平成12年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
県議会の活動
平成十二年九月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
平成十二年十月十日(火曜日)午前十時開議
第一 議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに報第九号(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに報第九号(質疑)
二 一般質問
出席議員(四十七人)
一 番 新 島 雄
二 番 山 田 正 彦
三 番 佐 田 頴 一
四 番 大 沢 広 太 郎
五 番 堀 本 隆 男
六 番 宇 治 田 栄 蔵
七 番 門 三 佐 博
八 番 西 本 長 弘
九 番 坂 本 登
十 番 小 原 泰
十一 番 木 下 善 之
十二 番 永 井 佑 治
十三 番 尾 崎 要 二
十四 番 小 川 武
十五 番 宗 正 彦
十六 番 橋 本 進
十七 番 生 駒 三 雄
十八 番 原 日 出 夫
十九 番 谷 洋 一
二十 番 山 下 直 也
二十一番 高 瀬 勝 助
二十二番 吉 井 和 視
二十三番 木 下 秀 男
二十四番 町 田 亘
二十五番 金 田 眞
二十六番 高 田 由 一
二十七番 神 出 政 巳
二十八番 玉 置 公 良
二十九番 向 井 嘉 久 藏
三十 番 野 見 山 海
三十一番 平 越 孝 哉
三十二番 下 川 俊 樹
三十三番 中 山 豊
三十四番 浜 田 真 輔
三十五番 鶴 田 至 弘
三十六番 冨 安 民 浩
三十七番 村 岡 キ ミ 子
三十八番 中 村 裕 一
三十九番 井 出 益 弘
四十 番 阪 部 菊 雄
四十一番 江 上 柳 助
四十二番 長 坂 隆 司
四十三番 森 正 樹
四十四番 飯 田 敬 文
四十五番 新 田 和 弘
四十六番 松 本 貞 次
四十七番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
出納長 中 山 次 郎
知事公室長 大 平 勝 之
総務部長 稲 山 博 司
企画部長 安 居 要
環境生活部長 道 浦 渥
福祉保健部長 白 井 保 世
商工労働部長 内 田 安 生
農林水産部長 島 本 隆 生
土木部長 大 山 耕 二
企業局長 辻 健
教育委員会委員長 目 黒 威 徳
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 高 垣 宏
警察本部長 岩 井 良 行
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 藤 谷 茂 樹
選挙管理委員会委員長 谷 口 庄 一
職務のため出席した事務局職員
事務局長 田 村 徳 美
次長 蓮 池 康 宏
議事課長 北 垣 内 敬
議事課副課長 松 谷 秋 男
議事班長 露 詰 勤
議事課主査 井 口 好 晴
議事課主事 安 井 伸 彰
総務課長 佐 竹 欣 司
調査課長 梶 本 皓 造
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主任 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課副主査 保 田 良 春
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午前十時二分開議
○議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
【日程第一 議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに報第九号】
【日程第二 一般質問】
○議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第百四十号から議案第百六十一号まで、並びに知事専決処分報告報第九号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。 二十八番玉置公良君。
〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 皆さん、おはようございます。
きょうは、後ほど見えると聞いておりますけれども、議場にはボランティアの市民団体の方々、また最後に質問します白浜の工科大学の凍結に関することに対して、白浜町の議会や商工会、観光協会、さらには旅館組合、自治連絡協議会等の皆さん方がここにおいでと聞いております。断っておきますけれども、私が要請をしたものではございません。このことに対して大変注目をし、ぜひとも知事の誠心誠意ある回答を聞きに、ここに来たと思っております。どうか知事、誠意のある答弁をよろしくお願い申し上げます。
通告に従って質問をしてまいります。
まず初めに、木村新知事のご当選おめでとうございます。会派を代表して、心よりお祝いを申し上げます。
さて、二十一世紀を目前に控えて、私たちの生活を取り巻く政治情勢は急激に変わりつつあります。私たちが頼みとしてきた国は、ご承知のとおり六百四十五兆円という途方もない借金を抱えて四苦八苦、地方自治体に財政的に支援できる余裕はもはやありません。地方自治体にしても借金返済に悲鳴を上げており、そのしわ寄せが住民とその子孫に重くのしかかっています。つまり、国から地方へお金を引っ張ってくる時代は終わろうとしています。これからは、積極的に和歌山を売り出し、自分で稼ぐ知恵を出して、自分たちの和歌山県自身を高く売ることが求められていると思います。独自の発想による企画と政治により、新しい和歌山県が一つの国として、木村首相として、世界と直接取引する時代に入ったのであると思います。私は、最近の石原東京都知事、北川三重県知事、浅野宮城県知事等の発言を聞く中で、時代の政策をつくる主役は国ではなく、知事の発言が国政をリードしていく時代になりつつあると強く感じています。これからは、いろんな知事が発言をし行動していく中で、国の政策をリードしていく時代に入ったのだと思います。その発言の内容も、今まで国が行ってきた開発中心政策ではなく、自然環境を壊さないで、自然環境を生かして地域が発展していく政策を考える時代になったのだと思います。従来のふるさと振興の発想は、企業誘致や公共事業の投資等による活性化を求めてきた傾向にありました。一企業に頼るふるさとづくりや一過性の投資によるふるさとづくりは、全国各地において限界が明らかになってきています。二十一世紀のふるさとづくりを考えていくためには、県民一人一人がふるさとづくりの主役になるということが大切であると思います。県民一人一人が誇りを持って、和歌山の地をどのように守り、どのように発展させていくかを考えなければならない時代であると、私は思います。
以上のような視点から言えば、知事の、既存のすべての事業について聖域を設けることなく見直す方針は理解できるものであり、雑賀崎沖埋立計画凍結など市民の長い反対運動なども視野に入れた中で判断したことは、評価をするものであります。しかし、今回緊急に表明をされた工科大学の凍結については別であります。西口前知事が、この二月議会で決断をされ、県議会も同意をし、地元に反対意見はなくて、不十分であっても地元の経済、教育、雇用などを地元みんなで考え、積み上げ、協力をしてきた中で、七カ月もたたないうちに方針変更がされるという、余りにも急なトップダウン判断であります。県議会はもちろん、地元への対応などは時代に逆行していく手法であり、大きな問題点が残されるという観点から同意できるものではないと考えています。私自身もこのような視点で現場を歩き、地域住民の皆さんと一緒に考え、一緒に活動しながら、新しいふるさとづくりの実現に向けて取り組んでいるところであります。
以上のような基本認識に立って、次の四点について県当局の見解を求めるものであります。
まず初めに、二十一世紀の新しい和歌山の創造に向けて質問してまいります。
最初に、十月六日に起きた鳥取西部地震において被災された皆様方に、心からお見舞い申し上げます。そして、一日も早い復旧を願う次第であります。今、世界で頻発している災害対策などで活動をしてきた特定非営利活動団体・NPOは、善意と勇気、決断があって世界各国で注目され、その活動は世界的な反響を呼んでいます。また、日本でも全国的に市民活動が注目されています。特に阪神・淡路大震災の復興支援でのボランティアの活動は注目されるべきものがあり、大きな評価を受けたことはご承知のとおりであります。迅速で心温かく、しかも多数のボランティアの皆さんの参加とは対照的に、機動的な動きができないと、マスコミなどから何をしているんだと批判されたのが役所・行政でした。大震災を通じて、ボランティアやNPOには行政にできないことができるということが証明されたのであります。市民が自発的に行政と対等の立場で活動することにより、行政だけではできない多様なきめの細かいサービスがあっちこっちで展開されていく、そこにNPO、ボランティアが参加していく大きな意義があると思います。
私は、白浜町を中心に活動するNPO法人夢咲輝ネットワーク、中辺路町を中心とするNPO法人地球人学校のスタッフとして参加しています。地球人学校では、中辺路町及び中辺路町教育委員会の協力を得て、全く新しい教育システムの学校として、さらに県教育委員会、文部省の生涯学習分野のNPOの連携による町づくり支援事業のモデル事業として先取りをした行政とのパートナーシップのあり方を実践し、効果を上げているところであります。
これまでの社会は行政主導であり、企業の論理が通ってきた社会でした。また、民間活力を生かそうという第三セクターがもてやはされ、和歌山県でも多くの団体が生まれました。しかし、多くの団体が赤字を抱え、その運営に支障を来しています。このほかにも、これまで行政と住民を結ぶ中間組織として各種公益団体や互助的組織などが存在してきました。しかし、これらは行政や住民組織の補完的な機能にとどまり、多くの制約のもとに置かれてきたと言えます。こうした中にあって、新しくさまざまな非営利活動を行う民間組織・NPOが注目をされ、その活動が期待されてきています。
知事は、「県民の県政参加を進める県民自治の発想が今後一層必要である」と述べられましたが、市民活動団体やNPOと県行政との対等な立場に立った協力関係、共同、いわゆるパートナーシップ関係をつくることは、財政難に悩む和歌山県にとっても大きな可能性を持つものであり、二十一世紀の和歌山の行政が発展する重要なかぎになるものと思い、以下、質問をしてまいります。
まず第一の質問は、市民と行政のパートナーシップについて、NPO室、NPO協議会設置についてであります。
本年八月に発表された自治省の「市民活動団体(NPO)と行政のパートナーシップの在り方に関する研究報告」において、地方公共団体においてもNPOの活動と適切な連携を図っていくことの必要性が述べられており、自治体のNPO関連施策として九つの項目を取り上げています。残念ながら、これまでの和歌山県政には、NPOの法人認証事務以外には、NPOや市民活動を積極的に認め、ともに手を携えるパートナーシップを組む姿勢はほとんど見られませんでした。
そこで、県にNPO室を設置し、県がNPOや市民活動団体とともに手を携える積極的な政策を打ち出すことを提言いたします。また、新しい地域づくりのため、先ほど述べた行政、企業、市民の各セクターとともに、最近地域づくりに積極的にかかわろうとしている大学、労働組合を加えた協議会を設置していくべきだと考えますが、知事の見解を求めるものであります。
第二の質問は、委託事業についてであります。
和歌山県は、平成十二年度から平成十五年度の四年間を特に財政健全化期間と位置づけ、財政の健全化に向け、従来の施策を抜本的に見直すなど、五つの方策を掲げています。和歌山県における各事業においても、住民とのパートナーシップ、共同が必要でないかと考えます。例えば、イベントや調査等の事業について、長年の経験とネットワークを有する団体、グループのノウハウを生かし、企画段階からの参画により啓発イベント、広報、調査等のほか、イベントのPR、運営も含めた共同作業が大きな成果を生むのではないかと考えます。
平成十一年の委託事業費を調べてみますと、建設などのハード事業を除いた経費の中で、私の試算では、会社関係、法人関係、実行委員会等、個人、その他、合計七百六十八件、約五十四億四千五百三十八万円となっています。これらの中で、財政をふやさなくても一部でも現状の財政を改革するだけで、こうしたNPO、市民活動団体が参画するところに知恵を出し、委託をしていくだけで能率的な事業や今まで以上の成果が生まれ、少ない予算で元気和歌山が実現できると思います。そのためにも、単に下請的な役割ではなく、真のパートナーシップを築いていく必要があります。私が冒頭申しました新しい発想と知恵を出し、独自の企画と政治によって、少ない予算で何十倍もの効果を生むものと確信いたします。県においては、今後の厳しい財政状況と今後進んでくるであろう市民社会の到来を見据えた上でどのようなお考えをお持ちか、お伺いをしたいと思います。
続いて三点目は、ボランティア国際年についてであります。
一九九七年十一月二十日、第五十二回国際連合総会において、日本の提案に基づき百二十三カ国の賛同を得て、二〇〇一年をボランティア国際年とすることが満場一致で採択されました。和歌山県としては、ボランティア国際年を迎える二〇〇一年、このような状況の中、どのような施策を考えているのか、お伺いをしたいと思います。
私自身は、地元のNPO法人のスタッフとしてかかわり、また県内NPOやボランティアグループのネットワークである市民活動ネットワーク和歌山のセミナーや交流会でNPO、市民活動の夢や悩みを聞かせていただいておりますが、その活動に新しい市民社会への期待を感じることができます。
そこで、この記念すべき年に、県やNPO、市民活動団体が協力し、ボランティアのネットワークを広げ、NPOや市民活動内容を発表する和歌山NPO・ボランティアメッセの催しを提案するものであります。新知事の目玉政策の一つとして、積極的な答弁を求めたいと思います。
最後に、九月二十二日に教育改革国民会議が首相に中間報告をした中で、将来の課題として、満十八歳の国民すべてに一年間程度の奉仕活動を義務づけることを検討する、小中学校では二週間、高等学校では一カ月間、共同生活などによる奉仕活動を行うよう求め、ボランティアの義務化がクローズアップされています。
ボランティアというものは、私発でそれぞれが自発的にやっていくものであり、それを義務化していくことはボランティアの意義を根本から否定してしまうものであり、むしろ大事なのは自発的にボランティアをしていくための心を養う教育が重要であると、私は思います。このことは県民も注目をしていますので、ぜひとも県教育長の考えをお伺いいたします。
続いて第二項目めの質問は、二十一世紀の地方分権の時代にふさわしい和歌山の選挙と地方自治のあり方についてであります。
本年、有田市役所で、幹部職員の地位利用による役所ぐるみの選挙違反事件が起き、市長が辞職するという事態に陥りました。このことは、ただ単なる選挙違反事件として見るのではなく、私たち和歌山県全体が自分たちの行動を振り返り、反省することは反省をし、正していかなければならないと考え、あえて県議会で取り上げるものであります。
私は、この事件から選挙と地方自治のあり方について私の主張を述べさせていただき、県警本部長、選挙管理委員会委員長、総務部長の見解を求めるものであります。
二十一世紀は地方分権の時代と言われる中で、政治家も行政も県民も、この事件を教訓に新しい和歌山の民主的な選挙風土をつくるきっかけにしていかなければならないと思います。それは、地方分権法が成立し、二十一世紀は地方分権の時代と言いながら、現状は今までどおり国に陳情し、国からの補助金、そして公共事業に頼る、その見返りとして、国とのパイプ役として地域の皆様に選挙で支援をするために市町村長みずから後援会長に就任し、先頭に立って活動を展開する、この旧来の政治スタイル、体質が有田市における事件を起こした大きな要因の一つとなっているように考えます。そして、それが横並び現象を起こし、一市町村のみならず、郡内また全県下にその現象があらわれていると言っても過言ではありません。
国と地方の関係は従属関係ではなく、本来対等であるべきであります。だからこそ、国と地方において、対立というより切磋琢磨する姿が現在生まれているわけであります。切磋琢磨の中から新しいものが生まれ、地方行政に活力が生まれる、従属関係から対等、それを超えて地方が国を動かしていく、それを今後の和歌山の姿にしていかなければなりません。現状のように、国の財政状況が地方の住民に対し末代まで借金を背負わされるばかりか、地方のかけがえのない財産、自然環境と文化が公共事業という名の国の補助金で破壊されることも少なくありません。それゆえに、これを機会に地方分権に逆行する体質を今こそ断ち切り、本当の意味での地方自治を確立することが問われる事件であったのでないかと考えます。
本来、市町村長はその町の住民から民主的に選ばれたリーダーであり、国政や県知事選挙で特定の候補者の後援会長になって特定の候補者だけ応援することは、目に見えない住民への政治的圧力をかけていることになり、住民の思想信条の自由という権利を損なうおそれがないだろうか。本来、市町村長は、住民の利益を念頭に置いて行政を行い、政治的関心を強めることが、その求められる姿であります。それを逸脱することは、ひいては住民の期待と信頼を踏みにじることになりかねないと強く思うものであります。
地方自治を充実した内容にするため、行政は山積した課題に果敢に挑戦しなければならない時代であります。それゆえに、行政の停滞、小休止は、いかなる事情があるにせよ許されるものではありません。議員の選挙応援に公務中の時間とエネルギーを注ぎ込む政治意識はどこかが間違っていると思うし、そんな物理的なこともさることながら、町民、市民、県民の代表たる人が特定の候補者を公の立場で支援するその姿勢に疑問を感じてなりません。国との対等の関係が二十一世紀の潮流であります。山積された地方行政の課題に取り組む姿勢こそが、住民とともに歩むことの出発点であります。有田市の事件を教訓として、新しい地方分権の時代にふさわしい新しい和歌山の開かれた行政、開かれた地方風土をつくり、地方自治の確立を図ることが我々の使命であると考えているところであります。この点について私の考えを述べましたが、関係する県警本部長、選挙管理委員会委員長、総務部長の答弁を求め、選挙と地方自治のあり方についての質問を終わります。
続いて三番目の項目の質問は、和歌山の未来を担う人材を恒久的に輩出できるシステムづくりをしていくために、新エンゼルプランの重点として国を挙げて推進をしている小学校低学年の児童を対象とした放課後児童健全育成事業の学童保育について質問をしてまいります。
知事は就任あいさつで、少子化対策として、「仕事との両立を含め、安心して子育てができるサポート体制の構築を目指してまいります」と訴えられました。
私が今回学童保育問題を取り上げた理由は、子供は社会の宝、本当の学童保育をこの和歌山に実現してほしいと願うからであります。そして、学童保育が推進されることによって少子化に歯どめがかかり、男女雇用機会均等法の促進につながり、ちょうど介護保険を家族ではなく社会の責任と位置づけたように、社会が子供たちを親の宝から国全体、社会全体の宝として見るという視点で、和歌山流の学童保育を実現するため、県行政の重点課題として積極的に取り組まれたいと願い、以下の三点について質問をし、当局の見解を求めたいと思います。
平成十年四月から、学童保育は児童福祉法に基づく新たな事業としてスタートしました。私の地元でも、高齢化対策のようにもっともっとあすを担う子供たちの政策を充実してほしい、働くことと子育ての両立をしたい、子供たちに安心して毎日生活できる学童保育がほしいと、私自身のところにも、このような声が数多く届けられております。しかし、和歌山県は設置が四市九町四十七カ所であり、県下の小学校数から見た設置率は一三・八%で、残念ながら全国の最下位であります。知事の出身である大阪府では七七・九%、隣の奈良県でも五一・一%となっています。このように、今日、共働き家庭や母子、父子家庭の増加、核家族化、地域環境の悪化などの中で学童保育はますます必要となっていると思いますが、和歌山は大幅におくれている現状であります。また、学童保育の普及率とともに問題になるのは、一つ一つの学童保育が働く親の願いにこたえられる学童保育になっているのか、入所している子供たちにとって安全で安心できる生活の場となっているのかという点であります。法制化以降の特徴として公営化が進んでいますが、指導員の身分、労働条件の問題や指導員の研修など多くの課題があると思います。
以上のような現状認識を持つ中で、以下三点について当局の見解を求めます。
一つ目は、学童保育について、県当局としての基本認識をお伺いしたいと思います。
二つ目は、学童保育の設置率が低い理由及び県としての今後の進め方や市町村指導についてお伺いします。
三つ目は、指導員の研修等、積極的に取り組まれたいと思いますが、今後の計画等お伺いします。
最後に、和歌山工科大学の凍結について質問をしてまいります。
木村知事就任後、政策の見直しの第一弾として打ち出されたのが和歌山工科大学の凍結であります。きょうも皆さん方来ておられますが、地元では事業の経過、規模等からいっても余りにも唐突なことであり、驚きと戸惑いを持っております。そして、十月四日には白浜町長、町議会議長の連名での事業の存続推進についての陳情が知事並びに県議会議長にされたところであります。
私自身は、この大学について、昨年の六月議会で二つのことを当局にただしてまいりました。その一つは、もっと県民に開かれた形でこの構想を進めていくこと、政策形成過程においても、県民に情報公開を行い、県民に開かれた取り組み、そしてその取り組みが二十一世紀のモデルとなるように、当局は今までの取り組みに陳謝をし、今後県民に開かれた形で進めていくことを表明しました。二つ目は、大学の有効性、採算性、学生の見込みはあるのか等についてただしてまいりました。それは、工科大学の中身の問題、また財政や今後の運営に危惧を持っていたからであります。
そうした議論を経て西口前知事は、ことしの二月議会で政治決断をし、工科大学のゴーサインを出しました。そして、地元白浜町を初め、西牟婁郡町村会並びに田辺周辺広域市町村圏組合等は、西口前知事の決断はもちろん、和歌山県長期総合計画に基づくものと、積極的に協力をしてまいりました。私自身も、今後中身の問題等を委員会でただしながら充実させていく立場で、今議会でも何点かについて再検討の提起をしていく予定でありました。
今回、木村知事が打ち出した和歌山工科大学の凍結は、今まで準備協力をしてきた地元白浜町を初め関係市町村や関係者には大変な驚きと戸惑いであります。工科大学の関連で航空科学館をつくるために、地元議会では航空科学館整備基本計画策定委託料を計上して取り組まれているほか、職員を準備室に派遣するなどその実現に協力し、大きな期待を持っていた地元では、この凍結問題で今後の推移いかんによっては政治問題に発展するかもわからない現状を十分知事は理解をされ、地元の信頼を裏切らないよう、その対応を強く求めるものであります。
本事業の存続推進を求める立場から、次の三点について質問をし、知事のご見解を求めたいと思います。
第一点目は、今回の凍結決断の理由について、財政状況が厳しいとの知事発言でありましたが、このことは既に西口前知事にさまざまな視点から、また多くの議員から質問されてきたものであり、より具体的な理由を明らかにされたいこと。
第二点目は、今まで準備協力をしてきた地元白浜町を初めとした関係市町村及び関係者に対しての対応、手だて、補償等はどうするのか。
第三点目は、この工科大学の設置計画は地元に反対意見はなく、むしろ地元のみんなで議論をし、地元の冷え切った経済を立て直すものとして、また教育と地域振興になるよう歓迎し、協力をしてきたものであります。しかし、今回の計画凍結に至った決断は、議会や地元は寝耳に水の話であり、当事者の理解を得るという一番大事なことがされないままトップダウンで政策決定されたことが大きな問題であると思います。
知事がよしとした政策でも、今は住民の参加、地方自治体の協力や地方議員の参画なくして事は進まないと考えますが、この問題についてどのように考えているのか、三点について知事の答弁を求め、私の第一回目の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 二十一世紀の新しい和歌山創造についてのご質問のうち、まず初めのNPO室、NPO協議会を設置してはどうかとのご質問にお答えいたします。
阪神・淡路大震災以来、非営利活動を行うNPOは、行政と民間のすき間を埋める存在としても認知されるようになりました。今後行政がよりきめ細やかなサービスを県民の方に提供していくためにも、NPOと行政が対等の立場からパートナーシップを組むということが非常に重要と認識いたしております。県といたしましては、ご提案のNPO室のようなNPO業務を総合的に行う組織については必要と考えておりますので、その設置を含め、支援の方法や必要な対応策等を検討してまいりたいと考えております。
また、NPO協議会についてでございますが、より新しい、よりよいパートナーシップを組むためには設置する必要があると考えております。そのために、NPOのみならず県民の方や有識者の方から忌憚のない意見をいただきながら、どういう協議会が和歌山県にふさわしいのか、早期に検討してまいりたいと考えております。
次に、ボランティア国際年における和歌山NPO・ボランティアメッセについてでありますが、ボランティア国際年に当たります二〇〇一年は、県民にボランティア活動を啓発する絶好の機会であると考えております。県といたしましても、ボランティア国際年を機に、県民の方にさらにボランティア活動に興味を持っていただき、ボランティア活動の促進につながるような、ご提案の和歌山NPO・ボランティアメッセも含め、実施事業を検討してまいりたいと考えております。
学童保育について、県当局としての基本認識の問題でございます。
私は、安心して暮らせる社会の創造に向け、少子化対策として、子育てと仕事の両立を含め、安心して子育てができるサポート体制の構築を目指してまいります。
お尋ねの放課後児童クラブいわゆる学童保育については、次代を担う児童の健やかな成長を支援するための環境づくりの一環として、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校低学年児童を対象に、放課後の生活と適切な遊びの場を与え、遊びを通して健全な心身の育成を図るという重要な役割を担っていると認識しております。
次に、和歌山工科大学の整備についてでございますが、私は知事に就任し、本県の財政状況が思ったよりも厳しい状況にあるとともに、時代の激変に対応していくために必要な施策や喫緊に解決しなければならない懸案が山積していることを改めて強く感じました。そのため、既存のすべての事業について聖域を設けることなく見直しを行っていく必要があると考え、和歌山工科大学整備事業につきましてもこの際見直しをすることとし、当面の事業執行を凍結することとしたものでございます。まことにつらい思いではありますが、何とぞご理解をいただくようお願いを申し上げます。
また、関係市町村及び関係者の方への対応についてでございますが、このたびのことにつきましては、白浜町を初めとする関係市町村及び関係者の皆様に対してご迷惑をおかけいたしました。今後、観光振興や高速道路の紀南延伸の促進などについてより一層推進し、地域の活性化に取り組んでまいりたいと考えております。
また、検討段階からご協力をいただいた有識者の方々や関係各省庁、設立準備委員の先生方、設立準備財団の採用試験合格者及び大学の教員候補者の方々など関係者の皆様についてもご理解をいただくよう努めるとともに、今後誠意を尽くしてまいりたいと考えております。
今回の決断につきましては、財団職員採用試験合格者及び教員候補者の生活設計を考えると、一日でも早くこのまま進めるのか見直しとするのか、決断すべき差し迫った状況にあったことについてご理解賜りますようお願いを申し上げます。
私といたしましては、議員各位を初め地元関係者などの合意形成を図りながら県政を運営していく姿勢には変わりはございませんので、今後とも協力のほどよろしくお願いを申し上げます。
○議長(阪部菊雄君) 総務部長稲山博司君。
〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 委託事業について、NPOの参画を図ってはどうかとのご質問についてお答えいたします。
財政健全化の観点から、コストを削減し、行政効率を向上させるため民間委託を推進することにつきましては、今後とも積極的な対応が必要であろうと考えております。
お尋ねのNPOへの委託もその一環として考えておりますが、県内の認証団体が着実に増加しつつある現状から、それぞれの活動目的に合致し、参画意識を高揚させるようなもので、県にとりましても行政施策の効率性や質を高めることになるものについては、関係課と協議しながらできるだけ対応を図ってまいりたいと考えております。
次に、地方分権の時代にふさわしい和歌山の選挙と地方自治のあり方についてのご質問にお答えをいたします。
国と地方の関係について、従属関係ではなく、本来対等であるべきとの点につきましては、ご指摘のとおりでございます。本年四月に地方分権一括法が施行されたところですが、今後さらにこの法律の趣旨にのっとった連携のあり方を構築していく必要があるものと考えております。
また、地方公共団体の首長の政治活動については、法律にのっとり適法に行われるべきことは当然のことでございまして、その範囲内で、議員が指摘されるようなご意見もある中で、首長みずからがそれぞれ判断すべき性格のものではないかと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長白井保世君。
〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 学童保育の設置率、また今後の進め方、指導員の研修等についてお答えを申し上げます。
放課後児童クラブにつきましては、少子化対策の中で子育てと仕事の両立支援策の一つとして喜の国エンゼルプランに位置づけ、取り組んでいるところでございます。クラブの設置率は、地域性や実施主体となる市町村の事情などから、ご指摘のように全国的には低い位置にありますが、今年度の実施箇所は四市九町五十三カ所で、うち国庫補助対象が二十九カ所、県単補助対象が三カ所となっており、来年度も三町での実施を見込んでおります。年々少しずつ増加しておりますが、特に今年度は県単独補助の対象を児童数五人以上のクラブまで広げて実施しやすくし、市町村への啓発を行い、クラブの増加に努めているところでございます。今後も、市町村が住民のニーズを的確に把握し、積極的な取り組みをするよう指導をしてまいります。
なお、指導員の研修につきましても計画的に実施してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ボランティアに関連してお答えいたします。
学校教育における奉仕活動につきましては、現行の学習指導要領で、子供たちの社会奉仕の精神を涵養するための体験が重要であると示されており、県内の学校におきましても、地域の清掃や高齢者の介護などさまざまな活動に取り組んでおります。こうした奉仕活動を通して、実際に感動体験を積み、その意義等について学ぶことは、将来、自発的に社会や公共のために尽くそうとする心情や態度を育成することにつながるものであり、本来のボランティア活動の基礎が培われていくことになると考えております。
議員ご指摘のように、児童生徒が自発的にボランティア活動を実践する態度を育成することは極めて大切であり、学校教育の重要な柱の一つとしてこのような教育活動を位置づけ、積極的に推進していく所存でございます。
先般の教育改革国民会議の中間報告において提案された奉仕活動のあり方につきましては、今後の議論の深まりに注目してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 警察本部長岩井良行君。
〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) 地方分権の時代にふさわしい和歌山の選挙と地方自治のあり方についてお答え申し上げます。
議員のご指摘は、二十一世紀は地方分権の時代であり、公正な選挙の確保がますます重要であるとのご趣旨と承知しております。現行の公職選挙法は、日本国憲法の精神にのっとり、国政及び地方の選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明された意思によって公明かつ適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発展を期することを目的としているところでございます。
私ども警察といたしましては、この公職選挙法の趣旨にかんがみ、民主政治の根幹をなす選挙の公正を実現するため、これまでもあらゆる選挙について不偏不党かつ厳正公正な立場に立った選挙取り締まりに当たってきたところでございますが、買収や公務員等の地位利用による選挙運動など悪質な違反につきましては、これを徹底検挙するとの方針で今後とも引き続き臨んでまいる所存でございます。
○議長(阪部菊雄君) 選挙管理委員会委員長谷口庄一君。
〔谷口庄一君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(谷口庄一君) 有田市の選挙違反事件を教訓とした選挙のあり方についてお答えをいたします。
さきに執行されました衆議院議員総選挙におきまして、地位利用による組織的な選挙運動として公職選挙法違反に問われた件につきましては、まことに遺憾なことだと思っております。民主政治の健全な発展のためには、その基盤である選挙が明るくきれいに行われることが不可欠な要件であり、そのためには国民一人一人が政治や選挙に強い関心を持ち、主権者としての自覚を有することが必要であります。殊に選挙に際しましては、候補者はもちろん、選挙運動に従事する人も有権者も、法に定められたルールを正しく守ることが極めて大切であります。
このため、県選挙管理委員会といたしましては、このたびの事件の教訓も生かしながら、選挙が有権者の自由な意思によって公明かつ適正に行われることを確保し、明るくきれいな選挙を実現するための啓発活動をさらに推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁、ありがとうございました。
時間がございませんから、最初の三項目については評価をしたいと思います。
ただ、四点目の工科大学の凍結について、これに絞って再度質問してまいりたいと思います。
知事の、政策は正しいとか正しくないとの問題よりも、まず知事に就任して、たった一カ月の間でこの政策決定を、知事はだれと相談をして決めたのかを聞きたい。このことは大変問題であります。ワンマンで決めたのか、これからもこんな形でしていくのか。もしワンマンで決めたのならば、トップダウンという知事の決断とは格好いいけれども、それならば独裁である。県議会と地元との関係で言えば、我々に提案してきたのは十月に入ってからである。普通、常識から言えば、県議会や地元の首長と相談をして当事者の理解を得る、こういったプロセスを経て当事者ととことん話をすることが大変大事ではないかと思う。あなたは、県民の声を聞いて開かれた県政を推進していく、また県としても市町村とのパートナーシップを一層深める、さらには議会と執行部は車の両輪である、こう知事就任あいさつで申されました。そういったことと今回のやり方は全く矛盾するのではないか、これが一点。
二つ目は、知事、ノーと言うのなら、この問題に期待し、積み上げてやってきた南紀の地域に、ノーと同じ指針、対案を示してこそ地元の信頼と理解が得られるのではないか。「観光振興や高速道路の紀南延伸の促進などについてより一層推進し、地域の活性化に取り組んでまいりたい」、こういった答弁がございました。このような答弁では、余りにも抽象的であります。地元としては納得できません。そのためにも、県議会、地元と十分話し合いを持ち、対案、指針を見出していく。そうした誠意を持ったあなたの姿勢を今打ち出すべきであると私は考えますがどうか、その答弁を願いたい。
三つ目は、「必要性を否定するものではございませんが、この際見直しをすることとし、当面の事業執行を凍結したい」、こういった答弁でございました。この事業凍結は、財政に余裕が出るなど条件が整えば再開をするのか、その見直しはどうなのか、答えていただきたい。
最後の四点目、十月六日の一部新聞報道で、工科大学凍結における和歌山市長のコメントとして、知事の姿勢を評価した上で、「場所は違っても大学をつくるという同じ考えから、市の公立大学構想に県も一部参画していただきたい」、このように報道されておりました。
工科大学の凍結で混乱している地元の声は、神経を逆なでするものだと憤慨しております。あなたの今回の聖域なしの一連の見直し方針からすれば、おのずから結論が出るものと考えますが、この際、議場ではっきりと答えてもらいたい。
以上四点、お願いいたします。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの再質問についてお答えを申し上げます。
だれと相談して短時間で決めたのかというご質問でございますけれども、私、この大学の問題に関しましては、既に試験が行われていたり、また文部省等との交渉が非常に進んできている、そしてまた工事の発注の期限も進んできている、こういうふうな中で、私自身、夜も寝ないでいろいろな今までの資料──たくさんございましたが──読みました。そしてまた幾人かの市民の方とも──これは投書などが参りましたので、お話を聞いたりしました。ただ、これはすべての方ではございませんので、それが大勢というわけではありませんけれども、少なくとも時間がない中で私自身としてできるだけの努力はし、そして私が自分でこうあるべきだと思って議会にお諮りしたわけでございます。そしてまた、今、議会の皆様方のご意見を拝聴して、これからどういうふうにしていこうかということを真剣に考えているところでございます。
また、議会とは車の両輪として事柄を進めていくという姿勢については全く変わるものではございません。これからも、そのつもりで重大な事項については十分お諮りをし、議会のご意見を賜りながら仕事を進めたいと思っております。
それから、これからのこと、そしてまた白浜の地域に対する振興について対案を出して考えるべきではないかということでございますけれども、今回の和歌山工科大学整備事業の見直し後のあり方については、見直しを今議会において表明したばかりであり、今後幅広くご意見を伺いながら、さまざまな検討を行って方向性を見出してまいりたいと考えております。
最後に、和歌山市の大学構想についてどういうふうに考えているのかというご質問でございます。
本県の財政状況が極めて厳しい状況にあるとともに、時代の激変に即応していくために必要な施策や喫緊に解決しなければならない懸案が山積していることから今回の決断に至ったことは、先ほど申し上げたとおりでございます。
和歌山市が検討している大学構想は文科系学部を設置する計画であり、和歌山工科大学とは内容を異にするものであることから、今回の決断と和歌山市の大学構想とは全く関係のないものでございます。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 今、答弁がございましたけれども、繰り返しの答弁であります。
これからの議会との対応についても、今後はこうしていきたいと述べられましたけれども、私が聞いているのは今の問題であります。これからの対案、指針も含めて、私は再度、本事業の存続、推進をまず強く訴えておきたい。
さらに、万が一凍結をした場合でも、県議会や地元と十分話し合いを持って対案、指針を見出していくことを知事に要望して、時間がございませんから、私の質問を終わります。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十一番江上柳助君。
〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。
ただいま議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
木村知事におかれましては、九月三日執行の知事選挙にご当選、まことにおめでとうございます。
木村知事は、知名度という点では不安があったものの、二十二万九千二百六十四票の得票で、次点との差を七万六千七十二票とし、県民の圧倒的な支持をもって見事に当選を果たされました。心からお喜び申し上げます。この圧倒的な勝利は、木村知事に対する県民の大きな期待感のあらわれであると思います。今回の知事選挙は、人一倍責任感の強い西口前知事の体調不良による任期途中の突然の辞任によるものでありました。政治に携わる者は体力が必要であることは、申すまでもありません。道路を初めとする交通基盤の整備、南紀熊野体験博の開催、県立医科大学の統合移転などに着実に実績を上げてこられた西口前知事の無念さは、同じ政治の道を歩む者として万感胸に迫るものがあります。西口前知事から木村知事へと引き継がれたわけでありますが、これまでの知事と違う点は、副知事から知事への継承がなくなったことであります。今、県民は、しがらみのない木村知事に大いなる期待を寄せております。
知事就任に当たっての職員訓示で知事は、「和歌山県を全国に雄たる県に復活させることが私の願いであります。これは、なかなか言うはやすくて行うはがたしと思いますけれども、日々の積み重ねなくしてそういうことが成るということは絶対にありませんので、皆さん方、この和歌山県を元気のある活力のある南海の雄県にするために、私と一緒に力を合わせてやっていただけたらと思います」と、積極的かつ前向きに県勢発展のために取り組む決意を述べておられます。二十一世紀を目前にし、本県においても財政の問題、高度情報化、少子高齢化、経済や環境、教育の問題など、県政の課題は山積しております。知事は、かつて和歌山県の総務部長を務められた経験と、地方行政に精通された卓越した行政手腕を持っておられます。どうか知事におかれましては、健康に十分留意され、持ち前の明るさをもって県民に目線を合わせ、地方分権の時代に和歌山と国との大きなパイプ役として、国の情報をいち早くキャッチして和歌山県の復興に取り組まれ、二十一世紀の和歌山が希望と活力に満ち、和歌山に住んでよかった、一度は住んでみたいと言えるようなふるさとづくりに邁進されますことを切に願うものであります。
一方、行政と議会は車の両輪であります。私も議会に籍を置く者の一人として、県勢の活性化とだれもが安心して暮らせる社会の実現で、県民だれもが住んでよかったと言えるふるさとづくりのために精いっぱい、意見、提案、要望をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最初に、IT革命に対応した本県の情報化施策等の推進についてお尋ねいたします。
知事は就任あいさつの中で、インターネットに代表されるITについて、「情報技術の飛躍的な革新はEコマースと呼ばれる電子取引を広めるなど、企業の取引活動や生活様式を大きく変えてきております。二十一世紀はITなくしては企業や生活が成り立たなくなるほど社会経済システムが大きな変容を遂げ、全く新しい時代を迎えることになるという認識をしております」と述べられております。
政府はミレニアムプロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)について──平成十一年十二月十九日内閣総理大臣決定でありますが──電子政府の実現を目指す方針を示しています。その内容は、二〇〇三年度までに民間から政府、政府から民間への行政手続をインターネットを利用してペーパーレスで行える基盤を整備するというものであります。
本年八月二十八日、自治省地域IT推進本部は、「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」を決定いたしました。これは、国における電子政府の実現に向けた取り組みを踏まえ、IT革命に対応するため、地方公共団体における今後の課題と基本的方向及び早急に取り組むべき事項を示したものであります。その骨子の一つは、地方公共団体の電子化、すなわち電子自治体、電子県庁などの実現であります。二つ目は、社会経済活動の活性化に資する情報基盤の整備に取り組むことであります。これを基本として、以下の諸点に配慮することとしております。
配慮すべき点の一点目は、情報格差の問題が生じないように高度、多様化する県民ニーズに対応した質の高い行政サービスを提供する。二点目は、地域の社会経済活動に大きく寄与するため、文書の電子化を初めインターネット化への積極的な対応を行う。三点目は、事務処理全般の見直しによる行政の簡素、効率化及び透明化であります。地方公共団体において早急に取り組むべき事項として、一点目は行政におけるネットワーク化の推進、二点目は申請、届け出等手続のオンライン化の推進、三点目は住民基本台帳ネットワークシステム整備促進等であります。
一点目の行政におけるネットワーク化の推進については、庁内LAN、庁内一人一台のパソコンの整備、総合行政ネットワークの構築が挙げられ、地方公共団体間や地方公共団体と国との間で行われる申請、届け出、許認可等にかかわる文書交換や法令、条例、基礎的統計等の情報の共有を実現するなど、国、地方公共団体を通じた情報化の基盤として早急な整備が求められるものであり、都道府県及び政令指定都市については平成十三年度まで、その他の市町村については平成十五年度までに構築を行い、順次運用を開始することが望まれるとしております。二点目の申請、届け出等手続のオンライン化の推進については、地方公共団体における組織認証基盤の構築、個人認証基盤の構築や事務手続のオンライン化に伴う法令等及び事務作業の見直しに努めるとしております。
時あたかも、第百五十臨時国会での所信表明演説で森首相は、日本型IT社会の実現こそが二十一世紀という時代に合った豊かな国民生活の実現と我が国の競争力の強化を実現するためのかぎである、そして五年後に世界の情報通信の最先端国家に仕上げると表明いたしました。日本が世界のIT分野でのおくれを取り戻すためには、IT革命への対応、IT化への推進が必要であることは申すまでもありません。今日マスコミ等で、ITという言葉や文字を聞かない日、見ない日がないくらい、連日のように報道されています。
IT社会とは、ITすなわち情報技術でありますが、これらを活用して質の高い行政サービスを提供するとともに、地域の社会経済活動に大きく寄与しようとするものであります。皆様ご承知のように、住民票や印鑑証明などを役所に足を運ばずに家庭や事務所などでパソコンのインターネットを通して二十四時間申請できるというものであります。将来は郵便局やコンビニなどでも申請ができるようになると言われております。さらに、電子県庁や電子自治体が実現いたしますと、納税証明書、不動産取得申告書など、多くの行政手続の申請がインターネットで可能になるわけであります。医療や福祉、防災の分野でもその活用が大いに期待されているところであります。また社会経済活動においては、インターネットによる商取引や、現在知事も利用されているようでありますが、インターネットでの買い物もできます。さらに、家庭が情報家電でネットワーク化され、私たちの生活がより豊かに便利になるものであります。
以上のことから、知事並びに教育長にお尋ねいたします。
第一点目は、地方公共団体の電子化、いわゆる電子自治体の実現と地域の社会経済活動の活性化に資するための情報基盤の整備によるIT社会実現への取り組みが重要であります。また知事が言われる、元気のある、活力のある南海の雄県にするためには、半島に位置し、国土軸からかけ離れ、山村僻地を抱える本県こそ、インターネットを活用したIT先進県を目指すべきだと考えます。IT社会実現への取り組みとIT先進県を目指す知事の決意をお聞かせください。あわせて、IT関連予算特別枠の設定について、知事のお考えをお示しください。
第二点目は、自治省地域IT推進本部の「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」では、国、地方を通じた情報化の基盤として早急な整備を、都道府県及び政令指定都市については平成十三年度までに、その他の市町村については平成十五年度までに構築を行い、順次運用を開始することが望まれるとしております。そこで、IT革命を強力に推進するために、知事を本部長とする和歌山県IT戦略本部や庁内プロジェクトチーム及び各界各層の有識者による和歌山県IT戦略会議を設置すべきだと考えますが、知事のご見解を承りたいと思います。
第三点目は、大阪府は二〇〇三年度までに電子府庁を実現するために専従チームを発足させることを九月十九日発表いたしました。電子府庁が実現いたしますと、納税証明書、不動産取得申告書など千種類ある行政手続の申請がホームページでできるわけであります。電子府庁の実現に向け、府は九月補正予算に約四千五百万円を盛り込み、パソコンの職員一人一台に向けた基盤整備を進めるとしております。さらに、太田府知事は九月二十八日の定例府議会で、ITによる行政オフィス革命で府政の効率化を図るとしております。本県職員へのパソコンの整備率は、職員四千六百四十八人中一千五百四十九台、約三分の一であります。パソコンは、今後の行政運営に必要不可欠なものと位置づけられることから、情報システムである庁内LANの整備とこれに接続した職員一人に一台のパソコン配備を早急に進めるべきであると考えますが、庁内LANの整備及びパソコンの配備について、いつごろまでに整備を進めるお考えか、お聞かせください。
第四点目は、和歌山県下の町村では一部IT化への取り組みがおくれております。特にホームページを開設していない町村は十三あります。共通した理由は、一点目、高齢者が多く我が町では難しい、二点目、パソコンを操作できる人材がいない、三点目、予算がないとのことであります。今後、どのように高齢者などのIT弱者と言われる人たちへの配慮、IT技術者の養成・確保、予算措置に取り組み、IT化を推進するお考えか、お聞かせください。また、町村単独ではIT革命に対応するのは難しいと思われますので、広域を中心にIT革命に対応する必要があると考えます。知事のご見解を承りたいと思います。
第五点目は、知事が就任のあいさつで述べられております開かれた県政の一つは、まず県庁内のすべての課でホームページを開設して県民に幅広く新しい施策、情報を提供し、広く県民の意見や要望をいただくことであります。知事は、選挙公約で電子メール目安箱の設置を掲げておられました。従来、「知事への提言」というホームページがあり、メールを送れることになっておりましたが、余り利用されていなかったようであります。木村知事は今回、「知事と親しメール」を開設されました。ぜひ、この「知事と親しメール」に届いたメッセージは、ダイレクトに意見、要望が知事に届くようにするとともに、返事を出すようにしていただきたいと思います。
また、県政の重要課題と所属別のホームページの開設についてであります。和歌山下津港港湾整備計画いわゆる雑賀崎埋め立て問題などについてはホームページが開設してありますが、橋本産廃問題など、県政の重要課題についてのホームページはありません。さらに県庁内では、残念ながら施策に関するホームページをいまだ開設していない局や課室が十四あります。実は、私が質問する前には十七あったんですけれども、十月五日に国民健康保険室、さらに十月六日には新産業推進課、さらには地域振興課と立て続けに開設をいただいております。結果的に十四になったわけで大変喜ばしいことでありますが、今後早急に残された十四の局や課の開設をお願いしたいと思います。また、「知事と親しメール」への取り組みと県政の重要課題、所属別のホームページの開設について、知事の決意をお聞かせください。
第六点目は、NTTは二〇一〇年までに全国の光ファイバー網の整備を完了するとした現在の目標を撤回し、今後は需要が見込める地域に絞って整備する計画に転換する方針を固めたようであります。過疎地域にまで光ファイバーを敷設するのはNTTの収益を圧迫すると判断したためであります。IT革命推進のためには光ファイバー網の整備は欠かせないものであり、過疎地域を抱える本県にとってまことに残念なことであります。過疎地域にまで光ファイバーを敷設しないというNTTの方針に対しどのように対応されるのか、知事のお考えをお聞かせください。
第七点目は、教育委員会の情報教育への対応についてであります。私は昨年の六月定例議会で、「教育現場で情報化教育に積極的に取り組むべきである」と質問いたしました。教育長は、「今後とも、情報化社会に対応した研修や実践研究の一層の充実に努め、二十一世紀にふさわしい情報教育を推進してまいりたいと考えております」と答弁されました。私は、和歌山市内の小学校のパソコンの整備状況を見てまいりました。まず、機種が八年から九年くらい前のウインドウズ三・一で非常に古く、各小学校では二十台配備されておりますが、先生用と子供用の一対になっておりますので、十人の子供しかパソコン操作できないわけであります。そして、学校にはインターネットの接続は職員室にありますけれども、ほとんどの学校で、授業ではインターネットに接続されておりません。しかも、ことしの六年生で四月から一度もパソコン教育が行われていないクラスもあります。パソコンになれ親しみ、適切に活用する教育はどのようになっているのでありましょうか。いろいろ調べてみますと、コンピューターを操作できる教員、コンピューターで指導できる教員は全国都道府県でワースト一位、二位であります。これは小、中、高ひっくるめてであります。このような状況の中で、教育委員会は二千百人の教員を対象にパソコン研修を本年八月にようやく実施いたしました。私の昨年六月の質問から一年が経過してからであります。情報化というものは日進月歩であります。テレビが普及するまでには十三年、ラジオが五千万台普及するまでには三十八年かかったんです。このインターネットが五千万台普及するには、わずか四年間で行われておるんです。昨年の私の質問から一年間放置してきたと言っても言い過ぎではないかと思います。このような状況で、将来のIT社会を支える子供たちにどのような教育を行うのでありましょうか。各学校のパソコンを新しい機種に交換することや、パソコン教室でインターネットに接続して授業で活用することが必要であります。コンピューターで指導できる教員をふやし、授業の中でパソコン計画を積極的に取り入れ、小・中・高等学校及び盲・聾・養護学校での情報教育の推進が緊急の課題でありますが、その取り組みについてお考えをお聞かせください。
第八点目は、情報公開と個人情報保護制度の確立についてであります。本県においては、平成五年十月から和歌山県公文書の開示に関する条例、いわゆる公文書公開条例に基づいて情報公開がなされております。昨年五月制定の情報公開法における開示対象文書は、「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」と定義されております。これは、国で成立した情報公開法でございます。このことによって、開示請求があった時点で実施機関が保有している──県庁が保有している文書やフロッピーディスク等の電磁的記録についても開示対象となったわけであります。この情報公開法の施行期日は平成十三年四月一日からであります。したがって、情報公開法を踏まえた本県の公文書公開条例の改正がその名称も含めて必要になっていますが、いつ条例改正するお考えか、改正点もあわせてお答えください。
一方、知事の言われる開かれた県政を担保する情報公開と相まって、個人情報を保護する制度が必要であることは申すまでもありません。国では個人情報保護基本法制の議論が行われておりますが、これはプライバシー保護の観点から、従来は野放しだった個人名簿の無断転売などに法規制の網をかけているのが特徴であります。現在、既に「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」が制定されております。全国の多くの自治体では、この法律の趣旨に基づいて、より厳しく個人情報利用を制限し、個人情報保護条例を制定しているところであります。これらのことにかんがみ、本県においても早急に個人情報保護条例の大綱案、要綱案を策定し、個人情報保護条例を制定すべきであると考えますが、知事のご見解を承りたいと思います。
以上、八点についてお尋ねいたします。
次に、府県間の連携強化についてお尋ねいたします。
知事は就任あいさつの中で、「これからの県政は、より一層、他府県等との連携が重要になってまいります。とりわけ大阪府との関係は重要であると思っておりますけれども、私は大阪府政の一翼を担った経験を生かし、その連携の強化に力を尽くし、県益のため、県民のため全力で取り組んでまいりたい」と述べられております。
今、県民が木村知事に大きな期待を寄せている中の一つが大阪府との連携強化であります。和歌山県は関西経済圏に位置し、大阪府との連接地でありますので、当然と言えば当然であります。知事は就任あいさつの中で、交流ネットワークの創造で「京奈和自動車道の早期完成、近畿自動車道紀勢線の南伸など高速道路の整備、第二阪和国道、県道泉佐野岩出線、国道三百七十一号や四百八十号などの府県間道路の整備は、本県が近畿や中部等の主要な経済圏と直結するために、また県内中核都市のネットワーク化のために積極的に推進してまいりたいと考えております」と述べられておりますが、第二阪和国道や県道泉佐野岩出線などの府県間道路でおくれているのは、知事もご承知のとおり大阪府側であります。和歌山県と大阪府の実務者による阪和開発連絡協議会が例年開催されております。その協議会で、府県間道路、阪和線の関空への乗り入れ、関空の整備、紀の川の利水、加太・岬スカイライン、紀淡連絡道路などの府県間の課題について協議されることになっております。太田府知事も、木村知事の選挙の応援に来られたときに、「関西は一つ、大阪府の隣接地和歌山との連携を今後さらに強化してまいりたい」と述べておられました。
知事、阪和開発連絡協議会が開催される前に大阪に出向き、太田府知事とトップ会談をされ、府県間の課題解決のための要望を行ったらいかがでしょうか。また、府県間の課題解決に向けてほかに何か妙案があれば、知事のお考えをお聞かせください。
次に、県市協調についてお尋ねいたします。
九月二十六日、和歌山市の旅田市長は、県庁で木村知事と会談し、和歌山市が抱える課題解決のため、四十一項目にわたる要望を行いました。要望の中で、雑賀崎埋め立て問題について旅田市長は、反対住民の意見も聞いて慎重な対応をと要望されました。知事は、九月二十七日の就任あいさつの中で、「今後の社会経済状況をも見きわめながら、虚心坦懐にこの埋立計画に対する県民各層の幅広いご意見を聞きまして、適切に対応してまいりたいと考えております」と述べられております。また十月五日の本会議で、先輩橋本議員の質問に対し知事は、雑賀崎埋め立ての環境調査費について予算の執行を見送る旨の答弁をされました。最終的には、雑賀崎埋立計画をさらに見直すのか、計画の凍結か中止か、計画をそのまま実施するのかといった決断をいずれ迫られる時期があると思います。
私は、自然環境、景観などの失われる部分いわゆるデメリットと、これからの物流などの社会経済状況、地域整備、建設残土の埋め立てなどの公益を十分に比較検討しなければならないと考えます。どうか知事におかれましては、この点を十分に踏まえて適切に対応していただきたいと要望させていただきます。
そしてまた、この埋立計画に対する県民各層の幅広いご意見を聞く場や住民との対話集会など、できるだけ早い時期に開催すること、この二点について強く要望させていただきます。
さらに、和歌山市などによる公立大学構想について、大学設置にかかわる補助金等の支援や地域総合整備事業債の事業認可に対する支援について要望がなされております。県の支援が公立大学認可の必要条件でもあります。どのように対応されるお考えか、お聞かせください。
この公立大学構想について知事は、会談の中で「どうせつくるなら、一番時代にマッチした大学を」と述べられたと新聞報道されておりますが、知事の考える時代にマッチした大学とはどのような大学なのか、お考えがあればお聞かせください。
最後に、浸水対策についてお尋ねいたします。
昨日も、紀南方面では大変な大雨でございました。先日の九月十一日と十二日にかけまして、台風十四号接近の影響で県内各地で大雨による被害が続出し、県内の産業、経済や県民生活にも大きな影響を及ぼしました。大雨の影響で、床上、床下浸水は十市町村で一千三十七戸に上ったほか、国道四十二号線が有田市初島で冠水のため通行不能になり、また落石、冠水などで十九カ所が一時通行どめに、阪和自動車道、海南湯浅道路、湯浅御坊道路も十二日午後二時過ぎまで通行どめとなりました。一方、JR各線、南海電鉄にも部分運休、運休が相次ぎました。さらに、野菜や稲などが水につかるなど農作物への被害は約四千四百万円に上ると言われています。被害に遭われた皆様方に、心からお見舞いを申し上げます。特に和歌山市においては、降り始めからの雨量が三百七十八ミリで、過去三十年間の最大降水雨量を記録しました。和歌山市で、床上・床下浸水は約九百戸。市内の五十四カ所で道路が冠水し、通行どめや交通規制が相次ぎ、和歌山市田中町の交差点では幹線道路が二十時間にわたり冠水のため通行どめとなりました。私は、車で市内各地をこの目で見て回りました。道路が冠水して川のようになったところや、側溝や用水路と道路の区別がつかず、車のハンドルを早く切ったため後輪のタイヤが溝にはまりかけるなど危険きわまりない箇所が幾つもありました。住民からは、道路が冠水し、道路を通行どめにしないと車が通過するときに水が家まで浸水してくるので交番に通行どめをお願いしたところ、県の道路管理者が来てくれないので通行どめにできないとの話であったそうです。私も、和歌山北署管内の西庄交番から県消防防災課と道路環境課に連絡をとりました。道路が冠水した箇所が多いので人手が足りないとのことでありました。
九月十一日の県内に大雨洪水警報が発令されてから、県下全域警戒態勢が発令されている中での職員の配備態勢はどのようになっていたのでしょうか。関係職員の皆さんは、少ない人員の中で不眠不休でその任に当たられたことと思います。大変にご苦労さまでした。願わくは、このような非常事態のときは、十分に関係機関、市町村との連携を密にして万全の体制を整えていただくことを強く要望させていただきます。
四十七都道府県の県庁所在地で、これだけ広範囲にわたり道路が冠水する都市は余りないと思います。和歌山だけかもわかりません。十月三日、私ども公明党県議団、市議団は一日かけまして、和歌山市内全域の排水ポンプ場、公共下水道終末処理場や浸水箇所などを視察してまいりました。かなり排水ポンプ場の整備が進んでいるものの、建設中のものもありました。一方で、下水管の整備がおくれているため、まだまだ浸水対策が十分でないことを痛感いたしました。浸水対策に万全を期そうと思っても限界があると思いますが、改良する努力を怠ってはなりません。しかも、豪雨のときの浸水箇所はほとんど決まっているわけであります。したがって、このような箇所の総点検を実施して、雨を地中にしみ込ませる道路や下水管の整備、河川の改修、地下利用の遊水地などの浸水対策を関係機関、市町村と協議して講ずるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
以上お尋ねして、私の第一問とさせていただきます。ご答弁のほどよろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) IT社会実現への取り組みとIT先進県を目指す決意についてでございます。
ITは、私たちの生活様式を大きく変革し、新たな経済発展を可能にし得る、まさに二十一世紀を切り開く技術であると考えております。ITの活用は、過疎化、高齢化の進む本県の社会経済活動の活性化を図る上で極めて重要な課題であると認識をしております。私も既に幾つかのアイデアを持っておりますけれども、行政はもとより、県民生活や企業活動など、あらゆる分野におけるITの活用を促進し、他県に比類なきIT先進県を築いてまいる決意でございます。
なお、来年度の予算編成におけるIT関連特別枠についてでございますけれども、私としては、必要な分野について来年度の予算の重点的な配分を図る観点から、関係部に対し早急に検討を行うよう指示したところであり、現在鋭意作業中でございます。予算編成方針の中で知恵を絞り出してまいりたいと考えておりますので、ご了承いただきたいと思います。
次に、和歌山県IT戦略本部等の設置についてでございます。
ITの活用により、住民サービスの充実や産業の振興を図り先進県を目指すため、県庁内が一丸となって、また産・学・官が連携して積極的に取り組めるよう、県としてのIT戦略を考える新たな体制の構築を検討してまいりたいと思います。
次に、庁内LANの整備及びパソコンの配備についてでございます。
本県では、本庁並びに振興局を対象にLANを構築し、これに各パソコンを接続して情報処理の高度化、効率化に努めております。今後のパソコンの配備につきましては、まことに厳しい財政状況ではございますけれども、先進県ということにしていくためには、まず県職員がパソコンの操作に習熟することが必要であると思います。パソコンの配備につきましては、来年度の予算でも積極的に対応してまいりたいと考えております。
次に、高齢者の方々等のIT弱者──IT弱者と言うのは適当かどうかわかりませんけれども──への配慮やIT技術者の養成ということは、県内におけるITの活用を図る上で喫緊の課題であると認識しておりますので、国の支援施策の活用による研修事業の実施等、これについては積極的に対応していきたいと考えております。また、市町村でのITの活用を促進するため、国等の関連する補助事業の活用等──補助事業ばかりであれでございますけれども、独自事業も行ってまいりますが、促してまいりたいと思っております。
広域でのIT革命対応につきましては、ITの活用による行政サービスを効率的、効果的に提供していく観点から、広域での連携による取り組みも必要になってくるものと認識しておりますので、今後、市町村との対話も深めながら、県全体としての課題として取り組んでまいりたいと思っております。
それから電子メールによる提言制度につきましては、就任後、「知事と親しメール」と題して、ホームページ上にとりあえず開設いたしました。このことは「県民の友」十月号において、ファクス、手紙、はがきとあわせて紹介させていただいております。今議会が始まりましていろいろございますので、大変多くの提言、ご意見が私のもとへ来ておりまして、私もこれには毎朝目を通すようにいたしております。返事につきましても、今後、適宜適切な対応を図っていきたいと思います。
ホームページの開設につきましては、ご指摘の県政の重要課題も含めて、県民の関心の高い情報を速やかに、わかりやすく提供していくことが重要であると認識しておりまして、職員に対しこうした認識の徹底を図り、充実に努めてまいりたいと思います。
また、県のホームページでは大分ふえてきているようでございますけれども、情報を全く掲載していない課室もございますので、こうした課室については早急に提供するよう促してまいりたいと考えております。
次に、NTTの光ファイバー敷設についてのご質問でございます。
現在までのところ、過疎地域にまで敷設しないとの明確な方針は出されていないと承知いたしております。これは、担当の方からも大分詳しく調査をしていると聞いております。また、情報通信基盤の整備は基本的に民間主導で行われるものと認識しており、NTTには積極的な取り組みをお願いしてまいりますが、本県の半島性、過疎化、少子高齢化などを克服する上で、この通信基盤の充実は重要な課題でございますので、国の支援施策の活用も検討しながら、行政としても適切に対応していきたいと考えております。
それから、情報公開についてでございます。
県では、平成五年に和歌山県公文書の開示に関する条例を施行しておりますけれども、情報公開法の趣旨を踏まえ、開かれた県政を一層推進するために新たな情報公開制度を検討いたしております。現在具体的には、県内各界有識者から成る懇話会を設置して、条例の名称、開示対象の公文書に電磁的記録を含めることなどについて審議をいただいているところでございます。ことしの十二月をめどに、新たな情報公開制度のあり方について提言が出される予定でございまして、この提言を踏まえ、二月県会に条例改正案を上程すべく準備を進めております。
次に、個人情報保護制度の確立についてでございますけれども、個人のプライバシーを保護し、個人の自由と尊厳を守るための重要な課題であると考えております。
現在、政府において、IT戦略本部に専門委員会を設けて個人情報保護基本法の制定について議論がなされているところでございますので、この動きを踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。
それから、府県間の課題解決に向けて大阪府の知事とトップ会談をしてはどうかということでございます。
議会の冒頭でも申し上げましたけれども、これからの県政を進める上で他府県との連携は重要なものであると考えております。ご提言につきましては、大阪府との連携を強化する上で望ましいことであると考えておりますので、府県間の課題を整理いたしまして、大阪府知事とのトップ会談を開催する方向で働きかけを行ってまいりたいと思います。ただ、何をやるかということなしにやっても仕方がないことでございますので、ただいま申し上げましたような、どういう課題をどういう方向で持っていくのかということを十分下ごしらえもして、積極的に会談を行っていきたいと考えております。
それから、県市協調についての和歌山市などによる公立大学構想についてでございます。
和歌山市で設置を検討されております二市九町による広域連合方式の公立大学につきましては、本県の高等教育機関の整備充実に寄与するものと考えております。県といたしましては、財政状況が厳しく聖域のない事業見直しを行っている中で制約がありますけれども、今後、必要な諸手続など県として可能な協力は行ってまいりたいと考えております。
なお、内容について私がコメントしたということでございますけれども、これはそういうことではございませんで、大学の内容につきましては、市のお考えで魅力のある大学をつくっていただければと考えております。
私からは、以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 浸水対策についてお答えいたします。
平成十二年九月十一日から十二日にかけての集中豪雨は、和歌山市におきましては一日の総雨量としては和歌山地方気象台の観測史上最大の豪雨でありまして、多くの床下、床上浸水の被害が生じました。また市内の県道におきましても、道路冠水により車両の通行ができない箇所が生じました。広範囲な冠水となったため、道路管理者の対応におくれがありましたのは事実です。今後は、このような非常事態に十分対応できるよう関係機関とも連携してまいります。
これらの浸水被害の抜本的な解消を図るためには、議員ご指摘のとおり、関係機関が連携し、下水道だけではなく、河川、道路等の事業を総合的に実施する必要があると考えてございます。そのため、県といたしましては、国、市に働きかけて浸水対策に関する協議会を設立し、各種事業間の調整を図り、効率的な整備について積極的に検討してまいります。
以上でございます。
○議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校における情報教育の推進についてお答えいたします。
今日の情報通信技術の急速な進展により、教育の分野においてもこの情報化の流れを避けて通れなくなってきております。こうした教育の情報化に適切に対応するため、本年四月、県教育委員会の機構改革の中で教育企画課に情報教育班を設置し、学校の情報環境の充実等に取り組んでいるところでございます。コンピューターの設置及びインターネットへの接続につきましては、町村によって大きな格差があることから、機会あるごとに市町村教育委員会に対し学校の情報環境の整備充実を図り、その活用を積極的に行うよう指導いたしております。
IT社会を支える子供たちの教育につきましては、新学習指導要領に基づき、児童生徒がコンピューター等の情報手段を活用しながら、創意工夫を生かした教育活動を行うよう指導してまいります。
また、議員ご指摘の課題を解決するため、本年度新たに小学校教員約二千百名を対象に県内百十九の会場でコンピューターに関する研修会を実施したところでございます。来年度は、中学校さらに高等学校、盲・聾・養護学校など県立学校の教員を対象にして、本年度よりさらに充実した研修の実施を予定いたしております。今後、各地方教育事務所段階においても早急に情報教育の推進体制を整え、学校リーダーの養成並びに校内研修の一層の促進を図り、予算の確保を含め、本県の情報教育の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十一番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま、知事並びに関係部長からご答弁いただきました。再質問をさせていただきます。
知事からは、IT先進県を目指す並々ならぬ決意をご披露していただきました。ありがとうございました。私は、本県をIT先進県に、取り組みいかんによっては決して夢ではないと思います。現在IT施策が進んでいる県は、岐阜県、三重県、高知県などがあるわけでありますが、IT革命は国家的なプロジェクトでもあり、現在その緒についたばかりであります。またIT社会の実現によって、半島に位置している本県は地理的条件を克服できるわけであります。ぜひ、そのためのIT関連予算特別枠を設定していただきたい。そして、LANや職員一人一台のパソコンの整備などの情報化への基盤整備や光ファイバー網の整備を行っていただきたい、この点、強く要望させていただきます。
ここで知事に一点だけ、一問の答弁を踏まえてお尋ねしたいんですが。
知事は、IT先進県を目指すと言われました。ITの基盤整備を行って、本県においてEコマース、電子商取引などを活用した産業経済の活性化、発展をどのように図るお考えか。県民は今、この点を一番知りたい。一番関心のあるところだと思うんです。知事のお考えを、具体的にお示しください。
次に、市町村ではIT関連の予算が足りないとよく話を聞くんですけれども、本来、教育用のパソコンについては交付税措置がなされていることによって基準財政需要額に算定されているわけです。しかしながら、一般財源からされておるんです。道路や橋に変わってしまっているのが現状で、この点、県の方からもしっかりと指導していただきたいと思います。同時に、市町村支援のための予算措置もしていただきたい。
また知事は、IT先進県を目指すと言われました。どうか、一日も早くIT戦略のための体制を整えていただきたい。その中で、特に高齢者や障害者などのIT弱者の皆さんへの十分な対応も研究、検討していただきたいと思います。この点も要望させていただきます。
それから、教育長。「今日の情報通信技術の急速な進展により、教育の分野においてもこの情報化の流れを避けて通れなくなってきております」と答弁されました。知事はどうおっしゃっているかと言うと、「二十一世紀はITなくしては企業や生活が成り立たなくなるほど社会経済システムが大きな変容を遂げ、全く新しい時代を迎えることになる」という認識を示されているんです。教育長は、「避けて通れなくなってきております」と。そういう認識は、ちょっと消極的な感じを受けるわけです。避けて通れるものなら通りたい、そういうことじゃないと思いますけれども、避けられないからやむを得ずやる、対応するという印象が強いと言わざるを得ないですね。むしろ前向きに、二十一世紀のIT社会を生きる未来の子供たちのために、本県の産業経済の発展のために教育現場での情報教育を先取りするんだ、時代を先取りするんだ、この積極的な姿勢が大事だと思うんです。
また、「議員ご指摘の課題」と言われましたけれども、私が指摘しないでも、小中学校のパソコンを操作できる先生、指導できる先生は四十七都道府県の四十七番目なんですね。この深い認識を持っていただきたいと思います。一断面かもわかりませんけれども、この「避けて通れなくなってきております」の一言が本県の情報教育への取り組みのおくれを象徴しているような感もするわけでございます。
不思議なことに、ホームページを開設していない十三の町村の約半分の六町村においては県下の教育現場の情報教育がおくれている。パソコンを操作できる先生、指導できる先生が一番少ない町村は、やっぱりホームページを開いていないんですね。ですから、教育現場と町村のIT化への対応は一致しているような感じがしてならないんです。
本年四月から教育企画課に情報教育班ができました。それまでは学校教育課でやっていたんですが、十分な対応ができておりませんでした。教育企画課の情報教育班の皆さんは一生懸命です。どうか、市町村教育委員会や教育現場の対応について、現場を理解せずにいきなりばっといきますと大変な抵抗も出てこようと思いますから、理解していただき、十分な対応をお願いしたいと思います。
もう一度、情報教育への認識について教育長からご答弁をいただきたいところでありますが、どうか知事のIT先進県を目指すと言われた強い決意を、思いを酌んでいただいて今後頑張っていただきたい、この点は強く要望させていただきます。
それから、情報公開と個人情報保護制度ですけれども。実は、九月議会に情報公開条例案を出すべきだったと思う。情報公開法は来年四月一日施行でございますから、周知期間に三カ月なり六カ月要るわけですね。実はテレビを見ていましたら、宮城県では県議会で県知事と県警本部長がちょうちょうはっしでやっているわけですね。要するに、捜査情報をどうするか。捜査の秘密だ、いや情報公開だとやっているのを見まして、ちょうど九月、今議会ぐらいが適切ではなかったかな、随分おくれているなという感じをいたしました。
それから、個人情報保護制度です。これも今、国でIT戦略本部でやっていますけれども、一応大綱案もできたんですね。そういう状況もあります。そして、本県では昨年九月でございましたか、医科大学でフロッピー、いわゆる電磁的記録そのものが持っていかれたんですね。インターネットで情報を入手してそれを売るとかではなくて、フロッピーそのもの、それがもし悪用されたら大変なことになるわけですね。そういうことも考え、やはりこれにつきましても懇話会を早期に設置して検討を本県としても始めるべきではないかと思います。
それから、和歌山市などによる公立大学構想については、市立大学構想検討委員会も設置され、九月九日に本県出身の竹中平蔵氏を迎えて市民参加のシンポジウムが開催されました。市議会においても特別委員会が設置され、広範な議論が行われております。知事のご答弁では、「必要な諸手続など県として可能な協力は行ってまいりたい」とありました。ぜひ前向きに、ご協力、取り組んでいただきたいと思います。
最後に浸水対策ですけれども。非常に残念なんですね。今回、要望したからこういう答えが返ってきたかもわかりませんけれども、「広範囲な冠水となったため、道路管理者の対応におくれがありましたのは事実です」と。その対応のおくれでどれだけの県民、市民が被害をこうむったか。支障を来したか。混乱を招いたか。それに対する一言の言葉もないということは非常に残念です。そうは言っても、知事は本会議場で、防災対策については常在戦場で知事ご自身が先頭に立って取り組んでいきますと、力強い、心強い答弁をされております。関係機関と連携を密にして十分な対応をしていただき、県民に安心を与えていただきたい。
また浸水対策については、河川の改修、下水道の整備など関係機関と連携を密にして、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい。我々公明党県議団、市議団も、この浸水箇所の総点検や対応について今後とも取り組んでまいります。この点強く要望させていただきまして、知事に一点だけ明快なご答弁をいただき、私の再質問とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのEコマース関係の再質問についてお答えをさせていただきます。
情報化で商売をということでございますけれども、これはなかなか行政が旗を振ったからといってすぐに商売になるとは思いませんけれども、そう言ってしまっては身もふたもない。やっぱり、力いっぱい行政としていろんな支援を行い、一定の方向に持っていくことが行政の大きな責任であろうと思っております。
どんなふうなアイデアがあるかということでございます。今、日進月歩でございますので、来年度の予算をつくるときまでにどんどん新しい情報が入ってきて変わってくるかと思いますが、今すぐに予算化できるかどうかわかりせんけれども、ちょっと思っておりますのは、例えば和歌山は果物王国であり、そしてまた林業や水産関係の、ある意味では先進県でございます。こういうところがJA、漁協、森林組合なんかと組んで、インターネットでバーチャルな市場みたいなものをつくって、和歌山ブランドでそれをどこからでもアクセスできるような形で買ったり、オークションしたりして売買ができる仕組みみたいなことも考えてみたいと思います。
それから、今まではべンチャーを志す若い人たちに勢いを与えようということで考えていたんですけれども、ここまで来ると、ベンチャーの中でもEコマースということで新しく和歌山から何か発信していこうと思っているような若い人たち──別にお年寄りでも構わないですけれども、起業をやっていこうと思っている方々に施設の提供なども含むような支援を行うことができないかというようなことも考えております。
それからまた、市民、教職員、県職員、市町村職員、こういう人たちにITに習熟するような何かセンター的なものができないかというようなことも考えております。市町村への必要な情報の提供も県として非常に重要なIT関係の仕事であると思いますので、そういうようなことも含めた何かアイデアがないかということも考えております。
そしてまた、和歌山県全体をいろんなことで支援してくれたり、何らかの関係、これは別に県の出身であるとかということだけではなくて、和歌山の物を買ったことがあるとか、温泉へ来たことがあるとか、そういういろんな人を集めて何か一つのバャーチャルな和歌山をつくってネットワーク化することによって和歌山県の振興を図っていく、こういうふうなアイデアも大分進んできております。
いろいろございますが、この分野に関しては非常に夢の多い分野ですので、来年度の予算までにいろんなことを考えて、できるだけ積極的な対応をしていきたいと考えております。
○議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阪部菊雄君) 以上で、江上柳助君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十八分休憩
─────────────────────
午後一時二分再開
○副議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二番山田正彦君。
〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、逐一、知事並びに関係部局の誠意あるご答弁をお願いしたいと思います。
ただ、一般質問も後半になりますと、同じような問題で重複する事柄がありますので、手元に用意している私の発言原稿に多少即興を入れてご質問をするかもしれません。あしからず、ご了承をいただきたいと思います。
木村新知事、まずはご当選おめでとうございます。県下全域をくまなく回られ、数多くの県民の皆様と接し、県政に対する強い期待を肌で感じられたと、知事ご就任のごあいさつの中でお述べになりました。私も、県民の一人として、また多くの県民からご支援をいただいてこの県議会へ送っていただきました和歌山県議会議員の一人として、微力ながら精いっぱい声援させていただきました。二十一世紀の和歌山県を、圧倒的多数の県民が、木村良樹知事、あなたに託したのであります。
私は、公の場であるこの九月定例議会の議場での新知事ご就任のごあいさつを、大変楽しみを持って、また期待を持って拝聴いたしました。総論としては、知事の素直なお気持ちなり、抱負なり、意欲が伝わってきましたし、就任早々にもかかわらず多方面にわたり積極的に山積する難問に挑戦する姿勢には、感銘を受けました。
そこで、知事の述べられましたビジョンの中から四点ばかり、確認の意味をもって質問させていただきたいと思います。
まず第一点目でありますが、県政のビジョンの中の時代認識であります。
時代はまさに、インターネットの普及に代表されるように、ITつまり情報技術の飛躍的な革新の真っただ中にあります。そこで、和歌山県の持つ情報で公開することの可能なものは積極的にホームページにできるだけ速やかに搭載し、公開すべきであると思います。残念ながら、現時点では各部局の考え方がばらばらでありまして、書き込みに対するシステムが確立されていないように思われます。財政的な措置を伴うことでもありますが、ホームページに新しい機能を導入する一方で各部局の職員の意識改革を図るなど、ぜひ早急かつ適切なご処置をお願いしたいと思います。
第二点目でありますが、県政への県民参加の促進についてであります。
私自身も多くの郡民の皆さんの前で県行政についていろんなことをご説明したり申し上げているところでもありますが、県民は県政を非常に遠く感じております。県政をもっともっと県民の身近に感じていただけるように、我々議員自身も努力すべきでありますが、県当局も県民の視点に立って開かれた県政を推進する努力をなされることは当然のことであります。
西口前知事は「動く県庁」や「ふるさとふれあいトーク」を開催し、できる限り県民とじかに対話する機会を持とうという努力をされる一方で、手紙やはがき、ファクスなどによって県民の意見を聞く知事への提言制度も取り入れられてきましたが、木村知事はこの件についてどのようなお考えを持っておられるのでしょうか。
また、小学校生などが課外学習の一環として県庁を訪問されている姿を目にいたしますが、二十一世紀を担う子供たちにも県政のありのままの姿を見てもらい学習してもらうということは大変重要なことだと思います。知事が掲げられている開かれた県政は、子供たちからお年寄りまですべての県民に対してなされなければなりません。そのためには、旧態依然の方法を踏襲するだけでなく、より効果的な方策を再検討する必要があります。
例えば、県政を紹介するパンフレット一つをとりましても、子供やお年寄りにも読むことができるような内容、易しい文章表現や難しい漢字にはルビをつけるなど、さらに工夫を重ねていただけるように要望いたします。
第三点目に、改革県庁のくだりの中で、アドバイザー制度に対する件でありますが、もう少し具体的な構想をお聞かせいただけたらと思います。
もし公的な機関としてつくるのであれば、定期的に会合を持ち、知事はその会へ必ず出席し、会合は常に県議会やマスコミに公開する、また、構成される人材としては、各分野で働きながら社会的に貢献され、みずからの意見を積極的に述べられる人材を求めることが何よりも重要なことでありましょう。県の組織内のみで処理することにでもなれば、有名無実の制度になってしまうことは明らかであります。さらに、それらの助言、提言を知事の政策に生かす調整部署である政策推進室の組織をさらに強化することもぜひ必要であろうかと思います。
第四点目に、風通しのよい県庁づくりの構想であります。
若い職員のアイデアや意見をぜひ聞いてあげていただきたい。今後知事が取り組むべき主要施策や懸案事項の企画、立案の第一線に立つのは担当主査であり、あるいは主任であり、班長でありましょう。若い情熱に満ちた職員と直接接することにより、知事の目指す政策に対し、より身近に感じ、職務に精励する意欲がわいてくることであろうと思います。
知事は、例えば決裁のときなど、あらゆる機会をとらえ、できる限り現場の声を直接聞いてあげてほしいと思います。木村県政の二期、三期を支えていく原動力となるのは二十歳代であり、三十代であり、四十代の若い職員であるからであります。
以上、四点について、どのように対処するおつもりか知事にお伺いいたします。もう五十代後半はだめだということであります。
次に、和歌山工科大学の件であります。
知事のごあいさつの中で、三大懸案のお話をされました。梅の育成不良問題、あるいは雑賀崎の埋め立て問題、橋本市の産業廃棄物処理問題の三つの重要な案件を取り上げられております。これらは、あすの和歌山県にとっては大変重要な課題であり、知事の英断に期待するところであります。
私は、もう一つ避けて通ることのできない四番目の懸案事項として和歌山工科大学問題を取り上げ、知事の今後の取り組みについてただそうと思っておりました。一生懸命知恵を絞って原稿を書いたのであります。ところが、過日来の報道等での知事の意思表示や、改めて今議会の一般質問の冒頭で発言があったように、見直しをすることとし、当面の事業執行を凍結するという表明がされました。
私は、凍結を決断するまでの知事の苦悩は大変なものであったとお察しいたします。午前中の玉置議員の質問の中でもありましたが、私はこの件に限っては、時間も限られていたし、トップダウンもやむなしとして了解いたします。知事、あなたは就任のごあいさつの中で、いみじくも「議会と執行部は車の両輪であり、緊密な連携を図りながらお互いに切磋琢磨し」というくだりがありました。まさか軽々におっしゃった言葉ではないと思いますが、その言葉の重大さをお忘れのないよう今後ともお取り組みいただきたい。お願い申し上げます。たまたま私は、さきの二月定例会の一般質問の中で既に、車の両輪のことについて私なりに精いっぱい訴えました。知事、どうかこの私の発言をした議事録にぜひお目通しをいただくようお願い申し上げます。
事後処理は大変なことであろうかと思いますが、まだ今なら、ご迷惑をおかけした関係者の皆様にも誠意を持って説明されればご理解いただけるものと思いますし、経費の損失も最小限に食いとめることができるでしょう。ただ、私は常々思うんですが、その事後処理の最前線に立ち向かう職員のご労苦は大変なものがあろうかと思います。あるいはまた、私たち議会としても最大限の支援、協力をしなければならないと思います。知事のさらなるご決意をお聞かせください。
次に、教育問題に関して知事の基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
過ぎ去ろうとしている二十世紀は、大きく分けますと、前半は戦争の時代であり、また後半は、戦後の荒廃した我が国の復興に始まり、高度経済成長をなし遂げた時代でありました。この間、先輩たちが寝食も忘れて働いていただいたおかげで、世界に冠たる地位を築き上げてくれました。物質的に豊かになると同時に、世はまさに自由主義、とりわけ個人の人権が保障される反面、余りにも自己中心主義になり過ぎたのではないでしょうか。
特に、最近は「IT革命」とまで言われ、インターネットで何事も処理される時代であります。若者たちはテレビゲームに没頭し、現実とバーチャルの区分すら判断できなくなり、痛ましい事件が世間を騒がせている時代であります。来る二十一世紀は極楽浄土のような、あるいはバラ色の時代かのような錯覚を抱かせるような一面もありますが、二十一世紀は人間としての心の豊かさを求める時代であるべきです。難しいややこしい教育論は今回は別といたしまして、一番簡単で手っとり早い取り組みの一つに、スポーツの振興、普及があると思います。
スポーツは、人間の体を動かすという本源的な欲求にこたえるとともに、精神的充足や楽しさ、喜びを与えるものであり、とりわけ青少年にとっては、心身の両面にわたる健全な発達に大きな意義を有しています。また、指導者や先輩に対する礼節、同僚や後輩に対するいたわりなどの道徳の面からも、人間形成の上に必要不可欠なことであろうかと思います。
シドニーオリンピックが終わって十日がたちましたが、多くの選手たちが私たちに感動を与えてくれました。特に、女子マラソンの高橋尚子選手、あるいは柔道の田村亮子選手の頑張りには胸が熱くなり、金メダル獲得までの努力と根性には敬服するとともに、多くのことを学んだ次第であります。高橋選手の高校時代の夢は教師になって陸上部の顧問になることであり、大学卒業後は一人の指導者と出会い、「猛練習をこなすことによって金メダルにつながりました」と話していました。田村選手は、この夢の金メダルを取るために八年間かかったと言い、コーチを初め多くの人たちの支えに感謝していました。「道のりが遠いほど、つかんだ夢には価値がある」との新聞コピーは、評判になったところであります。こういったことからも、教育においては子供たちの夢、そしてよき指導者と行政の支援が重要であると再認識したところであります。
知事は、ごあいさつの中で、新生和歌山の創造のための重点的な施策の一つとして個性輝く人材の創造を掲げ、教育改革の推進や魅力ある学校による人づくりなど、教育の重要さを述べられたことには賛意を表するものであります。また知事は、聖域なしの歳出削減、徹底した行財政改革を表明されました。しかし、教育は国家百年の計であり、二十一世紀に生き、個性輝く人材の創造のために、教育に力を入れるべきであるのは当然であろうと思います。
先ほど申し上げましたように、子供一人一人に大きな夢を持たせるためには、よき指導者と行政の特別な支援が必要であります。一律のシーリングは教育分野にはいかがなものかと、常に考えているところであります。知事の言われる、紀州人の内にとどまることなく外に向かって絶えず発信し、過去の習慣にとらわれない意欲的な精神を持つ子供たちをはぐくむためには、今まさに教育の和歌山、すなわち教育立県を目指し、スポーツの振興・普及策を中心とするさまざまな施策に積極的な支援をすべきではないでしょうか。知事の基本的なお考えをお示しいただきたいと思います。
次に、ナショナルトレーニングセンターの本県への誘致についてであります。
これは、六月議会でも同僚、先輩議員のご質問があった件とダブるんですが、先月、文部省におきましてスポーツ振興基本計画が策定され、我が国の国際競技力の総合的な向上方策の中で、金メダル獲得率を倍増させる対策の一つとして、ナショナルレベルの本格的なトレーニング拠点を早期に整備することが盛り込まれております。本県は、気候風土にも恵まれ、本州の大体中心的な位置にもあるとか、いろんなすぐれた立地条件があり、ナショナルトレーニングセンターの候補地として遜色がないと考えられ、誘致することにより和歌山県の活性化が期待できるだけではなく、県内選手の強化にもつながることでしょう。
この件については、先ほど申し上げたように、過去にも本会議でいろいろ論議され、国に対し他府県に先駆けて要望をされているところでありますが、その後も方針に変化がないのか、和歌山県勢浮揚の起爆剤として積極的に展開するおつもりがあるのかどうか、また誘致の見通しについてはどうなのか、あわせて知事のご所見をお伺いいたします。
次に、教育長にお伺いいたします。
スポーツの振興にかかわってでありますが、全国高等学校総合体育大会いわゆるインターハイが岐阜県で開催され、フェンシング、なぎなたでは優勝するなど一部では健闘していただいたものの、全般的にはいま一つという感じですが、どうでしょうか。ベルリンオリンピックでの「前畑頑張れ」のラジオ中継が日本じゅうを熱狂させた、平泳ぎの前畑秀子選手を思い出します。紀の川が生んだ偉大な先輩のような人材を育成できないものでしょうか。
インターハイの成績と中学校、高等学校の今日の部活動の様子を踏まえて、スポーツ振興の方策等を、高等学校勤務時代にはボート部の顧問をされていた小関教育長にお伺いいたします。
最後になりまして、申しわけありません。余談になりますが、私の住んでいる貴志川町で、中貴志ストロベリーズガールズという綱引きチームがございます。このチームが八月に愛知県で開催されました日本綱引連盟主催の全国大会のジュニアの部において全国優勝、つまり日本一になりました。十一月には台湾でアジア選手権大会が開催されますので、そこへ出場されます。この貴志川町では、派遣費用を九月の定例会に補正予算まで組んで補助するなど、町を挙げて支援すると聞いております。
県から補助してあげてほしいとか、そこまでは申しませんが、このようなすばらしい成績を上げた子供たちに対しては、知事や教育長から励ましのお言葉をかけてあげる機会をぜひつくってあげていただきたい。紹介を兼ねて要望申し上げ、以上、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの山田正彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) インターネットによる情報公開についてのご質問でございます。
県のホームページは、現在、月約二万件のアクセス件数を超えるようになり、県内外の利用者が必要とする和歌山県の情報を速やかにわかりやすく提供していくことがますます重要になってきていると思います。したがいまして、全職員に対し、こうした認識の徹底を図り、利用者の立場に立って掲載情報の一層の充実に努めますとともに、ホームページを閲覧される方が欲しい情報を迅速に探し出すための検索機能の追加等、機能の充実にも取り組み、県ホームページを魅力のあるものとしていくよう努めてまいりたいと思います。
次に、県民参加の促進についてでございます。
私も、県民に開かれた県政、県民参加の県政の推進はますます重要であると強く認識しております。このため、県民の皆様の多様なご意見をお聞きすることが大切と考えておりまして、先ほども言いましたが、「知事と親しメール」ということで、電子メールやファクス、手紙、はがきによる提言制度とあわせて実施しておりまして、私自身も県民の皆様と直接お会いし、ひざを交えて忌憚なくお話をしていきたいと考えております。今まで以上に、県民との対話を通して県民とともに考える県政を推進してまいります。私も、選挙中いろんなところで、選挙が終わりましたらまた来て皆様方のご意見をお聞きしますということを言ってきておりますので、これは積極的に実施していきたいと考えております。
次に、アドバイザー制度に対するご質問でございます。
アドバイザー制度につきましては、例えば経営感覚にすぐれている方や環境問題に造詣が深い方といった、さまざまな分野で活躍する方々の幅広い意見を聞かせていただき県政に反映したいということで、現在検討しているところでございます。
そして、このような会議につきましては、議論の過程も含めて県民の皆様に見えるような形で実施していきたいと思っておりますし、当然のことながら、私自身も参加してその意見を聞いたり自分の意見も述べていくというふうにしたいと思います。
私、考え方として、一人の知恵より二人の知恵、三人寄れば文殊の知恵ということをいろんなところで言ってまいりました。これは、別に、こういうアドバイザーの方はたくさん寄ればそれだけいいものが出てくるというわけではないと思いますけれども、こういうふうに、自分一人で物を考えていくより、いろんな方のいろんな知識を県政に反映していくことが和歌山県の進展につながると考えておりますので、積極的に対応していきたい、このように考えております。
次に、風通しのよい県庁づくり構想でございます。
風通しのよい県庁づくりについては、私もあすの県政を担う意欲ある職員を育てるためには、何よりもまず職員が日ごろ考えているアイデアが出しやすく、また意見の言いやすい職場にしていく必要があると考えております。若手職員の方の中には、自主的に研究グループをつくったり、また庁内のプロジェクト企画に応募し、部局を超えたメンバーで新しい行政課題に取り組んでいる職員が大勢おります。私は、こういった意欲ある職員の方の意見を直接聞く場を設け、また庁内メールの活用や政策提言制度の充実などにより、できるだけ多くの職員の方のお考えを施策に取り入れる仕組みを考えていきたい、また、速やかに実行できるものは実行していきたいと考えております。なお、五十代の方のご意見も十分取り入れてやっていきたいと思います。
それから、和歌山工科大学についてでございます。
和歌山工科大学の整備につきましては、極めて厳しい財政状況の中で、時代の激変に即応していくための施策展開や喫緊に解決しなければならない懸案が山積している本県の現状認識のもと、まことにつらい思いでありますが、このたび本事業を見直し、事業執行の凍結を決断した次第でございます。
この上は、事業執行の凍結に伴う混乱を最小限に食いとめるとともに、ご質問の中にもありましたけれども、関係者の皆様への誠意ある対応を図っていくため最善の努力をしてまいりたいと思いますので、議員各位におかれましても、今後ともご助力、ご助言を賜りますよう、何とぞよろしくお願いを申し上げるところでございます。
次に、スポーツの振興についてのご質問でございます。
スポーツは、言うまでもなく、生涯を通じて潤いと活力に満ちた県民生活に寄与し、新生和歌山の創造の基盤づくりに大きな役割を果たすものでございます。今後、県民の方々の多様なニーズに応じた種々の環境整備に努め、スポーツの普及、振興に力を注いでまいりたいと考えております。
私は、このたび県の体育協会の会長に就任いたしました。今後とも、スポーツ関係団体等のご協力をいただきながら、スポーツ王国和歌山の実現のため努力してまいりたいと決意を固めております。
次に、ナショナルトレーニングセンターの誘致でございます。
国では、来年度、有識者による協力者会議というのを開催して施設の内容、規模等が検討される予定であると聞いております。この誘致が実現すると国内外のトップアスリートが本県を訪れることになり、スポーツ振興を初め、県全体の活性化に大きな効果があると考えております。
このトレーニングセンターの誘致については庁内関係各課室で検討を行ってきておりますが、たくさんの都道府県がライバルということで強い関心を持っておりますので、私といたしましても、この先頭に立って誘致活動を行ってまいる必要があるというふうに考えております。
それから、質問ではございませんけれども、綱引きチームに対する激励についても前向きに考えていきたいと思っております。
○副議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツの振興に関する山田議員のご質問にお答えいたします。
スポーツは青少年の人間形成を図る上で非常に大きな意義を持つものでありまして、また、生涯にわたって健康で活力ある生活を送る基盤にもなるものと考えております。このため教育委員会では、生涯スポーツの振興と競技力の向上を二大目標として積極的に取り組んでいるところでございます。
本年八月に行われました全国高校総合体育大会(インターハイ)では、本県の高校生は、フェンシング、なぎなたの二競技、団体、個人合わせて五種目で全国優勝を果たしたほか、体操、陸上競技、ソフトテニス競技など、合わせて十五種目で上位入賞を果たしました。ここ数年では最もよい成績をおさめております。また、夏の甲子園では、ご承知のように、智辯和歌山高校が全国優勝し、県民に大きな感動をもたらしました。
しかしながら、本県の競技力を総合的に見た場合、国民体育大会での成績など、まだ低位の状態にあることは事実でございます。このため、中高一貫指導システムの構築、ハイスクール強化モデル校の指定、学校への専門的な指導者の派遣や運動部の学校間連携などを行っており、その成果が最近の各種大会においてあらわれ始めております。
今後とも、県体育協会を初め、中学校体育連盟、高等学校体育連盟等との連携を強め、全国大会で活躍できる選手の育成に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(尾崎要二君) 以上で、山田正彦君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十六番高田由一君。
〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 お許しをいただきましたので、早速、一般質問に入っていきます。
まず最初に、市町村合併について伺います。
県は、自治省からの指導もあり、本年十二月にも市町村の合併の推進についての要綱を策定するとして、現在作業中と伺います。これについては、昨年十二月議会で我が党の鶴田議員が述べたように、市町村があえて求めていないときに国の主導でその実現を図り、その担い手として県が動かされているという感じがします。今度の市町村合併の大号令の建前は地方分権の受け皿になり得る自治体づくりということになっておりますが、これまでの議会答弁でも繰り返し述べられたように、市町村の自主性の尊重ということを言うなら、あえてこの年末までに合併の要綱をつくる必要があるのでしょうか。まず知事の見解をお示しください。
また、これに関連して、市町村に対する地方交付税の問題について質問いたします。
平成十年から、地方交付税算定の際、人口四千人以下の町村の基準財政需要額を計算するときの補正係数という数字が見直されて、実質的に地方交付税が減らされ、人口規模の小さい町や村の財政に大きな影響を与えています。まず、県下幾つの町村で、これまでの類型で幾らの交付税減額の影響が出たのか、答弁をお願いいたします。
次に、自治省は今、合併を推進しようとする市町村にはさまざまな補助金や交付税措置などで優遇措置をとる一方、最も合併を進めたい小さな規模の町村には地方交付税の減額をしています。このような政策誘導の仕方はまさに「あめとむち」のようなやり方で、市町村の自治権を侵害するものではないかと思います。合併についてはあくまで市町村の自主性を尊重するやり方にすべきだと思いますが、知事の見解をお示しください。
次に、財政運営について伺います。
まず、財政運営プログラムに関連して伺います。
知事は、就任あいさつの中で、これを基本として財政再建に取り組むと表明をされました。財政運営プログラムの具体的取り組みは、主に四つの点から成っています。一つは県行政内部の努力という部分で、職員の削減あるいは給料の見直しなどで約二十億円を削減する、二つ目には施策の抜本的見直しで約百億円を削減する、三つ目は歳入の確保で約五億円をふやす、四つ目はその他の取り組みというふうになっています。
そのうち、二つ目の施策の抜本的見直しのうち、経常的経費の見直しで約四十億円削減することになっておりますが、気になりますのは、今後はすべての経費について事業の存廃を含めた抜本的な見直しというふうに書かれていることであります。これには県単独の扶助費、例えば、現在寝たきりのお年寄りへの紙おむつの支給、障害者の補装具の給付、百歳になったお年寄りへの長寿祝い金など、こうした義務的な経費も含まれていくんでしょうか。知事の答弁をお願いいたします。
また、県単独の投資的経費やその他の施策費についても本年度予算の段階で既に前年度比八五%のシーリングがかかっていますが、土木部の急傾斜の対策事業──これは県単もありますが──農林水産部の山村21創造事業や問題になっております梅の改植への補助など、要望の多いものも多数あります。どうした基準で抜本的な見直しをする事業を選んでいくのか、これについても知事の答弁をお願いいたします。
次に、県が予定している大規模プロジェクトについて伺います。
本年七月の総選挙では、むだな公共事業に対する国民の厳しい批判が示されました。それを受けて与党は抜本見直し案を八月末に発表いたしましたが、これによりますと、中止が勧告される事業は全体で約二百三十三事業、事業費として約二兆八千億円です。仮にそのすべてが中止されたとしても、単年度では二千数百億円の削減にすぎず、年間五十兆円と言われる公共事業のわずか〇・五%であります。さらに、自民党の亀井政調会長は公共事業費の総額は減らさないと明言し、五十兆円という総枠は何としても維持する構えでいます。自公保与党の見直し案は、若干の事業を中止してお茶を濁し、公共事業費の総額は維持しようとするもので、私は抜本見直しとは名ばかりだと考えます。このまま行くなら、景気対策あるいはIT関連投資などに名をかりた公共事業の地方への押しつけがくるのではないかと心配をしております。
そういう中で木村新知事は、さきの知事選挙で紀淡連絡道路の早期着工や関西空港二期工事の推進を公約されていました。しかし、そうした大規模プロジェクトと財政運営プログラムの関係はどうなるのでしょうか。これらは、財政運営プログラムで予定している大規模プロジェクトには含まれていないと思います。平成十五年度までをプログラムは予定していますが、このプログラムの計画どおりそれまでしのいだとしても、その後でこうした大規模な負担のかかる事業が後々予定されていては、再び財政悪化の原因をつくることになりかねません。このことについての知事の見解を求めたいと思います。
この質問の最後に、農林水産部の公共事業に係る問題について質問をいたします。
現在、県は有田市から金屋町に至る広域農道の建設を計画しています。この事業は、ミカンの市場出荷を素早く行えるなどの目的で計画されたと聞いております。平成九年度に一たん測量・設計したものの、昨年九月に関係地区の役員さんらでつくる地元の推進協議会の会合があり、そのときには何のメリットもないというような意見も出て、推進協議会としては一切協力できないことが確認されたそうです。また、推進協議会の会長さんがやめるなどして、この会は事実上解散状態になっているそうです。私が聞くところによりますと、海南や和歌山市方面へ抜ける南北の道路というのは大変要望が強いと聞いていますが、この計画されている農道は東西に抜けるだけのものだということで、そういう意見が多数になっているようです。
ところが、これが計画の見直しということで、また蒸し返されようとしています。ある役員の方は、この件は昨年九月で決着がついたと思っていたのに県はまだ出してくるらしい、大変しつこいなということを言われていたそうです。今示されている見直し案では、ほとんどミカン畑のない山の尾根付近を農道が通っていく計画になっています。吉備町の風力発電の風車があるその裏側を通っていくような計画になるんですが、一体何のための事業なのかが問われています。そもそも、なぜこのような事業が採択になったのか、その経過とこの事業で得られる効果について、農林水産部長の答弁をお願いいたします。
この広域農道の事業費は約二百二十億円と言われていますが、国が五〇%、県が四〇%負担ですから、県負担は約九十億円と見込まれます。おまけに、今度出されている見直し案ではトンネル部分が多くなることから、さらに五十億円以上事業費を上積みしなければならないという意見もあります。調査費だけを見ても、この事業にはことしは五千万円の予算がついていますが、例えばことしの吉備町の農林水産関係予算に対する県費の負担金──これには、例えば中山間地域の直接支払い制度約二千二百万円やミカンの経営安定利子補給約二百二十万円とかが含まれているんですが、いろいろ合わせて県費負担は合計で四千万円に満たないものです。ところが、この広域農道の事業の調査費だけで優にそれを上回っています。吉備町のミカンの安値対策が県費で約二百二十万円で十分だとは、だれしも思われないと思うんです。地元が歓迎しないむだな事業を見直し、本当に農家が切望している事業にこそ投資をしてください。
さらに言うなら、知事は和歌山工科大学の計画凍結を表明されましたが、この農道事業だけでも県費で九十億円以上費やされます。大変な決断をした工科大学凍結で約百五十億円のお金を節約しましても、こうしたむだな事業をこのまま推進するなら、せっかくの決断の成果が生かせないのではないでしょうか。これについても見直しを求めますが、農林水産部長の答弁をお願いいたします。
次に、県民医療への県の責任という問題について伺います。
ことしの五月に、全国自治体病院開設者協議会という団体が国に提出した要望書があります。その中では、自治体病院の役割として次のように述べられています。
「自治体病院は、一般医療のほか、公的医療機関でなければ対応することが困難な高度・特殊・先駆的医療及び僻地医療等、不採算医療を担い、さらには地域に欠けている機能を補てんするなど、地域医療の確保と医療水準の向上に精いっぱいの努力を傾注している」、つまり民間が手を出しにくい不採算部門でも何とか頑張って地域医療に貢献しているんだという、これは自負のあらわれだと思います。
ご承知のように、自治体病院、特に市町村立の病院の経営は大変厳しいものがございます。平成九年の医療保険改悪での患者負担の増加による受診率の低下、診療報酬の改定で実質一・三%の収入減になるなどの理由もあるからです。
本県では、特に県立病院が県立医大の紀北分院を入れても三つしかなく、紀南地方では一つもないことから、市町村立の病院の役割が非常に重要になっています。現在、県としては紀南地方に県立病院を建てようという構想はないわけですが、ならばせめて市町村立病院への各種運営費の援助を拡大していくことが県の責任ではないかと思います。福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
次に、この市町村立病院の問題を調査していく中で、県の結核対策への取り組みについて非常に疑問を感じたことがありますので、質問いたします。
「和歌山の結核」という県が発行したパンフレットでは、平成十年の統計において特筆すべきこととして、減少を続けてきた罹患率などが約四十年ぶりに増加に転じた平成九年をさらに上回る事態となっていることを挙げています。現在、罹患率は全国でワースト四位であります。厚生省も平成十一年七月、結核緊急事態宣言を発表し、国民、関係者に注意を呼びかけています。
県内では現在、和歌山市の神田病院、野上町の野上厚生病院、美浜町の国立療養所和歌山病院で、合計二百五十一床の専門の結核病棟を持っています。しかし、現在の状況を見ると、それで十分というわけにはいきません。現在問題になっているのは、老人福祉施設などでの集団感染が多く、単純に結核だけを治せばいいというのではなくて、さまざまな合併症状を伴うことが多いからであります。
ですから、厚生省の方も結核患者収容モデル事業の中で次のように述べています。「結核患者の高齢化などに伴って複雑化する高度な合併症状を有する結核患者または入院を要する精神障害者である結核患者に対して、医療上の必要性から、一般病棟または精神病床において収容治療するためのより適切な基準を策定するためにモデル事業を行う」。つまり、要約すると、一般の病棟や精神科の病棟でも結核患者が出ても対応できるような部屋を用意しておこうではないかということです。
実際、日本看護協会というところの調査によると、結核患者のうち結核患者収容施設に移送できなかった数は一病院につき二・二人で、その理由として、結核の治療より現疾患の治療を優先させたが四五・八%、重症で結核病院から断られたが一一・六%であり、計五七・四%が患者の病状により移送できていないことが判明しています。自分の施設に結核病床またはそれに準じる設備があったから移送しなくても済んだんだというのは、わずか三・二%にすぎません。
こうした状況にかんがみ、県立五稜病院が現在建てかえ整備中ですが、結核に対応できる病床をつくっていくべきではないでしょうか。福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
次に、鳥獣害の対策について伺います。
私が鳥獣害の対策について質問するのは、昨年の十二月議会に次いでですが、前回は有害鳥獣を駆除するにしても生態学的な調査が重要だという趣旨を述べましたが、今回は具体的な被害対策について質問、提案いたします。
まず、鳥獣被害を防止する上で農家の皆さんはそれぞれ工夫されているわけですが、一般的には金網や電気さく、トタンでの囲いがよく使われています。それに対して、現在約二十の市町村が設置費用の大体半額の補助を出してくれています。予算的に見ましても、全部の市町村を合わせて一年間に大体一千万円前後と推定されるわけですが、金額的には少なくても、私は中山間地の農業を励まし援助する制度として大変有効だと考えています。
京都府では府の単独事業をつくってこうした対策に支援をしていますが、和歌山県としても検討をされてはいかがでしょうか。農林水産部長の答弁をお願いいたします。
次に、県の試験研究機関でこの問題の科学的な研究をしてほしいということです。
議場には資料を配付しておりますが、左側に「日本農業新聞」のコピーがあります。これは、おおむね次のように述べています。鳥獣害の被害は年々ふえる傾向にある。一向に被害の減らない理由の一つは、これまでの鳥獣害対策に科学的な視点が欠けていたからである。そんな中で、大学や農業試験場が野生鳥獣の能力、習性の研究に力を入れ出した。中国農業試験場は、イノシシの成獣なら助走なしに一メートルの高さを飛び越すことを明らかにした。猿では、やみくもな捕獲が裏目に出ることがある。複数の群れの力関係が崩れ、予期せぬ行動を引き起こすからだ。野生鳥獣の生態研究にもっと費用を投じるべきである。このように結論づけています。
しかし、これについて今まで和歌山県の研究機関では十分取り組まれていないわけです。実は、県段階でもこうした取り組みは始まってきており、近くでは奈良県、兵庫県が国の委託研究を受ける形で研究機関として研究を始めています。その成果の一部がお配りしている資料の右側にある「猿落君」ですが──ここに奈良県の実際のパンフレットもありますが、こういうのを地域の農家の皆さんに配って対策や懇談を進めています。まことに簡単な、しかも安くつく資材でできる効果的な対策であります。猿の場合は金網を幾ら高くしてもやられるわけですけれども、発想を転換して、やわらかい支柱とテグスの網でつくると猿が落っこちてしまうというようなものなんですが、非常に効果的だそうであります。
こういう研究が、奈良県では果樹振興センターを中心に取り組まれています。本県としても、国の委託研究を受けることも含めて研究を始められてはいかがでしょうか、農林水産部長の答弁をお願いいたします。
この問題の最後に、先ほど紹介したような資材も含め、民間の方からもいろんな有効だと言われる資材が開発されて、よく広告など出ておりますが、その地域地域で本当に有効かどうかは実際試してみないとわからないというのが実際のところであります。例えば、新しい農薬などは普及センターがまず実証試験をして、効果や薬害がないかなどを見定めながら農家に普及するという手法が一般的ですが、こうした鳥獣害を防止する資材についても、普及センターがそういう被害の多い現地での実証展示などをして、そのうち真に有効なものを普及することを提案いたしますが、いかがでしょうか。農林水産部長の答弁をお願いいたします。
次に、梅の生育不良について伺います。
知事は就任あいさつで、この問題で早急に農家の方々と対話すると言われており、既に十月十四日に現地の視察予定と聞いております。このことに感謝をいたします。と同時に、以前、当時の高瀬副知事が現地を視察したときには落胆の声が農家から聞かれたことも、率直に申し上げなければなりません。南部町岩代のパイロットの入り口で、百名前後の農家らが──私もいたんですけれども──副知事の視察団を待っていてくれました。しばらくして副知事らが来たのですが、そのまま通っていって、また帰りには、梅を見た感想でも聞かせてくれるだろうと待っていたんですが、これも車ですっと行き過ぎていってしまう、こういう状況がございました。これでは、本当に気持ちを逆なでに行くようなものじゃないかと思いました。
知事、今回の視察では被害農家の声を直接十分に聞かれるよう求めますが、いかがでしょうか。ご答弁をお願いいたします。
次に、知事は関西電力との対話を十分にしてほしいということです。特に、梅農家は御坊火電の排煙に大きな疑問を持っていることはご承知のとおりであります。田辺市はこのほど、我が党の芝峰市会議員の質問に対し、関西電力に御坊火電のばいじん提供を要望するということを議会で答弁いたしました。現在梅農家らが研究を委託している科学者の中にも、ばいじんの成分分析のため現物を提供してほしいとの声があります。科学者らが本年四月二十五日に関西電力へ直接出向いてそのばいじんの提供を要望しましたが、聞き入れられていません。ぜひ県から要望してほしいと思いますが、いかがでしょうか。昨年の議会に続いてのこの質問でありますが、ぜひ誠意のある答弁をお願いいたします。
最後に、和歌山工科大学について伺います。
私は本年二月議会で、和歌山工科大学計画が県民の十分な理解を得られていない点、そして何より県財政への大きな負担になるという点などを挙げて、この計画を一たん凍結するよう求めました。そういう立場から、今回の知事の決断に敬意を表したいと思います。
知事もこの決断には勇気が必要だったでしょうが、私も、凍結を表明したときには大きな選択を迫られました。何より、私の自宅は計画地から十分ほどの近くで、県内でも最も大きな関心と期待を持って見ていた地域だからであります。しかし、私は先ほど述べた理由から、今やるべき性格の事業ではないと判断をしたわけです。
とは言うものの、その後は今年度予算が賛成多数で議会で可決され、大学開設への準備が進められ、地元の期待も、学生用のアパートを経営したいなど、かなり具体的に高まっておりました。私も地元の方に、議会では凍結ということははっきり言ったけれども、県がやると決めた以上、悪いことをするんじゃないんだからしっかり協力をいたしますよと、こう言っていましたが、そういうやさきの知事の決断ですから、地元の失望感というのは本当に大きいものがあります。
そこで提案したいのは、旧白浜空港跡地の有効利用という点も含めて、やはり地元住民の意見を取り入れながら、白浜が文化や学術の発信拠点となれるような新たな施策を考えていっていただきたいということであります。何も、箱物をつくることばかりが地域振興ではありません。それは昨年の熊野体験博がいい例だったと思います。
この点について、現時点での知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。
これで、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、市町村合併についての三点のご質問にお答えをいたします。
市町村の合併は、市町村並びに住民の方々が自主的に判断されることが基本であると考えております。しかし、市町村を取り巻く情勢が大きく変化している中で、本県においても市町村の合併を推進していく必要があるものと考えております。このため、市町村並びに住民の方々が議論をされる際の参考となるように、現在、和歌山県広域行政懇話会を設け、これらのご意見をいただきながら、県として市町村の合併の推進についての要綱の策定を進めているところでございます。
市町村の合併は、全国の事例を見ましても、検討・協議の段階から実現までには相当長い期間を要しているのが実情であり、現行の市町村合併特例法の法期限が平成十七年三月三十一日までであることを勘案しますと、できるだけ早期に要綱を策定することが重要であると考えております。
次に、お尋ねの交付税の算定については、これまでの段階補正の見直しによる各年度の影響額を試算しますと、人口四千人未満の九団体で約一億円程度となっておりますが、これは地方分権推進計画に基づく算定方法の簡素化の一環として行われているものであり、市町村の合併を促進するためのものではないと承知しております。
次に、財政運営についてのうち、経常的経費の見直しについてでございます。
県単独の扶助費につきましては、従来からマイナスシーリングの対象外としております。また、介護保険法に基づく県負担分等の義務的な経費につきましては、シーリングの対象から除外しております。
次に、見直し対象となる事業の選定基準についてですが、歳出の削減に関しては聖域を設けずに、県が行っているすべての事業について、いわば行政の棚卸しとも言うべき見直しを行うこととしており、事業の必要性や効果、緊急性といった観点から検討を行ってまいりたいと考えております。
次に、大規模プロジェクトについてお答えを申し上げます。
財政運営プログラムでは、公共事業を除いておおむね五億円以上の事業を大規模プロジェクトとして想定しておりますが、これらのプロジェクトにつきましては、事務当局に原点に立ち返っての検討を指示しているところでございます。
なお、太平洋国土軸構想の一翼を担う紀淡連絡道路につきましては、経済調査やルート、構造等の技術検討がなされている段階であり、平成十五年度までの財政健全化期間中における事業費は運営プログラムには含まれておりません。
次に、梅の生育不良について農家との十分な対話をということでございます。
梅の生育不良の問題につきましては、県政の最重要課題の一つであると認識いたしております。今回の現地調査につきましては、まず私自身、一日も早く産地に出向きたいという思いから、来る十月十四日の日程になったものでございます。
また、農林水産省幹部に現地調査をお願いしたところ、臨時国会の会期中にもかかわらず、農産園芸局長にもご視察いただくこととなっております。
今後とも、この問題の早期解決を図るため、できるだけ現地に赴き、多くの方々と対話し、理解を深めてまいりたいと考えております。
最後に、和歌山工科大学でございます。
和歌山工科大学につきましては、事業執行を凍結することとしたものであることから、旧南紀白浜空港跡地につきましては、民間活力の導入も含め、今後幅広く検討してまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎要二君) 農林水産部長島本隆生君。
〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 財政運営に関連します有田郡の広域農道についてお答えをいたします。
有田川広域農道は、金屋町有原の国道四百二十四号から吉備町を経由し、有田市初島の国道四十二号を結ぶ延長二十五・一キロメートル、幅員七メートルの農道で、有田ミカンの主産地である当地域の基幹農道として、地元からの要望により平成九年四月に県が事業主体となり、金屋町有原から吉備町田角までの十三キロメートルの区間が総事業費百三十一億五千九百万円で一期地区として採択されています。
本農道の実施により、国道四十二号のバイパスとして大阪、和歌山への農産物の出荷路線が確保され、軽四輪から大型車への車種転換により輸送費や人件費のコストが軽減されるとともに、荷痛み防止効果等が見込まれています。
本事業は、土地改良法に基づき地元農家の方々の同意を得て手続を行い、測量設計の後、地元説明を行ったところ、排水対策を初め各種条件等の調整が図られていないため、現時点で工事の着手には至っておりません。今後、路線の変更や費用対効果の再評価をするなど、広い視点から検討を行い、関係市町村及び地元と協議をしてまいりたいと考えてございます。
次に、鳥獣害対策についてでございます。
中山間地域の農林業にとりまして、その被害は深刻な問題と受けとめております。このため、これまで被害の多い地域において、国庫補助事業の導入により電気さく等を設置してまいりました。また、簡単な防護さく等につきましては一部県単独事業で対応するなど、農林産物の被害の回避に努めてきたところでございます。
今後、市町村との連携をより一層緊密にし、鳥獣の被害防止モデル事業等、国の補助事業を活用するとともに、さらに有効な支援方策を研究してまいりたいと考えてございます。
次に、これに関連した試験研究でございますが、被害防止技術の開発を行うためには、鳥獣の生態系の研究から対策技術の確立まで一貫した総合的な研究が必要と考えてございます。このことから、国に対しまして根本的な被害防止対策の研究を要望するとともに、県として有効な資材の検討等を進めているところでございます。
今後とも、国との連携を図るとともに、普及センター、市町村等、関係者が一体となって、試験研究成果や全国の優良事例を現地で実証しながら効率的な防止対策を推進してまいりたいと考えてございます。
次に、梅の生育不良に関連しましての御坊火電のばいじんの提供についてでございます。
ばいじんの成分分析につきましては、JA紀南と関西電力で組織する梅生育障害対策研究会において、御坊火電の煙道からサンプリングした試料を用いて平成九年から三回実施されてございます。分析に当たっては、専門機関である関西環境管理技術センターと関西総合環境センターにおいて同時に比較分析され、その結果につきましては、梅産地の降下ばいじんと煙道中のサンプリング試料の成分構成比は異なっていたとして、梅生育障害対策研究会で公表されてございます。
一方、県うめ対策研究会の専門家においても、その分析については信頼できるものとされておりますが、大気環境の影響を懸念する声もありますことから、議員お話しの、比較を前提とする成分分析のための試料提供の件につきましては事業者に伝えてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白井保世君。
〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 市町村立病院への支援についてでございますが、市町村立病院をめぐる医療環境は厳しい状況にございます。県といたしましては、経営が悪化している病院に対しましては、市町村振興資金貸付金による長期の低利融資を行い、その経営健全化を支援しているところでございます。また、救急医療や僻地医療対策等の事業に補助を行っているところでございますが、国に対して財政措置の充実強化等について引き続き要望を行ってまいりたいと考えてございます。
次に、五稜病院に結核病床をについてでございますが、和歌山県の結核は厳しい状況にあることから、重点的に取り組むべき課題の一つとして考えてございます。
ご質問の精神結核合併症病床整備については、精神疾患患者に対する医療の確保の観点から、県立五稜病院も視野に入れて検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十六番高田由一君。
○高田由一君 答弁ありがとうございました。
まず、市町村合併についてです。
知事は、小さい人口規模の町村の交付税が減っているのは算定方法の簡素化によるものだ、合併を促進するためのものじゃないんだと言われたんですが、現に人口規模が小さいところほど地方交付税が減ってしまうようなやり方をすれば、その意図がどうであれ、もうこれは町村にとったら国から見放されてきたんやというふうな考えを持つんじゃないかと思うんです。その一方で合併を考えるところにはいろんな財政支援があるというふうなことになれば、これは私はまさに「あめとむち」によるやり方じゃないかと思うんです。
例えば、県内で人口が一千人以下の村は北山村と花園村ですが、この二つの村では、例えば平成十年度、どちらも一千七百万円ぐらいずつ交付税が削られているんです。一千七百万円なら大したことないじゃないかという議論もあるかもしれないですけれども、県財政の規模のレベルで比較してみたらどうなるかというと、県財政の規模はこの二つの村の財政規模の三百五十倍ぐらいですから、単純に計算して、両方の村で削られた交付金を県財政の規模に換算すると六十億円前後の交付金が削られた、そういう影響と同じインパクトがあるということなんです。
県の財政運営プログラムを見ましたら、職員や先生を減らして約二十億円削減・節約、それに加えて経常経費の見直しで四十億円でしたか、そういうのを合わせて六十億円になるんですけれども、県でもそんなことをやっているときに、仮にこの一年間の交付税が六十億円削られたら大変痛いですよね。それと同じことが小さな村に、額の上では小さいんだけれども、やられている。
さらに言うなら、小さな自治体ほど財政に占める交付税の比率は高いわけですよ。県で大体三五%前後、小さな村だったら六〇%を超えると思うんです。ですから、これは大変苦しいと思うんです。
私は、こうした合併の誘導の仕方は、意図的であれどうであれ、大いに問題ありだということを指摘しておきたいと思います。これについては答弁は結構です。
財政運営についてです。
村岡議員からも福祉医療などの削減はないのかとただしたところでありますけれども、私たちが心配しているのは、実は身近に大阪府の例を見ているからなんです。大阪府では、横山前府政がつくった九九年から二〇〇八年の十年間を視野に入れた財政再建プログラム──よく似ていますけれども──というのが基礎になって、その中では、例えば府立高校の授業料が、それまでは和歌山県と同じレベルの十万八千円だったと思うんですが、それが一気に十四万四千円に年間三万六千円もの値上げをしているわけなんですよ。知事もこれは副知事として大阪で大いにかかわりを持ってこられたと思いますけれども、選挙で福祉の心を訴えておられたと思うんです。県民の暮らしや福祉にかかわるこの事業については、ぜひより充実するような方向で考えていただきたい。このことは知事に要望をさせていただきたいと思います。
それから、五稜病院の結核病床です。
これは部長から視野に入れて検討ということを答弁いただきましたので、ひとつよろしくお願いいたします。
ただ、一言苦言を言わせていただくなら、なぜもっと早くからできなかったのか、取り組み計画が入れられなかったのかという点です。平成十年度につくった第三次の県の保健医療計画があるんですが、もう既に危険を指摘しているんですね。「今後、高齢者の増加とともに患者が増加することが危惧され、また合併症、多剤耐性菌等治療困難な事例の増加が予想される」と、県自身の文章でこれは警告を発しているわけなんです。そういう予想を出しておきながら、今建てかえ中の県立病院でそんな対策の計画がなかったというのはいただけないと思うんです。いざ実際に重い合併症の患者が出たら、野上の厚生病院へ行ったり、奈良に国立の松籟荘というのがあるんですが、そこへ送ったりという対応でしょう。やっぱりこれは、県の責任を果たしていると言えないと思うんです。
例えば、結核病棟を持っていて、内科とか精神科とか総合的な診療ができる病院の一つに今挙げた野上の厚生病院があるわけなんですけれども、ここは二年ほど前に建てかえて、現在新しいんです。そのときに、県の方から結核病棟の存続について、何とか結核病棟をやってくれと大変熱心に頼み込まれたそうなんですよ。そういう要請を受けて実際やったところが、その結核病床の整備には何の援助もしてくれなかったと、関係者が大変怒っておりました。
経営の厳しい市町村立の病院に、口は出すけど金は出さない。そんなことをやっておいて、自分とこの県立病院建てかえのときにはやらない、こんな無責任なことはないと思うんです。こんな県政の姿勢では信頼されません。これはぜひ実現に──いい答弁だったので、ぜひ取り組んでいただきたいと考えております。よろしくお願いします。
梅枯れの問題についてです。
できるだけ現地に赴き多くの方々と対話すると、知事から答弁をいただきました。ありがたいと思います。
きのう、実は田辺の農家の方に知事の視察日程を見せてもらいました。田辺市秋津川の現地で農家の代表が発言することになっているんですが、たった三分以内しか物をしゃべらしてくれんと。市長が三分、農協の組合長が三分、農家の代表が三分、こういう時間設定なんです。これ、知事もうご存じですか。──まだご存じじゃない。私は、これで十分な農家との話し合いとは言えないと思うんです。
残念ながら、多くの梅農家が県行政のこれまでの取り組み──やっぱりまだ溝があるんです。信頼されていない。その理由を述べる時間がないので、これはぜひ議事録を見ていただきたいと思うんですが、知事が直接畑に足を運んでいただけるんですから、やっぱり期待の気持ちも本当に大きいものがあるんです。どうか、もっと時間をとった話し合いをしていただきたい。答弁の中でそういう趣旨のお答えもいただきましたので、ぜひこれは機会を見つけてよろしくお願いしたいと思います。
それから、御坊火電のばいじんの提供については、ようやく関西電力に伝えていただけると部長から答弁をいただきました。昨年の議会でもばいじんの提供を私も求めましたが、再質問を何度してもばいじんの直接暴露は科学的な評価はできないという木で鼻をくくったようなお答えでした。本当にいただけないと思っていたんですが、今回、ばいじんの提供を申し出るというふうに答弁をしたわけですから、一歩前進したと思うんですけれども、これは環境生活部の方とも密接な問題がありますから、ぜひ協力しながらこれは言っていただいて、今後を見守りたいと考えています。よろしくお願いいたします。
あと一点。これは質問というか、私、聞き漏らしましたので、答弁をお願いします。
先ほどの有田の広域農道についてです。これは再評価をしていただけるというふうなことでしたか。そこの点、もう一回だけ答弁を聞かせてください。よろしくお願いします。
○副議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
農林水産部長島本隆生君。
〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 高田議員の再質問にお答えをいたします。
有田郡の広域農道の関係でございますが、先ほどお答えいたしましたとおり、再評価を行い、現時点でその事業が適正であるかどうかということをも含めて検討してまいりたいと思います。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(尾崎要二君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時二十六分散会