令和6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


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令和6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

議事日程 第5号
 令和6年9月20日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第120号から議案第143号まで、報第3号及び諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第120号から議案第143号まで、報第3号及び諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 休会決定の件
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出席議員(42人)
 1番 三栖拓也
 2番 高田英亮
 3番 秋月史成
 4番 佐藤武治
 5番 藤山将材
 6番 森 礼子
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 9番 上山寿示
 10番 鈴木德久
 11番 玄素彰人
 12番 濱口太史
 13番 鈴木太雄
 14番 冨安民浩
 15番 吉井和視
 16番 山家敏宏
 17番 北山慎一
 18番 岩田弘彦
 19番 中本浩精
 20番 中村裕一
 21番 谷 洋一
 22番 坂本佳隆
 23番 川畑哲哉
 24番 堀 龍雄
 25番 谷口和樹
 26番 新島 雄
 27番 山下直也
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 小西政宏
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 総務部長       友井泰範
 危機管理部長     河野眞也
 企画部長       前 昌治
 地域振興部長     赤坂武彦
 環境生活部長     山本祥生
 共生社会推進部長   島本由美
 福祉保健部長     今西宏行
 商工労働部長     大川伸也
 農林水産部長     立石 修
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      高橋博之
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員    竹山早穗
 警察本部長      野本靖之
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
         橋爪正樹
 議事課長       岩井紀生
 議事課副課長     田中 匠
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課副主査     川崎競平
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       榊 建二
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  午前10時0分開議
○議長(鈴木太雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第120号から議案第143号まで、報第3号及び諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 1番三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕(拍手)
○三栖拓也君 皆様、おはようございます。自由民主党県議団の三栖拓也です。議長のお許しをいただきましたので、早速ですが、通告に従い、一般質問を行います。
 昨日、林議員からも質問がございましたが、経済的にも影響を大きく受けた地域の住民の思いを少しでもお伝えしたく、私からも、南海トラフ地震への備えについて、一般質問をさせていただきたいと思います。
 まずは、先月の8月8日に、宮崎県の日向灘において発生したマグニチュード7.1の地震に端を発した南海トラフ地震臨時情報への対応についてお伺いします。
 気象庁において、令和元年5月から運用が開始されて以降初めて、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。対象となった地域は、日本全体で1都2府26県707市町村に上ります。和歌山県については、県下全域の市町村が対象となりました。一連の動きを時系列に整理します。
 8月8日16時43分頃に、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生しました。速報値では、マグニチュード6.9と発表されています。
 気象庁では、17時に、南海トラフ地震臨時情報(調査中)という発表をしています。これは、あらかじめ設定された条件に当てはまった場合に自動的に発出されるもので、今回は、監視領域内でマグニチュード6.8以上の地震が発生という条件に当てはまったことで発表されたものです。
 これを受け、気象庁では、臨時に南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会を開催し、検討の結果、19時15分に発出されたのが南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)です。
  発表された内容は、次のとおりです。
  気象庁では、南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会を臨時に開催し、この地震と南海トラフ地震との関連性について検討しました。
  この地震は、西北西・東南東方向に圧力軸をもつ逆断層型で、南海トラフ地震の想定震源域内における陸のプレートとフィリピン海プレートの境界の一部がずれ動いたことにより発生したモーメントマグニチュード7.0の地震と評価されました。
  世界の事例ではモーメントマグニチュード7.0以上の地震発生後に同じ領域で、モーメントマグニチュード8クラス以上の地震が7日以内に発生する頻度は数百回に1回程度となります。
  これらのことから、南海トラフ地震の想定震源域では、大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっていると考えられます。
  南海トラフ地震には多様性があり、大規模地震が発生した場合の震源域は、今回の地震の周辺だけにとどまる場合もあれば、南海トラフ全域に及ぶ場合も考えられます。
  最大規模の地震が発生した場合、関東地方から九州地方にかけての広い範囲で強い揺れが、また、関東地方から沖縄地方にかけての太平洋沿岸で高い津波が想定されています。
  今後の政府や自治体などからの呼びかけ等に応じた防災対応をとってください。
 この気象庁の発表を受けて、各自治体が対策本部を設置するなどの対応に追われることになりました。
 私の地元である白浜町においても、同日夜に、役場職員をはじめ、観光協会や旅館組合、商工会といった経済団体の関係者が集まり、緊急の対策会議が開かれました。その中で、海水浴場の閉鎖や、花火大会などのイベントが延期または中止することが決定されました。県内各地でも、同様にイベントの中止や延期が発表され、子供たちの夏休みやお盆休暇といった観光、レジャーの最盛期に大打撃を与えることになりました。
 気象庁の発表では、1週間程度は巨大地震が発生する可能性が相対的に高まっているとの理由から、特別な注意の呼びかけを実施、翌8月9日から、南海トラフ地震関連解説情報という形で、想定震源域内における地震の発生回数や地殻変動などの情報が毎日伝えられました。その中で、和歌山県をはじめ、県下の市町村においても24時間体制で警戒を続けており、結果的に地震が発生することはありませんでしたが、いつ発生するか分からない大地震に備え、緊張感を持って対応をしていただいたと想像します。自治体職員の方々、関係者の皆様に、改めて感謝と敬意を表する次第です。
 そして、8月15日17時をもって、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)発表に伴う政府としての特別な注意の呼びかけが終了となりました。これにより、各自治体での警戒体制も解除され、これまでの日常に戻ることになったわけですが、和歌山県において、巨大地震は発生せず、大きな被害もなかったので、万事よかったとしていいのでしょうか。
 今回、私は、一連の対応を振り返り、課題を抽出し、次に向けて改善するための行動を起こす必要があると感じています。
 今回の臨時情報を受けて、私が感じた課題は、大きく次の2点です。
 1点目は、情報発信の在り方です。
 今日では、様々なメディアがあり、情報収集の手段が豊富ですが、いまだにテレビの影響は大きいと想定します。NHKをはじめ、多くの民放局の放送でも大々的に「巨大地震注意」という文言が画面に映し出されていました。夏の甲子園やパリオリンピックといった国民的なスポーツの放送において、巨大地震の注意を促すテロップと同時に映し出される画面は、非日常感が際立ち、不安をあおる要因になったと感じています。
 あくまで、今回の政府の発信する情報は、日常生活を送りながら、日頃の備えを再確認してくださいというもので、日常生活を制限するものではありませんでした。しかし、国民の受け取り方はそうではなかったと思います。
 もう一点は、政府が発信する情報の取扱いが自治体任せになり過ぎたことです。
 気象庁が発表した臨時情報(巨大地震注意)の中では、相対的に巨大地震のリスクが高まっている旨のメッセージが含まれていましたが、その発生確率は数百回に1回というものです。しかし、住民の生命と財産を守る立場において、もしもの場合に備えて人命優先の判断をすることは当然のことです。ありていに言えば、非常に低い確率だが、通常時より少しリスクが高いので注意してください、強制ではないので、どうするかは自己判断でお願いしますと言われているようなもので、各自治体に個別判断を迫るのはいかがなものかと思わざるを得ません。
 結果として、被害が想定される自治体での対応にばらつきが出て、各種イベントの中止をするところもあれば、予定どおり決行したところもあったりと、自治体やイベント主催者だけでなく、一般住民にも大きな混乱が生じたと考えます。
 今回の臨時情報についての対応は、情報を発信する側も、情報を受け取る側も、初めてのことで戸惑いもあったと想像します。しかし、幸いにも大きな災害には至りませんでした。今回のことをきっかけに、少しでも改善すべきところは改善し、前に進んでいかなくてはならないと考えます。
 そこで、岸本知事に質問です。
 今回の対応を振り返り、先ほども述べさせていただいたように、幾つかの課題が浮き彫りになったと考えますが、県としてどのようにお考えでしょうか。また、今後に向けた対策も含めてお伺いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 三栖議員の御質問にお答えさせていただきます。
 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表後、県民の皆様には、通常の生活を送っていただきつつ、避難場所や安全な避難経路の確認、1週間程度の水や食料の備蓄など、日頃の地震の備えの再確認をお願いいたしましたが、その県の呼びかけに対しまして、冷静な対応や御協力をいただきましたことに感謝しております。その間、本県には被害がなかったものの、県民の皆様の防災意識の向上にはつながったのではないかと考えております。
 一方で、議員御指摘のとおり、海水浴場の閉鎖や花火大会の延期など、地域間でその対応にばらつきがありましたことから、私どもとしては、国に対して、日常生活の継続と、日頃の地震への備えの再確認といった両立が図れるような、ある程度統一的な考え方を示すガイドラインの整理や提示を要請してまいります。
 今回は、臨時情報(巨大地震注意)の発表でありましたけれども、想定震源域内で仮にマグニチュード8以上の地震が発生した場合には、この臨時情報が(巨大地震警戒)になります。その場合には、後発地震に備えて、避難が間に合わないおそれのある事前避難対象地域では、国から事前避難の指示が発せられます。県内におきましても、相当な広い範囲に及びます。したがいまして、今後、万全の体制で事前避難ができるよう、市町村と協力して万全の準備を進めてまいりたいと考えております。
 県では、臨時情報の趣旨や内容を広く周知するため、チラシを作成し、住民に配布するとともに、市町村との意見交換や、国の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループでの検証結果を踏まえまして、住民の皆さんが適切な行動を取れますように、平時からあらゆる場面で周知・啓発に取り組んでまいりますので、県議会の先生方にも御指導よろしくお願い申し上げたいと存じます。
○議長(鈴木太雄君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 岸本知事に御答弁いただきました。
 臨時情報の発表に際して、国に対して一定の基準を設けていただく、そのような働きかけをしていくと強くおっしゃっていただいたので、大変ありがたく感じております。県下の市町村にとっても、一つの目安となる貴重なガイドラインになると思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 今後、いつ臨時情報が発せられるか分かりませんし、いきなり大地震が襲ってくるやも分かりません。今回の出来事を教訓として、日頃の備えを一層進めていくよう、行政としても継続的なサポートをお願いしたいと思います。
 では、次の質問に移ります。
 続いても南海トラフ地震臨時情報に関連する質問でございます。
 先ほどの岸本知事の答弁にもあったように、今回の臨時情報の発表を受けて、様々な気づきと反省があったと考えています。
 防災に対する取組は、先ほどの答弁の中でも言及していただいたとおり、次に向けて改善していくことで、今回苦労したことが無駄ではなかったと言えるようになるかもしれません。しかし、夏の最盛期に大打撃を受けた観光地と関連する各種業界の皆様にとっては、取り返しのつかない状況になってしまう可能性もございます。今後、臨時情報が発表されるたびに、今回のような事態が繰り返されるようでは、観光地として存続ができなくなりかねません。
 少し前置きが長くなってしまいましたが、観光に携わる多くの皆様がそのような懸念を抱いている中で、観光地における安心・安全の取組についてお伺いしたいと思います。
 先般の臨時情報による特別な注意の呼びかけが終わり、夏休みも終わりに近づいた頃、私は、白浜町内の状況を知るべく、観光業の方にお話を伺おうと、ある経営者の方を訪ねました。その方は、会うなり開口一番にこうおっしゃいました。「今年の白浜には夏が来ませんでしたね」、私はその言葉を受けて、返答に窮してしまいました。
 確かに、過去の夏休みシーズンにおいても、台風などの影響を受けて、花火大会が延期や中止になったり、海水浴場を閉鎖したりと、天候に振り回されることがありました。その分を取り返そうと秋の行楽シーズンに向けて照準を切り替え、または、年末年始に備えて特別プランを考えたりなど、観光地全体で危機感を共有し、前向きに取り組んでいたように思います。
 しかし、今回の南海トラフ地震臨時情報の影響による活動自粛という事象は、雨や風といった目に見えるものでない分、現場の事業者にとっては納得しづらい心情があるのであろうと推察いたします。海水浴場の閉鎖や花火大会などのイベントの中止、延期といった苦渋の判断を強いられた自治体やイベント主催者、また、それによってキャンセルが多発して、経済的に大打撃を被った観光事業者、皆が感じた落胆や諦めといった気持ちが「今年の白浜には夏が来なかった」という表現に集約されているような気がしています。
 とはいえ、不平や不満を幾ら並べても状況がよくなるわけではありません。観光地としてどうすればいいのか、しっかりと検証してアップデートをしていくことが重要であります。
 先ほどの質問でも触れましたが、今回の臨時情報には、ふだんどおりの生活、経済活動を送りながら、日頃の備えを再確認してくださいというものでした。このメッセージに対する受け止め方が少し慎重になり過ぎたと感じています。
 岸本知事も、8月20日の記者会見において、「それぞれの判断について何か私のほうで申し上げることではないのですが、私自身も含めて少し用心し過ぎたかなというふうに思っております。通常の社会活動、経済活動を滞りなく行う。しかし、その中で地震に対する備えを再確認するというような意味が『注意』だったということをもう一度きちんと検証してもらいたいと思います。」とお話をされていました。この点においては、国に対して統一的なガイドラインの制定を求めていただくなど、先ほど対応をお願いしたところでございます。
 また、同じ記者会見の中で、次のようにも述べておられます。
  一番大事な観光地である和歌山の海岸沿いの市町に対して、安全、安心ですよということで、お客様がきちんと来ていただけるような前向きな何か支援ができるかできないか、これは検討していきたいと思います。今回起きたことの損失については理屈としてなかなか補償できませんが、むしろそれを取り返すための観光振興の新しい事業を興していくというようなことはぜひ考えていきたいと考えております。
 こちらについては、地元としても大変期待をするところでありますので、少しでも影響を受けた地域へ、秋から冬のシーズンにお客様が訪れていただけるよう、施策を検討していただければ幸いです。
 そのような対策に加えて、やはり行政の仕事として最も重要なのは、安心・安全な観光地づくり、日頃の備えをしっかりと行った上で、観光やレジャーを楽しんでいただける状況を整えることだと考えます。例えば、今回の件がきっかけとなり、白良浜海水浴場において、避難経路の案内表示が少ない等の課題が明らかになりました。町としても、そのあたりの施策を充実させていくとお聞きをしております。
 観光で訪れていただく皆様に対し、私たちの地域は日頃からの備えを十分しているから、いつ南海トラフ地震が起きても対応できるんだということを胸を張って伝えられるくらい防災への意識を高め、対策を講じていかなければならないと痛感いたしました。
 そこで、御質問です。
 様々な自然災害が発生するリスクを抱えながら、多くのお客様を迎える観光地にとって、観光客の皆様がいかに安心・安全に楽しんでいただけるかが重要だと考えます。観光地における安心・安全の取組について、県のお考えをお尋ねいたします。
○議長(鈴木太雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
  〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 近年の気候変動により、自然災害の発生確率が高まっている中、豊かな自然が魅力の一つである本県においては、以前にも増して観光地における日頃の備えを強化する必要があると認識しております。
 観光地においては、土地カンのない観光客に対して円滑な避難誘導や適切かつ迅速な情報提供が求められるため、県としては、観光事業者向けの災害対応マニュアルや外国人観光客向けの防災リーフレットを作成し、啓発するとともに、発災時には、交通関係情報や被害情報などについて、市町村観光協会等を通じ、迅速に伝達しています。
 また、今回のことを受け、各市町村に対し、観光客の誘導を想定した避難訓練の実施など、災害時の対策を改めて点検していただくよう呼びかけをしたところです。
 今後も、各市町村や観光団体、宿泊事業者などと連携し、災害時の対応能力を高めるとともに、本県の観光の魅力と併せて、安全・安心な観光地であることをPRするなど、安心して楽しんでいただける観光地づくりに取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 御答弁いただきました。
 これまで、避難訓練は、町内会とか区といった単位での実施にとどまっていたものが多かったと思います。あるいは、自主防災組織が旗振りをして実施するようなところが多いような形でしたが、御答弁の中でいただいたように、観光客の皆様を含めて避難訓練を実施したり、また、災害時の対応を点検するということは非常に重要なことだと思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 県としても、海沿いの観光地が災害リスクを抱える、そういう場所であるということを、レッテル貼りをされるようなことのないよう、観光PRや魅力発信を一層お願いしたいと思います。
 それでは、次が最後の質問になります。
 今回の臨時情報を受け、改めて、今後発生が懸念される南海トラフ巨大地震の規模と津波の大きさを認識することとなりました。想定される地震の規模はマグニチュード9.1で、本県の最大震度は7、沿岸部では10メートルを超える津波が数分のうちに押し寄せることが予想される地域もございます。
 発災時に居合わせた場所や時間によっては、避難に時間がかかることも考えられます。また、いざ逃げようとしても、足腰が不自由だったり、移動に時間がかかる方などにとっては、津波が押し寄せるまでの数分間に安全な高台まで避難することができないという最悪のケースも想定しなければなりません。このような状況において、被害を最小限に抑えるという防災の観点ではどのような対策が有効になるのでしょうか。
 私の地元である西牟婁郡は、海岸沿いに集落が形成されている地域が多く、昔からたくさんの人々が地域に密着して生活を送ってこられました。近年、全国的に人口減少が叫ばれて久しいと思いますが、私たちの暮らす地域も、同じく人口減少に苦しんでおります。若者が都会へ出ていき、少子高齢化が進み、地域の子供がどんどん減っています。先祖代々受け継いできた地域の存在そのものが消滅しかねない重大な事態です。地域の在り方について、本気で考えなければいけない状況が既に到来していると感じます。
 そのような状況の中で、南海トラフ地震による津波が襲ってきたらどうなるでしょうか。日頃の備えを十分にして、何とか人的な被害を最小限に抑えられたとしても、津波によって被害を受けてしまった家屋や、これまで大切に守ってきた財産まで元どおりとはいかないということが想定されます。
 東日本大震災において津波の被害を受けた地域を見てみると、従来どおりの場所でこれまでと同じ生活を営むことが容易ではないのは明らかです。では、どうすればいいか。一つの選択肢として考えられるのが国土交通省の防災集団移転促進事業です。
 この制度は、昭和47年から始まっているものですが、近年の自然災害の激甚化や頻発化により、地震、津波のみならず、台風や線状降水帯による豪雨災害などで人命につながる災害が多発している状況を受け、国土交通省は、防災移転まちづくりガイダンスをまとめ、防災集団移転促進事業及び防災移転支援事業に関する各事業の進め方や具体的な運用方策などについて整理をしています。
 このガイダンス作成の背景と目的には、次のような記載があります。
  防災・減災対策としては、堤防整備等のハード対策や、浸水ハザードマップ等を通じた地域の方々に対する事前の備え・避難の呼びかけといった取組のみならず、土地利用や住まい方からのアプローチ、すなわち、災害リスクを抱えた地域から、より安全なエリアへ住居や施設を移転するという、「防災移転」の考え方を進めていくことが重要です。
  これまでも危険なエリアからの移転には、多くの地域で取り組まれておりましたが、主としては、実際に被災した後に、近傍に住まいを移転するという、事後的な対応が多い状況です。
 今後は、1つ、「平時における、発災前に行う『防災移転』の促進」、これは、「あらかじめ、災害ハザードエリアにおける住宅や施設の立地状況等を踏まえつつ、様々な移転先の候補地を検討し、平時から移転の取組を進めていく『防災移転』を進めること」です。
 2つ、「人口動態や土地利用等を踏まえた、『まちづくり』の一環としての移転の促進」、「災害ハザードエリアからの移転について、地域の持続可能性を高め、コンパクトシティの推進に資するような移転を進めること」という軸足に立った「防災移転まちづくり」を進めることが大切ですとこのガイドラインには記載がございます。
 近年の自然災害は、予測不能な被害をもたらすことが多々あります。南海トラフ地震による影響も計り知れないものです。国としても、このようなガイダンスを整備することなどにより、災害への根本対策を講じていく自治体を支援する方向性になっていると承知をしております。
 そこで、質問です。
 和歌山県として、防災集団移転についてどのようにお考えか、お尋ねいたします。
○議長(鈴木太雄君) 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 防災集団移転促進事業につきましては、自然災害が発生した地域、または、災害のおそれのある区域において、地域が一体となって災害リスクの高い場所から安全な場所への住居の集団的移転を促進することを目的とする事業で、補助率も4分の3と手厚いものになっています。
 過去、東日本大震災をはじめとする災害発生後において当事業が活用され、現在も、能登半島地震の被災地において、その活用が検討されているところです。この事業を津波浸水想定区域に適用し、災害発生前に集団移転が実施できれば、津波に対して生命・財産を守るという点では、最も有効な対策になると考えられます。
 しかしながら、当事業を活用する際には、移転したい人だけ移転すればいいわけではなく、建築基準法に基づく災害危険区域の指定による建築や居住の制限など、一定の要件が課せられるため、対象とする区域全員の合意が事実上必要となります。そういう意味で、住民との合意形成が容易でないことなどから、全国的にも津波対策としての事前移転に当事業を活用した事例はまだございません。こうしたことを踏まえ、地域ごとの災害の危険性の実情や、被災後の復興まちづくりのビジョン等に応じて、市町村が主体となって検討を進めることが必要です。
 今後、市町村から当事業の活用に向けた相談があれば、県として助言を行うなど協力してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 御答弁いただきました。
 慣れ親しんだ地域から離れるということは、そう簡単に受け入れられるものではありませんし、ただ、人口減少による地域コミュニティーの維持が難しくなってきているということに加えて、南海トラフ地震による津波の被害が予測されている地域においては、このような手段も真剣に考えていく必要があるんだろうと感じています。不都合な真実とも言えるような将来の悲観的な予測から目をそらすことなく、しっかりと向き合う必要があると考えています。
 先ほどの答弁の中にもいただいたとおり、あくまでも主役は地元の方々であって、この制度の利用についても、市町村が主体で進めていく必要があるという以上、地元や市町村の思いを最大限尊重していく必要があると考えています。答弁の中にあるように、県として、本制度について地元から何かしらの相談などがあれば、ぜひとも協力をお願いしたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終了させていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、三栖拓也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 皆さん、おはようございます。
 通告に従って、議長のお許しを得ましたので、一般質問をさせていただきます。
 コロナ後の影響がまだまだある中で、そういった様々な要因の上で、今回、物価高で県民の暮らしは本当に大変です。
 厚労省の国民生活基礎調査では、生活が「苦しい」が過去最悪の6割となり、まちの中では、物価を上回る賃上げの声が大きくなってきていると思います。
 この10年余り、大企業と大資産家の利益は増え、実質賃金は低下、物価高騰に実質賃金が追いついていません。7月25日、中央最低賃金審議会の答申では、2024年度最低賃金引上げの目安で、全国加重平均50円増の1054円としました。和歌山県最低賃金は、御存じのように、10月より980円となっています。
 過去最大の上げ幅と言われますが、私の周りでは、全国一律1500円を求める声が大きくなっています。食料支援に取り組んでいる現場からは、仕事があっても、困窮と生活不安から、食料を求める人が列をなしていることなど、報告されています。
 実質賃金は、過去最悪の26か月連続マイナスです。非正規をはじめ、最低賃金ぎりぎりで働く労働者、高学費のため長時間アルバイトをする学生、年金だけでは生活できずパートで働く高齢者、男女賃金格差の是正にとっても、すぐに最低賃金の大幅引上げが必要だと思います。OEC諸国では最低水準となっています。世界各国は最低賃金を大幅に引き上げています。岸田政権は、30年代半ばまでに最低賃金1500円を目指すとしましたが、遅過ぎるのではないでしょうか。骨太方針であらゆる政策を動員して、賃上げを後押し、地域間格差の是正を図るとしながら、実際には、思い切った何の手も打たれていないと思います。
 日本企業の99.7%、労働者の7割が働く中小企業を支援することが不可欠であると申し上げて、県としてはなかなか難しい問題だと思いますが、少しでも県民の生活を底支えすることがないか、6月議会に引き続き、質問をさせていただきます。
 以下の点について、お尋ねいたします。
 大項目の物価高騰による暮らしへの支援の中で、最初に、国保料(税)の引下げについてお尋ねします。
 物価高騰が家計を苦しめる中で、国保の負担が重くのしかかっています。政府が2018年度に、国保の都道府県化を強行しました。市町村が単独で運営してきた国保財政を都道府県と市町村との共同運営に変えられました。
 それまでは、国保料の負担抑制のため、多くの市町村が独自に一般会計から国保財政への繰入れなどの財政措置をしていました。しかし、政府は、都道府県を通じて、こうした独自措置を打ち切るように圧力をかけてきました。その結果、値上げをもたらしていると考えます。
 そこで、高過ぎる国保料引下げのためには、均等割を廃止すべきと考えます。まず、緊急に子供の均等割をなくすようにしてはどうでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。よろしくお願いします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 国民健康保険料(税)の算定方法には、世帯の人数に応じて賦課される均等割が全国一律の制度として定められています。このため、子供の数が多い世帯では保険料(税)が増加し、経済的負担が大きくなることから、未就学児に係る均等割保険料(税)については、2022年度から、その5割を公費により軽減する措置が導入されています。
 県といたしましては、子供の均等割保険料(税)の軽減措置について、対象年齢や軽減割合のさらなる拡充を図るよう、引き続き、全国知事会等を通じ、国に要望してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ありがとうございます。
 福祉保健部長のほうから答弁していただいた中で、やはり国保料が高いという状況の中で、軽減措置をいろいろと考えていただいていると、国にも知事会を通していろいろと、国庫をもっと入れるようにとか、そういったことをおっしゃっていただいているということは、やっぱり国保制度自体が、加入者の収入とかそういったことで非常に厳しい加入状況、所得が厳しい状況の中での皆保険制度だというようなことであるんですが、その運営で、今後、都道府県化された中で国保料が上がったというところが全国的にもやはり少なくないので、そういった点も含めてぜひさらに努力をしていただいて、法律がそうなっているので、やはり均等割というのを廃止するというのはなかなか難しいというようなことをおっしゃられたんですが、その点でもぜひ、皆さんが病気にならないことが大切なことなので、そういうことでは医療機関にかかりやすいという状況をさらに広げていっていただきたいなというふうに思います。
 そういった面で、生活を圧迫している、滞納があるとか、そういった状況もお聞きしているので、その点についても実際に市町の加入者の声をぜひ聞いていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、新型コロナの感染防止対策への支援についてお尋ねいたします。
 新型コロナウイルス感染症の重症化予防や医療逼迫防止には、早期の受診や検査診断が必要と思いますが、コロナ治療への公費負担助成については2024年3月末をもって終了しているため、自己負担が高額になることを理由に、受診控えが起こっていると思います。このままでは、高齢者や基礎疾患のある人が重症化することにより、医療崩壊が起こるのではないかと心配をしています。
 また、医療機関でも、新型コロナウイルス感染症患者の治療を行うために、感染防止対策や個室隔離が必要なため、これらに要する費用が大きな負担となっているとお聞きしています。自己負担額や医療機関の感染防止対策に要する費用を軽減する県独自の新たな公費補助の創設が必要と考えますが、いかがでしょうか。これについても福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 新型コロナウイルス感染症の医療費については、2024年4月以降、自己負担割合に応じた額を負担していただいており、インフルエンザなどの他の疾病との公平性を踏まえると、県独自の負担軽減策の実施は困難と考えています。
 また、医療機関の感染防止対策に要する費用については、診療報酬制度において加算されています。
 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の薬剤費は高額であるため、薬価の引下げに資する取組などの負担軽減策を講じるよう、全国知事会を通じて国に要望しております。
○議長(鈴木太雄君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁をいただきました。
 この点についても、県が独自でできる方法はないかというようなことで申し上げたんですけども、やはり医療機関にとっても、この点についての病院の経営負担という点でも大変大きなものがあると思うんです。そんな点で、実態として、ぜひどういうことになっているかも調査し、把握をしていただけたらいいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 また、診療報酬というのは、受益者負担ということでは患者さんの負担も必要なやり方なので、そういう診療報酬で、そういったことで対応するというのは、なかなか患者負担になってしまうので、その点もいかがなものかと思いますので、そういったことを含めて、また、このコロナというのは、これからもウイルスはどんどん変化していくというようなことで、いつどんなことがあるかも分からない中で、ぜひとも公衆衛生の向上ということは自治体の大きな仕事だと思いますので、その点でも、ぜひ知事会を通して国に、また新たに知事自身も国へしっかりと伝えていただきたいなと思いますので、よろしくお願いします。
 次です。三つ目でございます。
 何といってもお米、日本人の主食であるお米の不足、それと安定供給についてということで質問をさせていただきます。
 新米が出回り始めていますが、まだ十分ではありません。御高齢の方が日差しのきつい中、歩いてお米屋さんやスーパーなど行っても、米棚にはお米はありません。店頭からお米が消え、困っていると怒りの声が上がっています。
 さらに、米価の高値にも驚いていますが、それでも、新米が入荷してもすぐに完売という状況です。子育て世代や年金生活者にとって、主食のお米が手に入るかどうかは死活問題です。物価上昇に届かない賃上げにとどまる県民にとっても重大です。この最大の原因は、米の需要減を理由に、毎年減産を農家に押しつけてきたことにあるのではないでしょうか。
 2024年6月末時点の民間流通在庫は、1990年以降で最低の156万トンしかなく、少ない状況と聞いています。コロナ禍の影響もあり、この3年間で計60万トンも生産量を減らしてきました。昨年も、前年に比べ10万トン減少させています。
 政府は、減少する米の需要量に合わせて生産量をぎりぎりに抑えてきたため、僅かな需要の増減で価格が乱高下し、今回のように、お店の棚からお米が消える状況が起こったのではないでしょうか。この原因として、県はどのようにお考えでしょうか。生産量や備蓄量にふだんからゆとりを持つことが求められると考えますが、いかがでしょうか。これについては、農林水産部長にお尋ねいたします。よろしくお願いします。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長立石 修君。
  〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 米の品薄状況につきましては、知事が9月2日の記者会見で述べたとおり、南海トラフ地震の臨時情報の発表や台風第10号の接近によりまして、買い込み需要が発生したことなどが原因であると考えております。
 本県の今年の米の作柄につきましては、8月15日現在、平年並みと見込まれております。現在、新米の収穫なり入荷が順次始まっておりまして、今後、徐々に品薄感の解消が進み、価格も落ち着いてくるものと考えております。
 国が行っております米の備蓄につきましては、不作など、米の供給が不足する事態に備える制度でございます。2024年6月末時点の在庫量は91万トンと、例年並みの適正な量が確保されていると考えております。
 今後も、秋に国から示されます主食用米の生産量を参考に、需要に応じた県産米の安定生産を推進するとともに、県内の大手の米の卸売業者に対して、米の安定供給を呼びかけてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、農林水産部長のほうから、お米の不足の要因、原因について、るる述べていただいたんですけども、私はやっぱりいろんな要因があって、重なって、今回のような事態が起こったというようなことの、その本になる根底の問題が、一つは、政府の、今までの国民の主食に、本当に責任を持った政府の政策なのかという点でも問題があると思うんです。
 その点で、輸入自由化以来、国民の主食に責任を持たない政府のそういう姿勢ではないかということで思うんですけど、WTO・世界貿易機関協定批准に合わせて、1995年、食糧管理法が廃止されました。主要食糧法の下で、政府の役割は、備蓄とミニマムアクセス米輸入に限定されたと思います。生産現場では2004年から米改革がスタートして、米の生産量の判断は、農家や農業団体の自己責任ということになったのではないでしょうか。2018年から、政府は生産調整から完全に手を引いたということになります。日本で米の生産・供給全体に責任を持つ機関はどこにもないのではないかと思うんです。
 政府がやってきたのは減産です。そういった状況の中で、市場に任せるというようなことがある中で、やっぱり今回のような事態が起こってきた。また対応も、本当に私は大変つらい思いをされたのじゃないかなというのは、先ほど述べましたように、和歌山県はお年寄りが大変多くて、また、独り暮らしの人が多い。それは皆さんも御存じの中で、本当に暑い中でスーパーに行かれても、その方たちというのは、10キロ、5キロを買い求めるのでなくて、2キロなんですよね。その2キロのお米を買うことができなくて、炎天下の中で公共交通、タクシーに乗ってというわけではありませんし、そんな中でまた次のところを探しても、スーパーはずっと先のほうにしかないと。そういった本当に困っている人たちに行き届かせるという、そういった非常に大事なことが、今回は、また出てくるからもうちょっと待ってくださいみたいな対応というのは、本当に冷たいなというふうに感じています。
 今回あったことは次に起こらないとは限らないので、そういった点では、全ての人に隅々まで行き渡るような施策をぜひよろしくお願いしたいなと思いますので、これは要望させていただきます。
 次に大項目の、次は万博会場の安全性についてということで、これは、6月のときもまたお聞きしたことなんですけども、それについてさらにお伺いしたいと思います。
 現在のパビリオン参加国数は161か国で、9国際機関の参加があると聞いています。海外パビリオンの参加状況は、参加国が自前で建設するタイプAと呼ばれる国の数は47か国、博覧会協会が建設を代行するタイプXと呼ばれる国の数は5か国、博覧会協会が建設した建物を単独で借りるタイプBと呼ばれる国の数は17か国、複数の国で借りるタイプCと呼ばれる国の数は、92の国と地域がそれぞれ参加する予定と聞いております。当初は、60か国がタイプAでパビリオンを建設する予定でしたが、資材の高騰や人手不足などを背景に建設準備が遅れ、当初の計画から減少している状況だと思います。
 このような背景や万博会場の安全対策などの懸念から、万博全体が低調な報道となっている状況ですが、その中で、県内の子供たちを万博に招待する事業を進められています。
 そこで、お聞きいたします。
 この間、学校へのアンケートの取組が行われたと思いますが、その取組と結果についてお尋ねいたします。
 県は、各学校に対して万博参加への意向調査をしました。どのように取り組み、結果はどうだったか、知事室長にお尋ねいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事室長北廣理人君。
  〔北廣理人君、登壇〕
○知事室長(北廣理人君) 県では、県内の小中学生が大阪・関西万博において最先端技術や海外のパビリオンを体験し、グローバルな視野を広げることを目的として、入場チケットやバス代の一部を支援する事業を実施しているところです。
 そのため、県内の約370校を対象に説明会を開催し、万博の概要や入退場のルール、また、災害時の対策などについて説明を行いました。
 その後も、相談窓口を設け、各学校へのサポート体制を整え、参加希望の有無を確認したところ、9月19日時点で302校から回答があり、159校の参加希望がございました。
 引き続き、各学校へのサポートや情報提供を行い、子供たちが安全・安心に万博を体験できるよう取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 知事室長からの答弁で、安全・安心に全力を挙げていくと、取り組まれるという回答があったので、それについて次の質問なんですが、博覧会協会による防災実施計画についてお尋ねをしたいと思います。
 博覧会協会では、9月2日、開催期間中に発生する災害から来場者や博覧会に関わる全ての参加者及び勤務者の安全を確保するとともに、外国人、高齢者、子供、身体等に障害を有する方をはじめ、全ての来場者が安心して訪れることができる博覧会を実現するということで、防災実施計画を策定したと発表されました。その内容について、再度知事室長にお尋ねをいたします。よろしくお願いします。
○議長(鈴木太雄君) 知事室長。
  〔北廣理人君、登壇〕
○知事室長(北廣理人君) 2024年9月2日に博覧会協会から公表されました防災実施計画につきましては、大規模災害時の災害対策本部の設置基準や、台風、落雷、猛暑に係る気象情報に応じた閉場等の判断基準などが示されております。
 また、地震・津波への対応として、大規模地震発生時の来場者の安全確保から帰宅支援までを5段階のフェーズに区分し、取るべき対応、手順を明確にするとともに、15万人程度の来場者が最大3日間滞在できる備蓄品を確保することとなっております。
 なお、備蓄品の調達に当たりましては、アレルギー対策及び宗教的要素を考慮することなどが盛り込まれております。
 加えまして、万博会場での孤立が長期化する場合、船舶による代替輸送や、傷病者搬送の必要時には、ヘリコプター等による搬送を関係機関に要請することなどが示されております。
○議長(鈴木太雄君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 やっと9月2日に、今おっしゃられた防災実施計画というものが発表されたということでございますが、その点についても、内容で、やはり火災や、せんだって非常に事故が起こったメタンガスの爆発の問題についてということについては、その対応とか、どんなふうにするかとかいうことについて、防災実施計画にはないわけです。それは別途、この防災実施計画の中ではなくて、このような形で、「会期中の安全対策について」というかなり分厚い中身の報告があって、それで中身は、このことについては「考察」ということで、こういう工区については、メタンガスや炭酸ガス、そういったことについて、安全な土地利用が行えるとか、測定はしっかりして濃度も把握します、換気対策を実施します、「安全に会場を御利用いただけると考えています」というような考察が書かれているわけですけど、こういったことについて詳細なことがここにあるんですけど、こういうようなことが防災実施計画というところには盛り込まれていないので、私もちょっと分からなかったんですが、これを見て、実際に安全だというふうに思えるかどうかというのは、県民の方、また、学校の関係で言えば、学校の関係の方々に十分周知や知っていただくということが、先ほどの中ではまだ回答が来ていなかったり、どうしようかなと思われているところもあるかと思うんですが、そういうところへの周知とか説明というのは県でされるということでお考えなのかどうか、その点について、次に、知事にお伺いしたいんですけども、県として安全な万博の開催に向けてどのように考えているのかという点で、万博協会は、安全は開催の前提だというようなことを言われています。信じて来て、楽しんでくださいなどと言っていますが、万博期間中の例えばIR工事の状況とか、IR工事による影響とか、粉じんが飛んでくるとか、騒音があるとか、トラックが行き交いするというような問題も含めて、また、インフラの水道や下水道などといった、そんな設備とか、懸念されることがあると思うんですけど、そんな点で安全な万博の開催に向けということでは、どのように知事としては県民に知らせていったり、いろんな機会を通じてされるか、その点についてお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○議長(鈴木太雄君) 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 奥村議員の御質問にお答えしたいと思います。
 万博会場の安全性につきましては、私も奥村議員と全く同じように、大変重要な問題であると認識をしております。したがいまして、これまでも災害時の対策などについて、累次、博覧会協会には申入れを行ってきたところであります。
 それから、今御指摘の万博期間中のIR工事に係る騒音等の懸念につきましては、大阪府知事のほうから、くい打ち工事の延期、それから防音シートの設置、あるいは、工事のお休みの日を増やすなどの対策が発表されました。ただ、これについては私も同じ問題意識を持っていますので、引き続き状況を見守っていきたいと思っております。
 また、災害時における断水等の懸念についても、これも全く議員と同じ思いでありまして、ぜひ十分な対策を講じていただきたいということを博覧会協会に申し入れているところであります。
 いずれにしても、安全対策については、引き続き博覧会協会に申入れを行いたいと思っていますし、県からもそうですけれども、関西広域連合を通じまして、これからも県民の皆様が安全・安心に、快適に万博を体験いただけるように、協力して取り組んでまいりたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 6月や、その前からも申し上げたように、こういった安全かどうかということは、再度お聞きしたいんですけど、そういうところに子供さんとか、子供さんだけじゃなくて、大勢の皆さんが集まることになるようなイベントというのは、本来、この会場のことを考えても、ちょっと無理があるんじゃないかということは申し上げてきたんですけども、この点で、例えば、再度お聞きしたいんですけど、安全宣言って本当にできるのかどうかと、それはやっぱりどういうことでやっていくのかというあたりは、県民の方からよく聞かれるんですよ。そしたら安全だ、安全宣言をということで、そういったところについては知事としてどのようにお考えか。
 そしたら、そんなことを言ってくれたら、責任やいろんなことがあっても、そうやって大丈夫なんだなみたいなことで思われるかもしれないですけど、私はどうしてもこの状況の中で、このメタンガスの安全対策、これを見ても、そういったことが非常にそういうふさわしくない土地でされること自体の問題がどうも払拭できないもので、その点で、安全宣言をどうされるのかというあたりはどんなお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 今、奥村議員の再質問をいただきましたけれども、これは、ここに議場におられる同僚議員の皆さんも全員そうだと思うんです。もう安心・安全というのはとても大事なことだと思っています。そこはもう全く同じ問題意識を持っていると思います。
 例えば、メタンガスについては、要するに、排気の仕方について十全な対応を取ると。あるいは、濃度を毎日測定して、それについては公表されると。現時点で科学的に取り得る最大の措置は取られているんだろうなというふうに考えております。
 それから、災害のときの対応、それについても今回一応の具体的な提案が出されていますので、それについても、現時点では博覧会協会として責任を持って発表されていることについては、私どもは是としたいと思っております。
 ただ、心配すれば切りがない。それは一つ一つ潰していかなければいけませんので、今後、いろんな方の御意見も聞きながら、御要請があれば我々としても問題意識を持っていますので、担当部局と相談しながら、ここはちょっともう一回聞いてみようかと、ここがもうちょっと足りないんじゃないかというようなことについては、先ほど申し上げましたように、関西広域連合の皆さんと共々に、最後の最後まで安全な体制ができるように、博覧会協会には申入れをしていきたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 私も、しっかりと考えていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 次、大項目の介護職の人手不足問題について御質問をさせていただきたいと思います。
 介護関係の事業者訪問をすると、必ず人手不足で困っている話になります。募集をしても全く応募がないということです。介護サービスを受けたくても、それに応えられない状況があるということは大変問題です。
 介護保険法では、保険給付は、「医療との連携に十分配慮して行わなければならない。」、「保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行わなければならない。」、「保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。」としています。「都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない。」となっています。
 介護保険法の目的である要介護状態の方の尊厳を保持し、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるように、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、介護保険制度を設けているということから、介護人材の不足は、公的介護制度の存廃を脅かす重大問題ではないでしょうか。介護の基盤を強化する必要があります。
 介護労働の専門性を確保し、介護職の社会的地位の向上、それを正当に評価する処遇改善が図られてこそ、介護分野への入職意欲も高まります。人材確保も前進すると思っていますが、県としても介護職員のさらなる処遇改善が図られるよう、全国知事会等を通じて、国に対して強く働きかけていただいていることは承知しているのですが、一方、今後も少子高齢化の進展により人手不足の深刻な状況が続くと見込まれており、これから10年先、20年先、さらに未来を見据えたとき、特に若い世代の人たちに介護に対して興味を持ってもらうことが必要だと考えます。
 若い人たちの職業選択を高めるためには、介護の仕事についてのイメージアップや理解促進を図っていくことが重要であると思うんですが、県としてどのように取り組んでいるのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。よろしくお願いします。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 県では、介護の仕事に対する理解を深めてもらうため、県内の中学校2年生及び高校2年生を対象にパンフレットを配布しており、現場で働く若手職員のインタビューを通じて、介護職員を目指すきっかけや仕事のやりがいを分かりやすく紹介しています。
 また、介護現場で働いた経験がある講師が学校に出向いて、介護の仕事の魅力を直接伝えるとともに、福祉施設で実際に介護を体験する機会を提供しているところです。
 さらに、介護に興味を持った高校生に対して、介護職員初任者研修を無料で実施するとともに、就職してからも国家資格取得につながる研修会等を行い、若い世代の人たちの参入や定着を促進しています。
 こうした取組を通じて、必要とされる介護人材の確保を図ってまいります。
○議長(鈴木太雄君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 いろいろと介護職を希望や選択してくださる若い人たちを増やしていく手だてということも、いろいろ機会を通じてやっていただいているんだなということで思うんですけども、やっぱりこの問題も非常に県だけではなかなかいかない。処遇の問題で言えば、せんだって4月に強行された訪問介護の基本報酬引下げというのは、非常に現場のほうでは、そういった介護をされている人たちに失望を与えているというようなことが起こっています。
 現に、ある私どもの知っている労働組合、日本医労連で訪問介護の基本報酬引上げをすべきだということで実態調査をやったりとか、そういった中では、やはり訪問介護事業所が閉じられたりとか、そういった状況があります。
 例えば、ほかの県で見ますと、ヘルパーの平均年齢がやっぱり65歳以上を超えているとか、熊本県なんかだったら半導体工場を誘致した、そういう中で、ほかの産業のほうに、時給が上がるので、低賃金では新しい人がもう来ないというふうなことが起こっていると。北海道では、事業所が減っているとか、訪問介護の空白地域が広がっていると、そういうようなことが挙げられているので、私自身の切実な願いでもあるんですけど、これから──もう高齢期ですけど、向かって、やっぱり安心してというのは、訪問介護というのは在宅で、居宅で過ごすという中で命綱になることなので、そういった点で、この問題は県だけではいかないと思います。これも知事が知事会を通してとか、直接国に働きかけて、訪問介護の基本報酬というのが、処遇改善があって、県の努力でいろいろとこの職業のすばらしさ、魅力を発信していくというところで、しっかりしていただきたいなということで要望させていただきます。よろしくお願いします。
 次、4番で、マイナ保険証についてお尋ねします。
 マイナ保険証の利用が増えない中、厚労省は、5月から7月を利用促進集中月間とし、12月の保険証廃止に向け、利用拡大キャンペーンに総力を挙げて取り組むとしています。県民の方からは、「マイナ保険証がないとお医者さんにかかれないの」、「窓口での支払いはどうなるの」、「薬局でマイナ保険証を持ってきてと言われた」などなど、不安の声がたくさん聞こえてきます。
 いろいろな誤解が生じているのではないかと思いますが、厚労省が医療機関や薬局の窓口で「マイナ保険証をお持ちですか」、「次回はマイナ保険証をお持ちください」と声をかけるように促し、マイナ保険証の利用者が増えたところには、見返りとしてお金を支給しています。コロナ禍での感染防止補助金などは通常申請が必要ですが、マイナ保険証の場合は申請不要で、自動的に医療機関に振り込まれる破格の扱いです。
 今年の診療報酬改定では、マイナ保険証の一定の利用実績などの要件を満たす医療機関には、初診料に加算されることになりました。そこを受診する患者さんは、マイナ保険証か現行の保険証かにかかわらず、負担増となります。ポイント付与で約1兆3800億円の税金を使っていても、利用は伸びません。利用率は全国11.13%、和歌山県は7.72%と聞いています。
 そもそも、マイナ保険証の取得は任意であるはずです。県としてはどのようにお考えでしょうか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 現行の健康保険証は、2024年12月2日から新規発行されなくなり、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行することとなっております。
 なお、12月2日時点で有効な健康保険証は、最長1年間有効とする経過措置が設けられているところです。
 一方、マイナ保険証を取得していない場合は、本人の被保険者資格の情報などを記載した資格確認書が交付されることとなっており、資格確認書を医療機関等の窓口で提示することにより、今までと同様に受診することができます。
 しかしながら、マイナ保険証を利用することにより、過去に処方された薬剤や特定健診などの情報が医師・薬剤師にスムーズに共有され、よりよい医療が受けられることや、高額な医療費が発生する場合でも、手続なしで限度額以上の支払いが免除されるなど、様々なメリットがあります。
 県としましては、医療DXの基盤となるマイナ保険証について、これらのメリットを丁寧に周知することにより、利用促進を図ってまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 保険医の先生方の団体の中でも、保険証を残してほしいというようなことが厚労省とか国へ届けられているということは御存じだと思うんですが、私は、この点の問題でいえば、医療現場で大変な状況になっているんじゃないかという、その実態を、まず県としてもこれまでの状況を、ぜひ現場の状況をつかんでいただきたいなというふうに思います。
 この問題は、非常に便利だとか、そういうだけの問題ではなくて、マイナ保険証への移行で、国や保険者の保険証交付義務がなくなって、申請しなければ手元に届かなくなってしまうという、そういう問題があると思うんです。それは、高齢者とか障害者、認知症の方とか、自力での申請、更新が困難な方がどんなふうになっていくのかということで、これから先も非常に危惧する問題です。
 国民皆保険制度という中で、そういった国保制度も含めて、崩壊につながっていくことではないかということを、そんなマイナ保険証制度であるというようなことを危惧しているということを述べまして、最後の5番目に行かせていただきます。
 米軍のヘリコプターの緊急着陸問題についてお尋ねします。
 7月28日に、橋本市の紀の川河川敷に、在韓米軍のヘリコプターが緊急着陸したことをテレビの報道で知りました。その後、危機管理部に日本共産党橋本市議団と共に申入れを行いました。日米共同訓練後、撤収のため、三重県明野駐屯地を離陸したものの、警告灯点灯により、予防着陸したということが分かりました。住民の方から、住宅の上を何回か旋回していた、窓ガラスの震動や爆音で大変な恐怖感、不安感を持ったと言われていました。県からもすぐに近畿中部防衛局に申入れをされたということですが、県への連絡が1時間以上経過していたことや、飛行ルートが知らされないなど、大変疑問を感じました。
 平成30年9月の本県の定例会において可決された米軍基地負担の軽減を求める意見書によると、米軍機による低空飛行訓練等については、訓練ルートや訓練が行われる時期について速やかな事前情報提供を必ず行い、関係自治体や地域住民の不安を払拭した上で実施されるよう、十分な配慮を行うよう求めています。本議会のみならず、多くの議会がこのような意見書を提出しているにもかかわらず、全国でも米軍ヘリによる同じような事案が発生しております。
 そこで、米軍ヘリが県の上空を飛行することなどについての知事の所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 米軍ヘリコプターの緊急着陸問題についてのお尋ねがございました。お答え申し上げたいと思います。
 今般の米軍ヘリの予防着陸につきましては、緊急なこととはいえ、住民生活に近い場所に着陸したことがありましたので、米軍に対しまして、速やかな情報提供と、航空機等の安全管理に万全を期すように申入れをするよう、県から国に対し、即座に要請をいたしました。
 一方で、日本政府と米国政府との間で、米軍機の飛行ルートにつきましては、米軍の軍事上の運用に関わることなので、事前の通知はされないという取決めが行われております。しかしながら、私どもとしては、米軍機による事故を防止する必要がありますので、全国知事会として、国に対して、住宅地域や工場地帯上空における飛行制限、航空機の整備点検など、徹底した安全対策を講じるよう、継続して求めてまいっております。
 特に、低空飛行は、県民の方々に危険が及ぶ可能性がありますので、我が和歌山県といたしましても、これまで目撃情報が寄せられるたびに、国に対して、それが米軍機である場合には、その停止などについて申入れを行ってきております。
 県として、県民の安全・安心の確保が最重要であります。米軍機の飛行について、全国知事会と連携しつつ、国を通じまして、米軍に対しては、安全管理など徹底するように、適切な対応を求めてまいる所存でございます。
○議長(鈴木太雄君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 知事から力強い熱量のある答弁をいただいて、安心したんですけども、この問題で、やっぱりアメリカ側からの通報体制が機能しなかったのではないかと、そのことについて非常に問題ではないかということを感じました。時間経過があって、連絡とか、また、警告灯がなぜそういうふうなことで点滅したのかとか、いろいろなそういう疑問に対して真摯に対応するという姿勢が求められると思います。
 こういったことがなぜなかなかできないのか。2018年に議会からも意見書が上がっている中での、世界に例のない米軍特権を定めた日米地位協定、この見直しをということも書かれている中で、ぜひとも今後一層、知事からも知事会へ、さらに御意見を申し上げてほしいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時29分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、こんにちは。
 ただいまから一般質問をさせていただくんですが、いや、本当に暑いですね。先ほどテレビを見ていましたら、9月20日というのに37度とか38度とか、そういう気温が示されていまして、びっくりしました。この温暖化の原因は、どうも北極が一番暖かくなっているかららしいんですよ。北極が暖かくなっていて、偏西風が今までと違う動きをしている。これが一つの原因だと言われています。それからもう一つは、海がすごく暖かくなっていて、黒潮が今までと違う黒潮の動きをしている。これがまた温暖化の大きな原因になっているというふうな、そんなちょっと書物を読みまして、なるほどなというふうに思っています。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らせていただきます。
 まず、一つ目が、ジェンダーギャップの解消に向けての取組についてお伺いしたいと思います。
 6月12日に、2024年世界経済フォーラムの発表によるジェンダーギャップ指数が発表されました。これは毎年発表されているものですが、男女の格差の現状を各国の統計を基に評価したものです。
 日本は、今年146か国中118位ということで、過去最低の順位だった前年の146か国中125位から小幅に持ち直したものです。小幅に持ち直したとはいえ、男女格差が埋まっていない現状が改めて示されました。政治では113位、経済120位、健康58位、教育72位と各分野でも大きく課題を提示しました。
 内閣府の性別による無意識の思い込み、アンコンシャスバイアスというふうに、今、よく言われるんですが、その関する調査結果を発表しています。ジェンダーギャップを下支えしている意識の点についても、性別役割意識が如実に現れています。
 男性は仕事をして家計を支えるべきだという方が、男性が48.7%、女性も44.9%です。女性には女性らしい感性があるものだというのが、男性45.7%、女性43.1%です。女性は感情的になりやすい、男性が35.3%、女性37%、育児期間中の女性は重要な仕事を担当すべきではないという意見が、男性が33.8%、女性33.2%など、役割分業が個人個人の資質ではなくて、男女による差異として捉えられています。
 社会の中でのジェンダーギャップと、このような無意識に刷り込まれている社会的意識の中で、女性差別を取り除くことは本当に難しいと感じています。
 直近の都知事選挙の選挙掲示板への女性の性的姿態が貼り出されたことを皆さんはどのようにお思いになったのでしょう。掲示板ですので、公共施設の近くに設置されており、通学路にもなっていた箇所もあったようです。ただ単に破廉恥なことぐらいに感じている方もおられるかもしれませんが、この問題はとても大きくて、日本という国は女性の人権が保障されていないということを世界にアピールし、日本の社会的な地位をおとしめた本当に恥ずべき問題であったと考えます。
 しかも、このような行為に対して、東京都は迷惑防止条例違反として口頭警告で済ませ、さらに、これは合法の範囲だとか、性的な表現の自由を強く保障するべきだ、そんなことを主張する者が現れる始末です。女性への人権侵害、差別であるといった認識がまるでないというのもあきれて物も言えません。
 また、女性への暴力も見逃すことができません。日本の中で7割もの米軍基地を抱えた沖縄県では、基地関係者からの性暴力が後を絶ちません。最近では、事件が起こってから6か月も県への報告もされなかったと報道されています。しかも、加害者を日本の法律で罰することもできない状況が戦後一貫して続いています。沖縄県での女性への人権じゅうりんはいつまで放置され、女性たちはいつまで我慢しなければならないのでしょう。
 また、SDGsでは、持続可能な開発目標が示されています。その中でも、女性の人権については、ジェンダー平等と全ての女性・女児のエンパワーメントが明確に掲げられています。
 世界では、SDGsの理念に沿った企業活動が求められ、人権対策、ワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティーということを進めているかどうかがESG投資を決める大きな要因になっており、環境や社会、ガバナンスがしっかりしない企業には投資もされないという社会になってきています。
 そんな中で、選挙掲示板に女性の裸体を掲示するような国の、そのような国の企業が投資の対象としてなり得るでしょうか。女性の裸体画が公衆の面前で恥ずかしげもなく掲示され、女性差別であるという指摘もされない社会とは、本当に恥ずかしいです。
 知事は、年頭の御挨拶にも、様々な会議の場面でも、ダイバーシティー(多様性)のD、エクイティー(公平)のE、インクルージョン(包摂)のIを大切にすると言われています。
 そこで、知事は、このような女性への人権侵害・差別について、どのような見解をお持ちなのか、また今後、どのような取組を進めていけばいいとお考えなのか、お伺いします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 藤本議員の御質問にお答えをいたします。
 全く藤本議員の御質問の趣旨に同感であります。女性を性的な対象物とみなして、性的な特徴だけが強調され、女性の人格が無視されるということは、憲法13条に定める基本的人権の尊重に反します。あってはならないことだと考えます。
 本県におきましては、2003年の和歌山県男女共同参画基本計画策定以降、固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み、いわゆるアンコンシャスバイアスと言われますけれども、そのようなものを払拭するための啓発、各分野での女性の登用促進など、様々な施策を展開してまいりました。
 しかしながら、2020年度に実施いたしました県民意識調査を見ますと、減少傾向とはいうものの、依然として、男性は仕事、女性は家庭といった固定的な性別の役割分担意識が残っていることや、特にそのように考えるのが男性のほうが多いといった性差が存在することが分かりました。また、2割以上の女性が、配偶者や恋人からの身体的または精神的な暴力を受けていることも分かりました。
 ジェンダーギャップを解消するために一番大切なことは、何よりも性別によって不公平な扱いを受けない、基本的人権が尊重される社会をつくることだと考えております。
 和歌山県におきましては、今、藤本議員からもおっしゃっていただきましたが、多様性、公平、包摂、いわゆるDEIを全ての政策の基本的な目標としております。まずは、男らしくとか女らしくといったステレオタイプの考え方を解消すべく、県民の皆様への意識の啓発にぜひとも御協力をいただくよう、一歩一歩進めてまいります。
 なお、性の在り方が尊重されていないことは、性的な少数者が抱える困難とも共通いたします。共に解決しなければならない問題であると考えております。
 県としては、より幅広くジェンダー平等社会を目指すとともに、性別や性自認のいかんにかかわらず、誰もが個性と能力を発揮し、自らの意思によって社会のあらゆる分野で活躍できる環境整備に取り組んでまいりたいと思いますので、藤本議員の御指導よろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございます。
 この世界経済フォーラムでジェンダーギャップ指数が毎年発表されているんですね。これは、何でこんなふうに毎年発表されているか。それは、その国の人権の文化度をはかる指数になっているわけです。でないと、そんな毎年毎年ジェンダーギャップ指数を発表することはないと思うんですよ。
 このジェンダーギャップ指数が、日本の人権文化度を示しているんです。118位という位置が世界の中の日本の人権文化の位置なんです。世界の企業は、SDGsの理念に基づいた方向に進んでいますし、これからの日本は世界に通用する人権文化をつくっていかなければならないんです。
 知事の答弁にもあるように、ジェンダー平等社会を目指して、性別やセクシュアリティーにかかわらず、誰もが個性と能力を発揮して、自らの意思によって社会のあらゆる分野で活躍できる環境整備、これはやっぱり積極的にもうちょっと広い視野に立って、世界の中の日本はどうなんだという、そういった視点を持って進めていかなくてはいけないんじゃないかなというふうに思っていますので、ぜひ県の取組に期待したいと思います。
 次の質問です。
 次の質問は、和歌山県の男女平等参画基本計画(第5次)が令和4年の3月に発表されています。数値目標も示されているんですけど、目標値に達成している項目がちょっと少ないなというところも気になるところです。隗より始めよということわざもあります。県の知事部局の一般職の男女比率は、どのようになっていますか。また、知事部局の管理職における女性の占める比率の目標値が15%となっているんですけど、現在の比率はどうでしょう。
 そこで、総務部長にお伺いします。
 今後、管理職の女性比率を改善していく必要があると思いますが、現在の取組状況をお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長友井泰範君。
  〔友井泰範君、登壇〕
○総務部長(友井泰範君) 知事部局における職員の男女比率は、2024年9月時点で、男性約72%、女性約28%となっていますが、直近3年の新規採用職員における女性の占める割合は、いずれも40%以上となっていることから、今後も女性職員の比率が上昇していくものと思われます。
 また、知事部局の管理職における女性の占める割合は、5年前の2019年度に5.8%であったものが、今年度には11.6%となっております。
 今後、管理職の女性比率を改善していくためには、子育て等によりこれまでのキャリアやスキルの向上を停滞させることがないように仕事ができる環境づくりをし、管理職候補となり得る女性職員数を増やしていくことが必要だと考えています。
 具体的な取組としましては、男女が共に家庭と仕事を両立して働けるよう、男性職員の育児休業の取得促進に取り組んでおり、5年前の2019年度の取得率が11.3%であったものが、2023年度には63.3%となっています。
 また、女性に限らず全職員が働きやすい職場づくりを行うため、在宅勤務制度の導入など勤務の柔軟化を行うとともに、時間消費削減宣言による仕事の効率化等に取り組んでいるところです。
 今後も管理職の女性比率向上に向け、女性を含む職員が働き続けやすい職場づくりに取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございました。
 男性の育児休業が63.3%というのは、少し驚きまして、もうちょっと80%、90%というふうになるように御努力をお願いしたいと思います。
 それでは、次の質問です。
 男女共同参画推進条例についてお伺いしたいと思います。
 現在、県下の男女共同参画推進条例の制定状況が長年、県と2市1町でとどまっていたんですが、この4月に海南市に条例が制定され、県と3市1町と改善されました。近年は、LGBTQの理解も徐々に深まる中で、男女共同参画推進という枠だけで捉えていいのかといった認識も広がっています。県としても、男女共同参画推進センターという名称をジェンダー平等推進センターと改めました。
 先ほどの質問でも指摘させていただきましたが、女性への人権侵害、役割分担意識等がなかなかなくならない状況がある中で、いま一度、男女共同参画を含めた条例づくりが必要だと考えます。
 市町村で条例制定に向けての動きが広がらない理由としては、小さな役場では、担当課の中で業務が明確でなかったり、1人の人が何役もしなければならないといった諸事情も聞いています。
 そこで、共生社会推進部長にお伺いします。
 県として、このような事情を抱えた市町村に対して、どのような支援を行い、条例制定への道筋をつけていくのか、お伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 共生社会推進部長島本由美君。
  〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 県内市町村における男女共同参画推進条例の制定につきましては、議員御指摘のとおり、4市町の制定にとどまっております。
 県といたしましては、条例の制定により、住民、事業者等の責務を明確化できると考えており、総合的かつ計画的に男女共同参画を推進するため、住民に身近な市町村において、より多くの条例が制定されることを期待しております。
 今後も引き続き、市町村に対して、ほかの自治体の制定状況等について情報共有を行うとともに、より丁寧に市町村職員の声を聞き、必要なサポートを行うことにより、条例の制定をさらに働きかけてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 ありがとうございます。
 海南市がこの4月に条例を制定されまして、海南の私たちの女性議員の仲間がいるんですが、その彼女が、女性議員が、本当に議会で何度も何度も質問を重ねまして実現したものなんです。
 その質問の中でも、白鷗大学法学部の教授の市村充章さんという方が、「なぜ条例として制定されなければならないのか。その理由は、条例は、その地方自治体の法律であるからである。」というふうなことをおっしゃっていますし、「男女共同参画社会をつくっていく基本的なルールを、市、市民、事業者などに確実に守ることを義務付けるには、条例を作る必要があるのである。」というふうに述べられているんですね。今さらここでお話しすることもないと思うんですが、そういうことですので、条例制定は男女平等社会の実現の第一歩ですので、改めて各市町村に条例制定を働きかけていただくようお願いします。
 じゃ、次の項目へ行きます。
 すみません、続けて、大きな項目として、持続可能な農業についてということをお伺いしたいです。
 このことは、本当に持続可能な農業をどのように確保していくかということを真剣に考えなければならない時代がやってきていると思います。
 ロシアによるウクライナへの侵攻以降、今ほど食料の安全保障が意識され、取り組まなければならないと言及されている時代はないというふうに思います。直近の令和の米騒動、このことは一般質問でも出ておりましたが、続いている昨今、私たちは持続可能な農業をどのように構築していくかが問われていると思います。
 今回、日本の食料、特に主食であるお米について、やっぱりお伺いしたいと思います。この問題については、昨年の9月議会でもお伺いしているのですが、そのときの答弁では、「米作りを行う生産者が安定して営農を続けられるよう、様々な施策を講じ、複合経営を引き続き推進してまいります。」と答弁いただきました。
 今回、再度、同じ質問をする理由は、幾ら県が複合経営を推進したところで、営農を諦める生産者の減少が止まらない事態だからです。数字で表すと、2010年の国内の基幹的農業従事者数は3万6121人です。2020年では2万7202人と、10年間で9000人余りが減少しています。
 また、和歌山県でも耕作農地の面積がどんどん減少しています。市街地はどんどん宅地化されています。高齢のため農業を廃業すると、継続して米作りをする方がいないため、農地は耕作放棄地となっています。耕作放棄地の面積が10年余り前からすると約1000ヘクタール増加しています。私の自宅は和歌山市東部に位置していますが、もう残っている田んぼがほとんど住宅となりました。
 このままでは10年後には農業は消滅の危機に瀕し、20年後には確実に消滅すると農業をされている皆さんがおっしゃっています。
 このような状況の中で、農業の憲法と言われる農業基本法が改定されました。今の日本の農業の自給率は38%、先進諸国では最低の水準ということは、もう皆さんも御存じのことです。基本法では、自給率を高め、日本の食料安全保障を進めるために国内農業を支援するという方向性を示していただけるものと期待しておりましたが、どうも違っているようです。
 食料の安全保障の確保に関する施策の中の第21条では、「国は、国内生産では需要を満たすことができない農産物の安定的な輸入を確保するため、国と民間との連携による輸入の相手国の多様化、輸入の相手国への投資の促進その他必要な施策を講ずるものとする。」とされています。
 今現在、日本の中で農業をしている人たちを支援するのではなく、輸入する相手の国に投資を行うというものです。食料の安全保障のために輸入相手国の投資を促進することに予算を使うというのは、どうも私は納得できないです。
 世界の食料需給情勢の悪化が言われる中、いつでも世界から食料が手に入るといった時代は過去のものになっています。日本農業を支援し、食料自給率を高め、不測の事態でも国民の命を守れるようにしなければいけないと思います。
 また、食料供給困難事態対策法案にしても、平時からの自給率が向上できるようにすべきだと考えるが、そうではなくて、輸入先との関係強化と海外での日本向け生産への投資を増やすことが重要だとしています。不測の事態になれば、自国の国民を優先し、日本に先に売ってくれる国があるとは考えられません。物流が止まればどうしようもないではないですか。
 また、有事になったときはカロリーを取りやすい作物への転換と増産命令を出し、供給を義務づけ、増産計画を提出しないと罰金を科すというような事態法案では、これからの農業を担う方が現れるとは思われません。農業者をしっかり支え、日本の食料安全保障を確保していくためのどのような施策が必要なのか、食料自給確立へ抜本的な財政支援が必要なのではないでしょうか。
 ちなみに、2022年の農林水産省発表の農業経営統計調査によると、稲作経営収支によると、水田作経営全体の所得は1万円です。個人経営では30万円の赤字です。やればやるほど赤字です。農業者の時給は10円というところまで来ているんです。これでは稲作を続けようにも続けようがないじゃないですか。
 そこで、知事にお伺いします。
 知事は、年頭の挨拶の中でも、農業、林業、水産業など1次産業の活性化とおっしゃっていました。米作りだけでは続けられない農業の現状をどのように認識されているのか、また、農業者が安心して安定して米作りを続けられるようにするために、どのような施策が必要と考えられているのか、お伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 持続可能な農業についての御質問をいただきました。お答えしたいと思います。
 2022年の農産物生産費統計によりますと、全国の水稲の平均経営面積は1.8ヘクタール、所得は10アール当たり1万4140円となっております。一方、15ヘクタールから20ヘクタールの経営面積の場合は、10アール当たりの所得が3万5486円となっておりまして、大規模経営であれば安定した米作りが見込めると考えられます。
 しかしながら、本県は小規模で不整形な水田が多く、また農家1戸当たりの水田面積は、2020年の農林業センサスでは0.6ヘクタールという数字が出ておりまして、全国平均と比べても少なくなっております。したがって、米作りだけで経営を安定化することは困難であると認識しております。
 これは、ヨーロッパの各国がやっていることでありますけれども、このような場合、ヨーロッパの国々では農業に対する補助金というのは膨大な金額を使っていますけれども、基本的には農家の所得を補償するための直接支払いという制度が主流であります。これによって、ヨーロッパの農業は守られてきておりますし、自給率も100%を超える国がたくさんあるわけであります。このような先進的な成功事例をなぜ日本政府が学ばないのか、私には理解できないところであります。
 したがいまして、政府として、農家の所得を補償するための直接支払い制度をぜひ実施していただきたいと思いますけれども、それは県でやれることではございませんので、したがって、和歌山県としては、米作りと収益性のある他品目を組み合わせた複合経営を推進しているということについては、御理解を賜りたいと思います。
 また、米作りで大規模化を目指す農業者に対しましては、農地中間管理事業によりまして農地の集積を進めていくということで、法人化や協業化を支援するということを県としてやらせていただいているところであります。
 藤本議員と全く問題意識は同じでありまして、どのような形ででも、米作りには不利だと言われる和歌山県でも、経営規模に応じたきめ細やかな支援をしていくことで、米作りが続けられるように努力してまいりたいと考えます。
○議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 そうなんですよ。それはやっぱり農業所得が問題なんですよ。1俵当たり今1万6000円ぐらいですか、今年は少し高くなると私は聞いていますが。その米1俵に対して同じだけの補助金をつけるとか、やっぱり作っている方に直接支援ができるような仕組みというのは本当に早急に考えていただきたいし、国に対しても、県としても、しっかりと意見を上げていっていただきたいと思うんです。
 どうも国は大規模化と言うんですけど、今、和歌山の状況でいうと、放棄地になっているところは飛び飛びなんですよ。条件のいいところも本当に放棄地になっているところもあるんですけど、飛び飛びのところは大規模化はできないんですよ。それを請け負ってやってくれている農業者の方もいるんですが、あまりにも効率が悪いので、もうこれ以上は作れないというふうなこともおっしゃっていますので、何とか農業をしている方々に対して日本の農業を守るという、とても大事な食料安全保障をしていかなくちゃいけないという視点に立って支援を考えていただきたいなということを、私も県には言いますし、県としても国のほうにしっかりと言っていっていただきたいなというふうに思います。これは本当に強く要望したいと思います。
 次の同じ項目なんですけど、今、ちょっと嘆いたんですけど、農業については少し明るい話題もあるんです。
 というのも、新しく農業をしたいという若い就農者が、少しずつでもありますけど、やっぱり増えています。国の支援もありますし、そういう方は増えているんです。
 東京大学の大学院農学生命科学研究所の特任教授の鈴木宣弘先生が、今、農村で中心になる担い手が重要なのは間違いないが、一部の担い手への集中だけではもう地域が支えられないことが分かってきている。定年して帰農している人、兼業農家、半農半X、女性グループが農地を借りて自然栽培をする動き、若手が有機や自然栽培で小さな面積から始めたいなどなど様々な動きがあります。多様な担い手がこれからの農業・農村を支えていくようになるだろうというふうにおっしゃっています。まさにこのとおりの現象がこの和歌山にも起きています。
 農薬や化学肥料に依存しない安全な食物を栽培しようと、幾つものグループが活動しています。子供たちに農薬の使われていない安全な食材を提供したいと小麦を栽培しているお母さんグループ、別のところでは、女性たちが有機でお米作りを始めています。若い人たちが有機農業を始め、お互いに研さんしながら連携し始めています。毎月1回は本町公園でオーガニックマーケットが開催されておりまして、同時に、持続可能な社会をつくろうというリサイクルのマーケットであったりとか、動物愛護の団体も一緒になって活動されて、大変大いににぎわっています。有機農業に関する消費者の関心も高まっているように思います。
 そこで、有機農業を3割にしていこうというみどりの戦略を具体的に進める方法として、私は県の農林大学校に有機学科を創設してはどうかと提案したいと思います。
 有機農業への関心は年々高まっており、新規に農業をする方々は、今までの慣行農業ではなく、有機での農業を求めています。
 先ほども申し上げたとおり、和歌山県でも有機農業を進めている農業者の皆さんがおられます。
 橋本市では、有機農業を進めている方を頼って、他府県から何人もの若い人たちが移住し、耕作放棄地を新しい農地に生まれ変わらせています。県の農林大学校で有機の勉強ができるとなれば、農業を学びたいという方が全国から集まってくると思います。また、現在は、慣行農業をされている方でも、有機農業のやり方が分かればやってみようと思う方が出てくると思います。その中では、和歌山に移住を考える方も現れてくると思います。空き家をセットにして居住も保証できるとなれば、和歌山が有機農業の先進地になることも夢ではありません。有機農業でできた作物が給食に利用できるオーガニック給食も進められるようになります。農業に新しい風が吹いてくるように思います。
 農林大学校に有機学科を創設することを前向きに検討し、実施するよう考えていただきたいと思いますが、知事の御答弁をお願いします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 今、持続可能な農業について、農林大学校における有機学科の創設について御質問をいただきました。
 その前に、有機農業というものの可能性というものについては、私も藤本議員と同じ考え方を持っております。先ほど申し上げましたように、農家にとって大事なことは所得補償であります。結局、和歌山県下でも、もうかる農業では後継者はおられるんですね。
 したがって、どうやって所得をしっかりと補償していくのか。お米のような条件の悪い場合は、税金で直接支払いをするということだろうと思いますし、有機農業の場合は、作物が高くても有機ということで、高いものを買ってくださる消費者がたくさんおられるというのが現状であります。
 その意味で、県でも、これまでも現地での研修会の開催や国の支援策を活用いたしまして、有機農業を含めた環境保全型農業を推進してまいりました。2023年3月には、和歌山県みどりの食料システム基本計画を策定し、有機農業の取組面積の拡大に努力をしてまいっております。
 当然、農林大学校におきましても、化学肥料や化学農薬を減らす技術、有機JAS認証など、有機農業に関する基本的な内容をカリキュラムに取り入れておりまして、環境保全型農業の知識の習得に取り組んでおります。
 議員御提案の農林大学校において、有機農業の学科創設をするという御提案でありますけれども、その場合には、当然専用の圃場、また機械などの設備が必要となります。さらに品目や立地条件等に応じた高度な管理技術や専門的な知識、技術を持った指導者も必要となりますので、御趣旨には賛同いたしますけれども、現段階で直ちに専門の学科を創設するということは、具体的、事実上、難しいかなとは考えております。
 しかしながら、有機農業を広げていくことは、先ほど来申し上げましたとおり、大変重要なことでありますので、ほかの都道府県の事例も参考にしながら、まずは有機農業実践者を招いた講義ですとか、あるいは現地での研修など、カリキュラムの充実を行うように農林大学校の中身を充実させていくということからスタートをさせていただきたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 農林大学校、有機学科の創設はちょっと現段階では難しいということです。それはそうですか。
 それでも、世界の動向を見ても、知事がおっしゃったみたいに、有機農業もすごく広がっているんです。大きな広がりを見せていますし、お隣の韓国は、学校の給食を全部オーガニックに変えていますので、有機農業をされる農業者も本当に増えています。そういう意味では、農林大学校に有機学科というのを設置する意義は大変私は大きいと思いますので、将来的に考えていただいて、研究していただくように要望したいと思います。
 では、次の項目、教育の問題について質問します。
 教員の働き方について何点かお伺いしたいと思います。
 昨今、教員になろうとする方の人数が激減しています。全国的に見ると、2022年度の小学校の教員採用試験では、倍率が2倍を割り込み、1倍台の都道府県が20もあるんです。地域によっては競争率が1.3倍というのもあります。競争率がほとんどないような状況で、果たして優秀な教員が確保できるのかと各教育委員会は危機感を持っているようです。
 和歌山県は2024年度の倍率は、小学校で2.5倍、中学校で3.7倍、高校で5.2倍、特別支援学校で2.5倍、養護教員で14.0倍という数字です。全国的な動きからすると、まだ数字は穏やかにと思えなくはありませんが、過去の採用試験の倍率は、この10倍とか20倍とかである状況から考えると、激減しているということに間違いありません。
 教員という職業はなぜこれほどまでに人気がなくなってしまったのでしょう。一昔前までは、子供の教育に携わりたいとか、安定した仕事でやりがいもあるし、教員の社会的地位もそれなりに認められているということで人気の職業でした。採用倍率も高かったように思います。
 今現在、現場の人手不足は慢性化しており、育休、産休、病休などで休まれる教員の代替教員を探すのも一苦労、なかなか代替の先生が見つからないため、管理職がその補充をするといったことが常態化しているとお聞きしています。子供たちが一番の被害者で、安心して授業を受けられないという事態になっているようです。
 それぞれの教育委員会は、先生探しに躍起になっているのですが、なかなか見つからないというのが現状のようです。
 その一つの要因に、教員の働き方に原因があるように思います。今や教員の長時間労働は常態化しており、9時、10時と学校に電気がついていることも珍しくありません。
 2022年の日教組の調べによると、小学校で1日平均10時間45分、中学校で11時間1分といった勤務実態であります。また、実際に取れている休憩時間を見てみると、小学校では平均10.4分、中学校で13.6分、高校で31.3分、特別支援学校で14.6分といった数字が並びます。労基法が適用されているにもかかわらず、休憩時間が取れていない実態です。学校はブラック企業と言われるようにもなっています。いま一度、先生はなりたい職業というふうに思ってもらえるために働き方を見直す必要があります。
 教員の労働実態を改善していくためにどのような手だてが必要なのでしょう。そのことについて、教育長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 教員の魅力を高めるためには、教員の業務負担を軽減し、子供と向き合う時間を十分に確保して、やりがいを感じられる職場環境にすることが必要であります。そのためには、制度の充実を図るとともに、学校の働き方改革を推進していかなければなりません。
 制度の充実については、本県独自の施策として、県内の市町村立小中学校の全学年で35人学級編制を実施しています。小学校では、高学年での教科担任制を拡大しているところです。また、教員業務支援員など支援スタッフの配置にも努めています。さらに、中学校の部活動の地域連携、地域移行を推進するために、本年度、県内五つの市町において実証事業に取り組んでいるところです。
 働き方改革については、本年5月、教職員等の働き方改革推進プランを改訂しました。同プランに基づき、校務DXの加速化や、小中学校において標準を大きく上回る授業時数の見直し等を進めています。さらに、夏休みなどを利用して休暇日数の拡大等を行い、教員が休みを取りやすい環境をつくっているところです。
 こうした取組を総合的に推進し、教員の魅力を高め、これらのことを広く周知することで、優秀な教員の確保に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 先に次の項目に質問を変えますが、文科省の調べによると、教員の精神疾患による病気休職者数及び1か月以上の病気休暇取得者数が年々増加しておりまして、令和4年度では、全国では1万2197人となっています。在職者に占める割合も1.33%ということです。和歌山県でも80人の先生が休職や病気休暇を取得しており、その人数も全国と同じように増加傾向にあります。
 教員のメンタルヘルス対策として、文科省の対策会議が2013年の3月に、教職員のメンタルヘルス対策について(最終まとめ)ということで取りまとめましたが、これも10年間見直されていません。
 このメンタルヘルス対策の最終まとめの委員でもあった大石智先生は、教育委員会のトップダウンではうまくいかないと。学校という職場をよくしようという職場の人たち自身の意識が必要であるということと、職場での働き方改革のコンテンツにメンタルヘルスの観点を取り入れながら進めることも可能ではないかと言われています。それと並行して、産業医や保健師等の専門家に相談・対応していただくような対策も必要であろうと思います。
 現在、教職員の50人以上の学校は産業医の配置、月1回の学校巡視が義務づけられていますが、2023年5月1日現在、全国平均の巡視実施率は、小学校では61.7%、中学校で64.5%にとどまっています。50人未満の学校には産業医の選任義務はありません。
 教員のメンタルヘルスは、子供たちのメンタルヘルスに直結します。近年、子供の自殺者数も増加の傾向にあり、教員のメンタルヘルス不調者数とパラレルに増えています。これ以上メンタルヘルス不調者を出さないためにも早急な対策が必須であろうと考えますが、教育委員会にその対策をお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 2022年度における教員のうちの精神疾患による休職者及び1か月以上の病気休暇取得者が教員数全体に占める割合について、和歌山県は全国平均の7割程度と低い状況でありますが、改善すべき重く大きな課題であるとの認識を持っています。
 教員が心の病に陥るのは、児童生徒への指導や保護者等への対応などで困難な状況に直面した場合に、1人で抱え込むことなど様々な要因が考えられます。
 県教育委員会は、ストレス相談の実施やハラスメント相談窓口の設置等、相談体制の充実に取り組んでいます。また、学校の管理職を対象としたメンタルヘルス研修を開催し、管理職による相談対応や、同僚同士がふだんから相談しやすい良好な職場環境をつくるなど、事前の対策を進めています。さらに、管理職が適切な勤務時間管理を行い、長時間勤務となっている教員に対して産業医の面接受診等、必要な対策を行うよう進めています。
 今後も、県教育委員会及び学校が一体となって効果的なメンタルヘルス対策を推進してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 教員の働き方について質問いたしました。
 先日、小学校へ通っている学校の先生といろいろ雑談をしていまして、学級の中で、先生、先生、聞いて聞いてと言って子供たちが寄ってくる、そんな中でも子供たちの授業をするのがすごく楽しいとその先生はおっしゃっていました。ああ、そうだなと。教員の働きがいって、やっぱり子供たちとの何か成長であったりとか、それから子供たちとの人間関係でつくられるんだなと思いまして、私なんかも過去に教員をしていましたときのそういった教え子には今でも交流する人たちもいて、それが楽しい、やりがいがあったなというふうに思い起こしているんです。
 教育委員会も先生たちがやりがいを持って楽しく働ける職場というんですか、そういう教育環境を整えていくというか、そういうことに目配りしていっていただけたらなというふうに本当に思っています。
 いろいろと問題提起をさせていただきましたが、これで一般質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 私が一般質問、最終でございます。しばらくお付き合いいただきたいと思います。
 9月初旬、同僚議員と東京、石川の両都県を視察しました。一般質問のプロローグとして簡潔に御報告申し上げます。
 初日は東京都豊島区を訪問し、終活あんしんセンターについて説明を聞きました。高齢者の死亡時にあらかじめ登録した緊急連絡先などの情報を開示する仕組みで、エンディングノートを書いてもらうことは生活を見直すきっかけにもなるとのことでした。みとりなどについて、民間事業者に期待できない地方で社協が果たすべきお手本と感じました。
 翌日、東京から金沢まで、北陸新幹線で移動しました。途中長野に停車しても、僅か2時間半の道のりで、やはり全国で新幹線が熱望される理由がよく分かりました。午後から石川県観光戦略課長に、震災後の観光事情を聞きましたが、新幹線効果で、観光客数は、コロナ禍以前よりも地震の影響もかすむほど増加しているとの説明でした。確かに新幹線や町なかにも外国人を含めて多くの観光客があふれていました。
 3日目は、珠洲市に向かい、被災者が被災地を案内し被災体験を語る復興支援ツアーに参加しました。詳細は省略しますが、被災地視察の私の感想は、百聞は一見にしかずでございます。そのときに、私の撮った写真の一部をお配りさせていただいておりますので、私の質問とは関係なく、御覧をいただきたいと思います。
 まず、道路が寸断されているというふうに聞きました。しかし、基幹道路ののと里山海道は山を切り盛りした構造のため、盛土部分はほぼ全ての箇所が崩落しておりました。補強の必要性というよりも、崩壊を前提とした早期復旧を準備しておくべきというふうに感じました。
 家屋倒壊も多数見ました。外見は大丈夫でも、立入禁止と貼り紙がありました。やはり住宅耐震化が大切です。震災後8か月が経過して、なお仮設住宅が建設中であり、瓦礫が山積する中、公費解体が行われていました。
 広大な瓦礫処理場も見ました。他府県ナンバーのダンプが行き交う中、たくさんの重機が瓦礫処理を行っていました。建設労務者用宿舎や仮設トイレ、無料レンタカーもありました。
 沿岸では、津波被害と液状化を見ました。内海では海岸線に小さなパラペットがあるだけで、これでは津波は防げないと思いました。かつてのフェリーターミナルは、液状化と沈下のため港に浮いた船のようでした。
 こうした景色は、私たち和歌山の将来像でもあります。いや、何倍もひどい状況になるかもしれません。
 そこで、1問目として、能登半島地震の教訓についてお聞きします。
 能登半島には多くの県職員が支援のため足を運び、様々な情報を見聞してきてくれました。県として、能登半島地震の教訓をどう生かすのか、危機管理部長に聞きます。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 危機管理部長河野眞也君。
  〔河野眞也君、登壇〕
○危機管理部長(河野眞也君) 能登半島地震の教訓をどう生かすかという御質問でございます。
 今回の能登半島地震では、まず、大きな課題として、今、議員のお話にもありましたけれども、道路寸断によりまして、大型車両や重機による救助活動・救援物資輸送の遅れというものがございました。
 また、木造住宅の1階部分の倒壊が原因で多数の方が犠牲になられました。避難生活におきましては、広範囲にわたる断水の長期化のほか、応急仮設住宅の建設の遅れ、ひいては長期化する避難生活の中で体調悪化による災害関連死も発生いたしました。
 ほかにも受援体制の面におきましては、民間団体も含め、県外から多く駆けつけた応援職員の宿泊場所等が不足するなど、様々な課題が浮き彫りとなりました。
 石川県と本県は、同じ半島地域であるというその地理的条件や高齢化の状況など類似点も多く、本県でも同様に起こり得ることとして、派遣職員の知見や、国の能登半島地震に係る検証チームによる自主点検レポート等も踏まえまして、これらの課題の解決に向けた検証を進めているところでございます。
 その中で、目指すべき自助・共助・公助、それから二つ目として、きめ細やかな被災者支援、三つ目として、応援・受援体制の強化、四つ目として、迅速かつ的確な初動体制、五つ目として、インフラの強靱化と復旧と、こういった五つの項目が課題の大きな柱になると考えておりまして、これらを解決するために、既存の対策が有効に機能するかを再確認するとともに、短期に実施していくもの、それから中長期にわたって取組を進めていくものなどの現在仕分を行っておりまして、県議会や市町村等の御意見を伺った上で、速やかに中間報告を公表してまいります。
 これらの検証結果を踏まえた対策につきましては、県民の命を守り、早期の復旧・復興につながるよう、地域防災計画や受援計画等に反映したり、訓練や協定を通じまして、県内外の関係機関や民間との連携体制を強化するなど、南海トラフ地震等の大規模災害に対する防災・減災対策をさらに推進し、本県全体の災害対応力の強化に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ありがとうございました。南海地震は、恐らく能登半島地震の数十倍の大きさになる。それぐらい被害も増えるわけでございまして、準備をしても、し過ぎることがないぐらいだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 続けて、次は、データセンターの誘致促進について伺います。
 昨年末、グーグルの子会社がデータセンター建設のため、コスモパーク加太のカゴメ農場跡を買収しました。バブル以来、積年の課題が解決し、大変よかったと思います。
 その後の報道で、世界的にデータセンターの市場規模が拡大しており、国内でも内外の事業者が東京、大阪の周辺、さらに北海道にも設置が進んでいることを知りました。先週も関西電力が京都府にデータセンターを建設するとの報道がありました。今後、約10年間で1兆円以上を投資するそうです。その背景には、生成AIの利用拡大があり、今後もAIブームに乗ってデータセンターの設置が進み、2028年には世界市場が68兆円に拡大すると言われています。
 しかし、データセンターの設置には、1都市に匹敵する莫大な電力や冷却水、IT人材の供給が必要とされ、これが制約要因にさえなっています。
 幸い大阪の隣県にある本県北部は、豊富な電力、紀の川の水源があり、京阪神の通勤圏内であります。しかも京奈和自動車道路沿いには土地があり、まさにデータセンターの適地であると思います。私の御坊市にも、県がまだ開発をしていない土地もございます。
 今後、巨費が投じられるデータセンターの誘致に本県も積極的に取り組むべきと考えますが、知事の所見を伺います。
○議長(鈴木太雄君) 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) データセンターの誘致について御質問いただきましたので、お答え申し上げます。
 IoTの進展や生成AIなどの高度な計算基盤の活用によるデータ処理量の爆発的な増加が見込まれる中で、データ処理を担うデータセンターの重要性は、中村議員御指摘のとおり、年々ますます高まってきております。
 現在、国内のデータセンターの8割を超える部分は東京圏と大阪圏に集中しております。一方で、災害リスクや電力負荷の偏在、地方のデジタル化による計算資源の確保といった面などで、地方への分散立地が求められていることも事実であります。
 本県におきましては、データセンター設置の可能性を探る基礎調査や、定期的に市町村に対してデータセンターを含めた産業用地の適地調査を実施しておりまして、情報収集に努めてまいりました。
 そうした中、中村議員に、今、御指摘をいただきましたとおり、昨年度コスモパーク加太の産業用地37ヘクタールがデータセンター設置を目的に売却されました。ほかにも、県内での設置に関して複数の企業から問合せをいただいている状況でございます。
 データセンターの設置には一定規模以上の強固な用地に加え、大容量の電力や通信、さらには給排水等のインフラ面で様々な条件がございますけれども、県といたしましては引き続き開発事業者などへの情報提供も含め、市町村や関係機関と連携・調整し、ぜひとも県内へのデータセンターの誘致に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私はチャンスだと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次は、脱炭素です。
 脱炭素は世界の潮流で、県の主要施策でもあります。しかし、狭い県土に限定すれば限界があります。そこで、本県が有するEEZなどの海洋や本県に縁のある外国で脱炭素に関わることで、さらに脱炭素に関わる新制度や新技術を開発することで、フィールドを広げることができます。
 知事は今秋、ブラジル、アルゼンチンを訪問されます。ブラジルには広大な国土、どこまでも続く地平線、広い農地などがあり、自然エネルギーの宝庫です。ぜひ、せっかくブラジルにいらっしゃるんであれば、何か本県との連携の糸口になる活動はできないものか、知事の御所見を伺います。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 地球温暖化は世界規模の課題であり、その解決に向けては、今後、一つの国だけではなく、世界各国でカーボンニュートラル、脱炭素社会を実現するために、自然エネルギーを含む再生可能エネルギーの割合を高めていくことが重要であります。中村議員御指摘のとおり、南米の国々とも連携しながら、世界全体で取り組むべき課題であると認識しております。
 私ども和歌山県も脱炭素社会先進県を目指しておりまして、本年4月にわかやま成長産業開拓ビジョンを取りまとめ、GX産業の誘致や集積を進める上で、地産地消の再生可能エネルギーやカーボンリサイクル燃料が極めて重要な分野だと考え、成長産業の一つとして位置づけたところであります。
 今、中村議員から御指摘がありましたとおり、ブラジルは自然エネルギーの宝庫であります。再生可能エネルギーの比率が、日本はようやく2割を超えた状況であるのに対して、豊富な河川水を利用した水力発電が中心であることから、ブラジルでは再生可能エネルギーの比率が8割を超えている状況であります。
 また、ブラジルでは、サトウキビを原料としたバイオ燃料の製造が世界に先駆けて進展しておりまして、自動車向けには、ガソリンよりも安く販売され普及していると聞いております。
 日本政府とブラジル政府の間でも、まさに今年の5月でありますけれども、ブラジルのバイオ燃料と日本のハイブリッドエンジン車を組み合わせ、世界をリードするための新たな連携の枠組みをつくることで合意がなされたと承知しております。
 和歌山県といたしましても、世界に先行するブラジルの再生可能エネルギーの推進施策を学ばせていただく、あるいは様々な課題はあるものの、国家間や民間の枠組みを踏まえ、国内でのバイオ燃料の普及拡大や、将来的にはブラジル産のバイオ燃料の活用に関して連携できる可能性もあると考えております。
 今回のブラジル訪問は、ブラジル和歌山県人会創立70周年記念事業等に参加し、県人会会員の皆様と交流することが一つの主な目的となっております。そのため、県人会の功績をたたえ、ブラジルの県人会の皆さんとの関係強化を図るということでありますので、残念ながら、エネルギー関連施設の視察は日程の中には予定しておりませんけども、今、中村議員の御指摘もいただきましたので、今後、ブラジルから学ぶべきところは学ぶという姿勢で、担当部局とも相談しながら、しっかりと前向きに勉強していきたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 和歌山県は、幸い海に面しております。将来、エネルギー、電気なんかもマイクロウエーブで宇宙空間を飛んでくるというような時代が来るかも分かりませんが、当面は水素だとかアンモニアだとか、そういうものに置き換えてくるなら、和歌山は外洋に面した大変いい場所だというふうに思っております。和歌山県が経済的に発展をして県財政が潤うような、そういう政策をどうぞ知事、どんどんと進めていただきたいと思います。
 次に、その外国と関係することでありますが、英語教育について伺いたいと思います。
 今、毎朝BSでは、ドイツ在住の日本人がスペインからポルトガルを自転車で旅する番組があります。日本人は行く先々でヨーロッパ各地から来た旅人と楽しそうに会話するのですが、それは英語であります。
 今から20年ほど前、香港でアジアの観光会議に参加しました。やはり会議の言語は英語でした。アジアでも共通語は英語なのだと認識いたしました。
 さて、本日は、英会話について偉そうに質問しますが、私も英学校と言われた大学の学生時代も含め、10年余も英語を勉強しましたが、残念ながら、満足な英会話はできません。恥ずかしい気もしますが、大方の日本人が会話できないので、それが普通になっています。教育方法が間違っていたのでしょうか。
 幸い現在、英語は小学校から始め、ALTの導入など、聞く、話すことにも力を入れていますが、英語教育の現状について、知事に伺います。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 英語教育の現状について御質問がありました。お答え申し上げたいと思います。
 現在、小学校の英語の授業では、児童が他の児童や教員、あるいは外国人の指導助手などとやり取りを行う場面を設定しまして、今、議員御指摘のとおり、聞くとか話すことを中心として授業を行っていると承知しております。
 中学校では、英語の授業は英語で行うということが基本とされています。教員と生徒や生徒同士のペアによる英語でのやり取りなどを授業に取り入れながら、英語で話す力を育成していると伺っております。
 このような取組の結果、県内中学校に在籍する生徒の英語力は、外国語運用能力の国際的な基準であるCEFRのA1レベル以上、実用英語技能検定では3級以上である生徒の割合が全国平均よりも高い状況となっております。
 今後も、コミュニケーションの目的や場面、状況などに応じて、英語で表現したり伝え合ったりすることができる児童生徒の育成を目指し、取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 英語教育が進んでいるという御答弁がございました。それに関連して、次に、お尋ねいたします。
 以前から、私は、本県の子供らが中学を卒業すれば、みんな英会話ができればいいのにと思っております。英会話は子供たちに進学、就職などの未来を開き、地方でも東京や大阪を経由することなく、直接海外と関係することで、本県の発展にもつながると考えます。
 実は、もう既に実践されている首長がおられました。高野町の平野嘉也町長です。本年3月、高野町を訪問し、平野町長、西岡教育長のお話を伺ってきました。
 きっかけは、高野町には多くの外国人観光客が訪れ、町民はどんな仕事でも、子供たちも例外なく英語を使う必要があることでした。そこで、町はどうすれば中学卒業で英会話ができるかを研究した結果、英国が世界で英語教育を推奨するプログラム、ブリティッシュ・カウンシルに行き着きました。このプログラムは、子供たちに直接教育するのではなく、子供たちを指導する教員の指導力を強化する方法で、令和3年から4年間で7000万円の予算を投じて取り組まれています。
 町長に先進的な取組ですねというふうに申し上げましたら、全国で中間ぐらいだという、そういうお返事でございました。全国平均の行政や教育をやっていればなかなか結果は出ません。未来を切り開いていくためには、まずは教育に力を入れるべきです。高野町では、このような先進的な英語教育を導入していますが、県としての取組はどうか、県政の責任者として知事に伺います。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ただいま中学卒業時の英語力について、高野町の先進事例を引きながらの御質問がございました。
 ちょうど今年に入りまして、このブリティッシュ・カウンシルのCEOであるスコット・マクドナルドさんとお会いをいたしまして、意見交換をさせていただきました、まさに高野町でお会いしまして。まさに彼は、高野町の取組を非常に高く評価してくださっていまして、私もブリティッシュ・カウンシルのやり方については大変興味を持っておりまして、今後、しっかりと研究をしていきたいと考えておりますということをまず冒頭、申し上げたいと思います。
 その上で、より多くの児童生徒に外国人観光客のおもてなしやビジネスの際に、英語をコミュニケーション手段として活用できるようになってもらうことが重要であると考えております。直ちに県全体としてブリティッシュ・カウンシルと提携するかどうかは別といたしまして、ネーティブスピーカーとのオンライン英会話、あるいは英会話機能を有するAIアプリ、これは大変有効なものだと聞いておりますけれども、そういう形で特色ある英語教育に取り組んでいる市町村が存在しております。
 また、これも北山村の場合は大変有名ですけれども、新宮市在住のネーティブスピーカーの方をお招きして、中学校でしっかりとした授業がされているので、北山村の実は中学校を卒業した方は、インターナショナルな活躍をされている方が多いというような結果も聞いております。
 このように、特色ある英語教育の普及展開に向けましては、いろんな特色がある取組が必要だと思いますけれども、基本は教員の指導力だろうと思います。県の教育委員会では、授業力の高い教員をどうやって育てるかということで、様々な研修を行っているように伺っております。
 今後とも、引き続きグローバルに活躍できる人材の育成に向けて、児童生徒の英語でのコミュニケーション能力の向上に力を入れていきたいと存じますが、県内でもいろんな成功事例がありますので、そういう各市町村の成功事例をしっかりと受け止めながら前へ進めたいと思いますので、御指導よろしくお願いしたいと存じます。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、和歌山県が発展していく方法はいろいろあると思うんですが、しかし、どの分野においても活躍できるプレーヤー、人材の育成が大切でありまして、私たちのこの和歌山で生まれて育っていく子供たち、自分たちの子供たち、子は宝といいますけれども、ぜひいろんな分野で活躍できるように教育をつけていっていただきたいと思いますし、我々も何か支援をしていきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次は、農家のBCPについて質問いたします。
 先般の臨時情報は空振りで本当によかったと思います。しかし、逆に南海地震は確実に迫っています。
 今、全ての産業でBCP、事業継続計画の策定が進んでいます。和歌山県庁もかつて私が必要性を指摘させていただきました。国では、農家や農業分野でもBCP策定を推奨していますが、県内の農家は、高齢で零細な経営体が多いので対応できるのか心配しています。BCPの取組状況や支援について、農林水産部長に伺います。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長立石 修君。
  〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 近年、全国的に自然災害が多発している中、災害時において早期復旧を図るための方法や、体制をあらかじめ定めておいて、農業を継続していくために有効な手段であるBCPは、大変重要なものと認識しております。
 県では、市町村やJAとの連携による農業者への周知に加え、農業士や4Hクラブへの啓発活動を通じて、災害リスクの見える化と共有を図るための農業版BCPの策定を推進しているところでございます。
 しかし、農家の経営は千差万別でございまして、BCPに基づく対策の内容や優先順位なども異なることから、災害に備えた事前準備は、それぞれの農家の経営判断により行われるものと考えています。
 県では、これまでも甚大な災害が発生した場合、被害状況に応じた支援を行ってきたところでございまして、今後も農家に寄り添った支援内容となるように努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 御答弁いただきました。
 農家の経営の仕方が違うから、何がリスクか分からないというような御答弁もありましたが、農業をやっている上で確実に要るのは水です。それから、今の近代農業では電気が要るわけです。だから、どうやって水を確保するか。畑地かんがいなりがあるわけですけども、地震が揺れると、管渠については折れる可能性があるんですけども、地震が揺ったら水道も下水もやられるので、管工事業者は限られていますから、水道優先になるんです。そうすると、水がないとせっかくの作物も焼けてしまいます。施設園芸なんかは、電気がないと、冬だと凍ってしまうし、夏だと焼けてしまうわけです。だから、全ての農家ではないかも分かりませんけども、ほぼどんなことが必要かというのは、私のような門外漢でも分かりますので、ぜひ、南海地震が起きたらどんなことが起きるか、容易に想像がつきますので、大いにやっていただきたいと思いますし、農家の支援については国にもやっていただきたいし、県にもどんなことをすれば助けることができるのか、大いに考えていただきたい。
 農家を助けるというふうに申し上げていますけども、今、米がないということで大騒ぎしました。私もスーパーへ行って見てきたんです。米売場には米はありませんでしたけども、お弁当売場へ行ったら、お弁当に御飯はありますし、おにぎりもコンビニにもいっぱい売っているんです。私の家の周りは田んぼだらけですけども、稲がいっぱい実っておりました。本当の米不足ではないというふうに思いました。
 しかし、南海地震が起きたら、それこそ静岡から九州までの間ぐらいが被災をすると、農家が収穫できない、出荷できない、運送できないというと、もう農家だけでは済まないようになって、日本国中、米以外のいろんな食べ物が足りなくなるわけで、これは国家的課題だとは思いますが、和歌山県も大いに準備をしていただきたいということをお願いしておきます。
 次に、医師の偏在について質問させていただきます。
 国では、医師不足の原因が医師の偏在にあることから、本年末までに医師偏在是正に向けた総合的な対策を取りまとめ、偏在対策を推進するとしています。本県も10年余り、県立医大に地域枠を設けるなど、医師不足対策をやってきましたが、現状はどうか、国の対策を受けて県はどう取り組むのか、知事に伺います。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) まず、医師の偏在について御質問をいただきました。
 本県の医師の状況といたしましては、全体の数は徐々に増加しております。一方で、医師の約60%が和歌山市に集中しております。そのほか、産科医が不足するという問題もございます。その意味で、医師の地域偏在及び診療科偏在はいまだ解消されたとは言い切れず、地域医療体制を堅持していく上で、医師の偏在対策は重要な課題であると認識しております。
 国では、8月末に医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案が公表されました。三つの柱がありまして、一つ、医師確保計画の深化、二つ目が医師の確保・育成、三つ目が実効的な医師配置ということが示されました。具体的な対策は、今後、年末までに策定される予定であると聞いておりますので、まずは国の動向を注視するとともに、実効性ある措置が講じられるよう、しっかりと国に伝えてまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私の御坊市にひだか病院という地域の基幹病院があります。前の名誉院長にお話を聞きますと、地域枠のおかげで内科医が充足したというふうに聞きました。病院の基幹は内科であるので、それは大変よかったと思いますけども、まだ小児科、それから産科というのは、昼間だけしかできていなくて、夜間とか休日になると紀南病院へ行かないといけないんです。それから人工透析というのも常勤医を要望していますが、もらえないんです。
 それから、地域医療というのは民間病院も頑張ってくれていると思います。御坊市では、黎明会の北出病院というところが本当に頑張っているなと思いますが、しかし、民間病院は地域枠の対象ではなくて、私は民間病院も入れてほしいということをもう随分前に質問したことがありますが、まずは地域の公立病院が充足してからということだったんです。だけど、もう10年もたつけども、公立病院もまだやっぱり足りないし、民間病院の人たちは、いつ回ってくるのかなというふうにきっと思っているはずです。病院協会という協会があって、そこから言ってくればいいんだと思いますが、病院協会は、公立病院と民間病院が一緒になってやっていて、恐らく中身は全然経営の仕方が違うのに、同じにやっているから意見が出てこないのかなというふうに想像しているんですけども。
 それから有田市立病院、それから新宮市立医療センターは、産科を維持していくのに、本当に涙ぐましい御努力をいただいたというふうに聞いております。しかし、地域枠を10年やって、まだそんな状態かというふうに私は思っております。
 一方、地域枠とか、それから自治医大出身の若いお医者さんと話をしたことがあります。本当に地域医療に、地域枠で採用されたという認識の下、一生懸命頑張ってくれております。しかし、もっと研究をしたいというような向学心、さらに結婚をしているような人たちが子供を抱えて地域枠の義務年限を果たしていくのはなかなか大変なわけでございまして、地域枠で入った人も苦労しているなというふうに思いました。
 そんな意味では、私は、地域枠も入学がしやすいとか、それから奨学金をあげますというような、そういうくくり方ではなかなか難しいんじゃないかというふうにもともと思っておりましたけど、やっぱり10年たって、失敗とまでは言いませんけども、成功しているというふうには思っておりません。
 それで、知事は、偏在がなかなか解消しない理由というのはどういう点にあるというふうに思われますか。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 偏在の原因について御質問がございました。お答えしたいと思います。
 医師偏在の要因としては、当然なんですけれども、医師自身が勤務する地域や専門とする診療科を自由に選択できるというのが、今、日本の制度になっております。これを制限することはできませんので、それが主な原因だろうと考えております。
 特に新宮のセンターなんかで見られましたように、産科については、若い医師はいるんですけども、指導医がいない。指導医になるような方が和歌山ではなくて都会で、比較的収入の高いところで産科をされるというようなことがありますけれども、それを止める手だてはございませんので、いかんともし難いというようなところがございます。
 そのような中、本県では、卒業後の地域勤務を条件とする入学枠である地域枠を設置することで医師数を確保し、地域偏在の是正を図ってまいりました。これまでに、県立医科大学県民医療枠、地域医療枠及び近畿大学医学部和歌山県地域枠を卒業した医師は316名に上っております。
 こうした地域枠制度による本県の医師数は徐々に増加し、特に地域の中核病院において一番の課題であった内科医不足について、一定の効果を発揮いたしました。これは御指摘をいただいたとおりであります。したがいまして、この制度がなかったことを考えた場合に、あったことによって、地域の中核病院における救急医療体制や僻地医療の維持など、地域医療におきまして大変重要な役割を果たすことができたと認識をしております。
 また、産科などの不足診療科につきましては、臨床研修後の医師に対しまして、産科、小児科、精神科、救急科を専攻して、県内公立病院等で勤務することを条件とする研修資金貸与制度を創設いたしました。そういう意味で、今後、この分野でも医師の確保が進んでいくと承知しております。
 さらに、2023年度からは、県立医科大学の県民医療枠に、診療科を産科、小児科、精神科に特定する入学枠を設けましたので、これも時間がたてば不足診療科の医師の養成・確保に資するところがあるのではないかと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、医師の偏在には、いろいろ理由があると思いますが、大きな理由の一つに、医師の偏在は医学部入学の偏在にあるというふうに思っております。
 和歌山県内でいけば、もう私学に行かないとなかなか合格をしない。冨安県議会議員に聞きましたが、同級生は日高高校から、当時、定員が60人のときに6人も入ったというふうに聞きました。しかし、今、日高高校から毎年1人入らないんです。恐らく和歌山市以外のところからは、地域の進学校から毎年1人入れない。田辺高校で1人か2人入るというような、そんなことを聞いております。
 今、御坊で開業している人もひだか病院へ来て、それでそのまま開業する。でも、子供たちの教育のことを考えたら、やっぱり和歌山に住まないといけないと言って、和歌山に住んで御坊の診療所に通うという人もいるわけでございまして、やはり私は、和歌山県内、和歌山市以外のところから医師になるような子供たちを医師に養成するというようなことをぜひ考えていただきたい。
 これは、私1人が言っているんではなくて、WHOも僻地の子供を医者にしてくださいと。僻地という言い方は適当ではないかも分かりませんが、医師不足のところの子供を医者にすれば、普通自分の生まれて育ったところを大切に思うと思うんです。
 ふるさと教育と今言われていますけども、小学生のときから医師を目指せば、公立だけでも県立医大へ入れますよという話を聞いたんですが、小学生に、今、自分たちの地域は医者がいなくて失われていく命があるんだと。みんな子供を産もうと思ったら、よそへ行かないといけないと。子供が熱が出たら、ほかの地域へ行って診てもらわないといけないという、そんなことを小学生に聞いてもらったら、よし、俺は、私は医者になるという人も出てくるし、終わってしまったみたいですけど、宮城県はそういう教育を小学校のときに始めたという話も聞きました。
 そういう医師不足の地域から医師に養成するということは、島根大学では、今の地域枠ができる前から設けております。当時の医学部長は、1年浪人したと思えば、センター試験が多少低くても十分やれる。実際に、もう10年以上たっていると思いますけども、島根大学の地域枠で入った人が医療事故を起こしたということは聞きませんし、お隣の三重県でも、医学部は三重県の南のほうの地域から入学するという地域枠があります。
 新宮の私学、進学校のお話を聞きました。同じ学力でも、三重県へ行ったら三重大学に入れるけど、和歌山県へ来たら、県立医大は入れないという、そんな話を聞いたわけであります。
 先般、石川県へ行ってきました。高速道路を通っていると、ドライバーの人が教えてくれました。あれはKという医科大学ですというふうに聞くんです。今、県立医大は大変偏差値が難しい。でも、そのKというところの医学部も、偏差値は随分違うと思いますが、そこの卒業した医者が私の知っている人で、立派に病院経営されている人もおられますが、別に事故を起こしたわけではなくて、私は医師の能力というのは、ノーベル賞を取るとかそういう研究をする人は別として、地域医療に頑張ってくれる人というのは、そんなに高く設定する必要はないんではないかというふうに思っているんです。
 そういう意味で、これは前にも聞いたことがありますけども、県立医大の入学地域枠を、今のやり方ではなくて、医師不足の地域の子供たちから入学させるような、そういう制度ができないか、知事にお考えを聞いてみたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ただいま医師不足であるので、和歌山市以外からの医学部入学を促進すべきではないかという御質問をいただきました。お答えしたいと思います。
 先ほど中村議員が地域枠の関係の医師のお話をしたということで、御披露がありましたけれども、私も、いわゆる地域枠の経験を積んだ、9年間の義務年限を終了した皆さんと定期的にお話をする会を持たせていただいております。本当にこの人たちのうち、7割の方々が義務年限を終了しても地域に残ってくださっていると。お一人お一人本当に立派な志を持たれていますし、これも今、中村議員がおっしゃったことと関連するんですけども、やっぱり専門医にならないといけないんですね。専門医になるためには、大事な9年間の義務年限の間、地域の病院へ行って、そこで専門医の資格を取るというのは大変なことなんだそうです。でも、そこは歯を食いしばってやっていただいた上で、なお専門医の資格を取っても地域に残ってくださるという方々が大変多いということなので、私は、もちろん100点満点ではありません、足りない診療科もあることも事実でありますけれども、こういう地域枠の幅広い意味での県内の地域枠の人たちをさらに育てていくことが、私どもの県にとっては大切なことではないかと考えておりますので、県内の特定地域に限定した出身者の方だけを優先して入学枠を設置するというよりも、今の地域枠制度を継続させていただいて、今の300人を500人、600人、700人にしていくことで何とか、もちろんこれは県立医科大学とも連携しながら医師の派遣調整をしっかりと、それぞれの市町村の関係者とも御相談しながらでありますけれども、そこの協力によって、医師の地域偏在と診療科偏在の是正を図っていくのが、まず、当面、我々のやることではないのかなという思いを持っております。
 ただ、中村議員の御指摘ですので、私自身としては、研究はさせていただきたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 当面この方法でというふうに、今まで何回も私は、聞かせてもらったんです。だけど、やっぱり地域の中核病院で必要なところが足りないし、それから民間病院は、和歌山市は医大の先生とかがアルバイトで来るんで充足しているんですが、和歌山市以外の民間病院はやっぱり足りないです。だけど、地域医療は頑張ってくれているんですよ。だから、そういうところにも回るようにしようと思ったら、もう和歌山県の子供を医者にする、これが一番いい方法だと私は思っておりますし、WHOも他県でもやっておりますので、ぜひ、あとはもう知事が判断をしていただく以外になかなか変わっていけないというふうに思っておりますので、ぜひお願いしたいと思います。
 最後に、要望をさせていただきたいと思います。
 万博に関してであります。
 私が小学5年生だった1970年、大阪万博が開かれました。人類の調和と進歩という子供のときに覚えたそのことを今でも覚えております。外国人が珍しかったんで、うちの近所の中学生に見習って、サイン帳を持って万博へ行って、外国人を見つけてはサインをしてもらったという記憶があります。
 この田舎では見たこともないようなパビリオンがいっぱいあって、初めて見るような機械とか制度のようなものがあって、動く歩道とかも見ました。もう子供心にわくわくしたんです。
 幸い、学校とは別に、もう一回行く機会はあったんですけども、大阪だったから行けたんで、沖縄とか、それからつくばの万博はもう行くチャンスがありませんでした。一生に一回あるかどうかの大阪万博、知事も子供たちを連れて行ってやるということで、予算をつけてやろうということですけども、アンケートだと、5割ぐらいの希望しかない。紀南では1割ということでございました。やっぱり宿泊が要るというようなことです。お金の要る話ですけども、ぜひ、子供たちが一人でも多く、特に紀南の子供たちが行けるように特段の御配慮をお願いいたしまして、一般質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りをいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木太雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 配付しております議案付託表のとおり、議案第120号から議案第141号まで、報第3号及び諮問第1号を所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。9月24日及び25日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木太雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次会は、9月26日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時41分散会

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