令和6年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)
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令和6年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号
議事日程 第2号
令和6年12月10日(火曜日)
午前10時開議
第1 議案第186号から議案第188号まで(当局説明)
第2 議案第148号から議案第185号まで及び報第4号(質疑)
第3 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第186号から議案第188号まで(当局説明)
第2 議案第148号から議案第185号まで及び報第4号(質疑)
第3 一般質問
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出席議員(41人)
1番 三栖拓也
2番 高田英亮
3番 秋月史成
4番 佐藤武治
5番 藤山将材
6番 森 礼子
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
9番 上山寿示
10番 鈴木德久
11番 玄素彰人
12番 濱口太史
13番 鈴木太雄
15番 吉井和視
16番 山家敏宏
17番 北山慎一
18番 岩田弘彦
19番 中本浩精
20番 中村裕一
21番 谷 洋一
22番 坂本佳隆
23番 川畑哲哉
24番 堀 龍雄
25番 谷口和樹
26番 新島 雄
27番 山下直也
28番 小川浩樹
29番 中尾友紀
30番 岩井弘次
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 山田正彦
34番 坂本 登
35番 小西政宏
36番 浦平美博
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 尾﨑太郎
42番 長坂隆司
欠席議員(1人)
14番 冨安民浩
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説明のため出席した者
知事 岸本周平
副知事 下 宏
理事 田嶋久嗣
知事室長 北廣理人
総務部長 友井泰範
危機管理部長 河野眞也
企画部長 前 昌治
地域振興部長 赤坂武彦
環境生活部長 山本祥生
共生社会推進部長 島本由美
福祉保健部長 今西宏行
商工労働部長 大川伸也
農林水産部長 立石 修
県土整備部長 福本仁志
会計管理者 高橋博之
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員長 竹山早穗
警察本部長 野本靖之
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 森田康友
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 林 伸幸
次長(秘書広報室長事務取扱)
橋爪正樹
議事課長 岩井紀生
議事課副課長 田中 匠
議事課議事班長 伊賀顕正
議事課副主査 川崎競平
議事課副主査 西 智生
議事課副主査 林 貞男
総務課長 榊 建二
政策調査課長 岩谷隆哉
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午前10時0分開議
○議長(鈴木太雄君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
過日提出のあった議案第154号から議案第157号まで及び議案第159号から議案第161号までは、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。配付しておりますので、御了承願います。
この際、報告いたします。
議案の追加提出がありました。
日程第1、議案第186号から議案第188号までを一括して議題といたします。
議案は、配付しております。
まず、当局の説明を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ただいま上程されました議案について御説明申し上げます。
議案第186号は、国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策に伴う国の補正予算を踏まえ、一般会計で総額346億7000万円余の補正予算の議決をお願いするものであります。
主なものとして、農林業の生産性向上や低コスト化への支援に要する経費や、物価高対策として、国のガス料金支援の対象とならないLPガス利用者への支援に要する経費のほか、防災・減災、国土強靱化の推進に要する経費を計上しております。
次に、議案第187号は、流域下水道事業会計において、那賀及び伊都処理区における施設改築等に要する経費として7000万円余を計上しております。
次に、議案第188号は、令和6年度建設事業施行に伴う市町村負担金について議決をお願いするものであります。
何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
次に日程第2、議案第148号から議案第185号まで及び報第4号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第3、一般質問を行います。
4番佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)
○佐藤武治君 皆さん、おはようございます。
本年最後の12月定例会、一般質問初日、トップバッターで登壇をさせていただき、大変光栄に存じます。この機会を与えていただいた先輩・同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。
さて、今週の14日土曜日ですが、カイロス2号機が打ち上げを予定されております。今年3月13日のあの悪夢の失敗から再度の挑戦になりますが、ぜひとも成功するように願っております。地元では、公式見学場の清掃活動に串本古座高校の生徒や那智勝浦町のライオンズクラブの会員など、大勢の方たちの協力もあったようです。そして、11月30日、12月1日には、宇宙フェスティバルが串本町役場旧古座分庁舎にある宇宙ふれあいホールSora-Miruで開催されるなど、機運醸成に一役買っているようなこともお聞きをしました。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
まず一つ目、木曜島墓地の日本人墓地区画の整備について質問をいたします。
木曜島は、ニューギニアとオーストラリアとの間にあるアラフラ海のヨーク岬半島沖、トレス海峡南部に位置するオーストラリア領トレス海峡諸島の小島であって、面積が僅か3.5平方キロメートルと、私の地元の串本町にある大島よりも小さな島でありますけれども、トレス海峡諸島の行政と経済の中心となってきた島であります。
木曜島へは、シロチョウガイ採取のために多くの和歌山県民が移住した歴史があります。木曜島では昨年、和歌山県人会が結成され、本年5月に創立1周年記念式典が現地で開催をされました。県議会からは、日豪友好和歌山県議会議員連盟の役員である当時の濱口県議会議長兼会長、秋月副会長、幹事長である私の3名が出席をし、在ブリスベン日本国総領事ほかの御臨席の下、記念式典と併せて木曜島墓地での法要が営まれました。そのことについては、私から令和6年6月定例会において、木曜島和歌山県人会創立1周年記念式典及び日本人墓地慰霊祭に関する報告として、この議場で報告をさせていただいたところです。
今回の式典への出席、交流で、当地の会員の方々と親睦がより一層深まり、今後の交流に向けて大変意義深いものになったと実感したのは私だけではないと思います。ただし一方で、私は、日本人墓地慰霊祭に出席した際、海に近いせいもありますけれども、潮風にさらされ、土台が落ち込み、墓標は朽ちて傾いたり、墓石も倒れたりした、そういう状況を見てとても残念で悲しくなった思いがあります。
現在は、トレス諸島行政区が日本国外務省の支援等を受け、墓地のある丘陵一帯を歴史的な価値のある公園・セメタリーとして一定の維持管理、保全を行っているようですが、現状のままでは日本人墓地の荒廃が一層進み、かつての和歌山県民が、日本人がこの島で働いてきたという歴史的遺産が風化し、その記憶が忘れ去られてしまうのではないかと大変心配をしているところであります。
そのようになる前に、関係する市町、県や国、また県人会や遺族会、そして民間事業者等が一体となって、何らかの手を打ち、この歴史的な遺産の継承に向け取り組む必要があると考えます。
そこで、木曜島墓地の日本人墓地区画の整備について、県としてどのようにお考えか、企画部長にお伺いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
企画部長前 昌治君。
〔前 昌治君、登壇〕
○企画部長(前 昌治君) 和歌山県は、我が国第6位の移民県であることから、海外に所在する和歌山県人会とのつながりを大切にし、世界中の和歌山県人会が一堂に会する和歌山県人会世界大会を2019年より開催しています。2023年10月に開催した第2回和歌山県人会世界大会に向けて、木曜島では県人会が2023年3月7日に結成され、約50名の会員が来県されました。
木曜島への移民は、1880年代に始まり、高級ボタンの原材料であったシロチョウガイの採取を行いました。1897年には、木曜島でシロチョウガイ採取に関わる日本人は全従事者の6割に当たる約900人に上り、そのうちの8割が和歌山県人であったと言われています。中でも、串本町をはじめとする紀南地域の出身者が多く、優秀なダイバーとして活躍されましたが、潜水病などで命を落とす方もおり、木曜島墓地の日本人区画には多くの和歌山県人が眠っています。
日本人墓地区画の整備については、今般、木曜島を管轄するトレス・シャイア評議会から、トレス諸島と和歌山県との歴史的なつながりに鑑み、墓石の補修工事を実施するため石工職人の派遣依頼があったところです。県としましても、同評議会の意向を踏まえ、今後の対応について串本町や遺族会と協議したいと考えております。
木曜島との関係においては、今後も、串本町や遺族会の意向に留意しつつ、トレス・シャイア評議会やクイーンズランド州政府、在ブリスベン日本国総領事館等と相談しながら、先人たちが紡いだ和歌山県と木曜島とのつながりを深めてまいりたいと考えています。
○議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 ありがとうございます。
今、部長のほうからも、現在、評議会のほうから石工職人の派遣依頼とかがあったようにお聞きしました。ぜひ関係する串本町とか遺族会を含めて協議して、前へ進んでいただきたいと、このように思います。
実は、私のおじさんもアラフラ海で昔、シロチョウガイの採取に従事していました。まだ小学校のときでありましたけれども、おじさんの家へ行くと、何か足が不自由になって歩いていたのを、どうも潜水病でそういう体になったというふうに後々聞きました。
本当に多くの方が串本町ほか和歌山県から行っておりますので、何とかこの現状を整備していってほしいなという限りであります。私も、もちろん一生懸命できる限りのことをやっていきたいと思っております。和歌山県民がこの島で本当に働いてきたというあかし、この歴史的な遺産の継承に向けてひとつ一緒に頑張っていきたいと、このように思っております。よろしくお願いします。
それでは、また次の質問に移りたいと思います。
去る10月27日、第50回衆議院議員総選挙が行われました。小選挙区における投票率を見ると、全国で53.85%、和歌山県では56.87%と、共に前回の投票率と比べると下がっているのは非常に残念に思います。
今回の選挙は、解散が急で、東京都内の複数の自治体をはじめ全国各地で、入場整理券の期日前投票が始まっているのにもかかわらず有権者に届けられていないということが、テレビ報道、新聞等でも報じられていました。入場整理券は、有権者の本人確認や投票所の事務をスムーズに行うために配られるもので、なくても期日前投票はできますけれども、有権者の一部では、投票ができないと勘違いされているケースも多かったようであります。
そのような中、投票日の3日後の10月30日、那智勝浦町の一部世帯に比例代表と最高裁判所裁判官の国民審査の選挙公報が届いていたという驚くべき事実を耳にしました。選挙公報は、公職選挙法第170条により、選挙の期日前2日までに配布するものとされており、投票の判断材料としては大変有意義なものです。その資料が選挙日の2日前ではなく、ましてや選挙終了後に届くというのは前代未聞のことというふうに思います。選挙終了後に選挙公報が届いた住民からすると、驚きと同時に役場への不信感も抱きかねません。
確かに今回の選挙は、内閣発足から8日後の解散、26日後の投開票ということで、いずれも戦後最短であり、準備する時間が短かったということが原因かもしれませんが、選挙は民主主義の根幹であり、万全の体制で行い、ミスがあってはいけないというふうに考えます。そういう意味では、那智勝浦町選挙管理委員会には、今回の要因をしっかり調査し、今後起こらないように対応をしていただきたいと思います。
そこで、お伺いをいたします。
県選挙管理委員会には、那智勝浦町から要因分析の結果について報告がありましたか。また、今回の遅配に関して、県選挙管理委員会委員長の所感についても併せてお伺いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 選挙管理委員会委員長小濱孝夫君。
〔小濱孝夫君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(小濱孝夫君) 議員御指摘のとおり、当該選挙において選挙公報の遅配が那智勝浦町で発生したことは承知しておりまして、当該町からも報告があったところです。
本事案については、法を遵守し、各世帯へ配布を行おうとしたものの、結果として一部世帯に対して期日までに選挙公報が届かなかったものでありまして、大変憂慮しております。
県選挙管理委員会といたしましては、住民の皆様へ選挙公報が行き渡るように、市町村選挙管理委員会と共に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 答弁ありがとうございます。
今回実施されたその最高裁の裁判官の国民審査、ここでは対象となったのが6人、これは全員が信任はされておりますけれども、うち4人は、罷免を求める割合、不信任率というんですか、ここが24年ぶりに10%以上の高水準となっております。国民審査は、言うまでもなく、最高裁の裁判官がその職責にふさわしいかを有権者が判断する仕組みであります。任命後、初の衆議院選挙で審査を受けるというわけですが、その投票の判断材料として大事な選挙公報が投票日までに届かないというような事態は、もう今後絶対に避けなければならないし、本来あってはならないというふうに考えます。
那智勝浦町の選挙管理委員会のホームページを私も見ましたけれども、おわびをされていましたが、今後、同じことが起こらないように、配布方法等についてもしっかりと、今回の要因をしっかり分析した上で対応していただけますようによろしくお願いします。
続いて、次の質問に入ります。
JR紀勢本線の活性化に向けて、2026年度の特急利用者目標人数とその目標を達成するための取組についてお伺いをいたします。
令和4年、2022年の4月に、JR西日本が1日当たりの輸送密度2000人未満の線区の収支等の情報を公表しました。これは、沿線の人口減少や道路整備の進展により利用状況が大きく減少し、大量輸送という観点で鉄道の特性が十分に発揮できていない鉄道ローカル線における実態と課題認識を沿線地域の住民と情報共有し、今後もさらなる人口減少など環境変化が見込まれる中、持続可能な地域社会を沿線地域とつくり上げていくことを目的に発表されたものであり、和歌山県内では、JR紀勢本線の新宮─白浜区間が該当しております。
発表当時は、1日当たり1085人でしたが、今年の発表によりますと、新宮─白浜区間の令和5年1日当たりの輸送密度は935人、収支については、2021年から2023年の年間平均で収入が4.9億円、年間の平均費用が34.2億円で、29.3億円と大幅な赤字となっており、廃線の議論につながらないかと危機意識を持っております。
ちなみに、民営化当初の1987年度の新宮─白浜間の輸送密度は4123人でありましたが、30年後の2017年度は1222人と3割まで減っています。コロナ禍に入った2020年度は608人とさらに減っていました。人口減少、高速道路の延長等で利用者が減少するのは避けて通れないことだと思いますが、紀勢線は紀南地域の住民や観光客の移動手段としてなくてはならない路線であります。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の蔓延により利用が特に減少した令和2年から比べると、回復はしているものの、利用は多いと言える状況ではなく、この大きな赤字を圧縮するためには、事業者であるJRが利用促進等に取り組み、収入を増やしていく必要がありますが、事業者単独では限界がありますので、地元自治体など地域における協力も必要となってくると思います。
そんな中、今年の8月25日の熊野新聞において、この新宮─白浜区間に関して、紀勢本線活性化促進協議会新宮白浜区間部会で特急利用の目標値を設定したという記事を目にしました。記事によると、この紀勢本線活性化促進協議会新宮白浜区間部会は、新宮─白浜区間の厳しい収支状況を受け、白浜町以南の沿線8市町村と県、JR西日本和歌山支社及び和歌山大学で組織をし令和4年に設置されたもので、路線の維持活性化に向けた協議、取組を行っていると聞きました。
また、8月23日に開催された第9回の新宮白浜区間部会において、輸送密度の向上を図るため、2026年度の新宮─白浜区間の1日当たりの特急利用目標人数を1040人に設定したとのことでありますけれども、令和5年度の各駅での特急電車の実績を見ると、1日当たりの特急利用人数は、新宮駅105人、紀伊勝浦駅185人、太地駅13人、古座駅13人、串本駅66人、周参見駅12人、それから新宮方面のみでありますけれども、白浜駅16人と、これを合計しますと410人となっており、決めた目標人数1040人から見るとかなりハードルの高い目標人数だというふうに感じました。
恐らくこれまでも、県や市町村、JRが連携協力しながら、観光対策と絡めながら、いろいろな取組を行ってきたと思います。ただし、今回は特急利用人数を相当数増やさないといけないわけですから、これまでと同じことを行っても乗客数は増えず、現状維持が精いっぱいなのではないでしょうか。新たな取組も必要になってくると思います。
私自身も、この目標についてはぜひ達成してほしいという思いもあるわけですけれども、そもそも2026年度の1日当たりの特急利用目標人数1040人とは、どのような考え方で設定したのでしょうか。また、その目標達成に向けて、今後どのような取組を実施していくのかについて、地域振興部長にお伺いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) JR紀勢本線新宮─白浜区間は、沿線人口の減少や高速道路の延伸による影響などから、2023年度の輸送密度は935人と、国が地域交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針で示す交通手段の転換など再構築に向けた関係者協議が求められる水準となっております。
そのため、2022年9月に紀勢本線活性化協議会新宮白浜区間部会を設置し、沿線市町村と共に、鉄道を利用した教育旅行への補助などの利用促進策を行っているところです。さらに、その取組をより実効性のあるものとするため、田辺市以南の高速道路網が未整備だった頃の乗車人数を基に目標数値を設定したところです。
今後は、JR西日本と地域が一体となって、臨時列車の増発による観光商品の造成や、駅から観光地に向かう2次交通の接続改善などの利用促進策に積極的に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 どうも答弁ありがとうございます。この件につきましては、本当に地域住民の日常生活に関することでありますから、非常に影響も大きいと、このように考えます。JR紀勢本線の取組については、今答弁がありましたけれども、ある程度理解はするところでありますが、なかなか、例えば高速の未整備だった頃の人数を基にしたとか、そういうもう少し今後、本当に結果として伸びるというのか、もう本当に現状維持が、私個人としてはそのように精いっぱいかなというふうには思いますが、これ以上少なくならないように各市町村等々とひとつしっかりと取り組んでいただきたいと、このように思います。
それでは、次に移ります。
JR西日本の和歌山県内の鉄道ローカル線問題についてお伺いをいたします。
先ほど御紹介したJR西日本の鉄道ローカル線の収支状況等の公表では、本県の紀勢本線だけではなく、他府県のローカル線における厳しい収支状況も明らかにされております。また、JR他社でも同様の公表を行っていることから、この問題は和歌山県に限らず全国的な問題だというふうに考えます。
また、JR西日本の鉄道ローカル線においては、新型コロナウイルス感染症蔓延の際に、特急列車の減便や駅の人員の削減などにより利便性が低下したというふうな背景がありますけれども、JRも公表当時はグループ全体で赤字となっており、非常に厳しい経営状況であったためかというふうに思います。その後、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止対策が終了して、利用者も回復しつつある中、令和5年度のJR西日本の決算では、鉄道事業も含めグループ全体で数百億円の黒字に経営状況も回復をしているところです。
一方では、減便した特急列車の回復もなく、担い手不足などもあってか、削減された駅員も戻っていない地域もあるように聞いております。もとより旧国鉄が分割された際、事業全体で採算が確保できるように、つまりは新幹線や都市部などのもうかる路線ももうからない地方ローカル路線なども含めて運営できるよう制度設計された趣旨から考えますと、単に採算が取れないというだけで廃止することは、到底容認できるものではないというふうに考えます。
一方で、紀勢本線沿線の人口減少に伴って利用者も減少していくという今後の未来を見据えたとき、鉄道路線を存続させていく、未来に残していくためには、これまで以上の取組が必要となってくると考えます。
そこで、お伺いします。
知事は、このJR西日本の和歌山県内の鉄道ローカル線問題について、どうお考えなのか、所見をお聞かせください。
○議長(鈴木太雄君) 知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 佐藤議員の御質問にお答えしたいと思います。
議員御指摘のとおり、JR西日本は、1日当たりの輸送密度2000人未満の線区別の経営状況に関する情報開示を行われております。それで、例えば新宮─白浜間といった一部の区間は2000人未満ですよと、900人台ですよと、赤字路線ですよと、こういう言い方をされました。
しかし、くろしおは、紀勢本線、新大阪から新宮まで走っているわけです。新大阪から和歌山、新大阪から白浜はもうかっているんですよ。全体で見るべきではないかと、新宮から新大阪まで全体の路線で見るべきではないかと思いました。なので、昨年は、非常に厳しいコメントを私はJR西日本に対してさせていただきました。
ただ、今や、佐藤議員がおっしゃったとおり、そんなことをお互い言い合いをしている場合ではないと思います。そういう意味で、私は長谷川社長にも申し上げたんですが、JR西日本と和歌山県は、もうこの点については運命共同体ですよと、生きるも死ぬも一緒ですよと、こういうふうに申し上げております。その結果、JR西日本も今年は大変なキャンペーンをしていただきましたし、また、夏の南海トラフの臨時情報の影響もあったものですから、そのキャンペーンも延ばしていただきまして、紀南のほうへの誘客を相当頑張っていただいております。
さっきおっしゃっていただきました協議会もあって、県もそうですし、これは赤坂部長のところでやっていますが、あとは沿線の市町の皆さんと協力して、一緒になってお客さんを増やしていくということは精いっぱいやっていきたいと思っておりますし、また、さっき佐藤議員も触れていただきましたけども、14日はロケットの打ち上げがあります。2回目といえども油断はできませんけれど、これが成功すれば、スペースワン社によれば来年はかなりの受注がありますので、来年、再来年と相当の数が見込まれます。また、2030年代には30回も打つということですから、そうなると、これはもう渋滞緩和もありますので鉄道を使っていただくということになりますから、いろんな意味で、ここで諦めてはいけないと思っておりますので、どうか佐藤議員にも御指導いただきながら頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 どうもありがとうございました。今、本当に知事がおっしゃられたように、私も区間限定、あえて白浜─新宮と、これだけ取り上げてもらうと非常に困るなと、くろしお自体は、今言われたように、新大阪からずっと走っているわけで、ここ全体で考えていただくのが普通かなというふうに私も同じように思っております。そしてまた、先ほど知事も、たしか昨年の11月のあのコメントで、今言われたようにしっかりと物を言っていただいております。それは、私も拝見をいたしました。何とかそのように今後も働きかけていっていただきたいと、このようにお願いをしておきます。
そして、最後になります。最後はちょっと要望という形になります。
県内の地域振興を図るという意味では、JR西日本の鉄道ローカル線の活性化や存続は必要不可欠だというふうに思いますが、私は、県内に7か所ある地域振興局の役割も非常に重要だというふうに思います。知事は、就任当初から、地域を活性化させるために振興局の機能強化を図っていくというふうにおっしゃっていました。
私は、地元である東牟婁振興局長と地域の魅力や課題についていろんな意見交換をする場があるんですが、話を聞きますと、鳥羽局長は今年度でどうも役職定年するということでありました。それ以外にある振興局長も今年度で役職定年する方が多いという話でありました。
本来であれば、地域の状況を本当によく理解した振興局長が本庁に戻っていただいて、部長として各種施策を推進するという形が私はよいのではないかと、このように思うんですが、現状はそうなっていないようです。人事案件ですから、私が口を出すことではないと思いますけれども、やっぱり振興局長という役職は、地域の本当に隅々まで、行事も含めていろんな場所で顔を出して、本当に地域住民のことが分かっているなという、お話しする上でもそういうふうに感じることが多々あります。
そういうことで、例えば、部長になる前には振興局長を経験させるなどして、また、県庁として地域を活性化させるための人事制度について、ぜひ今後検討をしていただければと要望いたしまして、私の一般質問を終わります。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
27番山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。
議長のお許しをいただきました。6月定例会以来、約半年ぶりの一般質問であります。有意義な質問とさせていただきたいと思いますので、当局の誠意ある御答弁をお願いしたいと思います。
今回の一般質問では、現在当局で編成中の来年度予算とそれに関連して、気になっております防災・減災対策、それから保育の問題、あとは県民文化会館の指定管理と拉致問題について、当局の見解をお伺いいたしたいと思います。
1項目めであります。
来年度予算の方針についてであります。
10月1日に行われました知事の記者会見で、令和7年度の重点施策と予算編成の方針が発表されました。昨年度同様、こどもまんなか社会の推進や安全・安心で心豊かに暮らせる社会づくりなど、重点施策として五つの柱を掲げ、県の諸課題の解決に向け予算編成に取り組むとのことでありました。また、県予算としては、実に18年ぶりに一律のマイナスシーリングを設けないことも示されました。
そんな中、先日、国の経済対策が公表され、国の補正予算案の閣議決定もなされましたが、地方創生の交付金を倍増し、地域の様々な活動を支援していくとのことであります。この地方創生が叫ばれ始め10年がたちましたが、いまだ東京一極集中は是正されず、地方の人口減少も止まらないわけであります。昔からよく言われますけれども、国土の均衡ある発展には到底至っていないと強く感じております。
本県は、紀伊半島という我が国最大の半島に位置する地理的な要因のため道路整備などが遅れてきた経緯があり、半島防災という新たな視点に立った国土強靱化対策をはじめ、まだまだ本県が取り組んでいかなければならない事業がたくさんあると思います。子供施策や成長産業の創出なども、これからの和歌山をつくっていく上で大変重要であります。県では、2040年に向けた新しい総合計画を策定中でありますが、まずは県民が希望を持てる来年度予算をつくることが重要だと思います。
現在、国では103万円の壁について議論が進められており、先月の知事記者会見では、見直しが行われた場合、国の補塡がなければ県単体で240億円の減少になるとの試算であります。県の財政状況は、財政危機警報が発令される非常事態であり、来年度予算において必要な事業費を確保できるのか心配なところであります。一方で、健全な財政運営を行うことも必要でありますので、限られた財源の中で事業の優先順位をつけて選択と集中を行っていかなくてはなりません。
本定例会の開会に際し、知事から来年度の重点施策と予算編成の方針について説明がありましたが、知事の目指す、全ての人が希望を持って生き生きと暮らせるウエルビーイングな和歌山県の実現に向けて、改めて来年度予算についての知事の考えをお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 山下議員の御質問にお答えしたいと思います。
令和7年度の当初予算につきましては、議員御指摘の事項を含め、本県が抱える諸課題は山積しております。したがいまして、今年も五つの柱を立てさせていただきまして、「こどもまんなか社会の推進」「成長産業の創出」「農林水産業、観光産業をはじめとする地域産業の強化」「人口減少下におけるまちづくり」「安全・安心で心豊かに暮らせる社会づくり」に沿って、現在予算編成を進めているところでございます。
一方で、これも議員に御指摘をいただきましたとおりでありますが、先月22日に閣議決定されました国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策を踏まえ、国土強靱化対策や物価高対策など、早期に着手可能な事業につきましては、先ほど令和6年度補正予算案を追加で提出をさせていただいたところであります。まず、そこで、前倒しでいろんなことをさせていただければと思っております。
その上で、これも山下議員御指摘のとおりでありまして、財政危機警報発令中の本県におきましては、急速に進む高齢化の進展に伴いまして、どうしても社会保障関係経費が増加してしまいます。当然、また物価が上がりますから財政も予算も当然、同じ事業をしてもお金がかかるということであります。また、金利も上がってきていますので、借金の返済も増えていくということでありますので、来年度も厳しい財政状況であるということは変わらないということであります。
ただ、これは前から、就任したときから申し上げていますけど、めり張りをつけて賢いやりくりをしていくしかない、いたずらに歳出カットだけするわけにはいかないわけであります。したがいまして、例えばですけれども、今年の10月から始めた給食費の無償化については、これはもう歯を食いしばってでも来年もぜひ続けたいと考えております。そのようにするためには、事業のスクラップ・アンド・ビルドをより厳しくしていくというようなことをやりたいと思っております。マイナスシーリングはございませんでしたけど、それは部内でスクラップ・アンド・ビルドをしていって、新しい政策にお金を回すということであります。
一方で、国の総合経済対策によって国庫支出金を頂けることになります。あるいは、そういうことも使います。それから、できるだけ交付税措置の有利な、交付税で面倒を見てもらえるような地方債にシフトしていくというようなことで財源確保にも取り組みまして、県民の皆様に十分な支援が行き届きますように必要な予算をしっかりと確保していく所存でございます。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 御答弁いただきました。厳しい中ではございますけれども、ぜひ県民の全ての方々がやっぱり希望を持って、そして安心できるような、そんな予算案をつくっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
先ほどの予算の質問に関連をいたしまして、令和7年度の重点施策の五つの方向性として挙げられておられました安全・安心で心豊かに暮らせる社会づくりから防災・減災対策について、そして、こどもまんなか社会の推進からは保育等について、合わせて4点ばかり聞いていきたいと思います。
まず、防災・減災対策についてであります。
さきの6月定例会におきましても、能登半島地震を踏まえた防災・減災対策について一般質問を行いましたが、その後、8月には南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されるなど、大規模災害に対する県民の不安感が一層高まってきております。南海トラフ地震はいつ起こるか分かりません。防災・減災対策は本県の急務の課題であると思います。
県では、10月に能登半島地震を踏まえた防災・減災対策の検証結果、この中間報告を公表し、先月には県地域防災計画の修正を行うなど、南海トラフ地震に備えた防災・減災対策を着実に推進してくれていることと思います。11月4日には、和歌山下津港西浜地区をメイン会場として2024大規模津波防災総合訓練が開催され、私も多くの先輩・同僚議員と共にこれに参加をいたしました。こうした日々の訓練の積み重ねが大変重要であります。
しかしながら、防災・減災対策について気になっていることが二つあります。一つは、避難所となる学校体育館等の冷暖房設備の整備など、避難所の生活環境の改善についてであります。もう一つは、上下水道の耐震化など、災害発生後の生活水の確保についてであります。
石破総理は、総裁選の際、「避難所で被災者が雑魚寝をするのは先進国で日本だけ」、「避難所の劣悪な環境を国が責任を持って対応すべきだ」と言っておられましたが、10月の所信表明演説でも、被災者の権利保護を提唱する、いわゆるスフィア基準と呼ばれる国際基準を踏まえ、避難所の環境改善を図り、災害関連死ゼロを目指すと述べられたほか、防災庁の設置も打ち出されました。
私は、以前、夏に和歌山市内の小学校の体育館で行われる行事に参加をする機会があったのですが、クーラー、いわゆる冷暖房設備がなかったために、暑くてとても長時間いることはできなかったです。この体育館が災害時には避難所となり、赤ちゃんからお年寄り、障害者の方など、多様な被災者の方が密集して雑魚寝をすると思うと、夏場は到底耐えられないのではないかと思いますし、大規模災害時には長時間の滞在が想定されるため、熱中症など命に関わる問題が出てくる可能性もあると思いました。
避難所となっている体育館や武道場など、全てにエアコンを設置するとなると、かなりの費用がかかり、なかなか導入が進まないという問題もあろうかと思いますが、この避難所の劣悪な環境を放っておくわけにはまいりません。
12月3日に行われた国会の衆議院本会議において、石破総理が公明党の斉藤代表の質問に対する答弁の中で、「避難所となる公立小中学校の体育館への空調設備については、新たに臨時特例交付金を創設し整備のペースを2倍に加速する」、そう述べられておりました。今回示された国の経済対策や国の補正予算におきましても、避難所となる全国の学校体育館への空調設備のその整備加速化が盛り込まれておりますので、本県におきましても早期の対応が望まれます。
この学校体育館等への冷暖房設備の整備に関しましては、既にさきの9月定例会において同僚の玄素議員も一般質問を行っておりますが、過去には、皆さん方も御承知のとおりだと思いますが、自民党の門元衆議院議員をはじめ先輩・同僚議員も指摘をしてきた問題であり、私もずっと同じ思いでありました。
そこで、まず1点目として、県内避難所となっている公立学校体育館等の箇所数及び冷暖房設備の整備状況、そして、今後の整備予定について、教育長にお尋ねをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 避難所となる公立学校体育館への冷暖房設備の整備についてお答えをいたします。
2024年9月現在、県内の指定避難所は1716か所であり、そのうち公立学校では377か所が指定されております。一方、同時点における県内の公立学校の体育館等の冷房設備や大型冷風機といった空調設備の設置率は14%になっており、少しずつではございますが、整備が進んでいる状況です。
しかしながら、能登半島地震をはじめとした近年の自然災害の激甚化、頻発化を踏まえると、さらなる整備の加速が必要です。
小中学校の冷暖房設備に活用できる国の交付金については、2025年までの期間において補助率が3分の1から2分の1に拡充されていたところでございますが、今般、特例交付金としてさらに期間延長される見通しとなっていることから、県教育委員会としては、市町村教育委員会に対して積極的な活用を促してまいりたいと考えております。
特別支援学校の体育館の冷暖房設備については、国の補助制度を活用することを検討するとともに、来年度をめどに、全ての県立学校の体育館及び武道場に大型冷風機の導入を進めているところです。
学校施設は、子供たちの学習、生活の場であるとともに、災害時には避難所としての役割を果たすことから、環境改善は重要であると考えております。引き続き、知事部局や市町村とも連携を図りながら、公立学校の体育館等の冷暖房設備等の整備に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 この間、ある市長と話をする機会がありました。体育館の冷暖房設備の整備にはお金も時間もかかるために、有事のときにはこの際、もう冷暖房設備のある教室などを避難所として活用することも検討していると、そのようなことを言っておられました。避難所の環境改善につきましては、国、県、市町村がそれぞれ知恵を絞って、出し合って取り組むことが必要でありますので、ぜひ協力して取組を進めていっていただきたいと思います。
次に、上下水道についてお聞きをいたします。
能登半島地震の際は、和歌山市管工事業協同組合の皆さんが被災地に入り、給水管漏水調査や修繕作業などの復旧応援を行ったほか、日本下水道管路管理業協会の要請により、和歌山市の下水道関連企業も現地で下水道管の災害調査や汚水の排水作業に当たってくれました。帰ってきてから、その報告会に参加をさせていただきましてお話を聞かせていただきますと、食料や飲み水は大体3日程度で各地から支援物資が届くケースが多いと聞きました。上水や下水などの生活水のインフラ復旧は、道路の寸断により応急活動への支障もあり、かなりの時間がかかって大変であったとのことであります。長引く避難所生活の中で、トイレやシャワー、身の回りの掃除など、水を使う場面は多くあります。生活水の供給不足により避難所の衛生環境が悪化し、感染症のリスクが高まるほか、避難生活を送る人々の健康への悪影響が懸念をされます。
私は、過去の一般質問におきまして、トンネルや橋梁、ため池などの耐震化の進捗状況について質問してまいりましたが、能登半島地震の状況を見ますと、上下水道の生活水のインフラに関して防災・減災対策がどれくらい進んでいるのか、とても心配であります。南海トラフ地震が起こった場合、避難所の空調や生活水の確保は、地震で傷ついた県民の方々が真っ先に直面する現実の課題となるのは明白であり、できる対策は今のうちから進めておかなくてはなりません。11月に国土交通省が公表いたしました上下水道施設の耐震化状況の緊急点検におきましても、上下水道システムの急所施設や避難所などの重要施設に接続する水道、下水道の管路等の耐震化の重要性が改めて指摘されております。私も、早期の対策が必要だと感じております。
さきの避難所同様、上下水道の管理者はほとんど市町村であることは、もう十分承知をしております。しかしながら、いざ災害が起こったときに重要となるのは生活水の確保であり、早期の復旧であります。上下水道の耐震化は市町村の仕事なので、県に言われましてもというのでは困るわけであります。知事も常々、県はマネジャーとして市町村を応援する立場だと申されており、市町村も県を頼りにしていると思います。県としても、市町村と協力し、積極的に上下水道の防災・減災対策に取り組む必要があるのではないでしょうか。
そこで、まず、上水道の耐震化の現状及び取り組んでいる防災・減災対策について、環境生活部長にお尋ねをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 環境生活部長山本祥生君。
〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 本県の水道基幹管路の耐震化状況につきましては、2022年度の耐震適合率が34.6%となっており、2017年度からの5年間で9.3ポイント改善されているものの、全国平均より7.7ポイント低い状況にあります。
このような状況を踏まえ、県といたしましては、水道施設の耐震化を加速すべく、引き続き、全国知事会等を通じ、国に対し採択要件の緩和や補助率の引上げなどを要望するとともに、各水道事業者に対し、国庫補助制度の活用など、計画的かつ重点的に水道施設の耐震化に取り組むよう働きかけてまいります。
あわせて、大規模災害が発生した際には、災害により被害が生じた水道施設の応急復旧を迅速に行う必要があるため、和歌山県管工事業協同組合との間で災害時における水道施設復旧作業の応急対策への協力に関する協定書を交わし、県域での広域支援を確保しております。
また、大規模災害による長期断水時の対策として、市町村に対し、耐震性のある配水池への緊急遮断弁の設置を支援したほか、病院や避難所となる学校等の重要施設への給水を目的とした加圧式給水車の配備についても支援を行うとともに、能登半島地震の際にも活用された災害時活用井戸の普及拡大を促しているところです。
今後とも、市町村等と連携しながら、災害に備えた水の確保対策に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 続きまして、下水道の耐震化の現状及び防災・減災対策の取組について、今度は県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 本県の下水道の耐震化状況については、2024年3月末時点で、重要な幹線等379キロメートルのうち217キロメートル、約57%が耐震化済みです。また、県内の下水道処理場20施設のうち流域下水道を含む9施設では、地震後の揚水、消毒、沈殿といった処理機能が確保できています。耐震化が未実施の施設については、地域の実情や幹線管渠など、重要性の高いところから着実に耐震化を進めることができるよう、今後とも、国土強靱化の関係予算による財政支援を国に働きかけてまいります。
一方、地震対策には多くの時間を要することから、市町では、災害時に避難所等の快適なトイレ環境を確保するため、マンホールトイレの整備にも取り組んでいるところです。県では、引き続き、取組の拡大や整備の促進のため、活用可能な制度の周知、助言を行ってまいります。
また、災害発生時の下水道の速やかな機能維持、機能回復を目的として各自治体で策定している業務継続計画について、実効性の向上を図るための勉強会を実施するなどの支援を行っています。
さらに、下水道施設が広範囲に被災した場合に、他府県との相互支援体制が円滑に機能するよう近畿府県や県内市町と連携した情報連絡訓練を実施し、災害時の対応力をより高めるよう取り組んでいるところです。
県としましては、令和6年能登半島地震の被害状況を踏まえ、引き続き、市町と連携しながら下水道の地震対策を一層推進してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 上下水道ともに、県と市町村が連携して防災・減災対策を進めていくとの答弁であり、少し安心をいたしました。直下型地震の場合、幾ら地中管の耐震化をしたとしましても、一定の管路の寸断は避けることはできないと思いますので、早期に復旧できる体制の構築についてもしっかりと準備をお願いしたいと思います。
また、この場をお借りいたしまして、県の各部長や県職員の皆さん方にお願いをしたいわけでありますが、そんなことは言われなくても分かっているよということだと思うんですけど、すみません。
防災・減災対策は、危機管理部だけで行うものではなくて、県庁全体、全ての県職員が自分事として危機管理対応の気持ちを持って、業務にも、それに当たることが必要不可欠だと思っております。いざ南海トラフ地震が起これば、県庁内も大きな混乱に陥ることが予想されます。いかに平時において災害時を想像し、準備をしておけるかで初動の対応が変わってくると思います。県民の命に関わることであります。県職員お一人お一人の気持ちの持ちようによって、救える命が変わってきます。ぜひ使命感を持って行政の運営をお願いしたいと思います。
国では、防災庁設置に向け準備が進められていますが、県の組織においても、防災について、常日頃から部局を横断した連携関係を築いていただくことが大事であると思います。もちろん私たち議員も、災害時には各地域で被災状況や要望等の情報収集を行うなど、できることを考えて行動しなければなりません。いざというときには、県議会と県当局とで情報を共有し、協力して難局に当たっていく必要があると考えておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
次は、子供・保育に関することであります。
まず、病児保育についてお尋ねをいたします。
現在、共働き家庭の増加に伴い、子供が病気の際に利用できる病児保育サービスの需要が高まっていますが、仄聞するところによれば、本県においては病児保育を実施している施設が少なく、居住地による利用制限があるなど、使い勝手が非常に悪いという課題があると聞いております。
6月定例会では、子供の居場所、朝の小1の壁について質問させていただきましたが、子供が急に発熱した際などに預け先がないことも、この共働き家庭が直面する切実な悩みの一つであります。このような状況が改善されなければ、子育て世帯が安心して生活できる社会とは言えず、本県の人口減少がさらに進むことも懸念されます。本県が子育てしやすい県として認知され、こどもまんなか社会を推進していくためにも、病児保育の課題解決に向けた取組が必要だと思います。
そこで、本県の病児保育事業の取組状況について、共生社会推進部長にお伺いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 共生社会推進部長島本由美君。
〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 議員御指摘のとおり、本県の病児保育は県民の認知度が低く、利用者が少ないため、実施施設が少ないこと、居住地による利用制限があること、空き状況が把握できず利用手続が煩雑であることなど、課題がたくさんあります。
県としましては、病児保育のさらなる利用促進を図るため、病児保育のICT化と広域化の取組を進めたいと考えております。
まず、病児保育のICT化ですが、スマートフォンで事前登録手続、空き状況の確認及び予約を可能にするもので、今年度は実証事業に取り組んでおり、和歌山市の2施設をはじめ有田市、御坊市、田辺市の県内五つの病児保育施設において、11月から病児保育ネット予約サービスを導入し、運用を開始したところです。来年度以降は、ICT化を導入する施設や利用者が増えるように、導入支援や広報にも取り組んでまいります。
次に、病児保育の広域化ですが、居住市町村以外の病児保育施設を利用できることを可能にするもので、市町村や病児保育施設の合意形成を得ることで、県民が県内どの施設でも利用できるよう取組を進めてまいります。
今後も、病児保育の認知度向上をはじめ、仕事も家庭も大切にしながら働き続けることができ、無理なく子育てができる社会を目指して全力で取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次に、幼保小の架け橋プログラムの推進についてであります。
少子化が進む中で、子供一人一人の健やかな成長を支える環境整備は非常に重要であります。特に、幼稚園、保育所から小学校への移行期は、子供にとって生活リズムや学びの環境が大きく変わる時期であり、そのサポートが不十分だと子供の不安や負担が増大し、適応の遅れにつながる可能性があると言われております。
文部科学省が推進している幼保小の架け橋プログラムは、義務教育開始前後の5歳児から小学校1年生の2年間、いわゆるかけ橋期の教育を充実させることを目的としたプログラムであり、幼稚園、保育所と小学校が連携し、子供一人一人の特性を共有したり、小学校の体験活動を提供することで子供の不安を軽減し、適応を支援するというものであります。
しかしながら、県内の保育関係者によりますと、小学校と幼稚園、保育所などの現場では、あまり連携が進んでおらず、そのカリキュラムの作成なども遅れているところがあると聞いております。幼保小の連携体制の構築や強化が必要であります。
県としても、幼保小の円滑な連携、接続についてさらなる支援が必要だと考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 幼児教育施設と小学校の連携、いわゆる架け橋プログラムについてでございます。
かけ橋期の教育につきましては、幼稚園、保育園、認定こども園という多様な幼児教育施設と小学校がそれぞれの役割を担っています。子供の成長を切れ目なく支える観点から、幼保小の円滑な接続をより一層意識し、発達の段階を踏まえ、一人一人の多様性や学びの連続性に配慮しつつ、教育の内容や方法を工夫することが重要です。
県内では、子供同士の交流や教職員の相互参観などが行われています。しかし、幼児教育施設と小学校の接続を見通した教育課程の編成、実施には、課題が残っているところもあります。
県教育委員会では、これまで、幼児教育施設と小学校の教職員、市町村の教育委員会と福祉部局の担当者等を対象に、幼小連携・接続推進のための研修会を実施してきました。
また、2018年度より、幼児教育アドバイザーを配置して幼児教育施設を訪問し、幼小連携・接続の取組への助言等を行ってまいりました。さらに、昨年度からは、重点地域を選び、幼児教育アドバイザーと指導主事が幼児教育施設や小学校等を訪問し、架け橋プログラムを含めた幼小連携・接続の取組への助言を行っております。
今後も、幼児教育施設や小学校、その他関係機関等と連携して、幼保小の架け橋プログラムを推進し、幼児教育施設と小学校との円滑な連携、接続のさらなる充実に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 教育長、ありがとうございます。子供は、本県の将来を担う宝であります。また、教育は国家百年の計であります。ぜひ和歌山で育つ子供たちが生き生きと成長していけるよう、教育の充実についてよろしくお願いをいたします。
3項目めに入ります。
和歌山県民文化会館の指定管理についてお尋ねをいたします。
和歌山県民文化会館は、昭和45年11月に県が設置する初めての文化会館として開館し、以来54年にわたり県文の愛称で親しまれ、多くの県民に利用されてきました。
大ホールは、2000席という関西でも有数の座席数を備え、有名交響楽団によるオーケストラやバレエ、オペラの公演、有名アーティストによるコンサートなどが開催されているほか、学術関係の大規模な学会を度々開かれるなど、幅広いジャンルの催しが行われております。また、小ホールは、約300席という使いやすい規模の座席数ということもあり、県内の文化団体をはじめ様々な団体の皆さんが、音楽の演奏会や発表会、演劇、落語、集会などで利用されていますし、四つある展示室では、地元の団体や作家による絵画展や写真展などが頻繁に開かれております。まさに、県文は本県における最大の文化、芸術の発信拠点となっております。
私は、県議会議員になる前、和歌山市役所の職員でした。入庁して最初に配属されたのが、当時、和歌山市駅の近くにあった市民会館事務局でありました。そこで、公務員として最初の3年間、文化行政に携わったわけでありますが、当時の市民会館の館長や先輩、舞台技術者の方々と日々、和歌山の文化向上について語らい、館の運営や文化の大切さなど、様々なことを学ばせていただきました。
その頃、市民会館と県文で交流もありましたので、当時の県文の技術担当者とよくお話をさせていただいたのを覚えておりますが、やはり県文は、座席数をはじめ音響など、優れた設備が整っており、県下一の文化施設だと思いましたし、今もその思いに変わりはありません。県民の方々にとっても、県の文化振興における県文の役割に期待するところは昔も今も変わらず、大きなものだと思います。
しかしながら、県民文化会館について、今年の4月頃から舞台の運営がうまくいっていないという話を利用者の方から聞いており、驚いております。本議会には、令和7年度の県民文化会館の指定管理者の指定に係る議案も提出されているところでありますが、現在の県文の現状について、また、舞台運営がうまくいっていない原因について、企画部長にお尋ねをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 企画部長前 昌治君。
〔前 昌治君、登壇〕
○企画部長(前 昌治君) 和歌山県民文化会館の今年度の舞台管理について、指定管理者である和歌山県文化振興財団と舞台事業者との契約が締結できませんでした。文化振興財団では、状況を改善すべく関西や全国の舞台事業者を積極的に訪問し、年度途中からの契約を打診しましたが、契約には至っておりません。このため、利用者が大ホール及び小ホールを利用する場合、県民文化会館への利用申込みと同時に舞台技術者の手配を直接行うことが必要となりました。
これまでの舞台事業者が利用者と直接契約し、乗り込み事業者として入ることで、全ての催事が止まる事態にはなりませんでしたが、催事が多い秋の事業を中心に十分な技術者派遣ができないため、利用者が希望する日程に対応できず、日程変更や会場変更、催事の中止があったことを把握しております。
この原因としては、新型コロナウイルス感染症が昨年5月に5類感染症に移行してから、京阪神で文化事業が一気に復活した一方で、コロナ禍で文化事業が極端に減少したときに離職した舞台技術者が業界に戻らず、大幅な舞台技術者不足と人件費高騰が全国的に生じていることが上げられます。特に、舞台事業者の少ない地方において影響が大きく、県内の市町でも、ホールの舞台事業者の撤退があり、運営に苦慮していると聞いております。
来年度の県民文化会館の舞台管理の体制については、文化振興財団が新規に舞台技術者を直接雇用するとともに、県外の舞台事業者と舞台管理の契約を行うことができる見込みを立てており、指定管理者選定委員会もこれを認めて、指定管理者の候補者に選定されております。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 県民文化会館の運営に係る今年度の混乱については、全国的な舞台技術者不足や人件費高騰が原因とのことでありますが、県民文化会館は、今後も長く活用していかなければならない、県民にとって大変重要な文化施設であります。来年度の運営だけでなく、もっと中長期的な視点を持って館の運営を考えていく必要があるのではないかと思いますが、そのことについて企画部長の見解をお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 企画部長。
〔前 昌治君、登壇〕
○企画部長(前 昌治君) 議員御指摘のとおり、県内の文化活動を支えるためにも、中長期的な観点で安定した管理運営をしていくことは大変重要と考えております。
今後、京阪神では、来年4月に神戸で1万人収容のアリーナが新規開業するほか、2028年以降も大阪市内や大阪府北部で大規模アリーナの新設が予定されており、大幅な舞台技術者不足はさらに厳しくなる可能性が高いと見込まれております。
一方、奈良県や兵庫県では、地元に根づいた舞台事業者がホールの舞台管理を行っている例が多く、そのようなホールでは舞台事業者の撤退にはつながっていないと聞いております。本県でも、こうした状況を踏まえつつ、どのような体制が必要なのか、さらに検討してまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 今回の県文の状況を考えますと、今、前企画部長から御答弁がありましたように、奈良県とか、そして兵庫県のように地元に根づいた舞台事業者を確保していくことが大変重要であると、私もそのように思います。今回は、改修工事もあるため1年間の指定管理委託となっておりますが、指定管理者制度におきましては、通常でも大体3年、あるいは5年という期間を区切った契約となり、指定管理を受ける事業者にとっては、その後の契約が保証されず、大変不安定な立場に置かれることとなります。これでは、地域の事業者が舞台技術者を安定雇用し、育成していくというのは難しいのではないでしょうか。
令和8年度以降、舞台技術者の継続的な確保をはじめ、県民文化会館を長期的に安定して管理運営していくことについて、知事の見解をお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
山下議員には、長年御交誼をいただいておりましたけれども、公務員生活のスタートが市民会館であるというお話は今初めて知りまして、そういえば議員のたたずまいにどこか文化的な薫りがするのは、ただそういうことであったのかと今、納得をさせていただいたところであります。
いや、本当にいい御指摘を今いただきました。私も、県文の運営については随分心配をしていたところでありますので、大変時宜にかなった御質問をいただいたと思っております。まさに議員御指摘のとおりでありまして、プロの舞台技術者を育てていくためには、一定期間以上、かなり長い雇用の継続が必要だと思います。したがって、雇用する側が安定した経営の見通しを持てるということで、初めて長期の雇用もできるわけであります。
現行の指定管理者制度では、条例で5年を上限として指定管理期間が定められております。もちろんいわゆるロールオーバーしていくことも可能なわけでありますが、その後、継続して選定されない可能性もございますので、事業者が舞台技術者を継続して雇用したり、育成したりということは、なかなか難しいという状況であるということは理解しております。
したがいまして、県民文化会館を長期的に安定して管理運営を行っていくためには、今後は、指定管理者の選定の方法なども含めてこれをどう見直していくのか、検討してまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事から答弁いただきました。私に文化的な雰囲気があるかどうかは別にしまして、やっぱり文化は、また文化拠点というのは、私は大変大事だというふうに思っています。そんなことで今回、この問題を取り上げさせていただきました。指定管理の選定方法等も含め、検討していくとの答弁をいただきました。
県民文化会館は、重要な文化施設であると同時に、県民の大切な財産でもあります。大ホール、小ホールを含めて将来にわたって安定した管理運営となるよう、ぜひお願いをいたします。
また、県内の他の文化施設のホールにおきましても、同様に舞台事業者の撤退で困っているという話を聞きますので、ぜひ将来的には、県文が中心となって他のホールを支援できるような、そんな方策づくりにも期待したいと思います。
音楽のコンサートや演劇、絵画や写真の展覧会など、文化的なイベントは人に感動を与えるものであります。日々の仕事や生活で疲れたときでも、好きな音楽や落語などを聞くと癒やされたり、感動したりして、明日の生活の活力が湧いてくるものだと私は思います。私自身も、コンサートは大変好きなものですから、好きな歌手とか、興味のあるそういうコンサートなどに行った後はとても幸せな気分になりますし、帰るときにずっと来られた人を見ていますと、帰り道には、会場から出てきた方々のどなたを見てもみんな笑顔です。それは、そこには感動があるからだと思います。だから、大事だということでこだわりました。
県文は、そのような文化イベントを発信する拠点となる施設であります。こういったことでピンチとなるのは誠に遺憾でありますので、安定した運営ができますよう体制構築に向け、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
それでは、いよいよ最後の質問に入ります。
拉致問題についてであります。
毎年11月に都内で開催されます全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会に、拉致議連の会長として先輩・同僚議員と共に毎年出席をしてまいりましたが、今年は、残念ながら新幹線のトラブルにより参加することができませんでした。報道などを見ますと、石破総理が「拉致問題は北朝鮮という国家による拉致であり、単なる誘拐事件ではない。時間的制約のあるこの問題は、日本国民全ての国家主権の侵害であるという共通認識の下に、解決に向けて心を一つにしていかねばならない」と述べられたとのことであります。全くそのとおりだと思います。
拉致被害者の方は、日本海側の都道府県出身者が多いというイメージがありますが、特定失踪者を含めると全国に存在し、和歌山県警のホームページによりますと、本県でも3名の方が拉致の可能性を排除できない事案に係る方々となっております。拉致問題は、被害者やその家族の方だけの問題ではなく、日本国民全てに関わる問題であり、決して他人事ではありません。
毎年、JR和歌山駅前において、自民党和歌山県連による拉致被害者救出の街頭活動を行っているのでありますが、今年は、つい先日の12月7日に県選出の国会議員、石田議員、山本議員をはじめ秘書の皆さん、そして自民党県議団の先輩・同僚や和歌山市、有田市の市議会議員の皆さん方など、多くの同志と共に街頭演説や署名活動、チラシの配布などを行いました。
街頭活動を通じて多くの方に呼びかけることができた一方で、県民の皆様、特に若い方、学生の方に関心を持ってもらうことの難しさも感じました。チラシを配るのでありますけれども、なかなか、前のときにも申し上げましたが、受け取っていただけない。立ち止まっていただける方も、中には本当に熱心に聞いていただいて署名をしていただく、そういう方もおられましたけれども、やっぱり少なかったですね。そんな状況の中で、約1時間、この活動を続けさせていただきました。
拉致問題を風化させない、解決に向けて取組を前進させるためにも、全世代への啓発が必要不可欠であると考えます。この問題に関しましては、さきの6月定例会や昨年の12月定例会の一般質問でも取り上げましたが、知事はじめ県当局の御理解と御協力をいただき、いよいよ来年1月25日に、本県において初めて拉致問題を考える国民の集いin和歌山が開催されることになりました。
そこで、開催に当たって、知事の意気込みについてお伺いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
もう議員御指摘のとおりでありまして、拉致問題は、我が国の憲法に保障されている基本的人権の侵害はもとより、我が国の主権を侵害する極めて重大な問題であると認識をしております。
私自身、国会議員時代はもちろん拉致問題に取り組んでまいりましたし、支援団体であるUAゼンセンが、実は組合員の中に2人、そういう被害を受けられた可能性のある方がおられて、街頭活動をされます。私も御一緒に和歌山駅前で署名を求める運動もずっとしてまいりました。それから、横田御夫妻に、お父様がまだ御存命のときにお目にかかる機会がありまして、ゆっくりとお話を伺うこともありまして、背筋を伸ばして取り組んできた思いがあります。
今、御指摘のとおり、本県におきましても県民の拉致問題への関心を高めるために、拉致問題を考える国民の集いin和歌山が1月25日に開催できる運びとなりました。関係の皆さんに、まず感謝を申し上げたいと思います。
その上で、これも山下議員のおっしゃるとおりで、若い世代の方々に関心を持ってもらうということが極めて重要であろうかと思います。したがいまして、この集いの中では、県内中学生の意見発表プログラムを盛り込むとともに、会場に来られない方も参加できるようユーチューブによるライブ配信も実施する予定でございます。その際、横田めぐみさんの弟であります横田哲也さんから生の声をお聞かせいただく予定になっておりまして、県民の皆様にとっても、自分とは関係のない遠いところで起きている問題なんだというような意識をぜひ変えていただくチャンスになれば幸いであります。
拉致問題の早期解決には、拉致は絶対に許さないという日本国民の毅然とした態度を国際社会に対して示すことが何より重要であります。本集いを契機に、さらに県民の意識が高まることを期待したいと思います。
引き続き、県議会の皆様や国の関係機関の皆様と連携を取りながら、拉致問題を考える国民の集い開催の準備を進め、全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現に向けて、県としても取り組んでまいりたいと存じます。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 以上で、今回の質問項目は全て御答弁をいただきました。
あと少しで2024年も終わりますが、振り返りますと、国内では元日の能登半島地震から始まり、世界に目を向けても各地で分断や紛争が起こるなど、先行きが非常に不透明な時代への突入、そういうものを感じさせる1年であったと思います。
そんな時代の中、最後に、風雲のアジテーターであります幕末の志士・高杉晋作の辞世の句を紹介したいと思います。「おもしろきこともなき世をおもしろく」、この句は、皆さん方も御存じの方が多いかと思いますが、その最後をみとりました女流歌人・野村望東尼が下の句を付け加えております。「住みなすものは心なりけり」、つまり自分の気持ちや考え方次第ということであります。当時、高杉晋作は、幕府貿易視察団の一員として上海に渡り、港を埋め尽くす西洋の商船や西洋人に働かされる清国の人々の姿を見て、攘夷を志したと言われております。
古今を問わず、現場を見て現地の方から話を聞き、そして、考えて行動に移すことが政治に関わる者の基本と心得ます。まさに、高杉晋作の生涯は、国のためという一心で活動し続けた生涯であったのではないでしょうか。到底足元にも及びませんが、私の政治信条も現場第一主義であります。今回で通算37回目の一般質問となりましたが、和歌山県勢発展のためという一心で、これからも活動を続け、この一般質問も続けさせていただきたいというふうに思います。
来年は、和歌山県にとって、そして和歌山県民にとって、今年よりも少しでもいいことが多い、そんな年になっていただきますよう祈念を申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時25分休憩
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午後1時0分再開
○議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
29番中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕(拍手)
○中尾友紀君 皆さん、こんにちは。
公明党の中尾友紀でございます。若干緊張しております。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
まず、防災・減災対策について。
能登半島地震を踏まえた防災・減災対策の検証についてお尋ねします。
令和6年10月8日、能登半島地震を踏まえた防災・減災対策の検証結果(中間報告)が発表されました。能登半島地震を踏まえ、本県防災・減災対策で遺漏した取組や、各分野で能登半島よりも甚大な被害が発生する可能性がないか、また、今後発生が懸念される南海トラフ地震に備え、各対策が機能するかについての検証であります。
検証の五つの柱は、1、目指すべき自助・共助・公助、2、きめ細やかな被災者支援、3、応援・受援体制の強化、4、迅速かつ的確な初動体制、5、インフラの強靱化と復旧となっております。
今回、令和7年度までに着手する短期的な取組と令和11年度までに取組完了を目指す中長期的な取組の方向性などをまとめた趣旨が述べられております。さらに、県は11月25日に受援体制の強化や避難所環境の整備などについて、和歌山県地域防災計画を修正しました。
2024年11月26日付読売新聞によりますと、「主な修正項目は、避難所以外で避難生活を送る避難者らへの支援、受援体制の整備・強化、良好な避難所環境への配慮、災害に備えた道路ネットワークの構築。能登半島地震の被災地に応援に入った県職員が感じた被災地の課題を修正案に反映した。在宅避難者や車中泊避難者に対する拠点を設置することや情報提供を挙げた。受援体制をめぐっては、国や他の自治体から応援に来る職員をスムーズに受け入れられるよう、活用可能なホテルなどの宿泊施設のリスト化を目指す。また、水道や電気など、インフラ(社会基盤)の復旧に時間がかかり、断水や避難生活が長期化する場合に備え、県は市町村と連携した避難所の環境の改善に努める。具体的には、トイレカーやキッチンつきコンテナを使う方向だ。能登半島地震では、幹線道路が寸断され、集落が孤立したり、救助活動が遅れたりするケースもあった。南海トラフ地震が危惧されている県内は紀伊半島にあり、地理的条件は似ている。このため、県は緊急輸送道路などの防災・減災対策を推進する」とあります。
私が2月議会で一般質問した「能登半島の被災地に派遣した職員の現場に入り感じたこと、見聞きしたこと、経験したことは、今後発生すると言われている南海トラフ地震に対する貴重な知見や教訓になることは間違いありません。被災地に派遣された職員さんの声を聞くなど、あらゆる角度から能登半島地震の検証を行い、和歌山県としてまとめ、来るべき南海トラフ地震対策に備えるべき」との質問に対し、岸本知事は、「能登半島地震は、全く本県と同じ半島地域で発生した巨大地震であります。まさに明日は我が身でございます。その被害状況や対応を検証し、今回派遣した職員の知見も生かしながら、南海トラフ地震へのさらなる対策を検討し、県の防災計画を見直してまいります」との答弁どおり、中間報告という形で発表していただき、県の地域防災計画を修正して反映していただいたことに感謝申し上げます。
阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、そして能登半島地震は、それぞれ地震の特徴が違います。また、その対策も進化し、変わってきております。防災・減災対策の不断の見直しが非常に大切であると思います。
そこで、お尋ねします。
能登半島地震を踏まえた防災・減災対策の検証について、岸本知事の御所見をお聞かせください。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 中尾議員の御質問にお答えを申し上げます。
今、御指摘を頂戴いたしました能登半島地震の検証につきましては、御指摘いただきましたけれども、10月に中間報告を公表いたしましたが、来年2月にはきちんとした報告書を取りまとめたいと思っております。それから先月、県の防災会議を開催いたしまして、急いでやらなければいけない課題、あるいは速やかに着手すべき取組については、地域防災計画に盛り込ませていただきました。
能登半島地震を踏まえ、本県では南海トラフ地震などの広域災害の発生が懸念されます。まずは、災害関連死の防止、それから迅速な初動体制の強化、特に受援体制の構築、応援をいただく方々をどう受け入れるか、受援体制の構築・強化に係る取組が急務であるということが分かりました。
具体的に申し上げますと、地震や津波から助かった命が、その後の避難生活において失われないようにするということが重要であります。また、避難所以外の被災者、避難所以外で避難されている被災者の皆さんにも、物資や情報を提供しなければいけません。そのことも分かりました。それから、やっぱり避難所の生活水準を確保するためには、トイレカー、キッチンコンテナなどがとても重要だったということも分かりました。
それから、県内の物資の輸送をする際にも、やはりあらかじめ民間団体と連携をしておいて、災害時に物流の効率を高めるという取組、今言いましたけれども、事前にということが大事だということであります。そして、先ほども申し上げましたが、全国から応援の方が来られますので、最大限応援の皆さんの力を発揮していただけるように、宿泊場所の確保などの体制整備を進めていきたいと思っております。
また一方で、人口が減ってまいりますと、当然のことながら、県、市町村の職員の数も減ってまいります。そうすると、そのような中で災害対応が後退しないように、それぞれの分野において専門人材を育てる、あるいはデジタル技術を総動員した対策を今から準備をしていかなければならないと考えております。
引き続き、防災・減災対策の不断の見直しを怠ることなく、県民の命を守るための迅速な対応ができる、そんな体制をつくってまいりますので、御指導よろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
災害関連死の防止、迅速な初動体制の強化、受援体制の構築・強化に係る取組が急務であるとの答弁をいただきました。防災・減災対策の不断の見直しを行い、県民の命を守る対応をよろしくお願いいたします。
次に、災害関連死の防止にもつながる、避難所におけるスフィア基準についてお尋ねします。
11月22日付石川NEWS WEBによりますと、能登半島地震の災害関連死は235人となり、2016年に発生した熊本地震の222人を超えました──中略──2011年に発生した東日本大震災の後の災害で、関連死の人数としては最も多くなったと見られます。能登半島地震の死者の数は合わせて462人となり、災害関連死が直接死の227人を上回る状況になっております。石川県内の自治体には、さらに200人ほどの遺族から災害関連死の申請が出されていて、審査が進むと、能登半島地震の死者は今後も増える可能性があります。
地震で直接亡くなる人より避難生活が身体的にも精神的にも困難な原因で亡くなる人が多いことから、よりよい避難生活が送れるよう、環境を整える必要があります。公明党は、避難所の環境改善へ、被災者が尊厳ある生活を営める最低限度の基準を示すスフィア基準の導入を推進しております。
スフィア基準とは、1990年代にアメリカの難民キャンプで多くの人が亡くなったことを受け、紛争や災害を想定して、国際赤十字などが作成。基本理念として、被災者には尊厳ある生活を営む権利・支援を受ける権利がある、苦痛を軽減するため実行可能な手段が尽くされなくてはならない、この二つを掲げ、人道支援における考え方や最低限満たすべき基準を記載。主な支援分野では、1、水、衛生、2、食料、栄養、3、避難所、避難先の居住地、4、保健医療を挙げ、達成度をはかるための指標として具体的な数値を示している。例えば、1人1日当たりの最低15リットルの水を確保、1人当たりの居住空間は最低3.5平方メートル、トイレは20人に一つ以上、男女比は1対3のほか、プライバシーの確保など、避難所運営の際に目安として活用できる指標であります。
避難所の支援を続ける登山家の野口健さんはインタビューの中で、国際的な医療援助に関わる専門家から、日本の避難所はソマリアの難民キャンプ以下だとの言葉に衝撃を受けた。2016年の熊本地震では、岡山県総社市などと協力して、車中泊する人たちを受け入れるテント村を熊本県益城町の総合運動公園内に開設し、最大で571人が入居した。視察に来た専門家から、スフィア基準にマッチしていると言われ、難民キャンプなどで活用されている国際基準があると知った。この基準を参考にしながら約1か月半運営し、テント村から救急搬送される人は出なかった。
また、どの被災地を訪れても、日本の被災者は声を上げない、我慢をするのが当たり前との風潮がある。熊本地震では、建物の崩壊などによる直接死よりも、避難生活に伴う体調悪化で亡くなる災害関連死が4倍以上だったことを考えると、避難所の環境改善は重要だ。雨風をしのぐだけではなく、傷ついた人たちの命をつなぎ、少しでも気持ちが前向きになれる空間でなければならない。イタリアでは、ボランティアが避難所運営にすぐに駆けつけ、温かい料理を提供する体制を整えている。海外の事例も参考に、災害を念頭にした日本版スフィア基準のようなルールをつくるべきだと指摘しております。
県の地域防災計画の修正の中で、災害関連死を防止するため、良好な避難所環境への配慮が反映されております。
そこで、避難所におけるスフィア基準について、岸本知事の御所見をお聞かせください。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答えを申し上げます。
避難所の運営につきましては、まず、県で市町村避難所運営マニュアル作成モデルを策定しております。これを、過去の災害の教訓を踏まえまして、改定を時々しております。それに基づきまして、現在、市町村に対して助言を行っているところであります。
具体的には、避難所を開設した際の資機材として、簡易ベッド、段ボールベッド、エアマットなどのほか、プライバシー確保のための災害時要配慮者への配慮として、専用スペースを設けるための室内テント、あるいはパーティションなども加えて、その整備をお願いし、財政支援も行っているところであります。
今、中尾議員から御紹介がありましたスフィア基準であります。このスフィア基準では、トイレの確保の目安として、災害発生当初は避難者約50人当たり1基、長期化する場合は約20人当たり1基と示されております。県でも、従来から、このスフィア基準と同様の基準を市町村に提示をさせていただいております。
一方、避難所における1人当たりの区画面積は3.5平米となっております。県では、0.5平米少ない3平米を今お示ししているところであります。なお、要配慮者に当たりましては、1人当たり4平米確保するようお願いしているところでございます。
スフィア基準の理念であります、被災者が尊厳ある生活を営むに当たり、清潔で快適なトイレ、温かい食事など、避難所の環境改善を図ることは最重要課題であると認識をしております。その一環といたしまして、県としては今年度、トイレカーやキッチンコンテナの導入を進めております。そして、市町村に御協力をお願いいたしまして、現時点では九つの市町がこの趣旨に賛同いただきまして、トイレカーの導入または導入に向けた検討を進めていただいております。
また今回、政府の補正予算、経済対策の中で、まさに政府も我々同様、清潔で快適なトイレ、温かい食事の重要性を認めていただきまして、詳細はまだですけれども、交付金の中にこういうメニューが入るように伺っております。そうしますと交付金ですので、恐らく相当市町村の負担は少なくなるはずですので、これも使って、残りの市町村の皆さんにはトイレカーやキッチンコンテナを導入いただくようにお願いをしていきたいと思っております。
そして、県としては、今後も基本的には避難所の責任者である市町村の皆さんと一緒になりまして、今御指摘のスフィア基準を目標にして、避難所の環境改善を進めてまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
市町村と一体となって、スフィア基準の考え方も取り入れながら、避難所の環境改善を推進していくとの前向きな答弁ありがとうございます。
このほかにも、女性がいる避難所には女性の役員を配置するなど、女性や子供の視点に立った避難所の運営改善もよろしくお願いいたします。
続きまして、トイレカー及びキッチンコンテナの導入予定や活用方法についてお尋ねします。
環境省の令和6年能登半島地震における災害廃棄物処理の状況の中で、今回の能登半島地震において、携帯トイレや簡易トイレ、仮設トイレをプッシュ型で支援するとともに、被災者が安心して利用できるトイレ環境として、トイレカーやトイレトレーラーが被災地で有効に活用されました。トイレトレーラーについては、平時から整備を進めている全国の自治体から派遣されたほか、トイレカーについては、高速道路会社からも派遣されました。
なお、自治体が行う指定避難場所における生活環境改善のためのトイレトレーラー等の整備については、緊急防災・減災事業債の対象とされており、今回の有効性を検証し、平時から整備をさらに促していくことが必要と報告されております。
大規模災害が発生するたびに、避難所環境の劣悪さが問題視されております。特に大きな課題は、安全・安心な避難所運営で欠かせないTKB、トイレ・キッチン・ベッドの不足であります。トイレは数が少なく不衛生になりがちで、水や食事を控え、体調を壊す人もいます。食事は温かいものの提供が困難で、寝る場所は床の上だったり、パイプ椅子を並べてつくったりするケースが少なくありません。
そこで、お尋ねします。
トイレカー及びキッチンコンテナの導入予定や活動方法について、危機管理部長、お答えください。
○議長(鈴木太雄君) 危機管理部長河野眞也君。
〔河野眞也君、登壇〕
○危機管理部長(河野眞也君) 県内の避難所におけるトイレについては、市町村において簡易トイレやマンホールトイレ、仮設トイレなどを備蓄しており、県としても、それらの整備に対して財政支援を行いながら、市町村に対してさらなる充実を働きかけています。さらに、誰もが清潔かつ快適に使えるトイレ環境を提供することが重要と考えており、今年度予算化しているトイレカー1台の導入に関しては、先般、事業者を決定し、年度内に納品される見込みです。あわせまして、県内市町村に対してもその導入を働きかけ、現時点では9市町が趣旨に賛同して導入または導入に向けた検討を進めており、今後とも県内外のトイレカーを導入する自治体と相互応援体制を構築してまいります。
このほか、キッチンコンテナについても同様に今年度内に1台導入し、温かく栄養に配慮された食事を避難所に配送できるよう、調理する人員及び食材確保の方法や地域の給食センターなどの調理施設の活用も併せ、体制構築を検討していくこととしています。
平時の活用に関して、トイレカーについては指定管理者制度を導入している県有施設での使用を、また、キッチンコンテナについては子供食堂を運営する事業者等への貸出しなど、地域振興に資する事業での活用を検討しております。あわせて、県や市町村で実施するイベントや訓練などでの活用も図ってまいります。
県としましても、トイレや食事など、避難所環境の改善は、災害関連死を防ぐためにも非常に重要と考えてございます。引き続き、市町村と一緒になって、避難所の環境改善に向けた施策に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
災害関連死を防止するためにも、TKB、トイレ・キッチン・ベッドなど、さらなる避難所の環境改善をよろしくお願いします。
続きまして、災害廃棄物処理についてお尋ねします。
令和6年能登半島地震における災害廃棄物処理の状況について、令和6年8月8日、環境省近畿地方環境事務所資源循環課の資料によりますと、石川県内でし尿処理施設7施設が被災により稼働を停止し、避難所で発生するし尿回収のため、バキュームカーを派遣。また、被災地での生活ごみの回収支援として収集車を派遣。福井県、名古屋市、全国都市清掃会議、全国清掃事業連合会等から応援のパッカー車などが現地に入り、収集した生活ごみの焼却も、地域の焼却施設4施設が稼働を停止したため、県内もしくは福井県で広域処理。
ネックとなったのは、滞在拠点が多数ある金沢市から奥能登6市町の距離とその間を結ぶ交通網の寸断。奥能登につながる能越自動車道は片側車線が谷側に完全に崩落。国道も1月は降雪と瓦礫により1台通行するのがやっとの状態で、家屋倒壊や道路の起伏など、様々な障害により交通規制もあり、綿密に配車を調整。収集車の派遣台数増に加え、各市町に一次集積場を設置して輸送の効率化を構築。この際、積替えの必要から、ごみ袋を粉砕せず、運搬できるダンプ車や平ボディー車を利用。
珠洲市では、下水・し尿・浄化槽汚泥を処理する市浄化センターが停止し、避難所、事業所等に配置された仮設トイレから、主に応援業者がし尿を回収、回収したし尿や汚泥を浄化センター貯留槽に一時貯留した。課題として、浄化センターはし尿、下水汚泥、生ごみ等を用いたメタン発酵を併設した複合施設で復旧のめどが立たなかった。多数の仮設トイレが分散しており、回収に時間を要した。隣接する能登町の衛生センターに搬送するも、処理量が不足。珠洲市から羽咋市までの距離が95キロメートル、珠洲市から金沢市まで140キロメートルと広域搬送のため、搬送時間・費用が増大した。
また、珠洲市での避難所、家庭の生活ごみ処理の状況と課題について、奥能登クリーンセンターが3月下旬まで停止し、ごみピットに生活ごみを貯留。金沢市内や福井県へ広域搬送し、浄化センター敷地内にごみ袋のまま一時保管。課題として、奥能登4市町では全てのクリーンセンターが被災。復旧後も処理能力に余裕がなく、他市のごみを受け入れられなかった。道路状況も悪く、遠距離輸送は1日1往復が限界だった。ごみ袋のまま仮置きするにはパッカー車は不向きで、ダンプ車等が必要であった。
珠洲市における災害廃棄物処理・仮置場の状況は、発災後、住民の多くが避難所生活となり、かつ危険な損壊家屋が多く、片づけが進まなかった。宿泊場所が確保できず、ボランティアの滞在時間が限られたため、被災家屋等からの片づけごみの搬出が進まなかった。最初の仮置場を設置したのは発災後1か月であったが、ごみの空き地等への投棄や仮置場での搬入者による渋滞や混乱はなかった。解体時には、大量の解体瓦礫に加え、屋内の残置物がごみとして発生した。解体現場では、まず残置物を搬出した後、解体物を可能な範囲で分別して仮置場に搬出。仮置場では、搬出先の条件に合わせた選別、破砕を行った等々、災害廃棄物処理の現状と課題が報告されております。
目に浮かぶような大変な状況であることが容易に想像できます。また、現場の被災状況に応じて、各市町に一時集積場を設置して輸送の効率化を構築したり、積替えの必要から、ごみ袋を粉砕せずに運搬できるダンプ車や平ボディー車を利用するなど、知恵と工夫が実践されている報告であります。
南海トラフ地震が発生した場合は、し尿処理施設の被災や焼却施設の稼働停止、浄化センターの停止、交通網の寸断など、能登半島地震で発生した様々な困難が和歌山県でも発生することが予測されます。平時より関係団体との顔の見える関係づくりや連携、集積場や廃棄物の仮置場の確保など、様々な対策を考える必要があると思います。和歌山県の災害廃棄物処理の現状の取組及び業界団体等、関係機関とのさらなる取組について、環境生活部長、お答えください。
○議長(鈴木太雄君) 環境生活部長山本祥生君。
〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 大規模災害時において、廃棄物処理を適正かつ迅速に行うためには、県、市町村、関係団体の協力体制や他府県との広域支援体制を事前に整備しておくことが重要となります。
このため、県では、一般社団法人和歌山県産業資源循環協会などと災害廃棄物の処理に関する協定を締結し、市町村からの支援要請に基づき、災害廃棄物の収集運搬や処分などを行えるよう協力体制を構築しているところです。また、環境省近畿地方環境事務所を中心に、近畿2府4県や政令市、中核市などにより、大規模災害発生時廃棄物対策近畿ブロック協議会を構成し、県内で処理が困難となった場合の広域的な相互協力体制を整備しています。
これらの協力体制に基づき、災害廃棄物処理が適正かつ迅速に実施できるよう、県職員である災害廃棄物処理支援要員や市町村担当職員、関係団体の職員を対象に、毎年、災害廃棄物処理に関する勉強会や図上演習を実施しているところです。今年度は8月に勉強会を実施し、能登半島地震における災害廃棄物の処理状況や災害廃棄物の仮置場の管理・運営及び被災家屋などの解体・撤去に関する課題について情報の共有を行いました。
今後も、勉強会などについて、より実践的に実施するなど、関係者のさらなる対応力の向上に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
続きまして、子育て支援についてお尋ねします。
児童養護施設等の子供たちに対する大学受験の支援制度についてお尋ねします。
資料をiPadに掲載していただいておりますので、御参照ください。
児童虐待相談件数が全国的に増加する中、県は、令和5年度に和歌山県内の児童相談所に寄せられた児童虐待件数が過去最高を更新したと発表しました。子供を取り巻く環境は年々厳しくなっているように思います。
このような状況ではありますが、児童養護施設や里親家庭などの社会的養護の下で育った子供たちが、大学や短大など進学を希望する際に受験料が払えないといった経済的な理由から進学を諦めてしまうことがないように、昨年度、新たに公明党の浮島とも子衆議院議員が推進に尽力し、児童養護施設の子供たちに対する大学等受験料の支援制度ができました。
この支援制度は、日本学生支援機構に寄せられた寄附金を活用し、受験に必要な費用として20万円を給付するものであります。非常に使い勝手のよい制度で、受験料、交通費、宿泊費等の受験に要する費用に使えます。残金があった場合でも、就学に係る費用に充てるなどの進学に向けた準備にも活用できます。また、渡しきりで返済は不要であります。受験生からは、大変にありがたい、アルバイトで受験費用を稼がないといけないプレッシャーが楽になりました等の喜びの声もたくさん届いているようであります。
児童養護施設の子供たちに対する大学等受験料の支援制度について、本県における活用状況と周知の取組状況について、共生社会推進部長、お答えください。
○議長(鈴木太雄君) 共生社会推進部長島本由美君。
〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 国の調査では、2022年度末に高校等を卒業した子供の大学等への進学率は全体で77.2%ですが、児童養護施設に在籍または退所した子供に限ると、38.9%と大幅に低くなっており、様々な支援が必要とされています。
議員御質問の支援制度については、配付資料にもありますとおり、児童養護施設をはじめ、里親家庭や自立援助ホーム等に在籍し、大学等への進学を希望する子供が受験に係る費用として支給を受けられるものです。活用状況につきましては、昨年度、全国では734人、本県では8人となっております。
進学を志す子供たちにとって大変ありがたい制度であると本県でも認識しており、例えば児童養護施設の施設長会議や里親会の関係会合などの機会を活用し、制度の積極的な周知に努めています。
また、国と県が経費を支弁する措置費においても、日本学生支援機構による受験料などへの支援を超える経費に対し、1人当たり15万8000円を上限に実費が支給される特別育成費が新たなメニューとして本年度より設けられ、支援制度はさらに手厚くなったところです。
県としては、引き続き、様々な機会を捉えて支援制度の周知に努め、社会的養護の下で進学を希望する子供たちを支援してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございます。
ぜひこの二つの支援の周知を徹底していただき、児童養護施設等で進学を希望する子供たちが夢を諦めないように活用していただけるように、支援をよろしくお願いいたします。
続きまして、子供の観劇への支援制度についてお尋ねします。
劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業は、公明党の浮島とも子衆議院議員が推進し、子供たちが劇場・音楽堂等において本格的な実演芸術を鑑賞、体験等をする機会を提供する取組を支援することにより、子供たちの豊かな人間性の涵養を図るとともに、将来の文化芸術の担い手や観客育成に資することを目的として、文化庁が令和3年度から実施している事業であります。
今年度は、東京都以外では3000円以上で設定されている一般向け優良公演を対象に、一定の席数を上限として、18歳以下の子供は無料で、同伴する保護者等は半額でチケットを購入できる事業であります。2023年には全国331公演で7万696人が利用し、2024年には5.6倍の1876公演を予定しております。
岸本知事が常々おっしゃっている「ほんまもんの文化・芸術」に触れる体験は、子供の成長にとって非常に大切な経験になることは間違いありません。
子供の観劇への支援制度について、活用状況や周知の取組について、企画部長、お答えください。
○議長(鈴木太雄君) 企画部長前 昌治君。
〔前 昌治君、登壇〕
○企画部長(前 昌治君) 議員御指摘の、文化庁が2021年度から実施している劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業につきましては、本事業を通じて、子供に本格的な舞台芸術を鑑賞する機会が提供されることで、子供たちが多種多様な文化芸術への興味や理解を深め、豊かな人間性の涵養を図ることに資する大変有意義な取組であると考えております。
今年度、本県で開催するNHK交響楽団演奏会和歌山公演では、予定していた無料招待席120席に対し、既に定員に達する申込みがあり、大変好評をいただいております。
文化庁の来年度概算要求では、要求額が大きく増額されており、本県で実施される各公演においても、本事業が積極的に活用されることを期待しております。
これまでの県内の活用実績としましては、一昨年度は5件、昨年度と今年度は1件となっており、今後さらなる活用を目指し、県内の公共ホールや公演主催者に対して積極的に周知を行ってまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございます。
令和6年度の子供の観劇支援制度の実施公演一覧が文化庁のホームページに載っております。それを見ますと、大阪が31件、兵庫が14件、京都が19件、滋賀が4件、和歌山が1件となっております。文化・芸術の和歌山県として、まだまだ伸び代があると思いますので、これもしっかりと周知していただいて、子供たちが「ほんまもんの文化・芸術」に触れられるように、推進をよろしくお願いいたします。
最後に、労働賃金上昇に係る企業支援の情報提供についてお尋ねします。
2024年度の最低賃金が、11月1日までに全ての都道府県で適用されました。平均の引上げ額は過去最高となる51円で、最低賃金の全国加重平均は1055円に、ちなみに和歌山県は929円から51円上がり、980円となりました。公明党は5年以内に最低賃金が1500円となる目標を掲げております。
また、企業の賃上げを応援する制度づくりもリードしてまいりました。最低賃金の引上げに伴う負担増が懸念されている中小企業への支援として、最低賃金を一定額以上引き上げる中小企業を支援する業務改善助成金があります。企業の生産性向上と賃上げの原資確保の二つの狙いがあります。
具体的には、最低賃金の引上げ幅が30円、45円、60円、90円以上の四つのコースがあり、最大600万円を助成。事業規模30人未満の企業に対しては、助成額を上乗せする優遇制度もあります。また、最低賃金の引上げを契機に、非正規雇用の処遇改善などに取り組む事業者は、キャリアアップ助成金も活用できます。基本給を3%以上5%未満増額した場合は1人当たり5万円、5%以上増額の場合は1人当たり6万5000円の助成を受けることができます。さらに、業務効率化に効果的な製品・サービスの導入を支援するIT導入補助金は、最低賃金プラス50円以上の水準などを達成できた際には、補助金審査で加点措置があり、採択を受けやすくなります。上限は最大450万円で、補助率は2分の1から5分の4です。
従業員の賃金を引き上げた企業が使える優遇税制も年々拡充されております。中でも、雇用者の賃上げ率が前年度比でプラス2.5%アップするなどの要件を満たした中小企業は、給与などの支払い増額分の最大45%を法人税から控除し、税負担を軽減することができます。赤字の中小企業にも恩恵が及ぶよう、控除し切れなかった金額を5年間繰り越せる制度も今年度から始まっております。
中小企業の方から、最低賃金が1500円になったら、中小・零細企業は潰れてしまうという声を聞くことがあります。最低賃金1500円だけが独り歩きして、助成金や補助金、促進税制の正しい情報が伝わっていないのではないかと危惧しております。
令和3年経済センサス─活動調査において、和歌山県には約4万5000社以上の中小企業があると言われております。これらの様々な中小企業の支援や促進税制の情報が正しく伝わっているかどうかが今回の質問の骨子であります。最低賃金の上昇と継続的な経営のための支援は重要であります。県内企業に対して中小企業の賃上げ支援をどのように周知しているのか、商工労働部長、お答えください。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長大川伸也君。
〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 最低賃金の引上げは、労働者の生活を支え、モチベーションの向上につながるという点で重要である一方、人件費の増加という点で、企業の経営に大きな影響を与えるものであると承知しております。
このため、国では、議員から御説明のあったとおり、多くの制度において、賃金引上げに取り組む中小企業や小規模事業者の支援が行われております。
一方、県ではこれまで、わかやまデジタル革命推進プロジェクトなどにより、事業者の生産性向上につながる施策を行ってまいりましたが、引き続き、生産性向上につながる施策、下請取引の改善に関する施策、資金繰りに関する施策など、賃金引上げのための環境整備への取組を行ってまいります。
議員御指摘の企業への周知につきましては大変重要なものと考えておりまして、国では、和歌山労働局がウェブサイトや窓口で広く周知を行うとともに、県内市町村や経済団体などに対して通知していると聞いております。
一方、県では、広報紙「県民の友」をはじめ、補助金情報等を発信するウェブサイトやメールマガジンによる周知を行うとともに、県庁各課からも、それぞれの所管団体に対して情報提供を行っているところです。また、県を含め、商工会等の経済団体やわかやま産業振興財団において、個々の事業者の事情に応じた相談を受けているところです。引き続き、関係団体とも連携し、県内の中小企業や小規模事業者に対し、積極的に情報提供、周知を図ってまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
昨日、わかやま産業振興財団に行き、お話を聞いてまいりました。対応いただいた岡本局長、吾妻チーフコーディネーターには、大変にお世話になりましてありがとうございました。非常に勉強になりました。
全ての中小企業に情報が行き渡るかどうかについては不明でありましたが、財団は70名体制で様々な中小企業からの相談を、創業支援、資金繰り、補助金、税務、法務、労務、情報発信、SNS活用など、専門家が何度でも無料で、オンライン相談を含め対応していただけることを知り、少し安心しました。今後は、県を挙げて中小企業の皆様に寄り添った、かゆいところに手が届くような支援を、アウトリーチを含め実施していただけるようにお願いして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、中尾友紀君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
37番中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕(拍手)
○中西 徹君 皆さん、こんにちは。
それでは、早速ですが、議長の許可を得ましたので、一般質問を始めさせていただきます。
大項目1、水道におけるPFASについてお伺いします。
先日から、報道などで耳にしたことがあるかと思いますが、今まで何げなく口にしている水道水が、日本の一部地域においては安全・安心な飲料とは言い難くなっているとのことです。その原因たる物質は、有機フッ素化合物、PFASの一種で、PFOSやPFOAと呼ばれ、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があり、現時点では、北極圏を含め世界中に広く残留しているとのことです。
これらの物性は、撥水・撥油性、熱・化学的安定性などがあり、2000年代初め頃まで様々な工業で利用され、また、私たちの身の回りでも、撥水・撥油加工のフッ素樹脂を用いたフライパンなどで利便性を高めてきた側面もあります。
ただ、2009年以降、環境中での残留性や健康被害の懸念から国際的に規制が進み、現在では、日本を含む多くの国で、製造、輸入等が禁止されております。
このPFOS、PFOAは、動物実験では肝臓の機能や幼少の動物の体重減少等に影響を及ぼすと指摘され、また、人においてはコレステロール値の上昇、発がん、免疫系等との関連が報告されております。しかし、どの程度の量が体に入ると影響が出るのかについては、十分な知見はないとのことです。そのため、現在も国際的に様々な知見に基づく基準値等の検討が進められていると聞いております。
そこで、現在、水道水の水質はどのような基準になっているのかを調べたところ、必ず遵守すべき水質基準として、大腸菌や水銀など51項目が定められていますが、それ以外に留意すべき項目として、水質管理目標設定26項目が位置づけられています。
このPFOS、PFOAについては、健康への影響を与える疑いがあることから、国は2020年に水質基準に次ぐ水質管理目標設定項目として、PFOSとPFOAの合計で50ナノグラム・パー・リットル、1リットル当たり50ナノグラム以下という暫定目標値を定めております。これは、体重50キロの人が水を一生涯にわたって毎日2リットル飲用したとしても、この濃度以下であれば、人の健康に悪影響が生じないと考える水準を基に設定されたとのことです。
先日の報道等によれば、岡山県吉備中央町において、2022年度調査で、暫定目標値50ナノグラム・パー・リットルの28倍に相当する1400ナノグラム・パー・リットルと大幅に超えており、地域住民から健康被害を心配する声が広がる中、町は希望する住民に対し、血液検査を全国で初めて公費で実施しているとのことです。
このように、国内、国外の状況から、国としては、今後、食品安全委員会の評価結果などを踏まえ、水道水質に関する目標値について、水質基準逐次改正検討会において検討を進めていくとされております。その検討に当たり、全国の検出状況を把握する必要があり、水道施設におけるPFOS及びPFOAの検出状況等に関する初めての全国調査を行い、その結果について公表したところであります。和歌山県においても、同日付で本県内の調査結果を公表していますが、どのような調査結果であったのか、環境生活部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
環境生活部長山本祥生君。
〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 本県の調査結果につきましては、暫定目標値の50ナノグラム・パー・リットルを超えたところはありませんでした。
なお、給水人口が5000人を超える上水道事業においては、全25事業者が検査を実施し、給水人口が100人を超え、5000人までの簡易水道事業においては、全51事業者のうち30事業者が検査を実施しております。また、用水を供給する水道用水供給事業においては、全2事業者が検査を実施しております。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 50ナノグラム・パー・リットルを超えたところはないということです。
今回の調査結果において、過去から検査していない水道事業者や全ての給水区域を検査できていない水道事業者があると聞いていますが、今後の県の対応について、環境生活部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 環境生活部長。
〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 県といたしましては、これまでPFASに係る検査を実施していない簡易水道事業者や給水区域全体について検査を実施していない水道事業者に対し、引き続き、検査の実施を働きかけてまいります。
また、今後とも国の水質基準に関する議論の動向を注視するとともに、県民に安心で良質な水を確実に供給するため、各水道事業者に対し、適正な水質管理を徹底するよう、併せて働きかけてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 この問題に関して、海外のこの基準目標値ですけども、日本はPFOSとPFOAの二つを合わせて50ナノグラムですが、アメリカは二つがどちらも4ナノグラム、イギリスはどちらも100ナノグラム、カナダは25種類のPFASを合わせて30ナノグラム、ドイツは段階的に数値を下げていこうと考えていますので、日本は海外と比べると緩いんじゃないかという声も聞こえてきます。
しかし、実際、健康被害に関してはどうなのか、これが一番気になるところだと思います。石破首相は、PFASの一種PFOSとPFOAなどについて、専門家の意見を伺いながら、水質基準への引上げを含めて、来春をめどに対応の方向性を取りまとめていくと、12月3日の参議院本会議で答えているので、県も国の動きを見ながら、健康被害が懸念される問題なので、しっかりと今後も取り組んでいただくようお願いいたします。
次、大項目2、インバウンドの誘客に係る取組についてお伺いします。
観光庁やニッセイ基礎研究所の訪日外国人消費の動向調査では、2024年7月から9月期の訪日外客数909万7802人は、2019年度同期比で16.9%増加しています。最多は中国が全体の23.9%で、次いで韓国が22.3%、次いで台湾の17.7%と続き、中国の回復基調が強まり、今期から首位に復帰しました。また、米国が2019年度同期比53.6%増加や豪州が43.3%増加など、欧米諸国からの観光客は、円安による割安感から、相対的に低いインフレ率による日本旅行の割安感から、コロナ禍前を大幅に上回っています。
2024年7月から9月の訪日外国人旅行消費額の1次速報値は1兆9480億円で、2019年度同期比で64.8%も増加し、前期に引き続き、2兆円規模の維持となっています。外客数に対し、消費額の増加が顕著であり、1人当たりの消費額22万3195円は、2019年度同期37%増加となり、コロナ禍前の1.4倍に達しているということです。
国籍・地域別の消費額では、中国が26.6%と最多で、次いで台湾14.6%、韓国11.7%、米国9.5%、香港8.6%と続きます。中国の外客数はコロナ禍前の4分の3にとどまるものの、消費額が5%上回るようになっており、全体の消費額の内訳は、モノ消費、買物代が3割、サービス消費が7割を占めますが、中国人観光客では、モノ消費が4割を占め、購買意欲の強さが目立ちます。
観光地ではオーバーツーリズムが問題視される中ではありますが、インバウンド消費をさらに拡大するためには、付加価値の高いサービス体験の提供が重要な課題となっています。特に、日本ではナイトタイムエコノミーや富裕層向けの質の高いサービスが不足しており、新たなサービス供給は成熟した日本消費市場の発展につながると考えられ、人手不足が深刻である一方、労働生産性や付加価値向上には、まだ改善の余地があるとされています。
和歌山県でいうと、訪日外国人旅行消費単価が2019年は1人当たり3万5000円、2023年は3万8000円と、若干の伸びにとどまっています。しかし、2023年はコロナ禍前と比較すると76.3%、約38万人であった外国人宿泊者数が、2024年、順調に増加しており、観光庁調査においては、9月末時点において既に105%、約52万人あると聞いており、コロナ禍前を超える勢いとなっています。
このような状況から、本県においてインバウンドによる消費は明るい兆しがあるように思いますが、これからの人口減少を考えていくと、インバウンド観光消費が重要であることには変わりなく、政策面でもなお一層力を入れていかなければなりません。
また、2025年大阪・関西万博の開催まで、あと約4か月となりました。和歌山県をアピールする絶好の機会と考えられます。アクションプランによると、大阪・関西万博期間中の来場者数は、約2820万人と見込まれています。そのうち、国内来場者が約2470万人、海外来場者が約350万人と想定されています。また、国内来場者のうち、近畿圏内は約1559万人と想定されています。
和歌山県を知ってもらうこのチャンスをつかむための施策として、訪日プロモーションでは、ウェブサイト上の情報整備、多言語化や海外メディア、旅行会社などとの連携、SNSでの投稿、インフルエンサー施策など、地域や事業者ができることは多々あります。さらに、受入れ環境整備では、キャッシュレス対応や多言語対応など、旅行中の不安や不便を解消する取組も必要となります。
質問ですが、和歌山県におけるインバウンドの誘客に係る取組について、今後どのように取り組まれるのか、地域振興部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 本年10月までの訪日外客数は既に3000万人を超え、過去最高を記録しており、本県においてもコロナ前の水準を超える勢いとなるなど、観光分野におけるインバウンドの重要性はますます高まってきております。また、議員御指摘のとおり、インバウンドによる観光消費の効果は大きいことから、人口減少下にある地域の振興といった観点からも、インバウンド誘客に取り組むことが重要であると認識しております。
そのため、高付加価値旅行者層をターゲットにした海外現地旅行会社やメディアへのセールスコール、各市場の旅行会社が重要視している旅行博覧会や商談会への出展等の現地プロモーションのほか、海外市場関係者の県内視察支援など、計画的に取り組んでいるところです。さらに、インバウンドの受入れ環境整備は不可欠であることから、体験コンテンツの予約・決済システムの充実、多言語案内板の整備なども進めているところです。
あわせて、来年度開催される2025年大阪・関西万博を契機とした本県への誘客に関しても、韓国、台湾、中国、香港など、県が定める重点国に対して、観光プロモーターや県職員の現地派遣によるプロモーション及び情報発信を行っております。
今後も引き続き、市場のニーズを十分に把握した上で、戦略的にインバウンド誘客及び受入れ環境整備に積極的に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございました。
移動手段等の問題ですね、タクシー不足やバス運転手不足などの問題もあると聞いておりますけども、やはり誘客の取組には県、皆さん各課にまたがることも多いので、しっかりと連携して取組のほう、よろしくお願いいたします。
次、大項目3、熊野白浜リゾート空港の滑走路延伸についてお伺いします。
2024年度当初予算にも調査費が計上されています。県議会では、本年2月の予算特別委員会で、秋月議員、また玄素議員もこのことについて取り上げられています。
10月8日に、経済警察委員会で白浜町のとれとれ市場へ県内視察に伺いました。堅田漁協の組合長の説明では、「御坊まで高速道路が延びたときや田辺まで延びたときに売上げが増えた。インフラができたときは増えていくが、インフラができたから守られるわけでなく、観光客が増えたときに受入れできる体制も必要。また、20年前から30年前と違い、今は、お客さんは全て携帯で情報収集できる時代で、観光地は選択される対象であり、黙っていてはお客さんが来ない。そうなったときに選ばれるための次の手段は飛行機である。今後、インバウンドの大幅な増加が見込まれる中、日本全国の中で、世界の中で白浜を考えるならば、車だけではない。これからの和歌山県を考えたら、紀南にはロケット発射場もできて発展させていこうという考えならば、空港に2500メートルの滑走路がないとLCCは多分飛ばない。滑走路延伸の事業化は未来に向かって」と説明の中でおっしゃられていました。
実際、2023年に熊野白浜リゾート空港へ就航したベトナムのLCCベトジェットエアにおいては、滑走路不足により搭乗者数の制限が生じました。これでは十分な誘客が見込めません。
私も、白浜町はポテンシャルがたくさんあり、ある大手旅行会社の──和歌山の方ではないのですが、上部の方が、私なら白浜を日本のハワイにしたいとおっしゃっていたことが頭に残っています。面白い考えだなと。
先ほども質問していますが、政府が発表しているインバウンドの状況は、2023年2506万人、政府目標2030年6000万人となっています。また、訪日外国人旅行消費額15兆円の実現に向けて、出入国手続時間短縮によるストレスフリーで快適な旅行環境を提供することで、我が国の空港の国際競争力を強化し、インバウンドの早期回復を目指すと目標を設定されています。もちろん国内線も関係してきます。
熊野白浜リゾート空港を運営している会社も、DXもフルに活用しながらコストカットも行い、空港運営をしています。搭乗者数も、2022年度、2023年度、両方とも約23万人です。受入れ体制も同時に考えていかなければなりません。今後の和歌山経済の発展のためには、熊野白浜リゾート空港の滑走路延伸も必要だと考えていますが、滑走路延伸の検討状況と実現に向けた知事の意気込みをお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
県の発展ということを考えますと、まずは首都圏ですね、国内でいいますと、人口や経済の中心である首都圏。それから、まさにインバウンドのお話がありました。東南アジアが大変な勢いで成長しておりますので、東南アジアの経済力。首都圏や東南アジアの経済力を取り込むということが大変重要になってくると考えております。
その際に、直接的な経済効果を呼び込める方策としては、熊野白浜リゾート空港をより積極的に使っていくということだと考えております。現在、熊野白浜リゾート空港は、お客様ですけれども、10年前に比べますと2倍になっています。今23万人とおっしゃっていただきましたけれども、20万人を超える数というのは、ちょうど10万人ぐらいでしたら倍ということであります。
これは、現在の運営会社の岡田信一郎社長の実力にもよるものでありますが、これは当然、地元の近隣市町の御努力、さらには県の観光関係の職員の皆さんの御努力もあり、あるいは直接、県土整備部で空港を管理して運用している皆さんの御努力もあるというふうに理解しております。
それで、さらに今年は20周年を迎えましたけども、世界遺産がございます。それから、白浜はワーケーションのメッカであり、聖地であり、温泉もあるリゾート地であります。そういう意味では、23万人で満足することなく、30万人、40万人と増やしていくことが可能であろうかと考えております。
一方、そうやってお客様を増やしていく際には、どうしても国内線の大型化、あるいは国際線を受け入れるという意味でも、大型機の離発着ということが重要になってまいりますので、やはり2000メートルではなくて2500メートルの滑走路が必要になってくると考えております。
現在、少し予算を今年いただきましたので、コストベネフィットの分析や施設配置計画の検討、それから当然コストをどうやって減らしていくのかという検討、さらには事業化する場合の環境影響評価、あるいは地域住民の皆さんを巻き込んでいくという意味で、パブリック・インボルブメントなどの手続を踏まえたいろんな事業化までのスケジュール案をつくっていかなければなりません。まさにその事業の可能性も含めて、検討を今進めているところであります。
それで、恐らく数百億円の規模になりますので、当然国の補助金を使わないといけないわけであります。当然補助金を申請するためには、コストベネフィット分析をクリアしなければなりません。現在、羽田との3便で20万人を超えるとはいえ、今のままではなかなか1を超えない状況であります。したがいまして、まずは、今もやっていますけど、国内空港間のチャーター便を、今まさにやらせていただいています。
それから、羽田路線が今3便なんですけども、これも今一生懸命、タイミングがあるんですけれども、日本航空にもよく伺って、4便にできないかという努力もしております。それから、国際便のチャーター便はこれまでも飛ばしてきましたけれども、さっき議員にも御指摘いただきました。さらに、これ定期便ですね。もちろん、チャーター便も増やしたいと思いますし、来年はぜひ台湾に行って、台湾からのチャーター便も今やりたいと思っているんですけども、できれば定期運航なども必要になってくると、そういう努力をするということが必要になっています。
そのために、航空会社と連携した国内外への需要喚起、それから、ほかの県がやっていますけど、例えば和歌山から羽田へ行く人にインセンティブをつける、あるいは満員の便もありますけど、割とすいている時間帯の便があるので、そこの便に乗っていただく方にインセンティブをつけるというようなことも考えられる。それから、当然、和歌山県や紀南地域の認知向上に向けたPR、あるいは今も実験していますけども、白浜の空港の利便性を向上させるために、空港の連絡バスですね、これは今実験しています。そういうものが必要になってまいりますので、まず、そのような利用促進策を進めてコストベネフィットをクリアするように、恐らく4年ぐらいをめどに考えています。そこでぜひ補助金申請をしたい、できればしたい。
さらに、技術的な課題がたくさんあります。延伸のための技術的な課題については、県だけではなかなか難しいので、先般、国土交通省航空局長さんにお会いしまして、支援の要請を行いましたところ、快諾をいただきましたので、一歩ずつ一歩ずつ、明けの明星を目指して努力をしてまいりたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 本当に今まで以上の持続可能な経済をつくるのは、人流をつくるしかないと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
次、大項目4、アンテナショップわかやま紀州館についてお伺いします。
東京有楽町にあるアンテナショップわかやま紀州館が、2024年2月に20周年を迎え、この6月にリニューアルオープンしました。私も何度か行かせていただいていますが、レジカウンターや販売台の各所に紀州材が使われ、店内にはヒノキの香りが漂う、リラックスできる空間となっています。
アンテナショップを各地方自治体が展開する理由として一番多いのが、特産品や各自治体のPR、観光案内、地域情報発信のような知名度の向上です。アンテナショップで販売したことがきっかけとなり、百貨店などほかの小売店で取扱いが始まった商品も多くあると聞いています。アンテナショップの運営そのものは、民間団体やNPOなどが地方自治体から受託して行っていることが多いようです。
ここ10年のうちにアンテナショップの数は全国で2倍近い数にまで増え続け、国内外から人が集まる都内では、銀座、有楽町を中心に、計50を超えるアンテナショップが設置されていると聞いています。和歌山県もその一つです。店舗においては年間1億円以上の売上げを出し、北海道のアンテナショップに至っては年間10億円もの売上げを出しているなど、効果的な数字を出しているように見ることもできます。
具体的な取組としても、集客に意欲的なアンテナショップが多く、SNSやホームページを活用したインターネットでの宣伝や外国人向けのパンフレット設置や語学力のあるスタッフの設置、免税対応など、自治体をグローバル展開していきたいという思いも伝わります。
また、観光だけでなく、地方移住に向けた動きもあり、移住相談コーナーや移住者に向けたパンフレットの設置など、定住者の確保もアンテナショップを通じて行われていることがあります。特産品や各地方自治体のPR、観光案内、地域情報発信のような知名度の向上や県産品の魅力発信を目的にしておりますが、リニューアル後の数字的な部分は気になるところです。
そこで、わかやま紀州館の売上げや購買者数、販売アイテム数は、リニューアル前と比較してどうなっているのか、農林水産部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長立石 修君。
〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 20周年を契機として、6月7日にリニューアルオープンしたわかやま紀州館は、首都圏におけるアンテナショップとして和歌山県の魅力を発信するとともに、首都圏でのテストマーケティングや事業者自身による店頭販売を実施し、幅広く県内事業者の販路開拓を支援しているところでございます。
御質問のリニューアル後における売上げ、購買者数ですが、月平均で売上げが約1600万円、購買者数が約1万1000人、販売アイテム数が約1000商品となっており、本年6月から11月までを前年同月と比較しますと、売上げ及び購買者数は約1.5倍、また、販売アイテム数は約1.4倍の伸びとなっております。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございます。伸びているということでよかったです。
東京都内のアンテナショップ出店状況を見ると、銀座一等地に路面店舗を構えるアンテナショップは、コストパフォーマンスが低いかもしれませんが、情報発信や知名度の向上においてインパクトは大きいものがあると考えます。
和歌山県においては、東京有楽町のアンテナショップの年間家賃が約1500万円程度と聞いているので、先ほどの売上げ、月平均約1600万円などを踏まえて、年間の費用対効果なども考えると、うまく実店舗をどんどん生かすことができれば、今よりはるかに効果の高いアンテナショップを目指すことは十分可能だと考えますが、これからのアンテナショップの魅力発信をどのように行っていくのか、農林水産部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長。
〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 今回のリニューアルにより新たに設置しましたイートインコーナーでの梅、ミカン、桃、ハッサクなど、和歌山自慢のフルーツを使ったジェラートの提供や、和歌山の梅酒及び地酒の飲み比べ体験を通じた販売促進、また、わかやまパンダコーナーによるパンダグッズの常設販売に伴う観光PR、さらには、包括連携協定を締結した石川県と、東京や大阪で実施する連携フェアなどを通じまして、従来からの顧客層に加えまして、新たな顧客層を獲得していくことを目指しているところでございます。
また、SNSや大型ディスプレーを活用した和歌山県の魅力発信のほか、首都圏への進出を目指します県内の新規事業者の発掘や事業者自身による店頭販売を積極的に展開するとともに、首都圏バイヤーと和歌山県産品をつなぐショールームとしての最大活用を図ってまいります。
加えて、首都圏における和歌山の顔として、上質な和歌山県を体験できるおもてなしや空間づくりを行うことで、販路開拓はもとより、観光誘致や移住・定住につながる店舗づくりに努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 先日行ったときもすごい人だったので、お客さんも伸びているなという感覚もあり、あの場所を最大限に生かす取組も、いろいろ観光のほうとか誘客とか、そういうのにまたよろしくお願いいたします。
それでは、最後の5項目めの質問に入ります。
学校における法務相談体制についてお伺いします。
近年、多様化、複雑化する住民ニーズに対応して、自治体における行政需要は拡大・高度化の一途をたどっており、幅広い視点から、法的検討を踏まえた対応に迫られています。自治体においてだけでなく、学校においても同様に、法的な知識が必要とされる場面が増えてきています。全国的に、いじめや学級崩壊、不登校、体罰、教職員と保護者のトラブルなど、様々な問題が発生しており、加えて問題はますます深刻化し、多様化、複雑化しているのが現状です。
トラブルには、心の問題や家族関係、貧困等、日常生活に関係する問題が複雑に絡み合い、虐待など学校外に原因があるケースも少なくありません。これまで、こうしたトラブルの解決には、学校が地方の教育委員会と連携して対処してきましたが、十分な体制を取ることは困難であると思います。また、これらのトラブル解決には法的な知識が必要とされることが多くなってきています。
このように、学校を取り巻く法務環境も変化している中で、全国各地ではスクールロイヤー制度の導入も進んでいます。これらの背景から、法律の専門家である弁護士の需要が高まってきていると考えられます。
令和元年9月に、当時の文部科学大臣が全国に約300人のスクールロイヤーを配置する方針を明らかにしました。令和2年度から、都道府県教育委員会及び政令指定都市教育委員会における弁護士等への法務相談経費について、普通交付税措置が講じられることとなりました。さらに、文部科学省が日本弁護士連合会協力の下、実際に学校現場での法務相談等の業務に携わっている弁護士をスクールロイヤー配置アドバイザーとして設置し、各自治体における法務相談体制の構築や充実に向けた支援をしております。
令和2年末には、教育行政に係る法務相談体制構築に向けた手引きが公表され、現在では、各都道府県の教育事務所や政令指定都市と本庁直轄の自治体等、全国に約300人の配置が進んでいます。また、全国では、文部科学省の対応を待たず、都道府県や市区町村の教育委員会が独自でスクールロイヤー制度を導入している地域もあります。制度を導入した自治体では、問題の適切な解決と現場の安心感と精神的な負担軽減につながっている、純粋な法的問題に関わることだけでなく、広く問題解決のための助言や支援をもらうことができるなどの成果が出ていると聞いています。
文部科学省が実施した教育行政に係る法律相談体制の整備等に関する調査(令和4年度間)によると、スクールロイヤーに相談する体制が整っている自治体は、都道府県で83%、中核市で64.5%、市町村等(中核市を含む)で11.3%となっています。
いじめや不登校のほか、保護者対応や体罰など、幅広い範囲の問題に対応する組織体制が重要になってきていると考えます。
そこで、県立学校や市町村教育委員会からの諸問題に対応する法務相談体制について、どのような体制で取り組まれているのか、教育長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 法務相談についてでございますが、県教育委員会では2013年度から、学校だけでは解決することが困難と判断された事案について、対応策を検討し助言する学校サポートチームを設置し、対応してまいりました。2020年度からは、直接的な助言や指導を行う機能を持たせたタスクフォースへと発展的に改編し、多様化、複雑化する事案の解消に向けた支援を行っています。
弁護士や臨床心理士、社会福祉士等で構成した専門チームは、県立学校や市町村教育委員会からの緊急の問題に対し、学校への派遣や電話相談による法的な助言や心理的サポート等、多面的な支援を行っており、本年度は16件派遣しています。
学校によっては、そういう大きな事態に至らない案件について、一義的な法律相談を行っている学校もございます。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございます。
県教育委員会は、スクールロイヤー制度ではなく、弁護士も含めた総合的に対応するタスクフォース制度で多面的な支援を行っているということで、本年度は16件派遣しているということですが、教職員ができるだけ気軽に弁護士に相談できる体制づくりも必要だと考えますし、また、いじめなどの相談があれば、まず学校側の判断となりますけども、できるだけ素早い対応をするようお願いします。
保護者からの相談対応についてはどのように対応されているのか、教育長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 保護者の法務相談についてですが、県立学校では、保護者からの法的な相談を受ける体制はありませんが、教職員は日頃から、児童生徒をはじめ保護者の悩みや相談等に対応しています。また、県教育委員会では、法的ではありませんが、子供SOSダイヤルや教育相談電話等の相談窓口を設置しています。
困難な課題については、先ほど申しましたタスクフォースが法的相談も含めた事案の解決に当たる場合があります。各学校が「チーム学校」として管理職を中心に事案の早期解決ができるよう、時には外部の応援も受けながら、学校の対応力向上に努めてまいりたいと考えています。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 しっかり保護者、また学校の先生の声を聞いて対応してください。
これで、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、中西徹君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時29分散会