平成12年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(中山 豊議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
三十三番中山 豊君。
〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 尾崎要二議長のもとで一般質問をさせてもらうというのは、私にとっては大変なうれしさであります。さらに、新知事を迎えての初めての議会だっただけに知事への質問がかなり集中しておりまして、しばしお休みになってくださってもいいのではないかということで、私は各部長にご質問をさせてもらうことにいたします。
さて、かねてより議会で申し上げてきたことに対し、当局の誠意ある取り組みによってそれらが実現されようとしている事柄に触れて、まずお礼を申し上げたいところであります。
一つは、二月議会でした。スポーツの振興策に関連して、施設の改善、充実整備を求める中で、紀三井寺球場のスコアボードを電光掲示にされるようただしました。来年度の高校野球大会に間に合わせてくださいと申し上げたところです。その後、夏の高校野球全国大会で和歌山県代表の智辯学園和歌山高校が全国制覇を遂げて多くの県民に感動と喜びと激励を与え、また今日の青少年のあり方に多くの示唆と教訓を残すところとなりました。当局は、まさにこれらにこたえるかのように、今議会に予算をつけて素早く対応されました。これは、県民や球児たちに激励を送り、やる気を促すものと受けとめ、高く評価するものであります。違いますか──そうでしょう。お礼を申し上げます。これには、和田建設委員長のサポートのあったことも忘れられません。
二つ目の問題は、タイワンザル駆除の取り組みであります。和歌山市と海南市が東部地域で隣接するところ、大池公園周辺の丘陵地に生息し、それが増殖しているタイワンザルの農産物被害と生態系を崩してしまいかねないこととして、これに対する取り組みを求めたところです。これも、その後の取り組みを着実に進められ、一頭も残さず捕獲するとの方針を決定され、学者や研究者等の協力を得て取り組まれているところであります。これは全国的にも例を見ない取り組みとして、広く関係者の注目を集めるところとなっているほどであります。これが推進されることによって、外来種による生態系の崩れ、混乱を防止する国の施策確定に大きな貢献をするのではないかと言われたりもしているところです。
議会を通して県民の要求を反映し、当局にこれの取り組みを求める──これを県勢発展の原動力と受けとめられ、具体的な取り組みを始められることについて、これも高く評価を申し上げ、地域の農業者ともどもに、今後も関心を強く持ちながら取り組みの成功の見守りをしてまいりたいと思います。これも、我が共産党の地方議員団及び関係者の皆さんの大きなご支援とご協力のあったことをつけ加えて申し上げたいと思います。
質問に入ります。
南海光学工業株式会社の有機塩素系化学物質による土壌、地下水に係る件についてであります。
工場敷地内の井戸水が汚染されているとの会社からの報告を受けた当局は、直ちに調査に入り、地下水、河川、水路、土壌等の調査を進められ、工場敷地内の井戸水だけがプラスだとの結果を発表され、手際よく地域住民の不安解消に当たられたことは評価されるところであります。しかし、確認しておくことによってさらに地域住民が安心されるであろう事柄について、幾つか解明を求めてまいりたいと思います。
この会社は、JRきのくに線黒江駅東側に広がる平地、すなわち智辯学園和歌山と通称・城山との間にある岡田地域と呼ばれるところに位置し、戦後しばらく稲作中心の水田地帯で、裏作として白菜やキャベツをつくり、優良な野菜の産地としてかなり有名なところです。都市化とともに漆器商業団地が造成され、この会社も二十数年前に都市部から現在地へ移転、今に至っているところですが、ミノルタカメラの系列で、各種カメラ、光学プリズムの製造をしているものであります。プリズム製造にはいかなる注文にもこたえられるほどの優良企業と地域住民は受けとめているのではないでしょうか。
私の調査したところによると、環境管理システムISO一四〇〇一の認可を取得するため、いわば会社の環境評価のグレードアップのための取り組みの必要から工場敷地内の土壌調査をしたところ、有機塩素系化学物質、すなわちジクロロメタン、トリクロロエチレン、シス一・二ジクロロエチレン等、五品種の化学物質に汚染されていることが判明したものであります。これは、レンズを研磨し洗浄する過程で使われる化学物質で、作業工程の途中で地上に落ちて土壌を汚染させたとのことで、現在は地表をステンレスで被覆して土壌汚染させることのないよう改善されているとのことですが、以前に汚染されたものが今日に至るも浸透し残留しているという、こういう見解を海南市の公害課が持っておるようであります。会社もそのように考えているようであります。
この事態の問題の背景として以上申し上げたところですが、何が問題にされているか、またされようとしているか、申し上げたいと思います。
一つは、工場内の土壌が化学物質に汚染されていることが、環境評価のより高い認定、すなわちISO一四〇〇一を得ようとする取り組みの中とはいえ、判明したことへの対応、すなわち県への報告がかなりおくれたことの理由は何であったのでしょうか。報告を受けて即座に対応した県の取り組みはよいとして、今後もいかなるところ、いかなる内容のものであったとしても、その態度は堅持されることを強く求めておきたいと思います。
さらに、同系列会社の一つ、大阪府堺市のミノルタ堺事業所が堺市で実施した有機塩素系化学物質に関する実態調査で、敷地内の地下水が同物質で汚染されているとの報道がありました。これを機に海南市公害課は翌月──去年の八月五日です──地下汚染についての調査を申し入れているところです。これらの経過の中で、会社の対応はいかばかり把握されているかということであります。
次に、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、シス一・二ジクロロエチレン等の化学物質は、いずれも発がん性物質だと言われているだけに、地下水の汚染が心配されるところであります。県は直ちに調査に入り、土壌、地下水、さらには河川、水路についても取り組まれました。その結果を逐一発表され、地区住民の不安を取り除く努力は評価されているところであります。特に、地下水を家庭で使用し、さらに飲用に使われている家もあったところですが、これもマイナスだったとのことであります。工場敷地内の地下水が汚染されていることについて、浄化計画を立てられてその計画の実施に取り組まれようとしているところですが、そのように取り組まれているか、わかったらご説明いただきたいと思います。
次に、かかる化学物質は農産物に蓄積・残留するのではないかとの心配があります。この地域の農業者は、米は売れない、買ってもらえないのではないかと心配しています。これらに対しても手がたく対策をとり、不要な心配を取り除く必要があると思いますけれども、汚染有機物などの状況等を調査し、その結果を早く公表できるように望むところです。
ある大学の環境水理学者が、各種物質を含む水が河川に流れ込んでも気化しやすい性質があるため、河川の水の濃度は濃くない、百メートルほど流れると濃度は百分の一ぐらいにまで薄まる、それで河川水が農作物に影響することは考えられないでしょうと、このように申されているようでもあります。さらに、この化学物質は地上に落ちて拡散して影響を及ぼすよりも、むしろ地中に浸透して、あるところまで行ったらそこで滞留するという残留の仕方をするようであります。そういうことから、まずは農産物に対する心配にこたえて、こういう状況だからというようなお話を農業者に申し上げたらいかがですかと事務当局の皆さんに申し上げたら、当局の皆さんは頑としてそれにこたえない。やっぱり、危険だ、危険だと言う。なぜならば、そういう物質に対する国の評価基準が明確にされていない、だから口が裂けても大丈夫だというようなことは言えないんだと。今後調査し、研究をして、そういう基準をつくることも目指しながら今後のこの事態に対応している当局のしかとした態度が表明されたのも、この質問が用意されてから当局の皆さんと打ち合わせをしたりするうちに示されたことが心に残っていることもつけ加えて、ご質問をしておきたいと思います。
ここで、特に地下水使用者の健康調査をすべきだと私は思います。特に発がん性とのことなので、かなり長期にわたって追跡調査の必要があるであろう。これは県だけでなくて、地元の海南市と力を合わせながらお取り組みができないものかということをお願い申し上げたいと思います。
次に、県内でISOの認定を得ているところは幾つあるのでしょうか。環境にかかわる取り組みがそれぞれの企業や行政の立場からも随分シビアに開始され、対応されているというふうに聞くわけですが、実態をお示し願いたいと思います。
この際、お願いしておきたいのですけれども、この地域の地下水脈の状況はどうなのか。周辺の家庭用の井戸すべてを調査したところ、検査結果はマイナス。ところが、工場の敷地内の井戸がプラス。これはどう考えてもちょっと素人にはわかりかねる。地下水脈がどうなっているかということとのかかわり合いで説明していただけたらわかりやすいのではないか。こういうふうな立場から、地下水脈の調査、実態状況、これらに対する疑問の解明に当たられるよう強く望んでおきたいと思います。
さらに、有機塩素系化学物質の健康への影響であります。発がん性という形で表に出されてあれこれと言われるのですけれども、この物質は、そのほかに身体や健康にいろいろな影響をもたらして、それぞれの症状を引き起こすこともあり得るはずであります。これらについても、地域住民の健康の自己管理の上からも、議会を通じて明らかにしておいてもらうことが肝要でなかろうかとも思われるので、ご質問を申し上げておきます。
次に、農林水産業まつりについてお尋ね申し上げます。
ことしのまつりは五十周年記念イベント事業として位置づけられて取り組まれたことは、議員の皆さんもご承知のことかと思います。例年より少し予算も色づけされた取り組みであっただけに、少しは何か変化があるのではないかとも期待をして参加させてもらいました。ところが大して目立つものになっていなかったのは何ゆえだったのかということが、この項目で質問したい主たる内容であります。それだけではちょっと説明不足になるかと思うので、少し解釈を申し上げていきたいと思います。
農林水産業まつりと言うけれども、予算書で見る限り、農業振興課の農業総務費の中で「農林水産業まつり等実施事業」となっており、都市住民との交流を深め、農林水産業者の生産意欲の高揚を図る、五十周年記念イベント事業として行うとあるわけであります。これに照らして、以下お尋ね申し上げてまいりましょう。
率直に言って、農業振興課で水産課の業務ができるのかという、全く素人側の疑問であります。予算は農業振興課でとっておいて、そして水産業まつりだという打ち出し方をして水産課がそれにかかわることができるのだろうかと。行政というのは自分の持ち分から他の領域に入り込んでいって侵すようなことはしたがらないのが常の話だというのは、私が議会に参加することによって体験してきたことですが、この予算に限っては、水産課の問題は農業振興課で皆くくってしまっているというお話であります。まつりの実際から見て、水産業まつりと言われる場面は全くなかったと言うにふさわしいと思ったわけであります。つけ足しというほかはないのではないか──ちょっと言い過ぎかもわかりません。漁業関係者の満足したものにはなっていないのではなかったのか、こういうふうにも思ってみたわけであります。農林水産業まつりの予算的措置はどうなっているのでしょうかというところへも疑問が及んでいくわけであります。農林業の分野だけでも広範囲に及んでいるのに、水産業にまでひっくくってやってしまうというのは少し乱暴な予算のつけ方と行事の持ち方ではないかというふうに考えたのですが、いかがなものでしょうかということです。
次に、都市住民との交流の場としてそれを深めるという、こういうふうな意義を明記されております。これは、かなり以前、開催会場に競輪場を利用していた時代に比べ──というのは、僕が県の主催する農林業まつりに一番最初に参加したのは競輪場を利用しての農林業まつりだっただけに、一層印象深く農林業まつりの会場に対する強烈なものを持っているわけであります。しかし、競輪場を利用していた時代に比べてすごく良好なものになっていることは間違いありません。それにしても、和歌山市や海南市を中心とした都市住民にどれほどアピールし、宣伝したか。参加した人数と都市住民の人口との対比から見てどんな評価をしているのでしょうか、お尋ねを申し上げたいところであります。
次に、生産意欲の高揚にかかわる面から見れば、今日の和歌山県の農林業が置かれている実態から考えなくてはならないテーマが会場に強く掲示されたり反映されたところになっていなかったのではないかというふうにお見受けしたところです。大まかにしか言えないけれども、目にとまったところでは、山村産業試験場からのコーナーがすごく印象に残っているわけです。あれこそが、閉塞し、行き詰まっている山間僻地の生産者や農業者の皆さんに一つの示唆を与え、やる気を起こさせるコーナーであったように私は見たのです。私だけならともかくとして、海南市から私の友達で農業を専業にしている人たちも何人か見に行っていたので、後で、あの農林水産業まつりで一番印象に残って、あれを自分の農業経営に取り入れていきたいとして心に残ったのはありますかということを尋ねてみたら、あにはからんや、やっぱり僕の見た目と全く同じ答えが返ってくるわけです。素人であるけれども、僕は農林水産業まつりを見て、和歌山県の置かれている行き詰まった農業を切り開いていくにはどうあってほしいかという、こういうふうな形で行政の方から積極的に提案をしていく、こういうことで専業農家の皆さんの心をとらえたのは山村産業試験場コーナーだったということが、期せずして一致した意見だったですね。これは、僕だけが言っているんじゃないんです。お百姓もそういうふうに申されていたから、これは間違いないでしょう。そういうふうにして申し上げたいところです。県下山村地域における産業おこしにどうすれば寄与できるかという立場から農林水産業まつりに備えていかなくてはならんのじゃないかと考えるところです。
例えばの話に、予算書を見ると、ジャンボタニシ一斉駆除対策事業というのがあります。四千七百七万円。これは、山村地の方では余り関心がないかもわからないけれども、都市部を中心とするお百姓の皆さんはすごく関心のあるところです。田植えをされると、間もなく大きなタニシが増殖して植えた苗を食いつぶし、時によってはあぜに上がったり水路に入っていって赤い幾つもの卵を産みつける。こういうふうなタニシであります。これは、都市住民の間でも大変な関心事であるわけです。これらに対して、これらをクローズアップした駆除策としての協力をまつりに来た人たちに訴える、アピールするという、リアリティーな課題への接近の仕方があってもいいのではないかと考えるわけです。
例えば、このジャンボタニシというのは、お百姓から聞いた話だけれども、近年、昔のように農業者は自分のところで苗をつくって自分のところで田植えするという手法からはかなり遠いところにあって、苗はどこかでつくったものを取り入れてそれを植えるという、こういうふうな仕組みをとっているという。その苗にジャンボタニシの卵なりがついて、そして今までなかったところにそれが拡散されて増殖していくというのが専らの話なんです。さらには、今の農業者は、自分のところの水田に自分が田植えをするのではなくて、田植え機を借りて人に植えてもらうというやり方も非常に広まっているわけです。その田植え機にジャンボタニシの卵がついて今までなかった田んぼにジャンボタニシが繁殖していくと、こういう経路をたどっているという話もあるわけです。
こういうふうなお話など、見た人たちや、あるいはまた参加した農業者の皆さんに、そのようなことにならないためにどうしたらよいかという問題提起を手法も交えて訴える、こういうまつりが本当の農林水産業まつりであってほしいなと、これが僕の考える農林水産業まつりの内容なんです。こういうことを訴えてみたかったところです。だから、県民の関心事とは別なところでまつりが行われたとしても、せっかくのことなのに、行き詰まった県内農業の振興や前へ推し進める力にはしたいけれどもなりにくいと、こういうことになっているのではないかということを、大変僣越で厳しいお話かもわからないけれども、ご提起申し上げたかったわけであります。ご検討の上、しかとしたお返事をいただきたいと思います。
そして、農林水産業まつりの歴史もあります。あるときには地域、地域へ持っていってやったということもあるし、あるときには農林だけでやったというのもあるし、ことしのように水産も一緒になってやると、まあいろいろ試行錯誤として、行き詰まった和歌山県の農林水産の振興のためにどういうふうに寄与したらよいかということで、当局の産みの苦しみの反映として見れば見られないことはないけれども、実際から言って、農業者や関係者の皆さんから満足してもらえるもの、満足まで至らないまでもこれだというふうにしてつかんで持って帰っていただけるようなまつりにしようと思ったら、さらにひとつの工夫と研究が要るのではないか。こういうふうなことを申し上げながら、この項の質問を終わりたいと思います。
次に、米の問題であります。
米作技術が向上したことに加えて、外米の輸入と自主米入札の値幅制限廃止が大きな引き金となり、またことしは天候に恵まれ、豊作だとのことが呼び水とされて、昔と違って豊作を心から喜べないとする向きがあり、収穫がまだ終わらないうちに来年の米作について、五万ヘクタールも追加して過去最大の減反、すなわち生産調整をしようとの中央省庁の動きが報道されています。それを見る限り、米の需給と価格を安定させたいとのことだが、来年度に限り、豊作が予想される場合、生産調整対策として青田刈りなどを初めとして減反目標達成のため生産者へさらに負担をさせようとの話でもあります。
現行の減反目標を達成した上に、今回の追加面積の達成に向け、生産者に対して上乗せ助成がいろいろと打ち出されようとしています。私は、こうした中央省庁のとろうとしている対策では、農業関係者が切実に求めている米価暴落の歯どめにはならないと考えるところです。米価の崩れは、そもそも市場原理にゆだね、自主流通米の値幅制限まで取り払った政府の方針にあることを指摘せざるを得ないわけであります。このような政策が続く限り、生産者の意欲は失われるばかりであります。稲作文化で今日をつくり上げてきた日本が米づくりをおろそかにし始めてからどこか日本がおかしくなってきたと私は見ているのですが、皆さんはいかがでしょうか。
教育問題、子供の問題もいろいろ取りざたされて今日久しいのですが、子供の間に起こる諸問題の原因も結局ここらあたりにあると見て、当たらずとも遠からぬことではないでしょうか。日本の文化が崩れていっているという根源に米作というものが座っているわけですから、ここが崩れ始めたらどこか崩れてくるというのは当然かと思う。もろに反映されて現象化してくるのは、やはり一番弱い立場にある子供たちではないかというふうに見て間違いないのではないかと考えるわけです。青田刈りなどはそれを代表する愚行だというふうに僕は見ているわけであります。こんなことをしていると、余計日本の文化が崩れることになりかねない。せっかく農家が丹精込めてつくったお米を、豊作だとか価格を守るための需給調整という理由だけで稲を青いうちに刈り取ってしまう、こんなむごい、非人道的な施策はないのではないでしょうか。こういうふうに申し上げたいところであります。
米をとるために植えた──稲でないものを刈るというふうな話もないではありませんし、それも知っております。しかし、田植えをするということは、米をとるために田植えをして苗を植えるわけだから、普通、だれが見たとしても、米をとらないうちに、青いうちに刈ってしまうということは、自分が産み育てた子供の首を切ってしまいかねないようなことにも通ずる話であります。これぐらい非人道的、文化を荒廃させる農業面からの行いではないかと指摘申し上げたいわけであります。こんな非道徳をもって農家や生産者に迫るやり方は、まさにもう言わずもがな、政治ではありません。私の所見を述べて、来年に向けて米の生産調整に対する県のお考えをお示しいただくことにいたします。
最後に、道路問題についてです。中山はやっぱり道路の問題を取り上げるなあと、こういうふうに思われている人も多いと思います。
過日、四百二十四号金屋バイパス竣工開通式に参加いたしました。開式成って来賓祝辞に入りました。ある国会議員の祝辞の際に、工事経過や事業費にかかわって西本議員が、おれの認識と異なることを述べているというところから、はばかりなくそれを指摘し、ただされる場面がありました。指摘された本人は大変な戸惑いを来してしまう場面になりました。道路整備がされて開通まで取り組まれていく過程には、しかも三十億、四十億とも言われる巨費を投ずるような事業を具体化するのは、並大抵のことではありません。いささかなりともその過程における苦労や人々の協力を結集するには彼のような熱い情熱とたぎるようなファイトがあったからこそだと、今さらのように感動したわけであります。党派は違え、そのようなことに情熱を傾けられている態度に、触発もされ、感動もしたわけであります。この彼のようなインパクトが行政を動かすものと、改めて強く感ずるところです。だから、バイパスの竣工式や開通式だと言って、あだや酔狂で参加させてもらっていないというその一面だけでも、この発言を通じて中山を見ておいていただければありがたいと思います。
それに加えて思うに、我が海南地方は、地方事務所と言われた時代に地元に出先機関がなく、ようやく前知事の時代に地元に工事事務所が設置され、見違える進展が図られるようになったものの、有田の様子と見比べて随分おくれをとってしまったなという感じをしたわけですが、おくれの原因もそういうところにあったのかということもしみじみと考えてみたわけであります。
知事、地元に出先機関がまだ十分整っていないのが海南・海草だけです。オープンで光の通う県政を推進したいと打ち出されている知事に、地元の問題は地元にあって解決することのために、より充実した出先機関の設置を求めておきます。
藤白山の向こう、南の有田地方は金屋バイパスのみならず、国、県の道路行政がかなり進展している姿を見るにつけ、大いに学び、触発されるものがあったことを述べながら、以下、幾つかお尋ねいたします。
さきの議会で三百七十号に係る築地阪井線の整備について、予算的には平成十二年度で終わり、工事は十三年度にずれるかもしれない、平成十四年度から阪井龍部池方面に向けて取りかかるところになる、しかし海南市が進めている重根区画整理事業との関連があるところから、市と協力し合いながら着実に推進していくという、こういう考えをお示しいただきました。その立場から今日までお取り組みいただいていることだし、やがて十三年度で工事が終わり、十四年度で龍部池までの区間を着工し、そして十九年度までというふうに聞いているんですが、そこを完成する、こういうふうな取り組みが着実に進められていると受けとめているのですが、その上に立ってこれから先の道路整備についてお尋ね申し上げます。
それから先の阪井地区内のバイパス計画の推進について、現状を報告されたいわけであります。これは、県道海南高野線という時代に法線が敷かれて、そして審議会にかけられた。海南の審議会としては、それは余り感心しないという形で、知事に答申するというところにならなかったというままにこの路線が置かれているわけであります。その後、県道海南高野線が国道に昇格成りました。その時点で、あのバイパス法線が適当な路線なのかどうかということの検討をされて、見直しをされて、県にこうあってほしいという要請も当然地元からあってしかるべきだろうけれども、それもないままに今日に来ているところから、これの決定及び着工にまで進んでいかないもっともな理由がそのあたりにもあるんではないかという気もするんですが。まあいずれにせよ、これについての今日の状況をご報告ください。
さらに、それに引き続いて現道の損傷に大変大きなものがあります。夜間に大型車が通ったら地震のように揺れて眠れないというふうな苦情には、大変なものがあります。それで、市を通じて県に上げたり、あるいはまたあらゆる機関や人たちを通じてこれの舗装整備方を要求されていることだろうと思うけれども、手法の上でいろいろ困難なことがあるようですが、それから上の方、それから東の方はつつがなく整備され、舗装されてきているのです。あと残ったところ二百メートル余りをどうするかという課題をご提起申し上げて、見通しをお聞かせ願いたいと思います。いわゆる野添地区の残されたところであります。
次に、貴志川から野上町へ向いての話であります。野上中から野上町にかけて野上鉄道線路敷を使っての計画について、今日の段階はどうなっているのか。その時々に地域住民に報告しなければなりません。そういうふうな必要から、ご答弁をお願い申し上げます。
最後に、国道四百二十四号線北野上地区におけるところの整備促進についてであります。あの四百二十四号線の北野上地区では、北野上小学校及び東海南中学校の学童・生徒の通学路になっているわけです。通学歩道が整備されていないので大変危険だということが、PTA初め学校関係者等から長年要求されているところであります。県もその立場に立って一度調査に入り、どうしたらよいかということをご検討くださったようですけれども、それからそのような話は聞いたことがありませんので、この機会にお尋ね申し上げてご答弁をお聞きします。地域住民の方にお返しを申し上げたらという立場でお聞きするところであります。
第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(尾崎要二君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
環境生活部長道浦 渥君。
〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 南海光学工業株式会社の有機系化学物質による土壌、地下水汚染に係る件について、まず一点目の県への報告がおくれた理由についてでございます。
南海光学工業株式会社の報告では、社内で対策を含めた対応を検討したために時間を要したという報告を受けてございます。今後、このようなことのないよう強く指導もしたところでございます。
続いて、二点目の土壌、地下水及び河川、水路の汚染調査結果についてでございます。
事業所を中心に半径五百メートルの範囲内のすべての井戸四十四本を対象として調査を実施してございます。その結果、すべての井戸が地下水の環境基準を満足しており、井戸水への影響はないものと判断しております。
次に、河川、水路の汚染調査について、当事業所の周辺二水路、四地点を調査した結果、いずれの地点においても環境基準を満足してございます。
なお、土壌調査につきましては、現在、周辺十地点で採取を行って調査中でございます。
続きまして、ISOの認証取得状況についてでございます。
県内におけるISOの認証取得企業についてですが、現在十八企業が認証取得してございます。
また、行政機関の対応でございますが、全国的に見ますと既に十九の都道府県で認証を取得しており、本県も今年度中の認証取得を目指しておりまして、平成十二年度の末においては全体で三十三都道府県になる見込みでございます。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 農林水産部長島本隆生君。
〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 農林水産業まつりについての五点のご質問にお答えをいたします。
まず開催の趣旨についてでありますが、農林水産業まつりは、都市住民を初め県民の皆様に農林水産業に対する理解を深めていただくことと、農林水産業に携わる方々の生産意欲の高揚を図ることを基本とし、あわせて豊富な県内農林水産物の紹介、販売を通じ、各産物の消費拡大を図ることもねらいとしてございます。
特に今年度の農林水産業まつりにつきましては、五十回目の節目を迎え、従来の展示即売に加え、都市住民の子供たちに農林水産業の体験を通じてその魅力を理解し、応援団となっていただくことを目的に、例えばサツマイモ掘りやアユのつかみ取りなどの体験型の記念イベントを実施したところ、予想以上の参加者があり、大変好評を得たところでございます。
次に、都市住民と交流の意図に沿う宣伝効果や来場結果であったかどうかということでございますが、農林水産業まつりの趣旨の一つは、農林水産業の持つ役割や働きを県民、中でも都市住民の皆様にこのイベントを通じて理解を深めていただき、本県の農林水産業をみんなで守り育てていく気持ちを高めようとするものでありまして、インターネット、「県民の友」、テレビスポット、ポスター等の各種メディアを通じて近隣の都市住民へ積極的に宣伝を実施したところでございます。その結果、開催地の和歌山市を初め周辺地域から約四万人の方々が来場され、一定の成果があったものと受けとめてございます。
今後、イベントの開催に当たっては、県内はもちろん、泉南地域を含め、より多くの方々に来場いただけるよう積極的なPRを行ってまいりたいと考えてございます。
次に、今日の農林水産業が抱えている実態を重視したまつりを基調とすべきではないかというご質問でございます。
まつりの趣旨については先ほどお答えいたしましたが、県民の皆様に農林水産業と農山漁村の地域の魅力をアピールし、あわせて農林水産業者の生産意欲の高揚を図る観点で実施をしてございます。このため、まつりの開催計画に当たりましては、農業、森林、漁業等協同組合初め、関係機関や農業士会、生活改善友の会などの各種関係団体から成る農林水産業まつり委員会で協議をしてございます。
会場の各ゾーンの展示等については、情報関係や試験研究の紹介など、生産者のみならず、県民の皆様の関心の深い環境や情報などのテーマも取り入れ、実施をしてきたと考えてございます。
今後のイベントに際しましては、議員のお話の今日的な課題も含め、各般各層から広く意見を聞きながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
水産関係の部分が希薄ではなかったかというご質問でございます。
今回の農林水産業まつりにおいて、水産業関係では、クエ、オニオコゼの種苗の展示、漁場周辺のごみの投棄の問題をテーマとした展示、ヒメダカの配布、水産物の物産販売等を行ってございます。
今後とも、県民の方々に水産業の置かれている状況なども理解していただけるような展示内容のイベントとするよう創意工夫を加え、積極的に展開をしてまいりたいと考えてございます。
次に開催時期の点についてでございますが、例えば農業関係者にあっては農繁期を避け、参画しやすく、しかも各市町村において実施されている祭りと日が重複しないよう配慮し、取り組んできたところでございます。開催時期も含め、農林水産業まつりのあり方については幅広くご意見を聞きながら検討してまいりたいと考えてございます。
次に、米の生産調整についてのご質問にお答えをいたします。
現在の米を取り巻く環境は、国際化が進展する一方、大幅な需要の減退と二年続きの豊作により、国産米在庫の増加と自主流通米価格の下落という非常に厳しい状況になってございます。このため、去る九月二十八日に農林水産省において米の需給改善と価格の安定を目的とした緊急総合米対策のガイドラインが打ち出されたところであり、面積配分や運用など、具体的な内容については今後示されることとなってございます。
議員お話しの青刈り稲による転作も対象となっておりますが、小規模で自給的生産が多い本県の稲作の実態から見て、青刈り稲としての転作を進めることは難しいものと考えてございます。県としましては、今後とも関係機関と一体となり、農業者の理解と協力を得ながら生産調整の推進に努めるとともに、地域の立地条件を生かした園芸作物の定着による高収益農業の展開と良質米の計画的生産を組み合わせた水田農業の確立を図ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(尾崎要二君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 道路問題についてのご質問にお答えいたします。
一点目の、国道三百七十号阪井地区内バイパス計画と野上中から野上町に向けての鉄道線路敷の活用計画の取り組み状況についてでございます。
まず、国道三百七十号阪井バイパスにつきましては、平成二年に都市計画決定に向けて計画案を公告縦覧したところでありますが、反対意見が多数のため都市計画決定に至らず、今日に至っている状況でございます。県といたしましては、海南市を初め地元役員の皆様のご協力を得ながら都市計画決定に向けて努力してまいります。
次に、県道奥佐々阪井線のバイパス事業につきましては、現在、海南市野上中地内から野上町小畑地内の厚生病院までの約一・六キロメートル区間と野上町下佐々地内の唐渡瀬橋から楠木公園までの約〇・九キロメートル区間の整備を進めているところでございます。その中で、海南市域分については残る用地買収物件が三件となっておりまして、今後とも海南市並びに地元関係者のご協力を得ながら事業促進に努めてまいります。
次に、国道三百七十号、海南市阪井地内における現道の損傷についてでございます。
その原因は、下層コンクリート舗装の亀裂によるものと思われます。これを解消するには、下層のコンクリート板を除去し、新たな舗装を行う必要がありますが、コンクリート板破砕の夜間作業に際して騒音等の問題もあるため、海南市を初め関係者のご協力をいただきながら地元調整を行ってまいります。
次に、国道四百二十四号北野上地区内の歩道設置についてでございます。
当該区間は交通量が多く、通学路となっていることから、歩道の設置は必要であると認識してございます。平成六年度に歩道設置事業を行う予定で地元の皆様にご協力をお願いしたところでございますが、ご理解が得られていません。今後は、海南市を初め関係者のご協力をいただきながら地元の皆様のご理解が得られるよう努めてまいります。
以上です。
○副議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
なお、発言時間は残り十七秒であります。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(尾崎要二君) 以上で、中山豊君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
次会は十月十日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時三十四分散会