令和7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


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令和7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号

議事日程 第6号
 令和7年3月7日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 高田英亮
 2番 上山寿示
 3番 佐藤武治
 4番 鈴木德久
 5番 森 礼子
 6番 濱口太史
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 10番 玄素彰人
 11番 山家敏宏
 12番 鈴木太雄
 13番 岩田弘彦
 14番 吉井和視
 15番 中村裕一
 16番 北山慎一
 17番 坂本佳隆
 18番 中本浩精
 19番 堀 龍雄
 20番 谷 洋一
 21番 新島 雄
 22番 三栖拓也
 23番 川畑哲哉
 24番 秋月史成
 25番 谷口和樹
 26番 山下直也
 27番 山田正彦
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 坂本 登
 34番 尾﨑太郎
 35番 小西政宏
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 藤山将材
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 9番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 総務部長       友井泰範
 危機管理部長     河野眞也
 企画部長       前 昌治
 地域振興部長     赤坂武彦
 環境生活部長     山本祥生
 共生社会推進部長   島本由美
 福祉保健部長     今西宏行
 商工労働部長     大川伸也
 農林水産部長     立石 修
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      高橋博之
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員長   竹山早穗
 警察本部長      野本靖之
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
            橋爪正樹
 議事課長       岩井紀生
 議事課副課長     田中 匠
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課副主査     川崎競平
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       榊 建二
 政策調査課長     岩谷隆哉
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  午前10時0分開議
○議長(鈴木太雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 3番佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)
○佐藤武治君 皆さん、おはようございます。
 一般質問4日目となります。少しの間、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
 今朝のニュースを見られて聞いた方もいると思いますけれども、ファンケルという会社、僕はファンケルと聞いたらゴルフを思い出すんですが、これ健康食品とか通信販売をやっている会社らしいです。ここの会社が身体機能を低下させる老化促進物質を分泌する老化細胞、これを除去する成分を世界で初めて特定したというような、そんなニュースを聞きました。何かバラ科の中に含まれる抗酸化物質、アグリモール類を摂取すると体内の老化細胞が減少するということを突き止めた、これを聞いて、あ、僕のゴルフ人生が少し延びたなというふうに思いまして、うれしいです。サプリメントを発売するらしいですが、幾らするのかは分からないですがちょっと興味があるなというふうに思いました。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問させていただきます。
 さて、本日ですけれども、自然、これをテーマにした質問をしたいというふうに思います。
 自然と言えば、まず美しい、そして雄大、癒されるというプラスのイメージがあり、そのほかにも、自然を学び体験することは、好奇心を育み、感動を知り、豊かな感性を伸ばすことにもつながります。
 ただ一方で、自然は時として人間に牙をむくこともあり、近年では、毎年のように全国各地で風水害、また、地震などの自然災害が発生し、甚大な被害をもたらしていることも事実であります。
 本日は、これらの自然に関する内容について、大きく三つの項目で質問をさせていただきます。
 まず、一つ目であります。
 青少年の家について質問をいたします。
 和歌山県内には、かつらぎ町に紀北青少年の家、由良町に白崎青少年の家、串本町に潮岬青少年の家と県立の青少年の家が3施設あり、どの施設も、大変すばらしい自然環境に囲まれた中で立地しております。
 特に、潮岬青少年の家は、私の家から徒歩でも行ける距離にあります。ちなみに、私が中学生の頃でありますけれども、望楼の芝から潮岬青少年の家、この折り返しが大体6キロちょっとだと思うんですけども、マラソンコースで3年ほど走った経験があります。ここの施設については、私も、私の家族も含めて、これまでキャンプやレクリエーションというふうに何回も利用させていただいた、特に小中学生などの子供たちにとっては、自然を学び体験する場所としてうってつけの施設だというふうに実感をしております。
 先日、新たに着任された潮岬青少年の家の所長とお会いする機会があり、いろいろと話をさせていただきました。青少年の家については、県立ではありますけれども、3施設とも平成18年から指定管理制度を導入しております。私がお会いした方も、現在、潮岬青少年の家を指定管理しているNPO法人の職員だというふうにおっしゃっておりました。
 話を聞きますと、コロナの影響もあり、利用者は大きく減ったが、徐々に回復しているとのことでありました。ただし、根本的な課題としては、施設の老朽化だというふうに話しており、具体的には、建物の雨漏りやトイレ、風呂、そして洗面所等の施設内各所に見られる蛇口やパイプの老朽化による水漏れ、浴槽、洗い場ともにタイルの剝がれなどがあるということでありました。
 恐らく、このような老朽化は、潮岬青少年の家だけではなく、紀北や白崎の青少年の家でも、大なり小なり程度に差があれ、起こっているのではないでしょうか。また、トイレについても、3施設とも和式トイレが多く、特に今の子供たちは、和式トイレの経験がほとんどなく、そのことが施設利用が進まない要因の一つではないかというふうに思いました。私自身も洋式トイレに慣れてしまっていますので、今さら和式トイレを利用するのは少し抵抗があります。全て洋式トイレに変えなくても、今後、老朽化に伴い、施設改修を行うときには、県庁のトイレもそうでありますけれども、洋式トイレを増やしていくという方法もあるのではないでしょうか。
 財政危機警報が出ている中、一気に老朽化した施設を改修するというのは難しいと思いますけれども、賢いやりくりをしながら、少しずつでも結構ですので、子供たちが利用しやすい施設となるよう改修をお願いしたいというふうに思います。
 そこで、質問です。
 青少年の家の現在の利用状況と課題について、共生社会推進部長にお伺いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 共生社会推進部長島本由美君。
  〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 議員御質問の利用状況についてですが、学校関係では、林間学校やクラブ活動として、青少年育成団体関係では、ボーイスカウトやガールスカウトが研修目的のキャンプとして主に利用しており、2023年度利用者の74.9%を学校関係及び青少年育成団体などの子供が占めています。その他の利用としては、会社の社員研修や家族利用などとなっています。
 中でも、県内公立小学校の利用については、2023年度、青少年施設を持つ和歌山市を除くと64.6%の学校が体験活動として利用しています。
 また、施設利用人数については、2020年度にコロナ禍で激減した後、少し回復傾向にあるものの、コロナ禍以前の状況までは戻っておらず、2023年度の施設利用人数は、ピークであった2013年度の60.5%となっております。
 一番の課題は、議員のおっしゃるとおり、施設の老朽化、和式トイレや2段ベッドなど、近年のライフスタイルに合致していないところもあり、利用者の希望に沿えない状況となっていることであると考えております。
○議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 ありがとうございます。
 幾つか利用状況をお聞きしましたけれども、どうしても利用人数については、主に子供が中心に利用されているということで、子供の数も減っておりますけれども、この辺は少し利用者が減るのは致し方ないところもあるかなというふうに感じます。
 それでも、今、答弁いただいたように、トイレとか、その辺の改修などをしていただければ、今後増える可能性もあるんじゃないかというふうに思いますので、ぜひ前向きな御検討をお願いしたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 先日発表された令和7年度当初予算(案)の重点施策の中には、「県立青少年の家の在り方検討」というものが記載をされていました。担当課に話を伺ったところ、青少年の家は、「紀北、紀中、紀南の各地域にあることで、近隣の青少年施設を安価に利用でき、地元地域での自然体験活動を通して郷土愛を育んでいる」や「宿泊による共同生活を通して、青少年の健全な育成のための自主性、積極性、協調性の向上など、社会の一員としての責務を果たすために必要な、様々な教育効果を上げることが期待をされている」など、子供たちがさらによい方向に成長していくために、今後の和歌山県として、より一層重要であると考えるということでありました。まさに、私も同じ意見であります。
 現在、青少年の家は、3施設とも指定管理で運営しているわけでありますけれども、老朽化などの課題を解決し、施設を存続させていくためには、行政だけでなく、民間の知恵を借りることも一つの方法ではないでしょうか。
 全国的に見ても、青少年の家は、本県と同様に、昭和50年前後に建築された施設が多く、民間手法を取り入れた改修や建て替え、運営を行っているところも出てきているというふうに聞いています。
 そこで、質問をします。
 知事は、「和歌山が最高!だと子どもたちが思う未来を!」というスローガンを掲げ、各種政策を進めていますが、その実現のためには、安価な費用で自然体験や体験活動ができる青少年の家は、立地的に現在の3か所が必要であるというふうに考えます。今後の青少年の家の在り方についてどうお考えなのか、知事の御所見をお聞かせください。
○議長(鈴木太雄君) 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 佐藤議員の御質問にお答えいたします。
 子供が体験活動を通じて豊かな人間性や自ら生きる力などを育むことができる青少年の家の活動は、佐藤議員がおっしゃるとおりでありまして、安い費用で利用できますし、今、和歌山にある三つの施設とも、それぞれがすばらしい自然環境の中に立地しております。大変ありがたいことだと思っております。
 残念ながら、先ほど共生社会推進部長からの答弁にありましたように、青少年の家は3施設とも老朽化が進んでおります。バリアフリー化にも十分対応できておりません。利用者の皆さんの希望に沿えていない状況にございます。
 また一方で、少子化等によりまして、利用者も減少傾向にありますので、施設の規模についても見直しを行う必要もございます。あるいは、冬の閑散期の利用を特にどう考えるか、冬の施設利用について、あるいは社会教育施設として、子供だけじゃなくて、一般の利用あるいは御家族でも利用できないだろうかと、そういう意味での検討課題はたくさんございます。
 したがいまして、今、佐藤議員からもまさに御指摘をいただきましたように、民間の知恵とか、あるいは民間のお金ですね。これは例えばPFIというような形で、民間の知恵とお金、民間活力を何とか使って、前提としては、何より利用者、子供の声を第一に、教育現場や市町村の皆さんからの御意見もお聞きしながら、しっかりと今御指摘いただいた方向で検討していきたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 ありがとうございます。
 今、答弁されたように、これは子供の利用だけじゃなくて、やっぱり一般の利用ももう少し多く広められるような、そういうふうな方向づくりも大事かなというふうには思います。
 ただ、現実はやっぱり小中学生が多いというところもありますので、答弁の中にありましたように、子供の声もしっかりと聞いて、その辺を反映していただくような形で検討してほしいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 続いて、次の質問に移ります。
 自然環境保全を担う人材育成について、お尋ねします。
 和歌山県は、変化に富んだ海岸線や緑豊かな山々、清らかな河川、そして、そこに形成される多種多様な生態系など、豊かな自然環境に恵まれています。また、山岳や高原、滝、渓谷、海岸など、すばらしい風景地や貴重な自然環境が現存する地域、世界的に重要な地域が存在しております。これらの地域は、自然公園、自然環境保全地域、近畿自然歩道、ラムサール条約湿地、南紀熊野ジオパーク等、様々な観点から環境保全に取り組まれているとともに、利活用もされています。
 私の地元である串本町潮岬は、本州最南端に位置しており、望楼の芝や潮岬灯台から太平洋を見る景色は絶景であり、改めて自然の雄大さを実感するものであります。
 近くには南紀熊野ジオパークセンターもあり、この施設は、大地の動きやでき方を再現する体験装置、館内ガイドによる津波や河川の実験、約1400万年前に紀伊半島で起こった火山活動をテーマにした映像などで、大地の成り立ちや自然の不思議さを分かりやすく学び、楽しむことのできる体験学習施設であります。特に、紀伊半島の大型立体模型に投影したプロジェクションマッピングは迫力満点で、南紀熊野の大地の成り立ちを体感することができます。
 このセンターには、県内外から修学旅行や遠足で訪れる児童生徒がたくさんおり、大変好評だというふうに伺っております。これをきっかけに、自然環境の魅力に触れ、自然が好きになり、もっと勉強したいと思う子供たちもいることでしょう。
 さて、和歌山県では、子供に自然環境や生態性への関心や探究心を高めてもらうため、生物についての優秀な研究や活動の成果を表彰するわかやまネイチャー・アワードを令和3年度から実施しており、その趣旨は、「和歌山県の自然環境及び希少な野生動植物を将来にわたり保全していくため、若年層の生物多様性に関する調査や研究の成果を募集し、表彰することで、若年層のフィールドに出ようとする意欲を喚起し、将来、研究者や学芸員等として期待できるような人材を発掘・育成することを目的とする」と実施要綱には書いております。これは、大変すばらしい取組だというふうに思います。子供たちも、このような表彰制度があれば、モチベーションは上がると思いますし、何より多くの方に自分の活動を披露する機会になります。
 ただ、先日、地元の知り合いから、このわかやまネイチャー・アワードが令和5年度で廃止になり、今年度の募集は行われていないというふうに聞きました。きっと今年度も応募するつもりでいたというふうに思います。とても残念がっていたという話を聞きました。
 少し話はそれるかもしれませんけれども、私は、地元潮岬の小学校児童を対象に子供会という組織があるんですけれども、そこで、長男が小学校に入学したときでありますから、私は30歳、今はもう70ですので40年余り、子供会組織の年間行事の一つになっているドッジボール、始めた当初はキックボールだったんですが、今は何かドッジボールに変わっていて、その指導をしております。
 当初は、40年前といえば、それなりの人数も、児童生徒も多かったのですけども、やはり最近は少子化ということで、ほかのスポーツも盛んになったりということで、だんだん人数が減ってきております。ただ、私は気持ちとしては、一人でもドッジボールやりたいよという子供がいれば、今までも続けてきましたし、これからも、体力的な問題もありますけれども、まあまあできる限り頑張っていきたいというふうに、思っておるところであります。
 話を元へ戻しますけども、この表彰制度の廃止理由について、担当課の方に聞きました。すると、当初から3年間で事業を終了する予定だったとか、読売新聞や毎日新聞などの民間機関でも同様の表彰制度をやっているので、そちらでカバーできるのではないかというふうな、こういう説明を受けました。
 しかし、当初から3年間で事業を終了するということは、その間で事業の目的を達成する、または達成する見込みがあったということだと思うのですが、事業の目的を見ると、将来、研究者や学芸員等として期待できるような人材を発掘・育成することが目的というふうになっております。私個人の感想としては、とてもこの3年間で目的が達成するようなものではなく、継続して取り組んでいくことが必要な事業だというふうに思った次第です。
 また、民間機関でも同様の表彰制度があるということでありますけれども、例えば、ネイチャー・アワードは令和3年度からスタートしていますが、その後に民間機関が同様の表彰制度を開始したのであれば、令和6年度からは民間機関にバトンタッチすると、こういう理由であればまだ話は分かるんですが、読売新聞が主催している日本学生科学賞というのがあります。これは、約70年前に設立された歴史と伝統のある表彰制度であるという話を聞きました。ということは、このような民間機関での表彰制度があるということは知った上でネイチャー・アワードを開始したわけですから、民間機関でも同様の表彰制度があるということは、どうも私には理由にならないというふうに思いました。予算的に見ても、それほど大きな費用もかかっていなかったというふうに思います。いずれにしても、事業を廃止されたことは大変残念に思いました。
 さて、和歌山にはすばらしい自然がたくさんあり、自然との豊かな触れ合いが保たれた社会、すなわち持続可能な社会、そして人と自然の共生をする社会を構築するためには、自然の美しさ、不思議さに対する感性を育み、自然の仕組みと大切さを理解し、環境保全のために行動する人材を増やしていくことが重要であると考えます。その際、単純な知識の伝達にとどまらず、自然との直接的な触れ合い体験を通じて、自然に対する感性や環境を大切に思う心を育てることを重視することが必要です。
 和歌山県内には、生物多様性の保全のために活動する自然環境保全団体は数多くあるとのことでありますが、構成員が高齢化しており、次世代を担う人材が不足していると聞いております。
 そこで、質問です。
 今後、この和歌山県の美しい自然環境を守り育てる人材を育成するため、どのような取組を行っていくのか、環境生活部長にお伺いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 環境生活部長山本祥生君。
  〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 本県は、生物多様性豊かで、各地に名所、景勝地となる貴重な地形、地質が見られるなど、全国に誇る自然環境を有しています。この豊かな自然と将来にわたって共生していくためには、自然環境学習を推進し、自然環境保全を担う人材を育成していくことが必要であると考えておりますが、一方で、子供たちの自然と接する機会は少なくなっています。
 そのため、県では、子供たちが森林や里地、干潟などの自然に触れ合い、植物や動物の観察を行うことで、生物多様性の豊かさを実感することが重要であると考え、身近な自然に親しむための動機づけとして、動画教材を作成し、ホームページやユーチューブに公開するとともに、学校で開催する出前授業などに講師を派遣しております。
 また、より本格的な学習の場として、県内に研究フィールドを有する大学の研究施設を使用し、生き物や自然環境について直接大学の研究者から指導を受けるネイチャーキャンプを実施しています。
 県といたしましては、今後も、子供たちが自然に触れ合う機会を提供し、次代を担う人材育成に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 ありがとうございます。
 部長からも、確かに自然と接する機会が少なくなっているんで、今後も出前授業とか、そういう機会を提供して人材育成ということでありますから、これはぜひやっていただきたいと思います。
 先日、私が読んでいる地方紙があるんですが、地域の自然や文化について理解し紹介する「第2回全国高校生『地域の自然』甲子園」、何かネイチャー甲子園2024というらしいんですが、この決勝大会というのが大阪市であったようです。それで、動画クリエイト部門で串本古座高校の河内祭り班というのが出まして、優秀賞を受賞しております。
 ネイチャー甲子園は、国際花と緑の博覧会記念協会等が主催をしておりまして、身近な自然や生き物、それに関わって生きる人々にスポットを当てて動画撮影や調査をすることで、地域活性化、環境保全、また郷土愛、これを育むきっかけをつくることを目的に開催をしているということでありました。受賞された生徒さんの中には、他の高校生の発表を、自然に対してすごく熱があって勉強になったよということを述べておりました。
 これからの和歌山を背負う児童生徒たちにこのような機会を与えることは、非常に意義があるというふうに私は思っております。そのような意味でも、子供たちの選択肢を増やすために、わかやまネイチャー・アワードのような表彰制度について、県において再度設立していただく、それを要望しまして、次の質問に移りたいというふうに思います。
 続いて最後は、同じ自然であっても自然災害である津波に関する質問であります。
 県が平成26年10月に策定した「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」についてお尋ねをいたします。
 これについては、3月4日に開催された防災・国土強靱化対策特別委員会においても危機管理部と県土整備部から説明があったとのことでありますけれども、改めて、このプログラムを御存じでない方もいると思いますので、簡単に概要を申し上げますと、南海トラフ地震が発生した場合、串本町を含む避難地域などでは、津波が到着するまでの時間が早いため、安全な避難場所まで逃げることが困難となります。県では、住民が避難を開始する時間、具体的に言うと地震発生より5分後に避難を開始し、移動速度は毎分30メートルと聞いています。こういう一定の条件を設定した上で避難困難地域を割り出して、その解消に向けて各種ソフト、またハード対策を盛り込んだ計画が、この「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」になります。
 また、津波避難困難地域を割り出すに当たり、二つの津波を想定しています。一つ目は、過去に発生した地震を基に、国が平成15年に想定した発生頻度の高い津波、いわゆるマグニチュード8.7の東海・東南海・南海3連動地震による津波と、もう一つは、これまで発生した痕跡は見つかっていないけれども、仮に発生すれば極めて甚大な被害が予想されるとして、国が平成24年に発表した最大クラスの津波、いわゆるマグニチュード9.1の南海トラフ巨大地震による津波となっています。
 このプログラムには、3連動地震の津波対策として、津波避難ビルの指定や津波避難施設の整備、堤防・護岸の整備等を促進し、おおむね10年で解消することや、一方、巨大地震の津波対策として、津波避難ビルの指定や避難路、避難階段の整備、津波避難施設の整備等により、津波避難困難地域の解消を図るほか、特に、紀南地域では津波の到達時間が早いため、高台移転や複合避難ビル等の構造物の整備などの地域改造も含めた検討を行うというふうに記載をされています。
 そこで質問ですが、平成26年10月にプログラムを策定してから丸10年が経過をしております。特に、3連動地震については、おおむね10年で解消するということでありましたけれども、津波避難困難地域の解消状況はどのようになっているのでしょうか。巨大地震による津波避難困難地域の解消状況や、今後の見込みも併せて危機管理部長にお尋ねをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 危機管理部長河野眞也君。
  〔河野眞也君、登壇〕
○危機管理部長(河野眞也君) これまで各市町において、南海トラフ地震津波対策検討協議会を設置し、二つの地震による津波避難困難地域の解消に向け、ソフト及びハード対策を組み合わせながら、速やかに、かつ、着実に対策を進めてきたところでございます。
 まず、おおむね10年での解消を目指しておりました3連動地震に対しましては、津波の第1波を防ぎ、命を守るための堤防などを整備するほか、津波避難タワーの整備や津波避難ビルの指定、避難訓練の実施などの対策に取り組んできた結果、プログラム策定時の4町22地区のうち、今年度末で3町19地区が解消し、残りの1町3地区につきましても、再来年度末までに解消する見込みとなってございます。
 次に、巨大地震に対しましては、堤防整備以外の3連動地震と同様の津波対策を講じてきたことで、プログラム策定時の12市町61地区のうち、来年度末までには8町29地区が解消される見込みとなったものの、4市町32地区は未解消のままとなります。
 その中でも、特に那智勝浦町、太地町、串本町の3町31地区につきましては、津波が非常に高く、到達時間が著しく短いため、高台造成など、まちづくりの方向性を大きく変えていかない限り、現状では津波避難困難地域の解消が困難な状況となってございます。
○議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 どうもありがとうございます。
 今、答弁いただきました、3連動地震については、再来年ぐらいにはという話でありますので、引き続き早期に完了していただくように要望しておきます。
 巨大地震というのは、本当に今言われているようなものが来て、それにどう対応するのかというのはかなり難しい事業になるかというふうに思いますので、ひとつ今後も十分に検討して、また整備を進めていただきたいと、このように思います。
 それでは、今そういうような答弁があった中で、巨大地震による津波避難困難地域の中で、特に解消が難しい地域についてお尋ねをしたいというふうに思います。
 今、答弁いただきましたけれども、那智勝浦町、太地町、串本町、これらの31地区については、非常に予想されている津波が高いということで、そしてまた、津波の到達時間も非常に早いということで、高台の造成など、まちづくり全体の見直しが必要になるのかなというふうに思います。
 そもそも、この「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」とは、例えば、住民全員が地震発生後5分で避難開始した場合など、あくまでも一定条件の下、計算を行った結果であって、裏を返せば、和歌山市のように、津波到達時間が約40分あったとしても、避難しなかった場合、津波による犠牲になるということであります。何を言いたいかといいますと、やはり一番大事なのは、住民全員が揺れたら逃げるという意識を常に持っておくということではないかというふうに私は思います。
 揺れた瞬間、その地震が巨大地震なのか、はたまた3連動地震なのか、これは分かりません。南海トラフで起こった直近の地震を見ると、1946年の昭和南海地震、1944年の昭和東南海地震、1854年の安政南海地震及び安政東南海地震と、いずれの地震も、地震の規模を示すマグニチュードは3連動地震よりも小さい結果というふうになっています。確実に言えることは、特に避難困難地域の解消が難しいと言われたこの3町の住民に対しては、巨大地震だと思い込んで避難を諦めることは絶対にあってはならないということであります。
 そういうことを前提に質問をしますけれども、巨大地震において、津波避難困難地域の解消が困難とされるこの3町に対し、県としてどのような支援や助言を行っていくのか、また、それと並行して、県民の避難意識が向上するよう、どのような取組を行っていくのか、知事に伺います。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 佐藤議員の御質問にお答えをいたします。
 那智勝浦町、太地町、串本町の3町におきまして、巨大地震に係る津波避難困難地域を解消するということについては、ただいま危機管理部長から申し上げましたとおり、高台造成など、まちづくりの方向性を大きく変えていく必要がございます。そのためには、何より地域住民に丁寧な説明を行い、そのことの御理解をいただかなければなりませんが、相当な時間もかかりましょうし、また、御了解をいただいて事業を進めることになりました場合には、多額の費用を要するなど、それはそれで課題がございます。
 今後、各町の南海トラフ地震津波対策検討協議会におきまして、対策の検討を継続していただくことになりますけれども、県といたしましても、当協議会に参加をさせていただいて、インフラ整備の進捗、人口動態の変動なども踏まえまして、活用可能な支援制度、あるいは、ほかの地域の先行事例を紹介させていただくなどしながら、町と協力して対策を検討してまいりたいと考えております。
 それから、何より佐藤議員が今おっしゃっていただいたとおりでありまして、津波から自分の命を守るためには、「まずは逃げる、まずは逃げること」、この徹底が重要だと考えております。そのためには、県民の皆様、特に津波の到達時間が早い県南部の皆様に対しましては、あらゆる機会を通じまして、どのような地震が起こった場合でも、避難することを決して諦めずに、揺れたら逃げる、そのことの徹底を周知させていただく、津波浸水が想定される地域におきましては、迅速かつ着実に避難を行えるよう、日頃からの訓練に参加していただくなど、自助、共助の取組を市町と共に推進してまいりますので、また御指導よろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 どうもありがとうございます。
 今、知事から答弁いただきましたけれども、高台であれば本当に、ある程度の今予想されている津波なんかが来ても、それはクリアできるというふうに思いますけれども、今言われた3町は、なかなか町民全員が移転できるような高台というのはそんなに今ないのではないかというふうに思っております。
 仮にそういう移れる場所があったとしても、やっぱり住民の合意が得られるのか、そしてまた高齢者であれば、住み慣れた地域から離れることに反対する方もいるのかなというふうに思います。また、経済的負担も伴うわけであります。いずれにしてもなかなか簡単に解決するような問題ではないかなというふうに思います。
 県においては、市町に寄り添いながら、問題解決に向けて取り組んでいただくことを要望したいと思います。
 あわせて、特に今知事からもありましたけれども、私も県民の避難意識、ここの向上がまずは一番大事かなと。やれるんでは、取り組んでいける、この辺の周知というか、ここが大事なところになるかなというふうに思っております。
 もう10年ぐらい前に、私が町議のとき、この南海トラフが言われたときであります。当初、日本で一番高い津波が予想されるのが四国の黒潮町であったかなと。ちょっともう記憶が10年前、たしかそのときに津波の高さが34.4メートルという、そんな発表があったように思います。そのときに、同僚議員と一度行ってみようかということで、二人で行ったことがあります。
 当時の役場をお訪ねして、いろいろ町民の意識なんかどうですかと聞いたときに、特に高齢者の方が「もうそんな地震来たら、私ら、よう逃げんし、もう諦めている」と、「その瞬間、命をもう諦めているんや」と、こういう方が非常に多かった、これ後に新聞などにも出たのではないかな。そういう話を伺いました。
 ただ、役場も、「いや、ほんだらもうそれでしゃあないね」というわけにはもちろんいきませんから、この意識を変える、ここが大変ですという、当時行ったときにそういう話を聞き、黒潮町の町長も「それはいかん」ということでしっかり取り組んで、おばあちゃんの詩か俳句が何か出ましたね。ちょっと僕、それを忘れましたけども、本当に諦めていた。それが今じゃ意識が大きく変わって、もうやっぱり命がある、その命を大事にしたいという黒潮町の取組が成功して、今、新しく役場なんかも建築されたようでありますけれども、それ以後は行っていませんけども、今、もう全国から視察に来る方が非常に多いというふうなニュースも聞きました。
 それぐらい住民の意識改革というのかな、意識変化を及ぼすことが重要である。まずは逃げるということですから、そのあたりをしっかりと、これからも県のほうで取組をお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
○川畑哲哉君 皆さん、こんにちは。
 議長よりお許しをいただきましたので、以下、通告に従い一般質問をさせていただきます。
 私が永井荷風という作家の美しい日本語に初めて衝撃を受けましたのは、学生時代に読んだ「濹東綺譚」からでございました。小説を書き上げていくくだりや心情もさることながら、カフェを「カフエー」と書き、ラジオを「ラディオ」と書く片仮名遣いにも感銘を受けたものでございます。
 その永井荷風の出世作「あめりか物語」の序盤では、「蕎麦の花咲く紀州の野」に住んでいた農夫が夫婦でシアトルへ出稼ぎに移住し、壮絶な運命に遭って気が狂ってしまい、癲狂院「アサイラム」へ収容されるエピソードが「牧場の道」の項にて描かれています。このエピソードを作者に語る「友」は、「随分激しく可哀そうな話だが、アメリカには珍しく無い」とも語っています。永井荷風は、1903年(明治36年)から丸4年近くをアメリカで過ごしていますが、この項は、そのアメリカ滞在中の1904年1月に脱稿されています。
 国際協力事業団が1994年に発行した「海外移住統計」によりますと、和歌山県は、広島、沖縄、熊本、山口、福岡に次いで第6位の移民県であり、和歌山県からの海外移住者数は、第2次世界大戦前がおよそ3万1000人、戦後はおよそ2000人とのことで、和歌山県からの初めての移民は、我が国初の公式移民としてハワイへ渡った1885年(明治18年)のことでございます。1908年(明治41年)には、最大の渡航先であるブラジルへの移民が始まり、1924年(大正13年)には、米国で排日移民法とも呼ばれる移民法が制定されました。
 第2次世界大戦のさなかは申し上げるまでもなく、現地では非常に厳しい環境下で生活をされていたことは、私もブラジルやアルゼンチン、カナダの県人会訪問をさせていただいた際に痛感いたしましたが、「和歌山県移民史」によりますと、和歌山県出身の移民からの送金額は、大正末期まで全国1位であったと言われているようでございます。かく申し上げます私にも、串本町よりシアトルへ出稼ぎに移民した親戚がいたようで、帰国した際には、オレンジジュースや珍しいお菓子等を持ち帰っていたと聞き及んでいます。
 これまでに、和歌山県から世界各地へ移民した人々により、それぞれの地で和歌山県人会が組織されています。移民され、その地で生き抜かれた偉大な先人たちが起こされ、3世から4世に移りつつも維持されている世界の和歌山県人会は、まさに本県の宝です。
 時代は人口減少で、その対策としては、移民を迎え入れる政策も本格的な選択肢の一つだと私は考えています。とはいえ、急激な移民の受入れは、地元で大きな違和感を生むことも予想されますし、私もこれまで外国人技能実習生の受入れを調査してきた中で、受入れ企業内や地域で何度か違和感の起こりを確認してまいりました。
 国際移住機関・IOMの報告によりますと、2020年段階で移民の人口に占める割合は、米国13%、ドイツ17%、英国13%、フランス12%に対し、日本は2%だそうです。国立社会保障・人口問題研究所が2070年には10%に達するとの予測を発表しているように、日本も今後、移民社会へと進む可能性は強まっていますが、既に埼玉県川口市では7.9%、蕨市では12.4%と高くなっています。
 人口減少は、極めて深刻な社会課題であり、様々な課題の共通する原因でもあると感じています。一方で、とにかく外国人でもロボットでも増やせば根本的に解決するということでもなく、そうなると、その地域に何十年、何百年とかけて紡がれてきたもろもろの伝統や文化というものが失われていくことも危惧されます。
 つまり、人口減少を食い止める施策を講じつつ、本県に親和性の高い人材を緩やかに受け入れていくことが肝要であると思いますし、高度人材を本県に迎え入れることは、県内の産業振興等にもつながることでしょう。その意味では、世界各地に組織されている和歌山県人会との連携を強化することで、県人会の子弟やゆかりの方々に和歌山県へ移民していただく道を太くし、また、外国人の関係人口を増やすことにもつなげていくべきと考えますが、県当局としてはいかがお考えでしょうか。前昌治企画部長の御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 企画部長前 昌治君。
  〔前 昌治君、登壇〕
○企画部長(前 昌治君) 国難とも言える人口減少を今後抑制していくには、人材の県外流出を食い止めつつ、海外や県外からの流入を増やしていく必要があります。
 和歌山県も、労働人口の減少、人材不足に直面しており、県勢を維持していくには、優秀な外国人材を共に暮らす仲間として招き入れていく必要があると考えています。
 中でも日系移民は、日本の教育を現地で実現するような教育機関を設立するなど、子供や孫への教育に非常に熱心であり、その教育を受けた3世、4世の世代は、大変優秀な人材が多いと認識しております。
 国は、技能実習を就労育成制度に切り替えるとともに、日本国籍を持たない日系4世への在留資格の要件を緩和するなどして、長期滞在、就労、定住につながる環境を整備してきています。
 一方、県では、県知事、県幹部が県議会の皆さんと一緒に各県人会の周年式典に出席した際や外国を訪問した際には、現地の教育機関や日本語学校を訪問し、和歌山県への就労や留学を念頭にプレゼンを行い、県の魅力を発信してきております。
 議員御指摘のとおり、和歌山県は我が国第6位の移民県であり、海を渡って刻苦勉励されてきた県民が和歌山県人会を各地で組織し、今も活動されております。県人会の子弟は、本県との親和性が高いことから、来年度、県人会の将来を担う子弟を招聘して、自身のルーツが和歌山県にあることを再認識し、県人会活動への意欲を高めてもらうとともに、県内の学生との交流や外国人材が働いている県内企業への訪問を通して、将来の選択肢の一つとして和歌山県への留学や就労を考えていただく機会を創出する事業を実施する予定です。
 引き続き、在外の和歌山県人会との密な交流を通じて、和歌山県を身近に感じてくれる優秀な外国人材の受入れに努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 企画部長より、熱の籠もった御答弁をいただきました。この政策に和歌山県の未来がかかっているかもしれません。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次の質問に入ります。
 外務省領事局政策課による「海外在留邦人数調査統計」では、2023年(令和5年)10月1日現在で、特定の国に永続的に住む権利を持つ永住者が増え続けています。特に女性は、男性よりも速いペースで伸び続けていて、年齢別では、在留駐在員の家族と思われる二十歳未満以外では、女性の30歳代及び40歳代が顕著となっています。
 また、移住研究の専門家、大石奈々メルボルン大学アジア研究所准教授の「流出する日本人」によりますと、潜在的な大卒者の流入・流出率は、ニュージーランドのプラス333%に対し、我が国はマイナス8%でございます。つまり、海外への移住を希望する日本人大卒者数が日本への移住を希望する外国人大卒者数を上回っているわけであり、今後も日本人の流出が続くということが予想される一方で、海外の人から日本は選択肢として入らなくなりつつあるという点に留意するべきであると思います。
 志を持って海外へ羽ばたく若人の背中は押すべきであり、海外で日本人が活躍することで、ひいては国際社会における日本の評価が高まることにつながると私は考えています。しかし、日本に居場所がなく、あるいは、日本では未来に希望が持てずに海外へ移住する若人が増加しているのであれば甚だ残念ですし、和歌山県で起こっているとすれば、県議会議員の一人として申し訳なく思います。
 ジャーナリストの宮下洋一氏は、独自の調査を基に、「国民の声が政治に伝わらない、伝えても実現されない、との諦めが日本人にはあるのかもしれない。社会を直接変える仕組みも運動も、日本にはあまり用意されていない」と述べ、「美しい国でも、政治がうまく機能しない国に住むのは不安でしかない」と語るパリ在住日本人の声を紹介されています。政治家サイドの心構えとして、和歌山県でも、有権者が政治参画の実感を持ちやすい環境を早急に整えるべきなのでしょう。
 風通しがよく、様々な事情や立場をお持ちの方々がそれぞれの居場所を見つけられる社会、すなわち、どのような考え方をして、どのような生き方をし、どのような職業に就いて、どのような夢を持とうとも寛容であり、応援されこそすれども非難されることのない社会であること、つまり、本当の意味での多様性、ダイバーシティーが実現されている社会であること、そんな社会をつくっていくことも政治の重要な役割だと思います。
 そこに道があることは大切ですが、その先に行きたいと思わなければ、その道を通ることはありません。違う考えや思いを排除するような集いからは、新しい発想が生まれることも、結実することもありません。同質の人間だけが集い、現状維持や既得権益維持に執念を燃やしているような団体や地域に、持続的な発展はないのと同じでございます。そのようなところにわざわざ参画しようと思う人間は極めて少ないことでしょう。
 私が二十歳の頃、南海難波駅前のお好み焼き屋さんで偶然出会った方は、パチンコ業界の重鎮だったそうですけれども、時々和歌山も講演に行くので、和歌山のことはよく分かっていると前置きをされた上で、「君たちのような若人が県外へ出て和歌山へ戻らないから、和歌山はどんどん駄目になっていくんだ。都会でしっかり学んだ後、ふるさとへ戻って、ふるさとのために働かなければいけない」と強く言われたことを思い出します。そして、私は戻ってまいりました。
 私にとって、和歌山県は、いつでも帰りたいと思えるふるさとでございました。「ふるさとは つねに微笑む」の歌詞のとおりでございます。そんな空気感を醸成していくことが大切ですが、一方で、私は、高度人材であれ、留学生であれ、海外から日本、さらに和歌山県が選ばれる、あるいは、海外移住者の帰国を促進する具体的な施策も必要だと強く考えています。
 そこで、商工労働部長にお尋ねいたします。
 WAKAYAMA外国人材雇用サポートデスクの活用状況はいかがでしょうか。また、外国人や海外移住者の語学やAI等、高度なスキルを持つ優秀な人材に対して、各種奨励金や補助金の授与等、様々なインセンティブを付与して、移住や帰国を促進する施策も有効かと思いますが、いかがお考えでしょうか、御答弁どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長大川伸也君。
  〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 県では、本年度から、外国人材の受入れと共生に関する取組を推進するため、外国人材受入れ促進事業を開始したところです。
 議員御質問のWAKAYAMA外国人材雇用サポートデスクにつきましては、昨年6月から運用を開始し、専門アドバイザーによる個別相談対応や雇用に関する手続支援、相互理解の促進に向けたセミナーの開催、さらに、ホームページやSNS等による情報発信など、外国人材の県内就職の促進に向けた取組を一体的に進めてきたところです。その結果、本年1月末現在における相談状況は、企業からが55件、外国人材からが45件となっております。
 また、議員御提案の様々なインセンティブの付与につきましては、優秀な人材を本県に呼び込む有効な手段の一つであると考えますが、県としましては、まずは外国人材が活躍する上で、安心して暮らし、働き続けることができる基盤づくり、そして、企業や地域が外国人材を仲間として受け入れる風土づくりに取り組むことが必要だと考えています。
 そうした中で、先ほど申し上げました外国人材雇用サポートデスクをさらに充実するとともに、海外の大学等からインターンシップ生を受け入れる制度を構築するなど、引き続き、高度な専門知識や技術を有する人材の流入や定着を進めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 部長の御答弁の中に「SNS等による情報発信」とありましたが、ぜひ和歌山県内で暮らす外国人の日常も発信して、和歌山県での暮らしをイメージしていただきやすいようにしていただければと思います。その際には、御本人さんに発信していただけることが最善手かと思いますので、どうぞ御検討くださいますようにお願いを申し上げます。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 健康政策についてでございます。
 和歌山県議会における健康政策の第一人者、浦口高典先輩議員には事前にお許しをいただいておりますので、皆様にはどうぞ御安心をいただき、私も気兼ねなく存分にさせていただきたいと思います。
 まずは、ブルーゾーン視察の御報告からでございます。
 本年1月下旬、私が心の連立会派と呼ばせていただいています公明党県議団の皆様と沖縄長寿科学研究センターを訪問させていただき、世界五大長寿地域「ブルーゾーン」研究で著名な鈴木信琉球大学名誉教授より、健康長寿について御高説を拝聴し、意見交換をさせていただきました。
 ブルーゾーンとは、人口統計学的に確認された長寿の場所の国際的呼称として確立され、すなわち、イタリア・サルディーニャ島のバルバギア地方、アメリカ・カリフォルニア州のロマリンダ、中米コスタリカのニコジャ半島、ギリシャのイカリア島、そして日本の沖縄の5か所を指します。
 鈴木教授によりますと、沖縄ブルーゾーンライフ4因子として、1、食生活、2、レジリエンシー・打たれ強さ、3、生きがい、4、つながり・共助を上げられ、元気な人をたくさんつくると戦争もなくなるのではと御指摘をされていました。特に、2、レジリエンシーについては、対応する日本語がないらしく、ストレスへの耐性等も含まれるのではないかと推察をするところから、個人及び社会としての高め方については、入念に研究する余地と意義があると感じました。
 また、沖縄県には、模合と呼ばれる独特の金融形態のような集いがあり、4、つながり・共助を濃く表しているのではないかと思います。模合とは、趣味や地域等、いろいろな共通項を軸に、会費制をもって人々が集い、その時々の食事代やお茶代を除いた額が積み立てられたり、あるいは、弁当やおやつを持参して会費がそのまま積み立てられたりし、その積立金の使い道は、模合のリーダーによって毎月頑張ったメンバーのどなたかに祝い金をあげたり、困っているメンバーのどなたかに支援金をあげたり等と決定されるようです。模合のリーダーはみんなで決め、リーダーの決定にはみんな従うとのことでした。つまり、気の合う者同士によるマナーとルールが確立された集いに居場所を見つけることも、健康長寿の秘訣かと感じました。
 また、沖縄県にはいろいろな地域から文化が流入してきていることも、健康長寿の秘訣の一つかもしれないと鈴木教授は指摘されています。沖縄県の祈り方や泡盛は、タイから流入してきているそうです。模合も、韓国は済州島に、契という同様の集いの形態があるようです。
 余談ですが、沖縄県にも不老長寿を求める徐福伝説があり、和歌山県とのつながりがあるのではともつぶやかれていました。
 最後に、鈴木教授より公務員の皆様へ、「退職後、退職金等で悠々自適になってしまい、気がついたときには元に戻れず、気を張った生活ができなくなり、誰かに手伝ってもらわないと生活ができないようになることが、特に公務員の男性には往々にしてあるので、どうぞお気をつけください」とのお言葉を御紹介させていただき、ブルーゾーン視察についての御報告とさせていただきます。
 次に、社会とのつながりを大切にした和歌山県の取組についてお尋ねをいたします。
 2010年に、ジュリアン・ホルト・ランスタッド氏が発表された社会的つながりと死亡率との関連によりますと、人の長寿要因は社会とのつながりが最も重要な要素であることが研究報告されています。
 また、ミネソタ大学加齢センター及び老人教育センター理事長のロバート・ケイン博士は、健康な人生を最大限まで延ばすための上手な加齢の仕方としては、まずは社会とのつながりを持つことをお勧めしたいと述べられています。
 ダン・ビュイトナー氏の著作「ブルーゾーン セカンドエディション」でも、ブルーゾーンの長寿者たちは、共通して家族や友人、知人とのつながり、先人の知恵とのつながり、地域社会とのつながりが強固で、お互いに支え合うことが精神的にも安定をもたらし、ストレスを減らすことで生きる活力としていることが紹介されています。
 自助・共助は、県民の皆様の意識や努めによるところが大きいとは思うものの、行政としては、社会とのつながりを保ち、より強固にする仕組みづくりをすることも必要ではないかと思います。
 「健康長寿日本一わかやま」実現に向けて、和歌山県としてはどのような取組をされているのでしょうか。福祉保健部長の御答弁をどうぞよろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 国が2023年に示した国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針において、人々の健康は、その人を取り巻く社会環境に影響を受け、ボランティア、通いの場といった居場所づくりや社会参加は健康づくりに有用である、また、健康な日本の地域の背景には、いいコミュニティーがあることが指摘されており、地域コミュニティーとの関わりが希薄化している現代において、社会活動への参加を促していくことは、健康づくり対策においても重要であるとされています。
 県では、和歌山県地域福祉推進計画において、住民同士の交流の場を増やすことで、互いに支え合い、誰もがつながりの中で自分らしく生活することができるよう取り組むこととしております。
 県としては、「健康長寿日本一わかやま」の実現に向け、引き続き、このような取組を市町村や関係団体等と協力しながら進めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 今回の視察で、健康長寿獲得には、食育的な観点も必要ですし、生涯学習的な観点も必要だと学びました。もし次の機会がございましたら、ぜひ御関係の皆様、御一緒に視察に参りたいと思いますので、その節はどうぞよろしくお願い申し上げます。
 ちなみに、長寿研究の専門家グレッグ・プロトニコフ博士いわく、沖縄の人たちは、健康を増進させるような環境に生まれた。彼らは、一年中いつでも新鮮で有機栽培された野菜を口にすることができる。社会的な相互支援組織が強固に保たれているし、驚くべきハーブや野菜が発病予防効果を上げているとのことでございます。
 また、「オキナワ式食生活革命 沖縄プログラム」の共著者クレイグ・ウィルコックス氏は、ファストフードに代表されるアメリカの食文化が浸透してくるにつれて、沖縄の長寿の伝統が崩れ始めたと嘆かれたようです。鈴木教授も指摘されていますが、現在、沖縄には二つの異なるグループ、すなわち、最長の平均余命を持つ健康な年配者たちと、健全な健康状態を保つことのできない若い世代が並存しているそうです。
 デンマークの双子を研究した有名なデータを基に科学が突き止めたところでは、長寿の要因のうち、遺伝子に左右されるのは僅か25%で、あとの75%はライフスタイルや日常生活で選択する習慣に関わっているそうです。つまり、ある地域へ身を置くだけで健康長寿が手に入るということもなければ、一撃で健康が回復するベホマやべホマズンのような魔法が現実に存在するはずもありませんので、とにかく食生活をはじめとする日々の暮らし方の積み重ねから健康長寿とは獲得されるものであり、その際、社会とのつながりが一つの大きな要因になると私は理解をしています。
 つきましては、地道な健康施策が重要であり、その取組を粛々と続けてこられています当局の皆様に改めて敬意を表しますとともに、当局の皆様を叱咤激励し続けてこられています浦口高典先輩議員に感謝を申し上げまして、次の質問に入らせていただきます。
 先月、またもや公明党県議団の皆様と御一緒に上京し、株式会社ラック様を訪問させていただきました。こちらは、1986年に創業され、現在では2000名以上の従業員を抱えるサイバーセキュリティーの会社で、倉持浩明常務執行役員及び尾方佑三子ICT利用環境啓発支援室長より、最近のサイバー攻撃・被害事例から考えるサイバー脅威の概況について詳細な御説明をいただきました。サイバー攻撃の背景及び内容や、攻撃を受けるとどういう状況に陥るのか、どういう対応が取れるのか、今後どのような取組が求められるのか等々、大変勉強になりました。
 今日では、陸、海、空、宇宙、サイバー、そして脳、すなわち第6の戦場と呼ばれる認知戦へと戦場は展開し、そこでは、誤情報や偽情報、悪意ある情報が既に蔓延しています。
 また、先日来、SNSの個人アカウントが乗っ取られるという事案が相当数発生していることが確認されています。
 私の周辺でも、同じ週に4名がアカウントを乗っ取られました。「オンラインインフルエンサープログラムのアンバサダーに立候補しています。私に投票していただけますか」とハート入りで乗っ取られたアカウントの友人知人にメッセージが送られたことで、私の周辺でもざわついていましたが、テレビのニュースでも取り上げられたとお聞きしています。この事案は、当該メッセージに返信をすると、先方より携帯電話番号の入力を求められ、それに応じることで認証コード等がショートメッセージで届き、いつしかアカウントが乗っ取られていくとのことです。
 また、2月27日付の読売新聞朝刊に、ChatGPTを活用した自作プログラムと通信アプリ「テレグラム」を通じて知り合った人物から購入した20億件超のIDとパスワードのセットを基に、携帯大手・楽天モバイルのシステムに不正ログインし、契約に至ることができて入手できた回線を、テレグラムを通じて不正転売していたとして、中高生3名が不正アクセス禁止法違反と電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕されたという記事が掲載されていました。これらは、金銭や暗号資産を取得することが目的だと考えられますが、政治家や経済人個人あるいは地域や社会、ひいては国の政治や経済の乗っ取りや破壊を目的とするサイバー攻撃が行われ出すと、私たちの故郷が大混乱に陥ってしまうことを私は強く危惧しています。
 また、サイバー攻撃を長期間受けると被害者や関係者の心が折れてしまうことも少なくないとのことで、いわゆるネットハラスメントを受けた際の心的ダメージと類似のものがあると推測をいたします。
 これより後、和歌山県内の企業、事業所、県民の皆様に安心して安全に日々を過ごしていただくためにも、一刻も早くサイバーセキュリティー感を社会として高めていくことが肝要でございます。つきましては、まずはサイバーセキュリティーの脅威について知ることが大切であり、情報リテラシー感を高めるべく、予算の確保も含めて、現実的に取り組んでいくことが必要だと思います。
 そこで、警察本部長にお尋ねいたします。
 和歌山県警察におけるサイバーセキュリティー対策として、どのような取組をされているのでしょうか。今後の方針と併せて、御答弁どうぞよろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 警察本部長野本靖之君。
  〔野本靖之君、登壇〕
○警察本部長(野本靖之君) サイバー空間は、地域や年齢、性別を問わず、全国民が参加し、重要な社会経済活動が営まれる公共空間へと変貌を遂げ、あらゆる場面で実空間とサイバー空間の融合が進んでおります。
 そのような中、全国的にインターネットバンキングに係る不正送金事犯や、企業、団体などを狙ったランサムウエア攻撃による被害件数が高水準で推移し、県内においても、2024年中のサイバー犯罪に関する相談受理件数が1905件、金融機関を装ったフィッシングメールによる不正送金事犯の認知件数が15件、被害額が2244万円となるなど、サイバー空間をめぐる情勢は依然として深刻です。
 このような状況において、県民のサイバー犯罪による被害を防止するためには、社会全体でサイバーセキュリティー意識を向上させることが重要であります。
 県警察といたしましては、県警ホームページ、きしゅう君の防犯メール、広報啓発チラシなど、各種の広報媒体を活用し、サイバー犯罪の最新の手口やその対策について、県民への周知を図っております。
 議員御指摘のSNSの個人アカウント乗っ取り事案につきましても、広報啓発チラシや防犯メールなどにより、県民に広く注意を呼びかけているところです。
 また、小中学校、高等学校などの児童生徒及び大学生などを対象としたサイバーセキュリティーカレッジの開催や、サイバー防犯ボランティアと協働した広報啓発活動を実施しております。
 さらに、民間事業者を対象としたサイバーセキュリティー講習会の開催や、関係機関や団体と連携し、被害防止の取組や被害発生時の警察への通報、相談を促す取組を行っております。
 このほか、1997年から毎年、産学官連携で、サイバー犯罪に関する課題や対策を議論するサイバー犯罪に関する白浜シンポジウムを開催しております。
 なお、県警察では、深刻化するサイバー空間の脅威に的確に対処するため、2016年からサイバー犯罪捜査特別研修制度を導入し、情報通信技術に関する専門的な知識及び技能を有する捜査員を育成の上、警察本部及び警察署への配置拡充を進めています。
 加えて、2023年には、悪質かつ巧妙化するサイバー犯罪に対し、実践的な捜査演習が可能なサイバー人材育成トレーニングルームや、警察本部と警察署を結ぶ解析ネットワークを整備するなど、人的、物的基盤の強化にも取り組んでいるところであります。
 今後とも、サイバー空間における脅威の情勢を踏まえつつ、官民連携をより強化するなど、各般のサイバーセキュリティー対策を推進し、県民のサイバー空間における安全と安心の確保に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 警察本部長の御答弁にございましたサイバー犯罪に関する白浜シンポジウムですが、今年は私たちもぜひとも参加をさせていただきたいと思っておりますが、どうやら参加申込みの受付開始と同時に満席になってしまうことが専らだとお聞きしておりますので、まずは参加権獲得に向けてしっかり頑張りたいと思います。
 それはそれとしまして、個人及び社会としてサイバーセキュリティーへの認知を高めていくことが肝要だと思いますが、一方で、目には目をならぬ、メカにはメカをでもあると思います。常に、より精度の高いツールを導入していただき、高度化していくであろうサイバー攻撃に対峙し続けていただきますように、つきましては、しっかりと予算も確保し続けていただきますように強く要望を申し上げます。私たちもできる限りの御協力をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最後の大項目に入らせていただきます。
 県道131号新田広芝岩出停車場線とは、JR岩出駅前にて南へ向かう県道134号小豆島岩出線と背中合わせに北へ向かう線路沿いの県道であり、県道14号和歌山打田線を越えた後、那賀振興局、岩出警察署、県立那賀高等学校、那賀高校前交差点、岩出市立上岩出小学校を経過し、県道7号粉河加太線まで延びる岩出市東部における南北を縦断する主要道でございます。起点の北大池交差点より粉河加太線を越えて北上すると、上岩出神社を経て、旧県議会議事堂「一乗閣」から新義真言宗総本山根來寺、岩出市街を一望できる根来山げんきの森、県内唯一の植物公園「緑花センター」、そして、風光明媚なキャンパスで最先端の研究が行われています近畿大学生物理工学部等を擁する岩出市が誇る一大文教ゾーンへと至ります。
 また、終点のJR岩出駅前より小豆島岩出線を南下しますと、間もなく伝統ある大和街道へと合流し、西進しますと、ヤマトタケルノミコト等を祭神とする大宮神社を臨むことができます。
 この岩出市における歴史、文化、教育、行政等が集約されているエリアに人気スーパーやケーキ店等が並び、交流人口の隆盛具合を見ることができますが、その拠点の一つであるJR岩出駅は、1日の乗降客数がおよそ3000人超で、県内におけるJR和歌山線の駅では、和歌山駅に次ぐ橋本駅に匹敵します。
 そんなJR岩出駅周辺では、特に朝夕の通勤・通学時間はかなりの活況を呈する上、天候によっては送迎車両が激増し、周辺住民の皆様による生活道路としての活用も相まって、緊張感の高まるエリアとなっています。その中でも県道131号新田広芝岩出停車場線は、一部区間を除いて狭隘な上、駅前から和歌山打田線までの区間は、歩行者、自転車、自動車、バス等が双方向に入り乱れることで、極めて事故の蓋然性が高いと周辺住民の皆様や通行者の皆様が強い危惧を抱かれています。
 先日、岩出市内事情により、周辺の粗大ごみ集積地をこの区間内の鉄道沿線地に設置する議題が起こったことから、地元区の班長会議の場でも、当該区間における歩道設置を主眼とした安全確保を強く求める声があふれました。
 現在、県では、和歌山打田線交通安全対策事業として、道路の拡幅や歩道設置等が順次行われています。計画図によりますと、県道131号新田広芝岩出停車場線への接続道も安全面を考慮した設計がされていて、歩行者、特に那賀高校生の通学につきましては、御関係の皆様に安堵していただきやすいのではと思っています。この点に関しまして、県当局の皆様に心より感謝を申し上げます。
 とはいえ、そこへ至るまでは、なお緊張感のある状況のままです。JR岩出駅を活用して通勤・通学をされている皆様や生活道路として活用されている皆様が安心して当該区間を通行できるよう、歩道設置をはじめとする交通安全対策をお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。県土整備部長の御答弁をお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 歩道整備につきましては、道路管理者や警察、教育委員会により、小学校周辺などで実施した通学路合同点検を踏まえ、市町の意見も聞いて決定した通学路緊急対策箇所などを優先して対策を実施しているところです。
 岩出市内では、県道小豆島岩出線と県道和歌山打田線において歩道整備を進めています。新たに歩道を整備する場合、事業中である通学路緊急対策箇所などの進捗状況を踏まえた判断が必要になります。
 さらに、県道新田広芝岩出停車場線の御質問の区間につきましては、通勤・通学時間帯において、歩行者の往来や駅に送迎する車両が一時的に集中することもありますので、時間変動に伴う車両の利用状況や家屋連檐の状況などを勘案し、ソフト対策を含めた有効な手法について、岩出市など関係機関と検討してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 この件、私も腰を据えて取り組んでまいりますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最後の質問に入らせていただきます。
 和歌山市から国道24号を通って岩出市へ入りますと、間もなく鴨沼川橋を越えながら、右手に住吉川を望むことができます。
 さらに、住吉川橋を越える頃には、この近年、和歌山県内で希少な人口増を続けてきたことがうかがえる岩出市の新市街が広がってきます。
 この住吉川周辺の特に吉田区は、随分以前より、大雨のたびに浸水の被害にも遭い、岩出市としても対策が論じられてきています。数年前より住吉川改修工事が進められ、浸水被害に関しては解消されつつあり、地元住民の皆様にも安堵していただいていることと思います。御関係の皆様には、改めて心より感謝を申し上げます。
 浸水対策につきましては、私が秘書時代より御相談を承ってまいりましたが、県議会議員に初当選させていただいた後、間もなくして地元の方より、住吉川と県道134号小豆島岩出線及び六箇井用水路が交錯する高樋橋を拠点とした、その周辺地域における歩行者及び自転車等の安全確保につきまして御相談をいただきました。県市当局とも掛け合わせていただきましたところ、住吉川河川整備事業が計画中とのことでございましたので、地元からの要望等も酌みつつ、進められていく事業の進捗を見守らせていただくこととなりました。
 あれから数年たち、改修箇所周辺の代替道路もすっかりおなじみとなりましたが、一方で、新しい高樋橋の姿が見えるようになってまいりました。当該工事につきまして、一日も早い完成を望む声が大きく、高樋橋の供用開始につきましては、地元の皆様及び通行等で活用されている皆様が首を長くして待たれています。
 そこで、県土整備部長にお尋ねいたします。
 住吉川河川整備事業の進捗はいかがでしょうか。また、高樋橋周辺工事の進捗につきまして、供用開始時期も含めて御答弁どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 県土整備部長。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 住吉川の改修につきましては、2014年7月に策定した紀の川水系紀泉圏域河川整備計画の中で、紀の川との合流点付近から岩出市の市道山西国分線までの3キロメートルを整備区間として計画を定めており、これまでに下流から六箇井用水付近までの約2.1キロメートルの河道拡幅が概成しています。
 住吉川の河川改修に伴う高樋橋の架け替え工事については、橋桁の架設が完成しており、残る舗装や防護柵などの工事について、本年4月の供用を目指して進めてまいります。
 なお、完成時には、片側に2メートルの歩道のある2車線の橋梁となる予定です。
 今後とも、補正予算等も含め、様々な機会を通じて予算の確保に努め、早期完成に向けて事業を進めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 この件、御相談くださいました方は、コロナ禍の折に亡くなられました。工事の完成を楽しみにされていたことと思います。供用開始の折には、仏壇に御報告をさせていただきます。引き続き御安全に、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 今回、第1項目では世界からの流入について、第2項目では世界の健康について、第3項目では世界からの身の守り方について、そして、最後の項目では、私の地元の皆様の日々の暮らしに関わることを取上げさせていただきました。世界が本当に近くなりました。そして来月、お隣に世界がやってきます。4月13日の大阪・関西万博開幕日の午前9時、入場の予約を取りました。最新の開幕に間に合った世界を存分に体感してまいりたいと思います。
 万博を契機として、農林・水産・商工業、県内のそれらの産業が交流し、歳入がしっかりと確保されて、国策、県策の礎であります教育や福祉により充実した予算配分がなされますことを切に御期待を申し上げ、新年度が和歌山県にとりましてすばらしい1年となりますこと、それから、定年される皆様の前途洋々たりますことを心より祈念を申し上げ、ふるさと発展のために引き続き微力を尽くしてまいりますことをお誓い申し上げまして、私の人生19度目の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時29分休憩
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  午後1時0分再開

○副議長(堀 龍雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行します。
 2番上山寿示君。
  〔上山寿示君、登壇〕(拍手)
○上山寿示君 皆さん、こんにちは。
 議長のお許しを得ましたので、早速ですが、一般質問を始めたいと思います。
 今回、私は、ENEOS株式会社和歌山製造所におけるSAFの製造についてを質問いたします。
 有田市の製油所は、もともと東亜燃料工業株式会社として操業し、戦後の日本のエネルギー供給を支えてきました。その後、合併や事業再編を経てENEOSの和歌山製油所として運営され、地域経済や雇用の中心的存在となりました。
 しかし、国内の燃料需要の減少や脱炭素化の流れを受け、ENEOSは2022年に和歌山製油所の精製機能停止を発表いたしました。製油停止による、地元の雇用や関連する協力業者への影響は非常に大きく、この決定に対し地元有田市では、連合自治会が中心となり、地域住民や関係者は、製油所の存続を求める署名約2万893筆を集め、本社へ提出するなど、強い反対の声を上げました。しかし、最終的に2023年10月に精製停止が決定し、和歌山製油所は新たな役割を模索することになりました。
 その後、ENEOSは、製油所跡地の活用計画を進め、持続可能な航空燃料(SAF)製造への転換を決定いたしました。2025年には三菱商事との提携を発表し、2028年度以降の本格的生産を目指すこととなりました。また、和歌山県や有田市、海南市も、地域経済の活性化やグリーントランスフォーメーション事業の推進に向けた支援を進めています。
 このように、有田市の製油所は、長年にわたり地域と共に歩んできた歴史を持ち、署名活動を経てもなお厳しい決断を迫られながら、現在は、脱炭素社会への対応としてSAF事業へ移行する過渡期にあります。
 ENEOSと三菱商事によるSAF製造の基本設計が進められています。また、家庭からの廃食油回収の実証事業が進められていますが、今後、原材料供給体制を拡大し、SAF生産の安定化を図る必要があると考えられます。また、製油所跡地の活用として、グリーントランスフォーメーションやカーボンニュートラル事業の推進が挙げられていますが、SAFの商業生産には、コスト面や技術的課題が伴い、県として事業化実現のためにもサポートが必要となります。
 さらに、和歌山県は、SAF製造の拠点化を支援するとしていますが、地元企業や住民の理解、協力についても必要となるものではないかと思います。
 このような課題がある中で、SAFの製造が2028年度以降と2年遅れることとなっているが、進捗状況に問題はないのでしょうか。知事にお伺いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 上山議員の御質問にお答えいたします。
 まず、結論から申し上げますと、本件が2028年度以降になったという報道がありましたけれども、私は、それよりもまず、ENEOSが三菱商事と提携をされたということ、それから、何より経済産業省の補助金が下りることが正式に決まったということから、このSAFの事業が確実に実施されることが決まったということで、喜びを強く感じたものでありますということをまずもって申し上げておきたいと思います。
 今、上山議員も御指摘いただきましたとおりでありまして、2022年1月の和歌山製油所の製油所機能停止の発表以降、和歌山県、ENEOS、有田市、海南市、経済産業省をメンバーとする和歌山製油所エリアの今後の在り方に関する検討会が設置されまして、議論が重ねられてまいりました。その後、同年11月に、和歌山製油所でSAF、持続的な航空機燃料の製造に関する事業化調査を行うと、ENEOSから発表がございました。
 さらに、2023年9月には、検討会の中間取りまとめとして、和歌山製油所のエリアを未来環境供給基地と位置づけ、カーボンニュートラルを先導するGXモデル地区を目指す、そのような方針が公表されるなど、和歌山が日本国内におけるSAFの製造拠点となるための取組が進められてまいりました。そして、今回の発表に至ったわけであります。
 一つが、先ほど申し上げましたENEOSと三菱商事の両者で、和歌山製造所でのSAF製造の検討に関し、事業化調査の次の段階であります基本設計を共同で実施することが合意されました。そして、何よりSAFの原料調達に大変強い三菱商事の参加により、より強固なSAFの供給体制の構築が期待されます。
 もう一つは、先ほど申し上げましたENEOSが経済産業省の補助金であるSAFの製造・供給体制構築支援事業に採択されたことであります。これによりまして、SAFの製造設備への投資に要する経費について、国の助成が取れることになりました。
 なお、製造開始時期が2028年度以降と2年程度後ろ倒しになりますけれども、これは、昨今のカーボンニュートラル関連投資の増加によりまして、エンジニアの不足、人手の不足の影響が大きいと聞いております。ENEOSからは、この2年間も構内の工事が止まるわけではない。引き続き、無害化工事やタンクの撤去工事などを継続していただきまして、地元の雇用への影響には配慮が行われると聞いております。
 したがいまして、先ほど申し上げましたが、今回の発表は大変ありがたいことでありまして、国の支援もいただいて和歌山でのSAF事業が確実に実施され、今後も強力に推進されることが約束されたものと理解しております。
 和歌山県といたしましては、未来環境供給基地の実現に向けまして、SAF事業ができるだけ早期に開始され、また、さらには合成燃料などの他のGX事業も実施していただけるよう、引き続き全面的に協力をしてまいりたいと考えております。
○副議長(堀 龍雄君) 上山寿示君。
  〔上山寿示君、登壇〕
○上山寿示君 ただいま知事から、県としてもしっかりとサポートをしていくとの答弁をいただきました。
 今回、ENEOSは、SAFの製造を三菱商事と共同で行うことを発表し、2028年度以降、年間30万トンの製造を目指すとのことです。SAF事業の開始に向けて、地元の協力業者が引き続き事業を維持、発展できることが、有田市のみならず和歌山県全体の成長にもつながることと考えます。
 その役割が時代とともに変わり、今、まさに脱炭素社会のモデルケースとして生まれ変わろうとしています。和歌山県がこの変革をリードし、カーボンニュートラルの最前線に立つことで、全国の地域経済活性化の手本となることが期待されます。県として、しっかりとしたビジョンを描き、このプロジェクトを支えていただき、引き続き県のリーダーシップをお願いしたいと思います。
 続きまして、2問目、ロケット、宇宙産業についての小項目の1のカイロスロケットの打ち上げについてをお伺いいたします。
 先日、新島議員と堀副議長と私は、種子島宇宙センターでロケット打ち上げ施設の視察調査を行い、現地での高度な技術力や運用体制、さらには地域経済への波及効果を実感いたしました。こうした視察調査を通じて、宇宙産業の可能性を改めて強く認識するとともに、和歌山県が出資しているカイロスロケットについて質問いたします。
 今回のカイロスロケット2号機の飛行中断について、スペースワン社は、現在、原因究明の調査を行っており、再発防止策を検討していくこととなるかと思います。今後の打ち上げ計画の具体的なスケジュールや見通し、次回の打ち上げはいつを目標とするのか、また、1号機と2号機の技術的な違いは何かなど、今回の失敗から得た教訓をどのように3号機以降に生かしていくのかが非常に重要ではないかと思います。また、こうした課題を克服するために、国内の宇宙開発をリードするJAXAとの技術的な連携や情報共有の可能性についても考えていく必要があると思います。
 和歌山県は、スペースポート紀伊の開発及びカイロスロケットの打ち上げ事業を支援し、地域振興や経済発展を期待していますが、特に、地元企業の活性化、雇用創出、観光誘致といった具体的な成果が出ることに期待しています。ロケット打ち上げ事業の成功には、長期的な視点が必要です。県として、期間を見据えて支援を継続する必要があります。さらに、民間ロケット事業は高リスクな分野ですが、和歌山県が支援を続けることで税収増、企業誘致、観光促進などが期待されます。
 一方で、万が一、事業の継続が困難となった場合のリスクマネジメントや撤退基準についても考えなければなりません。加えて、今回の打ち上げ失敗が県の宇宙産業振興にどのような影響を及ぼすのか、懸念するところでございます。
 今回の打ち上げ失敗を受けて、打ち上げ結果の検証と今後の見込みはどうなっているのか、知事に御説明をお願い申し上げます。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 カイロスロケット2号機につきましては、天候の影響によりまして2回延期された後、12月18日、打ち上げられました。今回は、人工衛星の軌道投入というミッションの達成には至りませんでしたけれども、1段目のロケットは成功、人工衛星を覆うフェアリングの分離も成功、そして、高度は110キロメートルまで上昇し、これは宇宙空間に到達したわけでございます。初号機よりは格段に前進をいたしました。成功は、数多くの挑戦の積み重ねに基づくものであり、僅か9か月で2号機の打ち上げにこぎ着けられたスペースワン社のチャレンジ精神には、改めて敬意を表したいと存じます。
 なお、スペースワン社では、打ち上げ直後に豊田社長を本部長とする対策本部が立ち上げられ、現在も飛行中断となった原因究明を行っておられると聞いております。今回の原因につきましても、あらゆる角度からしっかりと調査、検証した上で、次回の打ち上げに万全の体制で臨んでいただきたいと考えております。
 また、昨年3月の初号機の飛行中断の原因につきましては、昨年8月、宇宙シンポジウムin串本、さらには記者説明会といった公の場で、スペースワン社から直接原因の説明がございました。2号機についても、同様に公の場で御説明をいただきたい、そのように考えております。スペースワン社と連携をしながら、原因が究明され次第、速やかに公の場で皆様にお知らせできるようにしてまいりたいと存じます。
 和歌山県としては、これからもスペースワン社の取組を全力でサポートするとともに、近い将来、打ち上げ及び衛星の軌道投入が成功することを期待しているところでございます。
○副議長(堀 龍雄君) 上山寿示君。
  〔上山寿示君、登壇〕
○上山寿示君 ただいま知事から、県としてもこれからもスペースワン社を全力でサポートしていくとの答弁をいただきまして、私も全力で応援していますので、これからもよろしくお願いいたします。
 続きまして、小項目2項目め、宇宙産業の集積に向けた取組についてを質問いたします。
 今回の宇宙産業の集積に向けた取組について、県は、昨年4月に策定したわかやま成長産業開拓ビジョンにおいて、和歌山の将来を担う成長産業の一つとして位置づけ、ロケット打ち上げの成功によって観光需要の増加や関連企業の進出が期待されるとしています。
 県としては、スペースエントランスとして宇宙産業の拠点を目指すとのことでございますが、他県との差別化や和歌山県ならではの強みをどのように生かし、宇宙産業の集積を実現していくのか、具体的な戦略を知事にお伺いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 宇宙産業は、将来の市場成長性やロケット射場がある和歌山県との親和性が極めて高く、昨年4月に取りまとめましたわかやま成長産業開拓ビジョンにおきましても、和歌山の将来を担う成長産業の一つとして位置づけたところであります。
 今後、ロケットの打ち上げが成功し、恒常化して年間に何十機も打ち上がるようになれば、観光需要に加えまして、例えば、組立て工場ですとか部品工場、さらには衛星データ活用ビジネスなどの集積や県内企業の参入促進など、紀南地域を中心とした宇宙産業の裾野の広がりが期待できると考えております。もっとも、そのためには人材の供給も必要ですので、中長期的には、紀南でこういう宇宙産業のエンジニアとなるような工業高校、工業科、宇宙製造科、そういう人材を育成するような機能を充実させなければならないと考えているところでございます。
 一方、現時点におきましては、こうした期待を実現させるための道筋が見いだせていないため、カイロス2号機が打ち上がり、成功の予感がかなり高まったこのタイミングで、紀南地域の市町村と連携して、まず手始めにということなんですが、和歌山での宇宙産業の集積に向けた具体的な宇宙アクションプラン、行動指針の策定に着手をしたところでございます。このアクションプランでは、宇宙輸送や衛星製造等のハード、衛星データ利活用等のソフト、人材、観光といったテーマごとに、2040年に和歌山県が目指す姿と2030年頃までの中期的アクションを定める方向で現在、検討を進めております。
 今後は、紀南地域の市町村に加え、企業、有識者の意見も伺いながらアクションプランを取りまとめ、将来的には、この和歌山の地が宇宙と関わるあらゆる企業や人が集い、夢を実現するスペースエントランスとなることを目指して、全力で取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(堀 龍雄君) 上山寿示君。
  〔上山寿示君、登壇〕
○上山寿示君 本県が宇宙産業の成長拠点としての道を歩き始めたことは、大きな可能性を秘めていると感じております。カイロスロケットの挑戦や宇宙アクションプランの策定、さらにはグリーントランスフォーメーションを取り入れた持続可能な産業構築を通じて、和歌山が宇宙産業の未来を切り開いていくことを期待しております。
 また、串本古座高等学校の宇宙探究コースのように、次世代の宇宙技術者や研究者を育成する取組も重要でございます。教育と産業が連携することで、和歌山発のイノベーションが生まれ、地域に根差した宇宙産業の発展がさらに加速することとなると思います。もちろん技術的な課題や産業集積の難しさもあるかもしれませんが、それを乗り越えることで新たな雇用や地域の活性化につながり、多くの人々に夢と希望を与えることができるはずです。また、GXの視点を取り入れることで、環境負荷を低減しながら次世代の宇宙開発に還元することも可能となります。
 これからも、県が企業や地域、教育機関と一体となり、和歌山が宇宙産業の中心地として発展するとともに、GXの推進によって持続可能な社会の実現に寄与することを願い、引き続き注目し、応援していきたいと思います。この件については終わります。
 続きまして、次の質問に入ります。
 3問目の質問、温州ミカンの安定生産対策についてでございます。
 1項目め、2024年産ミカンの生産販売状況と今後の高品質安定生産に向けた取組についてを質問いたします。
 近年、全国的に異常気象の影響が強まり、特に2024年度は、夏の猛暑と少雨により、多くの果実生産地で収穫量が減少する傾向が見られました。温州ミカンの市場価格は、前年同月比で35%上昇し、果実全体の供給不足が深刻化しています。また、果樹生産においては、高温障害による果実の変形や品質低下、害虫(カメムシ)などの大量発生が大きな問題となっております。
 和歌山県においても、高温障害の影響は顕著であり、特に県の主要作物である温州ミカンや紀州南高梅では収穫量の減少が報告されております。温州ミカンは、全国のトップ産出額を維持しているものの、裏年の影響と異常気象による不安定な収穫量が課題となっております。さらに、紀州南高梅に関しましては、平年比で約5割の不作が確認されており、高温と異常気象の影響が深刻であることが明らかとなっております。
 昨年は、猛暑と雨量が少ない影響により、全国的に果物の供給が減少し、ミカンの市場価格も高めとなりました。同様に有田地方においても収穫量が減少しましたが、ミカン農家の方からは、今年に入り、価格が上昇してよかった話をよく耳にいたしました。「この値段やったら、子供に後継いでくれって言えるんや」、そんな本当にうれしい声を多く聞きました。
 具体的には、昨年の10月初旬には1キロ当たり370円程度だった価格が中旬には560円ぐらいにまで達し、そこからまた徐々に価格が460円ぐらいまでに下がったとの話を聞きました。平年同時期の価格が1キロ当たり300円なので、平年比153%ぐらいになったとの話を聞きました。令和6年度の有田みかんは、過去に例を見ない高値で推移し、他の産地の出荷減や他の果実の供給不足が影響したこともあり、有田地域が市場で重要な供給地として評価されたことが価格上昇の要因となりました。
 有田みかんは、約400年前から続く歴史を持つ日本有数のブランドミカンです。その起源には諸説があり、天正2年に紀州侯の命を受けた庄屋の伊藤孫右衛門が肥後、現在の熊本県から小ミカンの苗木を持ち帰ったことが始まりとも言われております。その後、江戸時代に紀州侯の庇護を受け、本格的な栽培が始まりました。有田地域の温暖な気候、日当たりのよい急斜面、適度な降水量などの自然条件が高品質なミカンの生産に適していることがこの地域の発展を支えてきました。
 全国的な不作傾向の中、和歌山県産ミカンの品質が評価されていることは大変喜ばしいことですが、生産量の減少が続けば、市場でのシェア縮小や産地としての競争力低下が懸念されます。このような状況の中、県として、2024年産ミカンの生産販売状況を踏まえ、今後の高品質安定生産に向けた取組をどのように進めていくのか、農林水産部長にお伺いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 農林水産部長立石 修君。
  〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 2024年産温州ミカンは、夏の高温による果実の日焼けやカメムシの吸害等の影響で、3月3日現在のJA系統扱いの出荷量は、前年同期比87%の4万6882トンとなっております。全国的な不作傾向の中、本県産ミカンは糖酸のバランスがよく高品質な果実に仕上がり、厳選出荷を徹底したこともあり、市場価格は、前年同期比135%の1キログラム当たり398円と過去50年で最高の単価になっております。
 今後の生産対策については、昨年の高温や本年の寒波による木へのダメージを回復させるための適切な施肥やかん水により、着葉数を確保するなど、木の栄養状態を健全に保つよう栽培管理を指導してまいります。
 また、カメムシ対策については、4月から10月までの期間、県内3か所に設置する予察灯で誘殺されたカメムシの数を毎日計測しているところであり、多発傾向が見られたときは、速やかに病害虫発生予察注意報などを発表し、農家の適期防除を支援してまいります。
 さらに、ゆら早生や田口早生など、優良品種への改植に加え、糖度を高めるためのシールディング・マルチ栽培などの導入を推進し、高品質果実の生産を支援してまいります。
 今後も、JA等と連携しまして、厳選出荷の徹底と市場ニーズに対応した高品質ミカンの安定生産に取り組んでまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 上山寿示君。
  〔上山寿示君、登壇〕
○上山寿示君 御答弁ありがとうございます。JAとの連携やその安定生産に向けた今後の取組に、しっかりとまた取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 小項目の2、温暖化に対応した品質向上の取組についてを質問いたします。
 近年の高温は、昨年のような夏場の猛暑だけでなく、春先や秋口、冬場の気温も上昇するなど、1年を通じて影響を受けることがあり、栽培管理がより難しくなってきており、農家の努力だけでは対応し切れないことがあります。
 今後の気候変動を見据えた品質改良や技術導入について、県としてどのような取組を検討されているのか、農林水産部長にお伺いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 農林水産部長。
  〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 議員御指摘のとおり、近年、夏から秋にかけて高温が続くことが多く、温州ミカンでは、果実の日焼け、貯蔵性や食味に影響を及ぼす浮皮が問題となっております。このため、県の果樹試験場では、炭酸カルシウム剤による日焼けの軽減技術を開発するとともに、国などとの共同研究により、植物成長調整剤を用いた浮皮軽減技術を開発し、県内各産地への普及に努めているところでございます。
 また、これまでも農家やJAと連携して、食味がよく浮皮になりにくい「きゅうき」や「あおさん」等を選抜し、品種登録を支援してきたところでございます。また、おくてミカンとして期待されております「あおさん」については、現在、栽培の適地性や貯蔵性等の試験研究に取り組んでいるところでございます。
 今後も、高温障害対策技術の開発や枝変わり等による優良品種の探索を継続し、JA等と協力しながら、温暖化に対応した品質向上対策に取り組んでまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 上山寿示君。
  〔上山寿示君、登壇〕
○上山寿示君 御答弁いただきました。
 本日は、猛暑対策やカメムシ対策を含め、県としての具体的な施策についてお聞きいたしました。異常気象の影響がますます深刻化する中で、和歌山県の基幹産業であるミカン生産をいかに安定化させ、持続可能なものにしていくかが重要な課題でございます。
 今後の安定生産に向けては、気候変動を見据えた高温耐性品種の開発や精密農業技術の導入による効率的な管理体制の確立が求められます。また、カメムシ対策をはじめとした病害虫防除の強化はもちろんのこと、農家の経営安定化に向けた収益構造の多様化も必要です。そのためには、県と生産者、流通業者が一体となり、新たな販売戦略やブランド化の推進、さらには輸出促進などの取組も強化していくことが重要ではないでしょうか。
 さらに、農業従事者の負担軽減にも目を向ける必要があります。特に夏場の農薬散布作業では、高温の中でかっぱを着て作業をせざるを得ず、農家の方々にとって苛酷な労働環境となっております。
 先人から受け継いできたミカン栽培は、生産の技術はもとより、作業負担を軽減することに取り組んできた歴史があります。一例を御紹介いたしますと、1958年(昭和33年)に有田市の千田東果樹園共同かん水組合におけるタンクを山頂に設置し、地下水をポンプアップし、タンクにためた水を流下させる大がかりなかん水施設が完成し、ミカン園では全国初となるスプリンクラーによる共同かん水が開始されました。このかん水施設ができるまでは、この地域では、干ばつによる影響で品質の劣化や樹勢への影響が問題視されていたと農事者の知人から伺ったことがございます。地域の農業者の方々が知恵を出し合い、共同で対策を行うことで、その地域で栽培されるミカンの品質を担保することができ、また、個々で行うより、作業面においても効率化、労働力の軽減につながった大きな功績であったと思います。このことを契機に、有田地域をはじめ全国的にスプリンクラーによる共同かん水が広がっていったと認識しております。
 このような現場の負担を軽減するために、今後は、ICTの活用や冷却装置の導入、自動化技術の促進など、新たな技術を積極的に取り入れる必要もあるのではないでしょうか。加えて、猛暑による果実の肥大不良や品質低下を防ぐためには、適切なかん水対策が重要です。高温と少雨の影響で土壌の乾燥が進むと、果実の発育が阻害されるだけでなく、木自体の衰弱を招くおそれもあります。そのため、ドリップかん水やミスト散布など、効率的な水の管理技術の体制を整えることが求められます。当然、世界農業遺産の認定を見据えて、将来のミカン産業の維持、発展のためにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。認定された直後に、ミカン農業が急速に衰退するようなことは断じてなりません。
 今後、和歌山県の豊かな農業を未来へと引き継ぐためにも、生産者が安心して持続的に農業を営める環境を整えることが不可欠です。県としても、安定生産と労働環境の改善、さらには猛暑対策の充実に向けた施策の推進と併せて、また、農道・農業用施設等のインフラ整備についても、効果的な施策の展開に期待を申し上げまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(堀 龍雄君) 以上で、上山寿示君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い質問させていただきますが、その前に、私事で大変恐縮なんですが、今日、私の70回目の誕生日でございます。ありがとうございます。(拍手)
 唐の詩人、杜甫の詩の一部でありますように「人生七十古来稀なり」と、つまり70年生きる人は古くからまれであるということで、当時と今とは違いますが、私の身近であった明治生まれの祖父も、昭和1桁生まれの父も、そして、大正生まれで、私が政治の師と仰ぐ、今も和歌山県のために生きております半島振興法を命がけで議員立法させた玉置和郎先生も皆、60代で亡くなっていることを思うと、改めて自分より若かったんだなあと感慨ひとしおであります。しかし、私は、「健康長寿日本一わかやま」の実現を提唱しているだけに、何としても人生100年、元気に生きなければならないと使命感を持って日々過ごしております。
 それはともかく、私が生まれてからこの70年間、いつも問題提起している和歌山県・和歌山市の人口の変化を時代の流れに沿って見てみますと、これについては皆さんもぜひ自分の人生と併せて考えていただきたいんですが、私が生まれた1955年、昭和30年ですが、翌年の経済白書には「もはや戦後ではない」と、戦後復興期を終えたとも言える言葉が記されています。1955年(昭和30年)には、和歌山県──以下、県ですね──県の人口は、国勢調査によると100万人を初めて超え100万7000人に、和歌山市(以下、市)の人口は22万人でした。その後も人口は増え続け、東京オリンピックの翌年、1965年(昭和40年)には、県は102万7000人、市は32万9000人、高度成長期を経て、前回の大阪万博から5年後の1975年(昭和50年)には、県は107万2000人、市は39万人と勢いよく増え続けました。そして、私が大学を卒業した翌年で、初の衆参同日選挙があった1980年(昭和55年)には、県は108万7000人、市は40万1000人で、最多人口では、推計で県市とも同じく1982年(昭和57年)に、県は109万1000人、市は40万3000人になりました。県市ともにそこを頂点に減少し始め、一方、国全体では2008年(平成20年)を頂点に減少し始め、本格的な人口減少期に入りました。つまり、県市とも、国より26年早く人口減少が続いているということであります。
 ちなみに、直近の国勢調査の2020年(令和2年)では、県は92万3000人、市は35万7000人となり、本年、2025年(令和7年)10月が国勢調査となりますので、まだ最新のデータは出ておりませんけれども、前回の国勢調査を基にした人口推計では、今年1月1日現在、県は87万7000人、市は34万4000人になり、最多期から比べると、県で21万3000人、市で5万9000人が減少しているということになります。しかし、あと25年後の2050年(令和32年)には、県は63万2000人、市は28万人になるという国立社会保障・人口問題研究所の人口推計も出ていることは、昨年9月議会で私が提示したとおりであります。
 しかしながら、人生100年時代、「健康長寿日本一わかやま」を主張しておりますので、2050年には私は95歳ですが、元気に生きて、この和歌山県・和歌山市のそのときの姿をはっきりと見極め、さらに5年生き切って人生を終えたいものだと思っております。
 さて、それでは、質問に入らせていただきますが、今回は少々趣を変え、国政レベルの話から入らせていただきます。それは、年収103万円の壁ということについてであります。以下、年収という言葉は省略をいたします。
 その言葉は、既に皆さん御存じのとおりだと思いますが、私ども国民民主党が昨年10月の衆議院総選挙において強く訴え、多くの支持をいただいた政策スローガンであります。実際に、それまで衆議院議員7名の小政党でありましたが、一挙に4倍の28議席を得、本来ならあと3議席、比例で得ていたはずですが、党の資金・人材不足もあり、他党に3議席をお渡しした次第です。それでも結果として、選挙前は想像していなかった議席を得、また、比例での得票数がその前の259万3000票から617万2000票と2倍以上の票を頂きました。
 選挙後、自公政権が少数与党になったこともあり、この103万円の壁の話題が続き、ついに自民党、公明党、そして国民民主党の3党幹事長会談において、2025年度より178万円を目指すという幹事長合意書まで交わされたことも、皆さんよく御存じのとおりであります。しかし一方、3党政調・税調会長会議において、自公与党から103万円を123万円という打診がありましたが、それでは民意を酌んでいないと国民民主党が席を立ったのが昨年の12月17日でありました。その後、紆余曲折があり、まだ参議院での審議は終わっておりませんが、自民・公明・維新の合意の下、新たなる案で決まることはほぼ間違いないと思います。
 今回の3党協議の中で、与党側から出された懸念は、それだけ基礎控除を上げれば、国・地方合わせて税収が7兆円から8兆円減収になるということでした。各都道府県知事が自分の県の減収額をすぐに算出しコメントなどを発表する中、11月26日の朝刊で和歌山県の岸本知事は、「財源の裏づけのない政策を進めるのは政党として無責任」という至極真っ当なコメントを出されたので感心したのですが、その後、よくよく考えてみると、たしかこの方は、つい2年余り前まで国民民主党の幹部をされていて、実質的には玉木雄一郎代表を支えナンバー2であったと私は思うので、はてと思いました。
 その日、私と同じく岸本知事を代議士時代から応援してくれていた方から、「高典さん、どうよ。周平さん、国民民主党と違うたんかい」と強い口調で言われましたが、私は一応、「立場が変われば考えも変わるんでしょうね。君子豹変するということじゃないでしょうか」と言葉を濁しました。その後、岸本知事が代議士時代には応援してくれていなかった他党の支持者の方から、私に対して、「岸本さん、ようあんなに平気で変われるもんやな」と嫌みを言われました。その言葉に対して、私は「君子危うきに近寄らずでしょうね」と答えておきました。
 物価高騰に苦しむ国民のため、対決より解決と、国民民主党は決して自公与党や財務省を敵に回しているわけではありませんが、今、岸本知事にとって、この政党は危うい存在に映るのかもしれません。この辺はいかがなものでしょうかと聞きたいところですが、これは質問ではございませんので、答える必要はございません。
 ちなみに、ちまたのうわさはともかく、ここで、皆さん御存じかと思いますが、国民民主党が主張する103万円の壁の内容を簡単に説明させていただきます。正直、私が玉木代表からこの話を聞いたとき、これはアルバイト学生とその人たちを雇うお店の救済策程度にしか思っておりませんでした。つまり、年間103万円以上のアルバイトをすると、所得税がかかるだけではなく、親の特別扶養控除から外れ、親にも税負担がかかってくるということぐらいにしか認識はありませんでしたが、実は、そこに表を添付しておりますけれども、御覧いただければ一目瞭然のとおり、大型減税政策なんですね。つまり、ここであるように国民民主党案では、103万円から178万円は基礎控除を48万円から123万円にするということで、学生アルバイトやパートだけではなく、全ての働く人の課税対象所得が減って減税の恩恵が広く及ぶということであります。
 基礎控除は、憲法第25条の生存権を保障するための制度で、生きるために最低限必要なコストを賄う所得から税金を取らないという考え方に基づいているものです。だからこそ、インフレによって生きるコストが上がるときには、基礎控除の引上げが必要であります。ちなみに、1960年代には毎年、また、1970年代でも2~3年に一度は基礎控除の引上げが実施されていたということであります。ですから、この問題は、財源論ではなく生存権の問題であるということであります。
 財源論の問題をあえて触れるならば、昨年、一昨年の2年間の平均値でいうと、予算に計上したものの結局は使われずに残した予算が2年間の平均で9.1兆円、逆に税収入は平均で4.2兆円の上振れ、つまり想定より多く入ってきたということで、使わない予算の9.1兆円、入ってきた税収は想定より4.2兆円多いので、基礎控除の引上げ分の減収分を十分補えるということであります。
 ここで、国民民主党が訴えるように、手取りが増えれば消費も活性化し、企業の売上げも伸びて持続的な賃上げも可能になるでしょうし、そうすれば、法人税も所得税も消費税ももっと伸びることだと思います。
 翻って、和歌山県は、特に昨年9月議会で私がこの場で発表したとおり、共働き世帯の所得が全国47都道府県庁所在地で、言葉を換えれば、県内一所得が高いと言われる和歌山市が青森県青森市、沖縄県那覇市に次いで3番目の低さで、手取りを増やすことが、改めて言うまでもなく、人口の大きく減少している本県にとっても活性化の大きな材料になると確信しておりますが、知事の103万円の壁についての現時点における見解をお聞かせください。
○副議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 浦口議員の御質問にお答えをしたいと存じます。
 御質問の趣旨は、これはすべからく国政に関わる問題でございますので、知事としての答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、私の最も尊敬する県会議員のお一人である浦口議員の御質問でありますので、あえて一政治家として見解を述べたいと思います。
 今、年収103万円の壁とおっしゃいましたが、これは壁ではございません。1万円年収が上がり、103万円働いた方が104万円になりますと5%、500円所得税を納めていただくということで、手取りは9500円増えます。壁ではございません。これは、浦口議員もおっしゃいましたように、例えば大学生を持っておられる保護者の所得控除に影響を与えるということで、今回改正をされました。これは正しかったと私は思いますけれども、壁は106万円であり、130万円の年金の第3号被保険者問題であり、これは明らかに手取りが減ります。保険料を払わずに年金がもらえるという非常に不公平な制度でありますので、女性活躍を標榜する以上、一日も早く廃止をしていただくということを望むわけでありますし、これは国民民主党も御同意いただけるのではないかと考えております。
 その上で、これも浦口議員のおっしゃるとおりで、国民民主党の御提案は要するに、減税という政策であります。減税という政策を政党として主張されるのについては、一つの経済政策でありますからこれは御自由であります。ただし、減税いたしますとお金がなくなります。財源の手当てを同時に提案するというのが責任政党のあるべき姿であると、私は考えております。
 今、浦口議員がおっしゃった、この2年間、予算が余っているというのは、これまでにないような予算編成の仕方をされているだけでありまして、過剰な予備費を積み、あるいは、これは従来からやっていますけれども、国債の金利を過剰に積んでいるんです。金利が1%なのに、昔は0.1兆円だったのに1.5兆円とか2兆円を積んで空振りで、それを補正予算の財源に回すということで、決して健全な財政の運営の仕方ではなく余っているということであります。その上で、税収が上振れましたと。景気がいいときは上振れるんです。景気が悪いと下振れるんです。恒久財源ではないんです。どちらにしても恒久財源ではないものをおっしゃるということについては、全く理解ができかねます。
 しかも、国民民主党は、交渉の過程で財源については知らないと、与党が考えろと、我々は野党だから、財源は与党で、我々は知らないというような態度をお取りになりました。だから私は、記者会見で「それは責任政党のていをなしていない」と申し上げたわけであります。もし仮に、私が今なお国民民主党に残っていれば、こんなことは絶対させませんでした。(拍手)
○副議長(堀 龍雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、大変力強いお言葉、ありがとうございました。
 私は、知事が国民民主党和歌山県連の代表をされていたときに、10年間、幹事長としてずっと共に、下で働かせていただきました。そのときに、当時の代議士から一言も財源論という話は聞いたことがなかったもんですから、決してこれは嫌みじゃないんですが、やはり知事といえば、そういうようなことをやるんだなと改めて感じたものでございます。
 この税制の問題については、私、最初に申しましたように、これは国会で決めることでありまして、私自身、ただ、この103万円の壁というスローガンに、いろいろ調べてみたり見聞きする中で、やっぱりいろいろ勉強させられました。税ということについても我々は、もうあって当たり前みたいな、取られて当たり前みたいに思っていたのですが、これ、そういう機会を与えただけでも、今の財源論の話は別としまして、国民民主党の効果もあったのじゃないかなと思いますし、今、知事が言われたように、親の特別扶養控除についても、103万円だったのが150万円まで上がったということも事実でありますので、これから、ぜひともこれは、独り国民民主党の問題だけではなく、国民全体がやっぱり考えていっていただきたいと思いますので、ぜひそのことを、これを通して県民の皆さんにもお願いしたいと思います。
 それでは、2問目に移らせていただきます。
 それでは、和歌山の経済再生について、IR誘致について。
 さて、1月27日、28日の2日間、人権・少子高齢化問題等対策特別委員会の視察調査で岡山、兵庫を訪れ、初日の夜は岡山駅前のホテルに宿泊をいたしました。その夜、委員会のメンバーで会食し、いろいろと語り合った後、もう10時を過ぎておりましたが、私は1人で夜の街に出かけました。岡山駅前に広がる歓楽街を約1時間ほど歩き回って驚いたのは、その人の多さであります。もちろん岡山市は、和歌山市の2倍ほどの人口がいるとは聞いておりましたけれども、地元の人に聞くと、別にもう一つ大きな歓楽街があり、そこもにぎわっているということでした。さすがにそこまで足を運ぶことは当日できなかったのですが、私自身、視察に出たとき、夜の街を見て回ることが多く、最近では岩手県の盛岡市や広島県の福山市、それに熊本市など、1人や議員仲間と歩き、今回もそうでしたが、和歌山最大の歓楽地、アロチと比べて、どこも人の多さに驚きの連続でありました。東京一極集中で地方は衰退していると言われて久しいですが、私の知っている限り、和歌山のアロチほど人の出ていない歓楽街は、特に県庁所在地だけではなく、地方都市でも珍しいのではないでしょうか。
 歓楽街のにぎわいは、その地域の景気のバロメーターと言ってもよいと思います。以前、県議会でも、川畑県議が夜の街活性化委員会なるものを立ち上げ、その委員長として和歌山のアロチを中心に活性化を図ろうと頑張ってくれておりましたけれども、肝腎の川畑県議が最近大変おとなしくなってしまい、いつぞや耳にしなくなってしまいました。これは余談です。
 実は、2020年2月から始まったコロナ禍のときに、私の行きつけのアロチの飲食店が大変苦しい思いをし、何軒か給付金のことで相談も受け、微力ですが、お手伝いをさせてもらったことがあります。他の議員の皆さんも、そのような経験をされていると思いますが、あの苦しい4年近いコロナ禍を何とか耐えた飲食店でも、その後、お客さんが戻ってこないと言い、昨年末で私の知り合いのアロチで20年以上やっていた飲食店が3軒廃業しました。また、ほかの飲食店の経営者に聞くと、「テナントで入っている店で看板の明かりがついていても、既に廃業している店が何軒もあるよ」ということでありました。もちろん岡山でもそうかもしれませんが、私がこの目で見た限り、和歌山のアロチと比べものにならないぐらいのにぎわいがございました。
 それは、2019年(平成31年)2月議会で提示した、1985年から2015年までの30年間で、全国47都道府県庁所在地で和歌山市の人口減少率が長崎市に次いで2番目に高いということ、また、先ほども述べましたように、共働き世帯の所得がコロナ前の2019年からでも、やはり全国47都道府県庁所在地で青森市、那覇市に次いで3番目に低いということも、その実態を表しているものであると思います。
 そこで、和歌山県、特に和歌山市の経済再生についてですが、人口減少率がこの30年間で全国で一番高い長崎市は、三菱重工の撤退、同じく2番目に高い和歌山市は、住友金属、現日本製鉄の縮小などが大きな原因であると考えられます。それだけに、それらに代わり得るものは何かと考えれば、学校や新しい産業の誘致が絶対に必要であると思います。幸い、前知事や尾花和歌山市長の御尽力で、和歌山市内には三つの大学と新たに一つの学部がここ数年で開学し、2015年から2020年までの人口減少は以前より緩やかになったということですが、まだまだ人口減少にストップがかかったというところまではいっておりません。
 それならば、新しい産業ですが、これまで和歌山市から有田市までの地域経済を支えてきた重化学工業をもう一度というわけにはいかないことは、火を見るより明らかであります。そこで考えられるのは、豊かな自然と歴史・文化、そして地場の食材を生かしたグルメなど、観光産業ということになります。
 それには、インバウンドの誘致ということになりますが、世界遺産の関係で、高野山や白浜へのインバウンドの数に比べて和歌山市は少なく、インバウンドの宿泊客は、年間、高野山で9万4000人、白浜温泉、椿温泉では7万9000人、和歌浦、紀三井寺、和歌山城などでは7万人ということで、一見多そうな数字でありますけれども、これは、京阪神で宿泊できなかった人たちが和歌山市内のホテルに宿泊し、翌日、和歌山市の観光ではなく、すぐに京阪神に向かう人が多いということを私もよく耳にしております。昨年12月議会で、片桐議員がその辺のところを詳しく説明し、誘客のためには大型リゾート施設をという話もありましたが、それもなかなか難しいという知事の答弁がございました。
 そこで、思い出すのは和歌山IRであります。この件については、一昨日、玄素議員が質問し、翌日の読売新聞和歌山版にも「IR整備 県は興味ある」という大きな見出しで載っておりましたが、私は、玄素議員がIRの賛成派だったということを初めて知りまして、大変失礼いたしました。
 しかし、ここで、あえてIR誘致に堂々と賛成した立場で申し上げますと、知事の言われるとおり、IR誘致によって懸念すべき点も数々あると思いますけれども、言葉を選ばず思い切った言い方をしますと、私が以前から言っていますように、また、先ほども申しましたように、和歌山県は人口激減、超高齢先進、若者大量県外流出、そして低所得全国屈指で、県財政も財政危機警報を出され、このままでは3年後に県の貯金もなくなり、新たな財源も考えなければならないと知事自身がこの場で言われていましたが、まさに今、積極的に和歌山IRも含め、新たな財源を生み出す手段を考えなければならない危機的状況にあると私は思っております。
 そこで、岸本知事、昨日の林議員の高校無償化や夫婦別姓の答弁でも使い分けをされておりましたけれども、県としてではなく、政治家・岸本周平としてのIRについての御見解をお聞かせください。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 IRについてお答えする前に、一言、先ほどの御発言について申し上げたいことがございます。私自身、民主党から最後国民民主党まで5期、国会議員をさせていただきましたが、国会の各種委員会では、政策に伴う財源の必要性、財政の健全性については度々発言をしておりますこと、それから、民主党をはじめ最後国民民主党でしたけれども、税制調査会の幹部をしておりましたが、常に税制調査会の場では政策に伴う財源の問題と健全財政について発言したことについて、念のために申し上げておきます。
 その上で、本当に元の仲間として申し上げたいんですけれども、政策には財源が必要なんです。ぜひ浦口先生が先頭になって、真っ当な責任政党に戻っていただくように、ぜひ御尽力いただくことをお願いした上で、IRの御質問にお答えしたいと思います。
 まず、これは知事としての答弁でございます。一般論といたしましては、IRが県内に整備され、仮に大きな経済波及効果と雇用効果が発生すれば、本県経済の活性化につながる可能性はございます。
 一方で、県民の皆様からお話を伺いますと、カジノができることで、ギャンブル依存症患者の増加、あるいは治安の悪化、施設周辺地域の深刻な交通渋滞などが発生するのではないか、さらには、IR関係以外の事業をなさっている中小零細企業の皆さんが人材確保ができなくなるのではないかといった根強い懸念があると認識しております。
 このことに加えまして、2022年4月に県が長い期間と多くの予算、人員をかけて取りまとめたIR区域の整備に関する計画を国へ認定申請するに当たり、県民の代表である県議会において反対多数で否決されたことを踏まえると、今後、新たな区域整備計画を申請する場合には、十分な検討が必要であると考えております。
 そのようなことから、県としては、仮に国による再公募があれば、IR誘致の賛否についてゼロベースから十二分に時間をかけて、県民全体でオープンに議論をしたいと考えております。現時点では、国は再公募の実施を明言しておらず、自治体の状況を注視するとの見解であります。なお、昨年11月の国からのアンケート調査に対しては、今、私が申し上げたような方針を回答したところでございます。
 現時点では、国は再公募の実施を明言しておらず、自治体の状況を注視するとの見解であることから、県としては引き続き、国の動向など、IRに関する情報収集に努めてまいりたいと存じます。
○副議長(堀 龍雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、どうもありがとうございました。
 私は、IRだけに全然こだわっているわけではないんですが、ただ、知事が財政危機警報と、仁坂県政から変わった後、急に言われ出したんで、我々本当にびっくりした限りなんですけども、もちろんそういう状況というのは数字で示していただけたらよく分かってきたんですが、ただ、私どもがお願いしたいのは、この財政危機警報で県会議員や県職員や県民に危機感を訴えるのはいいのですけれども、やっぱり知事として、これは唯一の立場でございますので、夢と希望を県民、県職、県会議員に与えるような大きな事業というか、ぜひそれを考えていただきたいし、そのために汗をかいていただきたいなと、これは要望いたしております。
 IRについては、インターネットなんかに載っていますけども、実は私、もう既に国交省のほうにも確認したんですよ。そしたら、あえて誰に聞いたとは言いませんけども、意欲満々というか、十分意欲を持っているんですね。それだけに、そんな情報はもう各都道府県の自治体に入っていると思いますし、ネットなんかで見ますと北海道の苫小牧の市長がもう議会のほうを説得にかかったというような経緯もございますので、ぜひとも、どうか頭の片隅というか、いわゆる県の経済を浮揚させるためにお考えいただきたいと思いますので、待ちではなし、攻めに転じていただくようによろしくお願い申し上げまして、この質問は終わらせていただきます。
 次に、最後の質問でございます。
 「健康長寿日本一わかやま」について、健康長寿の実現に向け、この1年間の重点的な取組についてということでありますが、先ほど川畑議員から過分なお褒めの言葉をいただき、大変恐縮でございますけれども、必ずと言っていいのか、私、この10年余り、この問題を追いかけております。
 この1月30日、31日の2日間、和歌山市保健所3階大ホールにて、令和6年度和歌山市健康推進員養成講習会が県市共催で開催されました。私自身、この健康推進員の提案者であり、私も和歌山市の健康推進員の講習を受け、市のほうから委嘱状を頂き、その一員になっているのですが、今回は新しく健康推進員になっていただける方を対象に行われるということで、参加人数は9名と少なかったのですが、私もオブザーバーとして2日間一緒に参加をさせていただきました。内容については、その添付されております表2のとおりでありますが、全体的に見て大変すばらしい養成講習で、できればもっと多くの方にこれを受講してもらいたかったなあというのが正直な感想であります。
 特に、日赤の糖尿病専門の金子部長の講義は、表題は「生活習慣病予防について」ということですが、内容は、「目指せ!『100歳までウエルビーイング』」ということで、これから日本社会がどのようになっていくか、特に2040年問題と言われる高齢化が急速に進む一方、医療・介護の担い手が減少していく社会ということを見据え、多様な就労・社会参加や健康寿命の延伸など、図っていかなければならないことがあるにもかかわらず、和歌山県は心疾患の死亡率が全国で男性2位、女性4位と高く、これは糖尿病の症状である高血糖が動脈硬化や高血圧を引き起こすことも関連しているとのことであります。結果として、そのために男女とも平均寿命が全国より短いということで、大変勉強になりました。
 しかも、以前から、私も訴えておりますように、健康寿命を延ばすためには、必要なことはやはり運動であり、それは特に歩数ですね。和歌山県の場合、その歩く歩数が非常に少ない。これも一つの原因として、鉄道の駅の密度が非常に低く、鉄道の数が少ないために、東京や大阪なんかに比べるとJRや私鉄などが網羅されていないだけに、歩くことが非常に少ないということを金子先生も言われておりました。
 この2日間参加して、いろいろと勉強になりましたけれども、さて、ここで考えたのは、講師や指導者からの知識の一方通行ではなく、このような場で学んだことをどのようにして多くの県民の皆さんに伝え、本当に健康で長生きできる和歌山県をつくっていくのかということであります。
 そこで、「健康長寿日本一わかやま」を本当に実現するために、昨年の2月議会において、全体を掌握するには医師でもある雑賀福祉保健部技監に責任を持ってお願いしたいと申し上げたところ、技監も快く了承してくださったと認識しております。そこで、この1年間の取組について、本来ならその雑賀技監にお尋ねしたいのですが、今西福祉保健部長が代わって力強い御答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 県では、県民の健康寿命を延ばし、将来の医療費や介護費用をいかに抑制するかという観点から、今年度においては、骨粗鬆症の予防、啓発に集中して重点的に取り組んでいます。
 本県の2022年度における後期高齢者の疾病分類別の医療費の第1位は、骨折となっています。また、厚生労働省の2022年国民生活基礎調査によると、介護が必要となった主な原因について、認知症、脳卒中に次いで骨折及び転倒が第3位となっていることから、介護予防の観点からも、骨折予防が喫緊の課題であると捉えております。
 また、骨を強くし、骨折を防ぐためには、バランスのよい食事と運動、そして適度に日光を浴びることが大切であり、それを日々継続することは、骨粗鬆症の予防だけでなく、糖尿病や心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病や認知症の予防にも大変よい効果をもたらします。
 そこで、県では、市町村の健康イベント等において骨密度測定会を実施し、測定結果を踏まえた保健師や管理栄養士による食事、運動などの生活習慣の改善のためのアドバイスを実施することとしました。今年度は、県内50か所において骨密度測定会を実施したところ、2000名を超える県民の参加があり、骨密度に対する関心の高さを実感することができました。
 次年度以降も、市町村及び関係機関等と共に、骨密度測定を通じた生活習慣の改善に向けた啓発を主軸に、健康づくりに取り組んでまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございます。
 県内、今、50か所で骨密度の測定会を実施し、2000名以上の方が参加されているということで、すばらしいことだと思いますし、ぜひ続けていただきたいし、私、以前に、いわゆる専門的というわけじゃないんですが、いろいろ調べてみると、要するに運動器の弱体化によって、今言う歩けないことだとか、骨折する可能性が高くなるとかいうことで、いわゆるロコモティブシンドロームというのをお話しさせてもらったことがある。ロコモというんですけども、そのときはここまで話がいっていなかったんですが、骨密度は、私ももちろん大分前にも測っていますし、この間も測ってくれと言って測ったのですが、おかげさまで非常に元気でありますが、それはいいんですけどね。
 ぜひ部長も、いつまでもそこに座っていられると思いません━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━。次にもこれ、もちろん行政というのは継続しなければいけないのですけども、私、今まで、例えば運動ポイント事業だとか、国がやっている健康長寿のコンテストだとか、また、わかやま健康と食のフェスタとか、そういったものにいかに参加して、いかに人を集めて、いかに認識してもらうかということで、いろいろ提言もさせていただきましたし、それなりに実績が上がっているところもあるのですけども、ただ、やっぱり大体3年ぐらいで終わってしまっているんですね。
 続けられればいいんですけど、それが続けられないものですから、結果として、たまたま私、これ口裏を合わせたわけでも何でもないのですが、先ほどの日赤の金子先生が言われたように、非常に心疾患による和歌山県民の死亡率が高いというようなことを、私、そのときぱっと聞いて、あっ、やっぱりそうかなと、まだやっぱり健康に対する意識がそこまで来ていないんだなというのが正直なところでありまして、先ほど川畑議員が沖縄県のことを盛んに言われましたけども、ちょうど私の後ろに尾﨑議員もいらっしゃって、ちょっとひそひそとお話を聞いたんですが、実は私もそれ分かっていたんですが、沖縄県って、意外と今寿命が短くなってきているんですよ。長くなってきているのはどこかいうと、滋賀県とか、長野県はもともとなんですけども、いろんな原因があると思います。
 ただ、やっぱりそこは、和歌山県は和歌山県の原因を探って、いわゆる対症療法でもいいですからきちっとやって、やっぱりずっと続けないと結果として、私もこれ、こんなことを10年余り言わないといけないような状況になってしまいますので、ぜひとも皆さんにも意識を持っていただきたい。私はもう極端に言っています。寝た子を起こしに行かなければ、この和歌山県というのは元気にならないと。和歌山の健康寿命がなぜ短いか。三つ言ってるんですね。いわゆる運動、栄養、社会参加の中で、和歌山県には三つそろっているんです。何かといえば、野菜を食べない、歩くのが嫌、ボランティアが嫌い、この三つなんです。
 これは裏返せば──いや、これは笑い話でも何でもなしに、実際にデータで出ていますから、私は以前、滋賀県と比べたものをここで提示したことがありますけども、やっぱり、どうしたらその足りない部分を直していけるかということも共に考えて、特にこれから福祉保健部の部長になられる方は全体を引っ張っていただいて、特に雑賀技監はしっかりされた方なので、専門的なことを聞いていただいて、一人一人が参加できるような「健康長寿日本一わかやま」を実現できるような場をぜひ県が主体となってつくっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
 本日は、御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(堀 龍雄君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は、3月10日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時19分散会

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