令和8年2月和歌山県議会予算特別委員会会議記録(総括質疑1日目)
令和8年2月和歌山県議会予算特別委員会会議記録(総括質疑1日目)
1 日時 令和8年3月10日(火)午前9時58分~午後2時1分
2 場所 予算・決算特別委員会室
3 出席者 委員長 濱口太史
副委員長 佐藤武治
委員 上山寿示、鈴木德久、井出益弘、玄素彰人、山家敏宏、北山慎一、堀 龍雄、新島 雄、山下直也、
尾﨑太郎、藤山将材、片桐章浩、長坂隆司、小川浩樹、岩井弘次、中西 徹
欠席委員 なし
委員外議員 吉井和視、林 隆一、川畑哲哉
4 概要
午前9時58分開会
●濱口委員長
◎開会宣告 挨拶
◎報告事項 委員の欠席なし
◎傍聴協議 なし
◎撮影許可 4件
◎議事 議案17件
◎付託議案に対する質疑宣告
Q 山家委員
1 防災情報システムの再構築について
(1) 再構築の内容
前回の南海トラフ地震の発生から、すでに80年が経過していることは事実である。
時間の経過とともに地震の発生率は高まっていく。地震はいつ起こっても不思議でない状況にある。
また、線状降水帯発生の頻発化などもあり、防災情報システムは、非常に重要で、有効であると考えている。
システム再構築とシステム運用費5年間分を合わせて約6億4800万円を見積上限額とした調達を行うと聞いているが、再構築はどのような内容か。
A 中村危機管理部長
防災情報システムは、被害情報の収集・分析、避難情報の発令及び避難所管理などを行うものであり、その継続的な運用と強化は災害対策の中核であると認識している。
令和8年度に実施する予定の再構築については、現システムを精査の上、必要な機能を継承しつつ、システム操作性の向上を図るものとなる。
それに加え、市町村や防災関係機関との情報共有のためにチャット機能等を追加するほか、新たにクラウド化による利用環境の拡張を図るものとなる。
今回の再構築により、これまで以上に効果的な災害対応ができるよう進めていく。
Q 山家委員
(2) 効果及び発注方法
現在のシステム会社に随意契約を行う方が、安価になり、職員も使いやすいと考えるが、再構築による効果と発注方法はどのようなものか。
A 中村危機管理部長
今回の再構築においてクラウド化を行うことにより、インターネット環境があれば、災害対応に従事する職員等が場所や端末を問わず当該システムを利用することができる。
また、報告者が必要な項目を間違いなく入力できる画面を構築することで、従来より迅速かつ正確な情報収集を行うことができ、実効性の高い災害対応が可能となる。
発注方法については、価格のみならず技術力、品質、人員体制、実績、提案内容等を総合的に評価するとともに、競争性を働かせることで最大限の調達効果につながると考え、公募型のプロポーザル方式を採用した。
Q 山家委員
2 地域づくりについて
(1) 移住相談件数
地域づくりとは、地域に住む人たちが主体となって暮らしやすく魅力あるまちを作っていく取組であるが、そもそも、その集落や地域にある程度の人口と公共交通がなければ成り立たない。
民間の調査によると、2020年10月1日の国勢調査人口から2025年10月1日の推計人口までの人口減少率でいうと、本県は減少率5.93%で、47都道府県中ワースト10位と残念な結果となっているのが現状である。
本県の移住相談体制の状況、また直近3年間の年次別相談実績はどうなっているか。
A 赤坂地域振興部長
本県の移住相談体制については、移住希望者のニーズに即した働き方や生活環境などの情報を一元的に提供するとともに、市町村や就労支援機関等と連携して現地案内を含むマッチング支援を行うため、東京・大阪・和歌山に移住相談窓口「わかやま移住定住支援センター」を設置し、移住検討段階から定着に至るまで、一貫したきめ細かなサポートを実施している。
これらの取組により、移住相談件数は、コロナ禍以降の直近3年間では、令和5年度が2438件、令和6年度が2798件、令和7年度は1月末時点で2454件と堅調に推移している。
Q 山家委員
(2) わかやま移住定住総合戦略
今後は、移住者を増加させるために、さらにブラッシュアップも含め、様々な方法で取り組んでいかなければならないと考える。
今までの取組状況と、今後どのように展開していくのか。
A 赤坂地域振興部長
県ではこれまで、都市部での移住セミナーやフェアの開催、ポータルサイト・SNSでの情報発信を行うとともに、お試し移住「しごとのあるくらし体験」や空き家の利活用支援など、移住・定住施策を推進してきた。
しかしながら、人口減少が急速に進行する中、地域の活力を維持するためには、移住・定住の促進のみならず、地域と多様に関わる「関係人口」の創出が重要であると認識している。
そのため県では、和歌山に関心のある方々との接点を広げるため、大学と地域が連携した地域課題解決プロジェクトや、一次産業型ワーケーションのほか、首都圏在住の方々が地域のキーパーソンと直接交流し、和歌山を五感で体験できる「わかやま交流フェア」等を実施し、地域の魅力を広く発信してきた。
さらにそのつながりを深めるため、本年1月に関係人口創出WEBプラットフォーム「わかやまFUNBASE」を開設し、地域内外の様々な方々が、継続的に地域と関わる機会の創出を図っている。
また、令和8年度は、地域課題に取り組むための「共創の場」を都心に設け、首都圏の多彩な人材と、県内で地域活動に携わる方々が、共に地域の課題に向き合い、解決に向けた取組を生み出す仕組を構築していく。
引き続き、移住・定住を促進するとともに、地域社会の維持・発展に向けて関係人口の創出・拡大に取り組んでいく。
Q 山家委員
(3) わかやま交通事業者支援
地域づくりには公共交通機関の充実が欠かせない。公共交通機関を守るため、物価高騰により大きな影響を受けている交通事業者を対象に、運転手確保や生産性向上等への取組を支援するとのことだが、事業の具体的内容はどうか。
A 赤坂地域振興部長
近年の物価高騰などにより、交通事業者を取り巻く状況は、非常に厳しいものと認識している。
このため、国の重点支援地方交付金を活用し、県内の交通事業者への支援を実施することとし、暫定税率廃止の影響を受けず価格が高止まりしている重油を使用している事業者に、燃料費の一部を支援する予定としている。
また、タクシー事業者には、運転手確保のための普通二種免許取得や労働環境整備、生産性向上に資するシステムの導入、利用者の利便性向上のためのユニバーサルデザインタクシー導入等を支援する予定としている。
バス事業者には、現在実施しているバス運転手緊急確保対策事業等に加え、生産性向上に資するバス停のデジタル化等を支援する予定としている。
引き続き、市町村や交通事業者と連携し、地域公共交通の維持確保や利便性の向上に取り組んでいく。
Q 山家委員
3 建築行政について
(1) 建築確認の申請状況
昨年4月に「建築基準法」と「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律」の改正法施行があり、特に大きな改正内容は「建築基準法第6条」と、「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の第10条」である。
建築基準法第6条では、構造にかかわらず階数2以上又は延べ面積200平方メートル超えの建築物は、都市計画区域、準都市計画区域、準景観地区等の区域外においても建築確認の対象になり、都市計画区域、準都市計画区域、準景観地区等の内外に関わらず構造規定等の審査が必要になった。
また、建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の第10条では、原則全ての建築物に省エネ基準への適合が義務付けられた。
建築業は皆様ご承知の通り、すそ野の広い業種で、本県の林業にも影響が大きく、本県の経済を支える上で重要な業種である。
しかし、この法改正施行と、資材高騰、人件費高騰、人口減少により、建築確認申請件数が減少しているのではないかと危惧している。
そこで、和歌山市は特定行政庁なので、和歌山市を除く本県の令和7年度の建築確認申請件数と、法改正施行等による建築確認申請件数への影響についてどうか。
A 小浪県土整備部長
「建築基準法」及び「建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律)」の改正法の施行に伴う、委員指摘の建築基準法6条の改正、「いわゆる「4号特例」の縮小」及び「省エネ基準への適合義務付け」の影響について回答する。
本県管轄区域内の指定確認検査機関を含めた建築確認申請件数については、施行直前の駆け込み需要が大きく影響し、令和7年度第1四半期、すなわち昨年4月から6月まででは前年度同期と比べて95件、約23%減少し327件となっている。
一方、昨年7月から9月の第2四半期では385件と、前年度同期の378件とほぼ同水準に回復してきたと思われる。
なお、令和7年度当初から令和8年1月末までの合計は1228件と、前年度同期の1372件に比べ、144件、率にして10%程度減少している。
これは、人件費や価格の高騰などの影響もあるが、6月までの減少の影響が大きいと考えている。
Q 山家委員
(2) 建築技術職員の確保状況
建築確認申請業務では、申請件数は減少しているものの構造規定の審査及び建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の審査の対象が拡大され、それに伴い現場の中間検査及び完了検査は複雑になり、改正法施行前と比べてかなりの時間を要しているのが現状である。
建築技術職員の確保状況と確保のための取組はどうか。
A 小浪県土整備部長
本県の建築技術職員数は、令和4年度に66名まで落ち込んだが、その後増加傾向に転じ、令和7年度は73名となっている。これは、近年の新規採用が順調であるためで、令和8年度採用においても予定人員どおりの4名の合格となっている。いずれも役職定年及び再任用を除いた人数である。
先ほど申した「建築基準法」等の改正の影響を見据え、令和5年度以降、建築確認申請件数が多い振興局建設部に対して、合計3名の増員配置を実施している。
また県では、建築技術職のキャリアパスや働きがいを広報するPRパンフレットの作成や、大学訪問をはじめとするリクルート活動など、建築技術職員の円滑な採用に向けた取組を進めているところである。
この結果、今のところ、建築技術職員の新規採用は、おおむね順調に推移しているが、委員指摘のとおり、業務が複雑化し職員への負担が大きくなっていることも実感としてある。
このため、引き続き、DX化による業務改善や資格取得支援等による処遇改善を進め、建築技術職の魅力向上を図り、安定した人員の確保に努めていく。
意見 山家委員
建築技術職員の確保状況は比較的順調ということが分かった。
建築確認申請関係業務以外でも、公共建築物の設計及び監理業務や、都市計画関係業務等、建築技術職員が担う業務は多岐にわたり、また災害支援業務や建築技術職員の配置が困難な町村の支援など、建築技術職員の確保は重要である。
引き続きしっかりと取組を進めてほしい。
Q 山家委員
4 新規就農者育成総合対策について
国の「新規就農者育成総合対策」の年齢要件は、実情にそぐわないことから全国みかん生産県議会議員対策協議会でも要件緩和を国に強く要望しているが、令和8年度の事業の変更内容はどのようになったのか。
A 川尾農林水産部長
「新規就農者育成総合対策」は、就農時の年齢が49歳以下かつ認定新規就農者であることが要件となっており、新規就農者の確保策として不十分であるとの認識から、県でも国に対して支援対象年齢の引上げなどの要件緩和を要望している。
令和8年度における本事業の変更内容は、就農前後の支援資金の年間支援額が、現行の150万円から165万円に増額される内容で、支援対象者の年齢要件はこれまでどおりである。
一方、令和7年度補正予算において、65歳未満の認定新規就農者を対象に機械や施設の導入を支援する「新規就農者チャレンジ事業」が新たに創設され、50歳以上の新規就農者も活用できる支援策ができた。
新規就農者の確保は、本県農業の持続的な発展を図る上で、非常に重要な課題なので、国の支援策の活用に加え、親元就農者等への県独自支援を拡充するなど、市町村やJA等と連携して、積極的に取り組んでいく。
また、「新規就農者育成総合対策」の支援対象年齢の引上げなどの要件緩和については、引き続き、国に対して要望したいと考えている。
意見 山家委員
私も引き続き国に要望していくので、県も引き続きよろしくお願いする。
Q 山家委員
5 eスポーツの取り組みについて
(1) eスポーツわかやま推進プロジェクト
令和6年度から取り組んでいる「eスポーツわかやま推進プロジェクト」について、令和8年度の取組内容はどのようなものか。
A 赤坂地域振興部長
「eスポーツわかやま推進プロジェクト事業」は、eスポーツ人口の拡大を図るべく、県内高校生による「和歌山県高校eスポーツ選手権」や、全国の高校生等を対象とした「全国高校eスポーツ交流戦」をオンラインで開催し、高校の部活動における取組を支援してきた。
また、子供から高齢者まで幅広い年代にeスポーツに親しんでいただくため、「和歌山県eスポーツフェスタ」を開催し、多くの人々にeスポーツの楽しさや、参加者同士の横のつながりを実感してもらった。
令和8年度は、これらの取組を継続するとともに、運営スタッフとして県内の高校生や学生が参加することで、配信技術やイベント運営といった将来の仕事にもつながるスキルを体験・習得できる仕組みを取り入れ、デジタル人材の輩出につなげていく。
Q 山家委員
(2) 本県が目指すeスポーツとは
県がeスポーツに注力する最終的な目的は何か。
A 赤坂地域振興部長
県では、eスポーツを単なる娯楽ではなく、デジタルスキルを実践的に学ぶことができるツールと捉え、デジタル人材の育成や産業の活性化につなげることを目的として、eスポーツの推進に取り組んでいる。
また、それに加えて、ゲームクリエイターを支援する事業も実施しており、県内外のクリエイター志望者やプロが常時つながり、制作相談、共同制作、勉強会等を行う常設のオンラインコミュニティ「Game Grove X」を運営している。
これら2つの取組を車の両輪として、デジタルスキルを身に付けた創造性豊かな若者が和歌山で挑戦し、成長し、活躍できる環境を整え、イノベーションの創出や地域の活性化につなげていく。
Q 中西委員
1 地域活性化支援事業について
令和8年度予算の概要の事業説明では、地域作り団体等の自主的な活動の支援、地域振興拠点の形成、空き家等の利活用拠点でのにぎわい創出などを進める事業であると説明されている。
予算額を見ると、令和8年度は約1億2085万円、令和7年度は約3350万円となっており、約8700万円の増額率にして約3.6倍と大幅な予算拡充となっている。
令和8年度の地域活性化支援事業はどういったことに取り組むのか。
また、空き家などを活用した地域ビジネスや交流拠点づくりなど、民間主体の取組に対して、県としてどのように考えているのか。
A 赤坂地域振興部長
これまで研修会、交流会の開催、各団体へのアドバイザー派遣など、地域づくりを担う人材や団体の支援に取り組んできた。
地域づくりを活発にしていくためには、地域の拠点として人が集まり、にぎわいを生み出す場所を作ることが大変重要だと認識している。
そのため、令和8年度から新たな取組として、地域で増加する空き家を活用して、カフェ、交流施設、短期滞在住宅など地域のにぎわいを創出する施設へと改修する事業者等を支援するとともに、市町村と協力しながら廃校など遊休施設の利活用を進めていく。また、これまで住まい用のみ掲載していた空き家バンクを廃校や空き店舗等も含む空き家と利活用希望者をマッチングするプラットフォームに拡充していく。
県として、こうした取組により、空き家や遊休施設を有効活用しながら、にぎわいを生み出す拠点づくりを、地域のキーパーソンや民間事業者、市町村とともに進めていく。
要望 中西委員
地域づくりの取組は補助金に依存する形では長続きせず、最終的には地域が自走できる仕組みを作ることが重要と考える。補助制度は単なる財政支援に留まらず、地域人材やビジネス化、継続的な収益を生み出す仕組みづくりにつながるような制度設計が求められていると考える。本事業が地域の新しい担い手や地域ビジネスを生み出し、持続可能な地域づくりにつながる制度となるよう今後の取組に期待する。
Q 中西委員
2 教育と福祉の連携について
教育と福祉が「一体的に」「継続的に」「責任を持って」支援する体制が必要であると感じる中、県では教育委員会、福祉保健部、共生社会推進部の若手・中堅職員が対話・検討を重ねていると聞いたが、この教育と福祉の連携の取組は、具体的にどのような施策として展開されているのか。
また、事業としてどのように予算措置されているのか。
A 今西教育長
教育と福祉は、それぞれの現場に固有の役割や視点がある。だからこそ、双方が相互理解を深め、連携をより良いものにしていくことが何より重要であると考える。
そのために、教育と福祉の「のりしろ」を広げ、教員と福祉関係者がいつでも相談し合える関係構築をめざした研修を実施している。昨年度は、御坊市と那智勝浦町に協力をいただき、各1回の研修を行った。その成果を生かし、今年度は、日高町において、継続的に顔を合わせることができるよう、複数回の研修に取り組んでいる。
また、県立学校において、教員と福祉関係者の意見交換会を実施するとともに、高校生を対象に、困ったときに自ら福祉につながることの大切さを伝える出前授業を行っている。
予算については、職員の出張旅費は、教育委員会、福祉保健部、共生社会推進部の各関連予算から執行し、それ以外の費用は、地域の力で家庭を丸ごとサポートする「訪問型家庭教育支援事業」の一環として対応している。
意見 中西委員
教育と福祉、部局は違うがしっかりと連携して今後も取り組んでほしい。
Q 中西委員
3 部活動の地域展開について
(1) 受益者負担の軽減や経済的困窮世帯の生徒への支援策について
部活動が地域展開するほど、「受益者負担」が増える傾向にあり、「経済力によって参加機会が左右されること」になりかねない。今後、部活動の地域展開が進むにあたって、受益者負担の軽減や、経済的困窮世帯の生徒への参加費等に対する支援策はどのように考えているのか。
A 今西教育長
委員指摘の受益者負担の課題については、文部科学省のガイドラインにおいて、家庭の経済格差が生徒の体験格差につながることのないように求められている。
これを踏まえ、国においては、令和8年度から、市町村から認定を受けた地域クラブへの財政支援として、休日の地域活動の実施に要する経費について、地域クラブの規模に応じ上限を設定して補助を行う計画を示しており、国、県、市町村で3分の1ずつの負担となっている。これにより、受益者負担の軽減が図られることとなる。
また、経済的困窮世帯の生徒への参加費等の支援としては、一人当たりの上限額を設定して補助を行う計画であり、国、市町村で2分の1ずつの負担となっている。
県としては、こうした支援策について、令和9年度から実施できるよう市町村等の準備を促進していく。
意見 中西委員
まず市町村の認定が必要だが、経済状況に関係なく、全ての子供が活動に参加できる環境づくりが大切である。令和9年度から確実に取組を開始できるよう、市町村と調整して進めてほしい。
Q 中西委員
(2) 部活動の地域展開準備に係る予算の内容と今後の方向性について
今回計上された「部活動の地域展開準備」に係る予算は、主にどのような内容になっているか。また、最終的にどのような方向を目指しているのか。
A 今西教育長
令和8年度予算案の主な内容としては、まず、学校・地域のニーズの把握や関係団体等との調整を円滑に進めてもらうために市町村に配置するアドバイザーの経費について支援する。
また、これまで学校部活動の地域展開を試行的に実施していた市町村には、持続可能な地域クラブ活動のモデルとなってもらうため、令和8年度も継続して地域クラブの活動費などを支援していく。
今後の方向性としては、休日は原則として全ての学校部活動の地域展開を目指すこととし、スポーツ・文化芸術活動に子供たちみんなが等しく参加できるよう取り組んでいく。
Q 中西委員
4 公立学校体育館の空調整備について
先日の暖候期予報では、2026年の夏も全国的に気温が高めになると発表されている。そのような中で、令和8年度は、まず調査を進めていくとのことだが、本調査ではどのような調査を行い、どのような手順で空調を整備していくのか。
A 今西教育長
委員指摘のとおり、災害時のみならず、平時に熱中症から生徒を守ることは喫緊の課題と考え、指定避難所となっている県立高校の体育館に空調整備を進めるため、調査を実施する。
調査内容については、現地調査を実施し、空調方法や災害時における電源の確保等について検討した上で、概算事業費を算出する。
また、ランニングコストを含めた県負担額の低減を図るとともに、短期間で空調整備を進めるため、PFI導入の可能性についても検討していく。
Q 中西委員
5 ネーミングライツの導入促進について
この件については、令和5年9月議会の一般質問の中で、県有施設において、まず一つ導入してもらいたいと要望したが、本年2月9日、県有施設としては初となるネーミングライツ契約が締結された。
ネーミングライツは、県有資産を活用し、継続的な歳入を生み出す有効な手段であり、単発で終わらせるべきではないと考える。県有資産は「管理するもの」から「活用するもの」へと発想転換が必要である。ただ、ネーミングライツの導入には、施設管理団体との調整や企業への働きかけなど、施設所管課の相当な労力が伴う。仮にネーミングライツに係る歳入が全て一般財源に繰り入れられる仕組みであれば、施設所管課にとって「努力しても対象施設に関する事業予算に反映されない」構造になりかねない。例えば、命名権料の一定割合を当該施設の修繕費や設備更新費に充当する仕組み、成果配分型の制度設計、部局評価への反映、こうしたインセンティブ設計を行うことも導入を加速する中で必要だと考える。
そこで、現在、ネーミングライツの導入を検討するにあたり、どのような県有施設を対象としているのか、また、ネーミングライツに係る歳入の予算上の取扱いについて、一般財源として一括計上されるのか、それとも施設所管課に一定の配分がされるのか。
A 山本総務部長
県有施設へのネーミングライツ導入については、文化・体育・社会教育等に関する施設を対象として、現在検討を進めているところである。
ネーミングライツに係る歳入の予算上の取扱いについては、命名権者との協働のもと、県有施設を有効に活用することにより、施設サービスの維持・向上を図るという目的から、その収益は基本的に当該施設に還元することが適当であると考えている。
よって、年間契約額が500万円以下の場合は、全て施設所管課の特定財源として、当該施設の修繕や備品の購入等に使用することとしている。
また、年間契約額が500万円を超える場合は、施設サービスの維持・向上と県の歳入基盤強化の両立の観点から、超過した額の半分を施設所管課の特定財源、残りの半分を一般財源として取り扱うこととしている。
総務部としては、引き続き施設所管課と連携し、ネーミングライツの導入を進め、新たな歳入の確保に努めていく。
意見 中西委員
今後も年間契約額が500万円を超えるネーミングライツに期待している。
Q 中西委員
6 地域完結型看護職確保ネットワーク事業について
(1) 各地域に配置するコーディネーターについて
看護職の確保は、地域医療を守る上で極めて重要な課題である。
特に人口減少と高齢化が進む本県では、今後さらに在宅医療や地域包括ケアの需要が高まることが予想され、看護職の安定確保は喫緊の課題である。
現在、看護職の無料職業紹介は、和歌山県看護協会が県の委託を受けて運営するナースセンターが担っており、再就業支援やマッチング機能など、一定の役割を果たしていると聞いている。
その上で、令和8年度重点施策として「地域完結型看護職確保ネットワーク事業」が新たに打ち出された。二次医療圏ごとにネットワークを構築し、コーディネーターを配置するとのことで、取組を一歩進めるものとして期待している。
そこで、この事業において配置されるコーディネーターとは、どのような人材を想定しているのか。また、コーディネーターは、地域において具体的にどのような活動を行うのか。
A 𠮷野福祉保健部長
コーディネーターについては、病院や看護師養成所での管理職経験を有するなど、現場に精通し、関係機関と円滑に連携できる人材を想定している。
具体的な活動としては、県内7つある各二次医療圏において、病院や介護施設への聞き取り調査、ナースセンターやハローワークとの連携による人材のマッチング、看護に関する普及啓発を行う予定である。
Q 中西委員
(2) 事業を通じた看護職の確保について
現在、看護職確保の中核を担うナースセンターは県内1拠点体制だが、県下全域をカバーするには限界があると思う。そのような中で、地域の課題共有や人材のマッチングを推進するとあるが、この事業が看護職確保にどのようにつながるのか。
A 𠮷野福祉保健部長
看護職の確保については、二次医療圏ごとにコーディネーターを配置し、地域の課題を的確に把握することで、現場に即したきめ細やかな対応が可能になると考えている。
具体的には、病院等の求人施設と潜在看護師双方への丁寧な相談対応によるマッチング精度の向上、圏域内の看護師が所属を問わず相互に活用できる研修の実施に向けた調整、さらに、二次医療圏ごとに開催する、医師会、病院、訪問看護ステーション等の代表による関係者会議での協議を通じた連携体制の構築等により、地域での看護職確保を図っていく。
要望 中西委員
今後も地域医療を守るために、看護職の安定確保と、働き続けられる環境づくりの充実をよろしくお願いする。
●濱口委員長
◎休憩宣告
午前11時5分
午後0時57分
●濱口委員長
◎再開宣告
Q 岩井委員
1 持続可能な財政運営の実現について
(1) 持続可能な財政運営について
令和8年度予算案が財政危機警報を踏まえ策定されたと思うが、より長期的な視点に立ち、将来にわたる財政健全化に向け、「財政見直し元年」として位置付けられた令和5年度以降の具体的な財政改善効果はどうか。
また、財政危機警報の解除に向けて、財政調整基金や県債管理基金の目標残高をどのように設定し、その目標を達成するロードマップを描いているか、今後の見通しと併せて聞きたい。
A 宮﨑知事
まず、「財政危機警報」発出以降の取組による具体的な財政改善効果についてであるが、毎年度の公債費の負担を軽減するため、令和4年度2月補正において、決算剰余金を原資とした公債費臨時対策基金を創設した。
同基金にこれまで92億円の積立てを行いつつ、毎年度必要額を取り崩してきており、令和8年度で、残る20億円の活用を予定している。
さらに、累計183億円の借換債の発行抑制により、利子分の14億円を含む197億円の公債費を抑制するなど、後年度の財政負担の軽減に取り組んできたところである。
今般、財政運営の健全性を示す代表的な指標として、財政調整基金と県債管理基金の残高について、「最低限確保すべき水準である110億円」と、「リスク対応を見据えた水準としての180億円」の2つの基準を設定した。
その上で、財政危機警報の解除要件の一つとして、基金残高については、「5年後においても、基金残高が最低限必要な110億円以上となる見通しであること」を設定した。
両基金の令和8年度末残高見込みは、財政危機警報発出時の見込み103億円を上回る110億円を確保することができた。
一方で、令和8年度当初予算での収支不足を補うため、県債管理基金から取り崩した額は、前年度当初予算時の取崩額74億円を上回る125億円となっており、今後も厳しい財政状況が続く見込みである。
急速に進む少子高齢化や物価・賃金の上昇といった社会経済情勢の中で、財政構造を短期間で抜本的に変えることは難しく、現時点で解除の時期を具体的に言うことはできない。
しかしながら、決して消極的になることなく、必要な予算はきっちりと確保するとともに、1年でも早く解除できるようより一層尽力する。
Q 岩井委員
(2) 事業の見直しと効率化について
事業の優先順位付けと、既存事業の継続的な見直しにおいて、効果が薄い、あるいは費用対効果の低い事業を特定し、どのように廃止、縮小を進めるのか。
A 宮﨑知事
厳しい将来見通しを踏まえ、財政調整基金及び県債管理基金が枯渇し、予算編成が困難となる事態を防ぐためにも、まずは、業務量適正化の観点も踏まえて事業の見直しを行うなど、歳出面で不断の努力を重ねていく。
その中で、新たな取組として、令和8年度から、(仮称)行政事業レビューによる事業の総点検を実施していく。
原則全ての予算事業を対象として、業務量適正化の観点も踏まえつつ、成果・実績などに基づく効果検証を行い、令和9年度予算の編成過程において、その結果を適切に反映していく。
Q 岩井委員
(3) 歳入確保と財源の多様化について
県税収入は自主財源の根幹でありその伸び悩みは、県の財政運営に大きな影響を与える。県民サービスを維持しつつ将来にわたる財政の健全性を確保するためには、持続可能な財政構造への転換が不可欠である。
県税収入の伸び悩みが課題とされているが、新たな歳入確保策や財源の多様化に向けた具体的な取組について聞きたい。
A 宮﨑知事
令和8年度予算案においては、県税や地方交付税をはじめ歳入全体で309億円の増加が見込まれているが、義務的経費の増加などにより、歳出の伸びが歳入の伸びを上回った結果、収支不足額が125億円となり、歳入基盤の強化が不可欠となっている。
新たな歳入確保策や財源の多様化に向けた取組については、まずは、国庫補助金を有効に活用した上で、企業版ふるさと納税の更なる活用や、県有施設のネーミングライツの推進などにも積極的に取り組んでいく。
また、県の歳入の中核である税収を増加させる取組として、観光需要の増加を踏まえた宿泊税など新たな観光振興財源の導入の検討を進めていく。
さらに、東京一極集中に伴い、行政サービスの地域間格差が顕在化する中、国においては、地方法人課税などを対象に、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組む動きもあり、県としても積極的に要望を実施していく。
Q 岩井委員
2 教育の質向上について
(1) 「生成AI活用推進プロジェクト」について
生成AIは従来の生成AIとは異なり、新たなコンテンツを生成できる技術があるなど、教育分野でも注目されているが、倫理的な課題やリスクがある中で、単なるツールではなく、戦略的な取り組みが必要と考える。新規事業の「生成AI活用推進プロジェクト」の具体的な取組はどのようなものか。
A 今西教育長
「生成AI活用推進プロジェクト」は、生成AIが急速に社会へ普及していることから、規模の大きい小、中、高等学校でのモデル事業を通じ、授業等における効果的な生成AIの活用方法を検証するものである。
実証モデル校では、児童生徒の質問に対して、生成AIが答えを提示せずに対話を通じて回答に導く機能や、有害情報をブロックする機能などを持つサービスを利用し、検証を進めていく。
こうした検証をもとに、モデル校の教員、生成AIに関する有識者などで組織するワーキング会議において、活用事例集を作成し、県内の公立学校への普及を図る。
また、市町村教育委員会に対して、生成AIを活用する上で必要となる「教育情報セキュリティポリシー」の策定を支援していく。
Q 岩井委員
(2) 「個別最適な学びの実現に向けたICT環境整備」について
「和歌山県学校教育ICTグランドデザイン」に基づき、ICT環境整備を進めているが、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させるため、教員と生徒がICTを最大限に活用できる環境と体制を構築することが必要である。新規事業の「個別最適な学びの実現に向けたICT環境整備」の具体的な取組はどのようなものか。
A 今西教育長
「個別最適な学びの実現に向けたICT環境整備」は、県立学校の無線LANや大型提示装置の整備を進めるとともに、市町村立学校における校務支援システム等の整備支援を実施する。
まず、県立学校の無線LAN及び大型提示装置の整備については、現時点の整備率が無線LANは約86%、大型提示装置は約82%となっており、令和8年度は、未設置の特別教室に整備を進める。
次に、校務支援システム等の整備支援については、教職員の使いやすさの向上を図るほか、児童生徒に対する学習支援機能を強化したシステム等の導入を促進していく。
令和8年度においては、現在使われている市町村教育委員会ごとのシステムの現状分析を行い、令和9年度の共同調達に向けた仕様書を作成する。
これらの事業を通して個別最適な学びの実現につなげていきたいと考えている。
意見 岩井委員
生徒の主体的な情報活用能力育成と個別最適な学びを実現するためのICT環境整備を充実させるとともに、依然として高止まりしている教員の長時間労働を改善すべく、ICT運営の安定化とDX推進による業務負担軽減および効率化を図ってくれるようお願いする。
Q 岩井委員
(3) わかやま海外留学応援プログラムについて
文部科学省と独立行政法人日本学生支援機構は、地域の産学官が連携し高校生の留学機会を創出する「トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム」拠点形成支援事業を実施し、2025年度には和歌山県がこの採択地域になった。
この採択を受け実施される「わかやま海外留学応援プログラム」では、ただ留学するだけでなく、和歌山県の将来を担うグローバル人材の育成に貢献することが期待される。
このプログラムは、どのような主旨で、またどのような支援内容を予定しているか。また、帰国後、学習成果をどのように継続・発展させていく考えか。
A 今西教育長
本事業は、一人でも多くの高校生に海外での学びを経験させ、広い視野をもってグローバルに活躍する人材を育成するためのものである。民間企業等からの寄附金、日本学生支援機構からの交付金で留学費用を支援し、さらに、家庭の経済状況に関わらず応募しやすいよう、所得に応じた県独自の支援を行う。
この留学は、語学学習に留まらない「探究型留学」である。内容としては、4つのテーマ「産業・宇宙」、「観光・多文化交流」、「教育」、「未来」から、生徒は自身の興味関心に基づいて一つのテーマを選ぶことになる。その上で、そのテーマに関係する地域の課題を自ら設定し、留学を通じて解決策等を考えてもらう。なお、募集人数は20名程度を予定している。
帰国後は、留学で学んだことを、支援企業の方々や広く県内の高校生等が参加するフォーラム等で報告し、さらに、参加者全員で議論する。こうした機会を設けることで、フォーラムに参加した生徒全員に課題意識をもって地域の活性化等に貢献しようとする気持ちを高めてもらいたいと考えている。
Q 北山委員
1 わかやまの観光について
(1) 今後の持続的な観光戦略について
本県には、世界に誇る霊場である高野山や熊野三山、豊かな海と山の自然、温泉、食、歴史文化など、多彩で魅力あふれる観光資源が数多く存在している。とりわけ、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を有する本県は、国内外から高い関心を集めるポテンシャルを備えている。
地域経済を持続的に発展させていくためには、交流人口・関係人口の拡大を図り、外からの活力を取り込むためにも、国内外からの観光誘客が不可欠である。
今後の持続的な観光戦略について、戦略的プロモーションの展開も含め知事の考えを問う。
A 宮﨑知事
観光産業は、宿泊業、運輸業、飲食業等を中心に、農林水産業や製造業など裾野の広い、本県の地域経済を活性化させる重要な総合産業である。
県としては、「稼ぐ観光の推進」、「地域が一体となった観光地域づくり」、「持続的な保全と活用」の3つを戦略の柱と位置づけ、本県に興味と関心を抱く観光客を呼び込み、質の高いサービスを提供することにより、リピーターの獲得や滞在期間の延長、旅行消費額の更なる向上につなげ、観光産業の発展と地域の持続的な成長を目指している。
本県には、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」や多くの日本遺産に加え、歴史と伝統文化が息づく温泉や四季折々の食、豊かな自然を活かしたアクティビティなど様々な観光資源がある。
これらの観光資源を生かしながら季節的・地理的な需要の偏りの平準化、高付加価値旅行者などの多様な旅のニーズへの対応、データに基づく観光戦略・観光地経営の高度化等に取り組み、国内外からの誘客を一層推進していく。
Q 北山委員
(2) 地域と一体となった観光地域づくりについて
本県が有する観光資源を最大限に活用し、地域と一体となった魅力ある観光地域づくりを進めるとともに、戦略的な観光プロモーションを展開し誘客を促進する事業は、まさに本県の将来を左右する重要な取組であると認識している。
観光振興は、宿泊業や飲食業のみならず、交通、農林水産業、地場産業など幅広い分野へ波及効果をもたらし、雇用の創出や地域の誇りの醸成にもつながるものでもある。
広域的な周遊ルートの形成や地域資源の磨き上げに向けた取組について、市町村、観光協会、商工団体、民間事業者等との役割分担をどのように整理し、県としてどのような支援や調整機能を果たしていくのか。
A 赤坂地域振興部長
観光による波及効果を、地域全体で享受できる観光地域づくりが重要である。
県では、振興局が中心となり市町村や観光協会、商工団体等をメンバーとする広域観光協議会を設置するなど、地域の特色を生かした組織体制を構築し、観光振興アクションプログラムに沿った施策を展開している。例えばサイクリングを活用した紀の川エリアにおける誘客・周遊促進事業や、醤油、かつお節発祥の地を生かしたガストロノミーツーリズムの推進など、それぞれの観光施策を通して広域的な周遊ルートの形成や地域資源の磨き上げなどに取り組んでいる。
さらに、個性と活力ある地域づくりを推進するため、市町村や民間団体などが主体的に取り組む事業については、「地域づくり支援事業補助金」において支援している。今後もこうした取組を通じ、地域と一体となって持続可能な観光地域づくりをより一層推進していく。
Q 北山委員
(3) 観光地域づくりの基盤強化について
本県において、観光客誘致を積極的に推進することは、交流人口の増加のみならず、地域経済の活性化、雇用の創出、地場産業の振興、さらには地域の魅力や誇りの再認識といった多面的効果をもたらす。観光消費は、宿泊、飲食、交通、土産物販売など、幅広い分野へ波及し、地域内での経済循環を促進する。また、外からの視点が加わることで、地域資源の再評価が進み、新たな商品開発や担い手育成にもつながるものと期待される。
観光地域づくりの基盤強化につながる観光統計について、どのような統計データを収集・分析し、今後どのように活用するのか。また、観光人材の育成について、どのような取組を行っているのか。
A 赤坂地域振興部長
観光を取り巻く環境が大きく変化する中、経験や勘に頼るだけではなく、客観的なデータに基づき施策を立案・実行する体制の構築が必要であることから、県、市町村、事業者等が共通のデータを活用し、地域全体で稼ぐ観光地経営を実現するための基盤を整備している。
現在、県の観光客動態調査、国のオープンデータ、ホームページの閲覧数、GPS人流データ等を収集しており、これらを分析することにより、ターゲット別のプロモーション手法の最適化や、平準化対策、地域間の周遊促進といった施策に活用してまいる。
次に、観光人材の育成については、各地域において観光振興の司令塔の役割を担う地域DMOや観光協会の職員等を対象に、観光分野の専門家による地域のマネジメント力を高める講演や、知見や課題の共有につながるワークショップなどを開催している。また、地域の魅力を観光客に直接伝える紀州語り部や南紀熊野ジオパークガイド等に対しては、新規人材の育成及びスキルアップ研修を実施している。さらに、和歌山大学と連携し、観光地経営や観光ビジネスなど各分野におけるキーパーソンを講師に招へいし「観光・地域づくり講座」を開催し、地域の観光振興や観光地域づくりの担い手となる人材育成を図っている。
今後も、データに基づく戦略的な施策展開と人材の育成を通じて、観光施策の実効性を一層高めていく。
Q 北山委員
(4) 数値目標について
これまで述べられた取組について具体的な数値目標を問う。併せて、どのようにPDCAサイクルを回していくのか。
A 赤坂地域振興部長
今後は、単なる観光客数の拡大といった量的な増加のみならず、観光の質的向上も重要であると認識している。
このため、和歌山県総合計画のアクションプランの中で、旅行消費額を指標として設定し、2024年時点で2781億円のところ、2030年度には2900億円、2040年度には3100億円を目指し取り組むこととしている。
PDCAサイクルについては、毎年、消費単価や滞在時間の増減等を分析し、県観光連盟などのDMOをはじめ、宿泊や体験事業者といった地域の関係者と一体となって事業のブラッシュアップを図り、次年度以降の観光アクションプログラムに反映させ、より効果的な取組を推進していく。
意見 北山委員
地域一体となって観光地域づくりに取り組むこと、観光地域づくりの基盤を強化していくこと、また、具体的な数値目標を設定することが本県の観光振興をさらに推し進めていく上で重要である。
データの収集・分析を行いその結果に基づいて戦略を立案するとともに、目標を設定し、さらにその成果を検証し、次の施策へとつなげていく。このような取組を積み重ねていくことが、和歌山の観光をさらに押し上げていくものと考えている。
知事を先頭に引き続き着実に取組を進めてほしい。
Q 北山委員
2 児童思春期専門病床設置事業について
(1) 予定病床数と今後の需要増への対応や、大人の患者と接触しないための工夫について
近年、いじめや不登校、発達障害など、子供を取り巻く環境は一層複雑化し、児童思春期における精神医療の需要は確実に高まっている。
昨年10月に、先進的な取組を行っている岡山県精神科医療センターを視察したが、そこでは一定規模の病床数を確保するとともに、大人の患者と動線を明確に分離するなど、物理的・心理的双方の観点から配慮をしていた。
このたび、県立こころの医療センターに児童思春期専門病床を設置することについては大変意義深いと評価するが、専門病床の設置に当たっては、単に病床を確保するだけでなく、子供たちが安心して療養できる環境整備が不可欠である。
本県において設置を予定している児童思春期専門病床は、何床程度を想定しているか。
また、将来的な需要増を見据えた拡張性についての検討はどうか。
さらに、児童思春期の患者と大人の患者が接触しない工夫について、どのように講じる予定であるか、聞きたい。
A 𠮷野福祉保健部長
児童思春期専門病床については、こころの医療センターにおける20歳未満の入院実績等を踏まえ、9床を予定している。
今後、児童思春期の患者の増加や児童思春期専門病床が県民に広く認知されることにより、入院患者の需要が増えた場合は、同じ病棟内の空き病室を活用して対応できるものと考えている。
次に、児童思春期の患者と大人の患者が接触しないための工夫については、児童思春期専門病床は食事や入浴等を含む生活の場として、大人の患者と完全に分離して設置する予定であり、子供たちが落ち着いて療養できる環境整備に努めていく。
ただし、体育館については、完全に分離することは困難なため、利用時間を分けるなど工夫を講じていきたいと考えている。
Q 北山委員
(2) 学校教育との連携や家族支援、多職種チームによる支援体制について
岡山県を視察した際に感じたが、児童思春期の患者の場合、学校や家族との関係性についても重要になると考える。そのため、専門病床を設置して、適切な医療を提供することはもとより、関係機関との連携や支援体制も構築する必要がある。
そこで、本県における学校教育との連携や家族支援、多職種チームによる支援体制の構築について聞きたい。
A 𠮷野福祉保健部長
学校教育との連携については、学習機会の確保や退院後の復学支援などにおいて重要であり、入院患者数や入院期間などを踏まえながら、関係機関と調整や検討を重ねていく。
また、家族支援は、児童思春期の患者の治療にあたって切り離せないものであることから、家族に対するプログラムの実施や相談対応に取り組むとともに、多職種チームによる支援体制としても、医師、看護師、精神保健福祉士などが連携して対応し、総合的、多面的に支援する体制を構築しているところである。
引き続き、児童思春期の患者や家族に対して、適切な治療や支援を行うよう取り組んでいく。
要望 北山委員
精神疾患を有する者の発症した時期の多くが思春期・青年期に集中している現状を踏まえると、この時期に的確に対応できる専門医療体制の整備は必須である。心身の発達過程にある思春期の子供たちに対しては、成長段階に応じた専門的かつ継続的な支援が不可欠であり、児童思春期に特化した専門病床の設置は極めて重要である。
既に多くの都道府県で整備されている先進事例を十分踏まえながら、本県においても専門病床の設置に向けて着実に準備を進めてほしい。
さらに、開設後においても、運用状況や課題を検証し、必要に応じて改善を図るなど、常に質の向上に努めてもらうことが重要である。児童思春期の患者本人だけでなく、家族にも寄り添い、安心して治療と支援を受けられる体制の構築を希望する。
3 薬物乱用対策について
(1) 県における危険ドラッグに係る現状と課題について
近年、全国各地において、「ゾンビたばこ」と称される新たな薬物「エトミデート」をはじめ、危険ドラッグの乱用が社会問題となっている。使用者が意識障害や異常行動を引き起こし、緊急搬送される事例が相次ぐなど、危険性は極めて深刻である。「ゾンビたばこ」については、外見上は通常の電子たばこ製品等と見分けがつきにくく、インターネットやSNSを通じて容易に入手の情報が拡散される現状は、特に判断力が十分でない青少年にとって大きな脅威であると強い危機感を抱いている。
本県においても、「薬物乱用対策事業」として、危険ドラッグの乱用を防止するための規制、青少年を中心とした啓発活動、さらには薬物依存症者の再乱用防止対策を講じられているところである。薬物乱用は、本人の心身をむしばむのみならず、家庭や地域社会にも深刻な影響を及ぼし、将来を担う若者の可能性を奪いかねない重大な問題である。
とりわけ青少年期は、好奇心や仲間意識、ストレス等を背景に、誤った選択をしてしまう危険性が高い時期でもある。一度でも薬物に手を染めれば、依存症に陥るリスクが高まり、学業や就労機会の喪失、さらには犯罪被害や加害行為へとつながるおそれも否定できない。
青少年を薬物の脅威から守ることは、単に個人の問題にとどまらず、本県の将来を守ることに直結する重要課題である。だからこそ、未然防止の取組は極めて重要であり、学校教育や家庭、地域が一体となった総合的な対策が求められる。
新たな危険ドラッグが広がる中、県はどのように取り組んでいるのか、その現状と課題について聞きたい。
A 𠮷野福祉保健部長
現状、危険ドラッグに対する取組として、県では「和歌山県薬物の濫用防止に関する条例」等に基づき販売等の規制を行っているところである。
しかしながら、近年の課題として、これらの薬物の取引が秘匿性の高いSNS上で行われることがあり、実態の把握が困難となりつつある。
そこで、危険ドラッグをはじめとする違法な薬物には、手を出さない、近づかない、という「入り口」での予防啓発が、これまで以上に極めて重要になっていると考えている。
Q 北山委員
(2) 青少年に対する啓発について
青少年を中心とした啓発活動について、学校現場における薬物乱用防止教室の内容の充実、SNS等を活用した情報発信の強化など、時代の変化に対応した取組が必要と考えるが、具体的な取組と今後の方針はどうか。
A 𠮷野福祉保健部長
青少年に対する啓発として、県及び保健所の職員が学校において、「薬物乱用防止教室」を積極的に行っているほか、生徒がロールプレイで薬物使用の断り方を学ぶ、生徒参加型の「わかやまNO!DRUG!フェスティバル」を開催しているところである。
このほか、警察を含めた関係機関等の協力を得て、街頭啓発を県内各地で継続的に行っているところである。
また、SNS等を活用した啓発として、薬物に関するワードをインターネット検索した場合の注意喚起や、薬物の問題で困っている方向けに、相談窓口を知らせるインターネット広告を行ってきたところである。
特に、インターネットやSNS上には、「大麻には、害がない。」といった誤った情報が氾濫しており、本県においても、大麻乱用の低年齢化が顕著である。
このことから、学校での薬物乱用防止教室は、最新の乱用の状況を踏まえた効果的なものにするほか、SNS広告を活用した情報発信は、青少年に直接メッセージを届けられるというメリットを生かし、心に響く内容になるよう工夫を凝らしていく。
Q 北山委員
(3) 薬物依存症者の社会復帰支援について
薬物依存症者の社会復帰支援には、再乱用防止対策が重要であると考えるが、どのように取り組んでいるのか、その状況と今後の方針はどうか。
A 𠮷野福祉保健部長
再乱用防止対策の取組としては、刑務所が行う「薬物依存離脱指導」や保護観察所が行う「薬物再乱用防止プログラム」において、職員が薬物事犯者に直接支援を行っているほか、薬物の問題で困っている本人や家族向けの薬物相談窓口を、県及び各保健所にも設置している。
また、県立こころの医療センターをはじめ、様々な機関が相談業務を行っているところである。
薬物依存の背景には孤独や生きづらさなど様々な事情があり、個々の状況に適した支援を受けられるようにするためには、医療機関、福祉部門等の連携が不可欠である。
引き続き、講習会や会議の開催等により関係機関との連携を深め、より実効性の高い社会復帰支援に取り組んでいく。
意見 北山委員
近年、薬物はインターネットやSNSを通じて容易に入手できる状況にあり、その危険性はますます身近なものとなっている。また、薬物は一度使用してしまうと強い依存性を伴い、自らの意思だけで断ち切ることが極めて困難になるケースも少なくない。
だからこそ、薬物に手を出してしまう前の「未然防止」の取組が何よりも重要であることは言うまでもない。啓発活動の充実はもちろんのこと、薬物の危険性や健康・人生に及ぼす深刻な影響について、正確かつ具体的な情報を、あらゆる媒体や機会を通じて発信し続ける必要がある。
とりわけ、これからの社会を担う青少年に確実に届く取組を強化することが、薬物乱用防止に向けた最も有効な手段の一つである。
青少年も含め、県民の命と人生を守るためにも、引き続き粘り強く、地道な取組を推進することを強くお願いする。
Q 北山委員
4 農作物鳥獣害防止総合対策事業について
捕獲の担い手である猟友会においては高齢化が進み、会員数も減少傾向にあると聞いている。本事業概要に「狩猟者の育成を推進する」とあるが、例えば、若年層や新規就農者、地域住民を対象とした、免許取得支援講習会の充実、装備購入への補助、実地研修の仕組み作りなど、狩猟者の育成と捕獲の強化について、県の考えはどうか。
また、女性の参入促進など新たな視点も必要ではないか。
さらに、人数を増やすだけでなく、捕獲技術の向上や安全対策の徹底など、市町村や猟友会との連携による地域ぐるみの体制作りも重要である。鳥獣害対策は、農業振興のみならず、中山間地域の維持にも直結する重要課題である。
狩猟者の育成と捕獲の強化について聞きたい。
A 川尾農林水産部長
県では野生鳥獣による農作物被害を軽減するため、農作物鳥獣害防止総合対策事業において「捕獲対策」、「防護対策」、「狩猟者の確保・育成」を3つの柱として取組を進めている。
中でも、狩猟者の育成は、重要な課題であると認識しており、現在、猟友会と連携しながら、実際の狩猟に同行し、捕獲個体の解体や試食を行う体験型研修や、狩猟免許取得に係る講習費用への支援に取り組んでいる。
近年は、高齢化等の影響で、猟友会の会員数は減少しており、特に銃猟免許所持者が減少。一方で、わな猟免許所持者は増加傾向にあり、令和6年は、2763名で10年前の平成26年と比較して1.3倍になっている。また、女性の狩猟免許所持者も増加しており、猟友会の女性会員は令和元年からの5年間で1.4倍となる90名に増加した。
狩猟免許取得後においても、専門家やベテラン猟友会員の協力のもと、狩猟初心者の捕獲技術向上や事故防止を目的に、現場での実地研修を開催しており、今後も内容を充実させながら継続していく。
さらに、捕獲の効率化を図るため、来年度から県が開発したもぐり込み式わなを遠隔管理するICT化の実証を開始するなど、新たな技術の導入にも積極的に取り組む予定である。
今後も猟友会や市町村との連携をより一層密にしながら、狩猟者の育成と捕獲の強化に努めていく。
要望 北山委員
鳥獣害対策は、農業を守るだけでなく、中山間地域の暮らしや地域コミュニティを守ることにもつながる重要な取組である。県においては、市町村や猟友会との連携を一層深めながら、現場の声を丁寧にくみ取り、持続可能な捕獲体制の構築に向けて、引き続き、力強く取り組んでいただくことを要望する。
●濱口委員長
◎散会宣告
午後2時1分散会

