令和6年12月和歌山県議会人権・少子高齢化問題等対策特別委員会会議記録


令和6年12月和歌山県議会人権・少子高齢化問題等対策特別委員会会議記録

 

1 日時  令和6年12月13日(金)午後2時15分~午後2時50分

2 場所  予算・決算特別委員会室

3 出席者 委員長   吉井和視

      副委員長  浦口高典

      委員    三栖拓也、藤山将材、森 礼子、中本浩精、山下直也、藤本眞利子、小川浩樹、林 隆一 

      欠席委員  なし

      委員外議員 なし

4 概要

   午後2時15分開会
    ●吉井委員長
     ◎開会宣告 挨拶
     ◎報告事項 なし
     ◎撮影許可 3件
     ◎議事   教育現場における人権問題等対策について説明要請

    ●島本共生社会推進部長及び宮﨑教育長説明 

    ●吉井委員長

     ◎説明に対する質疑等宣告

       

   Q 藤本委員

    部落差別解消の推進に関する法律ができ、8年が経過した。県としても部落差別の解消の推進に関する条例を作って

   取り組んでいると思うが、県内の市町村でこのような条例を作っているところは、いくつあるか。

 

   A 玉置人権政策課長

    6月時点で、県内の4市町が条例を制定している。

 

   Q 藤本委員

    市町村でも取り組まれていると思うが、30市町村のうちの4市町ということからすると、もう少し広がりを見せられ

   るのではないかと思う。県としても、市町村の広がりを支えるような取組をお願いしたい。

    県では、条例において、プロバイダの責務の規定や勧告・公表という踏み込んだ取組をしていると思う。しかし、

   そういう取組をしても、インターネット上での差別や公務員による差別事件など、和歌山県だけではなくあちらこちらで、

   いまだにそのような問題があることを大変残念に思っている。

    県は、人権尊重の社会づくり条例の下に、いろいろな取組を進めていると思うが、この条例の中には、差別を禁止する、

   差別に対して何か対策をするということが盛り込まれていない。人権を尊重する社会づくりを進めるという柔らかい表現

   になっており、差別を断固として許さないという強い姿勢を示したものではないと思う。

    障害のある人の人権、子供の人権、女性の人権や部落差別も含めて、個々の人権問題について条例を作るなどして取組

   をしているとは思う。鳥取ループ・示現舎による、部落の地名の公表、昔でいう部落地名総鑑の電子版のような事件が

   あり、裁判が決着した。その裁判の中で、人は差別をされない権利があるということが認められた。差別は許さない、

   差別は禁止する、そのような条例が必要だと思う。今の社会づくり条例では、絶対に差別を許さないといった、差別を禁止

   するような文言が入っていない。社会づくり条例ではなく、憲法の基本的人権の理念に基づいた差別禁止条例のようなもの

   を作ることはできないのか。

 

   A 玉置人権政策課長

    差別を禁止する条例については、現在のところ、個別の条例で対応しているところである。ただ、差別をしてはいけない

   という条例については、今後検討していく必要があると考えている。

 

   Q 藤本委員

    差別はしてはいけない、差別をしたら罰則がある、ということが明記されたような条例が、今後、必要ではないかと

   思っている。

    差別事件が発生したときに、どこで審議をするのか。例えば、部落差別であれば、どこで審議していくことになって

   いるのか。

 

   A 玉置人権政策課長

    差別事件が発生したら、まず、行政が主体となり取り組んでいくのが基本である。

 

   A 遠見人権局長

    人権政策課長の説明のとおり、基本的には行政が主体になる。そして、県の取組に関して審議する機関として、人権施策

   推進審議会を設置している。

 

   Q 藤本委員

    それは、部落差別に限った機関か。

 

   A 遠見人権局長

    部落差別に関しては、部落差別解消推進条例において、事業者への勧告等に対して意見を述べる機関として人権施策推進

   審議会があり、その内部に専門組織である人権侵害事件対策委員会を設置している。その対策委員会の中で意見を聴く形を

   取っている。

 

   Q 藤本委員

    今の取組の中では、そこに法的な部分での限界があるのかもしれない。

    人権尊重の社会づくり条例の下で、個別の人権問題についてそれぞれ条例を作っているということでよいか。

 

   A 玉置人権政策課長

    社会づくり条例は、人権問題の全てを総括する基本となるものである。その下に各条例がある。

 

   Q 藤本委員

    各条例は、独立した審議会、例えば、障害者差別解消条例であれば、あっせんのために調整委員会を設けている。男女共同

   参画に係る条例であれば、被害者の支援のための相談について規定する条例となっている。子供の人権における虐待の問題に

   ついては、虐待に係る条例がある。部落差別に関しても条例があるが、そういった個々の条例は、社会づくり条例と並列とな

   るのか。どのような位置づけにあるのか。

 

   A 島本共生社会推進部長

    条例に上下関係はない。人権尊重の基本となる条例はあるが、例えば、障害者差別解消条例、男女共同参画に係る条例は

   それぞれ並列となっている。基本的な考えとしての人権尊重の社会づくりというのは、県行政全てに共通した考え方である。

   障害者差別解消条例の中には調整委員会が設けられているが、それは例えば合理的配慮に関して調整がうまくいかないとき

   のためものである。しかし、障害のある人に対する差別、例えば言葉での差別があったような場合に県の対応を諮るときは、

   その調整委員会ではなくて、人権尊重の社会づくり条例に基づく審議会の委員会に諮る形になる。

 

   Q 藤本委員

    部落差別が起こったときは、どこで審議するのか。

 

   A 玉置人権政策課長

    部落差別については、部落差別解消推進条例の下、審議会の内部組織である対策委員会で審議する形になる。

 

   Q 藤本委員

    あくまでも条例の中に定められた審議会の中でやるということになっているということでよいか。

 

   A 玉置人権政策課長

    そのとおりである。

 

   要望 藤本委員

    私も整理が必要だと思うが、差別について、絶対にしてはいけないということで禁止し、禁止しながら対策を

   して救済をする、という流れがいると思う。まずは差別禁止条例みたいなものが作れないか研究してほしい。

   憲法に、基本的人権について書かれている。このような基本的なことから、和歌山県は部落差別も含むあらゆる

   差別を許さない、差別は禁止するという条例を研究してほしい。国ではなかなかできない。要望しておく。

 

   要望 林委員

    藤本委員と同様の意見であり、やはり罰則を設けた方がよい。差別、特に同和問題に関する差別というのは、

   そこで生まれ育ったことによる差別であり、あってはならないと思う。そのような差別をする人やグループに対し、

   条例上で罰則規定を設けていく方がよいと思っている。前向きに検討していってほしい。

 

   Q 吉井委員長

    前回も言ったが、部落差別解消推進条例で、地方自治法に基づく審議会が設けられており、その審議会は他の条例

   と併用している。部落差別について国に対して実効性のある法整備を求め、部落差別に係る特別な条例を作った和歌

   山県の姿勢として、部落差別に特化した委員会を作ってほしいと再三言ってきた。和歌山県が、同和問題に対する先

   進地としての流れを作っていくのであれば、特化した委員会を作るべきだと言ってきた。現在は、他の人権に関する

   条例と一緒の審議会を代用している。最近会長が変わり、組織分科会もできたが、代用しているということに違いな

   い。立派な委員ばかりだが、代用しているとなると不安な面もある。なぜ、当局はしようとしないのかわからない。

   予算がいる話でもない。審議会の委員に報酬を支払っているのか。

 

   A 玉置人権政策課長

    開催するごとに支払っている。

 

   Q 吉井委員長

    大きな金額ではない。既に、2年も3年も言ってきた。最初に言ったとき、知事は、こういった委員会は、法制的に

   できないと言った。条例ができたら委員会もできるのではないかと言ったが、法制的にできないと当局も言い、人権政

   策課長も言った。法制的にできないということは、今になって、騙していたのではないかと思う。委員会制度である公

   安委員会のようなものはできないが、県で条例を作った場合、地方自治法第138条の4や第202条の3に基づいて作る

   ことができると思うが、そのことを今まで言ってきた。

 

   A 遠見人事局長

    委員長指摘の内容について、改めて確認する形で答弁する。

    委員長指摘の委員会が、あくまでも独立した執行権限を持つ委員会の設置であれば、法律の根拠が必要である。

    ただ、今回の委員長指摘のような、執行機関の附属機関としての第三者委員会は条例に基づいて設置は可能であると、

   地方自治法上の整理になっている。

    そのような趣旨のもと、部落差別解消推進条例に基づいた委員会や審議会の設置の必要性について、委員長から指摘

   があったものと理解している。

 

   Q 吉井委員長

    せっかく条例を作ったのに、メンバーも変えず、他の審議会をそのまま委員会にするというのは、いかがなものかと思う。

 

   A 遠見人権局長

    同じことの繰り返しになるが、現時点における県の考え方あるいは体制作りとしては、人権尊重の社会づくり条例に基づき、

   あくまでも執行機関の附属機関としての審議会を設置し、その内部の専門組織として、差別事件に対応する人権侵害事件対策

   委員会を設けている。

    併用・代用しているという言葉が出たが、その人権侵害事件対策委員会の中で、部落差別解消推進条例に基づき事業者等へ

   勧告する場合にも意見を述べてもらう、という整理をしている。もちろん人権侵害というのは、部落差別という大きな問題も

   あるが、それ以外にもいろいろな問題がある。そういった中で、社会づくり条例に基づき設置している審議会は、いろいろな

   分野の専門的な見識を有する大学の教授や弁護士が委員となっており、例えば部落差別が発生した場合には、内部組織として、

   その委員の中から同和問題に十分な見識を持つ委員を5名選ぶ。今の段階においては、その委員会において、部落差別はもち

   ろん、仮に障害のある方に対する差別事件が発生した場合には、その問題に見識ある方を含めた委員構成で対策委員会を開き、

   県に対して意見を述べてもらう形にしている。発生した差別事件の内容に基づき対策委員会の構成メンバーに専門性を持たせ

   る形で、構成メンバーを変えながら、対応していきたいと考えている。

 

   Q 吉井委員長

    分科会は、新しく人を入れ替えて作ったのか。

 

   A 遠見人権局長

    差別事件が発生したときに、人権問題の内容に応じて入れ替えて作るということである。

 

   Q 吉井委員長

    今は、作っていないということか。

 

   A 遠見人権局長

    今は、まだ作っていない。

 

   Q 吉井委員長

    それは詭弁である。一生懸命考えてやってほしい。

    差別はいろいろあり、これからも時代ごとにいろいろな差別が発生してくる。障害者差別、女性差別や高齢者差別など、

   いろいろな差別があるが、部落差別とは違う。歴史的な身分差別から発生した差別は背景が違う。障害者差別は障害がある

   人、高齢者差別は高齢の人、女性差別は女性だが、部落差別はどこで判別するのか。判別できない。だから他の差別と違う。

   部落差別は、絶対に、緊急的に即時になくさないといけない差別である。絶対になくさないといけない差別であるから、県

   がやるべきことをやってくれということを言っている。 

    実効性のある法整備とは、どういうことか。

 

   A 玉置人権政策課長

    実効性については、差別をしてはいけない、差別をしたときには法的な規制や罰則を与えるというものである。

 

   要望 吉井委員長

    規制や罰則を与えるということである。だから、規制や罰則を与えることについての法整備を、和歌山県は、何年も国に

   対して要望している。他の県は、そんな要望はしていない。だから、条例を作ったのであれば、それなりの覚悟でもって

   やってもらわないと困るということを言っている。

    審議会のメンバーは10人ほどだが、部落差別に対応できるようなメンバーとは違うような気がする。大学の先生などで

   なくても、部落差別をよく学んでいる人や実体験がある人などを委員会のメンバーに入れるべきだと思う。そういう委員が、

   勧告に際して知事に意見を具申する。そういう委員会、審議会であるべきである。おざなりに他の委員会を持ってくると

   いうことではいけないと3年前から言っている。このことについて知事に言っておいてほしい。適当なことをしないように

   言っておいてほしい。

 

    ●吉井委員長

     ◎説明に対する質疑等終了宣告

     ◎その他(県内外調査)について事務連絡

     ◎閉会宣告

    午後2時50分閉会

 

 

    

 

    

 

 

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