令和6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)
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令和6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号
議事日程 第6号
令和6年3月8日(金曜日)
午前10時開議
第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第69号まで、議案第71号から議案第79号まで、議案第81号から議案第84号まで及び議案第86号から議案第96号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第69号まで、議案第71号から議案第79号まで、議案第81号から議案第84号まで及び議案第86号から議案第96号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(42人)
1番 坂本佳隆
2番 三栖拓也
3番 秋月史成
4番 川畑哲哉
5番 藤山将材
6番 森 礼子
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
9番 高田英亮
10番 玉木久登
11番 佐藤武治
12番 濱口太史
13番 鈴木太雄
14番 冨安民浩
15番 吉井和視
16番 鈴木德久
17番 玄素彰人
18番 岩田弘彦
19番 中本浩精
20番 中村裕一
21番 谷 洋一
22番 山家敏宏
23番 北山慎一
24番 堀 龍雄
25番 谷口和樹
26番 新島 雄
27番 山下直也
28番 小川浩樹
29番 中尾友紀
30番 岩井弘次
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 山田正彦
34番 坂本 登
35番 小西政宏
36番 浦平美博
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 尾﨑太郎
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 岸本周平
副知事 下 宏
理事 田嶋久嗣
知事室長 北廣理人
危機管理監 福田充宏
総務部長 吉村 顕
企画部長 前 昌治
地域振興監 赤坂武彦
環境生活部長 山本祥生
福祉保健部長 今西宏行
商工観光労働部長 三龍正人
農林水産部長 山本佳之
県土整備部長 福本仁志
会計管理者 﨑山秀樹
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員 竹山早穗
警察本部長 山﨑洋平
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 森田康友
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 林 伸幸
次長(秘書広報室長事務取扱)
萩原 享
議事課長 長田和直
議事課副課長 岩谷隆哉
議事課議事班長 伊賀顕正
議事課主任 菅野清久
議事課副主査 西 智生
議事課副主査 林 貞男
総務課長 葛城泰洋
政策調査課長 岩井紀生
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午前10時0分開議
○議長(濱口太史君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第69号まで、議案第71号から議案第79号まで、議案第81号から議案第84号まで及び議案第86号から議案第96号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
39番片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行いたいと思います。
まず最初は、「早寝早起き朝ごはん」の運動についてでございます。
これも和歌山県で始まった当初、ここ議場におられる先輩議員が議会で提唱しまして、教育委員会がそれ以降、この運動を強力に熱心に繰り広げていってくれていると思います。
この「早寝早起き朝ごはん」の運動は、平成17年、文部科学省が国民運動として、睡眠の大切さを大人と子供に訴えた、そういうことから全国の小中学校を中心に始まったものであります。
さきの2月22日、和歌山市内の市立宮小学校、こちらの1年生の生徒を対象として、我が国で「早寝早起き朝ごはん」の第一人者であります星野恭子先生が来ていただきまして、特別授業がありまして、僕もこの授業に参加してきました。
星野先生は、瀬川記念小児神経学クリニックの理事長であり、瀬川小児神経学研究所の所長、そして、我が県にとって関係あるのは、平成22年から南和歌山医療センターにも勤務してくれている、こういう先生であります。
授業の席上、星野先生は、いろんな例え話で分かりやすく説明をしてくれたわけなんですけども、オリンピックの金メダリストのトップランナーに慢性的な睡眠不足の人はいませんよね、みんな最高のパフォーマンスをするために最も睡眠を大事にしている、こういう話を伝えてくれました。
あわせて、質問として、もし○○選手、今だったら大谷選手がいいかなと思うんですけど、もし大谷選手が睡眠不足だったらどうしますかと、こういうふうな問いかけをして、子供たちは元気に手を挙げて、いろいろ答えておりました。睡眠不足は、心身とも衰弱な状態に陥ることであり、そんな状態で何かを行ってもよい結果が出ない、そういうことは大人にも理解をしてほしい、そういう位置づけの授業でございました。
先生は、子供の成長、勉強に必要なことは「早寝早起き朝ごはん」、この主張をしていただいておりまして、県内での授業や講演会はもちろんのこと、県教育委員会のパンフレット作成にも協力をしてくれております。
ところで、星野先生が南和歌山医療センターに勤務してくれた理由というのをお伺いしますと、全国の県の中で小児神経学の診療科目がない県というのは少ないらしいんですね、当時少なかったと。その中の一つが和歌山県ということで、和歌山県に勤務するということを申し出てくれて、南和歌山医療センター、都内から移動を、熊野白浜リゾート空港まで1時間で来れるということから、月に2回勤務してくれていることになっております。
朝御飯なくして学力向上なし、そして、朝は6時に起きること、そのためには前日の夜の10時に就寝すること、朝御飯は必ず食べることの実践を提唱してくれております。それを受けて、県教育委員会では、「やっぱり大切!!早ね・早起き・朝ごはん!」ガイドブックを作成してくれております。
資料配付でお手元のタブレットにあるかと思いますが、(資料を示す)これが当初作ったガイドブック、そして、こちらが9日にできた、明日完成予定というか、今日新たに配って、新学期に小学生に配るガイドブックになっております。これは、結構中身を改訂されておりまして、従来は子供向けだったんですけども、保護者、大人の皆さんにも、こういう早く寝ること、朝早く起きることの習慣づけをするような定義をしてくれておりまして、ぜひこれは活用していただきたい、そんなガイドブックになっておりますし、星野先生もこのガイドブックに協力してくれていると聞いております。
そんな星野先生が、和歌山県に対してこんなメッセージを発信してくれております。これは、平成24年の星野先生のホームページなんですけども、タイトルが「和歌山県が『早寝早起き朝ごはん』に燃えています!」。
平成22年7月に、和歌山県田辺市の南和歌山医療センター小児科に移りました、それ以来、和歌山県教育委員会が「早寝早起き朝ごはん」に強力に推進してくださり、今、和歌山県内の学校、家庭教育、保育園、幼稚園など、「早寝早起き朝ごはん」活動に燃えております、そしてとうとう、11月11日には、和歌山県「早寝早起き朝ごはん」全国フォーラムを開催することになりました、和歌山県から「早寝早起き朝ごはん」の大きな波を広げていきたいと思っています、こういうメッセージを発信しておりまして、今回、僕も参加した特別授業の後に、これからも和歌山県での取組に関わっていきますと伝えてもらったことは、今後の活動のはずみになるものだと思います。
十分な睡眠を取ることは、子供だけではなく、大人にとっても大切なもので、心身の健康と健康寿命を延ばすための生活習慣に我々もしたいと思っております。特に子供にとっては、成長期の身長や体重の増加とともに、精神の発達に影響を及ぼすものであり、大人よりも十分な睡眠、睡眠衛生が大切だということです。
さらに、星野先生は、科学が進歩しても、AIなどのデジタル技術が進歩しても、人間の脳や体の特性は変わっていません。脳の発達に影響を与えるものは、昔から変わらず早寝早起きなのですと自信を持って語ってくれました。
この星野先生が勤務しているクリニックの6代目の院長である瀬川昌耆先生は、明治17年、日本で最初の西欧医書であり、日本独自編さんの小児科教科書を出版しておりますし、同明治39年に出版した「實驗上の育児」では、「寄席、芝居の害」、こういう章がありまして、これは面白いので、少し引用させてもらいます。
小児には最も睡眠が必要で、眠る間に脳が休養するのであります。寄席に連れていき、面白いだろう、おとなしく見ておいでよなど、親と同じように小児も面白かろうと思うが、これは至ってよろしくない大変な考え違いであります、このように記しております。
当時の大人の楽しみは寄席とか芝居があったと思うんですけど、現在で言うとネット中継とかネットサーフィン、そういったものだと思いますが、もともと子供がこういうものに興味を持っているわけではなくて、大人が家庭環境の中で巻き込んでいる、こういう影響があるのかなというふうに思っております。
瀬川先生というのは、ドイツに医学留学しておりまして、一緒に行ったメンバーがすごくて、森鴎外、北里柴三郎、こういう人と一緒にドイツに留学しておりまして、日本の近代医学の源流とも言える医師からの指摘が当時なされております。明治時代の医学書にも記されているように、人間の脳には十分な睡眠が必要だということは、当時も今も変わっていないのです。
星野先生は、加えて、地球は約24時間で太陽の周りを自転しながら公転し、ホモサピエンスは昼行性の地球上の哺乳類であり、睡眠覚醒リズムの発達は、脳幹機能、心身の成長、自律神経の発達に影響します、人は能力の100%を発揮して昼に充実した楽しい活動をするために、夜は十分な睡眠が必要であることを理解してほしい、このように教えをいただきました。
そこで、教育委員会に質問をさせていただきたいと思います。
「早寝早起き朝ごはん」のこれまでの取組の成果について、教育長からお答えをいただきたいと思います。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 片桐議員には、宮小学校までお運びいただきまして、本当にありがとうございます。
県教育委員会では、子供たちが規則正しい生活習慣を身につけられるよう、県独自の「早ね・早起き・朝ごはん!」ガイドブックを作成し、出張!県政おはなし講座やPTAの研修会、家庭教育の講座等を通じて、学校、家庭、地域に「早寝早起き朝ごはん」運動を普及してまいりました。
各学校では、起床時間や就寝時刻を子供が自ら整える取組や、栄養教諭と連携しながら食事の重要性を学ぶ授業を実施するなど、実態に即した取組が行われています。こうした取組が評価され、優れた「早寝早起き朝ごはん」運動の推進に係る文部科学大臣表彰に、本県の小中学校や保育園が毎回選出されております。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 成果は出ているということをお答えいただきまして、各学校の事例も、このガイドブックには、日高とか有功とかいろんな小学校を取り上げていただいていまして、その成果が全国に発信できていることをうれしく思っています。
また、学校を訪ねると、この小学校へ行ったとき、たしか保健室にこんなものが貼っていたと思うんですけども、今回もこういった早寝早起きのリズムのポスターが貼られていまして、結構学校で浸透というんでしょうかね、普及啓発しているんだなということを今回感じました。
そこで、今後とも小中学校教育で「早寝早起き朝ごはん」の取組を進め、定着をさらにしていただきたいと思うんですけども、今回のように、星野先生の協力をいただきながら授業、そして保護者にも訴えることが非常に効果があるというふうに思います。この「早寝早起き朝ごはん」に燃えている和歌山県教育委員会として、小中学校や保護者に向けた今後の取組について、教育長の答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 今後の取組でございますが、「早寝早起き朝ごはん」運動は、子供たちに規則正しい生活習慣を身につけさせるために大変効果的な取組であると考えています。
一方、昨今は、子供たちを取り巻く環境が変化し、生活リズムを乱す要因が増えてきています。そこで、今回全面改訂したガイドブックでは、スマートフォンやゲーム等の画面を見る時間が子供の体力面に与える影響を示し、改善を促す内容を新たに盛り込むとともに、大人と子供が会話しながら学べるような工夫も取り入れています。
今後も、「早寝早起き朝ごはん」運動を、学校はもとより、PTAなどの団体と連携し、家庭、地域へも広げていきたいと思います。
このように、子供も大人も同じ目線で望ましい生活習慣づくりに取り組むことで、心も体も健やかになることが期待されます。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えありがとうございます。
ちょうど宮小学校の2月22日、授業の後、保護者向けというか、保護者と地域の方を対象にした星野先生の授業もありまして、ここへも地元の方が来ていただきまして、大人へも啓発をさせていただきました。早寝早起き、僕自身も昨日も遅かったんですけども、早く寝れるように習慣づけたいと思いますので、ぜひ啓発活動をお願いしたいと思います。
続きまして、医療的ケア児支援センターについての質問に移ります。
令和3年12月県議会の一般質問で、医療的ケア児支援センターの設置を求めたことに対しまして、当時の福祉保健部長は、「令和5年度を目標とし、引き続き市町村や関係機関と連携し取り組んでまいります」と答弁を得ていました。おっしゃっていただいたとおり、支援センターが今年2月1日に開設されたところであります。当時は、令和5年、遅いなあと思っていたんですが、あっという間に令和5年になって、予定どおり設置していただいたことを感謝申し上げたいと思います。
この医療的ケア児の保護者の皆様方が待望していた支援センターが設置されたことで、相談の対応とか情報提供、そういった面で対策が前進することになると思います。支援センターには保健師さんが配置されていると聞いておりますので、御家族の皆さんと相談を受けられる体制が整い、市町村との連携がより一層図れることになると思います。
支援センターの設置が、全国で和歌山県、かなり後発だったということは残念なところなんですが、今、事務局の方等々、遅れた分は先進地の事例を学びながら早く追いつくと、こういう意気込みで取り組んでくれていることに感謝申し上げたいと思います。
今回、支援センターの設置にこぎ着けられたのは、医療的ケア児の保護者の皆さんの熱心な活動と、設置に向けて担当してくれた福祉保健部の皆さんのおかげだと思っております。ただ、これからがスタートなので、支援センターを必要とする保護者からの要望を踏まえて、役割と機能の充実を図ってほしいと思っているところであります。
そこで、和歌山県内の市町の中には、医療的ケア児に係る個別避難計画は策定すべきではないかという非常時の対応、今回はこの点にちょっと絞りたいと思っていますが、観点も必要だと思います。
災害要支援者の観点から考える医療的ケア児の支援ですが、避難所には医療的ケア児が利用可能なトイレはないと思います。ベッドつきのトイレがないことを前提とすれば、例えばユニバーサルベッドを非常時のために保管しておくとか、持ち運びできるようにしておく、こういうことも必要だと思いますし、もちろん避難所だけではなく、県庁や市役所、文化施設などの公的施設の障害者用トイレをベッドつきに改造するとかは費用もかかるため、これらの公的施設にもユニバーサルベッドを配備することも検討してほしいと思っております。
保護者の皆さんと県庁内各トイレを見て回ったんですけど、本当に工夫してベッドを取り付けてくれていると思います。ただ、本館のベッドは少し使いづらい。これ、スペースの関係でやむを得ないと思いますが、そういった観点で見直しを図っていただけたらと思います。
ところで、今回、能登半島地震では、石川県の医療的ケア児支援センターからの安否確認が非常に早かったそうです。被災地には医療的ケア児が20数名いたのですが、地震発生から3日以内に全員が病院に避難することができていたと聞きました。災害発生時における医療的ケア児の避難が迅速だったことから、石川県ではしっかりと個別避難計画が策定されていたことと思いますので、参考にすべき事例です。
また、災害発生時の大きな課題として、停電への対応があります。呼吸器を必要とする医療的ケア児は、電源やバッテリーを消耗してしまうと命の危機に陥ります。保護者の方がこうおっしゃってくれていました、停電は命のカウントダウンの始まり。こういう表現をしてくれたように、呼吸器がなければ命が危機に陥る、こういう医療的ケア児の方もいらっしゃいます。このような視点で個別避難計画を策定する、または見直す必要があるのではないかと思いますので、支援センターの設置を契機として諸課題に取り組んでもらいたいと思います。
ところで、和歌山県では、重度訪問介護の体制が十分ではないという思いというか、意見もあります。在宅ケアの場合、重度訪問介護をとても必要としておりますので、この課題に対しても支援センターでの検討をしてほしいと思っております。
そこで、1問目です。
医療的ケア児等支援センターの果たす役割についてですが、保護者の皆さんは、この開設というのを本当に心待ちにしてきまして、熱心に通い詰めてくれていたと思います。開設に至るまで保護者との話合いが続けられてきたと思いますが、開設して以降の保護者からの要望や対応、連携、関わり方も含めて、医療的ケア児等支援センターの果たすべき役割について、福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 議員御質問にあるように、一元的な相談対応や情報提供、関係機関との連絡調整を行う県医療的ケア児等支援センターを、本年2月1日、県庁内に設置いたしました。
県といたしましては、センター設置により、ケアを必要とする方とその家族が地域で安心して暮らしていけるよう、市町村をはじめ関係機関との連携を強化してまいります。
引き続き、保護者からの御意見もいただきながら、必要とされる支援をお届けできるよう、センターを運営してまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 この項目、2問目であります。
能登半島地震における石川県の医療的ケア児への避難の支援は見習う点があると思います。和歌山県として、医療的ケア児に対する避難支援及び避難した後の個別の支援体制について、福祉保健部長の答弁をお願いします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 2023年10月に実施した県の調査結果では、県内の医療的ケアを必要とする子供の人数は179名でした。この179名が個々にどのようなケアを必要とされているかについては、各市町村において把握されているところです。
2023年3月末時点、医療的ケア児を含む避難行動要支援者の個別避難計画は、県内全市町村で作成が進められているところではありますが、さらに各市町村に対して、その作成について強く働きかけてまいります。
なお、災害が発生し避難した場合も、各避難所を保健師等が巡回することで、避難されている方のニーズを把握し、必要な支援につなげることとなっております。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 2点質問させていただきましたので、これは最後に1点要望を、先ほど言いましたけども、重度訪問介護の充実について、要望を1点させていただきたいと思います。
保護者の方は、もう言うまでもなく24時間体制で子供のケアに当たっているので、心身とも休まる間がないんですよね。そこで、全国的にもそうなんですが、保護者にとって大事な施策の一つが重度訪問介護をはじめとする一時預かりに対応している医療型短期入所施設など、いわゆるレスパイトケアにつながる障害福祉サービス提供事業者や医療機関など、まだまだ不足していると聞いております。
例えば、身内に不幸事があり、子供を事業者に預けなければならないようなときには一時預かり所を利用したいというニーズもありますが、医療的ケア児については、その状態が一人一人全く状況が異なるため、求めている支援を必要とするタイミングで受けられることは少ない状況であると聞いています。
障害福祉サービス提供事業者をはじめとする支援体制の充実を図り、家族も安心して生活できるように、県としてこの支援センターを核として取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。
次の項目に行きます。
3項目め、大阪・関西万博和歌山ゾーンステージの活用についてであります。
大阪・関西万博の中で、関西広域連合が設置する関西パビリオン内に和歌山ゾーンを出展することになっています。和歌山県として、オール関西を盛り上げるため、「聖地リゾート!和歌山」の取組がされるようでありますが、その盛り上げ対策として、和歌山県への魅力発信と誘客のための取組の一つとして、和歌山ゾーンステージの活用があるというふうにお伺いしております。
この和歌山ゾーンステージには、より多くの県民の方々に出演していただき、和歌山県の魅力と楽しさを発信することや、和歌山県に行きたいと思わせるようなステージ、文化と歴史を考えるパフォーマンスなどの出演者を広く募り求める、このようなお考えだと聞いております。
今日も議場には、和歌山の文化を発信しようということで、着物を着る習慣をつけようというふうなグループの皆さんが、例えば万博のステージに出てもらうであるとか、それから、タレントの方も今日見えたと思うんですけども、こういったパフォーマンスを和歌山ゾーンで繰り広げる、こういうことで和歌山に魅力を発信というか、和歌山に誘客する、こういう取組が必要かなというふうに思いますし、希望されている方は今熱心に構想をつくってくれていると思いますので、そういったことをくみ上げていただきたいというふうに思います。
また、それ以外の県民の皆さんにもゾーンステージへの出演を呼びかけることや応募してもらうことで、大阪・関西万博への参加意識を醸成でき、自分たちがステージでパフォーマンスすることで和歌山県の魅力を発信したい、こういう県民意識を高める効果があると思います。また、ゾーンステージに出演した経験は、出演者や出演者を応援した方々にとって生涯の宝物になりますから、和歌山県民であることの誇りを持つことにつながると思います。そして、出演した経験は、万博以降の和歌山県の活力に資するものだと思います。
そこで、質問であります。
この和歌山ゾーンステージを活用することで機運情勢を計ることや県民参加意識を醸成すること、そして、出演者が自信と誇りを持って、その後、和歌山県内で活躍することが万博後の和歌山県の活力につながると思います。大阪・関西万博の和歌山ゾーンステージの活用について、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(濱口太史君) 商工観光労働部長三龍正人君。
〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) 和歌山ゾーンでは、映像、ステージ、フードの三つのコンテンツで、自然、人、産業、食、文化など、本県が誇る多様な魅力を全世界に発信するとともに、県民の皆様にも地域の魅力を再発見し、ふるさとに誇りを持てる展示・演出を目指しているところです。
このため、県では、和歌山ゾーンのステージを県民参加型のプロモーションの場としたいと考えており、現在、ステージにおいて、本県の魅力を存分に感じてもらえる企画の実現に向け、熱意のある県民の皆様から公募を行っております。これらの取組は、県民の皆様の万博に対する機運醸成につながるものと考えております。
また、県としましては、和歌山ゾーン以外にも、関西パビリオン内多目的エリアや万博会場内にある、より大規模な催事施設を活用した和歌山DAY、和歌山WEEKといったイベントも企画し、相乗効果を図っていきたいと考えております。
万博の開幕まで約400日です。県議会や県民の皆様と共に、オール和歌山で万博を盛り上げてまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えいただけましたので、次の項目、都市空間の再構築戦略について進めさせていただきたいと思います。
これは、JR和歌山駅とその周辺の再整備についてという項目になろうかと思います。
現在のJR和歌山駅は、開業してから55年が経過していますが、関西の県庁所在地の代表駅としては最も古い駅舎になっています。老朽化と駅周辺の再整備の必要性から、令和6年度は、JR和歌山駅周辺整備構想策定等支援事業に着手する予定だと聞いております。
言うまでもなく、JR和歌山駅は、県庁所在地の駅で県内交通の結節点になっていますし、若者が県外流出をしていることの歯止めと交流人口を増やすためにも再整備が必要だと思います。これまで何度か地元や県、和歌山市で検討されてきましたが、残念ながら結果が伴っていませんでした。
そこで、現在、JR和歌山駅の課題がどんなものがあるのかなということをいろいろヒアリングをさせていただいたら、幾つかの項目が考えられようかと思います。
一つ目、駅舎が老朽化しているため、建て替えが必要なこと、建て替えに当たっては、保留床をどの程度確保して、どのように活用するのか。例えば、駅の上部にマンションを造る、ホテルを併設する、商業施設の誘致あるいはオフィスビルにするのか、そういった検討が必要ではないだろうかということです。
一つ、再整備の範囲はどこまでにするのか。駅舎と百貨店を含むエリアに限定するのか、みその商店街や駅前商店街もエリアに加えるのか、範囲の検討が必要だと思います。
一つ、JR和歌山駅は、東西に改札口があるので、東西の駅周辺再整備は必須だと思います。東口の再整備もエリアに含める視点を外してはいけないと思います。
一つ、現在の東西の地下連絡道は人通りが少ないので、夜間の歩行は不安が感じられます。東西の連絡道は高架にして、新しい駅ビル内を通行できるように検討することも必要だと思います。
一つ、鉄道を高架することも検討すべきことです。JR和歌山駅にとって、中心部が東西に分離されていることがまちの発展を阻害してきた要因の一つだというふうに言われていますから、高架事業も検討すべき課題だと思います。
一つ、地元商店街の皆さん方の参画が必要です。テナントに入るのか、事業への出資も含めて事業主体の一員になるのかはこれからの構想次第ですが、再整備事業への参画は必要だと思います。
一つ、資本を有しているディベロッパーの参画も不可欠です。将来は活性化会議のメンバーに加わって、資本参加も検討していることを期待したいと思います。
一つ、JR和歌山駅のホームは、現在1番線から9番線までありますが、運行本数から考えると、ホームの在り方についても検討が必要だと思います。あわせて、和歌山電鐵貴志川線をJRのホームとともにどのように共生させるか、この検討も必要だと思います。
以上のような課題といいましょうか、検討項目がまだまだたくさんあると思うんですけど、核となるのは以上のようなことが考えられると思います。
そこで、令和6年度の予算案にあるJR和歌山駅周辺の整備に向けた考え方について、知事にお尋ねいたしたいと思います。
○議長(濱口太史君) 知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 片桐議員の御質問にお答えをいたします。
JR和歌山駅は、私が落選中も含めて18年間、雨の日も風の日も立たせていただいた場所であります。朝は午前6時から8時半まで、それから選挙が近づきますと夕方も6時から8時まで、東口、西口、合わせて18年間立ってまいりましたので、今、片桐議員が御指摘になった点は本当によく分かります。肌で感じております。職場の一つでありましたので、今の御意見に大賛同いたします。
その上で、まちづくりは市町が担当ということでありまして、これまで和歌山市が和歌山駅、それから和歌山市駅、それから和歌山城の周辺、この辺を結ぶ町なかの中心拠点区域ということで市街地再開発事業を実施してこられました。町なか居住を進め、コンパクトな都市づくりを図ってきておりました。この間、片桐議員もいろんなプロジェクトで御参画をいただいたことも承知しておりますし、県としても、これまで和歌山市の施策に必要な支援を行ってまいりました。
本来、先ほど申し上げましたように、まちづくりにつきましては、市が主体となって進めるものではありますけれども、JR和歌山駅や周辺の整備は、その効果が、これも片桐議員御指摘のとおり、県内全域に及ぶ大変重要なことでありますので、和歌山県といたしましても、今般、和歌山市及びJR西日本と連携し、整備構想策定に向けてしっかりと協力してまいる所存でございます。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えいただきまして、和歌山駅に関しては、今言いました視点もありますし、特に感じるのは東口ですね。東口というのは、実はリムジンバスとか車で来られたときの和歌山市というか、和歌山県の玄関口になっている場所なんですけども、よく県外から来られてお送りするときに、リムジンバスに行くと、早く着き過ぎると待つところがない。懇親する場所もない。立ち寄るところもない。これは、県都としては、このような空港へ行くところの待合室、見たことがないということが結構言われておりまして、これ、やっぱり顔の一つなんですよね、東口。
今回、どうしても西口といいましょうか、そちらのほうに目が行きがちなんですけども、中心部というのはどこのまちでもほとんどのまちは、駅を例えば中心に円型に広がっていく、こういうのが理想だというふうに思うんですね、半円みたいなイメージで広げるんじゃなくて。この東口を含めた再整備ということをぜひ抜け落ちてはいけないと思いますので、この点も踏まえて、県、市と協議をしていただけたらと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、項目の2点目です。
JR和歌山駅周辺整備構想策定等支援事業、この名称がついている事業なんですけども、この駅周辺の整備を進めることは、和歌山市のみならず、和歌山県の玄関口として必要なことと思いますが、JR和歌山駅の再整備に向けた今後の動きについて、県土整備部長の答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) JR和歌山駅周辺の再整備につきましては、2024年度に県、市、JR西日本の3者により仮称・JR和歌山駅周辺活性化会議を設立し、課題等について議論を重ね、仮称・JR和歌山駅周辺活性化基本構想を策定することとしております。
その後の進め方につきましては、基本構想をたたき台とし、事業実現に向けた基本計画や、具体的な施設整備に向けた事業計画の策定、そして事業着手へと進んでいくものと考えております。
県としましては、和歌山駅西口及び東口を含む駅周辺の整備構想策定が重要であると考えており、今後とも、市やJR西日本と協議を重ね、にぎわいのある拠点づくりに取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 部長から今お答えいただきましたので、今後のスケジュール感というか流れが大体分かりました。来年度が事業構想というふうな形になりまして、多分このまま順調にいくと、その翌年が基本計画とか、その翌々年が個別事業計画とか、こういう形で進んでいくと思いますので、ぜひ基本構想、事業構想、大事だと思います。新年度は3者もしくは4者でしっかりと構想、地元の方々のみならず、多くの方の意見を聞いていただきながら構想を固めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
続きまして、最後になります。避難所の問題についてです。
この点は、今回、一般質問で先輩・同僚議員が熱心に議論をされていることなんですが、なるべく重複しないように質問をさせていただきたいと思います。
巨大地震や津波などが発生し、被災した場合、防災計画どおりにいかないということも多いのですが、今回、能登半島地震で被災された皆さん方の支援のため現地を訪れた皆さん方から現地の状況を聞かせてもらうと、特に避難所運営の取扱いを見直す必要性を感じているところでございます。
幾つか消防の方が現地へ行ったときの避難所の状況、体育館の状況であるとか、あるいは、友人がトラックで現地へ駆けつけて物資を運んだりとか、そういう中で避難所の状況、あるいはまちの状況を聞かせてもらった中で課題になっているのがやっぱりTKBじゃないのかなという指摘がありました。災害関連死を防ぐためにも、TKBという視点が大事だということであります。
ところが、日本の避難所は、長期の生活ができる環境にはありません。まず、トイレが汚いこと、栄養価がある食料がないこと、ベッドの数が少ないので感染症が広がりやすいことなど、欧米と比べますと災害への備えが遅れているようであります。
多くの場合、避難所は学校の体育館が指定されているのですが、生活する環境に適しているとは言えません。体育館は快適なトイレ、温かい食事の提供、そして快適な睡眠が取れる環境になく、長期に避難生活をする環境でもないと思います。
避難所のトイレの問題ですが、これは、過去からの大災害で被災した場所の避難所の教訓で分かっていることなんですが、やっぱり対応が難しいと感じています。トイレが汚いので、避難している皆さんが使えない、使いたくない状況だとも聞きました。そこで、倒壊の危険性があるけれど、自宅に戻ってトイレを使うなどの行動もしている方もいらっしゃるようです。
さらに、トイレの必要数が不足していることや、洋式トイレがない体育館も多いようにも思います。今回も、過去の巨大災害のときと同じトイレの問題に直面しているようです。
また、ベッドの問題です。能登半島地震の避難所の報道を見たとき、体育館の体育の授業で使うマットを布団代わりにしている光景がありました。これでは心身ともに疲れが取れることはありません。
今回、能登半島地震の避難所の映像を見た人であるとか、現地へ行った人から多くの意見を聞かしていただきました。幾つか代表的な意見を紹介させていただきます。
避難所生活は、プライバシー空間、プライバシーな時間を確保できないので、数週間も耐えられないと思います。トイレやベッドも使いづらく、私には避難所生活はできないと思います。
次の意見です。体育館は生活する空間ではありません。体育館を避難所に指定しているからと考えるのは時代遅れなような気がいたします。
次の意見、体育館が避難所であれば、私は避難したくないと思います。和歌山県では南海トラフの巨大地震の可能性が言われていますが、このような状況が続くようだったら、命の問題はあるにしても、ここに避難したいとは思いません。
それから、もう一つ、避難所生活に耐えられる自信がありません。まして数週間も体育館で生活することは、私にはとても無理ですと、このような率直な意見を聞かせてもらっております。
私も、今回の能登半島地震によって、避難所に関しての考え方が変わりました。数日程度は体育館を避難所として利用するのはいいというか、やむを得ないと思いますが、その後はホテルや旅館を避難所として利用すべきだと思うようになりました。しかも早急にです。
日本の避難所は整備が遅れているだとか、避難所の考え方が遅れているなどの指摘がありますように、飲料水や保存用食料、毛布などを備えておけば避難所として機能を有しているというのは、あくまでもベーシックな考え方であります。避難所で快適な生活空間を保つとまでは言いませんが、プライバシーが確保できる空間や感染予防につながる段ボールベッド、体育館の換気など、衛生面での配慮も必要です。避難所として活用が可能な船舶やトレーラーの配置は可能な対策ですし、避難者に対応したトイレの必要数を確保し、清潔さを保つことは、避難所として最低限必要な機能だと思います。
そこで、ストレスを軽減できる避難所の在り方や二次避難所への早期移動も考えるべきです。市内外のホテルや旅館と被災した場合に避難所として活用するための提携をすることも必要だと思いますから、これらの観点とスフィア基準を考慮した避難所の在り方を検討していただきたいと思います。
また、できるだけ数日以内に二次避難所に移動する体制を整えることが重要なのかなというふうに感じました。市内外のホテルや旅館と災害発生時の避難所協定を結ぶことや、福祉避難所の協定を増やすことも必要ですし、和歌山県では飲食店、コンビニと災害発生時に支援を求める協定を締結しているように、さらなる支援体制の拡大も必要だと思います。
海外の事例も、元消防署の署員の方から教えていただきました。イタリアでは、部屋と簡易ベッド、トイレをユニットとした大型トレーラーを州に備えており、被災地に派遣しているようです。また、避難所では2日以内に簡易ベッドと冷暖房機、家族単位の空間も用意することが基本だそうで、衛生面で配慮されたトイレとシャワーが完備されていると聞きました。加えて、周囲の州からはキッチンカーが派遣されて、巨大テントを設置、翌日から温かい食事を提供するそうです。先進国の取組を参考にして、和歌山県の防災計画の見直しを図っていただきたいと思います。
そこで、質問に入りますが、1問目です。
TKB・プラス・プライバシー確保の観点からの避難所の在り方について、今回の能登半島地震での避難所生活での災害関連死やストレスが問題になっています。一次避難所での生活は、災害救助法で7日間と設定されているように、それを超えるとストレスを感じ、心身ともバランスが崩れるなどの問題が発生しています。さきに触れたTKBの問題と併せて、プライバシーの確保を図ることが先進国の避難所の在り方だと今回聞きましたが、災害が発生したときには、まず命を守るための避難行動が大事ですが、避難先でのトイレが汚い、温かい食事を提供してほしい、ベッドが少ないなど、避難所に指定されている学校の体育館は、生活する環境には適していないと思います。
今回の支援活動を通じて、TKB・プラス・プライバシー確保の観点から、避難所の在り方を見直すべきだと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
これまでの片桐議員の御指摘につきましても、全く同感でございます。
その上で、災害から助かった命をその後の避難生活で失わない、大変重要なことだと考えておりますが、そのために、避難所における良好な生活環境の確保はとても重要であります。能登半島地震の検証を踏まえ、避難所の在り方について、和歌山県としてもしっかりと検討してまいります。
そして、議員御指摘いただきました避難所の環境改善に向けた取組として、具体的に、清潔で快適なトイレの設置、それから温かい食事の提供、雑魚寝ではなくてベッドでの就寝、それからプライバシーの確保、これらについても、私も重要な要素であると考えております。
和歌山県では、市町村に対しまして、避難所における良好な生活環境の確保に向けまして、必要な備蓄や資機材を充実させること、さらには個室の更衣室や授乳室を設けるなど、避難者のプライバシー確保に配慮するよう、働きかけをしてまいっております。ベッドにつきましても、簡易ベッドや段ボールベッドなど、各市町村において備蓄を進めていただいておりますけれども、県としては財政支援を行っております。今後とも、市町村に対し、さらなる備蓄を働きかけてまいります。
また、プライバシーの確保に資するパーティションを県で一括整備し、各市町村に配付いたしました。さらに市町村で整備する場合には、その費用に対して財政支援を行っております。
トイレと食事につきましては、簡易トイレや非常食の備蓄は進んでおりますけれども、避難生活のストレスを緩和するための清潔で快適なトイレの設置や温かい食事の提供は、これは今後の課題として重く受け止めております。したがいまして、来年度の当初予算案で御提示させていただいておりますトイレトレーラー、それから防災コンテナ、この予算を計上しておりますので、ぜひお認めをいただきたいと思います。
今後、県と市町村の役割分担や、平常時と災害時の運用方法などを踏まえ、トイレや食事など、避難所の環境改善に向けた施策に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事からお答えいただきまして、実は、この問題に関しては、僕の友人が現地へ運んで、夜中ずっと能登半島へ和歌山市から走ってくれて、道の駅で寝泊まりして現地へ入ってくれたとき、結構話を聞かせてもらって感動したんですけども、夜走って、一番最寄りの輪島市まであと7キロというところの道の駅で、車の中で泊まったんですけども、そこは夜気づかなかったんだけども、朝起きると自衛隊の方々がテントを張っていて、いわゆるシャワーですよね、シャワー設備を用意していて、被災地の方を送り迎えして、そこで男性、女性、隔日だったらしいんですけど、シャワーを提供していた、こういう話も聞かせていただきましたし、あと、物資を持っていくと、本当に心待ちにして歓迎して、涙ながらに受け取っていただいたというふうな話を聞きました。
そして、帰り道、夜は走っていたんで気がつかなかったんですけど、帰り道は朝だったんですね。朝走ると見慣れた──そこは千里浜といいまして、砂浜がずっときれいなところが並んでいるんですけど──地形が変わっていたということで、砂浜が消えて、全てではないと思いますけど、岩が隆起していた。こんな光景になっているというふうなことを聞いて、改めて巨大地震の恐ろしさを感じたし、そこで避難所生活することの大変さを感じた、あるいは支援することの大切さを感じたというのを聞きましたので、ぜひ県からも、宿泊費800円で本当に5000人ぐらいの方が向こうへ行かれていると聞いておりますから、そういう職員さんの御意見を聞きながら、温かいというか心の通った防災計画につくり上げていただけたらと思います。
2問目になります。
広域避難の有効性についてです。
和歌山市では、市内のホテルや旅館を避難所として活用できるよう、災害協定締結事業所の取組を進めているようです。災害関連死のリスクやストレスを伴う避難所生活から早い段階で県内外のホテル、旅館など、二次避難などの広域避難を検討すべきですから、災害時要配慮者の方々の二次避難の在り方に関しても考えるべきだと思います。
以上の観点から、広域避難の有効性について、危機管理監にお尋ねいたします。
○議長(濱口太史君) 危機管理監福田充宏君。
〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 議員御指摘のとおり、避難所での生活は多大な心身負担を伴うものであることから、日常生活に近い環境である旅館、ホテル等への二次避難は、避難者の負担軽減を図る上での有効な選択肢であると考えています。
県では、紀伊半島大水害等の教訓を踏まえ、旅館、ホテル等での二次避難者の受入れについて協定を締結しております。
また、災害時要配慮者の避難生活の支援として、市町村避難所運営マニュアル作成モデルの中で、一般の居住エリアとは別に福祉スペースを設け、必要とする支援に配慮することや、開設した福祉避難所への避難についても示しているところです。
今後、能登半島地震の被害状況やその対応を検証し、災害時要配慮者の方を含めた広域避難の有効性について検討してまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えをいただきまして、今言いましたように、災害協定締結事業所というのを、市内をちょっと回っていますと突然こんなステッカーが貼られているホテルがあったんですね。これ、悪いことじゃないと思います。突然和歌山市から届けられたと聞きまして、これは、今回の災害を鑑みて、すぐに行動して、過去に締結したところを多分市が回ったんだと思いますけども、こういう意識高揚をしているということもありますので、ぜひ支援をいただきたいと思います。
それでは、最後になります。
防災に係る人材の育成についてです。
今回のような大規模災害が発生したとき、地域の方々がリーダーを中心として主体的に避難所運営を担うことが大事だと思いました。県として、避難所運営をはじめとする地域防災活動の中核となる人材育成を行い、防災の裾野を広げることが大事になってきます。
能登半島地震を踏まえ、地域防災活動を担う人材育成のための県の取組について、危機管理監のお考えをお聞かせください。
○議長(濱口太史君) 危機管理監。
〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 県では、地域の防災力向上を目指し、2005年度から紀の国防災人づくり塾を開催し、自主防災組織など、地域の防災活動の中核を担う防災リーダーの育成に取り組んでいます。
また、地域住民が主体的に避難所運営を進めるに当たり、その中心となる人材育成が重要であるため、2014年度からの5年間で、全市町村において避難所運営リーダー養成講座を開催いたしました。2019年度からは市町村が人材育成に取り組み、昨年6月時点で合わせて7000人を超える避難所運営リーダーを養成し、地域住民と市町村職員が協力して避難所運営ができる体制づくりを進めております。
引き続き、地域の防災リーダーの育成に努めるとともに、避難所運営リーダーについては、能登半島地震における被災地支援で得た知見を養成講座に盛り込むなど、人材育成をしっかりと行い、地域防災力のさらなる向上を図ってまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、お答えいただきました。ありがとうございます。
今回、「早寝早起き朝ごはん」、医療的ケア児等支援センターの設置、大阪・関西万博の和歌山ゾーンの活用といったように、あとJR和歌山駅の再整備も含めて、令和6年、新年度以降、県民の皆さんが期待の持てる政策について質疑を交わさせていただきました。前向きに進めていただきたいと思いますし、今議論した避難所の問題については、これはやっぱり大災害の備え、これも多くの県民の皆さんの重要な関心事項であります。しっかり安心・安全を提供できる県政であってほしいということをお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
1番坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕(拍手)
○坂本佳隆君 自由民主党県議団、坂本佳隆です。
昨年の4月に県議会議員の末席に送っていただきまして、今回、令和6年度、新年度予算の審議に初めて参加させていただきました。また、今回の一般質問の機会をいただきました諸先輩議員の皆様方に感謝を申し上げ、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問に入らせていただきたいと存じます。
まず初めに、元日に発生いたしました石川県能登半島地震によりお亡くなりになられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された多くの方々に心よりのお見舞いを申し上げます。また、被災地では、今なお多くの方々が将来に不安を抱えながら不自由な避難生活を余儀なくされております。早期の復旧・復興並びに心穏やかな生活が一日でも早く取り戻せますよう、心よりお祈りを申し上げます。
元旦、私は、地元の神社での初詣を済ませ、夜から両親、また妹家族との食事の支度を始めておりました午後4時10分過ぎに、テレビのアナウンサーの絶叫に近い避難の呼びかけに一瞬凍りついたことを覚えております。
最大震度7を観測しました今回の地震は、発災当初は被害の全容が分からないことに加え、救助や支援に向かう関係者も、寸断された道路網により、被災地になかなかたどり着けないなど、初動の難しさが見られました。そんな状況においても、近隣同士の共助により助かった命があったことが報道により伝えられておりました。和歌山県では、今後30年以内に70%から80%の確率で起こると言われております南海トラフ地震の発生が危惧されており、決して他人事ではありません。私たちは災害時、まずは自助、そして共助が大切であることを改めて心に留めておかなければなりません。
そんな中、和歌山県では、早々に緊急消防援助隊を現地に派遣し、関西広域連合としてのカウンターパートである能登町をはじめとする石川県内に、県の職員、また市町村の職員はじめ、警察、DMAT、各種団体、また多くのボランティアの皆様方が次々と手厚い被災地支援に御尽力をいただいておりますこと、心から敬意を表したいと存じます。
また、岸本知事は、1月の10日の年始の記者会見で、能登半島地震を受けて、和歌山県も同じ半島で他人事ではない、被災地に派遣をしている県職員についても、被災地支援と同時に、半島独自の災害の状況、復旧、支援についてしっかりと勉強してもらい、県の防災体制を見直すきっかけにしたい、また、2月の13日の会見では、今回の地震から和歌山県内の課題も非常に多く見えてきた地域防災計画の見直しに加え、計画の枠外についても抜本的な体制の見直しが必要だと述べられておりました。私も知事の認識と同じく、地理的な共通点の多さに危機感を持っております。
危機管理の要諦は、考えられないことを考える、考えたくないことを考えると聞いたことがあります。初日より諸先輩議員の多くの皆様方も御質問をされておりますが、その点を踏まえて、私からの質問に入らせていただきたいと思います。
まず、能登半島地震の課題を反映した和歌山県の防災行政について、支援物資の受入れ、また輸送体制についてであります。
今回発生した地震は、最大震度7を記録し、2月28日時点で死者241名、住家被害が7万4792戸と、能登半島で甚大な被害が発生いたしました。能登半島という地理的な特徴から、交通アクセスが限られた地域で、被害の大きかった地域につながるのと里山海道及び国道249号をはじめとする主要道路、緊急輸送道路が寸断され、地震直後は重機などで土砂を取り除き、緊急車両が通れるようにする道路啓開が行われますが、土砂崩れの多発で重機の投入が難しく、半島にたどり着く道路も限られていたことが支援物資の輸送が著しく滞る要因になったと認識しております。
海岸に山が迫り、沿岸部や山間部に道路が走る地理的条件や人口構成等が類似している和歌山県においても、能登半島と同様の課題が見込まれます。そのような状況を踏まえ、本県において南海トラフ地震が発生し、道路が寸断された場合の和歌山県における支援物資の受入れ体制、また、輸送体制などをどのように考えているか、危機管理監にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
危機管理監福田充宏君。
〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 南海トラフ地震発生時における国や企業等からの支援物資の受入れ、輸送体制等については、和歌山県広域受援計画において定めており、今回の能登半島地震のように、道路の寸断が多数発生し、陸路による支援物資の輸送が困難な場合は、空路、海路により輸送することとしております。
空路については、自衛隊や海上保安庁等に応援を要請し、大型ヘリコプターで広域防災拠点へ輸送を、孤立集落に対しては、小型ヘリコプターで近隣のヘリコプター離発着場へ輸送することとなります。
海路についても、自衛隊や海上保安庁等に応援を要請し、海上輸送拠点である和歌山下津港、文里港、新宮港から最寄りの広域防災拠点まで輸送を実施します。
能登半島地震においては、能登半島沖まで海上自衛隊の輸送艦により支援物資が輸送され、その艦上から陸上自衛隊の大型ヘリコプターにより被災地域まで輸送されていたところです。県といたしましては、今回の能登半島地震を受け、空路、海路の重要性を再認識したところであり、能登半島地震における物資の受入れ、輸送体制を検証した上で、避難所等に支援物資を確実に届けられる輸送体制の構築を目指してまいります。
○議長(濱口太史君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁ありがとうございました。
そういう状況を踏まえていただきまして、先般1月の29日には、国土交通省の港湾のほうで、御坊、また由良の町長、また職員含め150人ほどが参加をした孤立地域を想定した海上輸送の訓練も行われたと聞いております。引き続きこういう訓練、また、今おっしゃっていただきましたヘリ等での訓練も行っていただいて、備えに努めていただきたいと思います。
続きまして、災害備蓄の状況についての質問です。
能登半島での震災は、道路網の寸断で孤立集落が発生し、水道の断水など、孤立無援の被災者が多数存在いたしました。
備蓄物資は被害想定に基づいて準備をされますが、今回、石川県では、策定されていた地震被害想定は1998年に公表されて以降26年間更新をされず、災害予測も今回の被害を大幅に下回るものであったということであります。市町村の地域防災計画が古い想定で策定されていたことや、元日で観光や帰省している人が多かったことから、地震発生初日に備蓄物資が底をついた自治体もあったとのことであります。
県の役割といたしましては、被災市町村の体制、発災から3日間における被災者の生命維持に最低必要な物資などを計画的に備蓄し、市町村の供給活動を支援するようになっていると思いますが、今回のように長期の孤立化、発災時期──今回は元日、また本県に言い換えますと観光シーズン等──に住民以外の想定以上の被災者、避難者が出ることも十分考えられます。知事も会見で、各家庭に向け、少なくとも1週間は自助で賄えるような準備が必要だと。公的機関についても、どの程度の期間持ちこたえられるように準備が必要か、改めて検討したいと述べられております。
以上を踏まえ、県の保管備蓄と市町村の保管備蓄の相互情報の把握と共有と備蓄量の再構築など、災害備蓄の状況について、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 備蓄物資については、避難所以外で必要とする方も想定した上で、発災後3日間における必要量を県、市町村、県民の3者で分担して備蓄する方針としております。
県では、東日本大震災を教訓に、備蓄品目の見直しを行っており、現在、アルファ化米などの長期保存食を約30万食、2リットル入り飲料水を約10万本、携帯トイレ約30万個などを直接備蓄しています。加えて、事業者との間で災害時の物資調達協定を締結し、必要量を確保することとしています。
また、保存期間が短い粉ミルクや日常生活に欠かせない生理用品等については、それらを使用している社会福祉施設等において、常に一定量の在庫を確保していただくことで備蓄を進めているところです。
能登半島地震を踏まえ、様々な防災対策の検証をしていく中で、本県の備蓄の在り方についても検討してまいります。
○議長(濱口太史君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁ありがとうございます。
公的な支援が数日間入らない事態も想定した、また、防災計画を定めるなどの備えを再考していただきたいと思います。
また、内閣府のほうでは、自治体ごとに女性や乳児向けの物資の備蓄状況、また、防災担当の女性職員の割合を見える化するという動きもございます。初日に森先生も御質問されておりましたが、様々な女性視点で備蓄の資材を検証していく、また、先ほど片桐先生の話にもございました避難所での更衣室とか、授乳スペースがない避難所も多かったと聞いております。このように、女性の視点に立った対応も課題だと思っておりますので、今度見直される予定にしております防災計画の中でも、会議等にも女性の職員や、防災会議で女性委員の割合も考えていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。
続きまして、通信手段の確保ということで質問を進めてまいります。
今回の地震対応では、支援輸送道路の確保、物資輸送の遅れなど、幾つかの課題や障害が発生いたしました。携帯電話などの通信障害もその一つと考えます。発生から5日を過ぎても200人超の安否不明となるなど、この背景には通信障害の長期化も影響していると思われます。
総務省によりますと、NTTドコモなど、通信大手4社の携帯電話基地局は、今回の地震発生から2週間たった1月14日時点でも215局が停止しており、被災地では携帯電話が利用できない、つながりにくい状態であったようであります。道路の寸断もあって、基地局に立ち入るのが困難な場所も多く、復旧作業が難航しております。
本県の地形も半島で、同じような状況になることが容易に想像できます。孤立した集落にも情報の伝達ができるよう、通信会社と連携し、通信の確保や復旧作業の強化を図り、僻地を含めて早期に通信環境を復旧させる知見を蓄えておく必要があると考えますが、本県の大規模災害時の通信障害等への対応はどのようになっているのか、企画部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 企画部長前 昌治君。
〔前 昌治君、登壇〕
○企画部長(前 昌治君) 地震等の大規模災害発生時には、災害対策本部の指揮の下、企画部のデジタル社会推進課が通信施設の被害状況等の情報収集や、通信事業者との連絡調整等を行うこととなっています。
また、現地の状況をいち早く的確に把握するため、通信事業者には可能な限り災害対策本部にリエゾンを派遣して、情報共有の強化を図ることを要請しています。
議員御指摘のとおり、本県の地形は石川県と同じような半島で、災害時に道路が土砂等で塞がれるおそれがあるため、通信事業者と災害支援に関する協定を締結し、復旧作業に支障となる土砂等の除去や、資材を運び込むための用地の提供など、迅速な復旧に向けた支援体制を整えているところです。
さらに、通信状況の不安定な能登半島で活用された人工衛星経由のモバイル通信ネットワーク「スターリンク」や船上基地局の配備を事業者に要請することも含め、災害時にはあらゆる手段を講じて早期に通信障害を解消できるよう取り組んでまいります。
今後とも、通信事業者等との定期的な訓練を通じて、有事への備えを万全にするとともに、災害時には通信確保や応急復旧を迅速に実施できるよう努めてまいります。
○議長(濱口太史君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 次の質問に参ります。
災害時の先端技術を活用した市町村支援についてでございます。
能登半島地震の現場では、災害支援に活用できる新たな技術が続々と投入をされています。今回の地震は、とりわけ道路や電気、通信など、ライフライン被害の復旧に時間を要しておりますが、困難な状況の打開にドローンを利用した例も少なくはありません。
ドローン関連企業でつくる日本UAS産業振興協議会──俗に言うJUIDA──によりますと、今回の地震では、発災直後の捜索活動はもちろん、孤立集落への医薬品の輸送、また、被災をした橋梁の検査、地滑りが起き、土砂が川をせき止める土砂ダムの警戒監視など、様々な用途でドローンが使われました。人が近づけない危険な場所が多ければ、ドローンの有用性も高いと話しておられました。
本県では、小規模な市町村も多く、人口減少に伴う少子高齢化や過疎化、災害の激甚化、頻発化により、災害対応に当たる人員も不足していくと予想される中、被災情報の収集や物資輸送など、ドローンを活用した災害対応は非常に有効な手段と考えますが、ドローンを活用した市町村の災害対応力を向上させるために、和歌山県では今後どのような支援を行っていくのか、危機管理監にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 危機管理監。
〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 本県は、石川県と同様に半島地域という特性を持ち、大規模地震などの災害が発生した場合には、能登半島地震のように陸路が寸断され、孤立集落が多数発生することが見込まれます。
このような中、物資輸送をはじめ、被害情報の収集やスピーカーを搭載した機体による避難誘導など、様々な用途を持つドローンの活用は、今後の災害対応において必要不可欠なものであると認識しています。
そのため、県では、災害時における市町村のドローンの活用促進を目的としたガイドラインを今年度作成し、市町村の災害対応を支援することとしています。
さらに、2024年度の当初予算案においては、市町村が災害対応に使用するドローンの機体導入費用や職員の操縦資格取得費用などを対象とした補助金を計上しているところでございます。
県といたしましては、このような技術的、財政的な支援を行うことで、ドローンを活用した市町村の災害対応力の向上を図ってまいります。
○議長(濱口太史君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁ありがとうございます。
ここで言う先端技術、今回はドローンのことを御質問させていただきましたが、今回の能登の震災では、バイオディーゼルエンジンを使って発電をする移動式充電器とか、先ほど企画部長がお答えいただいたスターリンクとか、様々な先端技術を防災、復旧に活用していただいております。こういった民間企業や業界団体の能力や知見を復興支援が求められる場面で最大限に活用できるよう、そういう想定をした連携協定をまた締結していくことも重要かと思います。行政同士の連携にプラスして、民間の知恵や能力を活用する仕組みを形にできないかという問題意識を常に持っておいていただきたいと思います。
続きまして、避難行動要支援者の個別避難計画作成の推進についてであります。
これ、昨日も鈴木德久議員も御質問をされておりましたが、私の観点でも再度御質問をさせていただきます。
災害対策基本法により、市町村に避難行動要支援者を把握するための避難行動要支援者名簿の作成が義務づけられております。さらに、その名簿を基に、一人一人が支援者、そして具体的な避難の方法をあらかじめ決めた個別計画を作成することを推奨しております。
個別計画の作成状況は、2023年3月時点で14%とのことでございますが、作成には個人情報を記載することから、開示を拒否されたり、支援する民生委員の皆さん方の不足のため、支援者を見つけることが難しいなど、現場は大変苦労しているのが実情だろうと思います。こんな中、市町村の担当者は粘り強く取組を進めておりますが、大きな進捗が見込めないのが現実であると思っております。
そこで、ふだんから要支援者と接する方に個別計画づくりをサポートしてもらう、その必要性を広めるなど、異なる視点からのアプローチが求められるのではないでしょうか。
兵庫県では、令和2年度から、ケアマネ、相談支援専門員等の福祉専門職が地域と共に避難のための個別計画を作成する取組を始めております。これは、平常時のケアプラン等の作成に合わせて個別計画を作成し、更新をした場合に、福祉専門職が所属する事業者に対し、各市町村を通じて報酬を支払うものであります。このように、防災と介護が連携をして避難行動要支援者の個別計画作成推進を図り、その上で未作成の現状把握とその要因分析を行い、1人でも多くの命を救えるように実行していく必要があると思います。
こういった以上のことを踏まえ、避難行動要支援者の個別避難計画作成の推進に向けた県の取組につきまして、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 避難行動要支援者の個別避難計画は、県内全市町村で作成が進められていますが、進捗状況には開きがあり、着手したばかりの市町村もあります。
今後、さらに計画の作成を進めるためには、議員御指摘のとおり、日頃からケアプラン等の作成を通じて、要支援者本人の状況をよく把握している介護支援専門員や相談支援専門員など、福祉専門職の方々の参画を得ることも有効な手段の一つであると考えられます。
県といたしましては、このような先行事例を市町村に情報提供することにより、計画の早期作成を働きかけてまいります。
○議長(濱口太史君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁いただきました。
私の暮らす紀の川市も、今年度の予算で、5年計画でこの個別計画を進めるということになっておりますので、引き続き、県下の市町村の皆様方には、こういう先行事例も御紹介いただいて、早期に進捗するように進めていただきたいと存じます。
続きまして、防災教育の取組ということで質問を進めます。
能登半島地震の被災地では、各地で学校が再開して、ようやく子供たちも日常生活を取り戻してきております。今回の地震の発生は元旦ということで、ほとんどの子供は親御さんと御家庭での被災だったと思われますが、これが朝夕の登下校中であったり、教室での授業中であったり、また放課後であったり、いつどこで被災をするかは分かりません。災害は今日にでも起こるかもしれないのです。
そこで、ふだんからの避難訓練とともに、防災教育が重要であると考えます。
令和元年の12月5日に、文科省から、自然災害に対する学校防災体制の強化及び実践的な防災教育の推進についての依頼が出されております。この通達は、東日本大震災の津波被害による大川小学校事故訴訟で、校長や教育委員会に過失があったとして自治体に損害賠償を命じた判決が最高裁で確定いたしました。当時、現場の教職員の皆さんも懸命に子供たちの命を守ろうとされたと思いますが、震災前の学校の防災体制の不備が認められるという非常に重い判決が下され、国もこの裁判結果を重く受け止め、発出したものであります。
目指すべきは、児童生徒が自分自身のみで逃げるための方法を教え、実行できるスキルを身につけさせることではないかと思います。
防災教育は、子供自身が防災の知識を身につけ、自分で安全を確保できるようにするため、さらには、先生がいない場合を想定し、自分たちで避難経路や注意事項を話し合ったり、実際に避難してみて振り返りを行うなど、より実践的な避難訓練や防災の専門家を交えるなどの工夫も全ての学校で必要ではないでしょうか。とにもかくにも、学校での自然災害による被害をなくしていくところには、惜しみなく不断の努力を積み重ねていっていただきたいと思います。
そこで、学校における災害に対する備えと防災教育の取組について、教育長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 予測困難な災害に対し、児童生徒が日頃から防災への意識を高め、主体的に考え、判断、行動し、自他の命を守ることができる力を、防災教育を通じて育むことが必要であります。
小中学校では、地域における過去の災害の教訓や防災マップ作り等を通じて、自ら安全な行動ができる力と、周囲の人と協力して危機を回避できる力を育んでいます。
また、県立学校では、毎年、高校生防災スクールを実施し、心肺蘇生法や避難所運営など、地域と連携したより実践的な訓練に取り組み、地域防災の担い手の育成を図っています。
さらに、教職員に対しては、全ての校種の防災担当者を対象とした研修会を実施し、各学校の危機管理マニュアルの改善や、教職員の判断力と行動力を高めるように働きかけています。
今後、本年1月に発生した能登半島地震の教訓を踏まえ、近い将来発生が懸念される南海トラフ巨大地震に備えるために、より一層防災教育の充実と推進を図ってまいります。
○議長(濱口太史君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁ありがとうございました。
日頃からの訓練や教育によって災害対応を身につけることは、大変大事なことであると思いますので、引き続き防災教育のほうを、取組をよろしくお願いをいたします。
それでは、次の質問に移ります。
京奈和自動車道紀の川インターチェンジ出入口の閉鎖についてであります。
私ども紀の川市を通る京奈和自動車道では、昨年の12月5日よりインターチェンジの通行止めとなっております。
12月5日の午前10時40分頃に、利用者からの通報で、延長90メートルにわたって路面にひび割れが複数発見され、午前11時10分から入り口車線が、また、午後の7時から出口車線の通行止めが実施をされました。年末年始を控え、通常の利用者に加え、物流や商用利用、帰省の利用客など、様々な方面で影響が出ましたが、それから3か月が過ぎた今現在も通行止め解除のめどが見えてきません。
通行止めが長期化してきたため、迂回する車が近隣の農道に入ったり、沿線の物産販売店、またコンビニエンスストアやガソリンスタンド、ビジネスホテルなどの売上げや従業員のシフト、また、インターチェンジ周辺には11社の企業団地があり、紀の川市の地域経済にも少なからず影響が出始めているのは否めません。
私も、様々な方面からの現状のお問合せをいただきます。先般、紀の川市長の岸本市長も、河川国道事務所のほうに早期の復旧に向けた要望を重ねていただいております。一日でも早く通行止め解除が望まれますが、このような状況を踏まえた県の御認識について、県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 京奈和自動車道紀の川インターチェンジにおいて、昨年12月5日に路面変状が確認され、同日からインターチェンジ出入口が通行止めとなっております。
道路管理者である国は、インターチェンジの早期の利用再開が困難であると判断し、通行止めによる周辺への交通影響を最小限にするため、有識者、行政、高速道路会社などから構成される交通マネジメント検討会を12月13日に設置しました。この検討会において、周辺道路の交通状況を把握するとともに、生活道路等に交通を流入させない対策を検討し、それを基に国が案内看板等を設置するなどの交通誘導を実施しております。
このような対策により、現在のところ、周辺道路において通行止めによる混雑の発生や京奈和道本線への影響も確認されていないとの報告を国から受けております。
また、国は、ボーリング調査などの現地調査を実施しており、2月29日に開催された学識経験者などが参画する路面変状対策検討委員会において事象の原因特定や対策方針が決定され、今後、この結果を踏まえ、詳細な設計を進めることなどが3月1日に公表されました。
なお、今後の取組状況や開放時期については国から適宜公表されるとのことですが、通行止めが長期に及んでおり、県としては、一日も早く対策工事を完成させ、インターチェンジの利用が再開できるよう、引き続き国に強く働きかけてまいります。
○議長(濱口太史君) 坂本佳隆君。
〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁ありがとうございます。
管轄は国のほうですので、ちょっと質問は筋違いなのかと思いましたが、ぜひとも県のほうからも、早期復旧に向けて力強い御支援をよろしくお願いいたします。
新年度の予算では、学校給食の無償化等、知事の思いが詰まった予算をつくっていただいております。また、将来に向けた投資だということで、様々な予算編成がされております。
しかし、能登半島地震が発生し、防災分野でのまた新たな課題も見えてまいりました。本県でも、昨年6月の和歌山県で初めて発生しました線状降水帯による豪雨災害等、インフラ、また老朽化インフラの強靱化、また河川のしゅんせつ等々、これもまた未来への投資かと思います。時刻々と変化をする状況に、限られた財源で何をするか、難しいかじ取りが求められていると思いますが、岸本知事におきましては、子供からお年を重ねられた全ての和歌山県民が安全・安心で暮らせる和歌山県政の運営に改めて努めていただきたいとお願いを申し上げ、私の一般質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、坂本佳隆君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時38分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(中本浩精君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
22番山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)
○山家敏宏君 こんにちは。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告書に従い、一般質問を行います。
まず最初に、土木費予算について質問いたします。
令和6年度当初土木費予算は約758億円、令和5年度当初土木費予算は約755億円であり、比較すると3億円余り、0.4%の微増となっています。しかしながら、昨今の人件費高騰と資材高騰により、0.4%の微増では実質事業量が減っていると考えられます。
人件費については、公共工事設計労務単価全国全職種平均値によりますと、全職種では、平成24年度から令和6年3月比では75.3%の上昇、主要12職種では、平成24年度から令和6年3月比では75.7%の上昇となっており、土木工事では、主要12職種にほぼ該当しますので、令和5年度労務単価と令和6年度労務単価を比較しましても、6.2%の単価増となっております。
資材については、建設物価令和5年1月号と令和6年1月号を比較しますと、鉄筋トン当たり11万3000円から11万2000円になり0.9%減、型枠については、1枚2460円から2000円になり18%減となっています。これは、アイアンショックとウッドショックが落ち着いたものが要因だと考えております。
コンクリートについては、1立米当たり1万9500円から2万3600円になり、21%の増となっています。
アスファルト単価は横ばいになっております。
一般的に土木工事費に占める割合が高いのは、人件費と二次製品を含めたコンクリート、アスファルトになるため、令和6年度は、事業量が大きく減ったと認識します。このことにより、災害を未然に防ぐためのハード整備の遅れ、建設業担い手不足の問題解消への遅れが生じるのではないかと危惧しています。
建設業が社会資本整備の担い手や地域の守り手として持続的に役割を果たしていくため、本県で取り組んでいる週休2日工事の発注の徹底による実労働時間の縮減や、休日確保をはじめ、ICT活用工事の拡大などによる生産性の向上など、建設業の担い手確保に資する環境整備も重要であり、担い手不足解消には一定の効果があると思いますが、やはり安定した事業量が最も重要だと考えています。
昨年12月議会で、玄素議員の質問の内容の中で、県民の事業者の方からも、やっぱり事業量、減らされていくのかなというようなことを聞いたりするという話でしたけども、私も最近、同じような話を工事事業者だけでなく、他業種の方からも聞くようになりました。
私は、岸本知事の選挙期間中、有田郡を回るときには応援団の一人として同行させていただきました。そのときの知事の発言では、公共工事の重要性を訴えておられました。和歌山県には多くのお金があります。10年先、20年先まで見通せて安心して工事が発注されるとなれば、新規雇用も可能であり、安心してユンボ等の重機も購入できるという趣旨の話でした。本県には潤沢にお金があるという話以外は私も同感であり、これで住民の皆様が心配しております護岸整備、道路整備、しゅんせつ等も一気に加速していくと思い、当時安心したのをはっきりと覚えております。
しかし、知事就任後、昨年2月には財政危機警報を発表したことは、私の中では大変な驚きでありました。
私は、今後の人件費高騰、資材高騰を踏まえつつ、県民の生命と財産を守るため、また担い手育成のためにも、今後、土木費予算の増強が必要と考えていますが、知事の土木費予算についての考えについて、答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ただいまの御質問にお答えを申し上げます。
土木費予算につきましては、私も山家議員と全く同じ所感を持っております。
なお、一昨年の選挙の中で、お金が大きいというのは、当時の私の認識からしますと、和歌山県は6000億を超える大変予算の規模の大きい事業を行っているという趣旨で申し上げたものと考えておりますけれども、その後、建設業協会の皆さんとも、選挙前、選挙後、ずっと意見交換しておりますが、一貫して申し上げていますことは、地域地域の建設業者の方が生き残っていただかないと、一旦災害が起きた際に、その集落が孤立したりしたときにはどうしようもならないんですと、したがいまして、どんな地域であろうとも、建設業者の方がそこで生き残っていただくための事業の発注は必須でありますと、そのことによって、人材を確保し、重機を確保していただくということは申し上げてきておりますし、その信念に一つの揺らぎもございません。
実際、今回、能登町で起きましたことは、しばらく道路が寸断して孤立したときに、能登町の瓦礫を最初に片づけたのは、能登町の建設業者の重機でありました。そのことは本当に、建設業協会の皆さんとは意識を同じくしているつもりでございます。その上で、県民がどんな地域に住まわれていても、安心で心豊かに暮らせる社会づくりのために、県土整備部の予算で、南海トラフ地震や激甚化する水害、土砂災害への備え、さらには高速道路ネットワーク等の整備などの防災・減災対策をはじめとする社会資本整備を推進することとしております。
また、公共事業の事業量につきましては、ともかく減らすことはしておりません。今回の予算を見ていただきましても、きちんと事業量を確保しています。ただ、今後は、その事業量を確保する中で、当初予算で借金の返済がどうしても県の負担が大きくなる事業を減らして、むしろ借金の返済で国の持ち出しが多くなる国土強靱化の補正を使うなどして、ともかく国土強靱化の予算を使った上での一定量の公共事業の確保は、これは必死で頑張って守っていきたいと思っております。
その上で、1個、今、山家議員が御指摘いただきましたように、資材価格が高騰しております。そうしますと、予算の規模が確保されましても事業量が、進捗する事業が単価の増加分、あるいは人件費の増加分、減るようなことがあるかもしれません。その場合でも、できる限り、工法を工夫させていただくとか事業量を確保するような知恵を、これは官民合わせて、うちの県土整備部の技術者も、また民間の建設業の技術者の方も、力を合わせ知恵を出していくということだと思いますし、先ほども言いましたように、賢いやりくりで、できる限り財源の余裕のある、借金の返済が国の持ち出しが多いものをできる限り採択していくという努力もしながら、きちんと事業の量は確保していきたいと考えておりますので、御理解賜りたいと存じます。
○副議長(中本浩精君) 山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 知事、事業量を確保していただけるということで、ぜひお願いしたいと思います。
それで、先ほど知事と私も全く同じ意見なんですけども、いざ災害が起こったら、今よくICTの活用とかいろいろ言われていますけども、やっぱり熟練した現場で作業できる方のマンパワーが一番大切だと思うんで、引き続いてよろしくお願いして、また補正予算、来年度予算も本当に楽しみにしておりますので、よろしくお願いいたします。
続いて、林道整備、林道整備の加速化について質問いたします。
本県の森林は、他府県に比べると急峻で、林道も少なく、木材の伐採搬出コストが割高であるため、林道事業については、基本的に市町村が実施するものでありますが、これまでも、県は市町村が行う補助林道事業に対して支援を行ってきております。
この林道整備の加速化を図るため、市町村事業に対する補助率の引上げ等の予算として9億2084万円、県代行事業の実施予算8000万円が上程されております。
この補助率の引上げ部分についてでありますが、林道の開設に対して10%から25%に引き上げ、大型車両の通行に必要な既設林道の改良に対して5%から15%引上げ予定となっています。林道整備の加速化は、重要であると考えております。
しかし、県補助率を引き上げることによって、市町村の予算の軽減につながりますが、軽減できた予算が別の予算に使われますと、従来の計画どおりになり、林道整備の加速化にはつながりません。この林道整備に使われる市町村予算を維持しながら、どのように林道整備を加速させていくのか、農林水産部長の答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 農林水産部長山本佳之君。
〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 林道整備につきましては、進度を加速させるため、来年度から市町村への県の補助率をかさ上げし、事業量の増大により進めることとしています。
このため、市町村に対しては、現行の負担額を減らすことなく事業を実施するよう強く促すとともに、県では来年度に和歌山県林道整備計画を策定し、その進捗を管理してまいります。
○副議長(中本浩精君) 山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 先ほども申しましたけども、林道整備の加速化については、重要だと考えております。ただ、市町村の財政事情もあるため、市町村ともきっちりと丁寧に協議して、それを踏まえた上で、和歌山県林道整備計画を策定するよう要望し、次の質問に移ります。
続いて、林道技術者の育成について質問いたします。
先月、林業従事者の方と話をさせていただく機会があり、林業に関して多くの課題点をお聞かせいただきました。
その中の一つの課題として、市町村が管理する林道は、丸太を積んだ大型車両が通行するため、路面が傷み、その修繕が追いつかず、切実な課題となっているとのことです。
修繕が追いつかない理由は、様々な要因があると思いますが、その要因の一つには、傷んだ状況に応じた補助制度の運用や設計、積算などの技術力が必要となりますが、市町村では、林道に対する技術者が少なく、市町村道や農道の業務と兼務しているところもあると聞いています。そのため、補助制度の運用など多岐にわたり、兼務ではなかなか難しい部分があります。
市町村職員だけでなく、県職員においても、来年度、県代行の林道整備を新たに着手するとのことですが、県職員の林道技術に関する再構築も懸念されているのではないかと心配しております。
そのような中、今後、林道整備を進める上で、県職員の林道技術者の育成はもちろんですが、県として、市町村職員に対しても補助制度の運用に関するサポートや林道技術者育成に対してのサポートが重要であると考えていますが、農林水産部長の答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 農林水産部長。
〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 議員御指摘のとおり、林道整備の推進において、林道技術者の育成は重要と認識しています。
このため、県が市町村や県の林道技術者を対象に、林道計画や災害復旧などの技術力を向上させる研修を毎年開催しているところです。
今後は、さらに設計積算、施工管理などの技術や国、県の支援制度の習得など、研修内容の拡充を図るとともに、必要に応じ市町村林道技術者の業務をサポートしてまいります。
○副議長(中本浩精君) 山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 市町村に対して、本当に誠実なサポートをよろしくお願いいたします。
続いて、災害対策、木造住宅の耐震改修費の負担低減策について質問いたします。
今回の能登半島地震を受けて、国土交通省が実施した木造建築物の被害調査結果が2月14日に公表されました。その中では、比較的古い木造住宅において甚大な被害が見られた一方で、建築年代の新しい建築物では、被害がない、また、軽い傾向が見られたとしております。
また、人的被害については、1月30日時点の警察庁のまとめによると、亡くなられた方の多くが住宅の倒壊による圧死等が原因とされています。
これらのことから、県民の命を守るには、古い木造住宅が地震により倒壊しないこと、倒壊しても生存空間が確保されること、すなわち耐震化等の対策の必要性を再認識したところです。
木造住宅等の耐震基準は、過去の地震被害を踏まえ段階的に強化されており、昭和46年の基礎のコンクリート化や壁量強化、昭和56年のさらなる壁量強化、平成12年には、緊結金物の設置、壁のバランス配置等について基準が設けられました。
建築物の老朽化もありますが、当然のことながら、古い木造住宅ほど耐震性が劣る傾向にあり、耐震改修に係る費用は高額となります。
また、少子高齢化、核家族化の進展等に伴い、古い木造住宅の所有者は、耐震化に取り組みづらい高齢者が多くなるなど、耐震化には厳しい環境にあります。
和歌山県では、県、市町村が連携し、平成16年から木造住宅の耐震化に関わる支援を開始しており、この課題に対応するために、これまで様々な取組を行ってきた結果、現在、補助実績は増加傾向にあると承知しています。しかしながら、能登半島地震における被害状況や近年の物価高、人手不足による工事費の高騰を踏まえれば、さらなるてこ入れが必要ではないかと考えます。
そこで、特に効果が大きいと考える耐震改修費用の負担低減の観点からお伺いいたします。
まず、県では、耐震改修費を抑えるため、工事費が安価となる、あるいは工期が短くなる低コスト工法の普及に取り組まれていると思うが、その状況はいかがでしょうか。
次に、耐震改修の補助金の増額についてです。
現在、県と市町村による66万6000円に、国からの支援の上限50万円を加え、最大で116万6000円と理解しております。
この補助金については、制度開始の平成16年は最大60万円でありましたが、拡充された国支援制度等を活用し、現在のようになっています。
国において補助限度額のかさ上げなどの制度拡充がなされれば、補助金の増額につながることから、国に対して支援制度の拡充を働きかけていくことも重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
以上2点について、県土整備部長に答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 県土整備部長福本仁志君。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 県では、住宅の耐震化を県民の命を守るための重要な施策の一つとして位置づけ、市町村と共に無料の耐震診断をはじめ、耐震改修への定額補助など、自己負担の低減を図るための様々な取組を行っています。
また、天井や床を撤去せずに壁を補強するなどの低コスト工法の普及を図るため、事業者向けの講習会を実施するとともに、所有者向けにパンフレットを作成し、周知を図ってまいりました。
さらに、今般の能登半島地震を受け、低コスト工法や補助制度などのさらなる普及について、建築関係団体や市町村と検討を開始したところです。その中で、当該工法を用いた建築士からは、工事費の低減や工期の短縮への効果が大きいと報告を受けており、そのような点を積極的に周知してまいります。
また、国支援制度における補助限度額のかさ上げ等の制度拡充は、さらなる自己負担の低減に資するものであることから、補助事業主体である市町村の意見も踏まえ、引き続き必要な措置を国に要望してまいりたいと考えています。
○副議長(中本浩精君) 山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 低コスト工法についてですが、事業者向けの講習会の実施、所有者の方々に向けての周知との答弁ですけども、特に所有者の方々に向けての周知に重点を置くほうが耐震化率向上につながると考えますので、このことも踏まえて、引き続いて取り組んでいただくようお願いいたします。
そして、2点目の補助限度額のかさ上げ等の制度拡充については、国が、例えば上限70万円にしていただければ、県と市町村の負担も、現状66万6000円から70万円に増額する必要がありますが、最大で140万円の補助額となり、平成16年から令和4年までの本県の木造住宅改修工事費の統計では、120万円から140万円までの工事が最も多く、自己負担がかなり減少することにより、住宅耐震化が加速化できるため、国に対しての要望活動をお願い申し上げます。
次の質問に移ります。
仮設住宅供給体制について質問いたします。
能登半島地震から2か月以上経過しましたが、石川県では、2月29日時点で、この1か月で3000人程度減ったとはいえ、市町の一次避難所や、ホテル、旅館などの二次避難所などには、計1万1449人が避難されています。
現在、市町への応急仮設住宅の申込みが約7800戸なのに対し、着工戸数は3522戸にとどまっているのが現状です。
石川県知事の3月1日の記者会見では、仮設住宅を2月末時点で302戸完成し、それも含めて、3月末までに約4600戸の着工を予定し、6月末までの完成を目指すとされています。4月以降も、インフラの復旧状況などを踏まえ、市町による土地の確保を進め、必要戸数などを精査し、残りを夏頃までに完成させ、全ての希望者の入居にめどをつけるとのことです。
政府の地震調査委員会では、南海トラフ地震が20年以内に起こる確率が60%程度、30年以内に起こる確率が70%から80%程度、40年であれば90%になると発表されています。
本県では、あらゆる災害対策が急務ですが、仮設住宅の確保については、迅速な対応が重要になってきます。
そこで、本県の仮設住宅の供給体制について、どのような対策を講じているのか、県土整備部長に答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 県土整備部長。
〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 応急仮設住宅の供給については、和歌山県地域防災計画において、公営住宅等の一時提供や民間賃貸住宅の空室を活用した賃貸型の応急仮設住宅の提供を基本としており、協定を締結している不動産関係団体などと、今年度、具体的な手続を定めたマニュアルの作成などに取り組んでおります。
また、地域に十分な既存住宅ストックが存在しない場合には、建設型の応急仮設住宅を速やかに設置することとしており、協定を締結している建築関係団体と定期的に建設能力等の確認を行っております。
さらに、能登半島地震では、応急仮設住宅を建設する敷地の確保に時間を要していることから、市町村と連携して、既存建設候補地の敷地条件の確認や新たな候補地の検討を進めているところです。
県としましては、これらの応急仮設住宅を迅速かつ円滑に供給できるよう、引き続き体制の強化を進めてまいります。
○副議長(中本浩精君) 山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 引き続いて、よろしくお願いいたします。
続いて、最後の和歌山県事業再構築チャレンジ補助金の総括について質問いたします。
この事業については、令和5年2月1日から第1期を募集し、令和5年8月17日に第3期の申請受付が終了し、ホームページでは採択事業者等の公表もされていたところです。
補助実績額については、約22億円であったと聞いております。
昨年9月議会で堀議員が質問し、採択率が低いことから、できるだけ多くの事業者を支援してもらいたいとの質問と、補助金継続を望んでいるとの質問がございましたが、私自身も同じ思いであります。
しかしながら、この事業が令和6年度実施する予定がないということが残念でなりませんけども、今回は、採択された事業者に対して、持続的な事業運営のためのフォローアップが重要であると考えますが、商工観光労働部長に、事業の総括と今後のフォローアップについて答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 商工観光労働部長三龍正人君。
〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) 和歌山県事業再構築チャレンジ補助金は、コロナ禍からの脱却を目指し、新分野への参入、業種・業態転換等の事業再構築を行い、前向きに攻めに転じたいと考える事業者を支援するために実施いたしました。
実績につきましては、第1期から第3期までの合計で、申請件数が708件、採択件数が370件、採択率は52.3%となっております。
採択業種は、製造業や宿泊業、飲食サービス業が多く、その他卸売業、小売業、建設業などとなっております。
採択事例では、食料品製造事業者による地域資源を活用した新商品の開発、農林漁業者の6次産業化への挑戦、遊休資産を活用した新たな事業展開などが見られました。
県といたしましては、当補助金は、事業者の持続的な事業運営や成長拡大につながるものと考えており、今後、その検証を実施するとともに、引き続き事業者に寄り添った支援を進めてまいります。
○副議長(中本浩精君) 山家敏宏君。
〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 この事業、採択率52.3%ということですので、やっぱりまだまだこういう事業を利用して事業をやっていきたいという方も多いと思うんですね。
かなりこの事業自体も好評だったと思うんですけども、今まだ、やっぱり和歌山県では、そんなに景気がよくなったなとか、そういうことは私はないと思うので、ぜひ、この事業再構築のチャレンジ補助金、また再開していただけるように強く要望して、私の一般質問を終わります。(拍手)
○副議長(中本浩精君) 以上で、山家敏宏君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
36番浦平美博君。
〔浦平美博君、登壇〕(拍手)
○浦平美博君 皆さん、こんにちは。日本維新の会、浦平美博でございます。
議長の許可を得ましたので、通告に従い、一般質問を行います。
まだ新しい和歌山さくら支援学校の体育館がどうしてこんなに傷んでいるのだろうか。何となく最初の疑問はここからでございました。これは、さくら支援学校の生徒たちが使い込んだ結果の消耗ではないことが分かりました。これらの要因はどこにあるのか。1人の大人との出会いや西校舎の対応、私に寄せられた情報などから、総合的に見えてきたものでございます。
さて、令和5年10月10日から始まった令和4年度決算特別委員会審査の際、資料として、関係資料目次総括表122の追加を願いました。これは、委員会において、正しく予算執行されているのかを明らかにするためのものであり、その上、和歌山北高校西校舎の光熱水費、さくら支援学校の光熱水費、施設の運用の在り方について質問を行い、県教委に答弁を求めました。
教育委員会事務局は、高校があったところに支援学校を併設した、だから事業者と契約していた和歌山西校舎──旧西高校です──のメーターしかついていないので案分していると、主体性のない答弁。案分は県教委。
ところが、議論の中で、当時、契約を分けると費用が増えるなどの事情があって、これが本当の県の理屈でしょう。
では、案分で計上している予算は正しい数字なのか。正確な請求に対して正しい執行による正確な支払い金額なのかについて、正確ではないとの答弁。
そこで、各学校の光熱水費がそれぞれ幾らか、請求に基づき適正に支出することが税金を使う上で大切なことと考えるかどうかに対して、各校の利用状況に応じた合理的な案分ルールというものに基づき、適正に支出していくよう改めたい。
合理的とは、無駄のない道理にかなっていることで、論理的とは、きちんと道筋を立てて考えることであり、そうであるならば、合理的でも論理的でもなく、正しくない行いをしていることを認めながら、正確ではない支払いを案分ルールに基づき合理的に適正に支出。
予算執行の重要性を問う基本は、県民の税金を分配した結果と成果がどうであったのか。私は、そのように考えていることから、正確でないなら是正すべし、これは当たり前のことだと思います。請求に対して、明細確認を行い支払う。県民の税金がどのような形で使用されているのか明確に説明をすることが普通地方公共団体の責務です。それが伝わらない。
これでは全く議論にならないため、正確ではない支払い状況を10年以上も行っている県教委に対して、教育行政をつかさどる教育長に答弁を求めたところ、「これまでの話を聞いて、言うとおりだと思う部分があった。可及的速やかに担当者と協議しながら進めていきたい。」と答弁。
「言うとおりだと思う部分」と答弁した時点で、教育長は、税の取り扱う重要性を一番厳しく考えなければならないはずですが、安易に考えているだろうと思ったわけですが、対処いただけるということであったので、委員会審査を了として賛成したわけでございます。
ところが、令和5年12月になっても、その後、どのように対応しているのか、進捗状況も分からないため、こちらから問合せをいたしました。結果、何もしていないばかりか、その委員会での問答の意味すら明確に理解されていませんでした。
改めてその趣旨を説明し、初めて学校現場調査に行くこととなったわけでございます。
これら言動の不一致は、審査さえ通ればよいという日頃からの教育長の姿勢なのでしょうか。
子供たちの尊厳に関わる話であるとしつこく対応を求めたところ、関電ルールがあって電気を引いてくれない。教育長にもその旨を伝えた上で、公的施設、とりわけ学校施設に関して、県は民間会社のルールに従うと回答。
何度も議論をいたしましたが、私の説明が稚拙なのか、理解されないまま、関西電力ルールがあるから電気をしいてくれないと、問題が民間にあるかのように、他の責任として答え続けています。
不正行為等通報の質問に対してのあの答弁、ICレコーダーの質問に対する答弁と同じように、自らの都合を他の責任に転嫁する、この体質が分からないのか、指摘を受けて変えるという思考は働かないのでしょうか。
ちなみに、水道に関しては、聞く前から工事費がたくさん要るからとのことで、そもそもこれらは委員会の後、可及的速やかに対応しないと変化しています。
その整合性を担保するかのように、さくら支援学校の生徒も、水を使えるのだから、電気が使えるのだから問題ない。関係法令上に反するものはなく、瑕疵はないと言う始末。
和歌山県立中学校及び高等学校設置条例には、さくら支援学校は該当していない。さくら支援学校施設は、和歌山県立特別支援学校設置条例に基づき、さくら支援学校生が学生生活を送るために設立されています。同様に、和歌山県立特別支援学校設置条例には、和歌山北高校は該当しません。つまり、和歌山北高校西校舎施設は、和歌山県立中学校及び高等学校設置条例に基づき、和歌山北高校西校舎生が学生生活を送るために設立されていること。
これら、学校に通う子供たちの施設利用における税金の取扱いは、生徒たちの母校となる尊厳に関わることを申し上げてきたのであります。
そもそも設置者として、設置を曲解しています。和歌山県の特別支援学校を受ける子供が通うさくら支援学校に電気、水道等が契約上しかれていないこと。しかれているかのような予算、請求されない金額に請求されている北校舎、西校舎、つまり和歌山北高校に委ねていること。学校としての独立性が存在しないことが明らかとなれば、保護者の方々はどう思うだろうか。
手厚い支えが要るという性質からも、税金の割合、事業の内容も違うはずです。それを複合、併設、共用という言葉を巧みに使い、建設費用を抑え、抑えた部分を別にあてがっているように見える。それは、見方によれば、県教委の損得勘定的な思考により、子供たちの環境をゆがめていることになります。
この事実を今知ったとして、私がさくら支援の保護者ならば、教育委員会に対して、ふざけるな、誰のための組織かと言いたいです。
さくら支援学校に通わせている保護者や生徒たちの尊厳を踏みにじってはならない。同じく、和歌山北高校北校舎、西校舎の保護者や生徒たちの尊厳を踏みにじってはならない。このことの重要性に対し、現場を理解しようとしない県教委は、人ごとのようにしか考えられず、教育長は現場での不合理さをも理解しないまま、「可及的速やかに担当者と協議しながら進めていきたい」と、実効の伴わない答弁。
平成24年4月から11年、北校舎、西校舎、さくら支援学校の尊厳を踏みにじる施設を建設し、何ら手だてを取らないまま、本当にさくら支援学校が支払うべき金額が分からないまま、時間が過ぎました。
ふだんから西校舎の生徒が部活動でさくら支援学校体育館を常時使用していますが、仮に、週1回2時間としても月8時間、年96時間、11年で1056時間、夏季休暇や土日を合わせるとこの数字はもっと大きくなる。そこに使用した人数も加え、これ体育館、水銀灯かLEDかちょっと調べていませんが、球数、ワット数、西校舎の体育館と全く同じ面積か。一体これらの人数や面積は、どちらのそもそも財布なのか。
案分は、生徒数、施設面積としていますが、使用している西校舎生徒数は、さくら支援学校生徒数に含まれ、施設面積も混在している。確認したところ、案分の計算式はなく、単純に100万円の請求であるならば、簡単に50人であれば西校舎は50万円、さくら支援学校50人ならば50万円というものであり、実際に在籍する教職員、生徒たちの学校活動における使用量の根拠はありません。
そもそも、これでは県民が納得できる説明とは程遠く、予算根拠も崩れています。結果、さくら支援学校の生徒たちが学校活動において、当然使う権利の各光熱水費として割り当てられる予算配分は、本来使用している使用量に基づく支払い金額より多く見積もられ、西校舎分に割り当てられていることになってまいります。かつ、さくら支援学校は、グラウンド設置を長年要望していますが、全くその声は届いていません。その差額でグラウンド整備できたことでしょう。何も知らされないまま、和歌山北高校生もまた踏みにじられた11年間。
和歌山北高校北校舎、西校舎には契約が存在し、明確に請求額が分かるので、余計に支払わされることはありません。
では、どうしてこのような欠陥が分からないまま年月が過ぎたのでしょうか。
それは、先ほども申し上げました学校教育における用語、つまり、まことしやかな教育効果、併設、複合、共用、生徒たちのために連携をしっかりと行ってまいりますなどという言葉に対して、子供たちのためならという人としての当たり前の議会の思いがこのチェックを擦り抜けていくわけでございます。
その性質を理解した上で、巧みに擦り抜ける県教育委員会。
私たち議会は、予算書でしかその事業による事業の根拠、目的、費用、お金の流れを知ることはできません。
ここで提示させていただきました資料を御覧ください。
予算書では、令和5年、6年、ともに同じ款、項、目、節です。
A、10款教育費、4項高等学校費、2目全日高等学校管理費、10節需用費、これが和歌山北高校の光熱水費が含まれる予算。この学校は、電気・水道メーター設置、学校長配置、施設管理保全等会計をつかさどる事務長の配置がございます。
B、10款教育費、4項高等学校費、2目全日制高等学校管理費、10節需用費、一緒ですね。これが和歌山北高校西校舎の光熱水費が含まれる予算。この学校は、電気・水道メーター設置、学校長はなし、施設管理保全等会計をつかさどる事務長はいません。
C、10款教育費、5項特別支援学校費、1目特別支援学校費、10節需用費、これが和歌山さくら支援学校の光熱水費が含まれる予算でございます。この学校は、電気・水道メーターなし、学校長は配置、施設管理保全等会計をつかさどる事務長が配置されております。
議会承認後、A、B、Cは和歌山北高校に配当。この学校には、学校長と事務長がおり、この者たちが和歌山北高校西校舎にその税で支払額を支出。さくら支援には、学校長、事務長がいるが、和歌山北高校の校長、事務長が決裁し、さくら支援学校は、費用確認の上、支払う公務すらさせてもらえていません。
分かりにくいですが、和歌山北高校北校舎は、学校長が存在していて、学校長が存在しているさくら支援学校は、和歌山北高校北校舎の学校長がその使用した光熱水費を案分し、使用実態が分からないまま県教委で予算化され、北高校の財布から支出され、学校運営をさせられているということです。
簡単に言えば、さくら支援学校には、私たちが生きていく上で最も必要とする水道や電気の契約がないということです。一体どこに高等学校の存在意義、社会的役割等の明確化という存在意義が見いだせるのか。
そもそも建設時において、電気線、水道管などをさくら特別支援学校に敷設しなかったことで、いわれなき西校舎生徒が無駄遣いのレッテルを貼られた生徒が出ましたよということは、前回、ここでお話をさせていただいたと思います。
西校舎と申合せをしなければ、運動カリキュラムを組めなかったさくら支援学校を生み出し、放置しています。県教委は、謙虚にこの不備を認める認識をすべきではないか、このように思います。
平成24年、和歌山西高校は和歌山北高校に、和歌山北高校西校舎と生まれ変わり、さくら支援学校が設立されました。そのため、昭和59年、和歌山西高校に埋設した合併浄化槽600人槽の老朽化に伴い、新たに合併浄化槽を据えました。新たな学校も設置するために埋設した合併浄化槽は何と600人槽です。
この埋設時、まさかさくら支援学校設立のために、特別支援教育施設に関する交付金などを受けていないですよね。受けているならば、さくら支援学校の合併浄化槽があるはずですから。
さらに、人口減少、少子化、生徒減少を理由に、いろいろな教育施策を取られる教育委員会、この11年、毎年600人を超えてきたんではないでしょうか。
講師や校務員さん等、入っているかどうかは分かりません、多分抜かれていると思うんですけども。
平成26年から令和5年の延べ生徒数を10年で割りまして平均を出しますと、754.6人となります。直近でも、和歌山北高校西校舎職員、生徒合わせて700人を超えています。トイレの数も蛇口もプールも格段に増えています。
さくら支援学校の合併浄化槽はなく、西校舎と支援学校の合併させた合併浄化槽は、その浄化能力を超え続けている浄化槽で学校生活を生徒たちは営んでいることになります。本当に建築確認は下りたんだろうか。本当に建設許可が出たのだろうか。一般社会では、浄化槽の規模が適正でなければ建築確認が通らないと認識しています。
そこで、適正でないならば、当然、上物は認められません。そもそも教育委員会は、汚水のことも理解されていないのか。
少なくとも、その容量を超え続けている合併浄化槽では浄化できないことは認めなければならないと考えます。そうならば、どこにその処理水、浄化処理水を流しているのか。学校下含む地域住民の環境衛生は、重大な問題を抱えていることになります。そもそも地元住民は知りません。地域との連携、保護者との連携とよく言いますが、どこがでしょうか。このような公的機関は聞いたことはありません。これを県土整備部はどのように考えるのでしょうか。
浄化槽保守点検で501名を超える浄化槽は、浄化槽管理士、これは当然ですけれども、浄化槽技術管理者が必要です。処置をせず放置される状態が長期間継続された場合、管理士側から管理者が保守点検業務の遂行に適切に協力しないことを理由として、保守点検契約の解除や更新を拒絶することもできます。
公的施設だから、槽のパイが小さくてもよいとはなりませんし、環境衛生問題の罪は非常に重いものと私は認識をしています。
これは、県土整備部に対する質問ではなく、事実として、一度調べてみていただけたらありがたいなと思います。あくまでも教育委員会の不誠実さについてです。
さくら支援学校、特別支援学校という名を使い、あたかも支援学校のためと宣伝し、よい施設だと吹聴し、実は全日制の高校の下支えとなるような仕組みを構築、和歌山県は、障害児者の支援学校・支援教育を建設費を抑えお金を浮かすために利用していると、このように言われ出したら、どうやってこれを証明するんでしょうか。もはや誰のための組織なのかも分からないし、組織の犠牲にさせられている生徒たちを私はふびんに思う。
結局、西校舎の生徒もさくら支援学校の生徒もそれぞれの保護者も関係者も、誰も喜べない施設にしており、その本質には、さくら支援学校建設に伴う費用を抑え、北高校西校舎側の立派な施設へと還流していると捉えられても仕方のない状況を和歌山県教育委員会主導で行ったことと知る必要があります。
さくら支援学校は、和歌山県が定める和歌山県立特別支援学校設置条例による施設校で、水道も電気も浄化槽もグラウンドも存在していないことになる。どうやって前年度実績をはじき出したのか。
併設の学校、共用などの言葉を教育委員会は使い続けていますが、だまされてはなりません。
西校舎とさくら支援学校は、併設型高等学校ではありません。併設、共用なる言葉は、条例含む定義に基づいたものではありません。完全に別の学校です。
ましてや、小学部・中学部・高等部のあるさくら支援学校は、義務・特別支援教育を受ける学校。和歌山北高校の傘下にある学校ではありません。
予算は別々に計上して、議会の承認後、和歌山北高校の財布に配当。
過去10年以上にわたり、恐らく4億円ぐらい超えると思いますが、多額の税金による支払いは、るる申し上げたこれらのことから全く正確ではなく、請求のない請求額に税金を使っていることに対して、教育長がこれまでの話を聞いて、言うとおりだと思う部分があると答弁したこと自体、疑問を抱かざるを得ません。
言うとおりだと思わない部分を保護者、生徒からアカウンタビリティーを求められたら、和歌山県として胸を張って正しく予算を執行していると言えますか。
正しい施設で正しく運用し正しく学ぶことは、さくら支援学校生の権利と思いますが、それすら必要ないというのでしょうか。
こどもまんなかと言うなら、15%のシーリングの前に、きっちり敷設工事すべしと思いますが、簡潔に知事の答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
まず、現在、和歌山さくら支援学校は、和歌山北高校西校舎と同じ校地に併置をされております。この背景といたしましては、今後、できた当時の考え方としても、今も私どもは同じように考えておりますけれども、一部の県立高等学校が少子化の影響を受けまして、規模が縮小化していく中で、余裕のできた教室等を活用して特色ある特別支援学校を設置し、高等学校と特別支援学校を一つの学校として運用することがインクルーシブな教育を進めるために大変有意義な方策ではないかという考え方があるものと承知をしております。
その上で、現状、電気、水道等の設備は両校で共同で使用する形となっております。それぞれの学校で電気、水道を敷設するということを仮にいたしますと、別途設備が必要になりますので、多額の費用がかかることが見込まれます。したがいまして、その電気、水道等のお金は県が責任を持って支払うということでありますから、人数、面積等による案分で両校分を区分し、一つの契約、請求に基づいて支出するというやり方は、社会通念上、常識的に考えた場合に適切な方法であるというふうに理解をしております。
○副議長(中本浩精君) 浦平美博君。
〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 今の知事の答弁で、社会通念上、これが適切であると言うならば、一番最初の予算書の中に求められている、書かれてある10款教育費、項、目、これをこの学校のために、この和歌山北高校西校舎とさくら支援学校は一つであるという形で、そこは財布をきちっと分けるべきじゃないですかね。
それじゃ、それを分けようと思えば、特別支援学校という学校のカリキュラムから、学校の設置から、そういったものに対しても、じゃこの西校舎、全日制の高校と一つになるよということを、一つの学校として、これは条例できちっと定めなければならないんじゃないですか。僕はそういうふうに思いますけど、そういうふうには思われないんですかね。
私たち、これ、議会として、特別支援学校費として認めているものを、特別支援学校はそれに基づいて支払いをしていないとなったときに、では誰が支払いをしているのですかということになるので、それを調べたら、和歌山北高校西校舎、こういうことになっていると思うんですけれども、もう一度ちょっと簡潔にお願いできませんかね。
○副議長(中本浩精君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
それぞれの学校で、人数、面積等による案分で両校を区分いたしまして、一つの契約、請求に基づきまして支出を行うということにつきましては、社会通念上、常識的に考えて適正であると考えております。
○副議長(中本浩精君) 浦平美博君。
〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 その案分の仕方が正しくないということを申し上げたんです。なので、これで時間をちょっと取るわけにはまいりませんので、次、行きますけれども、特別支援学校の子供たちは、自分らが通っている学校ときちっと契約を結んで、電気、水道、その他もろもろ浄化槽も含め、さくら支援学校の子供らが自分たちの学校で活動していくための必要最低限が、僕、インフラ整備だと思うんですよね。それは隣にあるから一緒でいいじゃないか。予算は別にしてあるけれども、いやいや県のお金だから、一緒に払ったらいいじゃないか。それではあまりにもちょっと失礼じゃないか、私はそのように思っています。
案分は、正しいルールが明確にありません。ワット数とか球とかいろいろなこと、そもそも生徒が入り込んでいるわけですから。きちっとしなければならないと僕は思いますので、それをお伝えしておきます。
義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律に、公立の義務教育諸学校等施設の整備に関する施設整備基本方針や特別支援学校施設整備指針等々に基づくからこそ、交付金が適用されているかと思います。
それに基づかない施設と捉えられる和歌山北高校西校舎施設、さくら支援学校施設は、建設費用等交付金返還対象となる可能性はないんですかね。そのような施設を提供して、子供たち、納税者、学校下の地元住民にどのように環境問題含め、説明責任を果たすことができますか。教育長の答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 知事からも申しましたように、和歌山さくら支援学校と和歌山北高校西校舎の設置状況から、電気、水道等の設備を両校で共同使用し、支出の事務を和歌山北高校の西校舎で行っているという形を取っているものでありまして、誤った税金の使い方をしているわけではなく、問題のないものだと考えております。
○副議長(中本浩精君) 浦平美博君。
〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 予算の執行は問題ないとおっしゃったんですかね。
私ら、それは法的な云々とかということではなく、議会として、この学校にはこの金額ですと割り当てられていて、それを認めているんですよね。それを認めて、では実際、どのように執行されているかとなったときに、特別支援学校費として特別支援学校が支払っていないことになっているんですよ。それはおかしいんじゃないのかということを言っているだけで、問題ないとなったら、支援学校は何もしなくていいということですか。
特別支援学校には事務長はいますよ。会計をつかさどるんですよ。施設管理保全等も事務長の責務ですよ。この事務長が居ながらそれをさせてもらえなくて、西校舎には事務長はいないですよ。和歌山北高校北校舎にはいます。そこの事務長が西校舎の管理、施設の管理と保全を毎日、これはできますか。できないです。ということは、西校舎の事務員さんがそれを代行するわけですよね。一緒にお金の会計も同じようにできるんですか。
本来、北高校に伺いを出して、認められて、多分財政課や会計システムか何かで打ち込むのではないんですかね。そのときの書面はありますか。僕はないと思いますよ。
そういうことがあるのに、どうして適正と言えるのか、非常に分からない、僕はそのように思っています。
なので、不誠実であるということを私、申し上げて、次、行きます。
高等学校人事案件と学校という組織の認識について問います。
私は、民間で言う社外取締役のようなもので……。
○副議長(中本浩精君) 浦平議員、すみません。
○浦平美博君 飛びましたか。
○副議長(中本浩精君) 3項、飛びました。戻ってください。
○浦平美博君 はい、はい。ちょっと待ってください。
○副議長(中本浩精君) 大項目1の3番目です。
○浦平美博君 ごめんなさい。すみません。
生徒たちの学校施設の不備を放置するような予算執行についての話ですね。
このような明確にできない支払いを是正するため、予算の組替え、変更、それに伴う条例の改正、その上で、施設再整備を行わないならば、令和6年度予算を認めるということは簡単には言えません。どのように対応されるか、ここは恐れ入りますが、知事、再度答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 和歌山北高等学校西校舎、さくら支援学校の需用費についての御質問でございますが、和歌山北高校、和歌山さくら支援学校を含みます全ての学校において、子供たちにとってよりよい学習環境となるよう、今後とも施設等の整備は進めていきたいと考えております。
その上で、和歌山北高校西校舎、和歌山さくら支援学校の電気、水道等の設備は、両校で共同使用する形になっております。契約、請求も一つとなっておりますけれども、人数や面積などに基づく案分により光熱水費を区分しており、予算の不備はないと理解しております。
○副議長(中本浩精君) 浦平美博君。
〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 何遍も言うようですが、その案分というのがすごく分からない。正確ではない。認めているわけです。だとしたら、納得のできる計算式、出してください。出してください、案分のことも何一つ返ってこないので。案分は案分はと言うだけなので、それがないと、何を根拠にこの案分ができているのか分からないということを一番最初から申し上げているわけです。なので、そこら辺をきちっとお示しいただけたらと思います。
次に、高等学校人事案件と学校という組織の認識について問います。
先ほどもちょっと言いましたんで、すみません。民間で言う社外取締役のような、私らは立場かと思うんですけど、社内に申し述べても改善されないばかりか、口を塞がれている。そんな思いからでしょうか。毎週のように、私の家に投書が送られてきます。守秘義務でも何でもないんですけども、この場でこれを言っておかないと、それこそ隠され、窮状を訴えるすべを失わせてしまうんじゃないか、そのような危惧をしています。何せその対応部署がないわけですから。
適正と認めるかどうかをチェックするのは議会の権能であり、アクセルとブレーキ、これは私の持論です。
少しそれますが、私は、何か行政問題があれば、起これば、第三者委員会とよく言われることに違和感を持っています。有権者の代表たる議会が厳しくチェックできれば、行政行為に対して第三者委員会は必要ないのになと思いながら、いつもテレビを見ています。
さて、これらの投書は、匿名であることから精査できないため、その内容の正確性は認められません。しかし、その内容は、手に取るように分かる教育現場のあるあるが書かれています。同時に、間違いを犯しても絶対に謝らない、是正しない和歌山県教育委員会の姿勢もうかがえます。
この現象は、風通しの悪い組織環境だからこそであり、それがよくなれば元気になるし、元気になれば現場も明るくなるし、結果、児童生徒が明るく、元気な、泣き、笑う学校となる。これが県議会を目指した私の信念の一端です。だからこそ、投書に基づき核心部分を避け、県教育委員会に情報を提供しています。
結果、聞くだけでしっかりと調査もできず、終わらせようとするこの姿勢に、どれだけの現場教員含め、生徒たちが泣いてきたんだろうか。
そして、その核心部分を今度は提示してあげたら、再度調査、結果、カラ出張、公務を行っていない管理職が認められたとのことでございます。これは常習です。なぜ、県教委は放置したのか。指導主事を含め、どのような姿勢でふだん公務に臨まれているのか。
指導していれば、しっかりと聞いてあげていれば、こんなことにならなかったんではなかろうか。県教育委員会教育長以下、事務局員も神格化され、現場の声を聞かない傲慢な組織となっている自覚をすべきではないでしょうか。今も昔も何ら変わらないこの組織体質の原因を本気で知ったほうがいいと思います。
知事は、令和5年12月での私の質問で、県教育委員会事務局職員が訴えてもどうにもならない不正行為等通報について、専門部署を設けてはどうかとの問いに、知事は、「不正行為等通報制度におきましては、教育委員会所管の事業に関する通報につきましては、専門性を要する判断が必要」、また、「教育委員会の事務または事業における不正行為につきまして、その問題の性質に応じて、教育長の指揮の下、組織を挙げて厳正に対応している」と答弁をされ、教育委員会事務局内に専門部署を設置しないという意思を頂戴いたしました。
ところが、令和6年度には3部新設、三つの部署、配置替え。それだけこの教育委員会事務局内部における問題を重要と考えておられないのだろうか、このように思っています。
学校という公的施設、子供たちの未来が詰まっているこの特別な場所に対して、確かなマネジメントができない教育委員会であると知事はぴんとこないのでしょうか。
目の行き届かない組織が厳正に対応しているというその根拠はどこにあるのでしょうか。知事の答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
学校現場におきます様々な課題への対応につきましては、教育委員会の所管事項として、適正に対処されているものと承知しております。
○副議長(中本浩精君) 浦平美博君。
〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 対処できていたら、一般質問はしません。
次に、高等学校施設における生徒ホールの運用について。
公的機関である学校もまた、民間事業者に運営をお願いする場合、厳正な入札に基づく運用が求められると考えます。
しかし、生徒ホールは、生徒たち、教職員の福利厚生として任意団体からの申入れとして、任意団体に無償で貸し出し、そこに民間業者が入ります。
知事も昼食を取られるきいちゃん食堂は、任意団体から県職員の福利厚生の観点からと県に申入れをさせ、任意団体が無償で1階のあの端を借り、民間事業者が入る手法を用いるのでしょうか。間違いなくプロポーザルで企業努力を重ねていただいて現在に至っているはずです。そして、それがまた、県民に還元されていきます。当然、賃料も民間から頂戴しているはずと考えています。
公的施設である生徒ホールを任意団体に無償で貸出しをしているわけですが、生徒や教職員の福利厚生向上の一環として必要だと保護者等から申入れをさせるほど、教職員は、もはや公僕たる観念を失い、県教育委員会は、生徒や教職員の福利厚生も考えない組織なんでしょうか。または、同じく学校長以下、教職員を神格化させるために、あえて任意団体に要請をさせるのでしょうか。
いずれにせよ、公の学校であることを学校は忘れてしまっています。
知事は、地域の民意を代表する首長と教育委員会が教育政策の方向性を共有し、一致して執行に当たることをその狙いとしているこの法律を受けまして、「教育委員会とは、平素より、教育行政、教育施策に関して小まめな意思疎通を図っているところ」──これは地教行法の改正で、まあ言ったら、総合教育会議のことですね。「引き続き、知事としての職責を果たすため、総合教育会議の開催も含め、今後とも十分な連携を図ってまいる所存」と前回答弁していますが、そこで、問います。
行政が子供たちを、教職員を思い、よりよい食堂等になるよう、県教委が指導を含め適正に行うべきと考えるが、責任所在をあやふやにする教育委員会とどのように小まめな意思疎通を図ったら、このようなずさんな行政運営ができるのでしょうか。総合教育会議を用いて、今回の質問でるる指摘している内容等どのようにするのか、知事の答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答えを申し上げます。
教育委員会とは、平素より教育行政、教育施策に関して、小まめな意思疎通を図ってまいっております。引き続き、知事としての職責を果たすため、教育委員会との連携を図っていく所存でございます。
○副議長(中本浩精君) 浦平美博君。
〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 もはや学校のていをなし得ない学校にし、学校教育現場を理解できていないと判断をせざるを得ない。そのように感じています。教育委員会事務局をどのように改善させますか、教育長、お答えください。
○副議長(中本浩精君) 教育長。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 引き続き、特別支援学校、県立学校を含め、教育委員会事務局の適正な組織運営に努めてまいります。
○副議長(中本浩精君) 浦平美博君。
〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 ありがとうございます。これから徹底的に調べていきます。
最後に、一番最初から今までのこの質問の中で、この答弁、全くかみ合ってないと思っています。ですが、この話の一発解決できるいい方法というか、そういうことを思いまして、趣旨を変えまして、特色化・魅力化に向けた主な方策について問いかけたい、このように思います。
高等学校の存在意義・社会的役割等の明確化について。
「各高等学校が育成を目指す資質・能力を明確にする前提として、各高等学校の設置者が、各学校やその立地する自治体等の関係者と連携しつつ、在籍する生徒の状況や意向、期待に加え、各学校の歴史や伝統、現在の社会や地域の実情を踏まえて、また、20年後・30年後の社会像・地域像を見据えて、各高等学校の存在意義や各高等学校に期待されている社会的役割、目指すべき高等学校像」、いわゆるスクール・ミッション、再定義の話です。これを文科省はすべしと言っています。
きっちりと教育環境を提供できていない県教委は、北高校西校舎とさくら支援学校、設置不備を明確にした上で、これ、仮称ですけどもね。仮称・和歌山県立さくらスポーツマネジメント・アスリート小中高等学校。併設型高等学校、いわゆる中高一貫教育、小学・中学・高等部の特別支援スポーツ教育を特例化し、一貫した全日制・特別支援体育学校に生まれ変わらせ、競技における概論の再考、体育専門性を有し、再整備を行い、人間の可能性を再認識する。そして、近畿一、西日本一、日本一、世界一、オリンピックと向かっていく。
さくら支援学校もまた、小中高を通じて近畿一、日本一、世界一、パラリンピックに向かう。
ちなみに、チャンピオンスポーツだけを言っているんではありません。トレーナー、理学、マネジメント、これ、まさに教育DX推進でしょう。Wi-Fiの予算もまともについていないような気がしますが、三笘のあの1ミリのボール、あれはどのようにして生まれたのか。バスケットボールのスリーポイントのシュートの肘、手首、膝の角度、パスの回す癖、視野の問題、これ、全てデータで出ます。これらを加工し映像化もできる。西校舎、さくら支援の生徒たちは、きっと新たな学びができるでしょう。
その運営費用は、授業内容や競技実績、民間企業が結びつくカリキュラムにうなずいてもらって、広告、宣伝となり得る判断とされれば、スポンサーも募ることができます。そして、運営を一部賄うことができます。そして、その会社のワッペンは学校の制服に、試合ではそのユニフォームに、民間宣伝広告の役割を生徒たちが担うことになれば、この意義を背負う喜び、苦しさを学び、達成を知ることで母校愛も生まれる。ここに誇りも生まれます。設置された地域の誇りとなる。学校が生まれ変われば地域も生まれ変わる。
これは、和歌山県にとってとてつもない可能性を持っています。
中高一貫教育導入ともてはやされ、学力学力と言い続けた県教委に対し、20数年前、有志の教員らが中高一貫体育学校と支援学校を一つに、必ずパラリンピックに目が向けられる時代が来る。来たとき、和歌山県が先頭に立った先進的授業展開がなされていれば、このように申し上げました。
大先輩である尾崎要二先生が卒業された学校。昭和39年、和歌山北高校保健体育科が和歌山県の体育スポーツのモデルとなり、そのカリキュラムが全国の体育科のモデルとなったように、公立小中高支援一貫体育学校を設置できたら、逆に県民にも還元ができます。
和歌山県教育委員会に対してこのような提案をして、全く相手にされなかったことが思い出されます。20数年前、この提案が議論に上がっていれば、今の体育授業は大きく変わっていたことになります。
そこで、お尋ねをいたします。
こどもまんなか社会、和歌山が大好きだと言えると掲げる知事は、この提案をどのように思い、どのようにすれば具現化できるとお考えになりますか。簡潔に答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
和歌山北高等学校西校舎は、本県のスポーツ教育の拠点となるべく体育施設の充実を図り、競技力の向上に取り組み、成果を上げてまいりました。
一方、和歌山さくら支援学校は、地域の特別支援学校の過大規模化への対応とともに、高等学校との交流及び共同学習の充実を目的として、西校舎と併置されたものでございます。
また、西校舎の体育施設の有効活用を図るとともに、競技力の向上に向け、2023年度から特色化選抜を導入し、県内外から志の高い生徒が集まってきております。スポーツ健康科学の学びの充実も含め、高等学校と特別支援学校の両方の長所を生かすような教育が新たに創造されることを強く期待しております。
一方、2022年3月に策定いたしました県立高等学校教育の充実と再編整備に係る原則と指針の中では、高等学校と特別支援学校間の学びにつきまして、生徒の個性や障害に応じた個別最適な学びを実現するため、相互の授業交流や単位認定の在り方、さらには、校種間の学籍異動等についても研究することが示されております。
今後、一部の県立高等学校が小規模化していく中で、余裕のできた教室等を活用して、特色ある特別支援学校を設置し、高等学校と特別支援学校を一つの学校として運用することは、インクルーシブな教育をするために有意義な方策であると考えております。
○副議長(中本浩精君) 浦平美博君。
〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 今回の僕の一番最初から一貫して言っていることは、法律上も、そして和歌山県の条例上も、全く別物の学校だということを言っているんです。当然、予算書も別のものであるということです。
そんな中から、別の学校であるのに、これは共用です、共同です、これは併設です、併用ですと言うならば、どのように併用なのか。それが条文化されていなかったら、僕、駄目なんじゃないのかなと思っています。
同時に、それに基づく案分の計算式、メーターをつけない、水道管も引かない、電気線も引かないのであれば、こういう理由からこういうような形で、この二つの学校についてはこういう予算の形でこういうふうに執行していきたいんだということを、これは明確にしておかなければならないと思っています。
別々の学校のままどのように特色を出し、別の学校のまま連携を取り、障害者のこの授業、そして全日制高等学校の授業の構築、別々の学校といえば、御存じのように、学習指導要領も大きく違うわけです。だとしたら、和歌山県として、特例化してこういう形の学校を生み出すということの明確化をまずしなければならないと思っています。それができてこそ、カリキュラムの問題、そしていろいろな備品、設備、そういったことについても大きく変わっていくのではなかろうかと、このように感じています。
知事にいただきました御答弁、その一端、一部、なるほどというふうに思っていることもございます。ですが、これを本当に具現化するならば、きちっと明確に一つの学校と誰が見ても思われる学校にしなければならないと思います。これでこそ初めて一つの学校、一つの共同、こういうふうになろうかと思います。
なので、いま一度、学校運営とは何かということ、そして、自分らのつくっている案分が私たち議会に明確に答えられなければ、その案分は駄目だと思うその姿勢を持っていただきたい。その上で、子供たちにこんなふうに還元できるんだということを明確にすることが長たる務めであろうかと、そのように思っています。
私は、これからもこういう問題、特に学校教育の問題は常に頭に置きながら、ほかのこともやりたいことはあるんです。あるんですが、毎週来るこの投書を読むと、どれだけ疲弊しているのか、手に取るように分かる。だとしたら、皆さん、教育委員会、教育長、そういうのをきちっとガスを抜いてやれるようなことをしなかったら、子供らにどうやって教えるんですか。
そういうことを置き去りにしたらいけないということを最後に申し上げまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中本浩精君) 以上で、浦平美博君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
次会は、3月11日定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時31分散会