令和6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)
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令和6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号
議事日程 第7号
令和6年3月11日(月曜日)
午前10時開議
第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第69号まで、議案第71号から議案第79号まで、議案第81号から議案第84号まで及び議案第86号から議案第96号まで(質疑)
第2 一般質問
第3 議案の付託
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会議に付した事件
第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第69号まで、議案第71号から議案第79号まで、議案第81号から議案第84号まで及び議案第86号から議案第96号まで(質疑)
第2 一般質問
第3 議案の付託
第4 議案第97号(当局説明)
第5 休会決定の件
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出席議員(42人)
1番 坂本佳隆
2番 三栖拓也
3番 秋月史成
4番 川畑哲哉
5番 藤山将材
6番 森 礼子
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
9番 高田英亮
10番 玉木久登
11番 佐藤武治
12番 濱口太史
13番 鈴木太雄
14番 冨安民浩
15番 吉井和視
16番 鈴木德久
17番 玄素彰人
18番 岩田弘彦
19番 中本浩精
20番 中村裕一
21番 谷 洋一
22番 山家敏宏
23番 北山慎一
24番 堀 龍雄
25番 谷口和樹
26番 新島 雄
27番 山下直也
28番 小川浩樹
29番 中尾友紀
30番 岩井弘次
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 山田正彦
34番 坂本 登
35番 小西政宏
36番 浦平美博
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 尾﨑太郎
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 岸本周平
副知事 下 宏
理事 田嶋久嗣
知事室長 北廣理人
危機管理監 福田充宏
総務部長 吉村 顕
企画部長 前 昌治
地域振興監 赤坂武彦
環境生活部長 山本祥生
福祉保健部長 今西宏行
商工観光労働部長 三龍正人
農林水産部長 山本佳之
県土整備部長 福本仁志
会計管理者 﨑山秀樹
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員長 竹田純久
警察本部長 山﨑洋平
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 森田康友
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 林 伸幸
次長(秘書広報室長事務取扱)
萩原 享
議事課長 長田和直
議事課副課長 岩谷隆哉
議事課議事班長 伊賀顕正
議事課主任 菅野清久
議事課副主査 西 智生
議事課副主査 林 貞男
総務課長 葛城泰洋
政策調査課副課長 三龍久代
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午前10時0分開議
○議長(濱口太史君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、申し上げます。
東日本大震災の発生から本日で13年を迎えます。亡くなられた方々に哀悼の意を表し、黙禱をささげたいと思います。
御起立願います。
黙禱。
〔起立・黙禱〕
○議長(濱口太史君) 黙禱を終わります。
御着席願います。
日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第69号まで、議案第71号から議案第79号まで、議案第81号から議案第84号まで及び議案第86号から議案第96号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
20番中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。質問の機会をいただきまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
まず、能登半島地震でお亡くなりになった方々に哀悼の意を表します。そして、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。一刻も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
私は、能登半島地震を見まして、南海地震が迫っているということ、そして、政治や行政に携わる者が地震のことを正しく理解し、適正に対処しなければ、住民の生命や財産を守れないというふうに痛感をいたしました。
くしくも本日は3月11日、東日本大震災の日であります。私たちは、これまでの貴い教訓を生かして、防災対策全般に日々点検しながら、南海地震に備えようではございませんか。
以下、地震関連の一般質問を行いますが、住宅耐震化については、建設委員会で議論したいと思います。
1番に、西川河口の津波対策について伺います。
昨年末、東日本大震災の被災地を視察してきました。宮城県石巻市から岩手県宮古市田老町まで海岸線を回り、そのときに見た景色が資料1、お手元にお配りを、資料提供させていただいておりますが、そのとき見た景色であります。
改めて分かったことは、1番にやはりハード対策の重要性であります。震災直後は瓦礫が山積みされていた津々浦々に、現在は巨大な水門、防潮堤が建設されています。私は水門、防潮堤を見て、100年後に地震、津波が来る東北にできていて、あした来る和歌山にはまだないと思いました。ただし、宮古市閉伊川水門は平成26年に約70億円で着工し、その後、設計変更を繰り返し、現在は800億円でいまだ工事中でした。それらの巨額の事業費は、災害復旧事業としてほぼ国費でした。
もう一つ分かったことは、津波に破壊されたまちは元に戻らないということです。震災後13年が経過し、10メートルもかさ上げしても、まちがあったところには公共施設と商業施設しかありません。一方、浸水しても破壊が少なかった石巻、松島は市街地が復旧・復興しています。やはり人命だけではなく、まちが壊れないことも大切です。まちは物ではなく、社会や経済、教育、文化、暮らしなどの形のない人の営みでできているからであります。
さて、今回の視察で水門、防潮堤の効果を確信しましたが、巨額な予算も分かりました。そして、今回の能登半島地震で、南海地震対策はスピードが大切だと気づきました。
そこで、私が従来からお願いしております水門は諦めないんですけども、まず知事にお願いすべきは、早期実現可能な西川河口の堤防かさ上げだとの思いに至りました。西川河口の津波対策について、知事の御見解を伺います。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
県では、2014年に策定しました「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」に基づき、東海・東南海・南海3連動地震の津波避難困難地域の解消と、経済被害を抑え、早期の復旧・復興につなげるための港湾、漁港等の既存施設のかさ上げや防波堤の強化等の津波対策を進めてまいりました。
一方で、沿岸部の災害は、津波以外にも高潮や高波による浸水も考慮すべきと考えております。これらの災害も踏まえながら対策を講ずることが必要であります。
ただいま中村議員御指摘の西川河口の護岸かさ上げにつきましては、高潮対策としての事業化に向けまして、今、関係市町や地元との調整などに取り組んでおりまして、早期に実現してまいります。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ありがとうございます。ぜひ早期によろしくお願いいたしたいと思います。
次の質問を行います。
次は、死因究明等の推進について伺います。
私の後援会長であります天津隆氏は、御坊市内の開業医ですが、多忙な仕事の合間を縫って、金沢大学で公衆衛生学の博士号を取得し、現在、県立医大法医学講座で博士研究員として研究を継続されています。また、警察医としても御活躍され、この能登半島地震にも出かけられました。
その天津先生から、昨年末に検案医についてのお話を伺い、御苦労が多いので成り手が少ない。多数の死者が出る南海地震では大変なことになると心配をされていました。私も初めて検案医という言葉をそのときに聞きました。
医師法では、医師が診療していた患者がその傷病で死亡した場合、死亡診断書を書きますが、それ以外の事故などの場合に医師が行うのが検案で、死体に対して身元を明らかにし、死体の外表を検査することで、死亡の確認、死因、死亡推定時刻、異状死との鑑別を総合的に判断することとされています。検案の結果、異状死でないと判断したら死体検案書を作成します。
死体検案書を持ってきたんですけども、ないので、言葉で説明をしますと、実は、死亡診断書というのはよく見かけます。その診断書の横に死体検案書と書いてあって、その時々、必要に応じてどちらか消して使うという、そういうものなんですけども、もし異状があった場合は警察に連絡して、検察官または警察官が検視を行います。さらに必要があれば司法解剖が行われます。これは、検案には含まれないそうです。
今回、一般質問に当たり、私は「検案」というキーワードから調べ始めました。最終的に、令和元年に制定された死因究明等推進基本法に行き着きました。以後、「推進法」と言います。
推進法は、死因の究明や身元確認に関する施策を推進することで、安全・安心な社会、生命尊重、個人の尊厳が保持される社会の実現を目指すこととしています。そして、国と都道府県が主体的に関係機関と協力して、死因究明等に係る人材育成や実施体制の充実、死体の検案解剖の実施体制、身元確認のデータベース、死因の遺族への説明などの基本的施策を計画的に実施していくことを規定しています。
特に県は、地域の実施主体として死因究明等の具体的施策を実行することが求められており、適正に実施されているかを地方協議会で検証、評価することになっています。
去る3月4日、県立医大法医学講座の近藤稔和教授に面談の機会をいただき、推進法成立への御尽力や、東日本大震災、能登半島地震での検案業務、法医学教室の状況、また、東京都監察医務院のようなセンター設置などのお話を伺いました。そして、推進法の実施に当たり、県当局が主体的に業務を推進することを期待されていました。
全国では、平成24年の旧法から取り組む自治体がある一方、推進法施行後、令和3年3月に地方協議会が設置された本県は出遅れているというふうに思いますけども、現在の取組はどうなっているのか、福祉保健部長に伺います。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 本県では、2021年3月に、県立医科大学や県警察本部、県医師会等を構成メンバーとする和歌山県死因究明等推進協議会を設置し、同年12月に第1回協議会を開催したところです。
また、医師会や歯科医師会等においても、死因究明に対する認識を深め、検案医の確保を進めていくために、関係機関と連携協力し、2022年及び2023年にオンライン研修会を開催しています。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 後で一括して再質問させていただきたいと思います。
公表されている第1回目の協議会の記録をホームページで拝見しました。検案医の身分の保障の必要性とか、いろいろ議論されているようでありますけども、現状で課題はないのか、福祉保健部長に伺います。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 第1回協議会では、出席者がそれぞれの立場から現状と課題を報告し、情報交換が行われる中で、検案医の不足や高齢化、検案医に対する処遇改善などの課題が明らかになりました。
県といたしましては、県医師会や県立医科大学等と研修会を開催し、検案の重要性の認識を深め、検案医の確保に努めてまいります。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今、私がいろんな方からお話を聞いておりますと、検案医はなかなか成り手がいないというふうなことを聞いておりまして、推進法をうまく実施していくためには、いかに検案医を養成するかということがキーポイントだと思いますけども、それはどうなっているのか、福祉保健部長に伺います。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 検案医の養成については、厚生労働省が日本医師会に委託し、死体検案研修会を開催しており、2022年度の研修会では、基礎研修、上級研修合わせて、本県では10名が受講しています。
県といたしましては、県医師会等と協力し、本研修会に参加する医師を増やすことで、県内医師の基本的な検案能力の維持向上を図ってまいります。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 特に検案に関することで必要になってくるのは、平時の検案もそうでありますけども、大規模災害でございます。
東京都では、平成9年に、「災害時における遺体の取扱いに関する共通指針(検視・検案等活動マニュアル)」というのを作成いたしまして、東日本大震災後は、死体検案書の作成の迅速化や、遺体収容所における情報共有の効率化などの改定をして、巨大災害に備えています。南海地震では数万人から数十万人の死者が予測される中、災害現場ではトリアージをやりながら、いかに死体検案を実施するのか、本県は迫る南海地震へどんな準備をしているのか、福祉保健部長に伺います。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 大規模災害発生時には、社会混乱のため、遺族等が御遺体の引取りを行うことができず、それぞれの自治体が設置する遺体収容所において保管し、検案を行うことになると想定されます。そうした状況の下で検案が円滑に実施できるよう、県医師会が中心となり、2015年に活動指針を作成しています。
県といたしましては、大規模災害発生時には、おのおのの遺体収容所において多くの検案が必要となる一方、検案に協力いただく医師の不足も懸念されることから、県医師会と共に課題の整理を行ってまいります。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 答弁を聞いておりましたら、何かやれているんじゃないかという、そんな雰囲気でありますけども、私がこのことで質問の打合せをさせていただくときに、県の医務課は自分ところの担当ではないというようなことを言われました。それで、医師の養成とかは日本医師会がやっているんだという資料も頂いたわけでありますけども、この推進法を読めば、そしてまた、推進計画というのを国がつくっておりますけども、読めば読むほど和歌山県が努力しないといけないことがたくさんあります。今、私が質問で答えていただいたこと以外に、まだいっぱいやらなければならないことがあるんですけども、そんなことは承知されているんでしょうか。福祉保健部長にお尋ねします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 死因究明の推進法の推進についての御質問ということでよろしいでしょうか。
この法律の基本理念にも書かれていますように、死因究明を適切に行うということは、生命の尊重と個人の尊厳につながるということで、各個人が最後に受けられる最も大切な医療行為というふうに認識しておりますので、医療行政を推進する福祉保健部としては、しっかりこの法律に基づいて推進してまいります。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
次に行きます。
次は、給食無償化について伺います。
知事は、法律の許す限り、予算の許す限り何でもできますが、給食無償化は大きな予算が要る初めてのことで、大変な英断だったと思います。私も、給食推進無償化論者の一人として大いに評価させていただきたいと思います。何とか国がやるまで頑張っていただきたいと思います。
ただし、突然の発表だったので、混乱もありました。私は、給食にかかわらず、市町村に関係する重要な支援制度だとか予算、こういうのは県の発表で市町村長が初めて知るんではなくて、やはり事前に協議しておく必要があると思います。
今後の市町村との政策調整の在り方について、知事の御所見を伺います。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
中村議員御指摘のとおり、政策におきましては、県、市町村が一体となって事業を推進するためには、市町村と密接な連携や協働を行うことが不可欠であると私も考えております。
今回、給食費の無償化につきましては、昨年、タウンミーティングを行いながら現場の声も聞き、かつ、大勢の首長さんから直接無償化のお願いもたくさんいただきました。そのときには、給食費の無償化について、それぞれの首長さんと意見交換も密にさせていただいたところであります。
しかしながら、予算の発表の前に、県庁としては、なかなか予算をつくった後、議会運営委員会に御報告するまでに、その予算の内容が表に漏れるということがありますと、これはなかなか難しい問題もあるということで、そこは非常に難しい、微妙なところはあると思います。ただ、その辺は行政のやり方として、首長と知事の間でいろんな意見交換をすると同時に、事務レベルでもいろんなお話合いをする必要もあろうかと思っております。
ただし、給食費については、おっしゃるとおり、大変地元の市町村の現実を反映しないといけないものですから、したがいまして、何度もお話ししておりますとおり、4月実施ではなくて、市町村の御要望をきちんと聞くための半年の時間を盛り込んで、今回は10月の実施とさせていただいたところでありますので、中村議員の御指摘を踏まえて、しっかりと御相談をしながら進めていきたいと思っております。
いずれにしましても、今後とも、細かい政策については、大きな枠組みの中で可能な限り市町村のいい御意見を丁寧に伺いながら、キャッチボールをしながら、県議会との関係もおろそかにしない中で、しっかりとやっていきたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、補助金は、市町村が給食無償化を実施するときに半分出すということになっているんですけども、市町村がやらなかったら県民は受け取れないんです。
美浜町は、給食無償化に際し、給食がない県立日高高校附属中学校に通う町民には現金給付をしているそうです。知事も行政の公平性ということをおっしゃいますが、県の政策なら、公平の観点から、やらない市町村の県民にも届けることはできないものか、知事の御所見を伺います。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
学校給食費を無償化する、この目的でありますけれども、子育て世帯の経済的負担を軽減するということが何より第一の目的でございます。したがいまして、設置者である市町村と協力いたしまして、取り組んでまいりたいと考えております。
県といたしましては、できる限り多くの世帯が給食費が無償となるように、市町村の皆さんと相談しながら、働きかけもしてまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 知事がおっしゃいますように、できるだけ皆に政策が行き渡るように期待をしているんですけども、県立中学校、県内に5校ありますけども、実は、まだどこも給食になっていないんです。でも、市町村に給食無償化やりませんかというふうにおっしゃるなら、まず直営の県立中学校から給食実施も含めてやるべきではないかというふうに思うんですけども、知事の御所見を伺います。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
筋論から申し上げますと、今、中村議員御指摘のとおりだろうと私も考えております。
一方で、県立中学校というのは経緯がありまして、県立高校の敷地の中の既存の施設に設置した経緯がございます。したがいまして、校内のスペースの問題がありまして、自校での給食は現状できない状況になっております。
自校給食以外としては、近隣の給食センターに委託するということもあるんですけども、その場合でも手洗いや換気、衛生害虫の侵入防止等が整った配膳室というものを設置する必要がございます。そういう意味では自前給食と同じで、現状では、後からひっつけているものですから、衛生管理基準が守れない状況にございます。
また、給食センターで調理した後、2時間以内に生徒が喫食するための配送車の確保、あるいは、既に実施している小中学校との関係から、配送ルートの最適化というようなことで検討いたしましたけども、なかなか多くの課題があるということも分かってまいりました。したがいまして、現状況では給食が行われておりませんので、したがって、無償化もできないということになりますけれども、今御指摘の給食の県立中学校、どうだということにつきましては、今後研究をしてまいりたいと存じますので、御指導よろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 同じ空間で同じものを食べるというのは、仲間意識を醸成する上ですごくいい、しかも、脳内物質も出るというふうなことが科学的に言われております。それで、宮中晩さん会から、それこそ給食、ピクニックまで一緒に御飯を食べるのはすごくいいことなので、ぜひ県立中学校の生徒にも給食を与えるようにお願いしたいと思います。
私は、たまたま県立中学校の給食ということを希望される御父兄からお話も聞いて、御坊市は、日高高校附属中学校がやる場合は、御坊市の給食センターにスペースがあるということを市の教育長に聞いて確認しております。周りのほうが期待している声も多いと思いますので、よろしく御検討をお願いします。
次に行きます。
同じような話で恐縮なんですが、県民からは、小中学校だけじゃなくて、幼稚園とか保育所もやってほしいという声があるんですが、いかがでしょうか。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
幼稚園と保育所、それから義務教育の小中学校というものについて、今回、私としては少し線を引かせていただいたという結果になりました。
と申しますのも、幼稚園や保育所の給食費は主食と副食が分けられております。そして国は、所得状況に応じるということではありますけれども、副食費につきましては既に無償にしていただいております。それで、国の無償化の対象にならない分につきまして、多子世帯の経済的負担軽減のために、第3子以降を対象に、現在、市町村と共に副食費も無償にさせていただいているところであります。
県といたしましては、世帯の所得にかかわらず、どこに住んでいても安心して子供を産み育てられるように、保育料とともに、幼稚園や保育所の給食費については無償とすることを国に強く要望しているところでありますので、引き続き要望していきたいと思います。
今回は、義務教育課程の子供たちを対象に無償化をさせていただくということで、どうか御理解を賜りたいと存じます。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、宇宙産業の振興についてを伺います。
土曜日、3月9日、県内外のロケットファンが期待していたカイロス初号機の打ち上げは、残念ながら警戒区域に侵入した船舶のため、延期となりました。次回こそは無事成功をお祈りいたしております。期待もいたしております。
ここで、これまでにもこの船舶を心配する声もありました。この機会に、船舶の侵入を禁止する、制限する、そんな法制度ができないのかどうか、今は難しいというふうに聞いておりますけども、これからずっと続く問題でもありますので、ぜひ御検討をお願いしておきたいと思います。
さて、宇宙産業が伸びていくことは間違いないと思います。宇宙開発が国家事業から民間参入の時代になり、スペースXのような企業が出現するなど、今や世界的に宇宙産業が成長産業と言われております。
議席に、こんな緑色の資料を配らせていただいております。
これは、和歌山大学のロケット博士こと秋山演亮先生から頂いた、今後の世界産業の行方を示した表でありますけども、色の濃淡が成長性を、そして面積が産業規模を表しております。この表で見れば、ちょっと宇宙産業はまだ小さいんですけども、35兆円で今後の成長が期待されます。
知事は、ロケット関連の施策に注力することを選挙時から発言されていますが、本県も新たな経済牽引産業として、宇宙関連企業等の誘致や県内企業の宇宙分野進出を促進すべきと考えますが、具体的に取り組む戦略はあるのか、知事の御所見を伺います。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
県では、将来の中核産業として地域に成長産業集積の土台を築き、和歌山がGX実現先進県、脱炭素社会先進県となるため、現在、わかやま成長産業開拓ビジョン検討会を設置しております。そこでは、市場の成長性や本県との親和性などの観点から、誘致を目指す成長産業を議論しております。
その中でも、今、中村議員御指摘のとおり、宇宙産業は市場の成長性やロケット射場がある本県との親和性は極めて高いわけでありますので、私どもとしては、今後の和歌山を担い得る成長産業の一つと捉えております。
今後、ロケットの打ち上げが恒常化すれば、組立て工場や製造工場、衛星データ活用ビジネス等の集積や県内企業の参入促進が期待されます。さらに、観光産業の活性化、農林水産業の効率化や高度化といった既存産業の発展による宇宙を核とした地域振興モデルの確立も期待されるところであります。
したがいまして、これらを実現するため、今後の県の取組の羅針盤ともなりますわかやま成長産業開拓ビジョンの策定を通じまして、宇宙関連企業の誘致に必要な条件、さらには県に求められる役割を整理し、産業レベルでの集積を目指して、県としても全力で取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 知事のお答えの中に、わかやま成長産業開拓ビジョン検討会、ここで議論をして、そこで戦略を決めていくということでありますけども、私、ホームページを拝見した限りは、会議録そのものが出ているわけじゃなくて、単語が並んでいるだけなんで、もう少し分かりやすいようにしていただきたいと思いますし、私たち県議会議員もそれぞれの選挙区で県民の意見を聞きながら、どうやったら地域を振興するか、どうやったら産業が発展するかということを日夜考えているんです。ぜひ県議会議員の意見も入れられるような、もうこんな政策できましたといって、ひたすら我々に結果だけを教えられるんじゃなくて、意見も述べさせていただくようなチャンス、そんな機会もお願いしておきたいと思います。
次に参ります。
昨年末、今春から和歌山大学に開設される宇宙教育研究センターのシンポジウムに参加してきました。そのテーマは、宇宙産業の振興と人材育成でした。宇宙産業の成長性はさきの質問で述べました。これも秋山先生から頂いた資料ですが、資料3のように、これから宇宙産業の発展とともに、人材不足が顕著になってくると言われております。
現在、国はもとより、自治体、大学、企業など、官民挙げて宇宙産業への参入や人材養成が行われております。そして私は、和歌山県が発展していくためには、全ての産業の基として、優秀な人がたくさん生まれてくる和歌山県に工場や研究所を造らないと人が集まらないと、そういうような和歌山県にすることが大事だと思っておりますけども、本県でも、ロケット打ち上げを契機に、宇宙産業の振興のために宇宙人材の養成をすべきと考えますけども、知事の御所見を伺います。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
ただいまの中村議員の御指摘につきまして、私も全く同感だと考えております。
宇宙産業について申し上げますと、ロケットや衛星といった本体だけではなくて、宇宙空間や衛星データの利活用を通じまして、農林水産分野など異業種との掛け合わせによりまして、その事業を発展させる可能性もたくさんあります。
それから、宇宙産業の振興を通じまして、本県の将来を担い得る成長産業を呼び込み、産業集積を成し遂げるためには、まさに中村議員おっしゃるとおり、当該産業を支える人材育成が不可欠となります。
その一環といたしまして、本年4月から、串本古座高等学校宇宙探究コースの取組を通じた人材育成がスタートいたしますので、近い将来、ロケット射場がある地元からの人材輩出につながることを期待しております。
また今後、産業、社会のデジタル化やデータ共有が進んでいくことが想定されますので、宇宙産業をはじめ、あらゆる成長産業で必要とされますデジタル人材の育成も重要だと考えております。企業や教育機関と連携した人材教育、育成の在り方についても検討してまいりたいと存じます。
また、今、中村議員おっしゃいましたように、和歌山大学との連携も大事だと思っておりますし、秋山先生には私も個人的にいろいろ御指導いただいております。また、いろんな宇宙のシンポジウムも開催されてきましたので、いろんな形でつながりのできました業界の第一線で活躍されている有識者、事業者、専門家の皆様、この皆様との人脈が私ども県職員の中にもかなり蓄積されてまいりましたので、今後、航空宇宙工学から宇宙ビジネスまで、幅広い知識や最新情報を収集できる環境を県庁も中心となって整えてまいりたいと考えております。
今後、関係者とのネットワーク構築を通じまして、中村議員御指摘の宇宙産業を支える人材の育成とともに、必要な専門知識や情報の収集に努めてまいります。よろしく御指導お願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、GXについて伺います。
世界中で気候変動対策が進められる中、我が国では、経産省主導で、関連施策を一括してGXと呼び、カーボンニュートラルと経済成長を両立させて、社会経済システム全体の変革を目指しています。
その目標として、第1に、2030年までに温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減し、2050年カーボンニュートラルの国際公約を達成すること、第2に、安定的で安価なエネルギー供給につながるエネルギー需給構造の転換、第3に、新たな市場、需要を創出し、日本の産業競争力を強化することで、将来の経済成長や雇用、所得の拡大につなげることの三つを掲げ、法制度の改正や新施策を講じています。
大変意欲的な目標ですが、欧米を中心に、世界中の企業や投資家も気候変動へ巨額投資を集中させており、今や大きなうねりとなっています。そういった流れを本県へ取り込もうと、知事も新政策や予算にGX施策を盛り込んでいますが、県として戦略はあるのか、知事の御所見を伺います。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
GXの推進につきましては、昨年8月に、今、中村議員がおっしゃっていただいたとおりでありまして、2030年までの県内における温室効果ガスの排出量削減目標を2013年度比で30%から46%に引き上げました。脱炭素先進県を目指して取組を進めているところであります。
まず、産業における取組としては、先ほど宇宙産業についての御質問がありましたときに申し上げたとおりで、わかやま成長産業開拓ビジョン検討会におきましても、地域にGXを中心とする成長産業をどうやって呼び込んでいけばいいのか、産業レベルでの集積をどのようにして実現していったらいいのか、今検討を進めているところであります。
また、再生可能エネルギーの導入としては、例えば、洋上風力発電が経済の発展に向けた新たな成長の芽となるように取り組んでいきたいと存じますし、また、地域における小水力発電の導入の可能性についても調査を行っていきたいと考えております。
さらには、森林吸収源対策では、切って、使って、植えて、育てるという森林の循環利用を推進するとともに、森林クレジット取得に向けた取組を促進してまいります。
さらに、県民の皆様や県内の民間企業の皆様にも、県全体として温室効果ガスを削減できるよう、協力の依頼をしてまいりたいと存じます。
今後も、県庁一体となって脱炭素先進県を目指して取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 先進県を目指して、具体的になるほどと思うような政策を、私、単発的に出すのではなくて、ぜひ一度総合的に出していただいて、県民の皆さんや議会から、これはどうかというような議論も含めて本当の目標を立てて、先進県を目指していただくような、そんな手順もお願いしておきたいと思います。とにかく脱炭素は世界的な流れであることは間違いないので、和歌山にプラスになるよう、みんなで頑張ればいいと思います。
次に行きます。
次は、学び直しについて伺います。
あるとき、私のフェイスブックのアカウントに京都大学の広告が表示されました。その内容は、企業や行政の次世代リーダーに、京大の名物先生らが大学構内で毎土曜日、8か月間に46こまの講義を行うというものでした。面白そうだったので見ていくと、最後のほうに受講料というのが出てきたんです。この受講料──皆さん質問を聞いてくれたら……。幾らぐらいだったと思いますか、この受講料。(「分からんなあ」と呼ぶ者あり)
私も安かったら申し込みたかったんですが、実は500万だったんです。私、それを見て、世の中にはお金と暇のある人も多いんだなあというふうに思ったんですけども、別の機会に、ある大学の先生が県内の自治体を紹介してくれるよう依頼されました。くれるようじゃなくて、するよう依頼されました。要件は、そのまちにあるほぼ休眠施設を使用して、大学が受講生にスキルを身につけさせて、独自の資格を付与するというものでありました。紹介した自治体も喜んでくれました。その事業はまだ実現していませんけども、そのとき、県内にはほかにもリカレントの対象になるものはある。そして今、リカレントがはやっているんだというふうに気がつきました。
本県には、高野熊野などの世界遺産の文化や海青し山青しの自然、みそ・しょうゆ、農林水産業など、たくさんの資源があります。本県もこの新しい潮流に何か取り組む考えはあるのか、教育長に伺います。
○議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) リカレント教育についてでございますが、和歌山県が有する自然や文化、技術といった魅力ある豊富な資源を活用し、県内外の大学や専門学校等が社会人向けの教育プログラムを開発されることは、将来性のあることだと思います。
こうしたことが今後より活発に展開されるよう、和歌山の魅力や情報発信に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 東京とか大阪へ行ったら、別に役所が関わらなくても、勝手に企画して、勝手に銀行から金借りて、勝手に人を雇って、勝手に税金をやって、勝手に産業なり地域を興してくれるということが起きているんですけども、和歌山ではなかなか勝手にやってくれない。私は、やっぱり行政がそのきっかけをつくるとか、誘導するというようなことが大事だと思うんです。
リカレントというのは、教育長が担当されている分野と少し重なっているところもありますが、重ならないところも多いので、これは知事にはお聞きしませんでしたけども、すごく和歌山県にとってはいい取組だと思っているんです。
今、SNSというのは、一個見たらずっとよく似たものが広告来るんですけども、大学の名前をかたっているので大学かなあと思ったら、今、民間会社も大学の名前を使って、どんどんとお金もうけというわけじゃないと思いますけども、知識を学校以外にも吸収する。とにかく高齢化社会は時間とお金にゆとりのある人がすごく多い時代です。そういうことにもぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
最後に、高齢者の雇用について伺います。
先日、シルバー人材センターに勧誘され、私ももう高齢者かなと思っているんですけども、高齢者雇用に興味があったので、二つ返事で加入しました。早速、翌日から呼び出され、市内のスーパー前で能登半島地震の義援金のお願いをしてきました。そこで皆さんから聞いたお話では、シルバー人材センターの課題として、どの仕事をしても最低賃金ぎりぎりの930円しかもらえないということでありました。ほかに選べる業種が少ないということも言われておりました。
人生100年時代を迎えて、80歳まで働くことが社会的に個人の生活を考えても必要になっています。例えば、観光産業は、重いものを持ち下げすることがない高齢者向きの仕事と言われ、アメリカのディズニーランドでは高齢者が大勢働いています。国内でも、福岡県などは高齢者の雇用開発を熱心に行っています。
本県でも、高齢者雇用はわかやま就職支援センターがあり、ホームページを見ましたけども、どちらかというと求人を掲載しているだけという、そんな感じがいたしました。ぜひとも学び直しを通じて高齢者の積極的雇用開発を求めますが、商工観光労働部長の御所見を伺います。
○議長(濱口太史君) 商工観光労働部長三龍正人君。
〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) 働く意欲のある高齢者が就業できる機会を充実させることは、高齢者の収入増や社会参画、生きがいづくりを進める上で重要であります。また、企業の労働力確保の観点から、その能力や経験を生かしていただくことも必要であると考えます。
このような中で、高齢者の就業を促進するため、県では、年間を通じた合同企業説明会の開催をはじめ、県が設置するわかやま就職支援センターにおいて、高齢者を対象とした求人情報の提供や個別相談に対応するほか、就業に向けたセミナーの開催にも取り組んでいるところです。
引き続き、高齢者の活躍を求める企業を増やし、就業機会の充実を図るとともに、働く意欲のある高齢者が円滑に就業できるように取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 知事にお願い、要望をさせていただきたいと思います。
知事は、和歌山をウエルビーイングにするというふうにおっしゃっています。ウエルビーイングというのは、ちょっと私も調べてみました。肉体的、精神的、社会的にも全てが満足する、そういう状態にあることというふうに書いてありました。
今、県民の3人に1人、30万8293人が高齢者、もう和歌山県、高齢者県というふうに言えるんじゃないかと思うんですけども、その高齢者の暮らしぶりを知るために、なかなかいい指標がなかったので、私は、年金の受給状況というのを調べてみました。そしたら、令和4年度で厚生年金受給者が11万3362人、平均14万488円というのを受け取っておられます。国民年金受給者は28万6120人で、平均5万4789円を受け取っておられます。
以上の数字から考察すると、高齢者数から国民年金受給者を引いた2万2173人というのは、私がざっくり計算したので間違っているかも分かりませんけども、この人らが無年金者というふうに思います。さらに、国民年金受給者から厚生年金受給者数を引いた17万2758人が国民年金だけで暮らしている高齢者というふうになるんじゃないかと。この無年金者と国民年金だけの人を足した19万4931人が実に県民の5人に1人以上ですけども、仕事が、資産がない限り、生活が大変な高齢者というふうに言えるんじゃないかなあと思います。
物価の高騰もあって、本当に暮らしは大変だと思うんです。それからすると、住宅の耐震化とか、それから、下水につなげないというのは仕方がないというか、そこまで資金が回らないのはもう当たり前だと思うんです。やっぱり高齢者に、何かいろいろ施策があるときに少し率を上げるとか、加入しやすくするというような施策を、ぜひ知事にはお願いしたいというふうに思います。
一方、私、高齢者の人にもやっぱり自立をお願いしないといけないんではないかと思います。私が住んでいる農村辺りへ行くと、80歳でも農業というのはもう元気にやれる仕事なんです。本県でも、とにかく高齢者も希望したら、80歳でもどんどん仕事ができる。このことを、その状態は、私、ウエルビーイングな和歌山だと思うんです。そういう状態をつくるのは県の仕事だと思いますので、ぜひそういう意味でのウエルビーイングをよろしくお願いしておきます。
以上、要望を申し上げて、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
9番高田英亮君。
〔高田英亮君、登壇〕(拍手)
○高田英亮君 おはようございます。
今回で2回目、登壇させていただくことに、皆様方に感謝を申し上げます。
それでは、議長の許可を得ましたので、通告に従い一般質問をさせていただきます。
まず、貴志川線についてですが、貴志川線の現状と行政の支援について。
まず初めに、貴志川線についてであります。
今から20年前、それまで旧貴志川町から和歌山市東部地域を走る南海電鉄貴志川線が廃線になるという問題が起こりました。廃線になれば、今まで通勤や通学、病院への通院や買物などに貴志川線を利用していた人たちがたちまち困ってしまう状況になります。
私も以前、通学・通勤に利用させていただいておりました。当時の貴志川町長であった中村前紀の川市長がすぐさま大阪市難波にあります南海電鉄の本社へ、地元住民と共に、廃線にしないようにお願いに行きました。しかし、願いむなしく、南海電鉄が貴志川線を廃止にするという決定に至ってしまったのですが、なおも中村町長は先頭に立って、何とか廃線とならず存続できるように働きかけをしてほしいと県や国にもお願いしました。
貴志川線には、旧貴志川町から和歌山市にかけて、駅が14駅あります。そのうち旧貴志川町内には4駅、10駅が和歌山市内にあります。そのため、貴志川線存続の運動は和歌山市の皆さんも働きかけてくれました。
当時、貴志川町は市町村合併の話が進んでいました。中村町長には、合併後の市長になってほしいという地元の期待の声も出ていましたが、中村町長は、貴志川線の問題が解決するまでは市長には立候補しないという決心の下、国、国会議員をはじめ、関係各所への働きかけを行い、平成16年9月に、当時の国の審議官を招いて貴志川線存続に向けてのシンポジウムを開催し、600名余りの参加者を集めるなど、貴志川線存続に向けての機運醸成に努めていただきました。
もちろん、県や和歌山市の方々も、貴志川線存続に向けて必死で取り組んでいただき、南海電鉄で存続することが難しいのなら鉄道事業を継承してくれる事業者を探そうということで、事業者の誘致に取り組んでいただき、結果、岡山県を中心に路線バス、路面電車等の交通サービスを提供している両備グループが鉄道事業を継承して電車を走らせてくれるようになり、新しい鉄道会社の名称は和歌山電鐵株式会社に決まりました。
その後、和歌山電鐵は、地域に愛される魅力的な鉄道となるべく、様々な取組を行います。社長に就任した小嶋光信氏の発案により、貴志川線貴志駅の売店にいる三毛猫のたまが駅長に就任し、日本全国だけでなく海外からもファンが押し寄せる人気者となり、和歌山県の新たな観光スポットとして周知されることとなりました。さらに、小嶋社長は新たなアイデアを次々と打ち出し、いちご電車、たま電車、おもちゃ電車など、かわいいデザイン電車を走らせ、お客様に喜んで乗車していただけるよう、会社として頑張っています。
また、地元住民を中心に構成されています貴志川線の未来を“つくる”会の皆さんも、「乗って残そう貴志川線」を合い言葉に、貴志川線の存続に向けていろいろな取組をしてくれています。沿線の農園を活用したタケノコやジャガイモ掘り、クリスマス電車などを通じて沿線の魅力をアピールするなどの活動が評価され、先日、共同通信と地方新聞47社、NHKが主催する地域活性化に貢献した団体に贈られる第14回地域再生大賞を同団体が受賞しました。今日は、そのメンバーも傍聴に来ていただいております。
さらに、沿線にあります貴志川高校においても、学校の最寄り駅である甘露寺前駅と駅からの通学路を含む駅周辺の清掃活動や駅ホームのペンキ塗りなど、生徒会が主体となって貴志川線沿線の魅力向上のため活動してくれています。この3月1日にも──この日は高校の卒業式でした──貴志川高校と貴志川中学校の生徒の皆さんが描いたウオールアートを沿線であります西山口駅に掲げられました。除幕式には宮﨑教育長にも参列いただきまして、生徒をはじめ近隣住民の皆様も喜んでおりました。教育長、ありがとうございました。
このように、生まれ変わった貴志川線は、地域と鉄道会社が一体となって、観光PRや利用促進について様々な努力をされているところであります。
しかし現在、貴志川線の未来について明るくない話題も出てきております。新型コロナウイルス感染症の影響です。
貴志川線を維持し、沿線住民の移動手段の確保や地域の活性化を図るためには、何よりも沿線住民が自ら乗って残すという意識を持ち、行動を継続していくことが重要であるとは思いますが、新型コロナウイルス感染症の影響は甚大であり、利用者の大幅な減少に加え、今後も沿線地域の人々が減少していく中、通勤・通学や通院、買物などの移動手段として利用していた貴志川線が引き続き利用していくことができるのか、将来に向けて不安を感じている利用者も多数いると思います。
そこで、1問目の質問ですが、貴志川線の現状について、また、現状を踏まえ、行政はどのような支援を行っていますか。地域振興監にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
地域振興監赤坂武彦君。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興監(赤坂武彦君) 貴志川線の現状につきましては、たま駅長をはじめとする猫の駅長によるPR効果や沿線住民の方々の積極的な利用により、2015年度のピーク時には232万人の利用者がありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年度には142万人と大幅に減少し、その後、少しずつ回復傾向にあるものの、以前の水準には戻っておらず、さらに物価高騰の影響も受けていることから、貴志川線の運行を担う事業者の経営環境は非常に厳しいものと認識しております。
そのため、県では、国の地方創生臨時交付金を活用し、安全運行を確保するための設備修繕に対する補助金や、物価高騰対策のための支援金を交付するなど、沿線の和歌山市及び紀の川市と協調しながら、様々な支援を行っているところです。
○議長(濱口太史君) 高田英亮君。
〔高田英亮君、登壇〕
○高田英亮君 御答弁ありがとうございます。
やはりコロナの影響はすさまじく、その上に物価高騰の影響も受けて、利用客がコロナ前の水準に戻っておらず、貴志川線の現状は非常に厳しいものであることを理解しました。それを踏まえて、次の質問に移ります。
貴志川線の役割と今後の支援についてですが、先ほど申し上げましたとおり、貴志川線が廃線の危機にあった頃、貴志川線の未来を“つくる”会を中心とした沿線住民の皆さんと行政が一致団結して様々な活動や支援を行った結果、その危機を乗り越えてきました。今回のコロナの影響により大打撃を受け、現在も利用者数が低迷し、大変厳しい状況であるとのことであり、和歌山電鐵も貴志川線の維持のため、多大な努力を行っていることと思います。しかし、現在のような状況であれば、同社の経営努力だけでは困難を乗り越えていくにも限界があるのではないでしょうか。
地域の貴重な移動手段、海外にまで魅力が伝わっている和歌山県が誇る観光資源、そして、地域活動を通じた多世代の交流の象徴など、様々な側面を持ちます貴志川線が廃線となりますと、沿線地域だけではなく、和歌山県全体に計り知れない影響を及ぼしてしまうと考えられるので、廃線は絶対に避けなければなりません。
そこで質問ですが、貴志川線存続に向けたこれまでの経緯も踏まえ、今後の県の取組についてどのように支援していくとお考えですか。地域振興監にお伺いします。
○議長(濱口太史君) 地域振興監。
〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興監(赤坂武彦君) 議員御指摘のとおり、貴志川線が廃線の危機にあった際、貴志川線の未来を“つくる”会を中心に、沿線住民や地元自治体が「乗って残そう貴志川線」というスローガンの下、大変熱心に存続活動をしていただいたことにより、和歌山電鐵株式会社が事業を継承したという経緯があります。
そうしたことから、和歌山電鐵、和歌山市、紀の川市及び県の4者で、2025年度を期限とした貴志川線の存続に関する基本合意書を締結し、鉄道事業を安定的に継続できるよう、老朽化に伴う修繕や設備更新に対する支援を行っているところです。
貴志川線は、通勤や通学など、沿線住民の日常生活を支えるために必要不可欠な交通手段であるとともに、たま駅長やいちご電車などの企画列車の活躍もあり、国内外の観光客を呼び込むための観光資源としても非常に重要な役割を担う鉄道となっております。
そのため、今後の貴志川線の支援につきましては、現合意書の関係者や沿線の住民団体、学識経験者等で組織する協議会を立ち上げ、将来必要となる費用の検証や収益改善に向けた取組についての調査検討をすることとしており、来年度の当初予算案に必要経費を計上させていただいているところです。
○議長(濱口太史君) 高田英亮君。
〔高田英亮君、登壇〕
○高田英亮君 御答弁ありがとうございます。
この貴志川線は、沿線住民の日常生活を支えるための必要不可欠な交通手段であるとともに、観光客を呼び込むための非常に重要な役割を担う鉄道であると思います。これからも貴志川線存続のため、地域住民も一生懸命頑張ってくれております。知事、知事を先頭に、引き続き御支援のほど、よろしくお願いします。
議長、次、行かせてもらいます。
次の質問に移らせていただきます。
学校部活動の地域連携・地域移行についてでございます。
県内中学校における部活動の現状について、私は、今後の和歌山が希望にあふれるまちとして持続していくためには、教育とスポーツを振興し、教養のある健康なまちづくりを目指していくことが重要と考えております。そのためには、和歌山県で育つ子供たちがどこに住んでいても心身ともに健やかに成長できる環境づくりが重要であります。それは、勉学はもちろんですが、それとともに、子供たちがやりたいスポーツや文化芸術活動を目いっぱい楽しめる環境を維持、発展していく環境が必要となります。
私自身の話を申し上げると、私は中学生の頃、野球部に所属していました。ふだんは野球部の活動を行っているのですが、それとは別に、夏には陸上大会、冬にはハンドボール大会に選手として参加していました。私の学校には陸上部やハンドボール部がなく、大会のときだけほかのクラブの部員が選手として集められ、出場していたのです。私としては、ほかのスポーツも経験できて、充実した部活動生活を送ることができました。そして、そのときの御指導いただいた先生を恩師として慕っており、先生のおかげで今の私があると思っております。振り返ってみると、当時は今以上に先生と生徒の絆が強かったように思います。
また、私は、紀の川市の陸上競技協会やソフトボール協会にも関わらせてもらっていますが、スポーツを楽しむ子供たちの姿は大変ほほ笑ましく、すばらしいものであります。私が関わらせていただいているクラブは週1回活動しているのですが、参加している子供たちはみんな楽しそうに活動しており、活動を通じて友達、仲間づくりも広げていってほしいと思っております。
また、部活動とは少し離れますが、先日の市町村対抗ジュニア駅伝大会において子供たちの頑張りを拝見しましたが、勝ち負けは別として、記録の更新を目指してひたむきに走る姿、仲間を周りから一生懸命応援する姿、どのような結果であれ、笑顔を絶やさず心から楽しんでスポーツをしている姿など、そのどれもが心打たれるものであり、皆さんが輝いていました。
今、私はスポーツを中心に申し上げましたが、これは文化系の活動についても同様であります。子供たちがやりたい活動を目いっぱい楽しんでいる姿はどれもすばらしく、部活動を通じた教育的意義は非常に大きいものであります。
部活動は、単に競技技術の向上だけでなく、目標への挑戦や仲間との団結など、社会で生きていくために必要な自己肯定感や社会性の向上にも大きく寄与するものであります。しかし今、子供たちの部活動をめぐる環境は、昔と比べると大きく変化していると考えられます。その大きな要因は、少子化に伴う生徒数の減少であります。
和歌山県内の学校でも、生徒数が減少している学校が増加し、一つの学校だけではチームとして成立しない部も出てきて、ふだんの練習は少ない部員で活動し、試合については合同チームで出場するというところもあると聞いています。さらに状況は悪化し、そもそも人数が多く必要なチームスポーツについて当該部が存在しないため、やむなく別の部活動に入部するといった状況が出ているということも聞いています。
中学生は、基本的には地元の学校に進学する生徒が多くを占めることとなりますが、その学校にやりたい部活動ができず諦めざるを得ないという状態は、生徒にとって非常に不幸なことであります。
そこで質問ですが、和歌山県内の中学校における部活動の現状について、過去と比べてどのような状況ですか。教育長にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 2023年度の県内公立中学校における部活動は、運動部が1168部、文化部は288部設置されています。
近年の生徒数の減少に伴い、部員数も比例して減少傾向にあり、学校や地域によっては部の存続が厳しい状況や、専門的な指導が困難な教員が顧問となることで、教員の精神的な負担が増大している現状があります。
また、部活動数の顕著な減少がないことから、部によっては人数がそろわず、他校との合同チームを編成する部が年々増加しております。
このような中、中学校体育連盟主催大会への出場については、学校単位に限定することなく複数校合同チームによる出場や、2023年度からは、生徒の参加機会の確保の観点から、地域クラブ等の出場も認められており、参加資格の拡大が進んでおります。
○議長(濱口太史君) 高田英亮君。
〔高田英亮君、登壇〕
○高田英亮君 御答弁ありがとうございました。
和歌山県においても、中学校の部活動環境は厳しい状況であるということが確認できました。それを踏まえまして、次の質問に移らせていただきます。
和歌山県における部活動の地域連携・地域移行の取組状況について。
次の質問は、和歌山県におけるクラブ活動の地域連携・地域移行についてでございます。
今、教育長が御答弁いただいた中学校の部活動、環境が厳しい状況となっていることは日本全国でも同様のことであり、スポーツ庁のホームページに掲載されている運動部活動の地域移行に関する検討会議提言によると、部活動の持続可能性が厳しさを増している要因として、先ほどから申し上げている少子化の影響に加えて、競技経験のない教師が部活動指導をすることや、休日も含めて部活動指導を求められることといった教師側の大きな業務負担も上げられています。
このような部活動の厳しい状況を打破するべく進められているのが部活動の地域連携・地域移行であります。端的に言えば、部活動を現状の学校単位で行う活動からもう少し広げて、地域単位で活動するものに変えていく取組と理解しています。既に国における実証事業もスタートしており、本県でも一部の自治体において取組を進めているとのことです。
その中で、スポーツ庁のホームページには、先行事例として取り組まれている長崎県長与町の取組が動画で紹介されています。
その内容を紹介しますと、長与町は人口約4万人で、町内には公立中学校が3校、生徒数は3校合わせて1000人程度であります。町内中学校では、少子化の急速な進展で、部員不足によりチームスポーツが成り立たない部分も出てくるなど、部活動の状況は厳しいものとなっていたため、令和5年4月から、休日の部活動を地域スポーツ活動に移行しました。
以前は、学校の教師が休日含めて週5日間、部活動の顧問を担当していたものを、地域移行導入後、休日の部活動は、地元のスポーツクラブである長与スポーツクラブにおいて活動することとなり、3校の生徒が合同でそれぞれのスポーツ活動を楽しんでおります。休日の指導は、指導者91名、そのうち現職教師で兼職兼業されている方が20名いらっしゃいます。それに大学生33名も加えた124名が地域の指導者として休日に指導を行っております。
動画では、教師、生徒、保護者、行政関係者等にインタビューを行っており、地域移行後に生まれたメリットについて紹介されています。
まず、生徒の立場からは、休日の活動で専門の指導者から教わることにより、技術が向上したり、平日の活動にも意欲的に取り組めるようになったこと、三つの学校の生徒と活動することで仲間が増えたこと、人数が増えて、できる練習が広がり、プレーする機会が確保されたことなどが上げられていました。
教師の立場からは、休日の活動に参加する必要がなくなり、超過勤務時間が減少するといった業務負担が軽減されたこと、精通していない種目の顧問となったことに伴う負担が軽減されたことといった教師の負担軽減だけでなく、例えばサッカーの指導者として、サッカーの指導をしたい教師が勤務校ではやむを得ずほかの種目の部活動顧問を担当しているが、休日に兼職兼業の指導者としてサッカー指導を行うことで、教師のやりがいも増加するといったメリットも挙げられていました。
さらに、行政面においては、休日に行う地域スポーツクラブの活動を契機に、対象の中学生だけでなく、地域住民の皆さんがスポーツに参加できるまちづくりにもつながるといった効果も生まれているとのことです。
このように、部活動の地域連携・地域移行は、部活動の厳しい現状を改善するためには、まさに三方よしと言える改革だと思われます。今後、課題も出てくるでしょうが、ぜひとも和歌山県内においても進めていってほしいとは思いますが、質問させていただきます。
和歌山県の部活動の地域連携・地域移行の取組状況はどのようになっていますか。教育長にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 県教育委員会では、2023年5月に、学校部活動の地域連携・地域移行に係る推進協議会を設置し、生徒がスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむことができる機会の確保のため、和歌山県学校部活動及び地域クラブ活動の在り方等に関する方針を2024年2月に策定し、市町村に周知しているところです。
県内における中学生のスポーツ・文化芸術活動の機会について、県全体を見れば、所属できるスポーツクラブや文化芸術団体等が存在する地域がある一方、中学生のニーズ全てに対応できている状況になく、地域クラブ活動による活動、地域の人材を活用した地域連携による学校部活動、従来どおりの学校部活動が混在している状況にあります。
今後、地域クラブ活動への移行を目標としつつ、本方針を参考に、各市町村が中心となって協議する場を設置し、まずは休日の学校部活動から地域移行することで、生徒の多様なニーズに応じた活動ができる環境整備が進むよう支援してまいります。
○議長(濱口太史君) 高田英亮君。
〔高田英亮君、登壇〕
○高田英亮君 御答弁ありがとうございます。
次の質問ですが、地域における指導者確保に係る県の取組についてお尋ねします。
部活動の地域移行を進めるに当たって重要な要素となります指導者の確保についてであります。
先ほど紹介した長与町において、部活動の地域移行が進んだ一つの要因として、地域スポーツクラブである長与スポーツクラブの存在があることを長与町の教育長は挙げられていました。このクラブが様々なスポーツの指導者を有し、受皿となってくれたことによって、生徒たちも様々なスポーツの選択が可能となり、休日における部活動に代わる活動がより充実したものになっているものと思われます。
その長与町においての現在の課題を尋ねられると、地域における指導者の確保を挙げられていました。地域における指導者は、地域スポーツクラブの人材だけではなく、教師等が兼職兼業しているパターンも多いのですが、教師等であればどうしても人事異動がつきものであり、遠方に異動してしまうと休日の指導が困難となる事例も出てきて、そのような事例が増えると指導者が不足することとなり、生徒がやりたいスポーツを楽しむことができない現在の部活動の現状に近い状況に転じてしまう可能性があります。よって、人事異動などによって左右されない休日における部活動に代わる活動に従事できる指導者数を安定的に確保することが重要となってきます。
また、指導者の数とともに、指導者の質の確保も併せて重要となります。私の選挙区内のスポーツ少年団においても、一部の指導者が試合に勝つことばかりに注視し、子供たちの成長やいろいろなスポーツに挑戦する機会を奪うような指導方針を取っているところがあるということを聞いたことがあります。現在の価値観は昔と比べて多様なものとなっており、スポーツをするにしても、勝利を目指すことを主眼に置くもの、スポーツを楽しむことを主眼に置くもの等、価値観は様々です。技術の指導に優れているだけでなく、その生徒のニーズを的確に把握し、できる限りそのニーズに応えることができる指導者を養成することが必要となります。
以上のとおり、部活動の地域連携・地域移行が進み、県内のどこの中学生であっても、自分がやりたいスポーツ等を楽しんでいくためには、地域における指導者の量的、質的な面での確保が重要であると考えます。
そこで質問ですが、部活動の地域連携・地域移行を進めていく上で、地域における指導者の量的、質的な確保のために、県としてどのような取組を行っていくのでしょうか。教育長にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 地域における指導者については、スポーツ・文化芸術団体の指導者、退職教員、教員の兼職兼業、競技・活動経験のある地域住民等からの確保が必要です。
県教育委員会としましては、各市町村が、運営団体の確保とともに、専門性や資質能力を有する指導者を確保することができるよう、スポーツ・文化芸術団体等の協力を得ながら、生徒の多様なニーズに応えられる指導者の養成や資質向上に向けた研修会の開催など、取組を進めてまいります。
○議長(濱口太史君) 高田英亮君。
〔高田英亮君、登壇〕
○高田英亮君 御答弁ありがとうございました。
部活動の地域連携・地域移行については、これからがスタートということで、いろいろな課題が出てくることと思いますが、子供たちがやりたいスポーツや文化芸術活動を目いっぱい楽しめる環境づくりのために、県が先頭に立って、他の市町村や関係団体と一緒になって取組を進めていただきたいと思います。
これで、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、高田英亮君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時34分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○議長(濱口太史君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
23番北山慎一君。
〔北山慎一君、登壇〕(拍手)
○北山慎一君 自由民主党県議団の北山でございます。
本日、3月11日は、東日本大震災が発生した日であります。発生から13年の月日が経過しました。先ほど黙禱をささげさせていただきましたが、この日を我々は決して忘れてはならない、そのような思いと、年始に発生した能登半島地震を受けて、本県における災害対策の必要性を考えて質問となります。
以下、通告に従い一般質問をさせていただきたいと思います。
まず、一つ目、水道基幹管路の耐震化の状況及び取組について質問していきたいと思います。
令和6年1月1日、石川県能登地方を中心に最大震度7の大地震が発生しました。その地震による被害は甚大で、多くの方が命を落とされ、また、多くの方が被災されました。お亡くなりになりました方々の御冥福をお祈りするとともに、被災されました皆様方には心からお見舞いを申し上げます。
その能登半島地震ですが、地震発生直後から建物の崩壊や火災、停電や断水、また液状化や道路の寸断など、被害状況は言葉を失うほど甚大なものとなり、時間の経過とともに、さらなる被害の広がりと深刻さが浮き彫りになってきました。
石川県がまとめている情報によりますと、住宅被害においては、全壊、半壊、一部破損を合わせると3月8日時点で約8万棟となっており、多くの方が被災され、避難所での避難生活を余儀なくされました。
避難所においても、震災直後の避難した当初から生活に必要なライフラインが止まっていることや慣れない共同生活などのため、避難者は大変な避難所生活を強いられます。そのような状況を考えますと、ライフラインの早期復旧は急務となります。
今回の能登半島地震において、発災時の石川県では、停電戸数が最大約4万戸、断水戸数が最大約11万戸に及ぶ被害が発生しました。日頃、当たり前のように使えていた電気や水が使えないその状況は、不便を感じ、ストレスのたまる状況となります。
報道等でも被災された方々の声を見聞きしましたが、やはり一日でも早く電気や水を使える状態にしてほしいという声が大変多く聞かれました。
また、被害が発生した地域には、避難所はもちろんのこと、医療機関や福祉施設なども含まれており、多くの被災者にとってライフラインの早期復旧が待たれる状況となります。
そのような中、ライフラインの被害状況の把握後、停電においては電力会社を中心に懸命な復旧作業が行われ、徐々に停電地域は解消。震災から約2か月が経過した現在の状況は、石川県全体では99%以上の送電率に達し、甚大な被害を受けた輪島市、珠洲市においても約9割の送電率となっています。
断水においては、水道事業者となる各自治体が核となり復旧作業を進めていますが、能登地方を中心に約1万7000戸で今もなお断水状態が続いており、一部地域では仮復旧が4月以降の見通しであると言われている状況下にあります。
今回の能登半島地震における石川県の断水の復旧状況を見ても分かるように、水に関して復旧に要する時間は、かなりの時間を要します。
他の地震の断水状況を見ても、東日本大震災においては最大断水日数が約5か月、熊本地震においては最大の断水日数が約3か月半と、大規模地震と言われる大きな地震における断水被害、水道の復旧には相当な時間がかかるということが、この数字を見ても分かります。
では、なぜ大地震が起きると断水してしまうのかという、そもそも論になってしまうわけですが、地震の大きな揺れや地面の起伏等により、水道管が耐え切れず破損してしまうことで断水に至るケースが大半であると思います。そのことを踏まえると、水道管自体の耐久性が断水に大きく影響するのではないかと考えます。もちろん、もともと水道管自体が老朽化していて大地震に耐えられる状態にないこともあろうかと思いますが、断水を防ぐには、水道管の耐久性を高め、耐震性を持たすことが非常に重要であると言えます。
水は、我々の生活にはなくてはならないものであります。それと同時に、大切な資源でもあります。
南海トラフ地震がいつ発生するか分からない本県においても、様々な被害が生じる可能性があることが想定されます。大地震発生時の断水対策として、水道管の耐震化は、被害を最小限に抑える大変有効なものになり、被害が拡大しないよう事前に対策し備えておくべきものであると考えます。
主要な水道管である配水本管などの水道基幹管路の本県における耐震化の状況及び取組について、環境生活部長にお尋ねいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
環境生活部長山本祥生君。
〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 県内の水道基幹管路の耐震化の状況については、2021年度の耐震適合率が34.4%となっており、2016年度からの5年間で10.6ポイント改善されているものの、全国平均より6.8ポイント低い状況にあります。
水道事業を取り巻く環境は、給水人口の減少など、厳しい状況にありますが、県としても、耐震化の重要性を認識しており、国庫補助制度の活用など、計画的に耐震化に取り組むよう各水道事業者に対して働きかけてまいります。
○議長(濱口太史君) 北山慎一君。
〔北山慎一君、登壇〕
○北山慎一君 令和3年度時点での水道基幹管路の耐震適合率は、34.4%と依然低い状況となっています。水道事業においては、各自治体が水道事業者となり、市町村単位で運営されています。各自治体それぞれに条件や状況が違い、足並みをそろえて水道管の耐震化を早期に実現できるよう推し進めていくことは現実的に難しいことであると思います。加えて、膨大な予算の確保も必要となり、財政面の部分においてもなかなか進んでいないのが現状であると思います。
しかし、過去に発生した大地震の被災者の声を聞くと、早期の水道復旧、断水の解消を望む声が多く聞かれるのも事実であります。
本県においても、大規模地震がいつ発生するか分かりません。財政危機警報下の大変厳しい状況を踏まえると、県での財政支援は難しいかもしれませんが、そうした中でも、県内の水道基幹管路の耐震化がより進んでいくよう、県においては、水道事業者だけでなく国に対しても引き続き補助制度の充実等を働きかけるようお願いいたします。
それでは、次の質問に移ります。
災害時に活用できる井戸の状況について質問させていただきます。
先ほど質問させていただいた水道管の耐震化では、耐震性のある水道管を埋設することで大規模な地震に備えることの必要性を御提案させていただきました。
しかし、耐震性のある水道管を備えていたとしても、地震の規模によっては破損し断水を招く状況になるやもしれません。
また、水道管の耐震化ができない地域や耐震化が間に合わない地域など、南海トラフ地震が起こるまでに県内全ての地域で水道管の耐震化を図ることは非常に難しいのが現状であると思います。
しかしながら、被災された大半の方々が不便を感じることの多くは電気や水が使えないことであり、特に水は我々の生活には欠かせないものとなっています。
水道管の耐震化で必ず断水を防げるという保証はありません。耐震化の取組は非常に重要な対策になりますが、耐震化以外にも有事が起こった際の水を確保するための対策が必要であると考えます。
そこで、お聞きしたいのが、井戸の活用についてであります。
近年、断水時に、住宅や工場、商業施設の井戸を近隣住民に開放する仕組みを導入する自治体が増えている傾向となっています。これは、1995年の阪神・淡路大震災などでも、長期間、飲料水や生活用水が確保できなかったことを背景に、災害用、災害応急用、または防災用などとそれぞれに名称は違いますが、災害に備え、井戸を事前登録する制度の導入が全国的に進んできていることによると考えられます。
水道管の破損等で断水が起こった状況を考えたとき、水を確保するという観点から考えますと、井戸水の活用は対策に大きく寄与するものになると考えます。
そこで、お尋ねいたします。
本県において、災害時に活用できる井戸の状況はどのようになっているのか、環境生活部長、お答えください。
○議長(濱口太史君) 環境生活部長。
〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 災害時に活用できる井戸の状況については、本年2月末現在、13市町が災害時に協力いただける井戸の登録制度を設けており、登録されている井戸は約500か所となっております。
地震発生時において井戸水は、水質が変化することがあり、そのままでは飲用には適さないとされていますが、洗濯やトイレ等の生活用水として活用できるので、井戸の確保は有効と考えております。
こうしたことから、県では、定期的に井戸水の水質検査を行い、検査結果が良好な井戸については、災害時に生活用水として活用できる候補として、当該市町村に情報提供しており、今後もこうした取組を続けてまいります。
○議長(濱口太史君) 北山慎一君。
〔北山慎一君、登壇〕
○北山慎一君 答弁いただきました。
災害時に活用できる井戸が県内に約500か所登録されていると聞き、予想以上な数に驚いたと同時に、有事に備え、多くの県民の皆様に御協力をいただいていることに感謝を申し上げる次第です。
しかしながら、大規模な地震が起こると井戸にも被害が生じる可能性もあり、被害が大きい地域によっては、水を十分に確保できない状況も想定されます。
また、登録されている既存の井戸は個人が所有しているものも多く、断水地域から登録されている最寄りの井戸までの距離や、井戸まで移動が可能な状態なのかどうかも心配され、加えて、被災した方々が避難所へ避難しているという状況を考えれば、避難所から離れた場所にある井戸に行き、避難生活を余儀なくされている方々の人数分に相当する量の水をくみ、運ぶ大変な作業が生じてくることも想定されます。
そのような状況を考えますと、新たな井戸の整備、特に避難所への整備が必要となってくるのではないでしょうか。
災害時、避難所においては、トイレや洗濯等に利用する生活用水が不足します。断水が解消されるまでの不足を補う緊急用の水源として井戸水を活用することは大変有効なものになると考えますが、新たな井戸の整備についての県の考えと支援について、危機管理監にお尋ねいたします。
○議長(濱口太史君) 危機管理監福田充宏君。
〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 災害時の避難所においては、トイレや洗濯等に必要な生活用水の早期確保が重要であり、議員御指摘のとおり、断水が解消されるまでの不足を補う緊急用の水源として、井戸等の整備に努めることが有効と考えております。
県では、避難所において井戸の整備を進める市町村に対して、わかやま防災力パワーアップ補助金により財政支援を行い、その充実に取り組んでいるところです。
今後も、井戸等の整備により、避難生活に欠かせない生活用水の確保を図るため、市町村を積極的に支援してまいります。
○議長(濱口太史君) 北山慎一君。
〔北山慎一君、登壇〕
○北山慎一君 さきにも述べましたが、水は、我々の生活にはなくてはならないもの、欠かせないものであります。平時においても、水は大変貴重な資源です。事災害においては、より貴重なものとなります。
飲料水においては、備蓄物資を確保していることや各方面から届く支援物資等にて一定程度の量は確保できることと思います。しかし、トイレや洗濯等に利用する生活用水については不足することが明らかで、その不足に対する備えが必要となります。
不足を補う対策として、井戸の整備、特に避難所における井戸の整備は大変有効なものになると思います。
ただ、平時における井戸の管理や落下防止などの安全面への対策等も伴うこともあり、避難所における井戸の整備はなかなか進んでいない状況にあるかもしれません。
しかしながら、やはり災害時における水の確保という観点から考えますと、有効な対策には間違いありません。井戸の整備を少しでも進めていく上で財政支援は必要なことだと思いますが、各市町村に対し、災害時における井戸の有効性をよりしっかりと周知していただくようお願いいたします。
それでは、次の質問に移ります。
震災時における児童生徒の学びについて質問していきたいと思います。
ここ数年、10数年の間に起こるとも言われている南海トラフ地震。これまで日本各地で発生した大規模地震を教訓に、本県においてもいつ起きるか分からない地震に対する様々な備え、有事が起こった際の対策や準備を整えていくことは非常に重要であります。
有事が起こってから考えていては対応に遅れが生じるため、一定程度の被害状況が起きることを想定した上で、事前にマニュアル等を作成するなど、対策や対応を考えていかなければなりません。
教育に関しても例外ではなく、震災時においても、児童生徒の安全はもちろんのこと、被災した児童生徒の学びや教育の保障・充実についても考えていかなければなりません。
能登半島地震では、親元を離れ、慣れない環境の中、2次避難や集団避難をしているというニュースも目にします。また、学校自体が避難所となり、今でも十分でない環境で学習に励んでいる現状があります。
こういった現状を考えると、被害状況や地域により、事前に作成したマニュアルがそのまま当てはまるかどうかという不安定な要素もありますが、それぞれに対応するに当たり参考になることもありますので、事前の対策や対応を考えておくことは大切であると考えます。
震災時においては、命を守る行動、安全の確保が最も優先すべきことであります。後、被害を受けたものを復旧する、復興すること、これも大変重要なことであります。そして、児童生徒の学びをしっかりと確保する、このことも私は非常に重要であると考えています。
そこで、お尋ねいたします。
震災時においても、児童生徒の学びが遅れないよう対応していく必要があると考えますが、震災時における学習支援について、教育長、お答えください。
○議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 能登半島地震における被災地域の児童生徒等の学習の継続について、文部科学省は通知文において、「学習の環境を整えることができる場合には、できる限り学習の継続に取り組む必要がある」と示しています。
学習の継続には、一人一人の置かれている状況を的確に把握することが重要であり、県は、和歌山県災害対策本部緊急対応マニュアルに基づいて状況把握に努めることになります。
状況によっては、校舎の被災により再開のめどが立たない場合や、学校が避難所になっていたり、児童生徒のみならず、教職員も被災しているといったような様々なことが想定されます。
県教育委員会においては、市町村教育委員会や関係機関等と連携し、被害状況を的確に把握するとともに、全県的な視野で教育環境の整備や、場合によっては他府県への応援を要請することになります。
被災した児童生徒や教職員の負担に十分配慮しつつ、時間割の柔軟な編成等、時間を確保して授業や補充学習を実施することも必要です。また、被災状況において可能な場合には、1人1台端末を活用したオンライン学習等、児童生徒の学びを止めない、きめ細やかな対応が大切になると考えます。
○議長(濱口太史君) 北山慎一君。
〔北山慎一君、登壇〕
○北山慎一君 有事が起きた際の被害状況によりそれぞれに対応は異なると思いますが、教育の部分においては、県教育委員会が中心となり、被災した児童生徒の学びを確保できるよう、あらゆる状況を想定し、様々な状況にも対応できるよう準備をしていただきたいと思います。教育長、よろしくお願いします。
それでは、次の質問に移ります。
震災時の治安維持について質問してまいりたいと思います。
大規模な地震が発生した直後は、報道等で見聞きするものとして、地震による被害状況のものがほとんどでありますが、地震の発生から一定期間を過ぎると、震災に便乗した犯罪が多発しているなど、被災地域の治安状況の悪化に関する報道も見聞きすることが増えてきます。
その中でも、空き巣による窃盗の犯罪被害が多く、特に避難所生活を余儀なくされている住民の家を狙った窃盗が多発しているという報道をよく目にします。
治安の悪化は、窃盗だけでなく、不審者情報も多く寄せられるなど、停電している地域では、夜になると街灯などもつかず、真っ暗な状況になるため、震災時は犯罪が起きやすい環境となってしまいます。そのようなことから、震災時には、より犯罪を抑止する対策が求められます。
本県においても、いつ大規模な地震が起こるか分かりません。有事が起きた際の県民の安心・安全や生命・財産を守る対策が必要となりますが、本県での震災時における治安維持について、警察本部長にお尋ねいたします。
○議長(濱口太史君) 警察本部長山﨑洋平君。
〔山﨑洋平君、登壇〕
○警察本部長(山﨑洋平君) 大規模災害発生時における警察の活動については、和歌山県警察大規模地震災害警備計画において規定されており、その中で、被災者の救出救助等はもちろんのこと、被災地における犯罪の予防・検挙も行うこととされています。
特に、災害の混乱に乗じて発生が予想される窃盗、詐欺、その他の犯罪の予防鎮圧に努めることは、被災地の治安を維持する上で重要であり、また、被災地域及び避難所等で重点的に警ら活動を行うなどの治安対策を図ることにより、被災された県民の安全と安心の確保に万全を期することとしています。
○議長(濱口太史君) 北山慎一君。
〔北山慎一君、登壇〕
○北山慎一君 今議会の一般質問では、能登半島地震を受けて、本県における災害対策や防災対策についての質問が多く取り上げられているように思います。それは、南海トラフ地震により被害の生じる可能性がある本県の対策状況がどのようになっているのかを懸念してのことであると思います。加えて、大規模地震などの災害に対する県民の関心や意識の高まりを感じてのことや、不安な声を多く聞かれてのことでもあると思います。
今回、私が質問した水、学び、治安に関する質問もまさにそこにあり、しっかりと対策がなされているのか私自身が懸念していることと、県民の不安の声を聞き、質問として取上げさせていただきました。
県民の皆様それぞれが大規模地震に対する備えを進めているように、和歌山県においても、災害に対する備えをより加速化させ、進めていただく必要があります。県におかれましては、引き続き、災害対策の充実に取り組んでいただき、必要な備えを着実に進めていただくようよろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に移ります。
スポーツ行政の知事部局移管について質問してまいりたいと思います。
2月14日、本県のスポーツ行政の中核を担っていた県教育委員会スポーツ課が、健康増進や観光などとの相乗効果によるスポーツ振興を目指すとし、知事部局へ移管することが発表されました。
元気で明るく豊かで活力ある和歌山の実現に向けてスポーツの振興は不可欠であるということから、本県のスポーツ行政は、これまで県教育委員会を中心に進められ、様々なスポーツ振興施策が展開されてきました。
2007年12月に策定された和歌山県スポーツ振興基本計画はその施策の一つで、後に開催された2015年の紀の国わかやま国体では男女総合優勝、紀の国わかやま大会では過去最高となる127個のメダルを獲得するなど、すばらしい競技成績を収める結果となりました。
また、2018年4月には、おおむね10年間のスポーツ推進計画として和歌山県スポーツ推進計画を策定し、全ての県民がそれぞれのライフステージにおいてスポーツと触れ合い、生涯にわたり生活の質の向上が図れる社会の実現を目指した取組が進められてきました。
和歌山県スポーツ推進計画策定については、スポーツ基本法の規定に基づく和歌山県長期総合計画及び和歌山県教育振興基本計画並びに従前の和歌山県スポーツ振興基本計画を踏まえたスポーツ推進に関する施策の基本的方向と具体的方策を明らかにした計画となっています。
この計画の策定趣旨は、スポーツは現代社会において人々が心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠なものであり、スポーツに対する期待がこれまで以上に大きくなっていることから、本県のスポーツをさらに推進するに当たり、スポーツを通じて目指す社会とそれを実現するための基本方針や具体的な方策を示すためのものとなります。
その計画を基に、今日まで長年にわたり、各種スポーツに係る大会や競技会、また講演の開催やイベントの主催など、本県のスポーツ振興に注力し所管してきたのが県教育委員会となります。
スポーツに関する多くのことを所管してきた県教育委員会のこれまで培ってきたノウハウや築き上げてきたものが、知事部局に移管されることで途切れてしまうのではないかと懸念します。
また、スポーツは幅広い世代の方々がされており、その目的は人それぞれに異なります。健康維持や増進のために行う方や、その競技の道を極めるべく競技力向上を目指すために行うアスリートの方など、目的は様々ですが、スポーツにおいては児童生徒が関係することも多くあります。知事部局にスポーツ課を移管することで、児童生徒が関係するスポーツに支障を来すことや弊害が生じたりしないのかも懸念するところです。
確かに、各都道府県のスポーツ行政の所管先を見てみると、大半が知事部局の所管となってきており、文化や観光、地域振興に結びつけていく流れとなっています。
知事部局への移管は世の流れと言ってしまえばそれまでですが、他の都道府県が先んじてやっているからまねて移管するのではなく、知事が考えた和歌山のこれからのスポーツを思っての知事部局への移管の決断であったと思います。
スポーツ行政を知事部局に移管する知事の意図、知事が思い描く今後のスポーツ振興についてお聞かせください。
○議長(濱口太史君) 知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
今、北山議員からるる課題を御提示いただきました。それの課題については、私どもも全く同じような問題意識を持っておりまして、この間、県庁内でけんけんがくがくと、今おっしゃっていただいた点について議論をした上で今回の御提案をさせていただいているということをまず申し上げたいと存じます。
その上で、教育委員会では、生涯スポーツの推進やワールドマスターズゲームズなど、既に学校教育の枠を超えて取り組んでいるものもございました。今後は、より一層、教育の枠にとらわれずに県庁全体の組織が連携していかなければならない時期に来ている、これが総論でございます。
その上で、今一番、北山議員もお力を入れられましたけれども、学校体育、それから運動部活動に関しましては、従来どおり教育委員会が所管しておりますので、そこはしっかりと児童生徒のスポーツの振興には取り組んでもらうことにしております。そして、今後は、これまでのノウハウを十分、知事部局で引き継ぎながら、教育委員会との連携を密にさせていただいて、競技力向上や生涯スポーツの推進に取り組んでまいります。
そして、今回、もう一つ、私ども考えましたのは、障害者のスポーツの点でございます。これまでは障害福祉課で所管しておりました。その障害スポーツについても、今度のスポーツ課に移管をいたしまして、健常な方のスポーツも障害者の方のスポーツも一体的に振興を進めていくというふうに考えてまいりたいと思います。
それから、本年1月、JOC・日本オリンピック協会とも協定を結ばせていただきましたので、新しく移管したスポーツ課でしっかりと連携を取っていきたいと考えております。
さらに、スポーツを通じた健康増進、観光・文化芸術分野との連携によりまして、スポーツ振興が地域の振興にもつながるような施策、これもしっかりと展開してまいりたいと思いますので、御指導よろしくお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 北山慎一君。
〔北山慎一君、登壇〕
○北山慎一君 御答弁いただきました。
スポーツ行政における所管先が知事部局であろうが県教育委員会であろうが、率直に言うと、県民にとってはどちらでもいいことであると思います。県民目線で見ると、どちらで所管しようが和歌山県が行うことに変わりはなく、知事部局も県教育委員会も含めて和歌山県というくくりの見方をしますので、所管先については特に気にならないという方が大半なのではないかと思います。
それよりも県民の方が目を向けるのは、今後展開されていくスポーツ行政の中身にあると思います。組織改革を行うということは、現状よりも和歌山県にとってさらなる効果をもたらすと判断されたことの表れであり、現状維持のままであれば所管先を変える意味はないと私は思っています。
今回の組織改革により、スポーツを今までとは違う側面から見る機会が増えてくると思います。新たな目線で見ると、今まで見えていなかったものが見えてくることや感じることもたくさん出てくるでしょう。逆に、それがないと、今回の組織改革はそれこそ意味のないものになってしまいます。これまで県教育委員会が培ってきたノウハウを生かしながら、スポーツが持つ魅力や影響力を最大限に打ち出していける組織づくり、体制づくりをしっかりと進めていただきたいと思います。
今後展開される本県のスポーツ行政が県民にとってよりプラスに働くとともに、和歌山県の発展や活力に大きく寄与していくことを期待し、私の一般質問を終えたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、北山慎一君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
15番吉井和視君。
〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 今議会、最後の質問をさせていただきます。
今日は、質問させていただくのは、憲法改正について。憲法改正というのは割かし、地方議会、地方自治にあまり関係ないということを思われてきましたが、しかし、緊張するアジア情勢、安全保障の関係ですね、それから能登半島における地震、大災害、そういったことを考えれば、地方自治体と憲法、こういう結びつきが非常に大事になってきたと思うんで、今日は質問をさせていただきたいと思います。
現行日本国憲法は、安倍内閣のときに、安倍さんは、戦後レジームの脱却、美しい国をつくりましょうという、そういうことで始まって、憲法と向き合う機会が多くなったと思います。
今の岸田さんも、「私の任期中にぜひ憲法改正をやりたい」と、そういうふうに言っております。
それで、私どもも自民党において憲法記念日に街頭に立って憲法改正を訴えているわけなんですけども、県議会議員、特に地方議員は憲法とどういう関係があるのかということをいろいろ聞かれるわけなんですけども、県議会議員の仕事は、和歌山県という自治体の県民サービスをどのようにしようかと、そういうことを知事と共に考えるのは地方議会の県議会議員の務めであろうと思うんですけども、それと同時に、国で起こっておる国民運動といいますか正義の運動、そういったものについても、やっぱり県民のリーダーとして、これを国の、国家の大事なことに従事しないといけないという、そういう側面もあるわけなんです。
そういうことで、今日は憲法改正について聞くわけなんですけども、そもそも今の日本国憲法は、これは、日本が戦争に負けたときに占領軍が来て──占領軍というのは米軍ですね、マッカーサー率いるその米軍が来て、俗な言い方ですけども、日本を二度と立ち上がれないようにするという、弱体化するということで、現行日本国憲法がたった1週間という短期間で作成されたということを、この歴史的な事実があるわけなんです。
それで、その憲法を作成されて80年近くたっておりますけれども、いまだに一度も改正がされたことはないわけなんです。
そもそも、サンフランシスコ講和条約のときに日本が主権を回復して独立したときに、この憲法を破棄して新しい憲法をつくっておかないといけないと、そういうことであったんですけども、なかなかつくれなかったと。
そういう中で、安倍内閣が4項目を提案して──4項目というのは常識的なことですね、一つは、一丁目一番地は、自衛隊の憲法明記ですね。自衛隊の戦力は、誰が見たって日本の軍隊ですよ。誰が見たって戦力に違いない。そういうことであるわけなんです。
その4項目の二つ目は、緊急事態条項。これは、なぜ日本の憲法に緊急事態条項がないかというたら、これはもう答えは簡単なんですね。一度も改正がされたことがないから緊急事態条項が欠けているんです。どこの国でも緊急事態条項というのはあるわけなんです。
1989年、これは平成の元年だろうと思うんですけども、104か国に新しい憲法が制定されたと、憲法改正も含めてですね。その憲法には、必ず何らかの形で緊急事態条項というのはあるわけなんです。
それで、最後に知事にお尋ねしたいんですけど、大災害と地方自治体の関係ということで、そのこともお尋ねしたいわけなんです。
それで、一つの自衛隊の明記についてというのは、これはやっぱりやっておくべき事柄だろうと思います。戦力がありながら、自衛隊が認知されておらない。
自衛隊というのは、人に聞きますと、災害に来てくれる人らという、こう自衛隊を言うわけなんですね。方々の県で大災害があれば、自衛隊の出動をするわけなんです。県知事がするわけなんですね。これは、自衛隊の本来の仕事ではないわけなんです。本来の主たる仕事は、やっぱり他国からの防衛、侵略に対する防衛が自衛隊の仕事なんです。従たる仕事ということで、災害要請に応えて災害出動をしているわけなんです。そういうのが自衛隊の姿であるから、やっぱり自衛隊を憲法に明記をしないといけないと、そういうことなんだろうと思います。
それで、自衛隊の、私が衝撃を受けた事件は、昭和45年11月25日、三島由紀夫が楯の会を率いて、市ヶ谷の東部方面総監室で、森田さんと自決をされたと。そして、この衝撃の一つは、この連れていった4名の学生の中に、有田市出身の小賀正義さんが加わっていたと。
そして、私も、この裁判の判決を聞きに行ったわけですね、東京へ。たしかバスで行ったという記憶があります。早朝、東京地裁に到着して、抽せんがあったわけなんです。それで、抽せんに当たって、私が裁判所に入って、法廷に入って、主文を聞きました、懲役4年と。そういう主文の中で、私は、今、皆さんに紹介したいのは、その裁判長の判決の要旨であります。
これは、こういうふうに言っているんです。自衛隊の保有は、天地自然の固有の権能であると。権力と能力。その戦力の保有については、疑念を持たれているのは否定できない事実であると。元来、国家の基本構造に関する憲法の規定は、解釈に疑いがないようにすることが理想であると。政治をあずかる国政に当たる者は、ただいたずらに国論を二分することに任せ、なし崩し的に曖昧な法を運用してはならないと。被告人らが、自衛隊を国民道徳退廃の元凶と極言する心情はむげにできないように思われると。こういう判決要旨があるわけなんです。
今の状況と、50何年たった、同じじゃないですか。自衛隊がいまだに認知されておらない。そういうことなんです。
だから、憲法改正については、自衛隊の戦力を、自国の防衛のために必要な軍隊であるかどうかというのを認知することに、まず我々は議論しないといけない。
知事も、国会議員時代、いいこと言っていますよ、憲法審査会に出席して。「各党が議論を出し合って、そして、小異を捨てて憲法の改正案をまとめて、国民に聞け」と、こういうことを知事が憲法審査会で言っているわけなんです。だから、我々も、地方議会も、知事と一緒になって、知事も特別公務員だというけれども、それは憲法遵守の義務がありますけれども、憲法、これでいいのかということを我々と県民と語り合う機会もやっぱりいいなと思うわけであります。
そういうことで、この自衛隊のことについてはこれぐらいにしておいて、一番憲法の今日的課題であるのが能登の大災害。そしてまた、今月の3月2日にニューレジリエンスフォーラムというのが和歌山の紀の国会館でありました。それで、関西大学の河田惠昭先生、この人がおられて、本当にこの人が熱っぽく語っておりました。多少問題発言かなと思うわけなんですけども、「能登でよかった」と。「これ、南海トラフが、大震災が来てたら、この1000倍ぐらいの大災害になっておる」と。「被害額も1000兆円を超す」と、そういうふうに言っておりました。1000兆円ですよ。「だから、日本の国家ももたない。そういうような状態になるかも分からない」ということを言っておりました。
それで、私は、今日は知事に、緊急事態条項について憲法に創設することについてお聞きしたいと思います。
それは、緊急事態条項を憲法に明記されていないのは、恐らく──共産国家は知りませんけど。共産国家は何をやろうとできるわけですから──民主主義国家で、先進国で日本だけだろうと思います。
そういう中で、憲法と緊急事態条項、地方自治体の関係について、今から聞きたいと思います。
緊急事態条項というのは、やっぱり賛成の意見と反対の意見もあるわけなんです。
賛成の意見は、やっぱり緊急事態条項というのは設けていなかったら、地方の自治体の首長が困ると。自信を持って、いわゆる緊急発令ができない。東北の震災のときにも、そういう事件があったわけなんですね。医療従事者にその従事命令をできなかったと。職業選択の自由もあるから、そんなことはできないということであったわけなんです。そして、財産権の問題も、助けられる命も財産権の問題で助けられなかったこともあるわけなんです。そういうことを知事が自信を持って緊急な発令をできるような裏づけが憲法にあったら、できるわけなんです。
そういうことで、賛成の意見は、一つは、知事の、いわゆる首長の発動しやすいようなそういう規定を設けるべきだと。
もう一方では、やっぱり権力の暴走というのもあるわけなんですね。緊急事態条項の中で緊急政令というものが認められれば、内閣が暴走する可能性があるわけなんです。そういう制限も設けておかないといけないということで、緊急政令についても議論があるわけなんです。
それで、反対の意見は、憲法を改正したくない、平和憲法だから指一本触れてはならないと、そういう党もあるわけなんです。これはいかがなものであるかと思うんですけれども、こういう意見も確かにあるわけなんです。
それで、緊急事態条項の創設というのは、緊急政令と、そして、もう一つは、いわゆる国会議員の任期延長ですね。やっぱり災害が起こった東北でも地方自治体の選挙ができなかったわけですね。それで、地方自治体の選挙ができなかったこともありますけども、国政の選挙ができなかったらどうなるのかということで、憲法で明記しておかないといけないということで、議員の任期延長の問題です。こういうこともあるわけなんです。
それで、一つ、緊急事態条項のことでヴェニス委員会の報告というのがあるわけなんです。これは、憲法審査会の議事録を読んで、国民民主党の玉木代表が言っているわけなんですけども、ヴェニス委員会というのは欧州評議会の中で憲法について議論をする国際機関があると。その国際機関の意見は、緊急事態条項というのは備えていなければならないと。いわゆる制限もつくっておかないといけないと。そういうことであるわけなんです。
それで、緊急事態条項と自治体の関係について知事にお尋ねするわけなんですけども、平時の憲法の秩序、これに例外規定を明記するべきだと思うわけなんですけども、知事の見解をお尋ねいたします。
知事も、憲法審査会で何度か質問をされておりますね。なかなか知事も保守的であるなと思ったのは、憲法審査会で天皇制の問題について質疑をされておりました。そして、元首の問題とか、本当に自民党のかなり右の意見を持っているんだと、そう感じたわけなんですけども。
しかし、知事も、憲法全体のことについて、我々にいわゆる持論を発言するのもいい機会だと思っておりますので、ひとつよろしくお願いを申し上げて1問を終わらせていただきます。
○議長(濱口太史君) ただいまの答弁に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
ただいま、私が和歌山県で最も尊敬する政治家の1人である吉井議員から御質問をいただきました。
知事として、憲法というのは国政の問題でありますので所管外でありますけれども、実は、通告をいただきましてから、吉井議員の御質問でありますので、学生に戻って、ずっと(憲法の本を示す)勉強させていただきましたので、今日は憲法の学生の口頭試問に答えるつもりで、丁寧にお答えをさせていただければと思います。
まず最初に、災害時の緊急事態条項についてのお尋ねがございました。
おっしゃるとおりでして、私もOECDの加盟の34か国について調べましたところ、いわゆる成文の憲法がないイギリス、ニュージーランド、イスラエルを除きますと、ほとんどの国で緊急事態の条項がございますし、また、ヨーロッパのヴェニス委員会の提言等も、これはまさにナチスドイツの教訓を非常に重要視されているということだろうと思います。これは、今、吉井議員がおっしゃったとおりでして、緊急事態の条項に制限をかける内容であったり期限であったりということが重要であるということが基になっているんだろうと思います。
御存じのとおり、ナチスドイツでは、ワイマール憲法第48条の下、大統領緊急令というのがありました。ただこれは、非常時の定義もありませんし、非常に広範な授権を与えるものでありましたので、実は、この大統領緊急令を多発しましたナチスドイツが授権法というのをつくりまして、民主主義のプロセスを経て独裁国家をつくっていったという、人類にとって最も大きな禍根になるような歴史があったものですから、こういうことになっているんだろうと思います。
一方で、緊急事態条項がない国もございまして、典型的なのはアメリカでございます。アメリカには緊急事態条項はありません。1976年に国家緊急事態法ができています。カナダにもございませんで、こちらは1988年、緊急事態法ができております。フィンランドも同様であります。
また、戦争とか内乱とか災害について緊急事態条項が定められているのが一般でありますけれども、災害のみについての緊急事態条項はありませんので、仮に知事として災害のみについてお答えするということで限定をさせていただければと思います。
それで、基本的には、能登半島地震で分かりましたように、復旧・復興、特に最初の一月ぐらいは避難所の設営・運営というのが地方公共団体の主な任務になろうかと思います。それから、ライフラインの復旧を同時に行うということではないか。したがいまして、これは、あくまでも市町村が避難所の主体でありますので、市町村が行うということを県がどれだけ応援するかということだろうと理解しております。
例えば、簡易ベッドも、市町村がお持ちいただいたのを県が補助金で応援する。先ほど御質問が出ていました井戸を掘ると。これも、市町村が井戸を掘られるのを県が応援する。
例えば、今回、能登半島地震で問題となりましたトイレでありますけれども、今、トイレトレーラーについて議論をお願いしていますけれども、当然トイレも、これは市町村が整備する問題であります。したがいまして、私どもは、トイレトレーラーは市町村に整備をしていただくというふうに考えております。
現在、能登半島では相当の数のトイレトレーラーが運ばれておりますが、これは、市町村、一部県がありますけれども、約2000万円超のトイレトレーラーの費用が全額起債で可能であります。全額起債です。そして、償還費の7割が交付税措置でありますので、大変、国としても推奨しているわけであります。
例えば、和歌山県に30市町村ありますので、30市町村が1台トイレトレーラーを整備していただければ30、大きな市町が2個、3個とやっていただければ50基、100基というように、県内でトイレトレーラーが整備される。もちろん南海トラフのときには幾らあっても足りないわけかもしれませんが、少なくとも局所的な防災という台風の災害のときは、県内に50とか60のトレーラーがあれば恐らく間に合うのではないかということで、今回、県として、市町村の皆さんに導入をお願いするための実証実験の装置として1台チャレンジしてはどうかということを今、御提案をさせていただいているところであります。
もう一つ、実は、今回能登に集まっていますけれども、NPOではありません、一般社団法人ですけども、助けあいジャパンというネットワークがありまして、そこが音頭を取って、各市町村から災害が起きたところに集めるというようなことをしております。
今回、能登町では、群馬県のトイレトレーラーが来ていましたけども、今度、群馬県が被災すれば、みんなでそのネットワークに入っていれば市町村が応援に行くと、そういうことでありますので、これも検討したらどうかと思っておりますので、そのためには、ネットワークに入るためには、県としても1台トレーラーを購入する必要があると。これも、提案の理由の一つとなっているわけであります。
いずれにしましても、次の復旧・復興です。復興計画も、これも市町村が主体となるわけで、現在、和歌山県の市町村におきましても、かなりの数の市町村が既に南海トラフが起きた後の復興計画を事前につくっていただいております。これも今、一生懸命お願いをしております。
そういう意味で、何を申し上げたいかというと、県知事として、いわゆる強権的なものを発動する場面というのはあまり多くないのではないかというふうに考えているということが一つ。
それから、当然、強権的な運営が必要な場面も出てくると思います。そのときに、憲法上の規定が要るのか、法律ではできないのかというのが次の論点だろうと思っております。そういう意味で、アメリカとかカナダは、憲法ではなくて、法律でそのような制限をしているということであります。
これは、ちょっと私も勉強をし直したわけでありますけれども、憲法の中の人権というものは二つの基準があるというふうに言われています。いわゆる思想信条の自由や宗教の自由のような非常に大事な人権と、あるいは職業選択の自由とか財産権とか経済的な権利、これは思想信条の自由や宗教の自由とはまた別の緩い基準で判断してもいいという、いわゆる二重の基準論というのが憲法学説上の通説でありまして、これについての異論は現在ないというふうに理解しております。
そういたしますと、仮に災害復旧の際に知事が強権を発動する場面というのは、恐らく職業選択の自由とか財産権、経済的な自由権の問題だろうと思いますので、これは恐らく法律で十二分に手当てができるものではないかというふうに思っておりまして、必ずしも憲法上の根拠まで必要ではないのではないかと考えております。
二つ目の御質問でございます。憲法改正の一般論について御質問がありました。
日本国憲法には、改正規定がございます。改正規定があるということは、時代の変化に応じて憲法改正を行うことが前提とされていると、そのように理解すべきであります。
ただし、一方で、改正できないものがあるということも憲法学の通説でありまして、日本国憲法上は3点改正できないものがあるとされています。
一つ、憲法前文及び第1条の国民主権であります。主権が国民に存することに反する一切の憲法は認めない、排除するという前文に基づいて、これは変えられない。
2番目が、憲法11条、13条、97条に書かれております。13条は明確な単語は使っていませんが、基本的人権、97条で基本的人権を永久の権利と書いていますので、これも変えられない。
それから、3番目が、憲法第9条第1項の平和主義であります。第2項ではありません。第1項の平和主義につきまして、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、永久にこれを放棄する。永久にということで、これはもちろん第2次世界大戦の不戦条約の条文とそのままでありますので、世界のほとんどの国が今の憲法の中にこの条文が入っておりますので、この平和主義、この3点については、これは変えられないというのが通説であります。
これ以外は必要があれば改正するということが、逆に言いますと、憲法が予定している状況であると私も理解をしております。
その上で、今、吉井議員も御指摘いただきましたが、憲法審査会、私も入っておりました。なかなか全ての政党が合意して、しっかりと、私は前に議論を進めるべきだと、これはずっと主張しておりましたけども、なかなかそうなっていないのが残念でありますけども、少なくとも与野党で、議論が可能なものから議論してはどうかということを私は国会議員時代から申し上げてきたのであります。
それが、一つは、今、吉井議員が御指摘された45条、災害時の国会議員の任期延長であります。これは、一部の政党を除いてほぼ同意できる問題でありますから、まず、特に災害の関係ですので、これはやっていただいたほうがいいのではないか。
それから、53条、臨時国会の召集の問題であります。議員の総議員の4分の1以上が要求しますと臨時国会が召集できるという憲法の条文があるんですが、期限がついておりません。なので、これまでは野党が召集をお願いしても、与党が受けないという状況がありました。これを憲法に例えば30日以内と書き込めば、そうなるという議論があります。これも、しかし一方で、法律に書けばいいんではないかと。国会法に書けばいいんではないかという議論もありますし、国会法に書けば当然守られるというわけであります。ですから、これも与野党で議論していただければいいと思いますし、ただ、いろいろ論争がございます。
例えば、まだ私は優しいと思うんですけど、第7条3号の解散権。衆議院の解散権については、これを制約するような憲法改正があるのかないのか。イギリスは成文憲法ではありませんけれども、イギリスは解散は自由にできたのを一度制限をしているような法律改正をしています。
いずれにしましても、先ほど言いました三つのもの以外は、憲法は改正を前提とした立てつけでありますから、憲法審査会におきまして、国民の意見も聞きながら、まずはしっかりと議論をしていただくことを私としては期待をし、希望しているということを申し上げたいと存じます。
今後とも御指導よろしくお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 吉井和視君。
〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 さすが岸本知事、いい勉強をさせていただきました。
憲法の問題に一つ付け加えて申し上げたいのは、憲法改正について、平和憲法ということで、一度も改正されてないということが問題であるんで、我々議員も一生懸命この問題について運動させていただきたいなと思います。
2点目、今、鳥獣対策の射撃場の問題について、今日は質問をさせていただきたいと思います。
昨年の議会で、尾﨑太郎君の6月県議会の質問で、知事はこのように答弁しております。「現状、3条件が必ずしも満たされていないと判断し、予算上、見送っております。今後とも、限られた予算の中ですけれども、賢いやりくりをする中で、事業の効果、それからコストなどに加えて、他の射撃場施設との関係も踏まえながら、総合的に検討してまいりたい」と、そういうふうに答弁しております。中止と言っていないから安心しているわけなんですけども、この問題についてお尋ねいたします。
この射撃場の問題は、農業被害が多いから、鳥獣被害が多いから、鳥獣の個体数を減らす目的で計画がなされたものであります。鳥獣の個体数を減らすためには、狩猟者の育成がどうしても大事であります、必要であります。狩猟の免許を取得するためにも、射撃練習が必要であるわけなんです。そのため、射撃場が建設され、現在も建設の準備がされておると聞いておりました。
10年ほど前に、湯浅町に一度補正予算で県費の予算がついたことがあります。7億数千万円の予算がついたわけなんですけども、これは湯浅町の都合で廃止、事業は中止されました。残念なことで、そうであったわけなんです。
その後も、鳥獣対策の射撃場の必要性が県議会で何度も議論を積み重ねてまいりました。私も、この議場で2回質問をさせてもらいました。それで、やっと結論として、前の知事が、県が主体となって設置する市町村を見つけ出して、県営の事業としてこの事業を運営すると。その運営主体については、実施する前のことでありますので、射撃場が出来上がる頃に運営の主体をどこにするかということを決めればいいことなんで、これは今の問題にならないなと思います。
そして、3条件の中で、もう一つの条件は、地元の協力ですね。地元の協力というのは、これ当たり前のことで、手を挙げたところは協力するのは当たり前で、そもそも広域的な事業であるから、全市町村が協力しないといけない問題であろうかと思います。
ここで問題となるのは、やっぱり私の同級生も有田の猟友会の支部長をやっているわけなんですけど、この人も言っていましたけど、「知事が反対するのは当たり前だ」と。「そんな40億もかかるような事業は途方もない事業費である」ということを言っておりました。その一方で、「やっぱりこれは必要なものであるから必ず造ってもらいたい」と。「であるならば、やっぱりこの事業はかからないように一工夫、知事も考えてもらいたい」と、そういうことを言っておりました。
それで、今日の質問であるわけなんですけども、鳥獣対策が必要なわけで、確認したいことは、農業被害が今どの程度になっているかと。そしてまた、射撃場、いわゆる猟友会の狩猟者の協力なしに鳥獣害対策の目標はこれから達成できるかどうかということを部長にお聞きしたいと思います。
○議長(濱口太史君) この際、吉井議員に申し上げます。
分割で、通告をいただいておりますので、次の質問も続けてよろしくお願いいたします。
○吉井和視君 分かりました。すみません。
最終に知事にお尋ねしたいと思うんです。
知事は、昨年の知事答弁で、射撃場を賢いやりくりで──賢いやりくりというのはどういうやり方か分かりませんけども、へそくりでするのかどうか分かりませんけども、今後の方針をどのようにするのか。私は、やっぱり知事が、これ、腹をくくってやろうと思えばできると思うんです。というのは、一から出直して、適地を見つけて、費用がかからない場所を探して、知事が直接お願いしに行けば、嫌という市町村はいないと思うんです。
そういうことで、知事に今後の方針をお尋ねします。
○議長(濱口太史君) 農林水産部長山本佳之君。
〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) まず、本県の野生鳥獣による農作物被害額について、2020年度は2億6100万円であり、獣種別では、イノシシが9300万円と最も多く、次いで鹿、猿の順となっています。直近では、ピーク時の2012年度の被害額3億5200万円より減少しています。
次に、狩猟者及び猟友会の協力なしに鳥獣害対策の目標が達成できるかどうかについてお答えいたします。
県が策定している第二種特定鳥獣管理計画では、イノシシ、鹿、猿の捕獲目標を設定し、2031年には生息数を半減させることとしており、それを達成するためには、狩猟者の確保は不可欠であると考えています。
このため、県では、新たな狩猟者を確保するため、市町村の農林業まつり等で狩猟の魅力を発信するとともに、狩猟体験研修や狩猟免許の取得支援を実施しています。
また、銃猟者に対しては、事故防止や射撃技術の習得を目的とした捕獲技術向上研修を実施するとともに、狩猟前訓練として射撃場の使用料や弾代への補助を行うなど、支援を行っているところです。
なお、研修会等の実施については、猟友会へ委託しておりまして、猟銃の取扱いや狩猟に関する豊富な知識と経験を有する同会との連携を今後も十分行ってまいります。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
射撃場につきましては、今、吉井議員から御指摘をいただきましたけれども、私としては、この整備計画を中止するとは言っておりませんし、中止するということではありません。
これは、6月議会で尾﨑太郎議員に申し上げたとおりでありまして、三つの条件をクリアした場合に前に進むということでありまして、その条件は、一つは、事業費が適正かどうか、それから、財政的に健全な運営ができるのかどうか、これも吉井議員から御指摘いただきましたけども、市町村の積極的な協力、住民理解があるのかどうかということであります。
3点目は置きまして、議員御指摘の事業費の中で、今、大阪・関西万博のパビリオン等の建設費の増嵩が見られております。今後、資材費や人件費がどの程度上昇していくのか、これは着手してから着工、工事、完成までも含めて相当の年数がかかるという中で、工事費の高騰についての見極めが必要ではないかという点が一つ。
それから、射撃場の経営が、赤字に陥らずに、健全な運営が可能なのかどうか、さらなる精査が必要だというのが今の我々の現時点の状況ではないかと思っております。
そういう意味では、県としても、その事業効果、コストなどに加えて、他の射撃場との関係なども踏まえながら、引き続き総合的に検討してまいりたいと思いますので、御指導よろしくお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 吉井和視君。
〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 今日は、後ろを振り向いたら、猟友会の会長、尾上会長も来ておられます。そういうことで、知事の答弁に納得したかどうか分かりませんけれども、いち早く知事を推薦したんだということを言っておりました。
そういうことで、今後ともよろしくお願いすることを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。
お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(濱口太史君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
次に日程第3、議案の付託を議題といたします。
お諮りいたします。配付しております議案付託表のとおり、議案第1号から議案第17号までは予算特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(濱口太史君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
次に、配付しております議案付託表のとおり、議案第34号から議案第69号まで、議案第71号から議案第79号まで、議案第81号から議案第84号まで及び議案第86号から議案第96号までは所管の常任委員会に付託いたします。
この際、報告いたします。
議案の追加提出がありました。
お諮りいたします。議案第97号を本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(濱口太史君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
議案第97号を議題といたします。
議案は、配付のとおりであります。
まず、当局の説明を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ただいま上程されました議案について御説明申し上げます。
議案第97号は、教育長の宮﨑泉君が本年3月31日をもって任期満了となりますので、引き続き任命いたしたく、同意をお願いするものでございます。
何とぞ、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 以上で、当局の説明が終わりました。
お諮りいたします。3月12日から15日までは委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(濱口太史君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
次会は、3月18日定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時23分散会