令和7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
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令和7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号
議事日程 第4号
令和7年6月19日(木曜日)
午前10時開議
第1 議案第102号から議案第114号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第102号から議案第114号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(42人)
1番 高田英亮
2番 上山寿示
3番 佐藤武治
4番 鈴木德久
5番 森 礼子
6番 濱口太史
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
9番 玄素彰人
10番 山家敏宏
11番 鈴木太雄
12番 岩田弘彦
13番 吉井和視
14番 中村裕一
15番 北山慎一
16番 坂本佳隆
17番 中本浩精
18番 堀 龍雄
19番 新島 雄
20番 山下直也
21番 三栖拓也
22番 川畑哲哉
23番 秋月史成
24番 谷口和樹
25番 山田正彦
26番 坂本 登
27番 岩永淳志
28番 小川浩樹
29番 中尾友紀
30番 岩井弘次
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 尾﨑太郎
34番 藤山将材
35番 小西政宏
36番 浦平美博
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 谷 洋一
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 宮﨑 泉
理事 山本祥生
知事室長 北廣理人
総務部長 友井泰範
危機管理部長 中村吉良
企画部長 北村 香
地域振興部長 赤坂武彦
環境生活部長 湯川 学
共生社会推進部長 島本由美
福祉保健部長 𠮷野裕也
商工労働部長 中場 毅
農林水産部長 川尾尚史
県土整備部長 福本仁志
会計管理者 高橋博之
教育長 今西宏行
公安委員会委員長 竹山早穗
警察本部長 野本靖之
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 森田康友
選挙管理委員会委員長 和歌哲也
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 中嶋 宏
次長 橋爪正樹
議事課長 岩井紀生
議事課副課長 田中 匠
議事課議事班長 川原清晃
議事課主査 川崎競平
議事課副主査 西 智生
議事課副主査 林 貞男
総務課長 榊 建二
政策調査課長 岩谷隆哉
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午前10時0分開議
○議長(岩田弘彦君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第102号から議案第114号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
16番坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕(拍手)
○坂本佳隆君 皆さん、おはようございます。
令和7年6月定例会一般質問の2日目、1番目の登壇の機会を与えていただきました先輩・同僚議員に感謝を申し上げたいと思います。
議長のお許しをいただきましたので、質問に入らしていただきたいと存じますが、その前に少しお時間をいただきたいと思います。
さきの2月定例会では、この議場に岸本周平さんは県知事として出席をされ、私たちと共に県政の未来について語り合っておられました。それから僅か3か月後のこの6月定例会に、こうして追悼の言葉を述べることになるなんて思いもしませんでした。今もこの議場のどこかで私たちの議論を聞いているような気がしてなりません。すばらしい和歌山県のリーダーでした。誰一人取り残さない社会を本気で目指しておられました。短い在任期間ではございましたが、岸本周平さんの県政にかけた思い、子供たちの未来のために和歌山の可能性を信じて走り抜けられたその姿を決して忘れることはありません。改めて心から御冥福をお祈りいたします。
時間というのは本当に無情で、1分1秒も止まることなく流れていきます。県政の歩みも待ってはくれません。そんな中、勇気を持って知事選挙に立候補し、県民の負託を受けて、今回新たに和歌山県知事に就任をされた宮﨑泉知事に改めて心よりお祝いを申し上げます。おめでとうございます。
初めての選挙戦ということで大変だったかと思いますが、県内各市町を選挙カーで回られたことで、この地域では何が起きているか、どんな暮らしがあるのかを肌で感じられたのではないでしょうか。
宮﨑知事は、これまで長年にわたり、和歌山県政に深く関わり、その豊富な経験と誠実なお人柄をもって岸本前知事の遺志を継ぎつつも、さらに新たな時代を切り開く力強いリーダーシップを発揮されることを県民の皆さんと共に大いに期待を寄せております。私たち議会も、今後の県勢運営において、知事との建設的な対話と協力を重ね、共に歩んでまいりたいと思います。
それでは、通告の質問項目に従い、一般質問を進めていきたいと思います。
まず、項目1、産婦人科医の不足と地域医療体制の強化についてであります。
産婦人科医療の地域偏在と医師不足、特に那賀医療圏における深刻な現状について、県の責任ある対応と今後の対策を伺ってまいります。
厚生労働省が6月の4日に発表した2024年の人口動態統計では、2024年の出生数が初めて70万人を割り込み、過去最低を更新したニュースは新聞各紙が1面に取り上げました。出生数の減少は、とりわけ地方で顕著になり、本県でも前年より444人減の4457人、合計特殊出生率も前年比0.09ポイント減の1.24で過去最低を更新しました。
人口減少と高齢化が進む本県において、安心をして子供を産み育てられる環境を整備することは、地域の持続可能性を左右する喫緊の課題です。しかし、現実には、地域医療を担う医師、特に産婦人科医の確保が困難な状況にあり、県民の命と健康が脅かされています。
まず、那賀圏域における産婦人科医療の現状について確認をいたします。
令和2年9月末をもって公立那賀病院の分娩機能が休止をされ、同年12月には紀の川市内の唯一の産科が閉院をしました。これにより、那賀医療圏には分娩可能な医療機関が一つもなくなり、住民は出産のために隣接する和歌山市や橋本市まで長距離を移動しなければならない状況が続いています。
実際、紀の川市の妊婦は、和歌山市や橋本市の産科を受診しており、約3分の1程度の方が20キロ以上の距離を通院しているとの報告があります。特に冬季や災害時、また交通手段に制約のある高齢者世帯や単身妊婦にとっては、こうした環境は大きな負担であり、母体にも胎児にもリスクを与える事態です。
本来、分娩を扱う医療機関は、居住地からおおむね30分圏内に確保されるべきであり、産婦人科医療の空白地域が生まれていることは、地域医療政策の根幹が問われる問題であります。
現在、和歌山県では、第八次和歌山県保健医療計画に基づき、七つの二次保健医療圏域が設定をされ、この医療圏を基礎とした地域医療提供体制が進められていますが、周産期医療については、医療機関数や医療従事者数、地域の交通事情などを加味し、那賀については和歌山、有田と合わせて一つの周産期医療圏とされています。
しかし、那賀と和歌山、有田では、地理的条件、人口構成、医療資源の分布に大きな差があり、実質的には医療圏域内に分娩可能な施設が存在しない状態であるという現実に対し、この周産期医療圏の設定が実態を反映していないのではないかと疑問を抱かざるを得ません。地域実情に即した柔軟な医療圏再編や、より小規模な圏域での医療資源確保に向けた特例的な制度運用を厚生労働省と連携をして実現すべきではないでしょうか。
和歌山県において、医師の地域偏在是正に向けて医師確保対策は講じられてきました。しかしながら、現在においても那賀医療圏での産科医の確保は進まず、分娩取扱医師偏在指標においても、和歌山県の値は全国平均を下回っています。具体的には、那賀圏域を含む県北部の指標値は10.5と全国水準と同水準とはいえ、橋本圏8.3、新宮圏8.8では全国を下回っており、地域差が顕著であります。
妊娠・出産は人生の中でも極めて重要で繊細な出来事です。妊婦さんが何かあったときにすぐに駆け込める病院がないという不安の中で過ごさなければならない現状は、看過できない問題です。
もちろん和歌山市や橋本市などに出向けば産婦人科は存在をします。しかし、通院に片道30分から1時間を要するような状況では、妊婦健診を受けるにも大きな負担を伴い、いざというときには命に関わることにもなりかねません。
これは単なる不便さの問題ではなく、地域の安心と命に関わるインフラが欠落している状態であると言わざるを得ません。
知事は、こどもまんなか和歌山の実現を掲げ、子育て支援、教育支援、各種手当の充実に積極的に取り組んでおられます。その姿勢に私も大いに共感をしており、高く評価をするところであります。
しかし、あえて申し上げますと、こどもまんなか和歌山の実現には、その前提として、まず子供を安心して産める地域環境が必要なのではないでしょうか。
子供を産むことすら困難な地域において、どれほど育児支援や教育支援が充実していても、根本的な少子高齢化対策にはなりません。若い世代がこの地域では出産が不安と感じれば他地域への転出が進み、ますます地域の活力が失われる悪循環に陥ってしまいます。
この問題の背景には、全国的な産婦人科医の不足、そして産婦人科という診療科自体が多くのリスクや負担を抱えているという実情があります。分娩には常に緊急対応のリスクが伴い、訴訟リスクや長時間勤務、夜間対応など、非常に苛酷な労働環境が医師側の敬遠理由となっています。
そのような中でも、紀の川市では、上限1億円の補助金を用意し、産婦人科の誘致を進めてまいりました。しかしながら、これまでのところ、開業の希望者は現れておらず、依然として産婦人科の空白状態が続いています。
ここで問いたいのは、だからといって、県として何も対策を講じないでいいのでしょうかということです。
自治体が単独で動くには限界があります。今こそ、県として広域的視点に立ち、医師確保のための明確な戦略と支援策を打ち出す必要があるのではないでしょうか。
そこで、一つ目、分娩取扱病院や診療所のない地域に対する県としての認識についてお伺いをいたします。
まず、紀の川市や岩出市のように、人口10万人規模の地域に産婦人科が一つもないという事態について、県としてどのように認識をされているのかをお伺いいたします。
また、市独自の取組といたしまして、紀の川市では、岸本市長がリーダーシップを発揮され、令和5年度から産科医新規開設に向けての最大1億円の補助制度を創設し、法人への支援を行っております。しかし、現時点では応募がなく、県としても財政的、制度的な後押しが必要であると考えます。
市町村の取組と連携した補助制度の拡充、あるいは産科・小児科誘致に係る広域的な医療インセンティブの再設計が必要ではないかと考えます。
県としまして、保健医療計画の中でこのような地域についてどのような認識をお持ちですか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
福祉保健部長𠮷野裕也君。
〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 県といたしましては、県内どこに住んでいても、安心して出産できる環境が整っていることが理想であると考えております。しかしながら、産科の確立のためには、産科医の確保、とりわけ分娩リスクに対応できる責任者レベルの産科医の確保が必要となり、その確保は非常に困難な状況にあると認識しております。
那賀地域については、ハイリスク分娩や通常分娩に対応できる医療機関が複数存在する和歌山医療圏に隣接していることから、和歌山と那賀を一つの周産期医療圏に設定することにより、安全で質の高い分娩に配慮した体制としたところです。
県としましては、設定した周産期医療圏を維持できるよう、産科医の確保や養成に取り組んでまいります。
○議長(岩田弘彦君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁いただきました。
和歌山県における産婦人科医療体制の確保については、限られた医療資源の中で、県立医大との連携や周産期の拠点整備など、現実に即した対応を講じておられることに対しては一定の評価をいたしたいと思います。
しかしながら、現実といたしまして、県内には分娩を取り扱う医療機関が存在しない地域、まさしく那賀医療圏でございますが、そこに暮らす妊産婦や家族は、大きな不安を抱えながら妊婦出産期を過ごしているのが実情でございます。地域に住む住民にとって、単に医療圏ごとにセンターがあるという説明だけでは安心して妊婦出産に挑むことは不十分だと思っております。
そこで、次の産婦人科医確保に向けた県独自の施策について質問を進めたいと思います。
市町村単位で補助金を出すだけでは限界があります。例えば県が主導する医師確保プロジェクトの創設、大学病院との連携強化による派遣制度の整備など、県がより積極的に関与する施策が求められます。
また、地域医療は人が人を支える営みであり、医師の長期的な定着には、生活環境や教育機会、家族への配慮など、包括的なサポート体制が求められます。
さらに、今後の持続可能な体制を構築するためには、産婦人科専門医を目指す医学生の育成プログラム、さらには分娩取扱医師への診療報酬上の加算措置による報酬増の提案など、県として国に働きかける姿勢も必要ではないでしょうか。
県として、今後の産婦人科医師確保の方向性をどのように考えているのか、お伺いをいたします。
○議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長。
〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 本県では、産科医の確保に向け、県立医大における産科指定の入学枠の設置や、産科を専攻する医師に対する返還免除付き研修資金貸与制度の活用などにより産科医の育成を図るとともに、内科派遣が原則である地域医療枠卒業医師を産科医として地域の公立・公的病院に派遣するなど、様々な対策を講じているところであり、県内における若手の産科医は徐々に増えつつあります。
また、分娩取扱医師への支援として、手当を支給する医療機関に対して県から補助を行うことで、医師の処遇改善を図っています。
県としましては、引き続きこうした対策に取り組むことで、産科医の総数を確保するとともに、地域の診療体制の強化を図ってまいります。
○議長(岩田弘彦君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
県独自の人材育成確保策として、今、答弁にもございました返還免除付奨学金、産科指定の入学枠設置などを講じている点は非常に評価をさせていただきます。特に地域枠医師を産婦人科に誘導するという取組は、長期的な視点では有効だと思いますが、ただそれと同時に、産婦人科医が希望されにくい理由の的確な把握、例えば激務、訴訟リスク、夜勤等への根本対応など、医師数の確保だけでなく、勤務の持続可能性、やりがいの保障が今後のポイントになってくるものと思いますので、そのあたりの対策も併せてお願いをいたしたいと思います。
次に、妊産婦への移動支援や遠隔医療活用などの現実的な支援策についてであります。
るる現状を認識させていただいた中で、目の前の実質的な支援ということで、産婦人科医の確保と同時に、現在出産を控えている妊婦の方々が安全に通院・出産できるような支援策も不可欠だと思います。例えば、妊産婦専用の交通支援制度、助産師による定期訪問の強化、遠隔診療・相談の体制整備なども現実的な選択肢として検討すべきではないかと考えます。これらについての県の対応や今後の検討状況をお伺いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長。
〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 限りある医療資源を有効に活用するためには、医療提供者側だけでなく、医療を受ける妊産婦への支援も必要であるとの認識の下、2024年度から国庫補助を活用し、妊産婦アクセス支援事業に取り組んでいるところです。
本事業は、遠方の分娩医療機関に通わざるを得ず、精神的不安や経済的負担となっている妊産婦が、健診や出産時に必要となる交通費や宿泊費を市町村と一緒に支援するものであり、引き続き、どこに住んでいても安全・安心に妊娠・出産ができ、適切な医療や保健サービスが受けられる環境を整備してまいります。
また、遠隔外来や遠隔ICUなど、ICT技術を活用した遠隔医療の取組を行っており、今後、周産期医療についてICTを活用した取組が可能かどうか、研究していきたいと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
今回の質問の答弁をいただきまして、県としての理想と現実のギャップを正直に認識しておられる点については共通認識できていると思いました。特に医療圏ごとの拠点整備、周産期医療センターによる機能分担は、現状の医師不足下では妥当な戦略だと理解をいたします。
県内どこに住んでいても出産できる環境が理想と申しながら、県内全ての地域に分娩可能な病院を確保することは困難という現実があります。これを回避するためには、御答弁にもございました拠点病院と交通アクセス支援や医師不足地域での助産師、保健師の巡回健診の強化など、日常的なフォロー体制が確保されてこそ、まさにどこに住んでいても出産できる環境と言えるのではないかと思います。
今後も現場の実情に即したきめ細やかな取組を重ねていただき、本日提起いたしました那賀医療圏における産婦人科医療の空白の解消に向けて、県としてより一層のリーダーシップと柔軟な制度設計をお願いし、次の質問に移ります。
項目2、二地域居住の推進についてであります。
近年、我が国では、少子高齢化や人口減少に伴う地方の過疎化が深刻さを増しています。こうした課題に対応する新たな視点として注目されているのが、二地域居住や多拠点生活といった柔軟な暮らし方であります。これは、都市部に生活拠点を置きながら、地方にもう一つの拠点を持ち、継続的な関わりを持つというライフスタイルで、移住でも定住でもない第3の選択肢として注目を集めています。
これまでの移住・定住による人口増加施策だけでは対応が困難な状況にある中、新たな視点として注目されているのが関係人口や二地域居住といった多様な地域との関わり方を生かすアプローチであります。
また、コロナ禍を契機にテレワークが一気に普及をし、働く場所、住む場所の自由度が高まったこともあり、地方との関わり方の多様化が加速をしました。
こうした中、国においてもこの動きを後押しするため、広域的地域活性化のための基盤整備法が令和6年5月に改正をされ、特定居住促進計画の制度創設や特定居住支援法人制度など、二地域居住を本格的に推進する枠組みが整備をされました。この法改正により、都道府県が広域的な地域活性化基盤整備計画を策定し、市町村が特定居住促進計画を作成することで、空き家の活用やコワーキングスペースの整備、地域交通の実証などに対して補助金が優先的に配分されるようになりました。
また、2024年10月、全国二地域居住等促進官民連携プラットフォームも設置をされ、全国の自治体や企業が連携をして二地域居住の促進に取り組む体制が整備されました。このプラットフォームでは、交通費の負担軽減や子供の教育環境の整備など、二地域居住を促進するための課題や対応策が検討され、情報共有や先進事例の発信が進められています。
さらに政府は、このたび地方創生2.0の目玉政策としましてふるさと住民登録制度の創設を提起されました。これは、都市に生活の本拠地を置きながら地方にもう一つの居場所役割を持つ、いわゆる二地域居住や関係人口に対して住民的な権利や参加の仕組みを認め、移住・定住に至らなくとも地域との継続的な関係を持つ人々を増やしていこうとする新たな試みで、スマートフォンの専用アプリを通じ、出身地やゆかりのある自治体を登録する仕組みであります。政府は、今後10年でこのふるさと住民の登録者数を1000万人にするという数値目標を掲げています。
このような国の構想を踏まえ、和歌山県といたしましても、この構想を単なる国の制度にとどめるのではなく、本県の実情や可能性を踏まえ積極的に活用、展開をし、新たな地域との関係人口時代への準備を加速させるべきと考えます。
和歌山県では、これまでも移住促進に積極的に取り組み、全国でも高い評価を得てまいりました。特に、豊かな自然や温暖な気候、生活コストの安さ、そして関西圏への交通アクセスのよさを背景に、多くの都市住民から注目をされています。実際、県内全域で地域おこし協力隊やUIターン人材が一定の成果を上げております。
しかし、一方で、定住に至らない関係人口や二地域居住者の受入れにおいては、空き家のマッチングの難しさや地域コミュニティーとの接続支援、自治体サービスとの関係整理といったまだまだ制度的、実務的な課題が多く残っているのが現実です。
このように、二地域居住をめぐる制度環境や社会的関心はかつてない高まりを見せており、本県としてもこの潮流を的確に捉え、政策として具体化していくことが求められます。
そこで、和歌山県の今後の取組について、3点ほど御見解を伺っていきたいと思います。
まず、一つ目、ふるさと住民登録制度への対応についてであります。
政府が打ち出したふるさと住民制度への和歌山県の対応について、この制度は、都市部に暮らす人々が出身地やゆかりのある地方自治体にふるさと住民として登録をし、地域活動やボランティア、情報受発信などを通じて継続的に関わることを促進する仕組みであります。地域としても、将来の移住候補者、応援団として位置づけることが可能となり、関係人口の可視化、蓄積にもつながります。
和歌山県には、県外移住で本県にゆかりのある方や旅行、ワーケーションを通じて本県に関心を持ってくださった方々が多くいらっしゃいます。これらの方々と持続的な関係づくりを制度的に進める上で、ふるさと住民登録制度は有効な手段であると考えます。
そこで、お伺いをいたします。
制度創設前ではありますが、和歌山県として、この制度にどのように対応されていくのか、地域振興部長に御所見を伺いたいと思います。
○議長(岩田弘彦君) 地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) ふるさと住民登録制度は、関係人口の地域との関わりが可視化できることで、きめ細やかなサービスの提供や効果的な情報発信において有効な手段であり、登録者の地域への愛着や関係性の深化につながると考えます。
県としましては、市町村と情報を共有しながら、引き続き国の動向を注視するとともに、制度が導入された際には、本県にゆかりや関心のある方々に登録を働きかけてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
この構想は、2024年度まで10年間で取り組む施策をまとめたもので、経済や財政政策の大方針、いわゆる骨太の方針にも盛り込まれて、今月13日に閣議決定されました。2014年に策定した地方創生の総合戦略では、人口減少対策に主眼を置いておりましたが、今回は地方創生2.0として、人口減少を前提とした地域経済の成長を掲げています。この発想の転換は、日本の地方政策において大変注目すべき方向性と言われています。自治体側にとっても、この制度は大きなメリットをもたらす可能性があります。登録者に対して、イベントなどの情報を直接知らせることができ、ボランティア募集や地域活動への参加呼びかけなどで積極的に活用できると思います。
将来的には住民税の分割納税制度も検討されており、登録者が愛着を持つ地域に直接的な財政貢献ができる仕組みも視野に入れているようなので、今後の制度設計の詳細を注視していっていただきたいと思います。
続きまして、関係人口の拡大に向けた施策について、お伺いをいたします。
和歌山県にとって、移住・定住を促す取組はこれまでも進めてこられたと思いますが、定住というハードルが高い方々に対しても、観光、ワーケーション、農業・林業体験、保育園留学、大学のフィールドワーク、またスポーツ合宿や交流など、多様な関わりの入り口を用意し、関係性を深めていくことが重要であると思います。
また、都市部における本県のPR活動や首都圏、近畿圏での交流会、テレワーク施設やサテライトオフィスの整備支援などでも県外の人々に和歌山を知ってもらう絶好の機会であります。
加えて、地域と外部人材とのマッチング支援やリピーターの囲い込み、ふるさと納税との連動など、関係人口の継続性を高める工夫も必要であると考えます。
そこで、お伺いいたします。
和歌山県として、どのように関係人口の拡大に取り組まれているのか、地域振興部長にお伺いをいたします。
○議長(岩田弘彦君) 地域振興部長。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 関係人口は、居住地以外の地域に継続的に多様な形で関わる方々のことを指し、定住人口が減少する中におきましても、関係人口の拡大を図ることで、将来の担い手確保や経済活動を通じた地域のにぎわい創出につながると期待されています。
県では、これまで関係人口の拡大に向けた取組として、学生の力を借りたい地域の団体や個人と、地域活動に意欲があり、地域と関わりを持ちたい学生をつなぐマッチングサイトわかやまCREWの運営や、テレワークをしながら地域との交流を行うワーケーションの促進などの取組を行ってきたところです。
今年度は、地域貢献活動等に関心のある方々が、現地での活動情報を簡単に収集することができるよう、地域の活性化等に取り組むキーパーソンの活動を見える化し、両者をつなぐウェブサイトわかやまFUNBASEを構築することとしています。
さらに、首都圏での地域のキーパーソンに出会えるイベントを開催するなど、積極的に取り組んでいるところです。
○議長(岩田弘彦君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
様々なウェブサイトでの取組をしておるという御答弁をいただきました。それとまた、関係人口創出の先駆的な取組として、地域おこし協力隊制度があります。和歌山県でも各地域で多数の地域おこし協力隊の方々が積極的に活動していただいていると伺っておりますが、地域おこし協力隊の任期後の地域定着に向けた支援も必要となってくるんではないかと思います。
関係人口となることの具体的なメリットや魅力を明確に示すことが重要で、拡大の先には受入れ体制整備も重要な課題だと思いますので、一つ先を想定した取組もお願いして、次の質問に進みます。
最後、3点目の質問です。
二地域居住の促進に向けた意義や今後の方針について伺います。
国土交通省では、市町村が特定居住促進計画を策定した場合、国の支援を受けやすくする仕組みとして、官民が連携をして二地域居住を促進するモデル実証事業への財政支援なども行っており、地方にとっては大きなチャンスです。
県としては、市町村がこうした制度に円滑に対応できるよう伴走支援を行い、さらに広域的な視点での受皿づくり、情報共有を行うなどの主導的役割が求められると考えます。
知事は、所信表明で四つの政策の柱を表明されました。第4の柱、「住みよい和歌山、住みたくなる和歌山をめざす」という取組の中で、和歌山の宝ともいうべき地域資源を積極的に活用しながら、二地域居住など、関係人口づくりを進め、地域の魅力を高めていくと述べられております。
そこで、知事にお伺いをいたします。
和歌山県として、今後、どのような方針で二地域居住を促進していくのか、その意義と併せて方針をお伺いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 坂本佳隆議員からの県として二地域居住等を促進する意義や今後の方針についての御質問ですので、お答えをいたしたいと思います。
関係人口の中でも特に地域への関与が強い二地域居住は、個人の多様なライフスタイルの実現によるウエルビーイングの向上に加え、新たな担い手の確保、スキルや経験を持つ人材とのマッチングにより、地域活性化や魅力的な地域づくりにつながると考えています。
そうした中、本県では、設立当初から全国二地域居住等促進官民連携プラットフォームに参画し、二地域居住促進のための課題解決に向けた検討をし、民間事業者と連携を進めております。
今年度におきましては、市町村と共に特定居住促進計画策定を進める一方で、国が実施するモデル事業において、民間事業者と市町とコンソーシアムを組み、和歌山では貴志川線沿線の空き家を利用した二地域居住の調査・検討事業を、また田辺市、白浜町、すさみ町において、熊野白浜リゾート空港を活用した交通費負担軽減プロジェクトを実施いたします。
県としましては、国の動向やコロナ禍以降の地方移住の促進や二地域居住に対する関心が高まっていることを好機と捉え、引き続き県、市町村、民間事業者一体で二地域居住等の普及促進に積極的に取り組んでいくとともに、未来に希望を持って、笑顔で暮らせる持続可能な地域づくりを進めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をありがとうございます。
和歌山県には、豊かな自然、歴史、文化、そして何より地域の人々の温かさというほかにはない強みがあると思います。都市と地方のかけ橋となるような関係人口の受入れ体制や、官民が連携をした二地域居住を後押しする支援策を戦略的に展開することで、和歌山の未来はさらに開かれていくものと確信をしております。
県当局におかれましては、国の制度や支援を最大限活用しながら、実効性のある施策を進めていただきますよう申し添えて、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、坂本佳隆君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
39番片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、一般質問を行います。
1点目、教育委員会や教師へのカスタマーハラスメント対策についてであります。
令和7年度予算、カスタマーハラスメント対策として、本庁及び振興局等の電話交換機に有用な通話録音及びアナウンス機能を実装する、この取組があります。
県としても、理不尽なカスタマーハラスメントから県職員を守るために外線電話を録音する。民間企業でよくあるような「サービス向上のために録音させていただきます」、こんなアナウンスだと思います。昨日、ある市役所に電話をすると、早速録音されまして、役所でも導入しているところがあります。
録音機能を持たせることで、場合によっては、1時間も2時間も粘られて電話を対応する、こういった職員さんを何とか救済できないだろうかということなので、ぜひ実施すべきことだと思っております。
ところが、予算を見ると、教育委員会や学校などには対応していないようです。教育現場でもこういったハラスメントが起きているので、教育委員会、あるいは同委員会が所管する現場、そして教師を守るためにも学校の電話交換機に通話録音とアナウンス機能を実装すべきだというふうに思います。ただでさえ教師の業務が忙しく、そこに長時間の電話対応に時間を割かれていては、肝腎の授業にも支障が出ますし、繰り返しの対応には精神的にもきついものがあります。
また、教師の中にはコミュニケーションに慣れていない方もいらっしゃいますから、電話の場合、初期対応を間違えると、その後の苦情につながることがあります。コミュニケーション不足で問題に発展することもあるわけなんですけども、きちんと初期対応さえできれば、ハラスメントを防げるということもありますので、この学校教育現場でのカスタマーハラスメント対応の仕組みを検討すべきではないかというふうに思います。
そこで質問です。
教育委員会、同委員会が所管する現場、そして教師を守るためにも、電話交換機に通話録音とアナウンス機能を実装すべきだと思いますが、教育長の答弁をお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
教育長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 通話録音とアナウンス機能については、知事部局同様、教育委員会事務局へ今年度中に実装する予定ですが、県立学校については、現在のところ未定となっております。それは、学校にとって保護者や地域住民からの意見や要望は、質の高い教育を進める上で大変重要だと考えているからです。
そのため、全ての教職員が経験の多寡にかかわらず、意見等の趣旨を正しく聞き取ることができるように、学校への意見や要望等への対応ハンドブックを作成し、今年度から教職員の電話対応や保護者面談等における傾聴スキルを高める取組を進めているところです。
今後、このような取組の検証を行いながら、県立学校への通話録音とアナウンス機能の実装の要否について研究してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁をいただきまして、学校現場もこの問題があって、結構回ってきたつもりなんですけども、議論できたら本当にいいんですけど、議論にならないような申入れというんでしょうか、そういうことが結構多いんですね。そういった学校現場のハラスメントの実態は、思っていたよりもひどいものがありまして、ばり雑言を浴びせられて心を痛めている教師が多数いるようであります。
これ、いろんなコメント、言葉はあるんですけど、その一例をちょっとこれ、和歌山弁の言葉でいくんで、そのままいきますね。「謝罪の気持ちが見えへんのじゃ、視界に現れんな、一生覚えとくぞ、おまえも覚えとけ」とか、こういったことを言われているんですね。これで心が折れてしまうような教師もいらっしゃいますし、それでも病院へ行きながら、しっかりと子供たちのためにということで自分を奮い立たせて、授業に、教壇に立っている先生がたくさんいるんですよね。そういう実態を見ると、本当にこれ、何とか守っていかなければ、子供の教育に本当に支障があると思いますし、教師自身も精神的に、昨日も同僚議員の質問で休まれている先生のこともありましたけども、そういったことがこれからも出てこようかと思いますので、しっかりとこれ、守ってほしいなと思うんですね、この電話機も含めて。
これらはハラスメントのほんの一部だと思っていますが、教師をハラスメントから守るための取組とか仕組み、こういったものについて、教育長にお尋ねいたします。
○議長(岩田弘彦君) 教育長。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 各県立学校においては、課題解決が困難な事案には、教職員一人で抱え込まず、組織として対応する仕組みづくりに従来から取り組んでいます。
しかしながら、近年、議員御指摘のように、教職員を追い詰めるような過剰な発言が増加しております。
そこで、教育委員会では、カスタマーハラスメント対応マニュアルを作成し、カスタマーハラスメントの定義をはじめ、対応における留意点等を示し、今年度から対策を進めております。さらに、第三者の立場で法的な視点からの助言が得られるスクールロイヤー制度も導入いたしました。
今後とも、教職員をカスタマーハラスメントから守るための取組に努めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁いただきまして、学校は本当にたくさんのこういったハラスメントがありまして、例えば本当に法曹を入れなければ対応できなかった問題等も結構あるわけなんですよね。それをこういった法曹を入れる制度というのも設けていただくことは心強いというふうに思いますので、先ほどの電話機と併せて、ぜひ実現、実行できるようにお願いしたいと思います。
それでは、2問目、行かしていただきます。
今年2月議会、先輩・同僚3名の議員から統合型リゾートについての質問がありまして、おや、これがどういうことになっているのかなというふうなことを思っていた矢先に、令和7年、今年の5月6日、北海道新聞が報道した記事があります。その一部を引用しながら、今どんなことになっているのかなということの質問を行いたいと思います。
この新聞、5月6日付の新聞の見出しは、「IR候補再選定、年内着手 政府方針 北海道・東京が関心 2027年末にも最大2か所」こんな見出しだったんですね。この記事の一部、ちょっと引用させてもらいます。
政府は、統合型リゾートについて、先月下旬──これ5月6日ですから4月ということですが──着工した大阪府に次ぐ第2の候補地の選定に、年内にも本格的に着手する方針を固めた。政府が昨年11月に非公式に各地方自治体に意向調査を行ったところ、2019年に認定申請を見送った北海道を含む複数の都道県が「関心あり」と回答していたことも判明。法令では国内に3か所整備でき、政府は当初予定を前倒しして2027年末にも最大で残る2か所の区域選定を目指していると、この記事があったんですね。ちょっと驚きました。
つまり政府は、令和4年4月28日の申請に係る審査は終了したものの、国内で最大3か所のIRを整備できる規定としていることから、現在においても引き続きIRに係る事前協議を受け付け、都道府県に門戸を開いていると、こういうことです。このことは、和歌山県や観光庁に確認すれば分かるのかなというふうには実は思っております。
そして、昨年11月、全国の都道府県と政令都市を対象に意向調査というのが行われているんですね。申請を主眼に準備を進めている地方自治体を把握するために行い、公表はしていませんが、見出しによると、北海道、東京が関心ありと答えているようです。
政府は、既に申請を志している複数の地方自治体と具体的な質疑を始めており、その上で、各自治体が申請に向けた準備を進め、政府は2026年に適宜自治体からの申請受付を開始、2027年末にも区域認定をするスケジュールを描いていると。そのため、政府は7月の参議院選後、各地方自治体において、最終意思確認を含めたヒアリングを行う考えだというものです。
今後のスケジュールに関して、観光庁がこんなコメントを出しております。自治体の動向は注視していると述べるにとどめていますが、何らかの動きがあるように思います。この記事に関しては、候補地がないのにこのような具体的な記事が出るとは考えにくいので、複数の自治体が何らかの事前協議は行っていると思ったほうが自然だと思います。
その一因として、令和6年11月9日、観光庁から和歌山県にもIRに関する状況把握のためのアンケートが届いていますが、アンケートは、これは都道府県と政令市に対して発信しているものであり、IRに関心があるかないかの設問でした。回答は、「はい」か「いいえ」の二者択一であり、回答期限は令和6年11月25日、和歌山県は関心ありで答えています。アンケートで関心ありと答えた自治体は、観光庁より順次ヒアリングを受けており、和歌山県は12月24日、ヒアリングを受けております。
そこで質問です。
令和6年12月に観光庁とヒアリングした結果について、知事の御答弁をお願いします。
○議長(岩田弘彦君) 知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 統合型リゾートについての質問でございます。お答えしたいと思います。
昨年12月に行われた観光庁におけるヒアリングでは、同庁が同年11月に実施したIR整備に関心があるかないかのみを問うアンケートに本県から回答した内容のとおり、IRの整備に関心がある。ただし、国からの再公募があれば、IRの誘致の賛否についてはゼロベースから時間をかけて検討する方針であると答えております。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 観光庁は、関心のある自治体に事前相談に応じるとしているので、その後、観光庁との話合いは行われているのでしょうか。行われているとすれば、どんな内容になっているのか、知事、お答えください。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 昨年12月の観光庁によるヒアリング以降、本県から事前相談は行っておりません。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 令和6年11月25日、IRの整備に関心があるかないかを問うアンケート及び12月24日のヒアリングに関心がありと回答しているにもかかわらず、事前相談や質問を行っていないのはなぜなのでしょうか、知事の答弁をお願いします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 本県は、令和4年4月に区域整備計画の申請が県議会で否決された後も、引き続き他県の動向などIRに関する情報収集を継続して実施していることから、IRの整備に関心があると回答いたしました。
しかしながら、現状、IR誘致の是非については全く白紙の状態であり、観光庁に対して相談する内容がないためでございます。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、和歌山IRという計画が以前ありましたが、どう考えるのかということでちょっとおさらいをしたいと思います。
IRを導入する目的は、こんなことだと思います。これは政府が話をしていることなんですけども、一つは観光振興。観光客を増やし、観光立国への推進の一助とするよと。和歌山は、一つ適合しているのかなと。一つは地域経済の活性化。雇用創出と地元産業の振興、所得向上とともに税増収を図り、公共サービスや福祉財源を賄う。これも和歌山の課題にマッチしているのかなと。一つは、国際会議やエンターテインメント施設、ショッピングモールなどを統合した高度な観光拠点を形成するとともに、観光に資する地域消費額を増やすと、こんな目的もあります。例えば、eスポーツを振興する和歌山県にとったら、やっぱり箱物、スタジアムは必要ですから、こういったことにも関係してくるのかなというふうに実は思います。
さて、北海道新聞の報道のとおりであれば、意思決定までの時間は限られています。知事は、和歌山県が直面している課題、雇用増や産業振興、所得向上や税収増に資するであろう和歌山IRをどう考えるのか、お答えください。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) IRが県内に整備され、仮に大きな経済波及効果と雇用効果が発生すれば、本県経済の活性化につながる可能性はあると考えています。
一方で、ギャンブル依存症患者の増加や交通渋滞の発生、さらにIR関係以外の地域の産業における人材確保が難しくなるのではないかといった負の影響の可能性に対する根強い懸念があると認識をしております。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、答弁の中で先ほどいただいたゼロベースという言葉がありましたけど、これはどういう意味なのか、ちょっと解釈していただきたいと思います。
僕が聞いた感覚からすると、改めて初期検討からやり直すという意味なのでしょうか。
和歌山県は、少なくとも平成28年から令和4年までの約7年間の年月を要し、外部コンサルタント、法律事務所をはじめ、海外視察に至るまで、税金を億単位で費用として計上して使ってきている。予算を決算しているわけなんですが、そういった費用面も含め、また繰り返すということなのでしょうか、知事、お答えください。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、IRの誘致の是非について全く白紙の状態であるという意味でございます。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 次が、強い懸念という答弁でいただいたんですけども、令和4年度のIR申請の、これが通らなかった本因ですね。これはファイナンス計画の疑義の1点であったと思います。かなりの費用を投じて作成された過去の調査・検討資料並びに議事録では、十分検証された上での御見解が強い懸念なんでしょうか。
答弁で列挙されているような懸念は、そのとき十分対策案は議論されたのではないだろうかと判断しているわけなんですが、だからこそ、その結果を踏まえて、強い嫌疑というのがクリアできたよと、対策できるよということを踏まえた上で、最終的に区域整備計画案としての策定を定め、そこに対策案も県並び関係者と検討して織り込み、県民の皆さんも意見を諮るためにパブリックコメントもかけ、賛同を得たと理解しています。
それを踏まえて、そもそも論、この強い懸念とは一体誰の懸念なのか。県はどのような手法でこの懸案事項を把握、集計したのか、その根拠をお示しいただきたいと思います。知事の答弁をお願いします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 前回申請における手続の中で行った住民説明会やパブリックコメント等で、カジノを含むIR整備によって、ギャンブル依存症患者の増加や交通渋滞の発生などといった負の影響もあるのではないかという意見がございました。
仮に前回の候補地から変更した場合、交通渋滞の対策というのは一からということになりますし、人手不足対策というのは、近年の人口減少、それから物価高騰等のトレンドからより深刻化しているというふうに考えられます。
それから、また、IRに関してではございませんけれども、一部報道で見られるように、巨大な投資を伴う地方への企業進出によって急激な賃金上昇が引き起こされ、地域の他産業における人材の確保がより困難になることが懸念されている、そういった事例がございます。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁いただきました。
質問に対する、一体誰の懸念についてというのは理解できました。しかしながら、私の質問の趣旨が伝わっていないようなので、再度お尋ねします。
私の質問は、和歌山県は、平成28年から令和4年までの約7年間の年月を要し、外部コンサルタントや法律事務所をはじめ、海外視察に至るまで、税金を億単位で費用として当時重ねて議会で提示した疑念事項を協議、検討し、IR推進の結論に至り計画を進めてきた過去経緯があること、また住民説明会やパブリックコメントで反対意見が出されたことは当然の結果であり、その意見も踏まえて対策構築も図り、推進を決めたことに至ったこと、この2点だと思います。
ですから、私の質問は、一つ、時間とコストをかけて至った結論なのに、今なぜ結果的に少数であった反対意見に注視するのはなぜか。
二つ、その反対意見は、いただいた意見総数に対してどれぐらいの割合であったのか、これを尋ねていきたいと思います。
つまり、反対意見に注視するその根拠と理由をお示しいただきたいというものがあります。これ2点。
それから、もう一点、最後に奇妙な答弁があったんですけども、巨大な投資を伴う地方への企業進出は、急激な賃金上昇により、人手の確保がより困難云々という事例を示されましたが、これ、ちょっと意味がよく分かりません。企業進出して投資を受ける、地域に、和歌山県に投資を仮に受けることを懸念しているということを公言するものであって、産業を誘致しようと、民間投資を促すという中で、そういう懸念をしていたら、こんなもん和歌山県もそんなん要りませんよと公言しているようなものだと思いませんか。この答弁は、和歌山県の閉鎖性を示しているようなものだと思います。
また、国も地方自治体もどこも賃金上昇をうたっている中、賃金上昇は駄目だよ、地域経済に悪影響を及ぼすよ、こんな消極的な答弁というように映りますが、これも含めて3点、お願いします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 7年間かけて審議をしてきたというのは事実であります。その中で、先ほども申しましたように、パブリックコメント等でカジノを含むIR整備については、ギャンブル依存症、交通渋滞の発生といった負の遺産があるのではないかという意見があったということであります。
そして、さらに前回の候補地がそのまま候補地となるというふうにはなりませんので、そこでもまた交通渋滞の対策というのは一からしなければいけない。
それから、検討は全てゼロベースから始めなければいけないということであります。
それから、まず、この巨大投資というのは、熊本県のTSMCという台湾の半導体の企業の話なんですけれども、もう工場が誘致されまして、大変盛況であることは盛況であると思うんですが、他産業に対するあまりに影響が強過ぎるということがありますので、そういった懸念もございますという意味であります。
もう一点、ちょっとすみません。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 もう一点が、反対意見というのは、前回、僕も特別委員会の委員で、議論の中にはいたので、大体理解はしているつもりなんですけども、今言った交通渋滞であるとか依存症の話というのは、クリアしたということで議会に提案いただいたわけですよね。そこで、議会は多分ファイナンスのほうが心配だったということで、ああいう結果になったわけなんですけど、そういった意見というのは僕は少数だったというふうに思いますので、果たしてそれが強い懸念と言えるような、例えば8割や9割の方がそんな心配されていたのかどうか。その割合というのを答えてほしいと思います。
それから、もう一点、熊本のTSMCの事例だということを今、認識できました。ただ、熊本、それから北海道、こういった半導体を誘致している場所というのは、実は地価が上がっているんですよね。地価が上がっているということは、銀行融資を受けられる価値がある。地元にとったら銀行の融資を受けられて収益性が高くなるんですよ、土地の価値が高まると。融資を受けられる。そのお金が地域経済で使われる。商売もとか、そういった商店街もはやるという、こういうプラスの効果が実は生じているわけなんですね。決して中小企業、クラウディングアウトさしているわけじゃないですよ。それを強い懸念があって、和歌山県、半導体は要りませんよと、こんなんを言っているみたいな、企業誘致は受け入れませんよと、こう聞こえるんですけど、その点もいかがでしょうか。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 財政問題に関する件だけであるというふうにおっしゃっているんですけれども、そういうのではないのかなというふうに、ちゃんと聞いたわけではございませんのであれですけれども、ではないのかなというふうにも思いますので、その辺は懸念がありますということ。
それから、巨大投資に関することなんですけれども、それに関しては、もう懸念が確かにありますということを申し上げたまででございまして、それが原因で却下するとか拒否するとか、そういう意味ではございませんので、よろしくお願いします。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 そしたら、次が、和歌山県全般に与える効果というので、少し議論を進めたいと思います。
大阪IR、それから、駄目でしたけど長崎IR、そして、前回の和歌山IRのこの実施協定というのが実はありまして、「事業者は、本事業行政施策が本事業に寄与することを踏まえて、県が策定する本事業用地及びその周辺地域におけるインフラ整備その他の行政施策に係る協力を行わなければならない」と、こういう取決めがあったんですね。つまり県が策定し推進する行政施策の費用の一部負担の協力が示されていたんです。
つまり、インフラ整備や設備の改修、道路幅の拡幅などの費用の一部を事業者が負担することになっていますから、公共サービス材の改修と維持に事業者予算を投入することになることが想定されています。当然、和歌山県でも同様の負担が要件の一つになるというふうに考えています。
また、長崎県の当時の案では、長崎空港の発着陸を希望する航空会社が2桁社以上、これ、希望が来たんですね、実は。このように聞いております。和歌山県に置き換えると、この事業を推進すると、和歌山県全体の観光事業の活性にも実質的な波及効果が期待できることから、さらなる熊野白浜リゾート空港の活用が図れ、紀南地域を含む全県下への経済効果が見込まれるということになりますが、この和歌山県全般に与える効果についてどう考えるか、知事の答弁をお願いします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 先ほどもお答えしたと思いますが、IRが県内に整備され、仮に大きな経済波及効果と雇用効果が発生すれば、本県経済の活性化につながる可能性はあると考えております。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、前回の区域整備計画の否決を受けた理由についてどう考えているのか、知事の答弁をお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 反対された議員の理由はそれぞれ異なると思われますが、事業主体等の運営体制と資金計画が不透明であること、それからギャンブル依存症患者の増加や交通渋滞の発生など、負の影響の可能性に対する懸念であることなどが理由であるというふうに考えております。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えをいただきまして、繰り返します。
僕も特別委員会の委員で、議論の中には参加していたのでよく分かるんですけども、知事は当時、その責務にはなかったと思いますけども、果たして前回の議事録というものを全て読まれたのかなというふうに思います。少なくとも、反対の根拠にあった要因には、全くとは言いませんけども、その影響の可能性が要因になった、反対の根拠の要因になったとはあまり思われないんですよね。ひとえにやっぱりファイナンス、事業者の資金計画とか調達できるのかというところが、これ、論点だったと思うんですね。その点、負の影響の可能性が要因になったということは僕はないのじゃないのかなと認識しているんですが、いかがでしょうか。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 反対された議員が誰であるかとか、その議員に対してヒアリングをしたわけではございませんので、その辺は不明なのかなというふうに思いますので、そういった理由で反対された方もいらっしゃるのではないかというふうに懸念をしております。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁いただきましたけど、僕は、これ、反対とか賛成とか、そんなことを実は言っているんじゃないんですね。議事録を読んで議論の流れをずうっと見ていきますとファイナンスなんですよ、やっぱり。この懸念が大々的に、こんなもの依存症が増えるから駄目じゃないか、交通渋滞になったら生活が麻痺するから駄目じゃないか、こんな議論はなかったと記憶しておりますが、反対した理由をヒアリングしてくれとか、反対したとか賛成とか関係ないんです。議論の中身の中で真の要因というのは一体何だったんでしょうかということをお尋ねしているので、お願いします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) その議事録の内容ではそうでした。そのとおりだったと思いますが、議論は確かにそうだったのですけども、結局反対されて否決された案件でありますので、そういった内容が伴うのは当然懸念するところであります。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 そしたら、次、行きたいと思います。
現時点に至るまでの情報の取得についてということなんですけども、令和7年2月議会、さきの議会で、同僚議員からもIRの質問がありましたが、そのとき前知事は、現時点で再公募が実施されるかどうかは不明、情報収集に努めていると答弁しているんですけども、現時点に至るまで、どのような手法でどのような情報を取得されたのか、知事にお尋ねいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 観光庁にメール及び電話で確認をいたしましたところ、再公募については、「申請主体である自治体の状況を見極める必要があり、注視していく」というお答えでありまして、国の姿勢には変わりはなく、再公募されるか現時点では不明であるというふうに認識をしております。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えいただきましたが、この問題の、次、事業の継続性についてです。ちょっと本質的なところを議論させていただきたいというふうに思います。
政府は、最終的な政策実行に係る公募期間に関する事案、これは再公募という言葉が適切かどうか分かりませんが、政令を出す、発布するということに関して、これはつまり手段でしかないと思います。公募の発布時期等々の問題は時限的なものしかないので、まずその根本を確認することがそもそも論だと思います。
IRは、現時点において継続しているか否かの確認が最優先事項と考えますが、観光庁にはその確認をしているのですか、知事の答弁をお願いします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 現時点でそのような確認は行っておりませんが、区域整備計画の認定について、IR整備法に定められた上限数である3に達していないことなどから、国におけるIR整備に係る取組は継続しているものと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 大事なところなので、本質的なところ、もう一度確認しますね。
IRの整備に係る事業は継続しているということの答弁をいただきましたが、間違いないでしょうか、お答えください。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 国におけるIR整備に係る取組は継続しているものと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、それを和歌山県の雇用と経済再生をどう図るのかというところに話を進めたいと思いますが、この件に関してではないんですけど、いろんな経営者の方、申し訳ない、和歌山市内の経営者だけなんですけども、議論をする中で幾つかの意見が出てきます。その中で、あっと思ったことをちょっと言いますね。
県として投資を呼び込むことを考えないといけないですよ。今のままで和歌山県がいいと思っているような人がいれば楽観的過ぎますよと。悲観することはよくありませんが、悲観しないためにも将来に向けた政策を今、打ち出さなければなりません。今から協議し始めても大型プロジェクトが現実のものになるのは早くて5年。今だけを考えていれば今だけでもいいのですが、そんな無責任なことはできないでしょう。今と将来の両方を考えるのが県政ですと、こんな厳しい意見を僕がいただいたんですよ。これ、知事に言うてるんじゃない、僕がいただいたということです。
和歌山IRのほかに、和歌山県の雇用と経済をどう図るのでしょうか。例えば、ENEOSの和歌山製油所での原油処理の機能停止の問題、これは道筋がついていますけれども、あるいはパンダ返還後の観光と地域経済の問題なども含めて、和歌山県経済に好ましくないような状況が実はあるんですね。この点について、知事の答弁をお願いします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) IR誘致に取り組むかどうかにはかかわらず、将来に希望が持てるような県勢活性化に向けた取組は、県行政に求められる責務であると認識をしておりまして、地域経済の活性化のため、様々な施策を着実に実行してまいりたいと考えております。
具体的には、企業の競争力強化や収益性を高める取組を支援する中小企業振興や、グリーントランスフォーメーションや宇宙産業、洋上風力発電などの成長産業の推進、観光資源の強化、第一次産業の活性化、それから建設業に対する地域の防災力を維持するための支援など、様々な取組を進めてまいります。
また、現在、県では新たな総合計画を策定中でありまして、こうした方針をしっかりと反映させ、議会はもとより、県民の皆様の声も聞きながら、着実に取組を進めてまいりたいと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えいただきまして、大型事業、宇宙産業であるとかGXであるとか洋上風力、非常にいいと思います。この中のキーワードは、議会及び県民の皆さんの意見を聞いて進めていくということを今お答えいただいたと思うんですけど、IRも含めて大型事業、和歌山県のこれからの将来については、議会及び県民の皆様の意見を基に判断していく、こう考えてよろしいでしょうか、お答えください。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 議員のお声とか県民の皆様のお声というのはもちろん聞くのですが、先ほどの答弁の中でお答えさせていただいたのは、新総合計画についてのことになっておりまして、新総合計画につきましては、議会はもとより、県民の皆様の声を聞きながら着実に進めてまいりたいということを申し上げました。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 分かりました。
新総合計画は議会、県民の皆さんにも聞いていただけるということで、そのほかのことも同様だと認識してよろしいんでしょうか。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 基本的には、私、選挙活動からずっとそのように申しておりますので、そのように理解していただいて結構かと思います。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、次の、今、知事から本当に、僕も推進大賛成、GXも宇宙産業も洋上風力も本当に実現したいな、してほしいな、させたいなと思っております。こういったプロジェクト名を出してくれました。
例えば、この宇宙産業というのに関しては、僕だったら、可能性としては具体的にこのような業態が考えられるというふうに思っています。燃焼施設などの研究機関、それから地場産業育成連携にもなる素材、例えば繊維業界と組んでカーボン製ノズルなどの耐熱部品ね、それから衛星の中間港、衛星には半導体を使うので、最終組立て工場というのは本当は九州じゃないのかなというふうな気もしますが、中間材の製造や港の活用を図ることは可能だと思いますから、そういう意味で、集積というのは実現可能性、僕はあると思います。
宇宙産業の中のその全てというのは集積している地域もあるのでなかなか難しい。ですから、どの業態を狙っているのかということを考えると、こういったところかなあと思いますが、いろんな関係者に聞きますと、今のところ、和歌山にて宇宙はないですと、こう言われちゃいました。
また、各プロジェクトの事業で言えば投資計画、つまり県財政寄りの支出となります。その実施、具現率をはじめ、投資金額、原資はどのように計画されているのか、重ねて、その経済効果はいかほどのものかということも含めてお示しいただけたらと思います。
IRの実施、具現化は、もちろん審査等々の問題がありますが、100%民間投資の主体として、その具現率も100%。県財政は、基本的にはこの事業が始まったらば要らないわけですよね。つまり県財政の純粋な収入源になることは明確であるとともに、県としての支出も、インフラなど県民の皆さんの利便性向上に直結するものが主体であることと捉えられると、実質的に最小限にこれもとどめられるというふうに考えられています。
ですから、IR計画においては、税収、雇用促進率、経済効果及び経済波及効果が示されていますが、その視点からも、特に支出となる資金計画、経済効果が明確に見えない代替案となり得る答弁の根拠をお聞かせいただけるとありがたいと思いますので、知事の答弁をお願いします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 先ほど答弁させていただいた施策については、IRの誘致に取り組むかどうかにもかかわらず、私が推進すべきと考えている施策でありまして、決してIRに見合うようなものという考えではございません。
したがいまして、申し上げた施策の実現性や経済効果等について、IRとてんびんにかけて比較衡量するようなことは行ってはおりません。
その上で、各施策の実現性については、宇宙産業についても洋上風力についても、まだまだこれから乗り越えなければならない課題がたくさんあることは事実でございます。
わかやま成長産業開拓ビジョンにより、戦略性と計画性を持って取り組んでいる施策でありまして、実現の可能性は十分にあると考えております。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁いただきまして、基本的に理解できましたけど、一つだけ理解できない言葉がありまして、比較衡量という言葉を使われました。これ、法律用語なんですね。それの制約を加えることで得られる利益と失われる利益と比較をやって、どっちがいいというふうな価値判断する言葉なんですけども、IRとその他を比較衡量することなんか僕は求めてないわけなんです。こっちもこっちもです、欲張りですから両方という意味でいいんですけど、比較衡量なんか求めてないんですけど、知事、比較衡量ということのちょっと意味を教えていただけたらと思います。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) IRの整備に伴う経済効果というのは、大変大きなものであるというふうに分析をしておりまして、それに見合うものではないということの意味で、IRとてんびんにかけなくてもいいとおっしゃっていただいたんですけども、かけた場合はそういうふうになりますということをお答えしたものであって、比較した場合はそうなりますと申し上げただけで、それで御理解をいただきたいと思います。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、次に行かしていただきます。13番目です。
財政危機警報下において、様々な政策の実現は可能かどうかということなんですけども、残念なことですけども、和歌山県は財政健全化に向かっているとはいえ、財政危機警報が発令されている状況下にあると認識しています。また、本議会の開会日にも、本県は財政危機警報を発令しており、非常に厳しい財政状況であり、とりわけ公債費の増加率は本年度47都道府県中1位となり、今後も増加していくことは確実な上云々云々と説明してくれました。
この状況下において、そもそも投資、支出事案となるここに列記されている地域経済の活性化のための様々な施策は、現実的に可能なのでしょうか。可能と言える根拠をお示しください。知事の答弁をお願いします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) これらの施策に限らず、財政危機警報下にある本県において、新たな財政需要に対応していくことは容易なことではございません。
具体的な進め方はこれから議論となりますが、まずは優先順位が低い事業の廃止や類似事業の統合整理などにより、既存事業の見直しを進めるとともに、県有施設等の必要性の再検証や、遊休資産の活用、売却などによる新たな歳入確保に全庁挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
それらによって生み出した財源を活用し、より効果の高い事業へ重点化することで、新たな財政需要への対応と持続可能な行財政運営の両立を実現していく所存であります。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 では、和歌山IRに取り組む場合に見込まれる雇用と経済効果、税収増等について、知事からお答えください。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 令和4年4月臨時会で否決された計画案において、建設フェーズでの県内の経済波及効果は約7100億円、開業後には、直接雇用する従業員数は約6300人、経済波及効果は毎年度約3500億円、新規税収効果として県税で毎年度約400億円を見込んでいました。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、最後です。
今、お答えいただきましたので、前回ベースでいきますと、2年前なんですけども、これだけの雇用とか経済効果が見込まれていたわけで、資材費とか人件費とかいろんな為替の差益、差損と言ったほうがいいんでしょうか、そういったことを含めますと、もっと投資効果が生まれるかなあというふうに実は思っているところなんですね。
そういう中で、先日経営者の方と、これ、友人なんですけど、話した話、ちょっとこれは、今の地域が置かれた参考になるコメントなので、伝えさせていただきたいと思います。
和歌山県経済は、公共事業で仕事が成り立っている部分もあります。数年前から公共事業が少なくなり、県からの仕事に頼れなくなっています。つまり、民間が発注する仕事が極端に少ないため、この地域では食べていけないという危機感も持ち始めています。多くの仲間は県外の仕事を請けて当座をしのいでいる。
さらに問題なのは、銀行との関係です。会社の仕事が減っていることから、資金繰りが厳しいため融資の相談に行くのですが、仕事を受注する見込みが少ないため、つまり事業計画も返済の資金計画も立てられないため、融資に必要な案を策定できないんです。つまり、仕事の見込み、事業計画が立たないから融資を受けられないんだよと、こういうことなんですよね。
この状態では会社も困りますし、従業員も困る、地域も困る、実は銀行も困っているんですよ。銀行は、地元融資から県外融資へと今、シフトしているというのはこういう事情なんですね。仕事が少ないから事業計画が企業は立てられない。貸したくても貸せないんだよと、こういう状況にあるわけなんです。
このことは地元に資金が回らないことを意味しているもので、ますます会社も地域も疲弊していくのではないだろうかと、こういうことになります。将来の仕事が見込まれなければ、会社はいつまで存続できるのだろうかと経営者は思っていまして、倒産よりも廃業という選択肢を実は考えている経営者も増えているわけなんですよね。これはゆゆしき問題だというふうに思いますから、現状のまま手段を講じなければ、この先も県内経済はよくならないばかりか、さらに落ち込んでいく、こういうことが予測できると思います。
最後に、ヒアリングでは関心と答えた自治体に対して、政府から応募要否を問われる形に今後なると思いますが、結論として、和歌山IRに取り組むのか取り組まないのか、知事の御答弁をお願いします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 先ほどお答えしたように、IRが本県経済の活性化につながると期待する声がある一方で、負の影響の可能性に対する強い懸念があることに加え、さきの計画案が県議会において反対多数で否決されたことも踏まえますと、新たな区域整備計画を申請する場合には、十分な検討が必要であるという、これは岸本前知事の考え方ですけども、私も同じ考えを持っております。
したがいまして、現時点で国による再公募があるかどうか不明ですけれども、仮に再公募があれば、IR誘致の是非について、やはりゼロベースから検討し、判断したいと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事、ありがとうございます。
今日、教職員のハラスメントの問題について議論させていただきました。これはやっぱりしっかり教師を守りたいと思いますし、統合型リゾートについては、やっぱり和歌山県では守りたいんだと。経済も含めて守りたいんだ、雇用も増やしたいなと思っているわけなんです。そして、この事業というのは、知事も答弁いただきましたけど、実は続いているんですね。何となく令和4年でもって終わってしまって、2年間が過ぎていると思っていたのですけど、実は続いていると。
政令で期限を決めているので、今度は継続している中に政令で期限をまた決めるということにすぎないということが今回理解できましたので、しかるべき時期に備えて、もう一つ県議会の意見なり県民の皆さんに聞いていただいて、しっかりと適切な方向性に、県のリーダーとして和歌山県を導いていただきたいということをお願いさせていただきまして、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時40分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(秋月史成君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
40番奥村規子君。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、早速通告に従って4点について質問をさせていただきます。
その前に、知事に御挨拶とお願いを申し上げます。改めて、突然の選挙戦、大変お疲れさまでした。私どもも、日本共産党として公認候補を立て、物価高騰から「暮らしを助ける県政」を掲げ戦わせていただきました。
知事は、今議会の開会日の就任挨拶においても、「笑顔あふれる和歌山を実現していく」と述べられています。それは全ての県民の願いでもあると思います。
しかし、残念ながら、日本の貧困率や子供の貧困率は先進国でワーストレベルと言われ、県においても、災害やコロナ禍を通じて貧困と格差の拡大が深刻化しています。加えて、物価のすさまじい高騰は県民の暮らしを一層苦しめることになっています。
片や、一部の大資本・富裕層は資産を拡大し、大企業は史上最高の利益を上げているとお聞きします。
そのような中で、暮らしのとりでとしての地方自治体の存在意義、役割が改めて問われているのではないでしょうか。知事においては、暮らしの中に憲法を生かすという立場で県政のかじ取りをよろしくお願いいたします。
それでは、質問に入らせていただきます。
大項目一つ目は、新知事からの県民へのメッセージについて、改めてお尋ねいたします。
この間、地域を訪問させていただき、私が特に気になることは、高齢者などの孤立死や子供の自殺です。
県の一般世帯に占める独り暮らしの老人世帯割合は16.4%、全国3位と高く、孤立死のリスクが高くなってくると思います。また、2024年中の小・中・高生の自殺は4人と聞いています。一人一人の理由はそれぞれ事情は違うと思いますが、孤立死ゼロ、自殺者ゼロの和歌山県になればと思います。切に願うものです。そのためには、安全・安心の政策を充実させ、笑顔につなげなければなりません。
私は、格差と貧困の解消をはじめ、ジェンダー平等のまちづくりや、医療にかかりやすい、何よりも命が大切にされ、誰もが安心して住めるまちづくりを進めることだと思います。
知事選挙が終わって町なかを歩いていると、よく「新しい知事さんってどのような方ですか」と聞かれることが多いです。
そこで、改めて、選挙戦で県内を回られ、様々な県民の生の声をお聞きになられたことと存じます。選挙を戦って特に印象に残っていることやエピソードなどあれば、感想を交えてお聞かせいただければと思います。知事、御答弁よろしくお願いいたします。
○副議長(秋月史成君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 奥村議員の御質問にお答えをしたいと思います。
選挙期間中、県内各地をくまなく回る中で、多くの県民の皆様とお会いできました。握手の際には、本当にたくさんの方々から応援の声と笑顔をいただきました。大変な選挙戦ではありましたが、とてもうれしく、元気が出る瞬間でもありました。
今は、たくさんの方々から御支援をいただいたという重みと、県政のかじ取りをお任せいただいたという責任を感じています。
県内を訪問する中で、様々な方とお話ができました。道端で握手させていただいた方々をはじめ、畑で農作業をされていた方、企業で働かれている従業員の方や経営者の方、また元気いっぱいの学生の皆さんもいました。
可能な限り県内の隅々にまでお邪魔し、非常に短い期間ではありましたが、真剣にお話を伺いました。その中で、県民の皆様からは、農林水産業の後継者問題や地域の人材不足、出産も含め安心して医療が受けられるかどうかに対する不安など、たくさんのお声をいただきました。今後、県政を進めていくに当たり、県内で実際に生活する方々の声を直接お伺いできたことは非常によかったと感じています。
私は、県民の皆様の声を聞くこと、そして、現場にしっかり目を向け、共に歩むことを県政の基本姿勢としています。引き続き、県民の皆様の声をしっかりお聞きすることで、より多くの御意見を県政に生かしてまいりたいと考えております。
○副議長(秋月史成君) 奥村規子君。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 知事、丁寧にお答えいただき、ありがとうございます。
私が思うのは、地方自治法に定められた住民の福祉の増進という地方自治体の役割を果たせるよう取り組むこと、国に対しては財政需要に見合った一般財源総額の確保と地方交付税の財源を保障するよう、しっかり国に対して求めてほしいと思います。
それでは、次に、大項目の二つ目、質問をさせていただきます。
二つ目は、物価高騰による暮らしへの支援についてお尋ねします。
物価高からどうやって暮らしと営業を守るか、今、最も県政に求められている課題ではないでしょうか。
まず、現在の県の景況についてですが、私ども日本共産党は、今、独り暮らしの不安や若者から高齢者まで困り事の解消のために全国規模で要求アンケートを実施しています。党の本部には100万通を超えるアンケートの回答が寄せられ、そのうち、県民の皆さんから1万通余りの回答をいただいています。
その内容は、「不安が多く、ゆとりもない」という回答が約60%と最も多く、政治の課題では、税金の集め方、使い方がトップです。毎日物価が上がり、消費税の支出も増え、年金が増えてもほんの僅か、節約ももう限界。さらに、米価高騰と米不足が追い打ちをかけ、年金、医療、介護など、あらゆる分野で事態の悪化が見られます。
90年代後半以降、諸外国と比べても著しく伸び悩みを続け、租税、社会保障料負担の増加による実質賃金の低下が県民生活を苦しめているという状況です。
そこで、和歌山県の現在の景況についてお尋ねしておきたいと思います。御答弁よろしくお願いいたします。
○副議長(秋月史成君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 先頃発表された和歌山財務事務所の法人企業景気予測調査によると、2025年4月から6月期における前期と比較した景気の企業判断は、「下降」と回答した企業の構成比が、「上昇」と回答した構成比を上回る状況となっております。
県でも、今回の関税措置により、大きく影響を受ける可能性のある業種を対象に、県内中小企業を直接訪問し、その現況や課題の聞き取りを実施しているところです。
米国の通商政策の影響により、景気の下振れリスクの高まりや物価上昇の継続による消費者マインドの下振れ等を通じた個人消費への影響なども景気を下押しするリスクとなっていることから、引き続き、県内経済の状況を注視してまいりたいと考えております。
○副議長(秋月史成君) 奥村規子君。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁をいただいて、財務事務所によると、景気が下降しているという企業判断のほうが多いということでした。倒産件数も問題です。
私の周りでは、自主閉店に追い込まれている事業所は少なくありません。コロナ禍のときからも申し上げてまいりましたが、物価高騰による影響をもっときめ細かく実態をつかんでいただきたいと思います。
今、答弁の中でも、県内中小企業を直接訪問し、実態聞き取りを実施しているとおっしゃってくださいました。ぜひ皆さんの御要望を生かした政策をよろしくお願いしたいと思います。緊急に支援策などを強める対策を私は講じるべきではないかと思います。そのために、よろしくお願いいたします。
一般質問では、次に、3項目についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
消費税の問題について、引き続き質問をさせていただきます。
景気の状況や物価高騰、そういった状況の中で本当に大変な状況になっているんですが、それをどのようにしてまず解決をしていけばいいのか、これは国の大きな問題でもあると思いますし、その点で消費税の問題について知事の見解をお伺いしたいと思います。
皆さん、消費税は低所得者ほど負担が重い不公平な税制ということで、これまでも申し上げてきましたが、皆さんの手元にもございます資料を御覧いただきたいと思います。
これは、衆議院の田村智子事務所が総務省の「家計調査」23年を基に、勤労者世帯、実収入に対する負担率を独自計算したグラフになっています。中間所得層も含め最も重い税金が、赤の消費税です。年収200万円以下では、所得税の負担率0.6%、消費税は10倍以上の6.3%にもなっています。
国において、消費税導入以来の消費税収は539兆円となる一方で、法人3税は318兆円、所得税・住民税は295兆円の減収です。国会では、このことについて、議員質問に対して首相は「法人税を下げたことが思ったような効果を上げなかった」と言わざるを得ない状況でした。
そして、資料2を御覧ください。
国内生産やサービスなどの経済活動で生み出された税収はどちらも全体で20.5%ですが、消費税は89年度0.9%から25年度5.0%と、約6倍に上昇しています。一方、国と地方を合わせた法人税は6.9%から4.2%に、個人所得課税、所得税・住民税については7.0%から6.0%へ減少しています。社会保障財源である税収が法人税から消費税へと置き換わったのは一目瞭然です。
こういった中で県民の暮らしを支える最も効果的なのが、この不公平税制と今御説明した中では感じていただけると思いますが、消費税を5%に減額し、さらに廃止を目指すこと、このことが大事ではないかと私は思っています。
物価高騰は、あらゆる商品、公共料金やサービス全てに及んでいます。消費税を5%に減額すれば、平均的な勤労者世帯で年間12万円の減税になるとの試算がこの表を作成する中で言われています。所得税・住民税の非課税の方も、子供からお年寄りまで誰でも減税になります。食料品を非課税にした場合に比べても2倍の減税です。税率を一律5%にすれば、小規模事業者やフリーランスを苦しめているインボイス制度の口実もなくなるのではないでしょうか。
緊急に5%に減税し、さらに廃止を目指すことだと考えますが、知事はどのようにお考えでしょうか、ぜひ御答弁よろしくお願いいたします。
○副議長(秋月史成君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 消費税は、全世代共通の社会保障制度の基盤として、あらゆる世代で負担を分かち合うものであり、年金、医療、介護及び子育て支援といった諸施策を支える極めて重要な財源です。
消費税収の約4割が地方税財源であり、その減収は本県の財政運営に大きな打撃を与え、これからのサービスの質と量を大きく低下させることが懸念されるため、将来世代に負担を残すことなく恒久的な財源を確保していくことが重要と考えております。
また、税率の変更は、価格表示の変更やシステム改修、買い控え、駆け込み需要とその反動など、現場に混乱をもたらす可能性があるため、これまでも事業者の負担や経済への影響に最大限配慮し、相当の準備期間を設けた上で準備を進められてきたものと認識をしております。
地方財政は、社会保障関係費の増大や物価高に対応しなければならない極めて厳しい状況にありますが、地方団体は、安定的に行政サービスを維持しつつ、様々な重要課題に対応していく必要があり、本県においても、こどもまんなか和歌山の実現や、県民の命を守る防災・減災対策などの取組を推進していかなければなりません。
これらのことから、国において、様々な行政サービスを提供している地方への影響を十分に考慮し、丁寧な議論がなされることを期待しております。
○副議長(秋月史成君) 奥村規子君。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 先ほど示した消費税の勤労者世帯の年収別税負担率を見ていただいたら、収入がやはり厳しい200万円以下の消費税の負担率が6.3%と、この表を見ていただいて、これは財務省も認めている表なんです。このことでいえば歴然としているんではないかということで、私は不公平な税制だというふうに思って御紹介をしたのです。
そういった中で、今、県が直面している、日本全体が直面している物価高に対して、この消費税を減税していくということが最もまず効果的なものではないか。また、自治体へのいろんな収入源として大事だということを言われましたが、財源をどのようにまたつくっていくかということは、しっかりとまた国会で議論をしていただく。
ただ、私が言いたいのは、やっぱり自治体のいろんなこと、福祉を向上させていくとか県民一人一人を笑顔になっていくようにする、その施策に財源がやっぱり必要なのはよく分かります。それをどこから求めていくかということについて、しっかりと国に求めていただきたいということの一つとして御紹介をしたんです。その点で、ぜひ今後も含めて考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
税制をやっぱり改革していくということが本当に今大事ではないかと思いますので、そのことを指摘して、次の質問に行かせていただきます。
もう一つは、中小企業が賃上げに取り組めるように支援していくという問題です。
暮らしの困難を打開するには、物価上昇を上回る賃上げが必要です。最低賃金を時給1500円、手取り月額20万円程度に速やかに引き上げ、地方格差をなくし、全国一律最賃制を確立する必要があると考えています。
現に、岩手、徳島、奈良、群馬県などで中小企業への直接支援を実施しています。直接支援策を国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか、御答弁よろしくお願いいたします。
○副議長(秋月史成君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 物価上昇に負けない賃上げの実現のためには、賃上げの原資が持続的に確保されるよう、労務費の適切な価格転嫁や付加価値額の増加、生産性の向上による収益力強化が重要であると考えており、中小企業の収益力強化につながる施策の展開や支援機関による伴走支援の体制強化を図っているところです。
また、中小企業融資制度において、資金繰り安定資金(賃上げ支援枠)を本年4月に新設し、賃上げに取り組む事業者への資金繰り支援を行っているところです。
議員の御指摘の中小企業に対する賃上げ支援については、その原資確保に資する各種補助金、助成金等の拡充を全国知事会を通じて引き続き国に要望してまいります。
○副議長(秋月史成君) 奥村規子君。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 中小企業への支援について今答弁をしてくださったんですけど、知事会に要望していくということで、それはやっぱり必要だというような認識を持っているということがよく分かったんですけど、やっぱり県独自でも、先ほどの、あれは融資の話なので、やっぱり融資というのはよく中小業者の皆さんが、コロナのときもそうでしたけど返済をしていくというようなことで、コロナの返済をしかけていたら今度は物価が上昇してとかというようなことで、二重三重にもやっぱり困難な状況というのが出てきているんだと思うんです。この賃上げ応援サポートというのは直接支援で県独自で行っているということなので、また、関西広域連合の一員でもある徳島県がされているということもお聞きしているので、ぜひとも参考なりなんなりにまたしていただいて、少しでも皆さんに温かい支援が届き、そしてまたそれで頑張ろうというような思いになるようによろしくお願いしたいと思います。
それで、次に、お米の生産不足への認識についてということでお尋ねいたします。
深刻な米不足が、米の価格高騰を引き起こしています。昨年6月までの1年間に供給された米の量は需要量より44万トンも少なくなり、民間在庫が史上最低に落ち込みました。その結果、スーパーから米が消えるという米不足が顕在化したのではないかと考えています。買い付け競争が過熱し、価格が高騰していきました。増産に切り替えることが必要ですが、どのように認識されていますか。御答弁よろしくお願いします。
○副議長(秋月史成君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 今回の米不足の状況については、政府により備蓄米が放出され、県内の小売店でも販売が始まったことから、一定の改善が見られていると考えています。
また、国が実施した本年4月末時点の水田作付意向調査によると、本年度の主食用米の生産量は、全国的に飼料用米や加工用米等から転換が進み、昨年度に比べ40万トンの増産が見込まれています。
一方、本県では、主食用米以外の栽培面積は水田全体の0.4%であることに加え、小規模で不整形な水田が多く、収益性が低いため、主食用米の早急な増産は難しいと考えております。ただし、米の増産を目指す生産者に対しては、農地中間管理機構による農地の集積等により、規模拡大を支援しております。
なお、昨日、林議員にも答弁したとおり、国においては水田政策の見直しを進めることとしているため、今後の動向を注視しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
○副議長(秋月史成君) 奥村規子君。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ぜひ県民の皆さんに今回の事態、米不足、スーパーの棚から消えてしまった、また価格が高騰している、これが一体どういうわけで起こったのか、根本的な原因というもの、そういったことをぜひ県民に明確に発信していっていただきたいなというふうに思います。
私は、やっぱり供給量が圧倒的に足りないからではないかと思っています。それについては、農民運動全国連合会というところの新聞の記事があるんですけども、それは、昨年の春から顕在化した2023年産の米不足というのがあって、コロナ禍での米の需要の消滅から生まれた過剰在庫は21年産米価の暴落を招いた。農協概算金等は7000円台にまで落ち込みましたということで、過剰在庫の買入れも拒否した政府は、結局、買入れについて政府が拒否をして、22年から23年の2年間で50万トン以上の減産を米農家に押しつけということで、そういった中で過去最低の需要量まで、3か月分の需要量に満たない過去最低の153万トンまで低下したと。そういった中で、24年産の米の奪い合いとか価格高騰という状況を招きましたというようなことで、この新聞ではそうやって書かれているんです。
県は、お米については輸入県で、自給率が約6割程度ということでお聞きしているんですけど、そういったことが将来的に安定供給できるようにやっぱり施策を講じていっていただきたいということをぜひよろしくお願いしたいと思います。
次に行きます。
○副議長(秋月史成君) どうぞ。
○奥村規子君 次に、子育て世代における経済的負担の問題をお尋ねします。
大項目の三つ目なんですが、知事はこどもまんなか社会の推進を掲げられています。それで、教育費負担の大幅軽減を求めるものですが、教育の無償化は国際人権規約に明記された基本的な人権であり、世界が目指すべき目標です。家庭の経済力に左右されず教育を受けられる社会こそ、子供と若者の未来を支え、社会を豊かにします。給食費無償化が実現しました。さらに、質の確保と向上に努め、教材費、制服代、修学旅行費、通学費など、隠れ教育費と言われる費用の公費負担の軽減に取り組むべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。よろしくお願いします。
○副議長(秋月史成君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 学校で学ぶために必要な教育費には、授業料や給食費以外にも、教材費、制服代、通学費など、様々な費用があることは承知しております。
そこで、県では、現在、家庭の経済的な事情で修学が困難な児童生徒を対象に、これらの費用に対する支援を実施しているところです。
しかしながら、社会情勢の変化によっては家庭の経済的な状況に影響が生じることも考えられます。今後、物価高騰が進み、家庭における教育費の負担が重くなる場合には、支援の内容を見直し、低所得世帯における教育費負担の軽減を図るなど、児童生徒の教育格差が広がらないように努めてまいります。
○副議長(秋月史成君) 奥村規子君。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ぜひ、今おっしゃってくださった、先ほどの経済力に左右されずにというところが非常に大事だと思いますので、いろいろとよろしくお願いしたいと思います。
給食費の無償化についても、市町村とか、またその関係職員さんが本当に事務作業とかいろんな面で御苦労していただいたんじゃないかというふうに思いますので、併せて感謝を申し上げて、こういった点についてもやはり県民の声をよく聞いてくださると思いますが、ぜひ子育て環境をよりよくしていくためによろしくお願いしたいと思います。
続いて、子供の医療費無償化についてお尋ねをいたします。
和歌山県の乳幼児医療費助成制度は、県内の医療機関にかかる場合の保険診療自己負担分を助成する制度です。市町村では対象年齢や所得制限の有無など、助成内容が上乗せされ、住むところによって異なるという状況があります。
資料3のほうを御覧いただいて、これは全国の子供医療費に対する助成の実施状況調査ということで、この一覧表を皆さんにお示ししているところでございますが、これ随分と、最初は一つ、二つ、三つというぐらいに、最初というのはもう何年前か、20年じゃなくって、そういったぐらいの前なんですけど、そのときには本当に少なかったんですよね、県段階でこうやって支援するというのが。ところが、今、33県が小学校入学以後からも助成するという制度が、多少いろんな面ではちょっと違いもあるかと思うんですが、できるようになってきています。ただ、和歌山県のように就学前というところは14県と、そういうようになってきていますので、ぜひとも参考にしていただいて、よりいいように、また、市町村が、和歌山県の場合は18歳までが、29市町村が18歳まで支援をしていると。自己負担ですけど支援していると。そういうことで広がってきている中で、ぜひとも、どこに住んでいても同じようにという。国がしてくれたら一番いいんですけど、それまで国にもしっかりと求めていただいて、県の段階ででも市町村をしっかり支援していくということで、また対象を広げていっていただきたいなと思います。
18歳未満への医療費助成を独自に行う自治体へのペナルティーが、長年の住民運動や日本共産党の議会論戦などに押されて全国的にも進んで、2024年4月から廃止されました。それは大変よかったのですが、厚生労働省は、子供医療費無償化を問題視して、自治体に窓口負担復活を促す新たな通知を2024年6月26日に出していますが、国のこども未来戦略の加速化プランでは、子育て世帯の医療費負担金軽減を掲げ、地方自治体の取組を支援するため、無償化に伴うペナルティーを廃止しました。
厚労省が2024年7月3日の審議会に示された子供医療費の窓口負担が健康状態に与える影響の研究でも、窓口負担がある自治体では受診抑制が起こる確率が高い傾向が見られると言われています。
子供の健やかな成長を願うということから、さらに県の助成を拡充すべきと考えますが、この点においていかがでしょうか、知事の御答弁をよろしくお願いします。
○副議長(秋月史成君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 子供が病気にかかったとき、安心して医療機関を受診できることは大切だと考えております。
県では、抵抗力が弱く、病気にかかると重症化しやすい乳幼児が早期に医療機関を受診できるように、乳幼児医療費助成制度として、小学校就学前の乳幼児を対象に、市町村に補助を行っております。
その一方で、市町村では、地域の実情に応じたそれぞれの考え方に基づく政策として、対象年齢を中学校や高校卒業までに拡大し、独自に医療費助成を行っております。
本来であれば国の責任において、地域に関係なく、ひとしく医療費助成を受けられる制度とすべきであると考えております。
県としましては、全国一律の制度を創設するよう全国知事会等を通じて要望しているところであり、引き続き、国の動向を注視してまいります。
○副議長(秋月史成君) 奥村規子君。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ありがとうございます。
県からも、国に対して、厚生労働省の先ほど言った通知などを含めて姿勢が大変問題ではないかなと思うんです。通知を撤回するようぜひ求めていただきたいのと、このように国の施策ということで、また要望をされている中で、1番に子育て世帯の経済的支援の拡充ということで、子供の医療費助成制度を県からも要望を出していただいているのは大変力強いと思っています。この点でも知事会でもぜひよろしくお願いしたいと思います。
そしたら、最後の大項目4点目の熊野白浜リゾート空港についてお尋ねをいたします。
2022年12月に閣議決定された安保3文書は、これまで専守防衛としてきた政府の安全保障戦略を大きく転換し、敵基地攻撃能力を保有し、相手国と戦争になった場合を想定した体制づくりを具体化したものです。
安保3文書である国家安全保障戦略に基づき提起されたのが特定利用空港です。基本的な考え方の第1に、安全保障環境を踏まえた対応を実効的に行うため、南西諸島その他の地域で、自衛隊・海上保安庁が、平素から空港・港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者との間で枠組みを設けるとしています。そのため、防衛省と国土交通省との間で、自衛隊や海上保安庁が柔軟かつ迅速に施設を利用できるように努めることが確認されています。
和歌山県は、今年1月、政府の依頼に応え、熊野白浜リゾート空港を特定利用空港に指定することを受け入れ、4月1日に空港としては本州で初めて指定されました。これにより、平時から自衛隊などが訓練できるようになりました。
政府のQ&Aでは、有事の利用を対象とするものではないとしながらも、武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態における空港・港湾の利用調整については、武力攻撃事態等における特定公共施設等利用法などに基づき行われるとしています。つまり、政府が有事とみなした際には、同法に基づき、軍事施設として利用されます。
和歌山県は、「防災目的であり、防衛や軍事利用するものではない」と繰り返していますが、政府の特定利用空港に対する考え方や有事とみなした際の利用などから、防災対策にとどまるものではないことが明らかです。防衛・軍事のための訓練を一切しない保証はどこにあるのでしょうか。
政府の説明では、米軍が枠組みに参加することはないとしていますが、日米地位協定では、米軍の航空機や艦船は日本国の港または飛行場に出入りすることができるとなっています。2024年には米軍機が日本の民間空港に着陸した回数が14年以降最多となっています。その8割が特定空港・港湾の指定を中心に進める九州・沖縄に集中しており、日米軍事利用がさらに進むおそれがあると考えます。
2月議会の藤本議員の質問に、前知事は、米軍がこの枠組みに入らないことがほごされた場合は、最大限の抗議をし、滑走路に座込みをしてでも阻止したい旨の御答弁をされていましたが、意気込みではなく、米軍が利用しない法的な保証についてどのように考えているのか、お伺いします。
政府の言う「平素からの利用」とは自衛隊等による日常的訓練であり、地元住民から訓練に伴う騒音や事故発生の危険が心配されています。これらの対応をどう考えているのでしょうか。国家安全保障戦略に基づく訓練を日常的に行う施設は相手国の攻撃対象とされる可能性が高くなると考えますが、県民の安全をどう担保するのでしょうか、知事にお尋ねいたします。
○副議長(秋月史成君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) お答えいたします。
熊野白浜リゾート空港は、2025年4月1日に特定利用空港に指定されたところです。
この取組は、平素における空港の利用を対象としたもので、訓練の具体的な内容は自衛隊や海上保安庁において検討されています。県としては、災害訓練の実施を想定しているところですが、防衛に係る訓練利用の可能性がないとまでは言えません。
三栖議員、それから藤本議員からも質問をいただいたのですが、当空港における防衛訓練の要請があった場合、実施の是非について、関係省庁とよく議論してまいりたいと考えています。
いずれにしても、住民の安全が守られるのは当然のことと考えております。必要があれば、議員の皆さんとも相談しながら、和歌山県の見解をしっかりと政府に伝えていきたいと考えております。
なお、武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態における空港の利用調整については、従来どおり、2004年に制定された武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律等に基づき行われます。
米軍の参加についてですが、特定利用空港の枠組みは、あくまで関係省庁とインフラ管理者との間で設けられるものです。国から、米軍はこの枠組みに参加することはないと聞いておりますが、県としても、これを前提として指定を受け入れており、守れない場合には最大限の抗議をいたしてまいります。
議員は、近隣への騒音や事故について心配されておりますが、自衛隊や海上保安庁は、従来より、事前に訓練内容や実施日程を空港管理者や関係自治体へ説明するとともに、空港周辺の方々に及ぼす影響が最小限となるように努めています。
攻撃対象となる可能性が高まるのではないかという点についてですが、この取組は、新たに自衛隊の基地や駐屯地を設置するといったことを目的とするものではありません。特定利用空港の指定後も空港の運用や利用に大きな変化はなく、現に熊野白浜リゾート空港は従前と変わらず運営しています。したがって、指定されることで当該施設が攻撃対象となる可能性が高まるとは言えないと認識をしています。
この取組により、連絡調整体制が構築され、県の職員と自衛隊や海上保安庁の職員が顔の見える付き合いを行い、関係部局と円滑な調整ができること、また、空港の活用方法などを訓練等を通じて事前に確認することにより、発災時の災害派遣等が迅速に行われることが期待できます。
このように、県としては、特定利用空港となることにより、大規模災害時の迅速な救助や物資の支援につながるため大きな意義があると考えており、関係市町と密に連携を取るとともに、県民の皆様に丁寧に説明をしてまいります。
○副議長(秋月史成君) 奥村規子君。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 米軍の使用を否定されていました、今の答弁の中で。防衛訓練の可能性はないと言えないということも答弁されました。そういった面で、2014年の県の主催の防災訓練に、危険な米軍オスプレイも参加し、訓練が行われたことがあります。熊野白浜リゾート空港が使用されました。
熊野白浜リゾート空港というのは、米軍機の低空飛行訓練ルート、オレンジルートの付近にあります。特定利用空港となると米軍機の使用が始まるという懸念が高まるのも無理はないかと思います。
近隣への騒音や事故の心配の声も、先ほども答弁の中でおっしゃっていただきましたが、その心配について、実際に騒音の測定などをしっかりと行うべきではないでしょうか。
特定利用空港に反対する田辺・西牟婁連絡会の住民の会の皆さんからも要請書が知事に届いていると思います。
私自身は、今答弁をしてくださいましたが、熊野白浜リゾート空港の特定利用空港の指定は撤回すべきではないかと思います。そう思うんですけども、住民の方にまずしっかりと十分な説明ということで、ぜひとも、先ほど答弁していただいた内容も含めて説明をし、そして意見をしっかりと聞いていただきたいということを申し上げて、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(秋月史成君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
22番川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
○川畑哲哉君 皆さん、こんにちは。
まずは、このたび新しく知事に就任されました宮﨑泉新知事に、無所属クラブを代表して心より祝意を申し上げます。本当におめでとうございます。県勢のさらなる発展に向けて御奮闘いただけますことを切に御期待を申し上げます。
ただいま、同期の秋月史成議員より議長として登壇のお許しをいただきましたので、以下、通告に従い、心を込めて一般質問をさせていただきます。
お隣に世界がやってきています。
4月13日、大阪・関西万博2025開幕日の午前9時47分、西ゲートより万博会場に入場いたしました。2010年10月21日の上海万博訪問以来となります私の体内万博時計が回り出した瞬間でございました。
今回の万博で初めて入館しましたのは、予約の取れていましたカナダパビリオンでございました。
こちらは、「再生(Regeneration)」をテーマとし、自然と調和した建築や最先端技術、多様性に満ちた文化の融合する空間が、来場者一人一人に1台ずつ手渡されるタブレットをかざすことで、AR・拡張現実により浮かび上がります。多くの壮大な映画のロケでも使われる大自然とSDGs感の高い最先端機能都市をまさに訪れたかのような感覚を覚えます。
そのほか、今日まで4度にわたる万博訪問の詳細は私のユーチューブチャンネルにて順次御報告申し上げているところでございますが、中でも異彩を放っていましたのはクロアチアパビリオンでございました。
こちらは、「世界のダイバーシティのための気候多様性」をテーマとし、パビリオン内には全長13キロメートルに及ぶパイプが幾重にも天井からぶら下がり、パイプの中には、気温を伝達する媒体としては初となる水が流れています。水の総量は3トンにもなるそうで、クロアチア国内に存する五つの気候区分、すなわち、温暖湿潤気候、西岸海洋性気候、地中海性気候、温暖夏季海洋性気候、亜寒帯湿潤気候の今を表現するために、合計45か所の観測地点より観測データが送られ、それらのデータは30分ごとに更新されているとのことです。来館者は、パイプを握ることにより、それぞれの気候区分における気温の違いを感じることができます。
クロアチア共和国は、1991年6月25日に、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国より独立しました。この東ヨーロッパ文化圏の魅力的な国は、今日まで我が国ではあまりなじみがなかったと思いますが、実は、ディズニーアニメ「101匹わんちゃん」のモデル犬種、ダルメシアンの原産地とされ、ユダヤ系クロアチア人のスラヴォリューブ・ペンカーラは、1906年にオートマチックペンシルと名づけたシャープペンシルを開発し、シャープペンシルの父の1人とも考えられています。
また、クロアチアはネクタイ発祥の国でもあり、老舗ネクタイブランド「クロアタ」のネクタイは、人気クロアチア土産の一つとなっています。
打撃系格闘技・K-1で活躍されたミルコ・クロコップ氏は、クロアチアの元警察官で、リングネームは「クロアチアのコップ(警官)」の意味だそうです。
何より2009年に私が新婚旅行で訪れた国でもあり、今でも、世界でもう一度行きたい国の2番目に私の中で位置づけられています。
2009年5月25日、ルフトハンザドイツ航空にて関西国際空港を出発し、フランクフルト国際空港を経由して、クロアチアの首都ザグレブに入った後、さらに国内線にて、当時、クロアチアの飛び地にして東ヨーロッパ屈指の観光都市ドゥブロヴニクに入りました。
中世の時代、海洋都市国家ラグサ共和国として繁栄したドゥブロヴニクは、当時、イタリアの各海洋都市国家としのぎを削り、ヴェネツィア共和国と対をなしていました。その旧市街は、アドリア海の真珠とうたわれ、1979年には世界文化遺産に登録されています。
ドゥブロヴニクに到着した明くる日、市街地の背後にあるスルジ山に登りますと、まさに息をのむような美しい景観のドゥブロヴニク旧市街とアドリア海を見下ろすことができます。青い海と統一されたオレンジ色の屋根が紡ぐ独特の景観は、見る者全てを魅了すると言っても過言ではないでしょう。
一方で、ナポレオン占領時に建設された帝国要塞は、その後のセルビアとの独立戦争時には主戦場の一つともなり、今は戦争博物館としてスルジ山に残っています。当該館に入りますと、戦争の凄惨さと独立を目指した人々の強い志を感じます。
「クロアチア通貨名のクーナは、独立心のあかし。国は占領されても心までは占領されない。独立した際、ユーゴスラビア編成前に使っていたこの通貨名を復活させた」と、まちで出会った老婆が教えてくださいましたが、そのクーナも、2023年1月1日にユーロが導入され、今は廃止となっているようです。
さて、実際に旧市街を歩いてみますと、すっきりとしたまちの美しさは、屋根の色を統一しているだけが理由ではないことに気づきます。このまちには電柱がないのです。
諸外国では電柱のないまちは特段珍しいわけではありませんが、この世界文化遺産に登録されているまちは、ルネサンス、バロック、ゴシック各様式の美しい建造物群の屋根をオレンジ色に統一し、さらに電柱を埋設することにより、その景観の美しさを際立たせています。
我が国では、2016(平成28)年12月、無電柱化の推進に関する法律が施行され、2023(令和3)年には、無電柱化推進計画(8期)が策定されています。
私は、2020年に姫路市を訪れ、「美しい街」「ふれあい、育てる街」「安心・安全な街」をまちのコンセプトにし、無電柱化を実現されたブルームガーデンのぞみ野を視察させていただきました。
兵庫県無電柱化推進計画では、対策箇所の選定に際し、防災機能の強化・向上、安全・円滑な交通確保、景観形成・観光振興に資する道路を重点的に整備すると定められています。
無電柱化には、コスト面だけではなく、浸水のリスクやトラブル復旧に時間がかかる等のデメリットも考えられますが、防災・減災、そして防犯上の大きなメリットがあると考えます。
人口減少を食い止め、人を呼び込むこれからのまちづくりとして、安心・安全感を高めていくことは必須だと私は考えています。その意味で、無電柱化を実現した住宅街は一つの理想の形ではないでしょうか。そのためにも、まずは、重要度の高い道路から着実に無電柱化を実施していくことが大切です。
現在、最も無電柱化が進んでいると言われている東京都で無電柱化率は5%とのことですが、本県の無電柱化率及び県内の無電柱化事業の進捗はいかがでしょうか。また、県内自治体が無電柱化を推進するに際し、県としてはどのような支援をお考えでしょうか。県土整備部長の御答弁、どうぞよろしくお願いいたします。
○副議長(秋月史成君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 道路の無電柱化につきましては、防災性の向上、安全で快適な通行空間の確保、良好な景観の形成などの観点から、1986年度より全国的に進められています。
2021年度末の都道府県別の無電柱化率は、東京都が5%を超えているものの、他の道府県は3%以下で、うち18県が1%未満となっております。和歌山県内の無電柱化率については、僅かですが1%を超えております。
無電柱化事業の進捗状況につきましては、無電柱化推進計画に位置づけた道路延長約96.7キロメートルのうち、2024年度末で約36.1キロメートルが完成しております。
次に、市町村への支援につきましては、無電柱化を進める上での関係者との調整など、実務上で必要となる事項に関することや、国の補助事業の採択に対する指導や助言を引き続き行ってまいります。
○副議長(秋月史成君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 無電柱化事業の中には、私の地元岩出市にて、県道泉佐野岩出線は岩出市根来から備前の3.5キロが県内最長箇所として進められています。大変ありがたいことでございます。その他の箇所も含めまして、どうぞ安全に、そして速やかに進めていただきますようお願いを申し上げます。
それと、真に防災性を向上させるには、当然道路の無電柱化だけではなく、先ほど申し上げましたように、住宅街等、町なかへの展開も目指すところになると思います。そうなりますと、開発事業者等関係者の思いも出てくることとは思いますが、市町村の所管することと突き放すことなく、実施自治体に寄り添った支援ができるよう、さらなるノウハウの蓄積に努めていただきますよう併せてお願いを申し上げます。
それでは、次の質問に入ります。
クロアチアの話に戻りますが、ドゥブロヴニクに2日滞在した後、バスにてボスニア・ヘルツェゴビナの美しい古都モスタルを経由し、クロアチア第2の都市スプリトへ入りました。スプリトにも2日滞在した後、ハイウエーバスにて、スプリトから、1979年に世界自然遺産に登録されたプリトヴィツェ湖群国立公園に向かいました。およそ4時間の行程でしたが、バスに乗って数時間後、深い眠りに落ちてしまい、気づくと外はすっかり暗くなっていました。クロアチア語で表記されたバス停の文字は全く読めず、また、クロアチア語の車内アナウンスも全く分からず、ただただ不安が募っていきましたが、いつしかまた眠ってしまったようでして、再び気づくと、明くる日に訪れるはずの首都ザグレブに到着してしまいました。バスの終着点でしたのでバスを降り、現地トラベルエージェントに電話をして、急ぎハイヤーの用意をお願いしました。待つことおよそ1時間、さらにハイウエーを走ることおよそ2時間、予定より5時間ほど遅れてプリトヴィツェのホテルにチェックインしました。時間にして午後10時を過ぎていたのではと記憶をしていますが、ホテルは私たちのためだけにレストランを開け、ディナーをサーブしてくださいました。その際に出たプリトヴィツェの名物料理、マスのグリルのおいしさには、心の底から感動しました。それ以来、おいしいマス料理を探し続けている私でございます。
さて、先日、和歌山からハイウエーバスに乗る機会がございました。記憶の限りでは、8年ぶりとなる夜行バスへの乗車でございました。
和歌山市内の乗り場としては、南海和歌山市駅前やJR和歌山駅前が主力かと思われますが、私の場合は、高速道和歌山(鳴神)というバス停留所でした。インターネットで調べてみますと、まさに阪和自動車道に乗り場があるとのことでしたので、往路は午後9時半頃にバス停を訪れ、復路は午前5時半頃にバス停に降りました。なじみの地点ではあるものの、これまでの人生において未踏の停留所であり、夜や早朝のことでもありましたので、不安の募る乗降となりました。
ハイウエーバスは、観光客にとって、より安価に長距離移動できる有用な移動手段だと思います。大阪・関西万博2025をはじめインバウンドの経済波及効果を和歌山県内で享受するためにもハイウエーバス利用の充実は大切であると考えますが、和歌山県内の利用状況はどのように把握されているでしょうか。また、経済波及効果を増幅させるべく、さらなる観光振興を図るためにも、利用者増につながるようバス停留所の利便性向上をNEXCOや地元自治体、バス会社等に働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。地域振興部長の御答弁、どうぞよろしくお願いいたします。
○副議長(秋月史成君) 地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 県内におけるハイウエーバスの状況につきましては、3社の路線バス事業者が5路線7系統を運行しており、乗車率は6割から8割となっておりますが、外国人観光客の利用は少ないと聞いております。
また、ハイウエーバスの利便性向上につきましては、現在、各事業者がホームページで乗り場案内の充実や多言語対応などに取り組んでいるところですが、議員御指摘のバス停留所については、利用状況に応じ、事業者やNEXCO、地元自治体と連携しながら検討してまいります。
○副議長(秋月史成君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 地元の皆様や観光客の皆様が不安を募らせることなく、安心してバスを待ったりバスを降りたりできるような環境づくりをどうぞよろしくお願いいたします。
次の質問に入ります。
クロアチアを新婚旅行先に決めた理由は幾つかございますが、そこへ至るまでには紆余曲折がございました。
私の妻は、9月生まれでございます。9月の誕生石は、皆様御存じのとおり、サファイアでございます。
サファイアの採掘量世界第1位はオーストラリアで、実際、オーストラリアにはサファイアという地名があり、そこではサファイアが取れるそうです。
また、オーストラリアには、ケアンズやブリスベンを起点としたフォシッキングと呼ばれる鉱石の採掘ツアーもあるようです。
当時調べた文献に、大体1週間ほどあればサファイアが掘れるとあったものですから、結婚指輪用にサファイアを掘りに行こうと、当時の上司に1週間の休みを相談しましたところ、サファイア掘りか新婚旅行かどちらかにしてほしいとのことでしたので、サファイア掘りは断念いたしました。
後に、妻にそのことを伝えますと、「結婚指輪はダイヤモンドにして」ということでしたので、オーストラリア行きの断念は英断であったと思います。
それはそれとしまして、奈良県香芝市は竹田川にてガーネットとサファイアを採取できることがあるとの情報を得たのは、ずっと後のことでございました。
さて、鉱石といえば、私の故郷岩出市にも県指定天然記念物の百山稀少鉱物産出鉱脈がございます。
金鉱脈としての当該鉱脈が発見されたのは2000年8月のことで、当時中学1年と小学4年の兄弟が夏休みに鉱物を採取したのがきっかけだったとのことですが、極めて含有率の高い高品位の金鉱脈であること、北海道、静岡県に次いで国内3番目にして西日本で初となる手稲石が発見されたこと、また、同時期に同じ場所で別のアマチュア研究家が発見した鉱石が米国内の2か所でしか発見されていない希少鉱石マックアルパイン石であったこと等から、当時は随分と大きなニュースになったようです。
しかし、心ない盗掘が相次いだことから、地元の山の管理組合員等がパトロールを始め、立入禁止の看板や鉄線を設置し、警察に協力要請するなどして警戒に奔走され、最終的に県の条例で鉱脈を守るべく天然記念物申請をされ、2005(平成17)年5月31日、県より天然記念物の指定がされるに至りました。
当時、地元では、「公園にして活用を」「整備して希少鉱物の体験現場に」という声が出ていたようでございます。今でも鉱脈を誇りに思われている山の土地所有者の方々の中には、有意義な活用を望まれている方がいらっしゃいます。
この百山稀少鉱物産出鉱脈は、県指定の天然記念物ですので、県としても保護しつつ、できる限りのPRをするべきではないでしょうか。また、今後、地元の皆様や岩出市が当該鉱脈の整備やさらなるPRをしようとする際に、県としてはどのような支援をお考えでしょうか、教育長の御答弁、どうぞよろしくお願いいたします。
○副議長(秋月史成君) 教育長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 百山稀少鉱物産出鉱脈は、マックアルパイン石など、希少な鉱物を産出する学術上貴重な鉱脈であるため、県指定天然記念物に指定して保護を図っています。
また、県としては、この希少鉱物であるマックアルパイン石を県立自然博物館で展示するとともに、「わかやまの文化財」のホームページに掲載するなど、周知を行っているところです。
当鉱脈の整備やPRについては、今後、岩出市において策定が予定されている文化財保護法に基づいた文化財保存活用地域計画に基づき進められていくことになります。
本県といたしましては、土地所有者をはじめとした地元住民の皆様の意見を聴きながら、求めに応じた助言や既存の補助制度の活用促進などにより、引き続き保護と周知に努めていきたいと考えております。
○副議長(秋月史成君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 近い将来、岩出市内の小学生たちが春の遠足でマックアルパイン石掘りができたり、JR船戸駅発着のマックアルパイン石フォシッキング観光プランができたり、県指定天然記念物エリアが整備され、そのエリア入り口にキッチンカーがやってきて、マックアルパイン石まんじゅうや手稲石タルトが買えたりと、想像するだけでロマンが膨らみます。思いが形になりますよう、地元の皆様、岩出市と共に整備やPRに引き続き努めていただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
次の質問に入ります。
2018年9月定例会にて、習熟度別指導についてお尋ねをいたしました。その背景には、2016年12月定例会にて取上げさせていただきました最先端技術に象徴されます第4次産業革命時代への意識がございました。
その2016年当時の質問原稿を振り返りますと、以下のような記述が認められます。
ちなみに、2015年9月に公表されました世界経済フォーラムの報告書の中で、21のティッピングポイントが明らかにされました。
ティッピングポイントとは特定の技術的変革が社会の主流を転換させる瞬間ということですが、この報告書によりますと、800名を超える情報通信テクノロジー分野の企業役員や専門家が参加した調査の中で、「2025年までに人口5万人を超える都市で初めて信号機が廃止されることが起こる」と予想した回答者は63.7%でした。また、「2025年までに3Dプリンター製の肝臓の初移植が実施される」と予想した回答者は76.4%、「2025年までに眼鏡の10%がインターネットに接続されている」と予想した回答者は85.5%、「2025年までにアメリカで最初のロボット薬剤師が登場する」と予想した回答者は86.5%にも上りました。
いかがでしょうか。本年は2025年でございます。長かったコロナ禍により様々な研究や開発が後れを取ったことは否めませんが、少なくとも私の眼鏡はいまだインターネットには接続されていません。しかし、2015年に発売されましたインターネットに接続できる腕時計「アップルウオッチ」は、2023年時点で所有率が9.7%に達していたそうです。
改めて、「シンギュラリティー」という言葉を御紹介させていただきます。
技術的特異点、すなわち人工知能が人間の能力を超えたときに起こる事象ということであり、アメリカの学者、レイ・カーツワイル氏によりますと、それが2045年頃でございます。ただし、2020年代後半には汎用人工知能が一般的な人間の能力を超えるとも言われています。
その説のとおり、今やAIは共に社会や暮らしを構築するパートナーとなり、間もなく、いや、もしかすると既に一般的な人間の能力を超えているかもしれません。
この第4次産業革命を基盤とする新しい第5の現社会、Society5.0では、これまでの様々な課題が解決され、イノベーションと呼ばれる社会変革により新たな価値や産業が社会にもたらされてきています。この時代をたくましくしなやかに生きていく子供たちに必要な能力を育むために必要な学習環境を整えていくことが重要であるという考えは今も変わっていません。
学力の乏しい児童生徒に手厚く、ボトムアップに努める教育方針は我が国のお家芸であり、美しさも放ちますが、学力に秀でた児童生徒へのさらなる学習機会の提供については充実しているとは言い難いと感じています。
平成30年度全国学力・学習状況調査において、算数・数学科の学力と習熟度別の少人数による指導との相関関係はほとんどないというデータが出たとのことでしたが、その後のデータではいかがでしょうか。
とにかく習熟度別指導や少人数指導、飛び級やチームティーチング等、あらゆる手法を活用してトップアップにも努めるべきと考えますが、前回お尋ねしてより、学力向上に係る県教育委員会の取組について、教育長の御答弁、どうぞよろしくお願いいたします。
○副議長(秋月史成君) 教育長。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 県内の各学校では、個に応じた指導の充実を図るために、少人数指導やチームティーチングなど、様々な指導方法の工夫に取り組んでおりますが、近年、習熟度別の指導を行っている学校は少ない状況です。
習熟度別に児童生徒を分けることは、子供たちの心情に配慮する必要があるとともに、多様な児童生徒同士が互いに学び合う機会が少なくなるというデメリットもあると考えています。
また、2022年度全国学力・学習状況調査の結果において、2018年度調査と同様、習熟度別の指導と算数・数学科の学力との相関関係はほとんどないというデータがあります。
Society5.0時代や予測困難な時代が到来し、学校教育の在り方も大きく変化していることを踏まえ、これまで以上に一人一人に寄り添いながら個別最適な学びができる環境を構築することが重要であると考えています。そして、多様な人との協働を通して合意形成を図る姿勢や、受動的な学びにとどまらず、能動的に疑問を持ちながら物事を考える力を身につけた子供を育てていきたいと考えています。
県教育委員会としましては、1人1台端末の活用による個別最適な学びの充実や、全ての子供たちが共に主体的、探求的に学ぶことができる学びの場の充実を図っているところです。今後も、様々な指導方法を工夫改善しながら、全ての子供たちの確かな学力の向上に努めてまいります。
○副議長(秋月史成君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 公教育の中でトップアップの手法を構築できないままに教育無償化が広がることは、公教育の衰退並びに学力貧富の差の増大につながるのではないかと強く危惧をしています。さらに学びたい児童生徒が存分に学ぶことができる環境を備えた公教育の実現に向けて、引き続き検討に検討を重ねていただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、最後の大項目に入らせていただきます。
私が初めて「フリースクール」というワードをお聞きしましたのは、大阪府池田市での市長インターンシップに参加をさせていただきました2001年9月のことでございました。
当時、際立った最先端の取組だったらしく、池田市議会や委員会にて相当な議論をされていたことをおぼろげに思い出します。
あれからおよそ四半世紀がたち、我がまちでも「フリースクール」というワードが聞かれるようになり、そんな施設ができるまでにも至っています。
ちなみに、平成27年3月時点における文部科学省による小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査、いわゆるフリースクールに関する調査では、フリースクールの平均月謝は3万3000円とのことでございます。
教育学校法では、第1条で、「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。」と定め、いわゆる一条校は、国立、公立、私立の別を問わず、法律に定める学校として公の性質を持つとされています。
つまり、義務教育課程におきましては、一条校の小学校、中学校を卒業することで、義務教育課程修了となり、高等学校の受験資格を得ることになります。対して、フリースクールは、学習指導要領の縛りを受けない代わりに、義務教育課程の修了が認められず、地元の公立学校に籍を置きながら月謝を支払ってフリースクールに通い、在籍する学校を卒業するという形をもって義務教育課程の修了を迎えるということが実情のようでございます。
そこで、教育長にお尋ねいたします。
このフリースクールとはどのように定義されているのでしょうか。また、県教育委員会としては、フリースクールにどのような意義を認めているのでしょうか、御答弁どうぞよろしくお願いいたします。
○副議長(秋月史成君) 教育長。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) フリースクールに明確な定義はなく、その規模や活動内容は多種多様であり、一般に、民間の自主性、主体性の下に設置運営されているものをいいます。不登校児童生徒を受け入れ、相談や学習機会の提供等を行っている民間施設は、例えばフリースクールなどの名称で運営されています。
不登校児童生徒の支援のためには、学校以外の学びの場が充実していることが重要であり、フリースクール等民間施設はその選択肢の一つであると考えております。
○副議長(秋月史成君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 フリースクールを不登校児童生徒支援の一つの選択肢と認めるのであれば、教育の無償化の精神に照らすと、不登校児童生徒がフリースクールに通う際の月謝に関しては無償化の対象とするべきではないかと考えます。
実際、東京都をはじめ、フリースクール通学に補助金を出している自治体は全国に複数あり、関西では、京都府、大阪府、兵庫県が一定の条件下で補助制度を設けているようです。
ただ問題は、フリースクールに定義が明確に定められていないというところにあると思います。極端な表現をすれば、学習塾や英会話教室もフリースクールであり、政治塾や文化教室もフリースクールと呼べなくはないからです。
昨年12月定例会で登壇させていただいた際にも御報告を申し上げましたが、昨秋、心の連立会派代表、岩井弘次議員と、関西初の不登校特例校こと学びの多様化学校、大阪市立心和中学校を視察させていただきました。
昨年4月開校の同校では、繊細で柔らかい配慮が随所に施され、地元の学校に通いにくい生徒一人一人の事情と向き合い、盛岡栄市校長はじめ教諭の皆様にも校舎内にも「生徒が出席しやすいように」の思いがあふれていました。壁紙の色を1面だけ変えること、教室内でも一呼吸置けるスペースをつくること、女生徒が多いこと、登校してまずは心の天気を表明すること、授業中はそのときの心情をカードで出すこと等々です。
また、どうやら軽音楽部が発足している様子にも興味を強く引かれました。
盛岡校長の「とにかく、どの児童生徒にもお受けする教育環境の選択を間違えてはいけない。どの高校に進もうとも、人生どこかで学び直すことができる」とのお言葉が印象的でした。つまり、社会として多様な教育環境を整えておくことが大切だと気づかされます。
本来、公的な取組として不登校児童生徒の支援をすべきだと考えます。学びの多様化学校が和歌山県には設置されていませんが、登校できない児童生徒への支援として、また公教育実施者の一つの責任の果たし方として、私は学びの多様化学校設置を進めるべきと考えますが、教育長のお考えはいかがでしょうか。御答弁どうぞよろしくお願いします。
○副議長(秋月史成君) 教育長。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 本県では、不登校児童生徒を受け入れる公的な施設として教育支援センターがあり、学習支援や教育相談、登校支援を行っています。
また、登校はできるけれど教室に入ることができない児童生徒に対して、不登校児童生徒支援員等が別室や校内教育支援センターで個々の不安な気持ちを取り除いたり学習支援を行ったりしています。
学びの多様化学校は、不登校児童生徒の実態に配慮し、特別の教育課程を編成して教育を実施する学校です。他府県の取組による効果として、柔軟な教育課程が児童生徒の登校意欲につながることなど、報告されています。
県教育委員会としましては、今後、設置に向けての課題を整理してまいります。
○副議長(秋月史成君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 お母さんの学校Ⓡという団体が主催する「不登校サミット」なる我が国最大級の不登校オンラインイベントがあり、昨年は全国から1万人参加されたとのことです。今年は7月4日から13日で開催されるそうですので、私ものぞいてみようと思っています。
いずれにしましても、課題の整理にとどまらず、課題の乗り越え方もぜひ御検討いただきますようよろしくお願いいたします。
最後に、インターナショナルスクールについてお尋ねいたします。
インターナショナルスクールとは、法令上の定義や規定はなく、文部科学省の中央教育審議会では、一般的には主に英語により授業が行われ、外国人児童生徒を主な対象とする教育施設と捉えられるとの見解が示されています。
多文化共生がうたわれるようになり、本県でも外国人と出会うことが多くなりました。外国人技能実習生を雇われている企業も増え、外国人労働者やその家族向けに日本語学習支援も行われています。
また、地球の裏側のアルゼンチンでは、日本人学校における掃除や給食の配膳等の集団教育が好まれ、アルゼンチン人の児童が増えていると三井デリア校長がおっしゃっていたとおり、世界から評価される日本の各教育の美点は確かにあると思います。
一方で、プロ野球選手はじめ、海外で活躍する日本人が増えてきたこともあり、低年齢から外国のマナーや英会話を子供に身につけさせようとする家庭も増えてきていると感じます。
一昨年の秋に、経済警察委員会委員長として総務委員会と合同で県外視察に訪れた熊本県では、TSMC進出に伴う外国人幹部職員の家族の受入れとして、インターナショナルスクール不足が新たな社会課題の一つであると、当時の元田啓介企業立地課長より御説明をいただきました。
和歌山県でも、3年前のIR誘致に際して、インターナショナルスクールの存在が社会課題の一つと水面下で議論されていたことを記憶しています。
そこで、企画部長にお尋ねいたします。
多様な教育環境を整えるという意味でも、また海外からの大規模な企業誘致を成立させる要素の一つとしても、インターナショナルスクールの設置は意義があると思いますが、本県におけるインターナショナルスクール一条校の設置状況並びに誘致状況はいかがでしょうか。御答弁どうぞよろしくお願いいたします。
○副議長(秋月史成君) 企画部長北村 香君。
〔北村 香君、登壇〕
○企画部長(北村 香君) 主に英語で授業が行われ、外国人児童生徒を対象とする教育施設である、いわゆるインターナショナルスクールについて、学校教育法第1条に規定する学校として県が認可をしたものは、現在のところございません。
一方、これまで関係者からの問合せがあれば、候補となり得る土地などの情報提供などをしております。
現状、県としては誘致活動を行っているわけではございませんが、今後とも、県にとって有益な案件があれば協力してまいりたいと思います。
○副議長(秋月史成君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 企画部長より御答弁いただきました。
現在、インターナショナルスクールは、一条校だけではなく、各種学校としても県内に認可を受けた施設はないとお聞きをしています。また、そもそも和歌山県庁内にインターナショナルスクールを積極的に誘致する職務を担った課がないともお聞きをしています。今後、和歌山県の将来性を鑑みたインターナショナルスクール誘致の意義について議論を深めてまいりたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
最後に、私的なことで大変恐縮でございますが、今回、大項目1を除きますと、全て私の大学の諸先輩方に御答弁をいただきました。感慨深い思いでいっぱいでございまして、まさに一層身の引き締まる思いでございました。
学生時代よりともし続けています淡い理想と正義の火を弱らせることなく燃やし続け、和歌山県勢のさらなる発展に向けて微力を尽くしてまいりますことを改めてお誓い申し上げ、私の人生20度目の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(秋月史成君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時34分散会