令和6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


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令和6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号

議事日程 第2号
 令和6年9月17日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第120号から議案第143号まで、報第3号及び諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第120号から議案第143号まで、報第3号及び諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 三栖拓也
 2番 高田英亮
 3番 秋月史成
 4番 佐藤武治
 5番 藤山将材
 6番 森 礼子
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 9番 上山寿示
 10番 鈴木德久
 11番 玄素彰人
 12番 濱口太史
 13番 鈴木太雄
 14番 冨安民浩
 15番 吉井和視
 16番 山家敏宏
 17番 北山慎一
 18番 岩田弘彦
 19番 中本浩精
 20番 中村裕一
 21番 谷 洋一
 22番 坂本佳隆
 23番 川畑哲哉
 24番 堀 龍雄
 25番 谷口和樹
 26番 新島 雄
 27番 山下直也
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 小西政宏
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 総務部長       友井泰範
 危機管理部長     河野眞也
 企画部長       前 昌治
 地域振興部長     赤坂武彦
 環境生活部長     山本祥生
 共生社会推進部長   島本由美
 福祉保健部長     今西宏行
 商工労働部長     大川伸也
 農林水産部長     立石 修
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      高橋博之
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員長   竹田純久
 警察本部長      野本靖之
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
         橋爪正樹
 議事課長       岩井紀生
 議事課副課長     田中 匠
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課副主任     中阪康仁
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       榊 建二
 政策調査課長     岩谷隆哉
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  午前10時0分開議
○議長(鈴木太雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日、提出のあった議案第122号及び議案第130号は、職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。配付いたしておりますので、御了承を願います。
 日程第1、議案第120号から議案第143号まで、報第3号及び諮問第1号を一括して議案とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 3番秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
○秋月史成君 おはようございます。9月定例会一般質問初日、第1登壇者となります。
 99%と100%の差は、紙一重のようでいて、普通の世界と奇跡の世界の差があると私は思っております。ある金属は、100%の純度のものと不純物が混じっているものの強度を比べたとき、不純物が0.01%でも混じったら、純粋なものにはかなわないと言われております。これは、人にも同じことが言えると思います。自分自身の純粋性を100%に限りなく近づけ、無の境地に達することができれば、人は初めて自分を超えることができるのだと思います。ほんの僅かな邪念があっても、そこには到達し得ないと思います。今後も、全ては県民のためという純度を高め、常に純粋性を持ち、県民の皆様に尽くしたいと思います。
 それでは、議長の許可をいただきましたので、以下、通告に従い、一般質問を行います。
 7月10日から12日の日程で、横浜・横須賀調査を同僚議員と一緒に行ってまいりました。日程1日目の調査先は、横浜市港北区民文化センターミズキーホール、その後、江戸時代前期に紀州徳川家の初代徳川頼宣が岩出市に建てた旧紀州徳川家藩別邸を移築した三溪園を視察いたしました。その後、横須賀中央駅へ移動、私が交流を持つ神奈川県議会議員と共に、ジンジャーエールとブランデーを割った横須賀ブラジャー、紅茶のリキュールとジンジャーエールを割ったティーバックという刺激的なネーミングで地域おこしに取り組む若松マーケットで意見交換を行ってまいりました。
 若松マーケットは横須賀中央駅から徒歩1分で、昭和を色濃く残したレトロな地区であり、戦後は闇市からスタートし、多数の飲食店が並ぶ懐かしい風情の地域でありました。青春時代3年間、横須賀で過ごした私ではありましたが、未成年でありましたので、決して足を踏み入れることがなかった地域でもあります。横須賀ブラジャー、ティーバックという刺激的なネーミングのお酒ではありますが、ジンジャーエールやブランデー、紅茶のリキュールなど、ありふれた材料を使い、刺激的なネーミングで地域おこしを行う、その視点に目からうろこの感覚を覚えた次第であります。
 意見交換は比較的早い時間帯で終了し、店を出る頃には結構人通りも多く、にぎわっている雰囲気もあり、地域で飲食店を経営する商人の知恵、商人のたくましさを体感することができました。その後、どぶ板通りに移動。どぶ板通りは、アメリカ海軍横須賀基地正門前に位置し、横須賀中心部にあり、スカジャンと呼ばれるジャンパーの発祥地として有名な商店街であります。アメリカと日本文化が融合した独特の雰囲気を持つ商店街で、市内の代表的な観光地の一つであります。私たちが訪問したときも、米兵と観光客が多数行き交う光景を目にいたしました。
 次の日は、今回の視察のメインである私の母校、陸上自衛隊高等工科学校の調査でありました。私が在校時代は、陸上自衛隊少年工科学校という名称でしたが、学校改編があり、現在では陸上自衛隊高等工科学校となり、脈々と続く伝統を継承しつつ、現代の陸上自衛隊における複雑、高度な任務に対応すべく、その教育内容も大きく変革しております。その中でも、自衛隊におけるサイバー要員を育成するため、情報基礎、ネットワーク基礎、情報セキュリティーを主軸とした情報工学の分野においてスペシャリストを育成するカリキュラムが新たに構築されております。
 当日は、広報班長の三等陸佐に講堂内の会議室にて高等工科学校の歴史及び現況を詳細に説明いただきました。その中で気になったのは、私たちの頃は入学競争倍率20倍から30倍の倍率でしたが、近年は少子化の影響を受け、6倍程度にとどまり、人材の確保に苦慮している模様でありました。高等工科学校の授業風景、施設や生徒の居室の見学、昼食を隊員食堂で部隊喫食、その後、高等工科学校長兼武山駐屯地司令、篠村和也陸将補と面談、意見交換を行いました。
 ちなみに、篠村陸将補は少年工科学校28期生、私が31期生、この9月に56歳となり、さらにおっさんとなった私ではありますが、先輩の前では緊張し、背筋がぴんと伸びる感覚を久々に思い出しました。
 篠村陸将補のお話でも、高等工科学校並びに自衛隊の一般部隊でも少子化の影響を受け、隊員募集に大変苦慮している状況を聞かされました。その夜は、高等工科学校総務部総務課司令業務室長である私の同期生の三等陸佐と意見交換を兼ねて食事会を開催し、昔話に花も咲きましたが、同期生も隊員確保に困難を極めているという状況を語っておりました。
 隊員が集まらなければ、この国の防衛基盤が揺らいでしまいます。最新鋭の装備を導入しても、それらを操作し、運用する隊員の数を確保しなければ、日本の安全保障は揺らいでいきます。また、国民の皆様が最も自衛隊に期待する災害派遣の任務にも支障を来します。
 「人は石垣、人は城」、戦国時代の名将の一人、武田信玄の言葉であります。ここ和歌山でも同じことが言えるのではないでしょうか。新聞、テレビ等の報道では、以前は、東大生の一番の就職先はキャリア官僚と言われる国家公務員でありましたが、近年は、国家公務員の志望者も最大期の半数近くに落ち込み、公務員離れが進んでおります。
 私には、30歳になる息子と28歳になる娘がいます。息子は大学卒業後、大手と呼ばれるゼネコンに就職。娘も兄と同じく大手ゼネコンに就職しましたが、この春、転職サイトを介して、ディベロッパーに転職いたしました。息子も社会人8年目となり、企業の採用活動を担当するリクルーターを本来の職務と兼務するようになっております。息子いわく、施工系技術社員の学生採用率は、以前に比べかなり高くなっており、学生及び人材の囲い込みが大手ゼネコンでも進んでいる様子を語っておりました。民間企業では、学生に積極的に近寄り、人材を確保。公務員にはあまり回ってこない状況がうかがえます。
 現在、スマートフォン、パソコン等を活用し、情報収集する学生が格段に増えております。情報を収集し分析、自分に合った就職先、給与、福利厚生等もさることながら、やりがいも求道者のように探求し、自分の将来を決める学生が増えております。民間企業は空前の人手不足。民間企業では、一般的に業績の影響で賃金も上下する傾向にありますが、一部の企業では好調な業績をあげ、大企業を中心に賃上げも進み、賃金水準も公務員より格段に高い水準となっております。一方、公務員は、貧乏しないけど金持ちになれない職業であると私は思っておりますが、民間大企業のように、柔軟に給与を高い水準に上昇させることは困難であります。給与の面では、民間企業と競り合うことはできません。
 現在、県では、来年度の9月を目標に、新総合計画の策定に取り組んでいますが、新総合計画が民間企業で言うところの経営戦略であれば、それを達成するための人材戦略が必要と考えます。今後どのようにして和歌山県庁が人材を確保し、育成していくのか。東京大学法学部を卒業し、旧大蔵省に入省。その後、民間企業で勤務し、衆議院議員、代議士として県民である住民の皆様の数々の声を聞いてきた経験をお持ちの岸本知事にその方策をお聞きいたします。
 次の質問に移ります。
 南紀はまゆう支援学校屋外運動場の整備についての質問であります。
 本年1月24日に、地域及び学校関係者待望の南紀はまゆう支援学校の新校舎開校式が挙行されました。私も、地元選出県議会議員として、また、この支援学校建て替えに関する問題提起者として出席させていただきました。100億を超える予算を投入した立派な施設であります。
 しかし、南紀はまゆう支援学校の施設整備においては、まだ道半ばであります。私が何度となく県議会の壇上で訴えておりました、隣接地にある和歌山県福祉事業団南紀医療福祉センター敷地に屋外運動場を整備する問題であります。令和3年9月定例会において、今と変わらぬ宮﨑教育長より、「将来に向け、さらに安心・安全で、よりよい学校づくりを目指し実現していくものであり、一定の時間を要するものであると認識しておりますが、和歌山県福祉事業団等、関係機関の御協力の下、将来、和歌山県福祉事業団所有の南紀医療福祉センター敷地に屋外運動場設置が実現可能となることを目指し、継続した協議を進めてまいりたいと考えております」と答弁いただいております。プラス思考の私は、南紀医療福祉センター敷地に屋外運動場を設置する、そのために今後も継続した協議を進めると解釈しております。
 あれから3年、この3年間で南紀医療福祉センター敷地に屋外運動場の設置に向け、幾度となく和歌山県福祉事業団と協議を重ねてこられたと存じますが、現在の進捗状況と今後について、当時と変わらぬ宮﨑教育長、具体的にお答えください。
 次の質問に移ります。
 林業振興について、農林水産部長に幾つかお伺いいたします。
 令和6年7月19日に公表された農林水産統計の令和5年木材統計では、全国の素材生産量は2064万3000立方メートルで、対前年に比べて143万9000立方メートル減少、対前年比は93%となっております。また、そのうち需要別では、製材用は全体の6割を占め、1226万7000立方メートル、前年に比べ67万立方メートル減少、対前年比は95%となっております。その他、合板用も減少しております。全国的に素材生産量は減少し、需要別においても、製材用や合板用が減少しているとなれば、建築用材としての木材需要が非常に懸念されます。
 和歌山県では、長期総合計画に関わる森林・林業のアクションプランとして、森林・林業“新”総合戦略が策定されております。当戦略は、令和元年の素材生産量26万立方メートルの実績を令和8年までに35万立方メートルまで拡大する挑戦的な目標を掲げた計画であります。そこで、戦略に掲げる素材生産量の目標に対する実績とその動向について、農林水産部長の御所見をお聞かせください。
 次に、森林は、脱炭素社会の構築において、木材利用による炭素固定にも注目が集まっており、建築物などに紀州材を活用することは、林業のみならず炭素固定にも貢献できることになります。このような状況を踏まえ、建築用材、特に製材用材として素材生産量を確保し、戦略の目標達成に向けて生産量を拡大していく和歌山県の施策について、農林水産部長の御所見をお聞かせください。
 続いて、近年の担い手不足は、深刻な問題となっております。国勢調査によると、和歌山県では、1960年に約1万3000人いた林業就業者数が2020年には約1000人、90%以上の大幅な減少となっております。また、年齢構成を見てみると、50歳以上の林業就業者は、1960年の調査では28.4%、2020年の調査では55.9%と半数を超えております。
 森林・林業“新”総合戦略では、素材増産を主軸に置いた各種取組を掲げ、精力的に展開されています。この取組には、担い手確保が非常に重要であります。同戦略では、県内の新規林業就業者を5年間で275人、毎年55人ずつ確保する高い目標を掲げておりますが、その新規林業就業者の確保をするため、これまでどのような取組を実施してきたのか、実績を含めてお聞かせください。また、林業の担い手をさらに確保していくためにどのような施策を展開していくのか、併せて農林水産部長の所見をお聞かせください。
 次の質問に移ります。
 国産材の流通については、ウッドショック以後、住宅価格の高騰等に伴う住宅着工数の減少により製材用原木需要が減少し、その影響により、国産材の流通が停滞していると聞いております。県では、住宅建築や公共建築物での木造・木質化について、木材の利用促進、公共工事における木材利用推進などに取り組んでいます。炭素貯蔵による脱炭素社会への貢献を含めると、積極的な木材利用が必須であり、特に建築物の木造・木質化は効果が高いと考えております。一般住宅建築数の減少が見込まれる中、紀州材を建築用材として利用拡大を図っていくためには、県有施設への使用が絶対条件と考えます。紀州材をふんだんに使用した県有施設こそが、以前から私が一貫して強く訴えている和歌山らしいものだと考えております。県有施設に紀州材を積極的に使用し、市町村や民間の木造・木質化を牽引する手本となるべきと思います。しかし、いま一歩力強さが感じられないのが現状です。県が作成した和歌山県木材利用方針及び公共建築工事木材利用マニュアルにおいても、原則木造とあります。
 そこで知事に伺います。
 市町村や民間の紀州材利用を推進する上で、脱炭素社会の構築、第1次産業、その中でも林業振興を力強く推し進めると声高らかに上げておられる知事が考える和歌山らしい県有施設とはどのようなものか。また、今後の木造県有施設の整備計画についても併せてお聞かせください。
 続いて、都市部では、2050年カーボンニュートラルや木材による炭素固定への注目が高まり、低層だけではなく高層ビルなどで、非住宅建築物での木材利用も増加傾向にあります。一方で、木造には耐火性や遮音性などの課題があるとも言われておりますが、耐火基準も変わり、新たな工法、新建材の開発で、以前に比べ耐火性や遮音性も格段に向上したと聞いております。
 また、木造は鉄骨造、鉄筋コンクリート造に比べ建築コストが高いと聞きますが、本当でしょうか。木造建築物は鉄骨造、鉄筋コンクリート造に比べ、その重量も比較的軽く、基礎工事も安価で済むと聞いております。また、地盤改良費用も縮減される可能性もあります。比較検討等の検証は行われているかどうかをお聞かせください。
 また、県が定める公共建築工事木材利用マニュアルの基本事項には、「木造建築物の構造材は原則として市場に流通している紀州材の無垢材とする」、「木工事において、紀州材を使用するものとして積算した木工事費が、一般国産材を使用するものとして積算した木工事費の100分の110を超えない範囲内においては、紀州材を優先して使用する」とあり、紀州材を使用することでの建築コストの上昇は認められております。
 しかし、行政においてもコスト意識は大切な時代となっております。しかし、世界的目標である脱炭素社会の構築、林業の振興を考えた場合、100分の110を超えた場合であっても紀州材を使用していくべきではないかと思います。
 そこで、県では、これらの耐火性、遮音性の確保や建築コスト等の課題に対してどのように考え、対応しているのか、県土整備部長の御所見をお聞かせください。
 次に、公共建築における木造化を推進するには、それら木造施設設計を担う建築士の育成が必要と考えております。私も最近、出張時に建築されている現場を見る際、工事看板に注目いたします。施工を行う建築会社は当然ですが、必ず表記されている設計会社の社名にも注目いたします。施主と詳細に打ち合せ、図面を作る設計会社の力量や建築士のセンスによって、建築物は大きな影響を受けるのは明白であります。また、建築士を育成する専門学校、大学等でも木造に対する授業の内容は比較的薄いと聞かされております。民間の建築士、市町村の営繕担当者も同じことが言えると思います。
 そこで、木造化を推進するための建築士等の育成に関わる県の取組状況と今後の対策について、県土整備部長、お聞かせください。
 熊野白浜リゾート空港、正式名称・南紀白浜空港のRESA工事についての質問に移ります。
 RESAとは、滑走路端安全区域のことであり、航空機が離着陸する際に、滑走路を超えて走行し停止するオーバーランまたは航空機が着陸時に滑走路手前に着地してしまうアンダーシュートを起こした場合に、航空機の損傷を軽減するため、着陸帯の両端に設けられる区域のことです。国内の多くの既存空港は、旧基準であるRESA長40メートルで整備されてきましたが、2010年の安全監視監査プログラムの勧告を受け、2013年に基準を改正し、既存空港も含む全ての空港に同基準を適用することとなっております。
 なお、RESAの長さ及び幅がRESAの最小値を満たしていない場合は、RESAの現状評価及び対策の実施により、RESAの性能を満たすための対策を順次実施することとなっております。RESA工事が完成しなければ、近い将来、滑走路が使用できない状況に至る可能性もあります。
 熊野白浜リゾート空港着陸帯も対象となっており、滑走路両端を50メートルずつ延長する計画となっております。そのRESA工事の中で、15側、白良浜・立ケ谷方面で5万立米の盛土、盛り高20メートル、33側、富田川方面で20万立米の盛土、盛り高50メートルの計画。令和4年度から令和5年度の実施設計では、切土については15側の北側の転移表面下で25万立米を切土する計画であります。15側の盛土工事の際、今まで影響のなかった立ケ谷地区、白浜金閣寺の谷に濁水が流出し、谷が急峻であるため濁水対策が困難、また、盛土の場外からの運搬に対し、空港の場周道路を使用すると考えられますが、管制塔及びCAB(国土交通省航空局)との協議が必要となり、昼間使用が可能か不明であります。よって、盛土は他に求めるほうが良策と考えます。
 また、15側北側の切土については、岩質が中硬岩であるため、火薬使用の発破工事が必要となります。空港運用時間帯で航空機の発着時の前後は火薬使用が制限されると思われ、また、転移表面下での工事については、空港運用時間内で非常に困難と思われます。ちなみに、転移表面とは、進入表面の斜辺を含む平面及び着陸帯の長辺を含む平面です。
 夜間工事となれば、隣接する住宅等の安全対策、騒音対策が必要となります。33側の盛土については、盛土の運搬は空港内の場周道路を使用しなければなりません。ILS(計器着陸装置)、進入方向、横位置を示すローカライザーの制限区域を通過することになり、絶え間なく通過する工事車両に対し、管制の通過許可が出るのか疑問が残ります。また、盛土ののり先が海岸まで伸びることから、津波高も考慮した工法の検討が必要と思われます。
 RESA工事は必ず完成しなければならない事業であります。令和4年度から実施設計が行われています。15側及び33側の平面図及び横断図面並びに施工計画を見せていただきましたが、素人の私にも分かるほど、内容は薄いとしか言いようがないと思います。令和4年度に発注され、令和5年度に納品された実施設計の施工計画について、土取り場の切土については、15側の転移表面下を考えているように記載されているが、空港運用時間内に工事を行うのか、運用時間外に掘削工事を行うのか、記載されていません。
 また、進入路も計画されていません。沈砂池、沈殿池、33側についても実施図面はありません。15側も記載はありません。調整池、15側は必要とあるが、実施図面もありません。また、33側については50メートル程度の高盛土となるが、巻厚及び転圧回数はどのように考えるのか、滑走路縦断計画の結果、流域変更を伴うことも考えられるが、今後どのような対策を考えるのかなど、不明な点があまりにも多いと思われます。
 また、工事の民間委託は鳥取空港で行われております。和歌山県も鳥取空港同様、民間委託工事を検討されているようではあります。民間委託についてのメリットを私なりに考えてみましたところ、少ない技術職員の若干の負担軽減、1点であります。デメリットは、1、公共事業の目的外使用が生じる可能性があり、2、入札執行の透明性が担保できない、設計入札行為を県が行い、決定を民間会社が施工監理も含めることを考えられますが、職員の負担軽減にはつながらないのではないかと思います。3、現場対応、濁水、粉じん、騒音について、民間なら地元対策が丁寧に実施できるのか。現在の空港1800メートル滑走路建設の際には、白浜町役場でも漁業振興、農業振興を行い、直接補償金を出すことはなかったと聞いております。4、会計監査の対応はどうするのか。5、県職員を派遣し、設計監理を行うことも考えられますが、入札行為に不透明感が生じます。
 鳥取空港の情報が今のところ私の耳には入っていない現在、何とも言い難いことではありますが、安易に工事を民間企業に丸投げしていては正しい政策とは思われませんし、公平公正な行政運営とは言い難いと思います。また、総事業費は未確定な状況と思われ、完全に計画さえできていないと思われても仕方ない内容であります。少なくとも専任課長を発令し、取り組んでいただかなければ、問題点が多過ぎると考えます。完成は2030年、西牟婁振興局建設部にRESA工事のグループ設置と電気技師の配置をしてはいかがかと思います。
 以上、問題点を思いつきにも近い状況でお伝えしましたが、これら問題点に対する所見について、県土整備部長の答弁を求めます。
 最後の質問に移ります。
 県道白浜久木線の改良工事についてであります。
 県道白浜久木線は、1975年、和歌山県議会議員選挙に初当選された二階俊博衆議院議員が、県道白浜久木線改修促進協議会の皆様と一緒に、半世紀に及ぶ長きにわたり取り組んできた改良工事であります。私も、2015年に初当選直後、二階俊博衆議院議員の命を受け、早期改良に向け、熱心に取り組んできたと自負しております。幾度となく、この県議会の壇上でも早期改良を訴えてまいりましたが、しかし、全線改良を見届けることなく、二階俊博衆議院議員は引退を表明することとなりました。二階俊博衆議院議員の後を継ぐ方が、地域の思いを継ぎ、今後も県道白浜久木線の早期改良に向け、政治の現場で力を発揮していただけるものと確信しております。
 さて、本年5月2日に、鍋津呂谷トンネルの貫通式が行われ、地域の皆様と一緒に貫通を喜び合ったところでございます。その後、鍋津呂谷トンネル工事は順調に進められていると聞いており、地元では、続く仮称「庄川久木1号トンネル」の早期着工が期待されています。また、庄川側で残る用地取得に向け、土地収用法に基づく事業認定手続の一環である事業説明会も8月8日に開催されたところです。
 そこで質問です。
 県道白浜久木線の現在の進捗状況と今後の用地取得や工事の見通しについて、県土整備部長、お答えください。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ただいま秋月議員から2問、質問を頂戴いたしました。
 和歌山県庁における人材確保、人材育成の方策についてと県有施設への紀州材利用についてでございますけれども、質問の流れがございますので、最初の問いに答えまして、2問目は県土整備部長の後にお答えをさせていただければと存じます。
 まず、人材確保の取組といたしましては、今年度から通常枠の採用試験に加えまして、新たに早期募集枠、それから社会人枠を創設するなどの見直しを行ったところでございます。これらの試験におきましては、できる限りより多くの方々に受験してもらうため、特別な公務員試験対策が必要な専門試験をなくした面接重視の試験とするとともに、1次試験を県外受験も可能とするなど、より受験がしやすい試験制度とさせていただきました。
 早期募集枠におきましては、就職活動の早期化に対応するため、合格発表日を従来の8月から6月上旬に前倒しすることで、他の自治体や民間企業に先駆けて優秀な人材を確保するよう取り組んでおります。秋月議員御指摘のとおり、また人材戦略ということについても、これは大変重要な問題であると考えております。
 現在、民間企業等では、組織と職員の関係性を見直し、組織の魅力を高める取組が行われております。私は、そのような民間の手法や考え方も取り入れまして、職員の組織や職務との関係性に基づく自主的な貢献したいと思う意欲を高める組織づくりを進めるということで、一人一人の職員がやりがいや自分の成長を実感しながら働けるようにすることが大切ではないかと考えております。
 現在の人材育成のプログラム、人事管理の制度、職場環境などの再点検を今行っておりまして、和歌山県の人材確保・育成に関する基本方針の策定に取り組み、働き手にとりまして魅力的な和歌山県庁づくりを進めていきたいと思っておりますので、秋月議員におかれましても、大所高所から御指導をいただければと存じます。
○議長(鈴木太雄君) 知事、質問方式が一括なんで、答弁も一括でお答え願います。
○知事(岸本周平君) 失礼いたしました。ただいま議長から御指導をいただきましたので、一括でお答え申し上げたいと思います。
 県有施設への紀州材の利用について、和歌山らしい県有施設の整備についてお答え申し上げます。
 建築物における紀州材の利用促進は、森林の保全、林業をはじめとする地域経済の発展及び脱炭素社会の実現に資するものであり、極めて重要な施策であると考えております。また、紀州材の利用促進には、製材需要の大部分を占める民間建築における需要を喚起することも重要であります。その民間の動きをリードするために、和歌山県木材利用方針に基づきまして、これまでも熊野高校講堂ですとか、南紀熊野ジオパークセンターの整備など、公共施設で木造・木質化をはじめとするいろんな取組を進めてまいったところでございます。
 議員御質問の和歌山らしい県有施設につきましては、何より構造強度に優れ、木目が美しい紀州材を効果的に柱やはりなどの骨組みや壁、天井などの仕上げに用いることにより、県民や来県される皆様に、温かみや癒やし効果なども含め、紀州材の持つ優れた特性を実感していただけるものであると考えております。
 今後の県有施設の木造による整備につきましては、これまでの2階建て以下の施設に加えまして、御坊市内の県営住宅の現地建て替え事業におきましては、敷地の大きさを最大限生かして、県有施設では初めてになりますけれども、木造による3階建ての県営住宅を計画しているところであります。引き続き、可能な限り紀州材の積極利用については進めてまいる所存でございます。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 南紀はまゆう支援学校の屋外運動場整備に関しまして、和歌山県福祉事業団との協議についての御質問でございます。
 令和3年9月定例会以降、県教育委員会からは計7回、和歌山県福祉事業団にお伺いをいたしました。その際には、令和4年6月定例会の答弁で申しましたように、将来、和歌山県福祉事業団所有の南紀医療福祉センター敷地に屋外運動場設置が実現可能となることを目指し、継続的に取り組むとの認識を常に共有してまいりました。また、現時点では、旧はまゆう支援学校跡地への屋外運動場整備を優先して進めることとしており、整備計画案の進捗状況について、両者で継続的に共有を行ってまいりました。
 当該跡地の校舎の解体やグラウンド管理棟の改築計画、屋外運動場の整備内容の検討、これらが進んだことを受け、本年8月29日、学校ではPTA役員の方々への説明が行われ、また9月2日には全ての保護者の方々に書面にて案内したとの報告を受けています。県教育委員会としましても、8月29日には和歌山県福祉事業団を訪問し、屋外運動場の整備内容や今後のスケジュール等についての説明をさせていただいたところです。
 今後、旧はまゆう支援学校の校舎の解体及び跡地への屋外運動場の整備を進め、2026年10月以降を目途に、南紀はまゆう支援学校の新しい屋外運動場の利用を開始する予定です。和歌山県福祉事業団とは現時点で具体的な協議には至っておりませんが、今後も情報共有の機会を定期的に設けていくことについて理解を得ております。
 新しい屋外運動場の利用開始以降も、将来、和歌山県福祉事業団所有の南紀医療福祉センター敷地に屋外運動場設置が実現可能となるよう目指し、継続した取組を進めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長立石 修君。
  〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 本県の素材生産量は、高性能林業機械の導入や林道等の路網整備の促進など、生産体制の強化により、2023年次には28万6000立方メートルと、対前年比2万2000立方メートル増加しています。また、需要別の動向につきましては、木造住宅着工戸数の減少により、製材用や合板用の建築用材は15万6000立方メートルとなり、対前年比2万6000立方メートル減少する一方、バイオマス用材等は県内の木質バイオマス発電所の需要が大きく伸び、13万立方メートル、対前年比4万8000立方メートルの増加となっております。
 次に、素材生産の拡大についてですが、県といたしましては、「伐って、使って、植えて、育てる」という森林資源の循環利用を進める上で、製材用材の生産量を確保することは重要であると考えています。そのためには、需要を拡大する必要があり、これまでも公共建築物の木造・木質化への支援を行ってきたところでありますが、今年度からは、さらに民間非住宅建築物の木造・木質化への支援を行い、製材用材の需要拡大に努めているところでございます。
 今後も、製材用材の需要拡大やバイオマス用材としての安定供給を図るとともに、林道整備の加速化や担い手の育成・確保により、本県の林業、木材産業のさらなる発展と総合戦略の目標達成に向けて取り組んでまいります。
 次に、県における林業の担い手確保の取組につきましては、2019年度から東京や大阪など都市部で、わかやま林業体感セミナーを開催するとともに、SNSを活用し、和歌山県の林業の魅力などを発信しています。また、県内の受入れにつきましては、市町村やわかやま林業労働力確保支援センター等と連携いたしまして、仕事、住まい、暮らしなどをワンストップでサポートするとともに、2023年度からは、高校生に対する林業講座や就業時に必要な安全保護具等の購入支援など、新規就業者の確保に取り組んできたところでございます。
 この結果、県内の新規就業者数は、2018年度の11人に対し、2022年度には40人、2023年度には54人と増加し、ほぼ目標の55人に近づきました。
 今後とも、県では、就業に関するサポートをはじめ、高性能林業機械等の導入による労働環境の改善や林業就業者の所得向上など、林業の担い手確保対策に積極的に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 私のほうからは、三つの項目についてお答えさせていただきます。
 まず、1項目め、県有施設への紀州材利用についてのうち、紀州材使用による建設コスト等の課題についてお答えします。
 木造と鉄筋コンクリート造のコスト比較については、国において公共建築物の事例調査がなされ、用途、規模、階数等によりばらつきはあるものの、双方の建設費に目立って大きな差はないとされており、県内の公共建築物においても同様の結果となっています。
 次に、耐火性、遮音性の確保や建設コスト等の課題に対しては、安全・安心を念頭に、改正された防火避難規定の適正な運用や新技術等の活用、木造のメリットである建物の軽さを生かした基礎形式の採用などにより、技術面、コスト面の双方から合理的な設計に努めているところです。
 今後とも、関係部局と連携しながら、紀州材を用いた高品質な県有施設の整備に取り組んでまいります。
 続いて、建築士の育成等に係る取組と今後の対策についてお答えします。
 県では、県内建築士向けに、大規模建築物の木造化を促進するために改正された防火避難規定等について、建築士関係団体を通じ周知するとともに、県内各地で講習会を開催してきました。また、市町村職員に対しては、営繕主務担当者会議を開催し、木造化に係る法規制や新技術等について情報共有に努めているところです。
 このほか、大規模木造建築物等の高度な技術力を要する設計業務については、今後、実績を有しない県内業者と実績を有する県外業者との共同企業体の結成を発注条件に加えることにより、当該業務を通じて県内業者への技術移転を図ってまいります。
 引き続き、これらの取組を進めるとともに、建築士関係団体や市町村職員の木造化に係る意識の醸成を図り、構造、防耐火等に関する技術力の向上に取り組んでいただけるよう、現場研修会等を実施してまいりたいと考えています。
 続けて、2項目め、熊野白浜リゾート空港のRESA整備についてお答えします。
 滑走路端安全区域、いわゆるRESAについては、国において2013年に国内の基準が改正され、2026年度までにこの新たな基準に基づき整備に着手することとする方針が示されたことから、熊野白浜リゾート空港においても、今年度から本格的に整備に着手したところです。
 現在は、滑走路の両端に40メートル確保されているRESAを、それぞれ90メートルに拡張するための整備であり、総事業費は約30億円と想定しています。事業の実施に当たっては、議員御指摘のとおり、計画面、施工面、品質面、環境面などにおいて、解決すべき課題が多くあることを認識しております。
 まずは、計画面についてです。33側、すなわち南側の滑走路端については、海に近接しているため、ハザードマップなどを確認し、津波の影響がない設計としております。なお、滑走路両端のみ施工するもので、滑走路全体の排水の方向に変更はなく、流域の変更は生じない設計としています。
 次に、施工面についてです。施工には多くの盛土材を確保する必要があるため、空港に近接する箇所の岩盤を削り供給する計画ですが、掘削方法や施工時間の制約を受けるため、他の工事等で生じた土砂の活用も含め検討するとともに、必要な騒音対策を検討しております。また、盛土材の運搬については、空港敷地内の場周道路を通行することから、夜間作業を想定した関係者調整を行っています。
 次に、品質面についてです。盛土については、一層の仕上がり厚を30センチメートル以下に施工するなど、転圧の方法も含め、空港土木工事共通仕様書等に基づき、適正に施工を進めてまいります。
 次に、環境面についてです。濁水対策について、15側、すなわち北側は、RESA整備に伴い必要となる進入灯橋梁の改築工事と密接に関連することから、今年度実施する進入灯橋梁の改築の設計において検討することとしております。その他の環境面の配慮についても、適切な対策を行いつつ施工を進めてまいります。
 このように、解決すべき課題は多岐にわたりますが、関係機関との調整や周辺住民への説明などを一つ一つ丁寧に行い、現場に適した施工計画を検討しながら、効率的かつ安全に工事を進めてまいります。
 次に、現在研究を始めたところの民間委託についてです。
 御指摘の民間委託とは、空港の運営権者への空港整備事業の委託のことと認識しています。空港の運営権者への空港整備事業の委託については、公共事業としての公平性や透明性の確保、丁寧な地元対応、会計実地検査への対応など、課題があることは認識しています。一方、空港での工事は、飛行機の安全な運航と空港の円滑な運用を勘案して施工する必要があることから、実質的に空港を運営管理している運営権者に空港内での工事を委ねることで、より安全で効率的な施工が期待できるというメリットも考えられます。そこで、熊野白浜リゾート空港においても、事業執行手法の一つとして、運営権者への委託について研究を始めたところです。
 最後に、人員の配置については、現に厳しい状況ではありますが、専門業務については専門職種のサポートを受けながら、事業が適切に執行できるよう、県土整備部全体で対応しているところです。
 今後も引き続き、効率的かつ効果的な事業執行に努めてまいります。
 続いて、3項目め、県道白浜久木線の改良工事についてお答えいたします。
 県道白浜久木線の白浜町庄川から久木間の整備につきましては、2014年度に事業化し、3本のトンネルを含む全体延長約5.9キロメートルのうち、久木側からの約2.3キロメートルについて、トンネル工事や路側工事を推進しています。
 現在の進捗状況につきましては、2019年に完成した久木トンネルに続く2本目のトンネルとなる鍋津呂谷トンネルについて、最終工程となる舗装工事を進めているところです。
 用地の取得状況につきましては、庄川側の一部を除き、これまでに全体の約8割が完了しております。残る用地の取得に向けて、引き続き任意交渉を続けるとともに、土地収用法の活用も視野に入れ、同法に基づく事業認定の手続を進めているところです。
 今後の工事につきましては、3本目のトンネルである仮称「庄川久木1号トンネル」の施工ヤードとして必要となる盛土工事に来年1月から着手する予定としており、来年度にトンネル本体工事を発注できるよう、準備を進めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木太雄君) 再質問を許します。
 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 RESA工事について再質問を行います。
 先ほど、県土整備部長から答弁いただきました実施設計の施工計画を見せていただいた私といたしましては、軽微な施工計画変更ならいざ知らず、先ほどの答弁では、抜本的な見直しをしなくてはならない印象を覚えております。7000万円余の予算を投入した実施設計、施工計画です。あまりにもずさんな計画としか言わざるを得ません。
 そこで、知事に質問です。
 私の質問を聞き、県土整備部長の答弁を聞いた和歌山県庁の最高責任者としての御所見をお聞かせください。
○議長(鈴木太雄君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答えを申し上げたいと思います。
 熊野白浜リゾート空港のRESAの整備につきましては、ただいま秋月議員が御指摘いただきましたように、解決すべき課題がたくさんあるなと認識をしております。一方で、ただいま県土整備部長から詳細に答弁をさせていただきましたけれども、秋月議員の御指摘を受け止めた上で、引き続き、関係機関などと調整を行いながら、効率的で、しかも安全に工事が進めていけるよう、私としてもしっかりと先頭に立って進めてまいりたいと思いますので、引き続きの御指導、よろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(鈴木太雄君) 再々質問を許します。
 秋月史成君。
○秋月史成君 これで私の一般質問を終わります。最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 11番玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕(拍手)
○玄素彰人君 11番の玄素でございます。
 今般、9月議会初日、2番目で質問させていただく機会をいただきました。関係各位に感謝、御礼申し上げたいと思います。
 今回は、通告で8問、最近気になっている事項について質問をさせていただきたいと思います。いつものことではありますけども、時に厳しい指摘等、当局にさせていただくこともあろうかと思います。和歌山を思うがゆえということで、いつもながら広い心でお受け止めをいただきたいと思います。
 質問の中身に入らせていただく前に少し時間をいただきまして、私の思うところというか、質問にも少し関連するところがあるんですけども、お話しをさせていただきたいと思います。
 6月議会において、選任同意を皆さんからいただいて、監査委員に今ならせていただいております。8月の19日から4日間、定期監査と、それから決算の監査というか審査というのをさせていただきました。そこでちょっと議員の皆さんにも報告も兼ねて、私の思うところを申し上げたいと思いますので、少しお話しをさせていただきたいんです。
 まず1点目なんですけども、結構細かい資料、人さし指と親指で大体いっぱい広げたぐらいの厚い資料を全部見させていただきました。結構時間もかかりましたけども、その中でちょっと気になったのは、予算の流用についてなんです。明らかにこれは流用を目的とした予算計上が行われているなというふうに、個人的に感じたというところがあるんです。
 どういうことかといいますと、予算書に、例えば当初予算で旅費と載ってあって100万円だということであって、決算で不用額10万円ということで出ていたとしたら、90万円旅費で使ったんだなというように思われるのが普通なんだと思いますし、そういうことで予算として認めたんだと思うんですけども、実際は、不用額10万円であっても、旅費で20万円で残り80万円を使っていなかったとしても、10万円だけ残して70万円を流用するという形にすれば、その執行残というのは10万円にしかならないんですね。そういうようなやり方が備品購入費であるとか消耗品費であるとか燃料費であるとか、節の各所に、部局内随所にわたってそういったものが見られるところがあります。
 本来、予算というのは総計予算主義といいまして、当初予算で全部載せていくということなんで、その流用がどこでどんな形で使われているかというのは、我々の関知しないところになってしまうので、最小限で流用はとどめられるように、これは改善を当局にしていただきたいなというふうに思っているのが1点。
 それから、もう一つは委託料についてなんですけども、私は、町議会議員をして町長をさせてもらって、それで今、県議会議員をやらせてもらっているんですけども、小さな町の予算書であれば、例えば教育の予算なんかを、A小学校設計委託料、B中学校ランチルーム改修委託料、C保育園設計委託料というふうに、個別に、この改修に幾ら、この改修に幾らというように予算というのが示されるんで、ああ、なるほど、これの入札方法はどういう形なのかな、これは予算として正しいのかなというふうに見えるんですけども、県は大きいからというのもあるんですけども、もう委託料という中にA、B、C、D、E、F、G、H、Iぐらいの委託料を全部放り込んでしまって予算計上されているんですね。だから、なかなか議員としては分かりにくいところがある。
 これもだけど、決算委員として調書というのがあるんで、それを見ますと全部細かに書いてあるんで、そういった資料も議会があらかじめ頂けたら、委託料もきっちりと議会で精査できるのかなと。実際見ておりますと、スクールバスなんかの委託料で、距離の遠いほうが安くて、距離の短いほうが高いというような事案もあったりするわけなんです。この辺のところも踏まえて、流用も流用調書なんかというのは実際監査のときにあるんですから、議会に提出をしていただいたら、よりよい精度の高い予算執行、また予算計上になるのかなというふうに思ったところなんです。
 それから、3点目なんですけども、委員会なんかでも質問したら、そのときに答えられなくて持ち帰らせてくださいというような場面というのがあるんだと思うんです。持ち帰って説明をまた再度受けたりすることもあったんですけども、事業を何とか正当化させたいという当局の思いもあるんだと思うんですけども、虚偽の説明をされる、この法令に基づいてこれは執行したんですっておっしゃってくれるんですけども、ただ、内容が全然違ったりするというようなこともありました。分かりやすく言ったら、うそですね。そういうこともありました。これは私、初めてじゃなくて、これまでもそういうことがありました。
 私自身、自分が会社経営していて、そんな話を例えばお客さんにしたら、なかなか経営というのは成り立たない。だけど、職員の皆さんは、仮にそういうことをしたとしても、何らペナルティーがない。口頭注意を言ったところでその程度なんで、その辺ももうちょっと緊張感を持ってやっていただきたいなというようなことを思いました。
 ほかにも言いたいことはあるんですけども、質問に入れないんでこの程度にとどめておきますけども、こんな話をしたら、当局の皆さん方にとってはあんまりいい気分はしないと思うんです。だけど決して悪意はないということを申し上げておきたいんですけども、私はもう15年ぐらい、毎月整体に通っているんです。なぜ通うかというと、人間ってどうしても日々生活していたら、ゆがみみたいなのが出てくる、自分の気づかないうちに出てくる。だから、それを矯正してもらうことによって、ああ、気持ちよかったって、またあしたから頑張ろうかという気になるんで、そうしているんですけども、ある意味、県庁という大きな組織も一つの体なんだというふうに思っているんですね。私、今、整体師の気分になって、やっぱりゆがみを正しているというふうに思ったりするんです。それで気持ちよくなってはもらえないかも分かりませんけども、だけど、私自身、やっぱり県議会議員として矜持を持ってこのお話をさせていただいているということは申し上げておきたいなと思います。
 その上で、質問の中身に入らせていただくんですけども、1点目、スターリンクの導入ということでさせていただいております。
 1月に能登の地震がありまして、そのときに、当然インターネットのケーブルであるとか携帯の基地局とか、そういったものも断絶してしまったというようなときに、このスターリンク、要は衛星から電波を送ってくれるんで、どこにいても電波を取れるというものなんですけども、これを実際、能登のほうでも使われて効果があったというようなことで、東京都と、あと神奈川県と、そして山梨県でも導入するということになっております。自衛隊においても抗堪性確保と、要は、そういうようなことで導入をされているということなんです。
 やっぱり南海トラフが起きるであろうという中において、通信手段の多段的な確保、BCPの観点からも、これはやっぱりやっておかないといけないなと。もちろん費用の要る話ではあるんですけども、これはそれに見合うというふうに私は思っているんです。そういった観点から1点目、質問部分なんですけども、このスターリンクの導入について当局ではどのようにお考えなのか、危機管理部長の答弁をお願いしたいと思います。
 以上で、私の1点目の質問部分を終わらせていただきたいと思いますけども、以降、質問、再質問については、対面式の演台から行わせていただきたいと思います。当局におかれましては、簡潔明瞭な答弁をお願いして、1点目の質問を終わります。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 危機管理部長河野眞也君。
  〔河野眞也君、登壇〕
○危機管理部長(河野眞也君) 県では、県や市町村庁舎に設置している防災情報システムの災害時におけるバックアップ回線として、自治体衛星通信機構による衛星通信システムを整備しているところです。他方、議員御提案のスターリンクは、通信容量が大きく、個人のスマートフォンによる動画を送付できるとともに、持ち運びできるという優位性があると考えています。大規模災害発生時においては、被災現場からの情報収集も想定されることから、データ通信に係るセキュリティー上の課題や能登半島地震での活用方法について検証を行い、今後、被災現場からの情報収集における補完機能としての導入を検討してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
 先月なんですけども、将来、政治家になりたいという若い学生さんが、私のもとにインターンで来てくれました。1日県庁で御一緒させていただいたんですけども、そのときに一般質問なんかをすると、検討しますという言葉の答弁があるんだと。それが前向きなのか後ろ向きなのかというのがあるから、よく見ておかないといけないという話もしたんですけども、これは前向きと捉えてよろしいんでしょうか、部長。何かやってくれそうな雰囲気に感じたんですけども、そんなにお金はかからないというように聞いてあるんです。100万円ちょっとぐらいのものなんだと。どこにどれだけ置かないと駄目なのかというのも、これから検討ということになるのかも分かりませんけども、例えば振興局単位で置いたとしても1000万円ぐらいで済むというように承知をしております。
 それと、衛星からの電波なんで、やっぱり高くつくというところはあるのかも分かりませんけども、それでも振興局単位に置いたとするならば400万円ぐらい、通信料としてはちょっと高いねと思うところなんですけども、私も支出に関しては結構厳しいことを、決算委員会も含めて委員会なんかでも一般質問なんかでも申し上げているんですけども、これは費用対効果をはかったときにやっぱり必要なものだなって思っておりますので、今後導入に向けて積極的に検討していただきたいということを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 2点目なんですけども、接遇の改善についてなんです。
 この質問なんですけども、4年前かな、1回当時の仁坂知事にも質問をさせていただいた過去があります。そのときも当時の知事も、接遇というか挨拶というのは物すごくやっぱり厄介な問題なんだということで町長メッセージにも書かれていたという記憶をしているんですけども、前回そうやって質問をさせていただいて、終わってこの後ろの出口から出て、自分の控室へ戻る手前に、ほかの議員さん方に説明をすべく、職員さん方が立っておられて、「お疲れさまでした、お疲れさまでした」って、ふだんそんなこと聞いたこともないようなことを積極的に言っていただいてびっくりしたんですね。3日か1週間もつかなって議員同士で話していたんですけども、私が見ている限り一月ぐらいはもったような気がしますけども、また戻ったような気がします。
 この質問も今回するということは、多分一月前ぐらいから申し上げていたんで、2週間ぐらい前ですか、グループウエアなんかで僕がこういう質問をするんだって見たからだと思うんですけども、私の勘違いかも分からないんですけども、非常に挨拶してくれるんです。物すごく気分がよくなったっていうようなことなんですけども、ただ、私はこれ、職員さんが悪いと思っていないんです。これはもう役所独特の慢性病みたいに思っておりまして、予算をつけるというような立場にあるから、どうしてもちょっとうんとなってしまうというところはあるかもしれないし、許可官庁でもありますから、業者さんというか、相手にする方もどうしても下手に出られてくるんで勘違いされるというところもありますし、市町村なんかと比べても、直接県民や住民の皆さんと接することもないかと思うんで、そういうふうになっていってしまっているのかな、ちょっと乖離してきているのかなというような思いはどうしても否めないんですね。
 だからといってこのままでいいのかというと、私はそうではないと思っている。結局コミュニケーションも接遇もきっちりやれたら、県庁の中の組織ももっとスマートにというか、機動的になっていくのかなというように思ったりするんです。部長、来られたばかりで、なかなかお答えしにくいところはあるのかも分かりませんけども、ただ、部長も来られている総務省においても、もっと県庁より悪いのかなというような想像をしたりするんですけども、質問の内容は十分理解をしていただけるんだと思うんです。今県庁で接遇とか挨拶についてどういったことをされているのかということと、あとその認識、これでいいって言われるんだったら、僕ももう立つ瀬がないんですけども、どう思われているかということも含めて御答弁をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長友井泰範君。
  〔友井泰範君、登壇〕
○総務部長(友井泰範君) 議員御指摘の接遇につきましては、新規採用職員を対象にマナー研修を実施し、社会人としての心構えや接遇について学習する機会を設けるとともに、職員の基本的な行動規範である和歌山県職員としての“心がけ”宣言を作成し、毎月1回、接遇向上に関する特集記事と併せて全職員に発信するなど対策を行っており、一定の効果を上げていると考えています。正しい接遇が行われるよう、引き続き継続的な職員の意識向上に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
 新人研修でされているというお話でありましたけども、多分1日程度しかやっていないんだと推測をします。それとあと月に1回発信しているという答弁であったと思うんですけども、これはグループウエアか何かで流されているのかな、そういうことなんですね。流されているということでありました。ただ、じゃ、そのグループウエアに接遇に全く興味のない方が多数おられたとしたら、それを見られているのかというような疑問も湧きます。
 今、私たまに9時より早く来るときはあるんですけども、8時43分ぐらいになりますと、「和歌山県庁職員の皆様、おはようございます。朝のラジオ体操が始まります」、そういう話で、今日も1日ラジオ体操をして気分よくやりましょうというようなアナウンスなんです。それが終わると、万博を盛り上げるということでコブクロさんの曲が流れる。その後に、和歌山県民歌が流れて始業に入っていくと。それぞれ別に否定するつもりはないんですけども、例えば、私なら、「和歌山県庁職員の皆さん、おはようございます。今日も県民のために一生懸命働いてまいりましょう。接遇、挨拶、心がけていきましょう」というようなことを一言入れるだけでもちょっと違うのかなというような気がしております。
 それから、その後にもちろん朝礼があるわけなんですけども、この朝礼でもそういったことを言っていけばいいのになって思っております。部長会議においても、定点的にその辺のチェックをする、また幹部職員の皆さんが県庁正面に出られて挨拶運動なんかをしていけば、これは大分違ってくるのかなというように思ったりしています。なかなか組織病ですから、自分たちから発意的によくしていくというのは難しい。ある意味ちょっと刺激を伴ったものでなかったら駄目なのかなというふうに思います。
 「いやいや、玄素君、そんなことない、ちゃんとできているで」と言われる方もいらっしゃるかも分かりませんけども、まだまだそんな一月もたっていないんですけども、県庁の職員の皆さんから私のもとに、今の事業の進捗であるとか報告であるとかという電話をいただいたりするんです。最近は携帯電話なんで、すぐにぱっと電話を切られるときもあるんですけども、それはまだあんまり音がしないんで。
 それで、今どきですから、なかなかタイミングが難しいかなって思うときはあるんですけども、つい最近、普通に報告をいただいて、電話を切ろうとする前に、多分受話器をカンと投げたんでしょうね。ガチャガチャと音が鳴ったんです。それで、ちょっと離れたところに家内がいたんですけども、「今の電話やな」という調子のことがありました。別にその人を私は責めるつもりはないんですけども、ただ、やっぱり上司の方がそうやって脈々と、そんなの僕も市町村の役場でも見てきたんです。そういうような方があって、そういった組織文化が長いこと続いているからそういうことになっているのではないかというようなこともあります。一事が万事です。組織の瓦解にもつながらないとも言えないので、その辺のところはもうちょっと考えて前向きに対応をしていただきたいということを申し上げて、3点目の質問に行かせていただきます。
 3点目なんですけども、ここに書かせていただいているように、今年、梅の収量がかなり低かったって、農家の方にお伺いすると、3割や4割や6割やという方もいらっしゃった中で、県のほうでもそれは大変だということで、知事の特認という形で、平成18年ぐらい以降に久方ぶりにというのか、融資制度というのを設けていただいております。どういうものかといいますと、上限200万円で金利は見てくれて、それで提出期限というのは9月30日、もうすぐとなっております。農業者の数というのは減り続けている、高齢化もしてきているというのは皆さん御存じだと思うんですけども、一方で、やっぱり農業って業にできるんだ、規模を拡大していけばやっていけるんだという方も相当数出てきたように思います。そういった方は増えてきていると思います。
 ただ、そういった方々が、例えば大規模化して半分の収量で売上げも半分になるかもしれないというときに、その融資が200万円で足りるのかなって、300万円だったら駄目なのかな、400万円だったら駄目なのかなというふうに感じたりするわけなんです。そういう対応というのはしていただけたらいいのになというように思うのが一つと、あとこの申請期間も9月30日なんですけども、今なおまだ申請が続いているというふうに聞いております。その融資の上限額についても、大体250件ぐらいはもう申請が来ていると思うんですけども、そのうちの75%が200万円、上限まで借りられているというのがあるんです。そうであるなら、もうちょっとその金額を上げたってもらってもいいのかなと。農業者の思いに寄り添った対策がやってもらえないのかなというのが私の正直なところなんです。部長、改善をしていただけないでしょうかということについて答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長立石 修君。
  〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 議員御発言のとおり、今年の梅につきましては、降ひょうにより、田辺市、みなべ町を中心に約21億5000万円の被害を受けたことから、県では、被害農家の経営の維持・安定のため、生活営農資金を活用し、市町村及びJAグループの協力の下、無利子での融資を行っているところです。貸付限度額につきましては、肥料や農薬の購入に要する経費など、当面必要な運転資金を想定しており、受付期間も本年の売上げが見込める時期まで延ばすことで、被害農家に配慮した設定としております。
 県といたしましては、今回の融資実績や他の融資制度との関連を踏まえ、被害農家の融資条件等で改善すべきところがないか、今後、市町村やJAグループと検討してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。検討していただけるというような答弁であったんで、前向きな答弁だと受け止めたいと思います。
 私も事業をやっていて分かるんですけども、融資制度って、いや、もう融資制度は設けているじゃないかというような思いは当局の皆さんにもおありなのかなというふうに思うんですけども、ただ、借りるほうは、幾ら金利を見てあげるって言われても、返さないといけないわけなんです。借りるのも大変なんだというのも分かっていただきたいと思うし、部長の給料がそんなことになることはないんですけども、「今年もう、いや、急に半分になったんや、辛抱してくれるか、来年も再来年も分からんけどな」って言われたときに、自分はどういう行動を取るのかというようなところまで思いをはせて、農業者の思いに立ってお考えをいただいたらうれしいなということを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 議長、次、4番目、行きます。
 4番目の体育館へのエアコンの設置ということなんですけども、私の息子及びおいは、今、日高高校で3年なんです。特においはバレーボールをしておりまして、体育館を使うんですけども、何とかならないのかということをずっと言われ続けてまいりました。いずれやっていただけるだろうって思っていたんですけども、一向になかなか進まないというようなことで、この質問をさせていただくんですけども、まだそんな重大事故にはなっていないんでしょうけど、これだけ暑さが続けば、どこかで県の管理責任を問われる、例えば熱中症でそれが死亡事故につながるようなことが起きないかなというのを心配しているんです。そういうことのないように、もう早く整備をしていただきたいというのが問題の趣旨であるんですが、教育長、御答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 本当に暑い中の体育館のエアコン設置につきましては、今年度中に、避難所に指定された体育館に優先的に大型冷風機の導入を進めてまいりたいと考えております。また、避難所に指定されていない体育館及び武道場につきましても、早期に大型冷風機を導入できるよう計画してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 教育長、答弁ありがとうございました。私は、県議会議員にならせてもらって6年目ですけども、今まで教育長にもいろいろ質問をさせていただきました。理路整然と淡々とお話しされるので、あまりいい答弁ではないのかなと思いましたけども、いい答弁をいただきまして、過去一でありました。ありがとうございます。
 ただ一つ、やっぱりちょっと苦言を呈させていただきたい、お許しをいただきたいんですけども、大型冷風機を導入していただけると、それと避難所に導入をしていただけるというようなお話でありました。そういった話を聞きますと、議員の血が騒ぐんですけども、大型冷風機って幾らぐらいのものなのかなって。購入されるけども、まとめて買うんだったら安くできないのかなとか思うんです。大型冷風機ということは、冬になったら暖房って使えないだろうなって、使えるのかなというようなことも考えるんです。避難所というお話もあったんですけども、高校の体育館って36ぐらいあったと思うんです。その中で避難所に指定されていないところは、神島と、それから海南の美里と、南部の龍神、三つだけだったと記憶しております。一遍にやったらいいのになというようなことも思うんです。
 あとそのほかにも、避難所に設置ということは、緊急防災・減災事業債は使えるのかなって思ったりするんです。そうなると、費用の7割は交付税で戻してくれることになると思うんで、もっと一遍にもうちょっとギアをシフトアップできるのになとかというようなことも考えたりするんですけども、今年度で実施するというのは、当初の予算へのっていなかったと思うんで、冒頭、私が申し上げたように、流用で実施をされるということになるんです。もちろん議会が知らない間にそれが執行されていくという状態が起き得るんですね。できれば我々も、今私が申し上げたような疑問点をしっかりもんでやったほうが、例えば12月議会にでも上げてもらったほうがそういった議論もできるでしょうし、今慌ててやらなくても、もう今年の夏には間に合わない。間に合わすんですか。間に合わないですよね。だから、そうであるのなら、まだ議論する時間もあるのになって。これが流用の悪いところだというふうに思っております。最低限にすべきだと思っているので、その辺のところは1回お考えをいただきたいなということを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
 続いて、5番目であります。
 和歌山県の先を見据えた金融教育についてということなんですけども、「私、ファイナンシャルプランナーです」というのは、この議場でもお話をさせていただいたことがあるかと思います。だからといって、それを業としてやっているわけじゃなくて、どんな商品を買ったらいいんだとかというようなことを聞かれたときに、そのお答えを差し上げるというようなことをさせてもらっているんですけども、もうこの年になって、今年もう私は50歳を回って51歳になったんですけども、やっぱり思うのは、人生お金があったにこしたことはないということなんです。それが豊かな人生を送るために、かなりの大きな要素を占めているんだというふうにも思うんです。
 そんな中で、和歌山県の平均所得って、全国の平均所得というのを取りますと、毎年大体男女で合わせた全国平均というのは440万円前後ぐらいなのかなと思っております。一方、和歌山県のそれはといいますと330万円前後、大体100万円から110万円ぐらい水をあけられているというのが現状なんだと思うんです。じゃ、それを何とか埋めるために、例えば1次産業をどんどん伸ばしていくとか、企業誘致をするとか、技術革新を起こすとか、ロケットの関連産業を呼んでくるとか、要は給料をたくさんくれるところの会社を引っ張ってくるようなことをしなければならないというのは分かっているんですけども、なかなかそんなに簡単にいくものではない。
 ただ、もし平均所得は上げられなくても、金融資産で、これを分かりやすく言えば、今言われているiDeCoとかNISAとか、こういったものを上手に活用していけば、うまいこといくのではないかな。もっと言えば、例えば10年後、20年後に和歌山県の人口1人当たりの積立投資額が全国で1位になるぐらいを目指してやったならば、総資産額ランキングというものがもしあったとしたら、和歌山県で10番ぐらいまでに入るんじゃないかなと、そんなことを思っているんです。
 じゃ、その積立投資をやっていくのに何が大事かというと、やっぱり若い頃からその必要性を、預金するよりもずっと有用なんですよというような教育をやっていくこと。ドル・コスト平均法といいまして、やっぱり積立投資も長いこと期間があれば、雪だるまというのがどんどん大きくなってまいりますから、それは有用になってくるというように思っているんですけども、なかなか踏み込んで教育長もお答えはできないかも分からないですけども、できるだけ早いうちからの金融教育についての教育長の認識についてお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 早い段階から金融について正しい知識と感覚を身につけ、様々な経済活動の変化に臨機応変に対応できる力を養うことで、将来の豊かな人生につながると考えます。今後も、昨今の金融の多様化、複雑化に対応するために、教員の指導力を向上させるとともに、児童生徒の発達段階に応じて専門家の話を聞く機会を設けるなど、外部機関等と連携し、金融教育の推進に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 教育長、答弁ありがとうございました。その辺ぐらいまでしかお答えはできないかと思うんですけども、ただ、認識としては前向きに考えられているというのが伝わってまいりましたので、答弁を了としたいと思います。
 一つの例なんですけども、100万円あるとしたときに、年利3.6%という利回り、複利で回して、72の法則というのがあって、それに当てはめると、20年で年率3.6%だったら倍にできるんですね。だけど、1年定期、今ちょっと前まで0.025%の金利であったと思うんですけども、1年定期をずっと積み上げていってというか、利回りで回していって倍にするためにはどれぐらいの年月がかかるかといったら、2880年かかるんです。72の法則に当てはめて、例えば10年で倍にしようとしたら、7.2%で回せば、10年で倍にできるというような計算式があるんですけども、いかにその差が開いていくかということが分かっていただけるんだと思うんです。
 ちょうど11年ぐらい前に、私は選挙で落ちて浪人時代を迎えていたんですけども、その頃に、今高校1年と3年の娘、息子がいるんですが、この子らの将来のために、1万円でもいいから利回り3.5%目標の変額年金の積立投資があるんだという話を家内に説明をして、積立てをしましょうよって話をしたら、家内にいぶかられまして、大丈夫かというような目で見られたんですけども、今質問で申し上げたような内容を言って理解をしてもらったんです。この8月に11年程度たって、その実績を見てみますと、260万円の元本に対して489万円になっていました。目標は3.5%だったんですけども、それは利回りはよかったということなんですけども、それだけ積立投資というのは有効なんだって、大きな下落があっても、むしろたくさん株を買えるといって楽しめるのも、また積立投資のいいところだと思っております。
 そういったところはアメリカがかなり先進的に早めからやっておりましたので、日本の資産というのは、1990年から比較すると倍になっているんですね。一方で、アメリカのそれはというと、7.5倍になっているんです。それだけ聞くとアメリカ人のほうがいいなというのは分かっていただけるんですけども、そういった有用性というのも考えていただいて、別に教育分野だけの話ではないんですけども、県民の財産の構築というのをきっちりやれば、正しく理解してもらえば、リスクを取らないことがリスクだということを分かっていただけると思うんで、ぜひお考えをいただきたいなということを申し上げて、次の質問に進ませていただきたいと思います。
 教育長、あと1点、よろしくお願いいたします。
 学校教諭のサポート体制についてということなんです。
 不登校児が最近多くなってきたとか、学校で問題化される生徒さんも増えてきたというのは皆さんも御承知されていることだと思うんですけども、そういったことが明るみに出ていて、国のほうも対策をしてくれてあって、また県のほうでも令和2年からサポートするためのタスクフォースというのがつくられていて、要は弁護士さんであるとか、学校の先生のOBさんであるとか、臨床心理士さんであるとか、そういった専門家の方々が中心となって個別案件に当たっていただけるというような形ができていて、これは一定評価されるものだというふうに思っているんですけども、ただ一方で、いわゆるモンスターペアレントと言われる方が、商売されている方からいうとカスタマーハラスメント、そういったことを受けられている先生に対して、しっかり守れているのかなと。
 というのは、最近なんですけども、やっぱり私の耳にも、先生、結構、夜中に電話かけられて困られているんだとかというような話であるとか、ほかの方に聞いても、先生、結構、保護者の方にいじめられているでというようなことも聞いたりするんです。1万人ぐらい和歌山県に学校の先生がいらっしゃるから、100人、200人ぐらい、事故率という言い方が正しいかどうか分かりませんけども、そういったことも起こり得ているんだろうなというように思うんですけども、ただ、やっぱりこれから先生になってもらうかというような人材のためにも、また、心身に支障を来すというようなことをできる限り少なくするためにも、もうちょっと踏み込んで対応をしていただけないのかなというふうに思ったりするんです。
 教育長、今どんな対策をしているのか分かりませんけども、お答えをいただくとともに、その認識について御答弁いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 近年、保護者や地域住民等から学校に対して求められる事項が多様化しており、教職員が不安や悩みを抱えている場合が少なからずあると認識しています。現在、保護者からの過剰な苦情等については、各学校が「チーム学校」として、管理職を中心に解決に取り組み、さらに、教育委員会もその解決を支援する体制を構築しています。また、県教育委員会では、教職員対象のストレス相談窓口を設置しており、課題解決に向けた支援を行っています。今後も、教職員がより安心して業務に専念できる環境を整えてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 教育長、答弁ありがとうございました。
 ポイントとしては二つありまして、一つは、そういったモンスターペアレントから攻撃を受けられている先生に対しては学校で管理職を中心に対応されているということであったんですけども、私が例えば管理職、教頭先生あたりになってそういった事案を受けたときに、やっぱりどうしても考えてしまうのは、「自分自身の管理評定に傷がついたら悪いな、校長を目前にしてあるのに、何か教育委員会へそういった報告を上げて、またお叱りを受けたら悪いな」というようなことを考えてしまうとしたら、部下の方に「もうちょっと辛抱してくれへんか、校長先生に今度異動言うさかいに、もうちょっと辛抱してくれへんか」というふうなことを言われるのかもしれないという想像をするんです。そういうこともあるからこそ外部に漏れてくるんだと思うんです。
 あと、教育委員会でも相談体制をされているというお話であったんですけども、大分悪くなってから相談体制をされているというようなことを感じたりしたんですけども、私はやっぱり先生方に盾を持っていただきたいというふうに思っているんです。どういうことかといいますと、私たちももう携帯電話番号も公にしているんで、よく分からない団体から厳しいことを言われたり、もう人格否定される電話もかかってくるんです。自分も精神的にやられますけども、ただ、そんなときに一言、盾として申し上げているんですけども、「今申し上げられていることというのは、私の政治活動を妨害、場合によっては威力業務妨害になるおそれがありますので、以降、会話は録音させていただきますので、場合によっては訴えさせていただくこともあるかもしれないので、それを承知でお話しくださいね」って、こう言うようにしているんです。そうすると、以降それから、そういったことを言われた方が電話してくることもコンタクトをされることもないんです。
 やっぱり先生にも一定、教育委員会として、ひど過ぎるという保護者の方というのは分かるはずなんです。カスタマーハラスメントみたいなものに企業が対応する指針みたいなのをつくってあるように、教育委員会としても、もう1日3回電話してきてクレームを言われたら、その方と直接担任の方とは会わせませんとかというようなことも含めて、そういった対処方針を取ってあげたら、先生方も学校も対応しやすいのかなというように思いますし、例えば教育委員会に弁護士さんがおられるのかどうかは分かりませんけども、そういった顧問弁護士さんとダイレクトに先生が相談できる。もちろん弁護士さんに相談するということは秘密厳守にもなりますから、相談するほうも安心して相談できるのかな。1件当たり幾らとかとしてもいいんだと思うんですけども、そういったぐらい多段的にやってあげないと、なかなかこの問題というのは解決していかないのかなというふうに思いますので、もうちょっと踏み込んでいただけたらということを申し上げて、次の質問に進ませていただきたいと思います。
 次、7点目です。7点目と8点目に関しては知事からお願いしたいと思います。
 宿泊税の導入につきましては、6月議会において三栖議員からも質問があったと思います。私も、もう遡ること5年前、宿泊税についての質問をさせていただきました。財政が厳しいんだと危機警報も出されて、だからといって、やっぱり政策の経費を捻出するということがなければ、紀北のほうは割かし企業誘致もうまくいっているかも分かりませんけども、紀南のほうへ行きますと、やっぱりなかなか企業誘致もできない。そんな中で、観光業というのは一つの大きな光だと思っているんですけども、そこにやっぱり行政としても資本投下をしていかなかったら、実効性は担保できない。そのお金を、別に観光業を目的として集めて投資するんですから、誰にあまり文句も言われることなくやれるような税というものが、お金というものがあればいいなというふうに思っているんです。
 そんなこともあって、6月議会が終わった後に、有志と福岡市に宿泊税の勉強をしに行ってまいりました。当然6月議会で知事が御懸念をされていた要は関係者の合意形成というところで、当然6000円の宿泊のところに税を掛けて6500円とかになったりすると、それは宿泊料が高くなったなというようなことで、お客さんが来てくれないのではないかなというような御懸念もあると思いますし、税の徴収ですから、特別徴収するのに新しいシステムを導入しなきゃならないのかなというようなことも御懸念をされると思うんです。ただ、「税を導入した後に、そういった直接の事業者さん、関係の方からクレームはありますか、御意見がありますか」ってお伺いをしたら、福岡市の担当者の方は、「ほとんどないです」という話でありました。結局、宿泊税で徴収した税を還元してくれるわけでありますから、そうやってあまりクレームも出ないのかなというふうに感じたりいたしました。これが1点。
 それと、こっちのほうが厄介だなって思ったことがあるんですけども、それは何かというと、宿泊税って別に都道府県が導入するだけでなくて、市町村も導入できるんです。市町村が先行して宿泊税の制度を設けた後で、例えば県がやるんだということになると、この調整というのが相当厳しいんだなということを、視察に行かせてもらって感じたんです。福岡市の担当の方に、「どこ悪いんよ、どこが問題なんよ」と言っても、もう濁されたんです。それだけその交渉が大変だと。例えば、500円の宿泊税を取るに当たっても、県が150円、いや、市町村が350円とか、こういうような話をするのが、先に県が手を挙げておけば、そのルールというのはほかの市町村、和歌山の場合だったら30市町村にルールが適用されるんですけども、先に市町村がやってしまったら、そういった事務的にも苦労的にも相当大変なのかなというのは私の感想なんです。
 そういった中において、タイミングとしては検討会も──検討会って言われたのかな、要は研究してまいりたいということで知事は6月におっしゃっていたと思うんですけども、その検討状況も含めて、あと、やっぱりこれはトップの判断に最終的になろうかと思うんで、知事の答弁というか、その宿泊税に対する熱量について、6月議会とかぶるところもあるかも分かりませんけども、もうその答弁から思いというのを感じ取りたいと思いますので、お答えをいただけたらと思います。知事、よろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 宿泊税につきましては、先ほど玄素議員がおっしゃられたとおり、6月定例会で答弁したとおりでありますけれども、財政需要があるのかどうか、それから、今、議員も御指摘されましたけど、関係者の理解を得ることができるのかどうか、さらに、また今詳しく玄素議員からおっしゃっていただきましたけど、市町村とのバランスも含めて、県全体でどのように考えていくのか、種々課題があると考えております。
 現在なんですけれども、宿泊税を導入済みの地域に関する制度設計、あるいは導入までのプロセスなどにつきまして情報収集を行っております。県庁内の関係各課で具体的に研究を進めているところでございます。これからの和歌山県の観光の状況、取り巻く環境を考えますと、宿泊税といいますのはやはり大変貴重な財源となります。これも玄素議員御指摘のとおりでありますので、今後、広く関係者や地域の皆さんを交えてよくよく議論をしながら、しっかりと研究を続けてまいりたいと存じます。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、答弁ありがとうございました。少なくとも後ろ向きではないというのは今の答弁で分かったので、今後、期待をしたいと思います。
 宿泊税というのは、6月議会の頃は、東京都と大阪府と福岡県、この三つの都道府県であったと思うんですけども、今、都道府県で検討しているところは、北海道、沖縄県、千葉県、長野県、それから広島県も検討を始めたというか、条例提出に向けてやられているということであります。やっぱり財源がないですから、仮に宿泊税を検討していないところでも、公共交通機関維持をするために、そのための税を、あるいは滋賀県なんかもやっておられるし、太陽光発電なんかに、東北のほうへ行きますと、一定事業者に賦課金をかけるというようなことをされて、みんな腐心されていると思いますので、今後の知事の英断というか、職員の皆さんの検討作業に期待を申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 最後になりますけども、長期総合計画における人口増対策についてであります。
 来年9月をめどに、今、長期総合計画をつくる作業、あわせて、実施計画もつくられる作業をされているんだと思うんですけども、私も長期総合計画というものに今まで対峙してまいったんですけども、あれもこれもどれもそれもやりますというふうには長計には書いてあるんですけども、だけど、じゃ、結果はどうだったのかと、数値目標なんかもあんまり達成できていないな、言っていることができていないな、何かもうつくるためのものであるような感覚を持ってやまないんですね。
 実際、都道府県が長計をつくる必要があるのかというと、つくらなければならないというようにはなっていないんだと思うんです。そう考えると、うがった見方なんですけども、そこに時間とマンパワーと財源を使うのであれば、知事の思われるところにがしゃっともっと力を入れたほうが結果としてよくなるんじゃないかなと。そんな想像もするわけなんですけども、いずれにしても、人口減少している、毎年1万人ずつ減っていく中で、人口が減っていくということに対しての対応は、よく知事も答弁とかでやっていくんだと。当局の皆さんと話をしていても、ああ、なるほど対応はされていくんだなという温度感は感じるんですけども、人口を増やしていくんだ、人口を増やすために何をすべきかということについては、かつて私も議会で質問というかお話をさせていただきましたけども、雇用を増やさないといけないとか、子育て政策をしないといけないとか、住む場所の確保、しっかり安いところの土地を確保しないといけないとかって話しましたけども、こういったことについて、前のめりで議論をされているような感じを受けることがないんですね。
 だけど、20年、30年後、振り返ったときに、あのとき人口を増やすための対策ももっとやっておけばよかったと、これは都道府県でそれをやるところとやらないところの将来的に差がぐっと出るんじゃないかということを物すごく私は気にしているんです。そんなことで、知事に人口を増やす対策について、この長計及び実施計画について考えているんだよということであれば、その旨をお答えいただきたいし、いや、そうではないんだと、いや、別にそこまで考えていないんだということであれば、その旨御答弁をいただきたいと思いますので、知事、どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 今の御質問にお答えしたいと思います。
 私どもと玄素議員で問題意識が違っているとは理解をしておりません。人口は増えたほうがいいのに決まっているわけでありますし、後ほど述べますけども、我々も人口を増やすための努力は政策としてやっているわけです。ただ、言葉の定義ですけれども、人口を増やすといったときに、今の89万人を100万人にするということで人口を増やすとおっしゃっておられるのであれば、それは私どもとは少し考え方が違うと思っております。
 日本全体で、人口減少というのは避けられないトレンドであります。昨年、一昨年、赤ちゃんが80万人を切ってしまいました。私どもの頃は、もう200万人近い赤ちゃんが生まれていたわけであります。80万人の半分は女性でありますけれども、40万人の女性が出生率2.06になったとしても人口は減るんですね。そういうことはきちんと科学的に踏まえていただいた上で、しかし、何もやらないよりは人口を増やすという意味で、私どもは当然、言葉の使い方ですけれども、人口減少を抑制する、減るのをちょっとでも止めるという意味で、私は人口を増やしたいという政策を行うのは当然だと考えております。
 具体的には、私どもは、グローバル人材を育成したり、あるいは輸出を拡大し、観光振興などで海外の活力をまず和歌山県に取り込むんだと、それで経済を活性化していくんだと。そして、本県の地域特性や地理的条件と親和性の高い成長産業、特にGXですね、脱炭素の成長産業を誘致・集積をさせていきたい。そういうことで、人口減少を抑制する施策を推進するというのは当たり前であります。
 しかも、今回10月から実施しますけども、学校給食費の無償化のように、誰もが希望に応じて安心して子供を産み育てられる環境づくり、さらには、移住・関係人口を拡大すること、これはかなり成果が上がっています。それから、外国人材を積極的に受け入れていくと。これらについては、これまでもやってきましたが、今後も全力で取り組んでまいる所存であります。
 そのような努力をしても、トレンドとして、例えば2000人、3000人は増やすとしても1万人減っていく、そのトレンドはなかなか止められない。そうなったときに、まさに市町村の行政、県の行政が、少ない人口であっても、県民お一人お一人がしっかりとウエルビーイングな、幸せな生活が送れるような、そういう行政の在り方はどうすべきかということについて、新しい総合計画で議論してまいりたいと思っておりますので、ぜひまた御指導をお願いしたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、答弁ありがとうございました。正面向いてきっちりお話をいただいたんで、人口増というか、減っていくのを抑制する、このことについての意識というのは伝わってまいりました。ただ、長期総合計画で実施計画、あれもやりたい、これもやりたいっていっぱい書いてあるんですけども、やっぱりなかなかできていない、少しずつやっても、これをやったということにはなるんですけど、実効性が上がらないとやっぱり駄目なんだと思うんですね。ですから、財源をしっかりそこでつけていただくということをしないと、ある程度取捨選択して、ここへ行くぞというのを決めなければ、また同じだなというふうになってしまいがちなんで、その辺のところはお考えをいただきたいと思います。
 30年後、どうなっているのかなというふうに私も想像するんです。この長期総合計画は、2040年ということをイメージされていると思うんですけども、今から──知事もさっきおっしゃってくれていましたけども──人口が1万人ずつ減っていく、88万人だったら58万人になっていくのかなって。そのときに、いやいや、心配ない、今よりずっとよくなっていると言う方にはそんなこと申し上げることはないんですけども、私自身、やっぱり30年後を今から想像したときに、よくなっているというようなイメージというのは湧かない。だけど、そこにやっぱりチャレンジをしていかなければならないんだと思っております。
 知事はじめ当局の皆さん、私は、非常に優秀な方々だと思っているんです。ですから、その情熱を県庁の職員全体でやっぱりかき集めて、頭が沸騰するぐらい考えて、何をすべきか、そしてどうやっていけばこの難局に立ち向かえるかということを考えていただければ、相当な部分を私はできると思っておりますので、今後に御期待を申し上げ、エールを送らせていただいて、私の8項目めの質問を終わらせていただきたいと思います。
 以上で、私予定しておりました一般質問を全部終了しましたので、以上をもって質問を終わりたいと思います。お付き合いをいただきましてありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、玄素彰人君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時53分休憩
────────────────────
  午後1時5分再開
○議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得ましたので、質問させていただきますが、その前に、さきの有田市県議会補欠選挙で当選された上山議員、誠におめでとうございます。これから有田市のみならず、和歌山県の発展のために、共に御尽力されることを心よりお願い申し上げます。
 さて、今回も、人口激減、どうする和歌山について質問をさせていただきます。
 午前中、2人目の質問で、玄素議員から、人口減少について真剣な取組をするべきだというような、大変な提言がございました。まさにそのとおりであります。
 現在では当たり前のように言われている人口減少ということですが、私自身、約10年間の長い浪人生活の中で肌で感じたことを、2003年(平成15年)の初当選した後、まず県庁の統計課──現在の調査統計課──に行き、和歌山県の人口動態や将来人口推計について調べました。これも以前から言っているとおり、2000年(平成12年)の県全体の人口は107万人と、ピークの1985年、約108万人から少し減少傾向にあるとはいえ、その当時は人口減少についてほとんど問題になっていなかったことも事実であります。
 しかし、じっくりと調べてみると、2020年には人口が約92万人になり、2000年から比べて15万人も減少するということが分かり、将来の和歌山のことを考えると本当に不安になってまいりました。そして、初当選から8か月後、この壇上に立ったとき、まず第一に掲げたテーマが、(新聞を示す)前にも申し上げました「人口激減!どうする和歌山」であります。
 この当時、「人口激減」という言葉自体、今から21年前でありますから、かなり刺激的でしたが、私にはこれからの和歌山はそうなってくると確信し、発言した次第であります。
 質問前に県職員といろいろと議論する中で、減少は分からないでもないですが、激減というのはどうでしょうかという異論もいただきましたが、今では全国の地方自治体の職員や我々のような自治体議員もよく読んでいる「月刊ガバナンス」2024年5月号にも、(「月刊ガバナンス」を示す)特集で「人口激減社会から目をそらさない」とあり、ようやく時代が私に追いついてきたという実感でありました。
 また、玄素議員から30年後はどうなっているかというようなお話もございましたが、資料1を御覧ください。これですね。
 私は、昨年9月定例会で提示した県議会議員の選挙区別2040年の人口推計と今年の2月議会の2050年までの各市町村別の人口推計をまとめて、県議会議員の選挙区別2050年の人口推計とその増減率を国勢調査で、和歌山県の人口が最多であった1985年(昭和60年)と比較したものであります。
 一部を紹介いたしますと、一番減少しているのは東牟婁郡の5万6980人から1万6992人でマイナス70.2%の減少率、2番目が伊都郡の3万8373人から1万1474人でマイナス70.1%の減少率、3番目が新宮市で、4万465人から1万5423人でマイナス61.9%の減少率ということであり、以下、表記のとおりでありますが、岩出市のみ2万8066人から4万5396人で61.7%の増減率で、14ある選挙区で唯一増加しているということであります。
 確かに、全国的に2008年をピークに多くの府県で人口減少はしておりますけれども、次の2問目の1でも明示するとおり、我が和歌山県は、その中でトップテンに入っているということを県民の皆さんに知っていただき、いい意味で危機感を持っていただけるよう、今回、資料提示し、質問している次第であります。
 そこで、質問ですが、現在よりさらに人口減少が大幅に進むと考えられる2050年の和歌山県の社会はどのようになっているのか、知事、その姿とそれに対する心構えについて、県民の皆さんによく分かるように御説明ください。
 2番目に行きます。
 和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略について。
 御存じのとおり、元総務大臣の増田寛也さんが座長を務めた日本創成会議が2014年に発表したデータによると、2040年には和歌山県の人口が約69万人まで減少するということで、全国的にも896の自治体が消滅可能性があるということで、当時大きな話題になりました。その発表を受けて、安倍内閣では地方創生ということで、本県でも和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略を作成し、地元に人を定着してもらうための施策が練られました。
 その概要は、総合戦略として、長期人口ビジョンで示した2060年の人口おおむね70万人を達成するために、最初の5年間──最初の5年間というのは2015年から2019年──における目標や施策等をまとめたもので、そして、次の五つが基本目標として設定されました。
 それによりますと、1、安定した雇用を創出する、2、和歌山県への新しい人の流れを創造する、3、少子化を食い止める、4、安全・安心な暮らしを実現する、5、時代に合った地域をつくるということですが、この5年間、さらに今までの5年間でどうだったのか、企画部長、お答えください。
 3番目へ行きます。
 定常化戦略と強靱化戦略について。
 この2月議会で皆さんに御紹介をいたしました「中央公論」本年2月号の緊急提言、「人口ビジョン2100」人口戦略会議は、令和生まれが見える2100年の日本、人口6300万人、4割が高齢者に──地方消滅増田レポートから10年で、日本の人口が2008年の1億2808万人から、2100年にはその半分以下の6300万人になり、高齢化率も4割を超えるという記事でありました。
 そこで、この人口戦略会議では、総合的、長期的な戦略として、定常化戦略と強靱化戦略の二つを示しておりました。
 定常化戦略とは、人口減少のスピードを緩和させ、最終的に人口を安定させること、人口定常化を目標とする戦略で、そして質的な強靱化を図り、現在よりも小さな人口規模であっても、多様性に富んだ成長力のある社会を構築するのが強靱化戦略であるということですが、特に和歌山県では、定常化戦略については、日本全体で人口がピークに達した2008年ではなく、既に1985年に人口がピークに達し、全国より23年も前に人口減少が起こっているだけに、のんびりと構えている場合ではありません。
 人を少しでも地元和歌山に残すため、合計特殊出生率を上げることについて、共生社会推進部長、また、多くの人が納得できる雇用創出について、商工労働部長、御答弁をお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 浦口議員の御質問にお答えしたいと存じます。
 今から約30年後の2050年に向けた本県の人口減少の状況でありますけれども、過去30年と比較して約2倍の速さで進行し、2050年には約63万人、現在の人口の約7割にまで減少すると予測をされております。
 従来から申し上げていますとおり、人口が少ないこと自体は問題ではありません。明治維新は3000万人台、敗戦後の1945年は7000万人台でスタートしているわけであります。問題は、人口減少のスピードの速さ、それから年齢構成のバランスを欠くこと、さらには、長期的に見て就業構造の変化などが問題であると考えております。
 そうは言うものの、私としては、給食費の無償化など、子育て世帯の支援、移住・定住の促進、外国人材の積極的な受入れ、成長産業の誘致・集積など、人口減少の抑制・緩和には最大限努力すべきであると考えております。そのための努力も、これまでも、また今後も続けてまいりたいと思っております。
 一方で、その効果が最大限に発揮されたとしても、人口減少の大きなトレンドを覆すまでには至らないと考えております。その結果、産業のみならず、教育や医療、福祉、防災など、地域社会を構成するあらゆる領域におきまして、深刻な影響を及ぼすことが想定されます。それらの影響を正確に把握し、県議会をはじめ、市町村、県民の皆様と課題の意識を共有しながら発想の転換を図り、一丸となって対処していくべきであると考えております。
 したがいまして、現在策定作業を進めております新しい総合計画におきましては、現在の延長線上にある未来を具体的に予測し、急激な人口減少のスピードと、年齢構成や就業構造の変化に合わせて、社会経済の構造をどのように適応させ、政策的に解決していくのか、全庁を挙げて、ただいまのところ議論をさせていただいているところでございます。
○議長(鈴木太雄君) 企画部長前 昌治君。
  〔前 昌治君、登壇〕
○企画部長(前 昌治君) 和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略や和歌山県長期総合計画の人口目標の基礎となっている和歌山県長期人口ビジョンでは、2025年の目標値を約90万人としていますが、現時点で既にその数値を下回っており、県全体として人口減少の大きな流れを変えるには至っておりません。
 しかしながら、この10年間、国の地方創生関連の交付金等を積極的に活用しながら、市町村と協力した少子化対策や産業政策、観光振興、移住政策等に取り組んだ結果、地域の活性化に寄与できたと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 共生社会推進部長島本由美君。
  〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 合計特殊出生率を上げること、つまり、少子化対策は日本全体の課題であるため、国を挙げて取り組む必要があります。
 少子化対策のための政策強化の具体案を盛り込んだ国のこども未来戦略を踏まえ、若い世代の所得向上に向けた取組、全ての子供・子育て世帯を対象とする支援の拡充、共働き・共育ての推進の三つを柱として、県も国と足並みをそろえ、個々の施策を進めております。
 県独自の施策としては、本年7月、県内企業の子育てしやすい職場環境の整備を図るため、専門的知識・経験のある子育て社員応援アドバイザーを雇用し、男性育休の取得促進を図るなど、個々の企業の実情を踏まえた助言を実施するとともに、和歌山こどもまんなか応援団への参加を県内企業や団体に呼びかけ、子育てを社会全体で応援する機運を醸成しているほか、子育て応援を支援するため、学校給食費の無償化を実施することとしております。
 市町村においては、妊娠届出時や出生届出時等に出産、育児等の見通しを立てられるよう、保健師等が面談し、利用できる支援サービスや育児休業制度など、その時々で有用な情報を提供する伴走型相談支援を実施し、安心して子育てできるよう取組を進めております。
 今後も、市町村と共に、子供や子育て世帯に優しい社会になるよう、子供・子育て支援策の充実を図ってまいります。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長大川伸也君。
  〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 定常化戦略と強靱化戦略についての多くの人が納得できる雇用創出についてお答え申し上げます。
 和歌山に残り、和歌山の企業で働いていただくためには、多くの人が憧れ、若者に選ばれる企業を増やすことが重要だと考えております。
 そのため、県では、2022年から、デザイン経営の手法を用いて企業の魅力アップにつながるよう、県内中小企業の企業価値・商品価値の向上、売上増加を図る取組を支援しております。
 また、本年度から、県内企業が求職者からも従業員からも選ばれ続ける企業になるためのブランド戦略として、和歌山県中小企業採用ブランド構築支援事業も開始したところです。
 県としましては、これまで行ってきた企業誘致の取組に加え、若者が魅力的で働きたいと思えるような取組を引き続き進めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事はじめ3人の部長、御答弁ありがとうございました。
 特に再質問ではありませんが、一言申し述べたいのは、知事、地域産業のみならず、教育や医療、福祉、防災など、地域社会を構成するあらゆる領域において深刻な影響を及ぼすことが想定されるということでありますし、これは全くそのとおりだと思います。これはもう皆さん少しずつ肌で感じていると思うんですが、しかし、もう既にこの25年間で20万人近い人が和歌山県から減少というよりも、和歌山県から消えていっているわけです。この事実を重くというか、未来志向も結構なんですけども、実際これだけの人数が減っているということをまず踏まえていただきたいと思います。真剣にそのことを考えていただきたいなと思います。知事はこれからいろいろなことを、政策をつくられると思いますが、どうぞよろしくお願いしときます。
 それで、企画部長については、和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略について、もちろん何もやっていないと私は申しませんし、そのいろんな内容も聞かせていただきました。しかし、結果として、これは一つのトレンドというか、流れかもしれませんが、安倍内閣で目標とした地方に人を残すということが、ほとんど歯止めがかからず現在に至っているということも、そういうふうに言われても致し方ないと思います。
 共生社会推進部長については、確かに少子化問題は国全体の深刻な問題ですが、県独自の結果を出せる施策を進め、これは、特に各市町村長において、レベルによって特殊出生率を上げる努力が必要ではないかと思いますので、その辺よろしくお願いを申し上げます。
 商工労働部長につきましては、若者に選ばれる企業を増やすことが重要であるということで、そのために企業価値を高める取組まで支援することは、非常に大事なことだと思います。
 しかし、もう40年近く前から雇用の場が相対的に和歌山から少なくなってきて、この人口減少というのは、特に若い人が少なくなってきているという事実をぜひ正面から御認識をいただきたいと思いますし、このスピードがまだまだどんどん進んでいくということは間違いありませんので、その辺の御認識を改めてお持ちいただきたいと思います。
 それでは、2番目に行かせていただきます。
 和歌山(市)の経済再生について。
 1、新産業・プロスポーツビジネス創出について。
 まず初めに、資料2を御覧ください。
 これは、全国の人口減少率をランキングしたものでありまして、平成31年2月議会で提示した人口減少率全国ランキング、1985年から2015年──略して2015年と言いますが──この30年間と、今回初めて提示する1985年から2020年──略して2020年──の35年間の図を見ていただきたいのですが、2015年では、人口減少県24県で、和歌山県はマイナス11.4%の減少率で全国で7位、和歌山市は、都道府県庁所在市で人口減少市は10市で、長崎市に次いで2番目に高いマイナス9.3%の減少率でありました。
 しかし、2020年では人口減少府県は30府県に増えましたが、和歌山県はマイナス15.1%の減少率で9位に、また、人口減少県庁所在市では13市に増えましたが、和歌山市はマイナス11.1%の減少率で3位になりました。2015年に比べると、2020年が和歌山県市とも他府県に比べて減少の仕方が少し緩やかになり、その要因はやはり仁坂知事と尾花市長ができるだけ大学の進学希望者を県内、特に和歌山市に残すため、新しい大学の誘致や学部の新設を進めた結果、学生や教員などの関係者が和歌山市または県内で定住した結果だと思います。つまり、政策の実現により、少しでも人口減少に歯止めをかけたと言えるのではないでしょうか。
 次に、和歌山市の市民生活に関係した経済を探るためにいろいろと資料を調べていると、総務省の家計調査2019──2019年ですね、これは──という表が出てまいりました。
 資料3を御覧ください。
 これは、非常に分かりやすい図なんですが、県庁所在市のいわゆるお金の収入だとか、支出だとか、貯金を調べたものでありますけれども、和歌山市民の収入は年間502万円で、青森市、那覇市に次いで3番目に低く、東京都区部やさいたま市の約3分の2しかないということであります。これは、大体2人家族以上という単位だそうでありますが、次に、貯蓄ですが、昔から和歌山人は貯蓄高が全国でもトップクラスとよく言われておりましたが、確かに、収入の少ない青森市や那覇市に比べて貯蓄がそれなりにあるとはいえ、全国で31位の1460万円でした。
 そして、負債、借金なんですが、何と237万円で全国最下位であり、これはすばらしいことですが、和歌山市民の借金嫌いという面も出ていると同時に、トップのさいたま市などは住宅ローンなどの借金が多いのではないかと思われます。それに比べて和歌山市は──県全体ですが──空き家率も全国一高く、路線価も全国一上がっていないようですから、他府県に比べて土地や住宅にお金をかけなくてよいということが想像できます。
 さらに、貯蓄から負債を引いたものをランクづけしますと、手元に残っているお金が全国で20位と、まあそれなりにお金を持っているということが分かります。
 このことから分かる経済的な状況は、和歌山市民は、それなりにお金は持っているけれども──ストックですね──入ってくるお金が少ないので、お金をあまり使わず、和歌山市内、特に和歌山市内の世間にお金が回っていない──フローのお金が回っていないということですね──ということが想像できます。
 今後、地元経済を回して景気をよくするためには、やはり収入を高めていくことが一番だと思いますし、また、お金を気持ちよく使って回していく社会をつくっていかないと、地元経済がまだまだしぼんでいくのではないかと思います。
 それに加え、岸本知事が財政危機警報を発し、和歌山県の財政がシーリングマイナス15%でより厳しいのであれば、外から民間の力を生かすことが地元経済にとって今こそ必要ではないかと思います。
 以前、視察のときに通りました台湾の半導体メーカー・TSMCが進出している熊本県の菊陽町や、広島県福山市がサーパスマンションで有名な香川県高松市に本社がある穴吹工務店と一緒になって福山駅周辺の再開発を進めていて、活気が肌で感じられるように、和歌山市にもその民間活力を導入することが何よりも必要であると私は確信をいたしております。
 本来なら、一昨年5月に、それまで積極的に仁坂知事と県当局が進め、和歌山市長も和歌山市議会も賛成していたにもかかわらず、当時の県議会が18対22で否決してしまった和歌山IRは、こんな和歌山市の大きな起爆剤になり、人口激減、超高齢先進、特殊出生率右肩下がり、いまだ若者の県外流出が進む我が和歌山県、和歌山市にとって千載一遇のチャンスであったと私は今でも思っておりますが、今日はこのことについては、これ以上は申し上げません。
 では、ほかに何かよい方法があるのか、私なりに考えてきましたが、昨年9月議会でも紹介し、また、今回、先に示した人口増減ランキングで、2015年、2020年とも全国の県庁所在市で和歌山市より人口の減少率が高い長崎市がテレビのCMで、恐らくこれはもう全国版だと思うのですが、長崎が変わりますと、長崎出身の人気歌手で俳優の福山雅治が大々的に宣伝しているサッカースタジアムを中心としたまちづくりの長崎スタジアムシティプロジェクトがいよいよこの10月14日にオープンするということで、現地視察に5月20日、21日の2日間、行ってまいりました。
 長崎市役所の方は、当議会事務局を通じて担当の方にお話を通してもらったのですが、私自身、サッカーについては詳しくないために、和歌山を代表するサッカーチーム、アルテリーヴォ和歌山の児玉社長と、また、長崎のこのサッカースタジアムや隣接するバスケットアリーナ、さらにホテル、ビジネス棟などの工事現場もじっくりと見たかったので、施工業者の竹中工務店の梅原和歌山支店長にも御同行いただき、3人でじっくりと視察してまいりました。詳しい内容については時間の都合上、割愛をさせていただきますが、総事業費約1000億円、年間利用者数850万人、雇用1万3000人、年間経済効果963億円とのまさに一大プロジェクトがこの10月14日に幕を開けようとしていることは、大きな衝撃を受けました。
 長崎市役所の担当者と話をしていて、彼らが胸を張って言っていたのは、おかげさまで長崎市の人口減少が止まり、増加し始めましたということでした。それは、やはりこのプロジェクトによる新たな人の流れやそれに伴う経済効果、さらに雇用が増えたということであります。
 申し遅れましたが、約1000億円の投資を市や県でできないことはよく分かっておりまして、このプロジェクトの主たるスポンサーは、テレビの通信販売で有名な長崎県佐世保市に本社があるジャパネットたかたであります。
 そこで、岸本知事にお伝えしたいのは、この視察を通じて、私は、決して隣の芝はよく見えるということではありません。岸本知事と私の共通の知人であり、一時改革派知事として脚光を浴び、マニフェストという流行語大賞も取った元三重県知事の北川正恭氏がよく言っていた、今の政治はおねだり民主主義、つまり、知事や市長に議員や住民があれをやってほしい、これもやってほしいとおねだりする構図だということとは訳が違います。これは、あくまでも和歌山市、和歌山県の経済浮揚のために考えるべきことであると私は思っておりますし、そのための提案でありますし、それにはやはり民間の活力を生かすことは絶対必要であります。
 しかも、それをできるのは、この和歌山県広しといえども、岸本周平知事をおいて私はいないと確信をいたしております。それは、民主党、民進党、国民民主党と、岸本氏が和歌山県連の代表で、不肖私が幹事長として10年間共に歩んできて、岸本氏の卓越した能力と旧大蔵省、そして財務省時代から築き上げた人脈は、ある意味私が一番肌で感じていると言っても過言ではないかと思います。
 それに、岸本知事がいつもおっしゃっている、和歌山が最高だと子供たちが思う未来をつくるためには、去年9月議会でも示したとおり、プロサッカーチームのJリーグ、J1からJ3が既に全国で60チームある中で、それまでのチームが和歌山では育っておりません。これは、誤解があってはいけませんので、付け加えておきますが、アルテリーヴォ和歌山も非常によく頑張ってくれております。現在、J3の下のJFLの下、関西リーグ所属で、これがJ3に上がろうとすれば、今の体制ではJリーグの規定では上がれないことは以前も申し上げたとおりであります。
 和歌山が最高だと子供たちが思う未来を、例えば、将来、地元和歌山のプロサッカーチームに入りたいと思っても、他府県にはしっかりしたチームがあるが和歌山にだけないということになれば、まさに子供たちの夢が幻に終わってしまいます。もちろん、岸本知事が幾ら能力があるといっても、今日言って明日というわけにはすぐにはいかないことは十分承知しておりますが、和歌山市でプロサッカーチームやプロバスケットチームの活躍できるようなプロスポーツビジネスをどう考えているのか、知事、御答弁ください。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 浦口議員御指摘のとおりでありまして、プロスポーツビジネスは、住民や企業など、地域全体が一体となって盛り上がりまして、地域のにぎわいにつながる可能性があると考えております。
 一方で、プロスポーツビジネスで成功するためには、経営面での民間企業との関わり、広い土地や交通アクセスのよい施設、さらには、プロ化が見込めるチームの存在など、様々な視点から考えていく必要があると思います。
 プロスポーツビジネスを進める上で最も重要なのは、プロスポーツを支援する県民の自発的な盛り上がりだろうと私は思います。その上で、地域経済の規模あるいはホームタウンの拠点化などを考えますと、県の行政で進めるというのは非常に難しいものがあると思っております。もちろん、プロスポーツビジネスを進める動きがあれば、しっかりと応援できますよう、情報収集はしていきたいと考えております。
 和歌山県といたしましても、県のスポーツ推進計画に明記しているとおり、引き続きトップレベルのスポーツに身近に触れられる機会をつくり出し、スポーツによる地域活性化に取り組んでまいりたいと存じます。
○議長(鈴木太雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、どうも御答弁ありがとうございました。
 これは、長崎は長崎で、私は後で考えてみると、あそこ、国見高校というサッカーの強いチームが、高校があったんですね。和歌山の場合は、昔の箕島だとか、今の智辯和歌山のようにもともと野球の強い高校がありますけども、なかなかサッカーでは全国的に今活躍したチームはあまりないとは聞いております。あるとは聞いておりません。
 それが、ただ一つの、これもそれこそトレンドでしょうけども、知事もよく御存じの川淵三郎チェアマン──初代のチェアマンですね、先ほど言いましたとおり、サッカーについて私は詳しく知りませんが、この人の戦略のすごいなと思ったのは、プロ野球と違って企業名をつけないで地域名をつけて、地元の代表として地元で盛り上げていこうということで、まさにそういった戦略であって、全国47都道府県に各お国自慢のチームをつくろうとしているようですね。
 今、Jリーグへ入っているチームは、先ほど言いました60チームあるんですけども、Jリーグへ入っていないのが、J3までのチームへ今入っていないのが6県だそうです。和歌山ももちろん、その一番下のほうなんですけども、和歌山自体を盛り上げていくには、これから、お金もさることながら、いかにしてこれを、サッカーだとかバスケットボールだとか、プロスポーツをいかにして地域で盛り上げていくような仕掛けも、ぜひ県のほうでも考えていただきたいなと、一緒になって我々も行動させていただきますので。
 というのは、一時、バスケットボールのトライアンズがノーリツさんをベースにして、今もあるそうですけども、プロとしてすごいいい選手がパナソニックから来ていたんですよね。これを応援してくれということで我々も応援に行かせてもらったら、もう全然、見るアマチュアの世界と違うレベルでやっておられて、チアガールというんですか、あの人たちも頑張っておられて、ああ、華やかだなと思ってよかったなと思ったんですが、何かだんだんだんだん細くなっていきました。
 それと、これは知事に、また後々言わせていただきますけど、行政のレベルだけでチームを一つつくるというのは、チームというか、それをスタジアムを造ってやるということは、やっぱり私、難しいと思いますね。長崎市でも、長崎県でもじかに聞きましたけれども、そんな、そこまでの1000億円近いお金を一つのことに対してぱっと放り込むだけの余力はないようですし、ましてや和歌山県は、今、財政危機警報が出ているわけですから、それは難しいのは分かるんですが、それだけにやっぱり民間の力を、知事の力、知事だけに頼るわけじゃありませんけども、我々も協力できるところがあったらさせていただきますけど、ぜひともそこを御認識いただきたいと思います。
 それでは、最後に移らせていただきます。
 最後、これはもう定番でありますが、健康長寿日本一わかやまについて質問をさせていただきますが、これは一番最後の図を御覧ください。
 都道府県別の健康寿命、平成17年から令和4年までなんですが、平成17年に和歌山県が男性で75.06歳で、全国で42位──健康寿命ですよ。女性が78.45歳で、全国で45位でありました。その後、令和4年(2022年)なんですけれども、男性ではそれよりも、平成17年に比べて2.38歳健康寿命が延びました。女性では2.07歳健康寿命が延びているんですが、他府県もそれ以上に延びていて、全国ランキングでいうと、男性は42位から43位、女性は45位から46位といずれも落ちているわけであります。一体この10年間、何をやっていたのでしょうかと私は私自身にも言いたい言葉でありまして、非常に嘆かわしいというか、果たしてこの和歌山県の健康長寿日本一にかける思いというのはどこまで本気かというのは、私自身、ここで自分の反省も含めて、はっきりと行政に対して言いたいわけであります。
 これは、著作権の問題があって表に出せませんでしたが、その間、2016年(平成28年)7月には健康寿命日本一を目指すと、「紀伊民報」にでかでかとこういうふうに出ているんですよ、これ。(資料を示す)ここまで出ているにもかかわらず、こういうランキングでありますから、何度もくどいことを言いますが、和歌山県は物すごい人口が減ります。高齢者はどんどん増えます。しかも、その高齢者が、要介護認定率がもう全国のトップクラスであるし、その平均寿命から要介護認定率の期間を引いたものがこういう形で、全国でも非常に下位であるということを、この現実をどういうふうに思われているのかお答えいただきたいんですが、実は今年、私は福祉環境委員会に戻りまして、今、副委員長をさせていただいておりますけれども、この間、福祉環境委員会において、私が10数年間この問題を追っかけてきて、その前は、もともと県が健康長寿日本一わかやまを目指すというふうに言ったものですから、その後の長計では健康長寿日本一わかやまを実現すると、そこまで断言しているものですから、私も本気になって、ただ単に私の独りよがりで言っているわけではありません。
 それで、本当に健康長寿日本一わかやまを実現するために、やっぱり当局で全体をグリップしてこの施策を進めてもらいたいと要望したところ、健康局長が分かりましたということで、頑張りますということを一言言っていただきました。これは常任委員会のことですから、あまり大きく伝わっていなかったと思うんですけども、このことについて、福祉保健部長、力強い御答弁を健康局長に代わっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 議員お示しの資料は、要介護認定を基に算定した都道府県別の健康寿命ですが、本県は、要介護認定率が全国で3番目に高く、その中でも特に要支援1及び要支援2の認定率が全国平均を大きく上回っております。
 要支援者の約半数は、関節疾患、骨折、転倒などにより生活が不活発になったことが原因となっており、介護予防の取組が重要であることから、専門医療機関等との連携を進めているところです。
 また、要支援状態となっても、身の回りの動作は自立している場合が多いため、約6割の方が介護サービスを利用しておらず、早期の適切なリハビリや運動で改善が可能です。そのため、県では、要支援状態となった高齢者が再び自立した生活が送れるよう、市町村と共に支援に取り組んでおり、2022年度からは、効果的に運動機能の改善等を図る短期集中予防サービスの利用促進を進めているところです。
 一方、健康の尺度となる医療費について見れば、2022年度の本県における1人当たりの年齢調整後の年間医療費において、75歳以上の方が加入している後期高齢者医療制度で22位、市町村国民健康保険で29位となっており、本県の高齢者1人当たりの年間医療費は全国平均を下回っております。
 高齢になれば、生活習慣病の有病率は高まり、複数の病気を持っている方も多くなりますが、健康寿命の延伸に係るこれまでの取組の効果が一定程度発現しているものと考えております。
 加えて、がん検診の受診率についても改善しつつあり、がんの75歳未満年齢調整死亡率も過去10年間は減少傾向であるなど、ふだんから健康づくりを意識し、健康の維持、増進に取り組んでいただいている県民の増加により、発症予防及び重症化予防につながっているものと考えております。
 県としましては、バランスのよい食事と運動、睡眠を基本としつつ、加齢に伴う疾病リスク等の分析を行うとともに、県民一人一人が自身の状態に応じた適切な健康づくりと介護予防が行えるよう、引き続き市町村と協力しながら取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、ありがとうございました。
 言われるとおり、和歌山県では要介護というより要支援1・2が多いということで、軽度な形だというんですけれども、それだったら、要支援1とか2だったら、介護予防の体操をするなり、介護予防のいろいろ、今、和歌山市でも、つれもて体操だとかシニアエクササイズをやっていますけども、もっと力を入れるべきだと思います。
 実は、昨日ちょうど月曜日で祭日だったんですけども、直川の北コミュニティセンターで朝の10時から、向こうの川永と紀伊と山口の地区の農家も含めて、包括支援センターが中心となり、そしてまた、わかやまシニア健康センターというNPOをつくられているんですけども、そこの方が指導しながらシニアエクササイズ、これはもともと県の長寿社会課が、今、学長になられています和歌山大学の本山教授に頼まれてつくられたものですが、それをずっと大事に指導をされながら普及されているんですね。そこへ昨日40名ぐらいの方が来られていました。
 私も、皆さん顔見知りの方が多いものですから、ちょっと挨拶してよということで御挨拶させてもらったんですが、これは、今は市の事業になって、それをNPOに委託されているんですけど、もともと県がつくった事業で、私はこれはすばらしいと思うんですよ。ところが、今言うように、これを徹底してやれば、今の要支援1・2は、エクササイズだけじゃないんですけど、ほかのことも絡めていくと元の元気な体に戻る可能性は十分ありますので、ぜひとも、これは要望ですけども、今西部長に和歌山市とも相談していただいて、進めていただきたいと思っています。
 和歌山市の包括支援課のメンバーの方とも、職員の方とも、私は何度かお話しさせていただきまして、市議会議員の方でも絡んでいただいて、一緒になって進めていただいていることがありますので、これは、まさに健康長寿というのは非常に難しいんですけど、予算をつけるだけじゃなしに、本当に皆さんが実践してもらわないと、なかなか日本一健康で長生きできる和歌山県というのはつくれないと思っておりますので、ぜひともそのことを御認識いただきまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 (「散髪したのか」と呼ぶ者あり)料金は一緒です。本日の4番目です。お疲れのことと思いますが、いましばらくお付き合いのほどよろしくお願いを申し上げます。
 暦の上では、今晩が中秋の名月、月をめでる、ちょっとしてみたいですね。ただ、家にススキがあったかな、だんごも欲しいな、そんなことを思いながら、年々、年を重ねてまいりました。
 年を重ねるにつれ、涙腺が緩んでばかりであります。今年の夏は特にそんなことが多かったな、そう思い返しています。まずオリンピックです。次に甲子園。時には広島、長崎で緩みました。ましてや8月の15日、天皇皇后両陛下がお越しになった場で御挨拶をお聞きしたときにも、多少緩んでまいりました。夏の最後、パラリンピックでありました。何と締まりのない話でしょうか。
 つい先日、ある会合で、急に私に話が振られました。内容は、「京奈和の紀の川インター、いつ出入りできんのよ」、焦りました、何も詳細が分かりませんので。県民は早く通行できることを望んでいます。
 交通安全について、日々思うことがあります。私も安全運転については偉そうに言えません。ゴールド免許ではありません。車についているウインカーのことです。友人が電話をくれました。そして、「おい、この頃ウインカー出す車、少なないか。もっと早く出してよ」、えっ、今曲がるのか、そんなことを感じることが時たまあります。昨日も車を運転中走っていると、前の車が、ウインカーを出さずに曲がっていきました。
 それと、これもある人が電話をくれたのですが、「新島、この頃よ、道の線消えていないか。わしら年寄り、夜運転したり雨の日運転するの、見にくいんよ」、そう思っている私も年寄りの一部です。本当に、夜、また雨の日、運転しにくいですね。でも、その人は言いました。「道、色つけてくれてあるの、あれ運転しやすいわな」と言ってくれました。そうですねと、私も大変運転しやすいと思っています、また言っておきます、そんな電話もいただきました。
 ほかには、近頃テレビのコマーシャルで、97.何%の人が大変な御好評をいただいておりますとか、何とか部門で第1位を獲得というようなテレビコマーシャルがあります。いつもそれを聞くたびに本当かと疑ってしまう自分がいます。
 もう一つ、生命保険料です。皆さん、知っていますか、女性より男性のほうが高いことを。CMで出ている金額は全て女性です。よく見てください。
 そんな勝手でわがままなことを考えている今日この頃ですが、議長のお許しをいただきました。余談はこの程度で質問に入りたいと思います。
 まず、第1問であります。
 ユネスコ無形文化遺産に温泉文化、何か格好いいじゃないですか。思いませんか。
 先々月の7月27日、テレビのニュース速報で、「佐渡島の金山」が世界遺産に登録が決定したと、そうテロップが流れました。国内の暫定リストに記載されてから14年もの長い歳月を費やしましたが、悲願を達成した喜びは大変大きなものがあると感じています。
 2023年12月18日、国の文化審議会は、国連教育科学文化機関──ユネスコでありますが、ユネスコの無形文化遺産登録を申請する候補に書道を選びました。今後、国の動きは、書道の登録に向けて動いていきます。
 それと、同じ分野でもう一つの動きがあります。ユネスコ無形文化遺産に温泉文化を登録しようと、2018年に群馬県内の旅館やホテル、観光業者に自治体関係者などが賛同し、登録推進協議会を立ち上げ、活動が始まっています。2022年には、17道県の役員で立ち上げた「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会も43道府県となり、残すは4都府県となっています。日本温泉協会など、関係3団体を発起人とする全国推進協議会も発足しています。
 でも、簡単なことではありません。温泉文化は、文化財保護法上の登録無形文化財には位置づけされておらず、今後は文化財としての登録や国民の機運を高めることが課題となっています。
 そんな中、2023年6月、政府の骨太の方針に、温泉や旅館が日本固有の観光・文化資源であることが明記されました。大きな一歩であると認識をしています。
 和歌山には、有名な温泉地がたくさんあります。和歌山にとっても必要な活動と考えています。全国旅館組合連合会や関係する団体では、100万筆の署名活動を全国で展開し、総理大臣に届けると意気込んでいます。
 ここで、無形文化遺産について簡単に説明をいたします。
 2006年発行の無形文化遺産保護条約に基づく国連教育科学文化機関、すなわちユネスコの事業であり、伝統芸能や工芸技術、祭礼行事などを対象とするとなっています。インドのヨガ、スペインのフラメンコなどが有名で、日本からは、能楽や歌舞伎、和食など、22件が登録されています。
 目指すは2028年の登録です。温泉文化に詳しい高崎商科大学の熊倉特任教授は、温泉文化は日本国民にとって社会的な慣習、文化であり、温泉関係者のみならず、温泉を享受する人々を巻き込みながら、国民的な運動にしていくことが必要と指摘しています。
 そこで、知事に質問です。
 知事の温泉文化に対する考え方はいかがですか。知事の会の今までの活動内容は、そして、今後どのような活動をするのか、また、今後和歌山県としてどう応援し、活動していくのか、最後は、登録後の和歌山県での波及効果、そんなこともお答えをいただきたいと思います。
 第1問を終わります。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 新島議員の質問にお答えを申し上げます。
 温泉は、古くは療養のための湯治に始まり、清浄・清潔を好む日本人の精神性とも合わさって、日本独自の文化として発展してまいりました。リラクゼーションの手段のみにとどまらず、その土地の歴史や風土とも深く結びついており、人々との交流や自然を楽しむことのできる文化的な体験の場であると考えております。
 本県にも、500を超える温泉があり、熊野に詣でる前に巡礼者が心身を清める湯垢離場(ゆごりば)として世界遺産にも登録されている湯の峰温泉のつぼ湯をはじめ、日本書紀にも登場する日本三古湯の一つに数えられる白浜温泉、あるいは天然、自然の洞窟から絶景の海を臨める勝浦温泉など、それぞれに異なる魅力と歴史があり、今なお多くの人を引きつける観光資源としても大変重要な要素であると考えております。
 このすばらしい日本独自の資源を守り、世界に向けて発信していくため、日本全国にある温泉を温泉文化としてユネスコ無形文化遺産に登録するという着眼をされたことは、誠に炯眼であり、その趣旨には大いに賛同するところであります。
 2022年11月に発足いたしました「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会には、本県も設立当初から参画しており、現在、43道府県の知事がメンバーとなっております。登録を目指し、引き続き全国の温泉地の実態調査や、国への文化財登録の働きかけ、地域の機運醸成などに知事の会として団結して取り組んでいくとともに、参画していない都府県の知事にもぜひ加わっていただき、全国の力を結集して登録を目指したいと考えております。
 そして、御質問にありました温泉文化がユネスコ無形文化遺産として登録された暁には、世界に向けて日本の温泉文化が発信されることになり、精神性や物語とともに伝えていければ、和歌山県への誘客にも大いに役立つものと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 再質問をいたします。
 今、答弁をいただきました。
 こうして温泉文化の登録に関して質問をしていますが、実は、肝腎の日本温泉協会の組織そのものが大変脆弱であります。本来なら温泉協会が前面に出て、登録に向けて旗を振るのでしょうが、この協会、組織があるような、ないような、よく分かりません。また、現在の温泉や旅館に関する状況を考えてみると、経営など、大変厳しい状況があると認識をいたしております。
 和歌山県内でも考えられることは、源泉の枯渇や経営者の高齢化、人手不足と所得の減少など、問題も多く抱えているのが現実であります。この温泉文化をユネスコ無形文化遺産に登録を目指すのですが、それと同時に、和歌山県の温泉、ホテル、旅館を守っていく責任があると考えています。そのためのツールの一つとして、温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録があります。
 しかし、温泉文化を登録さえすればバラ色に輝くとは考えられません。そこのところをみんなで知恵を出し、汗をかいていく必要があると思っています。
 答弁の中に、「物語」というすばらしい言葉がありました。今日の答弁の中で一番気に入った言葉です。私は、一つの温泉に一つの物語が必要だと思っています。弘法大師が入ったお湯であるとか、竜の涙が温泉になったんだとか、各地域、県内どの温泉にも物語が必要であり、探してみれば言い伝えや皆さんの地域の思いがあると思うんです。その物語をつくることで、地域観光の柱ができます。柱ができると、地域のブランド力が向上します。
 その次に、この物語ができれば、土産物にもそれと同じことが書いてある。ホテルへ入れば同じような話が書いてある。どこにでも、この地域ではそれが当たり前のこととして歴史に残っている。それが統一した営業力になっていくものと私は考えています。知事の会の加盟が増えているので、登録に向けての大きな力になると考えていますし、大いに期待を寄せています。
 県として、和歌山県の財産の一つである温泉や旅館という形態をさらに発展させ、どう次世代につなげていくのかが重要になります。今後の県の姿勢を再度お答えください。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 再質問にお答えをさせていただきたいと思います。
 新島議員御指摘のとおりでありまして、地域のイメージを向上させ、その魅力を伝え、深みを増すものとして、それぞれの温泉が持つ物語の力は大変重要であると考えております。
 先ほど私が例えで出しました湯の峰温泉のつぼ湯であれば、小栗判官、照手姫の物語があります。美人の湯の龍神温泉にも物語がある。加太にもある。いろんなところに温泉の物語がありますので、その物語が温泉とか旅館という形を通じて、今も昔も多くの人を引きつける、旅の目的そのものになり得る要素であるとともに、そこに暮らす人々にとりましては、日常の生活でもあり、また地域の誇りでもありますので、それぞれの地域の独自性というものをこれから強めていくために、際立たせていくために、ただいま新島議員から御指導いただきました、物語を通じて県の魅力を発信していくということに努力をしてまいりたいと存じます。
○議長(鈴木太雄君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 物語ということをちょっとだけ掘り下げましたが、年月が過ぎていくとこの物語が歴史になり文化になっていく、その上に各温泉地が地域の食材、これを提供することによって、その地域全体が同じ目標に向かっていける大きな柱が本当にできていく、これは大変大切なことであり、自慢できる材料はまだまだ増えていく、そう私は思っています。
 これからも、登録に向けての活動であるとか、地域の温泉というものに対する大きな期待をして、次の質問に移りたいと思います。
 2問目です。
 第1問で、温泉文化と旅館やホテルの今後を質問いたしました。これは、観光を売りにする和歌山県として大変大切なことだとの認識で質問をいたしましたが、和歌山県の経済を支えているのは観光だけではありません。その他の業種、特に中小零細企業が苦しんでいます。
 大きな視点での経済は、物価が高騰し、所得も上がっています。こう見ると一見好景気のような錯覚に陥りますが、現在の和歌山県の経済状況は、決してよいとは言えないと思いますし、厳しい状況が続いていると考えています。
 県内人口が減り、高齢化が進む中での景気の立て直しは難しいものがあると思いますが、知事の立場から、県民の生活を守るために知らん顔はできませんし、何らかの手を打っていかねばなりません。
 以前、知事は、財政に関して随分と自信があるような発言がありましたが、そのときに、大変な自信だなと聞いていました。そこまで言うのなら和歌山県の経済をよくしてくれると誰もが考えると思いますが、なかなか手を打ってくれないという声も聞こえてきます。
 SDGsも必要でしょう。LGBTQ+も大切なことでしょう。否定はしませんが、私たちは生活をしていかねばならないのです。子育てや親の介護をしていかねばなりません。行政として税を預かり、知恵を絞って県民の生活を守っていかねばなりません。
 財政と経済とは違うのでしょうが、和歌山県経済は大変厳しい時代を迎えているように感じてなりません。県内では、ホテルの経営権が譲渡されていたり、和歌山市内では、中小企業の経営が大阪の会社に売却されたり、長年経営していた小売業者が倒産したりと、よい話を聞いていません。
 悪いことばかりを取り上げているのではありません。県内でも頑張っている企業はありますが、相対的に考えて調子のよい企業は大企業か上場企業で、地元の会社のよい話が入ってきません。今、好調な株価を押し上げているのも大企業です。
 飲食店でも、全国チェーンのお店ばかりで、和歌山の特色ある地元のお店がなくなってしまうのではないかと心配もしています。
 全国チェーンといえば、ちょっと余談になりますが、世界規模のお店です。このお店を随分気に入っている議員さんもいるような話を聞きましたが、そのお店に対して言った言葉でいっとき有名になった地域があります。鳥取にはスタバはないけど、日本一の砂場があると自嘲ぎみに言った鳥取県知事の言葉を思い出しました。この言葉の真意は何なのかなと考えたことがあります。鳥取にスタバは要らないと言いたかったのか、スタバよ、早く出店しろと言いたかったのか、本当のところは闇の中です。
 その頃、数名の議員で鳥取を訪れたことがあります。面白いことに、すなば珈琲という名前のカフェが新聞に取り上げられ、大変はやっていたのを思い出します。
 田舎には田舎の特色あるお店があり、そのお店を必要とする地域の人たちがいて、中小零細企業と共に営みがありました。いま一度、我々の原点に立ち返り、和歌山県に活力を取り戻すため、全力を傾けるときだと考えています。知事の考えを問いたいと思います。
 まず、現在の和歌山県経済の分析をお尋ねいたします。そして、和歌山県経済の課題は何なのか、強みは何なのか、また、中小企業向け政策は今年度どのようなものがあるのか、和歌山県が目指す経済対策は何なのか、県が考えている政策を必要な人に確実に届ける方法は何なのか、答弁をお願いします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 現在の県内の経済情勢でありますけれども、和歌山財務事務所が発表した直近の和歌山県内経済情勢報告では、総括として「持ち直している」と判断されております。ピーク時と比べると円高になったとはいえ、依然として円安傾向が続いていることなどにより、引き続き、原材料価格高騰の影響を受けるとともに、慢性的な人手不足などにより、厳しい状況が続いていると考えております。
 また、日本銀行の金融政策の変更に伴い、金利のある経済・世界が戻ってまいりました。今後の経済情勢につきましては、引き続き注意をして見守っていく必要があると考えております。
 和歌山県経済の課題と強みについてでありますが、就任当初から、和歌山県は課題先進県であると申し上げてまいりました。人口減少、高齢化、経済成長力の鈍化など、日本全体が抱える課題を和歌山県も有しております。それに加え、経済・雇用の中心でありました重工業の事業の縮小や若年層の県外流出なども課題と考えております。
 一方で、地場産業が古くから栄えた地域でもあり、化学、繊維工業、家庭用品といいました分野の中小企業の中には、全国トップシェアを誇る企業や、特徴的なユニークな製品を作っている企業もたくさんございます。また、豊かな自然と豊かな観光資源や、日本食に欠かせないみそやしょうゆなど、和歌山が発祥の食文化もございます。さらには、東京や京阪神からのアクセスの容易性、リーズナブルな物価といった暮らしやすさなどもあり、それらをもっと生かしていけないかと考えているところでございます。
 今年度の中小企業向け政策につきましては、一つは成長産業の創出、二つ目は地域産業の強化、2本の柱の下、脱炭素経営に向けた取組への支援、競争力強化や競争優位性を図るためのDXに向けた取組、研究開発、商品開発、販路開拓への支援のほか、金融支援や商工会などを通じた小規模事業者の皆さんへの経営支援など、様々な支援策を行っているところであります。
 また、今年度からは、外国人材受入れ促進の取組として、サポートデスクの創設やマッチング支援など、外国人材が安定的に雇用される受入れ体制も構築しております。
 それから、和歌山県が目指す経済政策ということでありますけれども、先ほど申し上げました課題や気候変動への対応によりまして、世界・国内情勢は急速に変化しております。この状況を逆手に取り、世界的な潮流を的確に捉えて、和歌山の地域特性を生かしながら、いち早く変化に対応することができれば、県内にGXの成長投資を取り込み、課題先進県から脱炭素先進県へと飛躍することも夢ではないと考えております。
 以上を踏まえ、将来ありたい姿を明確にし、タイミングを逃さず、具体的な行動につなげていくということを大目標に、行動の指針として、本年4月にわかやま成長産業開拓ビジョンを取りまとめたところであります。現在、そのアクションプランを検討中でありますが、将来の和歌山を担う産業という観点と、脱炭素の未来社会の根幹を支える産業という観点から、具体的には、カーボンリサイクル燃料、蓄電池、次世代自動車関連、再生可能エネルギー、ロケット・宇宙、資源循環といった産業分野を考えているところであります。
 最後に御質問の、これらの政策を必要な方々に確実に届ける方法でございますが、県では、広報紙「県民の友」をはじめ、補助金やサポート情報を発信するウェブサイト、あるいはメールマガジンを発行しております。そして、何より商工団体等とも連携し、周知に努めているところでございます。
 また、今申し上げました商工会、商工会議所、さらにわかやま産業振興財団など、それぞれの団体におかれましても、個々の事業者の皆様の御事情に応じた相談をお受けしておりますので、まずは、県も含めてこれらの団体に御相談をいただきますようお願いしたいと存じます。
○議長(鈴木太雄君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 答弁の中で、県財政の分析で和歌山県財務事務所では持ち直していると言いつつ、知事は厳しい状況が続いているとの答弁ですが、どちらなんでしょう。厳しいという知事の答弁が正しいんでしょうね。私もそのように思っています。
 そして、知事が先頭に立って課題先進県だと言っている姿は、県民はどんな目で見ているのかなということも今感じました。
 そこで、中小企業に向けては様々な支援策を行っているとのことですが、結果が見えてきません。知事はどうお考えなのか。
 また、GX実現先進県、脱炭素社会先進県となることを目指すと言いますが、実現のめどはいつ頃と考えているのか。成長産業の創出とか地域産業の強化と言い、様々な施策を進めていますが、脱炭素社会とどうリンクし、和歌山県経済にどのような恩恵をもたらすのか。
 また、わかやま成長産業開拓ビジョンを取りまとめ、具体的な施策を検討するとか、サステーナブルで将来世代にとって魅力的な働き場所の提供などという答弁もいただきましたが、将来のことは大変大事です。誰も文句は言いません。しかし、今現在の状況は待ったなしだと思っています。何とかして和歌山の企業を成長させ、成功させるために何が必要かを真剣に、必死に、そして具体的に後押しをする必要を感じています。
 できる企業は放っておいても大丈夫です。助けが必要なところに的確に手を差し伸べてほしいと思っています。再度知事の答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 大変ありがとうございます。再質問をいただきました。
 新島議員は、私の高校の先輩で、尊敬する先輩のお一人でございます。大変厳しい御指導を賜っておりますことに感謝を申し上げたいと思います。
 先輩も御記憶かもしれませんが、高校の正面を入ったところに石碑があります。野村吉三郎海軍大将の石碑でありまして、そこには、「天は自ら助くる者を助く」と書かれてありました。まさに、私ども和歌山県としても、厳しい状況の中で必死で頑張っておられる中小・零細企業の皆様を少しでも後押しできるよう、これまで様々な支援策を用意してきたところであります。さらにもっと深めろということをしっかりと胸に含めて、担当職員ともよく相談しまして、もっと何かできないか、もっと何かできることがあるんじゃないかということについてはしっかりと勉強していきたいと思います。
 ともかく、経済の状況については上がったり下がったりするわけですが、先ほど私が申し上げたのは、上がったり下がったりで持ち直しているというのはそうかもしれないけれど、円安での物価高騰等、置かれている我々の状況はそんな甘いものじゃないよということを申し上げたわけであります。そして、我々の今申し上げた、まだ先輩からすると不十分だとおっしゃるかもしれませんが、中小企業向けのいろんな支援策をまずは使っていただくと、御意見があればそれを改善していくということに取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、わかやま成長産業開拓ビジョンについても御指摘をいただきました。これは、まさにグリーントランスフォーメーション、デジタルトランスフォーメーションということですので、おっしゃるとおり、少し先になります。5年とか10年先の絵姿でありますので、しかし、これも大事なことだと思っておりまして、何とか5年後、10年後、人口が減っていっても、しっかりとした最先端の働く場があるような、そういう和歌山県にしていきたいということでございます。そのことと、今御指摘いただきました目の前の中小・零細事業者への応援、両輪として頑張ってまいりますので、引き続きの先輩の御指導をいただければと存じます。
○議長(鈴木太雄君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 先輩といっても、早く生まれただけです。大層なものではありません。
 経済も、私は時々病気と同じかなと思うときがあります。悪ければ何が悪いのか、どうすれば治るのか、必要なところに必要な手当てをしていかなければならない、そう思っています。県民の皆さんがどんな小さなことでも相談窓口へ、また、いろんな人に相談ができる、その窓口はいつでも開いている、ちゅうちょせず相談をしてほしい、そんなことを思いながら、和歌山県の企業が光り輝くことを大いに期待して、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時33分散会

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