平成12年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十八番玉置公良君。
〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。県議会議員にならせてもらって第一日目に登壇すること、初めてでございます。議会運営委員長にお礼を申し上げます。
それでは、早速質問に入りたいと思います。
まず最初に、二十一世紀の和歌山県政の進路について質問してまいります。
二十一世紀は、積極的に和歌山県のよさを全国にPRし、県民一人一人が知恵を出し合って、自分たちに必要な経費をみずから生み出すことを求められている時代だと思います。国に依存することが難しい今日の状況では、知事みずからが県民の先頭に立って知恵を出し、豊かな創造力を駆使して、和歌山県内に蓄積されている資材や人材、生き抜くためのノウハウを持ち、レベルアップをすることが必要ではないでしょうか。それは、かつてのような国からの交付税、補助金によって財源を賄うのではなくて、和歌山県自身の創造と努力によってそれをなし遂げる。それが二十一世紀の和歌山県の県政の進路であると私は思います。
本県は、幸いに世界遺産に指定されるほどの豊かな自然に恵まれています。環境時代の二十一世紀──世界の人々が地球人として強く求めているのは地球自身が太古に創造した大自然のたたずまいであり、これが地球を救うのであります。我が県は幸いにしてこの立地条件を持っており、最大限に生かしながら県民一人一人の知恵と創造、工夫を凝らし、二十一世紀にふさわしいビジョンをつくり上げ、グランドデザインを描くことであります。
私は、二十一世紀の早い時期に和歌山県が、どちらかといえば所得水準の低い部類の一つの県として甘んずることなく、例えば江戸時代の幕藩制度のように、小さな独立国としてたくましく生き抜くことを夢見ています。そして、独立国になって、時には海外に雄飛し、世界各地と交流を深め、企業とビジネス関係を広めていく。そんな時代が遠からず訪れると信じています。
この新しい試みにより、我が県に地球規模の新しい文化が生まれるとともに、財政面では、まず自分たちの努力の度合いに応じた財源が確保され、地球規模の寄附、市民の参加、ボランティア活動、観光客の来県等により思わぬ形で財源が生まれ、和歌山県が日本の小さな県であることから脱皮して「世界の和歌山」と言われるようになるでしょう。それと同時に、人材の交流と物資の交流によって、我が県に地球規模の新しい文化が生まれることさえ期待されると思います。国も、二十一世紀には中央省庁が再編成をされ、変わるという節目の中で、二十一世紀を間近に控えた二十世紀最後の議会で私の考え方を述べ、知事の所見をお伺いしたいと思います。
まず第一に、二十一世紀の県政の進む方向は、大きく分けて次のような流れになると考えています。まず最初に、和歌山県をよくするための事業とは何なのか、中止または廃止する事業にどういうものがあるか、その優先順位を決める知恵をまず出し合うことであります。その次の段階では、勇断果敢に事業を中止または廃止へ踏み出すための内部改革と役人の意識改革を断行することです。いや、単に役人のみならず、私たち議員が県民に率先して今からでも始めるべきであります。そして今度は、県が財を生む事業を始める。その次には、県が国を相手に、世界を相手に交易を始める。知事、いかがでしょうか。
続いて、二十一世紀の知事と議会、市町村長との関係についてであります。
今まで二十世紀は、県議や市町村長が知事にお願いをし、知事は国から財源を確保して市町村に配分する時代でありました。しかし二十一世紀は、こういうお願いだけの陳情はなくなる時代であると思います。まず、地域住民と議員や首長が一緒になって、その地域をどうするか、どうしたらいいかの議論をもとにしてその未来像を描き、その道筋を考えていく必要があります。私たちはこういうふうにしたい、そのために知事はどういう協力ができるのかと、そういう時代であると思います。知事は、地元の市町村が仕事がしやすいように、お金の支援のかわりに県の規制を緩めたり、あるいは全廃をしたりする、そして、県に集約された事業のノウハウを私たちに利用させてください、あいている県有地を安く使わせてください、また有能な役人を私たちの地方自治体に安いコストで派遣をしてください、私たちは事業が軌道に乗り、財源が生み出された段階で県に税金を納めますと、いわゆる上納金を納めるという時代になりつつあるのではないでしょうか。
このように、市町村ごとにそれぞれの立場で知恵を出し、事業を立ち上がらせることにより、市町村の住民はもとより、それが県民全体への幸せにもつながる一石二鳥、一石三鳥の生き方を貫く時代であると思います。つまり、知事が何をしてくれるのかという時代は終わりであります。知恵やアイデアをたくさん持っている市町村だけが頼もしい自治体だということになるのではないでしょうか。
今までの首長や議員は、自活力のない陳情が主であったと思います。二十一世紀には、国が県に、今まで聖域であった公共事業をばっさりと切ってくる時代であり、県や市町村は自主財源でやりなさいということであります。言いかえれば、県下の中で各自治体が生き残りをかけた熾烈な戦いを展開することになり、地方自治体の優劣が出てくる時代でもあります。国と県との関係で言えば、主役が県、わき役が国になる時代、県と市町村で言えば、主役が市町村、わき役が県となるのが二十一世紀であると私は思います。知事、いかがでしょうか。知事の所見をお伺いします。
続いて、知事の政治姿勢と内部改革についてお伺いします。
知事の県政は、こんなふうに変わるのではないでしょうか。知事は、何年後に何と何をしますという青写真を県民に提示して、次の選挙までに県民の採点を仰ぐ。我々議員も選挙の公約を掲げ、その公約を有権者に示し、一年目には何割、二年目には何割を達成するというスローガンを掲げ、次の選挙のときにこの公約がどのくらい実現できたか有権者に採点してもらう必要があります。いわゆる、行政評価採点表であります。また県職員においても、目標設定をしないで過ごすことは、県民一丸となって県の浮沈を支える趣旨から言っても許されるべきことではないと思います。
二十一世紀には、県の優秀な役人が他府県にトレードされる、または一時的に派遣される、いわゆる県境を越えた役人の頭脳流出が、日本と外国との間だけではなくて、隣県の間でも日常茶飯事に行われるのが当たり前の時代になると思います。その意味でも、県の職員も住民の勤務評定を受けると同時に、日ごろからみずからも磨き、住民の心にかなうよう切磋琢磨しなければならないと思います。知事のご所見をお伺いします。
続いて、「財政難」という言葉の中で事業の凍結、カットが打ち出されていますが、知事として事業を切る優先順位、カットをする基準、何を基準として考えているのかがはっきり見えてきません。今までならば、豊富な財源を背景にいろいろな事業の展開が可能でしたが、これからは非常に財政も緊迫してきて、一銭のお金もむだにできない。しかし、そういうときにこそ、県民の協力を得るためにも皆さんが納得のいく基準を考えることが大事であると思います。知事の考え方をお伺いします。
来春、知事のご出身の大阪において、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンがオープンします。そのユニバーサルと和歌山県の観光をつなげることにより、より大きな県益が、大阪、和歌山のみならず近畿全体に及ぶ可能性が秘められています。例えば、一番進化したユニバーサルを見て、人間に大切な心の問題を、世界遺産に指定されるよう訴えている高野・熊野で体験をし、日本の景観のすばらしさに胸を打たれて、そして火山国日本の温泉に浸る。つまり、目で楽しむもの、家族で楽しむもの、いやしもある。自然の景観もある。人間にとって不可欠な自然の恵みというものが、全部ある。先端技術を駆使し、アジア最大のエンターテインメントを目指す、いわばアミューズメント構想であります。これは、大阪と和歌山を結ぶ、関西圏に背骨が通る壮大なものでありながら、自然のたたずまいをそのまま生かそうとするため、少ない財源で済みます。いわば、小さい投資で最大の効果を上げる利点があります。
知事、ユニバーサルと南紀の自然体験、地球体験──「人生の一週間コース」という名称でございますけれども、いかがでしょうか。
今議会でも、知事の重点施策としてIT総合センターなど、すべての県民がIT社会に対応できるよう全力で取り組むという所信演説がありましたが、その具体的な取り組み、いわゆるソフト面をどう考えていくか、そのことが大事であると思います。
労働力でない専業主婦や子供も入った百七万人の全員が、新しい和歌山県づくりに参加をする。二十一世紀の新しい和歌山県をつくり直す。それは、県民みんなが助け合い、知恵を出し合い、それぞれの世代に合った手法でもって参画するのはどうだろうか。
例えば、子供たちが学校で取り組んでいるインターネットを駆使して我がふるさとのPRをし、他府県の子供たちと情報を交換することによって和歌山県の見どころを広くPRする。「和歌山県の誇り、僕達のふるさと紹介・発信「インターネット子供観光局」」を開始したらどうだろうか。世界や日本全国の子供や大人に、和歌山の観光、ふるさと自慢を発信する。こうした形でコストをかけないで、情報の交換も、大人社会では気づかなかった隠れた武器を使うというのはどうだろうか。そして、年間を通じて子供たちのアイデアに県が知事賞などをつくり、評価をする。そのことによって子供たちが自分たちのふるさとを再発見することにもつながると思います。
インターネットの教育効果や実践効果が上がり、子供たちのアイデアが多く出され、生かされる、世界遺産にふさわしいふるさとづくりが生きてくる、県民こぞって一人一人が責任と応分の力を発揮しながら県づくりをする。それが和歌山県の県づくり、つまり知事が言っている県民参加、県民自治であると私は思います。
観光とインターネットの活用方法について、今私が提言をしてきたものは三つの発想に集約されます。その一つ目は和歌山が世界への発信基地、集約地であるという発想、二つ目は世界遺産、地球環境を守るという視点、三つ目は県が財を生んで県民が幸せになる、一石二鳥、一石三鳥の夢を持った施策発想であります。初めは奇想天外の夢みたいなものでいいと思います。詰めていくと、必ずしも夢でないことがわかってもらえる。実現性のあるものになる。
木村知事、私たちの行く末に夢があり、その実現の可能性が、時代が感覚的にわかるような気がするからこそ県民の協力が得られるのだと私は思います。夢が先端にあるからみんなを動かすのであると思います。
以上、提言をさせていただきましたが、この提言について知事の考え方をお伺いして、二十一世紀の和歌山県政の進路についての質問を終わります。
続きまして、南紀白浜空港における用地買収について質問してまいります。
高野・熊野の世界遺産登録運動が展開をされ、その実現への可能性が大きくなっている中で、世界から数多くの人々がこの南紀を訪れてくれる期待が広がっております。そして、世界から来る人々の玄関口として、その中心をなす南紀白浜空港にしていくために、国際チャーター便の受け入れ体制づくりも県の重点課題として政府予算要望にも盛り込まれているところであります。そうした二十一世紀に夢と期待が膨らむ南紀白浜空港に、去る十一月三十日付の毎日新聞夕刊並びに十二月二日付の「紀伊民報」に、用地買収についての記事が取り上げられ、大きく報道されました。多くの県民が心配と注目をしているところであります。
私は、この問題について、早急に県としてきちっと県民に事実の経過を明らかにしていくことが世界遺産にふさわしい南紀白浜空港及び県行政への信頼を取り戻すことにつながるとの観点から質問をしてまいります。
報道の趣旨は、平成八年三月、南紀白浜空港は一千八百メートルの新滑走路を開港しました。同年末には百六十人乗りのジェット機も離発着できる二千メートルの滑走路が国の計画に組み入れられ、平成十二年九月に開港しました。この新しい滑走路が二千メートルに延長された事業で、和歌山県が平成十年に、延長部分にあった大阪の開発会社所有の山林を、バブル全盛時だった十年前の実勢価格より一平方メートル当たり約一千円上回る一・五倍の高値で買収されていたというものであります。また、この山林は、白浜町が平成二年に空港用地として先行取得した翌月に地元の不動産会社に転売、さらに同社が買収直後に大阪の開発業者に売却するという、極めて不明朗な経過をたどっていた。開発会社は、地元大阪の農協からの借入金約三十五億円の返済が滞っており、事実上、県が返済の便宜を図った形となった。開発会社社長らは、この融資──農協からの借入金──の一部をめぐる背任罪などで起訴をされ、大阪地裁で現在公判中であると報道されております。
私自身も、この報道後、この問題について独自の調査を行ってきました。そこで、次の五点について質問してまいりますので、県当局の見解を求めたいと思います。
まず第一点目は、滑走路の延長は一九八五年ごろのジェット化計画のときからあったものではないのか。少なくとも平成二年の用地買収のときには計画がわかっていたと思うが、どうか。問題の土地は、最初から計画の中に入っていなかったのかどうか。国の補助事業の中には入っていないと聞いている。そうだとすると、問題の土地は初めから不必要だったのではないか。
第二点目は、不明朗な土地取引を県が見逃してきた責任はないのか。問題の土地は、たった二カ月の間で平成二年四月九日に近鉄から白浜町に売買、同年四月十九日には地元の不動産会社へ土地の等価交換、同年五月三十一日には大阪の開発業者に売買されている。わずか二カ月の間に三者に売買をされている。それも、行政がかかわっている。白浜町は、なぜ滑走路近くの土地を等価交換の場所に選んだのか、また県はそれを知っていながらどんな指導をされたのか、お聞かせ願いたい。
第三点目は、平成二年五月三十一日に地元の不動産業者から大阪の開発会社に売買されているが、国土法の届け出が必要である。県の指導及び指導金額を明らかにされたい。
第四点目は、平成十年三月、大阪の開発業者から買ったバブル時の約一・五倍の、一平方メートル三千五百円から四千五百円になった。その根拠として、不動産鑑定士の鑑定に基づいて算出をした適正価格だったとの新聞報道での県の担当者のコメントがあるが、その内容を具体的に明らかにされたい。その鑑定方法に問題はなかったのか。その金額は妥当なものだったのか。県は用地買収の際に落ち度がなかったのか。特定の介在人に便宜が払われていなかったのか。県の立木補償についても、内規で明らかにできないとされているが、その根拠を議会の場で明らかにされたい。
最後の第五点目は、十二月六日付の毎日新聞の報道で、「本来なら開発会社が行うべき担保権の解除手続きを肩代わりした」などとありますが、県はこうした用地買収に伴う債権者との交渉をすべて肩がわりして行ってきたのか。その事実経過及びその行為についての是非を明らかにされたい。
以上五点について当局の答弁を求めて、私の質問を終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 二十一世紀の和歌山県政の進路についてでございます。
二十一世紀の県政の進む方向につきましては、私も玉置議員と同じ考え方でございます。現時のIT革命に代表される激しい変化の中で時代の潮流を的確に見きわめ、これにマッチした新しい発想で思い切った政策の転換を図ることが重要であると考えております。
二十一世紀の本県の発展に向け、今のうちに県財政の再建のため、聖域なき行財政改革や県民参加の推進など、県庁自身がより開かれたものになる県政改革に取り組んでまいりたいと考えております。
また、高齢者を初め、だれもが安心して暮らせる社会の構築や本県の豊かな自然環境を生かした「いやし」をキーワードに情報発信を行うなど、都市との交流を推進することや、ITを活用した産業の活性化、ベンチャー企業の育成等による県経済の構造改革に取り組み、自立型経済に転換していくことが重要であると考えております。私は、県民の皆様にとって安心で活力みなぎる新しい和歌山の創造を目指し、県政を推進してまいりたいと考えております。
次に、県知事と議会、市町村長との関係ということに関するご質問でございます。
新しい時代における地域づくりを考えるとき、それぞれの地域が住民の積極的な参加のもとで、個性豊かで愛着と誇りを持てる町づくりを進めていくことが一層大切であると考えております。したがいまして、今後、住民に最も身近な市町村の果たす役割というものがより大きくなってくるものと考えておりまして、この点、議員と考えを同じくするものでございます。
もとより、本格的な地方分権の時代を迎え、国、県、市町村はそれぞれの役割分担のもとで対等、協力の関係に立つものとされておりまして、市町村においても自己決定、自己責任のもとで町づくりの取り組みを進めていく必要があります。県といたしましても、市町村において自主性、自立性が十分発揮できるよう、その役割を果たしていくことが重要であると考えております。
次に、政治姿勢と内部改革についてのご質問でございます。
議員ご指摘のとおり、二十一世紀は自治体間の競争の時代であり、まさに職員の資質が問われる時代だと考えております。このため、いろんなところへの人事交流ということや民間企業への派遣など、積極的に職員の資質向上に努めていくことは言うまでもございませんし、そしてまた職員の職務責任を明確にするため行政目標をはっきりして、その達成を確認し、評価していくということが必要であると考えております。
また先日、若手の職員の人から私が直接意見を聞く場を設定いたしましたけれども、参加者の人からは時間を忘れるほどの活発な意見が出てまいりました。また、県政活性化についてのアイデアなどを募集しておりますけれども、これについても非常に多くの提案件数が出てきておりまして、これらを来年度の予算編成の中にも生かしていきたい、またこういう傾向をますます強めていきたいと考えております。
このような各種の機会を今後さらにふやして、職員も、自分の職務はもちろんのこと、それ以外の県政全般の施策についても幅広く知恵と創造力を出し、いろんなことを提案していくような職員になってもらうように進めていきたいと考えております。
次に、県を豊かにするための事業は何か、要らない事業は何かということについて基準を設けてやっていくべきだというご質問でございます。
これは、まことにそのとおりでございまして、二十一世紀における豊かな和歌山県を創造するため、新しい時代を先導する事業、そしてまた県民福祉の向上につながる事業については、財源が厳しい中でも積極果敢に取り組んでいく一方で、現在すべての事業について成果重視の観点から徹底した見直し作業を行っているところでありまして、十二分に成果が出ていないような事業については見直しをしていくということにしたいと考えております。
また、このような事業の見直しに当たっては、民間との役割分担や県民の皆様方の意向にも配意しつつ、緊急性、必要性、費用対効果等々を検討しながら優先順位づけを行ってやっていきたいと考えております。
次に、県が財を生む事業を始める必要があるということについてでございます。
二十一世紀の観光は、高野・熊野に代表される和歌山の豊かな大自然と文化を体験していただく、本物の心のいやしが大きな核となるものと考えております。
ご提言の自然体験、地球体験等の体験型観光をこれからの観光客のニーズに合った観光メニューとして定着、発展させるため、現在、県下の市町村や観光関係団体等と検討を重ねているところでございます。
また、ユニバーサル・スタジオの開業は、国内はもちろんのこと、海外からも注目度が高く、本県観光産業にとっても大きな活性化につながるものと期待しております。このため、海外におきましては、十月に韓国で観光フォーラムを開催、また十一月に台湾で観光展に出展するなど、ユニバーサルと和歌山をPRしてまいりました。一方、国内向けには、現在、ユニバーサル・スタジオと本県の魅力ある観光を組み合わせた旅行商品づくりについて、旅行会社提携旅館ホテル連盟と話を進めているところでございます。
今後は、大手旅行エージェントとタイアップして、「ユニバーサルで疑似体験、和歌山で本物体験」をキャッチフレーズに観光客の誘致に努めてまいりたいと考えております。
次に、インターネットの幅広い利用についてでございます。
議員ご提言のように、本県の魅力的な数多くの資源をあらゆる分野の方々がそれぞれの立場でインターネットを駆使してPRしていくということは大変重要であると認識しております。インターネットは、県民一人一人が参加することによる県づくりの有効な手段でありますので、インターネット子供観光局もこの有効な活用策の一つとして検討させていただきたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 南紀白浜空港における用地買収について、五点のご質問のうち、私からは四点についてお答えいたします。
まず一点目の、滑走路延長計画の中に問題の土地が入っていたかの有無についてのご質問にお答えします。
滑走路の延長事業につきましては、平成七年から二千メーター化に関する技術的検討を開始し、平成八年に第七次空港整備五カ年計画に組み入れられたものであり、その後の詳細な検討の結果、乱気流対策のため当該土地を取得することが必要となったものであります。したがって、平成二年の用地買収の時点では滑走路延長の計画はございませんでした。
次に二点目の、不明朗な土地の取引を見逃してきた責任はないのか、白浜町はなぜ滑走路近くの土地を等価交換の場所に選んだのかとのご質問でございます。
ご質問の土地につきましては、千八百メーター滑走路建設に必要な土地の代替地として、平成二年に地元不動産会社が代替地提供者としての白浜町から取得した土地の一部であります。その際、当該土地については千八百メーター滑走路建設事業には不必要な土地であり、代替地として取得されても支障がないものと判断し、白浜町に通知したところであります。
次に四点目の、不動産鑑定士の鑑定内容についてのご質問にお答えいたします。
用地買収地の価格決定については、土地評価事務処理要領に基づき、当該地域の土地利用状況等から、まず同一状況地域に標準地を選定し、その価格を鑑定評価によって求め、さらに標準地と買収地の比較を行って適正に算定したものでございます。
この鑑定評価につきましては、空港周辺における複数の取引事例を時点修正し、また別荘の敷地としての最有効使用も加味した価格となっており、国家資格を持つ不動産鑑定士が行ったものであります。さらに、県ではこの鑑定評価額をもとに、土地評価事務処理要領に基づき、買収地の地形や眺望などの個別要因を標準地と比較し、買収額を決定したものであります。
なお、このような用地買収価格や鑑定内容、地上物件の移転補償額等につきましては、個人あるいは法人の財産状況や収入に関することでございますので、申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
次に五点目の、用地買収に伴う担保権の解除についてのご質問にお答えします。
買収用地に所有権以外の権利が設定されている場合、それらの権利を抹消した上で所有権を移転することとなってございます。用地買収におきましては、抵当権等の抹消承諾と引きかえに当該土地買収費の中から抵当権者へ代金が支払われるのが通常であり、地権者と債権者の協議に遅延が予想される場合等には、地権者の承諾を得て、買収当事者である県は双方と交渉することとしております。これは、売買契約の早期締結と完全な所有権取得のために行っているものでございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 南紀白浜空港における用地買収についての質問のうち、一点お答え申し上げます。
国土利用計画法の届け出における県の指導についてでございますが、平成二年当時の法制度のもとにおきましては、契約締結前に取引予定価格、利用目的等を届け出る、いわゆる事前届け出制でございました。当該届け出を受け、県では取引予定価格について和歌山県土地取引価格事前審査会に諮るなどにより価格審査を実施し、適正な価格により取引が実施されるように取引当事者を指導してまいりました。議員ご質問の白浜町における土地売買につきましても、同様の手続を経て指導を行ってございます。
また、指導金額についてでございますが、個人情報または事業活動の情報である契約金額が推定されるものでございますので、申し上げることは差し控えさせていただきたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁、ありがとうございました。
まず最初の二十一世紀の和歌山県政の進路について知事から答弁をいただきまして、私と共通認識を持っていただいているということが確認をできました。
私が最初に申し上げました、二十一世紀にふさわしいビジョンをつくり上げてグランドデザインを描くと。このことがないと、和歌山県にとって何が必要で何が必要でないかといった事業の選択はできないと思います。
また、和歌山県は何を売り物にするのか。ここらを県民も含めて徹底的に議論することも大事であると思います。知事を先頭に、私ども県議、県職員や県民の皆さんと一緒に、全県的に大きなうねりを起こしながら和歌山のグランドデザインをつくっていただくことを要望しておきたいと思います。
私の二点目の南紀白浜空港の用地買収について、幾つか再質問をしたいと思います。
今ご答弁をいただきましたが、まず最初に確認をしておきたいと思います。平成十年の三月に県が大阪の開発会社から買った土地については、二万六千平米、約一億一千万円──平米当たり三千五百円から四千五百円──ということで新聞に報道されていると私が言いましたけれども、まず確認をしておきたいと思います。これでいいのですね。
二つ目は、この価格は適正に算定したものでありますと答弁をされましたが、この価格が適正であるのならば、私が調べた中で、わずか半年前の平成九年七月十六日に和歌山地裁田辺支部で競売の開始決定がございまして、県が買った土地を含めた同土地の最低売却価格が十六万五千二百九十平米で六千二百七十四万七千円。これを割りますと、大体一平米三百八十円となるわけであります。わずか半年前にです。そして、平成十二年に同じ土地が売れなかったのです。県は平成十年に一部を買いましたけれども、あと大分残っております。それを今度は、平成十二年十月十一日に和歌山地裁の田辺支部が期間入札で、入札最低価格が十三万九千四百三十七平米で二千五百九万九千円、平米単価約百八十円と下がっているわけです。答弁では、「土地評価事務処理要領に基づき、当該地域の土地利用状況等から、まず同一状況地域に標準地を選定し、その価格を鑑定評価によって求め、さらに標準地と買収地の比較を行って適正に算定したものでございます」と、こういう答弁をいただきました。今のことから言えば、具体的にはどうなっているのかわかりません。競売と任意の違いというのは私も理解できますけれども、約十倍です。そして、この平成十二年では約二十倍という価格で買うという、具体的な根拠がなければ常識的に見てもおかしいと言わざるを得ない。再度答弁を求めたい。
第三点目は、適正価格なんだという背景には、私が先ほど質問いたしました、平成二年五月に行った国土法の土地取引届け出における県の指導金額があるのではないのか。このことがちょっと疑問に思うわけであります。私は、金額を知っています。当然、県も知っていると思う。答えてくれませんけれども、届け出の県の指導金額に平成十年の土地価格が拘束されているのではないかと、私は疑いを持つものであります。なぜならば、当事者は同じであります。大阪の開発会社なんです。同じ人物であります。県が出資をしているいろんな事情を加味してと、こういったふやけた答弁部分がありますけれども、届け出の県の指導金額に大きな問題があるのではないかと私は思っております。幾らバブルがはじけたとしても、ゼロが一つ少ない金額では売れないと押し切られたと想像することは当然ではないでしょうか。結果的に一業者の借金返済に協力をするという、指摘をされているそういう売買の仕方は県民を裏切る行為ではないかと思うのですが、どうでしょうか。平成二年の県の価格指導がそのネックになっていると私は推測します。だから、国土法土地取引の県の指導金額を開示していただきたい。再度答弁を求めたいと思います。
以上、再質問を終わります。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 私からは、再質問の一点目と二点目のご質問に対して一括してお答えいたします。
先ほど、最初の質問の四点目のところでもお話し申し上げましたように、このような用地買収価格あるいは鑑定内容、地上物件の移転補償額等につきましては、個人あるいは法人の財産状況や収入に関することでございますので、申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 玉置議員の再質問にお答え申し上げます。
平成二年五月三十日の県が行った指導価格についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、個人に関する情報であり、特定の個人が識別され得る情報であると考えてございます。また同時に、法人の事業活動に直接影響を及ぼす、契約金額が推定される情報でございます。県といたしましては、これらの情報を保護する立場から指導価格を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 まず、企画部長の方から答弁をいただきました。全く最初の答弁と一緒ですけれども。
県の答弁は、国土法の届け出の関係で、「県では取引予定価格について和歌山県土地取引価格事前審査会に諮るなどにより価格審査を実施し、適正な価格により取引が実施されるように取引当事者を指導してまいりました」と、こういう答弁がございました。私の調べでは、たった一週間でやっているわけですよ。今の答弁は、審査会も開いていろいろやっていると。五月二十四日に届け出がされ、五月三十日に県の指導がされて、もう五月三十一日には売買されていると。これは、常識的に見たら余りにも疑問を持つものであります。だから、ここらについては、先ほどの答弁も納得はいきませんから、きちっと明らかにしていただきたいと思っております。
それと、鑑定内容を出さないと答弁が繰り返されました。これは、恐らく情報公開条例の関係だと思いますけれども、情報公開したところで、個人の財産権とか個人の権利を侵害するものではないと私は思っております。客観的な資料とか大きな根拠は鑑定内容にあるわけですね。鑑定内容が大きな要素にあると思うんですよ。平成九年の、いわゆる半年前の約三百八十円も、やっぱり不動産鑑定士をつけてやっていると思うんです。そういう金額の十倍、また反対に、平成十二年で言えば、百八十円に下がっていますから二十倍。ここらについては県民の理解を得られませんよ。私は、今の答弁では到底県民の信頼を得ることはできないと判断いたします。みんなで開かれた空港をつくる、みんなから愛される空港をつくるのであれば、地元県民に情報が公開をされて、信頼をされて、そして愛されないと本来の利用促進にはつながらないと思います。
知事、二十世紀のこの疑問点をこの機会に落とそうではありませんか。あかを落とそうではありませんか。まず、知事みずからこの問題について調査に乗り出して解明をしていただきたい。このことをひとつ知事にご答弁をお願いしたい。場合によっては、私も議員の皆さん方にいろいろご相談をさせていただいて、そして特別調査委員会の設置とかということで取り組んでいくということを皆さん方にお願いしながら、質問を終わりたいと思います。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの玉置議員のお話、私どもも十分調査させていただきます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、玉置公良君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十六分休憩
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