令和6年2月和歌山県議会予算特別委員会会議記録(総括質疑2日目)


令和6年2月和歌山県議会予算特別委員会会議記録(総括質疑2日目)

 

1 日時   令和6年3月13日(水)午前9時58分~午後2時22分

2 場所   予算・決算特別委員会室

3 出席者  委員長   井出益弘

       副委員長  鈴木太雄

       委員    秋月史成、藤山将材、尾崎要二、玉木久登、玄素彰人、岩田弘彦、中村裕一、山下直也、山田正彦、

             尾﨑太郎、谷口和樹、藤本眞利子、長坂隆司、小川浩樹、中西徹、林隆一、奥村規子、川畑哲哉  

      欠席委員   なし

      委員外議員  濱口太史

4 概要

   午前9時58分再開
    ●井出委員長
     ◎再開宣告
     ◎報告事項 委員の欠席なし
     ◎傍聴許可 2件
     ◎撮影許可 7件

 

  意見 中村委員
   本日、先般延期されたカイロス初号機の打ち上げが予定されている。当委員会では県政の重要事項を審査しているが、

  皆で打ち上げを見守るのも同じく重要なことなので、皆で見れるよう委員長に取り計らい願いたい。
 

    ●井出委員長
     ◎長坂委員の質疑終了後暫時休憩し、インターネット中継を通じて、皆でカイロス打ち上げを見守った後、

      林委員の質疑から再開することを宣告
     ◎議事 議案17件
     ◎付託議案に対する質疑宣告
 

  Q 長坂委員
   1 神社について
   (1)神社を保存・継承していくための取組について
    ・郷土の歴史を学んだり、人々が集い、交流できる場として地域コミュニティの核となっている神社を

    保存・継承していくための取組について、見解は。

 

  A 宮﨑教育長
   社寺の建物やそこに納められた神像や仏像、宝物等をはじめ、催される祭礼等には国や県の指定文化財となっているもの

  が多く、それらの中には過疎化や少子高齢化等、社会情勢の変化により、保存・継承が困難になっているものもある。
   県教育委員会では、地域の宝である文化財を適切に保存・継承していくために、文化財となっている本殿等建造物の

  保存修理や祭礼等の継承、普及啓発に取り組む所有者や保護団体を支援している。
   また、次世代を担うこども達にその歴史や価値を伝えることが重要であると認識しており、県の代表的な文化財を紹介した

  「わかやまの文化財ガイドブック」を作成し、全中学生に配布しているほか、専門職員を学校等に派遣し、郷土の歴史や

  文化財に関する出前授業を行う「エキスパート職員派遣事業」を実施している。

   さらに、県立博物館と教育機関が連携して、管理が困難になった社寺の神像・仏像の複製を3Dプリンタで作成して、

  高校生らの手で現地に奉納し、実物を県立博物館で預かる取組を実施し、これまで21箇所、38体の神像・仏像を奉納

  したところである。
   今後も文化財の普及啓発等を通じて、県民がふるさと和歌山への理解を深め、ふるさとへの愛着と誇りを持てるように

  取り組んでいく。

 

  意見 長坂委員
   神社は、地域の歴史を探る格好の教材になり、こども達をはじめ地域の人々がふるさとを知り、ふるさとを愛する大きな

  よすがでもあるし、まさに地域コミュニティの核として、歴史教育・社会教育の場に活用していくべきだと思う。
   文化財と言えば、神社本庁の別表神社である竈山神社の社殿の威容などは、国の重要文化財に比しても見劣りするもの

  ではないと思う。国の重要文化財指定に向けて、地元自治体である和歌山市にも訴えていきたいと思う。

 

  Q 長坂委員
  (2)観光での神社あるいは寺院の活用について
    ・社寺は、観光や交流を促す重要な役割を持つ一方、信仰の場として日常に祈りや感謝を浸透させるという

    本質的役割も持つ。観光での社寺の活用について知事の考えは。

 

  A 岸本知事
   長坂委員に全く同感である。
   地域の歴史や文化は、観光の重要な要素である。なかでも歴史ある社寺は、それ自体が魅力的な目的地であるだけでなく、

  社寺のある風景が地域の景観の魅力にもなるし、観光客に地域の歴史や文化を分かりやすく伝えるためにはなくてはならない

  存在である。
   県では、社寺やそこに伝わる祭などを核に、地域の歴史秘話や美しい景観、食、温泉、体験等を盛り込んだ「物語」を旅の

  モデルとして発信する「わかやま歴史物語」の実施や、県の観光PRキャンペーンに併せて特別企画を実施してもらうなど、社寺

  の持つ魅力を観光施策に取り入れてきた。
   神仏、サムシンググレートに対する敬けんな思い、精神性、スピリチュアルな部分を前提に、地域の魅力となる歴史的・文化的

  な側面からその価値を捉え、観光振興に活用していきたい。

 

  Q 長坂委員
   2 看護職員の退職について
   (1)本県の病院勤務の看護職員の退職状況について
     ・本県の病院に勤務する看護職員の退職状況は。

 

  A 今西福祉保健部長
   毎年、実施している県内病院を対象とした「看護実施状況調査」によると、本県の看護職員の退職状況について、2022年度の

  常勤看護職員の離職率は11.1%であり、前年度と比べ、4.5ポイント上昇している。

 

  Q 長坂委員
  (2)看護職員の確保について
    ・県の看護職員確保対策について、どのように考えるか。

 

  A 今西福祉保健部長
   病院からは、看護職員が不足しているという話を聞いており、十分に確保できていない状況であると認識している。
   そのため、看護職員の確保対策として、これまで看護大学の誘致を進めた結果、東京医療保健大学和歌山看護学部では、

  毎年、約100名が卒業し、その約9割が県内に就職している。
   加えて、宝塚医療大学和歌山保健医療学部看護学科では、2025年度に1期生約50名が卒業を迎え、さらに県内就職の

  増加が見込まれる。
   また、院内保育所を運営している医療機関への支援や和歌山県ナースセンターにおける看護職員への相談対応など

  離職防止に取り組んでいる。
   引き続き、県内の医療体制の堅持のため、看護職員の確保に努めていく。

 

  意見 長坂委員
   やはり、看護職員の離職率は上昇しているということで、とりわけ病院に勤務する看護職員の退職にはアンケートが

  示すとおり職場環境が大きな原因となっているのではないかと思われる。
   県内には潜在看護師も少なくないと思う。
   本県の医療を守るため、潜在看護師へのアプローチも併せてよろしくお願いする。

 

  Q 長坂委員
   3 低山観光について
   (1)本県の低山観光の振興について
     ・本県は熊野古道も通っており、魅力ある低山の宝庫である。
     気軽に楽しめる本県の低山観光の振興についての考えは。

 

  A 三龍商工観光労働部長
   本県には、世界遺産の熊野古道や高野参詣道をはじめ日本遺産の葛城修験道など、巡礼の道が広範囲にあり、豊かな

  自然の中で歴史や文化を感じながら、気軽にトレッキングや登山を楽しむ人が多くいる。
   また、四季折々に楽しむことができる魅力的な低山がたくさんある。
   県としても、旬のタイミングで、トレッキングルートや、各地域の温泉や食などの観光資源を組み合わせ、メディア

  やSNS等により、気軽に楽しめる低山観光の魅力を発信しているところである。
   安全にトレッキングを楽しんでもらうには、トイレや看板の整備、危険箇所の安全対策が必要だが、そのためには日々

  の管理も含め、地域や市町村の理解、協力が不可欠であると考えている。
   今後とも、持続的な管理と安全性に配慮しつつ、地域や市町村の協力のもと、観光資源としての活用を進めていく。

 

  Q 長坂委員
   4 南海本線紀ノ川橋梁について
   (1)橋梁の点検、調査の現況と今後の対策について
     ・築100年以上を経過している南海本線紀ノ川橋梁の点検、調査の現況と今後の対策について問う。

 

  A 赤坂地域振興監
   南海本線紀ノ川橋梁の点検・調査については、南海電鉄が2年に1度の法令に基づく検査を行うとともに、国の監査において

  検査結果の確認も受けていることから、県としては、安全性が確保できているものと認識している。
   委員指摘の橋梁異常検知システムについては、2022年3月に導入されており、橋梁を常に監視し、異常を検知すると即座に

  指令所や信号に伝達し、列車の乗務員に知らせるようになっている。
   また、下部工については、潜水夫による点検ではなく衝撃振動試験により健全性を確認するとともに、音響マルチ測探機を

  用いた3次元測量を行い、河床の地形も確認している。
   なお、ドローンによる点検については、南海電鉄において、様々な施設への導入と、その有用性について検討している

  ところであり、紀ノ川橋梁においても引き続き検討していくとのことである。
   南海電鉄としては、今後も安全な輸送を確保するため、必要な点検・調査を継続して行い、その結果に基づいた適切な措置

  を実施していくと聞いている。

 

  Q 長坂委員
  (2)定期点検・補修で済ますか、架け替えを計画していくかの南海側の考えについて
    ・紀ノ川橋梁について、南海電鉄はこのまま定期点検と補修だけで済ますのか、架け替えを近々計画していくのか、

    どう考えるのかについて問う。

 

  A 赤坂地域振興監
   県では、南海電鉄から紀ノ川橋梁の架け替えを近々行うといった話は聞いていない。
   橋梁の架け替えをはじめとした施設の更新については、鉄道事業者が判断することではあるが、県としては、

  公共交通を利用する方々の安全・安心に関わることであるので、引き続き南海電鉄に対し、安全確保の徹底を

  お願いしていく。

 

  意見 長坂委員
   南海本線紀ノ川橋梁について、南海トラフ巨大地震における耐震性という面でも、今後も点検・調査を続けるよう

  南海電鉄に要請してほしい。

 

    ●井出委員長
     ◎休憩宣告
   午前10時42分休憩

 

   午前11時8分再開
    ●井出委員長
     ◎再開宣告

 

  Q 林委員
   1 学校給食の無償化について
    ・県立中学校、特に和歌山市内であれば、「民間調理施設方式」又は市設置の給食センターによる

    給食の実施ができるのではないか。
 
  A 岸本知事
   民間業者、あるいは市設置の給食センターに給食の調理を委託するという提案をもらった。それも1つの考えだと思う。
   その場合でも、校内に衛生管理が整った配膳室の設置というのがどうしても必要になる。
   県立高校の既存施設に、県立中学校を設置した経緯があり、そのためスペースがない。
   和歌山市内に限らず、なかなか現実的には難しいのではないかと現状では考える。
   このため、県立中学校においては、今すぐ給食が実施できない状況であるが、中村議員、あるいは林委員からも指摘が

  あったので、今後、県立中学校の給食のあり方について、どのような可能性があるのか、研究をしていきたいと考える。

 

  Q 林委員
   ・県立中学校における給食実施の方法を研究していくとの答弁だが、具体的にどのように研究していくのか。

 

  A 岸本知事
   課題としてはいろいろあると思うが、給食に関係する施設の設置スペースの問題に加えて、例えば、高校と同じ時間帯

  で教育活動を行っているので、昼食時間が短くなっている。
   その点、併設の県立中学校の特殊性というものがいくつかあるので、そのような点について研究をしていきたいと思う。

 

  意見 林委員
   県内すべての小中学校で給食が実施され、児童生徒及びその家族が給食費無償化の恩恵を受けることによって、

  和歌山県での子育て支援の施策が進むものと考えている。したがって、給食費無償化を公約する知事には、是非とも、

  県立中学においても、できるところから早期に給食を実施してもらいたい。将来、すべての県内小中学校で給食が

  実施され、無償化の恩恵を多くの県民が受けられるようお願いする。

 

  Q 林委員
   2 和歌山県立医科大学の看護職員について
   (1)県立医大の看護職員の離職率と離職理由について
     ・全国との比較を踏まえた看護職員の離職率と離職理由は。

 

  A 今西福祉保健部長
   2021年度の県立医科大学の正規雇用看護職員の離職率は9.4%であり、全国と比較すると、県立医科大学の方が

  2.2%低い状況である。
   県立医科大学を離職した看護職員の離職理由として、最も多いのは、全国調査と同様に「結婚・出産・育児等の

  ライフイベント」で全体の32%となっている。2番目は「長時間勤務や夜勤等の業務の負担」で17%、3番目は

  「健康上の理由」で14%、4番目は「自分への適性・能力への不安」で12%である。

 

  Q 林委員
  (2)看護職員の離職防止対策について
    ・看護職員の離職理由を踏まえ、具体的にどのような離職防止対策をとって   いるのか。

 

  A 今西福祉保健部長
   県立医科大学では、通常の育児休暇や介護休暇に加え、大学独自の「育児短時間勤務」や「育児・介護に係る

  早出遅出勤務」を導入している。
   また、院内保育園を設置し、夜間保育や休日保育等にも対応することにより、夜勤や休日勤務がある看護職員が

  安心して働ける環境を整備している。
   さらに、メンタルサポート体制の充実や、看護職員から看護補助員へのタスクシフトの導入等により、看護職員

  の業務量を削減する取組を進めている。

 

  意見 林委員
   答弁の中に、看護職員から看護補助員へのタスクシフトの導入等により、看護職員の業務量を削減する取組を

  進めている等とあった。県立医大に入院している人に対し、看護職員が食事を持って来たり、車イスでの移動の手伝い

  もしていると聞いている。日中であれば、看護補助員の人が手伝いをすることもあるが、夜間は全て、看護職員の人が

  お世話するものと思っている。
   こうした入院患者の療養生活上のお世話については、看護職員ではなく、看護補助員に行ってもらえれば、看護職員

  は治療行為に専念できるとともに、業務の軽減が図られ、結果、離職防止につながると思うので、今後も看護補助員の

  さらなる増員を図ることにより、看護職員の方々が働きやすい環境を整えてもらうようお願いする。

 

  Q 林委員
  (3)看護職員採用のための修学奨学金制度について
    ・修学奨学金制度の概要と利用者数、奨学金を利用した職員がどの程度引き続き附属病院に従事しているか。

 

  A 今西福祉保健部長
   保健看護学部の3・4年生並びに助産学専攻科の学生で奨学金を希望する者のうち、一定の成績要件を満たした

  学生を対象に年額60万円の修学奨学金制度を設けている。奨学金の返還にあたっては、附属病院での一定期間の

  就業を要件に、返還免除の制度を設けている。
   利用者数については、制度が創設された2011年度から現在までの累計で約350名が貸与を受けている。利用者のうち、

  既に返還免除となった者は約180名で、そのうち約95名が現在も在職中である。なお、奨学金を返還した者は約50名と

  なっている。

 

  意見 林委員
   答弁から、県立医大における看護職員の人について、様々な離職対策を取っていること、修学奨学金制度により医大で

  長く従事する看護職員が多いことを理解した。
   一方、離職する理由については、答弁のとおりであろうかと思うが、離職した職員は、本音を言っていないことがある

  かもしれない。病院関係で、人間関係やハラスメントが原因で離職するということもよく聞く。
   県立医大ではこうしたことが原因で離職者が出ないように、アンケート調査を行うなど、看護職員の意見をしっかり聞いて、

  今後とも働きやすい職場を推進してもらいたい。

 

  Q 林委員
   3 介護人材の確保に向けた対策について
    ・介護サービスの提供体制を維持していく上で、介護人材の確保が大変重要な課題と認識しているが、県は

    どのように取り組んでいくのか。

 

  A 今西福祉保健部長
   県では、介護職場への「参入促進」の観点から、高校生が初任者研修を無料で受講できる取組や介護福祉士修学資金等

  の貸付、就職フェアや無料職業紹介等を実施している。
   また、「労働環境改善」の観点からは、介護ロボット・ICTの導入支援等を実施している。
   加えて、来年度から、業務の改善や効率化に取り組む介護事業所に対し、相談対応や専門的な助言を行うとともに、

  外国人介護人材の定着を促進するため、日本語教育や資格取得の支援に取り組む介護事業所に対して補助を行うこととしている。
   こうした取組を通じて、介護人材のさらなる確保・定着を図っていく。

 

  意見 林委員
   介護人材の不足状況は、県内地域ごとに異なっており、さらに施設サービスや訪問サービスなど、サービス種別において

  求める人材が異なるのではないかと思っている。
   介護人材を確保するためには、それぞれの地域等に応じて、きめ細やかに対策を行うべきだと考える。
   そのためには、できるだけ事業所を訪問し、現場の声をしっかりと聞き、実情を正確に把握することが重要であると

  思うので、ぜひ、現場の声を踏まえた効果的な対策を進めてもらうよう要望する。

  

    ●井出委員長
     ◎休憩宣告
   午前11時37分休憩

 

   午後0時58分再開   

    ●井出委員長
     ◎再開宣告
     ◎傍聴許可 1件

 

  Q 奥村委員
   1 大阪・関西万博の開催について
   (1)万博に対する知事の考え方について
     ・経費が増えている中、万博開催を知事はどう考えているか。
   (2)児童生徒の万博見学について
     ・万博会場における災害時の対応などを踏まえ、こどもたちに万博を体験させることに対する知事の考えは。

 

  A 岸本知事
   前回の万博は、日本が平和で豊かな産業立国の姿を世界に見せるんだという思いで、日本人全体が一致団結できて

  いたのではないかと思う。
   今回の大阪・関西万博にも日本人全体が一致団結できるようなものが必要なのではないかと思っているので、

  関西広域連合に提案をしていきたい。
   資材の高騰や建設の遅れなどは指摘のとおりだが、日本には現場力があるので、ある程度予定どおりの開催には

  結びつくだろう。
   経済効果については、アジア太平洋研究所が約2兆7000億円と試算しているので、費用対効果のバランスはとれる

  のではないかと考えている。

 

  A 岸本知事
   和歌山のこどもたちに海外にも目を向けてほしいという思いがあるので、今回こどもたちを万博に招待する提案

  をしている。
   日本国際博覧会協会で、防災基本計画を作っている。さらに詳細を詰めていくにあたり、博覧会協会にはより安全

  な場を提供してもらえるよう、関西広域連合を通じて、防災基本計画の充実について提案をしていきたい。

 

  意見 奥村委員
   アンケートなどでは、万博が必要なのかという声が過半数以上になっている。
   万博費用として会場建設費のほかにも、インフラの整備費など総額7500億円以上もの負担が明らかになっている。
   その上、会場の夢洲は埋立地であり、発がん・有害物質が多く存在し、地盤沈下の懸念があること、防災対策が

  脆弱なこと、アクセスが限られていること、多くの人々の安全が守られるのかとても心配である。
   夢洲がなぜ会場になったのか疑問に感じており、万博を誘致すれば税金でインフラ整備することができるということ

  になると思う。
   建設労働者の働き方や健康を害する計画、カジノと一体化した大阪・関西万博への巨額の税金投入は中止すべきである。

 

  Q 奥村委員
   2 コスモパーク加太に係る県債務保証相当額を代位弁済することについて
    ・代位弁済を行うことになった経緯と多額の県民負担を強いることへの思い、また今後、大規模開発型の政策を

    進めていく場合、この経験をどのように活かしていくのか。

 

  A 岸本知事
   「コスモパーク加太構想」は、関西国際空港建設にかかる土砂採取跡地を活用して複合的なまちづくりを進めようと

  したものである。
   構想を発表した1985年は、バブル経済の様相を呈し始めていた時期で、土砂採取事業単独で採算が取れなくても

  跡地の利活用によりカバーできるとの判断があったものと思われる。
   しかしながら、地価は、関空一期工事の土砂搬出が終了した1991年頃をピークに急激に下落し、跡地の利活用は

  進まず、県からの依頼により事業主体となった和歌山県土地開発公社には金融機関に対する債務438億1530万円が

  残った。
   2003年に、この債務のうち265億円を県の債務保証額とすることなどを定めた和歌山地方裁判所による

  「調停に代わる決定」を、事業の経緯などに基づき妥当なものとして、当時の議会の議決を経て受け入れ、

  現在返済を進めているところである。
   債務は、本年3月末現在で約262億円まで減る見込みであるものの、今なお相当額の利払いが発生している。

  仮に公社が利息を支払えなくなった場合、調停に代わる決定に基づき県に債務保証履行義務が発生するとともに、

  公社は事実上破綻し、公社所有の土地は競売にかけられ、議会から要請のあった「県主導によるコスモパーク加太

  の秩序ある整備」ができなくなるおそれがある。
   県主導による整備を進めるためには、県が土地開発公社の全ての債務を代位弁済し、土地を取得するという方法も

  あるが、債務保証している金額以上の県民負担が発生する。
   これらのことを踏まえ、債務保証履行に備えて基金に積み立てていた資金を活用し、債務保証額に相当する約231億円を

  代位弁済することで、公社の利払いを圧縮して破綻を回避し、県民負担を最小化したいと考え、所要額を来年度予算に計上

  した。
   バブル経済の崩壊という経済情勢の大きな変化があったとはいえ、県民に多額の負担をお願いする事態を招いたことを

  重く受け止めている。コスモパーク加太事業への見通しが十分でなかったこと、処理に時間を要したことなどは今後の

  県政運営において、大いに反省勉強すべき点と考える。
   今後、県主導で大規模な土地開発事業を行う場合には、中長期的な経済動向を踏まえた十分な需要予測を行うことが必要と

  考える。

 

  意見 奥村委員 
   経済的見通しというのは、世界情勢や社会情勢の影響を大きく受けると思うので、今後そういったことも含めて、よろしく

  お願いしたいと思う。
   土地開発基金に加え、2021年度に債務保証した借金の返済のために基金を積み立ててきたということで、来年度予算で

  231億円を代位弁済するということは、県民のために使うべき一般財源が過去の大型開発失敗の穴埋めに使うということであり、

  反省すべきことと思う。
   今後、大型開発から防災住民本位のまちづくりに転換していくことを強く求めるところである。
   大型開発・新規事業優先から防災・老朽化対策に力を注いでもらい、また、先ほど発言した、若者が希望をもって学べる

  環境も大切なことと考えるので、そういったことにも力を注いでもらいたい。

 

  Q 奥村委員
   3 熊野白浜リゾート空港滑走路の延伸について
     ・滑走路の延伸についての安全面をどう考えるか。

 

  A 福本県土整備部長
   熊野白浜リゾート空港については、南海トラフ地震等の大規模災害時には、緊急物資・人員の輸送や救急・救命活動に

  おける空路の輸送拠点としての役割が求められている。
   そのため、空港施設については、大規模災害時に、必要となる輸送機能に支障を来たしたり、空港周辺の住宅等に影響を

  及ぼさないように、安全な構造とする必要がある。
   滑走路延伸の安全面については、地形や地質の調査を行い、国基準や指針に基づき、大規模地震等に対し安全な構造として

  設計の上、整備することになる。
   また、本年1月に発生した能登半島地震に関して、現在、国において、空港施設の被害の状況や要因などの検証が

  行われている。
   その結果、新たに必要な基準や効果的な対策等が示されれば、それらを取り入れ、大規模地震等に対して、より安全な

  構造とし、災害時の空路の輸送拠点としての機能を確保していく。

 

  Q 奥村委員
   4 農地・農業用施設の災害復旧事業について
    ・国の激甚災害指定を受けた場合の支援状況は。

 

  A 山本農林水産部長
   国において激甚災害に指定された場合、国庫補助率のかさ上げなどの特別措置が適用される。
   昨年の災害で被災した18市町が特別措置の適用を受け、農地の復旧に係る補助率については、通常50%のところ

  90.2%から98.2%に、農業用施設については、通常65%のところ95.8%から99.8%にかさ上げされた。
   今後も、市町村と連携を密にして、国の支援を活用しながら、災害復旧事業に取り組んでいきたい。

 

  意見 奥村委員
   国の災害復旧事業の対象となる災害は、激甚災害の指定により高率補助での支援があるが、全ての被災者に支援の

  拡充が行き届くように、県独自の支援策を講じるよう考えてほしい。

 

  Q 奥村委員
   5 紀北支援学校校舎改築問題について
   (1)実施設計の見直しについて
     ・実施設計を進めるにあたり、基本設計からの変更点と変更理由は。
   (2)教育現場・保護者からの要望と説明会のとりくみについて
     ・学校や保護者の要望への対応や説明会の取組をどう考えるか。

 

  A 宮﨑教育長 
   紀北支援学校については施設の老朽化への対応はもとより、児童生徒数の増加に伴う教室の確保、肢体不自由児童生徒

  への教育環境の整備が喫緊の課題である。実施設計においては、学校の要望を踏まえ、児童生徒の安心安全の観点から、

  工期を可能な限り短縮することを最優先としている。
   学校との協議により、プールについては、これまでの活用実績を含め、敷地内に屋外プールを設置せずに、公営の屋内

  プール施設を活用することで水泳指導の充実を図ることができると判断した。なお、水治訓練用の屋内プールについては

  設置する方向で進めている。
   寄宿舎については、新校舎建設工事の工期を可能な限り短縮するために、早期に解体することとする。また、十分な

  広さの運動場の確保や新校舎建設を進める上で、敷地内での建設は断念するが、寄宿舎機能を保持できるよう、

  校外既存施設の活用を含め検討を進めているところである。

 

  A 宮﨑教育長 
   障害特性によるニーズの多様化や児童生徒の増加に対応する教育環境の充実を図るため、教室数の拡充等も踏まえた

  校舎改修計画を進めている。
   これまでにおいても、こどもたちの教育環境の充実を第一に、学校とやり取りをしながら、計画を作成してきた。

  保護者と全体構想を共有することは大切と考え、本年度9月にも、学校は保護者説明会を行い、早期実現に向けた本計画

  についても理解してもらっていると認識している。
   今後も、説明の機会を大切にしていきたいと考えている。

 

  意見 奥村委員
   文部科学省の発表によれば、屋外プール設置率が減っている。水泳の実技授業を取りやめたところもあるが、学校外の

  民営・公営プールを活用して授業は継続しているところもある。小学校、中学校では水泳が教育課程上位置づけられている。

  学校プールの管理・維持負担は決して少なくないが、公教育として行うべき水泳授業をより豊かに取り組むためにも、

  隣接地域に設置することや、また、寄宿舎についても同様に考えてもらいたいと思う。

 

  Q 奥村委員
   プールを敷地外にと判断した根拠はどのようなことか。

 

  A 宮﨑教育長 
   敷地外の屋内プールで十分計画どおりの水泳の授業が進めることができる。どちらかといえば、屋外の場合は、

  紫外線の影響を受けたり雨天の場合利用できないことが多い。また、紀北支援学校の全体敷地面積との関係もあり、

  これら2つの観点より、屋外プールではなく、敷地外の屋内プール、和歌山県こども・女性・障害者相談センターや

  秋葉山公園県民水泳場等の貸出しを受け活用したい。

 

  意見 奥村委員 
   水泳には、様々な教育的効果があると思う。水泳の授業を重視し、学内でしっかり利活用できるようにすること、

  また、プールは災害時の水としてなど地域の防災としても活用できる。多角的に考え、何とか隣接地域で活用できる

  よう、また、敷地の問題も含め、大規模ではない新設の学校を作ることなどもぜひ考えてもらいたい。

 

  Q 川畑委員
   1 「社会的養護体制」について
   (1)里親登録数・里親委託率の現状及び今後の取り組みについて
     ・里親登録数、里親委託率の現状及び今後の取組について伺う。

 

  A 今西福祉保健部長
   県では、保護者の下で養育されることが困難なこどもたちが、家庭と同様に温かい愛情のもとで健やかに

  養育されることが大事であると考えており、里親委託を優先するよう努めている。
   2022年度末現在の県内の里親登録数は187世帯であり、順調に増加している。
   一方で、里親委託率は21.7%であり、全国平均よりも少し低い状況にある。
   本年4月以降は、里親支援センターを新たに設置し、これまで課題であった里親と里子とのマッチングや、

  里親のレスパイトケアなどにしっかりと取り組んでいく。
   また、新たな取組として、児童を5年以上養育した経験を有する里親に感謝状を贈呈する予定であり、

  里親制度の推進にかかる県の前向きな姿勢を理解してもらう努力をしている。
   県としては、児童相談所の体制強化も同時に進めながら、よりきめ細やかで丁寧な里親支援に努め、

  里親委託率の向上を図っていきたい。

 

  要望 川畑委員
   我が国では、乳児院や児童養護施設等に加えて里親を、令和3年度よりこどもを泊まりで預かるこども

  ショートステイや夜間だけ預かるトワイライトステイの担い手にも指定している。
   これらは、保護者の育児疲れだけではなく、病気や出産による入院、泊まりの出張等の時に利用できる

  公的サービスとのことで、県内では、こどもショートステイが28市町延べ122施設、トワイライトステイは

  15市町延べ44施設で実施されている。
   前回も言ったが、子育てに理解の深い親心のある里親を増やすことと、こどもの視点を大切にしながら

  制度活用の更なる充実を図ることが重要であり、結果、こどもの豊かな養育環境を守っていくことに

  つながると思う。
   その上で、里親の研修や登録は県が行うが、ショートステイ等は市町村の事業となるので、県と市町村の

  連携が極めて大切だと思う。担当部局にあっては、なお一層、市町村との連携を強めてもらうように

  要望する。

 

  Q 川畑委員
   2 中学校における部活動について
   (1)中学校部活動の現状及び今後の取り組みについて
        ・どの中学校や特別支援学校の中学部に通う生徒の大会等への出場も含めた活動環境の提供について、見解は。

 

  A 宮﨑教育長
   県教育委員会が2月に策定した方針にのっとり、地域クラブを充実させた地域連携・地域移行をめざすこととしている。
   大切なのは、障害の有無に関わらず、こどもたちの豊かなスポーツライフ・感性・情操や想像力等を育てられるよう、

  県中学校体育連盟や市町村教育委員会と連携を図り、活動環境の提供を進めることである。
   特別支援学校中学部生徒が地域クラブ活動等への参加を希望する場合においては、適切な合理的配慮のもと、

  関係機関と連携を図りながら、一人一人に応じて丁寧に対応する。

 

  Q 川畑委員
  3 【財政危機警報】について
  (1)「和歌山県財政の現状と課題」の現状について
    ・「将来にわたり持続可能な県政に資する財政運営」に向けて、どのような取組をし、どのような成果が得られたのか。

 

  A 吉村総務部長
   昨年度の財政危機警報以降、持続可能な財政構造への転換を図るべく、財政健全化に向けた取り組みを実施した。
   まず、公債費臨時対策基金を設置し、公債費の増加に対応する財源を確保した。
   また、2024年度当初予算の編成においては、15%のマイナスシーリング設定に加え、各部局が主体的に既存事業を

  見直す仕組みの導入など、財政収支の改善に向けた取り組みを進めつつ、重点施策の新規事業に対して、必要な予算を

  確保したところである。
   さらに2023年度2月補正予算においては、借換債の発行抑制等によって、後年度の公債費負担の軽減を図るとともに、

  将来に備えて、基金残高を確保するための積み立てを実施した。
   しかしながら、今後の財政収支の見通しは、物価や金利、賃金の上昇を背景とした人件費・公債費の増加等によって、

  さらに厳しくなることが見込まれることから、引き続き財政危機警報を踏まえて、持続可能な財政構造への転換に向けて

  取り組んでいく。

 

  Q 川畑委員
  (2)「TGC和歌山2024」の県内への経済波及効果について
    ・県内への経済波及効果とそれ以外に得られた効果は。

 

  A 赤坂地域振興監
   TGC和歌山2024の経済波及効果については、現在、主催者である東京ガールズコレクション実行委員会において

  集計中であり、現時点ではまだ数値は出ていない。
   昨年度の和歌山市内での経済波及効果は、約3億4900万円であり、3110の媒体により発信されたパブリシティ効果を

  広告換算すると約20億2400万円であった。
   今回開催の効果としては、本会場へは約8400人、会場前のフードフェスには約5400人、県内4箇所で開催した

  パブリックビューイングやアフターイベントには約1万2300人が来場し、さらに約93万人がインターネットを通じて視聴し、

  多くの人に楽しんでもらうことができた。
   バックヤードでのケータリングでは、公募で集まった78事業者から和歌山の食材を用いた料理や加工食品を、さらに、

  県内高校生がプロデュースした料理を出演者に提供し、SNSなどで和歌山の食の魅力が発信された。
    また、県ステージの「ハーモニーマーチ」では、車イスを使用している青年たちや特別支援学校に通学する生徒、

  LGBTQの方など公募の中から選ばれた13名が、モデルやプロのダンサーと共にTGCの大舞台でパフォーマンスを披露し、

  県が目指す多様性を認め合い、県民一人一人が輝くことのできる共生社会を表現したところ、テレビなど複数のメディアで

  取り上げられた。
   中でも、難病を抱え特別支援学校に通う出演者の一人は、テレビ局の密着取材を受け、学校からの帰宅後にダンスの

  練習をする姿や、「同じ障害の人に元気になってもらいたい」、「自信がついたことでいろいろなチャレンジをしてみたい」

  というインタビューでの発言は、多くの人の感動を呼んだものと感じている。

 

  意見 川畑委員
   今年度の経済波及効果は集計中とのことであるが、昨年度の経済波及効果は私の想定より大きい。丁寧に検証を行い、

  集計が出たら示してほしい。 

 

  Q 川畑委員
  (3)「避難所環境改善推進」の実施までのプロセスについて
    ・「財政危機警報」発出下において、新規事業として予算計上されているが、本事業の実施プロセスは。

 

  A 福田危機管理監
   避難所生活で生じる健康問題の多くは、環境の悪さが原因であることが、過去の災害の経験から判明しており、

  南海トラフ地震が危惧され、高齢化が進んでいる本県においては、避難所の環境改善を促進していくことが災害対策

  において重要な課題と承知している。
   その中でも、トイレと食事については、簡易トイレや非常食の備蓄は進んでいるが、避難生活の環境改善や

  ストレス緩和のための「清潔で快適なトイレの設置」や「温かい食事の提供」は、今なお残る課題である。
   このような状況の中、「トイレトレーラー」や「防災コンテナ」は課題の解決に有効であると考えた。
   今回、発生した能登半島地震では、断水が長引く状況だが、貯水タンクを備えたトイレトレーラーは、

  衛生面に優れ、スペースが広く快適であるため、多くの避難者に利用された。
   実際、能登町に派遣された本県の応援職員が、現地で使用したところ、快適であったという報告もあり、

  災害時の有効性を改めて確認した。
   今後、能登半島地震の検証を踏まえ、避難所の運営については、一義的に市町村の役割ではあるが、県として

  の役割分担や、平常時と災害時の運用方法、必要台数等を検討するとともに、県民への啓発と市町村への導入を

  促進するため、まずは実証実験的に県でトイレトレーラー等を導入したいと考えている。
   また、財源については、全額起債措置が認められ、償還費の70%が交付税に算入されるという制度が活用可能

  である。
   導入にあたっては、一般競争入札を基本としつつ、先行して導入している自治体の例も参考に、仕様及び

  調達方法を決定したいと考えている。

 

  意見 川畑委員
   丁寧に「見える化」を意識して進めてほしい。

 

  Q 川畑委員
  (4)「エンジン01 in 和歌山有田」の県内への経済波及効果について
    ・エンジン01 in 和歌山有田について、県内への経済波及効果をどのように見込んでいるのか。

 

  A 前企画部長
   エンジン01 in 和歌山有田は、第一線で活躍する文化人のグループであるエンジン01文化戦略会議が年に一度、

  地方の都市で行うオープンカレッジとして開催するものである。これは、さまざまな分野で活躍中の作家や経営者、

  学者、評論家、音楽家、あるいはスポーツ選手等が多数集まり、130を超える多種多様な講座やシンポジウム、

  コンサートなどが開催される、ほかに例のない特色のあるイベントである。
   普段マスメディア等を通してしか接することのない人たちによる講座や議論を目の前で見聞きすることができる

  ということで、県民にとって大変刺激になる機会と考えている。
   また、各分野の第一線で活躍している人たちが、直接、中学生や高校生に向けて自身の職業の体験談を語ることや

  アドバイスを送る「ハローワーク」という講座が無料で開催され、学生にとっては、キャリア教育という観点から

  もすばらしいチャンスになり得るものと考えている。
   エンジン01 in 和歌山有田実行委員会では、直近の千葉県市原市の実績が延べ1万2000人、コロナ前の

  大分県大分市の実績が延べ1万9000人であることを踏まえ、参加目標を延べ2万人に定めている。経済波及効果は

  試算していないが、参加者、エンジン01文化戦略会議の講師、また関係者、運営に携わる人たちが県内に集まり、

  買い物や宿泊、飲食等をすることによる県内経済への波及も大きくなることを見込んでいる。
   また、今回の会場はJR箕島駅周辺に立地していることから、公共交通機関の利用促進にもつながるものと考えている。
   このほかにも、来県する文化人に、自身のSNS等で和歌山県の魅力を発信してもらうことで、本県のイメージ向上や

  地域振興にも大いに役立つものと期待している。
   県としては、エンジン01 in 和歌山有田の開催を本県の文化振興や地域振興につなげていけるよう、有田市と

  連携を密にして取り組んでいきたい。

 

  Q 川畑委員
  (5)「在宅育児支援事業」取り止めの経緯と今後の取り組みについて
    ・在宅育児支援事業について、事業廃止の経緯と今後の取組や市町村への対応は。

 

  A 今西福祉保健部長
   在宅育児支援事業は、2018年度から保育所を利用していない世帯などで年収
  360万円未満相当世帯の第2子又は第3子以降を対象に経済的支援のため事業を開始した。
   当事業は子育て世帯の経済的負担軽減として一定の効果があったが、今後は限られた財源の中で、共働き・共育てを

  推進し、子育てと仕事が両立しやすい環境整備を図る和歌山こどもまんなか応援事業などを強化していく方針である。
   また、在宅育児支援事業を開始した2018年度と比較すると、現在は出産子育て応援交付金制度の開始や児童手当の

  増額見込みなど現金給付が充実している。さらに、こどもの豊かな育ちや保護者の負担軽減などを目的とし、

  保護者の就労を問わず利用できるこども誰でも通園制度の実施も見込まれることから当事業を廃止することとした。
   なお、経過措置として来年度に対象期間が残っている人については、支援金を支給する予定であり、市町村へは

  窓口対応の際、混乱が生じないよう丁寧に対応していく。

 

  意見 川畑委員
   経緯はよく分かった。答弁の出産子育て応援交付金制度や児童手当の増額見込み等の現金給付は、在宅での育児か

  どうかは問われていない。もともと在宅での育児をしている世帯からすると、在宅育児支援がまるまる無くなって

  しまう感覚だと思う。こども誰でも通園制度の実施は新年度から直ちに始まるわけではなく、0歳6か月からと

  想定されており、首が座るまでは在宅でこどもを育てる前提だと思うので、その間だけでも在宅育児支援があって

  然るべきと考える。切れ目ができてしまうので、その期間だけでも早期の事業再開の検討をお願いしたい。

 

  Q 川畑委員
  (6)【財政危機警報】解除に向けて
    ・財政危機警報解除に向けた知事の覚悟と解除時期の見込みについて。

 

  A 岸本知事
   和歌山県の財政状況については、先ほど総務部長から答えたとおりであり、
  2023年度予算に向けて財政危機警報を出した主な理由は、公債費の増加が見込まれる。人件費も、これは長期の

  推計をすると、大変大きな影響が出てくるということである。そして現状、金利はどんどんこれから上がっていく

  状況にある。
   それから、まさに今日も春闘の一斉回答があるが、相当人件費が上がっている。それはいいことである。
   しかし、県は、人事委員会の勧告があり、人件費については民間の後追いで、民間の推移に合わせて上がって

  いくので、実は去年見込んでいた時よりも、公債費の増加、あるいは人件費の増加、加えて社会保障費の増加も当然だが、

  実は数年先を見渡すとさらに悪化するということが政府の経済見通しの数字を使うと出る。
   したがって、少なくとも、昨年発出した時よりも、財政状況は大変厳しいものがあり、2年3年先に、危機警報が

  解除される状況ではないのではないかと思う。
   一方で、これを再三言っているが、財政再建をするに際して、増税とか歳出カットだけで財政再建ができた例は

  ほとんどない。
   やはり産業振興を行ったり、それぞれの国レベルで言えば国民の士気を向上させること、本業で、本来国がやるべき

  ことを一生懸命やることによって、全体に活力が出てきて、財政再建ができるというのがこの50年ぐらいの研究の

  成果である。
   したがって、私としても、できる限り、メリハリの効いた予算編成にはしたいと思う。
   今指摘のあった点については、私どもも、もう少し丁寧に説明をしなければいけないと思うが、やはり文化というか、

  芸術とか、そういうものが、それは飯の種にはならないかもしれないが、文化とか芸術とかというものは、私はとても

  大事なものではないかと考えており、やはり何をもって政策効果とするのか、測るのかについては種々議論があるが、

  これも虚心坦懐、データを出しながら、議論をしながら、正すべきところは正していければと思うが、今回提案

  しているものについては、私どもが積み上げた結果として、文化芸術も含めて、県民の活力の増加につながる、

  ひいては、財政再建につながっていくもののベースになるのではないかと考える。
   ただ、いずれにしても、今後公債費が増えていくところをどうやって、国の交付税措置のあるような借金に

  切り替えていくのか、そういうことをしっかりと考えながら、メリハリのついた予算を作っていくことで、

  財政健全化に向けた努力を単年度、単年度苦しみながらやっていくことになると思うので、その都度、県議会に

  相談しながら、指導をもらいながら、やらせてもらえればと思う。

  

    ●井出委員長
     ◎付託議案に対する質疑終了宣告
     ◎報告事項 部局別質疑・調査を各常任委員会に依頼することを議長へ申入れ
     ◎散会宣告
   午後2時22分散会

 

 

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