令和6年12月和歌山県議会農林水産委員会会議記録
令和6年12月和歌山県議会農林水産委員会会議記録
1 日 時 令和6年12月16日(月)午前9時59分 ~ 午前11時7分
2 場 所 第4委員会室
3 出席者 委員長 北山慎一
副委員長 坂本佳隆
委員 谷 洋一、谷口和樹、浦平美博、川畑哲哉
欠席委員 冨安民浩
委員外議員 なし
4 概 要
午前9時59分開会
●北山委員長
◎開会宣告 挨拶
◎報告事項 冨安委員の欠席
◎傍聴協議 3件
◎撮影許可 4件
◎議 事 議案6件、請願1件、継続審査を要する所管事務調査8件
◎農林水産部審査宣告
◎議案等に対する説明要請
●立石農林水産部長説明
●北山委員長
◎議案に対する質疑及び一般質問宣告
Q 川畑委員
今年は長くて暑い夏だったので、私の地元でも稲穂を刈り取ったあと勝手に二期作になって、また穂が出てきたりしていた。この二
番穂、ひこばえを有効に活用して農家の方の所得向上に少しでもつながればいいと思うが、この二番穂の取り扱いについて、担当課と
してどのように考えているのか。
A 塩路果樹園芸課長
二番穂、ひこばえについては、今年は暖かかったことと、稲刈り後に降雨があったことから、発生が見られたと認識している。二番
穂には穂や葉があり、カメムシなど害虫の餌場となってしまうため、また、できるだけ株の分解を促進するためにも早い時期にすき込
んでほしいと考えている。
要望 川畑委員
技術も時とともに発展するかと思う。コストパフォーマンスがよく、周りの環境にもよく、有効活用できるようなアイディアがもし
できるようであれば、時機を逸せずにぜひ活用して、地元の方にも知らせしてほしいと思うので、引き続き調査をお願いする。
Q 川畑委員
スマート農業実演会での自走式草刈機について、当日の様子や課題について教えてほしい。
A 上山研究推進課長
草刈りについては現場で問題なく実演できていた。機械としては完成しているが、一般の農家が個人で導入するのにはコストがまだ
高いと感じる。
Q 川畑委員
6月、9月の当委員会で質問したジビエの給食への提供削減について、その後の県の対応と進捗を教えてほしい。
A 豊吉畜産課長
学校給食でのジビエ利用については、県内全ての自治体の教育委員会に対して、自治体独自の判断で継続的にジビエが給食に取り入
れられるように、4月と9月に文書にて依頼した。これを受けて、11月末に利用状況を集計したところ、ジビエコロッケ1万450食、ソ
ーセージ1239食、シカミンチ肉233食の利用があった。
また、県独自で行っているジビエ出前授業の実施関連校41校の給食へのジビエ提供は、7200食を見込んでいる。
これら以外にも、業者と協力しながら給食に使いやすいジビエメンチカツを開発し、10月から紀北地域の市町を中心に、給食への利
用の働きかけを行ってきた。その結果、和歌山市、海南市、紀の川市の給食で、今年度中にジビエメンチカツを約1万9000食分、利用し
てもらえる見込みとなった。
これらを合計すると、現在、約3万8000食の提供を見込んでおり、今後もジビエを給食に利用してもらえるよう、各自治体へ働きかけ
るとともに、関連企業と連携して学校給食に利用しやすいジビエの商品開発をしていく。
要望 川畑委員
現場からすると、感覚として急に県から提供削減という話があって、びっくりしただろうし、また、県に不信感を覚えたと思う。
それを受けて、1年をかけて担当課で努力され、かいた汗の量は現場も理解してもらえてると思う。私からも感謝を伝えたい。
引き続きよろしくお願いする。私もジビエフェスタに行かせてもらう。
Q 谷口委員
今年のかんきつ、特にみかんが不作で、私は紀南出身なので、多くのみかん農家の方からもいろいろな話を聞くが、肌感覚としては
去年の4割ぐらいしか取れていないところがあり、皆さん大変苦労している状況である。
改めて今年のこれからの中晩柑などの出来具合と、今年の不作の対応策、これが来年度以降も続いていったときにどんな策を考えて
いるかを、今年はうめも不作なので併せて教えてほしい。
A 塩路果樹園芸課長
今年の県内のうんしゅうみかんについては、カメムシやヤガの吸害や高温による日焼け果、着色の遅れの影響があり、12月9日現在
のJA系統扱いの出荷量は前年同期比81%の2万5538トンとなっている。
品質については、糖酸のバランスがよく、高品質に仕上がっており、前年同期比127%の358円と高単価で推移している。
JA紀南管内については裏年にあたり、12月9日現在の出荷量は前年同期比67%の2161トンで、単価は前年同期比120%の337円
となっている。
年明けの中晩柑類については、八朔、不知火などが裏年まわりであることや、清見の一部で日焼け果やヤガによる吸害の影響もあり、
11月10日現在のJA系統の取扱いの生産予想量は前年比1割減と見込んでいる。
品目別では八朔が前年比2割減、不知火とポンカンはやや少なく、清見は1割増を見込んでいる。
今後の対応策としては、かんきつ類では隔年結果を是正する摘果、剪定、樹勢を低下させない適正な施肥といった基本管理、日焼け
果対策、適期防除の実施が大切であり、うめについては、基本管理に加え老木樹の改植や受粉樹の導入が重要と考えている。
このため、JAと連携し、剪定講習会などにおいて基本管理の徹底等を啓発するとともに、国庫補助事業を活用した計画的な改植等
を推進している。また、10月25日には、みなべ町と田辺市において堆肥散布機などの実演会を開催し、スマート農機の活用を推進し
た。引き続きJAと連携し、かんきつ類やうめの安定生産に取り組んでいく。
要望 谷口委員
JA紀南管内の前年同期比の割合が低くて、単価もちょっと低めになっている状況の報告であったが、紀北よりも紀南のほうが今年の
場合ダメージが大きいと思う。そういう困っている農業、農家の現場のいろいろな話を聞きながら、補助制度自体も紀北と紀南でこの
状況も違ってくると思うので、支援策で対応できるところがあれば考えてほしい。
また、今回九州や四国でもみかんが不作で厳しい状況だと聞いている。その中で和歌山のみかんの単価も上がっており、年末にかけ
て上がっていくかと思うが、産直などの直接取引において市場以外の価格がある程度予測できたら間違って安く売ってしまうことがな
くなるのではないか。より全国的な出荷量や取れ具合をもっと緻密に分析することは、デジタル化が進む中で可能だと思う。
年末の取引価格を予測できたら収入が増え、安く売り切ってしまうことも減ってくると思う。そうして全体的にかんきつの価格が高
くなって、各農家の収入も増えることにつながると思うので、その価格の予測を進めてほしい。
Q 谷口委員
養鶏場で鳥インフルエンザが発生したときに、埋却する場所や処分の工程なども今までの経験上ある程度予測されているかと思うの
だが、それぞれの養鶏場に合わせて、万が一、何かあったときにどう動くかというような計画はつくっているのか。
A 豊吉畜産課長
鳥インフルエンザについては、各養鶏場において防疫計画を策定しており、例えばどこに動員者が集まるだとか、どこで埋却すると
か、どこで焼却するとか、どのようにしたら一番早く殺処分が進むのか、そういったことを防疫計画としてまとめて、養鶏場ごとに作
成している。
要望 谷口委員
鳥インフルエンザが発生したときに、職員の方が現場に駆けつけていると思うが、早い対応が求められる中で何か所も重なって発生
した場合にどうするのか。発生スピードが速いということを考えると、職員によるサポート人数の容量を越えた場合にどうするかも考
えておいてほしい。
Q 谷委員
部長の説明にあった捕鯨の頭数は、和歌山だけではなく、千葉や宮城など船団を組んで行っているのか。捕れた頭数は太地の捕鯨船
のことなのか。この間、新聞でニタリクジラが捕れ、和歌山県には約80キログラムが来たとあった。
和歌山に来た分はどのように販売しているのか。ニタリクジラはおいしいと思うので、このおいしい鯨肉を一般の方にも多く食べて
ほしい。
A 奥山資源管理課長
クジラの採捕は船団を組んで行っている。太地の捕鯨船は太地町漁協に所属している漁船であり、ニタリクジラについても太地町漁
協を通じて販売されている。
要望 谷委員
やはり、おいしいクジラをもっと捕ってきてほしい。
ミンククジラもおいしいが、ニタリクジラもおいしいと言っていくべきだ。我々には、クジラの文化をつないでいく使命がある。
おいしくないという印象を与えてはいけない。いいものを皆さんに食べてもらい、昔からの文化の正当性を発信してほしい。
Q 谷委員
漁業関係者の間では藻場造成が課題だと話している。近年、紀南地方で不漁だったイセエビが今年は日高地方まで不漁となった。
磯焼けの一番の原因は水温が高いということで間違いないか。
A 上山研究推進課長
磯焼けについては高水温も一つの原因で、温帯性の魚による食害も影響していると聞いている。
Q 谷委員
県水産試験場の取組をもとにして、各漁協で海藻を移植しているが、今度は魚に食べられてしまうという大きな弊害がある。
次は磯に定着できる方法を考えてほしい。40年近く前に台湾に行ったときに、磯の一部を閉めきって養殖していて驚いた。
例えば、磯を閉めきってしまう、あるいは鉄の網をかぶせて、その中で藻場をつくるなどしないと今の状況が変わらないのではないか。
A 上山研究推進課長
藻場については県水産試験場において、これまで高水温下でも成長に優れたカジメ類が作出できている。令和4年度からは、各市町
における藻場造成において実用化されているほか、さらに現在は大型で成長が早いアカモクの藻場造成技術開発に取り組んでいる。
磯焼けの発生原因となるアイゴやブダイといった藻類を餌とする魚類による食害を分散・軽減する上で、成長の早いアカモク等のホ
ンダワラ類と貝類の餌として重要なカジメ類を混植する藻場造成が有効と考えられることから、今後は混植した藻場造成の研究に取り
組みたいと考えている。
Q 谷委員
磯焼けの原因は、複合的な要因であると言われている。
県外調査で行った長崎県の水産試験場では、南方から来たものと混ざって高温に強い藻類の芽ができていると聞いた。
混植するのも一つだが、本当に守るとしたら磯を閉めきるとか、魚が入らないような大きな柵をするしかないのではないか。
10月、11月に、漁師はもうけがなく非常に困っている。そのために磯焼けを早く解消し、魚がとれる形に早くしてほしい。
A 立石農林水産部長
これから漁師も減ってきて低利用の漁港が出てくるので、そういったところを活用して、うまく増殖できないかということも、これ
から考えていかなければならないと思っている。
藻場をどうやって回復していくかについては、基礎研究でしっかりやっていくという体制を来年以降に整えていきたいと考えている。
ただし、長く研究する必要がある一方、すぐ漁獲量が上がってこないと困るところもあるので、分かった時点ですぐに現場へ移して
いく。
Q 谷委員
鳥獣被害への対応について、まず捕獲するということと、獣の餌となる食べ物を森林内につくっていくという両方の意見がある。
山を守ろうとすると、まず木が生えていなければならない。また、広葉樹のほうが針葉樹よりも多くの葉が落ちて土壌ができてよい
と考える。現在、和歌山県は針葉樹と広葉樹の割合はどのようになっているのか。
A 東森林整備課長
和歌山県の民有林では、針葉樹の人工林が約6割、広葉樹の天然林が約4割になっている。
意見 谷委員
線状降水帯ができて大雨が降ったら、山から流木が出てくるという問題がある。川から見れば山が崩れたときは土木で対応するが、
その前に山は林業が守るという思いを持って川に影響しないような森林をつくる必要がある。20年近く前にアメリカに行ったときに、
備長炭は海外で絶対に売れると商社から聞いたが、県内では原料がないので大量に生産できないと聞く。ウバメガシやカシ類の備長炭
になる木を植えることで国土保全にもつながるので、そうした整備や指導も進めてほしい。これは私の意見なので、また次の議会でい
ろいろと教えてほしい。
Q 浦平委員
漁業の担い手の確保と育成で漁業研修等を支援し、令和6年度に新たに5名が参加し、昨年度からの継続分と合わせ現在3市町で
10名が研修に取り組んでいる。その3市町がどこか教えてほしい。
A 岸裏水産振興課長
和歌山市、田辺市、串本町の3市町である。
Q 浦平委員
部長の説明であった、世界農業遺産の食料農業機関(FAO)への申請について、いつ申請していつ質問書が来たのか。
A 中尾里地里山振興室長
昨年の10月下旬に英訳した申請書の最終版を農水省へ提出し、10月31日にFAOへ申請書が提出されている。昨年12月には、FAOの
事務局から申請書の内容に関する質問書の送付があり、回答書を作成して提出した。その後、世界農業遺産科学助言グループで審査
員の公募による人選が行われ、新たに任命された審査員による審査会が10月28日から開催され、その審査会から申請書の内容に対す
る質問書の送付があったので、現在、回答書を作成している。
Q 浦平委員
1年前に申請をした。そして、1年が経った後にFAOから、また新たに質問されているということか。
A 中尾里地里山振興室長
1年前の10月下旬にFAOへ申請書を提出し、2か月後の12月にFAOのGIAHS(世界農業遺産)事務局から質問書の送付があった。
それについて回答した後、審査会の開催を待っていたところ、委員メンバーの人選・公募等が入ったため少し時間を要し、この10月
に開催された審査会からの質問書が来た。
●北山委員長
◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告
◎議案に対する採決宣告
◎議案第148号、第172号から第174号、第186号及び第188号については全会一致で原案可決
◎請願に対する審査宣言
◎請願に対する質疑宣告
Q 浦平委員
この問題は昨年来ずっと続いており、質問等を続けてきた。諸先輩、同僚議員から理解をもらいながら継続して審査をし、海区漁業
調整委員会でやっていくべきことではないかということになった。
それを受けて、農林水産委員会としてどうしていくのかと思い、質問をしてきた次第である。
9月定例会の委員会においても、過去の状況、そして今どこまで、どういう話になっているのかを聞かせてもらった。9月定例会後、
現在に至るまで、どのような状況になっているのか、できるだけ分かりやすく説明してほしい。
A 奥山資源管理課長
9月定例会以降、現在までの状況だが、令和6年8月9日に、和歌山海区漁業調整委員会から「問題解決に向け、両漁協間で県を交
えて協議を行ったうえで、協定を締結することが適当と考える。」との回答を受け、加太漁協と有田箕島漁協の協定の再締結に向けて、
取り組んできた。
しかしながら、協定の再締結に向けた協議日程が定まらないこと、また、重複区域での操業状況に悪化が認められたことから、10月
18日、海区の小委員会及び海区漁業調整委員会で操業問題の解決について再協議された。
その結果、和歌山海区漁業調整委員会では、11月末までに調整が進まなかったり、現場において現在の状況が継続したりするようで
あれば、和共第1号共同漁業権区域における小型機船底びき網漁業の操業を禁止する委員会指示を発動する旨、決議が行われた。
なお、協議日程の調整が進み、この12月13日に、県及び海区漁業調整委員会会長立ち会いのもと、加太漁協と有田箕島漁協の協議が
行われた。
Q 浦平委員
令和6年8月9日に和歌山海区漁業調整委員会から、しっかりと協議をして、協定を締結することが適当であるという答えが出た。
それを受けて再締結に向けて取り組んだが、その再締結に向けた協議日程が定まらない。つまり、日程が決められない。
加えて、その間も、この重複区域での操業に悪化が認められている。つまり、何の重しもなく何も変化なくやってきているのでより
悪化した。その中で、再協議を10月18日に行った結果、この共同漁業権区域における底びき網の操業を禁止する委員会の指示を発動す
るということを海区漁業調整委員会が決議した、ということでよいか。
A 奥山資源管理課長
そのとおりである。会長一任で委員会指示を出すことについて決議が出された。
Q 浦平委員
それで、12月13日、ついこの間、協議が行われたということでよいか。
A 奥山資源管理課長
そのとおりである。
Q 浦平委員
12月13日の協議の結果というものはどういったものだったのか。
A 奥山資源管理課長
12月13日の協議結果だが、協定の締結に向けた協議を前向きに進めていくこととなった。
また、重複する海域で底びき網漁船の操業が継続している状況であり、共同漁業権の適切な行使や、トラブルを回避するため、重複
区域における底びき網漁船の操業を禁止する委員会指示を発出することとなった。
Q 浦平委員
令和6年8月9日以降からずっと協議が行われてきた委員会指示を発動するということに対しての一つの方向性が定められ、今現在
進んでいるということでよいか。
A 奥山資源管理課長
そのとおりである。
Q 浦平委員
それを元に、今後県の対応としてはどのように考えているのか。
A 奥山資源管理課長
12月13日の両漁協の組合長同士による協議の結果、来年1月から協定の再締結に向けた話合いが始まることとなった。
今後、県としては、たたき台となる協定書案を両漁協に示すとともに、協定の再締結に向け、調整役を務めていく。
Q 浦平委員
最初に話をしたときに、協定書の内容や在り方についていろいろと話をしたかと思う。
この協定書案を県でたたき台となる協定書案をつくるということについて、建前上、民民という形になる。それに対して、その中に
県が入るのかどうか、教えてほしい。
A 奥山資源管理課長
協定書の中に、県として立会人という立場で記載することを考えている。
Q 浦平委員
それは県だけか。
A 奥山資源管理課長
この問題については、海区漁業調整委員会でも議論されており、海区漁業調整委員会会長を立会人として入れることを考えている。
Q 浦平委員
和歌山県の立会いの下、海区漁業調整委員会会長、そして両漁業協同組合の4者できちんとやっていくということでよいか。
A 奥山資源管理課長
そのとおりである。
要望 浦平委員
結構である。引き続きよろしくお願いする。
●北山委員長
◎請願に対する質疑終了宣告
◎請願に対する採決宣告
◎議請第2号については全会一致で継続審査と決定
◎農林水産部審査終了宣告
◎継続審査を要する所管事務調査宣告 異議なし
◎閉会宣告
午前11時7分閉会