令和6年9月和歌山県議会農林水産委員会会議記録
令和6年9月和歌山県議会農林水産委員会会議記録
1 日時 令和6年9月24日(火)午前9時58分~午前10時50分
2 場所 第4委員会室
3 出席者 委員長 北山慎一
副委員長 坂本佳隆
委員 冨安民浩、谷 洋一、谷口和樹、浦平美博、川畑哲哉
欠席委員 なし
委員外議員 なし
4 概要
午前9時58分開会
●北山委員長
◎開会宣告 挨拶
◎報告事項 委員の欠席なし
◎傍聴協議 10件
◎撮影許可 3件
◎議 事 議案1件、請願1件、継続審査を要する所管事務調査8件
◎農林水産部審査宣告
◎議案等に対する説明要請
●立石農林水産部長説明
●北山委員長
◎議案に対する質疑及び一般質問宣告
Q 川畑委員
6月定例会の農林水産委員会で給食へのジビエ提供削減に関する件を質問し、
学校現場、事業者、生産者の方との向き合い方や対応策について、今後しっかり
取り組むようお願いをしていたが、その後の進捗状況を聞かせてほしい。
A 豊吉畜産課長
学校給食については、4月に市町村の教育委員会に、自治体独自でジビエを給
食に盛り込むよう依頼を行ったが、イノシシ肉は豚肉と比較して価格が非常に高
く、また、ソーセージなどの既存の加工食品もジビエの含有率が高く高価である
ことが課題となり、なかなか進まない状況であった。
このため、自治体独自の判断で、継続的にジビエが給食に取り入れられること
を目的に、おいしくて価格が手頃な加工食品であるジビエメンチカツなどの開発
を新たに進めることとし、学校給食への食材納入実績が豊富な業者の協力を得な
がら、7月に試作品を作成した。
その後、給食に関わる栄養士や栄養教諭、小学生の保護者を対象とした試食会
を実施し、アンケート調査を行いおおむね好評であり、また、ジビエ供給業者か
らも供給についておおむね理解を得られているため、今後は、新たに開発したジ
ビエメンチカツについて、各自治体の教育委員会に給食のメニューとして活用し
てもらえるよう働きかけていく。
要望 川畑委員
創意工夫に努力していることに、ひとまず安心した。また、県とともに事業を
やっていく信頼関係の紡ぎ直しにつながるよう、引き続きしっかり努力してほし
い。
Q 川畑委員
6月定例会の委員会で熊野牛について質問したが、もう一つのブランド牛であ
る紀州和華牛について、価格や消費動向を聞かせてほしい。
A 豊吉畜産課長
紀州和華牛は、多様化する消費者ニーズに応えるため、全国でもほとんど例を
見ない霜降りを抑えた和牛肉としてブランド化し、令和元年より販売されている。
生産量については、令和5年度は年間96頭出荷されており、令和6年度は年間
120頭の出荷が予定されている。販売については、食肉市場を介する取引ではな
く、生産者及び流通業者等で構成される協議会内で固定価格での取引としている
ことから、市場価格に左右されず流通が安定している。消費動向については、県
内をはじめ、東京や大阪といった大消費地でも好評で、特にモモ肉など赤身の多
い部位の売れ行きがよいと聞いている。
意見 川畑委員
商品のPRなどについて、私達もしっかり協力していきたいと思っているので、
一緒に頑張りましょう。
Q 川畑委員
紀州備長炭は、本県の重要な産業の一つだが、紀州備長炭の生産量や製炭者数
が全国的に見てどのような状況か。
A 原林業振興課長
紀州備長炭の生産量は、令和5年次において927トン、全国第2位で、全国シ
ェア32%となっている。製炭者数は、令和5年次において171人、全国第1位で、
全国比36%となっている。
Q 川畑委員
この重要な産業を守り続けるという意味では、製炭者の確保や育成も大切であ
る。生産量全国1位の奪還を目指してほしいが、その製炭者の確保や育成につい
ては、県はどう取り組んでいるのか。
A 原林業振興課長
製炭者の確保については、林業セミナーなどにおいて製炭希望の方がいた場合、
まずは和歌山県木炭協同組合を紹介し、製炭の話や体験をしてもらっている。紀
州備長炭の製炭には、高度な技術が必要となり、一般的に一人前の炭を焼くには、
「木づくり3年、窯づくり10年、炭焼き一生」と言われているように、長い年数
が必要である。
このため、製炭者の育成には、県木炭協同組合の熟練した製炭士の方が田辺市
にある研修施設などで、製炭技術の指導を行っている。さらに、択伐施業による
山づくりや高度な製炭技術などの研さんを積むため、県と県木炭協同組合との共
催により、やまづくり塾研修会を年間約5回程度開催している。また、県では、
製炭者が安定して高品質な備長炭を生産できるよう、炭窯の整備等の支援を行っ
ている。
今後も県木炭協同組合と連携し、紀州備長炭のブランド向上や生産量の拡大を
目指し、積極的に製炭者の確保や育成に向けて取り組んでいく。
意見 川畑委員
山を守りながら生涯かけて炭を作る方々をしっかり指導していくよう、引き続
きお願いする。
Q 谷口委員
サカキについて、6月定例会の委員会で神社庁との取組について聞いたが、そ
の後の状況はどうか。
A 原林業振興課長
県では、和歌山県神社庁との連携による県産サカキのPRなどを図るため、本年
3月、サカキ生産者、販売事業者、それから神社関係者等約70名を対象に、県産
サカキの特徴や栽培管理のポイントなどを内容とする研修会を開催し、神職の方
からも神社でのサカキ利用について説明を受けた。また、6月には和歌山県神社
庁主催により、神社職員等約30人を対象に、サカキの栽培方法を内容とする研修
会が開催され、県林業試験場の研究員が病害虫防除などについて説明をした。
今後も県産サカキのPRをはじめ、商品価値を向上させる研修の開催などに取り
組み、利用拡大を推進していく。
意見 谷口委員
流通しているサカキには中国産が多く、神棚に供えるサカキは、国内産であっ
たほうがよいので、神社庁の協力を得ながら国産サカキの流通拡大と併せて県内
サカキがしっかり流通できるよう、これからもよろしくお願いする。
Q 谷口委員
サカキの単価の推移を教えてほしい。
A 原林業振興課長
県内のJAにおけるサカキの単価は、2010年の1束当たり151円に比べて、2023
年には193円と約3割高となっている。
意見 谷口委員
県によるくくりの講習や、いろいろな施策で単価も上がってきているが、若い
人がサカキの仕事で高収入を得ることなどで、地場産業の育成や定住にもつなが
ると考えられる。流通価格が400円ほどまで上がれば、しっかりと生計が立てら
れると思う。
Q 冨安委員
気候変動や温暖化によって農業生産に少なからず影響が出ており、温暖化は恒
常的に続くとみられ、今年のうめの生産量が5割減となっている。
うめ産業は、6次産業化の典型的な例であり、田辺市、みなべ町の経済の屋台
骨を背負っている産物がうめである。こういう生産量が減っている状況に対して、
原因をきちんと究明しないと対策ができないと思うが、どう考えているか。
A 塩路果樹園芸課長
本年のうめ不作の原因は、開花前の昨年12月から1月にかけて暖冬で高温が続
いたため、開花日が平年より3週間程度早く、めしべが十分に成長しない不完全
花が増加したことで受精不良が発生し、着果数が非常に少なくなったことが1つ
の要因である。また、3月20日に主産地の広範囲で降ひょうがあり、出荷できな
い傷果が多く発生したことも要因となっている。
うめの安定生産に向けた対策として、樹勢を低下させない土づくりや適正施肥
など基本管理の徹底に加え、受粉樹の導入や老木樹の改植が重要と考えている。
今後、JAと連携し、主産地で開催される剪定講習会などで生産者に対して安定
生産に向けた基本管理の徹底を啓発するとともに、国庫補助事業等を活用した改
植や授粉樹の導入を推進し、引き続きうめの安定生産に取り組んでいく。
要望 冨安委員
本当に大事な問題なので、振り返ったときに間違いがなかったという取組をぜ
ひお願いしたい。うめ研究所でしっかりこの問題を認識し、生産者と一体となっ
て二度とこういうことがおきないよう取組をされることを強く要請しておく。
A 上山研究推進課長
これまでうめ研究所では、受粉率を高めるために「南高」と開花時期のズレが
小さい授粉樹として「星秀」を品種登録し安定生産に努めてきた。また、本年か
ら、産地の生産者やJAグループ、行政で組織している「紀州うめ研究協議会」の
協力を得て、産地の「南高」の中から暖冬でも安定して着果する優良な樹を選抜
する取組を開始した。
今後も将来の温暖化を見据え、安定生産を図ることができる品種の育成に取り
組んでいく。
Q 冨安委員
温暖化に対応できる品種の育成について、成果は上がっているのか。
A 上山研究推進課長
温暖化に対応した品種については現在育成途中で、授粉用品種「星秀」は普及
段階に入っている。
Q 冨安委員
鳥獣害対策について、和歌山県ではかつて野生鳥獣を保護の対象としていた時
期はあったが、今は大変な状況になって被害が出ている。今何をやるかによって、
その影響が5年先、10年先の結果として出てくる。今対策を徹底してもらわない
と、生産者が意欲をなくす結果になる。
鳥獣による被害額は減少しているが、山間部へ行くと農業生産をしたいのにイ
ノシシやシカ、サルに荒らされるので畑を放棄していることが多い。そういう意
味では被害は全然減っていない。
都会に住む人は、自然や野生鳥獣が多いことに地方の価値を見出しているが、
我々地方の者は被害の観点から鳥獣害対策を徹底的にやらなければならない。抜
本的に鳥獣害対策を考えないと、今のやり方では絶対に減らない。
シカを1万頭あまり捕っても全然減っていない。確かに対策はやっているが、
結果が出ていない状況では、将来に対して責任が持てない。今後の対策をしっか
りと検討すべきではないか。
A 仲鳥獣害対策課長
数字だけ見ると減少傾向だが、我々も決して被害が減っているとは考えておら
ず、高止まりの状況と認識している。
そこで、何か新たな方法がないか、いろいろなことができないか、今後の対策
を検討するため、10月中旬に農林水産省の鳥獣害対策課長が来県し、被害状況を
見てもらうよう準備を進めている。
要望 冨安委員
ぜひしっかり進めてください。
要望 谷委員
私の地元では、二重に網を張った小さな畑で生産を続けているが、他の畑では
もう何もつくってない。イノシシは柵をしても下から掘って侵入してくることも
あり、一番悪いのはサルで、柵や網をしても登って上から入ってくる。生産者は、
耕作したいが、畑を荒らされるので生産を諦めるというのが現状である。シカは
毎日やってくるし、サルもよく見かけるようになるなど、確実に野生鳥獣の数が
増えている。
10月に農林水産省と対策を協議する機会があれば、ぜひしっかりとした対策に
つなげてほしい。
Q 谷委員
新聞で、ナガスクジラが捕れたという記事を見た。これから販売していくと思
うが、いい値段で売れると思う。鯨肉の販売についてどうか。
A 岸裏水産振興課長
県庁の食堂で9月24日から27日まで、鯨を使った弁当や定食の提供を行ったり、
小さいときから鯨になじんでもらうため、小・中学校に鯨肉を提供するなど、鯨
食の普及に努めている。また、今後、商業施設において、販売促進を含めた鯨フ
ェアを行う予定としている。
Q 谷委員
しばらく聞かなかったが、最近、ナガスクジラは捕れるのか。
A 奥山資源管理課長
ナガスクジラの捕獲は禁止されていたが、本年7月31日付け官報で、母船式捕
鯨業で59頭が捕れるようになった。
意見谷委員
おいしい鯨がたくさん捕れ出したら、消費が拡大するので、和歌山県の太地で
も頑張って、捕ってきてもらいたい。
●北山委員長
◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告
◎議案に対する採決宣告
◎議案第140号については全会一致で原案可決
◎請願に対する審査宣言
◎請願に対する質疑宣告
Q 浦平委員
改めて流れを説明すると、最初、加太のほうから知事に対して要望に行った。
ところが、半年経っても何ら返答もない。そんな中で、どうすればいいのかとい
う話の中でスタートしたことが、今回の請願に結びついているという認識である。
その上で、この農林水産委員会で、先輩方の協力も得て、これについては海区
漁業調整委員会できちんと審議することが望ましいのではないかということを言
ってもらい、それが妥当であるという判断の中で、時間が過ぎているという認識
である。
そこでお尋ねしたい。この請願、昨年11月30日が受理された日かと思うが、請
願を提出した後、その後、どうなっているのか。
A 奥山資源管理課長
6月定例会までは、和歌山海区漁業調整委員会の小委員会が3回開催され、当
該問題の解決策について議論された。6月定例会後の7月23日に第4回の小委員
会が開催され、小委員会では、和歌山海区漁業調整委員会への審議結果報告書に
おいて、「問題解決に向け、両漁協間で県を交えて協議を行った上で、協定を締
結することが適当と考える。なお、協定の締結が進まない場合は、再度委員会に
て協議を行う。」と決議された。8月9日には和歌山海区漁業調整委員会が開催
され、小委員会の審議結果報告書が承認された。結果については、加太漁協と有
田箕島漁協の両組合長に、県より報告を行っている。
Q 浦平委員
続いて、今現在、この重複区域における問題は起こっているのか。
A 奥山資源管理課長
9月上旬までは、特定の個人1隻が定期的に重複区域で操業していた。しかし
ながら、9月8日には加太漁協より4隻の小型機船底びき網漁船が操業していた
と報告を受けているとともに、県では9月11日に特定の個人、9月13日に特定の
個人を含む2隻、18日にも特定の個人が操業していることを確認している。
Q 浦平委員
農林水産委員会でこの話があって、そのあと海区漁業調整委員会でやっていき
ましょうとなった。そして今説明があり、小委員会を3回開いて、協定を結んで
いこうという形の中で、1つの方向性が示されている。
示されているが、協定はまだ結ばれていない。バランスが非常に重要なこの時
期に、「解決に向けてやっていきましょう」と言っているにも関わらず、隻数が
増えて、船が入ってきているということでよいか。
A 奥山資源管理課長
そのとおりである。増加してきている。
Q 浦平委員
私の生まれ育った地域の1つが加太であり、非常に古い漁港であるというふう
に認識している。加太は一本つりで、小型機船底びき網では大量に漁獲されてい
ると思うが、全然漁法は違う。その中で、資源管理についてどう考えているか。
A 奥山資源管理課長
資源管理は、将来にわたって持続的に水産資源を利用するためには、非常に重
要であると考えている。加太漁協では、古くから一本つりを中心とした漁業が営
まれ、その品質は市場で高く評価されている。また、長年自然と共生し守ってき
た共同漁業権漁場においては、漁協内で資源を守る様々な取り決めがされている
と聞いている。小型機船底びき網漁業においても、自主的な資源管理として、休
漁日を設けるなどの取組を行っているところだが、同じ場所において異なる漁業
を行う場合は、独自の取組以外に、協定等による共通の取組が必要であると考え
る。
Q 浦平委員
休漁日にゴソッと捕っていってしまえば、次の日に行っても魚はいないと思う。
現在、加太漁協には県から共同漁業権が免許され、たこつぼや刺し網などが操業
されていると思う。重複区域で小型機船底びき網漁業が行われることは、漁具を
設置する漁業には致命的であって、共同漁業権が行使できない状況となっている
と思う。そもそも共同漁業権とはどういう権利か。
A 奥山資源管理課長
漁業権は、一定の水面において特定の漁業を一定の期間排他的に営む権利であ
る。一方、小型機船底びき網漁業は許可漁業であり、許可漁業とは、水産資源の
保護、漁業調整の目的から自由に漁業を営むことを禁止し、特定のものに禁止を
解除するもので、他の漁業を排除して独占的に営む漁業権とは、その性格を本質
的に異にするものである。そのため、許可漁業は、許可証にも記載されていると
おり、免許漁業の妨害をしてはならないとなっているが、現在、加太漁協は設置
したたこつぼや刺し網が途中で切られているなどの漁具被害により、重複区域で
漁業権を行使できない状況であると小委員会で確認している。
Q 浦平委員
被害が出ているということを受けて、今後の和歌山県としての対応を教えてほ
しい。
A 奥山資源管理課長
両漁協を訪問し、協定締結に向け話合いの場を設定するよう調整を進めている
が、具体的な話合いの場の設定には至っていない状況であることを小委員会にも
報告している。また、漁業取締船による周辺海域の監視の強化を実施しており、
重複区域で小型機船底びき網漁船の操業がある場合は、「底びき網が操業するこ
とで漁具を設置できない状況であるため自粛してもらいたい」などの呼びかけを
しているが、呼びかけに応じないこともあり、現場の状況を委員に随時報告して
いる。
なお、調整が進まない場合は、小委員会の審議結果にある「協定の締結が進ま
ない場合は、再度委員会にて協議を行う。」に基づき対応をすることとなる。
県としても、委員会と協力し、共同漁業権の行使が適切に行えるよう検討する
とともに、双方の話合いによる協定の締結を早期に実現していきたいと考えてい
る。
Q 浦平委員
今まで長い時間を費やして、双方にこの協定についての話合いをしていると聞
いた。その中で、加太側が協定の話合いを受け入れないのか、箕島側が受け入れ
ないのか。どちらなのか教えてほしい。
A 奥山資源管理課長
8月9日の海区漁業調整委員会で小委員会の審議結果報告書が承認された後、
両漁協に、話合いを行うこととしてきた。その結果、加太漁協についてはすぐに
承諾はあったが、有田箕島漁協については、まだ、話合いの承諾をもらっていな
い。
要望 浦平委員
非常に難しいことかもしれないが、これは今、るる質問をした。資源管理や漁
に携わる人々の生活、この和歌山のおいしい魚、こういったものについてしっか
りと守り、お互いをしっかりと理解する。それに向けて今後とも、ぜひとも協力
してほしい。
●北山委員長
◎請願に対する質疑終了宣告
◎請願に対する採決宣告
◎議請第2号については全会一致で継続審査と決定
◎農林水産部審査終了宣告
◎継続審査を要する所管事務調査宣告異議なし
◎県内外調査について、令和6年10月15日から10月17日までの日程で実施
することを報告
◎閉会宣告
午前10時50分閉会