令和7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


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令和7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号

議事日程 第7号
 令和7年3月10日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 議案第85号(当局説明)
 第5 参考人招致の件
 第6 休会決定の件
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出席議員(41人)
 1番 高田英亮
 2番 上山寿示
 3番 佐藤武治
 4番 鈴木德久
 5番 森 礼子
 6番 濱口太史
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 10番 玄素彰人
 11番 山家敏宏
 12番 鈴木太雄
 13番 岩田弘彦
 14番 吉井和視
 15番 中村裕一
 16番 北山慎一
 17番 坂本佳隆
 18番 中本浩精
 19番 堀 龍雄
 20番 谷 洋一
 21番 新島 雄
 22番 三栖拓也
 23番 川畑哲哉
 24番 秋月史成
 25番 谷口和樹
 26番 山下直也
 27番 山田正彦
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 坂本 登
 34番 尾﨑太郎
 35番 小西政宏
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 藤山将材
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 9番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 総務部長       友井泰範
 危機管理部長     河野眞也
 企画部長       前 昌治
 地域振興部長     赤坂武彦
 環境生活部長     山本祥生
 共生社会推進部長   島本由美
 福祉保健部長     今西宏行
 商工労働部長     大川伸也
 農林水産部長     立石 修
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      高橋博之
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員    岸田正幸
 警察本部長      野本靖之
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
            橋爪正樹
 議事課長       岩井紀生
 議事課副課長     田中 匠
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課副主査     川崎競平
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       榊 建二
 政策調査課長     岩谷隆哉
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  午前10時0分開議
○議長(鈴木太雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 36番浦平美博君。
  〔浦平美博君、登壇〕(拍手)
○浦平美博君 おはようございます。日本維新の会の浦平美博でございます。機会を頂戴しまして、誠にありがとうございます。
 それでは、通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
 本県藻場造成施策とJブルークレジット施策の相関について。
 御承知のとおり、ブルーカーボンとは、海洋生態系において、海藻、藻場などが炭素を吸収し、貯蔵する能力を指し、ブルーカーボンの重要性は、気候変動対策として大気中の二酸化炭素を吸収、長期間にわたって炭素を貯蔵するため、気候変動の緩和に寄与しています。
 様々な機能を有していますが、とりわけ生物多様性の保護や沿岸地域保護として、高潮や津波から沿岸地域を守る役割、沿岸住民やインフラ整備の安全確保などがあり、水質浄化としては、汚染物質を吸収し、水質を改善する機能があること、持続可能な資源として、漁業や観光などの持続可能な資源を提供し、地域経済の発展にも寄与することなどが挙げられます。
 特に和歌山の地勢上、これらの理由から、ブルーカーボンの保護と管理は、環境保護や持続可能な開発において藻場の造成は非常に重要であることは、今後の県政においても同じであろう、そのように私は考えます。
 ここで、藻場造成とJブルークレジットについて、一旦切り離した議論としなければなりませんが、その相関について疑う余地はありません。
 和歌山県の全土面積4725平方キロメートルで、森林面積は3610平方キロメートル。県全体の76.4%を占めています。
 一方、本州最大の半島である紀伊半島は、和歌山県が面する海岸線の距離は651キロメートルに及び、隣接海域などを考慮すると紀伊半島は約1万平方キロメートルで、海岸線は約1500キロメートルに及びます。本県にとって歴史的にもつながりの深い房総半島においては、この数字の約半分程度となります。
 紀伊半島の海洋面積が広い理由として、半島自体が大きいほど周囲の海域も広く、太平洋に面し、外洋の影響を大きく受けます。また、海岸線が長いのは、入り組んだ地形が多く、接する海域も広がることで、海洋面積は正式なデータが公表されていないことが多いですが、地形的に見ると紀伊半島が最も広範囲の海域を持っていると推測できます。
 和歌山含む紀伊半島は、本州最大のグリーンカーボン、ブルーカーボンクレジットの宝庫となり得る、莫大な油田というか、紀州だけに徳川埋蔵金が掘り出せるという明るい未来と考えられるのです。
 先述した和歌山県沿岸海域において存在する海藻、藻場などが、炭素を吸収し貯蔵する能力が陸上よりも高いということになりますが、海水温上昇は、本来海藻が活性して育つはずが育たず、さらに季節ごとに現れていた魚が減少し、海水温度がそう高くなかった地域の温度上昇に伴い、その地域によってはいないはずのブダイやアイゴが大量発生。食べられなかった海藻が食べられてしまう。そんな魚が現れ、育たなくなり、いわゆる磯焼けが起こっています。
 潜っておられる漁師さんに聞くと、磯焼けが進み、少し残っている海藻の茎にアイゴたちが玉のようになって集まり食べている光景が海の中で起こっていて、食べ尽くされることにより復活することのできない磯焼けが進んでいるとのこと。
 磯焼けとは、海の中にある海藻が根づいていた石がただの石になる。目線を上げれば、山から森林が失われ、裸になってしまうという、そのような現象です。
 海藻がなければ魚たちの身を隠す場が限定され、取ることのできる魚がいなくなり、漁師の皆さんのなりわいにも影響が出ています。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 本県は、過去いつから現在まで、どのように藻場造成の取組を行ってきたのか。食害の拡大や試行錯誤の末の成果、現在の最良の手法はどのようなものとなっているのか、答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長立石 修君。
  〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 議員お話しのとおり、藻場の造成は、水産業の維持、発展を図る上では大変重要な取組であります。
 県では、磯焼けが深刻となり出した2007年度から、磯根漁場再生事業により、海藻の移植、食害生物の駆除、磯掃除など、藻場を回復するための取組を行う市町に対して支援を行うとともに、高水温に強い海藻の探索などに取り組んでまいりました。
 試験研究及び現場検証等の試行錯誤の結果、次の3点が本県での藻場造成の有効な手法となっております。
 1点目は、水産試験場が2013年度から磯焼け地域に残存しているクロメ同士の掛け合わせに取り組み、高水温に強い海藻が作出されました。
 2点目は、魚類などの食害を軽減するため、食害防護籠により海藻を保護すること。
 3点目は、食害防護籠の周辺に他の種類の海藻を混植すること。この3点でございます。
 現在のところ、地域の環境に合わせ、これらの手法を組み合わせることが、藻場の回復の最良の方法と考えております。
○議長(鈴木太雄君) 浦平美博君。
  〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 ありがとうございます。
 あまり目にすることができない問題の解決は、目に映る問題の解決より進まない、認知されないものです。だから、私たちはその部分を照らさなければならず、これは自然の問題だけではありません。ゆえに私は学校教育問題も照らしているのであります。
 さて、地道な研究を重ねている中、取り巻く環境の厳しさも増し、その都度手法も変えなければならず、結果がなかなか現れない。長い間、評価されない日の目を見ない努力というのは本当に苦しいものでございます。
 しかし、現状での最良とする食害に遭わないように網を張った籠の中に海藻プレートを設置するという手法が最も有効で、その周りに海藻が根づきやすい、また、魚のお口に合わない海藻などの種を植えた岩などを同じく沈めることなど、その成果が見えてきたとのことでございます。
 アイゴを食べない地域もある、昔から食べる地域もある。生える海藻の種類も違う。海水温も潮の流れの速さも、その地域ごとに変化をさせながら取り組まなければならないこの造成。ここまで来るのに予算も少ない、成果も得られないこともあったでしょう。よって、評価もされにくい。担当部局皆様の努力に最大限の敬意を表したいと思います。
 そこで、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 今年度の磯根漁場再生事業予算は、来年度より「沿岸漁業の再生を目指した漁場整備事業」と名称を変え、予算額364万9000円から1200万円と3倍強となっていることから、その必要性がうかがえますが、沈める籠は1辺がどのぐらいのもので、1基幾らで、想定するその数量は幾らになりますか、答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長。
  〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 食害防護籠については、2024年度実績では、縦94センチ、横109センチ、高さ93センチの大きさで、1基当たりの費用は海藻プレート込みで17万7000円、1基当たりの設置費は平均8万5000円となっており、3市町で計17基設置しています。
 2025年度においては、11市町から藻場造成等に係る要望もあり、その中で食害防護籠による取組は、35基から40基の設置を目指しています。
○議長(鈴木太雄君) 浦平美博君。
  〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 来年度目指す総数は、35基から40基であることが分かりました。そして、その成果は再来年に見えてくるでしょう。そうならば、その基数をもっと増やす必要があるように思います。それだけ漁業も深刻な状況です。
 藻場の造成が進むと、すみかとする、隠れみのとする魚、その魚たちは、水質も改善され、本県の良質な魚がより良質な魚介類となり取れることにもなるのではないでしょうか。
 幾つかの仮定を経て調べると、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合、通称JBEへの申請を行い認められれば、プロジェクト実施者と購入希望者による相対取引、JBEを通じた公募による売買ができます。その可能面積として334.5平方メートルの造成が必要となるようで、仮定をして当てはめれば──先ほどの食害の籠です──最低223基が必要となります。
 籠を作る費用は税込みで3949万3000円と、設置する費用は2453万円の計6402万3300円となります。
 CO2、0.1トンで得られるクレジットは6160円。JBE公募のクレジットとなれば、手数料を引かれ、5236円の収益となります。
 また、制度がスタートした2020年は1件、23トンが、2023年では29件、約2170トンとなっています。先取りをするのは稼ぐ鉄則ですから、今後、予算配分がこの分野に増すことを注視してまいります。
 そこで、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 藻場を広げれば、森林由来のクレジットの5倍から10倍の高値という利点のあるJブルークレジットの収入も出てきます。最初は微々たるものですが、ないはずの収益が出てまいります。
 るる申し上げましたが、この付加価値は、和歌山県産魚介類として和歌山ブルークレジットの頭文字を取り、WBCなるマークをつけ全国に流通させることができれば、その価値は4年に1度、必ず野球を通じてイメージされ、さらに向上し、和歌山ブランド確立にもなると考えますが、それらの効果をどのように考えますか、答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長。
  〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 議員には水産業の可能性について積極的な御提案をいただき、ありがとうございます。
 議員御指摘のとおり、藻場造成が成功し、Jブルークレジット、いわゆるカーボンクレジットとして活用できるようになれば、その相乗効果として、県産魚介類のブランド化による付加価値の向上や漁業者の所得向上にもつながるものと考えております。
 Jブルークレジットを活用するには、大規模な藻場造成が実現し、安定的な藻場の再生を成功させることが必要です。
 県としましては、豊かな海を取り戻すため、現場の意見も酌み取り、現状で最良とされる手法を用いることによって成果を上げられるよう、藻場の再生に全力を傾注してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 浦平美博君。
  〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 このカーボン事業は大企業も取り組んでいるため、企業と連携することは、ブルーカーボンの青田買いにもつながる。これは、さらなる藻場造成事業に追い風となることと思っておりますので、ぜひともこの藻場造成、そしてその先にカーボンクレジットがあるということをしっかりと取り組んでいただけたらなというふうに思います。
 続きまして、JR和歌山駅高架化が和歌山県発展につながる可能性について。
 令和6年6月定例会で片桐先生が和歌山駅周辺再整備について問われておられました。重複することになるかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。
 和歌山の玄関口とされる本県最大のJR和歌山駅は、関西の県庁所在地の代表となるJRの駅で唯一大規模な改修、改築がされていない駅であることは言うまでもありません。
 昭和から平成に変わる頃、進学のため、JR和歌山から快速に乗り新大阪に向かいましたが、私はあの頃と比較するとどうだろうかと思っています。よくなっているのでしょうか。よくなる必要はないのでしょうか。
 バブルを生み、はじけさせたその原因、外交のしくじりも含め、私たちの国日本は、このバブルをどう検証したのでしょうか。また、私たちもどれだけ理解できているのでしょうか。
 日本は長い間元気を失っています。中心地でいえば、丸正やビブレ、長崎屋と立て続けになくなりました。
 私の知人、友人が訪れる際、JR和歌山駅を利用してくれますが、一般車両の乗降場所が理解されない、短くヘアピンで駐車場は6台。県民はその短くヘアピンに駐停車するほかなく、そこにパトカーが通ることもしばしばあります。曲がった先がよく分からない。非常に勝手の悪い和歌山駅とよく言われます。
 グランヴィアに宿泊するが入り口が分からない。喫茶店側の入り口が一番近道で分かりやすい。これは和歌山県民が分かる理屈であって、動線がよくないのではと思っています。
 この質問は駄目出しをしているということではありません。私が思い描き望む夢かもしれませんが、過去最大級の再開発事業の絵を述べてみたいと思います。
 JR和歌山駅を2階に上げる。いわゆる高架化です。そうすると線路が上がる。けやき通りから東口が見え、通過することができる。駅下にはすみ分けのできる駐車場や空きスペースがたくさん生まれてくる。車で通り抜ければ、和歌山インターチェンジまで非常に早く行くこともできる。東口にあるホテルの活用も増える。そうなれば周辺が活性する。建て替える和歌山駅は、百貨店、ホテル、商業施設、マンション、行政施設など、複合施設に変えてしまう。
 また、線路が上がれば、北から宮北跨線橋、JRきのくに線田中町アンダーパス、宮前跨線橋、JRきのくに線中島アンダーパスも不要となり、東西の分断は広く解消され、国体道路を含めた広範囲にわたり大きな変化が生まれます。同時に、広く開く土地が出てまいります。ただし、本県企業の活性を考えれば、1000平方メートル以下は非課税となりますが、事業所税廃止なども含め、新たな方策を国に求めなければなりません。
 これはあくまでもメリットしか述べていませんが、和歌山にとって夢のある大事業となるのではないでしょうか。
 人口減少、お金が少ないなど、施策を進められない、進めたくないときに使う為政者の一番使い勝手のよい言葉ですが、JR、県、市で会議がスタートしたならば、大きなアドバルーンを上げ、実施に向けて進んでほしいと願うのであります。
 まちの形成に関して和歌山市に権限があると思いますが、大規模開発は県も介入しなければなりません。
 JR西日本近畿統括本部経営企画部の方とお話をさせていただきましたが、JR和歌山駅の高架化における試算や建て替えの計画などの話は今まで一度も出ていないとのことで、JRとしては、やはり県、市からそのような要望がなければ何とも言えない、こういうことでございました。そうだと思います。
 そのためには、お金についても考えなければなりません。
 このような事業にはもっと必要ですが、仮に1000億円を国、県、市、JRの四者で負担することができれば250億円。県として、仮に借入れを行い、20年償還とすると元金だけで12.5億円が必要で、例えば令和7年度当初予算案では、投資的経費の普通建設補助で565億円、普通建設単独で254億円、実に粗い試算ですが、仮に単純計算で国庫補助事業の半分、単独事業の全額が県負担とするならば、投資的経費での県負担額は合計で534億円であることが分かります。すなわち、投資的経費の約2.3%の優先順位を見直すことと同程度の規模となるのではないかと考えられるのです。
 他方、自らの立場にも目を向けなければなりません。
 過去最大の大規模再開発を旗印にして、それに向かうために、議員報酬の削減や定数削減も本気で考える。5万5000円もする議員バッジは関西で最も高いとされているため、都道府県で販売されている4500円に切り替えてはどうか。この議員記章については、慣例による交付となっており、貸与か交付かすら条文規定はされていません。
 県民、市民と共に取り組めば、その効果は非常に大きくなり、和歌山の景観が変わったよね、と県民、市民が元気になっていく。その様子を思い描くため、私は謹んで削減したいと考えます。もちろん、これらには議員側でコンセンサスを得なければならないため、あくまでもここで私の思いを述べています。
 今、本当に税金、社会保障料で中小零細企業は、限界に達しています。財産の財を使う財務省に誰が誘導をしてあおっているのか分かりませんが、罪の漢字を使った罪務省なるプラカードを掲げたデモが行われたとのこと。この様子を見て、その矛先が政治家に向かわないことにすごく思想的な意図を感じますが、素直に取れば、国民は怒っているんだろう。和歌山県民も怒っているというか、もういいかげんにしてくれと思っているように感じます。
 前の見えない暗いトンネルを歩いていますが、そこには明るい夢、希望という日が差さなければなかなか前に進めない。そんな和歌山があるように思えてなりません。
 もちろん削減だけではうまくいかないことを私は和歌山市で学びました。各種の団体や集まりがばらばらで盛り上げるのではなく、皆がそれに向けて団結することで、得る効果は絶大であると信じています。
 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
 今こそ、この提案の一部でもいい、本気で顔を上げることのできる和歌山駅の大規模再開発によるまちづくりについて、どのように考え、どのように行動するか、答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) JR和歌山駅は、本県における主要なターミナル駅です。また、商業施設等の都市機能が集積している和歌山県経済の中心の一つとして、町なかの活性化を図っていく上で重要な拠点であると認識しております。
 魅力あるまちづくりを進めるためには、駅をはじめ、駅前広場、周辺市街地を一体的に捉え、地方公共団体、交通事業者、周辺の土地所有者などの関係者がまちをよくするという視点を持って連携し、効果的に整備を行っていくことが重要であると考えております。
 これらを踏まえ、2024年度に和歌山県、和歌山市、JR西日本の三者により、和歌山駅まち空間活性化会議を設立し、現状や課題、今後の検討項目等について、有識者の参加もいただきながら議論を重ねてきたところです。
 今年度内には、今後の議論を進めるためのたたき台となる仮称・和歌山駅まち空間活性化基本構想を策定し、来年度以降に関係者と話合いを重ねていくこととしております。
 まちづくりについては、本来市が主体となって進めるものではありますが、和歌山駅や周辺の整備はその効果が県内全域に及ぶことから、引き続き、県としても和歌山駅まち空間活性化会議を通じ、市及びJR西日本等と連携し、和歌山県の玄関口にふさわしい拠点の実現に向け取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 浦平美博君。
  〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 ありがとうございます。
 国会議員の先生方にも働きかけを行って、この大規模再開発事業に即す法律も必要になってくるんじゃないかなと、そんなふうに思っています。もちろん自らの削減も必要かと思います。ですが、20年後を見たとき、私は生きているかどうか、この世にはいないかもしれませんが、そうであるならば、今の私たちが未来を信じて、後に続くことを信じて身を切っていかなければならないと考えます。今後、この会議の議論を真剣に追いかけたいと思います。
 最後に、令和6年6月定例会の一般質問に伴う教育長答弁の再確認について。
 令和5年10月の決算特別委員会での質問を行い、その後、継続して質問している一連の内容について、本質を申し上げます。
 過去、北高校西校舎の寮生に対して学校は、「寮の水を出しっ放しにしているから、こんな高額な水道料金の請求が来るんだ」などと激しく責め、和歌山北高校西校舎に来た3桁の請求額について、そのお金を親から請求するぞなどと生徒に対する詰問は普通ではなく、そもそもメーターが一つしかないことを学校に赴任した責任者たちが理解できていなかった。つまり教育委員会所属であっても、当たり前のように学校一つに一つのメーターがあるという認識が、生徒や立場の弱い職員を追い込みました。
 そもそも出し続けてもこの理屈が通らないほどの請求額であったことすら理解していない学校があり、この請求は寮だ、寮長だ、寮の舎監だ、風呂の水を出し続けているからだと全てを現場の弱い者たちに求め、決めつけられた生徒がもし自分の子供だったら、皆さんは私の質問中に首をかしげますか。と聞いてみたいと思います。もちろん、生徒には何一つ問題はありませんでした。
 責めた学校の大人たちは、その後、定年や異動で何一つ教育委員会からも指導されず、セカンドステージを歩まれている。
 その生徒は、いわれなき原因で大人から責められ、母校愛が育まれるはずの学校なのに、学校や教師を信用しない学校を教育委員会がつくっていることになる。
 本当に大人って汚いよねという子供たち、生徒たちが、今どのぐらい増えているのか、生み出してしまっているのか、分からないのでしょうか。
 こんな罪つくりな話はないということから、メーターぐらいちゃんと設置してはどうかと問うたのが肝要であり、今後、このような不条理を10代の生徒に押しつけ、傷を負わせないようにとメーターという形にしてはどうかと問うたのが最初です。
 その本質をもって継続してきた複数の質問をもってただしてまいりましたが、学校教育として、学校という閉鎖的空間で反論も許されない、このような叱責があってはならない問題を小さなことと捉えているのでしょう。だから、私は不誠実な答弁だと言わねばなりません。
 2月末現在で、教育委員会事務局内部の投書が10通、教育委員会の指導に対する現場の意見が1通、保護者からの学校に対する対応について2通、教師に対する諸問題を改善してほしいというのが5通、匿名で私のもとに届いています。これは前回も言いましたが、だからといって、これをうのみにしているわけではありません、匿名なんで。
 この問題解決に向けていろいろと相談もいたしました。質問させていただきました。結局、誠実に答弁し、どうすれば応えることができるのかと考えない姿勢が映し出されているのでしょう。こんなことをやっていれば、いずれ大きな問題が出てきます。
 議員からの質問を軽く考えられるのは、議会を軽く考えているのか、または私が軽いのか。常日頃から執行部の皆様の言動を注視しています。
 さて、設置には莫大なお金がかかる、案分が一般常識であるなど、質問の趣旨を理解していただけない答弁に対して、ない知恵を絞り、私は冒頭で述べた生徒の心に傷をつけることとなった設備をどのように、どういうふうにすればいいか。簡単に言えば、改善できないか、そのように考え提案したのが、オリパラを目指す体育学校として一つの県立学校にするということでした。一つになればメーターも契約も一つ、敷設費用も必要ない。だから、本気で議論をされるのかどうか、私の質問に対して問うたわけでございます。
 すると、この6月定例会での教育長の答弁は、ずっと議論はしておりますとのことでした。後に担当課にこの答弁の真意を確認しますと、インクルーシブと議員が言ったので、インクルーシブの議論のことについてずっと議論はしておりますという意味で答弁したことが分かりました。ほかにも同じような論点ずらしがあることも確認できています。
 選挙で選ばれた議会を構成する一員からの質問に対してのすり替えた答弁を堂々と言えることに問題があるのではないかと私は考えています。
 そもそも、私からインクルーシブ議論をしたことはなく、知事や教育長から持ち出してきたキーワードです。文科省通知の内容に当てはめただけの話であり、私に対する答弁にはそもそも無理があります。
 俯瞰的に考えても、議員からの質問に答えないその姿勢が不誠実だと思うのであります。
 そこで、改めて教育長に問います。
 一連の質問から、この6月定例会での答弁の整合性についてどのように思いますか、答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 浦平議員の御質問にお答えをいたします。
 答弁につきましては、通告を確認し、適切にお答えできるように取り組んでいるところですが、令和6年6月定例会の答弁内容を確認してみますと、様々な再質問をいただく中で、言葉足らずだったと感じており、今後、より丁寧な答弁を心がけてまいります。
 令和6年6月定例会で議員より質問のありました和歌山北高等学校西校舎と和歌山さくら支援学校を一つの学校にするということを議論していくかということについて、改めてお答えをいたします。
 高等学校と特別支援学校という校種の異なる両校を一つにするということにつきましては、乗り越えなくてはならない課題が数多くあると想定されます。まずは課題を整理し、議論をしてまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 浦平美博君。
  〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 いろいろな乗り越えなければならない壁、特別支援学校というこの学校と、全日制の学校というのは、そもそも論が違います。これを一つにするということは、もちろん、今、教育長がおっしゃいましたように、いろいろな課題を解決していかなければなりませんし、法的にここは乗り越えられないんじゃないか、そんな話もしなければならない。
 でも、この質問の中で私が問うているのは、県が造った施設で子供が泣かなきゃならないようなこういう教育が行われていたということを実に理解していただいて、その中でこの現状ができないんであれば、どのようなことを考えて議論をして、そして一つの形にできるかということをやっていくことが私は誠実だと思うんです。
 だから、今、教育長が言っていただきましたように、議論をやっていくということですから、議論を一生懸命やっていただけたらと思います。もちろん乗り越えられないところも出てくるかもしれない。そうなった場合は、私たちが全力で協力させていただきます。私も一生懸命それに向けて協力します。そういうふうにして、守ってやれるべきものはやっぱり守ってやる。そのために、今、生きている大人が本気でこの光の当たらない閉鎖的なこの学校の中で、こういう問題をきちっと解決してやるぞと、そういうふうに子供らに夢や希望を与えない限り、学校の先生や教育委員会が夢を持った教育をしなければなりません。夢、潰しているじゃないかと、そういうふうに思われない教育行政であってほしい。
 中学校から県外へ出ていっています。高校になったらもっと出ます。それでいて流出を防ぐ。いやいや、和歌山の教育に夢、希望はないんですよ。だから、その夢を持ってしっかりとできるような環境を、今を生きる私たちが一生懸命つくってやる。そして子供たちが自ら考えられる、そんな学校を目指していただきたいと、このように思います。
 結びに、今、非常に人気のある学園ドラマ「御上先生」というのがあるかと思いますが、ぜひとも皆さん、この御上先生を御覧になってはいかがでしょうか。これをお勧めし、終わらせていただきます。大変失礼いたしました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、浦平美博君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 皆さん、おはようございます。
 それでは、一般質問に入らせていただきます。25番谷口和樹でございます。
 若干静かになった議場の中で、元気にやってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、1問目、大阪・関西万博について質問させていただきます。
 2025年4月13日から10月13日までの184日間、大阪市此花区夢洲で開催される大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、世界中の人々が最新の技術やアイデアを共有し、新しい未来の形を探る場となります。世界158の国と7の国際機関が参加し、持続可能な社会の実現やイノベーション創出を目的とした多彩なプログラムが展開されます。
 今回の万博では、単なる展示やイベントの場ではなく、未来社会の実験場(People's Living Lab)として、最新テクノロジーを活用した都市設計、空飛ぶクルマをはじめとするモビリティー、ヘルスケアなど多くの先端的な取組が実証されます。
 その中でも重要な役割を担う情報連携基盤を活用したデジタルサービスの導入は、来場者の体験をよりスムーズかつ快適なものにする仕組みが整えられています。
 情報連携基盤とは、異なるシステム間でデータをスムーズにやり取りし、統合的に活用できるようにするための技術基盤でございます。これにより、自治体や企業が持つデータを相互に連携させ、行政サービスの効率化や地域課題の解決、さらには新たなビジネスの創出が可能になります。
 特に政府が推進するデジタル田園都市国家構想においては、情報連携基盤が重要な役割を果たし、都市と地方のデータを統合することで、交通、医療、防災、観光など幅広い分野でのデジタル活用が加速し、地域社会の活性化につながるとしています。
 今回の万博会場でも情報連携基盤を活用したMaaS(Mobility as a Service)の導入により、公共交通、シェアリングサービス、自動運転車などを統合し、一つのアプリで検索、予約、決済が可能になるほか、混雑状況や待ち時間を来場者に提供し、最適な移動ルートの提案が行われます。
 また、再生可能エネルギーの管理需要予測や、AIと情報連携基盤を活用し、リアルタイムでの異常検知や災害時の迅速な対応にも備えています。
 この情報連携基盤を活用したデジタルサービスの中でも特筆すべきは、健康・医療サービスの分野です。来場者の健康管理をサポートするために、来場者が装着するウエアラブルスマートデバイスを通じて、心拍数や体温の変動をモニタリングし、異常が検知された場合には医療スタッフへと連携します。
 また、PHR(Personal Health Record)基盤との連携では、個人の医療データを安全に管理して、必要に応じて医療機関と共有します。
 さらに、医療相談や簡易診断をAIが行い、必要に応じて遠隔医療サービスにつながれると聞いています。これらの実証に情報連携基盤は重要な役割を果たします。
 そのほか、情報連携基盤を活用した大阪・関西万博独自の取組としては、データ駆動型スマートシティを構築するための大阪広域データ連携基盤(ORDEN)やスマートフォンのデジタルパスポート、会場内の温度、湿度、CO2濃度をモニタリングし、最適な休憩スポットへと案内を行うリアルタイム環境モニタリングなどがあります。
 大阪・関西万博は、情報連携基盤を活用したスマートなサービスにより、来場者はこれまでにない快適で革新的な体験を得ることができます。
 多くの国や企業が参加するこの万博は、いのち輝く未来社会の実現に向けたステップとなると同時に、情報連携基盤等のデジタルインフラを実装した社会実現への重要なステップになるはずです。
 この機会に、和歌山県として何に投資して何を学ぶか。万博を通じて、和歌山県がこれから必要になるデジタルインフラ、デジタルサービスを体感し、ぜひ我が県に持ち帰り、地域再生のための基盤整備に取りかかることを期待しています。
 さて、4月13日開幕の大阪・関西万博ですが、特に和歌山県串本町で実証飛行された空飛ぶクルマなどが注目を集めるかと考えます。
 デジタル技術の活用が会場内で披露される中、和歌山県も万博の成功に尽力するとともに、和歌山県の強みや魅力を発信していく必要があるかと思います。
 各議員の質問と重複するところもございますが、開催に向けた本県の取組について、知事室長にお聞きをいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事室長北廣理人君。
  〔北廣理人君、登壇〕
○知事室長(北廣理人君) 大阪・関西万博は、約2820万人もの方々が来場される世界的ビッグイベントであることから、県では、万博の効果を最大限得られるよう、様々な取組を進めています。
 例えば、関西パビリオン和歌山ゾーンでは、高さ4メートルの映像タワーにより、本県の過去から未来をめぐる映像を流すとともに、カウンターバーを設け、県産食材を使ったスイーツなどを提供することにしております。さらに中央にステージを設置し、地域の祭りや産品などを展示し、県民の皆様による発表の場を設けることにしております。
 また、催事イベントを開催し、りら創造芸術高等学校や和歌山児童合唱団など学生の皆様にも出演いただきながら、本県の魅力を余すところなく発信してまいります。
 そのほか、将来を担う子供たちに万博を体験いただけるよう、チケット代や貸切りバス代の支援なども予定してございます。
 今後も、万博を県経済活性化の絶好の機会と捉え、本県の魅力を国内外に大いに発信できるよう取り組むとともに、より多くの県民の皆様に万博を体験いただけるよう、情報発信、機運醸成に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 大阪・関西万博期間中は、国内外のパビリオンなどで新たな体験や魅力的な催し、また先端技術の実装など様々行われると思いますが、開催期間中の注目ポイントとともに、先日、串本町潮岬でも実証飛行され、万博会場では、内と外の2地点間運航等を目指すことが発表され話題の空飛ぶクルマなどの最先端技術の閉会後活用の取組について、知事室長にお聞きをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事室長。
  〔北廣理人君、登壇〕
○知事室長(北廣理人君) 大阪・関西万博では、各国との文化交流や世界の最先端技術に直接触れられるのが最大の魅力です。
 各パビリオンでは、その地域の歴史、文化などを体験することができ、新たな魅力の発見につながります。
 また、今回の万博のシンボルである大屋根リングからは、会場全体を見渡せ、瀬戸内海の自然や夕日を浴びた景色など、周囲の美しい景観を楽しむことができます。
 さらに、来場者を魅了する体験型エンターテインメントとして、ウオータープラザの水上ショーやEXPOホールの外壁を彩るプロジェクションマッピングなど、にぎわいと感動にあふれた多彩なイベントも予定されており、ぜひ多くの県民の皆様に体験していただきたいと考えております。
 なお、議員御提案であります閉会後の最先端技術の活用につきましては、例えば万博の目玉と言われております空飛ぶクルマの県内での実用化に向け、関係する企業との連携協定の締結や、離着陸場候補地の調査、また、社会受容性を向上させるための実証飛行の実施など、着実に取組を進めているところです。
○議長(鈴木太雄君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひとも今後の採用といいますか、活用に御期待するところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 万博本来の意義とともに、国内外から注目を集める歴史的な関西開催のビッグイベントですので、この機会に和歌山の名前を世界に発信する絶好の機会でもあるかと思います。
 紀南から選出されている一議員としましては、この機会に何とかロケットの発射を期間中に成功できたらなと思います。また、大きく欲を言えば、会場中継で来場された皆様とその映像というのを共有して、成功の瞬間を共有できたら、万博史上、花火を上げてもロケットを上げた万博というのはないと思いますので、和歌山から歴史に刻まれる大阪・関西万博になるのではないかと期待もしていますし、ぜひしていただきたいなと御期待するところでございます。
 話は変わりますが、先日、大阪・関西万博のラッピングバスが地元の大塔に来ました。見に来られる方も多かったのですが、実は、昨年、一昨年と2年続けて地元の大塔地球元気村というイベントに万博推進課がPRに来てくれていましたので、地元の方々は、そのバスを見て、「何のバスやろう」ということは言わずに、やはり「元気村に来ていた万博やな」、「もうすぐやな」、「万博は行かなあかんな」、「早めに行ったほうがええらしいわ」などと次々に明るく言われていました。県内いろんなところでも万博PRをたくさん見ましたので、そういう意味でも、万博推進課は事前のPRを頑張ったんじゃないかなと思います。
 結構ネガティブなニュースや政党のイメージに振り回されることも多く、大変だったかと思いますけども、本当に心から担当の皆さんの御奮闘に敬意を表したいと思います。
 続きまして、2問目の質問に入ります。
 東京2025デフリンピックへの取組の質問をさせていただきます。
 デフリンピックとは、聴覚障害者のための国際的な総合スポーツ大会であり、国際ろう者スポーツ委員会が主催し、1924年にフランス・パリで初めて開催され、パラリンピックよりも長い歴史を持っています。
 競技中のコミュニケーションは音ではなく、視覚的な合図や手話が基本となるため、競技ルールや環境も聴覚障害者に向けて最適化されています。例えば、スタートの合図には音ではなく光が使われ、審判の笛もフラッグや手話で伝えられます。これにより、聴覚障害があるアスリートが公平に競い合える環境が提供されています。
 東京2025デフリンピックは、本年11月15日から11月26日にかけて開催される予定で、これはアジア初の夏季デフリンピックであり、日本国内でデフリンピックが開催されるのは初めてのことになります。
 東京大会では、約5000人の選手や関係者が世界中から集まり、陸上競技、水泳、バスケットボール、レスリングなどの競技が行われる予定となっています。特にデフレスリングの日本初参加は、日本国内でまだ認知度は低いものの、日本のレスリング界にとっても大きな注目ポイントとなっております。
 ちなみに、和歌山県出身の湯元健一氏が日本初のデフレスリング強化コーチに就任しています。
 デフリンピックは、音のないスポーツ大会と言われることもありますが、これを補うために、東京大会では、最新の字幕技術や手話通訳技術を活用した観戦支援が導入され、競技会場やオンライン配信で、聴覚障害者だけでなく健聴者も含めてより多くの人が楽しめる仕組みが考えられています。
 また、東京大会では、競技だけでなくデフ文化を広めるため、手話パフォーマンスやデフアートの展示、聴覚障害のある方が活躍する映画の上映など、多様な文化交流が予定されています。
 また、同大会では、そのほかにもスマートシティと連携したアクセシビリティー強化ということで、AIを活用したリアルタイム手話翻訳アプリの導入や、公共交通機関での視覚的案内の強化など、都市全体のアクセシビリティー向上が図られています。
 さらには、東京2020パラリンピックでも、障害がある方を含む多様なボランティアが活躍されましたが、デフリンピックでもこれを継承し、聴覚障害のある方や手話ができる人材を積極的に活用したボランティアプログラムが展開されるとのことです。
 東京2025デフリンピックは、日本で初めて開催される歴史的な大会であり、デフアスリートたちが見せる静寂の中の熱い戦いは、全ての人に感動を与え、スポーツの本質を改めて考えさせてくれるはずです。
 この大会を通じて、聴覚障害者スポーツの魅力やデフ文化への理解が深まり、より多様性を尊重する社会の実現が期待されていますので、和歌山県も共に進むことが望ましいと考えます。
 開催に向けた本県の取組について、知事にお聞きをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 谷口議員の御質問にお答えしたいと思います。
 今、谷口議員がおっしゃいましたように、聴覚障害者のスポーツの魅力やデフ文化への理解が深まることが、より多様性を尊重する社会の実現につながるという点については、私も全面的に賛同するところでございます。
 耳の聞こえない、あるいは聞こえにくい人たちの国際スポーツ大会であるデフリンピックが2025年11月に日本で初めて東京で開催されます。この大会を契機に、デフリンピック、そして耳の聞こえない聾者への理解が社会に広がることを私も期待しております。
 現在の取組といたしましては、県有のスポーツ施設にポスターの掲示を行っております。それから、全国のゆるキャラによります東京2025デフリンピック応援隊に、我が県のきいちゃんを登録させていただいて、県内外での広報を行っているところであります。
 今後の取組といたしましては、県障害者スポーツ協会の皆さん、それから県身体障害者連盟の皆さんと共に、障害者スポーツ大会をはじめ、各種大会などにおきまして、ポスターの掲示やブースの設置をするなど、このデフリンピックの周知活動に努め、機運醸成を図ってまいりたいと存じております。
○議長(鈴木太雄君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 デフリンピックなどの代表選手の合宿誘致に向けた本県の取組について、知事にお聞きをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 デフリンピックが日本で初めて開催されることに加えまして、先ほど谷口議員が御指摘くださいましたが、和歌山県出身で北京オリンピックレスリング競技銀メダリスト、パリオリンピック日本代表コーチの湯元健一さんがデフリンピックの強化コーチに選ばれたということは、県民の一人として大変すばらしいことだと思っております。
 2月末ですか、湯元コーチとデフリンピック強化指定選手が和歌山ビッグウエーブにおきまして、小学生から社会人までを対象に練習会を実施し、参加した皆さんに対して、聴覚障害や大会についての理解を深めるための説明が行われたと聞いております。
 県では、国内外の代表チームのキャンプの誘致に努力をしております。今年度、障害者スポーツでは、パリパラリンピックに出場した陸上競技日本代表事前合宿を田辺スポーツパークで行うなど、これまでもスポーツキャンプ誘致に積極的に取り組んでまいりました。
 デフリンピックにつきましては、日本代表選手の決定が大会開催直前ということだそうであります。そういう意味では、なかなかキャンプ誘致は難しい状況でありますけれども、今後も引き続き、健常者、障害者、全く関係なく、国内外のスポーツキャンプに関する情報を収集し、その誘致に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 ボランティアの応募というのが委員会のほうからされていまして、そこに和歌山からも独自で申し込まれている方もたくさんおられます。そんな中で、ぜひとも私から要望を一つお願いします。
 東京への交通費、滞在費用というのが今すごく高騰していますので、できたら登録が認められたボランティア参加の皆様方に支援策などを用意していただけたらなと思います。これ、ぜひ要望したいと思います。
 少しレスリングの話をさせていただきます。
 レスリングを含め、格闘技といえば、一昔前は、テレビの設定で、竹刀を持って生徒をしばき上げる格闘技部の体育教官だったり、レスリングではないですが、ひたすらしごく指導者が事件を起こしたりというのがあったりで、格闘技全般で、きつい、厳しい、理不尽というイメージがあったかもしれませんけれども、今はそういったものも淘汰されまして、その中でも和歌山県のレスリングは、選手に競技力向上の自主性を求めるのが比較的早かったかと思います。それが今の、特に中高生の好成績につながっているのではないかなと思っているところでございますが、パリオリンピックでも日本代表コーチを務めた和歌山県出身の湯元健一コーチと共に、パリオリンピックに引き続き、自主性の高い練習を積み重ねる和歌山レスリングのよさを全面に出して、今回、デフレスリングの選手団には結果を出していただけたらなと期待するところでございます。
 東京2025デフリンピック並びにデフレスリング競技の成功と和歌山県の御協力、尽力を願いつつ、次の質問に入ります。
 三つ目、運動部活動の地域移行に伴う影響について質問させていただきます。
 部活動の地域移行とは、従来中学校の教員が主導して行ってきた運動部活動を、地域のスポーツクラブや自治体、NPO法人などが担う形へと移行する取組のことであります。これは、教員の負担軽減や持続可能な部活動環境の構築を目的としており、文部科学省の方針に基づいて全国的に進められています。
 具体的には、部活動を学校単位ではなく地域のスポーツ団体が運営する形へと転換し、指導者の確保や施設の利用、費用負担の在り方などが見直されます。これにより、学校の枠に縛られない柔軟な活動が可能とされる一方で、任意度の上昇から、生徒の参加率の低下や競技レベルの維持といった課題も浮き彫りになっています。
 現在、日本全国で少子化が進む中、運動部活動への参加生徒数は減少傾向にあります。特に地方の中学校では、学校単位での部活動運営が困難になっており、チームを編成できないケースも増えています。さらに、教員の長時間労働の問題も深刻化しており、休日を含めた部活動指導が教員の大きな負担になっております。
 これを背景に、2022年12月にスポーツ庁及び文化庁が学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインを策定し、2025年度まで改革推進期間とし、段階的に地域移行を進める方針を示しています。しかし、地域ごとの受皿の整備状況にはばらつきがあり、移行がスムーズに進む地域とそうでない地域との格差が広がっているのが現状であります。
 県では、全国的な動きに合わせて、2024年度から2026年度までを地域連携・地域移行の改革準備期間と定め、2028年度までの地域クラブ活動の充実を目指しています。
 運動部活動の地域移行は、持続可能なスポーツ環境の整備という観点では意義のある取組であります。
 しかし、人口の少ない地域では、指導者や競技環境の確保が課題となり、生徒の運動機会が減少する可能性があります。和歌山県においても地域移行を成功させるためには、地域スポーツ団体との連携強化や国体など競技力向上に向けた戦略が不可欠であります。
 そのような中で、運動部活動の地域移行に伴う運動する生徒数減少への県の考え方について、教育長にお聞きをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 運動部活動の地域移行に伴い、生徒を取り巻くスポーツ環境が変化すること、また、昨今の少子化の傾向により、運動する生徒数の減少が危惧されます。
 そのため、引き続き平日の運動部活動を充実させる工夫や、休日を中心とした地域クラブ活動の活性化を図ることで、運動する生徒の割合を維持発展させていくことを目指したいと考えています。
○議長(鈴木太雄君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 運動部活動の地域移行に伴う高校団体競技部数の推移予測について、教育長にお聞きをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 地域移行により、運動する生徒が減少した場合は、高校団体競技部数の減少にもつながりかねないと考えています。
 中学校部活動や地域クラブの充実により、運動する生徒の割合を減らさず増やしていくことが、高校団体競技部数の維持にもつながるものと考えています。
○議長(鈴木太雄君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 運動部活動の地域移行により目指す本県の将来像について、教育長にお聞きをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 本県は、相撲、レスリング、フェンシング、柔道、剣道などの個人競技において、国民スポーツ大会などの全国的な大会等で優秀な成績を収めてきました。もちろん、これらの競技については、さらなる向上を目指してまいりたいと考えています。団体競技においても、部活動の活性化を図ってまいります。
 さらに、地域移行により、市町村や民間団体等の運営による多世代にわたる仲間との交流や、専門的な指導者の活用による競技力の向上など、スポーツとの多様な関わり方が実現できるよう支援に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 人口が、特に子供の数が減ってくるので、そんな中で、仕方ないなという改革ではなくて、やはりこれを契機に、よりよいスポーツ環境を県内でつくれるように、ぜひ御努力よろしくお願いいたします。
 それでは、四つ目の質問に入ります。
 障害のあるドライバーのための視点ということで質問させていただきます。
 近年、様々な自治体の制度充実や社会の進歩などにより、障害のあるドライバーが単独で運転乗車されるケースが増えつつあります。また、その中でも、まだまだ少ないとはいえ、ハンドコントロール車を単独で運転乗車するケースも増えてきております。
 せんだって、そのような環境で運転される方からお話を聞きながら、実際乗せてもらい体験する機会をいただきました。
 市販されている車にハンドコントロール用の装置をつけて使われるのですが、装置は高速道路でも全く滑らかな操作で、吹き上がりも減速もブレーキも滑らかに機能していました。
 株式会社ニコ・ドライブが開発したハンドコントロール装置は、工具不要で取付け可能であり、価格も従来の改造に比べて安価で、この装置の普及により、障害のあるドライバーの方々が自動車を単独乗車で利用しやすくなり、また自治体でもこのような運転支援機器の導入を支援しているところもあります。
 このように、ハンドコントロール車を単独乗車する障害のあるドライバーの方々が少しずつ増え、社会の障害のあるドライバーの単独運転環境も年々前進していっている中で、熊野白浜リゾート空港の障害者用駐車スペースについてお聞きをしたいと思います。
 障害者専用駐車スペースですが、いっぱいになることで、障害のあるドライバーは一般駐車場に駐車することになりますが、一般駐車場は、雨天の際、障害のあるドライバーの単独乗降が困難になるケースがあります。予約制を含めて対策について、県土整備部長にお聞きをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 熊野白浜リゾート空港の障害者駐車場については、ターミナルビル横に屋根つきで3区画、一般駐車場内に屋根なしの5区画の計8区画を整備しており、本県の福祉のまちづくり条例に基づく必要数を確保しております。
 ですが、議員御指摘のとおり、一般駐車場の利用に際し、障害のある方が単独でも雨にぬれることなく乗り降りできることが望ましいので、運営会社である株式会社南紀白浜エアポートと対応を協議してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 続いて、官民駐車場での障害のあるドライバーの利便性向上についてお聞きをしたいと思います。
 和歌山駅に隣接する民営駐車場等において、出庫の際の精算機の料金口の位置が高かったり遠かったりと利用に苦労するケースを見ました。ETCのような料金受領システムや事前精算機の設置を県下で奨励できないか、福祉保健部長にお聞きをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 県では、障害の有無や年齢にかかわらず、全ての人が自らの意思で自由に行動し、主体的に社会参加できる社会の実現のため、福祉のまちづくり条例、和歌山県障害者差別解消条例により、ハード面での環境整備と有人対応による案内、誘導など、ソフト面の利用者支援について事業者に対し啓発しています。
 近年、バリアフリーに対応した様々な新しい技術の開発が進んでいます。これらを活用することにより、障害のある人の生活の質を向上させることができます。
 議員御提案の駐車場における決済システムも、障害があり自ら自動車を運転する人の環境を安全で快適なものに整えていくために有効なものです。
 今後、このような新技術の情報についても、機会を捉えて事業者に対し周知してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後の質問に入ります。
 田辺産業技術専門学院の重要性について質問させていただきます。
 まずは、訓練生の確保のための取組についてお聞きをします。
 和歌山県立田辺産業技術専門学院は、職業能力開発促進法に基づいて、和歌山県が設置、運営している職業能力開発施設です。主に新規学卒者や若年離転職者を対象に、就職に必要な技能、知識を習得できるよう訓練を行っています。訓練科は、自動車工学科(2年課程)、観光ビジネス科(1年課程)、情報システム科(2年課程)の3科。また、県内の教育訓練機関を利用した施設外訓練も行っており、離転職者や障害のある方を対象とする短期課程の職業訓練も提供しており、1957年の田辺公共職業補導所としての開学から68年の歴史があります。
 今回は、この中の1963年から自動車整備科としてスタートした自動車工学科についてお聞きをいたします。
 実は、現在77歳の私の父親が自動車整備科の1期生で、話を聞きますと、当時の校舎というのは田辺市文里にあり、もともとあった木材加工の専門科に続いて、1年制の定員30名で設置されていたとのことです。当時の1期生で独立して起業する方々も多く、現在も継続されている方々もいます。
 その当時は第一次ベビーブームですので人数も多く、人気の職業で、入学する方も優秀な方が多かったということです。
 ちなみに、1期生で一番優秀だった方は、当時の白浜空港へメカニックとして行かれたと言われていました。
 特に当地域のディーラーではなく自営でやっている自動車整備工場の経営者や、そこで働くメカニックの多くは、田辺産業技術専門学院の卒業生、もしくはこちらの学院の先生による整備士免許講義を受け免許を取得しておりますので、まさしく地域の自営でやっている自動車整備業の人材育成拠点でもあります。
 昭和から平成にかけて、当地域の自営でやっている自動車整備工場の担ってきた役割というのは非常に大きく、車を持っていなかった人たちが車を持ち出した時代も、女性ドライバーが増えていった時代も、農作業に軽トラックが活躍し出した時代も、一家に1台から1人1台になっていった時代も、車がファッションとして若者に隆盛を極めた時代も、当時ディーラーよりもはるかに高い技術力と地域密着力で地方の昭和から平成へ向かう車社会を一手に担ってきたのは、ディーラーではなく、地域の自営でやっている自動車整備工場でございました。
 時代が変わって、平成、令和になり、人口減少や過疎化、ディーラーの囲い込みなど、地域、特に地方の自営でやっている自動車整備工場の環境が大きく変わっていきました。
 しかしながら、売上げが落ちても、人口の少ない地域に残っていく整備工場が多いというのは、地域にとって役割があるからで、車がなくてはならない地方、特に過疎地域での生活の中で、農業用など作業車両の整備や高齢者ドライバーなど、地域の中でおのおのまだまだ役割があるからだと考えます。
 本年2月現在、和歌山県内の自動車整備業における認証整備工場の数は979軒で、これは県内のコンビニの数の2.6倍であります。
 この県南部の自動車整備業のメカニック確保、担い手確保、継業、そして第一次産業を中心とした地域コミュニティーの維持のためにも、和歌山県立田辺産業技術専門学院における訓練生確保のための取組について、商工労働部長の考え方をお聞きします。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長大川伸也君。
  〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 田辺産業技術専門学院の自動車工学科の入学定員は20名ですが、2024年度に入学した訓練生は13名、また、2025年度入学における応募者数は15名となっています。
 訓練生の募集に当たっては、これまでもオープンキャンパスの実施、テレビやラジオをはじめ、地方新聞や市町村広報紙での広報、紀南地区を中心とした高校やハローワークへの積極的な訪問、さらにはSNSを活用した幅広いPRなどを行ってまいりましたが、残念ながら、定員を満たすまでには至っておりません。
 このようなことを踏まえまして、2026年度入学選考試験から高校生の募集活動を前倒しするとともに、選考試験の回数を増やすなど、引き続き田辺産業技術専門学院を選んでいただけるよう取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。
 このSNSなどでPR、すごく頑張って、特に学院の中の先生方がやってくれているんだと思うんですけども、一生懸命PRのほうをしていただいています。そのことはすごくいいことやと思うんですけども、できましたら、やはりそのPRの費用というか、学院の宣伝の費用を、全国から募集するのであれば、その広告の費用なり宣伝の費用というのをしっかり取っていただいて、足りない分の生徒も満員になるように、しっかり努力をお願いしたいなと思います。ぜひ、よろしくお願いいたします。
 2番目の特定技能外国人労働者の受入れについて質問さしていただきます。
 昨年10月時点、日本で働く外国人は約230万2000人で過去最多。県内も約5700人になったと聞いています。
 全国的にも外国人労働者は増加する中、自動車整備業にも特定技能での就労者が増えつつあります。
 先ほども申しましたが、本年2月現在、和歌山県内の自動車整備業における認証整備工場は979軒、そのうち車検を自社工場内で行える指定整備工場は355軒あります。
 この指定整備工場は民間車検場とも呼ばれ、工場内のメカニックが複数人必要となりますが、日本人技術者の雇用が非常に難しくなってきており、和歌山県内でも指定整備工場における特定技能外国人就労者が増えつつあります。
 しかしながら、それまで雇用していた日本人と比べて、コミュニケーションと日本車に対する整備技術への慣れに不安のある特定技能外国人就労者をメカニックとして雇用するには、多くの時間と経験を必要とします。
 また、少人数で経営する認証工場にも同じことが言え、技術者不足、人材不足であり、先ほどと重複しますが、この認証工場は、人口の少ない地域では、特に農林漁業に関連する軽トラックなどの作業車、そして時には農機具やエンジン類の修理なども行うため、機械類の何でも屋さんとしての一面も持ちながら存在しています。
 今後、後継者不足で苦しむ高齢の自動車整備工場も増えてくる中、継続するためには、ある程度、技術とコミュニケーションに慣れた外国人就労者を必要としています。
 地方での就業に向けて、特定技能の方が事業所に受け入れられる前に、もしくは、受け入れられた後に田辺産業技術専門学院に入学し学ぶことができないか、商工労働部長にお聞きをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長。
  〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 特定技能の在留資格で来日される方が、事業所に就労する前に、職業能力開発校である県立産業技術専門学院に入学し職業訓練を受けることは、出入国管理及び難民認定法において認められていません。
 また、事業所に就労した後であっても、特定技能の在留資格では、特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令などにより、フルタイムで業務に従事することが求められていることから、学院に入学して職業訓練を受けることは認められていません。
 こうしたことを踏まえまして、県としては、特定技能で来られた方が、学院に入学せずとも事業所で働きながら、しっかりとした技術を身につけられる訓練などにつきまして検討してまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 すみません。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時31分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開

○議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、申し上げます。
 岩田弘彦君から3月6日の会議における同君の発言について、また、浦口高典君から3月7日の会議における同君の発言について、いずれも一部を取り消したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。これらの申出を許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木太雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 15番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 令和7年2月定例会で、発言の機会をいただきましてありがとうございます。通告に従いまして質問を行いたいと思います。
 本年、南海トラフ地震の発生確率が、今後30年以内に80%になりました。南海トラフ地震が確実に近づいていることを感じます。
 そこで、南海トラフ地震に関して、大項目で2点、八つの質問をさせていただきます。
 まず、西川河口のかさ上げについて伺います。
 私は、御坊市民とまちを守るため、西川河口に水門が必要と考えますが、予算と時間を考慮して、堤防のかさ上げをお願いしております。既に、2024年度から調査を行っていただいておりますが、進捗状況と来年度の取組について、知事から御報告いただきたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 中村裕一議員の御質問にお答えいたします。
 県では、「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」に基づきまして、津波対策を実施しているところでございます。沿岸部の災害は津波以外にも、例えば高潮や高波による浸水も考慮すべきと考えております。これらの災害も踏まえながら、対策を講ずる必要がございます。
 今、議員御指摘の西川河口の堤防かさ上げにつきましては、現在、高潮対策事業として早期に事業化できるよう取り組んでいるところでございます。2024年度は関係市町や地元への調整等を行うとともに、測量等の現地調査や関係機関との調整を進め、当該事業を紀州灘沿岸海岸保全基本計画に位置づけることとしております。2025年度、新年度の予算におきましても、費用対効果の算出や、あるいは海岸保全区域の指定を行う予定としております。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ありがとうございます。ぜひ早く着工というよりも完成ができますよう、よろしくお願いを申し上げておきます。
 次に、広島の豪雨災害では、避難路の被災状況をツイッター──今のXでありますけれども──で共有し、命からがら逃げることができたと言われています。紀伊半島大水害のときは、山崎パンからパンをくれるという情報が役所で滞って、パンが被災地に届かないということもありました。能登地震では、停電や非常用電源の燃料不足で、テレビやラジオが3週間余り途絶えました。地上波が途絶えた状況を報道で知った県民から、車載テレビで視聴できるよう、ワンセグの整備を求める声がありました。
 しかし、県からの説明では、ワンセグが衰退していること、逆に県内ではケーブルテレビ地域が多いことが分かりました。能登地方も地上波が受信できないところが多く、ケーブルテレビだらけでした。その結果、3週間はテレビが視聴できなかったと言われています。そのためか、NHKの衛星放送では、長らく石川県の地上波が放送されていました。ただし、衛星放送にはアンテナが要ります。
 災害時には時間とともに様々な情報が必要となり、住民にそれを届けることが重要になりますが、南海トラフ地震に向けて、県民に必要な情報はどのように提供されるのでしょうか、その対策について伺います。
○議長(鈴木太雄君) 危機管理部長河野眞也君。
  〔河野眞也君、登壇〕
○危機管理部長(河野眞也君) 議員御指摘のとおり、災害時は時間の経過とともに、住民に伝えるべき情報や伝達手段が変わってまいります。発災直後におきましては、緊急地震速報や津波警報などの、住民自らが命を守るために必要な情報が気象庁からテレビ局などの放送事業者や携帯電話通信会社に自動的に送られ、テレビのテロップなどで流れるほか、個人の携帯電話に緊急速報メールが配信されることになっております。また、津波警報などは、市町村の防災行政無線で自動的に放送が流れるとともに、防災メールや防災アプリに登録している方には通知が行われるなど、伝達手段の多重化を図っているところでございます。
 その後、避難生活が始まる段階から、給水所や救援物資などに関する生活支援情報、電力や通信といったライフライン情報などを地域住民に届ける必要があり、テレビはもちろんのこと、ラジオ、防災行政無線や広報車による放送のほか、SNS、防災メールやコミュニティーFMなど、多様な伝達手段を活用し、市町村と共にきめ細やかな情報提供に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 御答弁いただきました。
 私、今の話聞きながら思ったんですけども、何もなければ──何もないわけではない、南海地震揺るわけですから。例えば停電のときに、最初は充電されているでしょうから、スマホにしろ聞けると思いますが、長く停電続いたら、本当にそんな日常使っているサービスが継続できるのか。それから、ケーブルテレビ、和歌山県も実はケーブルテレビが結構多いんです。ケーブルが寸断されたら全く聞こえないんですね、停電のほかに。それから受信機、ラジオというのは。みんなふだん聞いている人はいいですけども、そうでなかったらラジオも持っていないわけでございまして、本当に必要な情報が届くように、本来だったら再質問したいところですけども、今日は質問がすごく多いので、ぜひお願いをしておきまして次の質問に移らせていただきます。
 情報のことを今お尋ねしましたけど、情報という意味では、旅行者──旅人でありますけども──は居住者に比べて、言葉、言語や地理を含めて災害情報から疎外されます。また、情報のほかにも、生活の基盤がない旅行者には、特別の手当てが必要だと思います。
 2023年、県内で修学旅行中の大阪市の小学生一行が、高速道路通行止めで帰路に就けず、御坊市立体育館に避難して一夜を明かしました。話を聞いた地元のお店からパンやおにぎりなどが差し入れられ、たまたまそのところにいた御坊青年会議所のメンバーが炊き出しをしてくれました。
 地域防災計画は、観光客も考慮した上で作成されていると思いますが、観光客の安全対策について伺います。
○議長(鈴木太雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
  〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 県では、和歌山県地域防災計画の地震・津波災害対策計画編において、災害情報の発信や避難誘導時における観光客への配慮について記載しているところです。
 近年、南海トラフ巨大地震の発生確率が高まっている中、豊かな自然が観光の魅力である本県において、観光客の安全対策は大変重要であると考えております。
 現在、災害時における観光客への情報提供については、高速道路の状況や公共交通機関の運行状況等の情報を迅速に収集し、県公式観光サイトに掲載しています。また、事前の取組として、日々の備えや観光客に対する初動対応等をまとめた災害対応マニュアルを宿泊施設などに配付するとともに、観光関連事業者向けに災害対応力の向上につなげるための研修会を本年1月に紀北で、2月には紀南で開催し、延べ141名に御参加いただいたところです。
 ほかにも、外国人観光客向けの防災リーフレットの配付や観光客が災害時に取るべき行動を分かりやすく説明した動画を制作し、適宜視聴できるようQRコードを観光施設に掲示するなど、安全対策の情報を取得しやすい環境を整備しているところです。さらに、各市町村に対し、観光客の誘導等を想定した避難訓練の実施や情報収集体制の確認など、災害時の安全対策を改めて点検していただくよう呼びかけを行いました。
 今後も、このような取組を通じて観光客の安全対策の実効性を高め、国内外からの観光客にとって安全・安心な観光地域づくりを推進してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 御答弁いただいたところで、日本語を話すことができない外国人観光客向けの防災リーフレットを作成しているということですけども、地震起きたときにそんなリーフレットを読んでいる間ありませんし、観光客が和歌山に来るときに、それに目を通すということはなかなかかなわないことだと私思っています。
 それで、安全・安心な観光地域づくり、ぜひこれやるべきやと思うんですが、中身はそうなっていないんじゃないかというふうに思います。再質問いたしませんけども、私、去年でしたっけ、地震情報って言われたときに、もう来ないでくれって言いましたけど、今までの北海道の地震だとか火山となると、いよいよ危なくなったら、もうそんなところ危なくて行けないと、しばらくずっと来てくれなくなるわけで、そんなときでも、和歌山はいろいろ準備をしていて、大丈夫って思ってもらえるようにすれば来てくれるようになるわけで、ぜひとも中身が伴った安全対策をやっていただきたいと思います。
 今、外国人も和歌山に来ている人を見ていたら、いつもスマホ見ていろいろ情報を探していると思います。多分日本へ来るのにも、スマホなりネット上の情報、それで手配して来たりするわけで、私は防災アプリって和歌山もありますけども、あれは避難路が通れないときに、最初行って通れない人も、また次の人も通れないという根本的な欠陥があると思います。でも、あれをうまく改良していけば、和歌山へ来た観光客にそれをダウンロードしてもらって、観光情報と防災情報、両方いつもお知らせできるようにできるんじゃないかと思います。ぜひそんなことも御検討いただきたいと思います。
 続けて、お願いします。
 南海トラフ発生時に、本県は埼玉県から応援職員が派遣されるという報道がありました。東日本大震災のときの関西広域連合の取組のように大変合理的な制度と考えますが、現時点ではどうなっていますか。災害は、南海トラフ地震だけではなく、首都直下地震もあるわけで、私は相互協定が必要だというふうに思いますし、日頃から顔の見えるお付き合いが必要ではないでしょうか。所見を伺います。
○議長(鈴木太雄君) 危機管理部長。
  〔河野眞也君、登壇〕
○危機管理部長(河野眞也君) 南海トラフ地震が発生した際、大きな被害が想定される10県につきまして、すぐに応援職員を派遣するアクションプランが総務省において2月12日に策定され、本県には埼玉県が割り当てられました。
 今般のアクションプランは、本年4月から運用が開始される予定でございますけれども、今後早急に埼玉県とは意見交換や勉強会等の場を通じて、支援対象業務や応援職員が用意しておくべき装備、進出経路など、実際に応援職員を受け入れる市町村を交えて検討を進め、災害時に直ちに動くことができるよう、実効性を高めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 それで決まっていないから、こちらから向こうを助けに行くというのは、まだ答弁ないんだと思いますけども、トランプ大統領だって、日米安保で日本がアメリカを守ってくれないって文句言っております。もちろん和歌山県が大埼玉県を1人でおんぶするというのは難しいと思いますが、やはり人間の気持ちとして、助けてもらうけどこっちも助けに行くという、そういうお付き合いをぜひお願いしておきたいと思います。
 次に、災害時には、役所、病院、避難所などの自家用発電、パトカー、消防車、救急車など、緊急自動車用の燃料が備蓄されることになっています。備蓄は石油精製所、ガソリンスタンドなどで公用分を備蓄することになっていますが、ENEOS和歌山製造所が閉鎖され、ガソリンスタンドも半減する中、南海トラフ地震のような広域災害時に必要量は確保できているのでしょうか。そもそも防災当局は必要量を把握していますか。
 さらに、災害時に参集する警察官、消防士、災害拠点病院の医師等は、通勤用の燃料はあるのでしょうか。コロナ禍では、医療関係者がワクチン接種を優先的に受けたように、公務は優先すべきと考えますが、所見を聞きます。また、災害対応要員が自宅から職場に駆けつけるためには、まず自宅が被災しないよう耐震化は必須と考えますが、併せて所見を聞きます。
○議長(鈴木太雄君) 危機管理部長。
  〔河野眞也君、登壇〕
○危機管理部長(河野眞也君) 県では、県民の命や生活の維持のため、庁舎や病院など、重点的に燃料供給を実施すべき施設を重要施設としてリスト化し、各施設の必要量も把握しております。大規模災害時、重要施設に平時の取引業者が燃料を供給できない場合は、県から県石油商業組合に要請し、県内の石油販売業者が供給いたします。さらに、県内で燃料が不足する場合は、国は県からの要請に基づき調達し、供給する体制が構築されております。
 緊急車両への燃料供給につきましては、指定要件とされております自家発電設備や大型タンクを備えた中核サービスステーションが優先供給を行う体制となってございます。さらに、県では、中核サービスステーションが被災した場合などに備え、緊急車両等の活動を支援できるよう、災害時用移動式燃料給油機「どこでもスタンド」を整備しております。
 次に、災害対応要員が出勤する際の自動車使用につきましては、道路渋滞により、人命救助等の緊急車両の通行に支障が生じたり、地割れ等による2次災害に巻き込まれる場合も考えられ、一義的には徒歩や自転車で出勤することが適切であると考えております。
 ただし、災害対応業務の内容によって、自動車による出勤が必要な要員につきましては、日頃から各自で燃料補充しておくものと考えますが、給油が必要になった場合は、被災地域の住民に燃料供給を行うものとして指定された住民拠点サービスステーションなどを利用することになります。
 また、災害対応要員につきましては、発災時には、まずもって自分自身や家族の命を守った後、応急対策業務に従事することになります。そういう意識の下、要員が住宅の耐震化を図っておくことは大事であると認識してございます。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 お答えいただいたようにうまく、実際に南海地震が起きたときに動くようにお願いしておきたいと思いますし、今日は聞きませんけども、本当に、じゃあ、国に要請するときは、誰がどこから運んでくるのか、それから運んでいく場所もなかなかないと思うんですけども、そういうプラン、また、チャンスがあれば聞かせていただきたいと思います。
 1点だけ、緊急用の自動車の燃料はあるということは分かりました。私も今回いろいろ調べてみたら、国民用の燃料も備蓄されているというのはありました。しかし、私が申し上げているような、パトカーだとか消防車だとか、それから災害拠点病院のドクターの通勤用の燃料というのはないんですね。満タン入れておいても何回か行ったり来たりしている間になくなってしまいます。
 私の地元のひだか病院というところは、和歌山市内から大勢のドクターが来てくれております。2~3回来たら、もうガソリンなくなったら、普通のところへ並べって、そうしたら医療ができなくなる。医療ができなくなるから未治療者が多くなる。後から聞くのですけども、そういうふうになっているので、ぜひ考えていただきたいというふうに要望しておきます。
 次に、今ちょっと関係が出ましたが、南海トラフ地震が起きたときの災害医療についてお聞きしたいと思います。
 私は昨年、2月定例会で、災害時の死因究明を行うこと、すなわち検案について質問しましたが、そのときの検案の前段階である災害医療、検案後の遺体の安置・火葬・埋葬について、まだ十分できていないと感じました。
 先日、NHKニュースで、南海トラフ地震の重傷者が、治療を受けられずに亡くなる未治療死が、本県は全国3位の79.5%に上ることが報道されました。私の地元、災害拠点病院のひだか病院は260床を有する中核病院ですが、南海地震発生時には数千人の傷病者が搬送されます。果たしてどこへ収容するのか、病院駐車場へ野ざらしにするのでしょうか。市立体育館もありますが、病院から少し離れていますし、医薬品などが備蓄されているわけではありません。また、ひだか病院の医師などは市外から勤務しており、救命効果が高い72時間以内に到着するのか、停電や断水の中、本当に必要な医療は行われるのか、心配します。
 南海地震における災害医療の課題は、医療資源の不足、インフラの寸断、医療チームがすぐ来るのか、避難所での医療対応などが指摘されますが、そのとき着実に機能するのか、お伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 南海トラフ巨大地震の発災直後には、多くの重傷者への対応が必要となります。県では、3日以上診療を維持できる、水や自家発電機の燃料等を備える10施設を災害拠点病院として指定し、重傷者対応を担っていただくこととしています。さらに多くの患者に対応するため、県独自制度である災害支援病院に14施設を指定し、災害拠点病院を支援する体制を構築しています。
 また、災害医療人材の育成を強化するため、DMATに加え、和歌山ローカルDMATを独自に59名養成しています。さらに、新たな取組として、寄附講座により、県立医科大学に災害医学講座を設置し、若手人材の育成、県外からの人材確保を図ってまいります。
 様々な対応を進めてまいりますが、県内の医療従事者には限りがありますので、災害医療訓練を通じて、DMATや災害支援ナース等の支援チームの受入れ体制を強化してまいります。一人でも多くの人命を救うため、引き続き、災害医療対策の推進に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今、御答弁聞いていたら、問題がないかのように聞こえるんですが、現に、私は積算根拠は分かりませんけど、未治療者79%余り出てくるということは、これは間違いないと思うんです。だから、それに対してどうやって備えをするか。
 最近、東日本の地震の後、東京電力の経営者が津波を予測できたかどうかというようなことで、できなかったということで無罪になったそうですけども、災害医療は問題がある、どんなことをしなければいけないかということがもう明らかになっているので、これを怠ったら、犯罪になるかどうか分かりませんけども、私はやっぱり県民に対して申し訳ないというふうに思いますので、まだできていないんだったら、ぜひこれからやっていただくことを知事にもどうかよろしくお願いしておきます。
 次、行きます。
 よく似た話で恐縮なのですが、次に、災害関連死についてお聞きしたいと思います。
 阪神・淡路大震災では6434人の死者のうち約900人、東日本大震災では1万9688人の死者のうち3789人、能登では489人のうち半数以上の261人と、せっかく災害から生還しても、多くの人が亡くなっております。地震における災害関連死の主な原因は、肉体的・精神的負担、医療機関の機能停止、避難所生活の負担、エコノミークラス症候群、感染症の五つで、これらの原因を防ぐためには、避難所での生活環境の改善や医療機関の早期復旧が重要です。また、避難生活の中で、健康管理やストレス対策も大切であると言われております。
 被災者は、避難所だけではなく、壊れかけた自宅にもおられますが、災害関連死を減ずるため、どんな対策を講ずるのか、お伺いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 危機管理部長。
  〔河野眞也君、登壇〕
○危機管理部長(河野眞也君) 議員御指摘のとおり、避難所か否かにかかわらず、災害から助かった命を失わないために、被災者のストレス軽減や健康管理の取組が重要でございます。
 避難所につきましては、能登半島地震の検証を踏まえまして、スフィア基準を目標にした環境改善を進めることとしておりまして、今年度、県地域防災計画において、その趣旨に沿った見直しを行ったところであり、今後、市町村の地域防災計画への反映を促進してまいります。具体的には、トイレカーの導入と相互応援体制の構築や簡易トイレの備蓄、温かく栄養バランスに配慮した食事の提供体制の構築、体育館等の冷暖房設備の整備や水循環型シャワー設備の備蓄など、県と市町村が連携して充実を図ってまいります。
 さらに、避難所以外の被災者も含めて、被災者一人一人が抱える課題に寄り添い、個別の状況に応じた支援が重要であると考えています。そのため、その手法である災害ケースマネジメントについて、被災者支援の仕組みを構築するため、今年度、実施主体である市町村や支援団体を対象に研修会を実施したところでございます。災害ケースマネジメントにつきましては、避難所以外の被災者の状況把握をはじめ様々な検討すべき事項が残っており、今後も市町村や支援関係機関と共に協議してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 よろしくお願いいたします。
 次に、検案についてでございます。
 昨年2月にも質問をさせていただきました。検案というのは、人がどういう理由で亡くなったか死因を究明することでありまして、人生最後の医療と言われます。一歩間違えば、災害時に殺人事件が紛れることもあり得ます。南海トラフ地震の検案について、前回の質問以降、県の取組状況、どんなに進んだのか、お聞きしたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 県では、和歌山県死因究明等推進協議会を設置し、検案を含む死因究明に対する認識を深めるとともに、検案医の確保を進めていくため、協議会主催の研修会を、2022年度以降、毎年開催しています。
 2024年度は大規模災害時における検案をテーマとして、県立医科大学法医学講座の近藤教授を講師に迎え、県内の開業医や医療関係者などが参加しました。また、同日に開催した協議会では、大規模災害時の検案について協議を行い、県内における検案体制の整備を進めるため、県医師会や県歯科医師会などの関係団体で構成する検討会を設置することが決定されました。
 今後、この検討会において災害時の検案に必要な対応事項の整理、関係団体の役割分担や情報連絡、検案対応の手順等について、大規模災害が発生した際の検案に係る一連の体制整備を進めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に参ります。
 フッ化物洗口についてでございます。
 2011年、議員提案で、たしか尾﨑太郎議員が座長だったと思いますが、近畿初の県民の歯と口腔の健康づくり条例が成立し、本年度から第2次の健康づくり計画がスタートしております。条例に先立つ2007年に県議会では、小学校等におけるフッ化物洗口の集団実施を推進する決議も行いました。決議を踏まえて、御坊市校長会はフッ化物洗口の勉強会を開催し、二つの小学校が取り組んでくれることになりました。以来10数年が経過し、改めて2次計画を見ると、私の期待とは裏腹に、フッ化物洗口実施施設数は令和になって伸び悩んでいます。それどころか、全くやらないまちが5市町村もあります。現状に対する評価と対策について聞きます。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) フッ化物洗口については、特に4歳から14歳までの期間に実施することが虫歯予防として最も大きな効果をもたらすことが示されています。
 県では、フッ化物洗口を集団で実施する保育所や小中学校等を増やすため、2004年度から導入する施設に対し支援を行っているところです。中でも、乳歯から永久歯への交換期である小学校に対して重点的にフッ化物洗口の実施を働きかけているところですが、実施割合は2023年時点で48.5%であり、まだまだ取組が必要であると考えております。
 県としては、引き続き、フッ化物洗口の実施を推進するため、市町村や市町村教育委員会など、保育所や小中学校等の施設の関係者に対して、効果や安全性について丁寧に説明するとともに、県教育委員会との連携を一層深めながら効果的な啓発に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 やっているとおっしゃいましたけども、やり方を少し変えるとか、何かもうちょっと工夫をしないと増えていかないわけでございますので、ぜひ何かやっていただきたいと思います。
 続けて、歯の健康をやらせていただきます。
 先般、歯周病菌がインフルエンザの感染を促進するとの報道がありました。歯周病菌は歯を失うだけではなく、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などに災いすることが確認されています。県内の主要病院でも、口腔外科が設置され、入院患者へのケアも施されていると聞きます。
 しかし、本県では、60歳における進行した歯周炎患者は78.2%と、計画に逆行して増加しております。歯周病対策は、健康に関する県政の重要課題だと考えますが、その対策について伺います。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 歯周病は、多くの疾病を引き起こす危険因子であるため、早い時期からの予防が重要です。そのため、県では、県内の大学等において歯周病の正しい知識と予防について普及啓発するなど、若年層に対する取組も進めているところです。また、早期発見、早期治療につなげるため、健康増進法に基づく歯周病検診を全市町村において実施しています。
 さらに、本県においては、市町村と一般社団法人和歌山県歯科医師会の連携により、県内であれば、居住する市町村以外であっても受診可能な体制を整備するとともに、全ての市町村が受診勧奨の個別通知と無料受診券の発行を行っています。県としては、市町村を支援するため、受診勧奨の個別通知に同封する歯周病に関するリーフレットを作成し、市町村に提供しているところです。
 引き続き、市町村や一般社団法人和歌山県歯科医師会等と連携し、歯周病の正しい知識と予防についての普及啓発をはじめ歯周病対策に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 引き続きという御説明がありましたが、引き続きではあかんと思うんです、増えているんですから、とにかく。何か違うことというか、画期的とまで言わなくても、もう減っていくような取組をぜひお願いしておきたいと思います。
 次、参ります。
 地域で必要な人材開発ということでございます。
 県土木職の新規採用予定者が、30人の募集に対して半数以下の14人だったそうであります。技術職員の不足は国土強靱化の観点からも、役所だけではなく、最終的には県民に迷惑がかかります。県内では人気の県職が、なぜ土木だけ不人気なのか、その理由と対策について聞きます。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長友井泰範君。
  〔友井泰範君、登壇〕
○総務部長(友井泰範君) 最近では、土木職員に限らず、公務員の志望者数は減少傾向にあり、主な要因としましては、生産年齢人口の減少に伴う構造的な人手不足に加え、若年層の価値観が多様化する中、勤務環境や処遇面での魅力の低下などが挙げられます。議員御指摘のとおり、土木職員は国土強靱化対策を担う上で貴重な人材であると認識しております。
 そのため、人材確保に向け、職員の出身大学や県内外の主要な大学、高等専門学校等への積極的なリクルート活動のほか、仕事内容や職場の雰囲気などを知ってもらうためのユーチューブ動画でのPRや、仕事の魅力アップにつなげるため、業界団体と連携した職場体験会を開催するなどの取組を進めているところです。
 また、業務のアウトソーシング化やDX技術活用による効率化など、職員の負担軽減につながる取組も積極的に行っています。さらに、採用試験については、専門試験がなく、従来よりも実施時期が早い募集枠を新たに設定することで、早期に人材を確保できるよう取り組んでいます。
 土木職員の人材確保については、本県だけでなく全国的な課題でもあることから、ほかの都道府県の取組も注視しながら、引き続き、積極的に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私が想定している答えをわざと外して答えているんじゃないかと思うような御答弁でございました。
 昔、和歌山県で医師不足があったときに、突き詰めていったら、医大の入学定員が少ないというところに行き着いたんですけども、高校の土木建築学科の設置数というのを全国で私調べました。そしたら、京都と和歌山は少ないんですよ。でも、京都には大学いっぱいあるんです、和歌山は大学、和歌山大学と高専しかないんです。だから、学校が足りないというのは、私は大きな原因の一つだと思っております。
 それで、次の質問に移らせてもらうんですけども、県内のハローワークでは、土木に限らず建築、電気など、建設関係の技術者の求人は約5倍でございます。今に始まったことではなく、ずっと以前から技術者不足です。西日本建設業保証会社の統計の、建設業の規模別受注額を見ると、本県は全国で断トツに個人請負額が多いのです。
 私は、この技術者不足の最大の原因は、技術者を養成する大学を含む学校がないことだと指摘しております。もう一つは、役所や業界は、必要な人材や学校の設置は自分たちの仕事ではないと思っていることだと思います。土木技術、建設関係の技術以外にも、県内では医師や看護師、獣医師、高度な専門職、技術開発職も足りません。一番問題なことは、本県の将来を切り開く人材が養成されていないことだと思います。例えば、成長が見込まれる宇宙航空、AIなどの情報工学、医療工学、工業の基礎とも言うべき電気や機械、化学、本県に縁のある海洋開発、農林水産など、有望な分野があります。薬剤師もかつては全国最高齢、少人数でしたが、薬学部創設で解消します。
 そこで、現状を維持するために必要な人材養成、未来を切り開いていくための人材養成について、企画実現するような根本的な政策が必要と思いますが、知事の所見を伺います。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 中村議員の御質問にお答えしたいと思います。
 私も、中村議員と同じような問題意識を持っております。それで、和歌山に大学も含めて、議員がおっしゃるような学科の高校も少ないということは事実かもしれません。
 一方で、これまで工業高校とか工業科、商業科などの推移を見ますと、結局、受験生が減るもんですから定員が減っていく、その子たちは普通科へ行く。今子供が減っていますから普通科も減っていますけども、要するに専門学科から普通科に移行してきた歴史もあったわけですね。それは子供さんたちの意識もそうなんでしょうけども、中学3年生の子供たちだと、保護者の方の意識も相当子供さんには影響すると思うのですけども、恐らく高度成長時代、私らが高校生ぐらいからずっと最近までは、保護者の方も工業高校へ行ったり商業高校へ行くよりは、普通科の高校へ行って、できれば大学へ行っていい会社に就職するのがいいことだというような、考え方がひょっとしたら結構あって、それに引きずられて受験生が減っていったようなこともあったような気がするんです。
 だから、議員のおっしゃるとおり、今となってはいろんな問題はありますけれども、確かにそういう学校を増やすということも大事かもしれませんが、保護者の意識を変えていただいて、むしろ手に職を持つような学科で勉強するほうが豊かな人生が歩めますよと、そういうほうに今切り替えていく必要があるかと思うんです。これ私もいつも言っていますように、生成AIができてくると、やっぱりどうしても、普通科を出て、あらかじめ答えのある問いを解いていてもなかなか職に就けなくなる時代が来るかもしれません。近年、県内の企業さんからも、高等学校の工業あるいは農業、商業などの専門学科を卒業した生徒さんが欲しいよという強いお声も聞いております。そういう意味では、まずは県立高等学校の専門学科のさらなる充実を図っていきたいと考えております。
 現在、知事部局と県の教育委員会が連携をいたしまして、宇宙教育や蓄電池教育、あるいは農業教育の一貫プロジェクトなどに取り組んでおりまして、今後もこのような本県独自の特色ある取組を推進していこうと考えております。これからは創造的でイノベーションを起こす子供を育成していくということが大切であり、ぜひ中村議員と同じ問題意識を持っておりますので、生徒一人一人の希望とか、幸せな人生を歩んでいただくような教育の充実に努めて、その上で、和歌山県を支える人材の育成につなげていきたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 すみません、時間がなくなってきましたので、私の質問も簡潔に行いたいと思いますので、答弁もよろしくお願いしたいと思います。
 人材育成の最たるものは、私、大学だというふうに思っておりまして、今、和歌山県の人口が減るのは、とにかく18歳になったら進学、就職で8割の子供らが出ていって、3割しか帰ってこない。もう大きな穴が、底に穴が開いているわけで、これを埋めることなく、和歌山県の人口は減り続けておりまして、どんな有効な施策も私は効果が期待できないというふうに思っております。
 地元大学進学率ということを、和歌山のお父さん、お母さん知らないので、ひたすら今までもう仕送りしてきました。もうそれで地元大学進学率は30年以上ワーストワンだったんです。でも、ようやく気がついて、県立医大薬学部ができることになり、大学が五つできることになりました。ワーストワンが下から今4番目か5番目ぐらいになっていると思いますけども、私は薬学部をつくるときに文科省へ行ったら、国立大学は難しいけど、私学とか公立は一定レベル満たしたら幾らでも許可しますみたいなことも言ってくれておりましたが、もうここ1年ぐらいの報道を見たら、もう新設はおろか、すごく基準がきつくなって、統合とか廃止、短大はもうどんどん消えているという、そんな状況でございます。
 私はそういう意味では、実は和歌山県にも公立で、これから将来和歌山のためになるような宇宙航空だとか、AI、医療工学、そういう分野であれば、ラストチャンスで大学がつくれるんじゃないか。玄素議員も高専と言われましたが、高専より私はもう大学がいいと思っておりますけども、知事、県会議員ではできないんです、知事しか決断できない、もうラストチャンスだと思っておりますので、県立大学ができないかどうか、知事の御所見を伺いたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 今、中村議員が御指摘いただきました質問の趣旨については、よく理解をさせていただきたいと思います。その上で、理系人材の育成という点では、和歌山大学が文部科学省の大学・高専機能強化支援事業の選定を受けまして、来年度からシステム工学部の学部で30名、大学院で11名の定員増をしていただくことになりました。ここで育った人たちが県内に就職していただくよう、県としても努力をしていきたいと思っております。
 一方で、現状についても議員指摘されましたが、先月、中央教育審議会が取りまとめた報告によりますと、急激な少子化のため、中間的な規模の大学が1年間で90校程度減少していくような規模で、大学の受験生が減っていくということであります。2040年には、いわゆる大学進学者が3割減るというような状況でありますから、なかなか安易な大学の設置というのは難しいのではないかと考えております。
 現在、和歌山県立医科大学や和歌山大学をはじめ県内の11機関、高等教育機関ですが、高等教育共創コンソーシアム和歌山というものがございますので、オール和歌山で高等教育機関のパワーを結集いたしまして、地域の産業振興や学術文化の振興などに役立てるということがまず一歩ではないかというふうに、現状では考えております。御理解いただきたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 この前もよく似た答弁をいただいたんですが、コンソーシアムでは私うまいこといかないというふうに思っております。もうでも時間がないので、改めて知事のところに直接伺って議論させていただきたいと思います。
 次、地方創生であります。
 昨日、自民党大会がございまして、石破総理も地方創生のことを熱心に言っておられました。交付金を2倍にすると言われているんですけども、2倍にするだけでは、もうあんまりおかげがない。具体的に効果のあるように使っていってもらいたいと思いますが、和歌山県ではどうしますか。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 今おっしゃっていただきましたように、石破総理がもともと初代の地方創生大臣だということで、地方創生には力を入れていただいております。地方創生の交付金も当初予算ベースで、倍増で2000億円を計上していただきました。この交付金は、自治体が提案する農林水産業や観光業をはじめとする産業振興、地方への人の流れを生み出す施策、公的サービスのデジタル化の取組などの事業費を財政支援いただくものであり、我が県としても積極的に活用を図っております。
 例えば、具体的に来年度の当初予算案で申し上げますと、将来の宇宙関連産業の集積に向けた人材育成のための予算、それから県内企業が参入するための支援、熊野白浜リゾート空港を軸とした地域の活性化、大阪・関西万博を契機とした誘客やビジネスチャンスの創出、移住や関係人口の拡大に資する施策など、これらは全てこの地方創生の交付金を使わせていただくこととしております。
 今後とも、国の交付金などを有効に活用しながら、地域活性化に努力してまいる所存でございます。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 国の機関の地方移転というのも、また出てきました。和歌山はデータセンターの一部が来たわけでございますけども、もう一回言えるチャンスが来たんではないかと思いますけども、知事はどう思われますか。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 今御指摘をいただきましたとおりでして、和歌山県では、県議会の皆様の御支援をいただいて、総務省統計局と独立行政法人統計センターが設置する統計データ利活用センターが2018年4月に開所されました。まさに、全国でも数少ない政府機関の移転が実現したところであります。県もこの動きに対応しまして、和歌山県データ利活用推進センターを開設いたしました。データサイエンス人材を育成するために、協調しながらいろんな事業をしてまいりました。大変効果があったと考えております。政府からも評価をいただいているところであります。
 まずは、このデータ利活用という観点から、今いただいているこの中央政府の機関との協働、共に働くという成果をしっかりと上げることが第一歩と考えておりますけれども、チャンスさえあれば、新しい機関を誘致するその動きがあれば、じっくりと取り組んでいきたいとは考えております。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次はリモートセンシングについてでございます。
 アラブ首長国連邦なんかは、今世紀中に火星に移住するというふうに言っております。和歌山県でもカイロスロケットの発射で、県内の企業で宇宙に興味を持っているという会社が出てきたというふうに聞いております。串本古座高校でも、宇宙探究コースをつくったというだけではなくて、学校のレベルに合ったいろんな宇宙開発に取り組んでいるというふうに聞いております。
 その中で、地球の周回軌道に衛星を打ち上げて、地球表面を観察したり通信をすることで、新しい産業が生まれつつあります。和歌山県でもやろうと思えばまだまだ十分間に合うと思いますけども、知事はどうでしょうか。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長大川伸也君。
  〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 近年の宇宙分野における技術向上により、衛星データを活用したリモートセンシングの利用分野は急速に拡大しています。具体的には、人工衛星の特徴であります広範性、周期性を生かすことで、農作物の適切な収穫時期の予測や森林の伐採、造林の効率的なモニタリングなど、身近な分野で役立つ技術が次々と生まれています。このような宇宙産業と第1次産業の組合せは、ロケット射場があり、第1次産業が盛んな本県との親和性も高く、将来的には、観測センサなどの衛星ベンチャーと共同して開発した衛星を県内の射場から打ち上げ、その衛星データを第1次産業などの効率化・高度化に向けたビジネスに活用するといった、和歌山ならではの一気通貫の産業集積モデルが構築できるのではないかと考えております。
 こうした将来の実現に向けまして、県としましては、まずは県内中小企業や自治体を対象に、衛星データの理解促進・活用に向けた勉強会等を実施してまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後の質問です。
 知事は、やりくりをして大変御努力いただいているということが分かりました。しかし、ない袖は振れないという言葉がありますけども、お金がなかったらやりくりもできないわけでございます。県政の重要課題として、いかに新しい財源、税源をつくっていくかということは、もう論をまたない課題であるというふうに思います。
 その中で、この議会はIRについても議論がありました。IRについては否決をしたという過去のいろんな難しい事柄もありますが、ここはもう一度IRに取り組むべきであるというふうに思っております。この前の答弁、皆さんの話を聞いていたら、ゼロからのスタートみたいなこと言われておりますけども、私、これからIRをやろうと思ったら、もうやるやらないというよりも、大阪もやることになっていますが、3%しかカジノができないとか、条件がやっぱりきつ過ぎるというふうに思いますが、そんなことも含めて、本当にやっていこうと思ったら議論すべきことがたくさんあると思いますが、短い時間ですみませんが、知事のお考えをお聞きしたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 一般論としてまず申し上げますと、IRが県内に整備され、仮に大きな経済波及効果と雇用効果が発生すれば、本県経済の活性化につながる可能性はあると考えております。一方で、県民の皆さんからお話を伺いますと、カジノができることでギャンブル依存症患者の増加や治安の悪化、あるいは施設周辺の地域の深刻な交通渋滞などが発生するのではないか、あるいはIR関係以外の中小零細事業者にとりましては人材の確保が難しくなるのではないかといった、IR整備に伴う負の影響の可能性に対する根強い懸念があるとも聞いております。
 このことに加えまして、2022年4月、今、議員も御指摘いただきましたけれども、本件につきましては県議会において反対多数で否決されたということを考えますと、今後、新たな区域整備計画を申請する場合には、十分な検討が必要だと考えております。
 そのようなことから、県としては、仮に国による再公募があれば、IR誘致の賛否についてゼロベースから十二分に時間をかけて、県民全体でオープンに議論したいと考えているところでございます。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 IRもいいと思いますし、私はIRに代わるような財源のあるものがあれば、もう何でも取り組むということが大事であるというふうに申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 こんにちは。ただいま鈴木議長のお許しをいただきました。
 今月4日から始まりましたこの一般質問も、いよいよ私で最後となります。お疲れとは存じますけれども、しばらくの間お付き合いをいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、通告に従い、進めてまいりたいと思います。
 1項目め、拉致問題を考える国民の集いin和歌山についての報告であります。
 去る1月25日、政府拉致問題対策本部と県当局及び北朝鮮に拉致された日本人の救出のために行動する和歌山県の議員の会が主催となり、拉致問題を考える国民の集いin和歌山が本県で初めて開催をされました。
 当日、政府からは、友納理緒内閣府大臣政務官が参加されたほか、県選出の国会議員の石田議員、鶴保議員、山本議員、そして林議員、県議会からも鈴木議長をはじめ大勢の先輩・同僚議員にお集まりをいただきました。また、会場となったホテルアバローム紀の国には、拉致問題に関心を持つ多くの県民の方にお越しをいただくとともに、インターネットのユーチューブライブ配信におきましてもたくさんの方に御参加をいただきました。主催者の一人として、この場をお借りいたし、改めてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 なお、当日の様子は、現在ユーチューブでも見ることができますので、当日お越しをいただけなかった方につきましては、ぜひ御覧をいただければというふうに思います。
 この国民の集いでは、拉致被害者の御家族である横田哲也さん、拉致の可能性を排除できない行方不明者の御家族である辻太一さんの切実な訴えをお聞かせいただいたほか、龍谷大学の李相哲教授の講演、県立古佐田丘中学校3年生の中垣偉雄さんによる意見発表などが行われ、私も閉会の挨拶を務めさせていただきました。
 この集いを通じて、拉致問題の早期解決に向けた思いをより一層強くするとともに、主権国家として国民一人一人が声を上げ、北朝鮮に対し、毅然とした対応をしていくことの重要性を改めて認識をいたしました。会場やユーチューブのライブ配信で視聴してくださった皆様と共に、同じ思いを共有できたのではないかと感じております。
 先日、残念ながら、拉致被害者である有本恵子さんの父、有本明弘さんがお亡くなりになりました。御存命のうちに娘さんに再び会うことがかなわず、さぞ御無念であったと思います。親世代が存命のうちに全拉致被害者の即時一括帰国を実現させなければなりませんが、残された時間はそう長くはありません。何とか実現に向け事態が進展するよう、県議会と県当局でこれからも力を合わせ取り組んでいく必要があると考えておりますので、御協力のほどよろしくお願いをいたします。議員の会といたしましても、引き続き、行動を続けてまいりたいと思います。
 それでは、次の項目に移ります。
 2項目め、大韓民国訪問についてであります。
 去る2月9日から12日までの日程にて、岸本知事、赤坂地域振興部長、花田港湾空港局長、そして観光交流や地域振興、国際の担当課長、また、会長を務めます日韓親善和歌山県議会議員連盟より藤本副会長、中本事務局長、そして上山議員と共に、韓国の釜山広域市並びにソウル特別市を訪問。国際交流や和歌山県のPR、チャーター便・クルーズ船の誘致活動等を行ってまいりましたので、こちらもまず報告をさせていただきたいと思います。
 2月9日、夕方の飛行機で関西国際空港から釜山の金海国際空港に入りました。活動初日である2月10日は、午前10時から釜山広域市にあるパンスターグループ本社を訪れ、キム・ヒョンキョム会長と面談し、クルーズ船誘致について意見交換を行いました。
 パンスターグループ社は、釜山と大阪南港を結び、フェリーやクルーズ船を運航する釜山最大手の船会社であり、キム会長とは昨年5月の訪韓以来の再会でありました。その際、知事からは、新規就航の豪華客船パンスターミラクル号の和歌山下津港や新宮港への寄港ルートを検討していただきたいことや、大阪に寄港した観光客向けの和歌山ツアーの商品造成などについて、我々も共に要請を行いました。キム会長からは、「和歌山には、大阪や京都にはない魅力的な観光資源があり、新しい寄港先としても前向きに検討していきたい」との発言がありました。
 その後、午後1時から釜山広域市が新たにワーケーション施設の設置を検討しております廃校予定の高校を視察、設置計画案などについて説明を受けました。午後3時からは、釜山広域市役所においてパク・ヒョンジュン市長への表敬訪問を行い、意見交換を行ったほか、続く午後3時30分からは、釜山広域市議会庁舎においてアン・ソンミン釜山広域市議会議長への表敬訪問を行い、知事と共に和歌山県のPRに努めました。パク市長、アン議長とも、昨年5月以来の再会でありましたが、改めて友好関係を確認し、深めることができました。
 そして、午後5時30分からは、在釜山日本国総領事公邸におきまして大塚剛総領事と面談を行いました。本年は日韓国交正常化60周年を迎える記念すべき年であります。これを機に、より両地域の交流を深めていきたく、大塚総領事の御支援、御協力を引き続きお願いいたしました。
 また、午後6時からは、大塚総領事の主催で和歌山・釜山友好交流の夕べが開催され、パンスターグループのキム会長やチェ・ヨンソク釜山韓日親善協会会長、ガン・ダウングローバル都市観光振興機構事務総長など、約50名が出席し、和歌山と釜山との人的交流や観光、ワーケーションの推進等について意見交換を行いました。最後、私からお礼と閉会の挨拶をさせていただきましたが、釜山経済界のリーダーの方々と貴重な交流を行うことができ、非常に実りの多いレセプションとなりました。
 翌2月11日は、釜山駅から高速鉄道KTXにてソウル特別市へと移動し、キム前駐大阪大韓民国総領事との昼食会に出席。続いて、午後2時からはロッテホテルソウルにおいて、県主催の和歌山県観光セミナー&商談会inソウルに出席をいたしました。セミナーでは、知事による和歌山県紹介が行われたほか、セミナー終了後は商談会が実施され、場内を視察いたしました。このセミナーには旅行会社、メディア等47社61名が参加したほか、その後の商談会には、韓国旅行会社24社、県内観光事業者12社が参加し、旅行商品についての商談会が実施をされました。
 その後、午後4時30分からは、在大韓民国日本国大使館において、水嶋光一駐大韓民国日本国特命全権大使を表敬訪問いたしました。日韓両国の政治、経済をはじめ、和歌山県の観光について大使と意見を交わし、熊野白浜リゾート空港へのチャーター便の定期便化などへの支援をお願いしてまいりました。大使からは、韓国の政局や経済状況について説明があった後、この和歌山のように地方議会に日韓の議員連盟があるというのは大変すばらしい、これからも頑張っていただきたいとの言葉があり、大変うれしく思いました。
 最終日の2月12日、ソウルは朝から雪でありました。午前10時から韓国の大手旅行会社である韓進観光本社を訪れ、イ・ジャンフン代表取締役と面談し、昨年2月と5月、今年1月に実施された熊野白浜リゾート空港へのチャーター便のお礼を伝えるとともに、引き続き、和歌山へのチャーター便運航や誘客に向けての商品造成について、知事と共に強く要請をさせていただきました。
 午後からは、韓国最大手の航空会社であります大韓航空本社を訪れ、チェ・ジョンホ副社長をはじめとする同社幹部と面談。これまでのチャーター便に対するお礼を申し上げるとともに、今後のチャーター便運航と定期便の就航について要請を行いました。チェ副社長との話の中では、熊野白浜リゾート空港の滑走路延伸の話題も上がり、先日、三栖議員の質問でもありましたが、やはり和歌山へのさらなる誘客を進めるためには、滑走路の延伸も考えていかなければならないと、その必要を改めて感じました。
 面談後は、航空機の安全管理やカスタマーサービスを統制する総合統制センターの視察を行い、全日程が終了。午後4時55分、金浦国際空港の大韓航空便にて関西国際空港へと戻りました。
 以上が大韓民国訪問の報告となります。
 知事、4日間、誠にお疲れさまでございました。
 それでは、質問に入ります。
 人口減少が進む本県において、観光産業は、地域経済の活性化や雇用創出、地域資源の有効活用など、これからの地方を豊かにする上で欠かせない産業であり、特にインバウンド需要の取組は重要であります。今回の韓国訪問を契機として、県としてもクルーズ船やチャーター便の誘致など、韓国からのさらなる誘客の実現に向け、取組を進めていく必要があると思いますが、改めて、今後の韓国との交流について、知事の意気込みをお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 山下議員の御質問にお答えします。
 まずその前に、山下会長をはじめ日韓親善和歌山県議会議員連盟の皆様が、昨年5月に釜山広域市を御訪問いただいたことに、まずもって感謝を申し上げたいと思います。といいますのは、今回の釜山広域市とソウル特別市の訪問につながった、韓国との親善の直近での大変大きな足跡を残していただいたと考えております。そのおかげで今回の訪問につながったと思っております。また、今回も4名の議員連盟の先生方に御一緒に活動していただきました。日頃からの議員連盟の韓国との交流促進に対する御支援に、改めて御礼を申し上げます。
 本県は、2023年9月に、釜山広域市とワーケーションの普及及び推進に向けた覚書を結んでおります。私が釜山広域市を訪問したのは、締結後初めてのことであります。市長及び市議会議長、また、在釜山日本国総領事にお会いして意見交換を行うことができました。今後は、ワーケーションにとどまらず、青少年交流やビジネス分野へ交流を広げていくということで話が前へ進んだところでございます。
 そして、山下議員御指摘のとおり、観光産業は和歌山県にとりまして大変重要であります。引き続きまして、旅行会社、航空会社及びクルーズ船の会社等に対しまして、将来的なチャーター便の定期便化やクルーズ船の就航について働きかけを行い、本県への誘客を図ってまいりたいと思っております。そして、それと並行して、様々な地域における国際便の就航などに対応するために、熊野白浜リゾート空港の滑走路延伸についても、引き続き、検討を進めてまいりたいと考えております。
 今回のプロモーションを通して手応えがありましたけれども、一方で、ソウルで行ったプロモーションのときに感じたんですが、まだまだ韓国の国民の間では、和歌山県というものの知名度の低さということも感じたところでございます。さらなる認知度の向上に向けて努力をしてまいる所存でございます。
 韓国との交流は、本県にとりましても非常に重要であります。日韓親善和歌山県議会議員連盟の皆様はじめ県議会の皆様、関係団体の皆さんと一緒に、さらなる韓国との交流を進めてまいりたいと考えておりますので、引き続きの御支援よろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 隣国である韓国との交流というのは、知事が推進をされております熊野白浜リゾート空港の利用促進であったり、それから滑走路延伸には欠かせないものであり、国際交流は東アジア地域の安全保障の上でも極めて重要と考えます。日韓親善和歌山県議会議員連盟といたしましても、引き続き、この活動を続けてまいりたいと思いますので、ぜひ協力して、チャーター便やクルーズ船の誘致を実現させていければというふうに思っておりますので、今後ともどうかよろしくお願いをいたします。
 それでは、次の質問に移ります。
 3項目め、今後増大が見込まれます公共事業及び社会保障における財政需要への対応についてお尋ねをいたします。
 私は、過去の一般質問におきまして、道路をはじめトンネルや橋梁、ため池などの耐震化の進捗状況について度々質問をしてまいりましたが、近年、全国各地で道路や上下水道等のインフラの老朽化に伴う事故が多発をしており、今年の1月には、埼玉県八潮市で地中の下水道管の破損に起因すると思われる道路の陥没が発生し、走行中のトラックが転落、今も懸命な救助活動が行われておりますが、非常に大規模な事故が起こりました。また、本県におきましても、令和3年10月、和歌山市の六十谷水管橋が落橋し、紀の川以北の約6万世帯が約6日間断水するという重大な事故が起こったことは、記憶に新しいところであります。
 一般的に、インフラの耐用年数は約50年と言われておりますが、高度経済成長期以降に集中的に整備された施設が多く、今後、耐用年数の限界を超えるインフラの割合が加速度的に高くなっていくと想定をされております。県でも、過去からインフラの予防保全など、長寿命化に取り組んでいると承知をしておりますが、今後一斉に老朽化するインフラを順次更新していかなければならない上、南海トラフ地震のリスクに備えるための県土の強靱化や和歌山の成長に向けた新たな投資など、まだまだやるべき公共事業がたくさんあります。これらの公共事業を着実に進めていくためには、それなりの大きなお金が必要となります。また一方で、高齢化が進む本県においては、医療や介護など、社会保障関係経費も、今後ますます増加が予想されます。
 先日、一般社団法人和歌山県老人保健施設協会の第31回和歌山県介護老人保健施設大会、これはちょっと遅刻で行ったんですけども、それに出席した際に、県立医科大学副学長の上野雅巳教授による「和歌山県の医療・介護問題と対策 救急疾患における病態と初期対応」と題した基調講演を拝聴する機会がありました。上野教授の話によりますと、県内で医師や看護師をはじめとする医療・介護のスタッフが不足をし、人口が減っていく地域では専門医の不足や医療機関の閉鎖など、医療提供体制の維持が困難な事態に直面しているとのことであります。
 地域医療の衰退は地域住民の健康に直結する問題であり、地域のQOL──クオリティー・オブ・ライフ、生活の質ですね。その生活の質や魅力を低下させ、人口流出にもつながっていく。今から手を打たないと将来的に大変なことになるんではないかと心配をしておりますが、社会保障の分野におきましても、先送りできない課題が山積しております。
 このように、インフラの整備や維持管理などの公共事業をはじめ、地域の医療提供体制の堅持や高齢化による社会保障関係経費の増加など、これからの和歌山県には膨大な財政需要が見込まれています。健全な財政基盤を確保しながらも、着実に課題解決に向けた取組を進めなければなりません。既に、これ私どもの自民党県議団、初日、濱口議員のほうから、そしてまた、玄素議員の一般質問におきましてもこの予算関連の質問があったところではありますが、今回、県から発表になった財政収支見通しによりますと、財政調整基金及び県債管理基金が令和9年度には枯渇してしまい、財政危機警報を出した2年前より悪化しているという試算でありました。
 このような厳しい財政状況の中、今後ますます増大が見込まれる公共事業と社会保障に係る財政需要に対して、どちらも命に関わる問題でありますが、どのようにバランスを取って県の財政運営を行っていくのか、知事の見解をお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 山下議員御指摘のとおり、道路や下水道などの更新、長寿命化に必要なインフラの維持・修繕経費は、今後も増加が見込まれます。また、南海トラフ地震等の大規模災害に備えた県土の強靱化に必要な予算も、これは絶対確保していかなければなりません。一方で、医療、介護、子育てなどの社会保障関係費についても、今後はさらなる増加が見込まれます。
 このような、国、地方を挙げて取り組むインフラ老朽化対策や地震・津波対策、それから法律の制度に基づく社会保障関係経費などにつきましては、国に対して地域の実情に応じた制度改正や国庫補助金、地方交付税など、財政措置の拡充を要望して、それぞれの事業推進に努めていきたいと考えております。
 来年度予算案は、収支差額が74億円の赤字となり、県債管理基金を取り崩してつくらざるを得ないような厳しい状況でございます。そのような厳しい財政事情の下ではありますけれども、今、山下議員御指摘のとおり、公共事業と社会保障のバランス、これをしっかり取っていかなければなりませんし、そのほかにも産業振興もやらなければいけません、教育もやらなければなりません。めり張りのついた予算となるように、やはり国に対して様々な要望を行いつつ、業務量を適正化する観点も踏まえてスクラップ・アンド・ビルド、しっかりと事業の見直しも行いながら不断の努力を行ってまいりますので、引き続き、叱咤激励、御指導いただければと思います。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次の質問に移ります。
 4項目めであります、人口減少社会における将来ビジョンについてであります。
 最近身の回りでよく感じることは、やはり人口の減少により、どんどん地方の元気がなくなってきているということであります。さきに御紹介した医大の上野教授の話では、県内でも紀南や過疎地域などで、特に夜勤や救急対応などのある病院で勤務する医師、看護師が不足しているとのことでありましたが、医療分野に限らず、県内では介護人材なども慢性的に不足しておりますし、ほかには幼稚園の先生や保育士も足りていません。物流を担うトラックドライバーや公共交通であるバスの運転手、ほかには建設業界などでも人手が不足しているという声を聞いております。業界が異なっても皆課題は一緒で、人が少ないということであります。このようないわゆるエッセンシャルワーカーの人手不足は、地方に行くほど深刻であります。
 また、スーパーやコンビニ、ガソリンスタンドなど、生活をする上で必要なサービスも、一定の人口がいなければ経営が成り立ちませんので、人口が減っている地域では閉店するところも増えてきております。赤字になると分かっているところに出店する人はなかなかいないのではないかなと思います。このままでは地域にある最低限の社会インフラの維持が次第に困難となり、さらなる地方の衰退につながることが予想され、非常に懸念をしております。
 2030年代に入りますと、若年人口は現在の倍の速さで減少することが分かっており、少子化傾向を反転できるかどうかは、ここ数年が、いわゆるラストチャンスと言われております。
 そんな中、現在、県では、15年後の2040年を見据えた新総合計画を昨年4月から策定中であり、これまでも県内市町村長をはじめ、県民総参加プログラムと題して、県内各地域で熟議やタウンミーティングを行ったり、小・中学生から作文を募集したりして、様々な県民の声を聞いてきたことと思います。県議会といたしましても、いろいろ意見を言わせていただきました。言うまでもなく、県の総合計画は県政の最上位の計画であり、行政だけでなく全ての県民と共有し、県民の協力も得ながら計画をつくり、目標を達成していかなくてはなりません。
 新総合計画につきましては、今年の9月の計画完成に向けて取り組んでいるところかと思いますが、この急激な人口減少社会に直面する本県におきまして、いかにして県民が将来に希望を持てる社会をつくっていくのか、県としてどのような長期構想を県民に対して提示していくのか、現時点の知事の考えをお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 今、山下議員から御指摘をいただきました新総合計画であります。昨年の県議会9月定例会におきまして、検討状況の中間報告をさせていただきました。その後、10月から12月までの間は、県民総参加プログラムとして、県議会の皆様方をはじめ、市町村、関係団体の皆様から幅広く御意見やアイデアをいただいたところであります。それらを反映いたしました長期構想の原案について、今取りまとめを行っているところでございます。
 山下議員のおっしゃるとおりでありまして、人口減少、超高齢化は、新総合計画においても最大限の課題と捉えております。現在の検討状況としては、人口減少や気候変動に適応した持続可能な社会の実現を目指して、六つの柱をつくって議論をしております。
 一つ目の柱でありますけども、これは海外の活力を取り込めるかどうかであります。
 教育課程における海外との交流機会の拡大、あるいは、もちろんのことながら輸出の促進、外国人旅行者の誘客、外国人労働者の受入れなどを通じて、世界との結びつきを深め、多文化共生社会の実現を目指します。
 二つ目の柱は、人への投資を強化するかどうかであります。
 希望に応じて安心して子供を産み育てられるよう子育てを応援するとともに、教育の在り方を抜本的に見直すことで多様な学びの場をつくり、能力や意欲に応じて個人の可能性を広げていきたいと考えております。
 三つ目の柱は、産業の創造力と生産性を高めることができるかどうかであります。
 脱炭素先進県を目指して、GX関連産業などの成長産業の誘致・集積を進めるとともに、農林水産業や観光業の振興など、地域の特性を生かした産業政策を進めてまいりたいと考えております。
 四つ目の柱は、つながりを広げて暮らしを守ることができるかどうかであります。
 本県固有の自然、文化、伝統行事などの地域の魅力に磨きをかけるとともに、県内外との交流と支え合いの力で、医療・福祉、教育、交通などの日常生活に必要な機能を確保して、地域の暮らしを守るように努めてまいります。
 五つ目の柱であります。誰にも居場所がある社会をつくることができるかどうかであります。
 柔軟な働き方や、あるいはスポーツ・文化芸術活動などを通じて、誰もが自分らしさを発揮できる環境をつくるように努めます。
 六つ目の柱は、安全な社会基盤を築き、様々な脅威から命を守れるかどうかであります。
 人員面、財政面での資源制約を乗り越えて、災害や犯罪に対して強い地域をつくるように努めます。
 現時点における新総合計画の大きな柱は、今申し上げたとおりでありまして、本年9月の完成に向けて、今後、実施計画の策定作業を本格化させる予定としております。ぜひ将来世代にも希望が持てる新しい総合計画となりますように、車の両輪である県議会の先生方とも深く連携、御協力したいと思いますので、厳しい御意見も含め、いろんな御意見をこれからいただいて、9月までに共につくり上げてまいりたいと思いますので、ぜひ御指導のほどよろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事答弁をいただきました。
 人口減少という大変大きなトレンドはなかなか避けられないものでございまして、どのようにして県民の暮らしを守っていくのかが県政の大きな役割であろうと思います。その中でも、和歌山県の将来を担う若者世代がとにかく夢や希望を持っていただいて、わくわくするような和歌山の未来、そのようなビジョンを提示することも大変重要なことであると思っておりますので、県民の方々からの意見を反映し、県民による県民のための新総合計画をぜひつくっていただきたいと思います。どうかよろしくお願いをいたします。
 次の質問に移ります。
 5項目め、保育施設の物価高騰対策についてお伺いをいたします。
 令和7年度当初予算案における重点施策の五つの柱の一つ目に、こどもまんなか社会の推進が掲げられており、県内小中学校等の給食費無償化やこども食堂の支援など、様々な施策の予算が計上されております。少子化が進む本県において、和歌山で育つ子供たちはそれぞれの地域の将来を担う宝であり、大切にしていかなくてはなりません。
 そんな中、県内の保育園やこども園からは、近年の急激な物価高騰によりまして、給食の食材費や光熱費が大幅に上昇、園の財政運営に大きな影響が出てきていると聞いております。本来、物価高騰分は国が定める保育の公定価格などに適切に反映される必要がありますが、現状ではそれが十分に反映されておらず、保育園やこども園がその負担を肩代わりしているような状況であります。
 和歌山市民間保育協会によりますと、その負担額は園児1人当たり年間約1万円、定員が100人のところであれば、年間100万円を負担しているとのことであります。物価高騰対策につきましては、本県でも国の交付金を活用し、介護施設や障害者施設に対して支援が行われてまいりましたが、同じく物価高騰の影響を受けているにもかかわらず、保育施設に関しましては、現在支援の対象外となっております。他府県の状況を調べてみますと、介護施設や障害者施設と同様に保育施設も支援の対象となっているところもある中で、なぜ本県では保育施設への物価高騰対策支援が行われていないのでしょうか。保育施設への支援も必要だと考えますが、県の見解について、共生社会推進部長にお尋ねをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 共生社会推進部長島本由美君。
  〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 議員御指摘のとおり、保育所等の運営においても、エネルギーや食料品での物価高騰による影響があることは承知しております。保育所等の運営費については、毎年、子供の教育や保育に必要となる保育材料費や光熱費などを含めた公定価格を国が定めており、物価高騰による影響についても、公定価格に反映されるべきであると考えております。
 これまでは、国の交付金を活用した物価高騰対策として、物価高騰の影響がより公定価格に反映されにくい医療・介護、障害福祉分野への支援を実施してまいりました。しかし、保育所等についても、公定価格と現下の物価高騰の状況に乖離が生じているとの声もあることから、今後は、物価の状況や国の経済対策などの動向を踏まえ、必要な支援を検討してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 今、部長から、保育施設に関しても必要な支援を検討していくとの答弁をいただきました。部長から答弁いただいたわけですけど、知事、こどもまんなか社会の推進を掲げる本県におきましては、やっぱり小・中・高生への支援はもちろんでありますけれども、その前の段階である乳幼児とか、それから保育施設の現場というのはやっぱり大切だというふうに思いませんか。近畿では、兵庫や大阪、京都、滋賀でも、保育施設の物価高騰対策支援は行ってございます。
 今回、この問題を指摘しましたが、令和7年度当初予算に今から盛り込むことは難しいと思いますので、国の交付金の状況によりますけれども、予算がつくのは早くて令和8年度からとなってしまいます。結果として、保育施設は今年度と来年度の2年間、物価高騰対策の支援が受けられないということになりまして、これはやっぱり大きな負担になるんではないかなと心配をします。もし年度途中に国から追加の交付金などがあった場合は、物価高騰により厳しい経営状況にある保育現場の声を聞いていただきまして、補正予算も含め、必要な対策を迅速に取っていただきますようお願いをいたします。
 総務部長さんも、財政、予算に関することでありますので、今回は質問はしないんですけれども、どうかこの点、ひとつ御理解いただきまして、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 最後の質問に移ります。6項目でございます。
 産後ケア事業についてお尋ねをいたします。
 産後ケア事業とは、出産後1年以内の母子に対して助産師や保健師などの専門職の方が心身のケアや育児のサポートを行う事業であり、母子保健法において市町村の努力義務として規定されており、病院、助産所等の空きベッドを活用する宿泊型や施設に通所するデイサービス型、助産師等が利用者の自宅に赴き実施するアウトリーチ型の3種類のメニューがあります。現在、県内ではメニューにばらつきはあるものの、全ての市町村でこの産後ケア事業が実施されており、年々利用者数も増えてきている状況であります。
 そんな中、先日、実際に産後ケア事業の実施場所である県内の産科医療機関の院長からお話を伺ったわけでありますが、幾つかの事業の課題もあるように聞いております。
 一つは、産後ケア事業を利用するに当たり、申請の手続が大変煩雑だということであります。市町村によっては、利用希望者本人が各市町村の保健センター窓口に直接行って申請しなければならず、ただでさえ慣れない育児で疲弊しているお母さんたちにとって、これは大きな負担であります。センターに行くのが手間なので利用を断念したという声もあると聞いており、窓口に行かなくても電話やインターネットで申請ができるようにしたり、母子健康手帳を交付する際に産後ケアのチケットを交付するなど、もっと利用しやすい方策を考えることが必要ではないでしょうか。
 二つ目の課題は、県内の市町村間で利用者の自己負担額に大きな地域格差があるということです。例えば宿泊型の料金でいいますと、岩出市や紀の川市では自己負担額が3000円でありますが、和歌山市だと3倍の9000円となっており、和歌山市民の方の中には、金額で利用をちゅうちょする方もいるのではないかと思います。また、県外在住の方が和歌山の実家で里帰り出産を行い、しばらく実家に滞在するケースもあるかと思いますが、住民票が異なるため、実家の市町村が実施する産後ケア事業の支援が受けられず、全額自己負担をしたという事例も起こっているようであります。
 最後は、制度の周知不足であります。以前は、産後ケア事業を利用できる対象者が産後鬱等の方に限られておりましたが、昨年度の国の制度改正により、産後ケアを必要とする全ての方が利用できる、そんな制度となりました。しかしながら、現場の方々の話では、産後ケアはごく限られた人のみが利用する特別なものだと思っている人がまだまだ多いとのことであります。もっと身近に利用できる制度であることを知ってもらうことが必要であります。
 産後ケア事業の事業主体は市町村でありますが、昨年度からはこども家庭庁が母子保健に関する都道府県広域支援強化事業を開始するなど、都道府県が産後ケア事業の広域的な実施体制の整備や委託内容の統一化など、一定の役割を担うことが期待されております。県内で安心して妊娠、出産、子育てができる体制の整備は、こどもまんなか社会を推進していく上でも重要であります。産後ケア事業に対し、現場の声に耳を傾け、ケアを必要とするお母さんたちにとって、もっと使いやすい制度となるよう、県としてもさらなる利用促進に向け取り組む必要があると思いますが、この点、福祉保健部長の見解をお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 産後ケア事業は、必要とされる全ての方が利用できる事業です。しかしながら、産科医療機関や助産所の地域偏在により、市町村単位では議員御指摘の課題に対応することが難しいため、市町村からは県に対して、産後ケア事業を実施している医療機関等との広域的な調整が求められているところです。県としては、市町村や実施医療機関等と協議を行いながら、利用者の自己負担額の統一化、オンライン申請方式やチケット制の導入など、県内どこに住んでいても利用しやすい仕組みづくりを検討していきます。
 あわせて、妊産婦等に対して、産後ケア事業を利用することにより、出産後の休息や不安解消、育児スキルの習得などができることを県のホームページやSNS、また、市町村が行う面談の機会などを活用し、広く周知してまいります。
 県としては、引き続き市町村等と連携を図りながら、出産後も安心して子育てができるよう、産後ケア事業のさらなる利用促進に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 部長、どうかよろしくお願いいたします。
 以上で、今回の質問項目は全て答弁をいただきました。
 今回の一般質問では、拉致問題や韓国訪問の報告をはじめ、和歌山県の将来に向けた財政運営や新総合計画などについて県当局の見解を問うてまいりました。が、これからの地方の人口減少を考える上で、東京一極集中の是正はさることながら、人口の獲得に向けた過度な自治体間のサービス競争も、ぼちぼち考え直す時期に来ているのではないかと思っております。
 過日より、私どもの自由民主党県議団におきましても、この問題に対して検討を行っており、本県選出の鶴保参議院議員からも、この自治体間の過熱する競争を何とかしなければいけないということで、地方から国に意見書を提出していただけませんかというような申出もあったところであります。
 このたび、ようやく国において高校の授業料無償化が全国一律で実施される見通しとなりましたが、今までは東京都と大阪府のみが独自に取り組んでいたため、県内の子育て世代の方々からは、大阪は高校授業料の無償化をやっているのに、なぜ和歌山は無償化できないのかというような声を多く聞いておりました。その都度、大阪府と和歌山県では財政規模が全く違うため、和歌山ではより優先順位の高い学校給食費の無償化から何とか取り組んでいるんですよということをお伝えし、御理解を得ておりましたが、府県間のサービス格差により、住む場所を選ぶ際、和歌山より大阪に魅力を感じる人も多かったのではないかと思います。財政力に物を言わせた自治体間の無償化競争では、和歌山県が大阪府に勝つのは難しいと思います。
 同じようなことは都道府県間だけでなく、県内の市町村間においても生じており、財政力の高い自治体とそうでない自治体との間で、行政サービスの格差、人口の格差がより広がっているように感じます。もちろん適切な範囲での自治体間の競争は、行政サービスを向上させ、住民の方々の利益につながることだと思いますが、日本全体の人口が急激に減少している中での行き過ぎたサービス合戦は、近隣の自治体間で子育て世代の人口を奪い合っているだけであり、根本的な解決にはなっていないように思います。
 教育や給食費の無償化は、子育てしやすい環境をつくるためにも、行政の役割として進めていかなくてはなりません。特に給食費の無償化は、知事がいつもおっしゃるように、歯を食いしばってもということであり、これは絶対にやっていかないかんという必要が私もそう思います。しかし、本来よくよく考えたら、このような事業におきましては、ナショナル・ミニマムというんですか、国が責任を持って全国一律で取り組んでいくべき、そんな話だというふうに思うんです。
 先日、東京都は全国で初めて、麻酔を使って陣痛を和らげる無償分娩の費用助成を開始すると発表いたしました。無痛分娩への支援を否定するものでありませんけれども、東京都の財政力があってこそ実現できる施策であり、和歌山県で同じことが即できるかといえば、財政危機警報中の現状では難しいと言わざるを得ません。ほかにも、東京23区の中には、中学校の制服や修学旅行費用の無償化など、新たに始める自治体も出てきており、財政的に裕福な大都市を中心に、無償化政策がどんどんと推し進められております。
 これでは、東京一極集中の是正どころか、さらに東京に人が集まることになりますし、今後、自治体間のサービス競争がよりエスカレートすれば、地方の限られた財源を使って、近隣自治体間で人口を取り合い、最終的には、一体どうなっていくのかなということを懸念いたしております。
 いま一度、県当局、県議会ともに、人口確保に向けた自治体間競争の在り方を考え、全国統一的に実施することが望ましい子育てや教育、福祉等の分野において、もっと国が積極的な役割を果たすよう、地方から声を上げていく必要があるのではないかと思っております。
 なお、この2月定例会の最終日には、私たち自由民主党県議団より、東京一極集中の是正に向けた抜本的な改善策を求める意見書案が本議会に上程される予定となっております。既に長野県でも同様の意見書が長野県議会の全会一致で採択されたと聞いておりますが、まさに地方の共通の課題であります。県当局及び他会派の皆さんにおかれましても、趣旨を十分御理解いただき、意見書の提出に御賛同くださいますようよろしくお願いを申し上げ、最後に問題提起とお願いとなりましたが、以上で私の一般質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木太雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に日程第3、議案の付託を議題といたします。
 お諮りいたします。配付しております議案付託表のとおり、議案第1号から議案第17号までは予算特別委員会に、また、議案第72号は行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木太雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、配付しております議案付託表のとおり、議案第32号から議案第70号まで及び議案第73号から議案第84号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 お諮りいたします。議案第85号を本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木太雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 議案第85号を議題といたします。
 議案は、配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ただいま上程されました議案について御説明申し上げます。
 議案第85号は、教育長宮﨑泉君が本年3月31日をもって辞職いたしますので、その後任として今西宏行君を任命いたしたく、同意をお願いするものでございます。
 何とぞ、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 この際、申し上げます。
 参考人招致の件を本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木太雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 参考人招致の件を議題といたします。
 お諮りいたします。議案第85号の審査のため、3月17日、今西宏行君を参考人として出席を求め、所信を聴取いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木太雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 お諮りいたします。3月11日から14日までは委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木太雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定をいたしました。
 次会は、3月17日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時45分散会

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