平成12年2月 和歌山県議会定例会会議録 第1号(全文)
県議会の活動
平成十二年二月 和歌山県議会定例会会議録 第一号
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議事日程 第一号
平成十二年二月二十五日(金曜日)午前十時開会・開議
第一 会議録署名議員の指名
第二 会期決定の件
第三 議案第一号から議案第百十三号まで、並びに報第一号、報第二号(知事説明)
会議に付した事件
一 会議録署名議員の指名
二 会期決定の件
三 議案第一号から議案第百十三号まで、並びに報第一号、報第二号(知事説明)
四 休会決定の件
出席議員(四十七人)
一 番 新 島 雄
二 番 山 田 正 彦
三 番 佐 田 頴 一
四 番 松 本 泰 造
五 番 阪 部 菊 雄
六 番 堀 本 隆 男
七 番 門 三 佐 博
八 番 西 本 長 弘
九 番 坂 本 登
十 番 小 原 泰
十一 番 大 沢 広 太 郎
十二 番 木 下 善 之
十三 番 宇 治 田 栄 蔵
十四 番 尾 崎 要 二
十五 番 宗 正 彦
十六 番 橋 本 進
十七 番 谷 本 龍 哉
十八 番 原 日 出 夫
十九 番 永 井 佑 治
二十 番 谷 洋 一
二十一番 小 川 武
二十二番 高 瀬 勝 助
二十三番 木 下 秀 男
二十四番 町 田 亘
二十五番 山 下 直 也
二十六番 玉 置 公 良
二十七番 神 出 政 巳
二十八番 野 見 山 海
二十九番 吉 井 和 視
三十 番 向 井 嘉 久 藏
三十一番 平 越 孝 哉
三十二番 下 川 俊 樹
三十三番 江 上 柳 助
三十四番 金 田 眞
三十五番 森 正 樹
三十六番 冨 安 民 浩
三十七番 新 田 和 弘
三十八番 中 村 裕 一
三十九番 井 出 益 弘
四十 番 大 江 康 弘
四十一番 高 田 由 一
四十二番 中 山 豊
四十三番 飯 田 敬 文
四十四番 鶴 田 至 弘
四十五番 松 本 貞 次
四十六番 村 岡 キ ミ 子
四十七番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
知事 西 口 勇
副知事 高 瀬 芳 彦
出納長 中 山 次 郎
理事 藤 谷 茂 樹
知事公室長 大 平 勝 之
総務部長 稲 山 博 司
企画部長 安 居 要
生活文化部長 大 井 光
福祉保健部長 小 西 悟
商工労働部長 上 山 義 彦
農林水産部長 島 本 隆 生
土木部長 大 山 耕 二
企業局長 白 井 保 世
教育委員会委員長 目 黒 威 徳
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 高 垣 宏
警察本部長 樋 口 建 史
人事委員会委員長 青 木 孝 祐
代表監査委員 宮 市 武 彦
選挙管理委員会委員長 谷 口 庄 一
職務のため出席した事務局職員
事務局長 新 谷 哲 朗
次長 蓮 池 康 宏
議事課長 佐 竹 欣 司
議事課副課長 井 田 光 三
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主査 井 口 好 晴
議事課主事 安 井 伸 彰
総務課長 西 野 光 彦
調査課長 湯 川 忠
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主査 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課副主査 保 田 良 春
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午前十時三分開会・開議
○議長(下川俊樹君) ただいまから、平成十二年二月定例会を開会いたします。
これより本日の会議を開きます。
この際、暫時休憩いたします。
午前十時四分休憩
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午前十時五十五分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
【日程第一 会議録署名議員の指名】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。
今期定例会の会議録署名議員は、五番阪部菊雄君、二十二番高瀬勝助君、三十七番新田和弘君の三君を指名いたします。
【日程第二 会期決定の件】
○議長(下川俊樹君) 次に日程第二、会期決定の件を議題といたします。
お諮りいたします。今期定例会の会期は、本日から三月二十二日までの二十七日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は本日から三月二十二日までの二十七日間と決定いたしました。
この際、諸般の報告をいたします。
知事から地方自治法第二百二十一条第三項の規定に定める法人の経営状況を説明する書類の提出が、監査委員から監査の結果報告及び現金出納検査の結果報告がありました。いずれもお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
次に、今期定例会に提出された議案等は、お手元に配付のとおり、議案第一号から議案第百十三号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号、報第二号の計百十五件であります。
〔巻末の「参考資料」を参照〕
【日程第三 議案第一号から議案第百十三号まで、並びに報第一号、報第二号】
○議長(下川俊樹君) 日程第三、ただいま報告の議案第一号から議案第百十三号まで、並びに知事専決処分報告報第一号、報第二号を一括して議題といたします。
まず、知事の説明を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 平成十二年二月定例会にご参集いただき、厚くお礼申し上げます。
ただいま上程されました諸議案について提案理由をご説明するに先立ち、県政に臨む私の所信を申し述べ、議員各位を初め県民の皆様のご理解とご協力をいただきたいと存じます。
新しい千年紀の幕あけである西暦二〇〇〇年を迎え、同時に二十世紀の締めくくりの節目の年であり、ことしは大変意義深い年であります。
我が国は二十一世紀の社会経済構造への転換期を迎えており、これまで我が国の発展を支えてきた社会経済システムが国民の価値観の多様化や経済のグローバル化、情報化が進む中、行き詰まりを見せ、新たなあるべき姿が模索されております。私は、このような逆境のときこそむしろ変革へのチャンスと前向きにとらえまして、少子高齢化、高度情報化、環境、経済の問題など、二十一世紀の諸課題に対して全力で取り組んでまいりたいと決意を新たにしているところでございます。
私は、二十一世紀に輝く和歌山県を創造するため、諸課題に取り組むに当たって県政のあらゆる分野で制度の再点検、見直しが不可欠であると考え、第二期県政を挑戦の県政と位置づけました。
今、二十一世紀を目前にして、小手先の手直しではなく、いわば新しい県政の創造を行うんだという強い決意で県政の構造改革に取り組んでまいりたいと考えております。この改革の理念は、新しい時代にふさわしい、活力と自信と誇りに満ちた地域社会を創造するため、県民の視点に立った、県民の幸福を第一と考える行政システムを再構築することであります。
現在の社会経済状況の中、県民の皆様の間に漂う閉塞感を打ち破るために、厳しい県の財政状況の中にあっても引き続き緊急性、必要性の高い事業を重点的に実施していくとともに、大局的な観点に立った、新しい発想に基づく施策を断行していくことが今こそ重要であると考えております。
本年は、二十一世紀へ輝かしい和歌山県を引き継いでいくための重要な年であり、これまで築いてきた礎の上に、「活力」、「快適」、「こころ」の三つのかけ橋を設け、果敢に二十一世紀に挑戦してまいる所存であります。
まず活力への挑戦でありますが、経済の課題を克服し、社会全体に活力がみなぎる元気な二十一世紀の和歌山県を目指していきたいと存じます。そのため、産業面からは、引き続き景気対策に取り組むとともに、新産業の創出や地域産業の高度化を図るためきのくにベンチャーランド事業を推進し、中小企業に対して総合的な支援を行ってまいります。
梅産業の振興対策として、梅生育不良の解明と持続的な生産安定を図るための技術開発拠点となる梅専門研究機関の基本構想を策定してまいります。
活力を生み出す基盤として、県内二時間・域内六十分行動圏の確立を目指し、高速道路の整備促進等、道路交通網の整備に積極的に取り組んでまいります。
次に、地球環境を保全し、よりよい生活環境を実現し、すべての人が豊かで潤いのある生活を送ることができる快適な和歌山県をつくっていきたいと存じます。
まず、だれもが快適に暮らしていける長寿社会を築いていくため、四月からスタートする介護保険について、県としても円滑な実施に努め、介護を受けられる方を初め、すべての高齢者が安心して暮らせる福祉の町づくりを進めてまいります。
環境面からは、県環境基本計画に基づき環境への負荷を軽減し、持続的発展が可能な社会を築いていくため、県庁が率先して環境保全のためのシステムを構築し、実行していくほか、ダイオキシン類による環境汚染を防止するための総合的な施策を講じるとともに、平成十三年四月の一部供用開始に向け、紀の川流域下水道の事業推進を図り、あわせて集落排水事業や合併浄化槽整備等生活排水対策に全力を傾注いたします。
二十一世紀は「活力」、「快適」が求められることはもとより、本当の「こころ」の豊かさが求められ、心のよりどころが模索される時代であります。
昨年の南紀熊野体験博の成功が示しましたように、今、人々はいやしを求めているわけであり、本県が持つ自然、歴史、文化のすぐれた特性を生かして心の時代の二十一世紀に本県が重要な役割を果たしていくべきであると考えています。そのため、この体験博を通じて地域に芽生えた住民主体の地域おこしを支援することにより地域の活性化を図るとともに、日本人の心のふるさととも言える高野・熊野地域について、世界遺産登録に向け、関係市町村とともに推進してまいります。
また、二十一世紀の輝かしい担い手である子供たちが心豊かに育つことができるように、心の教育の充実や特色ある学校づくりに努めるとともに、生涯学習の拠点機能をあわせ持つ総合教育センターの建設に着手いたします。
このように、活力に満ちた心豊かで快適な生活が求められる二十一世紀に新しい産業を興し、学術、文化や科学技術の面で先導的な役割を果たす輝く和歌山県を創造していくためには、何にも増して豊かな創造性を持つ人材の育成が不可欠であります。そのため、旧南紀白浜空港の跡地を活用して、我が国に類を見ない航空機及び空港を活用できる航空工学系大学を公設私学法人方式による和歌山工科大学として新しく設置いたしたいと存じます。
私は、本大学が実現されれば、そこではぐくまれた人材と最先端の科学技術研究の成果が核となり、新たな産業の創出や産業の高度化の促進など、本県全体の活性化につながるものと確信しております。今後、関係機関と十分連携を図りながら、平成十五年度開学に向け取り組んでまいりたいと存じます。
私は、どの地域にあっても、どんな立場にあっても住んでよかったと言えるふるさとづくりを県政の究極の目標と考えており、本年は実質的に第二期県政のスタートの年に当たることからも、県民の英知を結集しながら新しい県政の創造に取り組み、この目標の実現に全力で邁進する決意でございます。議員各位を初め、県民の皆様のご理解とご協力を改めてお願い申し上げる次第であります。
西暦二〇〇〇年、新たなミレニアムの幕あけであるとともに、新世紀を迎えようとしています。平成十二年度予算は、和歌山新時代の創造に向け、新たな政策展開を視野に入れながら二十一世紀へ飛躍するための重要な予算であります。
以下、その内容についてご説明申し上げます。
平成十二年度の予算編成に当たりましては、厳しい財政事情のもと、昨年八月に公表いたしました財政運営プログラムを踏まえ、構造的な財源不足の段階的解消を図りつつ、二十一世紀へのかけ橋となる諸政策を推進する観点から、限られた財源を重点的に配分して、基盤整備のほか、介護保険等の福祉対策、環境対策、中小企業対策等の当面する諸課題に適切に対応し、二十一世紀の故郷(くに)づくりに向け、着実な前進を図ったところであります。
財政事情は確かに厳しく、歳出規模の縮減は避けがたいところでありますが、未来のために展望を開き、輝く和歌山新時代の創造に向かって、既存の枠組みや従来の発想にとらわれることなく県政の優先課題を適切に選択し、限られた財源を大胆に配分していくことが重要であると考え、そうした基本姿勢で予算編成を行ったところであります。
第一の柱は、「新時代を支える基盤づくり」であります。
ゆとりと豊かさを実感できる地域社会を創造するためには、周辺環境と調和した、より質の高い社会基盤や生産基盤の整備に努めていかなければなりません。
交通基盤の整備につきましては、昨年、近畿自動車道紀勢線の白浜─すさみ間が整備区間に格上げされましたが、今後も紀淡連絡道路の推進や近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道、五條新宮道路等、地域高規格道路などの広域幹線交通軸の整備に加え、国道、県道、農林道の有機的な連携により県内二時間・域内六十分行動圏の確立を目指すとともに、都市計画道路事業における重点整備を図るなど、二十一世紀へ向けた県土づくりに引き続き積極的に取り組んでまいります。また、国土幹線軸や関西国際空港へのアクセス道路となる府県間道路の整備も積極的に進めてまいります。
さらに、交通安全施設整備として公共車両優先システム(PTPS)を導入し、信号制御などを通して路線バス等の効率的な運行、利用者の利便性を向上させることにより交通需要の抑制等を図っていくこととしています。
また港湾整備につきましては、紀中及び紀南地域の活性化にとって重要なプロジェクトである日高港、新宮港の整備を進めるとともに、和歌山下津港において、西浜地区に平成十三年度の供用開始に向け大型クレーンを設置するほか、地元関係者のご意見を聞きながら本港沖地区の環境調査を実施してまいります。
空港整備につきましても、関西国際空港二期事業について所要の措置を講じるとともに、南紀白浜空港二千メートル化の着実な推進を図り、本年九月の供用開始に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、安全な県土づくりのため治山事業を推進するほか、河川整備において、切目川流域の安全・安心を確保し、地域発展の基盤を確立するため切目川河川総合開発事業を推進するとともに、河川改修に当たり和歌山流多自然型川づくりの技術を確立し、人とともに生き物にも快適な川づくりを進め、和歌山にふさわしい河川環境を整備・保全してまいります。
都市・住宅の整備につきましても、県立医科大学跡地利用計画として民間事業主体による都市型複合施設の整備を推進するとともに、県民が自由に利用できる緑地公園として和歌山市東松江地区に河西緩衝緑地を整備するほか、快適な居住環境を形成するため、公営住宅の建てかえを推進してまいります。
新時代への地域づくりとして、南紀熊野体験博を一過性のイベントに終わらせることなく、地域に芽生えた住民主体の地域おこしを継続していくことにより地域活性化に結びつけていくことが重要であると考えており、県と南紀熊野地域十六市町村で南紀熊野二十一協議会を設立し、体験博を継承する住民主体の地域づくりを支援してまいりたいと考えております。
また、紀北地域における県民参加型イベントについて調査検討に入るとともに、国において予定されております新千年紀記念行事に参画することとしており、さらに地域主導で取り組まれる地域の個性や特性を生かした魅力あるふるさとづくりを引き続き支援してまいります。
第二の柱は、「創造力あふれる産業づくり」であります。
社会経済環境の変化に対応する活力ある産業、二十一世紀を支える新しい産業の育成を図り、光明が見え始めた景気の回復基調に最大限に対応していくことが重要であります。
まず、農林水産業の振興であります。
農業の流通加工施設や生産基盤を整備充実し、産地の体質強化に努めるほか、本県の基幹作物である梅の生育不良問題について原因究明や樹勢回復に向けた取り組みをより一層強化するとともに、持続的な安定生産技術の確立を図るため、うめ研究機関設置等構想を策定してまいります。
また、中山間地域における耕作放棄の発生防止と農業の多面的機能の維持確保のため、農業生産活動を行う農業者に対する直接支払いを実施するとともに、農業の担い手育成のための研修施設を整備するほか、黒潮フルーツライン構想として農用地総合整備事業にも着手することとしております。
林業については、林業の生産性向上と山村振興を図るため、緊急間伐の実施や林道等の整備を促進してまいります。
水産業については、金融再編が進む中、漁協系統金融機関の健全性確保のため所要の措置を講じ、漁協経営の改善を図るとともに、漁業取締船の代船を建造することとしております。
次に、中小企業の振興であります。
ベンチャーなど新事業の創出促進と既存産業の活性化のため、和歌山県中小企業振興公社に地域産業総合支援センターを設置するとともに、和歌山リサーチラボにデザイン・情報系産業のインキュベーターを設置するなど、きのくにベンチャーランドをさらに推進し、総合的な中小企業支援対策の充実を図ってまいります。
また、地域経済の活性化を図り、産業経済の原動力でもある県内の中小企業の資金需要に的確にこたえるため不況対策特別資金を継続するとともに、創業意欲のある起業家に対する新規開業融資制度を拡充するなど総融資枠を拡大するほか、信用保証協会の経営基盤の一層の強化を図り、中小企業の金融制度の拡充に積極的に対応してまいります。
観光の振興については、本県が海から上る朝日と海へ送る夕日の両方が望める地であることから、また本年が新たなミレニアムの始まりであると同時に二十世紀最後の年であることから、物事の区切りを象徴する朝日と夕日を題材に、和歌山でなければ体験できない感動を提供するミレニアムイベントを県内各地で開催し、和歌山の自然、文化を広くPRしていきたいと考えております。
第三の柱は、「豊かさを実感できる暮らしづくり」であります。
二十一世紀に向け、安全で安心できる暮らしはもちろんのこと、自分に合ったライフスタイルが選択でき、生きがいを持ち、快適に過ごせる社会を築いていかねばなりません。
まず、健康・福祉対策であります。
本年四月から始まる介護保険制度は高齢化社会の大きな課題である介護を社会全体で支える制度で、福祉・保健・医療にわたる介護サービスを総合的に提供することとなっており、県といたしましても、制度の円滑な運営のため、介護給付費の負担、財政安定化基金の設置、低所得者への利用料の軽減等、実施主体である市町村への財政支援を初め、介護保険審査会の運営、介護支援専門員の養成、介護保険におけるサービス提供事業者の参入促進等に取り組んでまいります。
さらに、介護予防の観点から、地域の実情に応じて生きがい、生活支援及び家族介護支援対策等に市町村が総合的に取り組む事業を新たに支援することとしております。
また高齢者福祉施設整備として、特別養護老人ホームや在宅介護支援センター、痴呆性老人グループホーム等の施設整備の拡充を図ってまいります。
障害者の方の社会的自立と社会参加の促進を図るため、改築整備を進めている重症心身障害者施設南紀福祉センターの生活棟を完成させ、新たに管理棟に着工するとともに、民間の身体障害者療護施設や知的障害者援護施設の整備を支援するほか、小規模作業所に対する助成を一層充実してまいります。
障害者や高齢者を初めとするすべての人に優しい福祉の町づくりを推進するため、県有施設のバリアフリー化を推進するとともに、JR和歌山駅のエレベーター等の整備に助成するほか、福祉のまちづくり障害者芸術祭を実施することとしております。
また、だれもが健康で生き生きと暮らせる地域社会を実現するため、数値目標を明示した健康づくり推進の元気わかやま行動計画を策定し、日本一の健康長寿県づくりに取り組むほか、医大附属病院に外来患者予約センターを設置し、電話予約受け付け時間の拡大と効率化により患者サービスの向上に努めるとともに、救命救急センターの医療機器整備を支援し、保健・医療の充実を図ってまいります。
また、少子化に対応し、喜の国エンゼルプランの一層の推進を図るため、乳児保育、延長保育、障害児保育や放課後児童クラブ等、多様な保育サービスを充実させるとともに、周産期医療体制の向上を図るなど、安心して子供を産み育てられる環境づくりに取り組んでまいります。
さらに、短時間勤務等を導入し、生き生きと働ける労働環境づくりを推進する中小企業に助成する制度を新設し、少子高齢化社会の中で勤労者の子育てや家族介護を支援してまいります。
同和対策につきましては、地対財特法の失効まであと二年となりましたが、同和問題の一日も早い解決に向け、和歌山県同和行政総合推進プランに基づき、教育・啓発、産業・就労対策等の残された課題解決に向け、引き続き全力を尽くしてまいります。
次に、安全・安心な生活の実現であります。
防災対策として、河川の情報基盤整備がおおむね完成し、水位情報がリアルタイムで把握できることとなりましたが、地震発生時の避難計画指導マニュアルの作成を初め、災害時における迅速・的確な危機管理体制を整えるとともに、消防体制の整備充実についても、消防の常備化、広域化を行う町村に対して補助を行うことにより広域化等を推進し、消防サービスの高度化に対応してまいります。
さらに治安維持の一環として、交番相談員をきめ細かく配置し、空き交番を少なくするとともに、地域警察官のパトロール等の強化促進を図ることとしております。
また、本年七月に一般開放を予定しています動物愛護センターを動物の保護管理と動物愛護精神の普及啓発の中核機関と位置づけ、人と動物が共生する潤いのある社会づくりを進めてまいります。
次に、環境対策であります。
まず、橋本市における株式会社日本工業所の産業廃棄物問題についてであります。
本件に係るダイオキシン濃度の調査につきましては、昨年十一月に地権者の承諾が得られ、新たに焼却施設周辺における調査を実施してまいったところでありますが、このたび、本調査の結果、極めて高濃度のダイオキシンが検出されたとの報告を受け、付近住民の皆様の不安はいかほどであろうかと心を痛めているところであります。
私は、その不安を取り除くため最善の努力を尽くす決意をし、早速庁内に日本工業所ダイオキシン問題対策本部を設置して取り組み体制を整えた上、当面の緊急対策として、汚染土壌の飛散防止等の措置を講じたほか、風評被害の発生防止の観点も踏まえ、市脇川の水質調査を初めとする周辺の一般環境への影響調査にも着手したところであります。また、付近住民の皆様の健康診断、健康相談も早急に実施してまいります。さらに、恒久対策として汚染土壌の撤去等を進めていくため、汚染範囲の確定に必要な詳細調査にも着手しております。
他方、焼却施設等のダイオキシン汚染原因施設の撤去や今回の補完調査で湧出ガス、悪臭の原因であると特定された廃棄物の撤去等につきましては、前例のないことではありますが、ダイオキシン等を根拠に、事業者に対し、速やかに措置命令を発してまいります。
もとより、これらの措置については、最終的には行政代執行によることも辞さない考えであり、迅速な対応を図る観点から本県議会において所要の経費に係る補正予算を提出する予定でありますので、よろしくお願いいたします。
全国的にもダイオキシンの排出は大きな社会問題となっており、去る一月十五日にはダイオキシン類対策特別措置法が施行されたところでありますが、同法に基づきダイオキシン類削減に係る総合的な対策を進めるため、ダイオキシン類の環境監視を行い、環境濃度の低減に努めるとともに、排出抑制対策として事業者に対する自主管理の徹底等の指導及び監視を行ってまいります。
加えて、ダイオキシン類削減恒久基準を達成するため、市町村等のごみ焼却施設の改善等を積極的に支援するとともに、ごみ処理の広域化やリサイクルの推進に取り組んでまいります。
さらに、産業廃棄物対策につきましては、県内における廃棄物の不適正処理の実態把握及び未然防止のため、監視の強化を図ってまいります。
また、環境に配慮した社会構造への転換を図っていく観点から、環境負荷の軽減についての意識を啓発していくことが重要と考え、県が率先して環境への負荷軽減を図っていくため、県庁舎における環境保全のためのシステムを構築し、国際標準規格ISO一四〇〇一の認証を取得することとしております。
生活排水対策として、快適な生活環境の実現に向け、和歌川の水環境を改善し、快適な水辺空間の再生に取り組むとともに、平成十三年四月の一部供用開始に向け、紀の川流域下水道(伊都処理区)整備を推進するほか、農山漁村の集落排水事業や合併処理浄化槽整備等、引き続き積極的に推進してまいります。
男女共生社会の形成につきましては、男女共同参画社会基本法の趣旨に基づき、平成十二年度から三年間を意識啓発の強化期間と位置づけ、啓発を中心としたジェンダーフリー推進事業を実施するとともに、女性の活動拠点施設である県女性センターの情報を地方においても共有できるよう、インターネット女性情報サービス事業を展開することとしております。
第四の柱は、「心豊かで個性輝くひとづくり」であります。
二十一世紀に豊かで活力ある社会を築いていくため、生涯学習社会の構築を図っていく必要があります。輝ける未来を築くためには創造性の高い人材を養成することが重要であると考え、冒頭にも申し上げましたが、和歌山工科大学の整備を推進することとしており、さらに人づくりを進める上で学校教育、社会教育等における指導者の資質向上が重要であることから、高度な研修と生涯学習の拠点機能をあわせ持つ総合教育センターの建設事業に着手するほか、学校教育を充実し、心の教育を推進するため、単位制高校の設置等、特色ある学校づくりや生活相談員、コンピューター、外国語教育に係る非常勤職員の配置、小学校における複数の教員によるきめ細やかな指導による学級運営の改善等に取り組んでまいります。
社会教育の面でも、市町村や大学等と連携し、わかやま学等の講座を開設し、広域的な観点に立った生涯学習をより一層推進してまいります。
スポーツの振興においては、二〇〇二年ワールドカップサッカーのキャンプ地として誘致実現に向け関係機関等に積極的な働きかけを行うとともに、二〇〇八年夏季オリンピックの大阪市開催に向け近畿ブロックとして取り組み、本県において一部競技が実施できるよう誘致活動を展開してまいります。
さらに、国体の近畿ブロック大会を本県で開催するに当たり、本大会に多くの選手が出場できるよう、競技力の向上に努めてまいります。
スポーツ施設の整備については、県立総合武道・スポーツセンターの整備構想を検討することとしております。
心の豊かさを醸成する文化の振興につきましては、県民文化会館が本年で開館三十周年を迎えることから、県民参加型の創作ミュージカルの開催等記念事業を実施するほか、県立博物館における葵─徳川三代展等、美術館・博物館の特別展を充実させ、県民の皆様にすぐれた芸術文化の鑑賞機会を提供してまいります。
また、本県が誇る高野・熊野の歴史と文化財をできるだけ早期にユネスコの世界遺産へ登録されるよう、関係市町村と連携を図りながら作業を進めてまいります。
二十一世紀は心の時代であり、新世紀を担う人々が明るく健やかに、心豊かに育つことができるよう、私は全力を尽くしてまいる所存であります。
以上が、予算案の主な内容であります。
続きまして、条例案件等について、その主なものをご説明申し上げます。
議案第四十号は、環境行政に力点を置くため、生活文化部を環境生活部に名称変更し、所掌事務の変更を行うものであり、議案第四十一号は、県税徴収金の納付機関として郵便官署を追加するとともに、キャンピング車に係る自動車税の税率改正等を行うものであります。
議案第四十四号は介護保険法に基づき介護保険財政安定化基金を設置するものであり、議案第四十七号は動物愛護センターの設置に伴い必要な事項を定めるものであり、議案第四十八号は、開発事業者等がその事業の実施に当たり環境への影響についてみずから適正に調査・評価等を行い、環境の保全を図るための制度を定めるものであります。
議案第五十三号は、海浜公園における禁止行為の追加を行うものであります。議案第五十六号は、県立学校等の職員の定数を改定するものであります。議案第五十九号は、暴走族及び暴走行為者のいない町づくりを推進するため、必要な事項を定めるものであります。
議案第六十号から七十三号までは、地方公務員法の一部改正に伴い、職員の再任用に関し必要な事項を定めるとともに、規定の整備等を行うものであります。議案第七十四号から百二号までは、地方分権一括法の施行に伴い規定の整備を行うほか、権限移譲や必置規則の緩和等に係る必要な事項を定めるものであります。議案第百三号及び百四号は建設事業施行に伴う市町村負担金について、議案第百五号は包括外部監査契約について、議案第百六号及び百七号は訴訟の提起について、議案第百八号は財政の取得について、議案第百十号から百十三号までは工事請負契約等の締結について、それぞれ議決をお願いするものであります。
次に、報第一号及び二号は、土地区画整理事業における建物収去土地明け渡し調停事件及び医科大学附属病院紀北分院における医療事件に伴う和解について、急を要したため、地方自治法第百七十九条第一項の規定による専決処分を行い、その承認をお願いするものであります。
最後に、法人の経営状況に関する書類を別途提出しております。
何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(下川俊樹君) 以上で、知事の説明が終わりました。
お諮りいたします。二月二十八日から三月三日まで、及び三月六日は議案調査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、二月二十八日から三月三日まで、及び三月六日は休会とすることに決定いたしました。
次会は三月七日再開し、質疑及び一般質問を日程といたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午前十一時三十二分散会