令和5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


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令和5年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

議事日程 第4号
 令和5年9月21日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第104号から議案第124号まで及び報第4号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第104号から議案第124号まで及び報第4号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 坂本佳隆
 2番 三栖拓也
 3番 秋月史成
 4番 川畑哲哉
 5番 藤山将材
 6番 森 礼子
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 9番 高田英亮
 10番 玉木久登
 11番 佐藤武治
 12番 濱口太史
 13番 鈴木太雄
 14番 冨安民浩
 15番 吉井和視
 16番 鈴木德久
 17番 玄素彰人
 18番 岩田弘彦
 19番 中本浩精
 20番 中村裕一
 21番 谷 洋一
 22番 山家敏宏
 23番 北山慎一
 24番 堀 龍雄
 25番 谷口和樹
 26番 新島 雄
 27番 山下直也
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 小西政宏
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 危機管理監      福田充宏
 総務部長       吉村 顕
 企画部長       前 昌治
 地域振興監      赤坂武彦
 環境生活部長     山本祥生
 福祉保健部長     今西宏行
 商工観光労働部長   三龍正人
 農林水産部長     山本佳之
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      﨑山秀樹
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員    細江美則
 警察本部長      山﨑洋平
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
            萩原 享
 議事課長       長田和直
 議事課副課長     岩谷隆哉
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課主任      菅野清久
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       葛城泰洋
 政策調査課長     岩井紀生
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  午前10時0分開議
○議長(濱口太史君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第104号から議案第124号まで及び報第4号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 10番玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕(拍手)
○玉木久登君 おはようございます。
 3日目の一般質問でございます。この機会を与えていただきました先輩・同僚議員に、まずは感謝を申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、早速、通告順に従い、一般質問を行ってまいります。
 まず1件目です。
 ENEOS和歌山製油所事業再構築の現状についてお伺いをしたいと思います。
 御存じのとおり、昨年の1月25日、ENEOS株式会社は、2023年10月を目途として、和歌山製油所の精製、製造及び物流機能の停止決定を発表いたしました。地元有田市はもとより、県内では雇用喪失など大きな不安が広がり、今なお全国においても大きな関心事となっています。
 脱炭素社会の実現に向かう中、石油精製企業としての役割と新エネルギー分野への取組、多様化など、合理化の推進は世界の潮流としても、80年にわたり地域と共に歩んできた大企業がその地域から姿を消すことは、地域経済に甚大な影響を及ぼすことは明確であり、今後の対応が急務であるのは今も変わりません。
 昨年2月25日、ENEOS、県、有田市、海南市、経済産業省による和歌山製油所エリアの今後の在り方に関する検討会が発足いたしました。
 和歌山製油所の地には、よい港もあり、有田海南道路の進捗とともに、アクセスする道路も今後よくなります。
 また、地元にも高い技術を持った企業もあることから、今後このような和歌山県のポテンシャルも活用して、研究拠点として発表されたSAF事業をはじめ、ENEOSが考える脱炭素の構造転換にチャレンジする未来志向の新しいエネルギー産業分野の展開を、ほかの地域ではなく、和歌山で実現してくれることを期待しています。あわせて、広大な敷地内の活用として、地元の雇用が守られるような企業誘致も急務な課題です。
 めどとされた10月も来月と迫り、和歌山製油所エリアの今後の在り方に関する検討会を終え、今後の方向性について中間取りまとめが発表されたところです。
 進捗状況及びENEOS和歌山製油所事業再構築の現状について知事にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 玉木議員の御質問にお答えをいたします。
 昨年1月に、ENEOSが和歌山製油所の製油所機能停止を発表して以降、和歌山県は、ENEOSや有田市、海南市、さらには国と共に和歌山製油所エリアの今後の在り方に関する検討会を発足させました。そして、このエリアの将来につきまして議論を重ねてきたところであります。
 先月8月30日に開催された検討会におきまして、和歌山製油所エリアの今後進むべき方向性や将来像についての議論がなされ、9月5日に検討会として中間取りまとめを公表されたと承知しております。
 今回の中間取りまとめは、10月の製油所機能の停止を前に、和歌山製油所エリアの将来の見通しを県民、市民の皆様にお示しし、ある意味、明るい未来も見えてきたということを知っていただくということが大きな目的であります。
 具体的には、和歌山製油所エリアが、今後、未来環境供給基地として、カーボンニュートラルを先導するGXモデル地区を目指すというグランドデザインそのものに加え、エリアのゾーニングや一定の雇用規模の見通しについて明示されております。
 思い返しますと、ENEOS和歌山製油所の製油所機能が停止されるという発表は、県民に大きな衝撃を与えました。しかし、そのときの状況から考えますと、このような形となりましたことは非常に大きな前進であると感じており、私としては歓迎したいと思っております。
 未来環境供給基地へと生まれ変わるため、現在、ENEOSは、和歌山製油所が国内におけるSAFの製造拠点となるよう事業化に向けた取組を進めるとともに、さらに合成燃料や水素などGXに資する次世代エネルギーの事業化についても、私ども和歌山を候補地の一つとして検討を進めていただいているとお伺いしています。
 脱炭素先進県を目指す我が県にとりまして、廃食油を利活用した循環経済に資するSAF事業が将来性もあり、非常にすばらしい事業であると考えております。
 さらに、それに加えて、カーボンニュートラルの実現に向けて大きなポテンシャルを持つ合成燃料、二酸化炭素と水素でつくる合成燃料の製造実証の場として、ぜひ和歌山の場を選んでいただけるよう、ENEOSに要望してまいる所存であります。
 また、GX関連企業の誘致に向けて、県としても全力を尽くす所存であります。
 国内投資の拡大傾向を捉えて、一刻も早く企業誘致を実現するために、早期の環境整備に向けて必要な対応をENEOSに求めていくとともに、県としても一生懸命汗をかいてまいりたいと存じます。
 今後、未来環境供給基地が実現すれば、地元の経済や雇用は持続可能なものとなります。脱炭素先進県として、和歌山が全国に先駆けてカーボンニュートラル社会の実現に向けたモデルとなるわけであります。県といたしましても、その実現、地元の雇用の確保、創出に向けて、関係者間で協議をしながら、全力で取り組んでまいることをお約束いたします。
○議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 知事から答弁をいただきました。
 再質問を行いたいと思います。
 SAFについては、ぜひとも、先ほど知事からもお話がありましたとおり、量産化、ぜひ有田市の地で、国内の一大拠点として拡大してもらうことを期待したいと思います。
 2月定例会において私から少しお話をさせていただいたんですが、こちらから来てくれ、来てくれと要望ばかりをするのではなくて、やっぱり地元として協力できる体制づくり、これは非常に大事なことではないかと思っています。
 早い話、SAFというのは御存じのとおり、廃食油、天ぷら油なので、これを各家庭から廃食油を回収して提供できるようなシステム、これをぜひ構築してはと思います。ENEOSなどと協力して、和歌山からこのサーキュラーエコノミーの取組を全国に発信すれば、大きなPRにもなると思います。
 県主導で取り組むことによって多くの関係者から協力も得られると思うのですが、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 再質問をいただきましたので、お答えをいたします。
 県では、現在、循環型経済、サーキュラーエコノミーという言い方をされてますけれども、まだ少しなじみがないので、循環する経済という意味で、私ども、循環型経済、サーキュラーエコノミーと呼んでおりますが、これを確立するために地域の再生資源を生かした産業を創出して、循環型のネットワークを構築するための検討を進めております。
 まさに、今、玉木議員御指摘のとおり、廃食油を活用したSAFの製造は、石油に代わる新たなGX産業であるのみならず、今は捨てられてしまっている廃食油を各家庭から回収し、SAFの原料として資源化、再利用するということでありますから、まさに循環型の経済につながる仕組みであります。
 県としても、SAFと循環型の経済の実現に向けて、今後、県内の自治体や小売業者、回収業者等の関係事業者を巻き込んで、家庭用廃食油の活用に係る事業化についてしっかりと検討を進めていきたいと考えております。
 その上で、県民に主体的に御参加いただきながらSAFの事業化を支援することで、和歌山が循環型経済の先進地域となるような仕組みを考えてまいります。
 あわせて、関係者のネットワークを構築し、和歌山を代表する事業者との協業を通じまして、県内産業の育成にもつなげてまいりたいと思いますので、御地元の玉木議員をはじめ関係各位の御協力を心からお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 知事、ありがとうございます。
 未来環境供給基地ということで、新しい言葉だとは思うんですけど、今、知事がおっしゃっていただいたみたいに、ぜひとも和歌山県を挙げて、そういうことの取組に御協力をいただきたいと、私からもこの場でお願いをしたいと思います。
 カーボンニュートラルを先導するGXモデル地区ということでございます。これは、和歌山で選ばれたということは、本当に多くの関係者の御尽力があってのことと本当に感謝を申し上げたいと思います。
 今回、和歌山製油所エリアのゾーニング、これが示されたことによります──資料で配付してますが、ゾーニングエリアというのがはっきりしたわけですね。これでGXの推進をする地区、また次世代エネルギーの供給、新事業の創出、このエリアがより鮮明になったということになります。
 新産業を創出するゾーン、ここのエリアに企業誘致をしていくということはこれから明確になったということなので、様々なオファーをいただいてたりとかもするんですが、ここにやっぱり新企業を誘致する、これは市、国と共に連携をしっかりしていただいて、情報共有しながら進めていくことが重要だと考えますので、よろしくお願いしたいと思います。
 あと、2025年には大阪・関西万博が開かれます。この万博というのは新技術、これは社会実装など日本企業の最先端の技術が世界へと発信される場所となります。このチャンスを生かして、ぜひとも和歌山県に未来環境供給基地とともに近未来の産業創造基地としての位置づけができるように、できれば和歌山企業誘致、しっかりと県としても取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 次の質問に移ります。
 2項目めです。線状降水帯等豪雨災害における県の取組についてであります。
 小項目1番としてお伺いいたします。県管理河川における河川整備計画の検証と見直しについてです。
 近年、台風などの影響により、線状降水帯に起因する豪雨災害が毎年発生しています。平成23年の紀伊半島大水害以降も大雨による内水氾濫は各地で発生しており、今年6月2日午前中から未明にかけて降り続いた線状降水帯による豪雨により、紀中・紀北地域では、山間地域では土砂崩れや農地の崩落、町なかでは河川氾濫による住宅等浸水による甚大な被害が発生いたしました。
 地元有田市を流れる有田川に関しては、上流に位置する二川ダムの計画的な事前放流等により、氾濫は免れたものの、県管理支流流入河川については、有田川の増水と満潮が重なり、ポンプアップが追いつかず、大きな内水氾濫が発生いたしました。
 以前から、有田川の河床掘削、河川内の樹木伐採、抜根、有田川への流入河川の内水氾濫に対する排水対策の強化など要望が多く寄せられ、平成30年9月定例会においても今回同様の質問を行いました。
 その当時の県の答弁では、「河川の整備に関しては、それまでの最大洪水と同規模の洪水を安全に流下させることを将来的な目標として、まず河川整備基本方針を策定している」、「一方、その整備には多大な費用と相当の期間を要することから、早期に一定の整備効果を発現させるため、既往最大洪水に次ぐ大きな被害をもたらした洪水と同規模の洪水に対し、家屋の浸水被害を解消することを目標とした河川整備計画を策定し、段階的な整備を進めている」、「豪雨災害に対する河川整備の見直しに関しては、基本的に次期計画を策定する段階において検討することとしているが、現在の計画に位置づけられた整備の進捗状況、あるいは近年の出水状況等も考慮し、必要に応じ検討する」ということでございます。
 以降、国において緊急浚渫推進事業債などの制度が講じられ、堆積土砂撤去や樹木伐採などの対策が進められているところですが、以前にも増して急務な課題と感じています。
 この状況下において、県管理河川における河川整備計画の検証と見直しについて県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 本年6月の台風第2号に伴う豪雨により、越水や溢水のあった河川については、被害の検証や河川整備計画の点検を行うための補正予算案を本議会において提出し、御審議いただいているところです。
 県としましては、この点検結果を踏まえ、必要に応じて河川整備計画を変更するなど、浸水被害軽減に向け、今後の治水対策を検討してまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 御答弁いただきました。
 県管理河川における河川整備計画については、450ほどある河川の中の20計画が策定を終えているとお聞きしています。
 管理河川の排水能力など、データに基づく管理はもちろんのこと、市町とも情報共有して住民の暮らしを守ることに全力で取り組んでいただきたいと思います。あわせて、緊急浚渫推進事業債の効果的な活用と制度の維持にも引き続きお願いをしたいと思います。
 少しお待ちください。
 小項目の2番目についてお伺いします。内水対策における各市町村に対する取組と県の役割についてです。
 内水氾濫、これは県管理河川のみならず、各市町管理の河川も同様です。直接的な関与はないものの、各市町村も内水対策に苦慮しているのが現状ではないかと思います。その点を考慮し、県のみならず、各市町村との連携による内水対策は今後最も重要な課題であると考えます。
 内水対策における各市町村に対する取組と県の役割についてお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 内水対策は、降った雨を川などに排出し、低地の浸水が発生しないようにするもので、例えば、雨水を排除するための排水管や排水ポンプ場などを整備する下水道があります。
 下水道法では、下水道の整備や管理は市町村が行うものと規定されております。
 雨水排除施設の整備は、多額の費用がかかり、効果発現までに長期間を要することになります。そこで、ハード対策を行うことを前提としつつも、ソフト対策も含めた取組も必要です。
 県といたしましては、内水氾濫のリスク情報を住民等に伝達し、適切な避難行動を促すために必要となる内水ハザードマップの作成などの取組を引き続き市町に促してまいります。
 今後とも、気候変動の影響による水災害の激甚化、頻発化等を踏まえ、流域に関わるあらゆる関係者が協働して水災害対策を行う考え方に基づき、流域治水に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 御答弁いただきました。
 内水ハザードマップの策定に当たり、県に対し市町村から協力要請とかがあれば、惜しみなく協力をお願いしたいと思います。
 昨日の産経新聞には、温暖化によるゲリラ豪雨や線状降水帯の発生率は、温暖化がない場合に比べ約1.5倍であるという研究機関からの発表がありました。
 内水氾濫については、想定を超える雨量、ゲリラ豪雨のように短時間に、また線状降水帯のように長時間降り続くようなことが本当に多くなってきているのが現状だと思います。
 私、考えるに、もう既に現状の都市排水機能ではもう追いついていないというのが現状ではないかと思います。
 先ほど県土整備部長からお話がありましたとおり、排水能力の抜本的な見直しとか改良には本当に大きな予算が不可欠になってまいります。国土強靱化に期する予算確保、これは非常に県、また市町にとっても非常に重要なことだと思いますので、これからも国のほうにはしっかりと働きかけていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、最後の項目に移ります。
 3項目めです。住めば都、県民の幸福度を生かした移住施策の推進についてお伺いをしたいと思います。
 私は、高校を卒業した後、すぐに働いたんですけど、商社マンとして10年間、広島のほうに住んでおりました。もう40年前の話になりますが、その頃から広島市は100万人都市ということで、地元にもプロ野球球団があったり活気にあふれて、平和公園を代表する国際交流のまちであります。かといって、少し足を伸ばせば、山もあるし、海もあると。もう今も楽しい思い出の地であります。そのうち、家庭の事情により、ふるさとへと戻ってきたわけです。
 その離れていた10年間、大きくさま変わりをしないふるさとでありまして、何も変わりもないまちだなと少し憂いていたことを思い出します。
 ただ、地元で暮らす中で、息子が少年野球に入団することによって、これをきっかけに地域活動、またボランティアなど参加するようになり、地元の生活がだんだん悪くないし、楽しいなと思うようになってまいりました。
 このまちを変えたい、年を重ねてくると、そう思うようにもなり、また、この風景、このまちがいつまでも変わりなく暮らせたらいいなと思うことも最近はよく思うようになりました。
 子供の頃は父がよく転勤をしたので、引っ越すたびに、「住めば都だ」と、よく父にも言われました。確かに、長く住めば住むほど、そのまちがいいと感じるようになりました。
 この和歌山が、もっと人々から愛され、住んでよかったまちとなればいいなと常に考えているわけです。
 幸せの度合いというのは人それぞれとはいえ、県民がひとしく幸せを感じることができれば、岸本知事の言う和歌山が最高だと思う子供たちの未来へとつながり、郷土愛に満ちた子供たちが育まれるのではないかと考えています。
 一方、人口減少、少子化、高齢者問題などは、本県のみならず、日本全体の抱える共通の課題であります。特に地方都市共通の課題である人口流出、社会的人口減をいかに抑えることができるか。県民のふるさとへの思いはどうなんだろうと思います。
 考えるうちに、47都道府県の寛容と幸福、人口移動に関する調査なる分析に目が留まりました。この分析は、地方創生をテーマにした調査研究で、47都道府県の在住者のアンケート調査を実施し、各都道府県の寛容性などを調査しています。また、東京圏に住む各都道府県出身者の若者の意識調査も実施し、分析の結果、各地域の寛容性と幸福度など、地域からの人口流出意向、東京圏からのUターン意向からかいま見えることにより、地方創生の重要な鍵があるのではないかと示されています。
 今回、このデータから見えるUターン意向と県民の幸福度について少しお話をさしていただきたいと思います。
 主とするところは、ウエルビーイング──これは幸福度という意味だそうです──とUターン意向、これの相関についてお話ししたいと思います。
 まず、データによる寛容性指標から見えてくることについてお話しすると、和歌山の県民性、これは相対的に保守志向が強く、個人的主義的な傾向にあるが、歴史や文化を大切にし、人とのつながりが強く、優しく義理人情に厚く、開放的な雰囲気がある。一方で、変化の受容については嫌う傾向にある、そういうふうな結果となっております。
 このことは、寛容性指標とUターン意向との相関に大きく影響するのではないかと考えています。
 意向性については、和歌山県民は離れても故郷との関係を持ちたいと思う傾向が顕著に表れています。目を引く点は、ふるさと納税や地域に新たな仕事を創出する活動、地域ボランティアの活動の共助活動、あと、地域まちおこしプロジェクトの企画運営や協力支援など、ほかの都道府県に比べて意識は非常に高い指標を表しています。
 では、県在住の皆さんのウエルビーイング・幸福度は指標はどうなのかということです。和歌山県の幸福度の総合指標は、都道府県別では6番目に幸せと感じているというデータが出ております。
 Uターン意向を左右する要因として、幸福度が高ければUターン意向も比例して高くなる傾向ですが、意向性と幸福度の相関で、ほかの都道府県と相反する結果となり、和歌山にいつか戻りたいと思うUターン意向は都道府県別で41番目であります。
 今回は東京圏で暮らす出身者対象のデータでございますので、関西圏ではまた違う結果かもしれませんが、いずれも1位である沖縄県、これは戻りたい意向と自分の県の幸福度、これは常に沖縄は1位なんですね。このUターン意向との在住者の幸福度の高い相関からすると、異質に感じるのは私だけではないと思います。
 さきに述べた寛容性から見える県民性や、離れていても故郷に貢献したい気持ちの高さなど、総合的な関係が示される中で、Uターン意向と県民の幸福度について検証し、今後の施策に反映させるべきではないかと考えます。
 県民の幸福度が高いということは、そこに住むことで感じる和歌山県の魅力があるのは事実であり、その魅力をしっかりと発信することで、移住者や関係人口と呼ばれる出身者を含む地域と、多様に関わる人々を呼び込めるのではないかと考えます。
 県出身者を含む県外在住者に和歌山に関心を持ってもらい、地域と多様に関わり、将来は和歌山に戻り、また移住してもらえるような働きかけをしていかなくてはなりません。
 今後どのように取り組んでいくか、地域振興監にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 地域振興監赤坂武彦君。
  〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興監(赤坂武彦君) 議員御指摘のとおり、県民の幸福度が高いということは、和歌山県の魅力や暮らしやすさを県民が感じている表れであり、多くの人にそれを知ってもらうことが移住に向けた第一歩であると認識しています。
 そのため、県では、まず和歌山に来てもらい、地域の魅力と暮らしを実感してもらうことが重要であると考え、移住希望者がオーダーメードで利用できる現地案内や、仕事を体験しながら地域住民と交流を行うしごと・くらし体験などを実施してきたところです。
 さらに、地域活動に意欲のある学生と地域住民との交流機会を提供するわかやまCREWや、大学との協定に基づく学生の地域活動の受入れなども実施しています。
 今後は、ホームページやSNS、セミナーなどを通じて、和歌山での暮らしやすさを引き続きPRすることに加え、例えば、釣りやツーリングなど趣味を切り口としたアプローチ、都市圏の方々と地域をつなげるキーマンを前面に出したプロモーション、県出身者の愛郷心への訴求など、情報発信のターゲットや切り口を広げることにより、移住者や関係人口の拡大を図ってまいります。
○議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 地域振興監から答弁をいただきました。
 難しい問題だとは思うんですけど、それでまた、この研究内容が全てではないとも思いますし、ただ幸福度という点と、その寛容性の観点、そういうところから、Uターン、またIターン、Jターン、これを考えてみるというのは少し新しい観点ではないかなと思っています。
 幸福度指数の質問項目についてちょっと少し触れさしていただきたいんですけど、これ、人生評価というのとエウダイモニアという総合点から成るということであります。
 人生評価とは、考え得る最高の人生と最低の人生があるとしたら、あなたの人生は今どの位置にあるかという質問です。これについて、和歌山県は5番目です。
 次のエウダイモニア、これ、聞き慣れないのでよく分からないですけど、日々、人として成長している実感がある、また、自分の能力を最大限に発揮している、自分という人間の価値や人生の意義を感じている、この点については和歌山県は15番目ということです。決して低いとは思わないんですけど。
 男性よりも女性のほうが幸福度が高い結果が出ている。あとまた、男女とも30代以下、60代以上の幸福度が非常に高いです。
 ここが問題かなと思うので、今度また一般質問を考えてみたいなと思いますが、男性の40代から50代、このエウダイモニアという数字が42位ということです。いろんな観点はあると思いますので、アンケートですから、それが全てとは私も思いませんけども、そういうところを自分もまちの中でいろんな意見交換をしたりとかすることもありますし、そういうところでは一度そういう40代、50代の方と一回語り合うようなことをしてみようかなと思ってます。
 知事もタウンミーティングとかされてますが、幅広くいろんな人から話を聞く機会というのを設けていただいて、これから、もし私の話が少しでも感じることがあればお願いしたいなと思います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、玉木久登君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕(拍手)
○坂本佳隆君 皆さん、おはようございます。議席番号1番、坂本佳隆です。
 私は、さきの和歌山県県議会議員選挙におきまして、初当選をさせていただきました。本日は、伝統ある和歌山県議会本会議場において一般質問の機会を与えていただきました同僚・先輩議員の皆様方に、まず感謝を申し上げたいと存じます。
 私は、国会議員の秘書として23年、紀の川市議会議員として1年、政治の現場で身を置かせていただきました。知事とは、秘書当時から党派を超えお付き合いをいただき、また御指導を賜ってまいりましたが、今、このように和歌山県知事と和歌山県議会議員として一緒に和歌山の発展に向けての仕事ができますことに、誠に感慨深いものを感じております。
 また、議員諸先輩方にも、前職当時、大変お世話になってまいりました。引き続き御指導を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 少々緊張しておりますので不手際あるかもしれませんが、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、災害の備えについての質問をさせていただきます。
 まず、質問に入る前に、先日で12年を迎えた紀伊半島大水害で犠牲になられた方々、そして本年6月の豪雨災害により犠牲になられた方に追悼の意をささげ、被災をされた方々にお見舞いを申し上げます。
 それから早いもので約3か月がたちました。県当局、担当職員におかれましては、災害時の対応から被災箇所の把握、応急復旧、また現地調査、測量の懸命な毎日を送られてると存じます。
 先日、激甚災害にも指定をされ、農水被害約130億、公共土木被害約154億、合わせて280億を超える大規模災害となりました。山積する業務の御苦労は大変なものと拝察いたしますが、被災地を抱える市町の職員の皆様と、これからの中長期にわたる災害復旧に向け、最善の取組をしていただきますよう、よろしくお願いをいたします。
 また、先日、一般質問の初日に、先輩の堀議員の質疑の中で、同一災害、同一支援の観点から、和歌山県独自の被災者生活再建支援制度の制度創設に向けた当局の答弁もあり、災害から見えてきた一つ一つの課題について、被災者に寄り添った対応に期待をするところです。
 私も、切実な被災地並びに被災者の声や地域の実情を伺っておりますが、本日は、個別の災害は避け、災害を受け、見えてきた今後の防災・減災につなげていかなければならない主要な課題について数点質問をさせていただきます。
 まず一つ目、令和5年6月梅雨前線による大雨及び台風2号による被害の検証についてであります。
 今年ほど温暖化に伴う異常気象を痛感している年はありません。猛暑が続き、台風も頻繁に発生をしております。線状降水帯により、日本のあちらこちらで記録的な大雨が降り続き、国や自治体が「命が助かる行動を」と呼びかけています。気温もさることながら、近年の雨の降り方は一段と厳しさを増しております。
 そんな中、6月には、台風2号が梅雨前線を刺激し、顕著な大雨に関する気象情報が発表され、線状降水帯が和歌山県北部に発生をしました。関係市町では、警戒レベル5、緊急安全確保も発令をされ、海南市、和歌山市をはじめ紀北地域の広い範囲で、過去に類を見ない甚大な被害をもたらしました。あまりの短時間豪雨に河川は受け切れず、至るところで越水や冠水、内水が行き場をなくし、家屋に浸水をし、大きな被害を与え、水の勢いが増して川岸や道路をえぐり取りました。農地や用排水路の被害も目を覆いたくなるほどの惨状で、心が痛みました。
 さきの6月議会におきまして、先輩の尾崎議員から、令和5年6月梅雨前線による大雨及び台風第2号の質問におきまして、「県民の安全・安心の確保を推進していく上で、災害の被害をしっかりと検証した上で次の災害に備えることが重要である」と御発言があり、私も同様の考えであります。その質問に対しまして、岸本知事は、今後の災害に備え、被害の検証を行う旨の答弁をされております。
 災害対応は、各部局が縦割りで実施しているように感じております。そのことから、被害の検証については、部局を超えて横断的に実施する必要があると考えます。危機管理、県土整備、農林、警察等々、検証対策体制を構築し、関係部局と連携を図り、情報伝達や市町へのヒアリングによる意見をも踏まえ、問題点を抽出することとともに、原因分析、課題改善の方向性を整理し、今後の災害対策に反映すべき事項を取りまとめ、この検証結果を防災計画に反映させるとともに、それぞれ担当する部局でスピード感を持って積極的に実施をし、県民の安心・安全の一層の確保に努めていただきたいと思っております。
 そこで、知事にお尋ねをします。
 今回の災害の検証については、部局間でしっかりと横串を刺し、横断的に検証していることと思いますが、どのような体制で取り組まれているか。また、検証している内容はどのようなものか、知事にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 坂本議員の御質問にお答えをいたします。
 その前に、私も、長年、国会議員をしておりましたときに、党派を超えて和歌山県選出の国会議員のチームとして坂本議員にはいろいろとお支えをいただきました。まずこの場を借りて御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。またこうして県議会の議場で相まみえることになりましたので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
 今、御質問で、6月の台風第2号による被害の検証について御質問をいただきました。6月の台風第2号の影響による豪雨では、本県に初めての線状降水帯が発生し、短期間に集中して大雨が降り、多くの家屋の浸水被害などが発生をいたしました。そのため、危機管理監をリーダーとして、全庁で今回の災害の検証を行うよう指示したところであります。
 越水や溢水のあった河川については、本議会において、被害の検証や河川整備計画の点検を行うための補正予算案を提出し、審議をお願いしているとともに、現在、線状降水帯予報に対応した職員の防災体制や住民への適切な避難情報の発令、被災市町村からの情報収集、災害救助法の適用基準、児童生徒の安全な登下校の判断などの課題を選び出しまして、現在、検証を行っているところであります。
 中でも、被災市町村からの情報収集に関しましては、8月の台風第7号における災害対応におきまして、市町村へのリエゾン派遣や、市町村と振興局間のホットラインの開設を行い、6月の経験を生かした体制の強化を図ったところでございます。
 引き続き、迅速に災害対応を実施するため、これらの検証結果を踏まえ、さらなる県民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 知事、御答弁ありがとうございました。
 早速に対応していただいたこと、振興局の機能強化を通じまして市町と連携を取っていただくこと、本当に心強く思います。
 また、今回の検証で、災害救助法の矛盾等々もはじめ、いろんな課題も見えてきたと思います。情報収集、情報共有、災害対応による体制、災害対応や被災者支援、道路機能の確保等々、様々な課題が見えてきたと思いますが、課題をあぶり出すだけではなく、その課題を細分化し、すぐできること、できないこと、また中長期的に対策をしなくてはならないこと、予算のかかること、確実にできること、法改正が必要なことなどなど、有事に備え、平時にこそ検証対策の総括をして、進捗管理まで県が責任を持って部局横断で取り組んでいただくことが県民の安心につながることと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。
 続きまして、2番目の質問に移ります。
 紀の川市内における県管理河川のしゅんせつの実施状況と今後の計画についてでございます。
 和歌山県北部では、6月2日に線状降水帯が発生をし、24時間に降った雨量が平年の6月1か月分を超える地域があるなど、記録的な大雨になりました。
 被災当時の報道によりますと、河川の氾濫状況は、貴志川、由良川などが氾濫をし、あふれた箇所は少なくとも54か所に上ったようであります。このうちの半数を占める27か所は、貴志川支流の真国川で起きております。
 真国川は、かつらぎ町や紀の川市、紀美野町を流れる全長22キロ余りの県が管理をする河川であります。
 真国川は、これまで洪水浸水想定区域図には公表をされていませんでしたが、水防法の改正により、全ての河川が洪水浸水想定区域図作成の対象になったと伺っております。一刻も早い公表をお願いしたいと思いますが、今回氾濫した場所は線状降水帯がかかっていた場所と一致をしています。これまでの災害が起きていなかった支流などで水があふれた可能性が高く、特に谷底にある真国川では、氾濫をした水が川に沿って流れる流下型氾濫が起きたと考えられます。
 このような谷底を流れる川は、県内各地の山間地にあり、同じような災害は他所でも起こり得ります。
 紀の川市におきましても、令和5年度で36地区58件の県管理河川での改修の要望を提出しています。堤防や護岸の修復もございますが、約8割はしゅんせつ、草木の伐採等、河道の断面不足の解消を要望する内容です。
 また、今回の豪雨災害の被災地域の一つでもある貴志川の支流の野田原川流域の地域からも、20年来、毎年のしゅんせつの要望を出し続けていたにもかかわらず、しゅんせつが行われていない川の氾濫もございました。
 このような現状も踏まえ、紀の川市の県管理河川の氾濫防止に最も有効な方法であるしゅんせつ等の実施状況と今後の計画について県土整備部長にお尋ねをいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 県管理河川の堆積土砂の撤去につきましては、緊急浚渫推進事業債を活用し、緊急性の高いところから順次対応を行っております。
 紀の川市内の河川においては、本年6月の豪雨の出水による土砂の堆積状況も踏まえ、野田原川、真国川など12河川において、堆積土砂の撤去を今年度実施する予定です。
 来年度までの制度である緊急浚渫推進事業債については、制度延長を国に対し、機会あるごとに要望を行っているところであり、引き続き、必要な予算の確保に努め、河川の適切な維持管理に努めてまいります。
○議長(濱口太史君) 坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁ありがとうございます。
 結局のところ、治水の原則は川の水を、水位を下げるという、ここに尽きるんであると思います。川底を掘れば水位が下がるのは当然のこと。なかなか地味な公共事業ではあるかもしれませんが、有効な手段だと思います。
 また、我々も、年に一度、地域の家の周辺の水路や溝をどぶさらいするわけですね。こういったことを年に1回することによって水の流れをよくするという、細かなことではありますが、こういうことがしゅんせつの第一歩であると思っておりますので、どうぞしゅんせつについても前向きに御検討いただいて、また、お話を聞いておりますと、残土処分にかなりのコストがかかるというふうにお聞きをしました。そのしゅんせつで取った残土の再利用、また様々なコスト削減ができる工法を研究していっていただきたいと思います。
 次に、3番目の質問に移ります。
 砂防基礎調査の実施状況と警戒区域等の指定状況についてでございます。
 河川の氾濫、浸水被害と並んで、土砂崩れ、地滑りによる災害も大きな問題であります。近年、土砂災害は毎年のように全国各地で発生しており、私たちの暮らしに大きな被害を与えています。そんな土砂災害から国民の生活を守るため、土砂災害防止法という法律が制定されています。
 土砂災害の防止には、砂防堰堤や護岸などのハードの整備が有効的ではございますが、整備には膨大な時間と費用が必要となってしまいます。
 そこで、土砂災害から人命を守るため、ハード整備と併せて危険性のある区域を明らかにし、危険の周知、警戒避難体制の整備や一定の開発行為の制限など、ソフト対策を推進しようとする法律であります。
 この法律では、国土交通大臣が土砂災害防止対策基本指針を作成し、都道府県が基礎調査を実施、都道府県知事が土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域を指定することができるとされています。
 和歌山県における基礎調査の実施状況、また警戒区域等の指定状況を県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 県では、土砂災害から住民の命を守るため、土砂災害防止法に基づき基礎調査を行い、その結果を用いて土砂災害警戒区域等の指定を行っています。
 土砂災害警戒区域等は、土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域から構成されています。土砂災害警戒区域とは、急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民の生命または身体に危害が生じるおそれがあると認められる区域で、土砂災害特別警戒区域とは、土砂災害警戒区域のうち、建築物に損壊が生じ、生命または身体に著しい危害が生じるおそれのある区域です。
 本県では、2004年12月に基礎調査を開始し、2020年3月に調査を完了、その結果を用いて、2021年4月までに2万1879か所の土砂災害警戒区域と2万297か所の土砂災害特別警戒区域の指定が完了したところです。
 土砂災害警戒区域等は、地形の改変や住宅の立地、対策事業の完了により区域の変更が必要であることから、おおむね5年ごとに行う基礎調査の結果等を踏まえて、必要に応じ区域の見直しを実施しています。
○議長(濱口太史君) 坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 続いて、次の質問に移ります。
 土砂災害リスク情報整備事業についてでございます。
 国交省では、年々増加する土砂災害にソフト面で対応するため、令和3年度から、土砂災害リスク情報整備事業交付金が新たに追加をされました。
 この交付金は、住民などに対し、土砂災害のおそれがある区域についての周知を徹底するとともに、土砂災害に対する住民などの理解を深め、避難の実効性を高めることを目的とした標識及び看板等を設置する事業です。
 今御答弁いただいた約2万2000か所の警戒区域に対する土砂災害対策は、県だけでは到底難しく、市町村と連携をした対策を取らなければなりません。
 土砂災害リスク情報整備事業を活用した標識等ソフト整備を早急に進め、市町村と一体となり、住民への周知の徹底を進めるべきと考えます。
 そこで、和歌山県における土砂災害警戒区域等の周知、また啓蒙について、土砂災害リスク情報整備事業を活用したソフト事業の現状と今後の計画について県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 県では、土砂災害のおそれのある区域を示す土砂災害警戒区域に対する認知度を向上させることは、議員御指摘のとおり、人命を保護するために非常に重要であると考え、ソフト対策として、土砂災害警戒区域に関する周知啓発活動に取り組んでいます。
 これまで、砂防課のホームページにおいて、土砂災害警戒区域等を公表するとともに、土砂災害啓発センターのホームページでは、土砂災害警戒区域をより分かりやすくするため、空中から俯瞰できる動画を作成し公開しております。
 土砂災害による被害を軽減するためには、ハード対策に加えソフト対策も重要であると認識しており、土砂災害リスク情報整備事業の活用は有効な手段の一つと考えています。
 実施に際しては、土砂災害に対する住民の理解を深め、避難の実効性を高める必要があることから、市町村や地域住民と十分な調整を行いながら取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁ありがとうございます。
 市町村との調整との御答弁をいただきましたが、市町村任せではなく、県がイニシアチブを取って進めていっていただきたいと思います。
 また、こういう住民へのリスクの周知は、少々遅れぎみな気がしております。
 先般、9月15日の読売新聞には、内水氾濫のハザードマップの想定区域図というのを作成しろという国からの水防法の改正による指示があったにもかかわらず、作成率がゼロ%の12件というところに和歌山県が載せられておりました。ぜひとも、なかなかハードではできないソフト面でのこういったところをまず最初に進めていって、住民の安心・安全につなげていっていただきたいと思います。
 また、災害への備えということで今回の御質問をさせていただきましたが、やはり災害で一番大変な思いをされるのは被災を受けた方々だと思っております。最大限被災者に寄り添える制度、また災害を最小限にとどめる政策の遂行を切にお願いをして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、坂本佳隆君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時4分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(中本浩精君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 22番山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)
○山家敏宏君 こんにちは。
 今回、登壇の機会をいただきまして、先輩議員・同僚議員に心から感謝申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告書に従い、一般質問をいたします。
 まず最初に、災害対策について質問いたします。
 昨今の異常気象で、全国各地で線状降水帯が発生し、甚大なる被害をもたらしています。度々発生するため、異常気象と言うべきかどうか微妙なところではありますが、本県でも6月2日金曜日に台風2号に伴う線状降水帯が発生し、湯浅町の時間降雨量では12時から13時まで74ミリ、13時から14時まで57ミリ、14時から15時まで34ミリと、非常に激しい雨が降り続きました。
 当日、私は午後から自宅待機し、16時頃から車で湯浅町、広川町、有田川町の状況確認のため巡回し、至るところで通行止めが発生しており、本当に限られたところまでしか行けないような状況で、被害状況もつかめないままでした。次の日から徐々に郡内の被害状況が伝わり、できる限り現地調査を行い、住民の方々からいろいろな御意見をいただきました。
 御意見の中で多かったのは、農地関係はもちろんですが、帰宅困難になった方々から、なぜ高速道路が通行止めになったのかという御意見も多くいただき、私自身も、緊急輸送道路なのに、なぜ通行できないのか疑問であります。速度制限を行って通行可能にするべきではないのかと御意見も多くいただきました。
 当日、本県を通る高速道路は、線状降水帯が発生した12時から通行止めになっています。
 そこで、今回に限ったことだけではなくて、今後も大型台風や線状降水帯が発生する可能性があるため、なぜ災害発生前に高速道路を通行止めにするのか、県土整備部長に答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) NEXCO西日本では、高速道路利用者の安全の確保を第一に、道路法に基づく事前通行規制制度を導入しており、連続雨量等の規制基準を定め、災害が発生する前であっても通行止めを実施しています。
 この制度は、1968年に観光バス2台が土石流に巻き込まれ、104名が死亡した岐阜県の国道41号飛騨川バス転落事故を契機として定められたものです。当事故における判決では、道路管理者が事前に通行規制措置を取るべきものであったとされ、その後の2009年に発生した九州自動車道太宰府インター付近での土砂崩れによる通行車両が巻き込まれた死亡事故でも同様に、道路管理者の責任を問う判決が出されております。
 高速道路の雨量の規制基準については、道路の区間ごとに経験降雨や災害状況などの過去の記録を基に、連続雨量、または連続雨量と時間雨量との組合せ雨量により設定されており、例えば、有田インターチェンジから御坊インターチェンジ間では連続雨量で290ミリ、または組合せ雨量で連続220ミリかつ時間50ミリとなっております。
 今回の6月2日の線状降水帯による豪雨でも、各区間でこれらの規制基準に達したため、順次、高速道路の通行止めも実施したものと聞いております。
○副議長(中本浩精君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 人命が一番優先というのは理解しますけども、今回の通行止めは、12時から翌日の6時までの18時間通行止めを実施していました。同日15時以降は、雨は降っていたものの、自動車で走行できないような雨ではなかったと思います。それなのに、約15時間通行止めを解除しなかったのが現状であります。
 和歌山市から湯浅町まで帰宅するのに、車で7時間半かかった方もおられると聞いております。また、有田郡から和歌山市に電車通学の学生は、早朝に電車に乗るため登校してしまって、下校時には電車も運休、保護者が迎えに行くのも困難であり、和歌山市のホテルに泊まることになった方もいるようでした。ホテルの対応は様々で、宿泊するための現金を持っていない子が大多数であり、保護者がホテルに電話し、後払いにしていただけるホテルもあったようですが、無理なホテルもあったと聞いております。
 高速道路の安全確保は当然重要ですが、安全確保の確認に15時間もかかるものなのでしょうか。詳細な確認に、仮にトンネル内のクラック、水漏れ等を確認するのであれば、かなりの日数がかかると思います。
 どのような安全確認を行っているのかは不明ですが、安全が確保されているのであれば、早急に通行止め解除をしてほしいのですが、できないものなのでしょうか。また、できる限り早く通行止めが解除できる対策はないのか、県土整備部長に答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 県土整備部長。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) NEXCO西日本によると、基本的に、事前通行規制の解除は、時間雨量2ミリ以下の状況が6時間以上続く予測がなされ、道路の点検や清掃を行った後、NEXCO西日本と高速道路交通警察隊のおのおので路面やのり面の安全確認を実施した上で行っているとのことです。
 こうした中、豪雨による事前通行規制において、高速道路が最大限機能を発揮するよう、従来の経験降雨等に基づく通行止め基準から、土砂災害の危険度を考慮した新たな基準への見直しを検討するなど、通行止め開始及び解除のタイミングの適正化を図り、通行止め時間の最小化を目指していると聞いております。
 県としても、7月6日の政府提案要望時に、NEXCO西日本に対し、のり面や盛土、橋梁等の構造物の補強対策を進めるなど、安全性を向上させた上での事前通行規制基準の見直しの検討を働きかけたところです。
 引き続き、より災害に強い高速道路の構築を働きかけてまいります。
○副議長(中本浩精君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 引き続いて、NEXCO西日本と協議をよろしくお願いいたします。
 続いて、江上川の対策について質問いたします。
 江上川とは、広川町を流れる2級河川です。以前から大きな台風等で、江上川の氾濫で住宅の浸水や、住民の方々にとっての主要道路、県道御坊湯浅線が冠水し、通行止めになることが何度も起こっており、住民の方々は非常に不安を感じております。
 現状では、県単独事業で、令和3年度3000万、令和4年度、5年度は各4000万円の予算を使い改修していただき、私も工事の進捗を現地で何度も確認させていただいております。江上川の工事を少しでもスピードアップしていただき、長年の悲願である完成を実現していただきたい。
 そこで、現状の江上川の工事の進捗状況と完成のめどについて、県土整備部長に答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 県土整備部長。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 江上川につきましては、住宅の浸水被害や周辺道路の冠水被害の軽減を目的として、江上橋からJR紀勢本線までの延長約700メートルの区間において河川整備を進めており、うち約270メートルの区間が完成し、現在は工場跡地付近の約120メートルの区間を整備しているところです。
 完成のめどはまだ申し上げられませんが、引き続き、早期完成に向け、事業の推進を図ってまいります。
○副議長(中本浩精君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 続いて、県道下湯川金屋線について質問いたします。
 下湯川金屋線は、有田川町下湯川と粟生を結ぶ県道です。この県道沿いには、五郷地区という集落があります。五郷地区の住民の方々は、ふだん通勤、買物等で出かけるときには県道下湯川金屋線を通り、粟生地区の国道480号線に出て通勤等を行っております。地区の人々にとっては、県道下湯川金屋線は主要な生活道路です。知事におかれましては、選挙期間中、五郷地区の中原に入っていただき、よく覚えていただいていると思います。
 この県道は、以前から大型台風の大雨等により、度々斜面崩壊、停電等が起こっています。6月の大雨でも、斜面崩壊、路肩欠損、土石流など多くの被害に見舞われました。通行止めについても4日程度続き、この間に救急患者が出ており、修理川から林道を迂回して五郷地区に救急車が到着するまでに1時間半以上かかり、到着後、患者さんを救急車に乗せて近くのヘリポートまで搬送したという事態が発生しています。この患者さんは、幸いにも軽症で済んだと聞いております。
 私自身も、この現場の斜面等を見ておりますけども、危険箇所が多く見受けられます。今後の台風や線状降水帯により、斜面崩壊を起こすのではないかと不安を感じています。
 本県には、ほかの路線でも多くの急な斜面がありますが、今回は下湯川金屋線に絞ってお聞きいたします。
 今回の崩壊箇所の早期復旧、また、現状の全ての急な斜面を工事するのは難しいのは承知しておりますが、少しでも急な斜面等については工事を進め、住民の皆様の不安を取り除き、孤立することを未然に防止することが重要だと考えますが、県土整備部長の答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 県土整備部長。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 県が管理する道路のり面につきましては、道路防災点検において対策が必要とされた箇所のうち、国道480号などの緊急輸送道路から優先的に対策を進めているところです。
 県道下湯川金屋線などその他の道路につきましては、道路パトロール等により道路のり面に変状が確認された場合に対策を講じております。
 また、本年6月の大雨により、県道下湯川金屋線において、道路区域外の斜面が崩壊し、道路施設が被災したため、公共土木施設災害復旧事業を活用し、早期復旧に向け取り組んでいるところです。
 今後とも、道路パトロールによる点検を行いながら、道路のり面の状況を注視し、変状が確認された際には対策を講じるなど、安全な通行確保に努めてまいります。
○副議長(中本浩精君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 先ほども申しましたけども、今回、患者さんが軽症でよかったのですけども、この道路の通行止めが続けば命にも関わることですので、徹底したパトロールと、少しでも危険な斜面があれば改善していただくよう、強く要望いたします。
 続いて、災害情報の周知と和歌山県防災ナビアプリの普及についてを質問します。
 6月2日の災害では、短期間に集中して大雨が降ったため、多くの箇所で道路の通行止めが発生し、私の地元である有田郡の地域住民の方からも、道路の通行止め等の情報を知らずに、帰宅するのに何時間もかかった、私にも、どの道路を通れば帰宅できるのかとの問合せが数多く寄せられました。
 災害発生時においては、道路の通行規制等など、気象情報、河川氾濫や土砂災害等の災害関連情報を住民にいち早く知ってもらうことが非常に重要なことです。
 県では、災害情報を伝達する手段として、防災わかやまホームページを公開していますが、その存在を知っていれば、今回の災害においても安心した県民の方は多数いたのではないかと思います。
 そこで、防災わかやまホームページによってどのような情報を知ることができるのか、改めて広く県民に対して周知を図る必要があると考えます。
 また、今回の災害もそうですが、昨今の豪雨災害を見ていると、浸水被害等が拡大する前に安全な場所へ避難すること、つまり、迅速かつ適切な避難の重要性を改めて認識しました。そのためには、県民一人一人が災害からいかに自分の命を守るかということを意識して、災害が発生したとき、あるいは災害発生の危険性が高まったときに素早く避難行動を取ることができるよう、日頃から訓練等を通じて、発生時に適切に行動する準備を整えておくことが肝要と考えます。
 県では、迅速な避難を推進するため、和歌山県防災ナビアプリによる啓発を進めており、8月末時点のダウンロード数が7万1000件を超えると聞いていますが、より多くの方に利用していただけるよう、一層普及啓発を推進していく必要があると考えます。このことについて、危機管理監の答弁を求めます。
 また、このアプリでは、最寄りの避難場所の検索のほか、河川水位情報や土砂災害危険度情報を確認することができますが、防災わかやまホームページの災害情報についても確認することができるようになれば、アプリの画面を操作するだけで、避難経路の確認を行いながら付近の道路規制の情報等を確認することができますし、アプリ利用者の増加に併せて防災わかやまホームページの周知にもつながると考えますが、このことについても危機管理監に答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 危機管理監福田充宏君。
  〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 防災わかやまのホームページは、県民の皆さんが災害情報をリアルタイムで確認することができるポータルウェブサイトであり、画面を御覧いただくと、気象情報、土砂災害警戒情報、避難情報の発令状況、避難所等の開設状況、道路の通行規制に関する情報、直近の地震・津波の発生状況、各種ハザードマップ等を地図上で確認することができます。
 また、公共交通機関の運行状況などに関する外部サイトへのリンクを掲載しており、各自必要な情報を御確認いただけるようになっております。
 防災わかやまホームページと和歌山県防災ナビアプリの普及につきましては、これまで、県広報紙「県民の友」への掲載、SNSでの紹介、各種イベントでのPR活動を通じて、積極的に周知に努めてまいりました。
 議員御指摘のとおり、災害時における情報伝達は非常に重要であり、県民の皆様へのより一層の周知が必要と考えておりますので、今後もあらゆる機会を捉え、その普及啓発に努めてまいります。
 あわせて、情報伝達手段の充実を図る観点から、和歌山県防災ナビアプリでも防災わかやまホームページの災害情報を確認することができるよう、機能の追加を進めてまいります。
○副議長(中本浩精君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 機能追加をしていただけるということの前向きな答弁、ありがとうございます。
 防災わかやまホームページに通行止め情報をリアルタイムに反映させるためには、市町村の協力が不可欠ですので、引き続いて県と市町村の連携をお願いいたします。
 また、私も、微力ながら県政報告等を通じて和歌山県防災ナビアプリの啓発に努めてまいりますので、県としても引き続いての啓発をよろしくお願いいたします。
 続いて、地方版図柄入りナンバープレートについて質問いたします。
 地方版図柄入りナンバープレートとは、皆様御承知のとおり、走る広告塔として、地域の風景や観光資源を図柄とすることにより地域の魅力を全国に発信することを目的に、2018年10月1日から交付を開始しています。
 本県では、議員提案の和歌山県観光立県推進条例が平成22年4月1日に施行され、第1条の目的には、観光立県の実現を図るため、県民総参加による観光振興の取組を推進するとなっています。
 本県では、地方版図柄入りナンバープレートが導入されていませんが、県民総参加という意味合いでは、このナンバープレートは県民の皆様の機運をさらに高めるためにも有効であると考えます。また、和歌山ナンバーの車が図柄入りナンバープレートをつけ、県外を走れば、和歌山県の観光地や特産品のPRにもつながると考えます。
 ぜひ本県でも導入を進めるべきだと考えますが、地域振興監の答弁を求めます。
○副議長(中本浩精君) 地域振興監赤坂武彦君。
  〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興監(赤坂武彦君) 地方版図柄入りナンバープレートは、地域の風景や観光資源など特色ある図柄を描いたもので、2018年度に国土交通省が導入し、本年10月には秋田や群馬などが追加され、全国68地域で交付されることとなります。
 本県の地方版図柄入りナンバープレートの導入については、議員御指摘のとおり、観光振興や地域振興の観点から、魅力発信を行う効果的な手段の一つであると考えられますので、2027年度に国土交通省が予定している次期募集に向け、申請に必要となる県内市町村の意向確認や県民アンケートの実施、デザイン案の作成など、導入に向けた取組を進めてまいります。
○副議長(中本浩精君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
○山家敏宏君 前向きな答弁、ありがとうございます。
 デザインの選定は、難しい部分もあると思います。有田地方にも多くの観光地や特産物がございます。個人的には、地元の図柄を載せてほしいという思いはありますけども、個々に言い出したらごちゃごちゃした図柄になると思います。中途半端になってしまい、県外の人に魅力を伝えることが難しくなります。まずは、県外の人が本県のどこに魅力を感じるのか、どこに観光したくなるのかということに重点を置いて、多くの情報を載せるのではなく、主になる事柄を決めて、まずは本県に来ていただくということに重点を置いて検討していただくよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後、要望ですけども、2025年度新築住宅省エネ基準適合義務化に向けての技術職員数について、知事に対して要望いたします。
 2022年6月に公布された脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律により、建築物省エネ法が改正され、原則、全ての建築物について省エネ基準への適合が義務づけられます。
 また、あわせて、建築基準法の改正により、建築確認・検査対象の見直しや今までの審査省略部分も縮小され、建築確認の申請手続等も変更になり、2025年4月に施行予定です。
 具体的には、一般的な木造2階建て住宅、延べ面積150平米、約45坪を建築すると想定した場合、今までは、都市計画区域内では構造及び省エネ関連の図書の提出が不要であったのが提出必須になり、この部分を審査する必要があります。また、都市計画区域外で、この規模では建築確認が不要でしたが、施行後は都市計画区域内と同じ扱いとなり、建築確認が必要となります。
 現状、建築確認を担当する部署では、建築確認を審査し、その後、中間検査、完了検査と2回現場の検査に行く必要があります。施行後は、まず建築確認審査項目が大幅に増加、そして、今まで不要であった都市計画区域外の審査も必要になります。恐らく現場の検査も増加すると考えられます。
 現状でも、私は、ぎりぎりの人員で業務を行っていると思っております。現状の人員のままで施行されれば、建築確認の審査が遅延し、建築主に御不便をおかけするばかりでなく、施工業者、下請業者に対しても施工開始時期が不明になり、混乱するおそれがあります。
 施行予定まで1年と6か月しかございません。私は、早急な建築技術職員の確保が必要であると考えておりますので、このことについて知事に要望いたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中本浩精君) 以上で、山家敏宏君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕(拍手)
○中西 徹君 皆さん、こんにちは。
 それでは、早速ですが、議長の許可を得ましたので、9月議会の一般質問を始めさせていただきます。
 大項目1、公立学校体育館への空調設備の導入促進についてでございます。
 この質問に関しては、ちょうど1年前の議会で、先輩議員の秋月議員が避難所の体育館へのクーラー設置についてを質問されております。
 気象庁は、9月1日、今年の夏、6月から8月の全国の平均気温が1898年の統計開始以来最高だったと発表しました。平年より1.76度高く、これまで最も高かった2010年──平年比プラス1.08度──を大きく上回ったということです。地域別では、北日本で平年を3.0度上回り、東日本で同プラス1.7度、西日本で同プラス0.9度と、いずれも過去最高となっています。年間を通じた最高気温の記録を更新したのは、全国915地点中128地点──タイ記録を含みますが──となりました。
 気象庁によると、9月も全国的に暑い日が続き、厳しい残暑となる見込みと予想されています。和歌山県の2021年から2023年の6月から8月の最高気温の3か月平均を計算してみたのですが、2021年は29.86度、2022年は30.9度、2023年は31.06度と、2年前と比べると1.2度上昇していることになります。
 このような状況ですので、私のところにも保護者から数件、学校の体育館への空調設備の設置についてのお話がありました。
 平均気温が上昇しているということは、熱中症のリスクも高くなっているということです。空調設備のない夏場の体育館は特に高温になります。体育館は、直射日光で建物が温められ、室温が高温になる傾向があります。しかも、通気を行っても外気温が高く、熱が籠もりやすいため、もともとの高温に拍車がかかったような状態になってしまいます。そのような環境下で部活動などの課外活動を行えば、熱中症のリスクは当然高まります。活動の時間を短縮しても、それは抜本的な熱中症対策にはなりません。
 この時期は、運動会などの練習をされている時期で、外が暑過ぎてできないので、体育館を使って練習をしているなども聞いております。それでも暑いようです。
 令和4年9月1日現在の公立小中学校における空調設備の設置状況を全国的な数字を確認すると、東京都の体育館への設置率が82.1%と極端に高くなっています。次は大阪府の27.4%、兵庫県の26.6%、栃木県の22.8%、奈良県の21.9%と続いています。ちなみに、和歌山県は9.2%となっています。
 災害発生時において、地域の避難所としても利用される既存体育館への空調・冷房設備の設置については、校舎の空調設備の設置がほぼ完了しましたので、次は体育館への設置計画も検討を進めるべきだと私は考えます。
 山形県の吉村知事は、この9月補正予算で、危険な暑さから子供の命と健康を守るため、学校における熱中症対策を推進すると、体育館や武道場に移動できる冷房機器の整備費用約3億1000万円を計上しました。熱中症の疑いによる部活動帰りの中学生の死亡事故や、体育祭の練習中の緊急搬送が相次ぎ、緊急対策として、授業や部活動などの運動中に定期的に体を冷やすことができるスポットクーラー等を県内の中学・高校の体育館に整備するそうです。
 近年の気温上昇を考え、教育環境改善の取組に向けた体育館への空調設備の設置計画を考えるべきではないでしょうか、教育長にお伺いします。
○副議長(中本浩精君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 県内公立学校における体育館への空調設備の導入につきましては、昨今の猛暑による熱中症の対策や、災害発生時における環境整備として、必要性があることは認識しております。
 市町村の小中学校の体育館の空調設備につきましては、新築工事や大規模改造工事に合わせた設置や、スポットクーラー等の導入により、2023年5月1日現在の設置率は10.4%と、少しずつではございますが、整備が進んでいる状況です。
 県教育委員会としましては、公立の小中学校等における空調設備の設置工事に活用できる学校施設環境改善交付金の補助率が2023年から2025年までの期間において3分の1から2分の1に拡充されていることから、市町村教育委員会に対して、さらなる積極的な活用を促してまいります。
 また、県立学校においても、国の補助制度等を活用し、大規模改造工事に合わせた空調設備の設置や、熱中症対策としてのスポットクーラー等の導入を検討してまいります。
○副議長(中本浩精君) 中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございました。
 この質問に対しては、やはりこの暑さの中、体育館の施設が少しでも涼しくなるようにという思いと、そして、やっぱり環境整備が必要だなということでさせていただいております。
 県内での環境整備がまだできていない箇所は、小中学校で309施設、県立高等学校で109施設、県立特別支援学校で10施設となっています。
 答弁でいただいたように、公立小中学校については、本年度から令和7年度までの国の学校施設環境改善交付金の活用を促していただき、避難所であれば緊急防災・減災事業債、交付措置率が70%も活用できると思います。また、県立学校においても、スポットクーラーなども含め、しっかりと取り組んでいただくようお願いします。
 次の質問に入ります。
 大項目2、県証紙の段階的廃止についてを伺います。
 この質問に対しては、令和元年、玄素議員も以前行っており、私も2年ぶり2回目の質問になります。
 県証紙については、運転免許の試験手数料や更新手数料、学校受験料の納付など、証紙の取扱窓口で開業時間内に現金で購入し、支払い証明として証紙を貼付けし、申請書類を完成させています。証紙は金券の一種で、地方自治体が条例に基づいて発行し、自治体に対する使用料や手数料などの納付を行うための証票で、申請者が証紙を購入する際は売りさばき所を利用します。
 和歌山県証紙条例は、昭和39年に制定されています。証紙制度は、導入した当時においては事務の効率化の面から一定の効果があったと考えております。しかしながら、この証紙制度による納入は、書類を受ける窓口、そして、別に証紙を販売する窓口などを設置する必要があります。
 和歌山県では、紀陽銀行のほか、一部町役場、交通安全協会等の売りさばき人と振興局の地域振興部等の売りさばき機関で取り扱っており、県内には75か所存在します。証紙を購入して行う手続としては、運転免許試験の申請、運転免許証の交付、教員免許状授与証明書の申請などで約62万件あり、年間約15億円規模の徴収実績があると聞いております。販売に係る売りさばき手数料は約2700万円、印刷費用は約300万円、合計年間コストは約3000万円となっています。そこに人件費も一部必要になってくると考えます。また、取扱いに対する住民や職員にも手間がかかると考えられます。
 財政危機警報が行われており、また、デジタル和歌山の実現や行政デジタル化などの政策がどんどん進められようとしている中で、キャッシュレス決済も進んでおり、私としては、住民の利便性や事務効率化、経費削減を考える上で、証紙廃止に向けた取組を具体的に進めていくべきではないかというふうに考えております。
 前回の答弁では、段階的な導入を検討していくと答弁いただいていますが、進捗状況と今後の取組について、会計管理者にお伺いします。
○副議長(中本浩精君) 会計管理者﨑山秀樹君。
  〔﨑山秀樹君、登壇〕
○会計管理者(﨑山秀樹君) 議員御指摘の県証紙の段階的廃止について、パスポートセンターにおいては、2019年4月に取扱いを廃止しており、加えて、本年度は交通センターなど運転免許関連の主要窓口3か所においてキャッシュレス決済が可能なシステムを導入し、納付方法の多様化に対応する予定です。
 県証紙の廃止に向けては、代替のキャッシュレス決済の導入がデジタル社会では必須であり、県民の利便性の向上に大いに資する一方、システムの構築・維持に一定の費用が必要となることから、個々の手数料受領窓口における件数、収入額、導入に伴う業務の増減等を勘案しつつ、引き続き段階的廃止に向け、取り組んでまいります。
○副議長(中本浩精君) 中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございます。交通センターを本年度は対応していただくということなので、よろしくお願いします。
 他都道府県の状況は、廃止済みが東京都、広島県、大阪府、鳥取県、京都府と、前回の質問時より増えています。また、今後の廃止予定は、岡山県が令和5年9月──今月です。これは2月議会に可決されたようです──埼玉県が令和6年3月、新潟県が令和7年3月となっています。
 和歌山県も、行政手続のDXにも取り組んでおられる中、県民の利便性もよくなると考えますし、売りさばき手数料や印刷費用の経費削減にもつながると考えますので、引き続き取組を進めてください。
 それでは、次の質問に入ります。
 大項目3、ネーミングライツの導入についてです。
 この質問も、ちょうど1年前の9月議会に先輩議員の川畑議員も質問をされております。
 多くの自治体において、税収が伸び悩み、収入源の確保が課題となっています。財源不足に苦労する中で、多くの自治体で実施されているのは、自治体の広告事業、施設などに名前をつける権利を契約するネーミングライツであります。
 欧米のプロスポーツ界を中心に広がりを見せ、日本では、1997年に西武グループが所有する東伏見アイスアリーナに対し、サントリーが命令権を買収したのが始まりだと聞いております。公共施設では、2003年に東京スタジアムが味の素スタジアムとなり、5年で総額12億円の契約となっています。
 施設の所有者である企業や自治体にとっては、ネーミングライツを売却することで収入を得られ、購入した企業にとっては、自社の知名度向上とともにイメージの向上も期待でき、結果として売上向上につながると考えられております。利害が一致し、費用対効果も認められることから、この制度は日本でも浸透し、長期契約が続いている施設も少なくありません。他府県の状況では、47都道府県中35都道府県が導入していると聞いております。
 和歌山県内の取組状況では、県施設ではまだ実施されていませんが、市では、橋本市が運動公園や産業文化会館、温水プール、歩道橋などで年間総額385万円、有田市は市民球場で10年総額600万円の収入を得ておられます。
 本県も、税収の伸びや義務的経費が減らない中、また、施設管理費が老朽化などでこれから莫大な更新費用が必要な中で、県有施設を有効に活用することによる収入の確保は必要だと考えます。行政財産の中で、ネーミングライツ導入に適した対象施設などの選定も必要となってきますが、和歌山県においても、管財課で令和4年にネーミングライツ導入ガイドラインも作成されている中、現在の取組状況はどのようになっているのか、総務部長にお伺いします。
○副議長(中本浩精君) 総務部長吉村 顕君。
  〔吉村 顕君、登壇〕
○総務部長(吉村 顕君) 県では、ネーミングライツの導入を進めるため、対象施設の選定や募集要項の決定、契約の締結など、愛称の使用開始に至るまでの具体的な手順を定めた和歌山県ネーミングライツ導入ガイドラインを昨年度策定いたしました。
 現在の取組状況につきましては、ガイドラインを作成した総務部管財課において、標準的な選定委員会設置に関する要綱の案や、応募に係る募集要項の案、命名者との契約書案などを作成し、施設を所管する課と共有するなど、事務的なサポートを行っております。
 また、施設所管課では、必要に応じ、新たな名称が受け入れられるか否かの県民の意識を把握するため、アンケート調査を実施するなど、管財課と施設所管課においてネーミングライツの導入に向けた取組を進めているところです。
 ネーミングライツ導入に関しましては、施設の運営等に関係する団体等の理解を得る必要もあるなど、時間を要する場合もあると考えておりますが、今後とも、関係部署において連携し、ネーミングライツの導入を進め、歳入の確保に努めてまいります。
○副議長(中本浩精君) 中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございました。進めていっていただきたいというふうに考えております。
 新たな収入確保への思いもあり、質問をさせていただきました。僕自身、行政も稼ぐという考えも必要だと思います。
 ネーミングライツについては、管財課と施設所管課の連携が必要ですが、ガイドラインもある中で、施設所管課の皆さんのネーミングライツ導入への意識が一番必要となってくるのではと思います。たくさん部長さんらもいらっしゃる中で、施設候補はたくさんあると思いますので、まず一つ導入していただきたい、そのことを要望して、よろしくお願いします。
 次の質問に入ります。
 大項目4、災害医療調整本部設置についてをお伺いします。
 6月2日、私の地元である海南市や紀美野町が線状降水帯の発生により、県内においても大きな被害が発生しました。私も初めての経験で、水が本当にあっという間に四方八方から一気に実家の店舗内に浸水してきたことを経験しました。海南市の中心地も大きな被害を受け、災害救助法が適用され、紀美野町も含めて被災者生活再建支援制度の適用もされるなど、今もなお被害対応を行っていただいているところです。
 そのような状況ですから、海南市内の医療機関も浸水被害に遭われ、患者の受入れ調整が病院間で行われましたが、時間もかかり、スムーズに進まなかったということです。ほとんどの方が初めての経験だったことなので、気がついた点も多くあります。また、被災後分かったことも多くあります。そのような中で、災害医療調整本部設置についてお伺いします。
 和歌山県災害医療調整本部設置要綱を見てみると、災害時に必要とされる保健医療活動の総合調整を行うために設置する和歌山県災害医療調整本部及び地域災害医療調整本部──これは地域の保健所のことなんですけども──の組織及び運営に関して、必要事項の体制においては、「第3条 和歌山県は、大規模災害時に和歌山県内における保健医療活動の総合調整を行うため、和歌山県災害医療調整本部を設置する。」、「2 県立各保健所及び和歌山市保健所は、大規模災害時に保健所管轄地域内における保健医療活動の調整を行うため、地域災害医療調整本部を設置する。」となっています。
 その設置基準では、「第5条 県本部は、次に定める基準により設置するものとする。(1)県内において震度6弱以上の地震が観測されたとき。(2)災害等により医療本部の設置が必要と認められるとき。」、「2 地域本部は、前項に定める県本部の設置基準に準じ設置するものとする。」となっています。
 今回の豪雨災害では、和歌山県災害医療調整本部と地域災害医療調整本部の両方が設置されませんでした。通常は、県本部がまず設置され、それに準じて地域災害医療調整本部が設置されるという想定になっているものと考えます。今回の場合、和歌山県内で特に海南市や紀美野町が大きな被害を受け、和歌山県全体で考えたときには一部の地域だけ豪雨となったことから、県本部の設置については必要でなかったのかもしれませんが、今回のように、地元が大きな被災をしたことを、私自身、まともに経験した身になると、災害医療調整本部はどのような場合に設置するのかと考えます。
 今回、たまたま私たちの地域ですが、今後、他の一部地域が被災することも十分考えられます。地域の病院も自分たちで災害対応を行っていますが、被災して対応ができない場合、病院同士の連携となると、県が先に災害医療調整本部の立ち上げを行っていただくことにより、医療機関の連携もスムーズに進むのではと考えます。
 今回のような場合、地域災害医療調整本部は県本部の設置基準に準じ設置するものとなっているのですが、今後は、和歌山県災害医療調整本部の立ち上げを待つことなく、先に被災している地域において、地域の保健所がまず地域災害医療調整本部の設置を行い、指揮対応するべきではないかと考えますが、福祉保健部長の考えをお伺いします。
○副議長(中本浩精君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 医療機関に大規模な被害が見込まれる場合には、県災害医療コーディネーターによる圏域を越えた患者の受入れ調整等も必要となることから、被害の大きい地域の調整本部と県の調整本部を同時に立ち上げ、県全体で体制を整えて対応することが通常の流れとなっております。
 しかし、非常に短時間に発生し、大きな被害をもたらす豪雨など、当該地域で速やかに災害対応の指揮を執る必要があれば、県災害医療調整本部の設置の有無にかかわらず、各保健所において地域災害医療調整本部を設置してまいります。
○副議長(中本浩精君) 中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 ありがとうございます。そうしていただければいいと思います。よろしくお願いします。
 最後の5項目めに入ります。
 公共施設への太陽光発電設備設置についてお伺いします。
 2021年6月に国が決定した地域脱炭素ロードマップにおいて、国や自治体の建築物や土地では2030年までに設置可能な建築物等の約50%に太陽光発電設備を設置し、さらに、2040年までにはこの割合を100%にすることを目標にしています。
 世界的な脱炭素の流れもあり、太陽光発電は発電時にCO2を排出しないことから、これからの社会を支える新たなエネルギー源として高い期待を寄せられています。
 また、災害時におけるエネルギー供給源にもなります。日本は、台風や地震など災害が多く、大規模で長期間にわたる停電に見舞われるケースも少なくありません。そのような場合でも、公共施設やその周辺で太陽光を用いた発電が行えれば、地域レジリエンスの強化につながり、災害対策にもなります。
 実際に、2019年9月に発生した台風15号による千葉県睦沢町の停電では、地元太陽光発電などの電力を利用し、道の駅や町営住宅に電気が供給されました。これにより、電気を供給された公共施設が地域の防災拠点として機能しています。
 災害時には、公共施設は防災拠点として重要な役割を担います。太陽光発電設備設置により、停電時にも防災拠点として機能が失われないことが期待されています。
 各省庁は、個別に太陽光発電導入の働きかけを強めています。例えば、文部科学省は学校や公民館、図書館、博物館、体育館などに、厚生労働省は福祉施設や病院に、警察庁は警察庁舎や宿舎などです。また、総務省消防庁は消防庁舎を、国土交通省は公営住宅を、環境省は廃棄物処理施設と自治体庁舎を担当するということです。
 このほか、環境省は、昨年度から各自治体に対し、公共施設に太陽光発電をどれだけ導入しているかの実績値と、2030年度の導入目標量を調査し、現状の導入実績と2030年度目標を集計して把握することで、政府目標の達成に向けた進捗管理を行う考えであります。
 ただ、和歌山県公共施設等管理計画を見ても、多くの公共施設が老朽化しており、老朽化などで太陽光発電設備設置に耐えられない施設などもあり、調査も必要であると考えます。
 公共施設への太陽光発電設置については、先ほども申し上げたとおり、防災対策、脱炭素推進に有効だと考える中で、2022年3月末実績で42の県有施設に太陽光発電設備が設置されていると聞いておりますが、県有施設への新たな設置に向けた現在の取組状況について、環境生活部長にお伺いします。
○副議長(中本浩精君) 環境生活部長山本祥生君。
  〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 県有施設への太陽光発電設備の導入につきましては、県の負担をできるだけ軽減するため、事業者が発電設備を設置し、その電気を県が買い取る、いわゆるPPAの活用を予定しております。
 現在、150施設について、各施設の屋根の形状や面積、日射条件等から発電量を推計し、施設の電気使用量と照らし合わせるなど、設置に適した施設を洗い出すための導入可能性調査を実施しているところでございます。その調査結果を基に、長期的な計画を策定し、来年度から計画的に設置していく予定です。
○副議長(中本浩精君) 中西 徹君。
  〔中西 徹君、登壇〕
○中西 徹君 答弁ありがとうございます。
 来年度から計画的に設置されているということなんで、しっかり調査し、実施してください。よろしくお願いします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中本浩精君) 以上で、中西徹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時5分散会

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