令和7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)
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令和7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号
議事日程 第6号
令和7年6月23日(月曜日)
午前10時開議
第1 議案第102号から議案第114号まで(質疑)
第2 一般質問
第3 議案の付託
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会議に付した事件
第1 議案第102号から議案第114号まで(質疑)
第2 一般質問
第3 議案の付託
第4 休会決定の件
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出席議員(42人)
1番 高田英亮
2番 上山寿示
3番 佐藤武治
4番 鈴木德久
5番 森 礼子
6番 濱口太史
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
9番 玄素彰人
10番 山家敏宏
11番 鈴木太雄
12番 岩田弘彦
13番 吉井和視
14番 中村裕一
15番 北山慎一
16番 坂本佳隆
17番 中本浩精
18番 堀 龍雄
19番 新島 雄
20番 山下直也
21番 三栖拓也
22番 川畑哲哉
23番 秋月史成
24番 谷口和樹
25番 山田正彦
26番 坂本 登
27番 岩永淳志
28番 小川浩樹
29番 中尾友紀
30番 岩井弘次
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 尾﨑太郎
34番 藤山将材
35番 小西政宏
36番 浦平美博
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 谷 洋一
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 宮﨑 泉
理事 山本祥生
知事室長 北廣理人
総務部長 友井泰範
危機管理部長 中村吉良
企画部長 北村 香
地域振興部長 赤坂武彦
環境生活部長 湯川 学
共生社会推進部長 島本由美
福祉保健部長 𠮷野裕也
商工労働部長 中場 毅
農林水産部長 川尾尚史
県土整備部長 福本仁志
会計管理者 高橋博之
教育長 今西宏行
公安委員会委員長 竹山早穗
警察本部長 野本靖之
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 森田康友
選挙管理委員会委員長 和歌哲也
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 中嶋 宏
次長 橋爪正樹
議事課長 岩井紀生
議事課副課長 田中 匠
議事課議事班長 川原清晃
議事課主査 川崎競平
議事課副主査 西 智生
議事課副主査 林 貞男
総務課長 榊 建二
政策調査課長 岩谷隆哉
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午前10時0分開議
○議長(岩田弘彦君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第102号から議案第114号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
24番谷口和樹君。
〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 おはようございます。
急逝された岸本元知事に哀悼の意をささげつつ、宮﨑新知事の御活躍に御期待を申し上げ、一般質問を始めさせていただきます。
まず初めに、先般のひょうの被害に遭われた皆様方にお見舞いを申し上げます。特に梅生産農家の皆様方は、昨年の不作から少し着果も持ち直すかと言われていた矢先に壊滅的な被害に遭われました。本当に衝撃も大きかったと思います。
知事はじめ当局の皆様方には、緊急対策事業の利用状況に目を光らせつつ、対策が足りなければ、引き続き生産農家に寄り添った農業支援をよろしくお願いいたします。産地の苦労が正しく価格に転化されるように、共に歩むことをお誓い申し上げつつ、質問に入ります。
まず、大項目1、大阪・関西万博から学ぶデータを利活用した観光振興について。
熊野古道でのNFTスタンプの利活用による観光振興についてお聞きをいたします。
大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、10月13日まで開催される世界最大の国際見本市であり、コンセプトは、「People's Living Lab(未来社会の実験場)」とされています。
まさしく大阪・関西万博は、壮大な社会実証実験の場で、投資をする和歌山県も様々な投資に見合う実証実験の成果を持ち帰ることが求められるところです。
大阪・関西万博では、各パビリオンを訪れると、専用のQRコードを読み取ってNFTスタンプが集められるNFTスタンプラリーを利用した実証実験が行われています。
NFTとは、Non-Fungible Tokenの略で、日本語では非代替性トークンと訳されます。
非代替性とは、いわゆる一点物ということで、ブロックチェーンというデータを安全に分散管理するための技術によって改ざんできなくなり、画像、音楽、動画、ゲームアイテムなど、デジタルコンテンツに本物で一点物としての価値を与えます。
大阪・関西万博で各パビリオンを訪れると、この一点物のNFTスタンプが取得できるのですが、このスタンプラリーの参加者からは、スタンプがデジタルで保存できてうれしい、スタンプ集めが楽しいのでまた来たいと好意的な意見が多く寄せられています。
一方、熊野古道では、王子などにNFTでもなく昔ながらの押印のスタンプが設置され、歩行型観光客の収集力と達成感のあかしとして回遊性を高める取組が人気です。
その押印のスタンプとNFTスタンプの違いは、簡単にデバイスに保存、交換ができることに加え、大阪・関西万博で実証実験されているように、パーソナルデータを集めたり、リアルタイムの情報提供の手段としての活用ができます。
集まったデータは、蓄積されたデータとともに分析されてリアルタイムに歩行型観光客へと伝えられ、効率的なルートやお勧め観光情報の提供により、効率のよい旅が実現することで、満足度とリピート率が高まり、同時に、地元飲食店や宿泊施設への消費拡大につながります。
NFTスタンプ導入には初期費用がかかることが想定されますが、大阪・関西万博での取組を参考にした熊野古道へのNFTスタンプの導入について、地域振興部長にお聞きをいたします。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 大阪・関西万博で行われている公式デジタルスタンプラリーについては、会場内のNFTスタンプを収集することで回遊性を高めている一方で、熊野古道で導入する場合は、通信環境の整備やシステムの維持管理などの検討を行っていく必要があると認識しております。
今後、大阪・関西万博をはじめとした先進的な取組などの情報収集に努め、本県へのさらなる誘客に向け、NFTスタンプの導入の可能性について研究してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 谷口和樹君。
〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、よろしくお願いいたします。
それでは、二つ目の質問に入ります。
大阪・関西万博を踏まえたメタバースを使った観光振興。
大阪・関西万博を参考に、和歌山県における観光振興へのメタバースの利活用の可能性について質問をさせていただきます。
大阪・関西万博では、実際の会場に行かなくても世界中の人々が楽しめるように、インターネット上に仮想空間(メタバース)をつくっています。メタバースを利用することで、世界中どこからでも参加でき、遠くの人も手軽に仮想空間の中で世界各地の文化を体験したり、リアルタイムでのイベントやショーを楽しんだりできます。また、そのバーチャルでの体験から導かれた多くの方が実際直接に万博にも参加され、新たな収益の可能性も生まれています。
和歌山県でも、メタバースを活用することで、次のような魅力的な観光体験を提供することができます。
以前も質問で申し上げましたが、旧の紀三井寺競馬場を仮想空間で再現すると、育てた馬を懐かしい紀三井寺競馬場で走らせたり、地域の歴史をバーチャルで感じた後、リアルに旧紀三井寺競馬場跡地巡りなどが期待できます。
また、世界遺産である熊野古道を再現すれば、オンラインで巡礼や地元の伝統行事や工芸体験を提供し、実際の来訪率向上が期待されます。
また、入場料や特別体験料金、販売収益、広告料、配信権の販売など、新しいサービスやビジネスが促されます。
重複しますが、大阪・関西万博から何を持ち帰るか、何を学ぶかが大切なことです。得られた具体的な効果や課題をぜひ和歌山県の今後に生かしていただきたいと考えます。
大阪・関西万博で活用されているメタバース技術を参考に、和歌山県における観光振興へのメタバース利活用の可能性について、地域振興部長にお考えをお聞きします。
○議長(岩田弘彦君) 地域振興部長。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 観光振興へのメタバースの利活用の可能性については、これまで研究を進めているところであり、昨年度は熊野古道や高野山エリアを仮想空間で疑似体験できるコンテンツを公開し、実証実験を行ったところです。
また、議員御発言のとおり、大阪・関西万博では、未来社会の実験場をコンセプトとした期間限定の特別なまち、EXPO2025バーチャル万博~空飛ぶ夢洲~が展開されているところであり、これらの実証実験で得られた知見等を集め、観光誘客の有効な手段の一つとして研究してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 谷口和樹君。
〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いいたします。
それでは、大項目1の三つ目の質問に入ります。
熊野古道でのデータ連携基盤の利活用による観光振興について質問します。
前段の質問であるNFT、メタバースの利活用からつながりますが、大阪・関西万博では、この根幹のインフラであるデータ連携基盤を使った実証実験が実施されています。
その一つとして、大阪・関西万博では、スマホなどを用いて、来場者の入場時からの移動履歴や施設利用データを収集、リアルタイムでの混雑状況、個別最適化されたルート提示や周辺回遊への誘導などを同じインターフェースで提供しています。
ユーザーからは、混雑が避けられ効率よく回れた、興味に応じた情報がリアルタイムで届き満足したなど、高い評価が得られていると聞きます。
また、その蓄積されていくサンプルデータがより詳しくなっていき、また、一定の量になっていけば、導き出す答えの精度はより高くなり、より的確でより個別最適化した情報提供へとつながります。
繰り返しますが、データ連携基盤を使ったリアルタイムな双方向のデジタルサービスは、観光客の趣味や訪問履歴に応じて、お勧めの観光スポットやイベント情報を提供し、満足度を高めることで再訪率を向上させると同時に、地元飲食店や宿泊施設への誘導を促進し、地域消費を拡大します。
また、データ連携基盤を使ったサービスの利用が民間企業に広がるとマーケティング精度が向上し、新サービス創出を促し、県内企業の競争力強化と雇用創出にもつながります。
熊野古道においても、この先進的な取組を進めるためには、国が進めるデータ連携基盤を利活用したリアルタイムのインタラクティブデジタルサービスの実現が必要と考えます。
和歌山県の持続可能な観光振興に大きく貢献するであろうデータ連携基盤を活用したリアルタイムの観光データ利活用による観光振興の重要性について、地域振興部長にお聞きをいたします。
○議長(岩田弘彦君) 地域振興部長。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 議員御指摘のとおり、観光客のニーズなどをリアルタイムに把握し、精度の高い情報を提供することは、観光客の満足度向上に有効であり、さらに蓄積されたデータをプロモーションなどの観光戦略に活用することは、観光地全体の魅力を高めていく上で必要不可欠であると考えております。
本県では、観光施策の立案や効果検証、観光DXを推進するため、国や県の観光統計データ等を集約、可視化し、市町村やDMO等と共有できるシステムの構築を進めているところです。
今後は、リアルタイムで情報を収集し、活用できる手法も研究しながら、よりよいデータ利活用ができる仕組みづくりを進めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 谷口和樹君。
〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
引き続いて、大項目の2もデータ連携基盤のお話、質問をさせていただきます。
データ連携基盤の整備とデジタル社会の推進についてということで、県内のデータ連携基盤の進捗についてお聞きをいたします。
データ連携基盤とは、異なるシステムやサービスの間でデータを統合し、共有、活用するための仕組みのことであります。企業や自治体、研究機関などで異なるデータソースを統合し、効率的に活用するために導入されます。
しかしながら、使わざるを得ないアプリや使いたくなるコンテンツを用意してデータ収集に努めなければ満足な量のデータが持続的に集まらないので、民間サービスが接続する価値が生まれません。
データがどうしたら価値を持つか、ランニングコストが負担に感じる自治体は、原点に戻って、データ収集効率の高い手法に整えることが必須です。
また同時に、一方で、住民(ユーザー)によるオプトインに対する理解や精神的な障壁をどれだけ下げられるかということも大切です。
オプトインとは、おのおのが個人情報の利用や企業の情報の受け取りに選択して同意することで、これからのデジタル社会の目指すべき姿は、全ての人が恩恵を享受できる、誰もが取り残されることのないデジタル社会の実現であって、そのためには、民間がアクセスしようとするだけの価値あるデータ量が不可欠ですが、これは大多数の住民のオプトインの理解を高めることが同時に重要だと考えます。
ただ、そもそもデジタル社会の推進、特にデータの利活用については、データを収集する側とされる側という話ではなくて、お互いの日常生活から得られる情報という価値ある資産の中からお互いの意思で選別した情報を提供し合い、お互いの総合的な生活向上や社会課題の解決のために使っていこうということで、デジタルという新しい価値観で互いにつくり上げる社会を実現していくということであったりもします。
このような考え方を伝えていくことも大切ですし、政府が進めるデジタル社会推進の基礎となるデータ連携基盤の整備ですので、全国で我が県だけがデジタル鎖国というわけにはいかないと思います。
県内のデータ連携基盤の現在の進捗について、地域振興部長にお聞きいたします。
○議長(岩田弘彦君) 地域振興部長。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) データ連携基盤につきましては、県内全市町村と協議の上、データ連携基盤の現況や、新たにデータ連携基盤を構築する際の検討手続等をまとめた和歌山県におけるデータ連携基盤共同利用に関するビジョンを本年3月に策定し、公表したところです。
デジタル化が進展した現代社会においては、データ連携の推進や信頼性を確保しつつ、データを共有できる仕組みの構築が重要であると認識しており、誰もがデータ利活用の効果を享受できる社会の実現に向けて、官民で協調して取り組んでいかなければならないと考えております。
他方、データ連携基盤ありきで構築したものの、実際に取り扱うデータやデータを活用して提供される住民サービス自体が少なく、その効果に比べて、構築費用やランニングコストが過大となっている事例も見受けられます。そのため、データ連携基盤の整備に当たっては、既存の制度や業務プロセスの見直しを図り、データを活用してどのようなサービスを提供するかを見極めることが最も重要な観点であると考えております。
県としては、国の動向や他府県におけるデータ連携基盤の活用状況を注視しつつ、県内市町村とも連携し、データ連携基盤の必要性や有効な活用方法について、引き続き研究してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 谷口和樹君。
〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 まず、先行で導入されている自治体の御苦労例というのも当然あるのですけども、やっぱり見させていただくと、データを収集する仕組みであったり、データの量であったり、民間が活用したいと思うだけの価値をつくれていないというのが一番かと思います。
そもそも国が進めようとしているこのモデルで、全ての人が恩恵を享受できる、そして誰一人取り残されないデジタル社会の実現というのは、同時に、住民(ユーザー)のフルアクセス社会でもあったりします。そのために、どれだけデータが価値あるものになるかというのをしっかり考えるということが、恐らく先行で苦労しておられる自治体が整えるべきところかなと思います。
そういうことを踏まえて、和歌山県では、これからもしっかり進めていただけたらなとお願いしたいところでございます。
やはりそのデータ収集の努力と同時に、住民(ユーザー)のオプトインに対する理解を進めるべく、フルアクセスを求めて進んでいこうとしたら、やっぱり精神的な障害・障壁というのがあると思うのです。それを同時に取り除いていくというのが大事なことかなと思っていますので、そのことを申し添えさせていただきます。
続いて、小項目の2、大分変わるんですけども、eスポーツの振興についてお聞きをさせていただきます。
eスポーツの説明自体は省かせていただいて、そもそもの日本のeスポーツ市場を支えるゲームカルチャーを醸成してきたと言われるイベントに、C4LANというイベントがあります。
数年前に千葉県で開催されたC4LANにeスポーツ連合和歌山支部の方に誘っていただき、参加をさせていただきました。
興味のない方は理解し難いかもしれませんが、全国から参加者が自費で自分の自作のパソコン、大きなパソコンを会場に宅配便であったりとかを持ち込むんです。その上で、二昼夜ぶっ通しで、夜も開催するんですね。おのおの別々に画面に向かってゲームをし、時たま交流すると。そういう初めて見るスタイルのイベントでした。
最初は不思議な感じで見ていたんですけども、やっぱりそのイベントを支えていたのはコアゲームユーザー、もともと大好きな人たちの熱量だったように思います。
このC4LANというのは、サイバー、カルチャー、クラブ、コンベンション、この頭文字の四つから来ています。それを通信環境のLAN、LANをつなぐLANのパーティーという合成語でC4LANと言われています。
ゲームを中心としたオフラインの交流の場でもあって、2015年から開催をされています。
プロ興行ではなくて、あくまでもユーザー主導で、このイベントというのは、日本におけるeスポーツの競技的側面だけでなく、カルチャー、コミュニティーなど、eスポーツの裾野全体を支え、プロシーンが整備されていなかった黎明期から楽しむeスポーツで、現在の多様なゲーミングカルチャーの基盤となっています。
いつかこんな濃い熱量のイベントを和歌山でできたらと言いながら帰ってきましたが、いわゆる聖地というのを実感した、そんな気がしました。
和歌山県では、本年2月に和歌山eスポーツ月間ということで、高校eスポーツ選手権2025、Minecraftで夢の動物園を創ろうという企画、2024和歌山eスポーツ企業交流戦、「eスポーツがもたらす社会的意義とは」というフォーラムが連合代表谷本氏を招いて開催されています。そんな中で、開催には手応えを得たとお聞きをしています。
昨年度からスタートした本格的なeスポーツの聖地を目指すeスポーツ振興について、今後、どのように進めていく予定か、地域振興部長にお聞きをいたします。
○議長(岩田弘彦君) 地域振興部長。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 県では、人口減少が進む中で、性別、年齢、国籍、障害の有無等を問わず、多様な人々の社会参加を促進し、新しい結びつきと地域の新たな魅力を形成するため、eスポーツの推進に取り組んでいるところです。
昨年度は、県立高等学校における部活動でのeスポーツの取組支援や県内企業の交流を深める企業交流戦、eスポーツに対しての理解を深めるフォーラムなどを実施しました。
さらに、高校生によるMinecraftで夢の動物園を創ろうという企画も行い、その際に創った作品を、本年5月8日に大阪・関西万博において展示し、高校生が来場者に対して作品への思いを伝えるとともに、マインクラフトの使い方をレクチャーするイベントも開催したところです。
今年度は、高校生や企業関係者だけでなく、多様な人々が楽しみ交流できるeスポーツイベントも紀北地域と紀南地域で開催する予定です。
県としては、これまでの取組を発展させ、世代や立場、地域的な関係を超えた人々の交流や地域の活性化、さらには若者等を引きつける新たなカルチャーの形成につなげてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 谷口和樹君。
〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、御期待申し上げておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、大項目、三つ目の質問に入ります。
インド・マハラシュトラ州とのMOU締結15周年に向けた取組について。
今までの交流実績と今後の取組についてお聞きをいたします。
2023年2月にインド・マハラシュトラ州とのMOU締結10周年式典がムンバイにて盛大に開催されました。
交流実績がなかなか思うようにうまく進まないときもあったかと思いますが、県国際課は、本年4月29日に我が国の旭日双光章を受賞されたスミット・マリック元首席次官、AFJ日印友好協会のカレ会長、スワティ元事務局長と共に、地道に実績を積み重ねる中で、州政府関係各位と信頼を取り付け、締結に至ったと心得ています。
この我が県とインド・マハラシュトラ州との交流は、第18回自治体国際交流表彰(総務大臣賞)も受賞され、今後のさらなる国際交流の深化が期待されるところです。
改めて県国際課とマリック元首席次官、カレ会長をはじめAFJの皆さん、スワティさん、州政府の皆様方に心から敬意を表します。
一朝一夕ではいかない道のりを10年歩んできて、2年半後の2028年には15年目を迎えるインド・マハラシュトラ州とのMOUですが、改めて実績、そしてMOU延長と交流拡大に向けた今後の取組について、企画部長にお聞きをいたします。
○議長(岩田弘彦君) 企画部長北村 香君。
〔北村 香君、登壇〕
○企画部長(北村 香君) インド共和国・マハラシュトラ州とは、2013年10月に観光、食品加工分野における相互協力の促進、拡大を目的として覚書を締結しました。その後、観光、食品加工分野にとどまらず、経済、青少年、スポーツなど、より広範な分野における交流を積み重ねた結果、2018年と2023年に覚書の更新を行いました。
これまでの交流実績としては、州観光開発公社への県職員の派遣、相互ファムツアーの実施、同州へのビジネスミッション団の派遣、本県でのインドビジネスセミナーやインド大使館における本県の観光、経済PRのための和歌山DAYの開催、そのほか、和歌山県レスリング協会によるレスリングを通じたスポーツ交流、相互間での修学旅行による学生交流、同州をはじめとするインド舞踊団の受入れ、両県州の交流のあかしとして、インド憲法の父であるアンベードカル博士の銅像の高野山大学への設置など、多方面において交流を展開してきました。
これらの交流に当たっては、スミット・マリック元州首席次官、AFJ日印友の会カレ会長、交流の窓口である州観光開発公社、駐日インド大使館、在大阪・神戸インド総領事館、県議会議員の皆様など関係者の方々の御支援を受けて進めてまいりました。その結果、両県州の交流は、昨年、第18回自治体国際交流表彰(総務大臣賞)を受賞するとともに、マリック元州首席次官においても、本年春の旭日双光章を受賞されました。
今後の交流については、さらに交流を深化させるため、本年9月に和歌山大学とティラク・マハラシュトラ大学の交流促進に向けた覚書締結、大阪・関西万博に合わせて来日する同州政府訪問団の受入れ、来年2月に同州へのビジネスミッション団の派遣を予定しております。
このように、2028年の覚書更新に向けて、今後も引き続きマハラシュトラ州との交流を相互に協力しながら進めてまいりたいと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 谷口和樹君。
〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 よろしくお願いいたします。
続きまして、二つ目です。
スポーツによる国際交流促進ということで質問させていただきます。
今年2月に、AFJカレ会長の御息女セイさんの結婚式に御招待をいただきました。すばらしい結婚式に参列させていただく中で、在ムンバイ日本国総領事と同席をさせていただきました。
総領事に和歌山県の熱心な取組をお話しさせていただく中で、2023年のMOU10周年式典において、マハラシュトラ州からは、インドの古式レスリングであるクシュティ、和歌山県からは、和歌山県庁相撲部が相撲を世界遺産ゲートオブインディアの前で、お互い立ち合いを披露するデモンストレーションで式典が大いに盛り上がったことを伝え、スポーツ交流の意義というのを伝えました。
特に相撲やレスリング、柔道などのコンタクトスポーツは、言葉が通じなくてもスパーリングなどの技のやり取りが互いを確認し合う共通言語のようになったりするのでコミュニケーションが取りやすい。また、特に日本の得意競技でもあり、国スポでは和歌山県のポイントゲッターでもある競技ですので、和歌山県とマハラシュトラ州のスポーツ交流には向いていることも話しました。
雑談の延長ですが、総領事からは、指導者交流の助言もいただいたところです。
ぜひ、和歌山県でも相撲、レスリング、柔道だけでなく、スポーツ交流ということで、マハラシュトラ州との交流に適した競技の指導者交流ツアーなどができないか、企画部長にお聞きをいたします。
○議長(岩田弘彦君) 企画部長。
〔北村 香君、登壇〕
○企画部長(北村 香君) インド共和国・マハラシュトラ州とのスポーツ交流については、2020年2月に和歌山県レスリング協会が、レスリングが活発である同州を訪問し、レスリングについての意見交換をしたことが契機であると認識しております。
コロナ禍の中でも絶えることなくオンラインでの交流を継続させ、選手だけでなく指導者との親交も深められております。
2023年2月に県レスリング協会と同州スポーツ・青少年活動総局との間で、今後も継続した交流が進むよう、覚書の締結が結ばれました。
このようなスポーツにおける国際交流は、お互いの国の文化を知り、選手同士が尊重し合うことを学ぶとともに、指導者の人材育成につながる取組でもあると考えています。
今後も、相撲や柔道のようなコンタクトスポーツやほかの競技においても、同州及び県内競技団体の意向を踏まえて、指導者交流も含め、スポーツ交流が深まる可能性について研究してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 谷口和樹君。
〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いいたします。
本当に2023年の式典のときに、県庁相撲部の歓声というか盛り上がりというか、すごかったので、やっぱり日本の相撲というのはすごく注目されているんじゃないかなと思います。
スポーツの中でもレスリングで言いますと、今、相撲をちびっ子のときに練習していた選手が、2名パリで金メダルを獲得されたりとか、やっぱり通じるところがある。基礎体力をすごく高めたり、体幹を鍛えたりとか、ほかの競技への影響も大きいし、インドでいうとレスリングとの親和性みたいなものがあるので、本当にすごく皆さん注目されていたと思うんです。
そういう意味でも、これから友好を進める上で、相撲だけではなく、コンタクトスポーツというのが言語の壁を乗り越えて絆を深めていくんじゃないかなと、そのときはすごく確信しました。ぜひとも、マハラシュトラ州の熱意もすごい高いので、よろしくお願いします。
それでは、最後、4項目めの質問に入ります。
県立高校の海外大学進学についてお聞きをします。
1、県内の海外進学状況。
全国的にもそうですが、県立高校に通う生徒の皆さんにも、高校卒業後に直接海外の大学への進学を希望するケースが増加をしてきております。
現在、海外進学希望者は、進路指導部や担任の先生に相談したり、インターネットや民間エージェントに頼られているとお聞きをしています。
恐らく担当の先生方は、多くの国内進学、就職希望者の相談を受けながら、その中で懸命に海外進学希望者の語学要件、出願手続、ビザ取得、生活、住居など、海外特有の複雑な情報収集に取り組まれていると御苦労を察するところです。また、生徒自身もインターネットや民間エージェントに頼らざるを得ず、情報の質や安全性に不安が残る状況だと考えます。
そこで、海外大学進学について、和歌山県ではどのような状況か、教育長にお聞きをいたします。
○議長(岩田弘彦君) 教育長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 本県の県立高等学校から海外の大学へ進学した状況につきましては、2022年度から2024年度の3年間の大学進学者1万2580名のうち14名となっています。これは、新型コロナウイルス感染症発生前の2017年度からの3年間の8名に比べて増加しています。
進学先につきましては、大韓民国の光州女子大学、鮮文大学、釜慶大学、マレーシアのテイラーズ大学、アジアパシフィック大学、中華人民共和国の大連理工大学、北京電影学院、アメリカのワシントン&ジェファーソン・カレッジ、エストニアのタリン大学のほか、ノルウェー、オーストラリアの大学にも進学しています。
この中には、海外の大学への進学準備として、現地の語学学校を経て進学した生徒も含まれています。
○議長(岩田弘彦君) 谷口和樹君。
〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 続いて、海外進学相談窓口の設置の必要についてお聞きをいたします。
高校卒業とともに海外進学を目指す生徒の皆さんを支援するため、専門の窓口設置についてお聞きをしたいと思います。
県教育委員会に専任窓口を設置することで、多くのメリットが期待できます。
例を三つ挙げますと、一つは、海外進学に詳しい専門スタッフが対応することで、正確かつ最新の出願情報、奨学金制度、留学生支援の詳細まで整理して提供できる。二つ目、進路相談の一貫性が高まり、担任や進路指導部との連携も円滑になる。三つ目、公的な窓口としてデータを蓄積でき、傾向など年々分析による信頼性が高い助言を保護者と生徒に提供できる。このようなメリットが考えられます。
長期的視点で見れば、本県から海外へ旅立つ人材が増えることで、国際的視野を持った人材育成や国際交流を促進する好循環が期待されます。
将来的には、海外進学者の増加が帰国後の地域活性化につながるだけでなく、和歌山県の持続的発展にも寄与するはずです。
県内の高校生にとって、どこに、誰に相談すればよいかが明確になれば、不安が軽減され、安心して自分の夢に向けて準備を始めやすくなります。
海外の大学に進学したいという希望は珍しいものではなくなっており、それを応援するためのサポート体制を整えることは、教育機関として求められることではないでしょうか。
以上から、県教育委員会にて、海外進学専門の相談窓口を設置し、専門スタッフによる一元的なサポート体制を整えていただけないか、教育長にお聞きをいたします。
○議長(岩田弘彦君) 教育長。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 各県立高等学校では、海外の大学への進学を希望する生徒がいる場合、個々の状況をしっかりと確認し、海外大学進学セミナーの案内、入学に必要な英語試験のための補習等、丁寧な進路指導を行っているところです。
県教育委員会といたしましては、海外への進学に係る様々な情報を収集、蓄積し、学校に情報を提供するとともに、学校からの問合せに対応する窓口の在り方を検討してまいります。
今後も、情報不足等から海外の大学への進学をちゅうちょする生徒を出さないよう、各学校の進路指導への支援に取り組んでまいります。
○議長(岩田弘彦君) 谷口和樹君。
〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 すみません、どうぞよろしくお願いいたします。
あわせて、海外の進学に関して、和歌山県の特徴でもある各国の県人会の皆さん、非常につながりが深く、今、続いておりますので、ぜひとも協力をお願いすると快く受けていただける方もいるかと思います。ぜひ連携をいただき、設置していただけたらなと心から御要望させていただいて、質問を閉じたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
36番浦平美博君。
〔浦平美博君、登壇〕(拍手)
○浦平美博君 皆さん、おはようございます。日本維新の会、浦平美博でございます。
通告に従いまして、一般質問をいたします。
私が県議会を目指した目的の一つに、今から行う質問の内容もあり、もともとはもう少し時間をかけて取り組みたかった問題ですが、時間がなくなりましたので、御理解ください。
それは、差別という一言ではくくれない、すごく幅のある人権という問題。人の心の醜さとも言える問題。組織の光と影という問題。人の心の在り方と集団心理、集団における傍観者の容認、全体の奉仕者である公務員の在り方などに考えを致すことになります。
それは、日頃からの修練や努力によって身につけたものとする素養が大きな鍵となるであろう、そのように思います。
ある方がこう言いました。「神様が万物の創生であるならば、どうして人は宗教というものを必要とするのか。」この問いに、「神様が唯一つくれなかったのは社会であり、人間をつくれても人間が形成する人間社会を神様はつくれない。だから、その社会に対して人は思い悩み救済を求める心のよりどころとして宗教がある。」なるほどなあとそのとき思いました。私で言うならば、宮本武蔵の禅の世界で、そのように思っています。
さて、今から御紹介する事象について、多角的な解釈ができるため、この事案内容について問うものではなく、紹介です。
平成20年頃、和歌山県教育委員会に属した職員は、業務上横領という名の下、懲戒免職となりました。懲戒免職辞令を受けた後、一般人として別の仕事をしておりました。
ある程度時間がたった頃、和歌山県が行政処分を下した元職員を告発。ようやくありついた仕事も厳しい状況に陥りました。どうして先に告発をせず、行政処分に踏み切ったのか。
現職公務員に業務上の横領があるならば、まず告発をして刑事事件とした上で処分をするのが公務員法上妥当ではないのだろうか。それは、裁判による判決によって大きく懲戒内容が変わるからであり、その身分は最大限考慮しなければならないと私は和歌山県から平成6年に学んだのです。
公務員において、その懲戒は明記されており、そのプロセスを経て処分が出ると解していますが、どうしてなんだろうと首をかしげることもたくさんあります。
県が行政処分を下した後、一般人となった県民を県が告発する。だから、いろいろな臆測が飛び交い、実際、その本人でなく別の人物が関与していたとする話も出ていました。だから、行政の帳尻を合わせるために事後の告発だったのではないか、職員の間ではこのような話も出ていました。
当人いわく、県の教育委員会からは、事ありきで聞き取りをされ、反論すると、反省していない、言い訳だと言われ続け、心が折れたとのこと。真相は私には分かりませんが、別の人物が関与しているとうわさされた者もまた不幸です。
それら出来事の中で、必死で日々の生活を支えておられた奥様は、本年6月、台所で倒れられ、緊急搬送されたとのこと。一命を取り留めたものの、予後が心配です。
改めて思います。人生を歩むとは一体何であろうか。行政組織である教育委員会とは一体何であろうか。
彼は、その後、必死になって働き、金融商品を扱う会社の社長となりました。彼の日頃から持ち歩く業務用のかばんには、業務上横領事件について不起訴処分という裁判所の通知文を常に入れている。「どうして持ち歩くのか」と聞くと、「自分を見失わないように奮い立たせるため」、こう言います。
彼を知る一人として、そして教育組織を知る私とすれば、一人一人はよい人だろうと、そのように思うんですが、教育委員会という集団になれば、無機質で無関心な実に恐ろしい団体と化すことがあると理解されていないことに危惧をするわけです。
私は、どうしてこんなに重い話がたくさん入ってくるのだろうかと悩む時期もありましたが、苦しむ人の一助となるべく尽くすと有権者との約束は、自らのおきてと納得させてきましたし、これからもその精神は私の中で生きていきます。
私は、教育委員会を糾弾しているのではありません。人の集団での作用や自分たちの課は関係はない、関われば課長や副課長の立場がない、○○さんの顔が立たないなども含め、知っているから、そのような感覚で職員としての職責ではなく、潜在的な職員一人一人のなれ合いからくる傍観は、当事者に二重、三重の罰を与えることにもなり、傷が深くなっていることに気づいてほしいと思うのです。
先述した事象や日々の事象を含め精査し、至らない判断がなされていなかったのかなど、検証し積み重ねができていれば、傷の浅い諸問題として解決、処理できますが、ないがゆえの教職員が不幸になるといった教育委員会の組織運営は、現場の声を聞いてくれない、いざとなれば全て学校の責任と嘆く教職員も多数いることを知っていただきたいと思います。これが現場の疲弊なんです。
人権問題という名で犯罪者かのごとく虐げられ、事実無根であるにもかかわらず、真逆の人権侵害が意図的に行われ、その教職員は精神を病み、そして自ら努力し克服、その上で本年3月末日をもって、その教職員は管理職でありましたが、定年から7年を残し退職いたしました。
もう和歌山にはいませんが、和歌山の学校教育にとって非常に有能で、生徒と向き合う教職員としての矜持を堅持し、教育政策にも精通しており、社会人としての一般常識を兼ね備えた人物でした。本当に残念でなりません。よって、彼の身に起きた出来事も御紹介しなければなりません。
冒頭御紹介した事象から約8年、平成28年3月、アップされたフェイスブックの投稿から端を発します。
紀の国わかやま国体に向けた少年の部における強化練習での成果と結果について納得のいかないその保護者は、SNSにて投稿。
その保護者にとってよくできた子供であり、和歌山県代表たる資質を持った我が子は、この強化委員長によって選手になれず、大学進学もかなわなかった。その理由は何だったのかと子に問うと、「おまえの親は沖縄出身か。血が汚いな」とその強化委員長である教職員に発言をされ、心に傷を負い、パフォーマンス力が発揮できなかったからだというものでした。
しかし、その事実は全くなかったということが後に判明いたします。
そして、その投稿を知った教育委員会の要職者は、そのSNSに投稿した人物に直接連絡を取り、誰のことを言っているのかと聞き出し、教職員を特定しました。
実は、この保護者が要職にある人物と同郷で、同級生、友達関係であったため、聞きやすい間柄であったとのこと。ですが、この手法は行政としては誤りです。
同時期、この教職員は、その教職員仲間から「先生、えらいこと書かれていますよ」と知らされ、SNSを読み、当の教職員は「こんなでたらめな話、誰が信じるんよ」と聞き流してしまったんです。ところが、その要職者が当教職員を特定し、事実として和歌山県教育委員会人権教育推進課が動き、平成28年3月末、聞き取り調査が行われることとなりました。
突然その聞き取り調査日時を校長から告げられた教職員は、「私の意見も言わせてもらいたいのでよろしいか、話を聞いてほしいんですが」と伝えますが、教職員の言い分を聞いてはならない、そう強く教育委員会から言われているため、意見を聞いてしまうと職務命令違反となり、校長として私が困るからと返答されるのです。
結局、所属している学校長からも見放され、どうすることもできずに、私、浦平のところに来たことから、この事実の裏に隠れる問題に直面することとなるんです。
相談のとき、もういきなり私、こう言いました。先生、それ完全にシナリオをつくられているんで、ICレコーダーを取ったほうがいいですよ。しかし、その教職員は、自分の属する組織がそんなことをするはずがない。自ら録音する必要はない。先生、その男気は命取りになりますよ。それは、自分の実体験から基づく助言でした。
既に教育委員会の要職者が人物を特定した上、SNS投稿された内容に沿った教育委員会のシナリオをその要職者と仲のよい同級生のその保護者が相談し合ってつくり、どうすれば懲戒に持っていくことができるのか。それは人権問題にすること。相手が否定すれば、反省がないと詰問の上、証拠を出させる。もちろん証拠はないから、否定は虚偽と追い込むことができるなどなど。
そして、その人権教育推進課がそのシナリオありきで集団となり、1人の教員を徹底的に追い詰めたのでした。上司の命令には従わねばならないという法律に基づくものなのでしょうが、あまりにも偏ったもので、そもそもその命令は職務内容に合致したものであることが原則であり、そのようなシナリオで人権教育推進課が厳しい詰問を行ったのは、職務という領域を超えた許されざる行為であったように思います。
しかし、このおかしなことが繰り広げられていることを教育委員会内部の職員も把握しておきながら、口を閉ざし、事実を知る努力を怠り、詰問をするということが事実確認だと勘違いをしたまま、時が流れ、シナリオに書かれていたとおりの運びとなるのです。
その人権教育推進課等、教育委員会の職員5~6人に囲まれたまま、たった1人で座らされ、一方的な聞き取りに終始します。
当の教職員自ら録音をしたICレコーダーから、1字1句たがわずに字起こしを行った上で情報開示の請求。黒塗りばかりのため、個人保有する自らの聞き取りをされた記録を情報開示請求したところ、何とA4で11枚分、本来あるべき聞き取り内容が抜け落ちており、その部分は教育委員会が詰問する部分であったのです。
情報開示請求には、包み隠さず開示することではないことは百も承知でありますが、あまりにも人をつくる機関として、組織として、いかがなものかと思わずにはいられません。
先ほど申し上げたシナリオづくりとシナリオの根拠、これは和歌山県教育委員会の要職者とその保護者がPCメールでやり取りをした記録と内容が県のPCメールに残っており、恐らく委員会職員の傍観者が良心の呵責にさいなまれたのか、それを知るすべはありませんが、プリントアウトされ、その用紙には当時のやり取りを示すメモも残されておりました。それは今も追い詰められた元県教職員が持っています、自分を見失わないようにと。
当時、別の議会に属していた私は、何度も県に掛け合いましたが、県教育委員会、実に不誠実な対応であったことは事実です。
ちなみに、その県教育委員会の要職の方はさらに出世し、最後は人事異動で高等学校長として赴任をしていきました。
また、同じくして重なった時期の相談がありました。
学校現場では、いじめられた等の生徒の申出により、停学処分を受けた生徒が出ました。全く身に覚えのない内容で、何度も何度もやっていないと生徒指導室で申告をしたが、調査も満足にされず、やったと認めたら短い停学で済むし、おまえも全国大会出場できるぞ、そう言われ、やってもないことを認めさせられました。17歳です。さらに子供からの訴えが一貫していること、そして、全国大会にも出場させてもらえなかったことから、保護者の相談を受けることとなり、県教育委員会に問合せをした結果、停学処分とする判定会議もきちっと行っていなかったと、一方的な聞き取りであったことが判明いたしました。
結局、停学処分が執行された後、処分無効を言い渡しましたが、その傷が癒えることはありませんでした。
その生徒は、学校を信用せず、教師を信用しない大人になり、子供を持つ親として、学校教育を信用しない家庭をつくることになるだろう。
教育委員会や学校現場、教師らは、不満を持って抗議に来るこのような大人をモンスターペアレントと言うのでしょうが、学校教育に従事する教職員や教育委員会がモンスターペアレントをつくっていることもまた知る必要があると考えます。
そもそも一番最初の対応が適切であれば、モンスター化することは経験上ありません。
先述した事例同様、結局のところ、生徒や当事者は苦しみますが、その教師や管理職は何ら影響を受けずに退職、教育功労賞を受賞していることでしょう。
関与したその組織人は、今、どのように思っているのだろうか。心は痛まなかったのだろうか。いつも思います。誰も責任を取らず、理不尽な扱いを受けた者は口を閉ざされ、負けないようにと自らの人生を切り開こうと努力をする。他方、一方的な扱いをした人たちは、罪悪感を持たず、謝罪もせず、公務にも何ら影響もなく、出世街道を歩む。
子供たちの人生が切り開かれるように努める教職員を統括する教育委員会は、人生を閉ざすかのような仕打ちをしているという自覚を持たないばかりか、保身としか言いようのない言動が散見される。
ですから、私は過去、この壇上で地教行法の改正による総合教育会議の意味をきっちり理解して開催する必要があると申し上げましたが、自覚されず、改善はされませんでした。いかに現場を理解していないのかが分かる答弁でした。
過去において、その組織の長であった和歌山県知事に、御紹介したような不幸な出来事がないように、いま一度、期待をしたいと考えます。
また、議場でも紹介しましたが、たった2年で15通を超える教育委員会内部からの投書、全ての内容は実にリアルで恐ろしい。何を物語っているのでしょうか。教育長に風通しのよい、今までのような人治政治とならないよう期待をいたします。
さて、るる申し上げた事柄について議論をするものではなく、ここからが本題です。
私の知人から、相談に乗ってやってもらえないかという電話から始まります。その方は、子供を抱え、逃げ出すように家を出た女性の話です。
DVを受け、自らの地域や出自における差別を繰り返され、子供のためにと辛抱し続けてきましたが限界となり、逃げ出したとのこと。荷物を取りに行きたくても行けない環境下、警察官立会いの下、荷物を取りに行く始末。
夫婦と聞けば、プライベートの話とすり替えられますが、そう簡単に済ませられる話ではなく、DVやその差別発言は夫である教職員であり、離婚後、元妻に盗み撮った裸の写真を送りつけるといった嫌がらせ、いわゆるリベンジポルノがあるとのこと。
現在、DV等における写真やLINEのやり取りなどとともに被害届を提出、和歌山県警察に受理をされ、捜査が進展することを見守るしかありません。
気になるのは、全ての情報を提供している教育委員会の対応についてです。
元夫が女子生徒を物色しているという生徒間でのうわさから不安になっているという話を保護者から聞かされた元妻。教師になるための教育実習生に対して、その教職員たる元夫が手を出していたことで抗議を受けていた元妻。そのようなことから、この女性は、教育委員会に電話を入れ、事実を伝え、何かあってからではいけないのでしっかり対応をお願いしたい。つまり、教育的指導をしてあげてほしい、そのような思いで要望をしたそうです。
その女性は、自分の恥部でもあると感じつつ伝えましたが、教育委員会に、当初、誠実な対応はなかったとのこと。学校長に言っても対応が鈍く、改めて連絡をすると、校長が多忙を極めているからなのか、連絡すると言いながら連絡がなかったとのこと。そして、学校長と話をした際、元妻からの問合せについて、当該教職員には言わないでほしいと伝えたのですが、その日に当該教職員に伝えたようで、嫌がらせがまた始まって困っていると。
結果、私のところに相談に来られました。
最初の相談では、私もロジックが理解できず、どうして学校に連絡を入れたのかとの問いに、私にあったように、もし生徒に何かあってはならないから、差別などは駄目なことも含め、教育的な指導をしてあげてほしいという思いであったとのこと。また、私から、相談をしたならば堂々と自らを名のる必要がある、こう注意もさせていただきました。ですが、怖いし不安になる、そういったことも心の中にあった。すごく理解できます。
ですが、それは学校という場所であり、教職員であり、生徒たちがたくさんいるからであるという彼女なりの正義であったことが理解できました。
このことは、教育委員会にもしっかりとした対応を求めましたので、一生懸命に対応されているとは思いますが、対応されればされるほど、話が違う方向に進み、精神的負担を強いられ、事差別については、その女性の母親からも事情を聞いていて、親子共々そごのない内容で虚偽ではないようです。
しかし、事実無根であると教職員が言っているのでと安易にこの女性に伝えたことから、どんどんおかしな方向に進んでいく。そのような中、理解できないところが見え隠れするのです。
そもそも学習指導要領に準じて校務をする教職員は、教育基本法の趣旨を理解しているはずです。教育委員会は、学校長には指導できず、学校長は現場の教師を指導できないのかと。その問いに、学校長が事実認定されないと当該指導はできないとのこと。恐らく指導という意味が私と教育委員会では違うのだろうと思いつつ、教育委員会での元上司と部下の関係で、教育委員会としての機能が働かないのか、人治政治が作用しているのかは分かりません。
ただ一つ、認定されなければ指導はできないとはっきりと発言をされた。人生感や教育公務員としての在り方など、先輩としてのアドバイスや人とのぶつかり合う学校において、基本的営みが失われていることに驚愕しています。
教育委員会の一課として真剣に対応する中、その一助となるべく、対象者と向き合い、諭すのが教職員であるならば、学校運営という問題に向き合っていないように見えてしまうのではないかと思うのです。
では、事実認定は誰がするのか。それは教育委員会であり、この堂々巡りにより、当の被害者からすれば、二重にも三重にも心の傷を負ってしまうという観念も乏しく、深く傷を負わせていることが理解できないのではと思います。
また、被害者からすれば、教育委員会は教師の言い分を信じて、自らの組織を守るように見え、こちらの訴えを理解していないばかりか、逃げていると思われている。だから余計に立腹して抗議になる。これはモンスターでしょうか。やはり初動なんだろうと思います。どうして、一番最初にしっかりと話を聞き、解決に向けて尽くそうとしなかったのだろうかと悔やみます。
つまり、一個人なら人の機微を理解することができるのに、組織となれば理解しないようになるのはどうしてだろう。事実無根の訴えならば、その部下たる教職員のためにも、うわさ話も否定してあげなければなりません。何よりも、生徒のためにある環境だということを忘れてしまっているように見えるのです。
寄せられた情報はしっかりと聞き、精査し、遅滞なく当該関係者に聞き取りを行うこと。そのためには、教職員の宣誓書の意味や人としてどうあるべきなのかなど、指導してあげることがまた教職員の育成にもなります。
人と人との関わり合いを自らの地位や組織の建前で終始するといびつなものになってしまうのです。果たして、このような教育委員会に人をつくれるのだろうか。差別問題を解消できるのだろうか。昨年もあった教職員による差別発言から何を得たのだろうか。
行政として、懸命に取り組んだ事案が積み重ねられることにより、よりよい行政を構築できるから、その継続性を求められるんだろうと思いますが、積み重ねができていないのではないだろうか。
さらに、この事案について教育委員会内部の者と当該教職員が連絡を取り合っているとも聞きますが、情報の管理は大丈夫だろうかと確認をしますと、大丈夫ですとのこと。ですが、過去の事例から考えると不安でなりません。
教職員の成り手がどんどんいなくなる中、いま一度、学校教育とは何かと考察の上、改善を賜りたいと思います。
人とぶつかり合う学校教育の世界において、人の機微に触れ、成長する過程が重要と考えます。しかし、人と向き合うことは決して楽なことではありません。この苦しくもある向き合う精神は、時として喜びにも変わります。
このようなことは現場にいる教職員にしか分からない、そんなことを言う方もおられるかもしれませんが、一般企業や社会においても同様のことがたくさんあります。
また、文部科学省として35人学級の完全導入に向け、1万7000人規模の教員採用を必要とすることから、予算も400億円要求とのこと。残念ながら、誤った方向に向かっているなあと感じています。
和歌山県では、教員免許を保持していながら、一般でお勤めの方から採用をと動いていますが、本質はどこにあるのか、いま一度考えていただきたいと思います。
本県でも出生数がゼロとなった地域も出ています。最新データでは、新宮市は70も満たないと聞いています。人は人と向き合い、人でしか支えられないということがよりリアルに感じてきます。
そこで、教育長にお伺いをいたします。
過去の事象や、今、起こっている問題を御紹介いたしました。共通することは、教育委員会における縦割りと無関心、各課の相互関係が構築できていないことから招いている事象がたくさんあり、これが教育委員会力を低下させています。
また、課長を含む県教委の要職となった者が教育委員会の気質が抜けず、適切な対応ができていないことについても学校現場に長としての管理職を配置することは一旦見直し、代わりに現場と役人の間に立つ組織も構築すべきではと考えています。
今回、この人権侵害の救済を含め、当該教職員が認めない場合は、虚偽でもやり過ごすことができることも知りました。正直者はばかを見るということなのでしょうか。
このような事象を考慮したとき、どうしてこのような問題が起こり、うやむやにされてきたのかなどを含め、どのような組織運営が望ましいと考えるのか、教育長の見解を求めます。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
教育長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) まず、教職員の不祥事につきまして、懲戒処分となる事象が発生した場合には、厳格な姿勢で当該教職員に対し事実確認を行い、関係法令や県教育委員会が定める懲戒処分の指針に基づいて処分を決定いたします。
また、人権に関わる事象につきましては、相談者の心情に寄り添いながら信頼関係を築き、面談の際の言葉や表現には十分配慮しつつ、相談者の視点に立って、さらに丁寧かつ迅速な事実確認ができるよう努めます。
次に、管理職につきましては、その人事において、各学校の解決すべき課題を考慮しながら全県的な視野に立ち、適材を適所に登用配置しております。さらに人権教育は、教育の柱であり、和歌山県教育振興基本計画にも示しているとおり、最も重要な取組の一つと位置づけております。校長会等においても、管理職の人権感覚の陶冶を行っています。校長をはじめ管理職は、教職員の模範となり、教育活動を牽引し、学校運営を担っていると認識しています。
しかしながら、学校における運営や様々な対応について課題が生じた場合は、県教育委員会事務局の各課室が連携して、学校に対する指導、支援を行い、伴走して課題に対応するよう努めてまいります。さらに、事務局の職員には、自分事として捉え、問題解決に向け最後まで取り組むよう指導してまいります。
県教育委員会としましては、子供たちが安心して学び、教職員が活躍できる学校となるよう、なれ合いを防ぎ、常に組織の運営体制を点検していきます。そして、議員の御指摘にもあったように、経験年数や役職にかかわらず、教職員一人一人が自由に意見を言え、みんなで教育改革を進められるよう、風通しのよい教育行政を構築してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 浦平美博君。
〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 ありがとうございました。
議会は、行政のチェックを行う機関であると認識しており、いま一度、次代を担う子供たちのために、組織の検証をこれからも続けていただきたいと思います。
2011年、初当選以来、学校教育の在り方を求め、検証してまいりましたが、その都度、改善していくしかないんだろうと思います。どうぞこれからの子供たちのため、県民のため、日本のための人づくりにお力を賜りますようお願いを申し上げます。
結びに、県執行部の皆様に厚く感謝申し上げます。県議会の先生方にも厚く感謝を申し上げます。そして、議会事務局の皆様にも感謝申し上げます。短い間でしたが、本当にお世話になりました。私の一般質問を終わります。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、浦平美博君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時25分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○議長(岩田弘彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
34番藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 皆さん、こんにちは。
議長の許可をいただきましたので、早速質問に入ります。
第1点目として、和歌山県立自然博物館の移転問題について伺います。
この件に関しましては、これまで度々質問をしてまいりましたけれども、先月、宮﨑知事が知事選の出馬表明をされた後の5月1日に、この件についてお話をさせていただきました。宮﨑知事にも、当時、教育長として御答弁いただいていたことから、これまでの経緯についてはよく御存じだと思っていたのですが、お話をする中で、私は驚きを隠せませんでした。
それは、海南市に用意させた造成地の費用約3億円について、今後、何らかの形で埋め合わせをしていくつもりはありますかと尋ねると、埋め合わせをする必要はないと思っている。県と海南市は痛み分けだと考えているとし、その理由として、自然科学博物館の提案を断ったのは海南市のほうだとおっしゃられました。
その日の夜、国会議員の方には別の意味のお答えをされたようですが、正直に申し上げて、当時の責任者としてこのような認識なのかと非常に残念に感じました。
これまでの質問の中で、何度か経緯を御説明させていただいておりますが、改めて整理をいたします。
県から海南市に対する移転要望からこれまでの経緯についてですが、初めは仁坂知事の時代に県が自然博物館を水族展示機能ごと内陸部へ移転させたいと言い始め、2017年度から2026年度の和歌山県長期総合計画に、県立自然博物館を移転・リニューアルすると記載されました。
当時の仁坂知事から海南市への積極的なアプローチもあり、県から海南市のほうに要望書を出してほしいと頼んだ結果、海南市は、移転するならこの場所でどうかと、海南市大野中に整備中の防災公園の土地を候補として要望書を提出しました。
これを受けて、県も防災公園内へ水族展示機能ごと移転しましょうと。そのためには、盛土ではなく切土の土地が望ましいと言ったため、海南市は県の意向に従い、市議会に議案を上程、可決された後、令和元年から3年度にかけて新たに土地を取得、造成して、自然博物館が移転するための用地を準備しました。
ところが、令和4年12月に岸本知事が就任し、翌月の令和5年1月になって、海南・海草議会議員連絡協議会が自然博物館とは別件の陳情に行った際、知事から突然、自然博物館の移転はゼロベースで見直すとの発言がなされ、大騒ぎになったわけですが、同年3月末に完成した和歌山県立自然博物館施設整備基本計画には、移転するのであれば、水族館機能を持たない施設を建設する案が現実的な選択肢とも記載されておりました。
海南市としては、移転に向け3億円もの公費をかけ、60名を超える市民にも協力してもらって土地を用意したにもかかわらず、その約束をゼロベースとほごにされたばかりか、長年県民が親しんできた自然博物館の水族展示機能についても、まるで海南市が防災公園への移転を要望したからなくすんだと、そう言わんばかりの勝手極まりない県の理屈を押しつけられたわけであります。
この点は非常に重要ですので、もう一度言いますが、県は移転するという約束を一方的に破り、さらに、海南市に相談もなく水族展示機能をなくそうとするという二つの不義理を働いたわけです。
その後、令和5年8月には、水族展示機能をなくした自然科学博物館の提案が県から海南市に対して提示されました。
後ほど詳しく御説明いたしますが、その提案は、提案と言えるようなレベルのものではなく、到底納得できない海南市は、防災公園への移転により、長年県民に親しまれてきた水族展示機能がなくなるのであれば、現地でのリニューアルなど、水族展示機能を残すことを優先してほしいと要望せざるを得なくなったわけです。
海南市としては、防災公園への移転という約束を破られたことは一旦置いておいて、現地リニューアルを要望せざるを得なくなったということは重ね重ね申し上げておきます。
このような経緯を得て、令和5年9月定例会文教委員会において、当時の宮﨑教育長より、大野中への移転を断念せざるを得ないとの答弁がなされるとともに、令和6年度には、11月、1月、3月と有識者による3回の自然博物館検討委員会が開催され、取りまとめられた和歌山県立自然博物館の今後のあり方に関する提言においては、地域に定着した博物館、博物館と水族館という二つの機能を兼ね備えた形態は、県施設として大変有用性があるといった記載がされるに至ったところであります。
この提言には、移転という単語はどこにもなく、増築という単語は10か所出てきます。今後、どのようにリニューアルしていくという具体的な記述はありませんが、これは県として、現地において増築も含めたリニューアル、現地再開発を進めるということで間違いないのでしょうか。まずはこの点についてお尋ねいたします。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 検討委員会の提言では、「地域に定着した博物館」「県立自然博物館の活動は今後も継続すべき」「現在及び今後において県の公共施設としては大変有用性がある施設」とされており、展示スペースや防災面など整理すべき課題はあるものの、海南市と情報共有し、現地でのリニューアルに向けて検討を進めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 次に、2項目めとして、和歌山県立自然博物館施設整備基本計画策定における成果物の公表について伺います。
検討委員会がまとめた提言には、展示スペースの拡張や収蔵スペースが不足をしており、館外の建物を借りていることなどが書かれていますが、現地でリニューアルをする場合、所有者の御理解が得られるのなら、隣接する旧温山荘プールの跡地や温山荘公園部分との一体的な再開発が期待されるように思います。
この点については、海南市の協力を得ながら進めていくことになると思いますし、海南市もそのときは尽力すると言ってくれてはいますが、お互い協調して進めていく必要がある中で、冒頭に申し上げた、知事の痛み分けという高飛車なスタンスでは、再び関係が悪化しかねないと懸念をしております。
先ほど申し上げた自然科学博物館に関する県から海南市への提案、これは正直申し上げまして、漫画のような単なるスケッチで、当時の教育総務課の藤戸課長の友人が描いたというイメージ図が数枚ぱらぱらと提示されただけのものでした。その内容も、有田川町で発掘されたモササウルスや、新宮市、東牟婁、西牟婁にわたるジオパークの紹介、湯浅町、由良町の金山寺みそやしょうゆなどの発酵食品、さらには串本町のロケットといった幅広い自然科学分野の展示をそれぞれの市町の了承を得ることなく、これらとは関係のない海南市に整備するものとして提案されています。もう何が何だか分かりません。
当然、海南市が合意できるはずもなく、ほかの市町にとっても、自分たちの市町の大事な自然や歴史、文化などをなぜ海南市で展示するのか理解に苦しむでしょうし、大変失礼な話ではなかったかと考えております。
これは、むしろ海南市と合意しないことを目的に描かれたものではなかったかとすら疑ってしまうわけですが、このスケッチはもちろん、令和5年3月末に完成した基本計画もいまだ公表されていません。この基本計画策定業務には660万円が支払われていると認識していますが、税金で作成されたその成果物が公表されないということはあってよいのでしょうか。
令和5年12月定例会での私の一般質問に対し、今後、今のような状況の中で基本計画を公表することは、今のところは考えていないと当時の宮﨑教育長から答弁がありましたが、今は状況もある程度変わり、方向性も見えてきております。マスコミには基本計画を資料提供しておきながら、一方で、県民は情報公開請求をしなければ閲覧ができない現在の状況については大いに疑問を感じます。
なぜ、移転を断念したのか。県民の皆さんにも納得していただくためにも、公表し御覧いただいたほうがよいのではないでしょうか、お尋ねいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 本計画は、移転することを前提に策定してきましたが、しかしながら、その後、移転の可否も含め、今後の在り方について再度検討することとなり、公表を見合わせておりました。
このたび検討委員会から提言をいただき、課題を整理しながら現地でのリニューアルに向けて検討を進めていくといった一定の方向性が決まったことから、本計画についても改めて公表してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 それでは、3番目の海南市とは痛み分けという県の言い分について伺います。
先ほどの自然科学博物館のスケッチですが、令和5年9月定例会文教委員会において、私はそもそも移転するという約束を破ったばかりか、海南市に相談もなく水族展示機能をなくそうとした挙げ句に、そのような提案をしても、海南市に理解されないのは当然だと指摘いたしました。
これに対し、知事は、当時教育長として、海南市に非があったとは考えていない、海南市に迷惑をかけたと考えていると答弁されております。
海南市としては、3億円もの損失を我慢し、県のために準備した用地に関する問題解決を一旦は先送りとし、水族展示機能がなくなるぐらいなら、まずは県民に望まれている水族展示機能を残して、現地でリニューアルをしてほしいという意向でありました。
海南市に対し、何ら相談もなく水族展示機能をなくそうとした。海南市には関係のないコンテンツを集めた自然科学博物館のスケッチを提案したが、合意が得られなかった。
このような問題に対し、検討委員会での議論を経て、水族展示を維持しつつ、現地再開発という方向に決まったことは、一つの落としどころとして歓迎できます。
元から集客力のある地域に定着した博物館としてしっかりとリニューアルをしていただき、県外からの観光スポットとしてもより多くのにぎわいにつながる施設としていただきたいと思います。
ただ、防災公園の土地に移転するという約束を破ったという話は、何も解決していません。
県の意向に沿って用地を取得し、造成した海南市に対して、約束を一方的に破棄した事実は何一つリカバリーできていないわけです。それなのに、これで貸し借りなし、痛み分けだというのは、虫がよ過ぎませんか。
海南市にとっては多くの痛みがありました。県の言い分に沿って用地を取得し造成したのに、移転話が破棄された。知事の突然のゼロベース発言で、民間事業者の公募時期も遅れてしまった。海南市としては、防災公園自体の集客力に加え、自然博物館の集客力の相乗効果を期待して準備を進めてきたわけですが、突然その望みを断たれた。
さらに、いつまでたっても県の方向性が定まらないため、自然博物館用地はどうなるか分からない状況で、事業者に提案を求めるという非常に困難な条件付きで運営事業者の公募をせざるを得なかった。この結果、複雑な条件でのプロポーザルとなり、応募する事業者側もかなり慎重な提案しかできなかったと聞き及んでおります。
知事が教育長時代に答弁されたとおり、県が海南市に対してとんでもなく迷惑をかけているわけです。
それに対して、県はどんな痛みを負ったのでしょうか。何をもって痛み分けとおっしゃったのか、私には全く理解できません。海南市にこれだけ一方的に迷惑をかけておいて、海南市との関係を痛み分けだと認識しているようでは、今後、また同じような迷惑をほかの市町村にもかけるのではと思えてなりません。
一体正義はどちらにあるのか、冷静に見詰め直す必要があると思いますが、県にとって、どこをどのように整理すれば、海南市に対して埋め合わせの必要はない、これは痛み分けだという論理になるのか、県の言い分を聞かせてください。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 県としては、財政が危機的な状況にある中で、海南市が整備を進めている防災公園に県立自然博物館を何とか移転させるべく知恵を絞り、整備費を圧縮できないか検討し、最大限の努力をしてきました。そこには県としても相当の労力を傾注してまいりました。
そして、水族館機能を持たない県立自然博物館という提示ではありましたが、それを補完する魅力のある施設の提示を行ったつもりです。結果として、海南市とは調整がつかず、防災公園への移転を断念することとなりましたが、その間、相当の労力を傾注したということを申し上げたということであります。
○議長(岩田弘彦君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 ただいまの答弁で、県も相当の労力を傾注とありましたが、造成地の費用のほかにも、海南市が払った行政コストや労力とは比べるべくもないと思います。
また、魅力ある施設の提示を行ったと言いますが、そもそもコンセプト自体が変わっているのですから、基本設計からやり直すのが本筋ではないですか。それを時間もコストもかけず、何のリサーチも行っていないのですから、しょせん絵に描いた餅、自己満足としか言いようがありません。
提示を受けた海南市の神出市長が、県は誠意を尽くしたつもりかもしれないが、中身がないので検討のしようがないと話されているのも無理のない話であります。そんな言い訳では永遠に海南市民の納得は得られません。
ここまで問題が解決しないのは、この2年以上、膠着している海南市との関係改善を放置してきたこと、前知事が検討委員会を設置し判断を委ねるという記者会見での発表から6名の委員を選任するに至るまで、1年以上何もしていなかったことなど、行政を滞留させた県には相当の責任があると考えています。
そうはいっても、現地再開発に向けて、これから前へ話を進めていかなければなりません。
今後、現地再開発を進めるに当たり、海南市の協力を得ながら進めていかなければならない中で、一体どんな立場でどのように話をしていくつもりなのでしょうか。県の責務について、知事に伺います。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 県立自然博物館は、オープン以来、県民の皆様に愛され親しまれてきた施設です。特に地元海南市の皆様には、遠足をはじめ、当館が実施する観察会や様々なイベントなどに多数参加をしていただいております。そうしたこともあり、当館の来館者数は、昨年度も12万人を超え、年々増加しております。
今後も、県外、県内問わず、さらに多くの方々に来館していただけるよう水族館施設や展示施設のリニューアルを行いたいと考えております。
そして、当館の集客力を防災公園や黒江の町並み、温山荘等、海南市が有する魅力ある文化観光施設等への周遊に結びつけることで、海南市のにぎわいの創出、地域の活性化につなげていければと考えております。
博物館法が改正され、博物館の役割は、これまでの展示、収集・保管、教育・調査研究に加え、地域との連携による地域活力の向上が追加されました。
現在、検討委員会の提言を受けて、展示スペースの充実や防災対策などの課題を整理しているところですが、その状況については、海南市と情報共有を行ってまいります。
さらにその後、施設の基本設計、実施設計へと段階を踏んで進んでいくことになりますが、海南市とはこれらの段階ごとに情報共有を適切に行ってまいります。
地域に愛され、地域に貢献できる県立自然博物館となるよう運営を行ってまいります。
○議長(岩田弘彦君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 ただいまの答弁にもありましたが、私も自然博物館は、近隣の住民をはじめ、県民に愛されてきた魅力のある施設だと思っています。
老朽化が著しいですが、その魅力や学芸員の方々の創意工夫やその努力が人口約87万人の和歌山県において、年間12万人もの来場者を呼び、現在も年々増加している要因だと思いますし、魅力のある施設だからこそ、今後進められるリニューアルについては県民の期待も大きいかと思います。
財政状況が厳しい中ではありますが、今後のリニューアルに向けては、以前、文教委員会で提案いたしましたが、PFI方式やクラウドファンディングの活用などの整備手法も検討しながら、必要な予算は確保しつつ、今よりもさらに集客が見込め、地域に愛され、地域に貢献できる自然博物館にしていただきたいと思います。
改正博物館法に示されているような、地域活力の向上に資する博物館の実現には、当然ながら海南市との連携が欠かせません。ぜひ、海南市と良好な協力体制を再構築するとともに、常に情報共有を怠ることなく、市町村に寄り添った丁寧な行政運営に努めていただきたいと願うものであります。
とにもかくにも、海南市との関係改善が第一歩だと思いますが、その点について、最後、知事、1点伺います。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 教育長のときにも答弁させていただいたのですけれども、海南市には迷惑をかけたという認識をしております。知事となった今においても、それは当然同じでございますので、今後、海南市との関係はもちろんのこと、自然博を通して海南市といい関係になりたいなというふうに思っております。どうかいろいろよろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 ぜひ、よろしくお願いいたします。終わります。
以上です。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
25番山田正彦君。
〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 今議会の一般質問も含め、ほぼ最後になりまして、私は大トリということで、議長からの発言の許可をいただきました。ありがとうございました。
ずっと聞いておりますと、今議会もそれぞれの議員がそれぞれの思いを持って、それぞれのジャンルにわたって活発な問題が提起されて、県当局もいろいろな議論をされて、宮﨑県政も無事出航されたんではないかなと私自身安堵しております。
ただ、前々から知事に、御当選おめでとうございますという話がちらほらあったと思うんですが、私は決して知事の担っているその重責を考えると、おめでとうございますとはとても言えません。知事がこれから県民の代表として頑張っていただくんですから、頑張ってくださいということ以外はありません。ただ、一言笑顔を添えて県民のために頑張っていただきたいなあと思います。
私は、今回質問させていただく機会をいただいたんですが、私なりに少しちゅうちょしました。しかし、今、新聞やテレビのチャンネルを変えるごとに、ちまたでは古々米の話で持ち切りであります、古いお米の話、古々米。今年の流行語大賞にノミネートされるんじゃないかなと思うぐらい古々米の話が出ています。
少し古いという感覚はありますが、その古々米が世の中の人々の心、生活を癒やし、おなかを膨らし、どれだけ心を満たしてくれたか、どれほど貢献していただけたかと思うと、私自身も、少しは古くなりますが、古々じいとして、分かってくれましたかね。古々じいとして、いま一度、原点に立ち戻って、県議会議員として与えていただいた職責を果たすために頑張らなければいけないなあと心を新たにしたところであります。
今回の質問の趣旨は、本意は、知事の危機管理の一連の対応に私自身、全く無関心であったことへの自分への反省をも込めて、私なりの思いを伝えたかったからであります。
私には、ずっと数十年にわたるよき宝物と言える友達が2人おりました。
その1人は、申すまでもなく、前紀の川市長の中村愼司であります。志半ばで3年半ほど前に急逝されました。紀の川市民にはカリスマ的な、親分肌の絶対的な人気の市長でありました。私は、日本一の市長だと皆さんにも言ったことも何度もあります。
もう一人は、言うまでもありません。岸本周平さんであります。先ほど申し上げましたように、30年、40年前から、私と中村愼司と岸本周平さんが仲よくしてくれた本当に信頼の置ける仲間でありましたが、志半ばで岸本周平さんが天国へ召されることになりました。
このお2人のことを思うだけで、私の胸は複雑に高ぶって、後々質問させていただきますが、ちょっと前後して頭がくるくるするかも分かりませんが、その中に不適切な発言もあるかも分かりませんが、お許しをいただいて、私なりに質問させていただきたいと思います。
後悔先に立たずとよく言われますが、本当に後悔が先に立ちませんでした。2か月余りたった今でも、そのときのことをどうして対処できなかったのか。どうして気づくまで誰も知らなかったのか。1分1秒でも早く発見できていれば、こんな結果にはならなかったのではないかと悔しくて悔しくて仕方がありません。
県行政をつかさどるトップである知事、公僕である知事が不在の事態となったこの一大事。和歌山県のために、その間、宮﨑知事が就任されるまでの約1か月半を取り戻すために、宮﨑知事を先頭に、県職員一丸となって県行政に奮闘されたことに、心から一議員として感謝いたします。
改めて、知事の危機管理の体制についてお伺いいたします。
そもそも、知事の危機管理体制がどうあるべきかを考えなければなりません。そのときでなく、今回の出来事を教訓として、今、知事に対する危機管理体制のガバナンスを確立すべきであると強く思っております。
ここで質問ですが、なぜ、岸本前知事の体調異変を、午前10時とされていますが、午前10時まで発見できなかったのか。その対処の遅れがどうなっているのか、知事室長に御答弁をお願いしたいと思います。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事室長北廣理人君。
〔北廣理人君、登壇〕
○知事室長(北廣理人君) 岸本前知事は、その職務を日々精力的かつ活動的に遂行しておられました。そのような中での岸本前知事の急逝は、いまだに信じられない出来事であり、我々職員にとりまして痛恨の極みでございます。
知事の危機管理体制として、従来から非常時の連絡体制や警備体制を整備しておりましたが、知事の公務終了時間から次の開始時間までの体調急変を把握する体制までは整備できていなかったことが原因であったと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 山田正彦君。
〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 私の日頃からの親しい市長さんが、市長という立場は、雨が少し強く降れば、あの低い土地の水はけは大丈夫か、あるいは風が少し強く降れば、どっかの屋根の瓦が飛ばないか、そういうことを24時間、気の休まるときがないと、よくつぶやいておりました。
知事というのは、和歌山県に30市町村ありますから、つまり30倍のプレッシャーがかかっているはずなんです。それを思うと、想像するに余りあるほどの大変な地位であります。まして、岸本周平さんという前知事は、公務においても自分個人で対応できることは自分で対処して、知事室の秘書の皆さん方に必要以上に負担はかけないと常に思っている、そういう性格の方でありました。
そこで質問ですが、今後、同様の事態を繰り返さないためにも、知事の危機管理について、議会からも注文がつけられるような強い危機管理体制の構築を期待するんですが、その対策を知事室長にお尋ねいたします。よろしくお願いします。
○議長(岩田弘彦君) 知事室長。
〔北廣理人君、登壇〕
○知事室長(北廣理人君) 知事の危機管理体制につきましては、従来からの非常時の連絡体制や警備体制に加えまして、公務終了以降における体調の急変を把握する民間サービスを活用するなどの対策を講じ、一層強固な危機管理体制の整備を図ってまいります。
また、議員御質問の趣旨をしっかりと踏まえた上で、連続勤務の制限や定期的な健康診断の受診など、知事の健康管理上の留意すべき点をルール化し、そして厳格にそれを運用してまいりたいと考えてございます。
○議長(岩田弘彦君) 山田正彦君。
〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 そこで、宮﨑知事は、公人として自分自身の危機管理についてどのようにお考えになっておられるか。ぜひ、県民の皆さん、あるいは私たちも含めた県職員の皆さんにも安心を与えられるような対応をぜひ取っていただきたいと思いますが、そのお考えをお聞かせください。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 知事自身の危機管理ということでお答えをいたします。
知事の職責がどれだけ重く厳しいものであるかは、これまで一職員として間近で知事を補佐してきた経験から、十分承知しているところです。さらに、6月1日就任以来、まだ3週間少しですが、重々その重さを感じているところであります。
知事という職責を果たしていくためには、まず第一に、健康に留意し、しっかりと体調管理をすることが大事であると考えています。また、日程などについても秘書課等と十分に調整し、無理のない範囲で職責を遂行してまいる所存であります。
よく県民の皆様から、体だけは気をつけてくださいねというふうに言われます。これらのお言葉を岸本前知事からの贈物、そして、宝物としてしっかり頭に焼き付けてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 山田正彦君。
〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 私なりにこの近隣の地域の危機管理体制について少し調査していただきました。例えば、滋賀県から京都、大阪府、兵庫、奈良、福井、三重、徳島、鳥取というような知事さんの状況を考えますと、これはいろいろ危機管理のこともあって、まるっきり公表はできませんが、ほとんどの知事さんは自宅にいらっしゃいます。そうして、同居される方も家族がいらっしゃいます。よっぽどない人、例えば京都のことを申し上げますと、マンションを公舎にして借りているらしいのですけど、そこの同じところに、やっぱり知事室長が一緒にいるとか。
とにかく、前にも言ったように、知事という立場であれば、24時間頭の中が休まるときがないと。これは、もう知事として覚悟していただかないと仕方ないんですが、逆に言えば、24時間監視できるような体制であるべきだと思います。プライベートのことは、今回、知事を辞めたらゆっくりしてくれたらいいですから。知事である以上は、そのぐらいの覚悟を持っていただかないと危機管理ができません。
そういう意味で、危機管理を、それに対応する必要がある。1人になりたいときもあるでしょうけれども、1人の時間も必要でしょうけれども、できるだけ独りぼっち、岸本さんのような二の舞を踏まないで、できるだけ独りぼっちになるようなことのないように心がけていただきたいなあ、そう思っています。
私もこれを質問するにつけて、いろいろプライバシーの関係から、あるいは警備の関係から、細かくもっといろいろ突っ込んだ話をしたかったんですけど、私の思いの本当に一部を御質問させていただきました。
言いたいことの半分以下ですし、聞きたかったことも半分ぐらいしか聞けませんけども、重ねて申し上げますが、知事という職業の本人の覚悟も大変ですけど、県民の皆さんの期待を一身に集めている知事でありますから、くれぐれも今後のためにも力強いガバナンスというか、県議会としても注文をつけるぐらいの厳しいガバナンスをつくったほうがいいのではないかなということを強く申し上げて、無事に何もないことを祈って、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、山田正彦君の質問が終了いたしました。
お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岩田弘彦君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
配付しております議案付託表のとおり、議案第102号から議案第114号までを所管の常任委員会に付託いたします。
お諮りいたします。6月24日及び25日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(岩田弘彦君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
次会は、6月26日定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後1時45分散会