令和6年9月和歌山県議会人権・少子高齢化問題等対策特別委員会会議記録


令和6年9月和歌山県議会人権・少子高齢化問題等対策特別委員会会議記録

 

1 日時  令和6年9月19日(木)午後2時24分~午後3時9分

2 場所  予算・決算特別委員会室

3 出席者 委員長   吉井和視

      副委員長  浦口高典

      委員    三栖拓也、藤山将材、森 礼子、中本浩精、山下直也、藤本眞利子、小川浩樹、林 隆一 

      欠席委員  なし

      委員外議員 なし

4 概要

   午後2時24分開会
    ●吉井委員長
     ◎開会宣告 挨拶
     ◎報告事項 委員の欠席なし
     ◎傍聴協議 1件
     ◎撮影許可 3件
     ◎議事   教育現場における人権問題等対策について説明要請

    ●島本共生社会推進部長及び宮﨑教育長説明 

    ●吉井委員長

     ◎説明に対する質疑等宣告

       

  Q 山下委員

   前回もこの問題について問い、今日も説明があった。その中で当然二度とこのようなことを起こさないための対策や研修などに

  ついていろいろ説明があった。1つ気になっているのが、その差別発言事件が起こった後に、問題提起をしてくれた職員が休んで

  いる時期があったと聞いた。ケアも含めて考えないといけないと心配になるが、そこはしっかりやっているのか。

   

  A 宮﨑教育長

   問題提起をした教員に関しては、安心して学校生活が送れるように、月1回程度面談を行ってきた。当事者の体調が優れない

  こともあり、しばらく面談を中断していたが、体調が戻り、再開した。当該教員は発言をした教員と一定の人間関係にあったこと

  から、今回提起したことが正しかったのかどうか悩んでいるとのことであった。教育委員会としては、問題提起は正しかったと

  いうことをしっかりと伝えており、少しでも悩みが軽減されるようサポートをしていきたいと思う。今後とも継続してやって

  いきたいと考えている。

 

  Q 山下委員

   今の教育長の答弁を聞いたが、とても大事なことだと思う。これからは先ほども言ったように、こういうことが起こらないため

  の研修やいろいろな対策はもちろんのこと、教育長が言ったように、正しい行いにも関わらず、その方が悩まないといけないと

  いうようなことがこれからたくさん増えてきたら、違う方向へ走ってしまうのではないかと心配になる。人権、とりわけこの同和問題

  については、みんなで早くなくしていきましょうと取り組んできた。そのことを考えたときに、やはりその問題提起をする人がだんだん

  と口をつぐむようになったり、逆の方へ行ってしまうことはいけないことだと思う。これはおかしいですよと言った人が悩んでしまう

  というところに、大きな課題があると思う。そういう背景や事件が起こった後のケアも含めて、やはり県で考えて検討をしないと、

  いつまでたってもこういう問題がなくならないのではないか、また、違う問題も出てこないかというふうに非常に心配する。それを

  酌んでもう1回答弁してほしい。

 

  A 宮﨑教育長

   被害を受けられた方が悩まれることや、問題提起をすることが障害になってはいけないことだと思っている。問題提起は正しいこと

  であるということをしっかりと訴えて、少しでも不安を軽減できるように、今後も引き続いてサポートをしていきたいと思っている。

  また、全ての職員に対しても、しっかり全体の研修の中で訴えていきたいと思っている。

 

  要望 山下委員

   例えば心理的なケア、心理師(心理士)も必要だと思う。今回のことに限らず、県庁は大きな組織なので、これからいろんなところ

  でこういうことが起こらないとも限らない。その時にやはりメンタルケアが大事ではないかなと思う。こういうことが子供の世界で

  いじめに繋がっていくのはもう最悪であるが、考えられることである。だから、そういうことがないように、メンタルな部分のケアも

  含めて、きちっと対応してほしい。それだけ最後にお願いする。

 

  Q 藤本委員

   和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例ができ、今回の差別の事案が出た。対応として、事実確認を行い、行為者に対して

  正しく理解してもらえるよう指導するということは、教育委員会だけではなく、人権局でも同様の取組をしていると思う。指導に

  従わない場合に、勧告して公表するというように条例を改正したが、その判断は誰が行い、公表となるのかがよくわからない。

  

  A 玉置人権政策課長

   事件を委員会へ諮るかどうかという話だが、条例では、指導に従わない場合に諮ると改正した。ただ、条例に関わらず、差別事件が

  起こった場合には、この委員会を使って進めていくが、今回の当事者については、すごく反省しており、差別を認めているということ

  もあるので、委員会に諮る対象とはなっていない。

 

  Q 藤本委員

   今回は教育委員会が責任をもって対応していることは報告でわかった。ただ、大阪や三重で差別事件が起こっている。しかも

  公務員や、和歌山県のように先生による差別事件であることが大きな問題になっている。三重では、学校の先生があまりにも酷い

  差別をしたため、被害を受けた方が県に訴えた。三重県では、第三者委員会の差別解消調整委員会というのを作っており、そこへ

  訴えた。その委員会でこれは明らかに差別であると判断し、説示などの取組をしている最中である。和歌山県で同じようなことが

  起きて訴えがあった場合、どのように取り組むのか。三重県は第三者委員会を作っている。和歌山では、私達が第三者委員会が必要

  ではないかと言ったが、人権の審議会があるのでそこで行うとなった。どのように解決をしてもらえると受け止めればいいか。

 

  A 玉置人権政策課長

   同和問題の解決については、今までも県が主体となり取り組んできた。そういう申出などがあった場合には、県が主体的に解決

  していく、という形になる。

  

  Q 藤本委員

   当然ながら県が主体でないと困る。差別事件が発生した場合、和歌山県では県職員が差別を行った者に対して取組を行うに

  とどまるのか。

 

  A 玉置人権政策課長

   職員が行為者に対して説示などの指導を行っていく。

 

  Q 藤本委員

   それで指導に従わなかったら、どうなるのか。

 

  A 玉置人権政策課長

   指導に従わない場合は粘り強く、同和問題について理解を求めていく。

 

  Q 藤本委員

   違うのではないか。

 

  A 遠見人権局長

   県では人権施策推進審議会を設けている。事件が発生した場合、県が主体的に行う対応について、審議会に対して意見を

  求められるようになっている。県の対応に関して審議会の第三者的な立場から意見を伺いながら、事件対応するというのが

  1つある。それと併せて、和歌山県部落差別解消推進条例の関係で、昨年12月に、事業者等が勧告に従わない場合に公表する

  という制度を設けている。公表するにあたり、先に勧告をする。その勧告の際に、専門的な見地から審議会の意見を伺うと

  いう体制にしている。

 

  Q 藤本委員

   今の整理によりわかった。しかし、先ほど例に出した三重県は第三者の委員会を作っている。差別解消の調整委員会という

  名前で事案に当たっているところもあるので、やはりそういうのが必要ではないかと思う。県の担当が対応することにより迅速

  にできるという利点もあるが、県として差別事件に対して、特にそういった委員会にかけて諮ることにより、単に担当課が対応

  しているだけのものではなくなると思う。今後、もう少し形を変えてもらい、独立した第三者の機関に近づけられるようできな

  いのか。

 

  A 遠見人権局長

   人権施策推進審議会の中に人権侵害事件の対策委員会という専門委員会を定めている。元々、この審議会はいろんな分野で

  見識のある方が委員となっており、例えば同和問題であれば同和問題に見識のある方、子供、あるいは障害のある方に見識の

  深い方など、そういう方々を選び、審議会を構成している。今回の事案のような部落差別に関する事案であれば、同和問題に

  見識のある委員や弁護士の委員などを数名選び、人権侵害事件対策委員会を設置し、意見を聴きながら対応を進めていくと

  いう形にしている。しかし、藤本委員指摘の独立した委員会となれば、法の根拠が必要になる。この審議会は、あくまでも県の

  附属機関という形になっているため、附属機関としての中で、できる範疇の限りの対応をするという体制を整備しているところ

  である。

 

  Q 吉井委員長

   その説明は違うのではないか。人権施策推進審議会というのは、県条例ででき、いわゆる地方自治法における第三者委員会と

  いうことで設置したのではないか。他の委員会の審議会をそのままで。これは、県条例の中で、地方自治法にいう、和歌山県の

  いわゆる第三者委員会ということになっている。

 

  A 遠見人権局長

   委員長指摘のとおり、地方自治法に基づく第三者的な委員会で、附属機関という位置づけで設置している。

 

  Q 吉井委員長

   そのままの名前を使っているが、新しく県条例で設置している。

 

  A 遠見人権局長

   条例に結び付けて対応できるようにしている。

 

  要望 藤本委員

   その辺は整理し、取り組んでいただきたい。やはり、勧告して公表するまでをきちんとできる第三者委員会が必要であると思って

  いるので、今後の取組をお願いしたい。最近気になるのは、今回の差別事件は先生、三重も先生、大阪は地方公務員と立て続けに

  起こっているので、動向を見て、どのような取組が必要かの参考にしてほしいと思っている。

  

  Q 中本委員

   和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例に基づく、教育啓発や相談体制などについていろいろ聞いた。特に気になったのが、

  差別事件への対応。今は企業だけしか公表できない。実際、差別発言などは、いいか悪いかで言うと、やはり悪いことだと思う。

  こうした差別事例はたくさんあるのか。

   また、教育委員会の差別発言事件について、発言をした教員はすごく反省していると聞いた。その中で、教育長から、特別研修を

  継続して実施していくと説明があったが、いつまでこの特別研修を続けていくのか。

 

  A 玉置人権政策課長

   差別事件の数については、今年度、県に報告のあったのは、9月時点で8件である。そのうち、部落差別については6件、障害に

  ある人に関するものについて1件、外国人と障害のある方の混合したものについて1件、計8件報告を受けている。

 

  A 宮﨑教育長

   発言をした教員に対する面談は継続して行っていくとお答えした。2週間は集中して講義をしたが、年内ぐらいまではしっかり行

  おうと考えている。当該教員には反省文を書かせたり、繰り返し指導している。全て納得のできた段階で終わりになると思っているが、

  まだしっかりとやる必要があると考えている。

 

  Q 中本委員

   やはり間違いということもあるので、反省している方は本当に反省していただき、教育長の説明のとおり、しかるべき時期で終わらせて

  いいと思う。

   人権政策課長、聞きたかったのは、悪いことをしたときに説示などをしているが、どういう感じなのかということ。本当に行為者が

  反省しているかどうかを聞きたい。

 

  A 玉置人権政策課長

   8件のうち、教育長から説明のあった件以外は電話による問い合わせが主なものであり、名前などを聞くと電話を切られるケース

  ばかりで、説示・促しができていない状況である。

 

  Q 中本委員

   それは通報か。

 

  A 玉置人権政策課長

   直接そういう電話がかかってくる。

  

  Q 中本委員

   説示なり、そういう指導はできないということか。

 

  A 玉置人権政策課長

   名前や目的を聞くが、その段階で電話を切られる。

 

  Q 中本委員

   教育委員会に聞くが、教育長の説明の中で、先生方に対していろいろ行っていることはよくわかった。ただ、児童生徒へ同和教育に

  ついて各学校で必ず授業で取り扱うという文言が出てきたが、それは同和教育に特化した授業か。年間の授業時間も聞きたい。

 

  A 宮﨑教育長

   今までも同和教育に特化した授業を行うよう依頼をしてきた。特に、今後は、ワークシートなどを使用し、こういう授業をしてほしい

  と示し、同和教育に関する授業を行うために指導主事を派遣して確実に実施していきたい。ワークシートを配り考えてもらい、その解答

  をする時間、解答について議論をする時間も授業に入れたいと思うので、年に2時間、3時間は実施したいと考えている。

 

  Q 中本委員

   この問題は歴史もあるし、非常に難しい問題と常日頃から思っている。教育長の答弁を聞いても、必ず授業で取り扱うように依頼して

  いるが、なかなか実施できていない印象を受けた。これからはワークシートや人権学習プランでやっていくという話を聞くことができた。

   いろいろ質問をしたが、もう一つ。昨年、国に対して、部落差別の解消の推進に関する法律の改正の要望を行った。要望の中には

  「実効性のある」という言葉が出てくる。「実効性のある」ということに対し、県の見解を教えてほしい。

 

  A 玉置人権政策課長

   昨年度、委員の皆様から政府の方へ要望していただいたと思うが、「実効性のある」ということはやはり人権侵害に対する救済ができる

  ような法整備というふうに考えている。

 

  要望 中本委員

   何回も言うが、差別発言の内容もいろいろあると思うので、反省する人もいれば、なかなか反省しないということもある。今のところは、

  その名前の公表、それも企業に限るということで聞いている。今までの歴史の中で、同対法など本当に国を挙げてやってきた事業だと思う。

  そういう中で、だんだん減ってはきているが、なくなってはいないのが現状だと思う。また、最近ではネット上での問題などいろいろ

  起こってきている。いろいろ難しいことは重々わかっているが、県は人権侵害に対する救済を行うという1つの見解を持っているので、

  引き続き強く国の方へも働きかけをよろしくお願いする。

 

  Q 吉井委員長

   部落差別に関する新しい県の条例ができた。その中で、いわゆる第三者委員会ということで、人権尊重の社会づくり条例の審議会が

  そのまま担っている。新しい県条例を作ったのだから、新しい審議会を作るように要望をしたが、県はなかなか受け入れてくれなかった。

  そういう中で、部落差別に関しての分科会を作るという約束をしたが、その分科会ができたのかが心配。先ほど人権局長が分科会を作った

  と言ったが、本当に作ったのか。

 

  A 遠見人権局長

   委員長指摘の件だが、先ほど申し上げた人権侵害事件対策委員会という形で、条例と紐付けた形の対応ができるような体制を整備

  したところである。

 

  Q 吉井委員長

   いつ整備したのか。

 

  A 遠見人権局長

   今年の4月1日付である。

 

  Q 吉井委員長

   なぜ、報告してくれないのか。

 

  A 遠見人権局長

   特別委員会の場では報告をしていなかった。

 

  Q 吉井委員長

   我々は、本当に強く主張をした。新しい部落差別の県条例ができ、いわゆる説示をして従わなかった場合に勧告するという制度で、

  本当に大きな条例ができた。さらに、公表制度も追加された。そういう重大な問題を決定する審議会としては、委員にいささか問題が

  あるということを指摘し、新しく特化した審議会の設置を要望した。しかし、既存の審議会の中に分科会を作るからということで、

  納得し、引き下がった。そういう経過があるのだから、報告してくれないといけないのではないか。

 

  A 島本共生社会推進部長

   昨年の条例改正からの経緯があり、既存の審議会の中に新たに人権の委員会を設けた。それについて説明が至らなかったということ

  は、反省する点である。この新たに中で形づくった委員会については、今回、教員による差別発言事件も発生したことなので、しっかり

  機能していくように努めていきたいと思う。

 

  要望 吉井委員長

   私としては、昨年、和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例を改正する予定ならば、予算も大してかかるものでもないので、

  部落差別に特化した委員会を作ってくれということを再三訴えたが、そうはならなかった。今後、そういう特化した審議会にして

  ほしい。それを私から要望する。

 

    ●吉井委員長

     ◎説明に対する質疑等終了宣告

     ◎その他(県内外調査の実施)について協議

     ◎閉会宣告

   午後3時9分閉会

 

    

 

    

 

 

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