令和7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


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令和7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

議事日程 第3号
 令和7年3月4日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第18号から議案第31号まで及び議案第71号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号まで(質疑)
 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第18号から議案第31号まで及び議案第71号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号まで(質疑)
 第3 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 高田英亮
 2番 上山寿示
 3番 佐藤武治
 4番 鈴木德久
 5番 森 礼子
 6番 濱口太史
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 10番 玄素彰人
 11番 山家敏宏
 12番 鈴木太雄
 13番 岩田弘彦
 14番 吉井和視
 15番 中村裕一
 16番 北山慎一
 17番 坂本佳隆
 18番 中本浩精
 19番 堀 龍雄
 20番 谷 洋一
 21番 新島 雄
 22番 三栖拓也
 23番 川畑哲哉
 24番 秋月史成
 25番 谷口和樹
 26番 山下直也
 27番 山田正彦
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 坂本 登
 34番 尾﨑太郎
 35番 小西政宏
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 藤山将材
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 9番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 総務部長       友井泰範
 危機管理部長     河野眞也
 企画部長       前 昌治
 地域振興部長     赤坂武彦
 環境生活部長     山本祥生
 共生社会推進部長   島本由美
 福祉保健部長     今西宏行
 商工労働部長     大川伸也
 農林水産部長     立石 修
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      高橋博之
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員    岸田正幸
 警察本部長      野本靖之
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
            橋爪正樹
 議事課長       岩井紀生
 議事課副課長     田中 匠
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課副主査     川崎競平
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       榊 建二
 政策調査課長     岩谷隆哉
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  午前10時0分開議
○議長(鈴木太雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から監査報告及び現金出納検査実施結果の報告がありました。いずれも配付いたしておりますので、御了承願います。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前10時0分休憩
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  午前11時0分再開
○議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第1、補正予算等議案議案第18号から議案第31号まで及び議案第71号の計15件を一括して議題とし、順次、常任委員会委員長の報告を求めます。
 福祉環境委員会委員長佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)
○福祉環境委員会委員長(佐藤武治君) 福祉環境委員会における審査の経過並びに結果について、御報告を申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。
 委員会は、2月25日、第2委員会室において開催し、環境生活部、共生社会推進部、福祉保健部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査をいたしました結果、議案第18号、議案第22号及び議案第28号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、環境生活部関係では、県有施設への太陽光発電等の設置に係る事業者への補助金に係る減額補正及び繰越しについて、共生社会推進部関係では、児童扶養手当の給付に要する経費が当初の見込みを上回ったことによる増額補正について、福祉保健部関係では、県立医科大学の空調・換気設備更新工事に係る繰越明許費についてであります。
 以上をもちまして、福祉環境委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 経済警察委員会委員長玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕(拍手)
○経済警察委員会委員長(玄素彰人君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託された案件は、議案付託表に記載のとおり、議案5件であります。
 委員会は、2月25日、第3委員会室において開催し、公安委員会、地域振興部、商工労働部と労働委員会の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第20号、議案第23号、議案第29号及び議案第30号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における主な質問項目を申し上げますと、商工労働部・労働委員会関係で、県営競輪場の増額補正について、県営競輪事業の売上増の理由についてであります。
 以上をもちまして、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 農林水産委員会委員長北山慎一君。
  〔北山慎一君、登壇〕(拍手)
○農林水産委員会委員長(北山慎一君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。
 委員会は、2月25日、第4委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第19号及び議案第71号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 建設委員会委員長山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)
○建設委員会委員長(山家敏宏君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案5件であります。
 委員会は、2月25日、第5委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第24号、議案第26号、議案第31号及び議案第71号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 文教委員会委員長藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○文教委員会委員長(藤本眞利子君) 文教委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案2件であります。
 委員会は、2月25日、第6委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号及び議案第21号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上をもちまして、文教委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 総務委員会委員長鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕(拍手)
○総務委員会委員長(鈴木德久君) 総務委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案4件であります。
 委員会は、2月25日、第1委員会室において開催し、会計局、人事委員会、監査委員、選挙管理委員会、議会事務局、知事室、企画部、危機管理部、総務部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号及び議案第27号は賛成多数をもって、議案第25号及び議案第26号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、会計局関係では、財務会計システムの改修内容及び補正額について、知事室関係では、大阪・関西万博推進に係る事業費繰越しの具体的な理由について、万博会場内における安全対策について、企画部関係では、和歌山県民文化会館大規模改修設計の繰越しについて、危機管理部関係では、消防救急デジタル無線システム再整備工事の減額補正について、総務部関係では、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の活用について、消費税率の引下げについて、自衛官の募集について、国庫支出金の減額補正についてであります。
 以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、常任委員会委員長の報告が終わりました。
 これより委員長報告に対する質疑に入ります。
 質疑はありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木太雄君) 質疑なしと認めます。
 次に、討論に入ります。
 奥村規子君から反対討論の通告がありますので、許可いたします。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 日本共産党の奥村規子です。
 議長のお許しを得ましたので、議案第18号について、反対討論を行います。
 議案第18号は、2024年度一般会計補正予算についてです。今回、総額69億円の増額補正がされています。
 今、県民の暮らしは、物価高騰によって大変厳しい状況です。
 政府は、昨年の11月22日に新たな経済対策を決定しました。そして、同年12月17日に、令和6年度補正予算の成立を踏まえた「重点支援地方交付金」の取扱い等について、各都道府県に対し事務連絡を発出しました。この交付金は、物価高騰の影響を受けた生活者や事業者を支援するためのものであり、事務連絡では、可能な限り早期の予算化に向けた検討を速やかに進めるようとしています。
 和歌山県の重点支援地方交付金の限度額は約43億円です。これまでに既に約12億円充てられていますが、「可能な限り早期の予算化」という点では、来年度予算に回すのではなく、2月補正において取り組まれるべきです。この交付金を活用した物価高騰に対する支援策がなかったことは、非常に残念です。直ちに物価高騰から県独自の財源も投入し、県民の切実な要望に応えるよう求めます。
 次に、総務費で173億円が財政調整基金や県債管理基金等への積立てとして計上されている点について述べます。
 今、病院経営において、診療報酬改定や物価高騰により、どの病院も大変厳しい状況となっている中、県に財政支援措置を求める要請が出されています。また、中小企業の賃上げをめぐっては、岩手県や徳島県などで、県が一時金を給付する新施策を設けました。現在の県民の暮らしの状況の下、県予算をこうした施策に充てることこそ必要ではないでしょうか。それなしに、基金への積立てを増やすことには反対です。
 以上で、討論を終わります。
○議長(鈴木太雄君) 以上で、討論を終結いたします。
 これより採決に入ります。
 まず、議案第18号を採決いたします。
 本案に対する委員長報告は、原案可決であります。
 本案を委員長報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(鈴木太雄君) 起立多数であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。
 次に、議案第19号から議案第31号まで及び議案第71号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長報告は、いずれも原案可決であります。
 本案をいずれも委員長報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(鈴木太雄君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時15分休憩
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  午後1時0分再開

○議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第2、議案第1号から議案第17号まで、議案第32号から議案第70号まで及び議案第72号から議案第84号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第3、一般質問を行います。
 6番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 皆さん、こんにちは。
 令和7年2月定例会の一般質問初日、トップに登壇の機会を与えていただきました先輩・同僚議員の皆様に感謝を申し上げ、しっかりと務めたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 では早速、質問に入らせていただきます。
 まず一つ目、令和7年度当初予算案についてであります。
 現在の県民の生活に目を向けますと、令和2年からのコロナウイルス感染症の拡大によって日常が奪われた状況から、県民の踏ん張りでようやく脱却したところではありますが、様々な世界情勢の影響を受けての長引く物価高騰は、容赦なく県民の生活を苦しめるだけでなく、多くの経済活動をはじめ、医療や福祉、教育の現場にも、また、スポーツや文化の世界にまで影響し、ほとんどの分野における活動に大きな打撃を与えております。
 さらには、人口減少によるまちの活力の低下、近い将来に発生が懸念される南海トラフ巨大地震、豪雨など、温暖化の影響による自然災害の脅威もあり、県民の不安は増大する一方です。
 しかしながら、我が和歌山県を維持していくためには、幾多の困難を乗り越えられてきた先人たちのように、根気強く、決して諦めることなく、あらゆる不安を取り除く、官民が一体となれる施策が必要であります。
 そうした中、令和7年度一般会計当初予算額は6138億円で、過去3番目の規模とのことです。ちなみに、過去最大は今年度の6280億円であり、それに比べますと142億円減った額であるとはいえ、本県が抱える課題は山積されており、必要な施策が多岐にわたっている表れであると思います。
 そのうちの幾つかを上げますと、知事は、公約としても農林水産業や観光産業の発展を掲げられていますが、就業者の超高齢化による労働力不足や後継者の不足など、多くの課題にどのように対応し、産業を継続、発展させていくのか、また、無理なく子育てができる環境づくりなど、将来を担う子供に優しい社会づくりをどのように実現していくのか、あるいは、昨年12月には2回目のロケット打ち上げが行われ、宇宙産業への期待が高まっていますが、県内における新たな分野で成長する産業をどのように創出していくのか、さらには、人口減少下におけるまちづくりをどのように実現していくのか、そして、県民が安心して暮らせる社会をつくるには、医療と福祉、教育の充実、また、災害減災対策は必須条件と考えますが、どのような取組を行っていくのか、これら以外のことも含め、ありとあらゆる分野で様々な困難を乗り越えながら、県政をより前進させる必要があると思います。
 そこで、よりよい和歌山県と県民生活の維持を図るために、どのような思いを込めて令和7年度当初予算を編成されたのか、知事にお尋ねします。
 その一方で、財政危機警報が発出されているような厳しい財政状況で、令和7年度予算編成において、どのようなやりくりを行い、財政健全化に努めたのか、また、今後どのように取り組むのか、併せてお尋ねをします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 濱口議員の御質問にお答えをさせていただきます。
 来年度の当初予算案は、人口減少や超高齢化の加速、さらには脱炭素社会への対応など、本県を取り巻く環境の変化に対応し、県政をさらに前に進めるために、重点施策の五つの柱として、こどもまんなか社会の推進、成長産業の創出、農林水産業、観光産業をはじめとする地域産業の強化、人口減少下におけるまちづくり、そして、安全安心で心豊かに暮らせる社会づくりといった柱を置きまして、県民が夢と希望を持って暮らせる和歌山県を目指したところでございます。
 主な取組といたしましては、今年度に引き続きまして、安心して子供を産み育てやすい環境をつくるための学校給食費の無償化、それから、和歌山こども食堂支援、和歌山県を支える農林水産業の発展のための担い手育成の支援や、林業を促進するため林道整備を加速化するなどに取り組みます。
 また、地域が抱える様々な課題に対しましても、地域の振興局も一緒になりまして解決に取り組むこととしておりますし、二地域居住など関係人口の拡大に向けたプロモーションの強化や、市町村が実施する駅舎などを活用した地域の拠点施設整備への支援など、魅力ある地域まちづくりに取り組んでいるところでございます。
 加えまして、熊野白浜リゾート空港を核とした観光産業など、地域産業の活性化のため、利用者を毎年2万人ずつ増やすことを目標として、多様な、様々な空港利用促進施策を実施し、国内線の4往復8便化、さらには、将来の滑走路の延伸につなげることを考えております。
 また、2030年代の半ばには、県内で年間30機程度のロケット打ち上げが見込めることから、宇宙関連産業の集積やビジネスの創出、人材育成を進め、あらゆる企業や人が集い、夢を実現する場となるスペースエントランスの実現に取り組みます。
 さらに、能登半島地震の教訓を踏まえまして、スターリンクの配備や旧南紀白浜空港跡地を防災拠点として機能を強化するなどを進めまして、南海トラフ地震などの大規模災害への備えを充実させることとしております。
 来年度の当初予算案では、限られた財源の中で、このような重点施策を効果的に実施していくために、まずは業務量適正化の観点も踏まえ、各部局が主体的に既存の事業の効果、効率、有効性等を検証しまして、事業のスクラップ・アンド・ビルドを実施することを基本としました。その上で、めり張りのある予算編成に努めたところであります。
 ただし、この結果として、実は収入と支出の差額が74億円の赤字となりました。県の貯金であります県債管理基金を74億円分取り崩して今回予算を編成せざるを得なかったことは、私といたしましては誠にざんきに堪えません。
 私自身、知事に就任いたしまして、財政のプロであることを自認し、賢いやりくりをしていくと申し上げましたけれども、残念ながら、そのことは自ら、何と申しますか、取り消すわけにはいきませんが、いま一度、厳しいこの財政状況を今年度乗り越えることができなかったことについては、皆様に対しておわびを申し上げなければならないと思っております。
 しかし、仮に大変厳しい財政状況ではあっても、10年後、20年後の子供や孫の未来のために投資をしないというわけにはいかない。縮こまってしまいますとじり貧になります。ぎりぎりのところで、私としては未来への投資をさせていただきました。来年度以降、人件費も増えます。公債費、特に元本返済です。この10年間、6000億円の一般会計規模に比べて身の丈に合わないほど借金をしてまいりましたので、元本の返済が確実に増えてまいります。社会保障関係の経費も高齢化から増加いたします。したがいまして、今の見通しでは、財政調整基金も含めて、県債管理基金が今の推計では2027年度には枯渇するというような想定もなされます。したがいまして、財政危機警報よりも悪化する結果が出ました。
 したがいまして、今後はより一層の危機感を持ちまして、賢いやりくりどころではなくて、必死のパッチのやりくりをして、既存の事業の効果を検証し、スクラップ・アンド・ビルドに厳しく取り組み、さらには、歳入面では国庫支出金や交付税措置のある地方債を活用する、あるいは、場合によっては新たな歳入確保策についても検討するなど、財源の確保にも取り組み、何とか健全な財政運営に努めてまいりたいと思いますので、同僚議員の皆様の御協力、御支援を賜りたいと存じます。
○議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいま答弁をいただきました。
 大変財政のことに触れてもいただきましたけども、今が一番踏ん張りどころといいますか、これから将来に向けてやっていくというお言葉をいただきました。ぜひ、いろいろな施策効果があるように、一生懸命我々も協力をさせていただきますので、どうか取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、一つ御意見を述べさせていただきますけども、共通の認識ではあると思うんですが、本県における県民の暮らしを維持するためには、安心・安全を確保する、また、将来を託す若い世代を絶やさないために、ますます加速する東京一極集中の解消に挑み、流れを変える。言い換えますと、若者の県外流出を防がなくては、本県の未来は先細るだけだと思います。
 それを打開するためには、繰り返しにはなりますけども、医療体制の先進的改革、教育機関の充実と創設、自然災害の脅威から県民の生命と財産を守る、私は、この三つは特に重要なテーマであり、人口減少に歯止めをかけることが多くの課題解決に波及すると考えております。
 人口減少という現実に向き合って、DXや新技術の機能も最大限に活用することで、地域の活力低下、ひいては本県の活力低下をいかに抑えていくのか、それと同時に、将来に向けて少しでも人口を増やすための施策も講じていく必要があると思います。前例にとらわれないアイデアと行動力、力を合わせて頑張りましょう。
 次の質問に移らせていただきます。
 二つ目、大阪・関西万博に向けた和歌山県の取組状況についてであります。
 まず一つ目、大阪・関西万博での和歌山県の発信についてお伺いをいたします。
 大阪・関西万博の開幕がいよいよ目前に迫ってまいりました。今回の万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、人間一人一人がそれぞれの可能性を最大限に発揮できるようにするとともに、こうした生き方を支える持続可能な社会を国際社会が共創していくことを進めようとのことであります。
 また、「未来社会の実験場」をコンセプトに、万博会場という期間限定の特別なまちを様々な挑戦の場として、参加国や地域、政府、自治体、研究・教育機関、企業、団体など、多様なプレーヤーによる共創・連携により、社会実装の誘発、すなわち研究開発によって得られた知識、技術、製品、サービスを実社会で活用するために試す機会、社会的課題の解決の姿をショーケース化するという壮大な目的を持ったグローバルなイベントであります。
 遅れが指摘されていた会場の建設につきましても、8月には万博会場のシンボルである大屋根リングが一つになり、また、企業や海外のパビリオン建設も進むなど、日本の高い建設・建築技術を証明すべく、徐々にではありますが、万博会場の中身が見え始め、期待感が膨らんできているところであります。
 この有意義な、貴重なビッグイベントであります大阪・関西万博には、国内外から約2820万人の人が来場されると見込まれており、和歌山県においても、それらの経済効果を県内に最大限波及させ、また、将来世代に向けたメッセージを残すことができるよう、精いっぱい取り組まれていることと存じます。
 そこで、和歌山県として、この世界的ビッグイベントである大阪・関西万博の場を活用した国内外への発信に向け、どう取り組んでいくのか、知事にお尋ねいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 濱口議員の御質問にお答えをいたします。
 おっしゃるとおりで、今、大阪・関西万博の開幕までは40日となりました。万博会場では、現時点で開幕に向けた人力作業も大詰めを迎えているところでございます。しかも、国内外から、この万博には約3000万人の方々が来場されるという世界的なビッグイベントでございます。大変またとない和歌山県にとって宣伝する機会であると承知をしております。
 したがいまして、県としては、この関西広域パビリオンの中で与えられた和歌山ゾーン、私たちの展示の場所を総合プロデュースする方に、県出身で、かつ、ロンドンで活躍された国際的若手デザイナーの吉本英樹さんにお願いをいたしました。吉本さんは、「“上質”のつまった和歌山」ということをコンセプトに、映像、ステージ、フード、この三つのコンテンツによって、この和歌山を宣伝していただく、大いに表現していただくということで、今、着実に準備が進んでいるところでございます。
 また、会場内では催事イベントを開催いたしまして、和歌山に根づく精神文化から生まれました自然や人、産業、食や文化など、多様な魅力を国内外に発信していきたいと考えております。そのためには、県民の大勢の皆様にも御参加をしていただくということになっております。
 それで、例えばですけれども、先般、香港に参りまして、香港の観光会社に、万博で来られた方が和歌山に観光に来られるような商品の造成と販売をお願いいたしまして、着実にそのようなことも進めているところでございます。
 万博会場に駐在する海外メディア、あるいは、海外パビリオンには大勢のスタッフの方がおられますので、その方々に和歌山ゾーンへ来ていただいて、和歌山の魅力を世界中に広めていただくような働きかけも積極的にしたいと思っております。あらゆる手法によりまして和歌山をPRし、お客様に来ていただきますように取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 答弁いただきました。
 ただいまの答弁の中にもお話がありましたけども、県民の参加について、2問目には御質問をさせていただきたいと思います。
 現在、県が進めている和歌山ゾーンや、そのほかの催事などに係る出展内容を見ますと、県民の皆様の直接の参加や展示作品の制作によって会場を盛り上げる内容が非常に多いなという印象であります。その取組は非常にすばらしいものと考えておりまして、国内外の来場者や参加された県民の皆様に感じていただけるすばらしい経験や感動は、必ずやその後の活動の活力となり、地域活性化の一翼を担うものと思いますが、県民の皆様の万博参加に向けた取組状況について、知事にお尋ねいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 先ほど、一般論として県民の参加ということを申し上げましたけども、少し具体的にお答えをさせていただきますと、まず、パビリオンの中の和歌山ゾーンでは、ステージを設けることになっておりますので、そこのステージで県民の皆様に地域のお祭りですとか、いろんなパフォーマンス、展示を予定しております。そのほか、ゾーンの中の内装にも県の産品を使わせていただいて、例えば、高野口のパイルですとか、高野の組子細工を展示するとか、できるだけ県産品を内装に使うような形で、もちろん紀州材も使います。そのような形で、県民の皆様に参加していただく形を取ろうとしております。
 それから、別途、前半と後半で催事のイベント、多目的な広場がございますので、そこでやるイベントでも、熊野三山や高野山などに代表される歴史や文化を発信するステージ、それから、私どもが県として大変誇りに思っておりますが、りら創造芸術高等学校など、和歌山の次世代を担う学生のステージパフォーマンスなども予定しているところでございます。
 そして、県内の小中学生に万博を体験していただきますように、チケット代や貸切りバスの借り上げに係る支援を行うほか、希望される高校生の方にも入場チケットを配布するなど、いろんな形で県民総参加の万博にしていく所存でございます。
 こうした取組で、県民お一人お一人が和歌山を誇りに思えるような、そういう機会をつくっていき、それがひいては地域の活性化につながるものと考えておりますので、ぜひ御支援賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 1970年(昭和45年)に日本万国博覧会が大阪で開催されました。私の親の話では、当時私は3歳で、まだ小さいとの理由で兄だけしか連れていってもらえなかったので、私はリアルタイムの雰囲気を知りません。しかし、度々目にするメディアでの映像や、行かれた方々のお話を伺いますと、日本の高度経済成長を加速させた、人々の生活様式を大きく変えるきっかけとなった、多くの外国人との触れ合いも含め、大人から子供まで大変な刺激を受けたという声が圧倒的に多く聞かれます。その機会が再び関西に訪れたわけですから、国内外で暗いニュースが多い中、もちろん自然災害などに苦しんでいる皆様のことはしっかりと案じつつも、万博を契機に、未来に期待が持てる前向きな活気を取り戻すため、新技術の実用化に向けた成果に期待したいと思います。
 当初の計画よりも物価高騰などによって建設費が倍増するなどの状況もございましたけども、全世界からも多くの方々に訪れていただき、期間中やその後に期待できる経済効果など、本県にも多くの波及効果をもたらすために、皆さんで盛り上げることが重要だと思います。
 また、今もなお続いております国同士の争いによって、多くの貴い人命が失われ、大切なまちが破壊されているという誰もが望まない現実に対して、この万博を通じて、各国の指導的立場の方々に、世界平和にかじを切ることの重要性を大きな声で訴える機会となりますことを切に願うばかりであります。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 三つ目、南紀熊野ジオパークの今後についてであります。
 令和4年12月定例会、仁坂前知事にとりましては最後の県議会定例会となったわけですが、その際に、私は、それまでの南紀熊野ジオパークの取組開始から日本認定までの経緯や、地域の盛り上がりをもたらせた前知事の功績についても取り上げ、ジオパークの今後についてのやり取りを行いました。
 当時は、世界ジオパーク申請に向けて初めて挑戦し、残念ながら願いがかなわなかった直後でありましたが、前知事からは、今後も、地域が一丸となってジオパークを積極的に活用し、その魅力を磨き上げて、ユネスコ世界ジオパークとなって国内外から一層多くの人々が訪れて、南紀熊野地域がにぎわい栄えていくことを願っているとの答弁がありました。ジオパーク応援団を自負している私といたしましても、今後の発展と、次の世界ジオパーク認定への挑戦の機会に期待をしていたところであります。
 ところが、本県の令和7年度組織の新体制を見ますと、観光振興課世界遺産班を、世界遺産及び南紀熊野ジオパークの保全と活用に一元的に取り組む世界遺産ジオパーク班に改編するとありました。それに伴い、ジオパーク室は廃止されることになります。その組織改編を知ったときに、室から班にというイメージだけで捉えますと、規模縮小かという印象が生じました。もしかして、岸本知事は、ジオパークについてあまり重要視されていないのではないかという心配になりました。
 遡れば、ジオパークは地質に関わる事業として、最初は環境生活部の自然環境室ジオパーク推進班が所管し、平成25年2月に南紀熊野ジオパーク推進協議会を発足、機運を高めるためのジオツアーや講演会の開催、ジオパークガイドの養成講座などを実施するなど、多くの関係者が一丸となった活動が実を結び、平成26年8月に晴れて日本ジオパークに認定されることになりました。
 その後もさらなる充実を図る取組が継続されていた中、令和元年7月に、串本町潮岬に南紀熊野ジオパークセンターを開館し、令和4年度にはジオパーク推進班をジオパーク室と改編し、令和6年度の組織改編の際には、環境生活部から地域振興部に編入されました。
 ジオパークの概念には、観光振興だけではなく、地質学、ふるさと教育、地域防災など、多様な要素を含んでおりますので、観光に特化した部署での取組だけで多方面への対応が可能なのかと感じていました。また、大きな核となる南紀熊野ジオパークセンターには、ジオパークガイドや研究員がおられ、本来の目的である普及のためのイベントや活動、情報発信や調査研究が行われており、来場者数も昨年度は4万9000人を超え、今年度は5万人を突破しそうです。そのような状況の中で、本庁側の世界遺産ジオパーク班とセンターの業務の役割分担、双方の連携は今後どのように変わっていくのかなど、正直なところ不安も感じております。
 そこで、岸本知事の南紀熊野ジオパークに対するお考えと、次年度からの組織改編にはどのような狙いがあるのか、これまで以上にどのような進展が期待できるのかなどにつきまして、御答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 濱口議員の御質問にお答えしたいと思います。
 まず、私自身、ジオパークに対してはすごく大切なものだと、重要視をしているということをまず申し上げておきたいと思います。
 何より、熊野の世界遺産に認められたすばらしい背景には、文化的なものの前に、まさに7000万年前から続く大きな太古のロマンがあるわけであります。特に、あそこが大爆発した1400万年前の火山活動から直接的にはこのジオパークにつながっているわけでありますけれども、非常にロマンがありますよね。1400万年前の活動が高い紀伊山脈をつくり、それが、神様が住まわれる熊野三山につながっているわけであります。大変貴重な財産であるというふうに考えております。
 一方で、ユネスコの世界ジオパークに認定されるためには、まず、国内において日本ジオパーク委員会の推薦を受けて、その上でユネスコ世界ジオパーク・カウンシルによる審査を経る必要がございます。2022年4月に、日本のユネスコ世界ジオパーク国内推薦、まず国内推薦の申請を行ったわけでありますけれども、そこでは、ジオパークのエリア内での拠点施設を核としたボトムアップの活動がまだまだ十分ではないのではないかというようなことで、残念ながら国内推薦を受けられなかったという経緯がございます。
 そこで、南紀熊野ジオパークの活動を、本庁中心の活動から、拠点施設となります南紀熊野のジオパークセンターを中心に改め、地域住民の皆さんとの連携強化をこれまで進めてまいって、何とかボトムアップでできないかということで努力をしてきたわけであります。
 その上で、再度挑戦するにつきましては、ユネスコ世界ジオパークの基準の中で、世界遺産との相乗効果を創出するということが大変重要であるということでございます。そこで、今回は、ジオパーク室とその世界遺産班を一緒にすると。ユネスコの基準を満たすための世界遺産とのコラボレーションを充実させるということで、世界遺産ジオパーク班というものをつくって、ジオパークと世界遺産の保全や活用と一元的に取り組んでいく必要があるということを考えたわけであります。
 本年1月には、前ユネスコ世界ジオパーク・カウンシルメンバーのバン・トラン・タン博士、それから、日本ジオパーク委員会の中田節也委員長にも現地を視察していただきました。そこで、地域連携などの活動が充実してきたようであるということで評価をいただいたところでございます。
 今後も、まさにボトムアップのため、地域の皆さんからの応援もいただき、南紀熊野ジオパークがユネスコの世界ジオパークに認定され、地域の皆さんの誇りとなりますよう、早期の国内推薦をいただけるように一生懸命努力してまいりますので、これもぜひ御地元の濱口先生はじめ、県議会議員の先生方の御協力、御指導を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 知事の御答弁をお聞きして、安心いたしました。そして、積極的な言葉に力強い意気込みを感じました。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
 南紀熊野ジオパークの誕生から成長過程に、いささかではありますが、関わらせていただいている中で感じますことは、和歌山県が誇る豊かな自然が数あるジオパークの中でも国内外の関係者や専門家から大きな評価と関心を寄せていただいているということです。今後の世界ジオパークの認定に向けては、県内はもとより、全国的に南紀熊野ジオパークを応援してくれる機運をさらに醸成することが重要になってくると思います。
 そこで、私が勝手に描くシナリオはこうです。
 まずは、令和8年に迎える4年ごとの日本ジオパーク再認定をパスします。そして次に、日本ジオパークネットワークのビッグイベントである全国大会を本県で開催するのです。この大会は、全国のジオパーク関係者が一堂に会し、情報交換や意見交換などを行うことにより、ジオパークの発展につなげることを目的として全国各地で毎年開催されているものですが、令和9年には、近畿・中四国ブロックでの開催の順番が巡ってくるとのことです。本県がそこに名のりを上げ、全国の多くの仲間に南紀熊野の価値を認識してもらって、そろそろ世界への再挑戦をとの追い風をつくるのです。そして、盛り上がったタイミングで世界申請を行い、悲願の認定を勝ち取る、そういった思い切った作戦を検討されてはいかがでしょうかと提案をさせていただきまして、次の質問に移らせていただきます。
 四つ目、最後になります。県内の救急医療体制の強化についてであります。
 去る2月22日、那智勝浦町において開催された県医務課と和歌山県立医科大学主催の新宮・東牟婁地域の救急医療体制に関するシンポジウムに出席をいたしました。基調講演では、厚生労働省医政局近藤祐史室長による全国の救急医療の状況説明、新潟大学医学部西山慶教授からは、広大な面積を擁する新潟県の事例を踏まえ、限られた医療資源の効率的な配分について、そして、遠隔医療に関する取組の有効性につきましては、先進地である横浜市立大学附属病院の髙木俊介准教授から、その取組と効果を伺いました。
 その後に行われましたパネルディスカッションでは、コーディネーターを県立医科大学の井上茂亮教授、パネリストには基調講演の講師の近藤室長と西山教授のお二人、そして、県福祉保健部雑賀博子技監、南和歌山医療センター中島強医長、そして、新宮市立医療センター北野陽二院長、那智勝浦町立温泉病院坂野元彦部長、くしもと町立病院阪本繁病院長が発言をされました。
 私に限っての印象かもしれませんが、地域の公立病院の代表者がそろって、それぞれの病院の医療体制や利用状況、医療体制の維持を困難にさせている様々な課題や、現在講じている対策などについて話し合う機会は大変珍しく、これからの地域医療を維持していくために求められていることを把握するとともに、改めて深刻な現場の状況を知ることにより、このままでは、今後さらに危機的な状況を迎えてしまうということを痛烈に感じさせられました。
 御多分に漏れず、人口減少の一途をたどっている新宮・東牟婁地域における医療を取り巻く環境は、高齢化患者の増加と、それぞれの病院で既に発生している医師や看護師など従事者不足問題、それに加えて、物価高騰や人材確保のための経費増大などによる赤字経営悪化など、医療体制の維持を困難にする要因を上げれば切りがありません。
 それに加えて、本県は、縦に長い地形であるにもかかわらず、県庁が県内の真ん中ではなく、北部に位置し、大阪にも近く、平野が開けていることから、北部と南部とでは人口分布に大きな格差がありますので、当然のことながら、大規模な医療施設や人材を含めた医療資源は北部に集中していることから、南部住民にとりましては、高度医療や救急医療を受けるためには距離的、時間的なハンデがあります。それに、新宮・東牟婁地域には救急の専門医がいないという厳しい現状です。
 今回のシンポジウムは、今のところは急病患者への対応をそれぞれの関係機関の努力と協力によって、質の高い医療の提供、あるいは、受けられる環境を何とか維持していただいておりますが、それももう限界に来ているということを、地域の医療従事者だけでなく、関係機関や行政機関、それから地域住民が共有すべき課題であることを認識していただく、さらには、それらの課題改善に向けて、最新の救急医療の動きや技術、地域間での協力体制強化の必然性について学ぶことにより、将来にわたって救急医療体制を維持する方法を皆さんで考え、取り組むことを促すという目的で開催されました。
 医療については素人の私でありますが、これまで医療関係者の話を広く伺っている中で見えてきた考えを申し上げますと、新宮市、那智勝浦町、串本町の三つの公立病院は、既にそれぞれの連携を図り、医師や看護師などのスタッフ不足をカバーしながら地域住民の命を守っていただいているところではありますが、将来的にもっと連携がスムーズに図れるよう、また、医師の獲得合戦が起きないよう、一つの広域的な組織をつくり、それぞれの病院の特徴を生かし、役割を明確化する、例えば、それぞれに所属している専門科医やスタッフを1か所に集中すれば、より機能的な医療チームを形成することになり、最先端で高いレベルの医療技術の向上にも期待ができるのではないでしょうか。
 これまでは、難易度の高い手術や治療が必要となったとき、医師の判断で和医大や他府県の専門病院に転院するケースもございますが、地元でも同等の治療が受けられるケースであるにもかかわらず、症例数が多いから、あるいは、名医がいるからなどの理由による患者の心理的な判断で、あえて遠方にある大規模病院を選択する傾向も少なくありません。身近な病院でも安心して高度な医療が受けられる環境であるとイメージアップにつながれば、そのような住民患者の移動時間や労力、多額の費用が節約できるだけでなく、家族のいろいろな負担の軽減にもなります。
 また、命と向き合う現場は緊張の連続であるため、従事者への体力的、精神的負担は、我々の想像を超えたものと察します。その上、少人数であるがゆえに、1人当たりにかかるプレッシャーはさらに増すものと思われます。医師や看護師などの働き方改革の観点からも、そのような苛酷な職場環境の改善にもつながり、よりベストなコンディションで患者の対応に当たれるのではないかと考えます。
 一方、和歌山県全体の救急医療に関する状況に目を転じます。第八次和歌山県保健医療計画によりますと、救急搬送人員数は、コロナ禍を除き年々増加傾向で、特に高齢者は、平成24年と10年後の令和4年を比較しますと約3割も増加しております。
 救急医療体制は、傷病者に対し迅速かつ適切な医療を行うため、傷病の程度に応じ、初期から3次までの体制が整備されています。
 初期救急医療体制は、救急患者を最初に受け入れて初期診療を行うとともに、手術や入院が必要な重症患者に対しては、適切な医療機関へ転送する役割を果たすものです。
 2次救急医療体制は、緊急の手術や入院治療を必要とする救急患者に対処するもので、救急告示医療機関が担っています。
 3次救急医療体制は、県内全体を対象とし、重篤な救急患者に24時間体制で対応するもので、救命救急センターである県立医科大学附属病院、日赤和歌山医療センター、南和歌山医療センターが担っております。
 また、令和5年の公的病院等状況調査によりますと、県内の公的病院等における救急科の常勤医師は43人で、10人が不足しており、先ほども申し上げましたとおり、新宮・東牟婁地域にあっては救急の専門医がいないという状況です。医師確保には、中長期的な取組が必要です。既に取り組んでいるところと聞いておりますが、その成果が見込まれるのは、まだもう少し先の話でしょう。
 このような状況で命綱となるのは、ドクターヘリです。しかしながら、昼間であれば、新宮・東牟婁地域からの最寄りの救命救急センターである南和歌山医療センターだと15分で搬送できますが、夜間運航ができないため、その際は車での搬送となり、約2時間かかります。そうした状況を踏まえると、近年よく話題となっているICT機器を活用した遠隔医療も、新宮・東牟婁地域にとっては非常に有用な手段の一つだと思います。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 新宮医療圏においても、一定程度の傷病者を診療する必要があると思われますが、繰り返し申し上げますと、新宮・東牟婁地域の医療資源は不足しており、救急専門医も不在という状況です。県内では、同じような問題を抱えている地域もあると思いますが、県内の救急医療体制を県としてどのように強化していくのか、知事のお考えをお聞かせください。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 今、濱口議員から御指摘がありましたように、救急医療体制の強化及び充実を図ることは大変重要なことであります。特に、新宮医療圏につきまして、3次救急医療機関への搬送に時間を要するということなので、医療圏内において一定程度の医療を完結する必要があるとの濱口議員の御指摘は、全くそのとおりだと思います。
 そこで、広い県土を有する本県におきまして、救急医療体制を強化するためには、これも議員から御指摘いただきましたが、ICT技術を活用した取組は有効であると考えております。したがいまして、来年度は遠隔医療の取組をさらに充実してまいります。
 具体的には、県立医科大学附属病院と新宮市立医療センターなどの地域の中核病院をネットワークで接続をいたしまして、県立医科大学附属病院の専門医が24時間体制で集中治療室等をモニタリングするようにいたします。病態に応じたリアルタイムでの助言、それから治療方針についての定期的なカンファレンスなどの診療支援を行うことによりまして、専門医が不足する地域の中核病院において、医療の質の標準化を図ることが期待できます。
 人口減少、特に生産年齢人口の減少が予測されており、医療人材の確保は今よりもより厳しくなってくることが予想されます。今後、ますますICT技術を活用した遠隔医療の取組は重要になると考えておりますので、引き続き、この取組を進めてまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 進歩するデジタル技術やICTを活用して遠隔ICUの体制整備を進めるとのことですが、答弁の中にもありましたように、その技術を使いこなせる、また、サポートできる人材の確保やスキルアップが必要不可欠であります。それぞれの地域に課題がありますが、新宮・東牟婁地域は、特に医師の定着が困難であり、県には様々な制度で支援していただいておりますことに感謝しております。遠隔地であっても安心して暮らせる環境をつくるために、これからも様々な取組をお願いして、同じような地域にとって画期的なモデルケースとなるよう頑張っていただきたいと強く期待申し上げます。
 また、地域医療を維持させることは、関係機関や行政だけでなく、住民の皆様の御理解と御協力なくしてはかなわないことと存じますので、この場を通じて、住民の皆様にも心よりお願いを申し上げます。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕(拍手)
○岩井弘次君 こんにちは。
 三寒四温と言われる季節になりました。一雨ごとに春の訪れが感じられる楽しみな季節ではありますけども、岩手県では山火事、また、能登半島でもまだ被災されて、避難されている方もおられます。寒かったり暑かったりと、もう大変だなという思いの中で、本県も山が多い県でございますので、他人事ではないなという思いの中で、今回、2月当初議会、春の訪れを感じるこの当初議会において、初日に質問の機会を与えていただきましたことを心より感謝申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、今回も県民、市民の皆様からいただいた声を交えながら質問させていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。
 昨年1月1日、能登半島を震源とするマグニチュード7.6、最大震度7の巨大地震が発生し、石川県をはじめ、北陸地域に多大な被害を及ぼしました。国によると、令和7年1月28日時点で亡くなられた方及び行方不明者合わせて517人、うち、その半数以上の287人が避難所や避難先での心的ストレスによる災害関連死と言われています。被害を受けられた皆様に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げますとともに、被災された方々の一日も早い復旧・復興を心より願っております。
 さて、私たちが直面する災害の中でも、南海トラフ地震は特に大きな脅威とされています。この地震に備えるためには、地域全体での災害対策が不可欠です。
 そこで、本日は、まず南海トラフ地震に対する具体的な対策や備えていくべき点についてお伺いします。
 これまでも先輩・同僚議員の方々が幾度となく質問、議論されておられ、重複することも多々あるかと思いますが、御容赦いただきますようお願いいたします。
 自然災害に対して、私たちの地域がどのように備え、対応していくべきかが重要な課題となっています。特に、災害時の避難所の充実や地域住民の安全を確保しなくてはなりません。南海トラフ地震の発生確率が30年以内に80%程度と上がり、本県においても喫緊の課題です。鋭意お取り組みいただいておりますが、確認するためにも伺ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、新総合防災情報システム、いわゆるSOBO-WEBを活用した災害対応について伺います。
 災害時において、地域住民の方々に必要な情報を迅速に提供するとともに、被害情報をいち早く収集・分析し、関係機関による共有を図ることは、迅速な応急対応、ひいては早期の復旧・復興に不可欠と考えます。
 自治体等が放送局、アプリ事業者等の多様なメディアを通じて、地域住民の方等に必要な情報を迅速かつ効率的に伝達する共通基盤として、Lアラートがあります。平成23年6月の運用開始以降、多くの情報発信者、情報伝達者に活用されてきております。平成31年4月には、全都道府県による運用が実現し、速やかに避難指示の発令状況等を配信するなど、災害情報インフラとして一定の役割を担っています。
 自治体には、情報発信体制の確立や避難所情報の整備、職員のリテラシー向上が求められます。これらの取組を通じて、地域住民の皆様の安全を確保し、災害時に迅速な対応ができる体制を整えることが重要です。災害に備えた準備を進めることで、地域の安全性を高めることが期待されます。
 次に、防災関係機関同士の迅速な情報収集や共有については、国により防災デジタルプラットフォームの構築が進められております。国では、令和4年6月閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画において、防災、健康・医療・介護、教育などをプラットフォーム整備に重点的に取り組む分野と位置づけ、令和7年度までに実装することを目標としました。
 これに基づき、内閣府では、防災関係機関が横断的に共有すべき防災情報を共通のシステムに集約し、共有することが可能となることを目指した共通基盤である防災デジタルプラットフォームを令和7年12月までに実装することを目指しています。その中で、内閣府は、令和5年度事業において、災害対応機関が共有すべき特に重要な災害情報をEEI・災害対応基本共有情報として定めるとともに、防災デジタルプラットフォームの中核を担う新総合防災情報システム・SOBO-WEBを構築し、令和6年4月より運用を開始しています。
 SOBO-WEBは、各省庁、自治体等の約1900機関が利用し、EEIに基づき情報を集約するもので、内閣府は、広域応援を行う機関も含めた災害対応機関同士における情報の利活用拡大を目指しています。
 なお、SOBO-WEBは、災害情報を地理空間情報として共有するシステムで、災害発生時に災害対応機関が被災状況等を早期に把握・推計し、災害情報を俯瞰的に捉え、被害の全体像の把握を支援することを目的とされているところです。
 ついては、本県におけるSOBO-WEBと防災情報システムとの連携状況と、それを活用した災害対応の効果について、危機管理部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 危機管理部長河野眞也君。
  〔河野眞也君、登壇〕
○危機管理部長(河野眞也君) SOBO-WEBの御質問に対してお答えをいたします。
 発災初期における被害状況について、収集、分析、関係機関との共有は、的確な災害対応に不可欠であり、県におきましても、被災市町村への情報連絡員の派遣のほか、モバイル通信途絶時に備えた衛星通信設備導入費用を来年度当初予算案に計上しているところでございます。
 また、昨年4月に運用開始されたSOBO-WEBでございますけれども、国からSOBO-WEBと県の防災情報システムのシステム連携に必要な仕様が示されたのが昨年11月ということでありましたことから、来年度の当初予算案において、そのシステム改修費用を計上し、現在、本年12月までに連携を行うことを見据えて内閣府と調整を進めているところでございます。
 SOBO-WEBと連携することによる県の災害対応の効果につきましては、議員御指摘のとおり、現在、県の防災情報システムと連携していない国や近隣府県、指定公共機関等が持つ災害情報、例えば通行可能な道路情報、停電情報や携帯電話通信障害エリア情報などを一元的に集約することで、被害の全体像の把握が可能になります。
 また、県や市町村をはじめ、災害対応に当たる多方面の機関もその情報を共有できるため、大規模災害時に広域応援を行う機関が被災自治体に到着する前から、避難所開設状況や道路の寸断状況などの被災地の概況の把握が可能となり、迅速な初動につながるといった効果があると考えております。
 県としましては、システム連携の有用性を市町村ほか関係機関に十分周知し、国や関係機関と連携し、平時から効果的な研修や訓練等を通じた操作習熟や利活用の促進に取り組み、迅速な災害対応に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 それでは、次に、受援体制について質問いたします。
 先日、南海トラフ地震が発生した際、甚大な被害が想定される10県、重点受援県に応援職員を即時派遣する自治体を総務省が事前に割り当て、2025年4月からの運用に向けて調整しているとの記事を見ました。
 当然、本県は重点受援県であり、応援自治体の組合せでは、埼玉県が本県に応援職員を即座に派遣していただき、支援していただけるというのは、誠に心強いことでございます。
 一方で、令和6年能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方についての報告書では、国や全国の自治体からの応援職員派遣の仕組みはしっかり構築されていますが、能登半島地震において特に被害の大きかった奥能登では、宿泊施設が被災し、長期にわたり断水も続いたことから、応援職員の宿泊場所の確保が困難になるなど、受援自治体の体制が不十分であったことが浮き彫りになりました。また、事前に受援計画が策定されていたものの、受援体制に対する職員の認識不足により、庁内で十分な連携が図れず、受援計画に基づく対応ができなかった例もあったようです。
 市町村においては、大規模災害が発生した際、職員が不足することも予測されることから、応援職員を受け入れられるよう、あらかじめ受援計画を策定し、庁内全体の受援担当者や受援対象業務ごとの担当者の選定、応援職員を受け入れる場合の執務環境の確保、宿泊場所の調整など、受援体制を構築しておくよう国からも言われています。
 いつ発生するか分からない南海トラフ地震をはじめとする大規模災害への備えとして、県と市町村が密接に連携し、災害対応を実施するためには、平時から県が市町村に対して受援計画の策定や実効性に向けた支援を行い、市町村が円滑な支援体制を構築しておくことが重要であると考えます。
 そこで、県内市町村の受援計画の策定状況、県による未策定市町村への策定支援、また、策定済み市町村に対して、より実効性のある支援体制を構築するための見直し支援について、危機管理部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 危機管理部長。
  〔河野眞也君、登壇〕
○危機管理部長(河野眞也君) 市町村の受援計画の策定に係る御質問でございます。
 議員御指摘のとおり、大規模災害が発生した場合、職員や庁舎の被災により行政機能が低下する中、膨大な災害対応業務を行う必要がございます。
 能登半島地震では、国や全国の自治体から支援に入っておりまして、本県及び県内市町村の職員数を考えますと、南海トラフ地震のような大規模災害が発生した場合、多くの応援職員を受け入れる必要があるというふうに考えてございます。
 避難所の運営等で多くの応援職員を受け入れることとなる市町村の受援計画の策定については、これまで県では、市町村受援計画作成モデルを作り、提示するとともに、他の市町村の計画を参考に受援計画策定への助言を行ってきており、現在、30市町村のうち20市町村が策定してございます。
 残る未策定の10市町につきましても、能登半島地震の状況を受け、改めて受援計画の必要性を再認識し、計画策定に向けた予算確保や素案を策定するなど、動き出しているところでございまして、引き続き受援計画を策定するよう働きかけてまいります。
 県としましては、避難所運営や物資輸送拠点運営、罹災証明書の交付、災害廃棄物処理、給水活動、上下水道復旧などへの人的応援を円滑に受け入れるには、市町村における受援計画は重要であると認識してございまして、着実に災害対応が実施できるよう、市町村と共にしっかりと実効性のある受援体制を構築してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 それでは、避難所の環境改善についてお伺いします。
 公明党として、これまで大規模災害時の避難所環境の改善について、特にTKB──トイレ、キッチン、ベッドの迅速配備やスフィア基準の導入を訴えてまいりました。
 政府は、昨年12月に、避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針を改定し、被災者が尊厳ある生活を営める最低基準を示すスフィア基準を取り入れ、トイレについては発災後、初期段階では50人に1基、中期段階では20人に1基とすることを明記しました。さらに、女性用と男性用のトイレの比率を3対1とするよう推奨し、入浴施設を50人に一つとの基準を示しました。また、避難所内の1人当たりの居住スペースを最低3.5平方メートル、約2畳分とし、段ボールベッドなどが置ける広さの確保を目指します。指針では、このほか、温かい食事を提供できるよう、地域内でキッチンカーを手配するなどの取組事例が紹介されています。
 また、昨年11月に、中央防災会議等から、令和6年能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方についての報告書が出されました。その中で、国の応援組織の充実・強化や、被災地のニーズに応じてキッチンカーやトイレトレーラー、ランドリーカー等を迅速に提供するための事前登録制度、災害ボランティアとして活動する支援団体の事前登録制度の創設などを総合的に進めるとしています。
 県が進めている能登半島地震を踏まえた防災・減災対策の検証においても、「きめ細かな被災者支援」を一つの柱として掲げておりますが、その取組を進めていく上でも、キッチンカーの事業者や災害ボランティアとして活動する支援団体などと官民の連携を強化していく必要があると考えます。
 避難所におけるスフィア基準については、12月議会において、我が県議団の中尾議員が一般質問を行い、知事から、スフィア基準を目標にして避難所の環境改善を進めていく旨の答弁がございましたが、今後、避難所におけるトイレ、キッチン、ベッドなどの環境改善に向けた取組をどのように展開されるのか、また、キッチンカーの事業者や災害ボランティアとして活動する支援団体との連携強化に向けてどのような取組を検討しておられるのか、併せて危機管理部長、お答えください。
○議長(鈴木太雄君) 危機管理部長。
  〔河野眞也君、登壇〕
○危機管理部長(河野眞也君) 能登半島地震を踏まえた防災・減災対策の検証を行った結果、スフィア基準を目標にした避難所の環境改善として、衛生的なトイレ、温かい食事の提供、ベッドなどの居住環境の整備などを進めることとしております。
 まず、トイレにつきましては、衛生的な環境整備が重要と考えており、そのために、県、そして市町村では、国の交付金も活用しながら導入を進めているトイレカーの効果的な運用や、県内外の相互応援体制の構築を図るとともに、簡易トイレなどの備蓄、マンホールトイレの整備、学校などの既存トイレの有効活用を進めるなど、市町村と連携してその充実を図ってまいります。
 一方で、県民の皆様にも携帯トイレ等の備蓄を強く働きかけるなど、県全体として取組を進めてまいります。
 次に、居住環境の整備につきましては、国の交付金を活用し、市町村では、簡易ベッドやパーティションの充実を図るとともに、県も簡易ベッドや可搬型の水循環式シャワー設備を備蓄することとしております。
 続きまして、温かい食事の提供につきましては、県栄養士会や県調理師会と連携を図りながら、キッチンコンテナや大規模調理施設を活用し、セントラルキッチン方式により、災害時要配慮者をはじめとした被災者の方へ、温かくて栄養バランスに配慮した食事を提供できる体制を構築してまいります。
 また、様々な分野で専門的知識を有する災害ボランティア活動を行う民間団体などとの連携も不可欠であり、今後、国が進めるキッチンカー事業者や災害ボランティア活動を行う支援団体等の事前登録制度の活用や、民間団体との協定締結による連携を一層推進してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございました。
 それでは、4点目、災害発生時における避難所等の通信確保について伺います。
 能登半島地震では、地中に埋設された光ケーブルなどの回線が地面の亀裂、陥没や土砂崩れで断線し、電線も断線するなどして、多くの基地局が機能を失い、救助や復旧作業に甚大な影響が出ました。
 道路の寸断や土砂崩れにより孤立した集落などでは、通信が途絶えることによって、いつ食料が届くのか、水道、電気、ガスなどの復旧はどうなるのかという生活する上での必要な情報が届かない事態となり、また、孤立集落の被災状況も不明となっていました。
 各通信会社は、能登半島で様々な方法で通信を試みました。NTTドコモとKDDIは、1月6日、それぞれの基地局設備をNTTグループ会社の海底ケーブル敷設船に設置し、輪島市沖合に派遣し、船上基地局から沿岸部の町野町地区や大沢町地区に電波を届けました。
 一方、空からアプローチしたのがソフトバンクで、無線中継装置を搭載したドローンを飛ばし、輪島市門前町の一部エリアで電波を届けました。このドローンは、地上の電力装置とケーブルでつなぎ、給電しながら長時間、約4日以上連続で飛行できるものでした。
 こうした中、今回の通信復旧に最も貢献したのはスターリンクでした。スターリンクは、米国のイーロン・マスク氏率いるスペースXが提供する通信衛星を用いたインターネットサービスです。このスターリンクを活用したのがKDDIで、同社は1月7日、スターリンクの専用アンテナ350台を無償提供し、役所、消防隊拠点、避難所などを各所に設置し、日常的なデータ通信のほか、オンライン授業、オンライン診療などにも役立てられました。断線した光ケーブルの代わりの回線として自社で使ったり、自衛隊、自治体、電力会社などに提供したりした分を合わせると約700台が活用されました。
 ソフトバンクも、珠洲市役所、能登町役場、輪島市役所などにスターリンクの機材を設置し、100台以上を無償で提供しました。
 令和6年能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方についての報告書では、「発災当初の通信途絶が生じている間、通話やデータの送付等が困難で意思疎通の手段に制約が生じた一方、衛星インターネットの活用により、通信環境の改善が図られた」とあり、実施すべき取組として、「衛星通信設備、公共安全モバイルシステム等の導入・活用及び速やかに使用できるよう平時からの訓練等について検討すべきである」としています。
 なお、公共安全モバイルシステムとは、「携帯電話技術を活用した公共機関向けの無線システム。平時は携帯電話として使用でき、災害発生時等には各機関内及び機関間の連絡・情報共有に活用」できるものです。
 災害時において、様々な情報を得ることは、住民や外国人旅行者などの来訪者にとっても重要ですが、そこでお伺いいたします。
 大規模災害に備えて、通信会社と連携し、通信の確保や復旧作業の強化を図り、僻地を含めて早期に通信環境を回復させる経験や知識を備えておく必要があると考えますが、大規模災害時の通信障害等への取組はどのようになっているのか、地域振興部長、お答えください。
○議長(鈴木太雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
  〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 地震や津波等の大規模災害の発生時には、地域振興部のデジタル社会推進課が災害対策本部の指揮の下、通信施設の被災状況等の情報収集や、通信事業者との連絡調整などを行うこととしております。
 また、被災した現地の状況を迅速かつ的確に把握するため、通信事業者に対して、災害対策本部へのリエゾン派遣を通じて情報共有の強化を図ることを要請しています。
 本県は、能登半島と同じ半島に位置し、被災によって道路等が土砂や倒木で寸断されるおそれがあるため、通信事業者と災害支援に関する協定を締結し、復旧作業に支障となる土砂等の除去や、資材搬入のための用地提供など、迅速な復旧に向けた支援体制を整えているところです。
 議員の御指摘にもございました人工衛星経由のモバイル通信ネットワーク・スターリンクや船上基地局の配備を通信事業者に要請することも含め、災害時にはあらゆる手段を講じて、通信障害の早期解消に向けて積極的に取り組んでまいります。
 また、有事に向けた訓練につきましては、携帯電話等の通信事業者や県、市町村及び国で構成した連絡会により、毎年積極的に実施しているところであり、今後とも、災害への備えを万全にするとともに、発災時には迅速に通信の確保や復旧を実施できるよう取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございました。
 危機管理部長、地域振興部長に、合わせて4項目聞かせていただきました。
 まず、今、公助という意味合いでの質問をさせていただいたんですけど、やはり一番大事なのは、全員が被災することも予想されます。自助が一番大事かなと、私自身は、家族でいつも災害時にどうするということを話し合っております。しっかり自分自身への戒めとして、これからも備えてまいりたいと、このように思いますので、どうか県としてのお取組も様々よろしくお願い申し上げます。
 それでは、2点目、教員不足について質問させていただきます。
 本年1月8日付朝日新聞デジタルの記事に目が留まりました。見出しは、「『ペーパーティーチャー』求む 教員不足解消に和歌山県教委が相談会」、慢性的な教員不足解消のため、和歌山県教育委員会は、教員免許証はあるものの、教職に就いていないペーパーティーチャーを対象にした相談会を初めて開くとの内容でございました。
 県教育委員会教職員課によりますと、昨年9月の集計で公立学校の教員計38人が不足している。少子化で教員採用試験の志願者数も減少傾向にあり、そんな中、教員免許を持った人材を発掘して、学校現場などに生かすのが狙いとありました。
 そこで、お伺いします。
 1月11日に行われた相談会について、その状況と今後の見通しについて、教育長の答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 教員不足についてお答えをいたします。
 県教育委員会では、これまでもテレビやSNS等による広報により、教員の魅力を発信し、志願者の増加に努めてまいりました。しかしながら、近年の小中学校における特別支援学級の増加や、育児休業の取得者の増加等により、補充講師の需要が拡大しております。
 育児休業等については、子育て支援策の充実を進めた成果で喜ばしいことではありますが、その補充のための講師は、近年の教員志願者数の減少等により、十分確保することができず、年度途中に欠員が生じているところです。
 県教育委員会としては、教員不足解消につなげる取組の一つとして、教員免許を持っているが教職経験のない、いわゆるペーパーティーチャーを対象とした相談会を実施しました。その結果、県内4会場で計46名の参加があり、現在、任用に向けた手続を進めているところです。
 今後も、教員の確保に向けた効果的な方策について検討を進めるとともに、学校の働き方改革により、教員の魅力を高め、広く周知してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 欠員が生じるということは、ほかの先生方にも負担がかかっていくのかなというふうに、カバーされますから、そういう形になるのかなと思いますし、何より子供たちの学びに支障を来さないようにと願います。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 3点目、これは議長よりお許しいただきまして、資料配付をさせていただいております。
 誰もが安心して搾乳ができる環境づくりについてということで質問します。
 低出生体重児のためのリトルベビーハンドブックがいよいよ全国展開されました。本県でも、和歌山版のリトルベビーハンドブックを発行していただきましたことに感謝申し上げます。
 このハンドブックにとどまらず、子育てに関する様々な課題を聞き取る中で、いろいろな声があります。その中の一つが搾乳の環境整備であります。
 現在、多くの人が利用する施設には、赤ちゃんにミルクをあげることなどができる授乳室の設置が進んでいます。授乳室で搾乳もできることについては、まだ一般の理解が進んでいません。
 入院中の赤ちゃんに母乳を届けるために、自分で定期的に母乳を搾る必要のある母親は、一人で授乳室を利用して搾乳していた際に、赤ちゃんが一緒にいないのに、一人で何をしていたんだと、さも目的外利用をしているかのような心ない言葉を投げつけられたことがあるそうです。
 また、産後に職場復帰する女性にとっても、職場で安心して搾乳できる場所の確保や周囲の理解などが課題となっています。赤ちゃんに授乳しない場合でも、母体では母乳がつくられるため、母乳がたまった状態を放置すると痛みが生じたり、乳腺炎等を発症するおそれがあり、数時間ごとに搾乳する必要があるそうでございます。しかし、職場に女性用の休憩室等がなかったり、周囲に搾乳に関する知識や理解がないため、トイレで便器に向かって搾乳し、母乳を捨てたこともあるそうです。
 WHOは、2歳まで母乳育児を続けることを推奨しており、ILO・国際労働機関による母性保護勧告では、各国に職場で搾乳する環境を整えるなどのルールをつくるよう求めています。海外では、企業に対して、従業員に搾乳のための時間と場所を提供するよう定めた法律もあり、企業の担当者も女性の復帰を支援することは大いにメリットがあると考え、積極的に投資を行っています。しかし、国内においては、授乳室と搾乳室を併記した表示にしている行政施設や大型商業施設なども存在しますが、まだまだその数は少ないのが現状です。
 昨年12月16日、参議院予算委員会において、我が党の佐々木さやか参議院議員は、国土交通省のバリアフリーガイドラインに授乳室での搾乳が可能であることについて記載するよう求めたところ、中野国土交通大臣からは、ガイドラインの記載を充実させ、子育てバリアフリーの推進を図る旨の答弁があり、こども家庭庁からも、国土交通省と連携した周知啓発の検討が示されました。
 女性が出産後、安心して社会参画ができ、健康に活動するためにも、社会全体が出産後の女性の健康管理について正しく理解し、公共施設や職場、商業施設において、安心して搾乳ができる環境を整えることが重要であると考えます。
 そこで伺いますが、出産や子育てへの支援を充実するため、授乳室でも搾乳しやすい工夫や、必要な方が安心して搾乳できる環境づくりに取り組むべきと考えます。本日、資料配付させていただいていますような、そういうシールを貼っているところもあります。公共施設や大型商業施設等への表記について、福祉保健部長の御所見を伺います。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 出産や子育てへの支援として、女性が一人でも気兼ねなく搾乳を行える利用環境を整えることは必要なことと考えます。
 まずは、県庁や振興局等の授乳室に、搾乳でも利用できることが分かるよう表示を行います。また、市町村や大型商業施設等の授乳室においても、同様の表示をしていただくよう働きかけてまいります。
 あわせて、県ホームページやSNS等で情報発信し、搾乳に対する県民の理解を広め、県として、出産した女性が安心して子育てできる環境づくりに取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 4点目、県有普通財産について伺います。
 一昨年の中拓哉先輩議員も取り上げられておりました。これまで多くの先輩・同僚議員により質問されてきた県有普通財産についてお聞きします。
 普通財産の定義は、地方自治法第238条に基づく公有財産の一部で、特定の行政目的に使用されていない土地や建物などを指しますが、その状況について、普通財産としての現状と売却状況について、総務部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長友井泰範君。
  〔友井泰範君、登壇〕
○総務部長(友井泰範君) 2024年4月1日現在、県有地は2012万4633.76平方メートルあり、そのうち県有普通財産としての土地は101万6110.91平方メートルとなっております。
 売却実績につきましては、不動産の公売により、2019年度から2023年度までの5年間で約9億7590万円の歳入を確保しているところです。
 2024年度につきましては、現在、契約等の手続を行っており、865万円の歳入を確保できる見込みとなっております。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 それでは、売却を進めるに当たり、民間の力をお借りするなど、官民連携しての取組が必要と考えますが、総務部長の御所見を伺います。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長。
  〔友井泰範君、登壇〕
○総務部長(友井泰範君) 本県では、2023年度から宅地建物取引士の資格を有する専門家を県有地売却促進アドバイザーとして雇い入れ、未利用財産を有する庁内からの相談への対応や、新たな売却手法の提案に取り組んでいるところです。
 一例としましては、従来、建物を解体して土地のみで売却しておりましたが、その解体費が高額となり、十分な歳入の確保が見込まれず、未利用財産の処分が進まないケースがありました。こうしたケースについて、この専門家のアドバイスの下、建物の物件調書を作成した上で建物つきで売却を行った結果、4件の売却に至ったところです。
 引き続き、未利用財産の売却を進め、歳入確保に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 県有普通財産の売却におきまして、民間企業が果たす役割は多岐にわたります。民間企業の役割として、県有普通財産の売却を促進するためのマーケティング、販売戦略を提供できます。特に、地域の市場動向を把握している不動産業者は、適正価格での売却を実現するための重要なパートナーとなり得ることが考えられます。アドバイザーを雇い入れて進めておられるということでございました。
 具体的な取組として、県有財産の管理や利活用において、いわゆるPDCAサイクルを導入し、継続的な改善を図ることにより、効率的な運用が可能となります。民間団体や専門的な事業者の知識やネットワークを活用することで、地域の資産を最大限に活用し、地域経済の活性化、ひいては県財政への寄与につながります。
 財政逼迫、財政危機を発信することも必要かと思いますが、それ以上に希望の持てる将来像を示すことが県民の希望につながります。未利用財産の処分、県有普通財産の利活用も財政の一助として積極的に取り組んでくださいますようお願い申し上げます。
 それでは、次の質問に移ります。
 VHS記録媒体について伺います。
 このVHS記録媒体の保存期限について、近年の研究や警告が示す重要な情報があります。特に2025年問題の一つとして上げられ、その対応が急がれると言われています。
 VHSテープの寿命は約20年から30年とされており、これは、適切な保管条件下での寿命であり、テープの品質や使用頻度によっても影響を受けます。劣化の原因として、磁気特性の減衰、カビや湿気によるダメージ、物理的な摩耗などが主な劣化原因と言われます。
 2025年問題の一つとして上げられるのは、ユネスコは、2025年までにデジタル化しないとVHSテープが見られなくなる可能性があると警告しています。VHSテープが普及してから今年がその耐用期限を迎えることが考えられるから、2025年問題とも言われます。
 デジタル化の重要性として、VHSテープのデジタル化は、貴重な映像を保存するための唯一の対策とされています。特に、家族の思い出や重要なイベントの映像は、早急にデジタル化することが推奨されています。保存状態の影響もあり、テープの劣化を防ぐためには、湿度や温度を適切に管理することが重要で、保存環境が悪いと劣化が早まります。また、再生機器の入手も困難となっていること、現在、VHSデッキの生産は終了しており、修理サービスも減少しています。これにより、再生が難しくなることが懸念されています。
 このVHSテープの保存期限は短いということから、文化財の保存や地域資料の活用、貴重な地域の歴史や文化を記録した資料が多く含まれていることが考えられます。これらをデジタル化することで劣化を防ぎ、長期的な保存が可能になります。
 こういった重要な文化資源、資料の保存と活用、また、本県、地域の歴史を次世代に伝えるためにも、失われることがあってはならないと考えます。早急な取組という上で、県立図書館において、VHSテープで保存された資料の所蔵状況とこれからのデジタル化対応について、教育長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) VHS記録媒体についてお答えをいたします。
 県立図書館では、人権教育や生涯学習等に関するVHSテープの資料3327本を所蔵しており、希望者は、館内の文化情報センターAVラウンジにおいて閲覧できます。
 VHSテープに関する諸課題を踏まえ、文化情報センターでは、複製可能なVHSテープに関し、数年前からDVDへのデジタル化作業を進めているところです。
 デジタル化の進捗状況は、本年1月末時点で1555本、約50%であり、今後も作業を進め、貴重な資料や教材が末永く活用できるよう努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 我が家も、子供の運動会の資料が消えてしまうんじゃないかと心配しておりますが、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
 また、市町村におきまして、多くの我がまちのアーカイブ資料などとして保存されていることが予想されますので、その辺につきましても確認、また周知方、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、最後の質問になります。
 高等学校における制服について伺います。
 県内高等学校・支援学校において、ほとんどの学校で制服となっていると思います。そのことを否定するわけではありません。個人的には好ましいと思っておりますが、近年、そのことについて自由化といいますか、変化が見られるとの報道を目にしました。
 その一つの例として、パーカーを制服とする学校があります。
 パーカー制服の導入事例として幾つかありますが、大阪夕陽丘学園高等学校は、2020年の志願者数は286人でしたが、翌年、2021年にパーカー制服を導入したところ、志願者数は444人に増加し、その翌年には560人に達したとお聞きしました。パーカー制服の導入が生徒の関心を引く一つの要因となったと分析されています。
 パーカー制服の利点として、一般的に安価であり、コストパフォーマンスがよい、また経済的な負担を軽減します。また、洗濯が簡単など取り扱いやすく、日常的に着用しやすい点が評価されています。そして、パーカーは男女共通のデザインであるため、ジェンダーフリーの観点からも好評です。そのような理由から、多くの学校がパーカーを選択する動向が見られます。
 公立高等学校におけるパーカーなどの安価で取り扱いやすい服の制服導入は、生徒の志願者数の増加やジェンダーフリーの観点からも支持されています。制服の選択肢が広がることで、生徒たちの満足度が向上することも期待されますが、この点につきまして、教育長のフレキシブルな御所見を伺います。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 高等学校の制服についての御質問でございます。
 公立高等学校の制服は、各学校が地域の状況や社会の変化等を踏まえ、基本的に、生徒や学校関係者から意見を聞いて見直しを行っています。
 近年、従来の制服をブレザーに変更する学校が増える中、今年度、桐蔭高校では、現行の制服を残しつつ、スーツスタイルの制服を採用し、選択できる幅を広げています。
 また、熱中症対策として、登下校時にポロシャツの着用を勧めている学校が増えてきており、那賀高校では、その日の気温、個人の体調を考慮し、生徒自らが登下校時の服装を自由に決めています。
 県教育委員会としましては、学校の取組を尊重しながら、制服そのものの必要性も含め、見直しを促してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
 以上で、私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、岩井弘次君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時38分散会

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