令和7年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


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令和7年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

議事日程 第3号
 令和7年12月11日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第146号から議案第176号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第146号から議案第176号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 高田英亮
 2番 上山寿示
 3番 佐藤武治
 4番 鈴木德久
 5番 森 礼子
 6番 濱口太史
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 9番 玄素彰人
 10番 山家敏宏
 11番 鈴木太雄
 12番 岩田弘彦
 13番 吉井和視
 14番 中村裕一
 15番 北山慎一
 16番 坂本佳隆
 17番 中本浩精
 18番 堀 龍雄
 19番 新島 雄
 20番 山下直也
 21番 三栖拓也
 22番 川畑哲哉
 23番 秋月史成
 24番 谷口和樹
 25番 山田正彦
 26番 坂本 登
 27番 岩永淳志
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 尾﨑太郎
 34番 藤山将材
 35番 小西政宏
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 谷 洋一
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 36番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         宮﨑 泉
 副知事        友井泰範
 知事室長       北廣理人
 総務部長       山本祥生
 危機管理部長     中村吉良
 企画部長       北村 香
 地域振興部長     赤坂武彦
 環境生活部長     湯川 学
 共生社会推進部長   島本由美
 福祉保健部長     𠮷野裕也
 商工労働部長     中場 毅
 農林水産部長     川尾尚史
 県土整備部長     小浪尊宏
 会計管理者      高橋博之
 教育長        今西宏行
 公安委員会委員長   竹山早穗
 警察本部長      野本靖之
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     田嶋久嗣
 選挙管理委員会委員長 和歌哲也
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中嶋 宏
 次長         橋爪正樹
 議事課長       岩井紀生
 議事課副課長     田中 匠
 議事課議事班長    川原清晃
 議事課主査      川崎競平
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       榊 建二
 政策調査課長     岩谷隆哉
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  午前10時0分開議
○議長(岩田弘彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第146号から議案第176号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 14番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 質問に先立ち、報告をさせていただきたいと思います。
 本年は、メキシコに県人会ができて40周年、そして、アメリカ・フロリダ州と姉妹提携をして30年でございます。11月の7日から6日間、知事並びに岩田議長、尾﨑太郎議員、藤山将材議員、片桐章浩議員、玄素彰人議員と共に、私もメキシコ及びフロリダ州を訪問してまいりました。
 11月7日金曜日、成田からインバウンド客で満席の直行便にて約12時間、標高2240メートル、富士山の5合目ぐらいだそうでありますけども、メキシコシティへ到着しました。空気が薄いと感じる中、清水明美会長をはじめ、県人会の皆様に温かく出迎えていただきました。
 移動中には、日系人ガイドよりメキシコ社会に形成された大規模な日系コミュニティー、日本企業約1600社の進出状況、ヤクルトが日本以外で第3位の販売額であること等の説明を受け、両国の強固な経済交流を改めて実感しました。
 最初の訪問先は中央学園で、松原佳代学園長より、1944年の設立以来、日系子弟の日本語教育、文化継承を守り続けてきた歴史と御苦労話を伺いました。現場の先生方からは、外国語教育、調理、音楽などの幅広い教育活動について説明を受けました。
 11月8日、午前は、日本メキシコ学院を訪問しました。同学院は、広大な敷地に日墨両政府が認定する二つの学校が併設されており、日本人学校とメキシコの有力進学校が共存する世界でも珍しい教育機関であります。授業料は、月額20万円と聞きましたが、メキシコでも屈指の人気校となっているとのことでした。
 知事による和歌山県紹介、JICA所長による日本留学の講演に対し、生徒からは、和歌山へ留学希望や多くの質問が寄せられ、教育交流の可能性を強く感じました。
 昼食時には、日墨会館のひまわりの会を訪問し、日系高齢者の皆様と文化活動や生活について懇談しました。午後には、移住の歴史資料館、あかね記念館を視察し、慰霊碑にて先人の遺徳に哀悼の意をささげました。
 夜は、メキシコ和歌山県人会創立40周年記念式典に出席しました。本清耕造駐メキシコ大使御夫妻も臨席され、県人会の維持発展に尽力された方々の表彰、民族舞踊や伝統音楽による盛大な祝賀が行われました。1世の減少に伴う文化継承の課題、留学やホームステイなどの交流拡大の必要性について活発な意見交換が行われました。
 11月9日日曜日、メキシコからフロリダ州マイアミへの空路を3時間で移動し、夜には高野山高校の文化交流団14名と懇談しました。芸術学校との共同制作や声明披露を控えており、将来の海外活動を夢見る生徒たちの前向きな話に頼もしさを感じました。
 和歌山県とフロリダ州の友好提携は、二階俊博元代議士の提唱により1995年に締結されたもので、温暖な気候、半島性、かんきつや観光産業といった共通点とともに、リゾート博参加やオレンジパートナーシップ協定を通じて交流が広がってきました。近年では、ロケットという新たな共通項も加わっています。
 11月10日月曜日、午前は、メジャーリーグ・マイアミ・マーリンズの本拠地ローンデポ・パーク、午後は、フロスト科学博物館を視察しました。
 夕刻からは、姉妹提携30周年記念式典に出席し、ジェブ・ブッシュ元州知事、中野総領事らが臨席する中、宮﨑知事とバード州務長官による青少年交流・学術交流・航空宇宙分野連携の強化に関する覚書が締結されました。
 レセプションでは、フロリダ芸術学校のゴスペル、高野山高校の声明、両校の合唱が披露され、文化交流の象徴的な場となりました。
 11月11日火曜日、早朝からバスで4時間かけてオーランドへ移動し、フロリダ州の航空宇宙産業推進機関であるスペース・フロリダを訪問しました。同機関は、第三セクターのような組織で、民間企業との連携を通じた産業振興政策について意見交換を行いました。ロングCEO(元アメリカ宇宙軍司令官)からは、宇宙産業の爆発的成長について力強い説明を受けました。
 続いて、ケネディ宇宙センターを訪問し、アポロ計画やスペースシャトル、さらにスペースXの発射台などを視察しました。アメリカの宇宙開発の圧倒的なスケールを肌で感じ、本県の宇宙産業振興にも大きな示唆を得ました。
 夜の便で、オーランドからロサンゼルス、成田を経由して帰ってまいりました。
 まとめとして、今回の訪問では、メキシコにおける日系社会90年の歴史と文化継承の現状を確認できたこと、多くの県人会関係者と温かい交流を通じ、絆の強さを改めて実感したこと、フロリダ州との30年にわたる交流の成果を再確認し、青少年、学術、宇宙産業など新たな協力の方向性が明確になったこと、これらを大きな成果として持ち帰ることができました。和歌山県とメキシコ、フロリダ州との関係が今後さらに深まることを確信しております。
 なお、余談ながら、エビアンが1000円、ビッグマックのセットが1500円と、物価高と円安の影響を強く実感する旅でもございました。
 以上、御報告申し上げます。
 続いて、通告に従いまして、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、宮﨑知事の基本政策についてでございます。
 和歌山県は、南海トラフ巨大地震と人口減少という二つの大きな危機に直面しております。
 今年5月の知事選挙において、私は、宮﨑候補が「和歌山県をよく知り、地方自治を熟知している」という観点から応援させていただきました。
 見事御当選され、宮﨑県政がスタートしましたが、知事は、「岸本県政を継承しつつ、宮﨑カラーの新政策を加えていく」と述べられています。
 そこで、まず、本県の危機にどう向き合い、どのような県政運営を進めようとされているのか、知事の基本姿勢を伺います。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 御一緒にメキシコ、フロリダのほうに行っていただいてありがとうございました。本当に、ほとんど初めてのような旅行なんですけども、議員さん方と一緒に行ったということで、非常に勉強になったなあというふうに思いました。ありがとうございました。
 私の基本施策についてということで御質問を頂戴いたしましたので、お答えをいたします。
 議員御指摘のとおり、急速な人口減少、超少子高齢化に伴い、地域や産業における支え手・担い手不足の深刻化や公共インフラの維持管理の困難化など、地域社会の持続可能性を脅かす様々な課題が顕在化し、今後、より一層多様化・複雑化していくことが見込まれます。
 また、人口減少による人員面、財政面での資源制約は、県行政もまた同じであります。その中で、それらの社会課題にいかに対処していくか、私に課された大きな課題であり、長らく県行政に携わってきた経験を生かして対峙すべき最大のミッションであると認識をしております。
 これらの要因の多くは、過去に積み重ねてきた社会・経済の営みの結果であります。一発逆転の特効薬があるわけではありません。これまでの既成概念を大きく変えていかなければ、これからの課題には対処できません。
 その大きな方向性は、今議会に議案として提出している新たな総合計画に盛り込んでおり、一般質問初日の鈴木太雄議員の御質問でお答えしたとおりであります。
 繰り返しになりますが、私の県政での挑戦の第一歩として、次世代型の産業構造への転換や教育改革、外国人材受入れ拡大といった人への投資の強化、人口動態に適応した社会・経済システムの再構築など、様々な改革に取り組む所存でございます。
 また、総合計画を絵に描いた餅では終わらせないために、その改革の実現性を高める具体的な仕掛けが必要であります。そのため、総合計画の進捗状況を適宜把握した上で、例えば、必要な施策を部局横断で議論し、毎年度の予算編成に反映するなど、新たな政策形成プロセスを構築してまいりたいと考えております。
 加えて、既存事業の見直しや歳入確保対策などを積極的に行い、必要な財源を確保するとともに、職員の資質向上や外部人材の登用等により、県庁組織の業務遂行能力を強化するなど、あらゆる手段を講じて計画の推進力を高めてまいります。
 これらの取組を不断に推し進め、全庁を挙げて本県の危機に果敢に立ち向かってまいる所存であります。
○議長(岩田弘彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、新しい産業の創出について伺います。
 県勢を継続的に発展させるためには、財政収入の確保とそれを補う県経済の成長が不可欠です。
 かつて本県には、住金や丸善、東燃など県経済を牽引する産業、企業がありました。高度成長期後半に自動車や家電という産業がないことで、本県が伸び悩みました。そういう意味で、何より新しい産業を興すことが、今の和歌山県にとって最も必要であると考えます。
 その一つが宇宙航空分野であります。本県はスペースワンという大きな可能性がありますが、まさにフロリダの宇宙産業集積を一つのモデルとして学ぶべきだと考えます。
 さらに、エネルギー、AIなど、高市内閣が掲げる危機投資の重点分野は、地方創生にも直結する重要テーマです。
 そこで、これら新産業分野への挑戦はどのように進めるのか、知事の所見を伺います。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 新しい産業創出についての御質問でございます。
 和歌山県は、少子高齢化、重工業の事業縮小など様々な課題を抱えておりますが、世界的な潮流を捉え、地域特性を生かしながら、いち早く変化に対応できれば、県内に成長投資を取り込み、脱炭素先進県へと飛躍する可能性を秘めています。
 そこで、県では、令和6年4月に、わかやま成長産業開拓ビジョンにおいて、将来ありたい姿を取りまとめ、将来の和歌山を担う成長産業の候補として、ロケット・宇宙、カーボンリサイクル燃料、再生可能エネルギーといった産業分野をお示しいたしました。
 まず、ロケット・宇宙については、本年8月、紀南地域の10市町村と共同検討し、宇宙関連産業を本県に集積するための行動指針として、和歌山県宇宙アクションプランを策定いたしました。また、先月には、アメリカ・フロリダ州を訪問し、先ほど中村議員からも御紹介があったんですけれども、スペース・フロリダでの意見交換やケネディ宇宙センターの視察を行ったところであります。アクションプランや米国視察で得た知見を踏まえながら、今年度開始した宇宙まちづくり推進事業などを通じて、県内事業者の宇宙分野への挑戦や県外事業者の誘致を進めてまいります。
 次に、カーボンリサイクル燃料につきましては、現在、ENEOS和歌山製造所において、SAFの事業化に向けた取組が進められています。SAF事業ができるだけ早期に開始され、また、合成燃料などのほかのGX事業も実施してもらえるよう、引き続き全面的に協力してまいります。
 再生可能エネルギーにつきましては、令和6年9月に、和歌山県沖の2海域が洋上風力発電事業の準備区域として、経済産業省及び国土交通省により整理、公表されました。次のステップである有望区域化を目指して関係の方々の声を丁寧に伺いながら、着実に検討を進めてまいります。
 AIについては、あらゆる産業で活用が期待される技術と認識しており、生成AI時代に対応できる人材の育成やAIの導入による生産性の向上を促進し、県内企業のDXを加速してまいります。
 このように、和歌山県経済の活性化に向けて、多様な成長産業を開拓してまいりたいと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 御答弁いただきました。
 私は、前から思っているんですけども、開拓ビジョン、これはこれでいいんですけども、私はもっと間口を広げてあらゆる方向に向けてやるべきだというふうに思っております。
 その中で、宇宙航空は大変期待しておりますけども、アクションプランで紀南地域の10市町村とやっているという。確かに紀南地域を何とかしたいという気持ちは分かるんですけども、和歌山県全体に私は受け入れるべきだと思います。
 例えば、アクシオム・スペースという会社、若田光一さんが天下りした会社ですけども、そこは宇宙服を作っていますけども、宇宙服というのは、県立医大のような医学と共存していくというか、連携をしていくところがすごく多いというふうに聞いておりますので、私は、紀南の発展はとにかく頑張ってほしいとは思いますけども、和歌山県全体でやっていくべきだというふうに思っております。
 それから、AIですけども、AIを県民に期待する前に、私は県庁の仕事からやっていけばいいんじゃないかというふうに思っております。私、個人的に、今、一番安い有料のAIを使っておりますけども、議員活動が劇的に進んでおるんです。役所の仕事というのは、書類を作ることがすごく多い。学校もそうですけども、もう早くそんなものはちゃちゃっと仕上げて県民のほうを向く、それから子供たちを向くような、そういう行政をやるために、ぜひ、AIがどれだけいいか、知事も一遍やってみられると何をすべきかということがおのずと分かってくると思いますし、分からなかったら、今、講習会というのをいっぱいやっていますけども、AIに教えてもらえばいいというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 次に行きます。
 次は、県政の重要課題でありますIRについて伺います。
 これまで本県のIR誘致をめぐっては、様々な経緯がありました。改めて先輩・同僚議員のお話を伺い、議事録を精査いたしますと、白熱した議論が目に浮かびます。最終的に県議会での議決には至りませんでしたが、一つの政策で過去にこれほど激論が交わされたことはあったでしょうか。この議論を突き詰めていくと、賛否いずれの大方の議員もIR推進の立場で取り組まれたということ、また事業者の信頼性、資金調達能力、事業計画の不透明性という核心で理解が得られなかったことが分かってきました。
 そこで、私は、いま一度原点に立ち返り、本県が直面する構造的な課題をどのように克服するかという視点から、IRの持つ潜在力を冷静かつ前向きに評価すべき時期が来ていると考えております。
 本県は、人口減少と少子高齢化が全国でも極めて速いスピードで進行し、地域経済の縮小や労働力不足が深刻化しています。また、南海トラフ地震をはじめとする大規模災害への備え、医療・福祉分野の財政需要増など、県財政を取り巻く環境は一層厳しくなっています。
 こうした状況を踏まえると、外部からの大型投資を呼び込み、観光、雇用、税収の全てに波及効果をもたらすIRは、本県にとってまさに千載一遇のチャンスになり得ると考えます。
 IRは、単なるカジノ施設ではありません。ホテル、国際会議場、エンターテインメント、商業施設などを含んだ総合的な観光・国際交流拠点であり、県内に新たな人の流れと投資を創出する起爆剤となります。他府県と比較して観光資源のポテンシャルが高い本県にとって、この機会を逃すことは、将来世代に対して大きな選択肢を奪うことにつながりかねないと危惧しております。
 また、最近、国が都道府県を対象にIRに関する意向調査を行ったとの報道がありました。国が改めて意向調査に乗り出したことは、今後のIR施策を継続する姿勢の表れであり、全国的な競争が再び動き出す可能性を示唆しています。もし国が新たな枠組みを検討する段階に入ったのであれば、本県としてもタイミングを逃さず、主体的・能動的に対応することが極めて重要だと考えます。
 そこで、知事に伺います。
 本県として、この国の意向調査にどのように対応されたのか、また、現時点でのIRに対する知事の基本的な認識、そして、今後の姿勢について御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 御質問いただきました。まずは、意向調査の対応状況ということであります。
 観光庁による調査の内容は、区域整備計画の認定申請について、「1、検討または予定している」「2、予定はない」という二つの選択肢から回答するものでありました。
 本県としては、9月定例会における答弁を記載の上、「検討または予定している」とも「予定はない」とも回答できる状況にはないと答えたところであります。
 また、次に、IRに対する基本的な認識、そして今後の姿勢についての質問でございますが、まず、IRに対する基本的な認識につきましては、IRが県内に整備され、仮に大きな経済波及効果と雇用効果が発生すれば、本県経済の活性化につながる可能性はあると当然考えております。
 一方で、ギャンブル依存症患者の増加や交通渋滞の発生、さらにIR関係以外の地域の産業における人材確保が難しくなるのではないかといった負の影響の可能性に対する根強い懸念があるというふうに認識をしております。
 次に、今後の姿勢についてでありますが、これまで議場でお答えしてきたとおり、令和4年4月臨時会において、区域整備計画案が反対多数で否決された事実は大変重く受け止めております。まさに、県政始まって以来の出来事でありまして、そういった認識を持っておりまして、そのため、新たな区域整備計画を申請する場合には、十分な検討が必要であると考えております。
 現時点で国による再公募があるかどうかは不明でありますが、IR誘致の是非については、知事である私自身が県民の御意見を伺いながら、しかるべき時期に判断したいとの考え、そういった考えは基本的には変わっておりません。
 そうした中、日本で初めてIRが大阪・夢洲で2030年秋頃の開業を目指しており、その成否が注目されるところであります。
 我が国を取り巻く国際情勢や経済状況などが変化している中で、大阪IRの成功というのを期待しつつも、本当に大丈夫なのかなと、問題なく運営できているのかな、できるのかなと、また、カジノ含むIRが日本の国民に本当に受けられるのかなといった心配な気持ちがあります。
 したがいまして、私としては、大阪IRの開業後の姿をしっかりと見極めたいなと。その上で、和歌山県におけるIR誘致の是非を慎重に判断すべきという思いを持っております。
○議長(岩田弘彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 御答弁をいただきましたが、知事の答弁の中に、令和4年4月の臨時会で計画案が反対多数で否決された。それを重く受け止めていると。これだけ聞いたら、何か県議会がそれをやったんで、私はやりたいと思うけど駄目みたいな、県議会のせいにしているんじゃないかという印象を持ちました。
 それについての答えは結構ですが、大阪のIRが開業してそれからというと、本当に遅過ぎるというふうに思います。私は、何が何でもやってほしいというふうに申し上げているわけではないんです。私も30何年前に県議会議員に当選させていただいて、和歌山県の財政、それから県税収入というのはほとんど変わらないんです。その中で、物価とか人件費が上がっていく中で、考えてみたら、予算というのは変わらなければ、中身は薄くなっているわけでございます。
 先ほどの新産業もそうですけども、やっぱり100億単位とか1000億ぐらいの税収が入るような、そんな産業政策をやっていかないと、もうサービスが薄くなるばっかりだと思います。その意味で、IRというのは大変難しい。令和の初め頃からすれば、国際環境も違います。中国人がたくさん来てくれるということも難しいと思いますけども、私は、今やらなければやれないというふうに思っています。
 トンネル工事のように世界的にほぼ技術が確立されているようなもんは、募集して安いところを充ててあげたらいいと思うんです。でも、IRで大成功しているというのはシンガポールぐらいかなという中で、待っていてもいい人が現れるわけではない。私はうまくいかないかどうか分かりませんけども、和歌山県が自ら相手を探す、そういう積極的なことをやる必要があるんじゃないかと思いますけども、知事は、先ほど答えられた以上のお考えはありませんか。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) まず、答えはいいとおっしゃったんですけども、前に否決をされたということに関することでありますが、否決されたからそれでというんではなくて、もし新たに区域整備計画というのを申請する場合には、申請するならば十分な検討が必要であるということを強調したかったということであります。
 それから、IRの是非については、判断はしていません。そのために、今現在、県からの特定の事業者に積極的なアプローチというのは行っていない。今は、国の情報をしっかりと集めているという状況であります。
 国内外からの大型投資の呼び込みというのは、県内経済の雇用の活性化につなげていくためには、企業の動向や他自治体における大規模投資を呼び込む手法などについては、広い範囲でいろいろな挑戦をしながら、引き続き幅広く研究を進めていきたいなというのは当然考えておりますが、実際に、今の時点でこの区域計画案に対するアンケートに対して、いわゆるアンケート的なものだったんですけども、今、検討をしているというような形にはなかなか答えにくいのかなというふうに思います。
 大阪を見ていると、遅いじゃないかという御質問もあったんですけれども、実際に、現時点においてはやるともやらないも言っておりませんので、先ほども申し上げましたとおり、大阪IRというのがどんな姿になるかというのが非常に重要なことだと私は思っておりますので、そのように申し上げた次第であります。
○議長(岩田弘彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、IRはどういう事業者が和歌山でやりたいか、パートナーに誰を選ぶか、どういう人が来てくれるかによって成否が決まるというふうに思っております。これはもうIRだけじゃなくて、企業誘致だとか産業誘致をしていく上で、投資側からしてみたら、全国いっぱいいろんなところがあるわけです。なぜ和歌山に投資をしないとだめなのか、したくなるかという男前の和歌山にならないとだめだと思いますので、それから、やっぱり来てくれるのを待つだけでは駄目だと思いますから、大いに積極的に取り組んでいただきたい、そのように要望をさせていただいて、もっと質問しろと後ろのほうから言われそうでありますけども、次に進んでいきたいと思います。
 3番目に、地域で活躍する人材養成についてであります。
 本県で活躍する人材の確保、育成は、県経済、地域社会の持続可能性を左右する最重要課題です。
 まず、医療分野ですが、医師や看護師など医療従事者の不足は深刻化しており、特に、医師の地域偏在は顕著であります。紀中、紀南では、依然として医師確保が困難であり、地域医療の安定性が揺らぎつつあります。
 次に、土木・建築の技術者不足については、10年以上前から民間企業から危機感が示されていました。ハローワークの求人倍率が1.0を超えないときでも5倍ぐらい求人があったわけでありますけども、現在は、県庁の採用にも支障が出るほどの段階に達しています。社会資本整備や防災インフラを維持する根幹人材が不足することは、県の安全保障にも直接関わる問題です。
 さらに、農林漁業や化学など地場産業を支える技術者の不足も深刻です。基幹産業の生産性向上、次世代産業へ転換を進める上でも、地域に根差した高度人材の育成が不可欠です。
 加えて、将来の県経済を牽引する宇宙航空、エネルギー、AI、デジタル分野などの成長産業では、人材育成は待ったなしであります。スペースワンのロケット事業をはじめ、和歌山県には潜在的な産業基盤がありますが、人材供給体制が追いつかなければ、成長機会は逃しかねません。
 一方で、少子化が進む中、大学、高校など再編をしなければいけない、そんな状況にあるんですけども、これは、それを逆にスクラップ・アンド・ビルドで新しい教育の機関をつくっていく。特に、私は大学が必要だと思っておりますけども、そんなことができるチャンスというふうに思っております。
 そこで、教育機関の再編も含めた中長期的な人材育成戦略について、知事のお考えを伺います。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 地域で活躍する人材をということで、養成をしろということですが、和歌山県の将来を担う地域で活躍する人材の養成は、非常に重要なテーマであります。そのため、新たな総合計画においても、社会の変化が激しい時代にあっても、社会や世界に向き合い、自らの未来を切り開き、将来の在り方、生き方を総合的に判断できる人材の育成を目指すこととしております。
 具体的には、学校教育においては、小・中・高等学校を通して個別最適で探求的な学びの推進やキャリア教育の充実等に産学官連携で取り組むほか、グローバル社会で必要な能力を養う教育を進めるなど、子供たちの主体性を尊重し、それぞれの可能性を広げる教育を一層進めてまいりたいと考えております。
 また、子供たちの意欲や希望に応じて、進路の選択肢を幅広く用意することも必要であります。そのため、県立高等学校においては、学際的な学びや地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科の設置を進める普通科改革や産業集積戦略に沿った教育プログラムの提供をする職業系専門学科改革など、特色化・魅力化を進めております。
 加えて、成長分野における企業と大学の共同研究や、せっかくある農林大学校、それから産業技術専門学院の機能強化にも取り組むということが非常に大事かなというふうに思っておりまして、高等教育機関等における専門教育の充実を図ってまいりたいと考えております。
 そして、何より子供たちが主体的に自らの進む道を生まれ育った和歌山に求める、そのような地域をつくっていかなければなりません。
 こうしたことからも、人材育成とともに、先ほど議員の御質問にお答えをいたしました既成概念にとらわれない様々な改革を行いまして、より豊かで持続的な社会・経済を創生していくことに全力で取り組んでまいります。
 これら一連の施策を一体的に進めることが、地域で活躍する人材育成に必要な戦略であると考えております。
○議長(岩田弘彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 いろんな改革というのが要るのかも分かりませんけども、私は、和歌山に育った子供たちが和歌山に残りたい、和歌山で頑張りたいと思えるような、思ってくれるような、そういう教育をぜひやっていただきたいというふうに思います。
 この人口減少ということを考えていって、ずうっと突き詰めていくと、大学をつくるというところに到達するというふうに私は思っています。現に、田辺市長も紀の川市長も言われております。
 かつて公立大学というのは、国立大学に比べたらもう数えるほどしかなかった。それが、この数十年の間にほぼ同じぐらいの数だけ増えているんです。和歌山県も、県立医大の薬学部ができましたけども、まだもう一個ぐらいつくらせてもらっても罰当たらないのじゃないかというふうに思っています。
 幾つも学科は欲しいんですけども、なかなか難しいので、そういうのを全部合わせた県立の理工学部ならつくれるんじゃないかというふうに思っていまして、今、ここでお答えをいただきませんけども、ぜひ大学をつくるラストチャンスに今なってきておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に行きます。
 4番目は、紀州鉄道への支援についてお伺いします。
 報道によりますと、御坊市で営業する日本一短い鉄道として知られる紀州鉄道が経営難に直面し、その存続が危ぶまれております。
 紀州鉄道は、大正13年に御坊臨港鉄道として開業し、郊外に位置するJR御坊駅の乗り継ぎ路線として、また通勤・通学の重要な足として利用され、往時には年間100万人を超える乗降客がおりました。
 しかし、モータリゼーションの進展や人口減少の影響により利用者は減少し、昭和47年には東京の不動産会社に売却され、紀州鉄道という名前になりました。その後も、言わば企業のステータスとして赤字ながら路線は維持してきました。私は、紀州鉄道の人に聞いたことあるんです。「補助金をもらっているのか」「1円ももらっていません」ということでございました。
 近年、外資系の不動産会社に買収されて、親会社と共に外国資本になったというふうに聞いておりますけども、そこで、赤字部門である鉄道事業が切り捨てられる可能性が出てきました。地域として大きな懸念を抱いております。
 三浦御坊市長も、記者会見や議会で、県や事業者と協議しながら、存続について議論を始めたいという意向を示しております。
 県として、紀州鉄道の経営状況をどのように把握されているのか、また、和歌山電鐵並みとは申しませんが、今後、どのような支援の可能性を検討されているのか、知事の御所見を伺います。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 紀州鉄道の支援についてでございますが、紀州鉄道株式会社の経営状況は、国が公表している鉄道統計年報によると、令和4年度の鉄道事業において、輸送人員は約10万人、赤字額は約5000万円となっており、厳しい経営状況であるものと認識をしております。
 今後の支援の可能性につきましては、存続や廃止について協議が行われる場合には県としても参加し、鉄道事業者の方針や地域住民のニーズ、御坊市としての公共交通の方針を踏まえた上で検討をしてまいりたいと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞよろしくお願いします。
 次にまいります。
 次は、5番目に、衆議院議員の定数削減についてであります。
 現在、自民党と日本維新の会の政権合意を受け、衆議院の定数削減に向けた議論が加速しています。当初は、比例代表で50議席を削減する案が示されておりました。しかし、議論が進む中で、いつの間にか小選挙区25、比例区20という地方の政治力を弱めかねない方向へと変質しつつあります。
 今回の自民党案では、小選挙区の対象は人口の多い都府県とされていますが、今後の議論の展開によっては、その内容がどのように変わるか分かりません。仮に、今回は都市部の削減にとどまったとしても、将来的には一票の格差是正を名目に、必ず地方の議席が削られる方向に向かうことが容易に想像できます。さらに、本県にとっては、参議院で合区の拡大の懸念すら言われております。
 そもそも身を切る改革として、なぜ衆議院の議席削減が必要なのか。なぜ1割に当たる45議席もの削減が当然のように語られるのか。
 衆議院の議席は、議員個人のものではなく、そこに暮らす国民の代表権そのものです。まるで水戸黄門の代官いじめのようなもので、本来は、国民の代表である衆議院議員を特定階級としてたたくことが痛快であるかのような演出に陥っているのではないでしょうか。
 定数削減は、地方の政治力、そして地方が国に対して声を届ける力を弱める極めて重大な問題です。自民党が憲法改正として掲げる参議院の二県合区解消と同様に、地方の声を国政に確実に届ける制度的担保を維持することこそ、政治の責務であると思います。
 私は、この削減案には強く反対する立場でありますが、県としても、地方の政治力低下につながるこうした動きには、明確に反対と意思表示をすべきだと考えます。
 知事は、この議論をどのように受け止めておられるのか、また、国に対して県としてどんな姿勢で臨むのか、知事の御所見を伺います。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 衆議院議員の定数削減についてでございますが、現在、自由民主党と日本維新の会の主導により、衆議院議員の定数削減の議論が進められています。もとより議員定数を含む選挙制度改革は、国会において議論の上、決定されるものでありますが、中村議員からお尋ねをいただきましたので、私の所見を申し上げたいと思います。
 国会は、衆参両院の議員活動を通じて国民の多様な意見を吸い上げ、適切に国政に反映させるという役割を担っており、国会議員を選出する選挙制度は、議会制民主主義の根幹を支える重要なものであると認識をしております。
 その中で、今回の定数削減の議論につきましては、私も中村議員同様、定数削減によって地方の声が国政に届きづらくなるということを大変危惧しております。
 定数削減を含む選挙制度の見直しについては、現在、衆議院に法案が提出されており、今後、国会において与野党間の協議により検討が進んでいくものと承知をしておりますが、その過程におきましては、地方の声が適切に国会に反映される仕組みの確保について十分な議論を行っていただきたいと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 よろしくお願いします。
 最後に、高校生の送迎について伺います。
 私は、この3年半ほど、毎朝、つじ立ちを続けています。続けることで、地域の生活動線や課題に気づくことがあります。その一つが保護者による中高生の送迎です。
 車中でも制服を着ているのですぐ分かります。車種は乗用車、軽トラなど様々です。軽トラには自転車を積んでいるときもあります。ドライバーは圧倒的にお母さんが多いのですが、祖父母のときもあります。特に、雨天時に送迎が多いと感じています。
 再選後、御坊市名田地区から県立中学に通う生徒の保護者から、送迎場所を設置してほしいという要望をいただきました。
 そこで、今年、2月から4月にかけて、県立高校の送迎実態についてアンケート調査を実施しました。校務でお忙しいところ、お返事いただきありがとうございました。この場をお借りして、先生方にお礼を申し上げたいと思います。結果は、お手元に配付しております資料でございます。
 送迎率の高い高校から理由をいろいろ読み解いていきますと、いずれも送迎せざるを得ない地形、交通条件を抱えています。通学距離が長いのに、公共交通が衰退しており、雨天時の危険性が高い地域が多いことが分かります。さらに、自動車交通の増加、治安の悪化があります。一方、自家用車や運転免許が普及をしていることを考えると、送迎はぜいたく、過保護ではなく、安全確保のための必要な手段であるというふうに思っております。その上で、県立高校にはちゃんとした送迎スペースの整備が必要であるというふうに考えております。
 県立高校は、周辺の道路事情が悪いところでありますけども、送迎を認めない、送迎場所がないといった状態は、今の通学実態から見て改善すべき課題であるというふうに思っております。
 そこで、教育長に伺いたいんですが、もう一度、雨天も含めて適切な把握をするために調査を実施して、必要な学校に送迎場所を整備するよう御検討いただきたいと思いますが、教育長の御所見を伺います。
○議長(岩田弘彦君) 教育長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 高校生の送迎につきましては、議員御指摘のとおり、学校ごとに対応は異なるものの、天候や生徒の体調等の事情で自家用車で保護者が送迎する状況はございます。
 県教育委員会としましては、生徒の通学の安全確保が第一であり、それぞれの学校の状況を確認しながら、自家用車による安全な送迎ができるよう検討してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 検討して、やる必要がないというようなことがないように、よろしくお願いしたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 おはようございます。
 最初に、8日夜に発生した青森県東方沖を震源とする地震で、気象庁が初めて北海道・三陸沖後発地震注意報を発表しました。被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
 それでは、議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 最初の1項目は、物価高騰対策について、5点にわたってそれぞれお尋ねいたします。
 まず、一つ目です。
 物価高騰による県民生活の困難が続いており、日々の食卓に欠かせないお米の高値と生活必需品の値上がりが広がっていることです。2025年1月から12月で累計2万609品目に上り、前年実績を64.6%上回っている状況です。1日2食、入浴回数を減らすなど、節約生活ももう限界です。こういった厳しい暮らしを支えるための県政の役割がさらに求められているときだと思います。
 そこで、県として、この物価高の原因及び現状認識、また、県民の命や暮らしを守るための基本的な物価高騰対策についての考え方を、まず知事にお聞きいたします。愛ある御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 物価高騰対策についてでございます。愛のある答弁を心がけたいと思います。
 現在生じている物価高騰は、国際情勢の悪化や円安等に起因する材料価格、エネルギー価格の上昇、慢性的な人手不足による人件費の増加といった供給面の要因によって引き起こされる、いわゆるコストプッシュ型のインフレであります。なお、米の価格高騰については、高温障害や米が不足するとの不安からの競争の発生など、別の要因もございます。そうした物価高騰の影響は、産業や暮らしのあらゆる面に影を落とし、本県においても非常に厳しい状況が続いております。
 県としましては、これまで、国の重点支援地方交付金を活用し、学校給食費の無償化や燃料費高騰対策支援など、個人や事業者の方々に対する様々な支援策に取り組んでまいりました。
 去る11月28日に閣議決定された国の令和7年度補正予算案においては、当該交付金について、昨年度を大きく上回る予算額が計上されており、地域の実情に応じた支援策を講じるための必要な財源として、大変歓迎するものであります。
 昨日、その第一弾として、県議会に補正予算案を追加提出させていただいたところであります。しかしながら、今後、物価高騰の影響を受けた方々や賃上げ、生産性向上といった経営改善に取り組む事業者の皆様などに、幅広く支援の手が行き届くように、市町村との役割分担も意識しながら、県民の視点に立って有効な施策の早期事業化を目指してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 御答弁ありがとうございます。
 閣議決定された国の補正予算案、国民の消費税減税の声に応えるものにはなっていないことは、大変残念です。最低賃金時給1500円の目標も取り下げている状況です。軍事費は、GDP比2%の2年前倒しをするという大変な問題が明らかになりました。
 一方、内閣府は事務連絡で、重点支援地方交付金の拡充と取扱いについて、可能な限り年内での予算化に向けた検討を前広に進めていただきたいと強調されています。知事からも今述べられたように、県民の視点に立って有効な施策の早期事業化、県民の皆様が安心して年越しができるよう、よろしくお願いいたします。
 次に、生活保護基準についての見解と生活保護制度を利用されている方の暮らしへの支援についてお尋ねします。
 この物価高において、特に低所得の方や高齢者、ひとり親家庭、療養しながら働いている方々などにとっては、大変厳しい暮らしの状況です。
 国は、物価対策として特別加算を設けるなどの対応を行っていますが、極めて不十分ではないでしょうか。物価に見合う水準に引き上げるべきと考えますが、県として、物価高騰の中での生活保護基準についての見解と、生活保護を利用されている方の暮らしへの支援について、どのように考えているのかお尋ねをいたします。
 福祉保健部長、御答弁よろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長𠮷野裕也君。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 生活保護基準につきましては、国が5年ごとに一般低所得世帯の消費実態や社会経済情勢等を総合的に勘案し、必要に応じた改定を行っております。また、令和10年に行われる次の生活保護基準の改定は、社会経済情勢等を適切に反映するため、1年前倒しで検討されると聞いています。
 県といたしましては、国が行う生活保護基準の改定が社会経済情勢等を正しく捉えていくものと考えており、この基準にのっとり、適正に生活保護業務を実施してまいります。
 生活保護を受給されている方の暮らしへの支援につきましては、生活保護業務に携わる現業員が、定期的な訪問面接を通じて家計のやりくりをサポートするなど、各家庭の状況に応じた適切な支援を行っており、生活保護受給者が今後も安心して生活ができるよう、きめ細やかで寄り添った支援を実施してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今年の6月に、生活保護基準引下げ処分を争ったいのちのとりで裁判で、歴史的な原告勝訴の最高裁判決が出されました。また、山梨県では、独自に生活保護利用世帯の生活実態調査をされています。その結果、1日1食以下14%、冷暖房を使用しない日が何度もあったことや野菜を食べていない世帯、また、毎日入浴が22%、家計の状況も毎月赤字などの実態が分かったということです。
 国の重点支援地方交付金推奨事業メニューには、物価高騰に伴う低所得者世帯、高齢者世帯を対象とした電力、ガス、灯油をはじめ、エネルギー、水道料金等の物価高騰による負担を軽減するための支援、子育て世帯支援では、給食費や低所得のひとり親世帯への給付金、子供食堂への負担軽減、ヤングケアラーに対する配食支援も可能としています。省エネ家電等への買換え促進による生活者支援なども挙げられています。県民の生活実態に即した支援を迅速にぜひお願いをしたいと思います。
 また、今の生活実態を、令和10年から前倒しをして国が行うというようなことですが、それでは全く間に合わないのではないでしょうか。県独自としても、生活実態を調査するなどを取り組んでいただきたいと強く要望をさせていただきます。
 それでは、次に行きます。
 3点目は、市町村立病院の維持存続についてお尋ねいたします。
 全国の病院のうち6割が赤字に陥る中、6割、7割とも言われていますが、自治体病院では9割近くにもなっていると報道されています。この原因は、コロナ禍を経て、物価高騰の中で診療報酬の改定が追いついていないとともに、自治体病院は、民間では困難な不採算部門を担ってきたからではないかと思います。
 そこで、改めて、県における市町村立病院の実態と経営困難になっている背景及び対応についてどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
 福祉保健部長、御答弁よろしくお願いします。
○議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 公立病院は、地域における中核的な医療機関として、また、小児・周産期医療など不採算医療を提供するなど、地域医療の確保のために重要な役割を担っているところです。
 県内11の市町村立病院の経営状況については、10病院で赤字となっており、合計の赤字額は49億円と、昨年度より28億円の悪化となっております。
 赤字の要因としては、近年の光熱費や医療資機材などの物価高騰、人件費の上昇等と考えられます。
 医療機関に対する支援としては、物価高騰対策支援に活用できる重点支援地方交付金等がこれまで国から各地方自治体に交付されているところです。また、国の令和7年度補正予算における医療・介護等支援パッケージにおいて、診療に必要な経費に係る物価上昇等に対して、国から病院へ直接支援を行うことが示されたところです。
 しかしながら、地域の医療提供体制を将来にわたって維持確保するためには、社会経済情勢を適切に反映した診療報酬となるような改定や、物価や賃金の上昇に応じて適時適切に診療報酬をスライドさせる仕組みを導入することなどが必要であることから、全国知事会等を通じて国へ要望しているところです。
○議長(岩田弘彦君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁をいただきました。
 物価上昇等に対する補正予算ということで、実際、この状況がどうなのか、そういった点を、よく実態を、また県としても把握をしていただきたいと思います。
 診療報酬の問題ですが、やはり診療報酬の引上げということは、非常に私たちも求めるところなんですけども、それとともに、やはりそういうことになると、窓口での負担とかそういったことも、県民の生活が一層大変な中で、医療機関に行けないとかそういうことにならないように、やはり全体の医療に係る国の社会保障支援をもっと増やしていくということが大事だと思いますので、その点もよく、また国へも、県からも意見を出していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 4点目ですが、国保料(税)の引下げについてお尋ねをしておきたいと思います。
 全国の自治体で国保料(税)の値上げが相次いでいます。日本共産党の独自調査によりますと、577自治体の中で、全国の33.2%が保険料を引き上げられたということです。2018年度に都道府県単位化されたわけですけど、それ以降で、2024年度の676自治体に次ぐ多さということになっています。値上げした市町村の比率が高い自治体は、広島県は100%、愛知県は77.8%、滋賀県73.7%。次いで和歌山県が73.3%と高くなっています。これについては、ぜひ引下げを考えるべきではありませんか。
 この点について、福祉保健部長、よろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 国民健康保険においては、高齢化や医療の高度化等によって1人当たりの医療費が増加しており、それを賄う保険料(税)も増加傾向にあるため、保険料(税)の引下げは困難な状況にあります。
 こうした中、県では、医療費の増加を抑えるため、第四期医療費適正化計画に基づき、特定健診の実施率の向上や糖尿病性腎症の重症化予防など、生活習慣病の対策を進めるとともに、後発医薬品の使用促進や適切な服薬指導など、医療費の適正化に取り組んでいるところです。
 また、保険料(税)を引き下げる財源をできるだけ確保するため、医療費適正化等の状況に応じて国から配分される交付金の獲得に向けた取組を市町村と共に進めています。
 さらに、国に対しても、国民健康保険加入者の保険料負担が軽減されるよう、国庫負担率の引上げなど財政支援の拡充を、全国知事会を通じて引き続き要望してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ぜひ国への働きかけ、よろしくお願いします。
 次に行かせていただきます。
 大項目1の最後の5点目です。
 中小企業、小規模事業者への振興を進める上で、消費税の減税とインボイス制度の廃止を求めたいと思います。
 消費税のインボイス制度開始から2年が過ぎました。インボイス制度を考えるフリーランスの会という皆さんがこういったことで頑張っているんですが、その中で実態調査がされて、1万人を超える回答のうち反対が97.3%、制度に反対と答えているということです。課税事業者の97.8%が負担に思うと答えています。県内事業者にも影響があると認識していますが、県の考え方をお聞きいたします。
 商工労働部長にお尋ねいたします。
○議長(岩田弘彦君) 商工労働部長中場 毅君。
  〔中場 毅君、登壇〕
○商工労働部長(中場 毅君) インボイス制度の導入に際しては、商工会等と協力しながら周知に取り組み、当初は制度に関する相談もありましたが、現在では落ち着いた状況であると認識をしております。
 県では、商工会等の経営指導や融資制度による個々の事業者に寄り添った支援体制を取っており、例えば、小規模事業者の持続的発展などを目的に、小規模事業者持続化補助金の案内を行っています。
 インボイスをはじめ経営全般に関する相談窓口としては、商工会、商工会議所、また、公益財団法人わかやま産業振興財団に設置されたよろず支援拠点などで、個々の事業者の事情に応じた相談を受けており、積極的に御活用いただけるよう引き続き周知を図ってまいります。
○議長(岩田弘彦君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、商工労働部長から御答弁いただいて、インボイスが導入されて、当初の導入が始まった頃は、いろいろと慣れないことで相談も多かったというようなことはあったかと思うんですけども、今は落ち着いているとおっしゃったんですが、今のフリーランスの、これは全国的なあれなんですが、決してそうじゃないというふうに思うんです。そういったことを含めて、ぜひとも、和歌山県内は特に中小企業で経済が支えられているという部分が多い中で、実態をしっかりとつかんでいただきたいなというふうに、私たちも届けないといけないなというふうに思いました。
 先ほど知事が一発逆転の特効薬はないというふうに言われたことでちょっと感じたんですけど、今、和歌山県として、先ほども物価高騰で非常に大変な状況の中で、いろいろと支援策と言ってもなかなか十分でなくて、そういう中で、私は、やっぱり一発逆転の特効薬、それは何といっても消費税廃止、減税、そして5%にすれば、このインボイスという制度の根拠というのがなくなるんじゃないかと思っていますので、この点で申し上げておきたいと思います。
 この大項目はこれで、次に行かせていただきます。
 二つ目の大項目です。
 再生可能エネルギーの推進に取り組むに当たっての県の基本的な考え方について、知事にお伺いいたします。
 脱炭素社会の構築に向け、国を挙げて再生可能エネルギーの拡大に取り組まれていますが、和歌山県においても、今議会に提案されている新たな総合計画にそのことがうたわれています。
 一方、再生可能エネルギーの確保を急ぐあまり、全国各地で問題が生じています。釧路の太陽光などがその典型例ではないでしょうか。国ではこのような状況に鑑み、規制強化を検討しているとお聞きしています。県内でも、和歌山市加太の太陽光計画や紀中地域での風力発電計画などへの不安の声が私のところにも届いています。
 持続可能な再生可能エネルギーの確保は私も応援するところですが、住民同意や地域の実情に応じた立地が必要ではないかと考えます。県として、再生可能エネルギーの確保に関する考えをお聞きいたします。
 知事の御答弁、よろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 和歌山県の強みであります豊かな自然資源を賢く活用できる再生可能エネルギーの導入を進めていくということは、脱炭素社会の構築に向け、重要な取組であると考えております。
 一方、その導入に当たっては、地域の環境との調和が必要であると考えておりまして、このことは、今定例会に提出している和歌山県総合計画案にも記載をしているところであります。
 引き続き、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例、環境アセスメント制度など、関係法令を適切に運用し、自然環境や生活環境と調和した再生可能エネルギーの導入に向け、取り組んでまいります。
○議長(岩田弘彦君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 10月16日、和歌山自然環境研究会、日本野鳥の会和歌山県支部などの6団体から県知事への要望書が提出されています。共通の願いは、知事答弁を今もいただきました地域環境との調和ということです。この中で特に補足しておきたいのは、コスモエコパワー株式会社の中紀第二ウィンドファームと大和エネルギー株式会社のDREAM Windの二つの計画予定地は、山地災害の危険があり、県民の財産である貴重な自然を破壊する瀬戸際にあるという分析が、資料までつけて提出されました。この資料は、知事のほうにも手渡っているかと思います。
 今日もお持ちしたんですけど、(資料を示す)白馬山脈の風力発電を考える会というところで、その中の会の方が、本当に事業者が書かれていることと比較して、こういった赤色の地図に表して赤色立体図を解析しているというような、こういう資料なんです。これを歩きながら業者さんが調査結果として書かれているのと比較して、調査結果を書いているという、本当に汗水流して取り組まれた資料なんですが、こういったことをぜひ参考にもしていただきたいなというふうに思っています。
 この資料は、事業者がDREAM Windの準備書で提示した赤色立体図を解析し、実際に歩いて現地を確認した、今、お伝えしたことなんですが、その上で、「恣意的な評価や悪意の判断」と表現しています。まだ申請されていないということで、答弁を求めませんが、担当課として科学的に厳密に審査いただき、県知事の判断で結論を出せるものとして林地開発許可をしない、また第1級保安林を解除しないということを求めておきたいと思います。
 また、コスモパーク加太の土取り跡地には、広さ68.2ヘクタール、送電容量29.9メガワット、発電容量44.2メガワットの太陽光発電の建設計画があります。住民説明会には私も参加しましたが、僅か2日間で30人程度の参加でした。賛成、反対、分からないけど不安など、意見は様々です。歓迎すべき再生可能エネルギーの事業であっても、住民の中に分断が起こるようなやり方は、大変残念で仕方がありません。
 県は、事業者に対して、住民が十分な説明を受け、納得が得られるよう求めていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
 大項目の三つ目です。
 公益通報制度について、総務部長にお尋ねします。
 2020年6月、当時28歳の和歌山市職員が自ら命を絶ちました。その職員の方は、平井子ども会における補助金申請を捏造することは、自分自身も犯罪に加担することになると、休職願で告発を公益通報しました。
 そこで、県における公益通報制度はどのようになっているのかお聞きしておきたいと思います。活用状況や仕組みなど、お教えください。
 また、内部告発者の保護こそが大切だと考えますが、どのように取り組まれているのでしょうか。
 総務部長にお尋ねいたします。よろしくお願いします。
○議長(岩田弘彦君) 総務部長山本祥生君。
  〔山本祥生君、登壇〕
○総務部長(山本祥生君) 県では、知事部局の事務または事業における不正行為の事実等について、職員及び県民からの通報を受け付ける通報窓口を考査課に設置し、日々、様々な通報に対応しております。
 不正行為等通報として受け付けた職員からの内部通報の内容が公益通報の対象事実に当たると思われる場合には、公益通報者保護法の規定に基づき、特に慎重を期して調査を行います。その結果、県の事務または事業における法令違反行為等が判明した場合には、是正のための措置や再発防止のための取組を迅速に実施することとしております。
 これまでのところ、実際に公益通報に当たる内部通報を受け付けたことはありませんが、対象となる通報があった場合には、適正かつ迅速に対応するよう努めてまいります。
 また、内部告発者の保護については、公益通報者保護法の規定に基づき、通報者が特定されないよう、通報者の個人情報やプライバシーの保護を徹底するとともに、通報者が不利益な取扱いを受けることがないよう細心の注意を持って対応してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 御答弁ありがとうございます。
 公益通報した職員の両親は、息子は、市のゆがんだ問題を正したい、変えたいと思い、最後まで一生懸命仕事をしていたが、ぷつんと糸が切れてしまったのだと思う。市で真面目に仕事をする人のためにも裁判を闘っていきたいと、記者会見の場でおっしゃったことが報道されていました。大変胸の詰まる思いです。
 消費者庁は、国の行政機関と自治体に対して、公益通報者保護法に基づき通報者保護を徹底するよう求める通知を出しています。御両親の思いに応えるためにも、県庁としても安心・安全な職場づくりにはこういった仕組みは欠かせないと思います。
 今回は、内部通報という形では受け付けているのはないとおっしゃられたのはよいことだと思うんですが、実際ないということだけでなくて、やはりそういうシステムがしっかりと保障されているということが非常に大事なのではないかと思うんです。そういった点で、ぜひとも職場の環境をよくするためにもなくてはならない制度だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後の大項目、四つ目を質問させていただきます。
 熊野白浜リゾート空港における自衛隊統合演習についての県の見解をお尋ねいたします。
 10月21日と23日に、熊野白浜リゾート空港において、F-15戦闘機の離着陸訓練が行われました。6月に私が一般質問をさせていただいた中で、知事は、熊野白浜リゾート空港での防衛に係る訓練利用の可能性がないとまでは言えませんと答弁されてから4か月しかたっていない中で、このような統合演習がありました。
 今回の実動訓練とも言えるこの統合演習に対して、住民への説明会も全くなく、騒音の影響や今後起こり得る早朝・夜間訓練、事故への対応など、住民の多くの疑問や不安に答える機会を設けることなく実動訓練が行われたことに、強い憤りを感じています。このような状況に対して、県の見解をお伺いいたします。
 知事、御答弁よろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 熊野白浜リゾート空港における自衛隊統合演習についての県の見解ということで、お答えをいたします。
 令和7年度自衛隊統合演習は、防衛省の報道発表資料によりますと、「我が国防衛のための自衛隊の統合運用について演練し、自衛隊の統合運用能力の維持・向上を図る」ことを目的として、北海道から沖縄県に至る日本周辺の海空域や自衛隊施設等において実施されたものと承知しております。
 本県では、10月21日及び23日に熊野白浜リゾート空港において、F-15戦闘機4機による連続離着陸訓練が両日とも数分間にわたり実施されました。
 今回の実施に当たっては、事前に防衛省、自衛隊から説明を受け、南紀白浜空港における空港の施設の円滑な利用に関する確認事項に沿って、空港法その他の関係法令等を踏まえ、県として適切に対応したところであります。
 県民への情報提供につきましては、防衛省、自衛隊から10月3日に統合演習の概要が公表されたことを受け、同日、県としても、本県内で実施される演習の概要を広報するとともに、訓練実施予定日等が判明した10月15日には、県独自で追加的な広報を行いました。
 また、10月7日付で、統合幕僚長及び近畿中部防衛局長に対して、訓練全体での米軍等の参加状況の事前説明、訓練詳細の速やかな情報提供、事故等の発生防止に万全を期すことなど5項目の要請を行い、訓練実施後の12月8日にも、訓練実施時の騒音対策について要請を行ったところであります。
 訓練の実施に当たっては、空港周辺の方々に及ぼす影響が最小限となるよう訓練が計画されること、住民の安全が守られることを大前提としつつ、伝えるべきことは関係者に伝え、これからも適切に対応してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁ありがとうございます。
 今、答弁していただいた中で、やはり住民の方から、また団体の方からは、騒音についての対策、騒音測定をしてほしいといったような御要望があったかと思うんですが、それについては実施していただいたということで、お礼を申し上げたいと思います。
 騒音の結果についても発表されていたと思いますので、そのことと併せてですけども、やはり十分説明されていなかったということについては国の責任だとは思うんですが、県としても、今後ぜひ、さらに住民への説明をしっかりと、説明というのは、説明やったから終わりということじゃなくて、住民が不安に思っている、疑問に思っていること、そういったことにしっかり答えていただくという、そういう場面が必要ではないかなというふうに思うんですが。
 私としては、こういうことについては防衛訓練は認めないと、今まで和歌山県としてはそういった内規がありました。熊野白浜リゾート空港において防衛訓練は認めないということになっていました。これを廃止したことを県民に知らせず今回の訓練に至っているということと、軍事利用の根っこにあるものは戦争国家づくりにつながっていくと思えてならないんです。特定利用空港・港湾に指定され、自衛隊や海上保安庁の平素からの訓練が始まれば、やがて米軍の航空機や艦船による訓練もなし崩し的に始まるのではないかという疑問や心配の声もありますし、私自身がそんなふうに大変心配しています。
 高市首相の集団的自衛権が行使される存立危機事態発言、国会で高市首相が、戦艦を使って武力行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得ると、米軍の戦争に自衛隊が参戦するという危機をあおる答弁を行ったと思うんです。
 その後、度重なる撤回要求がいろいろ国会議員さんのやり取りの中で出てきていると思うんですが、その要求にも拒否をしていると。今の状況の中で、一層住民の皆さん、国民の皆さんが心配するのは無理もないことだと思います。
 米軍の九州、沖縄などの南西地域の空港利用などが目立っています。このような中、私は、空港・港湾の管理権を持つ自治体は、米軍による軍事利用を拒否できる立場にあるということを述べておきたいと思います。これまでも、青森空港や帯広空港の使用を認めなかった事例があります。港湾についても、苫小牧、博多港の使用を認めませんでした。
 政府は、日米地位協定第5条により、米軍の船舶や航空機は日本の港や空港に出入りする権利があるという見解を自治体に示していることもあり、米軍の使用を認めていない例は、そういう結果で少なくないと思います。
 しかし、第5条は、米軍の船舶や航空機は、日本の港や空港に入港料や着陸料を課されずに出入りできるという規定であって、いつでもどこでも自由に出入りできる権利まで認めているわけではないと考えています。
 空港を管理する自治体の空港管理条例などに基づき、使用の届けをし、受理されなければなりません。したがって、自治体は、空港・港湾の軍事利用を拒否することもできるということを述べておきたいと思います。
 最後に、県民の命、暮らしを守る立場から、ぜひ自治体として特定利用空港指定の受入れを撤回するよう再度求めて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時38分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(秋月史成君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 16番坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕(拍手)
○坂本佳隆君 皆さん、こんにちは。自由民主党県議団、坂本です。本年最後の令和7年度12月定例会一般質問2日目、こうして質問の機会をいただきました先輩・同僚議員に、まず感謝を申し上げたいと存じます。
 去る12月の8日深夜に青森県東方沖を震源とする震度6強の地震が発生をいたしました。9日夕方5時時点の集計によると、5道県で51人の負傷者並びに9282名の皆さんが避難をされているということであります。被災をされました全ての皆様に、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
 また、東南海・南海トラフ地震のリスクを抱える和歌山県においても、緊張感、防災意識を持って日々の生活を送るべく、思いを新たにした次第であります。
 それでは、議長のお許しを得ましたので、通告に従いまして一般質問を進めてまいりたいと思います。
 まず初めに、昨日、林隆一議員も質疑をされておりました熊の被害の質問であります。先ほどお聞かせいただくと、和歌山県議会で誰よりも早く熊に関しての質問をされた先生とお聞きしております。失礼、後を追って質問させていただきたいと思います。
 昨今の全国的な熊被害の急増について、触れざるを得ません。ここ数か月、テレビでは昼夜を問わず、また、新聞各紙では様々な被害状況、また特集記事が連日掲載をされております。令和5年から6年にかけて、北海道、秋田、岩手、新潟などを中心に、記録的な人身被害が発生をし、全国被害件数は、統計開始以来、最多水準を更新する勢いであります。昨日発表された速報値によりますと、既に令和5年の被害を上回って、最多を更新したという資料がございました。
 住宅や学校周辺、さらには商業地にまで熊が侵入する映像が連日のように報道され、県民の熊への不安はこれまでにないレベルに高まっています。その背景には、ドングリ不作など、山の餌資源の不安定化、また、地球温暖化による行動範囲の拡大、人口減少による里山管理の弱体化、そして何より熊の個体数そのものの回復が指摘をされています。熊が増え、人が減り、山が荒れ、境界が曖昧になる、こうした複合的要因が今の危機的状況を生み出しているような気がしております。
 和歌山県においては、幸いにも北海道のヒグマのような状況にはまだありませんが、近年、紀中地域はもちろん、紀北地域でもツキノワグマの目撃件数が増えてきており、県民の不安は決して小さくはありません。
 県は、既に第二種特定鳥獣管理計画を策定し、従来の保護から管理に切り替える方向で進めておられますが、全国情勢の変化のスピードは速く、より踏み込んだ対策の議論が欠かせません。紀伊半島地域での個体数回復が指摘をされ、広域的な分布変動を注視する必要もあります。
 こうした情勢下で、県民からは、県は熊がどれだけ増えているのか把握をしているのか、危険な個体への対応は十分なのか、緊急時の銃猟は本当に迅速に行われるのかといった声が寄せられています。
 そこで、まず、熊対策の骨格でありますツキノワグマ和歌山県第二種特定鳥獣管理計画による個体数管理の方針について、和歌山県として現時点で把握しているツキノワグマの個体数の推計とその増減傾向を示すとともに、今後、個体数管理をどのように進めるのか、対策の強化と併せて、知事にお伺いをいたします。
○副議長(秋月史成君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) ツキノワグマの政策転換についてでございますが、紀伊半島のツキノワグマの生息数は、一般財団法人自然環境研究センターの平成10年度クマ類の生息実態等緊急調査報告書では180頭と推定されていました。近年、目撃件数が増加したことから、昨年度、環境省と紀伊半島3県で生息数調査を実施したところ、推定で467頭となりました。
 この結果、環境省が示す管理可能な400頭を超えたため、議員御発言のとおり、和歌山県として初めてツキノワグマを対象に、第二種特定鳥獣管理計画を本年10月に策定し、保護政策から管理政策へ転換したところであります。
 これまでは、人的被害や人に付きまとう等の問題行動を起こした個体に対し、有害捕獲を実施してまいりました。今回は、それに加え、人の生活圏、緩衝地帯、熊の生息地といったゾーニングの考え方を取り入れ、人の生活圏に出没した個体に対し有害保護を実施します。
 さらに、ツキノワグマの目撃事例が例年より多く、人的被害のおそれがあると見込まれる場合には、個体数を減少させるため、緩衝地帯で管理捕獲を行います。
○副議長(秋月史成君) 坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
 保護から管理へと方針転換した点は、昨今の熊騒動の状況において、県民の安心・安全につながる転換だと思います。
 一方で、緩衝地帯での捕獲体制や人身被害防止の実効性、地域住民への周知と不安対策をどう具体化するかが今後の重要な課題であると思いますので、引き続きの御対応をよろしくお願いいたします。
 次に、県民の安心に直結をする緊急銃猟制度の円滑な実施について質問をいたします。
 全国的な熊被害の増加を受け、令和7年9月1日から緊急銃猟制度が施行され、人の日常生活圏で迅速かつ柔軟に対応できることとなりました。しかし、制度があっても、出動する猟友会の担い手が不足していれば、実行は困難です。和歌山県でも例外ではなく、猟友会員の高齢化、若手の不足、山間地域での地理的偏在など、構造的な課題を抱えています。
 熊対応には、高い判断力と経験が必要であり、危険度も極めて高いため、ベテランが減れば制度は形骸化してしまいます。さらに、緊急銃猟では、警察との安全確保、市町村との連絡系統、行政の出動判断の明確化、迅速な情報共有が不可欠であります。
 和歌山県として、緊急銃猟制度を円滑に運用するため、市町村、警察との連携体制、出動判断基準、県民への情報提供をどのように強化をしていくのか、総合的な取組を知事にお伺いいたします。
○副議長(秋月史成君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 緊急銃猟制度の円滑な実施ということで御質問いただきました。
 緊急銃猟制度では、人の日常生活圏にツキノワグマが出没した場合、住民や第三者に銃猟による危害を及ぼすおそれがないこと等、一定の条件を満たせば、市町村長の判断により、銃器を使用した捕獲が可能となっています。
 県といたしましては、市町村、警察を交えた研修会を各地で実施し、連携強化を図っております。
 また、緊急銃猟の射手を確保するため、県猟友会に対して協力依頼を行うとともに、他県で開催された緊急銃猟訓練に参加し、そこで得られた知見を市町村と情報共有しております。
 さらに、緊急銃猟が円滑に実施できるよう、本県としては初めての机上訓練を、12月24日、田辺市において、環境省、警察、猟友会と共に実施する予定です。
 県民の皆様には、知事記者会見や各種メディアで情報提供を行うとともに、自然環境課のホームページに目撃情報を公開しております。
 今後も、県民の安全・安心の確保を最優先に、ツキノワグマ対策を実施してまいります。
○副議長(秋月史成君) 坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
 法改正を踏まえ、市町村、警察、猟友会との連携や机上訓練、情報発信まで具体的に示していただきました。今後の課題である現場で即応できる人員体制の確保や判断基準の明確化が、この緊急銃猟制度を本当に機能させるための肝だと思っております。
 また、昨日の林議員の質疑の中で、県警本部によるライフル銃使用に関する本部長の御答弁もございましたが、県民は安心・安全の最後のとりでとの期待を寄せておりますので、何とぞよろしくお願いをいたします。
 和歌山県は、豊かな自然を有しており、それが農業、観光、教育、文化の根幹を支えております。その一方で、里山管理の担い手は減り、野生動物の行動圏は広がって、人と野生動物の距離は確実に縮まっています。ツキノワグマは決して悪者ではありません。しかし、県民の生命と安全を守ることは、行政の最も重要な使命です。だからこそ、個体数管理、迅速で安全な緊急対応、地域特性に応じた予防対策、担い手確保と県民への丁寧な情報発信、これらを一体的に進めることが必要であると思います。
 本日の質問を通じて、和歌山県が全国的な動向をしっかり捉え、先手の熊対策を進めていただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、職業教育の充実についてであります。
 まず、今定例会開会日の冒頭、知事説明要旨の中で、令和8年度重点施策と予算編成の方針の中で成長分野の企業と連携をした産業教育の強化が明確に示されたことを、僭越ながら高く評価をさせていただきたいと思います。
 県内の若者が地域に誇りを持ち、地元企業で力を発揮し、さらに全国、世界へと羽ばたいていくためには、まさに学校教育段階からの物づくりプロを育てる仕組みが不可欠であります。一方で、現在の公立高校を取り巻く環境は厳しく、いわゆる公立離れが進む中で、魅力ある専門教育をどのように構築し、県内高校の価値を再び高めていくかが極めて重要な政策課題だと思っております。昨日、鈴木太雄先生も触れられておりました。
 文部科学省もまた同様の認識を持ち、全国的な産業構造の変化を踏まえ、工業高校など、職業系高校に対して資金を厚く配分する方向性を示されました。先日、11月18日の日本経済新聞にもこの記事が掲載をされていました。さらに、医療、福祉、建設など、社会の根幹を支える高度なエッセンシャルワーカーの育成強化に取り組む高校を新たに支援していく方針も明らかにしています。
 AI時代にこそ必要なのは、人にしかできない力、すなわち技能、経験、判断力を育む産業教育であります。AIが進展する時代だからこそ、人にしかできない仕事、人の技能、経験、判断力の価値は見直されている。こうした国の動きや社会的潮流、本県の政策方向性を踏まえ、以下、三つのテーマで質問を進めていきたいと思います。
 まず、次代の職業教育の実現についてであります。
 AIが急速に進展する時代を迎え、改めて、人にしかできない仕事、すなわち人の技能、経験、判断力の価値が見直されつつあります。
 職業教育において、AIの発展を脅威として捉えるのではなく、AIと人間が互いの強みを生かし合いながら産業を支えていくという視点が不可欠であります。その上で、産業界で活躍できる資質や能力をいかに育むかがこれからの教育の大きな使命であると考えます。
 こうした社会構造の変化に応じ、職業系専門高校のカリキュラムを進化させていく必要があります。従来の機械、電気、化学など伝統的な分野に加え、AI、データサイエンス、ロボット制御、サステーナビリティーといった新たな学びの内容を取り入れ、時代に合ったカリキュラムを産業界や専門家と連携をしながら構築していくことが求められます。これにより、若い世代が未来の産業構造に対応できる力を身につけ、本県の物づくりを支える土台となることが期待をされます。
 また、職業教育の根幹である実技・実習の充実は、欠かすことのできない課題です。新たな技術に対応した実習設備や工具類の更新は急務であり、実習環境の改善が教育の達成度や習熟度に直結をいたします。
 実際の産業現場では、高度化、デジタル化が進み、そのスピードに合わせた教育環境整備が不可欠であります。本県が目指すべきは、産業界と教育現場のギャップを埋め、現場で通用する実践力を育てる学びを実現することであります。
 さらに、実習設備と同様に必要なのが職業教育を支える教員の専門性であります。新たな技術を扱える教員、実務経験を持ち、実践的な指導ができる教員、企業とのネットワークを活用できる教員など、多様で高度な専門力を持つ教員を確保し、育成していくことが喫緊の課題であります。教員の資質向上の取組とともに、人材確保そのものが容易でない状況も踏まえ、本県として計画的、継続的な育成支援の在り方が求められます。
 県内では、工業教育の推進役として、和歌山県高等学校教育研究会工業部会が工業高校NAVIのウェブ運営や製図コンクール、技能講習会など、地域と連携しながら多彩な教育活動を展開しています。こうした研究団体や地域ネットワークとの結びつきは、技術教育の深化と専門人材の育成に大きく寄与するものであり、今後も積極的に支援をし、発展させていくことが重要であります。
 以上申し上げてきたように、AI時代に対応した新たなカリキュラムづくり、最新技術に対応した実習設備の更新、専門性の高い教員の確保と育成、さらに、地域の技術者ネットワークとの連携など、次代の職業教育を取り巻く課題は多岐にわたっております。しかし、これらを一つ一つ着実に進めてこそ、本県の将来の産業を担う若い力を育てることができると考えます。
 そこで、質問をいたします。
 本県として、AI時代に対応した次代の職業教育をどのように実現していくのか、その全体ビジョンとカリキュラム改革、実習環境整備、教員育成、産業界との連携体制など、今後の取組について、教育長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(秋月史成君) 教育長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 議員御指摘のとおり、AIに代わることができない力の育成が求められています。各学校においては、企業等と連携し、生徒が社会の課題を自ら見いだし、解決を目指す探求的かつ協働的な学びを推し進めているところです。
 また、工業系専門高校においては、蓄電池分野などの成長産業関連企業と連携した実践的な学びを進めてまいります。
 なお、高度化、デジタル化など、最新技術に対応する実習設備の整備についても、国による財政支援の検討状況を注視しながら計画的に進めてまいります。
 さらに、企業の設備を利用させてもらう機会や、企業の方から直接講義を受ける機会をつくることで、より実践的な学びの場を提供し、職業教育の充実に取り組んでまいります。
 また、専門性の高い教員の確保、育成については、教員免許がなくても一定の実務経験があれば採用試験を受験できるようにしています。教員の指導力を高めるため、引き続き、工業部会主催の研修会や講習会等にも協力してまいります。
○副議長(秋月史成君) 坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 次に、職業系専門高校の魅力発信について伺ってまいります。
 まず、県立高校には、普通科、専門学科、この中には工業、農業、商業など、そして総合学科があります。多様な学科構成を持つことは、生徒の適性に応じた学びを提供する上で大変重要であります。
 一方で、普通科と専門学科のバランスをどのように確保していくかという視点が、これからの県立高校教育にとって極めて大きなテーマであると考えます。特に、工業、農業、商業など職業系専門高校については、進学しない生徒の受皿や就職する人のための代替ではなく、中学生にとって進路の一つとして積極的に選ばれる、魅力ある学校として再定義していく必要があります。将来の地域産業を支える人材を育成する場であるからこそ、その価値と魅力がしっかりと伝わる仕組みづくりが欠かせないと考えます。
 現在も、工業高校NAVIや県立高校説明会、体験入学、職業体験など様々な取組が行われておりますが、まだ十分に中学生や保護者に届いているとは言えません。特に、専門高校の実習風景や資格取得、卒業後の進路実績、企業との連携プロジェクトなど、魅力を感じてもらえる具体的な情報は積極的に発信すべきであり、県としてさらなる強化が必要と考えます。
 また、職業系専門高校が持つ教育資源は、県内産業の成長分野とも密接に結びついています。知事の説明要旨でも、成長分野の企業と連携をした産業教育の強化が示されており、文部科学省においても、工業高校など専門高校への資金配分を手厚くする方針が示されています。高度なエッセンシャルワーカー育成を支援する動きもあり、まさに今、専門高校を強化し、魅力化していく絶好のタイミングであります。
 県としても、これら国の動きや地域産業のニーズを踏まえて、専門高校の設備更新、デジタル技術を生かした実習の拡充、企業との共同授業やインターンシップの深化など、教育内容そのものの魅力向上に加えて、その価値が的確に中学生や保護者へ届く情報発信の戦略を持つべきであります。
 そこで、教育長にお伺いをいたします。
 県教育委員会として、職業系専門高校の魅力化や、魅力を十分に伝えるための情報発信の充実にどう取り組むのか、今後の方針をお伺いいたします。
○副議長(秋月史成君) 教育長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 地域産業を担う人材育成のために、職業教育を主とする専門学科の規模を確保するとともに、その魅力を中学生に伝える必要があると考えています。
 今年度から、情報発信プラットフォーム「note」を活用し、高校生の日々の学びの様子や学校の活動を中学生や保護者の方々に積極的に発信しているところです。
 卒業後の進路として、様々な分野の大学等へ進学できることも含めて、職業系専門高校の魅力ある取組を積極的に伝えてまいります。
○副議長(秋月史成君) 坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 次に、卒業後の進路支援等について伺ってまいります。
 特に、和歌山県のような地方では、建設、製造、農業、インフラ維持など、いわゆるエッセンシャル分野で働く人材の確保が喫緊の課題となっています。こうした分野を支える若い人材を育てることは、単なる雇用施策でなく、地域社会の持続可能性そのものを底支えする重要なファクターであると考えます。県内の産業構造を踏まえると、これは避けては通れない現実であります。
 県内産業を支える人材の確保という観点から、職業系専門高校と地元企業との連携強化は、今や地域の持続可能性に直結する最重要課題であると考えます。企業が求める技術、技能、人材像を教育現場に適切に反映させること、また、高校生が卒業後に地元企業、地元社会で活躍をし、定着につながるキャリアを支援するインターンや企業実習等の仕組みを構築することは、県として力を入れるべきテーマであると思います。
 また、職業系専門高校で学んだ生徒が卒業後に県内企業へ就職をし、結果として地域に定着することは、産業振興だけでなく、地域社会の基盤強化という広い観点からも非常に意義があります。企業説明会、地元企業の魅力発信、出前授業などの取組を通じて、県内企業への理解を深め、円滑なマッチングを推進することが不可欠であり、これらを支える県の施策は、今後さらに重要性を増すと考えます。
 さらに、職業系高校卒業後の進路選択においても、地域での就業や将来の定着につながる支援策を強化する必要があるとされています。県内就職や地元企業へのルートがより明確となり、キャリアパスが描きやすくなることは、若者が県内で働くという選択肢を取りやすくする効果が大いに期待をされます。
 以上を踏まえ、県として、今後、県内企業と職業系専門高校との連携をどのように強化し、企業ニーズを教育内容に適切に反映する仕組み、生徒と地元企業の接点を増やし、マッチングを促進する取組、卒業後の県内就職、地域定着を後押しする支援策等、地域や県内産業を支える人材育成にどう取り組んでいくか、教育長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(秋月史成君) 教育長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 議員御指摘のとおり、県内産業を支える人材育成は、職業系専門高校の大きな使命であり、未来の和歌山を支えるために、重点的に取り組む必要があると考えています。
 職業系専門高校では、技術者を講師とした実習やインターンシップ等を行い、現場で求められる技術や心得について、県内企業の方から直接指導をいただいています。また、商工労働部と連携し、県内企業の魅力、県内で働くメリットなどを掲載した就職ガイドブックの配付や企業説明会の開催をしております。さらに、中学生や高校1年生の早い段階から、県内企業への関心や理解が深まるよう努めているところです。
 今後も、県内企業や関係部局等との連携をより深め、本県の産業を担う人材育成に取り組んでまいります。
○副議長(秋月史成君) 坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁を今いただきました。地域人材の育成を職業系高校の使命と明確に位置づけをしていると御答弁でした。
 今回、この質問をさせていただいた背景を少しお話しさせていただきます。
 近年のAIや自動化の進展により、事務職などのホワイトカラーの仕事は減少する一方で、建設、物流、製造、介護、農林業といった現場を支える分野では、大変深刻な人手不足が続いています。しかし、現在も大学進学イコール安定、現場仕事イコール敬遠という進路感が根強く、人余りのホワイトカラーを生み出し続けているのが実情ではないかと思います。今後も、この流れを続けてよいのか、進路の在り方そのものが問われているような気がしてなりません。
 現場の仕事は、AIでは完全に代替できず、人の判断力や対応力、チームワークが不可欠であり、今後はAIを使いこなす現場人材の重要性が一層高まって、専門高校が地域企業や自治体と連携をし、地元で学び、地元で働き、地元に定着する仕組みをつくることが若者の雇用確保と地方創生の両立につながる。もはや大学か就職かという二者択一の時代ではなく、専門技能を身につけ、現場で活躍しながら、安定した収入と誇りを得る生き方も十分に魅力ある進路であるという価値観を社会全体で共有していく必要があるんではないか、そのためには、職業教育の質の向上とともに、待遇改善やキャリアパスの明確化、技能の正当な評価が不可欠であると思います。
 県立専門高校は、単なる就職対策の学校ではなく、地域産業を支える人材インフラとして再定義されるべき存在で、職業教育の充実は若者対策であると同時に、産業振興、地域活性化、さらには防災やインフラ維持にもつながる重要な基盤政策であり、進学偏重から実学重視へと転換することが今まさに求められているのではないかとの思いで、この質問をテーマにさせていただきました。
 以上を申し添えまして、次の質問に進めさせていただきます。
 最後に、和歌山電鐵貴志川線の存続に向けた上下分離方式への移行についてであります。
 先月の11月24日に、和歌山県、和歌山市、紀の川市、和歌山電鐵の4者が合意をした上下分離方式への移行の効果について質問をいたします。
 まず、貴志川線のこれまでの歩みと、その公共的意義について確認をさせていただきます。
 貴志川線は、地域の方々の日々の通勤・通学、さらに通院・買物といった生活の移動を支える極めて重要な地域鉄道であります。そんな貴志川線が平成15年10月、南海電気鉄道から、利用者の減少や赤字続きを理由に貴志川線の廃止を含む経営見直しが示されたことを受け、沿線自治体である和歌山市と紀の川市、住民が中心になって結成された「貴志川線の未来を“つくる”会」、また、議会が連携をし、存続に向けた取組が本格化をしていきました。平成16年には協議会が設立され、25万人規模の署名活動、また、県選出の国会議員はじめ国への要望活動、和歌山県議会におきましては、超党派による議員連盟が結成されました。
 少し当時を議会事務局のほうで調べさせていただきますと、当時、和歌山県議会貴志川線の存続と利用促進を願う議員連盟ということで、小川武先生が会長を担っていただき、幹事長に新島先生、事務局長に当紀の川市選出の山田先生が就かれ、一般質問でも、山田先生、また公明党の江上先生、また新田先生などが質問をされました。
 同年8月には南海が撤退を表明し、翌年に廃止届が提出をされましたが、その後、そのときの各市町村長、リーダーの地域を思う行動と決断が実りまして、公募により岡山電気軌道が新たな運営事業者に決定をいたしました。平成18年4月から和歌山電鐵を設立し、南海電気鉄道から経営を引き継ぎ、存続することが決まりました。和歌山電鐵として再スタートを切ったのです。あのときのことは、私も地域に関わる者として胸に刻まれております。
 その後、和歌山電鐵は、単なる移動手段にとどまらせず、たま駅長をはじめ、たま電車やおもちゃ電車など、ユニークな車両を走らせたり、独自の魅力発信により、国内外から多くの観光客を呼び寄せ、地域ブランドを向上させてきました。全国的にも評価される再生事例であります。
 しかし、華やかな話題の裏側では、利用者減少、老朽化設備の増大、経営負担の増加といった構造的課題が積み重なってまいりました。それでも今日まで貴志川線が存続してきたのは、沿線住民の皆様、自治体、鉄道事業者、そして県が一体となって支えてきたたまものであります。地域交通を守ることの大切さ、公共交通が地域社会に果たす役割の大きさを改めて痛感するものであります。
 しかしながら、近年はコロナ禍を契機とする利用者数の減少が長期化をし、鉄道施設の老朽化が進む中で、鉄道事業者が負担する鉄道施設維持管理費が増加、その結果、現在のみなし上下分離方式では、鉄道事業者において必要な鉄道施設維持管理費を負担することが困難となり、鉄道の継続が危ぶまれる状況に陥っています。とりわけ、橋梁、軌道、駅舎といった老朽インフラの更新・補修費は年々増加をし、これらは鉄道運行の安全性の根幹に関わるものであるため、抜本的な改善が求められておりました。
 そうした中、今12月定例会でも、修繕支援として約6000万円が補正予算案の中にも計上をされております。その上で、存続に当たり、これまで鉄道事業者が担ってきた施設保有を自治体側が引き受け、鉄道事業者は運行を担う上下分離方式への移行を目指す、この方向性で4者が合意されたと承知をしております。
 この判断は、鉄道を地域の公共財と捉え、その安定的な運行を守るため、自治体が一定の役割を積極的に担うという極めて重要な政策転換であり、私も地元議員としてこの英断を高く評価をしたいと思います。
 しかしながら、一方では、鉄道の持続可能性を高めるためには、上下分離だけでなく、利用者を増やす攻めの戦略も不可欠であります。沿線には、貴志駅の観光拠点、伊太祈曽駅の歴史文化資源、大池遊園や紀の川流域の観光資源、また、フルーツ、サイクリングなど、紀の川市が持つ強力な地域資源など多様な魅力があります。これらを鉄道と結びつけ、交通、観光、地域振興の相乗効果を最大化する仕組みづくりが重要だと考えます。
 そこで、今回の上下分離方式への移行によって、鉄道事業や地域にどのような効果が期待されるのか、県の見解を知事にお伺いいたします。
○副議長(秋月史成君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 和歌山電鐵貴志川線の上下分離方式への移行についてであります。
 貴志川線は、地域の方々が通勤・通学などに利用する地域の鉄道だけにとどまらず、観光振興にとっても重要な路線であり、必要不可欠な路線と考えております。
 そのため、和歌山電鐵による経営努力と、和歌山市、紀の川市と県による安全輸送確保のための鉄道施設維持経費への支援、沿線住民による利用促進活動により、鉄道事業の存続に取り組んでまいりました。
 しかしながら、鉄道事業の継続が危ぶまれる状況となったことから、今回、年間170万人が利用する貴志川線については、令和10年4月に上下分離方式への移行を目指すとともに、それまでの間は和歌山電鐵が継続して運営し、その運営に対しては2市及び県で支援することで、4者の合意に至りました。
 上下分離方式への移行に伴い、行政が線路や駅舎などの鉄道施設を保有し維持管理することにより、鉄道事業者は運行に専念することができ、利用者の利便性向上も図られるものと考えます。
 さらに、鉄道事業者には、民間の発想による地域資源を活用した観光コンテンツの充実や沿線のまちづくりなどに寄与していただくことで、沿線地域の活性化が図られるものと期待をしております。
○副議長(秋月史成君) 坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁ありがとうございます。
 今回の上下分離方式への合意は、貴志川線を将来にわたって守り抜くための大きな決断であると思います。鉄道事業の安定化とともに、観光振興や沿線のまちづくりを一体に進めるため、新たなステージに入ったと認識をしております。
 今後、年間利用者170万人という基盤を将来にどうつなげていくか、この決断が貴志川線の持続可能な運営と地域活性化につながっていくことを大いに期待をしております。
 また、午前中、中村先生の御質問に紀州鉄道のお話もございました。人ごとのようには私はなかなか思えなくて、先般、新聞報道で、御坊市の市議会のほうでも協議会をつくるという記事を拝見しました。県としても、持続可能な地域公共交通の確保に向けて、できるだけ丁寧に寄り添った御対応を私からも御要望させていただいて、私の一般質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(秋月史成君) 以上で、坂本佳隆君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番岩永淳志君。
  〔岩永淳志君、登壇〕(拍手)
○岩永淳志君 こんにちは。みらいの会の岩永淳志と申します。
 質問に入る前に、さきの青森県東方沖の地震で被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。
 また、全国各地では山火事等も起きております。鎮火活動に当たる関係者の皆様の御尽力に深く敬意を表し、安全な状況への速やかな回復を御祈念いたします。
 さて、議長のお許しをいただきましたので、通告順に従い一般質問をいたします。
 まず1点目は、鳥獣害対策についてです。
 昨今は熊の話題も大きな関心を集めておりますが、今回は、鳥獣害対策全般についてお伺いしたいと考えております。
 長年の課題である鳥獣による農作物被害ですが、本県、和歌山県においても、鳥獣による農作物被害は依然として解決の糸口が見えない喫緊の課題となっております。農家さんが丹精を込めて育てた作物が一夜にして荒らされることは、農家の方々の生活基盤、ひいては本県の基幹産業である農業そのものに看過できない甚大な影響を与えております。
 そこで、まず改めて、現在県が取り組んでいる鳥獣害対策や農作物被害金額の調査方法と推移について、農林水産部長にお伺いいたします。
○副議長(秋月史成君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長川尾尚史君。
  〔川尾尚史君、登壇〕
○農林水産部長(川尾尚史君) 野生鳥獣による農作物被害は、農業者の営農意欲の減退はもとより、離農や耕作放棄地の増加につながることから重要な課題であると捉え、現在、捕獲対策、防護対策、狩猟者の育成・確保を三つの柱として取組を進めているところです。
 具体的には、捕獲対策については、国に先立ち、捕獲に必要な経費の支援を行うとともに、鹿の夜間銃猟を実施しております。
 防護対策については、野生鳥獣の侵入を防ぐ防護柵等の整備に対する支援や、柵の設置に関する技術研修を行っております。
 狩猟者の育成・確保については、新たな狩猟者を確保するため、狩猟の体験研修の実施や狩猟免許取得への支援を行うとともに、新たに狩猟免許を取得した方を対象に、捕獲技術向上のための研修も実施しております。
 農作物被害金額につきましては、各市町村が農業者からの報告やJA等への聞き取り調査などを基に算出した金額を県で取りまとめて公表しており、昨年度は約2億4700万円でありました。被害金額は、直近5年間では3億円を下回る金額で推移し、減少傾向にありますが、依然として厳しい状況にあると認識しております。
○副議長(秋月史成君) 岩永淳志君。
  〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 部長、御答弁ありがとうございます。捕獲、防護、そして人材育成という3本柱の施策は、いずれも極めて重要なことであると認識しております。
 その上で申し上げますが、鳥獣害対策は、野生鳥獣の生態変化や地域の環境変化が複雑に絡み合い、一朝一夕には解決し得ない根深い課題であると思っております。抜本的な解決手段がない現状だからこそ、私たちは、徹底的かつ正確に現状を把握し、その確かなデータに基づいた実効性の高い施策を積み重ねていく必要があります。施策の方向性を定める羅針盤となる各種の指標が、現場の農家の皆様の負担や軽微な被害を含めた実態を真に反映し、信頼に足るものでなくてはいけないと思っております。
 その上で、農作物被害金額という指標について、近年は減少傾向にあり、鳥獣害対策の効果がうかがえると考えることもできます。しかしながら、この被害金額は、先ほど御答弁いただいたとおり、各自治体による聞き取り調査という手法上、軽微な被害が報告に至らないケースも多く、被害の実態が全て100%反映されているとは言い難く、その妥当性には疑問が残ります。
 加えて、防護柵やわなの設置・維持に係る、特に狩猟免許を持つ農家の方々の時間的、精神的な御負担は依然として大きいものと認識しております。代替となる指標が現状では存在しないことも事実ですが、私たちは、この被害金額を参考にしつつも、現場の肌感覚をより正確に捉えた和歌山発の新しい指標を策定していくべきではないでしょうか。次の施策へとつなげるために、指標の高度化を強く要望いたします。
 さて、地域の方々にお話を伺っていると、これまで見られなかった場所で鹿が出没するようになった、そういった声を多数いただきます。農村地域の過疎化や耕作放棄地の増加等により、野生鳥獣の生息域が拡大し、農作物被害だけでなく、集落内の出没による住民生活への影響も拡大しています。特に近年は、海沿いの集落や民家に隣接する田畑にまで出没するようになり、従来以上に広域的かつ集中的な政策が求められております。私自身も、美浜町に住んでいるんですけれども、私の自宅に隣接する耕作放棄地に、この夏、鳥獣が住みつき、対策に苦慮した経験がございます。
 つきましては、県内の実態として、野生鳥獣の生息域の拡大状況についても同様に把握する必要があると考えますが、生息域拡大に対する県の認識と対策について、お伺いいたします。
○副議長(秋月史成君) 農林水産部長。
  〔川尾尚史君、登壇〕
○農林水産部長(川尾尚史君) 県では、5年ごとに、ニホンジカ、イノシシ、猿の生息数と生息域の調査を行うとともに、毎年、狩猟者の目撃情報等を基に分布状況を推定しております。いずれの調査においても、鹿の生息域が顕著に拡大しており、市町村からも、これまで農作物被害のなかった地域でも被害が見られるようになったとの報告を受けております。
 こうした状況を踏まえ、県では、鹿対策につきましては、より多くの方に捕獲に取り組んでもらえるよう、令和5年度より成獣のわな捕獲の報奨金を1頭当たり3000円増額するとともに、令和6年度からは、県が新たに開発した鹿の習性を利用した潜り込み式わなの現地実証にも取り組んでいるところです。
 今後も、効果的な対策を実施するため、目撃情報などのデータのさらなる活用や、ICT技術など新たな技術の導入とともに、防護対策等も含め、総合的に取組を進め、農作物の被害軽減に取り組んでまいります。
○副議長(秋月史成君) 岩永淳志君。
  〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 御答弁ありがとうございます。
 御答弁にあった狩猟者の目撃情報に基づいて生息域が急激に拡大していると、これは非常に重要な発見であると思います。
 この狩猟者の目撃情報について、猟友会の皆様は、狩猟報告書という書類に、出猟ごとに目撃情報を記載して、猟期が終わるごとにそれらを自治体等に提出しているそうです。この報告書の中には、目撃された市町村の名前、そして地理的なメッシュ番号、そして目撃された数が含まれており、非常に詳細で有意義な情報であります。このような現場の狩猟者さんに御協力いただいた上で集積されている鳥獣に関する詳細なデータをしっかりと分析し、来年度以降、新たな政策に取り組んでいく必要があるというふうに感じております。
 なお、この目撃情報も、現状は狩猟者の方に紙に一回一回記載してもらい、猟期末に提出、報告をしていただいている状態ですが、本来はICTを活用し、リアルタイムに目撃情報が更新されるようにすることが理想なのだろうと思います。こうしたデータの収集に関しては、デジタル技術を活用し、より有益な方法を模索していただきたいと思います。
 また、御答弁にあった潜り込みのわなに関しては、先日、有田川町の果樹試験場にて、潜り込み式のわなや、立木とネットを利用した非常に軽量な鹿の捕獲用の囲いわなを拝見する機会がありました。よく見られる箱わなは、捕獲すると、その捕獲するときの音で賢い動物は逃げ出してしまい、その場所に二度と寄りつかなくなってしまうことが多々あります。そこで、ネットを活用することで、そのような二度と寄りつかなくなるような、そういった危険性がないことは非常に画期的であると思います。また、折り畳むこともできるので、非常に運ぶ上でも便利かなというふうに感じました。
 ただし、捕獲に至るまで非常にシビアな調整が必要で、人力に頼ると負担が大きくなってしまう課題があるそうです。現在は、ICTを活用して監視カメラで見ながら遠隔で捕獲できないかと、そういった検討がされているとお伺いした次第でございます。
 現状、捕獲・防護の担い手がだんだんと高齢化しているため、地域単位で持続的に対策に取り組める担い手の確保と、そのための効率的な捕獲・防護システムの構築が急務であると思います。この課題を克服するためには、今後は、鳥獣の捕獲・防護においてICTとデータを最大限に活用するべきだと考えます。
 データに基づいた鳥獣害の現状把握と、これに対応できる新たな担い手の育成の必要性を強く申し上げた上で、この議題に関しては終わらせていただきます。
 次に、県立特別支援学校の児童生徒数の状況についてお伺いいたします。
 県教育委員会が公開している特別支援学校在籍者数の推移を見ると、県内の児童生徒数全体が減っている一方で、県内の一部の特別支援学校の在籍児童生徒数が増加していることが分かります。特に、令和になってから増加しております。例えば、きのかわ支援学校では令和元年に168人だったものが213人、紀北支援学校では264人から318人、たちばな支援学校でも166人が200人と増加しております。
 この令和の数年になって、県立特別支援学校の児童生徒数が増加している、こういった状況への県としての受け止めと今後のお取組について、教育長にお伺いいたします。
○副議長(秋月史成君) 教育長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 議員御指摘のとおり、近年、特別支援学校の在籍者数は増加傾向であると認識しています。
 その要因として、医療の進歩をはじめ、障害のある乳幼児や保護者のサポート体制の充実、特別支援教育に対する保護者の理解や認識の高まりなどが考えられます。
 これまで、紀伊コスモス支援学校の校舎増築、南紀支援学校及びはまゆう支援学校統合に伴う校舎建設、みくまの支援学校校舎の大規模改造工事を行うとともに、現在、紀北支援学校の増改築を進めております。
 また、教室不足への対応については、特別教室の転用や教室の間仕切り等によって一時的な対応を行っています。
 特別支援学校に進学する幼児、児童生徒数の今後の予測は難しい状況ではありますが、幼児、児童生徒が安心・安全に学校生活を過ごせるよう、環境の整備に努めてまいります。
○副議長(秋月史成君) 岩永淳志君。
  〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 御答弁ありがとうございます。
 少子化が進む中で、特別支援学校の在籍児童生徒数が増加傾向にあるという現状、そして、今後の見通しが難しい中、紀北支援学校など、各支援学校の増改築に御尽力いただいていることには敬意を表します。しかしながら、いまだ増改築がなされていない学校も存在し、教育環境の整備には多くの課題が残されていると認識しております。
 ある特別支援学校の学校運営協議会の資料においても、「少子化の中、本校では児童生徒数が増加しており、教育環境の整備が必要」と切実な文言が見受けられるところでございます。児童生徒が安心・安全に学べる環境の整備に、引き続き強力に取り組んでいただくよう要望いたします。
 さて、特別支援学校の児童生徒数が増加する一方で、もう一つの深刻な課題として、不登校の児童生徒数もまた増加の一途をたどっております。全国については、10月に不登校の小中学生が最多の全国35万人になったと報じられました。子供が不登校になると、5人に1人の親御さんが離職をされていると、そういったデータもあります。
 つきましては、改めて、和歌山県内の不登校の児童生徒数の最新の現状と、その増加に対する具体的な対策について、教育長にお伺いいたします。
○副議長(秋月史成君) 教育長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 不登校児童生徒数は全国的に増加傾向にあり、和歌山県も平成30年度以降、増加傾向にあります。令和6年度、県内の公立小学校の不登校児童生徒数は959人で、これは約43人に1人に当たります。中学校は1401人で約14人に1人、高等学校は657人で約30人に1人となっており、合わせて3017人であり、前年度より72人増え、過去最多となっています。
 不登校の増加の要因としましては、コロナ禍以降における保護者や児童生徒の登校に対する意識が無理して登校しなくてもよいこと等に変化してきたことが挙げられますが、依然として、生活リズムの不調により登校意欲が低下していることも高い割合を示しています。
 まず、不登校の未然防止策としましては、学級づくりや授業改善によって、子供たちが楽しいと思えるような学校づくりに取り組むことが大切です。
 初期対応としましては、不登校対応のマニュアルにのっとり、欠席しがちな児童生徒の状況等を把握し、ケース会議でアセスメントを行い、教職員がチームとなって対応しています。
 不登校児童生徒への支援としましては、不登校児童生徒支援員や訪問支援員を配置し、個々の状況に応じて学習支援や教育相談、登校支援を行っています。また、オンラインやICTを活用するなど、個に応じた支援に努めています。
 引き続き、子供たちの学びが継続していくよう取り組んでまいります。
○副議長(秋月史成君) 岩永淳志君。
  〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 御答弁ありがとうございます。
 不登校の増加要因について、生活リズムの不調という言葉がありました。非常に重要な傾向だと感じます。例えば、昼夜逆転であったり、夜眠れない不眠に悩む青少年が多い中で、なかなか学校に通うことが難しくなっている現状がうかがえます。
 また、対策については、既に和歌山県でも多岐にわたる段階で不登校に対して対応、対策をしていただいている、そういった姿勢を県のほうで持っていただいていることを理解しました。しかし、残念ながら不登校は増加の一途をたどっております。
 この現状は、単に学校に登校するということにとどまらず、そもそもの教育に対する考え方を大きく転換していかなくてはいけないということの表れだと感じます。不登校が過去最多を更新し、増加の一途をたどる今、「みんなちがって、みんないい」の精神で、全ての子供に居場所と成長の機会を保障するため、一人一人に合った多様な教育の場を提供していくことが、これからの公教育の在り方として求められております。
 そういった意味で、こうした多様な学びを実現するための具体策として、文部科学省が推奨している学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の導入に関する検討状況について、お伺いいたします。
 学びの多様化学校とは、令和5年度までは不登校特例校と呼ばれていたもので、文部科学大臣から指定された児童生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成し、教育を実施することができる学校のことを指します。いわゆる一般校と同じ卒業資格を得ることができます。
 例えば、いわゆる一般校より遅い始業時間が設定されており、登校した生徒には安心感を持って過ごせるリビングルームのような部屋を設け、登校しやすい環境を整備している、そういった事例がございます。定められている年間の授業時間も、一般校が1015時間に対して、とある学びの多様化学校では770時間に設定されております。少ない授業数の分、少人数で手厚いサポートを提供し、理科と社会を統合した科学の時間といった独自の授業を行うなど、一人一人の子供に寄り添った取組が全国的なモデルケースとして注目されております。
 こうした先進事例が示すように、不登校を経験した子供たちが再び学校を選び、自信とやる気を取り戻せるような、多様で柔軟な学びの場の確保は喫緊の課題であります。
 国は、教育振興基本計画で、2027年度までに全国都道府県、政令指定都市に1校以上の設置並びに将来的には300校の設置を目指すことを掲げており、2025年11月時点では、全国20都道府県で59校が設置されております。その中で、残念ながら本県にはまだ一校もありません。
 つきましては、本県におけるこの学びの多様化学校の導入に関する検討状況について、教育長にお伺いいたします。
○副議長(秋月史成君) 教育長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 不登校児童生徒の学びを継続させるためには、多様な学びの機会を確保することが重要であると考えています。
 現在、不登校児童生徒が学ぶ場として、教育支援センターや校内の教育支援センターがあり、落ち着いた空間で自分に合ったペースでの学習や、個々の興味関心に応じた体験的な活動等を行っています。
 学びの多様化学校は、不登校児童生徒の学びの場の選択肢の一つであると考えており、他府県に設置している学校を訪問するなど、先進事例を集め研究しているところです。
 学びの多様化学校の設置に向けては、各市町村教育委員会からの相談等の求めに応じ、県教育委員会も一緒になって協議を行っています。また、設置や運営について豊富な知識を有するマイスターの派遣についても周知しています。
 引き続き、児童生徒が安心して学べるよう、市町村教育委員会と共に多様な学びの場の充実について進めてまいります。
○副議長(秋月史成君) 岩永淳志君。
  〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 御答弁ありがとうございます。他府県の事例研究などを進めていらっしゃるということで、承知いたしました。
 答弁にありましたように、教育支援センターの機能拡充ももちろん重要でありますが、やはり学校という枠組みが児童生徒にとっては物すごく大きいものであるというふうに感じております。この学校という枠組みの中で正式な卒業資格を得ながら柔軟に学べる学びの多様化学校という存在は、当事者にとって大きな希望となります。不登校が過去最多を更新する今、検討のスピードアップが必要です。
 特に、こうした新しい教育をつくっていくには、基礎自治体の皆様、そして、現場で教鞭を振るわれている教員の皆様の御理解あってのことだと思います。答弁でも触れられているマイスター制度などの活用を推進して、全県で理解を深めていくべきだと感じております。
 次に、夜間中学校についてです。
 先日、和歌山市で行われていた和歌山の夜間中学校を思い描く学習会という会に参加してまいりましたが、まさにそこで学び直しが人の人生を深く変化させるということを痛感いたしました。
 この学習会で、映画「35年目のラブレター」のモデル、西畑保さんの講演や、今年開校した和歌山市立の夜間中学である和歌山あけぼの中学校の取組について拝聴し、改めて、学びたいという願いは人生を彩る力になるというふうに感じました。
 西畑保さんは、幼少期は極貧生活の中で十分な勉強を受けることができなかったそうです。妻との結婚に際し、自分の名前すら書けないという事実に直面し、その事実を妻に打ち明けたときの葛藤と、妻の献身的な支えが彼の人生の転機となりました。その後、西畑さんは、自分の思いや考えを奥さんや子供に自分の文字で伝えたいという強い願いから、64歳で夜間中学校へ入学されました。夜間中学での文字の習得は、単なる勉強にとどまらず、失われた尊厳と人生を回復させる力となりました。この西畑さんのお話を聞き、学ぶことの力がいかに人の人生を深く、そして前向きに変革させるかを痛感いたしました。
 ここで改めて、夜間中学校とはどのような場所なのか触れさせていただきます。
 夜間中学とは、公立の中学校に設置された夜間学級のことをいいます。法律上、昼間の中学校と同じ卒業資格が得られ、教員免許を持った先生が週5日間授業を行い、授業料は無償です。そこでは、義務教育を終了できなかった方や、本国で義務教育を終了せずに日本で生活を始めることになった外国籍の方など、多様な背景を持った人たち、さらに、形としては中学校を卒業していても、不登校などの理由で十分に通うことができなかった人たちなど、様々な方が学びを深めております。十分に教育を受けることができなかった人や、学び直しを希望する人が自分の夢や希望に応じて学ぶことができる学校になっております。
 実際に、和歌山市で今年開学した夜間中学である和歌山あけぼの中学校でも、いじめが原因で中学校の頃に不登校になった経験を持って大人になられた方が今年から入学されて、苦手だった数学も分かるようになって面白くなったと語り、「私の人生は今、前向きに転がり始めています」と力強く宣言される姿に、非常に心を打たれました。
 同校は、学力や日本語能力、進路の希望に応じた五つのコースを設けているそうです。こうした学びの機会が、多くの人にとって人生を切り開く光となると思います。
 そして、来年度、令和8年4月には、新宮市の県立新翔高等学校内に、県立としては初となる夜間中学、和歌山県立新翔くろしお中学校が開校する予定となっております。
 しかしながら、県土の広い和歌山県において、和歌山市と新宮市の2校だけではカバーし切れない地域がございます。例えば、有田、御坊・日高、田辺といった地域にお住まいの方々にとっては、和歌山市への通学も新宮市への通学も距離的に非常に困難であり、身近に通える夜間中学校がないという現状があります。学びを必要としている方は、これらの地域にも確実にいらっしゃいます。
 そこで、東牟婁地域における県立夜間中学、新翔くろしお中学校の開校に向けた現在の進捗状況と、今申し上げたような空白地域を含む今後の他地域での検討について、教育長にお伺いします。
○副議長(秋月史成君) 教育長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 令和8年4月の開校に向けて、これまで体験授業会、個別相談会を串本町、那智勝浦町、新宮市で開催し、延べ58名の参加がありました。現在、入学申請を受け付けており、現時点で12名の方から入学希望申請書の提出がありました。
 また、年齢や国籍など、多様な生徒が入学するため、それぞれの学習状況に応じて、日本語の基礎を含むコース、小学校の内容を含む中学1年生、中学2年生、中学3年生程度の四つのコースを開設する予定です。
 他地域での設置については、今後、夜間中学での学びを希望する方のニーズを丁寧に把握するとともに、地域バランスや活用できる施設など、様々な観点から課題を整理し、市町村教育委員会と共に研究してまいります。
○副議長(秋月史成君) 岩永淳志君。
  〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 御答弁ありがとうございます。
 新翔くろしお中学校の開校に向け、丁寧な準備と広報活動が進められていること、また、既に12名の方が入学を希望されていること、大変心強く感じるとともに、やはりニーズがあることが強く感じられました。一人一人のニーズに合わせたコース設定も含め、生徒の皆さんにとって大きな希望になると思います。
 ただ1点、課題として残されているのは、まさに今、不登校になっている生徒への対応でございます。
 夜間中学校は、原則として、義務教育を終了していない方や学び直しを希望する既卒の方が対象であり、現在進行形で不登校になっている、いわゆる現役の中学生は原則として受け入れることができません。そこで、全国では、学びの多様化学校、先ほど申し上げたいわゆる不登校特例校の制度を夜間中学校と併設させることで、不登校の生徒にとっても、学び直しの大人にとっても、共に学ぶ場として機能する形を取っているケースがあります。実は、先述した和歌山市の和歌山あけぼの中学校でも、不登校の生徒が元の学校に学籍を置いたまま通学できる柔軟な制度運用を導入することで、現役の不登校の生徒も和歌山あけぼの中学校で勉強をすることができております。
 もし夜間中学校に学びの多様化学校としての機能も併設する形になれば、籍は元の学校にあるけど通えていないという生徒の心理的な負担や制度上の不安定さを解消し、正式にその学校の生徒として堂々と通うことができるようになると思います。
 県立夜間中学校においても、こうした柔軟な仕組みを取り入れ、年齢や学籍にかかわらず、誰一人取り残さない地域における学びのセーフティーネットを和歌山県内でしっかりと充実させていくべく、引き続きの御検討と御尽力を何とぞよろしくお願いいたします。
 さて、最後に、県庁内の新しい働き方についてお伺いいたします。
 先ほどまで学びの多様化学校や夜間中学についてお話しさせていただいたように、誰一人取り残さない社会づくりには、多様な働き方を実現する行政組織が必要です。これは、県民の皆様の幸せを実現するための持続可能な行政サービスの土台となると考えております。
 その組織の持続可能性を考える上で、まず目を向けなくてはいけないのは、若手職員の定着であると私は思っております。近年、全国の自治体で、入庁後数年での離職が増加傾向にあり、本県においても優秀な人材が流出しているのではないかという懸念がございます。
 つきましては、まず改めて、入庁後5年以内の離職率について、現状と県の認識を総務部長にお伺いいたします。
○副議長(秋月史成君) 総務部長山本祥生君。
  〔山本祥生君、登壇〕
○総務部長(山本祥生君) 若手職員の離職率について、一般行政職の状況で申し上げますと、直近5年間で採用した職員が離職した割合を各年度で見た場合に、令和2年度から令和5年度はおおむね2から4%で推移していましたが、令和6年度においては約7%に増加したところです。
 要因としましては、職場環境や業務になじめなかったこと、転職などが挙げられます。
 県といたしましては、職員の離職を防ぐため、働きやすい職場づくりに努めるとともに、仕事内容への理解を深め、就職後のミスマッチ防止にもつながるインターンシップについて、本年度、充実を図ったところでございます。
○副議長(秋月史成君) 岩永淳志君。
  〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 御答弁ありがとうございます。
 私ごとになるのですが、今年で27になりまして、大卒後に新卒で社会人に和歌山県庁に入庁していれば、恐らく5年目ぐらいの世代でございます。大学の同期であったり、同世代の地元の友人等にも話をすると、専ら転職の話題ばっかりでございます。今までの世代と比べて人生設計、キャリアへの考え方が大きく変化していることを踏まえなければなりません。
 一方で、転職がもはや当たり前になった時代だからこそ、優秀な人材をつなぎ止めるためには、職場内環境をより柔軟で魅力的なものに変革していかなくてはなりません。
 とある民間調査によれば、若手職員のメイン層である1990年代半ば以降に生まれたZ世代──私もZ世代に入るんですけれども、働く目的を「経済的な安定を得るため」、「安定した人生を送るため」と回答し、無理せず長く働きたいという安定志向が一方で強く見られております。
 また、職場に導入してほしい制度として、「週休3日」を希望する割合が35.1%で首位となり、「副業・兼業の許可」も18.5%で上位に上がるなど、働く場所や時間への柔軟性を求めていることは明らかであります。こうした潮流は、公務の職場においても、優秀な人材を確保し、定着させるための鍵となると考えております。
 こうした新しい働き方への変革は、既に国も動き始めておりますし、基礎自治体でも具体的に進められております。例えば、県内の事例で言えば、和歌山県のすさみ町では、地域貢献につながる活動を対象とした副業制度を導入しております。
 この制度は、会計年度任用職員を含む全職員約180名を対象とし、まちづくりの推進、農林水産業の振興など、町が定めた12項目の地域活動を許可しており、職員の能力向上と行政サービスの質の向上につながることが期待されております。令和6年度には、イベントのお手伝いや農林水産業等で年間62件の申請があるなど、180人の職員に対して62件の申請でありますので、職員の地域活動への関与を促す上で成果を上げているのではないかと個人的には考えております。
 そこで改めて、県の新しい働き方として、特に注目度の高い週休3日制、副業・兼業の緩和、そして育児休暇の取得の促進について、県職員に対する現在の運用状況及び検討状況について、総務部長にお伺いいたします。
○副議長(秋月史成君) 総務部長。
  〔山本祥生君、登壇〕
○総務部長(山本祥生君) 若手世代をはじめ、職員の働き方に対する意識の変化に伴い、職員の働く環境の整備は重要と考え、取り組んでいるところです。
 週休3日制については、本年9月定例会で議決いただき、10月から導入いたしましたフレックスタイム制により、職員個々のライフスタイルに合わせ、勤務日ごとの勤務時間数が調整でき、設定によっては勤務しない日を設けることが可能であることから、新たな勤務スタイルとして選択できることになっております。
 副業・兼業の緩和に関しては、令和3年に、公益性の高い地域貢献活動であって、社会的課題の解決を目的とし、和歌山県の発展、活性化に寄与する活動に報酬を得て従事する場合に、職員がより積極的に従事できるよう、対象要件や許可基準を整理したところでございます。このような取扱いの下、例えば、聴覚障害者への意思疎通支援を担う要約筆記や、ミカンの収穫作業などの活動に職員が従事しているところでございます。
 育児休暇の取得促進については、育児に関する休暇制度等の充実を図るとともに、昨年11月には男性育休100%を宣言し、職員の取得意識の向上に取り組んでいるところです。また、本年4月より、育休等を取得した職員の業務をカバーした職員に対する勤勉手当を加算する制度を導入し、周囲の職員によるサポート環境の充実にも努めているところです。
 今後も引き続き、職員の働く環境の向上に取り組んでまいります。
○副議長(秋月史成君) 岩永淳志君。
  〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 御答弁ありがとうございます。
 週休3日について、少しだけ補足をさせていただきたいと思っておりますが、少なくとも私の、自分自身の意見ではあるんですけれども、週休3日制ということは3日休みを取りたいと、そういうわけではないと、それだけではないと思っております。
 例えば、週休3日制という意味でいうと3日の休日が与えられますので、4日例えば県庁で働いて、残りの3日間で自分が興味あること、例えば観光であったりだとか、例えば地域のボランティア活動だったりだとか、自分のやりたいこと、自分が興味関心があることに対してより多く時間を割いて、ライフワークのバランスを保っていきたいと。3日ずっとおうちで休んでいたいという方ももちろんいらっしゃるとは思いますが、それだけ自分のやりたいこと、自己実現に重きを置いているということが週休3日制への表れであるというふうに私は考えております。
 その上で、週休3日制への対応としてのフレックスタイムの導入、副業・兼業の基準の整理、男性育休100%宣言など、柔軟な働き方を可能とする制度のいわゆる箱が整備されたことはすばらしいことであると思います。しかし、次に重要なのは、その制度を職員が実際に使えるように中身を変えていくところです。特に、フレックスタイム制度による週休3日的な働き方を実現するためには、業務内容そのものの見直しや仕事の進め方を変えることを検討する必要があると思います。
 また、副業・兼業の緩和については、制度が整ったものの、制度についてよく知らないという職員が、正直私が聞き取りした中では複数名いらっしゃいました。また、副業・兼業が緩和されたことは知っているが、手続のハードルが高いと聞いていると、そういうふうに感じている職員が依然として多いというふうに推察いたします。
 特に、この議会での一般質問の様子は、各課でもリアルタイムで今音声等届いていると思いますので、この機会にこの場を通じて、県庁内でも副業・兼業が公益性の高い地域貢献活動などで可能であると、先ほど答弁にはありませんでしたが、観光であったりだとか、通訳であったりだとか、様々なところで可能であるということの認知を庁内全体で徹底していただきたいというふうに思っております。
 そしてまた、制度の箱をつくるだけではなく、それが現場で真に機能するかどうかということを考えなくてはいけません。働き方や、本日は触れておりませんが、ハラスメントなど、職場内環境の課題を正確に把握し、各種計画に反映させていくことが不可欠であると思います。他府県の事例を見れば、香川県では、行財政の計画を策定する際に、職員への全庁的な働き方に関するアンケート調査を実施しております。
 そこで、最後になりますが、職員の生の声を拾い上げるための庁内でのヒアリングを実施する予定がないのかといったところに関して、最後は知事の御見解をお伺いいたします。
 具体的には、全庁でのアンケート調査や、岸本前知事がよく実施されていたおにぎりミーティングのような、直接職員の、特に若手職員等の話を聞くヒアリングなど、様々なアプローチが考えられると思うのですが、宮﨑知事が県職員の声をどのように拾い上げて、実際に行政組織の変革につなげていく御展望をお持ちなのかお聞かせください。よろしくお願いします。
○副議長(秋月史成君) 知事宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 岩永議員の質問にお答えをしたいと思います。
 若手世代や様々な世代の働き方に対する考え方が多岐にわたる中、職員のニーズを把握して、取り入れて対応していくということは大変重要なことであると考えております。
 これまでも、職員申告、調書を通じた意見、それから、所属でのヒアリングを通じた要望、また、例えば育児に関する制度の認知度など、個別の課題によっては職員向けにアンケートを実施するなど、課題やニーズの把握に努めてきたところであります。
 岸本前知事が実施したおにぎりミーティングも、職員の声を聞く重要なツールでありまして、これまでの実施により、職員の困り事やニーズなどの様々な声を拾い上げ、県庁の働く環境の向上につなげてきたところであります。
 県庁をより働きやすい環境にしていくためには、より多くの声を拾い上げていくことが大切であり、知事に限らず、部長や局長、課長、より身近な者たちが職員の声を聞き、距離を縮めていく、なくしていくということが重要であると考えます。県庁内でも、多くのそういったことが今実施されているというふうに思っております。
 私自身も、特定の技能職の方々や振興局の若手の方々とミーティングを実施して、仕事の悩み事やそれぞれの思いを直接聞いているところであります。こういった取組を全庁的に活発化させて、世代間の考え方の違い、職員個々の多様なニーズなどを互いにしっかりと認識し合うことで、働きやすい県庁、働いてみたい県庁を目指して、職員共々成長してまいりたいというふうに考えております。
○副議長(秋月史成君) 岩永淳志君。
  〔岩永淳志君、登壇〕
○岩永淳志君 知事、御答弁ありがとうございます。
 前回の答弁を踏まえてインスタグラム等を拝見しているんですが、非常に御多忙な中で、その中で県の職員の皆様とも積極的にコミュニケーションを取られているということで、非常に忙しい中で御尽力いただいているものだと認識しております。
 さらに、御答弁にありましたように、知事だけではなく、管理職の皆様もヒアリングを担うべきという考えに賛同いたします。これは、組織全体の風土をつくっていくという意味で、いわゆるおにぎりミーティングの次の段階に進んでいると捉えることができました。
 その上で、最後に、私からは、部局を超えたミーティングの実施を提案いたします。
 いわゆる上司と部下というのは縦の関係でございまして、同僚や同期というのは横の関係にあります。それに加えて、直属の利害関係とは関係のない他部署の先輩・後輩や役職、年次の離れた職員同士など、利害関係の少ない間柄、こういったものをすなわち斜めの関係というのですが、いわゆる斜めの関係でのコミュニケーションを取る仕組みが重要であると考えております。こうした仕組みによって、職員個々の多様なニーズや本音をより広く、深く、様々な方が拾い上げることができ、働きやすい県庁の実現につながると考えます。引き続きの御尽力をよろしくお願いいたします。
 かく言う議員である私自身も、斜めの関係の一員として、いつでもおにぎりをお待ちしておりますということで、私の一般質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(秋月史成君) 以上で、岩永淳志君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時32分散会

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