平成12年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)
県議会の活動
平成十二年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
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議事日程 第二号
平成十二年十二月八日(金曜日)午前十時開議
第一 議案第百八十二号から議案第百八十八号まで(知事説明・質疑)
第二 議案第百六十九号から議案第百八十一号まで(質疑)
第三 一般質問
会議に付した事件
一 議案第百八十二号から議案第百八十八号まで(知事説明・質疑)
二 議案第百六十九号から議案第百八十一号まで(質疑)
三 一般質問
出席議員(四十七人)
一 番 新 島 雄
二 番 山 田 正 彦
三 番 佐 田 頴 一
四 番 大 沢 広 太 郎
五 番 堀 本 隆 男
六 番 宇 治 田 栄 蔵
七 番 門 三 佐 博
八 番 西 本 長 弘
九 番 坂 本 登
十 番 小 原 泰
十一 番 木 下 善 之
十二 番 永 井 佑 治
十三 番 尾 崎 要 二
十四 番 小 川 武
十五 番 宗 正 彦
十六 番 橋 本 進
十七 番 生 駒 三 雄
十八 番 原 日 出 夫
十九 番 谷 洋 一
二十 番 山 下 直 也
二十一番 高 瀬 勝 助
二十二番 吉 井 和 視
二十三番 木 下 秀 男
二十四番 町 田 亘
二十五番 金 田 眞
二十六番 高 田 由 一
二十七番 神 出 政 巳
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 向 井 嘉 久 藏
三十 番 野 見 山 海
三十一番 平 越 孝 哉
三十二番 下 川 俊 樹
三十三番 中 山 豊
三十四番 浜 田 真 輔
三十五番 鶴 田 至 弘
三十六番 冨 安 民 浩
三十七番 村 岡 キ ミ 子
三十八番 中 村 裕 一
三十九番 井 出 益 弘
四十 番 阪 部 菊 雄
四十一番 江 上 柳 助
四十二番 長 坂 隆 司
四十三番 森 正 樹
四十四番 飯 田 敬 文
四十五番 新 田 和 弘
四十六番 松 本 貞 次
四十七番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 中 山 次 郎
出納長 大 平 勝 之
知事公室長 小 佐 田 昌 計
総務部長 稲 山 博 司
企画部長 安 居 要
環境生活部長 道 浦 渥
福祉保健部長 白 井 保 世
商工労働部長 内 田 安 生
農林水産部長 島 本 隆 生
土木部長 大 山 耕 二
企業局長 辻 健
教育委員会委員長職務代行者
赤 松 壽 男
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 高 垣 宏
警察本部長 岩 井 良 行
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 谷 口 庄 一
職務のため出席した事務局職員
事務局長 田 村 徳 美
次長 蓮 池 康 宏
議事課長 北 垣 内 敬
議事課副課長 松 谷 秋 男
議事班長 露 詰 勤
議事課主査 井 口 好 晴
議事課主事 安 井 伸 彰
総務課長 佐 竹 欣 司
調査課長 梶 本 皓 造
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課副主査 保 田 良 春
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午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
報告いたします。
議案の追加提出がありました。
〔巻末の「参考資料」を参照〕
【日程第一 議案第百八十二号から議案第百八十八号まで】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、ただいま報告の議案第百八十二号から議案第百八十八号までを一括して議題といたします。
議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明を申し上げます。
我が国は、一昨年以来の経済対策によりデフレスパイラルに陥りかねない危機的状況を脱却し、緩やかながらも改善しつつあるところでございますけれども、雇用状況は依然として厳しく、個人消費もおおむね横ばいの状況が続いております。さらに、米国の景気減速懸念が高まる中で、アジア通貨の不安定や日本国内における株価の低迷等、先行き不透明な面もございます。
国においては、このような状況のもと、公需から民需への円滑なバトンタッチを図り、景気の自律的回復に向けた動きを本格的回復軌道に確実につなげるとともに、我が国経済の二十一世紀における新たな発展基盤の確立を目指すとの観点から、経済対策として総事業規模十一兆円の日本新生のための新発展政策が決定されたところでございます。
本県といたしましても、二十一世紀の和歌山づくりに資するため、経済対策を早期に実施に移すべく補正予算案を直ちに編成し、このたびご提案をさせていただきました。
その主な内容についてでございますが、IT関連として、全国に先駆けて県立学校と県立の生涯学習施設等を黒潮ネットワークで結び、すべての学校のすべての普通教室からインターネット等が活用できる情報環境の整備を図る教育ネットワーク整備事業の実施や、児童館、文化情報センター等社会教育施設、消費生活センターにパソコンを設置し、広く県民に対してITの普及を図るとともに、平成十三年度に県や市町村がIT講習会を実施するための基金造成を行うことといたしております。
また、市町村の電子化を推進し、県とのネットワーク化を図ってまいるとともに、県工業技術センターに三次元のCAD・CAMを導入し、中小企業者を対象にIT技術者の養成を図るものづくりIT融合化支援センター整備事業を実施してまいります。
さらに公共事業の追加として、生活基盤の充実を図るため、国道改築、県道改築、広域農道の整備事業等により、府県間道路を初め県内道路網のネットワークを形成すべく交通基盤整備事業の推進やかんがい排水事業の推進等、中山間地域を初めとする農村地域の基盤整備を進めるとともに、防災対策の推進を図るため、道路の岩盤崩壊対策や河川改修、並びに砂防事業の推進、防災拠点漁港やため池等の整備を推進してまいります。
このほか、関西国際空港一期パートII事業や二期事業の推進等を図るため、所要の措置を講じております。
また、県単の施策といたしまして、橋本市の日本工業所に係る行政代執行について、国の通達に基づく工法の変更や地元住民との合意に基づくジオメルト実証実験等の追加経費について所要の措置をお願いいたしております。
これらの結果、総額で百二億七千三百万円の増額補正となり、平成十二年度一般会計の補正後の予算額は六千四十七億三千万円となります。
なお、今回の補正予算の財源につきましては、国庫支出金、県債等をもって充当することといたしております。
次に条例案件でございますが、議案第百八十三号から百八十六号までは職員等の給与改定に伴う関係条例の改正であり、去る十月十八日に出された県人事委員会勧告を受けて、ことしの四月一日から給与改定を実施するために所要の措置を講ずるものでございます。
また議案第百八十七号は、県民のIT基礎技能の向上を図るため講習会を実施するための基金を設置するものであり、議案第百八十八号は、今回の補正予算に伴う建設事業市町村負担金について議決をお願いするものでございます。
何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(阪部菊雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
【日程第二 議案第百六十九号から議案第百八十一号まで】
【日程第三 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 次に日程第二、議案第百六十九号から議案第百八十一号までをあわせ一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
十四番小川 武君。
〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○小川 武君 この十二月議会が二十世紀最後の議会であり、その議会にトップバッターとして登場することは、私にとっても思い出深い議会となります。この機会を与えていただきました先輩・同僚の皆さん方に、まず心から感謝申し上げたいと思うのであります。
さて、二十一世紀という新しい時代を迎えるに当たって、期待と不安が交錯する中で昨今の世相を見渡すと、不安が先に立つのは私だけではないと思います。景気の低迷、少年犯罪、少子高齢化、環境問題等々、今日の繁栄を築いてきた反動が課題として一挙に押し寄せてきた感があります。これらの課題に対し緊急かつ適切に対応していかなければならないことは申すまでもないところでありますが、大きな潮流変化という観点から二十一世紀へアプローチすることが大切なことだと思います。
二十世紀は物質文明で、二十一世紀は精神文明だと言われております。すなわち、物質的、経済的豊かさから心の豊かさへと価値観が変わりつつあるということであります。地球環境問題やエネルギー資源の枯渇、そして私たちが初めて経験する人口減少という現実を直視すると、これまでどおりに物質的豊かさを求めることは困難な状況であるし、むしろ精神的な豊かさを求め、自分のライフスタイルを確立することが必要になってこようかと思います。
知事は、今議会冒頭の所信において、二十一世紀は「個性の沸き立つ知恵の時代」であるとし、来年度当初予算においては、IT、環境、新産業創造等、二十一世紀の和歌山づくりに必要な事業に重点的に配分し、積極的な推進をすると申されました。
そこでまず最初は、二十一世紀の和歌山づくりについて、ITと新産業の創造について知事の所見をお聞かせいただきたいと思うのであります。
二十一世紀の社会生活や経済を支えるものはITと言われております。IT、すなわち情報通信技術のことです。近年の急速な進歩には目覚ましいものがあります。代表的なものが、携帯電話であります。十年前にはトランシーバーのように大きくて重いものでありましたが、今は本当に小さく、軽くなっております。値段も安くなり、普及が進み、契約者数で家庭用電話機を超えたものになっております。また最近では、パソコンを持ち歩き、携帯電話でインターネットにつないだりする姿がよく見られます。来年登場する携帯電話では、音声だけではなく、動く画像もきれいに送受信できるようになるとのことであります。いつでもどこでもコミュニケーションをとりたいという要求にこたえ、技術の進歩が可能となったものだと思うのであります。こうしたITの急速な進歩が産業や行政、生活のあり方を変えていくことになります。これがIT革命と言われるゆえんであると思います。
国においても、先般、IT基本戦略を決定いたしました。それには、五年以内に世界最先端のIT国家になることを目指すとしております。木村知事も、さきの九月定例会において、ITを起爆剤として和歌山県の個性ある新時代を築くとの決意を示されたところであります。本県のITの現状と今後ITを生かした県づくりをどう進めていこうと考えているのか、知事からお聞かせ願いたいと思います。
国のIT基本戦略においては、二〇〇三年度までに行政内部の電子化、官と民が接続するオンライン化を図る電子政府を目指そうとしております。本県においても、行政の電子化に向けての取り組みが進められようとしております。県庁をのぞいてみると、職員の机にはパソコンが置かれ、画面に向かって仕事をしている姿を見かけます。また、県のホームページには県政各分野のさまざまな情報が提供されております。さらに、木村知事が就任してから知事と親しメールが始まり、県民とのメール交換が始まっております。
しかしながら、問題点として、職員が十分使いこなせているのか、パソコンネットワークで県庁の意思決定が行えるのか、ホームページによる県民への情報提供は十分なのか、個人情報の安全対策は大丈夫なのか、いろいろ心配なこともあります。職員が十分使いこなせてこそ県民や企業をリードできるものと思います。
そこで、知事にお尋ねいたします。
県庁におけるパソコンの配置とネットワーク化の状況、見通し、また職員の能力向上に向けた取り組みはいかがなものでありましょうか。
次に、新産業創造についてであります。
本県経済の状況については、長引く景気の低迷の中で厳しいものがあります。本県の製造業を見ますと、繊維、染業、化学など地場産業の占める割合が高く、世界的な競争の中で事業所数、出荷額とも減少しております。ノーリツ鋼機や島精機は独創的な技術を持って育ち、超優良企業になりましたが、これに続く企業が育ってきてほしいところであります。
ベンチャー等の新規開業率を見ても、本県は全国に比べて低位にあります。ベンチャー企業の育成については、創業資金の貸し付けや経営指導を行ってきたところであります。今後、企業から独立した技術者、また学生、主婦など、新規開業者の態様に合った支援策が必要になってくるかと思います。これには研究施設や相談役として専門家、アドバイザーが要りますので、その確保に努めていただきたいと思います。
専門家はなかなか県内に少ないのが実情でありますので、県外の適任者をスカウトすることも考える必要があります。また、大学や工業試験場といった研究機関からの技術移転という方法も促進しなければならないと思うのであります。
今後、物づくりの技術的な需要は、世界的なネットワークの中でアイデアが募集され、世界じゅうから供給される時代になってまいりました。こうしたアイデアを継続して供給できれば世界的な企業となることが可能であると思います。
二十一世紀は、知事も言われるように知恵の時代であります。本県の地場産業においては、消費者ニーズに合った商品開発、あるいはニーズを掘り起こす新製品を開発できる企画、開発力を持つことが課題であり、行政においてもこうした企業への支援を図っていく必要があろうかと思います。
知事は、新産業の創造に向けて地場産業の振興をどう図ろうとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
ITや新産業創造への取り組みとともに、今回、知事が環境を県づくりのテーマに掲げたことは、私も賛同するところであります。本県には海、山、川のすぐれた自然が残っており、こうした自然環境と共生する地域づくりを図っていくことが必要であります。高野・熊野の世界的な文化遺産とともに、恵まれた自然環境を生かした地域づくりが望まれるところであります。廃棄物対策では、その発生を抑制するとともに、再利用を図っていく必要があります。循環型社会に向けて生活を転換するとともに、捨てられるものについては環境に負荷をかけないよう適正処理されるべく監視していく必要があると思います。
また県庁では、環境を管理するための省資源対策として、ISO一四〇〇一の国際規格の認証に向けて取り組んでいると聞いております。県下の企業にも認証取得を進め、積極的な支援を行ってほしいと思います。
限りある地球環境の中で将来に向けた発展を続けていくことのできる社会づくりのため先進的な取り組みを進め、住む人、訪れる人に魅力的な県づくりを進めていってほしいと思うのであります。
次に、市町村合併の推進についてお尋ねいたします。
本年四月に地方分権推進一括法が施行され、地方分権は、推進する段階から、いよいよ実行の段階を迎えていると考えるのであります。地方分権で必要なものは、自己決定、自己責任の原則のもとで、増大、多様化する住民の行政ニーズに対応していくことであります。また一方で、財政状況が非常に厳しいものになっており、効率的な行財政運営に努める必要があると思うのであります。
本県で十一年度に実施した広域行政体制整備調査では、圏域ごとにさまざまな合併パターンが検討されております。また、人口一万人を下回ると一人当たりの歳出額が急激に増加する傾向にあると分析されております。ある程度の人口規模がないと、行財政基盤の充実や強化を図っていくことは難しいものであります。本県では、人口一万人未満の町村が二十八あります。住民の広域的な活動や経営の効率化の観点から、こうした小規模団体の合併は避けて通れないと考えるのであります。
昭和三十年代の市町村合併のように、国、県がリードし、積極的な推進を図る必要があると思いますが、知事の考えはどうでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
次に、市町村合併を行う際の財政措置や特例措置を定めている市町村合併特例法の法期限が平成十七年三月末までとなっており、残された期間が四年半を切っている状況にあります。市町村の合併は、検討協議の段階から実現までに相当の年月を要するのが実情であり、残された期間内に合併を行うには速やかに取り組む必要があると思います。しかしながら、本県においては具体的な動きが見られないのが実情であります。
国においては、市町村合併を促進するため、新たに住民投票制度の導入やさらなる財政支援を打ち出しております。十二月一日に閣議決定された国の行革大綱においても、今の自治体の数を三分の一の一千程度にすることを目標にしております。県においては、十一年度の広域行政体制整備調査を踏まえ、市町村合併推進要綱の策定を検討中であり、十二月一日も広域行政懇話会において議論されたと聞いております。
今後、市町村合併に向けて本県における進め方はどうするのか、総務部長にお伺いしたいと思います。
次に、関西国際空港の二期工事についてお尋ねいたします。
関西国際空港は平成六年九月に開港し、はや六年が経過いたしました。当空港は世界でも初めての本格的な海上空港であり、当時の技術の粋を結集し、連絡橋の設置工事費も含め、総事業費約一兆四千六百億円をかけて建設された巨大な人工島であります。
関西国際空港は、国際ハブ空港、二十四時間空港として現在整備が進められておりますが、ここ数年の航空需要低迷のあおりを受け、計画では平成十二年度の離着陸回数が十五万回となるはずが十一年度実績で十一万八千回と大きく下回っており、本年度においても到底目標値に届くことはありません。これに伴い、経営面においても、開業後五年で単年度黒字とされておりましたが、五年目に当たる十一年度決算では二百億円程度の赤字となり、累積赤字は千五百億円を超えている状況にあります。この離着陸回数の伸び悩みの一因は、着陸料が成田に次いで世界で二番目に高いためであり、海外航空会社からもたびたび指摘されていることは周知のところであります。
近隣アジア諸国では大規模空港の建設が進められており、これらの空港に対抗するためには、着陸料引き下げ等の措置により国際競争力の強化を図ることが必要ではないかと思うのであります。
関空二期事業は、一期事業を上回る一兆五千六百億円の事業費をもって昨年七月に本格着工されております。また十一月二十七日には、本県から埋め立て用土砂の搬出も始まりました。このような状況の中、突然大蔵省から、二期事業についてはスローダウンしてはどうか、あるいは無利子資金の増額による有利子資金の圧縮が必要でないかとの声が聞こえてまいりました。国の財政状況悪化の中、最近の公共事業の見直し議論の中から、関空二期事業においても大蔵省のターゲットの一つに挙げられた結果だと推察いたします。
航空需要については、現在、回復基調にあると聞いております。将来の航空需要に備えるためにも二期事業を進める必要性は疑問を挟む余地がなく、ここでスローダウンされるようなことがあれば国益を損なうことにもなりかねない大きな問題であると考えております。
そもそも第一種空港の設置・運営は国の事業であるにもかかわらず、関空については特別法により関空会社の設置・運営とされ、一期工事においては周辺自治体も出資金として七百二十九億円の負担を行い、二期工事においても出資、無利子貸付金を合わせて約二千九十億円の負担を引き受けることになっております。二期工事も着工し、本格的な埋立土砂搬入という時期になってさらなる地元負担や工期の延長を言われても、到底受け入れることができるものではありません。
関空は第一種の国際空港であり、当然、国は計画どおり建設を進めるべき責任があり、こうした声を地元自治体が手を携えて、断固国に対して要望していかなければならないと思うのであります。
知事に、二つお尋ねいたします。
一つ目は関空二期事業について、工事延期等が話題に上っておりますが、どのようにお考えですか。
また二つ目は、関西国際空港の国際競争力強化方策に対する地元負担についてどのようにお考えですか。
次に、和歌山工科大学整備事業の凍結に伴う処理についてお尋ねいたします。
知事は、さきの県議会九月定例会において、和歌山工科大学整備事業の凍結を表明されました。このことにつきましては、種々議論が交わされたところであります。まことにつらい思いと知事が言われたように、まさに苦渋の決断を下されたものと推察いたします。問題は、その後の善後策であります。事業凍結による影響をいかに円満に解決し、県の信頼を損ねないように事態の収拾を図っていくのか。何事によらず勢いを持って前進していくときよりも、撤退時の処理の方が困難を伴い、やり方を間違うと大きな傷を残すことになってしまいます。知事には、ぜひとも迅速、適切な対処を望むものであります。
今回の凍結措置によって最も大きなダメージをこうむっているのは、設立準備財団や学校法人に事務職員や教員として採用が予定されていた方々であると思います。これらの方々については、人生や生活設計に深刻な影を落としてしまったわけでありますから、何としてもその修復を図り、支援していく必要があると思うのであります。
そこで、企画部長に二つお尋ねいたします。
一つ目は、職員や教員として採用が予定されていた方々に対して、これまでにどのような対応をされてきたのか、今後どのようにされるおつもりなのか。経過を含め、ご説明いただきたいと思います。
二つ目は、今議会に調停の申し立てについての議案が提出されておりますが、なぜ調停の方法を選択されたのか、その理由をご説明願いたいと思います。
私は、今回のことによって職を失う結果となった方々への新たな就職支援や精神的なケアも必要なことと考えているのでありますが、いかがなものでありましょうか。調停議案提出の真意をお聞かせいただきたいと思います。
最後になりましたが、和歌浦の振興策についてお尋ねいたします。
和歌山市は、先般、花と緑の海都WAKAYAMAづくりの一貫して和歌浦湾振興ビジョンを策定しております。和歌浦は、歴史・文化の薫りする、風光明媚な景勝地であります。この和歌浦に県公館があります。この施設は、県が来賓用に平成五年に購入したものであり、見事な松や灯籠、茶室等を有し、風致地区にふさわしい庭園でもあります。しかしながら、余り使われていないのが現状であります。私も、前を通るたびに有効活用の方法はないものかと思っていました。片男波公園の健康館・万葉館から、あしべ通りを経て不老橋、玉津島神社、観海閣と、付近には貴重な建物や施設があります。和歌山県公館をリニューアルしてこれらと一体的に活用できれば和歌浦湾振興の一助になると思っております。和歌山県公館について、県民への開放を含め、新たな活用方法はないものでしょうか。知事にお尋ねいたしたいと思います。
以上で私の質問は終わり、二十一世紀の県づくりを中心に知事のお考えを聞かせていただくわけでありますが、大きな時代の変わり目でもあり、県政においてもさまざまな懸案事項が山積しております。知事におかれては、タイミングを図り、職員とともに問題解決に当たっていってもらいたいと思います。また、本県の自然や文化といった特色を生かし、伸ばせる分野は伸ばし、和歌山県が二十一世紀のトップランナーとなるようリーダーシップを振るっていってもらいたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの小川武君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの小川武議員のご質問に対してお答えを申し上げます。
まず二十一世紀の和歌山づくりについて、ITを生かした県づくりをしてはどうかというご質問でございます。
ITは、私たちの生活様式を大きく変革し、新たな経済発展を可能にし得る技術であると考えております。特に過疎化、高齢化が進む本県の社会経済活動の活性化を図る上で、このITの活用は重要な手段であると認識しております。このため、行政はもとより、県民生活や企業活動など、あらゆる分野におけるITの活用を促進してまいりたいと考えております。
次に、パソコンの配置状況と人材の育成についてということでございます。
県庁におけるパソコンの設置状況でございますけれども、現在、庁内のネットワークに接続したパソコンは、本庁では職員の五一・三%となっております。
先ほどお話にありましたように、国は二〇〇三年度に電子政府の構築を目指すこととしておるところでございまして、和歌山県でも二十一世紀に向けて一人一台のパソコンを整備し、IT時代に対応していくということが喫緊の課題であると考えております。このため、来年度の予算では、非常に財源的に大きなものがかかるわけでございますけれども、本庁の職員について一〇〇%、一人一台のパソコン配備を行いたいと考えております。
なお、出先機関につきましても、接続に必要な作業等を迅速に進め、再来年度には完了したいと考えております。
職員の能力向上につきましては、職場ごとにパソコンを率先して活用し、事務の効率化、高度化を進めるOA推進員の配置を行い、その職員をリーダーとして事務処理の電子化と所属職員のパソコン操作能力の向上に努めることといたしております。
次に、新産業の創造に向けた取り組みについてということでございます。
県経済を活性化させるためには、新規の開業や地場産業の新分野への進出等、活力ある優良な企業が数多く生み出されてくるということが大変重要なことでございます。今後は、情報、環境、福祉医療等々、さまざまな分野において新たな産業の成長が見込まれ、こうした中で、繊維、化学や家庭用品など、地場産業においても消費者ニーズに合った商品や新たな発想と技術による商品の開発に取り組む企業が出てきているところでございます。
こういった取り組みを後押しするためにも、来年度予算において、新産業を創造するための先進的な新規事業について、重点を置いた編成を進めていきたいと考えております。例えば、大学や研究機関から地場産業への技術移転でありますとか、ベンチャー企業支援のための施設整備、そして販路開拓支援、サイバービジネスの創出等々、さまざまな角度から現在検討を進めているところでございます。
新産業の創造は一朝一夕にいくものではございませんけれども、広く県内外の有識者のご意見も参考にしながら、研究開発から事業化に至るまでの各段階において総合的な支援を実施することにより、ベンチャー企業や地場産業から独創的な発想と技術を持って世界に羽ばたくような企業が輩出するよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、市町村の合併についてでございます。
この合併問題については、市町村や住民の方々が自主的に判断されるということが前提でございます。しかしながら、議員ご指摘のように、地方分権の進展、広域化・高度化する行政需要、あるいは国、地方を通じた厳しい財政状況など、昨今の時代の潮流を考えますと、市町村の合併は非常に重要な課題であると考えております。
もとより、合併の実現に向けては、ご案内のように非常に困難な点があることも十分に承知をいたしておりますけれども、私といたしましては、県内の各地域の将来を展望するとき、市町村の合併を推進していく必要があると考えております。このため、市町村合併推進要綱の策定などを通じて必要な助言や情報の提供などに努め、合併の機運の醸成を図るとともに、合併に向けた取り組みを支援してまいりたいと考えております。
次に関空の関係でございますが、まず一つは二期工事の延期ということでございます。
関空会社は経営状況について非常に厳しい状況であるというふうには認識しておりますが、昨年度まで低迷していた航空需要も現在回復の基調にあるということでございまして、先ごろ発表された中間決算においても過去最高の営業利益が達成されたということでございます。
関空会社では引き続き経営改善に取り組んでいくということでございますし、二期供用開始後においても、中長期的見通しとして単年度黒字の達成、そしてまた累積損失の解消ということは十分に可能であるとしているところでございます。
本県といたしましては、このような経営の見通しが示されている中で、既に着手されている二期事業については、将来の航空需要に備えるため、現在の資金スキームで当初のスケジュールどおり進められるべきものと考えておりまして、国に対して、引き続き二期事業推進に必要な予算の確保を求めてまいりたいと考えております。
次に、関空の国際競争力の強化についての地元負担ということでございます。
平成十三年度国の概算要求に盛り込まれた国際競争力強化方策として地元の自治体に負担が求められておりますけれども、関空が我が国の基幹空港としての機能を十分発揮するため着陸料等空港使用料のさらなる引き下げを行い、国際競争力を強化することは重要なことであると考えております。
この問題についてはいろいろございまして、現在関空会社に出資している関係自治体等でその方策、効果等について協議を進めておりますので、その中で考えていきたいと考えております。
最後でございますけれども、県公館の活用方策ということでございます。
県公館につきましては、ご承知のとおり、十分な活用がなされていないという実情にございます。今後の利活用につきましては、現状での新たな活用方策について、現在関係部局で検討しているところでございます。この活用に当たりましては、建物のスペースの問題や構造上の制約など、いろいろ問題もあるわけでございますけれども、ご提案の和歌浦の振興ということを考慮に入れながら、例えば今話題になっております有吉佐和子さんの記念館の候補地の一つとして、あるいは文化的な催しなど県民への開放ができないか等々、今幅広い観点から検討しているというところでございますので、ご了解いただきたいと思います。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併の進め方についてのご質問にお答えいたします。
本県におきましても、以前に比べて合併についての関心が徐々に高まってきていると感じているところでございますけれども、現時点で、合併協議会の設置など、合併に向けた具体的な動きが見られないのが実情でございます。しかし、議員ご指摘のように市町村合併特例法の法期限までの期間を勘案いたしますと、地域においてできるだけ早期に合併についての検討協議が行われることが重要と考えております。
現在、広域行政懇話会を設置し、幅広くご意見をいただきながら市町村合併推進要綱の策定を鋭意進めてございまして、その中で合併パターンや県の支援策などについて検討を行っているところでございます。
ご指摘のような状況を踏まえまして、できるだけ早期に要綱を策定し、その周知を図りながら機運の醸成に努めてまいりたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 和歌山工科大学整備事業の凍結に伴う収束処理についての二つのご質問にお答え申し上げます。
まず、職員及び教員予定者に対する対応状況についてでございます。
十月五日の事業凍結発表後、速やかにその旨の連絡を行いました。その後、十月から十一月にかけて全員と個別に面談を重ね、事業凍結に至った経過説明及び採用予定者の皆さんの実情や要望を把握するとともに、法律的な問題の整理と対応策についての検討協議を続けてまいりました。その結果、職員採用予定者につきましては、就職先の紹介及び就職活動の支援、さらに精神上、財産上の損害についての民事調停に基づく解決金の支払いという三項目の対応を行うこととし、現在、面談を行いながら具体的な協議を進めているところでございます。
なお、民事調停の申し立てにつきましては、既に職員採用予定者十三名全員の合意を得ております。
また、教員採用予定者につきましては、就職活動の支援、さらに法的な損害賠償についての対応を図ることとし、現在協議を進めているところでございます。
次に、調停の申し立てを行う理由についてでございます。
精神上、財産上の損害の賠償につきましては、ご承知のように、民法第六百九十五条の和解、民事訴訟法第二百七十五条の起訴前の和解、民事調停、訴訟などの方法がありますが、本案件につきましては、職員採用予定者の皆さんの負担をでき得る限り軽減し、公正で客観的な判断に基づく早期の解決を図ることが肝要であるとの判断から、県の申し立てによる民事調停を行うこととした次第でございます。
先ほどお答えしましたように、調停による解決金の支払いは、あくまでも法的問題の解決策として行うものですが、県としては、これと並行して採用予定者の皆さんの就職先の確保についても最大限の努力をしているところでございます。さらに、採用予定者及びその家族の皆さん方の精神的ケアにつきましても、電話、電子メール、面談などにより採用予定者の皆さんとの連絡を密にし、もろもろの事項についてのご相談に対応しているところでございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
十四番小川 武君。
○小川 武君 知事から、来年度予算で本庁の職員一人一台、出先も含めて再来年度で一〇〇%という、非常に積極的な、力強い答弁をいただきました。ITによる県づくりは行政から、県庁からということで、なれていない人もこれから一生懸命身につけて、なお一層頑張っていただきたいということを要望いたしておきます。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小川武君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十八番玉置公良君。
〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。県議会議員にならせてもらって第一日目に登壇すること、初めてでございます。議会運営委員長にお礼を申し上げます。
それでは、早速質問に入りたいと思います。
まず最初に、二十一世紀の和歌山県政の進路について質問してまいります。
二十一世紀は、積極的に和歌山県のよさを全国にPRし、県民一人一人が知恵を出し合って、自分たちに必要な経費をみずから生み出すことを求められている時代だと思います。国に依存することが難しい今日の状況では、知事みずからが県民の先頭に立って知恵を出し、豊かな創造力を駆使して、和歌山県内に蓄積されている資材や人材、生き抜くためのノウハウを持ち、レベルアップをすることが必要ではないでしょうか。それは、かつてのような国からの交付税、補助金によって財源を賄うのではなくて、和歌山県自身の創造と努力によってそれをなし遂げる。それが二十一世紀の和歌山県の県政の進路であると私は思います。
本県は、幸いに世界遺産に指定されるほどの豊かな自然に恵まれています。環境時代の二十一世紀──世界の人々が地球人として強く求めているのは地球自身が太古に創造した大自然のたたずまいであり、これが地球を救うのであります。我が県は幸いにしてこの立地条件を持っており、最大限に生かしながら県民一人一人の知恵と創造、工夫を凝らし、二十一世紀にふさわしいビジョンをつくり上げ、グランドデザインを描くことであります。
私は、二十一世紀の早い時期に和歌山県が、どちらかといえば所得水準の低い部類の一つの県として甘んずることなく、例えば江戸時代の幕藩制度のように、小さな独立国としてたくましく生き抜くことを夢見ています。そして、独立国になって、時には海外に雄飛し、世界各地と交流を深め、企業とビジネス関係を広めていく。そんな時代が遠からず訪れると信じています。
この新しい試みにより、我が県に地球規模の新しい文化が生まれるとともに、財政面では、まず自分たちの努力の度合いに応じた財源が確保され、地球規模の寄附、市民の参加、ボランティア活動、観光客の来県等により思わぬ形で財源が生まれ、和歌山県が日本の小さな県であることから脱皮して「世界の和歌山」と言われるようになるでしょう。それと同時に、人材の交流と物資の交流によって、我が県に地球規模の新しい文化が生まれることさえ期待されると思います。国も、二十一世紀には中央省庁が再編成をされ、変わるという節目の中で、二十一世紀を間近に控えた二十世紀最後の議会で私の考え方を述べ、知事の所見をお伺いしたいと思います。
まず第一に、二十一世紀の県政の進む方向は、大きく分けて次のような流れになると考えています。まず最初に、和歌山県をよくするための事業とは何なのか、中止または廃止する事業にどういうものがあるか、その優先順位を決める知恵をまず出し合うことであります。その次の段階では、勇断果敢に事業を中止または廃止へ踏み出すための内部改革と役人の意識改革を断行することです。いや、単に役人のみならず、私たち議員が県民に率先して今からでも始めるべきであります。そして今度は、県が財を生む事業を始める。その次には、県が国を相手に、世界を相手に交易を始める。知事、いかがでしょうか。
続いて、二十一世紀の知事と議会、市町村長との関係についてであります。
今まで二十世紀は、県議や市町村長が知事にお願いをし、知事は国から財源を確保して市町村に配分する時代でありました。しかし二十一世紀は、こういうお願いだけの陳情はなくなる時代であると思います。まず、地域住民と議員や首長が一緒になって、その地域をどうするか、どうしたらいいかの議論をもとにしてその未来像を描き、その道筋を考えていく必要があります。私たちはこういうふうにしたい、そのために知事はどういう協力ができるのかと、そういう時代であると思います。知事は、地元の市町村が仕事がしやすいように、お金の支援のかわりに県の規制を緩めたり、あるいは全廃をしたりする、そして、県に集約された事業のノウハウを私たちに利用させてください、あいている県有地を安く使わせてください、また有能な役人を私たちの地方自治体に安いコストで派遣をしてください、私たちは事業が軌道に乗り、財源が生み出された段階で県に税金を納めますと、いわゆる上納金を納めるという時代になりつつあるのではないでしょうか。
このように、市町村ごとにそれぞれの立場で知恵を出し、事業を立ち上がらせることにより、市町村の住民はもとより、それが県民全体への幸せにもつながる一石二鳥、一石三鳥の生き方を貫く時代であると思います。つまり、知事が何をしてくれるのかという時代は終わりであります。知恵やアイデアをたくさん持っている市町村だけが頼もしい自治体だということになるのではないでしょうか。
今までの首長や議員は、自活力のない陳情が主であったと思います。二十一世紀には、国が県に、今まで聖域であった公共事業をばっさりと切ってくる時代であり、県や市町村は自主財源でやりなさいということであります。言いかえれば、県下の中で各自治体が生き残りをかけた熾烈な戦いを展開することになり、地方自治体の優劣が出てくる時代でもあります。国と県との関係で言えば、主役が県、わき役が国になる時代、県と市町村で言えば、主役が市町村、わき役が県となるのが二十一世紀であると私は思います。知事、いかがでしょうか。知事の所見をお伺いします。
続いて、知事の政治姿勢と内部改革についてお伺いします。
知事の県政は、こんなふうに変わるのではないでしょうか。知事は、何年後に何と何をしますという青写真を県民に提示して、次の選挙までに県民の採点を仰ぐ。我々議員も選挙の公約を掲げ、その公約を有権者に示し、一年目には何割、二年目には何割を達成するというスローガンを掲げ、次の選挙のときにこの公約がどのくらい実現できたか有権者に採点してもらう必要があります。いわゆる、行政評価採点表であります。また県職員においても、目標設定をしないで過ごすことは、県民一丸となって県の浮沈を支える趣旨から言っても許されるべきことではないと思います。
二十一世紀には、県の優秀な役人が他府県にトレードされる、または一時的に派遣される、いわゆる県境を越えた役人の頭脳流出が、日本と外国との間だけではなくて、隣県の間でも日常茶飯事に行われるのが当たり前の時代になると思います。その意味でも、県の職員も住民の勤務評定を受けると同時に、日ごろからみずからも磨き、住民の心にかなうよう切磋琢磨しなければならないと思います。知事のご所見をお伺いします。
続いて、「財政難」という言葉の中で事業の凍結、カットが打ち出されていますが、知事として事業を切る優先順位、カットをする基準、何を基準として考えているのかがはっきり見えてきません。今までならば、豊富な財源を背景にいろいろな事業の展開が可能でしたが、これからは非常に財政も緊迫してきて、一銭のお金もむだにできない。しかし、そういうときにこそ、県民の協力を得るためにも皆さんが納得のいく基準を考えることが大事であると思います。知事の考え方をお伺いします。
来春、知事のご出身の大阪において、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンがオープンします。そのユニバーサルと和歌山県の観光をつなげることにより、より大きな県益が、大阪、和歌山のみならず近畿全体に及ぶ可能性が秘められています。例えば、一番進化したユニバーサルを見て、人間に大切な心の問題を、世界遺産に指定されるよう訴えている高野・熊野で体験をし、日本の景観のすばらしさに胸を打たれて、そして火山国日本の温泉に浸る。つまり、目で楽しむもの、家族で楽しむもの、いやしもある。自然の景観もある。人間にとって不可欠な自然の恵みというものが、全部ある。先端技術を駆使し、アジア最大のエンターテインメントを目指す、いわばアミューズメント構想であります。これは、大阪と和歌山を結ぶ、関西圏に背骨が通る壮大なものでありながら、自然のたたずまいをそのまま生かそうとするため、少ない財源で済みます。いわば、小さい投資で最大の効果を上げる利点があります。
知事、ユニバーサルと南紀の自然体験、地球体験──「人生の一週間コース」という名称でございますけれども、いかがでしょうか。
今議会でも、知事の重点施策としてIT総合センターなど、すべての県民がIT社会に対応できるよう全力で取り組むという所信演説がありましたが、その具体的な取り組み、いわゆるソフト面をどう考えていくか、そのことが大事であると思います。
労働力でない専業主婦や子供も入った百七万人の全員が、新しい和歌山県づくりに参加をする。二十一世紀の新しい和歌山県をつくり直す。それは、県民みんなが助け合い、知恵を出し合い、それぞれの世代に合った手法でもって参画するのはどうだろうか。
例えば、子供たちが学校で取り組んでいるインターネットを駆使して我がふるさとのPRをし、他府県の子供たちと情報を交換することによって和歌山県の見どころを広くPRする。「和歌山県の誇り、僕達のふるさと紹介・発信「インターネット子供観光局」」を開始したらどうだろうか。世界や日本全国の子供や大人に、和歌山の観光、ふるさと自慢を発信する。こうした形でコストをかけないで、情報の交換も、大人社会では気づかなかった隠れた武器を使うというのはどうだろうか。そして、年間を通じて子供たちのアイデアに県が知事賞などをつくり、評価をする。そのことによって子供たちが自分たちのふるさとを再発見することにもつながると思います。
インターネットの教育効果や実践効果が上がり、子供たちのアイデアが多く出され、生かされる、世界遺産にふさわしいふるさとづくりが生きてくる、県民こぞって一人一人が責任と応分の力を発揮しながら県づくりをする。それが和歌山県の県づくり、つまり知事が言っている県民参加、県民自治であると私は思います。
観光とインターネットの活用方法について、今私が提言をしてきたものは三つの発想に集約されます。その一つ目は和歌山が世界への発信基地、集約地であるという発想、二つ目は世界遺産、地球環境を守るという視点、三つ目は県が財を生んで県民が幸せになる、一石二鳥、一石三鳥の夢を持った施策発想であります。初めは奇想天外の夢みたいなものでいいと思います。詰めていくと、必ずしも夢でないことがわかってもらえる。実現性のあるものになる。
木村知事、私たちの行く末に夢があり、その実現の可能性が、時代が感覚的にわかるような気がするからこそ県民の協力が得られるのだと私は思います。夢が先端にあるからみんなを動かすのであると思います。
以上、提言をさせていただきましたが、この提言について知事の考え方をお伺いして、二十一世紀の和歌山県政の進路についての質問を終わります。
続きまして、南紀白浜空港における用地買収について質問してまいります。
高野・熊野の世界遺産登録運動が展開をされ、その実現への可能性が大きくなっている中で、世界から数多くの人々がこの南紀を訪れてくれる期待が広がっております。そして、世界から来る人々の玄関口として、その中心をなす南紀白浜空港にしていくために、国際チャーター便の受け入れ体制づくりも県の重点課題として政府予算要望にも盛り込まれているところであります。そうした二十一世紀に夢と期待が膨らむ南紀白浜空港に、去る十一月三十日付の毎日新聞夕刊並びに十二月二日付の「紀伊民報」に、用地買収についての記事が取り上げられ、大きく報道されました。多くの県民が心配と注目をしているところであります。
私は、この問題について、早急に県としてきちっと県民に事実の経過を明らかにしていくことが世界遺産にふさわしい南紀白浜空港及び県行政への信頼を取り戻すことにつながるとの観点から質問をしてまいります。
報道の趣旨は、平成八年三月、南紀白浜空港は一千八百メートルの新滑走路を開港しました。同年末には百六十人乗りのジェット機も離発着できる二千メートルの滑走路が国の計画に組み入れられ、平成十二年九月に開港しました。この新しい滑走路が二千メートルに延長された事業で、和歌山県が平成十年に、延長部分にあった大阪の開発会社所有の山林を、バブル全盛時だった十年前の実勢価格より一平方メートル当たり約一千円上回る一・五倍の高値で買収されていたというものであります。また、この山林は、白浜町が平成二年に空港用地として先行取得した翌月に地元の不動産会社に転売、さらに同社が買収直後に大阪の開発業者に売却するという、極めて不明朗な経過をたどっていた。開発会社は、地元大阪の農協からの借入金約三十五億円の返済が滞っており、事実上、県が返済の便宜を図った形となった。開発会社社長らは、この融資──農協からの借入金──の一部をめぐる背任罪などで起訴をされ、大阪地裁で現在公判中であると報道されております。
私自身も、この報道後、この問題について独自の調査を行ってきました。そこで、次の五点について質問してまいりますので、県当局の見解を求めたいと思います。
まず第一点目は、滑走路の延長は一九八五年ごろのジェット化計画のときからあったものではないのか。少なくとも平成二年の用地買収のときには計画がわかっていたと思うが、どうか。問題の土地は、最初から計画の中に入っていなかったのかどうか。国の補助事業の中には入っていないと聞いている。そうだとすると、問題の土地は初めから不必要だったのではないか。
第二点目は、不明朗な土地取引を県が見逃してきた責任はないのか。問題の土地は、たった二カ月の間で平成二年四月九日に近鉄から白浜町に売買、同年四月十九日には地元の不動産会社へ土地の等価交換、同年五月三十一日には大阪の開発業者に売買されている。わずか二カ月の間に三者に売買をされている。それも、行政がかかわっている。白浜町は、なぜ滑走路近くの土地を等価交換の場所に選んだのか、また県はそれを知っていながらどんな指導をされたのか、お聞かせ願いたい。
第三点目は、平成二年五月三十一日に地元の不動産業者から大阪の開発会社に売買されているが、国土法の届け出が必要である。県の指導及び指導金額を明らかにされたい。
第四点目は、平成十年三月、大阪の開発業者から買ったバブル時の約一・五倍の、一平方メートル三千五百円から四千五百円になった。その根拠として、不動産鑑定士の鑑定に基づいて算出をした適正価格だったとの新聞報道での県の担当者のコメントがあるが、その内容を具体的に明らかにされたい。その鑑定方法に問題はなかったのか。その金額は妥当なものだったのか。県は用地買収の際に落ち度がなかったのか。特定の介在人に便宜が払われていなかったのか。県の立木補償についても、内規で明らかにできないとされているが、その根拠を議会の場で明らかにされたい。
最後の第五点目は、十二月六日付の毎日新聞の報道で、「本来なら開発会社が行うべき担保権の解除手続きを肩代わりした」などとありますが、県はこうした用地買収に伴う債権者との交渉をすべて肩がわりして行ってきたのか。その事実経過及びその行為についての是非を明らかにされたい。
以上五点について当局の答弁を求めて、私の質問を終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 二十一世紀の和歌山県政の進路についてでございます。
二十一世紀の県政の進む方向につきましては、私も玉置議員と同じ考え方でございます。現時のIT革命に代表される激しい変化の中で時代の潮流を的確に見きわめ、これにマッチした新しい発想で思い切った政策の転換を図ることが重要であると考えております。
二十一世紀の本県の発展に向け、今のうちに県財政の再建のため、聖域なき行財政改革や県民参加の推進など、県庁自身がより開かれたものになる県政改革に取り組んでまいりたいと考えております。
また、高齢者を初め、だれもが安心して暮らせる社会の構築や本県の豊かな自然環境を生かした「いやし」をキーワードに情報発信を行うなど、都市との交流を推進することや、ITを活用した産業の活性化、ベンチャー企業の育成等による県経済の構造改革に取り組み、自立型経済に転換していくことが重要であると考えております。私は、県民の皆様にとって安心で活力みなぎる新しい和歌山の創造を目指し、県政を推進してまいりたいと考えております。
次に、県知事と議会、市町村長との関係ということに関するご質問でございます。
新しい時代における地域づくりを考えるとき、それぞれの地域が住民の積極的な参加のもとで、個性豊かで愛着と誇りを持てる町づくりを進めていくことが一層大切であると考えております。したがいまして、今後、住民に最も身近な市町村の果たす役割というものがより大きくなってくるものと考えておりまして、この点、議員と考えを同じくするものでございます。
もとより、本格的な地方分権の時代を迎え、国、県、市町村はそれぞれの役割分担のもとで対等、協力の関係に立つものとされておりまして、市町村においても自己決定、自己責任のもとで町づくりの取り組みを進めていく必要があります。県といたしましても、市町村において自主性、自立性が十分発揮できるよう、その役割を果たしていくことが重要であると考えております。
次に、政治姿勢と内部改革についてのご質問でございます。
議員ご指摘のとおり、二十一世紀は自治体間の競争の時代であり、まさに職員の資質が問われる時代だと考えております。このため、いろんなところへの人事交流ということや民間企業への派遣など、積極的に職員の資質向上に努めていくことは言うまでもございませんし、そしてまた職員の職務責任を明確にするため行政目標をはっきりして、その達成を確認し、評価していくということが必要であると考えております。
また先日、若手の職員の人から私が直接意見を聞く場を設定いたしましたけれども、参加者の人からは時間を忘れるほどの活発な意見が出てまいりました。また、県政活性化についてのアイデアなどを募集しておりますけれども、これについても非常に多くの提案件数が出てきておりまして、これらを来年度の予算編成の中にも生かしていきたい、またこういう傾向をますます強めていきたいと考えております。
このような各種の機会を今後さらにふやして、職員も、自分の職務はもちろんのこと、それ以外の県政全般の施策についても幅広く知恵と創造力を出し、いろんなことを提案していくような職員になってもらうように進めていきたいと考えております。
次に、県を豊かにするための事業は何か、要らない事業は何かということについて基準を設けてやっていくべきだというご質問でございます。
これは、まことにそのとおりでございまして、二十一世紀における豊かな和歌山県を創造するため、新しい時代を先導する事業、そしてまた県民福祉の向上につながる事業については、財源が厳しい中でも積極果敢に取り組んでいく一方で、現在すべての事業について成果重視の観点から徹底した見直し作業を行っているところでありまして、十二分に成果が出ていないような事業については見直しをしていくということにしたいと考えております。
また、このような事業の見直しに当たっては、民間との役割分担や県民の皆様方の意向にも配意しつつ、緊急性、必要性、費用対効果等々を検討しながら優先順位づけを行ってやっていきたいと考えております。
次に、県が財を生む事業を始める必要があるということについてでございます。
二十一世紀の観光は、高野・熊野に代表される和歌山の豊かな大自然と文化を体験していただく、本物の心のいやしが大きな核となるものと考えております。
ご提言の自然体験、地球体験等の体験型観光をこれからの観光客のニーズに合った観光メニューとして定着、発展させるため、現在、県下の市町村や観光関係団体等と検討を重ねているところでございます。
また、ユニバーサル・スタジオの開業は、国内はもちろんのこと、海外からも注目度が高く、本県観光産業にとっても大きな活性化につながるものと期待しております。このため、海外におきましては、十月に韓国で観光フォーラムを開催、また十一月に台湾で観光展に出展するなど、ユニバーサルと和歌山をPRしてまいりました。一方、国内向けには、現在、ユニバーサル・スタジオと本県の魅力ある観光を組み合わせた旅行商品づくりについて、旅行会社提携旅館ホテル連盟と話を進めているところでございます。
今後は、大手旅行エージェントとタイアップして、「ユニバーサルで疑似体験、和歌山で本物体験」をキャッチフレーズに観光客の誘致に努めてまいりたいと考えております。
次に、インターネットの幅広い利用についてでございます。
議員ご提言のように、本県の魅力的な数多くの資源をあらゆる分野の方々がそれぞれの立場でインターネットを駆使してPRしていくということは大変重要であると認識しております。インターネットは、県民一人一人が参加することによる県づくりの有効な手段でありますので、インターネット子供観光局もこの有効な活用策の一つとして検討させていただきたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 南紀白浜空港における用地買収について、五点のご質問のうち、私からは四点についてお答えいたします。
まず一点目の、滑走路延長計画の中に問題の土地が入っていたかの有無についてのご質問にお答えします。
滑走路の延長事業につきましては、平成七年から二千メーター化に関する技術的検討を開始し、平成八年に第七次空港整備五カ年計画に組み入れられたものであり、その後の詳細な検討の結果、乱気流対策のため当該土地を取得することが必要となったものであります。したがって、平成二年の用地買収の時点では滑走路延長の計画はございませんでした。
次に二点目の、不明朗な土地の取引を見逃してきた責任はないのか、白浜町はなぜ滑走路近くの土地を等価交換の場所に選んだのかとのご質問でございます。
ご質問の土地につきましては、千八百メーター滑走路建設に必要な土地の代替地として、平成二年に地元不動産会社が代替地提供者としての白浜町から取得した土地の一部であります。その際、当該土地については千八百メーター滑走路建設事業には不必要な土地であり、代替地として取得されても支障がないものと判断し、白浜町に通知したところであります。
次に四点目の、不動産鑑定士の鑑定内容についてのご質問にお答えいたします。
用地買収地の価格決定については、土地評価事務処理要領に基づき、当該地域の土地利用状況等から、まず同一状況地域に標準地を選定し、その価格を鑑定評価によって求め、さらに標準地と買収地の比較を行って適正に算定したものでございます。
この鑑定評価につきましては、空港周辺における複数の取引事例を時点修正し、また別荘の敷地としての最有効使用も加味した価格となっており、国家資格を持つ不動産鑑定士が行ったものであります。さらに、県ではこの鑑定評価額をもとに、土地評価事務処理要領に基づき、買収地の地形や眺望などの個別要因を標準地と比較し、買収額を決定したものであります。
なお、このような用地買収価格や鑑定内容、地上物件の移転補償額等につきましては、個人あるいは法人の財産状況や収入に関することでございますので、申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
次に五点目の、用地買収に伴う担保権の解除についてのご質問にお答えします。
買収用地に所有権以外の権利が設定されている場合、それらの権利を抹消した上で所有権を移転することとなってございます。用地買収におきましては、抵当権等の抹消承諾と引きかえに当該土地買収費の中から抵当権者へ代金が支払われるのが通常であり、地権者と債権者の協議に遅延が予想される場合等には、地権者の承諾を得て、買収当事者である県は双方と交渉することとしております。これは、売買契約の早期締結と完全な所有権取得のために行っているものでございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 南紀白浜空港における用地買収についての質問のうち、一点お答え申し上げます。
国土利用計画法の届け出における県の指導についてでございますが、平成二年当時の法制度のもとにおきましては、契約締結前に取引予定価格、利用目的等を届け出る、いわゆる事前届け出制でございました。当該届け出を受け、県では取引予定価格について和歌山県土地取引価格事前審査会に諮るなどにより価格審査を実施し、適正な価格により取引が実施されるように取引当事者を指導してまいりました。議員ご質問の白浜町における土地売買につきましても、同様の手続を経て指導を行ってございます。
また、指導金額についてでございますが、個人情報または事業活動の情報である契約金額が推定されるものでございますので、申し上げることは差し控えさせていただきたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁、ありがとうございました。
まず最初の二十一世紀の和歌山県政の進路について知事から答弁をいただきまして、私と共通認識を持っていただいているということが確認をできました。
私が最初に申し上げました、二十一世紀にふさわしいビジョンをつくり上げてグランドデザインを描くと。このことがないと、和歌山県にとって何が必要で何が必要でないかといった事業の選択はできないと思います。
また、和歌山県は何を売り物にするのか。ここらを県民も含めて徹底的に議論することも大事であると思います。知事を先頭に、私ども県議、県職員や県民の皆さんと一緒に、全県的に大きなうねりを起こしながら和歌山のグランドデザインをつくっていただくことを要望しておきたいと思います。
私の二点目の南紀白浜空港の用地買収について、幾つか再質問をしたいと思います。
今ご答弁をいただきましたが、まず最初に確認をしておきたいと思います。平成十年の三月に県が大阪の開発会社から買った土地については、二万六千平米、約一億一千万円──平米当たり三千五百円から四千五百円──ということで新聞に報道されていると私が言いましたけれども、まず確認をしておきたいと思います。これでいいのですね。
二つ目は、この価格は適正に算定したものでありますと答弁をされましたが、この価格が適正であるのならば、私が調べた中で、わずか半年前の平成九年七月十六日に和歌山地裁田辺支部で競売の開始決定がございまして、県が買った土地を含めた同土地の最低売却価格が十六万五千二百九十平米で六千二百七十四万七千円。これを割りますと、大体一平米三百八十円となるわけであります。わずか半年前にです。そして、平成十二年に同じ土地が売れなかったのです。県は平成十年に一部を買いましたけれども、あと大分残っております。それを今度は、平成十二年十月十一日に和歌山地裁の田辺支部が期間入札で、入札最低価格が十三万九千四百三十七平米で二千五百九万九千円、平米単価約百八十円と下がっているわけです。答弁では、「土地評価事務処理要領に基づき、当該地域の土地利用状況等から、まず同一状況地域に標準地を選定し、その価格を鑑定評価によって求め、さらに標準地と買収地の比較を行って適正に算定したものでございます」と、こういう答弁をいただきました。今のことから言えば、具体的にはどうなっているのかわかりません。競売と任意の違いというのは私も理解できますけれども、約十倍です。そして、この平成十二年では約二十倍という価格で買うという、具体的な根拠がなければ常識的に見てもおかしいと言わざるを得ない。再度答弁を求めたい。
第三点目は、適正価格なんだという背景には、私が先ほど質問いたしました、平成二年五月に行った国土法の土地取引届け出における県の指導金額があるのではないのか。このことがちょっと疑問に思うわけであります。私は、金額を知っています。当然、県も知っていると思う。答えてくれませんけれども、届け出の県の指導金額に平成十年の土地価格が拘束されているのではないかと、私は疑いを持つものであります。なぜならば、当事者は同じであります。大阪の開発会社なんです。同じ人物であります。県が出資をしているいろんな事情を加味してと、こういったふやけた答弁部分がありますけれども、届け出の県の指導金額に大きな問題があるのではないかと私は思っております。幾らバブルがはじけたとしても、ゼロが一つ少ない金額では売れないと押し切られたと想像することは当然ではないでしょうか。結果的に一業者の借金返済に協力をするという、指摘をされているそういう売買の仕方は県民を裏切る行為ではないかと思うのですが、どうでしょうか。平成二年の県の価格指導がそのネックになっていると私は推測します。だから、国土法土地取引の県の指導金額を開示していただきたい。再度答弁を求めたいと思います。
以上、再質問を終わります。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 私からは、再質問の一点目と二点目のご質問に対して一括してお答えいたします。
先ほど、最初の質問の四点目のところでもお話し申し上げましたように、このような用地買収価格あるいは鑑定内容、地上物件の移転補償額等につきましては、個人あるいは法人の財産状況や収入に関することでございますので、申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 玉置議員の再質問にお答え申し上げます。
平成二年五月三十日の県が行った指導価格についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、個人に関する情報であり、特定の個人が識別され得る情報であると考えてございます。また同時に、法人の事業活動に直接影響を及ぼす、契約金額が推定される情報でございます。県といたしましては、これらの情報を保護する立場から指導価格を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 まず、企画部長の方から答弁をいただきました。全く最初の答弁と一緒ですけれども。
県の答弁は、国土法の届け出の関係で、「県では取引予定価格について和歌山県土地取引価格事前審査会に諮るなどにより価格審査を実施し、適正な価格により取引が実施されるように取引当事者を指導してまいりました」と、こういう答弁がございました。私の調べでは、たった一週間でやっているわけですよ。今の答弁は、審査会も開いていろいろやっていると。五月二十四日に届け出がされ、五月三十日に県の指導がされて、もう五月三十一日には売買されていると。これは、常識的に見たら余りにも疑問を持つものであります。だから、ここらについては、先ほどの答弁も納得はいきませんから、きちっと明らかにしていただきたいと思っております。
それと、鑑定内容を出さないと答弁が繰り返されました。これは、恐らく情報公開条例の関係だと思いますけれども、情報公開したところで、個人の財産権とか個人の権利を侵害するものではないと私は思っております。客観的な資料とか大きな根拠は鑑定内容にあるわけですね。鑑定内容が大きな要素にあると思うんですよ。平成九年の、いわゆる半年前の約三百八十円も、やっぱり不動産鑑定士をつけてやっていると思うんです。そういう金額の十倍、また反対に、平成十二年で言えば、百八十円に下がっていますから二十倍。ここらについては県民の理解を得られませんよ。私は、今の答弁では到底県民の信頼を得ることはできないと判断いたします。みんなで開かれた空港をつくる、みんなから愛される空港をつくるのであれば、地元県民に情報が公開をされて、信頼をされて、そして愛されないと本来の利用促進にはつながらないと思います。
知事、二十世紀のこの疑問点をこの機会に落とそうではありませんか。あかを落とそうではありませんか。まず、知事みずからこの問題について調査に乗り出して解明をしていただきたい。このことをひとつ知事にご答弁をお願いしたい。場合によっては、私も議員の皆さん方にいろいろご相談をさせていただいて、そして特別調査委員会の設置とかということで取り組んでいくということを皆さん方にお願いしながら、質問を終わりたいと思います。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの玉置議員のお話、私どもも十分調査させていただきます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、玉置公良君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十六分休憩
─────────────────────
午後一時二分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十一番江上柳助君。
〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
十二月定例会は、二十世紀最後の議会となりました。私の質問も今世紀最後の質問でございます。今回もまた発言の機会を与えていただきました先輩・同僚議員に対し、心から感謝申し上げます。
二十一世紀まであと二十三日となったきょう、ちょうど百年前の二十世紀を迎えようとする和歌山はどうであったのか。一九〇〇年(明治三十三年)十一月、紀和鉄道和歌山線、現在のJR和歌山線でございますが、その和歌山駅から奈良県五条町の二見駅間、五十・三キロメートルが全線開通いたしました。当時は、五条駅で南和鉄道と連絡し、和歌山と大阪を結ぶ唯一の鉄道でありました。大阪に行くには、この路線しかなかったわけでございます。当時の全通式の模様を記録で拝見いたしましたが、粉河町では「地方未曾有の振るわいなりき」という記録が残ってございます。自転車もない時代であります。私たち議会の大先輩である日高郡選出の夏見県会議員が、候補者として自転車を乗り回していた。それを見た村人たちは「夏見さんの糸どり車」と、自転車の輪が糸を巻くのによく似ていたのでしょうね。これくらい自転車が珍しい時代でありました。もちろん、自動車も電話もない状況の中で、紀和鉄道の全線開通は画期的な出来事であったことと推察いたします。なお、この紀和鉄道は明治三十七年に関西鉄道に買収されまして、後に国有鉄道、そしてJR和歌山線となったわけでございます。この紀和鉄道の全線開通というものが、後に南海鉄道の全線開通に大きな弾みになったわけでございます。南海鉄道は、明治三十六年に和歌山まで全線開通したわけでございます。さらには、紀勢鉄道においても大きなインパクトを与えました。何せ、紀勢鉄道が天王寺から新宮まで開通したのは昭和十五年のことでございました。このように、画期的な出来事がございました。
今、和歌山はこの百年前と比べたら、少しだけ寒い感じがいたします。ただ、百年前と現在の共通点が一つだけございます。一九〇〇年と二〇〇〇年の共通点、実は和歌山県知事が交代したことであります。百年前の一九〇〇年十月に第十一代の椿蓁一郎知事が誕生いたしました。椿知事は、当時五十歳でございます。木村知事も来年の一月十一日で四十九歳でございますし、歳のころも似通った知事でございますが、本県在任中に紀和鉄道や南海鉄道の全線開通、さらには和歌山商工会議所、県農会の設置、県立新宮中学、田辺中学、粉河中学の創立など大いに活躍された知事でありました。一方、木村知事は、九月の知事就任以来、梅枯れ問題、橋本の産廃問題、関西国際空港の二期工事への対応、財政運営など積極的に取り組んでおられます。大変にご苦労さまでございます。木村知事のひたむきに県政の重要課題に情熱を持って取り組んでおられる姿に頭の下がる思いでございます。
いよいよ二十一世紀最初の平成十三年度の予算編成であります。木村知事として最初の当初予算編成であります。申すまでもなく、予算は政策の具体的なあらわれであり、政策そのものが予算でございます。それだけに、知事の真価が問われるときでもあります。厳しい財政下ではありますが、二十一世紀における和歌山県の発展のため、IT関連を初めとした新世紀にふさわしい当初予算の編成を強く期待するものでございます。
それでは最初に、IT社会の構築に向けた取り組みについてお尋ねいたします。
十一月二十九日、国会でIT基本法が成立いたしました。IT基本法は、世界最高水準の通信ネットワークの整備を目標に掲げ、ディジタルデバイド(情報格差)を防止するための環境整備や電子商取引の促進、行政の情報化、ネット社会の安全性確保などを打ち出したものであります。
私は、本年九月定例会でIT革命に対応した情報化施策等の推進について質問いたしました。その中で、IT社会の実現でIT先進県を目指すことや、そのためのIT関連予算特別枠を設けることを提案させていただきました。知事は、「行政はもとより、県民生活や企業活動など、あらゆる分野におけるITの活用を促進し、他県に比類なきIT先進県を築いてまいる決意でございます」と、IT先進県を目指す並々ならぬ決意を述べられました。また、IT関連予算特別枠については、平成十三年度予算編成方針の中に二十一世紀の和歌山づくりに向けた予算を編成する、新生和歌山創造枠を設け、IT関連について新世紀をリードする環境対策関連、先進的な新産業創造関連とともに先進的な取り組みを推進するとされております。
また、県の主要計画や県施設案内等のホームページの開設状況についても九月定例会で質問いたしました。知事は、「情報を全く掲載していない課室もございますので、こうした課室については早急に提供するよう促してまいりたい」と答弁されました。知事の答弁どおり、ホームページは着実に開設されております。現在、全課室でホームページが開設されております。これらの目をみはるような早急な取り組みに対し、心から敬意を表するものであります。今後、IT関連予算の確保とあわせ、ホームページの内容の充実にさらに取り組まれることを強く要望させていただきます。
ITには、経済発展の起爆剤になることや、障害のある方々の社会参加の促進、電子政府、電子自治体の実現によって住民へのサービスの向上や行政の効率化を進めるという光の面があります。一方で、世代や所得の違いによってディジタルデバイド(情報格差)が出るという影の面があります。また、インターネットを悪用した犯罪なども懸念されております。こうした影の部分を防止し、ITの利益を全県民が享受できるようにすることが大切だと認識しております。
そこで大切なことは、日本と米国を比べて約二倍の通信料金の引き下げをしっかりとやることだと思いますが、この点はNTTや国に強く要望していかなければなりません。一方、国の補正予算では、情報格差を防止するための措置として、情報通信技術(IT)講習推進費約五百五十億円や二百二十九億円の電気通信格差是正事業が予算計上されております。五百五十万人を対象とした情報通信技術(IT)基礎技能講習の実施──本県においては六万人が受講する予定になっております──や電気通信格差是正事業などによって、ある程度はディジタルデバイドは防止されるものと考えます。さらに、高速大容量の通信インフラ(基盤)整備を初め、学校や図書館などの教育関係施設の情報化とあわせ、地域開放に取り組んでいく必要があります。
以上のことから、知事並びに関係部長にお尋ねいたします。
第一点は、来年度に取り組むSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)整備を初めとするIT関連施策の概要とディジタルデバイド(情報格差)の防止に向けての取り組みについてお伺いいたします。
第二点は、国のIT基礎技能講習については希望する自治体のみとなっております。本県がIT先進県を目指す以上は、県下全自治体でこの事業を実施すべきだと考えます。IT基礎技能講習への対応について、講師の養成と確保を含めて答弁をお願いいたします。
第三点は、失業者への再就職の道を開くため、ITすなわち情報技術取得のための施策を講じる必要があると考えます。その対応についてお伺いいたします。
第四点は、IT情報技術には障害のある方々の社会参加を促進する効果があります。今後、IT講習を含め、どのように対応していくお考えか、お聞かせください。
以上、四点についてお尋ねいたします。
次に、和歌山工科大学の凍結への対応についてお尋ねいたします。 木村知事は、十月二日、和歌山工科大学の設立事業を凍結したいと、事実上の中止宣言をされました。知事が凍結を決断するに至った理由は、一、少子化で学生確保が困難になる、二、学生が白浜まで来るのか、三、採算がとれず県財政圧迫のリスクがあるというものでありました。
私は、本年二月定例会の一般質問で、工科大学の新設について質問いたしました。質問の内容は、航空工科大学基本検討委員会の会議録を通して、大学構想の慎重論に対して県民の理解と協力をどのように得ようとされるのか、開設経費約百四十四億円の県財政への影響、大学運営と学生確保の問題、卒業者の就職見通しや教育委員会の対応についてでありました。二回目の質問で私は、教育委員会の対応や少子化での学生確保の問題、大学運営などに多くの課題があるので、できるものなら開学を一年ずらして全庁的に万全の体制で取り組むべきだと提案をいたしました。県当局は、もっと議会での議論に耳を傾けるべきであったと思います。議論を尽くし、大学設立に慎重であったならば、和歌山工科大学設立準備財団職員の採用試験合格者の採用取りやめ問題などの混乱は回避できたのではないかと考えます。私も、工科大学の新設について本議場で質問をした一人として、返す返す残念でなりません。
本定例会に、和歌山工科大学設立準備財団職員採用予定者十三名を相手として解決金額確定にかかわる調停の申し立てを行うため、議会の議決を求めるための議案第百七十六号を提出されています。準備財団職員採用試験の合格者十三名は、競争率二十六倍という難関を突破された優秀な方々であります。準備財団は設立されておりませんので、採用試験合格者の採用取りやめは、法的には問題はないと思います。しかしながら、道義的責任は十分にあると思います。
県当局は、準備財団職員採用予定者並びに教員採用予定者に誠意を持って話し合い、対応すべきだと考えております。採用予定者十三名から損害賠償の訴えがない中で、本定例会に調停の申し立てについての議案を提出され、問題の解決を第三者機関にゆだねようとされていることについて、採用予定者に対してお金で解決しようとするのかといった批判の声もあります。
以上のことから、知事並びに関係部長にお尋ねいたします。
第一点は、和歌山工科大学の事業凍結で得た教訓とは何か。今後、その教訓をどのように県政に反映させるお考えか。
第二点は、議案第百七十六号は調停の申し立てによって早急に生活費等の解決金を支払うためとのことであります。午前中に、小川武議員の方からも質問がございました。調停の申し立てを行わないで解決金の支払いはできないのか。
第三点は、議案第百七十六号の調停による解決金を支払う基準と予算措置についてお伺いいたします。また、就職を希望される人に対して、どのように誠意を持って話し合い、就職の問題を解決しようとされるのか。
第四点は、工科大学の準備経費の内容と凍結に伴う十四億円余の予算処理はどのようにされるのか。あわせて、開設経費約百四十四億円の予算処理に伴って、本年五月に策定された財政運営プログラムIIへの影響について答弁をお願いいたします。
以上、四点についてお尋ねいたします。
次に、和歌山工科大学事業凍結に関連いたしまして、旧南紀白浜空港跡地利用についてお尋ねいたします。
和歌山工科大学の設立事業は、旧南紀白浜空港跡地利用として県が計画したものであります。その計画が凍結された以上、新たな跡地利用計画を策定しなければなりません。しかしながら、県当局は事業凍結への対応に追われております。今すぐにというわけにはいかないと思いますが、白浜を含む紀南方面の活性化のため、できるだけ早く跡地利用計画を策定すべきだと考えます。
私ども県議会農林水産委員会は、佐田委員長を初めとして十一月初旬に熊本県の農業公園を視察してまいりました。農業公園には、家庭では栽培しにくい、非常に珍しい、美しい花のベゴニアの温室を備えております。そして、最新の情報と映像技術で熊本県の農業を紹介しておりました。このベゴニアの温室は、当時の細川知事の提案でつくられたとのことでした。また、公園には自然の広場があり、十年間で六百万人の人が訪れたそうであります。年間六十万人の方が訪れてきているそうでございます。
ここで私の提案でありますが、旧南紀白浜空港跡地を世界的に珍しく、美しい花の温室栽培施設を備えた自然公園として県民の交流広場にしたらどうかと考えます。もちろん、跡地利用について、県民各界各層からいろんなアイデアを募ることも検討すべきだと考えます。ご見解を承りたいと思います。
一方で、旧南紀白浜空港跡地利用については、民間活力を活用した取り組みが重要であると考えます。例えば、集客力を持ったレジャー施設を誘致する案や若者のイベント広場にする案であります。いずれにしても、白浜の観光地にふさわしい集客能力を備え、観光名所となるような対応が必要であります。この際、土地については無償で提供するくらいの心意気が大事ではないかと思います。知事のお考えをお聞かせください。
次に、ワールドカップ出場チームのキャンプ地、和歌山県への招致についてお尋ねいたします。
先月十一月二十二日、財団法人日本サッカー協会(JFA)と日本組織委員会(JAWOC)は、二〇〇二年に日韓両国で共同開催されるワールドカップ国内キャンプ候補地として立候補していた県営紀三井寺公園を含む八十四カ所を公認いたしました。
公認キャンプ地とは、二〇〇二年FIFAワールドカップ出場チームが大会前や期間中に長期滞在し、トレーニングなどを行う場所のことであります。キャンプ候補地には、立地や設備などさまざまな基本条件が求められています。これらの基本条件を満たした県営紀三井寺公園は、公認キャンプ候補地として認定、登録され、候補地リストに掲載されております。今後、ワールドカップ出場の三十二チームは、このリストを参考にキャンプ地を選定することになります。公認キャンプ候補地として認定、登録されたことは、まことに喜ばしい限りであります。今日までの教育長を初めとするキャンプ候補地への取り組みに対し、心から敬意を表します。しかしながら、これからの取り組みが非常に大事であります。
ワールドカップは、二〇〇二年五月三十一日に韓国で開幕・キックオフされ、六月三十日に日本で決勝戦が行われます。その間、予選リーグから決勝トーナメントが日韓両国で繰り広げられます。したがって、予選リーグの組み合わせ抽選会が行われる二〇〇一年十二月一日を前後に、キャンプ地への招致活動の激化が予想されるわけであります。県営紀三井寺公園にブラジルなどの強豪チームをキャンプ地として招致することができれば、多くのサポーター、マスコミ関係者、見物、宿泊客など、その経済波及効果は八億円とも十億円とも言われています。また、青少年に夢と希望を与え、スポーツ振興はもとより、本県を世界にアピールすることができる絶好のチャンスであります。県営紀三井寺公園が公認キャンプ地として決定した以上、ぜひともブラジルなどの強豪チームの招致を実現させたいものであります。
そのためには、県営紀三井寺公園がキャンプ地として最適の条件を備えているということをアピールすべきだと思います。アピールする点としてはいろいろあると思うんですが、一点目に関西国際空港の至近距離にあるということ。二点目に、気候が温暖である。三点目に、宿泊施設としてのマリーナシティにあるロイヤルパインズホテル、ここは人工島であるため警備がしやすく安全である。四点目に、雨天候時にトレーニング可能なビッグホエールや県立体育館が近距離にあること。もう一つは、このごろのサッカー選手はほとんど故障することがないと思いますけれども、捻挫とかちょっとしたけがの場合の処置が十分できる医療機関としての県立医科大学、また琴の浦リハビリテーションセンターが近距離にあること。これらをしっかりアピールするとともに、民間活力を生かした招致活動を粛々と展開すべきであると考えます。
ワールドカップ出場の強豪チームのキャンプ地として、県営紀三井寺公園への招致に向けての知事の意気込みと民間活力を生かした招致活動についてお伺いいたします。
また、本県のキャンプ誘致委員会の充実を初めとした今後の取り組みや、キャンプ候補地の県営紀三井寺公園の芝の張りかえなどの整備について、教育長並びに土木部長に答弁をお願いいたします。
最後に、ドクターヘリ事業の導入についてお尋ねいたします。
厚生省は、平成十三年度概算要求の主要施策として、ドクターヘリの導入を全国で七カ所としております。ドクターヘリとは、医師が同乗する救急専用ヘリコプターのことであります。ドクターヘリ事業とは、救命救急センターにドクターヘリを委託により配備し、事故、急病や災害等の発生時に、消防機関等からの要請に対し、直ちに医師等が同乗し、ヘリコプターで救急現場等に出動する事業であります。ドクターヘリは治療開始が早くなるため、救命だけではなく後遺症の軽減につながると言われております。
神奈川県と岡山県で昨年度試行したドクターヘリ事業では、命が助かった人や身体機能の障害に至らなかった人の割合が、ヘリを使わなかった場合に比べると倍増したとされております。本県のように山間僻地を多く抱える地域にあっては、ドクターヘリの導入に大きな期待が寄せられているところであります。
そこで、本県でのドクターヘリ事業の有効性とその導入への取り組みについてお伺いいたしまして、私の第一回目の質問といたします。明快な答弁をよろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) IT社会の構築に向けた取り組みとして、来年度のIT関連施策についてのご質問でございます。
来年度、県民生活や企業活動等、あらゆる分野におけるIT活用の促進により社会経済活動の活性化を図るとともに、すべての県民がITの利便を享受できるよう、情報格差の防止にも配慮した施策に取り組む考えでございます。
このような見地から、現在、県民が気軽にインターネットを活用できるようにするための普及啓発機能やIT研修機能をあわせ持ったIT活用に関する総合的なセンターの設置や、起業を志す若い人への情報インフラの整った施設、いわゆるSOHOでございますが──の提供も含めた支援策等について鋭意検討を進めております。また、まず「隗より始めよ」ということもございますので、来年度、本庁のパソコン整備率一〇〇%を目指すことにいたしております。
次に、和歌山工科大学の凍結への対応ということでございますけれども、和歌山工科大学整備事業の凍結につきましては、関係者の皆様に対してご心配をおかけいたしました。今後の県政の推進に当たりましては、引き続き県議会等における議論を十分に尽くすとともに、議員各位を初め地元関係者などの合意形成を図りながら県政を運営していく所存でございますので、今後ともご協力のほどよろしくお願いを申し上げます。
次に和歌山工科大学の凍結への対応で、調停の申し立てを行わない解決金の支払いということでございますけれども、議員ご指摘のように、民事調停以外の方法による解決金の支払いも可能でございます。しかしながら、採用予定者の皆さんの実情、要望を十分勘案した上で、採用予定者の皆さんの負担をでき得る限り軽減しながら、公正かつ客観的な判断に基づき早期解決を図るためには、民事調停によることが最も適切であろうと判断したところでございます。
なお、民事調停によること、また県が申し立てを行うことにつきましては、採用予定者全員と協議の上、ご同意をいただいているところでございます。
次に、旧南紀白浜空港跡地利用についてのご質問でございます。
この跡地につきましては、ただいま議員からのご提案も踏まえつつ、観光振興など紀南地域の活性化のため、民間活力を活用した利用方策を幅広く検討してまいりたいと考えております。また、県民の方々からも知事と親しメールなどを通じ、ご意見、ご提言をいただいているところでございますけれども、今後とも幅広くご意見をいただきながら取り組んでまいりたいと考えております。
次に、ワールドカップサッカーのキャンプ誘致についてでございますが、二〇〇二年に日本と韓国で開催されるワールドカップサッカーに出場する三十二カ国のキャンプ地として、日本で四十三都道府県八十四カ所、韓国では三十三カ所の自治体が名乗りを上げ、誘致活動を展開しております。
本県の場合は、関西国際空港から至近距離にあるという交通アクセスの利便性や練習会場、宿泊施設など、すぐれた環境にあると考えております。このキャンプが実現しますと、国の内外から多くのサッカーファンやマスコミ関係者等が本県を訪れることにより、和歌山県を世界にアピールする絶好の機会となるとともに、スポーツ振興はもとより、県の活性化に大きな効果が期待されるところでございます。今後、各界諸団体を初め幅広く県民の皆様のご支援をいただきながら、積極的に取り組んでまいりたいと思います。
なお、この件につきましては、既にいろんな方面で誘致に向けて努力をしているところでございます。
○副議長(尾崎要二君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) IT社会の構築に向けた取り組みの中でIT基礎技術講習への対応でございますが、IT講習会は、インターネットに始まるIT革命の恩恵を県下一円に拡大、浸透させていくために大変効果的な事業であると認識しております。県内全市町村が本事業に積極的に取り組むように働きかけており、平成十三年度での事業実施を予定しております。
この事業を実施していく上で、講師の確保は、事業の成否を分けるポイントの一つであります。現在、例えば学校の教職員、民間のパソコン教室の先生、県職員、市町村職員及び定年を迎えて職場を離れられた方々の中でパソコン技能に造詣の深い方々を講師として想定していますが、今後より広くボランティア等の公募も行いながら講師の確保に努めてまいる所存であります。
なお、講習会の開催前には、講習内容の平準化を図るため、講師の方々に講習方法等についての説明会を開催することとしております。
次に和歌山工科大学の凍結への対応の中で、解決金を支払う基準と予算措置、就職問題解決についてでございます。
まず解決金の算定につきましては、精神上の損害、並びに財産上の損害など、採用予定者の皆さんの実情を十分に勘案し、調停委員により適切な判断を下していただけるものと考えており、県としても誠意を持って対応していく所存です。
また予算措置については、調停に基づき解決金の額、支払い時期が決定された後に財政当局と協議の上、適切な対応を図る所存です。
次に職を失われる方々の就職先の確保につきましては、就職先の紹介及び就職活動の支援について、現在採用予定者の皆さんと個別、具体的に協議を重ねているところでございます。
次に、工科大学の準備経費の内容と予算処理でございます。
関係予算の執行状況でございますが、平成十二年度予算の執行状況については、当初予算額十四億五千五百七十三万七千円のうち、十一月末日までの支出負担行為済み額は一億六千二百九十五万九千円となっております。このうち、設計や調査などの委託契約経費につきましては、九月議会終了後に契約解除の通知を行い、業務の進捗度合いに応じて精算額を確定の上、契約解除を行いました。その結果、委託契約に係る支出負担行為済み額は一億二千二百十七万円となっております。その主なものとしては、施設の基本実施設計の四千六百八十九万八千円、地質調査の二千三百十五万五千円等です。
なお、十二月以降の本年度予算の執行につきましては、事業収束に必要な事務費のみであり、平成十二年度末での予算執行見込み額は全体で一億七千万円程度になるものと見込んでおります。このため、来る二月議会には残余額について減額補正予算案を提案する予定でございます。
以上です。
○副議長(尾崎要二君) 商工労働部長内田安生君。
〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 失業者の情報技術取得についてお答えをいたします。
最近の雇用失業情勢は、失業率が四・七%と非常に厳しい状況が続いており、特に本県におきましては有効求人倍率が〇・四九倍と、全国平均の〇・六四倍を下回る水準で推移しているのが現状でございます。一方、あらゆる産業分野においてIT化が急速に進展する中で、IT対応能力はあらゆる職種の職業能力の前提となりつつあり、離転職者の再就職には情報技術の取得が重要であると考えてございます。このため県といたしましては、離転職者の再就職に資するため、国の施策等も活用しながら、情報技術取得訓練を積極的に展開してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) IT関連での障害者への対応についてお答えをいたします。
インターネットやEメール等のディジタル情報技術を利用することで、障害のある方にとっては社会参加の新しい局面がふえ、家庭にいながらさまざまな仕事ができるようになり、その普及により、さらに自立の機会がふえるものと大いに期待をしております。そのためにも、情報技術の進展から取り残されることのないよう、特に情報の取得に障害のある方を対象とした講習会の開催や参加の促進に取り組むとともに、情報機器や各種ソフトの取得、利用に関する支援策についても国に要望をしてまいりたいと考えてございます。
次にドクターヘリ事業についてでございますが、事故及び急病や災害等の発生時に、消防機関等からの要請により、直ちに医師等が同乗し、ヘリコプターで救急現場等に出動する事業が全国二カ所の救命救急センターで試行的事業として実施されてございます。国におきましては、ドクターヘリ調査検討委員会を設置し、厚生省や自治省などの関係省庁により検討が行われたところであります。その有効性につきましては、山間僻地を抱える本県におきましても、救急医療に精通した医師が現場により早く到着し、救命医療を開始し、高度な救急医療機関まで連続的に必要な医療を行うことにより、救命率の向上や後遺症の軽減に大きな成果を上げることが期待されているところでございます。しかしながら、ヘリコプターを活用するためには、現地での離発着場の確保、夜間の対応等解決しなければならない課題もございます。
県といたしましては、ドクターヘリ事業の導入に向けて、今後諸課題についていろいろな角度から検討を加えるとともに、関係機関との協議を進めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(尾崎要二君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 和歌山工科大学の凍結に伴う財政運営プログラムIIへの影響についてお答えいたします。
和歌山工科大学整備につきましては、全体事業費約百四十四億円を見込んでいたところでございます。また、ご指摘の財政運営プログラムIIにおきましては、事業に充当される起債などを差し引いた一般財源ベースで収支差を段階的に解消することとしており、一般財源ベースで見ると約六十億円の節減となりますが、いずれにせよトータルとしては、本年度に予定していた事業の精算見込み額を差し引き、約百四十二億円の節減になるものと考えております。
なお、その一方でIT革命への対応、ダイオキシン対策、介護保険を初めとする福祉関係経費の増嵩などによりさらに厳しさを増してきているという面もございまして、今後とも財政健全化に全力を挙げて取り組んでいく必要があるものと考えているところでございます。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) ワールドカップキャンプ地についてのご質問のうち、紀三井寺公園の整備についてお答えします。
公認キャンプ候補地募集要綱の条件に基づき、芝生の張りかえが必要となります。これに必要な経費につきましては、交付税措置がなされて県費が不要となる今回の国の経済対策補正予算として認められましたので実施する計画としてございます。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ワールドカップキャンプ誘致の取り組みについてでありますが、県では、昨年の九月に公認キャンプ候補地としてJAWOC(二〇〇二年FIFAワールドカップ日本組織委員会)に申請し、本年一月に準備委員会、四月には誘致委員会を組織し、誘致に向けての取り組みを進めているところであります。
具体的な取り組みといたしましては、幅広い情報収集や本県のキャンプ地を紹介する資料作成の準備、本県と友好関係にあるメキシコやブラジルへの働きかけ、さらに大陸別予選の状況を見ながら誘致対象国の絞り込みを行うなどの作業を進めております。去る十一月二十二日には、JAWOCから公認キャンプ候補地として正式に認定を受けました。その後、誘致委員会では、日本サッカー協会並びにJAWOCを訪問し協議を行いましたが、その際、本県の候補地は、交通アクセスの面、静かな環境で集中してトレーニングできる研修会場や宿泊施設などの面で高い評価を受けたところであります。
こうした環境条件の面で優位性のある本県に青少年のあこがれの大会であるワールドカップサッカーのキャンプを誘致できるよう、県サッカー協会や和歌山JCなどの関係団体等と連携を図りながら、積極的に誘致活動を行ってまいります。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十一番江上柳助君。
○江上柳助君 知事並びに関係部長からご答弁いただきまして、ありがとうございます。
工科大学の凍結への対応の調停への申し立てについてでありますが、財団の採用予定者が十三名、教職員の方もそうでありますけれども、解決金や就職の問題については誠意ある対応をしていただけるという前向きのご答弁をいただきましたので、どうぞしっかりと対応していただきたい。この点、要望をさせていただきます。
それから、二〇〇二年のワールドカップのキャンプ地の招致でございますけれども、実は県単位で候補地が選ばれたのは和歌山県と奈良県と岡山県の三つなんですね。あとの八十一カ所は、市や町なんですね。ですから、県の威信にかけても頑張っていただきたい。この点も要望させていただきます。
それから本県へのドクターヘリ事業の導入についても、非常に有効性があるというご答弁をいただきましたので、どうぞ導入に向けて積極的に取り組んでいただきたいことを強く要望させていただきまして、私の質問は終わります。
以上です。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十五番鶴田至弘君。
〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、本日最後の質問になりますが、通告に従い、順次質問をさせていただきます。
知事にあっては、厳しい財政状況にかんがみ、聖域なき見直し、「行政の棚卸し」とも言うべき抜本的な見直しを行うという形で予算編成方針を明らかにされました。それによりますと、昨年比で公共事業に九五%、県単事業に七五%、その他の施策費に八五%のシーリングをかけることになっております。県の財政事情の悪化の原因は、主として国の経済対策に呼応する公共事業の拡大と県単事業の異常な増加にありました。原因がそこにあるとすれば、そこに主要なメスを入れなければなりません。しかし、必ずしもそういうことにはならないで、福祉施策を含む一般施策費にまで公共事業を上回るシーリングをかけるなどというのは甚だ理解に苦しむところであります。
そもそも、自治体の最も根本的な任務は民生の安定であり、住民福祉の増進であります。しかるに、莫大な予算を費やす公共事業と一律にというよりも、それよりも高い比率でシーリングをかけるのは、いま一度考え直すべきではないでしょうか。厳しい財政状況の中で、むだなものを省いていこうという努力は当然行わなければならないと考えます。しかし、財政運営プログラムにもなかった「聖域なき見直し」という言葉のもとに、県民が今まで行政の支援で成り立たせていた暮らしやさまざまな事業が大きな打撃を受けるようなことがあってはなりません。とりわけ経済的弱者、あるいは高齢により、あるいはその他の障害により生活に困難を来している人々に対する援助は行政の基本的な責務であり、決して他の施策同様のシーリングの対象とされるべきものではないと思います。
九月議会でこの問題をただした同僚議員の質問に対して、扶助費については昨年どおりだとの答弁もあり、予算編成方針にも明記されているところでありますが、各種補助金については答えがありませんでした。民生費、衛生費の関係を見るだけでも、生活に関連した実に多くの補助金制度があります。さまざまな福祉医療制度のほか、身体障害者福祉工場運営補助、心身障害者小規模通所授産運営補助、国民健康保険制度対策補助、母子生活支援施設整備補助、精神障害者社会復帰施設運営補助、地域医療推進病院施設整備補助、老人ホーム運営補助等々、三十項目を上回る制度が設けられました。しかし、これらの補助施策は、その精神においては扶助制度と同じものであり、内容においても全く変わるものではありません。これらの諸施策は、今日まで住民と県と市町村が力を合わせてつくり上げてきた貴重な成果であります。同和関係の補助金が民生費に組み入れられている以外は、ほとんどが生活に密着した必要費目であり、身体的、経済的、社会的にハンディを持った方々にとっては命の綱とも言うべき費目でもあります。このような補助金は、まさに聖域として、ふやすことはあっても削減すべきところではないと考えます。国の社会保障政策の後退により、今、高齢者、母子家庭あるいは心身に障害をもつ方々は、経済的に実に厳しい風にさらされています。すべての人々がそうだとは言いませんが、新たな厳しさにさらされている方が確かにふえてきているのも事実であります。
私の手元にこんな訴えが参っております。児童扶養手当の所得制限が切り下げられて所得が千二百円オーバーしたことによって、児童扶養手当が月額にして三万六千三百五十円カットされた、それだけでも大変だと思っていたら、児童扶養手当が受給条件だった就学援助が一万五千円カットされた、同じ理由で医療給付がカット、福祉定期の利息の切り下げ等と、打撃的な収入減となった、どうか、母子で必死に生きている者に政治のせいでこんな苦しみを与えないでください。要約すればそんな内容でございます。
また、ある高齢者の方からこんな訴えもありました。自分は高血圧で倒れた夫と二人暮らしだが、自分も足が不自由で買い物にも満足に行けない、今までヘルパーさんに三回来てもらっていたけれども、介護保険ができてから実費を払うのが困難になったから二回にした、全く困ったことになったが、国が決めたことだから仕方がない、そしてまた今度医療費が上がる、どうなることだろうか、生活保護でも申請しなければならないかもしれない、そんな話でした。
あるいは、障害を持つ親御さんの現在と未来に対する切なる不安をしばしばお聞きすることがあります。共同作業所に通っているが、この作業所も運営が厳しくて、果たしていつまでやっていけるのかと不安を抱く方々も少なくありません。
このような、経済的、社会的困難に見舞われている方々に対する援助は、現在も未来にわたっても厚く施策されなければなりません。聖域なし見直しが単に歳出の抑制という観点から出発するならば、このような厳しい生活を余儀なくされている方々を一層寒風にさらしてしまうことになりかねません。今、予算ができていない段階ですから、木村知事の政策がそうだと言っているのではありません。そのような無慈悲なものにしていただきたくないとの願いから、その見直し策に温かい血を通わせていただきたいと念ずるところであります。一律マイナスシーリングによって、県民に最低限の生活基礎まで崩すようなことが決してあってはなりません。知事の、福祉は後退させないという優しい勇断を求めるものであります。いかがお考えでしょうか。
次に、雑賀崎の埋め立てに関連してお尋ねをいたします。
知事にあっては、雑賀崎の埋め立てに関する今年度の調査予算を凍結されました。不景気の時期、しかも財政状況が極めて悪くなっているときに、あえて埋め立てをしなくてもほかにすることがあるじゃないかというのが理由だとされています。それはそれで了とするところですが、今まで埋め立てが必要だとしてきた当局提出の資料を、今どう評価したらよいのか。私は、今まで当局が提出してきた幾つかの資料に、その信憑性を欠くとして幾度も質問をしてまいりました。主として取扱貨物の見通しが過大ではないか、費用対効果の試算は恣意的な数字ではないかという点でありましたが、答弁は変わることなく、埋め立ての必要性を説くものばかりでありました。
知事が一時的にであれ凍結を表明したことは、これら従来の資料の説によらないということを表明されたものと理解しておりますが、いかがでしょうか。
一方知事は、港湾計画を実行できるときが来たらそれを生かせばいい、逆に環境問題がもっともっと大きな位置を占めてくれば計画がおしまいになることもあると表明いたしております。そこで、環境問題について知事の見解をお聞きしておきたいと思います。
雑賀崎が万葉の昔よりその風光をめでられてきたということについては知事も承知のところでありましょうが、現在の社会にあってもそれは極めて貴重な価値を持った景観であろうと私は思っております。世の中が機械化され、電化され、IT社会などという私どもの想像のつかないような社会が来ようとしているとき、自然はますますその価値を高めてまいります。名勝と言われる地であればあるほど、機械と電化でむしばまれた人間の体と心をいやし、再生する力を発揮するに違いありません。雑賀崎とは、都市周辺にあって、まさにその役割を果たす地であります。
さて、港湾計画を作成するに当たっての景観検討委員会も、若干のニュアンスの相違はあっても、その点についてはいささかの異論もあるところではありませんでした。検討委員会の委員の中からも、景観にとっては何もしないのが一番いい、緊急に必要なものなのか港湾整備の必要性を論議すべきだ、二十世紀型の経済効率第一の計画は問題がある、地域の独自性を主張できるよう単体の機能追求はやめるべきだというような意見が出されておりました。ただ、どうしても埋め立てなければならないものであるとするならばという立場から、民意を反映するということを前提に、委員の皆さんの我慢できる範囲が示されたものだったと思います。だからこそ委員の中からは、景観は主観的なもの、科学的根拠はない、住民の声こそが大切だという声も上がったのでしたが、しかしこの検討委員会は景観をめでる地域住民は含まれておらず、その地域に生きる者の切なる声はこの結論に生かされませんでした。また、委員会の委員長であった吉川教授の発言の中にも、「学問として十分な検討時間がなかった。委員会の結論はお墨つきでない」とあるように、この港湾計画が景観保全を十分満たしていないことを物語っています。さらに、中央港湾審議会に計画の承認を求めて提出された資料、景観の絵図が実態を反映せず恣意的に造形されているということも判明してまいりました。地域の方々が、当局が景観保全に極めて冷淡であるという怒りを抱いたのは当然のことでありました。二十一世紀は環境が今まで以上に大きく問われる時代と言われております。知事自身、この雑賀崎の景観が将来にわたって現状を保たれることが必要だとは思われませんか。所信をお伺いいたします。
埋め立て必要の理由の大きな内容の一つに、今後予定されている公共事業から発生する建設残土の処分地というのがありました。建設残土をなぜわざわざ名勝の地に持ってこなければならないのかという、まことに素朴で当たり前の疑問があるわけですが、それはさておき、公共事業による建設残土は、当局の言うほどの量がその処分の緊急性を持ってあるのかどうかという問題があります。雑賀崎埋め立てが一時的にでも延期されるとするならば、今までの当局の言い分ではたちまちにして大変なことになります。計画は一千九十万トンが投下されることになっていますが、そのうち十四メートルバースをつくるためのしゅんせつによる土砂が百五十万立方メートルです。これは、このバースさえつくらなければ発生しないものですから問題になりません。
大きな公共事業で大量の土砂が出るとされた紀の川大堰はどうか。二百万立方メートルが言われておりましたが、これはすべて紀の川の堤防の建設や改修に再利用されるということです。建設省は、和歌山県がホームページでそんなことを流したらしいが、建設省としては雑賀崎への投棄を初めから考えていないということでした。和歌山市の公共下水道はどうか。これはほとんどが埋め戻しに使われ、雑賀崎に埋め立てるなどは当初から考えられておりません。和歌山県の建設副産物対策連絡協議会は、建設残土発生量を一九九九年度で約六百万キロ立方メートルと推定いたしましたが、実際は二百七十万キロ立方メートルにとどまりました。推定の半分以下の量におさまっています。二〇〇〇年度も同じような傾向をたどり、この発生量予測は既に見直しの作業に入ろうとしているやに聞きます。大幅な下方修正が予測されるところです。もちろん、高速道路の建設などに伴う残土の発生は今後とも続くでしょうが、土砂の処分は海洋投棄という単純な発想は全国的にも克服されてきつつあるところです。さらに、和歌山県の残土再利用率は三二%で近畿でも最低で、全国平均四七%をも大きく下回り、その向上が強く求められているところであります。建設省も、リサイクル一〇〇%を二〇一〇年までに達成することを求めています。ストックヤードの建設などにより一時的なストックを行い、再利用を待つことは必ずしも困難ではない状況になってまいりました。
このように考えてくると、雑賀崎を埋め立ててまで残土処理を迫られてきているとは到底考えられません。知恵と工夫で、雑賀崎の名勝を埋めなくても残土処理の展望は十分にあると考えられますが、いかがお考えでしょうか。
また、港湾需要の問題からも、景観保全の問題からも、残土処理の問題から見ても、現在の雑賀崎の埋立計画を含む港湾計画は適正なものとは考えられないと思います。知事にあっては、経済的事情から時期を見るという一時的凍結の意思のようでありますが、以上のような理由により、現在の問題の多い港湾計画を一たん廃止することを求めたいと思います。いかがでしょうか。
さらに知事は、選挙中、梅問題、橋本の産廃問題、そして雑賀崎問題が大きな懸案であると語っておりました。そして、この一部の方々との問題解決のための話し合いを既にされてきたところです。雑賀崎についても既に一つの裁断をされたわけですが、地元の方々の思いとの間にはまだ大きな乖離があります。地元の皆さんと胸襟を開いて意見交換をすることが求められていると思います。早急に機会を設けられるべきだと思いますが、いかがですか。
次に、関連して要望ですが、金属団地の緑化が一向に進まず、殺風景な風情が雑賀崎の景観を損なっています。努力していると聞きますが、見えてまいりません。格段の努力を求めたいと思いますが、いかがお考えですか。
次に、関西空港についてお尋ねをいたします。
関西空港が深刻な地盤沈下に見舞われ、安全上もこのまま放置できない事態になっているように思われます。当局の皆さんは、現在の事態をどのように掌握されておりますか。
空港島の沈下はもともと当然のことで、それ自体は問題があるわけではありませんが、その速度とどこまで沈むかという予測が現実と大きくかけ離れてきつつあるというところに、このままにしておけない重大な問題があります。しかし政府と空港会社は、それは予測の範囲内だということで現実から目をそらし、事実の公表を怠り、安全のための対策が真剣になされておりません。
問題の一つは、地盤沈下の予測値がしばしば変更されていくということです。最初の沈下予測値は開港五十年後八メートルということでした。そのときの専門委員会の沈下予測は八メートルから十三メートルということでしたが、その最低の八メートルを採用したわけです。しかし、それはたちまちにして崩れ、開港延期決定時には十メートルに変更され、さらに十一・五メートルに変更されました。それで、造成地を含めた事業費が一挙に一・五倍に膨れ上がったわけですが、一応現在までの沈下予測とされていたものです。しかし、現在の沈下が既に五十年後沈下予測の十一・五メートルに達してしまっているので土砂荷重を加えるとして、最近になって五十年後は十二メートルと、またまた変更をいたしました。このように地盤沈下の予測がしばしば変更されており、運輸省や会社当局がおおむね予測どおりと言っておりますが、実際は地盤沈下に予測を合わせているというのが現実であります。実際、予測どおりであれば、ターミナルビルの地下室の床が海面と同じ高さまで沈み、高潮が来ると地下水位が急上昇して水圧と浮力で床が壊れ、空港が維持できないおそれなど生じなかったはずであります。ところが、そういう事態が生まれてまいりました。空港当局は巨大な人工島の特殊性からくるもので予測し得なかったことだとしていますが、学者の中からも、予測以上の沈下が原因だと批判の声が挙がっております。空港当局の発表どおりに見ても、五十年後の沈下予測が十二メートルで、現在実測が十一・五メートルです。五十年後予測と現在との差はわずかに五十センチです。しかも、昨年一年間の沈下が二十二センチですから、あと二、三年でまたまた五十年後の予測をオーバーしてしまいます。予測以上に進むとすれば、新たな安全対策がまた必要となってくるでしょう。
また、空港島は海面から四メートルの高さで安定した島となるよう設計され、最高潮位三・二メートルになっても八十センチの余裕を持って安全性が確保されているということになっています。しかし、既に海面から二・九メートルにまで沈下しているところもあり、最高潮位との関係では随分危険な状況さえ生まれているわけです。既に二百七十億円の改修計画がパートIIの事業としてその費用をもって当たられることになっておりますが、これはごく部分的な対策費であります。これらの数字は一般的には公開されたものですが、それが何を意味しているのかは解析されておりません。また、それ以上の資料は公開されておらず、部外者の研究も阻害されています。国会の議論を見ても、当局は予測範囲の沈下だと言うだけであります。会社も運輸省も、この事態に根本的な対応をしようとしている姿は見えません。安全と環境を最優先した根本的な見直しが必要だと思われます。知事にあっては、空港と県民の安全を保障するため、空港当局を招き、沈下予測数値の変遷の根拠、実測値の経年の数値などの公表、安全のための検討と対策を求められたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、二期事業の問題であります。
私は、この問題について本年の二月議会でも質問したところでありますが、二期事業をめぐる情勢はその後複雑に推移しているようであります。
そこで重ねてお尋ねをするわけですが、ご承知のように、現在の関空の空港需要は依然として低迷をしたままで、十六万回の発着陸の能力を持つ滑走路は、九八年、九九年とも十一万八千回の利用にとどまっています。そのために、その経営内容は極めて深刻で、本年三月の決算によると、負債合計約一兆一千四百億円、借金の利息だけで年四百四十億円、一日に換算して一億二千万円、それに対して営業利益は二百十四億円、一日当たり五千九百万円で、支払い利息の半分しかない。利息の返済もできない。空港建設に充てた長期債務は借りかえるだけで全く減らない。毎年赤字で累積赤字が千五百七十一億円にもなった。経営見通しは完全に破綻してしまいました。これでは、新しい二期工事などはとんでもない話だということになるのが常識であります。
一本の滑走路で需要引きとめに必死になっているというのに、なぜ二本目の滑走路が必要なのかと大蔵省幹部がつぶやいたとの報道がありましたが、殊のほか公共事業の好きな政府の中にも、ようやくにしてではありますが、疑問の声が上がり始めました。新東京国際空港の暫定滑走路が二〇〇二年に、神戸空港と中部国際空港が二〇〇五年に供用開始されます。関空が多大な影響を受けないわけにはまいりません。関空を利用していた外国の数十社が、「二期事業よりも現滑走路を利用しやすくしろ。さもなくば撤退だ」というような声明を出す事態さえ生まれています。これに対して関空当局は強気の経営見通しを発表しましたが、それをまともに信用した筋は余り見かけられず、疑問の声や甘さの指摘の方が多く聞こえてきたのが実際でした。
私のさきの質問で、前知事に二期事業の無謀さをただしたのに対して、「楽観している」という根拠のない答弁をちょうだいして随分失望したものですが、木村知事にあっても、二期事業の中止などとんでもない話だと報道機関に語ったとされています。しかし、累積赤字一兆五千億円という巨額、現滑走路の利用状況の低迷、それに起因する関空会社の経営不振、周辺空港の供用開始、関空の説得力のない経営見通し、大蔵省のちゅうちょ、そして現滑走路の競争力強化という名分での地方負担の示唆等々、二期事業をめぐっては中止または凍結が妥当という環境が整ったというような状況であります。和歌山県が関空に支出している資金は、全体の事業費から見ればコンマ以下のものであります。しかし、県民一人一人の受益と負担の関係から見れば決して少ないものではありません。知事にあっては、この見通しのない関空二期事業を中止されるよう進言されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
さらに最近では、国際競争力強化のための地方負担が言われ始めています。そもそも国際空港は国の責任で建設され、運営されるのが原則です。ところが、その原則が破られ、和歌山県も相応の負担を余儀なくされてきているわけですが、今度は経営改善のための負担です。新聞報道によると、この地方負担についてのアンケートに答えた府県の知事や自治体幹部の声として、「競争力強化で地域住民はこれ以上便利になるのか」とか、「追加支援はいつまで続くのだろうか」とか、「経営改善の抜本策も議論せずに支援するのでは県民に説明がつかない」とか、「関空に支援すると、他の赤字の第三セクターにも民間企業にも支援せざるを得なくなるのでは」との抵抗感を示しているという報道がありました。自治体首長や幹部の思いとしては実に当然のことと思われるところですが、とりわけそれぞれの自治体にどれだけのメリットがあるのか、経営見通しは本当のところどうなのかということは真剣に研究されなければならないところです。現段階では地方負担そのものが定められたわけではありませんが、地方に問題が提起されるときには当然それぐらいのことは国も空港会社も明らかにし、それをまた県当局も受けて研究するのが当然の責務であります。
いずれにしろ、このような問題は明確に国と会社で解決する問題であって、地方自治体に転嫁すべきものではないと考えます。大阪府は早々と承諾のニュアンスで動き始めているようですが、知事にあっては、このような地方頼みの関空政策はきっぱりとお断りすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
以上で、第一問を終わります。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 初めに、予算編成方針についてお答えをいたします。
まず、平成十三年度当初予算におけるシーリングについてでございますが、限られた財源をより緊急性、重要性の高い事業に重点配分するため、初めて公共事業についてもこのシーリングの対象としたところでございます。また、ご指摘の福祉関係経費につきましては、制度的な経費が多いことから、その大部分についてシーリングを除外するなど配慮をしているところでございます。
なお、福祉予算にしわ寄せすべきでないとのご質問についてでございますが、「行政の棚卸し」とも言うべき聖域なき事業見直しにつきましては、あらゆる事業について時代のニーズに合ったものにしていくため、事業の必要性や効果等を検討するものでございます。福祉予算につきましても、今後、高齢化の進展等に伴い、ますます増嵩することが予想される中で見直しの対象となるものと考えておりますが、福祉事業の性格やその重要性にかんがみ、画一的な歳出削減を行うのでなく、十分に配慮してまいりたいと考えております。
次に雑賀崎の埋め立てについてでございますが、和歌山下津港の雑賀崎沖の港湾計画につきましては、平成二十年代前半を目標にしたものであり、和歌山県の将来の発展にとって必要なものであると考えております。ただ、事業実施時期につきましては、県内外の経済動向や和歌山下津港の取扱貨物量の動向など社会経済状況を見きわめていく必要があり、環境調査費の執行を見送ることといたしました。当面は、既にある施設を十分活用し、より一層の地域活性化に結びつけてまいりたいと考えております。
次に景観についてでございますが、和歌山県にとって自然景観は大きな財産であり、今後も景観は大切にしていかなければならないと考えております。一方で、外に向かっての経済発展を考えるとき、海の玄関口とも言える和歌山下津港の整備も必要でございます。これらの調和を図っていくことが重要であると考えております。
次に建設残土の問題につきましては、大きな課題ではございますが、雑賀崎沖埋め立てと切り離して考えております。当面は発生土のリサイクルに努めるなどいたしますが、下水道整備、道路整備などの公共事業の建設発生土に対応する処分場が必要であり、鋭意確保に努めているところでございます。
次に雑賀崎沖の港湾計画に関しましては、冒頭に申し上げたとおり、県内外の経済状況や和歌山下津港の取扱貨物量の動向など社会経済状況を見きわめながら、柔軟かつ現実的な判断を考えてまいりたいと考えておりますが、現時点では和歌山県の発展にとって現港湾計画は必要なものと考えております。
次に住民の方との対話の問題でございますが、いろいろな場面を通じて雑賀崎沖の港湾計画に関する県民の方々のご意見をお聞きしております。地元住民の方々との話し合いについては、今後、社会経済状況を見きわめていく中で、その必要性があれば検討してまいりたいと考えております。
次に、関空についてのご質問でございます。
沈下の現状の認識と安全対策についてのご質問でございますが、関空会社から、空港島の沈下は場所によりばらつきがあるものの、おおむね予測の範囲内で推移しており、沈下速度から推測し、今後も予測と大きくずれずに収束するとの報告を受けております。本県といたしましては、引き続き関空会社に対し、適時適切な情報提供を求めてまいります。
なお、安全重視の観点から、旅客ターミナルビル周辺地区及び給油施設地区に止水壁の設置工事が既に進められているところでございます。
次に空港需要と二期事業の必要性についてでございますが、関空会社から仁川空港の開港、成田第二滑走路の供用開始の影響を考慮しても、二〇〇七年には現在の滑走路の処理能力の限界に達する見通しであるとの報告を受けております。
関空は我が国全体の社会資本であり、世界第一級の国際ハブ空港となるものでございます。空港至近に位置する本県としても、飛躍の可能性が非常に高まってまいります。また、地域社会の発展にとっても不可欠なプロジェクトであると認識しており、二期事業は早期に推進する必要があると考えております。
次に、国際競争力と地方負担についてのご質問でございますけれども、関西国際空港が我が国の基幹空港としての機能を十分に発揮するため、着陸料等空港使用料のさらなる引き下げを行い、国際競争力を強化することは重要なことであると認識いたしております。現在、地元自治体負担の対応について、関空会社に出資している十二関係自治体で支援の必要性やその効果等について協議検討しているところでございます。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 雑賀崎の埋め立ての六点目、金属団地の緑化推進をについてのご質問のうち、港湾部分についてお答えいたします。
雑賀崎地区の港湾緑地につきましては、現在、鋭意その整備を進めているところであります。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 企業局長辻 健君。
〔辻 健君、登壇〕
○企業局長(辻 健君) 雑賀崎の埋め立てについてのうち、金属団地の緑化推進についてのご質問にお答えいたします。(「緑化推進という表現あったか」と呼ぶ者あり)
雑賀崎地区都市再開発用地への進出企業につきましては、立地申し込み要領におきまして敷地の二〇%以上を緑化することとし、木の種類につきましても耐塩性のある常緑の高木とするなど、常に緑の環境を維持することに留意するよう求めてございます。
さらに、工場等の建設に係る建築確認申請時におきましても、緑化等について指導を行っているところでございます。
なお、現在のところ、操業中の事業所でおおむね二〇%以上の緑地を整備している事業所は七〇%程度となってございます。
今後とも、未操業の事業者も含めまして緑地の整備を指導してまいります。
以上でございます。
〔「議長、議事進行」と呼ぶ者あり〕
○副議長(尾崎要二君) 四十七番和田正人君。
○和田正人君 ただいま、「緑化推進」という表現を当局答弁の中で言われました。
質問予定表には確かに雑賀崎の関係の中で、鶴田議員の事前通告には「金属団地の緑化推進を」とあります。しかし、発言者の質問事項を聞いておりまして、「鉄鋼団地」という表現と、「緑化推進を進めろ」という表現は、私の耳には入っておりません。
きょうは、議事録を精査してということは申し上げませんが、当局との打ち合わせの中ででき上がったものを、この本会議場で質問の言葉として出てないのに、答弁する必要なし。
以上、申し上げておきます。
○副議長(尾崎要二君) 暫時休憩いたします。(「休憩しないで続行」と呼ぶ者あり)──今の発言を取り消します。
答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
三十五番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 予算要求についてでございますが、予算の中で福祉関係費をカットしないようにという要望をいたしました。以前に職員の皆さん方と話し合ったときにも、一生懸命に努力をしているというお答えをいただいております。それについて、住民の願いもさらに切なるものでありますから、知事は住民の願いにも職員の努力にも十分こたえられるように、ひとつ今後とも頑張っていただきたいと思います。
それから雑賀崎の埋め立て問題でありますが、今のところ現在の計画が生きているものだ、それを大事にしていきたいという内容の発言がございました。それ自体の問題についてはいろいろと議論するところが多いわけですが、きょうは景観の問題に限って再質問をしたいと思います。
雑賀崎の景観の問題の重要性については知事も十分承知しているところだと思いますが、要は経済の発展と景観の調和をどうするのかというところが問題だとおっしゃっておられました。今日まで、環境というのは常に経済の犠牲にされてまいりました。現在もそういうことがしばしば起こっているわけですが、雑賀崎の問題についても、現在の計画であるならば、私は雑賀崎景観が大きく犠牲にされていくものだと考えているわけです。ただ、今の経済情勢が変化して現在の港湾計画を実施しなければならないというような事態は、私は経済的な情勢変化では起こってくるとは考えておりませんから、そういう点では無傷なのかなと思うんですけれども、そういう経済情勢にかかわらず、また何らかの港湾計画が実施されるということにもなりかねません。
そういう問題がある中で、知事自身、今の港湾計画に示されている景観の問題は、あれでバランスがとれたものだと思っておられるのですか、それとも本来ならば原形のまま維持したいと考えられておるのか、そこのところをお考えいただきたいと思います。
それから、景観の問題というのは非常に主観的な問題があるというのも確かでありまして、それだからこそ地元の方々の意見は非常に大切にしなければならんというのが大方の考えるところだと思います。現在の計画と地元の方々との間に大きな考え方の差があるわけですから、そういう点で、知事が率先して住民の皆さん方の意見を聞くというのが大事なことだと思うんです。ところが答弁は、住民との話は「今後、社会経済状況を見きわめていく中で、その必要性があれば検討してまいりたいと考えております」と。住民との話し合いにこんな難しいことが必要なんでしょうか。知事と親しメールと言って、何でも気軽に意見を聞きましょうという知事でしょう。ところが、この問題についてはこういうように開き直ってくるというのは、ちょっとこれは合点できないところなんです。率直に、フランクにいろんな意見を聞いて、そして知事は知事なりの意見を開陳していくというのが本来の姿じゃないですか。開かれた県政だとか、行政は説明責任があるんだということを常日ごろおっしゃっている知事でしょう。そういう点では、この態度は非常にかたくなな、理解に苦しむところです。そこのところをひとつ答えてください。
関空の問題について。
これは、沈下の問題にしろ、経営の見通しの問題にしろ、二期事業の必要性とその展望にしろ、関空会社の言っている言葉どおりなんですね。和歌山県としてそれをどういうふうにとらえているのかというのがよくわからない。沈下の問題なんかも、確かに関空から資料が送られてきています。当局が持っておられます。ところが、先ほど言いましたように、ちょっと見てみれば矛盾だらけなんですよ。現在の十一・五メートルの沈下は、予測が十一・四メートルだから十センチの差で大したことはないんだと言われています。ところが、この十一・四メートルの予測はいつ出てきたのかということです。これは、六月に県当局も知ったというような内容ですよ。だから、いつから予測されておったかもわからない。沈下が始まって、十一・五メートルができてから出てきた、後から出てきた予測数値なんです。おかしな話です。
こういう問題は、県はもっと主体的になって検討しなければならんと思うんです。あの巨大な工事です。それが、五センチ沈むか、十センチ沈むか、それがどんな影響があるんかと言われたら、私ら素人には全くわかりません。わからない部分だけに、それなりの疑問が起こるんですよ。そういうことに対して、関空も国も知事も十分説明できるようにしなければならんと思うんです。それが、本当に安全問題で心配があることなのか、心配をしなくてもいいことなのか、そこのところを明らかにしなければならない。それがないままに、ある日突然二百七十億円の工事をしなければならないということが出てきたって、これは一体どうしたことだということになるんです。それが、予測を超えてまださらに沈下しているんですよ。このままいきますと、五、六年後には七十センチから八十センチの沈下になります。そうすると予想と本当に大きく狂ってくるということになるんで、やはりこういうのを主体的に研究することが必要だと思います。
二期事業の見通しの問題についてもそうですね。これが和歌山県にとってどんなに必要なのか、それが果たして経営的に成り立つのか、県民負担をこれ以上ふやすことがないのか、本当にそれが和歌山県の県益として保障されたものなのかどうかというあたりがもっと十分研究されなければならないと思います。確かに、和歌山県のそばに巨大な空港があるということ自体は決して悪いことではないでしょう。しかし、それは空港の存在だけではなくて、非常に大きな財政的負担ということが片一方についてくるわけですから、その辺を考えなければならないと思いますので、しっかりした考え方を持っていただきたい。
国際競争力の問題についてもそうですね。知事自身がどんな考えで関係市町村の会議に臨んでいるのか、そこのところが私たちにはわかりません。もっと和歌山県の主体性を持って、これ以上の財政負担はできないということをはっきりと申し上げるのが本来の立場ではないかと思うんです。そういう点をどのように考えておられるか、答弁を求めたいと思います。
○副議長(尾崎要二君) この際、申し上げます。
当局の答弁は、要を得て的確に答弁するよう求めておきます。
以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ご質問にお答えを申し上げます。
雑賀崎の景観、私も先週自転車に乗って見てまいりましたけれども、非常にすぐれた場所であるということは、私も身をもって体験をいたしております。
ただ、先ほども申しましたように、和歌山県の経済発展ということも非常に重要な要素でございます。それから、社会、経済などいろんな状況も見きわめていかなければならない中で、住民の方々の意見とか、私もいろんなものを見たり聞いたりしておりますので、そういうことをトータルに考えた上で先般の判断をしたということでございます。
そしてまた二十一世紀に向かっては、景観という問題が今まで二十世紀に取り上げられていた以上に大きな問題になるという認識は持っておりますので、また経済情勢が変わってきて和歌山下津港をどんどんやっていかなければいかんというときが来たとき、そのときの景観に対する住民の方々のご意見をよく聞きながら、その中でこの港湾計画をさらに進めていくのか、それとも見合わせるのかはその時点で考えていこうということを申し上げておるわけでございまして、現在は私が今表明したとおり進んでいるということでご理解いただきたいと思う次第でございます。これは、住民の方の意見をないがしろにしたり、会ったりするのが面倒だとか、先に延ばしているとか、こういう気持ちでやっているのでは全くありませんので、ご理解をいただきたいと思います。
それから、関空の沈下の問題でございます。
これは、私、大阪にいるときから、いろいろ財政負担の問題がありまして、専門的にもKALD──関西空港用地造成会社とか関空会社の担当者の方から説明を聞いたりいたしました。実際問題として初めてのケースなので、技術者の方にも沈下の問題についてはなかなかわかりにくい事柄があるということは事実のようでございます。ただ、そうは言っても、あれだけ大きな構造物を安全に維持していこうということから、周りに擁壁を入れて水が来ないようにするとか、いろんな工事を鋭意進めておられるところです。
今後の沈下の見通しについては、関空会社が今最高の土木港湾系の学識経験者の方々からこうなっていくだろうという意見を聞いて、いずれ収束すると言っておられるので、私どもとしてこれを信用して対応していくということになっているわけでございます。
それから、もう一点。和歌山県にとって経済的な負担もあるわけだから関空をどういうふうに考えるかというご質問でございますが、私としては、この関西国際空港はどこの県よりも和歌山県にとって有用な、そして和歌山県が二十一世紀に向かって大きな飛躍をするためにはこの関空の整備を切り離しては考えられないと考えておりますので、これは一生懸命進めていかなければいかんだろうと。ただ、これは国際的な空港でございますので、余り何でもかんでも地元の自治体とかそういうものが負担していくというのはおかしいという気持ちがありますので、いろんな経費については国の方で責任を持って対応していただきたい。ただ、国際競争力を強めていく上から、どういうことが地元でできるかということも、全く拒否してしまうということではなく、関係団体と協議をしながらある程度考えていかなければならないのではないかという気持ちを持っておりますし、そういう気持ちで関係団体との協議にも進んで入っていっているということでございますので、ご理解をいただきたいと思います。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〔「議長、四十七番」と呼ぶ〕
○副議長(尾崎要二君) 四十七番和田正人君。
○和田正人君 先ほど議事進行をかけまして、議長の方から暫時休憩という計らいが出されたんですが、我が県にとって大事な雑賀崎問題や関空問題の質問がなされておりましたので、あえて私は休憩していらないということを申し上げましたので、改めて要望いたします。
議長が当局答弁についてお言葉を出されました。まさにそのとおりでありますが、速記録精査の上、私の議事進行にかけた内容をチェックしていただきまして──私の聞く限りでは、この事前に申し込まれた資料の中には雑賀崎の関係で「金属団地の緑化推進を」という項目が挙がっておりますが、鶴田議員は「雑賀崎の鉄鋼団地」という表現をされました。寒々とした状況が雑賀崎地先にある、努力されていると思うが見えてこない、こういうふうな表現だったように私は聞いておりました。
議事録精査をするように、議長から取り計らいをお願いいたします。
○副議長(尾崎要二君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
次会は十二月十一日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時四十三分散会