令和8年2月和歌山県議会予算特別委員会会議記録(総括質疑2日目)
令和8年2月和歌山県議会予算特別委員会会議記録(総括質疑2日目)
1 日時 令和8年3月11日(水)午前9時57分~午後2時29分
2 場所 予算・決算特別委員会室
3 出席者 委員長 濱口太史
副委員長 佐藤武治
委員 上山寿示、鈴木德久、井出益弘、玄素彰人、山家敏宏、北山慎一、堀 龍雄、新島 雄、山下直也、
尾﨑太郎、藤山将材、片桐章浩、長坂隆司、小川浩樹、岩井弘次、中西 徹
欠席委員 なし
委員外議員 岩田弘彦、秋月史成、藤本眞利子、川畑哲哉
4 概要
午前9時57分再開
●濱口委員長
◎再開宣告 挨拶
◎報告事項 委員の欠席なし
◎傍聴協議 なし
◎撮影許可 4件
◎付託議案に対する質疑宣告
Q 長坂委員
1 学校における保護者対応等を巡るカスタマーハラスメントについて
(1) 教育現場での保護者等からのカスタマーハラスメントに対応する学校側の対応について
学校は、教職員が安心して教育活動に専念できる環境を提供するとともに、児童生徒等の健全な成長を支援する役割を担っている。教育現場での保護者からの要求に対する学校側の対応について、和歌山県教育委員会で、ガイドラインやカスタマーハラスメントの基準を示しているか。
A 今西教育長
近年、学校現場における保護者等からの要望は多様化、複雑化しており、学校だけの判断では、解決が困難な事案も増え、教職員が疲弊する場合がある。
そのような状況を踏まえ、県教育委員会では、今年度、「カスタマーハラスメント対応マニュアル」を策定した。マニュアルでは、長時間にわたって居座りや電話等を続ける行為、職員の揚げ足を取って責め立てる行為など、明らかに度を超える具体的な行為類型を示し、カスタマーハラスメントの定義や、場面別の対応例などの留意点等をできる限り具体的に示した。
今後は、他府県で生じた事例などを踏まえつつ、社会通念に照らし本県マニュアルを補足する改訂を行いながら、より学校が組織として、厳正かつ毅然と対応できる、実効性の高い仕組みづくりに取り組んでいく。
意見 長坂委員
和歌山県教育委員会の学校への意見や要望等への対応ハンドブックやカスタマーハラスメント対応マニュアルを拝見した。確かに場面場面での具体的な対応について詳しくマニュアル化されたものと評価した。教師側としては難しいが、くれぐれも冷静な対応が必要である。
Q 長坂委員
(2) 教育現場での生徒からのカスタマーハラスメントに類する対策について
教育現場では、保護者や地域住民だけでなく、生徒からの教師に対するハラスメントもあると思うが、小中高校生からのカスタマーハラスメントに類する対策については、どう考えるか。
A 今西教育長
生徒の不適切な言動については、教育活動の一環である「生徒指導」の対象として、粘り強い教育的な働きかけにより、自省を促し、成長を支援することが学校の本来果たすべき役割であると考える。
このため、一般社会におけるハラスメント対策の概念をそのまま適用するのではなく、組織的な生徒指導の徹底と、教職員を孤立させない支援体制の強化を図ることにより、教職員の安全と教育環境の質の確保を両立させていくべきと認識している。
教育委員会では、生徒による著しい問題行動が発生した際には、担任一人に責任を負わせることなく、校長等の管理職を含めた複数の教職員、さらにはスクールカウンセラー等の専門職も加わった「チーム学校」としての体制構築を推進しているところである。
今後も、現場の教職員が躊躇することなく、速やかに組織の支援を求められる環境整備に努めていく。
意見 長坂委員
生徒からの暴力的な振る舞いや過剰な要求については、個人的なものやグループ的なものもある。必要に応じて、自己や他者を守るための正当な防衛として、身体を押さえたり、周囲から遠ざけて、安全を確保しないといけないかもしれない。必要に応じて、スクールカウンセラーなどによる心のケアを行うべきかもしれない。小中高それぞれで対応はおのずと変わってくるが、生徒がカスタマーハラスメントを行う背景を冷静に探り出す辛抱強い取組が必要になる。
いずれにせよ、教職員のメンタルヘルスを考慮すべきであり、教職員1人での対応より、複数人での対応が求められる。
Q 長坂委員
(3) 和歌山県におけるカスタマーハラスメント防止条例の検討について
和歌山県においても、カスタマーハラスメント防止のための条例を検討していると聞いているが、どのような条例でいつ頃の制定を考えているのか。
A 宮﨑知事
カスタマーハラスメントを受けた人が心身を害し、休職や離職に至ることがないよう、事業主が、雇用する従業員等を守り、誰もが安心して働ける環境を確保するため、県では、条例の制定を検討してきた。
そのような中、令和7年6月に、国において労働施策総合推進法が改正され、カスタマーハラスメントに起因する問題に関する国、事業主、労働者及び顧客等の責務が明確になった。また、カスタマーハラスメントに対して事業主が講ずべき措置等について、国が初めて指針として示すこととなり、令和8年2月に告示されたところである。
この指針には、相談窓口のことや、事業主が雇用者に対して、していかないといけないことなど、かなり詳しく書かれている。まず、これを浸透させていくことから始めていきたいと思っている。
また、2年ごとに和歌山県労働条件等実態調査が実施される。その中でのアンケートや、労働相談件数などで、改正法の効果についてしっかりと検証していきたいと思っている。
したがって、条例制定については、法律と同じものなら作る意味が薄れてくるので、改正法及び指針をしっかりと研究し、その内容や必要性を検討していきたいと思っている。それとともに、引き続きカスタマーハラスメント防止に関する効果的な取組を実施していく。
要望 長坂委員
令和7年6月の改正労働施策総合推進法、令和8年2月告示のカスタマーハラスメントに対して事業主が講ずべき措置等についての指針を読んだ。カスハラ問題は人権問題にもつながると思っている。理念としては理解するが、実効性をもたせるためには、目に余るカスハラ行為には行為者に猛省を促し、二度と過ちを繰り返さないようにするため、何らかの罰則を科すことを定めた条例化が必要ではないかと思っている。引き続き、条例制定の必要性の検討をお願いする。
Q 長坂委員
2 地震の際の港湾の対応について
(1) 津波を伴う南海トラフ地震発生の際の和歌山県の初動体制について
15年前3月11日、本日、東日本大震災が発生したが、それに関連して一昨年の正月の能登の地震を例に挙げて質問をする。
令和6年1月1日に発生した令和6年能登半島地震は、石川県能登半島を震央として最大震度7(石川県輪島市、志賀町)が観測された。地震動による被害は、岸壁等の変異、液状化による段差や噴砂及び岸壁背後の沈下等が発生し、北陸地方整備局管内の29港湾のうち、22港湾が被災した。
被害が甚大であった地域が半島部という条件不利地域であったことも特徴として挙げられている。
南海トラフ地震の際の和歌山県も、同じ海に囲まれた半島県であり、大規模地震の発生が危惧されている。和歌山県では、主要港湾の港湾管理者は県だが、大地震における港湾の初動体制が気になるところである。
能登半島地震では、津波警報・注意報が発表されたことで、人による点検を直ちに実施することができず、まずは輪島港、金沢港、伏木富山港、新潟港に設置している、「みなとカメラ」による情報把握を行おうとした。しかし、港をカメラだけでは十分な状況把握ができないことから、防災ヘリコプター2台による被災状況調査を実施するとともに、一般社団法人海洋調査協会へ要請し、ドローンによる被災状況調査を1月2日から4日にかけて金沢港、輪島港、七尾港の順に実施している。
一方、津波注意報が解除された1月2日10時以降順次、北陸地方整備局職員による国有港湾施設などの点検を開始している。地震の影響が甚大であった能登地域については、1月2日より、石川県の管理代行を開始したことにより、対象港湾6港のTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)による、被災状況調査を1月3日から行っている。
管理代行以外の地方港湾への支援対応として、1月3日に和倉港及び半ノ浦港の港湾管理者である七尾市からの派遣依頼を受けたことで、TEC-FORCEによる被災状況調査を実施している。七尾港、飯田港、小木港では、航路や泊地などの水域施設について当局が所有する港湾業務艇と海底地形探査装置を用いた深浅測量を海洋調査協会の協力のもとに実施している。また、1月3日北陸地方整備局港湾空港部のリエゾン(連絡員)を輪島市および珠洲市へ派遣している。輪島港及び飯田港の被災状況の把握のほか、各自治体の支援物資輸送に関する調整、海上保安部、自衛隊等のリエゾンとの現地調整、その他支援ニーズの把握などを目的として活動を実施した。
防災ヘリによる被災状況を確認した結果、能登地域では、港湾全体に被害が及んでおり、港湾法第55条の3の3による石川県からの要請に基づき、七尾港、輪島港、飯田港、小木港、宇出津港、穴水港の計6港について、1月2日より、港湾施設の一部管理を国土交通省港湾局が実施した。
ただし、入港手続き等の管理事務所事務は、本来の港湾管理者である石川県が引き続き実施した。
そこで、和歌山県において、津波を伴う南海トラフ地震が発生した際の港湾管理者としての和歌山県の初動体制についてはどうか。
A 小浪県土整備部長
南海トラフ等における地震に伴う県土整備部所管の津波への備えとしては、港湾・漁港管理者、海岸管理者、河口部の河川管理者等、多くの立場からの対策を進めている。いずれも、被害の抑制・拡大防止と早期の復旧・復興を目指して、堤防等のハード対策、指摘のあった初動体制や避難支援等のソフト施策、この双方について、国、市町村、関係機関と連携して取り組んでいるところである。
津波の発生が予測される場合、まずは港湾施設等の利用者に対して避難を促す。同時に速やかに関係機関との連絡体制の確保等を行う。
並行して県が管理する海岸・河口付近等の水門等計524箇所のうち、常時閉鎖されている箇所を除く270箇所を閉鎖する。このうち、88箇所は自動化等を終えており、残る182箇所は市・町の職員、地元自治会、消防団の皆様等により手動で閉めてもらう手はずとなっている。
そして、津波が観測された後には、ヘリコプター映像など災害対策本部に集められた情報を活用し、油の流出といった海域の被害や、堤防等の施設の被災状況の早期把握に努める。その後、津波注意報の解除等、一定の安全が確保された後に現地調査を行い、被災状況の詳細な確認を行う。
Q 長坂委員
(2) 施設の復旧と合わせて、生活と産業活動を支える港湾機能の応急復旧について
施設の復旧と合わせて、物流や漁業といった生活と産業活動を支える港湾機能の応急復旧についてはどうか。
A 小浪県土整備部長
先ほど説明した初動対応の後、被災箇所の応急的な復旧について和歌山県建設業協会や和歌山県測量設計業協会等の災害時協定団体に応援を要請する。その際、作業船や重機といったものの被災状況も併せて確認する。
これらの皆様の協力を受け、緊急物資の輸送を可能とするため、岸壁、荷さばき地、臨港道路といった港湾施設の応急復旧、また、復旧作業の障害となるがれき等の移動や船の航路の確保等を行う。
Q 長坂委員
(3) 大規模災害時等の平時のマネジメント活動等を示す港湾の事業継続計画(港湾BCP)の作成について
大規模災害時等の平時のマネジメント活動等を示す港湾の事業継続計画(港湾BCP)の作成についてはどうか。
A 小浪県土整備部長
港湾の事業継続計画(港湾BCP)については、重要港湾以上の港湾について策定することとしており、平成28年3月に国際拠点港湾である「和歌山下津港」、平成29年3月に重要港湾である「日高港」において作成している。なお、いずれも令和3年3月に改定している。
Q 長坂委員
(4) 船舶を利用した支援体制について
被災地に支援物資を届けようとしても、陸路が遮断され、思うように支援が行えないことが考えられるが、なかでも、船舶による海上輸送は、大量の物資輸送を担うことだけでなく、水・発動発電機・燃料・そして通信機能を備えた支援活動拠点としても機能し、船舶の存在意義は非常に大きかったと感じる。船舶を利用した支援体制についてはどうか。
A 小浪県土整備部長
海上輸送の確保のためには、先ほど説明した港湾施設の復旧等と並行して、船舶運航事業者等との調整が必要となる。このため、まずは、輸送可能な船舶、受入貨物、港湾からの運搬車輌、保管場所といった情報を収集し、これを救助・救援や物資輸送に係る関係機関等に共有する。
船舶を利用した支援にあたっては、港湾施設の復旧が進むにつれ利用可能な船舶が拡大する。その結果、より大量の貨物輸送に対応可能となるため、施設の復旧状況を踏まえつつ、関係機関との調整を進めることとしている。
なお、令和4年度より国・県・沿岸市町等からなる『和歌山県「命のみなとネットワーク」推進協議会』が設立され、以降毎年、県内各地域で海上輸送による救助・救援や物資輸送の訓練を実施している。
Q 長坂委員
(5) 災害時の情報収集のための遠隔カメラやドローンの整備状況について
災害時の情報収集のための遠隔カメラやドローンの整備状況についてはどうか。
A 小浪県土整備部長
遠隔カメラ、いわゆるCCTVについては、令和8年2月末時点で、避難港や耐震強化岸壁を有する港湾・漁港、また、河川河口部等において計11基が整備済みである。令和8年度当初には、残る1基の整備が完了する予定である。なお、国土交通省のCCTVが、これのほか、沿岸の国道沿いに7基、また、紀の川と熊野川の河口部にも整備されている。
また、ドローンについては、県土整備部として、令和8年2月末時点で19基を保有しており、本庁及び出先機関に配備している。有人地帯におけるドローンの自動航行が可能となる資格「一等無人航空機操縦士」を有する職員についても、同時点で48名育成している。
災害時にはこれら全てを活用し、また、ご指摘のあった国土交通省による緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)等のご支援も受けつつ、情報収集を行うこととなる。
Q 長坂委員
(6) 港湾の早期復旧のための備蓄計画や情報整備等について
港湾の被災施設の早期復旧のために、応急時に不可欠な敷き鉄板や砂利等の備蓄計画や、災害復旧に利用可能な資機材の分布状況を即座に把握できるような情報整備等が望まれるが、どうか。
A 小浪県土整備部長
被災したインフラの早期復旧のための資材については、各振興局の建設部や和歌山下津港湾事務所、また、幹線道路に面した資材置き場等に備蓄している。指摘のあった敷き鉄板など仮設鋼材をはじめ、オイルフェンスや、土のう袋、暗渠排水管等、災害の種類に応じた多くの資材があり、各建設部等で資材の状況を把握している。
また、国が設置している防災拠点にも多くの資材が保管されており、災害時には被災地に届けられることになっている。
加えて、災害の規模によっては、災害時協定団体を通じ各建設会社が保有する資材や重機等を臨機に調達することとなる。このため、平時から関係行政機関や、また、民間団体とも連携し、相互に協力体制の強化に努めているところである。
Q 長坂委員
3 日本の建国と神話教育について
(1) 世界の人々に堂々と日本の建国神話を語れるような教育の実現について
長い歴史、文化、伝統を持つ日本に、ふるさと和歌山県に誇りを持ち、世界の人々に堂々と日本の建国神話を語れるような教育を小中高それぞれで実現してほしいと思うが、知事の見解を聞きたい。
A 宮﨑知事
小、中、高等学校では、その発達段階に応じて、古事記や日本書紀などに見られる日本人の伝統的な自然観や宗教観など、そういったものを手掛かりとして、国際社会に生きる日本人としての在り方を考えるという学習が行われている。
県内には、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」など、神話とゆかりのある場所が各地にある。その神話や伝承などを学ぶことで、伝統と文化を尊重し、和歌山県が推進している我が国と郷土を愛する態度を育むというふるさと教育にもつながるものと考えている。
これからも、ふるさと教育の取組をはじめとして、日本人の伝統的なものの見方や考え方などを手掛かりに、我が国の長い歴史や伝統、文化について、誇りと自信をもって世界に発信していける、そういった人材を育成していく。
Q 長坂委員
(2) 竈山神社を重要文化財に
竈山神社は、927年成立の延喜式神明帳に記載された式内社で、神武天皇の東征に従軍し崩御された彦五瀬命が主祭神である。勇壮、偉容なたたずまいをもつこの建築物を、本県の誇るべき重要文化財の一つに加えるつもりはないか。
A 今西教育長
建造物の重要文化財指定は、国が全国的な価値判断に基づき行うものであり、県がその可否を判断することは困難である。
しかし、県内には潜在的に価値がある未指定建造物も多い。継続的に物件調査を行いながら、所有者や市町村の意向を踏まえ、国に対して必要な協力を行っていく。
意見 長坂委員
今後、竈山神社の宮司や和歌山市としっかり話をする。
Q 佐藤委員
1 令和8年度重点施策に係る観光施策について
(1) 世界遺産等推進事業について
世界遺産は、登録されたら終わりではなく、適切な保全管理が継続されてこそ、その価値が守られる。
参詣道の維持管理、文化的景観の保護、担い手不足への対応など課題も少なくない。
また、単なる観光客数の増加だけではなく、滞在時間の延伸、宿泊単価の向上、体験プログラムの充実など、質の向上が必要だと考える。
世界遺産や日本遺産における保全と活用に向けた令和8年度の取組について聞く。
A 赤坂地域振興部長
世界遺産等推進事業については、本県の世界遺産や日本遺産が有するブランド力を生かし、歴史や文化資源、ストーリーなど地域固有の価値を発信することで誘客促進をはじめ、広域周遊や滞在日数の延長などにつながる取組を推進するものである。
まず、世界遺産については、熊野古道や高野参詣道での道普請による保全活動をはじめ、次世代を担う児童生徒への学習支援、世界遺産の価値を伝える公開講座の開催、さらに街道マップや押印帳を活用した巡礼ウォークの推進や三重県、奈良県と連携したプロモーションなどを進めていく。
また、日本遺産については、地域ストーリーに沿ったモデルコースや周遊マップの作成、公式ホームページやSNS、外部メディア等によりターゲットに応じた情報発信を行うほか、地域の魅力を伝えるガイド養成研修会などの取組を進めていく。
これらの取組により、保全と活用、両方の視点に立って地域の魅力を高めていく。
Q 佐藤委員
(2) ジオパーク推進事業について
ジオパークを効果的に活用・保全するための人材育成や世界遺産「熊野」との相乗効果を踏まえ、令和8年度の取組について問う。
A 赤坂地域振興部長
ジオパーク推進事業については、地質遺産を核に、南紀熊野地域の自然・歴史・文化の魅力向上と誘客につながる取組を推進するものである。
令和8年度は、外部メディアによるジオサイトを巡る周遊ルートの情報発信や、ガイド団体主催のモデルツアーをはじめ、地質等に関する学術研究成果を国際会議などで発表する予定である。
さらに、環境保全を周知する取組として、多言語版ガイドブックや小中学校向け学習用教材の作成、中高生を対象に自然環境の探究活動を行うジオパーク探偵団、ジオサイト保護のための掲示板の設置などを行っていく。
また、世界遺産「熊野」は1400万年前の巨大な火山活動によってつくられた大地の上に成り立っており、その自然への畏怖の念が聖地としての信仰の背景になっているという認識のもと、世界遺産センターと南紀熊野ジオパークセンターが連携し、ガイド養成や南紀熊野の地質を伝える教育活動などを行うことで、地域の魅力が一層深まるよう、相乗効果を図っていく。
こういった取組を通じ、本県がもつジオパークの魅力を国内外に発信し、より多くの観光客に訪れてもらうことで地域の活性化につなげていく。
Q 佐藤委員
2 令和8年度重点施策に係る健康づくり及びがん対策施策について
(1) 県民の健康意識の高揚及びヘルスリテラシーの向上について
重点施策で「県民の健康意識の高揚及びヘルスリテラシーの向上を図るため、地域・職域・教育などの関係団体等が連携して、地域における健康課題を把握するとともに、健康づくりに資する普及啓発を実施する」とのことであるが、具体的にどのように取り組んでいくのか。
A 𠮷野福祉保健部長
県では、健康に関する情報の発信をはじめ、様々な対策に取り組んできたが、依然として心疾患で亡くなる方が多いなど、食生活や運動などの生活習慣に課題がある。
心疾患をはじめとする生活習慣病は、40歳ごろからリスクが高まることから、就労世代の生活習慣改善につなげていくため、民間企業等とも連携し、職域への啓発を充実していく。
また、生活習慣病の予防には、バランスの良い食生活が重要で、昨年12月に公表された国民健康・栄養調査において、和歌山県は野菜摂取量が全国最下位となったことから、特に野菜摂取量の増加を主体とした食生活改善の啓発を進めていきたいと考える。
加えて、市町村で実施している地域イベント等に参加し、骨密度測定や血管年齢測定など、その場で自分の健康状態を知ることができる機会をつくり、体験を通して、自主的な健康行動が促進されるような取組を推進する。
ヘルスリテラシーとは、健康に関する情報を知り、それを活用していく力のことであり、生活習慣を改善し、健康寿命を延ばしていくために、市町村や民間企業等と連携しながら、県民の皆さんが健康に関する正しい知識を得て、その情報を活用し、健康的な生活習慣を身につけることができる機会を増やしていくことで、県民一人一人のヘルスリテラシーの向上を図っていく。
Q 佐藤委員
(2) がん検診の受診率向上に向けた取り組みについて
本県のがん検診の受診率は、5つのがん全てにおいて全国値を下回っている。受診率がなかなか上がらない中、来年度の予算案には子宮頸がんの検診車の更新費用も計上されているが、受診率の向上を目指して今後どのように取り組むのか。
A 𠮷野福祉保健部長
県ではこれまで、ホームページや県民の友などを活用しながら県民に受診を呼び掛けてきたほか、個別に受診勧奨を行う市町村に対し補助を行ってきた。
さらに、包括連携協定を締結した企業と協力して、高齢者から若者まで幅広い世代を対象とした啓発イベントも開催してきた。
しかしながら、令和4年度の本県の受診率は、5がんすべてにおいて全国値を下回っている。
受診率が高い他の自治体の状況を分析してみると、職域検診の受診率に差があることが分かったため、がん検診による早期発見・早期治療の重要性などを呼び掛けるチラシを作成し、商工団体や健康保険協会を通じて約4万社への配布を始めたところである。
その結果、がん検診に積極的に取り組む事業所も出始めており、こうした動きを広げながら受診率の向上につなげていく。
また、子宮頸がん検診車は、受診できる医療機関が限られている過疎地域においては、大きな役割を果たしている。
老朽化が進んでいることから、来年度買い替え、引き続き検診を受けやすい環境を整備しながら、受診率の向上に努めていく。
Q 佐藤委員
3 新宮保健所串本支所の統合について
(1) 統合の検討を始めるきっかけについて
次に、新宮保健所串本支所の統合について、新宮保健所串本支所の歴史は古く、昭和23年に高池保健所として古座川町に設置され、昭和27年に現住所である当時の西向町に新築移転されたのをきっかけに西向保健所と改称された。
昭和31年「昭和の大合併」での西向町、田原村、古座町の合併を機に古座保健所と改称され、平成2年に、現在の庁舎が新庁舎として供用された。
平成12年の組織改正にて、現在の東牟婁振興局健康福祉部串本支所(新宮保健所串本支所)へ改称された。
このように長年にわたり地域に根付き、串本・古座川地域の保健・福祉行政サービスを提供し、地域の人々の健康・福祉を支えてきた。
しかしながら、このたび、本所である東牟婁振興局健康福祉部に統合されるとのことで、県民意見募集が2月6日から開始され3月9日に終了したところである。
統合の検討を始めるきっかけは何だったのか?
A 𠮷野福祉保健部長
近年、保健師や獣医師等、公衆衛生に携わる専門職の重要性がますます高まる一方で、都市部の生活環境の優位性や若年層の職業観の多様化などを背景に、地方の公務員を志す人が減少している傾向が続いており、人材確保が年々困難になっている。とりわけ、先ほど挙げた専門職については、採用自体が難しくなっている状況である。
このような状況を踏まえ、新宮保健医療圏における保健所機能を安定的に維持していくためには、本所と串本支所に分散している職員を集約し、人材育成や専門性の確保に向けた取組を強化する必要がある。職員を集約することにより、専門的なノウハウの継承や研修の充実が図られ、地域に必要なサービスを継続して提供できる体制が確立できると考えている。
また、串本支所が津波浸水想定区域内に立地していることから、大規模災害が発生した場合、支所の業務継続が困難となるおそれがある。被災市町村に対して迅速かつ継続的に人的・専門的支援を行うためには、平時から災害リスクを踏まえた機能の集約を進めることにより、災害時にも確実に対応できる体制を整え、県民の安全・安心を守る必要があると判断した。
以上の点から、保健所機能を平時・有事を通じて確実に維持し、県民の命と暮らしを守るとともに、被災市町村への支援が確実に行える体制を整備することを目的に、串本支所の本所への統合について検討を開始したところである。
Q 佐藤委員
(2) 保健行政サービスの窓口削減について
串本支所が新宮保健所に統合されるということは、串本町民・古座川町民への住民サービスの低下につながらないか心配であるが、今後どのような対応策を実施していくのか。
A 𠮷野福祉保健部長
統合に伴う住民サービス確保のための取組として、まず、保健師やケースワーカー等の職員が、支所統合後も従前と同様に家庭訪問や面談を実施できるよう、串本・古座川地域における活動拠点としてサテライト事務所を確保する予定としている。
併せて、東牟婁振興局地域づくり部串本地区駐在へのパスポート窓口の移管や、出張窓口の設置、さらに電子申請の一層の普及・促進を図るなど、多様な手段を通じて串本・古座川地区における利便性の確保に努めていく。
Q 佐藤委員
(3) パンデミックが発生した場合の地域住民への感染対策対応について
コロナ禍では、保健所の役割は大変重要であったと思う。串本支所でもクラスターの管理や、コロナ感染患者の支援、入退院調整で地域住民のコロナ感染症対策に尽力されてきたところであるが、統合されると串本支所がなくなってしまう。当時のような機能が果たせなくなるのではないかと考えるが、どうか。
A 𠮷野福祉保健部長
コロナ禍において、串本支所では他の保健所と同様に、感染者の疫学調査や入退院の調整、住民からの電話相談等に対応してきた。
統合後に、新型インフルエンザ等感染症が発生した場合であっても、感染症の予防や拡大防止対策については、従前と変わりなく取り組んでいく。
Q 佐藤委員
(4) 統合の時期について
3月9日に県民意見募集が終了したが、いつ頃統合する予定か。
A 𠮷野福祉保健部長
統合の時期については、専門性の高い人材の確保と育成が喫緊の課題であり、できるだけ早期の統合を進めたいと考えている。
その一方で、統合により住民サービスが低下しないことが最優先であり、事務の流れや業務体制を丁寧に検証し、住民サービスに支障のない体制を確立していく。
これまで串本町及び古座川町をはじめとする地元関係者に対して継続的に説明を行ってきたところであり、今後も両町と事務レベルも含めた協議を続けるとともに、今回のパブリックコメントや区長など地元住民から寄せられる意見を踏まえ、令和9年4月の統合を目指して準備を進めていきたいと考えている。
要望 佐藤委員
令和9年4月の統合という具体的な話があった。答弁にあった人材不足や省力化に伴う集中化は、時勢の流れで避けようがないという部分もあるが、既存のものがなくなるということは住民からすれば、住民サービスの低下につながるのではないかという不安がつきまとう。今後1年余りあるので、地域や地元住民とのやり取りを十分重ねた上で、お互いが納得する形で進めていくことが望ましい。急がずに時間をかけて、検討、準備をしてもらうことを要望しておく。
●濱口委員長
◎休憩宣告
午前11時13分
午後0時57分
●濱口委員長
◎再開宣告
Q 上山委員
1 外国人材の確保・育成について
(1) 県内の外国人材の受入れ状況と人材活用について
現在、我が国では少子高齢化が急速に進行し、生産年齢人口の絶対数が全国的に減少している。特に地方においては、若年層の都市部流出と高齢化の進行が顕著であり、地域社会の活力そのものが問われる状況となっている。
このような人口構造の変化は、農業では高齢化が進み、建設業では技能者の高齢化と後継者不足が課題となり、介護分野では高齢者人口の増加に対し人材確保が追いつかない状況が懸念されている。
こうした背景のもと、全国の外国人労働者数は近年増加傾向が続き、過去最多を更新している。外国人材は幅広い分野で活躍し、我が国の産業構造を支える重要な存在となっている。
しかし、これまでの技能実習制度については、本来の「技能移転による国際貢献」という理念と実態との乖離が指摘されてきた。技能移転を目的としながらも、実態としては労働力確保の側面が強く、転籍制限により職場変更が難しいことや、劣悪な労働環境問題が社会問題化した事例もあった。
こうした反省を踏まえ、国においては技能実習制度を発展的に解消するとともに、新たに我が国の人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする「育成就労制度」が創設され、令和9年4月1日から運用が開始されることとなっている。
一方で、受入れの拡大が進む中、都市部への人材集中や地方間の人材獲得競争など、新たな課題も顕在化している。制度改正により転籍が容易になれば、賃金水準の高い都市部へ人材が流出する可能性も指摘されており、地方にとっては一層厳しい競争環境となることが懸念される。
外国人材政策は、単なる人手不足対策ではなく、地域の持続可能性そのものに関わる政策へと変化している。和歌山県においても、生産年齢人口は減少を続けており、外国人材の受入れは現実的かつ重要な政策課題であるが、単に労働力として受け入れるだけでは持続可能な地域づくりにはつながらない。
県内の外国人材の受入れ状況と人材活用について、商工労働部長に見解を問う。
A 中場商工労働部長
本県の外国人労働者数は、令和7年10月末現在、6808人で、対前年の増加率は19.2%と全国1位となっており、本県においても外国人材の受入れは着実に拡大している。
中でも、製造業をはじめ、医療・福祉、卸売・小売業、宿泊・サービス業、建設業など人手不足が顕著な分野を中心に活躍の場が広がっているところである。
このように、外国人材が県内産業を支える重要な担い手となりつつある中、持続的な社会経済活動を維持していくためには、単なる労働力としてではなく、地域を支える人材として迎えることが重要であると考えている。
県としては、受入れ環境整備に係る助成や県内企業における受入れ事例集の作成などを通じて、外国人材が安心して、生き生きと働くことができる職場環境づくりを支援していく。
また、産業別では、主に技能を重視する製造業や高度な日本語コミュニケーション能力を必要とする宿泊・サービス業など、産業分野ごとに求める人材像は異なるため、産業別セミナーの開催を通じて、各企業に親和性のある技能や知識を持つ外国人材の採用に向けた取組についても支援していく。
Q 上山委員
(2) 在外県人会等、県と関わりの深い人材の受入れについて
外国人材を単なる労働力としてではなく、地域の一員として迎え入れ、共に育ち、共に働く仕組みの構築が重要課題であると考えるが、海外県人会ネットワークを活用し、「和歌山にゆかりのある人材」を受け入れるという視点について、県としてどのように考えているのか。
A 北村企画部長
日系移民は、日本の教育を現地で実現するための学校を設立するなど、子や孫への教育に熱心であり、そういった施設で教育を受け、日本の文化や風習に理解のある方々は、日本社会に馴染みやすいのではないかと考えている。
特に自身のルーツを和歌山県に持つ県人会の子弟は、本県との親和性が高いことから、知事が県人会のある国を訪問する際には、県人会のネットワークを生かして、現地の教育機関でプレゼーテーションを行うなど、本県の魅力を発信し、本県への留学及び就労をPRしている。
加えて、昨年7月には「在外和歌山県人会次世代リーダーズの集い」を実施し、県人会の将来を担う子弟に、県内の学生との交流、県内企業への訪問などをしてもらった。こういった取組を通して、本県をより身近に感じ、本県への就労等を考えてもらう機会を創出した。
その他、これまでも、県内教育機関への留学や県内企業での就労に意欲のある県人会青少年のサポートを実施してきた。
今後も、在外和歌山県人会との交流を通じて、和歌山県にゆかりのある外国人材の受入れに努めていく。
要望 上山委員
和歌山にゆかりのある若い世代が、和歌山で学び、働き、暮らし、そしてまた世界へ羽ばたいていく、このような循環型の仕組みを築くことができれば、大変意義深い。その若い世代が将来、次の世代に、自分は和歌山で学び働いたと語り継ぐことができれば、世代を超えて再び和歌山に戻ってくる流れが生まれ、人口減少時代の地方創生の新しい可能性があると考える。
ぜひ海外県人会との絆を生かし、ゆかり人材との持続的な交流と受入れの仕組みづくりとして、県としても一層踏み込んで取り組むことを強く要望する。
Q 上山委員
1 職員住宅の活用について
(1) 職員住宅の利用状況及び処分等方針について
本県は広域に庁舎・研修施設・文化施設・職員住宅等の県有施設を保有している。近年は全国的な人口減少・少子高齢化、財政制約の進行により、公共施設の統廃合・再編が重要となっており、昭和40から50年に整備された施設が更新時期を迎え、今後10年20年にわたり地方財政に大きな影響が予測される。
国は自治体に対して公共施設等総合管理計画の策定を求め、長期的な資産管理・計画的更新・総量適正化を促進しており、本県も総合管理計画を策定し、長寿命化や再編を進めているが、人口減少や行政需要の変化により、従来の人口規模等で整備された施設の位置付け・維持・活用の見直しが必要である。
施設を安易に更新・修繕し続けると、将来世代へ財政負担を残す可能性があるため、現時点で丁寧な見直しが不可避である。ただ縮小・削減するだけでなく、資産をどう生かすかという発想の転換も求められる。
多数ある県有施設のうち、今回は職員住宅の利用状況に絞って現状確認を行う。
職員住宅は整備当時と比べて組織体制・職員数・ライフスタイルが変化しており、需要構造が変わっている可能性が高い。現状の利用実態を正確に把握することが、維持・更新・再編・活用方針の議論の出発点と位置づける。
各部局別の総戸数はいくつか、直近の入居率はどの程度か、使われなくなった職員住宅の取り扱いはどうなっているか。
A 山本総務部長
県有の職員住宅は知事部局、教育委員会、警察本部がそれぞれ所管しているが、利用状況については総務部から一括して答弁する。
令和8年2月1日現在における知事部局所管の職員住宅の戸数は496戸で、入居率は70.4%、教育委員会所管の職員住宅の戸数は119戸で、入居率は61.3%、警察本部所管の職員住宅の戸数は595戸で、入居率は59.5%となっている。
用途廃止となった職員住宅の処分方法については、各施設所管課において売却等の判断に至った物件情報を管財課で集約した上で、当該物件に係る取得希望の有無を、まず庁内向けに照会し、希望が無ければ次に国及び県内全市町村に照会を行う。
国及び市町村からの取得希望が無ければ一般競争入札により売却することとしている。
●濱口委員長
◎傍聴協議 2件
◎撮影許可 1件
Q 上山委員
(2) 未利用施設の有効活用について
本県で急速な人口減少が進行しており、特に地方部で若者の流出が大きな課題。
高校卒業後、多くの若者が進学・就職で県外へ移動し、そのまま戻らないため、地域の活力や将来の担い手が不足する懸念がある。
県内の専門学校や高等教育機関は、県外学生や留学生の受入れを希望しているが、現場からは、学生向け住宅が不足している、家賃が高く受入れの妨げになっているなど、住環境が学生誘致のボトルネックになっており、住居さえ確保できれば受入れを増やせるという具体的な声がある。
一方、県内には利用率が低い職員住宅や空室で維持管理費だけがかかっている施設が存在すると推測される。現状は、地域ニーズと未活用の県有資産が十分につながっていない可能性がある。人口減少時代に重要なのは、単なる維持管理ではなく、県有資産を地域の未来にどう生かすかという視点で、市町村の中には、使用していない職員住宅を学生等の住居として活用することを検討しているところがある。したがって、可能な限り早い段階で市町村に対し、売却対象施設の取得要望を照会すべきではないか。
A 山本総務部長
総務部としては、教育委員会、警察本部と連携して、可能な限り早い段階で市町村へ情報提供できるよう努めていく。
要望 上山委員
職員住宅の利活用は単なる財政対策ではなく、地域の若者・人材確保と地域活力回復のための基盤づくりである。教育現場では「住居が確保できれば受入れを増やせる」という要望がある一方で、県内には利用率の低い職員住宅が存在し、活用されないまま維持管理費が発生している。このミスマッチを解消する必要があり、例えば有田市ではスポーツ振興を担う専門学校に県内外・外国人の学生が集まっている。住居確保が進めば受入れ拡大が可能という現場の声がある。この状況は有田市だけに限らない。
利用率の低い職員住宅を学生・留学生の住まいや地域に人を呼び込む住環境として利活用する余地がある。県・市町村・教育機関等が連携し、モデル事業を作れば、県内各地へ横展開できる。各市町村の課題・ニーズを丁寧に把握し、協議を重ねることが重要である。県有施設を空きから脱却することが、維持管理費や将来の大規模修繕リスクの在り方に好影響を与える。将来世代に負担を残すのではなく、価値と可能性を引き継ぐ資産経営へ転換する。
県有施設を「眠る財産」ではなく、人材確保と地域づくりを支える未来への資産として利活用するため、所在市町村や関係機関と連携してモデルを作り、県内に広げることを強く検討してほしい。
Q 上山委員
3 流域治水の取組について
(1) 県河川整備計画の策定状況と有田川水系の河川整備について
近年、全国各地で豪雨の激甚化・頻発化が顕著となっている。線状降水帯の発生による記録的短時間大雨や、これまでの想定を上回る豪雨が相次ぎ、従来の治水計画の前提そのものが問い直される時代になっている。気候変動を前提とした治水対策への転換は、もはや選択肢ではなく、不可避の課題である。
本県は紀伊山地を源とする急峻な河川が多く、上流域から下流域までの流下時間が短いという地理的特性を有している。山間部では集中豪雨が短時間で下流域に到達し、水位が急上昇する構造にあり、堤防や河道の能力を超える事態が発生すれば、被害は一気に拡大する可能性を抱えている。
さらに、下流域には市街地や農地、産業基盤が集積しており、ひとたび浸水が発生すれば、住民生活のみならず、地域経済にも大きな影響を及ぼす。こうした本県特有の地形条件を踏まえれば、河川整備計画の着実な推進は、県民の生命・財産を守る上で最重要課題の一つである。
令和6年12月議会では、県内の河川整備計画の策定状況について確認した。その後の答弁では、二級水系における新規策定や計画変更が進められているとの説明があり、一定の前進が図られているものと認識している。
また、有田川本川においては、河口部での堤防整備や堤防強化、流下阻害となる樹木伐採や堆積土砂の撤去が進められていること、さらに支川においても遊水地整備や護岸整備、土砂撤去などが実施されているとのことである。現場での具体的な取組が進んでいることは評価する。
しかしながら、気候変動の影響を踏まえれば、現在の整備水準が将来にわたって十分であるのか、また整備の進捗が地域住民の安心に繋がるほどのスピード感をもって進められているのか、改めて確認する必要があると考える。
そこで、河川整備計画の現在の策定状況や見直し状況はどうなっているのか。また、有田川水系における本川・支川それぞれの整備の進捗状況と、今後の整備見通しについて問う。
A 小浪県土整備部長
一級水系である紀の川水系は、国管理区間について国が計画を策定しているほか、本県管理区間については、和歌山市・貴志川・紀泉の3つの圏域について、それぞれ県が計画を策定済みである。熊野川等の新宮川水系は、同様に国管理区間は国が、本県管理区間は、三重県と共同で、それぞれ策定している。
和歌山県の管理する二級水系については、県内85水系のうち19水系で計画を策定している。
続いて、以前委員から質問のあった令和6年12月以降の進捗について回答する。令和6年12月に、湯浅町を流れる山田川水系の河川整備計画を新たに策定している。また、令和7年3月に日方川水系、亀の川水系の計画をそれぞれ変更している。加えて、左会津川水系の計画の変更の検討を進めているところである。
次に有田川水系の整備状況についてであるが、有田川本川については、河口部での堤防整備、有田市宮原・糸我地区での堤防強化の工事をそれぞれ行っているほか、洪水が流れる際に影響がある、樹木の伐採や堆積した土砂の撤去について、保田大橋付近、宮原橋付近、田殿橋付近等の広範囲にわたり、進めているところである。
有田川に流れ込む各支川については、天満川では遊水地の整備を、宮前川では護岸の整備を進めている。また、西谷川、早月谷川等の5河川では、令和5年の大雨を含む近年の豪雨によって土砂が堆積しているところについて、集中的に土砂の撤去を進めている。
これらの事業は、先般議決された令和7年度補正予算や、現在審議されている令和8年度予算案により進捗を図っていきたい。
意見 上山委員
河川整備計画および有田川水系の取組については、ただいまの答弁でおおむね理解した。
計画策定や見直し、堤防強化や河道整備、土砂撤去など具体的な取組が進められていることは評価する。今後も着実に推進してもらいたい。
一方で、治水対策を県民の安心につなげていくためには、単に取組を列挙するだけでなく、どの程度まで整備が進んでいるのか、いつまでにどこまで到達するのかという数値や目標を明確に示すことが極めて重要であると考えている。
整備率や完成の目標年度といった具体的な基準を示しながら、進捗管理を行うことで初めて県民の理解と信頼が得られるものだと思う。
Q 上山委員
(2) 流域治水の現在の進捗状況について
令和6年12月議会の一般質問では、近年の異常気象とも呼べる豪雨災害が頻発する中で、有田川を含め、これまでの河川整備中心の対策で十分であるのか、十分でなければどのように治水対策に取り組んでいくべきかについて質問した。
その際の答弁では、「流域のあらゆる関係者が一丸となって対策を進める流域治水が重要である」との説明があった。一方で、「流域治水への転換は道半ばであり、従来の河川管理者中心の対策から完全に脱却しているとは言い難い状況である」との認識も示された。
それから1年以上が経過している。
全国においては、特定都市河川制度の活用や流域水害対策計画の策定など、制度面でも前進が見られる。本県でも日高川水系西川流域の指定など取組が進んでいるが、当時「道半ば」と評価された状況から、どこまで具体的に前進したのかを改めて確認する必要があると考える。
そこで、当時「道半ば」と評価されていた本県の流域治水の取組は、現在どの段階まで進展しているのか。特定都市河川制度の活用状況や流域水害対策計画の進捗状況について問う。
A 小浪県土整備部長
「流域治水」とは、流域全体のあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる治水対策として、令和3年より全国的に進められている施策である。
本県としても、「流域治水」を進めるためには、県が管理する河川の整備を着実に推進し、関係部局が連携して対策を充実させていくとともに、流域の市町村においても、雨をためる、しみ込ませる、ゆっくり流す、といったいわゆる「流域対策」に取り組んでいただくことなどが重要と考えている。
このような認識に立ち、令和7年1月に日高川水系西川流域を、県内初、二級水系としては近畿地方初となる特定都市河川浸水被害対策法に基づく「特定都市河川」に指定している。
西川流域では、令和7年9月に県及び、流域の御坊市・美浜町・日高町・日高川町の4市町が共同で同法に基づく「流域水害対策計画」を策定し、この計画に基づき、様々な取組を進めているところである。
例えば美浜町では、将来にわたって遊水機能を維持するための貯留機能保全区域の指定に向けて町と県が共に検討を進めているところである。日高町では、県内初となる田んぼダムの実証実験がスタートしており、日高川町では、田んぼダムの実証実験に加え、ため池を治水にも活用する取組を拡大していただいているところである。御坊市では、浸水リスクの高い地域の小学校において、過去の水害の歴史を学び、命を守るための授業を実施している。
また、特定都市河川浸水被害対策法に基づき、一定規模以上の開発等に際し、雨の水を溜めたり地中に浸み込ませたりする「雨水貯留浸透施設」の設置が義務付けられている。これに基づき、既に流域の民間企業による貯留施設整備が始まっているほか、県が事業主体となる御坊市の下富安団地の建て替えに際しても、貯留施設の整備を検討しているところである。
意見 上山委員
流域治水の進捗状況について確認した。
西川流域における特定都市河川指定や流域水害対策計画の策定、田んぼダムやため池活用、また防災教育など、具体的な取組が進められていることは理解した。一定の前進であると受け止めている。
しかしながら、昨年は本県では大規模な豪雨災害に見舞われなかったが、全国では毎年のように豪雨災害が頻発しており、気候変動の影響を踏まえれば、本県も決して例外ではなく、流域治水の効果が確実に発揮される体制を整えていかなければならないと考える。
Q 上山委員
(3) 流域治水を推進するための今後の課題について
私の地元である有田市の高山川流域においても、これまで、たびたび浸水が発生してきた地域である。大規模な外水氾濫に至らずとも、局所的な豪雨により、内水的な浸水が発生するなど、地域住民の不安は決して小さくない。
西川の事例は一つのモデルであるが、こうした地域の実情を踏まえたとき、流域治水を全県的に広げていく上で、どのような課題が横たわっているのかを明らかにすることが極めて重要であると考える。
例えば、市町村における専門人材や体制の不足、農業者や土地所有者との合意形成に時間がない事、部局間連携が制度上は整っていても、実務上は調整に時間を要してはいないのか等、いろいろな課題があると思うが、こうした点が実際の推進過程における課題ではないかと感じている。
そこで、県として、これまで流域治水を推進してきた中で、具体的にどのような課題に直面しているのか。
それは、西川流域に限った課題なのか、それとも高山川流域を含め、県内各流域に共通する構造的な課題なのか。
また、現場で最も難しさを感じている点はどこにあるのか、率直な課題認識を問う。
A 小浪県土整備部長
流域治水を進めていくためには、一般的に河川管理者だけではなく、流域の様々な関係者それぞれが、水害対策について「誰かがやってくれること」ではなく、「自分でも取り組めること」として認識する「自分ごと化」が大事である。
例えば、先ほどご紹介した田んぼダムやため池の活用といった、農家の方々に協力してもらう取組については、気候変動の影響や地域の水害リスクを丁寧に説明し、まさに「自分ごと」として理解してもらうこと、また、これらの対策がどの程度効果があるのかを分かりやすく見える化していくことも重要である。これは、貯留浸透施設等の整備が義務付けられる民間事業者との間でも同様である。
したがって、流域治水の課題とは、組織ごと、部局ごとの縦割りを乗り越え、地域全体で水害に立ち向かう「流域治水文化」をいかに根付かせるか、そのための意識改革をどのように進めていくのかということだと考えている。
県としても、そのきっかけとなるよう、県の広報番組での流域治水の紹介、県独自の流域治水のロゴマークの製作、ステッカーやシールの配布などの取組をしてきたところである。
今後とも、引き続き、関係部局のみならず、関係市町村、民間事業者や県民の皆様と連携して対策を進めていくため、様々な機会を通じて情報発信や働きかけをしていく。
意見 上山委員
答弁で、水害の「自分ごと化」を進めることの難しさ、効果の見える形の重要性、そして、行政の縦割りを排し、流域全体で取り組む必要性が示された。その中で、私は特に地域と連携した取組に注目している。
流域治水は行政だけで完結するものではなく、地域住民や農業者の協力が不可欠である。県内において、農家の皆様が協力して実施している田んぼダムの取組は、まさに地域ごとの防災対策であり、流域治水を象徴する事例であると評価している。
Q 上山委員
(4) 農業用ため池を活用した治水対策について
農業分野を流域治水の中にどのように位置づけ、持続可能な形で取組を広げていくのか、今後の鍵になると考える。
流域治水は、単なる治水対策にとどまらず、防災と農業振興さらには地域づくりを結びつける総合政策であるべきと考える。
流域治水については、地域住民をまきこんだ多方面からの取組が重要であると考えるが、ため池を活用した治水対策について聞かせてほしい。
A 川尾農林水産部長
流域治水対策を進める上で、地域との連携は重要であると認識している。
このため、農業用ため池の所有者や管理者に対して、下流域の浸水被害軽減対策として、ため池の水位を低く保つ低水管理や、大雨予想時の事前放流が有効であることを、研修会等を通じて周知している。
また、県が改修工事を行ったため池については、所有者や管理者に対して、直接、低水管理や事前放流の実践をお願いしている。
今後も、地域との連携が一層進むよう、関係者に対して、流域治水におけるため池の重要性を啓発するとともに、具体的な取組の実践を働きかけていく。
要望 上山委員
流域治水対策の中で、ため池での取組について概ね理解した。
しかしながら、気候変動の影響により豪雨が激甚化する中で、農業防災の役割はこれまで以上に重要性を増している。
農地やため池を守ることは、単に農業を守るということにはならない。それは、流域全体の安全を守り、県民の安心な暮らしを支える取組である。
本県の農地やため池は、急峻な地形の中で、先人たちが築き上げてきた大切な財産であり、豪雨時には下流域の被害軽減に寄与する重要な防災インフラである。田んぼダムの取組が見られるよう、農家の方々は地域の安全のために協力してくれている。その思いを持続可能なものとするためにも、ため池の洪水調整機能の強化や整備などを計画的に進めるとともに、どの程度の施設を対象とし、どの規模で機能向上を図り、地域と共有していくかということが重要である。
また、その実現には、県土整備部と農林水産部が横断的に連携した事業計画のもとで、一体的な予算措置を講じていく体制の強化が不可欠であると考える。個別事業として分散的に扱うのではなく、流域全体の安全確保という共通目的のもと、包括的に措置できる枠組みとすることが重要である。
とりわけ、流域治水と農業防災を一体的に推進するための新たな具体的な共同予算枠の創設も含め、実効性のある財政的裏付けを図ってほしい。
流域全体の安全確保という共通の目的のもと、横断的な取組と予算措置のさらなる充実を強く要望する。
Q 尾﨑委員
1 脱炭素先行地域づくり事業について
県が共同提案者として、和歌山市が採択された脱炭素先行地域づくり事業に今後どのようにかかわっていくのか問う。
A 宮﨑知事
脱炭素先進県を目指す和歌山県にとって、県全体で脱炭素を進めるためには、市町村による取組が欠かせない。
今回、人口も産業も集中する和歌山市が「脱炭素先行地域」に選ばれたことは、今後、県内全域に脱炭素の取組を広げていく上でも、非常に大きな一歩であると思っている。
和歌山市の申請に際しては、県も協力したが、何度もチャレンジして、ようやく採択を勝ち取った市職員の頑張りには、頭が下がる思いである。
脱炭素先行地域づくり事業の交付金額は、5年間で最大50億円という事業規模であることから、非常に大きな経済効果も見込まれる。
採択された計画では、公共施設等に太陽光発電設備や蓄電池を導入し、電力を和歌山市駅の周辺エリアに供給するなど、再生可能エネルギーの地産地消を推進する。
また、空き家を断熱改修することで、建物の価値を向上させ、空き家解消につなげる。これは、空き家率の高い和歌山県にとって、課題解決への有効な取組となり得るものと考えている。
共同提案者である県は、今後、計画に記載されている、県有施設への太陽光発電設備の設置を着実に進めるとともに、この計画の実現を目指して、和歌山市とともに、全力で取り組んでいく。
意見 尾﨑委員
企業誘致の際にはグリーンエネルギーの供給能力が問われる時代となった。企業を振興するという意味でも是非頑張ってほしい。
Q 尾﨑委員
2 内閣府のスタートアップからの公共調達の推進に向けた取組について
国はスタートアップ企業の育成のため公共調達の在り方を見直したと聞いた。
国の公共調達は、会計法に基づき一般競争入札が基本となるが、その参加要件に実績を問うことから、スタートアップ企業の参加が難しい。これを見直すため、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局がスタートアップからの公共調達等の推進に向けた施策に取り組んでいるが、県において認識しているか。
A 中場商工労働部長
スタートアップについては、新技術を開発しそれらを社会実装につなげるまでの過程において資金調達や研究開発、販路拡大などの課題が存在し、事業化するまでに時間を要するものと考えている。このような中、国におけるスタートアップに関する公共調達については、高度かつ独自の新技術の活用や需要創出を主眼に、行政課題の解決策を公募し、各省庁と協議を行いながら仕様を確定させた上で随意契約を可能とする新たな調達スキームが令和6年度に創設された。
また、革新的技術に対して多段階の研究開発補助を行うとともに、開発成果を国が積極的に調達する仕組みであるSBIR制度を通して多面的にスタートアップの支援が推進されていると認識している。
Q 尾﨑委員
会計法を見直し、随意契約を可能にして、スタートアップ企業を育てようとすることは非常に良いことだと考えるが、県としての受け止めはどうか。
A 中場商工労働部長
国が行うスタートアップに関する公共調達の取組については、「初期需要の創出」や資金支援、信用力向上を通じて、事業成長を後押ししうるものと認識している。
Q 尾﨑委員
県として、スタートアップ企業に対してどのような支援を行っているか。
A 中場商工労働部長
県では、スタートアップの創出・成長に向け、様々な支援を行っている。
まず、スタートアップを目指す者を湧出するため、中高生を対象に、自ら課題を発見し、主体的に解決策を考え行動する人材の育成を目指したアントレプレナーシップ教育の実施や、和歌山にゆかりのある起業家団体である和歌山イノベーションベースと連携して新たな起業家の創出・育成を支援している。
また、先ほどの答弁のとおり、スタートアップが新技術の開発からそれを社会実装し事業化につなげるまでの過程の多くの段階において課題が存在するものと認識しており、その段階においてスタートアップも対象となる支援を行っている。
基礎研究や応用研究の段階では、成長産業にもつながる先駆的な技術を用いた事業開発を支援する「先駆的産業技術研究開発支援事業」や、わかやま産業振興財団と連携し、国が進める中小企業が大学・公設試等とのものづくり基盤技術の高度化を図ることを目的とした費用補助につながる支援を行っている。
また、サービスや商品を市場に展開し、技術を実用化・事業化する段階では、新商品や新サービスの開発、販路開拓につなげるために「中小企業応援ファンド」を活用し、試作品の開発や市場調査に係る支援を行っている。これら県の各種支援によりスタートアップの創出・成長を着実に後押しし、国の制度の活用にもつながるよう取り組んでいく。
Q 尾﨑委員
県としてスタートアップ企業を「生み出す」ところを支援しているが、生み出された企業を「育てる」ということに関して、国は段階を経て認証されたものについては実績を問わずに入札に参加できるように舵を切った。これを参考に、和歌山県も公共調達の中に取り入れてくれたらと考えるが、知事の見解はどうか。
A 宮﨑知事
元気なわかやまを築くためには、次代を担うスタートアップや中小企業の成長を支えることが大切であり、その重要性は十分に認識している。これまでの調達の基本は「経済性」であり、これは非常に大事な一面であるが、一方で、行政が新たな技術や企業の「育成」に寄与すべきという考え方も、一つの重要な視点であると捉えている。国のこの制度は、これまでの調達のあり方に一石を投じる挑戦的な試みであるが、新しい制度を導入する際には、価格が県民から見て、公平かつ納得してもらえるものであるかという点が肝要であると考える。企業を育てるということは大変重要なことであり、そのために、まず透明性をしっかり確保して、県民の誰からも応援してもらえるような仕組みづくりを大切にしていきたい。
この制度は、政府だけでは最適な解決策の策定が困難であるというような新技術に関することであることから、まず、この制度がどのように運用されていくのか、またスタートアップへの効果、そして対象とする発注業務などを丁寧に見極める必要があると考えている。
要望 尾﨑委員
国の方が上手くいけば、その真似をして県の公共調達の制度に取り入れて欲しい。
また、国のこの制度に応募していくような企業を県内で作っていかないといけない。まず、こういう企業を育成して、その企業がどのようにして国の公共調達に参加して成長していくかを見ながら、新しい制度を作っていってほしい。
Q 尾﨑委員
3 指定管理者制度に係る諸問題について
あらためて指定管理者制度とはどのようなものか。
A 山本総務部長
指定管理者制度は、地方自治法第244条の2の規定に基づき、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するために設置される「公の施設」の管理運営に民間事業者やNPO法人等の能力を活用することを可能とする制度である。
本制度導入の趣旨は、従来の公共団体による直営や出資法人等に限られていた施設の管理運営主体を、広く民間に開放することにより、多様なノウハウや専門性を取り入れ、住民サービスの向上を図るとともに、管理運営の効率化や経費の縮減を行うことである。
また、民間の創意工夫を生かすことで、施設の更なる利用促進や地域の活性化にも資することが期待されている。
本県においても、現在40施設において指定管理者制度を導入し、運営している。
Q 尾﨑委員
指定管理の期間を3年から5年に変えた理由は何か。
A 山本総務部長
指定管理者制度における指定期間については、法令上の定めはなく、以前は原則3年として運用していたところであるが、令和6年度以降、5年を上限とし、各施設の実情に応じた期間を設定しているところである。
指定期間を拡大した理由については、期間を拡大することで、事業者による施設運営に係る事業計画の多様化、人材確保等の安定化が期待でき、それによる利用者へのサービス向上など、より効率的かつ効果的な施設運営の基盤を整えることが期待できるためである。
なお、総務省の調査においても、令和6年4月1日時点、全国で8割を超える施設について、5年以上の指定期間が設定されている状況である。
Q 尾﨑委員
指定管理の期間は施設ごとに設定すればよいと考えるが、どうか。
A 山本総務部長
指定期間が長くなるほど、新たな事業者との競争機会の減少につながるという課題があることも認識している。
よって、指定管理者の指定にあたっては、5年を上限として各施設の実情に応じた最適な期間を設定した上で、各施設に具体的な成果指標(KPI)を設定し、毎年度評価を行い、その結果を公表するとともに、未達成項目については改善計画の提出を求めることで、客観的評価に基づく自発的なサービス改善を促すこととしている。
Q 尾﨑委員
不祥事を起こした指定管理者に対するペナルティはどうなっているか。
A 山本総務部長
本年1月20日に、県民交流プラザ和歌山ビッグ愛などの指定管理者である公益財団法人和歌山県スポーツ振興財団の職員及びその委託業務を受託する会社の関係者が贈収賄容疑で逮捕されたことは、指定管理者制度に対する県民の信頼が大きく損なわれるおそれがあり、重く受け止めている。
不祥事を起こした場合のペナルティについては、地方自治法において、公の施設の管理の適正を期するため、県は指定管理者に対して、業務や経理に関する報告を求め、調査を行い、必要な指示をすることができる旨規定されている。
さらに、これらの指示に従わないときや、管理を継続することが適当でないと県が認めるときは、指定を取り消し、または業務の全部または一部の停止を命ずることができることとされている。
その上で、基本協定書においても、協定事項に係る違反など、管理業務を継続することが適当でないと認められるときは、指定の取り消し等ができる旨、明記している。
Q 尾﨑委員
指定管理者の選定における評価項目にコンプライアンスに関する項目を加えてもよいと考えるが、どうか。
A 山本総務部長
指定管理者の選定については、原則公募によることとし、施設ごとに具体的な審査基準により、申請者からの事業計画等を点数化する形式で実施している。
今回の事案を踏まえ、現行の取り扱いの見直しについて検討を行う。
Q 尾﨑委員
指定管理者を選定することに議会の議決が要る意義をどのように捉えているか。
A 山本総務部長
指定管理者の指定にあたっては、地方自治法において、あらかじめ議会の議決を経なければならないこととされており、意思決定の適正性が確保される仕組みとなっている。
Q 尾﨑委員
庁舎は公の施設に含まれるか。
A 山本総務部長
指定管理者制度は住民の福祉を増進する目的をもって、その利用に供するために設置される公の施設の管理運営について、民間事業者、NPO法人等の能力を活用することを可能とする制度である。
したがって、住民利用に供するための施設での導入が想定されているため、庁舎や研究施設は指定管理者制度の対象となっていない。
Q 尾﨑委員
包括管理と指定管理ではどのような法的違いがあるのか。
A 山本総務部長
指定管理者制度においては、地方自治法に基づき、民間事業者等を活用するにあたっては、あらかじめ議会の議決を経て、地方公共団体が民間事業者等を「指定」することによって、公の施設の管理を行わせることができるものである。
制度上、公の施設の「管理権限を委任」するとされており、例えば、施設の利用許可などの「行政処分」も含めて「管理」を行っているところである。
一方、県庁南別館で行っている庁舎管理業務については、地方自治法に基づき、公有財産である庁舎を管理するため、県が作成した仕様書に基づく「契約」により、複数の管理業務を包括的に、業務「委託」を行っているものである。
Q 尾﨑委員
南別館を包括委託している理由は何か。
A 山本総務部長
包括的な民間委託については、民間活力を活用し効果的・効率的に維持管理をする手法として取り入れている。
Q 尾﨑委員
民間活力を取り入れて行政効果としてすごく良いのであれば、なぜ本庁舎をやらないのかとなる。だからあまり理由が分からない。
できるだけ入札は例外がない方が良い、県が定めたルールでやらないといけない。以前の知事が日本一の入札制度を作ると言って良い物が出来たのだから、そのルールでやれば良い。南別館の清掃ぐらいは、分割して入札を行ったらどうか。
本庁舎の清掃は、総合評価を行っていない。
南別館は、総合評価で入札を行っている結果、同一業者の落札が続いており競争性が高まっていないのでないか。
A 山本総務部長
同一事業者の受託が継続している状況については、競争入札の参加者が十分確保できていない状況に起因するところが大きいと考えている。入札参加者が少ない要因の一つとしては、包括委託に伴い事業者に求められる能力・負担が大きい点が挙げられると考えている。
そのため、入札参加者の増加と競争性を確保する観点から、防災センターとして24時間体制の機能を十分発揮できることを前提に、コストの削減や職員の業務効率化も含め慎重に評価し、必要な措置を検討していく。
要望 尾﨑委員
今回の報道を受けて、いろいろ考えてみたことがある。指定管理について議会の議決が要るということを我々も肝に銘じなければならない。不祥事が出た以上、改善しなければならない。そのまま放っておくということであれば、議決をした我々の責務の放棄になる。私の案がすべて良いというわけではないが、提案している以上、考えて改善してほしい。
●濱口委員長
◎付託議案に対する質疑終了宣告
◎報告事項 部局別質疑・調査を各常任委員会に依頼することを議長へ申し入れ
◎散会宣告
午後2時29分閉会

