令和5年12月和歌山県議会建設委員会会議記録
令和5年12月和歌山県議会建設委員会会議記録
1 日時 令和5年12月14日(木)午前9時58分~午前11時5分
2 場所 第5委員会室
3 出席者 委員長 玄素彰人
副委員長 北山慎一
委員 高田英亮、鈴木太雄、吉井和視、中村裕一、片桐章浩
欠席委員 なし
委員外議員 なし
4 概要
午前9時58分開会
●玄素委員長
◎開会宣告 挨拶
◎報告事項 委員の欠席なし
◎傍聴協議 なし
◎撮影許可 3件
◎議事 議案14件、継続審査を要する所管事務調査5件
◎県土整備部審査宣告
◎議案等に対する説明要請
●福本県土整備部長説明
●玄素委員長
◎議案に対する質疑及び一般質問宣告
Q 片桐委員
和歌山市内の都市計画道路については、かなり順調に進んでおり、残りは2か所と思う。現在事業中の今福神前線の現状
はどうか。
A 鈴木道路建設課長
都市計画道路今福神前線の大浦街道、県道新和歌浦梅原線から国道42号堀止交差点までの978メートル区間は、平成28年
度に和歌山市が事業化している。
現在、用地取得を推進中で約8割の用地取得が完了している。また、用地協力が得られた区間の工事を推進しており、早
期完成を目指していると聞いている。
Q 片桐委員
同じく、都市計画道路で有本中島線の現状はどうか。
A 鈴木道路建設課長
都市計画道路有本中島線の都市計画道路市駅和佐線との交差点付近から、北側350メートル区間は、平成30年度に和歌山
市が事業化している。
現在、用地取得を推進中で約9割の用地取得が完了している。また、用地協力が得られた区間の工事を推進しており、早
期完成を目指していると聞いている。
要望 片桐委員
市内でもかなり道路網が確立してきて、利便性が向上し、移動時間が短くなっていてありがたいので、この残りの2本も
早期に完成できるようにお願いする。
Q 片桐委員
第2回県道長井古座線八郎山トンネル技術検討委員会での主な議論の内容を説明してほしい。
A 鈴木道路建設課長
第1回技術検討委員会以降、トンネルに関する追加調査を含めた調査結果の報告及び今後の対応方針(案)について説明
を行い、委員から不良工事の主な原因として次の3点の可能性について言及があった。
1点目については、測量の管理不足による誤差のため、掘削の進行方向にずれが生じたこと。
2点目については、トンネル掘削後の一次吹きつけコンクリートの厚さの管理不足やトンネルを支える鋼アーチ支保工の
設置位置の確認不足により、支保工が内空断面を侵すような位置に設置されたこと。
3点目については、このような状況にもかかわらずトンネルの内空断面を確保するように覆工型枠を設置したこと。
これらの原因により、覆工コンクリート厚が薄くなった部分が生じた可能性があることが確認された。
今後の対応方針として、所定の内空断面と覆工コンクリート厚を確保できるよう、支保工を正しい位置に再設置した上で、
再度覆工コンクリートを打設することが望ましいとの意見が出された。
Q 片桐委員
支保工の設置位置不良の問題に関して、今後はコンクリートを剥がし、支保工が正しく設置されているか確認する方針と
のことだが、確認した上で施工不良の箇所を全てやり替えると考えてよいか。
A 鈴木道路建設課長
施工不良が認められる箇所は、やり替えることが基本と考える。
全てをやり替えるかどうかということについては、支保工が内空断面を侵すような位置に設置され、所定のトンネル内空
断面と覆工コンクリート厚を確保できなければ、支保工を外し施工をやり直すことになる。
Q 片桐委員
空洞厚の分布表等をもらっていて、これを確認すると、覆工コンクリートの空洞や厚さ不足がかなりあるが、結果として
全てをやり直すと考えてよいか。
A 鈴木道路建設課長
使えるところがあれば使うべきだと考えている。今のところは全てをやり直すというわけではない。
Q 片桐委員
段階確認の要請がないことから実施していなかったとあったが、68か所で136回の段階確認を6回だけしか行っていなか
った。段階確認は施工者の要請を受けて実施するものなのか、県が自主的にするものなのか。段階確認の基準について示し
てほしい。
A 鈴木道路建設課長
土木工事共通仕様書によれば、受注者は、工事種別ごとに定められた確認時期において段階確認を受けなければならない
とされており、あらかじめ立会願を監督員に提出しなければならないと記載されている。
また、監督員から段階確認の実施について通知があった場合には、受注者は段階確認を受けなければならないと記載され
ている。
Q 片桐委員
今の基準は、事業者からの要請を受けて行うもので、主体的に行なわなくてもよいという解釈でよいか。
A 鈴木道路建設課長
そのとおりである。
Q 片桐委員
本会議での部長の答弁を聞いたが、段階確認をしていれば防止できていたかもしれない、抑止力になったかもしれないと
の答弁であったが、このときの「責任を重く受け止める」とは、どう解釈すればよいか。
A 福本県土整備部長
まず、公共工事の基本は、請負った施工業者が責任を持って、設計図書に基づき施工しなければならないというもの。だ
からこそ、今回の施工のやり直しについても、施工業者は費用の全額を負担することに、納得している。
また、秋月議員が一般質問の中で、交通事故の過失割合を引き合いに出して話をされたが、我々の考えとしては、あくま
で契約に基づく公共工事であり、交通事故の過失割合とは概念が少し異なり、単純に当てはまるものではないと考えている。
県側の落ち度について、段階確認が規定どおりの回数が行われていれば、早い時点で分かったのではないか、抑止力とし
て機能したのではないかということから、県側としての責任は否めないと考えている。
そのようなことで、責任を重く受けとめるという形で答弁をした。
今後は県として、再発防止策をしっかり検討して実行し、二度とこのようなことが起こらないようにと考えている。
Q 吉井委員
二川ダムの下流に暮らしているが、ダムの堆積土砂のしゅんせつをこれまで随分してきたと思う。それでも相当たまって
きていると聞いている。これがたまったままではダムの正常な機能が果たせないと思うが、県はどのように認識しているのか。
A 鈴置河川課長
二川ダムの堆砂状況だが、まず一般論として県管理ダムに関しては、あらかじめ100年分の計画堆砂容量を確保していた。
二川ダムについては、建設から56年が経過しているが、昨年度末の時点で堆砂率が90%近くとなっており、堆砂が計画より
早いペースで進行しており、このままでは本来果たすべき治水の役割を果たせなくなるのではないかと考えている。
県としては、この堆砂について、現在、令和6年度までとなっている緊急浚渫推進事業債の活用と併せて、事業債の延長
を国に働きかけるとともに、堆積土砂撤去の補助事業化についても、今後国に働きかけていかないといけないと考えている。
しかしながらそれだけではなく、堆砂に対して、抜本的な対策が必要になってくるのではないかと考えているところである。
Q 吉井委員
堆砂率が90%ということは、抜本的な対策を講じなければ、ダムの下流に暮らしている者の安全・安心というものは図ら
れないのではないのか。
A 鈴置河川課長
本来、ダムに土砂はたまることが前提にあって、治水として使えるダムの容量が十分確保できないということになると、
計画どおりの治水対策にはつながってこないので、やはり抜本的な対策は必要であると考えている。
Q 吉井委員
県内の他の県管理ダムはどうか。
A 鈴置河川課長
他の県管理ダムについて、日高川水系の椿山ダムについても堆砂率が90%程度となっている。一方で、広川水系の広川ダ
ムや切目川水系の切目川ダム、古座川水系の七川ダムについては、おおむね計画と同程度のペースで堆砂が進んでいると認
識している。
Q 吉井委員
国土強靱化についての県の整備事業には、いろんな予算を積み上げて国に要望しているが、その配分は県の要求があって
決まると思う。そこの構造は、どうなっているのか。
A 山縣県土整備総務課長
国土強靱化予算については、県のほうから要求をして、国で精査して配分されるという状況である。
Q 吉井委員
工事については、国土強靱化で加速化したいという要望をしていると思う。配分されて、県費負担分が交付税措置をされ
るので、国土強靱化を活用していると聞くが、どれぐらいされるのか。事業量として、補正についた事業量のどれぐらいが
配分されているのか。
A 山縣県土整備総務課長
補正は、起債が100%充当され、その起債の元利償還金の50%が交付税措置される。補正予算による交付税措置は、当初
予算の倍以上となっている。
Q 吉井委員
国土強靱化で、ガードレールを更新する場合に木製ガードレールに変えようと思ったらできるのか。国土強靱化の附帯決
議の中には、農林水産業を守る上で、木材利用の促進が示されていることから、木製ガードレール等への更新もメニューに
含まれるのではと聞いている。そういったことに経費を使った経緯はあるか。
A 上柏道路保全課長
国土強靱化に関しては、国でメニューが決められている。木製ガードレールへの更新が対象になっているか確認しないと
分からない。
ガードレールの更新で、補正予算は活用していない。
Q 吉井委員
附帯決議を読んだら国土強靱化の法律では、できるんではないかと思う。
県が要求しないから配当されないのであって、要望すれば配当されるかと思うが、その件についてはどうか。
A 上柏道路保全課長
補助対象になっていれば、要求すれば可能性はあるが、和歌山県に配分される額も一定程度決まっている。
Q 玄素委員長
吉井委員が言っているのは、国土強靱化の予算のメニューの中に木製ガードレールを入れても大丈夫かということを確認
してほしいことである。そのことを確認して吉井委員に報告するように。
A 上柏道路保全課長
確認し、報告する。
Q 中村委員
日高川の椿山ダムも90%堆砂しているということを、私も不勉強で、今初めて認識したが、それでは既に何か対策してい
るのか。
A 鈴置河川課長
抜本的な対策に関しては、これから、すぐにでも検討していきたい。そして、具体的なメニューとして、どういったもの
があるか、あらゆる方策を否定せずに考えていきたい。
Q 中村委員
今年度から検討はしていくということか。
A 鈴置河川課長
実際にどういう形でやっていくかということはあるが、これからすぐにでも考えていきたいと思っている。
Q 中村委員
ぜひともよろしくお願いする。
それで、その堆砂の状況を聞いて思ったことは、椿山ダムができたから下流は土砂の供給がないので、日高川河口で行わ
れていた砂利採取は、ずっと行われていない。私は河口近くの中学校に3年間通っていたが、授業中も、それから放課後も、
クラブをやっているときも、近くの製材の機械の回る音、それから日高川をしゅんせつするガラガラという音を3年間聞い
ていた。あれだけ毎日しゅんせつをしていたのに、椿山ダムができた昭和60年代始めごろから、しゅんせつをやっていない
わけである。河口から海に流れるということもあると思うが、それを割り引いてもあまり堆積していないということは、我々
土木の素人からしても考えにくい。今調査をやっているが、県の建設部の説明では、年度の終わりにならないと堆積状況が
分からないということであった。調査の途中でも、これはだいぶ土がたまっているなと分かるのではないかと思うがどうか。
A 鈴置河川課長
年度末まで待ってほしい。
要望 中村委員
できるだけ早く調査結果を出してほしい、もし仮にしゅんせつの必要があれば、ぜひお願いしたい。
Q 中村委員
日高川のしゅんせつについては、地元の自治連合会や御坊市のほうからも要望しているが、確かにしゅんせつは大事だと
思う。近年の全国的な水害を見ると、川から越水し破堤し、ものすごい勢いで水が流れ出て洪水になるので、越水しても壊
れないような堤防を造るということで、国のほうで研究されているということである。もちろん国の事業にならないと補助
金がもらえないので、国の事業になるということが事業化の前提であると思う。
これまでの私の一般質問に対しての部長の答弁の中では、今の河川整備計画が終わってから考えるということであったが、
日高川だけでなく県内にはたくさんの河川があって、それを維持管理していくだけでも大変で、災害にあったところを直す
だけでも大変という話を聞く。粘り強い堤防が全流域にある必要はなくて、歴史的に昭和28年にあった7.18水害での日高川
の洪水では、破堤した箇所というのは、野口の上野口という今は市の防災センターがあるところ、それから藤田町の藤井か
ら吉田の中間くらいのところで破堤したと言われており、結局洪水にて越水し、水が当たるところが破堤し、水当たりの強
いところが壊れやすいというふうに素人ながらに思う。国が研究をしてくれるのを待つだけではなくて、和歌山県も優秀な
職員がいるわけで、ぜひ研究もしてもらい、国と一緒にやるくらい、それから事業化が始まったら、直ちに事業が始まるよ
うな、それでいて和歌山県も今は国土強靱化で予算がたくさんついても裏負担が大変で、もうついていけないという話も聞
く中で、ぜひ県費負担がいらないような新しい事業ができるくらい努力してほしいと思うがどうか。
A 鈴置河川課長
粘り強い河川堤防整備について、まだ国でも技術的に確立したものではないというところがあり、研究を続けているとい
う状況である。現在、技術検討会が国土交通省で設置され検討が進められているというふうに聞いており、県としては確立
した技術を使っていきたいので、国の取組の進捗状況をしっかりと注視していきたいと考えている。
委員からは、県もすぐにでも研究をして整備メニューを、という指摘があったが、7.18水害を含めた過去の被災状況など
を、確立した技術で、どのように解消していこうということででき上がったものが、今の日高川水系の河川整備基本方針で
あり、河川整備計画であるので、まずこちらを進めていきたいと考えている。
要望 中村委員
平成27年ごろに今の日高川河川整備計画ができたと理解しているが、粘り強い堤防という概念が出てきたのは、平成23年
の東日本大震災のときに津波が来て、防潮堤や防波堤を津波が乗り越えたときに堤防の基礎がやられてしまい、壊れたとい
う教訓から、河川にも生かされていると思う。平成27年頃には、粘り強い堤防という概念がなかったので、私は、もう一度
新しい考え方で河川整備計画も見直してほしいし、これからできる印南川などの新しい河川整備計画の中には、ぜひ盛り込
むことをお願いする。
Q 高田委員
県道泉佐野打田線の紀の川インター付近から国道24号へ至る区間、パナソニックの会社があるところまでを4車線化の事
業をしているが、完成の時期、進捗状況はどうか。
A 鈴木道路建設課長
県道泉佐野打田線の京奈和自動車道紀の川インターから国道24号までの2.9キロメートル区間のうち、現在、国道24号か
ら市道東国分赤尾線までの900メートル区間について、順次整備を進めている。
このうち、国道24号との交差点から北側約240メートル区間については、今年の3月に完成した。
現在、JR跨線橋の下部工事に必要となる土留工事の着手に向け、準備を進めている。
残る紀の川インターまでの約2キロメートル区間についても、順次、用地取得を進めているが、現在、完成時期について
は、明言できる段階までに至っていない。
Q 北山副委員長
私から1点、先ほど部長説明にもあったが、国道168号仮称2号トンネルについて、現在、事業休止になっている。土壌
汚染対策法に基づいた残土処分コスト縮減策を検討しているということだが、現況、そして今後の対応を質問する。
A 鈴木道路建設課長
先ほど部長の説明にもあったが、仮称2号トンネルについては、令和4年9月から掘削を開始し、全長2658メートルの
うち、約1割の380メートルを掘削したところ、基準不適合土砂がほぼ全区間で検出され、このまま掘削を継続すると処分
費で200億円の増加となるなど莫大な工事費となることが分かってきた。トンネル掘削を一旦中止し、業者と工事打ち切り
に向けて協議を行っている状況である。
今後については、調査ボーリング等により、残りの掘削区間の不適合土砂のボリュームの把握に努めるとともに、新宮市
等関係機関と連携し、基準不適合土砂の受入先を探し、遮水シートなどによる封じ込めなど土壌汚染対策法に基づいた残土
処分のコスト縮減を図り、できるだけ早く工事を再開したいと考えている。
要望 北山副委員長
仮称2号トンネルは、地域の期待されるトンネル事業として始まった。ぜひとも一旦休止しているが、早期に再開される
ことを期待しているので、引き続き対策をしっかりお願いする。
●玄素委員長
◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告
◎議案に対する採決宣告
◎議案第126号、議案第131号、議案第147号、議案第150号から議案第152号まで、議案第155号から議案第160号まで、
議案第167号及び議案第168号については全会一致により原案可決
◎県土整備部審査終了宣告
◎継続審査を要する所管事務調査宣告 異議なし
◎閉会宣告
午前11時5分閉会