしました雑賀崎地先の金属機械工業団地の緑地の進捗状況と完成の時期を、もう一度問わせていただきたいと思います。
二番目に、障害児者への福祉施策についてであります。
障害にも、さまざまなものがあります。知的発達障害、視覚・聴覚や言語の障害、肢体・身体の内部障害、精神障害、また知的障害と肢体の障害が重複したもの等々であります。障害者が障害のない人と同じように生活し、自由に行動できて、安心して快適に過ごせる社会を目指して和歌山県も六年三月に紀の国障害者プランを策定し、平成十年三月に平成十五年までの実施計画が施行されております。
県社会福祉協議会は、ことし九月から十月に民間の施設で働く職員の海外研修を行ったと聞きます。スウェーデンは、自然災害も戦争もないということで住まい第一に考えており、民生費が何と国家予算の三分の二もあるそうです。福祉にはお金がかかる、財政の負担がふえると言われる向きもありますが、さまざまなハンディキャップを持つ人々が社会参加をし、雇用を促進する大きな効果もあります。
一番目に、施設整備についてであります。
施設サービスですが、知的障害者更生施設、身体障害者療護施設、また重症心身障害児施設といった入所施設に、待機者が実に多いということであります。和歌山市内では、絶対数の不足、特に重症心身障害児施設が四十万都市に設置されておらず、保護者の心情を思うと、ぜひとも重症の子供を受け入れる施設が必要ではないかと痛感いたします。また、地方では遠くまで通うとか親が送迎するといった別の深刻さがあり、入所・通園できないということは親が家で苦労しているということであります。ぜひ紀の国障害者プランの推進を図るべく、入所施設への受け入れに関して偏在を解消すべく、目標年度までの具体的実施計画についてどう取り組んでいるか、進捗状況を聞かせていただきたい。
二番目に、在宅サービス施策の充実についてであります。
在宅サービスですが、これは地域生活を支えるサービスであり、その実態は非常に厳しいものがあります。ホームヘルプサービス、ショートステイ、そしてデイサービスと、三本柱があります。
まずホームヘルプサービスですが、例えば和歌山市においても常にヘルパーの活用に尽力されておりますが、必要なときに必要なだけ支援が得られにくいことがあります。例えば、養護学校に通う子供の母親が二週間病気で入院したとき、月曜から金曜までヘルパーさんに子供のスクールバスへの送迎をしてもらいたいが、実際は行政側からすれば火曜、金曜だけにしてほしいというようなことがあります。また、ある市町村の場合、母子家庭で高校生が事故に遭って首の骨の損傷を負い、首から下が機能しなくなったのですが、排便も自分で処理が一切できない状況の中、母親が介護で仕事ができなくなり、やがて社会復帰するのに専門学校へ行き出そうとしたのですが、ヘルパーさんが一日八時間、一週間で五十六時間必要なところ、三十六時間が精いっぱいという状況です。まだ恵まれた方だといいます。市町村の財政規模によるとはいえ、ヘルパーの数がどうしても足りておりません。
事業の一つに、全身性障害者介護人派遣事業といって、障害者が自分の気に入った人を介護者に選んで市町村が補助する事業がありますが、一九九九年度において全国で六つの都道府県にて計百十九市区町村で実施されております。この事業が実施されれば、前述の高校生を子供に持つ母親のような立場の人の自立も支えられるようになります。和歌山県においてもぜひ採用いただきたいと思いますが、いかがですか。
また、障害児者を家族に持たれる方からお聞きしますと、ヘルパー制度がまだまだ周知されていないようです。ホームヘルパーの制度の活用、充実に対する県の考えをお聞かせください。
デイサービスについては、企業への就労がしにくく授産施設へも通うことが困難な人々がどこかに集まって生きがいづくりの活動をしてもらうものですが、これも施設が実に少なく、殊に知的障害者については和歌山市以外のデイサービスが全くありません。特に重症心身障害者のデイサービスについても、県は計画的に配置をいただいておりますが、八つの障害保健福祉圏域をつくっていただいているのですから、重症だけに各圏域に一つは配置できるようお願いいたします。重度の心身障害者に対するデイサービスにおける県の取り組み状況を聞かせてください。
ショートステイにおいては、在宅を支えるサービスでありまして、医療ケアのあるなしにかかわらず、知的障害児の場合、和歌山県に二つしかショートステイの受け入れ先がありません。今後、国の状況も見ながら、特別養護老人ホームなどの民間の施設の整ったところでも受け入れてもらえるように広げていっていただきたいと思いますが、いかがですか。特に、医療ケアが必要な障害児者のショートステイ利用者が多い中、和歌山市内の医療ケアを伴った肢体不自由児施設においても平成十一年度で三年前の四倍近くの受け入れができるようになったものの、それでも対応できなかったケースが十数件あったということで、今後の課題でしょう。
ショートステイのもう一つの問題として、呼吸を確保するために吸引が必要な人、管で栄養を補引している人など、常時医療ケアが必要なショートステイというのが、ひとときも目が離せない状況でありまして、非常に危ない現状であります。重症心身障害児者の施設でのショートステイサービスが大きな必要性を帯びてまいります。国の制度としては、医療機関で対応してもよいということになっております。他府県には、大きな病院で対応しているところもあります。和歌山県においても、美浜町の国立療養所がショートステイの場として確保してくれましたが、県下の各圏域の公立病院や総合病院でもぜひとも対応してもらえるような施策を講じていただきたいと思いますけれども、いかがですか。障害者や高齢者、子供などの立場にいる人々を大切にする社会こそがすべての人が幸せになれる社会であり、人に優しい、命を大切にする社会であるのではないでしょうか。
次に、救急医療体制の充実であります。初日の江上議員と重複する部分はありますが、私なりに質問させていただきます。
平成十二年六月一日、和歌山県立医科大学附属病院においては、救命救急センターの運営を開始いたしました。日赤と並んで和歌山県下に二つのセンターができたわけで、重症疾患への対応が着々と整備されてきております。
厚生省の平成十三年度概算要求の中に、日本新生プランの推進としてドクターヘリの導入が掲げられております。これは、早期治療の開始と迅速な搬送による救命率の向上を図るため、救命救急センターにドクターヘリ、すなわち医師とセンター専属の看護婦が同乗する救急専用ヘリコプターを配備するものであります。ちなみに、ドイツではドクターヘリが国内全域の九〇%をカバーしております。
平成十一年十月一日から十三年三月三十一日まで、川崎医科大学附属病院、そして東海大学附属病院において試行中でありまして、月平均一病院当たり二十人の搬送を行っているということであります。この事業の成果をもとにドクターヘリの病院前救急医療における有用性が内閣内政審議室ドクターヘリ調査検討委員会でも検証され、ドクターヘリは継続して運用すべきと結論づけられました。平成十三年度に川崎医科大学、東海大学を含めて全国に七カ所配備されるということで、半島県で救命救急センターが北の端に位置する本県は、離島県の長崎県とともにまさに有力候補に名が挙がっていると聞きます。和歌山市から勝浦まで二十分、同じく高野山まで十五分、全県すべて即座に対応できます。また、民間委託で病院に常駐できます。医療スタッフを迅速に患者のもとへ送り届けて初期治療、そして病院へ患者が送られて検査、手術後すぐにヘリで地元の病院へ送り返せます。小型で軽量なので、離着陸の範囲が大きくなります。
和歌山県には防災ヘリ「きしゅう」が白浜町に常駐しており、既に救急搬送、救助活動、林野火災等における空中からの消火活動など活躍しておりますが、定期検査や他の緊急業務時には救急業務に使用できません。防災の機材を常に積載してあるので、わざわざおろすのに時間がたくさんかかります。また、大型であるので騒音も小さくはなく、着陸場所にも制限が出てまいります。救急患者はいつ発生するかわかりませんから、救急の立場からは三百六十五日飛行可能でなければなりません。
ドクターヘリの導入は、危機管理の意味からも効能は大であります。患者にも家族にも、随分安心感を与えるものであります。救急の面からすれば、ドクターヘリをフル稼働させて、足らずを防災ヘリで補完してもらうことがどうしても必要であります。
今、全国四十七都道府県にもし五十機のドクターヘリを配備するとして、その運航費は年間総額百五十億円程度と推定され、これは三十兆円に及ぶ国民医療費のわずか二千分の一でありまして、ヘリの運航コストは医療コストに比べて微々たるものであります。医療手段の一つとしてその費用が健康保険で賄われ、救命率が向上して健康保険の財政改善にも貢献することになるでしょう。
また、和歌山県にしてみれば、最初に導入されることに大きな意義があります。県民の愛郷心に訴えてみてはどうかと思われます。年間約一億二千万円を国と県で半分ずつ負担というコストがかかりますが、救命救急センターの背後に各専門医を抱えた医大病院の救急医療をベストならしめるためにも、ぜひいち早く導入を検討いただきたいと思いますが、いかがですか。
同じく、来年度の概算要求の中に、心筋梗塞、脳卒中の早期治療体制の整備というのがありますが、特にSCU、すなわち脳卒中の集中治療室の専用病室、医療機器を整備するとして、三次救急医療機関である救命救急センターに二十八カ所、二次救急医療施設に百四十四カ所の整備を目標に掲げております。同センターは、この六月一日に運営を開始したばかりで、医師を初め医療に携わるスタッフの方々も懸命に奮闘される毎日であると聞いております。その使命感にこたえるためにも、ぜひ医大病院に整備指定されるよう名乗りを上げていただきたいと思いますが、いかがですか。
これで、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌山下津港の整備についてでございますが、和歌山県が将来発展していくために海を活用していくということが大変重要な要素であると考えております。
和歌山は、海上交通の大動脈である太平洋航路の関西の玄関口に位置しております。一方、陸を見るとき、阪神高速湾岸線、近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道など、関西の三つの環状道路が集まる陸上交通の一大結節点ともなります。このように和歌山下津港は、海の大動脈と陸の大動脈の結節点というポテンシャルの高い場所に位置しております。
私は、大競争の時代にあって、単に和歌山という枠にとらわれず、より積極的に関西経済圏の一員として和歌山の地の利を最大限に生かしていくことが重要であると考えており、和歌山下津港は特に物流機能や産業活動の観点から、そうした役割を担っていくべきかなめに位置する港であると思っております。このような視点に立って、二十一世紀の活力みなぎる和歌山を創造するため、和歌山下津港の整備とより一層の利活用に努めてまいりたいと考えております。
次に、障害児者の方への福祉施設の整備についてということでございます。
障害のある方に対する福祉は、大変重要な施策と認識をしております。ノーマライゼーションの理念に基づき、紀の国障害者プラン実施計画を策定し、鋭意その推進に努めているところでございます。その中で、障害者施設の整備につきましては、地域的なバランス、待機者の方の状況や在宅サービスの実施状況を考慮しながら整備を図ってまいりたいと考えております。
知的障害者の施設につきましては、通所授産施設は着実に整備が進んでおり、また今年度、伊都地方で五十人定員の入所更生施設の整備を行っているところでございます。身体障害者の施設につきましても、現在、通所型の療護施設を整備しております。重症心身障害児者の施設につきましては、南紀福祉センターの改築に際して定員を五十名から六十名に増員したところであり、今後とも地域のニーズを十分把握しながら整備について検討してまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 和歌山下津港の整備について、まず二点目の港湾用地の今後の活用についてお答えいたします。
現在、西浜地区の水面貯木場の埋め立て造成は完了し、そのうちの港湾用地につきましては野積み場として利用してございます。また同地区の埠頭用地につきましては、現在工事中ですが、荷さばき地として活用していく予定でございます。
次に、コンテナターミナルと二つの岸壁の有効利活用について、あわせてお答えいたします。
コンテナターミナルとしての整備を進めております水深十三メーター岸壁につきましては、ガントリークレーンも含めて平成十三年度初めに供用を開始し、以後順次、背後埠頭用地の舗装などの整備を行う予定であります。水深十二メーター岸壁につきましては、主な貨物として木材を取り扱い、コンテナ以外の多目的な使用を考えております。この背後の埠頭用地につきましては、平成十三年度に舗装を完成する予定でございます。また、整備要望の強い上屋につきましても、できるだけ早い時期に整備する方向で検討を行っております。
いずれにいたしましても、引き続き、新規航路の開設を初めとしたポートセールスを精力的に行い、これら岸壁の有効活用を図ってまいりたいと考えております。
次に、北港沖地区につきましては、水深十メーター岸壁を有する埠頭は将来は内貿ユニットロードターミナルとして活用していく計画であります。現在はそれまでの暫定利用として、瀬戸内海の海砂採取規制により需要の増大してきた輸入砂を主に取り扱っております。
次に、ご質問の港湾緑地につきましては、現在整備中であります。平成十年度より植栽を開始し、周辺景観となじむよう整備を進めておりまして、平成十四年度の完成を目指しているところでございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 障害者の在宅福祉サービスについてお答えをいたします。
まず、ホームヘルプサービスにつきましては、実施主体である市町村に対し、障害者の要望に適切に対応できるよう、市町村主管課長会議等の機会をとらえ、事業の実施とヘルパーの確保等の提供体制の充実、また制度の周知につきましても働きかけてございます。あわせて、事業の実施に当たり、派遣時間の制限の撤廃や、特性や要望に応じた柔軟な対応についても指導しているところであります。また、必要な人員数を確保するため、平成十二年度から障害者ホームヘルパー養成研修を実施しております。
なお、全身性障害者介護人派遣事業につきましては、現行のホームヘルプサービス事業の中で対応することができますので、介護を必要とする方がみずから選んだ介護人を利用する登録制度とあわせ、市町村と検討してまいりたいと考えております。
次に、デイサービスにつきましては、在宅の重症心身障害児者の訓練、指導等を行う通園事業が県内三カ所で実施されております。この事業は医療のバックアップが必要なことから、今後の事業実施については、地域のニーズを踏まえ、適切な実施方法を検討してまいりたいと考えております。
次に、ショートステイにつきましては、身体障害者の場合は身体障害者施設だけでなく介護保険施設の利用も行われております。知的障害者及び障害児に対しましては十七施設で実施しており、専用床の整備を図ってまいりたいと考えております。また、特別養護老人ホームや医療機関の利用につきましては、身近な地域でより利用しやすくなるよう関係機関と協議をしてまいりたいと考えております。
次に、救急医療体制の充実についてのドクターヘリの導入についてであります。
厚生省は、日本新生プランの推進を図るため、ドクターヘリの導入や心筋梗塞、脳卒中の早期治療体制の整備等を平成十三年度の概算要求の主要施策として考えております。国におきましては、ドクターヘリ調査検討委員会を設置し、厚生省や自治省などの関係省庁により検討が行われたところであります。その有効性については、山間僻地を抱える本県においても、救急医療に精通した医師が現場により早く到着し、直ちに救命医療を開始し、高度な救急医療機関まで連続的に必要な医療を行うことにより救命率の向上や後遺症の軽減に大きな成果を上げることが期待されているところです。
しかし、ヘリコプターを活用するためには、現地での離発着場の確保や夜間の対応等、解決しなければならない課題もございます。県といたしましては、ドクターヘリ事業の導入に向けて今後諸課題についていろいろな角度から検討を加えるとともに、関係機関との協議を進めてまいりたいと考えております。
次に、心筋梗塞、脳卒中の早期治療体制の整備についてでありますが、本県には二カ所の救命救急センター及び八十カ所の二次救急医療機関があり、今後、国で制度化された段階において、地域の実情も含め検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 企業局長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○企業局長(辻 健君) 和歌山下津港の整備についてのご質問のうち、遊休地の感がある港湾用地や工業団地の空き地部分の今後の活用についての企業局関係分についてお答えいたします。
和歌山下津港におきまして企業局が所管する企業用地は、雑賀崎地区都市再開発用地及び西浜地区の水面貯木場埋立地でございますが、これらの用地につきましては、現在のところ港湾施設用地に転用することは考えてございません。なお、雑賀崎地区につきましては四〇%に当たる約十ヘクタールが、西浜地区では七二%に当たる約十五ヘクタールが未売却地となってございます。
雑賀崎地区につきましては、和歌山市内の住宅、工場が入りまざった、いわゆる住工混在地で操業する金属機械器具製造業の事業所の移転用地として企業に分譲しておりますが、現在この立地要件の再検討を行っているところでございます。
西浜地区につきましては、本年五月及び十月に、陸上貯木場及び倉庫・事務所用地等として、木材関連、港湾・流通関連業種向けに分譲を開始したところでございまして、引き続き分譲を進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十二番長坂隆司君。
○長坂隆司君 ご答弁いただきました。
まず和歌山下津港の整備について、北港沖地区の活用でありますが、もともと大水深がありますし、本港沖地区、すなわち雑賀崎沖埋め立て計画のための環境調査が当面凍結される中、やはり外貿機能を持たせることが必要ではないかと思われます。航路別に北港沖地区と西浜地区、そしてやがて本港沖地区と使い分けして、横浜港の大黒、本牧、そして山下の各埠頭のように、それぞれを湾岸道路でつなげていけば港湾機能が遺憾なく発揮されると思います。ぜひ北港沖地区にも外貿機能を追加していただきたいと要望します。
次に救急医療ですが、ドクターヘリについては国からラブコールを送っていただくこんないいチャンスはないのですから、ぜひドクターヘリ導入のための周辺整備、例えば、県内にできるだけ多くの臨時ヘリポートを設定し、地元の医療機関、消防、そして警察機関との協力関係を築き、あるいは受け入れ病院の空床状況を把握する情報センターとの連携を進める等の準備に至急お取り組みいただきたいと思います。まだまだ間に合います。
また、医大附属病院の救命救急センターも運営を開始したばかりですが、現状は医師の当直回数も多くなっております。まさに命の水際で、専門医の人員の確保は急務であります。まさかのことが起こらないように、センターの医療スタッフの増員は必要です。
ぜひ前向きに二点、ご検討いただくよう要望いたします。
終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十一分休憩
─────────────────────
午後一時二分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
一番新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 皆さん、こんにちは。
傍聴席は立錐の余地もない──と言いたいのですが、寂しい限りでございます。師走を迎えまして、何かと気ぜわしい毎日が続いております。今年も残り二十日となってまいりました。背筋を伸ばして正面から新世紀に向かって歩んでいきたい、そんなふうにも考えている昨今であります。
先日、友達から、知事がかわったら何か変わったかという質問を受けました。案外、皆さんもちょくちょくと受ける質問ではないかと思いますが、私はいつも言うんです。よくしゃべる、誕生日が僕に近い、それともう一つ、簡単な資料なんですが、両面コピーになったなという話をさせていただきます。家へ送られてくる資料、また議会でもらう資料、大変なメモ用紙に変貌しておるのですが、メモ用紙もこれで大分少なくなるのかな、庁内の紙も大分減るのかな、そんな思いをしております。
それを感じるときに、議会もペーパーレスということをもっともっと考えなくてはいかんのかな、そのようにも思います。必要な部分だけをプリントアウトして自分自身が使う、そんなふうになっていくべき時代なのかなとも思っております。
議長のお許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。──今までは質問ではありません。
先日、他の議員より二〇〇二FIFAワールドカップKorea/Japanキャンプ地の誘致に関して質問がございました。私も少し視点を変えて質問をしたいと思います。
この質問は知事並びに教育長にいたしますが、知事には日本サッカー協会に対して公認キャンプ地として立候補をした行政の長として、また教育長にはキャンプ誘致委員会の会長として、答弁をいただきたいと思います。
私は、この議場においてワールドカップに関する議論が行われることを大変うれしく思っております。もっともっといろんな議員からいろんな角度で質問があることもうれしいなと思っていますし、また、町のあちこちで、どこかのナショナルチームが和歌山へキャンプに来てくれたらいいのになと、そんな話題が広がることを心から思っている者の一人であります。そうすることによって、結果はともかく、多くの県民が一つの目標に向かって力を合わせていくことになり、ひいては人づくり、町づくりに結びついていくものと考えています。
世間ではIT、ITと騒がれておりますが、私はまず人ありきだと思っております。バーチャルの世界より現実の世界、人と人とが触れ合うこと、知恵をぶつけ合うこと、涙を流すこと、感動することなどが必要であります。スポーツとりわけ競技スポーツの世界には、それらの多くが含まれております。ワールドカップサッカーは、世界の競技スポーツの中でも最大のイベントであります。その世界の大会に和歌山も参画しようではありませんか。
そんな思いの中から、ボランティアで署名運動をしてくれる人たちがいます。サッカーを愛し、和歌山を愛する人々です。先月の末ぐらいから署名活動に入ったのでありますが、きょうまで十日ほど、ここに一万二千八百名の署名を託されました。(現物を示す)本当はこれを知事にこの場でお渡ししたいのですが、資料配付とかいろいろあるそうでございます。とりあえずここへ置いておきまして、知事には後でお渡しすることといたしたいと思います。
これは、和歌山へナショナルチームを呼んでくれ、誘致活動をしっかりやってくれ、そんな思いが込められたものだと私は自覚しております。その思いを知事はどう思っているのか。知事の口から県民の皆さんに、この署名活動に対する知事の素直な所見を賜りたいと思います。
次に、誘致委員会会長の教育長に対して質問をいたします。
今、世界各地で予選が始まったところであります。具体的な答弁は難しいものがあるかもしれませんが、今から受け入れ態勢の準備を進めなくては、何のために立候補したのかわからなくなります。聖域なき見直しの中で厳しさも必要でしょうし、紀三井寺競技場の芝も張りかえなくては条件に合いません。環境整備も大切ですが、一番大事なのは知事や教育長の気概ある行動だと考えております。
質問の一つ目は、八十四の行政が立候補しており、すべて日本サッカー協会から公認をされました。その中でナショナルチームを呼ぶには、どんな戦略、戦術をお考えか。
二つ目には、和歌山をキャンプ地にする相手国のメリット、すなわち和歌山の売りは何なのか。
三番目は、参加チームは三十二チームであります。このうち、日本と韓国が含まれておりますので、実質は三十チーム。日韓共催でありますから、韓国でキャンプを張るチームもあろうかと思います。そんなことを考えると、日本国内でキャンプを張るのは何カ国だと思っているのか。
以上、三点についてお答えください。
キャンプ地に決まれば、和歌山を世界に売り出すチャンスです。しかし、このチャンスをつかむのは並大抵のことではありません。費用も要ります。知恵も要ります。人脈も要ります。そして、汗をかかねば八十四の立候補地から選ばれることはないでしょう。和歌山は、人口的に見てサッカー人口が多いと聞きます。不可能を可能にする、そんな気持ちで誘致活動に取り組んでほしいと熱望いたします。
次に、建築設計に関することについて質問をいたします。
私は、設計についてはずぶの素人であります。議場の中には一級建築士の方もおられます。しかし、素人には素人なりの見方があると思って質問をするわけであります。プロの方、もし間違いがあれば教えてください。
まず、建物の設計というものに対する私の考えを述べます。設計とは、地域環境や利用内容を深く考え、基本設計、実施設計、そしてそれを裏づける構造計算などから成り立っており、技術力や機能、創意工夫、文化芸術的要素までも求められる高度な知的作業だと考えます。すぐれた建築物を建てるには、その基本となる設計が質のよいものでなくてはならず、その設計を忠実に具現化し、建物を完成していかねばなりません。その際、行き届いた工事監理が必要となります。もうすぐ六年がたとうとしている阪神・淡路大震災、JR新幹線のトンネル崩落事故、そんなものを考えるとき、設計監理の重大さを痛感しております。
そこで、質問です。
和歌山県では設計に関して入札制度を取り入れておりますが、設計というものに対して入札制度は合わないように私は感じております。なぜこの制度が取り入れられたのか、また現在建設省が進めているプロポーザル制度の導入についてどう考えているのか、お答えください。
二点目、建築士は設計をするだけでなく、工事の完成まで見届けたいものだと思います。しかし、現状では設計だけを入札し、監理は営繕課が担当する場合が多いと見受けます。万一欠陥建築物であった場合、事故責任など不明確な点もあり、設計をした者が工事完了まで監理をすればよりよい建築物ができ上がると考えますが、どのようにお考えですか。
三番目、設計監理に関して、報酬額の算出方法はどうなっているのか。建設省告示千二百六号の報酬額の算出や運用が十分なされていないように思うが、いかがでしょうか。
四番目、平成七年十二月、耐震改修促進に関する法律が施行されておりますが、その取り組み状況をお答えください。また、県有施設の耐震診断の進みぐあいはどうなっているのかも、あわせてお答えください。これは、避難場所などになっている小中学校や不特定多数の人々が入る病院、ホテル、デパートなど、公共性の高い建築物が気になるところでありますので、申し添えます。
以上が、質問であります。
最後に、公共の建築物の設計に関してはできる限り県内業者に発注していただくことを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ワールドカップサッカーキャンプの誘致に関してでございます。
これだけたくさんの署名、本当にたくさんの方のワールドカップのキャンプ場に和歌山がなってほしいという気持ちがひしひしと伝わってまいります。
この問題につきましては、私も、東京の方へ行って話を聞いたり、いろんな方に働きかけを行っているところで、もし有力チームが和歌山へ来るということになれば、ありとあらゆる報道関係とか取り巻きの人とか、いろんなことで大変な盛り上がりになるというふうに聞いております。そういうことでございますので、私も当初からこのワールドカップのキャンプ誘致については一生懸命やっていこうということで対応してきております。
ただ、ご案内のように、和歌山県は非常に財政状況が厳しいと。そういう中でそのことに余りたくさんお金を使うことになると、また逆に県民の方から批判を招くこともあり得るということもございますので、そこのバランスをうまく考えながら、もうとにかくありとあらゆる方策を使って、このワールドカップ、できるだけ有力なチームに和歌山県をキャンプ地に決めてもらえるように力いっぱい頑張っておりますし、これからも頑張っていきたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 建築設計に関して、順次、お答えいたします。
現在、県では、建築設計における業者選定は地方自治法の規定に基づき、競争入札によって行っております。その競争入札は、予算や工期等の制約があるため、工事の規模や技術力を勘案して指名競争入札方式を採用しております。
しかしながら、芸術性や創造性、文化性の求められる建築物につきましては、設計者のアイデアや技術力を生かすことが重要であり、今後はプロポーザル方式の導入も含め、価格以外の要素を取り入れた選定方式に取り組んでまいりたいと考えてございます。
次に、二点目の工事監理についてでございます。
県有施設の建設を担当している職員は、地方自治法に基づく監督命令を受け、契約の適正な履行を確保するために必要な監督業務を実施することが義務づけられております。工事監理業務は、この監督業務に含まれております。このため、県が発注する工事の大部分については監督員である職員が監督業務の中で監理業務を行っております。ただし、大規模な工事等、多数の技術者が要求される工事につきましては監理業務を分離して外部委託しております。
もとより、良好な公共建築物をつくるためには監督・監理業務を適正に行うことが重要であり、今後ともこの業務の充実に努力してまいります。
次に、報酬額の算出方法につきましては、建設省告示第千二百六号に準じて制定された建設省大臣官房官庁営繕部の設計料算定基準を採用しております。具体的には、概算工事費を基礎にして標準必要延べ日数を算出し、それに日額人件費を乗じた直接人件費に諸経費や技術経費を加算して設計監理業務費を算出しております。なお、建設省告示による業務費と県の業務費に差がございますが、それは設計事務所が設計に当たって各種の情報収集や条件設計をする際に県が技術的な資料等を提供しているためでございます。
次に、耐震診断の取り組み状況についてのご質問にお答えします。
阪神・淡路大震災を契機として、建築物の耐震対策は非常に重要であると認識しております。このため県では民間建築物の耐震対策の推進を図るよう、耐震診断費用の一部を補助する事業として和歌山県建築物耐震診断モデル事業を平成十年度より設けて実施しているところでございます。また公共建築物につきましても、市町村を含めた各施設管理者に対して耐震講習会を開催するとともに施設の実態調査を行い、耐震対策を実施するよう促すなどの指導を行っているところでございます。
今後とも、気持ちを新たにして広報啓発等を引き続き行い、県下の耐震対策をより一層推進するよう努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県有施設の耐震の取り組みについてでございます。
まず、県庁舎並びに警察施設におきましては、平成七年度から八年度にかけて耐震診断を行い、耐震改修の必要性を指摘されております。この耐震改修には多額の経費を必要とし、また長期間の工期を必要とするため、県庁舎等の建てかえも考慮に入れ、最も経済的で合理的な対応策を検討してまいりたいと考えております。
次に、県立学校におきましては、平成七年度より順次耐震調査を行い、調査済みのうち補強が必要な施設につきましては現在約五割の補強工事を完了しているところでございます。
防災の安全度をより高めることは重要でございまして、今後、未調査の県有施設につきましては耐震調査を行うよう検討してまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ワールドカップサッカーのキャンプ誘致についてであります。
本県にキャンプを誘致するに当たっては、本大会に出場する可能性が高い国に対して本県のすぐれた環境を紹介する資料の提供、本県と友好関係にある国との幅広い交渉、さらに各国の在外公館への働きかけなど、あらゆる可能性を追求して誘致活動に取り組む態勢をとっているところでございます。
次に、本県のセールスポイントについてでありますが、本県は関西国際空港から至近距離にあり、韓国や日本での試合会場となる十都市への移動に最適であること、集中してトレーニングができる練習会場及びリラックスできる宿泊施設など、キャンプ地としてすばらしい環境にあると確信いたしております。
最後に、日本でキャンプを行うと予想される国についてでありますが、日本の組織委員会では韓国より日本でのキャンプが多くなるのではないかと予想しており、本県の誘致委員会でも二十カ国程度は日本で大会前の中・長期キャンプを行うものではないかと考えております。このキャンプの誘致については既に多くの自治体も活発な働きかけを行っており、県といたしましても十分な情報収集活動を行いながら、おくれをとらないように、誘致委員会を中心に幅広く県民の皆様のご支援をいただきながら誘致実現へ向けて取り組んでまいります。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
一番新島 雄君。
○新島 雄君 まず、設計に関してであります。
今回、この質問の大きな意味といいますか、自分の思いというのは、和歌山からすばらしい設計士を育ててほしいというのがあります。部長の答弁の中に「大規模な工事」というくくりで表現されておるんですが、そうでなくても、都市計画や景観上十分注意したり配慮をしなきゃいけない建築物も多いと思うんです。
これは一例ですが、僕は随分前に紀の川河口の青岸橋とみなと大橋の質問をしたことがあります。別々の橋なんですが、本当は一体の橋なんですね。ところが、まず見た目の色が違う。あれは、一人の人がいろんな計画を立てて、あそこへ二つの橋をかけるというプランニングができておれば、和歌山のレインボーブリッジになり得る要素はあったと思うんです。それをプツン、プツンとやっているわけです。そういうことがちょくちょく見受けられるわけで、その辺で、今回こういう質問をさせていただいたんです。
ですから、入札制度というのは、入札そのものは値段が高いか安いかで決まるものなんです。それに設計というものが合うのかどうか。もっとほかの要素があるだろうと、どうも自分自身解せなかったもので、すばらしい設計をすることによって、橋でも景観上、和歌山の名所の一つになり得るんだということを言っていきたいわけなんです。
だから、その辺は、工事、設計、施工というような、行政の一体感もほしいなと思っております。これからも十分検討しながらいい方向に進めていただきたいと要望しておきます。
それから、ワールドカップについてであります。
知事、本当に知事の言葉でしゃべっていただいてうれしかったです。ありがとうございます。
ただ、私も申し上げたように、これは並大抵のことではないと思います。和歌山どうよ、おまえら本当にするんかいと言うかもしれません。その程度のことかもわかりません。でも、一たん手を挙げたんですから、やっぱり目いっぱいやっていきたい。
ボランティアの人は、汗をかくことをいといません。費用も必要だと思いますが、いろんな方法、知恵を出したら僕は可能だと思います。何も行政だけのお金を使うんじゃなしに、県民から、いろんなところから何らかの方法でやっていける知恵は出ると思いますので、前向きにご協力を、先頭に立って頑張っていただけたらと思います。
教育長、これから前を向いて進んでいく中で──日本サッカー協会も、立候補の受け付けは、行政かその地域のサッカー協会しか受け付けないわけですよね。となると、行政がやっぱりきちっと見据えて、どうすればいけるか──戦術、戦略を間違ったらあらぬ方向に行ってしまいますし、やっぱり八十四のうちの二十やというぐらいの気持ちでやってもらわないと大変だと思います。
ただ、あそこに署名──これは本当に十日間で集めていただきました。一日千二百を超える人に署名をいただいているわけです。彼らは一月末まで頑張ると言っています。どこまで頑張れるのかわからんですが、ワールドカップに対して思い入れを持っている人は本当に必死になって頑張ると思いますので、その思いを十分心にとめてやっていただけたらなと、そのように思っています。
以上、要望して、終わります。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新島雄君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十三番中山 豊君。
〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 「里山文化を豊かにする樹種の増殖について」から始めます。
ゆえあって三年前から、ある谷間の一番奥で耕作を放置されていた農地を借りて、水をため、苗代のようにして自然の回復を試みている者の一人であります。予想した以上の結果を見ることができて、自然は条件さえ整えば回復し、破壊さえしなければ保全できるとの確信を持つまでに至っているところであります。
まずは水生小動物、例えばゲンゴロウ、タイコウチ、ミズカマキリ、タガメなどが発生し、よみがえればと期待したところですが、ミズスマシ、アメンボやマツモムシは先陣を切って発生し、思いもしなかったトンボ類が後陣を争うがようにして発生し、飛翔し、産卵し、既に五十三のトンボの種を確認するところとなっています。五月、六月にかけて、ヤンマ類のふ化は見事なものであります。オニヤンマ、ギンヤンマ、カトリヤンマ、マルタンヤンマ、クロスジギンヤンマ等。ヤンマと言えばオニヤンマかギンヤンマかカトリヤンマぐらいのものでしたけれども、その種類に幾つもあることを知っていくのであります。
ところが、ふ化した後、羽が成熟し切らないうちに飛び立ち、不確かな飛び方で山の木の茂みに飛び込んでいく姿を見ることがあります。彼らは木の茂みの中で養成をし、成熟するのを待つのだと教えられました。田の面や谷川に沿うて飛翔している姿に魅せられた少年時代のあのオニヤンマになるまでには森が必要なのだとも教えられ、里山が彼らにとって絶対不可欠なものだということも教えられました。
なれば、山をつくろう。山をつくるには大樹が要る。大樹となれば、地方ではカヤの木を除いてないのではないかと思い立ち、カヤの種を拾って芽を出させ、苗をつくり植樹しようと思い立ち、カヤの実を拾い、二十人余りの人たちに五百粒ぐらいに分けて依頼をしましたけれども、一人として芽を出させたという報告はいまだに受けていないところであります。
そのとき、専門家集団としての林業センターに依頼し、林木育種場へも種を届けておきました。さすがのもので、林木育種場だけが発芽に成功し、過日、その後の生育ぶりをお聞きしたところです。彼らの言うのには、カヤは育ちにくく、一年に五センチないし十センチも伸びればいいところだ、こういうふうに申されるのです。まさに粘っこく根気の要る仕事であることを教えられました。
美里町は、高野山の領域にカヤの大きな木をよく見かけるわけですが、「カヤを植えるばか、カヤを切るばか」のことわざがあるほどに、難しい木であることは確かであります。しかも、孤高性の高い木である。さらに、群生をせずに点生をして存在するのもカヤの姿であります。
さらにもう一つ、ケンポナシという木があります。こういうものです。(現物を示す)年配の方たちはよく拾って食べた記憶がよみがえってくるんじゃないかと思います。これが、ケンポナシの果実であります。何か、もじゃもじゃっとしてこころ悪いという女性たちの評価ですが、これはおもしろい木で、花序という実の下で支えている枝が膨らんで実になります。これが食べられるわけですが、ナシの香りと味がします。種が、膨らんだ花序の先になっているわけです。後でまた見てください。議長のところに届けておきます。これも、群生をしないで点生をする珍しい木であります。
これが今日、少ないんです。昭和三十年代の中ごろまでは、これを数本束ねてざるに乗せ、ミカンやリンゴなどと一緒に町の果物店の店先に並べられていたこともありました。物の足りない時代に甘いものを補うものとして、貴重でよく食べたものです。五十代から上の方たちは大方覚えておられることではないかと思います。ちなみに、周りの人たちに聞いて回ったけれども、四十歳代以下の人たちはほとんど知らないと言ってもいいくらいの木だと思います。
人里離れた里山のすそにあって、季節が来ると拾っては食べて遊んで回ったものです。自然とのなれそめを殊のほか強めていく役割を持っていたケンポナシであります。霜が降るころになると一層甘味が増します。それ以前だと渋いなどと自然感覚を身につけていって、里山文化を形成する主要な存在となっていたことだけは事実であります。今では、私の知る限り、海南では三カ所にしかこれを見ることができません。
さらに、ムクロジというのがあります。(現物を示す)ムクロジとは「無患子」と書くようですね。余りなじみのない木だと思うんですが、幼少の時分に女の子は正月に羽根つきをしたが、羽根の下に黒い球があります。それがムクロジの実であります。我々が子供の時分には、男はビー玉のかわりにあの球を寺や神社の境内で当てっこをしてよく遊んだものであります。
これも、今日的には極めて希少であります。海南では別所の願成寺、有田へ越えていく峠の手前に有名な寺がありますが、そこの境内に一本あります。そして、美里町のセミナーハウスのある横に惣福寺という寺がありますが、そのお堂の前に一本、大きな木があります。それぞれ一本あるだけで、海南・海草地域には、僕の知る限りでは二本しかないですね。これも、テレビなどが普及していない時代の子供の遊び、すなわち羽根つきに欠かせないものであったし、男の子の当て合いをするビー玉のかわりをした、そういうものであります。子供文化を形成する主要な役割を担っていたと言っても過言ではないでしょう。
さらに、カリンというものがあります。(現物を示す)──手品じゃないですが。これを見せられても思い出せない人は、カリン酒という名前を聞いたら思い出すでしょう。カリン酒をつくる材料になる、大変いいにおいのするものです。
これは、ムクロジやケンポナシとはちょっと趣が違います。近年、海南では農家の庭先に植えられて、秋になると葉っぱが落ち、この実だけが枝先になって、秋の日差しに照らされてきれいな風景を醸し出すものです。
あるおっさんに、「おっちゃんとこのカリン、立派だね」とお話ししたことがあります。そしたら、「中山、これを一本庭先に植えておくのがええんやぞ」と教えられたわけです。「何でよ」と聞いたら、「これを一本植えて、朝な夕な玄関先にこれを眺めて、「借りんぞ、借りんぞ」と自分に言い聞かせるんだ」と。「カリン」を「借りない」という言葉になぞらえて、財をなすという心がけを醸成する、そういうふうなものを託された植物だというわけです。うそだと思ったら、一回田舎の方へ行って、ちょっと年寄りに聞いてみていただいたら。そのおっちゃんいわく、「これを植えて、朝な夕な「借りんぞ」と唱えていったら、見てみよ、おれとこの家のようにうだつの上がる家が建つんや」と。こういうふうに教えられたこともご紹介申し上げておきましょう。
このカリンは、ケンポナシやムクロジとは多少趣が違いますけれども、これも非常に里山文化を形成し、あれこれしていく一つであると私は思っているわけです。
翻って、「紀州木の国」と言われたところを見るに、杉やヒノキが増植され、すばらしい木材を生産して豊かな財をなしたところから「木の国」と呼ばれただけではなく、南紀熊野に向けて和歌山県の山は豊富な樹種に覆われ、あるいはその恵みが川や海に及び、漁業を盛んにしてきたところです。
ノーベル化学賞受賞の福井謙一教授は中学生のころ、和歌山県は有田で夏休みを遊んだとき、有田川の沖合で魚の大群がうねりをなして押し寄せてくる情景を見て驚き、それは何なのかと自然の原理に目を向けるようになったと書いている物の本を読んだことがあります。熊野体験博を求めて和歌山に来られた多くの人々の心の中に、人知れず熊野の山懐に包まれ、自然との共生感に満たされ、心をいやされるとしたのも、ここらあたりにあったのではないかと私は思っているわけです。
その山とは、やはり豊富な樹種に満たされることが不可欠であろう。長い年月の間に、しかもその木それ自身の繁殖力の弱いことなどもあって、人の力をかりなければ増殖し得ない木がある。それらの木が殊のほか里山文化形成に重要な役割を担っていることを考えるにつけ、文明の発達につれて民俗性の薫り高い里山文化を再生し保持していくため、考えを及ぼしてやりたいものだと思っているわけです。
そのためには、さきに述べた林業センターにさらなる支援を送り、これら樹種の増殖に力を入れていくように取り組みをお願いしたいところであります。これらは、ナラやクヌギのようにみずから増殖する繁殖力を持たない木であります。それだけに、人の力を携えて増殖していくというこういうふうな営みは、我々人間が果たさなくちゃならない務めではないかとも思ったりするわけです。
農林水産部長の所見をお伺いして、終わりたいと思います。
次に、IT社会についてであります。
既に冒頭に小川武議員、そしてきょう一番最初に森議員が、ITの問題にも触れて質問に立たれました。また、その間にも何人か立たれました。しかし、ちょっと趣を変えたところもあろうかと思うので、重なる部分はさておいて、ご質問をさせていただきましょう。
本会議での知事の冒頭説明を受けてから、急に身の回りでITの話が出るようになりました。「ITって何ですか、中山さん」というふうに言われるんです。「IT革命で世の中はどうなっていくんですか」と、ちょっと進んだところではそういうふうに投げかけてくれるんですね。ひどいのになると「ITって食べられるんかい。おいしいんかい」と、こういうふうなことも言われたりすることがあります。ITは私たちにどんなかかわりがあるのかということが、極めて県民の間の関心事となっていることだけは事実であります。
議会を通じてそのような県民に、ITとは何なのか、IT社会は将来にわたって我々の生活にどんなかかわりがあるのか、こういうことが詳しく伝えられて理解していただけるような場にしていただければありがたいなというふうにも思って、あえて質問するところであります。
せんだって、建設省近畿地建の和歌山工事事務所と我が党の地方議員団が交渉する機会がありました。その場で、由良町の川出町会議員が国道四十二号線の舗装及び段差解消を求めたことについて、IT関連の光ファイバー埋設工事に伴い、その際に道路の補修を解決したいとお答えがありました。また今議会で、IT関連事業としてパソコン購入費、補助金などの予算が計上されているわけであります。まさに急速な勢いで進んでいるのが、きょうこのごろのITの問題であります。
沖縄のサミットの後から、森首相の日本新生プランの提唱や各省庁からIT化を掲げたいろいろなプランが打ち上げられているわけであります。郵政省は電子マネーを二年後にも導入することで銀行協会と大筋で合意したとか、あるいは建設省や運輸省などは道路や下水道、港湾に光ファイバーを敷設する計画を進めるとか、労働省は職業訓練でパソコン講習などの情報技術修得、厚生省は光ファイバーを利用して遠隔医療システムを計画するとか、農水省も農村光ファイバー網の敷設を言っているとか、いろいろなお話があるわけであります。こうした事態について、従来型の公共事業の見直しというかけ声のもと、新たな利権や公共事業をつくるだけとの声が出されている状況でもあるわけであります。
ITの進歩の成果を国民の生活向上に役立たせることは、政治の姿勢に大きく関係する問題と考えるところであります。ある国の首相は「イット革命」と言ったりして、世論の笑いの種にされるというようなこともありました。そんなのんきなことを言っておれないほどに進んでいっているようであります。
国会でIT基本法が成立し、来年一月六日施行となっているようであります。議会に身を置く身であるだけに、多くの皆さんから尋ねられ心配もされていることには、答えなければなりません。知事は二十一世紀に若者や高齢者を初めすべての県民がIT社会に対応できるように全力で取り組んでまいりたいと申されているけれども、ITを県民生活の向上に役立たせる立場から、幾つかお尋ね申し上げてまいりましょう。
IT──これ、必ず「(情報通信技術)」というのが挿入されていますね。「インフォメーション・テクノロジー」と言われたら、さらにわからない。すなわち、IT革命に対応し、いわゆるディジタルデバイド(情報格差)の解消に努めることが重要だと申されていましたが、これを進めるに必要な社会背景について説かれないでおいて、世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会構造の変化に的確に対応することの緊急性だけではわかってもらえないのではないかとも思ったりするわけです。基本法にも記されているし、知事の説明にもありました。現状では、情報格差がますます広がり、急激な進展についていけない、置いていかれる多くの人が生まれるのではないか、危惧するところであります。
特に、高齢者、障害者については気になるところですけれども、県として情報格差の解消をどのように進めていくのか、県民すべてが新しい技術の恩恵に浴することができるようにどんな対策を考えているのか、冒頭に質問をされたとしてご紹介申し上げた程度の多くの県民の皆さんによくわかるようにご説明していただければありがたいと思います。
二つ目に、インターネットを活用し、ホームページに接続し、あらゆる情報を受け入れ、発信できるようにすることが新しい時代潮流に沿えるようになるとのことだけれども、その時代潮流だけが次世代の流れとしないとする者まで巻き込んでいかれることになるわけであります。この動きを見ていると、例えば、適当な表現とは言えないかもしれませんけれども、一億総動員で軍国主義、侵略戦争に巻き込まれていったあの時代のことを、ふっと思ったりするようなことがあるわけです。IT革命で将来の繁栄を実現するために耐えなければならないの感なしとしないのであるが、IT革命によって新しい雇用が生まれることも期待されます。ところが、これ以上に雇用を失う人が多いのが実態ではないでしょうか。社会の変革期に起こることだから仕方がないというふうな言い回しで済まされる問題ではなかろうと思われるわけです。県としてこの問題にどう対応されるのか、重ねてお聞きしておきたいと思います。
三つ目には、パソコン技術の活用で障害者の活動範囲や知識を飛躍的に拡大できる力を発揮している例があると聞きます。ゆうべもNHKテレビで、アメリカの社会で障害者がこのITの関係で随分と社会参加が促進されているようなお話を伺うことができました。しかし、障害者自身にその活用を求めていくのは、多くの人にとって大変大きな困難が伴う。障害者の皆さんへのIT支援は行政の責任で進める必要があると考えるけれども、そのための人材育成や体制が必要であるわけであります。県の考えと準備のほどをお聞きしたいわけであります。
このことに大変詳しいとされる、ある人の書いたものを読みました。結論的に申し上げますと、一つは、障害者各人への継続性が必要だということと、お金がかかり過ぎるということと、ボランティアは最終的な責任がないということを言われておって、だから行政が責任を持って取り組まなくてはならないことなのだと結論づけたものを読みました。そういう立場からも、IT支援は行政の責任で進めるということについて、県のお考えをお聞きしたいと思います。
ITについては、以上で終わります。
次に、海南市の上水道問題にかかわって、幾つかお尋ねをしたいと思います。
海南市の上水道のそもそもを語れば、長く複雑な面がありますけれども、事業開始当初、地下水に水源を求めていた海南市の水道水源が、工場等の地下水くみ上げ水量の増加や、決定的には、昭和二十一年の南海道大震災の地盤沈下による塩水の混入が決定的な要因となりました。
昭和三十一年、県により海南市への工業用水供給の計画が策定されて、生活用水もあわせて実施することになり、昭和三十二年に認可を受けて昭和三十四年七月に給水が開始され、これにより海南市民の上水道が安定的に供給されることになりました。当時、海南市民の上水道への心配は解消されたということになっていたわけであります。
その後、県北部臨海工業地帯開発が計画されるにつけ、県営紀の川第二工業用水道事業が興され、昭和四十六年度以降、紀の川第一工業用水道は、海南市の上水需要の増加にこたえて全量海南市上水道への給水となって現在に至っているわけであります。
この間、工業用水として水利権を設定されている水が上水道に供給されていることなどから、建設省や厚生省から不正常な状態を早く改善せよとの指導を受け、昭和五十年四月、まず県営紀の川工業用水道管理であった室山浄水場が海南市へ移管されておるわけであります。その後、海南市民の生活の根源となる上水道の問題については、県市の間で協議が続けられてきているところであります。
しかしながら、現在、紀の川大堰の建設による水位低下に対応した既設取水口の変更の必要に直面しているほか、海南市の市民生活用水の需要増加への対応、海南市郊外地域における水道未給水地域への供給確保など、今後の海南市民に対する上水道の安定確保を図るためには、新規水源の確保を求め、安定的、恒久的水源の確保に早急に取り組まなければならない状況に立ち至っているわけであります。
そこで、まず一つに、昭和四十六年度以降、紀の川第一工業用水道は海南市の上水道需要のみに充てられるようになってから、さまざまな法や制度の改正があったにせよ、今日までの姿は不正常な状態にあると言わざるを得ないわけであります。県の工業用水の水利権を移管することと同時に、海南市が上水の水利権を取得することが正常化のかなめであろうと考えるところであります。
そこで、現状の海南市の取水量はこれで満たされるところから、現在、これを正常な状態にしたいとの取り組みが県、海南市双方において努力されているところと聞いているけれども、今後の取り組みについてお聞きしたいわけであります。
さらに、紀の川大堰建設とのかかわり合いで取水口の位置の変更を余儀なくされていることなどに触れても、つけ加えて現状をお知らせください。
二つ目には、海南市は未給水地区に対して給水を実施したいとの考えを永年持ち続けているところです。この問題解決のためにも新しい水源の確保が何よりも肝要であります。給水地域拡大のための新規水源確保についての県の見通し、さらに支援などについてお伺いして、私の第一問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) IT社会についてのご質問でございます。
インターネットを活用して利便性の高いサービスの提供を受けることが可能となり、私たちの生活はより豊かになり、経済の活性化が図られるものと認識をいたしております。県では、こうしたITの活用による恩恵を享受できない県民ができる限り生じないよう、すべての県民がパソコンやインターネットに親しみ、活用能力を高める機会を設けるなど、情報格差の解消を図ってまいります。
また、IT革命に伴う雇用問題についてですが、産業分野におけるIT化の急速な進展の中でIT対応能力はあらゆる職種の職業能力の前提となりつつあり、雇用不安にさらされている労働者や離転職者が情報技術を取得することが重要であると考えております。このため、県といたしましては、在職者のIT職業能力訓練を行う事業主に対し支援をするとともに、離転職者の再就職に資するための情報技術取得訓練を、国の施策等も活用しながら積極的に展開してまいりたいと考えております。
さらに、障害者の方に対するIT支援についてですが、障害のある方にとって今日のIT基礎技能を取得することは、社会参加の促進や情報のバリアから解放されるために大変重要であると認識しております。このためにも、障害のある方を対象としたIT講習会の開催や研修会への参加促進を初め、あらゆる機会をとらえて障害のある方のIT技能の習得、向上のために取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 農林水産部長島本隆生君。
〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 里山文化を豊かにする樹種の増殖についてでございます。
人里近くに広がるいわゆる里山林の多くは、生活様式の変化の中で利用がなされず放置される傾向にございましたが、最近では、生活環境の保全や森林との触れ合いの場の提供など、身近な自然としてその役割が見直されているところでございます。
議員お話しの、かつては暮らしと深くかかわってきた里山のカヤやケンポナシ等の樹種を見ることが少なくなっていることも事実でございまして、こうした樹種を増殖していくことは里山林の再生や多様な森林を整備する上で重要なことと考えてございます。
現在、林業センター林木育種場では七十二種類の広葉樹を育成しておりまして、昨年度はこのうち二十六種類の苗木の増殖をするとともに、県民の皆様へも配布を行ったところでございます。
今後とも、林木育種場での広葉樹等の苗木の増殖になお一層取り組んでまいりますとともに、環境や教育など、他の分野とも連携を深め、ボランティア参加のかしの木バンクの森づくりなどの推進により、里山林を初めとした森林と触れ合える機会の創出を図り、里山文化の高揚に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 海南市の上水道移管についてのうち、給水地域拡大への水源確保の項についてお答えいたします。
海南市の水道の整序化につきましては、現在関係部局が連携して取り組んでいるところですが、お尋ねの海南市水道の新規水源確保につきましては、現状の整序化を前提としまして、海南市が大滝ダムにダム使用権を確保することで、海南市や建設省等の関係機関との協議を進めているところでございます。
引き続き関係部局と連携し、取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上です。
○副議長(尾崎要二君) 企業局長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○企業局長(辻 健君) 海南市の上水道移管についてのご質問のうち、一点目の施設移管等についてお答えいたします。
紀の川第一工業用水道施設の海南市への移管につきましては、議員お話しのように、使用目的に合った工業用水道事業法に基づく適正化のため、従前より海南市に移管の申し入れを行ってきたところでございます。しかしながら、移管後の送水管工事等に多額の投資が必要であることなどから、移管に至ってございません。
今後とも、水利権の問題も含め、関係機関と連携を図りながら、早期に移管できるよう努めてまいりたいと考えてございます。
なお、紀の川大堰建設に伴う現在の取水口の変更につきましては、建設省からの具体的な話は今のところ参ってございません。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十三番中山 豊君。
○中山 豊君 幾つか要望を申し上げて、第二問を終わりたいと思うんですが。
まず一つは、里山文化を豊かにする樹種の増殖についてであります。
部長からご答弁いただきました。ご答弁の中に、かしの木バンクの森づくり等というお話もあったわけですが、カシの木やナラやクヌギのように増殖力の非常に旺盛な木とはまた別に、先ほど申し述べましたけれども、ケンポナシとかムクロジとかカヤとか、みずから増殖する発芽力や増殖力の弱いこういう木は人的な援助を与えないとふえない。こういう樹種にこそ行政の光を当てて、人の力で里山文化、里山を豊かにしていく取り組みこそが行政の果たす役割ではないかと思うわけです。
そういうふうな観点で見ると、林木育種場の果たす役割は極めて大きなものがあると思います。だって、先ほども申し上げましたように、カヤなんていうのは人の力であれこれまいたって出てこないんです。言うたように、二十何人かに五百粒ずつ分けて植えてもらったとしても、一人として芽が出たよと言うてくれる人がないくらいに難しい。ただ一つ林木育種場だけが発芽に成功して、すくすくと伸びているのかなと思ったら、なかなか育たない。一年間に五センチも伸びればいいほどだという、こういうお話であります。
県庁のこの筋に詳しい人たちに聞いてみたら、カヤというのは、もともと大樹の下に隠れて芽が出て、そして何十年もその下で耐えて幼木の時代は過ぎていく、だから主幹となる芽が上へ出てこない、伸びるのは横に伸びる枝だけだというふうな話です。それにつけ加えて林木育種場の人たちのお話とあわせて考えてみたら、全く一緒なんです。
僕が五、六本、うちで苗を育てているわけですが、これとても同じで、主幹となる、上に伸びる芽は出てこない。横に伸びる枝は盛んに伸びるけれども、全く同じような現象です。上にかぶさっている大樹が倒れ、太陽の光線が当たるようになったとき、一遍に勢いよく伸びる性状を持ち備えている、そのために今耐えて横に伸びる枝しか伸びないのだと、こういうお話もありました。
「大器晩成」というのはここから来たんやというふうに言われるわけです。幼少の時代に耐えて晩年になってから大きく育ち上がっていくという言葉であるけれども、あれは大きく長持ちのする木に育ち上がっていくカヤを例えた言葉やとさえ教えられるような話です。
こういう役割を林木育種場にしていただいて、より多くの県民の皆さんに、里山文化が人間とのかかわり、触れ合いの中で、より豊かに育ち上がっていけるような取り組みを、まずひとつお願い申し上げておきたいと思います。それが一点です。
二つ目は、ITの問題です。
知事のご答弁にありましたように、生活はより豊かになり、経済の活性化が図られるのではないかと考えていると。こればかりが表に出てきて、こればっかりかいなと。考えてみたらそうでもないのと違うかという側面も必ずあるはずだとして──ちょっとひん曲がっているのか知らんけれども、そういうところをやっぱり眺めてみたくなるわけです。だって、我々はそういう人生体験を積み重ねてきているわけです。政治や国が旗を振って、ここだここだというふうにして進んでいって、これしかないなどと言われてついて行ったあげくの果てに何があったかということは、過去にも大きな体験をしてきているわけです。
だから、これがいいんだ、これが次の社会だというふうなことばかり言われないで、心配になるあたりも少し県民に知らせながら、心してこれに取り組んでいけるようなお取り組みが要るのではないかということをまず申し上げたいわけです。経済の活性化が図られ、社会や生活は豊かになるんやという一面だけ強調し過ぎて──し過ぎることはないなどというようなことではないんじゃないかと申し上げておきたいと思います。
その次にお願い申し上げておきたいのは、これはきのうもある人にちょっと聞いたんですが、パソコンを目の前に始終あれこれしていると、放射される何かの物質によって障害を引き起こすこともありかねないというふうにして、「中山、考えておく方がいいぞ」と言われたことがあった。実は、自分にかかわっている子供が、テレビゲームに夢中になってあれこれしているうちにこんなになったんや、医大へ連れて行って医大の医者に診てもらったら、処方する方法はないなどと言われて、薬さえ与えてもらえなかったということです。その子供にあれこれかかわって、一応障害は取り除いて心配はなくなるよう回復させることができたけれども、あれはきっと何かあるはずではないかというふうに、そのことを通じて教えてくれる人がありました。そういうふうな側面からも一度考察していいのではないかということも申し上げておきたいと思います。
三つ目は、水道移管の問題です。
施設移管の問題と水源確保の問題が今後解決されていって初めて、この問題が正常化されていくのではないかと思われますので、当局の皆さんには大変ご心労を煩わすことになるわけですけれども、殊に海南市民の水の問題であります。お力添えをいただけるよう切にお願い申して、要望といたします。終わります。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時十六分散会