令和6年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


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令和6年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

令和6年6月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 令和6年6月21日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第98号から議案第115号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第98号から議案第115号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 坂本佳隆
 2番 三栖拓也
 3番 秋月史成
 4番 玉木久登
 5番 藤山将材
 6番 森 礼子
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 9番 高田英亮
 10番 佐藤武治
 11番 鈴木德久
 12番 濱口太史
 13番 鈴木太雄
 14番 冨安民浩
 15番 吉井和視
 16番 玄素彰人
 17番 山家敏宏
 18番 岩田弘彦
 19番 中本浩精
 20番 中村裕一
 21番 谷 洋一
 22番 北山慎一
 23番 川畑哲哉
 24番 堀 龍雄
 25番 谷口和樹
 26番 新島 雄
 27番 山下直也
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 小西政宏
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 総務部長       吉村 顕
 危機管理部長     河野眞也
 企画部長       前 昌治
 地域振興部長     赤坂武彦
 環境生活部長     山本祥生
 共生社会推進部長   島本由美
 福祉保健部長     今西宏行
 商工労働部長     大川伸也
 農林水産部長     立石 修
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      高橋博之
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員    竹山早穗
 警察本部長      野本靖之
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
         橋爪正樹
 議事課長       岩井紀生
 議事課副課長     田中 匠
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課副主任     中阪康仁
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       榊 建二
 政策調査課長     岩谷隆哉
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  午前10時0分開議
○議長(鈴木太雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第98号から議案第115号まで並びに報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 39番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、一般質問を行わせていただきます。
 今回、項目は1項目、賃上げについてという項目を取上げさせていただきますが、今春、春闘で賃上げが実現した、それが県内の中小企業にどのように巡回し、あるいは小売店とか飲食店に回っていって経済がどう回っていくか、そこに県、関与をどのようにしてくれるかという観点で、今回、一般質問をさせていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
 連合和歌山によりますと、令和6年春闘において、企業から回答を得た組合の定昇相当込みの賃上げ、これの加重平均は1万5236円、率にして5.08%、300人未満の中小企業の同金額は1万1361円、率にしますと4.45%であり、比較可能な年度以降では、賃上げ額、賃上げ率とも過去最高となっています。
 県内では、日本製鉄の組合要求3万円に対して、会社回答が3万5000円という異例の決着を見せております。春闘について、同社の労務担当の三好執行役員のコメントを要約すると、製造業のトップクラスの水準に引き上げ、一流の処遇の下、社員に一流の実力を最大限発揮してもらいたい、今回の給与改定は、会社にとって今後の生産性向上を前提にした将来に向けた人への投資だと語っております。この背景にあるのは、日本製鉄の橋本英二会長の賃金抑制は経営にリスクという考え方です。
 そこで、日本製鉄の組合員さんと、過日、懇談をさせていただきました。そこで、橋本会長──当時は社長だったんですが──どういう方なんですかという話に触れたところ、社員の給与の総額をどれだけ増やせたか、私にとっても──これは会長にとってのという意味ですが──経営のKPIですよ。KPI、重要業績評価指標ということになりますが、社長の、どれだけやったかという指標になるわけですけども、橋本英二前社長がこのように話してきたことを伝えてくれました。
 この発言の趣旨は、社員の給与を上げることは社長の仕事であると、それができたことは社長としての誇りであるという意味だそうです。当時、社長で、今、会長ですから、退任に際して、私の最大の仕事は給料を上げられた、それは社長としての誇りだと、こういう発言であります。会長の言葉が職場に浸透していて、働きがいのある社風だと感じました。
 この話をきっかけにして、現在の日本製鉄に興味を持ち、「日本製鉄の転生」をはじめとする資料を読みました。その中で、橋本社長のインタビューやコメントがたくさんあったわけなんですけども、やはり同じように、社員の給与をどれだけ増やせたか、それが社長としてのこだわる指標として、ついてきた社員たちに報いること、社員たちのやる気を引き出し、さらなる利益拡大に挑む、そのサイクルが着実に回り始めていると話しているように、我々としてはオールドエコノミーの代表的企業である日本製鉄が変わっているのですから、ほかも変われないはずがないと感じました。
 今回の賃上げに至る道筋について、もう少し説明を続けたいと思います。日本製鉄は、社員の給与を上げるための原資を確保するために取引先と価格交渉したように、適正価格で商品を取引するという当たり前の営業活動を行っています。日本製鉄の有名なのは、トヨタとの価格交渉の話なんですが、これを含めた事例を指していると思います。その結果、世界最高品質の製品を世界で一番安い価格で販売していたとやゆされていた日本製鉄が適正価格に転換することができ、社員の給料アップにつなげています。この社長の──今の会長ですが──考え方と企業姿勢は、我々も見習うべき点だと思います。
 適正価格で取引できない説明として、日本企業は長年の行き過ぎた顧客至上主義の考え方が浸透していたことが上げられます。いつの時代からかは分かりませんが、お客様は神様ですの言葉が社会に浸透し、お客様の言うことは何でも聞く姿勢が企業に求められてきました。そのたどり着いた先が現在で、カスタマーハラスメントは社会全体、とりわけサービス業の大きな問題になっております。県庁や役所でも、同じ問題にさらされているのではないでしょうか。
 今般、JR西日本、全日空、そしてイオンなどでは、このカスタマーハラスメントに対して対応しませんと打ち出しているように、顧客至上主義は、苦情に割く時間が増え、製品原価を押し上げることになります。このカスタマーハラスメントについては、後の中西議員が触れると思いますので、ここで止めておきますが、社員の給与を上げることが社長の使命であり、誇りであるという言葉に感動を覚えますし、人への投資は現在の企業が持つべき価値であり、全ての企業が見習っていくべき姿勢だと思います。顧客のためならという大義名分は、部分最適にはなっていても、会社全体の利益を害します。そうなれば、企業の競争力を損なうのは当たり前のことであり、それは商品やサービスの恩恵を受けるお客様、我々のもとに跳ね返ってくることになります。
 我が国はデフレ経済から脱却できなかったため、給与が上がらなかったことや、企業の利益率も欧米の有力企業には及ばない体質に陥っています。デフレから完全に脱却するためには、今春の賃上げをした企業は、来春以降も賃上げの機運を経営者側、労働組合側が維持し続けなければなりません。和歌山県は、この橋本会長の「賃上げできたことを誇りに思う」と語った経営者の姿勢に見習い、賃上げに向けた方向性を地元企業に示してほしいと思います。
 ところで、今年4月ですが、日本銀行出身で法政大学経営学部の平田英明教授、そして、経済学者で東京大学名誉教授の伊藤元重さんの講義を聴いてきました。伊藤先生の著書で「入門経済学」は、経済学の基本書として、学んだことがある人だったら、読んだことがあろうかと思います。
 この伊藤先生の講演の中で、「賃金上昇と新陳代謝」と題した項目で説明がありました。デフレ経済が続いてきた10年前は、賃金を上げなければ日本経済にマイナスとの考えが主流であり、多くの企業は他人事のように考えてきたそうです、企業、給料上げたらいいやと、でも、俺の会社は関係ないよと、こういう考え方だったそうですけども、現在の企業は、賃金を上げないと生き残れないと、自分事だと捉えています。賃上げをしないことには人材が集まらず、または流出して、世界との競争で勝ち残れないということです。また、賃金を引き上げることは、日本経済にとっての不可欠な条件であり、物価が上がっても賃金が追従しなければ、労働者の実質所得は減少してしまうので、消費性向にもマイナスの影響が出てくるからです。
 伊藤先生は、今後、賃金上昇が続くと考える三つの理由を説明してくれました。
 一つは、構造的な人手不足ということです。現在の深刻な人手不足は、高齢化の進展で15歳から64歳までの生産年齢人口の縮小が続き、高齢者や女性の就業率も世界最高水準に近いところまできていることから起きているものです。つまり、今後とも、これ以上の労働力を確保することは難しい構造的な人手不足になっていることから、さらに人手不足は深刻さを増すことが予想でき、企業にとって賃上げは避けられない経営問題になっております。
 二つ目が、物価上昇が賃上げを促すことです。デフレ経済下では、多くの企業は賃金を据え置いてきましたが、賃金はこのとき下方硬直性が働き、大半の企業が賃金を据え置いてきました。ところが、現在のように2%、3%前後で物価が上昇すると、多くの企業は賃金を上げるようになってきています。人材確保の重要性を理解し、人材の確保に熱心な企業もあり、今春の春闘の結果でも明らかなように、約6%の賃上げをする企業も出てきました。現在のように物価上昇が続いている経済下において、賃金上昇率で企業や業種間で大きな格差が生まれ、そして、この賃金格差が労働における新陳代謝を促す、こういうことになります。
 ここで労働における新陳代謝というのが少し分かりにくいので、もう少し説明を加えますと、インフレは、消費者価格を引き上げるなど、私たちの生活を脅かすマイナスの側面を持っていますが、インフレによって賃上げ意欲が刺激され、結果として賃金格差が生まれれば、労働市場において新陳代謝が強まるので、経済の活性化が期待できる、こういう循環であります。
 賃上げというと、社会全体の賃金がどうなるのかという面のみが強調されますが、それはそれで重要な意味を持っていると思いますが、伸びている業種と停滞している業種の間、そして、社会的なニーズの大きな職種とその他の職種の間で、賃金上昇率の格差が生まれることの意味もあります。要約すると、賃金を上げられる企業が伸びる企業であり、人材が集まってくるということです。逆に、賃上げをしない企業には人材が集まらず、この先、人が集まらなければ成長もないと、こういうことになろうかと思います。
 そして、伊藤先生の三つ目です。諸外国と比較して、日本の賃金は低過ぎるという問題です。講演の中で、ニューヨークとの比較がありました。最低賃金が15ドル、仮に為替レートを1ドル158円だとすると、時給は2370円、1か月、1日8時間、25日勤務で47万4000円となります。後に触れますが、和歌山県の最低賃金は929円ですから、この差は一体何だろうかなというふうに思います。これは和歌山というよりも日本の問題であります。
 これ以外に、伊藤先生の講演の中で印象に残った話として、やはり日本製鉄の橋本会長の話を紹介してくれました。値上げ交渉は営業の仕事ではなくて社長の仕事である、このコメントを紹介してくれました。これは、日本製鉄がトヨタ自動車と値上げ交渉をした事例に基づいた話ですが、値上げ交渉は社長の果たすべき役割だということです。
 賃上げは一企業だけの問題ではなく、社会全体の問題で、賃上げをしない限り、社会全体で脱デフレが図れないということです。現在、物価上昇率が賃金上昇率に先行しているため、賃上げにもかかわらず労働者の実質賃金は依然として低く、賃金が物価に追いつけない状況が続く限り、私たちは消費を抑制することになります。穏やかなインフレ傾向は、本来、経済に好ましい影響を及ぼすことが期待できるものですが、そこには物価上昇に対応できるだけの賃金の上昇が必要となります。つまり、今春の春闘の結果に満足することなく、来春もそれ以降も、物価上昇を上回る賃上げが求められるということです。
 そこで、1点目、県内経済の状況についてであります。
 現在の和歌山県内の経済状況をどう捉えているのでしょうか。働く人がインフレに対応できているのだろうかと思うこともありますし、県内経済はやはりまだ回復していないという声も聞こえている中、今秋にも利上げ予測があることから、県内経済を早急に回復させる必要がありますが、この点、知事の答弁をお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 片桐議員の御質問にお答えをさせていただきます。
 県内の経済状況につきまして、最も信頼できる統計としましては、財務省の出先であります和歌山財務事務所の調査が定期的に行われております。これはアンケート調査なんですけども、企業が今の状況をどう思うのか、いいとか悪いとかいうものの引き算、足し算ということでございますけれども、今御質問の和歌山県の景気の現状について、この調査によりますと、全ての産業で、下向きだという答えが上向きだという答えを上回っているという状況でございます。
 また、雇用情勢につきましては、これも全ての産業で不足ぎみが上回っております。また、今後どうなるのかという見通しにつきましても、やはり不足ぎみだという答えが多くなっております。
 一方で、7月以降の景気の見通しにつきましては、これは全産業区分では持ち直していくだろうという見方をされているようであります。ただ、これも大企業、中堅企業は上昇と見る人のほうが多いんですけれども、中小企業では逆に下っていくだろうという見方が多くなっているという状況ですので、そこに少し差があるのではないかと考えております。
 コロナ禍を乗り越えまして、県内の経済は総じて持ち直していくと見込まれておりますけれども、歴史的な円安水準の持続、光熱費や原材料価格の高騰、さらに、先ほど申し上げました人手不足などによりまして、依然として厳しい状況であると考えておりますので、県といたしましては、引き続き、経済の状況についてはしっかりと注意をして見守ってまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えいただきましたので、2問目、今春の春闘での賃上げの成果にいきたいと思いますが、先ほど言いました元日銀の平田教授なんですけども、日銀、植田総裁の考え方をこのときかなり細かく説明してくれまして、4月時点ですけども、総裁の利上げの考えについて、いきなり金利を上げるのではなくて、社会と企業に金利のある世界に慣れさせるための情報を発信し始めていますと。冬から春の段階で、こういう話を実はしてくれておりました。当時、利上げはまだまだだろうなという話だったんですけども、確かに当時の新聞を見ますと、慣れさせるために何げなくにおわしているんですよね。そういう説明をしてくれました。
 その植田総裁、今年5月、次のように話がありました。ちょっと金利の話ではないんですが、中小企業の賃上げの話です。
 「中小企業でも賃金交渉が進んでいます。中小企業の業況は、業種や個社によって様々であり、値上げが容易ではないとの声も聞かれることは認識しています」、これは和歌山によく似ていると思います。「地域の中小企業を含む多くの先からは、人手不足感は顕著であり、業況が厳しい中でも、人材確保のため賃上げを検討するとの話が聞かれています。政府が、企業間取引において労務費の適切な価格転嫁が進むよう取組を進めていることも、こうした先での賃上げの決断を後押しする方向に作用しているようです。過去を振り返りますと、我が国では大企業における妥結結果がいわゆる世間相場を形成し、中小企業の賃金に波及していく傾向があり」、また、「今次局面では、過去見られなかった企業の賃金・価格設定行動の変化が見られました。2年連続で大幅な賃上げが実現し、企業の販売価格見通しもしっかりと上昇してきたのは、デフレ下で社会に根づいた賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が変化してきたことを示しています。先行きも労働需給が引き締まった状況が続くと見込まれることも踏まえますと、企業の賃金・価格設定行動の変化は次第に定着していくと考えています」と、こういうコメントが出ております。
 昨今の環境では、一つは、金利がある世界に慣れさせるための期間を設けている段階であるということ、一つは、社会が利上げに対応できるよう、価格改定と賃上げを定着させる必要があること、こういう意味だというふうに思います。
 そこで、質問です。
 日本製鉄の橋本英二会長のように、賃金抑制は経営にリスクという考え方、そして、社員の給与の総額をどれだけ増やせるか、それが私にとってのKPIですよという発言にあるように、会社経営の在り方と経営者の意識変化もあって、今春の賃上げが達成できたように感じます。橋本会長のような経営者の考え方と今春の春闘の結果について、知事の見解をお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 今、片桐議員がるる御紹介いただきました橋本会長の御発言については、本当にすばらしい考え方と思っております。私も実際、昨年、直接会社へ行ってお話を聞く機会がありまして、同じようなことをお聞きしまして、大変同感だなと思ったところであります。
 その上で、2024年春闘における日本製鉄の労働組合の要求を上回る賃上げの回答というのは、まさにその橋本会長の有言実行の姿であろうということに思いが至ります。ただ、恐らく橋本会長の意図はもう一つあったと思います。春闘というのは横並びで、ある業界なら同じ賃上げの金額になっていますけど、そんなのはおかしいんですよね。企業ごとに体力が違うわけですから、企業ごとに当然賃上げの幅が違うべきなのに、それが一律であるという、これまでの春闘に対する一つのメッセージだったのではないかと私は考えております。まさに、賃金というのは、その企業の生産性そのものだろうと思っておりますので、そのことをおっしゃりたかったのではないかと考えております。
 なお、連合の春闘の結果につきましては、比較可能な2013年以降で、最も高い賃金引上げになったというふうに承知をしております。これは働く者にとっては大変喜ばしいことでありますけれども、物価の上昇が続いておりますので、結果として、実質賃金ということで、名目の賃金と物価の上昇を考えますと、何と前年同月比では25か月、2年以上にわたって連続マイナスとなっている状況でありますから、当然、個人消費はなかなか元気が出てこないということでありますので、日本経済についてもなかなか厳しい状況が続いているわけであります。
 じゃ、実質賃金がプラスに転換するということのために何が必要かといいますと、これは、各企業の生産性が向上することが必須であります。そのためには設備投資、さらには人材投資が行われることが鍵となると考えております。これまで、アベノミクスによりまして、低金利が続いてまいりました。金利が低いということは、企業がリスクを取る必要がないということであります。アメリカの金利が5%ということは、借金をして5%で回さないといけない、そのためにはリスクを取って投資をしてイノベーションを起こす。しかし、0%だったら、そんなリスクを取ってまで投資をする必要がないというのが、この間続いてきたわけであります。その結果が、日本経済の潜在成長率を低迷させてきた最大の理由であると私は考えております。もちろんコロナ禍という特殊要因もありますけども、それは本質的な問題ではない。アベノミクスによる低金利政策が、起業マインド、起業家のベンチャー精神を衰えさせたということなのではないかと思っています。
 ただ、これも片桐議員が御説明いただきましたように、ようやく金利のある世界が戻ってまいります。金利のある世界が戻ってまいりますと、日本の企業経営者も、これからはリスクを取って設備投資、人材投資をしてまいります。そうなりますと、生産性が上がります。生産性が上がることによって、初めて賃金を持続的に上げることができるということですので、それを期待したいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事にお答えいただきました。非常に分かりやすく答えていただきまして、まさにそのとおりだと思います。
 リスクを取らないという、この日本の実力、今日現在、為替は、多分158円前後だったと思うんですけども、本当は日米の実力で僕そんなにないと思っているんですね。一般的によく日本の実力は多分1ドル110円ぐらいだろうと言われているんですけども、この差は何か、円安の原因は何かというと、単に金利の差なんですよね。これを通常の金利のある世界というか、資本主義の中の世界に戻していくことで、日本経済がまた回っていくだろう。その波及効果が和歌山県の企業なり個人消費なりにつながっていくということに期待できますので、ぜひそういう方向で導いていってほしいというか、メッセージを発信していただきたいというふうに思っております。
 そこで、来春の賃上げに向けた取組についてなんですけども、今の物価上昇率が続く限り、それに追いつく、あるいはそれを上回る賃上げが必要だと思いますが、県として県内企業の経営者の意識醸成の働きかけが必要だと思います。知事の答弁をお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 先ほどから、片桐議員が御指摘のとおりでありまして、過去最高の賃上げ率を記録したものの、実質賃金がマイナスでありますので、消費が力強さを欠いているという現状がございます。そんな中で、国としても賃金引上げに直接的に関わる助成金、税制優遇のほか、生産性向上に寄与するための各種補助金の優遇措置など、数多くの制度を設けて、賃金引上げに取り組む中小企業や小規模事業者の支援を行っているところでありますので、国のより一層の支援を期待したいと考えております。
 いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、賃上げが継続するためには、経営者がリスクを取って設備投資や人材投資を行うことによって企業の生産性を上げるほかありませんので、ただ国に言われたから賃金を上げるということでは、これは付加価値を生みません。賃金を上げることは人材投資にはならないんですね。人材投資というのは、リスキリングじゃないですけども、労働者の能力を上げることが人材投資で、それを怠ってきたわけです。単に国に言われて賃上げをしても、そんな企業はあきません。
 はい、以上です。
○議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 おっしゃるとおりであります。人材育成と生産性向上が目的で、それで賃上げということになっていくと思いますし、ぜひそういう働きかけはもちろんしていただきたいと思っております。
 そこで、じゃ、そうなると中小企業の賃上げはどうなのかという問題に触れたいんですが、その前に、日本製鉄の話をもう少しだけ触れさせてもらいます。
 「日本製鉄の転生」というこの本が(本を示す)、これ結構本屋さんで平積みになっておりまして、ビジネス用としては珍しくベストセラーになっていて、英訳もされてアメリカでも発売されると、こんなことになっているんですね。多分USスチールの問題等も含めてだと思いますけども、この中で、我々にとってうれしいことに、日本製鉄株式会社関西製鉄所和歌山地区、我々、和歌山製鉄所と呼んでいますけど、このことについて実は触れてくれております。
 高合金油井管、いわゆるシームレスパイプのことだと思いますが、世界のシェアは7割を上回り、和歌山地区の製造設備はフル稼働が続いている、世界の石油・ガス業界で日本製鉄の油井管は和歌山ブランドで知られていると。鉄鋼業界で地名がブランド名になるのは極めて異例なことで、君津や名古屋でもなかった、こういうことなんですね。鉄鋼の分野で、世界に和歌山ブランドが知られている、これは我々にとってはうれしい話ですし、このことについて、和歌山地区の白沢さんという方が、「和歌山で作られた油井管の価値を認めてもらい、それが信頼につながっている」と語っています。これも給与改定は会社にとって、今後の生産性向上を前提とした将来に向けた人への投資が生産性向上と会社の信頼につながっている事例だというふうに思います。まさに、岸本知事が今お答えいただいたとおりの循環が出てきているのではないだろうかと思います。
 さて、中小企業の賃上げについて話を進めますが、ここから二つの事例、中小企業の私の友人と懇談してきた事例を伝えて、現状を知っていただけたらと思います。
 まず、1人が、京阪神、阪神間を中心に建築の仕事をしている若手経営者です。今年の春、地元経営者を交えて和歌山に来てもらって懇談する機会をつくっていただきました。この中で、彼はこういう話をしたんですね。
 若い人が会社を興して頑張っているけれど、元請から提示される請負金額は昭和の時代からあまり変わっていないので、小さな企業は利益が残りません。実際に仕事を請け負っている、現場仕事をしている会社が苦しむ仕組みも全く変わっていません。だから、小規模な会社はいつまでたっても大きくならないし、社員の給料も上げられないのです。私は社員を守っている自負がありますが、それ以上に、社員の家族を背負っているということを意識しているので、給料を上げたいんです。続けて、地方都市では、現場で必要なある技術者、技術を持った人の日額なんですけども、これ30年ほど前は1日当たり1万5000円から2万円ぐらいの水準だったらしいです。ところが、今でも1日当たり約2万円ぐらいの水準ですから、この30年間あまり変わってないと。請負金額がその水準だと、社員に支払える給料を上げることができません。つまり、今の仕組みでは、請負会社か社員のどちらか、または双方が仕事に見合っただけの利を得られない、こういうことになっています。
 小さな会社が適正な利益を出して社員の給料を上げるためにすべきことは、請負金額を上げてもらう以外にないのです。ただし、1社だけで大手企業と価格交渉をしても、ほかの会社に仕事が回されるだけになります。利益が薄くても社員の給料を上げなければ請け負うことができるので、そんな古い価値を持つ会社は今でもたくさんあります。それでは社員も家族も幸せにならないと思っています。だから、単価を上げてもらえるよう、仲間の会社と共に大手企業と交渉しています。小さな会社でも、まとまると力になるもので、先ほどの事例で示した技術者の日額は、1日当たり、交渉した結果、今では最低約2万5000円、それから高いときで4万円、こういう水準に引き上げてもらうことができましたと、現場の日当を上げてもらうことができましたと。日額が上がったので、社員の給料を上げることができました。働いただけお金がもらえる仕組みにすることで、中小企業にも人材が集められますし、社員として長く在籍してもらうことができます。
 取引企業の理解を得て、ようやく改善できつつありますが、これまで私が訪問した、仕事で行った地方では、相変わらず請負会社が泣いているような状況で、意見を言うことができないので泣き寝入りしている、こういうところが多いようです。請け負う会社が意見を言わなければ、いつまでたっても環境は改善されないと思います。どれだけ頑張っても会社は伸びない、人材が集まらない、人材がいないので仕事が回ってこない、このような悪循環になっている地方が多いと思います。これは和歌山だけではなくて、どこの地方都市でも同じ状況にあるということで、ここから、社長の仕事は、大手企業と交渉して、適正な利益が確保できる金額を引き出すことにあります。それが会社を長く続けることや後継者に任せられる会社にするために必要なことです。このように語ってくれました。
 そして、今までのように我慢しているだけでは会社は一代で終わってしまいます。和歌山の皆さんには、社長のやるべき仕事をしてください。それが会社と社員を守ることになりますと締めくくってくれました。情熱と行動力を感じる話を聞かせてもらいました。
 この懇談会に参加してくれた地元の経営者たちは、「まるで経営の授業を受けているようだった。勉強になりました」「すごく分かりやすく、人材確保と社長の役割の話をしてくれたので感動しました」などの意見を聞かせてくれまして、早速、取引先と交渉に入っているというふうに聞いております。
 また、県内で運送会社をしている友人の社長からも、賃上げに関しての話を聞かせてもらいました。
 私の会社は、運送業界からすると、比較的小さな規模です──小さくはないと思うんですけど、小さいということで言っているんですね。光熱費や必要経費などが上昇していることで、会社の利益を圧迫してきています。しかし、会社は社員の生活を支えているので、物価上昇の影響を受けている社員の生活を何としても守らなければなりません。そのために、今年の春、社員の給料を上げたいと思っていたのですが、そのためには原資を生み出す必要がありました。当たり前のことですが、原資は売上げから必要経費を差し引いて、そこから人件費を捻出しています。社員の給料を上げるためには、売上げを増やす以外にありません。
 そこで、賃上げするために、主要な取引先と交渉しました。結果として、大手インターネット通販の会社、それから全国キーのテレビ局などの数社が私の思いと願いを理解してくれて、値上げ交渉に応じてくれたそうです。合計すると、毎月数千万円の売上げの増加につながったので、増加分を全て賃上げの原資に引き当てて、全社員の給与を引き上げることができました。社員の年齢や成果などによって賃上げ額は異なりますが、平均して月1万円の賃上げを達成することができました。加えて、この会社では、夏と冬に賞与を支給していますから、数十万円の賃上げを達成できたということになりますと話してくれました。中堅企業でも、これだけの賃上げを今春達成しております。
 僕のほうから、「よく大手取引先、このインターネット会社、テレビ局って超大手なんですけども、よく交渉に応じてくれましたね、社長の交渉力と熱意はすごいと思います」と伝えたところ、「私が今春のためだけに交渉をしてきたわけではありません」と前置きした上で、取引先が値上げに応じてくれた理由を説明してくれました。
 交渉が成功した理由の一つは、日頃から良好な付き合いをしていることが一つ、値上げ交渉は突然始めたわけではなく、数年間継続して価格交渉をしてきたこと、そして、自分の会社の仕事の品質が同業他社よりも優れている、この自信の裏づけがあって交渉に成功したというわけなんですね。最も値上げ交渉で嫌なことは、値上げを要望してくるのであれば、契約はやめて、ほかと切り替えると、こう言われることです。この怖さがあるので、強く値上げ交渉ができないのですが、この運送会社は、仕事の品質に絶対の自信を持っていることから、外されることはないだろうということで交渉を強気でできたそうです。
 それは、社員の質が高い、人材がそろっているということでもあるんですが、取引先は、現場で仕事を見てくれているので、どの会社の社員の仕事が速くてミスが少ないか、要領よく仕事をやり終えて次の仕事に取りかかっているのかを把握しています。特に大手企業の場合、同時に数社が現場に入っているので、どの会社の社員が質の高い仕事をしているのかを理解してくれているということです。この社長いわく、私も時々現場に入りますが、当社の社員は一通りの仕事をやり終えても、時間内は休憩することはなく、他社の領域、他社の仕事であっても、その現場作業が遅れている場合は、言われなくても応援に入っています。ところが、他社の社員は、自分の仕事をやっていて、時間が空いた場合は、たばこを吸ったり、同僚と話をしたり、こういう時間に充てているようです。それは悪いことではありませんが、会社が全体の仕事の流れや後工程を考えると、自分の会社が受けている部分が終われば、あとは関係ないとは考えていないというんですね。まして、早く作業を済ませて次の工程に入れたら、元請の利益は増えることになりますし、その増えた利益の一部でも請け負っている会社が分配してもらえる、こういう循環になるということです。
 当社の社員はそのことを理解して仕事をしてくれていますから、仕事に対する意識も仕事の品質も違うのです。現場で作業している社員も、私の考え方、つまり会社の方針を理解してくれているので、私は社員を誇りに思っていますし、他社に勝てる自信があります。こう語ってくれておりました。
 こうして値上げの原資を全て人件費として社員の給料に反映することができました。それに当たって社長は、専務と支店長、これは和歌山本社ですけど、各地に支店を持っております。支店長を呼び出して、私が今回の原資は全て社員の給与に引き当てたいので、役員の給料は据え置くことになりますが、理解してくださいと、このように話したんです。そうしたところ、こういった役員は、社員が仕事をしているから、我々は利益を得ることができるということで、当然のこと、納得してくれたそうです。繰り返しますが、現場の社員、事務の社員、そしてパートさんも全員の給料を引き上げることができたというふうに話していただきまして、この社長の話も非常に感銘を受けるもので、改めて、これが社長のやるべき仕事なんだと思いました。
 そこで、中小企業の賃上げの状況についてであります。県内の中小企業の賃上げの実態は、おおむねどのような傾向にあるのでしょうか。大企業の成果を通じて、中小企業の稼ぐ力と賃上げ余力の向上につながることが必要ですが、まだまだ弱いのではないかと思っています。県内でも、今春の春闘の結果が世間相場を形成し、中小企業の賃金に波及している傾向にあるのでしょうか。商工労働部長の答弁をお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長大川伸也君。
  〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 本県が昨年度に実施した県内企業の経営実態調査によれば、2023年度において、賃金の引上げを行ったと回答した企業は69%でありました。また、この調査において、2024年度に賃金の引上げを予定していると回答した企業は43%でありました。賃上げの割合を単純に比較すると、25%以上の減少となっていますが、これは2023年度に賃上げをした企業が7割程度あり、賃上げを既に実施したとする見方もできます。
 その一方で、消費者の買い控えや同業他社との競合の不安から価格転嫁ができず、賃上げを行うことができないとする企業も見受けられます。今春の春闘の結果がどの程度県内中小企業の賃金に波及するかは不透明な部分がございますが、国による支援制度等を広く周知することにより、県内中小企業における賃金の引上げが進むよう取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁をいただきましたんで、次は、中小企業の賃上げのための環境づくりをしなきゃいけないんじゃないかということで質問させていただきます。
 賃上げは社長の仕事、これを繰り返し先ほどから伝えておりますが、中小企業にとって大企業との交渉は、実際は難しいことなんですよね。思い切った交渉ができる先ほどの事例で話したような会社はいいのですが、全てがそうとは限りません。そのため、県として、中小企業が取引先と価格交渉を行えるための環境づくりをしてほしいと思います。県内企業においても、労務費の適切な価格転嫁を進める必要がありますが、中小企業の労働分配率、これが昨年12月末現在で72.9%できているんですね。ほぼ頭いっぱいかなと思ったんですが、今の状況でいくと80%とも推測されていると言えます。これではなかなか上げる原資がないという、こういう状況が中小にはあるのではないかなというふうに思っています。つまり、人件費の比率が高い、このように高い中小企業は賃上げの余地が少なくなっているのではないでしょうか。
 しかし、昨年から大企業が高い賃上げを主導していることから、中小企業にとって賃上げ分を価格転嫁するハードルが下がっている状況にもあるのではないかと思っています。答弁では、中小企業の賃金に波及するかどうかは不透明な部分があると、こういうふうなこともありましたけども、見解ですが、今こそ、県として企業に対して生産性向上への支援強化、価格転嫁、取引適正化の推進を促すとともに、サプライチェーン全体の付加価値向上、大企業と中小企業の共存共栄を目指したパートナーシップ構築宣言をしてもらうなどの対策を推進していくべきだと思いますが、商工労働部長の答弁をお願いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長。
  〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 議員御指摘のとおり、中小企業の賃上げには、下請取引の適正化や県内企業の成長が重要であると認識しております。下請取引の適正化に関しては、2018年に県と経済産業省との間で、全国で初めてとなる和歌山県下請等中小企業者の取引条件改善に向けた取組に関する連携協定を締結し、これまで県内事業者へのヒアリングやアンケート調査による実態把握を行ってまいりました。その調査により、不適正な取引事例を把握した場合には、下請事業者の同意の下、国に当該情報を提供することで、発注元事業者や業界団体への改善を要請するなど、国と連携し、取引適正化に向けた取組を実施してきたところです。
 次に、県内企業の生産性向上などの取組につきましては、これまでも成長段階に応じた支援を行ってきたところでございますが、特にDXを進める必要があるとの考えの下、2022年度から、わかやまデジタル革命推進プロジェクトを開始し、機運醸成から各企業の現状把握、各種講習等による技術の習得、専門家派遣等による導入支援まで、一気通貫でのDXの実現を推進してきたところです。
 また、パートナーシップ構築宣言については、中小企業庁の直近の発表によると、県内の525社が宣言を行っているところでございます。議員御指摘のとおり、パートナーシップ構築宣言を推進することは非常に重要であるという認識の下、昨年度実施した和歌山県事業再構築チャレンジ補助金においても、宣言企業に加点措置を行ってきたところです。
 今後もこのような取組を推進し、中小企業の賃上げのための環境づくりに取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、最後に入ります。
 最低賃金ということでちょっと視点を変えたいと思いますけども、和歌山県の最低賃金は現在929円、全国では27番目の水準となっています。いいか悪いか分からないですけど、真ん中ぐらいだなという感じはします。ただ、最低賃金が1000円を超えている大阪府が真横にあるということで、これがパートさんであるとか特に介護とか運送とか、そういった方々が県内よりもちょっと県境を越えて働きに行くという事例があって、人材流出にもつながっていると思います。これは将来の人口減少だとか人材確保の観点からも、この差を縮小していってほしいところです。最低賃金を引き上げる議論に関しては、経営者側にも諸課題があることは認識していますが、和歌山県の最低賃金を上げる方向で、これは前向きに議論を進めるべきだというふうに思います。
 今後の工程ですが、第1回最低賃金審議会は7月9日に開催され、その後は専門部会、特別小委員会が開催され、8月21日には第4回最低賃金審議会が開かれ、結論を出すことになろうかと思います。今年の最低賃金改定に関して、知事の見解をお聞かせください。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 今、片桐議員御指摘のとおりでありまして、昨年度の和歌山県の最低賃金は40円──これは過去最高の引上げなんですけれども──引き上げられた上で、今御指摘いただいた929円という水準になっております。今年度におきましても、今御指摘いただいたとおりのスケジュールで、和歌山地方最低賃金審議会において、労働者の生計費などを考慮した議論が行われる予定だと聞いております。
 最低賃金の改定につきましては、労働者の生活が守られるということがまず第一、その上で、一方で、企業においても事業が安定的に継続していけるということで、双方にとって最適な改定になることが望ましいわけでありますけれども、これも今日、片桐議員と議論させていただいた中で、特に今年後半からは金利のある世界が戻ってまいります。そうなりますと、和歌山の中小企業の経営者の皆さんも、リスクを取って投資をして、生産性を上げていただくことによって、できますれば、今、片桐議員が御指摘いただきましたような、大阪との差が少しでも縮まるような改定が、これも持続的に行われることを期待したいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 全ての項目を終わりまして、お答えいただきました。
 今ちょっと議論の中でもありましたが、和歌山県の経済環境、決して現状、7月以降の期待感はあるとしても、上向いているとは感じ得ない状況ではないかなというふうに思います。現役世代の減少と高齢化、コロナ禍の後遺症による私たちの行動変化などの影響もあると思いますが、そういったことで賃金が上がらなかったかなというふうに思っています。そのため、県内の飲食店とか、もともとある商店街、こういったところは依然としてやっぱり厳しくて、尋ねると、お客様が来ないとか、売上げが全く増えないと、こういう厳しい環境にあり、地元で商売していてもなかなか希望が持てないよなと、こういう話も実はいただいております。
 今回、企業が賃上げを追従するように、中小企業も全てではないかも分かりませんけど、賃上げが実現、図れたということがあるので、これがゴールではなくて、その増えた分が普通は消費に回るんですよね。実質賃金が下がっているから、なかなか増えた分が消費に回っていないというような現状もあろうかと思いますけど、本来は消費に回る、それで、飲食店なり地元商店街にお金が回る、お客さんが増える、こういう循環が欲しいところなんで、ぜひ地元経済が循環する仕組みを──仕組みは難しいですけど、その後押しを県がつくり出してほしいと思いますので、ぜひ以上のことを申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕(拍手)
○中西 徹君 皆さん、おはようございます。それでは、議長の許可を得ましたので、通告に従い、一般質問を始めさせていただきます。
 まず、大項目1、高速道路の舗装についてお伺いします。
 ここ2~3か月で三度、京奈和自動車道を利用して和歌山県の区間を走行しました。その際、相対的にNEXCO西日本管理の高速道路と比べ、国が整備、管理している京奈和自動車道は時々バウンドするところがあるなど、修繕ができていないと思われる箇所が散見されました。同じく無料区間ということであれば、南紀田辺─すさみ南間の紀勢自動車道もありますが、同じような傾向にあると考えられます。要は、国と県の税金を使って整備された高速道路のメンテナンスがそのような傾向にあるように思えますが、道路舗装の基準に関しては、NEXCOと比べ、差異はないと聞いている中で、有料、無料の差はありますが、高速道路を安全に高速走行するには、高い管理水準が求められると思います。
 今回、京奈和自動車道について、5月17日に案内の6月の平日夜間通行止めのお知らせを見ると、ワイヤロープの補修工事と維持・修繕工事となっていますが、同時に舗装修繕も行うべきだと考えますが、京奈和自動車道における舗装修繕についてどう対応しているのか、県土整備部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 国が管理する京奈和自動車道の舗装修繕については、日々の道路パトロールや定期点検の結果などを踏まえ、舗装点検要領の管理基準に基づき、優先度を考慮の上、実施されています。舗装修繕などを含む維持・修繕工事については、施工の際に通行止めを余儀なくされることから、交通への影響を考慮し、交通量の少ない平日夜間を利用して、年2回程度、集中的に行われています。6月10日からの維持・修繕工事においても、ワイヤロープの補修工事などと併せ、損傷が著しい箇所の舗装修繕工事も行われています。
 県としては、議員の御指摘も踏まえ、今後とも適切な維持管理により、高速道路における走行の安全性が確保されるよう、国に対して働きかけてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございました。
 今回は、案内によりますと、6月21日までの期間ですけども、その10日から21日の期間に全てというのは不可能かなというふうに思っております。だから、今答弁でもありましたように2回目、もしくはまた3回目、できればですけど、計画的に国への働きかけをよろしくお願いいたします。
 次、大項目2に移ります。
 勤務間インターバル制度の導入についてお伺いします。
 1、病気休暇取得または休職した職員の数についてでございます。
 終業から次の始業までの間に一定時間休息する勤務間インターバルの実施について、国家公務員は4月から休息時間の確保が各省庁の努力義務に定められました。一部自治体でも、ここ数年、導入に向けた動きが加速しています。働き方改革の一環で、職員の健康維持や業務の効率性アップが狙いで、働きやすい職場の創出により、人材確保にも役立つとして期待できます。
 そのような中で、総務省が行った令和4年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査によると、令和4年度中にメンタルヘルス不調により、引き続いて30日以上または1か月以上の期間、病気休暇取得または休職した地方公務員が、分かっているだけで4万3688人おり、前年度の令和3年度と比較すると、約5200人増加している状況となっています。6月14日のニュースでは、「那覇市職員、メンタル不調で93人休職」という記事も出ていました。
 以前から、県職員においても心身に不調を来す職員が増えていると聞いていますが、直近の病気休暇取得または休職した職員の数について、過去からの推移と比較して、総務部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長吉村 顕君。
  〔吉村 顕君、登壇〕
○総務部長(吉村 顕君) 昨年度、連続して30日以上病気休暇を取得し、または休職した職員は174名となっており、そのうち73.6%に当たる128人が精神疾患系の疾病によるものとなっております。また、5年前と比較すると、30日以上病気休暇を取得し、または休職した職員の数は45人増であり、5年前の1.35倍となっており、そのうち精神疾患系の疾病によるものについては43人増であり、5年前の1.51倍に増加しております。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございます。
 全国同様、和歌山県も増加しているということでございますけども、やはり病気休暇を取得または休職した職員が増えるということは、周りの職員への負担も増して、さらに休暇者等が増えるという負の連鎖に陥る。ひいては、行政サービスの低下にもつながるおそれがあると考えます。
 また、心身に不調を来す職員を減らすためには、職員が睡眠時間を含む生活時間を十分に確保し、仕事と生活の調和が取れた働き方ができるよう努めていく必要もあります。
 昨今においては、これらの対策として、終業時刻から次の始業時刻の間に11時間を目安として休息時間を確保する勤務間のインターバルの確保が求められており、福岡県などは導入済みとなっています。私も必要性を感じているのですが、和歌山県における勤務間インターバルの確保に向けた現在の取組状況について、総務部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長吉村 顕君。
  〔吉村 顕君、登壇〕
○総務部長(吉村 顕君) 今年5月に、人事課から各所属に対し、勤務間のインターバルを確保するため、職員が睡眠時間を含む生活時間を十分に確保し、仕事と生活の調和が取れた働き方ができるよう努めるべきことを周知いたしました。具体的には、業務効率化等により、超過勤務の縮減に向けた対策を行うこと、業務体制の見直しにより、できるだけ職員間における負担の分散や軽減を図るよう取り組むことなどを示しております。また、どうしても業務が深夜に及ぶなどインターバルの確保が困難な場合は、職員に対し、時差勤務の活用を促すことも有効であると考えております。各所属に対し、必要な取組を行うよう促してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 勤務間インターバルを確保するためには、長時間の超過勤務を減らしていくことが重要になるんですけども、職員さんもなかなか長時間働きたくて働いているわけではなく、仕事が詰まってきている部分も大いにあり、それが残業勤務などに当てられると思っております。
 岸本知事はその辺も考え、DXも加速しながら、昨年10月からはリモートワークを自由にし、職員の柔軟な働き方を推進されています。取組方法はいろいろあると思いますし、自治体自ら工夫もされており、奈良県は、今年度中の勤務間インターバル実施を予定しており、10時間という、定めた、1時間少し少ないんですけども、その10時間のインターバルを求める予定だそうです。
 また、職員が柔軟に働くことが可能なフレックスタイム制も全国で徐々に導入されてきていますので、和歌山県においても、その導入について御検討いただければと考えております。
 それでは、次の質問に入ります。
 3番、カスタマーハラスメント対策についてお伺いします。
 令和4年6月議会においても、職員に対してのカスタマーハラスメントへの対応についてお聞きしました。客からの著しい迷惑行為などのカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラが社会問題となる中、自治体職員がSNSなどで個人情報を検索されたり、ネットで実名をさらされたりするケースは全国的に問題となっています。
 昨年12月議会において、長坂議員から、国がカスタマーハラスメント対策企業マニュアルを作成したことや、労災認定基準にカスハラを新たな類型として追加したこと、また、カスハラ対策用のリーフレットを作成したことなどの紹介があり、今後、社会全体でカスタマーハラスメントというものを理解し、なくしていこうという機運を醸成していくことは重要だとの御指摘がありました。
 厚生労働省は2019年、労働施策総合推進法を改正し、パワハラ防止の取組を企業に義務化。従業員の相談を受け付ける社内体制を整備したり、研修を実施したりするよう求めました。今回は、同法にカスハラの規定を追加し、企業に対策を義務化する方針だとの報道がされています。
 また、東京都では、防止策を協議する検討部会が設置され、条例化も含めた独自のルールをつくる方針であるようですし、三重県、愛知県などにも条例化に向けての動きもあります。社会的にカスタマーハラスメントが大きな問題となっている中、県として今後どのように対策していくのか、商工労働部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 商工労働部長大川伸也君。
  〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) 議員御指摘のとおり、カスタマーハラスメントは社会問題化しており、先頃発表された経済財政運営と改革の基本方針2024(原案)においても、法的措置も視野に入れ、対策を強化するという一文が明記されております。また、複数の自治体において、条例制定の動きがあることも承知しております。
 一方で、企業や業界におけるカスタマーハラスメントへの対応は、それぞれの実態に応じた対応方針の作成や従業員のための相談体制の確立など、自主的な取組が必要であると考えており、一部の企業や業界においては、既にカスタマーハラスメントに対する基本指針が策定・発表されているところです。
 そういった中、本県では、昨年度から企業向け人権研修会において、カスタマーハラスメントの対策の必要性を取り上げ、従業員が働きやすい、明るい職場づくりに向けた機運の醸成を図っております。本年度においても、このような取組に加え、「県民の友」や労働セミナーにおいて、カスタマーハラスメントの対策の必要性について啓発してまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 「悪質クレーマー」でネットで検索したら、年代で言えば私の年代が最多です。驚いたんですけど、あれっと思って。
 一般企業もそうですが、県庁や市町村に対しても悪質クレーマーはいると聞いています。そのことが間接的な要因となって心身に支障を来し、結果として退職されるような職員さんもいるようであれば、本当に残念なことであります。ただ、一定の方向性などがあれば、職員も事業者もカスハラに対抗しやすいというような環境もできるのかなというふうに考えます。県民を守るためにも、県庁内においても職員を守るためにも、条例も含めた対外的に分かるような指針や方針の作成は必要であると考えますので、検討をよろしくお願いします。
 次、2番、県職員に対するカスタマーハラスメント対策についてお伺いします。
 民間の三井住友海上では、AIにカスハラを判断させる取組を始めたことや、JR東日本グループでは、カスハラが行われた場合には客へのサービスを提供しないという方針を策定したことなどが報道されています。地方公共団体においても、悪質クレーマーによる暴言や長時間にわたる居座りなどの行為は、対応する職員を疲弊させるだけではなく、他の住民への対応時間などに影響し、結果として、行政サービス全体の低下を招くおそれがあります。
 一方で、県行政に対する県民の皆様からの御意見や御要望、正当なクレームなどを真摯に受け止め、丁寧に対応する必要もあると思います。先ほども要望でも触れましたが、県職員を守る必要もあると思いますが、県としてどのように取り組んでいるのか、総務部長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 総務部長。
  〔吉村 顕君、登壇〕
○総務部長(吉村 顕君) 議員御指摘のとおり、県民に対し、よりよい行政サービスを提供するためには、職員に対する不当な要求から職員を守ることが不可欠であると考えております。県ではこれまで、職員を対象とする不当要求行為について、事務取扱要領やマニュアルを策定し、被害を受けた職員を孤立させることなく、組織的に対応することを徹底するとともに、対応困難な案件については、考査課が担当課からの相談を受けて対応を支援するなど、不当要求行為から職員を守るために全庁的な体制で取り組んできたところであります。
 特に、職員の担当する業務の範囲や程度を明らかに超える要求が行われた場合や、正当な理由なく長時間にわたって庁舎に居座り続けるなど、職員の業務に著しい支障が及ぶ場合においては、文書による警告や退去の要請、警察への通報などの措置を取ることとしております。
 また、職員研修による組織的な対応力の向上にも努めているところであり、特に昨年度は、不当要求行為対策について中心的な役割を担う管理監督職員を対象に研修を実施するなどして、具体的な対応のノウハウを全庁的に共有しております。
 今後も、引き続き、現行の取組を継続するとともに、現在、国で検討されているカスタマーハラスメント対策に関する法令整備の動向も注視しながら、職員が不当要求行為によって疲弊することなく、安心して働くことができる職場環境の整備を進めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 安心して働くことのできる職場環境の整備をよろしくお願いします。
 他の自治体では、先ほど質問でも言わせていただいたんですが、勝手に写真を撮って名前を撮られてSNSで拡散という被害を受けられたこともあるという中で、職員の個人情報が特定されて、SNSなどによる誹謗中傷から職員を守ろうと、名札の表記をフルネームから名字のみに変更したり、平仮名などにとどめる自治体も増えてきているというので、できることから取り組まれていけばいいのかなというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。
 次、大項目4、校則のホームページ公開状況についてお伺いします。
 一部の学校で、必要かつ合理的な範囲を逸脱している校則、いわゆるブラック校則が存在するという問題が広く知られたことなどの状況を背景に、児童生徒指導に配慮すべき内容を網羅した教員のガイドブックである生徒指導提要が、一昨年、12年ぶりに改訂されました。改訂された生徒指導提要では、「校則に基づく指導を行うに当たっては、校則を守らせることばかりにこだわることなく、何のために設けたきまりであるのか、教職員がその背景や理由についても理解しつつ、児童生徒が自分事としてその意味を理解して自主的に校則を守るように指導していくことが重要」で、「そのため、校則の内容について、普段から学校内外の関係者が参照できるように学校のホームページ等に公開しておくことや、児童生徒がそれぞれのきまりの意義を理解し、主体的に校則を遵守するようになるために、制定した背景等についても示しておくことが適切である」と言及されています。
 このように、生徒指導提要では、1、校則は学校のホームページで公開するのが適切であること、2、校則を公開する意義についてもはっきりと説明していることが大きな特徴です。校則のホームページでの公開は必須であると考えます。校則は、各学校が教育基本法等に沿って、児童生徒の発達段階や学校・地域の状況、時代の変化等を踏まえて、最終的には校長により制定されるものとされています。そして、社会通念上、合理的と認められる範囲とされ、少数派の意見も尊重しつつ、個人の能力や自主性を伸ばすものとなるように配慮することも必要とのことです。
 今も昔も、校則は基本的に生徒手帳に書かれていますが、例えば高校などに進学するとき、入学後にこんな校則があるんだと知るよりは、各学校のほうでホームページに公開しておけば、事前に情報として知ることができます。また、校則を地域の実情や時代の変化に応じて見直すという観点からも、教職員や通っている生徒だけではなく、いろんな人が見られるようにしておくことが大事だと考えますし、紙よりインターネット上で公開するほうがいろんな人が参照できます。この10年間でスマホが普及して、1人1台端末を持ったり、インターネットがより身近になったりしたという要因もあります。
 昨年お聞きした際には、約半分の県立高校がホームページで校則を公開しているとのことでありましたが、現在、ホームページで公開している状況はどのようになっているのか、教育長にお伺いします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 校則のホームページ公開状況についてでございますが、校則は、生徒が健全な学校生活を送り、よりよく成長・発達していくために設けられるもので、生活の決まり、生徒心得などと呼ぶ学校もあります。学校は、生徒が自主的に守りたいと思える校則にするため、ふだんから生徒の意見を反映したり、保護者や地域の方などの意見を聞いたりすることも行っており、多様性や機能性に配慮した服装の導入などにつながっています。
 このように校則は、社会通念上妥当性を持つものとなるよう、適宜、検証や見直しを行っているところであり、広く学校内外の方が確認することができるよう、学校のホームページ等に公開することが適切であると考えます。
 現時点では、県立高等学校36校のうち16校、全体の44.4%の学校が校則をホームページで公開していますが、今年度中には全ての学校が公開できるよう、準備を進めているところであります。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 しっかりと、一日も早い公開を期待しています。
 最後の質問に入ります。
 5番、小中学校給食費無償化についてお伺いします。
 2月定例会において、本会議、予算特別委員会も含めれば、5人の議員さんが学校給食費無償化についての質問をされています。和歌山県の30市町村全てが学校給食費を無償化した場合、今年度の半年で約7億円であることから、単純に2倍して約14億円という多額の予算が要る中、大きな決断だったと思います。私も関西広域連合の議員をさせていただいていましたが、そこからも含め、知事は、国にも働きかけを行っています。私も国がやるべきことだと思っています。ただ、国が給食費無償化の取組を行うようになるまで、県独自で予算を確保しなければなりません。
 そのような中で、私の調べでは、この無償化に対して、5月現在の和歌山県9市の状況ですが、無償化を10月から実施予定が2市、未定だが実施の方向は4市、残りの3市は既に実施しているということです。そのうち和歌山市は、小学校は行っているということです。
 未定の理由としては、「県の補助単価の上限がまだ示されていないなど、補助要件について不明確な点が多く、想定以上の負担となる可能性もあり、慎重に対応しなければならない」「市2分の1の負担は大きく、調整が必要」「県の内容がまだ決まっていないために、現時点での無償化実施の判断は難しい。市2分の1負担以上に就学援助なども市の負担と見込まれるため、調整が必要」などとなっています。
 また、市の補正予算のタイミングが当初6月議会を考えていたが、制度の詳細がまだ不明なため、ぎりぎりの9月議会になる予定というのがほとんどの市の状況となっております。市町村は、詳細な県からの制度設計が固まっていない中で判断ができなくなっており、将来の予算にも不安になられています。9月議会補正予算ですと、7月中旬には県の制度設計を固めなければなりません。
 そこで、知事にお伺いします。
 学校給食費無償化の制度設計を早く仕上げ、市町村に示すことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。また、来年度以降も継続して実施する場合の財源をどのように確保していこうと考えているのか、お答えください。
○議長(鈴木太雄君) 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 中西議員にお答え申し上げます。
 今、中西議員が御指摘をいただいた点は私も全く同感でありまして、問題意識を共有させていただいております。それで、まずは30市町村ございますので、それぞれ地域の事情が異なります。せっかく実施する以上は、できる限りそれぞれの市町村の御事情をお伺いして、できるだけ最大公約数的に多くの市町村に適合した制度にしたいということで、今事務局としては真摯に取り組んでいるところであります。もちろんスピード感も必要ですので、どこまで丁寧に実情を調査するのかとおっしゃるように、もし9月議会であれば、できるだけ早くお示ししなければいけないということのせめぎ合いであるということはよく理解しております。担当のほうにもしっかりと速やかに検討を進めていくよう、今日の御指摘もありましたので、さらに指示をしておきたいと思います。
 それから、今、中西議員もおっしゃっていただきましたとおり、この学校給食費の無償化というのは、ユニバーサルな子育て支援の政策であります。全国各都道府県で違ったり、あるいは各市町村で違ったりということがあってはいけないと考えておりますので、私自身、これまで全国知事会、それから関西広域連合などを通じまして、政府に対して給食費の無償化を要望してまいりました。ただ、その結果というか、その流れの中で、全国調査をしていただきました。その上で、仮に、2025年度、日本政府が給食費無償化に取り組まない場合であっても、これは今年の後半スタートしたわけでありますので、県としては国が給食費の無償化を実施するまでは続けなければならないと思っております。そのための財源につきましては、抜本的な事業の見直し、不要不急事業の抑制などを通じまして、確実に財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございました。共に頑張っていければというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、中西徹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時25分休憩
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  午後1時0分再開
○副議長(堀 龍雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)
○佐藤武治君 皆さん、こんにちは。お昼からの少しの時間、お付き合いをお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従って、私の一般質問を行いたいと思います。
 まず最初に、日豪友好和歌山県議会議員連盟視察調査について、木曜島訪問を御報告いたします。
 去る5月23日から27日までの5日間にわたり、日豪友好和歌山県議会議員連盟の役員である濱口議長兼会長、秋月副会長、幹事長である私の3名と、岡澤国際担当参事、国際課中筋主査、北詰議長秘書、串本町にある木曜島遺族会から坂井会長と戸瀬会員、それから山下会員と潮岬在住で今回の通訳をしていただきました廣瀬さん、この10名で木曜島を訪問してまいりました。
 今回の視察につきましては、昨年開催されました第2回和歌山県人会世界大会を前に木曜島和歌山県人会が結成をされました。そして初めて参加をされたわけでありますけれども、そこの木曜島県人会のロンダ・シバサキさんという会長さんから、昨年12月1日付で1周年記念式典への招待状が届きました。それを受けて、12月定例会中に濱口議長から各会派内への呼びかけを行いまして、準備に必要な事項を整理した上、日豪友好和歌山県議会議員連盟の設立に向けて進めてまいりました。
 2月定例会中の3月7日に設立総会を開催し、39名の議員の賛同を得て発足し、今回の創立1周年記念式典への出席、日本人墓地での慰霊祭への参加となりました。くしくも3月7日は、木曜島和歌山県人会が結成された日のちょうど1年後だそうであります。
 まず、23日、関西国際空港を午後9時発のジェットスター航空で出発をしまして、ケアンズ国際空港には約7時間後の24日現地時間の午前4時50分頃に到着をいたしました。時差はプラス1時間ぐらいです。ケアンズ国際空港では、武藤在ケアンズ領事事務所所長とほか2名の職員さんの出迎えがあり、お世話をしていただきました。その後、ケアンズ国際空港8時40分発の国内線で約1時間40分のフライトで、ホーン・アイランド空港に向かいました。
 ちなみにその飛行機というのは、めったに乗る機会がないプロペラ機でありました。10時30分頃に到着をすると、本当に見た目も小さな空港でありました。そのとき乗っていた搭乗者の数や荷物が非常に少ないのに、荷物の受け取りまで相当時間がかかりまして、バスの出発が遅れたと、こういうアクシデントといいましょうか、ありましたが、現地の人は当然のようにしており、そののんびりしたムードが、いかにも南国というふうな、私は印象を受けたところです。木曜島までは貸切りの船で木曜島の船着場に、その待合スペースに描かれた先住民族、トレス海峡諸島民、こういうのが描かれておりまして、それが非常に、着いたときに私は印象に残った次第です。
 そこで、ロンダ・シバサキ会長はじめ、会員の皆さんの出迎えを受け、そのときに、もちろん島ですから、海の色が非常にきれいだなと、私は潮岬で毎日のように太平洋を見るわけでありますけれども、その木曜島のエメラルドグリーンというんですか、層が四重ぐらいに分かれて色が違って、非常にきれいな海だなという印象をそこで持ちました。
 その訪問した木曜島でありますけれども、ニューギニアとオーストラリアとの間にあるアラフラ海のヨーク岬半島沖、トレス海峡南部に位置するオーストラリア領トレス海峡諸島の小島でありまして、面積が僅か3.5平方キロメートルの小さな島です。それで、そういう小さな島ですけれども、トレス海峡諸島の行政と経済の中心となってきた島であります。ちなみに3.5平方キロメートルというと、私が住む串本町にある大島という島があるんですけども、そこの島よりもっと小さいです。
 そこの島のちょっと丘みたいなところがあって、その島の最高のところで標高104メートルぐらいだったように聞きました。そこには、第2次世界大戦中の軍事施設みたいなのが残っておりまして、25日の慰霊塔へお参りした後に少し時間があって、そこにも訪問をして見せていただきましたけれども、そこにその当時使った大砲みたいなのがありまして、そこにちょっといろいろ記述されたものがあったんですが、その砲弾はちょっとびっくりしました、8キロ先まで砲弾が届くと書かれておりました。ただ、8キロ先まで届くんですが、当たるとは書いていなかったもので、あまり正確な大砲ではないなというふうな感じも受けてきたところであります。
 木曜島の人口というのは、ちょっと古いんですけども、2021年の国勢調査で2800人ぐらいです。そのぐらいの人口しかない島なんですが、全盛期にはその島民の7割近くが日本人だったと、こういうふうなこともあったようで、和歌山県移民史の資料によると、明治16年、豪州真珠貝株式会社支配人ジョン・ミラーに雇われた採貝夫の37名が木曜島に渡っておりまして、それに続いて、神戸方面から49名が渡航しているが、それ以前に和歌山県民の若干名が木曜島にいたことは確実である、こういうふうに記されています。
 昨年10月に、串本町中湊と今言うんですか、旧の古座町ですね。そこに住んでいる串本町文化財審議委員をやっている上野一夫さんという方がおられるんですけれども、この方はちなみに南紀熊野ジオパークのガイドもやっておりまして、その方が発行した「南端の暮らしと真珠貝採貝漁業の歴史・文化」というこういう1冊の本を出していまして(本を示す)、非常に詳しく調べて発行してもらっております。この本を私も読ませていただきましたけれども、真珠貝採貝漁業の歴史は、明治初期から大正、それから戦前、そして戦後という約80年間、この期間だけであって、決してそんなに長くはないんですけれども、南端地域に暮らす人々の脳裏に焼きついている歴史的な大事業だったというふうに記されています。
 そして、24日の12時過ぎからウエルカムミーティング、昼食会をホテル内のレストランで、県人会の会長のロンダ・シバサキさんをはじめ、県人会の皆さんと意見交換なり懇談をして、そして、その食後には、ちょうど裏手にあったトレス諸島行政区というところを表敬訪問いたしました。そこで、エルシー・セリアット区長さん、それから、昨年、世界大会に参加をされたトシオ・ナカタ副区長をはじめ、会長ロンダ・シバサキさんをはじめ会員の方も大勢参加をしていただきました。その席で、濱口会長のほうから御挨拶があり、楽しく意見交換などを行って、実り多い表敬訪問になったなというふうに思いました。そのトレス諸島行政区から胡摩窪在ブリスベン総領事にも参加をしていただいたところです。
 24日の夕食会、これは和歌山県が主催となって、ホテル内のレストランで、県の関係者、そして私たち、また遺族会、そして木曜島の県人会の会員が約40名ぐらいですか、参加をしていただいて開催をされました。坂井遺族会会長は、訪問が3回目だということで、かなり顔見知りの方もおられたようで、話が非常によく弾んでいたなというふうに思います。そして、私たちにとってもとても有意義な夕食会になりました。
 それと、木曜島でそういう昼食会とか夕食会、また表敬訪問等のときには、挨拶を当然するわけですけど、そのとき必ず、土地、空、川の伝統的な所有者、そして、過去と現在の長老たちに敬意を表して、先住民や長く続く文化に敬意を示すのが大切なことだということを教えていただいて、非常に勉強になったところです。
 翌25日には、木曜島のセメタリーというところにある、今回の目的の一つである日本人墓地の慰霊祭に参加をいたしました。そこで、ロンダ・シバサキ会長をはじめ、県人会会員も大勢参加をいただきまして、僧侶の法要の後、濱口議長兼会長、岡澤国際担当参事、坂井遺族会会長の献花に続き、私たち参列者も線香を上げさせていただきました。慰霊塔への献花と線香を上げた後、行政区の隣にあるポートケネディーホールというところがあるんですが、そこで、県人会主催の昼食をしながらの交流会がありました。そこでは、地元の食材を使ったとても豪華な食事を提供していただきました。その中でも、たくさんの果物がとてもおいしく印象的で、たくさん秋月副会長と共にいただきました。
 ただ、そのホール内というのは、密室状態ではなくて、いろいろオープンにされている場所だったんで、そのごちそうの匂いにつられたのか、ハエがたくさん集まってきたわけです。そしたら、今度はそれを追う女性の方が専門に2人ぐらいいたかなというふうに思いますが、一生懸命ハエを追っているわけです。その中で、濱口会長と秋月副会長と私らは同じ席にいたんですけれども、あの人ら大変やなと言いながら、今度、木曜島へ来る機会があったら、ハエ捕り紙を土産に買ってこようかというような、真剣にそういう話をしたのをちょっと思い出しました。
 その昼食会のときに、木曜島にはめったに来ないという日本人の山下ジョージさんという方が、この方は、プリンス・オブ・ウェールズ・アイランドにお住まいだと聞きました。もう本当にめったに来ないらしいです。その方が参加されておりまして、ロンダ・シバサキ会長に紹介をしていただきました。年齢は85歳と聞きました。元気でした。ところが、話を聞いておりますと、お父さんはもちろん姓は山下さんと言うんですが、お母さんもシオザキさんと、シオザキさんって串本町にもたくさんいる名字なんです。お母さんがシオザキさん、お父さんが山下さんで、その山下さんがどうも潮岬の出身だというふうな話も懇談の中で分かりまして、もう当然、今も親族の方がおられるのではないかなというふうな感じを持って、今回、私もちょっと時間が取れたら、そういうところも含めて、山下さんの関係をちょっといろいろルーツというか、親戚の方をちょっと探してみようかなという気になっているところです。
 その日の夕方6時から、今回のメインである木曜島和歌山県人会創立1周年記念式典、ここも同じ泊まったホテルの中で開催をされました。その式典前に、先ほど話した胡摩窪在ブリスベン総領事から、日豪関係の中のクイーンズランド州の位置づけ、そしてまた、政治面、経済・産業面、我が国との関係等いろいろと、時間はちょっと短かったんですけれども、ブリーフィングを受けました。
 1周年記念式典では、2日目になったわけですけれども、かなりの方と顔見知りになりまして、中でも、その総領事に付添いをされていた警察官の方が2名おられたんですが、1人は男性の日本人の方、もう一人はオーストラリアとアメリカの国籍を持つ女性の警察官だったんですけれども、ちょうど僕と同じテーブルに座ったわけですけれども、何か話していたら、以前、プライベートで串本町に行きましたよと、こういう話になって、何かうちの町長のことも知っているということでびっくりしたんですが、本当に日本語も上手に話されておりまして、同じこのテーブルに座った県人会の方との通訳をしていただいたんで、非常に話が弾んだなというふうに、そんな感じで。
 たまたままた同じテーブルに座った男性の方なんですが、昨年の世界大会が終わった後に、そのロンダ・シバサキ会長と共に、ちょうど10月だったと思う、秋祭りの時期なんで、私も帰って地元の潮岬の秋祭りに出たんですが、そこに来ていたんですね。その方と木曜島で同じテーブルに座って、何か印象のある、何か見覚えのある方だなあというふうな形で、その話をさせてもらったら、スマホを取り出して、自分らが行った祭りの写真を見せてもらった。そういうことで非常にその夜、盛り上がったというふうにありました。話していると、多分来年だったと思う、来年8月頃って聞いたんですが、また日本に行く予定があるんだよということで、またそのときはぜひ連絡を下さいということで、電話のほうも交換をした次第であります。
 その式の途中で、80歳以上、この方たちの長寿者表彰式というのが行われました。一応該当する方が6名おられたんですが、当日は4名の方が出席をされておりまして、岡澤国際担当参事から岸本知事の表彰状を代読していただいて、記念品と共にお渡しをいたしました。その日はもう参加された皆さんも、お酒も入ったところもあるんですけれども、一応、式典は午後6時から午後8時には2時間ぐらいで終わりますと聞いておりましたけれども、同行された濱口議長の北詰秘書でありますけれども、何か隣のバーでお誘いした現地の男性が飛び入り参加をされまして、地元の踊りを、多分昔から伝わる先住民の踊りなんでしょうね、そういうのを披露したりして非常に盛り上がりを見せて。
 それはよかったんですけれども、時間を見たら、もう10時前になっておりまして、そこで、いろいろテーブルに料理を運んだりする女性の方がいたんですが、もう2時間も経過していますので、何かもう顔色が変わっているんですよね。これはちょっとなというふうな感じで、そのとき相談しながら、僕もいつになったら終わるのかなと思いながら、下には、当然、その式場はちょっと2階じゃないんだけども、その下に、やっぱり本土のほうから来た方が下に泊まられているわけです。踊りでどんどんどんどんするもんだから、その方らもいつまでやるのかなみたいな感じでちょっと言われたこともありまして、非常にちょっと気になりましたけども、それでも、非常に時間オーバーしましたけれども、それぐらい今回は式典も盛り上がって、本当に楽しいというか、有意義な式典になったなというふうに思いました。
 視察の最終日です、26日ですか、ホテルをチェックアウトして、また水上タクシーで近くに、船で12~13分かかりました。そこで真珠養殖をされている金曜島というところに行かせていただきました。ちなみにその船の方は、ロンダ・シバサキさんの親戚の方で、ボランティアで送迎してくれました。非常にありがたかったです。その金曜島にある、お名前が高見さんと言われる方で、1973年に熊本県から金曜島に来たそうであります。高校を卒業するときに、金曜島での南洋真珠の養殖の会社での求人を見て手を挙げて来られたということで、だからもう長い間住んでいるんですね。先ほど飛び入りした方が、後で聞くと、その高見さんの息子であったということも判明しました。
 ちょうどお昼前ぐらいに金曜島のほうに着いたんでありますけれども、そこで、その高見さんが自分で釣ったお魚を刺身にしてくれたり、また日本の懐かしいなますを出していただいたり、あと最後にいなりずし、こういうのも作っていただいて、手作りの料理をいただきました。本当にそういうオーストラリアというか、向こうに行っての日本料理はおいしくいただきました。その食後に、高見さんが、本当に住んでおられる一角を利用してショップを経営しておりまして、当然真珠養殖ですから、真珠細工のお土産、そしてまた後ろに金曜島とか書いた、それのTシャツなんかも購入をさせていただいて、金曜島を離れまして、ホーン・アイランドからケアンズ国際空港に戻って、最後の宿泊先となるホテルに移動しました。そのときに遺族会の方とか含めて、内輪で夕食会をした後、最終、翌27日の12時半ぐらいの飛行機で帰路について、予定どおりに19時前だったと思います、関空に着きまして、その場で解散式を行って帰ってきたところであります。
 今回、木曜島和歌山県人会1周年記念式典への出席をしたわけでありますけれども、本当に今回の交流、当地の会員の方々とも本当に親睦がより一層深まったなということで、今後の交流に向けて大変意義深いものになったと実感した。これは私だけではないと思います。
 ただ、日本人墓地慰霊祭に出席した際に、多くの和歌山県の出身者が眠る墓地、慰霊塔は、きれいなやつは何か大分前にされたのが建っているんですが、個人個人のお墓と言うんですか、それが海に近いせいもあるんだろうと思いますけれども、非常に潮風にさらされて土台とかが落ち込んでいるんですね。もう墓標は朽ちて傾いたり、墓石も倒れたりという、こういう現状を見てきて、非常に悲しくというのか、非常に心が痛んだというのがありました。
 これ、ちょっと実は平成3年の9月議会といいますから、もうかれこれ33~34年前ですか。浜本議員さんが、木曜島における日本人墓地と慰霊塔についてということで、一般質問を行っているんですね。訪問したのは、今言ったように平成3年8月の中頃に行かれたようで、そのとき、先ほど話した金曜島で会った高見さんという方ともお会いをしております。当時のことを仮谷知事に報告をして、墓地の維持のために何らかの対策が必要だというふうな質問をしております。その後、聞くと、今はトレス諸島行政区が日本国外務省の支援等を受けて、墓地のある丘陵一帯を歴史的な価値のある公園、セメタリーと言うらしいですが、一定の維持管理と保全を行っているようでありますけれども、現状のままでは日本人墓地の荒廃が一層進んで、かつて和歌山県民が、また日本人がこの島で働いてきたという歴史的遺産が風化をして、その記憶が忘れ去られるのではないかなというふうに、私も含めて、多分行かれた会長も副会長もそう思ったと、もちろん職員の方もそう思われたと思います。
 そうなる前に、関係する市町、私の地元である串本町も当然含みます、市町や、また県や国、また県人会や遺族会、そしてまた民間事業者、ここも一緒になって、何らかの手を打って、この歴史的な遺産の継承に向けて取り組む必要があるんじゃないかなと強く思いました。もちろん私もできる限りのことはする決意をしたということを知事に本当にお伝えするとともに、最後、今回の視察に同行いただいた国際課の職員の方、本当にお世話になりました。ここでお礼を申し上げたいと思います。
 これで、木曜島訪問についての報告を終わりたいと思います。
 続いて、一般質問に入ります。
 最初は、県有施設の維持管理についてお尋ねしたいと思います。
 学校施設の老朽化対策でありますけど、一般質問の初日に、岩井議員からも質問がありました。私の地元にある串本古座高校の体育館についても老朽化が非常に進んでいるという施設であります。いつも卒業式前と入学式前に連絡をいただいて、出欠どうですかというようなはがきが届きますけど、今年も当然届いたんですが、その挙行する場所が、普通いつも体育館を使っているんですが、今年は、そのはがきには串本文化センターに変更をされておりまして、ちょっとそのときどういう理由か分からなかったんですが、どうやら雨漏りで体育館が使えないということらしいということを後に教えていただきました。
 今年は、卒業式も入学式も出席をしたんですけれども、入学式の際には岸本知事も出席をされておりまして、ちょっと控室で、少しですけど、そのことを話す時間がありましたので、そういう話もさせていただいて、知事からも、できるだけ早く修繕が必要だよねというふうなお話もいただきました。この雨漏りがいつから始まったものかちょっと僕も詳しく知りませんけども、早期に改善する必要があると、体育の授業でも使えないということを聞きましたので、必要になると思います。県の教育委員会ではどのように対応を考えているのか、教育長のほうにちょっとお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(堀 龍雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 串本古座高等学校の体育館についてでございますが、県教育委員会では、昨年度、雨漏りに係る報告を受け、学校と検討を行いました。その結果、体育館の老朽化が進んでいることを踏まえ、屋上防水、外壁改修も含めた全面的な改修が必要であるとの判断から、今年度当初予算に設計費と工事費を計上し、速やかに工事着手するよう準備を進めています。
 また、応急対応としての一部修繕工事を実施したところであり、改修工事の早期完成を目指し、引き続き取り組んでまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 教育長、どうもありがとうございます。
 もう既に応急対策として一部修繕工事を実施していただいているということでありますけれども、先ほども言ったように、どの程度のどういう規模での雨漏りか、ちょっと僕も詳しくは分からなかったんですけども、たしか授業も使えないというようなことを聞いておりましたので、多分、雨漏りは一気に来ないと思いますので、できるだけそういう意味では早く、常に点検はされていると思うんですけども、早急に対応しておけば、卒業式とか入学式も、もしかしたら間に合ったんじゃないかなというふうな気がしますので、ひとつ今後ともよろしくお願いして、早く改修工事が終わるように要望しておきます。
 次に、県有施設全体の維持管理、老朽化対策がどのようになっているかお尋ねをしたいと思います。
 県有施設には、もちろん県立高校だけでなく、私の地元だけを見ても、南紀熊野ジオパークセンターや水産試験場、最近竣工した県営住宅串本団地など比較的新しい建物もあれば、県営出雲団地、健康福祉部串本支所など、建設してから数十年経過して老朽化している施設もあります。財政状況が厳しいと言われる中で、公共施設の維持管理や老朽化対策など、県としてどのような計画を持って対応をされているのか、総務部長にお尋ねいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 総務部長吉村 顕君。
  〔吉村 顕君、登壇〕
○総務部長(吉村 顕君) 本県においては、県の公共施設等の長寿命化や有効活用の取組を加速させ、将来にわたって安全で効率的な公共施設等の総合管理を実現するため、2017年3月に和歌山県公共施設等総合管理計画を策定し、2022年3月に改訂を行っております。この計画に基づき、安全性を最優先に公共施設等の老朽化対策を行うとともに、財政負担の軽減、平準化を図りながら、県民が必要とする行政サービスを確保するため、計画的な維持管理、大規模修繕、更新等を推進しているところです。
 なお、県有の公共建築物の大規模改修や更新等に係る経費については、持続可能な財政運営を考えた場合に確保可能な予算規模を最大で単年度100億円までと想定し、これを超えないことを目標として、財政負担の抑制に取り組んでおります。
 引き続き、施設所管課室と管理情報を共有しながら、公共施設等の実態把握、安全性の確保、長寿命化に努めてまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 今、幾つか総務部長のほうから答弁いただきまして、安全性は、もちろん大事であります。大きな地震、災害等が起こると、そこで関連する方の命にも関わりますから、一つ安全性はもちろん大事。あとは予算的なものもありますけれども、しっかりと管理をして、何かちょっと聞いたところ、約3300棟ですか、何かそういう建物が管理されているような話も聞きましたんで、非常に膨大な数字だし、なかなか思うとおり進まないこともあると思うんですけれども、ひとつ引き続いてしっかりと安全に施設を利用できるようによろしくお願いをしておきます。
 続きまして、大項目の二つ目の質問に入ります。
 事業者への資金繰り支援についてお尋ねをいたします。
 この件は私が昨年2月定例会で質問をしていますが、国内で新型コロナウイルス感染症の影響が出始めた令和2年度から、苦境に陥っている事業者を支援する様々な制度が国や県において創設されてきました。そのような中、県の融資制度で3年間の実質無利子、無担保融資の、いわゆるゼロゼロ融資が創設をされ、コロナ禍での事業者の資金繰りを支えてきたと思いますけれども、このゼロゼロ融資において、既に多くの事業者でその返済が始まっている状況であります。
 先日、東京商工リサーチが発表した5月の全国倒産件数が、前年同月比で42%増の1009件、月次で1000件を超えるのは2013年の7月以来というふうな記事が新聞に載っておりました。倒産した事業者の中には、業績が回復せずに、ゼロゼロ融資の返済に行き詰まった事例が見受けられるとのことであります。また、負債額が1億円に満たない小規模倒産が7割以上も占めているようであります。業種別で最も多かったのが飲食店や美容院などのサービス業ほかで30%増しの327件だったということでありますし、ほかにも建設業であったり、卸売業であったりというところが増加をしているということであります。東京商工リサーチの担当者は、件数は今後も増える可能性があると話をしているところです。
 最近、東牟婁郡内においても、いまだに業績の回復が思わしくなく、返済に苦慮している方が相当数いるとの声が聞かれました。新型コロナウイルス、これが5類に移行してから1年が経過をする中で、業績回復が遅れ、返済のめどが立たない、返済に不安を感じている等の事業者がいることも事実であります。
 そこで、ゼロゼロ融資の返済等に困る事業者に対して、これまで実施してきた資金繰り支援と今後の対策はどのように考えているのか、商工労働部長にお尋ねをいたします。
○副議長(堀 龍雄君) 商工労働部長大川伸也君。
  〔大川伸也君、登壇〕
○商工労働部長(大川伸也君) ゼロゼロ融資の返済に当たっての資金繰り支援につきましては、ゼロゼロ融資の返済開始が本年4月に最後のピークを迎えることから、低利率での借換え等ができる資金を6月まで延長してきたところです。また、ゼロゼロ融資の返済が困難で、やむなく返済猶予等の条件変更を行う事業者に対しましては、その条件変更を行う際に発生する追加の保証料を全額補助する制度を昨年度に引き続き実施しているところです。さらに、県内の金融機関に対しまして、事業者から相談があった際には、その事業者の実情に応じた返済猶予等の条件変更に柔軟に対応いただくよう依頼してきたところです。
 今後の対策としましては、金融機関をはじめとする認定経営革新等支援機関の支援を受けつつ、経営改善や事業再生に取り組む事業者を対象とした新たな資金を7月1日に創設する予定としております。
 県としましては、引き続き、金融機関や信用保証協会等と緊密に連携し、経済情勢等も踏まえながら、事業者の資金繰り支援を積極的に行ってまいります。
○副議長(堀 龍雄君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 どうも、商工労働部長、御答弁ありがとう。
 今、借換えの資金、6月までの延長とか、追加の保証料、これを全額補助する制度とか、また7月1日より新たな資金も創設をしてくれる予定だと聞き、答弁いただきました。しっかりと周知をお願いしたいなと思うんです。やっぱり過去を見てもそうなんですけれども、ちょっとどこへ聞いていいか分からないような方も聞いたことがありますので、その辺の周知だけしっかりとお願いをしておきます。いろいろありがとうございました。
 これで、私の一般質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(堀 龍雄君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は、6月24日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時39分散会

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