令和7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
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令和7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号
議事日程 第4号
令和7年3月5日(水曜日)
午前10時開議
第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(41人)
1番 高田英亮
2番 上山寿示
3番 佐藤武治
4番 鈴木德久
5番 森 礼子
6番 濱口太史
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
10番 玄素彰人
11番 山家敏宏
12番 鈴木太雄
13番 岩田弘彦
14番 吉井和視
15番 中村裕一
16番 北山慎一
17番 坂本佳隆
18番 中本浩精
19番 堀 龍雄
20番 谷 洋一
21番 新島 雄
22番 三栖拓也
23番 川畑哲哉
24番 秋月史成
25番 谷口和樹
26番 山下直也
27番 山田正彦
28番 小川浩樹
29番 中尾友紀
30番 岩井弘次
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 坂本 登
34番 尾﨑太郎
35番 小西政宏
36番 浦平美博
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 藤山将材
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
9番 欠員
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説明のため出席した者
知事 岸本周平
副知事 下 宏
理事 田嶋久嗣
知事室長 北廣理人
総務部長 友井泰範
危機管理部長 河野眞也
企画部長 前 昌治
地域振興部長 赤坂武彦
環境生活部長 山本祥生
共生社会推進部長 島本由美
福祉保健部長 今西宏行
商工労働部長 大川伸也
農林水産部長 立石 修
県土整備部長 福本仁志
会計管理者 高橋博之
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員長 竹山早穗
警察本部長 野本靖之
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 森田康友
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 林 伸幸
次長(秘書広報室長事務取扱)
橋爪正樹
議事課長 岩井紀生
議事課副課長 田中 匠
議事課議事班長 伊賀顕正
議事課副主査 川崎競平
議事課副主査 西 智生
議事課副主査 林 貞男
総務課長 榊 建二
政策調査課長 岩谷隆哉
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午前10時0分開議
○議長(鈴木太雄君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
10番玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕(拍手)
○玄素彰人君 皆さん、おはようございます。議席10番、玄素でございます。
2月議会2日目、トップバッターで質問させていただく機会をいただきました。関係各位に感謝、御礼申し上げたいと思います。
いつものことであるんですけども、今回の質問でも、時に当局に対して厳しいことを申し上げることもあろうかと思いますけども、まあそこは和歌山県を思う玄素がゆえということで、お許しをいただきたいと思います。
それでは、1点目に入るんですけども、その前に、関係もしてあるんで、まずは令和7年度の予算についての私の雑感を申し述べたいと思います。
昨年の予算特別委員会において、空港の滑走路延長について意見をさせていただいたことがありました。そのハード、500メートルを伸ばすということに対して、とにかく前のめりになるんではなくて、半島の空港であるというような不利なところもあるけども、もっとセールス環境を伸ばして、集客をするところに予算をつぎ込んではどうかというお話をさせていただきました。今年度というか来年度の令和7年度の予算では、大体ざっくり5000万円ほど、そういったセールス環境をよくするための予算というのが組み込まれてございます。
それと、9月議会におきましては、流用の手法ということにはなかなか賛成はできかねるけども、ただ、避難所に指定されている高校の体育館なんかに対して大型冷風機を入れていくというお話でありました。それも、政治は結果責任ということで言いましたら、もう今、令和6年度中にそれが整備されているというふうに聞いておりますから、それも一定評価をしなければならないなというふうに思いますし、また、9月議会で、スターリンクを導入してはどうかというお話もさせていただきました。これも機敏に対応いただいて、来年度の予算に計上いただいております。
さらに言うならば、昨年の経済警察委員会で県外調査にも行ってきたんですけども、人工衛星を使って漏水管調査、これ電磁波を当てたりとかAIを使ったりとか、いろんな手法があるんですけども、そういった水道漏水検知システムもいいなあと思って当局にも働きかけをさせていただきましたけども、これも予算化をいただいておりますし、宿泊税も、9月議会には再度といいますか質問をさせていただきましたけども、これも漏れ伝わってくるところによりますと、かなり前向きに検討をいただいているということであります。
いずれにしましても、予算、3回目の調製であると思うんですけども、岸本カラーといいますか、トライアンドエラーということを恐れずに、前向いてやられているというところは評価したいなと思いますし、そういった前向きな知事の姿勢をこれからも支持をさせていただきたいなというように思っておりますということを申し上げて、1点目に入るんですけども、これは知事を評価するにはちょっと程遠いなと思っていることなんですけども、まず、財政に関してなんですけども、財政危機警報というものが令和5年だったか、発出をされました。このときに、その根拠となった主なものというのは、令和5年度において実質的な公債費負担、今年度は821億円ですけども、実質的に県が負担しなければならない部分、交付税なんかで戻ってきますんでね、それが令和5年で225億円なんだと。これが、令和14年になったら436億円になると。10年間で約211億円、実質的な和歌山県の公債費負担が増えるんで、これは大変だということで財政危機警報というものが発出されたというふうに私は理解をしております。
毎年20億円ずつ実質的な公債費の負担が上がっていくわけですから、そらそうだなということで理解をするんですけども、昨年の予算の調製もそうでしたけども──昨年度か、今年度の予算か、今年度の予算もそうでしたけども、来年度の予算に関しても、1日目に濱口議員の質問に対して知事からも答弁があったと思うんですけども、県債管理基金74億円を崩して予算の調製をされているということなんですね。うーんって、やっぱり思いたくなるんです。
そこで質問をさせていただきたいんですけども、今回の令和7年度の予算調製において、増えていくであろう公債費に対してどういうような取組をされたのかということと、加えて、やっぱりこれ将来が心配になってまいります。どうやってこれからこの財政を運営していくのかということについて、知事にお伺いをしたいと思います。
以上、1点目の質問を終わります。以降、質問、再質問につきましては、対面式演壇から行わせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 玄素議員の御質問にお答えしたいと思います。
財政の持続可能性につきましては、私も玄素議員と同様の思いを持っております。財政危機警報を踏まえまして、今御指摘いただきましたように、毎年度増加する公債費の財源を捻出していかなければなりません。ただ、その一方で、昨日も申し上げましたけれども、ただ縮んでしまっては子供や孫の未来がありませんので、苦しいやりくりの中ではありますけれども、未来への投資、これをやっていかなければならないというふうに考えております。だから、本当にやりくりが難しいということで、昨日も言いましたように、尋常じゃない状況だろうというふうに考えております。
来年度予算の編成に際しましては、従来から申し上げておりますように、交付税措置のある地方債をできる限り活用するということ、それから、経費削減努力をいたしておりますので、その剰余金などを行政改革推進債や借換債の発行抑制等に充てていったということもございまして、将来の借金の増加を少なくするという努力もしております。
一方で、単純な推計になりますけれども、今のまま線を延ばしますと、2年後には、いわゆる我々の貯金、財政調整基金でありますとか県債管理基金が底をつく可能性もありますので、そこはしっかりと、そのとき、そのときの単年度予算編成において検討していきたいと思っております。
具体的に言えば、今、私、知事と副知事の給与は6%カットさせていただいておりますけれども、大きな歳出カットをする場合には6%では足りない。1割カットしなけりゃいけない時代が来るかもしれませんし、その際には議場の先生方にも同様の御検討をお願いする場合があるかもしれないぐらいの危機感を持っているところでございます。
ただ一方では、非常に厳しい中で、医療や介護、子育てなど、県民生活を支える事業、南海トラフに向けた防災・減災の事業など、絶対手を抜けない事業もありますので、本当に必要な予算を確保していくということについて、単年度、単年度しっかりと行っていきたいと思います。
特に、新たな歳入確保対策ということについても検討したいと思っておりますし、また、従来からもやっておりますけれども、国庫支出金や交付税措置のある地方債の活用、これは引き続きやってまいりたいと思います。また、予算執行においても、効率的な予算執行に努力をしていきたいと思っております。
実際、今、職員の皆さんにライフワークバランスを取り戻していただくような方針を立てております。県庁がやるべき仕事は山ほどあります。やったほうがいいことばかりでありますけれども、職員が家庭の生活を犠牲にしたり、健康を害してまで業務をすることが本当にいいのだろうか。業務を減らせば予算も減ります。そういう意味での業務の見直しも、職員のライフワークバランスの観点からも見直さなければいけない時期なのかもしれません。
県政を何としても持続可能なものとするためには、これまで以上に一層の危機感を持って健全な財政運営に努めてまいるところでありますので、玄素先生にも、従来どおり厳しい御指導をいただいて、歯にきぬ着せず御指導いただきますこと、お願い申し上げます。よろしくお願いします。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、答弁ありがとうございました。
新たなる収入確保って先ほど答弁の中であったんだと思うんですけども、これは宿泊税のことかなと今想像をしたんですけども、それについては、例えば宿泊税だとするのならば、これは観光振興のためにやっぱり使うべきお金であると思うんで、それを財源の当てにするというのは違うのかなというふうにぱっと今ひらめいたので、それをお伝えしたいと思いますし、今の答弁を聞いておりまして、ああ、大丈夫だ10年後というわけにはなかなかいかないのかな。なぜそう思うのかなというのを今考えておりましたら、やっぱり抽象的なのかなと、刹那的なのかなと、感傷的というか感情的なのかなというようなことも感じました。
例えば、今、北海道もあんまり財政がよくないんですけども、北海道知事は、もう全ての事業を一つずつ全部見直すというような方針を立てられております。これは、私も昨年の予算委員会でも申し上げたと思うんですけども、和歌山県においても、事業だけでいっても、県単と国費の事業で1100程度あると思うんです。1100ページの本めくるように、一回、知事は頭のいい方でいらっしゃるから見ていただいて、本当にそれがいいのかというような検証もやっぱりやっていただきたい。
知事にと申し上げるのは、やっぱり組織って、パーキンソンの法則がごとく、それが県民のためになっているかは別にして、肥大化していく傾向にあるのかなというように私は思っているんです。だからこそ、バッジをつけた方が県政の中でトップとして、私、君臨するんだろうと思うし、それがトップの仕事だろうし、その必要があるのかなと思っていることも申し上げておきたいと思いますし、具体的にもう一つ申し上げると、秋田県は今年度から公共事業を予算ベースじゃなくて決算ベースで5%削減していきましょうという努力目標を立てられたと聞いております。ただ、それも、予算と決算の額にかなり乖離があるものについてやっていくということであるんで、そういう方針を具体的に出していっていただいて、単年度でこれくらいの抑制をしていきますよというような説明があったならば、なるほどそうなのかなと。
例えば、だけど一方で、令和5年度と令和6年度の国土強靱化に係る補正予算のお金のつき具合なんかを見ると、令和5年度が約280億円に対して、令和6年度で220億円って、落ちているんですね。
知事は、有利な起債をというようなことで補正予算に力を入れられるというお話であったんですけども、この辺のところの公共事業と財政の兼ね合いについては、もうちょっと私も勉強してから、また質問がある機会があれば質問させていただきたいと思うんですけども、減っているという現実があるということを考えれば、そういったところで調整をされているのかなと。
だけど、そうだとしたら、それもやっぱりオープンに出していただいたほうが県民に理解していただけると思いますし、先ほど知事は給与カットの話もされました。最近、島根県の大田市かな、庁舎が30億円から40億円と見積もっていたのが80億円に膨らんできたんで、首長は20%から30%給与カットするんだとか、職員も2%から7%給与カットするんだと、5年間に限ってでありますけども、そういった努力をされているという記事もありました。
これ、やっぱり県民の皆さんに、財政が悪いんだ、何とか御協力をお願いしますということであれば、まずやっぱり内部を徹底的にやります。先ほど給与カットの話もされましたけども、それもやりました、もう、ぐうの音も出ないんだというような状況であって、最後に、どうも財政が悪いんで、県民の皆さん、御協力をお願いしますというのが筋じゃないのかなということを思っているということもお伝えをしたいと思います。
それと、ちょっと脇道にそれて、一回立ち止まって考えていただきたいということを含めて、今から3指標についてお話しさせていただきたいんですけども、財政の指標を語るときに、経常収支比率という財政の指標があります。これは、財政の自由度みたいなところを表す指標なんですけども、和歌山県のそれというのは直近で93%だそうであります。一番悪いところが愛知県で99.8%だったと記憶しておりますけども、愛知県は0.2%しか余力がないということなんだろうけど、これをいい順番で都道府県順で、調べてみたら和歌山県は25番目なんですね。
それと、実質公債費比率、これも財政の指標です。借金の比率が多かったら高くなるものなんですけども、これは和歌山県で9.5%です。一番悪いところが北海道で19.1%。倍ぐらいあるわけなんです。先ほど北海道の財政が悪いというのは、やっぱりこういうところから来ているんだと思うんですけども、これの和歌山県の順番というのは16番目です、いい順番からいったら。そうしたら悪いことないのかなというようなイメージも湧きます。
それから、将来負担比率という指標もあります。これも将来の負担比率ですから、比率というぐらいですから増えれば駄目なんですけども、和歌山県のそれは202%で、一番悪いところで兵庫県です。これが321.5%です。ああって。この順番、和歌山県、そしたらいいほうから言ったらどうかといったら36番目です。
和歌山県というのは、今の話を聞いたら、そんなに物すごく悪いのかなというようなイメージなんですが、ただ、公債費の負担は上がってくるのはこれは事実でありますから、しっかり受け止めないと駄目なんですけども、ただ、それはどこの都道府県だって、これからもまた国土強靱化で5か年で実施計画なんかもつくられていく中で20兆円ぐらいついてくるんじゃないかという話もありますけども、どこも抱える問題なんで、大変だ、大変だというよりも、やっぱり内部改革も含めて徹底的に具体的な改革案を示してやるということのほうがやっぱり大事なのかなというようなことを感じております。
注意報でもいいのかなと。ほかのところ、そんなところ、出しているところはないんですね。和歌山県だけなんです、僕が調べたところによると。だから、その辺もちょっと一旦立ち止まってお考えをいただきたいなというようなことも思っております。
とにかく、知事は、マスコミなんかにも、増税や歳出カットをなくして財政再建されたためしがないなんてことも言われているように記憶をしてるんですけども、ただ、それをそういったことに対して反駁してくださいってChatGPTに聞いたんです。そしたら、ChatGPTは、1980年代はサッチャーの政権が、それから1990年はカナダ、それからスウェーデン、それから2000年に入ってはドイツで、同じように歳出カットをしてるんだけども、そうやって各国でも財政の削減をして、歳出カットをして、財政再建を成し遂げているところはありますよと。
加えて、夕張なんかもそうです。夕張も職員の給料もカットした、サービスは減らした、公共料金も上げた、職員の数も減らしたと。だけど、それがあったからこそ今の夕張があるというふうに、思うんですね。
だから、そういうのを知事のおっしゃられているようなことに当てはめたときに、今の夕張はなかったんじゃないかなということも思いますし、大阪の改革なんかを見ても、結局、職員の給料を削減しました、余分なものの事業は民間に委託しましたと。そういう努力をしたからこそ、高校の授業料も大学も無償化できたんだと思いますし、選挙しても、なかなか自民党が維新に勝てないのも、そういったものが根底にあるのかなというふうに思っております。
いずれにしましても、知事にとっても、嫌われる作業になるとは思うんですけども、ただ、それをやれないと将来の和歌山県を担保することにはならないと思うんで、どうかその辺を恐れずに、前に進んでいただきたいということを申し上げて、1点目の質問を終わります。
続いて、2点目、行きます。
次に、職員住宅の廃止についてであります。
このことにつきましては、茨城県は職員住宅を廃止するということであります。この職員住宅なんかも、鉄筋なんかでいうと50年ぐらい耐用年数があるんだと思うんですけども、どんどん古くなってきていると。これから例えば新しいものを建てて、将来を見たときに、50年後、どうなっているのかと。職員数はどんどん減っていくんではないか、人口減少で、そういう需要がないんではないかというようなことももろもろ考えたときに、フェードアウトしていく方向で考えたほうがいいんじゃないのかなと。
最近は、縦割りというか、みんな一緒に共同生活してチームワークをつくっていきましょうということが敬遠されるような中にあって、特にやっぱりファミリー層も職員住宅では人気ないようでありますけども、そのような状態であると。
また、入居率って大体、今7割ぐらいだそうでありますけども、私、社業なんかやっておりますと、10戸のアパートがあって、1戸なくなっただけでも、それを埋めようと一生懸命するんですけども、多分お役所だったらそんな気持ちにはならないと。すなわち、それは空き家率を増やしていくということにもなってありますから、そういったことも解消していく。ただ削る、削るだけではなくて、その分、今、1万2000円以上のアパートなんかに住まれたら、最大2万7000円手当を出しますよとなっているんですけども、それ4万円でも4万5000円でも上げてもいいのかなというふうなことも思っているんです。
そういった私の意見に対して、総務部長から答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長友井泰範君。
〔友井泰範君、登壇〕
○総務部長(友井泰範君) 職員住宅につきましては、従前から、高速道路の延伸等による通勤圏の拡大や職員ニーズの多様化、建物の老朽化等を踏まえて個々の必要性を検討し、廃止や単身用への改修を行っているところであり、来年度は1棟の廃止を予定しています。
今後も、職員住宅の必要性を適時適切に判断し、効率的な運用に努めてまいります。
また、職員の家賃補助につきましては、民間における家賃補助の支給状況等を踏まえ決定しているものであり、職員住宅の廃止、存続にかかわらず、民間における支給状況等を考慮する必要があります。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長から答弁をいただきました。
その程度しか答えられないというのは分かるんですけども、これまで職員住宅を建てた建設費、これ税金ですけども、どれぐらいかという計算をしてもらったんです。そしたら94億円だそうであります。これに改修費なんかもこれまで含めると、もう100億円というお金が入れられているんだろうなというのが想像に難くないんですけども、ただ、それをもう1回続けていくということのメリットよりも、デメリットのほうが多いんじゃないのかなと。県民に対して説明責任というのを本当に果たしていけるのかなというような心配を申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
続いて、夜間中学についてなんですけども、このことにつきましては、今議会の議案にも上程されていると思うんですけども、来年度、2026年度から、和歌山県が主体となって夜間中学を設置するということでありますけども、和歌山市内においては、この4月から先行して実施をされるということを承知しております。
その報道を目にして、この質問をさせていただこうと思ったんですけども、60人の定員、3学年があるようで、20人掛ける3学年、60人程度が定員であるというのは和歌山市がそうだという中で、集まったのが9人だと。2人は外国人だというように承知をしております。
その報道を目にしたときに、ぱっと政治家目線で思ったのは、これ政策効果があるのかなということなんです。確かに国のほうで改修費の半分出してあげますよ、運営費の3分の1出してあげますよというようなことで、お付き合いをしなければならなかったかなと思うところもなきにしもあらずなんですけども、ただ、政治家目線からしたら、まずそう思ったということ。
それから、例えば夜間中学に通いたいなと思う人の目線、例えば自分がそういうふうな人だとしたらどういうことを思うんだろうと思うと、何かあんまり人気なさそうだから、やめとくかなと、恥ずかしいしと思わないかなと。また、政策担当者、これを担当した職員の立場から思ったときに、ああ、やっぱりあまり来なかったな、また上司に怒られるなというように、何か悪い循環が生じないかなというようなことも心配してのこの質問なんです。
もちろん、今、2026年4月に向けて開校の準備もされている。ただ、場所が新宮市であるということ。定員は10人掛ける3学年で30人程度と聞いているんですけども、ただやっぱり一定、来年、蓋をぱんと開けたとき、スタートを切ったとき、数ではないという議論もあるのは承知はするんですけども、半分程度は埋まっといたほうがいいよねというような、政策効果を考える者としては、やっぱりそんなことを思ってしまいますし、数が仮に30人で定員いっぱいなんですよということであるのならば、人って変なもんで、行列並んだら余計並び出すみたいなところもあるんで、人気も出てくるんじゃないのかなと。政策担当者も頑張れたなというような自信にもつながるのかなというようなことを思っているんですけども、これ2026年に向けて、どんな取組をされているか、教育長に答弁いただきたいと思います。お願いします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 和歌山県立夜間中学は、2026年4月の開校に向け、現在準備を進めているところであり、校名を和歌山県立新翔くろしお中学校として、県立新翔高等学校敷地内に設置するための条例改正案を本定例会に提出しているところです。
今年度は、県民に広く知ってもらうため、9月に新宮市と田辺市で夜間中学フォーラムを開催し、延べ220名の参加がありました。また、新宮市で、体験授業会、個別相談会を11月から3回開催し、延べ33名の参加がありました。さらに、地元の教育委員会や関係部局、関係機関とも連携し、入学対象者に夜間中学の情報が届くよう、市町村広報紙への掲載や、チラシ・ポスター等の配布を行うなど、周知を図っているところです。
来年度は、生徒募集に向けて、体験授業会、個別相談会や入学説明会を複数回開催するとともに、引き続き、あらゆる機会や媒体を通じて入学対象者に周知を徹底してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 教育長から答弁をいただきました。
やっているって、やっている感は出していただいたんですけども、やっぱり結果責任であるので、2026年にスタートしたときに、ある程度は埋まっているという状態はやっぱりつくっていただかないとというようなことを思いました。
それと、外国人の方の学びも対象にされるというふうに理解はするんですけども、これ別に日本人、外国人というのにとらわれず、やっぱりたくさんの人に来ていただくということが趣旨だと考えると、今の答弁の中には、そういった外国人に対してコンタクトを取っているというような答弁じゃなかったように思うんで、そういったところでありますとか、例えば老人大学なんかに行かれている方にも声もかけられるんじゃないかなというようなことも思いました。
私、政策担当者で、夜間中学を例えば任されたならば、やっぱり当たりぐらいは、これ2026年度に予算計上するときに半分ぐらいは取らないと怖いなというように思いますし、それぐらいのことはしていただきたいなと思ったということを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
続いては、タウンミーティングについてであります。
今のこの夜間中学の質問というのは、広報関係ですよね、こんなことやっています、あんなことやっています。この広報に関しては、県もよくやっておられるんだと思います。
最近、LINEなんかで、僕も登録しているんですけども、県の活動の半分が知事の行政報告みたいになっているんで、その辺のところのバランスはちょっと考えたらいいのかなと思うところはあるんですけども、いずれにしても、広報に対して、このタウンミーティングというのは広聴の活動なんだと思うんです。この比率、広報と広聴の活動、両方とも大事なんですけども、どうしても広聴のほうが落ちてしまう。それは、やっぱり私、面倒だ、結構時間がかかるというか手間がかかるのは広聴だと思うからなんです。
そういった意味においては、知事が取り組まれているタウンミーティングについて、私は評価をしたいというふうに思っているんです。
ただ一方で、そのタウンミーティングに参加された方に言われたというようなこともあるんですけども、いろいろ意見したけども、そこから反応ないんやというような言葉もお伺いをしたんですね。
確かに頑張っておられるんだろうと思うんですけども、私もタウンミーティングの経験があるんで、要望型でいろいろ言われることに関しては、こうやった措置をしています、ああやった措置をしていますとレスポンスで返せるんですけども、ただ意見だけを言われるというような方も中にはいらっしゃって、そういう方に関しては、返事していいのかな、いや、どうしたらいいのかなって。いや、一応措置はしたけども、最後までボールが返ったかなという、ここのところ、最後のところまで行ってないというようなことがたまにあるんですね。私に意見をいただいた方というのは多分そこなんだろうなというふうに思っているんですけども、このキャッチボールが広聴の難しいところで、手間のかかるところなんですけども、せっかくいいことしているのに、もったいないなという思いがあって、この質問をさせていただいているんです。
このタウンミーティングにおいて、今までの実績、どれだけのことをされて、どういうような今、経過をたどっているのかということについて、部長に答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) タウンミーティングにつきましては、これまで2月末時点で53回開催し、計631人の県民の方に御出席いただきました。
県としましては、知事が直接県民の生の声を聞き、その思いを生かした県政を実現していくため、現場に近い振興局が中心となって、関係部局と連携しながら対応しているところです。
その中で、様々な御意見、御要望を頂戴いたしましたが、県に対する具体的な御要望は179件あり、そのうち、県政に反映するなどの対応ができたものは101件となっております。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
何度も言うようですが、広聴って面倒なんです。だけど、効果はありますから、どんどんやっていただきたい。
今ちょうど長期総合計画を策定するに当たって、県民の皆さん総参加でということで、いろいろまさに広聴されていると思うんですけども、これ別にタウンミーティングだけに限ったことではなくて、やっぱりほかのところでも、議会からも意見を聞きます、各種団体からも意見を聞きますというのを、子供たちからも意見を聞きますということを今やられていると思うんですけども、そのキャッチボールをやらないと駄目だというところを物すごく主眼に置いていただいて、面倒だけども、やっていただきたい。
私が今回この質問すると言った後に、その取組状況、先ほど179に対して101レスポンスしてるんですというような話もあったんですけども、そういったものの計画を見せていただいたら、やっぱりちょっと最後までボールが届いてないなというのが幾つかありました。
なので、今はホームページで措置状況というのは、これ行政側の立場からすると、まあまあ当たり障りのないものを載せといたらいいわというようなもので、全部が載っていないんですけども、私に報告いただいたやつをホームページに載せたら、さらに広聴力は上がるんじゃないかということを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
引き続いてなんですけども、高専への新学科設置などの働きかけというところの質問をさせていただきたいと思います。
お正月のラジオ番組、国会議員の方々との座談会であったと承知しているんですけども、その中に知事も御参加をされて、これからロケットも進んでいくと、そんな中で、工業高校をつくって、全国から人材を募集したいんだというようなお話をされたという記事を目にしました。
私も、かつて企業誘致に奔走した経験があるんですけども、立地をするときに、土地はありますか、支援策はありますかと、これ当然にあるような話なんですけども、同時に言われるのは、そこに人材はありますかと。私もストレートに言われた記憶が今でも鮮明に覚えているんですけども、ああ、なるほど、って。人材も大事なんだなと。最近、理科系人材が必要だと言われている中で、知事のおっしゃっている話というのはまさにそうだなと私も賛同したいと思います。
それに乗っかっていくというわけではないんですけども、和歌山には幸い高専があると。高専と和歌山県は、もちろん組織のたてりは違うんですけども、ただ理科系人材を育成していくという観点においては、この高専というのは必須だろうなと。タイアップしていって、ビルドアップしていって、人材の確保というのをやっていったらいいなと思うわけなんです。
とりわけ私が申し上げたいのはAI、これからの時代の主役というのはAIになるだろうというふうな中で、AIの新学科も含めて理科系人材というのを育成してほしいなというように思うんですけども、その辺のところについて、答弁しにくいかも分かりませんけども、商工労働部長に答弁いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長大川伸也君。
〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 労働力人口の減少、専門人材の不足が深刻化する中、本県の将来を担い得る成長産業を開拓し、産業集積を成し遂げるには、当該産業を支える理系人材の育成、確保が必要であると認識しております。
こうした状況の中、実践的で創造的な技術者を養成する和歌山工業高等専門学校は、企業が求める理系人材を確保する上で極めて重要な存在だと考えております。
これまでも同校とは、産業人材の育成や県内企業への就職に関する取組などを協力して実施してきたところですが、成長産業分野におけるキャリア教育を実施すべく、まずは、蓄電池分野のカリキュラム導入に向け、企業も交えながら検討しているところです。
引き続き、議員御指摘の理系人材を増やすための取組について、同校と検討してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 答弁をいただきました。
蓄電池に関して高専と検討しているというのが、議論をしているのか、これからするのかというのは微妙なんですが、ただ方向性として、そういった御努力をされているということは評価したいと思います。
ただ、蓄電池に関しては、これ、先ほど申し上げたAIということの需要にも対応するということなんでAI関連だとは思うんですけども、もう2年ぐらい前から徳島県は蓄電池を徳島県の主要産業と位置づけてやるんだと方向性を県がはっきりと出して、それに取り組んでいるという事実もあるんで、競争相手もいますよという話と、AIに関しては、香川県は今年度から、AIを導入する企業に対して県がバックアップするための予算も組まれております。とにかく、そういったところにしっかりキャッチアップできるように努力をしていただきたいと思います。
そこで、なぜ、私、AIということにこだわって、あえて申し上げるかということなんですけども、これまで人間って有史以来、歴史が始まってから、人間がいろいろ考えて、道具を作って、技術革新をやってきたという歴史があるんだと思います。そんな中で、特に今、製造業に関しては人件費。会社やってて思うんですけど、人件費ってやっぱり相当圧迫要因になるんで、安いところへ、安いところへといって製造業は回っていった。グローバルサウスと言われるようなところとか発展途上国と言われるようなところへ移っていったと。だけど、だんだんその賃金格差がなくなっていって、もうアフリカ大陸しかないなと。それが終わったら、成長のモデルが変わってしまわない限り、もうこれは経済が停滞する低成長なんだろうなと言われているのが今のトレンドであるというふうに思っているんですけども、そんな中で、降って湧いたように、このAIの話が出てきたというふうに理解をしているんです。
AIは何かというと、最近、医師の国家試験も受かったというような記事も出ておりましたけども、もう人間の能力とほぼほぼ近いところまで来ている。まあシンギュラリティーなんて言われておりますけども、そういったところに来ている。
ソフトバンクの孫さんなんかの話を借りると、もうこのAIは、10年後、20年後ぐらいまでの間に人間の能力の1万倍ぐらいを持つASIと言われるような存在に変わっていくだろうって言われている。それまでは人間が技術革新を起こしてきたけども、これからは人間の1万倍の能力を持つであろうAIが技術革新を行っていくということになるんだろうなと想像したときに、海底1万メートルの鉱物資源を掘るのも今は大変でも、簡単にできるようになるんじゃないか。今は2040年に向けて月への移住計画なんかというのも実施を人間の能力でやっているわけでありますけども、これをAIがやったら、火星なんていうのもあっという間にできるんじゃないかなと。スタートレックの世界なんていうのはほぼもう実現できるんじゃないかなというようなことを考えたっておかしくないような状況にあるんだろうなと。
そういった状況の中で、将来、和歌山県が全くそこに気がついてなかったということになると、ちょっとどうなのかなというような不安ももたげたので、こういった質問をさせていただきました。
それと、最初は、私、これ県立高専つくったらどうかという質問をしようと思っていたんです。県立高専については、今、滋賀県が取り組まれている。滋賀県には高専ないんでね、三日月さん、やっているんですけども。私、担当者に電話して聞いたんです。「記事なんか見ていたら、最初87億円って言っていた工事費が138億円に膨れ上がっているけど大丈夫かい。補助金か何かあるんですか」と聞いたら、「いや補助金はないんです。一般公共事業債は100%充当ですけども、交付税で返ってくるお金は、まあ30億円もないかな。だから100億円以上、自主財源で負担しなきゃ駄目だ」というお話でありました。それから、運営費についても年間9億円かかると。どのぐらいの規模なのかちょっと僕も忘れたんですけども、9億円かかると。そのうち2億円は入学金とか授業料で賄えるんだと。残り7億円マイナスだと。7億円のマイナスのうち4億円は交付税で来るんだと、だけど3億円はマイナスになるんだと。だけど、これもう試算の段階なんで、もっと増えるかも分かりませんと力ない言葉で返ってきました。
そらそうだろうなと、お金かかるもんなと。そういうことを思ったら、今の和歌山県、財政危機警報下にある和歌山県でそれを言うのはちょっと酷かなと。だけど、高専とタイアップするという道が和歌山県にはあるから、そういったところで理科系の人材を確保するというのは有益だなと思ったんで、この質問をさせていただきました。
とにかく、そういった取組が、この県庁内も含めて和歌山県で前に進んでいかれることを大いに期待をして、この質問を終わりたいと思います。
続いて、6点目であります。
水道管の耐震化についてであります。
この関連する質問につきましては、さきの議会で山下直也議員からも上下水道に関する質問があったかと思うんですけども、私の場合は、水道の耐震化、耐震率、こういったところにフォーカスをして質問をさせていただきたいと思います。
埼玉県の八潮なんかでも事故がありました。あれは下水でしたけども、千葉県なんかでも、大阪の堺なんかでも、最近、水道管が破裂したというような事故が報道されておりました。
2日、3日前に、私の家の前もどうやら漏水事故があったみたいで、ずっと家の前、水が流れてくるんでおかしいな、漏水事故かなと思ったら、やっぱりそうでありました。
年間2万件ぐらい漏水事故というのはあるそうですけども、そういった漏水に加えて、和歌山県というのは南海トラフを抱えていると。「防災に1ドルのコストを使えば7ドルの損失から免れることができる」という防災格言がありますけども、やっぱり今のうちから耐震適合率のある管に換えていくということが必要なのかなと思うんですけども、和歌山県のその率というのは今34.6%だそうであります。全国平均は42.3%、開き7.7%遅れているというような状況にあるんですけども、まあ今の状況を考えたら、もうちょっと頑張らないと駄目だなと。何もこれ県の皆さんに言う話でもないというのはそうなんですけども、専らこの水道の事業というのは市町村が行いますから、それは市町村が悪いんだと言えばそうなんですけども、だけど、いざこういう南海トラフのような危難が来たときに、いや、やっぱり県もちゃんと指導してなかったよと言われたら、全国平均にも満たない耐震適合率であるのならば、裁判なんかを仮にされたとしたら、そのそしりを免れないことになるんじゃないかなというようなこともちょっと心配して、この質問をさせていただいております。
このことについて、取組状況も含めて、意気込みも含めて、部長から答弁いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 環境生活部長山本祥生君。
〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 県といたしましては、水道施設の耐震化や老朽化対策を加速させるべく、引き続いて、市町村や各種団体と連携し、国に対して予算の確保や採択要件の緩和、補助対象の拡充等を要望するとともに、市町村に対し、国庫補助制度の活用など、計画的かつ重点的に水道施設の耐震化や老朽化対策に取り組むよう働きかけているところでございます。
今後とも、市町村等と連携し、水道施設の強靱化に取り組んでまいりたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
和歌山県内の市町村で耐震適合率が15%以下のところが、30市町村中10あります。ゼロに近いところもあります。だけど、そういったところで津波の浸水区域になっているところもありますから、特にそういったところに関しては、いろんな事業とも組み合わせて、和歌山県においても漏水管の調査において補助金出すというならば、そういう補助金を出すときに、その要綱がちょっと気になるところですけども、そういったこともするけども、耐震適合率も上げてねというようなことも言っていただきたいなと思うし、水道に関しては、昨日、新聞で、PFASがまた出たとかということで和歌山市にもありました。鉛の管についても、これ引込み管なんで、専ら行政に責任はないと言えばそうなんですけども、これも和歌山市内に1万5000世帯ぐらいあるというふうに伺っております。
水道の有収率も、全国平均90%ですけども、和歌山の場合、82%なんですね。100の水、通したら、18漏れていくというのが今の現状ですから、こういったことも含めて、今、悪い流れが転々して、結局うまいこと流れていないという状況ですから、これ、いい流れできるようにひとつ努力をしていただきたいということを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
7番目、白浜空港についてであります。滑走路延長です。
これも、昨年の予算の委員会でも質問もさせていただきましたけども、昨年から1年たって、大体いろんなものが見えてまいりました。特に、昨年は財源の担保って幾らぐらい国から補助金くれるのかというようなことに対してもなかなか回答はなかったんですけども、大体今分かってきたのは、3分の2ぐらい補助金と起債の交付税償還で賄ったらいけると。事業費も、独り歩きして申し訳ないんですけども、大体いろんな話を聞いていたら600億円ぐらいになるのかなというふうに私は──まだ出てないですけど、事業費は出ていないですけども、私は思って、それを仮定したならば200億円は和歌山県の単費で持ち出しをしないといけないというような事業なんだと。
去年かおととしだったか、佐賀の空港へ視察に行かせていただいたんです。佐賀の空港は500メートル伸ばすのに120億円で済むそうです。3分の2のルール当てはめたら40億円で500メートルできるということを考えれば、和歌山県もそれは5倍のお金がかかるんだろうなと、仮に3分の2が国費の補助等があったとしても。盛土が多いというふうに言われていますから、それはそうなんだろうなあとは思うんですけども、ただ、そういったものを費用対効果も含めてクリアしないと国の補助事業もつかないし、国の補助事業なんかつかなかったら当然これはもう事業としては頓挫してしまうんだろうなあと思っているんですけども、これについても、今年度、コンサルなんかに委託をして、その費用対効果の計算なんかをやっていただいたその結果として、2029年度までに30万人のお客さんを空港へ引っ張ってきてくれたらいいですよと。今、23万1000人ぐらいが直近の数字だと思うんですけども、7万人増やしたらいいんだということだと思うんです。
最終的には、空港滑走路延長して、その後は50万人から55万人ぐらいのお客さんが来るようになったら、これは国交省の費用対効果にかなうんではないかというような調査結果が出てるというようなこともちょっと聞いたりもいたしております。
確かにそうなのかなあというふうに思うんですけども、これから2029年までに7万人増やすと。例えば白浜の空港、今3便が4便になったら、大体170人ぐらいの機材で6割程度の搭乗率でと考えたら、1便増えたら、行き帰りで100人ずつ増えて200人になると。365掛けたら7万3000人だと。足したら30万超えるなあ、ちょうどいいなあと、まずそれをやったら何とかなるんだろうなと単純に思うんですけども、じゃ、その後の誘客をどうするのかと考えたときに、これはなかなか並大抵にいかないじゃないのかなと思うんですけども、それをやっていかないと駄目なんだというふうに思っているんです。
そこで、県土整備部長にその辺のところをどのような取組をしていくということをお考えなのか、答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 熊野白浜リゾート空港は、周辺に世界遺産である聖地熊野や温泉などの観光地が数多く存在し、これまで以上の誘客が可能であると見込んでおります。
今後、利用者の増加に伴う国内線機材の大型化や、様々な地域からの国際線の受入れに対応するためには、滑走路延伸が必要であると考えております。延伸時に国庫補助を得て整備するには、今まで以上の利用促進策を講じ、多くの方に利用してもらい、費用対効果を上げなければなりません。そのため、民間や市町村と連携し、全庁を挙げて強力に推進策を講じることとしております。
県といたしましては、先ほど議員からもありましたとおり、2029年度までに空港利用者数を30万人とすることを目指し、さらに、滑走路延伸後には利用者数50万人を超えることを目標に、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
1点目の質問とよく似たところで、頑張ります程度のものであったとは思うんですけども、なかなかやっぱりそんなに簡単にその案というのは出てこないんだと思います。ただ、やらなければならないというのもそのとおりだと思うので、頑張っていただきたいなと思います。
30万人増やすということを単純に費用対効果を意識する上で考えたんです。例えば、永明が最近亡くなられて、知事も献花をされたというふうに聞きましたけども、仮に、今回、永明が亡くなったから、中国政府が和歌山にパンダを1頭送ろうかというような話になったら、多分30万人のお客というのは、ぱっとこれ来てくれるのかなというように思うんです。
例えば、あと、ホテルニューオータニって赤坂にあるじゃないですか。あそこの最大客数って1500人だそうなんです。60%の稼働率で1人ずつ泊まったら1日900人。これが365日だと32万8500人だったと、計算が間違ってなかったらそうだと思うんですけども、30万人を超えるんです。ホテルニューオータニ、和歌山へ1個連れてきたら30万人超えると、単純な考え方をすればですよ。そこに200億円のお金出さなくても、500人ずつの旅館を三つ誘致、高級ホテルでも連れてこられたら、お客さんを集めるということでいえば、そっちのほうが費用対効果はあるんだろうなと思うんです。
ただ、やっぱり思うところは、空港ってゲートウエーになり得ると思いますし、ビジネス客を中心に引っ張っていきたいんだとか、観光客、海外の交流をしっかりしたいんだとか、そういった空港にしかない価値というのも同時にあると思っているんです。そういった費用対効果で数字というのももちろん独り歩きしないと駄目だし、国交省のB/Cですから、山の奥に道をつけるときも割かしB/Cってクリアできるんで、そうそうそんなに難しないのかなと個人的には思ってるんですけども、ただ、やっぱり県民の皆さんに対して、この財政危機警報下で支出をするんですから、200億円、これ増えていくかもしれないですね。減ればいいんですけど、まだ増えていくかもしれない、建設事業費。そんなときに、やっぱり県民に対して説明責任を果たせるものでなかったら、この事業というのはやっぱり失敗するだろうし、理解をしてもらえないかなというふうに思うんです。
昨年の段階では、私は滑走路延長に賛成しかねるというようなことを申し上げたんですけども、今は、国費補助が3分の2入って、まあ何とか頑張ったらいけるかもしれないという期待もちょっと持っているし、そういった先ほど言ったような空港でなければ出せない魅力みたいなのを出していってもらったら何とかいけるかもしれない、いってほしいなという気持ちにちょっと変わってきているんです。
今後の取組に大いに期待を申し上げて、最後の質問をさせていただきたいと思います。
最後、IRについてであります。
最近、巷間聞こえてくるところによると、何かIRの事業者がまた和歌山に来ているんだとかという話をちょくちょく耳にするようになったんです。
昨年は、北海道の小樽か何かが、観光庁がIRの関係の役員さんを呼んできてから発起人会みたいなのを開いたとかというようなことも耳にしましたけども、またIRが動いているのかなあって。前知事においては相当前のめりであったという、前のめりという表現が適切であるかどうか分からないですけども、一生懸命だったと。
私も、経済効果や雇用という観点から、やっぱりIRというのは、やったらいいと思うんです。ただ、前回のように明らかにファイナンスができていないところがまた出てきたなら、全力で反対をしたいというのも申し上げておきたい。結局、和歌山県よりも、財政の、ファイナンスがよかったはずの長崎県でさえも落選しているわけですから、そのことを思ったら、私は反対して和歌山県民に恥かかせないでよかったなと今でも思っているんです。
ただ、IRをやると仮になったとしたら、県知事の思いというのは非常に大事だなと思っているので、知事に、言いにくいかも分からないですけども、できれば県民の皆さんに分かりやすいように、賛成や反対だって、私は賛成の立場ということを明確にはしているんですけども、そういったもので御答弁をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 玄素議員の御質問にお答えをいたします。
一般論としてでありますけれども、IRが県内に整備され、仮に大きな経済波及効果と費用効果が発生すれば、それは本県経済の活性につながる可能性はあるんだろうなと私も考えております。
一方で、県民の皆様にお話を聞きますと、例えばカジノができることでギャンブル依存症患者の増加や治安の悪化が起きるのではないかとか、あるいは、施設周辺地域の深刻な交通渋滞などが発生するのではないか、さらにはまた、IR、外国から大きな資本が来れば、そこで働く大勢の方々の賃金は恐らく相当時給が高くなるでしょうから、これは今、熊本で起きていることですけども、半導体関連の人はすごくもうかっているわけですけど、半導体関連以外の中小零細企業はもう人手が確保できないというような状況がありますので、和歌山のIRに関係しない中小零細企業の皆さんが従業員を確保できるのかというような御心配もあるということで、IR整備に伴うマイナスの影響の可能性に対する懸念も強くあるというふうに認識しております。
さらに加えて、今、玄素議員も御指摘いただきましたけれども、2022年4月、私はまだ国会議員でしたけれども、和歌山県が長い期間と多くの予算、人員をかけて取りまとめたIR区域の整備に関する計画を国へ認定申請するに当たり、県民の代表である当県議会において反対多数で否決された経緯を踏まえますと、今後、新たな区域整備計画を申請する場合には十二分な検討が必要だと考えております。
したがいまして、県としては、仮に国による再公募があれば、IR誘致の賛否につきましては、ゼロベースから時間をかけてオープンに県民の皆さん全体で十二分に議論する時間を取りたいと考えております。
一方で、現時点では、国は再公募の実施を明言しておられません。自治体の状況を注視するというふうにおっしゃっております。実際、昨年11月に、国のほうからアンケート調査がございました。IRの整備に関心がありますかという単純な問いでありました。我が県としては、このように答えました。関心はありますよと。関心はありますけれども、国から再公募があれば、今私が答弁したように、IR誘致の賛否につきましては、ゼロベースから時間をかけて県民全体で議論する方針でありますというふうに回答したところでございます。
現時点で再公募の実施に対する国の態度は変わっておりませんので、再公募がいつ実施されるか全く不明でございます。したがいまして、現在、私どもとしては、IRに関する国の動向などの情報収集に努めているところでございます。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、答弁ありがとうございました。
最後のところが肝なんだろうなと。ゼロベースでとか、県民全体で時間をかけてと言って、何かやりたくないときの官僚答弁みたいだったですけども、前半のところも総じてお伺いする限り、あまり前向きではないなというような感じがいたしました。でも、前向きでないならないで、私はいいと思うんですけど、そうであるならば、雇用の確保であるとか産業の活性化というものを考えていかないと駄目だと。
IRなんかというのも、当然先ほど知事もおっしゃっていたように、嫌われる人も出てくるんです。だけど、行革もそうですし、宿泊税なんかもそうなんですけども、今までは本当に全部やって、喜んでくれるような政策をやってて何とかなったんですけども、これからは、多少劇薬を飲みながらしないと駄目な政策でも、最終的に県のためになるならば、やっぱりやらないと駄目だと。そこをやるのがやっぱり知事のリーダーシップなんだというふうに思いますし、そんな知事をこれからも、私、応援させていただきたいと思いましたので、引き続き頑張ってくださいと申し上げまして、私の質問を、もうこれで全部終わりましたので終わります。お付き合いいただきまして、ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、玄素彰人君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
37番中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕(拍手)
○中西 徹君 それでは、早速ですが、議長の許可を得ましたので、一般質問を始めさせていただきます。
大項目1、マイナ免許証についてお伺いします。
マイナンバーカードは、デジタル社会のパスポートと言われるように、今後、社会全体のDXを進めていく上で重要な役割を果たすツールになると私は考えます。マイナンバーカードがあれば、役所の窓口まで行かなくても、近くのコンビニエンスストアなどで住民票の写しや課税証明書なども取得できます。こうした手続が便利になるだけでなく、行政部門も申請の受付や証明書を発行する業務が減り、その分を住民サービス向上に振り向けることが可能となります。
和歌山県の本年1月末時点の住民基本台帳人口に対するカード交付率は、全国平均が85.5%のところ、和歌山県は86.3%と全国を上回っております。また、コンビニ交付サービスの導入も、30市町村中24市町で導入されております。
そのような中で、2024年12月2日から、マイナンバーカードと健康保険証が一体となり、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行しました。マイナ保険証を保有していない場合は、資格確認書が交付され、今までと同様に医療機関で受診することはできます。
次は、今月3月24日に、マイナンバーカードと運転免許証が一本化されます。一本化により、三つの保有形態が選択可能となります。一つ目はマイナ免許証のみ、二つ目は従来の運転免許証を引き続き保有する形態、三つ目はマイナ免許証と従来の運転免許証を両方保持する形態となります。個人的には、健康保険証と運転免許証がマイナンバーカード1枚で済むのはありがたいですが、マイナ免許証の制度的には複雑な部分が多くあると感じます。
質問ですが、マイナ免許証を取得するメリットと、マイナンバーカードと運転免許証の有効期限について、警察本部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
警察本部長野本靖之君。
〔野本靖之君、登壇〕
○警察本部長(野本靖之君) 御質問にお答えいたします。
マイナ免許証のメリットにつきましては、交通センターなどにおいて事前に一定の手続を行っていれば、住所等の変更手続を市町村に届け出るだけでよく、警察への改めての届出が不要になる、また、免許更新時に優良運転者または一般運転者の区分の方であれば、更新時講習をオンラインで受講することが可能となる、住所地以外の都道府県で免許更新を希望するいわゆる経由地更新の手続が迅速化されるとともに、申請期間も延長される、マイナ免許証のみ保有の場合は手数料が安価となるといったメリットがあります。
次に、マイナンバーカードと運転免許証の有効期限についてですが、それはそれぞれに期限が設けられております。マイナンバーカードの券面に記載の有効期限については、あくまでマイナンバーカードの有効期限であって、マイナ免許証の有効期限ではありません。
マイナ免許証の有効期限については、マイナンバーカードの券面に記載はなく、パソコン、スマートフォンなどを使用してマイナポータルを利用するか、警察庁が開発しているマイナ免許証読み取りアプリで確認することができます。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございます。
一本化したマイナ免許証のみを保有している方がマイナンバーカードの更新や再交付を受けた場合、自動的に運転免許証も更新されるのか、警察本部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 警察本部長。
〔野本靖之君、登壇〕
○警察本部長(野本靖之君) マイナンバーカードと運転免許証の更新や再交付の手続は別々のものでありまして、マイナンバーカードを更新したからといって自動的に運転免許証も更新されるわけではありません。
具体的には、マイナ免許証のみを保有している方は、市町村の窓口において、マイナンバーカードの更新または再交付を受けた後、交通センター、田辺運転免許センターまたは新宮運転免許センターで、再度免許情報をマイナンバーカードに記録していただく必要があります。
なお、このような手続の場合、手数料1500円が必要となります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 有効期限も違うし、更新もされないということなんですけども、一本化したマイナ免許証のみを保有している方がマイナンバーカードの更新や再交付を受けた場合、まずは市町村役場で手続をしなければならないと。その後、次は再度交通センターなどに行かなければならない、そういうことだと思うんですけども、その間、車を運転することは可能か、警察本部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 警察本部長。
〔野本靖之君、登壇〕
○警察本部長(野本靖之君) マイナ免許証のみを保有している方が、市町村の窓口において、マイナンバーカードの更新または再交付を受けた場合、新しいマイナンバーカードには免許情報が記録されておりません。仮にその状態で車を運転すれば免許証不携帯の違反となりますので、例えば、有効な運転免許証を持っている方に運転してもらい、交通センターなどで手続を済ませていただく必要があります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 まあ警察本部長に言ってもあれなんですけども、これ無意識に交通違反をしてしまうおそれがあるシステムと今なってると思うんです。だから、そのことを気づかない人も多いと思いますし、3月24日まで時間もありませんので、マイナ免許証を取得するメリットも確かにあるとは思うんですけども、しっかりと、複雑なシステムだと思いますので、県民への周知、よろしくお願いいたします。
次に、大項目2、中学校部活動地域移行についてお伺いします。
中学校の部活動の地域移行は、スポーツ庁及び文化庁が策定した学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインにおいて、2023年度から2025年度までの3年間を改革推進期間として、地域連携、地域移行に取り組みつつ、地域の実情等に応じて可能な限り早期の実現を目指すこととされており、学校での運営を地域主体に移行していく流れが進められています。
和歌山県においても、2024年2月に、和歌山県学校部活動及び地域クラブ活動の在り方等に関する方針が示されています。
背景としては、部活動の指導が教員の大きな負担となっていることや、少子化による生徒数の減少により、従来の学校単位での部活動運営が困難になる地域が増えていることなどが問題視されています。地域移行が進むことで、教員の働き方改革を促進し、地域全体で子供の成長を支える仕組みをつくることが期待されています。
そこで質問ですが、部活動の地域移行の現況はどうなっているのか、教育長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 本県中学校の部活動の地域連携、地域移行については、2024年度から2026年度までを改革準備期間と定めており、現在15市町において協議会等が設置され、検討が行われています。
県教育委員会では、市町村における推進体制の整備に向けた研修会及び地方別意見交換会等を実施するとともに、先進事例の情報提供等の支援を行ってきました。
また、地域クラブ活動への移行に向けた国の実証事業にも取り組み、県立中学校2校2部と5市町の公立中学校17校28部において、地域クラブ活動の運営団体や実施主体の整備、関係団体との連携等について研究しているところです。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございます。
地域移行に向けた取組が進められている一方で、各地域での対応が問われるため、実効性を上げるためには課題解決に向けた取組が欠かせません。取組課題として、保護者や地域社会との連携、部活動運営への理解と協力を得るための調整が必要ですし、地域によっては部活動の受皿となるクラブや施設が不足している場合があります。また、指導者や資金の確保、移行後の運営に必要な指導者や資金の調達が課題となります。
現場の声として、私のところにも相談がありました。「地域クラブとの連携と言うが、地域クラブがない中で、これから新しいチームをつくっていかなければならない。ただ、チームをつくるには必要な物品をそろえるだけでも多額の予算が必要で、長く続けていくためには、それなりの予算が必要となってくる。何らかの援助があれば。」などです。
そこで、指導者の確保など地域移行に向けた環境整備について、教育長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 受皿となる地域クラブの指導者の確保については、競技団体等の関係機関と連携し、地域クラブと指導者のマッチングに向けた仕組みづくりを進めることが必要であります。
県教育委員会としましては、地域クラブにおいて多様なニーズに応じた活動をしている好事例の紹介や、県内で展開しているきのくにコミュニティスクールの学校運営協議会で議論するよう働きかけるなど、生徒が生涯にわたってスポーツや文化芸術活動に親しむことのできる環境の整備に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 現場の声と地域の声、しっかり対応しながら進めていっていただきたいと思います。
次の質問に入ります。
和歌山県は、近年、公共事業を積極的に推進した結果、県内のインフラ整備や防災・減災対策が大きく進展しました。しかし、その一方で、県債の借入れによる後年度の財政負担が顕在化し、令和5年度を財政見直し元年と位置づけ、予算の賢いやりくりを進めていますが、令和7年度当初予算案では、収支不足が74億円となって、過去3番目に大きい赤字となり、対応策として、取り崩す県債管理基金と財政調整基金の残高は新中期行政経営プランで目標とする150億円を下回る見込みとなっています。
さらに、物価高騰や金利上昇、高齢化の進展等を踏まえ、義務的経費の増加に歯止めがかからず、財政危機警報時点では令和10年度と想定していた両基金の枯渇は令和9年度に1年早まる見通しとなりました。財政収支見通しにおいても、令和9年度で財政調整基金及び県債管理基金がマイナス20億円となっております。
最終的に考えるのは、これから約1400億円から約1600億円近くまで増える人件費の圧縮にはなるのかとも考えますが、それまでに知恵を出して、できる限り工夫できることもあると考えます。持続可能な自治体経営のためには、従来の歳入に依存するだけでなく、自主財源の確保と増収が重要な課題となると考えます。今までにない「稼ぐ」という発想も必要で、あらゆる手段を尽くして財源確保を図らなければならない状況だと考えます。
和歌山県が今後どのように自治体収入を増加させ、持続可能な財政運営を実現していくのか、以下の点を質問いたします。
一つ目は、特別会計から一般会計の収益繰入れ金額についてお伺いします。
収益繰入れ金額も、財政状況が厳しい中、私は重要だと考えます。和歌山県特別会計条例を確認すると、和歌山県の特別会計の項目は全部で12項目あるわけですが、その中で収益事業を実施するのは県営競輪事業特別会計であります。
県営競輪事業特別会計の令和4年度から令和6年度の勝者投票券の売上金額と一般会計の繰入れ金額について、商工労働部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長大川伸也君。
〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 勝者投票券の売上収入につきましては、令和4年度決算額は230億4710万100円、令和5年度決算額は280億3629万1200円、令和6年度決算見込額は262億1323万5000円となっています。
また、一般会計に県営競輪事業特別会計から繰り入れた金額につきましては、令和4年度決算額は1億5000万円、令和5年度決算額は2億4700万円、令和6年度決算見込額は1億5000万円となっています。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 令和7年度当初予算案では、県営競輪事業特別会計から一般会計への繰入れ金額は1億5000万円となっています。先ほどの答弁では、売上金額が高くても一般会計への繰入れ金額はそれに比例していないと考えますが、その理由と今後の収益向上を図るための施策や対策について、商工労働部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長。
〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 議員御指摘の売上金額が高くても一般会計への繰入れ金額はそれに比例していないということについてお答えします。
勝者投票券の売上げについては、コロナ禍の巣籠もり需要により、インターネットによる投票券の購入が増加し、年々増加傾向にあります。
一方で、競輪場施設の老朽化が見られることから、順次施設の改修を進めており、その改修に必要な費用を売上げの一部から基金に積み立てているところです。そのため、一般会計への繰入れ金額は、今年度が1億5000万円の見込み、来年度の当初予算案についても1億5000万円としているところです。
次に、今後の収益向上を図るための施策につきましては、おおむね20時から24時までの時間帯に無観客で開催され、インターネット環境で楽しめる新しいスタイルが人気のミッドナイト競輪の実施が大変有効であると考えています。
現在、和歌山競輪場には夜間照明がなく、奈良競輪場を借り上げてミッドナイト競輪を実施しているところですが、その実施に当たっては、施設の借り上げ料を支払う必要があります。その対策として、和歌山競輪場でミッドナイト競輪を開催すべく、来年度当初予算案において、夜間照明の設置工事に係る経費を提案しているところです。
今後も、必要な施設改修を進めつつ、一般会計への繰入れに貢献できるよう、収益向上を図るための施策に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 今回の令和6年度の補正予算でも基金に10億円積み立てていただいております。施設改修も一定必要となってくると思いますし、落ち着いてきたら一般会計への繰入れも貢献できるようよろしくお願いいたします。
次の質問に入ります。
ふるさと納税活用強化についてでございます。
ふるさと納税制度は、地方自治体の財源確保や地場産品の販売、地域活性化の手段として重要な役割を果たしています。
そこで、ふるさと納税の受入額増加と、その効果的な活用に向けた施策についてお伺いします。
ふるさと納税の活用強化は、本県の財源確保だけでなく、地域の魅力向上や活性化にもつながる重要な施策です。
2024年8月2日、総務省が発表したふるさと納税に関する現況調査結果(令和6年度実施)によると、都道府県と市町村の合計で令和5年度のふるさと納税寄附額、受入額が1位となったのは北海道で、受入額は断トツで多く、約1654億円、受入れ件数は約970万件です。2位は福岡県で約615億円、3位は宮崎県で約520億円。トップテンには、九州7県のうち4県がランクインしていました。全国合計は、受入額が約1兆1175億円、受入れ件数が5894万件。47で割ると、全国平均は約237億円となります。
そこで、本県のふるさと納税の受入額と流出のバランスは全国と比較してどのような位置にあるのか、総務部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長友井泰範君。
〔友井泰範君、登壇〕
○総務部長(友井泰範君) 2023年度において、市町村を含む和歌山県全体のふるさと納税の受入額約220億円に対し、県民が行ったふるさと納税に係る個人住民税の寄附金控除額は約36億円で、受入額が約184億円上回っています。この額は、全都道府県の中で14番目に多い額となっています。
なお、寄附金控除による減収額の75%は地方交付税措置されており、この措置と返礼品の購入費用等を加味した実質的な収支は約103億円の黒字であり、全都道府県の中で15位となっています。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 和歌山県と県内30市町村で全体で約103億円の黒字で、全都道府県中の15位ということです。
ふるさと納税の受入額を増やすには、全国の納税者に対して本県の魅力を発信し、寄附を促すことが不可欠です。SNSやインターネット広告、ふるさと納税ポータルサイトの活用など、情報発信の強化が必要です。
和歌山県だけの寄附の受入額で見れば、令和5年度は約1億3200万円となっていました。
和歌山県が力を入れれば、県内各市町村のふるさと納税の受入額が減ることもあると考えられるようですが、京都府は府内の京都市を除く市町村と協力して実施する独自のふるさと納税制度、京都版市町村連携型ふるさと納税に取り組んでいます。この制度では、府が市町村から提供された返礼品を通じて寄附を募り、集まった寄附金の半分を市町村に還元します。これにより、京都府が寄附を獲得するとともに、府内全体のふるさと納税の取組を底上げし、地域間の格差是正や均衡ある発展を目指しています。このような取組も行われています。
また、和歌山県の返礼品はプレミア和歌山の商品で構成されています。来年度以降、プレミア和歌山の商品が徐々に絞られ、和歌山一番星アワードの商品に移行すると考えられます。この機会に、県として、市町村が提供していない返礼品を工夫し、和歌山にしかないもっと高額な返戻金も事業者との連携強化で開発してはどうでしょうか。
そこで、ふるさと納税の受入額の増加と、返礼品の開発や魅力向上、PR活動の強化など、今後の取組について、総務部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長。
〔友井泰範君、登壇〕
○総務部長(友井泰範君) これまで、本県のふるさと納税の返礼品は、地域の活性化や地場産品の振興の一環としてプレミア和歌山の認定商品から選定し、返礼品数の拡大を図ってきました。
加えて、地場産品が少ない市町村でも、県や他の市町村の返礼品を共通返礼品として取り扱うことができるよう取り組んできたところです。
今後は、議員御発言の和歌山一番星アワードの認定商品など、プレミア和歌山以外の幅広い県産品の中から様々な価格帯の返礼品を事業者と連携して選定する方法や、ふるさと納税の本来の趣旨に立ち返り、返礼品がなくとも魅力的な県の取組を寄附者自身に選んでいただき寄附を募る新たな仕組みを構築するなど、寄附の受入額増加に努めてまいります。
また、本県のふるさと納税のPRについては、ふるさと納税ポータルサイトのほか、県のホームページやSNSを活用した広報、県人会や県にゆかりのある方々への周知などを実施してきたところですが、さらに幅広い世代の方々へ情報を届けるため、ホームページやパンフレットのリニューアルを行うなど、寄附者の共感を得られるよう、引き続き積極的な情報発信に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございます。受入額増加に努めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
次、3番目、企業版ふるさと納税の実績と活用促進についてお伺いします。
企業版ふるさと納税を活用すると、企業は、地域のプロジェクト、まちづくり、観光振興、環境保護などを支援することで、CSR──企業の社会的責任──活動の一環として評価されます。また、寄附額の最大約9割が法人関係税から控除されるため、実質的な負担が1割程度に抑えられます。
企業版ふるさと納税には返礼品がないため、純粋に地域貢献を目的とした寄附ができますし、手続は自治体と直接やり取りする形が多く、個人向けふるさと納税と比べてシンプルです。企業の税負担を軽減しながら地域貢献や事業機会の拡大につながるため、特に地方との関係を強化したい企業にとって有益な制度だと考えます。個人の寄附だけでなく、企業版ふるさと納税を活用することも重要と考えます。
そこで、本県における企業版ふるさと納税の実績と活用促進について、地域振興部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 近年、企業の社会貢献意識の高まりとともに、企業版ふるさと納税制度の活用が広がっており、県としても貴重な財源確保の手段となることから、積極的に活用してまいりたいと考えております。
そのため、県としては、企業に県の取組をより深く理解いただけるよう、和歌山こどもまんなか社会推進プロジェクトなど、寄附を通じて地域貢献を実感できる魅力的なプロジェクトを提案しております。
また、寄附いただきました企業への感謝の意を表し、事業への貢献を広く周知するための広報活動に取り組むとともに、本県に縁のある企業や県人会へのPR、企業への個別訪問など、営業活動を強化しているところでございます。
その結果、今年度につきましては、寄附申込額が2月末時点で34者、約7500万円と、件数、寄附額ともに、昨年度実績の約4倍の見込みとなっております。
今後も、このような取組を積極的に進めることで、企業版ふるさと納税の一層の活用促進を図ってまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 一層の活用促進をよろしくお願いいたします。
次の質問に入ります。
県有財産の有効活用についてでございます。
県有財産は、県民の貴重な共有資産であり、適切に管理し、最大限に活用することも一つの収入増加につながります。効率的な利活用を進めることで、地域経済の活性化や県民サービスの向上を図ることが可能です。
県有財産には、庁舎や未利用地など多岐にわたる財産が含まれます。しかし、取り巻く状況の変化により、歳入確保に十分に活用されていない状況もあるかと考えます。また、財政の健全化の観点からも、効率的な財産管理が必要と考えます。
そのような中で、有効活用の促進として、民間事業者や地域団体と連携し、活用方針を作成したり、利用予定のない、または利用頻度の低い財産については適切な手続を経て売却または貸付け、県の財産基盤強化を図ることが必要です。
そこで、県有財産の民間への貸付けを積極的に行うべきではないか、総務部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長。
〔友井泰範君、登壇〕
○総務部長(友井泰範君) 県有財産のうち、継続して保有する必要のない普通財産については、県庁内での公共利用を優先し、利用予定がないものは、普通財産が所在する市町村に対して取得意向の調査を行い、市町村から取得希望がなかった場合は売却に向け一般競争入札を進めることとしており、原則、本県では、貸付けを行うより売却処分を優先しているところです。
なお、売却処分より貸付けを行うほうが収益性が高くなる場合や、売却処分の準備が整うまでの短期間の使用を認める場合は貸付けを行っております。
また、行政財産につきましても、庁内の空きスペースを活用し、自動販売機や職員食堂の用途として貸付けを行い、併せて歳入確保に努めているところです。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 行政財産も工夫されているということで、しっかり、できる限り進めていただきたいと思います。答弁ありがとうございます。
次、首都圏における県有財産の貸付けについてお伺いします。
首都圏における県有財産は、特に収益性が高いと思われますけども、貸付けを行っている事例はあるのか。また、貸付けを行っているのであれば貸付料は幾らか、総務部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長。
〔友井泰範君、登壇〕
○総務部長(友井泰範君) 本県が首都圏で有する不動産のうち普通財産については、東京都品川区東五反田に559.85平方メートルの土地がございます。こちらにつきましては、売却処分より貸付けを行うほうが収益性が高くなるため、県及び県民のために有益となる利用計画を提案した事業者を対象に、一般競争入札を実施した上で貸付けを行い、2018年1月より、年間840万円の貸付料を徴収しているところです。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 様々な形で収入を増やしていくために努力をしていただきたいし、この年間840万円の貸付料を課しているということで、その金額が妥当かどうかというのが僕は分からないですけども、これからも、収入をできるだけ増やせるような努力もしていただきたいと思います。
それから、以前からも提案させていただいている県有財産などのネーミングライツという活用も、ぜひ取り組んでいただければと思います。
次、企業誘致の促進についてお伺いします。
和歌山県の持続可能な成長のためには、戦略的な企業誘致が不可欠であります。労働力人口の確保、人手不足の問題もありますが、現状の課題を克服し、県の強みを生かした誘致活動をどのように展開していくのかが重要です。
県では、雇用人数や投資額によって、全国最高水準の奨励金、最高100億円の制度を制定しており、年間で8者から9者の進出協定も結ばれていると聞いています。
先日、ENEOSは、有田市の製油所跡地で、次世代航空燃料・SAFの製造設備の設計を大手商社の三菱商事と共同で行うことになり、経済産業省の支援事業にも採択されました。2028年度以降、年間およそ30万トンの製造を目指すということです。期待しています。
そこで質問ですが、本県の企業誘致の現状と今後の誘致戦略について、商工労働部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長。
〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 企業誘致の現状につきましては、グローバルサプライチェーンの見直しや、政府による国内投資支援策の後押しもあり、製造業を中心に国内投資が活発化しているところです。
本県においても、昨年12月に分譲を開始したあやの台北部用地は、全15区画のうち、既に半数以上の区画に申込みをいただいており、他の用地においても引き合いがある状況です。
また、IT企業につきましては、テレワークの普及や都市部のIT人材不足を背景に地方への進出意欲が高まっており、本県においても、和歌山市や田辺市、白浜町への誘致が進んでおります。
このような状況の中、企業誘致を戦略的に進めるため、GXや宇宙関連産業など、市場の成長性や既存産業との親和性、集積の可能性のある産業を誘致すべく、昨年4月に、わかやま成長産業開拓ビジョンを策定したところです。
企業誘致は、新たな産業の創出や地域経済の活性化に大きく寄与するものと考えており、今後とも積極的に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございます。
答弁でもありましたが、グローバルサプライチェーンの見直しや政府の国内投資支援策の後押しもあり、国内投資が活発化しており、今がチャンスなのかなというふうに考えます。ただ、和歌山県が持っている大きな土地はほとんど売れていると聞いています。用地確保が難しい中で、民間業者や市町村との情報交換の取組や産業団地の開発も必要になると考えます。
用地不足の中、空き地や遊休施設の活用を含めた企業誘致をどのように考えているのか、商工労働部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長。
〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 先ほどの答弁のとおり、国内投資はここ数年で特に活発化していることから、全国的にも産業用地が不足しており、県内においても分譲可能な用地が少なくなってきている状況です。
こうしたことから、議員御指摘のとおり、県では、企業が立地できる用地を確保するため、工場跡地などの未利用施設について、市町村をはじめ不動産事業者などから積極的に物件情報を収集し、企業へ提案しているところです。
また、官民連携による新たな産業団地の開発を視野に、適地調査を実施する予算案を本議会に提案しているところであり、今後の企業誘致につなげてまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 なかなか用地がないということですけども、ENEOS跡地についても、SAF事業に使う用地のほかにまだ何十万平方メートルの土地も企業誘致が可能と考えますので、雇用を生める産業誘致を期待しています。
これで、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、中西徹君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時42分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(堀 龍雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
17番坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕(拍手)
○坂本佳隆君 2月定例会2日目、一般質問の機会をいただきました先輩・同僚議員の皆さんに感謝を申し上げます。
それでは、通告に従いまして、議長の許可をいただきましたので、一般質問を始めたいと思います。
まず、皆さん、華岡青洲って知っていただいておりますか。どんなことをされたりとか、分かっていらっしゃるんでしょうか。
去年の9月議会の最中でしたが、実は私の妻が入院をして手術をすることになりまして、約4時間余りの手術をしました。無事終了して胸をなで下ろしたんですが、術後も、今、痛みを消すために麻酔薬を背中から入れて術後の管理をしております。そういうことをしながら、5日程度で退院をするという。私たち、この国の日進月歩の医療に感謝をして心強く思った次第です。
その麻酔薬を世界で初めて開発をしたのが華岡青洲であります。私の地元が生誕地であります。
アメリカ合衆国のシカゴ市にある国際外科学会栄誉館は、人類への貢献度の高い科学者をたたえ、展示をしております。この栄誉館には、医学の父として有名なヒポクラテスやナイチンゲールなど、世界史にさん然と輝く医療分野の偉人が顕彰をされています。そこに日本人の外科医師としてただ1人、展示、顕彰されているのが華岡青洲です。
日本の江戸時代に活躍をした外科医であり、世界で初めて全身麻酔薬を使用した乳がん摘出手術を行った人物です。青洲がいなければ、医学の発展は約50年遅れていたとも言われています。
華岡青洲は、宝暦10年(1760年)10月23日に和歌山藩、現在の紀の川市西野山に生まれました。幼い頃から医学に興味を持ち、父、華岡直道の下で医学を学び、23歳のとき、最新の医学習得のため京都へ向かい、本格的に蘭方医学や漢方医学を修め、3年間の修業を終えて帰郷をいたしました。
当時の外科手術は激痛を伴うものであり、患者の負担は計り知れないものでした。そこで、外科手術で患者の苦痛を和らげ、手術を成功させるためには麻酔薬の開発が必要不可欠であると考えた華岡青洲は、研究に打ち込み、曼陀羅華(チョウセンアサガオ)やトリカブトなど数種類の薬草を配合し、研究を始めてから約20年、全身麻酔薬(通仙散)を完成させました。この研究には、麻酔の効果を強くし、副作用を弱くする何百回もの実験を積み重ね、動物実験で効果が得られるようになり、安全性を確立していきました。
しかし、人体でも同じ効果が得られるかを確認するために、自らの母や妻が人体実験に協力をし、有効性と安全性を確認したという壮絶な過程があったと伝えられています。
これは、有吉佐和子さんの「華岡青洲の妻」という小説にも書かれております。
そして、文化元年(1804年)10月13日、華岡青洲はこの麻酔薬を用いた世界初の全身麻酔による乳がん摘出手術を成功。その快挙は瞬く間に全国に広がり、多くの患者が華岡青洲の下を訪れるようになりました。
また、華岡青洲は、医学の普及や発展にも尽力をしました。診療所や医塾である春林軒を建て、多くの患者の命を救うとともに、多くの門下生に高度な医術を教え育成をしました。
彼の下で学んだ医師たちは日本各地に散らばり、その医療技術を全国へと広めていったのです。青洲は、修業を終えた門下生に、活物窮理の精神とともに医師としての心構えとして、私の周りは自然豊かで小鳥がさえずっています。そんな田舎で心豊かに暮らしています。いつも思っているのは、治らないとされている病気を治す医術を極めることです。高価な着物や立派な馬を欲しがるような、自分さえよければいいという欲深さを戒めるべきであるという意味の漢詩で書かれた掛け軸を贈り、全国から集まった2000人以上の門下生たちは、それぞれにおいて、地域医療や人材育成にまた貢献していったのであります。
また、この診療所の病室と衛生施設は隔離し、沈殿式汚水浄化槽、手洗い鉢、おまる式簡易トイレなどを設置しており、予防医学の先駆けと言われています。治療方法を詳しく説明して同意を得る現在のインフォームド・コンセントを当時から行い、患者一人一人と真摯に向き合い、心に寄り添うことを大切にしてきたとも言われています。
また、紀州藩主徳川治宝から藩医になるように再三招きを受けましたが、一般患者の診療ができなくなるということを理由に辞退をし、しかし、断り切れず、一般患者の診療を続けるという特別な許しを得て、月の半分を紀州藩の藩医として勤めました。
そのほかにも、地元の神社や寺へ常夜灯の寄附や年貢に苦しむ農家を救うためかんがい用ため池を造るなど、医者のみならず、世のため人のため地域のために尽くし、思いやりや助け合い、人々との相互信頼や人間の無限の可能性を追求した人格者でありました。
華岡青洲の業績は、本県におきましても日本医学史におきましても非常に重要であり、青洲の試みは後の近代外科手術の発展にもつながりました。青洲の全身麻酔の技術は、西洋におけるエーテル麻酔の実用化よりも約40年も早く、この点においても、華岡青洲の功績は世界的に評価をされるべきものであると考えます。
ここで、これまでの紀の川市での顕彰活動を少し紹介させていただきますと、先ほど触れたとおり、アメリカ合衆国のシカゴ市にある国際外科学会──現在は世界108か国、1万4000名の会員が所属──栄誉館日本外科殿堂で日本の外科医としてただ1人顕彰をされています。1954年(昭和29年)より、世界で初めて全身麻酔に成功、華岡青洲としてたたえられ、業績は全身麻酔薬の開発、乳がん摘出手術の成功、実験科学の導入とされています。
青洲生誕地の紀の川市からは、2004年(平成16年)に、市町村合併前の旧那賀町の町議会議長一行がその栄誉館を訪れ、シカゴ市長に表敬訪問をしております。当時の木村良樹和歌山県知事と東健児那賀町長の親書を手渡し、シカゴ市長からメッセージを託されました。両国間の親善と友好の輪を広げるため、活発な活動を展開していく旨を伝えています。その2年後にシカゴ市より招待を受けて、改装された日本外科殿堂を東町長一行が訪問をしております。
また、1999年(平成11年)に、紀の川市に一般財団法人の下、青洲の里が建設をされ、現在でも青洲まつり、また時代行列、1月には七草粥まつり等々、毎年盛大に行われております。
2015年(平成27年)には、国土交通省から道の駅に登録をされ、多くの人が訪れています。財団や医聖華岡青洲サポートクラブ、華岡青洲友の会など、地元ボランティアの皆さんが中心となって、青洲検定テキストを作成したり、語り部の育成をしたり、解読本を出版し、小学校や各種団体に講演や読み語りを行うなど、華岡青洲の人物や業績について地道な顕彰活動を続けております。
また、日本麻酔学会では、通仙散の主成分の曼陀羅華の花をシンボルとしております。日本外科学会では、2000年にその創立100周年を記念し、青洲の肖像と曼陀羅華をデザインした切手を発行しました。
和歌山県立医科大学では、偉業をたたえ、曼陀羅華の花に医学の「医」の文字を配した学章を使用しております。大学内には活物窮理の石碑が建ち、青洲の教えを現在の医師や学生に伝えています。
しかしながら、世界の医聖であり世界初の麻酔薬考案により、多くの人々がその恩恵を受けているにもかかわらず、華岡青洲はまだまだ知られていないのが実情ではないでしょうか。地元の和歌山県民が知って、考えて、伝えることが必要です。
華岡青洲生誕の地、医業開業の地の紀の川市だけではできることとできないことがあります。市に任せることは市に任せ、世界の偉人、世界の医聖ですから、県として県がすべきことを実施する必要があると考えます。
そこで、和歌山県における華岡青洲の顕彰と今後の取組についてであります。
和歌山県が誇る医聖華岡青洲は、世界で初めて全身麻酔手術を成功させた医師であり、日本の近代外科医療の礎を築いた人物であります。しかし、青洲の功績は麻酔手術にとどまらず、薬草の栽培や薬湯療法の実践、さらには皮膚疾患の治療に有効な紫雲膏や十味敗毒湯といった漢方薬の考案にも及んでいます。こうした青洲の偉業を広く顕彰し、医学界や地域社会と連携してさらなる発展につなげることが今後の重要な課題です。
青洲は、自らの診療所、春林軒に薬草園を持ち、麻酔薬、通仙散をはじめとする様々な生薬を栽培し調合していました。彼が考案した紫雲膏は、やけどや外傷、霜焼け、床擦れなどの皮膚疾患に用いられ、現在でも医療現場や一般家庭で広く利用されています。また、十味敗毒湯は、皮膚炎や蕁麻疹などの治療に有効な漢方薬として現代に至るまで使用され続けています。さらには青洲の下には、全国から多くの門下生が集まり、彼の医術を学び、日本各地で華岡流の医療技術を広める役割を果たしました。
これらの功績を学術的に再評価して、より広く認知されるよう、医学界への働きかけを強化していくことが必要です。
具体的には、日本麻酔学会、日本外科学会、日本医学会などと連携をし、華岡青洲の医療技術や麻酔の歴史をテーマとした特別講演やシンポジウムを開催することも考えられます。また、学会の一部を和歌山県で誘致開催し、華岡青洲ゆかりの地を訪れる現地ツアーを組むことで、彼の功績をより深く知ってもらう機会を提供でき、さらに大学医学部や薬学部のカリキュラムに華岡青洲と日本の麻酔史を取り入れることで、未来の医師や研究者にその功績を伝えていくことも重要です。青洲が開発した麻酔薬や漢方薬の科学的研究を進め、現代医学と接点を探ることによって、新たな医療の発展につなげることが期待をされます。また、アメリカ・シカゴの国際学会との連携を強化し、華岡青洲に関する研究発表や展示を行うことで、国際的な評価の向上を図ることも有意義であると考えます。
次に、華岡青洲の功績を広く県民に知ってもらうためには、子供向けの教育プログラムの充実も重要です。小学校から高校までの授業に彼の医療や薬学の功績を取り入れることで、郷土の偉人としての認識を深めるとともに、医療や科学への関心を高める機会を提供できます。また、薬草の栽培や漢方作りを体験できるワークショップなどを開催し、実際に触れて学ぶ機会を設けることにより、身近なものとして理解を深められ、さらには青洲の里に観光・学習施設を整備し、青洲が栽培していた薬草の再現や薬湯療法の体験ができる場を提供することで、観光資源としての活用も可能になり、医療関係者向けの研修・観光ツアーを企画することで、地域活性化にも寄与することが考えられます。
医学的な視点、教育的な視点、観光資源としての視点を組み合わせた総合的な地域に根差した顕彰活動を展開し推進することで、和歌山県の医療、観光、産業の発展につなげることができると思います。今後は、華岡青洲の医療技術と思想を未来へと引き継ぎ、世界に誇る和歌山県の偉人として、国内外に広く広く発信していくことが重要であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 坂本議員の御質問にお答えをしたいと思います。
今、坂本議員がるる御説明をいただきましたように、医学的な視点、教育的な視点、また、観光資源としての視点を組み合わせた総合的な地域に根差した上での華岡青洲の顕彰活動を展開するということにつきましては、私も全面的に賛同するところであります。
今、議員も触れられましたけど、有吉佐和子さんが「華岡青洲の妻」を書かれて、今、昔の「青い壺」という本が復刊されて60万部のベストセラーになっております。私も「青い壺」を読んだついでに、読み返しているんですが、「華岡青洲の妻」を読みましたら、すさまじい嫁と姑の戦いの中で、やっぱり華岡青洲の偉人としてのありよう、あるいは全身麻酔で乳がんの手術をされた医学への貢献というのも改めて感じたところであります。
その上で、御存じのとおり、紀の川市は、今年合併20周年であります。紀の川市が合併20周年の記念に、実は有吉佐和子さんの「華岡青洲の妻」を今年の7月10日から23日まで、京都の南座でお芝居をされるそうでありますが、主演は大竹しのぶさん。これは紀の川市、紀の川市教育委員会、それから紀の里農協が後援をされてるということで、そういう意味では、本当に紀の川市さんの御努力で、大きな顕彰活動の一つになるのだろうと思います。
県といたしましても、御存じのとおり、「わかやま何でも帳」というふるさと教育副読本の中には、華岡青洲の事績についてきちんとした説明がございます。これは、小中学生に対して学校で教える副読本であります。それから、県として明治大学さんと連携をいたしまして、医聖華岡青洲シンポジウムを東京で開催したこともありまして、青洲さんの偉業を全国へ発信してきたところであります。
また、観光面におきましては、わかやま歴史物語100の中で、華岡青洲さんのゆかりの地を巡る観光モデルコースを紹介しております。
また、和歌山県立医科大学におきましては、学校の章、学章は華岡青洲が全身麻酔に用いた曼陀羅華をモチーフにしているマークなんですけれども、それを使ったり、敷地内には華岡青洲の医学理念であります活物窮理を記した顕彰碑が建立されていまして、和歌山医大としては、華岡青洲の志を受け継ぐ医学教育が実践されているということであります。
ただ一方で、坂本議員も触れていますが、和歌山の子供さんたちが華岡青洲を知らないんですね。県民の方が案外知らない。全国的には華岡青洲さんは有名なんですけど、県民が知らない。私もタウンミーティングとかいろんなところへ出ていきましたけども、案外知られていない。一方で、そのタウンミーティングの中で聞くと、自分は中学のときに南方熊楠の自由研究をしましたとか、総合学習の中で、自分は華岡青洲の自由研究をしましたという人もいるんですね。恐らくこれ、学校ごとに扱いが違って、ちゃんとこの「わかやま何でも帳」で教えている学校と、これをやらない学校の差がすごくあるんじゃないかなという感触を持っておりますので、今いただきましたことを、教育委員会にお伝えをしまして、もう一度きちんと教育委員会から下ろして、和歌山の偉人、先人、たくさんいらっしゃいますので、そういう教育を小学校、中学校でやるようにお伝えしたいと思います。
この間、和医大の教授に、和医大の新入生で和歌山出身の子で華岡青洲を知らない子がいまして、知事、何してるんですかと怒られたことがありますので、肝に銘じてしっかりと顕彰していきたいと思っておりますので、今後とも議会と御一緒に、偉人、先人、華岡青洲さんを筆頭に宣伝していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 ありがとうございます。前向きな御答弁をいただきました。
実は、昨年の令和6年は、青洲の偉業達成の220年の記念すべき年でございました。地元では、財団である青洲の里を中心に、ボランティアグループの皆さんが本当に熱心に語り部や読み語り、出前講座等を通じて懸命に顕彰活動を続けてくれています。本当に頭の下がる思いであるんですが、ふるさとのアイデンティティーを守り、次世代に伝えることは、ふるさとの誇りを育むだけでなく、文化、観光の視点からも経済的な価値があると思っております。
知事の答弁にもございました東京・明治大学でのシンポジウム、これは実は10年前の出来事であります。今回の質問に当たって、担当の方とお話をしている中で、実は現在は財政危機によるマイナスシーリングで、シンポジウムをするこの事業はもうなくなっているということであります。新年度予算編成の際も大変厳しい状況だとは十分に承知をいたしておりますが、財政が厳しくても、歴史、文化の顕彰や活動を単なる支出と考えることではなくて、ふるさと、地域の価値を高め、経済的な好循環を生み出す投資と捉えていただき、県民の誇りやアイデンティティーを守りながら、観光、教育、産業と連携をして、持続可能な形で文化を顕彰、継承していくことが重要であると考えております。知事がおっしゃる実績効果を踏まえたスクラップ・アンド・ビルド、当然あってしかるべきだと思っております。
県として、紀の川市、華岡青洲の顕彰に関わる関係者とぜひ一度、協議の場を持っていただいて、今後、どんなふうにこの顕彰を進めていくか、新しくビルドアップしていければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ぜひ、知事、今年の青洲まつりには必ず御参加いただけたらありがたいと思います。
続きまして、次の質問に移ります。
和歌山県をサイクリング王国として発展させるために、過去にも諸先輩議員がサイクリングの活用についての質問をされております。今回、私の視点で質問をさせていただきたいと思います。
従前より、自転車に関わる主な課題である放置自転車や交通事故、ヘルメット着用の義務化など、それぞれの対策は進んできておりますが、近年は自転車を活用した環境負荷の低減、災害時の活用、国民の健康増進などに向けて自転車活用推進法が2016年12月に成立をし、2017年5月に施行されました。
この同時期に成立しましたカジノ法案の陰に隠れて、当時あまりこの自転車活用推進法が報道されませんでしたが、当時、超党派の国会議員で構成する自転車活用推進議員連盟が3年にわたり準備をして、ようやく形になった法律であります。この議連の会長は、当時二階先生で、鶴保参議院議員が幹事をしていた関係で、私も議連の傍らで議論を拝見していた思い出の法律であります。
自転車活用推進法を一言で言うと、自転車の活用を総合的、計画的に推進するための法律です。
そもそも、なぜこのような自転車に関する法律が定められたのかというと、一つ、環境に優しい、二つ、健康にいい、3番、交通渋滞を起こさない、4番、災害時の活用が期待できる、5番、交通事故が減少するという自転車のメリットを最大限活用するためであります。
では、この法律で何が示されているんでしょうか。
まず、国や自治体、事業者、国民のやるべきこととして、責任と義務が示されています。つまり、国は自転車をもっと使いやすいように国のプロジェクトを行っていくので、都道府県や市町村はそのプロジェクトを地域に反映するよう努力してください。そして、地域の事業者や住民も協力しましょうねということが書かれております。
そして、この法律で何がどう変わるか。
国レベルで自転車の活用を推進すると決めた意義は大変大きく、各省庁が担当する15項目の基本方針を掲げました。これにより、推進する内容が定義されたので、予算化する根拠ができ、ようやく自転車の利活用に本気で取り組むモードに入ったと言えます。
そのため、まず、国交省へ自転車活用推進本部を置き、国土交通大臣が本部長に就いて、各省庁と連携をして推進することになりました。
国交省は、車道に自転車の走行空間を作って走りやすくし、シェアサイクルのポート数や台数を増やす。また、国内外からの観光客の来訪を促進する。
厚生労働省は、国民の健康増進及び医療費の削減を目指す。
経済産業省は、安全基準をつくり、粗悪な自転車を販売させないようにする。
環境省は、車から乗り換えてもらうことで、低炭素化社会を加速する。
金融庁は、保険制度を見直し、事故に遭った際のケアを充実させる。
文部科学省は、学校教育のカリキュラムに盛り込む。
警察庁は、安全啓発と取締りの強化で自転車事故を減らす。
こうして、それぞれの持ち場で施策が動き出しています。
自転車産業振興協会によれば、日本の自転車利用人口は約7500万人。そのうち、主に交通手段として利用する一般層が7000万人、健康のためにサイクリングを楽しむスポーツサイクリスト層が300万人、レースやトレーニングを楽しむアスリート層が30万人で、日本国内における保有台数は2人に1人が所有する7238万台と言われています。
健康と環境と観光、広域連携、活性化全てに合致をし、親和性のある自転車は、市民の足としても身近な乗り物だけに、自転車を活用したまちおこし、地域おこしは取り組みやすいテーマと言えると思います。
特に最近では、コロナ禍の密を回避する移動手段として自転車利用のニーズが高まり、またカーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に対しても利用促進が有用な方策の一つとして考えられます。さらには、健康寿命延伸の観点からの利用、健康経営の観点からの自転車通勤の促進への利用も有用な方策であります。
このように、自転車の利活用が見直される中、本県でも第2次和歌山県自転車活用推進計画を策定し、令和7年度までの計画期間として、和歌山県の自転車施策として、安全・安心な自転車通行空間の確保、サイクリング王国わかやま WAKAYAMA800の推進による観光立県の実現の二つの柱を掲げています。
そこで、まず、一つ目の安全・安心な自転車通行空間の確保ということで、地域の魅力を楽しみながら、利便性や安全性を備えたサイクリングロードのこれまでの整備状況と今後の取組について、県土整備部長にお尋ねをいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) サイクリングロードの整備については、本県の豊富な観光資源を生かした取組を進めるため、延長約800キロメートルの川、山、海の三つのサイクリングルートを設定し、サイクリストが安全で快適に走行できるようサイクリング環境の充実に取り組んでいるところです。
具体的には、サイクリストへのルート案内と自動車ドライバーへの注意喚起を目的としたブルーラインや矢羽根などの路面標示や案内看板に加え、紀の川河川敷に自転車歩行者専用道路を設置するなど、走行環境の整備を進めてきたところです。
県内の海のルートを含む千葉県銚子市から和歌山市加太に至る太平洋岸自転車道では、国や関係機関が連携して走行環境の向上などに取り組み、一定の基準を満たしたことが評価され、2021年5月にナショナルサイクルルートに指定されました。
県としては、引き続き紀の川河川敷における自転車歩行者専用道路の残る区間の整備を進めるとともに、関係団体や利用者からの意見も聞きながら、サイクリストが安全で快適に走行できるよう取り組んでまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁ありがとうございます。
私も地元で紀の川サイクリングクラブのメンバーに入れていただいておりまして、時間があるときは、紀の川のサイクリングロードを走らせていただいてるんですが、私が仕えた鶴保議員が和歌山県サイクリング協会の副会長だったという関係で、実は、紀の川流域のサイクリングロードの整備については、2007年頃と記憶をしておりますが、和歌山河川国道事務所へ紀の川サイクリングクラブの方々とサイクリングロードの整備についての陳情に行ったことを覚えております。あれから約18年になるんですが、県内には、山、川、海の三つの今サイクリングルートがサイクリングロードとして整備され、ようやく環境整備が整ってきているなという実感をいたしました。
引き続き整備を進めていただけるとのことですが、せっかく予算をかけて整備をしていただくということでありますから、ぜひともそのサイクリング関係団体や利用者のニーズに意見を聞きながら取組を進めていただきますようお願いをいたします。
次に、二つ目の柱に掲げておりますサイクリング王国わかやま WAKAYAMA800の推進による観光立県の実現についてであります。
近年、サイクルツーリズムを地方創生に生かす動きが顕著になってきています。そして、自転車で走るなら地方が適していると思います。参加型、観戦型、設置型、ツアー企画型など、全ての形が合致する本県では、サイクルツーリズムを発展させ、自転車で走る環境整備が積極的に行われれば、自転車で走りたい場所が増え、自転車を使ったコンテンツが増えるほど楽しみも大きくなり、新たな観光資源を発掘することにつながっていきます。メジャーな観光地ばかりではなく、自転車で特定の道を走ることで、今まで注目されてこなかったものにスポットを当てることもできるのです。おなかがすけば現地のグルメを食べてもらえる、また宿泊をしてもらえるなど、サイクリストと地域の双方で恩恵を受けることができ、地域全体のブランディングにもなると思います。
サイクリング王国を目指す上で、ハード対策のサイクリングロードを用意するだけでは、利用者や観光客が急増するわけではありません。国、県、市町村、企業、民間のセクターを超えた連携が極めて重要になると思います。
本県は、海、山、川があり、世界遺産である高野、熊野をはじめ、自然や文化など優れた特色を持っています。また、自転車の国際ロードレースであるツール・ド・熊野など、初心者から上級者まで楽しめるサイクリング環境を生かし、地域活性に結びつけることが重要と考えます。
サイクリングを活用したこれまでの施策の実施状況について、地域振興部長にお尋ねをいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) サイクリングにつきましては、和歌山県の観光振興アクションプログラムにおいて、四つの柱の一つに位置づけ、山、川、海の変化に富んだ総距離800キロメートルに及ぶサイクリングロードをWAKAYAMA800と名づけ、無限大のサイクリング旅が楽しめる場所として様々な媒体を活用し、サイクリング愛好者だけでなく、女性や若者、健康志向の高い人など、サイクリング人口の裾野を広げるための情報発信を実施してきました。
また、専用ウェブサイトや紙媒体のマップにより、観光施設をはじめ、お勧め周遊ルートやサイクルステーション、病院情報など、サイクリストに役立つ情報を提供しているほか、JR西日本とも連携し、県内全域においてサイクルトレインの運行に取り組むなど、サイクリストの利便性向上にも努めております。
さらに、空気入れやトイレの貸出しなどを行うサイクルステーションや、サイクリストが快適に滞在できるサイクリストに優しい宿の数を増やし、地域全体でのサイクリストのおもてなし機運の向上を図るとともに、WAKAYAMA800モバイルスタンプラリーのチェックスポットに観光施設や温泉、飲食店、道の駅などを設定することで、サイクリストによる地域での消費を促し、地域活性化にもつながっているものと考えております。
なお、今年度より、地域おこし協力隊を各振興局に配置しているところですが、西牟婁振興局においては、自転車競技の元選手で、オリンピック出場経験もある唐見実世子さんが熊野エリアを周遊するクマイチのコンテンツ造成や情報発信にも取り組んでいます。こういったお力もお借りしながら、今後も取組を進めてまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁いただきました。
自転車を活用した地域振興については、行政主導による施策の展開だけではなくて、県民、企業、事業の参加、タイアップがなければ地域の活性化にまで広がることはなかなか期待しにくいと思います。そのために熱意を持つ県民や企業、事業者の参加を促して役割分担をして、行政と民間の連携によって取り組んでいくことが求められています。
そのために、政策策定や計画段階から直接的な県民参加の機会をつくるなどして、事業実施において取組の担い手となり得る実行委員会や協議会を設立して、機運を熟成させていくことが必要です。また、取組を維持して拡大するためには、小さなイベントであっても継続的に実施をし、情報発信に努めることも重要と思っております。
私が先ほど申しました所属する紀の川サイクリングクラブでは、華岡青洲先生の顕彰活動の一環でもありますピンクリボンサイクリングを毎年4月に開催して、今年でもう15回目、15年目を迎えております。また、紀の川エリア観光サイクリング推進協議会、これは地域振興部長もおっしゃられた、これは那賀振興局でのことになりますが、地域づくり部の職員の皆さん、また紀の川市、岩出市、JR、和歌山電鐵、JA紀の里で、紀の川サイクリングクラブなど、NPOの皆さんが連携をしてサイクリングイベントを開催しています。また、この協議会は、5月の大阪・関西万博の和歌山ゾーンにも出展することになっています。
今、地域振興部長がおっしゃられた各振興局単位でも、小さいイベントでもいいので、こういう活動を検討していただいて、自転車活用の裾野が広がるように、ぜひとも取組を進めていっていただきたいと思います。
それと、今回、この質問をするに当たって、先ほど自転車活用推進法で幾つかの省庁にまたがった活用方法のお話をさせていただきましたが、実は、自転車は健康増進にも役立つ、また、地方の2次交通にも役立つ等々いろんな活用についての御提案をしたいなと思って質問をしているんですが、なかなか担当課が自転車の場合、分かれていまして、どこが司令塔なのか、どこに活用の提案をしたらいいのかというところがちょっと分かりにくいところがありましたので、後に、一番最後に要望ということで質問を締めくくらせていただきますが、それもまた御検討いただければと思います。
続きまして、サイクリング王国わかやまの実現に向けてということで、知事にお伺いをしたいと思います。
るる担当部長より御答弁をいただきましたが、本県は、高いポテンシャルを持って、サイクリング王国わかやまとしてサイクリングロードの整備や自転車を活用した観光振興、地域活性化に力を入れてきました。
知事は、以前タウンミーティングで、和歌山はサイクリング王国わかやまと名のりながら小国だとおっしゃった記事を拝見したことがあります。これまで、県として様々な施策を進めてこられたと思いますが、その成果を踏まえ、今後、どのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。そして、これから和歌山でサイクリングを楽しみたいと考えています県内外のサイクリストに向け、知事からのメッセージをお願いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ありがとうございます。坂本議員の御質問にお答えをしたいと思います。
サイクリング王国わかやまの実現に向けた坂本議員の思い、私も全く同様に考えております。
今、議員からも御指摘いただきましたけども、サイクリングが単なる観光の手段にとどまらず、地域活性化にもなりますし、あるいはSDGs的な環境負荷の低減、さらには健康増進にも大きく貢献するものでありますから、いいとこだらけであります。
一方で、今、議員から御指摘いただきましたように、各部局にまたがるという御指摘でありました。ちょっと我々県庁は、どうしても縦割りがきつくて、私も知事になって戸惑うことが多いので、今、ワーキングチーム方式で各部門をまたがるようなテーマについては、今、10ぐらいつくってやっていますので、新年度、少し担当者と相談して、このサイクリングについてのワーキングチームのようなものをつくることができれば、窓口が一つできますので、そことやっていただければいいのかなと思って伺っておりました。
それから、自転車ということなんですけど、私はああいう格好いい自転車であんまり走ったことはないんですけど、20年間、衆議院議員ないし落選中は、ママチャリに乗って、荷台にスピーカーを載せて、旗を立ててずっと市内を走り回っておりました。選挙期間中も和歌山市内は狭いもんですから、私は街宣車には乗らずにずっと自転車で走っておりましたので、和歌山市内の道はよく分かってるんですけど、左側通行しますと、ダンプが来たら風圧でよろけるんですね。怖いです。それでも一生懸命走っています。ですが、しばらくすると、道路に青い何か矢羽根みたいなのがどんどん出てきまして、結構、和歌山市内、この矢羽根がいっぱいあるんですけど、やっぱりダンプが来たらよろけます。あれ、矢羽根があるから何かいいことがあるのかどうかよく分からないんですけども、あれは、要するにいろんな自転車道があるんですけれども車道混在という、車道の中で矢羽根の青い線のところを自転車が車と一緒に走ってもいいよということなんですけども、あれではなかなか、事故が起きたら大変なことだろうと思います。
今、おっしゃった紀の川は、自転車歩行者専用道路なんですね。歩行者に気をつければ、車は走ってませんので、非常に快適に走れるわけですから、できれば、自転車歩行者専用道路を造っていくということで、サイクリング王国わかやまを目指したいんですけれども、ただ、今、クマイチというのを赤坂部長が申し上げましたけど、ちょうど311号で北のほうを回って、それから南は42号線で太平洋を見ながら走るクマイチというのがあるんですけども、これはすばらしいと思うんです。そこに自転車歩行者専用道ができれば、そんなすばらしいことはないんですが、あまりにもお金がかかり過ぎますので、これはちょっと中長期的な課題としてお預かりするしかないかなと思っているんですね。
これも赤坂部長が申し上げましたけども、唐見実世子さんという自転車のオリンピアンが、西牟婁振興局でクマイチのアドバイザーをやってくれています。この間お話を聞いたら、やっぱりプロですね。今は反時計回りに回るコースらしいですね。反時計回りに回ると、右側にダンプが走る。左側は自動車が出てくるんですね、三つ角というか。両方に気をつけなきゃいけないんで、あれは危ないですよと。自分だったら時計回りにしますと。時計回りにすれば、左が海、北のほうは、左が熊野川、絶対自動車は出てきませんので、右だけ気にすればいいというようなことで、そんなアドバイスもいただいております。
いろいろ申し上げましたけれども、サイクリングの持つ力を最大限に活用して、やっぱりこの風光明媚な和歌山を、もちろんドライブしていただくのも結構ですけども、自分で自転車で回っていただくということで、この自然や文化などサイクリストの皆さんにぜひ楽しんでいただきますように、県としても中長期的な課題も含め、しっかりと取り組んでいきますし、またできれば、新年度から窓口も一本化しますので、ぜひ、坂本先生、あるいは自転車でいうと長坂先生も力を入れていただいてますので、御指導よろしくお願い申し上げます。
○副議長(堀 龍雄君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 ありがとうございました。
我々も一生懸命団体としても協力していきたいと思いますので、ぜひともサイクリング王国実現に向けて頑張っていきたいと思います。
それでは、最後に要望ということで、サイクリング王国の実現に向けた取組を進めるに当たりまして、府県を超え、部署を超え、地域や事業者など多くの関係者が心を合わせていくことが必要になると思います。
和歌山県の紀の川サイクリングロードは、京都市の嵐山を起点とし、奈良県を経由し、和歌山市の和歌山港に至る、延長約180キロの広域サイクリングルートである京奈和自転車道の一部となっています。3府県が連携をして整備を進めてきた京奈和自転車道のナショナルサイクルルートへの指定を目指すことで、先ほどから御答弁いただいた各種施策をさらに推進していくことにつながるのではないでしょうか。引き続き、幅広い関係者の連携を進めていっていただきたいと思います。
それと、先ほどから申しております自転車活用推進については、所管部局が分かれており、推進主体が不明確であるように思われます。まずは、県における明確な推進主体を立ち上げること、この2点を要望いたしまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(堀 龍雄君) 以上で、坂本佳隆君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
39番片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。
議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。
まず、和歌山県におけるeスポーツなんですけども、eスポーツのよさというんでしょうか、特徴というのか、なぜ盛り上がっているのとか、あるいは地域振興に生かされるとか、eスポーツが教育になるとか、人材育成になるとか、いろいろ言われているんですけど、この概念を捉えるのが非常に難しいんです。僕自身イメージしにくい。それはなぜかというと、僕らの学生時代というのは、ゲームセンターとかゲームを置いている喫茶店に行くことすら悪というふうなイメージがあって、ゲームはあまり教育とか人づくりに生かされてなかったんではないだろうかと、そんな感じがします。
ただ、eスポーツに関して、いろんな方から取り上げてくれとか推進してくれという要望があるので、今回、教育関係者、それから高校生、それから実際のプレーヤー、それから事業者、それから各自治体とeスポーツの企画をしている方とかにヒアリングをさせていただきまして、まとめさせていただきました。
前半は、eスポーツと和歌山県の地域振興について、分かりやすくできたら触れたいと思います。後半は、人づくり、eスポーツが教育とどう結びつくかというのは非常にややこしかったのですけども、ちょっとその辺に踏み込んでみたいと思います。
まず、和歌山県をはじめ、全国の自治体が集客や体験を目的として取組を進めているeスポーツなんですけども、このジャンルというのは幾つかありまして、人気の高いのが戦略ゲームとシューティングゲーム、そのほかによくやられ、競技として使われているのがスポーツゲームや格闘技ゲーム、レーシングゲームやデジタルカードゲーム、こういったものがよく使われているそうです。
そこで、観光とか地域振興で和歌山県にお勧めだよというeスポーツが、ツーリズムとゲームを組み合わせた体験型デジタルツーリズム、こういう取組はいかがだろうかという話も聞きました。
例えば、京都市は、二条城をゲームの舞台にしたソフトがあります。これは、世界に配信されているんですけども、これは多言語ということになりまして、世界で愛好者がおります。二条城がゲームの舞台になったことで、たださえ知名度のある京都市の認知度がさらに高まり、インバウンド観光客が増えている一助を担っていると。
参考までに、この京都市がゲームで二条城を使うことに関して同意を取るのに、文化庁で約1年ぐらい、京都市も協議して大体1年ぐらいかかったそうなんですけども、結果として、世界に京都市をアピールできたことや、観光施策につなげられたということで効果があるようです。
和歌山県の観光テーマは聖地リゾートですから、ゲームの舞台になる場所がたくさんあります。観光地をゲームソフト化すれば、外国でも利用されることから、この聖地リゾートゲームを体験した人の中から、和歌山県を訪れたくなる人も増えると思いますから、eスポーツはツーリズムと親和性があるのではないかと思います。
フォートナイトってゲームがあるのですが、このゲームソフトでは、既に和歌山城、JR和歌山駅周辺、新内といったものが舞台になったゲームソフトができておりまして、このゲームは、eスポーツと観光のオンラインゲームなので、観光和歌山県を発信させようと、こういう取組が既に始まっております。
さて、令和7年1月29日から5日間、eスポーツの聖地と名のりを上げている札幌市の札幌ドームで開催されたALGS Year4 Championshipを観戦してきた学校の校長先生と会議をさせていただきました。テーマは、eスポーツと教育、eスポーツと観光、eスポーツと地域活性化などに基づいてです。
この世界大会で札幌ドームは満員になり、試合の様子は世界にリアルタイムで配信され、アーカイブで今も観ることができます。札幌市長も挨拶しているのは、この大会の影響力を理解しているからです。世界大会を開催した札幌市は、さらに世界の認知度が高まり、インバウンド観光やビジネスの機会を得たことになります。
このeスポーツの世界大会のチケット、これ幾らぐらいしたのかなと尋ねると、1日大体1万円、5日間ですから、通しでいくと5万円ということだったんですけども、これは人気歌手のコンサートなどと同じ水準で、果たしてこんなので売れたのかというと、配付資料にありますように、ドームは満員、チケットは完売ということでありました。
このように、eスポーツビジネスで大切なものの一つにオフライン、これはオフラインでやっています。オフライン上でリアルに集まって行うイベントがあります。ゲームはオンラインでもできますが、選手や観客が実際に集まり、同じゲームを見て、あるいは一緒にアクションをして楽しめるオフラインイベントは、地域振興のためにとても重要になっています。
オフラインイベントでは、大規模な大会があればあるほど開催場所が重要になりますが、ここで必要なものは、ある程度の人数が集客可能な施設になります。
残念なことに、和歌山県にはeスポーツの世界大会が開催できるほどの大規模な施設がありません。
過去、和歌山県では、MICEの可能性も取り上げられ議論しましたが、実現していません。MICEや既存の施設をeスポーツ大会が開催可能な施設にすることで、世界レベルの大会の誘致や開催も可能であり、聖地リゾートに代表される観光資源がある和歌山県こそ、ふさわしい舞台だと思います。
今回、世界大会を開催した札幌市は、このMICEの可能性についても言及しております。
札幌市での開催は、eスポーツ業界ではなく、MICE産業にも大きな影響を与えると期待している。大会開催により、国内外から多くの観戦者や関係者が訪れ、観光、宿泊、飲食業界への経済効果が見込まれていると。加えて、これらの取組を通じて、医療・福祉、地域活性化、教育・国際交流など、様々な場面での活用が期待されるeスポーツを市民が関心を持って喚起するとともに、ゲーム産業が集積する札幌経済の魅力も発信すると。このようなことを述べております。
つまり、eスポーツとは、多くのステークホルダーが関われる産業だということです。プロスポーツ業界のように、競技という直接市場がある一方で、周辺事業との多種多様な掛け算がしやすいという点が大きな魅力になっております。
掛け算がしやすいというのは、自前のコンテンツを持たない地方自治体にとって、eスポーツは連携しやすい一つのコンテンツになることを意味しています。例えばeスポーツと教育、eスポーツとヘルスケア、eスポーツと商店街などの組合せによって、eスポーツが地域振興につながっていくのではないかと、こういうことです。
既に富山県では、地元の酒蔵でのeスポーツ大会開催、群馬県では、障害者向けのeスポーツリーグを組織し、全国大会を開催しています。北海道では、医療機関と連携し、リハビリに取り組む患者さんに対してeスポーツを使ってコミュニティーづくりをしています。秋田県では、高齢者のプロeスポーツチームを立ち上げています。これらは、地方創生や地方経済活性化などの社会課題とも合致しますし、多くの地方自治体では、人口が減少していることや、コミュニティーの場をつくることが難しいなどの問題を抱えていますが、eスポーツに関わることによって、これらの役割を担っていける可能性があります。
そこで、1問目になります。
産業としてのeスポーツについてです。
コンテンツ産業が少ない和歌山県として、eスポーツを産業として捉え、関連企業の進出や人材育成を図ることは重要だと思います。
例えば、群馬県はeスポーツ担当課を設置しておりまして、この群馬県庁の産業経済部eスポーツ・クリエイティブ推進課の名称で、担当課は、県主催のeスポーツリーグイベント、事例として、群馬県企業等対抗社会人eスポーツリーグや全日本eスポーツ実況王決定戦、県庁ビル内で行ったeスポーツ酒場のようなeスポーツを活用したまちづくりの取組を進めています。
また、札幌市の事例などから、eスポーツの全国大会、世界大会の誘致は、ほかのスポーツ大会誘致と同じような効果が生まれると思いますが、和歌山県として、観光や医療・福祉、人づくりなど、掛け算として有望な産業になり得る和歌山県eスポーツの可能性について、知事の答弁をお願いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 片桐議員の御質問にお答えをしたいと思います。
私も片桐議員と全く問題意識を共有するものであります。人口が減っていく中でも持続可能な社会を維持し、地域に活力をもたらすためには、次代を担う若者が創造力を発揮して、持続的にイノベーションを生み出せる環境を整えるということが重要であります。まさにeスポーツというのは、そういうことができるジャンルであるというふうに考えております。
群馬県のように、担当課まではつくっていませんけども、うちではデジタル社会推進課が担当しています。課長自らいろんなところでeスポーツの現場を走り回ってくれていまして、実際、デジタル社会推進課の提案で、先月2月、和歌山eスポーツ月間というのをつくりました。
イベントを四つやりました。一つは、和歌山県eスポーツの高校生の大会をやりました。これも報道等で御存じのとおり、今年度の事業で、県立高校5校にeスポーツ部をつくってもらいまして、県としても補助金を出して、機械やプロのゲーマーの御指導をいただくというようなことで推進をしております。それから、まさに産業としてのeスポーツという意味でいうと、eスポーツ企業交流戦というのが、和歌山eスポーツ連合さん──これ、一般社団法人なんですけれども──が中心になってやっておられます。2024年度、2回やりましたけども、これも2月に県庁も一緒に共催で、2024和歌山eスポーツ企業交流戦FINAL STAGE in和歌山県庁ということで、南別館で開催をしました。12社11チームが参加しまして、恥ずかしながら、私もエキシビジョンで、これはストリートファイター6という格闘ゲームなんですけど、特訓をしまして、きいちゃんと対戦をしまして、勝たせていただきました。これ、ちょっと甘かったんですけど。
何と本当に和歌山のこれはという企業の方が集まってこられて、面白いんですよ。企業同士ですから、まず、全員名刺交換してからゲームを始めるんです。ゲームが終わってから、ビジネスの話をしたりというようなとっても面白い集まりでした。県庁は主催者なので、AとBと2チーム出させてもらったんですが、県庁Aチームは準優勝なんです、県庁挙げて今eスポーツをやっています。
本当に、eスポーツというのは限りない可能性があります。日本のeスポーツの市場規模は、2022年で125億円とそんなに大きくありませんけど、さっきおっしゃった札幌の話もありますし、世界的にはすごく大きなマーケットになっていますし、それから、これもよく申し上げるんですけども、アメリカのいい大学なんかは、野球とか、あるいはバスケットボールとかアメリカンフットボールができる子は特待生で取りますよね。5、6年前からeスポーツのできる子は特待生で大学へ行けるそうなんです。恐らく日本もそうなってくると思います。
そういう意味では、eスポーツをきっかけとして、若者たちが活躍できる、そういう和歌山をつくっていきたいと思っておりますので、どうか御指導よろしくお願いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事のお答えをいただきました。
実は、和歌山市内でもeスポーツ体験ができる場所がありまして、僕も体験してきているんですね。レーシングゲームだったんですけど、なかなか思ったより難しくて、対戦するとなったら、ちょっと燃えてくるところがありまして、知事と同じように勝たなければということになると余計に難しいというふうなことで、メンタルも鍛えられるのかなというふうに実は思ったりしております。
続けてになります。
今、世界の話もしましたけれども、世界のeスポーツって、じゃあ、いつからなのかというと、1990年代後半に誕生して、既にもう30年の産業としての歴史が実はありまして、先進的な国は、アメリカ、中国、韓国、ドイツ、スウェーデン、こういったところがeスポーツの先進国になっております。
一方、我が日本は、2018年に、国主導だったんですね。経済産業省が支援したeスポーツが広まりまして、この2018年がeスポーツ元年とされており、先進国と比較すると、先ほど言いましたように、30年ぐらいちょっと遅れてるのかなという状況です。
ただ、欧米との違いは、欧米ではビジネスとして進化してきたんですけども、我が国では、地方自治体がリードするコミュニティーとして独自の進化を遂げていると、こういう文化的な背景の違いがあります。
昨今の世界では、国際スポーツシーンでのeスポーツの導入が加速しています。2023年、中国・杭州アジア競技大会からはeスポーツがメダル種目として正式に認められ、次の2026年、愛知・名古屋アジア競技大会でもeスポーツが11タイトルとしてメダルの対象になっております。スポーツと同様に、日本がほかの国と競争するようなこんな競技になっております。
そして、IOCがeスポーツを認め、Olympic Esports Gamesという国際eスポーツイベントを2027年から開催する予定だと聞いております。
また、これ、関係各所にいろいろ聞き取ると、いろんな自治体で面白いeスポーツの取組をしているので、少し紹介をさせていただきたいと思います。
秋田県では、eスポーツとして、MATAGISNIPERSという60歳以上のプレーヤーで構成された秋田地場企業が運営する日本初のシニアプロゲーミングチームが誕生しています。
神戸市、シニアのための60歳以上限定eスポーツ施設があります。
熊本県、障害者のためのeスポーツ施設があり、重度障害者、高齢者の方々にeスポーツのプレーサポートを行っています。
北海道、リハビリテーション室に取り入れて、病気の方、障害の方の生きがいづくりにつなげています。
札幌市、先ほど伝えたeスポーツ世界大会の決勝戦が札幌ドームで行われ、このとき3万人の来場者があったようです。
茨城県、コンテンツクリエーター教育を実施しているほか、ゲームづくり体験、つくったゲームのコンテスト、イオンホールを使ったゲーム体験を行っています。イベントには、子供と共に高齢の方々の参加が多くなっているようです。
埼玉県、映像博物館でeスポーツ展示会を夏休み中に実施し、約2万人が訪れております。また、1日eスポーツ体験会では、100人規模の会場だったんですけども、これが800人集まったという体験会になっております。
それから、大阪市、インテックス大阪でeスポーツのダンス体験を行っております。
ほかに進んでる県というのを尋ねると、福岡県、徳島県、そして県ではありませんが横須賀市、ここの辺りが先進地となっているようです。
eスポーツは、観光や教育、高齢者や障害福祉の分野で効果を発揮している。つまり、地方自治体のこれらの行政課題とeスポーツを組み合わせることで、解決に向かわせることも可能となります。
また、eスポーツは、単に大会開催で集客するだけのものではなくて、一つの産業だということです。市場は、今、ちょっと小さいなという話があったのですけども、数年後は数千億円に成長していくだろうという予測もありますし、そうなると、これを仕事とすることもできますから、この分野の人材育成の必要性もあるので、和歌山県に新しい産業を誕生させることができるのかなというふうにも思います。
eスポーツは、そのほかにもイベント企画、配信、イベント実施などに関わる仕事ができますし、ゲームコンテンツづくりやプロスポーツのマネジメントの仕事、こういったものができてくるので、インターネット産業の一つになっていくのではないかと思います。
そこで、和歌山県が次年度、取り組もうとしているeスポーツわかやま推進プロジェクトの概要とプロジェクトを発展させることについての質問をさせていただきます。
今回、高校生によるeスポーツの取組を支援するとともに、eスポーツを普及させるためのイベントを開催することを計画しているようですが、この高校生の大会の概要を説明していただくとともに、一般の方も参加できる大会開催について、地域振興部長からお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(堀 龍雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 高校生の大会ですが、eスポーツに励む県内の高校生たちが活躍し、互いに交流できる機会として、今年度、初めてeスポーツ選手権を開催いたしました。県立高等学校5校から9チームが参加し、1月25日にオンラインで予選を開催、2月2日に予選を勝ち抜いた4チームによる本選を和歌山市内で行いました。星林高校のチームが優勝しましたが、他のチームも日頃の練習の成果を遺憾なく発揮し、白熱した試合が繰り広げられました。
このような取組を来年度も引き続き行いながら、高校生による選手権大会の開催だけではなく、子供から高齢者まで多様な人々が交流できるeスポーツイベントを開催する予定としております。
○副議長(堀 龍雄君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 部長にお答えいただきまして、高校生の大会は盛況だったというふうに聞いてますし、このクラブでは、これ、リーグ・オブ・レジェンドという何か人気のゲームソフトを使ってるということもありまして、これで練習してるそうなんですけども、いろんな全国で通用するソフトとかも交えながら、ぜひレベルアップを図っていただけたらなというふうに思います。
そこで、3点目になります。
和歌山デジタルクリエイティブ拠点の創出についてに移らせていただきます。
和歌山デジタルクリエイティブ創出拠点については、創造性豊かな若者が集い、互いに高め合う場としてゲームクリエーターコミュニティーを構築すること、成果発表のためのコンテストを開催することを目指していると思います。これからは、デジタルクリエーティブ人材発掘・育成及び企業の伝承に加えて、個人デジタルコンテンツの伝承が必要になってくる時代になると言われております。
地方を拠点にデジタルクリエーティブな人材が育てられたり集まったら、地方の魅力を世界に向けて表現できることも増える。それを見た外部から訪問する人も増える。人材が増えると地域に企業体も自然に増える。このようなよい循環が生まれてくると思います。
人材育成、教育として実際にゲームをつくることや職業としてクリエーターの道も選択することを目指すことも考えられると思います。
そこで、この和歌山デジタルクリエイティブ拠点創出事業の概要と先進県を目指すための取組について、地域振興部長にお尋ねいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 地域振興部長。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 本議会に提案しております来年度予算で実施予定の和歌山デジタルクリエイティブ拠点創出事業は、創造性豊かな若者たちが県内外から集い、お互いの知性と感性を高め合うことができる環境として、ゲームクリエーター同士が交流するコミュニティーを構築するものです。
コミュニティーでは、クリエーター同士が意見交換を行い、協力し合いながらゲームを制作し、その成果を発表する場として、ゲームづくりコンテストと作品展示会を開催することとしております。
ゲーム制作は、プログラミング、デザイン、音楽作成など多様でクリエーティブな要素が含まれることから、若者たちに魅力ある活躍の場を提供することにつながります。
eスポーツの推進との相乗効果により、ゲームをきっかけに創造性あふれる魅力的な人々が集うクリエーティブな先進県を目指してまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、この項目の四つ目になります。
eスポーツと人づくりについてということで質問させてもらいます。
この人づくりにどうしてeスポーツが資するのかというのは冒頭言いましたけど、結構難解だったんです。分かりにくいんです。そこで、教育者と話合いをして、eスポーツと教育とかeスポーツと人づくりについて、どんな関連があるのかなというのを幾つか説明してもらったんです。これで少しはちょっと分かりやすくなったのですけども、まず一つ目です。
eスポーツは、部活動の一つだと思ってください。生徒が好きな競技を選び、仲間と一緒に試合で勝つことを目指して上達していく。その競技がeスポーツであり、例えば野球やサッカー、吹奏楽などと同じようなもので、個人の楽しみとしてゲームで遊ぶこととは違います。大人でこのeスポーツと教育を理解できている人は少ないと思いますよと、こういう話をしていただきました。
そのため、自治体としては、若い世代の夢、キャリアパスづくりを支援する人材育成の取組を行いつつ、一方で、大人向けには、eスポーツが世代を超える有効的なコミュニケーションの手段になることが学べる、例えばデジタルリテラシー教育のような取組も自治体主体で同時に並行すべきだと思います、こういう意見もいただきました。
それから、二つ目、eスポーツは、これ、団体戦もある競技、基本的に3人とか5人でするらしいんですけども、団体戦のある競技なので、チームとして試合に出場します。チームとして活動するので、勝つためには、技術の高いというかスキルのある生徒だけが出場するのかといったら、決してそうじゃないです。技術の高い生徒だけでは結構勝てない。試合に勝つためには、こういったゲームがうまい人、それから戦況を見て冷静に判断できる人、チームを鼓舞させるムードメーカー、それから戦術を考えて指揮することが得意な人、こんな人が必要になります。ここでチームプレーと仲間意識を醸成していきます。チームで困難を乗り越えてゴールを目指すことは、生徒の成長に不可欠なことです。eスポーツを通じて、チームとして成長することが個人として成長することにもなり、社会性や協調性を学ぶことができます。
それから、三つ目です。
今の子供は、小さい頃から誰でもゲームをやっています。大人がゲームをするなとか、ゲームをやめなさいと言っても、楽しいと思っているのでやめるはずはありません。それだったら、好きなゲームで人として成長させる方法を選択するのが大人の役割ではないでしょうか。その方法がチームを通じて成長させるeスポーツです。こういうことです。
それから、四つ目、この校長先生は、「私は子供たちが関心のあるeスポーツを知るために勉強しています。札幌市まで世界大会を観戦に行ったことも臨場感を味わい、世界トップレベルの試合がどんなものかを体験するためでした。ゲームが駄目、eスポーツはスポーツではないと思っている大人は、デジタル社会について学ぶことが必要ですよ」と、こういう指摘がありました。
そこで、eスポーツと人づくりについての質問です。
eスポーツを教育に取り入れているこの話をさせていただきましたが、eスポーツは人づくりに資するので、例えば親子参加型のプログラミング教室やゲーム開発教室、eスポーツを通じての人材、人格育成なども考えられると思います。今の時代、ゲームをするなと言っても無理なので、eスポーツを通じて社会性、協調性、チームプレーなどを学ぶ機会をつくることが大事だと思います。このeスポーツと人づくりについて、知事の答弁をお願いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 片桐議員の御質問にお答えしたいと思います。
私も今お聞きしておりまして、片桐議員と問題意識を共有するものでございます。もうデジタル化が推進してきまして、生成AIができましたので、もはや昔のように、教科書を読んで覚えて、あらかじめ答えのある問いを解くというようなことにはあまり意味がないということであります。むしろ、これから子供たちに要求される能力は、やっぱり創造力、それから問題を、問いをつくる能力です。AIは問いをつくらないと答えてくれませんので、自ら問いをつくる能力、それから、やっぱり今チームプレーとおっしゃいましたけど、人間力といいますか、コミュニケーション能力などだと思いますけど、まさにeスポーツは、今、申し上げたような能力を取得するためには最適な手段であります。
それから、この前、高校生の選手権大会、私もずっと見ていたのですが、星林高校は、もともとパソコン部ということでやっていたのですが、そこの部長さんが割といけてる人で、数年前からその中でプログラミングする子とか、eスポーツする子、チームをつくっていたらしいんですね、だから強くて優勝するんですけども。そのeスポーツを指導している先生がおっしゃるには、eスポーツを始めると、一つは集中力が物すごくつく。それから、もう一つは、まさにチームでやったり、いろんな疑問が生じたときに誰も教えてくれないので、自分で調べる癖がつくんだそうです。集中力がついて、自分でいろんなものを自発的に調べる能力がつくので、何と皆、成績が上がったそうです。そういう基礎的な力がつくみたいですね。
さらに、eスポーツをやれば、プログラミングへ行きたい子も出てきます。それから、人によっては、コンピューターグラフィックスの分野に行く子もいますし、サウンドクリエート、音楽のほうへ、パソコンで音楽をつくるような子も出てくるので、物すごい裾野が広いということでありますので、県としても、来年度はデジタルクリエイティブ拠点創出事業として、ゲームプレーであるeスポーツはもちろんですけれども、ゲームを制作するほうの若者たちが活躍できる場所もつくっていきたいと思っております。
今、片桐先生もおっしゃいましたけど、少し前は、子供がゲームばっかりしてると、和歌山のお母さんは、「こら周平、おまえ、ゲームばっかりしとらんと勉強しなさい、宿題しなさい」と言っていたと思います。私はこれを変えたいと思います。これからは和歌山のお母さんは、「こら周平、おまえ、教科書を見てどないすんねん、意味ないぞ、ゲームしなさい。」こういう和歌山にしたいと思いますので、どうぞ御協力をお願いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事の答弁をいただきまして、もうまさにそのとおりです。
特に、あと、子供さんが東京へ行って、コンテンツ産業ってほぼ東京なんですね。東京へお孫さんが行ったという方は、和歌山で仕事をしたいんだけどないと言うんですよね。ぜひそういう土壌もこれでつくっていただけたらと思います。
それから、今、AIというふうな話をしましてふと思ったんですけども、今、ChatGPTがよく言われてるんですけど、中国で開発されたDeepSeekというのが、これはいいか悪いかは全く別です。ちょっと思想は別として、試しに使ってみてるんですね。そしたら、ChatGPTよりも正確な答えを返してくるんですよ。
ですから、やっぱり日進月歩、プログラムはどこの国がいいとかという意味じゃなくて、安い価格で開発してしまったと、そんな能力のある人材というのをぜひ和歌山から出していけたらなというふうに思っていますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
続けて、半島防災対策についての質問に入ります。
関東大震災で約4万人が焼死した東京の陸軍被服本廠、ここでは多くの犠牲者が出たことは周知の事実ですが、そのときの原因は火災旋風だったということが今分かっているそうです。
この火災旋風は、地震などの自然災害、空襲などの大規模な火災が発生したときに起こる可能性があるというものです。
我が和歌山に目を移すと、和歌山大空襲のときも火災旋風が発生したと言われておりまして、このとき多くの犠牲者が発生した教訓から、和歌山市は災害に強いまちづくりを志向してきたと、こういう推測というか、こういう話を実は聞かせていただきまして、それはなぜかといいますと、戦後復旧から現在に至るまで残っている和歌山市の幹線道路は、火災が拡大しないように、そして避難しやすいように実は整備されていると。それから、学校と公園が併設されているということも災害に強いまちづくりの証拠になっていると、こういうことなんですね。
この火災旋風というのは、公園には発生はしないということがありまして、避難所である学校が公園と併設されているということは、災害に強いまちづくりを戦後の和歌山市が志向してきた、この証拠だと、こういうことであります。
市内の中心部にあった大新小学校と大新公園、城東中学校と城東公園、新南小学校と新南公園は学校と公園が確かに併設している事例です。避難所になる公園と学校が併設されたまちづくりをしているということは、当時、戦災の教訓を生かして防災対策を行った和歌山は、全国で最先端の防災都市であった、こういう意見を聞かせていただきました。
この意見を伝えてくれたのが元自衛隊、現在は川西市総務部地域防災マネジャーの猪股倫夫さんなんですけども、戦後の和歌山市は道路や公園の構造から防災先進都市だったと、こう話してくれたんですね。
改めて、現在の和歌山県の防災対策が全国一の先進県になることを願って質問項目に入りたいのですが、今回、和歌山県に東京大学災害対策トレーニングセンター支援会及び一般社団法人災害対策支援者協会が設立された、このことを取り上げたいと思います。
これは、東京大学災害トレーニングセンターが提供している教育プログラム、これは防災に関する教育プログラムなんですけども、修了したことで身につく能力を一般社団法人災害対策トレーニングセンター支援会が認定する制度で、この災害対策士を全国に分散配置することで防災対策に資すると、こういう取組であります。
東は東京大学の中、西は和歌山県を拠点として教育を行ってくれると、養成してくれると、こういう運びになりました。
この教育を受け、能力認定試験に合格し、災害対策士として登録された人は、日本全国どこかで巨大災害が発生した場合、被災地へ出向き、適材適所で効率よく現場で活躍することになります。
注目点は、和歌山県在住の災害対策士は、和歌山県内のみで活動するのではなく、全国で活躍できる人材となっていることです。この教育プログラムを受講した者のうち、試験を受け合格した者は、防災対策において専門知識と技術を持った人材であることを能力認定されているので、地方自治体やインフラを有する企業との連携を図ることで、より効果が生まれていきます。
コロナ禍以前の大体5年か6年前から、僕も数回、この同センターを訪問していますが、ここでは地方自治体や企業の防災担当者がよく学びに来ておりました。資格を取りに来ておりました。
分野は八つありまして、例えばガバナンス・組織運営から始まり、避難・被災者支援、地域再建支援、社会基盤システム再建、そして社会経済活動回復までということで、組織から被災状況、それから復興という全ての項目まで体系的に整備されております。
防災担当者として身につけたい知識を、このDMTCというのがこの東京大学の防災支援センターなんですけども、DMTCがつくった教育カリキュラムで学ぶことができます。基礎知識である基礎プログラムはeラーニングで受講でき、実地訓練が必要な専門プログラムは、東京大学生産技術研究所で受講することができます。
和歌山県内の防災教育機関の設置に関しては、5年ぐらい前から取組が始まり、コロナ禍を挟んだので時間を要しましたが、ようやく今春、本格稼働する運びになりました。
和歌山県で開設することは、県にとって人材育成の拠点になることに加え、東京大学の最先端の知見を得られるので、防災行政が進むことにつながり、地域の安心・安全に資することになります。また、巨大災害が発生したときは、和歌山県のこの二つの組織が、二つというのが支援会とサポート、先ほど言いましたD-SSAというところなんですけども、それらが司令塔の役割を果たすので、現場で得られた新たな知見をさらに和歌山県が蓄積することができる、こういうことになります。
和歌山県は、日本最大の紀伊半島に位置していることから、能登半島地震の経験からも学んでいるところですが、半島防災の知の拠点になり得る施設が今回和歌山に誕生したということになります。
さて、この災害対策トレーニングセンター支援会が主催し、東京大学災害対策トレーニングセンターが協力した孤立集落サミット2024、これが昨年5月21日、22日の両日、白浜町椿地区で開催されています。このサミットは今回の和歌山県での拠点設置の導線となっています。
このときのミッションは、能登半島地震の孤立集落から学ぶ、公助が行き届かないとは実際どういうことなのかなどを学びました。特に、能登半島地震の孤立集落から学ぶでは、過去何度も発生している孤立化になぜ対応できないのかを考え、何を備え、何を訓練しておけば助かるはずだった命を助けることが可能なのかをテーマにしています。
東京大学が半島防災と孤立集落化について現地で訓練を行い、参加者と共に考え、九つの政策提言をこのときしてくれました。
例えば、災害対策の全体像を行政、住民が共通認識し、住民が自助、共助で災害を乗り切る環境づくりを行政が主導すること、災害対策の全体像を共通言語で論ずる人たちを養成することなどです。
この孤立集落サミットでは、半島防災に必要なことを提言してくれているので、これらに備えることが半島防災の要諦だと思いますが、県内で開催されたこの孤立集落サミットの提言についての知事の見解と、どう生かしていくのかについてお答えをいただきたいと思います。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 片桐議員の御質問にお答えをいたします。
この孤立集落サミット2024の政策提言を拝見いたしますと、自助や共助が災害対策の主体となるということ、それから地域の課題を認識し、受援体制を構築すること、外部との情報伝達、物資輸送手段を確保することなど、いずれの項目も南海トラフ地震のような大規模災害による孤立集落の発生に備え、被害の軽減につながる有効でかつ大変的確な対策であるというふうに思いました。
能登半島地震では、多くの集落が孤立しました。本県も紀伊半島ということで、能登地域と同じ半島という地理的条件は同じであります。高齢化の状況も似ております。決して人ごとではありません。我々和歌山県としては半島防災という観点を交えながら、これまで本県の防災・減災対策を検証してまいりました。3月に、今月末に最終発表を行う報告書を今作っているところであります。
その中で、目指すべき自助、共助、公助、応援・受援体制の強化などを柱としておりますけれども、それぞれの課題は、この2024の政策提言に書かれている内容とかなり重なってまいりますので、その意味では、この孤立集落サミットの政策提言というのは非常に時宜にかなったものだと考えております。
今後は、官民を問わず、関係する機関の皆さんと連携を図りながら対策を進め、南海トラフ地震をはじめとした大規模な災害に対して、本県の防災・減災対策をより一層強化してまいる所存ですので、また御指導よろしくお願いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 この東京大学の関係者も能登半島へ行って、2月に和歌山に来ていただいて、報告とかも受けておりますので、ぜひ連携していただくことで、報告なり和歌山県として備えることが補完できていくのかなというふうに思っております。
それでは、この項目の二つ目であります。
昨年11月に、この和歌山県Big・Uに、今、言いました災害対策トレーニングセンター支援会の出先事務所、そして災害対策士を被災地とマッチングさせるための災害対策支援者協会が入居してくれました。
さきに述べたとおり、和歌山県で災害対策士を養成し、県内のみならず、全国の災害現場に派遣され活動することになります。まさに和歌山県が関西の防災活動の人材養成拠点となり、令和の時代において防災先進県になり得ると思います。しかも、活動した情報や実績はデータとして和歌山に蓄積されるので、和歌山は防災の知の拠点にもなり得るのです。
和歌山県として、この災害対策トレーニングセンター支援会、そして災害対策支援者協会との連携した活動について、知事からお答えいただきたいと思います。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
今後、県全体の人口が減っていきますので、行政職員の減少も想定されます。したがいまして、県としても最大限の努力はいたしますけれども、県民の命を守るためには自助や共助の力もまたこれはこれとして必要、重要だと考えております。
その意味では、災害対策トレーニングセンター支援会等が我が県のBig・Uに開設されたということは大変ありがたいことでして、県民に防災に関する知識や経験を深めていただく機会が増えます。また、このセンターで養成された災害対策士、この皆さんが県内外で活動されるということは心強い限りであります。
災害対策士は、行政による公助が十分に行き届かないところを共助で支えることを前提として、その担い手の役割を果たすと聞いております。しかも、防災士さんも大事なんですけど、防災士さんは1回受かるとそのままなんですが、この災害対策士さんは3年ごとに試験を受けられて、資格の更新をしなければならないということでありますから、常に最新の知識と技能を持つ災害対策士さんが県内の地域防災活動に従事する皆さんと連携することで、和歌山県の地域防災力が向上するということが期待できます。
我々、先ほども申し上げましたように、いろんな準備をしています。県としても全力で災害対応を行いますけれども、一方で、自助、共助、自分の命を自分で守る、地域で助け合うということも重要でありますので、そのような意味におきまして、今後、災害トレーニングセンターや災害対策支援者協会などの民間機関との連携も含めまして、あらゆる手段を総動員して、和歌山県全体の災害対応能力をより一層高めてまいりたいと思っております。
○副議長(堀 龍雄君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 項目3点目になります。
災害対応工程管理システムBOSSについての質問であります。
昨年8月、この東京大学災害対策トレーニングセンターを訪問したとき、同センターが過去の災害を分析した結果をまとめた災害対策業務フィールドガイドの説明をしてくれました。それは、つまり県と市町村が、自主防災組織がこのフィールドガイドに基づき、研修を受ければ非常時にやるべきことの全体像を共通認識でき、効果的な災害対策が可能になるというものでした。その上、活用方法を習得できる専門プログラミングとして、The Flow47というeラーニングプログラムを用意されていることを知りました。
今回、災害対応力強化として、災害対策の流れを的確に把握できる災害対応工程管理システムBOSSを導入する予定ですが、どのようなものなのか、危機管理部長の説明をお願いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 危機管理部長河野眞也君。
〔河野眞也君、登壇〕
○危機管理部長(河野眞也君) 大規模災害時、県職員は、被災者の支援や地域の復旧、復興を迅速かつ効果的に進めるために、地域防災計画に基づく膨大な数の災害対応業務を行わなければなりません。しかしながら、いざ災害が発生した場合、情報が錯綜し混乱する中、優先すべき業務の抜けや漏れ、あるいは担当職員が被災して出勤できないなどにより、業務が滞ることも懸念されます。
今、議員からお話がありましたが、災害対応工程管理システムBOSSは、東京大学の沼田宗純准教授が過去の災害事例を踏まえ、災害発生時に行政内でより迅速に状況把握し、多岐にわたる業務をスムーズに行うために開発されたもので、災害対応業務を47種類、500工程に体系化し、業務フローとして整理したものでございます。
これを導入することにより、県が実施する災害対応業務の工程をフロー図で示すことで、災害対応の流れを理解することができ、被災した職員の代替職員などでも今何をすべきかが一目で分かるとともに、フロー図に関連づけられたチェックリストにより、実施すべき業務の抜け、漏れの防止にもつながります。
さらに県全体における進捗状況の一元的な管理が可能となり、滞っている業務などへの適切な人員配置により、限られた人員の中でも効果的に災害対応を行うことができるものと考えてございます。
○副議長(堀 龍雄君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、この項目最後です。
災害関連死を防ぐことについてなんですけども、これの質問の経緯が、先月だったかな、ある地域の連合自治会長会議にちょっと参加させていただきまして、避難訓練であるとか防災に備えるという議論が、結構これ、自治会長間で活発に議論されていたんですね。避難訓練は自治会でやってるけども、単位自治会でするには、知識とか経験とか専門分野のところがないので、何回もやってるけど同じことばっかりの繰り返しじゃないかと、もっと違うことができるんじゃないだろうかということを議論して、それじゃ、連合自治会として、できるのかということになると、連合自治会のレベルも単位自治会とほぼ同じレベルということで、自助、共助──共助のところのハイレベルな部分、あるいは公助がどこまでやってくれるかというところがよく分からなくて指導ができないので、じゃあ誰が担当するのか、担うのかというふうなこんな議論になって、結論が出なかったんですね。
そういう中で、やっぱり避難所ということで災害関連死ということをテーマにしたら、公助でやるべきところを共助まで落とし込んであげたら、ある程度未然に関連死を防げるんじゃないのかなと、こういう観点からちょっと質問させていただけたらと思います。
災害発生時に避難所に避難、取りあえずすれば生活に必要なものは全て用意されていると思われていることもありますが、実際はそうじゃありません。災害発生時は、自助、共助が大前提で、何の備えもなしに公助に頼るべきではないということです。
参考までに、これは周知の事実なのですが、阪神・淡路大震災で、自助、共助で助かった事例は全体の90%、公助で助けられたのは僅か数%。その後、巨大災害では、公助で助けられた人の割合は徐々に増えていくんですが、それでも10%程度になっておりますから、いかに初期行動と自助、共助が大切なのかは、過去の事例から分かることです。
この過去の巨大災害の実績から、さらに災害関連死の比率が多いということも、これもやるべき課題になっています。特に自助、共助で対応できない医療や福祉の分野は、公助が必要となります。例えば医療を取っても、口腔ケアであるとか精神面でのケアといったところも重要でありますし、孤立を防ぐ、これも災害関連死を防ぐための課題だと思います。
例えば、毎日の歯磨きは、誤嚥性肺炎を防止するために必要なことですし、災害関連死の防止に資する行為となります。歯磨きすることが誤嚥性肺炎を防ぎ、災害関連死を防ぐことになるんですね。こういったことはあまり知られていない。
それから、災害訓練のメニューとしてもこういったところを実は取り上げていないんですよね。避難して、講習を受ける、救急法を受ける、炊き出し訓練をする、こんな形で、なかなかこういった医療・福祉のところは取り入れていない。
巨大災害が発生したときは、例えば避難所には医療専門チームのDMATであるとか、歯科支援チームのJDAT、福祉支援チームのDWAT、精神医療チームのDPAT、リハビリテーション支援チームのJRATなどが派遣されるということで安心感があるのかも分かりませんが、事前に県民の皆さんに医療や介護の知識があれば、本来は公助の役割を自助や共助での対応に変化することが可能だと思います。
また、これまで災害現場に何度も出かけている経験者からいい話を聞きまして、避難所では、食べて、動いて、参加することが大事だという話がありました。つまり栄養を取る、簡単な運動をする、人と話をすることで健康を維持し孤立を防げると、こういうことです。
そこで質問です。
避難訓練などで口腔ケアやエコノミークラス症候群を防ぐための知識付与や講習を実施することで、一歩進んだ避難訓練になりますし、自助、共助でできる範囲を増やすことにつながると思いますが、福祉保健部長の見解をお聞かせください。
○副議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 避難所では、不規則な生活や栄養状態の悪化、口腔衛生状態の低下などが重なり、呼吸器感染症や誤嚥性肺炎を起こしやすくなるため、口腔ケアによる予防は大切です。
近年、被災地における口腔ケアの重要性が認知され、非常用持ち出し袋に液体歯磨きや歯ブラシ等を入れることも推奨されています。
県では、平時からの口腔ケアとともに、災害時の口腔ケアの重要性について、出張!県政おはなし講座等の機会を活用し、地域住民に啓発を行うほか、一般社団法人和歌山県歯科衛生士会が防災の日に合わせて口腔ケアに係る啓発活動を実施しています。
また、避難所や車中泊などで狭い空間に長時間座り続けると、足の静脈にできた血栓が血液中を流れて肺に詰まり肺塞栓などを誘発する、いわゆるエコノミークラス症候群になるおそれがあるため、定期的に体を動かし、十分に水分を取ることが重要であり、周囲からの働きかけも必要です。
県としては、避難所における口腔ケアやエコノミークラス症候群の予防の重要性について、広く県民に知ってもらえるよう、県や市町村の防災担当部局とも連携し、様々な機会を捉え、啓発に取り組んでまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 全てお答えいただきまして、ありがとうございます。
今回、要望が多かったeスポーツについてとか、あるいは半島防災、これはどちらも言葉としては知っているんだけど、ちょっと概念が分かりにくいということがあったので、今回、できるだけ分かりやすいというか知っていただけるような形で一般質問させていただきました。
ぜひ、県民の皆さんにも、半島防災といって県が手がけているけど、やるのは自分自身だとか自治会単位の固まりだということをぜひ認識していただけるように、これからも活動していきたいと思いますし、県の支援をいただけたらというふうに思ってございます。
それでは、これで一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(堀 龍雄君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時49分散会