令和7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


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令和7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

議事日程 第5号
 令和7年3月6日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 高田英亮
 2番 上山寿示
 3番 佐藤武治
 4番 鈴木德久
 5番 森 礼子
 6番 濱口太史
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 10番 玄素彰人
 11番 山家敏宏
 12番 鈴木太雄
 13番 岩田弘彦
 14番 吉井和視
 15番 中村裕一
 16番 北山慎一
 17番 坂本佳隆
 18番 中本浩精
 19番 堀 龍雄
 20番 谷 洋一
 21番 新島 雄
 22番 三栖拓也
 23番 川畑哲哉
 24番 秋月史成
 25番 谷口和樹
 26番 山下直也
 27番 山田正彦
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 坂本 登
 34番 尾﨑太郎
 35番 小西政宏
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 藤山将材
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 9番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 総務部長       友井泰範
 危機管理部長     河野眞也
 企画部長       前 昌治
 地域振興部長     赤坂武彦
 環境生活部長     山本祥生
 共生社会推進部長   島本由美
 福祉保健部長     今西宏行
 商工労働部長     大川伸也
 農林水産部長     立石 修
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      高橋博之
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員    岸田正幸
 警察本部長      野本靖之
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
            橋爪正樹
 議事課長       岩井紀生
 議事課副課長     田中 匠
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課副主査     川崎競平
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       榊 建二
 政策調査課長     岩谷隆哉
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  午前10時0分開議
○議長(鈴木太雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 13番岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
○岩田弘彦君 皆さん、おはようございます。3日目トップバッターの質問の機会を与えていただきまして本当にありがとうございます。感謝の気持ちと、誠実さで頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、早速、一般質問に入らせていただきます。
 大項目1番、小学校における教科担任制の充実について。
 (1)小学校における教科担任制の推進についてであります。
 小学校の学級担任制を踏まえた教科担任制の推進につきましては、2012年6月議会一般質問より何度か取り上げさせていただいております。2022年度からは文部科学省により全国の公立小学校の高学年、5~6年生で教科担任制が導入されております。
 ただし、全ての教科を一気に教科担任制にすることは難しいため、当面は外国語、算数、体育、理科の4教科を優先的に進める考えとお聞きしております。
 また、教科担任制の対象学年の拡大も検討されており、2025年度、来年度よりでありますが、教科担任制の現在の高学年5~6年生から4年生にも拡大するとお聞きしております。
 小学校の教科担任制の背景には、新学習指導要領に基づく授業の円滑な実施と、そして教員の働き方改革があります。
 新学習指導要領に移行し、外国語学習やプログラミングの導入、理数教育の強化、思考力、表現力、判断力を伸ばす指導などが求められるようになり、教科特性に合わせたデジタル教材の活用など、より教科の専門性を発揮した授業が期待されております。
 小学校高学年は、心身の発達に伴い、抽象的な思考力が高まる時期で、教科の学習内容の高度化するタイミングでもあり、そうした発達段階や教科内容、中学入学に向けた移行準備といった背景を踏まえ、高学年から導入が推進されております。
 さらに、授業準備の負担の軽減などにより、深刻な長時間労働が問題となっている教員の働き方改革を推進するという狙いもあります。
 また、タブレットなどを使ったGIGAスクール構想を進めつつ、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、才能を存分に伸ばすことができるような新たな授業、指導が求められていることや、小学校から中学校に入学した際に、突然、全教科が教科担任制に変わる環境や、授業の難易度についていけなくなる、いわゆる中1ギャップへの対応も上げられます。
 そこで、まずは本県において小学校における教科担任制をどのように進めてきたのか、教育長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 小学校における教科担任制についての御質問でございます。
 国では、小学校における教科担任制の実施について、2022年度から段階的に推進してきました。
 本県においても、授業の質の向上、多面的な児童理解、小中学校間の円滑な接続、教員の負担軽減を目的として、小学校高学年における教科担任制を推進してきました。来年度からは、小学校4年生にも拡大する予定です。
 これまで、市町村教育委員会に対しては、全国の事例集を活用して、小学校における教科担任制の導入や運用を促進してきました。
 さらに、県内の小学校での好事例を収集し、学校規模等により分類した導入事例を基に、市町村教育委員会の担当者に直接説明するなど、小学校における教科担任制の取組を推進しています。
○議長(鈴木太雄君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 小中学校につきましては、一応市町村立ということで県と市町村と教育委員会を引き合わせて進めていただいていることに感謝申し上げます。
 それを踏まえまして、次の質問に行かせていただきます。
 (2)教科担任制を踏まえた今後の展望についてでありますが、2025年度、来年度より教科担任制を現在の小学校高学年、5~6年生から4年生にも拡大するとお聞きしております。
 過疎地域や小規模校など、限られた教員数や制度上の制約の下では、小学校における教科担任制は当面、学級担任同士の授業交換が中心となることが予想されます。
 しかし、教科担任制のメリットが最大限に発揮されるためには、専科による指導の割合を高める方向性が望まれるのではないでしょうか。
 また、教科担任制の拡大に伴い、学校現場においても日々の授業に対する教員の意識を変えていくことが必要かもしれません。
 教壇上から一斉指導する授業から、子供が主体となってICTを活用しながら、おのおののペースで学びを進めるスタイルに変えていくことで、これからの時代に必要な力が身につく授業ができるのではないでしょうか。
 そこで、小学校の教科担任制を踏まえた今後の展望について教育長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 本県では、小規模の学校が多くなってきています。その中で、各小学校では、限られた教員数で実情に応じて、学級担任間の授業交換やチームティーチング指導といった工夫を行いながら、教科担任制を実施しています。
 また、専科教員による指導の割合を高めることについては、1学年複数学級以上の規模の学校を中心に、学級担任以外の教員による専科指導の充実に努めています。
 さらに、教科担任制の実施により、専門性の高い教育が受けられることはもちろんのこと、教員の持ち時間数が軽減され、空いた時間を教材研究に充てることができるようになることで教育の質が向上し、今求められている個別最適な学びをつくっていくことが期待できると考えています。
 今後も、市町村教育委員会と連携し、実施教科や実施形態の工夫等の指導、助言を行うなど、各学校の実情に応じた教科担任制がさらに充実するよう努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 国の方向性では、4年生分の専科要員を増やす方向性は出ているとは思うのですが、ただ、一番気にしているのが、やっぱり小規模校が多くて、これから市町村にとって適正規模化というのが重要になってくると思うので、その辺はなかなか県からどうするようにというのは言えませんので、その辺は市町村さんとうまく話し合っていただいて、よりよい環境にしていただきたいのが1点、これ要望でございます。
 もう1点は、一番気になるのは、子供たちをいろんな先生が見るという形になります。今まででしたら学級担任制ですので1人の先生がみんな見るという形でした。それはそれで多面的にいろいろ見れるので僕はいいとは思うんです。ただ、チームで子供たちを見るという意識で取り組んでいただけるようにしないといけない。おのおのの先生で見ていただくことはいろんな先生に見てもらえて、子供たちにもいいと思うんです。
 今、医療のほうもチーム医療ということで、いろんな目線で見て、そして一番どういう状況にあるかを見るという、そういう体制になっております。その辺も先生方、多分働き方改革の一つにはなり、そういう余裕もできてくると思うので、頑張っていただけたらよりよい環境になると思いますので、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━よろしくお願いいたします。
 次に、大項目2、義務教育学校について入らせていただきます。
 子供を取り巻く社会環境の急激な変化と、それに伴う子供の状況の変容から、文部科学省は小中一貫教育の研究開発校を指定し、研究を積み重ねてきました。
 その結果、全国的にも多くの学校で小中一貫教育が実施されております。
 しかし、10年以上にわたって蓄積され、顕著な成果が明らかになった一方で、小学校と中学校が別々の組織として設置されていることに起因する様々な課題があります。
 それを解消するのに、全ての教職員が義務教育9年間、責任を持って教育活動ができる小中一貫教育の取組を継続的、安定的に実施できるものとして整備されたのが義務教育学校であると聞いております。
 国は、9年間の義務教育を一貫として行う新たな学校の種類である義務教育学校の設置を可能とする法改正を行い、平成28年4月1日から施行され、義務教育学校が創設されております。
 先日、自民党県議団会派視察研修におきまして、四国の中央地域、本当に山の中央地域ですが、高知県の山間部に位置する大豊町立大豊学園に行ってまいりました。
 大豊学園は、児童生徒数が減少する中、子供たちにとってよりよい教育環境を目指し、町内の小中学校を一つに集約した義務教育学校であります。また、学校情報化優良校に認定されており、GIGAスクール構想先進校でもありました。
 当日は、大豊町教育長をはじめ教育委員会の担当者、校長をはじめ教職員の皆様から経緯や取組を中心にお話をお聞きいたしました。
 義務教育学校の大きなメリットとされている義務教育9年間の一貫性、独自の教科課程の編成、1年生から9年生までが一つの学校に通うという特性を生かした取組、業務の効率化、専門スタッフの活用などが大変うまく生かされていると感じました。
 特に思ったのは、過疎化、少子化の影響が大きい山間地域においても、子供たちにとってよりよい教育環境をつくるという情熱を強く感じました。
 少子化に悩む山間地域の多い和歌山県の教育環境において、必要性を強く感じたところであります。
 また、全国的にも増加傾向にあるとお聞きしました。
 そこで、本県の義務教育学校についての現状と考え方、併せて今後の展望について教育長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 小中連携教育のうち、義務教育学校を含む小中一貫教育制度を活用しているのは、県内では、和歌山市立伏虎義務教育学校の1校です。
 義務教育学校の特徴としては、9年間を通して児童生徒に接することで、教職員間の十分な情報共有ができ、一人一人の個性や能力を育むことができることや、系統性、連続性に配慮した教育活動を行えることなどがあります。また、友人関係の固定化により新しい環境への適応力が心配されることから、他校との交流などに取り組んでいると聞いています。
 小中一貫教育に限らず、小中学校が互いに連携し、教育活動を行っていくことは重要であり、現在多くの市町村において様々な形で取り組まれています。
 例えば、北山村や那智勝浦町等では、同一敷地内の小中学校において、小学校、中学校の教員がそれぞれの専門教科の授業を担当しています。また、複数の市町では、中学校英語担当教員が小学校にて英語の授業を行っている学校もあります。このように、系統性を踏まえた専門性の高い教科指導を行っているところもあります。
 県教育委員会としましては、今後も市町村教育委員会と共に、地域の実情に応じ、義務教育学校を含めた小学校から中学校への円滑な接続の取組が展開されるよう努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 私の地元や近くにも、町の真ん中の小中学校が同一敷地内にあります。ただ、ここの大豊町さんは、もうそこ一つしかないので、人口が3000~4000人ぐらいのところで、もともと町ができたときは10何校あったらしいです。そこから過疎になっていって、一つになりました。そういう状況になっている市町村は、この方法が割とすごくいいなと感じたので、またその辺も研究していただいて、これは市町村の考えるところでもありますので、御指導いただけたらと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、次に移ります。
 大項目3、第一次産業の新たな展開についてであります。第一次産業は、今も昔も将来においても、本県の根幹をなす重要な基幹産業であります。
 この大切な第一次産業は、社会情勢の変化や自然環境の変化などの影響を大きく受け、現在の旧態依然の延長線上のままでは、農業従事者の減少に伴い、農業経営体の減少が止まらず、中山間地が衰退することや、豊富な森林資源を有効に生かすことができず、林業、木材産業の衰退が進み山村地域が衰退すること、さらに、漁業就労者の減少に伴い漁村コミュニティーが衰退することなどが予想されるのではないでしょうか。
 そこで、まずは本県にとって重要な第一次産業の今後の展開について知事にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 岩田議員の御質問にお答えいたします。
 和歌山県にとりまして第一次産業が基幹産業であるという点につきましては全く同感でございます。
 第一次産業は、温暖化による経営リスク、それから、今御指摘いただきましたような急激に進む担い手の減少などによりまして、産業規模の縮小が懸念されます。ぜひ担い手を確保した上で、より一層、生産性や収益性を高め、魅力ある産業としていくことが重要であると認識しております。
 農業では、親元就農につきましては、特に国の補助制度に上乗せの県単の補助制度も用意をしております。他地域からの就農者も含め、まずは担い手を確保するということ、その次に、その担い手の皆さんに農地を集積し、経営規模を拡大する。さらには、ドローン防除等先端技術の導入、温暖化に適合した品種の開発などにより、収益性の高い農業を目指しております。これは、我が県の研究機関等でも鋭意やらせていただいております。
 林業では、まずは紀州材を切り出すための林道網の整備、これは私が知事になりましてから積極的に推進をさせていただいております。さらには、高性能の機械、デジタル技術の導入などにより収益性を向上させるとか、あるいは労働環境の整備を図ることによりまして担い手を確保し、非常に大事な紀州材の利用を拡大し、あるいは森林クレジットの認証取得によりまして、循環型の林業を実践してまいりたいと考えております。
 水産業につきましては、これも現在温暖化の影響を受けて、取れるお魚の地域がかなり変動してきております。環境変化に対応した資源管理や表層型の浮き魚礁の整備、あるいは親元就業支援、これも来年度予算で県単の新しい予算をお願いをしているところでございます。デジタル技術の導入や効率化、省力化などにより、水産業の経営基盤の強化を図ってまいります。
 このような取組によりまして、農業、林業、水産業、本県の第一次産業の明るい未来を切り開き、次の若い世代の皆さんから選ばれる職業となるよう、努力をしてまいりたいと存じます。
○議長(鈴木太雄君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 予算のほうを見させていただいても熱心に取り組まれているのはよく分かっておりますので、この熱のあるところをあえて聞かせていただきました。
 その方向性に基づきまして、あと2問ほど質問させていただきます。
 (2)施設栽培の高度化についてであります。
 農林水産省の施設園芸をめぐる情勢によれば、日本の農業産出額のうち、野菜、果樹、花卉といった園芸作物の生産額は全体の約40%を占めております。
 施設園芸は、自らの工夫により高付加価値化しやすく、施設野菜の10アール当たりの所得額は、露地野菜に比べ約6倍となっております。露地栽培と異なり、栽培環境を自らがコントロールしているので、季節の影響を受けずに作物を育てることが期待でき、収穫量を年間を通じ、安定させることが可能です。
 ほかにも、品質の高い作物を育てやすい、病害虫の影響を受けにくく、無農薬栽培も可能となるなどのメリットがあります。当然、導入に手間や費用がかかる、施設の損壊リスクがあるなどの課題も多くあります。
 ところで、最近の激しい気象変動による野菜の高騰には驚かされたのではないでしょうか。キャベツ1000円、白菜1000円等という状況になっているようですが、農作物の安定生産、そして若者の農業への参入促進、後継者育成などの観点から、課題を最小化する取組をはじめ、最新技術の開発活用など、施設栽培の高度化が重要と思いますが、そこで、施設栽培の高度化に向けた取組について農林水産部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長立石 修君。
  〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 和歌山県では、冬季温暖な気候を生かし、野菜、花卉の施設栽培が行われております。
 しかし、近年、気象災害の増加や燃油価格の高騰など、施設栽培を取り巻く情勢は厳しさを増しております。
 こうしたことから、県では、施設栽培における安定生産を進めるため、耐風性や耐暑性の高い施設の整備や省エネルギー化、生産性を高めるための環境制御など、スマート農業技術の導入を支援しているところでございます。
 環境制御につきましては、これまで生産者が経験を基に判断し、管理が行われてきたところでございますが、現在、施設内の温度や二酸化炭素の濃度などについて、モニタリングにより数値で見える化をしまして、栽培管理に生かすことが可能となっており、次世代を担う若い農業者がこうした技術を習得できるように、スマート農業実践塾を開催しているところでございます。
 今後も引き続き、施設栽培の高度化につきまして、ハード、ソフト両面で積極的に支援をしてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 部長の答弁、ありがとうございました。立石部長が御答弁していただくと重みがあるんですね。実は事情がございまして、私の小学校、中学校、高校の同級生がもともとは大阪の旅行会社、ビジネス旅行のほうへ勤めていたのですが、親元が専業農家で、橋本ですので花卉と米と中心に野菜もという感じでやっていたのですが、それが知り合った方が、完全無農薬の水耕栽培というのを手がけている人に出会ったみたいで、それをやりたいということで、もう大分前になると思うんですが、まだ立石さんが課長の時代やったと思うんですが、農業生産法人をつくって本格的にやろうかということで、同級生も兼業農家が多いものですから、農業には関心を持っていたので、そんな中でいろんなアドバイスをいただきまして、アドバイスのおかげで産地生産基盤パワーアップ事業の指定を受けまして、支援いただいて、国のほうでも億近いお金を支援していただいたんですが、本人もやっぱり億超える借金を背負った中でもやっていて、これ大丈夫かなと。ホウレンソウを短期で農薬で作って、年間、月に1回以上出荷できるという状態で、これをローテーションを組むと毎日出荷ができてということで、なかなか最初は大変だったのですが、今順調に、特に全国的に通販の大手さんと契約ができて、それから順調にいかせていただいて、うれしいことに息子が後を継ぐということで、今やってくれております。一番必要なところができたんです。
 一応、そういう事例も御報告させていただいて、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━感謝の気持ちで言わせていただきました。どうもありがとうございました。今後も私たちも応援して頑張っていけるように、次の世代が農業をやってくれましたので、ありがとうございました。
 そうしたら、次の質問に移らせていただきます。
 (3)閉鎖循環式陸上養殖について。
 世界人口の増加や和食ブームもありまして、水産資源の需要が増加する一方、乱獲による枯渇が懸念されており、水産養殖の重要性が高まっております。
 その一方で、海面養殖に適した場所には限りがあるほか、激しい気候変動や海洋汚染も心配されております。
 そこで、AIやIoTをはじめ先端技術を駆使した陸上養殖が今注目されております。特に閉鎖循環式の場合は、使用した水の再利用を行うため環境汚染を起こさないので、どんな場所でも技術的に実践することは可能で、地方の空き家地帯や耕作放棄地などの土地を有効利用できる可能性も秘めていると思います。
 また、今まで漁業とは縁がなかった地域でも養殖魚の生産が可能となり、新たな特産物や地元の活性化につながります。
 しかし、陸上養殖は持続可能な水産業の未来を担う重要な技術ですが、初期投資や運営コストに大きな課題があります。どんな新しい事業でも挑戦には当然リスクが伴います。
 創意工夫と情熱で乗り越え、最近ではJR西日本が地域の自治体や事業者と協力しながら陸上養殖に取り組み、地方活性化につなげるべく、鳥取県のお嬢サバ、これはサバです、白雪ひらめ、広島県のオイスターぼんぼん、とれ海老やん(とれびやん)、富山県のべっ嬪さくらますうららなどを地域ブランド化して販売しております。また、飛騨のミネラル豊富な地下水を利用した養殖トラフグを飛騨とらふぐというブランドで販売しております。山間地域の耕作放棄地のハウスを活用したバナメイエビの事例もあります。特に、サーモンに関しては全国10数か所で行われており、御当地サーモンとして販売されているようであります。今度、万博には岬町でできたサーモンが出るそうでございます。
 そこで、新たな第一次産業として期待される陸上養殖、特に閉鎖循環式の本県における現状と今後について、農林水産部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長。
  〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 県内の海面漁業における2022年の漁獲量は、2013年に比べますと約60%に減少しております。海面養殖業の生産につきましては、約220%に増加しております。
 しかしながら、本県の海面養殖では、海洋環境の変化や新たな漁場の確保が難しいといった課題がございます。
 一方、陸上養殖ではアユ養殖が最も多く、全国3位の生産量を誇り、新宮市では新たにサーモン養殖も始まっております。
 議員御指摘の閉鎖循環式陸上養殖の事業化につきましては、養殖する魚種の選定や販売先の確保、施設整備にかかるコストや養殖技術の確立、また技術者の育成など、多くの課題がございます。しかしながら、安定的な生産を確保する上で有益な方法の一つであると考えてございます。
 今後も養殖漁業の振興のため、技術指導を行う人材の育成や安定的な経営のためのスマート機器の導入支援などを推進してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 あえて特に循環型ということで、特出しして質問させていただいたのは、どこでもできるということを言いたかったということで、今、御報告があった新宮はナマズを養殖していたんですが、サーモンに切り替えてということで、増設していくという話を聞いています。
 だから、サーモンにつきましては、日本人のすし屋さん、回転ずしに行っても、外国人もそうですけど、一番人気はサーモンなんです。需要が多くて、今、国際状況からいうと大体ノルウェーから来るとかチリから来るとか、僕、もともと魚の仲買でしたので。南半球でいうとタスマニア島から来るとかが主流になっているので、それでないとなかなか生でという形はできないので、そこの情勢が悪いのと必要性が高まったので。もう1点利点は、マグロを養殖したときに1キロを大きくするのにどのぐらいの餌が要るかといったら、サーモンはマグロに比べて半分ぐらいの餌で済むようなところがあるわけです。
 だから、いろいろ研究していったら、もう1点、閉鎖循環式と言いましたが、新宮市の場合はかけ流し方式ということで、あそこの環境がかけ流しても、水利とか漁業権とかそんな調整が必要でないということなんで、閉鎖循環式でしたらもともとありませんので、ということでちょっと取り上げさせていただいたんですが、どの方法でもいいので、やっぱり進めていただきたい。
 1点言いたいことがあって、これって県が経営するわけじゃないので、やる気のある人がいないとできないでしょう。だから考え方で、やっぱり待ちの姿勢でいて、やる気のある人が起こらないからやらないと、一生起こらないと思います。
 だから、どっちかというと、起こすような機運とか雰囲気づくりとかをしていって、やってやろうかと、行きましょうかというのがないと。広島県とかほかの事例を見ると、電気工事会社の社長さんが、それだったら一回トライしようとか、こうやってやっているとか。これは養殖ではないんですけど、鳥取県とか島根県へ昔、僕が市会議員のときに行ったときに思ったのですが、もう鳥取県、島根県は次の世代が都会へ行ってしまって全然いないんですよ。だから、その親から代々受け継いだ農地があるわけですけど、ある一定の地域全部、もう要らない人ばっかりなんです。
 そこで建設会社の社長さんが、いっぱいある田んぼを一つにするのは、うちにはブルドーザーもあるし、ユンボもあるし、いつでもできるからと、建設業もちょっと縮んでいるので、それだったら会社組織で半分建設業して半分農業しようということで立ち上がりまして、大麦若葉、青汁ですよね、それはもう20年ぐらい前でしたので、その頃、絶対この市場が大きくなると、今とても大きくなっています、10倍ぐらいになっていますから。
 それをつくって、年間何千万もうけていると、そういうふうな話もあるので、私、地元で帰ってきまして建設業の社長さんにこんな方法があると伝えたのですけど、そういうまとまった土地全員もう自由に使えて、後継者がいないというところ、まだ橋本市内にはちょっと少ないんです。山の奥行ったらそういうところがあるので、ばっと乗ってくれるし、まだ、それで建設業者の皆さんも仕事、結構ございましたので、なかなかうまくいかなかったんですが、そういうこともあるので、柔軟に考えていただいて、そういう人が起こってくるような機運をつくっていただきたいというのが1点あるのと、もう一つは、もしもですよ、地元で起こらないんだったら引っ張っていってもいいんじゃないですか。他県から来ていただいて、そこで仕事して住んでもらって、そこで新たな和歌山県人になっていただくということもいいんじゃないかなと思いますので、あんまり既存のものを守ろうとばかりせずに、新しい調整も頑張ってやっていくという方向で考えていっていただけたらということで、今後、これは、知事に言うとかなあかんな。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━知事、よろしくお願いします。
 次、大項目4番、大阪・関西万博を起爆剤にということで入らせていただきます。
 1番、本県の未来創造への人づくりについてであります。
 いよいよ本年4月13日より「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、大阪・関西万博が開幕します。また、本万博は「未来社会の実験場」をコンセプトに、新たな試みにチャレンジする人々や企業が、国内はもちろんのこと、世界各地から集まってきます。先進技術やアイデアなどの英知を集め、未来社会を共に創造すること、その効果は計り知れないものがあり、大きな感動があると考えます。
 私自身、前回のエキスポ70大阪万博当時、小学生でしたが、非常にカルチャーショックを受けた覚えがあります。
 本県において、人口減少や少子高齢といった喫緊の課題がある中、未来の和歌山県を担う世代が万博に参加することや、実際に体験することは、言い方が適当でないかも分かりませんが、かつてない規模の教育の場になるのではないか、そのように考えております。将来の和歌山を担い、発展させるための重要な大きな起爆剤になるのではないでしょうか。
 未来を担う子供たちや若者はもちろんのこと、特に和歌山の発展をなりわいとする方々に、それらの英知に触れて学んでもらって、その学んでもらったことを礎に未来社会を創造し、明日の和歌山づくりに生かしてもらえるように取り組んでいただきたいと考えております。
 そこで、万博を体験していただく取組について知事のお考えをお聞きします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答えを申し上げます。
 今、岩田議員がおっしゃったように、最大の教育の場であるということについては私も全く同感であります。今度の万博では、新しい技術あるいはシステムを、これは実験じゃなくて実証化していくといいますか、現実のものにしていくということで、スマートモビリティーですとかデジタル分野、バーチャルの分野でいろんな取組が行われると聞いております。そういう新しい取組に若い人たち、小学生や中学生、高校生の皆さんが触れて、体で肌で感じてもらうということはとてもいいことだと思います。
 そういう意味で、小中学生の皆さんにつきましては、入場チケット、それから貸切りバスの借り上げに係る支援を行う予定でございます。また、希望する高校生の皆さんには、企業からの寄附を基に入場チケットを配布する予定もございます。
 それから、和歌山ゾーン、その他の催事イベントにおきましては、学生の皆さんによるステージへの出演、美術品や書道などの作品展示、これで世界中の皆さんに和歌山の若い人たちの勢いを感じてもらいたいと思っております。
 また、これも今、岩田議員がおっしゃってくださいましたけども、大人の皆さんですね、企業や団体の方々にも御出展をしていただく、あるいは催事に参加していただく。そして、地場産業の発信や、あるいは県内のいろんな文化歴史、そういうものも大人の皆さんにも発信をしていただくと。そして、県庁職員をはじめ市町村の職員の皆さんも一丸となって、和歌山県のPRに取り組んでまいりたいと思います。
 県議会の皆さんにも今度視察をしていただくように聞いておりますので、御一緒に和歌山県の魅力を発信していただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 できるだけ多くの皆さんに、やっぱり現実にいろんな感動やカルチャーショックを受けていただいて、一番大事なのは、それを和歌山の発展に生かしてもらうということ。こうなってくると、私、一番気になっているのが県庁の若手職員さんなんです。皆さんが観光に行くのではなく、そこへ行っていろんな感動を受けたこと、それを県政に生かすとか、「あ、これ和歌山にええで」とかって、そういう発想になってもらえると思うんで、その辺も知事、配慮していただいて、やっていただけたらなと思います。市町村も同じだと思いますので、どうかよろしくお願いします。
 大項目4番、2番、成長産業や先進技術を本県に波及させる取組についてであります。
 大阪・関西万博は国内をはじめ世界中から投資の拡大、あるいは新たなイノベーションの創造に大きく貢献するものと考えております。
 万博を起爆剤とした県内への誘客並びに全国世界への発信はとても重要で、このことにつきましては、戦略的、的確に進めていただいておりますことにまずもって感謝申し上げます。と同時に、万博を起爆剤に成長産業や先進技術を和歌山に根づかせることが本県の持続的な成長を支えるものではないでしょうか。その結果、世界をリードする企業が和歌山県内に拠点を設け、新たな産業、サービスが創出され、好循環が生まれ、これにより新しいまちが形成され、和歌山の未来をつくり、人口減少などの社会課題の解決につなげていく、こういう夢のある考え方はどうでしょうか。
 そこで、万博会場でショーケース化される企業や技術と本県がつながるために、どのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 岩田議員の御指摘のとおりでありまして、大阪・関西万博では、世界的な課題解決に向けまして、最先端技術を含め、世界中の英知が集まってまいります。和歌山県の経済の発展のためにもこのチャンスを生かして、岩田議員がおっしゃるとおり、成長産業ですとか先端技術を呼び込んでくるということが必要だと思います。
 万博会場では、ショーケース事業として、大手の企業が中心となりますけれども、AIを活用したロボットによる未来社会の体感、あるいは最先端のモビリティー技術の社会実装、デジタル技術による社会課題解決といった、将来一人一人が豊かな生活が送れるような、そんな出展が数多く予定されていると伺っております。
 また、和歌山県では現在、空飛ぶクルマの県内誘致に向けまして、関係企業と連携協定を結び、和歌山県内での実用化がなされるよう、今取り組んでいるところであります。
 また万博後を見据えまして、和歌山ゾーンの展示におきましても、大手企業や技術を持った企業と連携を図った上で、デジタル技術を駆使した展示にするなど、先端技術を和歌山県内にも波及できるよう取り組んでいるところでございます。
 今後もショーケース事業への出展やパビリオンを運営する大手企業などに対しまして、万博後における県内への進出を働きかけ、県内で好循環が生まれるよう取り組んでいく所存でありますので、岩田議員におかれましても御支援をよろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 知事、ありがとうございます。
 知事がおっしゃるように、県内に好循環が生まれることを大きく期待いたしまして、これで私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕(拍手)
○林 隆一君 皆さん、おはようございます。
 一般質問、本当に気分爽快に始めたいというふうに思っております。
 さて、3月4日に自民党と公明党と日本維新の会との間で合意された、来年度の予算が衆議院を通過いたしました。令和7年度は、公立高校の無償化が実現、大学等は、子供が3子いる世帯では所得制限なしに入学金26万円、授業料各70万円支給され、令和8年度は私立高校の無償化に大きく前進いたしました。私は大変うれしく思っています。個人的に、子育て世帯の私も全てこの無償化の対象になるというから喜んでいるわけではなくて、無償化は私の選挙公約の一つであって、日本維新の会の公約でもあったということでございます。
 日本維新の会といえば林佑美、林佑美といえば夫林隆一というのがウィキペディアでも最近出てくるようになりました。
 私の県議会での発言が国会に影響を及ぼしたとまでは思いませんが、この選挙公約の実現に関して、自民党さんと公明党さんとの協力によって実現できたことは大変うれしく思っておりまして、この場を借りてお礼を申し上げたいというふうに思っております。(「おまえのおかげやで」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 これを契機に、日本維新の会に後ろ髪を引かれることなく、また進んでいきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。
 さて、気分爽快のところ、議長のお許しをいただきましたので、質問を始めたいというふうに思っております。
 まず初めに、教育費の無償化についてでございます。
 私立高校の授業料無償化については、令和5年6月議会、9月議会、12月議会、令和6年6月議会と、和歌山の私立高校の無償化といえば林隆一と言われるぐらい、何度も何度も質問してまいりました。私立高校の無償化は賛否が分かれると今も思っておりますが、和歌山にある私立高校へ大阪から通う生徒は所得制限がなく、授業料は無償、地元和歌山の生徒は就学支援金制度はあるものの、910万円未満という1世帯の所得制限があり、それ以上は全額負担というのは、あまりにも公平公正ではなく不平等であると、若い世帯を中心に和歌山離れを起こすと苦言を呈してまいりました。
 幸いにも自由民主党、公明党、日本維新の会の予算案の合意に、いわゆる高校無償化として収入要件を撤廃し、私立加算額を45万7000円に引き上げることが盛り込まれ、この合意を反映した国の令和7年度予算案が3月4日に衆議院を通過いたしました。これにより、教育格差による和歌山離れを危惧することはなくなりました。
 令和8年度から、私立高校の教育費の大幅な軽減により、世帯所得等にかかわらず、県外や通信制を含め、子供たちが学校で学べること自体、すばらしいことだと私は思っております。
 その反面、公立高校の定員割れが顕著に現れるとも思っております。公立高校は、子供たちに選んでもらえるように、魅力ある高校にしなければなりません。
 そこで、知事に私立高校への無償化に対するお考えについてお伺いいたします。
 次に、市立小中学校の教育費についてです。
 今回、自民党、公明党、日本維新の会の合意によって、私立高校の大幅な負担軽減がなされることになりました。一方で、義務教育である小中学校については、私立学校は従来のままとなっております。
 義務教育でない高校が負担軽減されるのであれば、義務教育である小中学校も負担軽減されるべきであると私は思っておりますが、知事のお考えをお聞かせください。
 続きまして、県立中学校の学校給食についてお伺いいたします。
 自民党、公明党、日本維新の会の合意において、学校給食無償化については、まず小学校から実施する。その上で中学校への拡大についてもできる限り速やかに実現するとされました。
 県では、国に先駆けて昨年10月より学校給食無償化をスタートされ、令和7年度当初予算においても無償化を実施するための予算が本会議に計上されております。
 しかしながら、県立中学校では学校給食を実施しておらず、国が給食費を無償にしても、県立中学校へ通う生徒は、このままではその恩恵を受けることはできないのではないか、そういうふうに私は思っております。
 去る12月議会において、県立中学校への学校給食についてのお考えを伺ったところ、知事は、「今後も学校給食の実施に向けて、配膳室の場所やその動線などにつきましても研究は進めてまいりたいと、そのように考えております」と御答弁されております。
 県立中学校の学校給食は、令和8年度からスタートしていただきたいと思い、再度質問いたします。県立中学校の学校給食の実施について、どれぐらい研究が進んでいらっしゃるのか。進捗状況を知事にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 今、林議員から教育費の無償化という大項目で3問の御質問をいただきましたので、3問一括してお答えをさせていただきたいと思います。
 私立高校の授業料無償化について、これまで林議員が情熱を持って、この議場で再三御質問をいただいた結果として、かどうかはともかく、今回、自民党、公明党、維新の会の皆さんの合意で一歩進んだということについては、国の制度として受け止めたいと思っております。
 ただ、知事としてではなくて、一政治家としてのコメントをさせていただくならば、やっぱり私立の高校に行かれる場合に、無償化することと教育の質とかレベルとか、どういう教育をすべきだとか、そういう本質的な議論が今回行われず、お金の話だけが進んだことについては、いささか、もう少し大きな議論をしていただきたかったなという感想は持っております。教育をよくするということが目的だとすれば、どんなお金持ちでも無料で私立高校に行けるということが高等教育をよくするんだろうか、教育の格差がなくなるんだろうか。
 今回は、来年度の予算ではあまり大きな変革はありませんが、その次ですね、所得制限なしで45万7000円が無料になると。そうすると、相当な所得の高い方は、今でも45万7000円は出せるわけですから、追加的に45万7000円が出さなくてよくなれば、当然そのお金は塾のお金に回したり、より一層その子供たちの学習のために使うゆとりができるわけでしょうから、ますます教育格差が生じるということも考えられないことはないと思いますし、それから、低所得の方が私立の学校を選べるというのは、これはいいことだと思いますけれども、本当に高額所得者にそういうことをする必要があるのか。
 それから、今、林議員もおっしゃいましたけど、そうなると当然のことながら公立高校に行く人が減ってしまいます。まさに大阪府は公立高校が統廃合され廃校になっているということであります。競争しなさいとおっしゃるんですけれども、公立の高校と私立の高校では全く条件が違います。先生の雇い方、自由度が全く違いますし、受験の仕方も違うんですよね。公立高校ですと一発主義というか併願できない、一部の県を除くと。私立の場合は併願もできます。
 それから試験科目も公立高校は5科目です。私立は3科目のところが多いです。そうするとどうしても科目数が少ないところを選ばれる方が増えてくる。ところが、科目数が少ないところが選ばれると、結局その分、ほかの科目を勉強しなくなるというような弊害も出てきますので、その辺も総合的にどう考えるのかというようなこともあろうかと思いますので、当面、この制度が導入されて、私どもの公立高校にどのような影響が生じるのか、しっかりと見極めていきたいと思っております。
 それから、市立小中学校の教育費についてであります。
 現在は、おっしゃるとおり、高校について無償化の議論が行われていますが、私立の小中学校に通う児童生徒への授業料の支援制度はないわけであります。これも再々私も答弁しておりますが、私立の小中学校に通うということは、私立の学校の校風とか学校の運営の仕方について同意をした保護者が、少し授業料が高くても、授業料は義務教育はないですから、授業料があっても行かれるということであります。
 それはそれとして、やはり一般論とすると、家計にゆとりのある御家庭のお子さんが私立の小学校、中学校に行かれるわけでしょうから、県としては、財源のない中、むしろ給食費の無償化とか、できるだけ幅広く所得の低い方を中心に財源を使いたいというふうに考えておりますので、この御指摘については慎重に検討すべき課題かと考えております。
 それから、県立中学校の学校給食についても、再三、御指摘をいただいております。しっかりと研究をいたしまして、配膳室の場所、それからその動線など、教育委員会の方々に県立中学校5校を訪問していただきまして、実際に現場を確認して聞き取り調査も行いました。
 その結果、配膳室を設置するためのスペースの確保が非常に難しい。それから、教室へ衛生的に給食を運ぶための経路の確保についてもなかなか難しいというような課題があるということを確認した段階でございます。
 引き続き、そうは言うものの、御指摘でございますので、関係機関等と協議を行い、検討を進めてまいりたいとは考えております。
○議長(鈴木太雄君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 知事、御答弁ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 次に、県立高校の再編について質問いたします。
 先ほども申し上げましたが、自民党、公明党、日本維新の会の合意に基づく高校の無償化が実施されれば、全日制や通信制の私立の高校に生徒の流出が加速するということは想定されております。
 また、子供の数も年々減少していることから、現在ある全ての県立高校を維持することは、財政危機警報下にある本県の厳しい財政状況や費用対効果の面から考えても合理的ではないと考えられております。
 ちなみに、2月27日に発表された和歌山県立高等学校入学者の本出願倍率は、全体的には0.86倍でしたが、中には0.5倍を割っている高校もありました。
 大阪府では、入学を志願する者の数が3年連続して定員に満たない高等学校で、その後も改善する見込みがないと認められるものは、再編整備の対象とするということが大阪の条例で定められております。これによって、統廃合が進められてきております。
 本県においては、条例制定とまでいかなくても、もっと積極的に統廃合を含めた再編整備をより、一層進めていくべきであるというふうに私は考えておりますが、いかがでしょうか。教育長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 県立高等学校の再編整備につきましては、2022年3月に県立高等学校教育の充実と再編整備に係る原則と指針を策定し、この方針に基づいて適切に進めているところです。
 本県では、私立高等学校は少なく、多くの生徒を公立高等学校で受け入れる必要があります。そのため、公立高等学校には多様な学びの場を整備しておくことが重要です。さらに、本県の地理的環境を考慮して、自宅から通学可能な範囲に学校を配置することが求められています。
 県教育委員会としましては、和歌山の子供は和歌山で育てるという信念に基づき、県内の生徒が学びたいと思えるような県立高等学校の特色化や魅力化をより推進してまいります。あわせて、地域の声を聞きながら、各地域の実情に応じた丁寧な再編整備を進めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁ありがとうございます。
 続きまして、旧姓使用についてお伺いいたします。
 現在、国会において選択的夫婦別姓の議論がされているところではございますが、選択的夫婦別姓に関する内閣府の調査によりますと、現在の制度である夫婦同姓制度を維持したほうがよいが27%、現制度を維持し旧姓の通称使用法制度を設けるというのが42.2%、選択的夫婦別姓制度を導入したほうがよいが28.9%。無回答が1.9%と、国民の多くは旧姓の通称使用を求めていることが分かります。
 そこで、和歌山県庁における旧姓使用制度について、人事課の担当者から説明を受けたのですが、県では、平成13年度に当該制度ができ、現在94名の職員が制度を活用しているとの話でございました。
 説明を受けた際、制度の概要について確認をすると、旧姓使用は全ての文書で認められているわけではなく、職員証や辞令などといった職員の身分に関わる文書で法令等に基づく事務処理に影響があるものや、給与関係書類や共済組合関係の書類など、職員の権利義務に係る文書で法令等に基づく事務処理に影響があるものなどは、認められていないとのことでございました。
 社会において旧姓を使用しながら活動する女性が増加している中、様々な活動の場面で旧姓を使用しやすくするよう、国においてもマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどについて、旧姓を併記できるようになっているので、和歌山県庁の旧姓使用制度の見直しもしていくべきだろうというふうに思っているのですが、制度の見直しについてどのように考えているのか、総務部長の御答弁をお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長友井泰範君。
  〔友井泰範君、登壇〕
○総務部長(友井泰範君) 議員御指摘のとおり、旧姓使用の在り方については、2001年度に制度を創設した当時と比べて、社会情勢が大きく変化してきておりますので、法令上問題が生じないものや実務上の不都合が生じないものは、国やほかの都道府県の状況なども参考にしながら、積極的に見直しを行ってまいります。
○議長(鈴木太雄君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁ありがとうございます。総務部長、ぜひ見直しを積極的にしていただきたい、そのように思っております。
 それでは、続きまして質問させていただきます。
 平成13年の制定時から20年以上経過しておりますので、時代に合った制度に見直すようにお願いしたところでございますが、私が調べたところによりますと、国の行政機関についても、平成13年度から旧姓の使用は認める取扱いを始めております。和歌山県も同じその年に、国と足並みをそろえて旧姓使用を認める取扱いを始めております。
 そのように、国や県が旧姓使用を認める取扱いを行っている中、県内の市町村における旧姓使用の取扱いはどうなっているのでしょうか。共生社会推進部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 共生社会推進部長島本由美君。
  〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 県内市町村の状況については、内閣府調査によると、2024年4月1日現在で、職員の通称または旧姓の使用について明記した規定があり認めている、または明記した規定はないが運用上認めていると答えた市町村数は、18にとどまっております。
 地方公務員の旧姓使用については、2017年に総務省から、女性職員の活躍を推進するため積極的に取り組むよう通知が出されているところであり、職員が旧姓を使用しやすい職場環境づくりに向け、県内市町村には一層積極的に取り組むよう周知を図ってまいります。
○議長(鈴木太雄君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁ありがとうございます。
 市町村においてはあまり旧姓使用が広まっていないとのことです。総務省から通知が出ているとのことですが、通知を受けている市町村がこの状況であれば、大企業は別かもしれませんが、中小企業等の民間団体ではもっと少ないと予想されています。
 先ほども触れましたが、現在、マイナンバーカードや運転免許証、パスポートなども旧姓併記が可能となっており、以前より旧姓使用が行いやすい状況となっております。旧姓を使用するかしないかは個人の自由ではございますが、旧姓を使用しやすい状況になっていることをもっと積極的に周知、広報し、旧姓使用の浸透、拡大を図っていくべきだと私は思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 林議員の質問にお答えしたいと思います。
 今、林議員も冒頭御指摘をされたとおりでありまして、選択的夫婦別姓の議論はまさに今国会で議論が進んでいるところであります。まさに国政マターでございますので、県としては関心を持って見守っていきたいということに尽きるかと思います。
 ただ一方で、旧姓使用が可能なことについて、ホームページですとか「県民の友」などを活用して周知はさせていただきたいと思います。
 その上で、これまた政治家として一言お答え申し上げるとするならば、オープンでスピードのある御議論を国会で進めていただきたいと思っていますが、夫婦別姓制度に賛成される方々の議論で、どうしても私、腑に落ちないところがありまして、便利だとか不便だとかおっしゃるんですね。何か旧姓と戸籍上の姓の使い分けが不便だとか、併用に伴って混乱が生じるとか、あるいは確かにパスポートに併用していても海外では通用しないんですね。海外渡航時ではもう全然通用しないというようなことだから、夫婦別姓を選択的に認めてはどうかという御議論をされているんですけど、私はそれはおかしいと思っております。
 子供のときから使ってきた名字を使いたいというのは、最も大事な自己決定権であります。憲法13条の幸福追求の権利に基づく自己決定権でありますので、そのことで選択的夫婦別姓を認めるのか認めないのかというような、そういう議論をしていただければありがたいと思っております。これは今の私の個人的な見解でありますが、県としては、選択的夫婦別姓制度の議論が加速するよう、全国知事会等を通じて引き続き国に要望していきたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 知事、政治家についての御答弁までいただきまして、どうもありがとうございます。参考にさせていただきます。
 次に、大阪・関西万博への子供たちの招待の取組についてお伺いいたします。
 大阪・関西万博の開会が約1か月後に迫ってまいりました。和歌山県では、小中学校を対象に万博へ招待する事業を行っていますが、対象の365校中参加校は205校となっており、特に距離の遠い紀南地域からの参加校が少なくなっております。
 そのようなことから、宿泊支援を検討するなど、子供たちが参加しやすい環境を整備しようと取り組んでいただきましたが、実現には至っておりません。
 そこで提案ですが、他府県の中には、学校が参加しない場合、希望する児童生徒にチケットの無償配布を行うとしているところもございますが、和歌山県でも同様に、学校が不参加の場合、万博に行きたい子供たちへのチケットの無償配布の取組を宿泊支援の代わりに検討してはいかがでしょうか。知事のお考えをお聞かせください。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ただいまのチケットの問題についてお答えを申し上げます。
 確かに当初予定されていたよりも参加の少ない県で、関西でもそうなんですけれども、チケットだけを無償で子供さんにお渡しするということをされようとしているところがあるというのを聞いております。
 私どもは、まずは教育的な観点から、学校行事として万博に参加する小中学生を対象にチケット代や貸切りバス代の一部を支援するということで進めております。また、そのときに紀南のほうがやっぱり1泊しないといけないというお話を聞きましたもんですから、すぐに切り替えまして、田辺から南のほうは宿泊代も援助しますということで、再度教育委員会から学校の校長先生に伺ってもらったんですけども、希望校は残念ながらゼロということでありました。大変残念であります。
 その結果、今、林議員がおっしゃったとおり、4割強の小中学校が参加しないということになっておりますけれども、さあそこでです、確かに行かない学校の子供たちに無償のチケットを渡すというのも一つの考えだと思うのですけれど、そうすると、やっぱりそれぞれの御家庭の事情がございます。今、所得の格差も開いておりますから、券をもらったけど、行けるお子さんと行けないお子さんが出た場合に、それは切ないことになるのではないかというふうに私は政治家として判断いたしまして、そのような方向は取らないように決定したところでございますので、どうか御理解を賜りたいと存じます。
○議長(鈴木太雄君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 知事、御答弁ありがとうございます。理解させていただきました。
 それでは、続いて、大阪・関西万博の防災対策について質問いたします。
 本年1月、今後30年以内に起きる南海トラフ巨大地震発生の可能性が70%~80%だったものが80%程度に引き上げられ、本年4月に開催される大阪・関西万博会場における防災対策の重要性はますます上がってくると思います。
 万博の開催期間は半年間ですが、30年間で80%はですね、単純計算すれば、半年では約1.3%のリスクがあるということです。
 この中で、震度7など想定を超える規模の地震が発生するおそれもあるのではないか、そういうふうに危惧しております。
 先ほども申し上げましたが、県では、和歌山の子供たちにグローバルな感覚を養ってもらおうと、小中学生を対象に万博へ招待する事業を実施し、205校の約3万人が参加する予定とのことでございますが、万博会場の十分な防災対策を見ながら、博覧会協会などと連携を図り、事業を実施していく必要があると思います。
 会場である夢洲は交通ルートが限られており、地震等の規模によっては大災害とまでいかなくとも夢洲での孤立が長期化することも想像できます。様々な場面を想定し、子供たちの安全・安心の確保を県として検討していくことは必要であると考えていますが、そこで、万博会場での子供たちの安全・安心の確保に向けた防災対策に係る知事のお考えをお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ありがとうございます。今、林議員がおっしゃった懸念は、私どもも職員一同共有しておりまして、まず万博会場の安全性、災害時などの対策について、博覧会協会さんと綿密に調整をさせていただいております。これまで、博覧会協会のほうから防災基本計画、さらには防災実施計画などを策定し、その御説明も頂戴しておりました。
 その中身を御報告しますと、会場の場所は、南海トラフ巨大地震が発生した場合に想定される津波の高さの2倍以上高い場所であるということが一つ、それからのり面もブロックで補強されているということでございます。地震発生後から帰宅支援まで、5段階の状況に応じた対策を示していただきました。会場内の防災対策についても御説明をいただきました。
 また、会場内で孤立する場合もあると思いますけれども、これについては、3日間孤立する場合の会場のお客様の数等を考えて、90万食分の備蓄を確保されるようであります。
 また、関係機関と連携し、来場者が主要なターミナルにアクセスできるような交通手段の調整も行うとされております。
 そのようなことから、総合的に判断いたしまして、子供たちを大阪・関西万博に招待するプロジェクトは進めたいと思っていますが、引き続き、ぜひ博覧会協会とも今後も密に連絡を取りながら、安心・安全の教育旅行については、一生懸命万全を期したいと思いますので、またその点については御指導を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 知事、御答弁ありがとうございます。
 無事に万博が開催され、終わることと、万博の成功を祈念いたしまして、私の一般質問を終了いたします。御清聴いただきありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、林隆一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時23分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開

○副議長(堀 龍雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 22番三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕(拍手)
○三栖拓也君 皆様、こんにちは。自由民主党県議団の三栖拓也でございます。令和7年2月議会におきまして、この場で質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
 今議会で初当選以来続けて8度目の登壇の機会を得ることができました。これもひとえに先輩・同僚議員の支えがあればこそ、この場をお借りして、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 さて、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。
 今回、私は、人権という人間にとって極めて重要かつ壮大で普遍的なテーマを取り上げました。
 きっかけは、去る1月27日から28日に人権・少子高齢化問題等対策特別委員会の県外調査で岡山県を訪れたことです。
 国立療養所長島愛生園を訪れて、ハンセン病患者に対する差別の実態を学ぶとともに、渋染一揆の歴史や岡山市が推進する人権施策について調査を行いました。
 特に、国立療養所長島愛生園では、差別や偏見の歴史に衝撃を受け、人権問題について深く考える機会となりました。
 長島愛生園は、岡山県瀬戸内市の長島という島にあるハンセン病療養所で、1930年(昭和5年)に開設されました。
 当時の国の施策により、ハンセン病患者を社会から隔離するという方針に基づいて設立されたもので、多くの患者が家族や社会から引き離され、生涯をこの地で過ごすことを余儀なくされました。
 1943年に米国で治療薬が開発されて以降、ハンセン病は治療のできる病となりましたが、後遺症が残った方々は、今もなお長島愛生園で療養を続けておられます。
 私たちが調査で訪れた時点で74名の方が生活をされており、その平均年齢は88.5歳であるとのことでした。
 ハンセン病はらい菌と呼ばれる細菌に感染することで引き起こされる感染症です。当時は、らい病と呼ばれており、治療薬はありませんでしたが、感染力が低く、自然治癒することもありました。
 しかし、誤った知識と偏見により、恐ろしい病とみなされ、患者は家族や地域から切り離されてしまいます。そして何より、国が1907年(明治40年)に「癩予防ニ関スル件」という法律を制定したことに端を発し、無らい県運動や癩予防法など、強制隔離政策へとつながっていくことになりました。
 政府は、ハンセン病患者を公立癩療養所に収容することを義務づけ、地域社会からの排除を推進しました。患者は自らの意思に関係なく療養所へ送り込まれ、自由を奪われることになりました。
 我々が長島愛生園を訪れた際、御案内していただいた学芸員の木下様から伺った話で最も印象的だったのは、ある女性の患者様のお話です。その方は、ある日、お母さんから、今度旅行に行こうねと提案をされ、初めて遠出できる日をとても楽しみにしていたそうです。待ちに待ったお出かけの日、お母さんと一緒に船に乗ってわくわくしながら下船した場所が長島愛生園の船着場でした。振り返ってみると、乗ってきた船は既に沖のほうへ引き返しており、お母さんの背中だけが小さく見えていたそうです。大好きだったお母さんとは、それが最後の別れになってしまいました。
 このように、強制的に隔離された患者の方々は、一生を療養所で過ごすことを強いられ、結婚や子供を持つ権利も奪われ、断種手術や中絶の強制も行われるなど、重大な人権侵害を受けました。
 現在、長島愛生園は単なる療養施設ではなく、人権侵害の歴史を伝える場となっています。長島愛生園の歴史は、国の誤った政策による人権侵害の象徴であり、差別と偏見が生み出した悲劇の記録です。この過去を忘れず、人権の尊重と共生社会の実現を考えることが現在を生きる私たちに求められているのではないでしょうか。
 私自身、これらの差別の実態について今後も認識を深め、知識を高めながら、政治に携わる一人として、微力ではございますが、取組を進めたいと決意を新たにした次第です。
 ハンセン病患者の差別も渋染一揆の背景にあった差別に関しても、共通するのは、同じ場所に住み一緒に生活を営む人々が見えない線で仕切られ差別を受ける。人権という全ての人間が持ち、誰にも奪うことが許されない平等の権利を踏みにじられるということです。
 これらの差別を生み出すのは誰か。それは差別的な言葉を発する個人だけなのか。それとも、そうした言葉や意識が生まれる土壌としての社会そのものなのか。現代を生きる私たちに対し、根源を揺るがす核心的で重厚な問いを投げかけられた思いがいたしました。
 では、これを今後どのように考えていくべきか。この話を深める上でもう一つ避けて通れない問題があります。それこそが現代社会や国家による最大の人権侵害とも言える冤罪についてです。
 そして、冤罪被害者を救済するための制度である再審については、刑事訴訟法の規定によるものですが、現行制度では、再審開始が確定するまでの条件が非常に厳しく、冤罪の早期救済が難しいなどの課題が指摘されています。1948年に刑事訴訟法が制定されて以来、ほとんど変更されておらず、法務省においてもこの制度について検討する方針とお聞きをしております。
 このように、日本の刑事再審制度における問題点について、特に袴田事件や狭山事件に象徴されるような、長期間にわたる再審請求の実態を踏まえ、この制度に対する課題認識について県としての御所見を伺いたいと思います。
 日本の再審制度は、一度確定した有罪判決を覆すことが極めて困難であり、冤罪が疑われる事案であっても、再審開始までに長期間を要する実態があります。具体的に、袴田事件では再審請求から再審開始決定までに40年以上、狭山事件では再審請求から50年近くが経過していますが、いまだに再審開始決定がなされていません。
 さらに、袴田事件では、再審開始決定が出された後も、検察の異議申立てにより9年間も確定しない状況が続きました。このような状況は、冤罪被害者の迅速な救済を妨げるだけでなく、司法制度への信頼を大きく損なうものです。
 こうした問題意識を背景に、全国の地方議会でも再審制度の見直しを求める意見書が相次いで提出されています。本県と隣接する大阪府議会では、令和6年11月5日に再審法改正に向けた速やかな議論を求める意見書を採択しました。
 この意見書では、一つ、再審請求審の長期化、袴田事件では再審開始が確定するまでに9年を要した。二つ、証拠開示の不十分さ、検察が保有する証拠が開示されないため弁護側が新証拠を入手しにくい。三つ、検察官の異議申立て権限、再審開始決定後も検察が異議申立てを行うことで審理が長期化するといった問題点を指摘し、国に対して速やかな再審法改正の議論を求めています。
 また、大阪府議会をはじめとする日本全国の地方議会の動きとして、日本国民救援会の調べによると、2024年12月28日時点で19の道府県議会、249の市議会、189の町議会、46の村議会、二つの区議会、計505の地方議会が同様の意見書を採択しています。このように、地方議会からも再審制度の見直しを求める声が高まっています。
 再審制度の問題は、日本の刑事司法の信頼性に関わる極めて重要な課題です。長期間にわたる再審請求の審理は、冤罪被害者のみならず、その家族や支援者に大きな精神的・社会的負担を強いるものです。
 こうした背景を踏まえ、和歌山県議会としても全国の地方議会と連携し、国に対して再審制度の見直しを求める意見書を提出するなど積極的な働きかけを行うべきかと考えます。
 そこで、知事に御所見をお伺いします。
 この刑事再審制度についてどのような課題認識をお持ちか、お聞かせください。
○副議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 ただいま三栖議員が御指摘されたとおり、私も冤罪は大変重大な人権侵害であると思います。刑事訴訟法に基づく再審制度につきましては、全国の地方議会から国に対し、見直しを求める意見が寄せられていることも承知をしております。また、法務省におきましても、この制度については法制審議会に諮問し、検討していく予定であると聞いております。
 昨今の裁判の中でも検察の行き過ぎた捜査等々が判明し、無罪になるケースも出ておりますので、これは早急に解決すべき課題だと思っております。狭山事件もそうであります。袴田事件は解決されましたけれども、狭山事件は50年も続いている。全くそのとおりでありまして、この再審制度に関しましては、国の制度ではありますけれども、私としても現行の制度では、今、大阪府議会の意見書に書いてあるとおり、再審請求審の長期化ですとか証拠開示の不十分さ、あるいは検察官の異議申立て権限の在り方等について大きな課題があると認識しております。
 今後の国の動きについてしっかりと見守っていきたいと考えております。
○副議長(堀 龍雄君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 御答弁いただきました。
 人権問題は、その時々の時代背景や社会情勢と複雑に絡み合って、そうした形を変えてきた歴史があると思います。しかし、どの時代においても、人が人としての尊厳を持ち、平等に生きる権利が侵害されてはいけないと考えます。
 現代社会は、技術革新やグローバル化によって急速に変化しています。この変化の波に乗るだけではなくて、今こそ私たちが主体的に、人が生まれながらにして持つ当たり前の権利である人権をより確かなものへと変えていかなければならないと考えます。社会の進化が人権の向上につながるよう、制度や意識を変え、誰もが尊厳を持って生きられる社会を築くことが求められています。
 過去の過ちを繰り返さず、新たな時代にふさわしい人権の在り方を確立するために私たちは何をすべきか、この問いを深く胸に刻み、具体的な行動へとつなげることを強く求め、私のこの質問を締めくくらせていただきます。
 では、次の質問に移ります。
 続いて、大項目2番目、私の地元白浜の宝であり、和歌山県にとっても大切な財産でもある熊野白浜リゾート空港についてお伺いします。
 2024年1月に南紀白浜空港の愛称が熊野白浜リゾート空港に決定し、それ以降、官民一体で多くの皆様に、より一層愛着を持っていただける空港を目指し、日々運営をしてくださっておりますことに、まずは感謝を申し上げます。
 また、東京・羽田空港との定期便の搭乗率向上に向けた取組だけでなく、2023年に完成した国際線ターミナルも活用した海外からのチャーター便誘致など、空港のさらなる利用促進と地域振興に向けた様々な活動に御尽力いただいていることも承知をしており、大変ありがたく感じているところです。
 そのような、まさにオール和歌山で、県内唯一の空港である熊野白浜リゾート空港を盛り上げていこうという中において、次に目指すべき大きな目標は、岸本知事がかねてより強く訴えておられる滑走路2500メートル化であります。
 今年度、県は熊野白浜リゾート空港の滑走路を現状の2000メートルから2500メートルへの延伸を目指し、滑走路延伸に向けた実現性の調査を実施しました。
 県議会においても、過去に先輩議員の皆様が滑走路延伸に関わる質問をされており、岸本知事も実現に向けて力強い意気込みを述べておられたと記憶をしておりますが、改めて今回、この結果を受けて、滑走路延伸の実現性についてお伺いをします。
 今年度実施した滑走路延伸に向けた実現性調査の結果はどのようなものだったのでしょうか。また、実現に向けた課題やハードルなども残されていると考えますが、どのように乗り越えていくつもりなのかも含め、岸本知事にお尋ねいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 三栖議員の御質問にお答えします。
 熊野白浜リゾート空港の滑走路延伸につきましては、これは本当に、言うはやすく行うは難し、大変ハードルの高い目標だと思っております。今年度の予算を使わせていただいて、技術調査をさせましたところ、技術的には可能であるという調査結果が出ました。しかし、その上で空港周辺の環境調査も必要であります。
 さらには何より地域の市町、そしてさらに地域住民の皆様の御理解を得ることが本当に必要になってまいりますので、これは来年度の予算で基本計画をつくらせていただいて、それをもってしっかりと説明をさせていただくということが何より重要だと思っております。
 そして、将来の需要として、国内線と国際線の利用者が55万人になりますと、B/Cが1.2程度の費用対効果が見込まれるということになります。
 国交省による滑走路の整備指針では、主要路線である羽田線の利用者数が50万人以上を求められます。まずは5年後の2029年度に利用者数を30万人、さらに滑走路延伸後に50万人とすることを目標に、来年度の予算にも組み込んでおりますけれども、各種の利用促進策を着実に一歩ずつ進めていきたいと考えております。
○副議長(堀 龍雄君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 御答弁をいただきました。
 滑走路延伸については技術的に可能ということで、実現に向けて越えないといけないハードルはあるものの、利用促進に力を入れて、強力に推進していくという御答弁をいただきましたので、私も安心をしたところでございます。
 しかし、滑走路を2500メートルに延伸すれば、すなわち利用者が増えて地域が活気づくわけでもございません。どのように利用を促進していくのかも同時進行で考えていかなくてはならないと思います。
 そういった観点から、続いては、滑走路延伸に向けた利用促進策についてお伺いします。
 令和7年2月5日の記者会見において岸本知事は、来年度当初予算の概要説明の中で、熊野白浜リゾート空港について、国内線の利用者を増やしていくため、インセンティブをつける施策や、国際チャーター便や定期便化を含めた誘致のための予算、県庁職員が利用できるサテライトオフィスの設置など、複数の利用促進策を予算化すると説明をされておりました。
 滑走路の延伸には国庫補助も活用しながら事業化していく必要があり、そのためには、今よりさらに利用促進を進めていかなくてはなりません。知事は、毎年2万人の増加を積み重ねて、5年後の2029年には30万人規模の利用客数を目指すという高い目標を掲げられました。この目標達成に向けて、羽田便を日に3便から4便へ増加することや、国際チャーター便の誘致、さらにその先の定期便化など、飛行機を利用する搭乗客数の上限を増やすことが不可欠だと感じます。
 私も空港利用促進の一助となるよう精いっぱい応援させていただく所存ではございますが、これらを実現していくためには、計画した施策を実施するだけではなく、それぞれの施策の効果を最大限に高めていくことも重要と考えます。計画に従い実行した施策に対して、効果を測定し、必要に応じて軌道修正するPDCAのサイクルを回していくことが必要ではないでしょうか。
 そこで、知事にお伺いします。
 先ほども述べたように、国内線の4便化及び国際線チャーター便の誘致に取り組んでいると認識をしておりますが、ただ取り組むだけではなく、利用促進策の効果を高めることも重要と考えます。また、それらの施策によって目指すべき空港の姿、役割はどのようなものになるのか、お聞かせください。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 今、熊野白浜リゾート空港の利用者、利用客は20万人であります。これも民間の企業に経営をお任せするということの効果もあり、10万人のお客様が10年で倍になったというわけであります。
 さらに今、インバウンドで熊野古道、大勢の方が来ていただいていますので、背景にある温泉、熊野古道、多くの観光地が恐らく努力をすれば、これまで以上にお客様が来てくださる可能性があると考えております。
 したがいまして、先ほど御指摘いただきましたように、来年度予算で新たに旅行商品の造成や閑散便の搭乗客への助成でありますとか、空港振興策を実施する市町村の事業への助成、あるいは国際線につきましては、定期運航に向けたチャーター便の運航経費の支援、さらにはプロモーションなどの予算を計上しているところであります。
 また、空港の利便性を向上させるための空港連絡バスにつきましても、引き続き運行していきたいと思います。実証実験の結果として、かなりのお客様に御利用いただきまして、相当な売上げも達しましたので、可能だと考えております。
 また、今オール和歌山とおっしゃっていただきましたけれども、まずは事業実施をする県庁として、オール県庁でこの事業に取り組みたいと思っておりまして、4月1日からは各課の副課長さんを港湾空港振興課の併任をかけて、取り組んでいきたいと考えております。
 そして、様々なこういう施策に対してどのような効果があるのかを分析し、効果の高い施策は強化する、効果の薄い施策は改善するなど、トライアルアンドエラーで様々な努力をしていきたいと思っております。
 また、JALさんが今3便飛ばしていただいていますので、JALさんをはじめとする民間企業、それから市町村との協力を強めて、これからはしっかりと努力をしてまいりたいと思っておりますので、御地元の県会議員の皆様を含め、県会議員の先生方の御支援も賜りたいと考えております。
○副議長(堀 龍雄君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 ただいまの知事の答弁を聞いて、改めて県としても利用促進を進めていこうという強い意気込みを感じることができました。ぜひともよろしくお願いします。
 また、さらなる利用促進を図るための施策として、人を運ぶ旅客輸送に加えて、物を運ぶ航空貨物輸送の活用も大きな可能性を秘めているのではないかと考えます。
 そこで、続いての質問、航空貨物輸送の活用についてお伺いいたします。
 一般的に、航空貨物は高速輸送が求められる産品の輸送手段として有効であり、特に生鮮食品や医薬品、半導体関連部品、電子機器など輸送時間の短縮が競争力に直結する分野で活用が進んでいます。
 例えば、同じ地方空港でも、航空貨物輸送の事例が多く出てきています。鹿児島空港では、サツマイモ、マンゴー、黒豚といった特産品の輸送に特化した貨物便を拡大し、ふるさと納税などの活用と連携して、産地直送モデルを強化しています。
 また、昨年、和歌山県議会半島振興・空港対策議員連盟の南紀白浜空港促進部会で、滑走路を2000メートルから2500メートルに延伸する事例の視察調査を行った佐賀空港においても、佐賀空港が目指す将来像として、航空貨物輸送の強化をうたっておりました。
 このように、東京などの首都圏と物理的に距離がある地方においては、航空貨物輸送によって創出できる価値やサービスの可能性がまだ眠っていると考えます。
 熊野白浜リゾート空港の立地を生かし、例えば県内産の水産物、マグロ、カツオ、シラスなどや高級果実、梅やかんきつ類を首都圏に向けて迅速に届けることで、新たな市場開拓につながるのではないでしょうか。
 さらに将来、海外に向けて県産品を航空貨物で輸送することが可能となれば、和歌山と世界が空路で直結することも夢ではありません。
 では、実現に向けて必要なものは何でしょうか。和歌山県には2500メートル化により、大型機材が離着陸できる滑走路ができ、どこにも負けない県産品がありとなれば、あとは航空機に載せて輸送するだけと思われますが、実は、熊野白浜リゾート空港の周辺には生鮮品を集積できる貯蔵庫など保管機能のある施設がありません。
 航空貨物輸送の最大のメリットは何といっても物流のスピードです。特に鮮度が命の海産物や農産物を短時間で輸送するためには、温度管理が徹底された保管庫を整備し、陸路で搬入された貨物を効率的に航空機へ積み込むことが重要です。
 さらに、保管庫があれば一時的に貨物をストックし、計画的に輸送を進めることで物流の安定化を図れるだけでなく、陸路による回送コストの削減にも寄与できます。
 将来的に国際貨物を取り扱うのであれば、通関手続が完了するまでの間、一時的な保管場所も必要となってくるでしょう。
 このように、航空貨物輸送を現実的に推進していくためには、県下から集められた産品を空港周辺にストックできる貯蔵庫や保管庫が必要になってくると考えますが、どのようにお考えでしょうか。岸本知事にお尋ねいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 三栖議員の御質問にお答えいたします。
 熊野白浜リゾート空港と羽田空港との定期便におきまして、航空貨物としての輸送は現在ほとんどない状況であります。
 一方で、将来的な航空機の大型化に当たっては、旅客輸送のみならず、貨物輸送を含めた需要が見込まれることが重要であり、今から大型化を見据え、貨物輸送の創出を図るべきであると私どもも考えております。
 県といたしましては、まずは貨物の定着を目的として、県産品の航空輸送の実証を行ってまいりたいと考えております。その際には、品目に応じました輸送方法の検証を行うことも必要でありますし、議員御指摘の貯蔵庫、保管庫についても、その効果や必要性などを併せて整理し、貨物の効率的な輸送に必要な設備についても検討するべきであると考えております。
○副議長(堀 龍雄君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 検討していただけるということで、ぜひともよろしくお願い申し上げます。
 次が最後の質問になります。
 最後は、特定利用空港についてお尋ねいたします。
 和歌山県は、2025年1月に熊野白浜リゾート空港を特定利用空港としての指定を受け入れる方針であると公表されている状況であると認識をしています。
 これについて、地元の方はもとより、県外にお住まいの方からもお問合せを頂戴する機会が何度かございましたので、改めて熊野白浜リゾート空港が特定利用空港に指定されることの意義をお伺いしたいと思います。
 そもそも特定利用空港とは何か、国土交通省が公表している「総合的な防衛体制の強化に資する取組について」という資料によりますと、「安全保障環境を踏まえた対応を実効的に行うため、南西諸島を中心としつつ、その他の地域においても、自衛隊・海上保安庁が、平時から必要な空港・港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者との間で『円滑な利用に関する枠組み』を設ける。これらを、『特定利用空港・港湾』とする」と記載がございます。
 ここでいうインフラ管理者とは、熊野白浜リゾート空港の場合においては和歌山県ということになります。
 では、特定利用空港に指定をされると、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。私たちは平素から、いつか必ずやってくると言われる南海トラフ地震に備え、各自治体が必死になって防災・減災対策に取り組んでいます。熊野白浜リゾート空港は、紀伊半島で唯一の空港であり、また高台に位置していることから、津波などの災害に強い空港として、被災時において災害対策の拠点となる重要な場所です。その空港が特定利用空港として平素から運用されることにより、いざという場合の住民避難や救援部隊の派遣などの迅速化、効率化につながると考えます。
 また、先ほどより滑走路延伸に向けた取組についても意見を申し上げたところですが、特定利用空港の指定を受けることにより、滑走路延伸への追い風になると期待をするところです。
 しかしながら、一方では、特定利用の指定を受けると武力攻撃の対象となるのではという不安の声も聞かれます。実際に私に対して寄せられた意見も、このような趣旨がほとんどでした。その都度、上記のような利点を説明しながら、誤解のないように、正しく理解をしていただくように努めておりますが、不安な思いを抱いておられる方がいらっしゃるのも事実であると感じます。
 そこで、岸本知事にお伺いをします。
 特定利用空港の指定に伴う県民のメリットをどのように考えておられますか。また、有事の際に武力対象になるのではというような安全保障上の懸念をどのように捉え、県民の理解を得ていくお考えなのか、お答えください。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 この特定利用空港の指定を受けますと、自衛隊と海上保安庁が民生利用を主としつつ、平素から必要な空港を円滑に利用できるよう、和歌山県との間で円滑な利用に関する枠組みを設ける、これは議員御指摘のとおりであります。
 このことによりまして、和歌山県にどういうメリットがあるかということなんですけれども、まずは災害時の迅速な住民の避難、救援部隊の効率的な派遣、航空機による避難経路の確保など、災害時におけます空港機能の向上が期待されます。
 それから、これは当然なんですけれども、ふだん私どもの危機管理部の職員は、陸海空の自衛隊の幹部の皆さんと日頃から親しくお付き合いをさせていただいております。顔と人柄が分かる関係をつくっております。その円滑な利用に関する枠組みをつくりますと、そのことによって自衛隊と海上保安庁、私どもの職員の間でいろんな準備、いろんな連絡をする中でお互い親しくなっていくということで、一朝有事の際にはそういう人間関係が円滑な防災につながっていくのではないかということも考えております。
 その上で、いわゆる県民の皆様の御心配でありますけれども、武力攻撃の対象になるのではないかという御懸念であります。これは本当に皆様にはきちんと御説明をこれからもしてまいりたいと思っておりますが、訓練として空港を時々使っていただくということで、それも災害時に大変役に立つわけでありますが、新たにそこに自衛隊の基地を造るわけでもありませんし、駐屯されるわけでもありません。したがいまして、空港の運用や利用には大きな変化はありません。そういうことで、当該施設が攻撃目標となる可能性が高まるとは言えないというふうに考えております。このことについてはしっかりと御説明をしてまいりたいと思います。
○副議長(堀 龍雄君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 御答弁いただきました。
 この特定利用空港に関しては、この後に藤本議員から鋭い質問もあろうかと思いますので、これについて私の質問は以上とさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、この空港は白浜のみならず、和歌山にとっても宝でございます。より多くの人に愛され、利用していただける空港になることを心から願っておりますし、そのために微力ながら力を尽くしてまいりたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(堀 龍雄君) 以上で、三栖拓也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行します。
 31番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、こんにちは。
 今、三栖議員がちょっと名前を出していただいたので、少しどきどきしましたけれども、特定利用空港のことについてちょっといろいろとお聞きしたいというふうに思います。
 この熊野白浜リゾート空港というのは、さっき三栖議員もおっしゃったように、やっぱり和歌山県の大切な財産だというふうに思っていますので、その大切な財産が特定利用空港の指定を受けたということについて、いろいろと心配なことを私のほうにも声が寄せられておりますので、その点について質問したいと思います。よろしくお願いします。
 関西のニュースウェブによれば、特定利用空港・港湾は、国が有事に備えて各地の空港や港湾を指定し、自衛隊や海上保安庁の航空機や船舶が訓練などで円滑に利用できるよう整備・拡充するもので、これまでに、那覇空港や熊本空港など八つの空港と、鹿児島港や高知港など20の港が指定されています。
 今回は、それに加えて新たに特定利用空港を指定しようとするものであります。和歌山県の岸本知事は、1月8日の記者会見で、国から熊野白浜リゾート空港を指定すると申入れがあり、県として受け入れることを明らかにしました。
 三栖議員の質問と重なることもあるのですが、一応、原稿を一生懸命考えましたので、伝えさせていただきます。
 そもそも、この特定利用空港の指定は、2022年12月に閣議決定された国家安全保障戦略の中の総合的な防衛体制の強化の一環として位置づけられます。
 「自衛隊・海上保安庁による国民保護への対応、平素の訓練、有事の際の展開等を目的とした円滑な利用・配備のため、自衛隊・海上保安庁のニーズに基づき、空港・港湾等の公共インフラの整備や機能を強化する政府横断的な仕組みを創設する。あわせて、有事の際の対応も見据えた空港・港湾の平素からの利活用に関するルール作り等を行う」とあります。
 こうなってくると、特定利用空港は有事に備えた空港・港湾の利活用であると理解せざるを得ません。ちなみに有事とは、日本が外国から武力攻撃をされたり、武力攻撃をされそうなときに、首相が自衛隊に防衛のための出動を命じる状況のことを指すとされています。
 熊野白浜リゾート空港がそのような空港に指定され、戦争の際に使用されると考えると、もうできれば指定を受けるのを中止していただきたいとの思いです。
 ロシアのウクライナ侵攻からイスラエル・パレスチナの紛争と、世界では様々な場所で、多くの人の命が軽んじられています。双方にどのような言い分があるとしても、指導的立場にある政治家は、国民の命を守るために最善の努力をしなければなりません。国民をこまのように扱い、人の命をへとも思わない、人とも見ない政治家が引き起こしている戦争を何としても止める努力が求められています。日本はそのためにできることを模索し行動しなければならないと思います。
 日常の中で、マスコミ等によって悲惨な状況を私たちは日々見せつけられています。ただ漠然と、もし日本が攻撃されたとか、もし日本も同じ目に遭うようなことになればと、国民の中には大きな不安が押しとどめられています。この不安をいいことに軍備を増強し、敵に対して攻撃をしかけていける武器を整備していくことは、目には目を、歯には歯を、武力には武力と、際限ない戦争への道を進むばかりだと思います。
 政府は、南西諸島、九州地方を中心に、特定利用空港・港湾を指定していますが、万が一有事になったときは、人口の少ない南西諸島ではなく、東京や大阪、原発のある地域、日本全土が標的になるのは明らかだと思います。日本が戦場になることを覚悟する必要があると思います。
 日本が武力を持てば持つほど、アジアの人々は、さきの戦争で侵略された、そのことを思い出し、そのことに対抗する武器を持つことになるのではないでしょうか。
 ある国を敵国と見立て、不安をあおり、軍備を増強することは、憲法の示す平和への道筋からどんどん遠ざかっていくことです。国には戦争させない、そのような事態にしないための決意と行動が求められています。今こそ、第2次世界大戦の教訓をもう一度心に刻むときだと思います。
 そのことを踏まえて、知事に幾つか質問を行います。
 政府は、特定指定空港のことについてQ&Aを作成しています。その中に、「この取組は有事を対象とするものですか?」という問いかけがあります。答えは、「この取組は、平素における空港・港湾の利用を対象としたもので、武力攻撃事態のような有事の利用を対象とするものではありません」と答えられています。では、有事を対象としないのであれば、どのような場面を想定されているのでしょうか。知事はどのような取組とお考えなのか、お聞きします。
 次に、熊野白浜リゾート空港と言われる和歌山のリゾート空港が選定された理由は何だったとお考えでしょう。県が受け入れるに至る経緯と理由をお示しください。
 よくある質問の中で、「自衛隊による訓練においてどのような頻度で特定利用空港・港湾を利用することを想定していますか?」との質問に、年数回程度を想定していますと答えています。しかも、訓練内容については、「例えば、自衛隊の航空機については、輸送機による迅速な国民保護のための訓練、戦闘機や輸送機による離着陸訓練、離着陸に必要な各種資器材・人員等の空港への展開訓練等を想定しています。」としています。今までの災害派遣や防災訓練等とは全く異なる訓練となりそうです。
 インバウンドの客をさらに受け入れ、熊野白浜リゾート空港の利用を大きく進めたいとしている県として、本格的な自衛隊訓練はなじまないように思われますが、知事はどのようにお考えですか。また、本格的な訓練が実施された際に、住民の安全が脅かされるなど問題が発生した場合、どのような対応をされますか。また、このような訓練に熊野白浜リゾート空港を使用することへの地元への説明をどのようにお考えか、お伺いします。また、これは三栖議員とも重なっておりますが、そのような特定空港指定を受ける地元や和歌山県にメリットはあるのですか、お伺いします。
 また、Q&Aでは、「『特定利用空港・港湾』となることで、米軍も利用することになりますか?少なくとも、米軍が利用する可能性が高まるのではないですか?」との設問に対して、「この枠組みは、あくまで関係省庁とインフラ管理者との間で設けられるものであり、米軍が本枠組みに参加することはありません。」というお答えをしています。しかし、この日米地位協定というものの中で、米軍は日本のどこでも期限の定めなく使用目的・条件を厳しく限定しないまま施設や区域が提供され、国会の関与がなくても実行できるようになっています。現に米軍は訓練の経由地としての使用や緊急着陸などの名目で民間空港・港湾を頻繁に利用しています。毎日新聞電子版5月30日付によれば、2023年に米軍機の民間空港着陸は過去10年間で最多の453回を数えていると報じています。
 このように、米軍の利用が高まることはないとする政府の答弁は、実際のところ実行されるのか、もし米軍に使用を打診されたとき、果たして政府は断ることができるのか、甚だ疑わしいと考えます。
 そこで、知事はどのような判断をされるのか、お伺いします。
 最後に、国から情報提供が事前にされなかったり、住民の安全が脅かされたりなど、問題が発生した場合、利用差止めなどの措置を取ることが必要と考えますが、その権限はどのように担保されるのでしょうか。一括して知事にお伺いします。
○副議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 藤本議員の御質問にお答えをさせていただきます。
 特定利用空港の利用でございますけれども、この取組は、有事を対象としておりません。自衛隊や海上保安庁による災害時における救援物資の運搬、それから救援部隊の効率的な派遣、住民の避難などを想定しておりまして、そのための航空機の離着陸訓練等を実施するものと理解しております。
 それから、当空港が特定利用空港に選定された経緯と理由につきましては、政府部内におきまして、置かれている地理的条件でありますとか、あるいは津波の被害が受けられないしっかりとした地盤のあるところに位置している等を検討した結果ではないかと理解をしております。
 それから、リゾート空港という名前の空港に自衛隊の訓練はなじまないのではないかという御指摘でございますけれども、これは先ほど三栖議員の質問にも答えましたが、特定利用空港に指定されましても、平素の民生利用には全く影響はないと聞いております。
 それから、自衛隊や海上保安庁の訓練時に住民の安全が脅かされた際の対応につきましては、訓練に際して住民の安全が守られるのは当然のことと考えておりますけれども、必要があれば、議会の皆さんとも相談しながら、和歌山県の見解をしっかりと政府に伝えていきたいということでございます。
 それから、訓練実施に当たって地元への説明につきまして、自衛隊や海上保安庁は、地域住民に及ぼす影響を考慮し、事前に訓練内容や実施日等を空港管理者や関係自治体へ説明するとともに、空港周辺の皆様にも及ぼす影響が最小限となるよう努めております。特定利用空港に指定されましても同じように対応するというふうに伺っております。
 それから、指定を受ける県のメリットにつきましてですけれども、これも先ほど申し上げましたが、あらかじめ自衛隊や海上保安庁との間で利用調整の枠組みを設けることで、職員同士が円滑に人間関係が分かった上で、いろんな調整が可能となりますので、これが災害時の緊急のときの対応において大きなメリットとなると考えております。
 それから、米軍の参加につきまして、特定利用空港において米軍はこの枠組みには入らないということであります。仮に、藤本議員がおっしゃるように、米軍が特定利用空港の枠組みに参加しないことをほごにされた場合、また、国が示したQ&Aのとおり遵守されない場合の対応はどうするのかでありますけれども、これを前提に私たち和歌山県は受け入れたわけでありますから、こういうことが守られない場合は、最大限の抗議をしていきたいと思いますし、例えば、具体的には、私が滑走路に座込みをしてでも阻止をしたいと思いますので、藤本議員にも御一緒に座込みをしていただきたいと思います。
○副議長(堀 龍雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 答弁もお聞きしまして、県では災害ということをすごく念頭に置いて、メリットがあるというふうにお考えということは一応理解するんですけど、先ほど知事は滑走路へ寝転ぶと言いましたけど、万が一、約束をほごにされたりとか、事故につながる事案が発生したときには、本当に国に対しては、県がしっかり物を申していけるようにする必要がやっぱりあると思うんです。必要であれば県の見解を伝えるとしていますが、見解を伝えた後、改善に至らない場合はもうちょっと指定空港の指定を取り消してくださいよというふうな、そんなことも視野に入れて今後進めていただけたらなというふうに思います。
 また、地域住民にも本当に事前の説明であったりとか、その経緯はしっかりと丁寧に説明をしていっていただきたいということを強く要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。
 次の質問は、和歌山信愛女子短期大学が学生の募集を停止するということを発表されておりますので、そのことについて質問したいと思います。
 「和歌山信愛女子短期大学学生募集停止のお知らせ」というのが2024年12月17日の同大学のホームページに掲載されました。学校法人和歌山信愛女学院は、2024年12月12日に開催した理事会・評議員会におきまして、和歌山信愛女子短期大学の2025年度学生募集を最後に、2026年度以降の学生募集を停止することを決議したとのお知らせであります。
 ホームページによると、「和歌山信愛女子短期大学は1950年の設立以来、和歌山県唯一の短期大学として、また和歌山県において唯一の保育士養成校、栄養士養成校として、大学名が示す人を信じる、人を愛する心を育むために、「一つの心、一つの魂」をモットーに、一人ひとりを大切にし、与えられた諸能力を十全に開花させ、社会に貢献できる人間の育成に努めてまいりました」とあります。「これまでに1万2000人を超える卒業生は、主に和歌山県内の様々な分野で大いに活躍されています。」と書かれています。
 この決定は、近年の18歳人口の減少、4年制大学志向の高まりに伴い、定員割れが続いたことが主な要因とされています。2025年からは男女共学とし、校名を和歌山信愛短期大学に変更する予定と聞いていたのですが、学生確保の困難さから、募集停止の決断に至ったとあります。
 しかし、この唐突な告知で募集を停止するとの決断は、今在学中の学生や進学を考えていた高校生にとって、大変大きな影響を及ぼすのではないかと危惧しています。信愛女子短期大学は三つのコースがありまして、保育科では保育士資格、幼稚園教諭2種免許が取得できます。生活文化学科の食物栄養コースでは、栄養士の資格を得られるほか、管理栄養士の資格は、卒業後3年以上の実務経験を経ることで、国の受験資格を得ることができます。また、ビジネス実践コースでは、上級秘書士、上級情報処理士、医療秘書実務士等の免許、資格が取得できます。2024年の卒業生133名のうち、就職希望者の120名は就職率100%、県内就職93%と、和歌山県の経済界に大きな役割を果たしていると言えます。
 このように、保育士や栄養士を養成できる唯一の短大が失われるのは、和歌山の教育においても大きな損失だと思います。和歌山市は市街地に大学誘致を進め、若者の県外流出を抑えるとともに、大学進学に伴う経済的な負担の軽減にも取り組んできています。さらに卒業生が県内にとどまり、県内に就職してもらえるよう努力を重ねてきている矢先に実績のある信愛女子短期大学を失うことは大きな損失だと言わざるを得ません。
 私立短期大学ですので、県の指導ということではないにしても、このまま指をくわえて何の手だても打たないというのはいかがなものかと考えます。
 そこで、知事にお伺いします。
 学校側としては、学生募集を停止する旨を報告したと思いますが、知事はどのように受け止められたのでしょうか、お伺いします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 藤本議員の御質問にお答えしたいと思います。
 私も、本当に残念にこの報道を聞かせていただきました。昨年の12月17日であります。学生募集が停止されるとの発表がありました。その後、12月23日でした。この学校法人和歌山信愛女学院の森田登志子理事長が知事室まで来ていただいて、直接お話を伺いました。森田登志子理事長も本当に苦渋の決断であったというふうに受け止めさせていただきました。
 日本全体でも若者人口の減少、あるいは4年制大学に行きたい人のほうが多いという傾向等で、短大そのものの定員割れが深刻化しております。全国の私立短大でも、2025年度とか2026年度には1割を超える大学は募集を停止されているような状況だと思います。
 また、昨今、文部科学省から発表されましたが、2040年には現時点より3割、大学志望者が減るということで、特に私立の大学に対しての将来設計について、警鐘を鳴らされているわけであります。
 そのような状況の中で、1950年の学校設立以来、和歌山県内の様々な分野で活躍される人材を育成していただきました和歌山信愛女子短期大学には感謝を申し上げつつ、しかし、これはまさに今議員がおっしゃったように、私立の短期大学のことでありますので、県としては受け止めざるを得ないということで、大変私も残念に思っている次第でございます。
○副議長(堀 龍雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 大変本当に残念だというふうに思うんですが、唯一の短期大学ということで、何とかその大学という形でなくても存続させられるような知恵はないのかなとかいろいろ考えているわけです。
 特に保育士さんの不足が言われている中で、その養成学校が失われるのは県にとっても大きな損失だと考えます。保育士確保のためにどのような方法を考えられるのか、一度協議を行っていただきたいと希望するものですが、共生社会推進部長に御意見をお聞きしたいと思います。
○副議長(堀 龍雄君) 共生社会推進部長島本由美君。
  〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) これまで県内の保育士養成施設を卒業された方の大半が県内の保育所等で働かれていることから、保育士人材確保の観点で、保育士養成施設の役割は重要であり、施設が減少する影響は大きいと考えております。
 また、子供の数は減少しておりますが、共働き世帯の増加等により保育所の利用を希望する世帯が増加していることに加え、保育士の配置基準の見直しや、2026年度からこども誰でも通園制度が本格的に実施されることもあり、今後も保育士の需要は見込まれており、保育士の人材確保は喫緊の課題であると認識しております。
 県では、これまでも保育士の人材確保事業として、指定保育士養成施設に在学する学生を対象に修学資金の貸付けを行い、保育士資格取得者の増員を図るとともに、動画の作成による保育士や保育現場の魅力の発信や保育業務のICT化による保育士の業務負担軽減について、保育現場と一緒になって取り組んでいるところです。
 今後は、保育士養成施設の和歌山信愛大学をはじめ、保育現場、市町村及び県社会福祉協議会などの関係機関と新たに協議の場を設けて、保育士の人材確保策について一丸となって検討を進めてまいりたいと考えております。
○副議長(堀 龍雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁では、保育士の人材確保の観点から、関係機関と新たに協議の場を設けていくというふうなことで理解しました。
 ただ、生活文化学科の存続は難しいというふうな感じですし、それから、栄養士の養成校としても県内唯一の大学だっただけに、本当にこのことについては残念に思っています。
 和歌山県の高校生は、一人でも多く和歌山県内での高等教育を受け、県内にとどまっていただきたいとの思いからですので、和歌山県はどうしても高等教育を受けられる教育機関がまだまだ少なくて、必要なんじゃないかと考えておりまして、今後は新たな大学の誘致も含めて、ちょっと協議を進めていただけないかと思っているんです。
 その中には、ぜひとも現職の高校の先生方がやっぱり生徒のいろんな進路の問題に取り組んでいただいておりますので、そんな御意見も伺えるような場にしていただけると、もっと協議の場が広がるんじゃないかなと思っておりますので、一度御検討していただけたらと思います。よろしくお願いします。
 最後の質問に行きます。
 先ほど人権の問題、三栖議員もおっしゃっていただいたんですが、今回最後にインターネット上の人権侵害についてというふうなことで質問したいと思います。
 近年のSNSの利用とその影響力というのはもう計り知れないものになってきていると思うんです。SNSはもう日常になくてはならないものというふうになっています。
 博報堂DYメディアパートナーズによるメディア定点調査2024年において、2014年、大体10年前の1日当たりの総接触時間というのを調べておりまして、それが385.6分です。そのうちテレビが156.9分、新聞が23.4分、携帯スマホが74.1分というふうな時間だったのですが、10年後の2024年では、総接触時間が432.7分というふうに増えておりまして、テレビが122.5分、新聞が9.2分、携帯・スマホは161.7分と新聞の接触時間がもう激減しております。テレビの接触時間も少なくなっており、それに代わってスマホ・携帯の総接触時間が2倍以上になっております。
 SNSからの情報が大きくなっているという実態が明らかになりました。特に若い人ほどその傾向が強いように思われます。SNSは本当に大変便利でありますが、その弊害が大きな社会問題となってきています。
 先日、わかやま新報で、石田衆議院議員の国政レポートで、SNSの特徴を次のように分析した記事が出ておりました。参考になると思いますので、一部抜粋して紹介します。
 1番、アテンション・エコノミー、情報の優劣より関心や注目を集めたほうが広告収入などの経済的利益が大きいため、過激なタイトルや内容、事実に基づかない臆測記事が生み出され、偽・誤情報の拡散や炎上が助長される。2、フィルター・バブル、一度閲覧すると類した情報が優先的に配信されることで、異なる考え方などの情報が排除され、偏った情報のみを受け取ることになる。3、エコー・チェンバー、自分と似た興味や関心を持つユーザーをフォローする結果、特定の意見や思想が増幅され、正しいものと信じ込んでしまう。
 こういった特性からSNSを軸に世界中に過激な意見を持った集団が多く形成され、社会の分断とともに民主主義の根幹を揺るがしかねない事態になりつつあると指摘しています。これは石田衆議院議員が指摘していただいていることです。そのとおりだなというふうに思います。
 昨今のトランプ大統領の言動なんかを見ていると、まさしくこのSNSの大きな弊害が出ているんではないかというふうに思っています。
 ネット空間で暴発する差別・人権侵害は、まさにこのことを裏づけています。部落差別に関わっては、ネット上で被差別部落の地名リスト公開、住所、電話番号、役職等を記載した部落解放同盟関係人物一覧を公表した、こういった差別事件が起こっています。この裁判では、有罪の判決がなされています。
 また、被差別部落の地名、建物、風景の画像を説明文とともに掲載し、「部落探訪」と称するページをネット上に公開、現在削除されていますが、悪質なユーチューバーによる部落の暴露はいまだに続いています。
 このような事例は身元調査や土地差別にもつながる重大な人権侵害として、いずれも裁判闘争となっていますが、このような差別や人権侵害が横行すること自体、先ほど述べた上記のSNSの特性を裏づけています。
 また、皆さんも御存じの兵庫県知事選をめぐって、誹謗中傷や事実誤認に加え、大量の批判動画にさらされた元県議会議員は、将来に希望が持てないと言い残し、自死を選んでいます。こんなことが許されていいのでしょうか。彼を死に追いやった責任は誰が取るというのでしょうか。
 ネット空間で暴発する差別や誹謗中傷、人権侵害は時間的・地理的制約がありません。不特定多数の人に瞬時に情報発信できます。匿名で証跡が残りにくいため、人物を特定することが困難です。情報発信や複製、再利用が容易であることから差別の拡散、規模が桁違いに大きいです。情報量の増加、フェイク情報の増加等、多くの様々な問題点が指摘されています。にもかかわらず、SNSに関する対応や法的な規制が追いついていないのが現状です。
 そこで、知事にこのSNS等への投稿による人権侵害についてお伺いします。
 このようなSNSに起因する様々な差別や人権侵害が横行する社会の実態を知事はどのように受け止めていますか。知事に御所見をお伺いします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答えしたいと思います。
 今、藤本議員がるる御指摘をされた点については、私も大変不条理で遺憾なことだと思っております。インターネットは、匿名性でありますとか拡散性ということがありますので、そのようなものを悪用してSNS、あるいは匿名掲示板に対して、差別、偏見、誹謗中傷などの書き込みが行われております。
 これは、私も国会議員のときから取り組んでおりましたけれども、プロバイダが取り消していただくようなことがなかなかできない。法務省さんも努力はしていただいているのですけれども、なかなか県も、あるいは和歌山県で言えば各市町村も、一生懸命法務局にはお願いをしているんですけれども、もういたちごっことも言えないぐらい追いつかない。大変残念に思っております。
 今、議員も御指摘されましたが、自死に及ぶ事件、命に関わる事件もたくさん起きております。これはまさに憲法13条の生命、自由、幸福追求の権利を侵害する大きな人権問題だと考えております。
 県といたしましては、インターネット上の人権侵害の防止対策を含め、実効性のある人権救済等に関する法律の制度をとにかく早期に整備していただくよう、国に対してこれまでも要望してきましたが、引き続き強く国に対して要望してまいりたいと考えております。
○副議長(堀 龍雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 国のほうもこのようなネット利用が生活に浸透している中で、誹謗中傷等の違法・有害情報の流通が社会問題化していることを踏まえ、これまでもプロバイダ責任制限法等による対応を実施してきています。今回は、プロバイダ責任制限法が一部改正され、情報流通プラットフォーム対処法と名称変更になり、昨年の5月17日に公布、それから起算して1年を超えない範囲において施行されることになりました。
 そこで、この情報流通プラットフォーム対処法に係る県の課題認識と取組についてお伺いします。
 情報プラットフォーム対処法では、大規模プラットフォーム事業者に対して対応の迅速化や運用の透明化に係る措置を義務づけることとなっています。権利侵害情報への対応の迅速化としては、削除申請窓口の整備、ユーザーからの削除申請に一定期間内に答えを出すような対応を求めています。また、侵害情報調査専門員を配置するなど対応体制の整備を行うとしています。運用状況の透明化としては削除基準の策定、運用状況の公表、削除した場合、発信者への通知を求めています。
 以上のことが法律で定められ、プラットフォーム事業者の義務となる内容です。このように情報流通プラットフォーム対処法は、プラットフォーマーの自主規制をスタートさせるネット規制の第一歩と考えます。情報流通プラットフォーム対処法では、大規模プラットフォーム事業者を対象としていますが、それよりも規模の小さい事業者に対して削除要請は可能なのか。削除要請は被侵害者の申出に基づいて行われると聞いていますが、属性にある団体や地方公共団体からの削除要請についてどのように取り扱われるか等々について、国がガイドラインを示すということになっています。
 県として、国がガイドラインを示す内容としてどのような課題があると考えているのか、また今後、県としてどのような対応を行っていくのか、共生社会推進部長にお伺いします。
○副議長(堀 龍雄君) 共生社会推進部長。
  〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 議員御質問のガイドライン等については、法施行前のため運用されていない状況でありますが、その主な課題としましては、1点目として、削除の申出を行える者は、自己の権利を侵害されたとする被侵害者と規定されており、地方公共団体が行う拡散防止のための削除申出について、法に基づく対応が大規模プラットフォーム事業者に義務化されておりません。
 2点目として、大規模プラットフォーム事業者の削除基準については、削除するか否かは依然として個々の判断に委ねられており、統一的な削除基準とならないおそれがあります。
 加えて、例えば部落差別やヘイトスピーチのような特定の属性に対する差別表現等については、どのような権利利益の侵害に該当するのか具体的に示されていないため、大規模プラットフォーム事業者による削除判断が困難となるおそれがあります。
 このような課題が考えられるため、総務省が行ったパブリックコメントにおいて対処するよう意見を提出したところです。
 県としましては、これまでも県民に対する啓発や相談対応を行うとともに、差別書き込みについてのモニタリングを実施し、プロバイダに削除要請を行ってきました。
 法施行後においては、様々な機会を通じて法の周知を行い、被害者等からの削除手続に関する相談に対応するとともに、法の対象とはならない規模の小さいプラットフォーム事業者も含め、差別書き込み等を発見した場合は法務局と連携し、削除要請を行ってまいります。
 加えて、今後はこれらの課題を踏まえて、プラットフォーム事業者による差別的な表現等の削除が進むよう、引き続き国に対し要望してまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 情報プラットフォーム対処法、もう何か長い対処法なんですが、先ほども申し上げましたけど、これはプロバイダというかプラットフォーマーの自主規制をスタートさせるネット規制の第一歩だというふうに思っています。ただ、事業者のガイドラインというのがどの程度のものになるかということについては、国からしっかりと指針を示していただきたいなというふうに思っています。
 現在も、ユーチューブの利用者が子供から大人までどんどんどんどん増えているわけです。もう大人も新聞読まないでユーチューブでいろんなニュースを入れると、そんな感じです。
 私の住んでいる地区を単車で駆け巡って、差別的な画像を配信しているユーチューブの画像をこの間見ました。見ると、先ほど言ったように閲覧者数が増えると差別者が利益を得られるようになっているので、あまりそういう画像を見ないようにしていたんですが、これは閲覧者に含まれないようにしているから大丈夫というので、その画像を見ました。私の身近にある地区ですよね、私の住んでいる地区が差別や偏見に満ちた映像となって配信されていました。部落は暗くて怖い場所だという差別意識ですよね。これ、差別意識の調査でも出たんですが、そういったものを助長される画像になっておりまして、私は、これは明らかに差別だというふうに思ったのですが、このようなユーチューブもいっぱい配信されているんです。何千回も再生されたりしています。それが削除の対象になるかどうかが不明なんです。これが差別だということを指摘、削除してほしいと要請しても、プロバイダというかプラットフォーマーがこれは別にその地区の様子を映しているだけだというふうなガイドラインであれば削除されないわけですよね。だから、たまたま私の地区のことを言いましたけど、全国の部落がそんなふうにさらされて、多くの人が閲覧して、許し難い行為だというふうに私は思っています。
 SNSの利用には、ファクトチェックも含めたリテラシー教育への取組が本当にもっともっと必要だと思っておりまして、このことについては改めてまた次の機会でお伺いすることにするんですが、ともかくうそばかりがネットで出されております。
 最後に、今後、情報プラットフォーム処理法が差別をなくす有効な手段となるように、県当局の皆様にも御努力をお願いするとともに、一日も早い法整備を要望するものです。
 これで、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(堀 龍雄君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時22分散会

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