令和6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
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令和6年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号
議事日程 第4号
令和6年3月6日(水曜日)
午前10時開議
第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第69号まで、議案第71号から議案第79号まで、議案第81号から議案第84号まで及び議案第86号から議案第96号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第69号まで、議案第71号から議案第79号まで、議案第81号から議案第84号まで及び議案第86号から議案第96号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(42人)
1番 坂本佳隆
2番 三栖拓也
3番 秋月史成
4番 川畑哲哉
5番 藤山将材
6番 森 礼子
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
9番 高田英亮
10番 玉木久登
11番 佐藤武治
12番 濱口太史
13番 鈴木太雄
14番 冨安民浩
15番 吉井和視
16番 鈴木德久
17番 玄素彰人
18番 岩田弘彦
19番 中本浩精
20番 中村裕一
21番 谷 洋一
22番 山家敏宏
23番 北山慎一
24番 堀 龍雄
25番 谷口和樹
26番 新島 雄
27番 山下直也
28番 小川浩樹
29番 中尾友紀
30番 岩井弘次
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 山田正彦
34番 坂本 登
35番 小西政宏
36番 浦平美博
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 尾﨑太郎
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 岸本周平
副知事 下 宏
理事 田嶋久嗣
知事室長 北廣理人
危機管理監 福田充宏
総務部長 吉村 顕
企画部長 前 昌治
地域振興監 赤坂武彦
環境生活部長 山本祥生
福祉保健部長 今西宏行
商工観光労働部長 三龍正人
農林水産部長 山本佳之
県土整備部長 福本仁志
会計管理者 﨑山秀樹
教育長 宮﨑 泉
公安委員会委員 竹山早穗
警察本部長 山﨑洋平
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 森田康友
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 林 伸幸
次長(秘書広報室長事務取扱)
萩原 享
議事課長 長田和直
議事課副課長 岩谷隆哉
議事課議事班長 伊賀顕正
議事課主任 菅野清久
議事課副主査 西 智生
議事課副主査 林 貞男
総務課長 葛城泰洋
政策調査課長 岩井紀生
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午前10時0分開議
○議長(濱口太史君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
監査委員から現金出納検査実施結果の報告がありました。報告は配付のとおりであります。
日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第69号まで、議案第71号から議案第79号まで、議案第81号から議案第84号まで及び議案第86号から議案第96号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
5番藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 おはようございます。
一般質問の2日目、12月定例会に続いて質問する機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。今回は大きく7項目について伺ってまいりますが、先日久しぶりに風邪を引きまして、まだちょっと復調しておりませんが、お聞き苦しい点は御容赦いただきたいと思います。
それでは、1番目の柱として、県財政のこれまでの評価について伺ってまいります。
昨年の2月に財政危機警報を出し、財政健全化に努めるため、今回の予算編成では15%のいわゆるシーリングを設定したとのことで、その効果について、報道を読む限り、知事は、「惰性で続けてきた事業を整理する効果はあったが、毎年できるものではない」と話されたとのことでありました。私は、たとえどのような事業でも、関与してきた県民が少なからずいて、また、県の職員もよかれと思って取り組んできているのであり、厳しい財政状況の中、これまでの成果、効果、コストパフォーマンスなどを比較、考慮した結果、優先順位が低かったということであって、惰性で続けてきたとは思っていませんが、知事の言う惰性で続けてきた事業とはどのような事業なのでしょうか。
また、見直しに当たり、継続すべきかどうか、部長がマネジメントしたと聞きましたが、どういう基準で行われたのでしょうか。これまでの成果や費用対効果をどのように評価したのか、お答えいただきたいと思います。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 藤山議員の御質問にお答えしたいと思います。
政策といいますものは、本来、まず、期限を設定すべきだと考えております。それから、スクラップ・アンド・ビルド方式で行うのが当然のことだろうと考えておりまして、常に不断の見直しを行うべきであるというふうに私は思っておりますし、これまでの公務の場でもそのように考えて行動してきたわけでございます。
今回の予算編成に至る前に、1年間、県の事業を勉強させていただきました。そうしたところ、新しい政策がどんどん積み重なって、スクラップ・アンド・ビルドではなくてビルド・アンド・ビルドになっていたように、一部拝見をいたしました。したがいまして、いたずらに事業量は増えていくわけであります。もちろん県の行政ですから、やらないよりやったほうがいいというのは明らかであります。やれることなら全部やりたいです。しかし、それにはお金の問題と職員の業務量の問題がありますので、どっかで制限があります。ですから、スクラップ・アンド・ビルドをしなければいけないというふうに考えたわけであります。
それで、今回、政策経費の15%のシーリングというのは、相当乱暴なことをしました、乱暴です、これは。しかし、これは財政当局がチェックしたのではありません。まさに、一番内容が分かっている実務の担当者が15%カットしたということでありまして、そこのまさに考え方は一番分かっている方がやっているわけですから、そこは私はお任せをしたわけであります。
その結果といたしまして、事業の実施形態や内容の見直し再構築ということが行われ、費用効果の低いものなど、本来見直すべきでもあるにもかかわらず、漫然と行ってきた事業を整理することができたと評価をさせていただいております。
私自身、トヨタ自動車で働いていましたときにお仕えした奥田会長から、1年前と同じことは絶対するなと言われました。1年変われば世の中変わっているんだと。ですから、来年度、再来年度ですね、令和7年度の予算編成をする際には、さすがに15%のシーリングカットはできませんけれども、引き続き、スクラップ・アンド・ビルドの考え方で、事業を新しく立てるのであれば、一つやらないというようなことは、担当の皆さんにはお願いをしていきたいと思っております。
○議長(濱口太史君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 次に2点目、学校給食の無償化について伺います。
財政収支を見ると、さらに悪化する見込みという一方で、給食費の無償化、熊野白浜リゾート空港の滑走路の延長、あるいは林道の整備など新規事業、新たな挑戦、事業促進のためのかさ上げ補助など、種々打ち出しておられます。
学校給食の無償化については、市町村長から昨年8月の県市長会において、令和6年度予算への知事要望として、和歌山市、橋本市、海南市から給食無償化に向けて県の支援を求めており、知事からは、全国知事会を通じて国に要望するといった内容であったと聞いております。
国の無償化が具現化しない中で、今回、東京都と同じく和歌山県が先行して実施することになることは大変歓迎する一方で、新年度は半年間のみの予算組みとのことであるが、令和7年度以降も予算措置されるのか不安との声も聞こえてきます。県が実施する学校給食無償化への補助制度は、一過性の制度ではなく、当然、令和7年度以降も引き続き取り組まれるものと思いますが、知事の見解をお聞きしたいと思います。
1点目、小学生と中学生では給食の量も違い、それらに要するコストも違います。そのため、保護者から徴収する給食費の単価も市町村によって異なります。今回、10月からの半年間で7.3億円の予算案が提出されていますが、実際に、県と市町村の負担が2分の1となるような予算額を措置されているのか。
2点目、県の予算発表を受けて、各市町村では、詳細な制度設計が分からないという声も聞こえてきます。例えば、アレルギー対応により、給食ではなく弁当を持参している児童生徒への対応、さらに、市町村によって就学援助の認定基準も異なる中で、受給者は一律補助の対象外となるのかなど、制度の詳細な内容が分からないと、具体的な検討ができない市町村も多いと思います。県として、中学生までの学校給食無償化を推進する中で、これらの現状を踏まえた制度設計になっているのか、お尋ねをいたします。
3点目、7年度以降も無償化を引き続き取り組んでいくためには、さらなる財源の確保、収支改善の見込みが立っているのでしょうか。また、知事が毎年できるものではないという、その手法に代わる策を今後どう打っていくのか、お聞かせください。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 藤山議員の御質問にお答え申し上げます。
大変よい指摘をしていただいたと思いますので、御説明をしてまいりたいと思います。
まず、学校給食費の無償化につきましては、子育て世帯の経済的負担を軽減するとともに、確実に子供の支援ができる取組であります。ユニバーサルな仕組みでございます。これに加えまして、学校等での給食費の徴収の事務負担というのが、結構これが滞納されている方の手続等も含めて過重になっているということも聞いておりますので、事務負担の軽減にもつながるという副次効果があると期待しております。
したがいまして、県の財政は厳しい状況でありますけれども、国の臨時交付金を活用して子育て支援を充実させるために、今般、学校給食費無償化事業の予算案を提出させていただいたところでございます。
現在の積算でありますけれども、当然のことながら、全ての市町村が学校給食費無償化を実施する場合を想定した児童生徒数、それから小学校と中学校の平均単価、当然違いますので、それらを基に積算をしております。
県といたしましては、設置者である市町村が学校給食費無償化の実施に取り組んでもらえるよう希望しておりまして、給食単価の上限は設定させていただきますけれども、無償化を実施していただいた市町村に対しては、着実に2分の1の補助をさせていただきたいと考えております。
なお、藤山議員の御指摘のとおりで、いろんな具体的な制度設計というのは、これはとても大事なことでありまして、もうおっしゃるとおりであります。したがいまして、4月からの実施にしていないというのは、そういうみそでございます。実際に、担当者の方々が知恵を絞っていただいて、これ4月実施であれば、藤山議員がおっしゃったようになったと思います。もう3月ですからね。だけど、半年ありますので、この半年の間に今おっしゃったような作業をきっちりとさせていただきまして、市町村の現状に合わせた、具体的に何の問題もない、できるだけ実情に沿った制度設計をさせていただきたい。そのための10月実施であることを御理解賜りたいと存じます。
なお、令和7年度以降、再来年以降どうするのかということでありますけれども、これは、ユニバーサルな子育て支援の政策でありますので、本来、本当に国がやるべきなんです。国がやるべきで、2023年度に全国調査もしていただいていますので、引き続き、全国知事会、それから関西広域連合を通じて、国へは政府としてやっていただくように要望してまいりますけれども、仮に令和7年度、国がやらない場合でも、これを県としてやめるというわけにはいかないと思います。御指摘のとおりであります。
したがいまして、その際には、一律のシーリングはできませんけれども、不要不急の事業を抑制する、さらには抜本的な事業の見直し、先ほど申し上げましたようなことで、財源を確保するよう努力してまいりたいと思いますので、御指導よろしくお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 今、知事がお話しされたように、一旦始めるとやめられない、簡単にやめられない。財源がないからやめますというわけにもいきませんので、不公平を生んでしまう。そういう意味でも、そういうところが市町村長の率直な不安だという気持ちだと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次に3点目、子供食堂の推進について伺います。
次に、成果の確認になりますが、知事が積極的に取り組もうとされている子供食堂の補助実績を聞いてみたところ、執行残が多く、実は思ったほども進んでいないようであります。なぜなかなか進まないのか知り合いの運営者の方に聞いてみたところ、立ち上げはもちろんのこと、その人手の確保や、特に食材の確保に大変な苦労があるとのことでありました。
そうした状況でありながら、新年度の予算額を見てみますと、5年度の2200万円程度に対し、新年度は5300万円と倍以上に増えています。5年度の結果を踏まえて推進していくための新たな対策を考えているのでしょうか、お尋ねをいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
子供食堂といいますのは、いまだに私どもの広報活動が──これは政府全体かもしれませんけれども──行き届いてないところがありまして、まだまだ誤解がございます。子供食堂というのは、子供の貧困対策では全くありません。子供への食事の提供、あるいは所得の低い家庭の子供さんを対象とするということではありません。3世代、4世代の地域住民の皆さんの交流の場として、コミュニティーづくりとしてつくっていくということであります。
県では、したがいまして、小学校区には一つ子供食堂、名前が子供食堂ですけども、そういう地域コミュニティーの場をつくっていくということを目指しておりまして、新規開設に必要な設備や備品等の購入費用に対して10分の10、比較的使い勝手のいい補助事業を実施したところであります。それもおっしゃるとおりで、5年度は補正予算でスタートしたものですから、なかなか申請が出てないというのは、もうおっしゃるとおりであります。これは一つには、先ほど申し上げましたように、子供食堂に対するまだまだ認知度が低いという点がございました。
これで、私どもの県内に、湯浅誠さんというNPO法人のむすびえという子供食堂を全国展開されている理事長さんにワーキングチームのリーダーになっていただきまして、ワーキングチームが発足いたしまして、早速、昨年、湯浅さんに和歌山に入っていただいて、いろいろヒアリングもしていただきました。そうしますと、首長の皆さんに聞いて回りましたところ、子供食堂は貧困対策だという御理解があったようで、それだったらちょっとうちはやらないよということだったんですけども、コミュニティーづくりであればという理解が徐々に進んでおりますので、引き続き、子供食堂がどういうものであるかということについて、ワーキングチームをつくりましたので、個別に首長さん、それから関係団体、いろんなところに御説明に伺っていきたいと思っております。
実際、1月29日ですけれども、市町村の職員さん、首長さんも来ていただきましたけれども、子供食堂のトップセミナーを開催いたしまして、先ほど申し上げました湯浅誠さんに講師をしていただきましたり、あるいは成功事例の発表会もしていただきました。
今後は、さらに市町村との連携も強化して、地域の社会福祉法人、地域おこし協力隊、民生委員などの皆さんと意見交換会をして、地域の方々に直接伝えていくことで、予算の執行をしっかりと実現していきたいと考えております。
それから、食材はおっしゃるとおりなんですけども、和歌山市内で私が関わっていた例で言いますと、比較的長く続きますと、もう本当に近所のお百姓さんとか農家の方とか、あるいはお肉屋さんの方とか、善意でいろんなものをくださるというのが結構定着しておりまして、実は、和歌山市内ではあんまり食材に困るということは聞いてないんですけれども、確かに新たに立ち上がるとそうだと思いますので、その辺も含めて、応援団の皆さんをつくって寄附していただくような運動も、県としてしっかりと応援していきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 いろいろと継続できる策を考えていただいておるようなので、一つでも多く設置されていくことを願っております。
次に4点目、県民の声を反映させた予算編成について伺います。
熊野白浜リゾート空港の滑走路の延長にしても、地元白浜町はじめ関係市町村や航空事業者などの意見もよく聞き、また、ニーズ調査なども行われているのかと心配をしているところであります。
先日、新聞報道で、熊野白浜空港に国際線ターミナルを整備したものの、チャーター便の誘致が進んでなく、大阪・関西万博や熊野古道など世界遺産登録20周年を控え、誘致活動強化が求められるという記事が出ていました。その際、ある大学教授が「近隣の関空との競合もあり、観光資源の魅力を調べて、ターゲットとなる国や地域を明確にすべき」とか「実績を積んでから国際線ターミナルを建設してもよかったのでは」といった意見を述べておられました。鶏が先か卵が先かという話を今さらする気はありませんし、この教授も言っておられましたが、とにかく誘致を必死になって取り組むしかないと思います。
熊野白浜リゾート空港の延伸も新年度に調査を行うようですが、延伸すれば終わりではなく、ニーズがなければ無用の長物、負の遺産になってしまいます。それは県民にとって大きなマイナスでありますので、振興策とセットでしっかり考えていただきたいと思います。
るるお尋ねをしましたが、市町村長はじめ県民の皆さんからすると、知事が声高らかに宣言をする前に、意見を聞いてもらいたいと思っているのではないでしょうか。そして、そうした県民の皆さんの声にしっかりと耳を傾けた上で、事業の効果や成果、コストパフォーマンスなどをしっかり勘案し、峻別すること、取捨選択することが大事であると思いますが、今回の予算編成過程においてもそのような確認は漏れなくできているのか、お尋ねをいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
今回、いろんな新しい政策を予算に折り込みまして提案をさせていただいておりますけれども、このうち多くのものが32か所のタウンミーティングでいただいた御意見を基にしたり、あるいは、事業者の団体の皆さんとは緊密に連携を取っておりますので、事業者の団体の皆さんとのいろんな会合の中でいただいた御陳情を予算の中に組み込ませていただいております。それは私自身、これからも現場の声をできる限りきめ細かく聞かしていただいて、それを予算、あるいはその先の政策に結びつけていきたいというふうに考えておりますので、足らないところがあれば御指摘をいただければと存じます。
ちなみに、熊野白浜リゾート空港につきましては、国際ターミナルを建設されたのは前の体制ですけれども、実はその前ですね、結構チャーター便が飛んでいたんです。国際チャーター便が飛んでいて、コロナでぱたっと止まってしまったということがあるものですから、このコロナで止まった状況を前提に、数年前に行った国際線ターミナルの着工を評価されるのは、少し酷ではないかというふうに思います。
その上で、2000メーターと2500メーターというのは大きな違いがございまして、2500にすると大型機も離発着できます、定員によりますけれども。そうしますと、まさにアジアでもかなり遠くからビジネスベースのチャーター便が飛ばすことができる。昨年、ベトナムから飛んできていただきましたけれども、残念ながら2000メートルでは180人乗りの旅客機をフルで離発着できないんです。したがって、140人のキャパで40席余して、これを県としてサポートさせていただいて実現したんですけれども、そういうことでは実は来ていただけません。
そういうことは空港運営会社からも私が就任してから強く要望を受けておりますし、紀南の皆様方からも空港の滑走路の延伸については直接やってくれという声をたくさん聞いておりますので、まずは今年度、実現性とか工事のやり方についての調査予算を計上させていただいたところでありますので、引き続き、そのプロセスで関係市町村、住民の皆さんとはよくよく意見交換をしながら進めたいと思いますので、藤山議員におかれましても御指導よろしくお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 よく分かりました。今回、このような質問をさせていただきましたけれども、振り返りますと、12月議会で、自然博物館の海南市への移転整備の問題に関して、有田川町で発掘されたモササウルスや紀伊半島のジオパーク、湯浅町のしょうゆや由良町のみそなど発酵食品の紹介、さらには串本町のロケットまで、幅広い自然科学分野の展示をという内容の提案をしたことについて、海南市はもちろん有田川町など、関係市町への意見照会はされたのか、また、県民や有識者の意見は聞いたのか、事前にニーズ調査やマーケティングリサーチを行っているのかとただした際に、教育長からはそういう取組は行っていないとの答弁があり、あまりの配慮のなさに啞然としたのを覚えております。
あと、先ほどの学校給食の話も、2月定例会に向けた議運の前に、2月1日か2日に突然我々も報道で知りましたし、先月、2月から始まったパートナーシップ制度、これについても県のほうから各市町村に対して事前に説明会を行うというような予定であったのが、県のほうから時間がないのでやめますと。結局、2月1日、そのパートナーシップ制度が始まってから、オンラインで説明会を開くことになったそうであります。市町村の担当課からすれば、オンラインではなかなか深い質疑もできませんし、個別に質問はペーパーで出してください、後日お答えしますというようなことであったと思いますので、もう少し丁寧な県政運営をしていただきたいというふうに思っております。
事業の取捨選択もそうですし、事業を進める上でもしっかりと意見を聞くという対応が極めて大事で、自然博物館の移転整備に関しても、新年度に審議会の予算のみ教育委員会で計上していると聞いていますが、しっかりと県民の声に耳を傾けて県政運営をしていただくよう要望しておきます。
次に5番目、観光振興について伺います。
知事は、就任時に農業・林業・水産業の活性化と新しい観光産業の創造を両輪として、子育て支援策を強化し、和歌山県に多くの人を呼び込んでいくため、前例にとらわれず、将来を見据えた大胆な政策を実行していきたいとおっしゃられました。
人口減少の中では、県内経済を維持していくためにも、観光客の誘致は極めて重要と思いますが、今年度の観光関連予算額を見ますと、職員費を含め9億2400万円程度と、前年度に比べ2億円ほども減少しています。何も予算が多ければよいとは思っていませんが、予算の選択と集中、取捨選択の中でどのような工夫を行われたのでしょうか。
外国人旅行客も、これまでの東京、京都といったゴールデンルートを訪ねるのが中心で、中国からの観光客による、いわゆる爆買いなども一時期取り上げられましたが、最近はあまり知られていない日本のよさを求める旅行が注目されてきていると聞きます。欧米にも広いスキー場はあるのに、長野や北海道などにスキーをするために多くの欧米からの観光客がやってくるのは、パウダースノー、まさにさらさらの雪を求めてのことだというのはよく知られた話です。
昨年12月の新聞報道でも取り上げられていましたが、インバウンドの宿泊需要が急回復する中で、徳島県の秘境と言われる祖谷地区が日本の原風景として訪日客を呼び込んでおり、シンガポールや欧米、オーストラリアの個人客に重点を置き、東アジア以外の宿泊者の2019年7月から9月に比べ、2023年同時期は約40%増と、全国でも2位とのことでありました。
一方で、和歌山はというと、逆に16%減の状態とのことでありました。現在では、ほぼ2019年の水準に戻っていると聞いているものの、なお一層の誘客を期待するところであります。
さらに、国は、インバウンド1人当たりの旅行支出額を2025年に20万円と、2019年より25%引き上げる目標を上げており、和歌山県経済を押し上げる効果は極めて大きいと思います。来年に迫った大阪・関西万博を契機に、外国人旅行客を和歌山に流入させる策をしっかりと打っていく必要がある時期と思いますが、手だてをしっかり打てているのか、また、和歌山のよさをどう打ち出していくのか、お答えください。
さらに、県の組織も、これまで観光を極めて重要な産業と位置づけて商工観光労働部としていたところ、地域振興部を新設し、地域における観光振興、観光交流を推進するとのことでありますが、その狙い、具体的な振興策も含めた答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
まず、観光振興に関する2024年度の当初予算案における金額が、2023年度に比べていささか減少しているという藤山議員の御指摘は、そのとおりでございます。これは、まず、費用対効果の高い事業を優先させていただきました。限られた予算の中ですので、できるだけ効果の高い、最大限の効果が発揮できるような事業に絞らせていただきました。
具体的には、いろいろきめ細かい作業を行いましたけれども、広報イベントがたくさんあるんですけれども、従来、非常に有名な東京の非常に単価の高いホテルで行っていたようなイベントを、やるんだけれども節約をさせていただいて、それほど有名ではないホテルを使わせていただくとか、効果は同じだけれども、しっかりとお金を大事に使うような見直しを随所にさせていただいた結果であります。御理解をいただければと存じます。
それで、内容的には、今体験的なツーリズム、アドベンチャーツーリズムとか言いますけれども、体験型の観光へのシフトを前提としたメニューづくり等への支援を今回は重視したり、いろんな細かい目配りをさせていただいたところであります。
さらに、今年は世界遺産登録20周年でありますので、熊野古道中辺路リレーウオーク、あるいは熊野三山での到着セレモニーなど、世界遺産が象徴する精神性を伝えるいろんな企画を実施したいと思っておりますし、これが「聖地リゾート」というキャッチフレーズの聖地であります。リゾートという意味では、豊富な温泉資源や食の情報をアピールしていきたいと思っております。
それから、インバウンドの誘客の重要性についても、藤山議員の御指摘のとおりであります。アジアの主要6市場のほか、新たに欧州、あるいはオーストラリアに観光プロモーターを設置いたしまして、現地でのプロモーションを強化するということと、受入れ環境の整備を行いまして、アジアにプラスして欧米、オーストラリアなど、海外の幅広い高付加価値の旅行者の誘客を目指してまいります。
それから、今、観光局の位置づけについての御質問がございました。今回、地域振興部に観光局を所属させることといたしましたのは、観光といいましても、きれいな景色とかおいしい食品とか温泉だけではなくて、その地域の歴史、文化、あるいはそこに住む人々との触れ合い、あるいは物語、そういうものが非常に今重要な要素になってきているということでありますので、地域振興部に観光局を合わせて、地域振興と一緒にやっていきたいという趣旨であります。例えば、関係人口という言葉がありますけども、地域振興がやっている関係人口を増やすという、その関係人口が観光のプラスにもなるのではないかということも考えております。
今後とも、世界遺産登録20周年や大阪・関西万博を契機として、積極的なプロモーション活動を展開してまいりたいと存じます。持続可能な観光地域づくりを目指してまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 観光も、いかに戦略を立てるかということが肝要かと思います。チャンスを的確に生かして、外国人観光客の増加率が全国トップとなるよう取り組んでいただきたいと思います。
次の質問に移ります。
6番目に、道路整備として1番目、まずは、今後の公共事業の見通しについて伺います。
道路整備率、道路改良率ともに全国と比較してもかなり低く、令和3年3月末の数値でありますが、一般国道の改良率が、全国平均93.1%に対し和歌山県は78.9%と全国で45番目。整備率は、全国平均70.9%に対し64.8%と全国で32番目。都道府県道では、改良率が全国71%に対し47.6%で全国で44番目。整備率も、全国60.3%に対し39%で、同じく44番目。市町村道は、改良率で示されていましたが、全国59.9%に対し45.3%と全国46番目となっています。
川筋、谷あいに集落が点在する和歌山県としては、道路延長も長くなるためと聞いていますが、それにしても、あまりにも率が低く、まだまだ整備が必要であると思いますし、市町村長からも多くの要望が寄せられているのが実情であります。
先ほどの観光振興を含めた経済発展、そして県民の生活維持には、やはり道路整備は欠かせません。知事は、財政危機警報を発出した際、地方債の償還に係る公債費がかさむのは、近年、公共事業をどんどん進めてきたからと説明されていましたが、この状況を見る限り、遅れているから進めているということだと思います。
私の地元の海南・海草地域でも、観光用の道路として重要な国道370号の整備が随分と進み、地元の方々からも、便利になったという声が聞こえるようにはなってきていますが、いつ大きな地震被害に見舞われるかもしれない本県では、国土強靱化に係る事業を促進する必要があり、今回の能登半島地震の状況からも明らかであると思います。
そうした中で、知事は、国への公共事業の要望を事業部局と財政部局が一元的に管理しつつ、交付税措置など有利な地方債の活用を図ると説明されていますが、県財政運営にとって有利な国の事業を要望しているのは、和歌山県だけではありません。どのように確保し、道路整備の推進を図るのか。有利な事業と聞く国土強靱化関係について、全国に比べどうかも含め、お答えをください。
令和6年度予算資料によると、高速道路ネットワークなどの整備には約109億円、幹線道路網などの整備に約174億円、道路の防災・減災対策には45億円ほどが計上されているようですが、高速道路の紀南延伸を終えたら、公共事業費も落ち着くのではないのでしょうか。
市町村長からは、財政危機警報で公共事業が抑制され、さらに、これまで県単独事業ででも実施されていた事業が滞るのではないかという心配の声も聞いておりますので、丁寧な説明が必要と思っているので伺うのですが、今後の公共事業の見通しはどうなっているのか、お聞かせください。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
本県におきます国土強靱化に係る5か年加速化対策予算につきましては、大変ありがたいことでありまして、他の都道府県に比べても手厚く配分をされてまいりました。今後とも、社会資本の充実に向けて、国に対しては強く要望をしてまいりたいと考えております。
それから、本県といたしましても、南海トラフ地震等の大規模災害に備える上でも、国土強靱化に資するインフラが非常に重要であるということは、藤山議員はじめ県議会の先生方と全く共通の認識を持たしていただいているところであります。特に道路につきましては、大規模災害時の救命救助や被災地の復旧・復興のためには極めて重要でありますので、しっかりと確保していきたいと思っておりますし、平常時におきましては物流・人流の活性化など、地域振興に資するものでありますから、県としても最大限の努力を払っていくつもりでございます。
なお、私は前から言っていますように、財政再建というのは、増税をしたり歳出カットではできないと申し上げています。いたずらに歳出カットするつもりは全くありません。ただ、同じ事業量を確保するにも、当初予算で借金をいたしますと、借金の返済は2分の1ちょっと減るぐらいです。ところが、国土強靱化の補正予算で事業をさせていただきますと、返済分が相当減るんです。ですから、そこは県選出の国会議員の先生方にもお願いを申し上げて、同じ事業量を確保する中で、有利な返済の事業をできる限り確保していきたいと。そういう意味では、ぜひこの議場の先生方の御協力も心よりお願いを申し上げたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 次に、都市計画道路松島本渡線の延伸について伺います。
私は、当選以来ずっと和歌山市と海南市間の交通混雑を解消すべきと訴えてまいりましたが、国体道路の右折ゾーンの整備や松島本渡線の整備促進など、少しずつ整備されてきていますが、対策を進めるべきところはまだまだ多いと思います。特に、松島本渡線の延伸は、前知事の時代に必ず整備するとのことでありましたが、現在の進捗状況はどうなっているのか、改めてお尋ねをいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
藤山議員の御質問にありました都市計画道路松島本渡線の重要性につきましては、私ども県当局としても全く同じ思いでございます。それで、県と和歌山市で事業区間を分担しておりますけれども、花山西の交差点から冬野の交差点までの整備を進め、2019年3月までに順次供用が行われました。これに続きまして、冬野の交差点から海南市域の県道海南金屋線までの区間を2019年度に事業化したところでございます。この区間のうち、冬野交差点から県道岩出海南線までの区間を優先的に整備することとしておりまして、現在、用地取得をしております。用地取得でき次第、引き続き早期整備には前向きに取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 最後の大きな柱、交通の確保について伺います。
まず初めに、公共交通の現状について伺います。
少子化、人口減少の中で、公共交通機関の利用者も減少し、バスの路線廃止や便の減少、さらには、バスやタクシーのドライバーの減少が大きな問題となっています。地元の海南駅からの交通はといいますと、バスは登山口方面に向かうのは19時50分が最終、マリーナシティへも20時過ぎが最終であります。タクシーも最近台数がすっかり減ってしまい、夜10時を過ぎると3台しか走っていないとのことであります。
県民の生活交通を確保することは重要であると考えますが、県内の公共交通の現状と、これまでの県の対策はどうだったのか、お聞かせください。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
今、藤山議員御指摘のとおり、人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響等により、県内の公共交通の利用者が大幅に減少しました。現在、回復傾向にありますけれども、利用者数は元に戻っておりませんし、まさにバスやタクシーのドライバー不足というのが、これはもう全県下いろんなところで起きております。地域公共交通を取り巻く環境は大変厳しい状況であるという認識は、藤山議員と同じであります。
その上で申し上げますと、県ではこれまでも、複数の市町村にまたがる広域的かつ幹線的なバス路線を運行する交通事業者に対しましては、運行経費や車両購入経費について、国と協調して補助を行ってまいりました。それから、利用者の減少や燃料費等コストの増加に伴い、経営環境が悪化している交通事業者に対しましては、国の地方創生臨時交付金を活用した支援を行ってまいりました。
また、バス路線の再編や利用促進、利便性の高いデマンド交通の導入など、地域のニーズに合った公共交通の再構築に取り組む市町村に対し、専門家を派遣したり、実証運行への補助を行ったり、できる限りの御支援をさせていただいて、地域の生活交通を守るための取組を積極的に行ってきたところでございます。
○議長(濱口太史君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 小項目の2番目として、観光地での公共交通について伺います。
県内有数の観光地である白浜町では、オンデマンドバスを試験的に運行し、利用状況を把握しようとしているそうです。さらには、町の観光協会などが週末などの夜間に、ホテル、旅館と飲食店街を結ぶ無料のバスを実証事業として走らせるとも聞いています。観光振興策としての公共交通の充実が重要であると考えますが、このような取組は白浜だけでなく、県内の観光地全体で検討されるべきものと考えます。県のリーダーシップが求められるのではないでしょうか。
例えば、熊野古道を歩く方からすると、本宮大社に夕方着きますと、午後4時を過ぎたらタクシーがなくなり、バスも川湯温泉や湯の峰温泉方面へは、16時58分の後は18時58分発までない状況で、それでは、湯の峰温泉や川湯温泉にゆっくり泊まってみたいという観光客のニーズに応えられないのではないでしょうか。高野山はどうかといいますと、高野山駅前と奥の院前などは、朝6時前後から夜9時台まで運行しており、おおむねニーズに応えることが可能なように思います。
利用の状況によりどうしても差が出てしまうのは、民間企業としてやむを得ない面もあると思いますが、果たしてそれだけで放置していて、観光客を呼び込めるでしょうか。リピーターの確保もしかりですし、利便性の悪さを伝え聞いた人が、訪問地の候補から除いてしまうのではないかと思います。
例えば、国がこれまでの制約を緩和して、一般ドライバーが有償で乗客を送迎するライドシェアを進めようとしていますが、これも一つの考え方ではないでしょうか。残念ながら、和歌山県内で取り組んでみようと考えている市町村は今のところないとのことで、人口の少ない地域で実際に乗客を送迎しようとする人がいるのか、あるいは利用者もいるのかという気もするものの、少なくとも全国21の自治体で実証に取り組むとしているのも事実であります。
諸外国に目を向けますと、先日、NHKの「クローズアップ現代」で、フランスの田舎町での状況が紹介されていました。国と自治体が共同で整備したシステムでしたが、ドライバーは、通勤、通学などで移動する予定がある人です。サービスを利用したい人がアプリで目的地を指定したら、同じ行き先の車に相乗りできる仕組みになっていました。これは、なりわいとしての成立を考えているのではなく、ドライバーにとっても高速代を賄うくらいにはなるという、いわゆるウィン・ウィンという考え方のようで、大変参考になりました。
今後、先進的な取組をする自治体の取組を情報収集し、県内に周知することも必要でしょうし、やはり県がリードすることも大切かと思います。ライドシェアに限らず、タクシーの配車のアプリや目的地の施設の利用とそこまでの移動手段がセットになって予約、決済などができるMaaSなど、観光客の交通手段確保を図ることで、地元県民にとっての利便性向上にもつながると思いますが、県内外の新しい取組事例を県内へ普及することについての考え方をお聞かせください。
○議長(濱口太史君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
県といたしましては、特定の時期や時間帯に発生しております公共交通の供給不足ということも強く認識をしております。そのため、デマンドバスの導入に対しては補助を行っております。それから、駅での案内看板の充実、あるいはバスの共通時刻表の作成、スマートフォンでの経路案内の導入など、移動手段の確保や利便性の向上にも取り組んでまいりました。
また、藤山議員が今御指摘いただきましたライドシェアについても、全く同感でございます。先月、国土交通省の交通政策審議会におきまして、タクシー事業者が行うライドシェアの制度案が示されました。私ども和歌山県といたしましても、地域住民や観光客の移動手段を確保するための重要な一つの方策となり得ますので、昨年12月に、県でもタクシー事業者や学識経験者等をメンバーとする研究会を立ち上げました。ここでしっかりと議論をさせていただきまして、何か芽出しができないか、また、これも御相談しながらさせていただきたいと思います。
それから、最後に御指摘いただきましたとおりでありまして、デマンド交通、それからMaaS、さらにはライドシェアの導入等も含め、新しい手法を県内外の観光地の先進事例を参考に、市町村、それから実際に運行される民間の交通事業者の皆さんと共有しながら、輸送資源を、限られているとはいえ、できる限り最大限に活用し、今、藤山議員が御指摘のありました観光客や地域住民の移動の確保ということについてしっかりと取り組んでまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 以上で終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
11番佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)
○佐藤武治君 皆さん、おはようございます。
昨年の9月以来の登壇になりましたけれども、よろしくお願いします。
2024年、本当に波乱の幕開けとなりました。元日には、石川県能登地方を震源とする最大震度7の地震が起こり、石川県内では、昨日時点で241名もの犠牲者を出す大災害となりました。また、翌日の2日には、羽田空港で能登半島地震における被災地の支援に向かう海上保安庁の航空機と日本航空機の衝突事故があって、海上保安庁の職員の5名の貴い命が失われる大事故となりました。能登半島地震及び航空機事故によってお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、御家族及び関係者の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問に入ります。
まず最初に、民間小型ロケットの打ち上げについてお伺いいたします。
いよいよ待ちに待ったカイロスロケット初号機の発射が3月9日と決まりました。当初の計画から約2年、4回延期されましたけれども、発表直後から地元も一気に盛り上がりを見せておるところであります。打ち上げを見守る見学場の串本町の田原海水浴場と那智勝浦町の旧浦神小学校では、5000人分の入場チケットが発売から僅か2日間で売り切れとなり、このようなことからも関心の高さが分かります。2か所の見学場は、発射場であるスペースポート紀伊から田原海水浴場は南西に約2キロ、それから旧浦神小学校は北東約2キロの距離にあり、それぞれ2500人の収容となっています。
また、両会場は近くを飛ぶロケットを直接見られるほか、発射場内に設置されたカメラが捉えた打ち上げの瞬間を大型モニターで見ることもできるようになっていると聞いております。さらには、打ち上げのライブ配信を阪和自動車道の紀ノ川サービスエリア、吉備湯浅パーキングエリア、そして、印南サービスエリアの和歌山県内3か所と三重県内の2か所の計5か所にサテライト会場を設置し、会場に来ることができない方々にも御覧をいただけるような体制を取っていただいております。
周辺の宿泊施設も、発表直後から予約が入って、打ち上げ前日の8日は満室になっておるようです。打ち上げ延期を考えて、後泊の予約まで入っているというふうなことも聞いております。
また、先月16日には見学場周辺を、来場者をきれいな環境で迎えようと、和歌山ロケット応援団、県立串本古座高校の生徒、串本ライオンズクラブ、役場職員ら約70人が参加して、海岸に漂着していた流木やプラスチックごみなどを拾って清掃活動をしたようであります。
このように、関心が高まるのは非常にうれしいのですが、何分初めての対応になり、予想外のことが起きる可能性もあり、私がここに来て一番心配するのは、交通渋滞による地元地域住民への生活、これへの影響が非常に心配をされるところです。このことについては、過去に令和4年9月議会でも質問を行い、当時の対策について答弁をいただきましたけれども、いま一度、現時点での交通渋滞対策については万全なのか、また、チケットを持たない方が何とか見たいと思い、来町する可能性があると思われます。非常に難しいとは思いますけれども、その点も、後日、問題等が出ないようにしていただきたいと考えますが、発射場周辺道路の渋滞対策について、商工観光労働部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
商工観光労働部長三龍正人君。
〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) 交通渋滞対策についてお答えいたします。
まず、チケットを事前に購入している見学客の受入れ体制については、パーク・アンド・ライド拠点を設け、見学場までの専用バスでの輸送やオフィシャルツアーの造成などにより、車両数を抑制しています。
次に、チケットを持参していない来訪者による交通渋滞が発生しないように、当日の交通渋滞の発生予告、ロケット発射のウェブ配信やサテライト会場への誘導について、ポスターやチラシに加え、案内看板や道路掲示板、専用サイトやメディアによる事前の広報を実施しているところです。
それでも現地に来られる見学者の対策につきましては、県警察本部による交通規制の実施や国道42号の交通容量確保など、通過交通の円滑化を図るほか、国土交通省による掲示板での渋滞情報の発信を行うこととしております。さらに、国道42号だけでなく、看板やバリケードの設置により、県道や町道などにも車両が流入しないよう対策を行うこととしております。
当日は、県、県警察本部、国土交通省と合同で渋滞対策本部を設置し、渋滞発生に係る情報収集や渋滞の監視を行う体制も整えているところです。また、串本町、那智勝浦町の協力の下、地元住民に対しましても、説明会等を通じ周知徹底を図るほか、打ち上げ1週間前からの防災行政無線や町内回覧板による外出抑制をお願いしているところです。
ロケットの打ち上げは、観光振興をはじめ、紀南地域活性化の起爆剤になるものである一方、発射場周辺の地元住民の生活に支障を来さないように取り組んでいく必要もあることから、交通渋滞対策について万全の体制で臨んでまいります。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 答弁いただきました。
以前よりも1歩も2歩も進んだ渋滞対策というんですか、今聞いたところ、そういうふうに思いますけれども、なかなかそれで十分かと言われたら、今回初めてでございますので、予想外のことが起こるのを心配しております。
やっぱり気になるのは、さっきも言いましたけれども、事前購入している方についてはパーク・アンド・ライド拠点というのを設けて、ここはバスでの送迎を考えているようなので、特に大きな問題はないかというふうに思いますけれども、見学チケットを持参してない方ですよね、この方がやはり見たいという気持ちはあると思いますので、いかなる手段をもって見に来るか、こういう方をひとつしっかりとやっていただかないと、やはり今回有料でございますから、そういう部分も含めて、ちょっと心配をしているところであります。
答弁では、県の警察本部等と連携して、渋滞対策本部、これの設置も考えているようでありますけれども、先ほど言ったように、想定外のことも起こるのではないかというふうに心配をします。十分気をつけていただくように、対応していただくように要望しておきます。
串本町内の新聞折り込みに、3月1日だったと思います、実はこのような新聞折り込み(チラシを示す)、カラーでなかなか金をかけているなあと思ったんですが、立派なチラシというのか、これ何だっていったら「ロケット打ち上げに伴う臨時運休及び臨時休業」という形で、コミュニティーバスの全路線全便運休、それから、ごみの収集全地区の収集中止、それからリサイクルセンター、それからクリーンセンターへの持込みは終日不可、こういうものがもう出されたんですね。ということは、もう影響が出ているという話になるわけです。
今回、初号機でいろんな対応が難しい部分があって、ちょっと出た後、役場の企画課長の方にもお伺いしたんですけども、確かにこういう意味では影響がもう既に出るんですけれども、何分初めてで全く予想がつかないということで、慎重にも慎重に対応していただくために、こういう形で事前に周知してもらいましたというふうなお話でありましたんで、ここは仕方ないのかなというような気もします。
そして、あと一つ心配するのが、既に海上の警戒区域というのが示されておるわけでありますけれども、そのために、当日は警戒船も多数出るようでございます。そして、地元では、いわゆるシーカヤックに乗って見学を企画したり、また、漁船等に乗って見学も出すような話も聞いております。ここもちょっと心配するわけでありますけれども、海上保安署等と連携して、事故がないように気をつけていただきたいように、これも要望しておきます。
そしたら、次に、民間小型ロケット打ち上げの知事の所感についてお伺いをしたいと思います。
冒頭述べたように、非常に地元は一気に盛り上がりを見せているところであります。串本町の旧の古座分庁舎で、昨年12月14日から16日に開かれたロケット土産展示商談会というものがありまして、県内外から28業者が出展されて、発射場のロゴなどを使ったアイテムを含む57商品を展示して、地域経済の活性化になるよう取り組んだりする機運も見受けられております。
今回も、旅行会社もロケット打ち上げを見込んだツアーを出して非常に人気があるようでした。そういうのも聞いております。当初、経済効果を10年間で670億円と試算をされていましたけれども、今回のチケットの完売や宿泊施設の予約状況を見ますと、今後の展開次第では、それ以上の効果が期待できるのではないかというふうに思ってしまいます。スペースワンは、1日に打ち上げ計画の詳細を明らかにして、天候などに特に問題がなければ、打ち上げ後、50分後には宇宙空間で衛星を切り離すとのことであります。また、既に3号機まで受注しており、2030年代には年間30機の打ち上げを目標にすると発表しておりました。
そこで、ロケット打ち上げが目前に迫っている中、改めて、知事の所感と打ち上げ成功後の観光振興と関連企業の誘致に向けた県の考えについて、知事にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 佐藤議員の御質問にお答えさせていただきます。
本当に今回のロケット打ち上げは、何度も延期が続いてまいりましたので、本当にいろんな困難を乗り越えて、ついに3月9日、打ち上げを決定するということで、大変歓迎をしております。私としては、ただただ初号機の成功を祈るばかりであります。初号機が成功すれば、2号機、3号機までは受注がありますけれども、恐らく成功すれば4号機以降、たくさんの受注が来るというふうに考えられますので、ともかく成功してほしいと。
先日、スペースワン社の関係者の方にお会いしましたら、関係者の皆さんは、熊野三山をはじめ、十津川村の玉置神社にまでお参りされたそうです。なので、大丈夫だと確信をしております。
その上で、今、佐藤議員が御指摘をいただきました、有料の見学チケットについては2日間で完売、キャンセル分も即日完売ということで、大変大きな関心が寄せられております。チケットを購入できなかった皆様の件でございます。本当にこれは何が起きるか分からないという意味で、佐藤議員の御指摘をしっかりもう一度整理をしたいと思っておりますけれども、現状では、まずリアルタイムでの無料のウェブ配信を実施しまして、来れない方はウェブで見てくださいと。それから、高速道路のサービスエリアなどにはサテライト会場を設けます。これもできる限りたくさん設けますので、そういうところで見ていただきたいと。さらには、オフィシャルパブリックビューイングパートナーというのを募集しておりまして、いろんなところでパブリックビューイングの場所を増やさせていただいて、そこで見ていただくようにしたいと思っております。
それから、まさに渋滞対策でありますけれども、これも佐藤議員のおっしゃるとおりでありますから、今、県警を中心として、国土交通省の関係者の皆さん共々に、しっかりとした体制を組んでいきたいというふうに考えております。県土整備部も、そのつもりで今準備を進めております。
今御指摘の観光振興につきましてでありますけれども、これだけ盛り上がっておりますので、このロケット打ち上げに関係する観光客に関した新たなビジネスも、恐らく考えられるのではないかと。紀南地方の観光資源というのはすばらしいものがありますから、観光資源とロケットの打ち上げを最大限に活用した観光施策にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
それから、これも御質問がありました産業振興でございます。初号機の打ち上げが成功し、今後、スペースワン社が計画しておりますように、2020年代中に年間20機の打ち上げが実現いたしますれば、恐らく部品工場あるいは燃料工場といった宇宙機器産業の集積や県内企業の参入促進が期待されます。さらには、ロケットの衛星データを活用するビジネス、宇宙ソリューション産業と紀南地域の第1次産業、農業、林業、水産業などの組合せによりまして、衛星データの活用によって既存産業の効率化・高度化に向けた取組も期待されるところであります。
それから、申し添えますと、この4月から県立串本古座高等学校で宇宙探究コースがスタートいたします。初号機が打ち上げを成功いたしまして、宇宙教育がスタートするということでありますれば、県と地元が一体となりまして、ロケットの打ち上げ場があると、射場がある和歌山県ということで、しっかりと前向きに進んでまいりたいと思いますので、御地元で御指導よろしくお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 ありがとうございました。
私も、このロケット関連については、その都度いろいろ質問をさせてきていただいたんですが、何か私が質問すると、よくロケットの発射が延期になるんだというような話もちまたではあるようでございます。それは、もういろいろ諸般の事情がありましたんで、今回3月4日だったかな、地元の田原にある木葉神社で、串本町長はじめ関係者、スペースワンの方も来られたと聞いておりますけれども、打ち上げ成功の祈願祭が行われたという話を聞いております。そこには私は出ていませんので、必ず成功すると思います。
今、知事の答弁にもありました、打ち上げだけを見学に来るのではなくて、県内、特に紀南には熊野古道をはじめとする魅力ある観光地が多くありますから、ロケットツアーとセットできるような、そういうふうな施策というのか、取っていただいたらというふうに思います。
また、串本町では、旧の古座分庁舎にロケット・宇宙関連の整備を行った宇宙ふれあいホールSora-Miruというのがほぼ完成をしております。ロケット1号機打ち上げ映像を高精細映像の8Kで放送する予定のシアターや、デジタル技術でロケット打ち上げなどを実感できるロケットミュージアムなどを設置しているそうであります。今年の夏頃にオープンする予定だと聞いておりますので、観光客や県内はじめ全国の小中学校にも修学旅行等に来ていただける企画を、ぜひ県のほうも考えていただくように要望したいと思います。
最終的には、知事の答弁にありましたけれども、ロケット部品工場や燃料の工場といった宇宙機器産業の集積、県内企業の参入まで実現ができればと考えますので、地元の自治体と連携をしていただくよう、これも要望しておきたいと思います。
それでは、次の質問に入ります。
南海トラフ地震対策について、一つ目が消防団の強化についてお伺いします。
冒頭で申し上げましたけども、能登半島では、本当に貴い大勢の命が失われました。消防庁からの要請を受けて、県下の消防隊で結成され、1日深夜に現地に向かい活動した緊急消防援助隊の皆様、そしてまた、県職員、医療関係者全ての方々に感謝を申し上げたいと思います。
和歌山県や私が住む紀南地方にとっても、とても他人事とは思えません。能登半島地震では、津波が1分ほどで石川県の沿岸に到着したという報道もあったようであります。また、海岸線を走る道路は山崩れや陥没、隆起等で通行不能になった箇所が、これも多くあったように聞きます。
先日、県が結成した緊急消防援助隊に参加した地元の串本消防署員の方と意見交換する機会がありました。非常に多くの課題が見えたようであります。全国から集まった隊員も、道路の寸断等でなかなか現地に入れず、また、情報も確実に伝わらず、共有できないこともあったと聞いております。報道でもありましたけれども、断水による水不足やトイレ不足など、毎日の生活に欠かせない部分の対応は緊急を要することが再認識されたようで、本議会の冒頭での知事の説明にもありましたけれども、今後、県庁全体で防災対策を見直していただく必要があると考えます。
消防署員からは、南海トラフのような大地震が起こると、空路での対応が重要視されると感じたようで、この点についても知事から、空路対策も充実強化していきたい旨の説明があったと思います。そして、現地の消防団員の話でありますけれども、高齢化等で団員不足、そして動ける人数は限られ、また、自ら被災して団員として活動できない方も多くあったと、こういう課題が浮き彫りになったと報道されていました。
意見交換した串本町消防署員からも、道路が分断されるような有事の際は、消防署員が現地に到着できないような事態も想定されることから、今後、南海トラフ地震等の発生時においては、迅速な活動が可能な地元の消防団員が、より一層必要になると感じたようであります。しかしながら、消防団員は全国的にも、また、本県でも減少傾向にあると聞いていますし、高齢化も進んでおり、深刻な課題となっております。
消防団の関係は、主に市町村の業務であることは分かっていますが、県として、有事に備え、消防団への若者等の加入促進に向けての取組や市町村への働きかけが重要だと考えます。県内の消防団の現状と今後どのように取り組んでいくのか、危機管理監にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 危機管理監福田充宏君。
〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 県内の消防団員数は、2023年4月1日現在で1万1160人となっており、市町村の条例定数に対する充足率は91.0%と、全都道府県中4番目に高い状況にあります。しかしながら、団員数の減少や高齢化は進んでおり、今後、地域の防災力を維持していくには、消防団員の確保が重要と認識しております。そこで、県は、消防団や消防団員への表彰により功績をたたえ、士気高揚を図るとともに、広報番組や広報紙を通じて消防団活動に関する情報発信を行い、消防団への加入を広く県民に呼びかけ、消防団員の確保に努めているところです。
さらに、人員が不足する大規模災害時にのみ消防団員として活動するといった特定の役割を担う機能別消防団員の活用を市町村に対して働きかけ、消防団に入団しやすい環境づくりを促進しているところです。このほか、消防団の加入促進に取り組む上で参考となる全国の先進事例、例えば、大学生消防団や加入促進に係るPR手法を情報提供することで市町村支援を行い、積極的に消防団員の確保に取り組み、地域防災力の維持向上に努めてまいります。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 どうも答弁ありがとうございます。
今、様々なそういう対策というんですか、団員の確保に向けての取組を言っていただきました。本当にこれ市町村だけで消防団を確保するのは、なかなか限界があるのかなというふうに思います。県も振興局も一緒になって取り組んでいただきたいんですけども、私自身も30数年消防団員であったし、もちろん火事の現場とか捜索活動にも従事しました経験もあります。消防団員、若い方がないわけではないです、地元でも。通常、平時は仕事を持っている方なんで、消防団員というのは。有事のときだけ、火事とかのときだけ普通集められて出動するわけでありますけども、こういう今地震が頻発して多くの犠牲者が出ている、こういうニュースも見るわけですから、もし地元会というのか、やっぱり地元は自分らで守るんだ、助け合うんだというふうな気持ちをしっかりと植え付けていくことも大事かなと思いますんで、そういう啓発も市町村と一緒にやっていただけたらありがたいと、こういうふうに思いますので、よろしくお願いしたい。
そして、次に、紀南地域の振興局による市町村への支援体制の強化というところでお伺いしたいと思います。
私が住んでいる紀南地域、ここは紀北地域よりも津波到着時間が早いことや押し寄せる津波が高いと言われていることから、被害が大きくなることが想定をされております。紀南地域の沿岸部は小規模な市町村が多く、南海トラフ地震発生時には、市町村だけでは対応できませんので、県からの応援、まずはその中でも、地元市町村と密接に関係している振興局の役割が非常に大切になると考えます。
そのためには、紀南地域の振興局が災害に備えて市町村への支援体制を強化する必要があると思いますが、その点について県はどのようにお考えがあるのか、危機管理監にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 危機管理監。
〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 南海トラフ地震に備え、平時から振興局と市町村が連携を深めることが重要であるとともに、紀南地域はもとより、全ての振興局において、市町村支援を含めた災害対応力を強化することが必要です。そのため、今年度、災害が発生するおそれが高い場合において、市町村へのリエゾン派遣や幹部職員間のホットラインの開設により、積極的な情報収集と共有を行うための体制強化を図ったところです。また、本庁から市町村への人的支援として、2013年度に、南海トラフ地震により市町村の行政機能が著しく低下した場合などを想定し、災害時緊急支援要員制度を創設しており、発災直後から沿岸18市町に10名単位で4週間にわたり支援する体制も整えております。
今後、振興局の機能強化を図る中で、市町村と連携した災害対応に関する訓練や研修を実施するなど、市町村支援を含めた災害対応力の一層の強化に努めてまいります。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 ありがとうございました。
様々な体制強化を図っていただいているところでありますけれども、知事は就任当初から、魅力ある地域づくりを推進するために振興局の機能強化を行うと、こういうふうに言われております。当然この機能強化の中には、各振興局の災害対応能力の向上も含まれていると思いますので、先ほど御答弁いただいたとおり、振興局職員に対する各種訓練や研修において、改めてしっかりと実施していただくように要望しておきます。
それでは、次に移ります。
ヘリコプターを活用した災害対応についてお伺いをいたします。
新春恒例の県選出国会議員座談会で、知事も「近い将来、高い確率で発生が予想される南海トラフ地震への対策で、道路の寸断や岸壁の崩壊などにより支援物資が届かず、1週間ぐらいは自給でやっていかないといけない」というふうに話していたと思います。今後、受入れ体制を見直していく必要がある、また、熊野白浜リゾート空港が命の綱になる、こういうことも話していたというふうに記憶します。
南海トラフ地震が発生すると、最悪のケースであれば、関東地方から九州地方までの沿岸部では、津波浸水の被害が発生するとともに、震度6弱以上発生する地域は24府県に上ると想定をされています。当然、和歌山県の場合、津波だけではなくて震度7という大きな地震が発生することになりますが、近隣府県も大きな被害を受けることから、早期には応援には来てもらえないというふうに思われます。また、期待することもできません。
仮に、他県から応援に来てもらっても、道路は寸断され、港は瓦礫や隆起等により使えないと思われることから、唯一の救援手段としては空、つまり航空機、特にヘリコプターを活用した災害対応が必要になると思います。和歌山県では、南海トラフ地震が発生した場合に、ヘリコプターを活用する体制はどのようになっているのか、危機管理監にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 危機管理監。
〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 南海トラフ地震が発生した場合には、能登半島地震と同様に、道路の寸断や港湾機能の機能喪失が想定されるため、広域的かつ機動的な活動ができるヘリコプターを有効活用した救援救助、物資輸送等は重要と認識しており、本県の防災ヘリコプターの活用はもちろん、消防、自衛隊、海上保安庁等の防災関係機関のヘリコプターも総動員することが必要であると考えます。
南海トラフ地震発生時には、地震による影響が少ない東北及び北陸地方の防災ヘリコプターが配置され、本県被災地での活動を行う体制が整備されています。また、自衛隊をはじめ、他の防災関係機関のヘリコプターについても迅速に応援要請を行い、県災害対策本部において運用体制を整えることとしています。南海トラフ地震に備え、ヘリコプターの運用体制が迅速かつ十分機能するよう、平時から防災関係機関との訓練等を実施し、連携強化に努めてまいります。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 そうですか、東北とか北陸地方の防災ヘリコプターが配置されるというのは、僕も今回初めて知ったわけであります。そういう体制はしっかりとふだんからというか、いざというときに使えるようにしていただきたい。
冒頭にも述べたんですが、2日の羽田空港での日本航空機と海上保安庁の航空機が衝突、炎上して、搭乗していた5名の命が失われたというふうに申し上げました。一方、日本航空機の乗客、乗員に、けが人は出ていましたけれども、379名という全員の命が救われる、海外では奇跡だと報道されていたように言いますけれども、元客室乗務員や機長からは、日頃の訓練の成果だというふうな声が聞かれました。
いつ起こるか分からない地震に対しても、日頃からの訓練が非常に大事だというふうに改めて思った次第であり、また、本県で唯一の空港である熊野白浜リゾート空港は、県広域受援計画にて広域防災拠点に指定し、旧南紀白浜空港跡地と併せて、航空搬送拠点臨時医療施設や航空機を含む救援活動拠点として活用することで、紀南地域の支援や県外からの航空輸送における後方支援の拠点として位置づけられております。今後、熊野白浜リゾート空港が紀南地域の中心的な防災拠点として機能するように、自衛隊やDMAT等の防災関係機関と連携をし、地域防災力の向上に取り組んでいただくように要望します。
この広域受援計画というのは、令和5年3月につくられておるんです。恐らくもう本当にヘリコプターが紀南地域への支援の重要な位置づけになると思います。これ、臨時のヘリポートが県内で345か所ですか、こうして指定というのか、されているわけです。私の住む串本町でも20か所の臨時ヘリポートが指定されているようでありますけれども、素人考えでありますけれども、何か海に近いところとかにあるんです。こういうところが果たしてそのときに機能するのかなというちょっと心配もありますので、こういう点も、またひとつ見直す機会があればしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
それでは、次の質問に入ります。
災害関連死のリスクを減らすための避難所の環境改善についてお伺いをしたいと思います。
何回も言うようでありますけれども、今回の能登半島地震では、本当に241名という死者、そして重軽傷者が1429名、また、住宅の被害の合計は7万8402棟という甚大な被害が発生しております。中でも、私が注目したのは災害関連死であります。241名の亡くなられた方のうち、15名が災害関連死の認定を受けているようであります。低体温症のリスクもあったため、報道でも再三、災害関連死に注意するようなアナウンスがなされていたと記憶をしております。
災害関連死は、過去の災害でも相次いでおり、例えば、平成28年4月に発生した熊本地震で亡くなったのは273名でありますけれども、そのうち、いわゆる直接死は50名ということなので、直接死の4倍以上の方が災害関連死としてお亡くなりになっているということであります。
災害関連死の原因はどういうものがあるのか調べてみました。内閣府が作成した災害関連死の事例集を見ると、避難生活の肉体的・精神的負担が52.7%、電気、ガス、水道等の途絶による肉体的・精神的負担が14.1%となっておりました。これらは、平常時に当たり前としていたことが災害時になるとできなくなることなど、環境が激変したのが原因ではないかというふうに思います。
一般社団法人避難所・避難生活学会の提言に、避難所TKBという言葉があります。Tはトイレ、Kはキッチン、Bはベッドを指しており、避難所における良好な生活環境を確保するためには、衛生的なトイレ、温かい食事、ベッドで就寝の三つ、この要素が重要であるというものであります。
そこで質問でありますけれども、災害関連死のリスクを減らすため、避難所の環境改善が必要と思いますけれども、県としてどのように考えているのか、危機管理監にお伺いをしたいと思います。
○議長(濱口太史君) 危機管理監。
〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 災害関連死のリスク軽減に向けて、避難所における良好な生活環境の確保は肝要であると考えており、能登半島地震で得られた知見も踏まえ、今後、検証していく必要があると認識しております。
議員御指摘のとおり、避難所の環境改善に向けた取組として、清潔で快適なトイレの設置、温かい食事の提供、雑魚寝ではなくベッドでの就寝は、重要な要素であります。ベッドにつきましては、簡易ベッドや段ボールベッドなど、各市町村において備蓄を進めているところですが、県といたしましても、わかやま防災力パワーアップ補助金により財政支援を行うとともに、今後市町村に対し、さらなる備蓄を働きかけてまいります。トイレと食事につきましては、簡易トイレや非常食の備蓄は進んでいますが、避難生活のストレスを緩和するための清潔で快適なトイレの設置や温かい食事の提供は、今後の課題であると考えています。
2024年度の当初予算案において、トイレトレーラーと防災コンテナに係る予算を計上しており、今後、県と市町村の役割分担や平常時と災害時の運用方法などを踏まえ、トイレや食事など、避難所の環境改善に向けた施策に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 答弁どうもありがとうございました。様々な環境の改善に向けて取組をしていただいているし、今後もいろいろと計画をされているようであります。今回、能登半島の地震を踏まえて、防災に対する注目度が非常に高まっていると思います。県民の命、暮らしに直結する危機管理施策は、県行政の中でも重要な役割を担っていると思います。災害自体を防ぐハード整備もさることながら、せっかく助かった命を災害関連死という形で失わないためにも、ぜひとも避難所の環境改善には積極的に取り組んでいただきたいと、このように思います。
今回、その取組の一つとして、令和6年度当初予算案に盛り込んでいるトイレトレーラーがありますけれども、これは仮設トイレとは違い、臭いの問題もほとんどなく、1回のくみ取りまで約1200回から1500回分程度使用可能と聞いております。今は非常に少ないらしいですが、今後、全国で購入が進めば、量産もできて単価等も安くなることも考えられます。有事だけではなく、平時からの活用方法等も、委員会等もはじめしっかりと今後議論をしていただければなあと思います。
また、1月に起こった能登半島地震からまだ2か月程度しかたっておらず、復興期に移っていく過程で得られる知見も多分にあることと思いますので、今後も引き続き検証を行い、必要な防災・減災対策を実施していただきたいと、このように思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に参ります。
不法投棄対策についてお伺いいたします。
不法投棄対策の現状について、以前、私の地元の、あれは県道41号線だと思います、潮岬周遊線の西回りというのがあります。その道に橋が1か所架かっております。その橋のフェンス越しに、多分夜中でしょうね、トラック等で運んできて、谷というんですか、橋の下に冷蔵庫等の家電製品等の不法投棄が非常に多く見られました。ちょっと何年前かは忘れたんですが、財産区や町がクレーン等を使って撤去している光景を見た記憶があるわけであります。その後、多分これは県だと思います。対策のためにフェンスを高くして設置をしていただいたように思います。そのおかげで、その場所では不法投棄はほとんどなくなっているというふうに聞いております。
しかし、他の場所では依然として不法投棄が見られるようであります。町や県の監視員がパトロールをされているようでありますけれども、潮岬に上がる──私、毎日下りたり上がったりするわけですけれども──通称・馬坂という坂の途中に、県が多分管理する駐車場、今は町に委託しているのかな、そこによくコンビニ等の袋に入った、もう食べ物をいっぱい捨てられている光景がたまに見受けられるわけですね。こういうのがやっぱり現状だと思うんです。やっぱり観光立県でありますから、ああいうのを見ると、これはいかがなものか、何とかならないものかなというふうに思いました。
そこで、まず、不法投棄対策の現状について、環境生活部長にお伺いしたいと思います。
○議長(濱口太史君) 環境生活部長山本祥生君。
〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 県では、不法投棄を防止するため、監視力の強化と教育啓発活動に取り組んでおります。
まず、監視力の強化としては、和歌山県ごみの散乱防止に関する条例の制定に伴い制度化した環境監視員9名が、県内各地で原則週4日巡回指導を行うとともに、1月末現在で168台の監視カメラを活用し、監視を行っております。また、産業廃棄物運搬車両に対する路上検査の実施や建物解体工事現場への立入検査による建設系廃棄物の監視なども実施しております。こうした取組のほか、和歌山県森林組合連合会、和歌山県農業協同組合中央会及び和歌山県フライヤー連盟と不法投棄についての情報提供に関する協定を締結し、監視力の強化を図っております。
次に、教育啓発活動としては、県政おはなし講座をはじめ、例年10月をごみの散乱防止強化月間と位置づけ、道路情報表示板を利用した不法投棄禁止の呼びかけや様々な団体による清掃活動などの取組を実施するとともに、県民の皆様や県内事業者の方々の自主的な清掃活動の促進を目的としたわかやまごみゼロ活動応援制度などの取組も行っております。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 答弁ありがとうございます。様々な取組を行っていただいていることが分かりました。特に教育啓発活動なんかも非常に大事な部分かなというふうに思います。引き続き、よろしくお願いをしておきます。
次に、今後、不法投棄を減らすための強化していく対策、この部分について環境生活部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 環境生活部長。
〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 県として様々な不法投棄対策を行っている中で、監視カメラが行為者の特定や不法投棄の防止に最も有効であると考え、2012年度から導入を進めています。県民の皆様からの通報や環境監視員のパトロールの結果に基づき、不法投棄が多発したり行われやすいと思われる場所に、市町村と協力の上、監視カメラを設置し、不法投棄を監視しております。
不法投棄は人目につかないように行われるため、行為者や捨てられた廃棄物などの特定が非常に困難ですが、近年、監視カメラの小型化、IoT化が進んだことにより、同一場所に対し複数台の監視カメラを設置することで、行為者などを特定するとともに、インターネット経由で記録された情報を、現場に出向かずとも随時確認することが可能となりました。
監視カメラに記録された情報については、和歌山県警察と協力の上、不法投棄行為者の取締りや指導に活用し、2021年度は1件、2022年度は2件、2023年度は1件検挙に至るとともに、検挙に至らなかった場合でも、行為者が判明した場合は撤去を指導することができました。こうしたことが不法投棄の防止につながることから、今後も、監視カメラを増加させることで、さらなる監視力の強化を図ってまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 答弁ありがとうございます。今、部長から、不法投棄は人目につかないように行われるというんですか。先ほど私が話をしました馬坂の駐車場は、本当に車が行き交いして、非常に目立つところなんですね。ただ、それが夜に多分されていると、人目のつく時間帯には恐らくされてないというふうに思います。それも地元の方であるか、もしくはまた町外の方かは不明でありますけども、たしかそこには監視カメラがなかったように記憶します。
今、いろんな、監視カメラで検挙に至ったという話もありましたし、やっぱりカメラがあるということだけで抑止力が働くのかなというふうに感じます。本当に観光立県の和歌山でありますから、そういうごみが散乱している光景は見たくないというのが誰もの思いであると思います。ひとつ費用等も要りますけれども、引き続き、そういう監視カメラ等で対応していただくようにお願いを申し上げたいと思います。
これで、私の一般質問を終わります。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時46分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(中本浩精君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
33番山田正彦君。
〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 しばらくぶりに質問する機会を与えていただきました。ありがとうございます。
過日、議会事務局で調べていただいたんですが、令和6年、この3月まで現在ですが、全国都道府県議会議員、2649名あるんですが、その長老議員番付で上から6番目。(「おめでとうございます」と呼ぶ者あり)(拍手)
ありがとうございます。去年までは7番目だったんですけど、今年になって1番繰り上がりました。大変名誉なことであって、日頃から御支援いただいている有権者の皆様方にも、関係者の皆様方にも、心から感謝申し上げます。
年は重ねても、魂、気力は衰えないというのが、私のキャッチコピーであります。現在もなお、この私の体の中に熱い血が流れている限り、固く、そう確信しております。今後とも、選挙区の皆様方の代弁者として、また、和歌山県政のトップリーダーとしての岸本知事が和歌山県勢発展のために何事にも勇猛果敢に挑戦していっていただけるように、熱いエールを送り続けるためにも頑張りたいので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、許可をいただけておりますので、通告に従って質問させていただきます。
令和6年度予算についてであります。
一つ目は、新たな予算編成の取組について。
知事御就任以来、編成方針から携わって初めての当初予算は、知事自身の政治スタイル、「現場に出向いて生の声を聞く」を基に、県民が笑顔となり、全ての人たち、県民が生き生きと暮らせるウエルビーイングな県の実現を目指して編成したと、そうあります。
ただ、予算編成方針の中で、あまりにも唐突に私は聞こえたんですが、唐突な表現の言葉が飛び込んでまいりました。全庁的に部局マネジメント枠の経費にマイナス15%のシーリングを実施、また、令和6年度予算編成の基本的な考え方の中にも、政策的経費についてマイナス15%のシーリングを実施と、そうあります。
しかし、令和5年の2月6日付で岸本知事名の財政危機警報が既に発表されている中で、一体どんな予算組みができるんだろうかと真剣に思い巡らしました。結果は、財政の健全性を確保するという取組を行いつつ、本県の未来につながる重点施策の推進に必要な予算が確保されました。
そこで、知事に質問ですが、結果としての15%のマイナスシーリングの成果は、いかほどでありましたか。生まれた財源の重点施策推進への割り振りは、うまく予定どおり履行されましたか。
続いて、振興局について、引き続いてお尋ね申し上げます。
私が県議会議員になって以来、和歌山県が元気になるための最大の要素、それは地方、地域が元気になることなんです。資源や人材を生かした地域づくりに取り組む市町村や、民間団体が活動して初めて地域が元気になります。その最前線にいて、にぎわいのある地域づくりや情報発信の基地としての振興局の存在が大変重要であることは常々申し上げているところであります。
令和6年度より、振興局から予算要求をできるようにしたと聞いております。
私は、振興局にもっと権限を持たせてはと思っていますが、地域の要となる振興局に、知事はどのような期待をしているのでしょうか。
以上2点について、知事の御意見をお伺いいたします。
第1問は、以上です。よろしくお願いします。
○副議長(中本浩精君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 山田正彦議員におかれましては、ますますお元気で、朗々としたお声も若々しく、今後とも叱咤激励をいただきますよう心からお願い申し上げまして、答弁をいたします。
まず、マイナスシーリングの御質問でございます。
来年度の当初予算の編成におきましては、財政危機警報を踏まえ、それぞれの部局が財政当局のチェックによらず、主体的に既存事業の見直しを進める、部局マネジメント枠を設定いたしました。
この枠は、義務的経費や基盤的経費、投資的経費を除いた、いわゆる政策的な経費約83億円が対象であり、今年度は15%のマイナスシーリングをかけましたので、約12億円の財源を捻出することができました。
この取組によりまして、公債費の増加などに対応することができましたし、既存事業の効果的な組替えが実施できたと考えております。
また、捻出した約12億円の財源の中から5%相当額の約4億円については、重点施策推進枠として措置することで、脱炭素先進県に向けた取組や農業・観光産業の振興など、県の未来につながる重点施策の新規の事業に対しまして、予算の重点配分ができたと考えております。
振興局についての御質問でございます。
私も、就任以来、振興局が重要であるということを申し上げてまいりましたし、昨年1年、32か所のタウンミーティングをして、地域住民の皆さん、あるいは市町村の首長さんはもちろん、担当者の皆さんと意見交換をする中で、その思いをますます強めたところでありまして、山田議員がおっしゃったとおり、振興局は大変重要な役割を果たすと考えております。
当初予算案におきましては、今、御提案しておりますけれども、これまでありませんでしたが、振興局が地域に密接に関わる中で、課題の解決に取り組むための事業予算、これを新たに計上させていただいております。
今後の期待でありますけれども、これまでは、局長さんも職員さんも、どちらかというと、本庁の意向の確認とか本庁との調整業務ということに時間を費やしてこられたようなんでありますけれども、むしろそうではなくて、より細やかに地域の実情を把握し、地域の皆さんと話し合って、地域の課題を掘り起こして、主体的に地域の振興策に取り組んでもらいたいと考えております。
そのような取組を通じまして、地域の皆様から頼られる存在になっていくように、心から期待をしているところでございます。御指導よろしくお願い申し上げます。
○副議長(中本浩精君) 山田正彦君。
〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 一番県政の情報とかそういう感触を味わうのは振興局を通じてが圧倒的であろうと思いますので、ぜひ今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
それでは、2点目について質問いたします。
夜間中学についてであります。
今日も傍聴席には、和歌山の夜間中学校をつくり育てる会の皆さんがお見えになってくれています。
公立夜間中学の生い立ちについて、ちょっと触れたいと思います。
戦後の混乱期には、生活が大変で、中学校に通う年齢の人の中にも、貧困、あるいは差別、病気、障害など、いろいろな理由で昼間に学校に通うことのできない子供たちがたくさんおりました。1950年頃までは、毎年、不就学者が数万人、長期欠席者が数十万人存在したと、そういうふうに言われています。
このような状況に対して、そのような子供たちに義務教育を提供しようと様々な取組が全国的に生まれ、昭和20年代当初、仕事などが終わった後、公立中学校の二部授業という形で、夜に授業が受けられる夜間中学を設置したのが、夜間中学の始まりだそうであります。
最初の夜間中学は、昭和22年に開設された大阪市立生野第二中学校だそうであります。その後、高度経済成長と産業構造の転換の中で長期欠席児は減少して、また、夜間中学は児童労働を公的に認められていると受け取られないかとの懸念があり、縮小傾向への現象も見られました。
夜間中学は、奪われた義務教育を受ける権利を取り戻すための中学校として再定義され、平成28年に、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律──長いんですが、通称・教育機会確保法が制定されて、全国的にその取組が積極的に展開されるようになりました。
配付資料を御覧いただきたいと思いますが、皆さんありますか。
現時点では、17都道府県44校が全国にありますし、今後設置しようとしているとして、計画が既に完了しているところが12県、そのほかたくさんの県がそういう準備をしていただいています。
和歌山県においても、和歌山の夜間中学校をつくり育てる会、先ほど御紹介しましたが、任意団体ではありますが、「こんばんはⅡ」というようなDVDまで作って、学ぶこと、また学ぶ喜びの大切さについて県内各地で上映会を催すなど、非常に精力的に活動されています。
そんな中、昨年の12月、和歌山市議会定例会一般質問において、尾花市長から、令和7年に開校を目指すとの発表がありました。ようやく全国への仲間入りができるようになろうとしております。
まだまだ道は険しく、全ての義務教育未修了者の方々が夜間中学へ入学するわけではないでしょう。しかし、令和2年の国勢調査の結果、本県においても、義務教育未修了者は9000人余りあるそうであります。和歌山市だけでなく、全県下的に対応しなければならないでありましょう。
和歌山県にあっても、学校教育局義務教育課が事務局となって、何度か県立夜間中学校設置検討委員会が開催されているそうです。
そこで、今後、本県における夜間中学の開設、設置についての知事の御所見をお伺いします。
また、岸本知事が立候補するに当たり、政策案を発表されている中で、学びたい人が学びたいときに学ぶことのできる環境づくり、すなわち学び直しの教室、夜間中学、不登校特例校と、そういうふうに記されてあります。知事の先見力に敬意を表します。新年度予算案の中にも、その旨の予算が計上されているようでありますので、より積極的な御見解をお願いいたします。
入学対象者の動向など、当該者の把握が非常に困難と予想されますので、県としても、多くの関係機関、あるいは団体、関係者など、町内会あたりまで周知して、夜間中学に関する情報を徹底的に広報し、御理解を得なければならないでしょう。教育関係者、社会福祉関係者、人権関係者、あるいは弁護士等で構成されるワンストップで相談できる場を設ける必要があると思います。
将来を展望するにつけ、和歌山県として、少子化、高齢化がますます進み、全ての産業、全ての分野で労働力が不足し、日常生活にも不都合が生じてくるのは、火を見るより明らかであります。
外国人雇用で、県に活力、活気を取り戻すために、外国人の就職促進で労働力を補強、そしてその家族の定住を図る上でも、日本の習慣、あるいは日本の言語等も勉強できる夜間中学の在り方も拡大的に期待できることだろうと思います。
フランスの格言というかことわざに、「卵を割らなければオムレツを作ることはできない」という言葉があるそうです。卵は既に割られていると思っています。今後は、その卵を、魂を込めて、おいしいオムレツを作るのがこれからの仕事です。
知事の熱い思いをぜひ夜間中学開設に向かって発揮していただきますようお願い申し上げ、質問とします。よろしくお願いします。
○副議長(中本浩精君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
今、山田議員に御指摘をいただきましたように、私の選挙公約の中で、学びたい人が学びたいときに学ぶことができる環境づくりを書かせていただきまして、それを実行していきたいと考えております。
これまで、様々な理由から、学びたくても学ぶことがかなわなかった方、例えば義務教育を修了できなかった方、不登校などで中学校に十分通えないまま、しかし卒業された方などに、学びの環境を提供したいと考えております。そのため、夜間中学は重要でありますので、公約として掲げてまいりました。
さらに、今、山田議員が御指摘のとおりでありまして、外国人労働者の受入れが拡大され、御家族の滞在も増えていくと考えられます。今後、そうした方々への学ぶ環境も必要であろうと、そして、夜間中学がその受皿になるのではないかと考えております。
そういうことで、就任以来、市町村と協議しながら、夜間中学の設置について取り組んでまいりました。和歌山市が2023年、昨年12月に、夜間中学の設置を表明していただきましたことは、大変ありがたいと考えております。
一方で、和歌山県は南北に広いわけでありますので、北の和歌山市1校だけでは当然対応ができません。県といたしましても、全県下の希望者が学ぶことができる環境づくりに主体的に取り組んでまいるつもりでありますので、現状、東牟婁の地方で県立夜間中学の開設を目指しております。できる限り急ぎまして、早ければ2026年の4月にも開校を目指したいと考えております。
大切なことは、いろんな理由で学ぶことができなかった方々に、学ぼうという意志や、学ぶことに展望、希望を持っていただくことだと考えております。
これも山田議員が御紹介いただきました、今日も傍聴席においででありますけれども、和歌山の夜間中学校をつくり育てる会の方々が、「こんばんはⅡ」のDVD上映会を行ったりフォーラムを開催したりするなどの啓蒙活動をしていただいていたことは、学びたい方々に希望を与え、そういう意味で、とてもよかったとお礼を申し上げます。
県といたしましては、多くの民間の方々とも協力しながら、来年度はフォーラムや体験会を開催し、機運を盛り上げてまいりますので、山田議員にも応援をよろしくお願い申し上げます。
○副議長(中本浩精君) 山田正彦君。
〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 再質問はしません。とにかく熱い思いをお酌み取りいただいて、頑張ってください。応援します。
引き続いて、不登校の現状と、今後の取組について質問いたします。
今年1月27日、公教育の在り方、「“学校”のみらい」というNHKスペシャル番組が放映されました。
令和5年、小中学校で不登校生徒が30万人、我が和歌山県でも1931人いるそうです。その割合は、全生徒に対し2.87%だということですが、この少子化が進む中にもかかわらず、ここ数年、過去最多を更新し続けております。また、さらには、ひきこもりも推計146万人にも上るという現状であるそうであります。この現状を教育長はどう感じていらっしゃいますか。
NHKスペシャルの中では、フランスや韓国、そして日本国内でも熊本県、あるいは山形県、石川県などでは、先進的に子供の多様性に配慮した柔軟な教育の実例等が紹介されておりました。
これまでの受験中心、5教科主義、テスト中心の教育、全生徒を時間で縛ったり、また、同じ型にはめようとする教育から、不登校生を生まない子供中心の教育への転換、子供たち一人一人の個性に応じた伸び伸びとして学べる教育への取組が始まっているのかなあと、そういうふうに実感しております。
教育長、我が和歌山県として独自の対応は考えておりますか。文部科学省の全国統一テストの成績を上げるために、本県独自の学力テストを小学校は1回、中学校は2回に増やしているそうでありますが、その効果は明らかに出ていますか。先生方は、テスト対策に追われ、本来の授業、あるいは生徒たちとの触れ合い、心の触れ合いに支障が出ておりませんか。生徒たちのためにと思っていることが、かえってプレッシャーになったり、そのことが不登校や、あるいはいじめの原因になっていませんか。
公立校である以上、私学的なようなフリースクール的な大胆な運営等はできないことは理解しておりますが、長野県などは、民間運営のフリースクールに支援的なサポートをしているそうであります。
戦後、日本の教育は、特に近年の日本の教育は大きく変わってきたと私は実感しております。少子化が急激に進む中、核家族化が進み、個人の権利が自由に主張される時代、学校現場にあっては、学ぶべきことを学ぶ権利を提供する場所から、学ぶことを学ばされている義務に感じる子供たちが、あるいは若いお父さん、お母さんを含め、社会的全般にそうなってきた感があると思います。
我が和歌山県としては、義務教育をつかさどる立場として、野放図な立ち振る舞いは当然できませんが、学校の未来を考える中で、真剣に私学との積極的な交流、協調、協力関係を考えるべきだと思います。
いずれにいたしましても、明日の和歌山県を担っていただく、感性あふれる情緒豊かな子供たちが1人でも多く育ってほしいと願う1人として、教育長は不登校の現状についてどう受け止めているのか。また、これからどうしようということを考えていただいているのか。教育長の思い切った対応を期待して御質問するので、御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(中本浩精君) 教育長宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 不登校児童生徒数は、様々な対策を行ってきましたが、全国的には10年連続で増加し、和歌山県でも、2018年以降、増加傾向にあります。
県教育委員会としましては、不登校の子供や保護者は様々な悩みを抱えており、深刻な課題であると認識しております。
不登校の要因を考えるに当たって、これまで、子供は学校に登校して学ぶことが一般的な認識でありましたが、様々な事情で、登校したくても登校できない子供もいれば、学校での学びになじめない子供もいます。
近年、個別最適な学びを望む声が広がっており、学校生活のあらゆる場面で、子供が主体となり活躍できる多様な学びへの転換が求められるようになっています。
不登校の未然防止には、子供の日々のささいな変化に教員が気づくことが大切であり、その一助として、1人1台端末を活用した心の健康観察等も有効であると考えています。
いつもと違う心情や体調の変化をキャッチした際には、ケースに応じて適切な見立てを行い、登校しづらい要因の改善とともに、不登校が深刻化しないよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門職と協力しながら対応を進めています。
長期にわたって登校できない子供には、家庭と連携し、学びを止めないという点から、教育支援センターやICTを活用した学習支援など、学びの機会確保に取り組んでいます。また、各市町村では、実情に応じて、独自の取組も行っています。
また、フリースクールについては、民間施設に通う不登校児童生徒等の実態把握が必要であるため、フリースクール等に通う不登校児童生徒支援調査研究の新規事業を次年度当初予算として御審議いただいております。
○副議長(中本浩精君) 山田正彦君。
〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 教育長ね、知事も含めて、くどくどと質問はしません。ただ、熱い思いを持って和歌山県のために頑張っていただきたい。我々も、同志も、必ずや応援してくれると確信していますので、どうかよろしくお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中本浩精君) 以上で、山田正彦君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
32番浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 皆さん、こんにちは。本日、4番目、トリでございますので、お休みにならないように、私も山田議員に倣って熱い思いをこの場でぶつけさせていただきたいと思いますので、最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
それでは、議長のお許しを得ましたので質問さしていただきますが、今回は、昨年9月議会でも触れましたし、また、以前から事あるごとにテーマとして取り上げております人口減少について、じっくりと質問さしていただきます。
と申しますのは、まず、昨年の11月の10日でありますが、このように(新聞を示す)朝日新聞に、「県人口、28年連続減、2月時点で90万人割る」という記事が載っておりました。
この数字を見て、はっと思い出したのが、実は私が初当選して初登壇した平成15年(2003年)12月議会でありますが、当時は、木村知事でした。和歌山県の人口は、その直近の国勢調査によりますと、2000年(平成12年)、約107万人あった人口が、国立社会保障・人口問題研究所、社人研の推計によると、平成42年──これはもう42年、平成はもう終わっていますから2030年ですね、88万人になり、90万人を割り、そのときの高齢化率も33.4%になると発言しておりました。
しかし、既に現在、直近の推計人口では約89万人、高齢化率33.3%になり、人口減少も高齢化率も、このときより5年も6年も早く推計値に近づいております。
また、県の平成27年(2015年)発表の人口ビジョン、皆さんも御覧になったと思いますが、こういう人口ビジョン(資料を示す)の中に、高齢者1人を現役世代2人で支える人口形態を目指していると述べ、そのためには、2060年で人口70万人が必要としていると述べております。
しかし、このままでは、とてもそのような目標は絵に描いた餅だと思っておりましたら、昨年12月22日に、このお手元の資料を御覧ください。
こういう資料あると思うんですが、2050年の都道府県別推計人口の増減率(2020年比)を見ていただきますと、全国で11県で30%以上の人口減少が起こると推計されており、和歌山県は、その中で、これはベスト──ワーストと言っていいのかどうか分かりませんが、9番目の割合で人口減少が起こるとされております。
これを見ていただければ分かるとおり、2050年には、2020年に比べて人口が増加しているのは東京都だけで、その増加率も僅か2.5%と、いかに今後人口減少が全国で急激に起こってくるかということがよく分かります。
また、資料の右側、今度、これは和歌山県の資料ですが、県下30市町村の推計人口の増減率を御覧いただければ分かるとおり、日高町の10.3%減少から九度山町の61.4%減少まで、30市町村全てにおいて人口減少の推計が出ており、2050年には和歌山県の人口が63万人余りになるということで、既に人口ビジョンで目標としている2060年、70万人を大きく割ってしまっております。
まさにすさまじい勢いで人口減少が県下全域で今まで以上に起こっていると見られ、それに並行して少子化が進んでいけば、2040年時点で、高齢化率が県全体で43.7%、後期高齢化率が28.5%という非常に恐ろしい数字が出ております。
そうした中で、今年に入り、この1月の10日の読売新聞に、この記事でありますが(新聞を示す)、「2100年、安定8000万人国家戦略会議、提言、人口減歯止め策」という記事が載り、その中には、日本の総人口は、2008年、1億2808万人をピークに急速な減少傾向にあり、国立社会保障・人口問題研究所の長期推計では、2100年には約6300万人に半減すると予想されているという記事が載っておりました。
この詳しい内容につきましては、お読みになった方もいらっしゃると思うんですが、この「中央公論」の(雑誌を示す)2月号に掲載されておりますが、これは、三村明夫議長・日本製鉄株式会社名誉会長と増田寛也副議長──今、日本郵政株式会社の社長であり、元総務大臣──を中心に、人口戦略会議メンバーの27人で書き上げられ、人口減少問題から日本の将来を予見する大変興味深いものでありました。
それによると、初めに、今なぜ「人口ビジョン2100」を提言するのかというと、日本はついに本格的な人口減少時代に突入し、しかし、既に数十年前から子供の数が減っていく少子化は始まっていたということであり、今後、人口減少でどのように社会が変わり、それが一人一人の生活にどのように及ぶかについて、一言で言うと、このままでは日本の将来が、もちろん和歌山を含め、非常に厳しく暗いものになるということであります。
そして、「『地方消滅』増田レポート」から10年がたち、人口6300万、4割が高齢者に」という見出しで、先ほど述べました2008年の日本の人口が最多のときに比べて、まさに半分になり、しかし、高齢化率が40%ということを「特集、令和生まれが見る2100年の日本」に述べられております。
さらに、本誌が人口急減社会の到来に警鐘を鳴らし、消滅可能性都市896全リストを掲載してから間もなく10年、この間も人口減少は続き、日本全体が衰退の波にのみ込まれつつあるということから始まり、人口戦略会議有志の提言全文を掲載しております。
2100年には、恐らく、この議場にいらっしゃる方は、私も含め、この世にはいないと思うんですが、ただ、私ごとで大変恐縮なんですが、去年、私、初孫が生まれました。そして、この話を先ほど山田議員と話をしていましたら、いや、うちは実はひ孫ができたんだと、去年。ということで、同学年になるんですけども、その私の孫と山田議員のひ孫さんが、もちろん住まいも違いますけれども、考えてみれば、2100年というのは、まだ77歳なんですよね。山田議員や坂本議員よりも年下なんですね。そのことを考えると、やっぱり我々もこういうことを真剣になって考えないといかんなというふうに思っております。
そして、まだ本当にこのことが我々まだぴんときてないかもしれませんけれども、我々、よく言うのには、次世代のためにとか言いますけれども、次世代どころか、私、孫になると次々世代ですね。山田先生の場合は次々々世代ということになりますが、決して他人事ではない、我々日本人として、和歌山県民の将来という視点で一緒に考えていただきたく存じております。
この提言では、人口減に歯止めがかからない場合、どのような重要な事態が起こるか正確に理解することが重要として、超高齢化や地方消滅で社会の進歩が止まると深刻さを強調。2100年の人口を8000万人──先ほどこのままいくと6300万人と言いましたが、8000万人で安定させる定常化戦略と、小さな人口規模でも多様性と成長力を確保する強靱化戦略の一体的な推進を訴えております。
定常化戦略は、人口が維持できる合計特殊出生率2.07を達成する時期を2060年に設定し、具体策に、1、若者の雇用改善、2、女性の就労促進、3、総合的な子育て支援制度の構築などを挙げた。強靱化戦略では、生産性の低い産業の改革や、人への投資の強化が重要だとしたというようにありますが、これは、今の時点では、まだ民間団体の戦略会議としての提言であり、政府で決めたものではありません。
しかし、最初に述べたとおり、和歌山県は、人口減少の先進県であり、合計特殊出生率は、近畿圏では滋賀県に次いで2番目に高いとはいえ、2022年、1.39と、現在の人口を維持するだけの2.07には遠く及んでおりませんし、高齢化率も既に県全体で33.3%であり、2100年までいかずとも、2040年には既に40%まで行くのではないかと言われております。
また、このまま2030年代に入ると、結婚して子供を産める若い人たちが全体の数が減ってきておりますので、もはや少子化に歯止めが利かなくなってきていると言われております。
岸田首相もおっしゃるとおりに、2030年までに少子化の流れを反転できるかどうかのラストチャンスであると、私自身も痛切に危機感を抱いているところであります。
ここで、この緊急提言「人口ビジョン2100」について、お話をここまでさせていただきました。人口が半分になり、高齢化率が4割を超えるという未来の現実を改めて突きつけられた感がいたします。
そこで、岸本知事、まず、この提言についての率直な感想をお聞かせください。
○副議長(中本浩精君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事岸本周平君。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
今、浦口議員から御指摘をいただきました人口戦略会議が発表した「人口ビジョン2100」、私も読ませていただきました。そこで、人口減少のスピードを緩和させ、2100年までに総人口8000万人の水準で人口を安定させることを目指す定常化戦略、それから各種の経済社会システムを人口動態に適合させ、質的に強靱化を図る強靱化戦略、この二つの提言を読ませていただきました。
人口問題というのは本当に難しい問題でありまして、皆様が御存じのとおり、第2次世界大戦前は、日本は人口が大変多いので、それこそ植民地が必要なんだという議論が行われる一方、人口学者の間では既に人口減少を憂うる議論も行われておりました。むしろ人口を増やさなきゃいけない、議論は当時行われておりました。一方で、戦争が始まりましたので、軍部の要請で、産めよ増やせよというふうに一気に政策が転換されたわけであります。そして、戦後になりまして、兵隊さんが戦地から戻ってまいりまして、ベビーブームが起きます。そこで、日本政府は、少子化をする政策を取ったわけであります。
ベビーブームというのは、欧米では6年続きました。日本では3年で終わっています。これは、政府が意図的に少子化になるように政策を転換したからであります。御存じのとおり、人工妊娠中絶が自由化されたのは、先進国では日本が最先端でありました。それから、これは私以上の世代は知っていますけれども、明るい家族計画ということで、避妊運動が政府を挙げて行われた結果、大変な少子化政策を取ったわけであります。
それがずっと続いてきて、合計特殊出生率が2を割っても、日本政府は方針を転換しなかった。そして今日に至っているわけでありまして、本当にこの問題は根が深いですし、難しい問題であります。
日本政府が、特殊出生率2.0を割ったときに、もう分かっているわけです、激減することは。その減る数字は、実は第2次世界大戦前の人口学者が推計したのとそんなに変わらないんです。しかし、戦争中の産めよ増やせよという、政府が個人の生活にくちばしを挟んだことの反省から、そこが止まってしまったということもあり、今日に至って、我々としては何としてでもこの少子化を食い止めなければいけないということに大きな政策の転換が行われたわけであります。
しかしながら、魔法のつえはありません。本県におきましても、少子高齢化が進んだ人口構造を考えますと、女性の数自体が少なくなっておりますので、当面、人口減少は避けられません。
そういう意味では、このような社会の変化に向き合って、県としてどう考えるのか。そのためには、もちろん移住定住を促進する、外国人労働者を受け入れる、さらには、子供が産み育てやすいような政策を一生懸命やっていくことはもとよりでありますけれども、それでもこの大きな流れにさお差すことはできない以上、今より少ない人口でも、多様性に富んだ成長力ある社会をつくっていかないといけない。人口が少ないのを前提に、どうやっていくかということであります。その意味でも、この提言の中の強靱化戦略というのは、非常に勇気づけられるものであります。
そういう意味では、この提言を参考にしながら、人口の減少を前提に、全ての人が希望を持って生き生きと暮らせる和歌山県をどう実現するのか、皆様共々に考えていきたいと思っております。
○副議長(中本浩精君) 浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、どうもありがとうございました。
いろいろと人口政策というのは、その世代世代によって変わってきているというのが、私もよく、それなりにつかんでいるんですが、この中の文章にも書かれているんですけども、先ほど言いました日本の人口が6300万人というのは、戦前の1930年、昭和5年ぐらいですか、1930年に日本の人口が6300万人だったんですね。そのとき、ただし高齢化率が4.8%だったんですよ。
ところが、今も言いましたように、2100年、このままほっといたら6300万人で、日本の高齢化率が40%になるという非常に恐ろしいというか、ちょっと想像するのが難しいような状況で、実際に、この「人口ビジョン2100」には、全体は書かれているんですが、各都道府県別の人口の状況というのは書かれておりません。
それで、先ほど言いましたように、2050年に和歌山県の人口は63万人ですから、このまま急激に人口が減り出すと、恐らく和歌山の人口、下手をすると、それから50年たちますから、もちろんいろんな移民政策だとかほかの政策を入れていけば、そこまで行かないかもしれませんが、30万から40万ぐらいになるというのは、決して絵空事じゃないと思うんですね。
しかも、40%以上が、もう既に和歌山、私は以前から言っていますように、2030年ぐらいには、もう既にその兆候が出てきて、40%近くまで行くというようなことも以前から述べておりますだけに、人は減りますが、高齢化だけどんどん進んでいくという状況の中で、まず、その現状を皆さん、もう皆さんはよく分かっていると思うんですが、私、ずっとこの人口減少問題を追っかけてきたんで、たまたまこういう本が出て、また、それまでいろんな提言も読みますと、やっぱりここを下敷きにして考えていかないといけないと思いますので、ぜひ御認識をいただきたいと思います。
それでは、2番目に行かせていただきます。
この次に、その中の定常化戦略についてですが、私は、岸本知事はいろんな意味で和歌山県に改革をもたらし、よりよい方向に持っていってもらえるものと信じております。それだけに、この人口減少問題を正面から捉え、徹底的に少子化対策、具体的には合計特殊出生率を一日も早く2.07に引き上げることが大事で、それがこの提言で言う定常化戦略でもあります。
人口の社会減に歯止めをかけるためには、18歳以上の若者の和歌山県内での定着率を高めること。具体的には、大学、短大の誘致だけではなく、就職先、雇用先を確保することも大事であると思いますが、一方、自然減をできるだけ早期に食い止める合計特殊出生率を一日も早く2.07以上に引き上げる定常化戦略が特に私は重要かと思います。
和歌山県における定常化戦略についてどのようにお考えか、知事、お答えください。
○副議長(中本浩精君) 知事。
〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
浦口議員の御意見に賛同するものではありますけれども、本県につきまして、国立社会保障・人口問題研究所、今、浦口議員がお示しいただいた資料によれば、若年人口の減少と人口減少の加速が進むということは避けられないという状況であります。
これを定常化戦略で人口を定常化していくということのためには、これは、例えばですけれども、家庭内での男女の役割分担に係る私どもの持っている固定的な観念をどう変えていくのか、あるいは、女性が働くことについて、制度上、例えば年金や保険の第3号被保険者問題をはじめ、100何万円の壁というのがありますけれども、そういう固定観念に基づいた古い制度を変えるにはどうすればいいのかという社会全体の意識や制度の問題であります。逆に言うと、制度を変えるには意識を変えないといけないということでありますので、これは行政の仕事ではなかなか難しいのではないかと考えざるを得ないわけであります。
もちろん、ここで諦めてはいけませんので、国と地方が連携する、さらには民間の団体、「人口ビジョン2100」を出された団体もそうでしょうし、各種の県内の団体、そして県民の皆さんお一人お一人と話をしながら認識を変えていく、そういうことが何より必要かと考えております。
そして、浦口議員が引かれました国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2020年対比の2050年の人口減少、40%以上減る県内の市町村は3分の2でございます。こういうことを前提に、どう考えていくのかということだろうと思いますけれども、実は、第32次地方制度調査会の答申というのがございまして、ここは2015年から2040年の人口推計を基に提言をされていますが、この2040年と2015年で比べましても、和歌山県下の市町村の人口の減少が30%以上というのは、やはり同じような比率にならざるを得ないわけであります。
その調査会の答申がうたっているのは、デジタル化を通じた事務の標準化や共通化を前提とした上での市町村間の連携、それから、何より県庁がそういう人口が減った市町村の補完をしていくというようなこと、支援をしていくというようなことで地方行政を行っていくと、そのことで維持可能なサステーナブルな地方行政を行っていくというような御指導がうたわれております。
総務省もそういう方針で行政を今後行っていかれると思いますので、本県といたしましても、そのようなことを前提に今後の総合計画を検討してまいりたいと考えております。
○副議長(中本浩精君) 浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、どうもありがとうございました。
私、これ、あんまり言う気はなかったんですが、実はこれ20年前に、私、人口減少というのを初めて、初当選したときの12月議会で取り上げようとしたら、これはもう時効ですから言ってもいいと思うんですが、当時、県庁の職員に大分、もう羽交い締めにされんばかり、止められまして、「先生、人口減少だけは言わんといてください」と。「それ言われると、非常にこれから行政やりにくいんだ」というふうに言われましたが、「でも、事実、そうじゃないか」と。「しかも、いわゆる社人研がこれだけの数字出しているのに、これをはっきりと皆さんに分かってもらわなかったら、政策も間違った方向へ行くんじゃないか」ということを言ったら、「まあ、そこまで言われるんでしたら」ということで、人口減少というのをそのときから、20年前からずっと追っかけているというわけじゃないんですが、いろんなところで目に入るものですから、お話をさせていただいておりますし、和歌山県、本当に2100年にはまだ、先ほども言いましたように、具体的にどれだけになるという数字は出ていませんけども、下手すると、もう30万、40万という、今の和歌山市ぐらいの規模になってくる可能性も十分あるのではないかなと思いますので、ぜひともそのこともまず再度御認識をいただきまして、今後、行政に取り組んでいただきたいなと、そのように思います。
その上で、3番目、行かせていただきます。
合計特殊出生率について。
岸本知事から、合計特殊出生率2.07に引き上げるための定常化戦略について今少しお話もございましたけれども、合計特殊出生率について、もう少し私のほうで、これはちょっと専門というか県庁の窓口になっている部分が福祉保健部でもありますので、そこに対してお聞きしたいんですが、先ほど述べましたように、2015年6月に、県は、和歌山県長期人口ビジョンを策定し、何も対策を講じなければ、2040年には70万人程度まで減少するということで、高齢者1人を現役世代2人で支える人口形態を目指しており、そのために2060年で70万人程度が必要としておりますが、最初示した社人研の推計では、2050年で、もう既に63万1000人になってしまう可能性があるということで、とてもこの数字は保てそうにはありません。
実は私、今、人権・少子高齢化問題等対策特別委員会に所属をいたしておりまして、そこでちょっといろいろ考えてみたんですが、この1年ほど、人権問題はいろいろな形で取り上げられるんですが、この少子化という問題を取り上げたあまり記憶が私自身もなかったものですから、事務局に行って、「直近で、この少子化を議論したのはいつかということを調べてくれ」とお願いしますと、令和4年6月の特別委員会で、引退された公明党の中委員が、「合計特殊出生率を2.0に令和8年までに引き上げるということで、何とか同水準──この当時ですね、同率水準になっているが、これは計画では令和4年にどれぐらいでなければならないのか」という質問に対して、当時の子ども未来課長が、「全国的にどんどん下がってきている。今の状況からいくと2.0という数値目標は厳しい感じがしている」と答弁。それに対して中委員は、「そうではなく、令和4年だったら、令和3年でもいいが、どれぐらいでないといけないのか」と、追い打ちをかけるように質問すると、同課長は「今1.43だが、1.5とか6とか7とかという計算になってくると思う。なかなか現実は厳しいと感じている」と述べて、一言で数値目標を掲げても、簡単にそのとおりにいかないのは現実であります。また、実際には、直近のデータでは、和歌山県は、先ほども申しましたように、合計特殊出生率1.39です。
対象は人間ですから、これ、いろいろ政策的なこととか時代背景もありますので、今、岸本知事も言われましたけれども、例えば道でいえば、渋滞している道があり、それが非常に不便だからということで、横に新しいバイパスをつけて交通量が減り、渋滞が緩和されたということではありません。
これは、先ほども言いましたように、人間がその中心でありますから、これを特殊出生率を何とかするというのは、私も非常に難しい問題で、一県の課長がどうのこうの言ったからといって、それで答えが変わるものであるとは思っておりませんけれども、一応、この長期総合計画にも合計特殊出生率の向上について書いているものですから、所管の福祉保健部長に、今後の展開、具体的な方策があればお尋ねしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○副議長(中本浩精君) 福祉保健部長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 合計特殊出生率は減少の一途であり、少子化は、日本全体の深刻な問題であるため、国を挙げて取り組む必要があります。
そこで、国では、2030年までが少子化反転のラストチャンスとして、政策強化の具体案を盛り込んだこども未来戦略を決定いたしました。
「若い世代の所得向上に向けた取組」、「全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充」、「共働き・共育ての推進」の三つを柱として取り組むものであり、県も国と足並みをそろえ、個々の施策を進めてまいります。
県独自の施策としては、子育てしやすい職場環境の整備や、地域の子育て応援促進のため、昨年10月に創設した和歌山こどもまんなか応援団への参加を県内企業や団体に呼びかけ、子育てを社会全体で応援する機運醸成を図ってまいります。
また、若年層が安心して人生のよりよい選択ができるよう、人生設計のヒントとなるような知識やデータを提供するなど、ライフデザイン啓発を行います。
加えて、妊産婦の負担軽減のための支援や保育士確保のための保育現場の魅力発信、子供食堂をはじめとする子供の居場所づくりの推進など、子供や子育て世帯に優しい社会になるよう、子供・子育て支援策の充実を図ってまいります。
○副議長(中本浩精君) 浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 福祉保健部長、ありがとうございました。
先ほども言いましたように、合計特殊出生率を定常化戦略で2060年まで──これはあくまでも提言ですよ、提言ですけど、2060年までに2.07にするというのは一つの目標として私はいいことだと思うんですが、これは、先ほども知事もおっしゃったように、私自身、この問題は行政だけで何とかできるような問題ではないと、それも私も同感であります。いかにして県民の意識をいろんな意味で変えていくと言ったら失礼なんですが、変わっていっていただいて、これからこういう社会が来るから、そのためにはこれだけの子供をつくっていこうというか、それはあまり言い過ぎるといろいろ問題ありますので、こういう社会を築いていこうじゃないかというふうなイメージを県民の皆さんにどんどんどんどん発信していくと同時に、県民の皆さんが意識を持って、県民運動とは言いませんけれども、そういう盛り上がりをつくっていっていただくのが最上ではないかと思っておりますので、ぜひともまた、このことについてもいろいろ今後御議論させていただきたいと存じます。
それでは、2番目の質問に移らしていただきます。
定番の「健康長寿日本一わかやま」についてですが、1番、健康推進員の現状と今後についてであります。
和歌山県が他府県より進む人口減少と高齢化のことを、私自身、毎回のように問題提起しているということは、もう既に皆さん、御存じのとおりでありますが、それゆえに、「健康長寿日本一わかやま」に私がこだわるということを御理解いただけると思うんですが、改めて申し上げるまでもなく、先ほど述べたように、これからまだまだ人口が減少するとともに、若者が県外に既に流出し、少ない和歌山県であります。さらに、これから高齢者の自然減、つまり多死社会に突入いたしてまいります。
多死社会というのは、子供が多いという意味じゃなしに、たくさん死ぬという意味の多死社会であります。特に、年齢的にいうと75歳以上の方が非常に和歌山県の方、多いです。これは人間も生命というものがありますので、ずっと100年も200年もなかなか生きにくいものでありますから、大体の平均年齢、幾つぐらいで亡くなるというのは分かってきますから、要は、そういった人を含めて、たくさんこれから亡くなる社会ということですね。
しかしながら、少子化と若者の県外流出により、高齢化率は一向に下がらないどころか、現在の33%から40%台になるのも、これまで述べたとおり、遠い将来の話ではありません。
しかし、現在のように高齢者の要介護認定率が全国でもトップクラスの状況では、今、たしか全国で2番目ぐらいに高いと思うんですけれども、想像するだけでも恐ろしい、活力のない社会が到来することは、私は、そういう方向に行っているのではないかと危惧をいたしております。
それゆえに、少しでも活力のある和歌山県を維持するために、10年近く「健康長寿日本一わかやま」の実現を訴えてきました。
詳しく調べますと、ちょうど今10年目の終わりに差しかかろうとしているんですが、県も長期総合計画の中で、その「健康長寿日本一わかやま」の実現を明言いたしております。
しかし、お題目だけを唱えてもできないので、これまで、運動ポイント事業、ラジオ体操の普及、食と健康のフェスタの拡大やシニアエクササイズのさらなる普及などなど、数多く提案し、施策として取り入れられております。
そのうちの一つが、健康推進員制度の導入でありました。これは、私が初めて福祉環境委員会の委員長になったときに、当時から長寿県で有名な長野県に視察に行き、そのとき知った保健補導員制度の和歌山版として健康推進員を提案し、県が平成26年から2500人を目標に養成して活動してもらおうと、一時は県の健康推進課の職員がリーダーとなり、その養成をしておりましたが、その後、あまり活発な活動は聞かれなくなりました。
そこで、健康推進員制度の現状と今後について、福祉保健部長、お答えください。
○副議長(中本浩精君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 健康推進員の養成人数は、本年1月末時点で2298人となっています。
健康推進員は、特定健診やがん検診の受診勧奨、生活習慣病予防に関する啓発、健康教室のサポートなどの活動を行っているところです。
しかしながら、健康推進員の活動状況は、市町村によって大きな差があります。
県といたしましては、健康推進員の養成に引き続き力を入れるとともに、県内市町村における好事例の横展開を図るなど、より主体的に健康推進員の活動の活性化に取り組んでまいります。
○副議長(中本浩精君) 浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。
本年1月末まで2298人、健康推進員を指名され、つくられているということです。
これ、2500人を目標で、2298人といったら非常によくできているなと。ある程度、目標まで達成されていませんが、よくできているなと思うんですが、実はこれには裏がありまして、ここで食推という食事のいろいろ指導される方も地域地域に、そういう全国的な組織でボランティアであるんですよ。その人らも、もう全部入れとけというもので入れておきまして、それで2500人とか、ちょっとでも少しでも数を増やしていこうということで入っている数字で、これ悪いとは言いません。悪いとは言いませんが、実は、最初これ、長野、今言いましたように視察に行ったときに、いろいろ向こうに保健補導員制度ってすばらしいなと思ったので、いろいろ聞いてみますと、長野県というのは和歌山県の人口の大体倍以上ありまして、200万人ぐらいあるんですね。それで、「保健補導員、じゃ、何人あるんですか」と聞くと、「1万人ぐらいです」ということだったんです。1万人かということで、そしたら和歌山県だったら、その半分で5000人ぐらいできるだろうなということで、当時の健康推進課長を呼んで、「5000人、何とかしましょうか」と、「やろうじゃないか」と言ったら、「とてもとてもそんなの無理ですよ」と言われまして、だんだんだんだん数値目標を上げること自体が非常に嫌がられたんです。でも、それを上げないと、結局、どれだけどんな活動をしているか分からないじゃないかということで、結果として2500人を目標としようじゃないかということで。ただし、これは平成26年から30年までの5年間で本来は終わってなきゃいけないんです。私も、あんまり細かいこと言うのは嫌ですから、それ以上言わなかったんですけども、本来ですと、2500人行ったら、次にまた2500人で、ちょうど長野県と同じぐらいの規模で健康推進員制度をつくれるじゃないかと思っていたんですが、そこまで行ってないことも事実であります。
ちょっとこれは健康推進員というのは各市町村単位ですから、県もなかなか難しいところはあると思うんですが、私は、もちろん自分が言った手前、その研修会にも参加し、また、いろいろと市のほうから、保健所のほうから送ってくるんですね。
2年ほど前ですか、非常に暑い時期がありまして、夏のね。夏の暑い時期で、何か健康推進員といって送ってきたんです、10枚ぐらいチラシが。何かなと思って見たら、健康推進員の皆さんにということで、この夏の暑い時期には外へ出ないように皆さんに注意するように回ってくださいというふうなチラシだったんですよ。それ見たときに、ぷっと笑いましてね。この暑い時期に誰が出るのかなと。逆に、こんなの、もし健康推進員の方がお年を召された方で、それ、一生懸命その気になって配られたら、かえって体によくないんじゃないかというふうなことを思ったことも記憶にありますし、今、はっきり言って、そのレベルなんです、和歌山県、「健康長寿日本一わかやま」を目指すといっても。ぜひともそのことについても御認識いただきたいと思います。
最後になります。
県庁内の健康長寿責任者についてということで、昨年の9月議会では、「健康長寿日本一わかやま」実現に向けた取組の一つとして、運動ポイント事業について確認いたしましたけれども、正直ほとんど、私から見ると、もう諦めてしまったような感じでありました。
これは、「健康長寿日本一わかやま」の実現を目指すといった県民の皆さんへの約束を果たすことは、これではできません。
このことは、先ほど来、何度も何度も言っているように、これから非常に人口の減る、高齢者のどんどんどんどん多くなる、いわゆる人口激減・超高齢先進和歌山県において、毎回声を大にしている私自身、非常にこの健康長寿日本一にかける、県当局も含め、いろんな当局の皆さんの姿勢が非常に、全くやってないとは言いませんが、少し寂しいような思いが否めません。
しかし、私は、ここで諦めると駄目でありますから、決して諦めずに、和歌山県民がいずれ健康で長生きできる、日本一長生きできる和歌山県をつくりたい、その思いは10年たった今も変わっておりませんので、どうぞよろしくお願いしたいのですが、ここで一つ要望兼答弁を求めたいのは、本来、これ10年前に、私、このことを訴えたときに、県に責任者をつくってくれと。健康というのは、先ほどの少子化の問題もそうなんですけども、一つの課で解決できる問題じゃないから、県庁の中で健康長寿推進協議会をつくって、その長を決めてくれと。
本来だったら、僕、知事にやってもらいたかったんですが、それは知事はちょっと無理なんで、当時ですよ、福祉保健部長と言ったんですが、だんだんだんだん下へ下がってきて、健康推進課長になってきて、健康推進課長も、そんなの、私が健康長寿について年2回質問するものですから、そのときに、一応アリバイづくりじゃないですが、やるわけなんですね。それで、「どうなん。やったか」と言うと、「こうこうやりました」という連絡会議的なものをやっていたんですが、まだそれが結果として進んでいないというのが現状であるだけに、今日はここで、これ実はもう4年も5年も前から、技監、健康局長にお願いしていたんですが、前の野㞍さんですね。野㞍さんもその気になって、そのつもりでやろうとしてくれていたんですが、御存じのとおり、ここ4年ほど前から例のコロナの件があって、ちょっとそっち側で忙殺されたとかあったんで、このことをできなかったんですけれども、ぜひとも、私、10年かけて、この健康長寿と言うたびに、なかなか、この少子化の問題もそうですけど、健康長寿と言うたびに、これは1年や2年じゃできませんと。私、もう10年言っているんですよ。10年言って、このていたらくと言いませんけども、例えば要介護認定率、日本で1番、2番の県が和歌山県なんですよ。その現実を踏まえた上で、ぜひとも和歌山県に、県庁の中に、その責任者の方を置いてもらいたいと思います。
それで、私が一々細かいことを言わずとも、それをチェックして各部に指示していただく。これは、単に福祉保健部だけの問題じゃありません。
私、一等最初、この問題を取り上げたときに、2回目か3回目のときに、和歌山県のなぜ健康長寿が一番どこが最初が悪いのかというと、子供の体力が非常に低かったんです。和歌山県の子供が小学校、中学校、高校へ行くたびに、だんだんだんだん下がってきているんです。そのときに、当時の教育長にかなり強く言いまして、非常にそのことに対する対策を講じてくれたので、今、和歌山県の子供の体力、かなり上がってきています。
それが結果として、和歌山県の──体力だけじゃありませんけれども、気力も含めて、要するに人間としてこれから生きる上での力強さというのを身につけてもらえていると思っているんです。
だから、全体を、子供から要するに高齢者まで含めた上で、「健康長寿日本一わかやま」というのを、ぜひ中心になる県の責任者の方をお願いしたいと思うのですが、福祉保健部長、いかがでしょうか。
○副議長(中本浩精君) 福祉保健部長。
〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 県では、「健康長寿日本一わかやま」の実現を目指し、県民の健康づくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、知事部局と教育委員会の関係課で構成する会議を設置しているところです。
当会議の主務は健康局健康推進課であることから、健康局長がリーダーシップを発揮して、関係課との連携を一層強化し、健康寿命の延伸に係る施策のさらなる推進を図ってまいります。
○副議長(中本浩精君) 浦口高典君。
〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 福祉保健部長、ありがとうございました。
健康局長がリーダーシップを取って進めていただくということで、大変ありがたい言葉であるし、これからどんどんどんどん、私、健康局長のところへ行って、どうなった、どうなったと聞きますから。
参考までに、実はこれ、初期の頃の平成28年の3月ですから、もう今から8年前ですけど、私のこれ、県政報告なんです。(資料を示す)ちょっと細かいことを書いていますので。
ただ、全国有数、人口激減・超高齢先進和歌山県、積極政策をということで、このときに、例の、ここに書いていますが、健康推進員を1年目で578人──これ事実、調べてもらったらそのとおりだと思うのですが、578人つくって、ラジオ体操の指導者を227人つくりました。
こういう実績も実際ありますし、やっぱり政策、先ほど来、いろいろ来年度の政策のことについてもお話しされていましたが、知事がですね。やっぱり続けること、大事なんです。特に健康だとか少子化対策なんて徹底して続けないと、こんなの1年や2年で出ないというのは、もう10年やっているので、よく分かるんですが、ぜひともこういうことを再度御認識いただきまして、元気な和歌山を皆さんでつくっていただけるように、ぜひとも我々も最大限協力をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中本浩精君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時18分散会