令和5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


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令和5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

議事日程 第5号
 令和5年9月22日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第104号から議案第124号まで及び報第4号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第104号から議案第124号まで及び報第4号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
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出席議員(42人)
 1番 坂本佳隆
 2番 三栖拓也
 3番 秋月史成
 4番 川畑哲哉
 5番 藤山将材
 6番 森 礼子
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 9番 高田英亮
 10番 玉木久登
 11番 佐藤武治
 12番 濱口太史
 13番 鈴木太雄
 14番 冨安民浩
 15番 吉井和視
 16番 鈴木德久
 17番 玄素彰人
 18番 岩田弘彦
 19番 中本浩精
 20番 中村裕一
 21番 谷 洋一
 22番 山家敏宏
 23番 北山慎一
 24番 堀 龍雄
 25番 谷口和樹
 26番 新島 雄
 27番 山下直也
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 小西政宏
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 危機管理監      福田充宏
 総務部長       吉村 顕
 企画部長       前 昌治
 地域振興監      赤坂武彦
 環境生活部長     山本祥生
 福祉保健部長     今西宏行
 商工観光労働部長   三龍正人
 農林水産部長     山本佳之
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      﨑山秀樹
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員長   竹田純久
 警察本部長      山﨑洋平
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
            萩原 享
 議事課長       長田和直
 議事課副課長     岩谷隆哉
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課主任      菅野清久
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       葛城泰洋
 政策調査課長     岩井紀生
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  午前10時0分開議
○議長(濱口太史君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第104号から議案第124号まで及び報第4号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 2番三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕(拍手)
○三栖拓也君 皆様、おはようございます。
 議長の許可をいただきましたので、通告書に従い、これより一般質問を行います。
 私は、前回の6月定例会において先輩・同僚議員の皆様にお支えいただき、議員として初めて一般質問をする機会を得られました。伝統ある和歌山県議会の壇上に立ったとき、緊張感と高揚感に包まれ、全身が身震いする思いをいたしました。
 そしてまた本日、9月定例会一般質問の最終日にトップバッターとして登壇させていただきましたことは誠に光栄で、改めて身が引き締まる思いでございます。
 それでは、質問に移りたいと思います。
 まず1点目は、和歌山県の教育についてお伺いします。
 国家百年の計と言われる教育が重要であることは、私から改めて申し上げるまでもないことではございますが、少子高齢化が進む日本社会、とりわけ都会への人口流出が多い地方部に暮らす私たちにとっては、和歌山で教育を受けることのすばらしさを再確認し、より充実した内容にブラッシュアップしていくことで、和歌山で教育を受けてよかった、自分も将来は地元に帰って子育てがしたいと感じてもらえることにつながると信じております。
 では、具体的にどのようにして取り組めばよいのでしょうか。本県においては、令和5年度から令和9年度までの5年間にわたる教育振興の指針となる第4期和歌山県教育振興基本計画が策定されました。この計画の冒頭にある計画策定の趣旨という項目において次のような記載があります。「変動が激しく、予測困難であるなど、閉塞感を感じることが多い時代であるからこそ、今日、未来に対し希望を抱き、挑戦し続ける活力を育むことが教育に期待されています。そのような観点に立って、今後5年間の本県教育の方向性を示した『第4期和歌山県教育振興基本計画』を策定しました」。まさに、現代社会において必要とされる力を育んでいこうとする決意が感じられる内容だと思います。
 さらに、この計画の方向性が記されている第2章では、「和歌山らしい教育をめざして」という内容で、本県が目指す教育の方向性について触れられています。これは、計画に先立って策定された和歌山県の教育の大綱だとお聞きしておりますが、この大綱に込められた思いについて、知事にお尋ねします。
 急速に変化する社会情勢の中、教育の重要性は一層増してくるものと想定します。和歌山らしい教育とは何か、どのような子供たちを育んでいくのか、本県における教育の根幹となる方向性についてお聞かせください。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 三栖議員の御質問にお答えをいたします。
 この教育の大綱に込めた私の思いといたしましては、いわゆる偏差値を重視した教育から脱し、子供たち自身が自分の好きなことを発見し、その上で学びを深めていけるような教育環境の整備が必要だと思っております。また、読書やスポーツ、ボランティア活動、自然の中での体験活動、さらには美術館や博物館などで本物の芸術や文化に触れる体験などを通して、豊かな感性や教養、自己肯定感を育むことが大変重要だと思っております。さらに、価値観が大きく変動する中、前例や固定観念を問い直すような批判精神、健全な批判精神や失敗にくじけないチャレンジ精神を養っていくことが重要であろうと考えています。
 これまで、私どもの世代がそうですけども、教科書を読んで参考書を覚えて、そもそも答えのある問いを解くような教育が行われてきました。こんなことやってるのは日本だけです。同僚議員の皆さん、よく分かると思いますけど、世の中社会に出たら教科書も参考書もないですよね。あらかじめ答えのある問いなんてないわけであります。それに気づいたのは私、遅くて、48で気づきました。48になりまして選挙で落選しましてね、選挙って教科書もなければ参考書もないじゃないですか。正解もないわけですよ。頭真っ白になりましてね、これまでの人生何やったんやと思いましたね。
 だから、これからの和歌山の子供さんたちには教科書を覚えて参考書を勉強して正解のある答えを解くような教育は要りません。自分で問いをつくる能力をどうやって持ってもらうかと、そういう教育をぜひしてもらいたい。もう偏差値なんか関係ないですよ。学力試験なんかもう要らないですよ。そういう、全く……(発言する者あり)いや、ほんまですよ、問いをつくる能力をどうやって鍛えるかです。アメリカの大学にはペーパーテストないんですから。内申書と小論文と面接でアメリカでは大学の生徒を取るんですよ。そういうふうに変えない限り、この日本に未来はないと思っております。よろしくお願いいたします。(拍手)
○議長(濱口太史君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 知事に御答弁いただきました。子供たちが好きなことを自ら発見し、それに対して自分で答えを見つけ学びを深めていくという、そういう教育環境の整備が必要という点は、私も全く同じ思いでございます。勉強だけではなく、芸術やスポーツなど様々な分野に触れる機会や、好きなことにチャレンジできる選択肢というのが、環境整備自体が大変重要であると感じております。子供たちが希望を持って暮らせる和歌山を目指して、これからも和歌山らしい教育の充実に取り組んでいただけるようにお願いいたします。
 では、次の質問に移ります。
 次の質問は、確かな学力についてという項目なんですけれども、ちょっと学力の話になってしまい恐縮でございます。
 和歌山が目指す教育の大きな方向性については、今、知事に御答弁いただきましたので、続きはもう少しミクロな視点でお伺いしたいと思います。
 第4期教育振興基本計画の中では、学力・体力など様々な観点において、これまでの目標値に対する達成状況を基に新たな目標を設定されています。この中でも取り上げられている確かな学力の向上という観点は、先ほどの大綱の中で述べられた、知事の答弁の中にもありました偏差値を重視した教育からの脱却を目指しているとは言いつつも、探究心を育むことや柔軟な思考力、判断力、表現力を身につけるためには欠かせない部分ではないでしょうか。
 その学力をはかる上では、全国学力・学習状況調査が基本的な指標であると考えます。第3期教育振興基本計画の対象年度である平成30年から令和4年までの調査結果においては、小学校6年生の国語・算数は、おおむね目標を達成しているものの、中学3年生の国語・数学では、平成30年の数学で目標達成しているのを除き、ほかの年度、科目においては全て目標未達成という状況です。
 特に、国語においては令和3年度が全国で45位、令和4年度が46位ということで、全ての教科で20位以内という目標には到達できていない結果になっております。
 確かな学力の向上という観点では、結果だけを見ると課題が残る形になっていると考えますが、全国学力・学習状況調査の結果に対する見解と目標達成に向けた具体的な取組について、教育長にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 確かな学力についてお答えをいたします。
 全国学力・学習状況調査は、全ての児童生徒の学力や学習状況から、教育施策や教育指導、学習状況の充実・改善を図ること等を目的としております。
 本調査では、都道府県の差は縮小しており、僅かな差で順位は大きく変動する場合があります。よって第4期和歌山県教育振興基本計画では、調査目的を踏まえ、県と全国との平均正答率の差を指標としました。
 ここ数年の本県の傾向としては、小学校は全国平均と同程度で安定しておりますが、中学校は改善が見られるものの、特に国語において、根拠を明確にして書いたり、物を考えたりすることなどに課題があり、令和5年度調査においても同様の状況でした。
 これらの課題に対応するため、昨年度は全ての中学校国語科教員、今年度は数学科教員を対象に、示範授業の参観等を組み入れた指導力向上研修を実施しております。
 これまでの教員研修や県独自の学習到達度調査の分析に基づいた対応等により、学力向上に一定の成果はあったと考えておりますが、教科担任制を取る中学校においては、指導の工夫・改善が個々の教員にとどまってしまう傾向があり、学校全体として読解力向上等を意識した取組に課題があります。また、全ての児童生徒の確かな学力を向上させるためには、教員の指導力向上はもとより、子供たちの学ぶ意欲を高めることが重要です。
 以上のことを踏まえ、今年度、校長等研修では教職員が一丸となって組織的・継続的に取り組む学校経営等を焦点に当て、実施しております。課題の改善や未達の状況に応じて、スピード感を持って取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 ただいま御答弁いただいた中にあるとおり、教育現場における状況の変化が著しい、こういう中で評価軸を見直して実態に即した目標設定をなされている点についてはよく理解できました。課題認識については、御答弁の中にもありましたとおり、指導力の向上研修や学校経営という視点の強化などを通じて対策をしていただいているということですので、引き続き緊張感を持って取り組んでいただけるように重ねてお願いしたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 続いては、教育DXの進捗状況についてお伺いします。
 令和元年に児童生徒向けの1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するための補正予算が閣議決定され、いわゆるGIGAスクール構想が日本全体で動き出しました。和歌山県においても環境整備が進められ、全ての小中学校においてICTを活用した授業が展開されているとお聞きしています。
 まさに教育DXがあらゆる現場で進められているところでありますが、実際にはICTのインフラ整備だけではなく、授業を進める教員の皆様や生徒の一人一人が新しい教育の進め方に適応していかなくてはならない過渡期であり、様々な困難に直面しつつ工夫を重ねながら対応していただいている状況であると推察いたします。
 このように、国の施策であるGIGAスクール構想をきっかけに教育現場にもICT教育の大きな流れが押し寄せ、学びの在り方が大きく変化していると想定しますが、和歌山県としてGIGAスクール構想並びに教育DXの達成状況と成果についてどのようにお考えか、教育長にお尋ねします。
○議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 教育DXの進捗状況についてお答えいたします。
 本県では、GIGAスクール構想に基づき児童生徒1人1台端末及び普通教室の無線LANについて、県内全ての小中学校において整備が完了し、現在、端末の日常的な活用を推進しているところです。
 授業における端末の活用については、令和5年度全国学力・学習状況調査結果では、ほぼ毎日及び週3回以上活用している小中学校が共に前年度比10%増加しており、引き続き、設置者である市町村と連携し、端末の日常的なの活用を進めてまいります。
 なお、授業中、児童生徒同士がやり取りをする場面や、自分の考えをまとめ、発表・表現する場面等に端末を活用している割合が増加しており、国が目指す主体的・対話的で深い学びの観点から授業改善が進められていると考えております。
 また、和歌山県ICT活用教育グランドデザインを今年度中に策定し、本県の教育の情報化及び教育DXを着実に進めてまいります。
○議長(濱口太史君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 教育長に御答弁いただきました。
 鉛筆やノートといった学習用具を扱うのと変わりがないぐらい、当たり前のようにICTの端末を使いこなしていくのがGIGAスクール構想の目指すところではないかと考えています。いたずらに端末の利用状況だけを追い求めていくのではなく、あくまでも効率的な学習手段の一つとして日常的に利用していけるように、引き続き取り組んでいっていただければと思います。
 では、教育に関する最後の質問に移りたいと思います。
 今回、一般質問を行うに先立って、先ほど御答弁いただいた教育DXの実態を調査するべく、実際にタブレット端末を活用しながら授業を展開している学校へヒアリングしに行ってまいりました。
 従来であれば、授業中の課題の提出にはプリントの配布や回収といった人の手で行う作業が基本であったところ、各生徒はタブレット端末から瞬時に課題を提出し、教師は一目で提出状況の確認ができるといった具合に、効率的な授業展開に効果を発揮されているとお聞きしました。まさに教育DXが着実に進んでいるのだと大変興味を持ってお話を伺いましたが、それと同時に幾つか課題が出ていることも明らかになりました。
 まず一つ目、配布されているタブレット端末のスペックです。西牟婁郡において配布されている端末はウインドウズがインストールされたタブレット端末で、私が実際に見せていただいたものは、持ち運びを考慮して頑丈なつくりになっている端末でした。資料の閲覧や簡単なアプリケーションの操作程度であれば問題はないのですが、エクセルなどの表計算ソフトが複数作動すると途端に動きが遅くなる、そういった事象が発生していました。
 また、端末動作そのものの遅延、遅さに加えて、実際の授業ではタブレット端末を使うこともあれば、鉛筆やノートを使って筆記をすることもあり、タブレット端末のオンやオフを頻繁に行う機会が多く、その都度、端末を起動して、そしてスイッチを入れながらファイルを開く、そういった作業が一手間増えて無駄な待ち時間が発生します。この点、iPadなどのタブレット端末では起動が素早く、ストレスなくオンオフを切り替えて利用することが可能です。
 次に、端末上で動作するソフトウエアに関する課題です。これは自治体や学校、教員の方によっても授業の進め方が異なるため一概には言えない部分も多いのですが、例えばロイロノートのような授業支援サービスを包括契約している自治体とそうでいない自治体においては、授業の効率性だけではなく、学習の質的にも大きな差が生じているのではと危惧しております。
 私の地元自治体においては、まだ導入が進んでおりませんが、県内でも幾つかの自治体で既に活用されており、学習効率の向上に寄与しているとお聞きしています。県内一律でハード面がいかに整備されようとも、それらを活用するソフト面に地域差があっては元も子もありません。
 最後に、最も緊急かつ大きな課題がネットワークです。ここで言うネットワークとは各学校に敷設している無線LAN、いわゆるWi-Fiの遅さに関しての課題です。白浜町内にある小中学校を複数調査したところ、どこの学校でも授業中に5~6人の生徒が一斉にWi-Fiに接続すると、学校全体の通信が遅延し始めるという状況でした。
 本来であればクラスの全員が同時にWi-Fiに接続した状態でタブレット端末を適宜活用しながら授業を展開する、そういうことで学習効果を高めていくのが教育DXの大前提だと認識しております。しかし、実際にはそれが思うように機能していないという状態で、現場の教員も生徒の皆さんも、タブレット端末を使いたくても使えないという中、接続する人数を制限したりするなど工夫をしながら授業を進めています。
 今回お話を伺った教員の皆様はICTを活用した教育には大変意欲的であり、もっと活用していきたいのに端末やネットワークの速度が遅いために思うような授業ができないのはもどかしいとの声が多数でした。
 そこで、教育長にお伺いします。
 タブレット端末や無線LANの普及率や利用率だけで判断することなく、現場が不自由なく利用できるようにICT環境を整備することが緊急かつ重要であると考えますが、県としての御認識についてお聞かせください。
○議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) ICT教育の推進に必要なインフラ整備についてお答えをいたします。
 議員御指摘のとおり、ICT教育を進める中で、学校現場におけるハード・ソフト面での様々な課題があることは大いに認識しております。その中でも教員のICT活用指導力の向上及び通信環境の改善は最重要課題と考えており、県では各市町村と連携しながら授業等におけるICT活用をサポートする支援員の配置や、学校に線がもともと入ってるんですけど、その線が太い線やら細い線やら、訳の分からなくなってるような状況がありますので、そういったことは通信ネットワークの遅延につながりますので、不具合の原因を調査するアセスメントというのを促進してきておるところでございまして、それも進めてまいりたいと思っております。早急に通信環境の改善にも取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 ただいま教育長より、通信環境について最重要課題として捉えていただいていると御答弁いただきました。
 また、具体的に通信ネットワークの遅延の原因を調査するアセスメントを促進、そして早急に改善に向けて取り組んでいただけるとのことで大変心強く思います。現場で頑張る教員の皆様や子供たちが使いたくても使えないという状況を改善し、日常的にこのICT端末を活用できる状態にすることが教育DXの第一歩だと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして大項目2番目、災害への備えについての御質問に移りたいと思います。
 和歌山県は過去から台風や大雨、地震や津波といった災害との歴史、そう言っても過言ではありません。それゆえに、災害への備えについてはこれまでも断続的に実施しており、近年では南海トラフ地震はもとより想定外の大雨による水害などに対する備えについても県民の意識が高まっていると感じます。
 今回、私は、災害時の危機管理及びリスク管理の観点から3点御質問したいと思います。
 まずは、事前復興計画の策定状況についてお伺いします。
 国土交通省によると、被災後は早期の復興まちづくりが求められますが、東日本大震災などこれまでの大規模災害時には基礎データの不足や喪失、復興まちづくりを担う人材の不足などにより復興に影響が生じたことがありました。こうしたことから、防災・減災対策と並行して事前に被災後の復興まちづくりを考えながら準備しておく復興事前準備の取組を進めておくことが重要となっていますと、事前に復興計画を策定することを奨励しております。
 本県において、南海トラフ地震によって予測される被害は甚大であることが明らかです。防災や減災への取組は、これまで県全体で取り組んでこられてきたと思いますが、さらに一歩先の備えとして、被害を受けた後の復興計画をあらかじめ策定しておく事前復興計画の準備が必要であると考えます。
 県下では、既に海南市、美浜町、印南町、みなべ町、太地町の5市町が策定済みですが、まだ多くの自治体が策定できていない状況です。特に、白浜町やすさみ町といった西牟婁の沿岸部に位置する自治体においては津波被害も想定されるため、復興後のまちづくりについて事前に準備をしておくことは大変重要であると考えます。とはいえ、策定に要する時間と作業量は相当なものであり、自治体の限られたリソースの中で計画策定を進めていくことは大変なことだと認識しております。
 そこで、危機管理監に御質問です。
 現時点における各自治体での策定状況を踏まえると、従来どおりの進め方だけでなく、さらに計画策定を加速していくための対策が必要であると考えます。県として事前復興計画の策定に対する見解と今後の進め方についてお答えください。
○議長(濱口太史君) 危機管理監福田充宏君。
  〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 議員の御質問の中にありますように、南海トラフ地震など大規模災害発生時、市町村職員の人員不足や復興に係る事業計画策定における住民の合意形成の遅れなどによって、復興まちづくりへの対応が遅れるおそれがあるため、市町村が事前に復興計画を策定し、早期復興に備えることが重要だと考えております。
 本県では、2018年2月に県内市町村長も参画して復興に係る課題とその対応を盛り込んだ復興計画事前策定の手引きを策定するとともに、市町村復興計画の事前策定支援本部を設け、市町村の早期策定に向けた支援体制を構築してまいりました。
 また、市町村の計画策定に対しては、わかやま防災力パワーアップ補助金による財政支援を行っております。
 現在、津波による浸水被害が想定される沿岸の19市町を中心に計画の策定を働きかけており、海南市、美浜町、印南町、みなべ町、太地町の5市町では既に計画策定を終え、計画策定中の団体が6市町、未着手の団体が8市町となっております。
 県では、計画策定を一層促進させるためには、各市町村が抱える課題やその対応策など、これまで蓄積した知見やノウハウを共有し、それぞれの計画策定や見直しを進めやすい環境を整えることが重要と考え、本年8月、沿岸市町を対象に復興計画事前策定に係る意見交換会を初めて開催したところです。今後とも、市町村個別の課題に寄り添いながら積極的に支援を行ってまいります。
○議長(濱口太史君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 県が主導で策定に向けて働きかけをしていただいていると御答弁いただきました。大変ありがたいことだと思います。自治体の担当者と話をすると、重要性は理解しているけれども、どこから手をつけていいか分からないといった声もお聞きします。
 御答弁の中にもありましたとおり、事前復興計画作成の手引、こういったものをベースにしながら、ほかの自治体での事例などの情報提供をしていただきながら、各自治体が一日でも早く計画策定ができるよう、一層御支援いただけるようお願いいたします。
 では、次の質問に移ります。
 続いても災害復旧に関する内容です。
 南海トラフ地震のような大規模災害を想定した場合、防災や減災などの対策により被害を最小限に食い止めることは重要です。それと同時に、被害を受けた箇所の迅速な復旧作業も大変重要であると考えます。
 被災直後は、必ずしも行政による指示や専門家の知見といった、いわゆる公助による支援が得られるわけではなく、地域の共助や個人の自助が重要となります。
 また、有事と平時の垣根をなくすフェーズフリーの考え方に基づき、災害時にどう行動するのか、何ができるのかを日常生活の中でも意識しておくことが必要です。例えば、避難先での炊き出しについても、誰でもすぐにできるものではありません。日頃から子供食堂など大勢に食事を提供するノウハウを有事の際に転用することなどもフェーズフリーの取組として考えられます。そのためにも、行政による公助は、日頃から共助や自助を醸成していく役目を担っていく必要があるのではないでしょうか。
 一方で、被災時には瓦礫の処理や水道の復旧などやるべきことがたくさんあり、共助や自助だけではどうすることもできない状況も想定されます。そのような場合には民間団体の力を借りる必要があると思います。
 これらを踏まえ、県としての災害復旧に対する備えについて危機管理監にお伺いします。
○議長(濱口太史君) 危機管理監。
  〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 災害発生時には、地域住民による自助や共助の取組が不可欠であり、その担い手である自主防災組織が有事に限らず平時から活動を続けることは、地域防災力の向上を図る上で重要です。
 県では、これまで地域の自主防災組織や企業等で防災の中心的な担い手となる地域防災リーダーの育成や、自主防災組織の育成や活動を活性化させるため、県内及び県外の自主防災組織と情報交流会を開催していたところです。
 また、市町村と共に自主防災組織が行う訓練や資機材整備に対し、わかやま防災力パワーアップ補助金で支援してまいりました。さらに、災害時の避難や避難所の運営を模擬体験できる和歌山県災害対応シミュレーションゲームを作成し、県内の小学校等に配布したほか、市町村や振興局から県民への貸出しも行っており、県民の防災意識の向上に取り組んでおります。
 一方、大規模災害発生時には、被災自治体は災害対応能力が著しく低下するため、県では救援物資調達などの被災者支援、災害廃棄物処理などの応急復旧対策等の業務について、249の民間企業や民間団体と協定を締結し、復旧・復興対策が迅速かつ適切に遂行されるような体制を整えているところです。
 今後も、大規模災害に備え、必要に応じ関係機関との協定を締結するなど、あらゆる資源の総動員という方針の下、官民連携しながら迅速な復旧・復興対策に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 災害復旧の備えについて御答弁いただきました。
 大規模災害時には、行政だけでなく官民問わず関連する機関と幅広く連携しながら、迅速に対応する準備を進めていると理解いたしました。御答弁の中にあった自主防災組織の支援については、共助や自助を強化するための重要な取組であると思います。地域によっても災害に対する意識には差がありますので、日常の暮らしの中で自然と災害への備えにつながるような仕掛けづくりに取り組んでいっていただければと思います。
 では、次が最後の質問になります。
 これまでは、大規模災害を想定し、被災後の備えに対して質問をさせていただきましたが、最後はもう少し身近で頻繁に発生する可能性が高い、警報発表時など急激な悪天候が予測される際における学校の臨時休業等の判断基準についてお伺いします。
 近年、線状降水帯という言葉をよく耳にするようになりました。昨晩も和歌山県、奈良県で線状降水帯が発生し、不安な夜を過ごされた方もおられると思います。
 県下でも想定外の大雨によって様々な被害が発生しています。昨今の気象情報はかなり精度が上がっていると思いますが、予測ができない事態が起こり得ることも頭に入れておかなければなりません。
 特に子供たちの登下校などにおいては、各学校で難しい判断を強いられる場合が多いと想定します。気象の予報が発表された時点では問題がなさそうな状況でも、途端に悪化して大雨になるようなケースは多々発生しています。
 それぞれの地域で異なる事情を抱える学校に対して一律の基準を当てはめることは不適切ではありますが、現場が最適な判断ができるよう必要な情報を提供するなどの支援は必要だと考えます。さらに、近年の想像を上回る気象変化に臨機応変に対応するためには、現場の判断力を高めるような取組も必要ではないでしょうか。
 そこで、教育長にお伺いします。
 気象警報が発表された場合に限らず、急な大雨など悪天候が予測される場合、子供たちの安全を確保するために校長が迅速かつ的確に判断することについて、県としてはどのようにお考えでしょうか。
○議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 臨時休校の判断基準等についてお答えをいたします。
 気象警報発表時等において、校長は各学校で定める「気象警報発表時等の対応」と危機管理マニュアルに沿って、近隣校との情報共有等も踏まえて、自宅待機、臨時休業等の措置を行えることになっています。
 県教育委員会では、悪天候が想定される場合、各学校の災害への備えや臨機応変な対応の一助となるよう関係機関と連携を図り、気象情報や公共交通の運行状況の情報を収集し、速やかに県立学校及び市町村教育委員会に提供しています。
 近年、進路が不確定な台風や線状降水帯の発生など急激な天候不良により、対応困難な状況が増えてきています。このような状況を踏まえ、研修等を通じて悪天候における自宅待機の判断など校長の危機管理能力を向上させるとともに、保護者への確実な連絡体制を整え、児童生徒の安全確保に一層取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 御答弁の中にありました各学校への最新情報の通知や近隣の状況の共有など、県教育委員会からの情報提供は非常に重要なことだと感じます。先ほどからの繰り返しになりますが、有事に備えた平時の取組こそが重要です。引き続き、地域の宝である子供たちの安全確保に向けて、県としても全力で取り組んでいただけるようお願い申し上げます。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、三栖拓也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕(拍手)
○林 隆一君 皆さん、おはようございます。この後、知事、教育長、議連の総会がありますので、再質問しなくていいよう明確ですばらしい御答弁をお願いしたいというふうに思っております。
 それでは、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、さきの6月議会において一般質問させていただきました教育費の無償化についてでございます。
 教育費の無償化については、大阪府及び近隣府県において新たな動きがありましたので、改めてお伺いさせていただきます。
 大阪府では、令和6年度より段階的に、大阪府民であれば所得や世帯の子供の人数に関係なく、公立・私立にかかわらず高校等の授業料を完全無償化し、さらに大阪公立大学、大阪公立大学工業高等専門学校の授業料及び入学料を大学院も含め無償化にする素案が5月9日に示されました。
 この素案では、高校等においては大阪府内の学校だけではなく、大阪府民であれば大阪府以外の近隣の私立高校等に通う生徒も無償化の対象とされることとなっており、仮に、和歌山県内の私立高校等が大阪府の制度に賛同することになると、大阪府在住の生徒と和歌山県在住の生徒との間で不公平感が生じると思います。また、和歌山県から大阪府へ人口が流出しないか、そういうことも懸念しております。
 6月議会で、和歌山県においても教育費の無償化を進められないか、知事にお伺いしたところでございます。その後、大阪府及び近隣府県で教育費の無償化への対策が推し進められているという状況になってきましたので、改めて今回、再度質問させていただきます。
 大阪府では高校授業料の完全無償化案に対して、8月9日、大阪私立中学校高等学校連合会が賛同する方針を明らかにしたことにより、高校等の完全無償化が順次実現する見通しになったわけでございます。また、近隣の府県においても教育費の無償化へかじを切ったところがございます。
 奈良県においては、6月21日の知事定例記者会見の場において、大阪へ人口が流れていくことを懸念し、高校の無償化について年度内に制度設計を進めていきたい、私学の皆さんの意見も聞いて合意形成ができるよう案をつくっていきたいというふうに、奈良県知事が述べたとのことでございます。
 また、兵庫県においては8月4日、兵庫県立大学と兵庫県立芸術文化観光専門職大学について、兵庫県在住者を対象に学部、大学院ともに所得にかかわらず令和6年度から段階的に入学金と授業料を無償化するということが発表されました。
 さらに、大阪府では公立高校の再編を進めており、平成26年から令和5年までの再編整備計画により、閉校や統合などによって公立高校17校において新たな生徒の募集が停止されるということが決定されました。また、令和5年3月の計画によると、令和9年度までにさらに9校程度の公立高校について新規募集の停止が予定されております。
 こうした新規募集が停止された公立高校を目指していた大阪府の生徒が和歌山の私立高校進学を希望し、和歌山県内の生徒が県内私立高校へ入学することが難しくなるんじゃないか、そういうことも想定されております。
 大阪府をはじめ奈良県、兵庫県においても私立学校等の無償化への対応が進められております。近隣する府県間で教育格差があってはならないというふうに私は考えております。和歌山県でも対策を取るべきだ、そういうふうに思っております。
 そこで質問いたします。
 和歌山県にある私立学校に大阪府から通学する生徒は無償、和歌山県に在住する生徒は有償、そんな不公平があってよいのかどうか、知事にお伺いいたします。
 また、本県において高校や県立医科大学等の授業料を無償化すると年間約14億円の財源が必要とのことです。せめて兵庫県のように、和歌山県在住者を対象に県立医大の教育費無償化のための財源約3億円を優先で捻出できないか、そのことについても知事にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 林議員の御質問にお答えをいたします。
 先ほど林議員からも御指摘いただきましたが、6月議会でもこの議論をさせていただきました。仮に大阪府と同様の取組を実施することになるといたしますと、相当の財源が必要となるということであります。そういう意味では、なかなか今の賢いやりくりをしながら厳しい財政状況に取り組んでいる我が県としてはハードルが高いと考えております。
 ただ、限られた財源の中で教育に対して投資をしたいという気持ちは、もう林議員と私も全く同じであります。
 私立の高等学校に通われる方には、国からは当然公立高校と同じような手当てがされているわけであります。ただ、所得の高い方についてはなかなか手当てが届かないということでありますから、仮に大阪府のように所得制限をなくして幅広く授業料を無償化するということになりますと、結局、得をされるのは高額所得者でございます。
 限られた財源の中で教育に手を差し伸べるのであれば、現時点で私どもは高額所得者の方よりももっと別の使い方があるのではないか、和歌山県の子供たち全体がよりよい教育を受けられるように、高額所得者のためにお金を使うんではなくて、広く県民の子供さんのために使いたいという気持ちがございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
 なお、県立医科大学だけでも優先して実施できないのかということでありますけれども、県立医科大学は今1学年110名の対象となる学生さんがおられます。ちなみに、和歌山県から大学に進学する生徒さんたち、学生さんの数は4000名でございます。4000名のうち110名だけ無料にするということになりますと2.8%、僅か2.8%の方だけ無料にするということが和歌山県民全体の賛同を得られるのかどうか、その辺も考えなければいけないと思いますので、これもなかなか優先して2.8%の方だけ無料にするというのは難しいかと存じます。よろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁いただきました。ありがとうございます。
 2.8%とはいうものの、やはり和歌山が最高だと思ってもらえるには、まず和歌山から大阪とか、そういった無償化してるところに人口の流出を食い止めなければならない、そういうふうに思っております。2.8%云々というのは、一般的な県民は分かっていない。ただ、県民だったら無償化するというのは一つの大きなアピールになるのではないか、そういうふうに思っております。
 6月議会においては、私は一般質問の最後に、岸本知事がスローガンに掲げる和歌山が最高だと子供たちが思う未来を実現され、和歌山の子供たちを含む県民が和歌山が最高だと実感できる県政を進めていくことを切にお願いいたしました。
 しかし、今回の御答弁の内容では、子供たちが和歌山が最高だと思っていただけないのではないか、そういうふうに危惧しております。
 より多くの方々の教育費負担につながる取組について、お伺いしたいと思います。
 先ほど知事より、厳しい財政状況の中、賢いやりくりを通してやっていくというふうな御答弁になったんではないか、そういうふうに思っておりますが、そんな広く県民負担を軽減していくと、そういった取組、具体的にはどういうことを想定されていますか、お答えいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答えを申し上げます。
 できるだけ多くの方々の教育費の負担の軽減を図るときに、どのような政策があるかということでありますけれども、例えば、学校給食費、小学校、中学校の学校給食費の無償化が実現できれば、それは幅広く教育費の過多がすくということになろうかと思います。多くの子育て世帯の経済的負担が軽減できるわけであります。
 ただ、これも巨額の財源が必要でありますので、私自身、現在、全国知事会あるいは近畿ブロック知事会などでは率先して提案をしまして、それぞれ全国知事会や近畿ブロック知事会などを通じて、国に対して、国の責任として財源手当てをして、小中学校の給食無償化をするようにということで強く要請活動を行っています。
 実際、文部科学省も今般、学校給食の無償化に向けてだと思いますけれども、全国の給食実態調査をされるということを発表いたしましたので、もう一押し、もう二押し、頑張っていきたいと思っております。
○議長(濱口太史君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁ありがとうございます。
 給食費の無償化については、私が2月議会に質問させていただき、要望したことでもございます。ぜひ実現できるように頑張っていただきたいというふうに思っております。
 ただ、給食費無償化だけでは、大阪府なんかも結構多くの市町村がやっていることでもございますし、まず財源として全額給食費に関して負担するのか、2分の1負担するのか、それでも全額だったら2月議会の答弁においては33億、半分程度いっても16億5000万ぐらい要るというような話だったと思うんですね。しっかりちょっと財源確保をしなければならない。そのためにも、やはり行財政改革を積極的に進めていっていただきたい、そういうふうに思っております。
 教育費の無償化のためには、大阪府の知事の話なんですけど、もとより橋下徹は無償化を実現するために行った改革、自らの退職金をカットするとか給料をカットするとか、そういうふうなことからスタートしたわけでございます。
 今年の4月に日本維新の会公認で奈良県知事選に当選された山下真知事は、自らの退職金全額3549万円をカットする条例案を議会に提出し、7月4日全会一致で可決されました。奈良県議会の閉会後、山下知事は記者団に、「トップ自らが襟を正し、行財政改革を進めるために公約を掲げた、可決されて大変うれしい」と述べたそうです。政治家に必要なのは、まず覚悟を示すことではないでしょうか。
 和歌山県に隣接した奈良県が大阪府に続き教育費の無償化を実現すれば、必ず次は和歌山県だという大きな波が押し寄せるものだと思っております。
 ちなみに、私は知事に対し退職金を全額カットしたらというふうには言っておりませんので、御理解いただければと思います。それは、知事の判断でございます。よろしいでしょうか。
 岸本知事には、教育格差とならないよう、もっと積極的に進めていっていただきたい、そういうふうに思っている次第でございます。
 続いて、国に対する要望についてです。
 さきにも申し上げましたが、近隣府県間で教育格差はあってはならないことですし、県民が県外へ流出することも防がなければなりません。
 私は、6月議会において国への要望について知事にお尋ねした際、知事からは、しっかりと勉強してまいりたいとの御答弁で、その時点では明確なお答えをいただけませんでしたが、大阪や近隣府県で教育費の無償化の対策を取っていない本県でも何か行う必要があるんではないか、住む地域によって教育格差があってはならないことですので、国に対して積極的に和歌山県として要望していくことはないでしょうか。知事にお答えいただきたいと思っております。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 私立高校の授業料無償化が公立高校全体にどのような影響を及ぼすのか、あるいは所得に応じた負担の在り方や手法など、先ほど私が申し上げましたとおり、慎重に検討すべき課題もあると思いますので、教育の無償化そのものについて国へ要望することについては、引き続き勉強してまいりたいと思います。また御指導よろしくお願いいたします。
 一方で、先ほど申し上げました学校給食費の無償化については、私自らが全国知事会等で率先して要求活動をしております。
 さらには、高等学校等就学支援金制度というのがございます。これは、家庭環境や経済状況にかかわらず、子供が希望する教育を受けられるよう就学支援金の支給対象の拡大、あるいは上限額の引上げということが重要になってまいりますけれども、この点についても私としては全国知事会を通じて要望を継続してまいる所存でございます。
○議長(濱口太史君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁いただき、ありがとうございます。
 繰り返しになりますが、私は府県間における教育格差あってはならないものだと、そういうふうに強く思っております。従来から国への要望はしていただいてるとのことですが、大阪府をはじめ近隣の府県が教育費の無償化を進めている現状を踏まえ、さらに強く和歌山県として国へ働きかけていただくよう強く要望し、次の質問に移ります。
 続きまして、通信制高校の積極的な周知についてです。
 高等学校通信制課程は、教室での授業を中心とする全日制課程、定時制課程とは異なり、通信手段を主体とし、生徒が自宅等で個別に自学自習することとして、添削指導等の方法により教育を実施しております。また、これらに加えて多様なメディアを利用した指導を行っております。
 令和3年12月議会において北山慎一議員から通信制高校の果たす役割などについて質問されました。その際、北山議員が紹介されました通信制高校の校数は、令和3年において公立通信制77校、私立通信制が183校でしたが、令和5年の文部科学省の調査により、速報値では、それぞれ78校、210校と、公立・私立合わせて28校増え、また、通信制高校の生徒数においては、令和3年においては公立通信制が5万3880人、私立通信制が16万4548人でしたが、令和5年はそれぞれ公立通信制が5万7255人、私立通信制が20万7540人と、公立・私立を合わせて4万6369人増えており、この2年間においては学校数・生徒数とも大きく増加しております。
 一方、全日制・定時制高校の学校数は、令和3年の4857校から令和5年では4791校と66校減っており、生徒数も令和3年の300万8172人から令和5年では291万8486人と8万9686人が減少しており、社会における通信制高校のニーズが高くなってるものと思います。
 令和3年2月、文部科学省における通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議の審議のまとめによりますと、通信制高校が増加している理由として、中学校卒業後の段階で通信制高校に入学している学生が増えていること、不登校や中途退学経験者、特別な支援を要する生徒、帰国生徒・外国人生徒、経済的な困難を抱える生徒等、様々な困難や課題を抱える生徒等も通信制高校が数多く受け入れている現状があります。さらには、特定の職業分野等に関する知識及び技能等を重点的に学ぶことを希望する生徒、スポーツや文化活動、技能活動等に特に力を入れている生徒等、質の高い高等学校教育を柔軟に学ぶことができる環境を求める生徒も受け入れていることも大きな要因と考えられております。
 こうした全国的な理由も含め、山間部が多く公共交通機関が東京や大阪のように張り巡らされていない本県においては、さらに通信制高校に通うメリットがあると思います。通信制高校はスクーリングで通学する以外は通学に要する時間が不要であり、効率的に学習できます。特に遠方から通学する生徒は、通学面だけではなく、下宿する必要がないため費用対効果が高いと考えられております。
 また、私の通信教育の経験ですが、10数年前、法政大学の通信教育部へ学士入学した際、科目ごとに手書きのレポートの提出はあるし、単位取得試験は大阪などで受けなければなりません。また、スクーリングは東京ですし、卒業するのは大変で、私だけではなく井出先輩議員もそこを卒業し、非常に大変だったということを聞いております。
 しかし、昨年、私が卒業した東京通信大学では、履修届、講義やテスト、スクーリング以外は全てオンラインでスマートフォンだけでも大丈夫な状況でした。新設の大学で、私は学士入学なので2年間ですが、学費も35万円程度だったと記憶しております。
 その経験から、和歌山県の通信制高校もスマートフォン等を用いた効率的な教育ができないのかと考えております。
 また、大学が最終学歴である人数が増えている中、高等学校進学は一つの通過点になっているとも考えられ、全日制高校のみを進学先とする従来の考え方を変えてもよいのではないでしょうか。
 実際、進路を選択するのは各家庭や生徒の意思や判断でございますが、高校進学に当たり、通信制、全日制、定時制においてそれぞれメリットがあり、様々な選択肢があることを積極的に教員や保護者、生徒などに周知してほしいと私は考えております。
 そこで、教育長に質問いたします。
 本県の通信制高校の現状について、また、通信制高校の積極的な周知について、教育長のお考えをお聞かせください。
○議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 通信制課程は、高等学校教育の機会拡大を目的として戦後に制度化されました。与えられた課題を自宅で学習し、郵送による添削指導を受け、登校した際に対面指導や試験を行い、その成果により単位認定される仕組みです。また、学習時間や時期、方法等を自ら選択し、自らのペースで学べることから、個に応じた自由度の高い学びが可能となっています。
 近年では、スポーツや文化・芸術活動等に力を入れている生徒、全日制課程の中途退学者、義務教育段階での不登校経験者など、多様な生徒が数多く在籍しています。
 本県では、県立高等学校通信制課程は3校に設置しており、2023年5月現在、1375名の生徒が在籍しております。また、2022年3月に県内中学校を卒業し、県立高等学校通信制課程へ進学した生徒は74名であります。
 その他、面接指導や添削指導のサポート等を実施するためのサテライト施設を備えた私立の広域通信制高等学校で学ぶ生徒を含め、全体で157名が通信制課程へ進学し、その数は年々増加しております。
 進路選択に関して自己の将来を展望し、自らの意思と責任で進路を決定する力をつけていくことが重要でございます。そのために、通信制の課程のみならず、各学校・課程がその特性を全ての中学生に理解できるような広報に努めていくよう指導してまいります。その上で、自分に合った志望校選択ができるようになることが大切だと思います。
○議長(濱口太史君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁いただき、ありがとうございます。
 しっかり周知するとの御指導をいただいたとの御答弁をいただきました。
 生徒の皆様が様々な選択肢を知り、自分に合った進路を切り開けることができるよう十分周知していただくことを切にお願いいたします。また、通信制システムは大変優れていると思っております。昨今ではスマートフォンを持つことは当たり前の時代になっているので、通信制高校での学びの中にもこうしたICT機器を活用し、通信制教育の充実を果たしていってほしいと思っており、次の質問に移ります。
 続いて、東京学生寮への支援についてです。
 東京都にある和歌山県奨学会東京学生寮、昭和31年、和歌山県出身の者で住宅環境の厳しい都市で勉強に励む学生に対し、経済的負担を軽減して就学を援護し、共同生活を通じて人格の形成を図り、もって有為の人材を育成することを目的に、東京都調布市に設立されております。
 この寮の設立に当たっては、和歌山県出身で当時参議院議員だった野村吉三郎先生が中心となって計画が進められたと聞いております。建設に当たっては国や県からの補助金、住宅金融公庫の融資などが活用されましたが、さらに野村先生が松下幸之助氏など県出身者へ呼びかけ、数千万円の資金を学生寮建設のために集められたと初代寮長の著書に記載があります。野村先生や県出身者の同郷や同郷の若者への熱い期待が籠もった学生寮であると考えております。
 その期待どおり、建設以来、多くの県出身者の若者がこの寮で過ごし、共同生活を通じて立派な人格を形成し、社会に貢献する多くの人材が輩出されております。
 東京学生寮の定員は54名、現在37名が入寮しておられるそうですが、家賃は3万円、そこに食費として2万円程度、諸費用は当然ほかにも必要でしょうが、全て合わせても東京での生活費としては超格安ではないかと思います。都会に大切な子供さんを預ける保護者の立場からしても大変ありがたい施設だと思っております。
 学生寮の維持修繕のため、過去何度か改修が行われており、令和3年には3000万円、平成14年と令和2年にそれぞれ1000万円、県から補助が行われております。しかし、学生寮は建設されてから今年で67年が経過し、老朽化が著しい状況となっており、この学生寮の建て替えを検討していると関係者から話を伺いました。
 そこで質問いたします。
 この学生寮は平成23年に公益財団法人となった和歌山県奨学会東京学生寮が所有し、同法人が寮の維持、経営、在寮学生の生活指導を行っております。この公益財団法人が所有する学生寮ではございますが、建設当時及び改修の際、県も補助金で学生寮の支援を行っております。つきましては、この東京学生寮の建て替えに係る何らかの支援、例えば調査に係る費用などについて、公益事業を行っている同法人に対し県から支援はいただけないか、知事にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 東京学生寮は、ふるさと和歌山を離れ、都会での生活に不安を抱えた学生さんたちに対して、設立以来、長きにわたり学生寮の管理運営にとどまらず、共同生活を通じた生活指導など人材育成に多大な役割を果たしてこられております。そのことに対しては感謝を申し上げたいと存じます。
 また、2011年に公益財団法人の認定を受けており、設立以降一貫してその事業が高い公益性を持たれているということは十分承知しているつもりでございます。
 また一方で、築年数67年という長い年月がたち、老朽化が進み、また近年は入寮生も減少しているという状況の中で、財団法人として非常に難しい問題に直面されているということも承知しております。
 また、林議員からも御指摘ありました1956年の設立時には、野村参議院議員をはじめとした関係者の尽力のおかげで多くの方々の援助をいただいて、民間主導で建設が進んだと承知しております。ほとんどが民間の資金で建てられたというふうに承知しております。
 また、これまでに大規模改修時におきまして県からも一定の支援はさせていただいておりますけれども、これはあくまでも財団主体の事業であり、財団が自主的になさる大規模改修に対して応援をするという形でございました。
 今後、仮にでありますけれども、公益財団法人主導の学生寮の建て替えが進捗するようなことがあった場合でありますけれども、賢いやりくりを目指している我が県の財政状況に鑑みますと、この民間主導の事業に対して支援が行えるのかどうか、大変困難な問題でもありますので、慎重な判断が必要であると考えております。
○議長(濱口太史君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁をいただきました。
 入寮する人が37名と減少している傾向とあるものの、コロナ禍の前は50人以上入寮されている状況を鑑みても、和歌山県から東京に行かれる方、寮に住まわれる方にとって心強い支援が必要ではないかというふうに思っております。
 和歌山県出身の学生が学生寮の目的の下、勉学に、東京での生活に日々励んでいるものと思います。目標に向かっている多くの学生たちが経済的な事情で進路を断念することがないよう、できる限り支援を期待し、私の一般質問を終了いたします。御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、林隆一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時21分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(濱口太史君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、こんにちは。もうラスト2ということになりまして、しばらくお時間お付き合いしていただきたいと思うんですが、毎回着物を着て登壇させていただいていますが、もうこの暑さに何を着ていいものやら朝から大変悩みました。今日は少し薄手の着物を着てまいりましたが、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日は4項目について質問を行いたいと思います。
 まず一つ目、部落差別解消への取組についてお伺いしたいと思います。
 部落差別の解消の推進に関する法律が施行されまして、もうすぐ7年を迎えようとしています。振り返りますと、この法律が制定されるまでの和歌山県の取組は全国的にも高く評価され、部落差別を解決するための大きな一歩を示しました。
 2015年11月16日、東京・都市センターホテルで「人権課題解決に向けた和歌山県集会 人権フォーラム~実効性のある法制度制定を求めて~」という会が開催されまして、実行委員長である二階代議士をはじめとする国会議員、県議会の皆様、各市町村、市町村議長会、政党、運動団体、県当局の皆さん、部落差別を解決するための東京集会に結集されたあの日を私は忘れることができません。
 この集会が、部落差別の解消の推進に関する法律が制定される大きなきっかけとなりました。岸本知事におかれても当時より御尽力をいただきました。ありがとうございました。改めて御尽力いただいた皆様に敬意を表したいと思います。
 県では、その後も全国の都道府県の先頭を切って取組をされています。2020年3月に、和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例が施行されました。その12月には、特定電気通信事業者、プロバイダの責任を追加し、差別を行った者への指導やモニタリングの実施など、被害者救済に向けて取り組まれています。
 このような動きとともに、県議会でも2020年6月に、インターネットによる誹謗中傷を防止する対策を求める意見書、2023年3月には、「人権侵害の救済に関する法律」の早期制定を求める意見書、2023年6月には、「部落差別の解消の推進に関する法律」の改正を求める決議など、部落問題の解決を一日でも早く実現するための努力を重ねてきました。
 このように、和歌山県の取組は全国の先頭を走っていると言っても過言ではありません。しかし、残念ながら部落問題の解決は容易ではありません。
 2022年6月、県が実施した同和問題(部落差別)に関する県民意識調査の結果を見ても、部落差別の根深さが示されています。
 同和問題(部落差別)がどういうものか知っていますかとの設問に、38%が「知っている」、48.2%の人が「何となく知っている」と答えられています。全体として86.2%の人が「知っている」と答えています。
 同和地区という言葉を聞いたときのイメージはという設問では、「やや怖い」、「非常に怖い」を合わせると31.8%、「やや暗い」、「非常に暗い」が32.6%、「やや閉鎖的」、「閉鎖的」が39.9%という数字が出ています。
 同和地区というと怖くて暗くて閉鎖的というイメージを持つ方が3割以上いらっしゃると聞いて、皆さんはどのようにお感じになったでしょう。いまだに誤った認識を持たれている方が3分の1もおられる。その多さには驚かされました。
 多分、同和問題は、自分とは関係のない世界の問題なんだとお思いなのでしょう。自分の身近にあるものと想像できない方がまだまだ大勢おられるという事実は、これからの課題だと受け止めました。また、それが大きな差別を生んでいます。
 引っ越しなどに当たって新たな住まいを選ぶ際に、物件が同和地区にある場合、あなたはどうされますかという同和地区にある物件に対する忌避意識を聞いたところ、「避けると思う」が14.4%、「どちらかといえば避けると思う」が29.5%、おおよそ43.9%の方が避けると回答しています。
 同和地区に住むことで、自分や家族が差別をされるかもしれないから、同和地区に住まないほうがいいと聞いたことがあるから、同和地区の物件は価格上昇が見込めないからといった理由が上げられています。
 もう一つの例を出しますと、同和地区の人との結婚を反対されている親類に相談を受けた場合の態度として、あなたはどのような態度を取りますかといった設問では、「結婚は慎重に考えたほうがいいと言う」が16.2%、「結婚を諦めるように言う」が1.2%と、合わせて17.4%の人が結婚に反対の意見を述べています。
 将来、本人やその子供が差別を受けるかもしれないから、家族が反対ならそれに従うべきだから、自分や自分の家族が差別をされるかもしれないからといった理由が上げられています。
 未来でも同和地区は差別される対象なのでしょうか。いつになったらこのいわれなき差別はなくなるのかと暗たんたる気持ちにさせられました。皆さんはこの結果を聞いて、どのような感想を持たれたでしょう。
 1922年に水平社が創立され100年、「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と人間の尊厳を宣言した水平社宣言に表されている先人たちの血のにじむような差別への闘いの歴史を経てもなお、この時代において差別意識はなかなか払拭されていないのです。私たちの世代で何としてもこの部落差別をなくしたいという思いの中でいます。
 21世紀は人権の世紀と言われてから四半世紀たとうとしています。にもかかわらず、依然として差別意識は残っており、インターネット上の差別書き込みが行われるなど、部落差別がなくならない。部落差別解消に向けてできることはやっていただきたいというふうに思います。
 国では独立した人権救済の機関もない、第三者委員会も設置されていない状況ですが、県としてさらに一歩踏み込んだ施策が必要だと感じます。
 そこで、知事にお伺いします。
 地方自治法上、独立した第三者機関を設置できないまでも部落差別事件が発生した場合、被害者救済を図るため、外部の専門家で組織する機関を設置し、差別を行った者への対応を含め、意見を聞く仕組みをつくり、条例に規定すべきではないでしょうか。知事、御答弁をお願いします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 藤本議員の御質問にお答えいたします。
 今、藤本議員御指摘のありましたように、8年前、都市センターホテルで開かれました人権課題解決に向けた和歌山県集会、私も参加をしておりました。そのときに、本当に熱い会場の中で、吉井議員を筆頭に和歌山県議会の議員団の皆さんが本当に熱い思いで参加されていたことを今も強く覚えております。
 私自身もその後、部落差別解消推進法に対して、党派は違いましたけれども、議連の事務局長として大勢の皆さんと協力をしてまいった自負がございます。
 和歌山県におきましては、部落差別の解消を一層進めるため、部落差別の禁止や差別を行った者に対する説示、促し、勧告を規定した和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例を2020年の3月に施行しております。しかしながら、依然として差別発言やインターネット上への差別書き込み等が発生しております。
 県では、モニタリングを実施し、誹謗中傷等の書き込みを確認した場合には、速やかにプロバイダ等に対し削除要請を行っております。しかしながら、削除要請をしても全てが削除されるわけではありません。被害者救済については、県の対応だけではやはりどうしても限界があると感じております。
 こうしたことから、国に対しまして、インターネット上の人権侵害防止対策も含め、独立性、迅速性、専門性を備えた第三者機関を創設し、行為者に対し説示、促し、勧告を行うなど、実効性のある人権救済等に関する法制度を早期に整備するよう、県の重点事項として今年も政府に対して要望したところであります。こうした中、県議会の意見書や決議、累次出ております。非常に心強く感じております。
 そして、藤本議員御提案の部落差別事件が発生した場合の意見を聞く機関の設置につきましては、仕組みとしては、現在も執行機関の附属機関として存在しております。現状では、部落差別事件が発生した場合に職員が事実確認、あるいはその後の説示、促しを迅速に行い、その中で疑義が生じた場合に意見をお伺いすることとしております。しかしながら、現在の既存の仕組みを踏まえながら、どういうことができるのか検討してまいりたいと思います。
 部落差別の解消に向けてできることは何でもやっていくべきだという藤本議員の御発言は、全くそのとおりであると思います。現在、私もその信念の下、別途条例改正を検討しており、今現在パブリックコメントを募集しております。少しでも今の現状を改善できないかといった意識を持って、引き続き部落差別の解消に向けて取り組んでまいります。
 また、今回の条例改正についても御指導いただければ幸いであります。
○議長(濱口太史君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 知事、御答弁ありがとうございました。
 残念ながら、日本は国連からパリ原則に準じた国内人権機関設置に関する勧告、要請等数多く指摘され、まさに人権後進国と言われています。特に政府から独立した国内人権機構の設立については、強い勧告を受けています。
 県では、人権の対策を含めた防止対策も含めた独立性、迅速性、専門性を備えた第三者機関を創設し、実効性のある人権救済に関する法制度を早期に整備するよう要望していただいていますが、和歌山県だけではなくて、それぞれの府県からもやはり国に要望を出していただけるよう働きかけていただきたいなというふうに思います。
 知事には、関西広域連合や全国知事会等々、機会あるごとに働きかけを行っていただけるように要望いたします。よろしくお願いいたします。
 では、次の質問に入ります。
 学校図書の整備についてお伺いします。
 午前中の三栖議員の答弁の中で、知事の教育観をお聞かせいただきまして、私は教育に、知事のおっしゃるような視点も大切だというふうに思いますし、でも偏差値は全く関係ないというふうにはちょっと申し上げにくいところなんですが、自分で課題を見つけて探求する力とか、自分の意見を持って問題の解決に当たる力というのはとても必要だと思いますし、そのためにも今回この質問に上げさせていただいた学校図書館の整備は、もう本当に欠かせないものだと思っていますので、そのことを前提に質問に入りたいと思います。
 文科省は、昨年の令和4年、第6次学校図書館図書整備等5か年計画を発表しました。文科省では、平成13年、子どもの読書活動の推進に関する法律を制定させ、平成14年8月には、子供があらゆる場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、環境の整備を積極的に推進することを基本理念とする最初の基本計画を策定しました。
 その中では、家庭、地域、学校等の連携協力を重視する施策に取り組んでおり、おおむね5年ごとに計画を変更し、子供の読書活動を継続的に推進しています。
 今回の第6次計画は、令和4年度からの5年間で、全ての小中学校において学校図書館図書標準の達成を目指すとともに、図書の更新、新聞の複数紙配備及び学校司書の配置拡充を図るとしています。
 本年度の同計画に基づく地方財政措置は、単年度総額480億円、5か年総額2400億円、前計画からは50億円の増加となっております。
 先日、学校図書館の充実に力を注いでこられた大阪府豊中市に視察に行ってまいりました。
 豊中市では、国の取組よりも率先して学校図書館を支援してきました。平成5年(1993年)より学校図書館専任職員の配置を開始し、平成17年(2005年)には学校図書館司書全校配置を完了しています。また、平成22年(2010年)より「とよなかブックプラネット事業」をスタートさせ、学校図書館と公共図書館の蔵書を一体的かつ効果的に活用する環境を整備することにより、児童生徒の読書活動を推進するとしています。
 また、学校図書館が読書センター、学習・情報センター、教員支援センターの役割を担うことを目指しています。
 一番驚いたのは、公立図書館が学校図書館支援ライブラリーを所蔵しており、百科辞典、図鑑セット、調べ学習サポートパックなどを学校の要望に応じて、それらの本を10数冊までパッキングして学校に配達するシステムができていることでした。
 学校図書館は残念ながら図書購入予算が少ないため、高額な図鑑などは授業で一斉に使うことができないということをカバーできるようになっていました。
 現在、タブレット等の普及で調べ学習も昔よりは容易になっている一面もありますが、紙媒体でできる意味はやはり大きいと感じます。
 公共図書館と学校図書館が緊密に連携して取り組める背景には、学校図書館司書の配置は外せないものと思われます。
 ベネッセが──今日は資料をつけさせていただいています。
 これは民間ですが、ベネッセが2018年より小学生の読書に関する実態調査・研究を実施しています。ベネッセ教育総合研究所は進研ゼミが提供する電子図書館まなびライブラリーの読書履歴データを基に、読書が子供の学習や生活に及ぼす影響を調査研究している結果を公表しています。あくまで民間のデータですので、一つの参考としてお聞きください。
 このデータは、小学校6年生1万人と実力テストの1年分の履歴を解説したものです。まず、資料1を見ていただくと、これはこの数字は偏差値の数字です。2018年に、読書量が多い子ほど学力が向上しているという様子が表れています。49.3ポイントが51.2ポイントというふうに、読書の多い子のポイントが高くなっているということが表されています。
 図2では、これは読書ですので、国語の力が強くなるのかと思いきや、算数のところですごくポイントが高くなっているということが分かるようになっています。これは論理的に物事を考えられる力がつくのかなというふうにも思うんですが、資料3では、これはどんな子供たちに一番効果があるのかというのを調べておりまして、読書は学力がちょっと低い子供ほどプラス効果が大きいことが、ここの表で示されているかと思います。学力の下位の子供たちのほうが、ポイントが高くなっているということが表されています。
 2021年3月の発表では、読書が国語の知識や思考力といった多様な資質、能力の形成にどのような効果を持つかをこういうふうに公表されまして、資料4のグラフを見ても、本を読む子供ほど偏差値の変化にプラスの効果があるとしていますし、学力の低い子供ほど効果が大きいということがこのグラフで表されています。
 国語でも知識問題であったり、それから読解問題であったり、それから挑戦問題であったりという点で、全てのそういった問題でポイントが高くなっていることが表されていると思います。
 こういうふうに見ていただきますと、ベネッセのまとめでは、読書が教科の学習の伸びと関連している可能性が示されたということです。子供たちの読書した体験は、多様な資質、能力を高めることにつながると考えられるということが表されてると思うんです。
 文科省では、各自治体において先ほど言ったように予算化が図られているんですが、この費用は図書や新聞の購入費や学校図書館司書の配置の費用に充ててくださいよということです。
 教育委員会と学校が一体的に学校図書館の計画的整備を進めることが重要であるとしています。だけど、これは予算つけましたけど、各自治体において学校図書館の現状把握とそれに基づく適切な予算措置をお願いしますとなっておりますので、平たく言ったらこれだけ予算、地方にちゃんと税金、予算措置してますので、あとは各自治体の裁量ですよということだというふうに思います。これは裁量ですので、各自治体の取組次第で、豊中のように全部の学校に図書館司書が配備されてるということもできますし、和歌山のように少ない図書館司書というふうな結果になるわけです。
 そこで、教育長に和歌山県下の学校図書館の整備についてお伺いしたいと思うんですが、まず、この学校図書館司書の配備はどうなっていますか。それから、図書の整備とか新聞配置とかはどうなっていますか。それから、公立図書館と学校図書館との連携はどのようになっていますか。そして、県として各自治体に対して学校図書館の整備充実のためにどのような働きかけを行っていますかということを聞きたいと思います。教育長、よろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 学校図書館は、子供の想像力や豊かな心を育む場であるとともに、子供たちの主体的、対話的で深い学びを効果的に進める基盤としての重要な役割を担っております。
 令和2年度、学校図書館の現状に関する調査では、和歌山県の学校図書館図書標準の達成状況は、小学校で57.6%、中学校で45.7%、新聞の配備は、小学校で39%、中学校で47.4%、学校司書の配置状況は、小学校で61.9%、中学校で64.7%となっており、全国平均よりも低い状況でございました。
 県教育委員会では、市町村に向け新聞の複数配備や学校司書の配置など、積極的な働きかけを行ってきました。その結果、学校司書については、今年度26市町に83名と、令和2年度調査と比べると配置が進んできております。しかし、十分な状況とは認識しておりませんので、引き続き市町村に働きかけてまいります。
 また、文部科学省の研究指定を受け、小・中・高等学校の校種を超えた学校司書の資質向上研修を行うとともに、計画的な図書の廃棄、更新の重要性や資料の提供の仕方などを研究し、その成果を県内に普及しております。
 さらに、学校図書館担当教員等への研修会を行うことにより、学校図書館の役割についての理解を深め、その意識の向上を図っております。
 公立図書館と学校図書館との連携でございますが、学校からの要望に沿って、団体貸出しや図書館司書による読み聞かせ指導等を行っております。
 今後も、第6次学校図書館図書整備等5か年計画を着実に推進するために、学校図書館の充実に公立図書館との連携が不可欠であることや、そのための学校司書の配置が欠かせないことなど、学校図書館の環境整備について、これまで以上に市町村への指導、助言に努めてまいります。
○議長(濱口太史君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁いただきまして、この問題についてはもう何度も何度も訴えさせていただいております。なかなか進まない状況なんですが。
 学校図書館標準の達成状況もまだ未達成ですし、司書配置状況ではパーセントは小学校61.9、中学校は64.7ということですけど、いまだに司書配置がゼロという市町が4市町あるということと、1人の司書さんが何校も掛け持ちをして学校を回っているというふうな状況ですので、その辺は何としても早く、1人の司書さんが1つの学校にというふうな文科省も予算化をしておりますので、頑張って進めていただきたいなというふうに思っています。
 先ほども言いましたけど、タブレットの普及で、子供たちの読書環境も、電子図書が出てきたりとか変化してるんですけど、本に親しむ環境というのは子供たちにとってはとても必要な教育だと思います。いつ行っても、学校によっていつでも開かれている学校図書館というのが、やっぱり子供たちの情操教育にももちろんですが、先ほど言わせていただいたように、学力の点でも大きな影響を与えるということが分かってきておりますので、もうこれは本当に早く充実していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 次の質問に入ります。
 水田農業の振興についてお伺いしたいんですが、これは鈴木議員も坂本議員もよく似た趣旨の質問をされているんですが、私は和歌山市ということで、和歌山市の農業の様子を見て質問させていただきたいと思います。
 テレビをつければ、誰かしら芸能人が食べ歩きの特集をしていたりとか、大食いの競争をしていたりとか、食べることに関わる番組があふれていると思います。このような番組はあんまりお金もかからなくて、それなりに視聴率を取ることができるのか、毎日毎日飽きもせず誰かが食べています。
 そのような毎日の中で、私たちは食料の安全保障などあまり考えずに生活しています。様々な食品が並んだ売場の光景や選び切れないほどの豊かな外食の場所を見ているため、食料自給率など考えも及ばないのかもしれません。
 しかし、近年の新型コロナウイルスの蔓延やロシアのウクライナ侵攻によって穀物価格が高騰し、購買力が弱い途上国だけではなく先進国においても燃料高騰、流通遮断によって食料の安定的なアクセスが失われつつあります。輸入に依存した現在の日本の食料事情が抱えるリスクは日に日に大きくなっていると思います。
 日本の食料自給率は皆さんも御存じのように、先進諸国の中ではカロリーベースで38%と最低となっています。食料自給率を上げるためにも農業の振興が欠かせません。
 しかし、今の農業の現状はどうでしょう。後継者不足と高齢化は言われて久しいですが、事態はますます悪くなっています。
 和歌山市は紀北筋の果樹中心の農業と違い、稲作、水稲を耕作している農家が多く、裏作で野菜等を耕作している農家もあります。県は果樹の生産に力を入れていますが、先ほどの食料自給率の問題を考えると水稲の重要性は高まるものと思われます。農業を続けようという後継者がなぜ減少していくのでしょう。
 先日、兼業でお米を作っている方々にお話を聞いてきました。米の単価は現在1俵、60キロで1万円から1万2000円ぐらいだそうです。1反の田んぼから9俵から10俵のお米が取れるそうですので、仮に5反耕作したとしても50俵、値段にして50万円です。現在、肥料代や運送代も高騰しており、米の売上げから差し引くと手元に残る現金は僅かな金額だそうです。裏作にハクサイやキャベツを栽培して農協に納めたとしても、大した金額にはならないよと教えていただきました。
 また、稲作も機械化が進み、機械がなければ農業ができません。その機械も何百万円とするため、「故障してしまえばもう辞めるしかないなあ」と話されていました。「副業や勤めていた頃の年金があるから何とか生活できているよ」とも言っておりましたが、その皆さんもいずれも「あと10年現役でできるかなあ」と話されていました。農業の高齢化と後継者不足が大きな課題となっています。農業、特に主食である水稲農家の現状が厳しいと感じます。
 一例として、純利益が少ないと言われる中で、トラクターやコンバイン等高額な農業機械の購入もままならない現状で、県として農業振興を図るのであれば、設備投資に係る費用の一部を補助するなど、ある種の支援が必要だと思います。
 農業を取り巻く状況は大変厳しいです。県として、今後、米作りへの支援についてどのような取組を進めていくのか、農林水産部長にお伺いします。
○議長(濱口太史君) 農林水産部長山本佳之君。
  〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 水稲栽培では、コンバイン等の収穫機や乾燥調製施設の整備費が高いことから、スケールメリットを生かした大規模経営ほど所得が向上する傾向にあります。
 国の令和3年産農産物生産費統計によると、経営規模が15ヘクタール以上20ヘクタール未満の経営体の10アール当たり所得は約3万5000円であり、水稲専作では15ヘクタールあれば所得が500万円を超えることとなり、経営がある程度成り立つのではないかと考えます。
 しかしながら、本県では小規模で不整形な水田が多く、大規模経営が困難なため、露地野菜をはじめ、果樹や施設園芸作物など収益性の高い品目との複合経営を推進してきたことにより、水田農業が維持されています。
 こうした中で、米作りへの支援については、これまでライスセンターの整備をはじめ、水稲等の保全管理を支援する直接支払制度や、米の収入補塡対策など国施策の活用に加え、今年度は国の交付金を活用した県独自の肥料高騰対策として、化学肥料の使用量を低減する稲作機械等の導入を補助しているところです。
 また、近年の温暖化による米の品質低下に対応するため、高温に強く品質もよい、「にじのきらめき」や「にこまる」、「つや姫」を奨励品種に選定し、普及を図っています。
 本県では今後も、米作りを行う生産者が安定して営農を続けられるよう、様々な施策を講じ、複合経営を引き続き推進してまいります。
○議長(濱口太史君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 今の答弁ではちょっと不十分ではないかというふうに思いますが、引き続き御支援いただきますようにお願いいたしまして、次の質問に入ります。
 最後の質問です。風力発電についてお伺いします。
 1973年オイルショック以降、日本では石油に頼らないエネルギー政策としてサンシャイン計画というのが策定され、新しい新エネルギーの技術開発計画が進行していきます。それ以降、再生可能エネルギーの普及は国の大きな政策となり、国民も自然エネルギーの利用促進を歓迎してきました。しかし、現在、太陽光発電や風力発電は設備が大型化し、山や自然を破壊して建設するという本末転倒な政策が進められています。
 太陽光発電に関わっては、和歌山市では和泉山脈の山の木々を伐採し、広大な面積の太陽光発電施設を建設しようという計画が持ち上がったのも記憶に新しいところです。
 今回は、自然を破壊し、単機出力4300キロワット-6100キロワットという巨大な風力発電施設を建設するという問題についてお聞きします。
 和歌山県では現在、9か所99基が稼働しており、全国でも基数順位が7位ということで、風力発電先進地域となっています。今後はさらに9か所で風力発電事業が進行しています。
 皆さんも御存じのように、風力発電の許認可は国の経済産業省が担っており、計画段階環境配慮書、環境影響評価方法書、環境影響評価準備書という三つの段階を経て、具体的な工事に向かうという手順になっています。
 知事は、配慮書、方法書、準備書、それぞれに知事意見を述べることができますが、それはあくまで意見書ですので許認可を取りやめる権限はありません。
 知事は、ここ1か月余りの間に3件の知事意見を述べました。7月7日は、仮称・新白馬風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する知事意見、8月23日、仮称・和歌山印南日高川風力発電事業、環境影響評価方法書に係る知事意見、8月29日、仮称・和歌山県沖洋上風力発電事業の計画段階環境配慮書に係る知事意見です。この知事意見、本当に実効性があるのでしょうか。私は大変不安に思っています。
 その中で、印南・日高川の風力発電事業の方法書に対しては、「規模の大きな風力発電事業には著しく適さない場所と考えられる」との知事意見を経済産業大臣に提出しました。知事意見によると、計画地や周辺は国や県の指定天然記念物などの貴重な動物が生息する可能性があること、近くは県の自然環境保全地域に指定されていること、住民の日常生活や歴史の持続性に非常に重要な場所であること、さらに尾根筋の幅が狭く、谷筋への傾斜が急であること、山地災害危険地区等が存在していることなどから、大型風力発電設備などの設置に向けての土地の改変、移動は慎重に対応しても至難な地域としています。その上で、重大な環境影響を回避したり十分に低減できないときは計画の見直し、それでも改善できないときは事業の廃止を検討することとあります。
 私もこの地域、現地調査に同行し、現地を案内していただきました。知事の意見に全く同感であります。道路に面したのり面の多くがコンクリートで覆われ、その地層がもろく崩れやすいことを表していましたし、地表がむき出しの部分では、土がぼろぼろと剝がれ落ちていました。こんなところに巨大な風車が建設されることに誰もが不安を感じるのは当たり前だと感じました。
 皆さんも自分の住んでいる家の1キロ先に風車が建設されたらどうでしょう。低周波の問題も解決されていません。風車が建設されたため、倦怠感、目まい、不眠等々体調不良に悩まされている住民の方がいるということも事実です。そのことについて何ら対策されていません。
 和歌山県では、環境影響評価を風力発電に限らず環境影響評価法や電気事業法、和歌山県環境影響評価条例などの法令に基づき実施しています。しかし、近年の風力発電事業の大型化に様々な問題が日本国中で提起されています。
 岩手県では、令和5年3月、風力発電事業に係る計画環境影響評価の段階環境配慮書作成──すごいややこしいですね、段階環境配慮書作成ガイドラインを策定しています。この間策定したということですが、風力発電事業の実施に当たっては、最初に計画段階環境配慮書が作成されます。配慮書なんです。作成されますが、岩手県ではこの段階で配慮事項について十分な準備を求めています。
 というのも、後になって重大な環境影響の検討が不十分な事例が散見されたこと、配慮手続の趣旨や地域特性への理解が不十分であることを上げ、配慮書の作成における配慮事項をチェックリスト化して整理したとしています。
 このような事案は和歌山県でも懸念されており、先ほどの印南日高川風力発電事業でも配慮書の時点で計画になかった自然環境保全地域の北側に工事用道路を開設するという計画が、次の段階の方法書に記載されているなどずさんな計画が進められようとしています。
 和歌山県環境影響評価審査会でも、配慮書からやり直しだ、この計画は認められないなど厳しい発言がありました。住民に対しても丁寧な説明が行われておらず、風車の形状、道路の計画も示さないというのは不誠実な態度と言わざるを得ません。
 岩手県では、風力発電事業の開発でイヌワシなど貴重な自然生物への悪影響が懸念される計画が相次いだことを受け、環境影響評価の第1段階の配慮書についてのガイドラインを設けることとしたということです。
 ガイドラインには法的に効力があるというものではありませんが、県としての姿勢が示されており、ガイドラインに示された項目について事業者は配慮しなければならないという流れになってこようかと考えます。和歌山県でも守るべき動植物、自然は当然あるわけで、この点についても参考になるものと考えます。
 また、ガイドラインの中には、地域住民への周知と説明ということでかなり丁寧に説明されています。
 ガイドラインの中では、配慮書手続前に市町村からの助言を踏まえ、適切な範囲の地域住民等に対して、適切な手法で発電施設の設置を計画していることを皆さんにお知らせしているか、それから地域住民から土地とか周辺環境の状況についての情報や計画に関する懸念を聞き取っているか、意見を聴取する計画を立てているか等々、地域住民の聞き取りを重視していることがうかがえます。
 これは、本当に岩手県が今年の3月に策定したガイドラインの中では、そういった住民への説明等が詳しく書かれていなければならないというふうにしているわけです。
 そこで、環境生活部長にお伺いします。
 風力発電事業は環境に与える影響が大きいですから、手順を踏みさえすればいいというものではないというふうに思っています。配慮書手続前に県の姿勢が明確に分かるように、事業者にも事業が進めやすいようにガイドラインを作成すべきだと提言します。環境生活部長の御答弁をお願いします。
○議長(濱口太史君) 環境生活部長山本祥生君。
  〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 風力発電設備をはじめ、再生可能エネルギーの導入に当たっては、地域の環境との調和が必要であり、設備を設置することにより地域の自然や住民の生活に重大な影響が生じるのであれば、その計画の見直しを求める必要があります。
 そのため県では、環境影響評価法等に基づき、環境保全の見地から知事意見を述べるとともに、関係法令により厳正に審査しているところであります。
 このような現行の手続に加え、議員御提言のガイドラインを作成することにつきましては、環境影響評価を円滑に進めるという観点から岩手県での運用状況や実効性も勘案しつつ、本県における必要性について研究してまいります。
○議長(濱口太史君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 今回、岩手県でこんなふうに、3月にガイドラインを策定したことを参考にさせていただきながら質問させていただいたんですが、その評価の前の段階で、県の姿勢が明確に分かるというので、私はとてもこの風力発電についての事業を進めるに当たっても必要なことじゃないかなというふうに感じておりまして、この和歌山県まだ9か所の計画がされているんですが、豊かなこの自然を守って、そこに住む人々の営みが脅かされることのないようにしていただきたいと強く要望して、質問を終わりたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、藤本眞利子さんの質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 一般質問、最終になりました。午後でありますけども、粛々と進めてまいりたいと思いますので、どうか御静聴をお願い申し上げます。
 通告に従いまして一般質問を行います。
 まず最初に、人口減少対策について伺います。
 昨年、県内では二つの警察署が閉鎖され大変驚きましたが、警察署が消える地域での住民の不安はもとより、そこではどんな商売、事業も成り立たないのではないかと思いました。困ったことに、この人口減少は警察署の存廃に関係なく、県内共通の現象であります。人口減少は地震や戦争のように目の前で何かが音を立てて壊れ、血を流して人命が失われるということはありませんが、県内で静かに進行し、町や山村を破壊しています。
 その意味で、人口減少は南海地震とともに本県が直面する重大な危機であります。
 そこで、知事に伺います。
 本県の人口減少の原因はどこにあるとお考えでしょうか。また、その対策についても伺います。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 中村議員の御質問にお答えをいたします。
 本県の2023年4月の推計人口は89万6000人となっております。前年比1万1000人の減少、そのうち自然減が9600人、社会減が1500人となっております。
 近年、出生数の減少と死亡数の増加により自然減が拡大しております。母体となり得る女性の数自体が少なくなっている状況にあり、今後も出生数が減少する傾向が続くことは避けられないと考えております。
 また、社会減につきましても1990年代前半を除き、一貫して転出者が転入者を上回っており、進学や就職等を機に若い世代が県外へ転出している状況でございます。
 これらの要因を踏まえ、自然減対策としては、妊娠から子育てまでの伴走型支援と経済的支援の一体的な実施、保育料等の無償化や保育人材の確保など、子供が産みやすく子育てのしやすい環境づくりを進めることで、出生数の減少を何とか抑制する努力を続けているところであります。
 また、社会減対策としては、産業を成長させ雇用の場を創出することで、若い世代の県内定着を促進するとともに、県外から多くの人を呼び込んでいくことが重要だと考えております。
 そのため、新規就農者の確保や海外を含む販路の開拓等による農林水産業の活性化に取り組むとともに、とりわけ人口流出が続く若い世代については、町なかへの大学誘致により県内進学率の改善を図るとともに、高校生や大学生等の県内就職やUターンの支援に取り組んできたところであります。和歌山県内で学びたい、働きたいと思う若い世代が増え、その希望がかなえられるように、引き続き県内定着に向けた環境づくりに取り組んでいく所存でございます。
 加えて、「聖地リゾート!和歌山」をキャッチフレーズとして、新しい観光ブランディングを行うとともに、大阪・関西万博に向けたアクションプランに基づき、万博開催による経済効果を本県に最大限に波及させるため、本県の魅力を国内外に発信し、観光誘客の促進やビジネス機会の創出にも取り組んでいく所存であります。
 こうした人口減少対策を講ずる努力を続ける一方で、今後、避けられない人口減少下において、満足度の高い人生と人間を尊重する社会をどのようにして構築していくか、これを別途検討していく必要があるのではないかと考えております。
 人口減少問題は、行政だけが頑張ることで解決できるようなたやすい問題ではないと認識しております。県議会、市町村、そして県民の皆さんと共に知恵と力を結集して、持続可能な和歌山の実現に向けた取組を進めてまいりたいと存じますので、御指導よろしくお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 御答弁いただきました。
 ここで、僣越ながら私の意見を申し述べさせていただきまして、ぜひ参考にというか、私も選挙を通じてずっと人口減少対策、これをやるべきだというふうに訴えてきたわけでございまして、ぜひ取り入れていただけたら幸いでございます。
 人口減少の原因分析、自然減については少子化だから仕方がないというようなフレーズもありましたけども、自然減もやっぱり突き詰めていったら社会減の原因と同じ、若い世代の県外流出にあると思います。
 したがって、人口減少対策の要諦は、若い世代が県外に流出しないように食い止めること、さらに言えば県外から人が流入してくるような、そういう循環をつくることだと思っております。
 動物や昆虫は光に集まると昔、理科のときに習いましたけども、人という社会的動物は富と文化の生まれるところに集まるというふうに思っております。大都市は例外といたしまして、かつてアメリカではゴールドラッシュ、日本では米どころに江戸時代は人が集まってました。戦前までは炭鉱に人も集まっておりました。最近の傾向では、シリコンバレーのようなところに、発明・発見があるところに集まってるというふうに思っております。
 そういう意味で、私は和歌山を常時、発明・発見があるようなそういうところにすべきであると思いますし、そのことが人口減少を食い止め、さらに人口を増加させる一つの方法であると考えています。
 徳島県阿南市、私、御坊の紀伊水道を隔てて徳島側、徳島の県庁の所在地から大分離れておりますけども、そこに日亜化学という会社があって、社員の中村修二さんという人が青色発光ダイオードを発明しました。それで当時、社員数200人ぐらいの中小企業だったそうでありますが、今日もう9000人を超える、30年間で大企業に成長をしたと聞いております。発明は会社を大きくして、地域の人口を増加させるわけであります。
 そういう意味で、和歌山も発明・発見が起きるようにとさっき申し上げましたが、和歌山ではその基となる特許申請というのはどれぐらいあるでしょうか。2年前の2021年、全国で28万9200件の特許出願がありました。和歌山では大体どうだと思いますか、皆さん。知っていますか。
 実は178件でございます。率に換算して0.06%、残念ながらこれでは企業はおろか地域が発展することは難しいというふうに思っております。ちなみに、アメリカは59万件で世界2位、中国が158万件で1位でした。
 そこで私は考えました。常時、発明・発見が行われる和歌山にするためにはどうしたらいいのか。当たり前のことですけども、発明・発見する優秀な人材を和歌山に集めることであります。
 具体的には、1番として成長産業分野での人材育成イコール大学設置、誘致であります。ここが私は一番大事であると思ってるんですけども、大学というのは子供の進学先であり、同時に大学の先生は研究者で一番の発明家であります。
 2番目に、STEM教育、理科系教育というんでしょうか。小学校から理科系教育に力を入れるべきであるというふうに思います。これはアメリカや中国もやってるというふうに聞いております。
 3番目に、意欲ある人が起業する環境を整えること。そして4番目に、特に金融支援が必要だと思ってます。そして、5番目に英語教育の充実を上げたいと思っております。
 何やえらい時間がかかるし面倒くさいなと思われるかもしれませんが、世界的な地域企業が多数生まれた浜松市、100年前に静岡市と旧制の高等学校を取り合いしたというふうに聞いております。結局、浜松には高等工業ができたということでありますけども、100年前から発明人材を養成するということをやってきたわけであります。
 先日、和歌山市で薬学部設立を記念して全国薬剤師研究大会が開催されました。知事も来賓で御出席されたというふうに聞いておりますけども、そのセミナーで薬学部設立の功労者である稲葉県薬剤師会会長は、将来、県立医大薬学部からノーベル賞受賞者が輩出することが夢であるとおっしゃってました。少子化でも和歌山でも宇宙航空、情報工学、医療工学、農学部などまだまだやれる大学はあります。今からでも遅くないと思います。
 知事は、人口減少を止めるのは行政だけでは無理だと言われました。確かに半分当たってると思います。しかし、行政にしかできないこともあります。プレーヤーは民間ですが、コンダクターは行政、知事であります。どうかよろしくお願いを申し上げます。
 以上を申し上げ、要望とさせていただきます。
 次に、2番目、路線バスへの支援について伺います。
 9月20日はバスの日でした。120年前、明治36年に最初の営業バスが京都市内を走行したそうです。ちなんでか、バス関連のニュースが報道されました。NHKや日経では、バス運転手が1万人不足し、東京など大都市でも減便が進んでおり、運転手の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限される2024年問題が拍車をかけているとのことです。それを想定して、大阪の金剛バスが路線事業を廃止したとの報道もありました。
 一方、本県では、バスなど公共交通機関の歴史はまさに廃線の歴史であります。県内の路線バスの現状は、補助金と貸切りバスの利益で辛うじて運営されており、本県でも運転手不足は深刻です。加えて、コミュニティーバスの運行は一見地域の役に立ってるようですが、実は路線バスの置き換えであり、観光立県を目指す本県の交通基盤にはなり得ません。
 ここで確認しておきますが、公共交通機関とは、不特定の人が乗車できるという意味であり、採算度外視でやれる公共という意味ではありません。採算が合わなければいつでも廃線、場合によってはバス事業そのものが廃止されることもあります。
 今後、本県の発展、地域振興を図る上で、観光が切り札であることは論をまちませんが、公共交通機関、中でも路線バスは基盤であり、その存続は必要不可欠と考えます。改めて、路線バスなど公共交通機関の必要性、併せてこれまでの支援について地域振興監に伺います。
○議長(濱口太史君) 地域振興監赤坂武彦君。
  〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興監(赤坂武彦君) 路線バスなどの公共交通機関は、県民の通学や通勤など日常生活に欠かせない移動手段であるとともに、県外から訪れるビジネス客や観光客にとっても重要な役割を担っていると認識しております。
 そのため、県では、複数市町村にまたがる広域的かつ幹線的なバス路線について、国と協調して赤字分を補塡しているところです。さらに、利用者の利便性向上に向けて、キャッシュレスやバスロケーションシステム、スマートフォンでの経路案内などを導入する事業者への支援も行ってまいりました。
 また、今般の原油価格等の高騰に際しては、増大した燃料費等の一部を事業者に支援しているところです。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大体議会で質問すると、県の皆さんは必ず何かやってるというふうにおっしゃるんです。
 これまで県の路線維持に国の支援を活用してきてくれましたけども、他県より進行する少子高齢化、人口減少、そして和歌山の山地特有の地理的要因を考慮すれば、全国一律の支援はなかなか効果が薄かった、そんなように思います。実際、消えてきたところが多くあるわけでございます。
 ここは、兵庫県のような県単独で支援することや県発注のバスは路線優先する、路線をやってるようなバス会社を優先する、そんなことができるかどうか分かりませんけども、そういうことも含めてさらなる支援を求めますが地域振興監の所見を伺います。
○議長(濱口太史君) 地域振興監。
  〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興監(赤坂武彦君) 県では、広域的かつ幹線的なバス路線の赤字補塡に加え、県独自の施策として、地域に適した交通ネットワークの構築に向け、市町村へのアドバイザー派遣や実証運行に要する経費の補助を行っているところです。
 議員御指摘のとおり、路線バス事業者は、人口減少やドライバー不足の深刻化など、非常に厳しい経営環境にあると認識しており、今後は、これまでの支援策だけでは地域住民や観光客等の貴重な移動手段を守っていくことは困難になってくると考えられます。
 現在、県では、市町村や交通事業者、観光関係団体などと議論しながら、地域交通のマスタープランである地域公共交通計画の策定を進めているところであり、バスの利便性向上や利用促進に向け、鉄道との接続改善やバス停の環境整備などの改善策を計画に位置づけ、着実に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 よろしくお願いします。
 3番目に、高齢者の投票支援についてであります。
 私は落選中、御坊市内で独りで暮らす106歳の高齢者の人とお話をする機会がありました。まだまだかくしゃくとしておられますけども、選挙の投票にはよう行かんのよとのことでした。そのお宅からは、投票所まで丘を登り旧国道を越え、さらに歩いていって最後に国道42号線を越えなければ投票所には到着できないんです。
 また、ある高齢者の人は、投票所のある神社の社務所へは階段を上らなければならないので、もう投票に行くのが本当に嫌やと、だけども投票に行ってくれるという話でしたが、大変おっくうになるということでございました。
 選挙権は、憲法が保障する国民の大切な権利です。かつて民主化された南アフリカやカンボジアでは、投票するために山奥から3日も4日も歩いてきたというニュースを見ました。現在の日本は、政治的欲求が満ち足りているのか、なかなか投票率が上がりません。せっかく18歳まで引き下げても一番投票率が低いようであります。
 私は、投票に行く気がない人に投票を呼びかけることも大切ですが、ぜひ投票に行きたいけど行けない人を行かせてあげることが大切であると思います。ぜひそういう人たちの支援をお願いしたいと思います。
 高齢者の投票支援については、平成25年2月定例会でも質問しましたが、その後どんな対策が講じられたのか、選挙管理委員長に伺います。
○議長(濱口太史君) 選挙管理委員会委員長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(小濱孝夫君) 高齢者の投票機会を確保することは非常に重要であり、常に配慮しなければならないと認識しており、県選挙管理委員会といたしましても投票しやすい環境づくりを進展させる観点から、地域の実情を十分考慮した利便性の向上策について、市町村選挙管理委員会に対して助言を行ってきたところであります。
 現在、このような環境づくりを進める取組として、郵便等投票制度がありますが、対象範囲が要介護5の方などであるため、要介護者の状況を勘案して対象範囲を要介護3まで拡大するよう都道府県選挙管理委員会連合会を通じて要望しており、国においてもその内容を反映した公職選挙法の改正を検討しているところであります。
 また、高齢化が進む地域における投票所までの距離が遠い選挙人の投票機会を確保するための取組といたしましては、2018年の県知事選挙において、有田川町で車両による移動期日前投票所が県内で初めて導入され、さらに2021年以降、新宮市においても同様の取組が実施されているところです。その他一部の町村では、投票所までの無料バスの運行や無料乗車券の発行など、移動支援の取組が行われております。
 県選挙管理委員会といたしましては、今後とも投票環境の向上に関し、他の都道府県の先進事例なども参考にしながら、市町村選挙管理委員会と連携して投票しやすい環境づくりに引き続き取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 以前質問をさせていただいたときから比べれば、随分進んでいるという印象を持ちました。
 さっき申し上げた106歳の高齢者の人ですけども、私ももう本当に大変だろうから誰か迎えに行ってあげたらいいんじゃないかというふうに思いました。でも、家族じゃない者が、それこそ介護の専門家のような人でないような人がお連れして、もしこけたらえらいことになるわけで、もう前々から思ってますけども、私もうそういう人には市町村の役場の職員さんが各家を回って投票してもらったらいいんじゃないかと、実際に紀伊半島大水害の後なんかは、役場の職員さんが各家を回って、被害はありませんでしたかというふうに回ってあげてたんですよ。
 我々選挙で回ると大変ですけども、役場の職員さん、やっぱり人数も多いし、全戸回るわけではないので、ぜひ、なかなかそこまではいかんと思いますけども、私はもうそこまでやってあげないといけないぐらい高齢化が進んでいると思いますので、どうか選挙管理委員長、よろしくお願いします。
 続けて、質問を行います。
 4番目に、スポーツの振興について2点伺います。
 まず1点目は、公立中学校の部活動の地域移行についてであります。
 今年の夏の高校野球県大会で有貴串新という見慣れないチーム名を見つけました。しばらく考えて、有田中央、貴志川、串本古座、新翔の4校連合チームであることが分かりました。かつて甲子園にも出場し、プロ野球の監督も輩出した高校で選手不足であることに少子化の一端を感じました。
 さて現在、御坊市周辺には幾つかの少年サッカーチームがありますが、中学校にはサッカー部がなく、唯一のクラブチームの指導者も体調が優れず存続が危ぶまれています。そのため中学生は、サッカーをやるためにわざわざ海南市や上富田町まで通っています。そんな窮状を何とかしようと立ち上がった青年たちがいます。
 現在それぞれの仕事をしながら小学生チームの世話をし、イベントに出かけてウオーキングサッカーのデモンストレーションを行っています。まず、できることからとTシャツを販売し運営資金を稼ぐことから始めていますが、青年が手弁当で様々な家庭環境の保護者から会費を集めて自前で運営することは本当に大変であります。
 さらに、日高地方にはサッカーができる芝生グラウンドは1面しかありません。本来は中学校でやるべき部活動に代わって行うのですから、何か公的な支援があってもいいのではと考えますが、幸い国では、学校部活動の地域移行を進めるため、昨年、令和4年12月に学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインを出し、都道府県や市町村で積極的に取組を促しています。
 御坊のサッカー関係者は、地域移行の受け手になりたいと期待していますが、県の取組について教育長に伺います。
○議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 公立中学校の部活動の地域移行について、お答えいたします。
 学校部活動は、生徒の心身の成長と豊かな学校生活の実現に大きな役割や成果がある一方、少子化の進展や子供のニーズの多様化、教員の働き方改革等を踏まえると、今までと同様の体制で運営することが厳しい状況があり、将来的には学校部活動の地域移行は避けて通れない状況にあります。
 このような中、生徒のスポーツ、文化芸術活動の機会が確保されるよう、学校部活動の専門的な見識を持った者及び保護者代表等で構成する協議会を設置し、学校部活動の地域移行についての協議や実証事業で得られた成果及び課題を整理しているところです。
 県教育委員会といたしましては、学校部活動の運営、地域クラブ活動の在り方、地域移行に向けた環境整備等を示した方針を今年度中に策定し、県内各地域で地域移行に係る説明会を開催するなど市町村や関係機関に周知してまいります。
 また、地域での活動における指導者や活動場所の課題については、各市町村で状況が異なることから、実情に応じた環境整備に取り組めるよう支援してまいります。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 スポーツの振興を図る上で、指導者、施設、選手、運営費は不可欠であります。それぞれ支援をしていただきたいと思いますし、一番肝腎なのは運営費じゃないかと思うんです。さっきも申し上げましたように、学校の代わりをするわけですから、ぜひ公的な支援を期待したいと思います。
 それと、欧米のように企業だとかお金のある人に寄附をしてもらうような、そういう環境をつくっていくということも大事ではないかというふうに思っております。
 そこで、今特定NPOだとか、我々の政治団体もそうでありますけども、個人寄附をしていただいたら所得税の控除があるというふうな、そういうような制度も今のところまだないんですよね、スポーツクラブに出せば控除してくれるという。ぜひそんなことも言っていただきたいと思います。
 大分前に総合型地域スポーツクラブというのがありました。都道府県の体育協会のホームページ、後でお話をさせてもらう関係で見たらどこもそれ書いてるんですけども、なかなかうまくいかなかった。それは一番最初に補助金をもらったときはうまいこといったけど、補助金切れたら、それこそエネルギーがなくなって止まってしまったという、そんなことなので、そうならないように、ぜひ県も頑張ってもらいたいと思いますし、国にもぜひ言うていってもらいたいというふうに思います。
 次に、スポーツ賞の表彰規程について伺います。
 今年7月、国際大学野球大会として歴史のある第44回日米大学野球選手権大会が開催されました。この大会には日高川町出身の2人の大学生が東都リーグでの活躍が評価され、侍ジャパンのメンバーに選出されました。それだけでも称賛に値すると思いますが、さらにその大会で大活躍をしました。このことは御坊の地元紙にも大きく報道され、私は面識はありませんけれども、ふるさとの若者の活躍を大変誇らしく思いました。
 その後、関係者から知事に表彰してあげてほしいんだというお話がありましたので、教育委員会のほうで伺うと、県内高校の出身者ではないので表彰できないというお返事がございました。
 和歌山に生まれ育った子供たちが全国で、世界で大活躍しているのに、なぜ表彰できないのかと思います。なぜ県内高校出身ではないといけないのか、教育長に伺います。
○議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) スポーツ賞の表彰規程についてお答えをいたします。
 県教育委員会では、本県のスポーツ水準の向上及びスポーツの振興に貢献し、その功績著しい個人または団体に対して表彰しており、スポーツ栄誉賞、スポーツ功労賞、スポーツ優秀指導者賞、スポーツ顕賞、スポーツ賞、スポーツ奨励賞があります。
 議員御質問のスポーツ賞の対象者については、本県在住者、本県内学校等在籍者、本県高等学校を卒業した大学生または国民体育大会競技でふるさと選手登録をしている者と規定しており、選考委員会の審議を経て受賞者を決定しております。
 このスポーツ賞を授与することにより、県内高等学校で全国の舞台での活躍を目指す選手や指導者の励みとなっており、小・中・高校生へのスポーツへの機運醸成にもつながっております。このようなスポーツに関する表彰が選手や指導者の目標となるよう、今後も努めてまいります。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、県代表で活躍した選手を表彰することには異議がありません。どんどん応援してあげたらいいというふうに思います。
 しかし、和歌山県代表でなければ、県内の高校卒業でなければ、幾ら全国で、世界で活躍しても表彰しないというのは間違っていると思います。頑張っている和歌山の子供らを表彰すべきで、県への貢献を求めるべきではないと思います。
 現行のルールでは、大学などでちょっと和歌山にいて活躍をしたら他県の人でも表彰してもらえるのに、和歌山の子供らが県代表高校卒業でないという理由でまま子扱いしてるんじゃないかというふうに思います。和歌山で生まれ育っても高校が県外だったらよその子でしょうか。教育委員会は所管外ですか。
 国体の県選手団の名簿を見ました。個人競技では県外の中学、高校の人も入ってます。しかし、野球みたいな団体競技で、和歌山県に登録されるというのはもう難しい。だから、やっぱり競技種目によって不公平があるんじゃないかというふうに思っております。
 私は、和歌山県教育委員会の仕事というのは、和歌山に生まれた子供たちを指導激励し、世界に羽ばたけるよう導くことであり、県内に囲い込んで、その枠に入らない子供らをのけものにすることは県教育委員会のやることでしょうか。
 県内の高校、競技団体の指導者や選手を激励するのであれば、表彰よりも国体のときに本当にお金も人も力を入れてやってましたけども、あんなにやっぱり応援してあげたらいいんじゃないかというふうに思います。
 さらに今年の夏、甲子園で大分県の高校から御坊の中学校を卒業した選手が出場して大活躍しました。まだあどけなさが残る高校生が家族の元を離れ、遠い九州で頑張ってることも頼もしく思いました。
 この議会中、野球に詳しい同僚の話を聞いていると、その高校の指導者が実は海南市の出身であることが分かりました。そして、高校野球の現状もいろいろ教えてもらいました。
 今、硬式野球を目指す中学生は中学からクラブチームに所属し、高校入学は全国ベースで動いており、北海道から九州まで全国の高校で本県出身者が活躍しているとのことでした。県外を目指す理由は、甲子園出場の可能性や特待生などの待遇、そして、高校卒業した後の大学進学が有利だというふうに言われておりまして、こんな現状からするともう県内高校規程というのは実情に合ってないんではないかというふうに思ってます。実際に表彰者名簿を見ると、野球は競技人口が多い割には表彰者は少ないように感じました。いっぱいおかしな理由があるんですけども、ちょっと続けて申し上げますと、県のほかの表彰規程とも矛盾してるんじゃないかと思います。
 2年前に、県生誕150年記念式典で講演をした、私はそのときいませんでしたけども、芥川賞作家の辻原登さんは、平成2年度に県文化奨励賞を受賞されました。この年に芥川賞も受賞されたんですけども、この辻原さんは、中学は現在の和歌山大学教育学部附属中学校ですが、高校は大阪学芸大学、現在の大阪教育大学附属校の卒業であります。
 恐らく県文化奨励賞は出身高校などに関係なく、和歌山に縁があり全国、世界で活躍している人に贈呈しているのだと思いますが、これは真っ当な基準で、同じ県の表彰でもスポーツ賞の基準は矛盾していると思いませんか。
 県教委の調査では、近畿の京都や大阪も同様に地元高校枠を設けており、赤信号みんなで渡れば怖くない式の見解を述べられました。しかし、全国にはいろんな基準のところがありまして、私はむしろ青森県を見習ってほしいというふうに申し上げたいと思います。
 青森県は、対象者を県に本籍や住所が過去にあった人、密接な縁がある人まで広げてスポーツで活躍した人を広く表彰しています。もちろん県内高校規程はありません。しかも表彰規程も詳細にネット上に公表しています。本県の県内高校規程は聞かないと分からないというのとは大違いであると思っております。
 いろいろ申し上げましたけども、教育長の御見解をもう一度お尋ねしたいと思います。
○議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) るるいい質問をいただきました。一つ一つ答えていきたいと思います。
 県高校卒業でないと表彰しないのはおかしい、県の貢献度を求めるべきではないというふうにおっしゃった件につきましてですけども、スポーツ賞の趣旨というのは、個人やチームに対する激励とか功労という面、そういった面と和歌山県のスポーツの振興、発展という面があると思います。貢献度で評価するということではなくて、和歌山県のスポーツの振興の中心は、大学があんまり少ないということで高校生が担ってくれていると、そういう状況を反映したものであるというふうに考えております。
 それから、県で生まれ育っても県外高校ならよその子、教育委員会は所管外かというお話なんですが、高校が県内外にかかわらず、和歌山県で生まれ育った子供たちの活躍を願う、応援するという気持ちには全く変わりはありません。
 それから、団体競技に比べて個人競技のほうが有利なんじゃないのということなんですが、被表彰者の推薦依頼に当たっては、競技種目の加盟団体、競技種目というか、加盟団体で差異がないように、県内のスポーツ関係団体を網羅しておりますので、そういったお願いをしております。
 それから、県教委の仕事は囲い込むことではないのかというふうな御質問なんですが、先ほども申しましたように、高校が県内外にかかわらず和歌山県で生まれた子供たちの活躍を担うという気持ちに変わりはございません。
 本県のスポーツの振興の中心を高校生が担っているという、こういう状況から県内高校での競技力向上を期待するというものであって、決して囲い込むといったことではございません。
 それから、国体のときのような実のある支援をするべきだということなんですが、国体開催時にはたくさんお金がありまして、同じレベルのことを続けていくのは大変困難ですけれども、その少ない中でも県民の理解を得ながら、可能な範囲でそういった強化施策とかを継続していく状況になっております。
 それから、硬式野球では全国区で学校選択となっており、県内高校出身は実情に合わないというふうにおっしゃってるんですが、生徒や保護者が自発的に県外を選択する、県外の進路を求めるということは決して否定をするわけではございません。また、県外の生徒が県内高校に進学して、競技に頑張っているという事実もございます。
 県内高校では夢をかなえられないから、やむを得ず県外に進学するという状況はつくらないようにしたい。そういうふうにしていくことが大事でありますので、そのためにも和歌山県の高校のスポーツの振興に努めてまいりたいと考えております。
 それから、文化奨励賞ですかね、そういった規程等は同じではないではないかということなんですが、それぞれの表彰規程は所管するところが決めるものであります。スポーツに関する表彰と文化芸術に関する表彰は、背景や状況が異なりますので、一概に規程を同じくするということにはなじまないのではないかなと考えております。
 それから、近畿だけではなく青森を見習えというふうなことなんですが、近畿のみならず他府県の状況もかなり踏まえております。本県の特色や目指していくスポーツの振興に即した表彰規程が和歌山県の表彰規程であると考えておりますので、このような今の状況を継続したいと思っております。
 情報公開につきましては、今後も検討して充実をさせていきたい、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 青森県の表彰規程を議員の皆さんとかにも、和歌山県のと共にお配りしております。
 表彰の対象というところは、青森県は細かく書いてるんですけど、和歌山はどこにもそんなん書いてないんですが、内規で決まっている。推薦を募集するときに言っているというんですけども、それはもうおかしなことだと思うし、みんな文句言ってこなかったというのは、あんまりスポーツ賞をもらうことに期待してないんじゃないかとさえも思ってしまいます。
 教育長から今御答弁いただいたところで、どこでいても応援するとか、それから活躍を願うって、そんなん今ここで言葉で言うだけじゃなくて、具体的に見せないとそれは分からんわけですよ。
 和歌山の子を応援するというのは、それはもうどんどんやってあげたらいいと思いますが、だけども、和歌山出身で中学まで和歌山で頑張ってたけれども、高校はよそ行ったらもう全く知らんというのは、今御説明いろいろいただきましたけども、私が中学まで和歌山だったのによそへ行った子は和歌山の子違うんかとか、そんな人を応援せえへんのかという答えにはなっていません。何か具体的に応援をする度が、願うという具体的な何か方法というのは今あるんですか、ほんでやってるんですか。
 それから、競技団体の推薦がなかったら分からんって、確かにスポーツ課の人とお話をしてたら、たまたまその人も全国優勝をされたそうですけど表彰されなかったんですって。それは競技団体だって、目張り口張り全国の大学、どこに行ったかまで分かるわけではないので、規程が間違ってて自薦、他薦、自分が欲しかったら下さいと言ってくる規定を設けるべきだと思います。
 公安委員会の表彰、もう地域で頑張った人というのは公安委員会があげますけど、無事故無違反の人というのは自分から言っていくんですよね、たしか。そういう方法もあるので、ぜひ改定してもらいたいと思いますし、もう一回教育長にお聞きしても多分最初からもう答えが決まってたので、発展性がないと思って、この問題については表彰をされる立場の知事に同じお考えなのか、お聞きしてみたいと思います。
 昔、和歌山県展というのが今でもありますけども、その県展は審査員とか偉い先生の弟子とか、お声がかりがなかったらもらえんというようなうわさもあって大騒ぎしたことがあったんですよ。それは、県もその中で主体的に見直されて、公明正大な選ばれ方になったというふうに聞いておりますが、同じ県の中で基準が違うというのは、私は全くおかしいと思いますけど、知事の御所見を伺います。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 中村先生の再々質問がございましたので、お答えをしたいと思います。
 これは難しいですね。今お聞きしてると、さすがベテラン議員の中村先生のおっしゃる立論はそれなりに筋が通ってるようにお聞きしました。
 そして、それに対して宮﨑教育長さんのほうのお答えは、正面からお答えにはなっていないような感想も持ちましたけれども、これは難しいです。難しいのは、今本当に中村議員のおっしゃるのは一つの筋なんですけど、例えば野球の話が中心でしたので、野球でプロに行きたい、あるいは大谷のようにメジャーリーグ行きたい、そのためには甲子園出たほうがいい、甲子園出るには全国の強豪校に入ったほうがいい。だから行かれるわけですよね。それはそれですばらしい、そういう判断をされる。活躍していただく。
 一方で、まあ地元の日高高校へ行って、日高高校野球部を何としても甲子園に連れていくぞと言って連れていった高校生に対する県民の気持ちが、ひょっとしたら県民全体からすると、いや、頑張ってわざわざ日高高校から野球で甲子園に連れていってくれたんかいと、そういう子を褒めてあげたいというようなことも、教育長はおっしゃらなかったけれども、そういう気分もあってこういう制度になってるんじゃないかと今聞きながら思いました。ですから、本当難しいところだと思います。
 それともう一つ青森県、御指導いただきました青森県の資料も今見させていただきましたけれども、確かに表彰要綱に要件を書くというのも一つのアイデアだと今感じました。内規には書いてあるんです、今、教育長さんが言いましたように、和歌山の高校を出た大学生とかというのは内規なんですね。だから、そこはおっしゃるとおりでありますけれども、青森の賞は四つなんです。和歌山県の賞は六つなんです。ひょっとしたらこの表彰の在り方そのものも、四つがいいのか六つがいいのか分かりませんけれども、少し今これまで長年慣れ親しんできたかもしれませんが、表彰の種類、六つも必要なのかどうかとか、これはちょっと私も一遍勉強してみたいと思っております。
 ただ、おっしゃるその文化的な賞との兼ね合いですけれども、スポーツの賞も必ずしも県の高校を出てなくてももらえる賞がたくさんありますので、そこはそんなにバランスは崩れてないと思ってるんですけど、六つある賞のうち、スポーツ賞については県内の高校を出た大学生というような縛りがあるわけでありますけれども、その辺も含めて、この賞そのものを一体これから本当に和歌山のスポーツの水準を上げていくためにはどのような表彰をするのが一番いいんだろうかという大きな今宿題をいただいたと思いますので、しっかりと勉強させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(濱口太史君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 知事、ありがとうございます。
 私はやっぱり行政というのは公平・公正というのがすごくいいと思いますんで、今の御答弁を期待いたしまして、私の一般質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(濱口太史君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第104号から議案第122号まで及び報第4号は所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。9月25日及び26日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(濱口太史君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次会は、9月27日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時40分散会

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