令和7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
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令和7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号
議事日程 第3号
令和7年6月18日(水曜日)
午前10時開議
第1 議案第102号から議案第114号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第102号から議案第114号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(42人)
1番 高田英亮
2番 上山寿示
3番 佐藤武治
4番 鈴木德久
5番 森 礼子
6番 濱口太史
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
9番 玄素彰人
10番 山家敏宏
11番 鈴木太雄
12番 岩田弘彦
13番 吉井和視
14番 中村裕一
15番 北山慎一
16番 坂本佳隆
17番 中本浩精
18番 堀 龍雄
19番 新島 雄
20番 山下直也
21番 三栖拓也
22番 川畑哲哉
23番 秋月史成
24番 谷口和樹
25番 山田正彦
26番 坂本 登
27番 岩永淳志
28番 小川浩樹
29番 中尾友紀
30番 岩井弘次
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 尾﨑太郎
34番 藤山将材
35番 小西政宏
36番 浦平美博
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 谷 洋一
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 宮﨑 泉
理事 山本祥生
知事室長 北廣理人
総務部長 友井泰範
危機管理部長 中村吉良
企画部長 北村 香
地域振興部長 赤坂武彦
環境生活部長 湯川 学
共生社会推進部長 島本由美
福祉保健部長 𠮷野裕也
商工労働部長 中場 毅
農林水産部長 川尾尚史
県土整備部長 福本仁志
会計管理者 高橋博之
教育長 今西宏行
公安委員会委員 岸田正幸
警察本部長 野本靖之
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 森田康友
選挙管理委員会委員長 和歌哲也
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 中嶋 宏
次長 橋爪正樹
議事課長 岩井紀生
議事課副課長 田中 匠
議事課議事班長 川原清晃
議事課主査 川崎競平
議事課副主査 西 智生
議事課副主査 林 貞男
総務課長 榊 建二
政策調査課長 岩谷隆哉
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午前10時0分開議
○議長(岩田弘彦君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
過日提出のあった議案第103号、議案第104号及び議案第107号は、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により、人事委員会の意見を徴しましたところ、文書にて回答がありました。配付しておりますので、御了承願います。
次に、日程第1、議案第102号から議案第114号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
3番佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)
○佐藤武治君 皆さん、おはようございます。
初めに、このたびの知事選挙で多くの県民の支持を得て御当選をされました宮﨑知事に心からお喜びを申し上げます。
また、岸本前知事には、私は改選前の令和5年3月に、私の地元である串本町立潮岬公民館で初めての県政報告に応援弁士として来ていただいたのを昨日のように思い出しました。心より感謝とお悔やみを申し上げます。
本日、新知事として迎えた本議会の初日に、その所信を質問することができる機会を与えていただきました先輩議員、また同僚議員に改めてお礼を申し上げます。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさせていただきます。
さて、このたびの選挙を思い返しますと、多くの県民が本県のこれからを考えて、岸本前知事の手腕に大きく期待をしていたところでありますが、その急逝により、和歌山県全体が深い悲しみに包まれました。
そのような中、宮﨑知事が和歌山県の危機的状況を打破するために立ち上がっていただき、前知事の思いを引き継ぐ決意を表明していただいたこと、また、宮﨑知事の誠実な人柄が今回の選挙において多くの県民から支援をいただいたものだと考えております。
それだけに、県民ひとしく今後の県政に大きく期待しているところであります。
6月10日の所信表明におかれまして、岸本前知事の思いを引き継ぎ、常に県民の視点に立って何をすべきかを考えることが基本であり、県民の皆様や地域の声を伺うこと、現場にしっかり目を向け共に歩むこと、これは宮﨑知事が職員時代から最も大切にしてきたと聞いております。この姿勢を堅持していくこと、これをそういうことで話をされておりました。
また、これから県政を進めていく上で、人口減少、少子高齢化、労働力不足などの産業界への影響をはじめ、教育や医療、福祉、防災に対し、具体的に取り組む施策の柱として、「未来を創るこどもを育み、学びをささえる」、「いきいきと働くことができる仕事をつくる」、「いのちと暮らしをまもる」、「住みよい和歌山、住みたくなる和歌山をめざす」の四つの施策の柱立てをし、県政を進めていくとのことでした。
所信表明の中で具体的な取組をお聞かせいただきましたが、四つの政策の柱の今後の取組の進め方について、個々の政策の方向性は岸本前知事の方向性を継承されるのでしょうか。また、宮﨑新知事として新たに取り組みたいことは、どのようなことでありますか、お尋ねをいたします。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 佐藤議員から今後の新たな取組、進め方についての御質問を頂戴いたしました。
今定例会の冒頭において、私がこれから取り組んでいきたいと考えている四つの政策の柱について申し述べさせていただきました。
これらの政策は、全国に先んじて人口減少と少子高齢化が進む和歌山県においては、誰もが安心して心豊かに暮らしていけることができる持続可能な地域社会を守っていく上で、非常に重要な政策であると考えております。
その中で、学校給食費の無償化や子供食堂の設置拡大、それから、熊野白浜リゾート空港の利用促進、さらに滑走路の延伸に向けた準備など、各政策の基本的な方向性は、岸本前知事が進めてこられた取組を継承していくものであります。
とはいえ、本県を取り巻く社会・経済情勢が刻々と変化していく中で、様々な課題に対して臨機応変に対応していくことが求められます。
今定例会において、本年4月の降ひょうにより被害を受けた梅農家への支援に関する補正予算を追加提案し、御審議をお願いしております。
これは、私が選挙期間中に現地で被害状況を確認し、迅速な対応が必要と判断した中で、知事就任後、速やかに担当部局と協議し、対策を取りまとめたものであります。
今回、自然災害による被害に苦しんでいる方々に向けた緊急的な対策となりますが、本県が抱える課題はほかにも数多くあります。
今後も引き続き、庁内の各部局から状況をよく聞き、現場の声や情勢の変化にも注意しながら、機を逃さず必要な対策を実行してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 知事、ありがとうございます。
今も言われておりましたけれども、選挙期間中に梅の被害の、現地調査、現地確認をしてすぐに対策等をやっていただいたというふうに聞いておりますし、本当に足を運んでというのが基本だというふうに私も思いますし、私ら議員もそうだと思います。そういうことで、現場の声、住民の声、県民の声をしっかりと聞いていただくこと、そしてまた岸本前知事の意思の継承と宮﨑知事の思いが詰まった「県民に寄り添い、笑顔あふれるわかやま」、こういうのを実現していただくことを期待しております。
それでは、厚生労働省が先日発表した2024年の人口動態統計によりますと、昨年1年間で生まれた日本の子供の数は、1899年の統計開始以降初めて70万人を下回り、一般女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率も過去最低の1.15となるなど、少子化は加速しており、その減少幅は年々増加し、非常に深刻な状況となっております。
介護・医療業界や建設業界をはじめ、あらゆる分野の産業における人手不足や地域の活力の低下、生活を支えるインフラの老朽化など、本県が抱える課題は山積しており、特に紀南地方においては、より深刻な状況を肌身で痛感しているところであります。
知事は、選挙期間中、「県民に寄り添い、笑顔あふれるわかやまへ」をキャッチフレーズに、こどもまんなか和歌山の実現や、農林水産業、地場産業の振興、医療・介護体制の充実などに取り組むことを訴えられておりましたが、先ほど申し上げた厳しい課題に直面している本県において、大きなビジョンとして、宮﨑知事が目指す和歌山の将来像について、どういったものをお考えか、その考えをお尋ねいたします。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 佐藤議員御指摘のとおり、人口減少、超高齢化の加速のみならず、デジタル技術の進展や脱炭素・循環型社会への構造転換が求められるなど、和歌山県を取り巻く環境というのは大きく変化し、そうした動きは今後より一層拡大していくことが見込まれます。
こうした課題や社会情勢の変化に対応していくことは容易なことではありませんが、先の見通しが立ちにくい困難な状況においても、県民が将来に希望を持てるビジョンを描き、実現していくことが知事である私の使命だと思っております。
私は、選挙期間中、誰もが未来に向けて歩んでいける社会を実現する、また、県内産業の人手不足の解消や収益を高める取組を支援するとともに、誰もが働き続けられる社会を目指すと県民の皆様に訴えかけてまいりました。
この思いは、岸本前知事が着手し、現在策定作業を進めている県政の新たな指針、新総合計画の理念と一致するものであり、私もこれを引き継いで、この計画で掲げる将来像の実現を目指してまいりたいと考えております。
具体的には、新総合計画で展望する2040年に向かっては、人口減少という大きなトレンドは避けられない中で、少ない人口でも多様性に富んだ豊かな社会を構築していくために、一つには、人口減少や気候変動に適応した持続可能で心豊かな和歌山、そして、個人が尊重され、あらゆる分野で個性輝く和歌山の二つを目指す将来像として掲げ、その実現に向けて全力で取り組むつもりであります。
将来世代にも希望が持てるビジョンとなるよう、車の両輪である県議会の皆様方とも深く連携し、協力をいただきながら、新しい総合計画をつくっていきたいと思っておりますので、ぜひ御指導のほどよろしくお願いを申し上げます。
○議長(岩田弘彦君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 どうもありがとうございます。
今、具体的なお話も出ました。その実現に向けて、岸本前知事の思いと宮﨑知事の思いを乗せて、新しい総合計画の作成をひとつ期待をしておりますので、よろしくお願いします。
続きまして、大項目の二つ目の質問に移ります。
スペースポート紀伊を核とした紀南地域の活性化についてお尋ねをいたします。
この件は、私が昨年、令和6年2月定例会でも質問をしています。今回の質問までの間に2回の打ち上げが行われていました。
1回目の打ち上げは昨年3月13日に行われ、高度50メートルから60メートルまで上昇したところでロケットが異常を検知し、発射から約5秒後に自律飛行安全システムが作動して飛行中断措置が取られました。
2回目の打ち上げは昨年の12月18日に行われました。宇宙空間まで届き、私も成功したというふうに思ったんですが、打ち上げ80秒後ぐらいに第1段エンジンの燃焼ガスを吹き出すノズルの動きに異常が発生し、打ち上げ3分7秒後ぐらいでありましたが、またも飛行中断措置が取られました。
次の3回目、まだ発表されておりませんけれども、3度目の正直ということで、ぜひとも成功してもらいたいというふうに願っております。
直近のニュースでは、宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BD株式会社が防衛省の衛星打ち上げ業務を受注し、スペースワン株式会社のカイロスロケットを利用し、実証衛星をスペースポート紀伊より打ち上げる予定であるというふうに聞きました。
地元の者としては、こういうニュースを聞くのは非常にうれしいと、そういうふうに思うと同時に、次の打ち上げに着実に動いているということが分かり、打ち上げ成功に向け頑張ってほしい、成功してほしいという期待と、地元を挙げて協力できることは本当に協力したいという思いがあふれてきます。
令和6年2月に私が質問を行い、岸本前知事からは、紀南地方の観光資源とロケットの打ち上げを最大限に活用した観光施策についてしっかり取り組んでいくとともに、高頻度の打ち上げが実現すれば、宇宙機器産業の集積や県内企業の参入促進が期待をされ、さらには、衛星データの活用による既存産業の効率化・高度化に向けた取組も期待されるとの答弁をいただきました。
さらに、県と地元が一体となり、ロケット射場がある和歌山の発展に向け、全力で取り組んでいくとの答弁もいただいたところです。
岸本前知事のこの答弁を受けまして、非常に心強く感じると同時に、県立串本古座高等学校で宇宙探究コースがスタートをし、次世代の若者へバトンをつないでいけるという確信が持て、非常に胸が熱くなったことを思い出します。
宮﨑知事には、岸本前知事の思いを継承していただき、産官学、地域が一体となった取組を期待しております。
3回目のロケット発射が成功すると期待をしまして、ロケット発射が成功した後、紀南地域の活性化に向け、どのような取組を実施していくかを知事にお尋ねいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) ロケットの打ち上げをきっかけとした宇宙産業の集積は、和歌山県、特に紀南地域にとって、活性化や成長につながるエンジンになると確信をしています。県としては、市町村と綿密に連携しながら、このチャンスを逃さず具体的な行動につなげていきたいと考えています。
これまで2度の打ち上げでは、見学に来られた方々に安心してロケット打ち上げを御覧いただけるよう、串本町、那智勝浦町をはじめ関係者、関係機関と連携しながら、できる限りの誘客、渋滞対策を実施し、結果として大きな混乱もなく、見学者の皆様をお迎えすることができました。
あとは3号機による衛星の軌道投入の成功を待つのみであり、そのためにできるサポートは何でもしていく所存であります。
現在は、成功に向けたカウントダウンの段階だと考えておりますが、議員がおっしゃるとおり、成功を前提に次のステップとしては、2030年代には年間30機の打ち上げが行われ、ロケットが定期的に打ち上がることが当たり前になる環境を想定し、対応を転換していかなければなりません。
打ち上げの見学については、これまでの経験をベースとしつつ、見学場ごとに市町村の独自性を発揮することで、さらなる魅力向上を図るとともに、熊野古道や美しい自然など、近隣の観光資源とロケット、宇宙を組み合わせることによって新たな魅力を創出していきたいと考えています。
また、高頻度の打ち上げが現実となれば、観光面での経済効果に加え、ロケットの組立て、部品、燃料などの工場や人工衛星の関連企業等の集積、県内企業の宇宙関連産業への参入促進、人材育成など、宇宙産業の裾野の広がりが期待できます。
こうした期待を実現させ、ロケット、宇宙分野が紀南地域活性化につながるよう、現在、紀南地域の10市町村と先行的に共同で検討を進めながら、宇宙産業の集積に向けた行動指針となる宇宙アクションプランの策定に取り組んでいます。
本アクションプランでは、2040年に、この和歌山の地が宇宙に関するあらゆる企業や人が集い、夢を実現するスペースエントランスとなることを目指して、まず宇宙輸送や衛星製造等のハード面、それから衛星データ利用等のソフト面、三つ目に、人材・観光面の柱について、目指す姿と中期的なアクションを定めてまいります。
県としては、市町村を超えた広域連携や全体の最適化に当たっての調整役を担いつつ、各市町村の特色を生かした宇宙まちづくりを推進するとともに、紀南地域全体として産業集積を実現していきたいと考えています。
本アクションプランを通じて、県、市町村、企業、教育機関等でスペースエントランスの将来ビジョンを共有し、一丸となってその実現に向け取り組んでまいります。
○議長(岩田弘彦君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 ありがとうございます。
本当に最初の3月のときには僅か5秒で爆破されて、私もそのときは同僚の北山議員と一緒に近くの国民宿舎の屋上で見させていただいて、カウントダウンも始まって、大きなオーロラビジョンを見ながら、なかなか上がらないなと思っていたら、何か皆、わあっと言って、山のほうから白い煙だけ見えたんです。さすがにあの後は、期待していた子供たちがもう本当に残念がって、もちろんあのときは観光客というのか、見学者の方はもう本当に大勢来ていただいて、一時ちょっと船の関係とかで、9日の予定が少し延びたんですけど、物すごく盛り上がっていました。でも子供たちが泣いているというのかな、そういう姿を見て本当に残念だなという気持ちがあったんですが、その後の2回目のときには、先ほど言いましたけれども、約3分ぐらい飛んで、ああいうところまで行った。
あの後のニュースで子供たちとか見学者が喜んでいるのを見ていると、軌道には入らなかったけど、会社としては失敗ではあるけど、見に来ていただいた方にはやっぱりああいうふうなすごい感動を呼ぶんだなというふうに、私も当時は、12月の議会中でテレビで拝見したのですけども、本当にああいうロケット、小さなロケットでありますけれども、やっぱり人を感動させる、そういうものだなと、改めて感じたところであります。今知事のほうから話がありましたけれども、これ3度目になりますけれども、ぜひ成功していただいて、今後、本当に年間30機というと月に2回ぐらい打ち上げるわけですから、経済効果も含めて、大変な大きな楽しみがあるというのかな、そういうふうに思います。
ひとつまた県もしっかりとサポートして、今後そういうふうな地域産業に結びつけていけたらなというふうに思います。よろしくお願いします。
つい2~3日前でありますけれども、串本古座高校の校庭の前を車で走っていたら、恐らく先生とそれから宇宙探究コースの生徒だと思います、校庭のところで小さなミニロケットみたいな何か模型を飛ばす授業だと思いますが、やっておりました。
そういうことで、やっぱりいろんなところでロケットが根づいてきているなというのも実感したところでありますので、ひとつこれを核に、紀南地域の産業やら観光が活性化するように、お願いをしておきます。
続きまして、大項目三つ目の質問に移ります。
熱中症対策に係る取組についてお尋ねをいたします。
6月9日には和歌山でも梅雨入りをしました。また梅雨が明ければ真夏、夏真っ盛りだなというふうに思いますし、もう既に昨日ですか、ニュースでは熱中症により亡くなられた方がもう出ているというところでありますので、また今年も異常な暑さが続くのかなというふうには心配をしておるところであります。
暑さ指数、これが33以上と予測した場合に環境省と気象庁が共同で熱中症警戒アラートを発表します。これもう和歌山も、昨日、おとといか、今日も発表をされていると思います。
和歌山県での発表状況は2022年、この年に32回、それから2023年には38回、去年、2024年でも65回というふうに年々発表回数が増加しておるところです。特に昨年の夏は発表回数も多く、非常に暑い夏でありました。
総務省消防庁報告データによりますと、全国で6月から9月の期間に熱中症で緊急搬送された方は、2010年以降は大きく増加して、特に非常に暑い夏となった2018年、ここでは9万5137人、近年では2022年に7万1029人、2023年には9万1467人、直近の2024年5月から9月の全国における熱中症による緊急搬送人員の累計は9万7578人、これは平成20年の調査開始以降、最も多い搬送の人員だということです。
和歌山県では、2024年の熱中症による緊急搬送人員は1139人で、全国と同じくらい最も多い搬送人員ということでありました。
和歌山県での緊急搬送された方の年齢割合は、新生児と言われる生後28日未満の方がゼロ名、乳幼児、生後28日以上で満7歳未満の者が6人、割合にすると0.5%、少年、7歳以上満18歳未満の者が109人で9.6%、成人、18歳以上満65歳未満の方が301人で26.4%、高齢者と言われる65歳以上の者が723人で63.5%となっております。
全国の状況と比較したところ、それほど変わりはありませんけれども、やはり高齢化が進んでいるため、和歌山県では高齢者の割合が高くなっているんだなというふうに思いました。
和歌山県での症状別は、死亡が7人で、パーセンテージでいうと割合は0.6%、重症、3週間以上の長期入院が34人で2.9%、中等症、入院診療が242人で21.2%、軽症と言われる外来診療が856人で75.3%というふうな数字があります。
死亡率が全国と比較して和歌山県のほうが高い割合となっていますが、やはり高齢化が進んでいるのかなというふうに推測できます。
発生場所で見ると、和歌山県では、住居が464人で約40.7%、仕事場、いわゆる道路工事現場とか工場作業所等が入るんですが、ここが103人で9.0%、仕事場の中でも田畑、森林、川、海等で農林・畜産・水産作業を行っている場合でありますけれども、ここが47人で4.1%、教育機関が35人で3.1%、いわゆる公衆、屋内、劇場やコンサート会場等々で71人で6.2%、公衆のうち屋外、競技場、各対象物の屋外駐車場や野外コンサート会場や、駅ホーム等の不特定多数が出入りする場所での方が166人で14.7%、道路上で173人で15.2%と、その他が80人で7.0%というふうな数字が出ております。
こういうデータを見てみますと、やはり屋内でお過ごしの高齢者の方、次に屋外で働く成人が熱中症になりやすい傾向があるのかなというふうに思われます。
死亡率は高くないですけれども、近年の酷暑により、熱中症になられる方が増加している、先ほども申し上げたとおりであります。健康や命に関わりますので、個人の予防や対策がより重要になると考えておりますけれども、このような状況の中、熱中症対策について、県としてどのような対策を実施しているのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長𠮷野裕也君。
〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 熱中症を防ぐためには、小まめな水分補給やエアコンによる室温調整、帽子の着用など、日常生活での対策が必要です。
また、目まいや吐き気など、熱中症が疑われる症状が現れた場合には、涼しい場所へ避難させ、水分補給等の処置を行い、さらに呼びかけに反応しないといった意識障害が見られるときには救急車を呼ぶなど、適切な応急対応が重要となります。
県では、県民の友や県ホームページ、テレビ、ラジオでの周知のほか、民間企業と連携し、コンビニエンスストア店内に設置された大型ディスプレーで熱中症対策のポイントを呼びかける動画を放映するなど、熱中症予防や応急処置の方法について情報発信を行っているところです。
熱中症の危険から県民の命と健康を守るため、様々な媒体を活用し、引き続き周知啓発を行ってまいります。
○議長(岩田弘彦君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 どうも部長、ありがとうございます。様々なところで引き続き周知啓発、これをまたしっかりやっていただきたいと、このように思いますので、お願いいたします。
次に、職場における熱中症対策の義務化についてお伺いをいたします。
今年、今月6月1日に労働安全衛生規則が改正をされ、WBGT、暑さ指数と言われる、ここが28度以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間を超えて実施が見込まれる作業については、事業者による熱中症対策が義務づけをされました。
具体的には、熱中症の疑いがある者を早期に発見し、病院への搬送が必要なのかを判断し、病院へ搬送を待つ間の対応などを適切に行えるよう体制整備、手順作成、関係者への周知が事業者に義務づけをされました。労働者の健康と安全を守るために、より積極的に熱中症対策を行うことを目的としているということであります。
工場や土木作業現場、農業、林業、畜産業、水産業などの現場で働く方は、大変な暑さの中、お仕事をされており、本当に大変だという声をよく耳にします。中には、熱中症になり、病院で点滴を打ってもらってようやく回復したという方もいらっしゃいました。
さきにも申し上げましたけれども、令和6年5月から9月の全国における熱中症による緊急搬送人員の累計は9万7578人という、そのうちの3万2222人が18歳から65歳の成人であるとのことでありますから、つまり、熱中症になられた方の3割、この方たちは労働を行っている、または社会を担っているという、こういう世代になるわけであります。
労働者人口が減少している今般、事業者が労働者の健康と安全を守ることは、事業者の安定した事業の継続と労働者の生活を守ることにつながり、その家族が安心して暮らしていけることになります。そういう意味では、今回の改正は、熱中症から労働者を守るための重要な改正だというふうに考えております。
今回の労働安全衛生規則の改正では、労働基準局が事業所の調査を行い、事業者への体制整備、手順作成、関係者への周知を徹底すると聞いていますが、労働基準局だけに任せるのではなく、県としても熱中症から労働者を守るために実施すべきことはあると思います。
そこでお伺いをいたします。
労働者人口が減少している今般、労働者の健康と安全を守るため、事業者に対し今後どのような取組を行っていくのか、商工労働部長にお尋ねをいたします。
○議長(岩田弘彦君) 商工労働部長中場 毅君。
〔中場 毅君、登壇〕
○商工労働部長(中場 毅君) 近年の気候変動の影響から、夏季を中心に熱中症の発生が相次ぐ中、職場においても熱中症が多数発生しております。
厚生労働省の統計によると、2024年における職場での熱中症による休業4日以上の死傷災害は全国で1257人と、調査開始以来最多となっており、今回の労働安全衛生規則の改正は、熱中症から労働者を守るための重要な改正であると認識をしております。
県としましては、労働者の健康と安全を守るために、事業者が安全な労働環境を提供することは重要であると考えており、企業が集まるイベント、研修会、セミナーなど、機会を捉えて職場における熱中症対策について啓発を行ってまいります。
○議長(岩田弘彦君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 答弁どうもありがとうございます。
今朝のニュースでも、東京都内の中学校か、高校か、何かそういう授業中でも小まめに、先生が何かこの指数を測る機械を持って、何か28とか超えたらもうすぐに子供に休憩させるとか水分を取らせるとか、いろんなそういうこともやっておられました。どこかの職場でも、指数が高くなると労働者に休憩させて、何か頭から水かぶせるような、そういうニュースも流れておりましたけれども、本当に命に関わることですので、しっかり商工関係事業者にかかわらず、農林水産関係もそうです、土木関係事業者もそうです、県全体としての労働者の安全、健康、命を守っていくという観点で対策に取り組んでいただきますように、ひとつよろしくお願いします。
最後に、宮﨑新知事に、多くの皆さんの御支援で初当選をされて、御期待に応えようという、そういう気持ちを非常に持っているかなというふうに推測はされます。公務多忙であります。本当に大変な毎日をこれから過ごされると思いますけれども、時にはやっぱり息抜きも必要かなというふうには思います。くれぐれも御無理はしないようにしていただいて、健康に気をつけていただきたい、このように思っております。
これで、令和7年6月の私の一般質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
38番林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕(拍手)
○林 隆一君 (「未練あるやろ」と呼ぶ者あり)皆さん、おはようございます。未練はないんですけど、ちょっと林からということでよろしくお願いします。
議長のお許しを得ましたので質問させていただきます。
その前に、宮﨑知事、改めまして知事選挙での大差での勝利、心からお喜び申し上げます。
個人的な話になるのですが、私は野崎小学校、河北中学校というところを卒業しており、宮﨑知事とは同じ町内ということにもなります。よろしくお願いいたします。
そういうこともありまして、本当に近所のお寺さんの住職さんから、宮﨑現知事が知事選に出るときに、うちの檀家だから何とか応援してくれとか、もう近所から本当に応援依頼が来た次第でございます。逆に言えば、「何であんたとこ推薦せえへんねん」とお叱りを受けたり、私、全然関係ないんですけど、なぜしなかったととても怒られて、そういう思いをしたこともあります。そういうこともあって、今回、知事に3問ほど質問させていただくんですが、知事の御答弁のほう、よろしくお願いしたいというふうに思っていますので、皆さん、お願いいたします。
そうしたら、この後、議連の総会があるということで、端的に、質問を進めていきたいと思いますので、御答弁のほうも端的に明快によろしくお願いいたします。
それでは、まず県立中学校の学校給食についてです。
学校給食の無償化については、自民、公明両党と、そして日本維新の会の党首間で合意され、小学校については令和8年度から実現し、中学校についてもできる限り速やかに実現することとして議論されております。
この動きに先駆けて、県では昨年度の10月から学校給食費無償化をスタートし、引き続き本年度も無償化事業を実施しております。
また、和歌山市において令和8年度から、中学校給食センターの設置により市立中学校での全員給食が始まる予定となっております。
しかし、県立中学校では学校給食を実施しておらず、このままでは国による中学校の給食無償化が始まっても、県立中学校に通う生徒はその恩恵を受けることができないのではないかと危惧しております。
そこで、昨年の6月議会において、県立中学校で学校給食の実施に向けて、市町村や学校給食を実施しているほかの都道府県立中高一貫校に調査及び検証していくべきではないかという質問をいたしましたところ、岸本前知事から研究したいとの御答弁をいただきました。
その後、12月議会と本年2月議会において進捗状況を伺っておりますが、岸本前知事は、2月議会の時点では、配膳室を設置するためのスペースの確保や衛生的に給食を運ぶための経路の確保という課題があるが、引き続き関係機関等と協議を行い、検討を進めてまいりたいと考えておりますと御答弁されました。
そこで、県立中学校の学校給食の実施について、どれくらい検討が進んでおられるのか、宮﨑知事、お伺いいたします。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 林議員におかれましては、同じ町内ということで、今後もよろしくお願いしたいと思います。
県立中学校で学校給食を実施するに当たっては、生徒数や施設の状況が各校で異なっていることから、配膳室の規模や設置場所の候補について個別に協議検討をしているところであります。
また、給食時間をどう確保するか、給食をどこから調達するかなど、解決しなければならない多くの課題についても随時調整をしているところであります。
体制が整った学校から少しでも早く学校給食を実施できるよう検討を進めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 知事、すばらしい御答弁ありがとうございます。
少しでも早く進んで、県立中学校の無償化、実現できたらいいというふうに思っております。
それでは、続きまして、米作りに対する支援について質問いたします。
インバウンド需要の増加などにより米が不足し、価格が高騰している状況について、毎日のように報道をにぎわせ、米に対する関心がとても高まっている状況であります。
和歌山県は、全国的に見ると米の生産量は多いほうではありませんが、主食である米の重要性を考えると、食品の確保や農地の保全のためにも、米作りに対する手厚い支援が必要と考えております。
そこでお尋ねいたします。
県では、現状どのような支援策に取り組んでいるのか、農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 農林水産部長川尾尚史君。
〔川尾尚史君、登壇〕
○農林水産部長(川尾尚史君) 県では、米生産者に対して、国庫補助事業を活用した施設整備等を支援するとともに、法人化や協業化に取り組む生産者や個人での経営発展を目指す生産者には、県単独の強い経営体育成支援事業により、コンバインなどの機械の導入を支援しているところです。
また、水田の区画整備や水路の改修、農地中間管理機構による担い手への農地集積を進めるとともに、米の売上げが減少したときに補塡金を受け取れる米・畑作物の収入減少影響緩和交付金制度の活用推進や、小区画で不整形な水田での生産活動などを支援する中山間地域等直接支払制度の実施に取り組んでおります。
○議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁ありがとうございます。
米作りに対するドローンなどの機械の支援について、県の事業では現状の水稲経営規模が6000坪以上という要件があると聞いております。また、国の事業についても、地域計画への位置づけや融資を受けることなどの要件があり、知り合いの稲作農家からは、米以外の作物に比べると補助を受けるハードルが非常に高いと、そういうふうに聞いております。
農林水産業の振興は重要ですが、中でもこの米不足の状況では、特に米作りの支援が重要だというふうに考えております。
そこで質問いたします。
米作りに対する支援について、知事のお考えをお聞かせください。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 本県では、傾斜地を利用した果樹栽培や温暖な気候を活用した施設園芸など、地域の特徴を生かした収益性の高い農業が営まれており、日本一の生産量を誇る梅やミカンなどの安心・安全で高品質な農産物を国内外に届けています。
県では、これまでも一次産業の振興を重点施策に位置づけ、産地の維持発展やもうかる農業の実現に向けて頑張る生産者を応援する取組を展開してまいりました。
その中で、水田農業については農家1戸当たりの経営面積が小さく、水稲だけでは経営の維持が困難なことから、米作りと収益性の高い野菜や花卉を組み合わせた複合経営を推進してきたところであります。
一方、先週閣議決定されました、いわゆる骨太の方針2025において、水田政策の見直しの具体化を進める旨が明記されており、今後、米作りへの支援に対する具体的な検討が進められると思われます。
議員御指摘の米作りの支援については、こうした国の動きを注視しながら適切に対応してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 知事、御答弁ありがとうございます。
引き続き、米作りのほう、御検討のほう、よろしくお願いいたします。
それでは、最後に、接待を伴う飲食店に対する公安委員会の営業許可に関する条例の規定について質問いたします。
クラブやラウンジのような接待を伴う飲食店は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の規定では、公安委員会の許可が必要な風俗営業に該当するのですが、和歌山市の新内でそのようなクラブとかラウンジ等の入居者を主に募集しているテナントビルの経営者たちから、私のところに強い要望があり、その内容は、ビルの近くに後からできた施設によって接待を伴う風俗営業の許可が下りなくなったためテナントの募集ができなくなり、経営に大きな支障を来しており、嘆願書を連名で知事宛てに書くから何とかしてほしいというような要望がありました。
どういうことかと申しますと、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の規定により、和歌山県内では、商業地域では学校や病院などの施設から直線距離で50メートル以内の場所では接待を伴う風俗営業の許可が出ないことになっています。
このこと自体は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するという法律の目的の趣旨と理解できます。
しかし、新内などのいわゆる歓楽街に後から学校などの施設ができた場合、規制の範囲内については、現在営業している店舗の営業は認められるものの、店舗のオーナーが替わるような場合には新たな営業許可が得られず、営業ができなくなってしまうということでございます。
そもそも、そういう地域だと分かった上で、後からできた施設のために現在許可されている店舗と同様の営業ができなくなるというのは、おかしいのではないかという意見もあります。
調べましたところ、東京や大阪では、同様の規定を設けつつ、一部の地域については、施設からの距離にかかわらず風俗営業の許可を出せるような特例を設けているようでございます。
そこで、警察本部長にお伺いいたします。
テナントの空洞化を防ぎ、地域経済を守るために、和歌山県内においても東京や大阪と同様に、新内等について風俗営業の許可に関する条例の規制の特例を設けてみてはいかがなものかと考えますが、どうでしょうか。よろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 警察本部長野本靖之君。
〔野本靖之君、登壇〕
○警察本部長(野本靖之君) 風俗営業等について、営業時間、営業区域等を制限するなど、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持するとともに少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止し、風俗営業の健全化、業務の適正化を促進することを目的として、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律が制定されております。
同法を受け、本県では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例により、学校、図書館、児童福祉施設、病院等の周辺地域について、良好な風俗環境を保全する必要があることから、風俗営業の営業制限地域に指定し、運用しているところです。
この営業制限地域については、商業地域やそれ以外の地域など用途地域の特性、保全対象となる学校、図書館、児童福祉施設、病院等の施設の特性、既設の風俗営業の営業所の数等に応じた指定となっております。
また、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令では、保全対象施設からおおむね100メートルの区域を限度として指定を行うよう規定されておりますが、本県の条例では、商業地域での指定範囲については50メートルの範囲内とするなど、必要最低限度のものとしております。
なお、新内地区は商業地域ではあるものの、同地区内には一定数の一般住宅等が存在しており、良好な風俗環境の保全や少年の健全育成に十分配慮する必要があることから、現時点において条例改正の必要性は認められないと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 警察本部長に御答弁いただきましたが、風俗営業の許可に関する条例に特例を設けることはできないということでございました。
しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、いわゆる歓楽街に学校や病院ができた場合、風俗営業の許可を要する業態のお店の営業ができなくなり、地域の活性化という観点から大変な問題であると考えております。今回のように歓楽街に学校施設が増えれば、地域が衰退することにもつながりかねません。
そこで、知事にお伺いいたします。
地域経済を守るということだけではなく、学校の周辺における良好な風俗環境を保全する必要があるため、歓楽街に学校が設置できないようにするべきではないのかと考えますが、いかがでしょうか。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 和歌山県におきましては、従来から市立小学校、中学校及び高等学校並びに私立高等学校等通信制課程の設置認可等に関する審査基準において、風俗営業を行う施設など教育にふさわしくない施設が学校の周辺に立地していないことを立地の要件に設け、私立学校の設置認可に係る審査の際には現地を確認するなどして、慎重に認可の可否について判断をしているところであります。
議員御指摘の事案については、本県が認可したものではなく、他県で認可された私立通信制高等学校の面接指導等実施施設に係る問題であり、認可する都道府県と異なる都道府県に当該施設が位置したために生じたものであります。
これと同様の事例が他府県でも見受けられたことから、昨年度、文部科学省から全都道府県宛てに、通信教育連携協力施設の設置認可に当たっては、施設が所在する都道府県と情報を共有し、当該施設が風俗営業等を行う店舗の近隣に位置していないか等、十分に確認の上、適切に判断し認可を行うよう通知が出されたところであります。
当該通知を踏まえ、他府県から情報提供の依頼があった際には、通信教育連携協力施設が教育上及び安全上良好でない環境下に設置されないよう、適切に情報提供を行ってまいります。
○議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 知事、御答弁ありがとうございます。
新内の問題は非常に賛否が分かれるような問題であろうかというふうに思っております。学校とか教育機関に限らず、医療とか保育、福祉施設等ができた場合もそのような可能性があるわけで、多岐にわたって、今後のまちづくりのことも検討しながら、課題がたくさんあると、検討課題であるというふうに思っております。
それでは、ちょっと時間が早いのですが、以上で私の一般質問を終了いたします。御清聴いただきありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、林 隆一君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前10時59分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○議長(岩田弘彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
4番鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕(拍手)
○鈴木德久君 皆さん、こんにちは。自民党県議団、鈴木德久でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まずもって宮﨑知事、御就任、誠におめでとうございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速ですが、質問に入ります。
今年の4月13日から15日にかけての熊野本宮大社の春の例大祭は、たくさんの人でにぎわい、特に外国人の参加が目立ちました。
お亡くなりになられた岸本前知事は、14日には紀南地方に入り、15日の例大祭に現職の知事としては初めて参加の予定ということで、地元では大変喜んでいましたが、その15日が命日となってしまいました。非常に残念です。改めて御冥福をお祈りしたいと思います。
私は、以前から何回かお話ししているように、熊野本宮大社旧社地にある大鳥居のそばで、米作りをしております。毎年ゴールデンウイークに田植をするのですが、今年は特に外国人観光客が多く、田んぼの中にある御幸道でトラクターや田植機を走らせるときに、本当に大きな話じゃないんですけども、観光客の人をかき分けるようにして、ちょっとごめんなさい、通してくださいみたいな感じで行くんです。特にその時期は、田んぼに水を張って粘っている状態なので、本当に慌てて田んぼに落ちないかと、非常に気を遣いながら走行しているような状態でした。
新聞の記事によりますと、熊野本宮観光協会のまとめでは、2024年、田辺市本宮町を訪れた外国人宿泊数が4万4540人で過去最多だったと報告されています。
世界遺産に登録された2004年には、外国人宿泊客数は492人で、その後順調に増え続け、コロナ禍前の2019年には3万960人、コロナ後の2023年には2万6790人でした。
外国人宿泊客を国別に見ると、2024年には初めて中国がトップになり、2位がオーストラリア、3位アメリカ、次いで台湾、スペイン、フランスの順だそうです。これまでインバウンドを牽引してきた欧米豪に代わって、アジア系が存在感を増してきています。2025年に入ってからも、昨年をかなり上回るペースで推移しているとのことです。
たくさんの方が熊野古道を訪れる状況は大変ありがたいことですが、一方で、観光客の増加が地域の受入れ能力を超えてしまう、いわゆるオーバーツーリズムが懸念される事態も出てきています。
片や大阪夢洲では、4月13日から10月13日まで、そのテーマを「いのち輝く未来社会のデザイン」として、大阪・関西万博が開催されています。
和歌山県では、「和歌山百景-霊性の大地-」、「“上質”のつまった和歌山」として、関西広域連合が設置する関西パビリオンに和歌山ゾーンを出展しています。
そこでは、和歌山県の紀伊山地は、神話の時代から神々が鎮まる特別な場所であり、人々は寛容の精神をもって全てを受け入れ、融合・共存させてきました。その精神文化は多様な価値観を尊重し合う持続可能な世界を示唆してくれます。
この和歌山の文化、芸術、自然、産業やそれに携わる人々を、和歌山県の持つ精神世界と実存世界の様々な表情を和歌山百景というテーマに、上質な空間の中に美しく表現されています。
この常設の和歌山ゾーンのほかにも、豊かな自然や特産品など、地域の魅力を肌で体感する和歌山の地域魅力百景や、和歌山の地場産業等の歴史や伝統技術を世界へ発信する和歌山WEEK、僕たち私たちが考える未来へのアクション、共創チャレンジや、五感で和歌山の歴史文化を感じるパフォーマンス、和歌山DAYなど、期間限定の多様な催事イベントの開催により和歌山の魅力を発信し、誘客を図っています。
余談になりますが、6月28日から1週間は、私が参加している奥熊野太鼓、あそこに展示して、日曜日だけは打ってもいいよという情報が先ほどメールで入りました。28日から5日間の間、もし来られる人はよろしくお願いいたします。
そこで質問ですが、まず、外国人観光客の現状と今後の予測についてお伺いいたします。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 日本政府観光局の訪日外客統計では、2024年の訪日外国人客数は約3687万人で過去最高となり、本年も3月までの時点で1000万人を超えており、前年同期比で約23%増の過去最高のペースとなっております。
また、観光庁の宿泊統計調査報告では、本県における2024年の外国人延べ宿泊者数は79万1970人泊で過去最高となり、本年も3月までの時点で13万7550人泊と、前年同期比で約27%増の過去最高のペースで推移しております。
この傾向は今後も続くものと考えており、さらに多くの外国人観光客に本県を旅行先として選んでいただけるよう、引き続き取り組んでまいります。
○議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁いただきました。
この傾向が今後も続き、さらに外国人を誘客するとの答弁ですが、今後どのようにして宿泊客のキャパを増やしていくのかも併せて考えていただきたいと思います。
次に、熊野白浜リゾート空港の利用促進について質問したいと思います。
熊野白浜リゾート空港の利用促進については、空港利用者を毎年2万人増やす目標を掲げていると聞いています。
しかし、さきに質問したとおり、空港利用も含め紀南地域全体がオーバーツーリズムになっていると私は考えており、この状況下で空港利用者を伸ばしていこうとするなら、何らかの工夫が必要と考えます。
現在の羽田-白浜便の利用の状況においても、便によっては満席になってこれ以上利用者を増やしていくことができない状況があったり、また、白浜近辺の交通網の都合により移動ができず、利用を諦めてしまう状況があるのではないかとも思われます。
こうした状況にきめ細かく対策を講じて受入れ体制を強化しないと目標の達成は困難と思われますが、県としてどのように利用促進に取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 熊野白浜リゾート空港の利用実績は、近年、年間20万人を超えており、2024年度には約23万6000人と過去最高を更新するなど、大変好調な状況が続いています。
その利用状況を見ると、議員御指摘のとおり、観光客が利用しやすい便は満席に近い状況となっており、和歌山への訪問希望者を十分取り込めていないものと考えています。
一方で、白浜発の朝の便や羽田発の夕方の便は比較的予約が取りやすいので、こうした閑散便への誘導にしっかりと取り組んでまいります。
例えば、6月については、白浜発の朝の便に搭乗された皆様にパンダのスペシャルポストカードをプレゼントするキャンペーンを実施しています。これを目的に搭乗された方もいるなど、閑散便への誘導に一定の効果が見られます。
また、5月24日、26日には臨時便がそれぞれ1往復運航されたところです。引き続きキャパシティーの拡大を図るため、定期便の増便を目指してまいります。
さらに、今後、空港利用者を増やしていくためには、空港アクセスの利便性を向上させるための二次交通対策が必要と考えており、県では、航空機の発着に合わせて、空港と紀伊田辺駅などを結ぶ空港連絡バスの実証運行に取り組んでいます。
利用促進の推進体制の強化については、航空会社との包括連携協定の締結や、空港周辺市町村長等が参画する熊野白浜リゾート空港地域振興委員会の設立、各課の副課長等を港湾空港振興課に兼務発令し、全庁を挙げて取り組む体制の構築などを行ったところです。
今後も、様々な観点から受入れ体制を強化し、利用促進に取り組んでまいります。
○議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 万博や空港の利用促進で、せっかく多くのエネルギーを使って誘客したお客さんを宿泊施設の収容力のなさからお断りするようなことは非常にもったいない話だと思いますので、その辺の配慮もよろしくお願いしたいと思います。
現地での収容力強化にも目を向けるべきで、以前に県は、田辺市中辺路町高原に霧の郷たかはらを建設されました。現在では非常に人気も高く、外国人観光客の貴重な情報収集の拠点となっているようですが、その造られた目的と、中辺路町内の宿泊環境の現状評価についてお伺いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 地域振興部長。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 霧の郷たかはらは、紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録効果を逸することなく、受入れ体制の充実を図り、多くの観光客に熊野古道を安全・安心に歩いていただくため、2008年に社団法人和歌山県観光連盟が建設したものです。
霧の郷たかはらの営業開始以降、熊野古道を歩く旅行者は、国内のみならず、インバウンド需要の高まりも相まって順調に増加し、それに伴い、熊野古道沿いの宿泊施設も増え、収容力の強化につながっております。
世界遺産に登録された当時は、熊野古道周辺に宿泊施設が必要であるにもかかわらず、民間の参入が期待できない状況であったことから、霧の郷たかはらは熊野古道周辺に宿泊施設の立地を誘発する牽引役となったものと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁のとおり、当時と同じような状況になってきているのではないかと私のほうは考えております。民間の誘致も含めて、その対策に取り組んでいただけたらと思います。
そこで、別の角度からスペインの状況を調べてみました。最近、二つの道の巡礼者、デュアルピルグリムと言われるそうなんですけど、田辺市とサンティアゴ・デ・コンポステーラ市との共同事業で、熊野古道とサンティアゴの二つの道の巡礼を達成した人のことを指します。
両方の巡礼を達成すれば、二つの道の巡礼者限定ピンバッジがもらえます。このピンバッジには二つの巡礼道のシンボルであるホタテ貝とヤタガラス、そして太陽のイメージであるオレンジ色があしらわれています。
今年4月25日には、二つの道の巡礼者を達成された方が1万人を超え、国別では71の国に及ぶそうです。
事業開始から約10年になりますが、5000人目までは、コロナの影響もあり、8年8か月かかったそうです。その後は僅か1年半で1万人を突破したそうです。
事業を始めた頃は、二つの道の巡礼者なんているのだろうかと私自身も思っておりましたが、1万人と聞いて、ただただすごいことになっているんだなと思います。
そこで、サンティアゴ・デ・コンポステーラにおける、宿泊環境について調べてみますと、アルベルゲという巡礼者のみが宿泊できる宿があるそうです。アルベルゲは、ホテルなどに比べればかなり安価に宿泊することができ、巡礼者同士のコミュニケーションの場となっていて、交流を楽しんだり、仲間づくりや情報交換にも最適な場所だと言われています。
アルベルゲには公営のものと私営のものがあり、公営は各公共団体、宗教団体、協会などにより運営されています。料金は最も安いもので10ユーロ程度からあり、予約はできず、当日先着順となるそうです。大半がドミトリールームのみのつくりで、設備は簡素なところが多いようですが、必要最低限のものはそろっています。私営のものは料金も少し高くなりますが、個室のところもあり、設備は充実しているところが多く、予約もできます。最近では少し危うくなってきたようですが、ほぼ事前の予約を気にすることなく余裕のある収容力を誇っていたようです。
実は、私は平成元年当時、本宮町の役場の観光課で川湯のキャンプ場や渡瀬のクアハウス、キャンプ場、バンガローの担当をしておりましたので、こういったキャパオーバーの観光客にどう対応するのか、大変興味があります。
当時の本宮町もバブルの絶頂期であり、世の中は秘湯ブームとアウトドアブームが重なって、人が押し寄せてくるような感じがありました。都会での観光イベント等で町のパンフレットを配っていたら、「来てください、来てくださいとあなた方言うけど、なかなかその予約取れん状況やで」というのを言われたこともありました。そこで町では、バンガロー10棟とキャンプ場2か所を整備して、その場をしのいだような気がします。
急激な観光客の増加時には、何らかの行政のてこ入れが必要なのではと思います。
このことについては後で関連して質問したいと思いますので、一旦観光関連の話題から、令和6年能登半島地震を踏まえた防災・減災対策の検証結果についてお伺いします。
まず、外国人観光客の安全対策についてですが、目指すべき自助、共助、公助の災害に対する事前の備えとして、県では、外国人観光客への初動対応などに活用する観光関連事業者向けの災害対応マニュアルなどを作成し、県内宿泊施設などへ配布しています。
また、今年に入り、県内観光事業者向け災害対応力の向上に関する研修会が開催され、いざというときに、どのようにお客様の安全を確保するかについて理解を深めることができたとして、当地の事業者からは感謝の声がありました。
作成した災害対応マニュアルの活用を含め、災害発生時の外国人観光客の安全確保について、県における今後の観光関連事業者向けの支援や取組についてお伺いします。
○議長(岩田弘彦君) 地域振興部長。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 南海トラフ地震の発生確率も高まっている中、豊かな自然が観光の魅力である本県において、自然災害時の観光客の安全対策は大変重要であり、増加している外国人観光客の安全対策についても、宿泊施設などにおける平時からの備えが必要だと考えております。
県としましては、災害時の外国人観光客に対する初動対応や事前の備え等をまとめた災害対応マニュアルを宿泊施設などに配付するとともに、その実効性を高めるため、観光関連事業者への研修会を昨年度初めて紀北と紀南で開催し、延べ141名に御参加いただいたところです。今年度も継続して研修会を開催し、迅速な初動対応が取れるよう、防災意識の向上を図ってまいります。
さらに、観光客向けに災害時の初動対応を分かりやすくまとめた防災動画を制作し、県公式観光サイト等で公開したところです。今後、宿泊施設などの旅先でQRコードから簡単にアクセスできる取組も進めてまいります。
このような取組を通じて、引き続き外国人観光客にとっても、より安全・安心な観光地域づくりを推進してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁いただきました。ぜひよろしくお願いします。
ただ、災害の規模によっては、特に小規模観光事業者にとっては対応が困難な状況もあろうかと思いますので、マンパワーの派遣等も含めた公助の在り方についても御検討いただければと思います。
次に、能登半島地震を踏まえた防災・減災対策の検証結果におけるきめ細やかな被災者支援の中の避難所などの環境改善の項目になるかと思いますが、特に重要と考えられるのは、支援や介護が必要な被災者の方のための2次避難所の確保です。
支援を必要とする方がよりよい環境へ速やかに避難できるよう、避難が必要となった際の受入れや移動に係る調整等についても、前もって準備しておくことが必要と考えますが、2次避難所の確保について和歌山県としての取組をお伺いします。
○議長(岩田弘彦君) 危機管理部長中村吉良君。
〔中村吉良君、登壇〕
○危機管理部長(中村吉良君) 市町村では、災害時に支援を必要とする方がよりよい環境へ速やかに避難できるように、事前に老人福祉施設等と協定を締結するなどにより、福祉避難所をはじめとした2次避難所を確保しております。
しかしながら、南海トラフ地震のような大規模災害発生時には、各市町村の2次避難所も被災することなどで確保が困難となることが想定されます。
そのため、県では、市町村から支援を必要とする方の受入れ要請があった場合には、和歌山県旅館ホテル生活衛生同業組合との協定に基づき、宿泊施設の調整を行うこととしております。
また、能登半島地震の検証結果から、広域的な2次避難の必要性について改めて認識しておりまして、今年度から、要配慮者を中心とした市町村圏域を越えた避難所の確保の取組について、市町村とも意見交換を始めたところです。
今後も引き続き、良好な避難所環境の確保により災害関連死を防ぐことができるよう、被災された方々の目線に立って、市町村と共に避難所等の環境改善や円滑な2次避難に向けた取組をしっかりと進めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 次に、被災者の生活再建の項目で、迅速な応急仮設住宅の供与についてですが、建設型応急仮設住宅の用地不足により建設が遅れる可能性があるとの課題があり、市町村に民有地などの活用も含めた建設候補地の調査を実施し、今後も候補地のさらなる追加を進めるとありますが、現在での候補地の状況と、応急仮設住宅の供給計画についてお伺いします。
○議長(岩田弘彦君) 県土整備部長。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 応急仮設住宅の建設候補地については、現時点で合計約1万6000戸建設可能な広さの用地を確保しております。
次に、供給計画については、被災者の応急的な住まいを早期に確保するため、まずは既存の公営住宅や民間賃貸住宅の空室を一定期間借り上げる賃貸型の応急仮設住宅を提供し、必要戸数の確保が困難な場合などは、建設型の応急仮設住宅を速やかに設置することとしております。
県としては、市町村や災害時の住宅確保に関する協定を締結している関係団体などと連携し、応急仮設住宅を迅速かつ円滑に供給できるよう、引き続き事前の備えを進めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 先ほどからの話も含めて、地域の課題解決策として、観光面では早急に収容力を増やす、そういったことのためにアルベルゲのような簡易宿泊施設を大量に造り、地震発生時にはそれを仮設住宅として使うというような考え方はできないでしょうかということです。
東北の大震災後も、木造の仮設住宅をキットで保管できるような取組も行われましたが、膨大なストックヤードが必要なことから、なかなかうまくいきませんでした。
この提案であれば、ずっと現役でゲストハウスとして有効利用できます。私が以前関わっていたバンガローは35年たった現在も何の問題もなく頑張っています。
大量に造ることによって紀州材の利用促進にもつながります。他県にも紀州材の販売促進を図ることができるかもしれません。最近では、ムービングハウスという呼び名でおしゃれな移動式の木造住宅ができています。昔の和歌山リゾート博のときのマリーナシティに置かれていたトレーラーハウスを思い出しますが、あのタイプであれば必要とされる場所に運んでいくこともできます。
事業の進め方についても、PFI事業などを取り入れて、民間の資金と経営能力、技術力を活用し、施設等の設計、建設、改修、更新や維持管理、運営を行う方法も考えられるのではないでしょうか。
また、財源についても緊急防災・減災事業債が使えれば現実味を帯びてきます。一つの部署だけでは解決できないようなものも、各部署が横断的に連携すれば有効な施策になると思いますが、このような事業こそが地域課題を解決するための岸本前知事肝煎りの地域振興部の出番だと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) もとより岸本県政においては、一つの部局だけでは解決できない課題については、部局間で課題解決に向けて協議し、連携して取り組んできたところであります。
例えば、先ほど県土整備部長の答弁にもあったように、熊野白浜リゾート空港の利用促進については、各課の副課長等に港湾空港振興課への兼務発令を行い、全庁を挙げて取り組む体制を構築しました。
鈴木議員から御提案をいただいた諸案件のように、複雑多岐にわたる地域課題がますます増加しています。
県といたしましては、笑顔あふれる和歌山の実現のために、縦割りの弊害を除去しつつ、今後も地域振興部に限らず、部局横断で取り組み、新たなことにチャレンジする姿勢で県政を前に進めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。
〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁いただきありがとうございました。
様々な地域課題にフレキシブルかつダイナミックに対応する県庁にこれから期待をして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、鈴木德久君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
28番小川浩樹君。
〔小川浩樹君、登壇〕(拍手)
○小川浩樹君 皆様、こんにちは。6月議会一般質問初日に質問の登壇機会をいただいたこと、感謝を申し上げたいと思います。
まず冒頭、今回の知事選、戦いを乗り越えられ、就任をされました宮﨑知事には本当におめでとうございます。心よりお喜びを申し上げます。
県政のリーダーシップを取っていただく形で今後様々な取組をされますことを心より期待を申し上げたいと思います。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、大項目5点について質問をさせていただきますが、3点目までにつきましては、新任となりました今西教育長にその所見、お考えをお伺いしたいと思います。
今西教育長は、就任の御挨拶で教育振興基本計画にある和歌山らしい教育でたくましく自分らしく生きていく力をつけ、教育に携わる全ての人が誇りを持ち、毎日わくわくしながら仕事をするということを目指したいとの御挨拶をいただきました。
現状、少子化等、学校教育を取り巻く環境が大きく変化をしている中ですが、子供たちを取り巻くこの環境改善への取組、新教育長につき所見、所感等、大項目3点を質問させていただきます。
まず1点目、県立高校の再編整備についてお伺いをいたします。
令和3年度、前教育長の下、大変御苦労され、県立高校の再編整備計画が策定されました。その中では、地域に根差した特色のある高等学校づくりの具体案を示し、これまで取り組んでこられておられます。
一方、将来的に統合を含めての再編整備プロセスを示し、そして各地域、和歌山市、紀北、紀中、紀南、定時制、通信、それぞれにおける今後の在り方につき、新宮2校の再編統合計画以外はおおむねどの地域もまだ具体論はなく、普通科の学級数の調整を行いながら可能な限り存続させ、将来必要になれば再編整備を検討するとのことでありました。
また、中学校卒業生数を令和3年と令和17年予想を比較して、和歌山市ではマイナス13%、それ以外の地域ではマイナス30から40%という大変多くの生徒数が減少することも予測をいたしました。
いよいよ各地域再編の具体的な議論に入るべき時期に来ているのではないかと感じているところです。
前岸本知事は常々、その所信を示す場で、今後の県立高校の学科設置、その定員への考え方につき、昔のように取りあえず普通科という時代ではなく、専門学科のほうが豊かな生活ができる。企業は、農、商工、専門学校課程の子を欲しがるはずである。専門学科を増やすほうが子供の未来が開けるのではないか。和歌山の子は和歌山で育て、地元で活躍してもらうとの趣旨の考えを述べられておりました。
私も、専門知識、技術をつけ県内での就職者の増加につながるこの方向性に賛同する気持ちがありながらも、しかし、一方、現実として中学校3年生の生徒が将来の進路をまだ選択できず、結果、普通科への進学を希望することが多くなることも当然であり、早急に普通科定員枠を減少させ、専門学科課程を拡充させるということには無理があるとも考えるところです。
近年では、四年制大学への進学率は増加をし続けています。一昔前の四年制大学への進学は、基本的には進学校からという時代とは大きく変わり、学力の中堅校の普通科の生徒たちもほぼ四大に入学するという状況にあります。その進学率は、30年前頃までは国全体でも30%ほどだったものが上昇を続け、和歌山県内においては、2019年、令和元年度には46.7%、その後とうとう5割を超え、2023年、令和5年度末では53.7%となっています。
また、近年は以前の一発入試試験とは違い、高校生時代の取組や態度、人物重視で合否を決める総合選抜型や推薦入試型が急増していること等もあり、入試形態も驚くほどのスピードで変化をしています。
そして、はっきりとした志望動機や将来への選択がなく進学する様子は、取りあえず進学ともやゆされることもあるほどです。
一方、高校新卒生に対する県内求人は約2.8倍で高止まりにあります。なるほど専門学科定員を増やせば、県内就職の生徒が増加すると、このことからは読み取れ、それをひいては県内地域で地元の若い方たちが活躍することにつながるということになるのでしょう。
高校全体の定員枠が減少に向かうことは確実な中、この普通科と専門学科課程のバランスをどう取っていくかということは、学びたいから進学を志す生徒、技術を身につけて県内での就労を希望する生徒、双方を守っていく上で本当に難しい問題だと感じていますが、私は四年制大学への進学率が今後も上がり続け、いわゆる取りあえず進学を結果助長することについては疑問も感じております。
策定された再編整備計画では、このバランスを同等率の上、縮小再編するとも読み取れますが、前知事の専門学科課程を増加させるべきとの考えもあった中で、このことにつき、教育長のお考えをお伺いいたします。
1点目、今後の再編整備計画について、2点目、普通科、専門学科の定員バランスについて、御答弁をお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
教育長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) まず、今後の再編についてお答えします。
県教育委員会では、令和4年3月に県立高等学校教育の充実と再編整備に係る原則と指針を策定し、次の3点の理念に基づいて適切に取組を進めているところです。
1点目は、子供の希望や地域の状況等を基に、今ある32校の県立高校を可能な限り存続充実させる。2点目は、自宅から通学可能なところに多様な学び方と活気がある高校を整備する。3点目は、夢や希望の実現に応えるため、各高校の特色化を進め、充実した教育を保障するです。
一方で、再編整備は全県的な視点で計画していかなければなりませんが、時期や進め方は地域により異なります。
具体的に進んでいるものとしては、新宮高等学校、新翔高等学校の統合校が令和8年4月に開校します。新たな学校では、今年度から新宮高等学校に設置した学彩探究科を含めた両校にある既存の学科に加え、昼間定時制や通信制を新たに設置し、多様でより充実した学びを展開することとしています。
今後も、県内の生徒が学びたいと思えるような県立高等学校の特色化や魅力化をより推進するとともに、地域の声を聞きながら各地域の実情に応じた丁寧な再編整備を進めてまいります。
次に、普通科、専門学科の定員、そのバランスについてお答えします。
高等学校の学科は大きく分けて、普通科、総合学科、職業教育を主とする専門学科の三つがありますが、各学校の特色や地域の実情に応じて学科を設置していくことが重要であると考えています。
また、各学科の募集定員のバランスは非常に大切であり、各地域の状況を踏まえつつ、全県的な視野に立って設定しております。
さらに、どの学科においても地域を支える人材を育成することが重要であり、今後もそれぞれの学科の特性を生かして、地元和歌山に貢献しようと考える生徒を育ててまいります。
○議長(岩田弘彦君) 小川浩樹君。
〔小川浩樹君、登壇〕
○小川浩樹君 御答弁ありがとうございました。
将来、和歌山県内でそのまま就職をして、地元で活躍をしていただける方を増やそうという方向があるのであれば、それは、当局、教育委員会所管だけでは、議論がいかないものなのかもしれません。商工労働部も、地元で若い方たちが人材として育つという考え方を持たなければならないということにもなるのかと思いますが、いずれにしても、高校の再編計画に着手しなければいけない時期に来ていることは間違いないのではないかなというふうに思っていますので、連携を取っていただいた上での今後の庁内議論をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
続きまして、教員の精神疾患による休職につき、お伺いをいたします。
近年増加しているとされる教員の特に精神疾患による休職、離職についてお伺いをいたします。
私は、自身の子供が小学生、中学生時代、保護者活動を行う中、特に保護者会長を務めた小学生時代は、何代かに替わっていった校長、教頭とも連携を取りながら、様々な経験をさせていただきました。
学校側に意見を申し上げることもありましたし、また逆に過度な要求を繰り返す保護者に対し、学校側と共にその方を諭すような場面もありました。この地域、学校に関わったという経験には大きな自負を持っています。
それら経験を通し、教員、特に担任を持っている先生は、何とその仕事量が多く、精神的にもハードなことなのかと感じてまいりました。
そして、その仕事量の多さや精神的なプレッシャーにより、やむなく休職、離職をされる方もたくさん見てまいりました。
特に、新卒で採用となった新人の方が初年度より新1年生の担任を持ち、大丈夫かなと心配をする中、見る見る精神的にこんぱいし、休職に至るというケースも2件見てまいりました。
教職に夢を持ち、資格試験、採用試験を合格し、現場に立ったものの、現実と理想との差に落胆をしながら、やむなくリタイアをするという状況は、見ていてもう本当にいたたまれないものでした。
私は、教員の方が精神疾患を患うという原因については、学級崩壊等、児童生徒に相対する中でのことが一部はあるものの、主には業務量の多さ、職場での人間関係、保護者とのコミュニケーションなど、その原因がストレスとなっていることが多いと思っています。
教員の業務量の軽減については、その改善のための施策が少しずつ実施される状況にはなってまいりましたが、まだまだ精神疾患を患う教員を減少させる環境は整っていないのではないでしょうか。
特に新任の教員の方には、何とか教育現場になじみ着地してほしいと願うものの、一部保護者の過度な要求や、また授業以外にも大変多くの業務があり、息つく暇がないこと、また、職場で人間関係がないために、1人で全てを抱えること等々、本当に難しい状況にあるのだと思っています。
教員が精神疾患を患うことにつき、教育現場にそのフォローが今以上に必要なことは間違いなく、何とかこれを修復してやれる取組が必要です。
様々な子育てのための経済的支援施策は充実をしてまいりましたが、一方、本義は教育を健全に行うことであり、そしてそのためには教員が心身ともに健康であること、それが本県の児童生徒を健全に成長させる上で大変重要なことであると考えております。
また、その環境改善は教員の成り手を増やすこと、また、教員不足への不安の解消につながる一助になるものとも考えます。
教育長にお伺いをいたします。
1点目、精神疾患による教員の方の休職及び1か月以上の病気休暇につき、その数の推移、割合、小中高別、また年代別等、その傾向、現状について、2点目、今後の環境改善への取組について、御答弁をお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 教育長。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 1点目の現状と傾向につきましては、本県における教員のうちの精神疾患による病気休職者数及び1か月以上の病気休暇者数は、令和3年度73名、令和4年度80名、令和5年度79名となっており、全教員数に対する割合は、全国と平均して高い状況にはありません。
これらの休職者等のうち、小中高といった校種別では、小学校の教員が一番多く、年代別では半数以上が20歳代及び30歳代の若手教員となっています。
精神疾患による病気休職の要因といたしましては、児童生徒に対する指導や職場の対人関係が多くなっております。
次に、2点目の環境改善につきましては、県教育委員会としましては、教員のストレスチェックやストレス相談の実施、ハラスメント相談窓口の設置等の相談体制の充実に取り組んでいます。
また、管理職を対象としたメンタルヘルス研修会等を通じて、チーム学校として組織的に対応するよう指導しております。
さらに、小中学校や特別支援学校において経験豊富な教員を初任者の指導や育成を行う拠点校指導教員等として配置するなど、若手教員に対し、個別に支援する体制の構築を進めています。
今後も、学校における環境整備と効果的なメンタルヘルス対策を引き続き推進してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 小川浩樹君。
〔小川浩樹君、登壇〕
○小川浩樹君 御答弁をいただきました。今後の取組をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
先日6月11日、改正教員給与特別措置法が参議院で可決成立をいたしました。現状の教員の実質の時間外労働分賃金となる教職調整額を現行の基本額4%のところを、来年以降、年1%ずつ上げ、31年に10%とすること、また、深刻化する教員の長時間労働を解消するため、教育委員会に対し業務量管理、健康確保措置実施計画の策定を義務づける等の内容の改正でありました。
これに対し、業務量を削減できるかが論点であるはずであるのに、時間外の給与を上げるという話にこの法律は変わってしまっているのではないか、いや、教育委員会が労働の改善に指導監督を行っていくということで、それが管理できる、いや、できない、根本的な問題解決にはなっていないのではないかというこの改正について、様々な議論が起こっているということを伺いましたが、いずれにしろ国が教員の業務量改善に向け法改正を行った上で、現場の教育委員会にさらにその管理責任を求めるということがどうやら決定をし、さらに教育委員会業務が増えるということには間違いないという状況のようです。
根本的な精神疾患の原因となる業務量の軽減、それから現場での精神的なフォローへの取組を改めてお願いを申し上げたいと思います。
続きまして大項目3点目、部活動の地域移行についてお伺いをいたします。
現在、令和6年度から令和8年度までを改革準備期間とし、近年の部活動の指導が教員の大きな負担となっていることや、生徒数の減少により各学校単位で部活動運営が困難となっていることなどを解決するため、部活動の地域連携、地域移行につき検討が行われております。
我が県におきましては、県立中学校2校2部、5市町の公立中学校17校28部において、地域部活動の運営団体や実施主体の整備、関係団体との連携等について研究をされていること、また、中学校の部活動の地域連携、地域移行について、現在、15市町において協議会等が設置され、検討が行われていること、2月議会の中西議員の質問のやり取りでお伺いをいたしました。
本来、中学校における部活動とは、児童生徒たちが仲間たちと共に心身を充実させ、試合を経験し、勝ち負けの判定を受けることを含め、人間性や社会性を育み、その競技技術を上げることのみを目的とせず、この時期の経験を将来への大きな財産とすること、これが本来の部活動の在り方であり、目的であると思っています。
勝利至上主義に偏り過ぎるのも、逆に、成長過程の児童生徒にとって何の学び、やりがいのないものも駄目なのだと思います。
2月議会、谷口議員の質問に対する教育委員会答弁では、地域移行による地域、多世代の交流、技術がある人からの指導等で各競技、盛り上げたいとありました。
部活動の地域への移行に取り組むに当たり、より多くの団体や競技を維持した上で、移行をスムーズに行うこと、施設整備を充実させること等は当然取り組むべきだと思っておりますが、私はそのこと以上に、それぞれの競技、種目における指導者たちが本来の目的である子供たち一人一人の将来のために、将来にわたっての財産となるような充実した経験を促してやれる思い、資質があるかどうかが最も大事な要素であり、取り組むべきはこの課題だと考えています。
このことは、子供たちが部活動に対し意義、充実感を得られるかどうかに直結するものであり、そして、私は、現在のこの地域への部活動移行期間に当たり、この観点が置き去りにされているのではという懸念を抱いています。
そしてまた、私は、現在国の行っている地域移行はどのような形を理想としているのか、非常に分かりにくいものだとも感じています。将来、今ある各中学校単位で全ての部の地域移行がその中学校生徒だけを対象として成立するとはとても考えられません。ならば結局、小学生の頃から取り組んできた競技につき、中学生になってもその競技の向上を目指す生徒たちが中学校校区の枠を超え、チームを結成し、勝利を目指すという形でしか成立することはないでしょう。
つまり、現在ある中学校の中で仲間と所属部を選択する、初めての競技、分野であれ、挑戦できるという教育的意義を持つ形態とは全く異なるものとなり、結局は現在も競技によっては存在する地域クラブチームが増えることになるとしか予想ができません。
競技の技術を伸ばし、勝利を目的とするクラブチームが存在することを否定するつもりは全くありません。技術を向上させ、その競技を極めていきたいと考える児童生徒にとっては大変重要なものであることは十分認識をしていますが、しかし、このクラブスポーツの考え方は、全ての生徒になじむものではありません。
今回の事業が現在各学校にある教育的意義として存在する部活動を、教職員の負担を軽減させること、顧問となる教職員が不足していることを理由に地域に移行させるというのが目的であるならば、それは全生徒を対象として、その意義を受け継ぐものでなければなりませんが、果たしてそれが本当に可能だと国が考えているかには疑問が残っています。
しかし、とはいえ、この事業に着手した限りは、冒頭申し上げましたように、その指導者たちは生徒たちに真摯に誠実に向き合う資質を持つ方でなければならないのは間違いないはずです。
この地域移行に対する国の示すスピードは、思ったよりも早いのでしょうか。令和8年度から令和13年度の次期、この改革時期に、土日の移行への完全移行を目指していると伺いました。
つまり、月曜から金曜は学校の部に参加し、土日は地域の指導者のもとに行くということを国全体として達成するということのようですが、この国の目指すスピードの中、しかも現状は各学校内での部活動が行われながら、一方、地域での指導者が生徒に対し、その経験を将来の財産としてやれるような情熱を持って臨めるのか、その資質を担保できるのか、疑問を抱いています。
教育長に2点お伺いをいたします。
1点目、この事業についての今後の方向性について、2点目、指導者の資質の確保について、御答弁を求めます。
○議長(岩田弘彦君) 教育長。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 県内中学校における部活動の地域連携、地域移行について、改革準備期間を終えた令和9年度以降には、県と市町村が連携し、生徒のスポーツ・文化芸術の機会を地域全体で支える体制整備を進めます。
その中で、令和13年度までには、休日については原則全ての学校部活動の地域移行を目指すこととしております。
県教育委員会としては、国の動向も注視しながら、学校部活動が生徒にとって望ましいスポーツ・文化芸術環境となるよう、引き続き課題の解決に向けた支援を行ってまいります。
次に、指導者の資質の確保についてお答えします。
地域クラブ活動は、学校と連携し、学校部活動の教育的意義を継承・発展させることとなっています。そのため、指導者には、指導技術の担保や生徒の安全・健康面の配慮など、生徒への適切な指導力等の質のみならず、行き過ぎた指導、ハラスメント等の行為の根絶に加え、責任感や連帯感の涵養についても理解していることが求められています。
これを踏まえ、スポーツ指導者の養成については、これまでも各種競技団体等が公益財団法人日本スポーツ協会や公益財団法人日本パラスポーツ協会と連携し、公認指導者資格の認定等が行われているところです。
県教育委員会としては、引き続き指導者の質の確保に向けた支援を行うとともに、教職員が地域クラブ活動での指導を希望する場合には、兼職兼業の許可が円滑に得られるよう規定や運用を整備し、周知に努めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 小川浩樹君。
〔小川浩樹君、登壇〕
○小川浩樹君 御答弁をいただきました。
質問の途中で申し上げましたが、国自体がどういう形を目指しているのかというのが非常に分かりにくいと私個人も感じているところですが、各自治体でも、この部活動の地域移行への将来にわたっての様々な議論が始まっているようです。
驚きましたが、神戸市が来年度より市立中学校の部活動を全て終了すると発表しました。つまり、極端ですけれども、その先を見越して、学校というものに部活動が存在しない、やりたい競技や習いたいことがあるのであれば、それは学校外に求めることであるという、日本にだけある特有の部活動という考え方を一旦置いておこうと判断する自治体が出てきたという一方、多分、地方のほうなのでしょう、地域移行に関しての指導者が確保できないと判断した自治体がこの国の方針に合わさない形で、公立中学校での部活動を将来も続けるということを協議に入っている自治体も出てきたというふうに伺っています。
我が県におきましては、現在は今のところ、国の流れに合わせて、令和8年度以降、土日だけの地域移行ということを目指して取り組んでいるということになるかも分かりませんが、将来的には我が県がどういう形を最終的に目指すかということを判断しなければならないときも来るかもしれないというふうに思っています。
いずれにしましても、今の国の流れに沿っての形で進めていくのであれば、その指導者の資質の確保を何とぞよろしくお願いをしたいと思います。
続きまして、4点目、関西広域連合への参加についてお伺いをいたします。
昨年6月議会において、県議会の皆様の御推薦をいただき、1年間、関西広域連合に参加をさせていただきました。非常に自身にとってもいい経験をさせていただいたと思っております。本当にありがとうございました。
この間、関西広域連合議員として、様々連合内での多くの議論の中で、連合当局の目指している目標や、その方向性を聞かせていただいてまいりました。その上で、連合議会において、自身の考えを述べる機会もいただきましたし、それに対する答弁もいただいてまいりましたが、多くの連合議会議員が感じていたであろうと同じように、私も連合が大きな力を注いできた大阪・関西万博終了後、その存在意義が薄れるのではないかとの多少の懸念を抱きながら、この1年間を終えたという実感があります。
自身の考えを述べ、新知事に、この広域連合への県としての参加につき御所見をお伺いしたいと思います。
関西広域連合が2010年(平成22年)に設立をされ、14年がたちました。現在の参加自治体は、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県、そして、京都市、大阪市、堺市、神戸市であり、国内唯一の府県域を越える広域行政体であります。
設立当初は、総務省主導による基礎自治体の平成の大合併が終わったばかりの頃で、同じく国全体で道州制への移行について議論が残っている中、この連合は、府県を超える事務を処理する機関として設立をされました。
以降、その大きな取組は、東京一極集中を是正するために、2番目の都市圏である関西が声を上げ、二極化を図るに当たり、国に要望、提言を行うこと、そして一方、連合の参加府県内でドクターヘリの運航や府県を超えた災害相互支援、そして調理師や准看護師等の資格試験の広域での実施などの事業を行うことです。
予算規模は令和7年度予算において約38億、連合はそもそもハード事業や設備投資事業を行う前提にはない団体であり、ソフト事業や啓発事業、要望活動等が実施事業の主要部分を占め、ドクヘリ運航予算がその5割弱を占めています。
これが連合の現在の大まかな状態、つまり、東京一極集中の是正を国に働きかけ、一方、参加府県内で幾つかの事業を行っているという状況です。
そして、連合内では様々な課題テーマに取り組むに当たり、それぞれ府県別に担当を設け、大きく、防災を兵庫、観光文化スポーツを京都、産業振興を大阪、農林水産業を和歌山、医療を徳島、環境保全を滋賀、職員研修を奈良が担い、結局、各府県庁の中で各府県庁職員がその担当を担っていますが、平素より連合としての効果のある取組につき、連携、協議を行っているとは言い難い状況だと感じています。
私は、連合議会に参加して以来、道州制を目指すものではないこの連合が府県との並存を目指しながら、かつ府県をまたぐ効果のある事業を行っていくという前提に当たり、かえって府県に複雑さを与えてしまっているのではないかとの懸念を払拭できずにいます。
連合で実施してこそ効果があると言えるドクヘリ運航や災害相互援助のような施策をもっと展開していくべきながらも、そのような事業はそれほど存在せず、府県を超える事業が必要なら、それはそれを必要とする府県同士が連携して行うことで十分効果があるのではないかとも感じています。
昨年、滋賀県の三日月知事が連合長2期目の選出を受けた折、その今後の運営方針には、連合としての防災力、文化力、産業力、環境保全力の強化との指針のほか、特に広域自治力との強化を挙げ、その中では、持続可能な広域自治体への成長、新たな広域自治、行政の研究とし、地方分権改革の推進を挙げられています。
私は、この地方分権の主体へという少し抽象的に思える大きな方針につき、これらが将来どのように具体化していくのかが今後の関西広域連合の存在意義、また、参加府県内の基礎自治体の将来に関わる大事な根幹の部分ではないかと感じました。
現在、各基礎自治体、市町村、また府県、それぞれは急激な少子高齢化という大きな悩みの中、将来もその運営を存続させるため、大変な努力をしていますが、広域連合が地方分権の主体を目指すなら、それは参加自治体の行政運営に大きく寄与するものでなければなりません。
そして、連合の目指すべき新たな広域自治とはどのようなものかを質問を通して見解を問いましたが、明確に具体的な指針を示していただけるには及ばなかったと感じています。
今後、連合には東京一極集中を是正する取組を国に向けて行う一方、連合内の基礎自治体に向け、少子高齢化により、その運営に不安を抱える自治体、地域自治に対し、効果のある施策を展開していただけることを期待するものですが、宮﨑知事にお伺いをいたします。
もちろん、今後も和歌山県が連合に参加しないという選択はないものだと理解はしていますが、この参加を継続するに当たり、我が県にとっても、また、県内各市町村にとっても、その将来に向け効果のある事業を期待したいですし、今後も協議、提言を行っていかなければなりません。
今後の参加への考え方、将来へのその効果、連合に求めること等、知事のお考えをお聞きいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 小川議員によります関西広域連合への参加についての御質問にお答えをいたしたいと思います。
特別地方公共団体である関西広域連合は、2010年12月に設立されました。
本県の発展のためには、関西全体の発展が不可欠であり、関西広域連合による取組は、元気な関西づくりにつながると評価したことから、設立当初より積極的に運営に関わってまいりました。
関西広域連合では、個々の地方公共団体では対応が難しい広域事務について、構成団体の長が事務分野ごとの担当委員として執行責任を担う体制が取られており、大規模災害時の支援体制やドクターヘリによる広域救急医療体制の構築など、様々な実績を上げていると評価しております。
また、調理師や製菓衛生師などの資格試験事務を広域連合で実施することにより、各府県の事務の効率化も実施されております。
現在、関西広域連合では、新たに広域で行う事務を検討しており、本県としては、これらの積み重ねによるさらなる行政の効率化や、県民の利便性の向上に期待しているところです。
一方、分権改革の推進につきましては、関西広域連合がその担い手になれるよう、広域連合が担う役割の抜本的な拡充などを積極的に国に対して働きかけるとともに、広域連携による行財政改革の推進や新たな広域自治・行政の研究等、広域自治力の向上に取り組んでおります。
国においても、都道府県域を超えた広域連携の新たな枠組みである広域リージョン連携を強力に推進することが示されており、関西広域連合が担う役割の重要さが増すものと期待しております。
いずれにいたしましても、本県の発展には、関西が全体で発展することが不可欠であるとの変わらぬ認識の下、今後も関西広域連合の運営に積極的に関わってまいります。
○議長(岩田弘彦君) 小川浩樹君。
〔小川浩樹君、登壇〕
○小川浩樹君 ありがとうございました。4点目につきましては以上といたします。
続いて5点目、本県の里親制度につきお伺いをいたします。
里親制度は、親の病気や死亡、また虐待等の理由により自らの家庭で暮らすことのできない子供たちにつき、児童福祉法に基づき、里親の家庭で温かい愛情と理解を持って育てていただく、子供の福祉を保障する制度であります。
そして、その意義は、特定の大人との関係の中で養育され、安心感の中で自己肯定感を育み、基本的信頼感を獲得できること、家庭生活の中で人との適切な関係の取り方を学び、地域社会の中で社会性を養うとともに、豊かな生活経験を通じて生活技術を獲得できることとあり、自身の家庭で暮らすことのできない子供たちにとり大変重要な事業であります。
和歌山県では、家庭的養育優先原則を前提に、社会的養育の必要な子供につき、より家庭的な環境で養育される里親委託を推進されています。
里親としての登録を希望される方は、皆さん純粋に自身の家庭で生活のできない子供を心身ともに健全に成長してもらうために力を注ごうという思いで里親になっていくのだと理解をしていますが、一方で、里親宅は第三者からは目が届きにくい場所であり、国の調査では、里親、ファミリーホームでの確認された虐待件数が平成23年度6件から令和4年度30件へと増加をしている傾向にあります。
県としてもこの里親制度に取り組んでいる中ですが、先日、元里子関係者からの相談を受け、里親から虐待を受けていたというお話を伺う機会を得ました。詳しい内容については差し控えますが、本当に心の痛む、誠に深刻な事案でありました。親のいない里子が信頼すべきよりどころである里親から、抵抗できない立場をよいこととされ、虐待行為を受けたその心の傷の深さ、この子の心中いかばかりかと思っております。
この元里子はそれでも心を奮い立たせ、自身と同じ被害を受ける子供を今後なくしてほしい、そのための制度の充実を願っていること、当人の強い思いを伺い、この里親制度の下、二度とこのようなことが起こってはならないと思いました。
県におかれましては、現制度に不備がないかの検証、また、さらなる制度の充実をお願いするものです。今後の取組について、共生社会推進部長のお考えをお聞かせください。
○議長(岩田弘彦君) 共生社会推進部長島本由美君。
〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 議員御指摘のとおり、社会的養育を必要とする子供が里親宅で虐待を受けることは、決してあってはならないと考えます。
県では、これまでも児童相談所や里親支援センターによる定期的な里親宅の訪問や休日夜間の相談支援体制を整えることにより、里親家庭の不安や悩みに個別対応し、虐待の未然防止に努めているところです。
しかしながら、残念なことに本県でも、令和元年度以降6件の里親による虐待を認定しております。これらの事案を振り返り、より一層の里親の養育能力向上や虐待を受けた子供の心のケアなどが必要と考えております。
そのため、今年度より、子供を現に養育する里親には、国基準に上乗せした県独自の専門的な研修の受講を義務づけるなど、里親の養育能力の向上に向け、研修内容の充実を図ったところです。
さらに、里親宅は第三者の目が届きにくいという一面もあるため、子供の意見を代弁する意見表明等支援員を里親宅に派遣し、直接子供の悩みや思いを丁寧に聴取する取組を始めました。
県としましては、このような取組を進めることで里親制度を充実させ、保護者の下で養育されることが困難な全ての子供が家庭と同様に養育される環境づくりを進めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 小川浩樹君。
〔小川浩樹君、登壇〕
○小川浩樹君 御答弁ありがとうございました。
この項目を議場での一般質問とするか、非常に悩みましたが、それは、このことにより里親を希望される方がその登録をちゅうちょするのではないかや、また虐待被害を受けた本人の今後の人生に影響するのではないか等考えましたが、しかし、本来、里親に登録される方は、登録する動機の時点でこのようなことがあってはならないということを自覚されている方でなければならないということは当然でありますし、また、今回お話を聞かせていただいた虐待を受けた里子の方が制度の充実を強く願っているということを受けて、質問とさせていただきました。
今後のこの制度への県当局の取組をどうかよろしくお願いを申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、小川浩樹君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時19分散会