令和6年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
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令和6年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号
議事日程 第4号
令和6年12月12日(木曜日)
午前10時開議
第1 議案第148号から議案第188号まで及び報第4号(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第148号から議案第188号まで及び報第4号(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(41人)
1番 三栖拓也
2番 高田英亮
3番 秋月史成
4番 佐藤武治
5番 藤山将材
6番 森 礼子
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
9番 上山寿示
10番 鈴木德久
11番 玄素彰人
12番 濱口太史
13番 鈴木太雄
15番 吉井和視
16番 山家敏宏
17番 北山慎一
18番 岩田弘彦
19番 中本浩精
20番 中村裕一
21番 谷 洋一
22番 坂本佳隆
23番 川畑哲哉
24番 堀 龍雄
25番 谷口和樹
26番 新島 雄
27番 山下直也
28番 小川浩樹
29番 中尾友紀
30番 岩井弘次
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 山田正彦
34番 坂本 登
35番 小西政宏
36番 浦平美博
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 尾﨑太郎
42番 長坂隆司
欠席議員(1人)
14番 冨安民浩
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説明のため出席した者
知事 岸本周平
副知事 下 宏
理事 田嶋久嗣
知事室長 北廣理人
総務部長 友井泰範
危機管理部長 河野眞也
企画部長 前 昌治
地域振興部長 赤坂武彦
環境生活部長 山本祥生
共生社会推進部長 島本由美
福祉保健部長 今西宏行
商工労働部長 大川伸也
農林水産部長 立石 修
県土整備部長 福本仁志
会計管理者 高橋博之
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員長 竹山早穗
警察本部長 野本靖之
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 森田康友
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 林 伸幸
次長(秘書広報室長事務取扱)
橋爪正樹
議事課長 岩井紀生
議事課副課長 田中 匠
議事課議事班長 伊賀顕正
議事課副主査 川崎競平
議事課副主査 西 智生
議事課副主査 林 貞男
総務課長 榊 建二
政策調査課長 岩谷隆哉
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午前10時0分開議
○議長(鈴木太雄君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第148号から議案第188号まで及び報第4号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
42番長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
一つ目に、価格転嫁についてであります。
令和7年の春闘交渉に向け、連合が中小企業の賃上げ目標について6%以上とする方針を示しました。大企業を含めた全体では、今年と同水準となる5%以上に据え置くとしています。中小企業の賃上げ目標を全体より1ポイント高く設定する方針を示したのは、大企業との賃金格差が広がっているからです。
連合傘下労組は、6年春闘で33年ぶりとなる平均5.10%という高水準の賃上げを達成しましたが、組合員300人未満の中小労組に限ると、賃上げ率は4.45%にとどまり、目標を下回りました。是正していくためには、生産性向上など、中小企業自らが業績改善に努めると同時に、原材料費、エネルギー費、そして労務費などで上昇した中小企業のコストを取引価格に適正に転嫁することが欠かせません。中小企業庁が今年3月末までの半年間の取引状況を調査したところ、19.8%が全く転嫁できていませんでした。
大企業の経営者は、自社にとどまらず、中小企業が持続的に賃上げできるよう目配りをしていただきたいし、政府も取引状況の監視をさらに強めることが求められます。価格転嫁を促す下請法の早期改正も必要になるでしょう。物価上昇を上回る賃上げを継続できなければ、自律的な経済成長は期待できません。デフレ脱却には、雇用の7割を占める中小企業が賃上げを継続できる環境が欠かせません。
産業別労働組合のUAゼンセンは、製造産業部門に所属する全ての組合を対象に、実施期間12月中旬から翌1月中旬に第3回価格転嫁の状況等に関する調査を行い、173組合──2024年1月18日現在──に回答をもらっています。各種コスト上昇が続いており、価格転嫁は「不十分」との回答が多く、価格転嫁は進展はしているが、相次ぐコストの上昇に交渉が追いついていないことが想定されます。価格転嫁できた場合は、原材料費が84%、水道光熱費(エネルギーコスト)が83%、価格転嫁できているのに対し、人件費(労務費)の割合は64%と低いです。労務費(人件費)の価格転嫁は、他の要素と比較すると障壁が高く、45%が「20%未満」、36%が「価格転嫁できていない」と回答しています。
労務費(人件費)の価格転嫁が進まない理由については、「業界内あるいは自社に労務費の上昇分は企業努力で吸収すべきという考えが定着している」との回答が全体の半分を占めています。継続した賃上げの実現には、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針──2023年11月公表──の周知徹底に努め、労務費の上昇分は企業努力で吸収すべきという固定概念からの脱却が必要です。あわせて、賃上げ促進税制等の助成金制度は、「知っているが活用していない」、「活用できない」という回答が多く、周知徹底を図るとともに、申請の煩雑さ、活用できる企業の対象範囲が狭いなどといった活用しにくい現場の声を解消していくことが必要です。
また、帝国データバンクが価格転嫁に関する実態調査─価格転嫁の状況分析を2024年2月・7月比較で行っています。帝国データバンクが2024年8月28日に発表した最近の価格転嫁率の平均は44.9%と、前回2月に実施した調査から4.3ポイント上昇しました。一方で、全く価格転嫁ができないと回答した企業が1割を超えるなど、企業が価格転嫁を進めることは依然として厳しい様子がうかがえました。
そこで、2024年2月及び7月調査に連続で価格転嫁の割合を回答した企業7675社を対象に、価格転嫁状況の変化について分析しました。2月の価格転嫁状況と7月の同状況を比較すると、価格転嫁率が拡大した企業は32.4%にとどまり、縮小した企業は20.8%でした。また、変化がなかった横ばい企業は、46.7%と半数近くを占めました。拡大した企業の中では、2割未満から2割以上5割未満へと転嫁が進んだ企業が7.4%と最も高く、縮小した企業の中では、8割以上から5割以上8割未満への変化が4.2%で最も高くなりました。半年程度では転嫁状況に大きな変化はなく、コストの上昇に価格転嫁の状況がなかなか追いつけない状況といえます。
他方、2月に「全く価格転嫁できない」とした企業のうち、7月も同じく「全く価格転嫁できない」とした企業の割合は50.5%でした。一方で、49.5%の企業は「多少なりとも価格転嫁できている」と好転し、5割以上転嫁ができている企業は9.4%と、1割近くとなりました。原材料やエネルギー価格の高止まりや人件費の高騰などのコスト上昇に対して、転嫁に取り組んでいても追いついていない状況がうかがえます。さらに転嫁を進めて価格を引き上げることは、取引先や消費者の客離れを引き起こしかねないと危惧する声も少なくありません。一方で、全くできなかった企業であっても、一部転嫁が進む兆しは現れました。今後の最低賃金の引上げなどを含めた賃上げを実現するためには、継続的な価格転嫁率の拡大が必要不可欠と言えるでしょう。
価格転嫁の先進県、埼玉県では、パートナーシップ構築宣言が宣言企業数上位5都府県で宣言率1位をキープし、上場企業の宣言率は5割超に上昇しています。パートナーシップ構築宣言を促進するため、宣言企業に対する県補助金審査での加点措置、県制度融資や公共工事の調達で優遇措置を設けるなど、インセンティブを拡充しています。
埼玉県から始まった価格転嫁に向けた地域連携の動きは、33道県に波及し、価格交渉支援ツールは14県からリンクを張られ、国の価格交渉ハンドブック等にも掲載されています。中小企業診断士による企業への働きかけも順調に実施中で、価格転嫁サポーター養成数も、当初目標を上回る1月末実績で3935名を数えています。講演会も、県内企業・団体向け、あるいは業種別組合等に向けた講演を約20回も行っています。また、県内中小企業の稼げる力を高め、賃上げを実現するため、価格転嫁の円滑化に関する協定を令和7年3月末まで1年間延長しています。
そこで、質問ですが、一つ目、中小企業庁が設定した価格交渉促進月間終了後に実施したヒアリング調査のデータ分析を本県においてなされておられますか、商工労働部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
商工労働部長大川伸也君。
〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 価格交渉促進月間は、中小企業庁において毎年3月と9月に設定されており、各月間終了後に、全国30万社の中小企業を対象に価格交渉や価格転嫁の状況についてフォローアップ調査が実施されています。本年9月の月間終了後に実施された調査では、5万1282社から回答があり、先月29日に調査結果が公表されたところです。
その調査結果では、価格交渉ができた企業の割合は86.4%となっており、徐々にではあるが、価格交渉ができる雰囲気は醸成されつつあるものと考えます。その一方で、価格転嫁された状況については、一部でも価格転嫁できたとする企業の割合は79.9%にとどまっており、いまだ2割の企業が転嫁できていない状況となっています。
また、価格転嫁のコスト要素の分析では、原材料費の価格転嫁率が51.4%である一方、労務費は44.7%、エネルギー費は44.4%の価格転嫁率となっており、賃金や運賃に影響を与えるコスト要素において価格転嫁が十分に進んでいない状況となっております。
○議長(鈴木太雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 本県において、価格転嫁がまだまだ十分に進んでいない状況ということであります。
2点目に、政府の公正取引委員会は、昨年11月、労務費の価格転嫁に関する指針を策定し、この指針の趣旨を踏まえて経済産業省は、地方公共団体が発注する官公需においても適切な価格転嫁を求めています。
そこで、県はどのような対応をされているのか、商工労働部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長。
〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 官公需につきましては、中小企業の受注機会の増大を図り、その事業活動の活性化を図ることが重要であることから、例年、政府において中小企業者に関する国等の契約の基本方針が閣議決定されております。
今年度の基本方針では、原材料費やエネルギーコストの適切なコスト増加分の全額転嫁を目指し、取引適正化を推進することや、議員御指摘の労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の趣旨を最大限に考慮することが新たに追加されております。
その基本方針を踏まえ、経済産業省から県に対し、基本方針に準じた措置の実施について通知があり、庁内各部局や市町村に対して、その内容を速やかに周知してきたところです。引き続き、基本方針の趣旨を踏まえた対応が行われるよう周知してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 3点目に、価格転嫁が厳しい業界として、物流の2024年問題を抱えるトラック業界ですが、2024年問題について荷主の理解を求め、価格転嫁が実現できるような合意形成を図る必要があると思いますが、どのような状況か、地域振興部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) トラック運送事業は、県民の暮らしと産業を支える重要な社会インフラであり、適正な価格転嫁が実現されることは非常に重要だと認識しております。
県内では、トラック運送事業者、荷主企業、国及び県等の関係者で構成するトラック輸送における取引環境・労働時間改善和歌山協議会が本年3月に物流の2024年問題シンポジウムを開催し、また、和歌山県トラック協会においても、適正な運賃収受ができるようセミナーの開催やテレビCMによる啓発活動など、取引環境の改善や長時間労働の抑制に取り組んでまいりました。
これらの効果もあり、近畿トラック協会が近畿各府県のトラック運送事業者を対象に、本年8月に実施した物流の2024年問題に関するアンケート調査では、県内事業者の約80%が荷主企業に対する運賃交渉を実施し、そのうちの90%以上が運賃アップを実現できたと回答しております。
しかしながら、中小企業庁が発表した本年9月の価格交渉促進月間フォローアップ調査結果では、トラック運送業のコスト転嫁率は30業種中29位であり、他の業種に比べ、依然厳しい状況が続いております。県といたしましては、今後も引き続き、トラック運送事業者、荷主企業、国等の関係者と連携し、トラック運送事業における取引環境の改善に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 運送業界というのは、従来から荷主に対して立場が弱いです。引き続き、トラック運送事業についてよろしくお願いいたします。
4点目に、大企業と中小企業が共に成長できる持続可能な関係を構築するため、国が創設したパートナーシップ構築宣言ですが、本県においてどのような成果が生み出されていますか。知事にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
今、長坂議員から御指摘をいただきましたパートナーシップ構築宣言でありますけれども、これは、大企業と中小企業の共存共栄を目的として、サプライチェーン全体の付加価値の向上ですとか、望ましい取引慣行の遵守に取り組むということを発注者の立場から、企業の代表者の氏名で宣言をして公表いただくものであります。このパートナーシップ構築宣言を推進するということは、価格転嫁を進める上で非常に重要であると私どもは考えております。
したがいまして、県の補助金事業におきましても、この宣言をした企業に対しては加点措置を行っております。さらに、県の融資制度におきましても、この宣言をしていただいた企業には有利な資金を活用できるような制度改正も行ってまいりました。その成果といたしましては、2023年度末の段階で、県内では512社が宣言をしていただいております。この比率は全国でも6番目ということでございまして、直近でもこの512社が562社まで増加をしております。
和歌山県といたしましては、引き続いてこの制度を周知徹底いたしまして、さらに県の補助金事業での加点措置など、宣言を行う企業が増えるように取組を進めてまいります。
ただ、県内だけでやっておりましても、やはり県外との取引もありますので、県外の都市部の大企業も含めて、全国的に宣言企業を増やすよう国にも働きかけをしてまいりたいと思いますので、また御指導をよろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 5点目に、和歌山県と経済産業省は、平成30年7月に、県内下請等中小企業者の取引条件改善に向けた連携協定を地方自治体として初めて締結されたそうですが、現在のような物価上昇の局面を鑑みて、県内中小企業が安定して利益を上げ、持続的に物価高を上回る賃上げ促進が図られることが必要ですが、県はどのような取組をされていますか。知事にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 今、長坂議員がおっしゃったとおりだと私どもも考えております。そのため、2018年からですけれども、経済産業省との間で下請中小企業者の取引条件改善に向けた取組についての連携協定を結ばせていただきました。そして、取引の条件などにつきまして県内の事業者から聞き取りを行い、実態の把握に努めてまいったところであります。その結果として、適正でない事例が見つかった場合には、下請業者の同意を得た上で国に対して当該情報を提供することで発注元や業界団体への改善を要請するなど、取引の適正化に向けた取組を経済産業省と共に連携して実施してまいりました。
そういった中、県では、物価上昇の局面で必死に頑張っておられる中小企業、小規模事業者の皆様を少しでも後押しできますよう、地域産業の強化、それから成長産業の創出という2本柱の下、生産性の向上や競争力の強化、競争の優位性を図るための支援をするほか、金融の支援もあります。商工会などを通じた小規模の事業者の皆さんへの経営支援などもございます。そのような賃上げにつながるような様々な支援を行ってまいっておりますけれども、さらに引き続いて、事業者の皆様を応援できますように、この支援策をしっかりとやっていきたいと、そのように考えております。
○議長(鈴木太雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 公正取引委員会は、中小企業など下請との取引で適切な価格転嫁に応じようとしない大企業に対し、今年度中に3回目の公表に踏み切ろうとしております。県もいろいろ頑張っていただいておりますが、引き続きの御支援をどうかよろしくお願いいたします。
2点目に、港湾のヒアリ対策についてであります。
港湾というと、和歌山下津港でも年によって茶色のカメムシが異常発生して、倉庫の新品の機械類にたくさんたかったりして少なからず被害を及ぼしたことがありますが、全国的に移入しているのは南米原産のヒアリです。
ヒアリは、主にアルカロイド系の毒と強力な針を持ち、刺されると体質によりアレルギー反応や蕁麻疹などの重い症状が出たり、アレルギー症状の中でも、特にアナフィラキシーショックが起きた場合は命の危険があるということです。ヒアリは、これまでオーストラリア、北米、台湾、中国南部、マレーシアなどの世界各地に移入定着しています。これらの地域では、人やペットへの健康被害、電気施設などインフラ被害、在来種を駆逐するなどの生態系被害、農業被害など、様々な影響を及ぼしています。
日本では、2024年11月末現在で、2017年に神戸港で初めてヒアリが確認され、これまでに18都道府県、135件のヒアリが確認されています。発見されているヒアリについては、多くは中国由来のコンテナへの混入、もしくは海外コンテナを取り扱うコンテナヤード地面での営巣であったと言われます。
そこで、以下、県土整備部長に質問ですが、一つ目、和歌山県の港湾、特に和歌山下津港でのヒアリの発見は今まであったのでしょうか。
2点目、絶えずヒアリが日本の港湾に入ってくる危険性はあり、早期発見・早期防除が重要ですが、本県における水際対策はどのように考えておられますか。
3点目、これまで国内で確認されているヒアリ類のうち、半数以上が港湾で見つかっていると言われますが、多くの事例では、コンテナヤード等における路面の割れ目などにたまった土や雑草を通して地下に営巣していたようです。日本では、令和4年度に四日市港をヒアリ類対策のモデル港と位置づけて連絡会議を設置していると聞きます。この指針の内容を着実かつ効果的に実施するため、四日市港の関係事業者が取り組むべき措置の検討を行い、令和6年3月に四日市港ヒアリ類対策マニュアルを策定していますが、もし本県でヒアリが発見された場合の防除対策をお示しください。
○議長(鈴木太雄君) 県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 1点目の御質問ですが、ヒアリは、改正外来生物法により要緊急対処特定外来生物に指定されており、環境省が、ヒアリが分布する国または地域と定期コンテナ航路を有する全国の65港湾において、定期的にヒアリ確認調査を実施しているところです。韓国との定期コンテナ航路を持つ和歌山下津港もこれに該当し、環境省により年2回の確認調査が行われていますが、これまでヒアリの発見例はなく、また、県内の他の港湾においてもヒアリの発見の報告はありません。
2点目の水際対策についてですが、議員御指摘のとおり、2017年6月に国内で初確認されて以降、これまでに主に海外からのコンテナ航路を持つ国内の14港湾でヒアリが確認されております。今後、和歌山下津港においても、他の国内の港湾と同様にヒアリが入ってくる危険性はあると認識しています。
こういった状況を受けて、和歌山下津港では、環境省が毎年開催するヒアリ講習会への港湾関係者の参加を促すとともに、環境省や国土交通省からの注意喚起の文書を港湾関係者に情報提供するなど、ヒアリの早期発見を行う体制を整えているところです。
次に、3点目のヒアリが発見された場合の防除対策についてですが、議員から御紹介のあった四日市港においては、環境省の中部地方環境事務所が事務局となって四日市港ヒアリ対策連絡会議を設置し、関係機関の情報共有と連携体制の構築を図っていると聞いています。
本県においても、和歌山下津港をはじめ港湾でヒアリと疑わしい個体が発見された場合は、速やかに近畿地方環境事務所に連絡し、当事務所が専門家による現地確認の上、薬剤による殺虫処理や粘着トラップを用いた生息状況調査を実施することになりますので、県としても、それらの作業に協力し、早期防除に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 このような外来生物対策を行うことは、ヒアリ類への適切な対処はもちろんのこと、生物多様性保全の取組にもつながります。引き続きの小まめな状況確認をお願いいたします。
3点目に、環境共生型農業についてであります。
農業は、自然の恵みを得て環境と共生する営みと考えるところですが、昨今、地球温暖化の観点からは有力な加害者とみなされています。科学者組織である気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、世界で排出される温暖化ガスのうち2割以上が農林業由来だそうです。国連食糧農業機関(FAO)の報告でも、作物の生産、加工から流通、廃棄までを含む食料システム全体で見ると排出量の3割を占めるといいます。牛が餌を反すうする過程で出るげっぷが温暖化ガスの一つ、メタンの主要な発生源であることはよく知られています。米作りでも、水を張った田の土壌中で有機物が分解して発生するメタンは、国内メタン排出量の4割以上に及ぶそうです。現代の農業は、トラクターなど機械化が進み、燃料から出る二酸化炭素の量も無視できません。工場で化学肥料を合成する際にもエネルギーを使い、CO2を間接的に排出します。
先進国は、農業政策のかじを大きく切りつつあります。温暖化ガスの排出が少ない農法や飼育法に切り替えたり、農薬や化学肥料の使用を控えたりする動きがあります。自然本来の復元力を生かす環境共生型農業が重要なキーワードになってきています。
そうした中、世界的に注目されるのが未使用の木や竹、わらなど、バイオマス(生物資源)を蒸し焼きにして作るバイオ炭です。植物は、大気中のCO2を吸収して成長するので、これを原料にしたバイオ炭も炭素を蓄えています。分解しにくく、土壌にすき込むと数百年以上にわたり炭素を固定し続けます。微生物のすみかとなって土質を改良し、作物の収量を増やす効果も確かめられています。
欧州各国がバイオ炭の普及を政策的に支援しているほか、日本でも食品・飲料分野の大手企業、例えばキリングループや商社が活用の道を探り始めているほか、農林水産省でも、みどりの食料システム戦略推進総合対策やグリーンな栽培体系加速化事業といったみどりの食料システム戦略による環境負荷低減に向けた取組強化を図ろうとしております。
そこで、質問ですが、環境共生型の農業について、本県はどのように考えておられ、取り組んでおられるか、農林水産部長、お答えください。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長立石 修君。
〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 農業における環境負荷低減への取組につきましては、2022年7月に環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律、いわゆるみどりの食料システム法が施行されるとともに、国では、同年9月に基本方針を公表し、生産から消費までの環境負荷の低減に資する取組を推進しているところでございます。
この国の方針に基づき、県では、土づくりや化学肥料・化学農薬の使用削減、温室効果ガスの排出量の削減、バイオ炭の農地等への施用などの取組を推進するため、2023年3月に和歌山県みどりの食料システム基本計画を策定するとともに、農業者の環境負荷低減事業活動実施計画の認定を開始し、10月末現在で、団体及び個人、法人を合わせまして651名を認定しており、全国第4位となっております。
また、県独自の取組として、環境保全型農業の実践者や興味を持つ農業者、JA、市町村担当者等を対象に、県内7地域に設置した化学農薬や化学肥料を低減した実証モデル園での現地研修会と専門家を招いての土づくりや有機農業に関するセミナーを毎年開催し、栽培技術の向上と普及に取り組むとともに、農業者間の連携強化を図っております。
環境と調和の取れた農業の振興は重要と考えておりますので、今後も、関係機関と連携し、化学農薬や化学肥料に過度に頼らない持続可能な農業を推進してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 4点目に、農業の6次産業化についてであります。
農業者が農産加工品の製造、販売や地域資源を生かした販売などを一体的に進める6次産業化が全国で拡大しているようです。6次化による年間売上高は、10年前より2割強増え、過去最高の2兆1765億円となりました。最も伸びた栃木県は、農泊などを通じて訪日客も取り込んでおり、高齢化や人手不足に高付加価値化で挑んでいます。
農林水産省は、農産加工や農産物直売所、観光農園、農泊などに取り組む事業者の売上げを調査しています。2022年度の売上高を2012年度と比較すると、最も伸びた栃木は72%増で、徳島70%増、沖縄65%増が続いています。
栃木県は、農村に宿泊して農作業や食事を楽しむ農泊の普及に力を入れています。修学旅行だけでなく、訪日客の関心も高まっていることに着目しました。4月には、長く農政に携わってきた元県職員を農村プロデューサーに任命し、訪日客対応のマニュアルづくりなどで伴走支援しています。大田原市では、周辺地域を含めると約180軒の農家が農泊を受け入れており、農家と協力して整備した古民家ホテルもあります。実際に、農泊を始めたことで収益が倍増した農家もあるといいます。
徳島県の牟岐、美波、海陽の3町で構成する海部地域は、きゅうりタウン構想を掲げ、道の駅に交流・体験施設を設けてキュウリを使ったジャムなどを製造販売し、新規就農の相談にも応じています。これまでの22人がキュウリ農家として新規就農し、生産者の平均年齢も54歳と10年間で10歳以上若返りました。徳島県では、学生が6次化に携わる機会も増えました。県立農業大学校は、模擬会社を設け、全学生が生産から販売まで体験します。私も設立前に話を伺いに行った徳島大学生物資源産業学部が、農学系学部として2016年に新設されましたが、6次化に貢献できる人材の育成に力を入れています。農業離れに歯止めをかけるためにも、6次化などによる生産者の所得向上が不可欠ではないでしょうか。
関西でも、6次産業化の拡大が各地で生まれてきているようです。例えば奈良県は、6次化や観光振興につなげる人づくりに力を入れています。2016年には、県農業大学校をなら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)として、桜井市に改編しました。7年前に大学の先生と一緒に視察に行ってまいりましたが、農業や奈良の食材の特徴を理解する料理人を養成するフードクリエイティブ学科を新設しました。定員は20名で、プロのシェフが指導する調理実習や経営・マーケティングの授業があります。附属のオーベルジュ──宿泊施設を備えたレストランも高級感が漂い、サービスの現場を実体験できます。野菜畑もあります。農業経営を学ぶアグリマネジメント学科の学生と共に食材活用に取り組む実習もあり、両学科が補い合って成長できると学校側は説明しています。奈良県内で飲食店を開業したフードクリエイティブ学科の出身者は、既に14人に上っています。
そこで、質問ですが、和歌山県においても6次産業化の動きはそこかしこで出てきていますが、本県農業のさらなる発展のため、和歌山県農林大学校における6次産業化の取組はいかがなものか、また、人材育成、農産物の機能性研究、そして農産物加工開発研究などで6次産業化に寄与していくためには、さらに将来の大学の農学系学部誘致、あるいは創設を目標とした取組が必要ではないかと思いますが、知事に所見をお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
今、長坂議員が御指摘のとおりでありまして、農業の6次産業化というのは、生産者の所得向上につながる最も有効な手段の一つであるというふうに考えております。今、県の農林大学校におきましても、生産から加工、販売に至る6次産業化を目指す経営感覚に優れた人材を育成するために、2017年4月からアグリビジネス学科を設置いたしました。
現在、アグリビジネス学科では、食品工学から加工、販売まで幅広くカリキュラムに取り入れまして、これまでもジャムやピクルスなどの商品開発を行うとともに、昨年の7月ですけれども、学生が仕入れから販売までを一貫して行う模擬会社を設立し、経営に必要な知識の習得や実践にも取り組んでいるところであります。
今、議員が御指摘になった奈良県のなら食と農の魅力創造国際大学校でありますけれども、私も視察に行ってまいりました。大変よくできた形になっていますけど、これは、奈良県の職業訓練学校の流れもあって、奈良独自のすばらしい取組だというふうに考えております。
それで、いわゆる農学部的な機関が要るのではないかということについて、私もこれはもう長年、長坂議員と志を一つにしているものであります。ただ、知事に就任しまして、全県下くまなく回っている中で、やはりまずは後継者育成が一番大事じゃないかと。そうなりますと、なかなか農学部を今卒業されて農家になられるという方は、実はあんまり多くないという事実はあります。会社に就職されたり、割とホワイトカラー的な道を進まれる方も多いので、私としては、まずもって今ある農林大学校を充実させて、地域の農業の担い手を1人でも多く育てていくということがまず県にとっては最優先課題ではないかなと思っております。これも、昨年、農林大学校に視察に行きましたら、非農家でミカンをやりたいんだという若者が2人おりまして、大変心強く思いました。まずは、農業をする人を農林大学校で育てていきたいというふうに考えております。
ただ、これも全く議員と志は同じでありまして、農学部の創設、誘致は、農産物加工など地域産業の活性化も期待できますし、6次産業化を含めた農業振興に絶対必要なものでありますから、これも関係者の意見も聞きながら、どんな教育機関が本県に望ましいのかどうか、農学部も様々な学科がございますので、そのような研究も行いながら勉強してまいりたいと考えておりますので、これはもうぜひ御指導をよろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 お答えいただきました。
農林大学校は、6次産業化に向けてさらなる充実を図っていただきたいと思いますし、農林大学校と大学農学部はそもそも全く目指すところが異なるものなので、農学系学部についても存在しない県が全国でも珍しいぐらいですし、本県の6次産業化の推進と農業振興の上でも、引き続き、農学系学部の創設、あるいは誘致を真剣に御検討いただきますようによろしくお願いを申し上げます。
これで、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
9番上山寿示君。
〔上山寿示君、登壇〕(拍手)
○上山寿示君 皆さん、おはようございます。
議長の許可を得ましたので、通告順に従いまして一般質問をいたします。
今回、質問の機会をいただきました先輩議員の皆様に感謝申し上げます。何分初めての質問でございますので、お聞き苦しい点もあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
今回、2点の質問となります。
1点目、地域医療の充実についてであります。
日本全国で、医療提供体制を安定的に維持するため医療計画や地域医療構想が進められていますが、様々な課題があります。高度急性期や急性期病床への需要が減少する一方で、回復期や慢性期病床の需要が増加し、この変化に対応し、病床の機能分化と連携が進められています。
超高齢化社会が進むに当たり、在宅医療の普及が進められていますが、訪問診療や訪問看護を担う人材が不足している現状であります。また、医療の効率化や地域連携の強化をしていくための電子カルテの共有や遠隔診療の導入、ICTの活用も進んでいますが、現場での運用課題が残されています。本県においても、高齢化が進み、2025年には県民の3人に1人が65歳以上の高齢者になると見込まれています。
そこで、患者が必要とする医療サービスを提供できるよう、将来の医療体制を構築していく必要があります。本県では、2016年に和歌山県地域医療構想を策定し、県全体や県内7地域においてバランスの取れた最適な病床機能の確保や在宅医療の充実、医療従事者の確保に積極的に取り組まれていることと思います。将来の医療を考えて、高度急性期、急性期を担う病院と回復期、慢性期を担う病院、また診療所や自宅、介護施設など、病床機能等の役割が分担されていくことで、県民が安心して適切な医療を受けられる社会の実現に向けての構想であります。
高齢者が増え、求められる医療が治す医療から治し支える医療へと変わっていく中で、患者の症状に応じた医療体制を構築しなければなりません。2014年での県内における病床数は1万2540床で、回復期が1171床でした。地域医療構想に基づき定められた2025年の目標病床数は9506床、回復期3315床です。現状、2023年の病床数は1万1105床で、回復期2474床となっております。治し支える医療に必要な回復期の病床への転換の取組が一定程度進んでいることは認識しております。
しかしながら、医師の状況については、全国的に医師数が増加傾向にあるものの、地域間や診療科間の偏在が深刻な問題となっています。また、2024年度から医師の働き方改革がスタートしていますが、長時間勤務が常態化している医師の過重な労働環境が問題視されています。また、若手医師が都市部へ流出するなど定着化が進まず、人口減少や高齢化に伴い、医師の確保が一層困難となっています。
和歌山県の状況については、和歌山市に医師が集中し、全診療科においての2次医療圏の医師偏在指標は、和歌山市が347.0で全国17位に対し、有田医療圏では180.8で全国218位、新宮市は162.2で全国264位となり、県内においての地域の差が歴然となっています。和歌山市以外の地域では、医師不足が大きな課題となっています。国においても医師偏在是正に向けた総合的な対策が策定予定で、医師偏在の是正は、全国的にも本県においても非常に重要な課題であります。
そこで、地域に応じた医師確保対策が必要と考えますが、有田医療圏における医師不足に対しての県の取組について、知事にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 上山議員の御質問にお答えをさせていただきます。
県では、医師の総数の確保に向けまして、県立医科大学に、卒業した後、県内の勤務を条件といたします地域枠というものを設置して、地域医療を支える医師を養成してまいりました。そして、これらの地域枠の医師を派遣させていただくことで、県内全体で医師の地域偏在の是正を図っております。かなりこの制度が定着しまして、200人、300人と大きな固まりができてまいりました。引き続きこの地域枠も、いろんな産婦人科とか、小児科とかも含めた新たな枠組みなんかも進めているところであります。
そして、地域枠の医師の派遣に当たりましては、医師が少ない地域の公立・公的病院でありますとか、救急医療や災害医療など、地域医療において重要な役割を担っておられる病院に対しては、これを重点的に派遣しております。有田市立病院におきましても、複数名の地域枠の医師をこれまで継続的に派遣をさせていただいております。
そして、この全体の地域枠の先生方なんですけれども、義務年限を終えられましても、ほぼ7割の先生方が県内に残っていただくというようなことで、徐々に県内の中堅医師も増えつつあります。ただ、有田市立病院におきましては、若手の医師を指導される立場の医師が不足するという状況は認識しておりますので、県といたしましても、県立医科大学と連携しまして適切な医師の派遣に努力をしたいと考えております。
なお、今後は県下全体の患者数が減少してまいりますので、それぞれの医療圏内におきまして、適正な病院の配置ということにつきましても併せて検討していかなければならないと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 上山寿示君。
〔上山寿示君、登壇〕
○上山寿示君 御答弁ありがとうございます。
医師確保については、これまで同様、医学部地域枠での若手の医師を確保し、県内勤務と医師の養成、それらのことで医師の地域偏在の是正を図っていることは承知いたしました。
確かに、義務年限終了後の地域枠医師の定着率を上げることへの取組も地域医療を支える医師の確保に寄与しているものだと思います。第八次和歌山県医師確保計画に基づき、短期での医師が不足する地域への医師の派遣調整、中期では、臨床研修医など若手医師の確保とキャリア形成支援を通じた県内定着促進、長期では、地域枠制度をはじめとする医学部定員の確保といった施策に区分し、目標に向かってしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
地域にとっての医師不足の課題は、住民の健康を守るために極めて重要な問題です。有田医療圏では、農業や漁業が盛んで高齢者が多く、医療需要が高まる一方で医師の確保が必然であります。山間部など、交通事情により医療機関へのアクセスが容易でない地域もあります。こうした地域の現状をしっかりと理解していただき、今後とも引き続き、県立医大と連携し、公立病院等への医師の派遣をよろしくお願いいたします。
続きまして、小項目二つ目の有田圏域における今後の医療体制の在り方についてをお聞きいたします。
効率的な医療提供体制構築に向け、地域医療構想に取り組んではいますが、国立社会保障・人口問題研究所によると、全国的に2040年代前半まで高齢者人口は増加し、その後は減少に転ずると予測されています。一方で、和歌山県の高齢者人口の減少は、全国よりも早く、2025年頃にかけてピークを迎えると予測されています。高齢者人口のピーク時には、肺炎や慢性疾患、リハビリ、人生の最終段階における医療などの治し支える医療需要が高まることが想定されます。
また、人口減少に伴い、患者数も労働力も減少していく中、将来にわたり地域の住民がどのようにしたら安心した医療が受けられる体制ができるかを真剣に考えなければなりません。少子高齢化、人口減少に合わせた医療資源の効率的な活用や、医療に頼り過ぎない社会を目指す取組も必要であります。これからは、2040年頃を見据えた医療提供体制や病床の機能分化とさらなる連携、地域における入院、外来、在宅等を含めた医療提供体制を考えていかなければなりません。
今後の取組として、地域の医療機関の相互間の連携も不可欠になります。有田圏域においては、令和8年度末には地域医療の中核を担う有田市立病院が完成予定となっています。この機を捉えて、地域医療連携推進法人制度を活用するなど、地域の病院の機能分化、連携を進める必要があると考えられますが、県としての考えを知事にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答えいたします。
今、上山議員御指摘のとおりでありまして、和歌山県では、有田医療圏を含む各地域におきまして、今後さらに患者数が減少いたします。医療従事者も減少いたします。そうしますと、医療の人材や資金などの医療資源には限りがありますので、各病院がこれまでどおりの規模で同じ医療を提供するということは、これは明らかに人材確保と経営の両面から見て困難であります。無理であります。
現在、有田医療圏には、公立・公的病院として有田市立病院と済生会有田病院の二つの同規模の病院が並存しております。共に救急医療とか、小児医療などの大変重要な地域医療を担っていただいている病院であります。この二つの病院が今言った理由で経営ができなくなる、地域に必要な医療機能が失われるということになりますと、これは大変なことであります。共倒れになってはいけないのであります。また、最近の道路事情の改善を踏まえますと、高度専門医療につきましては、大学病院などが立地する和歌山医療圏で対応する広域的な視点も当然必要になってまいります。
このような環境の変化を踏まえますと、今後、有田の医療圏におきましては、時期を逸することなく、地域にとって必要な医療機能は何なのかということを見極めまして、病院の再編、統合も視野に入れつつ、病院間の機能分化と連携を確実に進めていくべきであると考えております。
県としては、将来にわたり全ての県民が安心して適切な医療を受けられ、医療従事者にとっても働きやすい持続可能な医療提供体制の構築を目指しまして、大変厳しい選択を迫られるわけでありますから、医療機関や市町村の皆さんと議論を尽くし、地域にとって最適な形を見いだし、その実現に向けて、みんなが納得するようにしっかりと努力をしてまいりたいと考えておりますので、どうか御指導をよろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 上山寿示君。
〔上山寿示君、登壇〕
○上山寿示君 御答弁ありがとうございます。少子高齢化が進み、地方においての医師不足と高齢化の課題解決には、病院同士のさらなる連携が必要で、地域での協働も不可欠であることが分かりました。
一つ、地域医療連携推進法人制度の先行事例を紹介いたします。地域医療連携推進法人よねざわヘルスケアネットの取組です。人口減少、少子高齢化、医療従事者の不足において、米沢市における地域医療・介護提供体制の維持発展を目的とし、各医療機関等の医療連携を推進し、医療、介護、在宅サービスを円滑かつ永続的に提供することを目指し、地域医療連携推進法人を設立いたしました。将来を見据えた地域医療の観点から、米沢市立病院と三友堂病院の機能分化及び連携強化の充実を目指し、新病院を併設して建設する計画をし、令和5年に建設されました。
そうすることで、新米沢市立病院では、通年での救急医療体制の維持強化を含めた急性期医療の充実を図り、新三友堂病院は、回復期医療を充実させつつ、緩和ケア、慢性期の人工透析、健診、人間ドック等の地域に必要とされる医療や公衆衛生の充実を図っております。地域医療連携推進法人制度の中で、病床、施設設備や医療機器などの共同利用や医療従事者の人事交流、共同購買の実施なども検討されております。
また、様々な連携を含めた急性期医療と回復期医療の強化充実が図られているようです。地域において良質かつ医療を効率的に提供するため、病院等に係る業務の連携を推進するための方針を定め、医療連携推進業務を行う一般社団法人を都道府県知事が認定する制度を活用しております。こうした事例等も参考にして、有田圏域がモデルとなるような取組もできないものかと考えます。
和歌山県にとって、少子高齢化、人口減少の問題に対しての医療体制の構築は大変重要であります。医療資源の効率的な活用、地域包括ケアシステムの推進、ICTや人材を生かした取組が重要であり、県民と行政、医療機関の協働が鍵を握ります。様々な課題もあることは分かっていますが、県民が安心して医療を受けられる環境づくりをよろしくお願い申し上げます。
続きまして、2点目、河川整備計画について質問をいたします。
全国的な異常気象により、豪雨災害が多発し、多くの地域で河川の氾濫や土砂崩れが発生しております。記録的な豪雨により避難勧告が相次ぐなど、災害対策が急務となっています。今年の梅雨は、局地的な豪雨災害が増加し、多くの住民が被害を受けました。気象庁は、異常気象に警戒を呼びかけており、豪雨災害のリスクが高い地域では事前の備えが重要とされております。近年では、気候変動により、想定を超えた雨量による災害が増加しております。
国内では、今年7月、九州地方を中心に記録的な豪雨が発生し、熊本県では球磨川が氾濫いたしました。これにより数百棟の家屋が浸水し、多くの住民が避難を余儀なくされました。県内では、昨年6月に線状降水帯による集中豪雨により各地域で河川が氾濫し、死者・行方不明者3名を含む人的被害が8人、床上・床下浸水などによる民家3147棟の被害で、公共土木施設の被害は919件、被害総額163億259万円で、農林水産業の被害も130億6586万円にもなり、甚大な被害をもたらしました。
和歌山県は、急峻な地形であり、全国でも有数の多雨地帯に属しています。紀の川、有田川、熊野川など、大きな河川流域では多くの人口や資産が集積しており、一たび洪水や土砂災害が発生すると甚大な被害が生じることになります。また、近年の気候変動による集中豪雨や台風の激甚化がさらにリスクを高めていると考えます。こうしたことから、河川整備に対する関心が強くなっています。そのため、県が策定する河川整備計画は、地域住民の命と財産を守るために極めて重要であります。
そこで、小項目の一つ目、和歌山県における河川整備計画の策定状況について、県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 県における河川整備計画の策定状況についてでございます。
まず、1級水系ですが、紀の川水系については、県が管理するエリアが多数の市町にまたがることから、一部を除き、和歌山市域、貴志川圏域、紀泉圏域の三つに分割して策定しており、新宮川水系については、県が管理する区間を一くくりにして策定しています。
次に、2級水系では、有田川をはじめとして18水系で策定しております。これらを合わせると、県管理河川の流域面積の約9割をカバーするに至っております。
また、現在、山田川の河川整備計画の策定を進めており、加えて、昨年6月の豪雨で甚大な被害が生じた日方川、亀の川の河川整備計画の変更を進めているところです。
○議長(鈴木太雄君) 上山寿示君。
〔上山寿示君、登壇〕
○上山寿示君 御答弁ありがとうございます。県全体の策定状況の現在の取組状況について確認いたしました。引き続き、計画的な取組をよろしくお願いいたします。
県内での河川整備計画の策定状況について確認した上で、次の質問に入りたいと思います。
小項目二つ目、有田川水系での河川整備の取組についてであります。
平成27年10月に策定された有田川水系河川整備計画は、おおむね20年で計画的に実施する河川工事の目的、種類、場所等の具体的事項を示した計画で、この中にも明記されておりますが、有田では、昭和28年7月18日の大水害では死者・行方不明者を合わせて555人、重傷・軽傷者を合わせると人的被害は4489人となり、住宅の被災戸数は1万2077戸で甚大な被害があり、今も語り継がれております。この洪水を契機として、災害復旧助成事業として河口から金屋橋までの築堤、掘削を実施してきたのが始まりと聞いております。
こうした被害を将来、出さないように、過去の災害の教訓を生かして計画的に取り組んでいることと存じますが、有田川水系での河川整備の具体的な取組内容を県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 県土整備部長。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 有田川につきましては、2015年10月に策定した河川整備計画に基づき、おおむね20年間で、河口から金屋大橋付近までの区間で本支川、上下流の治水安全度のバランスを考慮しながら、鋭意河川整備に取り組んでいるところです。
現在、有田川本川については、河口部での堤防整備や宮原・糸我地区での堤防強化などを実施しており、また、保田大橋付近、宮原橋付近、環境センター付近、田殿橋付近等において、広範囲にわたり流下阻害となる樹木伐採や堆積土砂の撤去を進めています。
支川については、天満川及び宮前川では護岸整備を、高山川では既設排水機場のポンプ設備増設を進めています。また、高山川や西谷川等の9河川では、近年、豪雨によって土砂が堆積しているところについて集中的に撤去を進めています。
有田川の河川整備につきましては、今後とも、防災・減災、国土強靱化等の予算も最大限に活用しながら重点的に整備に取り組んでいきます。また、河川パトロール等により現地状況を注視し、緊急性の高いところから樹木伐採や堆積土砂の撤去を行うなど、引き続き適切な維持管理に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 上山寿示君。
〔上山寿示君、登壇〕
○上山寿示君 御答弁ありがとうございます。
有田川水系での河川整備の具体的な取組について確認いたしました。宮原・糸我地区での堤防整備や堤防強化の護岸整備に取り組み、また、保田大橋付近、宮原橋付近等での土砂のしゅんせつ、樹木伐採も実施されていること、ありがとうございます。また、支川についても、高山川での既設排水対策としてポンプの増設も進めていただいております。今後も、引き続きの取組をよろしくお願いいたします。
続きまして、次の質問に入ります。
小項目三つ目、近年の異常気象とも呼べる豪雨災害が頻繁に起こっている中で、有田川を含め、これまでの河川整備中心の対策で十分であるのか、十分でなければ、どのように治水対策に取り組んでいくべきなのか、お考えを県土整備部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 県土整備部長。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 議員御指摘のとおり、近年、毎年のように全国各地で深刻な水害が多発していることから、整備水準を超える洪水が発生することも前提として、ハード・ソフト対策に一体的に取り組む流域治水が重要になってきていると認識しております。
有田川についても、こうした考えに基づき、2017年7月には国、県、関係市町により有田地域等における大規模氾濫減災協議会を組織し、2021年8月には有田川流域治水プロジェクトを取りまとめ、氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策、被害対象を減少させるための対策、被害の軽減、早期復旧・復興のための対策を関係機関で連携して進めているところです。しかしながら、有田川に限らず流域治水への転換は道半ばであり、現状では従来の河川管理者中心の対策から脱却しているとは言い難い状況です。
流域治水の目指すところは、上流から下流まで流域のあらゆる関係者が一丸となって対策を進めることにあります。そのためには、県においても、河川管理者だけではなく関係部局が連携して対策を充実させていくとともに、地元の市町村においても、雨をためる、しみ込ませる、ゆっくり流すための対策をより一層取り組んでいただくことが重要と考えています。また、社会全体で水害に備える必要性について意識の醸成を図っていき、民間事業者や県民のお一人お一人がそれぞれ可能な範囲で流域治水に取り組んでいただくことも不可欠です。
県としましては、引き続き河川整備を着実に推進するとともに、行政機関のみならず民間事業者や県民の皆様が流域治水に対する理解を深め、被害の軽減に資する取組を自ら行っていただけるよう、様々な機会を通じて情報発信や働きかけをしてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 上山寿示君。
〔上山寿示君、登壇〕
○上山寿示君 御答弁ありがとうございます。これまでの取組や今後の考え等を聞かせていただきました。
流域治水の取組は、氾濫を最大限に防ぎ、減らすために、集水域では県、市、企業、住民が協働し、河川区域では国、県、市と利水者が協働して水害対策を行う。また、氾濫域においては、地域の特性に応じた被害対象の減少対策や被害の軽減、早期復旧・復興のための対策をみんなで考えて取り組んでいくという考え方は、非常にすばらしいことだと思います。行政だけでなく、官と民が力と知恵を合わせることで早期の課題解決につながるものと考えます。その上で、それぞれの立場で進められることに取り組む必要があります。県が主導的立場で進めていただきたいと思います。
また、引き続き、国土強靱化や緊急浚渫推進事業債などの制度も活用して、土砂のしゅんせつや樹木の伐採をしていただきたいと思います。繰り返しになりますが、河川内の樹木が増えると水流を妨げたり、大雨が降ると樹木が流木となり、その流木が橋などに引っかかり大量に重なるとダムのようにせき止め、川が氾濫を起こす流木災害が起こっております。また、堤防近くに生えた樹木は、根が堤防を傷つける可能性もあります。
近年の異常気象による集中豪雨が頻発している中で、河川の氾濫に対して不安が増すばかりでございます。いま一度、県民の声を聞き、知恵を出し合い、協働していかなければなりません。過去にも、先輩議員が何度もしゅんせつ、樹木伐採について質問をしております。先ほどの御答弁では、流域治水への転換は道半ばであり、従来の河川管理者中心の対策から脱却しているとは言い難いとありましたが、流域治水の施策を進める際には、住民の意見などを聞く住民参加型の河川の管理や、ドローンでの河川監視やAIによる水位予測などの活用も考えていただきたいと思います。全国でも様々な成功事例がございますので、地域に適した取組を活用して、県民の命と財産を守るため、安心して生活が送れる日が一日でも早く来ることへの取組に期待をいたします。
これにて、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、上山寿示君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時18分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(堀 龍雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行します。
22番坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕(拍手)
○坂本佳隆君 皆さん、こんにちは。自由民主党県議団、坂本です。
本年最後の12月定例会の一般質問3日目、3人目の登壇者として質問の機会を与えていただきました先輩・同僚議員に感謝を申し上げたいと存じます。
また、本日は、4人目の質問者がいないということでございますので、いつもより1時間ばかり早く閉会すると思いますので、しばしの間、お付き合いをいただければ幸いに存じます。
それでは、議長の許可をいただきましたので、通告に従い、一般質問を始めたいと存じます。
現在、国会では、連日、国民民主党が提案する103万円の壁の引上げについて多くの議論を呼んでおります。今朝の新聞各紙には、103万円の壁の来年よりの引上げ、3党の幹事長で合意をされたという記事が出ておりました。様々な世論調査を見ますと、6割の方々が引上げに賛成と答えており、反対という方が1割程度ということでした。
知事も、先般の記者会見で103万円の壁の引上げについては、引き上げた場合の想定される減収額を示した上で国に対して減収分を補塡する対策を求め、扶養家族であれば保険料を払わなくていいという制度をやめて、全ての人が労働市場に参加するよう持っていくのが筋だとさらなる議論の活性化を求めておりました。また、毎日新聞の全国知事アンケートでは、「どちらとも言えない」、「反対ではない」との回答でした。全国の知事会のアンケートを見ますと、反対は一つの県もないという状況でございました。
今回、私が取り上げた質問のテーマであります国保財政の安定的な運営についても、影響が当然あるんだろうと思います。103万円の壁の引上げは、国保の保険料収入を増加させる可能性がある一方で、保険料負担の不公平感が拡大するリスクもあると思います。このため、壁の引上げ単独の議論ではなく、知事もおっしゃっている扶養制度や社会保険制度全体の包括的な見直しと同じく、国民皆保険の最後のとりでと言われる国保の持続可能性を高める施策を同時に進めることが重要であるという思いで、国保財政の安定的な運営について伺っていきたいと思います。
日本の国民健康保険制度は、全ての国民が平等に医療を受けられるということを目的としています。今、日本人はゼロ歳児から健康医療保険に加入をし、生涯にわたり保険証を持ち、誰でも、いつでも、どこでも、支払い能力に応じ保険料を納めると重い負担なしに医療サービスを受けられます。
この国民全てが健康医療保険証を持つ皆保険体制は、1961年(昭和36年)4月より始まりました。全ての市町村に国民健康保険という地域保険の設立が義務づけられ、国民は自分の住む市町村国保への強制加入が原則にされました。もともと日本の医療保険制度は、1927年施行の健康保険法から始まり、職場の仲間でつくる職域保険・被用者保険が出発点と言われています。ですので、勤め人とその家族は、職域保険に加入してもよいというすみ分けでありました。
既存の大企業従業員らの健保組合、中小企業従業員らの全国健康保険組合、通称「協会けんぽ」、公務員らの共済組合を存立させながら、地域保険を日本列島の隅々まで広げたのです。言わば市町村国保は大地のような位置づけで、職域保険はその上に立つビル群であり、勤め人は、定年退職やリストラ、倒産時にはビルから出て、自分の住む市町村国保へ移ります。農家など自営業の方々が勤め人になると、逆にビルに入っていく、そういう格好になるのです。日本では、独特の市町村国保という地域保険を基盤に、完全な皆保険体制を築き上げましたが、この枠組みは発足してから60年余り、現在も基本的には変わっておりません。
しかし、近年は、この制度を維持することが困難になってきています。主な原因は、医療費の増加と少子化、いわゆる人口減少問題です。日本の国民医療費は、毎年1兆円を超えるペースで増え続けています。医療技術の発達により高度な治療が可能になった一方で、その分、医療費も上昇しています。また、高齢化によって医療の需要も増え続け、これも医療費の増加の一因となっております。2016年には、団塊の世代が65歳以上となり、超高齢化社会を迎え、総人口の約3割を占めるに至っております。
また、高齢化と並行して進む少子化も、医療保険制度の収支と支出のバランスを大きく崩す原因となってきています。少子化によって保険料を納める現役世代の数が減少している一方で、高齢者の医療機関利用が増えるため、医療給付が増加をします。その結果、保険料の引上げが避けられなくなり、現役世代が高齢者医療を支える構造に限界が見え始め、現行の仕組みでは国民皆保険制度の維持が難しくなることが懸念をされています。
そこで、厚生労働省では、国民健康保険の制度を全国的に適切かつ安定的に運営していくための指針として、都道府県国民健康保険運営方針策定要領が策定されています。その目的と背景については、国保は、自営業者、非正規雇用者、年金受給者など、幅広い層が加入する制度であり、社会保障制度の重要な柱であります。少子高齢化や医療費増大の中、財政の安定化と医療費適正化が急務となっていることにあります。この基本方針に基づいて都道府県が国保運営方針を策定し、6年ごとに改訂が行われることになっており、各市町村は、都道府県の方針を踏まえた国民健康保険の事務の実施に努めることになっています。
そこで、国民健康保険運営方針についてお尋ねをいたします。
平成30年2月定例会において、自民党県議団の先輩である山下直也議員より、国民健康保険財政の安定化についてと質問をされております。それから6年、和歌山県においても人口減少が進み、市町村国保の加入者が減少する中で、国保制度の安定的な運営が喫緊の課題となっています。山下先生が質問された平成30年、2018年度の国保改革により、都道府県は市町村と共に国民健康保険の運営を担い、財政運営の責任主体として中心的な役割を担うこととされました。県と市町村が一体となって保険者の事務を共通認識の下で実施できるよう国保運営方針を定めて、これに基づいて国保の安定的な運営を図っていくものとされています。
2020年度に策定された第二期和歌山県国保運営方針では、財政基盤の強化、医療費適正化などに取り組み、一定の成果があったということでございますが、昨年度策定されました第三期和歌山県国保運営方針は、どのような内容で何を重点的に取り組んでいくのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○副議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
福祉保健部長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 国民健康保険は、加入者の年齢構成が高いために、医療費が高い一方で所得水準が低いなどの課題を抱えていることから、県では、財政運営の責任主体として、市町村国保の財政的な安定に向け様々な取組を行ってきたところです。
今回改定した第三期和歌山県国民健康保険運営方針においては、収納対策や医療費適正化の取組に加えて、重点的な事項として保険料水準の県内統一に向けた具体的な道筋を定めています。
まず、保険料水準の統一の第1段階として、2027年度までに市町村ごとに異なる医療費の差を保険料に反映させず、県全体で支え合うようにする仕組みを導入することとしています。その上で、最終的に、県内のどこに住んでいても同じ所得水準、同じ世帯構成であれば同じ保険料負担となるよう、保険料水準の完全統一を2030年度に達成することを目標としております。
○副議長(堀 龍雄君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
今回の改定、第三期運営方針では、保険料水準の2030年度の完全統一を目指すということで、ますます国保財政の安定的な運営に対し、県の責任は重くなってきていると言えます。
もう約20年前になりますが、私の地元、紀の川市は五つの町で合併をいたしました。当時、一番苦労したのが水道料金の統一だったのかと記憶をしております。もともと高い料金から下がる地域はもう全然いいのですが、低い料金から上がる地域の方々は、当然不満の声が上がるような状況でございました。
国保の現状、課題、保険料水準の統一に向けた理念や必要性を協議した上で、合意形成が重要だと考えます。知事の出番もあるかもしれません。各市町村に対しまして、丁寧かつ強いリーダーシップで目標達成に向けて取組を進めていただきたく、よろしくお願いをいたします。
続きまして、保険者努力支援制度について質問を続けたいと思います。
2018年度の国保制度改革に伴い、保険者の機能を強化するために、保険者として努力する都道府県や市町村に対し、国が交付金を交付するインセンティブ制度として保険者努力支援制度が創設をされました。この制度は、都道府県分、市町村分、合わせて全国で1000億円もの規模で、国保財政の安定的な運営に資する医療費の適正化や保健事業の充実などといった項目で評価をし、頑張っている自治体に対してより多くの国費を交付するという制度であります。
和歌山県は、比較的小さな市町村が多いことから、医療費適正化や特定健診受診率向上などにおいて他県と比べ課題は多いと思いますが、この制度を積極的に活用し、高得点により交付金をより多く獲得できれば、安定的な財政運営や保険料の軽減につながると考えています。今年度の県と市町村の点数の全国順位、また、それに対しどのような評価をされているのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 保険者努力支援制度は、都道府県及び市町村における医療保険財政の健全化に向けた取組状況を点数化した上で、獲得点数に応じ、県と市町村に対し国から交付金が配分される制度です。2024年度において、県分の点数は全国6位、市町村分の点数は全国28位となっております。
県分については、保険料水準の統一の目標年度を設定したことや、一般会計からの法定外繰入れを行っている市町村がないことなどで大きく加点されており、県の取組状況に応じて評価される項目は、ほぼ点数を獲得できております。一方で、市町村が実施する特定健診、特定保健指導の実施率やジェネリック医薬品の使用割合が低いため、都道府県分と市町村分で点数が低い状況となっております。
県としては、取組が進んでいる市町村の好事例を横展開するなど、市町村全体の獲得点数の底上げを図るため必要な助言を行ってまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。和歌山県は6位ということで、各評価項目に対する取組がうまくいっているんだろうという理解をいたしました。
私は、順位云々ではないと思っておりますが、この制度は、単なる取組結果の公表だけでなく、保険者の取組や努力によって国の交付金が確保できる制度ですので、県としましても、市町村単位の取組の枠を超えて県全体でこの取組を調整し、積極的に関わっていただきたいとお願いをしておきます。
次の質問に移ります。
医療費適正化についてであります。
保険者努力支援制度において、加点項目にもなっている医療費適正化についてお伺いしたいと思います。
県の推計によりますと、国保も含めた和歌山県全体の医療費は、2019年度の約3700億円が高齢化や医療の高度化などの要因によって、何も対策を打たなければ10年後には4200億円と、500億円以上の増加が見込まれると言われています。和歌山県の医療費は、全国平均と比較して高い傾向があり、例えば、40歳以上の糖尿病に関連する外来医療費は2019年度で1人当たり約1万7136円で、全国平均1万6880円を上回っております。今後ますます伸びていくことが予想される医療費について、過度な伸びにならないよう抑えていくことが課題であります。
もちろん必要な医療を抑制することは、あってはならないと思っております。しかし、病気にならないで健康でい続けるための予防対策や、医療の無駄をなくし効率化を進める必要があると思われますが、県はどのような取組を進めているのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 議員御指摘のとおり、生活習慣病の発症や重症化予防、医療の効率化といった医療費適正化の推進は、国保の安定的な財政運営にとって重要な取組であります。県としては、市町村国保が行う医療費適正化に資する取組を総合的に支援しているところです。
まず、生活習慣病の発症予防のためには、特定健診を受診して自身の健康状態を把握し、運動や食事などの生活習慣の改善につなげることが有効です。そこで、特定健診受診率の向上を図るため、健診未受診者への受診勧奨支援やテレビ、SNSなどを活用した周知啓発などに取り組んでいるところです。
次に、糖尿病が悪化することにより、人工透析に至る患者の減少を目的とした和歌山県糖尿病性腎症重症化予防プログラムに基づき、医療、保健の関係機関と連携し、患者の状態に応じたきめ細やかな重症化予防対策を進めています。
また、医療の無駄をなくし、効率化を図るため、受診回数が過度に多い患者や複数の医療機関から同じ薬を処方され服用されている患者に対して、適正な受診や服薬を促す取組を実施しているところです。
○副議長(堀 龍雄君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 次に、現役世代の健康づくりの取組について質問をいたします。
医療費の適正化を図っていくために、被保険者(県民)が健康でいることが重要であるのは言うまでもありませんが、健康づくりは一朝一夕にできるものではなく、若い頃から取り組むことが必要です。
そこで、県が企業に対して従業員の健康づくりを推進することが重要だと思っています。県民、市民の健康増進の意識につながり、医療費削減が期待できます。企業の社員は国保の対象外であることは、私も重々理解はしておりますが、退職後は住民票のある市町村の国保に移ることになるため、企業の現役世代の従業員に対する健康づくりへの取組は、市町村にとっても大きな関心事だと思います。
県では、健康増進などに関して包括連携協定を結んでいる企業もあると伺っておりますが、現役世代に対して、健康への意識を高めるための被保険者を含む全県的な取組についての見解を福祉保健部長にお伺いをいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 生涯を通じて健やかで心豊かに生活するためには、若い頃からの健康づくりが重要となります。そのため、県では、保健所が中心となって地域・職域連携推進協議会を立ち上げ、それぞれの地域の特性に応じた健康づくり事業を実施しており、企業への出前講座やウオーキングイベントを実施するなど、現役世代に対する健康づくりについて全県的に取り組んでいるところです。
また、県と全国健康保険協会和歌山支部が共同で、職場の健康づくりの取組をサポートするわかやま健康づくりチャレンジ運動を実施しており、その取組が優れている事業所については、わかやま健康推進事業所として県が認定し、現役世代である従業員の健康づくりを推進しています。
県としましては、引き続き、現役世代の健康づくりについて全県的に取り組んでまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
現役世代の健康づくりの取組として、健康経営優良法人認定制度を経済産業省と日本健康会議が推進をしています。目的は、従業員の健康増進と生産性向上、健康経営の認知の拡大、健康的な職場づくりを進める企業を社会的に評価するということです。
この制度は、福祉保健部の守備範囲ではないのかもしれませんが、部局を横断して県内中小企業へ参加を要請したり、何だったら和歌山県庁もこの制度に参加するのも、県民に対する健康意識の向上のアプローチになるのではないかと考えますので、一度御検討いただければ幸いです。
次の質問に移ります。
マイナ保険証の利用促進についてであります。
実は、本年12月2日から、医療保険の保険証について紙の新規発行ができなくなりました。医療の効率化を進めるに当たって、デジタル技術の活用が必要不可欠で、マイナ保険証は医療DXの基盤であり、医療の効率や質の向上につながることが期待をされます。
新しい制度に移行するに当たって、不安な声も報道等されており、ちょっとネガティブなイメージが先行しているように思われますが、マイナ保険証を利用することで様々なメリットもあると考えます。県といたしまして、マイナ保険証の利用促進についての見解を福祉保健部長にお伺いをいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 議員御指摘のとおり、マイナ保険証のメリットとしては、過去に処方された薬剤や特定健診などの情報が医師、薬剤師にスムーズに共有され、よりよい医療が受けられることや、高額な医療費が発生する場合でも、手続なしで限度額以上の支払いが免除されることなどが挙げられます。
また、救急搬送時等の患者本人が受診歴や服用している薬などを説明できない状況でも、救急隊員が現場でマイナ保険証を読み取って必要な情報を入手し、最適な医療機関に搬送できるようにする取組も進められているところです。
さらに、マイナ保険証の導入により、重複した服薬が避けられるなど、医療費の適正化も図られることから、医療DXの基盤となるマイナ保険証について、これらのメリットを丁寧に周知することにより利用促進を図ってまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
実は、私はまだひもづけをしておりません。マイナカードは取得しているんですが、ちょっとまだ病院に行く機会もなく、保険証のひもづけはしておりませんが、早急にひもづけしたいと思っています。
次の質問に入ります。
第三者行為求償の取組についてであります。
第三者行為求償とは、被保険者が交通事故や暴力行為、食中毒、他人のペットにかみつかれた、最近では小林製薬の紅麹サプリメントによる健康被害など、第三者の行為によって負傷または死亡した場合に、その医療費や損害賠償を第三者(加害者)やその保険会社に求める仕組みを指します。これは、国保も含む健康保険の不正利用や不当な負担を避けるための大変重要な制度です。
被保険者が疾病や負傷を受けた場合に、医療給付を行いますが、その疾病や負傷が交通事故や暴力事件など第三者の行為によって発生した場合、費用の負担者は本来加害者、また、その加入保険会社であります。しかし、被害者が早急に治療を受けられるようにするため、医療保険で一時的に医療費を立て替えるケースがあります。このような場合、健康保険法第57条に基づき、健康保険組合など保険者が加害者に対して費用の請求(求償)を行わなければなりません。
私は、第三者行為求償事務について、初めて関わったのが鶴保参議院議員の秘書を務めていた2016年頃だったと記憶をしております。その頃、国保が年に数十億円の交通事故などが原因の医療費を取りはぐれている、放置をすると国保に加入する住民の負担増につながるとの現状を知った鶴保議員が、当時、行革担当大臣だった河野太郎先生と共に問題を提起し、厚生労働省が実態調査を指示、市町村に対し、加害者側にきちんと請求するよう指導に乗り出しました。
市町村国保の場合、第三者行為求償の直接の実施主体は市町村でありますが、被害者側の認識不足や事情、手続の煩雑さ、事務処理の複雑さ、市町村のリソース不足など、求償率の低迷も懸念をされます。関係機関との連携など、市町村に対し県の支援はどのようなものなのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 第三者行為求償を確実に実施するためには、被保険者本人から第三者行為による傷病届が早期に提出されることが何よりも重要となります。そのため、県では、広く県民に対して、啓発ポスターや県民の友、ラジオ番組等の活用により、傷病届の提出義務について周知啓発に努めております。
また、損害保険会社が本人に代わって傷病届を提出する覚書に基づき、代行提出が早期に実施されるよう、県内の損害保険会社を訪問し協力依頼を行っています。さらに、事故等の情報によって求償事案を早期に把握するため、今年度より、県内全消防機関から救急搬送情報が提供される体制を整えたところです。
これらの取組に加え、市町村職員を対象に専門知識向上を図るための研修も実施しているところであり、引き続き、市町村が適切な求償事務を行えるよう支援を進めてまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
この第三者行為求償事務に関しては、最初の質問でありましたが、県における国保行政の大方針であります第三期和歌山県国民健康保険運営方針の市町村における保険給付の適正な実施に関する事項に、第三者行為求償事務は、情報提供体制の構築、連携・協力体制等の強化と明記をされております。御答弁にあった医療機関、また消防機関とは引き続き密に連絡を取っていただき、求償事案の発見につなげていただきたく思います。
それと、厚生労働省では、第三者行為求償事務アドバイザーを全国に配置しています。こういう方々を活用させていただき、市町村国保で専門知識を習得してもらい、この求償事務はやっただけ確実に実績が向上できる余地のある事務だと思いますので、保険者は債権の最終責任主体であることの自覚を持って、今後も引き続き取組を進めていくよう強く要望をさせていただきます。
それでは、結びの質問になります。
国保財政の安定的な運営に向けて。
現在策定中の和歌山県新総合計画の進捗状況の中間報告では、「高齢化の進展や医療の高度化等に伴い、医療・介護に係る費用が増加することから、一人当たりの保険料負担が増大し、保険制度の持続性の維持が課題となる」と書かれています。また、2040年に目指す姿として、「県民一人ひとりのヘルスリテラシーの向上や、デジタルヘルス技術・ヘルスケアサービスの更なる活用推進などに取り組むことにより、自主的な健康行動(発症予防、重症化予防)が定着することで、健康寿命が延伸するとともに、医療・介護費用が過度に増大することなく適正な水準となっている」と説明をされています。
本日、総論から各論まで担当の福祉保健部長に御答弁をいただきましたが、その質疑を踏まえ、財政運営の責任主体の和歌山県として、今後、国保財政の安定的な運営に向けてどのように推進していくのか、知事の見解をお伺いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
今、坂本議員から国保財政の安定的な運営につきまして、大所高所から、かつ大変網羅的な御指摘をいただきまして、まず感謝を申し上げたいと思います。私どもも同様の問題意識を持っております。
それで、今、坂本議員の御質問の中にもるるありましたけれども、人口減少が進みますと加入者が減ってまいります。そうなりますと、高額な医療費が発生した場合に、小さな単位でありますから、保険料が急激に上昇するようなリスクもあるわけであります。
このようなリスクを軽減し、財政的な安定化を図るためには、やはり医療費を市町村単位で保険料に反映させるということではなく、県全体で支え合うように保険料水準を統一していくということが肝要であろうかと考えております。現在の市町村ごとに異なる保険料を、県内どこに住んでおられても同じ所得水準、世帯構成であれば、保険料が同じになるというようなことで初めて負担の公平性が担保されるのではないかと考えております。
その一方で、高齢化が進み、医療の高度化が進みますから、どうしても医療費が上がってまいります。県民一人一人の健康づくりの推進、特に特定健診の受診率が低いと部長の答弁でもありました。それから、ジェネリックの使用も他府県に比べて非常に低い、この辺もしっかりと見直していかないとなりませんし、特に医療費の無駄をなくす取組も必要だと思います。また、この医療費の無駄をなくす取組としても、マイナカードを保険証で使っていただくということは、これはもう必須でありますので、そのようなことも進めていきたいと思っております。
このように、医療費適正化の取組は、国の保険者努力支援交付金の獲得にもつながりますし、歳入確保にも寄与してまいるものだと考えております。国保財政の責任主体として、このような取組によって、市町村と共に、国民皆保険制度のセーフティーネットを担う国民健康保険制度が持続可能なものになるよう、県としても最大限努めてまいりますので、また御指導をよろしくお願い申し上げます。
○副議長(堀 龍雄君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁をいただきました。
今後も、県民一人一人が健康で安心して暮らせる社会を築くためには、持続可能な制度の確保が重要です。この質問が、国民健康保険制度の現状や課題について理解を深め、県並びに市町村での取組や改善策について考えるきっかけになれば幸いです。
以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(堀 龍雄君) 以上で、坂本佳隆君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後1時41分散会