令和6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
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令和6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号
議事日程 第4号
令和6年9月19日(木曜日)
午前10時開議
第1 議案第120号から議案第143号まで、報第3号及び諮問第1号(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第120号から議案第143号まで、報第3号及び諮問第1号(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(42人)
1番 三栖拓也
2番 高田英亮
3番 秋月史成
4番 佐藤武治
5番 藤山将材
6番 森 礼子
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
9番 上山寿示
10番 鈴木德久
11番 玄素彰人
12番 濱口太史
13番 鈴木太雄
14番 冨安民浩
15番 吉井和視
16番 山家敏宏
17番 北山慎一
18番 岩田弘彦
19番 中本浩精
20番 中村裕一
21番 谷 洋一
22番 坂本佳隆
23番 川畑哲哉
24番 堀 龍雄
25番 谷口和樹
26番 新島 雄
27番 山下直也
28番 小川浩樹
29番 中尾友紀
30番 岩井弘次
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 山田正彦
34番 坂本 登
35番 小西政宏
36番 浦平美博
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 尾﨑太郎
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 岸本周平
副知事 下 宏
理事 田嶋久嗣
知事室長 北廣理人
総務部長 友井泰範
危機管理部長 河野眞也
企画部長 前 昌治
地域振興部長 赤坂武彦
環境生活部長 山本祥生
共生社会推進部長 島本由美
福祉保健部長 今西宏行
商工労働部長 大川伸也
農林水産部長 立石 修
県土整備部長 福本仁志
会計管理者 高橋博之
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員長 竹田純久
警察本部長 野本靖之
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 森田康友
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 林 伸幸
次長(秘書広報室長事務取扱)
橋爪正樹
議事課長 岩井紀生
議事課副課長 田中 匠
議事課議事班長 伊賀顕正
議事課副主査 川崎競平
議事課副主査 西 智生
議事課副主査 林 貞男
総務課長 榊 建二
政策調査課長 岩谷隆哉
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午前10時0分開議
○議長(鈴木太雄君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第120号から議案第143号まで、報第3号及び諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
42番長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 皆さん、おはようございます。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
一つ目に、災害関連死についてであります。
災害による直接死を免れながら、避難生活の中で命を落とすのが災害関連死ですが、ケアが行き届きにくい避難所以外の場所にいる避難所外避難者が亡くなる事例が多く報告され、支援の拡充が求められていますが、対応が進まない現状があります。
熊本赤十字病院の災害看護専門看護師、小林さんによると、避難所での関連死が多いと思っていたが、よくよくデータを見ると、自宅での発生が多かったと語っています。
熊本地震では、死者276人のうち、熊本県内で関連死に認定された218人について県が分析した結果、死亡時に生活していた場所で最多だったのは、自宅で81人、37%、発災後に入院して1か月以上が経過が58人、27%、発災前から入院が27人、12%と続き、避難所は10人、5%にとどまっています。災害関連死までの期間は、発災から1週間24%、1週間から1か月33%、1か月から3か月24%で、3か月以内が8割を占めました。
1月の能登半島地震を含め、各地の被災地で支援してきた小林さんは、避難所への支援は充実しつつあるが、避難所以外では交通や医療へのアクセスが悪くなる上、医療機関自体の機能も低下すると指摘しています。
避難所外避難者を把握したとしても、その後の支援の体制も課題になります。消防団による見回りで4000人超を把握した熊本県大津町の担当者は、指定避難所の運営に人手が取られ、避難所外避難者の支援はほとんどできなかったと明かしています。
国も、避難所外避難者の支援を喫緊の課題と見ています。内閣府の検討会の23年12月の中間取りまとめでは、「場所(避難所)の支援から人(避難者等)の支援へ」の転換という方向性を打ち出しました。
ポイントは支援者間の連携です。避難者の支援には、地域の保健師、DWAT(災害派遣福祉チーム)、民間の支援団体、福祉事業者、自主防災組織や自治会、民生・児童委員などが取り組んでいます。組織間の連携や支援漏れ防止のため、役割分担、調査票の標準化、支援の順位づけなどが有効だとしています。また、情報の集約や利用のため、デジタル技術の活用も想定されています。
自治体も様々な対策を打ち出しています。能登半島地震では、石川県が1月19日から無料通信アプリ・LINEを使った情報登録を呼びかけました。4月1日時点で計1万3053人が登録、市町と情報を共有して支援につなげています。県の担当者は、2月時点で数千人単位の登録があり、おおよその人数でも早期に簡易的に把握できるデジタルツールは有効だと感じると話しています。
災害弱者を重点的にケアする態勢を取る自治体もありますが、自治体間で差があるのが実情です。検討会メンバーで大阪公立大学大学院の菅野拓准教授(復興対策)は、自治体任せにするのは限界がある。災害救助法できちんと位置づけるなど、国による対応が重要だと指摘しています。災害関連死が多く出る3か月以内の早期支援の重要性を強調した上で、早期に把握して集中的なケアを入れることで関連死を防ぐことができる、避難所や仮設住宅に移ってもらう発想から、一人一人の生存権を守るという方向へ災害支援の発想を転換しなければならないと訴えています。
そこで質問ですが、自宅等、避難所外で多く見られる災害関連死を防ぐためには、被災者を早期に把握し、集中的なケアを行うことが重要と考えますが、福祉保健部長の御所見をお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
福祉保健部長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 議員御指摘のとおり、災害関連死を防ぐためには、被災者一人一人に寄り添い、個別の状況に応じた支援が重要であると考えています。そのためには、特に医療を必要とする被災者を早期に把握することが不可欠です。
このため、本県においても、その手法である災害ケースマネジメントについて、和歌山県地域防災計画に明記し、被災者支援の仕組みの構築に努めています。
昨年11月には、この取組の第一人者である大阪公立大学の菅野准教授や知見を有するNPO法人に協力をいただき、市町村や社会福祉協議会、NPO等を対象として研修会を実施したところです。
今後も、避難所はもとより、避難所外の自宅等で避難生活を送られている被災者のうち、既往症の悪化など、健康不安を抱えているものの、医療へのアクセスができていない方をどのように把握し支援するのか、市町村や支援関係機関と協議してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 ただでさえ人手不足のところ、避難所以外の自宅回りは大変な作業だと思いますが、地域ボランティアの皆様と共に、災害関連死のおそれのある人命をぜひとも守っていただきたいと思います。
2点目ですが、中国をはじめとしたインバウンド市場の傾向と本県の観光施策についてであります。
本年2月22日の日本経済新聞の記事になりますが、訪日客消費の回復で地域差が出ており、新型コロナウイルスから前の2019年に比べ、山形県や和歌山県、高知県が大きく伸びたと言います。中国からのインバウンドの戻りが鈍いため、中国依存度が低かった地域ほど消費の伸びが大きいようです。
三井住友カードがキャッシュレスデータ分析サービス・Custellaを活用し、訪日客の2023年の決済動向を分析しました。2019年比で都道府県別の回復動向を調べたところ、最も高かったのは山形県で3.6倍、次いで和歌山県が3.0倍、高知県が2.6倍となりました。一方、回復が最も進んでいないのが三重県で2019年比73%減、次いで岡山県が35%減、愛知県が34%減でした。大都市圏の回復も道半ばで、大阪府が25%減ったほか、東京都は横ばいだったそうです。2019年当時の訪日客消費に占める中国の割合は、全国平均は57%でしたが、山形県は17%、和歌山県は30%、高知県が16%と、いずれも全国平均より低かったのです。
2010年代のインバウンド消費は、爆買いに代表されるように、中国人観光客による積極的な購買行動が全体を支えました。観光庁の2019年の旅行消費額のうち、37%が中国で1位でした。2023年は14%までその割合は低下して2位になり、台湾が15%と1位になりました。韓国が14%、米国が12%、香港が9%と続きます。
現在は、中国依存度が低く、幅広い国・地域から訪日客を受け入れている地域が好調です。例えば、白いビーチとパンダで知られる白浜地区と、世界遺産に登録された高野山や熊野古道を擁する和歌山県は、白浜がアジア系に人気が高い一方、高野山などは欧米系の観光客が多いです。相対的に中国への依存度は低くなっています。ソニーフィナンシャルグループの宮嶋貴之氏は、足元の動向について、訪日客全体が団体から個人にシフトし、再び日本に来たリピーターも多いため、旅の目的も各地域に分散化していると指摘しています。
インバウンド消費が日本経済を支えており、観光庁による2023年の訪日外国人消費額は5兆2923億円と過去最高になり、2019年比で9.9%増えています。全国及び本県の傾向は先述のとおりですが、本県のインバウンド市場における誘客数や消費額等を考慮すると、中国は重要な市場の一つと認識しています。
そこで質問ですが、中国をはじめとして、和歌山県のインバウンド動態の特徴と消費拡大に向けた施策について、地域振興部長、お聞かせください。
○議長(鈴木太雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 本県のインバウンドの特徴としましては、中国の割合が最も高く、中国、香港、台湾、韓国のアジア主要4か国・地域からの訪問が多いことに加えて、欧米豪市場の割合が3割を超え、全国的に見ても高いことが上げられます。
なお、中国人観光客については、他国と比べて回復が遅れていましたが、7月の訪日客数はコロナ禍後初めて1位となるなど、着実に回復が進んでおり、中国人観光客に人気の白浜温泉やマグロの解体ショー、那智の滝と三重塔の絶景や海鮮グルメなどの観光資源を有する本県としましては、今後さらなる回復と来県を期待するところです。
また、議員御指摘のとおり、観光消費額の拡大は重要と認識しており、本県としても、その取組を強化しているところです。具体的には、高付加価値旅行者層をターゲットにした海外現地旅行会社やメディアへのセールスコール、旅行博覧会への出展などの現地プロモーションのほか、海外市場関係者の県内視察支援、SNSを通じた情報発信、県内事業者と旅行会社との商談会開催など、誘客を推進しております。
さらに、体験コンテンツの予約・決済サイトの開設、飲食店やメニューの検索が可能な多言語ウェブサイト「EAT WAKAYAMA」の運営、通訳ガイドの育成等にも取り組んでおります。
今後も、このような施策をしっかりと推し進めることにより、インバウンドの観光消費額拡大を図ってまいります。
○議長(鈴木太雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 中国も、爆買いは一息ついたと思いますが、食のほうはますます増大している傾向だと思います。中国人に限らず、和歌山県ならではの食材を使った食の和歌山らしさもさらにインバウンドにアピールいただきたいと思います。
3点目に、今後の交番、駐在所についてであります。
このところ、全国的に交番と駐在所が減少しています。人口や犯罪の減少、建物の老朽化が原因と言われています。具体的には、一つ目、刑法犯認知件数が戦後最多の285万4061件だった2002年から7割以上減った、2、人口増に伴い整備された施設の多くが老朽化した、3、交番勤務を担う警察官が減ったの三つです。
1人勤務の交番襲撃事件が相次いだことも響いたと言われています。しかも、サイバー犯罪やテロ、特殊詐欺など、交番だけでは対応できない犯罪への対策も重要になってきています。
しかし、日本では、交番や駐在所が地域に密着し、住民からの信頼を得ることで治安維持や防犯に貢献してきました。犯罪発生後の対応はもちろん、警察官と住民の日常会話の中から、不審者情報など、事件につながる可能性がある前兆事案の情報を収集することで犯罪防止につなげてきました。あくまで身近に警察官がいて、まちの安全と治安は守られているという安心感を我々住民はいつも抱いております。
そこで質問ですが、今後、和歌山県において、交番、駐在所をどうしていくおつもりか、警察本部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 警察本部長野本靖之君。
〔野本靖之君、登壇〕
○警察本部長(野本靖之君) 現在、県警察では、警戒の空白を生じさせないための組織運営の見直しを進めておりまして、交番、駐在所の在り方についても併せて検討中であります。
配置人員を含めた交番、駐在所の在り方については、常時警戒体制の保持と地域の実態把握といった交番などの機能を踏まえ、これまでも不断の見直しを行ってまいりました。引き続き、中長期的な観点から、治安情勢に応じた適正かつ合理的なものとなるよう、地域住民の皆様の意見を踏まえつつ、十分に説明し、不安感を抱かせることがないよう配慮してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 交番、駐在所を単に減少させるだけでなく、パトロールの頻度をさらに上げたり、頻発している自転車の逆走、歩道の自転車走行など、自転車や二輪車の安全運転対策にもさらに心を砕いていただきたいと要望させていただきます。
4点目に、独り親家庭への支援についてであります。
独り親は、仕事と家庭生活を一手に担うために、時間的余裕もなく、行政の支援にたどり着けない場合も少なくありません。育児だけでなく、介護を行う──ダブルケア──独り親もいることも考慮し、独り親家庭への行政支援窓口と、こども家庭センターや地域包括支援センターとの連携も必要であります。
窓口のワンストップ化の推進とともに、練馬区で2019年1月から始まった必要な書類を一括して作成できるサービスの施行運用を参考とし、全国どこでもスムーズに申請できるような体制にしていくことが必要であると思います。また、就業している独り親への対応としては、土日祝日、夜間の相談対応や企業で相談を受ける体制をつくることが有効です。
なお、独り親家庭に対する支援については、2024年度こども家庭庁予算に、1、児童扶養手当の所得限度額の引上げ、2、独り親の支援に係る事業の対象者要件の緩和、3、高等職業訓練促進給付金の短期間で取得可能な民間資格を含む対象資格への拡大が盛り込まれるなど、一定の進展が見られます。しかし、児童扶養手当の所得制限の撤廃を求める切実な声が寄せられており、さらなる見直しが求められます。
また、高等職業訓練給付金についても、今回の対象資格の拡大が独り親家庭の生活や就労の安定に及ぼす効果を確認し、必要に応じてさらなる制度の拡充が必要であります。
そこで質問ですが、本県の独り親家庭への支援策について、共生社会推進部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 共生社会推進部長島本由美君。
〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 本県の独り親家庭に対する支援は、経済的支援、就業支援、生活・子育て支援、養育費確保支援の4本柱により、各種事業を実施しております。
具体的には、経済的支援として、児童扶養手当及び母子父子寡婦福祉資金貸付けの制度、就業支援として、和歌山県母子家庭等就業・自立支援センターが実施する就業相談、生活・子育て支援として、独り親家庭医療費助成、養育費確保支援として、養育費に関する無料の法律相談など、幅広く取り組んでいるところです。
近年の新たな取組といたしましては、2020年度から、独り親家庭訪問支援として、児童扶養手当の新規受給者に対する居宅等への訪問や、児童扶養手当現況届期間中の出張相談会を開催することにより、独り親家庭の孤立防止と独り親家庭に対する支援制度の周知を図り、効果的な支援につなげるよう取り組んでおります。
また、2022年度から、養育費確保支援として、離婚に伴い困窮に陥るリスクが高い独り親家庭に対し、養育費の取決めや履行を一層推進するため、これまで実施していた無料の法律相談に加え、公正証書の作成費用に対する補助や、公証役場や裁判所への同行などの支援を行っております。
県としましては、今後も独り親家庭の生活実態やニーズに応じて必要な施策を実施することにより、独り親家庭の方々の生活の安定と自立を支援してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 現在は複数事業場で働き、月額賃金の合計が8.8万円以上であっても、厚生年金保険第2号などに加入できません。副業・兼業者は、時間的制約の強い独り親など、連続した長時間の就業が難しく、経済的に困窮している割合も高いです。そのため、複数事業所で就業する副業・兼業者については、労働時間や賃金を合算し、社会保険・雇用保険の適用と給付が行われるよう、早急に取り組む必要があります。
あわせて、労働基準法第38条通達のとおり、事業主が違っても労働時間が通算されることの周知を徹底し、厚生労働省が開発したマルチジョブ健康管理ツールアプリの活用促進などが必要であると思います。
次に、5点目、若者の消費者被害について行きます。
民法改正で、2022年4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられたのに伴い、若者の消費者被害の増加が懸念されています。
成人年齢の引下げにより、18歳から19歳でも携帯電話やクレジットカードなどの契約が結べるようになりますが、そうした契約は簡単には取り消せなくなります。新成人は自覚を持ち、契約の際には十分な注意が必要になります。特に最近では、SNSで若者を勧誘する投資マルチ商法なども目立っています。契約から一定期間であれば消費者が契約を解除できるクーリングオフの制度も知っておくべきでしょう。
親の同意なしに未成年者が結んだ契約は、未成年者取消し権で契約取消しができ、未成年者は保護される仕組みですが、成人年齢の引下げで18歳から19歳は取消し権の対象から外れます。消費者金融なども、18歳の若者に対し、一部の貸付けが可能になります。このため、金融庁では、事業者にそうした若者向けの貸付状況の報告を求めることができます。大手銀行では、18歳から19歳の若者にはカードローンの利用を認めません。2024年5月28日公表の国民生活センターの資料によると、18歳から19歳では、エステ、医療サービス、内職、副業に関する相談が多く寄せられています。
また、SNSをきっかけとした相談は増加傾向で、20代の相談件数が最も多く、SNSがきっかけとなる情報商材のトラブルも発生しています。定期購入に関する消費生活相談は増加傾向で、商品では健康食品と化粧品が多いです。インターネットの通信販売等で副業、投資やギャンブル等で高額収入を受けるノウハウなどと称して販売されている情報、すなわち、電子媒体、動画、メールマガジン、アプリケーションなど、情報商材に関する相談も20歳代での増加が顕著です。誰でも簡単に稼げるといったネットでのもうけ話には注意です。
そこで質問ですが、若者の消費者被害を防止するための県の取組を環境生活部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 環境生活部長山本祥生君。
〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 県では、県民一人一人が消費生活に関する正確な知識や的確な判断力を身につけるため、世代に応じた消費者教育を推進しています。
近年、インターネット通販やSNSを通じたもうけ話のトラブルなど、消費者トラブルは多様化しており、悪質商法の手口も巧妙化していることから、社会経験の乏しい若者における消費者被害の増加が懸念されています。
県では、成年年齢引下げも踏まえ、若者に対する消費者教育の強化が重要であるという認識の下、学校等での消費者教育を支援するための専門講師の派遣や、消費者トラブルを防止するための広報啓発に取り組んできたところです。
例えば、昨年度は、消費者被害を未然に防止するための新たな取組として、若者やその親世代を対象に消費者教育動画を制作しました。内容は、具体的事例を題材とすることで、消費者トラブルを自分事として捉え、批判的思考力を磨くことができるものとなっており、あわせて、万が一トラブルに遭った場合には、消費生活相談窓口に相談するよう促すものとなっております。
また、これらの動画を紹介するため、若者の目に触れやすい各種SNSを活用して周知を図るなど、より効果的な啓発に取り組んでいるところです。
今後とも、引き続き様々な工夫を凝らしながら、若者の消費者被害の防止に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 金融教育については、金融教育元年と呼ばれる2005年以降、学校現場で推進されてきました。しかし、金融庁の「金融リテラシー調査2022年」によれば、学校等で金融教育を受けたと認識している人──18歳から29歳、2005年当時は1歳から12歳──は13.9%にすぎず、これまでの金融教育が十分であったとは言い難い状況にあると思います。
昨今、インターネットやSNSが普及したことにより、ネットを通じて副業、もうけ話に興味を持ち、カード詐欺やヤミ金に巻き込まれる事件は増加しています。こうした金融トラブルの経験者については、金融教育を受けていない人の割合が高いとの調査結果──同金融リテラシー調査2022年──があり、このことからも、金融教育の効果及び必要性は明らかであると思います。
以上、私の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
16番山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)
○山家敏宏君 おはようございます。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告書に従い、一般質問を行います。
最初に、山東省、四川省との友好関係について質問いたします。
今年の7月21日から7月25日までの5日間、和歌山県・山東省友好提携40周年記念訪問団として山東省、四川省を訪問しました。参加者は、行政からは岸本知事をはじめ5名、県議団は、鈴木太雄議長、井出益弘日中友好和歌山県議会議員連盟会長、濱口太史議員、玄素彰人議員、中尾友紀議員、そして私、そして事務局、瀧川副課長、愛須議長秘書、黄国際交流員の9名、友好団として、中拓哉和歌山県日中友好協会会長はじめ13名、観光関係では山本雅史株式会社アワーズ代表取締役社長はじめ9名、学術交流団は本山貢和歌山大学学長はじめ4名、広報関係で津村周株式会社わかやま新報代表取締役社長はじめ2名の総勢42名です。
初日の7月21日16時50分、関西空港を出発し、19時20分、済南遥墻国際空港に到着、20時30分、宋副省長、陳商務庁長、劉弁公庁副主任、李外事弁公室副主任の歓迎を受け、宋副省長主催の夕食会で懇談を行い、宋副省長からは、昨年、和歌山県を訪問した際に、岸本知事が山東省を訪問の意向を示され、今回、約束を守ってこられ、和歌山県民の友情の気持ちを一緒に持ってこられたことに感謝している。山東省と和歌山は、経済など様々な交流をこれまで行ってきたが、新たな段階に入り、さらなる経済、文化の交流を行い、共々に友好の発展を進めていきたいと歓迎の挨拶がありました。
その後、岸本知事挨拶の後、在青島日本国総領事斎藤様から、日本と中国が様々な課題があるが、本当の中国の姿が正しく伝わっていない。ぜひ皆さんのお力で山東省に来ていただき、実際に自分の目で見ていただき、判断していただきたいとお話があり、日本と中国の教育や経済についての協力関係等について意見交換を行い、今後も教育や経済など、あらゆる分野からの友好交流の必要性を感じたところです。
2日目の7月22日10時30分から山東師範大学を訪問。山東師範大学は1950年10月29日に創設され、新中国建国後、山東省で最も早く創立された高等学府の一つで、千仏山、長清湖にそれぞれキャンパスを持ち、敷地面積は約258万平方メートル、教員数は2800人余り、学生数は約3万3700人を誇る山東省の重点大学となっています。
大学の長清湖キャンパスの図書館内には、国際交流基金日中交流センターが設置され、日本の情報や日本人と接する機会が少ない中国の地方都市において、青少年層を主な対象に、対日理解と交流を促進する済南ふれあいの場が開設されていました。そこでは、主に日本語検定対策の本や日本の小説、漫画、ファッション雑誌及び日本留学案内等が常設展示されており、各週土曜日に現地日本人と日本に興味のある現地大学生との交流イベントである日本語コーナーが開設され、日本に関するセミナーや交流会を実施されているとのことでした。
山東師範大学馮書記により熱烈な歓迎挨拶をいただき、鈴木太雄議長が、尊敬する馮山東師範大学書記をはじめ、山東師範大学の皆様にお会いできて光栄です。和歌山県と山東省との友好提携40周年及び中華人民共和国設立75周年の節目の年に訪問でき、大変うれしく思っている。本県と山東省との青少年交流において、貴校が果たしてきた役割は非常に大きい。
つい先週、3名の教職員と30名の学生を本県にお招きすることができ、これまで300名近い学生及び教職員の皆様が本県を訪れ、日本文化、和歌山県の文化を学ばれ、また、本県と山東省との友好提携30周年の節目であった2014年に、貴校内に和歌山県コーナーを設置いただいている。このことは、日本の情報や日本人と接する機会が少ない済南の学生に友好都市である和歌山県を知ってもらうのに非常に大きな貢献をしてくれている。加えて、2009年以降、12名の和歌山県職員が山東師範大学で中国語を学び、貴校で学んだ県職員は、今も多くが県庁で中国との交流に関わりのある部署で活躍していると聞いている。
今の時代、非常に多くの情報があふれているが、誤った情報も多く拡散され、日中両国の間に多くの誤解や不信感を生んでいる。相互理解促進のためには、特に青少年同士の顔の見える交流が重要であると認識しており、引き続き、青少年交流を応援していきたいと考えている。
本年は、和歌山県が有する「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産登録20周年を迎える年です。ぜひ本県にお越しいただき、歴史文化、四季折々の多彩な食材や温泉などを堪能してほしい。来県を心よりお待ちしていますと答礼挨拶を述べ、その後、井出益弘会長が代表挨拶を行い、山東師範大学紹介ビデオを視聴し、記念品交換、記念撮影を行いました。
続いて、濱口議員が前回の山東師範大学訪問時に約束していた獅子頭を贈呈すると、教員や生徒さんからひときわ大きな拍手と笑顔がはじけました。
最後に、山東師範大学の日本語学科教員、学生との座談会が行われました。学生の中でも日本のアニメが非常に人気であり、常に話題に出てくる。院生と学生の代表が日本への留学を通して、日本人の温かさ、優しさに触れることができ、日本のことをさらに学び、理解を深め、日中友好の交流に貢献したいと力強い決意を流暢な日本語で話されたのが印象的でした。
この大学訪問では、お互いに実際にその国を訪れ、交流を通して肌で感じることの大切さを改めて痛感するとともに、青少年交流の重要性を再認識いたしました。
昼食後は、山東テレビへ訪問。呂中国共産党山東省放送テレビ局委員会書記より、山東テレビは34の部門と八つのラジオ周波数、九つのテレビチャンネル、二つのウェブサイト、一つの新聞、一つの上場会社を持ち、地方のラジオとテレビで第1位の位置にあり、1億人以上の視聴者がいるとの説明をいただきました。
その後、17時30分から山東ホテルにて林武山東省書記との友好提携40周年記念会談が行われ、林書記より、大切なタイミングで和歌山県から多くの皆様にお越しいただくことができ、大変うれしく思っている。中国と日本は重要な隣国。昨年、習近平国家主席が岸田首相とサンフランシスコでお会いし、新時代にふさわしい建設的で安全な両国の関係に合意した。知事の今回の訪問で山東省と和歌山県の友好はさらに深まり、両県省の関係は新たなものになると思うとの歓迎の挨拶を受け、また、挨拶の中で山東省の特色について、山東省は北東アジア地域の経済協力の中心。陸地面積は15.8万キロ平方メートル、日本の約40%、居住人口は1億人に達し、深い歴史と文化遺産を有し、中華文明や宗教文化の発祥地で、名山、名水、著名人など、海外でも有名なものがたくさんある。名山では道教の五つの聖地の一つである泰山、名水は中国の母親と言われている黄河、黄河は中国では九つの省にまたがっており、山東省で海へと流れていく。著名人では、2500年前に儒教を確立し、今も世界に影響を与えている孔子。つい最近、孔子の生誕地尼山で尼山世界フォーラムを開催しており、9月には孔子文化祭の開催を予定していると触れられ、また、山東省の経済状況と今後の見通しについては、山東省の経済運営はおおむね安定しており、昨年のGDPは9.2兆円人民元で、米ドルに換算すると1.3兆米ドル、中国で3番目にランキングされ、習近平国家主席は山東省の発展を重要視しており、大きな期待を寄せている。第18回中国共産党全国大会以来、何回も山東省を訪問し、指導されている状況。
今後の山東省の経済発展や日本との交流に向けては、地域の実情に沿った新しい質の高い生産力を獲得するため、AIなどのデジタル産業の発展等の推進や、原子力や風力、太陽光など、新エネルギーと再生可能エネルギーの設備容量が現在1億キロワットを超え、中国内で1位である優位点を生かした脱炭素の新エネルギーシステムの構築に力を入れていくとともに、高速道路、鉄道、空港、防災インフラなどの建設を推進していくことなどを主に取り組んでいく。
また、産業の面では、2020年以来、毎年オンラインとオフラインで対話山東というイベントを開催し、多くの交流プロジェクトを締結してきた。人的交流の面では、山東省は、和歌山県などの友好都市に大学生の訪問団の派遣などを積極的に行っている。
高齢者介護分野での協力について、高齢社会の進展に伴い、介護分野での交流が深まり、特に老年大学などの団体訪問が活発化していると紹介があり、最後に、和歌山県は天然資源が豊富で、産業基盤が整っており、山東省との交流の余地は広いと考えている。今後、知事と共に環境保護分野での交流、介護福祉分野での交流、人的交流、文化交流を深めたいと考えている。友好提携40周年をきっかけに、新たな1ページが開かれると信じていると結びの言葉をいただきました。
それに応じて、岸本知事より、両県省友好提携40周年を記念して、4月に白玉剛中国共産党山東省委員会常務委員兼宣伝部長が多くの山東省の方々を本県に連れてきてくれた。今回は答礼の訪問団として、議会、日中友好協会等が一体となった40名を超える団で山東省を訪問させていただいた。国と国とはいろいろな問題がどうしても起きる。しかし、青少年の交流が続けば、若い人たちが仲よくなり、長い目で見たとき、日中の友好は揺るぎないものになると思う。同じように、和歌山県の日中友好協会と貴省人民対外友好協会が、本県と貴省の友好提携40周年を契機として双方の協力関係をさらに促進することを目的に覚書を締結すると聞いている。青少年、民間、そして地方の政府が草の根の協力をしていけば、日中友好が深まることを確信している。この40年の交流を次の40年につなげられるよう頑張っていきたいと考えている。また、来年には大阪・関西万博が開催される、この機会にぜひ本県にお越しいただければ幸いですとの挨拶があり、その後、鈴木議長からは、尊敬する林武書記、本日はお目にかかれて光栄であります。両県省友好提携40周年及び中華人民共和国設立75周年の節目の年に山東省を訪問できて大変うれしく思っています。本年の4月、友好提携40周年記念訪問団として白玉剛中国共産党山東省委員会常務委員兼宣伝部長をはじめ、多くの山東省の皆様にお越しいただき、大変感謝している。今回は答礼の訪問団として、議員は総勢6名で山東省を訪問させていただいた。日中両国は一衣帯水の隣国であり、言わば永遠の隣人である。私たちが一番大切に考えていることは、立場の違いはあっても対話と意思疎通を続け、日中関係を安定させることであり、日中関係の安定は、両国国民の利益であるだけでなく、地域、しいては世界の平和と安定に寄与するものだと考えているとの挨拶がありました。
その後、18時から、友好提携40周年記念レセプションが盛大に行われました。
3日目の7月23日は、在青島日本国総領事斎藤様にお見送りをいただき、山東ホテルを出発。鈴木議長は、全国議長会出席のため、日本に帰国されました。
その後、済南遥墻国際空港を出発、成都双流国際空港に到着、四川省に場所を移し、17時30分からシャングリ・ラ成都にて、施小琳四川省長との会談に臨みました。
会談は、施小琳省長より、四川省は人口約9000万人、面積48.6万平方キロメートル、農業が発達しており、豚の生産は全国1位、貴重な動物も多数存在し、ジャイアントパンダが有名である。山は美しいが、豪雨などの影響を受けて土砂災害等が発生している。また、地震などの災害もあり、この件においても和歌山県と協力していきたい。
昨年のGDPは6兆人民元を超え、中国各省の中で5位、しかし、人口が多いので、1人当たりのGDPはそんなに高くないと。質の高い発展と国家レベルの大学と研究センターがあり、航空、ソフトウエア、電子、情報などの分野を研究している。
四川省には二つの国際空港があり、利用者数は7500万人を突破、各国友好提携先との関係協力を今後も進めていきたい。また、教育や宗教、お年寄りや子供との関係強化にも努めていきたい。
そして、福祉の増進を高め、1人当たりのGDPを上げていき、また、環境保護にもますます力を入れ、安全保障、防災・減災、特に成都市は2100万人以上の人口を有しているので、様々な面でリスクを削減していきたい。そういった中で和歌山県との共有課題について交流を深めていきたい。
先日、トヨタ自動車のお客さんを受け入れ、知事も昔、トヨタ自動車で勤められていたと聞いている。成都でも、トヨタのプロジェクトがある。経済貿易だけでなく、文化交流など、様々な分野で交流のポテンシャルがある。知事一行の今回の訪問を通じて成果を上げていきたいと歓迎の挨拶がありました。
続いて、岸本知事の挨拶があり、その後、意見交換を行い、お互いの関係が深まり、和歌山県と四川省ともにウィン・ウィンとなることが予見できる有意義な交流となりました。
4日目の7月24日は、早朝から高田重慶総領事との朝食会が開催され、総領事からは、四川省は自由闊達な雰囲気がある。宿泊したホテルの周りにもライブハウスやeスポーツなど様々な店が建ち並び、若者の人気スポットで活気がある。生活がしやすく、住みやすいまちなので、ぜひ四川省や重慶市に日本からたくさんの人が来られることを願っている。
四川省は、パンダ、四川料理、三国志等、日本人になじみのある観光地が多いと紹介され、また、日系企業の進出状況については、トヨタ、ヤマハ、イトーヨーカドーなど516社が進出、その中でも四川のイトーヨーカドーは売上げ世界一で、長年市民に支持され、日本のブランドイメージの普及に貢献し、令和5年度の外務大臣表彰を受賞していることや、成都では、飲食・サービス業の進出が目覚ましく、最近では、ローソン、ゼンショー、スシロー、ニトリ等が進出していると説明を受け、加えて、経済や観光面における日本との連携では、2019年12月、成都市で開催された首脳会談を機に、中日都市建設と現代サービス業開放協力モデルプロジェクトが提起され、2020年4月、成都市が日中地方発展協力モデル区の一つに指定されたこと、訪日旅行需要の動きを受け、2022年に日本政府観光局成都事務所が開設されたこと、2023年2月、アドベンチャーワールドの永明、桜浜、桃浜を中国に返還されたことなどの状況を聞き、最後に、成都市や重慶市の経済状況について、成都市は、国内でも随一の大消費都市で、15年連続で中国国内幸福度ナンバーワンであり、電力、エネルギー、資源が豊富で、全発電量の9割近くが水力であり、水素、カーボンニュートラル等、新産業を推進していること、2020年から、中国第4の経済圏として、重慶市29区の四川省15市から成る成都・重慶地区両都市経済圏を推進しており、2024年4月、習近平国家主席が重慶訪問時に「新時代の西部大開発」を主唱しており、成都、重慶を拠点に、東南アジア、欧州への鉄道物流網が発達していることなどの説明を受け、その後、日中の少子高齢化の課題についても意見交換を行いました。
朝食会終了後は、10時から成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地をアドベンチャーワールドのメンバーと訪問し、11時からは、施設内にて基地の職員と意見交換を行いました。
13時40分から成都市計画館を視察、展示ホールがビルの1階から4階に設置され、展示面積は1万2000平方メートル、成都の過去、現在、未来をテーマとして、都市の発展過程を集中的に展示されており、3Dデジタルシアターでは、一般の方が成都の発展をリアルに感じることができ、デジタル成都を漫遊では、成都中心の計画を3次元で体験することができました。特に、巨大な映像と成都市のジオラマは圧巻で、年代別の衛星写真で成都市の発展が分かる工夫がされていました。
15時40分から武侯祠を視察、四川省成都市武侯区にある祠堂で、三国時代の蜀の諸葛亮やその主君劉備などを祭っています。学校が休みということもあり、多くの観光客であふれかえっており、前に進むことも困難な状況で、中国の活気を感じました。
最終日の7月25日9時20分に、成都天府国際空港を出発し、夕方、和歌山県庁に無事到着し、4泊5日の視察が終了いたしました。
私自身は初めての中国でしたが、中国の方々は、私たちに対して熱烈な歓迎をしてくださり、様々な考えや意見を聞かせていただくことができました。また、和歌山県に対しても、本当に友好的な考えを持ってくれていると感じました。これからも、青少年交流、技術交流、経済、観光等でお互いに協力し合うことで、日中関係は揺るぎないものになると確信しております。
また、本県も草の根の活動を続け、関係を深めていくことが重要であると考えていますが、知事の山東省、四川省を訪問しての所見と今後の交流についての見解をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 山家議員の御質問にお答えを申し上げます。
山東省は、本県が初めての海外との提携先として、1984年に友好提携を締結いたしました。そして、今年が40周年の記念すべき年だということであります。環境、経済、観光、青少年、高齢者など、様々な分野でこれまで積極的な交流を展開してきており、和歌山県と山東省の間には強い絆があるということを感じました。
それから、四川省とは、パンダのつながりをきっかけに、2022年に友好提携を締結したところであります。残念ながら、コロナ禍での締結ということで、オンラインでの交流を行ってまいりましたけれども、そのような中でも防災、環境を中心に交流を進めていったところでありますが、今回は、県議会の先生方と一緒に、直接オフラインで四川省の皆さんと交流できたことは、とてもよかったなと考えております。
そして、山東省は人口1億人、四川省は8000万人以上という大変大きな地方公共団体でありますし、今、山家議員もおっしゃったとおり、非常に経済力についてもすばらしいですし、先端技術あるいは環境技術などで学ぶべきところは大変多いと思っておりますし、私も実際に現地を訪れまして、両省の活力を実感させていただきました。
それから、これは一つ中国だけの関係ではないと思うんですけれども、やはりこれまでの先人の皆様の長年の蓄積というのがすごいなというふうに感じました。
まず、県議会の友好議員連盟、中国でいえば日中友好議員連盟のこれまでの蓄積、あるいは、民間とはいいましても、日中友好協会というのは発足当初も県議会議員の先生方を中心につくられたと聞いていますし、今も会長は和歌山県議会議員のOBである中拓哉先生が務めていただいております。それから、もちろん歴代知事の皆さん、それから国際課を中心とした県の職員の先輩方、こういう皆さんの蓄積が中国との間の人間関係、信頼関係を築いていただいたんだなと深く感謝をするとともに、我々、山家先生も含めて、我々の世代でしっかりと引き継いでいかなければならないなというふうに思った次第であります。
それから、今後のことにつきましては、特に次世代を担う若者同士が仲よくなるということが友好関係を築いていく中で最も重要なのではないかと考えておりますので、今後、青少年交流をしっかりと進めていきたいと考えております。
今後とも、県議会の先生方と一緒になりまして、中国との交流を活発に進めてまいりたいと考えておりますので、御支援、御指導、御協力をよろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 続いて、農業振興、鳥獣害対策について質問いたします。
本県では、和歌山県第二種特定鳥獣管理計画に基づき、様々な方法で鳥獣害対策に取り組んでおり、被害額も少しずつではございますが、減少していることも承知しております。
確かに、本県の農作物被害額については、平成26年度の約3億2100万円と令和5年度の約2億4900万円を比較しますと、10年間で約7200万円減少しています。しかしながら、農家の方からは、鳥獣被害でお困りの声を今でもよく聞くのが現状であります。
農家の方が一生懸命に育てた農作物を守るため、さらに農作物被害額の減少を図ることが急務であると考えますが、鳥獣害対策の被害の現状と今後の取組について、農林水産部長の答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長立石 修君。
〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 議員御発言のとおり、2023年度の野生鳥獣による農作物被害は約2億4900万円と近年減少傾向にありますが、依然厳しい状況にあります。
作物別では、果樹が76%と最も多く、獣種別では、イノシシ、鹿、猿で全体の74%を占め、現場からは、鹿や猿の効果的な捕獲対策を求める声が大きくなっております。
このため、鹿対策につきましては、2023年度より、成獣のわな捕獲の報償金を1頭当たり3000円増額し、本年度からは、果樹試験場が新たに開発した潜り込み式わなの現地実証にも取り組んでいるところでございます。
また、猿の対策については、県南部でGPSを活用した群捕獲で実績を上げており、有田地域でも、次年度の捕獲に向け、行動域を調査しているところでございます。
県としましては、今後、より効果的な捕獲方法の導入などにより捕獲対策を強化するとともに、防護対策、捕獲者の育成・確保を含めた3本柱により、さらなる農作物被害の軽減に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 様々な取組を行っていただいているということは理解できました。しかしながら、毎年被害が出ているのが現状であります。
私は、市町村の協力や要請が必要不可欠であり、難しい側面もあると思いますけども、広域捕獲を行うことは有効な手段であると考えていますので、この広域捕獲も視野に入れ、引き続き被害軽減と捕獲者の意欲が減退しないよう、予算確保に努めていただくようお願いいたします。
それでは、続いて、新規就農者育成総合対策について質問いたします。
新規就農者育成総合対策とは、皆様御承知のとおり、国の事業であり、経営発展への支援、資金面の支援、就農サポート体制の充実の3本を柱としていますけども、今回は、その中で年齢制限のある経営発展への支援、資金面への支援について質問いたします。
経営発展への支援の経営発展支援事業は、就農時49歳以下の方が機械や施設等を導入される際に必要な経費を支援する事業で、その補助率は最大で国2分の1、県4分の1で、合計4分の3となっています。
また、資金面の支援の経営開始資金、就農準備資金、雇用就農資金でも、就農時49歳以下の方や、そうした方を雇用される経営体を対象に、全額国費負担で資金が給付されます。
現状の農業従事者は、全国的に60歳以上が全体の8割を占めており、また、有田川町のサンショウ農家では、平均年齢80歳を超えていると聞いております。私自身も本県の農家の方にお話を聞かせていただき、昨年移住された方がその農家のところで研修を始めたのですけども、50歳以上だったため、資金面の支援の対象外であったことと、人生100年時代と言いながら、なぜ49歳以下なのかと、その農家の方も疑問を感じておられました。
食料安全保障の観点からも、担い手の確保は全国的に重要な課題であります。しかしながら、50歳代の新規就農について支援が行き届いていないのが現状であることから、国の支援制度において年齢制限が緩和されるよう対応していくべきであると思いますが、農林水産部長の答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長。
〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 議員御発言のとおり、国の新規就農者への支援策につきましては、就農時の年齢が50歳以上の場合は対象とされていません。
一方、本県における昨年の新規就農者数は158名で、うち50歳代は17名で1割以上を占めております。社会経験を十分に積まれた50歳代の就農者は、地域の農業やコミュニティーを維持する担い手として大いに活躍が期待されます。このことから、県では、国に対して年齢制限等の要件緩和を要望していますが、残念ながら実現していないのが現状でございます。
そこで、県では、今年度から県独自で、国の支援の対象となっていない親元就農や60歳以下の新規就農者に対して、就農給付金による支援に取り組んでいるところでございます。
今後とも、国に対して引き続き要件緩和を要望するとともに、市町村やJAと連携しながら、様々な施策を活用し、新規就農者の確保に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 私も、国に対して現状を訴えて、要望していこうと思っております。県行政におかれましても、引き続き支援要件の緩和の要望をしていただくようお願いいたします。
続いて、防災・減災対策の県立医科大学附属病院の災害時の体制について質問いたします。
今年の8月8日の午後4時半過ぎ、日向灘の深さ31キロを震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、この地震を受けて、気象庁は、南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震が発生する可能性がふだんと比べて高まっているとして、南海トラフ地震臨時情報を発表しました。この発表を受けて、本県でも災害対策本部を設置し、15日には解散しました。
今回は、南海トラフ地震が起こらずによかったのですが、南海トラフ巨大地震が起こる確率は、今後30年以内に70%から80%とされていることに変わりはありません。南海トラフ巨大地震が発生した場合、行政機関の機能確保は重要であることはもちろんですが、災害拠点病院としての県立医科大学附属病院の役割も非常に重要であります。
そこで、南海トラフ巨大地震が発生した際、災害拠点病院としての設備面の機能は維持できるのか、同じく、マンパワーなどの体制面での機能は維持できるのか、福祉保健部長に答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 県立医科大学附属病院の災害時の体制等についてお答えします。
まず、設備面では、病院の耐震化を行い、敷地内への浸水を防ぐための防潮ゲートや防水扉を設置するほか、自家発電設備も建物の2階以上に配置し、燃料や水を3日分確保するなど、機能を維持するための対策を行っています。
体制面では、発災後直ちに附属病院内に災害対策本部を立ち上げ、医師や看護師などの全職員約1800人が参集することとしており、毎年、災害対策本部の設置訓練を実施することで、災害時の対応能力の強化に努めています。
なお、南海トラフ巨大地震相当の地震が発生した際には、他府県からのDMATの受入れ等により病院機能を維持し、県災害医療調整本部と連携しながら傷病者の受入れを行うなど、災害拠点病院としての対応を行ってまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 続いて、山田川河川整備計画の状況について要望いたします。
山田川とは、湯浅町を流れる本流の2級河川のことです。この河川付近には、多くの民家が立ち並んでいます。このことについては、令和4年度12月議会でも、河川整備計画をできる限り早く策定するべきであるとの質問をさせていただき、県土整備部長からは、できるだけ早く策定できるよう取り組んでいきますとの答弁があり、今年度、河川整備計画を策定されると聞いております。誠にありがとうございます。
今年の6月28日に、湯浅町の区長をはじめとする方々に説明を行っていただき、その後、参加された区長数名と話をさせていただきました。皆さんが一番心配しているのは、いつ工事が完成するのかということです。
計画策定からおおむね20年かかると言われていますが、昨年の6月2日の台風2号の浸水被害でも、床下浸水25件、床上浸水9件が被害に遭われています。この台風時の県営住宅青木団地付近で河川が90度に曲がった現地の写真を確認したのですが、橋の上部工付近まで水位が上がり、かなり危険な状況だったと思います。
私は、昨年の6月2日の集中豪雨はもう異常気象ではなく、同規模の集中豪雨は今後いつ起こってもおかしくないと思っております。予算や用地取得など、調整事項も多くあり、完成時期を明確にするのは難しいことも理解しておりますけども、地元の方々の不安要素をなくし、さらに安心して生活できるように、私も微力ですが、全力で努力いたしますので、知事及び県土整備部長には、早期完成を目指していただくよう強く要望いたします。
続いて、地方版図柄入りナンバープレートについて質問いたします。
この質問については、令和5年度9月議会にて、和歌山ナンバーの車が図柄入りナンバープレートをつけ県外を走れば、和歌山県の観光地や特産品のPRにつながるとの思いから質問させていただき、当時、赤坂地域振興監から、2027年度に国土交通省が予定している次期募集に向け、申請に必要となる県内市町村の意向確認や県民アンケートの実施、デザイン案の作成など、導入に向けた取組を進めていくとの前向きな答弁をいただきました。
その後、今年の4月16日に、和歌山県自動車整備振興会の北垣会長、口井・宮本副会長が岸本知事に早期導入に向けての要望書を提出し、二階俊博衆議院議員秘書の二階俊樹様と私が同席させていただきましたが、知事からは、早く導入できるよう進めていくとの前向きな回答をいただきました。
それらを踏まえて、県の取組状況、国の動向について、地域振興部長の答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) 地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) 地域の風景や観光資源を図柄とした地方版図柄入りナンバープレートは、地域の魅力を全国に発信する効果的な手段であると認識しており、本年3月に、国土交通省近畿運輸局自動車技術安全部長に早期の募集開始を要望いたしました。
さらに、次期募集に向けて、5月には県内市町村に対し、制度の周知及び県の今後の取組方針について説明会を行い、6月には導入意向確認を実施いたしました。
また、国におきましては、7月から図柄入りナンバープレート等に関する検討会が開催され、今後の方向性についての検討が開始されたところでございます。
今後、県として、国の検討会の状況を注視しつつ、その進捗に合わせて、申請に必要となる県民アンケートの実施やデザイン案の作成など、引き続き導入に向けた取組を進めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 私は、当初の2027年度の次期募集が変更になる可能性があることも踏まえて、少しでも早く準備を行っていただく必要があると思っております。令和7年度には、図柄についてのアンケート実施や図柄のデザイン委託料も必要となると思いますので、令和7年度の予算措置も要望させていただいて、次の質問に移ります。
続いて、県立近代美術館の改修に伴う発注者支援業務について質問させていただきます。
近代美術館は、御承知のとおり、世界的な建築家、黒川紀章氏が設計、デザインを行った作品であり、公共建築100選にも選ばれている世界に誇れるすばらしい建築物だと思います。この作品の意匠を維持管理していくことは非常に重要なことであり、その意匠を守るために発注者支援業務を実施していると理解しています。それらを踏まえた上で質問いたします。
発注者支援業務とは、基本的には県が発注する事業において、発注者として、本来県の職員が行う業務を代行して実施する補助業務です。
県が黒川紀章建築都市設計事務所に随意契約を行った発注者支援業務は、外壁改修工事と空調設備改修工事についてですけども、外壁改修工事の発注者支援業務費は、令和3年度から3か年で517万円、空調設備改修工事の発注者支援業務費は165万円であります。外壁改修工事においては、令和3年度に実施設計を、一般競争入札においてフジ設計様と273万5700円で契約しています。発注者支援業務費は517万円で随意契約です。
この件については、監査の際にも発注者支援業務の内容について質問させていただきましたが、もっと詳しく知る必要があると思い、今月、実施設計の成果品、発注者支援業務の成果品を見せていただきました。
その上で、先ほども申しましたけども、意匠を維持管理していくことは非常に重要なことでありますけども、しかしながら、成果品を見せていただく中で、発注者支援業務の発注についてはさらなる検討が必要ではないかと思いますが、今後、どのようにしていこうとお考えですか。このことについて、教育長の答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 近代美術館の建設に当たっては、国際的感覚、芸術性等を重視し、国内外に誇れる魅力ある施設を造るとの理念の下、世界的にも知られる黒川紀章建築都市設計事務所を選定した経緯がございます。
黒川紀章氏については、来年開催の大阪・関西万博を機に再評価されており、今後、黒川氏をテーマにした展覧会の開催を検討しているところです。
当美術館を黒川氏の作品として維持するために、最低限必要な発注者支援業務については継続し、県民の重要な財産の管理に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 教育長、今回この質問をさせていただいたのは、令和5年度に事業が終わっているということなんですけども、もう美術館も築年数が30年近くなると思うんですけども、今後、またいろいろやっぱり改修工事で出てくると思うので質問させていただいたんですけども、まず、外壁改修のほうの令和4年度、令和5年度、2か年ですね。この発注者支援業務の委託料というのは全く一緒の金額なんです。令和4年度も165万円、令和5年度も165万円なんですね。同じ金額なんですけども、業務期間は全然違うんですね。令和4年度は当然長いですし、これは管理業務が入っているんで、令和4年度は長い、令和5年度は短い、当然打合せ回数とかも変わってくると思うんですね。
それは、技術的なものもいろいろあるんで、何とも言いにくいところではあるんですけども、一度また教育長にはぜひこの外壁改修の令和4年度、令和5年度の成果品を見ていただきたいなと思います。私は、この県工事とかでも、書類が分厚いからいいとは一切思っていないんですね。ただ、それをもう一回ちょっとぜひ見ていただきたいと思います。
もう一点は、空調のほうです。空調のほうも発注者支援業務ということで、165万円で委託しているわけなんですけども、この成果品も、私は、見せていただきました。これは、私のちょっと主観もあるとは思うんですけども、見たときに、空調なんで、最初どういう意匠、デザインとの関係があるのかなと思って見せていただいたんですけども、結局見ていたら、いろいろ検証してくれていました。それは、デザインに対する検証じゃなくて、イニシャルコストとランニングコスト、こういう空調にしたら、ライフサイクルコストの比較をしていただいていたんですね。そこに概算の積算書をつけていただいていたというような状態だったと記憶しているんですね。だから、それは何か意匠との、私は、関係性もあんまり分かりにくかったのと、ライフサイクルコストの比較であれば、和歌山県内のそういう優秀な設計事務所もあるんで、そこでも委託できるのかなとは、私は、ちょっと感じたんですね。
ぜひ、今後、改修工事とかも出てくると思います。だから、そのときにはまたいろいろと検討していただいて、発注していただきたいと思います。
以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、山家敏宏君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時26分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(堀 龍雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
6番森 礼子君。
〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 皆さん、こんにちは、森礼子です。
議長のお許しをいただきましたので、通告に従って質問を進めます。
デジタル社会推進に係る県の取組について、eスポーツわかやま推進プロジェクトについて、伺います。
県は、7月3日、デジタル社会推進課のプレスにより、「県立高等学校の部活動などにおいて、外部指導者によるeスポーツのコーチングを開始します」と発表されました。県は、eスポーツのモデル校として、粉河高校、和歌山北高校西校舎、向陽高校、星林高校、和歌山工業高校の5校を選定し、部活動として7月よりコーチングが開始されています。eスポーツを通じてデジタル知識の習得やコミュニケーションスキルの向上などを図る学びの取組、学校のみならず、地元企業や地域住民との連携により、eスポーツを活用した地域活性化を図る取組を目的とされています。
モデル校選定の経緯と、その先にある目標、地元企業や地域住民との連携による最終的な成果や着地点をどのように展開していくのかを、地域振興部長、お聞かせください。
次に、モデル校の選定基準に、継続性を重視すると記されていますが、コーチングを行う外部指導者との契約期間が令和7年3月31日までとなっておりますが、令和7年4月以降のコーチング計画を、地域振興部長、お聞かせください。
eスポーツと社会的貢献について。eスポーツについて調べていく中で、eスポーツに救われた、eスポーツによる不登校の改善、eスポーツと福祉など、多くの方がeスポーツを通じて自己を見詰め直したり、新しいコミュニケーションが生まれるなど、すばらしい救われた経験を知ることができました。このように、eスポーツが持つ高いポテンシャルを和歌山県でも活用し、多くの救いにつながることを期待しております。不登校の改善や福祉への活用など、eスポーツの持つ高い可能性を含めて、今後のeスポーツの社会的な役割を、地域振興部長、お聞かせください。
次に、和歌山県とMinecraftカップについて、伺います。
Minecraftカップとは、教育版Minecraftを使って、全ての子供たちにプログラミング教育やデジタルな物づくりに触れられる機会を届けたいという考えを基に、日本マイクロソフト株式会社などがスタートをさせた大会です。内容は、まちづくり部門とたてもの部門があり、ブロックを組み立て、作品を競い合います。和歌山県は、第6回Minecraftカップの自治体パートナーとして参加し、和歌山県知事賞を提供するという報道を目にしました。ちなみに、全国で24の自治体がパートナーを務めています。
以下の点について、伺います。
和歌山県がMinecraftカップの自治体パートナーとなった経緯とその目的を、地域振興部長、お聞かせください。
Minecraftのホームページによりますと、大会が取り扱う教育版Minecraftは、創造力、協働性、問題解決能力、探求心、そして、プログラミング的思考が身につくなど、高い教育効果を有し、現在、多くの学校の授業として導入されていますが、地方や困窮世帯の子供などにはまだまだ十分行き届かず、指導者不足も課題であると記されています。
そこで、和歌山県として、この課題に対する対応策、例えば大会への支援や出場を目指す生徒の技術レベルの向上のための施策について、地域振興部長、お聞かせください。
次に、プログラミング教育について。
現行学習指導要領の改訂に伴い、小学校から高等学校までプログラミング教育が必修となりましたが、都道府県によって教育の質の差や指導者不足などの課題が指摘されています。和歌山県の現状と今後の対策について、以下の点を伺います。
他府県では、放課後児童クラブや民間のプログラミング塾、事業所との活用などの取組が進められています。本県におけるプログラミング教育の現状について、教育長に伺います。
次に、指導体制の充実はどのように進められていますか。特に、複数校での指導や遠隔教育の推進、技術・家庭科担当教員が小学校でのプログラミング教育を支援するなどの工夫について具体的な取組を、教育長、お聞かせください。
総務省では、教育版Minecraftを活用したプログラミング的思考学習の推進を掲げ、モデル校を選定し、取り組んでおります。Minecraftで行う学習活動は、総じて子供たちの取り組む意欲が強い傾向が見られ、Minecraftを共通語に、コミュニケーションが活発になり、プログラミングに対して苦手意識を持たずに意欲的に取り組める傾向にあると記されています。
そこで和歌山県において、今後、教育版Minecraftの活用、導入についてどのように考えているのか、教育長に伺います。
○副議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
地域振興部長赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興部長(赤坂武彦君) ただいま、eスポーツとMinecraftについて、御質問いただきました。
初めに、eスポーツわかやま推進プロジェクトの今後の展開について。
まず、モデル校の選定については、支援学校を含む全県立高等学校に対して参画意向確認を行った後、参画意向のあった8校に対してヒアリングを実施し、学校のサポート体制や今後の継続可能性等について評価を行った上で、5校を選定いたしました。
eスポーツは、世界的にも若者を中心にプレーヤーやファンが増加し、活発な若者文化が形成されているところであり、さらに、思考力やコミュニケーション能力向上等の観点からも、効果があるものと認識しております。
そのため、県では、このプロジェクトにより、eスポーツ人口の拡大を図るとともに、今後、高校生を対象としたeスポーツ大会を開催するなど、地元企業や地域住民とも連携しながら、イベントを通じた交流の場を提供することにより、地域活性化やデジタル社会を担う人づくりに取り組んでまいります。
また、モデル校の生徒に対する来年度以降のコーチングについては、今年度、外部指導者から得た知識や技術等を生かして、顧問の教員や生徒たちが自ら部活動を運営していく予定としております。
eスポーツの社会貢献に関する御質問についてですが、eスポーツは、年齢や性別、国籍、障害の有無などにかかわらず、誰もが参加することができるスポーツであり、世代間交流、国際交流、フレイル対策などにも活用できることから、社会的にも意義があると認識しております。またeスポーツをきっかけとして、不登校やひきこもりの状態から学校に復帰したり、社会とのつながりを持つことができたという事例も聞いているところです。そのため、福祉分野や国際交流など、様々な分野での展開がなされるよう、eスポーツの効果について広く発信してまいります。
続きまして、Minecraftカップ。
Minecraftカップは、ゲーム内でプログラミングの基本概念を学びながら、創造力や表現力等も習得できる学習ツールである教育版Minecraftを使った作品コンテストです。県といたしましては、教育版Minecraftを通じて、子供たちが自ら考え、互いに協力し合い、これからのデジタル社会に必要な能力を身につけるという大会の趣旨に賛同し、自治体パートナーとして、Minecraftカップに参加したところでございます。
大会への支援については、県内の児童や生徒に対して、Minecraftカップの周知・広報を行うとともに、優秀な作品に和歌山県知事賞を授与する予定としております。
なお、教育版Minecraftは、デジタル社会に必要な能力を身につけるための一つの手段であると考えており、その技術レベル向上を目的とする施策に取り組む予定はございません。
○副議長(堀 龍雄君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) プログラミング教育についての3点について、お答えをいたします。
まず、プログラミング教育の現状についてでございます。
和歌山県では、2019年度から、プログラミング教育の必修化に先駆けて1年早く、県独自のカリキュラムによるプログラミング教育として、きのくにICT教育を全ての公立学校で実施しています。児童生徒を取り巻くデジタル環境が変化しているため、昨年度は内容の見直しを行ったところです。
プログラミング教育の充実には、教員の指導力の向上が重要です。県では、使用ソフトウエア操作説明書や学習指導案集などの指導者用資料の作成、教員を対象とした研修会の実施により、きのくにICT教育の指導を行う教員の資質向上を図っています。また、プログラミング教育支援員を希望校へ派遣し、教員の円滑な授業進行などをサポートしています。
今後も、教員の支援に取り組み、児童生徒がコンピューターの基礎的な知識を身につけ、親しみ、使いこなすことができるよう、プログラミングなど、情報活用能力の向上を図ってまいります。
プログラミング教育の指導体制についてでございます。
中学校や高等学校においては、プログラミング教育を指導する技術や情報の免許保持者が少ないという状況があります。この対策としては、免許取得のための免許法認定講習を実施し、体制の充実を図っております。中学校の技術については、今年度から実施し、3年後には44名が取得予定です。高等学校の情報については、2022年度から実施しており、5年間の課程が修了する2026年度には8名が取得予定です。また中学校においては、複数校を兼務して指導する技術免許保持者を今年度は県内で4名配置しているところです。小学校では、教員への支援や児童の質問への対応などにプログラミング教育支援員を活用できるような体制を整えているところです。
引き続き、児童生徒がより専門性の高い指導が受けられるよう取り組んでまいります。
教育版Minecraftの活用についてでございます。
きのくにICT教育における指導教員用の学習指導案集には、無償で汎用的なアプリケーションなどを活用した指導案を掲載し、児童生徒の情報活用能力の向上に取り組んでいます。議員御紹介の総務省の事業報告書に、教育版Minecraftを使ってプログラミングに取り組むことで、子供たちが主体的に取り組む場面が多く見られたといった効果が示されていることは承知しています。一方で、活用するためには、ライセンス費用が必要となる学校もあります。
プログラミングはもとより、情報活用能力の向上を図るためのツールについても、今後ますます進化していくため、県では、引き続き情報収集に努め、効果的な指導ができるアプリケーションなどを研究してまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 森 礼子君。
〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 答弁をいただきました。
まず、eスポーツわかやま推進プロジェクトを通して、eスポーツ人口の拡大と、企業と地域との連携によって地域活性化を図るとの答弁に大いに期待をしております。しかし、この外部指導者を決定するプロポーザルによると、企画提案、審査基準にも、地元企業や地域の住民との連携によって活性化を図ることとされているのに、契約が令和7年3月末までで終了しています。約8か月間でこれらの事業をどのように展開していくのかとも感じますし、eスポーツをデジタル社会を担う人づくりの取組の一つにしていながら、来年度からコーチングの継続がないことは残念だなと思います。
そして、今回のeスポーツわかやま推進プロジェクトのモデル校への物資の支援は企業からの御寄附によるもので、来年度以降、もし新たにeスポーツの部活動を導入したいという高校があっても、御寄附がないとプロジェクトが継続できないということのないように、ぜひお願いいたします。
そして、今回のプレスには、県民の方々の多くの反響が私のところに寄せられてきました。すごく期待しているというような声でした。地域と企業の連携でどんな活性化があるんだろうかというような話で、一度座談会を開いたこともあるんですけれども、今、他府県で取り組まれている例を挙げれば、駅前のビジネスホテルとかのワンフロア、ツーフロアをeスポーツの競技場に設定して、そして合宿をしたりとか、また広めのお部屋でeスポーツを体験できるホテルができたりとか、どんどん地域活性化がホテルとコラボして進んでいるような事例も教えていただきましたので、今、和歌山県がどんなことでeスポーツを活用して活性化していけるのかをぜひ検討いただいて、いい結果が生まれるように期待をいたしますが、今回のプロポーザルの選定の企業さんは8か月の契約なので、その期間でどのようなことができるのか、また見ていきたいというふうに思っています。
そして、プログラミング授業においては、より専門的な授業が受けられる取組と、せっかくMinecraftカップの自治体パートナーになったわけなので、教育版Minecraftの導入と数多くの生徒がMinecraftカップへ出場を募るような取組に期待をしています。よろしくお願いします。
続いて。
○副議長(堀 龍雄君) どうぞ。
○森 礼子君 次に、デジタル社会に適合する人材の育成について。
今後、プログラミング教育の充実が重要視される中で、和歌山県が進めるeスポーツ文化の形成やゲーム制作に関する支援は非常に重要な取組です。これらのデジタル社会に適合する人材を育成することは、将来的に和歌山県の産業経済の繁栄、ワーケーションの充実や若者の県外流出防止に大きく貢献する可能性があると考えます。将来、気づけば時代に取り残されていたということがないためにも、今こそ、デジタル社会に必要な能力を持った人材を育てるときであり、最重要課題であります。将来を担う子供たちがデジタル社会に適合できるよう県として、どのように取り組んでいきますか。知事、御答弁お願いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 森議員の御質問にお答えします。
今、るる御指摘をいただきましたデジタル社会に適合する人材の育成の必要性につきましては、私も森議員の考えと全く同じように考えております。今後、デジタル化が進みますと、あらゆる分野、あらゆる場面でデジタルを利用し、活用する社会が到来すると思います。そのような社会で活躍するためには、まず、情報を正しく認識し、そして、デジタル技術を使って適切に課題を解決することのできる能力、あるいは、デジタル技術を活用して新たな価値を創造する能力を備える必要があると考えております。
ただ、デジタル技術だけあったとしても、それはテクニックの問題ですので、それを持ったからといって、デジタル社会に適合するというわけにはまいらない。英語ができるからといって、グローバル人材になり得ないのと全く同じだと考えております。
さはさるものの、まず、技術も必要ですので、そのための一つの方法として、県内全ての公立学校では、プログラミングをはじめとする情報活用能力の向上に取り組んでいるところでございます。何度も申し上げますけども、デジタル技術の取得というのはテクニックの問題でありますので、むしろ大事なことは、思考力や問題解決能力の育成、情報社会への理解など、これが大事で、これを併せて指導しているところでございます。
これまでのような、教科書を覚えて、あらかじめ答えのある問いに対して、受け身で考えて答えるような教育はやめなければなりません。そういうことをやっていてはデジタル社会には適応できないわけでありまして、自ら問いをつくり出す能力を子供たちに高めてもらう、そういう教育をすることで、初めて生徒が将来のデジタル社会で活躍できるようになるのではないかと考えております。
したがいまして、ペーパーテスト偏重の教育は百害あって一利なしと考えておりまして、この夏の全国知事会議でも、全国学力テストの見直しが決定されました。今後、全国知事会議では、全国学力テストの見直しについて検討を始めさせていただきます。これは、昨年、国民スポーツ大会の見直しを全国知事会議で決定して、その議論が今始まっている第2番目、第2号でございます。私も知事として、しっかりとこの全国学力テストの見直しの議論に参画をしてまいりたいと思っております。
今、森議員から御指摘のありましたeスポーツわかやま推進プロジェクトやMinecraftクラフトカップの支援などの施策を通じて、県内の子供さんたちが、それぞれの興味や関心に合わせてデジタル社会に必要な能力を楽しく伸ばせる機会は、しっかりと提供していきたいと思っております。好きこそものの上手なれといいます。やはりそういうeスポーツやMinecraftを通じて、そういうプログラミングをはじめとするデジタル技術を好きになってもらう、そのための施策を行っていきたいと思います。県としてはこのような形で、次代を担う子供たちに対して、自らの能力を伸ばすための楽しい機会を引き続き与えていけるよう、環境整備に取り組んでまいる所存でございますので、引き続きの御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
○副議長(堀 龍雄君) 森 礼子君。
〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 好きこそものの上手なれという言葉は、私もすごく好きな言葉でありまして、力強い御答弁をいただいて、ありがとうございます。どうか未来の和歌山が最高だと、子供たちが大人になったときに思えるような今の取組をよろしくお願いいたします。
続いて。
○副議長(堀 龍雄君) はい、どうぞ。
○森 礼子君 次は、重複投薬、相互作用の防止について伺います。
まず、きのくに電子お薬手帳について。
昨今、お薬手帳が普及してきましたが、大方は紙のお薬手帳で、手帳に貼るシールがかさばって大変使いにくいと感じています。そもそもお薬手帳の役割は、調剤される薬剤を時系列に記録することにより、重複投薬や相互作用を防止することにあります。本来、適切に記帳、チェックできていれば、オーバードーズや睡眠薬などの向精神薬の依存も問題になりません。また、向精神薬は依存症があり、それらの乱用の危険性はとても高く、医師による処方にも厳しいルールが定められています。言い換えれば、ルールが決められるほど依存性があり、乱用者がいることも想像されます。
そのような問題を解決するツールの一つが電子お薬手帳であると思います。和歌山県では、青洲リンクと連携すれば、患者さんは何の操作をすることもなく自分の調剤情報を閲覧できるシステムである、きのくに電子お薬手帳のアプリを開発していると聞いています。複雑な手順が不要なため、高齢者にも使いやすいのではと思っています。
そこで、福祉保健部長に質問です。
きのくに電子お薬手帳は、ほかにどういった機能を有しているのか、患者さん、薬局にどういったメリットがあるのか、御答弁お願いします。
○副議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) きのくに電子お薬手帳は、2016年度にスマートフォン対応のCARADAアプリに青洲リンクとの連携機能を付加して開発したものです。このアプリは、単にお薬手帳としての機能だけでなく、患者さんが体重、血圧などのデータを入力し、その推移を見ながら、健康維持に役立てる健康管理機能や副作用の自覚症状、その他の気になるところを入力して薬局に送信できる機能も有しています。さらに、青洲リンクとの連携により、患者さんが情報共有に同意した場合、薬局側もパソコン画面上で、青洲リンクのデータバンクを経由して患者さんの服薬情報など、過去の履歴データが閲覧でき、薬に関して、患者さん、薬局ともに情報を共有できるシステムとなっています。
○副議長(堀 龍雄君) 森 礼子君。
〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 きのくに電子お薬手帳のメリットについては分かりました。
しかし、青洲リンクの登録施設は、添付資料のとおり、病院11、診療所45、歯科診療所3、薬局109が現在の実態であり、きのくに電子お薬手帳と青洲リンクが連携されていることから、手帳のメリットを生かせる方は、この登録施設に通っている患者さんのみであります。重複投薬、相互作用などの防止という面でも、その施設を利用する患者さんに限られ、電子お薬手帳の効果は発揮できていません。幸い、国が導入を推進している電子処方箋との連携が有効であると言われています。既に電子処方箋については、6月議会で費用の一部補助が議決されました。これを一部の施設だけが導入していたのでは、現状を好転させることができません。
また、電子処方箋の機能を最大限に生かすためには、マイナ保険証との連携が必須で、さらには、過去の処方情報の閲覧に同意が必要です。県内の医療機関や薬局は、マイナ保険証の受付体制が整っているが、一方で、利用者がマイナ保険証を利用する割合が低いことが問題です。そのため、電子処方箋を有効活用するためには、全ての医療機関、薬局の参加に加えて、患者側のマイナ保険証の登録が絶対条件であります。
そこで、重複投薬の防止に係る電子処方箋の機能及び電子処方箋とマイナ保険証の普及啓発に対して、県ではどのように取り組むのかを福祉保健部長に伺います。
○副議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 重複投薬や相互作用は、入院治療を要するほどの重篤な副作用を引き起こしたり、極めてまれではあるものの、死亡に至ることがあり、その防止は大変重要なことと認識しています。
そこで、それらに係る新たな対策として、電子処方箋の普及促進に取り組んでいるところです。電子処方箋は、オンライン資格確認等システムを拡張したもので、医師が電子処方箋を発行する際に、他の医療機関で処方された薬との重複や飲み合わせのチェックがオンラインシステム上で行えるほか、薬局側でも同様のチェックが行えるようになります。
このように、重複投薬、相互作用防止のための最も有効な手段でありながら、全国的に導入が進んでいません。できる限り早期に医療機関、薬局で導入されるよう、関係団体とも連携して働きかけを行っているところです。
また、その機能を十分に発揮するには、医療機関や薬局の環境整備だけではなく、患者さんの理解が欠かせません。そのため、県としては、県からの広報にとどまらず、医療機関や薬局に協力を求め、電子処方箋やマイナ保険証のメリットを丁寧に説明することにより、利用促進につなげていきたいと考えています。
○副議長(堀 龍雄君) 森 礼子君。
〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 まず、青洲リンクに関してですが、そもそも青洲リンクは、災害時の対応としての目的も有することでスタートしたと聞いていますが、災害拠点病院の登録が全てなされていないことが私は問題であると思うし、ぜひとも災害拠点病院は登録してほしいなと思います。電子お薬手帳の役割は、電子処方箋が担えるとのことで6月に予算もいただいておりますので、どうか失敗のないように、県からの御対応をお願いいたします。
続いて、最後の質問です。
診療看護師(NP)の県の取組(支援)について。
NPとは、ナース・プラクティショナーの略語です。現在、我が国では、働き方改革が進められています。生産年齢人口が減少し、働く人のニーズが多様化する中、生産性を向上させ、就業機会の拡大や意欲、能力を存分に発揮できる環境をつくるために、働き方改革を通じて、多様な働き方を選択できる社会の実現を求めています。
しかし、現実は、各産業で人材不足、人手不足が深刻化しています。例えば、医療現場では、医療の働き方改革の名の下、命を預かる責任感と働き方改革のはざまで残業を減らし、休日の外来診療を停止する病院などが出現しており、患者にも影響が及んでいます。
そうした中、患者への影響と医師の負担を同時に軽減する方法として期待されているのが、一定の診療を行うことができる診療看護師です。診療看護師(NP)、ナース・プラクティショナーは、看護師として5年以上の経験を積んだ後、2年間、大学院で実践的な医学知識などを学習し、日本NP教育大学院協議会によって認定される資格です。一定の診療行為の補助を医師の包括的指示の下、行うことができます。医師と看護師の中間のような仕事でしょうか。
病院での活動例としては、医師だけでは手が回らない救急初療対応や、医師のパートナーとして治療方針に関する情報交換を行い、さらに患者の観察など、看護師の活動もできる、医療現場の隙間を埋めるスーパーマンです。医師不在時の緊急事態への対応で命を救えた事例もあり、大いに期待が高まっています。
和歌山県の場合、診療看護師の対応があれば、この人の命を救えたかもしれないというような声が届けられています。そのような診療看護師(NP)は、全国で872名が活躍していますが、本県にはたった1名しかいません。当県の抱える僻地での医師不足を補う遠隔診療や地域・在宅診療などの現場においても、診療看護師(NP)の活躍が望まれています。
そこで、診療看護師(NP)を目指しやすい環境づくりと和歌山県の保健医療の充実のため、県として診療看護師(NP)に対する取組、支援について、福祉保健部長にお伺いします。
○副議長(堀 龍雄君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 医療現場では、医師の働き方改革の影響もあり、チーム医療の推進が求められています。チーム医療とは、医師は本来業務に専念しつつ、多種多様な医療スタッフが互いに連携、補完し合いながら、患者の状況に応じた的確な医療を提供することであり、そのキーパーソンの一人となるのが診療看護師ですが、その存在や役割はあまり浸透していません。
そこで昨年度、県内医療機関に対し、第一線で活躍している診療看護師による講演会を開催いたしました。今年度も同様に、広く医療機関に診療看護師の役割の有用性を周知するため、講演会を計画しているところです。県といたしましては、医療現場のニーズを把握した上で、診療看護師養成に対する支援を今後検討してまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 森 礼子君。
〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 現場実績を踏まえた看護師が、さらに実践的な知識を身につけて、患者に寄り添い、医師のサポーターとして活躍されることは、今和歌山県の医療現場で求められています。和歌山県で多くの診療看護師さんが活躍されることを切に望みます。どうか御支援のほどお願いいたします。
以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(堀 龍雄君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行します。
38番林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕(拍手)
○林 隆一君 皆さん、こんにちは。無所属の会の林隆一でございます。(「分かってるわ」と呼ぶ者あり)分かって……。
いつも子育て、教育支援をメインにしているので、今日はいろんな質問をさせていただきたいというふうに思っております。では、よろしくお願いいたします。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問をさせていただきます。
まず、和歌山県の公益通報等の取組について質問いたします。
現在、マスコミ報道等において、公益通報やパワーハラスメントが話題となっております。連日連夜、このニュースが続いているというふうに思っております。
公益通報とは、公務員を含む労働者等が、勤め先の一定の違法行為を、不正の目的ではなく、組織内の通報窓口や権限を有する行政機関、報道機関に通報することであり、通報者は、公益通報者保護法により、公益通報をしたことを理由として不利益な取扱いをされないよう保護される制度となっております。
従業員が301人以上の事業所には、公益通報を受け付ける内部通報窓口の設置が義務づけられておりますが、和歌山県庁の職員からの公益通報に対する取組はどうなっていますでしょうか。また公益通報に当たらなくとも、職員からパワーハラスメントに関する通報があった場合の取組はいかがでしょうか。近年の実績も併せて、総務部長にお伺いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
総務部長友井泰範君。
〔友井泰範君、登壇〕
○総務部長(友井泰範君) 県では、知事部局の事務または事業における不正行為の事実等について、職員及び県民からの通報を受け付ける通報窓口を考査課に設置し、日々、様々な通報に対応しています。不正行為等通報として受け付けた職員からの内部通報の内容が、公益通報の対象事実に当たると思われる場合には、公益通報者保護法の規定に基づき、通報者が特定されないよう、通報者の個人情報やプライバシーの保護を徹底するとともに、特に慎重を期して調査を行います。その結果、県の事務または事業における法令違反行為等が判明した場合には、是正のための措置や再発防止のための取組を迅速に実施することとしています。また、通報者が不利益な取扱いを受けることがないよう、通報の受付から調査を経て、是正措置に至るまでの各段階において、細心の注意をもって対応することとしています。
これまでのところ、実際に公益通報に当たる内部通報を受け付けたことはありませんが、対象となる通報があった場合には、適正かつ迅速に対応するよう努めてまいります。
次に、パワーハラスメント対策の取組については、職場におけるハラスメント防止に関する基本方針やパワーハラスメントに関して職員が認識すべき事項等についての指針を定め、職員研修により周知啓発するとともに、考査課に相談窓口を設置し、パワーハラスメントに関する相談や苦情に対応しています。
職員研修については、パワーハラスメントを防止する上で特に重要となる管理職向けの研修会を開催し、日々の業務の中で留意すべきポイントを中心に注意喚起を行っています。また、管理職以外の職員を対象とする研修では、パワーハラスメントの相談窓口に加え、職場の人間関係上の悩みなども相談できる職員意見箱の制度を案内するなどして、考査課に相談しやすい環境づくりに努めています。
実際に、考査課にパワーハラスメントに関する相談や苦情が寄せられた場合には、相談者のメンタル面をケアしつつ、事実確認のための調査を行います。その結果、パワーハラスメントの事実が認められた場合には、加害職員への懲戒処分や指導措置を実施するとともに、被害職員の職場環境を改善するための対応を取ることとしています。
なお、議員の御質問にありました過去5か年度内におけるパワーハラスメントの発生状況について申し上げますと、2019年度と2021年度にそれぞれ1件ずつ、懲戒処分事案が発生しました。その後、管理職向けの研修会を増やすなど、パワーハラスメントの防止対策を強化したこともあり、2022年度以降、懲戒処分事案は発生しておりません。
今後も引き続き、現行の取組を継続し、パワーハラスメントのない、安心して働くことができる職場環境の整備を進めてまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁ありがとうございます。
続いて、知事が関係する事案の取扱いについて、お伺いいたします。
報道によると、兵庫県の事例では、内部通報の告発対象であった知事自らが、当該通報を公益通報に当たらないと判断し、通報者の特定を指示したとされております。
そこで、質問いたしますが、万一、和歌山県で知事の関係する公益通報またはパワーハラスメントの通報があった場合、どのように取扱いされるのでしょうか。また和歌山県において、知事に対して贈答品があった場合、どのように取り扱っているのでしょうか、併せて総務部長にお伺いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 総務部長。
〔友井泰範君、登壇〕
○総務部長(友井泰範君) 万が一、知事が関与する案件について通報が行われた場合には、議員御指摘のように、知事から独立した機関による対応を確保する必要があることから、和歌山県不正行為等通報処理要領の規定に基づき、通報窓口の考査課から監査委員に対し、通報内容や調査結果を通知することとしています。
次に、知事が事業者等から贈答品を受け取った場合の取扱いについてですが、受け取った贈答品の価額が5000円を超える場合には、和歌山県職員倫理規則の規定に基づき、贈与等報告書を作成することとされており、また、当該報告書は県民の閲覧に供されることになります。
○副議長(堀 龍雄君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁ありがとうございます。
知事が関係する事案についても考査課で取り扱うとのことですが、知事部局では、知事の影響を排除し、公正公平な取扱いを行うことは難しいのではないかと考えております。知事等が関係する事案については、第三者機関に委託することで、公正公平な取扱いを行えるように制度化すべきではないかというふうに私は考えておりますが、知事の見識をお伺いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 林議員の御質問にお答えをいたします。
まずは、これは林議員はもう十分御理解をされているというふうに御質問の中で理解をしておりますけれども、公益通報と不正行為等通報というのは全く別物でございますので、公益通報というのは、あくまでも一定の法律に違反する行為が対象でありますけれども、不正行為等通報は、そうでない場合も入るということであります。そこはしっかりと分けないといけないと思っておりますのと、あと、私、知事が関与する案件については考査課で止まるんではなくて、考査課から監査委員のほうに届けが行きますので、現状でも少し考査課で見るのとは違うということは御理解をお願いしたいと思います。
その上ででありますが、県としては、不正行為等通報には、長年にわたって適宜適切に対応してきた実績がございます。その運用が十二分に確立されていると理解しておりますので、一般的なものにつきましては、県庁内部で対応することは可能だと考えております。一方で、今、林議員が御指摘くださったように、知事である私に関係する通報が寄せられ、調査の独立性、公正中立性を確保することが特に重要となる場合におきましては、必要に応じて、第三者機関による外部調査等を活用することを検討してまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁いただき、ありがとうございます。
岸本知事については、代議士時代からよく存じておりまして、いつも紳士的で、パワーハラスメント等は無縁の方というふうに思っております。だからこそ、岸本知事の在任期間中に、第三者機関に委託できるよう制度化すべきであると考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、南海トラフ地震臨時情報についてでございます。
去る8月8日に、気象庁から南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。南海トラフ沿いでは、過去に、1854年に安政東海地震・安政南海地震は32時間の間隔を置いて巨大地震が発生し、1944年の昭和東南海地震、1946年の昭和南海地震は、2年間の間隔を置いて発生しております。
今回の臨時情報の発表に伴い、和歌山県では災害対策本部を立ち上げ、岸本知事から県民向けに、避難場所の確認や持ち出し品の点検など、地震への備えの再確認について呼びかけておられました。結果的に地震が起こらなかったことは非常によいことですが、その反面、花火大会の延期や海水浴場の閉鎖、特急の運休やスーパーでの飲料水の不足など、地域経済等に影響が出たものも多く、事実でございます。
知事は8月20日の定例記者会見において、イベントの実施などをめぐる各地の対応が分かれたことについて、「国においてある程度統一的な物差しをつくっていただきたい」というふうな発言をされましたが、南海トラフ地震防災対策推進地域は29都府県にあり、海に面している県もあれば、山に囲まれた県もあり、国で統一的な物差しをつくることは現実的ではありません。国に要請せずとも、県で物差しをつくればよいと考えておりますが、知事の見識はいかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
今回、林議員御指摘のように、南海トラフ地震の想定震源域でマグニチュード7.1の地震が発生いたしましたために、後発地震に備え、被害の軽減を図るために、初めてです、制度ができて初めて気象庁による南海トラフ地震臨時情報が発表されました。これは、内閣府による南海トラフ地震防災対策推進基本計画に基づく措置として、国民に特別な注意の呼びかけが実施されたものであります。これは、もう初めてのことだということでありました。
この臨時情報は、今二つあります。一つは、巨大地震警戒というものと、今回の巨大地震注意であります。警戒が発表された場合には、津波からの避難が間に合わないおそれのある地域が事前に指定されているわけでありますけど、そこの住民は事前に避難しきゃいけないと。大変重い措置であります。一方で、注意の場合は、日常生活は継続し、日頃の地震への備えについて再確認をするといった、日常生活と防災対応の両立を図ってくださいということでありました。そして、ここのところが、気象庁なり内閣府の発表において、そういう規程に書かれていることだけ発表されましたので、それが具体的なところまでなかったので、自治体や事業者ごとにイベントをやったり中止したり延期したりというふうに分かれたということであります。
私が考えますのは、今、林議員がおっしゃったとおり、29の都府県が対象なんであります。それは山のところもあれば海のところもあるんですけれども、そういうところで対応がまちまちだというのは、これはよくないことだと思います。例えば、紀伊半島で言えば、三重県と和歌山県は海岸沿いはほぼ同じ状態なんですけれども、物差しというのは、別に箸の上げ下ろしまで国に決めていただく必要はないと思っていますけれども、経済的、社会的な日常生活を行うというのはどういうことなんですかというような物差しです、物差しというのは、別に食べ方まではあれですが、物を測るガイドラインでありますので。ですから、県で決めればいいじゃないかとおっしゃいますけれども、同じ海でつながっているのに、三重県と和歌山県で別の対応で物差しをつくるわけにはいかないだろうと思うんですね。それを29の都府県で一々すり合わせてやるというのもいかがなものかということを申し上げたわけでありまして、一様のガイドライン、物差しを国でつくっていただくというほうが、県ごとでつくってまちまちになるよりもよいのではないかと、このように考えて申し上げたわけでございますので、御理解を賜れればと思います。
○副議長(堀 龍雄君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁ありがとうございます。
続いても、南海トラフ地震臨時情報に関連した質問でございます。
岸本知事は、8月20日の定例記者会見において、今回の臨時情報の対応について「少し用心し過ぎた」と発言をされました。臨時情報では、行動制限は課されておりませんが、知事が防災服を着て、県民向けに地震への備えのメッセージを発したり、県として24時間体制で対応するという報道があったため、これは大変だと思った方もいると思います。少し言い方は悪くなりますが、県民に不安を与えたように見え、その結果、地域経済にも影響を及ぼした感は否めないのではないでしょうか。臨時情報が終了してから、「少し用心し過ぎた」という知事の発言を聞いた県民には、緊張感を持って行動したのに、そこまでしなくてよかったかと感じる方も多いと思います。先日の「用心し過ぎた」とおっしゃられたその真意について、知事の見識をお伺いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
今回の南海トラフ地震臨時情報、注意でございましたので、県民の皆様に対しては、避難場所や避難経路の確認、家具固定の実施や備蓄品の確認など、常日頃からの備えについて再確認いただくよう、メッセージを出させていただきました。このことは当然のことだろうと考えております。
ただ、先ほど申し上げましたように、臨時情報の発表は今回が初めてでありました。行政機関も含め、巨大地震注意の発表に対する受け止め方がそれぞれ異なったものとなっておりまして、海水浴場やイベントについて、先ほどもおっしゃっていただきましたように、それぞれの対応がまちまちであったということでありました。これについては、いわゆる社会的、経済的な活動は通常どおりにしてくださいということの発信力において、私自身反省するに、そこのところの発信力において、私の説明が少し足りなかったかなという反省をしたので、「少し用心し過ぎたかな」と申し上げたわけであります。
実は、南海トラフ地震臨時情報の発表の際には、県のルールが決まっておりまして、対策本部を設立するということがもうルール上決まっておりますので、防災服を着て会議を開くというのは、ルール上当然のことだと思っております。もしそのことが県民の皆様に御不安を与えたということであるならば、それはまさに今回の臨時情報、初めて起きたことについて、今、内閣府のほうでもいろんなワーキングチームをつくっていただいて、今後、この反省をいろいろ踏まえながら、新しい取組をさせていただくとおっしゃっていますので、県のほうも国のそういうやり方を注視しながら、改善すべきところがあるならば、改善をしていきたいと思っております。
ただ、もう一つ、やはり県民の方からすると、特急くろしおが止まるとか、あるいはNHKのテレビで、画面が、台風が来たときと同じように囲みがあって、ここにでっかい字で臨時情報というのが出ていまして、それが最初24時間もうずっと出ていましたよね。そのことを大変不安に思った御年配の方からも、直接いろんなお話を聞きました。そういうことも含めて、今後、我々としては、いろんなコミュニケーションの取り方についても見直していく必要があると思っております。
ただ、現状、臨時情報の中の注意といっても、当時の発表によりますと、少なくとも1週間は通常よりも5倍ぐらい地震が発生する確率が高まるということでありますので、それは当然きちんと防災の意識を持って、その1週間は対応するということにおいては、これは別に用心し過ぎるということではないかと思っております。
○副議長(堀 龍雄君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁ありがとうございます。
続いて、大阪・関西万博の防災対策について、お伺いいたします。
南海トラフ地震の発生の可能性が大きくなっている中、来年4月に開催される大阪・関西万博においても、防災対策が課題となっております。会場となる人工島へ移動する主な交通手段は、夢舞大橋、夢咲トンネル、Osaka Metro中央線の3ルートに限られております。地震、津波等の災害が発生した場合には、島が孤立し、15万人程度の来場者が取り残されるのではないかというふうな懸念も出ております。
そのような状況の中、県では、小中学生を対象に、万博に招待する事業を実施するということでございますが、支援の対象となる県内の子供たちの数は約6万7000人に上ると聞いており、安全・安心への十分な対策を講じられた上で取り組んでいくことが必要だと考えております。また、夢洲の孤立が長期化する場合、県内の子供たちをはじめ、県民の皆様を輸送させる手段を県として検討することも必要ではないでしょうか。
そこで、安全・安心の確保に向けた万博会場の防災対策に係る知事の考えをお伺いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
大阪・関西万博につきましては、県として、学校行事として参加される子供さんたちに対して、チケット代、それからバス代の一部を支援することといたしました。これは、県内の子供さんたちが大阪・関西万博に行って、いろんな国際的な出会いがあったり、新しい最先端の技術を知るということは、将来、大きな糧となるというふうに考えたからであります。一方で、本事業を進めるに当たって、これはもう全く私も林議員と同じ問題意識を持っておりまして、万博会場の安全性、あるいは災害時などの対策が十分なされるということは、もう大前提も大前提だと考えております。
博覧会協会におきましては、防災基本計画や防災実施計画を策定し、地震発生後から帰宅支援まで、フェーズを5段階に分けまして、万博会場の防災対策には万全を期されているというふうに伺っております。これに対して、県としてもこれまで、熱中症対策でありますとか、あるいは災害時の対策等について、さらに十分な防災対策が講じられるよう、博覧会協会に対し申入れを行ってまいりました。これは関西広域連合を通じても行ってまいってきたところであります。
災害等により、万博会場の孤立が長期化する場合、そこに行っていた場合の県内の子供たちをはじめとする参加者の和歌山までの移動手段などについては、今後、研究を進め、県民の皆様が安全・安心に万博を体験し、楽しんでいただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁ありがとうございます。
続いて、ツキノワグマ対策についてお伺いいたします。
紀伊半島に生息するツキノワグマは、平成10年度クマ類の生息実態等緊急調査報告書によれば、個体数が180頭と少なく、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律第12条第1項で捕獲等が禁止されております。この180頭というのは、平成10年というのは今から26年前の数字であって、熊というのは、私がちょっと調べたら、2歳から20歳ぐらいまで子供を産めると。それも2年から3年にかけて1.5頭ぐらい産むと言われているんですね。個体数の180頭の半分が雌としたら90頭なんですけど、それが6年に3頭ぐらい産むと計算したら、20年ぐらいの間に9頭ぐらい産むんじゃないかと。そのうち半分が雌としたら、4頭、5頭ぐらいは産むんだろうなということは推測されて、またその子供がまた子供を産むということになったら、ねずみ算式に増えていっているものというふうに考えております。
それで、6月の福祉環境委員会において私が質問した際、担当課長から、ツキノワグマの目撃件数、情報が29件あるということをお聞きしました。和歌山県、奈良県、三重県が合同でツキノワグマの生態調査を実施していること、まちなかにツキノワグマが出没した場合、和歌山県ツキノワグマ保護管理指針に従い、県、市町村、警察及び関係者が連携して対応しており、対応方法については、ツキノワグマの緊急性、また興奮度合いに応じて、捕獲おりによる捕獲や麻酔銃による捕獲、猟銃による捕獲などを決定していくというふうになっているそうです。「集合住宅等へ出没し、急を要する場合は、警察官が警察官職務執行法第4条第1項によって、人の生命、身体等の安全を確保するための措置として、警察官が地元猟友会の狩猟免許所有者に命じて駆除できることとなっている」との答弁をいただいております。
今年度において、県内のツキノワグマの目撃事例は、4月末時点、今年度ですから4月から8月の5か月の間に81件、目撃情報が和歌山県で出ているんですね。統計を取り始めた平成16年以降で最高となる勢いとなっており、個体数が増加していると考えられております。
また、8月14日には、三重県内の熊野古道伊勢路のツヅラト峠で70代の女性が熊に襲われて大けがを負った事故がありました。三重県の一見知事は8月22日の定例会見で、「紀伊半島のツキノワグマは保護の対象というふうになっておりますけれど、昨今の事故の状況、これを見ますと、本当に保護する対象として考えてよいのか、保護対象から駆除の対象にしたほうがいいんじゃないかということも環境省に事務的に申入れをしている。県民の命を守る必要がある。三重県として独自に申し入れている状況」と発言されております。
そこで、知事にお伺いいたします。
知事も、三重県知事と共同歩調を取り、奈良県知事とも連携しながら、ツキノワグマを保護対象から管理対象へ見直すことについて環境省に申入れを行うべきと考えておりますが、知事のお考えはいかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
昨今、報道でも、直近でいいますと新宮市で目撃情報が出たというのが近々出ておりました。私も林議員と同様、大変な危機意識を持っております。全国のクマ類の人身被害の数字を申し上げれば、昨年度でありますけれども、発生件数が198件、被害人数が219人、うち6名が亡くなっておられるということで、統計開始以来、最多となっております。
また、本県におきましては、今、林議員から御指摘いただきましたとおり、ツキノワグマの目撃事例が本年度8月末時点で81件ということでありまして、昨年度の同時期と比べて大幅に増加しております。したがいまして、ツキノワグマへの対策は重要な課題であると、同様の認識を持たせていただいているところであります。
一方で、紀伊半島のツキノワグマを保護対象から管理対象というように、制度上、考え直してはどうかという御指摘でありますけれども、保護対象であっても、県として個体数管理を行うことが現在の制度上でも可能であります。例えば、人に危害を加えるおそれのある問題個体が発生した場合には、管理対象として、知事の権限で駆除が可能であります。ですから、例えば新宮市の人家の近くに出没したこと自体、これはもう問題個体でありますので、このものに対して駆除を行うことは今の制度でも可能でありますので、別に今すぐ管理対象とする必要性はないのではないかと考えております。
また現在、環境省、三重県、奈良県、和歌山県が連携して、個体数調査をさせていただいております。これは数年ぶりの調査でありますので、おっしゃるとおり、どれぐらい増えているか、これは調べなければいけませんので、やっております。ここで、できれば年度が目標でしたけど、できる限り早く、年内にもその調査を早く終わらせて結果を見たいということで、これも環境省にお願いをしているところでありますけれども、これが一定の水準を超えておれば、これは第二種特定鳥獣害管理計画を作成すれば、計画的に頭数管理も可能になります。これは、生息数を調べてすぐ対応できます。このようなことから、紀伊半島のツキノワグマを管理対象に見直す前にやることはたくさんあると。
ただ、今奈良県のほうとも、三重県のほうとも事務的には、この生息調査をするに併せて、連絡を密に取るようにしておりまして、一見知事の御発言について、本当にどのような形で環境省に申し入れられたのか、内容等についても今問合せをしておりますし、おっしゃるとおり、紀伊半島ですので、熊は県境に興味ありませんでしょうから、三重県、奈良県、和歌山県で同一歩調でやるべきというのはおっしゃるとおりなので、その辺も含めて、しっかりと3県共同して対応してまいりたいと考えております。
県として、ともかく大事なことは、県民の生命、身体、財産を守ることでありますので、ツキノワグマに対してもしっかりと対応してまいりたいと思います。
○副議長(堀 龍雄君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁ありがとうございます。
環境省への申入れは考えていないとのことですが、具体的に、ツキノワグマによる事故防止のためには、どのような対応をお考えでしょうか。知事、お願いいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 再質問にお答えしたいと思います。
和歌山県では、2022年3月に、熊の出没防止対策や出没時の対応等を具体的に示した和歌山県ツキノワグマ保護管理指針を策定しておりますので、それに基づいて、現在までも事故防止に努めておりますし、先ほど申し上げましたように、問題個体ということになれば、捕獲、駆除をすることができますので、今後も、市町村、警察、猟友会等と連携し、人命最優先の観点からしっかりと対応してまいりたいと考えております。
○副議長(堀 龍雄君) 林 隆一君。
〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁ありがとうございます。
対策は取られておられるとのことですが、目撃情報が2か月余りで50件以上増えています。また、三重県内での話ではありますが、熊野古道で人が襲われているというふうな状況で、危険性が非常に高まっていると考えられます。問題個体かどうかというのもあやふやで、どれが問題か問題でないのか、これも議論しなければ分からないような状況下において、やはり県民に被害が出たら、もう最後だと、絶対駄目だというふうに私は思っていますので、適切な対応を素早く取っていただくことを強く要望して、この質問を終わります。
以上で、私の一般質問を終了いたします。御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(堀 龍雄君) 以上で、林隆一君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時15分散会