令和7年2月和歌山県議会予算特別委員会会議記録(総括質疑1日目)
令和7年2月和歌山県議会予算特別委員会会議記録(総括質疑1日目)
1 日時 令和7年3月11日(火)午前9時59分~午後2時9分
2 場所 予算・決算特別委員会室
3 出席者 委員長 中村裕一
副委員長 秋月史成
委員 高田英亮、佐藤武治、鈴木 德久、森礼子、玄素彰人、山家 敏宏、吉井和視、北山慎一、坂本佳隆、三栖拓也、
坂本登、藤本眞利子、浦口 高典、長坂隆司、中尾 友紀、小西政宏、中西徹、林隆一
欠席委員 なし
委員外議員 濱口太史、小川浩樹、川畑哲哉
4 概要
午前9時59分開会
●中村委員長
◎開会宣告 挨拶
◎報告事項 委員の欠席なし
◎傍聴協議 なし
◎撮影許可 4件
◎議事 議案17件
◎付託議案に対する質疑宣告
Q 山家委員
1 防災対策について
(1)大規模災害時における県内物資輸送の検証
今年の1月15日、政府の地震調査委員会の発表において、南海トラフ巨大地震が起きる確率は今後30年以内に、これまでの70%
から80%であったのが、80%程度に引き上げられ、委員長はいつ起きてもおかしくない数字であると発言している。
このような状況の中、行政はハード・ソフト面において最大限の備えをしておく責任がある。そのソフト事業の一つとして、
今回の県内物資輸送の検証事業を実施すると思うが、その具体的な取り組みと効果について聞きたい。
A 河野危機管理部長
大規模災害発生時には、避難所等で生活する住民の食糧や生活必需品などの大量の救援物資が、被災自治体の要請を待たずして
国等から届けられる。これらの物資を受け入れ、多数開設される避難所に円滑に届けることは、県及び市町村の重要な業務となる。
能登半島地震における物資輸送の課題として、被災地内の輸送車両が確保できなかったこと、物資拠点に適さない施設での運営や
ノウハウを有さない行政職員等で拠点が運営されていたこと、フォークリフトなどの資機材の準備不足などが挙げられた。
県としては、これらの課題を踏まえ、県及び市町村物資拠点の点検、拠点間の輸送ルート、輸送車両や物資管理の知見を有する
人材の割当、資機材の調達方法など、本県の物資輸送について検証することとしている。
なお、今回の検証については、災害時の物資輸送に精通する専門的な事業者の観点が不可欠であり、県トラック協会、県倉庫協会
をはじめ多くの物流関係者と連携を密にすることで、官民が一体となって物資輸送体制を構築し、確実に被災者に物資を届けていく。
要望 山家委員
緊急輸送道路沿線建築物の耐震化事業の進捗状況にもよるが、災害時は建物倒壊による道路封鎖や道路陥没等で寸断される
場所も多くなり、想定外のことも起こる恐れもあるため、関係者および市町村とも密に連携をとって、実のある体制作りを構築
してもらうように要望する。
Q 山家委員
(2)スターリンクの導入
地震発生初期における被害情報収集や共有は、的確な災害対応に不可欠だが、能登半島地震では多くの携帯基地局が停波し、
モバイル通信が途絶することで、インターネットに接続することができず、情報収集や共有に支障がでた。
モバイル通信が途絶した場合においても、被災現場から情報収集を行う情報通信環境を確保することは重要であり、
スターリンクはインターネット回線を利用することで、スマートフォンやタブレットなどによる通信が可能であり、現地に派遣
する職員が持参するタブレットなどを用いて、インターネット電話や映像伝送などによる情報の共有も可能になり、災害時対応
には、有効な手段である。この件については、昨年9月議会で玄素議員が質問しているが、災害時の迅速な対応には必要不可欠
であると考えている。
具体的な設置場所は決まっているのか。また、県職員以外も使用できるのか。
A 河野危機管理部長
県では、大規模災害で市町村が被災した場合を想定し、被災状況の把握や業務支援を目的に、「災害時緊急機動支援隊」として
職員を派遣する体制を整えている。支援隊は南海トラフ地震や中央構造線断層帯による地震に対して最大18部隊派遣することとして
おり、今回、可搬型のスターリンクをその隊数分導入予定としている。
委員から発言のあったスターリンクの有効性を踏まえたうえで、発災後迅速に対応するためには、事前に現場に近い振興局に分散
して配備しておくことが重要と考える。
なお、各振興局への配備台数については、海草が2台、那賀が1台、伊都が2台、有田が2台、日高が3台、西牟婁が3台、東牟婁
が5台としている。
運用については、スターリンクにWi-Fiルーターを接続すると、ルーターから半径50メートル以内にいる最大128名が接続可能であり、
県職員のみならず、周辺にいる市町村職員や自衛隊などの応援機関職員も利用が可能となる。
スターリンクは、衛星からの通信を受信するため、アンテナを北東の空が見える屋外に設置する必要があることから、振興局や市町村
と連携し、平時のうちから設置場所の検討や訓練を行うなど準備を進め、災害時の迅速な対応に努めていく。
意見 山家委員
さらに多くの台数を確保するべきであると考えるが、スターリンクのランニングコストは高額になると聞いている。今後、さらに
安価に利用できる利用可能な企業も出てくると思うので、契約先の乗り換えも視野に入れながら、臨機応変な対応をお願いする。
Q 山家委員
(3)住宅の耐震改修に関する補助金額
この件については、昨年2月議会でも「木造住宅の耐震改修費の負担軽減策」について一般質問を行い、近年の物価高、人手不足
による工事費の高騰を踏まえて、さらなるテコ入れが必要であり、国に対して支援制度の拡充を働きかけていくことも重要であると
の考えを示し、県も国に対して要望をしていくとの回答があり、昨年12月からは補助限度額が131万6千円になり、約13%の引上げ
が行われた。しかしながら、13%程度の引上げでは、物価高、人件費の高騰による工事費の高騰には、まだまだ追いついておらず、
県民の命を守ることが最重要課題であり、県の掲げる耐震化率100%を達成するためにも、さらなる拡充を働きかけていく必要が
あるのではないか。
A 福本県土整備部長
県では、住宅耐震化を促進するには自己負担の軽減が重要と捉え、国に対して補助限度額引上げの要望を行ってきた。その結果、
今年度の補正予算において、一定程度実現し、県においてもこれに合わせて補助限度額を増額したところである。
しかし、委員指摘のとおり、昨今の工事費の高騰に対して未だ不十分であることから、低コスト工法などの普及に取り組むととも
に、国に対し引き続き補助制度のさらなる拡充を要望していく。
また、事業規模については、能登半島地震以降、耐震診断、耐震改修の申し込みが大幅に増加するなど、県民の住宅耐震化への
関心が高まっている今が、耐震化を加速させるチャンスと捉え、来年度当初予算では今年度当初予算の約2倍を計上している。
Q 山家委員
2 一次産業の強化について
(1)働きやすい園地づくりや省力化について
農家数の減少は全国的な課題であるが、本県においても例外ではない。
しかしながら昨年末から、みかんの単価がかなり上昇し、安定した高値で取引が行われたと多くの人から聞いている。私は、今
まさに県及び市町村が様々な農業に対しての政策を打ち出し、後継者不足の解消、規模拡大等を行う千載一遇のチャンスであると
考えている。
そのためにも今回の「働きやすい園地づくりや省力化」は重要であると考えているが、どのような取組を行うのか。
A 立石農林水産部長
果樹栽培における省力化や働きやすい園地づくりのため、県では、かんがい施設や園内道の整備に取り組むとともに、近年では、
防除用ドローンやロボット草刈機などのスマート農機の導入を推進し、生産性の向上や規模拡大に取り組む農家を支援してきた。
来年度については、これまでの園内道整備や集中制御によるかん水管理の省力化、スマート農機等の導入支援に加え、先端技術
を活用した農業の実現に向け、ドローン防除を請け負う体制づくりを推進するため、新たにドローン操作技能認定取得の支援に
必要な経費を予算案に計上し、今定例会にお願いしている。
今後とも、JA等関係機関と連携し、みかん畑等における園内道の整備やスマート農業の普及を積極的に推進し、働きやすい園地
づくりに取り組んでいく。
Q 山家委員
(2)和牛消費拡大対策
令和5年2月議会の一般質問において、「紀州和華牛について」質問を行い、紀州和華牛について様々な魅力を議場において
PRした。しかし、まだまだ認知度が低いため、紀州和華牛の認知度を高めるための活動が今後も必要だと問題提起もした。質問
から2年が経過し、ようやく本格的に県産ブランド和牛の消費拡大対策を行うことに対して、期待している。
そこで、紀州和華牛をはじめ、県産ブランド和牛の認知度はいまだにまだまだ浸透していないと思われる中で、県産ブランド和牛
のPRは大変重要であると考えているが、今後どういう政策を検討していくのか。
A 立石農林水産部長
県では赤身肉がおいしい紀州和華牛とサシを重視した熊野牛を県産ブランド和牛として振興しており、これまでも関係団体と
連携し、テレビCM放映やPR資材の作成、配布など、県産ブランド和牛のPR活動を展開してきた。
しかしながら、近年は、物価高騰による牛肉の買い控えなどにより、消費が低迷し、また飼料価格の高騰、高止まりも重なり、
生産農家の経営は大変厳しい状況となっている。
このため、まずは県内の身近なところで広く県産ブランド和牛を味わえるよう、新規販路開拓に向けて取り組む事業者に対する
支援を新たに実施し、取り扱う飲食店や販売店等の拡大に向けた取組を進めていく。
さらに、飲食店や販売店等において、フェアやイベントを展開し、広く県内外の人に、紀州和華牛や熊野牛を実際に味わって
もらうことで、県産ブランド和牛の認知度向上と消費拡大を図っていきたいと考えている。
今後とも、県産ブランド和牛の知名度を高めていくため、PR活動の強化に努めていく。
要望 山家委員
県産ブランド和牛に係るストーリーをうまく使いながら、ブランドの強化に向けた取組をお願いする。
Q 山家委員
3 地域づくりについて
(1)地域の賑わいづくり拠点整備支援事業
地域の賑わいを創出するため、市町村が行う拠点施設の整備に要する費用の一部を支援するため、1000万円の予算を計上
しているが、その具体的な内容を聞きたい。
A 赤坂地域振興部長
人口減少が深刻化する中、住民が安心して暮らし続けられる魅力ある地域をつくるためには、地域内外の人々が集い、交流できる
「賑わいの拠点」を形成し、地域コミュニティの活性化や交流人口の拡大を図ることが重要である。
そこで県では、来年度から新たに「地域の賑わいづくり拠点整備支援事業」を実施し、駅周辺など、既に拠点となりつつある地域に
おいて、市町村が空き家、空き店舗、鉄道駅等を整備する際に必要な費用の一部を補助したいと考えている。
このような取組を通じて、地域内外の多様な人々が交流し、新たな活力が生まれることで、地域経済の活性化や地域の魅力向上に
つながることを期待している。
今後、本事業により、賑わい拠点の形成を進めるとともに、市町村が行う魅力ある「まちづくり」に向けた取組を、本庁と振興局が
一体となって積極的に支援していくことで、持続可能な地域社会の実現に取り組んでいく。
要望 山家委員
人口減少が加速する中、地域を維持し、活性化させるためには、地域内外の人々が集い、交流できる「賑わいの拠点」の存在が
ますます重要になってきている。
こうした拠点があることで、地域の魅力が高まり、移住、定住の促進にもつながると考える。
しかしながら、1000万円の予算でどこまで改修等ができるのか、何棟できるのか等、疑問に思うと同時に中途半端にならないか
と危惧している。
県の厳しい財政状況は十分に理解しているが、未来を見据えた投資こそが、持続可能な地域づくりの礎となる。
市町村とも協議を行いながら、地域が目指す「まちづくり」が進むよう、しっかりと予算を確保し、積極的に支援をしてもらいたい。
Q 山家委員
(2)地域公共交通計画推進事業
地域公共交通の存続並びに利便性向上については、各市町村とも課題を抱えているのが、現状である。そのような状況の中、今回、
バス利用者の利便性向上及び運転手確保に取り組むバス事業者への助成を行うこと、また交通空白解消のため、ライドシェアの実証
運行に取り組む事業者への助成等を行うとのことだが、事業の具体的な内容について聞く。
A 赤坂地域振興部長
地域公共交通を取り巻く状況は、少子高齢化やマイカー利用の増加による利用者の減少、運転手不足などにより、非常に厳しい
ものと認識している。
県では、昨年2月に「和歌山県地域公共交通計画」を策定し、地域公共交通の維持確保及び利便性の向上のため、計画に位置づけた
各種施策を実施している。
来年度は、地域に適した公共交通体系の再構築に取り組む市町村に対するアドバイザー派遣やデマンド交通などの実証運行に
要する経費のほか、利用者の利便性向上に取り組むバス事業者に対して、キャッシュレス決済等の導入に対する費用の支援を予定
している。
加えて、新たな取組として、バス運転手の高齢化や離職により、運転手不足が深刻化していることから、運転手確保に取り組む
バス事業者に対して、大型二種免許取得に要する費用や労働環境整備に要する費用の支援を予定している。
また、公共交通の利用が難しい過疎地や観光地等において、交通空白の解消を目的としたライドシェアの実証運行に取り組む
事業者に対しても、運行に要する費用の一部を支援する予定としている。
県としては、引き続き、市町村や交通事業者と連携し、地域公共交通の維持確保や利便性の向上に取り組んでいく。
要望 山家委員
ライドシェアについては、いろいろと話を聞くと、タクシー事業者としても、リスクや様々な課題があり、難しい部分もあると
聞いている。
鉄道やバスについては県等の助成もあるが、タクシーも地域公共交通であるため、今後は国も含め県もタクシーの支援について、
町単位でタクシー運営に苦労しているところが多いと思うので、そのことも踏まえて検討していただきたい。
Q 山家委員
4 脱炭素推進について
この事業については、脱炭素先進県わかやまに向けた取組として、令和6年度から実施しているが、補助実績及び今後の方針は。
A 山本環境生活部長
県では、脱炭素化を推進するため、国の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金による重点対策加速化事業の採択を受け、2024年度
から2028年度までの5年間で、個人及び事業者向けの太陽光発電設備及び蓄電池、個人向けのコージェネレーションシステム、
事業者向けの高効率空調機器等について導入支援を行うとともに、県有施設への太陽光発電設備及び蓄電池の導入についても取り
組んでいる。
このうち2024年度における個人及び事業者向けの太陽光発電設備等の補助実績については、先週末の3月7日現在、個人向けが
108件、約9400万円、事業者向けが4件、約820万円となる見込みである。
また、県有施設への太陽光発電設備等の実績については、県立南紀はまゆう支援学校において、PPA方式による導入を進めている。
今後については、採択された重点対策加速化事業を引き続き実施していくとともに、2月から募集を開始しているスケールメリット
を生かした価格低減を促す共同購入事業を併せて実施していくことにより、着実に太陽光発電設備等の導入を促進していく。
要望 山家委員
今回の非FITに対しての行政の補助金については賛成している。
2月から導入している共同購入事業について、和歌山県と協定を締結しているアイチューザー株式会社のホームページを見たが、
共同購入を行政が行う必要があるのか、工事施工業者が倒産した場合や、太陽光発電設備や蓄電池自体にはメーカー保証があるが、
雨漏りしたときの補償をアイチューザー株式会社がするのか、それとも、工事施工業者がするのか、というような疑問がある。
また、環境省近畿地方環境事務所の資料によると、「販売店をはじめとする、太陽光業者の皆さまへ」という箇所で、
「太陽光発電設備+蓄電池セットの販売で、大いに儲けてください」と大きく書いてあったが、事業者のためか、県民のためなのか、
腑に落ちないところがあった。
脱炭素や環境において共同購入で安くなるという考えであれば、例えば、電気自動車や浄化槽や紀州材についても、おそらく共同
購入する方が、県民は安く購入できると思うので、今回の共同購入については、一度検討してもらいたい。
Q 山家委員
5 熊野白浜リゾート空港の利用促進について
熊野白浜リゾート空港は本県の南の玄関口として重要である。そのため、今までも、国内線利用促進、国際線チャーター便誘致に
和歌山県は取り組んできていると理解している。
令和7年度は、国内線利用促進に5325万円、国際チャーター便誘致に6159万円、滑走路延伸を見据えた取組として4400万の
予算が計上されている。
国内線の利用促進については、いまさらだが、まずは首都圏の人達に和歌山県の魅力を知ってもらうことから始めていかなければ
いけない。私も首都圏も含め他県に行った場合は、他県の人と出来る限り雑談の機会を設け、その中で、白浜のパンダの話、また
熊野古道、温泉の話等をするようにしているが、残念ながら、本県にパンダがいることを知らない人がほとんどである。
まずは和歌山県白浜町にはパンダ、温泉、白良浜があることを知ってもらい、白浜に誘客して、そこから本県の魅力ある観光地を
巡ってもらうことが、国内線利用促進並びに本県全域への観光客誘客につながると考えている。
それらも踏まえた上で、熊野白浜リゾート空港の利用促進についてどう思うか。
A 岸本知事
山家委員の指摘のとおり、和歌山の広報宣伝が大変重要であり、特にパンダがいることについては、「永明」の昨年2月の帰国報道
や最近の訃報により知名度が向上した。引き続き広報宣伝に努める。
その上で、熊野白浜リゾート空港の利用促進施策を重視し、需要の平準化、空席対策の助成、空港振興策を実施する市町村事業への
支援、またビジネス利用のための航空運賃の助成の予算を計上した。
国際チャーター便の誘致として、運航経費の支援、航空会社や旅行会社による現地視察ツアーへの助成の予算を計上した。
また、空港アクセスの強化に係る実証実験として、空港連絡バスを運行させて、利用者の利便性の向上を図る。
山家委員にも指摘をもらったが、熊野古道、温泉、パンダなど、本県の魅力あるコンテンツの知名度向上等のための首都圏へのPRの
予算も計上した。
それから、将来の滑走路の延伸を見据えて、基本的な施設の配置や規模等を示した空港の基本計画策定のための予算も計上した。
滑走路の延伸については、技術的に可能であることが今年度の調査で判明した。しかし、地域住民をはじめとする関係者の理解を
得なければ進まないので、説明責任を果たすために基本計画が必要である。
以上の施策を市町村や民間事業者と連携して、県庁全体をあげて強力に進める。
まずは、羽田線の4往復8便化を実現し、さらには国際線の定期便の誘致につなげ、仮に滑走路が延伸された場合には、空港利用者
を年間50万人以上に伸ばすことを現在の目標とする。
Q 中尾委員
1 衛星データを活用した水道インフラの管理について
1月28日、八潮市で発生したトラック1台を巻き込む道路陥没事故は、周辺市町民120万人に下水道の利用自粛が呼びかけられる
など、住民生活や経済活動に大きな影響を及ぼし、転落したトラックの運転手はいまだ見つかっていない。
国土交通省によると、2022年度に全国で発生した道路陥没は1万548件で、うち13.1%が下水道施設が原因である。割合は都市
部になるほど上昇し、政令指定都市が26.4%、東京23区が51.8%となっており、地方に比べて下水道整備の時期が早く、老朽化が
進んでいることが指摘されている。
埼玉県の大規模な道路陥没を受けて、岡山市は下水道管の緊急点検を独自に行い、これまでに市内の中心部を走る道路の下で、
直径60センチメートル程度の小規模な空洞が見つかるなど全国で同様の事象が発生している。
和歌山県では、2月4日の知事記者会見を要約すると、「国からは、1日の処理能力が30万立方メートル以上、管の直径が2000
ミリメートル以上の下水道について、緊急の点検を行うよう要請があった。しかし、和歌山県内にはそのような大規模な下水道はなく、
あるのは伊都と那賀の2つの流域下水道のみで、これらの下水道は、1日の処理能力がそれぞれ2万立方メートルと1万3000立方
メートルであり、小規模なものである。また、供用開始からの年数も、伊都が23年、那賀が16年と、比較的新しいものである。県下水
道公社が、これらの下水道管が通っている道路を全て目視で点検した結果、特に問題は見つからなかった。さらに、県では定期的に
下水道の点検を行っており、直径80センチメートル以上の管については人が中に入って、それより小さい管についてはカメラを使って
詳細な点検を実施している。これまでの点検結果からも、特に問題は確認されていない。県民の皆様には安心して日常生活を送って
いただけるよう、今後も下水道の安全確保に努めていく。」との発表がされていたので一安心した。
それでは、和歌山県の上水道は大丈夫かと疑問が湧いてきた。皆さんの記憶にも新しいと思うが、2021年10月3日、晴天、無風
の日に六十谷水管橋の崩落事故が発生した。和歌山市北部において大規模な断水を引き起こし、約6万世帯、13万8千人という広範囲
に影響を及ぼし、市民生活に深刻な影響を与えた。原因は、水菅橋の吊り材の腐食による破断であった。翌日の4日、公明党の斎藤鉄夫
現代表が国土交通大臣の就任式であったので、公明党市議団として、浮島とも子衆議院議員を通じ、和歌山市の尾花市長とも連携を取
り、全国から給水車の派遣と1日も早い復旧を要望した。
和歌山県をはじめ、各界の全国の皆様から応援をもらい、「復旧のメドがいつになるかわからない」と言われていたが、6日間で
復旧することができた。
水は「命の水」という言葉を実感させられた。水道はなくてはならない重要なインフラの一つである。
予算書の中に、衛星データを活用した水道インフラの管理について999万円の予算が計上されているが、その事業の概要はどの
ようなものか。
A 山本環境生活部長
水道広域漏水調査の事業概要については、複数の市町村が人工衛星データを活用し共同して実施する漏水調査を支援するもので、
5事業体への補助を想定した経費を予算案に計上している。この事業により、市町村水道事業の基盤強化に向けた業務の効率化や
有収率の向上、加えて広域連携推進を図っていく。
今後は、各市町村に対し、水道事業懇談会など、様々な機会を通じ、水道管の耐震化及び老朽化対策にも資する取組であること
を周知し、本事業の活用を積極的に働きかけていく。
要望 中尾委員
事前防災の観点からも漏水などにより道路が陥没する危険のある地域を効率的に特定し、埼玉県八潮市で発生したような事故が
起きないように県下でこの事業をしっかりと推進していきたい。
Q 中尾委員
2 宇宙まちづくりの推進について
今回、スペースワンの発射は成功に至らなかったが、ロケットが打ち上がった時の歓声や期待と希望に胸を膨らませ、見学して
いたこども達が悔し涙を流していた光景は忘れることができない。打ち上げ成功まで様々な険しい道のりがあると思うが、うまく
いけば2030年代に年間で30機のロケットが発射されると言われている。想像するだけでわくわくする気持ちになる。宇宙まちづ
くり推進事業は和歌山県民に夢と希望を与える事業であることは間違いないと確信するものである。令和7年度予算に3670万円が
計上されており、宇宙産業への参画に向けた、あらゆる企業や人が集い、夢を実現する場所である「スペースエントランス」の実現
に向けて、行動計画の策定、ビジネス創出支援、人材育成、情報発信を実施するとあるが、具体的にどのような事業を行うのか。
A 大川商工労働部長
令和7年度予算として今議会に提案している「宇宙まちづくり推進事業」では、宇宙産業のサプライチェーンを県内に構築する
ため、特に紀南地域における産業集積の可能性を探るためのポテンシャル調査を実施し、将来活用可能性のある資産を明らかにし
ていきたいと考えている。
また、ビジネスの創出に向け、近い将来、県内企業によるロケットや衛星部品の供給、衛星データ利活用サービスの実現を目指
して、まずは、宇宙産業に必要な技術やノウハウ、宇宙産業における企業の課題等を知るためのセミナーやワークショップ等を
開催することを予定している。
さらに、宇宙産業を支える人材育成を図るため、県内の高等教育機関と連携し、学生に対して、宇宙産業に関する学びの場や
宇宙関連企業との交流の場を提供していきたいと考えている。
これらの施策を着実に実施することで、将来的には宇宙産業の集積を和歌山で実現できるよう、全力で取り組んでまいりたい。
意見 中尾委員
和歌山県で宇宙産業が発展し、和歌山を代表する産業になることを期待する。
Q 中尾委員
3 物価高騰対策について
(1)物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の活用状況について
昨年からの米の価格の急激な上昇や白菜・キャベツなどの野菜の値上がり、資材価格の上昇等々、本年1月の生鮮食品を除く
消費者物価指数は3%を超え、値上げラッシュが全国の国民の生活に多大な影響を与えている。国は物価高騰対策に様々な取組
を行っているが、そのことが県民に十分に伝わっているのか疑問である。国や県の物価高騰対策の全体像をわかりやすく説明する
必要があると思う。国の補正予算において「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」が予算措置されているが、県として
どのような事業に活用しているのか。
A 前企画部長
「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」は、エネルギー、食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、
地方公共団体が地域の実情に応じて実施するきめ細かな取組を支援するもので、国の今年度補正予算において1.1兆円の予算措置
がなされており、そのうち県分として約43億円の配分を受けている。
県では、国から配分された金額を、余りなく活用すべく、国が提示する生活者支援、事業者支援のメニューをもとに、制度趣旨に
沿った有効な事業に活用している。
具体的には、国の今年度補正予算で本県に配分された約43億円は、本県の今年度補正予算で約12億円を、来年度当初予算案で約
31億円を、本交付金を活用した事業として予算計上している。
来年度当初予算案で計上しているもののうち主なものを申し上げると、子育て世帯の経済的負担の軽減を図る小中学校の学校
給食費の無償化や、特別支援学校に通う児童生徒等の保護者が負担する給食費への支援、多子世帯の経済的負担を軽減するための
保育料等の無償化や、国のガス料金激変緩和措置の対象とならないLPガスの一般消費者等の負担軽減、社会福祉施設を対象とした
光熱費等への支援を行う事業などに活用している。
Q 中尾委員
(2)LPガス料金高騰対策支援について
LPガス料金高騰対策支援に5億3418万円が計上されているが、どのような内容の事業か。
A 河野危機管理部長
エネルギー価格等の高騰を受け、国では燃料油や電気、都市ガスについて、物価高騰対策を行っているが、LPガスについては、
物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金等を活用し、地方で対策を行うよう求められている。
そこで県では、昨年度における6月補正予算を皮切りに、物価高騰の影響を受けた生活者支援の一環として、一般消費者等の
LPガス利用料金から値引きを行うガス販売事業者に対して値引相当分の支援を開始しており、それ以降、国が行う物価高騰対策
の月数に応じて、県民負担の軽減を図る支援を順次行ってきたところ。来年度の当初予算案においては、一般消費者等1件当たり
月上限1000円、4月及び5月の2か月間の支援を実施することとしている。
なお、対象となる一般消費者等は約24万件である。
Q 中尾委員
(3)社会福祉施設等原油価格・物価高騰対策について
介護サービス事業所、障害福祉サービス事業所、医療機関等を対象とした物価高騰対策として、令和7年度当初予算に8億
5647万5千円が計上されているが、その支援の内容はどのようなものか。
A 今西福祉保健部長
社会福祉施設や医療機関等では、提供するサービスに対する報酬が公定価格により決められており価格転嫁ができないため、
県内の約8800事業所を対象として、光熱費や食糧費、燃料費について、今年度の物価高騰による影響額の2分の1相当額を
支援する。
物価高騰対策は喫緊の課題であり、支援にあたっては十分周知を行うとともに、申請様式を簡素なものとするなど、各事業所
の負担を出来るだけ軽減し、支援が早期に行き渡るよう取り組んでいく。
要望 中尾委員
物価高騰対策の地方創生臨時交付金が県に43億円配分されている。
これらの補助金が速やかに物価高騰に苦しむ県民や県内の事業者に隅々まで行きわたるように、十分な広報を行い、それぞれ
の支援策における申請手続きは出来るだけ簡素にして、スピード感を持った対応をお願いする。
Q 中尾委員
4 インバウンド誘客に向けた取り組みについて
和歌山県では、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」をはじめとする豊かな自然や歴史、文化を活かし、国際観光の推進に力
をいれている。主なものは、世界遺産や熊野古道などの歴史・文化体験、温泉やアドベンチャーワールドなどの体験型観光、
サイクリングやトレッキングなどのアウトドアスポーツ、食や酒などのグルメなど、世界に誇る観光資源がたくさんある。
泊まったことはないが、高野山では1泊20万円から30万円のスペシャルスイートの部屋も登場している。県の資源をさらに
ブラッシュアップし世界に発信する必要があると思っている。県におけるインバウンドの現状及び現在実施しているインバウンド
誘客の具体的な施策と今後どのような施策を重点的に取り組んでいくのか。
A 赤坂地域振興部長
観光庁の宿泊旅行統計調査報告によると、2024年の県内の外国人延べ宿泊者数は、これまで過去最高であったコロナ前の
2019年の65万8460人泊を大幅に上回り、79万1980人泊となった。また、旅行形態の全国的な傾向として団体旅行から個人
旅行へシフトしており、和歌山県も同様の傾向にあるものと承知している。
県では10の国、地域を重点市場として誘客に取り組んでいるが、その重点市場全てに観光プロモーターを設置し、現地旅行
会社やメディアへのセールス活動、情報収集、情報発信などを行っている。
また、現地プロモーションとして県職員を派遣し、旅行博覧会や商談会への出展、旅行会社やメディアへのセールスコール
を通じて観光情報を発信するほか、旅行会社やメディア、インフルエンサーなどへのファムトリップの実施、県内観光事業者と
旅行会社との商談会の開催などを行っているところである。
今後は、和歌山県訪問の潜在需要を喚起し、多くの観光客来訪に繋げるため、重点市場におけるメディアなどへの露出拡大を
図っていく。
併せて、インバウンドの宿泊客数だけでなく観光消費額の拡大を図ることが重要であることから、高付加価値旅行者層を
ターゲットとした取組を更に強化していく。
要望 中尾委員
国は、2030年までに訪日外国人旅行者数6000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円の目標を掲げている。宇宙まちづくりの
質問の中で宇宙産業の集積の答弁もあったが、この他にもロケット打ち上げに伴う観光客の増加など、地域経済への波及効果
が期待されている。県として、新たな収益を確保できるように、宇宙産業と観光産業を車の両輪として推進していくことを
よろしくお願いする。
Q 中尾委員
5 振興局の強化について
県では、地域が抱える課題が多様化、複雑化している現状に対応するため、振興局の機能強化に取り組んでいる。昨年、
振興局の業務を強化し、市町村と連携して行う体制強化の一環として「地域振興部」が設置され観光局が移行された。地域の
現場である振興局に予算と権限を与え自ら課題を解決しようとする事業には大賛成である。令和6年度予算の6568万7千円
から令和7年度予算は1億3707万円9千円に増額されているが、事業の概要ならびに主な増額の要因はどのようなものか。
A 赤坂地域振興部長
人口減少や高齢化が深刻化する中、地域の特性に応じた持続可能な地域づくりを推進するため、県では地域振興施策の最前線
を担う振興局の強化に取り組んでいる。
具体的には、振興局が主体となって地域の課題解決を図る独自事業や、市町村、民間団体等が行う地域づくりの取組への支援、
各振興局への地域おこし協力隊配置などにより、地域支援機能を強化しているところ。
また、来年度予算案における増額の主な要因については、地域づくりと繋がりが深い観光振興を一体的に進められるよう、
観光地の魅力アップなどを支援する観光局所管の補助金を本事業に統合し、振興局の予算を拡充したことによるものである。
今後も、それぞれの地域が持つ資源や特性を最大限に活かしながら、振興局が市町村と連携して地域振興に取り組むことで、
個性豊かな活力ある地域づくりを推進していく。
意見 中尾委員
しっかりと振興局が地域の課題解決の中核となり、活力ある地域づくりの推進をお願いする。
●中村委員長
◎休憩宣告
午前11時4分
午後12時57分再開
●中村委員長
◎再開宣告
Q 北山委員
1 全国発信広報事業について
私は、中学までは県内の岩出市で育ち、高校と大学時代を県外で過ごした。高校や大学に入学して、「出身は和歌山県です。」
と自己紹介したときに、「和歌山県ってどこにあるの。」と、そんな反応が返ってきたことを今でも覚えている。しかしながら
今では、若い時に気づかなかった和歌山県の魅力をたくさん感じているところであり、本県の魅力や特色を広く発信し、認知度
を向上させることは、観光振興や地域の活性化にとって重要であると考えている。
まず、県の認知度向上を目的としている「全国発信広報事業」の具体的な内容と実施状況はどうなっているのか。情報誌「和
(なごみ)」の発行部数、主な配布対象、どのような方法で配布しているのか。また、これらの取り組みでどのような反響や
評価が寄せられているのか。
A 北廣知事室長
県では、自主媒体である県総合情報誌「和(なごみ)」の制作をはじめ、BSテレビ局や雑誌などの各種メディア媒体と
タイアップし、和歌山県の認知度向上に努めているところである。
また、「和(なごみ)」は年3回、1回につき1万部を発行しており、主に首都圏や京阪神を中心としたメディア関係者や
各界の著名人などのオピニオンリーダーの方々に送付している。
事業効果であるが、「和(なごみ)」については、バックナンバーを含め、送付先メディアなどから情報発信のための
問い合わせをいただいているところであり、また、BSテレビ局とのタイアップについては、1番組あたり平均約20万人の方に
視聴いただいていると理解しており、本県の魅力発信やブランド力を高めることに貢献できていると考えている。
しかしながら、委員ご指摘のとおり「和歌山県のことをあまり知らない」という声もあり、今後も効果的な情報発信を検討
しながら、引き続き本県の認知度向上に努めていく。
意見 北山委員
和歌山には、素晴らしい自然、美しい景観、魅力的な観光資源が数多くある。 これらをもっと多くの方々に知ってもらう
ために、さらなる認知度向上の取組を強化し、観光振興や地域の活性化へと繋げていただきたい。
Q 北山委員
2 日本語学習環境整備事業について
本県において、外国人労働者をはじめとする在住外国人が円滑に生活し、地域社会と良好な関係を築くためには、日本語学習
の機会が非常に重要であると考える。
まず、本県では無償で日本語教室を実施しているとのことだが、学習者数、教室数、実施場所など具体的な内容はどのように
なっているのか。また、本事業において学習者が最終的に目指す日本語レベルはどの程度に設定されているのか。学習者がどの
ような場面で日本語を使用できることを目標としているのか。さらに、在住外国人の日本語能力には個人差があると思うが、
それに対する方策はどのようなものか。
人口減少に伴い、外国人労働者の増加が見込まれる中で、日本語教育の充実をどのように進めていく予定なのか。教室の増設
や学習環境のさらなる整備についての方針はどのようなものか。
A 前企画部長
日本語学習環境整備事業は、今年度から開始した事業であり、現在和歌山市内で対面の教室を3教室、県内全域から参加
可能なオンライン教室を5教室、企業内日本語教室を1教室実施しており、2024年12月末時点の学習者数は97名である。
本事業で目指している日本語のレベルは、2022年に国において取りまとめられた「地域における日本語教育の在り方につ
いて」で目指すべき日本語レベルとされた「B1」としている。「B1」は、仕事、学校、娯楽で普段出合うような身近な話題
について、主要点を理解できるレベルとされており、具体的には、けがをして、病院で診察を受けているときに、医者に受傷
時の状況や痛みの状態などについて説明する場面や、生活情報パンフレットなどの、ある程度長い文章を読んで、ごみの分け方、
出し方や粗大ごみの処分方法など、ごみ出しに必要な情報を調べる場面で日本語を使用したり、理解したりできることを目標
としている。
委員ご指摘のとおり、在住外国人の日本語レベルは様々であるため、「入門」、「初級」、「中級」のレベル別教室編成を
行っている。具体的には、「入門」はひらがなカタカナが読めて簡単なあいさつや会話ができる人、「初級」は短い基本的な
日常会話ができる人、「中級」はまとまりのある話ができ、文章を理解できる人を対象にしている。このようにレベルを分け
て段階的に日本語能力の向上を図っているところ。
今後も人口減少に伴い、外国人労働者の増加が見込まれることから、教室数の増加や一層の広報を図ることなどにより、
引き続き、日本語を学びたい全ての県内在住外国人が日本語を学ぶことができるよう努めていく。
要望 北山委員
外国から来る方にとって、言葉が通じないことは大きな不安要素となる。しかし、日本語が使えるようになれば、意思疎通
がスムーズになり、円滑なコミュニケーションが可能となる。
本県では、今後の人口減少に伴い、人材不足が深刻化し、外国人労働者の増加が予想される。そのような状況となれば、
日本語教室の需要も高まり、教室数や実施場所の拡充が必要となる。状況に応じて適切に対応をしていただくようお願いする。
Q 北山委員
3 eスポーツわかやま推進プロジェクト事業について
eスポーツは「エレクトロニック・スポーツ」の略称であり、ここ数年耳にすることも増えてきており、皆さんもeスポーツ
については既に承知のことと思う。
eスポーツにおいては2027年にIOCが主催する大会が開催される予定となっているなど、世界的にも認知されるものとなって
いる。日本国内においても全国都道府県対抗eスポーツ選手権が2019年にスタートするなど、国内でも様々なeスポーツの大会
が開催されるようになってきている。
そのような流れの中、本県でも今年度よりeスポーツの推進に取り組んでいるところであるが、来年度の重点施策によると、
「eスポーツわかやま推進プロジェクト」として、eスポーツの推進を目的として、高校生によるeスポーツの取組を支援する
とともに、eスポーツを普及させるためのイベントを開催するとされている。
これからeスポーツを普及させていくことを考えると、今後、高校生に限らず、小中学生を含めた幅広い世代を対象に取り
組んでいくことが有効ではないかと思う。
eスポーツわかやま推進プロジェクト事業の今年度実施した取組内容と、来年度はどのようにして取組を広げていくのか教えて
ほしい。
A 赤坂地域振興部長
eスポーツを推進するにあたり、今年度、まずはeスポーツ人口を拡大するため、県立高等学校の部活動におけるeスポーツの
取組を支援した。具体的には、県立高等学校5校をモデル校として選定し、企業版ふるさと納税を活用して、ゲーミングパソコン等
の機材の設置、専用インターネット回線の整備及び外部コーチによる指導を行ったところ。
また、2月を「和歌山eスポーツ月間」として、高校生を対象としたeスポーツ選手権や県内企業等による交流戦、eスポーツの
社会的意義や地域活性化への活用方法について理解を深めるフォーラムなど、四つのイベントを開催。
来年度においては、新たに、こどもから高齢者まで幅広い世代がeスポーツに親しむことのできるイベントを開催し、さらに多く
の方々にeスポーツの楽しさや効果を実感していただきたいと考えている。
今後も、eスポーツの推進により、創造性豊かな若者を中心とした新たな文化を形成し、多様な人々の交流を促すことで、地域の
活性化を図っていく。
要望 北山委員
プロスポーツを目指す人は幼い頃から努力を積み重ねており、それはeスポーツも同じ。だからこそ、小中学生を含む幅広い世代
への支援が必要である。
他県に遅れをとらないよう、よろしくお願いする。
Q 北山委員
4 病児保育充実事業について
病児保育は、共働き世帯の増加や核家族化の進行に伴い、その必要性がますます高まっている。特に、保護者が急な発熱や感染症
などで登園・登校が難しいこどもを預けられる病児保育施設は、働く世帯にとって重要な支援制度の一つである。しかしながら、
現状では病児保育施設の数が充分と言えず、地域によっては利用が困難な状況にある。
また、ICTシステムの導入により予約の利便性を向上させる取組が進められているが、根本的な課題である「施設数の不足」に
ついても積極的な対策が求められている。病児保育を本当に利用しやすくするためには、より多くの施設が地域に分散して存在する
ことが最も効果的ではないか。施設数の増加、数が増えることが利用者にとって一番の利便性向上になるのではないかと考えている。
病児保育の充実は、子育て世帯の支援だけでなく、地域全体の働き方改革や少子化対策にも繋がる重要な施策である。県として
どのように病児保育施設を増やしていくつもりなのか。
A 島本共生社会推進部長
実施施設が少ない背景には、病児保育の利用者が少なく、経営が安定しないという課題があると考えている。
利用者を増やす1つの方策として、居住市町村以外の病児保育施設を利用できるよう広域化を進めることが有効であると考えて
いる。
これにより各施設の利用者が増加し、収入が増えて経営の安定化に繋がることで病院等の新規参入のハードルが下がり、新たに
病児保育を実施する施設も増えることが期待できる。
今後、県内市町村や病児保育施設に広域化のメリットや事務手続きなどを丁寧に説明するとともに「わかやま病児保育シンポ
ジウム」を開催し、県全体で病児保育を進める気運の醸成などに取り組みたいと考えている。
Q 北山委員
5 社会課題解決型企業創出支援事業について
社会課題解決型企業創出支援事業は地域が抱える課題を解決することを目的とした企業の創出を支援するための取組として位置
づけられていると認識している。その前提のもと、改めてこの事業を実施する目的や、行政がこの事業を推進する意義について
聞きたい。
次に、「社会課題の解決を目指す企業」とは具体的にどのような企業を指すのか。社会課題といっても様々な課題が考えらるが、
この事業ではどのような分野や事業内容の企業が対象となるのか。
また、社会課題の解決に取り組むことは本来、行政の仕事、役割ではないかと考えるが、この事業は行政自身が直接こうした
課題に対応するのではなく、企業の創出を支援する事業としている。この事業において、行政はどのような役割を担い、どのような
形で企業の創出・支援に関与していくのか。具体的に、行政がどのようなサポートを提供し、企業と連携を図るのか。
さらに、こうした企業が持続的に成長し、地域に根付いていくためには、行政だけでなく、地域社会や既存企業などとの連携も
重要になると考える。この事業において、行政は企業とどのように連携し、また、他の関係機関とどのような協力体制を構築して
いくのか。
A 大川商工労働部長
本事業を実施する目的は、人口減少や少子高齢化などの社会課題から生じる地域の課題が増える中、ビジネスの手法を用いて
持続的に課題を解決することで、新たな事業活動や企業を創出していくことにある。
「社会課題の解決を目指す企業」は、例えば、事業活動を行う中で買物難民や地域交通の維持、廃棄物のリサイクル、子育て
しやすい環境の充実といった課題解決に取り組み、社会的な貢献を果たす企業を想定している。
「社会課題の解決に取り組むのは行政の仕事、役割ではないか」という指摘については、本事業では、まず、都市部の創業支援
施設などにおいて、革新的な技術を有するスタートアップやベンチャー企業に、市町村が解決したい課題を提示する。そして、
魅力的な実証フィールドやデータを併せて紹介することで、マッチングや事業化を進めていく。このように、民間が有するリソース
やノウハウを活用することで、行政の取組が一層加速するものと考えている。
本事業においては、こうした社会課題解決型企業が継続的に活動し、成長できるよう、県内事業者との連携はもちろんのこと、
商工会、商工会議所、金融機関、わかやま産業振興財団といった支援機関や和歌山イノベーションベースをはじめとする創業者支援
団体と協力体制を構築し、交流や共創につながる機会の提供や伴走支援など様々な取組を行ってまいりたい。
要望 北山委員
マッチングの進展状況なども含め、事業に進捗があれば随時教えてほしい。
Q 北山委員
6 農林水産分野における温暖化対策の基礎研究について
近年、地球温暖化の進行により、農林水産業への影響が深刻化している。特に高温や異常気象による農作物の品質低下、収量減少、
病害虫の発生増加、さらに水産業においても漁場環境の変化など、多方面にわたる課題が発生しており、これらへの対応が喫緊の
課題となっている。
これまで和歌山県では温暖化対策としてどのように研究を実施してきたのか。特に農作物に関する研究についてはどうか。
また、近年の温暖化の進行に加えて、温暖化の影響は長期的に続くと考えられるため、持続的な対策が必要となる。今後、
どのような視点を持って温暖化対策の研究を進めていくのか。特に今後の研究の方向性について、どのように考えているのか。
さらに、これまでの研究成果を踏まえたうえで、今後新たに取り組むべき課題はどのようなものがあると認識しているのか。
令和7年度予算では温暖化対策のために新たな研究を進めると聞いているが、それぞれの課題の具体的な内容と品種改良などに
向けた取り組みは。
最後に、これらの研究成果をどのように県内の農業者や水産業関係者に還元し、現場での実践につなげていくのか。
A 立石農林水産部長
温暖化対策については、これまでも基礎研究の中で実施してきたが、ももの果肉障害対策や温州みかんの黒点病対策といった
早期に解決しなければならない課題は、競争力アップ技術開発事業で取り組んできた。
近年は、議員ご指摘のとおり温暖化の影響が拡大しており、基礎研究を充実させて長期的かつ確実に温暖化対策につながる
研究を進めていく必要がある。
これらを踏まえて、来年度予算では喫緊に取り組む必要がある4つの課題について、試験研究普及調整事業2359万8千円の
内数として、306万7千円を計上している。
具体的には、農業試験場では夏場の高温によるいちごの収量低下への対策、果樹試験場では将来に向けたアボカド等の新品目
の調査、うめ研究所では冬場の高温によるうめの着果不良への対策、水産試験場では高水温や食害により藻場が衰退する磯焼け
への対策に取り組む予定である。
また、温暖化に対応した品種の育成や探索についても、温州みかんやスターチス、実えんどう等で継続して取り組んでいく。
今後とも、温暖化に対応するための実用技術の開発を進めるとともに、現場での実用が可能な場合は、地域のJAや生産者団体
と連携し、モデル園等の設置により産地での実装を図っていく。
意見 北山委員
他の研究機関との情報交換を行い、取組なども参考にしながら、引き続き研究を推進し、実効性ある温暖化対策の実現に
努めていただきたい。
Q 北山委員
7 生徒指導担当教師について
文部科学省は2025年度から、不登校やいじめの対応を専門とする「生徒指導担当教師」を公立中学校に配置する方針を示し、
2028年度までの4年間で段階的に拡充を進める予定である。2025年度の政府予算案には1000名分の配置が盛り込まれていると
報道されており、この施策は不登校やいじめ問題への対応を強化し、生徒が安心して学校生活を送ることができる環境を整備する
ための重要な取り組みと考えられる。
そこで、2025年度の和歌山県における生徒指導担当教師の配置予定数についての具体的な見通しは。また、全国的に配置が
予定されている中、配置数の決定にあたり、どのような基準が設定されているのか。例えば、不登校児童生徒の人数、いじめの
発生件数、学校の規模や地域の実情などが考慮されるのか。
さらに、2028年度までの4年間で、本県に配置される生徒指導担当教師の総数は。また、現在の本県における不登校やいじめ
対応の体制と比べ、新たに配置される生徒指導担当教師によってどのような強化が期待されるのか。
最後に生徒指導担当教師の具体的な職務内容や役割について、文部科学省の方針や本県独自の考えはいかがなものか。
A 宮﨑教育長
「生徒指導担当教師」については、2024年度において18学級規模以上の全ての中学校7校に対し、すでに配置している。
今回の国の配置基準では、原則12学級から17学級規模の中学校が追加され、2025年度においては、本県に10人が配置される
予定である。2024年度時点における対象中学校数は19校であり、今後4年間でその全てに配置したいと考えている。
「生徒指導担当教師」の実際の配置については、学校の実情等を踏まえ、適切に実施していく。
「生徒指導担当教師」は、不登校やいじめ等を専任するもので、担任よりも俯瞰的に問題を捉えることが可能である。例えば、
心理の専門家であるスクールカウンセラーや福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーとの協働を図ることで、多面的な
生徒支援につなげていく。
また、福祉担当課や警察等の外部機関との連携においては、「生徒指導担当教師」が情報等を一元的に管理し、教職員の
的確な対応が期待」できると考えている。
Q 鈴木(德)委員
1 能登半島地震の検証について
(1)避難所の運営等のあり方について
令和6年1月に能登半島地震が発災してから、私はこれまで令和6年2月議会や9月議会の一般質問において、能登半島地震を
踏まえた和歌山県の防災・減災対策について質問を行ってきた。
その中で、やはり気になるのは、避難所の環境改善も含めた運営の在り方である。石川県では、今回の地震で直接死228名、
災害関連死280名と、死者数の合計が500名を超えるとともに、災害関連死が直接死を上回り、今後も増える見込みと聞いている。
災害関連死の原因がすべて避難所の環境や運営体制というわけではないと思うが、改めて避難所の大切さを実感する。重要なのは
早期に避難所を立ち上げるとともに、いい環境で過ごすために必要なベッドやパーティション、トイレ、食料などを確保することで、
その際、新たな物資を確保する方法もあれば、既存のものを活用する方法もあるかと思う。
例えばトイレの場合、今年度、県をはじめ複数の自治体がトイレカーを導入するとのことで、大変良い取り組みだと思うが、
トイレカーで全部を対応することはできず、仮設トイレとともに道路状況によっては運べないことも想定されるので、携帯トイレや
簡易トイレの常備など複数の方策が必要である。また、既存のトイレの活用方策として、災害時には、合併浄化槽の上にマンホール
トイレを設置し、そこから直接用を足す方法もあるのではないかと思う。各地域において、どういったやり方が自分たちの地域に
あっているのか、事前の決めておくことが重要だと思う。
さて、以前にも申し上げたが、台湾の花蓮県の避難所では、地震の発生から数時間で設営が完了しており、その後1時間で市や
各支援団体を結ぶLINEグループが立ち上がり、必要な物資の情報交換が始まる。2時間後にはテントを設置、3時間後には被災者を
受け入れ、4時間後には設備がほぼ完了するとのことである。また、2次避難の対応も早く、台湾の花蓮市内の避難所は地震発生から
4日で閉鎖されている。
一方の能登半島地震では、避難者の多くが高齢者であり、ホテルなどの2次避難所に入るまで一時的に避難者を受け入れる1.5 次
避難所には、支援や介護が必要な高齢者が多くいたため、2次避難所への移動がなかなか進まなかったと聞いている。
和歌山県でも、能登半島と同様に高齢化が進んでおり、同じような状況になることや、半島という地理的条件も類似している
ことから、主要道路が寸断されれば、いくら国からプッシュ型で救援物資の支援があっても、すぐには避難所に届かない可能性が
高いことは容易に想像できる。よく言われているとおり、自助、共助、公助の役割分担を事前に決めておくことが重要だが、
具体的に避難所の環境改善に資する物資や資機材の充実や、支援や介護が必要な被災者の速やかな2次避難に向けた対応について、
県と市町村の役割分担を含め、どのように取り組んでいくのか。
A 河野危機管理部長
委員指摘のとおり、災害関連死を防ぐという観点から、避難所の環境改善は重要と考えており、スフィア基準を目標として、
衛生的なトイレ、温かい食事の提供、ベッドなどの居住環境の整備を進めることとしている。
具体的には、トイレカーや既設トイレ等の活用、簡易トイレの備蓄などによる衛生的なトイレの確保、温かく栄養バランスに
配慮した食事の提供体制の構築、体育館等の冷暖房設備の整備や水循環型シャワー設備の備蓄など、県と市町村が連携して充実を
図っていく。
次に、委員ご発言の能登半島地震にて2次避難所への避難が円滑に進まなかったことの要因としては、福祉避難所が被災し、
その代替施設を確保できなかったことや移動に関する支援体制がとれなかったことなどが考えられる。
これらの解決に向けて、市町村において2次避難所のさらなる確保や被災者の移動手段の確保が必要となるが、福祉避難所が
被災した場合など、市町村圏域を越える避難が必要となった際の受入や移動に係る調整等については県が行うべきと考えており、
支援を要する方がより良い環境へ速やかに避難できるよう、市町村とともに検討していく。
今後も引き続き、被災された方々の目線に立って、避難所等の環境改善や、円滑な2次避難に向けた取組を進めていく。
Q 鈴木(德)委員
(2) 災害時の市町村のサポート体制について
今回の能登半島地震でもそうだが、被災地の市町村では、もともと職員数が多いとは言えない状況にあって、職員自身も被災
するため一層職員不足が深刻化する。甚大な被害を前に、被害情報の収集、救助活動、避難所運営と支援物資の提供など、職員
に対して明らかに膨大な災害対応業務を着実に進めていかなければならないが、このようなマンパワー不足を補うためには、県
の積極的な支援が必要不可欠である。
令和7年1月10日の毎日新聞によると、「避難所 市町村任せ」というタイトルで能登半島地震で被災した市町の職員の声を
紹介している。そこには「県には避難所の運営など、様々な業務で支援を依頼したが、何度も(それは市町村の仕事です)と
言われた。」とか「県はいちいち市町に電話して救援物資の不足を確認するのではなく、被災地の要請を待たずに送るプッシュ型
で対応してほしかった。」などの声があった。
本県ではそのようなことないと思っているが、南海トラフ地震のような大規模災害が発生した場合、市町村のみでは対応でき
ないことが想定され、即座に応援職員を派遣する必要がある。ただし、派遣する応援職員は、だれでもいいというわけではなく、
市町村と調整して動くことができる人、つまり、現場で市町村からの指示を待つのではなく、災害状況に応じて臨機応変に対応
できる、災害対応をマネジメントできる職員が求められている。
そういった意味では、危機管理部職員は災害対策本部で従事する必要があること等を考えると、平時から県職員の災害対応
能力を向上することが必要であり、特に、市町村の災害対応をしっかりとマネジメントできる職員の育成、確保に向けた取組が
必要であると考える。
そこで、災害時における市町村への応援職員の派遣体制は、どのようになっているのか。また、市町村職員が「県職員が応援
に来てくれて本当に助かった」と思ってもらえるように、応援職員の災害対応の能力の向上に向けどのような取組を行っていく
のか。
A 河野危機管理部長
委員指摘のとおり、南海トラフ地震などの大規模災害が発生した場合、人員不足が生じるなど、被災市町村が機能不全により
災害応急対策の実施が困難になることが想定される。
従来から県では、市町村災害対策本部での情報収集や避難所運営などを支援する「災害時緊急支援要員」をはじめ、災害廃棄
物処理を支援する「災害廃棄物処理支援要員」、住家被害認定業務を支援する「住家被害認定士リーダー」を制度化し、被災
市町村の支援を行う体制を整備しているところ。
しかしながら、能登半島地震への応援派遣の中で、大規模災害の発生当初は、災害対応のノウハウを有する県職員を派遣し、
市町村災害対策本部等の機能維持への支援が重要であるとあらためて認識したところ。
災害発生時にいち早く被災自治体の支援に入る県職員については、国が実施する災害マネジメント総括支援員研修等を活用
することで、被害状況の把握や災害対応業務の進行管理、適正な人員配置の調整など、市町村にしっかりと助言できるよう
育成していく。
あわせて、平時から職員一人ひとりが、災害時に何をすべきかを考え実践できるよう、災害対応研修や訓練等を通じて、
県庁全体の災害対応力を強化していく。
意見 鈴木(德)委員
毎日新聞の記事では、大規模災害が発生し災害救助法が適用された場合、避難所の運営や物資供給、救助活動の実施主体は
都道府県となるが、その一部を市町村に事務委任できるため、実際の運営は市町村となっていることが問題であるとしている。
また、国の意見として県が後方支援をするという姿勢が課題であるという意見がある。
今回の能登半島地震検証の報告書もよくできているが、県は支援に回るという立場が見えている。もう少し踏み込んだ対応
をお願いしたい。
研修を重ねていくということだったが、例えば避難所運営にあたっては、中学校単位で避難所を開設することになるかと
思うが、県職員が実際に避難所担当者や責任者の立場になったつもりで検証をみてもらったら色々なところが見えてくると
思う。県の職員が自分の仕事をしながら地域の担当になったつもりで考えていただく、そういう取り組みもお願いしたい。
Q 鈴木(德)委員
2 難病患者の就労について
(1)県職員採用試験における難病患者枠について
先月のNHKの報道で、今年度から山梨県では難病患者の就労を促進するため、障害者枠ではなく、難病患者を対象とした
職員の採用枠を全国で初めて設けたことが取り上げられていた。山梨県の取組のきっかけは、昨年9月の県議会定例会での
一般質問であった。 その内容は、「国では、従来から一億総活躍社会、また、地域共生社会を目指しており、難病の方々を
含め、すべての国民が活躍できる環境づくりが望まれ、社会福祉サービスの充実とともに、持てる力を発揮するための就労
支援が必要。治療や働き方の工夫により、仕事で活躍できる範囲が広がってきている」として、山梨県の職員採用も含め
難病患者の就労支援についての質問であった。この質問に対し知事は、難病患者を対象に県職員としての採用枠を設ける検討
を始めることを明らかにし、わずか4か月で障害者とは別枠での難病患者の募集内容が公表された。
ここで注目すべき点は、障害者枠とは別に「難病患者枠」を設けたことと、受験資格を「障害者総合支援法の対象となる
疾病の診断を受けているもの」としたことである。これにより、障害者手帳を持たない難病患者にも就労の機会が広がる。
障害者の法定雇用率の達成度合いばかりが注目される中、この取り組みが真の共生社会の実現に向けた重要な一歩ではない
かと思う。
令和2年6月定例会での私の一般質問で、難病患者の方が働けるよう県庁内の業務で適応できる職種がないか検討して
もらい、難病患者の雇用機会の増大に繋げてほしいとお願いしたが、和歌山県でも難病患者を対象とした職員採用枠を
導入することはできないのか。
A 知事
県では、難病患者のみを対象とした試験は現在行っていないが、難病患者で障害者手帳を取得している方は、毎年実施
している障害者枠の採用試験を受験することが可能である。
また、職員として採用後は、障害や病気のある方であっても安心して働くことができるよう、試験区分に関わらず、
配慮が必要な職員に対してはできる限り、必要な配慮を行っている。
言うまでもなく、民間の事業主に対して率先垂範する立場から、障害者雇用に前向きに取り組むことが重要であると
考えている。
そのため、県職員が障害のある方と一緒に働く経験をもち、障害者雇用に関する理解を深めることを目的に、難病患者
も含む障害のある方を対象とした県庁インターンシップ制度を毎年実施している。
そのことを申し上げた上で、難病患者のみを対象とした採用枠を設けることについては、県庁が今、大目標としている
DEIの観点から大変望ましいことだと考えている。
その一方、県庁で働く障害者枠の職員が本当に生きがいや、やりがいをもって働けているのか、県庁がウェルビーイング
な職場環境なのかということについて、もう一度点検をしてみたいと考えている。
この2年間、おにぎりミーティング等で職員に話を聞く中で、必ずしも障害者枠で採用された職員が、十二分に能力を
発揮できるような職場環境ではないということも聞いており、来年度、庁内にワーキングチームを作り、障害者枠で採用
された職員が本当に生きがいを持ち、ウェルビーイングな働き方ができるようにしたい。そこを第一歩とし、また、それ
に並行して、委員ご質問の難病患者のみを対象とした試験枠について前向きに考えていく。
要望 鈴木(德)委員
職場環境を整えてからでないとなかなか受け入れられないという考え方もあるが、職場環境だけでなく、テレワーク等
も考慮し対応をお願いしたい。
Q 鈴木(德)委員
3 旧田辺市内の河川整備について
(1)河川の浚渫について
令和元年台風19号による河川氾濫等の大規模な浸水被害等が相次ぐ中、被災後の復旧費用を考慮しても、維持管理の
ための河川等の浚渫が重要とされ、地方公共団体が単独事業として緊急的に河川等の浚渫を実施できるよう、新たに
「緊急浚渫推進事業債」を地方財政計画に計上するとともに、その経費について地方債の発行を可能とするための特例
措置が創設された。このことによって、河川の維持管理に弾みがついたことと思うが、「緊急浚渫推進事業債」の活用
状況と今後の見通しは。
A 福本県土整備部長
県管理河川の緊急浚渫推進事業債の活用状況については、これまでに138河川、うち旧田辺市内では左会津川など
5河川で活用しており、地域の安全安心に繋がる大変重要な事業と認識しているところである。
しかしながら、本事業債は2020年度から2024年度までの時限的な措置であり、今年度が最終年度であることから、
次年度以降も継続してもらえるよう、国に対し要望してきたところである。
こうした本県からの声に加え、全国からも多くの声が寄せられたことを受け、昨年12月には本事業債の対象期間を
5年間延長する方針が示され、現在、関連法案が国会で審議中と承知しているところである。
本県としては、本事業債が延長された場合には、引き続き積極的に活用して堆積土砂の撤去を進めるなど、今後とも
河川の適切な維持管理に努めていく。
Q 鈴木(德)委員
(2)河川整備計画策定河川の進捗状況および河川整備計画の今後の見直しについて
旧田辺市内における左会津川水系や芳養川水系のように以前からの河川整備計画策定河川の進捗状況と今後の計画
変更についてはどのようなものか。
A 福本県土整備部長
まず左会津川水系における河川整備については、2003年に策定した河川整備計画に基づき下流より順次整備を進めて
おり、これまでに旧会津橋から高雄大橋までの約1キロメートルの整備が完了している。
現在、左会津川では国道42号田辺バイパス付近において両岸の築堤工事を、支川の右会津川では右岸の築堤工事を
進めているところである。
次に、芳養川水系における河川整備については、2014年に策定した河川整備計画に基づき下流より順次整備を進めて
おり、これまでに脇田橋から古井橋までの約1.3キロメートルの整備が完了している。
現在、古井橋上流において、大井頭首工の改築工事及び堂前橋の架け替え工事を進めており、加えて、護岸工事の発注
手続きを進めているところである。
また、河川整備計画の変更については、完成の目途が立ってきた左会津川水系について、計画区間内の残る河川改修が
完了後、切れ目なく整備を進めていけるよう、上流に延伸する方向で検討しているところである。
これらの河川については、今後とも、補正予算等も含め、様々な機会を通じて予算の確保に努め、早期完成に向けて
事業を進めていく。
Q 鈴木(德)委員
4 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」について
(1)世界遺産の追加登録について
「紀伊山地の霊場と参詣道」は、和歌山県・奈良県・三重県にまたがる3つの霊場(吉野・大峯、熊野三山、高野山)
と参詣道(熊野参詣道、大峯奥駈道、高野参詣道)を登録対象とする世界遺産で、2004年7月7日に文化遺産として
登録され、2016 年10月24日には登録範囲の「軽微な変更」がなされている。本世界遺産は、古代よりこれらの霊場と
それを結ぶ参詣道及び周辺の森林における自然と人間の営みが長い時間をかけて形成した「文化的景観」が評価され、
日本においては初めて「道」の遺産として登録された。
中でも、登録基準の具体例の一つでもある、紀伊山地の文化的景観を形成する記念工作物群と遺跡は、神道と仏教の
たぐいまれな融合によって、東アジアにおける宗教文化の交流と発展を例証し、海外からも含め多くの方が訪問するなど、
高い評価を受けている。
昨年11月23日には、県教育委員会による「紀伊路の歴史的価値とその魅力」といった学術講演会も開催され、未登録
の熊野参詣道の追加登録に向けて、気運の醸成を図っているように感じる。
本県には、世界遺産には登録されていないが、まだまだ世界遺産にふさわしい価値のある資産があると思う。今後
それらの地域の追加登録についてタイムスケジュールや範囲をどのように考えていくのか。
A 宮﨑教育長
紀伊半島の西岸を通る、いわゆる「紀伊路」は、まだ世界遺産に登録されていないものの、熊野参詣道の一部を構成
するものであり、そこに残る参詣道や王子跡は、既に登録されているものと同等の価値があると考えている。
熊野参詣道の「中辺路」や「大辺路」、高野参詣道においても、まだ登録されていない資産が残っており、道として
の連続性を高めていくことが重要と考えている。
世界遺産に登録されるためには、文化財保護法などの国の法律による保護措置が施されている必要があることから、
県としては、市町の意見を聞きながら、追加候補地を選定し、候補地の国史跡への追加指定に引き続き取り組んでいく。
世界遺産の追加登録に当たっては、奈良県及び三重県と協調して進める必要がある。三県で協議してスケジュールを
定め、関係市町とも情報を共有し、追加登録に向けた機運醸成にも取り組んでいく。
Q 鈴木(德)委員
(2)世界遺産の価値を発信し後世に継承するための取り組みについて
世界遺産登録以降、熊野古道は歩くといった体験型の世界遺産であることもあり、コロナ禍を除くと、国内外から
継続的に観光客が訪れている。特に多くの外国人が訪れ、熊野古道とサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼道の共通
巡礼達成者は、10年間(令和6年12月末時点)で、世界70か国8923人にも上っている。今後は、世界遺産の本質的な
価値をより一層PRし、地域の文化を理解していただけるような観光客に来ていただく取組が重要だと思う。この10年で
世の中はずいぶんと変わってしまった。ロシアによるウクライナ侵攻があり、イスラエル、ガザ地区では紛争が勃発し
ている。
今こそ世界遺産の真価が問われているのではないだろうか。
世界遺産は何のためにあるのか。それは「世界平和のため」だといわれている。ユネスコ憲章にもあるように「戦争
は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を作らなければならない。」世界の諸人民の教育、科学、
文化上の関係(相互理解)を通じて国際平和と人類の共通の福祉という目的を促進するためにある。とされている。
「紀伊山地の霊場と参詣道」はまさにそれを象徴する世界遺産だと思う。このような人類にとってかけがえのない共通
の財産である世界遺産の価値を発信し、後世に継承するための取組が必要であると思うがどうか。
A 岸本知事
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」は、熊野三山や高野山などの霊場とそれらを結ぶ参詣道及び周辺の文化的な
景観が評価され世界遺産登録されたものである。 その中でも、日本古来の自然崇拝と仏教が融合して形成された、
いわゆる神仏習合に象徴される寛容の精神は、鈴木委員ご指摘のとおり、ユネスコが目指す平和理念にも通じるもので
あると私も考えている。今後とも、本県の持つ豊かな精神性を含めた世界遺産の価値を国内外に発信し、多くの方々に
来てもらい、地域の文化をご理解いただけるよう努力していく。
従って、物理的に環境保全をしていくのはもちろんのことであるが、例えば語り部のようなガイドを養成していくこと、
あるいは次世代を担うこども向けの教育プログラムを充実させることにより、私達が持っている世界遺産をより良好な
状態で後世に引き継いでいくよう努力していく。
意見 鈴木(德)委員
紀伊半島には、大台ヶ原を中心とする世界エコパークがあって、これから世界ジオパークの認定を控えている。この
世界遺産とあわせると、全世界をみて類のない世界平和の聖地として今後とも認められていくのではないかと思う。知事
には紀伊半島の三県の中でリーダーシップを発揮し、世界に向けてより一層紀伊半島の魅力を発信してほしい。
今回、私は、災害の関係と観光の話を質問したが、縦割りの行政をどうやって横断的に網羅していくかの話の中で、
例えば災害では、トレーラーハウスを何十台かストックしておくとか、仮設住宅をどうやって事前に整備していくか、
などが言われている。田辺のツーリズムビューローでは、収容のキャパがなく、これ以上受け入れられないと聞いている。
普段はそういったトレーラーハウスを中心としたゲストハウスを誰かに運営してもらって、災害時にはそれを仮設住宅と
して使う。その使い方もPFIなどを活用していく。全国で1000件ほどあるが、和歌山にはまだ1件しか事例はない。その
ような資源、資金を使って、早めに整備し、観光需要にも耐えられ、災害対策にも対応できるようになったら良いと思う。
●中村委員長
◎散会宣告
午後2時9分散会