平成12年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十二年六月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
 平成十二年七月五日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第百二十号から議案第百三十三号まで、並びに報第三号から報第七号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百二十号から議案第百三十三号まで、並びに報第三号から報第七号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     十七 番欠員
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     環境生活部長     道   浦       渥
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       辻           健
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       佐   竹   欣   司
     調査課長       梶   本   皓   造
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百二十号から議案第百三十三号まで、並びに報第三号から報第七号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百二十号から議案第百三十三号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 議長のお許しを得ましたので、ただいまから一般質問をさせていただきます。
 質問の項目は三点でございますが、最初に梅の生育障害について質問したいと思います。
 私、今回を含めて五回にわたってやるわけですが、三月二十日に和歌山県うめ対策研究会の成果発表の報告がされてから以降初めて迎える議会ですので、和歌山県うめ対策研究会に対する私たちの見解と問題点、考え方を述べていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 梅生育障害の原因究明の取り組みについてでありますが、「ウメ生育不良の原因解明と対策技術への提言」とした「調査・試験研究結果報告書」を県はどう受けとめているのかということについて基本的にお聞きしたい。
 一つは、県うめ対策研究会のまとめから、生育不良の発生の原因が解明されたと県当局はとらえているのか、最初に所見をお伺いしたいと思います。
 二つ目は、県うめ対策研究会の発表によると、生育不良の発生メカニズムは、梅の生育不良は、主として栽培要因、気象要因、土壌要因など複合的に絡み合い、樹体内に養水分ストレスを引き起こした結果であるとまとめているが、この発表は現場の状況を知る者として理解しがたいところがある。この文章の後先を逆にすると、よく理解できるものである。研究会の文章は、今発表したその次のところに、原因の解明や安心して栽培ができる対策技術の確立には残された試験研究課題もあり、もう少し時間がかかる、関係者が一丸となって取り組まなければならないとして、実際に原因の解明ができていないし、まだ時間がかかるし、まだ皆さん力を合わせてやってくださいよ、けれども原因はこうですよと出しているわけです。これは、まさに矛盾した研究結果の発表であります。生育不良の発生メカニズムは何も解明されていないのに、事象をとらえての評論的な見解にすぎません。しかも、三年という短期間で結論めいたことを出すことが科学的に見て責任ある態度なのでしょうか。もっと言えば、栽培管理、土壌、気象等についての判断の根拠は何なのか。研究会は、現場の実態、農家の努力の実情を認識することなく、県の研究機関のデータ、栽培マニュアルをもとに解釈し、評論したにすぎないのではないか。大気環境要因については、研究会が直接実験分析するのではなく、関西電力とJAの研究会の資料を見て判断しているのであります。これが研究者による研究会と言えるでしょうか。私は、栽培、土壌、気象、大気環境について、現場の実態と研究会発表は大きく乖離していると考えます。
 それで、現場の実情を議員の皆さんや当局の皆さんに知っていただきたく、この研究会発表と実際に現場で起こっていることを比較検討していただければ、おのずから結論が出ると思います。
 梅栽培の現状でありますが、研究会では、梅の特性品目の内容について、「他の主要果樹に比べて水分ストレスに弱い」と分析しておりますが、電力中央研究所の資料では、梅については乾燥に対する適応能力があるとされております。また、園芸メーカーの植栽方法の説明においても、梅は乾燥する場所への植栽が適当とされております。したがって、この報告は信頼性がない。
 二つ目は梅栽培の変遷でありますが、「単位収穫の大幅増加が見られる」とあるが、それをもって着果負担、いわゆるならせ過ぎが生育不良の発生には結びつかない。なぜなら、未成木、いわゆる二年、三年物のまだなっていない木においても生育不良が多く発生している現状から見ると、この報告も矛盾しています。例えば梅生育障害対策研究会──これはJAと関西電力で組まれた研究会なんですが、そのメンバーである井上教授は、ならせ過ぎによって梅の立ち枯れは起こることはあり得ないと明言しております。これも、研究会のメンバーとの食い違いがあるわけです。
 梅の栽培環境についてでありますが、土壌特性報告の内容についてということで、「生産性が低く、土壌改良を必要とする」と研究会は発表しておりますが、そのことが生育不良の発生には結びつかない。なぜならば、農家の中には既に試験場を上回るほどの土壌改良を実施したにもかかわらず発生した園地が多くあります。また、土壌改良によって生育不良の発生がなくなった、あるいは改善されたという現実は全く見られないわけであります。また、普及所が実施した五百園地の土壌検査によると、生育障害発生と非発生の明確な差があるというデータも一つも見られないわけであります。
 次に気象状況報告の内容によりますと、昭和五十二年、五十三年、五十九年は平年に比較して雨量は非常に少なかったにもかかわらず生育不良は発生しておりません。昭和五十九年の御坊火力発電所の操業開始後に、少雨、多雨にかかわらず、これ以降十数年にわたって生育不良の発生は急激に増加している。したがって、この事実については否定できないと思います。昭和五十二年、五十三年、五十九年当時の雨量が非常に少ない時期でも生育不良が発生していないという事実を見ると、これに問題があるという分析は非常に疑問を感じるわけであります。
 大気環境報告の内容でありますが、「環境基準を下回る」ということで、具体的データが開示されておりません。例えば、環境庁の一九九八年度全国環境調査によると、本県は浮遊粒子状物質による汚染濃度において基準を達成していなかった。
 また光化学オキシダントについては、上芳養局で平成七年六月から平成八年五月までの一年間に環境基準の〇・〇六ppmを超えた日が百四日、総時間で五百八十五時間もあります。二酸化硫黄についても、全国大都市十四カ所を含む三十カ所の平成六年度平均値が〇・〇〇八ppmという中で、第二火力発電所の環境アセスメント調査において、平成六年に川辺町〇・〇〇六ppm、御坊市、田辺市、美浜町、日高町、南部町、南部川村で〇・〇〇五ppmが測定されております。
 また降下ばいじんにおいても、全国十六カ所平均三・五トンという中で、その二分の一が記録されているわけであります。このように基準値は下回っているけれども、紀南に御坊火力発電所以外に大気を汚す大きな企業は一つもないわけであります。にもかかわらず、降下ばいじんにおいても、数値は低いけれども全国の都市部も含めた平均値の半分もある。工場は一つもないのに、なぜ二分の一の降下ばいじんが記録されていくのかという点について、環境基準を下回っているから何も問題はないのだとは言えないと思います。しかも、降雨のpHは地域間に差があります。都会の和歌山市より田舎の紀南の田辺市の方が酸性雨が降っているわけであります。これについては、ちょっと知事にも見ていただきたいわけでありますが、平成九年から平成十一年にかけての記録では、和歌山市の方が数値が高い。すなわち酸性雨が低い。緑と川に恵まれた紀南の方が和歌山市より自然はきれいにもかかわらず、五・五を基準にして四・五から五・五までのpHの低い確率が非常に多いということについても、ここに何かの問題があると考えるわけであります。
 そういった点で、この現実を無視して平均化し、環境基準内であるから問題なしとすることは、真理を追求すべき研究者としてのとるべき態度だろうか。現在の環境基準は、人間を対象として設定されたものであり、植物を対象としていない。和歌山県うめ対策研究会とは、一体何を目的として設置したのか。梅生育不良の原因解明を目的とするならば、こうした被害地の大気環境の現実を認識し、その中で真剣に努力、苦闘する農家の声を真摯に受けとめ、研究解明の手がかりとすべきが本筋ではないのか。
 環境庁は「環境白書」の中で、この研究会の理念、考え方、姿勢について、いみじくもこのように述べております。
 「生物の生態、生態系の機構、生物間の相互作用等は極めて複雑で、全容を明らかにすることは不可能に近い。我々が有している生物や生態系に関する情報は極めて少なく、往々にして手遅れになってから解明されることもある。自然環境への影響を評価する際には、我々が生物や生態系に関し、むしろ知っていることはわずかであるということを認識する謙虚さが求められている。 また、知見が少なくとも、その時々の最新の知見を基に、人間活動が自然に与える影響を事前に予測・評価し、その結果を踏まえて負荷を軽減するための対策を講じる必要がある。このため、自然環境に関する知見を常に最新のものとするよう調査を充実し、事前の予測・評価のためにその結果が広く活用されるような形で蓄積・提供することが重要である」、このように「環境白書」では述べられております。
 したがって、現代科学の判断基準で植物における原因解明を求めていくことはいまだ非常に不十分であるし、まだ浅い。そのことを謙虚に受けとめる中での研究発表であってほしかったと考えるわけであります。
 また通常の土壌検査において、研究会の発表ではアルミニウムや燐が検出されていないという評価でありますが、それらも資料の開示がない。また、排煙の成分として関西電力が答えている鉛、カドミウム、水銀等は本当に検出されなかったのか。資料の開示がなかったわけです。これについてもいかがなものでしょうか。
 次に、研究会の指摘についての反論と県及び梅対策の実証園における樹勢評価の問題点についてであります。
 私は以前からも問題にしていますが、あえてこの研究会がとっている問題について改めて繰り返し問題点を指摘したい。
 栽培要因では、「弱剪定による着果数の増加」、いわゆる剪定が弱くてならせ過ぎという問題は、先ほども言いましたように問題がある。
「完熟果収穫」、よく熟すまでならせているから木を弱らせていると。しかし、後でも述べますが、早期収穫の青取りをしている園地の方がむしろ発生が多いわけであります。そういう意味でも、このことの矛盾があります。
 土壌についても、しかりであります。気象要因に至っては、先ほど言いましたように、私たちは水分を遮断した木の枯れ方を実際やってみているわけです。水分ストレスで枯れる木の状態と生育不良の木の枯れ方の状態が根本的に違うわけであります。それは、暖地園芸センターはわかっているはずなんです。そのことをあえて取り入れること自体にまやかしがある。実際に、暖地園芸センターでも研究していただいている。農家でも実際に研究しています。だから、枯れ方が違うんです。水分をやらなくて枯れることと生育不良で根が腐っていく状態との差が全然違うということは暖地園芸センターはわかっていると思うわけでありますが、あえてそのことをも原因の一つに挙げていること自体に問題がないかということであります。
 もう一つは大気環境要因でありますが、トレーサーガスによる排煙拡散調査を関西電力とJAの研究会がやっております。この資料を県の研究会がそのまま取り入れて、その資料に基づいて、問題がないと位置づけているわけであります。このトレーサーガス調査については、調査時期の稼働率が低くて排煙の吹き上げ高度に差があるにもかかわらず、調査の結果、紀南の南部や田辺への影響度が非常に少ない、見られないというのはいかがなものでしょうか。四十数%稼働していたのが、一〇%を割る稼働率に下げた中でのトレーサーガスの調査であります。このことについても、本来の実態調査のデータとしては非常に不十分ではないかと感じているわけであります。
 もう一つは、風向調査の調査ポイントであります。
 これは、知事にもご理解いただきたいわけであります。関西電力が第二火力発電所の環境アセスメント調査の中で、風向調査のポイントを黒岩山というところでやっているんですが、実際にあのポイントでは一年間で北西風、西風が一・八%しか吹かない、三百六十五日のうち十日もないと発表されていたことに対して、皆びっくりしたわけです。そして、農家の若い人たちが荷物を担いで、煙突に近い黒岩山に隣接する二百二メートルの地点で風向調査をしてみますと、天気の日はほとんど西または北西の風が吹く実情を調べ上げたわけです。関西電力が置いている風向調査のポイントは何が問題があるか。地図を見てもわかる。谷間から吹き上げてくる谷の上で風向調査をやっている。下から吹き上げてくる風は南または南東の風の方が多いわけであります。したがって、煙突からの風は南部や田辺へ行くのではなくて、上へ吹き上げて南へ行って、それから海へ吹き上げてしまうんだという結論を出しているわけであります。
 こういった、全く矛盾に満ちた風向調査のポイント自身にも問題があって、この資料自身、我々は現場で実際立ち上げて双方比較しながら検討した結果、非常に矛盾があるということで問題点を指摘してまいりました。この点についてもいかがなものでしょうか。
 それから、大気や御坊火電について、その関係を見るために私たちはぜひとも御坊火電のばいじん、排煙の調査を実施してほしいと一貫して述べてきておりますが、それについていかがなものでしょうか。
 実際に暴露試験では、乾性のガスを利用した実験では自然の状況を再現できない。葉面からの吸収には、気体と液体の形があります。液肥は液体の形で十分吸収される。とすれば、葉面上のばいじんが霧や露により溶かされて液体化し、吸収されるということも十分考えられます。そうしたことを確認するためにも、ばいじんあるいはばいじんに含まれる成分、または排煙あるいは排煙に含まれる成分を使用しての暴露試験はぜひとも必要だと思いますが、この関連についてお聞かせ願いたいと思います。
 最後になりますが、この生育不良問題は、栽培管理や土壌というだけでなく、総合的な見地から取り組んでいかなければならないと考えます。幅広い学者、研究者の意見を聞き、そして現場の声に耳を傾けながら、原因のメカニズムの解明と対策技術を確立する強い姿勢を打ち出してほしい。そのためには、従来の固定概念にとらわれてはいけない。今後の調査研究の取り組みについてお聞きしたいと思います。
 先ほど資料を提示するのを忘れましたが、実証園の評価と問題点について、時間がございませんので、実際に県が実証園として調べている中の南部川の高野地区のみについて例を挙げたい。
 六十二本ある園地を試験園にしました。九七年六月には、そのうち三十二本が重症樹であるが枯死寸前の状態である。ところが九九年七月、それはすべて回復した。樹勢回復が見られる。ゼロだという報告をしています。こういう手当てをして直ってきたんだという報告をしている。
 そこで、私たちは現場を踏査しました。九七年六月には三十二本枯れていたということですが、私たちがこの七月に歩きましたら、実際には三十六本枯れているわけです。ゼロという報告をしているのに三十六本枯れているわけです。これはJAの指導員の皆さんにも立ち会っていただいた。私も見てきましたけれども、現地の園主がそれを調べて、わざわざ資料を持ってきて、ゼロとは何たることだ、けしからんということで、私のところへ抗議をしてほしいという申し出がありました。そういう事実にそぐわない資料を中心にして研究会のメンバーに提供すること自体にも問題がありますし、事実確認をしないで研究したことにも私は問題があると思うわけであります。これは一例であります。
 次に二番目の、大量生産、大量廃棄から出される循環型社会の形成に向けた社会的な取り組みが今本格化しつつあります。中でも法制度では、循環型社会を実現するための運用法である循環型社会形成推進基本法を策定、またこの基本法のもとに、建設廃棄物リサイクル法、食品廃棄物リサイクル法と、相次ぎ新規立法が行われました。さらに既存法制度では、廃棄物処理法と再生資源利用促進法の二法を改正、これらの循環型社会関係法として、国などの公的機関によるリサイクル製品の積極的な導入を図るグリーン購入法──国等による環境物品等の推進等に関する法律とされていますが、そういったものも制定されました。
 そこで私は、県議会で二回にわたって環境問題、ごみ問題について質問してきた要点は、一つは、基本的には循環型社会を目指すためのごみ処理、産廃を含めた処分施設、最終処分場の問題、二つ目は、ごみゼロエミッショナルを目指すためのリサイクル、再生商品と利活用をどうするのかということ、三つ目に、そのために県行政における循環型社会和歌山のための方針と組織強化を求めてきました。四つ目は、排出者責任のみを追及することだけでは対応できない、公共関与すなわち県行政の関与なしには一歩も進まない、このままいけば不法投棄がますます増加することを過去質問し、提案してきました。
 今回は、循環型社会を目指す六つの法案が成立し、私がさきに述べてきたことへの法的責任が明確になり、県行政としてもこの法による具体的な取り組みが求められてきていることから、今回、具体的に次の点について質問と問題提起をしたいと思います。
 循環型社会形成推進基本法など関係六法案がさきの五月の第百四十七通常国会で成立した今、県の果たすべき役割と責任についてでありますが、ごみゼロエミッショナルに向けた取り組みについて、第一点は、改正廃棄物処理法に伴い、対象となる大量排出事業者は存在するのか、また存在するとすれば、減量や処理に関する計画についてどのような指導を行うのでしょうか。
 第二点は、グリーン購入法成立に伴って、県として物品購入及び公共施設、道路、公園を含めた公共事業への資材等の購入についてどのような基準を定めるのか。
 これについては、既にさきの議会でリサイクル・再商品化とその利活用を提起し、とりわけ公共としての利活用の積極性を求めてきましたが、今回グリーン購入法成立に伴い、県行政として県及び市町村、関係公共団体も含めて、低環境負荷型の製品をどう調達していくかの基本方針、その基準を定める必要があります。県庁内ではもちろんISO一四〇〇一による方針がつくられますが、全般的公共事業への対応が求められています。県としてはどう対応するのでしょうか。
 第三点は、県内の幾つかの市町村議会でデポジット制度導入に関する意見書が採択されているが、県としてデポジットに対する見解はいかがお考えでしょうか。
 ごみ問題はますます深刻化し、自治体のごみ処理予算は年々増加し、とどまる気配がありません。平成九年四月から施行された容器包装リサイクル法も、事業者の負担に比べて市町村の負担が大きく、ごみ減量の効果はほとんど期待できません。現在のごみ処理制度は、余りにも自治体に負担が大きいのではないでしょうか。デポジット制度は、ごみ減量、公正な費用負担、散乱ごみの減少、リユース、リサイクルの拡大を一挙に実現できる画期的な制度です。この制度は、瓶、缶、ペットボトルなどの代金に預かり金を上乗せし、その容器が返されたときに預かり金を払い戻す制度で、既に欧米など多くの国で導入されています。日本では、瓶ビール、酒瓶の回収が原点であります。この制度が実施されますと、対象となった容器などは八〇%以上が返却されますので、ごみが一挙に減量し、自治体のごみ処理費用は大幅に減少します。また何よりも、集まった容器の処理費用は自治体の負担ではなく受益者負担ですから、公正です。また、瓶などはきれいな形で返却されますから、リユースの拡大にもなります。
 そこで、循環型社会を目指すための法整備は、さきにも述べた関連六法案が成立しましたが、しかし最も大切な、ごみを減らす、リサイクルする基本である、国民参加、県民・市民参加でのごみゼロエミッショナル運動に欠かせないデポジット法の成立が急がれております。既に、全国の二百五十の自治体からデポジット法制定への意見書、一千の自治体を目指した運動が始まっております。全国市町村議会からも意見書が出されていますし、特徴的なのは東京都議会、また福岡県は県議会を先頭に九十七市町村のうち九十二市町村議会が意見書を提出しています。このようにデポジット法の要望は、その効果が本来目指すごみ減量効果、自治体処理費用がよりゼロに近くなることです。県当局は、このデポジット制度に対する考え方、国の法制化への要望を求めながらも、ローカルデポジットの運動化を進めることへの考え方をお聞きしたいと思います。
 次に、改正廃棄物処理法の制定に伴い、県は今まで産業廃棄物に対して民間排出者責任として、昨年十二月議会での私の質問に対して、公共関与による処理に対して消極的であったが、これからはそうはいかない。改正廃棄物処理法には、都道府県の責務として「産業廃棄物の適正な処理が行なわれるように必要な措置を講ずることに努めなければならない」ことと義務づけられました。公共関与による産業廃棄物処理施設の促進をうたっております。この趣旨に従って、とりわけ廃棄物処理センターによる施設整備を初め、産廃新法(産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律)の活用を含めてお尋ねします。
 第一は、廃棄物処理法の改正に伴い、公的関与による廃棄物処理施設の整備促進が盛り込まれたが、県としてどのように対応するのか、お聞かせください。
 第二は、県の公共工事でも残土や建設廃材等が大量に排出されていると思うが、建設工事資材再資源化法の成立に伴い、業者をどのように指導していくのか。また、残土等を処分する安定型最終処分場は民間事業者の責任で確保されていますが、設置許可権者として現在何カ所あり、その残容量はどれくらいの年数もつのでしょうか。その程度によっては、ますます不法投棄の心配があります。
 次に、一般廃棄物は市町村、産業廃棄物は事業者の処理責任と法的にはされているが、県は循環型社会形成推進基本法の成立を契機に、廃棄物処理及びリサイクル、再生商品利活用を含むシステムを確立する基本計画及び実施計画を県の主体と指導性で策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 循環型社会形成推進基本法は、政府に対し循環型社会形成推進基本計画の策定が義務づけられており、中央環境審議会が計画策定の具体的な指針をまとめ、二〇〇二年四月十日まで環境大臣に、それに基づいて閣議決定をしていく方向が求められております。
 そこで第一は、環境負荷を考えた場合、その処理について、一般、産廃の垣根を超えた総合的な最終処理施設及びリサイクルシステムの具体的な方針を打ち出す時期に来ていると思いますが、いかがなものでしょうか。
 第二は、容器包装リサイクル法に続き、今国会では資源有効利用促進法、食品循環資源再生利用促進法、グリーン購入法、建設工事資材再資源化法などが成立したが、このように激変する環境、廃棄物関連の施策を総合的に指導する行政機関を充実すべきではないか。現在、環境経済や環境マネジメントと言われる時代に入っているので、そうした事業者の相談にも対応できる体制が必要ではないかということのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 最後になりますが、時間がございませんので早口で言いますけれども、文里湾構想計画を総合的視点から作成をということで。
 文里湾構想を(田辺湾を含む)今考えられている埋立計画、文里湾架橋計画、津波対策、田辺湾の地域活性化としての政策化等、総合的に検討すべきであるというテーマであります。県、田辺市では、当面する事業として文里湾埋立事業を事業実施するため、既に予算化もされ、進められています。この時点に立って、私は、事業目的、内容、費用等を分析する中で、少し待ってくれという考えになったわけであります。
 現状の経済状況と地場産業の実態の変化、とりわけ木材産業と文里、田辺湾の変化、将来の木材産業の不透明等、検討する中で、費用対効果から見ると一考を要すると考えるわけであります。田辺湾の歴史と現状から見て、昭和二十三年に貿易港として指定され、昭和三十五年からは実質的に外国船の入船と貿易木材港として発展してきました。しかし、平成十年十月十八日でもって外国船入船はなく、田辺湾、文里湾に外材は一本も浮かべていません。貿易港として継続するためには、年間十一件の入船、年間五千万円以上の貿易金額が必要で、それがない場合には貿易港として廃止になります。そのタイムリミットは、ことしの十月であります。しかも、既にそれを予告して、税関は田辺出張所を七月をもって廃止になります。これは、経済界だけの理由なのか、行政側の責任はどうなのかは別に置いておいて、現状はそうなっています。しかし、木材は三日に一船、五百トンの帆船が入ってきておりますし、年間七万トンの木材原木が荷役されております。これは、香川の坂出、広島の松永、小松島から入港しているのも事実であり、新宮港からは陸送されております。この方がコストダウンできるから、そう選択したのでしょう。
 では、今回の埋め立ての目的は何なのでしょうか。第一は砂利、砂の荷役のみであること、第二は耐震バースとしての港にしたいこと。これだけの目的と内容で二十五億の事業として実施したとき、単純に考えて、利用する土地の坪単価は二十五万円から三十五万円となり、費用対効果の面から見ても、地域の経済、住民の考えから見ても一考を要すると考えるわけであります。
 むしろ、この事業を契機に、今課題としてある文里湾架橋、外材の浮かばない自然豊かな文里湾、田辺湾、津波対策を初め周辺の交通アクセスとしての湾岸道路を総合的に検討し、投資が大きくなっても、その効果が住民合意の上で成り立つ事業計画を進めるようここに問題提起をして、当局の考えを聞きたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わらせていただきます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 原日出夫議員の、梅生育障害の原因究明の取り組みについてのご質問にお答えをいたします。
 まず一点目の、梅の生育不良問題に係る調査報告に対する県の見解についてでございます。
 生育不良対策につきましては、これまで本県農業の最重要課題として関係機関の総力を挙げて取り組んでまいりました。こうした中で、和歌山県うめ対策研究会から去る三月二十日に、「梅の生育不良は、さまざまな要因が複合的に絡み合い、樹体内に養水分ストレスを引き起こした結果であると考えられる」との最終の取りまとめをいただいたところであります。また四月二十三日には、JA紀南と関西電力による梅生育障害対策研究会におきましても同様の報告がなされたところでございます。しかしながら、報告書の中には残された試験研究課題も提示されており、また依然として生育不良が発生していることから、試験研究の充実や園地条件に応じた技術対策の確立が早急に必要であると考えてございます。
 今後とも、生産者を初め関係市町村、農協等の協力をいただきながら、この問題の早期解決に向け懸命に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、和歌山県うめ対策研究会の姿勢についてであります。
 本研究会の委員は、日本を代表する大学及び国の試験研究機関の専門家であり、試験研究に対する指導助言を受ける中で、調査結果に対する評価をいただいたものであります。設立当初は、この問題の早期解明を図るため、二年間を目途に取り組んでいただきましたが、現場における複雑多様な状況や地元からの要望もあり、またより幅広い検討を加えるため三年間に延長し、鋭意取りまとめがされたところでございます。この間、梅に関する研究は他の主要果樹に比べてデータの蓄積が少ないこともあり、委員の方々には試験研究の組み立ての段階から指導を受け、また機会あるごとに現地に赴き、つぶさに調査を行うなど、研究会として最善の対応をいただいたものと考えてございます。
  〔傍聴席で発言する者あり〕
○議長(下川俊樹君) 申し上げます。
 傍聴席の皆さん、発言は禁止されてございますので、静かにお聞きをしていただきたいと思います。
○農林水産部長(島本隆生君)(続) なお、研究会の報告でありますが、科学的な調査研究や大気拡散調査など公表された測定データに基づき、学問的知見を総合し、検討、判断されたものであると考えてございます。また、現地実証などにつきましては、さまざまな条件下での取り組みであり、十分な成果を得ていないものもありますが、今後は総合実証園の中で多くの対策を組み合わせ、実効ある技術対策の確立に努めてまいることとしてございます。
 次に大気面での調査研究についてでありますが、御坊火力発電所のばい煙の直接暴露は、これまでにもお答え申し上げてきたとおり、専門家の意見として大気拡散中に化学変化が生じるため科学的に評価できないことや、サンプリングが技術的に困難であると指摘されております。しかしながら、生産者から強い要望のある大気環境調査につきましては、地元と協議し、ばい煙の直接暴露にかわるものとして、化石燃料の指標物質と言われているバナジウム、ニッケルの暴露試験を現地で実施しておりまして、データがそろい次第、お示しをしてまいりたいと考えてございます。
 次に今後の調査研究への取り組みについてでございますが、暖地園芸センターに新たにウメ部を設置するとともに、日高、西牟婁両振興局において担当職員の増員を行い、地元との連携を密にするなど研究指導体制の充実強化を図ったところでございます。また、日本一の梅産地にふさわしい地域密着型の研究機関の構想策定に向けまして、本年度、うめ研究機関設置検討協議会を設置するなど積極的に進めてございます。
 今後とも、生産者を初め多くの方々のご意見もお聞きしながら幅広い調査研究に取り組み、技術対策の早期確立に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 環境生活部長道浦 渥君。
  〔道浦 渥君、登壇〕
○環境生活部長(道浦 渥君) 原議員の、循環型社会形成推進基本法など関係六法案の成立に伴い、県の果たすべき役割と責任はとのご質問にお答えいたします。
 まず、ごみゼロエミッションに向けた取り組みに関するご質問のうち、改正廃棄物処理法に伴い、対象となる大量排出事業者の現状と指導についてでございますが、さきの国会で成立した改正廃棄物処理法においては、多量排出事業者は「産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成して都道府県知事に提出し、及びその実施の状況を都道府県知事に報告しなければならない」とされてございます。現時点においては、多量排出事業者の規模等の基準に関する政省令が出されておりませんが、明らかとなり次第、対象となる事業者に対し計画の策定を指導してまいりたいと考えてございます。
 次にグリーン購入法成立に伴ってどのような基準を定めるかでございますが、製品などを購入する際、環境への影響ができる限り小さいものを優先して購入するため、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律、いわゆるグリーン購入法が平成十二年五月に成立し、平成十三年四月から全面施行されることとなりました。この法律では、国が基本方針を定め、環境物品を調達することとなっております。地方公共団体におきましても、努力義務ではございますが、環境物品等の調達を行うこととされております。県では、平成九年四月に副知事名で環境配慮型製品の率先購入及び物品の使用等に係る環境配慮についての通達がなされ、再生紙や事務用品、ペットボトル、再生生地使用の事務服などのグリーン購入に努めてきたところであります。
 今後、国の基本方針を踏まえながら、公共事業への再生商品のより一層の導入を視野に入れて、関係部局と十分協議の上、県としての環境物品の調達方針を作成し、環境に優しい製品の購入に努めてまいる所存でございます。
 次にデポジット制度導入についてでございますが、飲料用容器類の廃棄物の減量化、再利用を進めていく上でデポジット制度の導入は有効であると考えてございます。しかしながら、一地域のみの実施では地域格差を生ずることとなり、実効性が乏しくなることが予想されることから、全国一律での実施が必要であると考えてございまして、今後、機会あるごとに国に働きかけてまいります。
 次に、廃棄物処理法の改正に伴い、公的関与による廃棄物処理施設の整備促進が盛り込まれたが、県としてどのように対応するのかに関するご質問にお答えします。
 まず管理型最終処分場についてでございますが、平成八年に和歌山環境保全公社の管理する和歌山北港処分場が終了した後、紀北地域については、大阪湾フェニックス計画に基づき泉大津沖に設置された海面埋立処分場において管理型の産業廃棄物の処分が行われてございます。しかし、フェニックス計画対象区域外である紀中、紀南地域においては、議員ご指摘のとおり、管理型最終処分場は設置されておらず、適正処理を推進していく上で重要な課題であると考えてございます。県といたしましては、今回の廃棄物処理法の改正により、国の廃棄物処理センターの指定要件が緩和されたことや、その施設整備に対するモデル的補助制度が創設されたことを考慮し、排出事業者責任の原則を踏まえた上で、財団法人和歌山環境保全公社の将来構想とも連動しつつ、公共関与処理について検討しているところでございます。
 次に建設残土、建設廃材等の現状と課題についてでございますが、議員ご指摘のとおり、県の公共事業におきましても、建設残土、建設廃材等の建設副産物が大量に発生しており、その処理が問題となってきております。とりわけ、民間解体工事におきましては、いわゆるミンチ解体等に起因する混合建設廃材等が再資源化を阻害してございまして、これら建設廃棄物の分別解体と再資源化の促進を進めるため制定されたのが建設工事資材再資源化法でございます。この法律の成立に伴う解体業者や中間処理業者への指導につきましては土木部と連携して行うこととなりますが、指導のあり方につきましては、再生された資材が有効かつ現実的に利用されるよう努めていくことが肝要であると考えております。
 県内における最終処分場の件数は、民間処分業者で八件、公共で一件となってございます。また残容量につきましては、平成十二年三月末現在におきまして三十六万六千立方メートルであり、平成九年度及び平成十年度の処分量から推計いたしますと五年程度の残容量と考えてございまして、今後、埋立廃棄物の減量化に努めるとともに、官民一体となって処理施設の適正な確保に努めていく必要があるものと考えてございます。
 次に、循環型社会形成推進基本法の成立を契機に、基本計画及び実施計画を策定すべきだと考えるがどうかに関するご質問にお答えします。
 まずその処理について、総合施設及びリサイクルシステムの具体的な方針を出すべき時期ではないかとのご質問についてでございますが、今回の廃棄物処理法の改正により、知事が県内における一般廃棄物、産業廃棄物を合わせた廃棄物処理計画を定めなければならないとされてございます。この計画は、国の示す基本方針に基づき県内の廃棄物の減量など適正処理に関する目標と方策、処理施設の整備に関することなどを定めることとなってございまして、計画の策定に際しては市町村や多量排出事業者の処理計画を考慮する必要があるものと考えてございます。
 県といたしましては、今後示される国の基本方針に基づき、この廃棄物処理計画を策定し、その計画の策定において、循環型社会形成推進基本法の趣旨に基づき、従来の廃棄物処理のみでなく、リサイクルや再生商品利活用の促進につきましても検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、行政機関そのものの充実強化が急がれているがとのことでございますが、県におきましては、本年四月の機構改革により生活文化部を環境生活部とし、環境生活総務課、地域環境課、環境管理課の三課を設置し、環境行政を充実強化させたところでございます。今後は、リサイクル関連のそれぞれの法律を所管する環境生活部、商工労働部、土木部、農林水産部等、他部局との連携の強化に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 三点目の文里湾構想計画についてお答えいたします。
 文里湾港湾整備で計画している耐震強化岸壁につきましては、砂、砂利等の建設資材を取り扱うだけの施設ではなく、県の地域防災計画の中で田辺市を中心とする西牟婁地域とその周辺に対する緊急物資輸送を担う施設としても位置づけられており、整備を必要とするものであります。
 また、議員ご提案の文里湾を中心とした田辺湾全体の総合的な構想につきましては、地元の市や町の町づくり構想を踏まえて、今後の研究課題としてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 時間が余りございませんので、要点に絞りまして再質問させていただきます。
 梅の生育不良の解決の問題であります。
 まず一つは、実証園の評価の問題点については、県の責任において現場で再調査をして事実を明確にしていただきたいことについていかがなものでしょうかということです。というのは、これをきちっとしておかないと、県と現場とのお互いの信頼関係が崩れてくるんです。そういう意味では、正確な調査をし、正確な資料に基づき、今後一緒になって解決していくと。このことにおいても現場で再調査をすることについて、いかがなものでしょうか。
 もう一つは、現場つまり農家、JA、市町村と県の信頼関係を構築するためには、例えば田辺市の梅振興室は、今、市とJAの共同スタッフで原因解明のための共同作業をしておりますが、県はオブザーバーとしてでも結構ですが、県及び振興局からスタッフを派遣して共同研究する体制をつくることが信頼につながってくるのではないか。例えば秋津川に設けられている県の交流室の人たち、これは暖地園芸センターの方だと思いますが、それとか振興局の技術の専門的な人たちが一緒になって市町村、JAと県で信頼関係を深めながら共同研究していく姿勢が一番大切ではないかと思います。このことが、先ほど答弁の中にありました研究センター設立の方向にもつながると思いますし、中身が非常に濃くなってくるのではないかと思いますが、この点についてはいかがなものでしょうか。
 それから次は、また農林水産委員会で引き続きお願いするということで、要望にとどめておきたいと思います。
 大気と関西電力の関係は、どんなに釈明しても疑念が消えていないわけであります。先ほども述べましたように、実際、研究会や関西電力、JAを中心としたデータそのものにも、角度を変えてみるならば、違ったデータとして出てきている。それも、我々が実証して明らかにしているわけです。例えば酸性雨の問題、風向調査の問題、栽培管理など、いろんな分野においても疑問が絶えないわけであります。
 したがって、現場と行政との信頼関係を結ぶためには、ばいじんを提供していただいて、それを技術的に解明していくということ。県が暴露試験において調査する化学物質の二つの要素を述べられましたが、関西電力自身が認めているニッケル、燐、鉛、カドミウム、水銀といった物質についても研究しながら実証試験をしていく、暴露試験をしていくと、こういうテーマがあるわけであります。それを避けると、そこにまた不信感が生まれる。かなりの分野において、疑問とすることについては徹底して解明していく姿勢が必要ではないかと思いますので、その点を要望しておきたい。
 もう一つは、先ほども述べましたが、研究会の発表での資料の開示が非常に少ないということであります。一つは、先ほども言いましたように、酸性雨調査のデータにおいては研究会が参考にした資料がはっきりしないし、アメダスを含めた国の機関が発表している酸性雨の調査でも、知事にお渡しさせていただいたように、五・五を下回る四から四・五までのいわゆる酸性雨が事実として記録されている。こういった点についても事実の資料をきちっと開示し、それに基づく原因解明をしていかなければ、資料についての誤りや問題があるところに正しい解明への方向が見出せないということで、資料についても広く開示して現場と話し合っていく姿勢をお願いしたい。
 それから、風向調査であります。
 関西電力とJAの研究会でも発言させていただきましたが、関西電力のポイントの黒岩山では正しい風向の結果が出ない。したがって、隣接する別の山のポイントで調査し、実際にそれとの対比をしてこそ現場の矛盾にこたえていけるのではないかと思います。三百六十五日のうち十日足らずしか西や北西の風が吹かないということは、常識的に考えられないわけであります。漁師に聞いたら一番わかります。実際に全体の一・八%しか西や北西の風が吹かないのに、それを第二火電の環境アセスの資料とされておりますし、それに基づいて発表されていること自体に資料としては非常に問題があると思います。今後、県としても私たちが実際に調査したポイントも積極的に取り入れて、その方向を示していただきたいことを要望しておきます。
 以上は、梅についてであります。
 もう一つは、循環型社会形成推進基本法に伴う六法が改正されました。私は、これを勉強しながら、原稿を書きながら、環境生活部長や担当の方にも言いました。この六法案を、市町村、民間、排出業者との間で具体的に計画実施して和歌山県のごみ処理計画基本方針をつくっていくのは大変な作業です、やれるんですかと。国は、環境庁なりが決めて報告をしても、首相以下の閣僚会議をしておろすぐらいの大変重要な柱として位置づけているわけであります。したがって、今後、紀南、紀中を含めて最終処分場や環境廃棄物処理センターをつくっていくとするならば、大変な作業であります。しかし、それをしていかなければならない。そして、公共が関与していかなければならないという法律の義務づけの中で、少なくとも住民合意が得られ、住民合意の中で廃棄物処理センターや最終処分場をつくっていかなければならない命題に対しては、県としてもこれを建設するための準備室ぐらいつくっていかんことにはできないんです。総務部長、それぐらいの力が要ります。橋本や新宮などいろんな問題での後追い政治に終わるだけでなく、法律の規定に基づいてもっと前向いてやっていかなければならない。
 総務部長、県自身が具体的にどのようにしていくべきかとなると、これは人と組織をつくらなければできませんよ。そういう意味でも、国が閣僚会議を開くんですから、県としても環境生活部だけの問題ではなくて、少なくとも知事並びに副知事が先頭になってきちっと対策室をつくっていくなりしていかないと実現は不可能だと思いますので、その点を強く要望しておきたいと思います。
 しかも、この廃棄物処理センター並びに最終処分場については、先ほども答弁がありましたけれども、国が金も出しましょう、すべてやりましょう、やってくださいと。今までは排出者責任だったけれども、公共が関与しなさい、公共が関与したら国も金を出しますよと、この六法案の中でそこまで決めたわけです。それについても、積極的に対応していただきたいと思います。
 以上で、再質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 原議員の再質問にお答えを申し上げます。
 まず、実証園の再評価についてでございます。
 これまで、地域梅対策協議会と連携をしてこの実証園を設けたところでございますけれども、そういうことから随時実態調査を行ってはきてございます。ただ、議員ご指摘のような部分もございますので、今後とも農業改良普及センターを中心に、関係者と連携を図りながら早い時期に調査を行いまして、その内容を十分に検討、精査をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、ご提言のございました現地における農家を初め関係者との交流の促進でございますが、一例としては田辺市に設置された梅振興室と県との連携につきまして、今後より一層きめ細かな対応をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
  〔傍聴席で発言する者あり〕
○議長(下川俊樹君) 先ほどご注意申し上げましたとおり、それをご理解していただいてございませんのでしたら、ご退席をお願いしたいと思います。
 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 梅の生育不良の問題はずっと解明されていないという立場でございますので、いまだ解明する上での未知数の問題がたくさんある、そのメカニズムが明らかでないということであります。しかし、私たちはあらゆる英知を集めていかなければならない。
 本来、農家が栽培のプロであります。したがって、私たちが過ちを犯してはならないのは、研究者はあくまでもコーチであって、コーチは栽培者のプロに学ぶ、共同していくという考えに立たないといけないと思います。研究者はあくまでも研究者であり、コーチであります。栽培のプロは農家であります。その観点を忘れないで、今後原因解明を貫いていく姿勢に県当局は立っていただきたいことを最後にお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行わせていただきます。
 まず、和歌山県の財政健全化政策についてお聞きしたいと思います。
 本県の財政事情の悪化に対応するために昨年八月に財政運営プログラムが作成されまして、それを具体化した財政プログラム第二部として目標数値が設定されたところであります。議会冒頭の知事の説明にもあったように、この計画は県の財政破綻をどう健全化していくかという重要な内容を持ったものと考えられるわけです。財政健全化とは、少し極端に言いますと歳出を削り歳入をふやすということに尽きてまいります。その方法いかんによっては、地方自治体の本来の使命である県民福祉の向上に真っ向から逆行する可能性も持つものであります。したがって、その目標設定とその執行は慎重に、県民福祉の向上を図りながら、むだなもの、急がなくてもいいものを大胆に整理しながら行わなければなりません。それには、何よりもかかる財政困難を生み出した原因を真剣に考えて、同じ轍を踏まないという真剣さが求められるところであります。
 ついては、掲げられた方針の幾つかについて質問をいたします。
 まず一番目に、県レベルの財政事情の悪化は本県のみではなくて全国的状況であることからもわかるように、これは国の政策と連動して起こってきていることは明らかであります。それは、基本的には国と地方の財政力を無視した公共投資政策であり、直接的には不況対策、経済対策への呼応によっていると考えられます。国と地方の関係の中で地方の主体性を貫くということは、それ自体困難なことでもあるのでしょうが、そういうことも含め、このような事態に陥ったことについてどのような反省を持たれていますか、まずお聞きしたいと思います。
 次に各論に移りますが、最初に挙げられた課題の人件費、職員定数を削減することについて、知事部局で百人、教育委員会関係で五百人を削減するという方針であります。教育関係の削減が児童生徒の減少に対応して削減するという方針になっているところですが、私は従来三十人学級を提唱してきた立場から、この方針に対しては大きな疑問を持つものであります。現在の学校教育のさまざまな困難を考えれば、生徒が減るからその減少に比例して自動的に削減していくという計画は、今後、学校教育の中での困難を克服し、新たに学校教育の成果を上げていくことと大きく矛盾するのではないかと危惧するところであります。ここでは、柔軟かつ積極的な対応が求められるところではないかと思います。いかがでございましょうか。
 教育関係での削減と言えば、財政的な問題も含めて、同和加配教員の漸減がまず考えられてしかるべきだと思います。現在、同和加配教員は、国庫負担で百四十四人、県単で百四十人、合計二百八十四人が配置され、それにかかわる人件費等は約二十六億円と推定されます。同和加配教員制度を廃止すべき理由等は既にここで幾度も述べてまいりましたので、その歴史的任務は終了しているとだけ述べるにとどめますが、行政内部における努力による歳出削減目標が二十億円程度とされていることを考えると、その目標を十分上回ることになります。四十人学級が生み出す矛盾が多く発生している現状を考えると、子供が減るから教員を減らすという単純かつ消極的な発想から脱却して、この分野にこそ注目すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、一般会計から他会計への繰出金の適正化について、特に県立医科大学が名指しされてその適正化がうたわれているところであります。単にここに繰出金が大きいというだけで問題視するのは、医科大学の特性を考えると大変危険ではないかと思います。県立医科大学附属病院は、医学研究とともに和歌山県の医療技術と医療サービスの最先端のモデルであります。民間医療機関と同じレベルで考えられないのは当然ですし、そもそも病院経営が全国的に困難になっている大きな原因は国の医療制度の問題が根幹にあるわけですから、そこをもっと重視する視点が前提にあってしかるべきでしょう。もちろん合理的運営がなされるべきは当然ですが、働く現場としてはさまざまな問題、矛盾が持たれています。ベッドの回転率を上げるための工夫のし過ぎは、入院患者への必要なサービスの低下を招きかねません。医大病院から自宅療養になった数日後に死亡した患者を私は間近にしたこともあります。さまざまな業務改善は当然必要でしょうが、看護婦などの勤務条件を著しく厳しくする方向は好ましくありません。今でも、年休は半分もとれないとか、生理休暇などは論外だという状況にあるようです。患者に対するゆとりある看護と笑顔が労働条件によって消されることのないようにしなければなりません。合理的な改善は当然あってしかるべきです。ただ、それが経費節減、労働効率の向上に大きな比重が置かれたとき、医科大学が持っている本来の使命、医科大学附属病院を建設した本来の意味が失われてまいります。医学研究の環境としても、医療の環境としても、そしてそこに従事する職員の労働環境としても、高度なものが保障されることが重要だと思います。それが損なわれるようなことがあってはならないと思いますが、いかがでしょうか。
 次に経常的経費の見直しについてですが、ここでは特に県民の声を十分に聞き取り、納得を得た推進姿勢が必要だと思います。特に長年にわたり制度が固定化されて、その経費が義務化しているような県単補助事業には積極的な見直しを行うとありますが、その補助を得ることによって成り立っている事業もあるわけですから、そこは慎重に対応しなければならないと思います。上意下達式の推進は行政に対する県民の信頼をなくします。必要でない補助事業は、私どもの目から見ても多々あります。歴史的な任務を終えたと思える同和事業などもその範疇に入るでしょう。むだなものをカットすることに異を唱えるものではありませんが、この経常的経費の見直しという分野は県民の生活に多方面に深くかかわっているところです。そして、県民の直接的な要望もくみ上げてきた分野でもあります。そのためには費用対効果の判定を行うともありますが、科学的方策と同時に、そこに反映されない県民の心情等もよく勘案されて施策されるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、公共事業についてです。
 プログラムは、公共事業についてもシーリング制を導入し、国への概算要求段階からの事業効果や緊急性について精査し云々とあります。それ自体当然のことでしょうが、この公共事業と土木関係の地方単独事業が国の経済対策等との関係で財政事情を無視して進められてきたところであります。六千四百億円を超える県債残高を抱え、今後長期にわたって七百億円を超える公債費に悩まなければならなくなった主要な原因がここにあります。むだな公共事業は本当にないか、むだと言えなくともそれに近いものはないか、とりたてて慌てなくてもいいもの、財政事情が好転してから取りかかってもよいものはないか、ここを見きわめなければ従前の二の舞になります。今年度の予算編成方針にも、国の経済対策に呼応するという姿勢がベースにあります。この姿勢がある以上、ここに流される懸念が払拭できません。この点をどう考えられていますか。年度別削減計画を見ても、投資的経費の削減はもっとあってしかるべきだろうと思われるところです。
 また、ビッグプロジェクトについても同様の趣旨が述べられていますが、同意するとともに同じ懸念を抱くものであります。ついては、今当局が考えているビッグプロジェクトは、進行中のもの、計画段階のものがあろうと思いますが、それぞれどのように評価されるのでしょうか。むだなものはないと言われるとは思いますが、当面は棚上げにするもの、特に急がなくてもよいと考えているものはどのような事業ですか、明らかにしてください。
 次に、歳入の増加を図る方策としての外形標準課税についてお聞きしたいと思います。
 東京都の新税導入問題をきっかけに全国知事会等で全国一律導入を求めているようでありますが、現に和歌山県も予算要求の中に国に対してその実現方を要望しているところであります。これに対して私は、はっきり異議がございます。外形標準課税をすべての企業に一律に導入したらどういうことになるか、実際には黒字でも経営操作によって赤字にしている大企業と、本当に赤字になっている中小企業とを同じように扱うということにもなりかねません。今、法人企業の六割は赤字ですが、その大半は中小企業です。こういう中小企業が、もうかってもいないのに工場面積や人件費などを基準に課税されたら、ますますやっていけなくなってまいります。たとえ黒字の場合でも、中小企業に対する税負担は極めて大きいものになることは明らかです。地方税財源を充実させていくことは極めて大事なことです。地方分権一括法を成立させながら、地方の果たすべき役割にふさわしい税源移譲措置をとらない国のやり方は極めて遺憾です。これらの措置を強く求め、地方交付税率の引き上げを求め、その総額の安定的確保を図っていくことにさらなる努力をされるべきではないでしょうか。そのような方向にこそ力を注ぎ、外形標準課税の導入を求めるようなことはすべきではないと思いますが、いかがですか。
 次に、財政運営プログラムは総体的に見て多くの困難を抱えていることがうかがえます。たとえ削減予定額が成功しても、歳入がふえるかどうかは全く定かではありません。担当課の苦労は多としつつも、大きな不安を抱くものです。県財政の中期展望の試算と年度別削減計画の数字とが必ずしも整合性を持っていると言える状態でもありません。例えば、平成十五年度で収支の差をゼロにするという目標ですが、その年度においてすら三十五億円の要調整額を予定しています。基金残高があれば何とかなるでしょうが、十四年からはそれも多くは見込めないという予測です。もしそれを埋めるものが出てくれば幸いですが、なければ破綻です。薄氷を踏む計画だという思いがいたします。全体としてその計画の可能性をどのように考えておられますか、お示しください。
 運営プログラムについてはいろいろお聞きしたい点がまだございますが、とりあえず以上をお聞きします。
 大きな二番目として、包括外部監査の結果とそれを今後にどう生かすかという点についてお聞きいたします。
 平成十一年度の包括外部監査の結果に関する報告書が本年三月末に提出されているところですが、当局の皆さんもごらんになっていると思います。監査の目的は、当該年度を振り返り、業務の執行状況を点検し、そこに成果と欠陥を見出し、誤りを正し、教訓を明らかにし、次年度からの事業に資することが目的であります。
 ついては、この外部監査の結果全体として、当局はどのようなことを教訓として学ばれましたか。次年度からの事業に何をどのように生かしていこうと考えておられるか、お示しいただきたいと思います。
 監査対象が多岐にわたっておりますから個々の問題は別にして、このような監査制度ができたこと、その監査の意義等をどのように感じておられるか、総括的にお示しいただきたいと思います。
 幾つかの具体的な問題について、当局の見解をお聞きいたします。
 まず、ビッグホエールについてであります。
 私は、このビッグホエールは莫大な建設費とともに巨額の運営経費がかかるであろうことを予測し、あえて大きな借金をしてまで今建設する必要はないと主張してまいったところであります。しかし既に供用されているところですから、そのこと自体をとやかく言っても仕方のないことでしょうが、実際予測したような傾向をたどっていることは大変残念なことだと思います。監査対象になった年度は百五十五日の利用があったとされています。利用率五一%ということですが、三百六十五日で割れば四二%の利用率です。百五十五日の三分の一は仕込み等に充てられている日数であります。この利用率が当初の計画を上回っているそうですが、それは計画があえて低い利用予測を当てていることが問題だと思われます。月のうち利用日数が十日以下という月が四カ月あります。全体として利用状況は不安定なものです。その結果でしょうか、収支のアンバランスは大きく、マイナス二億七千八百万円となっており、県財政の大きな負担になっています。それに加えて支払い利息が六億五千九百万円ですから、財政困難の一因をつくり出しているものとの念を禁じ得ません。県民の需要にこたえる施設に少々収支の差が生まれるのは当然ですが、今考えても、ないよりあった方がよいという水準のものではないかと感ずる次第です。外部監査の評価をどのように受けとめておられますか。今後この施設の利用を高める方途をどう考えているか、具体的な考えがあればお示しいただきたいと思います。
 次に、コスモパーク加太についてお聞きいたします。
 この問題については、さまざまな角度から今までにいろいろ議論され、昨日も質疑があったところですが、包括外部監査が改めて幾つかの問題点を指摘し、その解決を促しているところであります。問題点として指摘されている四点について当局の見解を伺いたいと思います。
 まず、和歌山市及び和歌山市の公社持ち分相当額についての清算が急がれていますが、これについての見解を聞かせてください。既に協議はされていると聞きますが、その見通しはいかがなものですか。
 次に、加太開発整備の収支における計算上の利息についての問題です。今後十年間で三十三億円の利息を見込んでおるところですが、市中金利の上昇の可能性を見込むべきだとして、それが一%上昇するだけでも利息負担が二十二億円アップすると警告しています。当局の方もそのくらいのことは当然予測はされているでしょうが、少なくとも現在の方針上は指摘されるとおりだろうと思います。売却すべき土地の価格がさらに高くなり、売却がさらに困難になる可能性があるわけですが、そのような事態をどのように予測し対応されようとしていますか。
 さらに、加太開発の事業の可能性についても、その採算は宅地の処分収入にかかっているとして、平方メートル当たり七万一千円は甘いのではないかという指摘がされているところであります。そして、事業計画の見直しによる事業費低減の検討、利息低減のための資金調達の検討、開発地域の価値を上げるための環境整備の検討を早急に実施し、その施策を実行しないと当該事業の採算は見込めないと言わざるを得ないと、相当厳しい評価を下しているところであります。このような外部監査からの意見を得て、当局並びに開発公社はどのような検討を開始されていますか。
 また、幾つかの進出企業等も今までにも話がありましたが、進捗したという話は一向に聞きません。現段階でいかがなっておりますか。
 以上、包括外部監査関係についてお尋ねをする次第です。
 続いて、予算編成方針を県民にも明らかな形で提示していただきたいという趣旨で質問をいたします。
 私は、最近三年間の予算編成方針を読ませていただきました。ところが、この短い簡単な文書では翌年度どのような行政が行われるのか全く想像がつきません。もともとこの文書は庁内の各部局あてに作成されたものであって、直接県民に向けられたものではありません。したがって、素人にはわからないのは当然なのかもわかりませんが、本来、予算編成方針自体を県民の目にさらし、予算編成までに県民の意見を反映する努力があってしかるべきだろうと思います。特に財政健全化プログラムは、今後多方面で歳出の削減をうたっているところでありますから、予算ができ上がるまで県民にはどんな予算になるのかわからないというのは全く不安な話であります。予算編成期に住民参加が保障されるということが大変大事になっていると思います。もちろん、予算編成方針は予算書ではありませんから、ある程度の抽象性は免れません。それは仕方がないことでしょうが、予算編成に県民参加を保障できるところまで可能な限り具体性を持たせることが必要であろうと思いますが、いかがでしょうか。また、そのためには知事の政治姿勢がはっきりとあらわれるようにすることが大事だと思います。予算編成の基本的な考え方とか、基本方針とかにそれがあらわれるところですが、抽象的な言葉が並んでいるだけで、担当課が見ればわかるのかもわかりませんが、素人にはわかりません。知事が作成した文書というよりも、財政課の作成した文書のような気がしてなりません。わかることはどの程度のシーリングがかかっているのかぐらいで、知事がどのような事業をやろうとしているのか、ほとんどわからないのが実態です。
 昨年度でしたか、大阪ではこの予算編成期に、高校授業料とか入学料金とかをどうするかで当局と府民との間に大きな議論が起こっていました。結局当局が折れて府民の要望が通ったわけですが、この結果の評価がどうであれ、予算編成期に和歌山県においてこのような県民的議論ができるということは、地方自治体にとっては大変望ましいことであろうと思います。我々議員にとっても、予算議会が始まった当日にその予算書が配付され、十日後には審議が開始されなければならず、それをもって県民各層の意見をお聞きしながら審議するというのは非常に困難なことであります。
 そういう意味からも、予算編成方針に知事の基本方針と可能な限りの具体的政策を提示していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
 最後に、雑賀崎埋め立てに関係して、昨年行われた費用対効果の概括的な内容について再度お尋ねをいたします。
 この費用対効果の算出は、運輸省の唐突な指示により県当局が慌てて試算したとされるものですが、それによりますと費用を約五百億円と見込み、社会的割引率を四%として三百五十億円と設定しています。便益については、社会的割引率を考慮して七百億円と設定し、便益を費用で割って費用対効果は約二と置いたものでした。すなわち、便益は費用の二倍に及ぶと算定されているところであります。しかし、それぞれの数値は概数であり、算出された費用対効果の分析結果も厳密なものではありません。それはやむを得ないことであり、当局の突然の苦労に同情を禁じ得ないところであります。したがって、当局の言うように、これはあくまでも参考値として受け取らせていただきますが、しかしそれにもかかわらず納得がいかないことがありますので、昨年九月に引き続きお尋ねをするわけです。
 まず費用の部分ですが、岸壁、護岸、しゅんせつ、道路、緑地、用地造成等で五百円と算出されていますが、それぞれがほぼ幾らと算定されていますか。その算定根拠をお示しください。概算であるということは重々承知していますから細かいことは言いません。概算を導き出した概数と計算式をお示しいただきたいと思います。
 また、便益については、岸壁が整備された場合の陸上輸送コストの削減効果三百八十億円、廃棄物処理活用地が整備された場合の建設残土、しゅんせつ土砂の輸送コストの削減効果百九十億円、土地の残存価値等百三十億円が挙げられていますが、それぞれの値を導き出した基礎数値と計算式を示してください。
 概算は概算なりにそれを導き出す基礎的な数字があるはずですが、それがなかなか明らかにならないところにさまざまな憶測も生まれ、疑義も生まれているところです。当局が示した便益が費用の二倍であるという計算結果は、当時新聞等でも大きく報じられました。関心を持っていた一部の方々は、その数字に雑賀崎埋立事業の行政効果、あるいはその事業の正当性を感じました。しかし、その数値の算出の根拠を尋ねて回答を得られなかった人々はかえって疑義を深めました。当局が恣意的な数値を挿入することによって費用対効果二倍という数値を導き出したのではないかという新しい疑問が生まれるわけです。費用対効果が二であるとした発表は、行政側にとってある種のプラスの政治的効果を生んだことは確かです。発表した当局自身にその意図があったのではありませんか。なかったとすれば、提起された疑問に積極的に回答すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 以上で、第一問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 予算編成方針についてでありますが、予算編成方針は予算編成に当たっての部局横断的な対応方針を示したものでありまして、お尋ねの私の政策や施策につきましては、予算要求前に各部局長からヒアリングを行いまして方針を指示しておるところでございます。原則として、二十一世紀初頭を展望した長期総合計画わかやま二十一世紀計画の計画に沿って故郷(くに)づくりを進めているところであります。毎年毎年の予算編成に当たっても、本計画を基本として予算編成過程において見込み得る歳入額を勘案しながら、各施策についての優先度、緊急性を踏まえて財源配分を行い、県民福祉の向上に努めているところであります。
 なお、県民生活に直結する施策について大幅な見直しを行う場合には、従前から配意してきたところでございますけれども、予算編成時までに十分議論を深める必要があると考えてございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、財政運営プログラムについての六つのご質問に順次お答えをいたします。
 まず財政悪化の原因に関してでございますが、本県の財政状況は平成十二年度末で県債残高が六千四百億円と見込まれるなど、確かに大変厳しい状況にあります。これは、主として引き続く経済の低迷等により税収が伸び悩む一方で、県債に依存しながら数次の景気対策を実施してきたためでありますが、マイナス成長からの脱却を図るため、国、地方を挙げての機動的な財政発動が強く求められていたところであり、本県としてそのような状況を踏まえ、適切に対処してきたところであります。今後は、策定いたしました財政運営プログラムに基づき、健全化期間を通じて景気に配意しつつ、段階的に歳出削減に取り組むことにより、中長期的な財政運営の安定を図ってまいりたいと考えております。
 次に、県立医科大学附属病院への繰出金についてでございますが、同病院は昨年五月に長年の懸案でありました移転整備を完了させ、その機能の充実を図ったところであります。これに伴いまして、公債費の償還や病院の運営経費が増大し、一般会計から多額の繰り出しを行わなければならなくなっております。したがいまして、職員のコスト意識の徹底等を取り入れた経営改善計画を策定し、なお一層の効率的運営に努めてまいりたいと考えてございます。
 なお、県民から求められている医療サービスに対しましては、病院全体での一層の努力により、医療水準の維持向上等を目指して取り組んでまいりたいと考えてございます。
 四番目の項目の経常的経費の見直しについてでございます。
 今後、事務事業全般にわたる見直しは避けられないところでありますが、県単補助事業の見直しに当たりましては、従来にも増して県民の皆様の意向を十分にお聞きしながら取り組んでまいりたいと考えております。
 第五番目に投資的経費の見直しについてでありますが、平成十三年度には公共事業についても新たにシーリング制を導入し、緊急性、必要性の高い事業への重点的、効率的な財源配分をさらに徹底しながら取り組んでまいりたいと考えてございます。また、財政運営プログラムIIにおいては、大規模事業につきまして、平成十二年度当初予算時までに着手済みのものや実施の意思決定を行ったものを見込んでいるところでございます。
 なお、今後の国の景気対策への対応につきましては、以上のような考え方を基本としつつ、財源措置や景気動向等を総合的に勘案しながら対応方針を決めていくことになると考えております。
 六番目の外形標準課税についてでございます。
 外形標準課税は、増税を目的としたものではなく、行政サービスに対する応益課税としての事業税の性格を明確にすることができるもので、景気に左右されにくく、地方分権を支える安定的な地方税源の確保を図るものと考えております。今月半ばに政府税制調査会の中期答申がまとめられる予定でございまして、その中で全国一律の早期導入が提言されると聞いております。その導入に際しましては、中小企業への配慮が必要であると考えており、国に要望しているところでございます。
 次に、国からの税源移譲や地方交付税の増額についてでございますが、地方分権推進のためには地方財政基盤の充実が不可欠であり、国と地方の税源配分の見直しによる抜本的な地方税の充実策を要望してまいるとともに、交付税率の引き上げ等による地方交付税の総額の安定確保を国に対して強く要望してまいりたいと考えてございます。
 第七の項目の今後の歳入動向についてでありますが、財政運営プログラムIIにおいては一定の前提のもとに推計したものでありますので、今後の経済情勢等により実際の歳入額が見込額を下回る結果となる可能性は否定できませんが、プログラムにおける歳入一般財源の伸び率は一%程度であり、制度的な要因を別とすれば実績がこれを大幅に下回ることはないものと考えております。
 続きまして、包括外部監査についてのご質問にお答えをいたします。
 平成十一年度の包括外部監査は、文化振興財団と十一の公共施設の運営、管理状況、並びに土地開発公社、住宅供給公社を対象に、収支状況や利用状況、管理運営の効率性、法令等に対する適合性、保有土地の含み損益等の観点から実施されたものでございます。
 その報告書においては、まず施設の管理運営のみを行っており、利用促進のための積極的な活動が余り見受けられない、利用者の立場に立った運営がなされていない、土地開発公社につきましては、地価の下落傾向が続く中で、事業を迅速に進めないと含み損が増加する可能性がある等の点が報告されております。
 以上のような監査結果は、民間の方々からの厳しい視点から職員の経営感覚やコスト意識の低さを指摘されたものであり、県といたしましてもこれを重く受けとめ、ご指摘のありました項目につきましては所管課を中心に速やかに改善策を講じるとともに、全庁的にその趣旨の徹底を図ってまいりたいと考えております。
 最後に予算編成方針に関しまして、予算編成過程に住民参加をということについてでございます。
 予算編成に当たっては、日ごろの行政活動を通じて県民の皆様方の意向を十分踏まえた上で予算要求がなされ、予算編成過程を通じて最終的な予算を編成しているところでございます。したがいまして、従来より県民の皆様方の意向を踏まえて予算編成に取り組んでいるところでございますが、今後とも一層努力をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 知事公室長大平勝之君。
  〔大平勝之君、登壇〕
○知事公室長(大平勝之君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 包括外部監査についてのご質問のうち、ビッグホエールについてであります。
 和歌山ビッグホエールは、平成九年七月二十日の開館以来、これまでに県主催では県民参加のオープニングイベント・銀色クジラの時間旅行、わかやま産業博覧会、CIOFFアジアこどもフェスティバルin和歌山、福祉のまちづくりフェスタ99など大規模なイベントを開催してまいりました。また、それ以外におきましても数多くの催し物が開催され、平成十二年三月末までに延べ八十二万人の方々にご来場をいただいているところでございます。
 本施設は、本県のスポーツや教育、文化水準の向上、地場産業の振興を図ることを目的として設置しておりますが、可能な限り収支の均衡を図ることが重要であると考え、利用率の向上や経費節減に努めてきたところでございます。
 なお、外部監査につきましては、早期に取り組めるものは既に改善したところでございますが、利用促進を初め、その他の指摘事項に関しましては、今後とも文化振興財団と協議をしながら具体的な取り組みについて検討してまいることとしてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 包括外部監査についてのうち、コスモパーク加太関連に関してお答え申し上げます。
 まず一点目の、県土地開発公社の事業費に対する和歌山市の負担についてでございますが、県、和歌山市及び県土地開発公社の三者で構成する加太地域開発整備推進協議会の中で和歌山市の理解をいただけるよう引き続き協議を続けてまいります。
 次に、加太開発整備の収支における民間金融機関からの県土地開発公社の借入金に対する利息についてでございますが、現在の借入利率は過去と比べて低い水準にあり、引き続き利息の軽減に努めることは当然のことでございますが、今後の借入利率の上昇を見込んだ上での対応が必要と考えてございます。
 また、事業施行後の土地価格を初め事業採算性の問題につきましては、既に県土地開発公社とともに検討を進めているところでございますが、このたびの包括外部監査のご意見にありましたとおり、本事業の採算性確保のためには、これらの課題の解決と計画地域の価値を高める方策が不可欠と考えておりますので、引き続き努力を重ねてまいります。
 また、企業等の進出につきましては、現在数件の交渉を継続して行っており、今後とも積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) ご質問の費用対効果につきましては、昨年の九月議会でも回答させていただきましたが、運輸省より港湾整備事業の費用対効果分析マニュアルが出されましたので、詳細な調査、設計等がなされていない計画段階の概算ではございますが、このマニュアルに基づき、参考値として費用対効果を試算いたしました。
 まず費用でございますが、費用として見込む対象事業の範囲を設定の上、岸壁五百六十メーター、護岸二千百二十メーター、緑地七ヘクタール、埠頭用地三十四ヘクタールや港湾関連用地二十六ヘクタールの用地造成費などを、それぞれについて過去の港湾工事の実績を参考にして約四百億円と推計しております。さらに、臨港道路西浜線など埋め立て計画に関連して必要となる事業費を約百億円と推計し、費用は合わせて約五百億円となり、これを現在価値に換算するため、社会的割引率四%を考慮して約三百五十億円と見込みました。
 次に便益については、水深十四メーター岸壁ができることにより、他の港湾から和歌山下津港に転換できることによる貨物輸送コストの削減効果、また建設残土やしゅんせつ土砂を埋立地に入れることによる処分コストの削減効果、さらに供用期間終了後も残る土地の価値を見込み、その総和を費用の場合と同様に社会的割引率四%を考慮して現在価値に換算すると、約七百億円となります。その結果、便益が費用の二倍程度になると見込んでおります。
 いずれにいたしましても、この費用対効果分析につきましては、あくまでも計画段階における概算値を用いて参考値として出したものであります。今後、土質調査や構造物の設計、さらに景観に配慮した緑地や護岸の検討などを踏まえ、事業実施に向けて精査の上、その結果を公表してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 財政運営プログラムに関連して、教職員定数についてお答えいたします。
 教職員の定数は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律により、児童生徒数に伴う学級数に基づき算定することとなっております。したがって、この法律に沿って対応しているところであり、児童生徒数の減少に伴い教職員定数も減少することとなります。
 お話のありました同和教育加配教員につきましては、同和教育上の課題を解決するため、他のさまざまな施策とともに実施してきたものであります。その結果、学力の向上や同和問題に対する認識を深めることなど、多くの面で成果を上げてきております。しかしながら、学習状況調査、校区に同和地区を含む学校の状況調査、県民意識調査の結果や今なお差別事象が起こっていることなどから、学校教育において取り組むべき多くの課題が残されており、同和教育加配教員の果たす役割は重要であると考えております。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 最初に、第一問の際に、雑賀崎埋め立てに関する部分で「五百億円」と言うべきところ、「五百円」と一部言ったようですので、それは訂正いたします。
 まず、総務部長に再質問いたします。
 現在の財政が大変困難になってきたと。今の困難な財政事情をつくり出してきたのは税収不足や不況対策等が原因してきているというところまでは我々も一致するところなんですが、その次に、本県としてはそのような事情を踏まえて適切な対応をしてきたとおっしゃられました。適切な対応をしておってこれだけの大きな債務ができてくるというのは、これは矛盾ではないですか。こういうのは適切な対応だと、私は同意するわけにはいきません。明らかに、和歌山県として財政事情等を十分に考えないで過大な投資が行われた問題であると、そういう反省もぜひしていただきたいと思うんです。何もかも適切だったけれども財政困難に陥りましたというのは、到底納得いく話ではないわけです。
 やむを得なかったという国との関係の事情もわからないわけではありませんけれども、和歌山県の主体性がどのように発揮されるかといういうことは地方自治体としても最大の問題でありますから、そういう点での振り返りが必要ではないかと思います。それが第一点です。
 それから、医大の問題です。
 繰出金の問題は、別に医大だけに限っている問題ではありませんで、全般にわたっている問題なんです。特に名前が挙がっておりましたので取り上げたわけですが、医大で公債費の償還や運営費がふえ、一般会計から多額の繰出金を行わなければならなくなっているのは事実です。しかし、これは何も職員のコスト意識や非効率的な運営からそういうふうになったわけではないわけですから、問題をそこへ還元していくのは少し問題があるのではないかと思います。もちろん、常識から外れたコスト意識や非効率的な運営があるというのであれば、これは当然改善されてしかるべきですから大いにやっていただいたらいいと思うんですが、先ほど第一問で例示させていただきましたように、働く現場ではさまざまな矛盾を既に抱えているわけですね。そこで働く人々は命を預かっており、患者さん方の将来にも影響を与える大変大きな仕事をされているところです。単に効率だとかコスト意識だけで考えられないヒューマンなものがそこには求められるわけです。
 財政課としてはどこでこの金をひねり出そうかということで必死であろうと思うんですが、そこでは附属病院という仕事の特殊性に十分思いをはせるべきだと思うわけです。ベッドの回転率の問題だとか、看護婦の年休等とかいろいろ例を挙げましたけれども、なかなか現場ではゆとりを感じさせられるような状況ではないわけです。そういう点は今後ともさらに改善をしなければならないということも考えられますので、財政上の矛盾をそちらの方へしわ寄せをされないように特にお願いをしたいと思います。これは、要望にとどめます。
 もう一つ、総務部長に対して。
 国の景気対策への対応については、プログラムに示された基本として財源措置や景気動向等を総合的に勘案しながら対応方針を決めていくと申されました。この水準の答弁であれば、今までと同じだと思うんです。何ら変わりはないわけです。プログラムを策定して、公共投資、景気対策にどういうふうな姿勢で新たに臨んでいくのかという、そこに変化がなければならないと思うんですが、そこが見えないんですね。一番財政難をつくり出してきたきっかけになっているところで従前と変わらない基本姿勢がそのまま続いているのではないかという懸念がいたします。そういう点はどういうふうにお考えでしょうか。ご答弁をいただきたいと思います。
 それから、土木部長に再質問をいたします。
 今いただきました答弁は、従前からいただいている答弁と全く同じでございまして、私がお尋ねをしたところがほとんど答えられておりません。
 私がお尋ねしたのは、既に発表されている数字がどういう根拠を持って出されているのかということなんです。例えば、費用が岸壁で幾ら要ると算定したのか、護岸で幾ら要ると算定したのか、しゅんせつではどうなのか、こういうところが全然明らかにされないんですね。例えば岸壁だったら、今までの経験でやるんだったらメートル当たりというんですか、キロ当たりというんですか、それはわかりませんが、従来だったら何がしかが要ったから、何メートル掛ける何ぼで幾らになりますと、それを足したら五百億になりますと、こういうような答えが欲しいんですよ。それが全く出ないんですね。いや、私の質問で出してくれれば、それはそれでいいんです。
 そういうことで、費用の問題もそうですし、便益の方でもそうですね。便益などについては、私ども素人では特にわかりにくい問題がありますから、そこは親切に出してほしいと思うんです。例えば、陸上輸送コストの削減効果が三百八十億円だと言われておるんですけれども、どうして三百八十億円になるのかという、この計算式を教えてくださいと言っているわけです。でないと、なぜそういう算定をされたのかというのがわからんのですね。
 概算は概算でいいんです。実際にこれからやることになると、予測されない問題もたくさん出てくるでしょうし、設計もされていないんですから、概算は概算でいいんですよ。いいんですが、そういうふうに数字が出されていますので、それに対する裏づけの数字をどういうふうにしておったのかというそれを出してくださいと。前の議会でも明らかになりませんでしたので、その間、当局の皆さんとの話の中でも求めてきたんですけれども、それが出てこないんですね。それをぜひ出してください。
 土木部長への再質問は以上です。
 予算編成方針について、要望だけさせていただきます。
 予算編成方針というのは、今、知事並びに当局の皆さんがお答えになった面については私は理解しているつもりです。ただ、知事にも申し上げたいんですけれども、来年度はこういうふうな予算で自分たちはやっていきたいんだという政策的方針について県民にわかるような形で予算編成期に提示をしてほしいと、そうして県民の皆さんが知事は来年度はこういうような予算編成をしていきたいということを言っているぞと、それに対してどういう意見を持つかということで、住民参加の議論の場を提供できるような編成方針をつくっていただきたいと思うんです。従前のが非常に抽象的でわかりにくいです。政策的に一つ一つが確定したものではありません。確定すればそれは予算になるわけですから、それは求めませんが、こういうふうにしてやっていきたいんだという思いが県民に伝わるようにしていただきたいと思います。
 予算編成段階における住民参加というものが、もう少し和歌山県ではいろいろと議論されてしかるべきではないか、県民参加への道をどう開くかというあたりが議論される必要があるのではないかということで今回はこの問題を提起させていただきましたが、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 次に、教育委員会へ要望を申し上げます。
 児童生徒数が減るから法律に沿って自動的に減らすという趣旨が教育長の答弁なんですが、これは大変消極的な話だと思うんですね。今、学校教育の現状と課題というのは極めて深刻なものになっておって、教育課題は新たにたくさんふえてきていると思うんですよ。教育委員会としては、当然一人でも教員が欲しいと思っておられると思いますけれども、しかし財政が許さないという前提があって、生徒が減るから自動的に教員も減らしていくという格好になっているわけです。それは、明らかに積極性がないと思います。たとえ困難な財政の中でもやっぱりやるべきことはやると。一般財政の中で全体でやっているわけですから、教育委員会だけがそんなに遠慮する必要はないんですよ。必要なところは必要だと主張してくださいよ。自動的に生徒が減るからということでは、私は納得ができません。
 生徒が減っていくけれども全面的に一人も減らすなと、そういうことは言いませんよ。言いませんが、そういう姿勢で臨んでいただきたいと思いますし、財政当局も教育面は一般行政並みという形で見るのではなくて、教育は百年先を見込んだ仕事でありますから、そういう思いでこの問題に対しては対応していただきたい、そうすべきであろうと思うわけです。もっとしっかり頑張ってください。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 再質問にお答えいたします。
 まず財政悪化の原因についてでございますけれども、財政状況の見通しについてこのような厳しい状況となっていることについては重く受けとめているところでございますが、先ほども申し上げましたように、景気回復を図るために国と地方を挙げての機動的な対応が求められております。そのような中で、地方に求められた役割を果たしたものであると考えております。
 次に、景気対策があった場合の本県の対応についてでございます。 今後のことでございますけれども、先ほど申し上げましたように、本県の経済情勢や県の財政負担を十分に見きわめるとともに、従前以上に事業の緊急性等を精査しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 再質問にお答えいたします。
 先ほども答弁させていただいたとおり、費用については地質調査などの諸調査を行っていない計画段階での概算であり、便益につきましても計画段階の値であるため、現在の費用対効果の値はあくまで参考値としてご理解を願いたいと思います。
 費用と便益の内訳は、今後詳細な調査を行った上で、費用対効果分析結果として一括して取りまとめた上で公表させていただきたいと考えております。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十四番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 土木部長に再々質問をいたします。
 参考値であるということは、わかっております。ただ、なぜその概数の根拠になった数字が出ないんですか。それだけ答えてください。
 それが出なかったら、二という数字、結論を得るための──まず結論があって、後から数字をはめ込んだのと違うかという思いがいたします。なぜですか。なぜ明らかにならないんですか。言ってください。
○議長(下川俊樹君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 再々質問にお答えいたします。
 この件につきましては、費用対効果の値が意味を持つものだと考えておりまして、費用対効果結果として一括して取りまとめた上で、その内訳については、その後公表させていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後零時四分休憩
     ─────────────────────
  午後一時五分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 六番堀本隆男君。
  〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 議長のお許しを得て、順次一般質問に入らせていただきます。
 さて、衆議院議員選挙が終わり、二十一世紀の日本づくりがいよいよ始まります。そして、世界全体の進歩と発展を願って開催される沖縄サミットがぜひ成功するよう、国民の一人として祈る次第であります。
 紀南に住み、政治活動を志して十四年余、今ようやく温かい政治の光を感じ、将来の明るさが感じ取れるようになりました。高速道路が南伸し、白浜インターまでの施行命令とフラワーライン構想に着手されました。また、南紀白浜空港の滑走路の延長と一日三往復の実現、さらにエアロリサーチパーク構想と和歌山工科大学の空港跡地への設立、総合教育センターの新庄への建設、紀南病院の移転新築事業など、私どもがこの場で訴えてまいりました数々のお願いが、西口知事の英断とたぐいまれな政治力の駆使により、一つ一つ実現に向かいつつあります。県政推進のために健康障害すら乗り越えられてひたすらご尽力を賜っておりますこと、深く感謝申し上げます。
 さらに知事は、画期的な制度改革を実行されました。県の建設事業に係る入札制度の改革であります。とりわけ設計金額の事前公開は、県職員、入札参加事業者も、この透明性を高く評価いたしております。毎日のようにテレビ、新聞紙上を飾る建設業をめぐる汚職事件を聞くたびに、知事への信頼を信じてやみません。
 さて、こうした紀南の教育、文化、社会基盤の整備と進展を見ますとき、同時に進むべき地域づくり、町づくりについて若干の提言をいたしたいと存じます。
 最近、白浜町へ行くたびに、大変な不況に胸痛む思いであります。日本全国の観光地が同じだと言ってしまえばそれまででありますが、小野、大橋、仮谷の三代知事が、北は工業、南は観光と位置づけ、中でも全国に名の知れ渡っている白浜の発展に大きく努力されてまいりました。例えば、JR田辺駅までの複線電化、国道四十二号の一次改修、南紀白浜空港の開設、そして高速道路の南伸を強く国に迫りました。その結果、新しいホテル産業の立地が進み、全国の有名企業の寮、保養所が次々と建てられ、エネルギーランドやアドベンチャーワールドなど全国的な集客施設の誘致が実現し、全国有数の観光拠点が形成されてまいったのであります。そしてさらに西口知事は、南紀白浜空港のジェット機化と一日三便の実現、さらに白浜エアロリサーチパーク構想の推進と和歌山工科大学の建設に向けて着々と準備を進められ、新庄地域に進められている総合教育センターとともに、この地域の将来展望が大きく開けてまいりました。この壇上で何度か大学の設置と教育センターの建設を訴えてまいりました私は、知事の決断に対し、心から厚くお礼を申し上げる次第であります。
 さて、白浜町の今後の課題は、何と申しても、観光客が激減していることにあります。先日送付のありました「平成十一年の観光客動態調査」を見ても、減少が歴然としているのが宿泊客数であります。平成四年度の二百五十一万人をピークに、平成十一年には百九十八万人と、ついに二百万人を割ってしまいました。五十二万人もの減少であります。ピーク時の約七九%に落ち込んでおります。ホテル、旅館の経営も大変厳しく、そのたびに失業者が増加しております。特に著しい減少は、寮、保養所の閉鎖であります。最も多かったときは百十三施設ありましたが、現在は七十三施設、そして近く閉鎖するところが相当あると聞き及んでいます。これまで頑張ってきてくれた大手企業のリストラの対象に寮、保養所がターゲットにされやすいことがささやかれております。そして、相当数が売却に出されているということでありますが、この不景気の中でなかなか買い手がないのも現実の姿であります。
 関連して、五十二万人分の食材を納入していた業者──肉、魚、野菜、米、その他であります──土産品店、飲食店、その他の観光関連産業の売り上げ減少は、推して知るべしであります。関連業者の方々は、まさにあえいでいると言っても過言ではない状況であります。
 そこでお尋ねいたしたいのでありますが、県当局はこの現状をどのように認識しておられるのか。単に白浜町のみならず、周辺市町村にも大きな痛手を与えており、本県観光産業の打撃に対し何らかの対策を講じられているのかどうか、またお考えがあるのかどうか、お伺いいたします。
 本県全体でも、平成四年度の宿泊客六百八十五万人が平成十一年には五百八十九万人と約九十六万人減少しておりますが、このうち白浜町のみで五十二万人減少している痛さがわかっていただけるものと思います。それでも町の有力者の皆さんは、泣き言や愚痴を言ってもよくならない、黙って頑張ろうと、白浜町観光協会では胸に「ニコニコ・ハキハキ南紀白浜温泉」とのワッペンをつけて元気を出しております。
 さて、先日、企画部から大変参考になる資料をいただきました。去る五月三十一日に大阪商工会議所で開催された広域連携シンポジウム「国際集客都市・大阪のデザイン」の要約版であります。最初に、東京大学教授の安藤さん──建築家です──が「大阪の未来」という演題で基調講演をされました。その内容を紹介しますと、「大阪は、オリンピック招致に合わせ、国際集客都市のスローガンを掲げて盛り上げようとしていますが、大阪はもともと多様な人が集まり、交流し、文化を発信してきたところです。古代から中世まで日本の文化、交易の中心は関西にあったわけで、政治の中心が江戸に移ってからも、大阪には井原西鶴や上田秋成など、立派な人が輩出したわけです。元禄文化の江戸時代から明治、大正時代まで大阪にいろいろな人が集まり、それをもてなす遺伝子がありました。明治の末には、テーマパークの先駆けとも言える新世界、通天閣がつくられました。これらは古くから国際交流のあった大阪人特有のホスピタリティーの精神のあらわれではないかと思っていますが、その流れがUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)につながっているのではないかと思うわけです。大正から昭和にかけては、学者から転身した関市長が、先見の明をもってたぐいまれな大事業である御堂筋の建設を行いました。車社会が実現し、オフィスビルが立ち並ぶ今でこそ驚きませんが、当時はそのスケールに、滑走路でもつくるのかとやゆされたほどでありました。その壮大な構想は、現在の磯村市長の夢洲、舞洲の計画、そして大阪オリンピックの招致計画につながっているのだと思います。このように、大阪には国際交流都市、文化発信基地としての伝統が現在まで途切れることなく息づいています。大阪は、国際交流都市の遺伝子を十分持ち合わせているのです。イタリアの人たちが大阪に来て、東京はビジネスライクだが、ここでは心温まるもてなしを受けたとよく聞きます。しかし今、大阪は元気がない。この大阪をどうするのか。来年オープンするUSJには期待が大きいが、これを成功させるためには関西が一つになる必要があります。さらに、経済的な活力という面から見ると、オリンピックもおもしろい。オリンピックを手がかりに関西ならではの町をつくるために市民一人一人が何ができるか、本気で考えるべきです。オリンピックの誘致に向けて盛り上がったエネルギーはそれで終わりでなく、きっと次の時代に役立つことでありましょう」。
 この講演の後、パネルディスカッションが開かれ、パネリストには安藤教授、磯村大阪市長、国定大和銀総研社長、端国立民族学博物教授、コーディネーターには近藤三津枝氏の五氏が意見を開陳されております。
 近藤コーディネーターは、「国際集客都市大阪を目指してどうデザインを描けばよいのか、また人が集い、いかに楽しく暮らすことができるのかが魅力ある都市の重要な要素である。大阪の町全体がテーマパークという考え方で町づくりを進めるとよいが、USJにはどんな期待が持てるのか」と、USJ等の問題を提案しております。
 端教授は、「大阪には世界の一級品の施設が多いが、これらをつなぎ合わせるシステムが整っていない。交通だけでなく、人々の心のつながりも大切である」。
 国定社長は、「経済的な面から見ると、大阪の数字はよくない。しかし、アジア経済が復興し、輸出がよくなった。中小企業が多いが、将来のベンチャー企業に育つ可能性に期待が持てる。国際集客都市大阪は、観光客だけではなくビジネス客にも多く来てもらい、外国の会社に立地してもらい、住んでいただくのもねらい目だと思う」。
 安藤教授は、「関西には歴史的で魅力的なところが多い。大阪の人が大阪に自信を持ってPRしないといけない。水の都大川から淀川までの河川敷は美しい。中之島の市役所周辺まで整備されると世界一の回遊式庭園ができる。花博開催も、この河川敷でできる。大きな土木工事は不要で、花を置いて鑑賞していただくだけで成功する。それと大阪湾。大阪から神戸、和歌山まで回るとすばらしい環境です。瀬戸内海のスタートラインにある大阪を忘れている」。
 磯村市長は、「昭和五十年ごろ大阪市大にいて、大阪が経済的面でひどい状態にあり、将来どうすればよいかと、そのとき三十代の人々に集まってもらい、案を練った。その一つが花博であり、さまざまな集客施設の計画が出され、それがベースになって現在の町づくり、海遊館やUSJ、さらにオリンピック会場の舞洲、夢洲につながっているのであります。そして、USJの集客力は年間八百万人と予想していますが、それ以上も考えられます。問題は、その人たちに、大阪だけでなく、どれだけ大阪周辺の関西圏で周遊してもらえるかに知恵を出し合うことであります。水の都の風景、世界一を誇る東洋陶磁美術館、日本一の地下街など、大阪は大変魅力ある都市だが、世界的な知名度となると、まだまだ不足しています。そこで、何とか大阪の魅力を世界にPRしたい。オリンピックの招致にはそのような意図もあります。国際集客都市をブランドとして世界に宣伝し、何度も訪れてみたいと思われる町にすることが大阪の長期的な目標です。大阪は、町全体がエンターテインメントです。市民はもっと誇りを持って自分たちの町のよさを味わっていただきたい。こんなすばらしい町はない、そんな気概を持って、市民と一緒になってオリンピック招致にも取り組んでいきます」。
 以上であります。ご紹介が大変長くなりましたが、これでも短略的で、かいつまんでおりますので十分ではないかと思われます。要は、これらの意見が即和歌山県にも当てはまることだと私は思います。
 テーマからもうかがえるように、近畿府県からアジアまでも含めた視野でこれからの大阪づくりを考えている点に注目したい。そして、これからの時代はハード面よりも人と人の心のつながりの面を重視することを訴えているのであります。さらに、磯村市長が申しておりますように、USJに行った人たちがどれだけ和歌山に来ていただけるのか、知恵を絞る点にあります。淡路島の花博のついでに白浜に一泊という観光客も結構おりますし、串本には最近台湾の方々のバスツアーが相当来ております。つまり、実質的に広域化し、国際化が進んでまいったのであります。
 さて、ここで本論に入ります。
 白浜町の観光客の激減と観光産業の立て直しにどう立ち向かうのか。即効薬は、私には思い浮かびません。観光キャンペーンをもっと大々的にと言っても、エージェントへの働きかけや資金面での限界があります。県観光課も積極的に活動してくれていることは評価いたしておりますが、現状では、日本経済の景気が回復しない限り白浜の観光産業は回復が見込めないのであります。個々の旅館の料金競争、サービス競争も熾烈をきわめておりますが、行き過ぎた競争は共倒れを加速するのみであります。また、旅行形態の大変化──団体旅行からマイカーなどによる家族旅行に対応できていない宿泊施設も多く、「よりゆっくり、より楽しく、よりおいしいものをより安く」というモットーのもとにゆとりと憩いを求める旅行客が増加している中で、観光地は、魅力ある宿泊施設の完備と特色ある料理の内容等で今後生き残りのふるいにかけられていくものと考えられます。
 ヨーロッパに普及しているホテル、料理店ごとに星のマークの数を表示する制度が日本にもやがて求められてくると思います。旅行者のための目安として、その町ごとの観光度をマーク化し、A、B、C、Dと評価する時代が来ると考えられます。政府がマーク審議会を設置し、全国の市町村ごとにマークを入れる──私は、白浜町は県下のナンバーワン、つまりAランクと認識いたしております。しかし、将来もそうあり続けられるかどうかは、問題が山積みのように思われます。
 ここで、一つの提案をいたします。一つの施策の展開をお願いいたしたいのであります。
 白浜町の観光産業の永続を真に期待する者の一人として、今から長期の視点に立った町づくりの基盤、ハード・ソフトの両面整備を行う事業を県がモデル事業として指定し、支援してほしいのであります。仮に名づけて「庭園の街づくり整備モデル事業」とします。町全体が庭園のように見える美しい町をイメージします。例えば、白浜町の県道沿い、古賀浦の小高い丘全体に手入れがなされた植え込みの庭園があり、観光客の目を楽しませてくれております。私どもは、ヨーロッパの国々を訪ねるたびに、町並みと田園風景の美しさに心を奪われます。英国、フランス、ドイツ、スイスなど、再び行きたくなる人が多い。これらの国々では、この美しさに感じる心を保つための法整備や住民の協力、成熟した国民の美に対する心を教えていただきました。頑固なまでに歴史的、伝統的な建物を守り、農家も田園風景を大切にする風土が定着したのだと思われるのであります。世界のトレンドは、美観の創設であります。県条例とか町条例による美観維持を目指すのではなく、住民運動的な発意が欲しいのであります。
 私見ではありますが、具体的に申しますと、例えば国道四十二号から以南の海岸線までを庭園区域とします。白浜町の町内会ごとに美しい町づくり委員会をつくる。町内会ごとの委員会は、どうすれば町内が美しくなるのか、植え込みをする、生け垣をつくる、花壇をつくる、それらを外から見て美しいと感じるかどうかを検討する。町並みのデザインを描く。家を建てかえる際には協力をしていただく。そして、自分の住む町内と隣の町内会とのバランスを見る。こうして町全体の美しさのレベルアップを図っていく。県には、こうした委員会の運営費に対する支援をお願いいたしたいのであります。つまり、町民一人一人の創意を生かし、美の演出を図れないものかと考える次第であります。さらには、生け垣の苗やフラワーポットの購入に対する支援もお願いいたしたいのであります。
 モデル事業として本県の代表的な観光地を育て、訪れる観光客に白浜の町が大変美しいという印象を持ってもらい、再び訪れたい観光地に育て上げなければならないと考えます。つまり、白浜をもっともっと飾り立て、イメージアップを図りたいのであります。無論、これまで白浜の養浜事業に県が巨額の事業費を投入し、日本一の砂浜にしていただいたことは深く感謝いたしております。白浜町も、この七月二十日にハワイホノルルのワイキキの浜と白良浜との姉妹浜の締結をハワイで行い、大いに世界にPRしたいとしております。
 次に、白浜町の観光産業のうち、宿泊施設やレジャー産業の中に経営的に大変苦しい経営体が数件もうわさされ、固有名詞は省きますが、近く閉鎖したり倒産したりするところが予測されております。日本経済の長引く不況の中で、地域産業も打撃を受けているわけであります。閉鎖した旅館の前に立つと、まことにわびしい限りであります。商工労働部では、この実態をどのように把握されているのでしょうか。また、具体的にはどのような支援要請があったのでしょうか。県では、融資など万全の支援策をとってくれているとは思いますが、対応についてお願いをいたしたいのであります。景気は着実に回復しつつあります。もう一年もちこたえてほしいと私どもは願っております。
 次に、寮、保養所の激減問題についてであります。
 今もなお、新たに撤退を表明しているところもあります。県では、これらの企業に白浜での存続を要請されたことがあるのかどうか。雇用の喪失と食材納入業者の打撃、何よりも入り込み客数の減少はストレートに響きます。立地している側のリストラのために仕方ないのではなく、白浜のみは存置してほしいと要望してほしいのであります。
 現在、県が白浜町に計画中の和歌山工科大学の教員、事務職員及び学生たちのための宿泊施設が相当数必要と考えられます。これらの寮、保養所はまだまだ使用できるものが多く、すなわち即使用可能であります。県が中心となって所有の企業にリサーチし、賃貸可能なもの、売却予定などを把握し活用すれば、町の活性化に直結いたします。ご見解を賜りたいのであります。
 さらに、白浜の交通問題について質問いたします。
 このたび、西口知事や県当局、関係者の皆さんの大変なお働きかけにより、南紀白浜空港のジェット機が一日三往復と、著しく利便性がよくなりました。南紀に住んでいる者にとって大変ありがたく、また関東方面からの増客も大いに期待されるところであります。その上、県の特別なご配慮により、新たに増便される昼間の一往復分の航空運賃を片道一万円と格安料金に設定されましたこと、まことにありがたいところであります。
 ところで、南紀白浜空港を利用する紀南の人々は、おおむね自家用車かJRを利用いたします。JRの利用者は空港へはバスかタクシーで行きますが、庶民にとってはタクシー代がこたえます。往復三千円を超すわけです。一方バス路線は、白浜駅から空港まで、このたび新たに一日一便設けてくれました。関係各位のご努力に感謝申し上げます。しかし、ワールドサファリ行きは三十分ごとに出ておりますが、その延長にある空港行きをせめてもう少しふやしてもらえないものか、利用者の一人として願う次第であります。
 参考までに富山空港は、最初、羽田空港行き一日二便当時はバスも少なく、空港周辺は閑散としていたそうであります。ところが、一日八便となった現在、市内からのバス路線の回数も多くふえ、空港周辺に飲食店やアメニティー産業が立地し、現在は結構にぎわってきているということであります。民間経営のバス路線でありますので難しいかと存じますが、一日三便のジェット機就航の機会に空港行きバス路線の利便性をご検討願いたいのであります。
 さて、夢は楽しいものであります。白浜在住の方々が二十一世紀中になし得たいプロジェクトとして、田辺市大浜から田辺湾を真っすぐ渡り、白浜町湯崎に至る大橋建設の夢を見ているとのことであります。それよりも先にやらなければならないのはJR田辺─白浜駅間の複線電化と言う方もあり、さらに白浜町平草原一体をインターネット拠点の都市にできないものか等々、論議を重ねております。いつの日にか県の長期総合計画に掲げてくれるだろうと答えております。これには答弁は要りません。
 バカンス法について。
 平成十年十二月県議会において私は、自分のライフワークとして取り組んでいるバカンス法いわゆる長期連続休暇法の制定について、知事から政府に対し、実現方、積極的に取り組んでほしいとお願いをいたしました。つまり、政府要望の項目の一つに掲げられてはいかがかということであります。
 先日、平成十三年度政府予算要望についての素案を見せていただきました。この中に長期連続休暇取得法(バカンス法)についての要望がなされておりません。一体なぜなのでしょうか。
 和歌山県では、バカンス法は必要不可欠であります。観光サービス業の発展は、県民だれもが望んでいるのではないでしょうか。現在、労働省においては、政府の経済新生対策に基づき第三回目の長期休暇制度と家庭生活の在り方に関する国民会議を開催し、長期休暇に関する労使の意識調査や長期休暇の経済的効果に関する調査研究を行っております。長期連続休暇の国民的理解の醸成の段階であると、担当の渡延労働時間課長は話してくれました。地方からも要望ムードが高まればという期待感も持たれているようであります。さらに、自民党が総選挙での公約の一つとして長期連続休暇制度の実現を掲げ、民主党も一つの施策として掲げております。
 これまで私が主張しております制度は、ウイークデー五日間の短期連続休暇、年二回の取得であります。地域の観光産業が活性化するためには、ウイークデーにお客が来ることが願いであります。例えば、東京に住む家族四人がマイカーで五日間ほどゆっくり紀伊半島を回る──家族の団らんやきずなの回復と同時に、地域社会との連携を深めることが二十一世紀の社会、ライフスタイルとして求められているのであります。
 私が求めておりますのは、和歌山県にこうした風を起こしてほしい、西口知事に先頭に立って全国をリードしてほしいのであります。かつて半島振興法が和歌山県の主導でできたことを思い浮かべていただきたいのであります。本県には、海洋レジャー産業の洋々たる未来があります。フィッシング、セーリング、スキューバダイビング、その他豊かな山、川、野を生かしたスポーツ、レジャー、アメニティー産業や飲食産業、信仰、学ぶ、憩い、いやしの分野まで、余暇時間の増加とともに、これから二十一世紀は紀の国の出番となると信じてやみません。これらの発展とともに、ITなど情報関連産業も大きく伸びることと確信をいたしております。知事のお考えをお尋ねいたします。
 以上で、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 堀本議員にお答えをいたします。
 バカンス法の制定については、かねてから堀本議員よりお話がございました。現在、政府では、長期休暇の普及に向けて国民的なコンセンサス形成を図るために長期休暇制度と家庭生活の在り方に関する国民会議が設置され、さまざまな角度から検討されているところであります。
 長期休暇制度については、国民の余暇活動による消費拡大などが見込まれることから、県内の観光産業等、地域経済の活性化にとっても有効な制度であると考えてございます。県といたしましても、このような観点から長期休暇制度の創設について国に対して要望を行うなど、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 堀本議員の、白浜町の観光客激減対策等についての県の現状認識と対応についてお答えをいたします。
 我が国経済の長引く不況、特に個人消費を中心とした民間需要が低迷している中、平成三年をピークに宿泊観光客数は全国的にも減少しており、一人当たり観光消費額も減少するなど、全国の観光地は大変な苦戦を強いられています。白浜町につきましても、宿泊観光客数が平成四年をピークに年々減少しており、観光関連業界が厳しい状況にあるものと考えられます。しかしながら、本年に入ってからの白浜温泉への宿泊客は、一月から四月末まで対前年比約一三%の伸びを示しており、やや明るい兆しが見えてきたと感じております。
 県といたしましても、一人でも多くの皆様に引き続いて訪れていただけるよう、南紀熊野体験博のイベント継続や体験メニューを実施する周辺市町村との連携、白浜町及び白浜観光協会等とタイアップしたゆうわく和歌山キャンペーンを初めとする各種PR活動、各都市でのキャンペーンなどを積極的に行い、観光客誘致に取り組んでいるところでございます。
 議員お話しの中にもありましたが、大阪で来年春オープンするユニバーサル・スタジオ・ジャパンや南紀白浜空港東京便の増便、並びに滑走路二千メートル化を契機に、国内では京阪神はもとより首都圏、中部圏、海外では台湾を初めとするアジアへの観光客誘致活動を積極的に展開し、集客エリアの拡大を図るとともに受け入れ側のホスピタリティーの向上に努め、観光客のニーズの変化に対応した体験型観光を中心とする和歌山ならではの新しい観光資源を充実し、地域の持つ独自の魅力を高めることによって観光客の増加を図っていきたいと考えてございます。
 次に、宿泊施設企業の経営難に対する県の実態把握と対応策についてでございます。
 白浜町における保養所等の宿泊施設につきましては、長引く景気の低迷の中、所有企業の合理化等により整理される施設が見られるなど、厳しい状況下にあります。このような厳しい経済情勢の中で県内中小企業者の資金需要に的確に対応するため、県としては平成十年度に不況対策特別資金制度を創設するなど、融資制度の充実に努めながら支援を行ってきたところであります。
 融資の状況につきましては、県信用保証協会の保証承諾ベースでは、白浜町全体で平成十年度三百二十六件、約三十八億円、平成十一年度二百七十件、約二十七億円となってございます。観光関連産業は本県にとっても重要な産業であることから、中小企業金融の円滑化に引き続き取り組んでまいります。
 また、保養所等の所有企業にとりましても、より一層魅力ある観光地となるよう、先ほど申し上げました新たな観光資源の充実など、さまざまな施策を積極的に進めながら地域産業の振興に努めてまいります。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) ご提案の、庭園の街づくり整備モデル事業についてお答えいたします。
 地方分権の時代を迎えた今日、地域の知恵や発想を生かした地域づくりがますます重要となっております。本県においては、県民の主体的な実践活動を促す県民運動「感動わかやま21」を推進しているところですが、各地域においても自主的な取り組みが活発に行われているなど、ふるさとづくりや地域づくりの機運が高まってきております。
 議員ご提案の、町全体が庭園のように見える美しい町をつくるという構想は、地域づくりや観光振興に資するという点から非常に有意義なものであると考えます。県といたしましては、議員ご提案のような地域づくりの取り組みに対してはいろんな手法がありますが、市町村と十分連携をとりながら可能な限り支援してまいりたいと考えております。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 堀本議員の、寮、保養所の活用方策についてお答え申し上げます。
 和歌山工科大学の教職員及び学生の居住用住宅の確保につきましては、地域経済の活性化のためにも、民間事業者により整備を進めていただくこととしてございます。このため、大学による住宅の一括借り上げや建設は行わない予定でございます。ただし、寮や保養所を民間事業者が教職員や学生向けの住宅として活用できるのかどうかについても十分承知しておく必要がございますので、現在、白浜町に調査を依頼しているところでございます。
 二点目の、白浜町内の交通問題でございます。
 南紀白浜空港につきましては、議員各位を初め関係者の皆様方のご尽力によって七月一日から一便増便され、これに合わせてバスについてもJR白浜駅─空港間の便が一往復増便されてございます。
 また、空港を中心としたバスの利便性向上についてでございますが、駅でのバス乗り場の案内表示を初め、運行本数、運行経路等、今後とも利用者のニーズに配慮したサービス等の充実に努めるよう、事業者に対し要望してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上で、堀本隆男君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十六分散会

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